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1950-03-22 第7回国会 衆議院 通商産業委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十二日(水曜日)     午後二時十九分開議  出席委員    委員長代理 理事 神田  博君    理事 有田 二郎君 理事 永井 要造君    理事 村上  勇君 理事 有田 喜一君       阿左美廣治君    岩川 與助君       江田斗米吉君    門脇勝太郎君       首藤 新八君    關内 正一君       多武良哲三君    中村 幸八君       福田 篤泰君    前田 正男君       柳原 三郎君    伊藤 憲一君       田代 文久君  出席政府委員         通商産業政務次          官       宮幡  靖君         通商産業事務官          (通商振興局         長)      岡部 邦生君         中小企業庁長官 小笠 公韶君  委員外出席者         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 三月十七日  電気事業会社米国対日援助見返資金等借入  金の担保に関する法律案内閣提出第一一〇  号) 同月十八日  電気料金値上げ反対並びに集団住宅における電  気料金制是正に関する請願外一件(伊藤憲一君  外二名紹介)(第一五六五号)  電気安全法制定反対請願伊藤憲一君外一名  紹介)(第一五六六号)  電気事業分断及び電気料金値上げ反対に関する  請願外二件(伊藤憲一君外二名紹介)(第一五  六七号)  同(木村榮紹介)(第一五九八号)  同(風早八十二君外一名紹介)(第一六一八  号)  同(伊藤憲一君外一名紹介)(第一六一九号)  同外二件(岡田春夫君外五名紹介)(第一六二  〇号)  同(赤松勇紹介)(第一六八五号)  同(風早八十二君外一名紹介)(第一六八六  号)  同外一件(田代文久君外一名紹介)(第一六八  七号)  電気料金地域差設定反対等に関する請願外一  件(伊藤憲一君外三名紹介)(第一五六九号)  同(風早八十二君外一名紹介)(第一六八八  号)  同(伊藤憲一君外一名紹介)(第一六八九号)  かんがい排水用電力料金に関する請願米原昶  君紹介)(第一六〇四号)  電気料金値上げ反対並びに集団住宅における電  気料金制是正に関する請願外一件(伊藤憲一君  外一名紹介)(第一六一六号)  電力料金改訂並びに同割当制是正に関する請願  (石野久男紹介)(第一六一七号)  農業用電力料金軽減に関する請願青木正君紹  介)(第一六二四号)  電気料金地域差設定反対請願青野武一君  紹介)(第一六三一号)  輸出工業用電力基準割当量増加に関する請願(  今泉貞雄紹介)(第一六五三号)  病院用電力基準割当量増加に関する請願(丸山  直友君紹介)(第一六五四号)  ふ(孵)化用電力基準割当量増加に関する請願  (江崎真澄君外一名紹介)(第一六五五号)  日本発送電株式会社清水発電所存続請願(神  田博紹介)(第一六六八号)  電気事業問題に関する請願神田博紹介)(  第一六六九号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十日  新郷及び山郷両発電所発電機増設等に関する  陳情書(第  六三号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案  (内閣提出第七〇号)  輸出信用保険法案内閣提出第九一号)  電気事業会社米国対日援助見返資令等借入  金の担保に関する法律案内閣提出第一一〇  号)     ―――――――――――――
  2. 神田博

    神田委員長代理 これより通商産業委員会を開会いたします。前会に引続きまして私が委員長の職務を行います。  ただいまより去る十七日に付託になりました内閣提出電気事業会社米国対日援助見返資金等借入金担保に関する法律案議題として審査に入ります。まず政府説明を求めます。     ―――――――――――――
  3. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいま上程されております電気事業会社米国対日援助見返資金等借入金担保に関する法律案につきまして、提案理由の御説明を申し上げます。  電源開発電気事業復興整備をはかることは刻下の急務でありまして、これを促進するため電気事業に対しては、従来復興金融金庫及び米国対日援助見返資金より多額の融資が行われているのでありますが、これら国家資金による融資については確実な担保をもつて、その債権の保全をはからなければならないのであります。しかしながら電気事業のごとく公共事業たる見地から、その資産について政府の監督が加えられているものについては、これらの債権のために強いて特別担保を設定するまでの必要はなく、従来電気事業法第十九條の規定により社債権者に対して認められている一般担保制度を採用することによつて、十分その目的を達することができるものと考えられるのであります。また強いて特別担保を設定するときは、社債権者の権利を侵害し、将来の起債に影響するおそれもありますので、これらの支障をなくし、また財団の組成維持に要する費用を設備の面に有効に使用することを可能ならしめるため、見返り資金及び復興金融金庫よりの借入金について、いわゆる一般担保制度を採用する必要があると思うのであります。この法律案は以上の趣旨によりまして、電気事業会社米国日援助見返り資金及び復興金融金庫よりの借入金に、いわゆる一般担保制度を採用し、第三者保護見地から、かかる借入金融資を受けた電気事業会社借入金主要事項を公告し、あわせて決算期貸借対照表にその旨附記することを規定してあるのであります。  以上が本案提案理由であります。何とぞ慎重御審議の上、法律案がすみやかに可決されるようお願いする次第であります。
  4. 神田博

    神田委員長代理 これにて説明は終りました。     ―――――――――――――
  5. 神田博

    神田委員長代理 次に中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案議題として審査を進めます。質疑を継続いたします。有田二郎君。
  6. 有田二郎

    有田(二)委員 この際、中小企業庁の新らしい長官になられました小笠君にひとつ答弁を承りたいと思います。中小企業対策としては単に経済的合理性に基く政策ばかりでなく、零細企業について別途の措置をとる必要があると考えるが、長官としてどういう考えを持つているか承りたいと思います。
  7. 小笠公韶

    小笠政府委員 中小企業と一口に申しますと、非常に範囲が広いのであります。これを大約して見ますと、事業体として経済的に考えて行くことが適当な企業と、そこまで行かない零細な企業群というものが、相当あると考えられるのであります。この中小企業に対しての措置といたしましては、できるだけ企業組織化をはかつて行く、すなわち経営単位をできるだけ大きくして行くことにいたしまして、それに対していろいろな政策なり何なりが浸透して行くように持つて行きたい、こういうふうに考えておるのであります。この前の国会で御審議を願いました中小企業等協同組合法の中におきます企業組合思想も、その一つでありますし、また中小企業等協同組合というものが、そういう零細企業方向に十分に活用されて、経営合理化規模の引上げという方向に持つて行くことに役立つものと考えるのでありまして、そういう方向に今後できるだけ努力を続けて行きたいと、実は考えております。
  8. 有田二郎

    有田(二)委員 それについてお願いいたしたいことは、各都道府県において、これらの零細企業に対してのいろいろな努力が払われておるようでありますが、それらと十分なる御連絡をおとり願つて、そうして零細企業に対して、十分なる政府としての努力をお願いする次第であります。  第二点としては、政府中小企業金融に関して、種々対策を講じているようでありますが、これらの対策地方末端銀行との関係において、その趣旨が十分浸透していない傾きがあるのであります。長官としてはこれに対して、どういう所見を持つておられますか伺いたい。
  9. 小笠公韶

    小笠政府委員 現在の中小企業の金詰りに対しましては、政府といたしまして各種制度がしかれておるのでありますが、問題はこれを浸透させる、このしかれた制度をすみやかに消化するという方向に、できるだけ仕事の重点を向けなければならぬと考えておるわけであります。その具体的な問題といたしましては、各種制度のそれぞれに応じて必要な措置考えて行かなければならぬと思うのでありまするが、一般的に考えまして、金融機関を通じて金が流されておるのでありまするから、この金融機関の側における深い理解協力を、十分にかち得なければならないと考えておりますので、そういう方向に対しましての努力を、なお進めて行きたいと考えるのでありますが、一面におきまして、結局よく言われておりますように、融資対象として中小企業、特に先ほどお話がありましたような規模の小さな企業に対しましては、そういうふうな制度なり、金融機関の気持を受入れられるような程度にまで、これを上げて行くというか、受入れ態勢を整備して行く、こういうことが必要であろうと思うのであります。具体的には、たとえば組合結成によつて組合責任において借入れをするとか、あるいは問屋と結んで、問屋を通じて金を受けて行くとか、あるいはまた大企業とその下請関係にあるようなものにつきましては、大企業を通じて流して行くというように、具体的に各業種業態に応じまして金が流れるような方向に、また金を流すのに適当なような形に持つて行くというふうな施策を、急速に進めなければならないかと実は考えておるのであります。と同時に、府県において行つておりまする信用保証協会、この保証制度との連関をつけて行くということも、ひとつの融資する道じやないかと考えておるわけでありまして、できるだけ業種業態の実情に応じた措置を、すみやかにとるようにいたしたいと考えております。
  10. 有田二郎

    有田(二)委員 小笠長官の御趣旨はよくわかるのでありますが、できるだけすみやかにやりたい、できるだけすみやかをどの程度にわれわれは解釈していいか、一箇月かあるいは二箇月か、できるだけすみやかなることは長官も御希望であろうが、われわれもひとしく希望しているところでありますが、大体それらに対する御見当を承りたい。
  11. 小笠公韶

    小笠政府委員 ただいまの経済界の要請は、即刻ということがおそらく御希望であろうと思うのであります。そういう方向行動をもうすでにとつておるのでありまして、非常に広い対象でありますので、そういう考え方をあるいは通産局あるいは地方庁に徹底させまして、それらの協力のもとに、そういうふうな途をやつて行きたいと考えておりますので、ここに一定の期間、たとえば一月であるとか、二月であるとかいうことは申し上げにくいのでありますが、一般がすみかにそういうふうに流れることを期待いたしておりますので、その期待に沿うように努力して行くということしか、ただいま申し上げにくいと考えております。
  12. 有田二郎

    有田(二)委員 できるだけすみやかにこの問題を解決して、中小企業に対して御努力を願いたいと思います。  さらに第三点としては、商工中央金庫債券発行はは一応百八十億まで可能となるようでありますが、実際に発行する額としては五十億と聞いておるのであります。政府はもつと積極的に債券発行を行わしめて、中小企業金融を押し進める意向があるかどうか、これについて長官所見を伺いたいと思います。
  13. 小笠公韶

    小笠政府委員 本国会で別途御審議願つておりまする優先株の発行に関する法律案の通過をまちまして、商工中金が自分の出資金五億、それに見返り資金五億、計十億の出資をもちまして――それに対して二十倍までの債券発行限度を持つ、こういうことになつておりまして、推定二百億でありまするが、ただ預金を差引くことになつておりますので、二百億を若干下まわることに相なると考えるのであります。今月の二十五までに、現在の一億五千万を五億に増資することといたしておりますが、大体順調に経過いたしてたのは卵がくさるのではなくて、卵がほしいために鶏を殺すことであります。税金をとり立てるために、鶏である中小企業者を殺してしまう。そういうことになつてしまつたのでは、あとで卵ができなくなるという意味で申し上げたのでありまして、この点についてさらに御検討を願いたい。先般大蔵大臣がこの話の中に徴税強行を行わない、公売をやらない、やつてはいけないということを、各国税局長を通じて申されて、それが本委員会でも発表されたのでありますが、その以前に私の選挙区の大阪へ帰りましたときに、大阪の両成税務署長が、大蔵大臣がそんなことを言つて公文書が来ていないのであるから、どんどん公売をやるのであるということを私に話しました。さつそく大阪国税局長には注意をいたしておきましたが、先般この部屋で大臣にも私は申し上げて、大臣から政務次官大阪西成税務署長調査方を命ぜられたと記憶いたしておるのであります。これに対する返事をきよう公式に伺つておきたい。その後大阪国税局管内において、こういう大臣声明を無視する税務署長行動、これは単なる大阪国税局管内だけでなく、全国の署長がこういつた考えを持つていないか、だれが何と言おうと、公文書が来ない限りそういうことはやらないのだ、あくまでも競売を強行するのだ。こういうことを西成税務署長言つてつたのでありますが、こういう考え方について、通産省あるいは中小企業庁として、全国国税局を御調査願つて、その結果を――東京の国税局においては先般の大臣声明に対してどういう処置がとられているか、大阪国税局管内はどうであるか、そういうふうな御報告を私は承りたい。すでに大臣がここで政務次官お話になつて二十日間の日にちがたつているのでありまして、これらについてさらに御調査を願いまして、御報告を承りたいと思います。
  14. 宮幡靖

    宮幡政府委員 具体的の件数等については御趣意によりまして、私の方でも調査をいたしまして、適当の機会にお答えをすることといたしたいと思います。なお公文書の来ない云々の問題は、多分に出先の方で感情的な問題もあるようでありまして、実に困つた問題であります。先般話しました西成税務署問題等につきましては、まだ国税庁の方から内示と申しますか、訓令のようなものは行つておらないときのようであります。その後その点は何と申し上げてよいかしれませんが、有効な方法でとにかく末端に一応届いているという状況であることだけを、御報告申し上げておきます。
  15. 神田博

  16. 門脇勝太郎

    門脇委員 ただいま提案になつております中小企業等協同組合法は、ちようど昨年の第五国会におきまして、われわれ委員当選早々に本委員会審議いたしました法律案でありまして、いろいろこれにつきましては思い出を持つものであります。なほ特にその当時中小企業庁振興局長として、この法案制定に御参画になつておりました小笠氏が、このたびはめでたく中小企業庁長官に就任されましたことにつきまして、今後の中小企業対策行政に関しまして、何かと好都合である、こう考える次第であります。つきましては、大体有田先輩から質問がありまして、相当要領を得たのでありまするが、先ほどの小笠長官お話によりますると、政府としては今後の中小企業振興策については、大体協同組合法によるところの組合集団対象にして、業者振興をはかつて行きたい。こういう意図であるように私は看取いたすのであります。数多い中小企業のことでありますから、こういつたような集団対象にされるということは、たいへん当を得たことと考えるのであります。そこで参考書類として新法規によりますところの設立等調査も頂戴しているのでありまするが、従来の商工協同組合、この旧法によります当時の組合設立数と、現在の所法によりますところの組合数とを比較いたしますと、大分数が減つているように私は感じるのであります。せつかく政府が、この集団対象にして今後の振興策を講ぜられる。こういつたような意図であるにかかわらず、企業者自体の方は、その政府の御意図反対組合の数が減つている。これはどういうことでこういつた結果が招来されているのかということにつきまして、政府の御意向を伺いたいと思います。
  17. 小笠公韶

    小笠政府委員 御承知通りに、二月末現在で新法に基く組合が三千三十五――お手元の数字より若干ふえておりますが、三千三十五という数字になつております。旧法時代組合より相当減つていることも事実であります。なぜ数が少くなつたかという問題でありますが、一定時点をとりますと少くはなつているのでありますが、旧制度組合の切りかえの過程にあるということが一つ。従いまして現実に結成を了したものと、結成途中のものとを考えなければならないと思うのであります。特に本質的に違いますのは、旧法におきましては企業規模に対する制限が実はなかつたわけで、いわゆる商業であり、工業であればよかつたわけでございまするが、新法におきましては、御承知通り中小という頭が冠せられまして、工業につきましては従業員常時百人を最高にいたしておりますし、商業につきましては同じく二十人というふうなことに相なつているのであります。従いまして従来の組合新法に改組する前に、大きな企業がのかなければならないというふうな状況がありまして、その改組に若干手間取つている。こういう問題が一つあろうと思うのであります。  それから第二点の問題といたしまして、旧法時代は、ときあたかも統制経済時代でありまして、統制事業を行うことをもつて主たる目的とした組合が、非常に多かつたのであります。新法施行後の状況は、御承知通り状況でありまして、もつぱら組合目的組合構成者経済上の向上、経営合理化というようなことをねらつておりますので、従来と目的がかわつてつております。従いまして従来の統制を中心とした組合が再結成ができにくい。またできにくいというよりも必要がないというふうな点が考えられようと思うのであります。  第三点の問題といたしましては、施行後まだ日が浅いので、新しい法律に基く組合法をいかなる形において、いかなる方法でこれを結成して行つたらよいかというふうな点についての、周知徹底が十分でないようなことが考えられようと思うのであります。日本組合史を振り返つてみますれば、御承知通り組合制度はいろいろございますが、相当な数になるまでにいろいろな経験を経て来ているようでありまして、新しい今回の中小企業等協同組合が従来とかわつておりますので、若干そこに、普及徹底するまでに時間がかかる。また指導者といいますか、行政機関等におきまする指導も、まだ足りないのではないかというふうに考えているのであります。  以上申し上げましたような三点が、一定時点をとりましての組合の数が減つている、おもなる原因ではないかと考えております。
  18. 門脇勝太郎

    門脇委員 ただいまの長官の御観察によりますと、旧法当時の組合の数よりか、新法の現在が数が少いということに対しまして、たいへん品のいい見方をしておられるのでありますが、私どもの見るところでは、この組合思想も普及しているし、また法律内容もよく知つているしいたしますが、要は今までの組合が全部大きな欠損をして、むりをしている。従つてそういうような内容の欠陥が災いをなして、新しい法規に移行するにも整理がつかない。移行し得られない。こういつたような事情にあることの方が、私は一番大きな原因ではないかと考えます。世上いろいろな組合内容を見ましても、結局大きな欠損に対して収拾策がつき得ない。ことに役員の責任問題が起きて、いろいろ内容が混乱しているために、新しい組合に移行するにも業者意向がまとまらぬ。こういうことが、私は新しい法律による組合が、旧法時代よりも減少している重大な原因であると考えるのであります。これは深刻な見方でありますが、この方が事実に近いと思います。そこでどうか政府におかれましても、あまり品のいい見方をせずに、ほんとうの真相をきわめられて、そうしてその真相に対するところの一つ応急対策を、お立てになることが必要であると考えますので、この点は特に私の希望として申し上げておきます。  次に中小企業振興対策金融であり、また徴税攻勢であるということが、すでに論議し盡されているのでありますが、そういう抽象論よりか具体的な問題について、私は政府の御見解をお伺いしたいと思うのであります。いろいろな金融施設がありますが、結局中小企業自体理解しない施設に、いくら政府が金をお出しになつても、それは結局銀行まで金は届くが、中小企業者自体には金が届かぬということは、これは私が喋々するまでもないと思うのであります。そこで商工中金が、これが設立当時の趣旨から言いましても、また現在の運営状態から言いましても、一番中小企業者に対して理解があるというふうに、私は感じているのであります。そこでこの商工中金を拡充されることにつきましては、先ほどるるお話があつたので、よくわかつたのでありますが、これが全国に行き渡つておらぬ。現に私の出身地でありますところの島根県のごときは、商工中金の出張所も支店もありません。そこでつとに県民の要望によりまして、中金に向つて折衝しているのでありますが、中金の方では、どうも見たところ貧弱そうな県であるから、はたして経営が成立つかどうかというようなことについて、相当疑問があるようでありますし、またこれこれの一定預金責任をもつてしなければならぬというような條件がある。中金自体はそういつたような経済面をお考えになると思いますが、しかし政府施策として、現在の情勢に対応しまして、中金全国的に普及するということにつきましては、そういつた経営上のある程度損得を度外視して、やはり普遍的に設備全国にそれぞれ施設しなければならぬと考えるのであります。この点につきまして特に政務次官に御答弁願いたいと思います。一例として鳥取県の場合を申し上げたのでありますが、おそらくそういつた立場の地方が、ほかにもあるかと思います。これに対してどういつたような方針をとられるか。お伺いしたいと思います。
  19. 宮幡靖

    宮幡政府委員 商工中金の出張所なり、支所なりを各地に設けるということは、御指摘のように理想だと思います。しかし金融機関という面から見ますと、御指摘のありましたように、一部分資金上の問題がありますし、その運用の効率の点にも思いをいたさなければならぬのでありまして、まつたく社会性をもつて損得にかかわらず、広くというところまでは参りませんが、御趣旨の点をよく承りまして現在すでに各所に支所等を増設いたしたい念願を、中金理事長あたりも持つているわけでありますが、これにひとつ拍車をかけまして、ぜひ御趣旨に沿うように進めて参りたいと思います。しかしながら全般にこれを及ぼすということは、現下の情勢におきましては、ちよつと困難だろうと思いますので、もしさような地点がございましたならば、たいへん御迷惑でありますが、例の信用協同組合等の御設立を御慫慂いただきまして、信用協同組合と、商工中金との繋りをつけていただきまして、この点遺憾なきを期したいと考えておる次第であります。
  20. 門脇勝太郎

    門脇委員 これは政府がよく御吹聴になることでありますが、日銀が特に別わくを設けて、中小企業者向けにどんどん資金を出しておるということはよく伺つておる。私どもの伺つておる範囲におきましては、商工中金は十六億五千万円、興業銀行は十六億円、勧業銀行は四億五千万円、北海道拓殖銀行が二億円、全部で三十九億円ということに伺つておるのでありますが、先ほど申しましたように、商工中金は相当中小企業者に対して理解がありますし、また営業の範囲がそういつたことに拘束されておりますから、これに対する遺憾の点がないと考えますが、他の興業銀行、あるいは中小銀行等が実体的に結果から見て、それらの金をほんとうに中小企業に出しておるのかどうかというような点につきまして、政府はどういうような方法で、結果を監視しておられるかという点についてお伺いしたい。
  21. 宮幡靖

    宮幡政府委員 世間から見ますと、門脇委員の御心配になつております金が、実際中小企業に流れておるかどうかという問題、これは重大な問題であります。中小企業庁といたしましても、中小企業金融の方の立場からいろいろな調査、診断等をいたしまして、その資料も集めておるわけであります。特に通産省といたしましては中小企業局におきまして、金の流れを一々統計的に追いまして調べておるのであります。どこにまわつたかというお叱りもあるいはあろうかと思いますが、中小企業全般にいたしますと、十二月末におきまして一千五百五十億の資金が、中小工業資金としてまわつておることになつております。その後一月、二月を経ておりますので、中小企業資金は、ただいま、千五百七、八十億のところを歩いておるのだ、こう申し上げて数字的には間違いないのであります。しかしながらこれが実際に浸透せぬ金詰まりで非常に困つておるじやないかという現実を、その数字によつてどもは否定し、弁解いたすものではありませんが、さような状況中小企業局におきまして、興銀その他の貸出しの点は、統計をもつてこれを追究しておるわけであります。  なほ商工中金の機能が万全でないことについて、一言附言しておきます。これは御承知のように組合員を対象とする商工中金の機能でありまして、もし各地にこれを設けることの理想を達成するといたしますならば、組合員個人の預金の受入れ、組合員個人に対する貸付もできます普通の金融機関と同じ立場で、この法律を改正しなければならぬわけであります。この問題につきましては中小企業庁の念願といたしまして、機会あるごとに関係方面とも交渉いたしておりますが、ただいまそれが許される事態になつておらないことは、皆様とともに遺憾に思うわけであります。組合員個人との預金の受入れ、貸付、この問題ができますれば、おおむね商工中金がほんとうの中小企業の専門金融機関としての機能が一層発揮できるではなかろうかと考えております。
  22. 門脇勝太郎

    門脇委員 ただいまの御答弁によりますと、全国を通じて千五百七、八十億円の尨大な金が中小企業の方に流れておるというお話でありますが、これはどうもその調査の仕方がどういう仕方でありますか、そういつたことについてもつと真相をきわめなければ、はつきりしたことは言えぬわけでありますが、政府のそういつた統計と実際面に、相当見解の相違というか、思い違いがあるのじやないかと考えますけれども、これはまた追つてよく詳しくお伺いしたいと考えます。  次にこれは中小企業庁の方で鳴物入りで、昨年の秋あたり全国からの資料を取寄せて、たいへん中小企業者に大きな希望だけは持たせられた問題なのでありますが、日本銀行がマーケツト・オペレーシヨンによつて、第一期としては二十億円見当の金を地方銀行に出して、地方銀行がそれをもつて設備資金を貸すのだ、そこで全国の各中小企業の診断といいますか、希望者の監査をされまして、結局これをA、B、C、三通りにわけて監査の結果をつけられたようでありますが、この監査にパスしたものには中小企業庁責任、通産省の責任において必ず資金が借りられるものということに、非常な希望を持つていたのであります。ところが結局中小企業庁の監査はパスしたが、実際に金を貸すのは地方銀行が手持債券を買い上げてもらつてそれを貸すのだ。そうすると結局資金の供給はあるが、実際貸すということになると、政府は何らの責任がないのだということになつて、ほとんど全国的にいわゆる設備資金の貸付は実行されておらぬというような現状にあるために、私どもが選挙区に帰りましても、何かそういつた監査を受けた業者は、政府に一ぱい食つたというような非常な不満を持つておるのであります。先だつてもこの点兼任通産大臣に質問したところが、そういつた金融方法は私は知らぬというたいへん気の抜けたような話でありまして、どうも実に政府内においてこういつたできぬことをできそうに流布して、そして全国中小企業者を、莫大に失望させるこの罪は軽からぬと私は考えております。これについてひとつ真相お話願いたい。
  23. 宮幡靖

    宮幡政府委員 御指摘の二十億の設備資金融資するという方法について、各都道府県を経由して申請書をとりまして、これを集計して大体七十億円見当の希望がありました。これは確かにA、B、C、わけまして、Cというのはついておりませんが、かような厚い本ができ上つて、すつかり貸せる準備ができました。その個々については具体的に銀行の方面へもごあつせん申し上げました。ところがあれは御承知のように、自分の借入銀行を自分で指定して来ております。たとえば鳥取県の鳥取銀行、というものがあるかどうか知りませんが、その鳥取銀行の何何支店で借りるのだという申込書がありますので、そこでそれを日銀を通じて送つてやつたところが、どうもその申込みの人には当銀行としてはかような事情があつて、なかなか貸せられないというようなことで、確かに不首尾に終つたものも相当件数あります。しかしながら、実際にそのあつせんによりまして借りましたものも、同様の件数があることを、私ども承知しております。そこで御説のように全部が全部目的を達成しない。その以前に、たびたびこの委員会でも申しますように、中小企業金融に対する損失補償制度考えまして、関係方面と交渉して、すでに補正予算に予算的措置まで講じましたものが、これを拒否せられたという段階にありますので、いずれは何とかして保証制度のようなものがなければ、どうしても中小企業末端には浸透して行かない。そういう観念から皆さんにも耳にたこができるほど申しております十五箇月に対する十五億、場合によりましては、三十億まで幅を広げてよろしい、見返り資金の半分までやつてよろしい協調融資が開始されたようでありまして、この協調融資の基本的調査は、その前回の二十億見返り資金調査をいたしましたものを基本として、ただいまあつせんをいたしておるわけであります。この方面は、その制度が知られるとともに、大分成績が上つて参りまして、予定以上の成績を納めておるものと、ただいま喜んでおるような次第であります。ただ地方銀行の問題につきまして、この席で申し上げますのはどうかと思いますが、実はマーケツト・オペレーシヨンなるものが、銀行の資産構成に及ぼしまする影響というものも、なかなか重大でありまして、預金に対しまする貸出しの比率は預金者保護の目的を達しまする上におきまして、一定の比率を保つべきであります。これを破つてまでも債券の買上げに応じたり、あるいは政府資金を受入れたりする銀行は、なかなか地方銀行としてはないわけでありまして、これらも一つの隘路となりまして、御指摘のような不首尾の結果もできたわけであります。こういうためにようやくにして協調融資が実現し、今後は先ほども指摘になりました商工中金に対しまする別わくというようなものも、単に十六億五千万円でなく、近々中小企業に実行いたすために、相当の金額を、やはり一銭六厘の別わく融資と同じようなもので、期間一箇年ないし五箇年という資金商工中金につぎ込みまして、みずから診断しましたものをみずからの手で貸しつける、この態勢をとりまして、今までのまずいところを補つて参りたい、かように考えておるわけであります。
  24. 門脇勝太郎

    門脇委員 ただいま地方銀行に対しまするマーケツト・オペレーシヨンによる資金の供給による設備資金を貸すのだというお話につきましては、これは故意か偶然かわかりませんが、ただいまお引合いに出されました鳥取銀行というものは最近信用組合が看板を塗りかえただけの小さい銀行でありまして、全預金がわずか一億円しかない、そういつたために鳥取県におきましては、鳥取銀行を中継にして資金が一件も出ておらない、そのために私ども帰りますと、たいへんみんな不満な顔をして、その筋の方にいい資料を出して、通るには通つたが、金は借りられない。まことにかけ声倒れで一ぱい食つたというような不満の話が多い。これの多少罪滅ぼしと申しますか、そういつた意味で、今度見返り資金による協調資金を、お出しになつておるようでありますが、これが次善的策が地方にまだ徹底しておらぬうらみがありますから、十分に徹底をされて前の罪滅ぼしをしていただきたいと思います。  なおこういういわゆる金融上のことというものは、非常に大きな衝撃を受ける問題でありますから、できるという可能性がきわめて乏しいことを、政府の名においてあたかもできるかのような宣伝は、今後必ず慎しんでいただきたいと思います。せつかく引当てにした金が暮れになつても間に合わぬ。借りる方の身になつてみると、非常につらい。政府は初めからこんなことはできぬかもしれぬけれども、せめてほんの体裁をつくろうというような意味か、中小企業庁の存在を知らせる意味か、まつたく縁遠いことをできるかのように、しかもそれが政府の名においてやるのでありますから、やはり国民は非常に信頼します。こういうことをもつと御慎重におやり願いたい。この点につきまして私どもは非常に遺憾に感じておるわけであります。先ほどお話のありました中金に十六億五千万円の特わく以外に、直接に監査をして出すというお話でありましたが、これはどこが直接に監査をするのか、中小企業庁が直接に監査をして、命令的に中金に出させるのか、その辺をひとつ具体的にお伺いしたいのであります。
  25. 宮幡靖

    宮幡政府委員 商工中央金庫審査部におきまして審査いたしまして、日銀の別わくでありますから、日銀と協議をして実際の融資をいたすわけであります。しかしながらその元をつくります審査の基案となりますものは、中小企業庁でこれを作成いたしまして、適当な勧告なり、あるいは要求をいれるような制度でやつて参りたい、かように考えております。
  26. 門脇勝太郎

    門脇委員 これはひとつ希望でありますが、要するに先ほど政務次官からお話になつたのでありますが、やはり政府がある一定の補償をすることがなかつたならば、単なるブローカー的な役目を果すということでは、現実に目的が達せられないと思います。いかにりつぱな口をきかれても、結局お役人というものは辞令一本でかわるもので、あとで事業自体に損失を来す場合には下部銀行が全部こうむるのだということになりますが、結局それはどんな役所でも、貸す方自体としては、これに対して全面的な信用を払えないということは当然であります。そういつたことで片方は政府の見識においておやりになる。受入れる方はそれを受入れないということによつて、いろいろそこに錯誤が起るわけでありまして、地方から参りまして、私どもいろいろあつせんをして、中小企業庁の方からたいへん仰々しくおつしやつても、結局銀行の方ではさらにこれを見返らないということがあつて、役人自体に対しても一つのブローカー的存在になつて非常に気の毒を見る。これは役人の見識の立場からいいましても、非常にみじめなことなのでありますから、政府はそれだけ口をきく以上は、政府の名において保証をして、そしてある程度命令的にある機関が、これに対して金を出すのだというような制度でなかつたならば、役所の面子からいいましても、非常にみじめなことになるということを痛感します。   〔委員長退席、有田(二)委員長代理着席〕  これはひとつ役所の面子のためにも、政府が最後の保障をするといつた制度を設けて、そういうことによつて見識高く命令したところは命令した機関が、金をりつぱに出すのだというような、話と実地が並行するような制度にされなければいかぬということを痛感しますから、政府におかれては、そういつた方針に向つて、すみやかに具体的な処置を講ぜられんことを、私は特に希望しておくわけであります。
  27. 有田二郎

    有田(二)委員長代理 この際門脇委員にお諮りしたいのは、ただいまの話は非常に重大であつて、今日は大臣出席なさつておられませんが、大臣に対しては前田正男君、有田喜一君風早君が質問を留保しておりますから、大臣が出られたときに、その問題についてはつきりした答弁をおとりになつたらいかがかと思います。
  28. 門脇勝太郎

    門脇委員 最近中小企業専門の店舗を大銀行において設置するということが、新聞に出ておつたのでありますが、これに対しまして政府はどういつた方針でこの問題に干与しておられるかお伺いしたいと思います。
  29. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいまのお話は、先般この席で大蔵大臣の資格におきまして申していいかどうかわからなかつたが、申そうというような言い方で話したことでありますが、これは地方銀行といわず、特に都市銀行のうちの一つの店舗を取上げまして、中小企業専門の機関とする、こういうような措置で、それが銀行側では大体同意をした。そしていろいろな手続関係があるというようなところまで進んでおりまして、この点につきましては通商産業省、ことに中小企業庁としましては最も喜ぶべきことでありまして、もちろん異存はありません。しかしながら朝の九時ころから開始いたしまして、三時には店をおしまいにいたしますというような銀行の業務のやり方の中に、ただ店を設けましただけでは、中小企業を救つて参ることが困難だと思います。われわれの方としまして、これは通産省としての考え方は、かつてありました萱夜銀行のように、中小企業専門の店を置いてもらいたいということを、ただいま大蔵省の方に要求しているような状況であります。かような施設のできますことは待望すると同時に、大いに力を合せまして関係方面との交渉もいたして参りたい。かような段階になつております。
  30. 門脇勝太郎

    門脇委員 結局、どんな店舗を設けましても、これが預金集めだけの店舗でありますと、所期の目的に到達しないわけでありますから、単なる預金集めだけの店舗でなく、ほんとうに中小企業理解して、それに対して現実に金を貸すんだということを、もつとそういう当事者に浸透せしめることを希望するわけです。  最後にいま一問だけお伺いいたしたいのでありますが、無盡会社あるいは信用組合等の立場を相当重視せられまして、最近では特に予金部資金等を、この方へ預託されるということもされているのであります。これは私どももう無盡会社、信用組合の方の現状をよく知つておりますので、相当これはいい結果を招来するものということに考えられるのでありますが、ただ一点信用組合はこれは組合制度でありますから、ただ単に利潤追求をする団体とは考えられませんが、無盡会社は概して株式会社でありまして、相手方の立場というよりは会社の業態ということの方に、重点を置きたがるものであります。従来これらに対して、そういう予金部資金等を振り向けられておることの結果が、どういつたようなぐあいに運用されておるかということにつきまして、一応お伺いしたいと思います。
  31. 宮幡靖

    宮幡政府委員 数字的には御質問の点をお答え申し上げる資料をただいま持つておりませんが、いわゆる市街地信用組合では、この資金の供給を非常に喜んでおりまして、これがあれば相当の庶民金融と申しまするか、大衆階級に金融ができるのだということで、非常に喜んでおられるようでありますが、ただ惜しむらくは、この預金資金の預託というようなことは、期間が非常に短いのであります。運用する期間が短いので、市街地信用組合の方々が喜ばれておるような実を結ぶかどうか、実は私の個人的意見かしれませんが、疑問に思つております。もつと供給いたします資金は長期に運用できるものを、供給すべきだと思つております。もちろん一応はかような形におきましても、やるべきことはやらねばならないと思つておりますが、ただいまのところではその実績につきましては、御報告する材料を持つておりません。適切な御質問でありますので、これに対しましては、なお中小企業庁の方で調べまして、適当な機会にお答えをいたしたい、かように思つております。
  32. 門脇勝太郎

    門脇委員 徴税攻勢に対しまする問題につきましては、先ほど有田先輩からるるこれに関連して御質疑がありましたので、私は重複を避けたいと存じまするが、ただ現実において徴税攻勢趣旨が徹底するように、なおこの上とも一層配意されんことを希望しておきます。  なお今回の法律改正に提案しておられる各條項は、これは非常にもつともなことでありまして、すでに昨年の委員会におきましても、これらのこともあわせて修正したいと考えておつたのでありまするが、あまり一ぺんに修正し過ぎてはいかぬということで、こういうことだけが残つたのであります。このことには異議はないのでありまするが、大体この対象が信用組合というものを対象にしておるのでありまするが、先ほどまた特に政務次官からもお話がありましたように、信用組合等は中小企業金融について、非常に大きな貢献ができるという相当のお見通しもあるようであります。この機会にどうせ改正なさるならば、信用組合の機能をもつと拡充して、あるいは為替取引等の利便も信用組合によつてなし得るとか、あるいは株式払込み機関等にも、銀行と同様な立場において指定されるとか、そういう業務の拡充ということまで、一挙にお考えになる余地がなかつたかということと、今回御提案になりましたこの條項以外に、もつと組合法全般にわたつて積極的に改正されるべき意図がもしありとすれば、どういつた点であつたかというような点を、あわせてお伺いしたいと思います。
  33. 小笠公韶

    小笠政府委員 中小企業等協同組合法の全体について、改正をする意図はなかつたか、こういうお話でありますが、先ほども申し上げましたように、施行後まだ日も浅いのでありますし、特に中小企業協同組合というふうな点から見まして、法案自体を大きくかえるという時期まで、まだ来てないじやないかというふうに考えておるわけであります。それから信用協同組合の業務の範囲を拡張する意思はないか、いわゆる普通の金融機関と同じ程度の業務範囲を持つようにしたらどうか、こういうお話でありまするが、信用協同組合の、従来の市街地信用組合あるいは商工協同組合による信用事業というふうなものの経緯等から考えまして、さしあたりのところはいわゆる構成員の普通の信用事業を中心に考えて行くということでいい。なお将来経済事情の向上その他に伴いまして、改正をする必要があるということになれば、そのとき考えてもいいと思いますが、現状においてはそこまで実は考えていないわけであります。
  34. 有田二郎

  35. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 ただいま御提案になつております中小企業等協同組合法の條文の改正でありますが、私はこの際もう一項改正を必要とするではないか、こういうふうに考えるのであります。しかしこれはいろいろ町村との関係もありますので、そう簡単には行かぬことであろう。こう考えますが、ただいま長官門脇委員に対する御答弁でも、まだこの法案は施行日も浅いのであるから、全般に対しての改正というようなことは、現在としては考えておらぬ。こういうような御答弁でありますが、私は即刻にこれは改正をする必要があるんじやないか、こう考えます。それは御承知通り、現在の企業協同組合法は加入脱退は自由であります。また製品検査が自由でありますので、これはメーカーといたしまして、良心的にすべて生産をするということでありますれば、何ら心配をすることはないのでありますが、ただいまの現状から見ると、非常に業者経営に行詰つておる関係から、現在粗悪品をつくりまして検査を受けておらないのであります。ほとんど現在の中小企業のメーカーは製品検査を受けておらぬ。そういうような結果から、現在非常な粗悪品が市場に出まして、ほとんど商品価値のないものが、現在市場にあふれつつあるというような現段階でありまして、これをこのままに捨ておくということは、非常に消費者にも迷惑をかけ、またメーカーの信用を失墜し、ある地方のあるメーカーは、実際に事業を閉鎖しなければならぬというような運命にまで陥るのではないか、こういうふうに考えられますので、この際どうしてもいま一項、製品の検査を受くベしということに、この機会に改正をする必要があるのではないか、こういうふうに考えますので、この問題に対しまして政務次官の御所見をお伺いしたいと思います。
  36. 宮幡靖

    宮幡政府委員 阿左美委員の御心配になられます点は現実の問題であり、またきわめて適切な問題であるとかように考えるものでありますが、ただこの中小企業等協同組合法の成立ちを考えて参りますと、これはあくまでも業者が団結しまして、自主的につくつて参る下から盛り上るものであります。たとい中小企業庁というような機関がありましても、これに対して積極的に介入をいたしたり、えらい命令を発したりすることはしないという建前で出ておる法律であります。業者意向で自由につくつてもらうのに、何か御相談があつたら御相談に応ずる、御指導も申し上げるということで、こちらから命令したり何かすることのないような趣旨で、組み立てられて参つておるので、そこにいわゆる隔掻の感とでも申しますか、行き届かない点があろうと思いますので御意見の点はごもつともだと思いますが、何分にも検査制度というものは、どの制度におきましてもただいまは業者の自主的な検査にゆだねております。御承知の輸出品取締法におきましては、あくまでもメーカーなり商人なりの自主的な方法によりまして検査をする。しかし輸出品が海外市場におきまして評判が悪くなつたり、売れ行きが不振になつたりします等の弊害を防ぐために、それぞれ検査所を設けまして、これに対して引抜き検査をやりまして、これを監督しておる。この輸出品の問題につきましても、ただいまの政策がきわめて業者の自主的な創意くふうにまち、努力と誠実の積み重なつて行くところに、初めてこの自由企業の中に勝者たり得るという考え方から、さような方向に参つております。しかしながら御指摘のことが弊害の極致に達しまして、しかもそれを放任するということは、やはり政府としてはとるべきでなかろうかと思いますので、本問題につきましても中小企業庁におきまして、特別な調査でもいたしまして、近い将来におきまして何らかの方法をとり、それらの弊害を是正するように努力をいたしたいと考えております。
  37. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 ただいまの御答弁ごもつともと存じますが、ただ自主的に検査を受けるというようなことは、もう少し中小業者が文化的にすべてのことを理解する時代が参りますれば、この法案で私は足れりと思うのでございますけれども、現在いろいろな経営難から、業者はやむにやまれず、ますます製品を粗悪につくりまして、自分の目先の欠損を補おうというような考えから、このままにして置きますと、中小企業の生産しておるものは、ほとんど商品価値がないというようなことになります。これは非常な大問題になると思いますので、どうかひとつ別個にお考えをいただきまして一日も早く御研究をしていただきたいと思うのであります。これで私の質問は終ります。
  38. 有田二郎

    有田(二)委員長代理 この際非常に至難な中小企業金融について協力された方々を、通産大臣あるいは大蔵大臣中小企業庁長官の名においてこれを表彰し、この事業の遂行に資せられてはどうかと思うのでありますが、政府所見を伺いたいと思います。
  39. 宮幡靖

    宮幡政府委員 いろいろお骨折りをいただいたことに対しますお礼を申し上げるということの趣旨に対しまして、賛成申し上げる以外に適当な言葉はなかろうと思います。その方法等につきましては大臣とも協議をいたしまして、適当の時期に適当の方法を講じさせていただきたい、かように考えます。
  40. 有田二郎

    有田(二)委員長代理 お諮りいたします。なお本案については大臣に対する質疑を留保いたしまして、一応質疑を打切りたいと思いますが、いかがでございましようか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 有田二郎

    ○有由(二)委員長代理 さよう決定いたしました。     ―――――――――――――
  42. 有田二郎

    有田(二)委員長代理 次に輸出信用保険法案議題として審査を進めます。質疑に入ります。前田正男君。
  43. 前田正男

    ○前田(正)委員 まず質疑にあたりまして一言申し上げておきたいことは、前国会におきまして、この法案が提出されますときに、私も質問いたしたのでありますが、各委員の方の御要望によりまして、この保険の対象といたしまして、前は積出し後でありましたが、今度は輸出契約後におきまして、この保険の対象とするということに改正されまして、今回再提出されましたことについては、われわれ委員のものも政府の御尽力、御努力を非常に深く多とするものであります。しかしながら前国会におきましてわれわれがとなえましたところの輸出信用保険の損害等を填補する対象でありますが、この対象につきましては相当拡大されたところもあるように思います。しかしながら一番われわれの希望しておりますところのバイヤーに対する損害の填補ということが抜けておるのであります。これは前の国会におきましても申し上げたところでありますが、英国におきましてはこれを填補しておるわけでありますが、日本の場合におきましては現在盲貿易をやつておりますのにこれが抜けておる。政府も尽力されたと思いますが、その根本の原因はどういうところにあるのか、その点からひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  44. 宮幡靖

    宮幡政府委員 御指摘の保険の対象、つまり取引上の危険を保険します意味の本法でありますので、その中にバイヤーのキヤンセルということが抜けておる。その点と、もう一つ抜けておるのは、前会にも前田委員からお尋ねがありましたが、相手方の破産という問題がありました。これも取引上の危険を填補するという意味から申すと、ぜひ入れたいのが政府考え方でありました。しかしながら御指摘のようにまだ海外の情報機関を十分持つておりませんので、さような事件が起りました場合に確認する施設がはなはだ乏しいのでありますので、今回の場合にはまあこの程度にいたしまして、海外の情報機関、その他英国の信用保険制度になぞらえますところの施設が、十分に行えるような状況になりましたならば、順次追加して参りたい。現段階では諸種の事情やむを得ないものといたしまして、一応提案いたしたような次第であります。なお詳しいことは振興局長から御説明申し上げます。
  45. 前田正男

    ○前田(正)委員 ただいまの御説明で、政府もいろいろと御苦心されておられる点はよくわかるのであります。しかしながら今の御答弁の中で、そういう場合が明瞭でないから、この点を除いてあるということでございますが、実は現状から行きますと、そういうふうに海外の事情がわからないからこそ、この際バイヤーに対する損失というものを入れなければならない。当然契約をする以上は商取引でありますから、十分お互いの信用を調査してから契約すべきでありますが、現状の日本におきましては、それが十分でありません。それでありますからこそ、特にバイヤーによるところの損害――バイヤーの破産であるとか、バイヤーが支払い期日後十二箇月以内に決済しないというような問題に対しましては、特にこの際日本の現状から行きましても入れる必要があるのではないか、これが入らないことには、ほんとうの信用保険の骨子は抜けて来るのではないか。つまり現在貿易につきましては、これが事前金融についていろいろと金融界においても努力はしておりますが、十分ではありません。特にバイヤーの信用問題につきましては、非常に重大な問題がありまして、われわれもこの点につきましては何らかの調査が行き届くようにお願いいたしまして、最近は政府の御尽力によりましてアメリカその他にもぽつぽつ日本政府機関の駐在の方が出て行かれる、こういうような事態ができて来ましたことは、信用を調査する上から行きましても、非常にけつこうなことだと思つております。しかしながらまだこれは不十分でありまして、輸出の促進をはかるためには、事前金融に対する補償ということが非常に問題であります。ぜひこの点につきましては、ひとつ政府においてもお考え願いたい。しかしながら私たちといたしましては、本日はわが党以外の方の委員のご出席が少いようでありますが、いずれひとつ各党の方とも御相談いたしまして政府においてこれで御提案なつた以上は、われわれ国会といたしまして、ひとつこの問題につきましては再度交渉する必要があるのではないか、この点が抜けておりましては、この法案の骨子が抜けておるのではないかと私は存じております。いずれこの点はわれわれ各党派で御相談の上、あらためてまた御交渉に入りたいとこう思つております。  なおこの法案におきまして、一つ二つ具体的な問題についてお聞きしたいと思いますが、この損害保険の填補するところの第四号でありますが、意味が非常に漠然といたしておるのでありますけれども、「本邦外において生じた事由であつて、輸出契約の当事者の責に帰することができないもの」。こういつた問題の中に、われわれは当然関税の変更による問題あるいはまた非常な社会不安、あるいはまた労働不安、こういつたようなこと、あるいはゼネストといつたような問題等が含まれて来ると、われわれは考えておるのでありますけれども、こういつたことにつきましての政府の御見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  46. 岡部邦生

    ○岡部(邦)政府委員 第四号につきましては一応私ども考えておりますものは、たとえばゼネラル・ストライキであるとか、ボイコツトであるとかいうようなことを考えておりまして、いわゆるマーケツト・クレームその他の一方的な非難ということは入らないわけであります。従つてこの運用につきましては、できるだけ弾力を持たせまして、運用して行きたいというように考えております。
  47. 前田正男

    ○前田(正)委員 大体今の点でわかりました。なるべくひとつ弾力ある処置をお願いいたしまして、今後お互いの貿易の間におきましては、関税の問題その他いろいろと当事者間の状況の変更することは、相当あると思いますので、極力この解釈を弾力を持つてつていただきたいということをお願いいたします。なほこれに対しますところの政府の基金でありますが、保険の基金は政府の予算といたしまして、現在どういう処置を講じておられるか、お聞かせ願いたい。
  48. 岡部邦生

    ○岡部(邦)政府委員 二十四年度の補正予算におきまして、十億の契約減となつております。二十五年度におきまして、十五億計上されております。その範囲でやつて行きたいと思つております。
  49. 前田正男

    ○前田(正)委員 私の項目的な質問はこのくらいにいたしまして、問題は先ほどの一番初めに質問いたしました点につきましては、ひとつ委員長からも各党派にお諮り願いまして、これが修正の問題はいかが取扱うかということについて、いずれ機会を得て協議されんことを望みまして、私の質問を終ります。
  50. 有田二郎

    有田(二)委員長代理 委員長としてお尋ねしたいのでありますが、ただいまの前田君のバイヤーその他のお話に対して、岡部政府委員はどういう御所見をお持ちになつているか。
  51. 岡部邦生

    ○岡部(邦)政府委員 大体われわれも前田委員のような考え方で、折衝いたしております。関係方面の意向といたしましては、海外の事情がわからぬということで、そういうことが考えられるけれども、同時に英国のように現地の機関を握つておらないので、そこにバイヤーとセラーとのなれ合いが行われるおそれがある。そういうことによる危険が非常に多いから、そういうものはいけないというのがおもな理由でございまして、従つて英国の制度があるからといつて、現在の日本としてはそういう制度をとるわけには行かぬという、相当強硬な意見がありまして、われわれとして再三折衝した結果でございますが、あるいは国会からやつていただきますればけつこうかと思いますが、なかなかむずかしいように思います。
  52. 有田二郎

    有田(二)委員長代理 この趣旨はよくわかつておりますが、バイヤーの破産の場合は、どういうような方法を持つておられるか、バイヤーの破産した場合にこうむるところの損害に対しては……
  53. 岡部邦生

    ○岡部(邦)政府委員 その場合には結局輸出保険の対象に入りませんので、結局契約に基く損害賠償の請求ということで、とるよりしかたがないということになります。
  54. 有田二郎

    有田(二)委員長代理 本日はこの程度にとどめまして、残余の質疑は、次会に行うことといたします。次会は明二十三日午後一時より開会いたします。  これにて散会いたします。    午後三時五十四分散会