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今澄委員 私は
日本社会党を代表いたしまして、本
法律案に対しまして、きびしい要望を付して、賛成の意を表する次第であります。そもそも過ぐる昨年の六月、第五
国会におきまして、われわれが愼重
審議いたしまして、同年七月一日施行せられた
法律の一部改正
法律案でありますが、当時、われわれは、この組合法に基く根本的なねらいが、はたしてよく全国中小
企業者の利益増進になるか、あるいはまた、その根本的
趣旨が周知徹底するかに、多大の疑問を持
つていたのであります。幸いに、わが党の
努力によりまして、
企業組合の結成を目下指導しつつありまして、全国的におびただしくその設立を見ましたことは、私も内心その生成発展に
期待するものがあるのであります。しかし、それとても、最近の蔵相兼任
通産相の言動や、
政府要路
当局の施策を見まするに、必ずしも楽観ができないばかりか、ややもすると、来年に至らずして、かなりの数のものが
企業組合においても、倒壊する可能性が十分あります。それは、申すまでもなく、三五%と云う高率課税や、利益拂いもどし分などの
事情が影響して来るからであります。ましてや、
企業組合を結成しておらない
一般の零細
企業に至りましては、全然論議のほかでございまして、高率の倒壊、
破産を見ることは必然であります。一例をあげまするならば、最もこれらの典型的な零細
企業や、下請業の多い都市である川崎市、川口市、及び桐生市等について見まするならば、歴然たる事実であります。川崎市のごときは、金融難、高率課税、販売不振という月並みの困難の上に、さらに親会社の支拂いが全然なきにひとしいありさまであり、問屋金融にいたしましても、あえてこれを助成するという態度は微塵も見られないのであります。群馬県等におきましては、従業員五人以下の小
企業や、家内工業に近いものは、ほとんどその織機が休止いたしておりまして、その惨状は眼をおおうばかりであります。さらに、徴税攻勢と正面から組み合いまして、今や差押えをしてもらいたいとまで、叫んでおる
状態であります。さらに、京都市などにおける西陣業界は、敍上のほかに、大巾な価格差益金等に攻められまして、
破産しようにもでき得ない苦境に逢着しておるのであります。泉州堺市、岸和田市等を中心といたしまする織布業界や、繊維製品、二次製品業界等は、いずれも中小
企業の今日の苦悶の
状態を代表しておるところのさんたんたる実情であることは、ひとしく
承知の
通りであります。これは一例でございますが、かく観じまするならば、今次のささたる改正案程度では、くずれ行く中小
企業の運命を食いとめることはできません。これは、ただ
一つの
手続上の問題をきめたにすぎないものであります。
わが社会党といたしましては、
本法案については別に信用協同組合設立認可の簡易化や、火災
保險等の新たな事業を許可する等の修正案を他日出したいと思
つております。しかしわれわれは現
政府、なかんずく蔵相兼任
通産相の、中小
企業対策、言いかえれば、彼らの説く自由主義
経済の必然的、本質的な弱肉強食が、いかにして、中小
企業の滅亡を食いとめるか。いわば自由主義
経済の大胆なる途行が、社会正義、社会倫理というものと、正面衝突する悲喜劇の到来は必至と
考えておりますので、中小
企業の救済は現
内閣のもとにおいては、いかんともいたしがたい宿命であることを痛感するものであります。
本法案の討論にあたりまして、私は賢明なる
政府当局が、夢寝の間も、この瞬間においても、倒れつつある、全国中小
企業者の地獄の底からの声に耳孕を澄まして聞き入り、心をむなしうして善処せられんことを嚴に警告して、本
法律案に賛成するものであります。