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1950-03-30 第7回国会 衆議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月三十日(木曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 鈴木 明良君    理事 江花  靜君 理事 小川原政信君    理事 奈良 治二君 理事 船田 享二君       田中 萬逸君    玉置 信一君       丹羽 彪吉君    牧野 寛索君       松岡 駒吉君    木村  榮君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         総理府事務官         (地方自治庁連         絡行政部長)  高辻 正巳君         厚生事務官         (保險局長)  安田  巖君         通商産業政務次         官       宮幡  靖君         通商産業事務官         (大臣官房長) 永山 時雄君  委員外出席者         專  門  員 龜卦川 浩君         專  門  員 小關 紹夫君     ————————————— 三月二十九日  通商産業省設置法等の一部を改正する法律案(  内閣提出第一三四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  北海道開発法案内閣提出第一二八号)  通商産業省設置法等の一部を改正する法律案(  内閣提出第一三四号)  社会保險審議会社会保險医療協議会社会保  險審査官及び社会保險審査会設置に関する法  律案内閣提出第一三〇号)(予)     —————————————
  2. 鈴木明良

    鈴木委員長 これより会議を開きます。  本日はまず昨日付託になりました通商産業省設置法等の一部を改正する法律案について、政府提案理由説明を求めます。通商産業政務次官宮幡靖君。     —————————————     —————————————
  3. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいま議題となりました通商産業省設置法等の一部を改正する法律案について、その提案理由の御説明を申し上げます。  政府は、経済情勢の推移に伴いまして、通商産業省組織整備をはかるべく、先般来通商産業省設置法工業技術庁設置法及び中小企業庁設置法につき鋭意檢討を加えて来たのでありますが、今回ようやくその結論を見出すに至りましたので、ここに通商産業省設置法等の一部を改正する法律案として国会に提出し、十分な御審議を仰がんとする次第であります。  すでに御知承の通り政府は昨年五月二十五日、通商振興飛躍的発展を意図いたしまして、貿易生産一体的運営をはかるため、従来の商工省貿易庁を解体いたしまして、新たに通商産業省設置して、爾来この重大な使命の遂行に邁進いたして参りましたが、最近に至りまして、米国日援助物資輸入実務遂行のための新行政機構設置要請産業合理化施策推進に伴う組織整備石炭需給統制の緩和並びに行政簡素化理由に基く組織の再編成等諸般要請により、通商産業省組織等所要改正を加える必要があると存ずる次第であります。  以下その概要につき申し述べますならば、本法案は第一條に通商産業省設置法改正につき規定し、第二條に工業技術庁設置法、第三條に中小企業庁設置法改正をそれぞれ規定いたしております。  第一に通商産業省設置法改正について申し述べますと、本省内部部局関係では、従来貿易公団で行つておりました輸入事業のうち、米国日援助物資に関しては、行政機関で処理すべき要請がなされておりますため、臨時通商業務局を新設いたしまして、同局において対日援助物資輸入事業実施させることといたした次第であります。  次に企業合理化問題は、現在の経済事情において最大の緊急要事でありますので、特に任務に掲げて、その強力な推進をはかることを明らかにするとともに、主としてこの事務に当らしめるため、通商企業局に次長を設けることにいたしました。同時に行政簡素化趣旨によりまして、通商企業局内調達賠償部廃止するとともに、資源庁関係にあつては、石炭管理局石炭生産局の二局を統合する等所要整理改廃を実行いたした次第であります。  次に工業技術庁設置法改正について申し述べますと、従来工業技術庁人事会計等庶務に関する事務調整部で所掌いたしておりましたが、人事院規則実施ならびに財政法及び会計法改正に伴いまして、これらの人事会計行政事務は大幅に増加し、加えて来年度においては相当数の増員が予定されております関係から、新たに長官官房を新設いたしまして、人事会計行政を專管させることにいたした次第であります。  第三に中小企業庁設置法改正につきましては、中小企業行政強力化をはかるため、中小企業育成及び発展をはかるべき基本方策の設定、商工組合中央金庫に対する監督等につき、その権限を明確にするとともに、私的独占禁止法または事業者団体法の適用について公正取引委員会との関係整備することにいたしました。その他昨年十一月一日分室の廃止により、これにかわつて都道府県に設けられた商工資材事務所職員の身分を、本年四月一日から都道府県の吏員に切りかえることとなつておりますため、これに対する恩給継続措置を講ずること、及び通商産業省機構の変更に伴い国家行政組織法改正を必要といたしますので、いずれも附則にこの改正規定を掲げた次第であります。  以上、本法案提案理由及びその概要を申し上げた次第でありますが、政府といたしましては、この法案の成立により、新年度よりその態勢整備し、充実せる通商産業行政実施に万遺憾なきを期している次第であります。何とぞ政府の意のあるところを了承せられまして、すみやかに御審議の上、御協賛を得たいことをお願いいたす次第でございます。
  4. 鈴木明良

    鈴木委員長 政府提案理由説明はこれにて終了いたしました。御質疑はございませんか。
  5. 江花靜

    江花委員 通商産業省全体として今度の改組、あるいは新設の部局があるようでありますが、人員関係はどうなつておりますか。
  6. 永山時雄

    永山政府委員 人員関係でございますが、人員は昨年の定員法の制定によりまして、通商産業省全体としてきめられました定員は、昨年十月一日におきまして、二万一千二百五十九名という定員でございますが、それに対しまして、二十五年度予算におきましては、二万六百九十二名——約二万七百名ということに予算の上で査定をされておるのであります。この内容につきましては、物資統制事務が御承知通り大幅に廃止をされて参りまして、従来約二百五十品目ありましたのが、最近におきましては、六十品目ばかりに減少をすることになつて参りました。従いまして、その関係におきまして大幅な減員をいたしております。たとえば物資調整事務関係におきましては、先ほど申し上げました二十四年度定員におきまして、約六千三百人ほどのものが入つてつたのでありますが、それが二十五年度予算では、二千七百名程度まで落すという減少を受けておるのであります。同時に通商関係仕事につきましては、たとえば今後の貿易方式といたしましては、通商協定市場調査、そういうような関係で、従来以上にその方面仕事をふやして参らなければならぬというようなことで、通商局あるいは振興局、そういう方面人員増加をいたしております。あるいはまた工業技術行政拡充強化をするという意味におきましても、工業技術庁の人間は相当増加をしておる。あるいはまた中小企業行政強化するという意味におきまして、中小企業行政人員をふやして行くというようなことで、結局差引きかれこれいたしますと、昨年度定員よりも、人数の上におきましては五百七十名ほどの減員をすることになつております。
  7. 江花靜

    江花委員 品目減少だけを人員整理の基準とするというのは、数の上だけで判断するのは適当でないと思います。二百五十品目のうち、六十品目に減して——もちろん増員しなければならぬ必要のあるところも了承いたしますが、五百名では少し少いと思いますが、大体当局としてはぎりぎりのところまでやられたわけでありますか。
  8. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ごもつともなお尋ねでございまして、通商産業省として考えております統制整理は、明日、すなわち年度末におきましては、大体九品目程度、これは割当統制の方から考えて九品目程度にいたしたい、こういうことで第一次統制撤廃以来第八次まで実行して参つたわけであります。ただいま六十品目と申しましたが、三十九品日程度が現在割当統制をやつております基幹的なものでありまして、四月一日をねらいといたしましてなお許される部分が残つておるような次第であります。これらにつきましては、ただいま官房長から申しましたように、大幅な人員削減をやつておりますが、なおこれに伴いまして、内局の部面におきまして相当数事務量の縮小がある。大体行政整理というものは、政策的な意味もたくさんありますが、その仕事の分量に押されて行くということが正しいねらいであろう、かように考えまして、大体予算をごらんくださいますればわかります通り、六月までの三箇月暫定の定員をとつております。今国会終了後また近き時期におきまして臨時国会の開会も予定せられておりますので、この機会にもう少し行政組織簡素化をはかりまして、根本的な通商産業方面におきまする人の上から見ました整理をいたしたい、ただいま腹案を持つておりますが、まだ関係方面との御了解も十分でございませんので、心持は御意見の通り、かようなはなはだ微温的な程度では根本的な整理が全うせられたとは考えておらぬことを御了承いただきたいのであります。
  9. 江花靜

    江花委員 もう一点お伺いしますが、これは必ずしもわれわれがそうつつ込んでお伺いしなくても、当局者はよくわかつておりますところの、旧事務から新しい事務に転換した職員適応性とか、そういうような点については、たとえば工業技術庁など、私どもしろうと考えでは普通の庶務的な役所とはおもむきがかわつておるようにも考えるのでありますが、こういうものは、やはり部内で整理の対象になつた者を転換して、そちらの方に充用される、このような御方針ですか。数の的確なことは申し上げかねるような次第であります。
  10. 玉置信一

    玉置(信)委員 この改正の基本的な問題から考えてみますと、行政簡素化して、行政運営面を強力にしようというのがねらいであると思うのであります。従つて説明でも明らかにされておりますように、企業合理化という問題がきわめて重大であると思うのでありますが、今後企業合理化の点について、いかような構想を持つておられますか、この点についてお伺いしたいと思います。
  11. 宮幡靖

    宮幡政府委員 私の方でせつかく企業合理化考えております折柄、適切な御質問をいただきまして、まことに感謝にたえません。昨年来産業合理化審議会というものをつくる議が起りまして、昨年の暮れも迫りました十二月二十何日か、ちよつと日は忘れましたが、その創立総会をいたしまして、ただいま各專門部会三十一、これに総合部会一般部会というものを設けまして、各部会ごと合理化に対します基本的な考え方をまとめていただく諮問を発しまして、現段階におきましては、鉄鋼部会とか、それぞれの部会におきまして、專門委員等を委嘱いたしまして、懸命に研究いたしまして、すでにその成案も得たような次第であります。これを本年度におきまする施策の一環といたしまして、ぜひ強力にやつて参りたい。この産業合理化部会等のことは、いずれまた資料等をお手元へ配付いたしまして、御批判をいただくようにいたします。ただ、通商産業省で現在考えております点で、この合理化審議会の活動の上に欠くるところがありますのは、他のたとえば運輸省に関します造船に対しまする合理化審議会等もつくりたいのでありますが、これは運輸省の方でつくるから、除けというようなことで、幸い運輸省の方で御配慮いただけるとは確信はいたしておりますが、国全体としての産業合理化の面に、もし跛行的な状態ができては残念だと思つて、実は必配しております。かような点を調整いたしまして、従来のお題目だけの企業合理化でなく、実質をとらえた合理化を達成いたしたい。また幸いにして各部門の委員方々が非常に御熱心で、しかも日本産業経済が倒れるかいなかの境目という悲痛な気持を反映して、非常にいい案ができておりますので、これに大いに期待をかけまして、実施面へ移して、ぜひとも有効な処置を講じたい、かように考えております。
  12. 玉置信一

    玉置(信)委員 次は、中小企業行政強化をはかるために、中小企業育成及び発展をはかる基本方策を設定するというようなことは、今日きわめて喫緊の要事でありまして、当然のことでありますが、これに対する具体的な御所見をお伺いいたしたいと思います。
  13. 宮幡靖

    宮幡政府委員 中小企業庁は、現在の段階におきまして一番悩み多き行政を担当する役所でありますので、行政整理のまつただ中にありながら二十四年度定員におきましては、総員九十四名でありますが、今回は九十七名を増員して、合計百九十一名でこの施策強化を人的にねらつておるのが現在の予算であり、この設置法の一部改正という趣旨とあわせて考えられる問題であります。  中小企業対策は、ここで申し上げますならば、世間で非常に誤解を受けておりますことは、政府政策を滲透せしむる点に遺憾なところがありまして、その責任は当然政府にあると私は考えておりますが、中小企業施策につきまして詳しく申上げますことは、これは相当長時間を費さなければできないことでありますので、その概要をまず申し上げますと、最初金詰まりから来る金融難だという声がありますが、現在では有効需要が失われたということ、金を借りて物をつくつても、それが販売化されない、こういうところに悩みが多いのでありまするが、大体資金面の手配は、立場をかえて申しますると、いろいろ御批判もありまするか、コンマーシャル・ベースによりまする中小企業へ流れておりますところの資金は、総額において一千五百七十億くらい出ておるのであります。しかしこれはどこに流れたか、ちつとも来ないじやないかということが常に叫ばれておりまするが、これは金融のいわゆる民主化をねらつておりまする現在の立場、それと財政資金産業資金を画然と区別しようとする、現在の方向の移りかわりのうちに生じた矛盾であろうと思います。中小企業の中に属します方は、多く資本金三百万円、従業員百人未満を中小企業と申しておるのでありますが、この方々は、戰時中は、やはり一つ事業場を持つておりますれば、それが非能率的であろうが、設備が優秀でなかろうが、あるいはそれに携わりますところの労働者及びその事業責任者企業努力企業意欲というものがどんなふうであろうが、一応の資材割当を受けて、つくりましたものが一つの規格にさえはまれば、たとい絶対優良品だという銘が打たれなくとも、マル公をもつて販売される、その間におきましてものによりましては若干やみ販売ができたというところに培われて参りました。この場合におきましては、現金取引が主体でありまして、金融機関を通ずるところの信用取引とか、あるいは手形取引とかいうことは、その実績が全然ありません。従いまして、市中銀行を通じますところの銀行中小企業との金融的連繋というものはまつたく断ち切られまして、十何年間を過ぎております。市中金融機関を通ずる融資がいかに困難であるかということが、これで想像されます。そこで、最初に取上げました方策は、それぞれ一件々々を取上げまして、融資のごあつせんを申し上げ、相当の効果をあげております。しかし、それはあくまで銀行として、金融業者立場からそれを判断いたしますので、ごあつせん申し上げました何割かは、審査の結果除外されるということで、非常に不評判を買つたのでありますが、これに対して打ちます手は、まずもつて政府中小企業育成のために若干の損失補償という制度を行うべきである、かように考えまして、昨年十月、実は補正予算の原案では、その補償基金まで練つてつたのでありまして、すでに三億程度金融機関に対しまする融資補償制度を法文化しまして、国会の御審議に備える段階にまで進みましたが、客観的情勢におきまして、その直前においてこれが拒否せられまして、まことに遺憾でありました。その後鋭意、引続きまして、これを強力に推進いたしました結果、最近の情勢におきましては、これが許されそうな段階になつて参りました。でき得べくんば、五月三日までの会期のうちに、遅ればせながら提案いたしまして、ぜひとも皆さんの御審議によつてつて参りたい。遅れましても、次の特別国会におきましては必ず御審議を願えるだろうと、ただいま確信を持つておるような次第であります。従いまして、この補償制度のでき上りますまでのつなぎ的措置といたしまして、例の見返り資金、これは打出小づち打出小づち言つて、ちつとも打出小づちの威力がないじやないかといつて批判を受けておりますが、これも直接投資だけじやなく、いわゆる間接投資の面へ流用すべきものである。一般的に申せば、産業資金調達のために設けられております株式市場の証券に対しますところの措置と、これが発券市場として、あるいは売買市場としての有効な活用をするために、見返り資金間接投資等も必要で、あわせて中小企業に対します見返り資金活用もしてもらわなければならぬ。こういうことで、損失補償制度に一応資金を見なければならないときになりまして、この問題を取上げてそれぞれ交渉して行つた結果、すでに御承知のように見返り資金市中金融資金協調融資が成立いたしました。これは五割五割の資金を供給いたします。それで五割の資金に対しましては、政府の方から、見返り資金勘定から二分の手数料を金融機関に拂い、金融機関は貸しつけた金を回收する場合におきましては、自己資金を先に回收して、見返り資金はあとでよろしいということで、きわめて微温的ではありますが、消極的な補償意味をこれによつて達成いたします。これも従来の方法で行きますと、金融機関はなかなか独善的な考え方がありまして、下部に浸透いたしません。そこで昨年の十二月末以来、全国五千の銀行支店に対しまして、直接あるいは日本銀行及び日本銀行政策委員会の名におきまして、ことごとくこの制度の浸透するようにまず宣伝をいたしました。中小企業庁としてもこれに対しまして、それぞれの機関に全部浸透いたしました結果、幸いにいたしまして、これは一月の半ばごろから急速にこの実績が上つて参りまして、月一億、見返り資金と合せまして二億ずつの融資が行われる予定でありますが、すでに三月二十日現在において、件数において二百六十件、三億八百万円、この予算であらかじめ考えました見返り資金は出てしまいまして、なお需要相当多いので、これに対しまして明年度の四、五の二箇月分を繰上げて、年度内に使う手続等もただいま交渉中でありまして、これも可能な事情のようになつてつております。有効需要の喚起につきましては、一番大きな題目纎維品でありますが、おおむね公団滞貨司令部のおつしやいます通りに、安くともどんどん拂い下げて、公団整理しろという方策でやつて参りますと、市場を破壊いたしますので、公団滯貨の処理について司令部の御勧告がありましたが、いろいろ了解を得まして、一定の間、少くとも生産コストに若干のマージンを見込みましたその標準価格をもつて随時公売なりあるいは随時契約による拂下げをすることに御了解を得まして、公団の方の滯貨によりまして市場が、先安見込みで買い控えるというような事態の起らない手続が、ただいま一応相済んでいるのであります、ことに纎維品につきましては、滯貨の時期におきまして統制等を継続すべきでないという理論から、すでに配付して実施の面に移されました衣料切符等のごときは、発表せられました通りに、四、五の二箇月間は切符なしに、何でも自由にお買い願えるようにいたしました。これもすでに公布いたしまして実施に移つておりますが、四、五の状況によりましては、この態勢を永久に続けて参りたい。かようなことで、引続いてこの根本的統制撤廃にまで、本年のうちの近き時期に実施したい。かようにして参りますならば、需要価格とともにつり合いまして喚起して行くのではないかと考えまして、今いろいろとやつております。その他細目の点につきましては、いずれ機会をもちまして申し上げたいと思いますが不成功の非難を受けましただけに、打ちました施策は非常に数多いのであります、そのうち成績の上つて参りましたものがようやく二、三でありますが、大綱的に申しますと、最初ドツジ・ラインの強行によります財政金融あるいは産業、こういう産業経済の面からの見方から行きますと、中小企業施策は、昨年の通商産業省発足の当時におきましては、約三箇月ないし六箇月のずれがあつたと思います。現在ではこれを順次縮小いたしまして、大体二箇月から三箇月の間までこの施策が追いついて参つたと思います。ここ半年間くらいの努力によりまして、いずれこの施策と実情とがぴつたり一致することはできませんが、その現象がありますればその現象を追うて施策がなされる。こういう事態が起るであろう。かように考えまして、中小企業庁につきましては、現在の商工中央金庫改組、あるいはその資金繰り等の問題ともあわせまして、強力に進んでおります。幸いにいたしまして、いろいろ御非難を受けました中小企業庁長官問題等につきましても、長官の進んでの御勇退もありまして、新しき長官を迎えまして、ただいま全員まつたく一致いたしまして、この方面の打開に当つております。やがてと申しますか、近き時期におきまして、中小企業振興対策実績が、皆さんの御批判に備えることができるのではなかろうか。何分こういう席でありまして長いこと申し上げられませんが、概要そういう結果にあることを御了承願います。
  14. 玉置信一

    玉置(信)委員 これも先ほど御説明の中にありましたけれども、商工組合中央金庫に対する監督の問題でありますが、私申し上げることは少しく小さい問題ではありますが、今日この中小企業に対する融資の面におきまして、融資をしてもらうといつて大体きまつたものが、非常に進捗しないというような現実の問題があるのですが、この監督の問題は、おそらく中央金庫運営に関する問題であろうと思います。そうした面についての監督配意と申しますか。そういうことについて簡單に御説明が願えれば幸いと存じます。
  15. 宮幡靖

    宮幡政府委員 提案理由監督と書いてありますので、監督という言葉になろうかと思いますが、実際の意味におきましては、この運用の問題です。御指摘の通り現在商工中金支所が三十幾つか、全国にまんべんなく散布されております。もちろん金融機関でありますから、独立採算制考えれば、償わない所には置けないという事情にありますが、中小企業という立場から言いますとそうばかり言つておられませんので、支所の増設も考えております。のみならず、一番中小企業の集中しております地区として考えられます大阪の支所等に、今まで責任者がおりませんでした。所長と申してもこれは職員でありまして、理事者でなかつた。今度はぜひとも理事者を送りまして、直接中小企業の方に責任ある接觸をしたい。一々本省に来なければできないという煩わしさをやめたい。また各支所につきましての権限につきましても、監督を嚴にするかわり、実施については幅を持たせて参りたい、こういう考えでやつております。それから中小企業特別わくを、ただいま三十九億円のうち商工中金が十六億五千万円持つておりますが、最近の金操り状況を見まして、中小企業等協同組合に対する金融強化をいたします意味で、今回いろいろの業種につきまして、再び日銀に交渉いたしまして、長期にわたる、一年ないし五年程度設備資金に充当でき、あるいは滯貨を持つがために正常なる運転資金が枯渇いたしましたものを、設備とかあるいは不動産等を担保にいたしますところの制度によりまして、金融実施をいたしたい。これらにつきましては現に進捗しております。これは今までにないような非常に特別のものを設けていただきまして資金を流します。その資金商工中金を通ずる。従つて業務も皆様と非常に接觸して実施できると思います。そこにさらに必要になりますことは、ここに書いてあります監督の問題であります。これは中小企業とまつたく表裏一体となるという気持で運営して行く中にはやはり弊害も考えられますので、この点につきまして所要改正を行いまして、利点のみを発揚され、弊害の起らざるように、かような方向をねらつてつているのであります。
  16. 鈴木明良

    鈴木委員長 他に質疑はありませんか——他に質疑がなければ北海道開発法案を議題といたします。質疑に入ります。御質疑はありませんか——御質疑がなければ次に移りたいと思いますが、厚生大臣がただいまから十分後にここにお見えになりますから、それまでこのままお待ち願いたいと思います。  お諮りいたします。ただいま議題となりました北海道開発法案について、建設委員長より意見の申入れがあります。その申入れの内容について私が読み上げます。    北海道開発法案に関する申入れ事項  内閣委員会において、目下審議中の北海道開発法案については、当建設委員会の総合的意見は次の通りであるから、議案審査にあたり十分参酌されんことを要望する。すなわち北海道は、戰後わが国に残された有力なる未開発資源並びに人口問題の解決の対象になる特殊地域であるが、この理由のみにより地方計画を国土計画に先行立法化するのは、妥当でない。よつてすみやかに総合国土開発法案の提出を求め、北海道開発法案と両々相まつて、国土の復興に寄與されるよう御考慮願いたい。   昭和二十五年三月三十日      建設委員長 淺利 三朗  内閣委員長 鈴木明良殿  こういう申入れの要望がございます。この点についてお諮りいたします。
  17. 小川原政信

    ○小川原委員 それは採決にあたりまして、その御意思をとらえて、この採決を委員長は後日に讓ろうというのでありますか、ただいま私どもはここで採決に移したいという考え方を持つておるのですが、そこはどうでございましようか、委員長のお考えを聞きたいと思います。
  18. 鈴木明良

    鈴木委員長 私はきのうの委員会においても、官房長官から説明された通り、総合国土開発法案、これは近々提出の見込みであるという見通しがある以上は、この委員会はここでこれを採決に付してもよろしいのではないかと考えております。
  19. 小川原政信

    ○小川原委員 私どもと同意見です。
  20. 江花靜

    江花委員 建設委員会としては、総意をもつてそういう申入れをしたのですから、野党の人々も大体見えておられるようですから、もう少し審議を盡してから、結論はそこへ行きたいと思います。
  21. 鈴木明良

    鈴木委員長 そういたしたいと思います。この法案について御質疑はありませんか。
  22. 玉置信一

    玉置(信)委員 総合国土開発と並行して審議をしてくれということでありましたのですか、どうですか、その点はつきりいたしませんでしたが……
  23. 鈴木明良

    鈴木委員長 それでは要望の要点だけをもう一度申し上げます。「北海道は、戰後わが国に残された有力なる未開発資源並びに人口問題の解決の対象になる特殊地域であるが、この理由のみにより地方計画を国土計画に先行立法化するのは妥当でない。よつてすみやかに総合国土開発法案の提出を求め、北海道開発法案と両々相まつて、国土の復興に寄與されるよう御考慮願いたい」、こういう文面であります。
  24. 玉置信一

    玉置(信)委員 そうでありますと、ただいま小川原氏が申されだごとく、私もその線で議事を進めていただくことが妥当のように思いますが、委員長においてそういうようにおとりはからいを願いたいと思います。
  25. 鈴木明良

    鈴木委員長 承知いたしました。ほかに御意見はございませんか——他に御意見がなければ、ただいま小川原君から申入れの通り、この委員会においては、総合国土開発法案が近いうちに提案される、こういうことを條件として、この法案を討論、採決に入りたいと思いますが、いかがなものでございましようか。
  26. 鈴木明良

    鈴木委員長 御異議がなければ、さようとりはからいます。
  27. 江花靜

    江花委員 今委員長が朗読になりました通りの要望が建設委員長からこちらにありました。内閣委員会としては、その問題はまことに当然であると考えますけれども、しかし国土開発計画というような、つまり北海道開発法に優越するしかもある一般的なものと、それからこの北海道開発法との調節の問題は、法案の内容から見ましても、権限の内容は北海道開発法にそうはつきりとうたつているわけでもありませんからして、そういう法の解釈あるいはまた実際の運用の面において、十分総合的な国土開発法というものとの調和をはかり得ると考えられますので、せつかく提案になりました北海道開発法でありますが、これは建設委員長の要望をこちらの方でも希望意見なり何なりとして政府に要望して議事を進められてけつこうであるというふうに私は考えております。
  28. 鈴木明良

    鈴木委員長 ただいま江花君の御発議に対して御異議はございませんか——御異議がなければさようとりはからいたいと思います。  それでは一時まで休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ————◇—————     午後一時四十三分開議
  29. 鈴木明良

    鈴木委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  まず北海道開発法案を議題といたし——質疑に入ります。木村榮君。
  30. 木村榮

    ○木村(榮)委員 これはきのう聞いた補足なんですが、第十條の審議会を置く場合に、衆議院議員から五名というようになつていますが、もし衆議院が解散になつて資格がなくなつた場合は、五名の欠員ができるわけです。その場合は審議会は完全に機能を失つてしまつて、実際上一箇月なり、一箇月半なりなくなると思うのですが、そういうように解釈してさしつかえないのですか。
  31. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 ただいま御質問にございました、第十條の北海道開発審議会の構成の関係でございますが、衆議院議員のうちから、衆議院が指名したもの五人の方が、解散の場合において空席となるから、従つて北海道開発審議会は不成立になるのではないか、こういうふうな御質問のように承つたのでありますが、この審議会の議事及び運営等に関しまして、その十條の第六項に基きまして、審議会自体がこれをきめるということになつておりますので、この法律案そのものから見ますと、その場合に法律的にどうなるか、あるいはそのうちの数名の方が——たとえば先ほど仰せになりました衆議院議員の五人の方が、一応空席になつた場合において、委員会としての機能が喪失されるものであるか、どうかということにつきましては、審議会自体が自主的にきめられる。こういうことがこの法律案考え方になつておるものと存じますので、ただいま私からここで、このような場合において、審議会は成立しなくなるということを明らかに申し上げることは、少し行き過ぎではないか、かように思う次第でございます。
  32. 木村榮

    ○木村(榮)委員 これは小さな問題ですが、しかし法案の中に一箇條設けて、審議会を置く。しかもそれは二十人で組織する。これはどこの委員が何名——北海道知事、北海道議会議長、学識経験者、こういつたふうに規定いたしました場合においては、当然その一つのものが全部いなくなつた場合には、これは審議会というものがなくなるのが常識的な見方だと思うのです。たとえば御承知のように、農地委員会なんかの場合も、小作代表が全部なくなつた場合には、農地委員会は成立いたしません。学識経験者の中二人、三人なくなつた場合は、これはいいと思う。それで今あなたは六項において云云と言われましたが、これは読んで字のごとく、審議会の議事及び運営に関する問題であつて、これは議事そのものを運営することを規定したのである。審議会の構成そのものを問題にしているのではない。従つて五人のものが解散になつた場合は、審議会はその機能を停止する、あるいはせぬということを明確にしておかぬと困ると思う。その点を明確にしておいていただきたいと思います。
  33. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 私のあるいは説明か少し足りなかつたのではないかと思いますが、この審議会として活動いたしますための運営上の問題については、第十條の第六項に基きまして審議会自体が自主的にきめられることになるであろう、この法律案の建前から申しますと、審議会はこの第一項にございますように「左に掲げるものにつき内閣総理大臣が任命する委員二十人以内で組織する」ということになつておりますので、従つてこの中の、たとえばかりに御指摘になりましたように衆議院が解散になりまして、五人の議員の方が一時空席になりましても、委員会自体としてはこの法律上は有効に成立している、こう解釈いたす次第であります。
  34. 木村榮

    ○木村(榮)委員 それは相当問題があるのですが、私は法律家でないから常識的なことしか質問ができませんから、この程度でやめますが、こういつた非常に疑義のある審議会というものは、私はこの際再検討してもらわなければならぬ。  もう一つお尋ねしたい点は、たとえば最近の状況に見ますと、北海道の千歳というところで、対地射撃をするために、約七千町歩ぐらいにわたつて、その中にいます農民の立退きをさせているといつたふうなことですが、こういつたことが将来とも起つて来ますと、北海道開発のいろいろな諸計画の上において相当大きな支障を来す場合があると思う。こういつたことに対してはどのような御方針でおやりになるのですか。
  35. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 ただいまの御質問の、北海道千歳村の具体的の問題につきましては、私詳しく承知いたしておりませんので、具体的には御答弁はいたしかねるのでございますが、かりに開発計画等が具体的に進行されますような場合に、あるいは土地を買上げて移転させるというような問題も起らないこともないであろうと存ずるのでありますが、これらの問題につきましては、それぞれの執行に当る行政機関等もございますので、あるいは北海道庁におきまして関係のある場合におきましては、北海道庁においてこれが処理をいたすこともございましようし、あるいは農林省が直接行うような場合が起つたといたしますれば、農林省において適当な方法をとるであろう、かように想像いたしますので、一概に抽象的に、かような場合においてはこうするということをここで御答弁申し上げかねるような次第でございます。
  36. 木村榮

    ○木村(榮)委員 もうよろしゆうございます。
  37. 鈴木明良

    鈴木委員長 他に質疑はありませんか。
  38. 鈴木明良

    鈴木委員長 質疑がなければ、これより討論に入ります。  討論の通告がありますから、逐次これを許します。小川原政信君。
  39. 小川原政信

    ○小川原委員 私は本案の採決にあたりまして、一応討論をさしていただきたいと考えます。  午前中に建設委員長から提唱されました事柄につきましては、委員長初め江花委員そのほかの委員方々から、本法が通過いたしました後において、決して何らの拘束力がないのだということを繰返していただいて、私もその通り考えておるのでありまして、本案が通過後におきましては、何ら拘束力なしと再確認をいたしまして、討論に入りたい、かように考えるのであります。  北海道が開発されましたことは、徳川幕府から明治の初年にかけてできたことではありますけれども、新憲法の趣旨と何ら異なつたことはない。北海道の特有性というか、それはほかの三つの島と比べてみましても、何ら異なるところはなく、実に文化国家の建設であつたと思うのであります。それは何であるかと申しますと、明治天皇が明治二年に詔勅を賜わりまして、北海道を開拓せいということをだれに対して言われたかというと、宗教家であるところの東本願寺の大谷光瑩氏に対しまして御下命になつた。こういうことは、実に北海道の最も特殊性であります。そこで大谷家では、百二十人の人を集めまして、そうして中仙道を通つて、信州を横切つて、越後を越えて、酒田から北海道に渡るのに一箇月の間かかつたのであります。そうして遂に函館に上つて、道のない險しいところを、野に宿して、噴火湾に出て、これよりずつと日本海にまた出まして、そうして小樽に行つて、札幌におちついたのでありますが、そのときにはたつた倭人が四人であつた。その四人で拓殖を始めまして、今日は一つもありませんけれども、東本願寺農場というものを至るところに興しまして、宗教というものと学問というものを中心にして、そうして北海道を開発いたしたのであります。こういうことは、日本の歴史を見ましても、北海道のみの行き道であります。遂に北海道に警察を置かなければならぬ、兵隊も置かなければならぬということになりましたが、初めは屯田兵と申しまして、なるほど名前だけは、兵という字がつきますけれども、これは軍国主義のものではないのであります。農家であります。この特別な組織によつて開拓をやつたのでありまして、北海道の農村に行きますと、今日におきましても、かぎをかけておりません。屯田兵というものは、かぎをかけぬで寝ておつた。こういう文化が一体世界のどこにあるかということです。これは宗教とか学問とかいうことによつて、文化的開発をねらつたからであります。またこれを軍事的に見ましても、旭川に師団を置いたということは、これは戰争の場合を考えますと、こんなものは何にもならぬ。こんなところに師団を置くということは、ばかの骨頂です。北海道の開発は何ら軍事的ではないのです。北海道を開発して、日本の国民が将来どうして文化的に行くかというところにねらいを置いたということを、まずもつて考えなければならぬ。また千島は、武力でもつてつたのではないのであります。これはお互いに納得して、條約によつて交換をいたしたのであります。日本の領土になりましてから、この千島というものは大切なものでありまして、もしわれわれが侵略主義であつたというのならば、その木なども、みな切つてしまうはずでありますが、千島だけは木を存在さしておりまして、一本の木といえども切つておりません。また一年に二億からのカン詰を、人類のために北海道は輸出しておる。それから海獸につきましても、御承知通り国際條約を結びましたが、いよいよ困つたのは、一匹の海獸が一年に十万のさけを食い荒してしまうのでありますから、これは世界人類の生存上、はなはだおもしろくないというので、そのときに海獸をとつただけであつて、海獸をとつて、北海道が利益を得ようという考えはなかつたのであります。そうでありますから、交換をいたしましたときの通りに、このさけがふえて行つておるのであります。またもう一つ申し上げてよろしいのは、私も北千島を視察いたしましたが、海岸ではさけをとつておる。そこにくまが出て来て、とつたさけを食つておるのでありますが、それでもわれわれの仲間は、そのくま一匹撃たないのであります。この一例を見ましても、いかに平和的に文化国家を建設しようと考えておつたかということは、如実にわかります。  それでありますから、明治維新になりまして、クラークさんとかあるいはケプロンさんがアメリカから来まして、教育方針を定められましたが、われわれもこの教育の一端を受けておるわけであります。であるから、今日北海道をごらんくださるというと、わかりますが、他の大きな島三つと北海道とでは、住んでおる人間の行動というものが違つておる。これはアメリカの教育方針に従つておるのであります。また御承知通りに、札幌がアメリカの計画されましたところの都市であり、今日占領地になりましても、北海道は世界中でまことに住みやすいから、札幌の附近に村をつくりたいということであり、アメリカの方々が来て、住居を構えておられる。また北海道には総合大学もできて、いろいろほかの大学もできましたが、われわれは最初の出発においてアメリカの指導を受けて、北海道農学校というものをつくりまして、そこから出たところの学才の人、佐藤昌介、あるいは新渡戸博士、あるいは松村何がし、こういう人はみなアメリカの学問によつて教育され、その子孫が今日おるというぐあいでありますから、今アメリカ軍が参りまして、北海道はまことに住みやすいところである、こう認められて、この法案が提出されたということは、何らかここに因縁があるような感じがいたします。  こういうわけでまことに文化国家の建設の上において、この法案をすみやかに上程してもらわなければならぬ。御承知通り、今日拓殖計画が切れてしまいまして、その切れました間に、国家は北海道に金を出させております。第二期拓殖計画が終るまでに、どれだけ国家から金をいただいたかといいますと、北海道はわずかに三、四千万円の金を頂戴しておるだけである。毎年使つておる金は、自まかないで、国民が汗水洗して得た税金でもつて、国家にこれを納めるかわりに、北海道の開拓をせい、こういうことなんです。何も多くの金をもらつたことはない。もしそのときに国費が多ければ、北海道民はその金を国に返さなければならぬ。こういうことでおつたわけです。それで戰争になりますと、中止しまして、われわれはそれを国に税金として納めておつた。こういうような特殊性がある。それが、さつき申しましたように、敗戰後も国家にこれを納めるようになりまして、一例をあげてみますれば、せつかく野幌に木材研究所がありましたが、それをぶちこわしてしまいまして、そうしてそれを鹿児島に持つて行つた。今度は工業試験場、農業試験場、水産試験場をほかに移そうという説がある。こういうことになりますと、非常に大きな損失が現われて参るのでありまして、一例を申し上げますならば、馬のことにつきましてもいろいろございます。原産種を置こうと思つたがその原産種が追われてしまつて、今はどこにも入れるところがないというような哀れな、状況になつておるのであります。そこでこの法案を急いでつくつていただきたい、こういうのでようやく当局もこれを認められまして、これをつくつていただくことになつて今日上程され、ここに同僚各位が非常に御心配をくださつて通過をはかつておられますことは、まことに国家のために慶賀にたえないのであります。それから考えましたときに、国の総合開発としての大きな計画、これはぜひやつていただきたい。これは総合開発の一環であると私どもはかように考えますので、東北を開発し、あるいは長崎県の開発があり、あるいは鹿児島県の開発があり、幾多の開発があろうかと考えるのでありますが、これはぜひ国費をもつて開発をしてもらうと同時に、その一部分であるということを考えまして、私どもはこの国土総合開発の法案が一日も早く出ることを望んでおるような次第であります。  そこでもう一つ、くどくどしいようでありますがお聞きを願つておきたいことは、北海道は米を三百万石とつております。世界のうちで北海道のように緯度の高いああいう日照量の不足なところに米がとれることは、日本人の力である。いかなる国に行つてもあれだけの米はとつておらない。こういう特殊性を持つておる。それはどうするかというと、水温上昇です、水を暖めて水田に配る、こういう研究、いかように、電気を使つたらいかように米がとれるかという考え方、あるいは漁業の方におきましては、にしんのようなものは回遊期がありまして、なかなか容易ではありませんか、北海道人は決して自分だけ——日本のみを考えておりません。このにしんを人工で孵化をいたしまして、これがソ連に行つて子供を持つてもよろしいし、とられてもよろしい。とにかく世界ににしんがふえればふえるだけ日本も幸いであるというまつたく文化的な考え方をいたしておる道民であります。こういう施設を、とくとながめていただかなければならない、そこで私どもは、これが一刻も早く実施に移されることを非常に希望しておるのでありますか、東北と私どもとはまことに密接な関係がありまして、何も今のように時間をかけて函館から青森に着く必要はない。函館から大間であろうが小畑であろうが、そこに上りますとわずか二時間で航海ができる。ところが青森県にわれわれが施設したいといつても、北海道の側で青森に施設するわけに行かない。こういう計画ができると、ここに三時間、四時間という時間の短縮ができるのであります。もし東北線が複線をこしらえなければならないということになつたならば、何も今日から後に石炭をたくところの複線をつくるよりも、電気をかけて電車で通うようにすれば、どれだけ金が安く、どれだけ交通が便利になるか、そういうことをわれわれは考えておる。北海道は石炭がたくさんあるから、こんなところは電気をこしらえて——今日は五十一万キロワットできておるようでありますが、われわれの目算するところによりますと、三百万キロワットの電気ができるのであります。もし津軽海峡に鉄道がかかることになつたならば、この電気はみな東北に来る。石炭もそうであります。石炭をたいて暖をとるようなことに遅れた話でありますから、石炭を液化してそれから原料をとつて工業化しさえすれば非常に大きな増産ができる。それから石油を掘ることも民間にまかせてはとうていできないのであります。いろいろの問題がございます。また泥炭地十万町歩、これを今軌道客土をやつておりますが、これはとても北海道地方の力ではできません。こういう開発法ができまして軌道客土——レールをしいて汽車で土を運んで行く、こういう状態でありますし、また牛にいたしましたところで、これはアメリカにならいまして宮脇博士がバターをつくつて、このバターが御承知通り北海道特有のものであるとまで言われておるような次第でありまして、牛乳からは家具をつくりあるいはボタンをつくり人造宝石までつくつております。これらを輸出して行きたいものである。こういうことをながめてみますと、さらに水銀が出る、クロームが出る、白金が出る、あるいは金が出るという問題もございますが、これは国の大きな力でなければ開発ができないといろいろ心配をいたしておつたのが、幸いにして今日百年目に遂に国会において堂々法律化したということは、北海道人として満腔の喜びであると同時に、また国としても非常な大きな利益である。そして総合開発と一緒にこれを一貫して運営していだだいて、一日も早くこの法律案によつて北海道の開発のでき得ることを希望しておるのであります。私は原稿を持ちませんから、言葉の上でいろいろ重つた点もありますし、また粗雑の点もあつたであろうと思いますが、熱意のあまり申し上げたのでありまして、これをもつて私の賛成討論といたしたい。かように考える次第でありますが、何とぞ私の意のあるところをおくみとり願いたいと考えます。
  40. 鈴木明良

    鈴木委員長 次に松岡駒吉君。
  41. 松岡駒吉

    ○松岡委員 簡單に私の主張を申し上げたいと思います。  本法案に対しましては大体私どもは賛成なのでありますが、ただはなはだ遺憾ながら第十條について、昨日来同僚議員鈴木君から質問いたしました際にも、すでに討論に類するような議論もあつたのでありますが、ただいままた共産党の木村委員からも指摘されました通り、私どもは立法府と行政との混淆を避けたい。その権限を峻別したい。これはわけを申し上げなくとも、何がゆえにそれを主張するかということはおわかりのことと思いますので、省略いたします。なお北海道知事の問題につきましても、道民の総意によつて公選された知事が、ときに国家の行政上のことを委任され委託されてやる仕事もあるであろうが、この種の委員会に加わるということははたして適当であるかどうか。いわんや北海道の道会の議長というものにつきましても、これは衆参両院の議員と両様にこの点は相当重要に考えるべきではないか、こう思うのであります。少くとも衆議院並びに参議院の議員の中から、その院が指名した者五名と三名ということになつておりますが、これはむしろ衆議院議員のうちからあるいは参議院議員のうちからというようなことではなくて、衆議院議員にあらざる者から、あるいは参議院議員にあらざる者から、それぞれの院が指名した者もしくは推薦した者ということになるならば、私どもとしては北海道開発の急を要することを十分認めますから、喜んで賛意を表するものでありますが、この点が修正されない限り、はなはだ遺憾ながらこれは反対せざるを得ないのであります。はなはだ簡單でありますが、以上を申し上げまして私の討論を終りといたします。
  42. 鈴木明良

    鈴木委員長 次に木村榮君。
  43. 木村榮

    ○木村(榮)委員 きわめて簡單に申し上げたいと思います。と申しますのは、この法案は北海道開発法という名前を掲げていますが、決して北海道開発法ではなくて、ただこれは開発庁の設置法案にすぎないと私は思うのであります。ところが開発庁設置法にすぎないものを北海道開発庁という名前で第二條によつてすべてを決定してしまつている。すなわち法律または法律に基く命令、政令というもので大体簡單に片づけてしまつておる、ここに私は根本的なこの法案の持つねらいがあると思うのであります。と申しますのは、北海道の特殊性ということを理由にいたしまして、実は第二條によつてほとんど命令、政令といつたふうなものでこの範囲を極度にきめまして、そこヘ大きな資本家、あるいはまたこれとつながる外国資本なんかがうまく入つて行くような間隙を與えている、こういつた点が、私の反対の第一点であります。  第二点といたしましては、私が昨日以来質問いたしました北海道開発庁そのものの機構の問題であります。この庁そのものの機構は、わずかな條文でまとめてございますけれども、ただ官庁組織だけであつて、特殊的なことをやるような機構にはなつていない。審議会の問題にいたしましても至つて不明確で、しかもこれはあるようなないような、ただつけておくといつたようなだけの規定にしかなつていない。しかもその審議会の能力、活動範囲にいたしましても、まことに実際上としては大した動きはないようなものだ、こう見た方が正しいと思います。  次に問題になるのは、ただ法律をこういうふうにこしらえたかち、北海道の特殊的な状態が開発できるのだといつたふうなものではなくて、やはりこれは国の全般的な総合的な開発状況を明らかにいたしまして、その上で特殊性をそこへ出して、特に北海道開発に対してはこういつたことを問題にするのだということを具体的に出して、その上それに対して、たとえば国会内に北海道開発のための特別委員会あるいはまた小委員会といつたようなものをこしらえて、その検討の上で計画を立て、そして予算案を組んでやつて行くような機構にしないと、こういつた機構では巧みにボスに支配される危險性が私は非常にあると思います。  最後に申し上げたい点は、御承知のように北海道開発にあたつて今まで相当苦い経験を持つております。明治十四年には、有名な黒田清隆が、一千五百万円の政府がやつたいろいろな事業を、三十万円でかれの輩下の関西の貿易業者に拂い下げようとしたといつたふうな事件が起つて、時の政界の大題題となり、宮廷派と称したものとの間に大きな問題が起つたというような問題がある。このときにあたつて、さつき小川原さんが言われました言葉の中に、私は非常に重大な問題を含んでおると思う。と申しますのは、アメリカの人たちが住みよいようにするためにも開発が急務であるというような意味合いだつたと思いますが、私はそういつたような意味合いではなくて、ほんとうに北海道の原住民の、また日本全国民の利益になるように開発するのがほんとうである。アメリカの人たちが住みよいように開発するのだといつたようなことは私は目的ではないと思います。こういつたときにあたつて、この法案がそういつた観点からも非常に必要だと強調されます與党側の立場は、国民に大きな誤解を招う危險性があると思う。従つてそういうことを勘案いたしまして、この法案には反対せずるを得ない。特に因縁と申しましようか、黒田清隆の一件のあつたような歴史を考えますと、今日五井産業や、あるいはまた特高グループ事件などといつて、いろいろ問題が起つておりますときに、増田官房長官がこの法案説明され、しかもその過程において討論に出ましたように、アメリカ人が住みよいためにも開発をする必要があるというに至つては、私たちはこの開発そのもののねらいがどこにあるかということがはつきりして来るわけで、反対せざるを得ない、かように考えるわけであります。
  44. 小川原政信

    ○小川原委員 私の言葉にもし誤りがありましたならば、適当に御修正願いたいと思います。
  45. 鈴木明良

    鈴木委員長 討論はこれにて終局いたしました。  これより採決いたします。本案に賛成の方の御起立を願います。
  46. 鈴木明良

    鈴木委員長 起立多数、よつて本案は原案の通り可決いたしました。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  47. 鈴木明良

    鈴木委員長 御異議なければさようとりはからいます。     —————————————
  48. 鈴木明良

    鈴木委員長 社会保險審議会社会保險医療協議会社会保險審査官及び社会保險審査会設置に関する法律案を議題といたします。御質疑ありませんか。
  49. 木村榮

    ○木村(榮)委員 この法案は今まであつたのを簡單に一まとめにしたと解釈していいのですか。
  50. 安田巖

    ○安田政府委員 そういうことでございます。
  51. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そうなつて来ますと今までよりはよくなるから、予算上の関係なんかも大体今まで使つていたのよりも今度はふえますか。
  52. 安田巖

    ○安田政府委員 予算は統合いたしますからそれだけ減ります。
  53. 木村榮

    ○木村(榮)委員 予算は減るが、しかし仕事の内容的な面において統合されますからよくなるのではないですか。
  54. 安田巖

    ○安田政府委員 従来ありましたものを統合いたしますから、予算の面においては減りますけれども、仕事の面においては統合等によりまして利益があるわけでございます。
  55. 鈴木明良

    鈴木委員長 他に御質疑はありませんか——御質疑がなければ次に移りたいと思います。ちよつと速記をとめてください。
  56. 鈴木明良

    鈴木委員長 それでは速記を始めてください。午前に引続いて通商産業省関係の質疑がありましたらどうぞ……
  57. 木村榮

    ○木村(榮)委員 出先機関なんか大分整理されると思うのですが、今のところでは行政整理関係で公務員が大体どのくらい減らされますか。それは項目別でなく概算でいいです。
  58. 永山時雄

    永山政府委員 これは午前中にも御質問がございまして、その際にお答えした問題でございますが、現在の通産省の定員は二万一千二百六十名でございますが、それが今度の予算におきましては、二万六百九十名ということになつております。ただこの中身は物資調整官あたりは数が非常に減少されておりまして、これは大体事務量、特に物資割当についての発券枚数というようなものを考慮いたしまして減少をいたしておりますが、たとえば物資調整の関係で、現在の定員が六千三百人というのを、二千七百人程度に削減をするということに考えております。それから同時に通商協定その他の関係で、貿易関係において若干ふえるとか、あるいは中小企業関係の指導行政強化するとか、あるいは工業技術行政を拡充するとかいうような面で若干ふえる面がありまして、結局差引いたしますと、二十四年度予算に対しまして約五百六十名ほどの減員になるということでございます。なお先ほど申し上げました従来貿易公団で扱つておりました援助物資関係の輸入の業務ですが、これは全然新しい業務でありまして、従来貿易公団で約千名くらいの陣容でやつておりましたのを、新しく通産省に移管しまして、約八百名くらいでやつて行くということになつております。
  59. 鈴木明良

    鈴木委員長 本日はこの程度で散会いたします。明日は午前十時半より開会いたします。     午後二時四十二分散会