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1950-04-15 第7回国会 衆議院 内閣委員会運輸委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月十五日(土曜日)     午後一時五十八分開議  出席委員   内閣委員会    委員長 鈴木 明良君    理事 江花  靜君 理事 小川原政信君    理事 鈴木 義男君 理事 苫米地義三君    理事 木村  榮君 理事 船田 享二君       飯塚 定輔君    井上 知治君       首藤 新八君    松岡 駒吉君   運輸委員会    委員長 稻田 直道君   理事 大澤嘉平治君 理事 岡村利右衞門君    理事 關谷 勝利君 理事 前田  郁君    理事 米窪 滿亮君       岡田 五郎君    尾崎 末吉君       小西 寅松君    畠山 鶴吉君       渡邊 良夫君    松井 政吉君       上村  進君    林  百郎君       石野 久男君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大屋 晋三君  出席政府委員         海上保安庁長官 大久保武雄君         海上保安庁次長 稻垣 次郎君  委員外出席者         内閣委員会專門         員       龜掛川 浩君         内閣委員会專門         員       小關 紹夫君         運輸委員会專門         員       岩村  勝君         運輸委員会專門         員       堤  正威君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  海上保安庁法の一部を改正する法律案内閣提  出第一六六号)     ―――――――――――――
  2. 鈴木明良

    鈴木委員長 これより内閣委員会運輸委員会連合審査会を開会いたします。  内閣委員長であります私が委員長の職務を行います。  本日は海上保安庁法の一部を改正する法律案を議題といたし、政府より提案理由説明を聴取いたした後、質疑に入りたいと存じます。まず本案について政府提案理由説明を求めます。海上保安庁長官大久保武雄君。     ―――――――――――――     ―――――――――――――
  3. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいま提案されました海上保安庁法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明いたしたいと存じます。  海上保安庁が負託されました航海保安海上治安の確保という重大な使命の完全な達成につきましては、発足以来鋭意御期待に沿うよう努力いたして参つたのでありますが、その後の推移に基きまして、海上保安庁諮問機関統合整理と、海上保安官業務執行関連して、改正する必要が生じましたのに際しまして、現在の種々情勢から組織機構におきましても、あわせて整備する点が起つて参りましたので、ここに海上保安庁法の一部を改正しようとするに至つたのであります。  その改正のおもな点を順を追つて申し上げますと、第一は、官房総務部に改めたことと、従来官房で所掌しておりました事務の一部と、警備救難部で所掌しておりました事務の一部を統合して船舶技術部に所掌せしめることとしたことであります。現在の官房は、本来的な官房事務のほかに、船舶技術に関する業務及び通信運用業務のごとき、現業的な業務をもあわせて所掌しておりまして、事務運営の方式においても、きわめてそぐわない点がありますので、海上保安庁機動力と切り離せない通信業務警備救難部に移すとともに、船舶技術部を設けて、任務遂行上最も重要な船舶整備業務に專念できるようにしたことであります。  第二は、前に申し述べましたように、種々情勢からその重要性が一段と加えられつつあります沿岸警備という任務遂行上、その特殊業務部門を専門的に統括して、業務運営に遺憾のないように措置する必要がありますので、次長のほかに、これと同格の警備救難監を置いたことであります。  第三は、従来九つ地方機関がありましたものを、大管区制を採用して、六つ地方機関としたことであります。海上保安庁任務の完全な遂行は、機動的な活動にまたねばならない特殊な面がありますので、大管区制が最も適当であると考えられるのであります。  第四は、海上保安官任務遂行にあたつて、武器を使用できる範囲を警察官と同一の範囲にするとともに、非常事変の際協力を求めることができる範囲を若干拡張したことであります。  第五は、中央海上保安審議会地方海上保安審議会を統合して、海上保安審議会として、中央にのみ置くこととしたことであります。  第六は、機雷その他の航路障害物の除去に関しましては、現在のように一部課で所掌しておりますので、その附属機関として航路啓開所を設け、掃海業務活動を強化したことであります。  第七は、海上保安庁が臨時的に所掌しております旧海軍艦船の保管に関する業務に従事する職員と、前に申し述べました航路啓開所に置かれる職員は、海上保安庁法に規定する制限人員から除外したことであります。  以上が海上保安庁法の一部改正の内容でありますが、これによりますと、一部を増設し、官房を廃止して、総務部を設けましたほか、警備救難監を置いたのでありますが、他面三つの地方機関を減じておりますので、これらの改正によりましても、海上保安庁全体としては、定員の増加を伴わないのであります。  以上簡単でありますが、この法律案提案理由の御説明を終ります。何とぞ慎重に御審議あらんことを希望いたします。
  4. 鈴木明良

    鈴木委員長 これにて政府提案理由説明は終了いたしました。質疑の通告がありますからこれを許します。關谷勝利君。
  5. 關谷勝利

    關谷委員 ただいま提案理由の御説明があつたのでありまするが、その中におきまして中央機構改正並びに海上保安審議会、これも中央機構になつて参りまするが、その点あるいは航路啓開所というようなことにつきましては、私たち提案理由説明によりまして納得ができ得るのでありまするが、その中で一点、管区本部を設けまして、従来地方機関が九箇所ありましたのが、六箇所というふうなことになつておるのであります。ただいまの提案理由説明によりますると、大管区制として、機動性を持たせるのだというふうなことになつておるのでありまするけれども、私たちがこれを大管区制にして、機動性を持たせ得るかどうかということを考えまする場合に、決して機動性を持たせ得るものではない。一例をあげますると、最近でき上りましたか、近くでき上りまする宗谷丸という警備船の優秀なものであると聞いておりまするが、これとてもわずかに時速六ノットというふうな、いざり船のようなかつこうであります。こういうものをもつてしまして、管区制というものを大管区制にして、機動性を持たせるということになつておりますが、とうていでき得ないと考えられるのであります。なおまたこの機動性を持たせますためでありましたならば、海上のことでありまするがゆえに、海岸線基礎として管区を定めなければならないのでありまするが、それが決してこの海面中心としてできておらないのであります。たとえて見ますると、東海山陰とが一つ管区になつておるのであります。どのような船をお使いになるのか知りませんが、まさか敵前上陸のような、海陸両用のものを使うのではないと思うのでありますが、そうしますると、ただちに東海から山陰へ出られると思われるような船があるのかどうか。私たち寡聞にしてそれを知らないのであります。なおまた関東と信越とが一つ管区になつておる。こういうふうなことではとうてい理論の上から言いまして、でき得ない分轄方法である。海上保安警備をはかります上に、沿岸警備をしますのに、なぜこのような陸地中心とした妙な分轄をしたのか。しかもこういうふうな分轄をした場合に、機動性に富むという理由のもとに大管区制にしたのでありますが、いかなる方法機動性を発揮するのか。なぜ陸地中心としてこれを分轄したのか。まずこの一点をお伺いいたしたいと思います。
  6. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいま關谷委員の御発言のわけ方も、しごくごもつともであるとは存じますが、今回改正管区わけ方は、一つ国家警察管区わけ方、これとも見合いをいたしまして、相互諸般の情報その他の連繋に資するという面も考えましたわけでございます。他の一面は日本海新潟方面に参ります密入出港は、その大規模のものは京浜方面と常に連繋があるのであります。また舞鶴方面に参りますものは、阪神もしくは名古屋方面連繋を持つておりますような関係もございます事情からいたしまして、あるいはこれを同一管区にしておいた方が、事件処理上敏速を期するのではないかということもあわせ考えまして、今回の分轄方法をとりましたわけでございます。
  7. 關谷勝利

    關谷委員 ただいまの御説明納得いたしかねる御説明でありまして、決して納得はいたしておりません。国家警察との連絡を緊密にする、こういうふうなことに重点を置かれておりまするが、私たち考えますると、海上保安の責めに任ずる者がこの海上をとうてい警備し得ないので、まず陸地不法入国等でどんどん入つて来るのを取締ることができ得ないから、自己の責任国警の方へ転嫁する。そのために国警管区本部重点を置いた。とにかく第一線の自分たちではでき得ないのだ。みずからを否定するような今度の機構の改革になつておりますので、何といたしましても納得ができ得ないのであります。どうしても海面基礎として分割管区を定めることが、妥当であると私たち考えておるのでありますが、これもまたどのような答弁をせられるか知りませんが、責任転嫁ということを考えておる。みずからを否認する分割案であるということを、私たちここにはつきりと申し上げておくものであります。ことに今回の、具体的にあげてみますると、第一から第六までにわかれておりますが、これらを見てありますと、ことごとく太平洋方面、あるいは瀬戸内海方面本部を置きまして、そうして山陰方面には一つ管区本部もないのであります。現在の情勢下における沿岸警備というようなことは、これはある国からの不法入国ということに重点を置いておりまするこことは、現在の海上保安庁任務の上から申しまして、これが最も重要であるということは、常識的にわかるのであります。しかるにこの山陰方面には、一つ管区本部も設けておらない。これはどういうふうな理由であるのか、あるいは国際関係顧慮しておるのか、あるいは一度この方は取締らずして、そうして国警本部でこれを取締るので、沿岸まではかつて自由放題に上らすという計画であるのかその点をまず承つておきたいと思います。
  8. 大久保武雄

    大久保政府委員 お尋ねの点、三点だつたと思いますが、第一点の国警との関係におきましては、国警は全然海上部隊は持つておりません。全部海上保安庁に依存をいたしております。大きな事件になりますと、常に海陸にわたつた策動が行われるわけでありまして、これが捜査、検挙にあたりましては、どうしても海陸治安権相互に協力する必要がございます。しかし海上保安庁責任は、あくまで嚴として存在するわけでございまして、私どもはこの責任に向いまして、すでに積極的にこれを果すという態勢をとつておる次第でございます。  第二のお尋ねの点の、日本海方面管区本部がないではないかというお尋ねにつきましては、これは私どももしごく御同感の面もあるのでございまして、実は日本海方面にも、何らかの管区本部を置いたらということも考えた次第でございますが、何分管区本部の数を大体六つというふうに想定いたしまして出発いたしました関係上、北海道、これはどうしても一管区であります。東北の三陸方面に、これまたどうしても一つはいるのであります。さらに関東方面一つ近畿方面一つ瀬戸内海のあの重要な島嶼地帯一つ、九州に一つ、これで六つになつてしまうのでございまして、実は遺憾ながら日本海方面は置くことができなかつたのでございますが、關谷委員の第三のお尋ね関連いたしまして、すなわち山陰方面等重要な地帯に対します顧慮ということは、十分私たち考えなくてはならぬ筋合いであると考えておる次第でございまして、この点からいたしまして、六つにはわけますけれども、何らかその欠点を補いたい。かように存じまして、舞鶴から島根県に至る一体の地域を、同一管区に所属をいたさせまして、同方面から逐次移動して参りまする対象に対する取締りの遺憾なきを期したい。かように存じまして、管区並びにその区分表を定めた次第であります。
  9. 關谷勝利

    關谷委員 日ごろ頭のいい大久保長官が、まことにあいまいな、要領を得いような、私たち納得の行かない答弁でありますので、私たちはどこまでもそれには了承いたしかねるのであります。どうしても現在の国際情勢と申しますか、不法入国あたり情勢沿岸警備の上から申しまして、いかなることがあろうとも、山陰方面へは一つ管区本部を置かなければならない。これはあとで御答弁いただいてもけつこうでありますが、国際関係等から出ておつて、どうしてもそれはやり得ないというのなら、また私たち納得をするのでありますが、そうでないということである限り、私たち納得でき得ないのであります。この点、現在の海上保安庁任務である沿岸警備に対します認識不足であるというふうなことに、こういうふうなことをすると、周囲から考えられるのではないかと考えるのであります。この点はどういうふうに考えておられるか、承りたいと思います。  なおまた管区本部所在地でありますが、港の設備、その他港の利用というようなことに重点を置かれておるのかと思いますと、そうでもない。どのような基礎で、これがやつておられるのか。一貫した方針がないというふうに私たち考えられるのであります。先ほど大久保長官から言われましたように、国警との連絡を密にするという意味合いから申しますと、中央部におきますところの連絡上から申しましても、東京に置くべきものであつて横浜に置くべきものではない。そういうことから考えますと港の利用の面から考えて、港の設備のよく整つた利用に便利なところ、海上との連絡に便利なところを選んだのである。こういうふうに考えられるのであります。そうかと思うと、近畿方面を見ますと、それが神戸ではなくて、大阪になつておる。どういうふうなつもりで、そういうふうにやつておられるのか。一向一貫性がないと考えられるのでありますが、管区本部を置く上におきまして、どのような條件考えられてこれを決定せられたのか。その点もあわせて承つて置きたいと思います。
  10. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいまの第一のお尋ねの、今回の改正にあたりまして、国際関係顧慮があつたかどうかという点につきましては、私どもといたしましては、純然たる業務上の考慮の点から出発いたしておるということを申上げておきたいと存じます。  第二のお尋ねの点も、管区本部所在地をどういう考えで設置をしたかというお尋ねでございましたが、今回管区本部所在地を定めますにあたりましては、管区本部一つ指令機関である。そこで必ずしも港にある必要はない。できるだけ広域管内を公平に見渡して、敏速なる処理ができるようにいたすということを前提として、考究をいたした次第でございます。従いまして現実の実動部隊を指揮いたします直接の実動指揮部隊は、重要なる海の基地にこれを置く。かような見解で設けたような次第でございます
  11. 關谷勝利

    關谷委員 いろいろお尋ねいたして見ましても、明快な御答弁が得られません。日ごろの大久保長官が、絶えず明快なる答弁をせられておるのに比べまして、私たち納得の行きかねることのみであります。何か裏面にいろいろな事情がおありであろうかとも察しられまするけれども、私たち現在の六管区制におきましては納得いたしかねるのでありまして、裏日本最小限度一箇所の管区本部をつくらなければならぬ。私たちこの海の関係の者はさように考えるのでありますが、この一箇所を設けて七管区とするという修正が出た場合に、これに応ずる意思がないかどうか、承つておきたいと思います。
  12. 大久保武雄

    大久保政府委員 日本海方面取締りにつきましては、できればこれを強化いたしたいという考えは持つておるのでございまするが、何しろ管区数見合い等もございまして、現在は設置されていないのでございますが、あるいは国会の御意思等によりまして、その情勢が到来いたしましたならば、海上保安庁といたしましては別に異存はない次第でございます。
  13. 關谷勝利

    關谷委員 幾らお尋ねいたしましても、はつきりとした答弁も得られませんしいたしますので、これ以上はむだであると存じますから、質問はこれで差控えたいと存じますけれども、これはもとより海上保安庁並びに運輸大臣といたしましては、提案者でありまするがゆえに、これを容易に変更いたしますとは言いかねると思いますけれども、私たちこの管区分割案を見ました場合に、第一の管区本部の小樽には同意であります。第二の塩釜もけつこうであると思います。第三の横浜、これまたさしつかえないと思いますが、第四の大阪というようなことは、これは私たち神戸に修正すべきであると考えます。第五広島もとより、第六門司ということにいたしまして、そうして西日本に舞鶴あるいは新潟管区本部を設ける。こういう希望條件を述べまして、賢明なるところの内閣委員諸君の御配慮を煩わすことといたしまして、質問を打切ります。
  14. 鈴木明良

    鈴木委員長 次に飯塚定輔君。
  15. 飯塚定輔

    飯塚委員 私の質問も、前の質問と重複する点が多いのでありますから、きわめて簡単に一、二の点についてお伺いいたします。今度の改正に対して、根本方針おぼろげながらわかつたようなわからないような気がいたしまするが、これは海岸線を主とした地理的條件が第一に考えられるべきものと考えるのであります。この点ははつきりとしたお答えがないようでありますから、もう一ぺん重ねてお尋ねいたします。
  16. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいまのお尋ねに対しましては、海上保安庁所掌事項を申し上げなければならぬと思うのでございますが、海上保安庁は一面海上におきまする治安の維持並びに航海の安全に関する業務を行います。たとえば密航船の逮捕あるいは難破船の救助といつたような、その実動を海上において行いまする仕事と、海難を予防するという意味からいたしまして、船舶の安全上の検査をいたします。あるいは造船所において建造中にこれを検査する。それから船舶乗組員の試験、免状の発給をいたします。あるいは燈台を設置いたします。その他海と関連がございますが、その情勢の実際の面におきまして一面陸上において行う分野もございます。それらを勘案いたさなくてはなりませんので、純然たる海上業務だけでございますとやりやすいのでございますけれども、その両面を考慮いたしまして決定いたしたような次第でございます。
  17. 飯塚定輔

    飯塚委員 海上陸上との関連は、ただいまの御説明によつてよくわかりましたけれども、実際の保安部仕事をするのには、今の海上の遭難とか、そういう問題に対しては、陸上の大きな町にその実際の仕事を置くというよりも、難船しやすい地区をお選びになつて、そこにそのまま仕事をやる役所を置く。そういうことがわれわれとしては非常に強く感ぜられるのであります。この点に関しまして私の郷里の問題を申し上げるのは恐縮でありますが、秋田県の船川港の海上保安部の問題であります。最近のお話によりますと、陸地の上から見るとこの船川からはるかに奥に引込んでおりますところの秋田にその仕事の一部を移し、しかも海上に最も必要な海上保安庁無電の施設を、二十二年以来陳情、請願しておるのでありますが、それも最初に指定された船川でなく、船の数からいいましても、船の大きさからいいましても、船川よりもはるかにその重要度の低い秋田港に無電台をつくるという御計画のようでありますが、実際の無電設備は、陸上のものよりも海上に力を注がなければならない問題だと思います。この点は最初船川に御計画になつたそのままを施行していただきたいと考えるのでありますが、いかがでございましようか。
  18. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいまお尋ね船川は、海上における警備哨戒基地といたしまして重要な要点であるということは、私まつたく御同感でございます。今回秋田海上保安部を置きまして船川警備救難所を置くことに予定をいたしたのでありますが、海上保安部と申しますのは、先ほど私が申し上げました海上における任務のみならず、陸上任務をあわせて所掌し得ますような地帯海上保安部といたします。海上に対してのみ行動をとる基地は、警備救難所といたします。船川は重要な前進基地でございまして、優秀なる警備救難所を置きまして、従来と同様の職能を発揮いたしたい、かように考えておる次第であります。
  19. 飯塚定輔

    飯塚委員 そうしますと、海上の最も重要な地点として救難所を設けることになりますと、従つて無電の方も船川に置くことになるのでありますか、この一点お尋ねいたします。
  20. 大久保武雄

    大久保政府委員 船川には、私どもの方の巡視船を配属することになります。巡視船がそれぞれ無線設備を持つております。船川はその巡視船を使用いたしまして、碇泊中におきましても無線連絡ができるということに相なります。新しく設置いたしまする無電台は、秋田本部を重きます関係上、また諸般連絡上、秋田に置く予定でございます。
  21. 飯塚定輔

    飯塚委員 よろしうございます。
  22. 鈴木明良

    鈴木委員長 次に米窪滿亮君。
  23. 米窪滿亮

    米窪委員 大体の要点については、先ほど同僚關谷委員からすでに御質疑がございましたのですが、二、三補足的な御質問を申し上げたいと思います。行政機関改正ということは、簡素化ということと能率化ということが必要と考えるものであります。しかるに今回の海上保安庁改正は、私ども意見としては、はなはだ残念ながら、簡素化能率化の逆になつておると思うのであります。従来の九つ保安本部六つ管区本部改正された趣旨については、大久保長官の御説明があつたのでありますが、その趣旨のおもな理由一つとしては、現在よりも機動性を発揮するということであるのであります。御説明のような趣旨においては、ちようどその逆で、機動性は現在よりも発揮ができないことに私はなると考えております。もちろんこれに対しては、六つ保安管区の下に保安監部というものを置くということで足りるのではないかという御意見であると思うのでありますが、それなら九つ保安本部をやめて、そうしてこれを統合して六つ保安管区を設けるということは、屋上屋を重ねることであつて、これは必要がないと思う。何ゆえに九つ保安本部六つ保安管区という、もう一つ上層機関に改めなければならないのか。先ほどの御説明ではよくわかりませんが、もう一度伺いたい。
  24. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいまの米窪委員からのお尋ねの大管区にいたしましたのは、やはり中心となる指揮者はなるべく少い方がよろしいということを考えましたのが一つと、管区本部の下に保安監部を設けますけれども、やはり最高指揮権管区本部長にあるわけであります。それによつて広域行政を見ることに相なろうかと思いまして、一応六管区にいたした次第であります。
  25. 米窪滿亮

    米窪委員 次に私御質問申し上げたいのでありますが、それは先ほど關谷委員からも言われました通り、六つはみな太平洋岸にあつて一つ日本海の方にない。そうしてこの別表に管轄区域が書かれておりますが、従来の船舶積量検査、あるいは速力検査、同じ海上における船舶に対する各種の認可、あるいは測定検査というものが、あるものは海運局所管に属し、あるものは海上保安庁所管に属して、人民は非常に困つております。事実において、日本海保安本部のあつた場合と、太平洋側海運局の局があつた場合において、検査の種類が二つにわかれておつたために、当事者は非常に困つてつた実情があるのであります。われわれは過日の運輸委員会において、積量検査速力測定その他の認可、こういつた海上行政については一元化すべきことを、船舶局の局長にも意見をただしたところ、同感であるということであります。しからば従来の九つ海上保安本部があつたときでさえ不便があつたのに、ましてこれが六つになつて少くなる。これに対しては長官は保安監部が方々にあるからよろしかろうというのでありますが、保安監部だけで間に合わない、管掌の権限が違つた重大問題については、当然六つ保安本部のところへ参らなければならぬ。そうすると九つの場合でさえも不便が多かつたのに、六つになつたということになりますと、ますます関係者は困ると思いますが、これに対しての長官の御意見を伺いたいと思います。
  26. 大久保武雄

    大久保政府委員 船舶検査行政が、民間産業にも深い関係のありますことは、ただいま米窪委員が御指摘の通りであります。私どもはできるだけ民間に不便をかけないようにするという考慮を払いました次第でありまして、たとえて申しますれば、交通の面等も考慮に入れました点でございました。また実際面から申しましても、保安本部または保安監部におきまして、船舶検査行政を実際に施行いたしまして、行政官庁として権限上これを実施できるということに今回はいたしたいと存ずる次第であります。従来は保安本部行政官庁ではなかつたのでありますが、今回は行政官庁として御承認を得たいと存じておる次第であります。できるだけ民間の御至便をはかるということにいたしたいと思います。
  27. 米窪滿亮

    米窪委員 ただいまの長官の御説明で、大した支障がないようですが、これは汽車に船をつけて太平洋から日本海に持つて来るということもできませんから、これはおそらく遠い距離をまわつて行かなければならぬ。実際民間産業に対する脅威というものは、非常なものがあると思います。  さらにお尋ねしたい点は、むしろ海上行政陸上行政と必ずマツチしなければならぬという考え方が間違つておる。特殊な観念から参らなければならぬ。長官の御説明によると、ちようど戦争中の広域陸上行政の、あの機関のアイデアがこびりついておるじやないかと思う。たとえば当時においては大阪、広島、仙台、そういう方面六つ陸上の広域行政本部があつて、そのもとへすべての行政機関を持つてつた、その場合においては陸上海上も、人民の不便、土地の事情、そういうことを全然考えずに持つてつた。今回のこの改正も、ややそういう考えと同じでございます。もしもそういうお考えでおやりになるなれば、東京、京都なんというところへ置かれて、そこから命令を下すということでさしつかえないと思うのですが、横浜へ置くかと思うと、今度は大阪へ置く。それからせつかく門司に施設があるにかかわらず、門司をやめて福岡へ置く。案外海上保安という行政は、海運と密接なる関係があるのでございます。すなわち太平洋岸においては、せつかく神戸というりつぱな港があり、そこに港湾施設もあり、従来港湾行政の役所もそこにあつて、円滑にやつてつた。また九州では門司という交通の便利な、機動性を発揮し得るに必要十分である港があるにかかわらず、わざわざこれを奥の方へひつぱり込んで、福岡へ持つて行かなければならぬ、一体どこにそういう理由があるか。何べん御説明を伺つても、私はわからない。しかも附則の二へ持つてつて、「海上保安庁長官は、当分の間、第十二條第二項の規定にかかわらず、第四管区海上保安本部及び第六管区海上保安本部をそれぞれ神戸市及び門司市に置くことができる。」この「当分の間」という意味もわかりませんし、またその必要が何で起つて来るか、大阪及び福岡にただちに置くことができないからこそ、当分の間神戸市及び門司市に置くということになつて来る。しからば察するところ、施設が足らない、あるいはその他の行政的な関係で、今ただちに大阪及び福岡に置けないという理由のために、当分の間神戸及び門司に置くということになるのか。そうすると経費の点はかわりはない、予算には関係はないとおつしやりながらも、これはやはり本年度は予算には関係はなくても、来年度からは必ず予算が膨脹するため、これもやむを得ない予算の膨脹ならば、海上保安のために必要だと思うのですが、結局これは神戸及び門司で間に合うものを、わざわざ大阪及び福岡に施設を来年度から設けてそこへ持つて行く。しかもその出入についてははなはだ不便である。これは神戸大阪の比較論、門司と福岡の比較は常識上、潮流の関係から、風の関係から言つても、港の施設から言つても、どちらが海上人にとつて便利であるかということは、おそらく日本の国民としてだれ一人大阪よりも福岡がまさつておる。福岡より門司がまさつておるということは当然のことで、三歳の童子といえどもわかつておる。しかるに施設が足らないところを明年度あるいは本年度予算をかけて大阪に施設をつくり、あるいは福岡に施設をつくる。そういう手続をしてまで大阪及び福岡に持つて行かなければならぬ理由がどこにあるか。その点をお伺いしたいと思います。
  28. 大久保武雄

    大久保政府委員 お尋ねの第一点の神戸並びに門司を、大阪または福岡にそれぞれ移しました理由につきましては、もちろん港としての優秀な点につきましては、米窪委員が御指摘の通りだと存じますが、一面今回の管区本部指令機関でございまして、各官庁との連繋をきわめて密接にいたします必要もおのずから出て参る次第であります。かような次第でございまして、大阪並びに福岡はそれぞれ同地方における政治の中心地でもございますので、その方面管区本部を移動した次第であります。但し当分の間とした理由につきましてのお尋ねでありますが、海上保安庁管区本部は、普通の行政官庁と異なりまして、みずから一つの具体的指示を出さなければなりません関係上、おのずからその通信設備あるいは適当な建物がございませんと、ただちに実際の行動の発動はできないわけでございます。かような関係からいたしまして、当分の間神戸あるいは門司ということにいたした次第でございます。  第三のお尋ねのことについては、予算関係はいかになつておるかというお尋ねでございますが、本年度は予算上の異動はございません。但しいよいよ両管区本部に移すことを実施します際におきましては、通信設備の設置、あるいは建物の設備等におきまして、若干予算の必要が将来起つて来る、かように存じておる次第であります。
  29. 米窪滿亮

    米窪委員 長官の御説明によりますと、あくまでも海陸を通じての行政、その地域ごとの行政本部との連絡を保つという、戦争中の概念が残つておるようです。だとすれば、なぜ東京に置き、札幌に置き、仙台に置き、そうして大阪に置き、広島に置き、福岡に置く。あの広域行政機関の概念をこの際おとりにならないか。一部においては広域行政機関の概念をとり、一部においてはそうでない。たとえば横浜に置く、塩釜に置く、こういうまちまちの御意見からして、こういうぬえ的な改正案が出て来たと思う。幾多の政府提出の法律案の中には、改惡のものもありますが、この法律ほど改惡のものは、私議員生活何年間のうらにかつてこういうことは経験したことがない。しかも長官の御説明では、少しもわれわれ納得できない。私は立法機関の一員として納得できない法案に対しては、あくまでも真意をたださなければならぬのでありますが、はなはだ失礼でありますが、大久保長官の今までの御説明は、何ら一点の疑惑をもお解きになる点がないのでございます。もう時間の関係もありまして、ほかの同僚議員の質問時間を私おじやまをしても済みませんからやめておきますが、この点はあくまでも改惡であつて、そして今までの九つ海上保安本部を置く方がよほどいい。すなわち六つにして、しかも六つの所在が、今言つたように少しも私ども納得せしめないような改正、すなわち改惡である以上は、われわれこれに賛成できないのでございます。  最後に關谷委員の言われた通り、従来新潟舞鶴と両方に二つの保安本部があつた。この二つともやめてしまつて保安という面において重要なる海域であるところの日本海に、一つ管区本部がない。詭弁を弄する者は、おそらく小樽にあり、福岡にあるのであるから、これは日本海だと言うでしようが、またそういう説をお持ちになる人もあるでしようが、それだつたならばなぜ新潟舞鶴に置かなかつたかということを反問せざるを得ない。私は質問をこれで打切りますが、これはぜひひとつ御考慮の上、大臣もおられますから、もう一度大臣より御賢察、御反省を願つて、そして従来の九つ保安本部にされて行かれるか、あるいは大阪という原案を神戸に直し、福岡という原案を門司に直して、それに日本海管区本部をもう一つつくつて、お考え直しをされたいということを要望しまして、私の質問を打切ります。
  30. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 先ほど来各委員から、すでに私の質問せんとする事項の大部分は質問されたのでありまして、これに対する政府委員の答弁に対しましては、私も全然満足しない一員であります。先ほど大久保政府委員のお話によりますと、管区本部の設置は国警本部との連絡が主である。こういうことを仰せられたのでありますが、海上保安本部業務内容を拜見いたしますと、この犯罪関係について国警関係連絡すべき事項というものは、なるほど一部分でありまして、海上保安本部仕事は、船舶技術、あるいは船舶検査、あるいは船員関係、水路関係、主として燈台関係、これら海上関係仕事が、私は主であるように考えるのであります。かような海上関係仕事の企画をされるのが、海上管区本部ではないか、かように私は考えますので、政府委員の答弁それ自身に、私は相当矛盾があるように考えるのであります。かような意味からいたしましても、私は管区本部は海運の基地、造船の基地、あるいは船舶行政中心地に置くのが本来ではないか、かように考えるのでありますが、重ねて大久保政府委員の御説明を承りたいのであります。
  31. 大久保武雄

    大久保政府委員 岡田委員に御答弁いたします。先ほど私が管区本部わけ方にあたりまして、国警管区考えたと申しましたのは、これは考慮しました條件一つでございまして、それが全部ではございません。もちろんただいま仰せの通り、海上保安庁の各種の業務に照しまして、その適正ということもあわせ考慮しまして決定いたしたような次第でございます。
  32. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 次に先ほど米窪委員の御質問にもありましたが、現在の九海上保安本部で、実際の行政上どういう点において支障があるのか。この点を承りたいと思います。
  33. 大久保武雄

    大久保政府委員 現在の管区本部は、早々の際における人員が少くなつた関係もございまして、一つの特殊な体系を立てております。すなわち一つの例で申しますれば、国警大阪管区本部がございまして、大阪府の警察隊とは別個に存在しておるわけであります。すなわち指示機関と実動機関というものがわかれておるわけであります。ところが海上保安本部は、保安本部が同時にその港附近の実動の部隊の指示をもあわせ所掌して参つたのでありまして、これは早々の時代における人員の配備等から、やむを得ざるにかかる処置であつたのであります。ところが実動隊を持つておりますために、の実動像の所掌しております附近に多く目が配られまして、そのほかのすみずみまで目が届きにくいという若干の弊害はあつたのでございます。かような次第でございまして、今回は実動隊と指示機関分轄するということを建前といたした次第であります。
  34. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 今大体大阪神戸の例をおあげになつたようでありますが、同じような例が東京と横浜との場合に適用できるのかどうか。その辺もう一ぺん御答弁を承りたいと思います。
  35. 大久保武雄

    大久保政府委員 東京と横浜の場合におきまして、東京に政治的な機関がたくさんありますことは、これは御説明するまでもない次第であります。ただ一点考えなければなりませんことは、横浜にはその他の重要なる機関もございまして、同方面におきましては、それぞれ連絡を頻繁にとらなければならぬ関係もございまして、横浜になつておるような次第でございます。
  36. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 はなはだもつて意外な御答弁をいただきまして、これ以上御質問することは差控えます。  次にお伺いいたしたいことは、十三條に海上保安監部その他の事務所を適当な場所に置くということになつておりまするが、今度の管区海上保安本部の設置と、この海上保安監部の事務所設置の場所について、多少異動を考えておられますか。その辺をひとつ承りたいと思います。
  37. 大久保武雄

    大久保政府委員 先ほど申し上げましたように、管区本部わけ方の上の欠点を、海上保安監部の所掌によつて救済いたしたいと存じまして、海上保安監部は、神戸新潟舞鶴、名古屋、門司の五地域に置きまして、相当広汎なる海上部隊の指揮権を与える予定でございます。
  38. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 今承りますと、管区海上保安本部所在地海上保安監部を置かれる場合があるのでありますか。その点承りたいと思います。
  39. 大久保武雄

    大久保政府委員 海上保安監部の所在地には、海上保安本部を置く例はございません。全部違つた地域でございます。
  40. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 以上で私の質問を終ります。
  41. 鈴木明良

    鈴木委員長 次に石野久男君。
  42. 石野久男

    ○石野委員 同僚各委員の御質問がほとんど出尽したような感があるのでありまするが、なお長官にお伺いいたしたいのであります。それは今度の一部改正法案につきましては、先に米窪委員も言つておりましたように、改正されるにあたつては、当然それが簡素化され、能率化されなければならない内容を必要とするものであると考えるのでございます。そのような観点からわれわれは、今度の法案がまず能率化され、あるいは簡素化されているかどうかということについて、一応これを検討しなくてはなりません。長官は本改正法案によつて、大管区制をとり、それによる機動性が発揮されるのだということを言われておるのでありまするが、この機動性についても、われわれの疑義を払拭することはできないのであります。特に九管区制から六つ管区制にされるにあたりまして、先に關谷委員質問に対しては、国家警察との関係からこれを考える、しかも管区六つ考えたということに、非常に大きな重きを置いているように承つたのでございます。しかるにまた同委員の質問に対しては、管区考え方は、決して外部的なものではなくて、事務的な観点からこれを考えたのだという御答弁もなさつておるのでございます。この二つの点について、どうもわれわれとしては矛盾を感ずるのでございます。もし業務上の観点から六つ管区を御決定になるとするのでありますならば、業務上いろいろ支障のあるということをはつきりいたしまする場合、当局としては、六管区制をかえるという考え方をお持ちになつているのであるかどうかということを、この際あらためてお聞きいたしたいと思います。
  43. 大久保武雄

    大久保政府委員 政府といたしましては、六管区制をとつておりまするが、国会において、さらに管区の増強が必要であるとお認めになりました際におきましては、海上保安庁といたしましては、別に異存はない次第でございます。
  44. 石野久男

    ○石野委員 それでは重ねてお尋ねいたしますが、国警との関連性につきまして、先にそれが全部ではないという御答弁でありました。しかし少くとも大管区制をとるにあたつては、それは局部的なものではなくして、高所大所から見るのだというような御発言があつたのでございます。ところが、この御答弁を裏書きするかのような内容が、各所に見受けられるのであります。特に国警との関連性の問題は、この法律改正にあたつては、われわれにとつて非常に重要なる要素になつておるのじやなかろうかとも思うのでございます。当局は、海上保安庁任務国警の管掌任務との関連性を、一体どのようにお考えになつておりますか。この点をはつきりお聞かせ願いたい。
  45. 大久保武雄

    大久保政府委員 海上保安庁任務は、大きくわけて二つでございます。一つ海上における治安の維持であり、一つ海上における航海の安全の任務であります。すなわち海上保安庁任務の一半は、国警と密接なる関係がございまするし、他の一半は海上保安庁独自の性格をもつて実施いたすわけでありますが、かような観点から考慮いたした次第であります。
  46. 石野久男

    ○石野委員 そういたしますると、国警との関連性はまつたくささいなことでありまして、あくまでも、この法律改正にあたりましては、能率化及びそれの機動性の発揮という、海上保安庁独自の考え方に発足すべきものであると考えるのであります。この場合、六管区から必然的に起る太平洋沿岸日本海沿岸との問題について、同僚委員が何回かにわたつて論議しておりまするように、私もまた疑義を持つものでございます。たとえば横浜に設置されますところの海上保安庁管区が、日本海沿岸とのそれの統轄にあたりまして、非常に不便を生ずるであろうということは、先に米窪委員または關谷委員その他の委員から、何回かにわたつて指摘されておるのでございますが、もしこの地方における管区本部が指揮機関であつて、出動機関は現地において、なされるのだからという御趣旨をもつていたしますならば、この指揮機関は主として通信業務だけのことになるのでありましようし、従つてまた現地におけるところの業務に対しては、ことさらにこういうような統轄あるいは大管区制をとらなければならないという理由を見出すのに、非常に私どもとしては疑念を持つのでございます。そこで私お尋ねいたしまするが、当局はこの大管区制を施行することによつて、指揮機関六つにした結果として、現在ある九つ管区機関をどのように処置されようとしておりまするか。この点をはつきりお聞かせ願いたい。
  47. 大久保武雄

    大久保政府委員 海上保安庁地方機関九つから六つに減らしますことは、全体の機構を縮小するわけではないのでございます。むしろ地方を強化するという意味を持つておるのであります。かような次第でありまして、九つ管区本部の若干の職員が、新しい管区本部に移りかわるということはございましても、そういう人たちの整理その他の身分上の問題とはならない次第であります。
  48. 石野久男

    ○石野委員 この法案の改正によりまして、国警との緊密化というものは一層強化されることが意図されておるものと考えまするが、そういうことは当局は別段考えていないのであるかどうかということが一つ。  それから次にそれと関連性を持つものとして、第七條の改正されたただいま出されておりまする内容を、現在の法との間において特に第七條第六号が抹消されておるのでございますが、こういうように書かれております。「海上における密貿易、不法入出国その他」云云、こういう條項は、新しい法案においてはどういうところでこれを処理させようとしておるのであるかどうかを、ひとつはつきりさせていただきたい。
  49. 大久保武雄

    大久保政府委員 お尋ねの第一点の、国警との特別の連繋協定があるのかどうかといろお尋ねでありますが、これは今回の法律の改正にあたつて、格別どうこうということは、ございません。海上保安庁法によりまして、関係官庁と緊密なる連繋をとるべしということは、すでに法のうたつておるところでありまして、この法文に従つてすべてを遂行しておる次第であります。  第七條のお尋ねにつきましては今回第七條の第一号に「法令の海上における励行に関する事項」という一項目を入れました。この中に法令違反に関するあらゆる問題を取扱うことを包括せしめたわけでございます。
  50. 石野久男

    ○石野委員 法文の読み方、あるいはそれの解釈の仕方は、非常に重宝なものだと思うのであります。この第六号等は、すべて第一号に包含させたという御説明は、一応ごもつともだとも思うのでございますが、しかしその他のものがほとんどそのままに残されている中で、こういう事項をこの中に包含せしめているということについては、なお私は疑義を持ちます。と同時に、大管区制が行われることによりまして、先ほど来何べんか言つておりまするように、日本海沿岸と太平洋沿岸との間に、厖大な一帯の陸地が包含されていることでございます。従つて管区本部の一管内における陸地関係陸上保安の問題は、必然的に国警の領域に入るものと考えます。それをつなぐものはおそらく通信によつてのみつなぐのであろうと私ども考えるのでありまして、これは実に納得のできかねる一つの事項だと思うのでございます。それと同時に警察官等の職務に関連する事項が、今度この法令改正によりまして付与されることになるわけでございまするが、こういうようなこととの関連性におきまして、特に海上保安庁が持つ、警察官等の持ついろいろな権力といいますか、そういうものを行使する範囲は、その管区制陸上地で空白的になつております。そういうところでも適用されるような意味を持つておるのであるかどうか、この点をひとつお聞かせ願いたい。
  51. 大久保武雄

    大久保政府委員 先ほど申し上げましたように、海上保安庁は単に治安維持だけではございませんので、たとえば船舶検査でありますとか、あるいは乗組員の試験でありますとか、航海の安全の保持に必要なる諸行政もやつておるわけであります。かような関係でありまして、たとえば群馬県に船舶機関の工場がございますと、その機関検査をあわせて所掌いたしておる次第であります。さような関係で、陸上圏といえども海上保安庁行政は及ぶ面がある次第でございます。
  52. 石野久男

    ○石野委員 最後に一つだけお尋ねいたしますが、運輸大臣は、この法案の改正にあたりまして、海上保安庁の持つ任務が、より機動性を発揮し得るというようなお考えを持たれておられるのであるかどうか。
  53. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 ただいままでの各委員の御意見を承つておりましたが、われわれといたしましては少くともこれが前の組織よりも能率的であり、かつ機動的である、さような考え方で編成いたした次第であります。
  54. 石野久男

    ○石野委員 長官の説明等によりましても、今回の改正法安の中に盛られてある内容からいたしましても、特に国警等との関連性の緊密化ということが、この中にうたわれていると思うのでございます。大臣は海上保安庁のなさねばならない任務が、国警との間においてどのような連繋を今後必要とするのであるかどうか、これに対するお考えをどういうふうにお持ちになられるかどうか、それをお聞きいたしたい。
  55. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 海上保安庁任務は、本委員会の開始以来、各委員からの御質問に対しまして、長官からしばしばお答えをいたしておりまするが、たくさんの任務がありまするうち、やはり国警との関連仕事任務一つであると考えております。これの緊密なる連絡が、すなわち海上保安任務をより能率化するということは間違いないのでありまして、その内容の詳しいことはまた長官から御希望であれば述べさせます。
  56. 石野久男

    ○石野委員 それでは大臣に重ねてお伺いいたしまするが、今度の六管区制という大管区制の施行は、どう考えてもわれわれの解せないものがあるのであります。しかし大臣が、あるいはまた長官が、それぞれ説明されるこの管区制の実施にあたつての、六つ考え関係上という言葉なり、あるいはまた国警との管区関係からというようなことをにらみ合せまして、大臣は将来海上保安庁国警との関係を統合して、これを一つ機関の中で実施することが便利だというふうなお考えを持つておられるであろうかどうか。
  57. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 ただいまの問題は各般に関係のある問題でありまして、現在といたしましては私はこれを統合する意思は持つておりません。
  58. 石野久男

    ○石野委員 私の質問を終ります。
  59. 鈴木明良

    鈴木委員長 次に林百郎君。
  60. 林百郎

    ○林(百)委員 こまかい点からだんだん聞いて行きたいと思うのですが、この第七條の「警備救難部においては、左の事務を掌る。」の二に「天災事変」とありますが、事変という意味は何ですか。
  61. 大久保武雄

    大久保政府委員 事変と申しますのは、海上保安庁法にもございまする「海上における暴動及び騒乱」といつたような場合でございます。
  62. 林百郎

    ○林(百)委員 暴動及び騒乱ですか。
  63. 大久保武雄

    大久保政府委員 騒乱であります。
  64. 林百郎

    ○林(百)委員 具体的にはどういうことです。
  65. 大久保武雄

    大久保政府委員 海上において大きく治安の乱される場合であります。
  66. 林百郎

    ○林(百)委員 だからその大きく治安が乱されるということは、具体的にどういうことなんですか。従来の例でもいいですから、言つてみてください。
  67. 大久保武雄

    大久保政府委員 海上保安庁ができましてから、ただいま御質問のような事例はまだございませんので、具体的な事例はあげかねると思います。
  68. 林百郎

    ○林(百)委員 しかしこのたびのこの改正法案なり、あるいは海上保安庁の最近の一貫した方針としては、治安の確保、事変に備えるということが中心になつておるように思われます。たとえば十六條にも、「犯人を逮捕するに当り、又は非常事変」ということが書いてあるわけです。これが最近の海上保安庁の一貫した運営方針だと思うのでありますが、かつて発生したこともないことに備えるということはちよつとわからないので、具体的にどういう場合に備えるかということをお聞きしたい。
  69. 大久保武雄

    大久保政府委員 海上保安庁の力の入れどころについての御見解につきましては、私ども治安だけとは考えておりません。この点はここに書いてある通りであります。なおまた事変に関しましてのお尋ねでございますが、一概に申しますれば、大きく海上治安が乱れる場合でありまして、まあ大勢の人による海上治安の覺乱、かようなふうにも言えるかと思つております。
  70. 林百郎

    ○林(百)委員 その大勢の人による海上治安の騒乱ということがよくわからないので、大勢の人とはどういうのですか。日本人がどういうことを起すことなのですか。日本人なのか、あるいは外国人なのか、どういう場合か。実は一年ほど前に大久保海上保安庁長官は、海上保安庁の第一の仕事海上の人命救助だ、つまり難破船を救助する仕事であるということから、今年の年頭の辞には、主権回復への推移に伴い、従来の経済を中心とした国内問題は、治安中心に切りかえられなければならない。海上治安維持等の国家的責任は、海上保安庁が全面的にその責任を負う時期が近いとはつきり言つておるわけなのです。だから明らかに海上保安庁の意図するところが最近かわつて来ているわけだ。ところがかわつて来ている場合の具体的な事例が示されなくて、方針をかえて、管区をかえて、人員をふやして、装備を整備するということは考えられないわけです。だからたとえば海上保安庁が全面的にその責任を負う時期が近い。その治安が乱されるということは、具体的にどういうことを考えておるかということをお聞きしたい。
  71. 大久保武雄

    大久保政府委員 海上保安庁任務は、決してへんぱなものではないのでありまして、海上における治安の維持と航海の安全とは、いわば海上保安庁の車の両輪でありまして、そのいずれを重きとし、いずれを軽きとするというわけには参らないのであります。またいかなる撹乱が近く起るかということは、想像をもつては申し上げかねるかと思います。
  72. 林百郎

    ○林(百)委員 それではしかたがないから條文で行きますが、第十六條に「非常事変に際し、必要があるときは、附近にある人及び船舶に対し、協力を求めることができる。」しかもこれはさらに昨年の七月以来、警察との協力協定、国家消防庁との協力協定、それからこれはかつての海軍が持つていた戦時船舶部署標準を基底として、非常部署配置をつくつておるわけである。これはあなたの方が御存じのはずだと思う。こうして着々準備を進めておる核心を、具体的に示すことができないというのはおかしい。たとえば小さい海軍をここにつくつて、そうして治安任務に任ずるというのかどうか。海上における集団的暴動ということ、これは何か革命でも起きた際に、これを鎮圧するという意味なのか。何か非常事変だとか事変だとかいうものがはつきり示されなくて、消防との協定、警察との協定、装備の強化、管区の再編成ということは考えられない。だからそれをもつとはつきり浮び出してもらいたい。
  73. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいまお尋ね非常事変のうちの治安に関しましては、その事例がないようでございますが、たとえばデラ台風におけるたくさんの船舶の遭難、そういうことは過去二年間に事例があつたわけでありまして、かような場合及び治安関係の事変を総合いたしております。両方の場合におきまして、海上保安庁任務の達成を万全にいたしたい、かような趣旨でございます。
  74. 林百郎

    ○林(百)委員 これはごまかしなんですよ。デラ台風のとき難破船がたくさん出たから救助する。これはあたりまえなのです。これならわかるのだ。われわれはしかし、最近は治安中心に切りかえなければならない。主権回復への推移に伴い、従来経済を中心とした国内問題を、治安中心に切りかえなければならないということは、一月四日の海上保安新聞にあなたの年頭のあいさつとして出ておるわけである。海上保安庁の切りかえなければならない治安中心の目標を置いておきながら、その保安中心考えた場合の非常事態というものは、どういうものかということをお聞きしておるわけです。
  75. 大久保武雄

    大久保政府委員 海上保安庁が従来遭遇しました例といたしましては、逐次密航、密輸も大規模になつて参ります。そういう傾向はございますが、将来いかなる大がかりの治安撹乱があるかということを、ここに前もつて申し上げるわけには参らないと申すわけであります。
  76. 林百郎

    ○林(百)委員 前もつて言うことができないなら、そうした起るか起らぬかわからない事態に対して、どうしてこんな大がかりな切りかえをしなければならないかということが、われわれにはわからないわけです。だから結局、なぜ私がこういうことを聞くかというと、外国では、日本の国の海軍の電力が、海上保安庁中心として復活しておるのではないかといわれておる際に、治安中心に切りかえるという口実のもとに、また旧海軍の形態を着々として復活するのではないかということが、国際的にも懸念されておるし、われわれも懸念しておるからこれを聞くわけなんですが、そうした問題に対する海上保安庁長官考えを聞きたいと思います。
  77. 大久保武雄

    大久保政府委員 海上保安庁法は国会の御承認によつて成立いたしまして、しかもその海上保安庁法の中に、海上保安庁職員を軍隊として訓練することはできないということは、明文のうたうこころであります。私どもは夙夜この法の精神に従つて運用しておる次第でございます。ただいまの御想像は、これはまつたくの杞憂であると存じます。
  78. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは具体的にお聞きしたいと思いますが、第三十五條の三の條項に、「第三十五條第一項の事務処理するために置かれる職員及び航路啓開所に置かれる職員の数は、第二條第二項に規定する職員の総数に含まれない」、すなわち六十二隻の昔の海軍の掃海艇によつて瀬戸内海方面の掃海に従事している掃海課所属の人は、おもにどういう人が従事しているかお聞きしたいと思いますが、こういう人たちが定員からはずされているのはどういう理由ですか。
  79. 大久保武雄

    大久保政府委員 海上保安庁職員のうちから、艦船の保管並びに航路啓開に従事する職員を除外いたしましたのは、これらの職員はいずれも臨時的な職員であります。旧海軍の艦船にいたしましても、これは処理を終りますれば、当然終るべき業務であります。また機雷の掃海は一定の限度のある機雷であります。これまた掃海が終ればこの業務はなくなる性質のものであります。かような関係で、恒久的な職員数にこれを加算する必要はないと存じまして、除外いたした次第でございます。
  80. 林百郎

    ○林(百)委員 この掃海課の所属の人たちには、昔の海軍の軍人の人たちもいるかいないかを聞きたい。
  81. 大久保武雄

    大久保政府委員 これらの業務につきましては、海上保安庁創立の当初、連合軍の指令によりまして、旧海軍軍人を存置することを認められております。
  82. 林百郎

    ○林(百)委員 そうするとこれらの人たちは、旧海軍軍人が中心になつていると見ていいわけですね。しかも海上保安庁の定員から除外されているというように解釈していいかどうか。
  83. 大久保武雄

    大久保政府委員 さようでございます。
  84. 林百郎

    ○林(百)委員 それからこれも長官の見解として、昨年の四月六日の海上保安新聞に、昭和二十四年度ですが、「本年の最大の仕事は、巡視船などの新造計画と燈台の復旧計画である。船舶造修の予算は総予算(約三十億)の三三%に当つている」という方針に沿つて、昨年の五月から六月にわたつて保安庁開設以来の大型巡視船の新造が発注された。これは認められますか。
  85. 大久保武雄

    大久保政府委員 海上保安庁巡視船は、昨年以来建造いたしております。すでに昨年計画いたしましたものは、続々として進水いたしまして、海上に現われておる次第でございます。
  86. 林百郎

    ○林(百)委員 その巡視船が、大型の巡視船に切りかえられている。たとえば七百トン型二隻、あるいは四百五十トン型三隻というように、大型巡視船に切りかえられて来ておるということは、認められるかどうか。
  87. 大久保武雄

    大久保政府委員 海上保安庁は創立の当初、わずか百トン足らずの木造船で出発いたしましたので、これと比べますと、ただいま竣工いたしましたものは、七百トンでありまして、はるかに大型になつております。
  88. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで今言つた、当初は百トン程度のものであつたのが、七百トン、あるいは四百五十トン、それから旧海軍敷設艦の三浦丸、八百トンですか、これも巡視船に改造されておるのですが、こうした大型巡視船に切りかえるのは、どういう必要から切りかえられたのですか。
  89. 大久保武雄

    大久保政府委員 日本の近海は非常な荒海でありまして、しかも難破船が二時間おきに一隻出ておるかような関係からいたしまして、この海上の荒天哨戒ということは、とうてい百トンクラスの木造船では、專門的に申しまして、ほとんど常識的にでき得ないのでございます。七百トンでも日本近海は非常に困難であります。さような次第でありまして、私どもは一日も早く大きな巡視船で、難破船の曳航能力のあるものを持ちたい、かように念願しておる次第であります。
  90. 林百郎

    ○林(百)委員 大型巡視へだんだん火砲だとか、その他の武器といいますか、こういうものも施設して行く考えがあるのですか。
  91. 大久保武雄

    大久保政府委員 海上保安庁法は、武器を携帯することができるということを法にうたつてあります。その範囲内において処置いたしたいと考えておる次第であります。
  92. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで昨年規定されました非常配備規程、これがどういうものか、簡単に御説明を願いたい。
  93. 大久保武雄

    大久保政府委員 あの規程は、昨年のデラ台風、キティ台風その他、海上保安庁が創立せられましてから、台風における大災害は数回経験をいたしたわけであります。こういう際におきまして、最も痛感されますのは、海上保安庁の全国の各基地、船艇の機動的な運用、並びに一つの一災害に対する急速なる集中措置ということが、必ずしも適当でない。かように考えました結果、全国の船艇基地相互に脈絡があるという統制下に、一つの災害等に対して、集中的な効果を発揮するようにねらつて、策案いたした次第であります。
  94. 林百郎

    ○林(百)委員 これを規定する際に、かつての旧海軍の戦時船舶部署標準を参考にしたということが、われわれの調査によると、あるのでありますが、これをやはり参考にされたかどうか。
  95. 大久保武雄

    大久保政府委員 海上保安庁創立以来、台風にはしばしば見舞われまして、その台風に教えられた実際上の体験を教範として、策築いたした次第であります。
  96. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると戦時船舶部署標準は、全然参考にしておらないというふうに言つていいですか。
  97. 大久保武雄

    大久保政府委員 全然参考にいたしておりません。
  98. 林百郎

    ○林(百)委員 海上保安庁のうちの掃海課を中心とする航路啓開所の第一係は、ほとんど旧海軍の人たちが占めておる。要するに海上保安庁の中へ旧海軍派が相当勢力を入れて来ておるということがいわれておるのだが、この点について長官の所信をお聞きしたい。
  99. 大久保武雄

    大久保政府委員 海上保安庁法によつて海上保安庁任務を与えられ、これに従事する職員は、すべて海上保安庁職員でございます。海上保安庁はこの職員の全部、それぞれ、法に従つて、その能率を発揮するようにとりまとめておる次第であります。
  100. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると海上保安庁の、ことに掃海課、航路啓開所の第一係等を中心としての旧海軍の人たちの発言権が相当強いということは、長官としては否定するのですか。あるいは全然ないと言われるのですか。
  101. 大久保武雄

    大久保政府委員 発言の強いとか弱いとかいう物理的な現象はないと思います。ただりくつが正しいかどうか、職務が意見に従つておるかどうかということで判断せられると思います。
  102. 林百郎

    ○林(百)委員 それからこの第七條にも出ておりますが、警察官等の職務執行法と同じように、武器使用の場合の範囲を拡大されまして、要するに昨年の十一月十日に、第一線の保安官に十四年型のピストル二千挺を全部配布され、そのときの使用の範囲は、職務を行う場合、特に自己または他人の生命、身体の保護上やむを得ない必要がある場合ということから、このたびはその武器使用の範囲を相当拡大されたようでありますが、これはどういう事情からこういう必要が生じたか、お聞きしたい。
  103. 大久保武雄

    大久保政府委員 海上保安庁といたしまして、だんだん密航船等が武器を携帯いたして参りまして、あるものは捕鯨砲二門を装備いたしておるものも現われて参つた次第であります。かような関係からいたしまして、犯人を逮捕するという面におきましても、ある程度武器を正当に使用し得るということにいたした方が適当であると考えまして、さようにいたした次第であります。
  104. 林百郎

    ○林(百)委員 海上の場合のみでなく、それが上陸した場合にも、なお犯人追究の権限が付与されておるようでありますが、その通りかどうか、お聞きします。
  105. 大久保武雄

    大久保政府委員 法律から申しますれば、いわゆる海上陸上で、警察と海上保安庁の職権はわかれるわけでありますが、一応実際の行使にあたりましては、ある種の境界線におきましては、相互に一定の機動的な運用を認めておるわけであります。陸上におきましても、海上保安庁は十時間の範囲内の追跡権を持つている次第であります。
  106. 林百郎

    ○林(百)委員 この第七條の中にも、先ほど私が指摘しました天災事変、あるいは非常事変と同じように、暴動及び騷乱という字句があるのでありますが、この暴動及び騷乱というのは、先ほどあなたの説明されたように、まだ前例のない場合を想定されておるのか、あるいは前例があるのか、あるとすれば、どういう場合をさしているのか、それをお聞きします。
  107. 大久保武雄

    大久保政府委員 これはまだ前例はございません。前例があるといたしましても非常に具体的な事例は申し上げかねますが、概して申しますれば、多数人による治安の撹乱であります。
  108. 林百郎

    ○林(百)委員 どうもその大事なところへ行くとぼけてしまうのですが、最後に長官に――あとで運輸大臣にもお聞きしたいと思いますが、長官にお聞きしたいことは、最近密航船が非常にふえて来た。しかもその密航船が火砲まで持つているというのでありますが、この密航船というのはどこの国の船で、どういう人たちが乗つて、どことどこをどういうように歩いているのですか。
  109. 大久保武雄

    大久保政府委員 先ほど例に申し上げました密航船は、台湾から参りましたもので、神戸附近において逮捕いたしたものであります。
  110. 林百郎

    ○林(百)委員 それが最近一つつただけですか。それともたくさん例があるかということと、その台湾から来た密航船にはだれが乗つてつたのですか。台湾の人ですか。日本人ですか。それから何を持つて、どういうことをやつているのだか。ちよつと説明願いたいと思います。
  111. 大久保武雄

    大久保政府委員 ただいまあげました事例は、台湾から参りました船で、台湾人が乗船しておりました。砂糖の密輸を企てました密輸人船であります。
  112. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、そうした台湾の人の乗つている船、あるいはよその国の人の乗つている船が火砲を持つている。こちらの方もこうした整備を拡大されて行くということになると、将来はそうした国際的な間の紛争等も考えられるのでありますが、そういう場合、国際的な関係処理というようなことは、将来どういうように考えられておりますか。
  113. 大久保武雄

    大久保政府委員 そういう武装を前提とした将来の処理ということは、ちよつと予想をもつてここに申し上げかねると思いますが、海上保安庁といたしましては、法規の命ずるところによりまして、またそのときどきの日本の置かれておる條件下におきまして、行動をとるだけだと考えております。
  114. 林百郎

    ○林(百)委員 私は長官に対する質問はこれで終りたいと思いますが、運輸大臣お尋ねしたいことは、実は中国国民政府のころでもそうだつたのでありますが、中華日報等にも載つておりますし、大公報等にも載つております。それからイギリスなどでも指摘しているところであります。もちろんソ同盟などで指摘しておりますが、海上保安庁中心として、旧海軍の勢力が台頭しておる。たとえば旧海軍の軍令部から受継いでおつた管船課を主とする新設の船舶技術部、現地採用による旧海軍軍人が圧倒的多数を占めておる哨戒課、あるいは警備救難部中心とした、管船課と同様旧軍人からなる掃海課を中心として動く航路啓開所のいわゆる第一線方面の勢力が、事実上は海上保安庁中心勢力を占めるようになつており、ここに旧海軍の人たちが圧倒的に勢力を占めて来ておる。これがしかも最近はほとんど旧海軍軍人のときなされた、戦時船舶部署標準と同じような非常配備規程というような規定をつくり、これに基ずいて訓練をしておる。それから哨戒艇はだんだん大型な哨戒艇に移動して来ておる。それから武器の使用範囲もますます拡大して来ておる。それから陸の陸軍といわれる警察並びに消防と、特殊な連携を持つて来るということになりますと、やはりその諸外国の指摘しておるように、海上保安庁中心として日本の旧海軍の軍事的勢力が復活するのではないかという懸念は、あながちこれを一笑するわけに行かないと思うのであります。このことは将来の日本の全面講和を締結する上において、支障を来すことだと思うのであります。海上保安庁仕事は、あくまで人命の救助と難破船の救助という、平和的な面を意図すべきものであつて、騒乱、暴動あるいは非常事態というような場合を想定して、軍事的な色彩を持つて来るということは、厳重に警戒しなければならないと思うのでありますが、この点について大屋運輸大臣の見解をお聞きしたいと思うのであります。
  115. 大屋晋三

    ○大屋国務大臣 ただいま林君が仰せられましたが、言葉でいいますと、武器の使用を拡大する、あるいは艦船の型がますます大きくなつている、あるいは人員も非常に増員しているというようなことになつて、非常におかしく聞えますが、現に海上保安庁仕事も、しばしば林君も質疑応答なされ、あるいは海上保安庁任務というものの内容がいかようであるかということも、つとに御承知であるし、またその任務の内容、組織、あるいはそれに従事しでおる人員、艦船のトン数、武器の数、あらゆるものを全部公開しておりまして、晴天白日何ものも隠蔽したものがない。しかもその任務は、日本の海岸線をめぐつた海上の、たとえば航海の安全、あるいは密輸等の取締りというような点に局限せられておりまして、ただいま林君の指摘されたような心配は、この事実を見れば私は何ら問題はないと思います。いわんや非常に艦船のトン数が大きくなつたといつても、日本海の荒波を乗り切るには、七百トンや千トンの船は当然過ぎるほどいります。また武器の使用の範囲が拡大されたといつても、わずかピストルの二千ちようやそこらが配付されても、これは当然過ぎるほど当然でありまして、何ら心配はありません。あるいは遠くから事物を見ておりますと、正体がわからないので、非常な杞憂を抱く場合がありますが、おそらく中華民国その他の国々で、日本の海上保安庁の整備を非常に心配しておる向きがあつたとしたならば、姿を見ないで、いたずらに杞憂を抱いておるということに帰着いたすと思う。この海上保安庁の制度は、アメリカのコースガードというような前例もあることでございますし、何ら心配はないという確信を持つておりますので、どうぞさように御了承願いたいと思います。
  116. 林百郎

    ○林(百)委員 大屋運輸大臣の言葉を聞いておると、何らの心配もないように聞えますが、しかし一般の官庁がすでに行政整理をして人員を減らすというときに、逆に海上保安庁は人をふやす。施設は増強する。しかもこれがほんとうに平和的な方面だけを考えるならば、何もピストルを二千ちよう持たせるとか、あるいは火砲を持たせるということまでやるような必要はない。よその官庁がむしろ行政整理で整理して行くというときに、こういう方面だけをふやして行く。しかも船型もだんだん大型にして行く。表面海上保安庁の成規の人数を減らさないにしても、あるいは法律では表面そうなつていても、たとえば先ほど申しましたように逃げ道がある。これは定員の中へ入れないとか、あるいは警察、消防庁との連繋を密にして行くというようなことになれば、表面大屋運輸大臣の言う通りであるけれども、実質的には方々に抜け穴があつて、だんだんその勢力を強化して行くということが考えられると思うのです。ですからこの際運輸大臣としても、そうした表面的な事態ばかりでなく、やはり質的な面も考えて、国際的にどういうようにこれが見られておるかということを嚴重に検討される方が、将来の国際関係を円滑にするためにもいいのではないかというように思うのであります。これは私の意見でありますから、答弁があつたらお聞きするし、なかつたら別にお聞きする必要はありません。これで私の質問を終ります。
  117. 鈴木明良

    鈴木委員長 他に御質疑はございませんか。  なければこれにて内閣委員会運輸委員会連合審査会は散会いたします。     午後三時四十三分散会