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1950-03-08 第7回国会 衆議院 電気通信委員会文部委員会連合審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月八日(水曜日)     午後一時四十一分開議  出席委員   電気通信委員会    委員長 辻  寛一君    理事 飯塚 定輔君 理事 高塩 三郎君   理事 中村 純一君 理事 橋本登美三郎君    理事 松本 善壽君 理事 江崎 一治君       淺香 忠雄君    降旗 徳弥君       受田 新吉君   文部委員会    委員長 長野 長廣君    理事 岡延右エ門君 理事 高木  章君    理事 圓谷 光衞君 理事 水谷  昇君    理事 若林 義孝君 理事 松本 七郎君    理事 今野 武雄君 理事 小林 信一君       千賀 康治君  出席国務大臣         電気通信大臣  小澤佐重喜君  出席政府委員         電波監理長官  網島  毅君         電気通信事務官         (電波庁法規経         済部長)    野村 義男君  委員外出席者         電気通信委員会         專門員     吉田 弘苗君     ————————————— 本日の会議に付した事件  放送法案内閣提出第六号)     —————————————
  2. 辻寛一

    ○辻委員長 これより前会に引続き、電気通信委員会文部委員会連合審査会を開会いたします。  ただちに放送法案を議題として質疑を許します。高木章君。
  3. 高木章

    高木(章)委員 前回の委員会におきまして質問を留保してあつたのでありますが、放送法案内容には社会教育音楽芸術等を含んでおりまして、われわれ文部委員として重大なる関心を持つている法案であります。しかいたしまして、われわれの最も関心を持つておりますところのこの社会教育音楽芸術等放送が、真に民主的にその健全なる発達を遂げ得るものであるような法案でありますれば、何ら問題はないのであります。第一條の理想、目的に照しまして、以下の條文がはなはだしく齟齬しておるように思い得る点が多々あるのであります。  まず放送法案一條を見ますに、「放送公共福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。」あるいは「放送の不偏不党」「放送による表現の自由を確保すること。」あるいは「放送が健全な民主主義発達に資するようにすること。」とあるのであります。民間放送につきましては、わずか二箇條しか規定してないのでありまして、本法案放送法案にあらずして、放送協会保護法案のような感じを深く抱かしめるものであります。以下留保しておきました質疑を試みますれば、第一の目的とまつたく相一致するところの御答弁を希望するのであります。  まず第一にお伺いいたしたい点は、第四條であります。第四條のうちに「真実でない事項放送をした場合において」という項があるのであります。この條項のうちにおきまして、真実であるか真実でないかは、主観の相違で、なかなか断定ができ得ない場合も多々あるのであります。これを断定する場合に、根拠をだれが判断し、だれが決定権を持つかということについて、具体的にないのであります。この点を具体的に御説明願い、なおかつこの條項の中に、請求を受けた日から二日以内に、取消しなり何なりするような條項があるのでありますが、はたして申出があつてから二日以内に、完全なる真偽のほどを御調査が完了できて、そうしてこの條文にあるようなことが、絶対的に実行でき得るものかどうか。この点を第一に御質問申し上げます。  第二点といたしましては、第七條であります。「日本放送協会は、公共福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的とする。」とあるのであります。この條項に関しましては、一応もつともと思うわけであります。しかしながら二月二十七日付の毎日新聞紙上で、小澤電通大臣が、東京に三社、大阪に二社、名古屋に一社ぐらい許可するであろうと言われておるのでありますが、東京の例をあげますれば、協会の第一放送は現在五十キロでございます。これをまた拡充計画によりますれば、将来は百キロに増加する。また第二放送は現在十キロでありますが、これまた拡充計画によりますれば、五十キロになると聞いておるのであります。これはあまねく日本全国において受信できるように放送するということに関しては、たいへんけつこうだと思うのであります。しかし民間放送において、たとえば一キロワット程度の場合には、NHKに比較して、いわゆる混信いたしまして、聽取が不可能になるのではないかという懸念があるのであります。この場合民間放送に対して、どの程度キロ数を御許可願えるものか、大体の方針を御説明願いたいと思うのであります。  第三点は、九條の二号であります。「国際放送を行うため、放送局を設置し、維持し、及び運用し、又は政府施設使用すること。」とあるのであります。これと関連いたしまして、第三十三條を見ますと、「電波監理委員会は、放送区域放送事項その他必要な事項を指定して、協会国際放送を行うべきことを命ずることができる。」というのがあるのであります。第三十五條は「前二條規定により協会の行う業務に要する費用は、国の負担とする。」とあるのであります。これらは国際放送に関する條項でありますが、協会は全国的及び地方的に大きな放送網を持ち、昭和二十三年度の実績によりますと、一億六千万円の黒字と聞いておるのであります。かくして十分余裕のある経営をいたしておるのでありますが、これに政府施設使用せしめまして、政府にその費用を負担せしめて、国際放送を行うということは、いたずらに協会の組織を厖大にして、かつこれを保護するという以外に考え得ないのでありますが、この点、第一條目的民間放送との関連に照して、御説明願いたいと思うのであります。
  4. 網島毅

    網島政府委員 お答えいたします。御説のように放送というものが、社会文化向上という面と非常に密接な関係があるということは、御説の通りでございますので、公共的な企業体と定められますところの日本放送協会につきましては、その放送番組の編集にあたりましては、第四十四條にもございますように「公衆の要望を満たすとともに文化水準向上に寄與するように、最大の努力を拂わなければならない。」というふうにされておる次第であります。先ほど、民間放送についてこういう條文がないではないかという御質問がございましたが、民間放送といえどもやはりこの第一條目的に掲げた、この放送法の精神にのつとつて運用されなければならないことは当然であります。ただこの法案におきまして事こまかくあげませんでしたのは、民間放送につきましてはあくまでも自由闊達に、のびのびと事業運営をやるべきである。その方がわが国における今後の民間放送発達のために非常に必要であり、またそれが適当であるということからいたしまして、民間放送発達を考えまして、わざわざ條文において事こまかく書かなかつたのであります。しかしながら将来民間放送ができましたあかつきにおきましては、現在の新聞事業においてプレス・コードというものがございまして、おのおの自律的に公共福祉に沿うべく努力されていると同じように、民間放送におきましてもラジオコードと申しますか、そういうような自律的な要件に従いまして、この放送法目的を達成するように努力されることを期待しておりまするし、またそういうようになるだろうというふうに考える次第でございます。  次に先ほど御質問にありました條文従つて、お答え申し上げます。第四條の真実でない事項放送をした場合、この判断はだれがするのかというお尋ねでございまするが、これは放送した者が判断するのでございます。この法案にもございますように、報道その他は真実でなければならないということがきめられております。従いまして放送事業者は、あくまで自分放送真実であるという確信のもとに、いろいろ放送が行われるわけでありますが、これに対しまして具体的な反証をあげまして、それは間違いであると言つて来た場合、これが客観的に間違いであるということがはつきりわかるような場合には、放送事業者はこの訂正放送をしなければならないのであります。その反証一般に是認されるようなものでない場合は、放送事業者自分の資料なり、自分の集めた諸般の事柄から判断して、これが真実であるという確信をかえるに至らない場合は、訂正放送をしなくてもよろしいのであります。それから請求を受けた日から二日以内というのはむりではないかというお話でございますが、ただいま申し上げましたようにこの訂正放送をする場合は、客観的に是認できるような資料をもつて、これは間違つておるということがわかつた場合でありまするから、そういう場合にはできるだけすみやかに訂正放送をすべきものと考えるのであります。これは事業者の方から考えますると、なるべく長く日にちをとりたいのでございまするが、被害を受けました一般国民の側から申しますると、一週間も十日もたつてから訂正されたのでは効果がないのでありまして、そういう意味合いから二日以内というふうに定めた次第でございます。  次に第七條に関連いたしまして、民間放送の置局の問題につきまして大臣お話を援用されたのでございますが、もちろんどこそこに民間放送を何局許す、あるいはどういう申請者に許すということは、将来電波監理委員会ができまして、その監理委員会において愼重に考慮された上定められるわけでございまして、この点に関しまして今からなかなか言いにくいのでございまするが、大臣のおつしやつたのもおそらく純技術的に見てどうかということから、いろいろお話になつたと存ずるのでございます。私どもも純技術的に見ますると、現在御承知のようにわが国において一般に使われておりますところの受信機は、相当低級であります。従いまして電波分離性が悪いのでありまして、残念ながら諸外国におけるようにたくさんの放送局一つ都市に置くわけに参りません。従いまして純技術的な立場から考えましても、こういう大きな都市には二つ、あるいはせいぜい非常に條件のいい場合で三つということになるのでございまして、場所によりましては一つしか許し得ないところも起るかと存ずるのであります。そういう意味合いにおいて大臣お話されたものと、私どもは考えておる次第でございます。  それから今後NHK電力をふやして行く。そういう場合には民間放送を圧迫して、民間放送が置けなくなりはしないかというお話でございます。もちろん一方において非常に大きな電力のものができますると、小さな電力放送が相当被害を受けることは明らかでございます。しかしながらNHKの大電力計画は、都市によつてもちろんきまりまするが、全体の計画を達成するのには相当の期間がかかるのでございまして、それと同時に、私どもも現在民間に普及しておりますところの受信機の性能を、できるだけ安い価格で簡單に向上するという方法奬励をしたいと考えております。この受信機向上によりまして、混信という問題は解決されるチャンスが非常に多いのでありまして、もしもアメリカその他の国で一般に使つているような受信機が普及されるということになりますれば、一つ都市に十数局の放送局を置くことは不可能ではございません。  なお民間放送電力の御質問でございますが、大体民間放送というものはできるだけ安い経費をもつて、効果的にこれを利用することが望ましいのであります。従つて最も民衆の密集した区域にこれを集中してやる。そうすれば電力も少くて済むし、経済も少くて済むわけであります。しかしながら他の放送との関係その他もございまして、必ずしも五百ワットとか一キロ程度のもので全部済むとは考えておりません。従いまして私どもといたしましては、十キロ程度のものまでは必要ではないかというふうに考えておる次第でございます。  次に御九條の二に関連いたしまして、海外放送の問題でございまするが、私どもといたしまして、日本放送協会は、できるだけ自発的にこの海外放送を行うことを望んでおりまするし、そういうふうに協会に要求しております。しかしながら国として、どうしてもこういう方面にはこういう必要のために国際放送が必要だというふうな場合、この協会命令を出してもやらせる必要が起り得ることがあると考えます。従いまして政府命令によつて海外放送を行わせる條項も必要と考えたのでございまして、そのように政府命令をもつて事をさせる場合におきまして、政府からこれに必要ないろいろな設備を貸すとか、あるいは交付金をやるとかいうことは、当然必要なことと存じておる次第でございます。それから先ほど協会收支計算書を見ると黒字になつておるようであるが、それでも政府補助が必要であるかというような御質問がございました。これは一見黒字のように見えますが、これは收支計算書のつくり方によるのでありまして、実際はこの黒字に相当する部分、その他は全部設備の改善、あるいは設備の増設その他に使用されております。従つて協会は、毎年借入金をしなければならないというような状況でございます。以上御質問にお答えいたしました。
  5. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 高木君から私の留守中に、私がどこかで何かお話したことについて御質問があつたそうでありますが、よく一体民間放送が、いよいよ許可になるとすればどういう形でなるのか、あるいは何箇所くらい許可になるのかという御質問があります。これに対して私は、現在法案が決定しておらぬのに、明確などこういうというようなお話はできぬし、かりに法案が決定した場合においても、これは電気通信大臣権限範囲外になるのであるから、まつたく想像もつかないというふうに答えますと、大体現在自分でこの電波事業監督官庁になつておるのだから、多少の想像はつくだろうというように言われます。そうなりますと私の現在の想像では二、三箇所が適当かと考えておるが、しかしこれは私が決定するのではないから、いずれ法律案が決定されまして委員会ができますれば、委員会は何人の拘束も受けないで、自由な気持で決定することと思います。
  6. 高木章

    高木(章)委員 次にお伺いいたしたいことは、九條の二項の四号であります。この項は、「文芸音楽美術及び学術の著作権を取得し、使用し、又はその使用を承認すること。」とあるのであります。この場合ただいまの長官の御説明によりまして、黒字でないかのようなふうに伺つたのでありますが、いずれにしても民間放送よりは国からの補助もあり、その他今までの基礎もあり、そうして強固なる協会であります。この協会が、この條文によりまして、今後できまするところの優秀なる文芸音楽美術等著作権を取得して、そうしてこれを使用し、これが使用を承認するとあるのでありますが、この場合民間放送には無料で使用を承認するという意味でありましようか。それとも若干の費用をとるという意味でありましようか。これもお伺い申し上げたいのであります。  次に同條の五号であります。「特許権及び実用新案権並びにこれらの実施権を取得すること。」とあるのであります。この條項に関連いたしまして、九條の一項の四号には、研究を命ずる事項があるのであります。しこうして三十四條の二項を拝見いたしますると、その研究の結果を開放するがごとき條文があるのであります。三十四條の二項においては、前項の規定により、行われましたる研究の結果は、放送事業発達その他公共利益になるように利用方法規定してあるのであります。こうなりますると、命令があり、開放事項があるのであります。しこうして九條の二項の五号のように、実用新案権をとつたり、実施権を取得するという規定がありますると、どちらを信用していいかちよつとわからないのでありまするが、この條項がある以上は、もちろん特許権その他実用新案権に関する問題は、協会に相当な代価を支拂うか、もしくは何らかの條件によらねば、民間放送方々は使い得ないと思うのであります。この点についてひとつ第一條目的に照して御答弁を願いたいと思うのであります。  次に同條同項の七号に、「委託により放送受信機器を修理すること。」とあるのであります。これに関連いたしまして五項、「七号の放送受信用機器修理業務は、電波監理委員会が定期的に行う調査により必要と認めて指定した場所に限り行うことができる。」ということがうたつてあるのでありまするが、この條項もこのままで拝見いたしますると、現在の代金を拂つて営業なさつておられるところのメーカーが、非常に脅威を感ずると思うのであります。幸いにして委員会方々が、業者のおらない山間僻地行つて山間僻地を指定されて、この七号を適用するような命令が出されればよろしいのでありまするが、東京の銀座やら上野やらで、この業務を開始するような命令がもし下され得るとしたならば、業者が非常に脅威を感ずると思うのであります。この点に関しまして御質問いたします。
  7. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 質問の一点、二点に関しましては、政府委員からお答えいたしますが、第三の「委託により放送受信用機器を修理すること。」この問題はまつたく高木君の御指摘の通り受信者利益をはかりまして、たとえば山間僻地にはラジオ屋もない。こういう場合に、いわゆる故障の起つたラジオ聽取ができないというような場合には、そういう地域を主眼としまして、放送協会みずからがやるという趣旨でありまして、まつたく一般業者を排除する趣旨でないことを御了承願います。
  8. 網島毅

    網島政府委員 それではほかの問題について御答弁いたします。まず第九條の二項の四号の問題でございまするが、これは協会がプログラムを放送する上におきまして、どうしてもこの著作権を取得しなければならないものがございます。そういう場合に放送上必要な範囲のものを取得するということでございまして、広範囲にこれを全部取得して、民間放送を圧迫するということは毛頭考えておりません。それからなおこの使用を承認する場合に、金をとるかどうかという問題でございまするが、これは絶対にとらないということは申し上げにくいのでございまするが、この法案に盛られました新しい日本放送協会公益性にかんがみまして、その点は協会経営委員会その他で、その常識によつてできるだけ民間放送を育成するように、いろいろ考えられることと存ずるのであります。  それから第二項の五号の特許権及び実用新案権の取得の問題でございまするが、これも協会がその放送に必要な施設をする上におきまして、どうしても特許権あるいは実用新案権、その実施権等を取得しなければならないものがございます。従いましてそのごく必要な範囲のものだけを取得するという意味合いでございます。  それから第三十四條の研究命令條項でございますが、この放送に関しましては、今後テレビジョンとか、その他いろいろの新しい技術あるいは放送形式発達があると思うのでありますが、こういうものにつきまして、民間放送がその経費をもつて研究をやるということは、相当困難の場合が多々あると存じます。しかもこういう新しい技術は、一般民間放送あるいは日本放送協会そのものにも必要ものでございますが、特に民間放送発達その他を考えました場合に、現在の日本放送協会——これは将来も引続き持つのでありますが、その研究機関は相当内容の充実したものでございます。従つてそういう研究機関研究をしてもらうということは、非常に効果的でございますので、政府はそれに研究命令を出しまして、その成果を広く一般公共利益のために利用させるようにするという趣旨でございまして、これは先ほど御意見がございましたが、民間放送に対する補助の間接的な役割も務めるかと存ずる次第でございます。
  9. 高木章

    高木(章)委員 次に三十二條についてお伺い申し上げたいのであります。「協会標準放送(五百三十五キロサイクルから千六百五キロサイクルまでの周波数使用する放送をいう。)」とあるのでありますが、協会はこの間の周波数を独占するような感じを多分に受けるのであります。民間放送にはどの周波数を與えるのかわからないのでありまするが、もしこの標準放送周波数範囲内で與えてくださるとするならば、「協会標準放送」を「協会及びその他の標準放送」と訂正願えれば、非常にありがたい仕合せと思うのであります。これも民間にいかなる周波数を御許可になるか、全然未知の問題でございまして、その点お伺いいたしたいと思います。
  10. 網島毅

    網島政府委員 この三十二條意味は、標準放送、すなわち五百三十五キロサイクルから千六百五キロサイクルの間の放送を受けることのできる受信機設備したものが、協会聽取料を拂わなければならないところの事柄法律ではつきりさせたのでございまして、これはこの範囲周波数放送は、日本放送協会が全部やるのだということにはならないのであります。日本放送協会は過去二十五年の歴史を持つておりまして現在約百局に近い放送局がございますから、相当多くの波長を使つておることは事実でございます。しかし現在の放送協会波長のほかに、民間放送のための波長がないかといいますと、そういうことではございません。私ども考えまして、まだ相当の余裕があると考えております。ことにおそらく新しい電波監理委員会になりました場合には、現在のNHK波長そのもののいろいろな使用とその入れかえ、その他合理的な配置がえということも考えられるのでありまして、それらをやることによつて民間放送のための波長は出て参るのであります。  それからこの標準放送その他云々という字を入れたらどうかというお話でございますが、これはその他云々を入れますと、かえつて協会聽取料を強制的に受取るところの範囲が広くなります。将来超短波放送、あるいは極超短波放送とかいうものができた場合には、そういう放送受信だけができるものからは、協会は強制的に料金はとれないのだということが必要でございましてそのためにはこの標準放送に限定することが適当かと考えておる次第でございます。
  11. 高木章

    高木(章)委員 最後に第四十九條についてお伺いをいたします。「協会の営む放送事業は、土地收用法(明治三十三年法律第二十九号)第二條土地を收用し、又は使用することのできる事業とし、同法を適用する。」とあるのでありますが、この法律は、もはや大半建設を終つておりますところの放送協会に同法を適用するよりも、むしろ今度新しく出発せられます民間放送にこそ御適用願えれば、非常に仕合せと思うのであります。この点についてお伺い申し上げます。
  12. 網島毅

    網島政府委員 その点はお説の通りでございまして、協会自体としては、将来はあまりこの必要がないことも考えられるのでございまするが、絶対にないかといいますれば、必ずしもそうとは言い切れぬと思うのであります。なおこの新しくできる協会は、国有鉄道あるいは專売公社と同じように、非常に公共性の強いものでございますので、こういう特権は当然あつていいのではないかと考えるのであります。ところでこの民間放送がこういう点につきまして、一層必要性があるのではないかというお話でございますが、これは将来民間放送放送局を設置する場合に、その設置場所が相当ある特定地域に限定されるかもしれないということを考えますれば、御説のようなことも起り得るわけでございまして、この点に関しましては衆議院の電通委員会の方でも、修正案その他をお持ちのようでございます。
  13. 今野武雄

    今野委員 この法案の中で一番中心になる問題として、日本放送協会の問題があるのでありますが、これが今までと同じように非常に独占的な傾向を持つておるということは、言論の自由というような建前から、新聞協会などでもいろいろと論議が出ております。私どもも非常に大きな関心を持つておるのであります。しかしそういうようなことのために、非常に公共性ということをうたわれておるわけでありますが、しかしこの点も今までのNHK運営において、その公共性がいかに取扱われて来たかという実績と考え合せてみますと、やはりまだ何か頼りない感じをずいぶん持つわけであります。ことに財産とか、役職員、すべてが受継がれるような形になるようでありますから、従つて今までのNHK公共性ということがいかに保たれて来たかという点について、まず質問したいと思うのであります。NHKは戰いが終るまでは、やはり逓信大臣の監督下にあり、会長の選任その他についても逓信大臣の認可がいるということになつていたわけでありますが、その後そういうものが解かれて、認可を要しないようになつたのであります。しかしながらそれが公共性を持つということから、その空隙を埋めるために、一九四六年一月二十二日に放送委員会といつたようなものができたはずであります。これはCIEのダイク代将の覚書によつてできたものでありまして、全国民の輿論代表機関として、日本における放送事業の民主化に貢献するという建前でできまして、そうしてもつと詳しくは、三つの任務がそれに対して與えられておるのであります。第一は、日本放送協会会長候補者を三名選出するということ、第二番目には、同協会の再組織案の作成をするということ、第三には、放送基本方針を決定するということであつたのであります。この三つの役割を持つ放送委員会なるものができたわけであります。これはダイク代将の覚書によつてできて、この委員としては十六名の文化人並びに技術者が選ばれておるわけであります。このものは同じ年の十二月の対日理事会で、ラジオの民主化という問題について質問があつたときに、当時のアメリカの代表の議長であつたアチソン氏から、この放送協会のことに言及されて、こういう協会によつて放送の民主化ということが行われておる、こういう答えがあつたことによつても、これがはつきりした存在であるということは明らかであります。しかるにこの協会がいまだに解散したという事実は少しもないわけなのであります。ところがこの前の公聽会における古垣氏の話では、これは解散したと言われる。この間も谷口君の質問に対して小澤さんは、やはりこれは解散したのだろうというようなお答えであつたのであります。しかしこれは私ども調査したところによりますと、いまだ解散しておらないのであります。しかもこれが会長選任について、現在の古垣会長が会長になるときは、実は初めはこの放送委員会でもつて規定従つて会長候補者を何人か出しておつたわけでありますが、それは全部いれられないで、そういうものに諮ることなしに、今度は協会の内部の総会だけでもつて——この総会そのものも、出席者がわずか百名ちよつと越えるだけでありまして、大部分、三千六百というような莫大な委任状によつて行われた総会でありますが、それによつて会長を決定しておる。今度の放送法案その他の再組織の問題についても、この委員会が何らこれに関知しないというような状態になつておるわけであります。こういうことは、何か今までのNHKそのものがまつたく私的なものになつてつて公共性が少しもなかつたというような感じを與えるわけでありまして、もしも今後もそういうようなものが続けられるとするならば、これは非常に不明朗な事態に立ち至るというふうに考えられますので、この放送委員会の問題について、もつとはつきりした回答をしていただきたいと考える次第でございます。
  14. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 お答えしますが、この問題について前回の委員会においても、一部お答えしたと存じております。すなわちこの委員会が過去において結成されてまた過去において消滅したということは、私ども了知いたしておりますが、今のお話のように現在存続しておるとは考えておりません。かりにこういう委員会が存続されましたとしても、これは別に政府機関でもございませんし、今回の立法はNHKの要望によつて法律化するのではなくして、国家がこういうことが最も必要だという見地から立法されておりますから、かりにそういう委員会が存続しておつたにしても、別に私どもはその委員会だけの考え方によつて、今後の放送事業運営をどうしようというまでは考えておりません。
  15. 今野武雄

    今野委員 この放送法案と全然関係がなければよろしいのでありますが、役職員、ことに会長の選任なども、従来のNHKの役職員から選ぶというような気がするのであります。そこで会長の選任その他に、今のような問題があるとすれば、やはり附則や何かの点において、相当考え直さなければならない点があるのではないか。こういうことからも実は問題になるわけであります。その点はいかがでしようか。
  16. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 会長の選任方法は、この法文に明記してございます。従つて会長の選任にあたつては、ただいま御指摘の委員会については、別に権能を認めておりません。従つて今会長を選任するにあたつて、その委員会がどうこうという問題は、少くともこの法律には別に関係がないものと認めます。
  17. 今野武雄

    今野委員 その点はそのくらいにしておきましよう。もう一つ次にお伺いしたいのでありますが、この放送協会の財産やその他が受継がれるわけでありますが、現在の放送協会の経理については、世上でもこれが薄謝協会であるというようなことがいわれておりまして、大分出演者側に不満がある。それに対して協会側としましては、これは公共的なものであるからがまんしなさい。こういうようなことになつておるわけでありますが、しかしいろいろと調べたところによりますと、一応そういうふうになつていながら、一方役職員の俸給その他についてはどうかといいますと、何でも会長さんは月收が三十万円以上もあるというような話であります。そうしてほかにも機密費が大分使われているというようなこともいわれておりますし、また部長級でも五万五千から六万程度の月收があり、しかも年に二回十万円から十五万円の賞與が與えられておる。こういうふうなことが大体確かめられて来ておるのです。そういたしますと、そのほかに役職員の住宅の問題についても、この間谷口君が言われました通り、非常に優遇が過ぎるような状態があるし、そのほかにまたこれも話に出たかもしれませんけれども、一昨年拂いました臨時南方手当というようなものも、軍人、軍属に対しては拂つてはならないというようなことが、GHQの指令で出ておるわけであります。それにもかかわらず、そういうことが行われておる。こういうような点を見ますと、非常に経理状態が不明朗になつている。紊乱しているのではないかと思われるわけであります。そこでこういうような問題に対して、これを受継ぐ際にどういうふうに受継ぐか。これはやはり嚴重な監査をする必要があるのではないかと考えられるわけでありますが、その点についてはどういうふうな手続でやろうと考えておられるか。ちよつと御説明願いたいと思います。
  18. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 お話のように、現在のNHKの経理関係について、いろいろ御指摘に近いようなうわさを聞くこともあります。しかし御指摘のことがはたして事実であるかどうかということは、今私からここではつきり申されませんが、要は引継ぎの場合におきましては、設立委員というものがこの法律の附則によつてできまして、この設立委員はあらかじめ経理状態、財産状態、一切の人事関係調査いたしまして、お話に近いような監査程度まで行つて、これでりつぱな引継ぎができると認めた上で、この委員会が新しくできる放送協会の法人に譲ることになつておりますので、大体お考えに近いような形で移行されるものではないか、こう考えております。
  19. 今野武雄

    今野委員 その点についてでありますが、実はこの協会内容を考えてみますと、大体会員が六千五百で、出資金は大体百六十万円くらい、しかるに現在公のバランス・シートでも六億といわれる財産があり、これは時価でいえば、その十倍くらいあるのじやないかとさえいわれております。これは全部聽取者の出した金によつてできておるわけであります。だからこれは全国民のものであると言つても過言でないようなものであります。そういうところにそういうような財政上の疑義があるというならば、これは当然経理を公開することが適当ではないかと考えられるのでありますが、その点はいかがお考えでしようか。
  20. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 今野君も御承知のように、現在のNHKは普通の社団法人であります。従つて一般行政官庁のことに対する監督権というものは、ごく微弱であります。内容の実態の調査というようなことは、報告等で知るだけでありまして、よく存じませんけれども、しかしながらお話のように百数十億円のいわゆる出資金で、現在の莫大な財産の価値を持つものでありますから、換言すればこの組織というものは、国民のものだと考えなければならぬと思うのであります。であるからこそ、これを公共企業体にいたしまして、いわゆる国民の設備というような見地で、現在の立法がすべてやられております。そういうような事情から、今後の経理にあたりましては、予算の編成をした場合においては、一応監理委員会の承認を経て、国会に報告なり承認を求める。一方監査面におきましては、会計検査院の制度で監査をして行く。また経営面においては、全国八地方から適当な学識経験者を集めて、これを経営に当らせるというように、どこまでも国民本位になつて経営が行われておるのでありますから、従つて今後も聽取料というものは、少くとも一つの税金と考えてもさしつかえないじやないかと思うのであります。そういうようなふうであればこそ、この法案を一日もすみやかに実施をいたしまして、そして国民の納得の行くような、また国民の要望するような公共企業体にして行くことを念願しておるような次第であります。
  21. 今野武雄

    今野委員 どうもいつも上手にはずされてしまうので、たいへん残念でありますが、次にこの新しくできる協会でありますが、これは今言つたように非常に公共性を持ち、従つてその経営委員なり役職員というものは、嚴選された、ほんとうに民主的な人たちでなければならないということは、これは私が言うまでもないと思うのであります。ところが現在世上でもつて、おそらく新しい会長になるだろうといわれておりまする古垣氏の場合などをとつて考えてみますると、たとえば終戰の直前、一九四五年八月七日でありますが、この日の朝日新聞の二面を見てくださるとよくわかりますが、あそこにははつきりと……
  22. 辻寛一

    ○辻委員長 まだだれが会長になるかということはきまつておりませんから、法案について直接関係のある点を質問していただきたい。
  23. 今野武雄

    今野委員 附則の関係が……
  24. 辻寛一

    ○辻委員長 附則でも、会長がだれになるかきまつておりません。それはあなたの方の御仮定でありますから、それに基いてのいろいろの御議論は……
  25. 今野武雄

    今野委員 仮定ではありません。そういううわさもあるがというだけなんです。
  26. 辻寛一

    ○辻委員長 だから、法案にはそういう人名も出て来ておりません。
  27. 今野武雄

    今野委員 附則にはそのことが……
  28. 辻寛一

    ○辻委員長 附則には人名が出て来ておりません。
  29. 今野武雄

    今野委員 ポツダム宣言というものは、米英の謀略であるということを非常な力を込めてうたつてある。そういうような場合には、民主的な人物を迎える趣旨からは、当然そういう人々は許されないと考えるのでありますが、これはいかが考えておりますか。
  30. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 今のお話のように、会長の人選は経営委員会で決定することになつておりますから、私らといえども容喙することはできません。しかしながらどう考えておるかと申しまするならば、今、今野君の言うように、民主的な方法によつて、民主的な人物が会長に就任することを希望いたしております。但し民主的なという考え方が、おそらく今野君とわれわれとは違うのじやないかと思います。
  31. 今野武雄

    今野委員 次に放送内容についてでありますが、昨年の七、八月ごろ、職業安定所の店先が急に非常ににぎやかになつた。何のためかといえば、あの当時は世間の首切りなどが非常にあつたわけでありますから、そのためであることはもちろんでありますが、同時にその人たちから聞くと、放送を聞いてやつて来たというのが非常に多いわけです。特にあの職業安定というような関係放送が非常に多かつた。それからその後、秋になりますと、例の株式民主化というようなことが、あらゆるテーマの中に織込まれて来る。それで放送のあいまあいまにも短い言葉で、あの証券民主化ということが出て来る。こういうよなふうにして、非常にいろいろなテーマでもつて、ちようど選挙運動をやるときのように、何かしらラジオ・キヤンペインというものが行われておる。しかもそれが非常にいい結果をもたらすならばけつこうでありますが、たとえば証券民主化の場合には、そのために被害を受けた人もずいぶん多いということでありますが、こういうような番組の組み方、これは一体どこで、だれが責任を負つてつておるのか。また今後やるようになるのか。
  32. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 プログラムの編成の問題については、現在でも政府では全然干渉いたしておりません。ただいやしくもそういうことが、公共の秩序とか、善良の風俗に反する場合におきましては、監督権を発動いたしますけれども、従来までの型は、まつたく自主的な形において放送番組を編成いたしております。新しい法案においての構想は、経営委員会が何人の指図も受けないで、国民大衆のために最も適当な番組を組みまして、そうして国民のために盡すという建前になつております。
  33. 今野武雄

    今野委員 今後もやはりそういう自主性がほんとうに保たれて行くのかどうかということについて、私は非常に危惧の念を抱くわけなのでありまするが、聞くところによれば、検閲ということは廃止されたけれども、何か非常にこまかい点まで指導が行われておるということを聞くわけなのであります。そういうことが事実であれば、やはり放送の自主性というものはまつたくないことになるわけでありますが、大臣はそういうことが絶対にないということをここで言うことができますか。
  34. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 現在におきます日本の姿は、いわゆる占領国でありますので、占領国であるという前提において制約を受けるかもしれませんが、それ以外の点においては、私が先ほど答弁した通りであります。
  35. 辻寛一

    ○辻委員長 今野君よろしうございますか。ほかに御質疑はございませんか。御質疑がなければこの程度にとどめたいと思います。  なお必要がありますれば、文部委員長とお打合せの上、さらに聞くことにいたしますが大体この速記録も大分進んでおりまして、五号まで行つており、公聽会までできておりまするし、ただいま御論議いただきました件につきましても、当委員会において相当審議いたしておりまするから、御熱心な点は非常に感謝いたしまするが、どうか速記もひとつお読みいただきまして、なおかつ必要がありますれば、開くことにいたしたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時三十七分散会