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1950-04-06 第7回国会 衆議院 地方行政委員会通商産業委員会運輸委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月六日(木曜日)     午前十一時開議  出席委員   地方行政委員会    委員長 中島 守利君    理事 大泉 寛三君 理事 川西  清君    理事 菅家 喜六君 理事 野村專太郎君    理事 久保田鶴松君 理事 藤田 義光君    理事 立花 敏男君 理事 大石ヨシエ君       河原伊三郎君    清水 逸平君       田中  豊君    淵上房太郎君       龍野喜一郎君    大矢 省三君       門司  亮君    床次 徳二君       井出一太郎君   通商産業委員会    理事 神田  博君 理事 小金 義照君    理事 永井 要造君 理事 今澄  勇君    理事 風早八十二君       阿左美廣治君    岩川 與助君       門脇勝太郎君    中村 幸八君       前田 正男君    加藤 鐐造君       坂本 泰良君    伊藤 憲一君       田代 文久君   運輸委員会    委員長 稻田 直道君    理事 大澤嘉平治君 理事 大西 禎夫君    理事 關谷 勝利君 理事 前田  郁君    理事 松本 一郎君 理事 林  百郎君       岡田 五郎君    坪内 八郎君       畠山 鶴吉君    滿尾 君亮君       山崎 岩男君    河本 敏夫君       飯田 義茂君    石野 久男君  出席国務大臣         国 務 大 臣 本多 市郎君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 荻田  保君         総理府事務官         (地方自治庁財         政部財政課長) 奥野 誠亮君  委員外出席者         地方行政委員会         專門員     有松  昇君         地方行政委員会         專門員     長橋 茂男君         通商産業委員会         專門員     谷崎  明君         通商産業委員会         專門員     大石 主計君         通商産業委員会         專門員     越田 清七君         運輸委員会專門         員       岩村  勝君         運輸委員会專門         員       堤  正威君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  地方税法案内閣提出第一二三号)     ―――――――――――――
  2. 中島守利

    中島委員長 これより地方行政委員会通商産業委員会運輸委員会連合審査会を開会いたします。  私が僭越でありますが本連合審査会委員長の職務を行わせていただきます。  これより地方税法案内閣提出第一二三号)を議題といたします。まず審査の便宜上、政府より本案の趣旨説明を聴取した後、質疑に入りたいと存じますので、質疑をなさる方は各委員会ごと通告をお願いいたします。それでは政府趣旨説明を聴取いたしたいと存じます。
  3. 本多市郎

    本多国務大臣 地方税改正法律案概要につきまして御説明申し上げたいと存じます。この提案の理由でありますが、新しい憲法のもとに、民主主義に基いて国政を運営する旨を確定したのでありますけれども、民主政治確立は、単に政治運営の形式を民主化するにとどめてはなりませず、政治運営に関する判断が、広く国民の中から生れて来るように仕向けて参らなければならぬと思うのでございます。このためには、すべて公事に関する問題は可及的に、その問題の周辺にあつて、その問題から直接の影響を受ける人たちの手によつて責任ある処理を行わせるようにして参らなければなりませんので、地方自治確立ということと、民主政治強化ということは、表裏一体をなす問題であると考えられるのでございます。  この地方自治確立を意図してすでに地方自治法も制定せられ、骨格は整つておるのでありますけれども、その事務を豊富にし、財政強化し、内容を充実させることが第一の問題であります。しかるに地方公共団体現状は、相次いで負荷せられる任務の重いのに比べて、財政力は微弱であり、地方自治財政的に破綻に瀕しているとまで極言せられているのであります。これを税制の面について申し上げますならば、すでに地方団体のうち七割を越えるものが、標準税率を越えて課税しておりますし、法定税目のほかに地方団体新税の設定を余儀なくされておりますものが、課税団体で二千、税目で百種類を越えているのであります。その税率課税するものとして定められているはずの標準税率課税している団体がむしろ例外でありましたり、法定税目そのものが、かなりむりなものを拾い上げております上に、さらに多くの団体が幾多のむりな税目を、新たに設けざるを得ない状況に置かれておりますことは、地方税收入のはなはだしい不足を示すものでありまして、この税制そのものもまた破綻していると申さねばならないのでございます。  現行地方税制は、すでに国税附加税を捨てて、独立税中心主義をとつているのでありますが、中枢をなす事業税地租及び家屋税の三收益税は、あるいは国の所得税法人税課税標準を同じくし、あるいは国の制定した賃貸価格課税標準とする等、なお著しく国に依存する態勢を改めていないのであります。  そもそも地方自治の伸長を期そうとするならば、活動の源泉となるべき財源を豊富にするとともに、これを地方団体みずからの責任において確保させ、もつて自治運営に対する住民の鋭い監視と批判とを求めるようにして行かねばならないと思うのでございます。よつて地方税收入を拡充し、地方税制自主性強化して、地方自治の根幹をつちかうということが、今次地方税制改正の第一の目標になつておるのでございます。  次に現行税法の主要な税目につきまして、その状況を申し上げてみますならば、その一は事業に対する課税でありますが、戦前地方税総額の二〇%を占める程度であつた事業税が、現行制度で二十五年度を見積つてみますと、三五%内外を占めることになるのであります。しかも事業税総額のうち、個人事業主負担いたしますものが、戦前の五〇%内外から九〇%内外増加して参つているのであります。このことは現行事業税が二重の意味において不合理になつているのでありまして、すなわち第一には他の課税客体に比べて、事業負担が重過ぎるということであり、第二には本来応益的に負担すべき事業税が、大企業に不当に軽くなつているということであります。  その二は、土地及び家屋に対する課税でありますが、地代家賃統制令関係があるとは申しながら、戦前地方税総額の三〇%を占めていたものが、現行税制で参りますと、昭和二十五年度ではようやく一〇%を占めるにすぎなくなるのであります。しかも他の税目と比べましても、かなり負担均衡を欠いていることが感ぜられるのでありまして、たとえば営業用乗用車ですらその一台の負担は畑地三十七町歩、家屋八百数十坪の負担に匹敵するのであります。  その三は、住民税でありますが、元来戸数割を廃止して住民税が設けられました当時には、単に負担分任の精神を地方税制の上に存置しておくための、きわめて軽いもあのであつたのでります。ところが地方財政の窮乏は、この税に相当多くの收入弾力性とを求めなければならぬことになりまして自然団体間においても課税額にかなり大きな幅ができ、標準税額の十数倍に達している町村も珍しくなくなつて来ているのであります。こうなつて参りますと、応能原則を重視すべき租税として、もはや放任してておけなくなつたといわねばならないのであります。  このような現状にかんがみ、地方税制を根本的に改革して、国民地方税負担合理化及び均衡化を確保することをもつて、今次地方税制改正の第二の目標といたしたのであります。しかしてかような目標のもとに今回の税制が立案せられたのであります。  その具体的な地方税制改革方針は、まず第一に財産課税重課流通課税整理消費課税の減少、所得課税増加事業課税軽減、雑税の整理等を行い、地方税全般にわたつてその負担合理化均等化を徹底することであります。  第二には、課税標準税率等に関する地方団体の権限を拡充して、地方税制自主性強化するとともに、道府県税市町村税とを完全に分離いたしまして、税務行政責任帰属を明確にすることであります。この方針に基いて道府県税といたしましたものは、普通税附加価値税入場税遊興飲食税自動車税鉱区税漁業権税及び狩獵者税の七種目であります。目的税水利地益税であります。市町村税としたものは、普通税市町村民税固定資産税自転車税荷車税電気ガス税鉱産税木材引取税広告税入湯税及び接客人税の十税目であり、目的税水利地益税及び共同施設税であります。  第三には、有力な直接税を市町村税として、その收入強化をはかるとともに、住民市町村行政に対する関心の増大を求め、もつて地方自治の基盤をつちかうとともに、民主政治の推進を期することであります。  第四に徴收手続、第五に税率を明確にいたしまして、地域間の負担均衡化を期したことであります。  かくいたしまして、地方税法を全文にわたつて改正したのでありますが、これによつて昭和二十五年度において地方団体收入することのできる税額は、総額においては千九百八億円となる見込みであります。昭和二十四年度千五百二十四億円でありましたから、それと比較すると三百八十四億円の増税ということになります。この地方税のほかに地方財政平衡交付金創設災害復旧費国庫負担制度等を施行したいと考えておりますので、相当の財源増加になるわけであります。  まづ新設された税目についての説明を申し上げたいと存じます。  その第一は、附加価値税であります。附加価値税は、事業税及び特別所得税廃止するとともに、これらの課税客体であつた事業附加価値に対し、附加価値額課税標準として、事業所または事務所所在道府県において課税するものであります。  ここに附加価値と申しますのは、当該事業がその段階におきまして、国民所得に附加した価値をさすものでありまして、生産国民所得観念で申しますならば、一定期間における当該事業の総売上金額より、他の事業から購入した土地、建物、機械設備原材料商品動力等を控除したものになります。逆にこれを分配国民所得観念で申しますならば、附加価値内容をなすものは、賃金、地代、利子及び企業者利潤を合算したものと言えましよう。このような附加価値額課税標準とするところの附加価値税を、従来の事業税にかえて創設する理由は、第一に、従来の事業税はまず收益課税たる本質上、非転嫁的なものでありますがために、今日のごとく所得の上に累積的に課税されているときにおいては、事業に対する負担が耐えがたいまでに重くなるのであります。  また第二に、事業税課税標準所得であるがゆえに、必然的に国税たる所得税及び法人税課税標準の算定の結果に追随することになるのでありますが、これについては、責任帰属を不明確にすると言わなければなりません。  第三に、事業税によるときは、所得のない者は常に課税を免れるのでありますが、事業を継続している以上は、常に地方団体施設の恩恵に浴しておるものでありますから、事業はすべて応分の地方税負担をすべきであることなどの欠陥を有するものに対して、附加価値税におきましてはこれらのいずれの欠陥をも一応克服できます上に、取引高税のごとく重複課税とならないこと、企業垂直的結合を促進するがごとき欠陥を有しないことなどの長所があり、さらに進んで固定設備購入代金課税標準から控除されますために、現下のわが国経済にとつて、最も必要であるところの産業有機的構成高度化を促進するという効果もまた期待できるのであります。  しかして、附加価値税は、農業、林業並びに、鉱物の掘採及び採取の事業に対しては、非課税取扱いといたしたいと考えております。その理由は、前二者につきましては、主として固定資産税負担が相当重くなつていることによるものであり、また後者につきましては、別途鉱産税があるからであります。  次に附加価値税税率は、標準税率を四%とし、最高税率を八%としているのでありますが、原始産業自由業等につきましては、標準税率を三%、最高税率を六%とし、免税点はいずれも附加価値額総額が、十二箇月分として、九万円を原則といたしております。  さらに、附加価値税徴收手続は、申告納付方法によるものとしております。またその他納期等の定めをいたしておるのでありますが、二以上の道府県にわたつて事務所または事業所を設けて事業を行う者は、附加価値総額を、事務所または事業所所在道府県ごとに、みずから法定分割基準に従つて分割し、その分割した附加価値額課税標準として申告納付するものとし、更正及び決定は、主たる事務所または事業所所在道府県知事が、地方財政委員会の指示に基いて行い、これに関する関係道府県知事の異議も、同様の方法によつて決定することとなつております。  なおこれと関連しまして、附加価値税につきましても、青色申告書制度を採用することといたしております。  また二十五年度につきましては、課税標準鑑定の特例も、特定事業について設けることとしております。この附加価値税收入見込額は二十五年度四百十九億円、平年度四百四十一億円であります。  次に新税の第二は、市町村民税であります。この市町村民税という同じ税目は従前にもあつたわけでありますがその性格を一変しているのでありまして、市町村内に住所を有する個人については、均等割及び所得割により、事務所事業所及び家屋敷を有する個人及び事務所または事業所を有する法人に対しましては、均等割によつて課する税であります。  従来の市町村民税と異なります点は、第一には、世帯主納税義務者とする家族主義であつたものを、所得のある限りは、成年者をすべて納税義務者とする個人主義的な構成をとつていることであります。第二には、均等割資産割及び所得割の三者によつて課税していたものを、資産割をやめまして、均等割所得割の二者によつて課税することといたした点であります。第三には、法人に対しては均等割しか課税しないこととしたことであります。この均等割税率につきましては、それぞれ都市人口の対象によつて徴收税率を定めることとしております。他方所得割につきましては、前年の所得税額課税標準とし、その百分の十八を標準とし、百分の二十を最高とする方式、及び前年の課税所得金額課税標準とし、百分の十を最高とする方式、及び前年の課税所得から所得税額を控除した税引所得金額課税標準とし、百分の二十を最高とする方式の三方式をとりたいと思いますが、昭和二十五年度におきましては、第一の所得税額標準とする方式を採用することとしております。  なお市町村民税は、前年においては所得がなかつた者及び生活保護法の適用を受ける者並びに不具者及び未成年者に対してはその全部を、同居の妻に対しては均等割を課さないものとしております。ただ未成年者及び不具者であつても、一定額以上の資産所得または事業所得を有し、かつ独立の生計を営む場合、または同居の妻であつても、その夫が市町村民税納税義務者でない場合においては、非課税取扱いを受けないのであります。  この市町村民税の、昭和二十五年度における見積り額は五百七十五億円、平年度において四百八十七億円であります。  新税のその三は、固定資産税であります。固定資産税は、土地家屋及び減価償却の可能な有形固定資産に対し、その価格標準として、原則とじて所有者に課するところの税であります、これは従来の地租家屋税を拡充したものでありまして、そのおもな違つた点は、課税客体土地家屋のほかに償却資産が加えられていること、課税標準賃貸価格であつたのが、価格にかわつたことであります。しかして、その価格は毎年一月一日の特価を基準として、おおむね各市町村に設置される固定資産評価員の行う評価に基きまして、市町村長が決定いたします。この市町村長が決定した価格は、固定資産税課税の必要上、市町村作所を義務づけられております固定資産課税台帳に登録し、一定期間関係者の従覧に供して確定することとしております。但し、昭和二十五年度分の固定資産税課税標準に限りまして、農地以外の土地及び、家屋については、賃貸価格の九百倍の額、農地については自作農創設特別措置法による買收農地の対価に二二・五を乗じて得た額とするものとしております。また償却資産価格については、資産評価法規定によつて評価行つた場合における再評価額限度額と、同法の規定によつて償却資産所有者が現実に行つた評価額、または再評価を行わない場合にあつては、その資産帳簿価格とをにらみ合せて、市町村長が決定するのでありますが、原則として資産評価法による再評価額限度額を、課税標準たる価格とするよう指導すべきものと考えております。  固定資産税税率は、百分の一・七五を標準としておりますが、当分の問百分の三を最高とし、かつ昭和二十五年度分に限り、百分の一・七五に一定したのであります。いずれも、課税條件を同一にすることによつて課税標準額について存する不均衡所在を明確にし、次の機会における固定資産の公正なる評価を容易ならしめようとする趣旨でございます。  また大規模の工場や発電施設が、近隣の市町村公共費の支出に直接かつ重要な影響を与えたり、これらの地方における経済と直接かつ重要な関連を有する場合においては、地方財政委員会がこれらの固定資産を指定し、これを評価してその価格を決定し、固定資産の存在する市町村のいかんにかかわらず、その価額関係市町村に配分することができるものといたしております。これは税源の極端な偏在を防止しようとする趣旨にほかならないものであります。  又船舶、車輛その他二以上の市町村にわたつて使用される移動性もしくは可動性償却資産及び鉄軌道発送配電施設その他二以上の市町村にわたつて所在する固定資産のうち、地方財政委員会が指定したものについては、地方財政委員会価格を決定し、その価額関係市町村に配分するものとしておりますが、その趣旨は、主として関係市町村間における評価の適正を期そうとするところにあるわけであります。固定資産税賦課期日は、当該年度の初日の属する年の一月一日とし、納期原則として、四月、六月、八月及び十一月の四回としておりますが、昭和二十五年度分の償却資産に対する固定資産税に限り、一月一回に定めております。この税の收入見込額は、昭和二十五年度において約五百二十億円であり、平年度において五百七十八億円であります。  第二は、既存税目に対して加えられた変更に関する説明でありますが、入場税につきまして三分の一程度の税を引下げることにいたしております。また遊興飲食税につきましても、従来の税率十五割、八割、五割及び二割を、十割、四割及び二割に、これも大体三分の一の税率の引下げをいたしておるのでございまして、これは負担軽減と、徴收適正化をはからんとしたものであります。さらに徴收につきまして領收証発行及び証紙使用方法等についての規定を明確にいたしてあるのでございます。  その三は、自動車税漁業権税自転車税荷車税広告税入場税及び接客人税についても、新たに標準税率を定めまして、地域間の負担均衡化をはかるようにいたし、納税者の理解に便ならしめようとした改正であります。徴收方法についても一層歳入の増加をはかりまするように、適正なる改正が加えられておるのでございます。さらに罰則等もこの際整備いたしまして、その税ごと罰則規定等も明確ならしめておる点でございます。  また今回の税制改革に伴いまして廃止されます税は、先般成立いたしました地方税法の一部を改正する法律とあわせまして、道府県民税地租家屋税事業税特別所得税不動産取得税酒消費税電話税軌道税電柱税船舶税舟税金庫税、屠畜税、使用人税漁業権取得に対する漁業権税自動車取得に対する自動車税自転車取得に対する自転車税荷車取得に対する荷車税都市計画税等の多数に上つております。  以上を要するに今次改正案は、実にわが国地方税制の創始以来の画期的な改革でありまして、特に附加価値税固定資産税及び市町村民税の三大新税創設道府県税体系市町村税体系との明確な分離、及び賦課徴收手続明確化等の諸点に於てきわめてすぐれた特色を有し、地方財政確立ないし地方自治強化のために、偉大なる貢献をなすべきことが期待されておる次第であります。  以上簡単でございますが、今回の改正地方税法案概要を御説明申し上げた次第であります。
  4. 中島守利

    中島委員長 これより質疑に入ります。通商産業委員及び運輸委員の各位には、交互に質疑通告順に許したいと思います。まず運輸委員關谷君。
  5. 關谷勝利

    關谷委員 ただいま本多国務大臣からの御説明で大体税の関係は承つたのでありますが、この内容を見てみますると、運輸関係は非常なる増税となりまして、とうていやりきれないというふうなことになつて来るのであります。現在の私鉄経営並びに海運界状況というようなことにつきましては国務大臣はよく御承知でありますので私たちが今ここに喋々申し上げる必要はないのでありますが、私鉄国鉄と同じような経営をいたしておりながら、国鉄はことごとく国税地方税は免除せられておるのであります。しかるにもかかわりませず、私鉄に対しましてはこのたび非常なる税金が課せられる。大体この私鉄関係等は資本が非常に大でありまして、固定せられておるものが非常に多い。しかも收益率がきわめて少いというのでありまして、現在全国にありまする百七十三社のうちで黒字が出ておるものはほんのわずかしかないのでありまして、総体的に見まして、昨年度におきましても五億五千万円の赤字を出しておるような状態であります。なお海運界におきましてはこれまた厖大な赤字を出しておるのであります。こういうふうな面を考えます場合に、シヤウプ勧告案に基きまするそのままを運輸方面へ課せられますならば、海運陸運ともにつぶれてしまうというのが現状なのであります。従来は海運にいたしましても、陸運にいたしましても、政府から非常なる嚴重な監督を受けまする反面、保護も与えられておつたのでありますが、最近におきましては保護という面は何ら見るべきものがないのであります。その上へ持つて参りまして、この重税ではとうていたえ得ませんので、私鉄に対しましては国有鉄道と同じように、地方税を免除するような方法を考えておるのかどうか。そういうふうに修正をすることをわれわれは希望するものでありますが、これに応ずる意思があるかないか、これをまず承つておきたいと思います。なおまた海運に対しましては、固定資産税を廃しまして、船舶税を設けまして、従来通り船舶税を課する、こういうふうなことに修正する用意があるかないか、この点を承りたいと思います。
  6. 本多市郎

    本多国務大臣 今回はただいま御説明申し上げました通り、従来の旧地方税制があまりに不均衡になつておりますための税制根本的改革でありますために、業種間あるいは個々納税者間におきまして負担の変動のあることはやむを得ないところと存じますが、特に交通事業方面においては負担が加重されるであろうというので、相当その実情もお伺いいたしておるのでございます。しかし全般的に見ますと、法人税軽減あるいは取引高税廃止通行税廃止事業税等がなくなるという点を、全般的に国税地方税を通じて計算いたしますと、それほどの負担過重にはならないと考えております。しかし個々事業にとりましては、従来所得皆無であつたために、全然所得税もまた事業税負担していなかつたというようなものについては、これはもちろん増税になることは明らかでありますが、しかしこの地方税というものは、その自治団体内に施設を有し、事業をやつておるものは、それぞれ自治団体のせわになるわけでありますから、その受益に応じた応益負担という意味で、どうしてもやむを得ない、地方財政確立のための措置ではなかろうかと考えております。さらにこの運輸業等につきましては、相当課税方法の変化から、負担額についても変動が大きいと考えられますので、二十五年度に限りまして特別な措置として附加価値額收入額の四〇%をもつてこれを計算するという特別の緩和措置を講じておる次第でございます。政府といたしましては、この固定資産税というものは、その地方団体内における公有以外の固定資産は、漏れなく固定資産税の対象としたいという一貫した方針によりたいと考えておりますので、待に軌道税あるいは車輛税等を設けて、この固定資産税を複雑化して行くことには賛成いたしかねるのでございます。但しその資産の調整ということにつきましては、地方財政委員会等がこれを指定いたしまして、これを評価し、それぞれその部分の所属する市町村に配付するということになつておりますので、そこに適当なる査定がなされようと考えております。また軌道会社の乗車料等につきましても、この附加価値税は転稼的なものでありますので、その事業会社の負担に吸收させる部分と、転稼させる部分とを研究いたしまして、乗車料の改正等についても今研究中であるのであります。せつかくのお話でございますけれども、特別税を設けて固定資産税に例外を設けるということには、ただいま申し上げました趣旨から賛成いたしかねます。
  7. 關谷勝利

    關谷委員 ただいまの国務大臣のお話でありますが、法人税取引高税その他が廃止なつたために、あまり負担が過重にならないというようなお言葉があつたのでありますが、まことにもつてのほかであると考えるのであります。負担過重にならないといいましても、大体地方鉄道、軌道におきまして、二十三年の八月から二十四年の七月までに納付いたしました税金が六億七千五百六十万円であります。これがこのたびのこの地方自治庁の案によりますと、二十六億という厖大なものになるのであります。これがあまり負担が過重にならないということは、どこを押せばそのような声が出るのか、私はふしぎに考えるのであります。なおまた船舶に関しましても、大体保有船舶七百二十五隻というような船主協会あたりの調査におきましても、固定資産税になりますと、約十一億というような数字になつて参ります。二十四年度船舶税は八千四百万円でありましてこれの十三倍でありますし、昭和二十三年に比較いたしますと五十二倍という厖大なものになるのであります。これがさしたる負担過重にならないというようなお話でありますが、私は本多国務大臣海運関係あるいは私鉄関係の税の計算を御存じないのじやないか、こういうように考えるのでありますが、このように高くなるのにもかかわらず、あまり過重にならないというようなお気持で、このまま押し通されるということになりますと、たいへんなのでありますがこういうことになつても何らの方法も考えない、こういうお考えであるのかどうか、もう一回承つておきたいと思います。
  8. 本多市郎

    本多国務大臣 どういう資料に基いてのお話でありますか存じませんが、私の方で総計的に調査いたしました最近の考課状による新税、旧税の比較を政府委員より説明いたさせます。
  9. 荻田保

    ○荻田政府委員 全体の地方鉄道軌道事業につきまして、われわれの方で税負担の増減を計算したのでありますが、計算する前に一つ問題になりますのは、現行税制による税負担をいつの標準で調査するかという問題でありまして、われわれ業界から受取つております調査では、二十三年度の実績みたいなものをとつておるのでありますがそれでは比較にならないのでございます。現在の地方税制を三十五年度に適用してみたら、どれだけの税があるのか、それと改正地方税制とどれだけの違いがあるかという数字でないと、比較にならないと思うのでありますが、その数字で比較いたしますと、この資産評価税、これは臨時の税でございますから、これを別にいたしますればわれわれとしましては大体総体の国税地方税一切を通じますると、負担増加しないという計算を持つております。確かにこの固定資産税においては非常に大きく上りますが、その反面におきまして法人税等の軽減がございます。取引高税廃止通行税軽減がございます。それから事業税附加価値税との計算におきましても、事業税につきましては、今の地方税制によりますと、総攻入金額の二・四%というものを外形標準でとることになつております。それに反しまして、附加価担税は便法といたしまして、二十五年度におきましては総收入金額の四〇%をもつて附加価値を見て、それの四%をとることになつておりますので、事業税関係においても増加はなく、かえつて減少になる、こういう数字を持つております。
  10. 關谷勝利

    關谷委員 ただいま負担増加しないというお話があつたのでありますが、これはそういうふうな詳細なる資料を提供してもらいたいと思います。この負担が重くならないというのなら、われわれ別に議論する余地はないのでありますが、負担が多くなればこそ、われわれいろいろ議論をしておるのであります。まことに重大なことでありますので、負担の多くならないという資料をつくつて、ただいまとは申しませんが、明日でもひとつそれを御提出願いたいと思います。  なお負担が過重にならないと申しましても、現実に重くなることはわかつておるのでありまして、これだけ交通事業わいわい騒いでおりますのは、その負担にたえかねるというので、いろいろ陳情等をしておるような状態であります。地方鉄道等におきましても、従来は地組等は免租になつてつたのでありますが、これが今回課せられることになりますので非常に大きな額になります。この地方鉄道の経営難を幾分でも緩和する方法は、この地租を免除する以外に道がないと私たち考えるのでありますが、その用意があるかどうか、この点本多国務大臣に伺いたいと思います。
  11. 荻田保

    ○荻田政府委員 固定資産税を全部の土地家屋及び償却資産にとるという方針があるのでございますが、おつしやいましたように、われわれの方といたしましても、当初やはり電柱税軌道税船舶税あるいは車輛税というような特別の税をつくりまして、軽減する意味において課税したらいかがかと考えたこともあつたのであります。しかしあくまで固定資産税の方は全部の財産に対しまして、均等にとるという方針を書立てる方が適当だと考えましたので、そのような特別税をやめまして一律に固定資産税をとることにいたしております。従いまして、軌道等に対しまして固定資産税の免税は考えておりません。
  12. 關谷勝利

    關谷委員 何もかも考えておりませんということでつつぱなすような状態で、これではとりつく島がないのでありますが、しかしどのように考えてみましても、これだけの重税になつて来るのであります。いずれ資料が参りました後に、私重ねて質問申し上げたいと思うのでありますが、この現在の状態を救うためには、地租を免除するとか、あるいは船舶税をつくつて固定資産税廃止して、海運界を救うというような方向に持つて行かなければ、どうしても救う方法がないのであります。もし万やむを得ぬというようなことになりますれば、現在の運賃だけが統制されておるのでありますが、その統制運賃が解かれて、そうして地方税をこの運賃の中へ含めて、その收入によつて払い得るというふうな見通しが  つきまするまでは、この但書によつて地方税を一時免除する方法を――以前にもそういうふうな方法を講じた事例もあるのでありますから、一時この実施を延期するというふうなことが考えられるのでありますが、こういう修正に対して応ずるだけの用意があるかないか、この点も伺つておきたいと思います。
  13. 本多市郎

    本多国務大臣 さいぜんも申し上げました通り、今回の地方税改正に伴う運貸等に転嫁する分野等考慮しなければなりませんので、この地方税法案の進行状況と並行いたしまして、そういう研究を政府は目下いたしておる次第であります。どうしても事業自体が吸收することはできないという面は、運賃値上げ等によつて転嫁して行く方法をとりたいと思います。
  14. 關谷勝利

    關谷委員 運賃を上げると申しましても、私鉄あたりから運賃の値上げの要求がある場合に、これがどのように見ましても、国有鉄道の運賃が決定いたしておりまして、これはもちろん国税地方税も無税でありますが、これと対抗してやつて行かなければならないという條件のもとにおきましては、私鉄の運賃がさほどに上げられないということは、これは常識ある者ならば、だれでもことごとく承知のはずであります。これをその事業で吸收ができるというふうに考えておるところに、こういうふうな増税というようなことになつて来るし、何らこの措置を講じないというふうな御回答のみになつて来るのでありますが、運賃を値上げするといいましても、私鉄あたりが大体この地方税というものを考えずして計算をいたしましても、三割の値上げをしなければならないということになつておるのであります。しかしながらその三割の値上げができるかと申しますと、国鉄とにらみ合した場合に、一割程度の値上げしかできないというふうな状態でありますので、どうしてもこの運賃殖上げで吸收するということはできないのが現実であります。そこでそういうふうになりますと、この公社性を帯びておりまする交通関係がことごとく破産に瀕する。そうして経営不能になることを考えた場合に、どうしても国家として保護を与えなければならない。それには地方税を免除することが最も手取り早い方法であると考えておりますので、どうしても私たちはこの税金の軽減をやりたいというように考えとおるのでありますが、もしいろいろの関係でいけないというようなことになれば、この際どうしてもこの運貸の中へ含ませて、そうして国鉄とにら孔合せて、そういうふうなことができ得るようになるまで、これを延期するというふうな措置を講じてもらいたいと思います。これは私の方から希望するのであります。  なお、今の負担増加しないというふうな資料がいただけると存じますので、その資料をいただいて後に、あとの質問を継続いたしたいと思います。私は、本日はこれで打切つて負担増加しないという意味の資料が出ました後に、こちらとの資料を突き合せまして、そうして再び質問を試みたいと思います。
  15. 中島守利

    中島委員長 關谷君の希望の資料は提出できますか。
  16. 荻田保

    ○荻田政府委員 はあ。
  17. 中島守利

    中島委員長 できるそうであります。次は沖田君。
  18. 神田博

    ○神田委員 ただいま本多国務大臣から、地方税法案の要綱について概要の御説明を拜聴したのでありますが、何しろ全文七百三十九條という非常に厖大な法案でございまして、地方自治が安定財源を得ようとする御努力には大いに敬意を表するものでありますが、この案に盛られておりますものの中で、われわれといたしまして納得しかねる点が大分ございますので、それらの点につきまして逐次質問をしてみたいと思います。  第一に、お伺いいたしたいことは、附加価値税固定資産税收入の点に過小評価をしていないかという問題でございます。言いかえますと、厳格に徴收するということになると、予定額に比べて收入が非常に過剰になるのではないか。でありますから予定額をとるということになりますれば、徴税当局の自由裁量の余地が非常に大きく出て来るのではないか。その間強いものは避けて、とりやすいものからとつて行く、そこで予定額に達する、いわば正直者がばかをみる結果になるのではないか、こういうことが想像されまして、そこに非常な負担の不公平が生じて来るのではないか。なぜそういうことを言うかといいますと、この附加価値税は、この法案の第四條によつて道府県税になつておりますし、固定資産税は第五條に上つて市町村税になつておる。そこで一層地域的なでこぼこが出で来るおそれがあるのではないか、こういうふうな感じを持つのであります。これらのことかわれわれをして不安にならしめ、また国民をして非常に不安に思わしておるのではないかと考えるのであります。  そこでまず附加価値税についてでありますが、政府からただいまいただきました地方財政に関する参考計数資料の、昭和二十五年度附加価値税收入見込額調べによりますと、附加価値額の合計が一兆五千百二十八億になつております。この数字が非常に過小見積りではないかという問題であります。これらの附加価値額の内訳を調べますと、個人所得が三千九百億になつておるようであります。そこでもう一つ、別の経済安定本部で調べております経本の財政金融局の、昭和二十四年度及び二十五年度国民所得推計をとりまして、二十五年度国民所得の合計額を調べますと、一兆七千四百三十一億でありまして、この中から、この法案に盛られております第二十四條の附加価値税非課税範囲に価します農林水産業の七千九十六億、それから鉱業の四十四億、自由業の二百九十四億を合計いたしまして、七千四百三十四億を差引きますと、九千九百九十七億という数字になるのであります。そこでこれに対して自治庁の方では、今申し上げましたように、三分の一の三千九百億と見積つておるようでありますが、これに対する地方自治庁当局の説明を十分お聞きしたい。さらにこれらの農林業、鉱業、自由業等個人所得については、農林、通産、労働、安本、大蔵等の関係御当局とお打合せになつて、こういう数字を検討されたのかどうか。われわれこの表四つを合せますと食い違いがあるように思うのでありますが、この点につきまして詳細な御説明を承りたいと思うのであります。あまりたくさん申し上げてもどうかと思いますので、一つ一つ御説明をお聞きしたいと思います。
  19. 本多市郎

    本多国務大臣 ごの收入見積り額を立てますにつきましては、実は税率との関係もございますので、政府としてもでき得る限り負担軽減したいという方針に基きまして、実は経済安定本部、大蔵省、自治庁とそれぞれ資料を持ち香り、協議検討を重ね、さらにまた司令部方面の專門家の調査とも突き合せまして、慎重に決定いたしたものでございまして、やはり地方財政の確実なる收入を保つためには、このような見積りを立てて行くことが適当であろうという結論に到達いたした次第でございます。  なおその見積りを立てました根拠につきまして、政府委員より詳細御説明申し上げたいと思います。
  20. 荻田保

    ○荻田政府委員 お配りしてあります表によりますと、附加価値税收入見積り額は、これはすべて大蔵省の法人税及び所得税の基礎になりました数字をそのまま用いておるのであります。ただ違いますところは、国税と違いまして、地方税の方は何と申しましても初めてのことでございますので、徴税機構も十分でないと考えられますので、大蔵省の見積りの九〇%――一〇%だけは捕捉できないのじやないかということを前提にいたしまして、その数字を出しております。なおお配りがしてございませんが、別に今おつしやいましたように、安本巨体の調査の国民所得の調査からも推定したのでございますが、これによりますと、大体安本の調査によりまする昭和二十九年度国民所得の大体七〇一%を徴税可能のものとして計算いたしましても、大体これと同じような数字が出ておるような次第でございます。
  21. 神田博

    ○神田委員 むろん御相談になつておられたのじやないかと思います。数字のことですから、ここで押し問答してもどうかと思いますが、私どものいただいた資料によりますと、大分違つておるように思いますので、きようはあまり時間もないようでありますので、これは数学の問題でありますから、いずれまた打合せる機会もあると思います。とにかく私のいただいた資料によりますと、食い違いがあるということだけお断りいたしまして、先に進めて行きたいと思います。  次は固定資産税についてでありますが、これも地方財政に関する参考計数資料の固定資産税昭和二十五年度收入見込額によりますと、償却資産資産価額は一兆三千七億五千万円というようになつておりまして、それによる收入見込みは九十三億二千八百万円ということになつておるようであります。この基礎について評価決定した基本価額が約五二%、税率が一・七五%、徴收率が八〇%と明記されておるようであります。この五二%、八〇%というのは、いかなる根拠によつておとりになられたものでありますのか。詳細にひとつお聞きいたしたいのであります。何だか予定收入総額附加価値税予算額等との差引勘定から逆算したのではないか。いささか臆測のきらいがあるように思われますので、ひとつ納得のできますように十分御説明願いたいと思います。
  22. 荻田保

    ○荻田政府委員 お手元にお配りしてあります声料の固定資産税の見積りでございますが、土地表屋につきましては、現在賃貸価格が一筆々々ごとにわかつておりますから、しかも二十五年度はこの賃貸価格の九百倍をもつて価格にいたしましたので、これにつきましてはほとんど問題はないのでございます。ただどれだけ徴收できるか、徴收率の問題でございますが、現在の地祖家屋税等の徴收状況から申しまして一応九〇%を徴收できるものといたしまして、土地家屋におきまして四百二十億程度のものを見ておるのであります。償却資産の見積りにつきましてはこれは非常にわれわれといたしましても、的確な根拠を得るのに苦労したのでありますが、お配りしてありますように、一応いろいろな計数から見まして、一兆三千億という数字を基礎に使つたのであります。この数字は決してこれが現在ありまする償却資産総額を的確に現わしておるものとは考えていないのでありまして資料にも出ておりますように、たとえば一般の工業用機械、器具につきましては、安本で調査いたしました終戦当時の残存のものに、物価倍数を乗じたというようなきわめてラフな見積りをしております。たとえば鉄道につきましては一キロ当り千百七十九万円を平均建設費に見るとか、機関車につきましては五百万円を建設費と見るというような、かりの計算をいたしまして一兆三千億という数字を出したのでありますが、これらのうち、はたして的確に評価せられる場合、どれくらいの数字を得るかということは非常にむずかしいのであります。これはいずれ大蔵省の方の資産評価と並行いたしまして、的確な数字を出さなければなぬと思います。しかし大体この五〇%をもつて基礎にいたしたのであります。これは今申し上げましたように、一兆三千億という数字が明確なものではないということが一つと、もう一つは、本年度は初年度でありまして、ことに大蔵省では資産評価の方も本年一ばいくらいかかることになりますので、年度内にはそれほど予定することはできないであろうという二つの面から見まして、五〇%という数字を出しておるのであります。この基礎によりまして百分の一・七五の数字をかけまして、一応五百二十億の收入見込み額の予算を立つたわけであります。
  23. 神田博

    ○神田委員 私の想像の通り、大体推定によつて逆算したというようなことになるのではないかと思いますが、そこでお伺いしたいのでありますが、先ほどからも委員長に大蔵大臣に出席じていただきたいということをお願いしたのでありますが、何か御病気のようで見えない。主税局長においでいただきたいということを申し上げておいたのでありますが、まだ見えないようであります。資産評価につきまして一定の基準をやはりお示しになつて、でこぼごが出ないようにするというような意を用いられるだろうと思いますが、われわれ長らく経済の実態の中に生活しておつた者にとりましては、一定の基準をきめることはもとよりでありますが、しかしすべての対象となります課税客体は、もう年数によつても違い、メーカーによつても違う。あるいは使い方によつても違う。千差万別であります。利用価値によつても違つておるのでありまして、これらのものをどういうような方法によつて権衡を得たような査定をするか。すなわち資産評価の査定をする。そこで償却資産資産価額というものを握るということなのでありますが、この辺につきましてはどういうふうな御配慮、お考えになつておられるのか。ただ大蔵省がこれを認定する、そこでそのままそれをとつて行くのだ。とつて行くということになりますと、大蔵省は御承知のように出先の税務署というものを持つております。これがとにかく数百の税務署をおそらく持つておると思いますが、相当これが訓練されておると言われながら、今日課税を担当しておる税務官吏に対する国民のきびしい批判というものは十分御承知だろうと思うのであります。ところが今度は一万二千に上るところの市町村がこれを行うということに相なりますと、これはきわめて種々雑多なものができるのではないか、そこで課税のでこぼこが出て来るのではないか、こういうような考えを持つのであります。自治庁といたしましては、これらの点につきまして、どういうような配慮を持つておられ、どういう御準備をなされておるのか、詳細にひとつ説明願いたいと思います。
  24. 本多市郎

    本多国務大臣 ごもつともな御質問でありまして、一万以上に及ぶ市町村資産評価でございますので、これは自治庁といたしまして、地方財政委員会におきまして評価基準を決定いたしまして、これを指示するということにいたしております。但し資産評価法に基くその再評価額につきましては、やはりその再評価額の限度として指導をしたい考えでございます。固定資産税が待に高くなるかならないかという問題も、実は資産評価額がどうきまるかということに非常にその根拠があるようでございます。東京の地下鉄等は十倍程度まで固定資産評価額を上げるのではないかといわれておりますが、そうした場合固定資産税は十倍に上るわけでございまして、この負担にたえられない窮地に陥るのではないか。法律において再評価額を高くしたい根拠はどこにあるかと申しますと、減価償却額を大きく経費の面に出したいという事情があるのでありまして、よほど長期の償却物件でありましても三%くらいを下らない償却額か経費として計上できると思います。そうした点を勘案いたしまして、各法人で決定されるのでありまして、税の面からだけ考えますと、毎評価額が大きくなれは、会社の固定資産税負担が非常に大きくなるという、ことが考えられますが、会社の経理面から見ますと、これに応じて償却費か経費として計上されて利益から控除されて行く。こういう調整と申上ますか、牽制し合う関係になつておることを御了承願いたいと思います。
  25. 荻田保

    ○荻田政府委員 固定資産評価につきましてお応え申し上げますが、評価は毎年それぞれ市町村長がきめるわけでありますが、その場合に各市町村固定資産評価員という專門のものを置きまして、これに主としてやらせることになります。責任はあくまで市町村ごとに行うのでありますが、今おつしやいましたように、全国的に均衡をとることが非常に重要でございますので、新しくでぎます地方財政委員会におきまして、固定資産に関します評価基準をなるべく的確に具体的に示しまして、これを地方に移すように通牒します。なおその他全国的な資料あるいは実施のための方法、手続を示すというようなこと、あるいは積極的に市町村長から助言を求められた際に、これに対して助言を与える、こういう方法を考えております。また府県におきましても、それぞれ固定資産評価員の研修とか、あるいは地方財政委員会から示されました数字の基準によりまして、さらに県内の基準を示すというような方法をとることにいたしております。それからなお市町村間にわたつて移動するような船舶であるとか、車輛あるいは数市町村にまたがつて施設があるもの、たとえば発送電施設とか、あるいは軌道というようなものについては、市町村長にまかせずに、地方財政委員会においてみずから決定いたしまして、これを事町村に配付することになつております。なおこの資産評価基準は的確なる時価ということになつております。ただその時価を評定する場合に、二十五年度におきましては、各事業体が再評価いたしました額を下ることができない。その後におきましては、それぞれ法人税及び所得税の計算をいたします際に、減価償却の基礎になります固定資産の額――これはおおむね帳簿価格だと思いますが、それを下ることができないという規定が入つております。その範囲におきまして的確なる時価を評価するのでありますが、その時価につきましては、先はどから申し上げました大蔵省の資産評価によつて示される基準というものが、相当有力な標準になつておるのだと考えております。
  26. 神田博

    ○神田委員 本多国務大臣のただいまの御答弁は一応筋の通つたお答えのようにも拜聴いたしますが、御承知のようにまだ日本の経済は安定しておらない。そういう安定しておらない際に、たとえば今地下鉄の例をおとりになられたようでありますが、地下鉄自体の資産償却、言いかえれば将来の経営の面を考えて、課税をいくらか免れたい。また万一の場合に備えて行きたい。こういうことは事業経営者としては十分考えておると思いますが、いずれにしてもまだ経済が安定しておらぬ。その安定しておらない際に、こういうような、一つの物の見方で、ある時期をつかんで課税をしよう。荻田政府委員もいろいろお述べになつたようですが、あるときの価格を押えてとる、こういうふうに結局はなるようでありますが、安定しておらないのにその価格を押えて行こうというのですから、これは非常にあぶなつかしいじやないかという心配があるのであります。それからもう一つの問題は、地方税法案の立案の際に、この程度税額をとりたいんだ、そこでこういうような課税標準が推定されて、この税率ができるんだというような場合におきまして、前の質問にもどるわけでありますが、その課税標準自体が私どもにとつては少し納得しかねる。これは議論になりますから、あとでまたこまかい点についてお聞きしたいと思いますが、一応いいか悪いかの問題は別として、とにかく政府のこの法案が必ずしもその通りでいいというわけではないのであります。経済の情勢が始終動いておるわけでありますから、そこでこれだけの徴税の見積りがあるというような想定をなされましても、実際に実施面において、府県なり市町村なりにおいてとつた結果は、必ずしも政府の考えておるような結果と一致するかいなかということは、これは疑問だろうと思う。これは少くとつた場合においては問題は起らぬと思う。問題は多くとるということになつた場合――課税標準政府あるいは地方財政委員会がお示しになるというようなことでありますが、その示された課税標準によつても非常に多くなつたというような場合において、この額について何か政府の方においてまた地方財政委員会が行政措置を命じてある確度に押えるかどうか。市町村についてもそういうことをおやりになるかどうか。これだけの税はとにかく課税標準がなくてもとるのか。あるいはたくさんあつたらたくさんとるのか。もしたくさんあればたくさんおとりになるということでありますならば、それも一つのお答えだと思いますが、たくさんおとりになつた場合どうされるのか、あるいは実際において予定よりもとれなかつた場合において、どういうふうにお考えになるのか。その点をお伺いしたいと思います。
  27. 本多市郎

    本多国務大臣 課税標準は的確に均衡を得るようにいたしたいと考えております。この固定資産税については、今年一回限り定税率でとることになつておりますので、これは課税標準が見込みより多額に上つたから、税率を下げて徴收するということは、本年限りはできないわけでございます。しかしその課税標準が他の市町村均衡を得て、しかも多額に上つた場合、これはそれだけの担税力のあるものでございますから、これはその通りつてもらわなければならぬと思います。但しこれをその通りとることによつて財政に余裕があるということになりますと、他の住民税等で、これは標準税率でありますから――低くとつて負担を調整するということも可能でございます。本年限りこの固定資産税を定倍数、定税率でとりますという趣旨はさいぜんも申し上げました通り、むしろ今年は税制の全般的な改革だから、市町村の根幹的税である、この市町村民税について收入を確保するという見地からと、さらに賃貸価格等の不均衡の是正の機会を促進するという趣旨も含まれておる次第で、あります。ただ同一市町村内における固定資産税の不均衡というような問題につきましては、これはそれぞれ專門的に調査し、一定期間市町村関係者の縦覧に供しまして、確定するということにもなつておりますので、はなはだしい不均衡は、その間にも是正の機会があるものと考えております。本年一回これを実行いたしまして、固定資産税がさらにどうであるかということは、十分研究いたしまして、次年度からの措置を考慮いたしたいと考えておりますが、これは政府の指導面の考慮ばかりではなくて、税法そのものも来年度からは標準税率でありまして、低くもあるいはそれ以上も財源と勘案いたしまして、自治的に調整が行われることができると思います。
  28. 神田博

    ○神田委員 ただいま本多国務大臣の御答弁でございますが、もちろん私もこの固定資産税は、悪い條件だけだということの前提に立つてお尋ねをしたのではないのでありまして、今お答えされたような長所を持つておることも私も率直に認めるにやぶさかでないのであります。ただ私のお伺いしたいのは、市町村間の同種同業の、あるいは同一物件の均衡を容易に得る問題、それからさらに根本的に私が心配いたしておりますのは、固定資産のいわゆる償却資産資産価額というものが、一兆三千億と言われるその数字が、もつと厖大に上るのではないか、そこで政府のお考になつておられるよりも、非常な税收の増加があるのではないか、そういうような場合に、政府は今日地方公共団体に対する監督権というものは、往年のような監督権はないのでありますから、政府としては、これはできなくとも、あるいは地方財政委員会の方でできるかどうか知りませんか、今日地方公共団体でも財源には困つている、困つておるが、一方納税者側から見れば、これは納税者も非常に困ついる問題なのであります。そこで所要の税がとれる、あるいはそれ以上とれるということが問題になつて来るのではないかと思います。私どもの考えでは、政府の予想よりも数倍になるのではないだろうか。そこでそういうようなことになるようであつては、これは非常に納税者側としても苦痛になるわけでありますので、その間根本的に――私どもはこの税を今回とることについては、非常に議論を持つておりますが、行政措置といいますか、立法措置といいますか、何らかの方法で、そういうことになるようなおそれのある、あるいははつきりしたような場合において、お考えをお持ちになつておるかどうか、そういうことをお尋ねしておるわけであります。
  29. 本多市郎

    本多国務大臣 実施いたしました場合の実收額と、今日の見込み額と、これが完全に符合するとは、これは予想いたしておらないのでございますけれども、ただいまの段階におきましては最善を尽して得た見込みでございまして、この程度でなければ、この見込み額の確保はできないという数字でございますので、お話のように、何倍ということの見込み違いは、もちろん絶対にないと考えております。政府といたしましても、何とかしてこの際でございますから、標準税率等を低くしておきたいという見地から、いろいろと計算も試みてみたのでございますけれども、先ほどからお話しております大蔵省、自治庁、さらに関係方面の專門家の調査というようなものを突き合せました結果、これ以下の税率では、予定收入を確保することができないという結論に到達した次第でございまして、実際問題といたしましては、いろいろと調整の方法も、自治的に行える面では行うことと存じますけれども、税法といたしましては、この程度に押えておくことが堅実ではないかと考えている次第でございます。
  30. 神田博

    ○神田委員 いろいろ御親切な御答弁でございますが、どうも少し私どもと立つておるところが違うように考えますので、これ以上申し上げると議論になるから、一応その点は控えますが、そこで、それならばひとつ具体的な固定資産税の方の問題についてお尋ねいたしたいと思いますが、固定資産税課税の客体を見ますと、たとえば鉱山業、こういつた方面に例を一つとりますと、これは非常に固定資産が大きいわけであります。企業の実態が、そういうような規模でなければ、これは用ができないわけでありますから、自然にそうなるのでありますが、鉱山は古くなるとだんだん固定資産がふえて来る、坑道も先に進まなければならない。ところが、御承知のように古くなるということは、埋蔵量が減つて行くということであります。そこでこの固定資産は、もちろんこれは償却のやり方にもよるのでありますが、道路の問題にいたしましても、あるいは沈澱池とか、あるいは、これはまあ坑道以外の、いわゆる鉱山を経営するに必要な一連の固定資産でありますが、こういうものは転用のきくものでもなければ、また売買の対象にもならぬと思います。掘つてしまえば、これはもう空になつてしまう。むしろ原状回復をするということになればたいへんなことになるので、持出しをしなければならぬというようなことに相なると考えるわけであります。こういうものは、もちろん非課税取扱いをなさることと考えておりますが、これらについてはどういうようにお考えになつておられますか。  さらに、鉱山のことでございますからあわせて一、二お尋ねするのでありますが、それは保安用の電力の問題であります。保安用の電力は、これはその用語自体の通りでありまして、鉱山の保安の重要な役割を持つておりますので、いわばこれは非常な公共性を持つているわけであります。こういうものも課税の対象にするということは、これはおもしろくないと思うのでありますが、これらについてもどういうふうにお考えになつておられますか。ことに最近、御承知のように産金奨励というようなことに、政府が非常に力を入れておりまして、年産十トンまで持つて行きたいというようなことで、助成をされているような面もあるのでありまして、こういう方面の国の問題を、地方の方では目をつむれということもこれほどうかと思う面もあるようにお考えになられるかもしれませんが、しかし事柄自体は、これは常識的に考えましても、課税を不適当とするものと考えられるのでありますが、これらについてはどういうようなお考えをお持ちになつておられますか。もし課税をなさるというような建前であるとするならば、大きな手落ちであつたというふうに考えますので、どういうふうに相なつておるか承りたいと思います。
  31. 本多市郎

    本多国務大臣 鉱山等の特殊な施設が、一度使えば廃物になつて、残骸価格価値がほとんどゼロになるというようなお話でございますが、この問題は実態に即するように、そうした固定資産については、減価償却を適当に認め、評価を実態に即するようにして行くことが最も大切なことであると存じます。さらに坑道の問題でありますが、ただいまのところ、坑道は固定資産の中に含まないように考慮いたしたいと研究中でございます。さらに鉱業権につきましても、これは固定資産の中には評価しないことに法律上いたしておるのでございます。さらに保安用の電力設備等で、もつぱら公益上の見地から考えなければならぬというようなものにつきましては、公益上の判断によつて課税非課税がきまることと存じますが、なお私の説明の足らない、詳細な点を、政府委員から申し上げさせます。
  32. 荻田保

    ○荻田政府委員 鉱山のうち、石炭、金、この二つに限りまして、このために直接事業所または作業所において、業務の用に使つておる電気は、電気ガス税が免税になりますので、おつしやいますような保安用の電力は、もちろん免税になります。
  33. 神田博

    ○神田委員 ちようど電気の問題に触れましたので、電力の問題をお尋ねしたいと思いますが、電気事業資産評価の今度の固定資産の問題は、どういうふうにお考えになつておられますのか、これは大蔵省の方の問題が一非常に大きいのではないかと思いますが、私が申し上げますまでもなく、税金を一方においてとるから、電力料金を値上げするというようなことに相なるようなことがありますれば、これはゆゆしいことだと私ども考えております。府県税、市町村税にも非常に関係があるようでありますし、現に水利使用料というようなものも大分とつておられるようでありますが、これらの関係はどういうふうに相なるのでありますか。詳細にひとつ説明願いたいと思います。
  34. 荻田保

    ○荻田政府委員 電気事業固定資産税評価は非常に大きな問題だと思います。先ほども申し上げましたように適正な時価によつて評価するのでございますが、ただちにこれをもちましていわゆる再取得価格そのものだというふうに解釈いたしますと、現在の企業に非常にむりだと思われますので、現在の価格からいたします收益力というようなことも、この財産の評価にあたりましては十分考慮して、適正な価格をきめたいと思つております。  それから水利使用料につきましては河川法による特殊の公益的なものでとる使用料でございますから、これは全然別に考えたいと思つております。
  35. 神田博

    ○神田委員 ただいまの政府委員の御答弁でありますが、適正でない課税をしないことはもとよりでありまして、ただいまのようにお上品な御答弁のあることはもちろんでありますが、適正な課税であつても、今日たとえば自発なり配電なんかの例を見まして、現に配当もやつておらぬような状態であります。そこで一連の事業形態の補修も十分に行われておらない。先般来大分電力料金の値上げをしたのでありますが、暖冬異変で大分黒字になつた。また反面貸金も上つたというようなことでありますので、大した余裕のあるような経営でないようにわれわれは承知しております。ことに新しい電源開発をやつて行くことになると、なお苦しい面が出て来ると思うのでありますが、今度の地方税制によつて自発あるいは配電関係において、一体どのくらい負担増加があるのか、ひとつ承りたいのであります。
  36. 荻田保

    ○荻田政府委員 電気事業全体に対します今回の地方税影響を調べたのでありますが、おつしやいますように、この固定資産税の再評価というものをいかに見るかということは非常に問題であります。一応二千八百億程度に見ましてその及ぼすところの影響が二%程度の増になつております。従いましておそらく電気事業自体に対する問題といたしましては、税の問題よりも、このように再評価した固定資産に対しまして減価償却をどうするか、それから先ほど申し落しましたが、再評価税というものは、これを別にしておりますから、今の計算に入つておりません。それとの見合いから見て、再評価をどの程度にして、減価償却をどの程度行うかということの方が問題であると思います。
  37. 神田博

    ○神田委員 もちろん減価償却をどうするかが問題でありますし、電気の問題はまた再編成の問題もありますので、その際十分研究したいと思つておりますが、二千八百億に大体査定することになりますと、相当影響があるのではないかと考えるのでありますが、これはみな議論になつて参りますのでいずれ十分資料を整えてまたお伺いしたいと思います。  もう一つ最後でありますが、承りたいのは、附加価値税の問題であります。今の税法の建前から参りますと、その会社の規模、あるいはその会社の何といいますか、構成されております面といいましようか、たとえば実態の問題とすれば業種別の問題になり、内容の問題からいえば合理化されておるかどうか、あるいはまたさらに機械を主としておるのか、人間を主としておるのかということをいささかも考慮されておらない。とにかく売上げの全額から原料費等を若干控除して、それに課税して行く、こういうような建前のように見えるのでありますが、私の調べたのによりますと、そういうようなことで課税をなさると、業種によつて非常に違つて来る。それからもう一つは、もちろんこれは企業自体の会社の内容によつてつて来るのでありますが、特に最もひどい例を一、二申し上げますと、たとえば昭和二十四年度の総理府の統計が発表になつております。日本統計年鑑を例にとつてみるのでありますが、これは業種別の単位生産額当りの所慶人員の調査ができております。生産額百万円当りに要するところの人員数がどのような構成になつておるかということの一例を申し上げますと、金属工業におきましては、百万円の生産をするには三三・六人というような人がいる。それから機械器具工業においては三七人、窯業及土石工業においては一一〇人、化学工業においては六七人、紡績においては一四七・一人、食料品工業が五六人、製材木製品工業が一〇二・六人、それから印刷製本業が七一・四人、その他の工業が一五四・三人というようなことに相なつておるのであります。もちろんこれは生産額が多いこと自体が、必ずしも利益が多いというようなことには相なりませんが、大体今日の工業経営の実態を見ますれば、一人当りの生産額の多い方がマージンが多いということは、一つの常識になつております。そこでこれらのように、たとえば金属工業が三三だ、製材木工が一〇二だ、あるいはその他の工業が一五四だ、こういうようなことが、政府のお調べになつた統計によつて現われておるのであります。これらの点をお考えにおなりになつて立案されたのであるかどうか、あるいはこれらの問題をどういうぐあいにお考えになつておられるのか、詳細なる御説明をお願いしたいと思います。
  38. 本多市郎

    本多国務大臣 附加価値税課税対象である附加価値をどう見るかという、附加瀞値の性質とか、本質とかいうものに関する御議論かと思いますが、今の生産品の価格に対する勤労者の割合をもつて、その負担力のいかんを論ずるということは、一律には行かぬと思います。たとえば非常に高い材料を用いる場合、売上げが非常に大きくなるわけでありまして、一概にそうは行かないと存じます。たとえば勤労者を非常に多数に使う場合、附加価値の分配が給与に大部分が参りますので、その面から見ますと、附加価値の配分の面から勤労者の給与にまでも課税がされるように感ぜられるのでありますけれども、その勤労者を多く使用して事業をやる事業家は、やはり附加価値を高めんがために勤労者を多く使うのでありまして、これはやはりその附加価値課税の対象であつて、勤労者に支払う給与がその附加価値の分配の面でそうなるというだけでありまして、ただいま御指摘のようなことは十分研究すべき問題ではあると存じますけれども、この附加価値税の面接の議論としては、そういう議論に基いて税率等をかげんするということは困難なことと考えております。
  39. 神田博

    ○神田委員 本多国務大臣の御答弁でありますが、私の申し上げたことが、非常に言葉が足らぬだろうと思うのであります、と申しますことは、私は日本経済が安定しておらない、それからまた現在の段階におきましては、非常に金詰まりであるという問題、工場の内容の改善をするにも金がない、そこでまあ人手をむりに使つているというのが、日本工業の一番の弱体の点だろうと思う。現に私が今申し上げた中でも、その他の工業というのが百臣万円得るのに百五十四人というものを使う。今日工場を経営するには、大体一人当り三万円くらいは働かなければ、なかなか一般の――油なんかの仕事は別でありますが、大体三万円くらい働かなかつたならば経営は成立たぬといわれておる。再五十四人で百万円ということになりますと、これはいずれも一人が七千円くらいしか働かぬということになるわけであります。それはどういうような理由から来るかといえば、結局金詰まりの問題が非常に大きく影響しておつて、そこで工場の合理化というものがはばまれておるわけなんです。またそういう工場に限つておそらく赤字だろうと思つております。特に今のようなことを全然考慮しないで、附加価値税をとつて行かれるということになると、優秀な工場ならしばらくその負担力にたえて行くと思いますが、もう赤字になつてしまつて合理化ができない。そこへ附加価値税が追つかけて来るということになりますと、日本の経済産業合理化というものをますます遅らせて行くようことに相なりはしないか。これは全部とは申しませんが、もちろんこの附加価値税によつて合理化を促進させる逆作用もあるだろうと思いますが、できるだけ人員を少くして、そうして売上げを多くし、收益を多くしようという、もちろんいい面も出ると思いますが、しかし現下の日本の生産工業の実態を見れば、私はそれらの面はきわめて少いのではないか。多くの面は附加価値税によつて押されて行つてしまう。先ほど政府委員も取引高税廃止なつたというようなことをお述べになり、事業税もなくなつたのだということも言われましたが、私どもの計算によりますと、この附加価値税というものは取引高税よりも非常に高くなり、事業税よりも高くなるような悪税のように考えておるのであります。かような税金は一体世界の国のどこで行つておられるのか。経済が安定し、日本の産業が自立して行くというような際においては、これは一つの考え方だろうと思います。各産業においてバランスのとれた経営が行われておる。こういうような前提のもとにあるなら、これはまた一つの考え方だと思うのでありますけれども、今日非常な金詰まりであつて、さらに戦争によつて受けた痛手というものはまだ取返してない。いい條件よりか悪い條件が、相当これらの弱体工場においては認められるというような段階において、こういう税制をやつて行ぐということは、これは議論にもなりますが、安定された経済の場合において初めて考え得るのであつて、日本のような今日の経済において、こういうような一つの例をとつても、どうも納得しがたい点がありますので、これらの点を十分納得できるような御説明をこの席でお願いしたいと思うのであります。
  40. 本多市郎

    本多国務大臣 一般の経済界の不況のために、納税が苦しくなるということは一般的なことでございまして、今日の税がたとえ多少減税を見ましたとたしましても、まことに重過ぎるのでありまして、これには国家全般の経費の節約等にさらに努力をいたしまして、減税の方向へ推進して行かなければならないと考えております。附加価値税に対しまして、これは従来の取引高税事業税等と比較して、さらに悪税であるということでございますが、これは御意見でございますればいかんともいたしかたないのでございますけれども、私どもといたしましては、今日までの事業税取引高税あるいは同じ外形課税でありましても、昔ありました営業税等に比較いたしまして、最も合理的な課税標準であると感じておる次第であります。取引高税でありますと、御承知のように全売上高に対して、その段階ごとに全価額についての取引高税が課せられるのであります。そういうことになりますと、何重にも全価額についての取引高税ということになりますから、取引の段階のいかんによつて税はますます負担が不均衡になる。その結果は垂直的な結合を促進することが利益であるということになつて参ります。そうした場合の中小商工業者の立場というものも考えて行かなければならぬと思います。さらにまた昔の営業税も総売上金額に対していたずらに小さな利益しか得ない大口の卸の場合にも、その外形をもつて何回でもかけるということに対しましてこの附加価値税はその企業家の手元で企業家の段階において、創造し附加されたその附加価値だけを対象としてとるというところに、最後の段階の価格についてのみ附加価値がかかるのでありまして、二重になる面がないのでございます。こうした点において取引高税やあるいは昔の営業税にまさつておると考えます。事業税に対しましては、事業税は御承知の通り純益課税でありますために、純益がなければどんな大きな規模の工場等を市町村経営いたしておりましても、税金を納めなくてもいいのでございますが、そうしたやり方をやつて行きます場合、市町村の立場がどうなるかということも、考えてみなければならぬと思うのであります。大きな会社、工場はそれぞれ公共施設の相当の恩恵を受けておるのでございます。これは土木施設ばかりでなく、児童が多くなれば学校の施設、厚生施設いろいろとその市町村から利益を受けておるのでありますから、そうした意味から規模に応じた相当の応益負担というものを設けて行くことが、地方財政の基礎を確立するゆえんであると考えておるのであります。これらを勘案してみました場合、附加価値税が従来の事業税、あるいは取引高税、そうしたものに比較して、はるかに合理的ではないかと考えるのであります。但し純然たる利益に課税する場合は、所得の中から納める税でありますから、そこに所得に応じて税をとるということになれば、負担力の点からはまことに合理的なように考えられるのでありますけれども、この地方財政財源を確保するという見地、この点と取引高税等の漠然たるというよりは、全然売上金というようなさらに二重にも、三重にもかかるという、外形標準附加価値とを比較してみますと、附加価値は外形標準ではありますけれども、普通の場合ならば売上げから仕入れを引いたその残り、その附加価値の全額とその負担力である所得とは、並行するのが常でありまして、これらの点から考えてみましても、附加価値税の方がはるかに合理的ではないかと考えております。いずれもただいまのところ、税金全体が重過ぎるというところからの御心配だろうと思います。これにつきましては、今日減税ほど必要なことはないと考えておりますので、あらゆる施策に力を注いで減税にさらに努力して行きたいと考えます。
  41. 荻田保

    ○荻田政府委員 附加価値税につきましては、現実に世界各国の例を調べたわけではございませんが、シヤウプ勧告にもありますように、これは世界に例がない。アメリカで、この事業課税についてはどういう方法課税するかということが非常に問題になつているけれども、いまだこのようなものをとつていない。しかしいろいろな面から見て、シヤウプ博士はこれが一番適当である、こういうことを言つているわけであります。なおついででございますが、先ほど申し上げましたことに言葉が足りませんでしたが、電気関係資産の額を二千八百億と申しましたのは、これは、大蔵省の資産評価法によりまする最高で、かりに計算すれば二千八百億になる、こういう数字でございまして、先ほど事情を申したように、收益力等から見まして、決してこの程度まで現実に評価できるとは考えておりません。
  42. 神田博

    ○神田委員 あまり長くなりますので、もう一点でやめたいと思います。ただいま国務大臣から、取引高税の悪税であることをるる拜聴したのでありますが、これはまつたく同感でありまして、われわれも悪税であるからこそ廃止を叫んで、今日その廃止を見てやつと安堵したところですが、私の調査によりますと、附加価値税も、取引高税に決して劣らないような感じを深くした。これは大臣の今の御答弁の片言隻句をとらえるわけではないのですが、ただいまの御答弁にもありましたように、これは言葉が違うかもしれませんが、売上げに比例して收益というものは上るという前提のようにお考えになられておるようであります。そこで私先ほどからしばしば申し上げているように、日本経済が安定して、自立してそこで出て来るというならば、これは私も考えようがあろう、今日の日本の経済、特にこの金詰まりの状態、また御承知のように生産過剰に入つている現在です。そこにこういう附加価値税をおとりになる。言いかえれば赤字会社が今は非常に多い。これはだれも赤字をするようなことを好んでやる人はないのであります。戦争の痛手が回復しない、日本経済が再建していない、そこへ持つて来て金詰まりが来ているから、これはまことにやむを得ない赤字経理の会社が山積しているわけである。そういうような際に売上げを基準にした税をとることは、再建を遅らせるのではないか、そこに私は問題があると言うのです。もちろんそれらの工場があるということは、それら市町村の有形無形の恩恵を受けるのみならず、歳出の増加を促しているわけでありますから、これは応益に相当の負担をすることもあり得ることでありますが、しかしもうマイナスが出ている。ことに工場の合理化ができない、多くの労務者をかかえ込んでいるような際に、附加価値税をこういうような規模でおとりになることは、私ども納得できない。こういう意味で実はお尋ねしているのでありまして、いろいろ伺つたのでありますが、公共団体としても所要の財政需要費というものが必要なことは、私が申し上げるまでもないと思います。しかし所要の税をおとりになるにしても、こういうような税をおとりになることは、どうであろうかということを申し上げておくのと、もう一つ、私ここで国務大臣に伺いたいのは、政府は一面において、国税においては相当の減税をなさつた。一面においては地方税において増税をなすつておられる。その一面において国税で減税をされたものは、たとえば法人税を三五%にとどめたというようなことは、赤字会社の減税にはなつておらない。もうかつた会社は減税を受けたかもしれないが、一連の山積しているたくさんの赤字会社は、これらの所得税改正によつて減税の恩恵を受けておらないのであります。そこで一方地方税におきましては、合理化された産業、順調に行つている産業と平等な課税をされている。そこに日本のこれまた一連の赤字産業の再建をますます遅らして行くのではないか。私どもの推定によりますと、赤字会社の方がたくさんあるのであつて、これらの赤字会社が地方税を相当負担する。そこで企業整備も日本経済の再建も遅らせるような結果になりはせぬか、それをおそれているわけであります。これらの点につきまして本多国務大臣はどういうようにお考えになつておるか、この事実をお認めになられるのかどうか。要するに国税は減税された、これはトータルにおいては減税されたが、赤字会社は所得税法においては減税されておらない。地方税においては赤字会社も、黒字会社も同じ負担をしいられておる。そこに日本の経済の自立という面を考えた場合に、一体均衡を得た自立態勢になつているかどうか、その点をおそれているわけであります。先ほど来、同僚委員の關君からも、いろいろわれわれとまつたく考えを同じゆうする御質問があつたようでありまして、諸般の材料もいただけるようでありますから、また同僚の方のお尋ねもまだたくさんあるだろうと思いますので、私は十分な資料をいただいてから、さらに再三再四伺わせていただきたいと思います。本日は以上の点で打切りたいと思います。
  43. 本多市郎

    本多国務大臣 ただいまの理論はよく拜承いたしました。ただいかに大企業であつても、赤字であるがゆえに、公共団体にいろいろ世話になつておりながら、一文も税金を負担しないでいることは、公共団体としてまことに困ることであろうと思われますので、その事情をよくお考え願いたいと思います。但し御心配の中小商工業におきましては、今回の税制は中央、地方を通じての一貫した税制改正でありまして、この一貫した改正によりまして、相当大巾に減税になる次第であります。その減税の恩典を受けられない赤字会社も、やはり地方公共団体の中においては、その地方公共団体の応益負担を存立の前提要件として、大いに振興して行くほかないものであろうと考えております。
  44. 藤田義光

    ○藤田委員 私簡単に資料提出をお願いしたいと思います。先ほど来神田委員の質問その他に関連しまして、再三個々事業に対する負担過重の問題が出ております。われわれの調査によると、海運は二十六倍、ガスは十六倍半、私鉄は十二倍半、ゴムは五倍、窯業は六倍、金属工業は大倍、紡績は六倍、化学薬品工業は六倍、その他固定資産税によるものすごい増税の実態が現われておりますが、この固定資産に対する主要産業に及ぼす影響と申しますか固定資産税による主要産業税率、従来と今後の税率を比較した資料がありましたら、午後口頭でけつこうでございますからお教え願いたい。  もう一つは、附加価値税のうち、特に分配所得の関連から見ました賃金と附加価値、この賃金という要素を附加価値のうらに含めたことによりまして、どれほど産業界に影響がありますか、主要産業につきまして、特に労賃のわくの大きい産業に関する資料がありましたならば、参考のために御提出願いたいと思います。
  45. 中島守利

    中島委員長 それでは午前の会議はこの程度にいたしまして、午後一時五十分まで休憩いたします。     午後零時五十一分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十五分開議
  46. 中島守利

    中島委員長 これより再開いたします。  休憩前に引続きまして地方税法案を議題とし、質疑を続行いたします。  この際お諮りいたしたいのでありますが、私病後で疲労の気分でありますので、委員長をかわつていただきたいと思うのですが、代理を私の指名におまかせ願いたいと思うのですが、御異議ございませんでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 中島守利

    中島委員長 しからば菅家委員にお願いいたします。     〔委員長退席、菅家委員長代理着席〕
  48. 菅家喜六

    ○菅家委員長代理 ただいま委員長より御宣告がありました通り、病後のため休まれますので、私が委員長の職務を代行いたすことにいたします。  休憩前に引続きまして、発言は通告の順序によつてこれを許します。岡田五郎君。
  49. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 午前中の關谷委員の質問、すなわち地方鉄道軌道に対して地方税を免除しないか、また地租を免除しないか、こういう質問に対しまして、本多国務大臣から、免除する意思がない、こういう御答弁があつたのであります。そこで私重複しない範囲におきまして、大臣の御意見を承りたいと思うのであります。大臣は国有鉄道と私鉄軌道事業において本質的に相違があるとお考えになつておるのかどうか。ただ単に一方は国営である、一方は民営であるという経営方式の相違があるのみである、こういうように御認識になつておるのかどうか。まずその点を承りたいと思います。
  50. 本多市郎

    本多国務大臣 国有鉄道が公共企業体となつて独立採算制をやつております今日におきまして、本質的な相違はないと思います。国営であるか民営であるかの違いでありまして、その間に税の差等がありますことは、まつたく民営を、圧迫するという影響があることは十分考えられるのでございます。ただ本年度国有鉄道の予算の中に税に充当すべきもの等も予定されておりませんし、さらに本年の実施の状況を見ましてから、来年度国有鉄道地方税を課するか課せないかという問題は、決定いたしたいと考えております。
  51. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 今大臣の御答弁によりますと、国有鉄道地方鉄道軌道の事業につきましては、本質的に相違がない、かように御答弁があつたのでありますが、御承知のように国有鉄道は、国有なるがゆえに国税のみならず地方税まで免除されておるのであります。しかも国有鉄道は、いろいろな社会政策あるいは労働政策その他から見まして、運賃を低運賃にしております関係上、赤字が出た場合には国庫から補助金をもらう、あるいは交付金をもらうということで、終戦後すでに五百数十億の補助金をもらつて経営しておるのであります。しかも同じ本質を持つた地方鉄道、同じ公共福祉のために事業経営いたしております地方鉄道軌道におきましては、全然補助金もなく、またこのたびにおいては、今まで免除の恩典に浴しておりました地租の免除もない。しかもかような関係から、公共事業体たる本質からいたしまして、運賃につきましては国有鉄道の運賃と比較権衡いたしまして、社会政策上あるいは労働政策上、低旅客運賃で押えられる。しかも設備において、あるいは運転において嚴重なる運輸省の監督指導のもとに公共的事業をやつておるのであります。しかもかようなむりな経営の形に置いておるがために、地方鉄道は資産を償却すべきものも償却せず、しかも午前中關谷委員が言いましたように、百六十社あるうち、やつと採算がとれておるのは三十数社にすぎない。残りの百二十数社は、現在においてさえも赤字経営を続けておる。かような実態から行きまして、またかような実態を基礎にいたしまして、不当な運賃の値上げ、いわゆる消費者へ転嫁せざるような方法を講ずる意味におきましても、やはり私は地方税の減税という面で行くべきではないか、かように考えるのでありますが、地方鉄道の経営の状態につきまして、大臣はどういうように御認識になつておりますか。御認識の程度を御披露願いたいと思うのであります。
  52. 本多市郎

    本多国務大臣 運賃が公定せられております現段階において、まことにお話の御事情はごもつともだと存ずるのでございます。ただ国有鉄道はお話にもありました通り、やはり国営でございますので、損益が国家の歳入に及ぼして来ます点、その点から税金を課しましても、結局それは政府部内の計算というものと同じようになつてしまうという点、さらにまた今度は国有鉄道地方鉄道とを比較いたします場合、地方鉄道はその創設当初、いろいろ條件そのものに変化はありますけれども、やはり有利な地点に施設というのが敷設されるのでありますが、国有鉄道は部分的には採算のとれないものも、国家的な交通機関であるという見地から、そうしたものもやはり一体として経営して行くという点において多少違いはあると思います。しかしお話の通り、今日の私鉄経営状況、さらに国鉄が公共企業体となつた今日、この運賃は結局私鉄に対して国鉄というものが、税金を負担しないという点からの差異から来る圧迫となるのでありますから、国税につきましてはただいま申し上げました通りに、従来交通税はかけておりましたけれども、今後の所得税という問題については、私はやはりこれは免税して行くべきものではなかろうかと思いますが、この所得税のない地方税は、地方自治体の財源を確保する上からも、私鉄との権衡という点から考えましても、今後十分研究すべき問題と考えております。  私鉄の今日の経営状態がいかなる状態にあるかということは、相当資料で調査をいたしております。これは国鉄との競争という点から来るいろいろな経営難、さらに地方税負担影響するでありましようし、運賃の値上げが思うようにできないという点、かりに運賃の値上げが認められたとしても、国鉄の運賃というものに牽制されますために、その経理を十分まかなうだけの運賃の値上げは、結局減收になつてその利益を上げることができないというような、まことに苦しい状況にあるとは考えているのであります。
  53. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 今大臣のお話を承りますと、大臣におきましても私鉄経営状態については、十分御認識くだすつておるようでありまして、この認識に基きまして、できるだけ早く善政をしかれんことを希望いたしまして、次の質問に移ります。  まず第一に附加価値税課税標準に対する特例でありますが、この法案によりますと、銀行金融業者その他証券業者に対しましては、総收入の三〇%を課税標準額とする、こういうことになりまして、私鉄軌道につきましては四〇%、こういうことになつておるように拜見いたすのでありますが、私は意見が相違するかもしれませんが、金の取扱業者と物の取扱業者、これは簡単にいえば運搬取扱業者であると考えるのであります。ことに鉄道その他運送業は、相当長期の耐久年限を持つております固定資産によりまして、主として人件費というか、職員によりまして物を運搬し、旅客を輸送いたしまして收入を上げておるのであります。かような金融業者、証券業者と、運送業、交通業の類似性から行きましても、私はこれらの業種と同様、交通業におきましても、百分の三十という課税標準で行くべきではないか、かように考えるのでありますが、政府の御意見のほどをお聞かせ願いたいと思います。
  54. 本多市郎

    本多国務大臣 ただいま御指摘の業種の中には、まことに附加価値という観念に入らないと思われるものがあるのでありまして、銀行業等におきましては、附加価埴という観念に入るものとは認めがたい点があります。これを附加価値税法ですべて課税するということは、概念としては少し苦しいような点もあるのでございますけれども、やはり従来の事業税の見合いとしてつくります税である点、そうしてその負担力を考えまして、適当に税率で調整いたした次第でございまして、これをどういうわけで銀行業を三〇%、あるいは運送業を四〇%にしたかという、その負担力を判定せられました基礎につきましては、政府委員から説明申しあげたいと思います。
  55. 荻田保

    ○荻田政府委員 附加価値税附加価値の計算につきまして、昭和二十五年度に限つて特例を設けました根拠を申し上げます。銀行業、無尽業、信託業保険業、このような金融業につきましては、今大臣がおつしやいましたように、附加価値という観念は理論的にいろいろ問題がございます。それと同時に計算の方法も非常にむずかしいのであります。従いましてこれの簡明を期するという意味においてこの特例を設けたのでございます。ところが同じく特例は設けたのでありますが、運送業、倉庫業等におきましてはそのような問題はございません。もつばら負担の激変を緩和する、急に附加価値税がもとの事業純に比べて、多くならないようにという趣旨でできておるのでありまして、同じく特例は設けてありますけれども、その根本の精神は違つておるのであります。そこで銀行業、無尽業、信託業、保険業につきましてこのような率を書いておりますのは、日本全体の銀行業なら銀行業につきまして、附価値に相当するものを計算いたしたのであります。そうしてその額が総收入金額に対して何パーセントになるかという数字を出したのが、このような金融業に対する率を決定いたした根拠であります。ところが運送業、倉庫業につきましては、今申し上げましたように、そのような趣旨でなくして負担の激変を緩和しよう、負担の激変と申しましても、大きくなるのを二十五年度だけ安くし得る道を開いておこう、これが趣旨でございますので、実は四〇%を用いますと、前年より安くなるのであります。と申しますのは、御承知と思いますが、現在の事業税においても運送業につきましては純益に対する何パーセントとなつていないのでありまして、特例がありまして総收入金額の二%をもつて事業税としておるのであります。それに対しまして二割の都市計画税がつきますから、結局総收入金額の再分の二・四というのが課率になつておるのであります。従いましてその率でもつて今度の附加価値税税率四%を換算いたしますれば、むしろ四〇%ではなく六〇%でとんとんの税負担になるのであります。それを、負担の激変を緩和するために、鉄軌道業については三分の一減税しまして四〇%にいたしたような次第でございます。実際問題といたしまして、運送業等の実際の附加価値を計算いたしましても、鉄道軌道等につきましては、おそらく総收入金額の五〇%以上を占めるのでありまして、四〇%にするがためにかえつて負担が安くなる。ことに運送業の中でも、特に鉄道軌道につきましては、ほかの運送業は五〇%でありますが、それを特に四〇%まで引上げておるような次第でございます。
  56. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 次に附加価値税につきまして、もう一つ御質問いたしたいと思います。このたびの改正法の附加価値税によりますと、新しい設備を購入する場合には、その購入代金総額から控除されることになつておりますが、既存設備の残存償却費相当額につきましての償却につきましては、控除をされない、かようになつておるのであります。新しい場合には全額引いてもらえる。ところが既設しておるものの償却残のものにつきましては、全然控除されない。こういう既存のものと新設のものとにおきまして、不均衡があるように考えるのでありますが、この点につきましての政府委員の御答弁を伺います。
  57. 荻田保

    ○荻田政府委員 この点は、おつしやいましたように、不均衡ということも考えられるのでありますが、何と申しましても、大きな制度改正でありますので、本年この新しい税を施行するときから一応一切のものを平等に扱つて行く。古いものも新しいものも一切平等に扱おうというような考えでできておるのでありまして、従来のものについて、減価償却をして行く方が、むしろ均衡がとれたという見方もありますが、われわれとしましては、一応全部のものにつきまして、同一の取扱いをして行く方が、均衡の問題からも、あるいは手続の問題からも適当であると考えた次第であります。
  58. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 今の御答弁につきましては、私満足いたしませんが、なお質問される委員の方もたくさんあるようでございますから、この問題はこの程度にいたしまして、次に、電気ガス税の問題でございます。今度の改正法によ力ますと、石炭製鉄、鉱山その他化学工業というものにつきましては、電気ガス税が免除されているような特例が設けられております。御承知のように、地方鉄道、軌道の動力源は、九九%近くまでは電気であります。しかもこれを唯一の動力源としておるのでありまして、その電力料は営業費の十数。パーセントにも当つておるのでありますが、ここでお尋ねいたしたいのは、どういう標準で減税される業種を選ばれ、また減税せざる業種を選ばれたのか。何ゆえに地方鉄道軌道の電気ガス税は免税できないのか。この点を御説明願いたいと思うのであります。
  59. 荻田保

    ○荻田政府委員 電気ガス税の免税につきましては、昨年電気ガス税ができまして以来あるのでございますが、そのときの方針といたしましては、どういうものを免税の対象にするかという方針につきましては、まず国民生活及び生産上、非常に大きな関係のあるもの、それから価格が公定価格等でしばられているもの、ことに価格差補給金までもらわなければやつて行けないというような事業、こういうのを標準にして選んだのであります。今年この法案を立案いたしますときに、さらにそれを現存の段階に照して考え直したのであります。この点、物価庁、通産省あたりと十分連絡したのでありますが、その後の情勢によりまして、免税をする必要のなくなつたものを取除きまして、新たにそうしたものを出したのでございます。そこでこの鉄道軌道の問題でありますが、おつしやいましたように、電気料金が原価の中の相当大きな部分を占めている。それからなお公益的な事業であるという点はわかるのでございますが、いろいろほかのつり合いもございまして、まず従前通りやはり免税にする必要がないと考えた次第でございます。
  60. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 私の質問はこれで終ります。
  61. 菅家喜六

    ○菅家委員長代理 風早八十二君。
  62. 風早八十二

    ○風早委員 初めにお尋ねしたいのは、この固定資産評価額と、その收入の見込みにつきまして、大体手元にいただきました資料で――これは念のため申し上げますが、地方自治庁財政部、地方財政に関する参考計数資料の二であります。この数字で大体間違いありませんか。お尋ねをする前に、まずこの数字を確かめておきます。
  63. 荻田保

    ○荻田政府委員 政府の見積りの根拠にいたしておりますのは、その数字でございます。
  64. 風早八十二

    ○風早委員 そういたしますと、ここで土地家屋それから償却資産、それぞれの資産価額があげてありますが、これら三者はほとんど同額に近いものであります。しかるにこの收入見込額に至りますと、土地家屋はそれぞれ大体同額でありまして、二千十数億円になつております。これに対しまして償却資産の方は、その收入見込額がわずか九十三億になつておる。もちろんこれにつきましては、同じこの資料の中で、大体明らかになると思うのでありますが、この償却費産に関しては、大体把握率というものはわずか五二%になつておる。土地家屋につきましては一〇〇%。また徴收率におきまししも、土地家屋は九〇%であるのに対して、償却資産の方は八〇%。そういうところから結局徴收見込率というもりが四〇%程度になつて来ておるようでありますが、それは大体間違いないわけですか。
  65. 荻田保

    ○荻田政府委員 この点は、けさも神田委員の御質問にお答えしたのでありますが、この資料でごらんになりまして、土地家屋に対する部分は、これは土地家屋賃貸価格が一筆ごとにはつきりわかつておりまして、それの九百倍をもつて価格と見るということでありますので、漏ればないわけであります。償却資産につきまして、これをどのようにつかまえることができるかいう問題でありますが、この表の資産価額としての見出しに、やはり一兆三千億という数字が上つておりますが、嚴密な意味におきましては、これはやり資産価額というような、土地家屋に相当する資産価額と違うのでありまして、その点は次の表にお示ししてありますように、一応現在ありまする各種の償却資産につきまして、ここに書いてありますような方法で計算しますと、一兆三千億になる。これは決して適正な時価と考えていないのであります。従いましてこれのうち、時価としてほんとうに評価すれば、どれだけの額になるかという点は、国税におきまする資産評価の進行度合い等と関連して考えなければなりません。一応それで五〇%をもつてこの評価の額と見たわけでありますが、さらに本年度におきましては、資産評価等も相当遅れますし、後半期に移りますので、地方税として徴收し得るものも、八〇%程度しかできないだろうというところで、大体九十億円という收入見込みを立てたのであります。従いましてこれがこのままの基礎を用いましても、来年度におきましては、百七十億円程反のものはとれる。つまり本年度はとれるけれども、相当徴税が年度を越えしずれるということを計算に入れてお心のであります。なお根本の一兆三千億という数字でありますが、この中にいろいろ説明してございますように、非常に仮定の数字を用いておりますので、この数字から、はたして再評価をしました場合、ほんとうの適正な時価こいうものが、どれだけになるかということは、まだ的確な資料がございませんが、陳腐化、未稼働等を考えますれば、相当内輪になるものだと思います。従いまして決して五〇%という数字は、現実にある価格を五〇%しか見ないという把握率の問題ではないのでございます。
  66. 風早八十二

    ○風早委員 そういたしますと、そもそも償却資産に関しては、この把捉ということは、まだ全然確実なものがなされておらない。こういうことになるのだと思いますが、そういたしますと、こういう一兆三千億余りの莫大な評価額をここに張り出しておくということは、いろいろ問題を含んでおるのではないかと思う。結局もしも把捉できたならば、やはりこれは五二%ではなく一〇〇%まで把捉するかもしれない。これはもつばら徴税機構の活動あるいはその裁量いかんにかかつておる。こういうふうな余地が非常に巨額にわたつて残されておるということになるのでありまして、一方では土地及び家屋に対しては、非常に不公平な――表に出ておつて、どうにもごまかされないというようなところには、一〇〇%の把捉率で、九〇%も徴收率をかけて行く。そうでない償却費産に対しては、非常にルーズな考え方というよりも、徴税機構に対して、非常に絶大な裁量の余地を与えておるという仕組みになつておるのではないかと思いますが、こういう点はかねがね問題になつており、またシヤウプ勧告では、そのものを一応見ましても、このシヤウプ勧告のねらいというものは、こういつた非常なあいまいな裁量権、結局は税務関係の役人の裁量にまかされるといつたような余地をなくして行こうというところにねらいがあるように大体理解しておりますが、そういう点から見ましても、非常にこれは問題じやないかと思うのですが、政府はこの点はどういうふうに考えておられますか。
  67. 本多市郎

    本多国務大臣 お話のような御疑念が生じますことは、ごもつともであると思うのでございますが、実はその見積りをいたしました根拠は、戦後の一定時における国内の償却資産全体を調査したものがありまして、それに物価倍数をかけて、一兆三千億というような数字が出て来ております。これが今日の国内の課税対象となる償却固定資産の時価であろうということは、一応考えられるのでございます。しかし御承知の通り資産評価法によりまして、それぞれ法人等が資産評価をいたします場合、どの程度の金額のところまで資産評価をするか、この資産評価の限度価格を、やはり固定資産税課税標準として、限度として使用いたしたいと考えておりますので、そういうことを考え、さらにまた一般的には固定資産評価基準というものを、地方財政委員会で決定いたしまして、指示したいと考えておるのでございます。でありますから、そこの五〇%しか把握できないという大きな相違は、決して行政裁量の範囲内で起きる大きな開きではないのでございまして、その資料がまことに現実に当てはまらぬかもしれませんが、こうした方法で、総括的な見積りをする以外に、よるべき資料がなかつたために、これを御参考に供しておる次第でございます。
  68. 風早八十二

    ○風早委員 しかしその点は実際営業者に対して、非常な不安を与える一つのやり方であるとしか考えられないのであります。大体政府の今考えておられることは一応わかるのであります。そこで営業者、特に営業用の資産の再評価につきまして、シヤウプ勧告案そのものと、それから政府案との間には、相当違いがありはしないかと思うのであります。その点は再評価につきまして、どういうことになつておりますか。これは具体的に私の申し上げたいことは、一方シヤウプ勧告案では、非常に営業用資産に対しては、再評価は強制的にやる仕組みになつておるように思います。政府案としては、その点は今裁量の問題と私は言いましたが、あまりやかましく考えていただかなくてもいいのですが、政府案はそこをもつと自由の余地を与えておるというような点があるように思うのですが、その点をちよつと説明していただきたいのであります。
  69. 荻田保

    ○荻田政府委員 仰せになりましたのは、国税の方の関係資産評価の問題だと思いますが、これは確かに仰せになりましたように、シヤウプ勧告では、政府は一定の限度を示して、その通りみな強制的にやらせるということでありますが、政府案におきましては、業者の自由に、自分の收益力とも見合つて、適当な評価をするということにかわつておるわけであります。しかし固定資産税については、あくまでシヤウプ勧告と同様でありまして適正な、いわゆるそのときの時価によつて評価するのでありまして、納税者が、いかにその資産を自分で評価しておるかということは、問題にしないのであります。
  70. 風早八十二

    ○風早委員 平たく言つて、これは国税の場合に特に問題になりますけれども、利益金というものが、ある企業では、またこれから相当牧益が上るという見込みのある企業では、これは再評価に耐え得るわけですが、そうでない企業はとてもたまらないわけです。それにまだあとで出ます附加価値税の問題等々がありまして、法人税軽減なんていいますが、それらをみんな引いてみたところで、莫大な新しい負担が生ずるわけでありまして、結局それらをみんな支払うとすれば、税金だけでつぶれなければならない、こういう場合において、どうしてもまず利益金というものを大体目積りましてそれから逆算で再評価をやる、こういう建前が、これは国税の場合ですが、とにかく起つて来るわけですが、固定資産税の場合には、そういうことは起り得る余地はないのか、またそういつた場合に、政府としてはどういう態度で臨まれるか、この点をひとつお答えを願いたい。
  71. 荻田保

    ○荻田政府委員 この地方税固定資産税においては、あくまで客観的な時価を基準にしまして、それに対して一定率でかけるのでありまして、要するにねらうところは、客観的に見て同様の固定資産は、その事業主がいかようにそれを使つてつても、使い方が悪くても上手でも、收益が多くても少くても、やはり同じ税を負担してもらうという考えであります。しかし客観的適正な時価と申しましても、何も機械的に算定するのではなくて、現在の経済情勢から見ましていわゆる陳腐化、あるいは未稼働というようなことは、十分考慮に入れまして、その上で客観的な基準によつて固定資産税課税標準として使つて行きたいという考えでございます。
  72. 風早八十二

    ○風早委員 それは一応政府方針とは思いますが、実際問題として、今現に政府はこの償却資産に関しては、大体捕捉そのものがきわめて困灘であることははつきりと言明しておられるのでありまして、そういうところから、私の出すような疑問も必ず起つて来ざるを得ないわけです。それは裁量の余地がないし、また裁量というようなことによるつもりはないと言われるけれども、そういう点について何かはつきりした保障、そういうことはどういうことになつていますか。
  73. 本多市郎

    本多国務大臣 よく要点がのみ込めないのでありまして、さらに質問を願いたいと存じますが、今回成立いたしました程度資産評価でありますと会社の立場としては、減価償却を計上する関係から、でき得るだけ大きく再評価したいという傾向にあるようでございます。従つて大きく再評価いたしますと、それだけ固定資産税はそれについて高くなることも考えられます。但し必ずしも大きく再評価した額を、地方税課税標準としてとるのではありませんが、それを限度として指導したいと考えておりますので、結局再評価が大きくなれば、固定資産税は高くなるという関係になろうと思います。しかしその場合、会社の立場といたしましては、償却費の方ではるかに多くの経費を計上することができますから、私はこの調節によつて、会社の立場もそう苦しくなく調整できるのではなかろうかと考えております。御質問の要意に沿つているかどうかわかりませんので、また御質問を願いたいと思います。
  74. 風早八十二

    ○風早委員 大体この固定資産の再評価ということは、シヤウプの勧告によつていよいよ具体化して来たというのは、これは事実関係でありますが、しかし実際これを日本の経済の実情から見た場合、今どうしてもこれをやらなければならないのか。これはシヤウプの勧告案では大体価値修正、とにかく価垣がかわつているのだから、それをありのままの価値に直して行くのだというところに、非常に主眼点を置いているようであります。実際価値修正のための価値修正、制度をただかえるための制度の変革、こういうものは、これは先ほど神田委員もるるこの点は強調しておられましたが、実際われわれから見ましても、同様にこの点は非常にふに落ちない。現在神田委員は自由党の通産委員長代理でありますが、明らかに五へんも六ぺんも繰返して、経済は今安定しておらない、安定しておらないこの現状のもとに、こういうことをやられるのは、はなはだこれは問題だという、問題の出し方をしておられるのでありますが、私はその点ではまつたく同様なんです。この状態のもとで、こういうようなことをどうしてもやらなければならないという、その根本的な理由を、ひとつのみ込めるように御説明願いたいと思います。
  75. 本多市郎

    本多国務大臣 資産評価の必要があるかないかという問題につきましては、これは資産評価法が成立いたしていることでございますから、その問題に対する意見はこの場合ひとつ差控えたいと存じます。一応概念的には、もう戦前減価償却後の残骸価格が帳簿上非常に少額に上つているものと、戦後に施設したものとの間において、非常な違いを生じているのでありまして公称資本金あるいは考課状を一応見ましても、会社の実態は、それがどういう年代につくつたものであるかということを見ないと、わからぬというような状態でありまして、これはどうしてもそういうところから資産評価ということが必要になつて来た結果、国会でも御決定になつたものと考えているのでございます。  さらに地方税法改正を根本的に、こうした時代にやるべきであるかどうかということに対しての御質問でありますが、これは地方税を今回提案いたしました理由にも申し述べておりますように、いかにも課税が不均衡になつておりまして、今日の地方税はどうしてもこれを根本的に改正しなければならない段階に来ていると思うのでございます。この改正によりましてこれを前提條件として各産業が立つて行くことによつて負担均衡化いたしますし、これが経済の安定にも、堅実なる復興にも、寄与することと考えているのでございます。
  76. 風早八十二

    ○風早委員 今の最後の点ですが、つまり本多国務大臣が言われました、結局地方負担均衡あるいは地方財政の充実というような点に、主として理由を求めなければならないというようなお話でありますが、これは午前中の御答弁の中にも再々その点は出ております。しかしながら実際税金というものは、これはシヤウプ博士もしばしば言つているし、また勧告案の中にもあることでありますが、大体税金が重い、軽いというようなことは、これは一概には言えない。結局その税金が何に使われるかということできまるのだ。その税金が再び国民の利益のために使われるということになるならば、決して税金は、一概に重いとは言えないはずだ、こういうことが勧告案の中にもあるわけであります。その立場から今本多国務大臣が言われました地方財政の充実、あるいは均衡化という点を、もう一ぺん考えてみますと、こうやつて地方税として莫大なる資産税その他が徴收せられるわけでありますが、それがはたしてどういうぐあいに国民の利益、また特にそれを支払う企業者の利益に帰つて来るか、この点に根本的な問題があるわけであります。シヤウプ勧告案の言われるようなふうに実際税金が使われているならば、これは別問題でありますが、実際においては使われておらない。公共土木事業費というようなものがほとんど大部分を占めておりますが、これなんかも実際それがどういうものに使われるかということについては、しばしばわれわれはこれを指摘して来たわけでありますが、それらがはたしてどれくらい企業に帰つて来るか、これは一々計算はできないでありましようが、しかし実際少くとも企業者の立場から個々の感覚からしますれば、これはもう絶対に帰つて来るものなんかはあり得ないと考えている。でありますからこの負担はまるまる負担であるというふうに考えている。そういう点からいつて、今あらためてこういつたもので地方税收入を上げるということは、やはりシヤウプ勧告の趣旨からいつても、これは矛盾していることではないかと考えるのでありますが、それこそほんとうの意味で重い税金じやないかというように考えるのであります。そういう点については、政府はこのシヤウプ勧告案のその点とにらみ合せてどうお考えか、ちよつとお答えを聞いておきたいと思います。
  77. 本多市郎

    本多国務大臣 税金が高いか安いかは、その税金がどう使われるかということを考えてきまることであるというシヤウプ氏の御意見には同感でございます。まつたくとられた税がむだ使いされているということでありましたならば、小額の税といえどもそれはまつたくむだな税であります。これは高いといわなければなりません。しかし自治体を形成して行く上において、自治体の共同の利益のために、有効に使われており、しかもそれが欠くべからざる費用であるということになりますと、少しくらい高くてもがまんができるという関係になつて来ようかと思います。それはお話の通りに考えておりますが、今回の地方税改正によつて税のわくが三百八十何億ばかり拡がるのでありますが、これが今日までの地方財政の実情から考えてみまして、まつたく必要な財源の拡張であろうと考えております。その使い道の財政計画は、総括的には資料で差上げておりますが、これがこまかく費目をわけ、各市町村のそれぞれの費目に至りますと、これが必要なりやいなやという御議論も生じて来ようかとは存じますが、総括的にはこの程度財源の拡張は、自治財政確立のために、また自治体をやつて行く上において、必要欠くべからざる財源であろう、費用であろうと考えられますので、これはただいまお話がありました、どういうふうに自治体から恩恵を受けるかということと、そうしてそのためにならば、この負担は適当であるかいなかという両面から考えまして、この程度が今日の場合均衡のとれたところであろうと考えるのであります。
  78. 風早八十二

    ○風早委員 そういうお答えでありますれば、これはこれ以上やつてつても議論になるか、水かけ論に終ると思いますが、結局一口言つておきたいの一は、こういつたような必要な大幅の、私どもから実際判断いたしまして、裁量の余地のあるこの徴税を、大体今度は市町村の役場にこれが負わされるわけであります。というよりも、市町村の役人が非常に絶大な権限を持つことができるようになる。これは結局悪くやれば、これは当然非常な悪代官ということにさせられて行く仕組みになつて行くのでありまして、こういつたようなものが幾ら大きくなつつて、それで地方自治体の拡充、あるいは堅実化、こういつたようなことは絶対言えないと思う。結局結論だけ言つておけば、本多国務大臣地方自治体の拡充なり、地方財政の充足なり、こういつたようなもののためにやられると言われるその理由は、これは私だけではない、実際多くの事業者自身も、おそらく納得は行くまいと考えます。しかしそれはこれ以上議論になりますからやめまして、もう一度なるべく簡単にいたしますけれども、元へ返りまして、一体償却資産についてのごの税金の收入見込額というものが、わずか九十三億になつております。――わずかではありませんが、しかしこれを私ども個個の大きな経営に即してみますと、たとえば先ほどもちよつと政府委員からの御説明の中にもありましたが、電気だけでもこれは大蔵省の見積りだというから、むろんこれでただちにどうこうというのではありませんが、大蔵省の見積りとしては、二千八百億の再評価を言つておるわけであります。そうしますと、これに一・七五をかけますと、四十九億円、大ざつぱに見て五十億円に近いものは、電力だけでもとれることになる計算になるのではないでしようか。そうすると九十三億の半分は、それでとれてしまう。こういつたようなことを製鉄なりその他固定資産の巨大な企業について考えてみると、これはどうもはなはだ妙な数字じやないかという、一応平面的な見方でありますが、そういうふうな感じも持つのですがこれらの点についてもつとこれはふえる見込みのものであるか、それがやはりこの把捉率のいかんにもかかつておるので、はなはだやつかいな問題であろうと思いますが、そういう点、この根拠ははなはだわけのわからないもののように見える。そうしてこの数字の部面だけから見ますと、土地及び家屋、これらは何としても別に稼働しておるわけではない、非常に陳腐化しておるといつたようなものが、多数あるわけでありますが、そういうものに対しては把捉率は一〇〇%だ、徴收率は九〇%というように非常にきつくかかつて来ておる。これらもどうもはつきりしない、そういうようなことは、先ほどの他の委員の質問にもありました通り、どうしても弱い方へたくさんかかる、これは実際固定資産税そのものの負担の配分につきましても、当然起る問題でありますが、中小の企業者にとつては、とてもたまらないものであると考えますが、そういう点につきましては大体これでやつてみるということで、済まされるお考えでありますか。
  79. 荻田保

    ○荻田政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、この償却資産の一兆三千億は、一応かりに出した基数になるような数字でございまして、決してこれが適正な時価であつて、その適正な時価でこれだけあるものを五〇%しかとらないのだという意味ではないのであります。この点は土地家屋の見積りと違つておるのであります。しからばその例にお出しになりました電気事業の二千八百億という数字でございますが、これも先ほど申し上げましたように、現在の資産につきまして、大蔵省の資産評価方式によりまして最高限度を計算すれば二千八百億程度の数字になるのでございます。はたして現在の発送電設備かこの時価通りの効果あるものかどうかということはきわめて疑わしいのでありまして、そういう点につきましては十分その稼働率あるいは陳腐化の程度等を算定いたしまして、ほんとうの時価をつかまえたいと思います。特にそのためにその中小企業と大企業との間に差等をつけるというような意思は毛頭ございません。
  80. 風早八十二

    ○風早委員 毛頭ないと言われますが、再評価の場合には、收益ということも考慮してやるということを先ほども言われましたが、土地家屋の場合にもやはりその点は考慮されるつもりですか。
  81. 荻田保

    ○荻田政府委員 土地家屋につきましてもやはり昭和二十六年度以降は、一筆々々ごとにきまして適正なる時価を評定いたしたいと思います。ただ二十五年度につきましては大臣の提案理由の御説明にありましたように、特殊の意義をもちまして現在ついております賃貸価格の九百倍という数字を一律に用いますので、ここに多少負担につきまして適当でない部分が起るかもしれませんが、それは一年限りのことでありまして、二十六年度以降将来永遠の問題を適正にするために、本年度だけはやむを得ない措置だと考えております。
  82. 風早八十二

    ○風早委員 あまり同じところを繰返しておつてもしようがないのですが、実際今年限りと言われますが、今年がやはり経済事情から見ましても、非常に大事な年なんであつて、この年に十月までには相当つぶれるといわれておる企業が、たくさんあるのでありまして、その点これは農家の場合にも同様です。特にひどいわけでありますが、そういつたような際の問題として、来年からと言われるが、来年のことはとにかくとして、今年の措置としてこれは十分に考慮される余地がある問題だということを一言つけ加えて、一応この固定資産税については打切りたいと思います。  次に附加価値税でありますが、附加価値税につきましても、大体似たような問題かいろいろと出て来るのであります。やはり今度の改正によりますと、いわゆる附加価値というものの差引計算方式といいますか、結局総売上收入から固定設備購入代金その他等々を引いたその残りというものが対象になるわけです。こういう場合、この固定設備の、むしろ毎期固定設備を購入して行くということは、それだけの購入費はこの対象から除外される、さつびかれるわけです。ところが実際問題としては、そういつた企業は、これは資本力、あるいは少くとも金融力が非常に大きな経営でありまして、そういうものがかえつて非常に負担を免れるというようなことになる。その反対に古い機械をフルに運転して行かなければ、そして何とかしてやつておるというようなものは、これはどういうことになるか。こういうものはこの古い機械、あまり能率の上らない機械に対して、やはりその附加価値税をかけられるのでありまして、これは結局弱い者、そういつたつまり真の意味での企業合理化のできないものは、これはつぶれてもよろしい、こう言われることは万々ないと思いますが、事実上そういうものはこれはつぶれるのだということは認められますか。
  83. 荻田保

    ○荻田政府委員 固定資産取得額を、取得のときに一時に附加価値税の対象から差引くという方法につきましては、シヤウプ勧告にも述べております通り、この設備の更新ということが、むしろ日本の経済再建にとつて必要であるというところから、それをこうしようという趣旨でございますが、しかしこれによつてはたしてどれだけ保護を受けるかという点につきまして、これはいろいろ考え方もあると思いますが、第一に附加価値税はいわゆる流通税的な考えに出ておりますから、むしろ固定資産取得すれば、その買つた代金の中にすでにその資産に対する附加価値税は入つておる。従つて買つた方で負担しておるという考えも出来るわけであります。また固定資産取得いたしますれば、それだけその年から、先ほどからもお話になつております固定資産税負担がかかるのでありますから、決してその固定資産取得したから、たくさん取得した者と持つていない者との間に、そう負担に不均衡が出て、このために固定資産取得しない者がつぶれるということは起らないものと考えております。
  84. 風早八十二

    ○風早委員 シヤウプ博士のその趣旨はまことにけつこうでありますが、こういつたことは日本の現在の実情から見まして、まつたく机上の空論でありまして、そんな更新ができるような業態にあるものはきわめて一部の限られた、たとえば見返資金なんかが入つて来るとか、いろいろ特典のある限られた者に限るのでありまして、少くとも中小においては、ほとんどこういうことは考えられもしない状態です。実際滞貨なんかも依然として解消しないし、これからますますまたふえる見込みもありまして、それは今設備を改善してなんというようなことは考えられもしない実情ということは、政府も御承知でないことはないと思うのですが、結局今度再評価をやるためにやる。そのためにまた――というよりも、この附加価値税なんかもやはりそういつたようなものをとるために、一応こういう制度を設けるというようにしか考えられない。先ほど事業税取引高税とのプラスに対して、附加価値税というものがうんとふえるのだというような質問もありましたが、実際問題として個個の経営に当つてみたところでは、確かにそういう事実が出て来るように思われる。でありますからみんな騒いでおる。一体自治庁では二十五年度固定資産の購入というようなものは、どれくらいに見積つておられるわけでしようか。これは初めはたしか二千四百億くらいに見積つておられたと思うのですが、その後半分ぐらいに見積りが減つたというようなことを聞いておりますが、これは現在ではどれくらいに見積つておられるわけですか。
  85. 荻田保

    ○荻田政府委員 今お配りしてあります表によりますと、千三百億見ておるわけでありますが、この数字はこれは内輪に過ぎると考えております。現に政府の二十五年度産業資金計画でも千八戸隠からのものを見ております。しからばなぜこの小さい数字を使つたかという点でございますが、これはほかの事業所得とか勤労所得等の見積りとも関連するのでありまして、この方もやはり国税の額に合せました関係上、固定資産取得額も、固定資産税の対象になります価格に合せてつくつてありますので、要するに結論を出せばよい途中の数字でございますので、一応この千三百億という数字を出しておるのにすぎないのでございます。
  86. 風早八十二

    ○風早委員 ですから結局もつと税金をとりたい、とらなければならぬというようなことになりますと、初めは二千四百億にたしか見積つておつたというのですが、それが現在千三百億、しかし千三百億では少な過ぎるように考てられるというお話で、非常に幅があるのです。どうにでもなるような感じを実際与えるのであつて、結局税金をとる必要というところから、むしろその方から今度は逆にさらにこの見積りはまたふえて行くというような危険はあるわけです。ですから結局徴税者つまり徴税機構というものが、そこでますます変な役割を特つ。実際市町村ではこれははなはだ迷惑千万だろうと思うのですが、そういう役割を持たされて来るわけです。これでとれるかとれないかはやつてごらんにならなければわかりませんが、実際この一年の間にどれだけこれから摩擦が起るか、これはもう当然政府はこれを考えておられることと思いますが、そういつたようなことをあえて見通しながら、なおかつこれをやられようという理由は、はなはだわれわれとしては納得しがたいことです。特にこの中小企業者につきましての附加価値税の問題でありますが、やはり事業税のように收益課税にしてほしいということは、これはおそらく、一般の声であると考えるわけです。こういう点で非常に形式的な形でとられるこの附加価値税というものも実際その適用において收益を十分に考慮する、つまり一般に国税の場合でもその徴税は実情に即しておる、実際その收益に即しておるという実所得にでなくして、実際の純所得に即してということは、大蔵当局としても、政府当局としてもかねがね一応言明はしておるところでありますが、この地方税、特にこの附加価値税の場合に、全然そういう收益の観点が除外されて、これに課税されるということを改められる意思があるかどうか。その点はあまり私は期待しませんが、一応ここではつきり伺いたいと思います。
  87. 本多市郎

    本多国務大臣 これはただいま提案いたしまして審議をお願いしておることでございまして、この附加価値税を純益課税事業税に改める考えがあるかという御質問に対しましては、遺憾ながら御趣旨に沿うことができないとお答えするよりほかないと思います。但し税は応能負担原則的に考えて行かなければならないということには賛成であります。しかし事業税が純益課税であつたために、非常に大企業等に対しまして、その負担が軽きに失しておつた、そのために今日まで地方財政がまことに困難であつたという事情を考えますと、この附加価値というものは純益とも並行する性質を持つておるものでございますので、こうした外形的な標準をつかまえることがまことに合理的であると考えておる次第であります。
  88. 風早八十二

    ○風早委員 結局午前中からの御答弁より以上にあまり出ないと思います。その点はなはだわれわれとして遺憾であります。地方税の問題は、結局先ほどもちよつと触れましたように、その犠牲があまりに、大きいということに対しまして先ほども結局地方自治体を強化すると言われるだけであつて、これは警察でありますとか、あるいは公共土木事業にしましても、これが往々にして、直接日本の経済再建に関係のない軍用的な大きな道路の建設というふうなものが、しかも特別に交通の開拓を今必要としないような場所に設けられる。こういつたことに相当の金が使われ、これが地方財政の大部分の経費をなしておるということになる限り、これはどうでもこうでも地方税というものを取上げることになるのでありましようが、そういうところを両面から総合的に考えて、こういつた地方税徴收、今回のこの改正が、いかに今日国民生活、また国民の心理に対して、深刻な影響を及ぼしておるかということだけは、政府に対してわれわれとして指摘しておきたいところであります。これは大体日本の産業全般につきまして言えることでありますけれども、これが特に外国資本の側から今非常に大きな打撃を受けつつあり、またこれからますますその打撃をこうむる、そういう政策が次々にとられておるのでありまして、そのためにどうしても各地方々々の機構を強化しなければならない。その場合強化というのは、治安維持といいますか、そういうふうな点が非常に濃厚になつて来つつある。そのためにこの地方税がとられるということになりますと、これはだれも地方税の納付に対して納得が行かないわけであります。そういう点は今後この税金の面でいろいろな問題が起つて来ると思いますが、その責任はどこまでもこういうむちやな地方税をどうでもこうでも財政の必要と称し、地方自治体の強化と称して、取上げて行こうという政府が、負わなければならないところであるということを最後に私は申し述べて、私の質問を終りたいと思います。
  89. 本多市郎

    本多国務大臣 せつかくのお話でございますから、最後にわれわれの考えているところを申し述べておきたいと思います。お話ではございますが、今日までの不適正、不均衡になつていた旧税制に比較いたしまして、はるかに均衡化され、合理化されるところの合理的な税制にかわるものでございまして、この程度改正では中央地方を通じまして計算いたしました場合、商工業者の税も農業者の税も、相当大幅に軽減されることになるのでございまして、ただ個々の業態、個々納税者にとりましては、負担均衡化という根本的改正でございますので、負担の変動は生じますけれども、しかし通常の状態で経営し努力して行くならば、税が今までよりも軽くなつたのであるというような認識を、十分一般に普及いたしたいと考えております。新税制のことでございますので、この税法がきまりましたならば、今回の改正趣旨、並びに全廃の新税法につきまして十分理解が行きますように指導いたしたいと考えます。
  90. 菅家喜六

    ○菅家委員長代理 運輸委員滿尾君亮君。
  91. 滿尾君亮

    滿尾委員 私も今回の税制改革につきまして、運輸の立場から二、三の御質問を申し上げたい。まず固定資産税の運輸事業に対する影響でございますが、先に關谷、岡田両委員から一応の見解が披瀝されたのでございますけれども、私は立脚点を異にしまして、見方を異にして二、三の御意見を伺つてみたいと思うのであります。  先ほどの両委員のお話は、大体国鉄地方鉄道とのバランスという見地からのお話が多かつたのでございますが、私は国鉄地方鉄道というような関連性でなく、むしろ交通運輸事業というものの持つている本質につきまして、政府当局はどういうふうにお考えになつているか。その点に関する御認識が今回の税制改革の上に、どういうふうに反映したかということをお尋ねしてみたいのであります。少し言葉は極端でございますけれども、私は交通運輸の仕事は、いわば道路に匹敵するものだと思うのであります。なるほど事業者が企業経営の形をとつておりますが、しかしそのフアンクシヨンにおきましては、公共の財産であります道路とひとしい性格を持つておるものである。社会生活に寄与する面から見ますと、これは道路に準ずべきものではなかろうかと思うのであります。先ほど国務大臣の御説明の中には、地方軌道といえども、その市町村の範囲内におきまして、いろいろと地方行政の利益を受けているのであるから、それに対して受益者たる立場において地方税負担するのは、当然でないかというお話があつたのでありますが、私はこのお考えは、確かにそれは利益を受けておりますが、むしろ見方によりましては、町村の方が交通機関の発達するごとによりまして、もつともつと大きな利益を受けておる。地方の町村自治体というものは、もし交通機関がなかつたならば、発達が非常に遅れるのであります。この交通機関の発達によつて地方自治団体の政治的、経済的、文化的一切の活動が、その基盤によつてつちかわれている。従つて私はこの受益の議論をいたしましたならば、むしろ大臣の御見解は逆転すべきであつて、とんでもないことであると思うのであります。さらに私思いまするのに、わが国のこの交通機関に対する明治以来の政策を翻つてみると、御存じの通り明治初年において鉄道固有の原則をきめ、さらに明治三十九年に現在の鉄道国有法を出した。そうして幹線交通はこれを国有の形態で行うということを原則とした半面、地方鉄道は民営とすることも苦しからずということになつた。これは苦しからずということであつて、ぜひ民営でやれということではなかつた。日本は資本主義の発達が非常に遅れておる。従つて日本の交通網を実地に発達せしむることができなかつたから、国の資本だけでは追つつきませんので民間の企業にこの道を開いた。期するところは、一刻も早く日本国民あらゆる僻陬の人々に対しましても、よき交通機関を提供するところにあると私は思う。たまたま運輸大臣がここにおられぬのは非常に残念でありますが、私はそれは一貫した国家の方針であろうと思うのであります。かようなことを考えましたときに、わが国の歴史は、過去におきまして、この交通機関の発達のために、地方鉄道補助法というものを、何十年の久しきにわたつてつて来た。これはその企業に携わつておる人を単に国家の資金を使つて援助するという意味だけではない。企業の特質といたしまして、どうしても莫大な固定資産を有し、しかも最初の三年、五年というものは、大体投下された資本に対しましてペイしない。従つてまつたく利潤を追求するだけのことで、純粋の私の企業の形態にほつておきますならば、こういう割の悪い商売に手をつける人はいないのであります。そこでどうしても建設費の金利ぐらいは国家で補助しなければならぬというところに、私は国家の業務でなければならぬ実質的理由があると思うのであります。時が移りまして今日の状態になり、この国家の補助法というものも二、三年前にやめられたのでありますが、しかしこの事業の本質を翻つてみましたときに、われわれはこの必要は今日といえども、実質的にちつとも減つておらないと思うのであります。しかるに今回のこの地方税制改革が、この企業に及ぼしますところの影響を考えますと、これは実にたいへんなことになります。先ほどの大臣のお話は――大臣でなく、政府委員の考えであつたかもしれませんが、この附加価値税負担を課しますときに、事業に急激なる変化を与えないために百分の四十ないし五十の数字をとつたのだ、こういうお話が出ておるのでありますが、今回の税制で行きますと、実に二十三年度に対しまして一〇〇%が七七九になる。ざつと八倍に税金が重課せられるようなことが、激変でないとはどういうわけであるか。政府の見解によれば、どの程度をもつて一体激変とお考えになつておるのかこれは驚くべき御意見と、私は思うのであります。ことに固定資産税におきまして、鉄道の場合に地租をとるということは私は絶対にいけないと思うのであります。鉄道の仕事は他の仕事と異なりまして、距離の観念が非常に長い空間にまたがつておる仕事であります。一箇所において集約的に生産されるとか、集約的に商業行為を営むとかいうことと、本質的に違つておる。この事情を特によくお考えいただかなければならない。莫大な固定資産を要するということ、その次には空間的にまたがつておる仕事であつて、一間所で能率をうんと上げて集約的にやることができる仕事でないということであります。こう考えてみましたときに、今回のこの税制改革は、まつたく交通運輸事業の本質というものをどういうふうにお考えになつておるのか、重大なる見落しがここにあるの、ではないか、こう考えるのであります。かような意味におきましていろいろ申し上げたいことがありますけれども、今回は最小限度地租だけは、絶対に従来通り免除していただかなければならぬと考えるのでありますが、大臣の御見解を伺いたい。
  92. 本多市郎

    本多国務大臣 交通事業が営利事業ではありましても、その公益性、公共性炉きわめて高いものであるということにつきましては、これは同感でございます。またその交通機関のために、公共団体かこれに対応するいろいろな施設をするので、公共団体から受ける交通機関の利益もあるが、しかし交通機関が設けられることによつて、その公共団体を繁栄ならしめるという関係も、まつたくお話の通りでございまして、ただ答弁の際には、その一面を申し上げたために、片手落ちになつたと思うのでございますが、その辺はよく了解して、おる次第でございます。  さらに地租の問題でございますが、固定資産税はその公共団体固定資産というものに漏れなく課税するという建前をとり、従来課税されておりました軌道税というようなものを廃しました。これも一つには固定資産税が高くなるということを考慮してそうなつたのでございます。また電柱税等も課税しないことにいたしたのでございますが、これも考慮いたした結果であり、本年度特別の緩和した計算法をとりますことも、それを考慮した結果でございます。  さらに、地方税改正のために非常に高くなるというお話でございますが、今回の税制改革はあくまでも中央、地方を通じて一貫した措置でございまして、国において国税を減税し、それだけの税源を地方に委讓して、そうして地方税を培養するということになつておるのでございまして、税を負担される方もやはりこれを総合して計算していただかなければならぬと存じます。総合して計算した場合、これはその業態によつて、従来全然事業が欠損ということになつていたために、事業税を納めていなかつたところには、附加価値税が余分にかかると思いますから高くなると思いますけれども、この法人税通行税、あるいは事業税、そういうふうなものの減免、減廃と申しますか、減じたもの、廃止されたもの等を総合的に計算いたしますと、全体的には高くならないのでございます。私どもの計算によりますと、一%ぐらいの違いであろうと考えております。しかしこれも固定資産をどの程度に再評価するかによつて相違を来して来る次第でございまして、私どもの一応の見積りにおきましては、全部総合的に計算いたしますと、それほどの違いはなかろう。さらにただいまお示しの資料は二十三年度の税と二十五年度の今回の改正税との比較でございますが、やはり二十五年に改正されたこの税法に基く税額に対応するものでありましたならば、旧税法によりまして二十五年度收入見込額を立て、それと対比する方が、旧税表の対象としては適当ではなかろうかと考えます。そうした違いから大きな差が生じておるのではないかと存じます。  またお話の御比較は、そのほかの地方税のみについての比較ではなかろうかということが考えられるのでございます。
  93. 滿尾君亮

    滿尾委員 ただいまの税收の比較につきましては、二十三年度に払いました実績を一〇〇といたしました。それから二十五年度は今回の原案によつて計算したもので、これは国税地方税両者を総合した話でございます。大体得ました資料は、運輸省の民営鉄道部の発表いたしました数字でございますから、私はこれは御信頼を願つてさしつかえないものと思います。しかし先ほど政府委員からは、われわれの今考えておりますこととよほど違つた数字の御発表があり、その資料をいただけることになつておりますから、この数字の点につきましてはあらためてお話することにして、しばらく保留しておきます。  なおただいま大臣のお話の中に、軌道税がなくなつたというお話がありましたが、軌道税の議論は、道路を使用しておつたために税金を払つてつたのでありますし、電柱税もやはり課税されるべき理由があつてそういうものが課税されておつたので、そういうものがなくなつたから、今度は一律にかけられる理由にはならないと思います。先ほどのお話によりますと、今回固定資産税については九百倍としていきなり一・七五をかける、一木で行く、その一本で行くというお考えは少しむりじやないかと思います。かように交通事業のごとき、今日の日本産業の中の最も大きな一つのグループをなしておる、そうしてかように著しい特色があり、著しい本質があるものに対して、なぜ適正なる考慮を払うことを政府は逡巡せられるのであるか。私は政府の考え方が非常に演繹的であり、実にしやくし定規的であるのでもつと実情に即して、しんしやくのある弾力のあるスタートを切らるべきじやないかと考えます。これは米国の鉄道の発達の歴史を見ましても、すべて鉄道を敷きますときには、用地はただでくれております。これはシヤツプ博士に聞いてもすぐわかるのでありますが、今日の米国の横断鉄道ができる過程におきましては、莫大なる土地を国から鉄道会社は頂戴しておるのであります。私は鉄道事業における土地の考え方というものは、他の産業における土地と違つておる、このことはほとんど実質においては私は交通の道路だと思います。道路に税金をかけるところはない。他の面につきましていろいろ税のかかるのは、私は決して一概に拒むものではない。バランスのとれた上手なとり方をしていただけば、決して異存はないのでありますが、交通事業、鉄道事業に対して、その用地に課税するという方針だけは、将来の事業の発達、過去の歴史のことを考えてもごむりなお考えではなかろうか。この画一的な標準を一齊に強行するのだというお考えを、もう少し弾力のある、幅のある見方をしていただくわけに行かないものか、その点につきまして、もう一度大臣のお考えを伺いたい。
  94. 本多市郎

    本多国務大臣 御熱心なる御意見でございまして、まことに感激いたしておる次第でございますが、この根本方針はこの際変更いたしがたい考えでございます。ただ軌道等につきましては、地方財政委員会においてこれを評価いたしまして関係市町村に配付するごとになつておりますので、その評価基準等につきましては、いろいろとそうした事情も勘案いたしまして、慎重を期したいと考えております。
  95. 滿尾君亮

    滿尾委員 もしこの土地評価せられる場合が起きました場合に、今年度はこういうことになる、今年度限りの標準としておとりになつておりますが、来年からは一月一日の時価を検討してきめるのだということをお話になつております。私はその点についてどういうことになるか、鉄道用地の評価というものが、その所在いたしております用地のすぐ近接の地価を参酌しておきめになるお考えであるかどうか。もしさようなことになりましたならば鉄道のできましたために、その付近の土地が値上りをする、それがまた自分のところにはね返つて来る、まことに不合理もはなはだしいということに相なるのでありますが、この点につきまして、お伺いしたい。
  96. 荻田保

    ○荻田政府委員 土地だけを評価いたしますれば、確かに近地を基準にしてきめますが、ただ軌道につきましては、軌道全体として評価いたしたいと考えます。つまりレール、まくら木、砂利、何から何までついたものを一体として評価したいと考えております。
  97. 滿尾君亮

    滿尾委員 地租につきましてはそういうような課税が可能であるかどうかお考えを伺いたい。
  98. 本多市郎

    本多国務大臣 ただいま次長から御答弁申し上げた通りでございますが、土地評価を別にやらないで、軌道全体として、土地をくるんだ評価を軌道についていたしたいという趣旨でございます。
  99. 滿尾君亮

    滿尾委員 それではあえてこれ以上泊死しないことにいたしまして、次の問題に入りますが、かようなぐあいにして、まことにやむを得ずして課税をせられるとするならば、私は前にも申し上げました通り、交通企業に対する国の大局的な政策といたしまして、どうして、も運賃値上げというような問題を考えなければいけない。今日までこういふ企業の運賃というものは、社会的な影響をおそれまして、いわゆる純粋の経済上の原則からはずれて、いろいろとむりがかかつております。この点につきまして、政府全体として大所高所から、善処していただくという御言明をお伺いしたい。
  100. 本多市郎

    本多国務大臣 私鉄の運賃値価上げにつきましては、実は国鉄料金の牽制を受けますので、私鉄の窮状がただ位上げだけで対処できるものではないと思いますけれども、しかし値上げで相当有利になる点も考えられますので、今回の地方税改正、電力料金の値上げ等を、その事業がどの程度に吸收できるかということも勘案いたしまして、適当な料金の改正をいたしたいと存じまして、ただいま研究準備中でございます。
  101. 滿尾君亮

    滿尾委員 これは本多国務相にだけお尋ねするのはむりかと思うのでありますが、私の考えでは、今日の地方税のかぶり方その他を見ましても、運輸事業の特質がほとんどしんしやくされておらない。千篇一律に扱われている。しかも事業の監督に関しましては、微に入り細に入り監督いたしているのであります。新しい施設をつくりましても、それを普通に使用はできない。監督官庁がこれを実地に監査いたしまして、間違いがないという見通しがつかなければ、使用を開始することもで寺きない。実に手も足も縛られている。私は過去の、日本の交通政策というものは、かように事業に対して手足を縛つている反面、必ず補助政策をとつて来た。つまり監督を厳重にすることと、補助して手をひつぱつてやることと、縦横の両面になつてバランスのとれた交通政策が行われておつた。ところが今日における日本は、監督は嚴重にするけれども、手をひつばつてやることは全然忘れてしまつている。こういう片手落らの国家政策というものはおかしいと思うのであります。従つて私は今回の税制がまことに残念な方向をとつて行きますが、反面におきまして、地方鉄道、軌通その他交通事業に対して、もう少し経営自主性を国家は考えてやらなければむりだと思います。その点につきまして、今後政府方針をもう一ぺん立て直していただきたいということを希望として申し上げておきます。  さらに今度は自動車事業につきまして二、三お尋ねしてみたいと思います。附加価値税の及ぼす影響でございますが、この附加価値税は水揚げの量に比例して利益が多いのだというお考えだということであります。そういう見方も立らますけれども、それはきわめて不正確なものの見方である。世の中の企業間にその企業構成といいますか、いろいろの態様がある。それを十ぱ一からげにして、水揚げが多いふら利益も多いのだろう、これくらい大まかな話はないと私は考えるのであります。ことに運送事業、たとえば通運事業であるとか、自動車のトラツク、バスというような方面の仕事は、労務費がその事業の中に占めている割合が非常に大きいのであります。この労務費の各企業構成員の間に占めておる関係的重要さというものは非常に大きな差がある。それを一緒にして附加価値税を考えられるということは、非常に残念なことであつて、ここでいわゆる企業そのものを推進させて行くための、他の企業において普通に見られる人件費は当然のことでありますけれども、わが国においては機械力ではやらず、ほとんど人力でやる。たとえば鉄道で到着した貨物を配達たり、また集めて来て駅へ出すというような仕事をとつて考えてみますと、これは労力というものが絶対にその本質的な要素になつておると思う。そのパーセンテージは、ほとんど八割までが労力に相なつておる。その特殊な構成というものを考えないで、今回附加価値税をやられますと、結局労働問題といいますか、労務者の実質賃金の中からこれを搾取するという、はなはだ嘆かわしい恐るべきごとに陥りはせぬだろうかと憂えるのであります。従つと附加価値税をやるにしても、世の中には商売がたくさんあるのですから、ピンからキリまで差をつけるわけにはもちろん行かぬと思いますけれども、国家がすでに免許事業として特殊の性格を公認しておるようなものについては、特別に御考慮をお払いになることかなぜできなかつたであろうか。また今からでもおそくはない。これを考慮せられる御意見がないかどうかということをお伺いしておきたい。
  102. 荻田保

    ○荻田政府委員 附加価値税については、なるべく広く同じように課税するという趣旨で立案しております。ただ原始産業と自由職業だけについて一般との差をつけたのでございまして、他は一々の事態をつかまえれば、いろいろ特別な理由もございましようけれども、それではきりがございませんので、一応その程度で線を引きまして、一切平等に扱うようという考えでできております。従いましてこれは今後も直す考えは持つておりません。
  103. 滿尾君亮

    滿尾委員 ただいまの政府委員の御答弁は、私から言わせると非常にものぐさに聞える。官僚的ものぐさという感じがするのであります。これは非常に遺憾と思うのであります。  次にお尋ねいたしたいことは、自動車税でありますが、自動車税につきましては、一台当り千五百円になつておりますが、これは従来の税金の計算から申しますと、そんなに高くはならない。固定資産税の今日の改正の普通のやり方で計算いたしますと、百分の一・七五をかけまして、千五百円見当になる。それをどういうわけで三千円にせられましたか。察するに多少受益者負担というか、道路の関係などを考えてそういうふうにお考えになつたものではないかと思うのですが、この点についてお伺いいたしたい。
  104. 荻田保

    ○荻田政府委員 自動車税の倍率は大体現在地方で行われております自動車税、同附加税、及び都市計画税、この合算の平均程度のところをとつております。ただ多少上つた気味になつておりますのは、地租家屋税、同じく財産税がすでに三倍程度に上つておりますので、そのつり合いを考えまして、この程度を適当と考えた次第でございます。
  105. 滿尾君亮

    滿尾委員 さような意味で自動車税をおきめになつたとするならばけつこうでありますが、反面におきまして、道路損傷負担金というものが道路法によつて大体きまつておるのでありますか、この両者の関連はどういうことになりますか。一つの経済行為に対して別々の法律が別々の角度から二重に税金がかかつて来るようなきらいがあると思うのでありますが、その点に対する見解を御披瀝願いたい。
  106. 荻田保

    ○荻田政府委員 この税は、今申しました財産税あるいはほかの税とのつり合い上、自動車に対してこれだけの税をとるということは、負担上適当であると思つております。道路法につきましては、これは損傷負担観念で、特に道路の受益的効果をねらいまして、自動車に対しまして負担金をとつておるのであります。もちろん将来におきましては、この両者は合せて考えて、もし適当な方法があれば改正する点は改正したいと考えております。
  107. 滿尾君亮

    滿尾委員 今度は少し方面をかえて、お伺いしたいのでありますが、市町村民税であります。これは前年度所得課税せられる趣旨であるのか、当該傍所得課税せられる趣旨であるのか、当該年度所得にかけるつもりだけれども、課税標準をかりに前年度所得にとらえたという意味であるのか、この点をお教え願いたい。
  108. 本多市郎

    本多国務大臣 その年の税でありますけれども、前年度税額あるいは所得額、あるいは税引所得額を標準として当該年度にとるのであります。
  109. 滿尾君亮

    滿尾委員 ただいまの大臣のお説によりますと、前年度所得は、当該年度所得を推測する資料として使うというお話である。そういたしますと、今年度、私が年度半ばにしてはつきりと收入を失つたときには、この年度は税金は免除になると考えてよろしゆうございますか。
  110. 本多市郎

    本多国務大臣 所得税については、実績課税的性質でやつております。そうした意味合いにおきまして、激減した場合には特別の事情による減免は行われるようになつております。
  111. 滿尾君亮

    滿尾委員 それでは今度はまた少し方面をかえまして、入湯税についてお伺いいたします。温泉宿等につきましてこの程度課税がありますことは私も至当であろうと思うのですが、たまたま市内に温泉がございまして、温泉ではありますけれども、これはまつたく公衆浴場、銭湯的性格を持つておるものにつきましては、さようなことはないと思いますけれども、ないということをこの際確認しておきたいのでございますが、いかがでございまか。
  112. 本多市郎

    本多国務大臣 それは市町村が公衆浴場として一般の利用に供しておるものについて、公益上免すべきである、とるべきでないということになりますと、これは免税してよろしいことになつとおります。でありますから、市町村においてその浴場を公益上免税するかどうかということを考えて、決定してさしつかえないと思つております。
  113. 滿尾君亮

    滿尾委員 ただいまの大臣の御答弁は少しおかしいのではないかと思うのでございます。免税するかしないかを地方自治団体にまかせるのでは、私は非常に危険を感ずるのでありまして、これははつきりとさせておかなければならない要点であろうかと思うのであります。たとえば道後の温泉に例をとりますと、いわゆる温泉宿でなく、その土地に生んでおる人が銭湯の意味で行くふろがあるとすれば、そのものに市町村の決議で入湯税をかけられるということになつたら、たいへんなことになる。私はさらに伺いたいことは、入湯税というものは、ふろに入る行為にかけるのか、浴場という設備を利用することに課税するのか、この点をはつきりとせなければならないと思うのでありますが、政府の御所見を伺いたいのであります。
  114. 本多市郎

    本多国務大臣 これは入湯税ですから、お湯に入ることだと解釈していただきたいと思います。その土地の人たらの入浴のために設けられておるものというようなものでありましても、その土地の人でない人も入る場合もあるかもしれません。そこで土地の人たらが入るものについては免税するというようなことを、その地方々々の状況によりましてその地方できめることはさしつかえないと思います。ただこれは公益上の趣旨からでありますが、ただどのふろは入湯税がかかる、どのふろは入湯税がかからないということを、法律でもつて一律に規定して行くということは、なかなか困難であると思いますので、その地方団体におきまして、その温良のある町の住民が日常利用するために入るというようなものについては、その土地で解決がつくことではないか考えます。
  115. 滿尾君亮

    滿尾委員 どうも大臣の御答弁はちよつとひつかかると思うのですが、具体的な例でひとつ申し上げる。私は道後の温泉を申し上げたのはあまり適当ではなかつた。たとえば私の郷里の鹿児島の市内でございます。人口約二十万の、普通の県庁所在地の中流の都市であります。ところがこの鹿児島市内に妙なことには温泉が数箇所湧出しておるのであります。これはまつたく銭湯と同じ立場にある温泉でございます。確かに温泉なんです。熱湯が地下から噴出しております。従つて火はたいておらぬのであります。これに入湯税をかけるかどうか、これが入湯税のカテゴリーの中に入るかどうか、これは大問題でございまして、もしこういうものに税金がかかるとなれば、非常に奇怪しごくのことになる。なぜなれば、金があるものは自分のうちでふろに入るのは税金はかからないのに、金のない人聞が銭湯に行くたびに税金がかかるようなばかなことが起きた日には、とんでもないことでありますから、私は地方税法の基本的な性格にかんがみまして、この点は明確にして、やはり地方団体の運用にまかせなければいかぬ。初めからこれをあいまい模糊たる状態に置いて地方団体の決議にまかせるという行き方は、中央の法律といたしましておかしいと思う。ぜひこの点を明確に御答弁いただきたい。
  116. 荻田保

    ○荻田政府委員 具体的の例をお伺いしますと、まことに、ごもつともと思います。そういう場合には、おそらく市町村が條例をつくるのでありますからそういうおかしいようなことは市町村がつくらないと思います。しかしもし御心配でしたら、われわれといたしましても、地方に対しましてこの運用についていろいろ指示しなければならぬと思いますが、そのうちに入れてもさしつかえないと考えます。
  117. 滿尾君亮

    滿尾委員 政府委員は少しおわかりになつたようでありますから、ぜひその点については、この法律法律として公布されますまでの間に、誤解の絶対に起り得ないよう措置をつけていただきたいと希望して一応これは終ります。  次に荷車や人力車の重税のことでありますが、実は自転車に税金をかけるのもちとどうかと思つておるのでありますが、これは従来の慣例もあり、また日本に自転車がたくさんございまして、一挙にこれをはずした日には、税收入の上から穴の明くおそれもあるということで、それはまあまあと思つてがまんをいたす考えでありますけれども、その次の欄の荷車のたぐいであります。牛馬が牽引いたしますものは、これはある程度さしつかえなかろうかと思うのでありますが、人間がひつぱる程度荷車、あるいはリヤカーのごときにまで課税するということは、あまりにこまかいものを拾い上げ過ぎておられるのではないか。過去においてもしかような税制をとつておる市町村がありましたならば、むしろこの画期的な法律の出ましたときに、これこそまつ先に廃止すべき税金ではないか。反面におきまして芸者の花代が五〇%も位下げしておる。もしこの荷車の税金やリャカーの税金をやめることによつて收入上穴が明くならば、私は芸者の花代を五〇%まけるのを三〇%まけて、これらの税金は廃止すべきではないか、わが国国民大衆の立場に立つて考えた場合に、人間かひつばる程度の車に税金をかけるのはちとどうかと思う。またわが国民が、ことに農村等におきまして、まだ実はリヤカーや手車の類の利用が足りない。この車を日常生活にだれもが所有し、だれもが利用するようにならなければ、私は国民生活の能率が上らないと思う。この角度から申しましても、もつと手車、荷車を普及させなければならぬ、かような意味におきましても、この税をおやめになる御意思はないかどうか、お伺いいたします。
  118. 本多市郎

    本多国務大臣 自転車税荷車税等につきましての御意見、並びに今後の改正の方向としては、まことに同感でございます。ただ従来もありました税でありますし、この面ばかりでなく、相当今日の税というものは各方面にまで重きを免れないのでございまして、まだ均衡上これをこの程度にどうしても残しておかなければならぬと考えて提案いたしておるのでございますが、また一面これをこの法律上はずしました場合にどうなるかと申しますと、結局法定外の独立税として、かえつて不統一に課税されるというようなことも考えられますので、今の段階におきましては、負担均衡というような面から、この程度を残すことはやむを得ないことだと存じております。しかし将来の減税、免税が行われる場合の方向といたしましては、まさにお話の通りに進むべきであろうと考えております。
  119. 滿尾君亮

    滿尾委員 荷車税、リヤカー税につきましては、ぜひさらに御考慮をいただきたいと希望を申し上げまして、次の問題に移ります。  今度は広告税でございますが、広告税の中のポスターの税金でありますけれども、一枚三十円、五十円かかつたりつぱな色刷りのポスターでございますれば、十円の税金を払うのに何ら異存はないのであります。しかしながら電信柱に紙切れをちよつと張りつけたいというような軽易なるポスターというものかある。こういうものに税金をかけられることになると、これはたいへんなことになると思うのでありまして、このポスターにつきまして定義を明確にせられる必要があるように思うのでありますが、政府はどういうふうにお考えになつておりますか。
  120. 荻田保

    ○荻田政府委員 ポスターの一個について十円とございますのは、これは標準税率でございますから、その程度の低いものにつきましては、もちろんこれより低い率でもつてつてさしつかえないと思います。
  121. 滿尾君亮

    滿尾委員 いや、私は無税を主張するのであります。ポスターのある限度をきめて、ある限度以上のポスターに課税するということでなくてはならぬように思うのでありますが、政府委員の今の御説明では、ちよつと焦点が違うように思います。ある程度以下のポスターを免税せられる意思はないかどうか、お伺いしたい。     〔菅家委員長代理退席、大泉委員長代理前席〕
  122. 荻田保

    ○荻田政府委員 もちろんポスターといいます以上は、相当のものを考えているのでありまして、今具体的にどうとは申し上げられませんが、特に単なる張札程度のものは税をかけない趣旨でございます。
  123. 滿尾君亮

    滿尾委員 これも審議の過程におきましてでき上りますまでに、もう少し明確な御処置をとつていただくことを希望して一応打切ります。  最後にもう一言だけお伺いしたいのでありますが、先般来入場税軽減されまして、三月一日から相当な軽減を見ました。これは国民みな富んでおるのでありますが、ここに非常に奇怪な現象が起つた。たとえばある映画館におきましては、税金が五十円安くなつた。私どもはほんとうに入場料が百円のものが五十円になるかと思つておりましたところ、その入場料はとたんに七十円になつた。税金は五十円軽減した。しかし税の軽減されました瞬間に、営業者は実質入場料を三十円上げたわけです。そして税の軽減された五十円を三十円の負担軽減の形で公衆に接したわけであります。もらろん入場料は届出か何かでございましようから、やむを得ないと思いますが、法律的に見ます限りは、あるいはそれでよいのかもしれない。しかしせつかく政府がこれだけ税制を考えて、税金の負担軽減するという措置をとりましたその瞬間に、その減税の効果のかなり大きな部分を、一挙にして減殺するような現象が行われることは、非常におもしろくない。それでは減税の趣旨は徹底しない。従つてかようなことにつきまして、今度の税制の中に大分安くなるものがございます。たとえば芸者の花代は五〇%安くなつても、料理屋がそれだけ勘定をよけいつけ出せば、客の負担はちつとも減らない。こういうようなばかなことが起らないように、何らか措置される御用意がありますかどうか。大臣の御答弁をいただきたい。
  124. 本多市郎

    本多国務大臣 これは料金等の統制のはずれておりますものにつきましては、そういうことを阻止する方法はなかなかないと考えまするその実質的なサービス内容等によつて実質的な競争と、観客あるいはお客のそれに対する選択と申しますか、そういうことで自由競争的に減税を受けるという以外には、法律的には考えられないと思います。
  125. 滿尾君亮

    滿尾委員 価格の統制がはずれたらやむを得ぬというお話でありますが、どうもそれは少し智恵がなさ過ぎると思う。この法律の附則でもつて、下げたものは、あまり長い期間はいけませんけれども、たとえば三月なら三月、この減税した瞬間の価格をかえることを得ずという附則をつけたらどうか。それが半年、一年になりましては、事業の自立性を阻害するおそれがありますけれども、少くとも一月でもよいから、そのままそれをやらせる必要がある。そうしなければ、せつかくこれだけの減税をやるということの精神が徹底しない。だからぜひそういう附則をこの際おつけになることをお願い申し上げまして、私の質問を終ります。
  126. 大泉寛三

    ○大泉委員長代理 ただいま小金義照君がおりませんので、大西禎夫君の発言を許します。
  127. 大西禎夫

    ○大西(禎)委員 私は同僚の運輸委員の諸君からすでにたびたび申上げましたので、はなはだ恐縮でありますが少しく重複するきらいもありますが、非常に大切なことと存じますので、お伺いをいたしておきたいと存じます。  運賃関係につきまして、特に私鉄状況について御認識が少いのではないかと私は思うのであります。運賃はおしなべて非常に安いのであります。これを私鉄の例にとつてみますならば、標準年度に対して、私鉄の旅客運貸というのは六十六倍であります。今ごろ、他の物価におきまして、標準年度の六十六倍程度のものはほとんどないのでありまして、非常に安い。これに対しまして反面、人件費は百七十五倍、物件費におきましては二百三倍というような数字が出ておるのであります。従つて私鉄の困憊というものはその極に達しておる。これはすでに北海道の拓殖鉄道がやれなくなつてやめた。それからまた今非常に問題になつております京軽鉄道の問題は御承知の通りであります。それでこれが非常に運賃が安いにもかかわらず、一般には安いというような観念は出ておらないのであります。その理由というのは、私ども考えますに、日本における割引運賃の異常なる制度ということに帰せられると思うのであります。これが八割五分ないし九割を引いておりますところは世界中どこを見てもございません。三割引程度なんでございまして、従つてこれをカバーしますために、普通旅客運賃というものは、必ずしも安くないというようなことになつておるのであります。従いまして、この旅客の運賃に対する安いという同情はあまりないのであります。この辺が政府が非常に誤られておるというふうに私どもは考えておるのであります。何がゆえにそういうふうな大きな割引をして来たかと申しますと、これは私ども十分わかりかねますが、ひつきようするに、強度の社会政策的な意味からこういうようなことを国鉄でやつた。それを私鉄にしいて参つた。こういうことであると思うのであります。従いまして、先ほど大臣が言われました、こういう面におきましては、私鉄といわず、国鉄といわず、社会に対する公共的な貢献というものは、非常に莫大なものがあると考えるのであります。これあるがゆえにやつて行けない。国鉄赤字を出しておるという一因もここにあると思うのでありまして、これと同等にやつて行かなければならないという私鉄の現在の状況は、まつたく今後どうやつてよいかわからない程度になつておるということは、百七十三社のうちで二十社ばかりかようやく黒字を出しておる。残りの三十社程度がようやくとことん程度にまかなつておるという現状を見てもわかることであります。     〔大泉委員長代理退席、菅家委員長代理着席〕  そこで先ほどから大臣の御答弁を承つておりますと、国鉄私鉄というものが競争関係にあるがために、この点において税を課せられたものと、課せられないものが競争をして行くということは不合理である。そうして国鉄に税を課せなければ、私鉄にも課せないのだ、また反対も同様だというふうなことは御認識になつておるように拜聴したのであります。そこで私はこの点についてお伺いしたいのは、先ほど御答弁の中に、国税はともかくとして、地方税に関しては一年経過を見て、国鉄状況を見て善処したいというふうなお話があつたのでありますが、大臣の考えとしては、はたして今後国鉄状況がよければおかけになるという御意思があるのかどうか。その辺をまず承りたいと思います。
  128. 本多市郎

    本多国務大臣 お話の通り私鉄の今日の大きな困難の原因は、やはり割引にあると考えております。国鉄の方におきましては、遠距離の客の料金で相当緩和することができますが、私鉄は多くが近距離客であり、その大部分が割引に該当する、しかも割引率が実に大きな割引であるために、ますます芳しくなつておるという実情は、私も了解できるのでございます。こういう関係にありますので、せめて国鉄とも料金も均衡がとれ、さらにまた税負担の点においても均衡かとれるようにするということは、これは私鉄のまつたく公共的な立場から考慮しなければならぬ点であると考えられます。またさらに地方税の面から考えますと、国鉄といえども、やはり地方団体の中に停車場、軌道等を敷設しております場合、その地方団体国鉄のために負担するものは、私鉄の場合とかわりないのでありまして、地方公共団体財源を確保するためには、やはり国鉄に対しましても、その地方団体より便宜を受ける、利益に応じた応益負担理由のあることと考えられます。今回の免税の範囲等を考慮いたします場合、いろいろと意見もあり、研究もいたしたのでございますが、本年は予算等の関係もありまして、とにかく国鉄には課さないということにいたしましたが、この問題につきましては関係方面にも相当意見があり、われわれといたしましてもさらに研究して、結論を出すべきものと考えております。この問題は、今回設置されます地方財政委員会におきまして研究いたしまして、決定せられることでございますが、私の個人的意見並びに自治庁方面の意見といたしましては、特に公共企業体にもなつておる今日、私鉄との権衡上、また自治体の財政確保という見地から、将来は負担せしむべきではないかと考えております。
  129. 大西禎夫

    ○大西(禎)委員 今大臣の御意見を承りますと、理論的には私鉄国鉄というものを、同じスタンド・ポィントにおいて処理して行くのだというようなお話を了承いたしたのでありますが、私考えますに、実際問題として国鉄に税を課するというようなことは、政治面からも考えまして、簡単にできるように思えないのであります。今の国鉄の内一審から申しましても、それから他の物価に及ぼす運賃の問題から申しましても、そう簡単にできがたいとわれわれは考えるのでありますが、もしこの点について今年はまず国鉄にかけないということはわかりましたが、今後におきましてはかけるにしても、かけないにしても、少くとも地方税関係においては、大体同様な扱いをするのだというふうに解釈してよろしいのでありますか。
  130. 本多市郎

    本多国務大臣 地方税関係におきまして同様な扱いにするかしないかは、かけるか、かけないかにかかるのでありますが、私鉄もともに免除するかという点につきましては、むしろ私鉄もかけて負担していただきますが、国鉄負担していただく。そういう方向へ進みたいと存じております。現に実質的に国営であります公団等にも、地方税は課することになつております。
  131. 大西禎夫

    ○大西(禎)委員 今の御議論を承りますと、公益性に関する問題については、全然その税の操作でもつて考慮はなさらない、こういうふうなお考えでありますが、結局とるべきものはとるのだ、だから当然上げさせるものは上げさせて営業ができるようにする。そうして税として徴收すべきものは徴收するという、非常に理論的な線でお進みになる、こういう御趣旨でありましようか。重ねて承りたいと思います。
  132. 本多市郎

    本多国務大臣 公益性につきましては、附加価値税等におきましては、一種、二種等の区別によつて多少の税率上の区別もできますけれども、結局地方財政確立という見地から、やはり固定資産税等は公団にも課しておる状態でありまして、固定資産税附加価値税もやはりとる方針で進みたいと考えております。
  133. 大西禎夫

    ○大西(禎)委員 大体お考えのほどはよくわかつたのでありますが、先ほど政府委員の御答弁の中で、課税容体の価格算定においての処置云々というような点をお話になりましたが、その点を十分考慮していただきたい。これは非常な公益性のもので、やめるにはやめられぬ、やつて行くに行かれぬ、そうして非常に今後の償却金額がとれないという点。それからまた一面におきましては、施設が非常にそまつになり、従つて交通事故が非常に起つて来るだろうというような点を非常に心配しておるのであります。この課税標準でありますが、課税客体価格を算定するにあたりましては、そういうあらゆる面を十分御考慮に入れていただいて算定せられんことを希望して、この質問は終ります。  なおこれは簡単な質問でございますが、お尋ねいたしたいのは、この附加価値税につきまして鉄道事業と、軌道事業と、自動車関係、特にバスでありますが、これが標準が違うのであります。この理由はどういうのでありましようか。
  134. 荻田保

    ○荻田政府委員 軌道事業につきましては、国鉄との関係からこれを特に下げたような次第であります。
  135. 大西禎夫

    ○大西(禎)委員 今の御答弁、何のことをおつしやつたのであるか、わからないのでありますが、私のお尋ねしておるのは、どういうわけで一方は四十、一方は五十というふうにされたのか。鉄道、軌道というものを特に明記して、自動車の方は入れてない、こういうことをお尋ね申し上げたのであります。
  136. 荻田保

    ○荻田政府委員 先ほど御説明いたしましたように、現在の総收入金額の二・四%、この率と均衡を得ますと、今度の附加価値の特例は百分の五十でちようど一緒になるわけであります。しかし鉄道事業及び軌道事業につきましては、国鉄との関係がありまして、今お話の出ておりましたような国鉄が免税になるというようなこともございますので、特に鉄道事業と軌道事業につきましては、一〇%下げて四十としたような次第であります。
  137. 大西禎夫

    ○大西(禎)委員 国鉄との関係において四十に下げられたというのでありますが、今のバス事業というものは、おおむね私鉄業者がやつておる事業でありまして、その点私どもには解しかねるのでありますが、同じ全社でもつてバスと電車をやつておる、そうして一方だけ下げてやる、それは国鉄関係において下げてやつたのである、こういうようなお話でありますが、私鉄業者としては、下げていただくなら全部下げていただきたいというのでありますが、そういう国鉄との比例からというので、理論的な理由がないといたしますならば、そういうふうにしていただきたい。この点はもう少し詳しく御説明を願いたい。
  138. 荻田保

    ○荻田政府委員 なおそのほかの理由といたしましては、先ほどからお話になつております、軌道に対しまして非常に安い軌道税しかかかつていなかつたのでありますが、これが一躍鉄道、軌道事業につきましては、固定資産税として重い税がかかりますので、このことも考えまして、この分だけ特に一〇%安くしたような次第であります。
  139. 大西禎夫

    ○大西(禎)委員 私ちよつとわかりませんでしたが、それはそれといたしまして、午前中に政付委員からのお話によりますと、鉱山などにおきましては、公益上の、たとえば保安電気装備とかいうようなものについては、非常に免除の措置その他をとろうというようなことでありますが、同じくごの保安装置の電気装備につきましては、私鉄関係にはずいぶんあるのでありますが、これについてはどういうふうにお考えになつておられますか。
  140. 荻田保

    ○荻田政府委員 午前中に電気ガス税の免税について申し上げましたが、保安であるからとか、何であるからという問題ではなく、石炭と金鉱、この二つを掘り出す鉱山用の電気に対しましては、保安用でも、そのほかのものでも、全部免税にするというふうに申し上げたのであります。従いまして特に保安用であるから、あらゆる事業について電気税を免税するというような考えは持つておりません。
  141. 菅家喜六

    ○菅家委員長代理 通産委員小金義照君。
  142. 小金義照

    ○小金委員 私は本件についてはごく技術的なこまかいことだけを伺います。但し私は中座いたしておりましたので、その間同僚議員から質問が出て、お答えになつておれば、その由をお答えくだされば、私は速記録を拜見いたしますから、時間の関係上そういうふうにお取扱いを願います。固定資産税に関する問題であります。この要綱の第二、一から四まで掲げてありますが、その下に運営要領というのがあります。その中に「償却資産とは左に掲げるものとすること」その中にいろいろ列挙してあります。そのイ、ロ、ハのロに「ドツク、橋、岸壁、棧橋、軌道、煙突、その他土地に定着する土木設備」これは土地に定着する土木設備でありますから、溝とか、川とか、道路というようなものはもちろん入ると思いますが、それはいかがです  か。
  143. 荻田保

    ○荻田政府委員 そういうもので法人税所得税の計算上減価償却の対象にするものはもちろん入れます。しかしお話と違うかもしれませんが、鉱業用の道路、それから堤塘とか、それはもちろん免税でございます。
  144. 小金義照

    ○小金委員 ここでひとつお尋ねしたいのは、午前中あるいは総括質問の中にあつたかと存じますが、鉱山の坑道です。特に炭鉱の坑道は、九州方面においては相当長く延びております。この坑道はどういうふうな扱いになつておりますか。
  145. 荻田保

    ○荻田政府委員 これは午前にお答えしたのでございますが、坑道は大体鉱業権の一部と見まして、無形固定資産と考えまして、固定資産税の対象から除外いたしたいと考えております。
  146. 小金義照

    ○小金委員 そうしますと、坑道に敷いたところの中の鉱石、鉱物を運び出す軌道については、どういうふうな処置をとられますか。これは相当遠距離に延びておりまして、しかも相当な年限がたつておるもので、その方から除かれるかもしれませんが、その坑道の中に敷設された軌道はどうなりますか。
  147. 荻田保

    ○荻田政府委員 これは課税の対象になります。ただおつしやいましたように、すでに年限がたつて、もう効果のないものは別問題であります。
  148. 小金義照

    ○小金委員 これは九州の炭鉱――北海道も同様でありますが、相当距離が延びておりますので、これにうつかり税をかけられますと、ことに石炭なんか裸で出るものはたいへんな負担になるのですが、その辺のお見通しはいかがですか。あるいは実際かける場合において調節するか、自治庁の方でさせるという方針でありますか、その点を伺いたい。
  149. 荻田保

    ○荻田政府委員 廃鉱になつたと申しますか、そういうところで現に使つていないような軌道は、もちろん評価の中に入りません。入れるものにおきましても、評価にあたりましては收益力等を考えまして、適当な評価をいたしたいと考えております。
  150. 小金義照

    ○小金委員 廃止しておる坑道または軌道については問題ありませんが、現に使つておるものも相当長く延びておりますから、鉱産物の価格に相当著しい変化を来すということは、他の産業に及ぼす影響も大きいので、十分この点は実際の運営に当つて御留意を願いたい。その他二、三ありますが、時間の欄係上私はやめます。
  151. 菅家喜六

    ○菅家委員長代理 運輸委員石野久男君。
  152. 石野久男

    ○石野委員運輸委員 の同僚がもう相当質問をしておりますので、私は重複を避けて簡単に二、三質問いたしたいと思います。  まず固定資産に関してでありますが、賃貸価格の九百倍に資産評価をするということ、そうしてその資産評価基準とした償却資産の基本価額の算出につきまして多分にその評価が率を下まわつたところでされておるということについては、さきに風早氏から非常に裁量、処置の領域を残しておるものであつて、疑義を持つという質問があつたのであります。この点についてはやはり私も同様疑問を持つのでございますが、特に運輸関係といたしまして、船舶に関しまして若干の質問をいたしたいと思います。固定資産税の第三百四十八條第二項第十号にこの税を課さないものとして、「船舶公団が所有する船舶及び産業復興公団が所有する償却資産」というものは一応課税の対象から排除されておる。このことはそれだけで非常に意味がよくわかるのでありますが、この問題と関連いたしまして、当局がこういう項目を設定するにあたりましては、今回四月一日から実施されることになつております三月三日付のスキヤツピンの内容を十分に含めて、いわゆる海運の民営ということを含めた意図において、こういう條文がつくられておるのかどうかについて、まづお尋ねいたします。
  153. 荻田保

    ○荻田政府委員 そのことは考えた上で立案しております。
  154. 石野久男

    ○石野委員 そういたしますと、日本の保有船舶量の大部分が、ほとんどこれに、該当しない償却資産になつてしまう結果になるのであります。スキヤツピンの内容が、日本の海運民営というものに対して、非常に大きな危機をもたらすということは、すでに政府当局も十分承知のはずでありますし、しかも海運業者にとつては、特に最近は地方税法改正を非常に重視いたしております。このときに一方船舶公団等が所有する船舶といいますと、帰還業務等に従事する船舶でございまして、ごく少数の船舶でございます。他のほとんどの船舶がこの課税対象になつて来ることから見ますならば、政府のこの税の設定の趣意というものは、日本の産業の更生再建に対して、どのような意図を持つておるかということを私は非常に疑うのであります。私はそのような意味において、政府はなぜこういうような設定の仕方をいたしましたのかということについての理由を、この際明らかにしていただきたい、かように思います。
  155. 本多市郎

    本多国務大臣 おつしやいます矛盾を生ずる点を御指摘願いたいと思います。どういうことで矛盾を生ずるとお考えになつての御質問でございますか。
  156. 石野久男

    ○石野委員 その理由はすでに船舶民営によりまして、多くの場繋船トン数が出て来ることははつきりしております。このときに一般の公団所有の船舶というものは、ごく少数しか残らないことになるのでございますが、そのものに対しては、一応やはり課税排除されるわけです。ところがその繋船されるような船主に対して、船舶業者の方から見ますれば、過重な課税負担されると見られる税法が実施されること自体が、海運界を一層強く政府が税金でもつて窮地に追い込んでしまうというような矛盾が、この税法の中に含まれおるわけです。われわれはこういう意味からスキヤツピンの内容を十分承知した上で、こういう処置をされておる政府の気持がわからない、その真意を聞かしていただきたい。
  157. 本多市郎

    本多国務大臣 この点はさいぜんから軌道についてのいろいろ議論も出たのと同じことであろうと思うのでございまして、やはり固定資産は漏れなく課税対象とするということが、地方税の一貫した原則でございまして、またこれが船舶公団の所有であれば地方税がかからぬ、民間に移管さしたらかかるということは、やむを得ないのではないかと存じます。
  158. 石野久男

    ○石野委員 その点についてやむを得ないことだというふうに大臣は言うのでありますが私は非常に疑義を持ちます。船舶が民営に移されたからやむを得ないのだということで済まされるということは、はたして今度の税が日本の財政均衡をより確実なものにして行こうという立場から、なされておるものだといたしましたときに、非常に疑義があるわけであります。なぜならば、そのことによつて日本の海運界が一層強く窮迫化されて来るからであります。この点はもしお聞かせ願えるならば、こういうようなきめ方をしなければならなかつた何らかのほかに原因なり、示唆があつたのであるかどうかということを実は承りたかつた。そこまで大臣に聞くのはいいか悪いかわかりませんが、しかし最近では世界の海運界に出て行く日本の船舶の事情、あるいは世界の荷動き、国内の荷動き自体を見ましても、ますます船はつらい立場に追い込まれて行つておる。これは陸運における鉄道あるいは軌道、あるいは運送事業等も同じでございまして、そのような意味で私はこの固定資産税の中で、特に課税対象から排除されておる第三百四十八條第二項第十号の設定に疑義を持つておるのであります。しかしそれ以上のことを私は大臣からちよつと承りにくいようでございますから、その点は一応おきます。  次に附加価値税の問題について若干の点でお聞きしたいのでありますが、この附加価値税の設定に関しまして政府はどのような意図がなされたかということについて、まずお聞きしたいのであります。
  159. 本多市郎

    本多国務大臣 従来の事業税並びに特別所得税等の見合いとしてこの税が考えられたのでございますが、従来のそうした税に比較いたしまして、この税によることが課税の適正、また負担均衡化が得られる。さらに一面地方財政の基礎も確立することができるという観点から、この税を選んだ次第でございます。
  160. 石野久男

    ○石野委員 附加価値税の持つ内容が、主としていわゆる固定資産等設備の更新に使われたものの以外のものになつて来るのでございまして、その課税内容が多分に二重課税になるという疑いを私たちは持つておるのでございます。そのことは純利益から附加価値にその課税客体が拡大したことによつて、特に勤労所得税などの税の二重課税の疑義を持つておるのでございまして、これはおそらく同僚の各委員から、すでに何度かお尋ねになつたことであろうと私は想像するのでございますけれども、私の聞いておる範囲ではまだ十分に納得いたしませんので、勤労所得税附加価値税との関係について、いま一度承りたいのであります。
  161. 本多市郎

    本多国務大臣 これはきわめて間接的にはそうした理論も立つことと存じます。たとえば従来の取引高税にいたしましても、勤労所得税を払つたその金を消費する場合に、またその消費価格についての取引高税がかかるとすれば、勤労所得税についての二重課税ということが起るかもしれません。この附加価値税は、取引高税のように重複課税をしないというところに、実は長所があると考えております。取引高税は取引のたびごとに全価格についての税が課せられるのでありまして、その何段階かにわたりますか、たとえば五段階であれば、原価とその段階における附加価値と合計した額に五回重複にかかるということになつて参りますので、これこそまつたく二重、三重課税になると存じますが、附加価値税はその段階ごとに附加されたその価値についてのみ課税いたしますから重複にはならない。この点から税としてはまことに長所のある課税標準ではないかと考えております。その勤労所得に対する二重課税になりはしないかというお話の点、おそらくお考えになつておられますところは、附加価値の中から給与が払われる、給与として支払われない前には附加価値である。その附加価値課税することは、給与として支払わない前にそれ総体として課税されるから――給与を含む金額の附加価値として課税されるから、これが二重になるじやないかということになりますと、物件税はたいていみな営業経費のような性質を持ちまして、あらゆる経費の面に影響して行きますから、そういう理論も成立つかと存じますけれども、しかしこれはどこまでもその勤労者に支払われたものを対象とするのでなく、その支払われる前の附加価値でございます。勤労者を多く使用して事業をやりますというのは、その附加価値増加せしめんがためにやるのでございまして、この附加価値を対象としてやるとは、それだけ負担力も一応あると見ることができるのでございます。ただいまの御質問の要旨は、多分私の申したような点から二重課税ではないかと言われたのではないかと存じますけれども、一般営業経費的性質を持つてその給与の面にも影響を及ぼすであろうということは、これまたやむを得ないことと考えます。
  162. 石野久男

    ○石野委員 附加価値税が元の事業税だとか取引高税というものとの関係からいたしまして非常にすぐれた税の内容を持つているのだという大臣の説明に対して、なかなか納得行かないものがあるのでございますけれども、いずれにいたしましても、この疑義については私だけでなしに、多くの人々がなかなか理解できないのじやないかと思う。ことに物件に対しましてほその都度かかつておるのだから、むしろ労力費よりも一層そういうことが言えるのだという大臣の今の御説明でございます。これまたさきに政府委員が設備の更新をやり、設備の再建のために固定資産取得したときには、すでに税がかかつておるのだから、それは附加価値税としては排除するのだというような説明を同僚にもしておりましたので、そういうようなことから考えますならば、附加価値税をかけられたその中からあるいは労銀を払つたり、あるいは賃貸料を払つたりするようなときに、それに課税するということについての疑義は当然残るのでございます。しかしこれはこれ以上お尋ねすることはやめます。  次にお尋ねいたしたいのは、これらの地方税改正によりまして起る運輸事業に対しての総括的な影響でございますが、これは固定資産税あるいは附加価値税とか、すべて陸運海運のいずれに対しても大きな影響をもたらして参りまして、特に私的企業等におきましては、その経営が困難になるということが言われておるのでございます。さきに滿尾委員からも、国税及び地方税の比率が、二十三年度に比較して、約七倍ないし八倍に及ぶということを言つておりました。しかしその算数の出し方が二十三年度であるからいけないのだという大臣の答弁でありましたけれども、ここに本日いただきました自治庁からのいわゆる負担比較を見ましても、地方税における増加額というものは、昨年度の――現行の約倍になつておることは事実でございます。これは七、八倍まで行かないけれども、明らかに倍になつております。国税の方に若干の減少を見込みましても、約七〇%ないし八〇%までは増加しておることは明らかだろうと思うのでございます。その上に私は先ほど来言つておりますように、償却資産等におけるいわゆる裁量処地が残されておるということの危険が、将来これらの企業に対してどういうようにかかつてくるかということを考えますときに、政府がただいま説明しておるような非常な安易感をもつて見過すことはできない。従つて大臣が先ほど説明しておりましたように、運輸関係、特に私鉄関係においては、早晩その料金の値上げをしなければならないというようなことも言われておりますし、また海運界等におきましても、すでに運輸省の海運海運調整部等で出しております資料を見ましても、明らかに税制改革後における運賃に及ぼす影響というものは、当然その値上げをしなければならないということをうたつておるのでございます。このような意味合いからいたしまして、私は政府がはたしてこれらの鉄道、あるいは海運等に対する今後の処置どいたしまして、早急にその料金値上げ等の処置を講ずる考え方を持つでおるかどうかということを、はつきりいま一度確認しておきたいと、こういうように存じております。
  163. 本多市郎

    本多国務大臣 ただいま地方税の運賃料金等に及ぼす影響経済安定本部において研究中でございまして、それが事業者において吸吹すること困難であると思われる場合は、値上げの処置をとらなければならぬと考えまして、準備中でございます。
  164. 石野久男

    ○石野委員 午前中に自由党の神田委員からも言つておりましたように、今日の経済界はまだ安定してないということも言われております。それからまた先ほど同僚の滿尾委員が、たとえば入場税の減額が行われた後に、かくかくしかじかの事態があつた。また遊興飲食税の減税が行われたとしても、それがどういうような事態になるかわからない。従つてやはりこの税法改正によつて起るであろういろいろのことを勘案して、それに対する減場税の処置が十分に効果を現わすような処置を政府はとる考えはないかと言つたときに、大臣は、自由競争的に処理されなければ、法的に何らそれを処置することはできないというようなことを言つておられます。これらのことを勘案いたしまして、すでにこの税制改革自体が相当むりを押しておるものであるというふうに私は考えるのでございます。この税法は非常にむりを押して、現状の日本の経済の実態に即応しないものを、しいて強行しておるというふうに私は考えるのでございますが、これに対する考え方を承つておきたいと思います。  なお、このような事態のもとにおいて、税法の実施を六月一日以降、五月一日以降というようなふうに規定し、あるいはまたほんとうにそれを徴税するのを来年の一月一日からとかいうふうに、非常に急いだ税の実施の仕方をいたすわけでございますけれども、われわれがかつて炭鉱国管案等を実施いたしましたときの経緯にかんがみましても、新しいこうしたなれない税法を実施するにあたつて、今すぐこれを実施するということは、いろいろなトラブルを日本の経済界、あるいは日本の再建の途上にもたらすものであるという危惧を持つのでございます。従つて私はこの際政府といたしましては、こういう法案が本国会においてどういうような経緯をたどつて審議されるかわかりませんが、実施されるについては、少くとも一箇年間くらいの猶予期間なり、準備期間というものを置く必要があるのじやなかろうかというふうに考えるが、この点についての大臣の御所見を承つておきたいと思います。
  165. 本多市郎

    本多国務大臣 まことにごもつともなる御心配であると思うのでございますが、今回の税制改正は、御承知のごとく、国税地方税を通じての改正であり、国家の財政計画、地方財政計画は総合的に計画をされておるのでございまして、どうしても同時に改正しなければ、必ず不均衡な面を生じて一層の支障を来して来るものと考えられますので、この際ぜひ同時に改正いたしたいと存じております。ただこの地方税が、根本的な改正でありますために、十分な御認識をいただくことができず、そのために実質以上の心配を国民の皆さんにおかけしておるようにも考えられるのでございます。これは理解さえ行きましたならば、従来よりもはるかに適正課税となり、均衡課税となるのでございますから、現にそれぞれ準備もいたしておりますけれども、これが成立いたしましたならば、さらに一段と納税者国民に対しまして、認識を深めるように努めたいと考えております。この税法をはたして地方が本年遅滞なく実施し得る力があるかどうかという問題につきましては、これはシヤウプ勧告以来、地方もそれぞれ研究準備をいたしておりますし、今日までの地方税に対する相当の熟練もいたしておりますので、支障なくこれを運営し得るものであると考えております。また政府といたしまして、も、さらに徴税職員等の養成等にも心をいたして行きたいと考えております。
  166. 石野久男

    ○石野委員 私はこの程度で質問をおきたいと思うのでございますが、ただいまの大臣の答弁によりますと、非常に徴税の見通し等についても楽観論を述べておるのでございますけれども、しかしわれわれが実際に二十四年度の税の問題それ自体を取上げて見ましても、非常に混乱が地方に生じております。おそらくこの地方税法が新しい形で実施され、それが十分に納得せられないという事態、それからこれの及ぼす影響が、政府が非常に減税になつたということを言うにもかかわらず、事実上においては非常に大きな負担を各方面に与えるということから見まして、そういうような楽観的な立場にあつたならば、おそらく所期の目的は達せられないだろうということを、私はつけ加えて御忠告を申し上げたいと思います。私の質問は終ります。
  167. 菅家喜六

    ○菅家委員長代理 他に御質疑はありませんか。――大泉寛三君
  168. 大泉寛三

    ○大泉委員 運輸、通産の両委員会にも関係がありますので、この際お伺いしたいと思います。それは固定資産評価標準資産価値に置くのか、またはその場所に固定させた資本をいうのか。いわゆる鉱山、鉄道または発電所というような、立地條件がきわめて違う場合に、先ほどもちようど鉱山の問題も出ましたが、鉱山の目的は結局その鉱石を掘り出す、あるいは石炭を掘り出すというところにあるのであります。ところがだんだん掘り拔いて行くというと、そこに長い鉄道も敷いて行かなければならぬ、また発電所もその通り。遠くからこれに水路を設置しなければならぬ。また鉄道のように本来ならば平坦なところに鉄道を敷けばごく簡単であるが、そこに難工のあるトンネルも敷かなければならぬ。こうした、目的に反するような、いわゆる投資をしなければならないという場合には、これをいわゆる固定資産評価基準にされたら、まつたくとんでもない話になる。われわれの希望としては当然これははずすべきものであるとこう思うのでありますが、この希望的な自分の質問に対して、ひとつこの希望に沿うような御答弁を求めたいとするのが、今日の私の質問であります。
  169. 荻田保

    ○荻田政府委員 まことにごもつともなお尋ねでございまして、原則といたしましてはその財産の価格によることになります。しかし今おつしやいましたような、すでにつくつてしまつた以上はどこにも持つて行きようがない。たとえばダムだとか、鉄道のトンネルとか、そういうものにつきましては、もちろんこの收益力というものを強く見て時価を評定するというふうに取扱つて行きたいと思います。
  170. 菅家喜六

    ○菅家委員長代理 他に御質疑もないようでありますから、本日はこれをもつて散会いたします。     午後五時二十分散会