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1949-12-19 第7回国会 衆議院 農林委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十二月十九日(月曜日)     午前十一時五分開議  出席委員    委員長 小笠原八十美君    理事 野原 正勝君 理事 松浦 東介君   理事 八木 一郎君 理事 藥師神岩太郎君    理事 山村新治郎君 理事 井上 良二君    理事 小林 運美君 理事 山口 武秀君    理事 寺島隆太郎君 理事 吉川 久衛君       足立 篤郎君    安部 俊吾君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君       河野 謙三君    中村  清君       原田 雪松君    平澤 長吉君       平野 三郎君    渕  通義君       村上 清治君    佐々木更三君       大森 玉木君    坂口 主税君       高田 富之君    横田甚太郎君       寺本  齋君    中垣 國男君       小平  忠君  出席国務大臣         農 林 大 臣 森 幸太郎君  出席政府委員         農林政務次官  坂本  實君         食糧庁長官   安孫子藤吉君  委員外出席者         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君 十二月四日  委員尾関義一辞任につき、その補欠として平  野三郎君が議長指名委員に選任された。 同月八日  委員上林與市郎辞任につき、その補欠として  井上良二君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員竹奈良一君及び深澤義守辞任につき、  その補欠として高田富之君及び山口武秀君が議  長の指名委員に選任された。 同月十四日  委員井上良二辞任につき、その補欠として川  島金次君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員川島金次辞任につき、その補欠として井  上良二君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  理事上林與市郎君及び竹村奈良一君の補欠と  して井上良二君及び山口武秀君が理事に当選し  た。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  国政調査承認要求に関する件  食糧確保に関する件     —————————————
  2. 小笠原八十美

    小笠原委員長 これより農林委員会開会いたします。  本日第七国会におきまする最初の農林委員会を開催するにあたりまして、一言ごあいさつ申し上げます。  御承知のごとく、わが国農政は今や終戦以来最大の転換期に遭遇しているのでありまして、従来のごとき国内産農産物集荷重点政策から転じまして、今後は先進資本主義農業諸国国際農産物市場におきまして、激烈な角逐を余儀なくせられることと存じますので、これがためには基礎的農業生産力の培養、農業経営合理的高度化、あるいは農民保護政策等、広汎な範囲にわたり検討を加えまして、今後におきまする祖国再建の根本となりますわが国農政をして、誤りないようにいたさねばならぬと存じますので、各位におかれましても、新農政確立のため、一段の御努力をお願い申し上げたいと存じます。  顧りみますれば、不肖私、去る第五国会委員長の重任を帶びまして以来十箇月、大過なく職責を果し得ましたことは、ひとへに各位の御支援のたまものと深く感謝いたしている次第であります。このたび引続き農林委員長の重責を汚すことと相なりましたことにつきましては、何とぞ倍旧の御協力を賜わりたく御願い申し上げる次第であります。(拍手)  なおこの際御報告をいたします。去る八日小林運美君ほか十一各提出による委員会開会要求書を、委員長は同日これを受理いたしました。以上御報告いたします。     —————————————
  3. 小笠原八十美

    小笠原委員長 それではまず理事補欠選任を行います。  去る八日委員上林與市郎君が委員辞任せられ、同日議長において井上良二君が委員指名されました。同じく十三日竹村奈良一君及び深澤義守君が委員辞任せられ、同じく十四日委員井上良二辞任につき、その補欠として川島金次君が議長指名委員に選任されました。  同じく十六日委員川島金次辞任につき、その補欠として井上良二君が議長指名委員に選任されました。委員辞任されました上林與市郎君及び同日高田富之君及び山口武秀君が、議長においてそれぞれ委員指名されました。委員辞任されました上林與市郎君及び竹村奈良一君は理事でありましたので、理事補欠選任を行わねばならないのでありますが、これは先例によつて委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小笠原八十美

    小笠原委員長 御異議なしと認めます。それでは井上良二君及び山口武秀君を理事指名いたします。     —————————————
  5. 小笠原八十美

    小笠原委員長 次に国政調査承認要求の件を議題といたします。現下わが国農林行政重要性にかんがみまして、国政に関する調査をいたしたいと思います。従つて調査する事項農林行政に関する事項であります。その目的農政、農地、農業改良、畜産、蚕糸、食糧及び林業等に関する諸調査並びに対策樹立目的とするのでありまして、その方法といたしましては、小委員会の設置、関係各方面より意見聴取報告及び記録の要求等といたしまして、その期間は本会期中とし、国政調査承認要求するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 小笠原八十美

    小笠原委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決します。  なお本調査要求を、文書をもつて議長提出するのでありますが、その手続は委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小笠原八十美

    小笠原委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決します。  次に食糧確保に関する件について、農林大臣よりその説明を求めます。森農林大臣
  8. 森幸太郎

    森國務大臣 ポツダム政令によりましたことについてすでに声明いたしております通り食確法臨時措置法の  一部改正法律案に対する提出は、第五国会において政府がとつた一つの法案で、御承知の昨年十二月二十四日に指令されましたことに基きまして、食糧確保のさらに強化をはからなければならぬという立場にありまして、第五国会提出したのは御承知通りであります。以来継続審議をお願いいたしまして、政府はその責任の遂行に努力いたして参つたのでありますが、第五国会結末は御承知通りでありまして、特に政府司令部了解を得まして、これを第六国会継続審議をお願いすることにいたしたのであります。第六国会では、衆議院におきましては、修正した原案を可決されたのでありまするが、参議院においてはその期間が経過いたしまして、遂に成立を見なかつたのであります。ここに政府といたしましては、第五国会に発意いたしましたその司令部指令責任を、どうでもこうでも第六国会においてはこれを果さなければならないという立場にありましたので、これをポツダム政令によつて発令いたしたような次第であります。この場合において、第七国会継続開会されておるではないか、さらにそれを継続審議をせずして、第六国会が終ると同時にポツダム政令によることは、国会審議を無視するのではないかというような御議論も承つたのでありますが、決して私は国会審議を無視しておるようなことは毛頭考えておりません。これは第五国会政府として責任を感じた法案が、第六国会継続審議になつて、そしてこれは特に承認を求めた継続審議でありまするから、第六国会においては、政府といたしましてはその結末をつける責任を果さなければならないという立場におきまして、ポツダム政令によつたわけであります。従つて日本食糧事情は、将来に対しましても決して安易に考えられないのであります。またポツダム政令にも書いてあります通り、その年の作柄が非常にいい場合、あるいはまた食糧事情がどうしても事前割当の計画によつてはまわらないという場合において、さらにあの政令に基いて供出を強化する、割当を強化する、こういう意味の政令であります。もし国会におきまして、このポツダム政令はさらに不適当な点があるというお考えで、国会の発意として新しく修正等お出しになる場合におきましては、政府ポツダム政令の廃止に決してやぶさかではないことを御承知願いたいと存じます。
  9. 小笠原八十美

    小笠原委員長 これにて説明は終りました。引続き本案に関する質疑があれば、これを許します。
  10. 井上良二

    井上(良)委員 ただいま農林大臣より、食糧確保見地からポツダム宣言受諾に伴い発する命令によつて     〔委員長退席松浦委員長代理着席食糧確保のための臨時措置に関する政令を出した。その理由とするところは、政府といたしましては、第六国会審議継続をお願いをしたが、第六国会はこれを審議未了にした。そういうことから政府としては、その審議未了なつた跡始末として、やむなく政令によつてやつた。こういう説明でございます。しかも新米の収穫期に入り、供出期に当面しておる事態にかんがみて、やむなくこの政令によつたというのが政府説明であります。ところが御存じの通り、第六国会は時間的関係審議未了になりましたが、引続いてすぐ第七国会が召集され、現に国会開会中であります。政府がもし国会審議を無視したのではないというお気持がありますならば、少くとも政府は、あくまで国会承認を得て、国民をしてこれに従わしむるというやり方をとるべきでありまして、この第七国会開会劈頭にただちに食確法の一部改正案を上程し、これが審査を要求すべきであろうと思います。そうしてそれは政府のいろいろな努力と、また各党に対する了解とによつて、これがあくまで否決されるものであると考えるのは、政府の一方的な考えでありまして、ポツ勅にようなければ事は解決しないというのではないと考えます。たとえて申しますならば、薪炭特別会計法赤字補填に関する法律案にいたしましても、前国会ではこれが審議未了になつております。しかるに政府事態緊急性から第七国会劈頭本案を上程し、その結果この案は前国会では審議未了になりましたけれども、本国会では事態緊急性にかんがみて両院を通過しておる。この実例を大臣は何と考えられますか。少くとも供出のごとき、生産農民の心からなる協力を得なければ供出の完遂ができないことは、幾多の事例で明らかでございます。しかるに旧憲法によつてやむを得ない非常措置としてきめられたポツダム宣言受諾に伴う政令を、国会開会中に振りまわすというようなことは、その心構えはまつたく国会を無視し、民主的な方向とまつたく逆行する処置であろうとわれわれは考えるのであります。こういうような行き方によつて、はたして非常に作柄が悪い、また減額補正その他で問題を起しております現実において、こういうような一方的な天くだり的な行き方が、農村恐慌がまさに襲おうとしておる現状において、農民に與える影響というものは、非常に私どもは憂うべきものがあろうと思います。そういう点を考えて、政府としてはさらに打つ手はなかつたか。なるほど事態は今申します通り収穫期を控えて一日もゆるがせにできないという、このお急ぎの気持ちはよくわかります。しかし逆にこれが実際の農民に與える影響からいたしますならば、逆効果を来す方が大きいではないか、ここ一週間、十日を急いだために、逆に農民に與える大きい影響ははかり知れないものがあるということを、われわれは考えなければなりません。そういう点から、政府はただちにポツ勅を即時廃止されて、国会審議にまつべきであろうと私は考えるが、この点に対して大臣の御所見を伺いたいと思います。
  11. 森幸太郎

    森國務大臣 これは井上君とは意見相違でありますから平行線でありますので一致はできません。ただ私は国会に対し、決して審議権を無視しないという考え方によつて取扱いをいたしたのでありまして、御質問になりましても、それは井上委員の御意見として承つておくよりほかないと存じます。
  12. 井上良二

    井上(良)委員 政府ポツ勅によつて追加供出を法制化するという処置をとるに至つたのでありますが、しかしこういう非常手段をとらなくても、御承知通り昨年二十三年度産米は、何ら、いわゆる法律的な強制処置を加えずに、農民自主的協力によつて超過供出が百六十万石から行われておるというこの事実を、農林大臣は何とごらんになりますか。何ら法的処置を講ぜずしても、農民自発的協力によつて百六十万石からの超過供出が出ておるのであります。しかるに本年は国会開会中であるにかかわらず、国会承認も得ずに、このポツ勅によつて追加供出を強制しなければならぬような非常事態が、一体どこにあるとお考えになりますか。この点を伺いたい。
  13. 森幸太郎

    森國務大臣 お話通り従来は自主的な態度をとつて参つたのであります。しかし自主的な超過供出と申しましても、相当場所におきまして、局部的ではあるが、むりもあつたかもしれぬと存ずるのであります。しかし今このポツダム政令によりましても、二十四年産米超過供出に対しでこれを発動いたしておらないのであります。あの政令にも明記してあります通り、当年の作況によつてこれがいい場合、また第二段といたしまして、日本食糧がどうしても超過供出を強制せなければいけないという事態に立ち至つた場合、この二点がポツダム政令には明記してあるのであります。今実収高状況を見まして、なお日本食糧事情等によりまして、この政令を執行するかせないかということは、決定するわけであります。必ずしもあの政令が出ましたからというて、ただちに超過供出をあの政令に基いてやるということは考えていないのであります。ことに本年度の予想と出た実收の状況とを勘案しますと、相当開きのあるようにも考えておりますので、これは先般知事会議においても、特に本年は超過供出に対して、特別の考慮を拂つてもらいたいという要請があり、また政府もその事情を認めておりますから、司令部に対しましても、このポツダム政令規定いたしましたけれども、本年度超過供出に対しましては、実收高のはつきりすることによつて、適当な処置政府に考慮せしむるということに了解を求めておるということは、井上委員も御承知通りであります。
  14. 井上良二

    井上(良)委員 そうなりますと了解することが非常に困難になつて参ります。と申しますのは、この政令を本年度産米に適用しない、実施しない。また現に実施しておらない、こう大臣か申され、またそういう声明を新聞を通してされておるようであります。そうしますとただちに実施しない、また実施する必要を今日の食糧事情、今日の産米の作況その他から認めないというめならば、何がゆえにそんなに急いでポツ勅によつて政令を制定しなければならないかという、問題はそこにあるのです。今日の食糧事情の緊迫から、やむを得ず本年の産米に対して強権的処置をとらなければ、食糧需給確立ができないという非常事態にありますならば、政府のとりましたこの処置もやむを得ないと、われわれもまた高い見地から考える場合も起るかもわかりません。しかし今大臣お話通り現実に本年の産米には適用しないし、また実際適用しておらない。こういうことならば、何もポツ勅によつてそういう非常処置をとらなくても、再び第七国会食糧確保臨時措置法の一部改正法律案を提案されて、国会審議を持つてやつたところで、決しておそくはないのじやないですか。その点の矛盾を大臣はどうお考えになりますか。この点を伺いたい。
  15. 森幸太郎

    森國務大臣 これはたびたび申し上げておるから、井上委員もよく御了解になつてつての御質問と思うのでありますが、昨年の十二月に出た指令に対しまして、政府といたしましては、当然その指令に対する処置をとらなければならないのであります。従つて第五国会においてはぜひこれを通過してもらいたいということを政府として要望いたしたのでありまするが、ああいう結末を告げたわけであります。従つてスキヤップから出された以上、この指令に対してどうとかこうとか処置をするということは、当然日本政府としては責任上なすべきことであります。それが第六国会継続審議されたのでありまして、これは日本食糧事情から申しまして、アメリカから食糧を援助してもらうという今日の現状において、今の食糧確保臨時措置法が、一応の供出割当はできるけれども、今後に対して、もしも食糧事情の悪化した場合においても、この法令に基づいて食糧を確保することができ得ないという立場にあるために、この指令が発せられたのでありますから、一応この法の性質を整えるという上からも、私はこのボ政によつて指令に報いることが当然の処置と、かように考えまして、政府処置いたしたわけであります。第十国会が開いてあるから、この第七国会において審議すればいいじやないかというお話でありますが、指令が十二月二十四日に出されておる。この指令に基いて政府はとるべき処置を完遂いたしたということに御承知を願いたいと思います。
  16. 井上良二

    井上(良)委員 その事務的なといいますか、政府としてとらなければならぬ責任的な処置の経過については一応了解いたします。しかしながらあなたが本年の産米に対して本政令は適用しないと声明するに至つたのは、少くとも司令部了解を得ておると思うのであります。了解を得ずにこういう政令を発しておいて、しかもこの政令は適用しないなどということを天下に声明することはできないのであります。少くとも適用しない、本年のものについてはできるだけこれを適用せずに行くということの了解は、司令部大臣との間にできているとわれわれには想像される。それほどに本年の食糧事情は、昨年の十二月と今日の状況というものは変化しておる。情勢はかわつておる。万一政令を出さなければならぬような事務的責任がありましても、昨年十二月二十四日と今日の事態とは違うということを司令部了解を求め、司令部に対して、あくまで民主的な方法としては国会承認を得て、政府としては実施したいと考えるから、ポツ勅その他によつてやりたくないということを、あなたががんばつていただきさえすれば、こういうような国会を無視するがごとき印象を與える悪政令は出さぬでもよかつたのりじやないか、少くともポツダム宣言受諾に伴う政令は、非常事態の起つた場合、いわゆる国会その他いろいろな審議をまつべからざる非常緊急の場合、またやむを得ない非常処置をとるときに、これは使うべきじやないかと考えられる。そういうようなゆとりのあり、またいろいろな了解を求めれば、その了解も成り立つではないかと考えられるような点も一応考えますならば、ここまで追い込まぬでもよいではなかつたかということを痛感するのであります。これは私とあなたとの考え方相違と言われるならば、それまでかもしれませんが、ただ一遂に司令部指令だから、占領下国民としてはやむにやまれず、何でもかでも従うということではなしに、少くとも日本政府として、この指令が具体的にどういう影響をもたらし、また結果がどうなるかということをよく考えて、しかも時間的に相当ずれております今日、食糧事情、その他の関係がまつたく一変いたし、農村事情もまつたく大きな転換を必要とする時期に当面しておることから考えて、この点は大臣が積極的に司令部お話を願えば、ポツ勅によらないでも済んだのじやないかと私は考えますが、そういうゆとりと申しましようか、司令部に対するそういうことを必要としない、命令命令だから、これはやむを得ないのだ、しかしその命令であつても、本年の産米に対しては適用しないでもよい。こういうような親心をあなたは示されておるのでありますが、それほどあなたがお考え願うならば、別にそこまで、そう思いつめたきつい命令をださないでもよいじやないか。これは率直な気持です。私は何もあなたをことさらにどうこうとは考えておりません。われわれは日本農民気持として、また食糧を確保する見地から、そういうことをわれわれは考えるべきではなかつたかと思うのですが、あなたの率直な気持を伺いたいと思います。
  17. 森幸太郎

    森國務大臣 いろいろ御注意いただいたわけでありますが、もとより私もそういう気持をしないのではないのでありまして、できるだけの努力は今日までやつて参りました。しかし指令が撤回され、修正されない以上は、政府としてはあの処置に出ざるを得ないということを御承知を願いたい。
  18. 井上良二

    井上(良)委員 これ以上私は本問題について議論をすることを避けますが、問題は結論的に申しますと、これが本年の産米に適用しなければならぬという状態にあります場合ならば、これは政府処置またやむを得ない。命令に従わなければならぬ、占領下国民としては、やむを得ないということが考えられますけれども、これを出した後に本年の産米に適用しないということを政府が声明するようなことでは、一体何のために出したのだという疑問を、国民に起させる結果を招いておるということを御注意願いたい。これだけ私は申し上げておきます。同時に本年の供米の補正の問題でございますが、先般政府は、農林大臣の御努力によりまして、本年の補正の再補正を二百三十五万石ですか、各県の割当をいたしたのでありますが、この割当が、われわれが前の百四十万石の各県への補正割当と、このあとの二百三十五万石ですか二百四十五万石ですか、この数字をにらみ合わせてみますと、何を一体具体的な補正の根拠として、再補正されたかということに、非常にわれわれ疑問を持つことがあるのです。もちろんこの補正で落着く県もあるかもわかりません。しかしまたこの補正で、現に地方事務所から町村におろされて、幾晩も幾晩も会議をやつておりますけれども、まだ個人の補正ができないという実情にありまして、実に悶着を起しておりますが、この間において、各被害農家は、その被害の実績によりまして、それざれ食確法規定に基づいて補正申請市町村長から知事あてにいたしておりますが、この補正申請政府が天くだり的におろしました減額補正額とか合致すればよろしいが、それ以上上まれる分については、一体政府はどう処置をされようといたしますか、この点を伺つておきたいと思います。
  19. 森幸太郎

    森國務大臣 政府は二百四十五万石の補正においておちつけてもらうように、各府県知事指令しておりますので、大体二百四十五万石でおちつくものと思います。中に特別、実收を見ました上で、どうしても府県におつて処理できない場合に対しましては、還元等処置によつて適当な方法考えて行きたいと考えておるわけであります。
  20. 井上良二

    井上(良)委員 わかりました。今私が申しましたのは、食確法規定に基いて、被害收額を抑えて、それを市町村長から知事に、法の命ずるところによつて申請をいたしておるのでありますから、これとあまり開きのない数字ならば、円満に事が解決すると考えますが、相当開きを見せました場合は、どうしても還元その他によつて処置を講じなければなりません。また大臣も今さようお答え願つたのでありますが、その還元の場合に問題になりますのは、これを生産農民としては米で供出をいたします。ところが実際その保有米を食べてしまいまして、いよいよ還元に入りますと、ちようどそのときに米の配給がありますならばよいのですが、これが粉で参りましたり、あるいは他の食糧還元をされないとも限りません。またそこでいつも問題になりますのは、実際は運賃なり、保管料なり、または精白賃等のやむを得ない経費を見て、それで配給するというならともかくも、これが消費者価格還元されるというところに問題かありますが、本年はやむを得ない事情から生じました還元については、やむを得ない経費だけ見積つて生産者価格にそれをプラスして配給するつもりですか。この点をあわせて伺つておきたいと思います。
  21. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 はなはだ事務的なお答えになるかと思いますので、私からお答えいたします。還元米価格上の問題でありますが、これはしばしば申し上げましたように、一昨年までは生産者価格にかかりました経費を多少加算いたしまして、配給をしておつたのですが、昨年の米から還元米制度が表向きに認められぬことになりましたために、清費者価格なつでおるわけであります。そのために相当生産者に酷な條件になつておりますことは、十分了承いたしております。できるだけ生産者価格に実費を加算したような価格配給いたしたいということで努力をいたしておりますけれども、ただいまのところ、まださようなところまではつきり申し上げるまでになつておりません。なかなか困難な状況にあります。と申しますのは、還元米制度が表向きに認められておらないために、その点が出て来る。しかし今度のいろいろな価格の問題等もからみまして、何とか当局は処置したいということで努力をしておるということであります。この点だけつけ加えておきます。
  22. 井上良二

    井上(良)委員 次に本年の收穫の関係から、供出相当重いという関係もあり、また被害相当全国的に受けておるという関係から、政府は今年新しく五等米制度を設けまして、これを実施することになつておるのでありますが、御存じの通り、供米の割当にいたしましても、また補正にいたしましても、これを農民割当をいたします場合は何石と、石でいたすのであります。ところか実際供出の場合はこれがキロ計算で供出をされておるのであります。そのために一等米のごとき良質の米は、かりに五十九・八キロ入れましても、実際ば三斗九升から九升五合ぐらいで済むのであります。ところが五等米の実際の調製の結果を見ますと、六十キロ建で供出用のキロを果すためには、中身は四斗五升も、ひどいのになると五斗も入れなければ六キロにならないという実情になつておるのであります。このために農民としてまことにどうも割切れない。上からは石で何斗補正してやるというて来る。今度は出すときにはキロでもつてとられてしまうのですから、どうしてもそこが割切れないのです。、これを何とかやはり四斗なら四斗ということで行く方法考えるか、あるいはもう少し価格操作その他において適当な処置を講じて行くか、この点どういうぐあいにおやりでございますか、これをひとつ伺いたい。それからこの五等米は、農民の方にもそういうわけでやつかいな問題を提供しておりますが、同時にこれを供出されまして今度これが消費者に配給する場合には、これはやはり五等米として配給するのですか。それともこれを一等米、二等米等と混合しまして配給するつもりですか。この点を明らかに願いたい。と申しますのは、この五等米はほとんど成熟した粒数の米ではないのでありまして、これをもし精米をいたしますならばほとんどがくず米になり、もうこれは何といいますか、米粉にでもしなければ役に立たぬようなものが多いのであります。それを一等米や二等米と混合して、青白い小さいものをまぜてやられたのでは消費者はたいへんな迷惑をいたします。なおこれは精搗の上においても非常な減耗を来すことでございまして、この五等米を政府が買い上げることによつてどういう操作をしようと思つているか知りませんけれども、下手いたしますと、食管特別会計にこれによつて赤字を生みはせぬかと私は危惧いたしておりますが、これらの点に対して政府はどう処置しようとしておられますが、この点を伺いたいのであります。
  23. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 現在の割当が石建なり、俵でやつておるということが通常の観念でありますが、私どもの考え方は六十キロ一俵という形においての何俵というのであつて割当は観念的には重量で割当てておるという観念をとつております。しかしこれは常識的にはなかなかわかつてもらえないかとも思いますが、そういう考え方で、つまり重量でもつて割当てておるという考え方であります。この点いろいろ誤解もありますので、今後は石とか俵でなく重量をもつて割当を書いて、それで石を付記しようかという相談もいたしておるわけであります。しかしどうも今までの考え方からいいますと、何俵とか何石ということでないと、末端に行きましていろいろ感じも違いますので、うちは何キロ割当てられたということでは感じが出ないから、そこまで行くのはどうかというような話もしておるわけであります。場合によれば、来年度からのものは重量建ではつきりしようかと考えておりますが、現在でもそういう考え方をいたしているわけであります。それから五等米は、やはり普通の米と区別して配給の方は考えて参りたいと考えております。消費者の立場から考えましても、また経理内容から考えましても、その方がはつきりいたそうかと考えております。それから、普通でありますと、つき減りが相当多いので、六十キロでなく、六十キロを六十三キロとか六十五キロ実は一俵について入れてもらいませんと、政府といたしましてはつき減りが多い関係でぐあいが悪いわけなのですが、そこまで被害農家に対してかけることは酷じやないか、こういう考えで、このつき減りの増加の点は私どもとしては一応見込みまして六十キロ、こういう建て方として、多少とも生産者に対しまして負担を軽くしたいという考え方をとつてつている次第でございます。
  24. 井上良二

    井上(良)委員 あともう一点で終るのでありますが、そういたしますと、今のお答えによりますと、特別会計にば別にこれがために赤字が出るということは、政府としては考えていないのですか、その点を明らかにしてもらいたい。それから次に伺いたい点は、これは大臣に伺いたいのですが、大臣は先般新聞紙上で、この一月から消費者価格が引上げられるのに関連して、主要食糧を増配するということを、今司令部の方に交渉している。多分実現するいやないかと考えている、こういうことを申されているのでありますが、今日、昭和二十四年度補正予算、それから二十五年度の一般会計予算等を見まして、新しい十五箇月予算では、重要産業への補給金の打切りそれから運賃の値上げ、ガス、電力料金の引上げ、米の消費者価格の改訂、こういうように相当国民生活を圧迫する條件がたくさんそろつております。これらの国民生活の圧迫を政府の方では何とかカバーしようとして、たとえば税金をある程度減免するとか、あるいはまた主食の増配をやるために、思い切つて外国食糧を輸入するというような構想もされているのであります。この点から、大臣の方の説明では、現在二合七勺の配給をもう一勺ふやして、二合八勺にするというようなニュースが伝えられておりますが、われわれの計算でいたしますならば、少くとも外国食糧をかくのごとく大量輸入するというよりも国内における主要食糧をもう少し政府がめんどうを見て確保をいたしますならば、さらに外国の援助とも相まつて、少くとも主食は三合配給が可能なりという見通しを立てているのでありますが、この点は大臣はどうお考えでございましようか。少くともこの際一挙に食糧問題を解決するという見地から三合配給を実現する、そうしてやみ米をなくしてしまう、同時に農村には十分国際的な穀物競争に勝てるだけの、農村の近代化をはかるという、この線を出して来なければだめでありまして、そういう見地からこの際一挙に、せつかく政府が増配しようというつもりがありますならば、進んで三合配給を断行する。同時にそれに伴つて、わが国農業生産の基本的生産條件を確保するという線を出して来なければいかぬと私は考えますが、こういう点に対して、大臣の決意ある御所見を伺つておきたいと思います。
  25. 森幸太郎

    森國務大臣 三合配給を机上プランで立て得られぬことはないのであります。しかし現在の日本食糧は、御承知通り海外に依存いたしている現状でありまして、海外食糧というものは、井上委員も御承知通り、当てにして当てにならないのである。しかも二十五米穀年度のうちにおきましては、これが南方諸国より輸入が計画されてありまして、しかもこれはガリオア物資としての輸入よりも、むしろ日本の輸出力によつて輸出するということが主として考えられるような形勢が見えておりますので、なおさら日本の輸出が盛んになるということが一つの條件となつて食糧が輸入される。こういうことも考慮の中に加えておかなければならぬのであります。従つてこのいもというものを主要食糧からはずすというような考え方も、一応一部で立つたのでありますが、日本食糧事情、また農業経営の上から申しましても、ぜひいもの一部は主要食糧として見た方が、日本の長い食生活の上からいうても妥当であると考えまして、この意味から二合八勺くらいに基準量を訂正するということは、決して不可能ではないと、かように考えられるのでありまして、今その手続を進行いたしているのであります。井上委員のごとく、もう一歩進んで三合に思い切つてやつたらどうだという御意見でありますが、なるほど食確法ポツダム政令で出したのでありまするから、やつてやれぬことはないとは考えますが、今申しました輸入食糧事情から申しまして、なお日本の国内の自給度を高めて、いわゆる日本の生産力を上げ、また日本の工業の振興によつて貿易を盛んにして、その裏づけとして食糧を輸するというこの二つの面から努力いたして行かなければならぬと思うのでありますが、こういう場合には安全第一主義をとりまして、まず漸次食糧の基準量を高めて行きたい。かように考えているのであります。従つて三合配給を理想として実現し得ないこともないとは考えますが、輸入食糧の実態が今申しましたような状況であります以上、安全な策をとることがこの場合最も妥当である、かようなるえ方をもつて漸次進んで行きたい、かように考えているわけであります。
  26. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 特別会計に対して赤字は出さないようにやつて参りたいと思つております。結局価格面の操作の問題であります。
  27. 山口武秀

    山口(武)委員 私はポツ政令の問題について森農林大臣にお伺いしたいと思います。今さきに井上委員がいろいろ質問したのでありますが、大臣の答弁ではつきりしているのは何もなかつた。それからなお国会を無視していない、こういうことを言つておられますが、事実として無視しておりますし、なおだれでもがこれは認めていることでありますし、見解の相違だというようなごまかしの答弁では事は済まないと思う。それで先ほどの質疑にもあつたのでありまするが、特に昨年におきまして法的な措置がなくても百六十万石の超過供出が行われている。ところがそれに比べまして、今回特に緊急性がないにもかかわらずこの政令を出した。これにつきまして指令があるから出したのだ。連合軍からの指令があるから出たのだ。こういうことを言つておりますが、少し違うと思う。指令は昨年なるほど出たかもしれない。しかし先ほど議論になりましたように、かなり時間的にずれている。昨年の十二月指令が出ましてから、アメリカでは、特に連合軍関係では、日本がきわめて民主化が進みまして、自立的な態勢を持つている、自主性を持つている。こういうことを繰返し言つて来たではないか。そういうときに今回の政令を出したということは、まだ日本の政治は日本国民ではやれないのですということを、国内にも国外にも発表したような結果になつたのではないだろうか。そうだとするならば、これは当然指令の問題につきましても、政府の方におきまして連合軍の方に了解を求める運動をお考え願うべきではなかつただろうか。これに対して何らの責任も感じていないのだろうか。まずこの点をお聞きいたします。
  28. 森幸太郎

    森國務大臣 さつき井上君にお答えした通りでありますが、政府といたしましては食糧事情等によりまして、できるだけの処置をいたしたのであります。先ほど申しました通り指令が撤回され修正されない以上は、政府としてその指令に基くことが当然の使命と考えております。
  29. 山口武秀

    山口(武)委員 私さらにこの点をよくお聞きしたいと思うのです。今の答弁では何の意味かわかりませんし、私が考えてみまするに、今回は超過供出の米価というものを、去年の三倍に比べて二倍にしてしまつた。二倍に引下げてしまつたのではおそらく超過供出が出なくなるのではないか。出なくなつてはたいへんだから、何か強権を背景にする必要がありはしないか。そういうふうに政府考えて、へたをすると政府のその意向が強くて、今回のこの政令の公布になつたのではないか。かように考えるのですが、いかがなものでありましようか。
  30. 森幸太郎

    森國務大臣 そんなことはありません。
  31. 山口武秀

    山口(武)委員 ありませんではあまり簡單でわかりません。超過供出価格を二倍にしたから、自主供出の面でこれが減少する。このようにお見込みにならなかつたかどうか。この点をお聞きいたします。
  32. 森幸太郎

    森國務大臣 三倍が二倍になつたら超過供出が少いだろう。それだからこの政令によらなければならないだろうということは、毛頭考えておりません。
  33. 山口武秀

    山口(武)委員 私の聞いておりますのは、事実として価格が低くなるから出方が少くなる、こういうことが考えられるだろう。こういうことが当然考えられるにもかかわらずそれを考えていないという答弁はないだろう。
  34. 森幸太郎

    森國務大臣 考えなかつたことは考えなかつたのであります。三倍を二倍にしたら超過供出が少くなるだろうからポツ政令が出るだろうということは、考えなかつたから、考えなかつたと率直にお答え申し上げたのであります。
  35. 山口武秀

    山口(武)委員 きわめて無責任だと思う。現在の供出の大きな障害となつているのは価格の問題である。少くともその価格が三倍から二倍に減少したために、幾多の影響を與えるだろうということは当然考えなければならないはずだ。それを考えないというのはきわめて政府が無責任であるか、農民を無視しているか、どちらかのことでなければならない。  なおさらにお伺いしたいのは、本年度は適用しないと農林大臣は言つておられる。適用はしないと言つておられるのはたいへんけつこうで、日本農民はだれでも適用してもらいたくないだろう。ところが森農林大臣が適用しないと言つておられるが、具体的にこれをどういうようにするか。森農林大臣が談話を発表しても、これは法律にも何もなつて来ない。事実こういう政令が出ているのだと、地方でこれをかつてに適用するような事態か起つたときにはどうするか。この点をお伺いいたします。
  36. 森幸太郎

    森國務大臣 ポツ政令の発令は農林大臣の権限に属しております。農林大臣司令部に特に了解を求めて、今年は発動しないということを言つたので、この農林大臣もポツ政令を出す農林大臣も一つであります。
  37. 山口武秀

    山口(武)委員 そういたしますと、ポツ政令と、森農林大臣が今年度は適用しないと言つた言葉は、同格と見てさしつかえないのかどうか。この点をお伺いいたします。
  38. 森幸太郎

    森國務大臣 その通りであります。
  39. 山口武秀

    山口(武)委員 それからこれはちよつと私お聞きしたいのですが、米価が公示されていないという話を聞いたのですが、これは事実どうなんですか。
  40. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 少し遅れましたが公示されました。
  41. 山口武秀

    山口(武)委員 いつですか。
  42. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 二週間前ぐらいだつたと思います。
  43. 山口武秀

    山口(武)委員 さらにこれは農林大臣が来ておりまして幸いでありますので、あらためてお伺いしたいのですが、この前第六国会農林委員会におきまして私質問いたしたのでありますが、お答えがなかつたのです。それというのは、実はあの食確法改正案審議しておりますときに、食確法の改正の審議はけつこうでありますが、あの審議にはきわめて重大な前提が必要だつたのです。その前提は何であるか、一体政府はきまつた法律というものを本気で実行するつもりなのかどうか。これは実行しないなら審議の必要はまつたくなくなつてしまう。それでこれはその後における安孫子食糧庁長官の答弁だつたと思いますが、供出をするにつきましては、食確法に基いてもやりますし、国内の事情に基いてもやります。こういうことは一体何によつてやるのか、法律で物事を運ばなければならないということになつているときに、国内の事情においてやるのだ、こういうことになつたのでは、法律の権威も何もなくなつてしまうのではないだろうか。しかも現在の各農村における実情を見ますと、供出の手続につきまして、きわめて不備な点が多い。正規の手続を行つていない場合がきわめて多いのだ。たとえば事前割当に対しては異議の申立てが行われる。この異議の申立てに対しては町村長の方におきまして、これを審議して決定をする義務が法律上定められている。ところがこういう異議が出ましても、その異議に対しては何らの審議も行われずに放置されている。どう決定したかも通知もされない。こういうことになりますと、これは法律上重大なる手続の欠陷を生じて来る。そうした場合には、法律上から見てこの割当がはたして効力を生ずるかどうかということも疑問になつてしまう。こういう問題があるわけでありますが、この際こういうような手続の欠陥があつた場合に、はたして割当が法律上有効かどうかということをお伺いしたい。
  44. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 法律上無効であるか、あるいは過失があるために取消すべき行為であるか、あるいはそれは有効であるかというような問題は、やはり個々のケースについて検討を加えておく必要があると思いますので、一般的には申し上げかねます。
  45. 山口武秀

    山口(武)委員 一般的に申し上げられないということはないと思う。私は一般的な問題として聞いているのです。手続が正規に行われないのが法律上有効であるか。無効であるかということに対して、一般的にお答えできないという言葉はないと思う。
  46. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 多くの場合手続が不備であつたからといつて、ただちにそれが無効だとは私どもは考えておりません。
  47. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 この機会に非常に緊急の問題でありますので、特に山口さんにお願いして、途中で質問させていただきます。と申しますのは、補給金の一部撤廃に関係して、来年一月一日から米、えさ、肥料等々が値上げになることは、すでにわれわれ承知しておるのですが、この値上げに対する措置がきわめて不当である。この値上げの結果消費者に與えるいろいろな問題はすでに起つております。これを具体的に申すならば、今政府がこの値上げに対して亡つておられる措置は、一月一日から機械的に、消費者に肥料においては二割五分、えさにおいて一割程度、また米についても値上げになります。ところがこの消費者の側からいうと、これら米にしろ、えさにしろ、肥料にしろ、消費者の意思によつて配給をとるとらないがきまつていない。政府の機関によつて配給の遅配欠配等が行われておる。これは非常に大きな問題でありまして、少くともこの値上げに対しては、消費者に何ら甲乙のない値上げの切りかえをやらなければいけないと思うのですが、これにつきまして、どのようなお考えを持つておられますか、伺いたいと思います。
  48. 森幸太郎

    森國務大臣 まことにごもつともなことでありまして、この途中の段階においての価格の変更は、その措置によほど十分なる考慮を拂わなければならぬと考えておるのであります。御承知の肥料のごときも、来年の春肥は十一月末より生産の終つたものをそれぞれ地方に配給いたしておるのであります。これが値上りをすると、途中でありますので、不公正な値上りであつてはいけないというので、各地区に配給いたしました肥料の公平なる分配のできるような措置をとることに努めておるわけであります。米のごときもまだはつきりきまりませんが、予算措置として幾らか上げるというような方法で進んでおるのでありますが、これはまた一月から上る、あるいは二月から上るというように、全国的に配給がはつきりしておりますのと、なお日にちを画して少量ずつの配給でありますから、これには錯誤がないと思います。ただ肥料の問題につきましては、ああいう金高のものであり、またこれを一時に全国的に均一に送荷するわけに行きませんので、その遅速によつて価格がかわるというようなことがあつてはたいへんでありますので、適当にこれがあんばいをいたしまして、価格の値上げが公正に行くようにいたしたいと考えているわけであります。
  49. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 大臣の公平に配給したいという意図をもつて努力しておられることはよくわかります。しかし現実の問題として少しも公平に行つていないまたあと十日ほどたちますと切りかえになるのですが、この十日間にこのでこぼこは絶対に是正できない。今どういうことが行われているかというと、たとえばえさにしても、えさの配給機構も悪いのですが、各県で何か個個の切符を受ける。たとえば私の県でいえば、神奈川県で八千戸の有畜農家があるので、八千枚のえさの切符をどんどん切れつこない。それがためにえさが非常にストックされているにかかわらず、配給ができない。また中間業者がたくさん持つているけれども、消費者には渡らないで、中間業者の利益になつており、その陰において消費者は大きな負担をするということになつているわけであります。御承知のように、大豆かすにしても、これはまた別の問題になりますけれども、油糧公団に七万トンとか八万トンとかの大豆かすがストックされており、しようゆ屋さんやみそ屋さんはとれない。それかといつて、えさ屋にもやらない。こういうふうな問題もある。ふすまにしても、莫大なるふすまのストックが製粉会社にたまつてつておる。たまつている間に値が上つて来る。消費者は政府割当はもらつているが、配給が遅れるために、みすみすこの安い飼料を買いそこなつて、一割高い飼料が消費者に渡つて行かなければならない。肥料にしても、今どういうことが行われているかというと、農家は金がないために秋肥の分さえもまだとれない。私の聞いているところでは、秋肥さえもまだ九五%しか配給できない。金のある農村はどんどんとる、春肥も一五%も二〇%もとつた。一方金のない農家は秋肥さえもとれないということになる。そのうちに一月の二割五分の値上げが来るということになる。この値上げの問題を、今の物価統制令に基いて、その措置をこのまま進めるならば、来年の一月に至つて農村から大きな非難が起きると同時に、これはわれわれといたしましても看過できない問題だと思う。そこで私は具体的に申し上げるが、政府がこの公平を期すると思うならば、措置がある。たとえば配給規則の改正をやつて、契約販売をすれば私はできると思う。たとえば十二月ものは幾ら、一月ものは二割五分上つて幾らというふうに、限月により契約販売することによつてその公正が期せられる。たとえば十二月のものを契約販売すれば、それが一月に渡ろうが、二月に渡ろうが、十二月の値段で渡る。一月の契約のものは、かりに十二月とつても、一月のものは一月の価格で引取るということに措置ができると私は思う。これらの措置を、ただ安本や大蔵省の方の一部の意見によつて物価統制令に云々されて、消費者の間に起るところの大きな負担の不均衡を看過することは絶対にできないと思う。私はすみやかに、配給規則等の改正によりまして、臨機の措置によつてこの大きな農民の負担のでこぼこを是正すべく措置をしていただきたい。米にいたしましても、先日も安孫子長官に私は聞きましたが、労務加配のごときは二箇月も三箇月も遅れている。政府責任において配給が遅れておつて、一月になつて十月の配給をもらつて、それを一月の価格でとるというようなことは、いかにしても不合理です。これは肥料、えさと同様にこの米の場合におきましても、臨機適当な処置をとる。同時にもし物価統制令を改正の必要があれば、これは来るべき通常国会に、一月再開されました劈頭においてこの物価統制令の改正をやるべきでないか、私はかように思うのですが、これらにつきまして、詳細を私は事務当局と午後でも十分質疑してみたいと思いますけれども、大臣におきましても、かような問題が大きく起つておるということをよく御了承の上、すみやかに省議を開かれまして、適当なる処置をとつていただきたい、かように私は希望するものであります。
  50. 森幸太郎

    森國務大臣 まことにごもつともな御説でありまして、なお内容をよく検討いたしまして、適当な処置をとりたいと思つております。
  51. 松浦東介

    松浦委員長代理 午前中の会議はこの程度にとどめ、午後は二時から再開いたします。暫時休憩いたします。     午後零時十四分休憩      ————◇—————     午後二時三十分開議
  52. 小笠原八十美

    小笠原委員長 休憩前に引続き会議開きます。  それでは食糧確保に関する件を議題とし、質疑を継続いたします。高田君。
  53. 高田富之

    高田(富)委員 大臣が来られるまで私の質疑は留保いたします。
  54. 小笠原八十美

    小笠原委員長 それではどなたか政務次官にでも御質疑の方はございませんか。
  55. 井上良二

    井上(良)委員 ちよつと議事進行に関して——実はかねてから農林委員の皆さんや農林委員長にも陳情のあつたことと存じますが、御存じの通り去る日電力料金が改訂になりまして、この改訂に伴つて農業用の電力、特に灌漑、排水のために必要とする電力が大幅に値上げになります関係から、この問題の解決を当該の農業各団体から執拗に要求されておるのであります。御存じの通り、灌漑排水のために必要とする電力は、食糧増産に絶対不可分の問題でありまして、これが他の工業と同様に取扱われるということは重大な問題を惹起いたしますので、ぜひ本問題に関しては農林委員会はただちに関係大臣並びに主管局長を呼ばれまして、これが解決に御審議を願いたいと思いますが、本日は食確法に関する質疑が継続されております関係上、この問題を論議する時間的余裕がございませんので、明後二十一日午前十時より特に委員会をお開きを願いまして、通産大臣、安本長官、農林大臣の御出席を得まして、農業用電力の料金の問題について御審議を進められんことを、特に私からお願いをいたしておきたいと思います。
  56. 小笠原八十美

    小笠原委員長 ただいま井上君の御意見がありましたが、農村に対する電気料金の問題は今日重大な問題として取扱われておりますから、来る二十一日午前十時から、その問題一つにつき委員会開会して、その方の関係大臣や長官その他関係役人のおいでを願つて、それに対して審議することに御異議ありませんか。     〔「異蔵なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 小笠原八十美

    小笠原委員長 では御異議なしと認めまして、さようとりはからうことにいたします。  それでは農林大臣が御出席になりましたから高田君。
  58. 高田富之

    高田(富)委員 先ほど来各委員から御質問がありましたが、このたびの政令の公布につきましては、われわれ国会議員としてはもちろんまた国民としましても、特に農民政府の態度に強い疑惑を持つておると確信するものであります。先ほどの各委員に対する大臣の御答弁によりましては、遺憾ながらなお承服しがたいのでありまして、重ねて御質問したいと思うのであります。  大体さつきの御答弁によりますと、昨年の十二月の覚書がありまして、それを法律の形にしなければならないというだけの理由で今度出したというのでありますが、大体あの覚書は、もとより国会審議にかけて法制化することを、連合軍当局が望まれたものであることは明瞭でありまして、その後もう一年も経過しております。前国会において成立しませんでしたが、なお引続いて第六臨時国会に提案することまでも連合軍としてはこれを認めておるほど、やはり国会を尊重し、国会審議によつて立法化されることを、しんぼう強く連合軍当局としましては日本政府に望んでおつたものとわれわれは解釈しております。そういうふうになつておりますのに、しかも事情食糧関係はだんだん緩和されて来ておるというような状態にもありますときに、今になつて、まつたく緊急性がないのにこれをやつたというこは、どうしても理解に苦しむ。たまたま前国会の会期末に総理大臣の談話等がありまして、国会に対して非常な侮辱的言辞を弄して大きな問題になつたわけでありますが、これらのことと関連して考えますと、この政令を出されたということは、国会に対する政府の一つの挑戰的なものをわれわれは感ぜざるを得ない。どうしても合理的な根拠が明らかにならないのであります。     〔委員長退席松浦委員長代理着席〕 ここで私は重ねてお伺いしたいことは、これは前国会で成立しなかつたときに、特に連合軍当局の方から強く至急に政令を出せというような、どうしても大臣が拒否することのできない強い命令のようなものがあつたのでありますかどうですか。この点をお伺いしたいと思います。
  59. 森幸太郎

    森國務大臣 この問題に閲しましては、先般井上委員の御質問に対してお答えしておつたわけであります。繰返すまでもなく、この政令に対しましては、政府としても当然第六国会においてその責任を明らかにしなければならない事情に迫られておつたわけであります。今司令部から何か示唆があつたかどうかという御質問でありましたが、とにかく指令が撤廃あるいは修正されない以上、第六国会には必ずこれについて実現いたしますということをお答えいたしておつた立場といたしましては、政府といたしましては、この際これを法制化しなければならない事情にあつたことを、御承知を願いたいと思います。
  60. 高田富之

    高田(富)委員 そうすると、今度の第六臨時国会では必ず通過させるということを、政府司令部に対してかたい約束がしてあつたわけですね。
  61. 森幸太郎

    森國務大臣 第五国会結末において、その條件において継続審議が認められたのであります。
  62. 高田富之

    高田(富)委員 そういうふうな條件をつけて約束をしたにもかかわらず、この国会において遂に成立を見なかつたということは、結局政府法案に対する裏打的な準備、審議を円滑に進めるための誠意ある万端の準備において欠けておつたために、そういうふうな事態ができたのでありまして、これはまつたく政府の非常に重大な責任であると言わざるを得ない。従つてもし政府がその責任を痛感されるならば、やはり今回審議未了になりましたけれども、もう一度あらためて次会にこれをかけて、今度はこの責任をまつとうしたいが、どうかということを、政府といたしましても、連合軍に対して、頭を下げて懇請すべき立場にあると私は思うのです。それをやらずに簡單にこの政令を出してしまうというようなことは、まつたく自分の責任を全然省みず、あたかも国会がこの審議を理由なしに延引させたかのごとき、国会に対する総理大臣の談話と表裏一体をなす、国会に対する非常な侮辱的な態度に当然とられると思いますので、こういうふうなことについては、連合軍の方としましても、おそらく政府の態度に対して、非常に遺憾の意を表しておるのではないかと私は思う。聞くところによりますと、司令部の中におきましても、やはり民主主義という建前から、そういうような手段はなるべく避けた方がよろしいというようなことを言つておる部局もあるやに聞いております。そういうふうなことがあるにもかかわらず、大臣において、ぜひともこれは政令を出してもらいたい、政令で出してもらわなければ追加供出はできないというようなことで、政令を出すことについて総司令部の方へ、かえつて強くこちらから懇請したというふうに、私どもは想像するのでありますが、その通り了解してよろしいですか。
  63. 森幸太郎

    森國務大臣 御想像は自由であります。司令部においては、今日の場合において、あのポツダム政令によらなくてもいいではないかというような意見があつたということは、毛頭私は聞いておりません。もしそのセクションがどういうところであつたか御承知でありましたら、お示しを願いたいと思います。
  64. 高田富之

    高田(富)委員 そうすると、向うからの強い指示が今度あらためてあつたわけではない、こつちからも持にそういうことがあつたわけではないが、前からの約束であつたのでやむを得ずやつた、こういうことであります。そうすると、さつきの御答弁にありましたように、そういうことであるために、出しはしたけれども、今回は実際は適用しないのだということを、同時に言わざるを得ない。非常に矛盾したことでありますけれども、言わざるを得ないような立場政府は追い込められております。実に矛盾しておりますけれども、やむを得ないでありましよう。結局出したけれども、今回はこれは適用しないのだ、こう言つておるのでありますが、先般新聞紙上等で見ますと、一月には二百万石の追加供出をするということが出ておつたかに記憶しておりますが、それは事実そういうふうに予定しておられるものでありますか、どうですか。
  65. 森幸太郎

    森國務大臣 追加供出については政令をよく読んでいただきたいと思います。一月になつて收高のはつきりわかつた場合において考慮を拂うべきものであります。本年の超過供出に対してこれを適用する、しないという問題につきましては、先ほど井上委員お答えした事情であります。しかしこの際お断り申し上げておきますが、日本としましては、アメリカからむりをして食糧を輸入してもらつているのであります。この食糧を輸入してもらつていることに対して、日本は、日本自身みずからが食糧確保に万全の処置をとるのは当然であります。卑近な例で失礼かもしれませんけれども、一軒の家で消火器を準備するのと同じであります。万一の場合に消火器は必要であります。火が燃えないのに消火器でぶつかける者はありません。日本は火のない状態であるが、万一の場合に対する準備をする。これはアメリカから食糧をもらつている日本立場としては、万全の策を講ずるのは当然の義務であります。いわんや向うから指令を受けた以上は、日本政府は当然の処置をとつたことと御承知を願いたい。
  66. 高田富之

    高田(富)委員 そうすると、実收額を見てからということでありますが、やはり適用するしないはそのときにきめるということであつて、先ほどの今年度は適用しないのだということと、どうもそこがはつきり矛盾するのではないかと思われるのですが、重ねてその点を明確にしておきたいと思うのです。もし実收額が判明いたしました結果、多少でも多いというふうに考えられた場合には——この補正された二百四十万石を引いた残りの額が多少余計だということになつた場合には、これを適用いたしまして、そうして超過供出を強制するということになるかもしれない、こういうふうに理解していいですか。
  67. 森幸太郎

    森國務大臣 どうも話を波乱に持つて行かれるように思いますが、先ほどは二百万石の超過供出考えていると新聞に出ているがどうかとおつしやつたから、それは実收高を見てから考えると申し上げた。二十四年度産米に対しては、司令部の方の了解を求めて、この政令に基かないということを言つております。だからチャンポンにしないようにお願いいたします。
  68. 高田富之

    高田(富)委員 そうすると、数字は別としまして、本年度はとにかく司令部了解を得て適用しないということになりますと、これは適用しなくても、懇請というふうな形で超過供出をやることはあり得ると考えられるわけですが、その場合に、たとえ名前は懇請とか何とかいうことでありましても、数字をあげてこれを割振るようなことになりますと、結果においてはやはりどうしても強制にならざるを得なくなる。ですからどこまでもこれを適用しないで今度やるということであるならば、ほんとうに末端の農民までも、安心して政府が信頼できるような、何らかのはつきりした特別の措置をとつて、そうしてどんなことがあつても追加供出の強制はあり得ないという保障を與える必要があると思うのですが、この点についてはどう考えられますか。
  69. 森幸太郎

    森國務大臣 お聞きになつておらないからそういう御質問が出ようと思いますが、先般知事会議を開いて補正割当をいたしましたときにおいて、二十四年度産米についての超過供出割当は各県に指示してもらつた方がいい、しかしそれを強制してくれるな、しない、これが申せになつておるわけであります。割当はいたします。
  70. 高田富之

    高田(富)委員 知事会議のときにそういう申合せがあつたということは承知しておりますが、これがしかしもう少し何か明確な法的な、あるいは法的でないまでも措置がないと、事実はその知事会議のときに約束されたことが、そのまま誠実に実行されるというふうには、今までのいろいろの状況から判断いたしまして、どうしても遺憾ながら信を置きがたいという点があるわけであります。たとえば今度の補正にしましても、どうしても出せない者には責任は追究しないというような條項も約束されておるようでありますけれども、現在各都道府県等におきましては、やはりそういうものは出たけれども、事実はなかなかその手続等もめんどうでありまして、何段階にもなつてつて、結局それはやつてもむだに終ることであるから、どうしてもこれは、約束したものの、これにはたよらずに、目標額だけは何でもかんでも出すという一本やりで行くよりしかたないというようなことを、末端の方面では、これに当たる官吏は、みなそういう考えで当つておるのであります。従つて、これはどうしても、あの約束について、実際にこれが実行できるように、單なる知事との約束ではなく、もう少しほかの方法でこれを保障し、誠実にこれを実行するように、各都道府県その他末端に至るまで指示する必要があると思うのです。こういう点については特別の措置を講ずる意思はありませんか。
  71. 森幸太郎

    森國務大臣 供出割当責任者である都道府県知事並びにこれに協力するところの中央調整委員会、また各府県より調整委員として出席した代表者、これらの人々に、公人として申合せ、約束いたしたのでありまするから、それ以上とるべき手段はありません。
  72. 高田富之

    高田(富)委員 それでは、念のために、もう一つ具体的な場合について言明を得ておきたいと思いますが、今度の約束の中の、今言われた免責條項というものですか、供出がどうしてもできないというので、このことを査定委員会が認めた場合には、これは追究されないというふうな條項がありますが、この場合に、実際に割当てせられた数量を完納することができないということの認定の基準は、これは今のところ、まだあまり明瞭でないようでありますけれども、やはりどうしても保有量は完全に優先的に確保させて、そうしてその残りにおいて、補正されただけでは足らないという場合に、これを免責してもらう、保有をとつた残りだけを出せばよろしいというふうに、はつきり理解して、そうしてそういう線で、事情調査した上で委員会が認めたものを、上の方へ出して来てくれれば、これはたとい最終的な決定はなくても、国警やその他検察庁においては、この責任を追究するようなことはないというふうに理解していいものでありますか。
  73. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 事務的な問題でありますから、私から申し上げます。今回の免責措置につきましてのやり方は、御承知通りであろうと思います。その際に、最末端におきまして、保有優先であるか、あるいは供出優先であるかというようなことが常に問題になるわけであります。一応制度上の建前は、保有を差引いて、残りを供出するという法文の立て方になつておるのであります。その際に一番問題になりますのは、個人々々の実收というものが、実ははつきりつかめないという点に問題があるのであります。たとえば、私のところは十石とつたと言いますけれども、それが実ははつきりしないのであります。個人々々のほんとうの收穫高というものがはつきりしないために、保有優先であるか、あるいは供出優先であるかという議論が、常にぼやけて来ると私は思つております。それでまた従来から申しますと、国の食糧の需給事情からも、保有に食い込みまして、供出をより多くした場合もございます。一応その場合に、形式的に保有に食い込んだと言いますけれども、実際に食い込まなかつた場合も例外的には私はあると思うのであります。またほんとうに食い込んだものもあります。そういう点については、還元措置を講じて、農家の自給に支障のないようにやつて行くというようなことでやつて来たわけでありますが、今回の補正をやるについても、その点に実は非常に問題がありまして、あれをのほうずにやりますと、供出制度ということは崩れて来るというような感じを持つております。それで私どもがお話しておりますのは、やはり最後の段階まで供出を進めていただきまして、そうしますと、一般論としてでなく、最後の段階においては、具体的にどこのだれがどうだということが相当はつきりして来る。そのはつきりした状態において、あの委員会を活用して、それを吸い上げて、整理して、そうして、決して個人が飯米まで全部とられてしまうというようなことがないように措置をして行きたい。その意味においてああいうことを考えたわけであります。運用についてはいろいろ問題があるかと思いますけれども、各府県あるいは農業調整委員、市町村の方々と協力して、そういう趣旨においてあれを活用して参りたい、かように考えております。
  74. 高田富之

    高田(富)委員 そうすると、各農家の実收が今までは不確実だつたということが原因だということでありますが、今度は非常に詰まつて来ておりますので、今までのようなことはないと思いますが、各農家の実情を十分に調べて、そうしてたしかにこれは間違いないということが立証されるならば、保有優先という原則にもどつて、保有優先の分でこの免責條項の適用をきめることはさしつかえない、またそれが正しいことであると思いますが、そう考えてよいわけですね。
  75. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 その点は実情問題になると思いますが、保有に食い込むと申しましても、どの程度に食い込むかという問題があろうかと思います。一方收穫高のほかに、くず米その他のものもございますので、その辺は、非常に災害を受けた地帶、しからざる地帶、山間地帶、平坦地帶というようなことで、やはり保有優先と申しますものの、需給の観点よりいたしまして、多少がまんしてもらうということも出て来るかと思います。これを中央で一律にきめるということは、はなはだ困難かと思いますけれども、極端に保有を割るというようなことは、ないようにいたさなければならないと思いますが、多少その点実際上の食い込みというものがあるであろうと私は考えております。その辺は十分地方々々の実情に応じまして、措置をとつて行きたいと思つております。機械的に二プラス二というような形では、この問題はなかなか末端においては解決しない問題であるというふうに私は考えております。     〔松浦委員長代理退席、山村委員長代理着席〕
  76. 高田富之

    高田(富)委員 そこで大臣にお伺いしておきますが、そうすると、そういうことで下の方から十分調査して、免責の申請があつたという場合には、最終的に決定するまでに幾段階かの審議があるわけでありますが、決定するまでの間は国警とか、そのほか検察庁方面で強制するようなことはないというふうに理解してよいわけですか。
  77. 森幸太郎

    森國務大臣 悪質なものでない限りは、さようなことはすべきことでないと、かように考えております。
  78. 高田富之

    高田(富)委員 それでは、最後にもう一つだけ大臣にお伺いいたしたいのですが、さつき大臣お答えの中に、外国から非常にたくさんの食糧の援助を仰いでおる、であるから、今度のポ政令のようなことで十分確保しておく、これは国民の当然の義務であるというふうなことであります。けれども、この食糧関係については、前にも委員会相当こまかな質疑がありましたので、こまかい点は省きますけれども、現在の国際的な食糧情勢その他から見まして、大臣自身もこの委員会で言われたように聞いておりますが、実際はむしろこちらが需給計画で予定し、今の逼迫した財政状態のもとにおいては十分と考えている以上に、政府においてはたくさんの食糧を買つておるということもはつきり言明されておるわけであります。こういうふうな状態にありますときに、いたずらに国内の農民を萎縮させ、農業の再生産を不可能に陥れるような強権的な、集荷を強制するようなことは、まつたく本旨を転倒しておることではないかと思うのです。むしろ今は農業を保護して、そうしてゆとりをつけて、ゆたかにすることによつて、なるべく外国の食糧の入るのを防いで行く方向へ行かなければならない、大きな転換期にあると思うのですが、依然として大臣は、頭を下げて外国からたくさんのものを入れてもらつておるというようなことを強制して、これによつてこのポ政令食確法を合理化しようとしておられますが、これは非常に大きな現在の食糧の国際情勢、また国内の農業政策に関する考え方の根本でありますが、重大な問題で根本的な頭の切りかえを要するのではないかと思うのです。そこで大臣にお伺いしたいのは、今後外国の食糧に対しては入るのを防ぐという考え、なるべく入るのを防ぐようにして、国内の農業を育成しようとしておられるのか、それとも今後もこういうふうに予定以上のものであつても、懇請これ努めて、たくさんのものを入れようとお考えになつておるのか、この点を最後にお伺いしておきたいと思います。
  79. 森幸太郎

    森國務大臣 あなたのお考えと私の考えとは少しもかわつておらないのであります。いたずらに外国の食糧の輸入を懇請いたして、日本食糧はどうでもいいというような考えは、毛頭持つておりません。しかいつかも申しましたように、外国の食糧というものは当てにして当てにならない。あるいは来年からはガリオアがなくて、貿易の基金によつて買わなければならないようになるかもしれません。ただ今日は三百十一万トンの食糧を輸入される予定は一応しておりますけれども、これだつて当てにして当てにはならないのであります。でありまするから、できるだけ日本食糧の生産をはかつて、そうして外国の食糧はできるだけ、ただもらうにしろ、貿易にしろ、入れないようにしたいというのが私の食糧増産の考え方であります。あなたのお考えと私は少しもかわつておらぬことを御承知を願いたいと思います。
  80. 小平忠

    ○小平(忠)委員 食確法の一部改正に関しまする問題につきまして、これをポ政令によつてすでに十二月七日に公布されました点に関しましては、すでに前委員から大体の質疑がなされましたので、さらに重複してお伺いする煩を避けたいと思いますが、ただ重要な点を一、二点お伺いしてみたいと思います。そのことは先ほど大臣が、ポ政令によつて出したことについては、国会審議権を決して無視しているものではないという説明でありますが、私はこれはまことに了解に苦しむのであります。なぜならば、本件はもちろん第五国会よりも継続され、第六国会においては衆議院の方においては御承知のような経緯をたどつて、強引に通過されたのであります。しかるに参議院におきましては、本件は審議未了に終つております。さらに本件が、特に大臣の声明もありまするように、本年度の米については適用しないという観点から見まするならば、なぜこれを臨時国会から通常国会に会期は継続されて、月下会期中であるにもかかわらず、別段急ぐ筋合いでないにもかかわらず、これをポツダム政令によつて出したという意図は那辺にあるか。これはまさしく国会審議権を無視しているということにほかならない。なお先ほどの大臣お話の中にも、本件はあくまでも昨年十二月二十四日に出された総司令部指令に基いて、政府がこれをあくまでも公正に責任を果しているのであるということと、さらに本件については去る第五国会に本件を継続審査に付する場合の條件として、必ず次期第六臨時国会にこれを通過させるという確約がなされておつたから、その約束を履行したのだということそれ自体が、私は国会審議権を無視するものである。少くとも国会は立法府として、日本国の最高のものである。この国会を無視するもはなはだしいと思うのであります。いかに政府がどのように考えられようとも、国会においてこれを否決された場合においては、これを政府が強引なる手段をとるということは、これは明らかに国会審議権を無視するものであると考えるのであります。その点について大臣は依然として同じ答弁をなされております。特に私のげせない点は、本日の委員会において、この問題の説明があつたその冒頭に、あえてこちらから質疑を申し上げないのに、国会審議権を無視するというようなことは断じてないのだと言われること自体が、すでに大臣がそういう心配があるということを私は察知できるわけであります。そういつた点につきまして、私は一言農林大臣にお伺いいたしたいことは、もちん現在日本は連合軍の占領治下にあるということはいなめない事実であります。しかしながらこの政令の内容が、真に食糧を増産することに逆行する、農民の生産意欲を減退させるというような、切実なる全農民の輿論があつた場合において、私は農林大臣としては最善の努力をなすべきではないか。特に今回の第六臨時国会の結果が審議未了なつたという場合においてこの政令を出すまでに、大臣関係当局に対していかなる折衝をなされたか、最善の努力をなされたか、私はそれを承りたいのであります。
  81. 森幸太郎

    森國務大臣 御質問の要旨は、先ほど来の井上君なり何なりにお答えしたので盡きております。ただ一言お答えいたしたいことは、要求もしないのに審議権を無視するというようなことを大臣みずから言つておることは、気にとがめるからそういうことを言つたのであるというお話でありますが、すでにそれはあなた方の団体から、第七国会継続されているのに、その国会にかけずしてポ政令で行くことは審議権を無視したのだというふうに発表されておりますから、私はそのことについてお答えをいたしたのであります。本来から言えば、十二月二十四日にスキャップに参つたときにもう政令として出してよいのであります。しかしながらわれわれとしては、一応国会の御意見を承り、いわゆる最高機関である国会意見を尊重するために、これを法制化いたしまして、政府提出として出したのであります。それでありますから、今日までの経過をごらんになればよくおわかりのことと存じますが、一応参議院においては一部修正して本案は通つた。その修正されたものが衆議院において通過した。法務府の解釈によれば、もはやこのまま通過して法律化したものである。決定されたものであるという解釈さえある。しかし国会審議権の上から、やはりこれは前国会において参議院において修正して議決したものであるけれども、なお一応参議院にかけるべきものであるという解釈があつて、ここに参議院にも提案いたしたわけでありますが、解釈によりましてはすでに参議院の議決いたしたものを衆議院が可決して、いわゆる両議院はとにかく継続審議において議決したものであるという解釈さえできておるのであります。先ほど申しました通り、十二月二十四日の指令に基いて、ただちにポ政令で出してもよいのである。しかしながら国会審議権を尊重して、これを法制化して、立案して提案いたしたようなわけであります。決して私は国会審議権を無視しているというようなことは考えておらないのであります。なおその他についての御質問は、先ほど皆さんにお答えした通りでありますから重複を避けたいと思います。
  82. 山村新治郎

    ○山村委員長代理 小平君にちよつと申し上げます。大臣は時間はしばらくしかないそうでありますから、要点についてお願いいたします。
  83. 小平忠

    ○小平(忠)委員 その点については先ほども承つておりますから……。大臣の誠意のほどを実は承りたかつたのであります。そのことを率直に農民に伝えることが、結局われわれの責務であるということを考えたからであります。  さらに今回の政令の内容を見ますと、報奨物資、さらに追加割当超過供出価格、あるいは従来まで非常に問題になつております超過供出に対する課税、これらの問題について何ら具体的な裏づけがございません。これに関しましては、従来の超過供出の例と同じ考え方をお持ちになつているのでありますか、それとも別にほかに何らかのお考えをお持ちになつておりますか、その点をもう一点承りたいと思います。
  84. 森幸太郎

    森國務大臣 今御質問の点は、この法律に書くべきものではないのでありまして、政府委員会等の御意見従つて、着々実現に努力いたしておるのであります。
  85. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それに関連いたしまして、着々実現の方向にということでありますが、現在大臣は従来の通りやられるお考えか、あるいはさらに従来の主張の点を考慮して、さらに善処するお考えか、それをはつきり承りたい。
  86. 森幸太郎

    森國務大臣 施策の上につきましては、特に実現いたしますのに予算の措置を伴うものにつきましては、予算の編成の上において極力これを推進いたし、そうして農業再生産に貧したい、かように考えておるわけであります。
  87. 小平忠

    ○小平(忠)委員 次に関連して還元米の問題でありますが、これは先ほど安孫子食糧庁長官から、現在還元米制度というものがなくなつておる段階においては、消費者価格によつて配給するという点はやむを得ない。しかしこれについては実際不合理な点があるから善処したいと考えておる。しかし現段階においてはそれを具体的に発表する段階ではないという実は御回答を願つたわけであります。この問題は、もう昨年来から單作地帶ことに雑穀地帶の農民の非常に強き要望であります。現実問題として、現在生産者価格が基準価格において四千三百五十円、明年から消費者価格において六千七百五十円、その開きというものは実に二千五百円もある。こういつた内容を検討しますときに、公団のマージンとか手数料とか、あるいは人件費とか、まつたく矛盾だらけであります。こういう観点から、非常に至難な点ではあるが、現実問題としては不合理である、善処しなければならぬというように食糧庁長官もおつしやつておるのでありますが、大臣におかれては、本件を今後どうなさるお考えか、この機会にその点をはつきり承つておきたいと思うのであります。
  88. 森幸太郎

    森國務大臣 理想を言えば還元配給ということはせずして供出を完納いたしたいのであります。しかし実際問題として還元米配給しなければならないものもありましよう。また耕作反別の少い農家、しかも家族の多いというようなものには、供出をせしめずして配給をせなければならぬでありましようが、そういうものに対しての価格の差異については、相当今日まで一般から要求があるわけでありますが、これは関係方面とのいろいろな折衝を続けておるわけであります。できるだけ消費者の価格によらずして、適当な価格によりまして、還元する場合においては処置いたしたい。こういうふうに今考究を進めておるわけであります。
  89. 小平忠

    ○小平(忠)委員 その点はひとつ早急に、大臣のただいまのお考えの方向に実現されんことを私は望むものであります。  次に雑穀の価格の問題でありますが、すでに米価は決定されておるにもかかわらず、現在まだ雑穀の価格は決定されておりません。この点については、当初から直接関係の局にタッチしておりまする安孫子長官におかれても、この雑穀価格を早急にきめたい。あるいは今までの矛盾を是正して、これを高くきめたいということを、関係当局とも連日折衝なされております点につきましては、まつたく敬意を表するのでありますが、しかしもう今年もあと余すところわずかであります。そして現実問題といたしましては、すでに雑穀の供出を終つている地方が多いわけであります。こういうような段階において、すみやかにこの価格を決定を願いたいと思うものであります。と同時にこの雑穀価格の決定につきましては——従来の米価についてもまことに再生産を償い得ないような低位にきのられております。そういう点もこの雑穀の面においては十分勘案せられて、決定を願いたいと思うのでありますが、いつごろこの雑穀価格を発表される御予定でありますか。さらにもし現在その経過の内容についてお聞かせ願えるならば、この際お聞かせ願いたいと思うわけであります。
  90. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 雑穀の価格がたいへんに遅れておりまして、はなはだ申訳ございませんが、実は対米価比が少し低くなりまして、それで話しが進んでおつたのであります。雑穀地帶の実情から申しましても、それではとうていいかぬということで話をむし返しまして、やはり昨年と同様の対米価比、言いかえますと九十六じやなかつたかと思いますが、それできめたいということで、もう一度やり直しを始めて、大体ここ数日中には決定して発表する運びになると思います。
  91. 小平忠

    ○小平(忠)委員 最後に一点お伺いいたしたいのでありますが、実は十二月十三日に官報告示をもつて、ばれいしよの販売価格その他かんしよ、かんしよ粉の価格の告示がなされておるわけであります。その内容を見ますと、ばれいしよにおいては生産者の販売価格の統制額、それからさらに販売業者の販売価格の統制額を廃止されるという点、またかんしよも廃止をしてさらに新たな価格の決定をするという告示でありますが、これは大臣におかれても、ばれいしよの問題については、本年は廃止を考えていないという説明がたびたびあつたわけであります。しかるに今回突如としてこのような告示がなされたのでありますが、この内容について大臣のお考えをひとつ率直にこの際承つておきたいと思います。
  92. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 実はお答えがはずれておるかもしれませんが、いも類の供出完了後の自由販売と申しますか、その線に沿つてつてつたのでありまして、それに伴いましてもちろん価格なり配給統制というものがはずれたのであります。そういう線というものは前から申し上げておるのでありまして、まつたく予想外のことじやないと私は思つております。あるいはちよつと聞き漏らしましたので、御答弁がはずれておるかもしれませんけれども、さように考えます。
  93. 小平忠

    ○小平(忠)委員 これは非常に重要な問題です。供出後の自由販売というようなただいまの答弁でありますが、この及ぼす影響というものは、いもの生産者については非常に大きな打撃を受けるわけであります。従いましてさらにこのことが現在政府当局が考えておられるような方向に進んだ場合には——特に北方農業として、ばれいしよのごときは戰時中から強要されて、現段階まで誠心誠意その増産に励んで来たわけであります。この場合に、私は関連しまして次のことを承つておきたいと思います。特に東北、北海道におきまする種ばれいしよのことであります。これらの点につきまして、明年度この統制を廃止するか、あるいは価格の問題についていかなるお考えを持つておられるか、ひとつはつきりこの際御答弁を得たいと思うのであります。
  94. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 いも類の供出完了後の自由販売について打撃を受けるという地方もあります。しかしまたそうでない地帶もあります。これは地帶によつていろいろ違うと存じますが、来年度の問題といたしまして、これはまだ決定をいたしておりませんので、私の一応の構想でありますが、いも類につきましては、やはり一種の割当て的な制度によりまして主食の中に一定数量を入れて行くという方向に考えて参りたいと思つております。しかし食糧確保臨時措置法に基かない、食管法に基く一種の割当て的な措置でやつて行きたいというふうに私は考えておるわけであります。その際に種ばれいしよの移動需給の調整をいかにするか、これは従来は食管特別会計が扱つてつたのでありますが、いろいろこの点については問題もありますし、むしろ協同組合等によつて、自主的に最も欲する地帶に最も欲するものを送るというような方法で行くのが適当じやないかと考えますので、これは協同組合等の自主的な連繋によつて取扱われるのが、最もいいのじやないかと考えておるわけであります。
  95. 横田甚太郎

    ○横田委員 大臣の一番きらわれるポ政令のことをお伺いいたします。ポ政令を公布なさいまして、十二月の八日に大臣は非常に良心的に見えるような談話を発表しておられます。つまりこれに対して質問されて、その質問に対しまして大臣は、われわれから見たら同情にたえないような談話を発表しておられるのであります。大臣は新聞記事に対しては答えられないと言いますから、農林省が発行しております農林弘報だよりを基礎にしてお尋ねいたします。この中において第一問題になつておりますのは、食確法のポ政令による強奪——これはまさに外国におつて農相は国外から日本の農業を見られたような感がするのであります。それは大臣はこういうことを言つております。このポ政令は、どうしても協力してもらわなければならない。協力してもらうのはだれかというと農民だ、国民だ、議会だ、政党だ。これはみんな協力してもらわなければならないのであるが、これがやれないから政令で出したのだ、こう言つておられるのであります。これは談話の中によく現われておるのであります。この場合に日本農民団体がみんないやだということで反対しております。そして政党もこれをいやだといつて反対しております。民自党の諸君といえども、これに対して全幅的な支持をしておらないのであります。ここにおきまして、農民協力をまたなければ実際に実施されないような、協力がなければ米が集まらないようなこういう政令に対して、協力する相手方は反対しておるのに、大臣はこれに対してどういうふうに考えられておるか、今後どうするか、これについてお伺いしたい。
  96. 森幸太郎

    森國務大臣 食糧確保についての政令に対しての御質問でありましたが、それに対して生産者であるところの農民諸君の絶大なる協力を要望いたしておるのは当然であります。いわゆる生産者である農民諸君に、日本食糧はどういう状態に置かれてあるかということをよく認識してもらう。政府がこのポ制令を出さなければならぬという事情をよく認識していただくならば、必ずや協力していただけるだろう、また協力してもらわなければならない、こういうことを私は要望いたしておるのであります。
  97. 横田甚太郎

    ○横田委員 また見解の相違といわれるでありましようが、日本食糧の性質なのです。たしか今までだつたら、外国の食糧までは知らないが、米のないところの日本にアメリカが米を援助してくれておる、ただでくれておる、これで済んでおつたのでありますが、私たちが議会で調べてみますと、アメリカの食糧はただではないのであります。一石で一万七百円から拂つております。このごろ入つて来る臭い臭い南豆米——本来シャム米というかもしれませんが、これは消費者のだれもが喜ばない。九千円から拂つておる。しかも外国では食糧は余つておる。こんなととを言うと大臣は怒られるかもしれませんが、少くとも食糧事情がそういうふうにかわつているときでありますから、日本農民が何か不透明なものを受ける。何で外国から食糧がたくさん入るのに、われわれは米を出さなければならないか、われわれは出さないと言つた覚えはない。やみの米をずいぶん出したんだと言つておる。だからこの点についても、森農林大臣日本食糧事情をどういうふうに認識しておるか、この点を伺いたい。
  98. 森幸太郎

    森國務大臣 認識していただきたいことは、世界の食糧事情が、戰後四箇年たちまして非常に回復して、ことにアメリカのごときは食糧が余つて迷惑をしておる。こういう状態にあるのでありますから、先ほど御意見もありましたが、できるだけ国内の食糧を増産いたして、そうして外国の食糧を輸入しないようにやるということが、日本食糧政策の上からこれは重要な問題あり、たまそうして行かなければならぬと思うのであります。そうであるから、日本食糧をできるだけ確保するといういわゆる九原則にも基き、また昨年の十二月の指令にも基いて、日本のあるたけの食糧を確保するということによつて、外国からの食糧をできるだけ少くするということも考えられるのでありまして、決して外国の食糧の緊迫いたしておるということでなしに、非常に食糧が余つておるというこの事情農民諸君が考えていただきたい。そうして日本食糧をできるだけ増産して、外国から臭い米の来ないように、また高い麦の入らないようにやつていただきたいということを、切に望んでおるわけであります。
  99. 横田甚太郎

    ○横田委員 食糧の増産確保の点ですが、農民でもやはり引合うことをやつているのでありまして、米をつくつて、売つて、これが引合うならたくさんつくると思う。ところが日本の米は、すし米にしても何にしてもおいしい米ですが、それが四千二百五十円が三等米で、外国の臭いのが高いのですから、これでは農民が増産しようとしてもし得ない。われわれ地方に帰りまして、大臣と同じように話すと、何をぬかすか、こんなことで増産に協力ができるかということで、山奧などにおきましては、非常に反撥されるのであります。このように米の値段の開き相当あるような状態においては、増産は不可能であると思う。だから日本農民団体の一番元気のないところでも、五千円以上の米価を要求しているのでありまして、五千円以上の米価をおとりになるつもりか、それとも四千百五十円はそのまま続けるのか、この点はつきり聞かせていただきたいのであります。この点がはつきりされない限りにおいては、米の増産などはもつてのほかであり、増産されないで米が確保されるわけがない。聞くところによりますと、外国の米を売るために日本の米はある程度抑えるのじやないか、それに対して大臣でも不平を持つているのじやないかということを言われております。だからこの点において、米価の安い條件において、農民に増産を奨励するにはどうしたらよいか、そうして日本農民によつて日本食糧を確保するにはどうしたらよいか。この点について伺いたい。
  100. 森幸太郎

    森國務大臣 アメリカから入つて来ます食糧は、御承知通りの姿で二様に入つて来ております。南方の米はバーター制によりまして、日本の輸出力によつて輸入が許されるのであります。今日本が米価をきめましたのは、米を生産するいわゆる農家の購入する物資と農産物との価格を対照してきめたのであります。従つてこれはいろいろりくつもありましようが、パリティー指数によつてこれをきめたわけであります。今後外国から高い米が入つて来るから、あるいは安い米が入つて来るからというが、これは自主的な、いわゆる自由貿易が許された段階において初めて考えられることでありまして、今日では日本内地の農産物価格を標準にして、外国から入つて来る食糧価格がきまつておりますが、南方諸国の米は、日本食糧より非常に高い価格をもつて輸入されているのであります。そこで、できるだけこういう高い米を輸入しないように、日本としてはやつて行かなければ、收支のベランスが立たないのでありますから、そういうふうに努力をいたして行くわけであります。現在きめている米価は、米の生産者が購入する物資と、農産物との価格を対照してきめて行くという方式をとつているわけであります。将来外国の農産物とのさや寄せということも考えられるのでありますが、今この秩序の混乱している輸入食糧の情勢においては、今ただちにこれをきめるということもどうかと思いますが、これは将来の問題でありまして、この農産物価格がただちに賃金に関係し、また賃金に関係すれば諸物価に関係する。いわゆる悪性インフレーションの形がまた出て来ることになりますから、この点については、あらゆる面から検討を加えて行かなければならぬと考えているわけであります。
  101. 横田甚太郎

    ○横田委員 農相談話は十七項目からなつておりますが、その十項目が非常におもしろいのであります。第二次吉田内閣の成立がたまたまこのスキヤピン発令と時を同じくしたことは現内閣の災難であつた、いわばこのしりぬぐいの責任を持つたのであつた、こう言われております。これは戰後に政権を握つた者の責任じやないか。そこで、これについて大臣に伺いたいのでありますが、こういう考えを持つておられる大臣は、先ほども申しました通り、アメリカの米を高く買つている、しかもアメリカの米を高く買つておりながら、日本の米をどうしても四千二百五十円に抑えなければならないということを弘報をもつて日本農民に知らせてもらうことはできないでしようか。これこそ今の條件下においては日本の米を増産し、食糧を確保することになると思う。アメリカから来た情報によつて、ウェブスター氏の来訪と勧告によつて、弘報事業というものがありますが、その第一点として、「日本農民に最新の技術知識を最も有益なる形で周知させること」、二番目に、「日本農民に国家の農業実践計画の理由及びその必要なる所以を周知させること」、三番目に、「日本の一般大衆に農業上の諾問題と諸計画を知らせること」、こういうことが書いてあります。だから日本の米がおいしい米でありながら、日本人に通した米でありながら、どうしてこれが安くたたかれるのか、そういう経過を弘報なんかで逐一知らせてもらえるわけに行くのかどうか、この点お答え願いたいと思います。
  102. 山村新治郎

    ○山村委員長代理 横田君、ただいま御質問のうちにあるいは行過ぎた、不適当な言葉がもし速記録に載つておりましたら、ひとつお取消しいただきたいと思います。
  103. 横田甚太郎

    ○横田委員 私一人の災難であつたらかまいませんが、委員会全体としてであつたら、委員長においてよろしくお願いいたします。
  104. 山村新治郎

    ○山村委員長代理 しかるべく手配をいたします。
  105. 森幸太郎

    森國務大臣 弘報によつて知らし得ることは、農林省としてあらゆる政策農民諸君に伝えておるわけであります。米の価格につきましても、農民諸君として、なぜ外国の米が高いのに日本の米が安くされているか、こういうように一応お考えになつていることと存じますが、今日ガリオア物資でもらつている米に対しましては、これがただになるか、将来金を拂うかどうかわかりませんが、ただ日本の農産物の価格に基準を置いて、一応そういう価格で買い入れたという形式をとつておるのであります。それが見返り資金として積立てておるわけでありますが、今後南方からの米は相当高いのでありますから、できるだけこういう食糧日本に入らないように、日本としては自給度を高めまして、日本の生産力によつてこういう米を輸入しないということにしなければならぬと思うのであります、外国から入つて来る米が高いから、日本の米を高うすべきではないか。それは今申しましたように、米ばかり高うした、それによつて賃金が上つて、すべての物価が上つた、そうすると米をまた上げなければならぬ。いわゆる昔の悪性インフレーションを繰返すことになるのでありますから、これは賃金と諸物価とにらみ合せて価格をきめなければならぬと思うのでありますが、できるだけ外国の食糧を輸入しないという建前でわれわれは増産をして行かなければならぬ、かように考えておるわけであります。
  106. 横田甚太郎

    ○横田委員 その点に関してもう一点お尋ねいたします。たとえて申しますと、日本に百の食糧がいるとします。そのうち六十がございまして、四十の食糧を買う場合において、日本食糧に対してはこれだけの金を拂うというわくが一つありましたならば、外国の食糧に一に対する一でなしに、一に対する四の割でたくさんの金を拂つてしまつたらば、外国の高いものを買うて、日本の食料を安く買わなければならぬようになつて来るのではないか、その点をお答え願いたいと思います。
  107. 森幸太郎

    森國務大臣 そういうわけとも言えないのでありますが、日本食糧の需給推算はすでに内容は御承知通りであります。しかし日本食糧を六千五百万石と考えた。ところが千三百万石も減收になるということがありましたならば、非常に不安定である。一日もこの食糧問題についてはおろそかにできないのであります。ことに天災地変のある日本といたしましては、どういうことが内地で起るかもしれないし、またどういうことが国際的に起るかもしれないのでありますから、食糧というものは万一の場合に相当の準備をしなければならないことは当然であります。しかしながら今日本は外国から食糧を仰ぎながら、そういうぜいたくは許されないのであります。しかし日本としましては、できるだけこの生産力を高めまして、万一の場合にも処するところの準備は考えておかなければなぬと思うのでありますが、今これはあまり多く申し上げることはできないのであります。食料問題につきましては、相当複雑した考えを持つて、将来に処して行かなければならぬと思うのであります。ただ外国から入つて来たその高いものを日本食糧にカバーしてやつて行くというような、さような簡單な気持でなしに、食糧問題を考えて行かなければならぬ、かように考えておるわけであります。
  108. 村上清治

    ○村上委員長代理 横田君、まだ長いですか。
  109. 横田甚太郎

    ○横田委員 もし大臣がお急ぎだつたら、今度大臣が見えられるときでいいのです。それはなぜかと申しますと、大臣の談話のうちにはこういうことが出ているのであります。これは簡單に申しますと、今回の措置が違憲であるということについては、ポツダム政令というもの、ポツダム宣言受諾に伴つて発する政令に関する件、昭和二十年勅令第五四二号に基くもので、内閣として法律上授権されていることである。当然憲法上の問題とはならない。今回の政令発布が妥当であるかいなかの問題については、国会軽視ということが考えられるが、しかしそれもいろいろな要素が組み合されているので、総合的には一概に言えぬことかもしれない。ともかく政府の一存でポ政令の措置に出ねばならぬやむにやまれぬ強い理由があれば、政府として当然の措置と言えるが、その辺の事情説明を合理的に説明できれば、たとい理想的なことでないにしても是認し得るわけであるが、これについては一応国会審議にかかつていたものを、しかも未了になつたものだけに、政治的には不愉快の感じを受けるということは一応のみ込めると言つておられるのであります。だから、この点について私がお聞きいたしたいのは、大臣自身がすでに不愉快だと言つておられる。政治的に理解でき得ないと言つておるならば、これは国会ではつきりとみなが承認するような形においてきめなければならないと思うのであります。だから、適当な機会に大臣は時間を割いて、ポ政令で措置になつたことについて、われわれ與党と野党との開きがないようになるまで、これが納得できるような機会を選んで、御説明くださるような時間をくだされば、大臣はきようお帰りになつてもけつこうであります。新聞記者や一般的には、これだけ親切に言つているにかかわらず、大臣は国権の最高機関は国会であると言いながら、その国会においての説明はきようちよつとやられただけであります。だから、この点だけをお伺いします。
  110. 森幸太郎

    森國務大臣 それはどこに載つているのでありますか。農林大臣談ではないと考えるのであります。それは金森博士の何かの問答じやないかと思いますが、私はこの問題については、指令が出た以上政府としてこれは当然やらなければならぬ問題である。あの当時官房長官も説明しておりましたが、ただ立法、行政、司法この三つの部門も、またいわゆる国民全体がこの指令には従つて行かなければならぬ責任があるのだ。それであるから、その中には立法府も行政府も司法府も含まれている、こういう意味から見ても、国会はこの指令に対して慎重に考えてもらわなければならぬということを官房長官も説明しておりました。そういう広義の解釈もできるわけであります。でありますから、決して国会を無視して、私がこれをポ政令によつたというようなことでなしに、この政令が出た以上は、この政令を撤回させるか、修正できるかというのでなければ、われわれとしてこれに反対な行動をとることはでき得ないのでありますから、この点はよく御承知願いたいと思います。
  111. 横田甚太郎

    ○横田委員 その点大臣は知らないと言われますが、これは知る知らないの問題ではないのでありまして、現に日本の国は妙なところでございまして、米の値段をきめるのには、農林大臣が一番大事であると思いますが、大蔵大臣なんかが出て参りましておかしなことをやつて大臣が怒られたとか怒られないとかいうことが新聞にも出ておつたような状態でありますから、この点について、大臣が知らない間にこん政令が出たかもしれませんが、これは大臣が所管しておられますところの農林省で出しておる弘報だよりの、号数を申しますと、二十四年十二月十四日の、大臣の談話といたしましては、十二月八日午後一時に発表なさいました十七項目のこの談話に対するさらに質問に対してお答えなつた言葉になつているのであります。
  112. 河野謙三

    ○河野(謙)委員 この機会に各党の委員諸君の御了解を得まして、補正予算の施行に伴う農林資材、主要食糧価格の値上げにつきまして、現在政府がとらんとしている措置がきわめて不親切、不当でありますので、当委員会の名において政府に措置の善処方を申入れしたい、かように考えまして、ここに要望書を提出するものであります。まず申入れについての案文を読みます。    主要食糧、肥料、飼料等の価格引上げ措置に関する申入れ  昭和二十四年度補正予算施行に伴い、明年一月以降主要食糧、肥料飼料等の価格を引上げることとなつたが、その輸送、配給等操作上の不備に乗じ、公団、卸、小売業者等が不当の利得を納め、農民或は最終消費者に著しく不公平な結果を生ずる恐れがある。依つて政府は此等物資の配給規則を改正し、限月契約をなす等の方法により、国民負担の不均衡不公正を来たさざるよう速かに適切なる措置を講ずべきことを要望する。   昭和二十四年十二月十九日          衆議院農林委員会  農林大臣  安本長官  大蔵大臣  殿以上の申入れを本委員会の名において要望いたします。  なおこの機会に、これにつきまして少しく実情を御説明申し上げますが、今政府のとらんとしておる一月一日切りかえの措置につきましては、すでに切りかえ前におきまして、非常に末端におきましては問題が起つております。一つの例を申すならば、非常に農村の金融が逼迫しておるにもかかわらず、早くとらなければ、来年の一月からえさも肥料も上がるからとれということで、引取りを強要しておる事実もあります。また逆に、もつと悪質なものは、末端の配給業者の手元までえさなり肥料が届いておるにもかかわらず、一月一日の値上げを目当にこれをあつためまして、消費者に渡さない、そしてこの機会に乗じて不当な利益を得んとする者もあります。かようなことで現に全国各地の農村におきましては、非常な問題が起りつつあります。政府におきましては、これらの事情をもし御存じならば、現在までにとうにこの切りかえについての措置を善処されておるはずでありますけれども、私が承知しておる範囲におきましては、いまだに政府はこの切りかえについての善処をしておりません。従いまして、私は特にこの機会に政府に以上申し上げた申入れを、当委員会の名において強く御要望願いたい、かように思います。
  113. 山村新治郎

    ○山村委員長代理 お諮りいたします。ただいま河野委員から政府に対するところの申入れの動議が出ましたが、この申入れをいたすことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 山村新治郎

    ○山村委員長代理 異議なしと認めます。ではただいまの申入れは委員長からしかるべくとりはからいますから、さよう御了承願います。
  115. 横田甚太郎

    ○横田委員 簡單にまとめて言つておきます。第一、談話の中の十一、その中に複雑微妙という言葉が出ておりますが、この複雑微妙ということを聞かせていただきたいということ。それから十二項目の中に「きわめて好意ある措置を付與される」とあつて、このポ政令が出なかつたならば、こうはならなかつたのだろうということを言つておりますが、そのきわめて好意ある措置ということ。それから、十五、十六は一番重要な項目ですが、ここには公約として、それが果せなかつたからこつちがやつた国会でやるのがあたりまえであるけれども、やらなかつたから、こちらがやつたので、それでポ政令を出した、この適当な処置があつたればこそ、あなたが知事の代表者とお会いになつて今年は追加供出を強制的にとることを法制化しないということを約束し、それが実行できた。この適当な処置がとれたからうまく行つたので、それがなかつたらうまく行かなかつたろう、こういうように書かれているのですが、それが第二の点であります。次の点は十七項目に出ているのです。十七項目には「かくして今後現内閣の本格的な食糧政策の展開もいよいよ活溌に種々具体化されるべき明朗なその素地を與えられることになつたのであると思う」と言つておるのでありますが、いわゆる現内閣の食糧政策の活溌なる展開とは、一体どんなものであるか。民自党は多くの古い農政学者を集めてやつておられるから、さだめしいい食糧政策が立つたと思いますから、いつかの機会にゆつくりとこれを聞かしていただきたい。それから、これは別な話ですが、本年度の実收高調査はもうできたのですか、できないのですか。これがもしお答え願えるならまことにけつこうです。これは大臣でなくてもいいです。それから、本年度超過供出の目標があるのかないのか、もしあるならば、これは一体どれくらいの目標か、お答え願いたい。それから二番目は、食確法によると作柄良好なるときということが書いてありますが、今年は良好と認められるか認められないか、良好が当てはまるか当てはまらないかということであります。三番目に、本年度の追加供出はとつてもいいとらいでもいいと言われるが、どちらに解釈したものか、これをはつきりしてほしい。次は二十五年度食糧輸入計画が立てられておりますかどうか。もし立てられているなら、どこから何ぼ雑穀が入つて、どこから臭い米が何ぼぐらい入るか、この金額並びに数量をお答え願いたいのであります。この輸入食糧の当初計画が四百六億であつたのが、第六国会において百十二億追加されて五百十八億になつております。これをどういうように割当てられたかということを、先の質問と合せてお答え願いたいと思います。それから六番目に、新米価が十一月十五日に閣議で決定せるにもかかわらず、私たちが官報を見ておりましても、新米価なるものが、農民の不平の声にはずかしがつてか、官報に出ておらないのでありますが、これはどういうわけでお出しにならないかということを聞きたい。それから補正割当を各府県別においてやられましたが、その実情は一体どうなつておるかということを伺いたいのであります。次に、覚書として、いわゆる各知事あて知事からさらに地方事務所の所長あてに出しておられます。それには、真にやむを得ない事由があつて供出責任を果し得ない農家に対しては、適当な方法によつて十分なる実価調査の上、その供出割当量の完遂を強制しないようになつている、こう言つておられるのでありますが、これをやられた場合におきましては、米の供出割当量を負けるのは個人に負けるのか村に負けるのか。安孫子さんは個人に負けると行われでしようが、私たちが知つておりますところの日本の農村におきましては、個人に割つけるはずはない、みな村に割つけるのですが、その真にやむを得ない事由のあるときということはどういうことが、これをはつきりしていただきたい。次に五等米の制度が出ておりますが、この五等米の規格は一体どんなものか。それから、今年の米の検査は非常に嚴重で不合格が余計出る、これは農民がいい米を出さないで悪い米を出すからであるか、それとも品質が悪くなつてペケが多くなつておるのか、あるいは検査が嚴重でペケを特にこしらえるのか。もし品質が悪くなつてペケが多いのであるならば、これは作柄が悪いのですから、その点をお含みの上で、今度の委員会においては大臣から詳細なるお答えを願いたいのであります。
  116. 森幸太郎

    森國務大臣 よけい言われたので、あとでまたゆつくりお答えいたしましようが、五等米をきめましたことは、ことしは非常に米か細くできて、俗に青と言いいますか、非常にそれがまじつておる。従来の検査はどうかと言うと、ルーズな検査が行われております。各府県の農業組合時代とは非常にルーズな検査を行つて、消費者は非常に迷惑をするのみならず、政府といたしましても、公団経営の上におきまして、非常に目欠けができて困つてつたのでありますが、これを当然な姿に返したのであります。しかし五等米をこしらえるにつきましては、今年の作況からやむを得ない、かように考えて五等米をつくつたわけであります。また五等米の規格のこまかいことについては、事務当局からお答えをいたすと存じます。  なおいろいろお話になりましたが、政府としましては、この指令に基いて当然なすべきことをしたのであります。また司令部といたしましても、政府指令いたして、その指令が完全に行われる行われぬということは、これは重大な関心を持つことは当然であります。従つてこの指令に基いて政府が第五、第六、二つの国会を通じて、約束通り、この指令を発したということは、占領軍といたしまして、日本に対して非常に好意を持つておることであると私は思うの参であります。その当時、つまりあの発令をいたしましたときにおいてもその気持は受取られたのでありますが、しかし本年の作況の事情から申しまして、従来の割当関係から、知事等にも政府としては責任のある答弁をいたしておるのであります。それでことしの実況を見て考慮をしてもらうという考え方から、ことしの超過供出に対しては、特例を設けることの承認を得たのであります。なお超過供出に対しましては、司令部といたしましては、まだ実收高がきまつておりませんが、実收高六千九百二十万石を予想いたしておるのであります。六千九百二十万石を予想いたしまして、超過供出は二百万石程度であるということを、はつきり向うは示しておるのであります。しかし私といたしましては、六千九百二十万石という予想は、私の方の作報事務所で調査いたしましても、六千五百余万石、さらにそれが一割も下まわるというような中間報告もある。この実收高調査をした上において、はたしてこの予想を裏切つて、少くなるか、あるいは多くなるかわからぬのでありますから、この実收高がきまつた上において、超過供出の量も十分私は先方と折衝を重ねたい、かように考えておるわけでありますが、司令部としましては、六千九百二十万石というこの予想は現在も持つておるのであります。この見地から、今年の超過供出は二百万石を予想いたしておるということを御承知を願いたいと思います。この点は六千九百二十万石を基礎として二百万石の超過供出がなし得るものということは、向うの考え方であり、これは知事会議にも示しておるわけであります。  なおいろいろお話になりましたが、速記録によつてお答えいたしたいと思います。
  117. 山村新治郎

    ○山村委員長代理 本日はこの程度にとどめまして、次会は明後二十一日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十一分散会