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1950-04-26 第7回国会 衆議院 通商産業委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十六日(水曜日)     午後零時三分開議  出席委員    委員長代理 理事 神田  博君    理事 有田 二郎君 理事 小金 義照君    理事 澁谷雄太郎君 理事 永井 要造君    理事 村上  勇君 理事 今澄  勇君       阿左美廣治君    岩川 與助君       江田斗米吉君    門脇勝太郎君       小西 英雄君    首藤 新八君       關内 正一君    田中伊三次君       多武良哲三君    中村 幸八君       福田 篤泰君    福田  一君       前田 正男君    高橋清治郎君       柳原 三郎君    青野 武一君       加藤 鐐造君    伊藤 憲一君       風早八十二君    田代 文久君       河野 金昇君  出席国務大臣         通商産業大臣  高瀬荘太郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       宮幡  靖君         資源庁長官   始関 伊平君  委員外出席者         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君     ————————————— 四月二十六日  委員北澤直吉君、藤枝泉介君及び西村榮一君辞  任につき、その補欠として福田篤泰君、田中彰  治君及び坂本泰良君が議長の指名で委員選任  された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任に関する件  特別鉱害復旧臨時措置法案内閣提出第八号)  公益事業法案内閣提出第一七八号)  電気事業編成法案内閣提出第一七九号)     —————————————
  2. 神田博

    神田委員長代理 これより通商産業委員会開会いたします。  この際請願及び陳情書の取扱いの件についてお諮りいたします。今会期に本委員会に付託になりました請願は、総数百九十四件送付を受けました陳情書総数八十九件でありまして、会期も切迫し、かてて加えて重要議案をかかえておりまする本委員会といたしましては、これら多数に上る請願陳情書について委員会開会して、一々審議を盡す余裕もないと存ぜられますので、先刻各派理事各位とも御協議をいたしたのでありますが、その審査を促進するために、請願及び陳情書審査小委員会を設置いたしたいと存じますが、このように決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 神田博

    神田委員長代理 御異議ないと認めます。それではただちに小委員及び小委員長選任をいたしたいと存じますが、これは委員長において指名するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 神田博

    神田委員長代理 御異議なしと認めます。それでは委員の数は七名とし、小委員には  關内正一君、多武良哲三君、加藤鐐造君有田喜一君、田代文久君、河野金昇君、山  手滿男君を指名いたします。  小委員長には關内正一君を指名いたします。  それではただいまより公益事業法案及び電気事業編成法案を一括して議題として審査を進める予定でありますが、通産大臣が所用で外出しておるようでありまして、大臣が帰つて参りますまで、休憩をいたしたいと思いますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 神田博

    神田委員長代理 暫時休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後二時二分開議
  6. 神田博

    神田委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  ただいまより特別鉱害復旧臨時措置法案議題として審査を進めます。本案に対しましては、特別鉱害復旧臨時措置法案に関する小委員会修正案提出されております。この際私より特別鉱害復旧臨時措置法案に関する小委員長といたしまして、同小委員会経過並びに本修正案についての御報告並びに御説明を申し上げたいと存じます。  まず第一に、特別鉱害復旧臨時措置法案審議経過を申し上げます。本案は十二月二十三日内閣より提出、本委員会に付託せられました。一月四日より七日間北九州地区委員を派遣いたして、親しく現地について調査をさせております。一月二十三日政府委員より提案理由説明を聽取し、一月二十五日公聽会開会の件について、協議決定いたしました。次いで二月九日及び十日にわたりまして、公聽会開会、二十三名の公述人より意見を聽取いたしております。二月十五日小委員会を設置し、小委員長及び小委員選任、二月十六日第一回小委員会開会、第一次修正案について協議がございました。二月十八日第二回小委員会において、共産党田代委員が第一次案に反対し、しばらく冷却期間を置くことに相なりました。三月十四日、通産建設、両委員会理事合同打合会開会、三月十五日第三回小委員会開会安本通産建設各省当局公共事業費中心に懇談しました。次いで十七日、第四回小委員会開会安本通産、大蔵、建設各省当局とさらに懇談を重ねました。翌十八日第五回小委員会開会修正点について各派一致の上、決定いたしました。続いて二十三日、通産建設災害地対策、各委員会理事合同打合会開会されました。二十四日本案の扱いについて、修正案文関係方面との交渉その他手続について、委員長一任することに決定をされました。次に二十五日第六回小委員会開会修正案文について協議し、一応了承せられましたが、二十七日に至りまして、社会党、民主党、共産党各党の小委員会修正案について再検討がございまして、ここでも了承せられました。続いて二十九日渉外課を通じまして、修正案文をその筋に提出いたしました。三月三十日修正案文がその筋に到達されております。四月四日に小委員長より小委員会中間報告を申し上げております。なお十三日、十七日、二十日等にわたりまして、小委員長司令部を訪問いたしまして、ESS、あるいはリーガル・セクション、GS等とそれぞれお打合せをいたしております。  そこで特別鉱害復旧臨時措置法案に関する修正案文の概要を御説明申し上げたいと思います。そのおもなる点について申し述べまして、詳細はお手元に配付をしております修正案を、ごらん願いたいと思います。     —————————————     —————————————
  7. 神田博

    神田委員長代理 まず第一に、この法律の中にございました原案特別鉱害復旧団特別鉱害復旧公社と改める点でございます。政府提出復旧団につきましては、私法人であるか、公法人であるか明確でない点、また現下の状況に照しまして、公社にすることが適当であるという考えでございます。続いてこの公社の役員及び職員につきましては、国家公務員とするという規定を設けました。なお通産省職員の中から兼ねて任命できることに改正をいたしております。  その次に、政府提案によりますると、全国各炭鉱出炭数量に応じまして、一様に一トン当り二十円納付金を徴收する規定に相なつておりまするが、これにつきましては、加害炭鉱につきましては、二十円に改める。なお関連産業の経営しております炭鉱につきましては、トン当り十円ということに規定をいたして改めたのであります。  次の、この納付金より少額において復旧工事をし得るような加害炭鉱につきましては、通産大臣の承認を受けて、みずから復旧工事施行者となり得るという規定を設けました。さらにこの復旧公社の業務につきましては、昭和二十五年十二月三十一日、またはそれより早いときに通産省に引渡さなければならない。そこでその結果といたしまして、公社の解散の規定を設けた。かようなことが本修正案のおもなる点でございます。  ただいま修正案につきまして御説明申し上げましたが、それでは引続きまして、原案及び修正案一括議題として討論に付するのでありますが、討論は通告がございませんので、引続き採決をいたしたいと思います。内閣提出原案は、小委員会修正案通り修正議決をするに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 神田博

    神田委員長代理 御異議なしと認めます。よつて内閣提出原案は、小委員会修正案通り修正議決いたしました。  この際本案委員会報告書作成の件についてお諮りいたします。これは先例によりまして、委員長に御一任を願いたいと思ますが、これに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 神田博

    神田委員長代理 御異議なしと認めます。委員長に御一任をいただいたものと決します。  それでは暫時休憩いたします。     午後二時十二分休憩      ————◇—————     午後三時五十分開議
  10. 神田博

    神田委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  ただいまより公益事業法案及び電気事業編成法案一括議題といたし、審査を進めます。質疑に入ります。村上勇君。
  11. 村上勇

    村上(勇)委員 質問に先立ちまして、大臣にお伺いしたいことは、けさ新聞報道によりますと、通産大臣電気事業編成法案に関しまして、昨月ケネディ氏と会見せられ、この法案を急速に通過せしめるように努力せよとの要望を受けたということでありますが、この問題について二、三大臣の御答弁を承りたいのであります。  まず第一点は、通産大臣ケネディ氏からほんとうにこのような要望をされたかどうか。第二点は、その際大臣衆参両院委員長にもこの旨を傳えるようにと付言されたかどうか。もし新聞報道ごとく、実際に国会委員長への伝言を不用意に承知されたことがあれば、これは大きな問題であろうと思います。これが真実を御説明願いたいと思います。
  12. 高瀬荘太郎

    高瀬國務大臣 昨日ケネディ氏と会見いたしたことは事実であります。そしてその際今回の二法案につきまして、ケネディ氏としましては、ぜひとも急速に成立することを希望している、こういう話がありました。そしてその間にいろいろの話合いがあつたのでありますが、とにかく集中排除法によつて発送電解体ということは、どうしても決定的に必要なことであつて、その方向についてはずいぶん長い間考究された結果として、今度の法案ができて来ておるのだから、司令部としてはこれをきわめて急速に実行したいということを希望している、こういう話でありました。そういう話がありましたので、私としましては、両院委員長に対しましては、決してオフィシャルな意味で、これだからこうしてくれという意味で話したわけではありませんが、会談した場合にそういう話であつたということはお伝えしたわけであります。
  13. 村上勇

    村上(勇)委員 御説明によりまして、伝言を依頼されたことはないということがわかりました。しかしけさの各新聞に大体同様の記事が記載されておりましたことを見ますと、大臣新聞発表のときの気持が、行政府長官である大臣が、立法府である国会審議を牽制しようという意図を持つておられたように断ぜられるおそれなしとしないのであります。もしこのような気持をかりにでも持つておられたとすれば、それは民主憲法の精神を汚すものであると考えまするが、この点について、いま一度御説明をお願いしたいと思います。
  14. 高瀬荘太郎

    高瀬國務大臣 私は決して委員会における委員審議権に、いささかでも干與しようという考えは、毛頭持つておりません。新聞記者会談の場合には、ここで御説明申し上げたと同じような話をいたしまして、委員長に会つたら話もしたいと思つている、こういうことは言つたわけで、それがああいうふうに取上げられたのだと思います。
  15. 村上勇

    村上(勇)委員 よくわかりました。しかし今後もあることですから、この点十分御注意をお願いしたいと思います。  まず質疑に入りますが、電気事業の再編成は、先ほど大臣お話しの通り過度経済力集中排除法指定を受けておる関係上、やむを得ないということは私どもも認めます。しかしながら今ただちにこれを実施するということは、日本現状から見て、少くとも非常に電力不足しておる現状では少し無謀ではないか、私どもはこう思うのであります。私が一番心配している点について、大臣説明を承りたいのでありますが、まず第一点は電気料金地域差であります。電源地帶である北陸電力不足しておる九州あるいは中国では、一対四の比較になるというようなことは、九州中国地区産業を破滅に導くものであると思いますが、これに対する大臣のお考え並びに対策を、具体的に御説明願いたいと思います。
  16. 高瀬荘太郎

    高瀬國務大臣 電気料金地域差の問題につきましては、むろん決定的な料金及びその調整は、委員会においてやられるわけでありますが、われわれとしてもいろいろと想定はいたしてみております。その想定によりますれば、料金地域差につきましても、この案の実行によりまして現行料金地域差に比べて、非常に著しい地域差拡大を生ずるということは、実は考えておらない次第であります。従いまして、これを実行したために非常な地域差拡大影響を生ずるとは、実は私は考えておらないのであります。
  17. 村上勇

    村上(勇)委員 これは私は見解の相違だと思いますので、詳細はまた資料によつて、この点を御説明願いたいのでありますが、次に電力融通であります。政府は九分割をしても電力融通は、今より多少悪くなる程度で大したことはない、こう言われております。しかし二十三、二十四年の、いわゆる両年度はまれに見る暖冬と豊水に恵まれた結果、渇水期を無事に切抜け得たのであります。現状のまますなわち日発がそのままの形態であつたといたしましても、まだ電源開発がその緒についたばかりである今日、一キロの増電をやる電源開発もできていない今日、例年並渇水に見舞われましたならば、また二十一、二十二年のような深刻な電力不足に陥ることは明らかであります。しかるに現状より多少悪い電力融通状態となるということであつたならば、九分割の結果、渇水期には全国民電力不足ために非常な迷惑をすることを心配しておるのでありますが、政府のこれに対する見通し、あるいは具体的な対策を承りたいと思います。
  18. 高瀬荘太郎

    高瀬國務大臣 電力需給調整につきましても、むろん十分の考慮を加えた上での今度の決定案であります。その点も十分重視いたしまして、調節にあまり重大の支障のないような案をつくつたつもりでおるわけであります。われわれの考えによる調整の非常に困難と思われる分量は、約一五、六%、そのうちで調整でもつて大体円滑に行くだろうと予想されるものが一〇%ですから、残るところ六%見当が、相当困難な需給調整状態になるのではないかと思います。渇水期における状況は、どういうふうになるかというようなことにつきましては、長官からかわつて説明申し上げたいと思います。
  19. 始関伊平

    始関政府委員 電力地帶間融通の問題、特に渇水期においてそれがひどくなるのではないかという御質問でございますが、実は地帶間電力融通を極力阻害しないという意味におきまして、重要な発電地消費地に直結しておる電源は、これにつけておるわけでございますが、そういうふうにいたしました場合、その融通日発の九分割の場合に比べまして、多少困難になるようなそういう性質電気というものは、ただいま大臣も申しましたように、私どもは六%内外というように考えております。なおこの六%内外につきましては、六十サイクルの電源につきましては、北陸と中部と関西と三つ関係があるわけでございますし、五十サイクルの方は関東と東北が関係があるわけでございますが、これらの関係会社間に緊密な連絡をいたしまして、性質上から申しますれば、地帶間融通が困難なような性質のものでございましても、極力むだにしないように、有効に使うというような方法を講じたい。また今度できますボデーがその指導に当りたいというように考えております。なお渇水期につきましては、今年あるいは昨年におきましては、大体火力が二百万キロワット程度発電能力があるわけでございますが、実際は百五十万程度しか石炭をたいておらなかつた。これは豊水関係でございますが、そういう点もありますので、火力能力一ぱいにたくというようなこと、それから火力設備の補修をやるというような点に対しても、今後努力して参りたいというように考えます。
  20. 神田博

    神田委員長代理 この際委員長から一言申し上げておきますが、本法案審議は、まことに時間も乏しいのでありまして、本委員会といたしましては、まず本法案の根幹をなす考え方、総括的な質問をしようということに、大体委員のお打合せができておることでありますので、できるだけその趣旨に沿つた大臣を対象とした御質問を進めていただきたいと思います。
  21. 村上勇

    村上(勇)委員 ただいま大臣資源庁長官地帶間融通が、スムースにできるといつたようなお話でありますが、これについては私はきよう資料をもらいましたから、この資料をよく検討して十分質問したいと思います。ただ私ども考えではまだあの五人委員会の二次案を見ましても、いわゆるボデーができましても、絶対にこういうことはできない。なぜかと申しますならば、日本発送電が、今日全国統一してやつておりますが、それですらなかなか思うように行かない。瞬間的な電力の過不足によつて、そのように九分割された後、そんなことができるはずのものじやないと、私どもは思つております。  次にもう一つ大きな問題としては、今日電力はどうしても増強しなければならぬ。電源開発をしなければならぬということになつておりますが、電源開発につきまして、はたして九分割にされた場合、電源不足地域であるところの九州中国、あるいは北海道等におきましては、非常にコストの高い電源地帶を持つておる。たとえて申しますならば、九州の上椎葉のごとき約七十億からかかるが、出力わずかに八万キロ、そういうような法外な巨額な工事費を要する発電所が、たとえ九州地区電力不足であつても、九州地区独立採算制ということを強調されておる今日、そういうことができるかどうか。私は電源開発についても、どういう方法をもつてやるだろうか。この点九分割については、最も心配することでありますが、これはどういうふうに政府考えておるか、お伺いしたいと思います。
  22. 高瀬荘太郎

    高瀬國務大臣 電源開発の問題が今回の分割によつて、非常に支障を生ずるのではないかということは、たびたび言われておるところであります。それについての御質問と思います。分割された結果として、開発資金調達等について、非常に困難を生ずるのではないかという点が一つであろうと思います。しかしとにかく集中排除法によりまして日発一本で、発送電をやるということはできないことになつてつて、これを分割しなければならないということは、既定の事実であります。ですから分割されることによつて生ずる資金調達の困難を、何らか適切な施策によつてこれを補つて行くという方法をとるよりほかはないだろうと、私は考えております。その場合にこれが非常に小さく分割され、事業の基礎、内容等も非常に薄弱になるというようなことになると、非常な打撃があるかもしれません。しかしながら九つに分割され——供給区域は大体今までの配電会社区域を確保されておるわけでありますが、そこへ分割された発電所がつけられて行くということになりますと、事業としては非常に強固なものになると考えていいと思うのです。ですから資金の面の供給さえ何とか方法がつくならば、資金調達の上からいつて、非常な困難を生ずるということは、私には考えられないのであります。ですから政府といたしましては、この分割された結果、資金面でもつて何らかの困難を生ずるという事情があるならば、むろんこれを排除することにいたしますし、分割されても、しないでも、電源開発の問題は、非常に重大な問題でありますから、今まで通りその資金供給については、全力をあげて内外資金供給をはかつて行きたい。こういう方針でやつておるわけであります。
  23. 村上勇

    村上(勇)委員 いろいろ大臣に伺いたいのですけれども資料がきよう来たばかりですから、この程度で私の質問を保留しておきます。
  24. 神田博

  25. 有田二郎

    有田(二)委員 大臣にお伺いいたしますが、一体これだけの大きな法案を、しかも国会があと余すところ非常に少い期間ということを、一切御存じでお出しなつたのか。どういうつもりでお出しなつたのか。われわれはまことに了解に苦しむのであります。しかも日本あげての非常に重大な問題、第一われわれとしては提出された資料を読むだけでも相当な日数がかかります。この国会ではとうてい通らないだろうということを、お考えの上でお出しなつたものか、承りたいと思います。
  26. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 参議院の本会議緊急質問におきましても、同じような御質問を受けまして、私はお答えしたのであります。むろん国会審議をやつていただくためには、十分の期間を必要とする。ですから本来ならばこういう法案を当然早く提出いたしまして、十分の期間審議ためにおくべきであると思います。けれども何にしても複雑な問題を含んでおりますので、考究折衝等に非常に時間を要しております。それがため提出の時期が非常に遅れて、閉会に間もない時期になりましたことは、私どもとしては、はなはだ遺憾に思つておる次第であります。けれどもこれを提出したということは、とにかく指定を受けておる日発分割ということは既定の事実で、実行しなければならない問題であり、これが宙ぶらりんの形にあるということは、はなはだおもしろくないということもありますし、できるだけ早い機会において、これを実行すべきであるという考えで、提出をいたしましたわけでありまして、幸いにその事情を御考慮いただいて、御審議を迅速にお進めいただければ、たいへん仕合せと思つております。
  27. 有田二郎

    有田(二)委員 つい最近通産大臣を兼攝された。この法案は、大臣に就任される以前にいろいろと交渉があつた問題だと思われるのであつて、ただいま通産大臣としての御答弁がありましたが、実際は、大臣なつたところが法案が出て来て、それを今度国会提出なつたということじやないかと思う。一体これは大臣中心になつて、しかも今国会に通して行くというだけの迫力、信念をもつて出しなつたものかどうか。私はこの点をさらに重ねてお伺いしたい。
  28. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 私が就任いたしましたのは、つい十日ほど前のことであります。この法案の準備につきましては、ずいぶん長い間かかつてつたのでありまして、ほぼ成案ができて、私が就任したということになつております。しかしながら最後の仕上げにつきましては、まだ残された問題もありまして、私は最後三日ほどは折衝もし、考究もして、実は完成された、こういう関係にございます。
  29. 有田二郎

    有田(二)委員 いろいろわれわれとしても、意見があるわけですが、とにかくこの問題は相当大きな問題であると同時に、影響する方面も非常に大きいと思います。御存じ通り與党であるわが自由党の中でも、非電源自由党電源自由党と、この二つにわかれており、しかも非電源自由党者たちは非常な苦境に立つているということもあわせお考え願つて大臣には愼重に法案審議を進められんことを望むのです。もちろんわれわれは與党でありますから、今澄君からやじが出ましたが、われわれも国家中心とした方向に進むことはもちろんであります。しかし国民全体のことをよく考えて進みたい。かような考えをもつてこれから質疑に入りたいと思います。  ただいま村上委員からのお話にありました、昨年の十二月、政府行つた電力料金改正は、各地域にかなり大きな料金の差がついたために、各地域においても非常な不満と苦情を惹起しておる事実は、政府もよく承知しておると思いまするが、政府は昨年の料金改訂にあたつて、各地の国民生活産業に與える深刻なる影響を十分考慮してやられたものであるか。さらにまたそれに対する政府の御所見を承りたいとい思ます。
  30. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 昨年の電気料金改正の結果、地域差が非常に拡大され、それがためにいろいろの問題があるということも、私は承知いたしております。今回の再編成の問題につきましては、むろん料金地域差ということは重大なことでありますから、考慮しつつ編成はいたしたわけであります。しかしながらわれわれが想定いたしました基礎によりますと、大体現在の料金地域差というものを拡大しないように、これが再編成の結果として拡大されて、なお一層の重大な影響を及ぼさないように、こういう方針で実はつくつたわけであります。
  31. 有田二郎

    有田(二)委員 政府は昨年の料金改訂にあたつて電気事業者の採算については考慮したようでありまするが、各地区の産業のコスト高、料金の値上り及び一般の産業の基礎に與える深刻な影響については、愼重な配慮に欠けるところがあつたのじやないか。ことにカーバイド、石灰、窒素、硫安、ソーダ、電気、製鋼等、生産コスト中に電気料金の占むる比重が比較的大なる産業において、改正前と改正後とのトン当り電気料金の比較はどうなつておるか。この点をひとつ地域別、産業別にお話を承りたいと思います。
  32. 神田博

    神田委員長代理 有田さんにお諮りいたしますが、きようは初日で、大わくだけやろうということで、大臣答弁できる程度にしていただいてお進め願いたいと思います。
  33. 有田二郎

    有田(二)委員 それでは石炭産業あるいは製鉄業電気交通業にしても、改正料金によつて深刻な影響があつた考えるが、それを数字的に説明を承りたいと思います。またこの点に関する通産省における省議の模様をわれわれは聞きたい。関係各局の意見はどうであつたか。たとえば化学局はこれについてどういう考えであつたか。鉄鋼局はどういう考えを持つてつたか。あるいはその他の各局の意向を、ここで次の機会に各局長さんの出席をいただいて、自分の方の所管の局は、今度の問題についてこういうような結果になつた、この産業はどうだつたということを詳細に承りたい。大体この点について御用意を願いたいと思います。さらにこの点は、そういうように資料並びに局長の出席を求める次第であります。  それから料金地域差に対する各種産業界からの苦情は、われわれもいろいろと聞いておるのでありますが、政府当局に対する陳情も、各種団体から多数に上つておることと私は思うのであります。また各地方通産局においても、多くの陳情を聞き、それに基いて料金値上げによる影響を十分に調査されたと思うが、その点をひとつお伺いしたいと思います。ついては重要産業からの陳情と、それに対する通産省影響調査を、それぞれ地域別に説明を願いたいと思いますが、これは資料を提供していただいて、そのときにあらためて一緒に事務当局から説明を承りたいと思います。大臣質問しても、答弁は無理だと思いますから、事務当局の方で説明していただきたいと思います。  さらに本邦のごとく、非常に狹い国土に稠密な人口を擁する国にあつては、全国津々浦々、至るところにその土地の情勢に即応した産業が勃興し、興隆して行くのでなければ、その厖大な稠密な人口を養つて行けないのであります。また天然資源に惠まれない本邦においては、唯一の電力資源である水力を利用して、電気を起すことが、産業復興のために喫緊な要務でありますが、電気はその特性から考えて、水や空気ごとく、至るところにあまねく普及利用せらるべきであります。これがために均一の料金で、豊富低廉に供給されなければならないのであります。明治以来為政者、政府は、水力電気がわが国最大の天惠であることを認め、電気事業の発達、助成をはかるとともに、なるべく均一の料金で、豊富低廉に電力供給せしめることと、その普及につとめて来たのであります。しかるに政府は、昨年末の電気料金改正にあたり、突如従来の国家的大方針を変更して、ことさらに料金地域差を設けたのはいかなる理由に基くものであるか。これは電力政策の革命的変革とも見るべき措置であつて国民として納得しあたわざるところであると、私は思うのであります。従来の電力国策の伝統を確信していた産業界は、料金改訂に際しても、事態の重大性を知るに至らず、改訂実施後料金請求によつて初めて愕然として真相を知つたというのが、実際であります。政府はわが国産業が復興の途上にあり、また不安定の域を脱し得ない時期において、なぜ産業界に甚大な打撃を與えるごとき革命的変革を料金政策に加える必要があつたか、これを説明されたいのであります。
  34. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 昨年の料金改正によりまして、地域差が著しくできて来たということに関連しての御質問と思います。電気料金の政策につきまして、全国均一の政策をとるべきであるか、あるいはやはり自然的な地域的條件に基く地域差は置くべきであるかということは、二つの意見にわかれておるかと思います。しかし政府といたしましては、画一的に一切の自然的、地理的條件を無視した均一的な料金制度によることは適当でない。しかしながら地理的條件、自然的條件にあまりに惠まれない地域に対する経済的考慮ということは、やはり一方において必要である。そういうところからあまり画一的にならず、しかも地域的な自然的條件の惠みは、やはり地域的経済で與えるという方針のもとに実行されておると、私は考えております。
  35. 有田二郎

    有田(二)委員 わが国は南北に細長い国でありまして、真中を貫ぬく山脈で表日本と裏日本とにわかれておるのであります。その南端と北端においては、温度その他気候は著しく相違しておるのであります。また太平洋岸と日本海沿岸、いわゆる表日本と裏日本においては、天候は一方に雨が降るときは、他方は晴であるというように、太平洋岸が晴のときには、日本海岸は雨である、あるいは雪であるというような場合が多いのであります。貿易風その他海岸から受ける水分は、これらの山脈に当つて雨となり雪となる。本邦の地勢は、御承知の通り本邦中央部において幅広く、日本アルプス初め、高山ここに集まつて、大河の源ここに発しておるのであります。これがために豊富なる水量と大いなる落差を利用する水力発電が、この周辺に発達し、未開発包蔵水力また本州中央部に多いのであります。従つて現在並びに将来にわたつて、この周辺に豊富低廉なる電気が、供給されるわけでありますが、水力電気は全国民が享受すべきものであることを考えるとき、本邦唯一の天惠を一地方、一局部においてのみ享受するがごとき再編成方針は、はたして妥当なるものであるかどうか、大臣の御所見を承りたいのであります。
  36. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 その御質問に対しましては、ただいまお答えしたのと大体同じお答えでよかろうと思いますが、むろん電源というものは国家的な資源でありますからして、これは一地方のみが独占すべき性質のものでないということも、事実であります。しかしながらまた産業の立地條件というようなものも考えるべきでありますし、地方の自然的な資源というものを、その地方にも全然與えないで、無視していいのかということも問題であります。でありますから先ほどお答えいたしましたように、原則としてこれは国家的な資源であるからして、全般に対して分配は與えるべきである。しかしながらやはりそれぞれの地域における資源として、その地方についての経済的考慮、利益というものも考慮すべきであろうというところから、完全なる地域差を自然的に認めておるという状態ではありませんで、やはりある程度調整を加えて、そうしてある程度の均衡化をはかつた上で、特殊な地域に対する地域差はこれを認める、こういう方針で行つておるのでありまして、これが一番穏当な政策ではないかと考えておるのであります。
  37. 有田二郎

    有田(二)委員 今大臣の御答弁によりますと、一地方、一局部のみが享受するものでないという私の意見に、大体大臣も御賛成のようでありますが、われわれとしてはこれは非常に重大なる問題であると思う。しかもただいま私が申し上げましたように、自由党の中でも非電源地帶電源地帶をわけることについては、いろいろ議論がありますし、また社会党その他の政党についても同じことが言えると思う。従つてこの問題は、それぞれ論議されて行きますれば、非常にむずかしい問題でありまして、この点大臣として将来十分考えていただきたいと思うのであります。  さらにお尋ねしたいのは、水力発電と火力発電について、大体どのくらいの料金の差があるか、概略でけつこうですから、資源庁長官から伺いたいと思います。
  38. 始関伊平

    始関政府委員 火力発電はただいま八円八十銭であります。但し九州等の石炭の生産地におきましては、それより若干低いのであります。水力発電の方は大体七、八十銭見当であります。ただいまの制度では、いわゆる標準料金は、水力料金と、一定の数量の火力料金を平均いたしましたものが、標準料金となつております。これは大体一円七、八十銭であります。
  39. 有田二郎

    有田(二)委員 本邦においては、発生電力の九割までが水力発電により、わずかに残り一割が火力発電による現状でありますが、また火力発電費が水力発電費の数十倍に上つておる現状においては、水力電源を積極的に開発するということが、日本電力行政の根本方針でなければならぬと思うのであります。しかるに水力資源は本州中央部に偏在しており、国土狹小で、天然資源に乏しい日本において、ブロツク会社をつくることは、かかる客観的情勢を全然無視したものではないかとも考えられるのであります。電気事業分割する再編成が、どうしてもやらなければならないとしても、少くとも電源が十分開発されて、電力の需給の均衡がとれるか、あるいは石炭のコストが現在の数十分の一に値下りして、料金地域差が解消するまでは、実施を見合せるとか、さらに愼重に検討するということが妥当ではないかと、私は考えるのでありますが、政府の御所見を承りたいと思います。
  40. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 先ほども申しました通り、集排法等によりまして、発送電及び配電会社指定されて、解体をすべき運命にあります。それに基いて今回の分割計画ができたのでありまして、まずそういう運命にあるものは、早くこれを整理いたしまして、そうして積極的な開発計画を立てる方が、私は合理的だと思つておるのであります。
  41. 有田二郎

    有田(二)委員 今私が質問したのと、大臣の御答弁とは違うのであります。今日わが党内においても、いろいろ問題になつておる事件でありますが、各地区においていろいろ違つて来る。それがために党内でもこの問題が非常に論議されておるところでありますが、今の大臣の御答弁では、私は納得しかねるのであります。もう少し情勢がおちついて参つて、しかも今日は非常な金詰まりであり、税金で国民が非常に困つておる。しかも商売が思うようにできない。品物を生産しても売れないというような状態にあるときに、ただちにこういつたことをやることによつて、現実的に非常な混乱に陥るというようなことが、われわれとしては想定されるのでありますが、大臣としてはそれは心配にならない、かようにお考えになるのかどうか、承りたいと思います。
  42. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 もちろん非常に困難な複雑な問題を、実際に含んでおることは私も承知しております。従つてこれを実行する場合において、いろいろの問題のあることも事実でありますから、実行するについては、十分いろいろの点を考慮すべきであるということは、私も考えております。
  43. 有田二郎

    有田(二)委員 私も村上委員同様、資料をちようだいしましたから調査して、他の委員の方に質疑を讓りまして、後刻あらため質疑をいたしたいと思います。
  44. 神田博

    神田委員長代理 次は福田一君。
  45. 福田一

    福田(一)委員 私はまず最初に村上委員から質問がありましたがそのうちで一つ関連した質問をいたします。大臣が昨日ケネデイ氏に面会になつたのは、ケネディ氏から面会を申し込まれたのでありますか、大臣の方から御面会を申し込まれたのか、その点伺いたい。
  46. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 ケネデイ氏から面会を申し込まれまして、私が行つて話をしたわけであります。
  47. 福田一

    福田(一)委員 ケネデイ氏から面会を申し込まれたということでありますと、われわれは若干安心をするわけであります。この法案の取扱いについて、ここでわれわれが一番考えなければならないことは、政府並びに與党のものが何らかの圧力によつて、われわれがこの法案審議しなければならないというような印象を、内外に與えるということは、日本の議会政治確立の意味からいつても、民主化の意味からいつても、非常におもしろくないことだと考えておるのであります。昨日大臣新聞記者と会見されましたときに、いかなる態度をもつて会見されたかは、私は見ておつたわけではありませんから、わかりませんけれども新聞によつて伺うところによれば、政府はこの法案の成立を急ぐあまり何か意図するところがあつて、どうしてもこの法案は議会で審議しなければならないのだ、これを上げなければならないのだというような意味のことを、大臣がしきりに考えておられた。そのことが言葉のはしはしから漏れておるというふうに私は感ずるのであります。議会の会期もわずか四、五日に迫つておる今日において、このような重大なる法案が——非常に理由が明瞭であるということがはつきりいたしますれば、これは別でありますが、たとい一時間でもよろしい、三十分でもよろしい、私をして言わしむるならば五分でもよろしい、そういうことは当然だ。しかしながらこれほどの大きな法案を何らの理由もわからないで、しかも一ぺんも質問をしないうちから、もうすでにこの法案の運命がきまるような新聞記事が出て来るということ自体に対しても、大臣としては日本の議会政治を確立するという見地から、もう少し愼重にやつてもらいたい。今後においても関係方面といろいろあなた方は折衝しなければならない立場にある。これは私も認めます、認めますけれども、その場合において、議会の審議権を無視するような形において、誤解を生じしめるような態度は、今後政府としては嚴重に注意をしてもらいたいということをまず申し上げるものであります。これについて大臣の所見を承りたい。
  48. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 昨日ケネデイ氏と会つた場合に、ケネデイ氏自身も自分たちの方から何らかの圧迫を加えるとか何とかという意図を、決して持つものではないということをはつきり言つております。私自身もそんな意味で、何ら新聞記者との会見で発言した覚えはないのであります。ただしかし私は提案者でありまして、先ほどから申しますように、この法案の成立を希望しておるものでありますから、それについてできるだけの努力をしたい。こういう意味のことを話したわけであります。
  49. 福田一

    福田(一)委員 その間の事情は、ただいまの御答弁によつて一応私は了承いたしますが、今後もあることでありますから、どうかその点は十分お考えおきを願いたいのであります。  次に私はこの法案審議に入るに先立ちまして、先ほども有田委員から申されたのでありますが、大臣はただいま文部大臣であつて通産大臣を兼任されておるやに承知いたします。こういうような重大なる法案審議には、どうしても連日委員会に出ていただかなければならない、この法案審議をする場合に、大臣がお出にならないということであると、法案審議が阻害されるおそれがあると私は考えるのでありますが、一体所管の事項であつて、この委員会に出席するのに非常に困難な事情がほかにあるかどうか、連日御出席が願えるかどうかということをまず承りたいのであります。
  50. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 私としては、できるだけ連日出席するつもりでおります。
  51. 福田一

    福田(一)委員 先般本法案提案理由説明を承つたのでありますが、私どもといたしましては、この法案についてはいろいろと承りたい点が多いのでありますが、まず概略的に提案の理由、目的、なさろうとする実態というものがあろうと考えますので、ひとつ承りたいのであります。一体提案理由には経済の民主化ということが書いてありますが、経済の民主化というのは、いかなる意味に御解釈になつておりますか。
  52. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 民主化という意味につきましては、いろいろの解釈があるかと思います。私どもは民主的経済における合理的な運営ができるようにして行くということが、民主化だと思うのでありまして、発送電一本でもつて独占的な形態でやつて行くということは、決して民主的なあり方でない、これを解体いたしまして独占性を排除する、そういうところにあろうと思つております。
  53. 福田一

    福田(一)委員 この両法案につきまして、先般私が資料の要求を求めたのでありますが、その資料の要求を求めた際、宮幡政務次官から、両法案は必ずしも関連性がないとの答弁があつたのでありますが、大臣は両法案を分離して審議すべきものとお考えになつておりますか、あるいはまた一括して審議しなければならないとお考えになつておるか、御答弁を願います。
  54. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 提案の理由のときに、一括して御審議を願いたいということを申し上げておるのでありますが、両法案をごらんになりますと、公益事業法案の仕事の中に、今回は電気事業編成法と関連する部分がたくさん入つております。現在の形における公益事業法案というものは、再編成法案と非常に密接な関係があり、一括して御審議を願う必要があると私は考えております。
  55. 福田一

    福田(一)委員 私が両法案を一読してみますと、特に公益事業法案の内容というものは、非常にずさんな面があるやに考えておるのであります。これは逐條審議の際私は指摘いたすことといたします。それから今度この電気事業編成法案を出された理由は、ここには客観的な情勢にかんがみて、すみやかにこの懸案を解決する必要を痛感して云々とあり、そうして集排法に指定されておるから、この電力編成をやるんだ、こういうことを言つておられますが、もう一度この点について御説明が願いたい。なぜ電力編成法案を出されたかという目的を明らかにしていただきたい。
  56. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 この点もすでに御説明した通りだと思いますが、集排法というものができており、それによつて指定されておる会社でありますから、これを実行するということが当然のことでありまして、その趣旨でもつて今度の再分割原案が立てられ、法案ができておる、こういうわけであります。
  57. 福田一

    福田(一)委員 しからば今まで集排法の適用を受けた事業について、資料があつたならば御説明が願いたい。なお集排法の適用を受けながら、これを免除されたものがあるかどうかということについて御説明が願いたい。
  58. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 それは資料であとでお届けいたしたいと思います。
  59. 福田一

    福田(一)委員 私の承知するところでは、集排法の適用を受けたものであつても、あとに至つて除外されたものがあると承知いたしておるのであります。大臣は集排法できまつておるんだから、これはもう既定の事実だ、こういうことを前提として、この法案を立案されたやに承るのでありますが、日本の経済再建という問題から考えてみますと、また復興という問題から考えてみて、この法案の内容を見ますと、われわれはまだ納得しかねる点が非常に多い。むしろ政府といたしましては、この集排法の適用を受けておるけれども、一応これを排除して、別途の意味電気事業編成という問題を、お考えなつた方が私は合理的だと思う。そういうことについて政府は一体御努力なさつたことがあるかどうかということを承りたい。
  60. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 集排法の適用を受けました場合に、いかなる措置を講ずべきかということは、いろいろな場合があると思いますが、この場合についていかなる措置が講ぜられておつたかということは、私の就任以前のことでありますので、宮幡政務次官から御説明を申し上げたいと思います。
  61. 宮幡靖

    宮幡政府委員 福田委員のお尋ねの点は、これは資料をもつて詳しく申し上げなければ、とうてい御納得をいただけないものと思います。概略を申し述べまして、名称とか数とかにつきましては、次の委員会に譲りたいと思いますが、御指摘のように過度経済力集中排除法によつて指定を受けますと、これに伴う企業再建整備法の手続が進行いたします。持株会社整理委員会でまずやりますことは、経済力集中の密度と申しますか、程度を今回実施いたしました状況では、A、B、Cという階級を設けて羅列してあつたと思います。これを聽聞会を開きまして、比較的経済力集中の微力なものにつきましては、聽聞会の結果等をさんしやくして、その可否を決定いたします。数で申しますと、大体三分の一程度解除になつておるものと存じております。その数は確定的なものではございません。ところで持株会社整理委員会の再建整備を大体完了いたしまして、残つたのがこの電気事業に関するものであります。これに関しましてもいろいろな方法で、手続が進めらるべきでありましたが、御承知のように福田委員も大いに御主張なさいますような、日本経済再建に重大な影響があるものでありまして、軽々とこれができない。さようなことから大山委員会なるものができて暫時これの審議に当つた。しかも持株会社整理委員会の権限というものは、日発を解体せしめるという権限を持つておりますが、これをほとんど合併と同じような方式によりまして、九配電会社へくつつけて、新しい会社をつくらしめる権限はない。これは過度経済力集中排除法に伴う再建整備法の規定によつて不可能であります。そこでどうしても特別措置を講じなければならないという関係から、今度は公益事業法というものの考え方となり、その委員会の操作によりまして、いろいろなことをやつて参りたい、かような考え方であります。そこで公益事業法なんかは恒久法としての存在でありますが、再編成法案は臨時立法、こういう形をとつておりまして、特に持株会社整理委員会の持つております権限、すなわち基本をなします過度経済力集中排除法規定によります権限を、公益事業委員会に付與いたしております。かような構想であります。そこで過度経済力集中排除法によつて指定を解除したらどうかという問題につきましては、前稻垣大臣当時から、その経過について承つておりましたが、国民の声としてはこの点が必ずしも僅少でなかつたことは事実でありますが、関係方面の御意向としては、これは極端なる経済力の集中であつて、私企業の民有民営という方式、それから生れまする創意くふうと誠意と努力の蓄積による発達というものが期待できないので、これはどうしてもやらねばならない、かような結論に達しまして、遂に公式のものとも申し上げかねますが、適当な時期において適当な指令がその都度参りまして、それによつてあらためて昨年つくりました松永委員会、五人委員会ができて、今日の段階となつたのであります。この間の過程におきまして、過度経済力集中排除法に対する努力を拂つたかいなかの問題が、福田委員の最も御関心を持たれる点であろうと思いますが、これはただいま申し上げましたような経過をたどつておりまして、その間この問題について、かなり努力した経過は伺つておりますが、その実際は福田委員の御希望のような状況にならず、結局はただいまのような結果に追い込まれたというのが、現実の問題でございます。
  62. 福田一

    福田(一)委員 ただいまの御答弁でこの問題に関する政府側のとられた態度は、一應了承いたしましたが、電力問題に関する限りは、もう少し政府として関係方面と十分御折衝が願いたかつたと思う点があるのであります。それはどういう点かと申しますと、集排法ができたのは、これは過度の経済力集中があるので、将来日本が平和国家として立つ上においては、非常に有害な面にもなる。こういうふうなこともこの集排法立法の目的であつたと、解釈しておるのでありますが、一体政府としてはこの電気事業が、現に国家管理になつておるということは、将来の日本の平和国家建設について、有害であると御解釈になるかどうか、それを承りたいのであります。
  63. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 集排法のできました根本の理由は、御承知のように現在の経済制度のもとにおける独占的な弊害を排除しようという精神から来ておると考えるのであります。その趣旨から考えまして、発送電について、やはり全国一会社ということでやつて行きますことが、現在の経済制度のもとでは、やはり独占の著しい弊害を生ずる、こういうふうに考えておる次第であります。その趣旨からこれを分割するということになつておるのであります。
  64. 福田一

    福田(一)委員 それではこれは少し例が違いますか、同じく国家管理というか、国営でやつておるのでありますから、もしこういうような考え方からすれば、鉄道なども当然これに入つて来るべきものと私は考える。しかるに鉄道についてはそういう適用がなくて、電力についてはそういう適用があるというのは、——その間の理由はむりかもしれませんけれども電気についてこういうことをするのならば、鉄道についても今後このような考え方をもつて、臨まれるかどうかということについて、御答弁を願いたい。
  65. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 鉄道も電気も、事業性質から申しますると、自然的独占性の事業でありまして、一般の他の諸産業とは、その点性質が違つておるわけであります。従つて、今回の電気事業編成の結果といたしましても、一般の諸産業に比べれば、独占的性質を持つような結果になつておるわけであります。しかしながら、鉄道事業の仕事の内容、またそれと産業との関連というものと、電気事業の内容と産業との関連というものには、やはり相当の違いがあると思うのでありまして、同じ自然的独占のものでありましても、そこは区別して考える必要があると、私は考えておるのであります。従いまして、現在は鉄道について何らそういうことを考えておりません。
  66. 福田一

    福田(一)委員 ただいまの答弁は、はなはだ要領を得ないのであります。同じく独占性の強い事業であるといたしますならば、サービスの改善とか、あるいはその他合理的な経営というものは、民主的にやつて、初めて実現できるというのが本法案提出の理由になつておる。そうであるとすれば、鉄道のごとき独占性のあるものも、やはり鉄道で言いますれば、国有鉄道があつて私有鉄道があり、私設鉄道がある。それからバスがあり船がある。こういうものが相関的になつておりますけれども日本国家で運行している幹線は、全部国有になつておるわけであります。このように、独占性のあるものでも、一方は国家管理をやり、一方は民有民営に全部してしまう。こういうことでは、この制度自体、またこの提案理由説明としては納得いたしかねるので、なぜ電気に限つてそういうような方法をとらなければならなかつたか。これはもう集排法できまつているからしかたがない、こう言われるのか、もう一度承りたい。
  67. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 同じく独占性の事業でありますので、ある程度の独占性はこれを認めて行くといたしましても、その独占の結果生じます弊害は、やはり專業の性質によつて違いがあると思うので、あります。産業電気との結びつき、また産業と鉄道との結びつき、また鉄道のサービスと電気のサービス、いろいろの点を考えてみまして、鉄道よりは電気の方が独占的な弊害を持ちやすい、起しやすいということは事実であろうと私は思います。そういう意味で、これは別個に扱われてもさしつかえないと、私は考えておるのであります。
  68. 福田一

    福田(一)委員 この問題について、これ以上質問いたしましてもこれは水かけ論になり、意見の相違ということになる感がありますから、この質問は一応保留いたします。そこで先ほど大臣は、経済の民主化というのは民間の事業に移して、合理的な経営をすることにある、こういうふうに御答弁なつたと思いますが、その合理的という意味について承りたい。
  69. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 この法案に関連する限りにおいて申し上げますと、今まで発送、配電が二つに分断されておつた。それを今度は一つにするということになつておるわけでありまして、電気事業を合理化するにつきまして、一貫的経営の方が合理化が徹底しやすい、こういう点から申し上げたわけであります。
  70. 福田一

    福田(一)委員 ただいまのお話しだと発送、配電を一貫的にやつた方が合理的である。そしてその合理的にやることが民主的である、大臣はかように言つておられますが、私の解釈するところによれば、経済の民主化を行うことは、こういうような公益事業におきましては、一般の需要者に豊富低廉なる電力供給するところに、主眼が置かれなければならないと思うのでありますが、大臣はさようにお考えになりませんか。
  71. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 電気事業のごとき公共性の非常に強い事業におきましては、確かに御意見の通り、営利性でなく、公共性を目的とする経常が行われなければならない。その意味から公共の福祉ということが、経営の目標として非常に重大な地位を占めていることは事実であります。私ども考えから申しますと、今度の分割によりまして、そういう公共性を発揮し、公共の福祉を増進するために、豊富低廉な電気のサービスをするということにつきましても、今までよりは一層これができる。こういう考えを持つて奥行しようとしておるのであります。
  72. 福田一

    福田(一)委員 今までに提出せられました政府資料並びに提案理由の内容によつて解釈いたしますと今ただちにこの九分割を行いましても、豊富低廉なる電力が需用者に供給されるという点は、われわれはどこに見つけることができないのでありますが、しかしながら、これは細目にわたり、また資料をもつていろいろ議論をし有ればならない問題でありまして、この際は包括的な問題を取上げるということになつておりますから、私はこれは次の機会に譲りますけれども、豊富低廉なる電力供給されるということは、あるいは五年ないしは十年たつた後においては、さようなことが言えるかもし九ないけれども、現段階においては、豊富低廉なる電力供給せられるということについては、資料においても、また説明においてもそういう面が明らかにされておらない。例をあげると言えば資料の中からでも拾つて、いろいろ例をあけますけれども、一応この問題は細目品の質問の場合に譲ることにします。提案理由によりますと、電気事業ということがありますが、この電気事業というのは自家用の発電が入つておるのかどうか。私の見るところは、法案では入つていないように承知をしておりますが、一体自家用発電なら、今後もどしどしかつてに自分でつくつてよいのかどうか、そういうことをお尋ねします。
  73. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 お話の通り、今度の法案ではその点に触れておりません。この法案の趣旨は、今後自家用発電を水力等で計画実行いたします場合につきましては、公共事業委員会の認可によつて自由にできる、こういうことになつておるのであります。
  74. 福田一

    福田(一)委員 これはあまりこまかくなつて来ますが、公益事業委員余は、自家用発電の申請があつた場合には、條件を具備されておれば、これを許可するように法案ができておりますかどうか、お答索願いたい。
  75. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 御意見の通りになつておると考えております。
  76. 福田一

    福田(一)委員 ただいまの大臣答弁を通じてみますと、豊富低廉なる電力が得られるはずだということになつておるけれども、われわれとしてはこの豊富低廉なる電力が得られないと思うのであります。一つ例をとつでみます。四月二十日にできた電気林業再編成関係資料というのがあります。この中に一これは資料的に見るなら、あるいは資源庁長官から御答弁になつてもよいのでありますが、過去三年間における地帯間電力融沌状況というのがあるのです。これは五という番号を打つております。この地帯聞の電力融通状況というものは、ずつと東北から関東へ、関東から関西へ、関西から中国へ、中国から九州へ、こういう、ふうに電力融通がなされておるという数字があげられておるのでありますが、その場合関東から東北へ行つておる電力融通が行われておるかどうか。これは片融通だけを示された数字と思いますが、長官はどういうふうにお考えになつておるか。
  77. 始関伊平

    始関政府委員 これは月別に、東北から関東に参りましたものと、関東から逆に東北に来ましたものとは、相殺されております。
  78. 福田一

    福田(一)委員 しからば電力融通状況いうものは、相殺されたものでもつて示すのが適当かと思つて、この資料提出されたわけですか。
  79. 始関伊平

    始関政府委員 別に資料が差上げてあるはずでございますが、いわゆる分断によりまして、地帯間の電力融通にどの程度支障があるかということを検討いたします場合には、相殺いたました数字ではございませんで、具体的には二十三年度に東北から関東には幾ら来光、逆に関東から東北には幾ら来たということの毎日の実績に基いて、その場合に電気性質からいたしましてこういう性質電気、比較的、安定しましたものについて、今後も融通が可能であろう。非常に瞬間的なものを融通いたします点は、これは今後上ほどくふういたしませんと、実行が困難であろうというふうにふるいわけて、その点を日発側や配電会社側とも相談しまして、電力局が独自の立場で判断いたしました資料が、御指摘の資料の二十七のところに出ておるはずでございます。
  80. 福田一

    福田(一)委員 それからもう一つ承りたいことがあるのでありますが、資料の十五であります。豊富低廉なる電力供給されるかどうかということにかかつておるのですが、この資料十五を一貫して流れておる解釈は、要するに現在やつておるのと同じようなことを、九分割された場合においてもやるから、あまり電力のロスがないということを想定として書かれたものだと、私は考えておりますが、そのように理解してよろしゆうございますか。
  81. 始関伊平

    始関政府委員 推算いたしました場合に、先ほどちよつと申し上げましたように、特に関係の深い電力、会社間には運上非常に緊密な連絡をとる、実際とれるはずだという見解のもとに、この内容があげられておるのであります。
  82. 福田一

    福田(一)委員 ただいまの説明は、はなはだ不明瞭でありまして、何ら私にはわかりません、大体前と同じようなことができるだろうということを、想定してあるのだということでありますが、これが今度のこの法案審議の上で、一番重要な点になる一つであります。建設が今後どうなる、電源開発が今後どうなる。豊富低廉なる電力不足しておるときに、なおかつ電力最の不足を来さないかどうかということが、この再編成法案審議の論点になる。その論点になる点で、多分こうなるであろうという想定ははなはだおかしい。これをごらんになれば、  一、契約電力種別は左の通りとする。   (イ)普通電力     電力需給予想に基き、あらかじめ月別に標準融通最大電力及び標準融通電力量を定め、右に基き受給する電力を言う。右標準融通最大電力及び電力量は、実際の出水状況に応じ、一定基準に基き調整し得るようあらかじめ協定しておくものとする。なお標準融通最大電力は必要に応じ書夜間等の別に定めることがある。   (ロ)特殊電力     供給者側に供給余力を生じた  一 場合に受給する電力を言う。なお特に必要がある場合には、標準融通電力壁を定めることがある。こういうふうになつておるのでありますが、この中で一審問題になるのは、各九つのブロック会社でもつて、月別にこういう契約をして、はたして今までのような統制——日発が持つておるところの指令書を持たない、こういうことができるかどうか、またサイクルの関係とか、メーターの関係とか、そういうものは一体どういうふうに考えてこれができるという裁定をされたのかということを開きたい。
  83. 始関伊平

    始関政府委員 先ほど申し上げましたように、自発がここにございますような、各地区間に融通いたました二十三年度の実績を個々の件、日々の案状につきまして、詳細検討いたしましたその結果、たとえば関東から東北に参るというような電気につきまして、日々の状況に応じまして、非常な出入りがございますが、その一つの最低の線、ある程度まではほぼ平均に行つておるというような数量の線をはつきりいたしまして、そこまでの数壁につきましては、今後におきましても公益委員会の指導のもとに、契約でやつて参れるだろう。ただその一定の線の上の方に出ますでこぼこになりました部分、ときどき非常に瞬間的に参りますものにつきましては、それは困難であろうということが予想される。今後も地帯間に融面がそう技術的な困難なしに可能であろうと思われます。数量は先ほど大臣の申されましたように、融通の実績約一五%のうちの九%ないし一〇%はそういうものに属する。それからしよつちゆう瞬間的な操作を要するというものにつきましては、今後におきましては、今までほどは完璧には参らぬだろう。しかしながらそれにつきましては、たとえば関西と中部、北陸というものは非常に関係が深いわけでございますが、相互の緊密なる連繋によりまして、場合によりましてはたとえば関西というようなところに、一つの連絡の中心を置くというようなことによりまして、その一定の線の上の方ににあります瞬間的な電力つきましても、これをできるだけ有効にやるように努力して参りたい、こういう趣旨であります。
  84. 福田一

    福田(一)委員 この問題はいろいろまだ質問しなければならぬことがあるのでありますが、私の聞いておるところによりますと、この間の松永案によりますと、こういうような融通ができない電力量は、大体一〇%ないし一五%くらいあるという数字が出ておる。政府説明されたところによりますと、六%内外にすぎない、こういうふうに言われておるのであります。そうするとその間に四%の差があるのでありますが、このような差ができたということは、この委員会においては究明しなければならぬ。しからばこれについては一方政府側は、この法案を通さんとする建前をとつておる。日発はあるいは現状維持をしたいと思つておるかもしれない。こういうような建前にある以上は、これらの問題については、公平な第三者的な技術者が出て、そうしてこれがいずれが正しいかという判断をしなければならない、こう私は考えるのでありますが、委員長においてはこの問題は非常に重大でありまするからして、それについては特にそのような專門家の意見を、日発以外の人で、また政府以外の人で、しかも公平にこの問題が取扱えるような人を選んで、この問題に対して判断を與えてもらいたいどちらが正しいかというような判断を願う措置をとられることを望みます。  そこでまた本題にもどりますが、一体今度の問題で、一番われわれが関心を寄せておりますのは、先ほども同僚委員から質問がありましたけれども建設いわゆる電源開発が十分できるかどうかということに、われわれは非常な不安を抱いておるのであります。ところが先ほどの大臣の御答弁によりますと、これはもともと集排法できまつておるのだから、どうしたつてやらなければならない問題である。だから日発の解体というものは、もはや当然なことである。九分割されるのであるから、そういうような問題について議論をしてもしかたがない、議論をする余地がない、だから九分割なつた場合において、政府としてはこれらの九分割された会社に対して、何とか適当な援助を與えるなり、あるいは資金供給について方法を講じてやるのだ、こういうような御答弁があつたのでありますが、私はこの電力編成法案と、それからもう一つ公益事業法案を通じて調べてみますと電源開発については、公益事業委員会というものは、單に勧告ができるだけでありまして、何らこの独占会社に対して命令をするというような権限を持つておらないのであります。しかもまた持つておらないのみならず、ただ單に政府に対し、あるいはこの九ブロツクの会社に対して勧告をするというだけでありますが、この勧告でもつて、はたして電源の開発の目的が達せられるとお考えになつておるかどうか、この点について御答弁を承りたい。
  85. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 電源開発につきましては、政府としても長い間の計画によつて、計画はできておつて、それをあくまで推進するという方針でおりますし、これに必要な資金計画につきましても、見返り資金の活用、外資の導入等について、計画的な方針を立てて進んでおるわけでありますから、公益事業委員会からの勧告ということでありましても、政府のそういう電源開発に対する積極的な方針を、強力に推進するということにによつて、私は実現できるものと信じておるのであります。
  86. 福田一

    福田(一)委員 強力に推進するという言葉の内容を、御説明願いたい。
  87. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 強力に推進するという意味は、つまり各会社ともいずれも電源開発については、自発的にいろいろと計画をし、実行しようとするだろうと考えます。それは会社として私は当然なことであろうと思います。ですからそれをやりやすいように、それに必要な資金その他についての援助を、できるだけ政府はやるという方針を積極的に実行する、こういう意味であります。
  88. 神田博

    神田委員長代理 この際、私から先ほどの福田君のお尋ねにお答えした方が適当だと思いますので、お答えいたします。福田君の委員長に対する御要望は、本案をめぐつて賛否の輿論、あるいは事実問題についての意見の相違が大分あるようだ。そこでこれらの点については十分権威者を、しかもこの賛否の輿論にあまり因縁のない方面から選んで、公聽会その他の適当なる処置をとれというような意味だと考えております。委員長といたしましても、本問題は非常に重要な点でございまして、公聽会を開いて十分、その他の点もたくさん今後出て来るだろうと思いますので、一応総括質問が経つたあとで、理事会等にお諮りし、また委員会にもお諮りするわけでありますが、公聽会その他これにかわるような適当な方法によりまして、十分権威ある意見を徴して、本案審議の参考にいたしたいと考えております。ただ非常に期間が迫つておりますので、これを結論的に申し上げますと、今議会においてはさようなところまで行けるかどうか、非常に疑問を持つておりますが、しかしさような処置をとらなくつて、との法案を進めて行くというような考えは今持つておりません。一応お答えだけ申し上げておきます。
  89. 福田一

    福田(一)委員 ただいまの御答弁、非常にけつこうでありまするが、しかしわれわれはあえてこの法案審議を阻害したり、あるいは公聽会をやることによつて遅らせようという意図は持つておらないことは明瞭である。従つてなるべくひとつすみやかに、そういうものをできるだけ早くやるようにお願いしたいのであります。  次に通産大臣の先ほどの御答弁に対して承りたいのでありますが、通産大臣の御答弁によりますと、各ブロツクになるというと、おそらくそのブロツク別の会社は、なるべく電源開発をやるであろうという御答弁でありました。なるほど中部地帯とか、北陸というようなまだ建設費の安い電源地帯を持つておるところでは、それはこういうことをやる計画をするでありましようが、北海道とか四国とかいうようなところでは、非常にそのコストが高い。電源を開発しても高い電力しか得られない。従つて会社としては損をしてまでも電源開発をしない場合口が多いだろう。むしろ小じんまりと経営して、利潤を上げるという方向に私は向うものだと思うのですが、これについて大臣はどのようにお考えになつておりますか。
  90. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 われわれの計算によりますと、九州地域のごときにおきましても、水力電気の計画によつて発電いたしました方が、現准の火力発電よりは安く上るだろうというように、推定をいたしておるのでありまして、たとい電源のはなはだ乏しいところにおきましても、相当の電源開発計画は、実行されると考えておるのであります。
  91. 福田一

    福田(一)委員 ただいまの大臣の御答弁では、多分するだろうというお話でありますが、われわれが各地から来た人から働き、またかなりの專門家に聞いてみますと、たいていの意見はあまりコストの高い電源の開発は、会社としては損であるからしないであろう。従つて電源の開発は阻害される。日発のような大きな会社あるいは公社であるとか、何らかの形態が残つておれば、一応全部をプールして計算することができるから、電源開発はできるけれども、九分割にすると電源の開発をする会社としない会社ができる。しかもしない会社は、最も電気料金の高いところであつて、おそらく電源の開発はできないであろうというふうに言つておるのであります。この点については、大臣は多分そういうことはない、火力よりは水力の方が安いからするごあろうという御解釈でありますけれども、大方の專門家の意見は、この間極に関する限り、かなり断定的に言つております。もともとこの法案全体を流れておる趣旨は、民有民営をやつて独立採算制をとる会社をつくるのだというのでありますが、そういう意味からいえば、資金難の今日、あえて高い建設資金出してまで、電源開発をするものはないと考えるのでありますが、これについてもう一度大臣の御答えを願いたい。
  92. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 公共事業委員会による電気料金の調節は、実行されることになるわけでありまして、ある地域における電源開発が、非常に進行したという場合におきましては、電力料金調節等によりまして、不利な地域においても、その恩恵は受けられるはずでありますから、たとえ不利な地域における電源開発が予定通り実行されなくても、電源の豊富な方面における開発が進んで行けば、おのずからその恩恵は受けられるはずであります。
  93. 福田一

    福田(一)委員 ただいまの御答弁によりますと、非常に高いコストのかかる地帯においては、おそらく電源の開発はしないであろうということを一応肯定されて、しかも電源の豊富なところにおいてはこれをやるであろう。そうすればこれは送電できる、あるいはまたそれに対しては賦課金を課して、今度は並行的に電力をよそへ流すことができるから、電源開発はできるであろうという御答弁だと承知するのであります。しかしながら豊富な地帯においても、そういうような賦課金を課せられるということになりますると、必ずしも得にはならないのであります。およそ民有民営という立場からいたしますれば、なるべく自分の地帯の間で、安い電力を生産いたしまして、これを小費りした方が得なんです。卸をしたら損です。卸をしてもうかるようなところはどこにもありません。もしへ、の電気料金でもつて、しかもあれだけの賦課金がとられ、なおかつ電源開発をした方が得たという地点があるならば、その地点を御説明願いたい。
  94. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国君大臣 その点はむろん料金調整のやり方程度いかんの問題にかかつておるかと思いますが、政府電源開発の重要性は十分に認めまして、資金その他について、あらゆる援助を與えるという方針で行つておるのでありますし、会社がそれらの援助によつて電源開発をいたしました場合に、何らの利益がない、何ら恩恵を受けないというようなことも、また行わるべきはずもないと私は考えております。
  95. 福田一

    福田(一)委員 本法案の中には、調整料金のこともちやんと詳しく人づておるのでありますから、しかもまた日本の今後開発できる電源は、全部おわかりになつておるのでありますから、私がお伺いいたしたいというのは、金利を見て、それだけの建設費をかけ、しかもなおかつそれだけの賦課金をとられても、卸をして得な地点がどれだけあるか、どことどことにあるかという具体的な例を、お示し願いたいというのであります。御答弁をもう一度お願いいたします。
  96. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ちよつと福田委員に申し上げますが、福田委員のお説は、われわれもごもつともだと実は思つております。思つてはおりまするが、また福田委員の御意見に管からうわけではありませんが、期間もたいへん短いうちに、御審議願わなければならないという苦しい状況にありますので、今まで質問に現われたことで、この法案になりますまでの間に触れました問題で、御了解を得たいと思います。さかのぼりますと、国有鉄道と電気事業との関係、国有鉄道は公共企業体になつておることは、御承知の通りであります。電気事業の方につきましては、いち早く民有民営に移ろうという考え方をいたしたわけであります。ところが鉄道の方におきましては、自家鉄道を東京から大阪に引張りたいと考えてもなかなかできない。従いまして自由党の政権が続くといたしますならば、やがて鉄道も分断されて、私企業になるであろうということは、われわれは言い得るわけであります、すかしこれをはつきリ方針とまでは言いませんが、段階といたしまして、公益企業体というものに一応いたしまして、民有民営の一段階をとつておるわけであります。電気の方は自家発をつく力まして配発をいたしますことは、この法律の建前で行きますと、一地域に一電気事業会社となつておりますから、配電をいたしますことは、当分許されないようなことになつております。これをかえればできますが、自家発によつて自分の工場を動かしたり——供給する電気は非常に高いから、小規模でもよりコストの安い自家発をつくつて行こうという意欲も、当然起つて参るのでありまして、これはいち早く民営にした方がいいというので、公共企業体の段階を飛び越えて民有民営になつて、これによつて合理化と民主化をねらつたわけであります。これは御異論もありましようけれども、さようなことが経過であります。  それから料金の問題に次ぎましては、開発の問題でありますが、これは残念ながら福田委員と見解を異にすることが、法律案ができ上ります過程において起つておる。むしろ料金調整などはやめて、地域差を極端にした方が電源の開発が促進されるという見解が強いのであります。もし九州地区北陸地区に比べて五倍、六倍になつたならば、一応九州産業は停止状態になつてしまう。これではたまらぬからということで、そこに電源開発に対しまして……(「でたらめ言うな」と呼び、その他発言する者あり)そういう声が非常に強かつたのであります。従いまして、それではただいまのような状況で、いろいろ日本産業に惡影響があるというので考えましたものが、究極押し詰まつて、あの賦課金ということになり、料金調整するという気持なつたのであります。好んでこの賦課金をかけたり、調整をするのではなくして、その苦しい交渉の結果から生れたものが、この案なのでありますそれで九州電源などにつきまして、それでは開発ができるかと申しますと、現在やつておりまする上椎葉の予算的な数字から申しますと、確かに九州はよそより高いのでありますが、一キロ・ワット・アワー三円三十銭程度になります。火力は大体六円に納まりますので、まだここに差額があります。従つて開発してもこの電気は、十分有効に使えるものであります。まる売りの電気はなかなか手に入らぬという御説もごもつともでありまして、九州地区が高ければある程度地域差は当然でありますが、高い不利なものであるというならば、九州地方におきましてはさらに開発意欲ができる。それにつきましては、きよう経済安定委員会で外資に関する法律案も出ましたし、外資委員会設置法も出ました。もしそれが通過し成立するといたしますならば、——日本電気事業の発達いたしました過程を考えて参りますと、いつでも外資に頼つております。この外資を導入することがよいとか惡いとかいう議論的なことはありますけれどもその門戸をこの法律成立によつて開かれるわけでありまして、只見川は一般的な電力供給の全国的な資源として、これは取除かれておるわけでありますので、日発がただいま計画しております見返り資金の何年継続かの供給は、継続事業に関する限り、ただいまの状況では継続投下せられるわけであります。これを外資導入あるいは民間賞金のあつせん等を政府で、先ほど大臣の申しましたように強力に推進いたしましたならば、必ずや電源開発は所期の線に沿いまして、あまり大きな誤差がなくて、完成し得られるものだという考えで、この法律案をつくつております。地域差料金等の問題につきましては、実を申しますと電源開発について、ただいま田代委員からでたらめ言うなとやじられたくらい、われわれ苦しい中を通つて調整金までこぎ着けたのであります。高い電力はたまらぬから、電気は自分でやるというような、こういう意欲を起せという強い要求も起つてつたのであります。ここのところをぜひ御了解を願いたいのであります。
  97. 神田博

    神田委員長代理 本日は時間も大分経過いたしましたから、この程度にとどめます。次会は明二十七日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時三十五分散会