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滿尾委員 私も今回の
税制改革につきまして、運輸の立場から二、三の御質問を申し上げたい。まず
固定資産税の運輸
事業に対する
影響でございますが、先に
關谷、岡田両委員から一応の見解が披瀝されたのでございますけれども、私は立脚点を異にしまして、見方を異にして二、三の御意見を伺
つてみたいと思うのであります。
先ほどの両委員のお話は、大体
国鉄と
地方鉄道とのバランスという見地からのお話が多か
つたのでございますが、私は
国鉄と
地方鉄道というような関連性でなく、むしろ交通運輸
事業というものの持
つている本質につきまして、
政府当局はどういうふうにお考えにな
つているか。その点に関する御認識が今回の
税制の
改革の上に、どういうふうに反映したかということをお尋ねしてみたいのであります。少し言葉は極端でございますけれども、私は交通運輸の仕事は、いわば道路に匹敵するものだと思うのであります。なるほど
事業者が
企業経営の形をと
つておりますが、しかしそのフアンクシヨンにおきましては、公共の財産であります道路とひとしい性格を持
つておるものである。社会生活に寄与する面から見ますと、これは道路に準ずべきものではなかろうかと思うのであります。先ほど
国務大臣の御
説明の中には、
地方軌道といえども、その
市町村の範囲内におきまして、いろいろと
地方行政の利益を受けているのであるから、それに対して受益者たる立場において
地方税を
負担するのは、当然でないかというお話があ
つたのでありますが、私はこのお考えは、確かにそれは利益を受けておりますが、むしろ見方によりましては、町村の方が交通機関の発達するごとによりまして、もつともつと大きな利益を受けておる。
地方の町村自治体というものは、もし交通機関がなかつたならば、発達が非常に遅れるのであります。この交通機関の発達によ
つて、
地方自治団体の政治的、
経済的、文化的一切の活動が、その基盤によ
つてつちかわれている。従
つて私はこの受益の議論をいたしましたならば、むしろ大臣の御見解は逆転すべきであ
つて、とんでもないことであると思うのであります。さらに私思いまするのに、
わが国のこの交通機関に対する明治以来の政策を翻
つてみると、御存じの
通り明治初年において鉄道固有の
原則をきめ、さらに明治三十九年に現在の鉄道国有法を出した。そうして幹線交通はこれを国有の形態で行うということを
原則とした半面、
地方鉄道は民営とすることも苦しからずということに
なつた。これは苦しからずということであ
つて、ぜひ民営でやれということではなかつた。日本は資本主義の発達が非常に遅れておる。従
つて日本の交通網を実地に発達せしむることができなかつたから、国の資本だけでは追つつきませんので民間の
企業にこの道を開いた。期するところは、一刻も早く日本
国民あらゆる僻陬の人々に対しましても、よき交通機関を提供するところにあると私は思う。たまたま運輸大臣がここにおられぬのは非常に残念でありますが、私はそれは一貫した国家の
方針であろうと思うのであります。かようなことを考えましたときに、
わが国の歴史は、過去におきまして、この交通機関の発達のために、
地方鉄道補助法というものを、何十年の久しきにわた
つてや
つて来た。これはその
企業に携わ
つておる人を単に国家の資金を使
つて援助するという意味だけではない。
企業の特質といたしまして、どうしても莫大な
固定資産を有し、しかも最初の三年、五年というものは、大体投下された資本に対しましてペイしない。従
つてまつたく利潤を追求するだけのことで、純粋の私の
企業の形態にほ
つておきますならば、こういう割の悪い商売に手をつける人はいないのであります。そこでどうしても建設費の金利ぐらいは国家で補助しなければならぬというところに、私は国家の業務でなければならぬ実質的
理由があると思うのであります。時が移りまして今日の状態になり、この国家の補助法というものも二、三年前にやめられたのでありますが、しかしこの
事業の本質を翻
つてみましたときに、われわれはこの必要は今日といえども、実質的にちつとも減
つておらないと思うのであります。しかるに今回のこの
地方税制の
改革が、この
企業に及ぼしますところの
影響を考えますと、これは実にたいへんなことになります。先ほどの大臣のお話は――大臣でなく、
政府委員の考えであつたかもしれませんが、この
附加価値税の
負担を課しますときに、
事業に急激なる変化を与えないために百分の四十ないし五十の数字をと
つたのだ、こういうお話が出ておるのでありますが、今回の
税制で行きますと、実に二十三
年度に対しまして一〇〇%が七七九になる。ざつと八倍に税金が
重課せられるようなことが、激変でないとはどういうわけであるか。
政府の見解によれば、どの
程度をも
つて一体激変とお考えにな
つておるのかこれは驚くべき御意見と、私は思うのであります。ことに
固定資産税におきまして、鉄道の場合に
地租をとるということは私は絶対にいけないと思うのであります。鉄道の仕事は他の仕事と異なりまして、距離の
観念が非常に長い空間にまたが
つておる仕事であります。一箇所において集約的に生産されるとか、集約的に商業行為を営むとかいうことと、本質的に違
つておる。この事情を特によくお考えいただかなければならない。莫大な
固定資産を要するということ、その次には空間的にまたが
つておる仕事であ
つて、一間所で能率をうんと上げて集約的にやることができる仕事でないということであります。こう考えてみましたときに、今回のこの
税制改革は、まつたく交通運輸
事業の本質というものをどういうふうにお考えにな
つておるのか、重大なる見落しがここにあるの、ではないか、こう考えるのであります。かような意味におきましていろいろ申し上げたいことがありますけれども、今回は最小限度
地租だけは、絶対に従来
通り免除していただかなければならぬと考えるのでありますが、大臣の御見解を伺いたい。