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1950-02-24 第7回国会 衆議院 電気通信委員会文部委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月二十四日(金曜日)     午後一時五十八分開議  出席委員   電気通信委員会    委員長 辻  寛一君    理事 飯塚 定輔君 理事 高塩 三郎君    理事 中村 純一君 理事 松本 善壽君    理事 米窪 滿亮君 理事 江崎 一治君       淺香 忠雄君    池田正之輔君       今井  耕君   文部委員会    委員長 長野 長廣君    理事 岡延右エ門君 理事 高木  章君    理事 圓谷 光衞君 理事 水谷  昇君    理事 若林 義孝君 理事 今野 武雄君    理事 小林 信一君       甲木  保君    佐藤 重遠君       千賀 康治君    谷口善太郎君  出席国務大臣         電気通信大臣  小澤佐重喜君  出席政府委員         電波監理長官  網島  毅君         電気通信事務官         (電波庁法規経         済部長)    野村 義男君  委員外出席者         電気通信委員会         専門員     吉田 弘苗君         文部委員会専門         員      横田重左衞門君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  放送法案内閣提出第六号)     ―――――――――――――
  2. 辻寛一

    辻委員長 それでは私が本連合審査会委員長の職務を行いますから御了承願います。  これより電気通信委員会文部委員会連合審査会を開会いたします。
  3. 長野長廣

    長野文部委員長 文部委員会といたしましては、御承知のようにさきに社会教育法が制定されまして、社会教育が現今のわが国におきましては、非常に重要な問題となつておるのであります。この際社会教育の実施にあたつて放送事業が果す役割りは、きわめて大なるものがあると考える次第であります。なおまた單に社会教育の面のみならず、小学校、中学校、高等学校等に対しましては、学校放送などの方法により、直接学校教育の面にも放送事業は大いに利用されておるのであります。かようなわけで、本日はこの放送法案提案理由についても提案者からよく承り、また直接所管にかかわる電気通信委員会の皆様からも御意見を聞かせていただき、文部委員会といたしましても意見のあるところは申させていただいて、できるだけ放送事業が有意義に行われるようにいたしたいと考えまして連合審査会を開くごとと相なりました。どうぞよろしくお願いいたします。電気通信委員会におかれましては、快く当文部委員会連合審査申出をお聞きくださいましたことを、ここに感謝いたします。
  4. 辻寛一

    辻委員長 それでは放送法案を議題とし、審議に入ります。まず提案理由の説明を願います。     ―――――――――――――
  5. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 放送事業は、現在無線電信法並びにこれに基く主務大臣の命令によつて規律されているのでありますが、無線電信法は、主として公衆通信の規律を対象として、大正四年に施行されたものでありますので、今日の放送事業を規律するには多くの不備な点があるばかりでなく、主務大臣にきわめて広範囲の自由裁量権を與えておりまして、新憲法の精神にも沿わないのでございます。最近におきましては、多数の放送事業経営許可の申請がありますが、現在放送事業は、日本放送協会によつて事実上独占的に経営されておりますので、放送協会以外の放送專業者あり方について、明らかにいたさなければならないのであります。  次に現在の日本放送協会は、公益社団法人でありますが、この組織では、国民の大多数が聽取しております放送を、少数の社員によつて左右することになりますので、日本放送協会国民公共機関として改組いたしまして、その経営を民主的に行わせなければならないことが要望されて参つたのであります。  これを要しまするに、放送公共福祉のために規律し、その健全な発達をはかるために、この放送法茱を提出いたしたのでございます。
  6. 辻寛一

    辻委員長 ただちに質疑に入ります。質疑は通告順によつてこれを許します。岡延右エ門君。
  7. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 具体的審議に入るに先だちまして、まず小澤電通大臣に、この法案に対すると申しますよりも、むしろ一般文化に対する認識の程度について、私は御感想なり、御意見なりを承つておきたいと思います。  御承知通り日本平和的文化国家たらんことを世界に宣言したのでありますが、それにもかかわらず、終戰後国家予算に対する文部予算の比率を見ますると、二%ないし四%でございました。それを二十四年度にわが民自党の力によつて五%に上げ、この二十五年度においてはようやく七%に上げることに成功したような次第であります。ところがこの法案は、なるほど電波を監理するという意味においては電通省に所属しておりますけれども、その放送内容に至りましては、たとえば直接的には学校放送あるいは音楽、芸術その他の広い意味社会教育、これがおそらく私ははつきりした計数をここに持つておりませんけれども、七、八十パーセントを占めておるのではないかと思うのであります。かくのごとく文化面がこの放送という事業には織り込まれておるのであります。しかるにもかかわらず、われわれが文部委員長から電通委員長に嚴重に連合審査を申し入れたので、初めて快くこの委員会を開かれることになつたのでありますけれども、それまでに電通当局からわれわれに対して一言のあいさつもないのです。われわれは決してセクシヨナリズムにこうでいするのではない。ようやく今日われわれが請求して、こういうような厖大なる参考資料もいただいたのでありますが、かくのごとくでは、どうも電通大臣だけにこの法案成立後の法律を託するのは、何だか心もとないような気がする。小澤電通大臣は、こういう点についてどういうお考えを持つておるか。またこういう考えは、将来もわれわれはこの法律を通すことが非常に危險だと思う。要するに文化国家たらんとするわが日本の熱望と、所管する大臣との間に、非常なギヤツプがあるのじやないかということを憂慮するものであります。杞憂に終れば幸いでありますが、御感想を伺わしていただきたいと思います。
  8. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 岡君にお答えいたします。この放送法案日本文化に重大な、しかも密接な関係があるということは、御所論通りであります。しかし御質問の御趣旨は私が文部委員会を尊重しないで、この法案電通委員会のみで審議するという趣旨のようでありますが、私の方は要するに国会に対して、政府として、この問題を提案いたしたのでありまして、別に電通委員会がやるとか、あるいは文部委員会がやるとかいうようなことは、国会内でしかるべくやつていただくことでありまして、私自身は決して文部委員合同審議をすることに反対した覚えもありません。しかし私は今申し上げた通り文化面、ことに社会教育面に関する重大な関連を持つ法案なりということは、お説の通り率直に認めます。
  9. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 御趣旨はよくわかりました。小澤さんは議事運営のエキスパートとして活躍せられた先輩であります。私も現在運営委員の末席を汚しておりますので、今の運営方法の大体の点はよく知つております。しかしながら電通大臣にしてほんとう文化尊重の意思があつたならば、もつと何らかの方法によつて働きかけることができたのではないかというふうに私は思つておりますが、もうこれ以上別に追究はいたしません。
  10. 辻寛一

    辻委員長 よろしゆうございますか。それでは谷口善太郎君。
  11. 谷口善太郎

    谷口委員 私は文部委員の一人として、今後どんな放送がなされるか、放送番組内容の問題が大事だと思う。そういう見地からお尋ねしたい。  この放送法案及び関係の二法案を見ますと、放送全体に今まで以上に強い国家統制が加えられるということでありまして、この点につきましては、非常に聞きたいことがたくさんありますが、これは電通委員会で十分御審議のことだと思いますので、その点につきましてば聞かないことにいたします。終戰後にこの放送運営、もしくは機構運営というものに対する、相当発言権を持つ放送委員会というものができましたが、それがこの前多分私どもの方の江崎君がお尋ねしたとき、すでに解散になつてなくなつているという御答弁があつたようであります。この放送委員会のできました理由、根拠というようなものを、まず最初に明らかにしていただきたいと思います。
  12. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 谷口君にお答えいたします。お尋ね通りお答えいたしますと、この問題については電波監理委員会と、放送協会経営委員会との二種類になるわけでありますが、お尋ね趣旨は、おそらくこの放逐協会経営委員会の性質だろうと考えておりますが、それは全国を八地区にわけまして、その八地区の中から最もこの放送協会経営にふさわしい人物内閣総理大臣が推薦して、国会の承認を得た人が経営委員となるのであります。この経営委員会協会長を選任し、あるいはその他の規約を制定し、また番組についても発言権を持つのでありまして、このプログラム内容経営内容については、非常に利害関係を有する人であります。従つてこの法律が通過して政府委員を選任する際には、十分ただいまの重要さを認識いたしまして、適当な人物を推薦したいと考えております。
  13. 谷口善太郎

    谷口委員 私のお尋ねしたのは、そのことではなかつたのであります。経営委員会もしくは電波監理委員会というものの前に、終戰後NHK経営し、もしくはNHK番組を決定するについての、放送委員会というものができていたはずです。これはこの前江崎君がお尋ねしまして、この放送委員会はもうないというお答えであつたのでありますが、この放送委員会は結論的に言えば、人の顔ぶれから言つても、運営の仕方から言つても、非常に民主的であつた。そしてこれは進駐軍の勧告のようなものによつてできたということを私どもは聞いております。それができた事情、及び解散して有名無実なつた、その理由を明確にしてほしいと思います。
  14. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 放送協会に対する放送委員会制度というものが一応できて、今日ではほとんどないような形になつておりますが、これは御承知通り何らの法制的制約がないのであります。社団法人経営する一つあり方として、放浪協会がみずからそうした委員会制度を設けたのでありまして、別に政府が慫慂したものでもなければ、またこれに反対したわけでもなければ、協力したわけでもないのであります。現在の社団法人放送協会が、自分たち経営を円滑に、かつ完全にその任務を遂行するために、よろしいと考えてその委員会ができ、またその必要がないと考えて、委員会を廃止したのだろうと考えております。
  15. 谷口善太郎

    谷口委員 なかなかうまいことをおつしやられて、話をそらされてしまうので困りますが、これは社団法人NHK自身の問題であるから、法律的なものはないと私も思いますが、終戰後にこういう放送委員会というものをつくれという一つの風潮と申しましようか、政治的な一定方向が與えられた。これには私ども聞くところによると、連合軍相当のサゼスチヨンがあつた。そのためにNHKでは、定款の第十一條逓信大臣会長を承認するという形になつていたが、その支配をとつてしまつた。その後に放送委員会をつくつて、これが推薦するということが、実質上会長をきめることの基礎になつてつた時期が、一年か二年あつたわけであります。従来逓信大臣会長を承認するとか、そういう政府NHKとの間のいろいろな関係、これは戰争中特にひどかつたのでありますが、政府支配の形を打開して、まつたく民主的な意味における経営、あるいは番組の選定というようなことをなすために、NHK定款第十一條をなくするというような形で、放送委員会というものができておつた従つてそういう方向に向つてつた放送委員会制度は、法律的にどうこういうのではなしに、日本放送民主化のために非常な意義を持つわけであります。そこでこれがどうしてなくなつたかという理由を聞きたいと思います。
  16. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 先ほど話しました通り、この委員会政府との関係は、もちろん私の就任前の問題でありますから、詳細なことは知りませんけれども、思うにNHKがその経営上、こういう委員会一定の事項を諮問して経営した方がよいという時代があつたが、もうなくても、事務の推進にも、また放送事業の円満な発達にも影響がないと考えたから、廃止したのだろうと思います。政府は別に廃止を勧告したこともなければ、またこしらえることを慫慂したこともないのでありますから、真相は放送協会長にでも聞いてもらうよりほかしようがないと思います。
  17. 谷口善太郎

    谷口委員 そういう点に問題があるのではないのでありまして、私の言つているのは、放送委員会ができたという歴史的な事実の前に、日本民主化一定方向があつて――これはもちろん政府としては関係ないことかもしれませんが、そういう方向こそ放送法案の中で確保して行かなければなぬらと思うのであります。先ほどの大臣お答えでは、経営委員会というものができるということですが、経営委員会ができるにあたつては、各方面の專門家の方を入れ、れりつぱな経営委員会をつくらなければならぬということは、法律にも規定しておりますけれども放送委員会という一つの民主的な方向を持つものに対して、実際上主管大臣は指導も何もしていなかつた。そのうちNHK自分の都合でかつてによしてしまつたわけでありますが、今度の放送法案は、新しい国家公益事事として出されるわけでありますから、相当問題になります。つまり今度の法律規定してあるような経営委員会をつくるためにも、NHKがなぜこの放送委員会をとつたか。なせ必要としなくなつたかということについて、政治的な点まで主管大臣は御承知でなければならない。これは非常に大事なことであります。その点はおれは知らぬから、NHKに聞けと言われたのでは話になりませんが、いかがでありますか。
  18. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 話になつてもならぬでも、その通りであります。
  19. 谷口善太郎

    谷口委員 それではそのことは追究いたしません。そういう点は一応私どもは認めておきますが、私どもの方では経営委員会がつくられないだろうというような予想が、確実になると思わざるを得ないのであります。  ところで今度の法律附則によりますと、会長NHKの当事者の中から選ばれるというふうに規定されておるのでありますが、これは大体具体的にどういう人がなりますか。今まで予想はございませんか。
  20. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 まだ法律が通過いたませんから、そういう問題については全然考えておりません。
  21. 谷口善太郎

    谷口委員 法律が決定していないから、予想をしていないとおつしやるのでありますが、法律案によりますと、附則第三項に「前項の規定により指名された委員となるべき者は、協会の設立前に第二十七條第一項及び第二項の例により、社団法人日本放送協会役員又は職員のうちから、協会会長となるべき者を指名する。」という特例がありまして、現在のNHK役員または職員の中から、協会会長となるべき者を指名するということが掲げてあるわけであります。従つてこれはだれというふうにはつきりしなくても、この中から選ぶということだけは明らかなわけであります。そこでさつきから申し上げております通り放送協会の新しいものにしろ、現在のNHKにしろ運営が非常に民主的で、同時に番組ども日本民主化方向に沿うものでなければならないと私どもは思つておるのでありますが、今までのNHKの歴史をちよつと顧みただけでも、放送委員会という民主的な構想を持つたものがつくられても、それが小澤大臣も御存じないような理由でなくなつており、無力になつている。あるいは用をなさなくなつている。この点がはつきりしないで、NHK役員の中から会長を選ばれるということになつて来ますと、つまり民主化方向に行つていたものを、何かの理由でそれをなくしてしまつて、逆の方向へ行つてしまつておる。このことはあとから申します。そういうふうに逆の方向べ行つている人が、そのまま今度の新しい協会会長になる。そうすると法律が目的としておりますところの、いろいろの方面から経営委員を選ぶということも、NHK民主化放送番組その他の内容の問題も、民主化方向を確保するという見地から、それが実際上できなくなるということがここに出て来るわけです。そういう点で問題にしているのでありますが、具体的にまだ古垣さんとかだれとかわかつているわけではありませんが、大体予定されておるわけですか。
  22. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 谷口君が條文を御指摘になつたところにもあります通り、これは経営委員会で今国会の任期を限つて経営委員会放送協会経験者の中から協会長を選ぶという暫定的規定でありまして、この趣旨は、言うまでもなく新しく改組された場合に、全然経験のない人が放送協会の中心になるということはよくないであろう。過渡的には一応現在の経験者の中から、協会長が出ることが適当であろうという趣旨から、法律は立法いたしております。しかしながら具体的に人選があるのは、この法律が通過いたしまして、そうして八名の経営委員が選考されて、その八名の経営委員によつて、この法律に基いて選考されるのでありまするから、政府自身は何を言つても、この経営委員の人が反対をすればその通りになりませんから、また政府としてもこういうことを考える必要はないのでありまして、まつたお話のように民主的に八名の委員によつて協会長が選ばれるということになつておりますから、私どもは全然候補者などは持つておりません。
  23. 谷口善太郎

    谷口委員 これは委員長にお願いしたいし、またそのお願いが実現したときに聞くべきだと思いますが、現在のNHK経済的な内容事業内容、そういうものについて今までの電気通信委員会で、お聞きになつたところがあるのではないかと考えます。公聽会などをお開きになつた結果、今の経済状態経営状態、そういう内容をお聞きになつたかどうか。お聞きでしたらその点について一般にお知らせ願いたいと思います。
  24. 辻寛一

    辻委員長 先般の公聽会において、たしかそういう御質問ども出たかと思いますが、今はつきり私は覚えておりません。もし何でございましたら、お手元に資料があるそうでございます。それをひとつごらんいただきたいと思います。
  25. 谷口善太郎

    谷口委員 先ほどおつしやつたように、資料をもらつたのは今なんでありまして、読んでいませんが、この中に事業報告というのがあるのでありますから、この中に多分あると思います。私が聞きたいのは、現在のNHKの財政の点でありますが、これが今のNHK職員会長になるということが前提になつておりますから、今のNHK経営状態そのものが、非常に私どもから言つて大きな問題になるわけであります。そういう点で、財政問題も聞いておきたい。こう思うのでありますが、これは一つ社団法人のことであつて、おれは知らないというふうに大臣がおつしやり、また政府委員の方がおつしやれば、やむを得ないことでありますが、この点について何かのお答えが願えますか。
  26. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 これは私の方でもある程度資料を持つておりますから、私の方でわかる程度のことはいつでもお答えいたします。
  27. 谷口善太郎

    谷口委員 ここにラジオ年鑑がございますが、これによりますと、昭和二十三年度の損益計等書の中で、借方が合計二十七億四千万円余り、その中で放送費が六億三千万円、技術費が四億九千九百万円、それから共通費というのが六億四千九百万円、この中に含まれるものではないかと思いますが、放送協会薄謝の問題が、実際に出演する人々の間に問題になつているのであります。このことを聞きますのは、ただその方々の薄謝が安いというだけの意味ではないのでありまして、放送事業にとつて基礎をなす出演者、こういう人々に対するつまり謝礼と申しますか、謝礼という言葉はよくないので、ほんとう労働賃金だろうと思いますが、こういう労働賃金が安くて、一方に現在の放送協会役員諸君が、不当な経費の使い方をしているという例があるのであります。そういう点についてお尋ねしたいのであります。学者で、大体私どもの持つております資料では、十分ないし三十分くらいのところで、八百円ないし千五百円、私などが講演を頼まれますと、まさかこう安くはやれません。たいていの学者は十分間、あるいは三十分というような時間をやりますと、これは原稿に直しますと、相当收入になるわけでありますが、そういう点が今申しましたように八百円ないし千五百円、藤原義江の例をここにあげてありますが、彼が出ますと五千円、ところが同じことを他の劇場あるいはその他でやりますと、二万円くらいもらうのだそうです。放送協会は今度の聽取料の計算で行きますと、月に約二億円ぐらいの聽取料が入るわけでありますが、今まで三十五円になるまでは、その半分くらいの聽取料であつたから、それほど入つたわけではありますまいが、しかしいずれにしましても、非常に聽取料がたくさん入つて経済はゆたかだといううちにおいて、こういうふうに放送基礎をなす人々に対する謝礼が、非常に少いということを私たちは聞いておるのであります。これについて、これは私どもの持つておるのはほんの一部の資料でしかありませんので、もう少しいろいろな具体的な内容をお示し願いましたら、私どもの話の進行上助かります。
  28. 網島毅

    網島政府委員 お尋ね放送協会謝礼が少な過ぎるではないかというお話でございます。終戰後政府は、放送協会番組編成並びにこれに関係した問題につきましては、一切関與しないことになつております。従いましてこの問題は、まつた協会の自主的な運営にゆだねてございます。これは終戰後政府になされました司令部の覚書にもあるのでございまして、現在におきましてもプログラムその他につきましては、一切政府は関與しておりません。この協会謝礼そのもの相当少いではないかということは、私どももときどき耳にするのでありますが、この謝礼の問題は、政府からとやかく言うべき筋合いではないと、私どもは現在考えております。今日協会におきましても、この問題はいろいろ考究しておりまして、先般の公聽会の席上、古垣会長からもこの問題につきまして言及されております。今後これらの問題につきましては、協会自身におきましても、いろいろ次善策考えられるのではないかと思います。
  29. 谷口善太郎

    谷口委員 そういうふうにおつしやると、私の質問は実は言つてもどうにもしようのないことになりますが、一方に不当な支出があるということを私先ほど申しましたが、なぜこういうことを繰返して申すかといいますと、繰返すようでありますが、今のNHK役員がこの法律によりますと、そのまま今度新しい放送協会会長になるのであります。そういう点で、今のNHK経営状態、あるいは放送内容というものが、そのまま持込まれるというおそれがありますので、そういう点からこういう点が問題になつて来るのであります。NHKの方では、放送謝礼のことにつきましては、むしろただでやつてくれるのがよいと思うというようなことを編成局の局長の春田由三という人などは言つておりますが、こういうことになりますと、まじめな学者だとか、まじめな芸術家が、番組を組まれましてもなかなか行かない。私ども民主主義科学者協会に所属しているものでありますが、科学者協会の方に今までもときどき放送を申込みに来られる場合に、電話で、だれそれ一回出てくれというようなことを言つて来るので、みなその言い方などに腹を立てて出ないというようなこともあります。最も安い人で、一時間しやべりましても三百円くらいの包み金をもらう。二万円もとるような藤原義江などが出ても、五千円ということになると、出ない。学問、芸術その他の面から、こういうやり方をやつておりますと、だんだん悪いものだけになつて来るというおそれがあるし、現在そういう方向になつていると思います。ところが一方に、たとえば部課長なんかは非常に多額のものを手当とか何とかいろいろな名前でとつている。現在部課長級で月に大体九千五百円から一万円、こういうものを一般給與のほかに、何かの手当と称してとつているのであります。それから古垣会長なんかは、月收約三十万円というような状態でありまして、自動車を買うとか、いろいろなことをやつている、それから技術局長あるいは編成局長、こういう人たちが数百万円の住宅を、聽取料收入の中から買わせている。こういうふうなことを一方にやつておりながら、しかも放送基礎になる放送者、科学者芸術家というものに対して、まつたく涙金しか出しておらない。こういうやり方を政府はよいと思つておりますか。こういうことにつきましては監理権も何もない。自由だというふうにおつしやつておりますが、こういうやり方について政府はよいと思つているかどうか。その点をお伺いいたします。
  30. 網島毅

    網島政府委員 協会の会計につきまして、全然政府が野放しにしているわけではございません。少くとも一年に一回は会計の監査をいたしております。ただいまお話になりました部課長級の問題ですが、これは私どもはいわゆる交際費という名目で、多少出ているということは了知しておりますが、このように多額のものが出ているとは考えておりません。また家屋の問題ですが、これは協会の幹部の異動に際しまして、家屋がないために異動ができないということが、突際問題として起つているのでありまして、そのためにこの幹部のための借家と申しますか、社宅というものを考えておるということは了知しております。値段の点につきましては、ただいま私どもはつきり記憶しておりませんが、私どもといたしましては、現在の家屋の価値から考えまして、そう不当に高いものではないだろうというふうに考えている次第であります。
  31. 谷口善太郎

    谷口委員 社交費だけでも、大体課長級で四千八百円くらい月に出ているようであります。これは社交費と称して自由に使つている。住宅は、單価を御存じなければ申し上げますが、技術局長は、二百万円で松本幸四郎のおつた家を買つている。編成局長は百三十万円で買つてもらつている。私どもがこういうことを申しますと、ばかばかしい話をして皆さんを騒がせるというようにお聞きになるかもしれませんが、放送局の收入は、全国八百何十万の国民が出している聽取料である。御承知通りNHKはわずかの人間で金を集めて、百五十万円くらいの資本でやつてつて、現在の資産が時価に評価して六十億以上あるだろうということは小澤さんも言つている。これはみんな国民が出した聽取料なのであります。なるほど家がなければお困りだろうと思いますけれども、ただ幹部の配置転換とか異動というようなことで、二百万円もする家を買うというようなことは、まつた国民の出している聽取料の中から、不当な支出をしていることである。しかも今申したような、当然支拂わなければならない科学者その他に対して出演料を拂わない。ただでやつてくれというようなことを言つている。こういう経営の仕方をやつている連中が、この法案にきめたところによれば、必ずそのまま新しい協会に入つて来るにきまつている。こういう点に対して私どもは非常に危惧の念を持つわけであります。  なお会計の不当支出の問題でありますが、これにはこういう問題があります。戰争中NHK職員が南方へ戰争の従軍者として出ている。これはもちろん陸軍か海軍の要員として出たものだと思いますが、この戰争に行つたときの特別手当は新しい協会なつた後には出せなかろうというので、昨年の暮にこれを出しているのであります。これは政府も御存じだと思います。つまり戰争中、NHKから陸軍、海軍の要員として従軍した職員のそのときの手当を、昨年の秋になつてNHKは出している。これは金高はたくさんのものでないと思いますが、この点は一九四五年十一月二十四日に進駐軍から「恩給年金及利益ニ関スル覚書」が出ておりまして、「日本帝国政府ハ可及的速カニ、而シテ遅クトモ一九四六年二月一日マデニ左ノ各号ニ該当スル者ニ授與セラルル一切ノ公私年金ソノ他ノ給與金ソノ他アラユル種類ノ利益ニツキ、最高司令部ノ認可セルモノヲ除キ、ソノ支拂ヲ停止スル為必要ナル措置ヲ講スルヤウ指令ス。」ということが出ておりまして、その中に「軍勤務者ニ対スルモノ。」という項目があるのであります。ところがNHKは、陸軍もしくは海軍の要員として、その職員が南方に行つてつたときの特別手当を、去年になつて、つまり一九四九年になつて、新しい放送協会なつたら出せなくなるだろうというので、あわてて出しているのでありますが、これはこの覚書にも反すると思うのであります。こういう不当支出を彼らはやつている。これを政府は知らないとは言えないと思うのでありますが、そういう点いかがでありましようか。はつきりさしていただきたい。
  32. 網島毅

    網島政府委員 協会予算に関しましては、年度の初頭に政府から認可がありまして、それに基いてやることになつているのであります。その年度の途中においての個々一々の支出については、政府に届け出たり、あるいは政府の認可を要するということにはなつておりません。従いましてその十二月にどういう支出があつたかということは、私ども現在わかつておりませんが、もしそういうことがあるとすれば、調査してみたいと思います。
  33. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 議事進行について……。きようは実は連合審査会の初めてでございますので、もつと大きな根本的な問題について聞きたい委員がたくさんおるわけであります。出席委員大約二十名、一人で時間をあまり独占されると非常に迷惑であります。大体共産党の議員というものは、一定の割当、すなわちソ連語ではノルマと言うのだそうでありますが、その真僞はいざ知らず、割当を越えて毎々繰返されては、迷惑千万であります。ことに今日は連合審査会の初日でありますがゆえに、あまり微に入り細にわたつて、金の問題とか何とかでなく、もつと大きな根本的な問題について各委員から質問があると思いますから、委員長において適当に自粛を勧告していただきたいと思うのであります。
  34. 辻寛一

    辻委員長 かしこまりました。
  35. 谷口善太郎

    谷口委員 岡君お怒りでありますが、これは金の問題とか何とかいうふうにお考えになつていらつしやると間違いでありまして、先ほど私が申し上げましたように、この新しい法律附則第三項で、今のNHK役員がそのまま会長になるのです。今のNHKそのものが入つて来るのであります。今のNHKが私ども国民から見まして、けしからぬことをやつておるとすれば、この点を明らかにしておくことが、この法律政府が望まれるような民主的な運営にすることになるのであります。そういう点で私はこういう点を聞いておるのであります。会計問題はこれ以上聞きません。この点は政府がこういう不当なことをやつておれば、覚書にも反することでありまして、当然何らかの処置があるべきだと思いますから、ぜひ調査していただきたいと思うのであります。  最後に、巷間伝うるところによりますと、やはり古垣さんが今度の会長になるといわておりますが、古垣さんは非常に困るのです。私は古垣さんがなるかならないか、そういう形式論は言いません。しかしながら法律ができた後に経営委員会がきめるということになつておるが、実際古垣さんがなるということは、世間はみな知つております。この古垣さんは実は恐ろしい人であつたということです。昭和二十年の八月に朝日新聞の紙面に「戰争のたねをまく」というものを書いておる。これは長いから申し上げませんが、こはポツダム宣言によつて米英がいかに日本の国策に対して、大きな反動的な役割を持つかという見地から、米英に対する恐ろしい攻撃をやつておる。この論文を見ればわかる通り、この人は明らかに日本が現在民主化のためにあらゆる障害と鬪わなければならない、その鬪いの先頭に立つて放送事業などやれる人ではない。むしろ戰犯的な人としてわれわれは追究しなければならない。こういう人が会長になるのでは、政府がいかに放送事業を今の政府のもとにおいて民主化するのだということを言いましても、実際はできないというところに、私は問題があると思うのであります。そういう点で私どもといたしましては、今後社会教育芸術的な、あるいは文化的なものが、非常に大事なことを考えなければならないときに、そういう人がなるということは、一大事だと思つておるのであります。こういう点を主張いたしまして打切ります。
  36. 辻寛一

  37. 長野長廣

    長野文部委員長 放逸番組編成につきまして、第四十四條第三項第三号に「音楽、文学、演芸、娯楽」とありますが、これに教育もお入れになつてはいかがでしようか。その理由といたしましては、学校放送が全国の小学校、中学校、高等学校で、一定の時間をさいて授業時間に繰入れておるほど、教育上重要に取扱われております。この点からしても、教育も番組の上に重要な部門でなければなりません。当局におかれましては、番組の編集に教育を取入れることに対して、いかなるお考えを持たれておりましようか。
  38. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 長野君の御質問は、きわめて傾聽に値する御質問でありまして、当初政府の立案するときにも、そうした有力な御意見があつたのであります。いろいろ検討いたしました結果、ここに教育を入れるということは、学校教育法とかその他の法律関係で、非常にむずかしい問題になるので、相当強い意見ではありましたけれども、これは除くという結論に達しております。従つてなお国権の最高機関である国会において御検討願いたいと思います。政府としては一応削るという方針になつておるのであります。
  39. 長野長廣

    長野文部委員長 御見解はよくわかりましたが、教育には社会教育学校教育の部面がありまして、学校教育は必然的に特別な使命を持つておるものであります。それでかりにただいまのその重要性はお認めになつておるという点に立脚しまして、教育を今後取入れる必要があるということになつたものとしますればそれは小学校、中学校、高等学校の教科課程と十分な連絡を保ち、その上その教材が適切でなければなりません。放送内容が、教壇で教師の教授するものと同様の教授であり、また訓練である。つまり生きた教科書によつて教育をするわけであります以上、教育的な編纂を要すると思うのであります。ただいまは学校教育法その他の関係上、御躊躇になつておるのでありますけれども、当然これは現代の要求によりまして、行わなければならぬと思うのであります。つきましてはこの際所管大臣におかれましては、何かこの辺について構想をお練りになつて、今後特にこの重要な部面に即応し得るような御計画をお進めになるお考えはありましようか、それを承りたい。
  40. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 先ほどもお答えしました通り、この中に教育をいれることは適切じやないかという意見は、政府部内でも相当有力な意見として検討されたのであります。しかし学校教育法その他に非常な難点がございますので、それでは同趣旨の目的を達成するために、この四十四條の「公衆の要望を満たすとともに文化水準の向上に寄與する」この文言に今の長野委員考えておる線を多分に織り込んで、それで実際上はそのことと同じような意義あらしめることがいいのではないかという結論になつたのであります。
  41. 辻寛一

    辻委員長 高木君。
  42. 高木章

    ○高木(章)委員 單刀直入に意見を申します。先ほど小澤大臣よりの提案説明の理由と、並びに当放送法案一條を拜見いたしますに、非常にけつこうなる事柄であるのでありますが、この内容を拜見いたしますに、第四條以下におきましては二十八箇條にわたつて、私個人といたしましても質疑を繰返したい條項があるのであります。本日この資料を頂戴したばかりで、私の質問は時期尚早かと思う感もありますので、次会の連合審査会におきまして、逐條的に質疑を行う機会を與えていただけるように希望する次第であります。
  43. 水谷昇

    ○水谷(昇)委員 本案を審議するための参考資料をたくさん配付していただきました。これを調査研究した上で十心質疑をいたしたいと思うのでありますから、質問を留保いたしまして、本日はこの程度で散会されんことを動議として提出いたします。
  44. 辻寛一

    辻委員長 水谷君の動議がございますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 辻寛一

    辻委員長 それでは本日はこの程度にとどめまして、次会の連合審査会文部委員長と御協議の上、追つて通告することにいたします。  これにて散会いたします。     午後二時四十九分散会