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1950-04-29 第7回国会 衆議院 通商産業委員会 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十九日(土曜日)     午前十一時二十二分開議  出席委員    委員長代理理事 村上  勇君    理事 有田 二郎君 理事 神田  博君    理事 小金 義照君 理事 澁谷雄太郎君    理事 永井 要造君 理事 今澄  勇君       阿左美廣治君    岩川 與助君       江田斗米吉君    門脇勝太郎君       小西 英雄君    首藤 新八君       關内 正一君    多武良哲三君       中村 幸八君    前田 正男君       青野 武一君    坂本 泰良君       田代 文久君  出席国務大臣         通商産業大臣  高瀬荘太郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       宮幡  靖君         資源庁長官   始関 伊平君         通商産業事務官         (資源庁鉱山局         長)      徳永 久次君         通商産業事務官         (資源庁電力局         電政課長)   小室 恒夫君  委員外出席者         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君     ————————————— 四月二十八日  委員青野武一君辞任につき、その補欠として山  口シヅエ君が議長指名委員に選任された。 同月二十九日  委員小西英雄首藤新八君及び山口シヅエ君辞  任につき、その補欠として田中豊飛嶋繁君及  び青野武一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  滅失鉱業原簿調製等臨時措置法案内閣提出第  一八九号)  公益事業法案内閣提出第一七八号)  電気事業編成法案内閣提出第一七九号)     —————————————
  2. 村上勇

    村上(勇)委員長代理 これより通商産業委員会を開会いたします。本日は私が委員長の職務を行います。  ただいまより滅失鉱業原簿調製等臨時措置法案議題として審査を進めます。質疑に入ります。小金義照君。
  3. 小金義照

    小金委員 ただいま議題となりました、滅失鉱業原簿調製等臨時措置法案は、きわめて事務的なものでありまして、提案理由説明で大体を了といたすものであります。まず第一に一番疑問となるものは、これだけの法律案を今日まで一体なぜ出せなかつたか、この事情簡單に御説明願います。
  4. 徳永久次

    徳永政府委員 これは提案説明にも簡單に触れておりますが、終戦後ただちに原簿調製に関する省令を出して措置いたしたのであります。それによりましてできるだけ当事者間で証拠書類を出していただきまして、けりのつくものはけりをつけたいということで、措置いたしたのでございますが、終戦後五年もかかつたというところに問題があるわけでございまして、なるべくわかる限りのものはわかるように、けりをつけたいということでいたしたものであります。この法律最後の締め括りのどうにもならぬものがありますから、どうにもならぬものは最後の手段として、ないものにしてしまうというような措置をするほかしようがなかろうということで、どうにもなりそうにないものばかりがたまつた時期と判断いたしまして、ここにやむを得ざる措置として提出したわけであります。
  5. 小金義照

    小金委員 私が質問したのはそういう意味ではなくて、何ゆえに会期切迫した今日、重要法案と一緒に出すかという点でありますが、それは事務的に責めてもしようがないことでありますからやめまして、大正十二年の関東大震災に際して、当時の鉱山監督局ですか、それが焼けて原簿が滅失した。また特許局が焼けて特許登録原簿が焼けたそのときに、勅令か何か出して復旧の手当てをしたはずでありますが、それを参照になさつて処分して来たかどうか、そのことをひとつ承ります。
  6. 徳永久次

    徳永政府委員 先ほど申し上げました終戰直後に出しました二つ省令は、内容的には、ただいま小金委員から御質疑がございました大震災のときに出ておりました法規のほとんどまる写しのもので、同じ精神処置して参つたのであります。
  7. 小金義照

    小金委員 提案理由説明並びに今鉱山局長答弁で、大体その趣旨がわかりましたが、鉱区数で一万二百ばかり、鉱業権出願で三千百というような数字が滅失した。そのうちの約六五%が回復して原簿調製された。こういうことで残りの問題を処置するのに、どうしても法律に根拠を置かなければいけないというので提案された、こういうふうに了解いたします。そうしてその事柄自体大正十二年の関東大震災に際して原簿が滅失した。その回復の例にならつておる、こういうことでありますから、大体私は全体を了とするものでありますが、大正十二年の震災のときの被害並びにその復旧に関する措置は、旧憲法下においてなされた。旧憲法といえども私有財産権の擁護については、十分な規定があつたので、旧憲法といえどもその点はかわりないと思いますが、特に新憲法におきましては、第二十九條に「財産権は、これを侵してはならない。財産権の内容は、公共福祉に適合するように、法律でこれを定める。」ですから、法律財産権を制限することはさしつかえない。しかしそれは公共福祉に適合するようにというので、重大な制約があります。鉱業権原簿が滅失したといたしましても、一度適法に成立した鉱業権は、原簿があるなしにかかわらず、これは存続すべき性質のものであると思うのであります。そこでこの法律公共福祉に適合するというのでなくてはならない。このままにほうつておけば、他の出願者あるいはまた鉱業権を現に実行しようとするものが、その権利の基準であるところの原簿がないので非常に困るというので、この法律による措置はすなわち公共福祉に適合せしめるものである。またその線に沿うていろいろな規定ができておる、こういう趣旨だろうと思うのでありますが、その点について政府の御明答をお願いいたします。
  8. 徳永久次

    徳永政府委員 ただいまの違憲ではないかというお尋ねでございますが、私どもその点非常に法の立て方、その他において考慮したつもりでございます。今御指摘ございましたように、このまま放置いたしておきますると、事実問題といたしまして、そこに鉱区があつたであろうというような地区につきまして、戰後出願がありましたものの、実は元あつたかもしれないという所であるために、処置できないままに、今日に至つておるような状況でございます。従つてそのために、あるべき資源も開発できないで、今日に至つておるような状況でございますが、この事態は国全体の立場から何とかして解決する必要があるのではないかと考えておつたわけであります。それでこの法の立て方といたしましては、私権保護という趣旨を第一眼目といたしまして、まず鉱業権者から申請をしていただこうということにいたしたわけであります。それによりまして、もし申請がないということがあるとしますると、本人自身がそこの場所についての鉱業権を放棄されたか、あるいはなかつたか、どつちかということがはつきりするのではないか。それから申請があつた区域につきましても、それを審査いたしました結果、事実の認定が十分つかないということから、これを登録するという処分をとらなかつたという場合にどうなるかということにつきましても、この法律では非常に入念な手続をとつておりまして、公聽会によりまして、認定ができるか、できないかということを、第三者を交えまして判断いたしまするし、またその処置に不服のある方は、通産大臣異議申立てをしていただきます。また最終的には、その異議処置に対しても不服だという方々には、行政訴訟特例法によりまして、裁判所がさらに事実認定について、十分の判断をするという手順をふんでおるわけでありますから、そういう入念な手続によりまして、何らか事実関係がつかみ得まするならば、それによつて権利が確保される道が残るわけでございます。手続的に最大限に私権保護手続を十分に盡したということと、それによりまして、なおかつ、あつたかもしれないが、救済できないというものもあり得るかと思いまするので、それは最初小金委員からの御指摘がございましたごとく、それをそのままに放置しておきますることが、永久に鉱業の健全なる発達ができないような状況に放置することになつて公共福祉に適合しないという結果になりはしないかということから、かような措置をとりまして、ひとまずけりをつけてしまいたいということを考えたわけであります。
  9. 小金義照

    小金委員 大体六五%は申出あるいは申請によつて原簿回復ができた。しかし他の残りのものにつきましては、もし申請がこの法律に基いて出ないとすれば、権利は存在しなかつたか、または放棄したとみなす、こういうことでありますが、そういうふうにみなすことが公共福祉に沿うゆえんであると解釈されるのでありますか、その点をはつきりお伺いいたします。
  10. 徳永久次

    徳永政府委員 突き詰めて申しますると、さようなことになろうかと思うのでありますが、ただこれは一つの気休めと申しますと、語弊がありますが、今パーセントにして三五%ばかりの件数が未処理で残つておるわけでありますが、そのほとんど全部がいわゆる試掘鉱区であり、休眠鉱区であるということでありまして、現に稼行しておる鉱区につきましては、ほとんど事は片づいておるということであります。休眠鉱区だからどうでもいいというわけではございませんが、多少の気休め的な感じを、被害がそう大きくないという意味合いで、われわれ感じております。
  11. 小金義照

    小金委員 むしろそれは積極的に稼行しない鉱区である、また原簿回復するのに資料もなかつたということで、これは適当な期間を経たならば整理してしまつた方が、むしろ公共福祉に沿うゆえんであるとも私は考えるのであります。なおこの申請が却下されたような場合についても、十分な救済方法も設けてあるということでありますから、今までの原簿回復の例にならつて、私はこの点は了承できる。特に法制局といいますか、そういう方面の専門家の目も通してあるはずだと思いますので、私はこれを了としたいと考えておるのであります。なお二、三質問したいところもございますが、同僚委員の御質問もあるようでありますから、私はこれで打切ります。
  12. 村上勇

    村上(勇)委員長代理 次は中村幸八君。
  13. 中村幸八

    中村(幸)委員 ただいま小金委員よりいろいろ御質問がありましたので、大体盡きていると思いますが、私からもほんの二、三点つけ加えてお尋ねしておきたいと思います。  鉱業原簿鉱業に関する権利関係を記載いたしております非常に大事なものであります。のみならず新規鉱業出願の許否を決する基礎となるものでありますので、この安全保管ということにつきましては、特に周到な注意をもつて当らなければならないと思うのであります。かような重要な鉱業原簿が、当時の状況といたしましては、あるいはある程度やむを得ないといたしましても、火災等によつて滅失いたしましたことは、まことに遺憾に思うのであります。しかし過ぎたことはいたし方ないといたしましても、終戰四年半になります今日まで、この重要な鉱業原簿が完全に調製せられないで放置しておかれたということは、まことに当を得なかつたと私は思うのであります。この点は先ほど小金委員より御質問があり、また御答弁も得ておるので、繰返しお尋ねはいたしませんが、あるいは権利関係の証明、あるいはまた権利移轉変更、あるいは新規鉱業出願処理にあたりまして、鉱業原簿が完備しておらなかつたことによつて、何らか支障は起らなかつたかどうか、その点を御説明願いたいと思います。
  14. 徳永久次

    徳永政府委員 ただいまの御質問は、焼けました原簿調製ができなかつたがために、事務上なり、あるいは鉱業関係者支障を與えなかつたかどうかというお尋ねでございますが、実は昨日資料の御要求がございまして、お手元にお配りしてありますが、出願の未処理件数の中の局別資料をお届けいたしております。この中の一部は、この滅失いたしました鉱業原簿に関連しまして、処置できないままにあるものが含まれておるわけであります。さような意味から、実は非常にその問題の残つておる地域につきまして、出願なさつた方は、いつまでもきめられないままに放置されておりまして、御迷惑をなさつたことと思うのであります。これは私どもといたしましても、放置するのが本意ではありませんが、事情やむを得ず、処置できずに今日に至つたようなことであります。幸いにいたしまして、この法律によりまして滅失鉱業原簿最終的処理ができますならば、この未処理件数処理の促進にも、大いに役立つということを考えておるような次第であります。
  15. 中村幸八

    中村(幸)委員 今お話のように鉱業原簿が完成しておらなかつたために、一般国民に迷惑をかけておつたということは、はつきりしたのでありますが、どうかこういう大事な原簿でありますので、この法案が国会にて審議可決されましたあかつきは、至急に調整に着手せられまして、短期間に完成せられるように、特に要望いたす次第であります。それにつきまして、いつまでにこの原簿が完成する予定になつておるか、また予算措置としては、人件費物件費等をどの程度にお考えになつておりますか。この点を伺つておきたいと思います。
  16. 徳永久次

    徳永政府委員 お話のごとく、調整は極力急いで処置しなければならない性質のものでありますが、ただ何分にも出願者権利者にとりましては、大事な財産権処置に関連することでございますし、急ぐという精神ではいたしますが、同時に処置は愼重にやらざるを得ないというふうに考えておるわけでありまして、たとえば私どもこれまでの処置の残つておりますものの複雑な状況等から予想いたしまして、一番遅くなるものにつきましては、場合によりまして今後三年くらいかかるものもあるのではなかろうか。もちろんそれは一番遅いものの予想でありまして、大半は一年くらいで片づくのではないかというように考えておるわけであります。同時にこの特別な処置として、現地において関係者の立会い等もやらざるを得ないこともあるだろうと思いますし、このために実は特別の職員としまして、全国で約三十九名だと記憶しておりますが、定員法の中に織り込んで特別の職員を用意しておるような次第であります。
  17. 中村幸八

    中村(幸)委員 ただいまの御説明によりますると、長くかかるものは三年くらいかかるのではないかというお話でありましたが、はなはだ長くかかり過ぎるように思う。何か特別にむずかしい手続でもあるのでありますか。あるいは猶予期間、待たなければならぬような期間を特に設けてあるのでありますか。ちよつとのみ込めないのでありますが、この点を承りたい。
  18. 徳永久次

    徳永政府委員 私どもとして極力早くやるつもりでおりますが、件数といたしまして、四千件にはなりませんけれども、その程度のものがあるわけでありまして、ケースによりまして現地において錯綜しておる事態を、関係権利者と立会い等によりまして処置しなければならぬということも、相当あるように考えておりますので、それを処置するといたしますと、人手の関係もあるわけでありますが、事実ある日数を予定してをかないと、あぶないのではないかと考えておるわけであります。しかし先ほど申しましたごとく、極力早くする意味でありまして、問題の比較的少いものにつきましては、最初の一年度内、本年度内に大半のものは片づくのではなかろうかと考えておるわけであります。
  19. 中村幸八

    中村(幸)委員 どうか大事な原簿でありますので、でき得る限り早く処置するように、職員等も、他の局ともやりくりいたしまして処置していただきたいと思います。それから今後こういうような不始末を再び繰返さないように保全保管については、特に御注意をしていただきたいと思います。火災に耐えるような金庫みたいなものを用意しておるのでありますかどうか、その点をお伺いいたしたい。
  20. 徳永久次

    徳永政府委員 ただいま原簿を非常は大事にしなければいかぬのではないかという御注意でございます。それも非常にごもつともでありまして、実はこの問題に関連いたしまして、戰後保管の現状を調べてみましたところ、大半のところにおきましては、火災にも耐え得る嚴重な保管措置が講じてあることがわかつたのでありますが、一部につきまして、戰後予算の不足によりまして、ある点が十分に措置が講ぜられてないということがわかりましたので、実は本年度の予算の中に保全のための経費を計上いたしまして、万全を期したいというふうにいたしております。
  21. 中村幸八

    中村(幸)委員 それを聞いて安心いたしましたが、どうか今後は十分御注意願いまして、再びこういうことのないようにお願いしたいと思います。これで私の質問を終ります。
  22. 村上勇

  23. 田代文久

    田代委員 同僚委員から私の質問したいことは全部質問されましたので、私はこれで終ることにいたします。
  24. 村上勇

    村上委員長代理 これにて質疑は終了いたしました。引続き本案議題として討論に付するのでありますが、討論の通告がありませんから、討論を省略いたしまして、ただちに採決いたします。本案は原案の通り可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 村上勇

    村上委員長代理 御異議なしと認めます。よつて本案は原案通り可決いたしました。この際本案委員会報告作成の件についてお諮りいたします。これは先例によりまして委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 村上勇

    村上委員長代理 御異議ないものと認めます。委員長に御一任いただいたものと決しました。  午御は二時より再開いたしまして、公益事業法案及び電気事業編成法案審査を進めることといたします。これにて休憩いたします。     午前十一時四十九分休憩      ————◇—————     午後三時九分開議
  27. 澁谷雄太郎

    澁谷委員長代理 休憩前に引続き開議を開きます。  ただいまより公益事業法案及び電気事業編成法案一括議題として審査を進めます。質疑を継続いたします。坂本泰良君。
  28. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 第二條関係ですが、これはどう見ても私の解釈では集排法補足規定で、独立法でないと考える、こういうふうにしか解せられないのですが、この点についてもう一ぺん確認を求めて、次の質問に入りたいと思います。
  29. 小室恒夫

    小室政府委員 坂本委員から御質問のありました点は、純法律論といたしましては、これはやはり電気事業編成法は、集中排除法特別法である。その意味において従属性が相当強いということは純法律論、純手続法論としては、その通りかと思いますけれども、全体を流れておる精神は、電気事業の積極的な再編成というねらいがあるということは、昨日も申し上げた通りでございます。
  30. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 そういたしますと、この再編成にあたりまして、発電、電源開発、それから配電、この関係について、集排法も再編成法もやはり同等に適用される。この第二條によれば、集排法が原則として適用されて、この再編成法は補足的ではないかというようにとれるのですが、それはいかなる精神によつて特別法として取扱うか。何も特別法として取扱う必要はないと思うのです。その手続を……
  31. 小室恒夫

    小室政府委員 特別法一般法との関係は、当然特別法の方は優先的に適用があるわけでございまして、その意味で第三條などは最も重要な規定であります。また第四條の株式の比率を決定する点もさようでございますが、こういうふうに電気事業編成法で特別の定めをなしております場合には、その方が優先的に適用がございます。その優先的に適用がある部分が、電気事業編成法手続的な分野においても、実は相当重要な意味を占めておるのでございまして、その意味において、再編成法集中排除法両方とも適用がございますが、適用の順序についてはこの方が先になる、こういうことでございます。
  32. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 そうしますと、この日発解体においても、それから九配の強化においても、やはり本法律案が先に適用されるというふうになるのですか。そういたしますと、この第三條の付表の二によりますると、九配電会社の点については、従来通りにこれが認められており、日発電源開発の点についてだけ九分断するということになるのであります。そういたしますと、この法律は九配電会社に対してはこれを実質上も形式化も強化させるところの会社になり、自発の方は九つに分断されるということになる。そうなりますと、結局この日発電源開発の九分断につきましては、集中排除法適用されて、この再編成法の方は——その集排法によつて日発九つに分断された。それを配電会社の方にくつつける。そのためにしかこの再編成法適用にならないということになるのです。その点をはつきりしていただきたい。
  33. 小室恒夫

    小室政府委員 法律論の続きのようでありますから、私から御説明申し上げます。第三條第一項第一号に、「新たに九の電気事業会社を設立し、指定会社は、解散すること。」とございまして、指定会社日発及び九配電会社を全部網羅しておるわけでございます。従いまして單に日発のみならず、九配電会社集中排除法手続及び本法の定めるところに従いまして、解散いたしまして、全然同等の立場日発と九配電会社が寄り合いまして、新しい会社をつくるわけでございます。
  34. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 いや、その新しい点は第二にして、解体の点において、先ほど私が言つたような結果になるのであります。従つてそういう点から考えますと、九配電会社に対しては、むしろ集排法による指定を取消して、やはり日発に対しては、従前のこの集中排除法による指定によつて、この委員会にかけてやるというようなふうに、どうしてもそうしなければできないように考えられるのですが、その点についてはいかがでございますか。
  35. 小室恒夫

    小室政府委員 それは一つの考え方かと思いまするけれども政府が今般こういう案を採用いたしましたのは、集中排除対象になつておるのは、單に日発のみならず、九配電会社も同じように対象になつておる。従いまして両方とも集中排除指定会社として同等に取扱つて両方とも解散させ、両方とも新しい会社を一致協力してつくらせる、こういう観点を採用しておるわけでございます。
  36. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 だからこの集排法及び再建整備法——むしろ原則的にこの二つ法律適用になつて、そしてこの再編成法はその補足的なものになるのじやないかというふうになるのですが、どうしてもこじつけて、そうではないと言われるのですか。どうですか
  37. 小室恒夫

    小室政府委員 こじつけておるわけではございませんので、特別法が先に適用になる。もとより集中排除法には、非常に詳しい手続的な規定がございまして、あるいは量的に言えばこの八條の電気事業編成法よりも集中排除法の方が、條文の数から言えば、たくさん適用があるというような事態があるかもしれませんけれども特別法が先に適用になる、そういう意味でございまして、もし集中排除法法律体系の中に、これを特別法として入れるという意味でございましたら、坂本委員の御指摘のように、従属法とおつしやつても、その限りにおいては、純法律論としては、さしつかえないかと思います。
  38. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 なお最後にひとつ、これはだめになるかもわからぬのですが、そういうふうにすれば、この日発と九配とを一律に適用するということになれば、先ほどから法の精神と申されますが、私は法の精神にかえつて反するじやないかと思う。というのはこの九配電会社は、いわゆる戰時中の国家総動員法に基いて、四百余りのこの事業九つに統制した。すなわち最も過渡的の国家総動員法によつて配電会社ができた。日発の方はまだ国家総動員法ができない前に日発会社法ができて、それによつて統一されたのである。この二つ会社に対して——過渡的の国家総動員法に基いてできたものでない日発に、集排法をほとんど大部分適用して、そして過渡的の国家総動員法に基いてできた九配電会社に対してはそのままにして、電源の方をこれにくつつけて、さらに強化するということになる。これはこの再編成法の民主的目的にもかえつて逆行することになる。そしてその独占性を認める。民有民営の独占の強化されるということになる。従つてそうなりましたならば、この九配電会社がなお一層強化されて、電源のみが弱体化する。弱体化するどころか、なくなつて配電会社の方にくつつけられる。そういう関係になると、現在われわれ社会党の立場とは異なる自由党の立場からいたしましても、逆行するようになるじやないかというふうに考えられる。私の了解するところでは、この再編成は、電気事業の特質からして、二、三の特例を規定する必要があるからこれをやつたものである。すなわちこの補助、補足的の規定である。あくまでも中心は集中排除法により、再建整備法によつてやらなければならぬ。そういう建前でできておるのではないかというふうに考えられる。そうすればこの法の精神もスムーズに本條の目的によつて進んで行く。われわれの企図するところとは反対に逆行しますけれども、この法の精神に沿うて行くというふうに考えられるのであります。しかしながら今のようにあくまでも特別法が普通法に優先して、この法律がまつ先に適用されて、集排法は第二次的になり、一般法であるというふうになれば、この法の細部の適用においても、いろんな支障を来して来るのではないかということが憂慮されるわけであります。その点について御見解を承りたいと思います。
  39. 小室恒夫

    小室政府委員 日発が準戰時体制下におきまして設立されまして、配電の統合は純粹の戰時体制のもとにおいて行われたことは、坂本委員の御指摘通りでございますが、現在集中排除対象として、日発並びに各配電会社を考えます場合には、これは現在の国家管理体制における日発並びに配電の置かれている全体の体制を対象としておるのであります。必ずしも設立の当時の事情を非常に重要な要素としてさんしやくいたしておるかどうか存じません。なお配電会社集中排除指定につきましては、昭和二十三年七月に持株会社整理委員会から特別の発表がありまして、機構上特に再編成を要しない、電気事業の独占事業としての特質にかんがみて、機構上規模が増大したという意味から、再編成を要しないということで、司令部の了解のもとに行われた経緯もありまして、本日集排法でもつてその問題を取上げて、必ずしもその前後が矛盾するとは言えないと考えられます。なお普通法と特別法関係につきましては、今まで申し上げたことでありますので、省略させていただきます。
  40. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 あくまでも配電会社の強化ということを公共福祉という美名のもとに行われまして、そうして配電会社とくつつけて、この配電会社の強化をはかろうとすることを腹の中では思つておられるだろうけれども、表現できずに、そういう言葉が出る。でありますから、これ以上聞いてもむだであります。ただ私の考えるところは、持株会社整理委員会は、九配に対しては、その解体を緩和された。しかしこれは持株会社整理委員会がむしろ間違つたのだ。先ほども申し上げましたように、配電会社の方がむしろ過渡的な国家総動員法によつてできておる。これを緩和して、そうしてこの日本の電源の開発について、全国的に電源の増強をはかり、また画一的にその電源の余澤を受けようとするところの、この国家管理的の電源開発事業をいやが上にも分断をして、そうして配電会社の強化をはかつて、そこに一括して集中的の利益をはかろうとするという点については、われわれとしてはまつ向から反対をしなければならぬ。しこうしてその点についてこの特別法一般法との関係から推して行くならば、むしろこの排除法の指定の緩和どころじやない、取消してその上に立つところの法律適用でなければならぬということを、あくまで信ずるものでありますが、この点についてはこれで打切りまして、第三條の関係でありますが、もちろん第三條は再編成の基準の規定でありますが、第一にお聞きいたしたいのは、持株会社整理委員会が主としてやるか、公益事業委員会が主としてやるか、あるいはこの再編成にあたつて両方平等の関係で分担してやるか、あるいは双方入り乱れてやるか、その点を伺いたい。
  41. 小室恒夫

    小室政府委員 第三條のほかに、附則の第十二号をごらんになつていただきますならば、集中排除法の第二十條を改めまして、持株会社整理委員会集排法による職権を公益事業委員会に委任することができるという規定がございます。通常職権の一部を書くのが例でありますが、今回の場合は、持株会社整理委員会は場合によつては権限を全部、公益事業委員会に委任できる、こういう立場で特に一部という字を書いておらないのであります。第三條の趣旨は、「持株会社整理委員会又は公益事業委員会」とございますけれども、公益事業委員会が今回の電気事業編成の部分を主として担当する、こういうふうに御解釈願いたいと思います。
  42. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 そういたしますと、持株会社整理委員会の権限も、これを公益事業委員会に委任する。ただいまの答弁によると、一部でなくてほとんど全部を委任する場合もあるかもしれぬというお話でありますが、そういたしますと、先ほど申しましたように、この配電会社に対するところの関係は、公益事業委員会保護されて、日発会社に対しては全然持株会社整理委員会の権限を離れて、そうして公益事業委員会の方になつて、この日発会社の株主その他はまつた権利を剥奪せられたような関係になると思うのでありますが、その点についてはいかがでしようか。
  43. 小室恒夫

    小室政府委員 本法におきましては、指定会社日発でありましようとも、また配電会社でありましようとも、まつたく同一の取扱いをいたしておるわけでありまして、日発とか九配電とかいうことを特に掲げたような規定はございません。いずれも指定会社として取扱つておるわけでありまして、第四條にもございますように、公益事業委員会が、指定会社が引受ける新会社の株式の比率を決定するということがございますが、その四項で「株式の引受の比率を適正且つ公平に定めなければならない。」ということを書いてあります趣旨も、日発並びに九配電の株主、いずれに対しても不公平でない取扱いをするという趣旨が、当然盛られておるわけであります。
  44. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 この法は解釈よりも実行にあると思うのでありますが、とにかく電源の開発については、またその所有者に対しては、国民の権利をほとんど剥奪するような状態に置かれて、配電会社に集中されはしないかという危險を私は特に感ずるものであります。なおもう一つお聞きしておきたいのは、この第三條の第二で、九配電会社は地域的の関係で二、三箇町村の変更があるだけで、ほとんど現在とかわりはないのであります。従つてそれに対して発電の方を加えますと、非常な強化になるのであります。従つてこの結果から考えますと、これは政府の目的とされておるところの公平な配電の分配、電源の開発、低廉、サービスという点がかえつて剥奪せられまして、独占企業本位に配電会社の統一によつて、そこに集つてしまうというようなおそれが非常にあるのであります。従つてまた集排法の目的とするところは、過渡的のこの経済の解体にある。しかるに現在集排法指定を受けておる配電会社が、数倍もの強化を受けるということになれば、ポツダム宣言に基くところのこの集排法精神に、まつたく相反することになるのである。従つてこれは集排法の違反ではないかという点が考えられるのでありますが、この点はいかがでありましようか。
  45. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 今まで御質問の中で、しばしば繰返してお話がありました点は、配電会社の内容については、九つそのままになつてつて、そこに日発の分断から来たものがまた附加されて来る。それで前よりもむしろ経済力集中のような形になつて、それが集排法精神に違反するということにならないか、こういうようなお話ではないかと思います。しかし政府委員から御説明申し上げましたように日発も現在の九つ配電会社も、集排法適用によつて指定を受けておりまして、そうしてその指定を新たなこの法律によつて編成されるということになつておるのでございますから、法律的には別に違反ということはないと私は思います。ただ実質的にお話しのように九つ配電会社については、今までよりもむしろ力が強くなるのじやないか、こういうような御意見は実質から申しますと、確かにそう考えられないことはないと私は思います。けれども先ほどもたびたび申しましたように、こういう法案までつくりまして、電気事業については特殊な扱いをしておるということは、電気事業性質から来る特殊な理由によると言つてよいと思うのでございまして、今までの配電会社指定によつて、今度の処置の結果消滅をして、新しい会社が発送配電一貫してできるわけであります。それがどの程度の大きさになるのが一番電気事業性質、すなわち公共性と自然的独占性から言つて最も過当であるかという、新たな問題になると私は思います。その新たな問題として考えました場合に、発送配電一貫にしまして、経営を合理化するということの必要、公共性独占性の性質から考えて、あまりに小さく分断されるということは適当でないというような性質と、また事業の規模の適正化というような標準、それらのいろいろな点から考えまして、この法律による程度の分割で適切だろう、こういうところから解決されたものと思つております。
  46. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 ただいま大臣は、実質上は集排法の違反のような点もあるだろうということを認められて、形式上はあくまでも認められませんけれども、これはいかに政府——大臣が強弁されましても、われわれは絶対承服できないのであります。しこうしてまたこの電気分断におきましては、電気事業民主化委員会が設立されて、この分断には反対の結論が出たのであります。しかるに吉田内閣になりまして、電力再編成審議会ができまして、この九分断が出たわけであります。これに対しては国民こぞつて、ことに各府県の地方団体は県会議員を特派して、これに反対の意を表明していない自治団体はほとんどないだろうと思います。今国会の開会にあたりましてもこの分断案が出るというので、各府県から県会議員、府県知事、市町村長、こういう地方の指導的立場にある人々から決議をもつて、これに反対をして来た。また日発を初めその他この電気を多数使うところの会社関係も、こぞつてこの分断には反対をしておるのであります。また特に昨年の暮の電気料金の価格差によつて、電力料金の値上りを来しておる九州、北海道は痛切に、その点はわずかな料金の値上げの差額によつても、そういう事業が工場を閉鎖しなければならぬというような状態も出ておるのであります。かようなわけで、これは私が申し上げるまでもなく、全国民こぞつてと言つてよいほどに、この分断には反対をいたしております。従つてこの電力再編成審議会が九分断を政府に上申した、しこうして政府からはこれを司令部の方に持つて行かれたと思うのでありますが、その際この九分断の了解を求められる際におきまして、この審議会が決定したからこれによつてくれ、それだけであつたか、あるいは国民こぞつて反対をしておるから、この九分断に対しては国民が承服をしないであろうというようなことで、これの了解について政府はいかなる努力をされたか、その具体的のことを大臣からお聞きしたいと思います。
  47. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 審議会の答申案についての関係方面との接触の問題等は、私の就任する以前でございますから、私がお答えするにしても、当時の実際衝に当つた人たちから聞いて、お話するということになりますので、長官から直接お話申し上げた方がいいと思いますので、そう御了承いただきたいと思います。
  48. 始関伊平

    始関政府委員 昨年の十一月末に、電気事業編成審議会が発足いたしました。この審議会はその案をつくります過程におきまして、しよつちゆうGHQのケネディ氏と連繋を保持してやつてつたのであります。ところが御承知のように、審議会自体として完全に意見の一致を見ないままで、正式答申といわれる松永参考案との二つが、答申に相なつた次第でありますが、同時にこの二つの案はいずれもGHQといたしましては、承認しがたいものであるということが、この審議の過程におきまして、明らかにされて参つたのでありまして、GHQといたしましてはいわゆる十分断、これは水力の電源水系別に、主として発電の便宜ということから、信越方面に一つのブロックをつくるということによりまして、全国を十にわけるという案が、有力に示唆せられたのでございます。しかしがなら電力の不足の場合におきまして、電源地帶と消費地帶と完全にわけるということは、非常な支障があるわけでございまして、そういう意味合いにおきまして、この十分断案には賛成できないということが、答申案にははつきり書かれてあつたわけでございます。私どもといたしましては、せつかくGHQとの完全な了解のもとに委員会ができまして、しかも向うと連絡をとりながら、案を進めて参つたのでございますから、少くともGHQとの関係におきましては、完全に了解のできた案が審議会によつてつくり上げられるということを、期待いたしたわけでございますが、ただいま申し上げましたようにGHQとの関係においては、まつたく意思の疎通しない、また委員会自体といたしましても、意見が対立したままで、もつとも正式答申は多数決できまつたのでございますが、そういう状態で案が私どもに引継がれた、こういうことがまず第一にございます。そこで政府といたしましては、審議会の正式答申によるか、あるいは松永案によるかというような点が、問題になつたわけでございますが、この審議会の答申をお読みいただきますとよくわかりますように、審議会自体といたしましても、電力の再編成ということは、およそ松永案のごときものである。究極の形におきましてはそういうものになるはずだ。しかしながらさしあたりの事態におきましては、そこまで参りますことは、産業その他への影響が大きいので、暫定的に融通会社というものをつくるというような考え方になつておりました。そこでいわゆる正式答申は、電力再編成が即時断行には時期が早過ぎるということの意思表示としては、よくわかるのでございますが、これは昨日政務次官が申し上げましたように、それくらいならむしろ日発を残したままで、しばらくやつて参る方がいいということに相なるわけでございまして、電力の再編成趣旨に合わないというふうに考えた次第でございます。しかしながら暫定措置を必要とするという点につきましては、私どもも同感でございます。そこで料金の地域差の拡大を防止いたしますための特別の措置というようなものをきめ、また電力の融通が不円滑になるのではないかという心配に対しましては、供給地区外にも必要な電源を持たすというようなことを決定いたしまして、これを政府の案といたした次第でございます。そこでこのような暫定措置としての政府の考え方につきまして、先方との折衝が非常に難航いたしまして、そういうような点で議会の提案も非常に遅れたというようなことになつておるわけでございます。これらの折衝の過程を通じまして、要するに国民の納得できる、議会としては御承認のできるようなそういう案をつくりたいということに、私どもの考えは終始あつたのでございまして、さような観点から不十分な点もございますが、だんだん妥結いたしまして意向が近よりまして、ただいまお手元に差上げておりまするような案に相なつた次第でございます。この間どういうような努力をしたかという点でございますが、これは政府との折衝が始まりましたその直後におきましては稻垣大臣、その後におきましては池田大臣、最後には現大臣がおやりになつたのでございますが、ただいま申し上げましたように、集中排除という意味合いにおきまして、この再編成がやむを得ないものであるのみならず、日本の現状からいたしまして、これをやつた方がいいという見解に立ちまして、しかしながらそれが急激に実施されますことの惡い影響というものを除くという点につきまして、非常な努力が拂われ、そのために日数も非常にかかつたという点を申し上げまして、ただいまの御質問に対するお答えにいたしたいと存じます。
  49. 坂本泰良

    坂本(泰)委員 今の点は與党である自由党の委員からも最初から聞かれて、やはりこれはまだ納得できないと思うのですが、私どもこれ以上聞いても納得の行く程度に行かないだろうと思います。行かないという点は、政府が日本の現状からして、世界の情勢からしましても、やはり電源の問題は、一あるいは二の、この統制された関係でやられ、配電の点は多数にわたつており、また農業方面その他の方面ということにわかれておるのでありますが、この点諸外国の例を見ましても、今度の九分断、電源配電を一緒にしてやるというようなことは、これは日本が初めてじやないかと私は考えるのであります。しこうしてただいま御説明の中にもありましたように、司令部とのまとまりがなかなかつかなかつた。暫定処置でやむを得ないからこれでよろしいと思つた。その暫定処置というのが、真に国民の福利増進幸福になるというのなれば、これはもつともでありまするが、本法案は第一條の公共福祉という美名のもとに、国民の権利を剥奪するところの、憲法違反のごとき法文をつくるということは、これは一般、学者、実際家から非常な異論が出ておる点でございます。従つて私はむしろこうも考えておつたのであります。この電力について集中排除法指定を受けたというのは、最初は私はやはりこの電力が軍事力に対して相当の力を持つておる。従つてやはりポツダム宣言に基くところの日本の軍事力の破壊ということで、私は最初集中排除法指定を受けるということになつたのではないかと思います。しかしながら五年前の当時と現在の日本の状態というものは、すでに新憲法が実施されまして、日本の軍事力の再建ということは、ほとんど考えられない状態になつておる。しこうして電力に基くところのこの軍事力の再建というようなことは、今八千万国民が全部考えていないと思います。従つて現在この電源の開発に集中して、そうして国家管理というよりもむしろ一歩進んで、国営にしてこの電源の開発をいたしまして国民にその余澤をこうむらせるということは、これは軍事力の破壊という目的はほとんどなくなつて、現在は日本の経済の再建についての唯一のものであると私は考えるのであります。従つて昭和十七年に日発が設立されましたような、あの当時は多少軍事力の関係はありましたでしようけれども、現在は何としても電源開発は国家的にこれをやらなければ、日本の経済の発展ということは、どうしても考えられないのであります。従つてポツダム宣言の日本の軍事力の破壊という点から考えましたならば、何ら排除法の関係はないのであります。先般宮幡次官の説明にもありましたように、集中排除法指定を受けたものの三分の一、いや半分くらいまで現在は指定を解除されておるのであります。この電力関係電源関係においては、私はまつ先にこの排除法の指定を解除してもろう。政府はまたこれに努力すべきが当然の政府の任務ではないか、これが国民の経済力を助け、国民の福祉を行うもとではないかと思うのであります。従つてこの見地に立たずに、国民全部の非難をこうむりながら、この法案を出すというのは、これは政府がまだ真に日本の国情と国民の真意を関係方面にただし方が足らなかつたと思うのであります私はこの法案は審議未了になると思うのでありますが、小さい質問はたくさんありますが、こういう質問をやるまでもなく、審議未了になりましたならば、もう少し国民全部が賛成するような、国民の福祉に合うような案を立て直して、そうしてどうしても再編成をやるならば、法律的にも、実質的にもむちやくちやであるところのかような法案でなくて、もつと民意に沿うたところの法案をつくつて出しまして、これは審議未了になつたのを幸いにこのままにしてもらつて、新しく出し直す、それが真に日本の電気事業の将来に対するところの任務ではないかということを最後に申し上げまして、もし継続審議にでもなつたならば、材料を得てそのときあらためて質問いたすことにいたしまして、私の今回の質問はこれで打切ります。
  50. 澁谷雄太郎

  51. 多武良哲三

    ○多武良委員 私の質問は大体同僚委員からすでに質問済みでありますが、やはりまだ納得いたしかねる点もありますので、重ねてお伺い申し上げたいと思います。  提案理由にもありますが、電気事業の再編成は、昭和二十三年二月、日発及び各配電会社集中排除法による指定を受けて以来の懸案でありまして、ポツダム宣言の要請による経済民主化方策のきわめて重要な一環をなすものであります。政府としては諸般の客観情勢にかんがみ、すみやかにこの懸案を解決する必要を痛感いたしましたので、昨年の十一月通商産業省に電気事業編成審議会を設置し、爾来再編成の方策を愼重に審議して参つたのであります。かようになつております。私もさように解釈いたしておつたのでありますが、先ほど小室政府委員からの御説明によりますと、配電会社集中排除は、二十三年七月ですか、司令部の了解によりまして現状でよいというようなことでありましたが、そういたしますと、日本発送電は明らかに経済力集中の排除が行われていることになつておりますが、配電会社の方は、むしろそういう観点から集中排除をせずに、逆に発電、送電、これらをつけ加えまして、むしろ電気事業の特殊性にかんがみて、経済力を逆に集中したというふうに解釈してよろしゆうございますか。これは大臣にひとつお伺いしたい。
  52. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 ただいまの御質問の中で、小室政府委員から答弁した点について、配電会社については、持株会社整理委員会で、集中排除の必要なしというようなことを、はつきり決定したというふうに御解釈になつたように見えますのですが、はつきりそういうことを決定いたしたというわけではないのであります。     〔澁谷委員長代理退席、神田委員長代理着席〕ただ電気事業の独占的な性質公共性等からいいまして、非常にこまかく分断されるということは、電気事業の本質に反しているというところから、配電会社につきましては、一般の産業のような意味での集中排除は必要がないというところから、指定はそのままでありますけれども、排除についてのやり方を、配電会社については別個に考えておるという意味であつたろうと思います。  それで次の御質問の点は、先ほど坂本委員からの御質問にあつたのと、大体同じようなことになりますが、確かに実質的に見ますと、配電会社に対しましては、今度の再編成の結果といたしまして、旧会社解体し、新たな会社にはなりますが、供給区域等はそのままに引き継がれているようなところから、今までの資産に対してさらに発電所の分割されたものがついて行きまして、ある意味では経済力が一層集中したような形になつて行くということは、確かに事実であります。けれども、それはさつきお答えいたしましたようなわけで、産業合理化、経営合理化というような見地から、発電、配電一貫経営ということが必要で、適当であるという見地から、発電を配電につけるということが考えられ、そうしてそのつけた一貫経営の会社として、どの程度の分断が適当であるかということが考えられた結果といたしまして、事実上九つ配電会社に、今までの供給区域に分割される、こういうことになつたわけであります。それで一般産業のように考えますれば、確かに御意見のように、非常に大きな経済力集中であり、独占の弊害が起きやすいものと言つていいのであります。従つてそれを一層排除しなければならない、こういう見方になると思うのでありますが、それは電気事業性質からいつて、あまりに小さく分断するということは適当でないというところから、現在のような結論になつたと言つてよかろうと思います。けれども、そういうふうになつておる結果、集中排除法等でもつて、懸念するような独占的な弊害が起きないようにしなければならないということで、公益事業委員会というものをつくつて相当強力な権限をもつて公共性にこれを合致せしめて行くという方策が、とられておるわけであります。
  53. 多武良哲三

    ○多武良委員 ただいまの電気事業の特殊性ということは、なるほど御説明で了解できるのでありますが、しかしポツダム宣言の要請による経済民主化、こういう意味合いで集排法適用される。その集排法に流れておるところの精神は、やはり一貫しておると考えられるのであります。当時幾多の会社が、やはりこの電気事業ばかりでなく、集排法指定を受けているのであります。この電気事業の再編成をまず研究する場合に、やはり必要な参考資料と思いますが、集排法によつて指定を受けたいろいろな会社の提出した再編成計画、あるいはこれに対する措置、あるいはその措置に至るまでの経過を調査した資料が、もし御提出願えたら、出していただきたいと思います。というのは、どうも電気事業編成法案ばかりは、集排法精神から見て適合しておらないというふうに考えられます。九ブロツク会社にしたあとで、さらに何らか第二段の策を持つておられるかどうかということを、お伺いしたいと思います。
  54. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 ただいま御要求の資料につきましては、できるだけのものを差上げることにいたします。この法律でもつて、再編成されたあとで、また何らかの措置をするようなことを考えているか、こういう御質問であると思いますが、現在のところ、別に特に考えているというところはございません。
  55. 多武良哲三

    ○多武良委員 なおまた先ほど大臣から、この九ブロツクにしたのは、それ相当の理由があるという御説明がありましたが、提案理由では、再編成審議会の答申と、参考意見を勘案して結論を出した、かように御説明になつております。公益事業法はしばらく別としましても、かんじんのこの再編成については、答申を全然無視したと見るのが適切であるようであります。どういうわけで政府がかかる態度を、おとりになつたか。再編成審議会の答申は尊重すると、当時特に強く政府から御発言になつた。ところがこれに一顧も與えず、参考意見のみを骨子として、政府案をつくつたことは、まことに不明朗であります。一体この再編成審議会というものは、どういう意図のもとにつくられたか、司令部の意思によつてつくつたものか、政府がやはり再編成審議会をつくらなければ、この電気事業編成はできないというお考えでおつくりになつたのか、そこをひとつお伺いしたい。
  56. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 提案理由でも御説明申し上げましたように、再編成ということは、非常に重大な問題でありますので、政府が独断的にこれを考えるべき問題ではございません。それで審議会をつくつて、この問題を研究して行くということで、できたものであります。それをそのまま採用できなかつたという事情は、さつき資源庁長官から御説明した通りでありまして、決して全然無視したわけではございませんで、やはり審議会において討議された意向、答申等は、十分考慮し、検討した上で、これができたと御了解願いたいのであります。
  57. 多武良哲三

    ○多武良委員 ただいま十分審議し、考慮したというような御答弁でありますが、実際はこの審議会の意見は、われわれとしては少しも尊重されておらないように考えられるのであります。この答申と参考意見については、この法案をつくるまでに、いろいろ愼重に研究を積まれたこととは存じますが、両者についてそれぞれ利点とか難点、あるいは誤謬のあつた点などを、詳細に御検討された何か資料があつたら、出していただきたいと思います。
  58. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 ただいまの御要求の資料につきましては、至急こちらでもつて整理いたしまして、お届けします。
  59. 多武良哲三

    ○多武良委員 それから民有民営によりまして、企業の活発化を企図すると、やはり提案理由に御説明になつておりますが、いわゆる企業の活発化とはどういうことか、現在の企業で活発化を阻害している原因がどこにあるか、むろん民有民営というものは歓迎すべきでありまするが、今回の法案によりまして、どれだけ国家管理態勢を刷新いたしましても、改正そのものよりは、行政官庁の監督の仕方そのものが、相当影響するだろうと思います。九配電会社について見ますと、これは国家総動員法によつて誕生したものでありますが、これはしばらく別としましても、大体完全な民有民営であります。それを活発化するという意味ではなくて、おそらく日本発送電会社の企業を活発化させるのだ、こういうふうにわれわれは解釈するのですが、それでは九配電会社は今まで民有民営会社として活発化していなかつたか、これをひとつお伺いしたいと思います。
  60. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 民有民営によつて企業の経営を活発化するという趣旨は、御了解ではないかと思うのでありますが、国有とか国家管理というものの企業意欲、経営精神というものが、非常に官僚化され、不活発になるということは、一般に認められておりますから、抽象的に考えて、国有とか国家管理と、民有民営との間に、企業精神、企業意欲の違いが出るということは、これは明らかではないかと思います。それで日発につきましては、その点がある程度当てはまる。配電会社については、確かに今までは民間会社の実質を持つてつたわけであります。その点は民有民営に今度かわるということにはなりません。しかし発送電の方がそういう状態にあり、また発電と配電との関係が切断されているというようなことから、責任態勢というようなものも明確でなくなつて来ておりますし、結びつきの関係でいろいろ支障があるというようなところから、おのずから経営者の意欲も不活発になるということは、どうしても免れないと思う。それを一貫した経営体にしまして、そうして民有民営の基礎におくということになれば、確かに今までよりは、民有民営による経営の活発化という美点は増加して行く、こう私どもは考えているわけであります。
  61. 多武良哲三

    ○多武良委員 それでは少くとも従来の配電会社事業は、非常に活発であつた、かように解釈しておられるのでありますか。
  62. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 今申しましたように、日発は国家管理のもとにありましたし、それと配電会社との間が一貫されておらないで、切断されておつたということから、今までの配電会社としましても、経営についての十分な意欲、活発な創造的な精神が、十分発揮されなかつたという欠点は、なつたのではないかと私は考えております。
  63. 多武良哲三

    ○多武良委員 それでは次の質問に移ります。ただいま大臣から、発送電並びに配電を一貫経営にして、責任態勢をとらせる、かような御説明がありました。この法案によりまして、一応一貫経営の点では、責任が明確となるようでありますが、しかし一方、先ほど来大臣が御説明になつております通り、公益事業委員会が、電力融通とか、あるいは料金地域差について命令を出すことになつておりまして、委員会会社経営の実体に深入りすることになるのであります。経営責任はいたずらに不明確になるのではないかと考えられます。その点はきわめて重大でありまして、看板として掲げた責任態勢の明確化は、まつた意味をなさないことになる、一貫経営によりまして責任の明確化は、この問題と比較しますと、まことにとるに足らないように考えられるのでありますが、大臣はいかようにお考えになつておりますか。
  64. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 この点につきまして、昨日お答えしたのでありますが、電気事業公共性という点からいいまして、またそれが自然的独占性のものでありますから、ある程度の独占を認める、こういうところからいたしまして、一般産業のように、まつたく経営の自由を認めるということは、これは公共的の立場からいつてできないのであります。ですから、ある程度の経営に対する統制に当るようなものが、公益事業委員会において加えられるということは、これはやむを得ないことだと思います。むろん経営者の自由な意欲の発露という点からいいますれば、それが何らかの支障になるということは事実でありますけれども、それは今言つたような特殊な電気事業性質から申しまして、やむを得ないことであろうと思う。けれどもこれを国家管理とか、国有とかいう場合に比べますと、公益事業委員会が関與する経営への範囲というものは、きわめてわずかでありまして、経営の内容の点等につきましては、ほとんど関與しないということになりますから、今度の再編成によりまして、活発な企業意欲を発揮するという点が、お説のように全然沒却されてしまうということにはならないであろうと、私は信じておるのであります。
  65. 多武良哲三

    ○多武良委員 この法案は、供給力の増強をねらつたものであると御説明になつております。その場合、供給力とは、供給の電力量の増加と、その質の向上をねらつておるものと解しておりますが、はたしてその通りの効果が期待できるかどうか、はなはだ疑わしいのであります。われわれはむしろ今回の法案を実施すれば、目下最大の関心事であります電源の関発が、円滑に進まないことを懸念いたしておるものであります。この点につきまして、政府はどんな確信と対策を持つておられるか、九ブロツクにすることによりまして、電力融通が阻害され、供給力がそれだけ低下するか、またはむだにされると考えられるのであります。これらのことについては、再編成審議会でも検討されたようでありますが、その結果は、電力不足がさらに深刻になると伝えられております。ところがこの問題につきましては、先般来多くの同僚委員から御質問がありまして、それに対して大臣並びに政府当局の方々から、るる御説明がありましたが、実際は電力供給の実務担当者と経営者を集めて、十分研究されたことと承つております。その際におきますところの速記録とか、何か記録がありましたら、これをひとつ御提出願いたいと思います。
  66. 始関伊平

    始関政府委員 電力融通の問題を審議いたしました際の速記録その他の資料は、できるだけとりまとめまして、差上げることにいたします。
  67. 多武良哲三

    ○多武良委員 現在電気事業のサービスを改善するような点は多々あることと思います。今回の法律によりまして、その改善をはかると申されておりますが、現在サービスの惡い点は、どのようなところが、またどのような改善をされんとするのか、具体的にひとつ御説明を願いたいと思います。
  68. 始関伊平

    始関政府委員 ただいまの御質問でございますが、全般を通じまして、日発の方が悪くて、配電の方はいいのだとか何とかということではございませんので、日発というものと配電会社というものが、完全なプール計算でやつておりますような、そういう電力体制の現在の機構全般に不合理な点があるというふうに考えておる次第でございます。配電会社といたしましては、最大の関心事は、自分の会社に対する日発からの電力卸売り料金がどうなるかということでございまして、これは料金と会社の経費というものを合せまして、そこに適当な卸売り料金がきまつて参るという形になつております。従いまして、一つの発送電会社九つ配電会社とは、経理的にはあくまでも一つ会社のような実際の動き方になつておるのでありまして、非能率でありますとか、サービスが惡いとか、そういう点はただいま申しました九つ配電会社と発送電会社との経理的な、そういう全面的なプール関係、それから発送電と配電とが分離されておるという点から参るように思われます。その場合におきまして、どういう点が具体的に問題になるかという点でございますが、これは昨日も申し上げましたように、たとえばせつかく雨が降りまして、余剩の電力が相当ありましても、会社二つにわかれておりますために、その有効な利用がはかられないというような顯著な例があるのでございます。それからまた配電会社の側が経営の合理化をやりまして、それによつて配電経費を減らしたといたしましても、その結果は日発の卸売り料金が逆に高くなるというような現状でございますので、配電会社の経営全体についての合理化も実現できない、その一つの顯著な現れといたしまして、これだけではございませんが、ほかにも理由があると思いますが、御承知のように百万キロワツトの電気がありましても、これが消費者のところに参りますと、七十万キロワツト程度になります。つまり送電のロスが盗用——壇用を含めまして三〇%近くもある盗用——壇用も何らかの形で有効に使われておるのではないかというような御意見もございましたが、これはさして有効に使われておるとは思われませんのみならず、全般の電力料金を不当に高くしておる。これに対する取締りはできないということにつきましても、これは先ほど申しましたような発電配電の一貫体制、プール計算の廃止ということによりまして、だんだん引締めて参るというように期待をいたしております。  それからついででありますが、地域差の調整をいたしましても、これは水力の方から一定のものをとりまして、火力の方に一定のものをやるというわけでありまして、ある程度のプール計算ではありますが、独立採算制を害するようなそういう全面的なプール計算になるとは考えておらないわけであります。なお停電その他の事故に対する責任関係が不明確でありまして、適切な施策がすみやかに講ぜられないとか、その他いろいろありますが顯著なものといたしまして、以上の二、三の点を申し上げておきます。
  69. 多武良哲三

    ○多武良委員 電気事業を再編成するということと、外資の導入と何か関係があるかどうか。
  70. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 再編成そのものと直接からんで、外資を具体的に考えておるというわけではございません。しかし電気事業を合理的に再編成をいたしました結果として、日本の電気事業の健全な発展ができて行くということになれば、おのずから外資導入ということもやりやすくなりましようし、電源開発等につきましては、今度の再編成とはまた別個に外資ということも考えられる、こう思つております。
  71. 多武良哲三

    ○多武良委員 電気事業には多額の長期資金を必要とするということは、必ずしも異論はないのでありますが、そこで今回の再編成におきまして、外資導入に資せしめる。ただいまもしうまく行けば外資が入つて来るのじやないかというような御答弁でありましたが、現在外資が電気事業に導入されないのは、企業形態に原因があるのか、それとも日本の産業全体に対する米国の政策によるのではないか、こういうふうに考えられるのであります。企業形態さえかえれば外資が導入できるというふうに見るのは、どうも了解しがたいところであります。なるほど電力の余つておるときは、その消化に重点があるから、配電まで持つて行くことが、一応收益に確定性があろうと思いますが、しかし日本は当分電力不足の状態を脱却するわけには行かない。問題は米国の政策でありまして、投資家の立場からすれば、收益力と担保力が問題になるのじやないかと思います。従来一貫経営でなければ外資が入らなかつたのか、あるいはまた戰後外資がどのような状態にある企業に対して導入されたか、これもまた何か具体的な資料があつたら、あとで御提出を願いたいと思います。  さらに重ねて先ほどの大臣の御説明に対して、御質問するのでありますが、公益事業委員会は、国家管理と違いまして事業経営に介入しない、同時に電力の融通、料金の地域差については必要な命令をする、こういうふうに言われておりますが、これはまつたく相反することになるのじやないかと思います。電力融通を命令したり、料金の地域差について必要な命令をするということは、事業経営の根幹を左右することになりまして、これは事業経営に介入しないとおつしやられるのかどうか、はなはだ疑問なのでありますが、これについての御答弁を願います。
  72. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 まず最初の外資の点でありますが、担保の関係で一貫経営の方が、外資が入りやすいということは事実のようであります。それから今の経営に関與しないという点についての御質問でありますが、私も経営にある程度関與をするのだということはお話したのでありまして、ただ国有とか国家管理というように経営者としての自主性を非常に破壊するようなこまかい点にまで関與しない。必要な最小限度の関與は、むろん公益事業委員会の監督によつて行われることは、事業性質からいつてやむを得ないということを申し上げたのでありまして、地域差の調整とか、融通関係等につきましては、まず原則としては会社間の自由意思による協定ということで、解決しようということになつておりますが、それができない場合においては、どうしてもある程度の関與をする。しかしそれがために経営の自主性を非常に破壊するという程度まで関與するというわけではないというつもりでおります。
  73. 多武良哲三

    ○多武良委員 ただいま大臣から経営に対して介入しないというような御答弁でございましたが、きわめて重要なポイントは、ことごとくこの公益事業委員会の決定にまかせるというような法律でありまして、私などは国家総動員以上なものと判断しておるのであります。同時に国会を無視するような法案でもないかと考えられるのであります。とにかく当面最大の急務は、わが国経済の再建にあるのでありまして、このためには国をあげて協力することが必要であります。世人に納得の行かない、明確な利点に乏しい、それからまた戰後の悪習を繰返しているにすぎないような法案を出されたことは、まことに遺憾であると在ずるのであります。時間も大分たつたようでありますから、一応私の質問はこれで終りまして、あらためて小さなことについては、またの機会に質問さしていただきます。これをもつて終ります。
  74. 神田博

    ○神田委員長代理 本日はこの程度にとどめまして、これにて散会いたします。     午後四時二十七分散会