○森国務
大臣 えらい遅れまして二、三各主管について御
説明したようでありますから、あるいは数字等重複する点があるかと存じますが、一応所管の
予算の
内容について
説明をいたしたいと存じます。
昭和二十五
年度農林省所管の予定
経費の要求額は
一般会計において、二百九億二千八百九十八万円でありまして、これを二十四
年度当初
予算額二百十四億五千四百三十一万円と比較いたしますと、五億二千五百三十三万円の
減少となり、二十四
年度補正予算を含めた年間
予算総額四百五十五億四千三百四十八万円に比較いたせば、二百四十六億一千四百五十万円の
減少となります。
このやうに二十四
年度に比し大幅の
減少を示しておりますのは、二十四
年度補正予算に食糧
管理特別会計繰入れ百七十億九千三百万円、薪炭需給調節
特別会計繰入れ五十四億七千万円があるためであります。従つて二十四
年度予算年間
総額から、これら両
特別会計繰入れを除いた二百二十九億八千四十八万円と比較いたしますと、二十五
年度予算は十四億三千八百五十一万円の
減少となり、国の
一般会計予算要求
総額の
減少一一%弱でありますが、これに比較いたしまして、
農林省所管は六%強の
減少にとどまつております。
なお二十五
年度は、シヤウプ勧告によりまして、若干の
補助金、約一億四千七百万円が
地方財政平衡
交付金に吸収されましたし、森林害虫駆除の
関係が、公共事業費から
一般会計に組みかえられ、これが二十五万円の増でありますが、また国有林野事業
特別会計の独立採算の見地から、従来同
特別会計に計上されていた林業試験場費、これが八百八万円
減少しております。及び国有林
治山事業の
事務費が、
一般会計に組みかえられ、また第一水産講習所
関係の
経費は、所管がえによつて文部省の
予算に組みかえられる等、
予算の組み方に若干の変動があつたわけであります。
これらの予定
経費要求額は、お
手元に差上げてあります予定
経費要求書に定めるところに従い、部、款、項、目、節に区分して支出する予定でありますが、その重要な
事項について
説明いたしますと、次の
通りであります。
第一に、わが国民経済復興と安定えの要請上、何と申しましても緊要欠くべからざるものは、食糧事情の安定でありまして、これがため
一般会計におきましては、食糧の
増産関係に六十二億九百四十八万円、
食糧供出関係に三十六億九千二百九万円を
予算いたし、これらを合せますと、
一般会計予算要求額の四七%弱に達し、
農林省といたしまして、全力をこの点に傾倒しているわけであります。なおこのほか、食糧
管理特別会計におきましても、食糧事情の安定上三百四十万トンに上る食糧輸入を予定いたしております。
食糧
増産関係六十二億九百四十八万円については、このうち
農政局に二十三億六千九百二十五万円、動植物検疫に五千九十五万円、肥料
検査所に一千八十四万円、
農薬検査所に六百三十五万円、ばれいしよ原々種農場に九千百七十一万円、
農業改良局に六億八千五百六十一万円、畜産局に八千三百七十二万円、種畜牧場に二億七百七十四万円、食糧庁に二十六億九千二百一万円を
予算いたしたものでありまして、三十四
年度の三十三億九千四十一万円に対し、一億六千七百六十八万円
減少しておりますが、
一般会計総額に対する比率におきましては、二十四
年度の一四・七%、前に述べた両
特別会計への繰入れを除いて
計算したものでありますが、十五・四%と多少
増加し、大体において二十四
年度の規模を踏襲しております。
この
経費は、申すまでもなく、食糧の
増産をはかり、
農家経済の安定とわが国経済の復興を
促進いたしますために、農民諸君に対するこれが適切なる指針を与え、進歩せる
農業技術の普及、優良なる種苗の確保、
農業用諸
資材の適正なる
配給確保等の事業を行いますとともに、
農業経営に甚大なる影響を及ぼす天災や病虫害等に対する対策といたしまして、共済保険制度を実施するための
経費であります。食糧
増産関係六十二億九百四十八万円のうち、
農業共済保険制度を実施するための
経費が一番大きく、四十七億七十七万円を占めておりまして、特に二十五
年度は、二十四
年度における麦の被害の実情にかんがみ、異常
災害が発生した場合の支払基金として、
農業共済再
保険特別会計に繰入れる
経費九億一千五百二十万円を要求いたしております。このほか食糧
増産関係で、二十四
年度とかわつております点は、第一に、
単作地帯対策に力を入れまして、二十五
年度は
北海道のみならず、
東北、北陸等寒冷単作
地帯の稲作を安定し
増産をはかりますために、
水稲保温折衷苗代、
水稲温床苗代及び
紫雲英採種圃設置に要する
経費の
補助二億四千七百九十一万円を要求しております点を、第二に、二十四
年度補正予算で成立しました病害虫の防除を、本格的に実施することにいたしました点、第三に、
農業改良普及員を二千五百名増員いたしまして、進歩せる
農業技術の普及をはかりました点、第四に、優良種牡畜の利用拡大をはかり、家畜の改良増殖を
促進いたしますために、新たに人工授精
施設に必要な
経費を要求いたしました点等であります。
食糧供出関係の
経費は三十六億九千二百九万円でありまして、このうち
農政局に計上されてあります十五億九千二百四十五万円は、主要食糧の生産及び供出を確保するために、
農業調整委員会の運用によつて、生産及び供出数量の事前
割当、補正等を行い、それに必要な諸
資材の計画的
割当等
農業計画を樹立実施するための
経費であり、
農業改良局に計上されてあります一億一千六百六十六万円、及び作物報告事務所に計上されてあります十九億七千三百六十万円は、右の
農業計画に必要な耕地面積、作付面積、予想収穫高、推定実収高、
地方調査等の諸
調査を行うための
経費でありまして、二十五
年度は特に農作物の被害状況を明らかにし、補正
割当を適正にするために、新たに被害
調査を実施せることにいたしております。そのほか食糧庁に食糧
管理に関する諸
調査に要する
経費九百三十七万円を
予算いたしております。
食糧供出関係の
経費は、二十四
年度の四十一億三十四万円に比し、四億八百二十五万円
減少しておりますが、これは主として農作物
調査に要する諸
経費の節約によるものであり、また市町村
農業調整委員会が八月から
農地委員会と合体いたしまして、
農業委員会となります
関係上、
委員会の数を
農地委員会に合せて減らしましたため、若干
減少を見ております。
次に農地改革のために三十億六千五十万円、このうち二十九億九千三万円を農地局に、七千四十七万円を農地事務局に
予算いたしております。この
経費は、申すまでもなく農地解放についての残務及び経
理事務の
促進、牧野の解放、並びに開拓事業のための未墾地の取得、売渡し事業を行う
経費でありまして、既墾地及び牧野
関係に二十四億五千三百六十三万円、未墾地
関係に六億六百八十七万円を
予算いたしております。二十四
年度の農地改革費三十九億七千八百七十七万円に比し、二十五
年度は九億一千八百二十七万円を
減少し、総体の比率におきましても、二十四
年度の一七%から三%弱
減少しておりますのは、農地改革事業も大体において一段落に達し、所期の目的を着々達成したことによるのでありまして、農地改革実行の第一線の
末端機関であります市町村
農地委員会も二十五
年度からは書記二名を一名に減じ、八月から市町村
農業調整委員会と合体し、
農業委員会として発足するわけであります。
次に開拓事業のために十九億一千六十三万円、このうち農地局に十六億六千二百八十二万円を、農地事務局に二億四千七百八十万円を
予算いたしております。もつとも開拓事業につきましては所管外ではありますが、後に述べまする公共事業費に五十一億八千三百二十九万円を要求いたしてありまして、
一般会計ではそれに要する
事務費と入植及び営農に関する適切な指導に要する
人件費その事の諸
施設に要する
経費が要求されておるわけでありまして、そのほか開拓者資金融通
特別会計におきまして、入植者の営農資金及び共同
施設資金を十一億八千九百八十万円融資することに
なつておりますが、その貸付金及び同
特別会計の国債、借入金利子の財源として十三億六千五百七十五万円を
一般会計より繰入れることとしてあります。
申すまでもなく、国内開拓の事業は、食糧
増産の基本的対策でありますとともに、海外引揚農民吸収の適切な対策でありますので、公共事業費における開拓事業費も大幅に
増加し、
一般会計における開拓
関係経費の比重も九%強に達し、
農林省として大いに力を入れておるところであります。
次に治山治水のために十一億四千四百六十五万円を林野庁に
予算してあります。戦時戦後を通ずる山林の過伐濫伐は、年々水害の累増と
なつて現われております現状にかんがみ、すみやかにこれに対処して、治山治水事業を実施し、国土の保安をはかりますことは、経済復興と民生安定の急務でありまして、保安林制度を整備拡充し、民有林の施業案を普及して、その経営を計画的ならしめ、過伐濫伐を防止して造林を奨励するために必要な
経費を計上したものでありまして、ほかに森林の害虫駆除に要する
経費、治山及び造林事業を実施する公共事業費の
事務費を見ております。公共事業費におきましては所管外でありますが、後に述べますように、この
関係で四十億の
経費が要求してあります。
治山治水
関係では、二十四
年度の八億七千五百九十九万円に比し、二十五
年度は三億六千八百六十六万円を
増加しており、総体の比率におきましても二十四
年度の三・八%から二十五
年度は五・四%と
増加し治山治水に力を入れておることがわかるわけであります。
次に試験研究及び
調査研究のために、十七億四千七百八十九万円、そのうち系統的な、試験研究機関による、試験研究費を十三億三千四百万円予定しておりまして、これを
農業改良局に一億八百九十八万円、
農業研究所に一億四千九百四十二万円、
農業試験場に三億五千三百四十六万円、
農業総合研究費に二千百七十五万円、農事改良実験費に一億七百六十七万円、蚕糸試験場に一億五千六百四十一万円、家畜衛生試験場に二億二千三百十一万円、食糧研究所に二千五十二万円、林業試験場に一億三千九百十五万円、水産研究所に二億六百八十四万円を
予算いたしております。その他
調査研究費といたしまして
農業改良局に九千七百五十六万円、作物報告事務所に二億五千七百四十五万円、水産庁に四千九百三万円、林野庁に百八十一万円、蚕糸局に三百二十三万円、
官房に四百六十八万円、合計四億一千三百七十九万円を
予算いたしております。申すまでもなく試験研究及び
調査は技術の発達と経済の進歩の原動力でありまして、わが国のごとく経済の発達の遅れている国におきましては、あらゆる分野において試験研究と
調査の必要は痛切に感ぜられるところでありますが、わけても零細な生産者が狭小な国土にゐ集し、技術と経済の発展が他産業に比し特に遅れております農林水産業におきましては、その必要性はなおさら大きいのであります。この意味におきまして試験研究と
調査は特に重視いたしまして懸案の試験研究機関の整備統合も結論を得まして、二十四
年度の十五億八千四百四十八万円に対し、二十五
年度は十七億四千七百八十九万円と二億余円を
増加し、総体の比率におきましても、二十四
年度の六・九%から八・四%へと
増加しておるわけであります。
次に統制の撤廃ないし緩和は、二十五
年度予算編成の基本方針と
なつておりますが、
農林省関係におきましても大幅に統制を緩和ないし撤廃いたしまして、
統制関係の
経費は二十四
年度の二十五億二千六百八十九万円から七億五千三百八十一万円ヘと実に十七億七千三百八万円を
減少し、総体の比率におきましては、二十四
年度の一一%から三・六%へと大幅の低下を示しております。今その主なるものをあげますれば、
物資の需給調整及び
物資の
割当関係――指定生産資財等におきましては、二十四
年度の五億四千八百八十八万円から三億一千三百四十九万円へと二億三千五百三十九万円の
減少と
なつており、指定農林
物資の集荷
配給、繭及び副蚕糸の
配給割当、指定農林
物資の検査、薪炭の
配給統制、鮮魚介及び加工水産物の集出荷
配給につきましては、統制の撤廃を予定して
経費を要求してありませず、
肥料公団及び食糧
配給公団に対する
交付金は廃止し、その他統制の全般にわたりましてその緩和と
経費の節減をはかつてあります。
二十五
年度において要求しおります
統制関係の
経費は七億五千三百八十一万円でありまして、これを
官房に六千五百四十三万円、
資材調整事務所に二億四千八百五万円、
農政局に一千九百四十七万円、畜産局に五百四十二万円、食糧庁に九千五百三十万円、林野庁に三十二万円、水産庁に六百二十九万円を
予算いたしております。
以上申し上げました食糧
増産、供出
関係、農地改革、開拓事業、治山治水、試験研究、
統制関係の
経費の
総額は、百八十五億九百二十四万円に上り、二十五
年度一般会計要求
総額の八八%強を占めております。右のほか申し落しました
一般会計の
重要事項につきまして簡単に申し上げますと、まず輸出
関係では
農林省水産物の輸出入
促進と
輸出品の検査のために
官房に一千三百三十五万円、
輸出品検査所に一億九百八十二万円、合計一億二千三百十七万円を
予算いたしておりまして、これは二十四
年度の二千三百十四万円に比べまして一億円余の
増加と
なつております。
協同
組織関係では
農政局に四千百七十二万円、水産庁に一千八百五十五万円、計六千二十七万円を
予算し、農漁民の啓蒙と組合役職員等の教育等によつて、農漁村における
協同組合運動の自主的発達をはかり、農漁村民主化の
促進をはかつております。
経費の額については二十四
年度と大差はありません。
農村工業及び副業の振興につきましては、
農政局に一千五百八十六万円、農村工業指導所に三百七十五万円、計一千九百六十一万円を
予算いたし、
農家経済の安定を期しております。二十四
年度の
予算一千九十二万円に比し八百六十九万円の
増加に
なつております。
養蚕及び蚕糸業の振興につきましては、さきに述べました蚕糸試験場の試験研究費のほかに養蚕振興対策に必要な
経費として一千二十二万円、蚕糸の技術改良に必要な
経費として六千九百八十二万円、蚕糸業の指導監督に必要な
経費として一千七百八十九万円、合計九千七百九十三万円を蚕糸局に
予算し、為替レートの
関係や海外市場の変化等の
関係から深刻な影響をこうむつておりますわが国蚕糸業及び養蚕業に対し、海外需要に即応した進歩せる技術の普及によつて製糸業や養蚕業の経常を能率化するとともに、蚕病予防のために蚕種の検査を行う等養蚕及び製糸業の振興に努めているわけであります。この
経費も二十四
年度の八千七百六十九万円に比し、一千二十四万円の
増加と
なつております。
次に家畜衛生のためにはさきに述べました家畜衛生試験場の試験研究費のほか畜産局に二億一千五百二十五万円、家畜衛生試験場に獣疫血清製造費として七千四百七十五万円、計二億九千万円を
予算いたしておりまして、家畜疾病の予防及び治療、家畜衛生技術の
浸透向上と繁殖障害の除去による生産率の
向上をはかるとともに、家畜薬の取締り及びその検査を実施するわけであります。この
経費も二十四
年度の二億七千四百五十五万円に比し一千五百四十六万円
増加しております。
最後に水産
関係におきましては、漁業制度改革のために三億八千三百六十三万円を水産庁に
予算いたし、新漁業法に基づきますところの新しい漁場秩序を樹立することによりまして、漁業生産力を
向上させるとともに、民主的な漁業調整
委員会制度の運用によつて、漁業の民主化を期待いたしておるわけであります。そのほか水産増殖のために二千四百八十六万円、沿岸漁業の取締りと指導監督のために一億七千五百七十九万円、合計二億九千百十一万円を水産庁に
予算いたしまして、水産界における生産力の増強をはかつております。これらの
経費は二十四
年度に比し、漁業制度改革において二億五千四百六十一万円、増殖及び取締りにおいて一億三千八百九十九万円と大幅に
増加しております。
以上で
一般会計に対する概略の
説明を終りまして、次に所管外として要求されておりますが、特に密接な
関係がありますので、農林水産業
関係の公共事業費について概略
説明いたしたいと思います。
農林水産業
関係の公共事業費の要求
総額は二百十八億四千万円でありまして、二十四
年度の百七十億四千九百七十八万円に比べますと、四十七億九千二十二万円の
増加と
なつておりますが、公共事業費全体が六百六億六千万円から九百七十億へと大幅に
増加しておりますために、公共事業費総要求額に対する農林水産業
関係公共事業費要求額の比率は、二十四
年度の二八%から二二%へと低下しております。農林水産業
関係の公共事業費要求額二百十八億四千万円は、
農業に百工十七億、七二%、林業に四十九億五千万円、二三%、水産業に十一億九千万円、五%という配分に
なつております。
まず
農業関係について申し上げますと、
農業関係要求
総額百五十七億のうち、約四六%に当る七十二億が
災害復旧費に充てられておりまして、そのうち六十億六千七百八万余円が
農業公共
施設災害の復旧に、十一億三千二百九十一万余円が耕地
災害復旧費の
補助に充てられております。二十四
年度の
農業施設災害復旧事業費は四十七億四百六十九万円でありまして、二十五
年度はこれに対し、二十四億九千五百三十一万円の
増加と
なつており、
災害復旧に重点が向けられております。特に二十四
年度本
予算におきましては、耕地
災害復旧費の
補助は打切られ、融資をもつてまかなうこととされたのでありますが、融資も円滑を欠き、利子も
相当額に上りますので、
農家経済の安定をはかるため、二十四
年度補正予算に五億円を計上いたしまして再び
補助の対象とし、二十五
年度はこれを十一億余円
増額要求したわけであります。
災害復旧費を除く八十七億円につきましては、その三九%に当る三十三億一千六百七十万円が
土地改良事業費に、四六%に当る三十八億八千三百三十万円が開墾事業費に、一五%に当る十三億が干拓事業費に充てられておりまして、これを二十四
年度に比べますと、
土地改良事業費において七億四千百七十六万円の増、開墾事業費において四億三千九百三十五万円の増、干拓事業費において四億八千六百三十万円の増、総体で十六億六千七百四十二万円の
増加となり、
土地改良事業費の
増加が一番大きいわけでありまして、
土地改良事業に重点が向けられております。
林業につきましては、総要求額四十九億五千万円のうち、造林事業に十九億二千九百十五万円、三九%、
治山事業に二十億七千八十五万円、四二%、林道開設に五億五千万円、一一%、
災害林道復旧に四億、八%が要求されておりまして、
治山事業が最も多く、
総額の四二%、次いで造林事業が三九%と
なつております。これを二十四
年度に比べますと、造林事業において五百七十六万円の増、
治山事業において八億五千九百六十九万円の増、林道改設において七千九百六十九万円の増、林道
災害復旧において四千五百二十九万円の
減少となり、結局林業全体として八億九千九百八十五万円の
増加と
なつております。右の
増額要求のうち、
治山事業が八億五千九百六十九万円で大部分を占め、
治山事業に重点を向けておりますことは明らかであります。
なお水産
施設につきましては、十一億九千万円を要求しておりまして、このうち漁港修築費が七億五千万円、
災害漁港復旧費が四億四千万円であります。これを二十四
年度に比較いたしますと、二億二千七百六十四万円の
増加に
なつております。
以上述べました
通り、二十五
年度における公共事業費要求の特徴は、
災害復旧に重点が置かれておることでありまして、
農業関係におきましては、その四六%に当る七十二億が、林業におきましては、
治山事業と
災害復旧とを合せ、林業
総額の四七%に当る二十三億二千九百十五万円が、水産業におきましては、その三七%に当る四億四千万円が
災害復旧費に充てられておるわけであります。
なお前に述べましたように、二十五
年度要求額は農林水産業とも二十四
年度に比し
増加しておりますが、公共事業費要求
総額との相対的比率におきましては、
農業は二十四
年度の一九・八%から一六・三%へ林業は二十四
年度の六・七%から五%へ水産業は二十四
年度の一・六%から一・二%へとそれぞれ低下しておるわけであります。
引き続きまして、
特別会計につきごく簡単に御
説明申し上げます。
食糧
管理特別会計におきましては、
歳入歳出四千八百三億二千四百十九万円でありまして、二十四
年度の
歳入歳出、四千八百四十五億六千百二十二万円に比べまして、四十二億三千八百三万円の
減少に
なつております。予想される輸入食糧の増大や、主要食糧の単価の改訂等を見込みましても、なお四十二億余万円の
減少を来しておりますのは、
歳入につきましては、食糧
配給公団納付金の廃止による
減少六十一億三千四十九万円と物品払下代等雑収入の
減少二十五億一千四百五十二万円を見込んでおるためであり、歳出につきましては、二十四
年度四百九十三億九千八百八十四万円に上りました、
いも類買上げの
経費が
減少しているためであります。従いまして食糧売払い代金のみについて見ますれば、二十四
年度の三千三百七十一億五千五百七万円から三千五百八十八億六千六百四十一万円と二百十七億一千百三十四万円の
増加となり、
いも類を除いた食糧買入代金のみについて見ますれば、二十四
年度の二千六百七十四億七千六百七十八万円から三千百十七億九千七百五十六万円と四百四十三億二千七十八万円の
増加と
なつております。輸入食糧につきましては、三百四十万トンを見込んでおり、
いも類につきましては食糧買入代金の
総額の範囲内において、実行上必要なる数量の買入を行うことに
なつております。
農業共済再
保険特別会計は、
農業勘定におきまして、
歳入歳出四十二億二千六百九十七万円で、二十四
年度の五十三億三千六百八十六万円に比し十一億九百八十九万円の
減少と
なつておりますが、これは
歳入につきましては、主として借入金収入の
減少、歳出につきましては、主として
農業共済組合連合会に対する
交付金の
減少と、国債整理基金
特別会計繰入れの
減少によるものであります。また家畜勘定におきましては、二十四
年度の十八億十五万円に対し、二十五
年度は十八億八千三百十万円でありまして、八千二百九十四万円の
増加に
なつておりますが、これは前
年度の引受けにかかる未経過
保険料の収入増と、保険事故発生による再
保険金支払に必要な
経費の
増加によるものであります。業務勘定では二十四
年度の一千三百九十三万円に比し、二十五
年度は二千九百七十八万円と一千五百八十四万円を
増加しておりますが、これは再保険事務の整備拡充による
人件費、事務員の
増加によるものであります。
森林火災
保険特別会計におきましては、
歳入歳出五千八百六十二万円でありまして、二十四
年度の四千四百二十二万円に比し一千四百四十万円の
増加と
なつておりますが、これは主として未経過
保険料と無事戻金支払の財源に充てる支払備金受入れ収入の増によるものであり、漁船再
保険特別会計は
歳入歳出二億九千六十一万円でありまして、二十四
年度予算の二億八千四百一十三万円と大差のないところであります。
次に自作農創設
特別会計におきましては
歳入において六十四億三千四百八十一万円で、二十四
年度の四十九億三千二百七十九万円に比し十五億一千二百万二円の
増加と
なつておりますが、これは前
年度決算剰余金の受入れが二十四
年度の二十二億から四十九億八千七十三万円へと二十七億余万円
増加しておるためであり、また歳出におきましては、六十三億九千六百五十三万円で、二十四
年度の二十七億七千四百七十二万円と大幅に三十六億二千百八十一万円を
増加しておりますが、これは農地証券を繰上げ償還いたします
関係上、農地証券の償却金及び償却手数料が大幅に
増加して四十八億八千二百五十万円に上つておるためであります。
〔
委員長退席、松浦
委員長代理着席〕
開拓者資金融通
特別会計の
歳入歳出は十三億九千八百四十四万円でありまして、二十四
年度の二十一億四百七十三万円に比し七億六百二十九万円の
減少でありますが、これは開拓者に対する融通資金の縮小に伴うものであります。
国有林野事業
特別会計におきましては、
歳入歳出百五十一億円でありまして、二十四
年度の百三十億三千二百七十七万円に比し二十億六千七百二十三万円の
増加でありますが、これは林道事業、造林事業及び治山治水事業等の
経費に充てるため、米国対日援助見返り資金
特別会計から三十億円を受入れているためでありまして、事業の経営面におきましては、景気の後退のために縮少を余儀なくされ、素材、製材、薪炭等直営生産物の売払い収入は、二十四
年度の百一億二千五百五十八万円から二十五
年度は九十億二千百八十五万円と十一億三百七十三万円の
減少を示しております。
終りに国貨
競馬特別会計の投票券勘定におきましては、
歳入歳出五十七億八千四百十七万円でありまして、二十四
年度の六十七億七千五百二十七万円に比べ九億九千百十万円を
減少しておりますが、これは税金の
関係や競輪との競争、
一般的購買力の低下等による勝馬投票券発売金の収入
減少を見込んだためであります。従いまして業務勘定の方も、二十四
年度の二十六億二千八百四十八万円に比ベ二十五
年度の
歳入歳出は、二十二億六千九百七十八万円と三億五千八百七十万円の
減少に
なつております。
以上所管の予定
経費要求のごく概略を御
説明いたしました次第でありますが、よろしく御審議をお願いいたします。