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1950-04-28 第7回国会 衆議院 通商産業委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十八日(金曜日)     午後零時五分開議  出席委員    委員長代理理事 澁谷雄太郎君    理事 小金 義照君 理事 永井 要造君    理事 村上  勇君 理事 今澄  勇君       阿左美廣治君    岩川 與助君       江田斗米吉君    門脇勝太郎君       首藤 新八君    田中 彰治君       多武良哲三君    中村 幸八君       前田 正男君    加藤 鐐造君       坂本 泰良君    伊藤 憲一君       田代 文久君  出席国務大臣         通商産業大臣  高瀬荘太郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       宮幡  靖君         資源庁長官   始関 伊平君         通商産業事務官         (資源庁電力局         長)      武内 征平君         通商産業事務官         (資源庁電力局         電政課長)   小室 恒夫君  委員外出席者         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君     ————————————— 四月二十八日  滅失鉱業原簿調製等臨時措置法案内閣提出第  一八九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  公益事業法案内閣提出第一七八号)  電気事業編成法案内閣一七九号)  滅失鉱業原簿調製等臨時措置法案内閣提出第  一八九号)     —————————————
  2. 澁谷雄太郎

    澁谷委員長代理 これより通商産業委員会を開会いたします。本日は私が委員長の職務を行います。  この際お諮りいたします。本日内閣より提出されました滅失鉱業原簿調製等臨時措置法案が先刻本委員会に付託になりました。ただいまより日程を追加して、本案議題として提案理由説明を求めたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  3. 澁谷雄太郎

    澁谷委員長代理 御異議なしと認めます。それではただいまより本案議題として、提案理由を求めます。始關政府委員。     —————————————     —————————————
  4. 始関伊平

    始関政府委員 ただいま議題となりました滅失鉱業原簿調製等臨時措置法案につきまして、その提案理由を御説明します。  過般の戰災によりまして、昭和二十年六月十九日に旧九州地方鉱山局に保管しておりました鉱業原簿砂鉱原簿鉱業に関する願書等の全部と、昭和二十年七月十日に旧東北鉱山局に保管しておりましたそれらの一部が各滅失したのでありまして、その数は鉱区の数で約一万二百、鉱業に関する願書等で約三千百と推定せられるのであります。よつて政府といたしましては、滅失した鉱業原簿及び砂鉱原簿については、鉱業登録令第七條の規定によりまして、昭和二十年九月一日商工省令第一号をもつて滅失鉱業原簿調査規則を、同二号をもつて滅失したる砂鉱原簿調製に関する件を各公布して以来鋭意調製に努めまして、現在までに約六五%の調製を見たのでありますが、その残余につきましては、官庁側はもちろん、鉱業権者側におきましても、証拠資料が乏しいために、ほとんど調製の見込みが立たないのであります。  また滅失しました鉱業に関する願書等については、行政上の措置としまして、新聞、ラジオ等報導機関を通じし、再提出するよう周知方に努めたのでありましたが、再提出は約二〇%にすぎないのであります。  大体以上のような実情でありまして、かような不安な状態をこのまま放置しておくことは、鉱業基本となる鉱業権が不確定であり、また鉱業に関する出願の効力も不明確であるために、鉱業実施について種々の支障があるとともに、他の一般鉱業出願につきましても、適正な処分が不可能な状態ににあるのであります。  このように不明確となつ鉱業または砂鉱業に関する権利関係を確定することを目的としまして、この法律を立案した次第であります。  この法律案の要点を申し上げますと、第一には、滅失した鉱業原簿調製または鉱業に関する願書等につきましては、原則として申請によつて処理することとしたのであります。滅失した鉱業原簿調製につきましては、その滅失の原因がたとい不可抗力的なものでありましても、その本来の性格からすれば、所轄官庁がそれを調製して、その調製について不服のある者のある場合に限つて、その者に対して救済の道を開くという法の構想が望ましいのでありますが、すでに申し述べました通り、官庁側調製についての資料がないためにやむを得ずとつた措置なのであります。  従つて第二には、権利関係を確定するために、一定の期間内に申請をしない者の当該権利を、原則として消滅せしめることとしたのであります。  第三には、申請の事実が確認できないときは、通商産業局長は、これを却下することができることとし、この場合には、当該申請人利害関係人に出頭を求めて、公開による聽聞を行い、これらの者から証拠を提示しまたは意見を述べる機会を與えることとしたのであります。  第四には、却下処分または調製した鉱業原簿登録事項につきまして、不服のある者は、通商産業大臣異議申立てをすることができることとしたのであります。この場合にも、却下の場合と同様に聽聞を行いまして、その結果によつて異議申立てについての決定を行うこととしたのであります。  第五には、経過規定といたしまして、昭和二十年商工省令第一号滅失鉱業原簿調製規則、及び同二号滅失したる砂鉱原簿調製に関する件の規定によりまして、すでに調製申請をし、またそれによつて調製されている鉱業原簿または砂鉱原簿につきましては、すべてこの法律によつてしたものとみなしたことであります。  以上申し述べたような方法によつて鉱業または砂鉱業に関する不明確となつている基本的な権利関係を確定いたしまして、今後は明確な基礎の上に立つて鉱業実施し、または鉱業に関する出願等処理をすることができるようにして、鉱業の円滑な発展に資したいと考えている次第であります。  何とぞ愼重御審議の上、可決されんことを希望いたします。
  5. 澁谷雄太郎

    澁谷委員長代理 これにて本案説明は終りました。
  6. 小金義照

    小金委員 私はこの問顧について、資料の要求をいたしたいと思います。今、提案理由に詳しくお述べになりましたように、この法律目的はきわめて事務的なものでありまして、わが国鉱業のもとになる鉱業原簿の復旧ということでありまして、非常に重要なことであります。鉱業に関する権利関係を不明確な状態に放置しておくということは、わが国鉱業政策からも、きわめてよろしくないことであつて、すみやかにこの法律が施行されることを、私は希望します。説明の中にもありましたように、こういう不確定なものがあるために、その後の出願処理にもさしさわりがあるということでありますが、大分鉱業出願処分が遅れているという声を聞いておりますので、日本全国を通じまして、今どのくらいの出願未済の件数がありますか。各通商産業局所管別に、その表を調製していただきたい。一番長いのは何年くらい未処分のままであるか、それが知り得るような表にしていただきたいと思います。
  7. 澁谷雄太郎

    澁谷委員長代理 引続き公益事業法案及び電気事業編成法案審議を進めることにいたしますが、大臣出席がありませんので、ただいまより休憩をいたすことにいたします。     午後零時十五分休憩     —————————————     午後二時一分開議
  8. 村上勇

    村上(勇)委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  ただいまより公益事業法案及び電力事業再編成案一括議題として審議を進めます。質疑を継続いたします。門脇勝太郎君。
  9. 門脇勝太郎

    門脇委員 政府は今般電力事業編成法案並びに公益事業法案二つ提案されたのでありますが、二つとも国家再建産業の復興に密接不可分関係を持つものでありまして、非常に重大法案であることは、あえて私が喋々説明するまでもありません。しかるにかかる重要法案を会期きわめて切迫しております今日、御提案なつたことまた審議開始にあたりまして国会を牽制する意味ではなかつたということは信じますが、先般高瀬大臣経済科学局のケネデイ氏との会見談をやや誇大に放送しておる。これらの事実からして国会が国権の最高権威であるということを、はたして大臣は十分に認識をしておられるかどうか、こういうことについて、いささか不審かつ遺憾の思いをいたすものでありますが、これらの事項につきましては、すでに同僚委員諸君から、先日来、相当深刻な質問があつたあとでありますから、私は差控えたいと思うのであります。  ただ質問に先立ち、特に申し上げておきたいことは、われれわは全国民の負託を受けて、立法府に参画しておる以上、国民の総意を体しまして十分納得の行くまで審議をいたしたい、かく考えておる次第でございます。よつて質問が多少重複する点がありましても、どうかこれに対して懇切なる御説明御答弁をお願いいたしたいのであります。  昨年十二月政府は議会に何の協議もなしに、独断で大幅の電力料金改正を断行されたのでありまして、しかもこの電力料金改正が従来の均一制を撤廃しまして、高率な地域差を付されての値上げであつたのでありますが、電力が制限されない戰前におきます電力全国的需給のバランスにおきましては、当時供給にゆとりがあつた関係もありまして、大体に全国は平均されておつたのであります。私の手元にあります資料によりましても、全国電力の大体の料金は、標準率中心にいたしまして、高いところでもこの標準率よりか一割高以内であり、安いところでもこの標準率中心にしまして、一割安以内であります。  次いで昭和十四年電力事業国家管理になりまして以後は、電灯、小口電力全国均一であります。大口力料につきましても、最高最低標準中心にしまして、全部一割以内であるのであります。こういう長い間のわが国電力事情電力料金採算基準、こういつたことの慣例を中心に、すなわちこれらを立地條件にしまして、各地区種々生産工場が建設され、経営されて参つておるのであります。そういう長い間の実績、伝統を打ち破つて、何の準備期間も置かずに、突如として大幅の地域差が設定されたのでありますから、全国の大半の地区にありますこれらの事業経営者が、いわゆる経営基準に大影響をこうむりまして、現在相当な苦難に直面しておるということは、通産大臣としても御承知のことと存ずるのであります。特に化学工業関係事業が、非常な影響をこうむつておるような次第でございます。ところがこのたび政府提案のこの九分割案が、もし実施せられるということになりますと、現在電力不足折柄、新たに編成されます九地区電力会社は、おのおのの独立採算制立場上、まず自衛の手段をとるということは当然であります。他の電力会社を助けるために、自分を殺してこれが犠牲になるというような、ばからしい方針をとる各地区会社でないことは、明らかであります。そういうことが影響しましてこの料金地域差がこの分断によりまして現在より一層顯著に拡大する。業界権威筋が全部このことを確認しておるのでありまして、私の手元に参つております資料によりましても、一番高いところは安いところの三・五倍になる。こういう数字的なはつきりした基礎のある算出表を持つてつておるのであります。そこで現在では昨年中二月以来の地域差料金の設定により、相当経営に困難を重ねておりますときに、電力料金がこの上倍額以上に地域差等を生ずるような結果をもたらすこの分断案を、今ここで政府が決行されるということは、日本生産企業を全面的に崩壞せしめるということは、これは火を見るよりも明らかなことであると、私はこう考えるのであります。通産大臣はかかる産業界の情勢を熟知されながら、あえてこの大きな犠牲を忍んでも、なおこの原案を提案されなければならないところの真意が奈辺にあるかということを、この際はつきりお伺いしたいのであります。
  10. 高瀬荘太郎

    高瀬國務大臣 電力料金地域差が非常に拡大をせられ、そうしてそれが突如として行われるというような場合に、産業界に重大な影響を及ぼすということは、私もよく認めるのであります。しかし今回の再編成自体によりまして、地域差拡大はできるだけ防止して行こう、これ以上拡大することは防止するという方針で、私どもはやつておるのでありまして、地域差についての実際は、料金決定の上できまるわけでありすまが、われわれの考えておるところはそういう方針でありまして、その具体的な計画想定等長官からお話申し上げていいと思います。私の考えているところでは、現在の地域差をさらに一層著しく拡大するというようなことはしないで済ます、こういう方針で行つておるのであります。
  11. 門脇勝太郎

    門脇委員 長官からいろいろ技術的なことに対するところの説明をさせるということでありますが、とりあえず私は、大臣に全面的に政治的要目だけについて、質問を継続したいと存じますので、長官から伺いますそういつたような技術的な御説明は、またあとでゆつくりと拜聽したいと考えます。私はあえて好んで議論をするものではありませんが、しかし分断をすれば各地域会社独立採算制、かつ日本発電事業の構成が、日本の地勢上、全国が均等されておらぬ、非常にたくさん出る所と全然出ない所があるので、必ず地域差がより以上に拡大されることは顯著な事実でありまして、これを否認することは、私どもはその点の心理状態一つの疑問を持つものであります。高瀬大臣ほどの御人格者でありますからして、政府提案であるがゆえに、全国的業界権威者が認めているほとんど公式とも言うべきそういつた結果論を、故意に否定されるものではないと考えますが、しかしこういうことは国家のいわゆる大事件でありますから、なお一考されんことを厚く希望しておきまして、次の質問に移りたいと思います。  今までいろいろ発表機関を通じて、政府の今回の分断論に対するいろいろ細目の説明があるのでありますが、その中で、政府はこの料金地域差拡大調整するために、コストの安い水力発電より賦課金をとり、コストの高い火力発電にそのとつた金を與えることを考案しておる。その方法当事者間の協定あるいは公益事業委員会命令によつて行われる、こういつたような方針であるように、私どもは伺つているのでありますが、これに対する将来の御方針を拜聽したいと思います。
  12. 高瀬荘太郎

    高瀬國務大臣 地域差拡大を防止するために、電力の融通、それから料金についての操作、それを通しての調整金の交付というようなことが必要になるのでありまして、ただいまのお話のように、料金につきまして、不利な條件のもとにある電気会社の方え、有利な條件のもとにある電気会社が、料金をよけいとりまして、それを交付して行くこういう方法を考えておる。そうしてそれにつきましてはまず両者の協定でもつて、これを実行してもらう、協定がつかない場合には公益事業委員会においてあつせんをして命令する、こういうようなことになつておるわけであります。
  13. 門脇勝太郎

    門脇委員 こういつたようなことが政府現実に考えられておるところの方針であることが、はつきりわかつたのでありますが、その九分断されました場合に、大臣のおつしやるように、地域差を現在より以上に拡大しない。場合によつては現在より以上に縮小して行くのだ、こういつた方針のもとに、水力発電から賦課金をとつて、これを火力発電に補助するという方法をとるとすれば、これはやはり專門家の調査によるところでありますが、水力発電から一キロについて一箇年千六百円の賦課金をとらなければ、この事実が遂行でき得ない。かりに今日本全国水力の総量を六百万キロと押えますると、一キロ年額一千六百円としますと、約百億円近いところの賦課金になるのであります。こういう莫大な賦課金をとるということが、当事者間の協定で成立するということは、とうてい想像されぬほど困難な問顧がありますし、また公益事業委員会命令としても、そういうことがはたしてたやすく実行できるかどうかということ、すなわち公益事業委員会権限に非常な疑問を持つものであります。またそういうような大きな一つプール操作、いわゆる経済状態プール傑作をするということになりますと、九分断して独立採算制をとらせるという、民間自由企業としての立場というものを、全然失わせるような結果になるわけであります。新会社事業系統が同じであつても、今回の分断方針というものが、要するにそれぞれの單行企業として独立採算制ということが、基準になるのでありますから、自己経営採算を無視してまで、同じ系統であるとはいいながら、こういつた自己採算危殆に陷らしめるような、そういう保障行為に対しては、はたして他の会社が応諾するかどうか、これも方法としましては、国家が税金として收納して、そうした補給金としてそういつたような困つた立場会社に支給するというような強制力を発揮しますならばできないことはないと存じますが、流業者同士協定してこれを行う、また委員会がこれに対して命令をするにしましても、こういう強大な命令を遂行することは、現在の法規上また憲法上他人の権限を著しく侵蝕することになるわけでありまして、それらに非常に大きな疑義が生じて来るわけであります。こういつたようないわば一つ企業空論といいますか、もう少し形容的にいいますと、夢のようなことを一つ目標に考えて、そうしてできもしないのに将来こういつたような夢物語によつて地域差が現在のもので維持でき、場合によつては現在以上に縮小されるようなことをお考えになることは、これは実業的立場から観察して非常な迂遠な愚論ではないか——これはえらい失福なことかも存じませんが、迂遠な愚論ではないかというくらいに、いわゆる実業家的観題立場から、そう考うべき節合いが多いのです。どうかこういつたことは机上の空論ではなくして、はたして現実にそういう大きな問題が実行し得るやいなや、そういうことによつて、はたして円満に全国のすべての各地区電力会社が、その命令を応諾してこれを遂行し得るやいなやということを、ひとつ十分に——もちろん愼重に御計画になつておることと考えますが、特に実業家的見地から、そういうことが可能なことであるかどうかということにつきまして、大臣の真劍な御見解をひとつ伺いたい。
  14. 高瀬荘太郎

    高瀬國務大臣 確かに、料金地域差縮小のために、一種の調整金のようなものを、ある社から他に出す、それが会社実業家としての経営の面に、一つ拘束になるということは事実でありまして、それがないのに比べますと、企業的な精神で活発な経営をやつて行くというのに対しては、圧迫になる事は事実であります。しかしながらそれがために事業危殆に瀕する、危殆に瀕してまでやるかというようなお話でありましたが、御承知のようにそういう調整は、一方收入におきまして余分料金をとる。そうして余分にとりましたものを、他に渡すという仕組になつておりますので、收支の面から申しまして、決して危殆に瀕するということはないはずであります。しかし御説のように、とにかくこれは経営にとつては重大な問題でありますから、やすやすと簡單にそういうことが必ずできるというわけには参りません。しかしながら電気事業は御承知のように公共性の非常に強い事業でありますし、また独占性を持つた事業でありまして、一区域においては独占を認めて行くのでありますから、経営者としてもその点を十分考慮されなければならないはずでありますから、私はこの法案のような調整の仕方というものも経営者のそういう十分の認識のもとに、実行が可能ではなかろうかというふうに解釈をしているのであります。しかしこれは実施面におきまして十分に愼重に考慮して、強力な実施をやりませんと、むずかしい問題であるということはむろん認めて、しかしながらそれでもなお民有民営原則によりまして、これだけの一部の拘束は加えましても、企業体制として実施して行くという方が、適当ではないかと考えるわけであります。
  15. 門脇勝太郎

    門脇委員 大臣お話によりましても、この問題がはたして遂行し得るやということにつきましては、相当危惧の念をお持ちになつているように、私は拜聽したのでありますが、これは実際的に考えて、百億円からの金を政府命令によつてプール的に操作して行くということになれば、これはほとんど独立の体面をたもつ会社というような域は沒却して、ほとんど監督とか命令という域を越えて、政府と直結的な一つ機関といつたような立場に立たねば、そういつたような操作はとうていできがたいと私は考えます。今回の集排法実施によつて独立採算制によつて編成されるという基本観念と、そういつたような操作が非常に理論的に大きい矛盾を生ずると考えます。これもまた詳しいことはあと長官と問答することといたしまして、大臣に対しまする質問を次へ進めたいと考えます。  次の質問は、これはたびたび同僚諸君からも質問があつたのでありますが、どうしても私はまだ納得が行きかねる節がありますので、重ねてお伺いするのでありますが、今回の分断編成は、過度経済力集中排除法指定を受けたので、その対策として、かつ経済民主主義に即するように、こういつたような目標編成されて、御提案なつたというのでありますが、私の納得の行かぬことは従来の十にわけられているこの制度が、これは過度経済力集中がありとして、集排法指定を受けた。ところが今回の編成は、これはあらためて九つ分割するということになつております。十で集排法指定を受けているものを九つにすることは、かえつて過度経済力をさらに集中するものであることが明らかであつて、前より以上に集排法精神に背反するものであるということが、当然の考え方であると思うのであります。ことに従来の九地区配電会社資産の上に、さらに日発資産分割して、これに、併合されるというような結果的なことになるのでありまして、この九分断会社はいずれも従来の倍額以上の資産を構成することになるわけでありますし、また独占的な傾向がより一層これによつて濃化するわけであります。この矛盾をどういつたような意味合いで御解釈になるか。従来の御説明も伺つているのでありますが、どうもまだ私はこれに対する政府の御回答が納得行きませんので、ひとつ見解をあらためてお伺いいたします。
  16. 高瀬荘太郎

    高瀬國務大臣 今回の措置は單に集排法だけの措置として実行されているものでありませんで、集排法企業再建整備法に基く再建整備と、両方の見地から実行されているわけであります。今まで十の会社でやつてつたと申されましたが、発送電全国一齊に集中されておつたものでありまして、これを九つにわけて行くという点は、確かに分割になります。そして九つ配電会社につきまして、大体において同じ供給区域を持つた、また新たに配電発送を持つた九つ会社ができるという点、これは確かに集排法のみから申しましたならば、むしろ発送電の一部をみんなが新たに加えられて行くという点で、御説のようなことにもなると言つてよかろうと思います。しかしながら集排法だけでなく、電気事業の本質から考えて、最も合理的な再建ということを考えた上で、九つ区域をきめて、それぞれの区域独占的に一つ会社を持つということが妥当であるということから、編成されたわけであります。ですから新たに発送電設備配電会社の方に、それぞれわけてつけたということは、電気事業の合理的な運営等から考えて、ぜひともそれが望ましいということからやつたわけであります。それで一般産業見地から申しますと、結果として独占な弊害を生じやしないかという独占禁止法一般原則から申しますと、確かに矛盾するというところが現われているのでありますが、これは先ほども申しましたように、電気事業というような公共的な、しかも独占的な性質を持つている事業という特質から参つているのであります。それによつてまた生ずるおそれのある独占の弊害というものは、一方において公共事業委員会の活動によつてこれを防いで行く、こういう方針のもとにこれができておるのでありますから、御意見のような点は心配されないのではないかと、私は考えております。
  17. 門脇勝太郎

    門脇委員 ただいま大臣は、発送電事業一つのものを九つ分断するのである。その分断することが妥当であるという御説でありましたが、私はこれは妥当でないと考えますので、これから順次妥当でないゆえんを展開して行きたいと考えます。また九つの従来の配電会社の地域をそのままで継承せしむるということも妥当であるようにおつしやいましたが、妥当でないと考えます現在の配電会社がきわめて官僚的であつて、その営業の運営が專横であるために、著しく国民から不満を買つておることは、これは明瞭な事実でありまして、もつとこれは適当な方法がある、妥当でないということを私は考えるものであります。順次これに関する私の見解を展開して行きたいと思うのであります。  重複して申すようでありますが、この発送電会社を九分断して、この間からのお話によりますと、自由競争によつて電力事業の発展、興隆策を講ずるのである。こういうこともお話の中にあつたのでありますが、自由競争によつて事業の発展をはかるというその趣旨は、それは私どもも決して反対はないのであります。しかしそれは電力事業の場合におきましては、電力に現在のような深刻な不足状態がないときに、すなわち日本電力事業にある程度の余裕があるときにのみ、その説が非常にりつぱな説であつて、そうしてこれを断行することが、きわめてその趣旨に合致する。しかるに現在非常な深刻な電力不足に陷つておる。こういう時期にただちにこれを断行することに、非常に大きな弊害があり、これが妥当でないということの結論を生じますゆえんに相なるのであります。現在日本電力事業は私が御説明するまでもないわけでありますが、全国平均しまして、大体総量の絶対量におきまして、一〇・一%不足しておるということが、従来ともわれわれが政府から承つておるところであります。このほかに現在相当不足量があるが、日発の融通操作によつて、大体一五%程度のものが補われておる。もし日発のこういつたような融通的な積極的操作がなかつた場合には、この一五%の分もこれが不足電力の方へ織り込まれるわけでありまして、絶対量の不足とともに二五%の不足ということになるのであります。しかし幸いに今、日発という一つ系統によつて全国的に融通操作されて、一摘の水といえどもむだにしないような方法が行われておりますために、大体一〇%程度の不足で済んでおる。こういつたような状態に相なつておるのであります。ちようどせんだつてもわれわれ通商産業委員が、全員そろつて現在の日発で行つておりますところの中央給電指令所の実地を視察したのでありますが、この操作をわれわれが視察いたしまして、非常に感じたことは、全国的にはりめぐらされた通信網によりまして、当日の気候、降雨量状態を聽取して、各河川の増水量を測定し、これによつて水力発電を最大限に発揮させて、そうしてまた補助的な火力発電あるいは予備的な貯水ダムを調整して行く。こういつたような操作によつて毎日変化するところの気候に対処して、何回でも方針をかえて行つて、そうして全国それぞれの需要に向つて絶えずあんばいやりくりをしながら操作をしておる。まさしくこれこそ一摘の水もむだにしないところの一つの融通方途であるということについて、私どもあまりものに感心せぬ方でありますが、これだけは感心したのであります。こういう電気というような、非常に敏捷な操作を要するものを扱う場合に、現在單一会社でありますから、そういう操作が可能でありますが、これが九つ分断されて、しかも分断された会社はもちろんたびたび説明申し上げるように、これは別途の独立採算制であつて、俗にいうかまどの違つた会社になるわけです。これは一つ事業が同じ系統であるということにおいて、公益事業委員会の監督指令は絶えず受けておりますが、しかしながらお互いの暮し、やはりかまどというものは全然別個のものです。そういう別個の立場にある会社が、最初はお互いの協約によるわけでありますが、單にお互いの協約によつて完全にこういう融通操作ができるかということは、これはほとんど見込みがないというぐあいに考えます。私どもこれはいくらか商業道にも関係があつて、各個々のかまどの違つた会社と、会社のつき合いの建前を知つておりますから、そういうことを現実に感ずるのであります。そういつたような場合にこの公益事業委員会というのは、これは何といいましてもお役人の仕事でありますから、もちろんかみしもをつけたしかめつつらしい指導監督はなさることと考えます。ところがこのお役人の仕事というものは、要するに形式的だけであつてその実がない。現在も問題になつておりますが。鉱工品の貿易公団総裁、副総裁とかいう偉い人がたくさん控えておりましても、何億という金がごく下僚の事務員によつて簡單に費消することができる。こういつたようななまぬるい伝統を持つておるところのお役所が、こういう敏捷な実業的な生きた監督がはたしてできるか。あとから書類を出してその出した書類に盲判を押してやつて行くというようなことで、そういう仕事ができるかどうかということは、これは机上の理論であつて、実際上はおそらく行えないというように私は感ずる。たいへんよけいな毒口をきいたわけでありますが、要するに絶対量が一〇%も不足しており、またそういう敏捷な連絡操作日発が一元的に行うことによつてのみ一五%の補いをつけておる。こういう情勢を十分御承知大臣が、どうもそういう操作を阻止するような、こういう分断をこの際決行されて、そうしてひいては話が元にもどりますが、結局料金地域差拡大を見るというようなことに、拍車をかけられるということになるわけであります。これは実業人的立場から、全国産業界の人間が私と同じような考え方において、非常な憂慮を持つものでありまして、これらに対するところの大臣の明快なる御見解を拜聽したいのであります。
  18. 高瀬荘太郎

    高瀬國務大臣 確かに電力全国的な合理的配分を実行するという上から申しますと、発送電というものを全国一本に統一いたしましてやる方がやりやすいし、合理的に行くということが言えると思うのであります。しかしながらそれを一本にしてやる、今までのような形でやつて行くという場合に、どういう結果が現われるかといえば、あとでおつしやつたようないろいろ非能率、官僚的な経営ということが、また欠陷として現われて来る危險性がはなはだ多いわけであります。ですからただ全体を合理的に配分するに都合がよいというだけで、これを決定することは妥当でない九つ分割しました場合に、それを合理的に電力を配当して行く場合に、一本の場合よりも確かにやりにくいところがありますことは事実でありますけれども、一本にしたために生ずる経営上のいろいろな官僚化、非能率等の弊害を除こうとするためには、その困難な配分を少しむずかしくても何とかやる方法を考えまして分割し、非能率等による欠陷を除去する必要がある。こういう見地から今回のような案ができておるわけであります。それで一本を九つ分割するために生ずる配分上の欠陷につきましては、むろん十分にこれを注意して実行しなければならないのでありますが、われわれの今度の計画によりまして、それが大した支障なく融通がつけられる、こういう見地でもつて実はつくつておるわけであります。
  19. 門脇勝太郎

    門脇委員 大臣の御答弁を伺つておりますると、大臣のお立場も相当苦衷であるかのようにお察し申し上げます。あまり御老体にこれ以上質問してお気にさわつてもいけないと思いますから、一通り伺つて次に進みたいと思います。先日同僚議員の質問の際に、これは少しばかりの違いではなく、相当大きな違いがあるのでありますが、先ほど申し上げましたように、発送電の場合において一五%の融通操作によつて不足量を補つてつておるということに対して、分断された場合においても、公益事業委員会の指導その他によつて、この融通に万全を期するのだ。しかし発送電が行うような上手な手ぎわはできない。そこで発送電が一五%の補いをつけておるものに対しては、少くとも一〇%ぐらいの補いがつけ得られるであろうというようなお話があつたように、私は記憶しておるのでありまして、これが審議会の答申の一〇%はできないということと、大分食い違つておるようだつたのですが、この点につきましては、ひとつ長官からでもけつこうですから、いま一応政府の所信をお伺いしたいのであります。
  20. 始関伊平

    始関政府委員 この分断の場合に、日発がやつておりましたような融通がある程度不円滑になるのではないか、どの程度不円滑になるかという問題につきましては、昭和二十三年度の実績と比べまして、融通いたしました量が一五%程度でありますが、そのうち大体一〇%・一一%ばかりのものは、今後において融通が不円滑になるであろう、困難になるであろうということが、再編成審議会の見解であります。これに対しまして再編成審議会の委員でありました松永氏の見解は、融通を要する量そのものが、大分食い違つておるのでありまして、まず三%という様な見解でございました。そこでこういう大事な点につきまして、こういうふうに見解が対立しておるのでは困りますので、私どもの方で日発や各配電会社の意見も聞きまして、二十三年度におきまして、どの発電所からどの地点にどういうふうに実際電力が融通されておつたかという、個々の計数を具体的に詳細に調べました結果、まず大体において六%足らず、五・八%ばかりでございますが、そういうものは融通が困難になりまするけれども、一五%のうちで、六%程度のものを差引きましたあとの部分、約一〇%につきましては、今後におきましても引続き融通が可能であろう、それは比較的安定いたしました電力でございますので、これは契約よりあるいは公益事業委員会命令によりまして、融通が可能であろうというふうな結論に、実は到達いたしましたのでございます。従いまして地域的に申しますと中国ないしは九州の方に参ります融通電力は、比較的安定した電力でございますので、今後とも契約によつてつて行く、本州中央部と東北等にからまります部分におきましては、ただいまお話のような電力発送量がしよつちゆうかわりますので、そこに技術的な困難性のあります部分が多少問題になる、その程度は六%程度でありますが、その活用につきましては、関係会社間の緊密な協力によりまして、その六%を更に少くする様に、今後努力いたしたいと考えておる次第であります。
  21. 門脇勝太郎

    門脇委員 ただいまお伺いしますると、大体六%以内に縮まるというようにおつしやつたのでありますが、この六%縮まるということは、結局五%だけは損をするということに解釈しておるのですが、日発が單独で操作する場合と、九分断をして操作するという場合に相違があるということは、明らかに資源庁の長官が公式にお認めになつたわけであります。ところが五%違うということは、これは專門家によつて一体どのくらいの金額に、現下の電力量によつて計算されてなるかといいますと、この五%だけ機構の変革によつて公式に損をするのだというように計算すると三十億円になるのであります。詳しいことはこれはあとで專門家の書いた書類がございますからお目にかけますが、私は專門的なことは門外漢でありますから、かえつて下手なことを言つておげ足を取られてもいけませんので、あとで書類をお見せするということだけで説明するのですが、要するに日本の総電力量が日発の機構を改変することによつて五%の操作上の損失がある。その五%を金額に見積りますと、年額三十億円という損失になるわけであります。この五%というのが、ちよつとわからないので申し上げますけれども総額で三百十一億キロワツト・アワーになる。これの五%——私は詳しいことは申し上げませんが、十五億キロワツト・アワー。この十五億キロワツト・アワ一は、北海道の年間の電力の総使用量が十三億キロワツト・アワー、四国の年間の総使用量が十一億キロワツト・アワー、その北海道、四国の年間の総使用量よりか、この日発の機構を改変することによつて損失を来す方の電力量が多い。しかもそれが金額に見積つて現実に三十億円になつておる。これは大臣にお伺いしますが、こういう三十億円というような莫大な電力料金が、その一つの機構変改によつて、みすみす現実に損を来すのだということは、日本の経済情勢をそれだけ弱体化せしめるわけであります。そういう数字的にはつきりしておる三十億円という莫大な損失による弱体化を、機構の変革によつて求めなければならぬということは、これは日本の国政に対する大臣としての忠実なる貢献になるかどうか——これはえらいむずかしいことを言うようでありますけれども、私はそこまで考えを突き詰めるわけであります。これは数字の問題でありまするからして、特に具体的にお伺いしたいと思います。
  22. 高瀬荘太郎

    高瀬國務大臣 正確な数字の問題につきましては、なお検討を要すると思いますが、五%ないし六%の融通困難な状況ができるということは、これは事実でありますから、これに基いてお話を申し上げますと、それは困難ではありますが、必ずしも全部不可能というわけでもありません。そうしてそれだけの電力がなくなつてしまうというわけでもありませんで、融通の仕方が非常に困難になるというのでありますから、融通の仕方いかんによつてこれをなくす、あるいは減少するということはできるはずでありますから、それに全力を注ぐつもりでおります。そうしてまた現在占用されておる電力というだけでも、非常に大きなもののようでありまして、こちらで見積つておるところでも、全国発電量五%ぐらいは、盗んで用いられておるようであります。これらも将来やり方によつてなくすことができるのでありまして、そういう点では、電気事業経営をもつと能率的に、合理的に実行して行くということが必要になつて行く。発送、配電一貫ということは、たびたび申し上げますように、経営をできるだけ合理化し、能率を上げ、そういう占用等もなくして行くということも、目的に入つておるのでありますから、これらの点をも考えて、今言つたような融通困難から生じます欠陷も、相当除去できるだろう。またそのほか一貫経営による合理化というものは、これが妥当に実行できましたならば、これの経営上の効果は現われるはずでありますので、それらのいろいろの点を実行いたしまして、今度の編成による、今お話のありましたような点から来る困難というものは除去しなくてはならない、こう考えておるのであります。
  23. 門脇勝太郎

    門脇委員 今の大臣の御説明は、どうも私の質問が、具体的に十分徹底しておらぬということのうらみを深く持つものであります。今おつしやつた様に、融通はしない。電力の五%というものが余つておるが、融通できないんだとおつしやいますが、電気というものは何か固型化して、または金庫の中にしまつておいて、いるときに出して使うというようなものと違つて、これを融通して使用しなかつたならば、瞬間にしてなくなつてしまうのであります。でありますから、融通しないということは、電気を捨てるということと同じ結果になると私は考えます。先ほども申し上げましたように、五%で年間十五億キロワツト・アワー、北海道、四国の総使用量より以上のものが、この機構変改によつて融通力を失うために、結局できるものはできても、それが利用されないということは、現在の料金に換算しまして、三十億円の国家としての大きな損失であるということは、これはどうしましても疑いないのであります。  なお五%程度盗電があるので、それを捕捉してということでありまするが、これはけつこうでありまして、銭をとるということが正しいのでありますが、しかし盗電であつても、要するに国家の何らかの面には、それだけのものは利用されているわけでありまして、それをこの融通の不円滑によつて失うということは、これは別に考えなければならぬと思うのでありますが、しかし先ほど申し上げますように、同僚のあと質問も急いでおりますから、一応結論をまだ残しまして質問を進めて行きたいと思います。  政府提案理由でも説明されたように、昨年の十一月、通産省に電気事業編成審議会を設置されまして、再編成の方策を審議したということであります。もつともこの説明に現われなかつたのでありますが、かつて芦田内閣当時におきましても、水谷商工大臣のもとに、これに関連するところの諮問機関があつたということでありますが、それらのことは別としまして、現内閣のもとに設置されましたこの審議会において、各界の代表五名が委員になつて愼重審議した結果を多数決をもつて最後案を決定して、本年二月一日に政府に向つて答申を出しておる。その内容等につきましては、私がかれこれ申し上げるまでもありませんが、九つ配電会社にある程度の電力分割して、残るある程度の電力を融通会社ということの案でありますが、政府は、この多数決による答申案を拾てて、いわゆる松永試案に若干の構想を附加して、そうして政府案として折衝されたのでありますが、多数決の議論が、すなわちとりもなおさず、これが国民の輿論をそれだけ数多く代表しておるわけでありまして、経済民主化をとなえる以上は、この多数案を採用さるべきが当然の道行きであるかのように考えるのでありますが、それが採用されなかつたということにつきまして、私どもは同じ弊害がある中にも、あの多数案の方が、まだ日本の現状に即して、若干忍び得るじやないかということを考えるだけに、政府は松永試案を取上げられたゆえんをお伺いしたいことと、それからこの問題に対しましては、全国の各都道府県のそれぞれの議会の議長が、一府県も残さず、全国四十六地方、おしなべてこれに対して絶対反対だという、それぞれ陳情書が私ども手元に参つております。私もいろいろな議案に当面しますけれども、こういつたような地域的な利害関係を主にする問題に対して、全国一府県残らず全部がこれに反対するのだ、こういう案は、きわめて珍しいのでありまして、この案は全国の都道府県の各議会の代表者全部連署して、絶対反対の意思を表明しておるのであります。ここにその原本もありますから、お目にかけてもよろしゆうございますが、審議会の答申に対しては、多数案をお取上げにならない。またこういうようなぐあいに、全国の各府県会の代表者が熾烈な反対をすとに拘わらず、そういう民意を洞察しながら、政府当事者がしいてこの提案をなさるということは、はたしてこれが民主政治によつて行われる一つの政治方式であるかどうか、非常に私は疑問を持つわけであります。これらにつきまして、どうも與党の私がお伺いするということは、たいへんふしぎなようでありますが、このふしぎな点を特に御説明いただきたいと思いまして、あえて大臣の御見解をお伺いいたします。
  24. 高瀬荘太郎

    高瀬國務大臣 審議会の案その他の今まであつた案と、今度の決定案との関係等につきましては、私の就任以前の問題で、こまかい点はむしろ政務次官から御説明申し上げた方がいいと思いますから、あとで政務次官に説明をしてもらうことにいたします。各方面からの反対意見があるということは、私も承知しております。しかしこの問題は反対意見と申しましても、全部反対の内容が一致しておるというわけでありまして、それぞれ違つた意味での反対意見がたくさんあるようです。この問題はとにかく重大な複雑な問題でありますから、どういう解決をいたしましても、相当の反対意見は、どうしてもどこかに残る問題だと思うのでありまして、今まで相当長い間いろいろの事情等を考慮して愼重決定した案でありますので、私どもとしては、これを最も妥当な案として決定したわけであります。それから府県からの反対、これも府県によつて違うかもしれませんが、一つの大きな反対は、県営による電気事業というものを認めるべきである、県から戰時中とられた電気事業等について、県がやはりこれをもどしてやつて行くべきであるというような意見もずいぶんあるのではないかと思うのであります。法律にあります通り県営は必ずしも全然否定されておるわけではないのでありまして、そういう点からの反対は、この法律実施によりまして、必ずしもその反対の趣旨に沿い得ないとは、私は考えておらないのであります。今までの答申案と今度の案との関連等につきましては、政務次官からお話申し上げることにいたしたいと思います。
  25. 宮幡靖

    宮幡政府委員 審議会の答申案に関します問題でありますが、いわゆる松永委員会と称せられます五人の再編成に関しまする審議会は、閣議の決定を経てつくられたものでありまして、その閣議の申合せには答申案を尊重するということになつておるのであります。従いましてお説のように答申案は通称三鬼案と申しておるのでありまして、御指摘の九分割のほかに、北陸、信越地方にありますところの電源を持ちます融通会社を置く。そのもとをなしますところは、御指摘の電気を十五億キロワツト・アワーむだにするのではないかという意味と同じでありますが、融通ができないために水がむだになつてしまう。こういう度合いが三鬼案によりますと、平面的な九分割をいたしますと一〇・六%、大体一一%に近いロスができるのです。従つて融通会社を暫時置かなければならないという議論になつたのであります。ところが松永さんの方のいわゆる松永試案なるものの内容は、さようなことはない、それは多少のロスはあるが、大体最惡の事態で推定して三%しかない、これもないと思うが、最惡の場合、もう水をむだにしてしまつたということを考えた場合に三%程度だ、こういうふうな議論の相違があつたわけであります。政府としましては、この問題について電力局を中心として検討いたしますと、先般も申し上げております通り、五・九%程度融通しにくいものができるであろう。大体六%程度のロスが出る。しかしこれは松永さんとしては承認ができないという意向を多分に持つておられた。貯水池式の発電所と、いきなり川をせきとめてやつております発電所、あるいは火力との関係、天然の降雨の関係等を見合いまして、決してその水は、民間事業にやらせればむだにしない、必ず有効に融通をつけて行くものである、これは私の長い経験から言うのだという強い議論がありました。しかしながら答申案を閣議決定で尊重するようになつておる建前ではありますが、その内容を拜見いたしますと、残念ながら本法の生命となつております国有国営という線、あるいは変態的な国家管理という線から、完全なる民有民営ヘと参りまして、電気事業の民主化をはかろうとする大目的を失うことになります。融通会社なるものはただいまの日発、全般に発電、送電の面で管理しておる日発の機構を、ただ小さくするわけであります、いわゆる小日発ということになるに過ぎないのであつて、依然として国家管理的な観念がそこにまつわつておりまして、そうして惡い條件をみずからの企業努力によつて克服して参ろうという合理化も、これがためにはばまれることになる。さような立場から、もし小日発と呼ばれますような融通会社を残すくらいならば、現在の日発を残しても一向さしつかえないのではないか。従つて、現在の日発を残すことは、国家管理が残ることでありまして、完全な民有民営に移行して経済の民主化をはかろうとする根本に触れるわけであります。従いまして、今度の九分割案は松永さんの案に重点を置いたのではないかというおしかりもありますが、しからざる立場において松永案を参考にし、三鬼案を参考といたしまして、経済力集中排除法のねらいますいわゆる産業経済の民主化、これをはつきりさせる立場におきまして、この融通会社があつたと同じような融通ができる。いわゆるこの足を筋違いに出しまして電源を持つ方法におきまして、融通の円滑をはかると同時にその間のロスをきわめて僅少なものにする。しかも民営の方向に行くことになりますと、国家管理的なものよりも、たしかに注意が行き届いた経営が行われるであろう。そこで門脇さんの御指摘されるような擅用電力、これもただいま大きな数字に上つておるものを、ある程度縮少できる利点もあわせ考えまして、しかも何と申しますか、国家管理的な観念を温存しておりまして、その温存の中に育成された産業も、また同じ様な條件のもとに、自力であくまで行ける——電力料金をプールさせてもらえばやれる産業という様な、そういう温室育ちのような産業立場でなく、もつと一人歩きのできるようなところまでひとつ努力してもらう。こういうようなねらいから答申案を尊重すべきことを申し合せておるにかかわらず、あえて通産省から政府案なる原案を出しまして御了解を得まして、ただいま提案いたしております九分割案なつたわけでありまして、これは十分諸種の事情を考えておる、しかも一貫いたしました民有民営の線を、しかも経済の民主化を達成されます方法としてこれを選んだのでありまして、ことさらに松永案にこだわり三鬼案を排除したというわけではございませんので、どうぞその点を御了解いただきたいと思います。もし融通会社を残すならば、われわれの考えといたしましては、日発をそのまま置いた現在で少しもさしつかえない、かように考えております。
  26. 門脇勝太郎

    門脇委員 お約束の三時をちよつと越しましたので、私は約束を実行するために、これで私の質疑は一応打切りますが、今まで申し上げたことに私が予定しておる質疑量の一割五分しか済んでおらない。まだ八割五分も残つておる。八割五分の質問はこの次の機会に大臣に向つて質問するということを保留しまして、きようは同僚に譲つて私の質問は終ります。
  27. 小金義照

    小金委員長代理 委員長からお答えしておきますが、今の御発言については理事会においてよく相談してからにいたします。首藤君。
  28. 首藤新八

    ○首藤委員 私も重要問題でありまするので、非常に質問の数が多くありまするが、他の同僚委員の質問者が非常に多いので、ごく大綱の問題について、二、三お尋ねしておきたいと思うのであります。今回の電力編成は、先ほど大臣並びに次官から御説明がありましたように、サービスの改善であるとかあるいは創意工夫、あるいは意欲の高揚であるとか、こういう点が大きな目的である。私らもこれには賛意を表するのでありまして、その点から考えますると、電力編成をすることに反対する理由はないのであります。しかるに先ほど門脇委員からもるる申し述べておりましたが、この問題に関しましては、全国ほとんど全区域から反対の陳情、電報あるいは文書が毎日殺到しておるのであります。これも日発の従業員であるとか、あるいは配電会社の従業員であるとかいう面だけの陳情でありまするならば、そこに若干割引をして聞く必要があるかもしれませんけれども、最もこの合理化を観迎しなければならぬ消費家の面から強い反対の意向が表明せられておることは、特にわれわれは注意せなければ相なりぬ問題だと存ずるのであります。言うまでもなく電力の今の管理法は、昭和十三年日支事変の起りました翌年に制定せられたと思うのでありますが、当時この管理法を制定した目的は、要するに電力のむだを排除し、豊富にして低廉なる電力供給して、そうして産業の振興に寄與する、もつて戰争遂行の完璧を期するということが目的であつたと思うのであります。しかるにその電力管理法が制定され、日発が創立された。そうして現在は一体どうなつておるか、はたして低廉なる電力を豊富に供給しておるかどうか、あるいはサービスの点に遺憾がないかどうか。まつたく独禁法で抵触するところの惡い面が露骨に現われておるのが、今の日発であると申していいと思うのであります。従つて今回もなるほどアイデアといたしましては、サービスの改善であるとか、あるいは意欲の高揚であるとか、あるいは創意工夫を向上せしめるという考え方自身は、きわめていいのでありまするけれども、しかしこういうような趣旨に賛成しなければならぬところの各産業界がこぞつて反対しておる。ここに私は深く考えを及ぼさなければ相ならぬのじやないかと思うのであります。そこで一体しからば産業界は何を不安にしておるのか、そうして何を反対しておるのかという点でありまするが、それはやはりいろいろ意見はあろう思いまするけれども、最も大きいのは、やはりこの電力の融通、地域価格差の適格性、これがはたしてできるかどうかという点に、大きな不安を持つておると考えるのであります。今度の法案によりますると新しい会社はまつたくの民有、民営である。しかも独立採算制であるところに特徴があるのでありますが、独立採算制をとることによつて、今日までの日本の各企業家のとつて来た経過から見まして、はたしてこの電力の融通あるいは価格差の計算の場合に、公共性を発揮して使命を完うするような態度をとるかどうか。ここに非常に大きな疑問があると思うのであります。しかももしこれが一朝にして予期するような線に出なければ、たちまち電力供給が混乱する。そうして電力の価格差がまた予想以上に非常に大きくなる憂いがあるのであります。その点が最も各産業界の憂うるところであると思うのでありますが、大臣はあくまでもこの点に関して安心し得る自信があるかいなや、私はもう一度お伺いしておきたいと思います。
  29. 高瀬荘太郎

    高瀬國務大臣 再編成の結果として電力融通が円滑に行くか、またそれと関連して料金価格差の拡大を十分防止できるかという問題だと思います。それは先ほどの門脇さんの御質問に対してお答えいたしましたように、もちろんそうやすやすとこれができる問題ではない、やはり十分に業者の協力を得、そうして公益事業委員会の活発な適切な活動によつて、これが実行されなければできない問題であります。先ほどお答えいたしましたように、私どもといたしましては電気事業公共性、また独占性等とも関連して、電気事業経営者としての公共的な認識を十分に持たれるものと思いますし、また公益事業委員会としても、十分にその人選等を適当に行いまして、活発な活動をやるということを考えておりますので、それを通して今度の法案を適切に運用されて行きますならば、融通また価格差という問題も解決がつくだろう、こう信じておりますので、御質問にありましたような不安を除去できるだろうと信じておるわけであります。
  30. 首藤新八

    ○首藤委員 今度できまする新会社の社長、この選任は会社自体の自由意思による推薦でありまするか。あるいはまた委員会公共性を考えた結果の推薦であるか。この点を明確にしていただきたい。
  31. 高瀬荘太郎

    高瀬國務大臣 新会社社長その他重役の選任については、まつたく自由になつております。
  32. 首藤新八

    ○首藤委員 先ほど申し上げました通りに、この融通を円滑にいたしまするためには、多分に新会社がそれぞれ公共性を尊重しなければならぬと思うのでありまするが、ただいまの御説明によりますると、いわゆる株主総会によるところの選任であるということだそうでありますが、そうしますとこの九会社は完全な競争会社になるのであります。それぞれがしのぎを削るところの競争会社になることを予想されまするが、さように競争が激甚になればなるほど、私は公共性を発揮する点に大きな危惧の念を抱くものであります。各社とも財産を隠蔽するか、あるいはまたその他の数字をごまかすとか、これは必ず今日までの各社のとつて来た態度から見て、あり得ると思うのであります。この点にわれわれは非常に危惧の念を抱くものでありますので、この点をもう少し一般産業界の安心できるような態勢をとる必要ありと考えるのでありますが、大臣はいかにお考えになりますか。
  33. 高瀬荘太郎

    高瀬國務大臣 重役等の選任について自由と申し上げましたが、原則として自由でありますが、再建整備計画に伴う最初の重役の人選というものは、公共事業委員会の認可がいるということであります。それらの点についても、何らか監督的な関與が必要ではなかろうか、こういう御意見だと思いますが、従来いわゆる特殊会社というようなものについては、それが行われておつたのであります。けれども実際問題として、かえつてまた弊害の伴つておるという場合もあつたのでありまして、事業の運営につきまして公共性を確保するというために、相当公益事業委員会権限が與えられておりますから、それによつて会社経営公共性というものは確保して行く、これが適当ではなかろうか、こう考えております。
  34. 首藤新八

    ○首藤委員 この点は非常に重大な問題だと思うので、この上とも十分な御検討を願つておきたいと思います。さらに今日の日発並びに九配電会社は、それぞれ過度集中排除法を適用されておるのでありまするが、この適用されておりますることによつて日発が解体される。しかるに今度は、この解体される日発の全部が九つ会社に、今日よりもオーバーして、それだけプラスされて、大きな会社がそれぞれできるということになると思うのでありますが、これは過度集中排除法の精神から見て、矛盾するというふうに考えられるのでありますが、この点いかにお考えになつておりますか。
  35. 高瀬荘太郎

    高瀬國務大臣 その点につきましては、門脇委員からの御質問にお答えをいたしたわけでありますが、單に過度経済力集中排除という見地のみから申しますと、お説のようになるかと思います。けれども電気事業の整備再編成という立場から申しますと、やはりその独占的な自然の性質というものを考慮いたしますのが、最も合理的であるという見地から、他の一般産業とは違つた基準によつて、再編成をされるというところから、今度のような結果になつておるわけでありまして、発送電と配電を一緒にしたということは、たびたび申しますように、経営を一緒にすることによつて電気事業経営というものを合理化して、能率を上げて行くのに都合がいい、こういうところから今のような結果になつたといつてよいと思います。
  36. 首藤新八

    ○首藤委員 これでこの方面の質問を打切りまするが、ただいま日本発送電会社の純資産、たとえば資本金あるいは社債あるいは借入金その他を控除した純資産というものは、帳簿価格並びに時価でどのくらいあるか、それをちよつと……。
  37. 武内征平

    ○武内(征)政府委員 ただいまの日発配電の総資本金が七十二億、それから日発、配電の公債、社債が八十五億になつております。従いまして、社債の方が十三億ばかり超過いたしております。それ以外に一時借入等はございますが、その点につきましての詳細は、もし御要求がございますれば、資料をもつていたしたいと思います。
  38. 首藤新八

    ○首藤委員 明細な資料はなくてもけつこうでございますが、しからば現在の資産を時価で評価した場合、おおよそどのくらいになるか、おおよそでけつこうでございますから、お答え願いたいと思います。
  39. 武内征平

    ○武内(征)政府委員 日発、配電の資産を現在の大蔵省の評価方法によりまして再評価いたしますと、大体三千三百七十億というふうな資産になります。評価は御承知のように、今度成立を予定されております評価法によりますと、会社の将来の見込みを考えまして会社自身の決定にまつということになつておりますが、一応最高まで評価いたしますと、以上のような三千三百七十億というふうな数字になつております。
  40. 首藤新八

    ○首藤委員 電力管理令を制定しました場合、いわゆるむだを排除する、あるいは豊富な電力を低廉に供給するという建前から、日発全国電力並びに配電を統一したのでありますが、その場合に、地方の公共団体の持つておりました発電設備あるいは配電設備が、当時日本発送電株式会社の委員制か何かの評価によつて、強制的に全部買收されておるのでありますが、今度の法案によりますると、この持つておるところの証券を四箇月以内に処分しなければならぬ。また特殊の事情があつても、二箇年以内に処分しなければならぬということになつております。一昨年でありましたか、日発の増資の場合に、いわゆる証券民主協会、これは半官半民だと民間ではとなえておるのでありますが、この民主協会が、日発国家の最大の資産を持つておるのだ、そうして現在いかに安く見積つても、一株五百円ないし六百円の価値があるのだということを、鐘やたいこではやしまして、そうして百八十円で実は売り出したのであります。これが日本の戰後における証券民主化の皮切りをしたのであります。そうしてこの宣伝に乗りまして、全国的に百八十円でこの日発の株券をみんなが買つてしまつた。ところが今日においては、その株券がわずかに三十円、当時の買入価格に比較いたしまして、六分の一という暴落をいたしておるのであります。むろんこれは日本の経済界が当時よりも非常にデフレ的であり、むしろパニツクの状態を呈しておる今日でありまするから、この暴落はある程度やむを得ないかもしれませんけれども、しかし片一方に三千三百何十億という、厖大な資産を持つておる。でありまするならば、これを正規の手続によつて再評価して、もとの百八十円の高値で買つた株主に対して、この評価でふえただけ、いゆわるインフレ景気によつて、貨幣価値の下落に伴うて唱え値だけふえたところの資産でも、それらの株主に利益を供與するということが必要であると考えますが、この点に対して政府はいかにお考えになりますか。
  41. 宮幡靖

    宮幡政府委員 その点は大臣にかわつて申し上げます。最初の評価問題についてまず御了解をいただいておきたいのでありますが、資産再評価税をとります建前におきまして、予算は大体六百億と見ております。この資産を三千三百七十億に評価いたしまして、ただいまの税率をかけた。その他基礎産業的な大きな産業を取上げて、大体極度まで評価をいたしたいとしますと、六百億や七百億の税收はあります。従いまして大蔵省として考えております税收見込みは、評価がずつと低い点に押えられておる。電気事業のごときは、おそらくただいま申しました三千三百七十億というような再評価をいたしましたならば、その再評価税は、減額になります法人税を限度といたしまして見合いまして、三年間にまず納めることになる。そうしてなお納めなかつた場合には、さらに延納してもらうことになる。これは一応プラス、マイナスなしで終るだろうと思いますが、固定資産税、附加価値税において、とうていたえ得るものではありません。従いましてさような大きなふくらみのある再評価というものが、国家の指導のもとにおいて行われるということは、ないということをまず御了解いただいておきたいのであります。もつと内輪に見積もるべきである。これは関係会社が将来を見通しまして、適当だという点、配当も可能であるという線に睨み合せまして——大体おもな産業では、われわれの立場で検討いたしますと、低いものは四倍程度、一番最高の評価のできるもの、重工業的なもの、あるいは基礎産業的なものでありましても、十六倍以上の評価は困難だと思います。これを越してやりますと、必ず無配当欠損——欠損無配当と申すのが正しいのでありますが、そういう事態でありますから、これも自由企業のもとにおきましては、さような評価は出て参らぬものである。三千三百七十億に評価するのだという固定した観念でやるわけではありませんから、この点を御了承願います。  日発の株の問題でありますが、この証券民主協会と仰せられますのは、どの意味か、あるいは国会の中にも証券民主化議員連盟というものがあります。それは証券民主協会という証券協会の中にある一つの運動だろうと思います。御承知の通り日発は、ただいま三十億の資本でありまして、昨年十五億の増資をした。これはやはり新株の権利を認めております関係上、旧株主に対しては、一対一の割合で割当をいたしております。その価格は五十円の売出しであります。五十円で、最終におきまして数万株のものが消化できず、引受を拒絶され、これを証券界で抱いたということは多少あろうと思いますが、日発の方で五十円の額面で売り出しております。百八十円などという評価を持つておるのでありません。株式の暴落ついては、いろいろな原因がございますが、これは現在三原則に押えられております市場操作の中において、一番大きな問題は、いわゆるマル公買い方法の取引しか認められておりません。マル公買いと申しますと、言葉が惡いかもしれませんが、株を買おうといたします場合には、そう申し込みました株の買受代金だけ全部保証金を積まなければならないのが、ただいまの三原則に縛られた方法であります。かつては、何円株については保証金が何パーセントとか、何円という規定におきまして一部保証でやつておりましたものが、ただいまでは全額保証金を積まなければならぬ。これは金詰まりになつて来ますと、買いたくても買えない、こういうようなことで、市場に玉数かあふれまして、そうして購買力は下まわつて来る。もちろん資金的なてこ入れも必要でありましようし、その他の問題もたくさんありましようけれども一つの原因となるものは、このマル公買い式の取引をやつております現在におきましては、少しでも公募数量が増加いたしております場合には格別、收縮の過程におきましても、なかなかこの取引ができない。しかもタイムレコーダーによつて、価格、時間ともにレコードされまして、まつたくの出合う取引でなければできないような状態にありますので、この取引上の三原則を十分に改善の方向に向つて検討いたしまして、これらの問題を解決して行くべきだ、かように考えております。この下りました株についての問題は、諸般の事情上、その原因を除去することはできませんが、実際上は、これを再評価するにかかわらず、株の実価があるのであります。再評価いたしました結果、三年後におきましては、これを四分の三までは資本に操入れらることになりますと、現在株主たることを御継続になりますれば、当然その資本にふりかえました部分の無償給付の株の割当は、価格にかかわらずあるものだと考えております。
  42. 首藤新八

    ○首藤委員 株式の暴落に対する見解は、私は次官の説には必ずしも賛成いたしかねますが、それをここで争う必要はありませんから、この辺にとどめて置きます。そこで今の一般国民が買つた株が損をした、これに対しては、無償の株券を交付するかもしれないということでありますが、もう一つ地方の公共団体が戰争中強権を発動されて、先ほど申し上げましたように、当時の時価で買收され、そうしてそれに相当するところの株券が、各地方団体に交付されております。戰時中は、当初におきましては六分の配当を保障した。六分の配当ができない場合には、国家がこれを補償するということになつてつたのでありますが、この制度は、戰後において撤廃されておるのじやないかと考えます。これもいいとして、私の質問せんといたしますのは、この過去において通貨価値の非常に高い場合に、しかも国家が強権でこれを買收した。そうして今日これらの公共団体は、それぞれ自営で復活いたしたいという強い意向を持つておるのであります。終戰当時、他の産業会社は、強権によつて買收されたものは、本人の希望とそれから戰後において所持しておるものの意向によつては、元にかえすということになつてつて、それが非常にたくさん実行されたと思うのであります。電力も、先ほど大臣の言われましたごとく、サービス改善、あるいはまた創意くふう、運営の意欲の高揚という面から考えましても、直接地方の住民に、最も関係の深い公共団体が自営するということは、この線から考えて非常に好ましいことと考えるのであります。従つてかような地方公共団体の持つておりました発電並びに配電設備を、この際むしろ返還した方がいいと思うのでありますが、大臣はいかにお考えになりますか、所見を伺いたいと思います。
  43. 高瀬荘太郎

    高瀬國務大臣 電気事業のような公共性の非常に強い、しかも独占性を持ちました事業について、公共団体、県とか、市町村がこれを経営して行くということも、確かに一方においてはりくつがあると思います。ただしかし、現在日発に所属しております、かつての県所有の設備というようなものにつきましては、電力需給の関係から、これをすべて元通りにするということは、非常に困難な事情にあるのじやないかと思うのであります。しかし電力需給の事情いかんによりましては、そういう県営の移管ということも、将来の問題としては残されておると考えておるのであります。
  44. 首藤新八

    ○首藤委員 私は将来はぜひともそういう線に進むように、御考慮を願いたいと思うのであります。つきましては、さしあたり現在におきましては、これら非常に安値で買收された、公共団体がわずかに持つておるところの証券を、四箇月以内に処理しなければならない、あるいは特殊の事情があつても、二箇年ないし三年以内に全部処分しなければならないということに相なつております。ところが日発の現在の資産は、先ほどお聞きした通りに、三千三百億というような尨大な資産になつておる。もつとも附加価値税あるいはその他の税金を控除しますれば、非常に資産は減るかとも思われますけれども、しかしながら今日の場合、この財産がそれぞれの新しい会社に配分されるのでありますから、この会社資産というものが、相当大きなものになることは予想されるのであります。従つてこの公共団体の持つております株式——この安値の、しかも貨幣価値の高い場合の証券をただちに四箇月以内に処分しよう、また株主権を行使することを禁ずる、あるいはまた特殊の事情があつても、二箇年以内で処分しなければならない、こういうことで尨大化した資産の利益の均霑というものに、全然あずかり得ないような建前をとつておりますことはいかにも冷酷といいますか、あるいは行政の不均衡とでもいいますか、かなりこの問題は私は重大な問題だと思うのでありますが、この点についてどういうお考えを持つておるかお聞きしたいと思います。
  45. 高瀬荘太郎

    高瀬國務大臣 御承知のように旧日発の株券を持つております者は、その日発資産分割して帰属されます新会社の株券を引きかえに受取るわけであります。再編の結果といたしまして、新会社の株券を受取る、その比率が、問題でありますが、とにかく受取ることになります。そうしますと、新会社の株券というものは、旧日発資産を持つ会社の株券でありまして、旧日発資産がかりに百億のものが二十億に評価されておつたということになれば、その新会社の株の価値の中にこれが含まれて行くことになります。事実百億のものが二十億に評価されておる、八十億の違いがあるということになれば、その資産を受けます会社としては、それだけの設備を持つことになつて、有利な立場にはなりますが、その有利な立場になる会社の新株券を受取るのであります。ですから結局において、不利益な立場には立たないで済むと、私は解釈しておるのであります。しかし株の相場というものは必ずしも会社資産内容あるいは收益状況のみでもつて決定されない。いろいろの事情によつて決定いたされますから、非常に短期間にこれを処分しなければならないということになりますと、確かに不利な事情に陷るかもしれません。しかしお話がありましたように、やむを得ざる場合には三箇年間余裕があるのでありますから、その間に処置されるということになれば、そう不利益なこともなく処分できるというふうに、私は考えておる次第であります。
  46. 首藤新八

    ○首藤委員 再編成法案の第八條に「国又は地方公共団体は」云々とありまして、「指定会社又は新会社の株式を取得してはならない。但し、指定会社の株式に代えて新会社の株式の交付を受けるときは、この限りでない。」こういうのでありますが、この條項によつて、ただいままで地方の公共団体が日発の株券を所有しておつた。それが今度新しくできます九会社にかわつた場合、新しい株式で交付する意味だと思うのでありますが、この場合の株式の数が現在の数でありますか、あるいは新しい資産を算定した結果の数でありますか、この点をお伺いしたいと思います。
  47. 高瀬荘太郎

    高瀬國務大臣 今の問題は、結局現在の日発の株式と、新会社の株式との交換の比率の問題になると思います。それで比率の問題は、資産の評価、資産の含み、收益の予想等によつてつて参りますので、それらの事情を実際について十分考慮した上で、合理的に決定されなければ、はなはだ不公平な結果になるわけでありますから、公益事業委員会においてそれらの点は考慮される——この法律によりますと、まず会社同士の間でそれが相談されて、そうしてその相談が整わない場合に、公益事業委員会において十分事情を考慮して決定して行く、こういうことになつているかと思います。その比率はむろん妥当公正に行われなければならないのでありますが、それらの問題はこの法律ではこまかに決定されておらないのであります。
  48. 首藤新八

    ○首藤委員 そうしますると、現在持つておりまする日発の株券は一応無効になりまして、そうしてこの法案による四箇月以内に処分しなければならぬというような制約は、新しくできる新会社の株券を指したものでありますかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  49. 高瀬荘太郎

    高瀬國務大臣 現在持つております日発の株券というものは、再編の結果なくなつてしまうことになります。そうして新会社の株券が交付されて来る、その取得のときから四箇月、そうして事情がある場合においては三箇年目までに処置すればいい、こういうことになるわけであります。
  50. 首藤新八

    ○首藤委員 先ほど申しました通りに、現在の株価は非常に安くなつておるのであります。かりに新会社の株券が交付されましても、経済の実態に大きな変化がない限りは、やはり安値を低迷するのではないかと思うのであります。従つてその安値で、四箇月、あるいは二箇年以内に処分するということになりますれば、その公共団体は非常な欠損を来す結果とならぬとも限らないと思うのであります。従つてそういうことになりますれば、その公共団体の管理地域の住民だけが、非常な犠牲を拂わなければならぬ。そうしてその他の地域の株主は、残つた財産を持つておりますれば、非常な利益を受けるいうことになりまして、この点について非常に不公平な措置だと考えまするので、この四箇月あるいは二箇年というような制約を排除して、その公共団体の希望のときに処分するということにおかえになることによつて、いかなる弊害があるか、この点をお伺いしたいと思うのであります。
  51. 高瀬荘太郎

    高瀬國務大臣 公共団体が新会社の株主を持たないようにするという原則は、この法案成立の最初の原則であります国家管理、公共統制というものを排除しようというところから来ているわけであります。それで、急激に、ごく短期間にこれを処分しなければならないということになりますと、確かに時期的にはなはだ不利なときに、処分しなければならないということになつて、不利益な状況にもなりますが、しかしながら、新会社が成立いたして、どんな業績をあげて行くかということで、大体株式の相場がきまつて行くのであります。三箇年と言えば、かりに今新会社が成立して出発するのが来年の四月といたしますと、二箇年間の業績がわかるわけでありますから、その間に処分するということであれば、そうひどく不利な時期に処分しなければならないということにならないで済むのではなかろうかと思います。それから資産との関係は、むろん株の相場が会社の実態をそのまま正確に表わすとは言えませんけれども、再評価すれば百億である、しかし再評価しないために二十億であるという場合には、たとい再評価いたしませんでも、株の相場には再評価すれば百億になるということが織り込まれておるはずであります。ですから、それらの点から申しまして、大体三箇年という期間がありますれば、そんなに不利な時期に処分しないで済むというふうに、私は考えております。
  52. 首藤新八

    ○首藤委員 先ほどの質問に対しまして、公共団体に交付される株式は、一応日発は解体するのでありますから、この株券は無効になつて、新会社のものが交付されるというふうに承つたのでありますが、第八條の二項を見ますと、「この法律施行の際現に所有する指定会社の株式をこの法律施行後四箇月以内に、」云々とあります。そうしますと、やはり日発の株券を断会社の株券ととりかえるのではなくして日発の株券は日発の株券として処分しなければならぬというふうに解されるのでありますが、これはどういうことになつておりますか。
  53. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 新会社を設立すれば、むろん旧日発の株券というものがなくなつて、それと引かえに新会社の株券に全部かわつてしまうわけであります。しかし新会社が成立するまでの間は、旧日発の株券がまだ残つて所有されておる、こういうことになるわけであります。
  54. 首藤新八

    ○首藤委員 そういう扱い方では、ますます公共団体に不公平になると思うのであります。これが二年あるいは三年先ならばともかくでございますが、現在のような株界の不況の場合に、しかも日発の古い株式は四箇月以内に処分しなければならぬということは、ますます公共団体の欠損を増大する以外の何ものでもないと考えられまするので、一層この條項の修正が望ましいと考えるのであります。なおそれの緩和策としまして、二箇年あるいは特殊の事情としてその財政に著しい影響を及ぼすと認められたときは三年とありますが、こういう惡影響を及ぼすか及ぼさないかという認定は、どこでするのでありますか、委員会でするのでありますか、それともほかの機関でするのでありますか。
  55. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 その認定は公益事業委員会が認定することになつております。
  56. 首藤新八

    ○首藤委員 先ほど申しました通り、日発資産再評価あるいは附加価値税その他の税金を多額に徴收されるおそれがあるので、なるべく内輪に再評価したいという政府のお気持らしいのであります。そうしますと、新しい会社資産には相当大きな含みが盛られてあるというふうに了解できるのであります。この含みはおそらく、過去において、強権を発動されて強制的に買收されました公共団体は、その均霑あずかり得ないという結論に到達すると考えますので、この点は政府におきましても今少しこれらの利益を公平に均霑できるような措置にお考えを願つておきたいと思います。なお私はほかに質問がありますけれども、時間も来たようでありますからきようはこの程度で中止しまして、質問を他日に保留しましてやめておきたいと思います。
  57. 小金義照

    小金委員長代理 次は坂本泰良
  58. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 私は、本法案は大体第一條、第二條、第三條によつて、その全部が決定されると思うのであります。この三箇條を明らかにすれば、本法案がいかなるものであるかということが、はつきりするだろうと思うのであります。従つてその審議の進展によつては、この法案政府が撤回されなければならぬような状態になるのではないかと思うのであります、かような見地から質問をいたしたいと思います。第一にお聞きしたいのは本法律案は集中排除、いわゆる集排法の特別法である、すなわち独立法であるか、あるいは集排法の従属的規定であるか、すなわち、補足的規定であるか、この点をはつきりしてみたいと思います。
  59. 高瀬荘太郎

    高瀬國務大臣 この法律は集中排除法に対する特別な立法と考えております。
  60. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 集中排除法に対する別個の法律である、特別な法律であるということになりますれば、現在日発は排除法によつて、解体の指定を受けておりますが、まずその指定を取消さなければ、この法律の適用ができないのではないかと思うのですが、その点いかがですか。
  61. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 集排法による指定は有効に残されておるのでありまして、集排法の足りない分をこの法律によつて補うという特別法であります。
  62. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 集排法によつて足りない部分を、この法律で補うということになれば、これは独立法でなく、従属的のものじやないかというふうに考えますが、いかがですか。
  63. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 集排法とは別個のものでありますが、集排法に対する特別法の関係であると思います。
  64. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 そうしますと電気の関係におきましては、日発集排法規定の適用と、本法律規定の適用と両方受けるようになるようですが、その点はどういうふうに処理されるお考えですか。
  65. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 お説の通り、両方の法律の適用を受けると解釈いたします。
  66. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 両方の法律の適用を受けると言うことは、簡單ですが、その点について非常に問題が起ると思うのであります。集排法の適用をそのままにしておきまして、さらに本法律電気事業に適用するということになるのでありますが、そうしますと会社集排法によるいわゆる持株会社整理委員会と申しますか、こちらの方の関係と、それから本法案によつて新たに設立されるところの会社関係におきまして、前委員からも質問のあつた株券の問題ですが、その株券の問題がどういうふうに処理されて行くか、これは一例でありますが、その点をまずお伺いしたい。
  67. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 第二條にありますように、再編成に関しては集中排除法及び集中排除法の執行に伴う企業再建整備法の特例等に関する法律規定によるほか、この法律の定めるところによるというわけであります。実行につきましては持株会社整理委員会公益事業委員会とが行うということになつております。
  68. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 それでは一応特別法であるというふうに認めましたならば、この再編成法律は実質的には日発を解体して、配電会社を大きくすることを目的にするような法律のようになるのでありますが、その点についての矛盾は、どういうふうにお考えになつておりますか。
  69. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 その点につきましては先ほどの門脇委員及び首藤委員に対してお答えした通りの見解を持つておるのでありまして、過度集中力排除という見地のみでこの再編成を行う。一般産業に対する場合でありましたならば、今回のような再編成計画はできないだろうと思いますが電気事業の性質かち関連いたしまして、特殊な再建整備が行われるというところにあると私は考えております。
  70. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 その特殊な再建整備によつて、実質的に配電会社を大きくするという結果になる。その点についての見解をお聞きしておるのです。
  71. 高瀬荘太郎

    高瀬國務大臣 配電会社に発電設備等を分割帰属せしめるということは、一方においては日発過度集中を排除する。同時に他方配電に対しては配電会社経営の合理性、合理的な運営を認めて行く。こういうところから来ておりまして、電気事業につきましては、その性質が自然的独占事業であります。ですから他の一般産業とは、その点で特殊な処置を必要とする、こう考えております。
  72. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 独占事業であるから、ますますこの配電会社独占にするということになれば、集中排除法の目的にまつたく反する結果になるわけであります。ですからほんとうに電気事業が、いわゆる現政府の主張する民営に基くということになれば、この配電会社のみを独占させて強化させる必要はないと思う。これは配電会社にくつつけてそれをふくらまして、そうして独占させているという現在の政府のやつておられる自由主義的の民営の基礎にかえつて逆行するようなことになると思うのですが、その点についてはいかがでございますか。
  73. 高瀬荘太郎

    高瀬國務大臣 民有民営原則は、これによつて当然実行されるという結果になると私は思います。民有民営であつてある程度の独占を認めるというところに、他の産業との違う点が出て来るわけでありまして、他の産業となぜそういう違つた扱いをするかということは、御承知のような電気事業の特殊な本質から来ておるわけであります。そうして発電設備と配電とを一緒にする根拠がどこにあるか、それをわけて置かない方が電気事業全体としての運営の合理化に適当である。こういうところから来ているわけであります。
  74. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 運営の合理化というのは、いろいろあると思うのですが、この点について、しからば大きいところでいいですが、配電会社と一緒にいわゆる電源、配電を一緒にするというところについてどういうのがあるか、一、二でもいいから、おおまかな点をお聞きしたい。
  75. 始関伊平

    始関政府委員 発送電と配電とが別の形態になつておりますと、合理的な経営を妨げる、その具体的な事例をあげろ、こういう御質問と存じますが、きのうも申し上げましたように、私どもが平素気のついております点を申し上げてみますと、たとえばこの冬にも例があつたことでございますが、雨が降りまして余剩の電力が出るという場合におきまして、発送電と配電とが一貫経営でありますれば、それの余剩電力としての配送が、当然うまく行つてつたと推定されると思いますが、現在の状況のもとにおきましては、この余剩電力がキロワット・アワー当り三十銭程度である、そういうことになりますと、日発から特配いたしますものは別といたしまして、配電会社経由のものにつきましては、手数料がとれないというような点がございます。なおまたこの料金の高い電気を売ることに支障がある。いろいろな点がございますと同時に、発送電と配電との連絡というような問題がございまして、せつかくの余剩電力が有効に使われていないというような点は、一つの顕著な点と存じます。それからただいまではこの会社日発一つ配電会社九つでございますが、経理的にはこの内部の会社があたかも一つ会社であるような経営方法になつておりまして、配電会社はその料金と、それから自分の会社に必要な経費とを合せたものがまかなえますように発送電会社の卸売料金をきめてもらうというようなことになつております。従いまして配電会社がせつかく経営の合理化をやりましても、それだけ卸売料金が逆に高くなるというような結果になるわけでございまして、このことが全体として要ました電気事業の合理的な経営を妨げておると思うのでありまして、その結果先ほども話が出たのでありますが、ただいまの送電に伴うロスは擅用——盗用を含めまして三〇%近くにも上つておるのであります。そのうちの五%近くの盗用がある。それに対する取締りと申しますか対策というものも、ただいまの状況のもとにおおきましては積極的には進めにくいような気運と申しますか、気分になつておることは、否定できないと思うのであります。さらにまたサービスといたしましては、事故があつては困るので、停電がありました場合に、それは配電会社の責任に属するのが、ないしは発送電関係の方の事情によるのかという点は、需用者から見ますればまつたく不明瞭でありまして、そういつたことも、豊富低廉な電気の供給という点から見まして、不都合があるというふうに考えております。
  76. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 今の説明は、配電会社を強化さした方がよいという前提に立つていると思うのです。今サービスの点も出たわけでありますが、われわれの考えるところでは、日発ができ、あるいは配電会社ができた歴史と申しますか、経過をたどつてみますと、まず四百余りあつた配電か、昭和十七年に九つにされた。これは配電が不十分であるというのでまとまつたわけなんですが、電源の開発の問題については、なおそれをさかのぼること三年、昭和十四年にこの発送電いわゆる日発ができた。電源の方をまず確立しなければ、配電の方がいかにサービスをしようとしてもできないという結果に、歴史的に見てもなると思うのです。分断されて配電と電源とが一緒になりますと、電源が非常に不十分だ、あるいは火力による料金が高いというのが——かえつて配電によつてはサービスはもちろん、国民の需用にも応じられないというような結果になるわけであります。従つて電源のよいところは、配電会社においてサービスもよくなり、料金もよくなり、事業も興るということになると思いますけれども、電源の不十分なところは、また電源開発に多額の費用を要するところは、遅々として進まず、従つて配電もうまく行かない、こういう結果になると思う。この点について、政府は合理的な方法をやるという準備があるかどうかお伺いしたい。
  77. 高瀬荘太郎

    高瀬國務大臣 サービスをよくし、豊富低廉な電力を消費者に與えるという点について、今もつぱら電源開発の点からお話なつたように思います。九分割の結果としまして、電源開発が今までよりも活発に行われない。電力の増大が円滑に行かず、それがために消費者として困ることになる、こういう点にあつたかと思います。私どもの言うサービスの合理化ということは、むろんそういうことも必要で、事業経営の仕方という点から考えて、サービスとか合理化ということも重要視しておるわけでありまして、その点から見まして、一貫経営の方が妥当である、こう考えておるわけであります。電源開発の点で、もし九分割の結果として開発がうまく行かない。活発にそれが実行されて行かぬということになれば、お説のような結果にもなりますが、私どもの考えは、この二、三日来たびたび申し上げておるように、この九分割の結果といたしまして、電源開発について非常な支障を生ずるものでない、こう考えておりますので、お説のような欠陷は出て来ないと信じておるわけであります。
  78. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 第一條の関係で、次にお聞きしたいのは「公共の利益のために電気事業の再編成を行う」「この公共の利益」という言葉がありますが、再編成を行うて公共の利益のためになるかどうかという点に、われわれは非常な関心を持つておるわけであります。この原案を見ますと、公共の利益のためという点で、国民の権利を侵害する、憲法違反ではないかと思う点があるのでありますが、この公共の利益というのは、具体的に言うならばどういうふうな内容を持つておるのであるか、その点をまずお聞きいたします。
  79. 高瀬荘太郎

    高瀬國務大臣 公共の利益ということは、大体抽象的にはだれもわかつておることだろうと思います。具体的に電気事業を関連して申しますれば、まず第一には、一般消費者の利益ということが考えられなければなりません。また消費者というのは、ほとんど一般産業でありますから、日本国家として一般的な経済の発展ということも入つて参ると思います。それらのいわゆるパブリツクの見地から考えまして、こうありたいという点をさして、公共の利益である。具体的に言えばずいぶんいろいろな問題があると思いますが、直接には一般消費大衆の利益、こういうことにあると思います。
  80. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 私の質問もあまり抽象的でありましたが、結局公共の利益と考えますのは、生産を多くするというのが第一であるし、第二には、これを国民に安く販売する。それから公平に配分をしてやる、こういうふうに三段階にわけて考えました場合に、この発電と送電と配電とを一貫して経営するより、むしろ発電と送電と配電とは別にした方が、電力生産がふえ、低廉に販売されて、発電のないところへも融通しあつて、公平に配電ができて、国民に公平に恩惠を均活させ得るように考えられますが、この点について発電と送電と配電を区別した方が、公共の利益にかえつて合いはしないか。むしろ九つ分断して、発送電、配電を一緒にすると、かえつて公共の利益に反してはせんかというふうに考えるのでありますが、私はその点についての公共の利益ということを、ただいまお聞きしたわけなんですが、かような第一條の公共の利益という観点から行きましたならば、これはやはり二つにわけておいた方がいいじやないかと思うのですが、その点について重複するかわかりませんが、もう一度承りたいと思います。
  81. 高瀬荘太郎

    高瀬國務大臣 この第一條に書いてありますように「電気事業国家管理を廃止し、」ということが一つあります。国家管理というものが今までの実情におきまして経営がどういう状況にあつたか、それがはたして一般電気需用者にとりまして、非常に便利、サービスもよく行つてつたかどうかということが、一つの問題として考えられ、これを改善するということも、一つ目的になつておるわけであります。それから発送軍配電を一貫経営にして、事業体制を確立する、一つ独立採算的な單位として一貫経営をするということが、いろいろの意味におけるむだを排除して合理化して行くという上において都合がよい、また国家管理に比べれば事業体制としてやつて行く方が、消費者の便宜というものをもつと一層考えて消費者にとつてサービスその他の点において利益である、こういうことが入つておると思うのであります。そういうような意味におきまして今度のような再編成をすることが公共の利益に合致するこういうわけであります。
  82. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 この点について、これは地域的会社によつた方がいいか、あるいは全国的規模の上に立つた方がいいかという点についての、公共の利益というのは、これは重大な問題だと思うのであります。従つてこの点に対してはもう資料が出しておるかもわかりませんが、需用家に直接接触する配電方面の関係から、または生産にどれだけの増加を来すかという点についての具体的の実証、九分断についてどういうふうにして改善がここに認められるかというような具体的の材料をひとつお願いしまして、それを見た上でなお公共の利益という点については、検討いたしたい思つております。  次は第二條の関係でありますが、「この企業再建整備法の特例等に関する法律規定による外、この法律の定めるところによる。」ということになつておりますから、これはこの法律を適用するにあたりましては、集排法規定はこの再編成の手続の規定におきましては、どういうふうにして運用されて行くか。われわれはもし集排法の特別法であるならば集排法は、この法律によつて廃止になりはしないかという考えを持つのであります。いわゆる新法は旧法にすぐるという観念を持ちまして、廃止になりはしないか。従つて第二條の「による外、この法律の定めるところによる。」これから推しますと、従属的な規定のように見えるのであります。そこで先ほどの説明で特別規定であると申されましたが、なおこの第二條の点におきまして、これは従属的の規定じやないかというふうに、強く解せられますが、その点について重ねて御所見を承つておきたいのであります。
  83. 小室恒夫

    ○小室政府委員 やや法律的な問題でありますから、私から御説明申し上げます。第二條は法律的な性格といたしましては、電気事業編成法が、集中排除法並びにその系統法律の特別法であるということを明らかにいたしております。これは再編成の手続的な問題の処理につきまして、特にこの集中排除法の手続を持株会社整理委員会ないしは公益野業委員会指定会社の再編成にあたつて採用することを、明らかにいたしておるわけでありまして、その次の第三條の共幹的規定におきましても、再編成後の新しい会社資産の帰属であるとか、供給区域であるとか、あるいは幾つ会社ができるかというような、基幹的な問題を定めます再編成計画というものも、集中排除法の第七條第二項によつて委員会が承認するというようなことを定めておるわけであります。但しこれは法律的な意味で、往属的あるいはこの法律の体系に属するということを申し上げておるわけでありまして、大臣から申しますように、この法律はまた別な積極的なねらい、電気事業の健全な発達をはかるという積極的なねらいを持つた法律であるということを、否定する意味ではございません。
  84. 小金義照

    小金委員長代理 それでは本日はこの程度において質疑を打切ります。なお明日は大体御出席の各派の御了解を得ましたので、午前十一時に本委員会を開きまして、減失鉱業原簿調製等臨時措置法案について質疑を行います。なお大体午後二時半から電力編成及び公益事業法に関する質疑を継続するという予定にいたしておきます。本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十九分散会