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網島政府委員 お答えいたします。御説のように
放送というものが、
社会の
文化の
向上という面と非常に密接な
関係があるということは、御説の
通りでございますので、
公共的な
企業体と定められますところの
日本放送協会につきましては、その
放送番組の編集にあたりましては、第四十四條にもございますように「公衆の要望を満たすとともに
文化水準の
向上に寄與するように、最大の努力を拂わなければならない。」というふうにされておる次第であります。先ほど、
民間放送についてこういう
條文がないではないかという御
質問がございましたが、
民間放送といえ
どもやはりこの第
一條の
目的に掲げた、この
放送法の精神にのつと
つて運用されなければならないことは当然であります。ただこの
法案におきまして事こまかくあげませんでしたのは、
民間放送につきましてはあくまでも自由闊達に、のびのびと
事業の
運営をやるべきである。その方が
わが国における今後の
民間放送の
発達のために非常に必要であり、またそれが適当であるということからいたしまして、
民間放送の
発達を考えまして、わざわざ
條文において事こまかく書かなかつたのであります。しかしながら将来
民間放送ができましたあかつきにおきましては、現在の
新聞事業においてプレス・
コードというものがございまして、おのおの自律的に
公共の
福祉に沿うべく努力されていると同じように、
民間放送におきましても
ラジオ・
コードと申しますか、そういうような自律的な要件に従いまして、この
放送法の
目的を達成するように努力されることを期待しておりまするし、またそういうようになるだろうというふうに考える次第でございます。
次に先ほど御
質問にありました
條文に
従つて、お答え申し上げます。第四條の
真実でない
事項の
放送をした場合、この判断はだれがするのかというお尋ねでございまするが、これは
放送した者が判断するのでございます。この
法案にもございますように、報道その他は
真実でなければならないということがきめられております。従いまして
放送事業者は、あくまで
自分の
放送は
真実であるという
確信のもとに、いろいろ
放送が行われるわけでありますが、これに対しまして具体的な
反証をあげまして、それは間違いであると言
つて来た場合、これが客観的に間違いであるということがはつきりわかるような場合には、
放送事業者はこの
訂正放送をしなければならないのであります。その
反証が
一般に是認されるようなものでない場合は、
放送事業者は
自分の資料なり、
自分の集めた諸般の
事柄から判断して、これが
真実であるという
確信をかえるに至らない場合は、
訂正放送をしなくてもよろしいのであります。それから
請求を受けた日から二日以内というのは
むりではないかというお話でございますが、ただいま申し上げましたようにこの
訂正放送をする場合は、客観的に是認できるような資料をも
つて、これは間違
つておるということがわかつた場合でありまするから、そういう場合にはできるだけすみやかに
訂正放送をすべきものと考えるのであります。これは
事業者の方から考えますると、なるべく長く日にちをとりたいのでございまするが、
被害を受けました
一般国民の側から申しますると、一週間も十日もた
つてから訂正されたのでは効果がないのでありまして、そういう
意味合いから二日以内というふうに定めた次第でございます。
次に第
七條に関連いたしまして、
民間放送の置局の問題につきまして
大臣の
お話を援用されたのでございますが、もちろんどこそこに
民間放送を何局許す、あるいはどういう
申請者に許すということは、将来
電波監理委員会ができまして、その
監理委員会において愼重に考慮された上定められるわけでございまして、この点に関しまして今からなかなか言いにくいのでございまするが、
大臣のおつしやつたのもおそらく純
技術的に見てどうかということから、いろいろ
お話になつたと存ずるのでございます。私
どもも純
技術的に見ますると、現在御承知のように
わが国において
一般に使われておりますところの
受信機は、相当低級であります。従いまして
電波の
分離性が悪いのでありまして、残念ながら諸外国におけるようにたくさんの
放送局を
一つの
都市に置くわけに参りません。従いまして純
技術的な立場から考えましても、こういう大きな
都市には二つ、あるいはせいぜい非常に
條件のいい場合で三つということになるのでございまして、
場所によりましては
一つしか許し得ないところも起るかと存ずるのであります。そういう
意味合いにおいて
大臣が
お話されたものと、私
どもは考えておる次第でございます。
それから今後
NHKが
電力をふやして行く。そういう場合には
民間放送を圧迫して、
民間放送が置けなくなりはしないかという
お話でございます。もちろん一方において非常に大きな
電力のものができますると、小さな
電力の
放送が相当
被害を受けることは明らかでございます。しかしながら
NHKの大
電力の
計画は、
都市によ
つてもちろんきまりまするが、全体の
計画を達成するのには相当の期間がかかるのでございまして、それと同時に、私
どもも現在
民間に普及しておりますところの
受信機の性能を、できるだけ安い価格で簡單に
向上するという
方法の
奬励をしたいと考えております。この
受信機の
向上によりまして、混信という問題は解決されるチャンスが非常に多いのでありまして、もしもアメリカその他の国で
一般に使
つているような
受信機が普及されるということになりますれば、
一つの
都市に十数局の
放送局を置くことは不可能ではございません。
なお
民間放送の
電力の御
質問でございますが、大体
民間放送というものはできるだけ安い
経費をも
つて、効果的にこれを利用することが望ましいのであります。
従つて最も民衆の密集した
区域にこれを集中してやる。そうすれば
電力も少くて済むし、経済も少くて済むわけであります。しかしながら他の
放送との
関係その他もございまして、必ずしも五百ワットとか一キロ
程度のもので全部済むとは考えておりません。従いまして私
どもといたしましては、十キロ
程度のものまでは必要ではないかというふうに考えておる次第でございます。
次に御九條の二に関連いたしまして、
海外放送の問題でございまするが、私
どもといたしまして、
日本放送協会は、できるだけ自発的にこの
海外放送を行うことを望んでおりまするし、そういうふうに
協会に要求しております。しかしながら国として、どうしてもこういう方面にはこういう必要のために
国際放送が必要だというふうな場合、この
協会に
命令を出してもやらせる必要が起り得ることがあると考えます。従いまして
政府の
命令によ
つて海外放送を行わせる
條項も必要と考えたのでございまして、そのように
政府が
命令をも
つて事をさせる場合におきまして、
政府からこれに必要ないろいろな
設備を貸すとか、あるいは
交付金をやるとかいうことは、当然必要なことと存じておる次第でございます。それから先ほど
協会の
收支計算書を見ると
黒字にな
つておるようであるが、それでも
政府の
補助が必要であるかというような御
質問がございました。これは一見
黒字のように見えますが、これは
收支計算書のつくり方によるのでありまして、実際はこの
黒字に相当する部分、その他は全部
設備の改善、あるいは
設備の増設その他に
使用されております。
従つて協会は、毎年借入金をしなければならないというような状況でございます。以上御
質問にお答えいたしました。