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1950-03-29 第7回国会 衆議院 内閣委員会建設委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十九日(水曜日)     午後一時五十三分開議  出席委員   内閣委員会    委員長 鈴木 明良君    理事 江花  靜君 理事 小川原政信君    理事 奈良 治二君 理事 鈴木 義男君    理事 苫米地義三君       玉置 信一君    丹羽 彪吉君       松岡 駒吉君    木村  榮君       黒田 寿男君   建設委員会    委員長 淺利 三朗君    理事 内海 安吉君 理事 江崎 真澄君    理事 田中 角榮君 理事 砂間 一良君       大西  弘君    越智  茂君       瀬戸山三男君    高田 弥市君       西村 英一君    宮原幸三郎君       前田榮之助君    八百板 正君       増田 連也君    深澤 義守君  出席国務大臣         国 務 大 臣 増田甲子七君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         総理府事務官         (地方自治庁連         絡行政部長)  高辻 正巳君         経済安定本部建         設交通局長   高野 與作君  委員外出席者         建設事務次官  中田 政美君         内閣委員会專門         員       龜卦川 浩君         内閣委員会專門         員       小關 紹夫君         建設委員会專門         員       西畑 正倫君         建設委員会專門         員       田中 義一君     ————————————— 本日の会議に付した事件  北海道開発法案内閣提出第一二八号)     —————————————
  2. 鈴木明良

    鈴木委員長 これより内閣委員会建設委員会連合審査会を開会いたします。  内閣委員長であります私が委員長の職務を行います。本日の議題は北海道開発法案であります。まず政府提案理由説明を求め、次に質疑に入りたいと思います。地方自治政務次官小野哲君。     —————————————
  3. 小野哲

    小野(哲)政府委員 北海道開発法案提案理由及びその内容概略を御説明いたします。  国民経済復興人口問題の解決とは、現在わが国が当面する緊急かつ重要な課題でありまして、そのために資源開発を必要とすることは言うをまたないのでありますが、国土の狭小なわが国にとりましては、未開発資源の今なお豊富に存在する北海道を急速に開発することが国家的要請であると存ずるのであります。北海道開発明治の初年以来行われて来たのでありますが、四国の二倍に九州を加えた面積の地に、現在なお人口わずかに四百万人を擁するにすぎず、その産業もおおむね原始的段階の域を脱していない状態にあるのであります。このような経済的後進地開発は、総合的な計画のもとに経費を重点的に使用するのでなければ、十分な効果を期待できないのでありますが、現在北海道開発事業は、関係行政機関が個別的に立案施行しているのでありまして、その間に総合性統一性を欠き、北海道に投入される国の事業費効率発揮上はなはだ遺憾の点が多いのであります。これらの点にかんがみまして、政府は、国策として強力に北海道における資源の総合的な開発を行うことを緊急と考え、これに関する基本的事項規定するため、本法案提案することにいたしたのであります。  次に法案内容の概要を御説明いたします。第一條は、この法律目的規定しているのであります。すなわちこの法律は、北海道における資源の総合的な開発に関する基本的事項規定することを目的とする旨を規定しているのであります。開発に関する基本的事項として、第二條以下に規定されている事項は、第一に北海道総合開発計画に関する事項、第二は北海道開発庁に関する事項、第三に北海道総合開発審議会に関する事項であります。  第二條及び第三條は北海道総合開発計画に関する規定であります。北海道総合開発計画とは、北海道における土地、水面、山林、鉱物、電力その他の資源を総合的に開発するための計画をいうのでありまして、国は国民経済復興及び人口問題の解決寄與するため、北海道総合開発計画を樹立し、これに基く事業昭和二十六年度から実施する旨を規定し、国が国策として北海道総合開発を強力に遂行する意図を明示したのであります。なお北海道開発計画は、国が樹立し、実施するのでありますが、これに関係地方公共団体の意向を十分に反映せしめる必要がありますので、関係地方公共団体開発計画に関し、内閣意見を申し出ることができることとしたのであります。  第四條以下は、主として北海道開発庁に関する規定であります。北海道総合開発計画を樹立し、これを推進するためには、中央にこれを専管する強力な行政機関の存することを必要と考え、新たに総理府の外局として国務大臣を長とする北海道開発庁を設置することといたしたのであります。  北海道開発庁は、北海道総合開発計画について調査し立案する機関でありますが、同時に開発計画に基く事業実施に関する関係行政機関事務の調整及び推進に当る権限を有するものといたしております。  北海道綜合開発計画は前述のように、昭和二十六年度からの計画でありますが、北海道開発庁は、昭和二十五年度においても国の執行する北海道開発に関する事業に関し、必要な事項を調査することができるように、附則に所要の規定を設けております。北海道開発庁には、長官の下に次長以下の常勤の職員が置かれますが、別に非常勤の参與十人以内が置かれることになつております。参與関係行政機関職員のうちか長官が命じ、庁務参與させるものでありまして、これにより北海道開発庁の任務の遂行にあたり、関係行政機関との連絡協調につき遺憾なきを期そうとするものであります。  第八條から第十條までは、北海道開発審議会に関する規定であります。北海港総合開発計画調査立案等にあたつては、広く各方面知識経験を活用する必要がありますので、北海道開発庁付属機関として、北海道開発審議会を置くこととしたのであります。  北海道開発審議会は、両議院の議員、北海道知事北海道議会議長、及び学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣の任命する委員二十人以内で組織することとし、北海道総合開発計画に関する重要事項について調査審議して、北海道開発庁長官に建議し、また北海道開発庁長官の諮問に応じて、調査審議することとしたのであります。  北海道総合開発につきましては、事の重要性にかんがみ、すでにこの法律案骨子等について、学識経験者意見を聽くため、事実上の審議会が開催されておつたのでありますが、これは北海道開発庁が設置されますと不要となるわけであります。しかし北海道開発庁準備等の事情もあり、昭和二十五年六月一日から発足することといたしておりますので、総理府付属機関たる北海道総合開発審議会とし、引続き北海道総合開発に関する事項を調査審議せしめ、北海道開発庁に引継ぐことといたしたいと考え、これに関する規定附則に設けたのであります。  以上をもつて法案提案理由及び内容概略説明といたします。何とぞ愼重御審議の上、可決せられるようお願いいたします。
  4. 鈴木明良

    鈴木委員長 これにて政府提案理由説明は終了いたしました。質疑の通告がありますからこれを許したいと存じます。内閣官房長官も間もなく見えると思います。その前に高辻連絡行政部長地方自治庁政務次官小野哲君に対して御質疑をされたいと思います。
  5. 砂間一良

    砂間委員 その前に関連して呼んでいただきたい人があります。本法案建設省経済安定本部等の所管にも関係するところがあると思いますので、経済安定本部高野建設局長及び建設省政務次官の方でもけつこうだと思いますが、両省の関係のありそうな係りの方に御出席をお願いしたいと思います。
  6. 鈴木明良

    鈴木委員長 承知いたしました。すぐ手配をいたします。深澤君。
  7. 深澤義守

    深澤委員 私の質問官房長官にお伺いしたいことが大部分で、官房長官でなければ質問しても十分の御答弁は得られないと考えますから、官房長官がおいでになつてから質問いたします。
  8. 淺利三朗

    淺利委員 ただいま提案理由説明は、地方自治庁の方がおやりになつたようですが、本来ならば、現在の各省設置法によれば、総合国土開発計画の大綱については安本でやり、また地方開発及びその計画建設省が主管になつております。それが全然それらを離れて、地方自治庁から提案理由説明された根拠をまずもつて伺いたいと思います。
  9. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいまの御質問に対してお答えを申し上げたいと存じます。実は本日は官房長官が出まして、提案理由をもちろん説明いたさなければなりませんし、また質疑に対して応答いたすべき筋合いのものであることは御承知通りでございます。ただ所用のため出席が遅れておりますので、便宜官房長官からも、何かと御質疑等があつたならば、政務次官という立場お答えを申すようにも話を聞いておりました関係上、私出まして、時間の関係その他委員会の御運営の点からも考えまして、一応御説明を申し上げたような次第でございます。  なお仕事の関係から申しまして、この問題は北海道の自治体との関係等もございますし、地方自治庁権限から申しますとこの法律案を、主管するというふうな形式的な問題よりも、北海道における開発計画を立てるような場合におきましても、いろいろ地方団体政府との関係連絡に当るのが、地方自治庁の役目にも相なつておるような関係もございますので、そういうふうな意味合いにおいて便宜私もこの法律案の進行、取運び等につきまして御関係を申し上げておるというわけでございますので、御了承を賜わりたいと思います。
  10. 淺利三朗

    淺利委員 それは便宜主義から言えばそうでありましようが、現在各省設置法による権限が嚴として存在しておる。地方自治庁においては国土開発とか、地方開発ということは、その権限にはないにもかかわらず、地方自治の問題じやないのであります。政府がやるというのでありますから、政務次官というものは各省政務次官であつて国務大臣とはおのずからその立場が違うと思う。でありますからそういうことについて何かはつきりしないと思うのですが、おわかりにならなければその程度でいいですけれどもあと官房長官が見えてからお伺いいたします。
  11. 鈴木明良

    鈴木委員長 間もなく官房長官が見えますから、少々お待ちを願いたいと思います。——官房長官が見えられましたから、質問を継続したいと思います。深澤義守君。
  12. 深澤義守

    深澤委員 北海道開発法提案されたのでありますが、現在国土総合開発計画が問題になつておりまして、本議会に対しましても、国土開発法提案されるということを聞いているのでありまして、当然に現在の荒廃せる日本国土を総合的に開発するところの大計画が立てられると思うのでありますが、その一環として当然北海道開発計画というものが考えられるべきだと思います。しかるにこの国土開発法の方は、まだその全貌が明らかになつていないし、また国土開発法というようなものも本議会にまだ提案されていない。そういう場合にただ北海道開発法のみが切り離されて提出されて来るということになりますれば、提案理由の中にもありますように、従来北海道開発というものをとかく関係行政機関が個別的にやつてつた、だからそれを総合的統一性を持たせるために、こういう法案をつくるのだ。こういうとが提案理由にあるのでありますが、北海道開発については総合的統一性が出て参りましても、国家全体としての総合的統一的な開発ということは、国土開発法が確立されない限りはできないのであります。そういうような関係においてわれわれはまず国土総合開発計画というものが樹立せられて、その一環として北海道開発が初めて考えられなければならぬというふうに考えておるのでありますが、その点について一体国土総合開発計画というものについてはどういう構想を持つておられるのか、そして国土開発法というものを本国会に提出する準備があるのかどうか、またそれとの関連において北海道開発というものをどういうふうに考えられているのか、その点についての御説明を願いたいと思います。
  13. 増田甲子七

    増田国務大臣 深澤さんにお答えいたします。北海道はもとより国家全体の開発計画一環としてこれを開発する必要があることは、御説の通りであります。しかしながら提案理由等においても、建設委員の方は御出席がなかつたかと思いますが、内閣委員会における提案理由の御説明で詳細に申し上げましたごとく、北海道はどつちかといいますと、あるいは言葉は当らないかもしれませんが、まだ未開発地である、あるいは半植民地ともいうべきところである、こういうふうに考えられるのであります。これは資源開発見地から申し上げるのでありまして、文化の方面とか、そういう意味合いから申し上げておるのではありません。結局北海道資源開発状況、あるいは農業、あるいは水産業、あるいは河川改修関係、あるいは水力資源開発関係、あるいは港湾の関係、いずれからこれを観察いたしましても、まだ内地開発状況とはとうてい比較に相ならない次第事あります。すなわち北海道特殊性を持つていると考えられる次第であります。そこで、もとより御説のごとく、国土全体に対する総合開発計画一環として北海道開発計画があるべきことは、政府においても承知いたしております。しかしながら特殊性もございまするし、態様も非常に違います。それでございますから、北海道開発計画につきましては、特別の庁を設けまして、もつぱら北海道総合開発を、各種見地から調和のとれた計画を樹立する。しこうしてこの樹立された計画は、関係省庁をして執行せしめるということが少し違う点であります。近く提案せんとする総合国土開発法は、まだ立法化される域には達しておりませんが、外貌だけを申し上げますと、開発審議会というものを設けまして、そして開発審議会において朝野学識経験者の御参集を願つて国土全体の総合開発計画を樹立いたします。樹立いたした場合にどうするかといいますと、これを政府に勧告をする。そして政府がもとよりこれを十二分に尊重すべきではございまするが、北海道開発計画と違うところは、北海道開発庁が樹立した北海道開発計画は、そのまま関係省庁に執行してもらわなくてはならぬ。こういう建前に相なつておる次第であります。その点が多少違います。  それからもう一つ申し上げますと、北海道につきましては、昔からあそこにございまする総合開発委員会というものが熱心に勉強いたしまして、総合開発計画ができ上つています。もとよりこれは皆様の御検討を願わなくてはなりませんし、来るべき北海道開発庁においても十分御審議願わなくてはならぬのでございまするが、その素材ができております。  それからもう一つ違うところは、北海道につきましては、御承知通り国費地方費との関係が、種々按配は違いますが、とにかく多額国費が投下されております。現に建設省あるいは、農林省あるいは通産省といつた各種省庁において、おのおの自分の最善と信ずるところに従つて多額国費を使用いたしております。せつかく多額国費北海道開発のために使用しているのであるから、相互連関性調知性を持つて北海道を総合的に開発いたしたい。現に事業費として多額国費が使用されておりまするから、この使用を効率的たらしめたいという点は、内地全体の総合国土開発とはよほど性質違つた形になるのではないか、こう考えておる次第であります。
  14. 深澤義守

    深澤委員 国土総合開発実施にあたりましては、多額予算も計上されなければならぬと思います。しかし今日の国家財政面から申しまして、おのずから限度があるわけであります。そういう見地から考えてみましても、全体的の国家総合開発一部分として北海道が当然取上げらるべき問題であると考えます。日本国土といたしましても、北海道のみでなく、まだ日本全体として非常に未開発地方が多いわけであります。この特殊性を強調いたしますならば、北海道のみにとどまらず、各地にそういう問題があるわけであります。従つて国土総合開発計画一部分として初めて北海道開発考えられ、あるいは予算の按分もできるということになると思うのでありますが、それをまだ国土総合開発計画が具体的になつていない段階において、北海道のみを先走つてこういう具体的な措置を講ずるということは、国家総合開発統一性総合性を欠くという結果になると考えるのであります。この点についてもわれわれは了解しかねるのであります。予算関係から言つても、あるいは日本の全国的の未開発状態から言つても、北海道が特にそういう特殊性を強調さるべき性質のものでないというようにわれわれは考えるが、その点についてお伺いいたしたい。
  15. 増田甲子七

    増田国務大臣 深澤さんにお答えいたします。北海道のみが先走つているというような御説でありましたが、この点だけはわれわれは違つた見解があるわけであります。むしろわれわれの考えといたしましては、また自由党考えといたしましてもそうでございまするが、北海道終戰後において日本に残されたただ一つの宝庫である。御承知のごとく四つの島にわれわれが平和にして民主的な生活をなすことを許されるのでありまして、それ以外においては許されないのであります。しかも明治二十七年までは北海道開拓使その他を置きまして、特別の役所を置きまして北海道開発に非常に力を入れた次第でありまするが、しかしながら日清戰争後におきましては、海外発展というようなことに最も力を入れた次第でありまして、北海道はどつちかというと、忘れられておつたというような状況に置かれておつた次第であります。ところが終戰後日本には一つの條約が下されまして、御承知四つの島の中で生きて行かなくちやならぬ。それで北海道を大観いたしますと、私が先ほど申し上げましたように、確かに特殊性があります。もとより内地におきましても、たとえば東北のごとき未開発の地がたくさんありまして、先般東北庁というようなものの置かれたのも、東北振興のために置かれたのでありまして、北海道特殊性はよほど違つておるというような意味合いから、ほんとうは終戰直後われわれは北海道開発のために特殊な役所が必要じやないかというように考えた次第であります。先ほど自由党考えと申し上げましたが、それが全般の自由党員を含む意味でありましたならば、自由党の一部というふうに訂正しておきます。そこでわれわれはそういう考えを持つたのでありまして、今日は遅きに失しないとは言いながらしかも早くない。北海道のみが先走つたとは考えておりません。内地全体の総合開発も、もとより終戰後四つの島の上に安寧なる生活を送ることがわれわれの受けている制約でありますから、未開発資源その他は十分に科学的に計画的にこれを開発して、その府県民安寧寄與するとともに、全国八千万の人民の繁栄のために寄與しなくてはならない。そこで政府もこれと連関しまして、これだけを出して先走らせたくないという意見深澤さんと同意見であります。でありますから、国土開発審議会を中心とする総合国土開発法というものを今起案しております。関係省庁の間において意見がまだ完全に一致しませんから、現に審議中でございますが、日ならずして結論を得ると思います。両者相互連関相関性を持つておる次第でありますから、相関関係において十二分に御審議を願いたい、こう存ずる次第でございます。
  16. 深澤義守

    深澤委員 今官房長官が言われたように、国土総合開発立案が今なされておる。そうして科学的に、具体的にこの計画を立てまして、国会に提出するというような答弁があつたのでありますが、それと関連して、それと見合わせて、本法案が論議されることによつて国土総合開発一環として、この北海道開発が、どういうぐあいに処理されるかということが初めてはつきりして参りまして、審議できるわけなのであります。ところが部分としての北海道開発法だけを先に出して来て、まだあとの方は立案中であるということに対しては、われわれは国土総合開発見地からいつて、この審議を進めることははなはだ先走つたやり方であるというぐあいに考えておるわけであります。  なおその次にお聞きしたいことは、この開発法内容を検討いたしますと、第二條に、国民経済復興及び人口問題の解決寄與するためにやるのだということになつておりますが、もちろん今日国民経済復興人口問題の解決は重要であります。一体国民経済復興人口問題の解決という見地から、この北海道開発計画を行うことによつてどれだけの寄與ができるかという、その具体的な計画がおありになつたら、具体的にひとつ御説明願いたい。
  17. 増田甲子七

    増田国務大臣 お答え申し上げます。まず第一の御質問お答え申し上げますが、従来は北海道拓殖費というものがございまして、これは北海道庁の、自治団体としての北海道の使つておる金よりも、従来はずつと多かつたのでございます。最近はその振合いが少しかわつて参りましたが、そのくらいに毎年々々多額北海道拓殖費を投下しておつた。そうして北海道開発をして、内地を含む八千万の国民生活安定向上に資しておつた次第でありまして、これらの拓殖費は、今費目は拓殖費とはなつておりませんが、きわめて多額でございまして、こういうような多額の費用をやはり合理的、科学的に各省庁の間において総合性調和性のある使い方をしたい。これはもう現実に問題が起きておるのであります。そういう意味合いから北海道開発庁がまず存在することが必要であるというふうに考えた次第であります。  それから第二に北海道全体の総合開発は、終戰後においては飛躍的にこれを開発する必要がある。そこで北海道全体の総合開発計画を樹立するために、北海道開発庁を設けんとする次第でございます。しからば北海道はどんな開発計画を持つておるかということの御質問お答え申し上げます。これは実は北海道総合開発計画書というごく素案のまた素案でございますが、今やこういうような案をつくつていらつしやる府県は相当多いのであります。たとえば栃木県のごときは、なかなかりつぱな案ができております。自分のことを申してはなはだ恐縮でございますが、私が北海道終戰後半年目に参りましたときに、北海道日本に残されたるただ一つのホープになつておる。そこで北海道総合開発計画を樹立しなくてはならぬというわけで、朝野の名士、内地の方も含む朝野学識経験者にお集まりを願いまして、北海道総合開発計画書というものができております。この中には相当の人口、まあ七百万ないし一千万の人口を受入れし得るというような書き方が書いてございますが、しかしこのことについてはあまり申し上げたくないのでありまして、これは要するに北海道開発庁なり、あるいは皆様の御審議を願うときの素材のまた素材である、草案のまた草案にすぎないくらいに私ども考えておりまして、今責任をもつてあまり申し上げかねる次第でありまして、また申し上げない方がよろしい、こういうふうに考えておる次第でございますが、ともかくも北海道はスイスやデンマークの二倍もある。しかも緯度等におきましては、デンマークなどよりも気候がよいというようなことを関係大臣などにも今でも申しておりまして、昔、北海道開発をしてくださつたケプロン博士だとか、あるいはクラーク博士だとかも、そう言つてつたそうでありますが、明治二十七年以来とかく外国に眼が向いて行つたものでありますから、あまり北海道に賦存する資源開発を怠つてつた関係で、北海道はろくに受入れができないという見方をする方もありますが、私どもの見たところは、北海道はまるで大陸みたいなものである。内地は比較的に開発されておるということにすれば、北海道大陸みたいなものであるというような印象を持つておりまして、ここを開発することによつて日本はほんとうに平和主義的な発展ができるのだということを、私も多少の経験を持つた立場から、確信をもつて申し上げ得る次第でございます。
  18. 深澤義守

    深澤委員 この開発計画の具体的な施策については、土地、水面、山林、鉱物、電力というような問題があげられておるのでありますが、これをどうするかということについては、何ら具体的な方針がなくて、あげてそれを政令にまかせるというようなことが第二條の第二項によつて規定されておるのでありますが、そういたしますと、ただ北海道総合開発という一つの言葉によつて国会はこれを承認し、その具体的な施策については、あげて政令にこれを譲つてしまうというような結果になりますと、国会はその具体的な総合開発計画というものを何らつかむことなく、これを政令にまかしてしまうという結果になるように、この法案ができておるわけであります。これはわれわれはなはだ不満でありまして、一体そうした土地、水面、山林、鉱物、電力等をどういうぐあいに総合的に具体的に開発するのか、その基本的なものを一応国会において具体的に審議し、それを今後の行政にまかせるということでなければならないのでありますが、この法案によりますと、一切これを政令にまかせることになつておるのでありますが、この点についての考えをお伺いしたいと思います。
  19. 増田甲子七

    増田国務大臣 深澤さんにお答え申し上げます。この範囲については政令で定めるということは、資源の範囲を政令で定めるということなのでございます。資源は幾つもあげてありますが、まだあげきれない資源もあるかもしれぬから、そういうときの場合にその範囲は政令で定めると書いただけでありまして、いわゆる委任立法でも何でもないのでございます。もとより範囲を定める意味では委任立法でございますが、計画はこの法律に基いて立てます。だから計画が政令で委任されたわけではありません。そこでわれわれは、土地と言えば、ほとんど開拓も何も一切含む、あるいは道路なども含むことになると思います。たとえば道路計画を立てるという場合には、資源とは何ぞや、ここに土地と書いてあるから、土地の中に道路を含むであろうというようなことになると思います。水面と言えば、たとえば漁業の近海漁業、あるいは遠洋漁業まで含むかどうかといつたようなことも、実は疑問になるかもしれぬと思いまして、その範囲は政令で定めると書いただけでありまして、計画自身は、この法律に基いて計画をつくるのであります。計画が政令にゆだねられたわけではないのであります。
  20. 深澤義守

    深澤委員 もしこの法律が成立いたしました場合において、各種開発計画あるいは事業等も行われるのでありましようが、その場合において、既存の産業との関係が一体どういうぐあいになつて行くのか。かつて明治初年において、最初は国営で行つたが、それをいよいよ払い下げるという問題で、相当に大きな問題が起つたようでありますが、そうした問題も当然この法律施行にあたつて、また今後の問題として起つて来る可能性があるわけであります。この開発計画と既存の産業との関係をどういうぐあいに調節されるのか、その点をひとつ……。
  21. 増田甲子七

    増田国務大臣 おそらくこの計画は理想的な計画といたしますと、これは計画草案草案のまた草案みたいなものでございますが、こういうようなものは、おそらく今度は草案として、計画としてできると思います。その場合に、たとえば御指摘の伐木事業でありますが、年々あの辺では千五百万石ばかり伐木しております。それが伐木関係を根本的の森林資源開発計画として、今度は千八百万石伐木した方がよろしい。そのかわり植林をこれこれするというような計画に相なつたといたしますと、予算はやはり農林省で請求することになります。木を切ります費用は農林省で請求する。今度は木を売る費用は歳出の部に立てられまするが、大蔵省へ持つて行きますと、計画は千八百万石かもしれないが、毎年毎年、深澤さんの御指摘の、現在存在している伐木事業が千五百万石である。そう一ぺんに飛び上つても困るから千六百万石ぐらいにしてほしいというようなことで、計画と実行とは必ずしも私どもは一致しなくてはならぬということはないと思つております。計画計画でありまして、計画に近い予算拓殖費関係として組まれることはもとより予想しておりまするが、やはり予算の許す限度において計画を実行して行くということになります。既存の事業といたしましては、現在北海道の拓殖関係が四十六億の金を使つておりますが、この事業はふえても減ることはない、こう思つております。
  22. 深澤義守

    深澤委員 それから北海道開発庁というものが六月一日から設置されることになるのでありますが、予算を見ましてもその予算というものが計上されていない、あるいは設置法の場合を見ましても、それがまだ具体的に決定されていないわけでありますが、その予算と、それからこの設置法との関係はどういうぐあいに解決されようとしておるのか。六月一日から施行することになりますれば、当然二十五年度予算の中にこの予算が組まれていなければならないのでありますが、これが組まれていない。これは追加予算を計上してやるのか、どういうことになつておるか、その点を伺いたい。
  23. 増田甲子七

    増田国務大臣 北海道開発庁の設置は、御指摘のごとく六月一日にこれを設置いたしたいと思つております。しこうして予算の設けがないではないかという御質問も一応ごもつともの御質問であります。ところで昭和二十五年度予算に、現在閣議決定を基礎として北海道総合開発審議会というものが設けられております。この審議会の費用として八百余万円を計上いたしております。この八百余万円をそのまま移用いたしたい、こう考えておりまして、皆さんの議決にかかる八百万円の範囲内で開発庁の仕事をまかなつて参りたい、こう考えております。
  24. 深澤義守

    深澤委員 最後にお伺いしたいことは、この北海道開発計画の中に、将来特定の国の軍事基地化とか、あるいは軍需工業とかというようなものが計画されているのではないかというようなこともわれわれは考えるわけでありますが、あくまで開発計画は平和産業の拡大という見地に立つて行われるべきが当然でありますが、そういう軍事基地化の計画が、この開発計画の中に予定されているのかどうか、その点をひとつお伺いしたい。
  25. 増田甲子七

    増田国務大臣 深澤さんの今までの御質問はなかなか御勉強の御質問のようでありまするが、今の御質問は非常に解せないのでありまして、かかる荒唐無稽に近いことは毛頭考えておりません。
  26. 鈴木明良

    鈴木委員長 内海安吉君。
  27. 内海安吉

    ○内海委員 ただいま建設委員として深沢君の質問に対する増田官房長官の御答弁によつて、大体この北海道開発法内容は了解することができたのでありますが、私はさらに二、三点について長官に承つてみたいと思います。  われわれ戦後日本経済を復興して、一元的に日本資源開発するためには、行政の面におきましても、あるいは資源開発の面におきましても、一貫性のある計画を持つて立たなければならぬと思うのであります。この原則を離れて私は経済の安定とか、産業の復興ということは論じ得られないと思うのであります。総合的一貫性がなければならない、この原則が一地域についてのみ行われても、他地方の密接な経済的関連性を有するものが等閑に付されて、特殊性を有するからという言葉のもとに、これを単独に北海道開発法のみを提出されるということは、どうかと考えられるのであります。ことに官房長官は、安本あるいは建設省その他内閣等において立案せられたるとどろの総合国土開発法なるものを今国会に提出しようという御意思があると承つております。しかるにもかかわらずこの基本法である総合国土開発法あとにして、この基本法によつて生るべきところの子供が先に国会に提出されるというところに矛盾があるんではないか。この点について明快な御答弁を得たいと思います。
  28. 増田甲子七

    増田国務大臣 内海さんにお答え申し上げます。御指摘の点はごもつともでございます。しかしながら先ほど深澤君にもお答え申し上げた通り政府においては相当多額拓殖費を昔から北海道に毎年々々使用いたしておるのでありまして、これらの拓殖費を科学的に総合的に調和のある使い方をいたしたい。たとえて申しますと、例は悪いかもしれませんが、あるいは内地にも適用されることかもしれませんけれども、石狩川なら石狩川の流域についての開発をするという場合に、河川改修——もつとも北海道の河川は内地の河川と違いまして、ろくな改修はしておりませんことは内海さん御存じの通りであります。とにかく石狩の河川改修、石狩附近の開田開畑、それから上の方に参りまして水力資源開発、それから治山関係、それから石狩の出口には石狩港という港もございます。こういうような関係も総合一貫した調和のとれた開発計画がないのでありまして、しかも国費をおのがじし投下しておる。建設省が投下し、漁港関係や治山の関係は農林省が投下し、開田開畑は農林省の農地局、昔なら開拓局がやる。しかもいずれも国費を直接投下し、これを使用するものは北海道においては国の役人が使つておるのであります。内地におきましては御承知のごとく、たとえば宮城県にいたしましても、岩手県にいたしましても、県の知事以下の吏員がこれを使用いたしておりますが、北海道においては国費関係は現在でも国の役人が使つております。こういうような意味からもすでに特殊性は御想像でき得ることと思いまするが、多額国費調和のとれた使い方をしなければ、国費の不合理的使用ということは国民に対しても相済まぬというような感じから、実はずつと前から、去年もおととしも、ずつと前から実は設けたかつたのでありますが、内海さんも御存じの通り、各関係省庁の争いもございまして、いわゆる官僚のなわ張りと言いますか、そういうようなこともございまして、今日こういう結論に達するまでにはなかなか時間がとれたのでございます。歴代内閣を決して私は非難いたしません、こういう結論には到達しにくい各種の事情があつたのでございまするから。今日幸いにこういう結論に到達いたしまして、開発庁を設け、そうして特殊性のある北海道開発を急速に積極的にこれを展開して、内地及び北海道八千万の国民生活の安定に寄與いたしたいこういう見地でございまして、内海さんの御承知のごとく、東北のごときは、もとより大いに力を入れてやる必要があると思つておりました。私も昔役人をしておりました当時、東北庁の設置を提唱し、それがだんだん東北事務局となり、最後には東北振興ぐらいになつてしまつたことは、今日でも提唱者の一人として遺憾に存じておる次第であります。しかしながら内地全体は、まだ総合的な調和のとれた開発計画はできていないのでありまするが、北海道は、どちらかと申しますと、特殊性はありまするが、またこじんまりしております。一つの道で仕事をいたしております。こういう関係から、まずこちらから始めるというわけで、将来おそらく国家企画庁といつたようなものができると、私は想像いたしておりまするが、そのときでも北海道開発庁は別個であるといつたような考えまでは、今日固執いたしておりませんが、とりあえず、できるところから、小口からどしどし開発をして、そうして国民生活の安定に寄與いたしたいという念願にほかならない次第でございます。
  29. 内海安吉

    ○内海委員 現政府は、言うまでもなく、行政簡素化、特に複雑なる行政機構をなるべく簡素にして、道州制、あるいは各省の併合までも執行しようというような空気がぽつぽつ見えるのでありますが、このたび提出せられましたところの北海道開発法なるものを見ますると、この行政簡素化に逆行するのではないか。北海道開発法の根本は、北海道開発庁を設置することにあるやに考えられるのでありますが、これが安本、各省及び北海道庁と三重のものになると思われると同時に、開発庁内に各部局ができ、人も相当必要となつて来る。こういうことになると、行政の簡素化を一面において叫ばれておりながら、一面においては、こういつたような官庁を設けようとしていることになる。われわれは特にこの機会において出先官憲の整理を叫びたい。いろいろな複雑ないわゆる官庁がある。これらでさえも、すみやかに整理してもらいたいということを熱望して来たのであります。しかるにここにまたこの法案によつて、安本とも建設省とも、あるいは何とも関係のないような単独の北海道開発庁ができるということになると、まさしく政府の言われる行政簡素化に逆行するものではないかと考えられるのであります。この点についてお尋ねしたいと思います。
  30. 増田甲子七

    増田国務大臣 内海さんの御意見は、一応ごもつともでございます。私どもも、できるだけ行政機構を簡素化いたしたいということで、昨年は各省庁にわたつて承知通り平均三分の一ぐらいに局を廃止いたしました。その線からあるいは逆行しはせぬかという御質問は、一応ごもつともでございまするが、しかしだんだん御説明申し上げます通り北海道拓殖費その他の関係は、各省別ばらばらに事業を執行いたしております。それから御指摘の経済安定本部は、経済安定、統制経済の施行といつたような関係で置かれた役所でございまして、積極的に開発をはかるといつたような事業官庁ではないのでありまして、われわれはもし安本が事業官庁になるならば、そのときは安本は性格がかわつたものである、またかわらしめなければならぬと考えております。従つて安本には開発庁を置くということを考えなかつた次第であります。それから建設省に置くことも、一時考えないこともなかつたのでありますが、建設省は、たとえば港湾の建設、国道の建設というような、北海道開発方面にも非常に寄與してくださつております。しかしまだまだ北海道は、たとえば農林資源開発という問題もありまするし、ことに鉱山資源開発という大きい問題もあります。また漁港関係を含む水産資源開発という問題もありまして、建設省に置くことも一応考えましたが、まず内閣に置きまして、御指摘のような点を十分注意いたしまして、役人の数は二十人、それに雇傭人を加えまして、三十一、三名というところが現在政府考えているところでありまして、これ以上は使わない。そうしてこの面において、ばらばらになつておるものの統一をはかるということも、行政の合理化に資するゆえんである、これがほんとうの意味の行政簡素化であるというふうにも考えた次第でありますから、この点御了承を願いたいと存ずる次第であります。
  31. 内海安吉

    ○内海委員 少しこまかくなりますけれども開発庁の真に希望していることは、見返り資金等に何か関係があるかのように聞いておるのでありまするが、この点について、おさしつかえなかつたならば、御説明を願いたいと思います。
  32. 増田甲子七

    増田国務大臣 ただいまのところ、直接そういうことを目当とはいたしていないのであります。
  33. 内海安吉

    ○内海委員 それでは安本の高野局長が見えておられるようでありますから、高野局長にお聞きしたいのだが、この北海道開発法案に対して、安本はどういう御見解を持ち、どういうお考えを持つておられるか、安本としてのお考えをこの際承つておきたい。
  34. 高野與作

    高野政府委員 この法律案通りまして、北海道開発庁ができまして、しかる後安本の行き方をどうするのか、こういう御質問でありまするが、現在安本で所管しておりまする特に関係の深いのは、公共事業費関係でありまするが、これにつきましては、これはほんの私だけの考えでありますが、これが通りましたあかつきに、公共事業費の所管につきましては、別にかわつたことは起らないだろうと思つております。それから北海道開発庁につきましては、予算関係は、公共事業費各省に対すると同じような考え方で行けば、安本としてはいいのではないかと考えられるのであります。しかしこの点につきましては、まだ政府部内で詳しく打合せをいたしておりませんから、さよう御了承を願います。
  35. 内海安吉

    ○内海委員 もう一度伺いたいのですが、それは安本としての答弁、あるいはあなた個人としての答弁としても、まことに漠たるもので、答弁になつておりません。少くとも私のさつきから唱えているのは、いわゆる国土開発の一元化という観点に立つて、あなたのお考えを聞きたい。この北海道開発計画なるものが、そういつた根本原則から見てどういうように見られるか、それを承りたいのであります。
  36. 高野與作

    高野政府委員 安本といたしましては、国土開発計画につきましては、現在の安本の私どもの所管の中の重要な部面を占めております。この開発庁ができましても、日本全体の開発計画につきましては、各地域別の計画を総合したものを安本で立てて、そうして公共事業計画に資して行かなければならぬことは、現在もかわりがないと思います。
  37. 内海安吉

    ○内海委員 最後に増田官房長官にもう一応承つておきたいのは、先ほど来問題となつておる総合国土開発法案なるものを、一体本国会に提出される確たる御決心ありやいなや、この点をちよつとお聞きしたいと思います。
  38. 増田甲子七

    増田国務大臣 総合国土開発法はせつかく準備中でございまして、本国会にぜひ提出いたしたいと思つておりますし、また確信を持つておるものでございます。
  39. 内海安吉

    ○内海委員 この問題に対して、せつかく建設省からもお見えになつておりますから、建設省の中田次官にお尋ねいたします。北海道といえば内務省以来非常な関心を持つて研究され、また河川、港湾あるいは道路といつた面から、いろいろと関心の深いところなのでありますが、この開発に対してどういう御見解を持つておられるか、あるいは抱負なりありましたならばこの機会に簡明率直にひとつお聞かせ願いたいと思います。
  40. 中田政美

    ○中田政府委員 北海道開発重要性なり、国策として最も重点を指向せなければならぬ点につきましては、先刻来増田官房長官からお答えになつた通りでございます。われわれ国土計画あるいは地方計画に関與いたしております者といたしましても、北海道開発が、わが国の各地方地方計画の上においても、最も重要視される一つであるという点については申すまでもないところでありまして、これをどこまでも推進して行くことについては、官房長官の御答弁通りであります。ただ地方計画一つである北海道だけを、單行の法律で出すという点についてどう考えるかという点については、若干の問題があるかもしれませんが、しかしこれも国策として北海道が歴史的にもまた自然環境的にも一つのまとまりがあつて、しかも非常にそのウエートが高い、あるいは範囲も莫大であり、あるいはまた国費の支出も非常に高額に上つておるというような点を総合いたしまして、これを一つの題材として取上げて、内閣にあるいはその行政機関を設け、あるいはまた新機関を設けることも一つの政策の取り方によつて必要なことでございまして、現内閣において北海道開発法という単独法を出すことも、そういう政策の取上げ方によつては、これは必要なことではないかと考えるわけでございます。ただ全体の地方計画が、これによつて等閑にされないことは、もちろん官房長官のおつしやる通りであります。ただいま御答弁になりましたように、総合国土開発法というわが国全体の地方計画なり、国土計画見地から、この北海道開発法調和を保つようにすることは、今後に残された重要な観点であると考えます。
  41. 鈴木明良

    鈴木委員長 次は木村榮君。
  42. 木村榮

    ○木村(榮)委員 二、三点お尋ねしたいと思います。  北海道開発法というのは、第三條までがこの開発法である。あと第四條からは国家行政組織法に基いた、いわゆる総理府の外局である北海道開発庁を設置する法律案だと思うのであります。ところでそういつた観点からこれを見ますと、おかしいと思いますのは、一條から三條までのわずかの中で、非常に重大なことが規定されておる。たとえば第二條に、「国民経済復興」云々と書いてある。そうして「これに基く事業昭和二十六年度から当該事業に関する法律(これに基く命令を含む。)の規定に従い、実施するものとする。」こうなつておりますが、国が総合計画を立てます場合は、一体どのような機構でこれをやるか、国会に何かまた別の法案が出て来て、それを審議して、決定してお出しになるのかどうか、この点を明確にしておきたいと思います。
  43. 増田甲子七

    増田国務大臣 第二條の第一項に関する御質問お答え申し上げます。計画を樹立いたしまして、あと実施する場合には、当該事業に関する法律規定に従い、実施する——現在既存の法律が相当あるのでありまして、既存の法律並びにこれに基く命令に従つて港湾なら港湾の建設をし、道路なら道路の改修をする、こういうわけであります。
  44. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そういたしますと、第三條に「関係地方公共団体は、開発計画に関し、内閣に対して意見を申し出ることができる。」となつておる。大体この開発法の全貌はこれだけであつてあと開発庁というものの行政組織といつたものがおもなものだと思うのですが、そういたしますと、第四條に、国家行政組織法云々と書いて、北海道開発庁を置くというのは、大体どういうふうになるのですか。国家行政組織法から行きますと、こういう行き方はおかしいと思う。たとえば庁を置く場合は、国家行政組織法の第三條によつて、「国の行政機関の組織は、この法律でこれを定めるものとする。」とあつて、「行政組織のため置かれる国の行政機関は、府、省、委員会及び庁とし、その設置及び廃止は、別に法律の定めるところによる。こうなつておる。そして「委員会及び庁は、総理府、法務府又は各省の外局として置かれるものとする。」となつておりまして、北海道開発法の中で北海道開発庁を置くというこの規定を第四條でだし抜けに持つて来るのは、ちよつと常識ではわからないのですが、これでいいのですか。
  45. 増田甲子七

    増田国務大臣 木村さんは二つ法律をつくつて、一方を設置法とせよといつたような御意見と拝聴してお答え申し上げますが、法の立て方は各種の方法があるのでありまして、われわれは開発法というものは主として開発に力を入れますから、開発法という名称で出しましたが、もとより設置に関する法律は御指摘の第四條以下にある次第でございます。これは立法技術の関係でございます。
  46. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そうしますと、私がさつき申し上げました第三條では、「関係地方公共団体は、開発計画に関し、内閣に対して意見を申し出ることができる。」となつておる。一方今度は国家行政組織法によつてできました開発庁の中には、第十條で「審議会は、左に掲げる者につき、内閣総理大臣が任命する委員二十人以内で組織する。」こうなつて、衆議院から五名、参議院から三名、北海道知事北海道議会の議長、学識経験ある者十名以内となつておるわけなのですが、これをこのまま読んで行きますと、関係地方公共団体は、この計画に対しては内閣に対して直接意見を申し出るから、地方の方に付属しました審議会は一向大したものじやない。ただ北海道開発庁の中における諮問に応ずるといつたようなことになつておるわけなのですが、これは一体どういうことになるのですか。ちよつとわからないのですが……。
  47. 増田甲子七

    増田国務大臣 お答え申し上げます。意見を申し述べることができるのは地方公共団体でありまして、主として地方自治団体——道である。こう思つております。しかしながらたとえば帶広市とかあるいは旭川市というような重要公共団体はもとより意見を具申し得るわけであります。審議会の構成メンバーの中に明瞭にうたつてあるのは、御指摘のごとく北海道知事北海道会議長でありますが、事はやはり自治体である北海道に非常に関係が深いからであります。第三條もそうでありますし、第十條もそうでありますが、いずれも国の行政であるところの開発計画について計画を樹立し、また執行するのが北海道開発庁であり関係各省、すなわち農林省であり建設省でありその他の省であります。しかし自治団体である道と非常に関係が深いから特に道知事と道議会議長をあげました。しかして第三條の関係地方公共団体は道のみを含んでおりません。道とその他関係公共団体、市町村も含む趣旨であります。  それからもう一つ審議会は一方は意見を申し出ることができる、一方は建議だけである。こういうことを言われますが、もとより建議もし、あるいは各種の答申もいたします。要するに意見を申し出ることができると言つたのは、私どもは建議だとかあるいは諮問に応ずる答申と同じように考える。最もこれを尊重し、国土総合、北海道開発計画の上にこれを具現化する必要がある、こう考えております。
  48. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そこでこの第十條に規定されました審議会は、国家行政組織法の第八條の規定によつて置かれたと思うのですが、この国家行政組織法の第八條によつて置かれまする審議会と、そうではない普通一般のこの行政機関にはないところの審議会とは性格がやや異なると思います。従つて行政機関におきます審議会の場合は、どのような性格のものでなければならないかという点が明確にならなければいかぬと思いますが、その点の御意見を承つておきたいと思います。
  49. 増田甲子七

    増田国務大臣 いずれの審議会でも性質は同じであると思つております。すなわち執行機関であるかないか、執行審議会でなしにアドバイザリー・コミティーとコンセキユーテイヴ・コミテイーの二つのコミテイーがありますが、そのうち事業を執行する公正取引委員会、公安委員会とは違つて、諮問に応じて積極的に建議をし、あるいは答申をする、いずれも行政的の性質は諮問委員会が持つております。
  50. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そういう諮問委員会だといたしますと、国家行政組織法第八條の規定に基いてできました審議会の中へ両院の議員が出て来るということは、私はたといそれが諮問的なものであつたとしても立法府である関係上少々おかしいのではないか。このことは国家行政組織法ができましたときにも相当問題になつて国家行政機関付属機関として置く審議会または協議会には、原則として国会議員は出さないという答弁をはつきりしてあつたと思います。従つて今まではたくさんな行政機関の中に置かれました審議会あるいは協議会というものには、国会議員は出ていなかつたと思います。ただこの行政機関を離れた、たとえば社会保障制度審議会あるいは米価審議会といつたようなものには、国会議員も出たと思うのですが、そのほかの審議会にはほとんど出ていない。こういうふうに私は記憶しておるわけでありますが、今度は相当重大な問題であるから出した、こういうことになると思いますが、しかしこれは相当誤解を招く危險性があると思います。そういう点については大体どのようなお考えでございますか。
  51. 増田甲子七

    増田国務大臣 御趣旨はよくわかりましたが、しかし法律で例外を定めることはまたできるわけでありまして、その法律としての例外で国会議員が既存の諮問委員会委員を兼ねておる事案もあるのでございます。
  52. 木村榮

    ○木村(榮)委員 国家行政組織法に基いてこの外局をこしらえて出します場合には、私は当然これは定員法の改正法律案とともに出すべきものだと思つております。しかしこれがまだ出ていないのは私どうもおかしいと思うのですが、それについてひとつ御意見を伺いたい。
  53. 増田甲子七

    増田国務大臣 不日定員法の改正を提案するつもりでございます。
  54. 木村榮

    ○木村(榮)委員 それはあとからおつつけ出るでしようが、さつきの委員の方から御質問があつたように、行政簡素化とかあるいは行政整理とか盛んにやつておる時代に、こういつた外局がまたできる。この中においてどのような部課ができ、あるいは定員を持つておるかということは、やはりこれを審議いたしまする場合においても相当重大な問題である。少くとも今の段階においてはこの新たな定員法とともに出すのが政府としては最もまじめなと申しましようか、納得の行くと申しましようか、方法と思うのです。それをあとで出すというのならば、それは出るでしようが、ひとつさつそく出すわけに行きませんか。
  55. 増田甲子七

    増田国務大臣 さつそく提案するように努力いたします。
  56. 木村榮

    ○木村(榮)委員 これは昨年の十一月に私どもの党の池田峯雄君が質問書を出しておる。その内容国土総合開発のためには外資導入を行う意思はないか、こういうのに対して政府は、国土総合開発は何分厖大な資金を必要とするので、一部に外資導入ができればまことにけつこうだと思う、こういうふうに御答弁なさつておるわけであります。そこで御説明もあつたように、この北海道という相当大きな問題の開発にはむろん多額開発のための経費がかかると思うのですが、これに対して外資が入つて来る可能性があるだけの、相当いい御計画の見込みがございますか。
  57. 増田甲子七

    増田国務大臣 今のところ考えておりません。
  58. 木村榮

    ○木村(榮)委員 もう一つお尋ねしたい点は、たとえばさつき官房長官答弁なさつた場合に、大体国土総合開発のための計画は相当やつておる、こういう御答弁つたわけなんですが、その場合に今度は北海道開発庁というものが総理府の外局として行政管理庁と二つになつた。今度出て来ますのは、たとえば国土開発庁といつたような名前で——名前はどうでもいいのですが、やはり総理府の外局としてできますか、それとももうちよつと形態のかわつたものですか。
  59. 増田甲子七

    増田国務大臣 現在考えておるのは総合国土開発法の中で内閣国土開発審議会を置く、こういうことを考えております。しかして審議会の職能というものは、総合国土開発計画を樹立して政府に勧告する、これとはやや違うのであります。
  60. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そうしますと、総理府の外局として行政管理庁と並べて北海道開発庁というものと二つになつたということと、北海道開発法の中の第四條によつて北海道開発庁というものを設けることはさつき御答弁があつたのですがどうも納得が行かない。というのは第一條から第三條の規定がきわめて抽象的で、これで行きますと北海道開発庁というものは大体国が立てました北海道の総合的な開発計画をおもに実行する面の役所だ、こういうふうに解釈していいわけですか。
  61. 増田甲子七

    増田国務大臣 開発計画を樹立して各省庁をして実行せしめる役所でありまして、それ自身事業官庁ではないのであります。
  62. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そうしますと第七條に書いてある参與というのは、従つてこの各行政機関、たとえば農林省とか建設省とか、あるいはまた経済安定本部といつたふうな機関職員の中から出て来るわけなんですね。
  63. 増田甲子七

    増田国務大臣 そうであります。大体において各省の次官くらいが出て来られて、その省とこの開発庁との連絡をはかるということを考えておる次第であります、
  64. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そうしますと、参與は常勤ではないとしてあるわけだから、総合的にやる場合には、役所内に別にうまく相談するような会でもできるわけでありますか。
  65. 増田甲子七

    増田国務大臣 参與会議というものを開きまして、各省の次官ぐらいが出て参りまして、そうして農林省、建設省あるいは安本の副長官なら副長官という間で相談をいたしまして、調和のとれた計画を立てるというようなことについて庁務に参画する、こう考えております。
  66. 鈴木明良

    鈴木委員長 次に鈴木義男君。
  67. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 私の質問は木村君が述べたことと重複をいたすのであります。しかしわれわれはこの北海道開発はもちろん大事でありまして、これについて適当の処置をとることは賛成であります。従つてまた北海道開発庁及びその審議会というようなものを設けることにも異議はないのでありまするが、審議会の構成の仕方について新憲法及び新国会法の下においては、旧憲法時代と違つて考えなければならぬのではないか。衆議院議員あるいは参議院議員を審議会の構成に入れることは違法ではありません。官房長官の言われる通り法律できめればできないことではないのでありまするが、法律できめることはおもしろくないことである。それが新憲法及び新国会法の精神であるとわれわれは信ずるのでありまして、国権の最高機関として、北海道開発についても国会が最高の決定権を持たなければならない。しかるに行政機関の中に諮問機関として両院議員が参加して行くということは、やがて事業実施する場合には法律をつくらなければならぬ。たとえば石狩川の流域の開発であるとか、泥炭地の開発であるとか、そういう法律ができることになると、これはやはり国会が議決するのでありまして、この議員諸君が諮問機関に参加して出した意見と、国会がこれに対して決定する意見とが違うことがあり得るわけです。そういう場合には国会議員が事前にこういうことに参加することは、一つの権威に関することである。できるだけ国権の最高機関は独立にこういう仕事に従事すべきである。すなわち政府を指揮し、鞭撻する任務を持つていると思うのでありまするから、国会の中に北海道開発の特別委員会というものをつくることが望ましく、国会法によつて両院共通のものができるかどうか疑問でありまするが、できなければ連合委員会にすればよろしい。そういうものが北海道開発庁長官以下を指揮して、そうしてその最高機関がきめたものを実行させるというような建前にして行くべきものであろうと思う。そういう点について政府当局としてどういう風にお考えになつておられるか、あらためて承つておきたいのであります。
  68. 増田甲子七

    増田国務大臣 鈴木さんの御指摘の点は一応ごもつともでございます。その点は政府も非常に考えたのでありまするが、北海道につきましては、北海道を代表される国会議員において、北海道総合開発について非常に御熱心であり、また御造詣も深いし、御経験も深い、また識見も高邁に持つていらつしやるという方があるのでありまして、その方々の中からわれわれが推薦するというようなことはもとより、全衆議院議員、全参議院議員の中にもそういう方が非常に多いのでありまして、北海道特殊性があるから、政府においては重点的に力を入れて開発せよという声もあります。この声を、やはり内地府県並びに北海道を代表されて選ばれた審議会委員がこの審議会において出していただく、そうして最もよい結論を得たい、こう考えている次第であります。しかしながら審議会は先ほども説明申し上げた通り、あくまでも執行委員会ではございません。国会法第三十九條には、かりに執行委員会であつても、国会の議決があつた場合は国会議員が任命され得るということになつておりますが、しかしこれは諮問委員会でございますから、一応の意見を申し上げるということでありまして、あと国会においてそれぞれの政党その他の方針に従いまして表決権を行うことは、数字に現われた上からはあるいはむりがあるかもしれませんが、別段さしつかえない。こういうふうに考えた結果、こういう法案を作成した次第であります。
  69. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 私の申す意味は、法律的に違法である、さしつかえがあるというのでなくして、新憲法及び新国会法の精神に合わない、こういう意味でありますから御了承願いたいのであります。ことにこういう委員にするということは、この委員の地位を特権的にする、あるいは利権屋の策動する対象になるというような弊害が伴うことがある。国会に堂々たる北海道開発委員会というものをつくりますならば、そういう弊害はなくして済むのではないか。そして別に行政機関の中に学識経験者等をもつて組織される審議会を持つことは少しも異議がないのであります。国会はこれらを呼んでそれぞれ意見を聞いて決定すればよろしい。これは一つ意見として申し上げておきます。  それから北海道知事北海道議会の長などがこれに参加していることも問題だと思う。自治体は国家から独立しているのでありますから、できるだけやはり独立して仕事をさせることが望ましい。意見を述べることができるということを書いてあるくらいであるから、意見は十分に聞くべきで、そうして国家としてやるべきことは国家としてやる。自治体としてやるべきことを強制するわけに行かぬのであつて、自治体の長及び議会意見というものを尊重して、あらかじめ拘束するとは申しませんけれども、事実上こういう審議会に参加しますれば拘束を受けるわけです。しかもやはり自分の共鳴した意見と違つた決定を強いられるというようなことがあり得るわけでありまして、一つのジレンマに陷ることも考えられるのでありますから、どういうものかと思うのであります。そういう点について政府はどういうふうにお考えですか、承つておきたいと思うのであります。
  70. 増田甲子七

    増田国務大臣 鈴木さんも御存じのごとく、この開発法内容として設定さるべき北海道開発庁において行う計画は、「国は」と書いてございまして、結局国が事業についての計画をするのであります。あくまでも都道府県の自治行政としての建設事業、土木事業あるいは農林事業といつたようなものを行う趣旨ではないのであります。しかしながら北海道につきましては、先ほども申し上げました通り、行政機構としての特殊性を持つておる。しかも上の方の責任者、一団体の長である知事がやはり国の事務を委嘱を受けてやつている、こういう点もありますから、特にここに知事という名称、それから道会議長という名称をうたい込んだ次第でございまして、そういう関係から特に知事さんの意見も尊重したい、道会議長さんの意見も尊重したい、こういう趣旨でできております。しかしながら審議会意見はあくまで知事それ自身、道会議長それ自身の担当事務ではない国の事務についての意見を申し入れる機会を與えた、と言うと語弊があるかもしれませんが、與えて尊重申し上げた次第であります。
  71. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 それ以上は議論になりますから略しておきます。それは形式論でありまして、結局北海道のことを議するのであります。北海道知事なり道会議長というものはその立場を使いわけるというわけには行かぬと思います。その点は御考慮を願いたいと思うのであります。
  72. 鈴木明良

    鈴木委員長 次に田中角榮君。
  73. 田中角榮

    田中(角)委員 増田官房長官に簡単に二点だけ伺いたいと思います。  北海道開発法を御提出になりましたいきさつとその目的は十分了承できるのでありますが、現在建設委員会といたしましても国土総合開発法という基準法的な問題に対して審議をいたしておるのであります。その意味におきましてまず第一点に承りたいのは、この北海道開発法がうわさに上りました当時、本多国務大臣の談話として壱岐、対馬等特殊な地域に対しても、特別法を制定して開発に当りたいというようなことが報道せられたのでありますが、こういう特殊な地域に対して特別立法をなさるというお考えがあるのかどうかまず伺います。
  74. 増田甲子七

    増田国務大臣 田中さんの御質問は時務上の重大な御発言だと思つております。そこで北海道開発庁をつくるにあたりましても、草案草案の中には特定の事業を指定いたしまして、その事業については北海道開発庁というものが専管してこれに当る。いわゆるテネシー・ヴアリ・オーソリテイのような考えを持つた時代もあつたのであります。しかしながら現在御承知のごとく各省、各庁において北海道開発事業を行つておりますから、われわれはこの官庁の仕事まで北海道開発庁に担任させる時期ではない、こう考えまして一応取上げましたすなわち計画官庁にすぎないのであります。そこで今度は壱岐、対馬等を含む内地全体の——また北海道を含む意味でありますが、総合国土開発審議会というものを政府は予想して法案を提出せんとしております。あの法案によつて設けられました国土総合開発審議会が樹立すべき総合国土開発計画というものをなるべくりつぱに樹立されることを政府は期待いたしております。それから時期的にはその次の段階に壱岐、対馬あるいは岩手県の一部あるいは奈良県、三重県、和歌山県の境の一部などを、特定の官庁を指定いたしまして、もつぱらこれが開発を專管せしめるという必要がある場合には、そのときのことになる。すなわち時間的には総合国土開発計画が総合国土開発審議会によつて樹立、決定されまして、その次に壱岐、対馬なり、今申しましたような特定の地域についてはむしろ一つ役所が設けられまして、T・V・Aというような役所が設けられまして、その役所開発事業を專管する必要がある。そういうことになれば、そのとき皆さんの御意見等をもちろん十分にお取入れいたしまして、かかる官庁をつくるということも予想し得ることであります。但し時間的にはまだ相当将来のことになりはせぬか、こう考えておる次第であります。
  75. 田中角榮

    田中(角)委員 第二点は、先ほどの内海君の質問の中にもありました北海道を除く本土全部にわたる国土開発法の制定であります。これは内閣が、近くと申し上げるよりも今議会中に提案を申したいというお話でございますが、建設委員会といたしましても、その御発言に対して大きな期待を持つものであります。過日建設委員会に御出席を煩わしまして、二回にわたり官房長官意見を発表せられておるのであります。私たちも第五国会から引続きまして、国土総合開発法の制定の急務なることを知りまして、現在建設委員会国土開発法制定に関する小委員会を設けておるのであります。しかしこの問題に対しましては、仄聞するところ、各省間にまたがる複雑なる事務を統一する、要すれば、一つには建設行政の一元化、なお内閣が企図せられておりますところの官庁行政機構の一大再編成のときにあたりまして、この種基準法が出されることは、すなわち法律の氾濫期とも申されつつある現在の状態において画期的なことであると思いまして、これが法律案の提出に対しては建設委員会といたしましても十分な研究と審議を続けておるような状態であります。しかしこの法律案が先ほど申し上げましたように、各省にまたがつておる行政面を、一つの基準法によつて統一しようという目的を持つておりますだけに、各省間の意見もまた各個ばらばらであることも予想せられるのであります。しかしこの法律案に対しましては、さきに設けられました内閣総理大臣諮問にかかるところの国土開発審議会の答申案をすでに出され、二箇月近い日がたつておるのであります。しかもなお各府県はこぞつて国土開発法の本議会通過を切望しておる状態であります。この法律案の原案に対しましては、私が申し上げるまでもなく国土開発審議会の答申による案、また名称は多少違いましたが、建設省企画課でつくつたところの地方計画法案というようなもの、なお一箇月ばかり前に経済安定本部官房長のおつくりになつたと言われるところの経済安定本部案なるものが、三つ、四つ提出せられておるようであります。これはもちろん現在の内閣の責任と力においてこれを調整し、しかも本立法の精神を十分生かし得るりつぱな完成された法案として御提出になると思つております。しかもそれを期待し確信しておるのでありまするが、いかんせん会期切迫の現在でありまして、再三官房長官にもお願いを申し上げた通り、これが内閣の提出が会期末になりまして、この種重要なる法案の通過が不可能であるということに至つたならば非常に大きな問題であるので、そのような場合、端的に申し上げますと、各省のセクシヨナリズムによつて阻害せらるるおそれの十分あるこの種法案に対しましては、委員会も協力をし、場合によつては各党議員提出法案として考えてもいいではないかということを御相談して参つたのであります。現在先ほども申し上げましたように、建設委員会には国土開発法制定に関する小委員会をつくつておりまして、政府の出方を待つておる次第であります。私もその当面の責任者として小委員長を命ぜられておりますので、私の責任としても、本国会中にはなるべくお出ししたいということだけで了承するわけには参らぬのであります。これはまことにごむりなお願いであるかもわかりませんが、私としましても、もし政府が今月一ぱいぐらいに成案を得られ、しかも国会に仮提出でも何でもして、予備審査をできるような段階になるかならないか。これはもう時間的な問題でありまして、最後になつて時間的に技術的に間に合わなかつたというがごときことは本法に対しては言い得ない、こう考えておるのであります。各省間における折衝の状態、並びに官房長官の十分なる政治力には期待しておりますが、現在もうすでに閣議にも草案はかかつておるようなことを仄聞しておるのでありますが、その閣議の方向、それから提出を予定せられるところの原案の線——私たちが希望いたしておりますのは、増田官房長官建設委員会に御出席になり、御言明をせられた線でまとまることを希望しておるのであります。もしその線以外にまとまるということであるならば、建設委員会としても当然他に立法手段を考えなければならぬ。しかもそれはもう時間的に、技術的に考えましても一日か二日、遅くとも今日一ぱいには大略の成案を得なければならない。もしそうでなければ本国会に対する両院通過はむずかしいと考えておるだけに、これが具体的なお考えを承れるならば官房長官の責任において御答弁を煩わしたいと思つております。
  76. 増田甲子七

    増田国務大臣 私ども考えておる案は、内閣に総合国土開発審議会を、それからその審議会の中に事務局を設置いたしたいと思つております。その事務局をどこにするかということも非常に研究いたしまして、田中さんもよく御存じの通り、約一年間にわたつて調査審議いたしましたが、内閣に閣議決定を基礎として置かれた総合国土開発審議会の答申がございます。その答申は、内閣審議会を置き、その審議会審議会付属の事務局を置くという案でございました。そうして各省、各庁においてそれぞれの意見があることはまた御説の通りでありますので、私ども不敏ながら各省、各庁の意見の調整をはかつております。近く調整ができる見込みでありまして、要するに総合国土開発でございますから、関係各省各庁にまたがつておりますので、これはやはり内閣なり総理府に置くべきものであると考えるのであります。田中さんもよく御承知通り経済安定本部においては、従来あるいは五箇年計画なりその他総合国土開発計画を担当し、また鋭意勉強して常時よきレポートを出しております。しかしながら昨年の四月以来は総理府から離れまして、経済安定本部総理府の直轄には属さなくなつて、独立のものと相なつた次第であります。そこでおそらく審議会にも関係大臣がそれぞれオブザーヴアーとして出るということがあると思いますが、そういう場合には、やはり内閣に置かれるということであるならば、もとより内閣に各大臣が来てもらうということは当然でありますから、出席もし、勉強もしてくれると思いますが、各省と同じ立場に立つた安本ということになりますと、どうもその点がむずかしくはないか、私どもはセクト主義とか、あるいはなわ張りといつた意味のことを離れて、條理にかなつた役所を設定いたしたいということで、鋭意検討いたしております。但し安本におきましては、従来建設局その他の部局がありまして、この方面の仕事をおいおい勉強いたしておりますし、相当スタツフもありますから、これらのスタツフを有効に活用いたしたいと考えております。結論はおそらくこの月末までには出るのではないかと考えております。但し法案提案は月末までとはお約束をいたしかねますが、できるだけ早く提案いたしますから、その際は恐縮でございますが愼重に御審議を願い、すみやかに可決あらんことを切にお願いいたします。
  77. 田中角榮

    田中(角)委員 増田官房長官の御言明をいただきまして、建設委員会といたしましては、非常に希望を持ち、喜んでおる次第でございます。しかし最後に非常に政治的な御答弁がありましたが、私といたしましても月末までに内閣が御提案になつてくださるという御言明をいただかない場合は、お手並拜見で、いつまでお待ちしておるわけにも参らないのでありますから、もう内閣ではだめだから逆に建設委員会のお手並拜見ということでもけつこうでありますから、月末までに御提出を願うようにお願いをいたしておきます。
  78. 砂間一良

    砂間委員 官房長官に二、三の点についてお尋ねいたします。先ほど官房長官は、北海道開発庁計画官庁であつて、その実施は各省庁においてするというお話でありましたが、計画立案するというだけであれば、特別に北海道開発庁というような役所を設置しなくても、單に審議会だけでやつて行けるのではないか。あるいは各省間の事務の調整とか推進とかいうようなことが問題になりますならば、委員会か何かで調整して行くということもできるのではないかと思いますが、特にこういう開発庁を設けなければならぬという積極的な理由を御説明願いたいと思います。
  79. 増田甲子七

    増田国務大臣 砂間君にお答えを申し上げます。私が計画官庁と申しましたのはその通りでありまして、第五條に北海道開発庁の職能が規定されておりますことは、あなたも今調整とか推進とか言われた通りでありまして、計画について調査立案をする、そうしてこれに基く事業実施に関する事務の調整及び推進に当るというのが、この開発長官の仕事なのであります。今これくらいならば審議会でけつこうではないかというお話もありましたが、審議会内閣に設けられたとしたところで、勧告したり、答申したり、建議したりするだけの仕事でありまして、計画自身がそう生きて来ませんが、この北海道開発庁において策定した計画は、もとより予算の範囲内ではございますが、これを実施しなければらぬ、そういう義務を負うに至るのでありまして、よほど法律的の意味合いが違つていると考えます。
  80. 砂間一良

    砂間委員 この北海道開発庁で調査、立案、決定した計画については、これを各省庁実施して行く義務があると言うと、少し強くなり過ぎるかもしれませんが、そういうふうなことになる。その御趣旨は第二條の第一項にもうたつてあるわけであります。そういたしますと、この計画立案内容というものがきわめて重要性を持つて来ると思うのであります。ところがこの計画立案が具体的にどういうふうにつくられるかということにつきましては、この法律では全然わからない。それは将来北海道開発庁がつくつて行く場合に、審議会意見を聞くということになるわけでありますが、とにかくその開発庁でどういう計画をおつくりになるかは、私どもには何らわからないわけであります。そのおおよその範囲は、土地、水面、山林、鉱物、電力その他と一応あげてありますけれども、案そのものの内容はわからない。しかもそこで立てた案については、これを実施して行くということがある程度義務づけられるような関係になるといたしますと、この法案は、この開発の具体的な計画については、いわば開発庁に白紙委任というふうな形になるわけであります。この委任立法ということは、先ほど深澤委員が申されたような意味ではなく、案そのものについて審議会なり開発庁の立案に一切ゆだねられるわけであります。こういうことは民主政治のあり方といたしましては、はなはだ好ましくない。いわば戰争中の国家総動員法を縮小したような形でありまして、好ましくないと思います。この計画実施するにつきましては、当然予算的措置というものが伴つて来ることになるわけでありますが、そういう性質計画をこの開発庁に一任して、どういう計画を立てられるかもわからないということで、国会を無視したと言うと変ですけれども、また国会から離れたといつても、予算関係は将来国会提案されるでありましようが、とにかくその点について私ども一抹の疑惑を持つものであります。その点についてひとつ御説明願います。
  81. 増田甲子七

    増田国務大臣 砂間君にお答え申し上げます。  御質問の点は、結局行政と立法の問題になると思います。行政を民主的にやる必要のあることはもとより御指摘の通りでありますが、行政は行政府にゆだねられている、こう考えております。  それからたとえば厖大な計画を立てる、それが社会民衆に非常な影響のあるものを立てるのはけしからぬというお話になると、行政府が行政をやるのはけしからぬという話になるので、少しおかしいのではないかと思います。われわれは反対しましたが、たとえば経済五箇年計画にいたしましても、あの計画政府の一部局が立て、また立てつつあつたものであります。しこうして砂間君も御指摘のごとく、この計画がかりにできますと、これは草案草案のまた草案みたようなものでありますが、これが最後的な決定になるときは、もとより各種の民主的な諸機関審議を経由いたしますが、最後には閣議決定になります。それがきまつて今度は予算を要するということになりますと、予算案は皆さんが議決されなければならない。その際にはひとつ北海道計画書を見せろということになつて、この計画書自身が国会審議の対象になるのでありまして、決して非民主的でも、あるいはフアツシヨ的でもないということをこの際明言しておきます。
  82. 砂間一良

    砂間委員 この計画は国の事業として立てられる計画だと思います。しかしながら国の事業として立てる計画でありましても、北海道地方民にとつては重大な利害関係を持つておる問題であります。というのは北海道の道民諸君のいろいろな希望とか、あるいは要望といつたふうなものも当然出て来ると思います。関係地方公共団体は一応内閣に対して意見を提出することができるということにはなつておりますが先ほど鈴木委員からも御意見がありましたけれども、私はもつと積極的に道民の希望や要望が反映するような方法が講ぜられた方が好ましくはないかという考えを持つわけであります。ところがこの審議会等の構成を見ましても、これは開発庁の一諮問機関でありまして、そういう措置がきわめて薄いわけです。一応道議会の議長とか、道知事も委員に加わつておりますけれども北海道にとつてはきわめて密接な利害関係を持つ重要な計画でありますから、道民の輿論なり意見をもつと直截に反映できるような方法は講ぜられないものかという点について官房長官の御意見をお伺いしたいと思います。
  83. 増田甲子七

    増田国務大臣 砂間君の御指摘の点はごもつともであります。そこで法第三條に、「関係地方公共団体は、開発計画に関し、内閣に対して意見を申し出ることができる。」とあります。これは立法としては、画期的と申すと少し言い過ぎかもしれないが、おもしろい法律である。つまり民衆の意見を多く取入れるということを法律の中に書いてあるので、私は非常に特色のある法文ではないかと考えております。あなたの御質問通りお答えがここに出ております。
  84. 砂間一良

    砂間委員 北海道の後進性から未開発部分が非常に多い。これを大いに開発する必要があるということは私も認めるものであります。しかしながらその開発方法は、国がこういうふうに開発庁をつくつたり、それから予算その他で直接に事業をやらなくても、地方自治の精神にのつとつて北海道自身でやるという方法は講ぜられないものか、もちろんその場合現在の北海道の力をもつてしては及ばないところがたくさんあると思いますから、それを平衡交付金その他の方法でもつて十分援助してやるような方法を講じてやつて北海道開発計画自身は北海道で立てる。そして技術の面においても、あるいは財政の面においてもそれを国が積極的に援助をする。こういう方法は講ぜられないものかということにつきまして、官房長官の所見を伺いたい。
  85. 増田甲子七

    増田国務大臣 それは私の貧しい経歴から言えば反対であります。それから北海道は特に特殊性がありますから反対であります。内地につきましても、たとえば栃木県のごときは、厖大な開発計画書があります。そういうようなものが四十五加わつたものが総合国土開発計画である。しかもその間、あるいは安本なり、あるいは開発審議会なりで、有機的に再検討をしなくちやなりません。そこでその事業をたとえば栃木県知事だけでやればよいかというと、そうは思つておりません。栃木県における鬼怒川の水力資源開発のごときは、国の資源庁がせわをしなければならぬと考えております。
  86. 八百板正

    ○八百板委員 同僚議員によつて問題の点はそれぞれ若干明らかにせられましたので、お尋ねしたい点もなるだけ省略いたしたいと思うのでありますが、北海道が生産性が低くて、これを高めれば日本人口の収容力も出て来るという意味において、ここに総合開発の対象にせられたということにつきましては、私どもも大いにその目的とするところには賛成するのでありますが、さてこれを具体的に開発いたしますためには、やはり何と言つてもこれに伴う予算が考慮せられなければならないわけであります。先ほど来の同僚の質問に対しまして、北海道に対しては、すでに多額開発の費用を国費の中からさいておるのであるから、これを総合するという意味合において、こういうふうな特別法が必要なのであるという意味のお答えがあつたのでありますが、そこから伺つて参りますというと、北海道に対する国費はすでに出されておるのであるが、総合性を欠いておるから北海道開発が遅れているのである。これを單に事務的に総合すれば、それだけによつて北海道開発が可能であるというふうな一応の前提を頭に置いておられるようにも感ぜられるのでありますが、その点について官房長官はどういうふうに考えておられるか。従つて従来の国費の負担分を総合するというだけではだめだ、将来にわたつて一層の国家的支出、財政的支出を加えて行かなければならないという考えでありますならば、そのためにどういうふうな具体的な用意を頭に描いておられるか。たとえば何箇年かにわたつてどのくらいの国費北海道に対して注ぐということが頭に描かれて、こういう開発法が出されておるかという点を具体的にお示しを願いたいと思うのであります。
  87. 増田甲子七

    増田国務大臣 先ほどの鈴木君の御質問といい、また今の八百板君の御質問といい、社会党の諸君が北海道総合開発庁を設定するということで、この北海道開発法は非常によい法案であると、双手をあげて御賛成くださつたことについては、私は感謝にたえない次第であります。  そこでまず第一に先ほどの御答弁のときに申し上げましたように、すでに国費を毎年々々多額に投下している。その国費の執行の仕方が各省各庁おのがじし、自分の省で最善と信ずるところを執行しているきらいがないでもない。そこで調和と総合をはかるために、北海道開発庁がまず必要であるということを申し上げましたが、終戰後日本人は、四つの島にのみ生活することがわれわれの受けている制約であります。その四つのうちの一つ北海道は、わが国に残されたる偉大なる宝庫であるということは冒頭に私お答え申し上げました。そういう見地から、大きなスタンド・ポイントから、北海道開発をはかるべきものである。人によつては、北海道開発府とか、あるいは北海道の開拓府とかいうものを札幌に設けたり東京に設けたりした方がいいじやないか、こういうようなことを言う方さえあるのであります。北海道開発庁が設けられますと、各省を批評しては悪いのでございまするが、日本が海外に植民地を持つていた当時と同じような頭を持つている方がないとも限らぬのであります。すなわち北海道は四十六都道府県あるその四十六分の一として、北海道において各種事業を国が行えばいいのであるといつたような考え方、まだそういう慣性を脱しない方がないとも限りません。そういうことでわれわれのホープたる実は達成しがたいと私ども考えております。北海道だけは違うのであります。われわれの北海道に期待するところは、内地府県資源に期待するのとはまるつきり違うのである。北海道民の発展のために、内地府県民の発展のためにも、まるつきり立場をかえて北海道開発考えなくちやならぬ。こう考えまして、私昔、終戰直後半年赴任いたしましたとき、北海道総合開発審議会というものを北海道内に設けまして、当時の金で年額二百万円ずつ、今日の金だとおそらくその二十倍くらいになると思いますが、調査会へそれだけの金を投じて一生懸命開発計画を策定してもらつた次第であります。私自身一つもタツチはいたしませんでしたが、朝野学識経験者が一生懸命つくられた案が、草案草案でございまするが、ここに北海道総合開発計画書、もし全部がございますればあとで御参考に御配付申上げてもよろしいのでございますが、この答申が出たのが、たしか一昨年でございました。その当時といたしましては約十箇年計画で五千億円の金を投下すれば、北海道民が非常に安穏なる生活を送り得るし、また内地府県民に裨益するところが多大であるというのが結論であります。これは今日の貨幣価値に直しますと数兆億円になると考えます。あるいは夢と申しますか、あるいは理想的と申しますか、相当の偉大なる計画をわれわれは樹立せんとし、また実施いたしたいと念願いたしております。
  88. 八百板正

    ○八百板委員 ただいまお答えを伺いますと、大分言葉長く御答弁いただきましてまことにありがたいのでありますが、どうも私のお尋ねいたしましたかんじんの点については何ら触れられておらないのであります。さきに長官北海道長官として赴任せられておりました当時、二百万円の費用を投じて審議会計画を進められておつたというお話をただいま伺つたのでありまするが、先ほどちよつと伺いますと、このことにつきましては、ほとんど金の用意はいたしておらない。ただ閣議決定として八百万円ほどの金が開発のためにあるから、これを使つて行きたいのであるというふうなお話を伺つたのでありますが、北海道だけで、今よりも物の値段の安い、貨幣価値の高い時代において二百万円を擁してやられて、それでも十分に行かなかつた仕事が、今日通貨価値の非常にかわつた状態のもとにおいて、しかも国家的規模において行われる仕事が、その四倍の八百万円の閣議決定の費用でまかなつて行けるというお考えは、どういうそろばんから出て来ているのであるか、そういうふうな点をはつきりひとつお聞かせを願いたいと思うのであります。なお先ほどお尋ねをいたしましてお答えを伺わなかつたのでありますが、こういうふうな総合開発計画をいたしまするためには、何年くらいかかつて、どのくらいの国費を投ずれば第一條の目的とするところのものが一応達成せられるということになるのか、そういう見通しをひとつお聞かせを願いたいのであります。
  89. 増田甲子七

    増田国務大臣 今のような見通しは、私まだ貧弱な定見と知識しかございませんのでできがたいのであります。この開発庁が設定されますれば、その開発庁において審議策定して、何年くらいの見通しのもとにどれくらいの開発をする、十年ならどのくらい、二十年ならどのくらいというような計画が樹立されることを、われわれは期待いたしております。ただいま答弁せよとおつしやつて答弁能力が、非常に恐縮でございまするがございませんから、この点はあしからず御了承願いたいと思います。  それから当時毎年二百万円を投下して審議会各種の調査費用を使つた。しかるところ今回は貨幣価値が数十倍になつた今日、八百万円は少な過ぎやせぬかというお話は非常に私は感激いたします。できれば何千万円かを使いたいというところでございますが、財政の関係上八百万円というところに止まりました。ただしかし、国が開発計画を立てることになりますると、国には御承知通り安本を初め各省各庁にそれぞれのスタツフがございますから、このスタツフを活用いたしまして、数千万円といつたような調査費を上げたと同様に効率を発揮いたしたい。こう考えております。
  90. 八百板正

    ○八百板委員 私ども子供の時分に、よく少し年上の人からひやかされまして、まんじゆうを買つたら袋をやるというようなことを言われたのでありまするが、今お話を伺いますると、そういうふうな感じを抱くのでありますが、入れ物だけはやるが、中身は空つぽであるというようなものであつては、結局こういうものをつくつても何にもならない結果になるのではないかということを私は非常に心配するのであります。先ほど来自治体の独立性を侵す危險性があるのではないかというお尋ねに対しましても、それぞれお答えがあつたのでありますが、この法律が自治体を強化して、なるたけ自治体の体制を確立して、自治体の独立性を持たして行くというのが、今日の地方財政の上に現われましたところの方針であり、今日のあらゆる面にとられる施策であろうと思うのでありますが、そういうことになつて参りますると、国家的に新たなる何らの予算的支出をも考慮しないで、金は出さないけれども、ただ干渉だけはするというふうな結果になるのではないかというふうに私は考えられるのでありまするが、自治体に対して総合的国家立場から、これに対して一つの方途を授けて行く、そうして総合的に開発して行くというのでありますならば、まず第一に国家的に支出し得る財政の面を明確にいたしまして、そうして国家予算がそこに新たに注ぎ込まれる限度において地方の自治体に対して、中央の指導力を持つて行くというふうな行き方が望ましいのではないかと私は思うのでありますが、そういうふうな点では全然逆な方向をとつているように考えるのでありますが、こういう点について、長官はどうお考えになつておりますか、お答えをいただきたいのであります。
  91. 増田甲子七

    増田国務大臣 この開発庁ができますれば、われわれは実質上の北海道拓殖費が飛躍的にたくさん皆様から御議決願うことを期待いたしております。ただ八百板さんも御承知通り、八百万円だけが総額ではございません。現在実質上の拓殖費は鉄道の改修とか、港湾の改修とか、ああいうことを除外いたしまして、北海道自治に委託された国の事業としての拓殖関係の費用は四十六億円という多額でございます。
  92. 八百板正

    ○八百板委員 まず北海道開発を行いますためには、何と申しましても開発の先駆をなし、開発に先行するものは道路でなければならぬと思うのでありますが、今日産業道路費を引いても、道路に対して二千万円くらいが考えられておるのでありますが、北海道開発にあたつては、当然まつ先に開発の先駆としての道路が考えられるだろうと思うのであります。そういうふうな点につきまして、北海道の道路開発についてはどういうふうな見解を持つておられるか、同時にまたこの際道路法が新たに出されるということに、大体話は進んでいるようにわれわれは聞いているのでありまするが、一体道路法をいつ出すのであるか、われわれはその道路法が出ますならば、すみやかに審議いたしまして、その結論を見出す努力を惜しまないのでありまするが、この点につきまして道路法をいつ出すかということをこの際お答えいただきたいと思います。
  93. 増田甲子七

    増田国務大臣 道路法のことは関係官からお答え申し上げます。道路の改修を要するということは御同感であります。ことに北海道国土と銘を打たれながら、内地国土とはその改修の程度あるいは改修費を投下するという程度は問題にならないと私は考えておつたものであります。今日、毎年々々十二億円ぐらいに該当する事業量の道路改修費が投下されております。しかしこれではとても不十分である。ことに一般的に申しますと、私はこういう感じを持つております。北海道拓殖費が十億なら十億という時代に、北海道自治団体の費用が三億ぐらいでありました。ところが今日は北海道自治団体の費用がむしろ百億以上になつて、それから拓殖費に該当するものがその半分になつて来ておる。最近の貨幣価値の変動のかげんがあるか知りませんが、逆な現象になつて来ております。非常に遺憾に考えております。このことを昔のようにもどすという点につきましても、北海道開発庁の存在理由がある、こう考えております。
  94. 高野與作

    高野政府委員 これは建設省所管でありまして、私の方の所管ではございませんが、建設省当局がおられませんから私が知つておる範囲をお答えいたします。道路法は現在道路審議会審議いたしております。今国会提案する予定をしておるようでありまするが、問題はなかなかそう簡単に参りませんので、おそらく私の見ますところでは本国会提案ができないのではないか、こういうふうに観測いたしております。
  95. 八百板正

    ○八百板委員 道路法をひとつ早く出すように長官のお骨折りを願いたい。
  96. 鈴木明良

  97. 苫米地義三

    ○苫米地(義)委員 私は大体この案には賛成であります。でありますが、ちよつと二、三点伺つておきたいと思います。  北海道特殊性考えまして、まずもつて北海道開発法案を出した。こういうことでありますが、そのあと国土総合計画もやはりやる、こういうお話であります。そうしますというと、その総合国土法案ができますれば、この法案による機構と、これは二本建になるのでありますか、あるいは国土総合計画案ができますれば、それに統合させる御意思でありますか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
  98. 増田甲子七

    増田国務大臣 苫米地さんがまずもつて北海道開発法案について賛意を表していただいたことには感謝にたえません。  それからもし総合国土開発法ができた場合には、この北海道開発法と二本建になるのか、あるいは総合国土開発法の中に吸収されるかというお問いにお答えいたします。ただいまのところ先ほどから各委員に対する御答弁で申し上げておる通り、当分の間北海道開発法総合国土開発法とは二本建と考えております。というのは、総合国土開発法に基いて政府が今考えておりまするところは、総合国土開発審議会という一つの行政法上の性質から申しますと、執行委員会でなしに諮問委員会考えております。そうして計画をつくつて政府に勧告するということを使命とする国土全体の総合国土開発審議会というものを考えておる次第であります。もとより事務局をその下に付置いたしまするが、そういうことを考えております。北海道につきましては、この法の第五條にも、あるいは第二條にもございます通り計画を樹立いたしまして、政府に属する各省庁をしてこれが執行に当らしめる。このように行政官庁としての開発庁を考えているような次第でありまして、その点まだ一方総合国土開発関係だけは、そう早急には計画がりつぱにできがたいのではないかということを予想しております。そのために、そういうことを考えているのであります。  それからもう一つ内閣の中に総合国土開発審議会を設けるというゆえんのものは、一面において、先ほど安本の政府委員答弁いたしました通り、安本においては総合国土開発、経済五箇年計画について、それぞれ職責を持つて、せつかく準備、調査いたしております。まだ安本が経済統制という仕事を担当いたしておりますし、将来行政機構改革というようなときにはどうなるか存じませんが、現在は存在いたしておりますから、それとまた別個に企画庁というようなものをつくるのもどうか、こう考えまして、当分の間諮問委員会である総合国土開発審議会内閣に設置する。そうしてりつぱな計画もでき、将来コントロールというようなものがなくなつたときは、国家全体の開発について、何か企画庁といつたようなものがいる時代になりはしないか。これは相当遠い将来でございますが、そのときはそのときで、また考えなければならぬ、こう考えております。当分の間は二本建で行きたい、こういう考え方であります。
  99. 苫米地義三

    ○苫米地(義)委員 そうしますと、北海道開発庁国務大臣がこれの長官になり、その片方の国土総合審議会の方はただ諮問機関、そういう場合には、総合国土計画というものは北海道を含めた全国の総合計画でなければならぬ。しかるに北海道部分に限つては特殊な機構を置いて、大臣がこれをきめるという場合、その運営の方法はうまく行きますでしようか。
  100. 増田甲子七

    増田国務大臣 総合国土開発審議会は、追つてお示しいたしますが、内閣に付置いたします。そういたしますと、内閣総理大臣の監督に属する。こういうことになりまして、国務大臣長官であるべき北海道開発庁との連絡は必ずうまく行く、こう考えております。
  101. 苫米地義三

    ○苫米地(義)委員 もし北海道特殊性考えて、北海道だけ開発庁をつくるというようなことがあれば、各地方にもやはり同じ状態のものがある。たとえば東北地方、これは北海道とほとんどかわらない状況である。そうして、北海道よりむしろ開発の遅れているような所も相当広汎にあるのですから、もし特殊性を尊重するというならば、北海道だけでなく、東北にもつくつていいのじやないかという考えを私は持つておりますが、そういう考えは、かつてつたことはありませんか。
  102. 増田甲子七

    増田国務大臣 苫米地さんよく御承知通り、昔東北振興の問題が非常に盛んに叫ばれたころは、東北六県というものはほとんど同じ状況下にある。そこで東北開発、振興には特殊な役所がいるというわけで、当時東北庁が設けられたのであります。これがだんだん行政機構が簡素化するということで、東北振興事務局となり、さらにこれがなくなつて二つの会社をつくる。それが一方は電力会社であり、一方は現存する東北振興株式会社であります。その電力会社は、日発、配電なりに吸収されてしまつて、とにかくああいう形になつてつているというのも、苫米地さん御指摘の通りで、東北が相当未開発資源もあり、国が相当力を入れてこれが開発をはかつて東北府県民生活の安定、向上をはかる必要があるという趣旨から、現存しているあの東北振興株式会社というものがある。あれによつても、こういうアイデアがまだ相当ある、またその主張が理由があるということが証明される次第であります。今回は、総合国土開発審議会というものによつて東北なり、あるいは全国における開発の比較的できていないところの開発について力を入れようというわけでありまして、そのときの具体的な計画ができましたならば、そのときはそのときのことで考えたい。今のところ北海道のように、何と申しますか、こじんまりまとまつておりまして、しかも従来拓殖費はどんどん使つているので、これを総合して調和ある使い方をするために、一つ役所をつくるというのと多少違いまして、今回はそういつた役所のことは考えませんでしたが、将来は先ほども壱岐、対馬の御質問のときにお答え申し上げました通り、たとえば青森なら青森、岩手なら岩手にこの地域の一つ役所をつくつて、農林省なり、建設省なり、その他の省を離れて、もつぱら開発に当ることが計画の中に示唆されるときになりますならば、われわれはもとよりそういう案を採択いたしまして、実施に移したい。そのときにはまた御議決を願いたいと考えております。
  103. 苫米地義三

    ○苫米地(義)委員 大体御趣旨はわかりましたが、北海道開発が重要であるように、東北地方もさらに重要だと思います。また日本のような狭い所でありますから、そう区別をつけないで、全面的な大きな総合計画を立てて、大いに力を注がれることがいいと思います。  そこで最後に伺いたいことは、予算が少くて一向仕事ができないような心細い話を聞くのですが、やりかけた以上はうんとやらなければいけないと思う。それでアメリカ側の最近の傾向を見ますと、未開発地帯の開発援助という大きな趣旨、これはアメリカの世界に対する大きな抱負であると思います。そういう意味からしますならば、日本に援助された見返り資金、これは長官は非常に遠慮されて、それに触れることを避けておられましたが、私はそういうことではなしに、アメリカ側のあの思想は日本に通ずるのでありますから、やり出しましたら、こういう未開発地帯にはうんと力を入れてやつていただきたいということを私は希望いたしまして、質問を終ります。
  104. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 官房長官に簡單にお伺いいたします。大体提案理由にもありましたように、北海道開発するということは、多くの方が御異存ないと思います。私どももさような考えでおります。でありますから、わかり切つたことは全部省きます。私はこの法律が簡單な法律でありますけれども、きわめて重要な意義を持つておると考えます。重要な意義があるというのは、開発自体を言うのではありませんので、第二條と第五條の関係を先ほど官房長官も御説明の中でちよつと触れられたのを私覚えておるのでありますが、第二條では、国が北海道総合開発計画を立てて、それを現在の行政機構に基いてやらせるんだ、そして第五條には「北海道開発庁は、開発計画について調査し、及び立案し、並びにこれに基く事業実施に関する事務の調整及び推進にあたる。これは現在の行政機構に対する非常な不満をこの法律が暗示いたしておると私は思う。先ほど官房長官も言われましたが、実はこれは実施庁にいたしたかつたのであるが、とかくのことでこういうことになつた。この傾向は非常に私はいいと思います。先ほど官房長官は四十六億も金を出しておるのであるが、一向その金の値打に合つた仕事ができておらないので、特に第五條のような北海道開発庁をつくつて、少くとも一本建にしてすべてのことをやりたいんだけれども、それができないから、事務の調整をやらせるとともに、国費の効率的な使い方をして開発をしたいと言われたが、こういうことにこの法律のねらいがあると思います。そういうふうなことは何も北海道ばかりではありませんので、国全体に四十六億ばかりでない、それ以上の金を使つておるじやないかということは、今日大方の方が考えておられます。それと同時に今日行政機構の改革について審議されておるようでありますが、とにかく国土開発をせよとかいうことは、一つの庁にまとめて強力に効率的にやるというのが一番いいじやないかと思つております。首都建設その他のことを提案いたしたり、審議いたしておるのも、その第一段階のように思います。これは北海道ばかりではなくて、国全体についてこういうような行政機構はすみやかにつくる必要があるじやないか。先ほど他の委員からも申されましたが、北海道を取上げて、ほかのところはどうなるんだ。この空気は全部にあるんじやないかと思います。それは先ほど官房長官がるる言われましたが、国全体の開発は問題であると思いますが、このような行政機構をつくるべきであるというように考えております。これに対し官房長官はどういうように考えておりますか、その点ちよつと伺います。
  105. 増田甲子七

    増田国務大臣 瀬戸山さんの御意見は重々ごもつともであります。そこで北海道については、企画庁ができた、また推進官庁ができた、しこうして内地全体について特定の事業についてはむしろ專管する一つ役所があつて、他の省庁の仕事をそこで執行したらどうかという御意見一つと、それからもう一つは、内地全体についての計画を立てて、各省庁をしてこれを執行せしむるといつたくらいの総合開発計画が必要ではないか、この二点の御質問であるように思います。  第二点の方を先にお答えいたしますが、将来において統制の仕事がだんだんなくなりますと、現在安本で計画経済のことをやつており、建設のみならずあらゆることについての計画を立てておりますが、この計画関係だけを主管する役所がやはり必要ではないかと考えております。ただいまのところは屋上屋を架するとか、あるいは行政機構複雑化でおしかりを受けるかもしれませんが、不本意ながら内地全体の開発庁というものはまだ考えないで、審議会にいたした次第でございます。将来はそういうことに必ずなる日が来ると、私も予言申し上げ得るということをお答え申し上げます。  それから次に、特定の地域等を指定した場合に、その地域の特定の事業をあるいは農林省あるいは通産省の資源庁、あるいは建設省等と離れて、独立に内閣において何か役所を設けて、その役所がもつぱら執行に当る、そうすると調和のとれた総合的な事業が円滑にどしどし実行できやせぬかという御意見は、私は本質的には全然賛成でございます。将来国土開発計画ができまして、この地域の未開発資源開発するためには、ぜひとも一つ役所があつて專管しなければならぬという時代が来ましたならば、その時代ができるだけ早く来ることを期待し、その前提として総合国土開発計画ができるだけ早い機会にできることを期待いたしておる次第であります。
  106. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 今のことはぜひ早く実現させていただきたいということを要望いたしておきます。  それから先ほどその裏づけについていろいろ御意見があつたのでありますが、もちろん法律だけをつくつてあとで実効が上らなければ、これはただ一応喜ばせるだけのことであつて、そういうことでは相ならない。しかしながら官房長官は今日四十六億くらいこういう面に使つておる、これをもう少し予算を増加してやりたい、こういうお話であり、けつこうであります。ところが私どもは別な面から考えますと、今日日本全国の国道だけでも、まだ国道の資格がないのが大部分でありまして、それをこの間一応計算させてみると、まず国道の資格を得るように規格通り七・五メートル以上にする。それを舗装して、世界に平和国家、文化国家というなら、まずそれからやらなければならぬということで、計算してみましたら、約二千億ぐらいかかります。それから御承知通り、災害復旧が昭和二十五年度に工事が残されておるのが一千八百億とか一千六百億とか計算されております。そういうものも今日ほつたらかされてある。もちろん北海道に重点を置いて、多額の経費を使つて早く開発して経済に寄與したい、こういう議論はできるのでありますが、また私どももそれを希望するのでありますけれども、そういうふうな財政の状況のもとに、決して官房長官の言われるような飛躍的な開発は私はできないと思う。それができるようにおつしやるから、何かいい話があるのではないか。先ほど苫米地さんもおつしやいましたが、何かそういうふうにできるような可能性があるのならば、あるようにお話を願うと、この法案に対してまた賛成のしようもあるというわけでありますが、ざつくばらんにお願いします。
  107. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは開発法ができたから、すぐクレジツトのこういうものがこういうふうに来る、あるいは見返り資金がこういうふうになるということは、申し上げかねる次第でございまして、これは国土全体について、先ほど苫米地さんの御質問のようなことは言い得ることであります。すなわち水力資源開発等につきましては、相当額の見返り資金が投下されております。それ以上のことはちよつと具体的問題としては申し上げ得ない次第であります。
  108. 鈴木明良

    鈴木委員長 内閣委員会建設委員会連合審査会は、これにて終了いたしました。明日は午前十時より内閣委員会を開会いたし、質疑の後、討論採決いたしたいと存じますから、さよう御了承願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十一分散会