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始関政府委員 昨年の十一月末に、
電気事業再
編成審議会が発足いたしました。この審議会はその案をつくります過程におきまして、しよつちゆうGHQのケネディ氏と連繋を保持してや
つて参
つたのであります。ところが御承知のように、審議会自体として完全に意見の一致を見ないままで、正式答申といわれる松永参考案との
二つが、答申に相な
つた次第でありますが、同時にこの
二つの案はいずれもGHQといたしましては、承認しがたいものであるということが、この審議の過程におきまして、明らかにされて参
つたのでありまして、GHQといたしましてはいわゆる十分断、これは水力の
電源水系別に、主として発電の便宜ということから、信越方面に
一つのブロックをつくるということによりまして、全国を十にわけるという案が、有力に示唆せられたのでございます。しかしがなら電力の不足の場合におきまして、
電源地帶と消費地帶と完全にわけるということは、非常な
支障があるわけでございまして、そういう
意味合いにおきまして、この十分断案には賛成できないということが、答申案には
はつきり書かれてあ
つたわけでございます。私
どもといたしましては、せつかくGHQとの完全な了解のもとに
委員会ができまして、しかも向うと連絡をとりながら、案を進めて参
つたのでございますから、少くともGHQとの
関係におきましては、完全に了解のできた案が審議会によ
つてつくり上げられるということを、期待いたしたわけでございますが、ただいま申し上げましたようにGHQとの
関係においては、ま
つたく意思の疎通しない、また
委員会自体といたしましても、意見が対立したままで、もつとも正式答申は多数決できま
つたのでございますが、そういう状態で案が私
どもに引継がれた、こういうことがまず第一にございます。そこで
政府といたしましては、審議会の正式答申によるか、あるいは松永案によるかというような点が、問題にな
つたわけでございますが、この審議会の答申をお読みいただきますとよくわかりますように、審議会自体といたしましても、電力の再
編成ということは、およそ松永案のごときものである。究極の形におきましてはそういうものになるはずだ。しかしながらさしあたりの
事態におきましては、そこまで参りますことは、産業その他への影響が大きいので、暫定的に融通
会社というものをつくるというような考え方にな
つておりました。そこでいわゆる正式答申は、電力再
編成が即時断行には時期が早過ぎるということの意思表示としては、よくわかるのでございますが、これは昨日政務次官が申し上げましたように、それくらいならむしろ
日発を残したままで、しばらくや
つて参る方がいいということに相なるわけでございまして、電力の再
編成の
趣旨に合わないというふうに考えた次第でございます。しかしながら暫定
措置を必要とするという点につきましては、私
どもも同感でございます。そこで料金の地域差の拡大を防止いたしますための特別の
措置というようなものをきめ、また電力の融通が不円滑になるのではないかという心配に対しましては、供給地区外にも必要な
電源を持たすというようなことを決定いたしまして、これを
政府の案といたした次第でございます。そこでこのような暫定
措置としての
政府の考え方につきまして、先方との折衝が非常に難航いたしまして、そういうような点で議会の
提案も非常に遅れたというようなことにな
つておるわけでございます。これらの折衝の過程を通じまして、要するに国民の納得できる、議会としては御承認のできるようなそういう案をつくりたいということに、私
どもの考えは終始あ
つたのでございまして、さような観点から不十分な点もございますが、だんだん妥結いたしまして意向が近よりまして、ただいまお手元に差上げておりまするような案に相な
つた次第でございます。この間どういうような努力をしたかという点でございますが、これは
政府との折衝が始まりましたその直後におきましては稻垣大臣、その後におきましては池田大臣、
最後には現大臣がおやりにな
つたのでございますが、ただいま申し上げましたように、
集中排除という
意味合いにおきまして、この再
編成がやむを得ないものであるのみならず、日本の現状からいたしまして、これをや
つた方がいいという見解に立ちまして、しかしながらそれが急激に実施されますことの惡い影響というものを除くという点につきまして、非常な努力が拂われ、そのために日数も非常にかか
つたという点を申し上げまして、ただいまの御
質問に対するお答えにいたしたいと存じます。