○
網島政府委員 ただいまの御
質問及び御
意見の点は、私
どももよく了解できるのであります。現に現在無線電信法におきましては、ただいまの御説のように年限を区切
つておりません。そのかわりこの法の委任によりまして、行政措置として無線局の免許につきましては、公益上必要な場合には主務
大臣がその免許をいつでも取消すぞという條件をつけておるのであります。ところで新しい憲法下におきまして、特に
国民の権利の確保につきましていろいろ考慮されている現在におきまして、一ぺん免許をしておいて、
政府がその判断によりましていつでも無線局の免許を取消すという、いわゆる伝家の宝刀を持
つておつたということは、免許された側から見れば非常に危險なのでありまして、いつもびくびくしていなければいかぬということになるのであります。私
どもはこれは必ずしも民主的であり、適切であるとは
考えなか
つたのであります。一ぺん免許されたものは、その免許されたある一定の條件におきましては、十分その得たところの権利を行使し得るということでなければいけないと存じます。従いまして
政府のそういう一方的な伝家の宝刀式の行政措置を、この際やめることにしたのであります。ところが無線通信におきましては、非常に不足な電波を最も有効適切に使わなければならない。そのためにこの電波法が立案され、また電波
監理委員会という行政
機関が設置される案ができ上
つておるのでございまして、その法及び行政
機関におきまして適当な行政措置をするためには、やはりここに一定の考慮するチヤンスがなければならないと存じます。従いましてそれをするのには、ある一定の年限を設けまして、そしてその年限のかわり目ごとに、その無線局がはたして初め免許されたときの條件
通りに行われておつたかどうか。公益のために有効であつたかどうかということを
検討いたしまして、それが十分初めからの
目的を達成されておつたということになれば、引続き免許の更新によ
つて次に延ばして行くのであります。ここに一ぺん免許されたところの無線局に対しまして、その免許を再
検討する
機関が必要であるという
結論に到達したのであります。
ところでこの期限でございまするが、この
法案におきましては、一般無線局は五年、
放送局は三年ということにしておりまするが、これにつきましては諸外国のいろいろな例にかんがみ、またこの無線局の性質その他にかんがみまして、こういうふうに年限を切
つたのでございます。特に
放送について三年は短か過ぎるじやないかという
意見も、しばしばお聞きしたのでございます。ところでこの
放送に関しましては、この
放送法によ
つてつくられまするところの
日本放送協会は、施設は別として、一般
民間放送に関しましてはもちろん最初免許される場合には、いろいろな條件を考慮いたしまして
監理委員会において認可するわけでありますが、それがはたして初めの條件
通りうまく運用されて行くかどうかということにつきまして、はつきりした見通しを持つことは非常に困難であります。と申しまするのは、
法案にも
規定されておりまするように、プログラムの面につきましては
政府は一切関與できないことにな
つておるのでありまして、この
放送の、特に重要なプログラムの面が、どういうふうに動いて行くかということにつきましても、それが公益上有効な
放送をや
つているかどうか。あるいはむしろ逆の
放送をや
つていやしないかどうかということが、常に行政を担当するものとして必要にな
つて参ります。そこで
放送のように非常に
公共性の特に強いものにつきましては、一応三年ということにいたしまして、三年ごとにそれを見直して行く。そのときにおいて過去の実績によりまして、次の免許の更新その他を
考えるということにしたのであります。従いましてもちろんこの
放送が最初の免許された條件
通りに運用されておる場合には、自動的にこの免許の更新が行われるということを、私
どもは信じて疑わないのであります。
法案の定めるところによりまして運用されておる
放送局につきましては、いささかの不安もないじやないかというふうに
考えます。現にアメリカにおきましても、
放送局につきましては三年という年限が区切られておりますが、一般
放送事業社はそれにつきまして、いささかの不安も感じておらないように存じております。