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1949-12-21 第7回国会 衆議院 農林委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十二月二十一日(水曜日)     午前十一時二十三分開議、  出席委員    委員長 小笠原八十美君    理事 野原 正勝君 理事 松浦 東介君    理事 八木 一郎君 理事 山村新治郎君    理事 井上 良二君 理事 山口 武秀君       安部 俊吾君    宇野秀次郎君       河野 謙三君    原田 雪松君       平澤 長吉君    渕  通義君       守島 伍郎君    石井 繁丸君       坂口 主税君    高田 富之君       横田甚太郎君    寺本  齋君       中垣 國男君    小平  忠君  出席政府委員         農林政務次官         (農政局長)  坂本  貴君         農林事務官   藤田  巖君         物価政務次官         (物価第三部         長)      坂田 英一君         経済安定事務官 川上 為治君  委員外出席者         農 林 技 官 宮島 一義君         通商産業事務官 竹田 達夫君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ————————————— 本日の会議に付した事件  農業用電力に関する件  肥料に関する件     —————————————
  2. 松浦東介

    松浦委員長代理 これより会議を開きます。  この際農政局長より肥料に関する件について発言を求められております。これを許します。藤田政府委員
  3. 藤田巖

    藤田政府委員 十二月二日付で、肥料配給公団の経理に関する農林委員会要望書がございましたが、これに対しまして回答期限が二十日ということに相なつてつたのであります。その後調査をいたしました結果、まだ正確には判明いたしませんが、現在までわかつておりますところを中間報告いたしたいと考えます。  二十三年下半期決算書に、追加計上されました五億六十一万円の未佛金についてでありますが、その後実際に支拂われました額を調査いたしましたところ、十一月二十二日現在で追加分につきましては、千六百七十八万二千百六十六円三十七銭、これが追加支拂いをされて貼りますが、差引四億八千三百八十二万七千八百三十三円六十三銭は不用に帰しておるわけであります。この残額の処置といたしましては、これは当然剰余金として国庫に納付すべきものでございますが、公団には二十二年七月の価格改訂の際に、春肥配給未済分を旧価格農家に還元いたしましたために生じました欠損が二億六千四十七万九千九百三十四円四銭ございます。これが当初国庫から補填をされるということになつておりまして、債権として計上されておりますが、これは国庫からの補填見込みがございませんので、これを剰余金によつて相殺をいたしまして、さらに二十三年度事業欠損補填金として国庫から交付される見込みでございました八千二百三十五万五千二十四円八十九銭は、剰余金が生じました結果、これも交付されないことに相なりますので、これを差引きまして残りの一億四千九十九万二千八百七十四円七十銭、これを剰余金といたしたいと考えております。この方針によりまして、公団から決算書を修正するというような手続で、今関係方面と相談をしております。  次に二十三年下半期以前につきまして、こういう処置がなかつたかどうか調査すべしというような御要望がございましたのですが、二十三年度上半期について調査をいたしましたところが、支部から提出されました決算報告にさらに附加をしてこぶをつけるというようなことは行われてはおりません。  次に本部の運賃勘定の問題でございますが、小運搬費につきましては、五月十日以降日本通運一本の元請で行われることに相なりまして、決算期までに期間が比較的短かかつた関係上、日通の未佛請求額通り計上いたしまして、計上願通り支拂われております。それから大運送賃につきましては、船舶運営会海上輸送関係の未拂計上につきまして見通しが困難な事情がございましたので、概算で三千四十万七千九百円余計上いたしましたところが、実績は一千四百五十八万七千七百円余になつております。その結果一千五百八十二万二百円が余つておりますが、これは二十三年下期の決算によつて帳簿上一応雑益に計上いたしまして、他の雑損相殺をいたしておるわけであります。  こういうふうな事態でございまして、これまで私どもの方で調べておりますところでは、二十三年上期につきましてはおかしいところもないように考えております。しかしながら今後こういうふうなことの行われないように、十分監督をいたして参りたいと現在考えておるわけであります。なお詳細な点は、さらに決定がはつきりいたしましてから、あらためて御報告申し上げたいと思いますが、一応中間報告といたしまして以上の点だけを申し上げておきます。
  4. 松浦東介

    松浦委員長代理 それでは本日は前回の委員会において決定いたしました通り農業用電力に関する件を議題として、その質疑を許します。井上良二君。
  5. 井上良二

    井上(良)委員 政府は今般電気料金値上げを発表したのでありますが、この電気料金値上げに伴いまして、御存じ農業用特に灌漑排水用電力料金を何ら考慮することなく、一律に一般工業用電力料金と同等の引上げを実行することになつて全国耕作農民または農業団体から、この不法なる値上げ処置に対して非常な反対運動が行われておることは、政府も御承知通りであります。御承知通り日本のように耕地の狭い、しかも丘陵地帯の多い、また用排水の近代的な施設がうまく行つていないところにおきましては、どうしても用排水電力を大幅に利用しなければなりません。特に旱魃地帯におきましては、揚水機重要性を認めまして、至るところに最近揚水機施設されておるのでありますが、これは人間の力の及ばない天然自然のやむを得ない現象から旱魃が起る、そのために灌漑のために電力を利用しておるのであつて、一に国内の食糧の自給度を百パーセント高めるという、農民の国家の要請に対する協力の結果であり、また農業経営の実際面からも、ぜひやらなければならぬことであるにかかわらず、これを一般工業電力と同等に、追加料金を大幅に引上げて取上げるという行き方は、日本農業実態というものを全然考えずにやられておる。この政府処置に対しては、われわれとしては何としても納得できないのですが、それらに対して安本及び物価庁、あるいは通産省あたりでは、いかなる理由によつてかくのごとき無謀な処置をとられたか、この点に対して十分農民が納得し、農業団体が得心のできる説明を願いたいと思うのであります。
  6. 坂田英一

    坂田政府委員 お答えいたします。井上委員お話は、まつたく私どもとしても同様に考えておるのでありますが、御存じ通り、今回の改訂料金におきましては、業種別による割引料金は一切これを認められないということに相なりましたので、今お話のあつた灌漑排水用電力値上げも、比較的高く相なつておりますのも事実であります。しかしながら灌漑排水電力の問題は、お説の通り、まつたくこれはでき得る限り低くすることに努めなければならぬと存じておりますので、この種の電力の需用に対しましては、料金以外に割当てる、つまり高い超過料金がかからないように、でき得る限り割当の操作によつて低くするように努めて参りたい、こう考えておるわけであります。  なおこの点につきましては、いろいろ御推察を願えておることであると思いますが、電力料金の点、並びに供給に関する全般の問題が、早急にこれを実施しなければならないという事態に立至つて参りましたので、取急ぎ急速にこれを実行することに相成りました。もちろん電力全体の値上げとしては、これは二月以来どうしても電源の開発、あるいはサービスの問題、その他全般から見て、電力料値上げをしなければならないことに相なりましたことは、井上委員も御了承のことであると思います。その点は御了承願わなければならぬことでありますが、さようにいたしまして、灌漑排水電力料については、実行の面において、超過料金を拂わないで済むといつたような方向に向つて、できる得る限りのことを考えて参りたい。こう存じておる次第であります。なおこの電力料金の問題については、二、三なお関係方面とも折衝中の事柄も残されておるのでありますが、結局排水灌漑用電力料につきましても引続き折衝をいたして参りたい。こう存じております。この点何とぞ御了承願いたいと存じます。  なお序でありますが、臨時供給等によりまして施設費その他のことが自分の負担でやります場合においては、臨時供給の安い料金によつて行き得る部面も考え合せて実行したい。こう存じております。
  7. 井上良二

    井上(良)委員 そういたしますと大体揚水機排水機を利用いたしております耕地面積に、大体どれだけの電力超過割当というか、そういうものを具体的にお調べになつておりますか、これは実際過去のいろいろな実績に基いて計算をすれば、計算が出ぬことはないのでございますが、これはまつたく自然の條件が毎年かわりますので、たとえば九州地方には前後数回にわたり台風があつたが、前年来昨年まで、御存じ通り旱魃地帶が至るところに発生をして、一粒の雨も降らないというような事態が生じておりまして、これは実際過去の実績をいろいろ調査して、これだけまず電力割当てておけば超過料金はとられないことになりはしないかという、常識論では解決でき得ない問題があるのであります。だから灌漑排水用電力については超過料金を免除するという処置をとつておきませんと、農民は安じて増産に邁進することができないのであります。そういう点について、あなたの今おつしやいました電力使用超過しないように、あらかじめ割当を大幅にきめておくというか、その具体的な内容はどういうことですか、それを伺いたい。
  8. 川上為治

    川上政府委員 灌漑排水用電力料割当につきましては、お話がありましたように、その割当量以上に非常に超過する場合があるわけでありますが、これにつきましては、最初にそういうことも考えまして、保留分というのをとつて置きまして、そういう不時の災害の場合におきましては保留分で調整したいというふうに考えておりまして、実質的には超過料金を拂わないで済むようにするという考えでやつております。
  9. 井上良二

    井上(良)委員 その保留分というのがどういう計算で出されておりますか、これは実際予測し得ない事態発生するわけでしよう。だから保留分というのは一定限度があつて、たとえば反当常用使用する場合はこれだけ、しかし万が一の場合を考えて、これに何割なら何割の保留分を認める。こういうことになりはせんかと思うのですが、それをさらに超える場合か起つた超過料金現実にはとられることになるのです。だからそこの保留分というのは、一体どういう計算保留分を出しておりますか、それが明らかになりませんと、ちよつと心配です。
  10. 川上為治

    川上政府委員 それは割当の方をやつております安本動力局長の方から答弁する問題であります。物価庁としましては、この保留分をどういうような計算において今後出すのであるかという資料は、持つて来ておりませんが、安本農林省といろいろ打合せをしまして、一応の計算によつて極力不足がないようにしようという建前になつております。なお詳しい内容につきましては、安本動力局の方から説明していただきます。
  11. 井上良二

    井上(良)委員 安本は来ておりますか。
  12. 松浦東介

    松浦委員長代理 今見えてないそうでありますから、後ほど……
  13. 井上良二

    井上(良)委員 私電気のことはしろうとでよくわかりませんが、常識的に考えますと、御承知通り灌漑排水をやる場合は、予測し得ない事態発生した場合があるので、問題となるのでありますから、その場合に対して、農民現実に日燒けがいたし、現実に冠水をいたした。この事実を解決しようとして非常な電力を利用するわけでありますが、その場合に今申します通り保留分超過しました場合は、当然超過料金をとられるという結論が出て来ます。超過料金は七割とか何とか言つておりましたが、そうしますと、その当然上まわります分について農民負担をしなければならぬことになるわけです。そうしますと、ただちに米価影響して参りますが、その場合物価庁としましては、米価改訂する意思がありますか、それを伺つておきたい。
  14. 坂田英一

    坂田政府委員 米価の点につきましては、井上さん御存じのように全体のパリティーで行きます。パリティー指数上昇によつて米価をやはり決定して行くということで行きたいと思います。なお今お話超過したときにはどうかという問題を、さように的確にお話になりますと、やはり超過料金支拂うということになるわけであります。従つてどもとしては、その超過をしないようなくふうをして行きたい。こういうふうに考えておるので、御了承願いたい。
  15. 井上良二

    井上(良)委員 そこのところは、よくおわかりでございますが、もちろんやつかいな問題で、予想されることでございますならば、予想される保留分わくをきめておくことも必要でございます。またそうして農民負担をかけないように御高配を願うということもまことに当を得た処置でありますが、私がここで議論をいたしておりますのは、相手は自然條件の問題でございますから、予測できない問題が発生をし得る、その場合の処置をどうするかということが問題になるのであります。その場合にやはり超過料金をとられるという事態が起りますと、米価は御承知通り全国一つわくパリティー指数計算されるが、実際に揚水機排水機を利用しております地帶というものは部分的地帶でありましてこの場合大きく農民負担がかかつて参りますが、そういう場合の処置をどうするかという問題がここに発生します。これを何とか打開する措置を講じませんと、この問題は解決しない。予測せられぬ事態から発生した超過料金について、どう処置するかという問題であります。この問題について明確な御指示、御答弁を願いたい。
  16. 坂田英一

    坂田政府委員 お答えいたします。つまり保留分というのは実はおかしなことなんで、あり得ないことなのでありますが、ただそういう予測し得ないことがあるということのために、保留分を特に置こう。灌漑排水のごときはまさしくその例にはまるものでありますので、そういう意味で保留分を置くということで進みたいと考えております。
  17. 井上良二

    井上(良)委員 非常に話がわかつて来ましたが、そうしますと、予測し得ない事態発生いたしまして、予定以上の電力使用いたしましても、政府の方では保留分としてどれだけ使つても認める、こう解釈してよろしいか。そういうことになりますならばこの問題は明らかになります。
  18. 川上為治

    川上政府委員 保留分もやはり限度がありまして、それ以上に無制限に割当を追加するということはできないと思うのですが、ただ保留につきましては、先ほども申し上げましたように、安本農林省との間でいろいろ相談いたしまして、大体従来の実績から見て、この程度以上はおそらく出ないだろうという限度の線で、保留分を一応とつておりますので、おそらく今お話がありましたような事態は、ほとんど起らないじやないかと考えられます。
  19. 井上良二

    井上(良)委員 そうしますと、大体過去の実績から、農業用の、特に灌漑排水電力使用実績を抑えまして、大体これだけとつておけば超過分にはなるまいという暫定想定と言いますか、そういうことしかわれわれは理解できないのです。やはりこれにも今おつしやる通り限度がありまして、その限度わくを越えた場合は超過料金がとられますから、問題はやはりそこに難点がありますのでもその限度額というのをどれくらい見積つておるか、これが明らかにされぬれといかぬと思うが、おわかりでございましようか。
  20. 川上為治

    川上政府委員 これは安本動力局長の方からあとで御説明していただきたいと思います。私の方の手元には今そういう資料を持つて来ておりませんので、御勘弁を願いたいと思いますが、ただ今回の料金改訂につきましては、私どもの方としましては、極力従来の割引制度あるいは特殊割引料金というものについて認めてもらいたいということを、関係筋といろいろ交渉をいたしたのですが、根本的な考え方としましては、電力料金上つたために影響があるならば、その影響はその産業において片づけるべきである。言いかえれば、もし必要であれば国が助成金を出すとか、いろんな方法によつてその産業自体として考うべき問題であつて、その産業で考うべきものを電気料金の方におつかぶせるのはよろしくないという根本的な思想がありまして、     〔松浦委員長代理退席委員長着席〕 この灌漑用電力料金につきましても、割引制度をやめたということになつておりまして、私どもの方としましては、先ほど政務次官からお話がありましたように、この割引問題につきましては、なお折衝いたしております。しかしどうしてもこれがいれられないという場合においては、一方その産業によつて別途救済策を立てるべきでないかというふうに考えております。
  21. 井上良二

    井上(良)委員 それで大体話がはつきりして来ました。そこで農民側におきましても、使つた電力料金を拂わぬとは言わない。それはお拂いをいたします。しかしそれだけ生産費が高くなるわけでありますから、従つて物価庁としては、一定限度以上越えて超過料金をとられました部分については、当然米価決定の場合にこれを見なければならぬと考えます。しかしこれが全国プール計算によつてパリティーではじき出されますと、当該地帯農民負担は軽減されませぬ。従つて話地帯電気料を支払つております生産農民に対して、いかなる方法によつてこの負担農産物価格の中に織り込むかという問題が残るのであります。この問題さえあなた方が解決をしてやろうというならば、電力料金がなんぼ上つたつて、結局つくつたものはそれだけ高く売れますから、問題は解決できるのであります。しかしながら実際電力使つておる所と使つていない所と、どう区分するかという具体的問題になつて来ますと、算定したいへんやつかいな問題になるのであります。そこでどうしても政府の方で、何か特別な補助処置あるいは他に適当な処置を講じてやらなければ、この問題は解決できないのです。それであなたの方で、そういう特殊地帯に対しては、電力料がそれだけよけいかかつたならば、かかつただけ生産費の中に織込み毛農産物価格はそれだけ高く買うという措置さえ講じてもらえば問題は解決するのですが、そういう措置を講ずるつもりでございますか。それとも別に補助金とか何とかを出そうとしますか。この点について明らかにお答え願いたい。
  22. 坂田英一

    坂田政府委員 井上委員もよく御存じのことであると思いますが、先ほども申しましたし、またこういうことを申し上げなくても御了承のことだと思いますが、電力料が全体として上つたものは、パリティーによつて米価決定に反映して来るということは、御了承のことだと思いますが、ただ地域的に違います点は、ただに電力だけでなしに、すべての生産條件が皆それぞれ異なるわけでありましてもその異なることに一一つ米価決定するということになりますと、無数に米価決定することになるわけであります。これは釈迦に説法の感があるので申し上げにくいわけでありますが、さような関係からして、部分的にどうするということはできないと思います。もちろん肥料のように、全体の上つたものは米価に反映させる、こういうことになることは当然であります。ただいろいろな問題で、この点は先ほど政府委員からお話申し上げた通り、なおこの点はわれわれも折衝を続げておるのでありまして、でき得る限りその線に沿うように努めたいと存じておるのであります。ただ現実の問題としては、先ほど申しましたような実態から、これを実施する段階に相なつたわけでありまして、この際において、その範内において電力量割当ということによつて、その超過料金支拂いをでき得る限り下げる、また下げ得るように努めなければならぬ、こういうので実施面によつてそれを救つて行きたいと考えておりますので御了承願いたいと思います。
  23. 井上良二

    井上(良)委員 えらいくどいようでございますけれども、御了承通り、従来農業用電力割引をされておつたというのは、農業特殊性考慮したがゆえであります。ところが今度はそれが全然考慮されずに、一般工業電力使用と同様にこれを扱つたというところに問題があるのであります。そこで問題は、今いろいろ御考慮願つております農業用電力保留分限度が明確でございませんで、これは農林省安本その他と協議をした結果、大体この程度ならば超過料金をとらずに済むのじやないかという想定の上にきめられておるそうでありますが、しかしこれは自然傑作がきめることでありまして、何としても超過料金をとられる危険性は百パーセントあるのであります。これは工業の場合は大体機械の稼動率がわかつておりますし、またそれぞれ予定された生産を行いますのについて、必要以上の超過料金支拂わせられる場合も計算がつくのであります。ところが農業方面だけは計算がつきかねるというところに、人間の能力としてどうすることもでき得ない條件が横たわつておりますから、これらの点を政府十分検討を加えられて——なおお話を承りますと、関係方面との折衝もまだ残つておるという話でありますので、ぜひこの際農業用電力、特に灌漑排水電力については、特別の措置を講じてやつていただきたい。なおまたこれは灌漑排水だけでありません。たとえば飯米の調製用電力にいたしましても、それと同じ條件がございますので、ぜひひとつこれは特別な措置を講じてもらいませんと、今お話通り動力料金がそれだけ上つたならば、これは米価にそれだけ響いて参ります。しかしこれは全国的なわくの上できめられるのでありまして、当該農民負担の軽減には非常にわずかしか響いて参らぬのでありますから、そういう点から、ぜひひとつこれは特別な御措置を願いたい。特に農林関係に深い関心を持つております坂田政務次官は、ひとつこの点を特に御考慮願つて、何とか全国農業団体の方々が安心できるように、この問題を御措置願いたいということを、特に希望しておきます。
  24. 渕通義

    渕委員 井上委員質問に関連いたしまし、電力料金農産物価関係について一点お伺いいたしたいと存じます。ただいまの井上委員の御質問は、一般的な電力料金上昇により、結果的に生れる農産物価の問題であつたと思いますが、私はこの問題を掘り下げてみますとき、今日電力料金一般的値上げは当然でありましようが、電力事業の再編成を前提としての司令部の示唆と申しますか、各地域的にその電力料金の格差が今度はつきりとしたわけでございます。つきましては北海道並び九州のごとき地帯におきましては、関東に比べますと相当大幅な値上りを来しております。こういつた地帯のことを考えてみますとき、この地帯において電力使用する農産工業というものを考えてみますれば、当然そこにおける農産物価は高くならざるを得ない。今坂田政務次官お話によりますと、一般的ベース上つても、その特殊事情におけるところのものを上げるならば、米価に二重米価をつくらなければならないというようなことでございますが、その点は一応了承いたすといたしましても、このたびの電力料金のごとき北海道並び九州の方に非常に大幅の値上げをいたす関係におきましては、そこに米価の問題において何らか考慮しなければ、農村経済全般の面から考えまして、税制という面からも考慮を拂わなければ、でこぼこの経済になるのではないかということを、私は考えるのであります。特に日本農業の置かれている段階といたしまして、今後何といたしましても、農村開発電力に負うところが大でございます。その電力に負うことの大なる、農村の改良という大きな目的のもとに行われておるとき、あまりにも電力料金のみの高騰をば来し、一般的な農家経済を考えないということは、あまりに当を得ていないのではないか。従つて物価庁の諸君におかれては、そういつた観点から日本の置かれておる農業経済上昇、並びに改良ということを考えていただきたい。一般的電力料金値上げは了といたしましても、地域差によるところの電力料金の高騰による農産物価の問題、税全般の問題について見解を伺いたいと存じます。
  25. 坂田英一

    坂田政府委員 渕委員の御質問は非常に広汎な御質問でありまして、的確にお答えできるかどうか存じませんが、とにかく今度の電力料金改訂の本質が、つまり原価主義ということに相なります。日本の全体の経済といたしましては、やはり自由——いわゆる正常経済に復帰せしめることに努力する段階にあると思います。そのためにいろいろとでこぼこがあつて、かなりそこにむずかしい問題もあることはやむを得ぬことであると思います。これは軍に農業の面だけでなしに、さらに生産費のうちで多量に電力を使わなければならぬ産業の面におきましては、特にその影響が大きいと思います。しかしながらこの全般の動きといたしましては、やはりそれぞれの地帯において、それぞれの地帯に即応する條件のもとに、産業が発展することが困難でああると思われますので、この困難の事ように農業工業を通じて、過渡的の処置として、工場ならばすでにその地帯に設置せられた工場といつたような面につきましての、過渡的な影響があまりに大きいのではないかというようなことは、これはもう非常に考えなければならぬ点でありますので、私どもといたしましても、地域差をあまりに大きくすることは、過渡的な処置としては、これを避けて行きたいという情熱を持つてえおつたわけであります。しかしながらいろいろこの点においては若干の調整はいたされております。のちほど政府委員の方からお答えいたさせますが、そういうわけでありまするけれども、この料金のみによらずして、他の面においてこれを救い得るものは救つて参る。肥料の問題にしても、そういう観点に立つて、過渡的にいろいろの面から救済をして参るという立て方をするわけであります。なお農業電力につきましては、灌漑排水電力については、先ほど申し上げました通りでありまして、繰返して申し上げることを避けるわけでありますが、その他の農業調製用電力、いわゆる小口電力でありますが、これらにつきましては、従来の料金よりもむしろ低下するという実態にあります。この数字等につきましては、また政府委員からお答えいたしたいと思います。最後の農産物に及ぼす影響という問題でありますが、これは先ほど井上委員にお答えいたしました通り、個別的にいろいろの生産費の違うものを一つ一つまとめて入れるということは非常にむずかしい。やはり総括的に上つた分を、パリティーによつて反映さして行くということよりほかに道がなかろうと思います。
  26. 渕通義

    渕委員 どうも電力料金の問題は、かりに一つ産業であるところの肥料工場にたとえてみますると、電力料金が上れば肥料はただちに上ります。そうして肥料工場はある程度カバーされる。ところが一旦農村に参りました場合には、農村電力料金は幾ら上りましても、それが米価影響しない。あるいは税制に影響しないという点をわれわれつかんとするのであります。問題はそこであります。そこに不公平が行われておるのであります。その点をもつと明確にしてもらいたいと思います。
  27. 坂田英一

    坂田政府委員 お答えいたします。やはり全般的に反映させるということ以外に、個々の米価をそれぞれの條件一つ一つ合すということになりますと、米価が無制限にできるということになります。そういうことはほとんど不可能でありますので、全体としてどれだけ上るかということを、米価に反映させるということ以外に方法はなかろうと思います。
  28. 渕通義

    渕委員 米価の問題はそうかもしれません。農家経済全般のことを考えてもらわなければならぬ。肥料工場は肥料工場全般の経営圏内におきまして値段を上げて行つてそれを政府が助ける。ところが農家経済全般のユニットといたしましたならば、そのユニットというものを前提といたしまして、その間において、電気料金上つたことによつて農家経済負担が大なるものは、その点を差引くということは、当然行われる道ではないかという点を私は指摘しているわけであります。物価庁といたしましても、そういつた大きな観点から、農産物価のみならず、農業側のすべての問題を把握して考えてもらわなければならない。この問題につきましては物価庁だけではいけません。ことに大蔵省がおられるとたいへん都合がいいのですけれども、そういう点がわれわれ農村議員としてたえず悩んでおる一点でございます。この点につきましては少くとも、社会党も共産党も、與党側の人たちも同じであろうという点を、私は掘り下げて行つただけでございます。その点を、むずかしいだろうとは思いますけれども……
  29. 小笠原八十美

    ○小笠原委員長 答弁ありませんか。それでは井上委員
  30. 井上良二

    井上(良)委員 ちよつと農林省の方に伺いますが、さきに私が質問いたしました超過料金をできるだけとられないようにするために、電力保留分一定限度與えるということを言明されたのでありますが、農林省としては、どういう計数に基いてこの保留限度をきめておりますか。それを御説明願いたいと思います。
  31. 宮島一義

    ○宮島説明員 農林省灌漑排水用電力の問題に対してお答えいたします。灌漑排水用電力は、農林省で直接やつておりますのは、設備要量五百キロワット以上の大口の需要に対してやつております。それは定められた期間までに需要者から需要票をとりまして、それを基礎にしまして一応その各四半期別のわくというものをきめ、全体のわくを集計いたしまして、これを安本の方へ提出いたします。それは需要者から出て参りました需要量そのままを提出するのであります。それで安本の方からそれに対して修正が参りまするその修正量を、全体の需要量並びに過去五箇年間の実績をもとにいたしまして、これを按分いたしまして大体の割当決定いたしております。それで不足分は、その期の過去五箇年間の大体最大量を見込みまして、その量を再要求しております。それがまだ今回の改正に対しての数字にははつきりいたしませんが、農林省側といたしましては、それを保留分として大体認めていただくように、安本と交渉しております。
  32. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 渕委員質問に関連して物価庁にお尋ねいたします。先ほど渕委員から、農産物に対しては原価の変化に応じて工業製品ほど価格の変動をシャープに考えてくれない。しかるに工業製品農業資材については、原料資材の価格の変動に応じて、シャープに価格引上げをやつておる。それとこれとの間が非常に不均衡ではないかという御質問がありました。そこで私はこの機会にお尋ねしたいのですが、御承知のように米価パリティー指数によつてつておりますが、農業資材、特に肥料等におきましては、今後現在とつておるコスト主義を捨てて、パリティー指数によつて価格決定される方針、御意思があるかどうか、それを伺いたい。
  33. 坂田英一

    坂田政府委員 肥料価格決定につきましては、そういう意思は持つておりません。
  34. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 しからば私の希望はさておきまして、現実の問題として、聞くところによりますと、肥料価格は、過去において個別価格であつた、それを将来一本価格にする目標を立ててグループ価格段階まで進んだ。ところが最近また電力、石炭等の事情によつて逆もどりして、個別価格の設定をされるかのように聞いておりますが、そういうことは事実であるかどうか。これを伺いたいと思います。
  35. 坂田英一

    坂田政府委員 御承知通り、漸進的に一本価格に向いたいという考え方を持つております。ただ電力料金のいろいろの問題もありまするので、過渡的な問題として、やはりこの点も考慮しなければなりませんので、この補給金の全体の織込みとしては、やはり電力料金全体として三割七分五厘アップすることを織込んで予算に載つておるわけであります。これらの補給金によりまして、肥料生産があまり減退しないように、また価格もかわらないように、電力料金から来る価格のかわり方、そういうものをなくして行くということで、今検討を加えておるわけでありますが、さような操作をいたしまする過渡的な措置といたしまして、一本価格に進むことができない。やはり三つか四つ一この点は今検討中でありますが、そういうことに暫定的にはならざるを得ない。こう存じております。
  36. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 そうしますと、ダループ価格から逆転して、個別価格にもどるような意思はないということが一つはつきりしたのでありますが、そこで硫安の場合は、電解とガスの二つの関係で、二つのグループ、二つの価格ということは考えられますけれども、石灰窒素が現在のように二つの価格になることは、どうも納得が行かない。石灰窒素はこの次の価格改訂のときに、一本価格にする意思があるかどうかということと、もう一つは、硫安の場合に、もう一段階この次の価格改訂にはグループ価格で行くけれども、その後たとえば半年とか、一年先には一本価格にするという、その目標を立てておられるのかどうか、これをひとつ伺いたいと思います。というのは、今のようなグループ価格北よつて価格を設定するということは、極端に言えば、個々の会社別にコストを見て、その価格を補償するという思想なんです。そういうことは農家で言えば六百万農家が個々にみんな米価生産費が違うのです。同じ思想で行くならば、米の場合でも、六百万の農家個々に米の価格決定するという思想が、農村費材で最も大きな肥料の場合においては行われておる。私はグループ価格をこの次の段階で採用するにしても、少くとも半年とか、それとも一年先には一本価格にするという目標を政府は立てて、そういう附帯條件のもとにこの次のグループ価格はきめるべきである。かように思うのですが、この点ひとつお考えを伺いたい。
  37. 坂田英一

    坂田政府委員 ただいまのお答え簡略で了解を得なかつたと思いますが、つまりだんだん一本価格に向かつて行きたいということは先ほど申した通りでありますが、電力料金影響というものは地域的にありますので、その影響を過渡的にでき得る限りこれを緩和して行きたいという点から、地域的にある程度のグループを暫定的に設けて行がなければならぬのではないかという千に沿つて、今検討しておる。この製法の違いとか、いろいろの面につきましては、それらと関連して今検討中でありますが、でき得る限りその一本価格に進めたい。しかし今電力料金の過渡的緩和をいたして行かなければならぬということのために、地域的グループの価格の、いわゆる補給金の関係から来るわけでありますが、そういう調整をしなければならぬであろうというので、今検討しておる。こういうわけであります。石灰窒素につきましても同様の考え方で進んでおります。
  38. 井上良二

    井上(良)委員 ただいま農林省の方からの御説明によりますと、五百キロワット以上のものを、本省で需要量を各四半期別に集計して、これを安本に提出し、それに対して過去五箇年間の実債を集めまして、不足分の最大量を大体押えて今要求をしておるのであつて、これが話がついておるわけではないのですね。いわゆるさつきから問題になつております保留分は、限度をどれだけ與えるかどうかということについての話は、まだついていないということが明らかになつたのであります。五百キロ以下の分はどうなりますか。それから最大量を見込んで要求しておるというのでありますが、それは解決する自信がありますか。この点もあわせて伺いたい。
  39. 宮島一義

    ○宮島説明員 まず五百キロ以下のものでありますが、五百キロ以下のものに対しましては、これは通産省の方で通産局を通じて需要者と直接やつておられますので、通産局の方にお聞き願いたいと思います。  それから保留分に対する見通しにつきましてはもこれはわれわれの方といたしましては、今年の第四・四半期の灌漑排水用の需要電力約三百万キロワット・アワーでありますが、それに対して百二十万キロワット・アワーくらいの割当が出ておるわけであります。残りの百八十万キロワット・アワーというものがこれが保留分として予想されるところでありますが、保留分の全体のわくを大体お聞きしますと、五千万キロワット・アワー以上になつておりますから、われわれの方のそれに含まれるパーセンテージというものは非常に少いわけでありまして、これはわれわれの方がもし必要量があつた場合には全部割当をしてもらえるというように考えでおります。
  40. 井上良二

    井上(良)委員 大体大きな需要量の分につきましては、今お話通り百八十万キロワット・アワーを要求しておる。これは大体話がつく自信があるという御答弁でございますが、ここで問題は、五百キロワット以下のものは地方の通産局と需要者が面接折衝させるというのでありますが、この分についてはどれだけ保留分を認めようとしておりますか。またそういう指令を、通産局では各通産局に対して農業用電力保留分はこういう処置をさせるという通達でも、お出しになつたのでありますか。ここに通産局需給調整課の方が参つておりますので、その人からそういう点について御説明を願いたい。それから百八十万キロワット、アワーの保留分超過した場合は、どういう処置農林省はとろうとするのですか。その場合はやむを得ず超過料金農民負担において抑えということになりますか。その点もあわせて伺いたいと思います。
  41. 竹田達夫

    ○竹田説明員 先ほどから大分問題が出ましたので、簡単に要点だけを御説明させていただきたいと思います。農林省関係電力割当につきましては、電力割当を実施しているところといたしまして、非常に問題がありまして頭を悩ましているわけでありますが、五百キロワット以上のものにつきましては、これは大体大きい消費者でありますので、生産計画その他農林省の方で、個々に実体を把握されまして、その割当農林省安本との協議によりまして数量を決定いたします。そうしまして五百キロワット以下のものは区々でありますので、現在では設備別に一と申しますのは用途別に、灌漑であるとか、排水であるとか、脱穀であるとか、そういうような電気使用されます実体に即応いたしまして、使用基準一キロワット・アワーに対して、幾らの月間キロワット・アワーが必要であるかという使用基準を、実情に合せまして決定いたしております。そうでなければこの使用基準はさらに画一のおそれを免かれませんので、ほんとうに使われますものの最盛期負荷率というものを特にきめて、使用量の高い時期に即応するように努めておるわけであります。しかしそういたしましても、実際には天然現象その他によりまして使用が相当俘動いたしますので、われわれといたしましては、こういうものに備えまして、従来からも調整保留というものを大幅にとつて、これに対して即応して参つております。しかし今回の電気料金改訂によりまして、従来のように電気はこれだけ割当てる、割当てた以上使つてはいけない、供給してはいけない、こういうような割当制度から、單に料金の料率の適用の割当に性質がかわつてつたわけであります。従いまして関係方面等の意向では、調整保留を今後全然持つ必要はない、従来使つてはいけない、供給してはいけないという性格が一変されたのでありまして、もしこのスタンダードの割当以上使われます場合には、電気企業の経営の面においては石炭をたいて調整しておりますから、調整保留的なものを出す必要はない、こういう関係方面の意向が強かつたようでありますが、農林関係におきまして、自然現象その他の事由が十分ございますので、この特殊性を強調いたしまして、今回の四・四半期の割当につきましては、調整保留分がとつてあるわけであります。従いまして今回の調整保留分は、従来の調整保留分よりも性格がかわつてつておりまして、この調整保留先ほどお話がございましたように、通産局に今までのように一律に渡しておりません。私の方で現在中央保留としてまだ保留してございます。従いましてこの調整保留は今後におきましては二千三百九十万キロワット・アワーでございますがもこれを先ほどからお話がございますように、天然現象に即応して配分する、こういう趣旨につきましては、通産局の方に通牒をいたし、さらに説明会を持ちまして、よくこの趣旨の徹底をはかつております、従いましてこの状況によりまして、われわれの方は二千三九〇万という数字を重点的に施行して行きますならば、農林関係の方に大した支障がないようにできるのではないかと、実は四・四半期においては考えておりますが、多少今後、来年の第一・四半期第一丁四中期等におきまして、若干事務当局としては危機がないわけではありませんが、精一ぱいの努力をいたしたいと思つております。
  42. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私は農村におきまする電力問題について、御承知のように灌漑排水並びに調製等におきまする面におきまして、いかにこの問題の解決が、農業生産力の増強を高めるという面において重要な役割を果しておるかという点については、ただいままで指摘されたことによつて明らかであります。しかるに現状は、まつたく今回の電力料金改訂というものは農家負担を大ならしめて、生産を逆行せしめる方向にあるということを、私は一言申し上げなければならぬと思います。その点の具体的な問題について一、二お伺いいたしたいと思います点は、従来の農家で脱穀調製に必要な場合の電力使用につきましては、かなりに五馬力のモーターを使用する場合におきましては、従来はその基本料金等におきまして一モーター約四千円ぐらいの負担で済んのであります。しかるに今回の改正によりますと、大体一箇年分の基本料金を前納しなければならぬ。こういたしますと約一万円近くになり、こういう厖大な金額を前納しなければならぬという点において、個々的に力のある農家はできるが、そうでない農家はできないという結果になります。いかなる理由によつてかかる方途を講ぜられたか、その点を明らかにしていただきたいと思います。  第二点は、現在施設を持ちます場合において、需要者が一切の施設費その他を負担しておる。ところが負担をいたしまして施設をしたものが、ただちに配電会社の所有に帰するわけであります。こういたしまして一般に厖大なる施設費負担していて、しかるに現状においてはどうかというと、この配電会社でもつて極端な制限あるいは規制を受けるために、かんじんな灌漑あるいは腕穀調製に間に合わせぬという現状が、赤裸々に現在暴露されておう点であります。こういう点につきまして、私はいかなる理由によつて、需要者が全額施設費負担した場合に配電会社の所有に帰するのかという点について、政府当局の根本的な考えを明らかにしてもらいたいと思うのであります。  さらに私はこの際一言附加しておきたいことは、現在早出米の制度があるわけでありますが、現在のような電力事情でありますと、力のある農家は、すなわち思い切つた施設もできるし、十分な電力供給を受けて多くの早出米を出し得るということになりますが、力のない農家はどこまでも早出等についてはまつたくこれに応ぜられないという現状であります。このことは、先ほどまで論議された米価についての根本的な問題であると私は思うわけであります。これらの点について私は政府当局の所信を、また今後の考え方について明らかに承つておきたいと思います。
  43. 川上為治

    川上政府委員 脱穀用の電力料金、それから灌漑排水用電力料金の問題につきまして、今具体的な例をひきまして、非常に高くなるというようなお話があつたのでありまするが、この静算につきましては、なお今おつしやいました通りになるかどうかという点につきまして、私の方でも当つてみたいと思うのですが、ただ私の方で一応灌漑、排水用のものにつきまして、五百キロワットの灌漑、排水用、あるいは一般のものについて当つて見ますと、一キロワットについて八十キロワット・アワー割当があるといたしますれば、北海道に例をとりますと、従来の料金は九万六千円、これを割引をいたしまして六万七千二百円ということになつていましたが、今回の料金におきまして、この六万七千二百円というのが十三万四千二百円ということになりまして、倍率は一・九九ということになり、相当値上りになるわけであります。これにつきましては先ほどいろいろお話がありましたように、三割引というのがなくなりましたので、非常に大きな影響を示しておるのでありまするが、この点についてはなお司令部の方といろいろ折衝中でありまして、極力割引いてもらうように、私どもの方といたしまして最大の努力を拂つておるわけであります。  それから脱穀調製用のものにつきまして、従来は定額で各地区とも均一になつておりまして、一キロワット一月五百四十円程度になつていたのでありますが、今度の料金を適用いたしますると、使用電力量を百十キロワット・アワーということにいたします、この北海道の一キロワット当り五百四十円あるいはその他の五百四十円というのが、北海道におきましては二百二十三円程度、東北におきましては二六〇円、高いところで中国が三百三十八円というふうに、従来の定額よりも安くなつておるというような状況になつております。従つて脱穀調製用につきましては、メーターをつけておるのにつきましては従来の定額よりも安くなるというような結果になつておるわけであります。こういうふうに、やはり一番問題は灌漑、排水用の問題でありまして、先ほど申し上げましたように、極力値引について、なお関係当局といろいろ交渉を進めて行きたいと考えております。  それから施設の工事費の負担の問題でありますが、この点につきましては、先ほどお話がありましたような点もありまして、これについてもやはり米国等におきましては需要者負担ということになつておるようでありまして、この点もいろいろ交渉をいたしたわけですが、やはり今回も需要者負担ということになつておりますけれども、これについてもいろいろ問題がありますので、私どもの方としましても、さらに折衝をしておるわけであります。
  44. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいまの御回答によりますと、従来の料金よりも負担において幾分低下したということでありますが、決してそうではない。ということは、ただいまの北海道において二百二十三円、東北において二百六十円とありますのは、これは一箇年分を前納いたさなければ契約ができない。そういう面において私がここに計算をしてみますと、かりに五馬力のモーターを使用した場合において約一万円近くになるという、この事実をいかに考えられるか、その点を的確に伺いたい。
  45. 川上為治

    川上政府委員 今回の電気料金の建前は、やはり一箇年の電力会社、配電会社の収支とその経理ということを根本に考えておりますので、特別にあるいは期間を非常に短くして基本料金を少くするというような建前にはなつていないわけであります。従つてこれは根本的な料金制度の建前の問題からそういうようなことになつておりますが、それによつていろいろな影響がありますものについては、先ほど申し上げましたように、あるいは灌漑、排水用において割引をするという問題をさらに折衝を続けるとなあるいはまたほかの方法措置する以外にないのではないかというふうに考えるわけであります。
  46. 小平忠

    ○小平(忠)委員 かんじんな点について御回答をいただけないのですが、いかなる理由によつて一箇年分の料金を前納しなければならぬか、その理由を承りたい。
  47. 川上為治

    川上政府委員 その一箇年分を前納するというのはどこの規定がそういうふうになつておるのでしようかもちよつとよくわからぬのですが。
  48. 小平忠

    ○小平(忠)委員 今回の改訂によりましてそういうことになつておると思います。
  49. 川上為治

    川上政府委員 今前納ということには別になつておりません。あるいはお調べの間違いではないでしようか。
  50. 小平忠

    ○小平(忠)委員 その点はそういうことになつていないというお話でありますので、私は的確な問題を把握いたしまして、また適当な機会にお伺いいたしたいと思います。  さらに次の施設費の問題につきましては、たいへん御懇篤なる回答をいただき幸いだと思いますが、どうかその線に従いまして、現在の矛盾をひとつ解消していただきたい、こう思うわけであります。
  51. 井上良二

    井上(良)委員 ちよつと伺いたいのですが、いま主として農業用の灌漑、排水に必要な電力の問題について質疑をいたしたのでありますが、同時に食糧の加工用電力、それから外国食糧が相当入つて参りますし、製粉あるいは製油原料、そういうものを輸入されまして、どつとこれが工場へまわつて来ると、工場では必要以上の能率を上げなければならぬ。そうなると超過料金支拂わなければならぬということになると、これがまた加工賃の中で拂われますか、それともその分にも保留分というものをとつておいて、そういう超過料金を排わないでもよいような処置をいたしますか、その点を聞いておかぬと、それがまた消費者負担にまわつて来る危険がありますから、その点について物価臨はどういう処置をとられておりますか。
  52. 竹田達夫

    ○竹田説明員 保留分先ほど申し上げましたように非常に嚴格に解しておりますが、保留分使用につきましては、安本の第四・四半期におきましていかなるものに使うかという字句をそのまま原文で読み上げますと、輸入食糧の加工、灌漑、排水、港湾浚渫、河川工事等やむを得ざる追加需要にのみ割当てるものとする、とあつて、入つております。
  53. 井上良二

    井上(良)委員 まことに輸入食糧に対して特典を與えれるのはけつこうでありますが、たとえばさつまいもがどつと出て来た。これを実は澱粉なり、あるいはしようちうなりに加工する必要があります、置いておけば腐つてしまいます。そういう場合はどういうことになりますか、適用しないのでございますか。それをわくの中へ入れておらなければ困ると思いますが、どういうふうなものでありましようか。
  54. 竹田達夫

    ○竹田説明員 国内におきまして生産供出されるものは、一応基本割当において考えて行く、こういう建前で事務当局といたしましては折衝しております。しかし計画のときに予測し得ないという多少の二ュアンスのある取扱いもございますので、これは折衝の問題になるかと思います。
  55. 小笠原八十美

    ○小笠原委員長 最後に委員長から物価廰の政務次官並びに農林省政務次官か大臣に申し上げたいのだが、お見えなりませんから宮島さんから御伝言を願うことにして、この電力の問題は、非常に農村に対する重大問題でありますが、ただいままだ説明においては不十分な点もあるし、また高くなるか、安くなるか、どの程度であるかという点もはつきりしておらぬようでありますから、この点は農村米価に対して部分的に生産費に大きな影響があるということは、容易ならざる問題であります、この調節をはかるために政治解決をしなければならぬと思いますから、これは政府において物価廰並びに農林省、各大臣、政務次官においてとくと協議して、いかなる方法によつて、これを全部の生産が従来通りみな平均され得るかという点を御研究の上、あるいはまたこのままでしかやれないか、どつちかはつきりした点を、次会に明確に答弁のできるようなことにしていただきたいのであります。この点を希望しておきます。  それでは本日はこの程度にとどめまして、次会は公報をもつてお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十五分散会