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1950-04-18 第7回国会 衆議院 内閣委員会建設委員会連合審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月十八日(火曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員   内閣委員会    委員長 鈴木 明良君    理事 江花  靜君 理事 小川原政信君    理事 奈良 治二君 理事 苫米地義三君    理事 船田 享二君       飯塚 定輔君    井上 知治君       田中 萬逸君    松岡 駒吉君   建設委員会    委員長 淺利 三朗君    理事 江崎 真澄君 理事 田中 角榮君    理事 内藤  隆君 理事 天野  久君    理事 砂間 一良君       井手 光治君    池見 茂隆君       今村 忠助君    越智  茂君       瀬戸山三男君    西村 英一君       三池  信君    八百板 正君       小松 勇次君    増田 連也君       深澤 義守君    寺崎  覺君  出席政府委員         経済安定政務次         官       西村 久之君         経済安定事務官         (総裁官房次         長)      河野 通一君         中央経済調査庁         次長      奥村 重正君         経済調査官         (中央経済調査         庁監査部長)  木村  武君  委員外出席者         建設事務次官  中田 政美君         内閣委員会専門         員       龜卦川 浩君         内閣委員会專門         員       小關 紹夫君         建設委員会專門         員       西畑 正倫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  経済調査庁法の一部を改正する法律案内閣提  出第一六七号)  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一七〇号)     ―――――――――――――
  2. 鈴木明良

    鈴木委員長 これより内閣委員会建設委員会連合審査会を開会いたします。内閣委員長であります私が委員長の職務を行います。  本日の日程は、経済調査庁法の一部を改正する法律案及び建設省設置法の一部を改正する法律案でありますが、まず政府より提案理由説明を聴取した後、質疑に入りたいと思います。それではこれより政府提案理由説明を求めます。中央経済調査庁次長奥村重正君。     ―――――――――――――     ―――――――――――――
  3. 奥村重正

    奥村政府委員 経済調査庁法の一部を改正する法律提案理由につきまして説明いたします。  今般経済事情の推移に即応いたしまして、経済調査庁法の一部改正を要することと相なつたのでありますが、特に説明を要します点について申し上げます。  改正の第一点は、経済調査庁任務重点を改めたことであります。すなわち、従来は経済統制の円滑な励行確保することを目的としておりましたが、今後は、経済統制の範囲にとどまらず、経済関係法令一般の円滑な運営確保することに改めるとともに、新たに特別調達庁及び公団監査を行うことができることとし、またその監査の結果を関係機関に対して勧告をなし得る規定を設ける等、監査の面に一段と力を注ぐこととしたことであります。  第二点は、地方機構を整備したことであります。すなわち経済安定本部設置法の一部改正と相まちまして、管区経済調査庁経済安定本部の他の地方機関とともに、新たに設置いたします管区経済局に統合し、また地方経済調査庁地方経済調査局と改称したことであります。  経済調査庁法改正の要点は、以上の通りでありますが、御承知のように、国民経済の調和ある復興をはかるため、経済関係諸法令の円滑な運営確保いたしますことは、現下きわめて緊要なことであります。経済調査庁といたしましては、その任務重要性にかんがみまして、今後ますますその使命達成に遺憾なきを期したい所存であります。  今般提案いたします法律案は、この使命を達成するため必要な改正を行おうとするものであります。  ここにすみやかなる御審議と御賛同をお願いする次第であります。
  4. 鈴木明良

    鈴木委員長 これにて政府提案理由説明は終了いたしました。続いて建設省関係政府委員がまだ見えられておりませんので、とりあえず経済調査庁法の一部を改正する法律案について質疑に入りたいと思います。質疑の通告がありますからこれを許します。田中角榮君。
  5. 田中角榮

    田中(角)委員 経済調査庁法の一部を改正する法律案第一条の二に対して当局の説明を求めます。この第一条の二「経済調査庁は、前条に規定する事務の外、特別調達庁及び法令による公団業務調査及び経理監査を行うことができる。」と規定せられておりまするが、第一条の二における特別調達庁は、公法人として考えられておられるかどうかという点に対して、まず意見を伺いたいと思います。
  6. 奥村重正

    奥村政府委員 お答えいたします。ただいま御説明申し上げましたように、今回の法律改正によりまして、従来調査庁といたしましては、経済統制励行確保仕事重点といたして参りましたが、今後間口を広げまして、重要なる経済関係法令一般励行確保ということに任じて参りたい、かように考えておる次第であります。そこで重要なる経済法令励行ということになりますと、言葉をかえて申しますと、要するに重要なる経済施策運営確保するということになろうかと思うのであります。つまり重要なる経済施策任務といたしまする行政機関等は、これをわれわれの監査対象といたしまして、いわゆる法の趣旨といたしまするところのその実行の段階におきまするずれがございますれば、それを調査発見いたしまして、相手方に勧告をし、その改善をいたしてもらうということをねらつておるわけであります。従いましておよそ行政機関と名のつきますものは、すべて建前といたしまして、調査庁監査対象となし得るごとくいたして参りたい、かように考えておるわけであります。そこでそういう建前をもちまして、第一条を規定いたしたのでありまするが、行政機関の中で、いわゆる重要経済法令に直接関係のないと申しますか、それを中心にして運営せられておるものとは、いささか解釈しにくいようなものが出て参つたのであります。つまり清算段階に入りました公団であるとか、あるいはまたただいまお示し特別調達庁のごときは、御承知通りにいわゆる調達命令によりまして、物件でありますとか、あるいは施設等を整えまして、その不必要になりました場合には、これをさらに売却をする。つまり物を買いましたり、売りましたりといつたような仕事をいたしておるわけであります。ただいま申し上げましたように、重要なる経済法令運営自体目的としておるというふうには、少し解釈がしにくいのであります。従いましてこれらの対象につきましては、特別に一条の二を設けまして特定をいたすという、立法上の形式を採用いたしたわけであります。さようないきさつで特別調達庁を第一条の二に特別に入れたわけでありますが、その趣旨といたしまするところは、第一条にただいま申し上げましたような意味合いで、一般的に掲げることができますれば、その形式によりたかつたのであります。実現上の技術でそういうふうになりましたことを、まず御了承願いたいと存じます。なおこの特別調達庁はいわゆるお役所でありまして、行政機関一つと考えております。
  7. 田中角榮

    田中(角)委員 第二に伺いたいことは、業務調査及び経理監査ということを規定されておりますが、これは実際に行う場合どういうことを意味しておられるか、承りたいと思います。
  8. 奥村重正

    奥村政府委員 行政監査をいたしまする場合に、ただいま申し上げましたように、通常の場合には重要なる経済法令運営いかんということを中心にいたしまして、少し言葉が固くございますが、いわゆるその運営上にむだや非能率がないか。つまり経済性の追及ということを中心のねらいにいたしまして仕事をして参るわけであります。しかしながら特殊な場合、特殊な機関につきましては、それだけでは目的を達しない場合が生じて来るのであります。たとえば清算段階に入りました公団のごときは、いわゆる経理中心にいたしました清算事務が、適当に運営せられておるかどうかということを課題として監査をいたすわけであります。特別調達庁につきましてもほぼ同様でございます。これは先刻申し上げましたように物件なり施設中心にいたしまして、金の出入ということが特別調達庁事務中心でございますから、それをわれわれは中心課題にいたしまして監査いたして参りたいと存じております。さような意味合いで、ただいまお示しのような表現をいたしたわけであります。
  9. 田中角榮

    田中(角)委員 第一問に申し上げましたように、特別調達庁公法人ではない、行政官庁であるということをお認めになつておられるのであるならば、この法律案目的とするところは了承できるのでありますが、法文字句に現われたこの表現の方法によると、この法律案目的とするもの以外に、解釈いかんによつては非常に広義に解釈せられる。その場合には、当然憲法規定するところの国の支出というものに対しては、会計検査院がこの会計検査の任に当るということで、私たち決算委員といたしまして現在の決算報告に対する取扱いというものの最終決定国会にあるのではないかということを、現に今研究しつつあるのであります。先般来各界の権威者を集めてこれが結論を出すべく努力をしておりますが、申し上げるまでもなく現在の状態においては、会計検査院において検査を確定することになつております。しかし私たちが現在の憲法下でもつて議院の権能というものを考える場合、会計検査報告というものに対しましては、これは単なる報告であり、議案ではないということを言われるならば、国政調査権というものを大きく解釈した場合、会計検査を行えるということも成立つわけであります。これは先般決算委員会における参考人の間に、非常に議論焦点となつたのでありますが、会計検査院会計検査を行い、最終にこれを確定するということに異議があり、かつ決算委員会権能において、国政調査権を発動して会計検査を行うということになつてさえも非常に重複するのであつて、これが解釈には、大きな面から見ても、かつまた各般の意見を徴しても、結論が見出せないような状態でありました。これは特に経理監査というものの重要性を説く場合は、当然決算委員会国政調査権というものを発動して、経理監査行つてもよろしいということも考えられます。これは憲法に現定するところの会計検査院権能というものと、どこで区分をするかということが非常にむずかしい。だから法の体系をくずさないで行くためには、まだ議論の余地があるということで、現在研究過程にあるわけです。そういうときにあたつて経済調査庁法の一部を改正する法律案が出されたのであります。その主目的とするところはよくわかりますが、特に会計検査院憲法規定する国の支出会計検査を行うということ以上に、行政官庁である特別調達庁に対しても、経済調査庁経理監査を行えるということであれば、これは非常に重複になるということが考えられると思うのであります。特に私たちの主張しておりますように、会計検査報告というものは、当然国会議決法案として提出せらるべきものであるということを考えられた場合は、特別調達庁においては、決算委員会監査を受け、会計検査院監査を受け、特にまた経済調査庁監査を受けるということになるのですが、これはもちろん国費支出の適正を期する意味においては、当然そのような処置がとられることも望ましいかもしれませんが、実際の問題として考えるときには、いわゆる憲法上の疑義も多少あるのではないかと思うのであります。これに対する根本的な立案者意見を聴取したいと思います。
  10. 奥村重正

    奥村政府委員 お答えいたします。ただいまのお尋ねは、要するに監査機能重複という点に要約することができると考えるのであります。私どももこの法案を考えます場合に、会計検査院との事務関係ということについては、非常に頭を使つたつもりでございます。打明けて申しますと、会計検査院責任者とも数回話合いをいたしました。その間、むだ、非能率監査して参ります調査庁が、監査機能の面においてお互いに重複いたしまして、みずからむだ、非能率を繰返すというようなことがあつてはまことに申訳ない次第で、そうい意味合いで数回談合いたしたのでありますが、その結論は、要するに会計検査院はいわゆる憲法上の機関でありまして、ただいまお話のように国会に対して責任を持つわけであります。また実際上業務運営は、この会計決算につきまして、つまり予算執行事後におきましてその状態検査するということに重点が置かれておる実情でございます。それに対しまして調査庁の方は、これはあくまで政府内部監査機関であります。検査院政府の外に立ちまして国会のみに責任を有することとは、おのずからその間に差異がございまして、政府内部機関という建前になつておるわけでございます。また実際の仕事のやり方も、会計検査院の、事後においていわゆる決算を見るということに重点を置いておるのに対しまして、私どもの方では、施策の運行の過程におきまして、そのむだ、非能率を発見いたしまして、当該官庁にこれを勧告いたします。その進行の過程において改むべきものは改めていただき、すぐその効果を上げていただく。つまり間違いを避けるということが仕事の半分でございます。その見つけたものをただちに改善していただくという、その面にむしろ重点を置きまして仕事をやつて参りたい。かようなことで会計検査院とは決して事務重複はないということで私どもの間では話合いがつきまして、今回の立案に至つたわけであります。
  11. 鈴木明良

    鈴木委員長 田中さんにお諮りいたしますが、ただいま建設省政府委員が見えられましたので、建設省設置法の一部改正法律案について、政府提案理由説明を求めた後、一括議題として質疑に入つた方が便宜だと思いますが、いかがでございましようか。
  12. 田中角榮

    田中(角)委員 よろしゆうございます。
  13. 鈴木明良

    鈴木委員長 それでは次に建設省設置法の一部を改正する法律案について政府提案理由説明を求めます。建設省事務次官中田政美君。     ―――――――――――――     ―――――――――――――
  14. 中田政美

    中田説明員 ただいま提案になりました建設省設置法の一部を改正する法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に行政機構簡素化の一環として諮問的な審議会を整理する一般的方針に基きまして、建設省におきましても官庁営繕審議会を廃止することとし、なお河川審議会及び道路審議会を廃止し、これにかえて土木審議会を設け、河川、砂防、道路災害復旧等土木に関する事項の審議機関とすることにいたし、その組織及び構成員について必要な規定を設けました。  第二に、地理調査所の有する高度の技術を活用いたすべく公共団体日本国有鉄道または日本専売公社の委託に基いて、土地の測量、地図の調整及び測量用写真の撮影を行うことができるものといたしました。  第三に、関東地方建設局の位置を船橋市から東京都港区に移す必要があるので所要の改正を加えました。  以上がこの法律案の大要であります。何とぞ御審議をお願いいたします。
  15. 鈴木明良

    鈴木委員長 これにて政府提案理由説明は終了いたしました。  建設省設置法の一部を改正する法律案、それから経済調査庁の一部を改正する法律案一括議題として質疑を継続いたします。田中角榮君。
  16. 田中角榮

    田中(角)委員 まず先ほどの質問に続きまして、経済調査庁法の一部を改正する法律案に対して質問を続行いたします。本法案立案に対して、いろいろ経済調査庁でとられた処置に対しましては、当然のことであると思つてもおりますし、しかも十分審議を尽されたようでありまするが、私はこの問題はただ単に便宜的に業務が混淆しないというよりも、これは非常に大きな問題であり、かつ先例となる問題でありますので、十分論議を尽しておく必要があると考えておるので、こまかいところまでお聞きするようでありますが、こういう条項に対しては明らかにしておきたいと思つておるのであります。その意味で私は憲法規定しておるところの特別調達庁、すなわち行政官庁に対する会計監査責任会計検査院であるということを、私はまず第一に認識しておるわけであります。その場合本法案目的とするところが、会計検査院が行う会計検査と全然目的を異にしておるとは言いながら、本条文を見るときに、当然会計経理監査権限経済調査庁に付与することになるのでありまして、この場合は官庁権限紛淆は免れないと思うのですが、私はこういうものは事実上どうであろうとも、第三者が考えた場合、立案者気持通りにこの法律が運用せられるとは思いません。法律案法律なつた場合は、この字句によつて運用せられるのでございまして、私はこれは重大なる官庁権限紛淆であると思う。だからまずこの問題の紛淆でないということから解決して行かなければ、本条文をそのままうのみにするわけには相ならぬと考えております。その意味におきましては、先ほど次長が御説明になりましたように、会計検査院憲法規定により国会に対して国の支出監査に対する責任を負うのはもちろんわかります。しかしそこに私たち決算委員会で考えておるところの、会計検査院だけをもつて監査を行うことは不適当である、それは何によつて不適当かというと、実際問題として不適当だ、なぜかというと、現在の会計検査院権能において、会計検査院憲法規定せられた通り業務を行う責任を持つことはかたいという結論に達しておるから、そういうことを申し上げておるのであります。会計検査院が行う国の支出に対する会計検査というものが、国会に対して最終的検査報告に対する責任を負うのみであつたならば、会計検査院権能は非常に小さくなつてしまう。憲法規定するところの会計検査というものは、もちろん国会に対してその検査確定に対する責任を負うと同時に、国の支出適正効率化ということは当然な任務であります。現在の会計検査院組織機能としては、これを行うことができないというだけに過ぎません。会計検査院は現在の組織機能において、憲法規定せられるところ、みずからに付与せられた権能を行うことができないというだけであつて、その場合、私はもしそうであつたならば、決算委員会国政調査権を発動しても、検査と国の支出の適正は当然はからなければならないというところに、われわれの議論焦点があるのであります。そういう意味からいつて、私は、次長が言われた会計検査院国会に対してのみ責任を負うのであるということが詭弁であるとは申し上げません。申し上げませんが、私は次に根本原則において、特別調達庁という行政機関が、初めて経済査察庁というがごときものの経理検査を受けるということの第一歩を踏むのであるから、この疑義をはつきりしておかないで、経済調査庁会計検査院権能を犯さないということをもつて経理検査を行える権能を付与することは妥当でないと考えております。その意味で私は第二問において、あなたに経理検査というものは現実にいかなることを行うのかという定義の説明を求めたのですが、これに対してあなたからは御答弁がなかつたのです。なかつたものだから結局根本的にこういう質問というか、私の意見の発表ということになるのですが、この問題をやはり相当深く研究していただきたい。私たち自身も、ただ単に軽々に会計検査院お話をしたから、また現実的に実際会計検査院がやつておる仕事と、私たちがやる目的とするところの仕事が違うから、この法文を通してよいじやないかということにはちよつといかぬと思うのです。私はできるならばこういう疑義がはつきり解決するまでは、特別調達庁というものを削つて公法人に対してのみ在来通り会計検査を行うということの方が妥当である。法理的に考えてもそういうふうに確信しておるわけでありますが、これに対する御意見を求むることは非常に御むりだとは思いますが、私の発言に対して何か御意見があつたら承りたいと思います。
  17. 奥村重正

    奥村政府委員 会計検査院が人員その他の関係で、十分なる手が揃いますれば、決算に対する検査のみならず、私が先刻お聞取りを願いましたようなこともやれるのぢやなかろうかという話に対しましては、深く研究はいたしておりませんが、大体さように私も考えております。ただしかし私どもが今回新たにこういう法律改正をお願いいたしまして、行政監査をやつて参りたいというふうに考えました動機は、いろいろあるのでありますが、その中の一つといたしまして、これは今さら申し上げるまでもないことかもしれませんが、監査というのは、大体監査をいたしまする機関立場で、その立場ということが非常に重要になつて参るようであります。つまり先刻調査庁政府内部監査機構であるということを申し上げたのでありまするが、さらにこまかく考えてみますると、それぞれの行政機関というのは、大体調査庁機能をまつまでもなく、それぞれその機関内部において監査機構を持つておるのが通常でございます。これは鉄道でありますとか、逓信でありますとか、ああいう事業官庁には、それぞれいわゆる監査をいたします特別な部局がございまして、それらのものが地方機関その他の経理監査をいたしておるのでございます。またそういう事業官庁でございませんでも、たとえば私ども役所を例にとりましても、中央経済調査庁地方出先機関を持つておるわけでありますが、やはり会計課というものがございます。その会計課会計検査院検査とは別に、やはり内部に不始末がないようにということで、常時監査をいたしておるのでございます。しかしながらこういう内輪の監査でございますと、どうしても機微な点に触れがたいというふうなことがございまして、どうしても厳正な監査をいたしまするためには、公正な立場に立ち得るところの、第三者としての機関がこれに当るということが、ぜひ必要なようでございます。もちろんそうかと申しましてそれぞれの機関が持つております内部的な機関というものが、むだとは申し上げませんが、どうしても第三者的な、他人の立場でものを公正に見て行くという機能がぜひ必要ではないか。これは私どもの短い経験から申しましても、そういうふうに痛感せられるのであります。調査庁といたしましては、そういう意味合いで、政府の部内におきまして他の機関のそとに立ちまして、第三者立場で公正に物事を見て参りたい。こういうふうなことで、今回の法律改正をお願いいたしておるわけでありまして、いろいろ重複するようでありますが、それぞれの機関が立ちまする立場の相違によりまして、その監査の結果自体、その効果自体にも著しい差異が生じて来るというふうなことを考えておるわけであります。
  18. 田中角榮

    田中(角)委員 少し質問が長くなるようで恐縮でございますが、非常に根本問題を含んでおるだけに、もう一問御質問したいと思います。  ただいま立案者からのお考えの開陳があつたようでありますが、これは法制上の疑義も私はあると思うのでありまして法律家意見も私は当然聞いてみなければならぬと思つております。しかし立案者がいろいろ御相談になつたということでありますが、立案者お答えになれるならお答えになつていただいて、もしこれが純然たる法律問題である場合は、委員長において法制局長でもお呼びになつて、ひとつその疑義に対する回答を得られるようにとりはからわれたいと思うのであります。第三者業務適正運営をはかるために監査をすることはいいことだ、これはまことにけつこうなんです。けつこうなんですが、公法人というものではなく、行政官庁一つですから、これを経済調査庁という同じ行政官庁査察を行うことに対しては、相当の基本法規というものがなければならないのです。現在会計検査院というものが、国の支出会計検査行つておりますが、これは憲法規定があるからであります。好むと好まざるとにかかわらず、憲法において、国の支出に対しては会計検査院がこれに対する監査を行う、こういう不磨の鉄則があるからやられるのでありまして、ただ一つ法律をつくつてこれをやり、しかも会計検査院という憲法規定する権限紛淆するおそれがある。これはとにかくこの規定に完全に違反するということを断定するのではありませんが、少くともそういう官庁権限紛淆というものを来しておるということが断定せられる以上、この問題はもつと深刻に考えなければならぬと私は考えておるのであります。しかも私が会計検査院そのものに対しても、相当の疑義を持つてつたのです。この間各界の権威者がおいでになりましたときに、私の質問の要旨はそこだつたのですが、会計検査院憲法上の権能において検査を行うということは、実際に適正にこれを行えるか、行えないかわからぬ。私は会計監査というものが、ただ儀礼的に検査確定をするという必要をもつてのみ会計検査院があるのであつたならば、こんなものはたいしたことはない。これは旧憲法においていわゆる天皇の名において予算が組まれ、議会は協賛議会だつたのです。その場合天皇の名において組まれた予算執行に対して、天皇の名において会計監査会計検査院が行つた。この会計検査院権能というものは、現在の新憲法をつくるときに、相当議論をせられなければならなかつたと私は考えております。しかし現在の憲法がある以上、この憲法によつてやるのでありますが、しかしそれは大きく原則的に考えた場合、今度予算編成権というものは行政府にありますが、予算の採決権というものは国会にあるわけです。その場合は、当然国会が行政府のいわゆる国の支出監査を行うというのが新憲法の鉄則だと、こういうふうに考えているのですが、それは現在の憲法上においてはいろいろな疑義があるのです。ちようど新憲法と旧憲法の合の子として残つたの会計検査院なんです。それはもう皆さんおわかりの通りだと思う。だから旧憲法においては、会計検査院決算を確定し、いわゆる決算報告書は会計検査院においては確定したのですが、現在の憲法では、確定という二字が除かれております。その意味において最終確定というものは、国会の議決を経た場合初めて結了するのではないかということは、われわれがさんざん議論した対象でありますが、そういう意味から見ましても、現在の会計検査院そのものに対しても、識者が相当疑義を持たれている現在、なおこの権限紛淆するがごとき性質を持つ一つ行政官庁が、ある一つ行政官庁に対して経理監査を行うということは、非常にむずかしい問題が起きると私は考えます。しかもこの法律案によりますと、監査を行うことができるとだけ書いてあるのですが、会計検査院は御承知通り監査を行い、これを確定しなければならぬ責任がある。しかも国会に対しても責任を負うのですが、この法律案によつて相当原則的には、国費の效率投下ということのねらいの大半はうまく行くかもわかりませんが、実際面においてこの条文に対して、いわゆる業務調査経理監査行つてどういうふうにされようとするのですか。これが法律案なつた場合、特別調達庁に対してこの調査及び監査を行つた場合、その過程においてどういう処置をとつてよろしいという権能までこれに付与しなければ、この法律案というものが、まつたく基本的なる理念において紛淆を来しながら、実際問題としては竜頭蛇尾に終るということであるならば、こういうことは書かない方がよい。そういうふうに考えるのですが、それに対してどういうふうにお考えになりますか。なおその経理検査に対して、罰則を設け、組みかえを要求し、あらゆる行政的措置がとられるものではないか。これは当然現在の法律においては、ただに監査を行うことができるだけであつて、これに対する処置経済調査庁においてとられるとは思いません。これは法律的に疑義がある。だからこの調査庁というものは、公法人というものが目的であつて、本来の目的通りに動かれた方がよい。しかも特別調達庁公法人と同じような性格の部面があるからというならば、もう一歩後退させて、その部面だけ、俗に言うならば解除物件であるとか、そういうところがねらいであると思うから、それによつていわゆる解除物件なら解除物件の部門に対しては調査を行える。これは法文上不体裁になるかもわかりませんが、そういうふうに考えなければいかぬ。この条文で言うと、すなわち特別調達庁官房会計課会計検査までただちに行えるというように、法律解釈としては当然解釈せられます。そういう疑義に対しては何も言わず、特別調達庁というものを一つだけ行政官庁の中で出すということは、そのねらいとしては非常にわかるのですが、法律疑義が非常にあるからこれだけ一条お削りになつたらどうですか。この法律案の原案をおつくりになつた当時の公法人だけを対象にしたねらいで行くべきだ、こう考えておるのです。これはごむりな御注文であるかもしれませんが、御意見があつたら承りたい。しかも立案者はそういうことを十分承知しておるのでありますが、立案した以上支障がないというのだからお通しくださいというお気持であろうと思いますが、私たちもこういうものを審議する上におきましては、長く将来に残るものであつて、こういうものだけを単にこの条文だけで考えるわけには行かないという立場から申し上げるのでありますから、御意見があつたら承りたいと思います。なおこれに対する私の納得するような法律的御意見は承れないと思いますが、その場合は委員長において先ほど申し上げましたように、法制上の権威者を集めてその意見を徴されんことを望みます。
  19. 奥村重正

    奥村政府委員 かれこれ申し上げるようでまことに恐縮でございますが、私どもの方で監査をいたしまするのは、先刻来申し上げておりまするように、政府部内の内部監査機構といたしまして仕事をやつて参りたいということでございますから、あくまで政府部内のいわゆる自己監査をやるわけであります。つまり政府が自己反省の資料を求めるための監査をいたすわけでございます。さように御了承を願いたいと思います。  それからなお特別調達庁監査をいたしまする場合に、先方とよく連絡をとりまして、その間にむだのないようには十分いたして参りたい、かように考えております。と申しますのは、ただいまお話がございましたように、私どもの方といたしましては、監査の結果をその効果を上げて参る方法といたしましては、ただ単にいわゆる勧告権を現定いたしておるだけであります。御承知のように勧告権は、法律上の効果は何もないのであります。勧告をいたしました場合に、相手方がそれに従わなければならないというようなことには相ならないのであります。そこでそのため当然の結果といたしまして、相手方がよく納得をしてくれまして、それではお前の方の監査の結果の注意はまことに適当であるから、それに協力をしてひとつ改善をして参ろう、こういう気持になつてくれることがどうしても必要な条件になるのであります。そういう意味合いにおきましていろいろな連絡等につきまして遺漏のないようにやつて参るということが、私ども役所仕事効果を上げて参ります一つの条件になるわけであります。その点につきましては十分運用の上にも注意して参りたいと考えております。ただいまお尋ねのお答えにはならぬと思いますが、気持だけを申し上げまして、ひとつ本案に御賛成願いたい次第であります。
  20. 田中角榮

    田中(角)委員 もう一点だけ、今どうも思いつきのようで次長さんにはまことに気の毒でありますが、自己反省のために大衆批判に訴えるといような非常にいい法律案のようでありますが、いろいろ疑義もありますので、私はほんとうにそうであるならば、現在の会計検査院法を改正して、現在の経済査察庁会計検査院が一体となつて会計検査院はほんとうに憲法規定するところの、憲法から命ぜられた国の支出に対するほんとうの番人であると同時に、厳正なる検査官というところまで持つて行かれた方が、本法案のまつたく数千倍、数万倍、数えることのできない効率を上げ得ると思うのであります。この法律案立案準備せられると同時に、そういう方面に大きく目をお開きになられんことを希望して私の質問を終ります。  次に一括議題になつております建設省設置法の一部を改正する法律案に対して律設省当局の意見を徴します。「第十条第一項の表中」という段でありますが、「官庁営繕審議会河川審議会及び道路審議会の項を削り」というのですが、少し酷評になるかもわかりませんが、建設次官に一言申し上げます。建設省が内閣のいわゆる行政簡素化ということに協力しておるということに対しては、私は大いに敬意を表します。私も与党の議員でありますので、官庁機構の再編成、行政機関の単一化、簡素化ということに対しては大賛成をしておるのであります。建設省が率先この内閣並びに党の基本政策に協力せられておるその態度は、まことに感激おくあたわないのでありますが、しかし現在この改正法律案によつて官庁営繕審議会河川審議会道路審議会というごとき、まさに一省にもしたいような大きな審議会をみな削つてしまつて、そうして測量審議会、建設業審議会、今度できるところの建築士審議会、こんな愚にもつかない、といつてはまことに言葉が足らないと思うのでありますが、ただ審議会を数においてのみ減らし、最も重要なる審議会を減らされて、河川審議会道路審議会官庁営繕審議会というような、国土省をつくるというような場合その根幹をなすべき審議会を削つて小さくするというような御意見は、一体どこにあるかということをまず私は承りたいと思います。承る前に、私は官庁営繕審議会河川審議会道路審議会などは当然これは残すべきだ、これは論をまたないところであります。なぜお削りになるのか。これは腰が弱くて削られたのか、いずれにせよ私は糾明しておきたいと考えます。それはきのう私たち建設委員会から合同審議会を申し込みました建設省並びに経済査察庁法案の二案を合同審議をするつもりでおりましたところ、経済安定本部設置法の一部を改正する法律案がきのう通つてしまつたそうであります。私はこれは閣議にもかかり、次官会議にもかかつたものだと思いますが、建設省でちようど削つたような審議会ができております。建設省が水政省になつて安本が建設省になるのであれば、これはまた何をかいわんやでありますが、いわゆる経済安定本部設置法の中で、河川総合開発調査協議会というのが、法制的に裏づけをもつてきのう当委員会で多数でもつてつております。これは現在経済安定本部の中で、いわめる省の規則において、実際河川総合開発調査協議会というのがあつたのだから、これを法制化するのは大したことはないかという、まつたくの便宜論でもつてこれに御賛成になつたのであろうと思いますが、少くとも建設省当局としては、行政機構の再編成において官庁営繕の統一をはかり、いわゆる国土省をつくるという意気があるならば、なぜ一体河川審議会道路審議会官庁営繕審議会を削ることに御賛成になつたのか。これは非常に酷評するようでありますが、私たちは今まで官庁営繕の統一というような問題を基本にして、行政機構の再編成は、建設行政の一元化から進めて行かなければ絶対に行政機構の簡素化ができないということを、四年間もしやべつておるのであります。これは非常に内閣委員の諸君には言いにくい言葉ですが、私たちといたしましては四年間もやつてつたのに、またぞろ政府施策に協力するという美名のもとに、だんだんだんだんとそういうものが小さくなつて行くことは遺憾千万と思うのです。これに対していろいろ御議論もあるでしようが、次官の率直なる意見を徴したいと思います。
  21. 中田政美

    中田説明員 田中さんから御質問になりました点についてわれわれの考えておるところを率直にお答えいたしまして、御了解を得たいと存じます。  官庁営繕審議会を削除し、河川審議会及び道路審議会を合せて土木審議会にいたしたことにつきまして、形の上においてはいかにも縮小ではないか、やせ細つて行くではないかという御意見でありますが、われわれもはなはだ遺憾に存じております。しかしながら冒頭田中さんからもお話がございました通り、現内閣の、行政機構はできるだけ簡素にして、しかも内容において力強くやつて行こうという大方針に十分協力する意味におきまして、この原案をつくつたわけでございます。従いまして官庁営繕の重要性、あるいは河川道路行政の重要性につきましては、田中さんのおつしやる通りで、われわれはその機構を縮小するというような意味において賛成するものではございません。内容において十分これを拡大し、強力なものにしなければならぬという点については、全然同感でございます。ただ各種の審議会をなるべく簡素にするという意味におきまして、営繕審議会の内容は、比較的各省の官庁内部話合い重点としてまかなつて行け得るではないかというような意味から、その内容自身が軽く取扱われるという意味ではなくして、方法においてはそういう方法でまかなえるではないかという意味において、この営繕審議会は設置法の中からは削ることにいたしたわけでございます。官庁間の協力によりまして営繕の内容を充実し、営繕統一のさらに一段の進展をはかりたいという点については、田中さんの御指摘の通り十分努力して行きたいと存じます。  河川道路審議会を合せて土木審議会にしたことにつきましては、これは事柄が必ずしも一致しておるという意味ではございませんが、河川にいたしましても、道路にいたしましても、その方法面においてはやはり土木、特に土木技術というものが共通点でございますし、いろいろの審議をしていただく委員の顔ぶれ等も、比較的に共通性があるという意味におきまして、これを土木審議会といたしたわけでございます。内務省当時ありました土木会議においても河川道路等がその内容になつておりまして、これを現実にやる場合には部会等も考えられますが、委員の方々はおおむね専門の方々をお願いし得る。そういう意味におきまして、これも簡素化に協力する一環として統一したわけでございます。そういう意味でございますので、この点はひとつ大原則の簡素化という意味で、中味は十分勉強してやるということで御了承願いたいと思います。  安本の設置法案はすでに内閣委員会において御可決になつたそうでございますが、これは実は官制上は認められてなかつたのでございますが、予算の裏づけがあつて、すでに過去二箇年以上おやりになつてつた事実上の協議会がございまして、それにはわれわれの方の関係係官も参加しまして、河川の総合開発について協議をいたしておりましたものを、今回のこの設置法の整理にあたりまして、法的の裏づけをされたわけでございまして、実体においては、河川そのものの改良計画というようなもののみならず、あるいは水力資源その他万般の河川に関する総合開発の点を協議する意味で安本に事実上置かれ、またわれわれもそれに協力しておつた関係もございまして、その実体は認めないわけには参りません。またこれの運用につきましては、建設省土木審議会との関係におきまして、相互矛盾なく、それぞれの立場で検討して行く上において必要があろうと思いまして、立案当時においては折衝を重ねたのですが、政府としてはこういう姿で提案することになつたわけでございますので、この点も御了承おきを願います。  国土省的な性格等において、国土の保全開発について建設省が十分力を入れなければならぬという点につきましては、田中さんの御指摘の通り、われわれも皆様の御協力を得て、この重大なる国策の遂行に渾身の努力を払いたいと存じておりますので、御了承を願いたいと思います。
  22. 田中角榮

    田中(角)委員 懇切なる御意見の開陳があつて了承もできるのであります。なおその御発言中に、悲壮なる御気持をもつて大義に殉じたという、まことによい御発言がありまして、与党の議員である私もはなはだ感激をいたしております。しかし建設省の次官に、これはこの法律をもとにいたしましてこれから出る法律案に非常に関連性を持つておりますので、蛇足のようでありますが、一言申し上げます。行政の簡素化ということは非常に重大なことであり、これに協力せらるる各官庁の真摯な態度に対しては、敬意を払つております。しかしただいま私が申しました通り経済安定本部では、現実に必要であるというので、今まで法制上なかつた河川総合開発調査協議会というものを法制化しておるではありませんか。私はどうも経済安定本部のことばかり言つているようでありますが、安定本部では現在こういうものをお立てになつておる。もう一つは、今私が申し上げましたように、経済調査庁法の一部を改正する法律案においては、官庁権限が非常にまぎらわしいというような疑義を持たれながらも、現実に必要であるなれば経済調査庁法の中に一項を加えて、あらためて特別調達庁経理監査をも行おうというふうにしておりまして、前二法案に比べてあまりに純情にお考えになりすぎておられるようであります。何しろ大義に殉じておられると言われれば申し上げることはありません。しかしこの次には測量審議会土木審議会の次には建設業審議会というのがあるのですが、私たちは大きな観点に立ちまして、官庁機構の再編成という意味から、また行政機構の簡素化のために、官庁営繕基準法とも言うべきものを出して官庁営繕の統一をはかろうと考えているのです。そうすれば審議会がまたできるのです。のみならず、建設省はいろいろな方面と折衝の結果、今議会に改正道路法を提案せられようとしておつたではありませんか。もし建設省がこれをお出しにならぬならば、議員提案としてもこれを提出する用意がある旨言明しております。なお建設委員会は小委員会をつくつて、これが起案に努力中であります。それならばこれまた道路審議会というものができるのです。河川に対してはもう言わずもがなであります。現在の大きな国富を、年々歳々水に流すのはみな河川です。そうすればこの三つの審議会を削ろうとしても削られないのです。われわれは絶対にこれを残すような方法でもつて審議を進めておるのですから、また建設省一つそういうふうになるべくお考えになつていただきたいということだけ申し上げておきます。私の質問を終ります。
  23. 鈴木明良

    鈴木委員長 次に深澤義守くん。
  24. 深澤義守

    ○深澤委員 経済調査庁法の一部を改正する法律案につきまして、二、三の質問を行いたいと思います。経済調査庁任務特別調達庁及び公団監査を行うことができるというぐあいに拡張したようでありますが、法案におきましてその任務を拡張して、今御答弁になりましたように、政府部内における行政機構の自己反省のために行うのであるということもけつこうでありますが、従来経済調査庁が重大なる監査を行つたようでありますが、それが国民にあるいは一般に対して、十分はつきり発表されていないという事実があるわけであります。それは現在各種の公団経理につきましては、国民すべてがこの内容について非常な疑惑を持つているわけです。この国民の疑惑にこたえるために、経済調査庁は各公団監査を行つたということをわれわれは聞いているのであります。三月四日の読売新聞におきましても、経済調査庁監査をしたが、その監査の結果の発表を隠蔽しておるということをはつきり新聞に書いております。これは国民の聞かんとするところであり、またわれわれの知りたいところであります。何ゆえに経済調査庁は、この公団監査を行つたその結果を一般に発表しないか、その点について質問したいのであります。
  25. 奥村重正

    奥村政府委員 お答えいたします。各種の公団に対しまして監査を実行いたしましたことは、ただいまお話通りでございます。発表を差控えたいというふうな特別な固い原則を立てて参つたわけではありませんが、実際問題といたしまして、私ども公団の内容を監査いたしましたあとの印象は、こういうことでございます。つまり私どもの方の監査は、先刻御説明申し上げましたように、要するに不備、不正があるということを見つけ出すということだけが目的でなしに、その見つけました結果を相手方にしかるべく通達いたしまして、その改善の実をあげてもらうということが、一番大きなねらいでございます。従いましていろいろ問題がございました場合に、それを相手方が改善をして行くというのに都合のいいような環境をつくつて行く。それに協力するということは、私ども任務を達成して参ります上に、非常に必要なことではなかろうか。かように考えるのでございます。公団監査の結果は、いわゆる終息段階に入つております公団といたしましては、いろいろ人員の整理等もございます。この際内容をかれこれあからさまにいたしますことが、必ずしも今申し上げましたような意味合いで、私ども仕事目的を達成せしめて行くゆえんではないというふうな考え方に相なりまして、ただいまのところでは、積極的にこれを世間に発表するというふうな態度に出ておらないのでございます。
  26. 深澤義守

    ○深澤委員 経済調査庁が、公団監査をした後におきまして、各関係方面に勧告をいたして、その善処方をはかつたというようなことも聞いておりますが、それにもかかわらず、数日の新聞紙は鉱工品公団の不正問題を取上げられまして、大きな問題になつておるわけであります。従つて単にこれを相手方に勧告するという程度におきましては、今日の公団内部にあるところの不正事実は、決して矯正されないとわれわれは考えるのであります。従つて経済調査庁は、その監査いたしました内容を国民にも発表し、公正な輿論の背景をもつてこれを解決するという方法でなければ、今日の公団の内容というものは、単に勧告程度で解決さるべき問題ではないとわれわれは考えます。いかに多くの国費が、この公団運営のためにつぎ込まれておるか、国民がそのために、いかに大きな負担をしておるか、こういうことを考えてみます場合におきましては、もちろんそれはいろいろなさしさわりもございましよう。しかしそれは敢然として国民の寄託に沿い得る行政機関として、その任務を遂行すべきであるとわれわれは考えるのであります。ところが読売新聞に掲載されておるところによりますれば、「全容を発表すれば関係各方面に重大な影響を及ぼすとして青木経本長官その他関係当事者と打合せた結果、当初の方針を変更、極秘裡に公団、監督官庁に通達して善後措置を急いでいる模様である」というようなことが新聞に掲載されておるのであります。調査庁としては、こうした内容をつかんでおりながらも、これを外部に発表することを避けて内部的にこれを処理しようとしておる。しかしおおい隠すことのできない不正が、もうだんだん出て参るわけなのです。従つて今からでもわれわれはおそくはないと思うのです。国会に対して経済調査庁は、その監査いたしました結果を、今からでも発表する用意があるかどうか。国会に対してその内容を全部報告することを確認し、それを実行する決意があるか。この点を私はお伺いいたします。
  27. 奥村重正

    奥村政府委員 ただいま申し上げましたように、私どもの方といたしましては、終息段階に入りました公団の職員の士気をいたずらに沮喪せしむると申しますか、さなきだに一致した気持をもつて公団の跡始末をするという点については、各種の苦心がいるわけであります。その環境の中にありまして、これが追い討ちをするというふうなことで、関係方面の人たちをデスカレージいたしまして、仕事効果が上つて参らぬというふうになつて参りますことを非常におそれまして、決して隠すという気持でございません。相手方とよく話合いまして、われわれ見たところでは、こういう点がある。これをひとつあな方もわれわれと協力して直してもらいたいというふうな態度をもつて臨んで参つたわけでございます。その反面の結果といたしまして、何かそれを秘匿しているというふうな印象を一部に与えておるというお話でございます。その点については、まことに残念に存ずるわけであります。しかしながらある種の段階に達しまして、結局私どもの方としてそれを内部的の話合いということでは効果が上らない。つまりいかに私どもが気を使いましても、先方の気持を引立てて行く上におきまして、協力をする面がないというふうな段階に達しますれば、私どもとしても考え方を少し改めてもしかるべきじやなかろうか。かように考えております。ただいま鉱工品貿易公団のことについて、特にお話がございました。この公団についても他の公団と同様に、私どもの見るところを率直に先方に伝えましたので、向うの責任者は、全部私どもの調べました結果の内容をよく承知いたしておつたはずでございます。
  28. 深澤義守

    ○深澤委員 ただいまの御答弁によりますと、公団がすでに終息段階に入つておるのだから、この際追い討ち的にそういうものを発表することは、かえつてその処理に困難を来す結果を生むからということでございますが、公団等が解散をされるというこの段階こそ、一番重大であるとわれわれは考えます。その解散のどさくさまぎれに、ややもすれば非常に大きな不正が起つて来るという可能性があるわけでございます。従つて終息段階に達しておればこそ、今までの全容を発表いたしまして、そうして公正なる処置勧告すべきであり、またこれを国会等にも明確にして批判を仰ぐべき段階であるとわれわれは考えるわけであります。ところが調査庁の態度は、これを何とかして表面にボロの出ないように解決しようという意図があるようにわれわれは考えるのであります。しかし公団の処理のいかんによりましては、国民の負担というものに関係して来るわけであります。われわれはこの際一銭たりとも国民の負担を軽減すべき責任と義務がある。そういう意味からいつても、従来の全容を具体的に発表して、これに国民の批判と国会等の意見をも加えまして、そうして終息段階にある公団の処理を国民の負担を少くして解決するという努力をしなくてはならぬことを痛感するわけであります。そういう意味において、今の御答弁は私としては納得できない。調査庁は、今まで調査せられたところの全容を、国会に対して報告する準備があるかどうか。もし報告する考えがおありになるとすれば、いつそれを報告されるか。そういう点についてのお考えをひとつはつきり聞きたいのであります。
  29. 奥村重正

    奥村政府委員 ただいまお話のごとく公団に間違いがございますれば、結局国民にその負担がかかつて行くわけでございます。そういう心持ちをもちまして、むしろ終息段階において先方と協力いたしまして、一銭でもそこでむだがないように、できるだけ間違いの幅を小さくして参りたいというようなことに努力して来たつもりでございます。しかしながらそのために、ただいまお示しのような御印象を与えましたことは、まことに恐縮であります。またお話のお気持は、私にはよくわかるのであります。いろいろなそれぞれの段階に応じまして、よく考えさせていただきたい。かように存じております。なお国会の方から正式に御要求がございますれば、これは私どもといたしまして、そのお示しに従う用意はもちろんございます。
  30. 深澤義守

    ○深澤委員 読売新聞の記事によりますれば、この調査庁公団監査の結果、数十億の不正を確認したという記事があるのでありますが、具体的に今その資料をお持ちにならないといたしましても、どの程度の不正があつたかということは、各公団についておわかりになると思います。もしおわかりになりましたならば、この席上でもよろしゆうございますから、大体どの程度の不正が確認されたか。それを明確にされたいと思います。
  31. 奥村重正

    奥村政府委員 ただいま数字の持合せがございませんが、大体の私どもの今までやりました公団監査のやり方について申し上げまして、御了解を得たいと存じます。何さま短期間に数多くの公団に当つたわけでございまして、すべての業務の内容について網羅的にこれを調べて参るということはとてもできなかつたのでございます。また調査庁建前から申しましても、それぞれやつて参りまする仕事の幅には、限定がおのずからあるわけでございます。そういうふうなことで先刻もちよつと申し上げましたように、いわゆる経済性の追究、公団運営にむだがないか、非能率なことがないかということを中心課題といたしまして監査をいたして参つたのでございます。従いましてこれが犯罪につながるかどうかというような面は、ただいままでの監査では中心課題といたしておりません。従いまして今お尋ねのような点につきましては、私どもの方でさほど多く申し上げるような材料の持合せがないのであります。
  32. 深澤義守

    ○深澤委員 それでは具体的にただ一点だけ伺いたいと思います。肥料公団経理について昭和二十三年度下半期の決算で、これは農林委員会でも明らかにされた問題でございますが、運賃として現実には支払われていないものを支払つたごとくに決算に書き加えておつたのが、たしか五億六十五万円ほど明確になつておるはずです。そうしてその問題について政府に対して農林委員会が一致してその処置についての要求を出してあつたのでありまするが、政府はそれをやらなかつた。そういうような問題が肥料公団等にもあるわけです。だからこの不正の確認というものはそんなになかつた、あるいはそういう不正というようなものはなかつたというぐあいに言われておりますが、明らかにそれは不正である。肥料公団等のそういう一つの問題だけをつかんでも、この公団経理というものについては非常な問題があるわけです。たとえて申しますれば、物価庁できめたところの公定の運賃と実際に支払つた運賃とでは、相当な開きが肥料公団でも食糧公団でも全部あるわけです。こういう問題については、どういう査察をされたか。それから政府に納付する期間があるわけですが、その期間を利用して、そうしてそれを金融機関に預けておいて、それを浮貸ししたというような事実も相当あるのでありまして、あるいは剰金金が不当に内部に留保されておつたというような問題も相当あるわけです。そういうような問題について、多くの問題が各公団にはあるはずだ。ところがあなたの今の御答弁によると、そういう不正は確認されていないというような御趣旨の御答弁があつたのであります。一体不正が公団にあつたのかなかつたのか、その点を一つ明確にお聞きしたいと思います。
  33. 木村武

    ○木村(武)政府委員 ただいまお尋ねの肥料公団の問題は、若干誤解がおありのようでございまして、五億円の内部留保は現実にどうしたということではないのでありまして、二十三年の後期の決算面で運賃の未払い諸掛ということで立てまして、決算では損金に落しておりますが、さらに二十四年度に持ち越しているということでありまして、現実にその金が消費されてしまつたというわけではないのであります。その段階で実は私どもが発見いたしたのでありまして、ただちに予防的措置と申しますか、先ほど次長から申されましたようなことで、その五億円のものを正式に表に出しまして、国庫に返したということに相なつております。犯罪というようなわけには参らぬのでありまして、さようなことと御了承を願います。  それから政府に納付する金を納付しないままで公団で運用しているとか、浮貸しその他にまわしているというようなお話があつたのでありますが、その納付金の政府に対する納付の手続が遅れているというような例は各公団で若干見られたのであります。これは価格差益金とか、いろいろなことも中にはあるのでありますが、なかなか手続はめんどうなこともあるのでありまして、必ずしも公団側だけの懈怠というわけにはいかぬ、こういうような面があつたのであります。その点につきましては、さつそくそれぞれの関係機関に連絡いたしまして、ただちにその手続をとるようにいたしまして、相当にその納付の手続が促進された、こういう状況に相なつております。実は浮き貸しその他の問題が出たのでありますが、この点私ども一つ一つのそういうケースをつかまえてつつ込んで参るということにつきましては、手がまわりかねておりますし、要するに公団の帳簿の問題を究明して参つておるのでありまして、そういうふうなことのできやすい背景がある。そういうことがいかにもできやすいような公団の現金、預金の経理的な状況が見られる。こういうことにつきましては、それぞれ関係当局に勧告いたしておるのであります。具体的の一つ一つのケースをつかまえてはいない、こういう状況であります。
  34. 深澤義守

    ○深澤委員 ただいま肥料公団経理については、不正ではないと御答弁があつたのでありますが、われわれ農林委員会にをきまして公団の支局長を喚問したわけであります。そのときに、明らかに門司の支局長並びに大阪の支局長、名古屋の支局長は、二十三年度の決算が済んでしまつた。ところが中央から、これだけをお前のところでは運賃として払つてないが、運賃として払つたように決算書をこしらえ直して持つて来い、こういうことで、自分たちはどういうことであるか知らないが、中央の要求であるからといつて、それをそのまま払つてない運賃を払つたごとくに決算に書き加えて出上たということをはつきり証言しているのです。それをそのまま中央においてはまとめて、二十三年度の肥料公団全体の決算として経済安定本部に出している。こういう事実が明瞭になつた。これはもちろんその金をどう処分したかということまでは発展しなかつたにしても、明らかに経理上の不正である。こういう問題が不正として確認されて、そうして追究されない限りは、おそらく不正なんというものは見出せない。これを大した問題でないかのごとく調査庁としては考えられておるのか。これこそわれわれは重大なる問題であると考える。こういう点について不正でないという感覚は、実にわれわれは了解に苦しむわけです。  もう一つは、あまり長くなりますから、くどくどしくは申し上げませんが、こうした公団の問題は今全国民の疑惑の的にある。そうしてここに非常に国民の多くの犠牲が払われているということは、国家においても、一般会計から相当公団に運転資金、あるいはその損害の補填について経費がつぎ込まれているわけです。そういう意味からいつて公団の内容のごときは国民の前に広く公開して、国会が要求しなくても、何人が要求しなくても、調査庁自体の独自の立場において、これは明確に国民に発表すべきであるとわれわれは考えます。そうしなければ、政府部内にあつて一つの独立的な立場において経理監査し、そうして国民の負担を軽減するという任務は全うされないと考えるわけです。ただ内部的にこれを処理しよう、表面に出さないようにしようということであるならば、いかにこの調査庁権限に関する法律をきめましても、これを国民とともに、あるいは公正に処理するという考えがなければ、これは法案をどういうぐあいにつくりましても、その効果は上らないと考えるわけです。そういう意味からいつて国会が要求しなくても、今までの公団にからむ監査につきましては、ちようどこの終息段階にある重大な時期でありますから、むしろこれを発表されたい。こういうことを私は希望して大体私の質問を終りたいと思います。
  35. 木村武

    ○木村(武)政府委員 ちよつと誤解を起すと困りますので、あえて申し上げたいと存じますが、今の肥料公団の問題は、犯罪という問題にはならないと申し上げたのでありまして、実はちよつと誤解がおありのようでございますが、お話のような状況でございまして、ただその未払運賃諸掛りという計上をいたしておる。そこで現実に支払いをしたわけではないのでありまして、その未払運賃諸掛りは架空の未払運賃諸掛り、いわゆる内部留保と申し上げているわけです。それに見合うその証票をつくりまして現実に支払いをいたしましたときに、初めて犯罪になる。幸いにいたしましてまだ金がみな支払われないである間に発見された、こういう状況に相なつております。こういうことであります。
  36. 深澤義守

    ○深澤委員 私はそれが犯罪になるとかならぬとかいう問題でなしに、当然払うべき運賃ではなかつた。もう運賃としては払うべき余裕はなかつた。それを払つたというぐあいに決算書には書いたのだ。一応決算はできてしまつたのだが、本部の方から、まだ払つてないという形において計上しろということで決算書をつくりかえたということで、明らかにそれは不正であるというぐあいにわれわれは確認したわけです。これは農林委員会全体も確認した。もちろんその金の問題を処理しなかつたという段階においてこれを見つけたのだから、それは不正にならなかつたのでありますが、しかしそういう犯罪を構成するような内容を持つた意図を持つてつたということは明らかです。そういう意味においてわれわれは、あの問題を非常に大きく考えておつたわけです。そういう意味において、とにかく公団経理の問題は国民の重大な注視の的になつている。経済調査庁は今後もこれを遠慮なく監査していただいて、そうして国民の前に明確に発表するような方向で動いていただきたいということを私は希望するのであります。
  37. 鈴木明良

    鈴木委員長 次に江花靜君。
  38. 江花靜

    ○江花委員 時間もございませんので、簡単に二点だけ御質問申し上げます。今度経済調査庁関係法令改正後の状態を予想しての質問であります。経済調査庁が今後やられようとするお仕事は、大体事務監査的なものを重点におやりになりたいというわけですか。従来もあつたように心得る司法検察的な事務もあわせてやられるのであるかどうか。多少その両者の間に重点の比重の差があつても、とにかく両方あわせてやられるのか。あるいは事務監査的なものに局限してしまわれるのであるか。そういう点をちよつとお伺いしたい。
  39. 奥村重正

    奥村政府委員 大体仕事重点は、いわゆる行政監査の方に移行して参りたいと考えております。ただ経済統制も若干残存いたしております。この残存事務につきましては、私どもやはり仕事として残つておるわけであります。大体仕事重点監査ということを中心にしてやつて行きたいと思います。従いまして今のような告発とかいつたようなことは、重点が軽くなつております。
  40. 江花靜

    ○江花委員 今のお話でありますが、行政監査的な建前で行くとすれば、今の経済調査庁全部を含めての話ですが、経済調査庁系統のスタッフの素質なり、訓練というものは、はたして将来予想される事務にたえ得るものであるかどうかについてお伺いいたします。
  41. 奥村重正

    奥村政府委員 調査庁の職員の経歴を調べてみますと、六割五分以上が専門学校以上の卒業生でございます。そのまた大部分は経済、法律関係の学習をいたしているわけであります。そこで大体の素質といたしましては、今後のいわゆる会計監査をいたして参りますのに、ちようど都合のいいようなぐあいになつているわけです。しかしながらいよいよ実際に監査いたしましてその効果を上げて参る、効き目のあるような監査をいたしますという段になりますと、ただいままでのところでは、まだ十分その腕をみがいて参らなければならない余地が残つております。従いましてこの法律をお願いいたすというようになりましてから、大急ぎで各上長を督励いたしまして、いわゆる監査方面の講習というようなものを相当大がかりにやつておる次第であります。その空気が非常に上つて参りまして、公認会計士の準備教育をいたしております機関がありますが、そういうところにもみな率先いたしまして、数十名がただいま受講いたしておるような状況でございます。
  42. 江花靜

    ○江花委員 今のお話で大体お気持はわかつたのでありますが、この会計帳簿というか、経理面を中心とした監査というものは、その方の技術を多少習得すれば監査はできるのでありますが、やはり適正なる予算の運用とか、収支の公正な実施とかいうようなことを見る。たとえば建設院の仕事るを見には、建設院の仕事に相当精通しておらなければ監査というものは、なかなかできがたいように私は考えております。もちろんこれを司法的な見地から調べるということになれば、それはまた別個の見地から調べなければならない。しかし行政監査ということになれば、やはりその事務については、少くとも相当の理解を持つていなければならぬ。これは今の経済査察庁というようなスタツフで、その素質と訓練で、はたしてそういうふうにわざわざ新しい制度をつくつてやるようなほど期待できるかどうかということについて疑問を持つております。かつまた司法検察的な事務も、まんざら捨てたものではないという――行政監査と司法とは、御承知通り行政監査の結果、不正があれば検察庁に事務は移るのでありますけれども、しかしながら大体行政監査と司法監査というものは、仕事の性質が違う。司法監査の方は、見つけたら必ず摘発する。行政監査の方は、適正な運用に将来持つて行く。こういうように監査の方の感覚が強い。こういう点についても、いろいろなもののつぎ合せのような感じがしないでもない。これはりくつの上であるが、実際の面に当つてはその感覚が問題である。その結果は、結局監査される方の人間と、する方の人間が、酒を飲んだりして妥協してしまうということに終つてはたいへんだ。その点で監査をしつかりやるとすれば、経済査察庁の身分保障の問題も起つて来る。この点もう少し御考慮願いたい。  先ほどのお話で、これは意見になるのでありますが、田中角榮君やまた深沢君の場合も、結局そういうふうに持つてつたと思いますが、先ほど会計検査院事後決算について議会に対して責任を持つというような、一応の法律解釈とも申すべきような御意見があつたのであります。しかしながら行政官庁は御承知通り――これは個人でも同じでありますが、官庁にもやはり自主性を持たしておかなければならない。仕事のたびごとに監査だといつて乗り込んで、帳簿を出せとかなんとか言われることは、これは悪いことをしているからいやがるというだけではなく、官庁の自主性がやはり尊重されないからである。いやしくも国の権力を分担しているのであるから、一つの自主性を持たさなければならぬ。それをやたらとよその官庁から、しかも憲法にもうたわれておらぬものを、年がら年中目を光らせて来られては、警察でさえもこれはいかぬ。いやしくも行政監査をしよつちゆうやられるということではいかぬ。これは私はおそらくは、会計検査院決算だけについて、おもに監査をするということにしたのも、一つは官庁の自主性というものと、そういう予算の適正なる執行がどうなつておるかということをにらみ合せた上の制度ではないか。つくる人はどうであるか知らないが、そういうふうに理解されると私は考える。それは人間一人々々に警察をつけなければならないような世の中にならなければ、防ぎ得るものではないと思う。それでは巡査そのものにもまた監査をつけなければならないということになる。なるべく行政監査なり何なりは少くして、そのかわりに発動したならば強力なものであつてほしい。人の名誉を毀損したり、気分を憂欝にするものであつては、これを世の中に出して行政事務をりつぱにやるように指導するとかなんとかいうことは、それはむしろ見当違いの方向に走るおそれがあるのであります。警察職員の堕落もそこから来ている。そういうわけでありますから、こういうことについては、先ほどお話がありましたいわゆる会計検査院でやらないことだから、やつてもいいというような議論一つのりくつであれば、会計検査院でさえもやらないから、やらないのが正しいということも一つのりくつであると思うのであります。以上をもつて終ります。
  43. 鈴木明良

    鈴木委員長 淺利三朗君。
  44. 淺利三朗

    ○淺利委員 大分ほかの方で質問が尽きておりますが、建設委員会の態度を決するために、念のために伺いたいと思います。行政官庁が、行政官庁監査する、この根本の問題でありますが、これは今江花委員から御意見もあつたようでありますが、私もこの点を特に重要視しておるのであります。各行政官庁が対等であるべきものが、その一つの官庁が特に行政官庁監査する、こういう機構を設けるということは、はたして適当であるか。官庁は各自の責任を持つて事を処理すべきである。もし調達庁内において、一部に不安な形跡があるならば、自主的にあるいは監査部を設けるとかなんとか、方途もあり得る。ことに国務大臣がこれを監督しておられる。国務大臣の監督のもとにある官庁に対して、他の行政官庁が監督するということは、はたして適当であるかどうか。これが重要な問題であります。そういう点について、どういうふうなお考えを持つておられるか。今江花君の質問に対してはお答えがなかつたようでありますが……  なお時間の関係上、私はあわせて例示してお伺いするのでありますが、行政官庁監査対象となるのは、ひとり特別調達庁だけか。あるいはほかにもあるか。たとえば特別調達庁は進駐軍の要求に応じて建物を建設する。建設省は営繕部においてこれまた建物を建設する。また直轄工事もたくさん行つておる。そういう場合に、これの類似なものに他日それを及ぼす意思があるか。こういう点についても伺いたいのであります。特にもし特別調達庁だけが対象になるならば、何ゆえにこれだけを対象にしたか。その点をまずもつてお伺いしたいと思います。
  45. 奥村重正

    奥村政府委員 お答えいたします。第一段の政府の一機関政府部内の他の機関監査することの是非という点でございますが、この点は先刻田中さんからお尋ねの際に、私の気持を申し上げたのでありますが、私はかように考えております。政府の部内におきまして政府自身の反省の資料を得るために、お互いに――お互いと申しますか、一つ機関が他の機関監査するということは、法律上もさしつかえないのじやないか。こういう考え方をいたしております。  それから次にお尋ねの第二段の質問でございますが、これは先刻も申し上げたかと存じますが、私どもの方といたしましては、監査目的を達しますためには、経済関係の各行政機関、広くそれらにわたりまして、その実行の状況を監査して参る必要があると考えております。従いまして、対象は調達庁のみに限定をしておるわけではございません。
  46. 淺利三朗

    ○淺利委員 もし経済関係の各行政官庁対象にするなら、特に特別調達庁だけをここに例示するということも、あまりに意味をなさぬように思うのでありますが、特別調達庁をここに特定しなければならぬという事由は、別にないと了承してよいのですか。
  47. 奥村重正

    奥村政府委員 先刻私の御説明が、言葉が足らなかつたようでございますから、重ねて申し上げますと、特別調達庁を特掲いたしましたのは、これは実現上の技術から出ておるのでございます。つまり第一条の方は、重要なる経済関係法令励行をはかるということになつております。それぞれの行政機関が、その裏に実質的な運用すべき法令を持つております場合には、その法令励行をはかるということが、同時にその機関監査をなし得るということになる。かような考え方をいたしておるのでございます。ところが特別調達庁につきましては、その裏に特別調達庁運営自体規定いたしております法律がございません。従いまして、今申し上げましたような方法をもちましては、特別調達庁をわれわれの監査対象として取上げて行くべく実現するすべがなかつたのであります。そこでやむを得ず、特別調達庁ということを、公団と並べまして特掲をいたしたような次第でございます。
  48. 淺利三朗

    ○淺利委員 第一条の経済調査庁目的を見ますと、「国民経済の調和ある復興を図るため、物資の生産、配給及び消費並びに物価に」云々とあるのですが、特別調達庁業務に関する限りは、進駐軍の命令によつて、その需要に応ずるものでありますが、この場合に、物資の調整を図るため、云々というゆとりのある仕事ができるかどうか。一般のことならば、物資が少いから、ここは減らすとか何とかできましようけれども、これは優先的に必ず需要に応じなければならぬ。こういう関係にあるものに対して、物資の生産、配給及び消費というような問題について、経済調査庁目的対象となる範囲は、はなはだ狭いのではないかと思いますが、こういう問題に関しても、なお実際的にどういうことを監査するのであるか。どういうことが監査対象になるのであるか。具体的に伺つてみたいのであります。命令によつて調達したものを、それがいいとか悪いとかいう監査の余地があるかどうか。どういうところに実際のねらいがあるのですか。
  49. 奥村重正

    奥村政府委員 現在の法令の許されます範囲内で、実は特別調達庁監査も部分的に実施いたしたのでありますが、その印象から申しますと、ただいま特別調達庁といたしましては、非常に大きないわゆる解除物件をかかえて、その処理に非常に因つておいでになるようであります。その原因あるいは滞貨処理の方法等を、私ども第三者といたしまして、いろいろ考えを立てまして、調達庁の方と相談いたしまして、あるいはまた要すれば、さらに外部的に相談をすべき方面もあるようであります。そういう方面につきましても、私ども直接の当該官庁としてでなしに、第三者として見るということで、あるいは有効な発言ができるのではないか。かようなことをねらつております。
  50. 淺利三朗

    ○淺利委員 ただいまのお答えでございますと、調達庁は解除物件の処理その他によつてつておる。であるから経済調査庁がこれに関係しなければならぬということになつて、いかにも特別調達庁はその能力が疑われるような口吻が見えるのですが、どうも私はそういうように、他の官庁の責任においてなすべきことに、第三者の官庁が立ち入るということは、はたして適当かどうかということに疑問を持つのであります。しかしこれは意見の相違になりますから、それ以上申し上げません。そこでこの法令を見ますと、第一条の二に「特別調達庁及び法令による公団業務の」云々とありまして、公社の方はわずかに日本専売公社と国有鉄道だけを例示されております。先般連合軍の住宅公社が設立され、さらにまた近く住宅金融公庫も設立されることになつておりますが、そういう場合には、これらの公社については、一々他日法令改正されるのかどうか。この第一条の二に「法令による公団の」云々とあるならば、法令による公社の云々ということもあつてしかるべきじやないかと思いますが、それはどうされるおつもりですか。
  51. 奥村重正

    奥村政府委員 いわゆる公社につきまして国有鉄道と専売公社のみをただいまのところは列記しておるのでございますが、これはこの法律改正案をこしらえました際に、いわゆる公社として考えられますものが、その二つしかなかつたために、そういうことになつたのであります。ただいまのような公社が将来設立されまして、それらのものについても、他の公社同様に監査をする必要があるということになりますれば、これは当然考慮さるべきではなかろうかと存じております。  なお「法令による」云々と公団の方には書きまして、公社の場合には書きませんでした点につきましても、何か御疑問がございますようにちよつと承りましたが、それは専売公社の方は公社という言葉がございますが、国有鉄道は正しくは日本国有鉄道という団体だそうでございます。それをひつくるめまして公社と称することは、法律的に少しぐあいが悪いというようなことで、ああいう表現になつたのであります。あわせて御了承願います。
  52. 鈴木明良

    鈴木委員長 他に質疑はありませんか――御質疑がなければ、内閣委員会建設委員会連合審査会は、これにて散会いたします。     午後零時二十七分散会