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1950-04-07 第7回国会 衆議院 内閣委員会通商産業委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月七日(金曜日)     午後一時三十六分開議  出席委員   内閣委員会    委員長 鈴木 明良君    理事 江花  靜君 理事 小川原政信君    理事 鈴木 義男君 理事 木村  榮君       井上 知治君    佐藤 榮作君       田中 萬逸君    根本龍太郎君       松岡 駒吉君   通商産業委員会    理事 小金 義照君 理事 今澄  勇君    理事 風早八十二君       阿左美廣治君    岩川 與助君       江田斗米吉君    關内 正一君       高木吉之助君    多武良哲三君       中村 幸八君    福田  一君       伊藤 憲一君    田代 文久君  出席政府委員         通商産業政務次         官       宮幡  靖君         通商産業事務官         (大臣官房長) 永山 時雄君  委員外出席者         内閣委員会專門         員       龜卦川 浩君         内閣委員会專門         員       小關 紹夫君         通商産業委員会         專門員     大石 主計君     ————————————— 本日の会議に付した事件  通商産業省設置法等の一部を改正する法律案(  内閣提出第一三四号)     —————————————
  2. 鈴木明良

    鈴木委員長 これより内閣委員会通商産業委員会連合審査会を開きます。  内閣委員長である私が委員長の職務を行います。本日の議題は通商産業省設置法等の一部を改正する法律案であります。まず政府より提案理由説明を求め、次に質疑に入りたいと思います。政府より提案理由説明を求めます。宮幡政府委員。     —————————————       —————————————
  3. 宮幡靖

    宮幡政府委員 通商産業省設置法等の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  政府経済情勢の推移に伴いまして、通商産業省組織整備をはかるべく、先般来通商産業省設置法工業技術庁設置法及び中小企業庁設置法につき鋭意検討を加えて来たのでありますが、今回ようやくその結論を見出すに至りましたので、ここに通商産業省設置法等の一部を改正する法律案として国会に提出し、十分な御審議を仰がんとする次第であります。  すでに御承知通り政府は昨年五月二十五日通商振興飛躍的発展意図しまして貿易生産一体的運営をはかるべく、従来の商工省貿易庁を解体し、新たに通商産業省設置し、爾来この重大な使命の遂行に邁進して参りましたが、最近に至りまして、米国日援助物資輸入実務遂行のための新行政機構設置要請産業合理化施策推進に伴う組織整備石炭需給統制の緩和及び行政簡素化理由に基く組織の再編成等諸般要請により、通商産業省組織等所要改正を加える必要があると存ずる次第であります。  以下その概要につき申し述べますならば、本法案は第一條に通商産業省設置法改正につき規定し、第二條に工業技術庁設置法、第三條に中小企業庁設置法改正をそれぞれ規定しております。  第一に通商産業省設置法改正につつて申述べますと、本省内部部局関係では、従来貿易公団行つておりました輸入事業のうち、米国日援助物資に関しては、行政機関で処理すべき要請がなされておりますため、臨時通商業務局を新設し、同局において対日援助物資輸入事業実施させることといたした次第であります。  次に企業合理化問題は、現在の経済事情において最大の緊要事でありますので、特に任務に掲げて、その強力な推進をはかることは明らかにするとともに、主としてこの事務に当らしめるため、通商企業局に次長を設けることにいたしました。同時に行政簡素化の趣旨によりまして、通商企業局内調達賠償部廃止するとともに、資源庁関係にあつては、石炭管理局石炭生産局の二局を統合する等、所要整理改廃を実行いたした次第であります。  次に、工業技術庁設置法改正について申述べますと、従来工業技術庁人事会計等、庶務に関する事務調整部で所掌して参りましたが、人事院規則実施並びに財政法及び会計法改正に伴いまして、これらの人事会計行政事務は大幅に増加し、加えて来年度においては相当数増員が予定されております関係から、新たに長官官房を新設いたしまして、人事会計行政を専管させることとした次第であります。  第三に、中小企業庁設置法改正につきましては、中小企業行政強力化をはかるため、中小企業の育成及び発展をはかるべき基本方策の設定、商工組合中央金庫に対する監督等につき、その権限を明確にするとともに、私的独占禁止法または事業者団体法の適用について、公正取引委員会との関係整備することにいたしました。  その他、昨年十一月一日分室の廃止により、これにかわつて都道府県に設けられた商工資材事務所職員の身分を、本年四月一日から都道府県の吏員に切りかえることとなつておりますため、これに対する恩給継続措置を講ずること、及び通商産業省機構の変更に伴い、国家行政組織法改正を必要といたしますので、いずれも附則にこの改正規定を掲げた次第であります。  以上本法案提案理由及びその概要を申し上げた次第でありますが、政府といたしましては、この法案は去る四月一日から実施いたしたい心組でありまして、その態勢をとつておりましたのでありますが、すでにその時期も経過いたしております。従いまして、早急に御審議を願いまして、御可決を頂載いたしました上、それぞれの実施をいたしたいと存ずる次第でありまするから、何とぞ御審議の上御賛成をいただきたいことを、特にお願い申し上げます。
  4. 鈴木明良

    鈴木委員長 これにて政府提案理由説明は終了いたしました。  これより質疑に入りますが、質疑の通告がありますから、これを許します。今澄勇君。
  5. 今澄勇

    今澄委員 通商産業省設置法等の一部を改正するこの法律案は、この前に通商産業省設置法として、元の商工省をこれにかえたのでありますが、その際われわれは、各種の不備と、それからいろいろな点について指摘いたしました。それが、今日急速にあれこれ直さなければならないという状態なつたということについては、当時のわれわれの意見がいれられなかつたのが、その根本原因であると思うのであります。そこで私は、本日は大きな問題について質問したいのでありますが、時間がございませんから、一応宮幡次官に御答弁をお願いいたします。  大体この通商産業省設置の場合に、わが国の最も重大な産業行政をつかさどる商工省を、通産省名前をかえるということは、一つ占領下である一時的な現象にとらわれたものである。国家百年の計の上に立つ大きな建前からするならば、間違つておるということを主張したのでありまするが、今日再び審議会等において、商工省に復元すべしというような意見が非常に大きく出ておりまして、これらの現下の情勢と、この通産省設置法とをにらみ合せて、通商産業省責任者としてはどのようなお考えでおられるか、御答弁を願いたいと思います。
  6. 宮幡靖

    宮幡政府委員 今澄委員の御意見は、一つ見解として、ごもつともな点もあると存じます。しかしながら、現在通商産業省におきまして、通商関係生産事業事務とを一緒にやつておりまするが、その間におきまして、不都合であるような事実をただいま感じておりません。むしろ輸出の振興は、基礎産業を初めといたしまして、中小企業に至るまで、各種産業振興がその基盤であります以上、この行政一つの所管に納めてこそ——あるいは一時的には跛行的な状態も、また不都合もあろうと存じますが、大局的に見ますならば、最終はこの線でなければならないと考えております。もつとも統制経済が完全に撤廃されまして、あらゆる面において自由企業制度が確立せられました場合においては、再度考慮の必要もあろうと思いますが、いまだ国の経済米国援助資金につながる経済事情にありましては、一応現在の態勢が現段階においてはよろしいものだ、かように考えておる次第であります。
  7. 今澄勇

    今澄委員 重ねて御質問いたしますが、それでは最近の審議会答申に出た商工省という案については、政府においては、そのような答申に基いて通商産業省を再び元の商工省へ返すというようなことは絶対ないということを確言されますかどうか。
  8. 宮幡靖

    宮幡政府委員 政府としての意見は、御承知通り閣議決定をまたなければ表明できませんので、答申案に対しまして、いずれ閣議に付議せられることがあろうと存じます。その結果を待ちたいと存じますが、少くとも当面の通商産業省といたしましては、これを解体し、貿易商工というような、二分割をするというような方向につきましては、残念ながら賛成の意を表することができない次第であります。
  9. 今澄勇

    今澄委員 そこで通商産業省設置以来今日までの実績を見ると、このうちいろいろの部門がありますが、中小企業部門においても、当初の中小企業庁設置のときから見て、当初は発券事務あるいは金融その他の部面においても、非常な大幅の権限を持たせるというような情勢でございましたが、今日だんだんと中小企業庁についても、将来そのあり方を云々されるような状態になつております。それから通商方面も、御承知のように非常にうまく行かない。それらの原因は、吉田総理大臣が、いわゆる通商産業省の名のもとに、今講和條約ができなくて非常に失業しておる外務官僚、それらの者を商工行政をつかさどる通商産業省相当数入れたので、そういつた経験のない人々による日本産業行政運営というような問題もからみ合つて、これらがどうも進展しないというようにわれわれは考えておるが、そのような、いわゆる外務省、あるいは大蔵省とか、各省の間において、通商産業省という名前使つて通商第一ということにしたために非常にわが国産業を阻害した点があるとわれわれは考えておるが、宮幡氏はそれらの点についてどのようなお考えでありますか。
  10. 宮幡靖

    宮幡政府委員 再建途上にあります日本産業経済を全面的にながめまして、それを部分的に指摘いたしますると、あるいは御指摘のような御議論の点もあるであろう、またわれわれもその現実を否定するものではありません。しかしこれは、およそ経済の変転し、推移して行く時代におきましては、やむを得なき過渡的の現象であろうと思つております。中小企業庁につきましては、お説の通り、なるべく大がかりに中小企業対策をやつて行くのだということでできましたが、何分にも、人員におきまして、わずかに九十四人の定員しか持つておりません。しかもその長官は、民間学識経験者を抜擢いたしまして、大いに民主的な運営をはかりたい意図でありまして、その通り人員も構成いたしたわけでございまするが、事若干志と相違いたしまして、なかなか中小企業対策において不満の点が各方面から御指摘を受けたような次第であります。実に中小企業庁が別格な官庁として、その長官国会に対して直接意見を申し述べる広汎な権限を持つている役所といたしましては、遺憾なことであります。しかしながら、その後昨年八月をもちまして、中小企業庁発足以来一周年を迎えるにあたり、特に前長官蜷川氏におきましても、中小企業に対する一つ体験を得た、その体験基礎といたしまして、あらゆる施策を講ずる努力を惜しまない旨を声明せられまして、その線に沿つていろいろ御対策をいただきまして、中には相当の実效を攻めたものもありました。たまたまその後中小企業が、インフレ終息に伴います経済の変動の波に押されまして、幾多の困難な事情に陥つておるわけでありまして、今回蜷川長官の勇退を契機といたしまして、中小企業行政に豊富な経験を持つておりますところの、小笠君を長官に起用いたしましたが、二十五年度予算におきましては、九十七人の定員増加を得まして、地方にわたりましても今この困窮の状態にあえいでおります中小企業を一層基本の線に沿つて振興させるための努力を拂つておる次第であります。また通商方面外務省のかつて外交官を抜き取りましたことによつて、御指摘吉田総理大臣意図であるというお考えにつきましては、私は釈明もまたそれをそうであるとも肯定いたしませんが、いずれにいたしましても、通商官等外務畑の人、通商局長外務畑の人であることは、はつきりしたことであります。しかしながらこの方々は、私が私的に申し上げることは恐縮と存ずるわけでありますが、いずれもりつぱな紳士でありまして、日本のこれからの通商行政振興させる基本的な基盤をつくつて参ります役割を十分果せる力をお持ちになつております。しかしながら通商産業省の出発の当初におきましては、とかく考え方の相違等があり、御指摘のような摩擬もないわけではなかつたのでありまするが、今日までほとんど一年の日子を経過する聞に、完全にそれらの状態をマスターいたしまして、現状においてはさような混乱や弊害等は一切ないものと信じております。むしろ通商産業省といたしましては、大臣等も兼任でありますが、まつたく一体となりまして、この困難な時代を切り抜けるべく一意邁進しておる姿であることを、むしろおほめをいただきたいくらいに感じておる次第であります。
  11. 今澄勇

    今澄委員 中小企業庁の問題、その他について宮幡次官から御答弁がありましたが、それらの御答弁はただ単なる自画自讃でございまして、今日中小企業庁機構商工省名前をかえなければいけないというような声が、巷にほうはいとして、あらゆる民間団体を入れた、審議会なり、その他の輿論の上に出ていることを、ひとつとくと御反省を願いたいと思います。大体私はこの通商産業省設置法審議するときに、少くとも一国の商工行政というものは重要なもので、少くともその国の経済が非常に力が弱くて、社会主義的な計画的な姿をもつてこれを推進して行くという必然的な運命にある国においては、いわゆる産業経済をつかさどる商工省の力に、実に国民は期待を持つておるものである。しかるに政府自由主義経済の名のもとに、これら重要な産業経済をつかさどる商工省を、いわゆる外務官僚を入れるため通商名前を冠し、しかも大蔵省畑の、ネツクはほとんど金融というような姿に今日の事態を招いて、しかも大蔵省のいわゆる金融がつかなければ、今の通商産業省がやるあらゆる産業経済施策は、裏づけがないというに至つては、大蔵省出店のごとき観を呈するというような、外国関係仕事外務官僚の力により、それを裏づけ生産関係金融大蔵省裏づけによつて、しかも大臣は一政党の都合でこれを兼務しておる。大蔵大臣通商産業大臣を兼務して、今日通商産業省設置法の一部改正法律案を提出するに当つても、大臣は姿も見せないという状態であるということは、いかにこの内閣が、これらの産業経済に対する行政について不熱心であるかを雄弁に物語るものであつて今宮幡次官の御答弁とはほど遠い。かように考えておりますが、これは機会を改めて質問することにいたしましよう。  そこで中小企業庁でございますが、中小企業の一番大きな問題である資料統計等についての材料が非常に少い。そこで根本的にはこの中小企業庁は、今通産商産業省外局になつておりますが、これを総理府に移して、特別の大きなものにするという意見もあり、あるいは将来これを通商産業省内の各局に分課として併置して、縮小するというような意見民間にうわさされておりますが、将来の中小企業庁運営あり方について宮幡氏の御見解を承りたい。  それから統計等資料が非常に不十分であるので、中小企業に関する統計を、りつぱなものをつくる意味において、内閣統計局その他と連絡をとつて、今中小企業庁から、いろいろ統計に関するパンフレツトが出ておりますが、中小企業庁の中に、中小企業に関する別な統計資料を、正確なものを出し得る何か御構想はないかどうか。  それから中小企業庁が九十何名か増員されたという話を聞きますが、中小企業庁は大きくなつても、地方において非常に人員を整理しておるという事実をわれわれは耳にするのでありますが、地方におけるいわゆる中小企業庁仕事をしておる出店、これらのものを拡充して、それらの中小企業者のいろいろの問題を、臨床的にやるというような御配慮があるかどうか、以上の点についてひとつお答えを願いたいと思います。
  12. 宮幡靖

    宮幡政府委員 中小企業庁内閣外局のようなものに持つて行つて、もつと機構を拡大してやつたらどうかという御意見については、もしそういう意見が各方面にあるといたしましたならば、それを伺いまして、大いに研究してみたいと考えております。  それから九十七人の増員につきましては、これは地方に配分いたしますが大体六十四人となつております。これは地方通産局に、中小企業についての専門の係を置きまして、一々現状に密着いたしますところの行政をやりたいという念願から、ようやくにして行政整理をいたしまするうちに特に認められました増員であります。  それからなお中小企業行政が滲透して参ります施策の一環といたしまして、将来中央金庫の支所配分等を十分考慮いたし、かつ産業経済のある意味におきまする日本中心地でありまする大阪の支所には、商工中金の理事を今回配置いたしまして、一々本庫の理事に相談しなければできないというようなことでなく、適切な措置のできますよう理事等も配置いたすという手配をいたしております。  それからなお中小企業の問題に対しまする統計でありますが、これは私の方に調査統計部というのを持つておりまして、統計に専念いたします優秀な職員を相当持つております。しかしながら現在の機構をもちまして、御指摘のようなものをあらゆる面にわたつて収録いたしまして、統計的価値を賦與することには、まだ遺憾の点がございます。中小企業といたしましては、昨年のいわゆる工場診断という名のもとにおきまして、全国六千七十二と思いましたが、その企業に対しまする基本的な調査をいたし、それを基礎といたしまして、いろいろな運営をはかつておる半面、本年度におきましては、調査統計部はおもに商業統計を担当いたすことになつておりまして、本年度は、国勢調査と申しますようなものもありますので、この面に触れない商業調査を全ういたしまして、一つ統計を完成いたしたい、こういう状況であります。この点は御指摘通り私自身が考えましても、決して完全なものではない。これをもつとよりよき統計資料集むる機構にまでいたしたいと思つております。幸いにいたしまして、現在は人員においては多くないのでありますが、担当いたします方々の能力が相当ありますから、これを十分指導いたして参りますれば、近い時期におきまして、よい中小企業統計ができ上るであろうということを期待いたしておる次第でございます。
  13. 今澄勇

    今澄委員 同僚議員の質問もありますから簡單にしておきますが、最後にこの中小企業庁の重大な仕事の中には、信用協同組合なり、あるいは企業業組合等の全国的な結成並びにこれが指導その他中小企業等協同組合に盛られたいろいろな意味の、帳簿その他のあつせんなり、めんどうを見なければならぬ仕事か多々あるのであります。現在の中小企業庁のこの組織では、これらの問題について現実にはどうにもならぬという姿にあるが、これをいかにして打開するか、またこれらの機構をもつと大きくするという意思があつても、これが結局通らなかつたのか、それとも宮幡氏はこの程度の中小企業庁改正案でいいというふうに思つておられるのか。その点をひとつお聞きいたしたい。  それからもう一つは、少くともこれらの信用協同組合なり企業組合なり、あるいはその他のものを中小企業者基準法として中小企業庁が立案し、これを法律として出した以上は、これらの者のめんどうを見なければならぬが、今日の信用協同組合許可一つにしても、もはや法律において大蔵省認可ということにはなつておるが、非常に機構的に中小企業庁が動くのにままならぬ点が多々ある。これらの点を十分改正して、中小企業庁でこれが認可を與えたならば、すなわち大蔵省はこれに同意をしなければならぬというふうなものに改正するか、あるいは中小企業庁が認定した工場診断合格工場については、金融がそのまま行けるような措置を講ずる必要がないのかどうか。それらの点について、通商産業省としての行政機構措置に対して何か御意見はないかという点についてお尋ねいたします。
  14. 宮幡靖

    宮幡政府委員 中小企業対策の時期的に遅れております問題をいろいろ御批判を受けておりますが、当面やつております面から見ますと、さようにも考えられないこともたくさんあります。しかしながらこれは現実の問題として大体言い訳になるようなことを申し上げてもいたし方がありますんので、御指摘の点を具体的にお答えいたしますと、この中小企業等協同組合に対しましては、指導の徹底をはかります。もちろんこれは下から盛り上る組合組織でありますので、こちらから命令したりすることはできないわけで、でき上つたものに対しまして、あるいは御相談がありましたものに適当な御指導を申し上げるというのが法の建前であります。しかしながらどうもその間御指摘のように、大蔵省との関連もよくなければ、各方面との連絡がまことにスムースでない、こういうことでありますので、案といたしましては協同組合課というようなものを一分課設けまして、これに専任の職員を置きまして、この部局をやらすべく考案いたしました。これは行政制度審議会あたりでは、非常な反対だというような声も聞きまして、未だこれが取入れられて皆さんの御審議を仰ぐ段階になつておりません。しかしながら中小企業対策の上から考えますと、これはぜひ必要なことでありますので、近い時期におきまして、統制経済の撤廃とともに、さらに機構整備を要する点がありますので、その機会において、一方では廃止になりますものにかわつて中小企業は一段とその機構の拡充をいたして参りたいというのが現在考えておることであります。  それから金融制度につきましても、先般来かつて戰時中から戰後のこのインフレ経済の中で、銀行との取引実績がない、いわゆる銀行との取引領金を領け入れたり、引き出したり、あるいは貸付を受けたり、手形の割引を受けたり、さような連繋のない中小企業相当数あります。あるいは中小企業の大部分がこれであるかもしれない。かようなことで現在ありますあつせんだけの金融措置では困難であります。そこでどうしても損失補償制度を設けなければならぬと考えましたのが昨年のことでありまして、昨年の十月にはすでにしばしば申し上げましたように、損失補償制度実施し、これを立法化しまして、十五億の予算をもつて運営いたすことにいたしまして、本会議の御審議に備えようといたしましたが、客観情勢がこれを許さずいたしまして、遂に中止となつておりました。その後引続きといたしまして、見返り資金運用によります御承知協調融資がようやくにしてでき上りました。現段階においては、今度は信用保証制度ということで、信用供與の形におきまして大体御了解ができそうな段階になつておりますが、完全にまだできたとは申せません。これは立法措置でなくしても実施ができる。一応見返り資金から、大体かつて補正予算に計上いたしました十五億の投資を得て、これの運用によりまして設備資金として年間五十億、運転資金として年間百億の運用をいたしたいと思います。この保証供與の方法としては金融機関との間の包括的の信用供與契約政府にかわつて日銀にやつていただきまして、市中銀行が貸しました債権で、中小企業に貸せるのだということで包括契約の中に入つておるものについて、もし市中銀行債権取立てに困りました場合におきましては、九〇%ないし八〇%の未回收債権額をもちまして、これを日本銀行が買取ることにいたしまして、取立て日本銀行特殊機関をもちまして直接やる場合と、もしくは基本的に貸しました市中銀行日銀にかわしまして取立てを代行する。いずれにいたしましても未回收額の九割ないし八割の保証を国家がいたします。信用供與の形においていたしますことをどうやら九分通りまで成功いたしました。これは立法措置がいりませんで、国内手続ができればこれをいたしたい。かように考えております。  それから中小企業において一番大きな悩みでありますところの税金の対策であります。これは簡易簿記制度をしきまして、全国にわたりまして、その指導普及をはかり、あるいは青色申告もなかなか中小企業は帳面をつけるということをいといます。しかしいとつていては税の重圧からなかなか脱却することはできませんので、この指導にも、青色申告とも合せまして、国税庁と連絡いたし全国的に指導講習会を開催いたしました。これを一月、二月にわたりまして盛んにやつて参りまして、相当成果を收めております。しかしながらこれだけではいけませんので、中小企業に対する租税の特例を定めたい、かようなことから、これは国内関係でも摩擦のある面もございます関係上、最近連絡をとりまして、国会の議員提出でおとりはからい願いたいと思つて法案をものしております。たとえて申せば、従業者を持つていない零細企業に対するものは、その所得の算定上、一般の扶養控除をして、あるいはその、扶養控除のほかに特別控除として、やはり勤労所得と同じ百分の十五を、最高限度三万円程度の特別控除をなすのが妥当であろうと考えております。さようなことをいたします。法人税につきましても、また協同組合法によります組合についても、今度法人税は三十五の一律であります。かつては組合は特別法人税の取扱いを受けておりましたが、今回はかえつて増税の形になりました。かような面を除くために、商法人、すなわち資本金三百万円未満、従業員百人未満、これは工業でありますが、商業については従業員二十人未満のものを。中小企業といたしまして、これに対しましては税率三五%から二〇%に軽減いたします。また個人所得につきましても、所得段階のそれぞれにつきまして、二割ないし三割の減税をする。附加価値税についても、これが一番痛い税のように思いますので、これについて土地建物、さようなものを除きます。償却可能の資産が三万円程度のもの、三万円を越えない企業に対しましては、農業、林業と同様に、第二種の事業といたしまして課税を軽減するという方途を講じたいと思いまして、これも一文を草しまして連絡をお願いいたしておりますので、いずれかの方面からもし議員提出等の案となつて現われて参りますれば、ぜひとも御協力をお願いいたしたいと思う次第であります。  なお輸出振興の一面といたしましては、本年三月三十一日に公布せられましたいわゆる輸出信用保險法によりまして、輸出契約締結後の金融は今度できましたが、輸出契約締結前の、いわゆる輸出見込みの長期にわたる生産に対しましては、初めて輸出品の完成しまするもの等に対しましての資金供給については、また別途考慮いたしておりまして、この要綱もすでにでき上つておりますが、これは残念ながらただいま折衝中であります。この席でもし記録にとどまる等の場合におきますと、あるいは惡い結果になろうと思いますので、これだけはしばらく数日間の御猶予を願いまして、また適当の機会に申し上げることにいたします。かような面におきましてたいへん無策のように御非難を受けておりまするが、あらゆる面におきましてひとつ対策を講ずべく、せつかく努力いたしておる次第でございます。
  15. 今澄勇

    今澄委員 いろいろ詳細な御答弁がありましたが、私は中小企業庁の問題については、結論として、日本中小企業日本経済に占める重要度、並びにアジア的ないわゆる日本経済のうちに占める中小企業の重要性というものからみると、予算の面においてももとよりでありますが、この本法に示されておるような、かかる小規模な運営においては、政府行政的な力において中小企業に対する指導、育成、救済という意味において、これはもとより不十分である。不十分どころではない、これではまことにはなはだ小さ過ぎて話にならないように考えます。結論として、私は中小企業に関する限りは、中小企業の担当の役所としては、いま少しく整備されたものであり、強力なものにしなければたらないが、将来の中小企業庁の構想を先ほどからいろいろ質問しておりますが、将来の中小企業庁というものは今の政府としてはどういうふうに持つて行きたいのか、これを伝えられるような各局の中の課へ持つて来て、分割して縮小するというような方針をとられるのか、それともこれを大きく拡充されて、中小企業者のあらゆる問題を予算的にもあるいは機構的にも十分解決するだけの力を持たせるようなお考えであるか、その点についてひとつ……。
  16. 宮幡靖

    宮幡政府委員 これは通商産業省機構整備改廃に対しまする全般的の問題になろうと思いますが、中小企業はあらゆる産業がありますが、おおむね一番大きなものはただいま通商産業省部局の官制の中にありまする通商雑貨局の仕事が一番多いのであります。通商雑貨局のやつておりまするのは、おもに発券事務を伴います物資の配給、価格の統制の面でありまして、まあ価格決定は物価庁でやりますが、その実施をいたします部面はその局内の各課でやつて参つたわけであります。すでに皮革の統制もとれましたし、セメントの統制もとれましたし、ゴム製品全般に関しましても不日省令をもつて公布する段階になつております。板ガラスもまた同様な措置になろうという段階になつております。纎維品につきましても、大要御承知通りの統制撤廃が行われておりますので、これらはきわめて近き時期に縮小さるべきもの、具体的に申せば、雑貨局というものは不要になるかもしれない。かような段階におきまして、生産行政を担当する省といたしましては、いずれ商政局とか工政局とかいうものを設けまして、統轄いたしました生産行政をやつて参らなければならない。そのときにおいて、中小企業をどこに持つて行くかということはなかなかむずかしい問題であります。各局に工は工、商は商と、その細分いたしました部面にそれぞれ中小企業の担当をおいて指導をやつて行く、しかも世論の要求によつてできました中小企業庁機構をさらに整備強化いたしまして、これでやつて参るかということは、ただいませつかく検討中であります。省内におきましても、この点につきまして賛否両論ありまして、まだ省内の議も一決いたしておりませんが、いずれか近き機会に処置をいたさなければならないと思います。いずれ委員会の御意見等も伺いまして、時宜に適した処置をとりたい、かように考えております。
  17. 今澄勇

    今澄委員 中小企業の問題がこのように重大化しておるときに、まだそれらの中小企業庁あり方についてこの法律に示されたような微温的なことで、その大方策が統制経済漸次排除の段階にある内閣として、みずからがその政策の責任をとりながら、それをまだ省内にも異論があつて話がきまらぬというようなことでは、まことに心細い次第である。われわれとしては、中小企業庁は少くともこのような小規模のものでは断じていけない。それらの統制経済から自由経済に移る過程において、しわ寄せせられた大きな負担を中小企業者が全部背負うことになるから、統制経済から自由経済へ移行する前に、中小企業庁行政機構措置整備しておいて、それからこの問題に入らなければならないと思う。そういうことについていろいろな大方針を聞けないということはまことに残念であります。時間がありませんそうでございますから、次にもう一つだけ質問しますが、最近どうも商工会議所法であるとかあるいは石炭の問題にしても、内閣の方でいろいろ考えられた問題を一党の、與党の議員提出ということで、世論にアツピールされるという意味があるのかしれませんが、出されるようであります。私が仄聞するところによると、石炭国家管理法をこの議会に拔き打的に廃止するという方針のようであり、與党においてその大体の案ができたというふうに承つておりまするが、それらの石炭国管法を廃止すれば、当然通商産業省の石炭関係機構はかわらなければならない。これらのものについて、石炭の生産局長、管理局長あたりは連日打合せをしておられるそうでありますが、それらの臨時石炭管理法の廃止をするというような意向を政府は樹つているかどうか、もし持つているとすれば、通商産業省内におけるこれらの石炭関係機構の問題をどの程度にかえて対処しようとされるかそれらの問題について御答弁を願いたいと思います。
  18. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいま御審議を願つております一部改正におきまして、石炭管理局生産局と統合いたしまして、炭政局といたすことになつております。地方の石炭局はそのままの形で、若干人員においては相違がありますが、そのまま機構を残すようになつております。ただいま御指摘のように、議員提出等によりまして国管法が廃止せられるという場合には、当然その附則におきまして行政組織法にのつとりましたところの改正も行われることであろうと思いますので、それを承つてみたいと思いまするが、私の方として考えておりますことは、地方通商産業局がそれぞれありますので、もし地方の石炭局を廃止する段階になるといたしましたならば、この産業行政というものは通産省にあります鉱山局に統合いたしまして運用して参りたい、かような考え方を持つております。もつとも御承知通り、二十五年度予算におきましては炭管法が廃止になるということを確定的に裏づけ予算は組んでございません。補償に対しましても一応項目等頭を出しておりまして、随時その必要が生じました場合においては、移用、流用の範囲内において十分予算措置が講ぜられるようにいたしておりますので、政府の立場も御了承いただきたいと思います。
  19. 今澄勇

    今澄委員 今の石炭行政については、いわゆる配炭公団の廃止に引続く石炭の自由販売等、一国の基礎重要物資であるこれらの石炭を、時期尚早に統制を排除して非常に重大な支障が起つているということは、今日の化学工業なりあるいは日本の重要工業において石炭の補給金撤廃とあわせて、この石炭の炭価が漸次上昇しつつあるということが一番大きな問題である。さようないわゆる一国の重要資源を無用意に自由販売にしたために、特別鉱害に関する大きな問題も、現に通産委員会で審議通りである。しかしてこれらの重要な生産の原価に関係ある石炭の値上りが、特に高カロリーにおいてはどんどん上つている。再び石炭を統制しなければ日本産業経済は製品安の原価高で重大な段階に来るということが予想されるのでありますが、そのときに、しかも與党である自由党が炭管法の廃止を計画しているというのに、政府としてそれらの石炭行政の前途に関する見通しがないはずは私は断じてないと思う。われわれは一体政府日本の石炭行政というものをどのように考え、そうしてもし炭管法を廃止するというようなことが——実際にはもう宮幡さんも御承知であろうと思うが、形式的な今度議員提出の法案として出る場合は、政府はそれらのあり方についてどういうふうな御見解を持つておられるか、しかもこれらのものを包含した日本の石炭行政はどうあるべきかということについて御答弁を願いたいと思います。
  20. 宮幡靖

    宮幡政府委員 なかなか石炭行政全般に対するむずかしい問題であります。しかしながら政府といたしましては、臨時石炭管理法が議員提出によつて廃止の結果となりましても、一応行政措置において困らないように準備はできているわけであります。御指摘の高品位炭、少くとも七千カロリー以上の石炭は非常に高くなつているじやないか、これが基幹産業に対して重大な影響があつて、結局製品安原価高ということになつてしまう、かような面から見て、再び石炭を統制する必要があるじやないかという御意見、これは今の状況がそのまま引続き上昇の過程をたどつて参りましたといたしましたならば、御意見も非常に傾聽しなければならぬ部分を持つていることと存じます。しかしながら御承知のように、七千カロリー以上の高品位炭というのはおもに原料炭でありまして、これに対しまして、もし国内の企業努力によりまして合理化をいたし、それ以上に低廉良質の石炭を供給することが、自由競争の結果といたしまして残念ながら現われて来ないような場面に相なりました場合におきましては、輸出入貿易も幸いある面において自由になつておりますし、原料炭の輸入、ことに中共方面との取引につきましても、現在の政府がこれを絶対に回避しようとしておるというような面はございません。條件さえ整えば、エスクロー・バーターでやろうとしております関係上、さようなものを低廉に輸入いたしまして、むしろ国内の高品位炭によつて独占的な利益を占めようとする考え方をしておる企業家の覚醒を促すための輸入等もいたしまして、この段階は過渡的には若干の値上りをいたしておる現実でありますが、最終におきましては、経済価格までに私はとどまるものであろう。これはイージー・ゴーイングな考え方だとおしかりを受けるかもしれませんが、さように考えております。要は低品位炭、中小炭鉱に対しまするわれわれの施策の乏しさを非常に嘆いておるのでありまして、おそらく今後の石炭行政というものは、中小炭鉱、低品位炭の消化及びその価格の維持等について、別にこれに規制を加える行政的な施策を行うという意味ではありませんが、重大なる関心を持ちまして、これを保護する政策をとらなければならないのじやないかと考えておるわけでありまして、ただいまは統制経済を撤廃いたしました余波を受けまして、おのおの企業家の思惑も働き、正常なる自由競争ベースに乗つておらぬ段階でありますので、現段階をもつて将来これが続くとは考えておりません。要は高品位炭に対します対策を講ずる用意はあります。しかし一番施策が乏しいと考えておりますのは中小炭鉱でありまして、中小炭鉱に対する施策については十分の努力を傾けて、この石炭行政を全うしたい、かような考え方をいたしております。
  21. 今澄勇

    今澄委員 同僚議員の質問がありますので、これで打切ります。しかしながら石炭については、そのような原料炭であるところの高品位炭を海外から輸入して、こういう現在の状態を切り拔けるというようなお考えで、しかも石炭に関する官庁行政機構については、将来縮小の一途あるのみで、何らのお考えがないということは、日本産業経済の当面置かれておる実態から、私は非常に憂慮しておるのであります。少くともそのような高品位炭が安く入つて来るということになれば、いわゆる中小炭鉱の低品位炭はさらに打撃を受けて、おそらく石炭行政の非常な大問題になると思いますが、これらについてこの通商産業省設置法等の一部を改正する法律案には、何らの考慮が拂われておりません。しかも政府がみずから炭管法の廃止をすることまでも考えておるとすれば、これらの問題に対する将来の見通しについても、これらの設置法の今回の改正で意思を表示して、これこれこういうふうな態度で石炭行政をやりたいということを、国民の選良たるわれわれ議員に説明すべきであるにもかかわらず、それらのことも何ら言わないというような態度につきましては、私は非常にこれは信義の上に欠けるものがあると思うことを一言付言して、私の質問を終ります。
  22. 鈴木明良

  23. 高木吉之助

    ○高木(吉)委員 纎維のことにつきまして政務次官にお尋ねいたしたいのであります。大体すべての纎維品は、原料から製品に至るまで全部通産省の纎維局において扱つておるのでありまして、ただ一つ原料である生糸が農林省の関係でありまして、それ以外の部門は纎維局の管轄になつておる。これは非常に矛盾した行政であると思うのであります。大体絹と生糸とはどこまでもこれは切り離すことのできない問題でありまして、今後生糸の素質の向上並びに織物の輸出のためにするところのあらゆる方策について、これは通産省において扱うべきものと考えるのでありますが、農林省の蚕糸局を廃止して、通産省にこれを持つて来る意思がないかどうか、伺いたいと思います。
  24. 宮幡靖

    宮幡政府委員 高木委員の御説はごもつともなお考えだと思いますが、これには農林省と商工省時代からの長い所管の争い——争いという言葉は不適当かもしれませんが、やりとりがありまして、うまい解決をいたしておりません。最近の空気といたしましては、行政審議会あたりの考え方は、いわゆる養蚕という繭をつくところまでの過程におきましては、これは農林行政にゆだねまして、いわゆる製糸の段階からは通産省にゆだぬべきではないかというような声も、漸次抬頭して参つております。われわれの方といたしましては、現在で申せば纎維局の機構の改革がありましても、何か他の部局の中にこれを取入れまして、一元的な運営をいたしたいという考え方は持つておるわけであります。もつとも最近法律案として御審議を願えるものと信じておりますが、戰時立法でありました——戰時と申しますよりも、前に停止されておりました商品取引所を廃止いたしまして、今度新しい取引所が通産省の所管として設けられる法律案の御審議を願いますが、その場合にはその市場で取扱うものの中に生糸も加わつて参るのでありますが、これらと相関連いたしまして、十分御趣旨のあるところを考えまして、あるいは閣議等にも諮りまして、ぜひとも御趣旨に沿うような機構に改めたいと考えておる次第であります。
  25. 鈴木明良

    鈴木委員長 次に風早八十二君。
  26. 風早八十二

    ○風早委員 この法案審議にあたりまして、まず第一に政府に伺いたいことがあるのであります。それは大体現政府は組閣の最初から盛んに機構いじりをやられました。これは通産関係にしましても同様でありまして、ずつとさかのぼれば通産関係では貿易庁ができて、まだ三年ぐらいしかたたぬのにこれをもうすぐやめてしまうとか、また今度もこれはあとで伺いたい点でありますが、まだその先にはいろいろな改革案を用意しておるというように、次々に機構をいじくつて行くという傾向が非常に濃厚であります。そのために職員としても、非常に不安を感じておる。何どきこの編成が之によつて職場を転換されるか、あるいは減員によつて首を切られるかもわからない。こういう非常な不安にかられておるわけであります。また同様にこの通産省関係で扱つておる仕事は、日本の国内産業、また貿易にもわたつておるのでありますから、国民に直接関係の部面が非常に多いのでありまして、その点でもこの機構いじりによつて非常に迷惑をこうむるといつたような実情が今まであると思うのであります。また今回もこうやつて相当大幅の機構改革をやるということは、これははなはだおもしろくない傾向であると思います。しかしながらおよそ機構改革のための機構改革ということはあり得ないのでありまして、おそらくこの機構改革に対しては、現政府としてもそれをどうしてもやらなければならない通産行政上の必要があるものと認めざるを得ないわけです。もちろんこれは提案理由でもいろいろ述べられたところであると思いますが、この際機構改革をやらなければならない事情に立ち至つた通産行政の根本方針、要するに通産行政の根本的なあり方がきまつて、その上に機構というものができるべきものであるとわれわれは了解するのでありますが、そういつた通産行政の現在のあり方はどうあるべきか。先ほど同僚今澄君からもいろいろ質問が出ておりましたが、貿易につきましても、また国内産業につきましても、一体通産行政はどうなくてはならないかという、この基本的な前提につきまして、簡單でもよろしいから、その要点を御提示願いたいと思います。
  27. 宮幡靖

    宮幡政府委員 先ほども申し上げましたように、通商産業とを切り離した方がよいのではないかという御意見に対しましては、今澄委員にお答えいたしました通り、現在の機構においてさしつかえないものと認めておる、かような考え方であります。  それから機構いじりではないかという点、これは確かに経済の変転期でありますので、機構いじりという言葉が当るかもしれませんが、しかしこれはもう風早さんもよく御存じの通り、官庁というものは国民の官庁であり、そこの役人というものは公僕だという言葉で表わされておりまして、能率のよい仕事をすることと、それから仕事機構というものがその事務分量、事業量によりまして支配されて参るものだと思います。ただ機構いじりをやりまして、それによつて人を整理するというのが決して目的ではないということは私の申し上げるまでもないことと存じます。今回の改正によりまして、臨時通商業務局を設けますことは、従来貿易公団でやつておりました対日援助物資の輸入の事務を担当いたしまして、これを行政庁でやる。これは公団を廃止いたしますその前夜の措置としていたすわけであります。これが臨時通商業務局を設けた趣旨であります。それから産業合理化審議会を三十一部門設け、一般部会、総合部会を置きまして、ただいま一生懸命に專門委員なども配属いたしまして各部門産業合理化の根本方針の御答申を願つておるまつ最中であります。しかしながらこれを企業庁の中で取扱いますと、やはり統一した方針のもとになかなか集まらないようなうらみもありますので、次長を設けまして、そして次長に産業合理化審議会の問題を專門にやつてもらう。かような意味で、次長を設けることにいたしました。それから石炭のことについては、今澄委員からお話がありまして、公団の廃止と統制の緩和に基きますところの事務として、資源庁の両石炭局を合せまして、炭政局といたし、中小企業庁につきましては、中小企業対策の必要性から考え、またその仕事の分量かな推しまして、九十七人の増員が必要であるというようなことで拡充をいたしました。機構いじりをいたしておるとは申しながら、むしろ通産省設置法改正というものは、見方によりましては、非常に面を広くして参つたということで、縮小のみとは考えられないわけであります。その事態の推移に伴いまして、適切なる改編をいたして行くことが行政組織の根本理念ではなかろうかと考えております。もちろん見方によりまして、いろいろ御議論はあろうかと思いますが、今回の改正はさような状況であります。もちろん統制が撤廃されて、あらゆるものが統制がなくなりました場合に、統制事務に関與しておりました方々がその仕事の分野を失うということも事実であります。その場合におきましては、それに相応することを考えるのが適切ではなかろうか、かように考えておる次第であります。
  28. 風早八十二

    ○風早委員 実はかねがねわれわれの意思はよく存じの宮幡政務次官のことですから、私はきわめて簡單な言葉でお尋ねしまして、言葉をはしよつたのですが、いささか今の御答弁は、私のお尋ねした点とははずれておるわけです。先ほど今澄君なども貿易産業との関係がどうこうと言われましたが、貿易産業とは切つても切れない関係にあることは、少くとも日本経済の実態におきましては当然のことで、そういうことを問題にしておるのではないのであります。またこの機構が縮小されたか、拡大されたかということを一概に問題にしておるわけではないのであります。これは要所々々に向つて、この機構の改革がなされておるように見受けられるのです。その点はあとで御質問申し上げますが、これら全体を通じて見まして、やはりこの機構の改革の根底において、現内閣の根本的な通商産業行政の方針というものが出ておるのではないか、そう考えたものでありますから、これを伺つたわけです。たとえて申しますれば、自由経済の問題、すなわち統制をはずされるという根本的な問題、また中小企業に対する根本的な方針、これは先ほどやはり今澄君からるる質問がありましたが、結局單なる結果だけの問題、あるいはまた政府がただ言葉の上で言われる御説明だけの問題ではなしに、一体中小向業というものは、つぶれるものは相当つぶしてもやむを得ないということを真に考えておられるのであるかというふうなことについても、根本的な方針、見通しというものをお尋ねしたかつたわけであります。また外資の導入の点につきましても同様でありまして、これらは今までだれでも常識的に外資導入、外資導入と言つておりましたが、実はそのいろいろな結果がすでにもう現実の問題として出て来ておる。そういうような点で、政府はどのくらいまでこの問題について再検討され、再反省されておるか、これらについても実は御抱負を承りたかつたわけであります。  また統計の問題でありますが、産業統計というようなものは、やはり産業復興に対して非常に大きな貢献をなすというよりも、産業統計整備していなければ、とうてい産業行政を円滑に有効に行うことはできない。そういう産業統計の拡充という点につきましても、政府はどういう考えを持つておられるか、実はこれらの点を中心にして政府の通産行政の全般的なあり方というものを伺つた次第でありますが、便宜上これを一つ一つほぐしてお尋ねしてみたいと思います。  まず第一に貿易と国内産業振興との関係、これをまた別の角度から申しますと、国内の市場というものをどの程度まで一体政府考えて行こうとせられるのであるか、そしてこの貿易に対しては——貿易々々と言いますが、結局国内市場が豊富であれば、貿易ということもある程度よいわけでありますが、もう一切合財貿易に依存しなければならないというような方向に持つて行くとすると、これはもう貿易ができなければそれつきりということになつてしまう。しかしながらもう一度振り返つてみると、国内市場というものをわれわれはどうして開拓するかということが、やはり問題として残つておる。これは日本で今まで解決しなかつた問題でありますが、吉田内閣はこの点についてどういうふうな考えを持つておられるか。これらはもちろん今回の機構改革に即して私はお尋ねしておるわけでありまして、この点についてまず政府の御見解を承つておきたいと思います。
  29. 宮幡靖

    宮幡政府委員 いろいろ長いお尋ねでありまして、一々お答えいたさなくてもよい点もあろうかと思います。一つ先に申し上げておきますが、現在通商産業省、あるいは政府は、中小企業はつぶれてもよいという行き方をしていないことをまず御了解願いたいのであります。  それから最後のお尋ねの国内市場と貿易との関係はどうかということですが、国内産業が振い興り、国内市場が殷盛をきわめなければ、貿易振興せぬことは明らかであります。従いまして、貿易振興の第一義として考えております通産行政の行き方は、遠い将来は別として、近き将来にわたる間この方針は変更さるべきでなく、また変更する考え方も持つておらないわけであります、なぜかと申しますならば、これは風早委員の御指摘のように、日本としては解決しておらない問題だという、その通りだと私も思います。しかしながら戰前の平時経済をながめて参りますると、日本はやはり輸入超過国でありまして、それを補填いたしましたのは貿易外收入、すなわち船賃の円受取り勘定、及び外人の参ります観光によりますところの收入、これらがかつてのタバコのバットが五銭当時の貨幣価値におきまして、年間大体八億五千万円ないし十億の金が入りまして、国際收支がバランスしておつたのでありますが、その反面におきまして、現在は米国対日援助によりましてこの貿易上の輸入超過になります面をバランスしておるような状況でありますから、この際もし援助がなくなりましても、少くとも貿易外收支を含めてのバランスをとるために、必要な基本的な輸出の振興をはからなければならない、こういう面になりますので、国内産業振興とあわせまして、貿易対策を第一に考えてやつて参る。こういう考え方を持つております。
  30. 風早八十二

    ○風早委員 貿易第一主義というので、大体わかります。私はここで議論をするつもりはありませんから、一応これで承つておきます。ただ中小企業がつぶれてもよろしいということは、現内閣考えておらない、それはわかりますが、実際そうなつて行けば、それでも中小企業がつぶれれば、考えておられないと言われても、やはり客観的に通用しないことになるのでありまして、この点も議論になりますから、今日は通産委員会でもありませんから、その点は私預かつておきますけれども、とにかく貿易第一主義、そこにやはり問題があると思う。また国内産業貿易振興のみによつて復興させるということが、そもそも一つの大きな間違いのもとでありまして、先ほど解決されておらない問題と申しましたのは、何といつても国内で根本的な低米価、低賃金の問題、この相対的な過剩人口の問題、こういうものをどうやつて解決して行くかという根本的な点について、日本の国内の購買力を増進させるという根本的な点についてお考えがはなはだ稀薄であるということから、外へ外へと行く結果、結局その唯一の生命線、防衛線そのものが行き詰まつて来るという結果になるのでありまして、私どもの希望意見としては、もちろん貿易は大事でありますけれども、国内の市場の培養、これの高揚というものは、非常に重大な問題であつて、これを拔きにして貿易第一主義と言われるところに、いろいろな間違いのもとがあるということを一言申し添えて、次に移りたいと思います。  この貿易の点につきまして、先ほど御説明もありましたように、今回臨時通商業務局が新設せられます。これはもちろん鉱工品貿易公団、その他貿易関係の公団の廃止を大体想定せられまして、あるいは現在の縮小過程に応じて、こういう業務が漸次官庁内部に移されるということから起ることであるということは、一応お話はわかりますが、そこでお尋ねしたいのは、こういつた業務、あるいはもつと広く貿易関係の業務が、全部でなくても、その一部でも、これを外務省関係に移そうといわれるような見通しはおありになるのかどうか、その点について伺いたい。
  31. 宮幡靖

    宮幡政府委員 一部の議論としては、貿易関係外務省に移す方が能率的だという議論がないわけではございませんが、さような問題に対しまして、通商産業省は同意する意思もありませんし、またその問題が現実に取上げられて、さような要求も受けておらない状況であります。
  32. 風早八十二

    ○風早委員 次には外資導入、これもやはりこの機構改革の前提になつている政府の政策そのものについてお尋ねするわけでありますが、外資導入ということももちろん一概にどうこうということは言えないのでありますけれども、しかし今まで導入せられました外資が、実際に演じた役割は、むろんプラスの面も絶無だとはわれわれとしても申さないのであります。しかしながらこれが全体として今日まで演じて来ておる役割、またこれからますますそうなろうとしておる役割、これは日本産業あるいは日本経済全体、こういうものが外国資本のもとに隷属して来るという大きな傾向を現わしておる。これはいろいろ事実でもつて現わして来ておる。この点がわれわれの今まで一貫して指摘した重大な点なんでありますが、今回この改正を見ますと、またまた随所にそういつた問題を前提としておる一つ機構改革が首をもたげておると考えられるのであります。この工業技術庁の問題にいたしましても、これは一例でありますけれども、この工業技術庁は、今回は逆に拡充せられる、人員も多少ふえる、たとえば長官官房というものが新設せられる。これによつて若干であるけれども、とにかく人員もふえるといつたような、むしろ拡充せられるということでありまして、これは見方によりましてはもちろんけつこなことであります。しかし問題はなぜそういうふうにほかは縮小するにかかわらず、この工業技術庁を拡充するかということは、もちろん現政府がとつておられます技術導入の政策にこれが関連しておることであると考えられるわけであります。そこで政府の工業技術行政、つまり端的に申せば、外国技術導入の方針について、政府はどういう方針をとつておられるか、これをこの際に明らかにしていただきたいと思います。
  33. 宮幡靖

    宮幡政府委員 工業技術庁機構を拡充強化いたしますことは、昨年来とつて参りました基本的な方針で、日本の科学技術が振興いたさなかつたならば、産業の合理化も不可能、それから合理化によりますところの国際経済へのさやよせができなければ、第一主義と申す輸出も振わない、かような面から国をあげて工業技術の振興にあたるベきだ、昨年は工業技術振興の国民運動を展開いたしまして、それに伴いまする本年度の継続的な方向といたしまして、一応若干ではありますが、機構の拡充をいたしたわけであります。日本にもまだ埋もれる工業技術も相当たくさんある。たとえば戰時中におきまして温存されました工業技術等を適当な方法によつて実施に移すというようなことは十分指導して参つてよろしいと思う。これは兵器をつくつたり、あるいは戰争目的の資材をつくつたりする意味ではない。これを平和産業方面に有効に転換できるものが相当数あろうと思いますので、かようなものの研究をいたして参りたい、さような点を十分考えております。工業技術の導入の問題は、これはいずれ法律案といたしまして国会の御審議に訴えることになろうと思いますが、さしあたつて直接は私の方の所管であります。ここで申し上げることもどうかと存じますが、もしさようなことが起つたといたしましても、これは特許権の実施権を許されたり、あるいは技術者がその技術の実施のために参つたりする面が起つて来るわけでありまして、これが工業技術振興の国内対策というものがその技術の導入ということのみを唯一の目的として考えられておるものだとは、私どもは申し上げかねる次第であります。
  34. 風早八十二

    ○風早委員 まあ自由党の吉田内閣としてはそういうお考えがあることは一応わかるわけでありますが、この今の最後に出されました特許の理由などにいたしましても、これは最近の実例でありますが、川崎重工業に対してやはりデイゼル・エンジン、これは單に特許権の使用料でありますが、十四万五千ドル、それからあるいはいもポンプ、これもやはりいずれも特許権の使用料にすぎないのでありますが、三万ドル、ラマンド・ボイラーが二万ドル、あるいは三井造船につきまして、パーマイスター・デイゼル・エンジン一万五千ドル、播磨造船についてもまたズルッア・エンジンが三万ドル、まだまだ幾らもこういう例はこれらの一連の経営に対してあつたのでありますが、こういつたような特許権の使用料、つまり特許権の使用という意味で青写真が入つて来る。それを使わしてもらつて生産をやつて、今まで遅れておる技術が改善せられる。そういう場面もあり得ると思うのでありますけれども、こういう傾向を全面的に出して来るということは、結局ある一国の——これは主としてアメリカ並びに西ドイツであると思いますが、こういう特別な若干国の特許権のもとに、それらの基準に合した日本生産企画がこれからずつと全般化して来る。そういうことがその他の場面でとられております。これは技術の問題だけでありません。全体に今日外資が導入せられておる。この全体の問題のむしろ裏づけとしまして、こういうことが日本の将来、日本産業の独立した状態考えてみまして、一体それに対してどういう役割を持つか。これらはこの際十分に考えてみる必要があると考えるのであります。ことに貿易の面から見ましても、これは相当の負担を食うのでありますが、今日日本はむしろ機械類などはどんどん外国へ輸出しなければならない。方針としてはもちろんそういう方針でなければならないわけであります。ところが実際問題として東南アジア方面に対しましても、日本は実情としてはもはや繊維関係の製品をここに送ることはだんだんまたむずかしくなつて来る。これに対して機械類をこれから送らなければならなくなつて来ている。ところが西ドイツでも同じく東南アジアを対象にしまして、今までは石炭であるとかコークスであるとか、そういうものを送つておつたのを、今度は切りかえて機械を送つて来る。そこで日本と衝突する。そういう場合に、日本は日独協定によりまして、今度はわざわざドイツからまた日本に機械を仕入れるというようなことにまでなつて来ている。結局日本の機械輸入は最初からその進路を阻まれておる。こういうような状況が出て来ておる。こういうことを考え合せてみまして、私どもはこれらの導入政策というものが、事実やろうとしても実際やれない。そういう困難にぶつかつておるという点も第二点としてあわせ考えておかなければならない。その結果貿易第一主義が結局うちにはね返つて参りまして、それを第一主義にしたがゆえに、なおさらどうにもこうにもならなくなるという、国内産業の崩壊状態を導いて来る危險が出て来ておるということを、われわれはこの際十分に考え合せる必要があると考えるのであります。そういう意味でわれわれはただ單に工業技術庁が今までより若干でも拡充されたということだけに目をとられておることは、はなはだ危險だと考えるのであります。  次が国内の生産の部面でありますが、石炭につきましては先ほど今澄君からも多少質問がありましたから、その点は省きたいと思います。ただ今回の石炭の関係におきまして、炭管局と石炭生産局とが一本になつて、今度は炭政局になる。炭政局になるのはとにかくとして、そのために三百九十三名の定員が今度は百三十七名その中から削られる、首切りになる、こういうような実情が出て来ておる。また地方石炭局にしましても、千三百三十名の中から三百五十一名減らす、こういう線も出て来ておる。結局そこに首切りの問題が起つて来ております。これは一つ問題になるのは、先ほど政府はこの法案を用意しつつあると言われますが、石炭国管の法律廃止政府は企図しておられるようでありますが、そういうものをまだ出さないうちに、ここでそれらについての御説明なきままに、これらの機構がすぐ改革せられる、こういうところにも手続上の問題がある。これは私は今問題にしませんが、結局現内閣が石炭国管へ行つておつたこの戰後の大きな社会化の方向を、今度は逆もどりさせて、また石炭のいわゆる自由経済にして行くというその根本の政策をここで如実に機構の上で現わそうとしておられるのではないか、こう考えうのでありますが、それらの手続上の問題並びに実質上の点につきまして、政府はどういうふうにわれわれにこの点を説明せられるか、ひとつお答えを願いたいと思います。
  35. 宮幡靖

    宮幡政府委員 いろいろと御丁寧な御質問でありますが、要するに政府の政策が反映いたしました機構の改廃をやることは当然でありまして、御指摘のように現内閣の持つております性格からいたしますところの石炭行政等の縮小でありますので、この点は考え方としては社会化に背反するじやないかということを申されますが、政府の政策が反映しての行政機構組織がえ、こういうことになりますので、そのような部分につきましてはおおむね御意見として承ることにいたしたいと思います。
  36. 風早八十二

    ○風早委員 しかしそういう点がまだほかにもあるのであります。たとえば電力局なんかにつきましても、電力開発部でありますか、これが今度きわめて臨時的な部門になるというような話を聞いておりますが、これもまだ法案として出て来ませんが、かねがね問題になつておる電力事業再編成に関連して、いわゆるレギユラトリー・ボデイを規定した法案というものは出て来る、それを見越しておられるのであるか、その点の関連をちよつと承つておきたいのです。
  37. 宮幡靖

    宮幡政府委員 電力再編成の問題は昨年以来の問題でありまして、ただその時期につきましては、いろいろ手続上あるいは交渉の上において確定いたしませんでしたが、やがて二十五年度におきましては、これがあるべきものであるということを想定いたしまして、電力局は廃止さるべきものであるということを考慮に入れて考えておるわけであります。特にこの再編成につきましての関係方面からの非公式メモにおきまして、電力局とガス課はこれを廃止すべきであるという勧告を受けておる等の関係もございます。
  38. 風早八十二

    ○風早委員 勧告はあるかもしれませんが、しかし電力の再編成のあの分断問題は、これはもう各政党政派を離れて、国会において非常に問題になつておることは御承知通りであります。きようの閣議あたりでどういうことがきまつたか知りませんけれども、とにかく電力問題に対しては、自由党の内部でも相当御議論があると承つておるような状態であつて、勧告があるからといつて国会の意思として通らないということは十分にあり得るわけであります。そういう場合には、やはりこの機構の縮小ということはあまり先走つたことではないか、あまり用意がよ過ぎるのではないかと思うのでありますが、どういうわけでありますか。
  39. 宮幡靖

    宮幡政府委員 一応経済力集中排除法によつて指定せられ、その再編成が行われるべき見通しでありますので、さようなことを含めて考えております。しかしながら、国会等におきまして、さようなことが拒否せられまして、実現の運びに至らず、依然として電力行政通産省の中に置くべきであり、またガス課も設くべきであるという事態が起りましたならば、その事態に応じまして追加予算等も要求いたしまして対処して参りたい、かように考えております。
  40. 風早八十二

    ○風早委員 大体炭管の問題の場合と同じように、やはりそこに問題があります。なお今度、これはただ民間というのではなくて、レギュラトリー・ボデイに移管されことになれば、レギユラトリー・ボデイの本質について、かねがね指摘しておるように、日本の電力事業あるいは電力行政そのものにしましても、それの自主性というものに非常に障害が起つて来やしないかという問題もあるのでございまして、これはわれわれがもつともつと検討したいと思つておる点の一つであるということを申し添えておきます。  最後に産業統計の問題でありますが、現在は調査統計部というものがありまして、まだまだ不完全でありますが、そこで相当総合的な産業調査統計、收集、整理、作成をやつておられますが、こういつたようなことは、先ほどもちよつと触れましたように、日本産業行政に対して非常に重要な、前提になる問題でありまして、これはますます拡充充実させなければならない部面であると思います。しかるに今回のこの改正によりますと、今度はもう調査統計部というものは、名前はありますが、ほとんど名ばかりで、基本的な統計調査をやるだけであつて、実体的なものにつきましては、みなそれぞれ原局に移され、分割されるようなことになつて来るようであります。そういたしますと、これは実際総合的な実体をつかんで、しかも総合的にやる調査というものに非常にさしさわりが起つて来る。これは実際に統計部で働いておる技術的な專門家たちがそう言つておるわけであります。こういうことはおそらく十分に政府当局の耳にも達しておると思います。こういう点で今回のこの機構改革の趣旨は、われわれにははなはだ納得が行きかねるのでありますが、どういうお考えでありますか。
  41. 宮幡靖

    宮幡政府委員 各原局におきましては、統制事務廃止によりまして、仕事をする分量が減つて参りますと、統計等を收集して、それに研究を向けることが一つの主要な任務になろうかと考えております。従来統制事務に追われて、一般的な資料を集むるに遺憾の点のありました原局にこれを分割担当せしめまして、大臣官房なりその他の機関におきまして、十分総合的に調整して参りまして、結論においては遺憾なきを期する方針でございます。
  42. 風早八十二

    ○風早委員 これは少しこまかいことになりますが、念のために伺つておきます。おそらく今の統計部から首切りはないものだろうと私どもは一応了解しており、その前提でお話するわけでありますが、各原局へまわされて、そこで同じように実体的な調査、あるいは統計作成がなされるということであればまだしもでありますが、実際原局へ参りますと、今度は仕事関係上、人員の不足というふうなことから、統計事務に專心することができない。事実問題としてこれはもうみんな官庁の職員諸君が言つておることです。やはりどうしたつていろいろな仕事が出て来て、結局それをやらなければならない。調査統計というものは名ばかりになつて来るのが実情であるということも聞いておるわけです。今宮幡政務次官は、それを官房なり何なりでまとめるからと言われますが、その点もう少しはつきりしておいてもらいたい。この点に関して、職員の今までの身分が落されるとか、首切りがあるとか、そういつたことはないものと私どもは了解しておりますが、それらの点についてもあわせてはつきりお答えをいただきたいと思います。
  43. 宮幡靖

    宮幡政府委員 人員の点につきましては、二十五年度予算書に計上されております人員を配置して参りたいと思つております。特に三箇月間の短期定員もとつてございますが、その後のことはその仕事の量に応じまして考えられます定員法において、十分検討して参りたい。かように考えております。
  44. 風早八十二

    ○風早委員 一体政府は今の産業調査統計、そういうものに対してどれほどまで熱意を持つておられるのか、これは本省の調査統計部だけの問題ではなしに、たとえば中小企業庁におきましても、私どもはちよいちよいあそこへ参つて、いろいろ資料を要求したのでありますが、実際みんな調査費というものがないためにやれない。言いかえれば人が足りないということにもなるのでありますが、どうにもやれない。たとえば中小企業はどうなつてもよろしいということは考えておらぬと今言われますが、その中小企業について、今金融の面からもまた販売の面からも、非常に大きな役割を持つて問屋がたくさんあるのでありますが、これらはわれわれもさつぱり実体がつかめない。ところが官庁もこれをつかんでおらない。何とかしてつかまなければならぬ。つかまなければほんとうに中小企業金融その他市場関係の業務がうまく行かない。そこで中小企業庁としてはこれをぜひやりたい。そしてやろうとしておる。しかし、どうにも人が足りない。あるいは金がないというのでやれない。こういうことを言つておる。これは前蜷川長官からも聞いておるわけであります。そういうことを考えてみますと、どうも現政府はこの実態の調査、しかもほんとうに中小企業を生かそうというのならば、やはり政府も今一部で考えておりますように問屋関係に対して金融をして行かなければならない。それを通して中小金融を円滑にしようというようなことも考えておられるというのでありますが、事実その運用がいかなるものであるか、どうなつておるか、さつぱりつかんでおらない。それじややりようがないわけです。そういうような政策の根本になる、前提になる調査統計に対して熱意がないということは、これすなわちやはり中小企業に対してほんとうに熱があるということをはなはだ疑わしめる根據になるのでありますが、そういう点で政府がどれほど実際に調査統計というものの重要性を考えておられるか、これの改善拡充についてどれほど熱意を持つておられるか、その証拠を示してお答え願いたいと思う。
  45. 宮幡靖

    宮幡政府委員 中小企業の問題は前前申しますように、資金難の事態もありましようけれども、何といたしましても、国家の財政資金によつて救われようという考え方をお持ちくださつている方には、今の政策が縁遠くなつておることもまず御了承いただきたいのであります。問屋等、その他の調査につきましては、現在の機構の上におきまして、それぞれ不満足ながら九十七人の定員も増加いたしましたということは、中小企業行政につきまして一段と熱意を加えている何よりの証拠だろうと存じております。なお御指摘調査統計につきましては、風早委員から首切りはないだろうと、たいへん御念を押されておりますが、二十五年度予算においては百十人を増員いたしました。これが十分だと申し上げるのではありませんが、増員いたしまして、この方の事務の能率を上げたいということを実施の面に移しておる次第であります。
  46. 風早八十二

    ○風早委員 百十人増員されまして、結局今度の改革でそれがどういうふうに配られて、あとに残るものはどれくらいになりますか。
  47. 永山時雄

    ○永山政府委員 調査統計関係でありますが、これは先ほどお話のごとく、今般の機構改革によりまして、従来官房に総括的に調査統計関係をまとめましたものを、物資に直接関係している調査統計職員は、各物資原局にそれぞれ分属させるという措置をとることにいたしておるのでありますが、これはむしろこういう措置によりまして、調査統計仕事そのものがよりスムースに、より完璧に通産省行政と実体的に結びついて行くという確信のもとに、こういう措置をいたしておるのであります。それで大体百十名ほど増加いたしまして、調査統計関係職員が全部で六百九十名ほどになるのでございますが、その中に官房に残りますものは、まだ正確な数字はちよつと申し上げかねますが、大体の予定といたしましては、約二百三十名ほどを予定いたしております。その他のものはそれぞれ繊維局、あるいは雑貨局、機械局というような物資原局に分属をさせるということになります。
  48. 風早八十二

    ○風早委員 実はこまかい配属関係は、私もまだよく聞いておりませんからわかりませんが、要は私も調査統計の問題は相当関心を持つて聞いておりますので、特にこれはその実際のやり方について多少の知識はあるのでありますが、やはり中央の官房においてほんとうはこれは調査部というものが独立してあるのが一番便利なやり方なんですが、要するに調査というものはことに統計作成に集中しなければならないわけです。ところが原局にこれを移しますと、原局ではどうしてもその物資原局自身のいろいろな條件が入りまして、これは必ずしも惡意ばかりであるというわけではないのでありますが、條件が入りまして統計そのものの事実関係においてもこれは歪曲されることが十分にあり得るわけです。これは政府委員が統計関係であるならば実は御承知と思いますが、決して否定されないと思いますが、歪曲されるのです。そういうのはやはりそれらの原局に対する利害関係のないところで、はつきりそれをつかんで行くという強力な中心がなければならぬわけです。そこで官房へ残る二百三十名、今までは五百数十名あつたわけでありますが、それが百十名ふえて、そのかわりほかに配属せられる。残るところでしつかりそれをみなつかんで総合して行かれる、そういう仕組みがあるかどうかということできまるのでありまして私どもはそういう実際の職場におるわけでないから、それはわかりませんから、これ以上は追究はやめますが、結局今までのいろいろな政府のやり方を見ておりまして産業統計、こういうものに対して実際どれほど熱意があるのか。これをほんとうにまじめに作成して、それを政策の大きな客観的な基礎にして行く。こういう点ではなはだ欠けるところがあるという全体の総合的な結論でありまして、そういう点から特にこの調査統計部機構、あるいは人員の配置転換に対して、私は御指摘した次第であります。もう時間もあまりないようでありますから、これで終りたいと思いますが、結局今までお答えのあつたところを通じてみましても、今回の機構改革は、これは明らかに吉田内閣一つの政策を最も有効に行つて行こうというための改革であるということだけはわかります。われわれはその意味で、むしろ露骨にこれが出ておるとさえ申したい。今の御説明によりましても、石炭関係についてこれを一本にして行くとか、あるいは電力局の問題でありますとか、あるいはまた臨時通商業務局設置でありますとか、こういつたところを見まして、いずれも現内閣の一貫したいわゆる自由経済、あるいはまた外資導入、また貿易第一主義、こういつたようなことが出ておるというのは、現吉田内閣の政策の反映としてそういう機構改革がなされるという意味で、一貫しておるだけでありまして、われわれはそれなるがゆえに、この吉田内閣の現政策の一つ一つについて根本的に異見を持つておるがゆえに、そのわれわれのかねがね問題だと言つて指摘しているその政策を映し出すために機構いじりをされるという意味で、これは非常に問題の機構改革であると考えざるを得ないのであります。今日は討論の機会でありませんからこれ以上は申し述べませんが、われわれが望むところは、現政府が今やつておられる政策が、貿易第一主義にしましても、外資導入の政策にしましても、それが結局行き詰まらざるを得ない。一々その証拠をあげて言うことは十分できるのでありますけれども、行き詰まらざるを得ないというそういう実情なり、そういう点をもう一度政府においても、国民のためによく考えられる必要があるのではないかということであります。これで私の質問は終りたいと思います。
  49. 鈴木明良

    鈴木委員長 他に質疑はありませんか。——御質疑がなければ、以上をもつて内閣委員会通商産業委員会連合審査会は散会いたします。     午後三時二十一分散会