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1950-04-21 第7回国会 衆議院 通商産業委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十一日(金曜日)     午前十一時十四分開議  出席委員    委員長代理 理事 神田  博君    理事 有田 二郎君 理事 小金 義照君    理事 澁谷雄太郎君 理事 永井 要造君    理事 村上  勇君 理事 今澄  勇君    理事 有田 喜一君       阿左美廣治君    岩川 與助君       江田斗米吉君    門脇勝太郎君       小西 英雄君    首藤 新八君       關内 正一君    中村 幸八君       福田 篤泰君    福田  一君       前田 正男君    高橋清治郎君       加藤 鐐造君    松井 政吉君       松本 七郎君    伊藤 憲一君       風早八十二君    河野 金昇君  出席国務大臣         通商産業大臣  高瀬荘太郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       宮幡  靖君         通商産業事務官         (通商振興局         長)      岡部 邦生君         通商産業事務官         (資源庁石炭管         理局長)    中島 征帆君  委員外出席者         通商産業事務官         (通商振興局経         理部長)    照田 弘久君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 大石 主計君         専  門  員 越田 清七君 四月十五日  委員首藤新八辞任につき、その補欠として佐  藤榮作君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員風早八十二君辞任につき、その補欠として  木村榮君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員木村榮辞任につき、その補欠として風早  八十二君が議長指名委員に選任された。 同月二十一日  委員佐藤榮作君、坂本泰良君及び山口シヅエ君  辞任につき、その補欠として首藤新八君、松井  政吉君及び松本七郎君が議長指名委員に選  任された。     ――――――――――――― 四月十九日  臨時石炭鉱業管理法廃止に関する法律案(星  島二郎君外九名提出衆法第一九号) 同月二十日  公益事業法案内閣提出第一七八号)  電気事業編成法案内閣提出第一七九号) 同月十七日  朝日、丸山、内ケ谷三発電所建設促進に関する  請願木村公平君外一名紹介)(第二四九一  号)  中小企業救済緊急施策に関する請願今澄勇君  外十二名紹介)(第二四九五号)  電気料金改訂に関する請願風早八十二君紹  介)(第二五一三号)  九州地方電力問題に関する請願外二十八件(  尾崎末吉紹介)(第二五四〇号)  同外四十七件(原田雪松紹介)(第二五六五  号)  同外七件(村上勇紹介)(第二六二六号)  電気事業再編成案における北陸地区帰属発電所  の容量増加に関する請願橘直治紹介)(第  二五六二号)  電気事業分断反対に関する請願伊藤憲一君外  一名紹介)(第二五六三号)  同外一件(河野金昇紹介)(第二五六四号)  九州地方電気事業編成に関する請願(小山  長規君外五名紹介)(第二五七六号)  元住友共同電力株式会社電気設備復元反対に  関する請願大西弘君外八名紹介)(第二六〇  二号)  四国地方電気事業編成に関する請願外三十  二件(三木武夫紹介)(第二六二七号)  電気事業分断反対並び那賀川電源開発促進に  関する請願外三十九件(三木武夫紹介)(第  二六二八号) 同月十九日  農業用電力に関する請願平川篤雄紹介)(  第二六五〇号)  大牧発電所復元に関する請願猪俣浩三君紹  介)(第二六五一号)  電気事業分断反対に関する請願水谷昇君紹  介)(第二六七〇号)  同(今澄勇紹介)(第二六七一号)  同(河口陽一紹介)(第二七七九号)  電気事業分断並びに元住友共同電力株式会社の  電気設備復元反対に関する請願外百八十三件(  島田末信紹介)(第二六七二号)  火薬類取締法案反対に関する請願田代文久君  外一名紹介)(第二六八九号)  九州地方電力問題に関する請願外七件(渕通  義君紹介)(第二六九〇号)  同外二件(瀬戸山三男紹介)(第二六九一  号)  電気事業分断及び電気料金地域差設定反対に関  する請願村上勇紹介)(第二七五六号) の審査を本委員会付託された。 同月十八日  中小企業対策確立に関する陳情書  (第七六二号)  電気工事法制定に関する陳情書  (第七六三号)  電力分割案反対に関する陳情書  (第七六七号)  丸山発電所開発促進陳情書  (第七七六号)  特別鉱害復旧臨時措置法制定促進陳情書  (第七八〇号)  商工会議所法案に関する陳情書  (第七八三号)  大牧発電所日本水力工業株式会社に返還の陳  情書  (第七九二号)  電力基準割当量増配に関する陳情書  (第七九四号) 同月二十日  商工会議所法制定促進陳情書  (第八  一三号)  中小企業育成強化に関する陳情書  (第八一七号)  信用保証協会に対する国庫補助陳情書  (第八三五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  公益事業法案内閣提出第一七八号)  電気事業編成法案内閣提出第一七九号)  臨時石炭鉱業管理法廃止に関する法律案(星  島二郎君外九名提出衆法第一九号)  鉱工品貿易公団に関する件  通商庫業行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 神田博

    神田委員長代理 これより通商産業委員会を開会いたします。  この際通商産業大臣高瀬荘太郎君より発言を求められておりますので、これを許します。高瀬通産大臣
  3. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 このたび私通商産業大臣兼任を命ぜられることになりましたのでよろしくお願いいたしたいと思います。御承知のように突然数日前に兼任を命ぜられた次第でありまして、従来の通商産業行政のこまかい経過について今引継ぎを受けて研究をしておる次第でございまして、まだ十分承知はいたしておりません。しかしお引受けをいたしました以上は、全力を盡しまして通商産業行政のために努力いたす覚悟でございますので、どうぞ皆様方からも十分の御指導御鞭撻、御協力をお願いいたしたいと存じます。
  4. 神田博

    神田委員長代理 この際最近社会的政治的問題として、世上に喧伝されております鉱工品貿易公団に関する件につきまして、本日午後三時より通商産業行政国政調査の面から通商産業省の詳細なる報告を求めたいと思いますが、このようにとりはからうに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 神田博

    神田委員長代理 御異議なしと認めます。そのようにとりはからいます。
  6. 村上勇

    村上(勇)委員長代理 ただいまより去る十九日に付託になりました星島二郎君外九名提出臨時石炭鉱業管理法廃止に関する法律案議題として審議に入ります。まず提案者より提案理由説明を求めます。神田博君。     —————————————     —————————————
  7. 神田博

    神田委員 ただいま議題に供されました臨時石炭鉱業管理法廃止法案提案者一同にかわりまして、御説明を申し上げたいと思います。  臨時石炭鉱業管理法は、石炭緊急増産のために、昭和二十二年九月二十五日当時の政府より衆議院提案せられ、同年十二月八日成立し、翌年四月一日に施行せられたのであります。当時におきまして、本法の効果につきましては種々論議せられたところでありますが、昭和二十三年十二月、いわゆる経済原則実施せられ、日本経済自由競争自主性の回復の要請のもとにおかれて以来、石炭鉱業におきましても、急速に出炭能率の向上と経営合理化努力が積極化いたしまして、昭和二十四年度におきましては、いわゆる四千二百万トンの出炭能力をほぼ回復いたしたのであります。従つて昨年夏以来石炭需給状況は急速に緩和せられ、公団方式による買取り統制の必要も消滅いたしましたため、昨年九月、石炭統制は一部の銘柄を除き、価格配給ともに全面的に統制を解除したのであります。  このような環境のもとにおきましては、本来石炭増産のため臨時的に立法された臨時石炭鉱業管理法は、すでにその意義を失うに至りましたのみならず、この法律に基く複雑な管理組織と、この法律石炭業者に対して要求する煩瑣な手続は、もはや石炭増産を必要としない今日においては、かえつて企業自主性を阻害する向きすら少くないのであります。さらに増産施策の後退によつて行政事務の分量が相当縮小した現在、特に石炭生産行政のために、石炭局のような独立した地方機関を存置することが、その必要性に乏しいことは申すまでもないことでありまして、臨時石炭鉱業管理法廃止と、これに伴う石炭局廃止は、行政機構簡素化及び国費の節約という意味合いにおきましても、きわめて必要なことであります。よつてわれわれは来年三月の本法失効の日を待たずして、本日ここに法律廃止提案をいたした次第であります。  本法案提案理由は右に盡きるのでありますが、臨時石炭鉱業管理法廃止に伴いまして、石炭増産のための鉱区の調整と、石炭鉱業権についての使用権設定目的といたしました石炭鉱業権等臨時措置法も当然に失効する性質をもつておりますので、右に関しまして所要の経過措置を定めましたほか、臨時石炭鉱業管理法施行当時の命令指示等に基く損失補償に関しても、なおその請求権が消滅いたさないよう、必要な規定を設けたのであります。  またすでに述べましたごとく、臨時石炭鉱業管理法施行機関であります石炭局は、この機会にこれを廃止し、既存の通商産業局に統合するのを適当と認めまして、通商産業省設置法行政機関職員定員法等につきましても、若干の改正を加えた次第であります。  顧みまするに、臨時石炭鉱業管理法施行以来、その以前に比較いたしまして、八百四十八人の政府職員を増加雇用いたしまして、昭和二十三、四両年度において、これに関する予算、合計一億一千六百万余円を計上しているのであります。これらの人員と経費の大部分は、法律廃止とともに節減せられ、国民負担軽減となることは論をまたない次第であります。  本法廃止伴つて、ただちに懸念せられますことは、基礎法規廃止のために、石炭鉱業が軽視せられ、基本産業としての適切なる施策を行い得なくなるのではないかという懸念でございます。元来臨時石炭鉱業管理法自体が、石炭鉱業優位性の保障とは無関係でありまして、産業自体重要度による行政上の取扱いは、法律の存否にかかわらず、何らかわりない点を考えますならば、ごうも危惧する必要はないと信じているのであります。  これらの点を考え合せますると、今日この臨時石炭鉱業管理法廃止し、石炭行政制度簡素化することは、石炭鉱業自主性を回復し、わが国民経済を正常化する意義におきましても、最も機宜を得た措置と考えられるのであります。  何とぞ愼重審議の上、御協賛あらんことをお願いいたす次第であります。
  8. 村上勇

    村上(勇)委員長代理 これにて提案理由説明は終りました。  ちよつと速記をやめてください。
  9. 神田博

    神田委員長代理 速記を始めて……。  次に昨二十日に付託になりました内閣提出公益事業法案及び電気事業編成法案一括議題として審査に入ります。  まず両案について政府より提案理由説明を求めます。高瀬通商産業大臣。     —————————————     —————————————
  10. 高瀬荘太郎

    高瀬国務大臣 電気事業編成法案及び公益事業法案の御審議をお願いするのに先だちまして、その提案理由一括説明申し上げます。  まず電気事業編成法案について、その概要を御説明いたします。申すまでもなく、電気事業の再編成昭和二十三年二月、日発及び各配電会社集中排除法による指定を受けて以来の懸案でありまして、ポツダム宣言要請による経済民主化方策のきわめて重要な一環をなすものであります。政府としては諸般の客観情勢にかんがみ、すみやかにこの懸案を解決する必要を痛感いたしましたので、昨年十一月、通商産業省電気事業編成審議会を設置し、爾来再編成方策愼重審議したのであります。  本法案政府審議会の答申及び参考意見を検討参酌した結果、到達した最終の結論盛つたものであります。本法案の骨子は、経済民主化要請に即応し、電力国家管理態勢を刷新し、電気事業の再編成実施するため、集中排除法指定を受けた日本発送電及び九配電会社を解体し、現在の配電区域をそのまま供給区域とする九箇の新電気事業会社を新設し、民有民営基礎の上に、企業運営上活発なる創意を発揮せしめるとともに、発送配電一貫経営による責任体制を確立せんとするものであります。  その際これらの新会社はそれぞれ供給区域内の発送配電設備を保有することを原則とするが、各地域電力需給の均衡を確保し、かつ水火力発電所を不可分の一体として運営せしめる見地から、特定の発送電設備については、その所在にかかわらず帰属決定したのであります。  私はかくのごとき再編成によつて初めて電気事業経営合理化供給力の増強、サービスの改善が招来せられ、ひいては電気事業に対する外資導入の再開の前提條件が成就するものと確信するものであります。すなわち今回の電気事業の再編成は、單に集中排除要請に対応するという消極的見地のみならず、わが国の最重要の基礎産業としての電気事業の正常かつ健全な発達を促進するという積極的な目標のもとに実施せられるものでありまして、持株会社整理委員会のほか特に公益事業委員会が再編成実施の衝に当ることとしたのも、その一半の理由をここに求め得るのであります。なお本法案は再編成に伴う登録税の免除、電気事業会社工場財団の特例、資産評価法に対する例外規定等を定め、再編成の円滑なる実施をはかつております。なお、本法案においては、公益事業民有民営原則に徹すべき旨の要請に基き、国または地方公共団体株式取得の制限を規定しておりますが、この規定を強行することによる混乱及び弊害を最小限度に防止するために、一定の猶予期間をも定めております。なお再編成法実施と同時に、電力管理法及び日発法中の国家管理に関する規定は、これを廃止することになつております。  次は公益手業法概要を御説明します。公益事業法は、国家管理廃止後の公益事業行政機構及びこれによる公益事業監督調整に関する規定の大本を定めたものであります。すなわち本法国家行政組織法規定に基く総理府外局として公益事業委員会を設置することとしております。公益事業委員会は、その範を米国のいわゆるレギユラトリ・ボデイとつたものでありますが、わが国憲法議院内閣主義を採用し、行政各部内閣のもとに統一せられ、内閣を通じて国会に対して責任をとる建前をとつておりますので、委員会性格につきましてもこれを行政部の一部とすることとし、総理府外局とした次第であります。委員会内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命する委員五人をもつて組織し、委員長委員の互選によつて定めることになつております。  公益事業委員会の使命は、公益目的の達成のため、電気及びガス事業及びその需要家並び投資家その他利害関係者相互間の利害関係調整し、これらの公益事業を指導監督し、特に料金その他経理面監督によつて、間接に電気及びガス事業の運営を規正することにあるのでありまして、国家管理の場合のごとく、事業経営に介入し、業務の細目に干渉することはこれを認めないこととなつております。また委員会が各種の重要事項決定にあたつて聽聞の手続きを採用し、さらに委員会処分に不服のある者に対し異議申立てを許し、さらに委員会処分に対する訴えを東京高等裁判所専属管轄と定めていることも、公益事業委員会のいわゆるレギユラトリ・ボデイとしての性格から出ていることであります。  翻つて、今後公益事業委員会実施せんとする行政は、公益事業休廃止、合併、解散及び設備譲渡等を許認可し、公益事業会計基準を定め、資産価格を査定し、並びに資本金額変更利益金処分、社債の募集、資金借入等を認可し、電気及びガス料金その他の供給條件設定または変更を認可し、発電水利に関する調査調整をすること等でありますが、この際特に指摘いたしたい点は、再編成後において、電力地帶間融通の円滑な実施を確保するとともに、電気料金地域差の拡大を防止するため、委員会電力融通及び料金調整に関し、必要な命令を発する強力な権限を付與せられている一事であります。  終りに電気事業編成法案は、電力国家管理から電気事業民営への切りかえのための臨時立法であり、公益事業法は従来の電気事業法及びガス事業法にかわる恒久立法でありますが、同時に両法案が不可分の関係にあることは、再編成実施事務の大半が公益事業委員会によつて担当せられている一事をもつてしても、すでに明らかであります。  以上が両法案概要でありますが、何とぞすみやかに審議を進められ、可決せられんことを切望するものであります。
  11. 福田一

    福田(一)委員 ただいま御説明になりました電気事業編成法案並びに公益事業法案審議にあたりまして、この問題は非常に重要な問題であり、その産業に及ぼす影響その他国民の生活に及ぼす影響等を考えますると、愼重な態度をもつて審議しなければならないのでありまするが、そのためにわれわれとしてはいろいろと資料提出していただきたいと思うのであります。  そこで、私はここで資料要求をいたしたいと思います。大分ありますが、順次申し上げます。  まず第一に、全国電力設備調書、すなわち事業者別の水、火力発電所送電所変電所通信設備及び業務設備並びに事業者別配電線の総延長、次に送電関係一覧図及び付表、次に全国電力需要調書大口電力小口電力業務用家庭用、これらについても事業者別に出していただきたい。それから需要家数契約電力及び過去三箇年の使用実績、次に全国発生電力量、過去三箇年の水、火力別地帶別事業者別並びに月別、それから最豊水日——一番水が多い日であります。及び最渇水日——一番水がかれておる日の最大電力であります。次に過去三箇年間における地帶間融通電力状況書並びに電力調整令、その他電力需給調整方法及びその実施状況説明資料、次に旧料金制と新料金制概要、これはすでにもらつておるものもありますから、その分は省いていただいてもいいが、一応これらのものが必要だという意味で言つておるのであります。次に地帶別新料金比較表、これも多分いただいておると思います。産業別單位電力消費量調べ。これもたしか一部分はいただいておると思いますが、来ておらないものもあります。それから製品別原価に占める電力料金調べ、及び地帶別製品の新料金による値上り調べ。次に農業用電力(灌漑、排水、脱穀、調整共同作業別)の府県別需要量料金調べ。次に再編成後における新会社設備帰属図。次に再編成後における新会社資産表水火力発電所送電線変電所配電線建設工事仮勘定。次に再編成後における地帶別電力需給状況、今後五箇年間の予想をいただきたい。次に再編成後における地域間の、電力融通見込み量(今後五箇年間)及び融通契約概要。次に再編成後における地帶別電気料金及びその制度、現在料金及び料金制度との比較及び今後の予想であります。次に水力賦課金を考慮せる場合と考慮せざる場合について示していただきたい。さらに再編成後における電気料金が各産業に及ぼす影響賦課金を考慮する場合と、しない場合とがあるはずであります。これをやはり地帶別に一応出していただきたい。さらに再編成後における各社收支予想をひとつ出していただきたい。これは今後五箇年間における各社收支予想であります。次に将来五箇年間における政府電源開発計画地域別地点名容量建設費。次に右実施に必要な資金及びその調達計画、これは地域別地点別であります。次に指定会社が引受ける新会社株式比率決定基準、さらに現在の設備別帳簿価格前項評価比較表であります。これがわからなければ、新しくどういう会社ができるかということがわかりません。現在の各社株主数と新会社株主数はどうなつておるか。さらに現在の各社解体及び新会社設立に要する諸費用があると思うのでありますが、これについての内容を示していただきたい。それから現在各社従業員数及び新会社従業員数、これは大体おわかりになると思います。さらにまた従業員引継ぎ方法をどういうふうにされるか。以上の諸点について、すみやかに資料提出せられんことを望みます。
  12. 加藤鐐造

    加藤(鐐)委員 私も資料請求をいたしたいと思います。まず臨時石炭鉱業管理法廃止に関する法律案についての資料請求いたします。第一に公団廃止後の炭価の変動状況、これは各級別に願います。第二に同じく金融の需給状況。第三に同じく生産状況、これはすでに資料になつて石炭局別に出ておりますが、特に各級別に、さらに各月別にお願いいたしたい。それから第四に全国炭鉱管理審議会における主要議事経過、これだけを要求いたします。これは審議に絶対必要なものと認めますので、できるだけすみやかに政府から提出されるよう、委員長から御要求を願います。それから電気事業編成についての資料は追つて請求いたします。
  13. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいま福田委員から御要求の御資料は、この両法案審議いたす上に、まつたく欠くべからざるものでありまして、その資料はことごとく準備いたしてお手元に差上げ、ごらんをいただきたいと存じております。但し一言御了解いただきたいことは、資料の中で、公益事業法が制定されまして、公益事業委員会権限の中でなければ、勘案できない諸問題があります。一々はここでは申し上げませんが、その部分については、現在の事務当局におきまして勘案することは、いささか越権のようなことになろうと思いますので、この点だけを御了解願います。当然出すべきものは、徹夜いたしまして準備して、それぞれお手元に出すことにいたします。公益事業委員会にゆだねられますところの、たとえば、今度の新しい会社がどれだけの資本で構成されるかというような問題、あるいは株式比率の問題にいたしましても、あるいは電力賦課金の問題にいたしましても、あるいは需給調整の問題にいたしましても、これはかかつて公益事業委員会の、新会社成立に携わります方々のお考えくださることでありまして、現在では必ずしも確定的な想定ができないわけであります。資料はできるだけの努力を拂つてまとめることにいたしますが、一、二さような面において欠くるところがあるかもしれませんが、その点は事前に御了解を得ておきます。決して資料提出を回避いたさないことを、くれぐれも御了解願います。
  14. 福田一

    福田(一)委員 宮幡政府委員のお話の意味はわかるのであります。しかしながら、先ほど通産大臣から御説明がありましたように、この両法案は不可分の関係にあります。そして公益事業法によつてできるレギユラトリー・ボデイというものが、電力編成と非常に密接な、一体不可分の関係にあるのでありますが、この再編成法案並びに公益事業法案というもののやることがはつきりわからない。いわゆる公益事業法案によつてレギユラトリー・ボデイができて、そのレギユラトリー・ボデイというものがわからないで、電力の再編成というものをきめることはできないと私は思います。こういう意味において、宮幡政府委員の御答弁というか、御説明は、どうも私は了解に苦しむところがあります。どうか、できるだけのことをするとおつしやつた気持を、さらに一層徹底せられまして、われわれがそこまでつつ込んで、この問題を研究して見ないと、ほんとうの結論が出ないという気持を持つているということを十分了解の上で、この資料の御提出あらんことを希望するものであります。
  15. 宮幡靖

    宮幡政府委員 この問題は他の委員席からも掛声があるくらい重大な問題でありますので、誤解のないようにお願いいたします。私の説明の仕方で、あるいは御了解をいただけなかつたかと思いますが、公益事業委員会ができない以上は、やれないことが数多かろうことは、法案を一応ごらん願えば十分了解いただけると思います。福田委員の仰せられることも、私個人としてはよくわかりますが、しかしここでお引受けして、他日になつて、これは公益事業委員会権限内できめることだということは、これは遁辞になります。従つて事前において、公益事業委員会ができなければやれないものは、想定としては考えられるけれども、確定的な問題になりかねる。そういう意味で、資料提出に苦しいものがありますので、御了解を得たのでありまして、決してそれを回避いたしたり、この問題の重要性というものを無視いたしたりするものではないのであります。特に大臣の説明いたしました提案理由の中の不可分という意味は、この法案について一貫して流れるところの過渡経済集中排除法に対しまする処置は、持株会社整理委員会規定で行けるわけでありますが、これは特異の関係で、それのみでは参りませんので、公益事業委員会にその権限を委讓することになる。公益事業委員会法なるものは恒久立法でありまして、再編成法はこれに対しまする臨時立法であります。恒久立法臨時立法が、一応不可分的につながるのも、これはやむを得ないだろうと考えております。従いまして、臨時立法でありますものの、特別法として認められますところの公益事業法なるものができないと、この臨時立法の全部の資料は集まりにくいものであるということを申し上げた次第であります。この点ぜひ御了解をいただきたいと思います。
  16. 福田一

    福田(一)委員 ただいまの御説明によりますと、公益事業法の方が本体であつて電力編成の方はそれに従つてできるものであるようでありますが、私はむしろこれは逆に考えたいと思つておる。これは意見の相違であります。意見の相違でありまするが、電気事業の再編成がなければ、公益事業法などというものは今度出て来るはずのものではなかつたと私は考えておる。電気事業の再編成をするために、公益事業法というものが出て来たことは、これは明瞭な事実であると思う。これは意見の相違になりますからして、政府委員との間に、私がここで水かけ論をやつてもしようがないが、われわれはさように了解しておるということを御了解いただきたい。  第二は、想定はできても、公益事業委員会というものができないうちは、そういう資料は出せないというお話がありましたけれども、政府はかかる重大なる問題について本案を提出せられる以上は、公益事業委員会がいかなる事柄を行うのであるか、いかなる内容のことを取扱うかというようなことは——先ほど私が言つたこの電気事業編成の方が、むしろ実体であるという見地からするならば、その方に重点が置かれて考えらるべきものである。従つて想定ということは、なるほど一応政府側としてはごもつともな言葉かもしれませんが、われわれとしてはちよつと解しかねるのであります。たといまだそれが想定でありましても、その想定によるところのものがなければ、そういう資料は出せませんということでは、この電気事業の再編成に関する審議は、私はできないのではないかと思う。どうしても想定という言葉で言いのがれをされることは、私は少し行き過ぎではないかと思いますので、宮幡政府委員の立場もよくわかりますけれども、しかし想定という言葉でお逃げなさることは、私としてはちよつと解しかねます。この点はやはり私たちが言つた、この材料は全部そろえるようにやつていただきたい。そうでないと、この法案審議は非常にむずかしいということを申し上げておきます。
  17. 今澄勇

    今澄委員 今の福田君の申入れでありますが、われわれは同感であります。なおそのほかにもわれわれは、あと、四、五十資料要求をいたしますが、少くとも私は、この際電気事業編成法案のみならず、きよう提案理由説明があつた議員提出臨時石炭鉱業管理法廃止に関する法律案、なお今後出るその他の法律案についても、それらの資料を議員に示して、議員の審議権のもとに審議せしめて、しかる後これを採決するという方式をとらなければ——少くとも議会の審議というものはそうあるべきであるということを、私はこの際委員長に一言この委員会で確言をしてもらうと同時に、今後の審議をどういうふうにやるのかという委員長の信念を聞きたい。大体ほんとうの委員長はあまり出て来ないのだが、次々委員長がかわるということで、そういう態度がかわることはまことにまずい。あとで委員がやめなければならぬということが生ずることは、少くとも通産委員会ではやりたくない。臨時石炭鉱業管理法廃止に関する法律案電気事業編成法、その他一切の今後出て来るこれらの法律案については、委員長委員会審議上、われわれの求めた資料政府をして提出せしめ、その資料に基くわれわれの質議を十分取上げて、審議権を行使せしめる意思ありやいなや、まず私は委員長の所信を伺つておきたいと思います。
  18. 神田博

    神田委員長代理 委員長からお答えいたします。先ほど福田君、加藤君、またただいま今澄君から資料提出について、るる御要求がございまして、委員長の所信いかんということでございまするが、私もまことに同感でありまして、さようなことは伺われるまでもないことであつて十分政府を鞭撻して、出すべきものは委員長として当然これは政府に実行せしめたい、かように考えております。  なお委員長がときどきかわるということでございましたが、いろいろやむを得ないことでさようなこともあつたのであります。これはかわるとかわらないとにかかわらず、この委員会といたしましては、一貫したやり方とお考えいただきたいと思います。
  19. 宮幡靖

    宮幡政府委員 これはまたいろいろ会議の段階において問題になるといけませんから、はつきりいたしておきますが、資料を出すことをしぶるというようなことは毛頭ありません。これだけはくどく申し上げておきます。しかしながら、この経済集中排除法、持株整理委員会権限、これだけではできない再編成でありまして、特別にできまする公益事業委員会であります。ただ電気事業ばかりではなく、ガス事業も入つております。日本の公益事業というものは、どういうふうな統制をして行くかということが、中心になつて考えられるのでありまして、これができなければその処置ができないことは、明らかにこの法律案の中に書いてあるわけであります。そのことにつきましても、全然考えがないのかと言われたら困るが、そのようなものはかように考えておるということは申し上げられない。しかしこれら新しくできる公益事業委員会の五人の委員の方々が、確定的にこの通りの線できめるということは保証できないということになるわけであります。委員は資格においてもいろいろ嚴重な制限がありまして、政党活動の介入等特に回避いたしまして、まつたく独自の見解で進むものであります。こういうことでありまするから、これをもつて政府の方は本法案についての審議に、熱意がないような、言葉のあやにならないように御了解いただきたいと思います。
  20. 神田博

    神田委員長代理 靜粛に願います。
  21. 小金義照

    ○小金委員 ただいま聞いておると、資料について電力ばかり問題が出ておりますが、公益事業法の重要なる一部を占めているガス事業について、別段資料要求もございませんようですから、私から政府当局に資料要求をいたしておきます。全国ガス事業の概況、これは製造能力並びにその需要戸数、それから原料炭の内訳、国内産あるいは外国産、または地方別——北海道炭が幾ら、九州炭が幾らというような区別、それからガス事業会社または地方団体でやつておるものがあれば、その資本金あるいは投下資金というようなものについて、ガス課長が常識的に考えて委員に配付したらば、審議の助けになるだろうと思われる資料を、全部整えて出していただきたい。これだけ要求しておきます。
  22. 神田博

    神田委員長代理 この際委員長からも政府側に要求申し上げておきたいと思います。くどいことになるかもしれませんが、ただいま福田君、加藤君、今澄君、小金君等より、本法案審議に関しまする資料要求がございまして、重要法案であるので、なお今後続続資料要求をしたいということでございまするが、これはただ四人だけの考え方ではなく、委員会全体の空気であるように考えておりますので、資料をできるだけ早くまとめてひとつ出していただきたい。資料の出方によりましては、法案審議に非常な関係を持つことを、十分腹において御考慮願いたいと思います。  午前はこの程度にとどめまして、午後は二時より再開し、臨時石炭鉱業管理法廃止に関する法律案の質疑に入り、午後三時よりは先刻決定いたしました通り、鉱工品貿易公団に関する件について、大臣より報告を求むることといたします。これにて休憩いたします。     午後零時一分休憩      ————◇—————     午後二時三十三分開議
  23. 澁谷雄太郎

    ○澁谷委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  ただいまより臨時石炭鉱業管理法廃止に関する法律案議題として質疑に入ります。小金義照君。
  24. 小金義照

    ○小金委員 ただいま議題に上りました法律案について、私は総論的な意味の質問をいたします。この法律案は先ほど神田提出者代表から御説明になりましたように、昭和二十二年の十二月の第一国会でこの法律審議されまして、二十三年の四月一日から施行せられた、そうしてこれはもつぱら石炭増産のために当時の国情として緊急必要なものであるということで、制定せられたように了解しておるのでありますが、この法律の名前にもありますように、これは臨時立法であります。同時に附則でその有効期間を三年と定めておりますが、これらについて、当時この法律審議をせられた提案者の代表者に一応の御説明を願つて、これは三年たつても、また必要であればこれを延長するし、必要がなければ廃止するのだという趣旨でやつたかどうかという点を御説明願えれば、けつこうだと思います。
  25. 神田博

    神田委員 小金委員にお答えいたします。臨時石炭鉱業管理法のできましたいきさつにつきましては、先ほど述ベました通りであります。ただいま小金委員からそのことにお触れになつておられましたが……。そこでこの立法に際しまして、臨時立法であるから期限をさらに延長するようなことも考えておつたが、あるいは石炭鉱業が立ち直つて増産が成功したならば、期限内でも廃止すると、こういうようなふうに考えておつたかどうかというお尋ねのように承つたのでありますが、当時水谷商工大臣の答弁を想起いたしますと、石炭が正常状態に返つたならば、必ずしも三年にこだわらない。そのときにおいて廃止する用意がある。こういうように私ども伺つております。御了承願いたいと思います。
  26. 小金義照

    ○小金委員 このいわゆる炭管法の廃止法律案の趣旨は、先ほど神田委員の御説明で、私はほとんど盡して余すところがない。こういう理由ならば本法案提出されたことは、もつともであるということを十分うなづけますので、私は全部を了解いたして、質問は他の同僚議員に讓りたいと思いますが、ただこの臨時石炭鉱業管理法廃止に関する法律案というのは、たつた一條でありまして、あとは組織法のようなものででき上つておる。通商産業省としては、こういうような組織法で私はもちろん運用はできると一応思いますけれども、管理局長がお見えになつておるから、その点これで何とか今後ますます石炭工業の重要性に適応した行政が、やつて行けるのだという見通しであるか、お尋ねいたします。
  27. 中島征帆

    ○中島政府委員 いろいろ問題がございますが、結論といたしましては、これでもできるというふうに考えております。
  28. 小金義照

    ○小金委員 この法律案を出すのは、きわめて私どもは時宜を得たものだと考えます。ただ問題は先ほど提案理由説明の中にもありましたように、これを廃止するから石炭鉱業は軽視してもいいのだ、あるいは石炭鉱業の重要性が落ちたというような感じを與えたり、またそういうような方向に絶対に走らないように、今後の処置をとつていただきたい。これに対して、今は局長だけでありますが、政府に私はこの点を要望いたしまして、質問を終ります。
  29. 澁谷雄太郎

    ○澁谷委員長代理 中村幸八君。
  30. 中村幸八

    ○中村(幸)委員 現行臨時石炭鉱業管理法は、午前中提案者よりの御説明がありましたように、昭和二十二年の十二月八日に成立しまして、翌年の四月一日に施行せられたのでありまして、当時本国会におきましては、本法の効果につきまして、きわめて活発に、種々の議論が闘わせられたことは、皆さま御承知の通りであります。その後日本の経済も漸次安定して参りまして、石炭鉱業におきましても、出炭能率の向上、あるいは経営合理化等が促進せられ、特に労働組合運動のごときは、終戰後の混乱よりようやく落着きをとりもどしまして、健全なる組合運動が推進せられることになりまして、昭和二十四年度におきましては、出炭計画もほぼその目的を達成し得る能力を回復いたしました。石炭需給状況は大体満足すべき状態となりましたにつきまして、昨年の九月に配炭公団は廃止して、一部の銘柄を除き、価格と配給の統制を解除することになつたのであります。そこで石炭増産のための臨時石炭鉱業管理法は、今日におきましてはその意義を失い、その本体を失いまして、不要となりましたので、来年三月を待たずに今回この法律廃止いたしまして、あわせて石炭生産行政推進のための石炭局廃止して、通産局に統合する。そして人員と経費の節減をはかりまして、国民の負担の軽減をはかる、こういうようにいわば一石二鳥の処置をとることになつたのであります。まことに時宜を得たものであると考えるのであります。しかしながら先ほど小金委員よりお話がありましたように、今日この法律廃止することになりましたと申しましても、石炭鉱業というものは、全然野放しにしてよろしいということではないのでありまして、現に石炭鉱業界におきましては、炭価の問題あるいは外国炭の輸入の問題、あるいは国内の炭田開発問題あるいは金融の問題、特に中小炭鉱の金融の問題というように、幾多の重要かつ困難な問題が山積いたしておるのであります。私は今後政府におきまして、一層積極的にこれらの重要問題を解決に導いていただきたいと、切に念願いたすものであります。この意味におきまして、私はこの際政府当局に対しまして、若干お尋ねをしてみたいと存じます。まず石炭価格の問題でありますが、昨年九月統制廃止せられまして以来、低品位炭におきましては、旧マル公に比較いたしまして、三割程度の低落を示している由でありますが、上級炭におきましては、統制時代に不自然に低位に置かれておつたということと、需要と供給の関係がいまだ十分マツチしておらないというようなことによりまして、上級炭は非常に高くなつておると聞いておるのでありますが、大体今日ではどのくらいこの上級炭が値上りになつておるのでありますか。また外国炭を輸入する場合に比較いたしまして、どのくらい高くつくのでありますか、この点を最初に承りたいと思います。
  31. 中島征帆

    ○中島政府委員 炭価の関係におきましては、物価庁の方で詳細調査をいたすことになつておりますが、私の方でお答えできる範囲におきまして申し上げてみたいと思います。最近におきます炭価は、お話の通りに上級炭におきましては、公団当時に比べまして若干上つておりまして、その程度は五分ないし一割と言われておりますが、最近に至りますまで、自由販売になりまして以後、実際の炭価というものの数字は、きわめてつかみにくいという状況にありまして、従つて各種の情報を総合する以外に手がないのでありますが、その結果から見ますと、二百円から五、六百円くらいまでの値上りを示しておるものがかなりございます。しかし全般的にいつて原料炭が何割上つたかということをはつきりつかむ資料は、おそらく現在でもなかろうと思いますけれども、傾向的に申しまして、やはり一割くらいは上つているということは言わざるを得ないのじやないかと思つております。ただその値上りの内容といたしましては、御承知のように今年になりまして運賃、電力料金等の値上りがありましたので、その関係の値差というものを考慮に入れますと、必ずしもそれだけの幅だけ上つたというふうには申せないと思つております。しかし買う方にいたしましては、補給金も撤廃され、一方運賃は上るというような関係から、特に上級炭、原料炭につきましてはある程度の値上りを示しております。それ以下のものにつきましては相当値下りを見ておりまして、特に下級炭につきましては三割以上も下つている向きもございます。  次に原料炭と輸入炭との比較でございますが、これは品位と灰分、こういつたものを十分比較して算定して比べなければ、正確な結論は出ないのでありますが、單なる表向きの数字は、現在入つております開らん炭が十一ドル余りで約四千円くらいになります。日本の原料炭はこれも正確な数字ではありませんけれども、大体五千円内外というふうに承知しております。そういたしますとそこにかなりの開きがある。それから昨年入つておりましたアメリカ炭は二十ドル以上でありますから、従つて七、八千円かかつておりますが、これは灰分の関係で、これが十五、六ドルくらいまでは自由に買つても、日本のものに比較して高くないと言われております。米炭は二十ドル以下のものは最近まだ入つておりませんが、今後この程度以下のものが入つて来れば、日本の石炭より安く手に入ることになろうと思います。その見通しは何とも申しかねますが、アメリカの市場価格が六ドル、七ドルという状況でありますので、将来その程度の値段で入るということは考えられないことはないのでございますけれども、現在までのところは、米炭につきましてはそういうような値段の引上げは聞いておりません。
  32. 中村幸八

    ○中村(幸)委員 ただいまのお話によりますと開らん炭は十一ドル、すなわち四千円くらいである。内地の原料炭は五千円であるといたしますと、千円のそこに値差があるわけであります。この石炭価格が国際水準より高いということは、石炭があらゆる産業基礎産業でありまする関係上、輸出産業、特に上級炭に依存しております程度の大きい鉄鋼業等につきましては、これは死活の問題であると思います。国内の炭価を開らん炭の程度までさや寄せするということは、最も必要ではないかと思うのでありますが、そういう炭価政策につきまして、政府はどういう対策をおとりになるお考えであるか、この点をお尋ねいたしたいと思います。
  33. 中島征帆

    ○中島政府委員 特に原料炭につきまして、炭価が非常に高くて、従つてこれを使用します製品のコストを非常に上げている。従つて国際競争をするためには、まず石炭の値段を下げなければ、日本は立ち行かぬではないかという意見が、特に鉄鋼、化学工業方面から強く出ておりますが、石炭関係者としましても、事実炭価がきわめて需要家に対して苦しい條件を與えていることは、十分承知いたしております。ただ現状の炭価を分析いたしますと、それぞれ理由のある原価から構成されておりまして、これを單純に引下げるということはなかなか困難であります。これをいかにして相当大幅に下げるかということにつきまして、先般来いろいろ研究いたしおりますが、私どもの今考えられます範囲は、たとえば最も容易な方法といたしましては賃金を下げるとか、あるいは材料費を下げるというようなことで行けば、問題はないかもしれませんが、そういうことができる次第のものでもございませんので、結局炭鉱内部において、合理化によつて炭価を引下げるということ以外に方途はないと思います。その方法といたしましては現在出されている原価の内容をいろいろ研究の結果、従来炭鉱におきまして出されているいろいろな資金が、非常に不足している。そのためにこれは戰時中から継続しておるのでありますが、そのために非常に石炭の生産についてむりが起つておる。これが現在原価の高い一番大きな原因だと私どもは考えておりますが、そういう問題に対しましては、今後いかなる方法によりますかは、研究問題でありますけれども、石炭鉱業に必要な資金というものは、特に長期の設備資金の獲得というものを十分に行うのでなければ、大幅な炭価の引下げ、ないしは石炭鉱業合理化は不可能だというように私は考えております。大体この方法につきまして、産業合理化審議会石炭部会等におきましても、先般来愼重かつまじめに検討いたしておりますので、いずれこの方面から適当なる対策も生まれて来ると思つております。
  34. 中村幸八

    ○中村(幸)委員 ただいま御説明の通り炭価をむりに引下げることはできない。従つてまた人員の整理とか、あるいは賃金の引下げというようなことも、愼重に考えなければならぬ。そこで炭鉱の合理化ということに今後力を注いで行く、こういうお話でありますが、これは最も適切なお話でありまして、ぜひとも炭鉱の合理化ないしは炭鉱の機械化というようなことにつきまして、極力お骨折りを願いたいと思うのであります。それにつきまして、ただいまお話のように、長期設備資金というような問題につきましては、ぜひとも絶大なる御盡力を願いたいと思いますとともに、また他面外資の導入というようなことも必要になつて来るのじやないかと思いますが、この外資の導入につきまして、炭鉱方面にはどういうお考えであるか、承りたいと思います。
  35. 中島征帆

    ○中島政府委員 炭鉱に対します外資導入につきましては、大分前にいろいろ研究したことがございますが、現実に外資側の考え方としましては、現状のような日本の炭鉱業に対しまして、思い切つた投資をするというまでの決心がついたところはないようでございます。受入れ側といたしましては、これも非常に込み入つた炭鉱々業に対しまして、部分的な外資導入をするということは、経理的にも非常に困難な点がございますが、特にまとまつて、しかも相当開発の効果のあがるというような地点なり炭鉱なりを二、三当りまして、受入れ方法といたしましては、ここなら外資を入れていただければ十分開発ができるというような資料も出しておるのであります。そういう点につきまして、われわれもその内容を十分検討の上で、外資導入の一つの案といたしまして、関係の方には出してはございますけれども、まだこれが具体化する曙光は何ら見えておりません。
  36. 中村幸八

    ○中村(幸)委員 炭価をむりに引下げることは困難である。そこで先般までは重要関連産業に対して補給金を出しておつたわけでありますが、この補助金と申しますか、そういうものを復活するお考えはないのであるか、この点承りたいと思います。
  37. 中島征帆

    ○中島政府委員 以前は石炭鉱業自体につきましても、赤字補給でありますとか、いろいろな形の補給金的なものが出ておりましたが、現在これは全廃されております。それからそのほかに石炭を使用する産業に対しまして、いわゆる石炭補給金が出ておつたわけでありますが、需要者側に対します補給金は、一応私どもの所管外でもありますし、また問題とすべき事項でもないと思つております。石炭鉱業自体に対しまして、石炭の販売価格引下げのための補助金なり、補給金を出すということは今のところ考えておりません。その理由は、統制撤廃までにそういつたような石炭鉱業に対する補給金を徐徐に廃止いたしまして、しかも昨年の九月に全面的に統制を解除した石炭鉱業を、自然の自主的な形にゆだねたその過程において、石炭鉱業というものは相当自主的に合理化もいたしまして、経営の内容を改善いたしておるわけであります。従つて今日までそういうような方向で、経営合理化をはかりました石炭鉱業を、この際また一種のおかかえ産業式にするということは、本来の経営合理化を妨げるという意味にもなりますし、また過去におきまするように、非常にルーズな経営を行いまして、かえつてむしろ炭価を引上げるというようなことにならぬとも限りませんので、そういう意味石炭鉱業に対する補給金だけは、少くとも專管の事務当局としては避けたいというように考えております。
  38. 中村幸八

    ○中村(幸)委員 ただいまの御答弁で大体満足いたしました。  次にお尋ねいたしますが、わが国石炭は戰時中の濫掘と戰後の増産に追われまして、確定炭量が非常に減少しております。またわが国石炭は、現在わかつている範囲におきまして、今後数十年を出ずして掘り盡さるべき運命にあるのであります。そこで今後未知の炭量を調査するとか、あるいは探鉱をするというような方面に、積極的に奨励施策を講じていただきたいと思うのであります。こういう面につきましては、どの程度にお考えになつておるか、お伺いいたします。
  39. 中島征帆

    ○中島政府委員 未開発地点の調査につきましては、以前からある程度行つて来ておりましたが、本年度の予算にも新規地区の炭量調査のための経費を計上いたしております。この炭量調査の内容を簡單に申し上げますと、一応地質的な調査をいたしまして、大体石炭の埋蔵せられる可能性を基礎的に調査いたしまして、その上でさらに有望な地盤にボーリングその他の方法によつてそれを確認する、こういうふうな方法をとるわけでありますが、現在政府がつかんでおります埋蔵量は、約二十年前、昭和七年の調査にかかるものでありまして、その後そういつたような基礎的な調査も行われておりませんので、今般これに相当の年数をかけまして、さらに全般的に徹底的な調査を行う計画でございます。それによつて調査をいたしますと、おそらくは現在予定されております埋蔵炭量百六十五億トンの二倍あるいはそれ以上にもなるかもしれませんが、いま少し具体的な調査をして、炭層の状態をしつかりつかむことによつて、日本の石炭鉱業の内容ももう少しはつきりした、また相当有望な数字も出て来るのではないかというふうに、私どもは期待しているわけであります。
  40. 中村幸八

    ○中村(幸)委員 次に中小炭鉱の問題につきましてお尋ねいたしますが、この中小炭鉱は、統制時代に価格の面におきまして、また金融の面におきまして、かなりの保護を受けて来たのでありますが、公団等の撤廃によりまして保護を失いましたこれらの中小炭鉱は、現在休廃止するものが続出しているようなありさまでありまして、この中小炭鉱の中には優良な石炭を産出する炭鉱もありますし、他面におきましては、重大なる社会問題でもあると思うのであります。そこで政府におきましては、この中小炭鉱の問題につきましては、真劍に御考慮いただきまして、十分なる保護助成の道を講ぜられたいと考えております。本日も多数の中小炭鉱業者が、国会に陳情に参つているのでありまして、政府におきましては、どうかこの弱い業者の血の叫びをお聞き取りの上、善処せられんことを要望いたすものであります。特に金融の問題につきましては、公団廃止後最も苦境に立つているのであります。昨年暮れは幸い政府のあらゆる御努力によりまして、日銀のあつせんによります中小炭鉱融資も行われたのでありますが、今日におきまして中小炭鉱が市中銀行から資金を借り入れようといたしましても、ほとんど不可能な状態であります。政府はこの中小炭鉱に対する金融の道につきまして、何らか適切なる方策をお持ちになつておりますかどうか、この点をお伺いいたしたいのであります。
  41. 中島征帆

    ○中島政府委員 中小炭鉱は、特に統制時代におきまして金融機関と直接連絡がなかつたという点が、非常に大きな弱みでありまして、その結果配炭公団廃止後におきまして、今日所要の資金を市中銀行から融資を受けるということは、きわめて困難な状況でございます。従つて私どものなすべきことといたしましては、復金融資等の特殊な融資方法がなくなりました現在におきましては、そういう中小炭鉱を所要の金融機関に結びつける。ということが、唯一の手段でありまして、それ以上に、政策的な融資方法は、過去半年間いろいろ手を加えてみましたが、いずれも成功いたしませんでした。従つてそういう意味におきまして、中小炭鉱金融が、一般の市中金融に乘るような方法を講ずることが、唯一の問題であると思います。その意味におきましては、いろいろ日銀方面とも連絡を取つてつておりますが、最近の事情を申し上げますと、ことしの二月ごろの状況を基礎にいたしまして、各炭鉱の経営実情並びに所要資金の金額等を調査いたしまして、そのうちで将来性のある、これは炭鉱の経理状況から見ましても、炭質から見ましても、将来性のある炭鉱につきましては、これは将来の償還能力もある、こういう意味におきまして、日銀当局の方にその融資を強力にあつせんしていただくように申出ております。これにつきましては、十分その調査の結果を尊重して、日銀支店を通じて、各地方の銀行等に対しまして、融資のあつせんをするというふうに申されております。また設備資金につきましては、これはいわゆる見返り資金がその性格上、中小炭鉱にははなはだ向きにくいような状況になつておりまして、しかも見返り資金のうちで中小企業向けの資金が月一億ずつございますが、これはまたその規模がきわめて小さく條件づけられておりまして、従つて炭鉱のごとき、いわゆる中小といえども、相当の規模ないし資金を要するものは、なかなかそれでは救いがたい。こういうふうに見返り資金によつて設備資金を獲得する方法が、現状といたしましては、きわめて困難であります。従つてさしあたりの設備資金の獲得のためには、やはり興銀、勧銀等、その他長期資金融通のできる金融機関に対しまして、ただいま申しましたような方法により、炭鉱個別の状況を十分資源庁なり石炭局調査して、あつせんするということ以外にないと思います。また制度的には、今の見返り資金がそういうふうな中小炭鉱にも向け得るように、またそれ以外の何らか別途の構想によりまして、できるだけの設備資金を獲得できるような方法を講じたいと思つております。これはいろいろな案をもつて関係官庁その他と相談をいたしておる最中であります。
  42. 中村幸八

    ○中村(幸)委員 この金融の問題は、優秀な大炭鉄においてさえも、非常に困難を来しておる現状でありまして、中小炭鉄の金融の困りようは、察するに余りあると思うのであります。どうか政府におきましては、今後とも絶大なる御盡力をお願いいたしたいと存じます。  最後にもう一つお伺いいたしますが、公団手持の貯炭は現在どうなつておりますか、お伺いいたしたいのであります。公団廃止当時約五百万トンの貯炭があつたのでありますが、これを市場を圧迫しないように、二十四年度中に処理するというような、関係筋からの指令があつたように聞いておりますが、現在この貯炭はどういう現状になつておりますか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  43. 中島征帆

    ○中島政府委員 三月末の公団貯炭の実績は、帳簿上百八十六万二千トンということになつております。このうちですでに廃棄されたものは、これから除かれておりますが、さらにこの中で廃棄しなければならない数量も、これはかなりあるというふうに聞いております。従つて当時五百二万トンございましたものが、ここまで減少いたしまして、三百十何万トンというものが、この半年間に処分せられたわけでございますが、今日までの状況といたしましては、公団貯炭処分のために、特別に市場を圧迫するというふうな事例は、全面的にはなかつたように、私どもは承知いたしております。ただ部分的に、低品位炭鉱の販売地区等におきましては、若干そういうふうな点も出て来たようでございますけれども、当時私どもが心配いたしておりましたほど、これだけの貯炭を処分いたしましても、大きな影響のなかつたことは、きわめて幸いだと思つております。なおこの三百十何万トンの処分先は、最も多いところは進駐軍関係でありまして、それが約七十万トンございます。それから販売業者に売渡しまして、販売業者から小口その他に転売いたしたものが、百二十万トンほどございます。その他は官公署関係日発、国鉄等でございまして、合せて三百十三万九千トンというものが、三月三十一日までの処分数になつております。
  44. 中村幸八

    ○中村(幸)委員 三月末現在の貯炭百八十六万二千トンというのは、おそらくこれは非常に低品位の炭だけではないかと思うのでありますが、この点いかがでありますか。もしそうであるとすれば、今後これの数量を処分するということは、ほとんど不可能になるおそれがあり、ひいては公団の赤字を招くということにもなると思うのでありますが、これらの見すかしをお伺いしたいと思います。
  45. 中島征帆

    ○中島政府委員 百八十六万二千トンのうち、一般炭が百二十三万五千トンほどございますが、このうちで、いわゆる低品位炭に属します下級炭が六十四万七千トンございます。従つて一般炭の半分は下級炭でございまして、これは今後も処分のきわめて困難なものだということになると思いますが、配炭公団の当局者にちよつと聞いて見ましたら、やはり百八十万トンのうちで六十万トンぐらい売れないで廃棄しなければならないものがあるのじやないか、こういうふうに言つております。この程度の廃棄炭は、現在公団が提出しております赤字の補填の予算の中には、計算に入れておりまして、従つて相当ストツクの中から売れないで廃棄すべきものが出るということは予定しておりまして、今の六十万トンという数字は、その予算に比べて決して心配する程度のものではない、こういうふうに考えております。
  46. 中村幸八

    ○中村(幸)委員 一応この程度で打切つておきます。
  47. 澁谷雄太郎

    ○澁谷委員長代理 次は今澄勇君。
  48. 今澄勇

    今澄委員 私は今回自由党が議員提出法案として出された本法律案をながめて見て、その提案理由が非常に不明朗であるということを指摘したいのであります。本法律案が、いよいよこの国会も会期余すところわずかというころになつて、急に議員提出法律案で出たということについては、数々の政治的なねらいがあるであろうと思いますが、私どもはこのような、一国の産業関係に重大な法案については、十分国会の審議を盡さなければならない、かように考えております。本法律案目的として、法案を見ると、現下の経済事情にかんがみ、これを廃止する必要があると書いてありますが、ここに私はまず第一番の問題があると思う。すなわちこの言葉を、自由党はまさかふまじめに言つたわけではないであろうと思いますが、これらの政策の行詰りを糊塗せんがために、いわゆる配炭公団の廃止並びに炭価の問題、あるいは産業全般にわたつた高カロリー炭の値上り等々、日本の地方税を含める一切の問題から、電力ガスさらにこの石炭等の動力関係の値上りがもたらす、わが国経済全体の影響その他を考えて、いろいろながめて見ると、政府の政策は、漸次石炭行政については行き詰まつておる。この政治的にも行き詰まつた状態のもとで、自由党の議員諸君が、議員提出法律案として、この炭管法を出したということは、いわゆる政