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1950-03-24 第7回国会 衆議院 通商産業委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十四日(金曜日)     午後二時三分開議  出席委員    委員長代理理事 神田  博君    理事 小金 義照君 理事 澁谷雄太郎君    理事 今澄  勇君 理事 有田 喜一君       岩川 與助君    江田斗米吉君       門脇勝太郎君    首藤 新八君       關内 正一君    多武良哲三君       中村 幸八君    福田 篤泰君       福田  一君    前田 正男君       柳原 三郎君    伊藤 憲一君       田代 文久君  出席政府委員         通商産業政務次         官       宮幡  靖君         通商産業事務官         (通商振興局         長)      岡部 邦生君  委員外出席者         通商産業事務官         (通商局次長) 松尾泰一郎君         通商産業事務官         (資源庁電力局         業務課長)   菊池 淳一君         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君 三月二十四日  委員高木吉之助君辞任につき、その補欠として  橋本龍伍君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十三日  日伯通商協定締結促進に関する請願降旗徳弥  君紹介)(第一七〇七号)  電気料金改訂に関する請願高橋清治郎君紹  介)(第一七一一号)  九州地方の電力問題に関する請願外十七件(村  上勇紹介)(第一七六五号)  電気事業分断及び電気料金値上げ反対に関する  請願木村榮君外一名紹介)(第一七六六号)  同(岡田春夫紹介)(第一七六七号)  帝国石油株式会社法廃止に伴い日本鉱業株式会  社に石油鉱業権等返還に関する請願神田博君  外二名紹介)(第一七六八号)  電力料金改訂並びに同割当制是正に関する請願  (岡田春夫紹介)(第一七七七号)  電気事業分断及び電気料金地域差設定反対に関  する請願田代文久君外一名紹介)(第一八〇  九号)  商工会議所法制定に関する請願志田義信君紹  介)(第一八一二号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  特別鉱害復旧臨時措置法案内閣提出第八号)  中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案  (内閣提出第七〇号)  輸出信用保險法案内閣提出第九一号)  電気事業会社の米国対日援助見返資金等の借入  金の担保に関する法律案内閣提出第〇号)     ―――――――――――――
  2. 神田博

    神田委員長代理 これより通商産業委員会を開会いたします。前会に引続いて、私が委員長職務を行います。  まず輸出信用保險法案を議題といたし、審査を進めます。質疑を継続いたします。今澄勇君。
  3. 今澄勇

    今澄委員 本法律案については、第六国会に提案せられて審議未了となつております。第七国会に出されたこの法律案は、原案から見るとかなり進歩、好転をいたしたところが各所にあるように思います。しかしながら細部にわたつていろいろ不審に思うことがありますが、とにかく心構えとしては、私は少くとも事貿易に関しては、占領されておるという今日の占領下わが国行政と、貿易という一つの純経済的な行為、それらのものとの間には、やはり画然とした区別をつけてやるようにしないと、わが国経済は成り立たない。たとえば正当な貿易を押えれば、どうしてもいわゆる密貿易が行われる。われわれはやはり東亜における立地的な、経済的な條件から見て、いわゆる政治的なことのために、経済的な貿易を押えると、これが密貿易になる、かように思います。そこで私はこういう状態のもとにおいて、近く池田大蔵大臣通産大臣兼務のまま渡米せられるように、新聞で伝えられておりますが、まず質問の第一点は、そのような占領下におけるわが国政治、すなわち国際的な占領行政下におけるわが国政治と、これらのいろいろな純経済的な貿易というようなものとの関連を、ひとつ宮幡さんからどのようなお心構えであるか承りたい。  それから池田大蔵大臣アメリカに行かれます。が、この渡米はきまつたかどうか。もしきまつたとするならば、それは現職大臣として、アメリカにおいていろいろな今までの日本占領下のあらゆる政治行政の部面について打合せをされたり、あるいはこの法律案関係のある貿易その他の面についても、いろいろなこれまでの懸案を打開されるような意思があるかどうか。もし池田大蔵大臣が見えるならば、われわれはアメリカ現職大臣として行かれるのは非常に大きな問題でありますので、その心構えと、政府としてはそれに対して大体どのような立場から、これを派遣するかということを承りたいのでありますが、お見えになりませんから、ひとつ宮幡さんからかわつて答弁を願います。
  4. 宮幡靖

    宮幡政府委員 最初の御指摘の点で、占領行政占領下にある日本としての経済行為と、画然たる区別がある方がよいではないか。この点につきましては、お説といたしましてその他の状況を除外いたしますれば、もう一々ごもつともだと考えております。従いましてたとい占領下にありましても、順次さような線に向つて政府の施策を進めるべく、司令部を通じて交渉いたしました成果として、現存貿易の面においてはいわゆるローガン構想なるものが許されまして、自由貿易態勢を進行して参つておるわけであります。あるいはこれは立場をかえた方から申すと、御非難言葉になろうかと思いますが、いわゆる講和條約のない講和が、順次推進しておるという言葉が、適切ではなかろうかと思います。今後にわたりましても、お説のような経済行為というものは、画然たる一つ自主性を保つということに推進して参りたい、さような方向でやつております。幸いにいたしまして、御承知のように最近できました日タイ貿易協定におきましても、日本担当官がこれに、オヴザーバーでありますが、参加の機会を與えられております。またついこの二十一日に司令部から公表せられましたビルマとの協定貿易についても、われわれの方の担当官がこれに参加いたしまして、事実上の議決権のあることは別といたしまして、少くとも意見を申し述べる機会を與えられておるということは、御趣旨の点が進んでいるのではなかろうか、かように考えておるわけであります。但し新聞に報道されておりますエジプトとの通商協定の問題につきましては、ただいまは新聞のような状況に進んでおらないのでありまして、この点だけはタイビルマの場合とは違つておりますので、一応除外して考えていただくことにお願いしたいと考えております。  なお池田大蔵大臣現職大臣として渡米するという問題につきましては、私ども新聞では見ておりますが、現在内閣といたしましてこれを決定し、しかるべき手続をしておることは、ま、だ正式には伺つておりません。しかしながら大蔵大臣といたしましても、あるいは兼任通産大臣といたしましても、その基本的資格衆議院議員でありますので、三週間という長期にわたります旅行、あるいはその他少くとも不在になる行為につきましては、議院の承認を要すると思いますので、それが確定次第所要の手続を経まして、その際にその任務、職務等は明確に皆さんの了解を得る運びになるだろうと私は考えております。
  5. 今澄勇

    今澄委員 それでは第二点といたしましては、今の日本貿易のあり方を見おると、最もわれわれが関心を持たなければならないアジア地域間における貿易の推進について、政府は具体的な方策を示し、いろいろ助成したことを聞かないが、これらの東亜貿易についてはどのような見解を持つておられるか。われわれはただ單に中共との貿易だけをいたずら考えるということでは、日本貿易政策は進まない。われわれは東亜の各地域とやはりこれまで通りいろいろの貿易をやるという建前で進みたいと思うのであるが、この点に関する政務次官の御見解と、それから今二十五年度の対米その他の貿易に対しての政府の大体の見通しと、これの計画がございましたら、簡單でよろしゆうございますから、この際承つておきたいと思います。
  6. 宮幡靖

    宮幡政府委員 東亜地区、ことに中共以外の東南アジア地区との貿易を盛んならしめることが適切な問題であるという御指摘は、その通りだと存じます。それにつきましては、大方の地域スターリング地域に入つており、そのほかにもただいま申し上げましたように、日タイ協定あるいは日本ビルマとの協定というようなものが、順次日本担当官も参加してとりきめられて参つておりますので、漸次その段階に入つて行くと存じます。また中共につきましても、――中共という言葉が適当であるかどうかはしばらく保留いたしますが、支那大陸中国というものを対象として考えますと、貿易はエスクロー・バーターによつて行い得るようになつております。また決済協定もありますので、貿易の道が絶対にふさがれたり、現政府中国との取引を回避するという疑念は、一つもないわけであります。順次正常の貿易に入ることを期待しつつ努力を続けておるわけであります。但し東南アジア地区における貿易状況につきましては、例の日英協定ができました当時は、概略一千万ポンドの貸越し勘定になつておりまして、これは本来ならばドルで決済を頂戴すればよろしかつたかもしれませんが、当時の状況といたしまして、この協定を継続する條件として、これを日本からの輸出物資等によりまして片づける、かような含みをもつて協定でありまして、これに便乗したと申しますか、しかも自由貿易が許されました結果、大量に満腹輸出をいたす源泉となります原材料を国内に輸入いたしました結果、本年の十二月末あたりの契約の概況から申しますと、概算四百五十万ポンドくらい僭越しの状況にあります。このことは輸入超過で、どうも貿易のバランスがよくないじやないかという非難もあるかもしれませんが、見方によりましては、近き将来においてこれを決済すべき当然の物資の交流が起る、すなわちこれに該当しますものは、最小限度においても輸出振興状況に導く源泉力を持つものだということで、悲観的観測のみではなくて、これに対して一つ期待をかけておるのであります。そうしてようやくにして御非難を受けました飢餓輸出から満腹輸出へと進行することができるのではなかろうかと思つておりますが、現状といたしましては、一つの大きな隘路があります。東南アジア地区におきましては、事情はここでは明確には申し上げられませんけれども、いわゆるインポート・ライセンスが、各関係地区におきまして自由に與えられておらないような状況であります。でありますから当事者間、業者間、あるいは消費者需要者との間の契約ができましても、これを実際の貿易の面に移すことに障害を與えられておるのであります。この原因等もほのぼのとわかりますので、それぞれの機関を通じまして、いち早くこの障害打開いたしたい。経済の自然の流れから行けば、輸入超過であればこれにこたえるべき輸出が必ずある。しかも日本の生産は上昇いたしておりますので、品質と価格の点において、国際市場状況に接近いたしたならば、輸出は振興して来るであろう、かような期待を持ちまして、それらの隘路打開にただいま努力中であります。  なお本年度の全貿易の見通じとしては、輸出概算六億三百万ドルを対象といたしまして進行しておりますが、これは暦年計算であります。一月、二月、三月の状況からこれを算術平均いたしますと、この数字の達成は困難のように思われますが、将来の見通しをもつていたしますれば、この暦年度におきまして、期待するだけの輸出貿易が実現するであろうという一つの信念的な見通しを持つておるわけであります。
  7. 今澄勇

    今澄委員 そこでそれらの計画を実現されるためには、私どもはいろいろ政府の苦心の存するところはこれを察するのでありますが、この際やはり日本船外航進出とか、あるいは海外財務官、その他盲貿易打開等、各般の問題について政府が真劍に努力されることを希望いたします。  そこで本法律案に入りますが、まず第一に輸出業者に対する信用保險を、政府がかかる再保險に依存する考えを捨てて、独立の特別会計をもつて国営面接保險を営むというように考える御意思はないかどうか。保險会社、無盡会社等一般金融機関を利用することは、行政の煩雑を避ける意味においては妥当な措置であり、かつ現政府が意図する企業経営の自由なる大原則に合致することとは思うけれども、むしろそれは結果的に見て、いたずらに大資本を助成し、既存の十六保險会社に利益を壟断させるという欠陥が、私どもは存しておるものと思います。政府事前金融一般金融機関、なかんずく金融資本家群の掌中にまかして、さらに今度は輸出契約以後の信用保險をも彼らに行わせて、利潤追求のみを念願とするこれらの資本家だけが、非常にぐあいがいいというようなやり方は、少しこの際考えてはどうか。この際いろいろむずかしい問題もあるであろうが、政府において直営国家保險構想をお持ちになつておるか      どうか。それの障害となる隘路路は何か。しかしてこれらの全般に対する宮幡さんの御見解を承りたいと思います。
  8. 宮幡靖

    宮幡政府委員 企業全般から見まして、国有国営というような形態がよろしいか、あるいは民有民営というような形態がよろしいか、これは少からず議論の存するところであろうと思います。保險事業につきましても若干の公益性を加味いたしまして、これを国営保險事業として取上げることも、一構想として必ずしもその理念を排除するものではございませんが、現在の段階におきましては、すべて企業民有民営のもとにおきまして、しかも独占的な立場を排除いたしまして、自由競争により、おのおの創意くふうによる努力と精進の積み重ねによりまして、初めてすべての企業が進展し、繁栄するものであり、またこれに関連する他の産業も進展の過程をとるであろうというふうな見通しでありますので、当局としてははなはだ遺憾の点があるかもしれませんが、保險国営考え方をただいま考えるような余裕を持つておらないことを、御了承いただきたいのであります。
  9. 今澄勇

    今澄委員 それらの点についての当局考え方には、まことに不服でありますが、討論をいたしたところでしかたがありませんので申しません。今の政府はそういう考えであるが、しかしそれでは国民全体を納得させ、円満な保險関係取扱いをするというわけには参らないと存じます。  第二点は、填補率を第三條で政令に讓つておりますが、これはおそらく、弾力性を持たせる意図から出たものと私は善意に解釈いたしております、しかもこの填補率補償の適用の範囲、すなわち本法第三條は輸出信用保險法の骨子であると思われるが、かかる重大な大権事項議会において審議することなく、一片の政令にまかせるということは、これは法制技術としても、まことにどうも軽卒の至りであると私ども考えます。この点に対するお考えはどうか。  さらにもう一点は、填補率を当分この程度でやつてみて、将来不都合が起ればまた変更するというつもりか。それとも随時臨機応変にかえて行くつもりであるか。さらにまたこの填補率を改正するのは輸出信用保險審議会で決定するのか。もし輸出信用保險審議会で決定するとすれば、かつてわが国外国為替委員会に対して付與したところの権限が大き過ぎて、行政権能を逸脱したものだという議論が、当時沸騰いたしたことは御承知通りでありますが、これと同じような過誤を繰返すのじやないか。さらになおこの審議会は、文字通り諮問機関であつて決定機関ではないと次官は申開きされるであろうと思うが、もしそれならば、一行政大臣であるところの通産大蔵大臣としては、これはあまりにも権限の大き過ぎるものであるというふうに、われわれは考えますが、この点についてひとつ詳細、明快な御答弁をお願いいたします。
  10. 宮幡靖

    宮幡政府委員 最初の第三條の政令委任立法的なことは、はなはだその意を得ないということは、一つ考え方としては決して否定すべきものではないと存じます。事務局の方の手続がたいへん遅れまして恐縮でありますが、政令案を草しまして同時に御審議を願うつもりで、配付するようになつておりますのが、手遅れになつてお手元に届いていないようでありますから、これは遅ればせながらお目にかけまして、政令法律と同様の御判断の上に、御審議を願つたらけつこうだと思います。その他審議会の問題その他につきましては、担当いたしまする岡部振興局長からお答えいたします。
  11. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 ただいま、限度百分の八十以内というかつこうになつております。大体百分の八十で切りたいと思いますが、今度の法制の立て方は、大体約款に讓ればいいことが多いのでありますけれども、非常に重要な事項だというので、限度だけは書いてあるという趣旨でございまして、決してかつてにしようというのではありません。なお審議会等はもちろん諮問機関でありますので、これに応じて適当に判断していただきたいと考えております。なおこの限度をいずこに置くかという問題につきましては、一応は八十でとどめておきまして、一定の損失の負担は、やはり契約者にも持つてもらうことによつて、健全ならしめたいと考えております。
  12. 今澄勇

    今澄委員 次にしからばバイヤー側が手形の期間たとえば六箇月、十二箇月を経ても支拂わなかつた場合にはいかがするかということも、第六條に明記する必要があると思う。第三條の各号の補償の項目とクレーム、こういう点についてはどのような御見解を持ちますか。
  13. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 バイヤーの支拂い不能の場合のクレームは、この法律保險対象になりません。これはむしろ普通の損害賠償の見地によつて、取扱われるということに相なるわけであります。この点につきましては、前にも前田委員から御質問がございましたが、英国法制ではこれと破産が入つておりますので、できれば入れたいというふうに考えたのでございますが、ただ英国と違いまして日本の現在の状況では、海外における実情把握が足りないので、不徳バイヤー不徳輸出業者との間に談合が行われて、惡くこれを運用するおそれもないわけでもございませんので、この点についてこれは関係方面了解が得られません。その点問題があるわけであります。
  14. 今澄勇

    今澄委員 今のバイヤー破産による支拂い不能の場合ですが、これは私は前田君とも相談したのでありますが、もしわれわれが今のイギリスの補償法と同じように議会で直したとすれば、政府としてはそれに対して何らか運用上に支障がございましようか。
  15. 神田博

    神田委員長代理 速記をとめてください。     〔速記中止
  16. 神田博

    神田委員長代理 速記を始めてください。
  17. 今澄勇

    今澄委員 了承しました。それでわれわれは相手国側の関税の引上げや、ゼネストあるいは不買同盟などの場合に、この法案ではいろいろ問題が起きることは御承知通りであります。われわれが聞き知つておる相手としては、フイリピンなどは、船が入港しておりながら、なかなか荷揚げを許可しないとか、協定品目の中にある品物でありながら、なかなかライセンスをおろしてくれないとかいうような、官界の紊乱といいますか、いろいろな食い違いがその極に達して、貿易業者が想像以上の苦労をなめておる状態にあることを聞き及んでおります。インドにおいては、相手方がなかなかかけひきがうまくて、すぐにキヤンセルをやつて来るというふうに、非常にやりにくい点があると聞き及んでおりますが、その中でも特に私どもの遺憾に思うのは、そういつた海外事情を率直に国内に発表しないで、いたずら日本側の商社が惡い、相手の不誠実やいろいろな非道なやり方に対しては耳をおおい、目をおおつて、全部日本貿易業者責任であるかのようにこれをやつておることは、まことにけしからぬ話であると思つております。貿易経済上の協定等は、どうしてもはつきりさせる必要がある。占領下における占領行政と、占領下のわれわれの政治形態、あるいは日本のこのような貿易については、私が冒頭に申し上げたようにいろいろ問題があると思います。それでただ何でもかんでも日本貿易業者を泣き寢入りさしさえすれば、いいというような今のやり方を、政府はそれでいいと思われますか。それとも諸外国日本貿易についてのやり方の惡い点、その他の点については、ひとつ堂々と政府側で発表するなり、言論機関なりにこれを載せさせて、海外における日本の商品に対する態度を国民に理解させるというような意思はないかどうか。これらの点について政府は強力なる決意を持たないと、日本貿易業者を守つて行くことはとうていできないと思うが、これらの点についての御見解最後に承りたいと思います。
  18. 宮幡靖

    宮幡政府委員 御指摘の点は、現在貿易が一応自由の原則に帰りましても、重大な一つ隘路になつておることは、これはいなむことのできない事実であろうと存じます。従来管理貿易下にありました当時から引続きまして、クレーム処理というふうな問題は、司令部を通じまして、特に通産省としましては通商官が先頭に立ちまして、この解決に当つて参つております。これは率直に申せば、その起りました件数を比べて、解決されました件数はきわめて少い。かようなことでは根本的な貿易振興は困難であろうということで、現在の事情が許す限り強力な手段をもちまして、この打開に当つておるわけであります。このために激しい論争の続けられることもありますし、またいろいろな立証に苦しみまして、かなり難澁な交渉経過もたどつておりますが、御趣旨の点まことにごもつともでありますので、その熱意を持ちまして、この打開に努めて参りたいと存じております。しかしながら各種の点におきまして、国際感情の緩和と相まちまして、いろいろ御指摘になりました入港拒否とか、陸揚げ拒否とかいうような問題は、きわめてスムースとは申し上げかねますが、一歩一歩打開状況にありますことは、将来に対して一つの望みが持てるものである、かように考えております。
  19. 今澄勇

    今澄委員 それで大体本法各種條項に関するわれわれの疑点は、一応了解をいたしました。ただ私は最後に、今いろいろ民間で問題になつておりますので、貿易関連をいたしまして聞くのでありますが、たとえば先般の自動車拂下げによるハイヤー業の運営についてのいろいろの疑問、それから今日PXからいろいろ売り出されておりますが、それらのいわゆる占領軍関係の不要な品物を、通産省が間に立つて民間拂下げておりまする大体の数量と、その品目、並びに取扱いの方法、これらの問題については、いまだ一度も公表されたというようなことがないために、いろいろ新聞には出ておつたそうでありますが、業者間に疑惑を生じて、われわれにも扱わせてもらいたいということで、非常な疑問を生ずるために、ここで思わぬ紛争が起つているようであります。そこで私はこの際、おさしつかえなければ今の繊維製品なり、その他占領軍関係から拂い下げて、通産省責任を持つて、それを日本国内へ売り出しているものの、概略品目とその値段、できればその取扱わせた理由、どういう理由でどういう機関に取扱わしたのであるかということを、自動車のみならず、全般的な問題を、この際お聞かせ願いたいと思います。
  20. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 自動車の件は、この前御答弁いたしましたので、御了承願いたいと思います。PXの点につきましては、私主務者ではございませんので存じませんが、大体聞いておりますところでは、二百六十万ドルの余剰物資が放出されたということであります。これが当初日本政府で買つてくれという話があつたわけであります。中には非常に利用のできるものもございましたが、また中にはわれわれ現在の段階として、進んで政府資金使つてまで買いたくないものがございましたので、大体百貨店業者、その他の者に下見をさせました。それがあまり好ましい返事ではないので、値引きを申出ましたところが、却下されたので、一応破談になりました。そこで軍の方でロジャースという会社に売ることにきめまして、それでわれわれの方の特別会計はトンネルになりまして、拂い下げたという形でございます。それが実情でございます。
  21. 今澄勇

    今澄委員 けつこうでございます。
  22. 神田博

  23. 田代文久

    田代委員 政府の数度にわたる御説明で、輸出貿易の楽観にもかかわらず、実情は非常に輸出が振わないということを、新聞などでも盛んに言つておりますし、私たちも非常にこれは心配しているのでございますが、それに対する大体実情、根本的な原因というようなものを、どんなふうにお考えになつているかという点を、まず御説明願いたいと思います。
  24. 宮幡靖

    宮幡政府委員 貿易不振の事実につきましては、先ほど今澄委員のお尋ねに対しまして、隘路となります問題等も若干申し述べたわけでありますが、根本的に輸出の面から申しますと、仕向地、相手方で輸入資金が思わしくないというようなことが、大きな問題になつているわけでありまして、先ほど申しましたように、中国の方の取引にいたしましても、エスクロー・バーター式ならやれないことはないのでありますが、これとてもなかなかなかうまい條件に入つて参らない。かようなことで、今全面的に貿易というものが、日本の中に物が積込まれまして、まず日本の基本産業、その他のすべての中小企業に至りますまで、生産が増加いたしまして、基礎的な建て直おりをして、そこにでき上りましたものが、経済自然の流れに乗つて輸出して行くであろう、かような期待ができる状況にまでは進んでおりません。その他国際関係におきまして、いまだ日本の国情として、十分な利点を占めることができない條件が多数ありまして、現状は先ほど申し上げたように、若干不振のうらみが残つておりますが、繰返して申すようでありますが、輸入が超過になつていることは、やがて輸出が振うという前提である。これは楽観的な見方であるという御非難もありましようが、この事実は、契約の進んで行く状況等を考えますと、決してただ安易な考え方でないと信ぜられるわけであります。すべての貿易不振に関する障害につきましは、一つ一つこれを具体的に除去いたしまして、年間を通じて、本年の貿易計画が達成せられるように努力して参りたい、かように考えている次第でございます。
  25. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 ちよつと先ほどの今澄委員の御質問に対して補足いたします。ロジャースを選びました手続につきましては、やはりビッドが行われております。八社ばかり入れまして、その中で一番高く売れたのがロジャースであるということでございます。
  26. 田代文久

    田代委員 これは意見になりまして、その点ではいろいろ討論する意思はございませんが、私たちはいろいろ不振の原因はありますが、日本輸出貿易自主性がないということが、非常に大きな要因であるように考えております。先ほどの御答弁によりまして、キャンセルあるいはクレームというものが非常に多くて、その解決している件数が、非常に少いというようなことも、次官みずからがはつきり申されたのでありますが、このクレームの解決件数というようなものがわかつておれば、説明していただきたいと思います。
  27. 岡部邦生

    岡部(邦)政府委員 十二月末で、輸出クレーム状況は、全部で五百五十六件ございます。その中で解決いたしましたのが二百七十件でございます。大体四八・一%解決しているわけでございます。それから輸入クレームの方か全部で二百八十二件でございます。解決いたしましたものが二十一件、これは先ほど次官が申し上げたように、非常に解決が少いわけでございます。
  28. 田代文久

    田代委員 そういたしますと、先ほどこれは次官がはつきり申されたように思いますが、現在私たちは自主貿易ということを非常に重要視するわけでありますが、講和條約なき講和が現在進みつつある。それを單なる既定事実というよりは、むしろ歓迎されるかのごとく響いているのですが、そうでありませんか。
  29. 宮幡靖

    宮幡政府委員 それは速記録を御参昭いただきますればよくわかります。こういう言い方については御議論の余地はあろうと思いますが、事実としましては、少くとも現在の国情下において、若干でも自主性を持てるような方向に努力して参つている、こういう意味の御説明を申し上げたのでありまして、そのことは速記録にも載つていると思いますので、決して政府は現在の日本貿易と申さず、その他の條件において好んで劣勢な條件に置かれることはいたしておりません。少くとも一歩一歩、一段階ごとに進んで行く、條件をよくするという努力を拂つているものであることを、ぜひ御了解をいただきたいのであります。なおそのクレーム件数のことにつきましても、従来はあまりはつきりした御回答を申し上げておらなかつたのでありますが、国民によく知つていただくことの方がよいと思いまして、率直に明快に御回答を申し上げたのであります。と同時に輸出信用保險法におきましては、このクレームの原因が必ずしも相手方にばかりあるのではなくして、日本のいわゆるサプライヤーなりあるいは日本側の商社にいたしましても、非常に輸出をあせります結果、支拂い條件等が的確でないもの、また不安のあるもの等を、契約をいたしたというきらいは、いなめない事実なのであります。今度輸出信用保險によりますと、相手方の支拂い不能とか破産というようなリスクが、その保險対象からも除かれております関係上、この契約につきましてはきわめて嚴選主義、正確なものをとらえて行きまして、そして金融は事前金融のできるような措置になつておりますので、こちらの方の粗忽から出ておりますところの失敗というような事実は、漸次減少して行く方向をたどるだろう、これは輸出信用保險法の消極的効果とでも申しましようか、これらの点も勘案いたしまして、この法律もできておるわけであります。自主性の問題は、あなたの政党の常に主張なさるところで、その御議論に対して私は反駁を加えるものではありませんが、少くとも現政府が後退を希望してやつておらない、一歩一歩進んで行く希望のもとにやつている、このことだけは御了解をいただきたい、かように思うのであります。
  30. 田代文久

    田代委員 もちろんそういう希望を持つのは当然のことでありますが、つまり講和條約なき講和というものが進められ、それが前進するということは、なお先ほどの御説明によりますと、こういうことによつて自主性がだんだんふくらんで行き、確保されつつあるというふうに理解したのですが、そうでございますか。
  31. 宮幡靖

    宮幡政府委員 自主性がふくらんで行くという言葉は、どういう御意味か知りませんが、今澄委員のお尋ねの基本は、占領下にあります行政と、経済行為とは別個の問題じやないか、経済行為については、もつ自主性を持つた方向に行くべきである、その努力を拂うべきであるということであります。その御質問に対してさようなお答えをいたしたわけでありまして、それが自主性のふくらみであるとか、あるいはこれが單独講和の前提であるというような、そういう強い意味で申したわけではございません。
  32. 田代文久

    田代委員 これは大臣答弁されたように記憶するのですが、なおはつきりさしていただきたい。現在貿易の有望な地域として東南アジアが考えられるというふうに、大臣が言われたように記憶しておりますが、事実そのようであるかどうか、もしそうであるとしますならば、大体その地域に対しては、どういう品目輸出が盛んになされておるかという点の質問をいたします。
  33. 宮幡靖

    宮幡政府委員 大臣がどういう答えをいたしておりますか、東南アジアが確かにわれわれの貿易市場といたしまして、有力なる対象地であることは、はつきりした事実だと思います。もし日本が正常貿易に返るとしますならば、やはりアメリカ方面からの原材料をもちまして、加工、もしくは製品といたしまして、東南アジア地区及び大陸の方へ、これを輸出いたしますることが、当然の行為になるだろうと思います。先ほども申し上げました通り東南アジア地区も資金不足というような関係で、なかなか貿易が正常に参つておりません。品目については、現在の貿易が御承知のように協定貿易でありますので、その協定にそれぞれ輸出品目がバランスのとれるように、あるいはアンバランスのものは、それに対しまする決済條件等を付記いたしてとりきめられております。大きなのが日英協定、あとは最近できましたのはパキスタン、タイビルマというような状況でありまして、順次スターリング地域の参加国でないものとも、協定貿易の線が進められておりますが、その品目のおもなるものは、繊維、機械、ゴム製品、かようなものが主要品目でありまして、輸入の方面においては大体のところが食糧とか、油とか、油と申しましても南方で申しますと、コプラのようなものでありまして、その他雑品目が掲げられてありますが、その一々の品目につきましては、協定貿易の中にありますが、ただいま一々記憶いたしておりませんので、必要がありましたら別の機会に、申し上げることにいたしたいと思います。
  34. 田代文久

    田代委員 この輸出品に対しましては、輸入品でもそうでありますが、戰略物資ということがきわめて重要な問題として取上げられているわけであります。現在日本輸出の方針といたしまして、戰略物資は国に輸出しないというような原則が立てられているかどうか、あるいはまた事実立てられているとすれば、そういうことが実際守られているかどうかという点につきまして御答弁願いたい。
  35. 松尾泰一郎

    ○松尾説明員 ただいまのお尋ねにお答えいたします。先ほど政務次官からもお話がありましたように、輸出の方はほとんど全部が自由貿易になつているのでありますが、ただ一部の商品につきまして、輸出の許可を要するというようなことになつております。今戰略物資と言われたのでありますが、何も戰略物資だからというためではなしに、そういうものも一応含めました意味におきまして、要許可物資と称しているのであります。それが今のところ七、八十あろうかと思うのでありますが、これの取扱いにつきましては、関係方面の事前許可を要する商品と、それから関係方面の事前許可を要しない品目とに分類されるのであります。関係方面の許可を要しないものにつきましては、通産省限りにおきまして、その国内的の需給状況、その他相手地域との貿易バランス等を判断いたしまして、自主的に決定いたしているのであります。関係方面の事前許可を要するというものにつきましては、その都度書類を提出いたしまして、司令部了解を得るように努めているのであります。現在までのところ、どの商品が非常にぐあいが悪い、あるいはどの商品ならば完全にアプルーブされるということはよくわかりませんが、一応われわれの方で今処理している限りにおきましては、そう困難がないような感じを持つております。こちらへ提出されたものをもちまして、関係方面に打合せに参りますが、特殊の商品は別でありますが、たいがいのものは許可されているというような現状にございます。なおどの国に対して非常に辛くて、どの国に対して甘いかということにつきましても、現在までのところはそう差別的なことを、われわれとしては感じてはおらぬのであります。
  36. 田代文久

    田代委員 現在のところで、当局としましては、どの国に対してどうというような、差別もとつておらないし、それからまたそれが不許可になるというような場合も少いし、たいがいのものはどんどん許可をされておるというようなお話でありますが、実際に、たとえば中国向けなんかに対しましては、非常にきゆうくつであるということが言われておりますことは、これは常識になつております。その点をなおはつきりしていただきたいのと、それからなお申しますならば、台湾に対して最近有刺鉄線が非常にたくさん送り出されておるというようなことも新聞でも書いております。朝日新聞ども、こういう物資がどんどんあの中国の内戰に当面しておるところに送られるということは、戰争を放棄し、平和の立場を嚴守するという立場に立つている日本にとつては将来非常に不利である。当然将来これらの国々の人民大衆から非常に反撃を受けるし、いかにも好戰国であるようなふうにも見られるし、警戒を非常に強められるという点が、ひいては日本の平和産業なり貿易に対する支障になるのだというようなことも、盛んに有力新聞も書いておるのでありまして、その点をもう少しはつきりしていただく必要があると思います。
  37. 宮幡靖

    宮幡政府委員 中共貿易のことは、しばしば田代さん及び同じ政党の方々から御指摘があるのでありますが、この貿易ができないことは、いろいろ考え方はございましようけれども、必ずしも現在の政府の罪であるというような解釈にはなりにくい実情にあります。繰返して申しますように、エスクロー貿易ではやつております。また香港経由のクロス・カウントの貿易もできるようになつておるわけであります。最近の顯著な例としましては、大豆の輸入を四万五千トンくらいしなければならない、こういうような状況でございますが、それらにつきまして、輸入したいという申出はたくさんあるのでありまするけれども、かんじんの契約が成立せぬのであります。こちらの方では、いろいろ中国なんかからもおいでになりまして、役所の方へもお話があるようでありまするが、いざとなりますると、なかなかその品物が現実に送れる契約が成立しないというようなことで、お申出が実現に移らなかつたという事実もありますが、決してただいまはそれをことさらに回避したり御指摘の戰略物資という意味をにらみ合せての観念は持つておらないことは、先ほど松尾通商次長から申し上げたような実情にあるのであります。  台湾に出ました有刺鉄線のお話でありますが、このことにつきまして、新聞の書き方も、実ははなはだ不用意かもしれませんが、読んでおりません。さようなことを、日本の憲法に嚴然と定められましたところの戰争放棄の障害になる、あるいは障害たらしめるような気持を持つて取扱つておるということは毛頭ございません。さよう御了承いただきたいき思います。
  38. 田代文久

    田代委員 この中国との大豆の輸入などは、非常に大事なことですが、成立しないわけはどこにあつたのでありますか。
  39. 神田博

    神田委員長代理 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止
  40. 神田博

    神田委員長代理 速記を始めてください。
  41. 田代文久

    田代委員 中国向けのベアリングの輸出の許可は、どうなつておりますか。
  42. 松尾泰一郎

    ○松尾説明員 最近の輸出許可の状況でございますが、お尋ねがあろうと思いまして、ちよつと急いで持つて参りましたため、資料が若干不整備でありますので、全部の商品を網羅していないきらいがあるのでありますが、ボール・ベアリングは今までのところ、まだ申請が出ておらぬように見受けます。
  43. 田代文久

    田代委員 私もベアリングは向うに出すことができないようになつておるということを聞いておりました。それではつきりするわけですが、つまり有刺鉄線などは台湾に対してはとにかく許可され、中国に対してはベアリングというようなものが許可されないという理由は、先ほどの御答弁にもかかわらず、私たちには納得できないのであります。なぜこれが許可されないか、また許可されるということが、日本中国との貿易をスムーズに発展させ、相互の利益になるにもかかわらず、こういう点が非常にへんぱになつておるということも、私たち強く考えるわけでありますが、実際になぜこういうような取扱いをされておるかという点を、御説明願います。
  44. 松尾泰一郎

    ○松尾説明員 ただいまボール・ベアリングについてのお尋ねでありますが、その申請があつて許可にならなかつたということではありませんで、まだ輸出許可申請がなかつたように思うのであります。従いまして許可申請がありますれば、関係方面とも打合せをいたしまして、御報告申し上げたいと思います。
  45. 田代文久

    田代委員 これは実際に業者の話を聞いたのでありますが、申請があれば大体通る見通しがあるわけでありますか。
  46. 松尾泰一郎

    ○松尾説明員 いや、通る見通しのあるか、どうかという問題は、ちよつと申し上げかねるのでありますが、まだわれわれのところに対しては、現在までのところ申請が参つておりませんので、その結果については何とも申し上げかねるわけであります。
  47. 田代文久

    田代委員 それでは以上で終ります。
  48. 伊藤憲一

    ○伊藤(憲)委員 すでに風早君も質問したそうでありますから、私は二、三の点をちよつと宮幡政務次官にお伺いしたいと思いますが、先ほども田代君からも申されましたように、表現の仕方があると思うのでありますが、日本自主性がないという点に、問題があると思うのであります。それから東南アジアのことについてでありますが、ジャーナリズムも認めているが、東南アジアが現在ヴェトナムを中心として、実際上第三次世界大戰後における職場になつておるのであります。こういうところが主たるわが国輸出先となりますと、転じてわが国産業の性質が、軍事的性格を帯びざるを得ない。そこに宮幡政務次官の主観的の意図の、いかんにかかわらず、有刺鉄線のごときものは鉄條綱などに使用されるのでありますから、そういうものが送られて、そういう産業わが国では発達して行くということになりますと問題だと思う。この点ひとつお伺いしたい。ことに中国が昨年中華人民共和国として出発いたしましてから、世界人口の約四割がとにかく社会主義的な、あるいは人民主義と称せられる、これは従来のわが国貿易との関係からいつても、非常に大切だと思います。この点で私もお伺いしたいと思つておつたのですが、これは予算委員会でも通産委員会でも、前の稻垣通産大臣から、ソビエト同盟とも貿易をしたいのだ、そうして現にやつて、たしか輸出超過が二百五十万円とかあるのだ、ところがどうにも値段が高くてやつて行けないということを、しばしば答弁されております。これは私が予算委員会でお伺いした際にも、そういうことを言つておられた。もしそういうことがありますならば、どうしてこれを公に発表しないのか。一体ソビエト同盟では何を欲しておるのか、どういう値段で買おうとしておるのかという具体的な事例があると思います。そういうことをついでに発表していただきたいと思います。
  49. 宮幡靖

    宮幡政府委員 御答弁が前後するかもしれませんが、ソビエトとの貿易につきまして、稻垣大臣がお答えいたしました数字状況等は、管理貿易の当時のことでありまして、従つてその貿易管理は司令部がやつておりまするので、日本政府が公表するの自由を持つておらなかつたということを御了解願いたいと思います。自由貿易でもしできるといたしますならば、これは輸入について外貨予算の割当をいたします問題を除きまして、その他は当事者の自由意思契約によつてできましたものをいたすのでございますので、それは統計的にとりまとめる義務はもちろんありますが、その計画まで公表するということにはならないのではなかろうかと考えております。御指摘の南部地区の諸国家は第二次大戰の被占領国であつて、そういうものとやることは再び戰争の渦中に巻き込まれる点はないかというような御意見の点でありますが、これは日本国が占領されておる立場からいつて相手方が被占領国であるとか、あるいは被占領国の中でいまた交戰状態の解けなかつたような国家もあろうと思います。交戰状態の解除は、御承知の国際連合から通達がありまして戰争状態が解けるわけでありまして、そういうような話し方をされますと、まだ交戰状態にある国家との取引ということになろうと思います。これは御意見として大いに傾聽することにはやぶさかではありませんが、それ自体が貿易の面をゆがめたり、あるいは思わざる戰争の渦中に巻き込まれるなどという考えは持つておりません。台湾に出ました有刺鉄線を非常に重大にお考えのようでありますが、われわれとして知つておりますところではスチール・ワイヤーというような名前で出ております。スチール・ワイヤーの中に有刺鉄線が入つておつたのかもしれません。その点はただいまこの席ではわかりませんが、それがただちに戰争用具に供され、あるいは防備用具になるのだという心構えのもとで取扱つておらないのでありますので、その点も御了承いただきたいと思います。
  50. 伊藤憲一

    ○伊藤(憲)委員 これは三月二十日の朝日新聞のトップ記事でありますが、シンガポールにてというのでデニス・ウオーナーという朝日新聞の特派員が電報を打つております。「急迫した東南アジア情勢援助も効果薄か事態は底知れず悪化」こういうふうな見出しで、「東南アジアの情勢は絶望的である、共産主義によつてもたらされた現在の危機の重要性を表現するもつと適当な言葉があれば、私はそれを使いたいくらいだ、このきびしい現実は米国の緊急な軍事、経済援助を以てしても、またスペンダー計画による英連邦の援助を以てしても、インドシナ、タイビルマではすでに大した希望はもてず、マレー、インドネシアの場合はさらに絶望的である。」こういうふうに東南アジアを規定しているのであります。これはもちろん一新聞記者の表現でありますけれども、その他の情報を見ましても、通産大臣が言われたように、東南アジアが決してわが国輸出産業の有望なものとは考えられない。しかもここにだけ限定するということについて問題がある。もう一つは、しばしば宮幡政務次官も言われましたが、占領下であるという條件があると思う。しかしポツダム宣言の一一には、「日本国は、その経済を支持し、且つ公正なる実物賠償の取立を可能ならしむるが如き産業を維持することを許さるべし。但し日本国民をして戰争のため再軍備をなすことを得しむるが如き産業はこの限に在らず。右目的のため原料の入手を許可せらるべし。日本国は、将来世界貿易関係への参加を許さるべし。」こうあつたのでありまして、すでに占領されてから四年半にもなるのであります。こういう点で、私はこまごましくどういうものが許可されるとか、どういうものがどうするとかいうことでなしに、もつと大きく日本輸出が自由にやれるかどうか、ことにソビエト同盟や中国に対して、今言いましたように管理貿易でなしに、今日自由にやり得る可能性があるかどうか、もし自由にやり得る可能性があるならば、何ゆえにここに輸出信用保險というものを国家が再保險してやるのかどうか、こういうことをお伺いしたい。
  51. 宮幡靖

    宮幡政府委員 輸出信用保險法の立案につきましては、ただいま貿易に携わります各業者の熱望によりまして、あらゆる苦心、構想の上、この段階までこぎ着けたわけでありまして、田代さんの御意見を否定するわけではありませんが、これは国民の大多数の熱望する法案だと、政府はかたく信じているものでございます。また東南アジア地区の防衛についても、いろいろ御議論がありましたが、現在スターリング地域との取引は、その他の東南アジアを見ましても、貿易の伸びは順調な数字をたどつております。悲観する現実には追い込まれていないのであります。資料として一々数字をあげる材料を持つておりませんが、記憶している数字では、順次順調な、将来に望みを嘱し得られる伸び方をしておりますので、東南アジア地区をあえて貿易相手国として排除すべき理由は、政府として認めておらないわけであります。なおあわせてこれと同じ意味におきまして、中共といえども貿易に関します條件の整います限り、これを排除いたして行こうなどという観念は持つておりません。
  52. 伊藤憲一

    ○伊藤(憲)委員 考えを持たないのはけつこうなんですが、具体的に中国の場合ですと、たとえば開らん炭などは業界の要望があるわけであります。こういうことに対して障害があるならば、これを取除いて、全般的な自主性のある、国際的に全体との貿易の方向に進まれるように私は希望したい。むしろ東南アジアのごとき危險なところを対象とするからこそ、ことにこの條文の中に、たしか戰争、内乱、革命などという言葉まで使つて危險性の例証にしているようでありますけれども、そういうことになると思うのであります。こういうことを希望して質問を打切ります。
  53. 神田博

    神田委員長代理 輸出信用保險法案につきましては、民主党の有田喜一君を残して、一応質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  54. 神田博

    神田委員長代理 次は中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案を議題として討論に付します。門脇勝太郎君。
  55. 門脇勝太郎

    ○門脇委員 ただいま提案に相なりました中小企業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、私は自由党を代表いたしまして、若干の希望を申し述べまして、賛成の意を表する次第であります。  御承知のごとく、中小企業等協同組会法は、昨年春、総選挙直後の第五特別国会におきまして、われわれが審議いたしましたものでありまするが、今般の改正案は、当時におきましても、私どもがその修正を希望いたしたのであります。しかるに当時微力にして及ばなかつた次第であります。その意味合いにおきまして、今次改正は百尺竿頭一歩を進めたものと言わざるを得ないのであります。  この改正案の実施によりまして、多数の組合員をもつて構成せる組合において、総代選挙の開催に非常なる困難が予想されたるところ、これが緩和せられ、かつまた総代任期も明瞭に三年以内と定めたことは、しごく妥当な措置であると思うのであります。  ただこの際を利用いたしまして、われわれは通産、大蔵両大臣に、本法律案の内容そのものを離れまして、一言を呈したいと思うのであります。御承知のごとく、現下の中小企業の運命は、日に日に深刻をきわめて参りまして、今や経済問題であるというよりは、むしろ社会問題となるに至つておるような状況であります。このさんたんたる窮状を打開せんとして、政府が日夜肝胆を碎いて、その対策と救済に腐心せられていますことは、われわれも察するにやぶさかではないのであります。  すなわち先般も、池田兼任大臣より、見返り資金の中小企業面の放出貸付を逐次増額して行く方針であること、さらに中小金融強化の一端といたしまして、大銀行に中小企業專門金融部門を設定することなどの対策開陳がありましたが、こいねがわくは、それらが單なる高踏的な計画に終らず、よく末端にまで浸透して、真に中小企業がその恩惠にあずかり、政府の善政を謳歌するがごとき行政をしかれるよう、まことに、くどいようではありますが、よくよく胸に刻み込まれて対処せられんことをお願い致しまして、私の賛成意見といたします。、
  56. 神田博

    神田委員長代理 次は今澄勇君。
  57. 今澄勇

    今澄委員 私は日本社会党を代表いたしまして、本法律案に対しまして、きびしい要望を付して、賛成の意を表する次第であります。そもそも過ぐる昨年の六月、第五国会におきまして、われわれが愼重審議いたしまして、同年七月一日施行せられた法律の一部改正法律案でありますが、当時、われわれは、この組合法に基く根本的なねらいが、はたしてよく全国中小企業者の利益増進になるか、あるいはまた、その根本的趣旨が周知徹底するかに、多大の疑問を持つていたのであります。幸いに、わが党の努力によりまして、企業組合の結成を目下指導しつつありまして、全国的におびただしくその設立を見ましたことは、私も内心その生成発展に期待するものがあるのであります。しかし、それとても、最近の蔵相兼任通産相の言動や、政府要路当局の施策を見まするに、必ずしも楽観ができないばかりか、ややもすると、来年に至らずして、かなりの数のものが企業組合においても、倒壊する可能性が十分あります。それは、申すまでもなく、三五%と云う高率課税や、利益拂いもどし分などの事情が影響して来るからであります。ましてや、企業組合を結成しておらない一般の零細企業に至りましては、全然論議のほかでございまして、高率の倒壊、破産を見ることは必然であります。一例をあげまするならば、最もこれらの典型的な零細企業や、下請業の多い都市である川崎市、川口市、及び桐生市等について見まするならば、歴然たる事実であります。川崎市のごときは、金融難、高率課税、販売不振という月並みの困難の上に、さらに親会社の支拂いが全然なきにひとしいありさまであり、問屋金融にいたしましても、あえてこれを助成するという態度は微塵も見られないのであります。群馬県等におきましては、従業員五人以下の小企業や、家内工業に近いものは、ほとんどその織機が休止いたしておりまして、その惨状は眼をおおうばかりであります。さらに、徴税攻勢と正面から組み合いまして、今や差押えをしてもらいたいとまで、叫んでおる状態であります。さらに、京都市などにおける西陣業界は、敍上のほかに、大巾な価格差益金等に攻められまして、破産しようにもでき得ない苦境に逢着しておるのであります。泉州堺市、岸和田市等を中心といたしまする織布業界や、繊維製品、二次製品業界等は、いずれも中小企業の今日の苦悶の状態を代表しておるところのさんたんたる実情であることは、ひとしく承知通りであります。これは一例でございますが、かく観じまするならば、今次のささたる改正案程度では、くずれ行く中小企業の運命を食いとめることはできません。これは、ただ一つ手続上の問題をきめたにすぎないものであります。  わが社会党といたしましては、本法案については別に信用協同組合設立認可の簡易化や、火災保險等の新たな事業を許可する等の修正案を他日出したいと思つております。しかしわれわれは現政府、なかんずく蔵相兼任通産相の、中小企業対策、言いかえれば、彼らの説く自由主義経済の必然的、本質的な弱肉強食が、いかにして、中小企業の滅亡を食いとめるか。いわば自由主義経済の大胆なる途行が、社会正義、社会倫理というものと、正面衝突する悲喜劇の到来は必至と考えておりますので、中小企業の救済は現内閣のもとにおいては、いかんともいたしがたい宿命であることを痛感するものであります。  本法案の討論にあたりまして、私は賢明なる政府当局が、夢寝の間も、この瞬間においても、倒れつつある、全国中小企業者の地獄の底からの声に耳孕を澄まして聞き入り、心をむなしうして善処せられんことを嚴に警告して、本法律案に賛成するものであります。
  58. 神田博

    神田委員長代理 有田喜一君。
  59. 有田喜一

    ○有田(喜)委員 私は民主党を代表いたしまして、嚴重なる警告と條件を付して、本改正案に賛成するものであります。すなわち中小企業の現状は、実にさんたんたるものでありまして、まさに倒産の前夜にあります。中小企業は現実に危機に瀕しておるのであります。いかに政府経済安定の楽観論をとなえても、この現実は否定することができないのであります。かかる中小企業の危機は、まさに吉田内閣の弱肉強食政策の結果であり、その誤れる経済財政政策のみずから招いた罪悪であります。池田大蔵大臣通産大臣を兼任され、中小企業の保護育成をはかるべき責任を有する主管大臣でありながら、みずからの責任を自覚せざるのみならず、かの池田放言によつて、中小企業に対する無理解と、不認識を露呈し、弱肉強食政策の本体を暴露したのであります。かかる性格の内閣と、かかる無理解な大臣のもとでは、この危機に直面した中小企業の救済は望むべくもありません。よつて政府は中小企業に対する認識を根本的に改められ、わが国経済行動において、中小企業の重要性を深く確認し、中小企業に理解ある專任主管大臣を置き、当面の中小企業打開に專念せしむるとともに、中小企業対策の基本を確立すること、すなわち、一、協同組合組織の拡充強化を促進し、協同施設の利用を通じて、その合理化、能率化をはかること。二、中小企業金融の円滑を期し、中小企業金融のわくの拡大をはかることはもとよりのこと、真にその資金が中小企業に流れ込むような金融機構の確立をはかること。三、中小企業の指導機関の整備拡充をはかり、真に親切にして適正なる診断指導の十全を期すること。四、簡易経理制度の普及徹底をはかり、中小企業にふさわしき経理制度の確立をはかること。その他中小企業に対する適正なる基本対策を具体的に樹立し、重要なる経済問題たるとともに、深刻な社会問題であるところの、中小企業の育成と助成に、万遺憾なき措置をすみやかに講ぜられるよう、強き條件と警告を付して、私は本案に賛成いたすのであります。
  60. 神田博

    神田委員長代理 次は伊藤憲一君。
  61. 伊藤憲一

    ○伊藤(憲)委員 私は日本共産党を代表しまして、本改正法案に反対いたすものであります。本改正によつては、われわれのかねて反対して来た中小企業等協同組合法そのものの本質を何らかえるものではありません。言いかえれば、この改正によつても、中小企業等協同組合法が、中小企業等ごまかし法であることには、何ら変化がないのであります。本法によつて、中小企業にゆたかな金融を保証することのできる信用協同組合が、自由に数多く設立し得ると考える者は、一人もないであろうと思うのであります。すでにこのことは、幾多同僚議員、ことに與党議員の質疑によつても、明らかであります。大蔵省当局は、設立の認定の申請をしている信用協同組合さえ、彼らのかつての都合で、言いかえれば、大金融資本家の御都合によつて、あるいは遅らせ、あるいは認可をしぶつている状態であります。はつきり言えば、中小企業の五人や十人自殺してもかまわない、こういう独占資本の代弁者である池田大蔵大臣の手元にあるのであります。さらにもつと根本的には、金のない中小企業が集まつて信用組合をつくつても、吸い上げるばかりの銀行は問題にならないし、掛声ばかりの政府と與党の中小企業対策からは、中小企業にゆたかな資金を保証する信用組合の生まれる余地も、育つ地盤もないのであります。さらに中小企業協同組合法は施行以来半年あまり、正しくわれわれの指摘した通り、何の役にも立たなかつた。第五国会で吉田首相は、政府の中小企業対策は、中小企業等協同組合法にありと広言いたしましたが、はたしてこれで中小企業は救われたでありましようか。現に日夜重税に悩み、金詰りに苦しみ、販売不振に苦しみ、倒産、閉鎖相次いでいる状態であります。本法が何の役にも立たないのを一番よく知つているのは、業者自身であります。その証拠には、名古屋の一部を除きましては、新しい協同組合に何らの熱意も感じていないという、地方の報告によつても、明らかであり、中小企業庁の官吏諸君もよく認めているところであります。しかもこの中で最も活気のあるのが、税金逃れのための企業協同組合であるというに至つては、吉田内閣の悪政まさにここにきわまれりと言うべきであり事。しかしわれわれは、本法がごまかし法律でも、政府が中小企業をつぶそうとしているからと言つても、中小企業の団結や、協同組合をつくつて闘うことを、無意味だと言うのではありません。いなむしろ反対に、われわれはこのよう政府であり、政策であればこそ、中小企業者の団結と奮起によつて、その生きる道を闘いとらねばならぬと主張するものであります。中小企業の生きる道は、独占資本に金をつぎ込むやり方に反対し、平和産業を興すために、中小企業に金を出させることであります。農民、労働者を低賃金と低米価で押える植民地化政策に反対し、売れ行きをよくすることであります。東亜アジアと戰略物資貿易をやめさせて、平和なる生産物を望んでいる中国、ソ同盟等との貿易を開くことであります。そうして軍事基地化をつくる輸入に反対し、そのためにとられる悪税と断固戰うことであります。  わが党はこのような見地に立ち、この改正法によつては、中小企業等協同組合法が相かわらず中小企業等ごまかし法であり、このような措置によつては、中小企業は救われもしないし、信用協同組合の発展も育成も望み得ないことを、再び強調して、反対の意見を表明するものであります。
  62. 神田博

    神田委員長代理 これにて討論は終局いたしました。  引続き、採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  63. 神田博

    神田委員長代理 起立多数。よつて本案は可決いたしました。  この際本案の委員会報告書作成の件についてお諮りいたします。これは先例によりまして、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 神田博

    神田委員長代理 御異議なしと認めます。委員長に御一任をいただいたものと決します。     ―――――――――――――
  65. 神田博

    神田委員長代理 次にこの際特別鉱害復旧臨時措置法案取扱いについてお諮りいたします。御承知通り、本案の取扱いにつきましては、去る二月十五日の本委員会の決議によりまして、超党派的に各派の御意向をとりまとめ、修正点についても協議の上、成案を作成し、関係方面とも交渉を行う等、実質的には本案の取扱いについて協議するために、委員十名よりなる小委員会を設置し、爾来私が小委員長といたしまして、今日まで鋭意愼重審議を重ねて参つたのでありますが、去る三月十八日の小委員会におきまして、本案の修正点について各派の御意見の一致を見るに至り、目下修正案について成案を急いでいる次第であります。つきましては今後これが関係方面の交渉並びに手続等につきましては、あげてこれを委員長に御一任を願いたいと存ずるのであります。このように取扱うに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 神田博

    神田委員長代理 御異議なしと認めます。よつて委員長に御一任をいただいたものと決します。     ―――――――――――――
  67. 神田博

    神田委員長代理 次に電気事業会社の米国対日援助見返資金等の借入金の担保に関する法律案を議題として、審査を進めます。質疑に入ります。福田一君。
  68. 福田一

    福田(一)委員 本法案はすこぶる簡明直截な法案でありまして、さらにまたその目的とするところも、われわれは十分うなずけるのでありますが、一、二これに関連して御質問いたしたいと思います。     〔委員長退席、澁谷委員長代理着席〕  まず第一に、現在までにわが国の電気事業に対して実際に融資されました見返り資金の総額は、どのくらいになつているか、お伺いいたしたいと思います。
  69. 菊池淳一

    ○菊池説明員 ただいままでに電力事業に見返り資金が解除されました金額は、日本発送電と配電会社合せて、三月二十二日現在八十億三千八十万円という金額が解除されております。このうち、現に現金を融資いたしましたのが、三月二十三日現在七十四億四千七百十九万一千円、このほかに自家用がございますが、電気事業といたしましては、それだけの金額が現在までに解除になつております。
  70. 福田一

    福田(一)委員 しからば電気事業以外の事業に対して、融資せられた見返り資金の額を御説明願います。そこに資料がありますか。
  71. 菊池淳一

    ○菊池説明員 電気事業以外に融資されました額は、ただいまここに持ち合せがございません。
  72. 福田一

    福田(一)委員 本法案の目的とするところには、われわれは賛成なのでありまするが、この法案が電気事業に関するものについては適用を受けるのであるけれども通産関係の他の事業について、見返り資金をもらつておる事業に対しては、通産省としてはいかなる措置をとられる御意向か承りたい思います。
  73. 宮幡靖

    宮幡政府委員 先刻もお尋ねのありました、電気事業以外の見返り資金が解除融資せられました額は、ただいま総額は大体一千百六十六億円でありまして、そのうち債務償還が六百二十五億円であります。電気関係が八十四債円程度になつておりますので、その差額だけが他の産業ということになります。さようなわけで、こまかい資料はただいま持つておりませんけれども、必要がありますれば後刻出します。  それから他の電気事業以外の見返り資金融資に対しまする担保制度の問題、これはやはり特別担保の設定ということは、いずれ工場財団等の設定をいたしまして、手続もかかり、費用もかかるのであります。それから社債発行等の場合の融通性にも非常な障害がある、こういうようなことで、ただいま研究をいたしておりますが、いわゆるゼネラル・モーゲージを全般的な企業に及ぼすかどうかの点につきまして、実は法制当局ともまだ意見の一致を見ておりません。せつかく研究中でありますが、今二十五年度におきまして産業資金として、大体通商産業省としての希望からは、四百億円の見返り資金の解除を希望いたしておりますので、その金額からながめますと、やはり一般産業に対しまする融資についても、ゼネラル・モーゲージの制度を設けるのではなかろうか、こういう信念で交渉いたしております。もしこれが各方面との交渉が相済みになりましたならば、次の臨時国会に提案いたしまして、御審査をいただきたい、かように考えておる次第であります。
  74. 福田一

    福田(一)委員 電気事業に関しては、本年度の融資額について一応の予定が立つておりまして、特に電力の開発については、私の承知するところでは、大体第四・四半期には見返り資金より二十億円融資するやに承つておるのでありますが、そのように決定いたしたかどうか。
  75. 宮幡靖

    宮幡政府委員 二十億円ですか、第四・四半期ですか――電気事業の全部は、本年の見返り資金の解除は、九十九億円ということでありますので、大体百億円であります。つい三月の当初におきましては、三十六億円残つておりました。この間他の産業に大体十八億円ばかり出ましたので、あと週日を残すだけになつて、今年という言葉は不適当かもしれませんが、例の九州の上椎葉を一番最後のランキングとしまして、百億円は解除される予定になつております。
  76. 福田一

    福田(一)委員 それに関連いたしまして、丸山以下北海道、この地名は存じませんが、それから福井の五條方、この三地点は本年度の見返り資金からの融資を認められておらないということを聞いておるのでありますが、事実でありますか。
  77. 宮幡靖

    宮幡政府委員 北海道の地点は然別第二と申すので、私は久保内だけ――これは開発命令が出てやつておりますので、頭に入つておりましたが、丸山の方は岐阜県の丸山ですね。朝日ダムに関連したものでありますが、本年はこれは最後の解除の中に入つて来る金額が、あまり大きなものでありませんが、予定しております。あるいは実現が困難ではなかろうかというような状況になつております。
  78. 福田一

    福田(一)委員 五條方はどうですか。
  79. 宮幡靖

    宮幡政府委員 この席で申し上げるのは、五條方の方も今丸山と同じようなその境の線をあちらこちら歩いておりますので、適当な機会に真相を申し上げることにいたしたいと、かように思います。
  80. 福田一

    福田(一)委員 私の聞いておるのでは、本会計年度中にはむずかしいように聞いておるのでありますが、もし本会計年度中にむずかしいということになると、来年度の第一・四半期には見返り資金は新規事業にはこれを融通しないというような方針がきまつておると聞いておるのでありますが、そうすると第二・四半期に繰延べになる。そういう場合に今まで予定されておつた地点であつて繰延べられたものは、失業救済の面から見ましても、さらにまた電力開発の面から見ましても、これは非常に大きな支障を来すことになると思いまするが、これに対して政府はいかようなる見解を持つておられるか。
  81. 宮幡靖

    宮幡政府委員 何分にも本年は大体最初計画より非常に金額が下まわりまして、百億円程度ということになりましたもので、七十何番までランクしておりましたものが、四十一、二番のところで終ろうという状況ですが、来年の見返り資金の運用につきましても、産業資金として四百億円程度を希望いたし、特に電気は二百億円くらいのものを取上げまして、継続事業はもちろん、新規の開発にも充ててもらう、かような考え方で交渉をいたして、おりますが、今の見通しでは百四十六億円程度の線になるではないか。それで本年度計画になりまして繰延べになりましたものは、一応ただいまは継続工事という観念でもつて参りますので、必ずしも第一・四半期から解除されて、第二・四半期に入らなければならない、かようなことにはなるまいと思つております。
  82. 福田一

    福田(一)委員 ただいまの御説明の通りであれば、四月にも五月にもあるいはまた金を出してもらえるということになるのでありますから、一応私としては事情その他を考えまして了承いたしますが、できればこういうランクされておる予定地点が、地元その他からも当然できるものとして非常に期待されているのに、延びるということは、あらゆる意味において、大きく見ては電力の開発、さらにまた失業救済というような面から見まして、非常に不便が多いし、また支障を来すことになりますから、政府において特にこの点に重点を置いて、なるべくすみやかにこれらの各地点が開発できるように御努力願いたい、ということをまず希望いたしておきます。  次に二十五年度には、電気に対しましては、どれくらいの融資をされる見込でありますか。はつきりした数字をもう一度伺いたいのであります。
  83. 宮幡靖

    宮幡政府委員 先刻も申し上げましたように、大体二百億円ほしいと思つております。産業資金として全体で四百億円でありますので、その半分を電気にということで、石炭の方が大分ウエートが薄らいで参りましたので、さような考え方を持ちましたが、今のところでは百四十六億円程度に納まるのではなかろうか、かような考え方でおります。
  84. 福田一

    福田(一)委員 見返り資金と復金融資に対しては、優先弁済権をこの法律で認めることになつております。そこで既存の社債権者の利益は何ら侵害されることはないということになつておりますが、この点についてもう少し法文以外に詳しく御説明願いたいのであります。
  85. 宮幡靖

    宮幡政府委員 これは福田委員の方がむしろ專門的に民法の関係をよく知つておられるわけでありますが、この附則の一番最後に「この法律の施行前に電気事業会社が借り入れた第一條第一項の貸付金について物上担保を附することを約した契約條項は、この法律の施行の日に効力を失うものとする。」とあります。全資産に対しては先取得権を認められるわけでありますが、物上担保付社債につきましても、同順位に置きまして、やはり先取得権を認められます。また今までは財団設定の個個の目的物に対します特別担保制が総財産に及ぶことになつております関係上、かえつて社債権者の利益は保護されるのではないか、かような考え方でこの効力を敷衍して説明しておるわけであります。
  86. 福田一

    福田(一)委員 私の承知するところでは、日本の発送電株式会社の昭和二十四年三月三十一日現在の固定資産総額は、約百十九億三千万円であります。これに対して長期負債は約百六十四億三千七百万円であると承知しておるのであります。電気事業の経営を堅実化するためには、早急に資産の再評価を行う必要があると考えますが、一体政府はいつどの程度の再評価を実施させるお考えであるか、その方針を承りたいと思います。
  87. 宮幡靖

    宮幡政府委員 資産構成の関係は、ただいま福田委員の仰せられた数字の通りだつたと思います。何分にも各産業とも戰時、戰後を通じまして、はげしいインフレーシヨンのために、いろいろな面をゆがめられまして、資産構成にも非常に是正を要する点が、たくさん認められておることは御指摘通りであります。今度の資産再評価法によりまして評価をいたしまして、この関係を是正して参りたい。ただ問題になりますのは、原価計算の上におきまして、減価償却費を原価に織り込むか、織り込まないかの問題につきまして、若干司令部方面との意見の一致をまだ見ておりません。そこで減価償却をコストの中に入れてもらいたいというのが、現在の日発の立場においての主張であります。しかしかようなものをコストに入れて参りますことによつて、はね返つて料金に影響いたしまして、需用家に転嫁されるというきらいがありますならば、これもまた是正しなければならないという考え方を持つて愼重に検討しております。今衆議院を通過いたしました資産再評価法に準拠いたしますと、御指摘通り百十九億余万円のこの資産が、昨年の九月現在の固定資産は大体二百二十二、三億に見ておりますが、この二百二十二、三億のものを三千四百億か五百億程度に再評価がえができるのではなかろうかと思つております。しかしながらこれはまだ確定いたしません。附加価値税の取入れようによりますと、自由評価を許されております関係上、評価の倍数が違つて参ると思います。事業の健全性を保つ意味におきましては、三千億なんという厖大なものにいたして参りますと、例の固定資産税もまた大きく響きますので、固定資産税の点からも考えまして、かような評価は実はどうかと思つております。別な面におきまして、私どもの通商企業局において各重要産業を取上げまして、再評価の倍率を検討してみますと、一番健全でありますところは帳簿価格の四倍ないし五倍であります。もつと詳しく申せば、四・三倍くらいの再評価をいたしまして、初めて配当の継続もでき、附加価値税、固定資産税によります企業の圧迫が抜け去るのではないか。一番多いところで十六倍くらいが妥当だ、こういうような目安を一応持つておりまして、電気事業は四倍ないし七倍の線に納まるべきものだと考えております。かりに十倍か十五倍にいたしましたのが三千四、五百億という数字でありますが、これは十分検討いたしたい。いずれにしてもインフレーシヨンによつてゆがめられました資産構成を是正しなければならぬことは必至でありますので、近い時期におきまして再評価法とにらみ合せて十分検討して参りたい、かように考えております。
  88. 福田一

    福田(一)委員 電気事業の持つておる旧外債に対する担保は、一体どうなつておりますか。
  89. 宮幡靖

    宮幡政府委員 これは御承知のように戰時の立法によりまして、前の東京電燈なり、あるいは東邦電力というような各会社の持つておりました物上担保付外債は、一応政府が承継いたしております。政府の承継いたしました外貨債の処理は別な考え方におきまして、処理されるわけでありますので、政府と日発、あるいは九配電会社との直接の関係は、また別になると思いますが、外貨債に対する直接の負担は切り離して考えてよろしかろうと考えております。     〔澁谷委員長代理退席、神田委員長代理着席〕
  90. 福田一

    福田(一)委員 私の質問はこれで終りました。
  91. 神田博

    神田委員長代理 本日はこの程度にとどめまして、残余の質疑は次会に壤ることにいたします。次会の開会日時は、公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十七分散会