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神田委員 ただいま議題となりました
商工会議所法案の提案理由につきまして、大要を御説明いたします。
昭和二年四月商工業の改善発達をはかる目的をもつて、商工
会議所法が公布せられ、各地に商工
会議所が設立され、商工業に関する調査、斡旋、仲裁その他の業務を行つて参つたのでありますが、戰争勃発に伴う統制経済の強化に伴い、従来の商工
会議所は、その存在意義を失い、昭和十八年同法は廃止されたのであります。その際統制経済下における行政機関の下部機構としての役割を果させるために、商工経済会法が制定公布されたのであります。終戰後、戰時統制的色彩の濃厚であつた同法は、昭和二十一年九月に廃止され、そのまま現在に至つているのであります。しかるに同法廃止後各地におきまして、商工
会議所が自然発生的に生じ、商工業の改善発達のため、地域的推進団体として活動をしているのでありまして、その数も全国的三百余に達している次第であります。そこでこの際商工
会議所の一層の普及、改善発達をはかるため、その基準となるべき法律を制定する必要を認めるに至りましたので、本法案を
提出いたしました次第であります。
その概要を御説明いたしますと、第一に、その目的といたしまして、在来のように商工業の改善発達という点のみにとどまらず、社会一般の福祉の増進をも同時に目的といたしまして、その活動範囲を広げたことであります。
第二に、商工
会議所の基準及び原則を明確に規定し、一、
地区内の商工業の改善発達を
促進し、あわせてその
地区内の福祉と繁栄を増進することを目的とすること。二、会員が任意に加入し、または脱退することができること。三、会員はおのおの一個の議決権を有すること、こう規定いたしました。
第三に、前述のごとく、商工
会議所は、相当古い伝統を持つておりますので、その社会的評価も高いのであります。従つてその兼礎を鞏固にするため、民法の公益法人の規定によつて設立されたものに統一し、單なる組合団体等法人でないものが商工
会議所の伝統をはずかしめることがないようにいたしております。
第四に商工
会議所は、原則として市の区域に一個に限つて存立せしめることといたしましたが、商工業の状況により、県または町及びそれらが合同してつくるもの、並びに全国的または都道府県ごとの商工
会議所の連合体を設立することを認めました。
第五に商工
会議所は、事業者団体として事業者団体法の適用を受けるのでありますが、その事業の主要なものを列挙いたしました。
第六にこの法律に規定する商工
会議所としての要件を備えていないものに対し、商工
会議所という名称を使用することを禁止し、必要な罰則を設けたことであります。
終りに現存する商工
会議所については、この法律の規定に適合するよう必要な措置をとるべき旨の経過規定を設けました。すなわち商工
会議所の
地区の全部または一部が軍複するものはこの法律施行後六箇月以内に必要な措置をとること、及び商工
会議所でないものであつて、その名称を使用しているものも、この法律施行の日から六箇月以内に、その名称を変更するか、または定款の変更その他必要な措置をとり、商工
会議所としての要件を備えることであります。
以上この法律案の提案の理由につきまして大略を説明いたしましたが、なお、去る三月で役員の改選期を迎えた商工
会議所も相当存在するのでありますが、これらの商工
会議所は、本法の成立を期待いたしまして、本法による改組後の新しい発足の際まで、その改選を待機している状況のものもあることを付言いたします。
何とぞ諸般の状況を御了察の上、すみやかに御可決あらんことを切望いたす次第であります。