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1950-04-29 第7回国会 衆議院 地方行政委員会大蔵委員会文部委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十九日(土曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員   地方行政委員会    委員長 中島 守利君    理事 生田 和平君 理事 大泉 寛三君    理事 川西  清君 理事 藤田 義光君    理事 久保田鶴松君 理事 立花 敏男君    理事 大石ヨシエ君       河原伊三郎君    川本 末治君       菅家 喜六君    小玉 治行君       高橋 英吉君    塚田十一郎君       床次 徳二君    大矢 省三君       門司  亮君    池田 峯雄君   大蔵委員会    理事 岡野 清豪君 理事 小山 長規君    理事 西村 直己君 理事 河田 賢治君       大内 一郎君    甲木  保君       鹿野 彦吉君    高間 松吉君       三宅 則義君    内藤 友明君       宮腰 喜助君  早稻田柳右エ門君       田中織之進君   文部委員会    委員長 長野 長廣君    理事 岡延右エ門君 理事 高木  章君    理事 圓谷 光衞君 理事 水谷  昇君    理事 松本 七郎君       淺香 忠雄君    柏原 義則君       佐藤 重遠君    千賀 康治君       渡部 義通君  出席国務大臣         国 務 大 臣 本多 市郎君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 荻田  保君         文部政務次官  平島 良一君  委員外出席者         地方行政委員会         專門員     有松  昇君         地方行政委員会         專門員     長橋 茂男君         大蔵委員会專門         員       椎木 文也君         大蔵委員会專門         員       黒田 久太君         文部委員会專門         委員     横田重左衞門君     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方財政平衡交付金法案内閣提出第一八四  号)     —————————————
  2. 中島守利

    中島委員長 これより地方行政委員会大蔵委員会文部委員会連合審査会を開会いたします。  私が先例によりまして委員長の職務を行います。  地方財政平衡交付金法案を議題といたします。本案につきましては地方行政委員会ではすでに提案理由説明を聴取いたしたのでありますが、本日の審議の便宜上、本案に対して政府よりその概要について説明を聴取した後、質疑を行いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中島守利

    中島委員長 それではこれより政府説明を求めます。
  4. 小野哲

    小野(哲)政府委員 大臣にかわりまして、私から地方財政交付金法案概要につきまして、簡單に御説明申し上げたいと存じます。  この法律案提案いたしました理由といたしましては、地方公共団体自主性徹底し、地方自治の活発な運営を期待しながら、積極的にその発展をはかりますことは、国政民主化基礎をつちかう必然の要請でありまして、これがためには、一面地方自治制度自体の整備を行いますとともに、他面これに即応した地方税財政制度を樹立いたしますことの緊要なることはもちろんでございます。しかして地方税財政制度確立基本方策といたしましては、第一に、地方団体に対して豊富潤沢な財源を與えることであり、第二に、地方收入の根幹でありますところの地方税につきまして、その税制を十分自主的かつ自律的なものたらしめることでございます。第三に、すべての地方団体を通じまして、少くとも合理的かつ妥当な自治活動を行うだけの財源は、これを保障しなければならないということにあると存ずるのでございます。  経済社会の進展に伴う経済力都市集中と、人文の発達に伴う地方団体行政活動分野の拡張とは、近時一般趨勢でありまして、その結果強力な財政力を持ち、軽少な地方税負担のもとに豊富多彩な自治活動の可能な地方団体を生じます反面、貧弱な財政力のもとに、住民に過重な税負担を課しながら、最少限度行政施設すらも営み得ない地方団体を見るに至りますことは、この間の趨勢に伴う必然の現象であります。このためわが国におきましては、富裕団体貧弱団体との間の財政力均衡化し、もつて地方団体財政の基盤の確立をはかるため昭和十五年の中央地方を通ずる税制改革に際し、つとに恒久の制度として、地方配付税制度を創設し、爾来今日に至るまで、常に地方団体間の財源調整手段として、はたまた地方団体に対する財源付與手段として、不十分ながらよくその機能を発揮し、地方自治同上発展に資するところ顕著なものがあつたのであります。しかして地方配付税制度は、その財源の一事を地方団体課税力の強弱に逆比例的に、他の一半を地方団体財源需要の多寡に正比例的に配分しつつ、課税力一定限度を越える地方団体には、これを交付しないことにして参つたのであります。  元来地方財政調整と、地方団体自主性確保とは、両立しがたい性格をもつものでありまして、地方配付税制度運用にあたりましては、地方団体自主性確保を重点的に考えて参りましたため地方配付税配分方法も可及的にこれを簡素にし、地方配付税配分ため必要とする各地方団体課税力財政需要測定にあたつても、ひたすらこれが当該地方団体財政運営自主性を制約しないよう留意して参つた次第であります。これがため反面各地方団体間の財政調整は不徹底ならざるを得ない欠陥もまた有しておつたのであります。しかしてここにまた国庫個々経費についてあるいは一定額負担し、あるいは一定額を補助するという理由も見出されて、大小数百種類に及ぶ補助金負担金の生れて来たゆえんがあるのであり、これがしばしば地方団体行政に無用な干渉を加える動因となつて参つたのであります。  しかしながら地方団体をして事務を行わせる以上は、地方剛体をして創意くふうを盡させる道をこそ選ぶべきであり、これを妨げる干渉の道は強く排除するよう努力されなければなりません。しかし真に地方団体を強力ならしめ、自治運営を活発ならしめて参りますためには、すべて公共的な事務事業は、單に一地方利害にとどまるもののみならず、全国的な利害に連なりますのも、また原則としてすべてこれを地方団体の実施にゆだね、しかもその負担とその責任のもとに執行せしめて行くことこそ必要でありますし、これがためには、干渉動因は排除しつつも、すべての地方団体を通じてこれらの事務事業を実施して行くための必要かつ最小限度財源は、完全に確保して行けるだけの財政制度を打立てる必要が生じて来るのであります。  よつて政府におきましては、地方自治確立を企図するシヤウプ使節団の勧告の趣旨にかんがみ、かつは今般地方税財政制度根本的改革を試みる機会に際し、個々の雑多な補助金負担金を通じて行う自治干渉ないし中央支配の道は敢然これを排除し、地方団体が自主的にその財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を尊重しつつ、従来の財政均衡化方式に画期的な変更を加えるとともに、課税力及び財政需要測定方法を精緻周密ならしめることにより、総合的な地方財政調整徹底を期し、別途行います地方税制改革と相まつて、すべての地方団体に対し、真に地方自治本旨の実現に資するにふさわしい財源を供與することによつて地方行政の計画的な運営を保障し、もつて地方団体独立性を強化することを目途として、現行地方配付税制度を廃止し、新たに地方財政平衡交付金制度を創設することといたしたのであります。これが本法案提出いたした理由であります。  以下、法案内容概略について申し上げますと、まず第一に、この交付金制度地方財政均衡化方式でありますが、これは一定方法によつて、各地方出体ごと測定した財政需要額と、財政收入額とを比較し、財政需要額が、財政收入額をこえる額を補填するという方式によつております。この方式をとりますならば、各地方団体財政需要額財政收入額とが的確に捕捉される限り、財政均衡化趣旨はほとんど完璧に達成せられると存ずるのであります。  第二に、毎年度交付すべき交付金総額は、一定方法により測定しました当該年度における財政需要額が、財政收入額をこえると認められる地方団体の、その超過額見込額合算額基礎として定めることといたしまして、その算定は、地方団体並びに国の関係行政機関に必要な資料の提出を求め、これを参考として地方財政委員会が行うことといたしております。  地方財政委員会がその総額算定いたしますと、たれを国の予算に計上するように内閣に勧告し、内閣において、これを変更して国の予算に計上しようとするときは、あらかじめ委員会意見を求めなければならないことといたしております。しかして内閣がこの総額またはその算定根拠変更した場合におきましては、委員会が勧告した交付金総額算定根拠等予算に附記することといたしまして、委員会内閣とその意見を異にする場合において、その意見を直接国会に対し提出する機会を保障しているのであります。  第三に、交付金は、その総額を各地方団体基準財政需要額基準財政收入額を越える額に按分して算定いたします。基準財政需要額と申しますのは、地方団体がその目的を達成いたしますために、合理的かつ妥当な水準において地方行政を行う場合に要しまする経費のうち、補助金負担金手数料等の特定の收入財源とする部分を除いたものの所要額を言うのでありまして、その算定は、地方行政相当数種類に分類し、それぞれの行政に要する経費測定するために定めた測定單位数値單位当りの費用に乗じて行うことといたしております。この場合測定單位数値は、実数をそのまま用いないで、これを一層的確に財政需要測定ができるようにいたしますために、人口密度寒冷積雪度等一定事由を参酌してこれを補正したものを用い、また單位当費用は、道府県または市町村ごとに、委員会がその実態につき調査し、一定標準的條件を備えた地方団体が合理的かつ妥当な水準において地方行政を行う場合におきまする各測定單位單位当りの費用基礎として定めることといたしております。  基準財政收入額は、各地方団体間の徴税状況により交付金交付の公正を失することのないようにするため当該団体法定普通税收入見込額を、一定基準税率により客観的に捕捉したものを用いるとともに、その基準税率は、地方財政弾力性を残し、かたがた地方団体徴税意欲の減退を防止するため地方税法に定める標準税率の百分の七十に相当する率を用いることといたしております。  しかしてこの交付金算定は、主として按分の方法によりますため一定期日の現在における地方団体について算定する必要がありますので、これを毎年度四月一日とし、その期日地方団体廃置分合境界変更がありました場合には、交付金決定額につき、それぞれ必要な変更措置を講ずることといたしてしております。  次に、地方財政平衡化徹底を期しますためには、各地方団体課税力及び財政需要の捕捉の完璧を期することの肝要なるは論をまたないところであります。しかして現在の課税力、なかんずく財政需要に関する研究の段階においては、一般的な方法により千態万容の個々地方団体につき、すべてこれを的確に捕捉いたしますことは、遺憾ながら至難の現状にありますので、この欠陥を補う趣旨におきまして、昭和二十五年度及び昭和二十六年度の暫定措置として、交付金総額の十分の一に相当する額をその総額とする特別交付金を設けることとしたのであります。特別交付金一般測定方法によつては捕捉しがたい特別の財政需要があること、交付金の額の算定期日後に生じた災害等ため、特別の財政需要があること、その他特別の事情があることにより、交付金の額が財政需要に比し過小であると認められる地方団体に対して、この事情を考慮して交付されるのであります。なお交付金は年四回にわけ、特別交付金は年一回に交付することといたしております。  以上が交付金総額決定並びに交付方法概略でありますが、交付金は、地方財政均衡化上必要欠くべからざる制度であるといたしましても、なお国が一定基準に基き、地方団体交付するものでありますため、その性質上、收入自主性において欠くるところがあり、またその運営のいかんによつては、地方自治中央集権化的傾向を誘致するおそれなしとしないのであります。このため、この制度地方自治との調和をはかる趣旨におきまして、第一に、その総額は、地方財政均衡化機能を果すに、必要な限度とするとともに、その運営は、内閣に対して十分その独立性を保持し、かつ地方団体利益を容易に反映することのできる構成をとりますところの地方財政委員会をして行わしめ、またその交付方法は、これに関する主要な規定は、すべて法律をもつて定め、細目の規定といえども、可及的に委員会規則において定めることといたしまして、これを公示して、周知徹底をはかり、中央政府による地方自治干渉支配の余地を極力排除することといたしております。  第二に、国は、地方自治本旨を尊重し、交付金交付にあたり、あるいは條件を付し、あるいは使途制限するがごときことは、一切これを行わないことをもつて、この制度運営基本方針の一といたしております。従いまして、地方行政種類ごと財政需要測定いたしますが、これは原則として、平衡交付金交付額算定ための便法にすぎないのでありまして、これによりまして、ただちに各地方団体歳出計画一定のわくをはめるものではありません。交付金使途地方団体の自由にゆだね、交付金もまた一般財源一つとして、これを縦横に駆使しながら、地方団体はその実情に最も適合した行政総合的運営に遺憾なきを期すべきものと存ずるのであります。  第三に、交付金の額の算定基礎につき、不服がある場合には、審査の請求を、また交付金を減額し、もしくは返還せしめられる場合には、異議申立てを認め、もつて地方団体利益の保護をはかることといたしますとともに、委員会がその権限を行使する場合に必要があると認めるときは、関係地方団体について聽関することができることとし、また委員会が行いました交付金の額の決定、または減額返還等処分について、関係地方団体が十分な証拠を添えて、その決定または処分が衡平または公平を欠くものがある旨を申し出たときは、公開による聽聞を行わなければならないこととし、聽聞の結果、その申出に正当な事由があると認めるときは、その決定または処分を取消し、または変更しなければならないことといたしまして、交付金制度運営の衡平と公正を期することに十分な配慮をいたしている次第であります。  なお本制度は、従来の均衡化方式に画期的な改変を加えたものでありますために、その十全な成果を收めますためには、今後とも地方経費及び收入測定方法につき、さらに研究を加え、交付金計算がますます客観的な基礎に置かれるように、今後一層努力を継続して参りたい所存であります。  最後に、地方財政平衡交付金制度の創設に伴い、地方財政法の一部に必要な改正を行うことといたしております。  以上本法律案提案理由及びその内容概要につき説明いたしました。何とぞ愼重御審議の上、すみやかに可決せられんことをお願いいたします。
  5. 中島守利

    中島委員長 これより質疑に入ります。質疑通告順によつて許します。岡文部委員
  6. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 この平衡交付金標準義務教育費の問題は、不可分の問題であると言われておつたのでありますが、仄聞するところによりますと、標準義務教育費法案は、本国会には間に合わないというふうに承つておるのであります。もしそういう場合には、いかなる方法によつてこれをカバーするか、まずその点を承りたい。
  7. 小野哲

    小野(哲)政府委員 お答えを申し上げます。平衡交付金法関係の深い標準義務教育費確保に関する法律案の点でございますが、標準義務教育費確保に関する法律案取扱いにつきましては、その主務官庁である文部省がやつておりますので、この間の事情等につきましては、むしろ文部当局から御説明をいたす方が適当ではなかろうか、かように存ずるのでございます。政府といたしましては、もちろんこの間の調整をとりまして、従来十分に検討は加えて参つておるのでございますが、以上の点につきまして、もし機会がございますならば、文部当局から、この間、その後の取扱い等についてどうなるか、またどうする見通しがあるかということをお聞き取り願えますれば、幸いに思う次第でございます。
  8. 平島良一

    平島政府委員 文部当局といたしましては、皆さんも御承知の通り、特別の法律措置をとりたかつたのでありますが、それはいろいろな点から、この国会に間に合わないことは、まことに遺憾であると存じておりますので、もしこれに間に合わなければ、次の臨時国会にでもこの法律を通していただきまして、その完璧を期したいと思うておるのでありますが、私どもといたしましては、この平衡交付金法だけでは標準義務教育費に対しまして十分であるとは考えておりません。
  9. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 これは自治庁にお伺いしたいのでありますが、標準義務教育費確保に関する法律で所期した單価が、はたして財政委員会で作成する教育財政標準費算定されることが確保されるか、これについて、その自信のほどを承りたい。
  10. 荻田保

    荻田政府委員 平衡交付金法に、交付の際の基準にいたします基準財政需要は、先ほど提案理由説明にもございましたように、各種の経費を全部合理的に算定いたしまして、それによりまして單価を、地方財政委員会規則をもちまして定めることになります。目下合理的な数字検討中でございますが、それによりましても、義務教育費に要します経費が、今回地方財源一般的に増加しましたので、それに応じますだけの財源確保することができるようになると考えております。
  11. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 過去数十年にわたつて義務教育費国庫負担法によつて確保して来ましたところの教員教育費の保障を一挙に撤廃する結果になるのでありますが、教員給料不拙いや教員整理等の問題が、これがために起り、地方教員に動揺を生ぜしめるがごときおそれはないかどうか、その点について伺いたい。
  12. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいまお話がございますように、もし教職員の給與等につきまして、いろいろ影響があることになりますと、まことに遺憾な次第でございます。私ども標準義務教育につきましては、きわめて重要であるということを十分な認識を持つておりまするし、また地方団体におきましても、おそらくその認識に欠くるところはなかろうと思うのでございますが、その点につきまして、なお今回の平衡交付金法に基きます運用にあたりましては、十分に戒愼をいたし、齟齬のないように努力いたしたい、かように考えております。
  13. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 憲法第二十六條には、義務教育は無償とすると規定しておるにもかかわらず、市町村教育に充つべき必要経費を他の費用に流用する結果、教育経費がいよいよ父兄寄付金等に依存するというがごとき好ましからざる傾向を生ずるおそれはないか、この点に対してお伺いしたい。
  14. 小野哲

    小野(哲)政府委員 御指摘のように、わが国教育制度の画期的な改正に伴いまして、あるいは割当あるいは強制的な寄付等方法によりまして、寄付をとつたことは事実であろうと存じます。今回地方税制度改正に伴いまして、地方団体に対しましても、相当適正な財源が付與されることと相なりますので、ただいままでのわが国地方制度改革に伴います一つ欠陥として考えられておりました財源不足等が、ある程度補い得ることになるのではなかろうかということを期待いたしております。従いまして、この点につきましては、御心配のないように、また寄付等につきましても、極力一般財源に諸般の経費を仰ぐという方向に向つて政府としても努力を続けて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  15. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 この標準義務教育費法というものは、直接教育関係者はもとより、P・T・Aの関係、あるいは地方自治体の長、あるいは父兄のすべてが重大な関心を持つておるのでありますが、先ほど文部政務次官の言明された通り、どうも本国会においては成立不可能というふうに言われておるのであります。これはわれわれ文部行政の一端をになう文部委員としては全員が強くこの法律のできることを望んでおるのでありますが、文部当局はこの次の臨時国会等にこの法律を出すというかたい決意を持つておられるかどうか、その点をもう一度承りたい。
  16. 平島良一

    平島政府委員 ぜひ出したいと考えております。
  17. 塚田十一郎

    塚田委員 ただいまの問題に関連して、ちよつとお尋ねしておきたいのであります。この平衡交付金法の第三條の第四項に、国は交付金交付にあたつては、この使途制限をつけてはならないということをはつきり書いてあるのです。第三條の第四項の考え方と、標準義務教育費確保に関する法律というものの考え方と、政府はどういうように調和をとれるとお考えになつておるのか、その点をはつきり聞かせていただきたい。
  18. 荻田保

    荻田政府委員 平衡交付金法交付條件をつけたり、使途制限いたしまして、地方自治本旨をそこなうようなことは、一切国はいたさないということをはつきりしておるのでございまして、これに反しますような措置は、この平衡交付金法に言われております趣旨と矛盾するわけでございます。でありますが、法律をもちまして、特にこの原則を破りまして、別の仲遂についての制限を伴うような立法をいたしますことは、一般法特別法関係によりまして、可能であると考えております。
  19. 中島守利

  20. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は地方財政平衡交付金に対しまして、数点にわたつて質疑を行いたいと思います。本法案によりまして、地方に新たに平衡交付金を相当出さなければならぬと思いますが、今の政府考えでは、どのくらいの町村にお出しになるつもりでありますか。その内容がわかつておりましようか、わかつておれば、一応最初に承りたい。
  21. 荻田保

    荻田政府委員 平衡交付金わけ方は、法案にございますように、基準財政需要額基準財政收入額を超過いたします地方団体に対しましては、すべて交付されるわけでございます。はたしてしからば、その基準財政需要の方が、基準財政收入より少いような地方団体があるかどうかという問題でございますが、いまだ的確には計算はできておりません。今後種々検討いたしまして、規則等出しましてきまるわけでありますが、現在の予想といたしましては、ごく少数の地方団体交付金交付を全然受けないで済むものがあると考えております。
  22. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の荻田政府委員お話によりますと、まだ基準ができていないけれども、これから法律ができまして、あの地方財政委員会ができるわけでありましようが、私はこれは政府としても、一応の構想を練つておいてお出しになることが、一番便利だと思うのです、その方まで調査が行き届かなかつたのでしようか。あるいはもう少し事務当局を督励なさいましてお耕しになつたらよくはなかつたかと思いますが、これについてもう一応御説明を承りたいと思いますとともに、第二の質問でありますが、測定をいたす上において、今から基準を示すことは、あるいはどうかと思います。場合によりますと、過剰にと申しますか、多過ぎるように測定する場合がありはしないかと思うのです。たとえば土木費にいたしましても、警察費にいたしましても、当相多く記入いたしまして、これをすぐ足らぬからよこしてもらいたい、こういうような制度になりはしないかということを憂うるのでありますが、政府としてはどう考えておられますか。
  23. 荻田保

    荻田政府委員 第一点でございますが、現在的確な数字を持ち合せておりません。予想されますのは、都府県につきましては、東京とか大阪あたりのことが問題になると思いますが、これはおそらくはやはり交付金交付を受けなければならないだろうと考えております。市町村におきましては、団体の規模が小さくございまして、しかも固定費権税のごとく非常に片寄つた税がございますので、市町村におきまして、大工業、工場のありますようなところ、あるいはそのほかの固定資産税の多額に入りますようなところにつきましては、あるいは相当数のものが、交付金交付を受けられなくなるのではないかと考えております。  第二点の問題でございますが、この基準財政需要測定いたしまする数字等は、すべて客観的な資料、基礎に基くものでございまして、地方団体の方において、これを多額に受けるために作為を加える余地はないのでございます。但し客観的な数字につきまして、虚偽の報告を出すということがありましたら、これは別問題でございますが、主観的な財政運営によりまして、平衡交付金の額が増減するようなことはないのでございます。
  24. 三宅則義

    三宅(則)委員 この十二條にありますところの地方行政に要する経費測定單位は、地方団体種類ごとにその表の中によつてやる、こういうふうになるわけでありますが、これには土木費教育費、厚生労働費、産業経済費、戦災復興費、その他の行政費並びに徴税費とありまするが、この徴税費等につきましても、各町村におきましては、比較的わかつておるわけでありまするが、なお今までの経験からいたしますると、税務署でも調査がなかなか不行届きであつたわけでありますが、地方団体でありますから、税務署よりももつと小範囲にとどまることになつております。但しこれに対する訓練せられたるところの徴税吏員が少いように考えておりますが、これらに対しましては、政府はどういうふうなる方法をもつて、これによつて徴税されようと思つておられますか、その辺を承りたい。
  25. 荻田保

    荻田政府委員 今回地方税法改正になりまして、地方税の額も増加いたしますし、なお新しい税もできますので、この徴税機構の整備につきましては、われわれとしましても、特に重視しておる点でございます。この点につきましては、すでにシヤウプ勧告発表以来、半年も経過しておりまするので、その間におきまして、地方団体と密接な連絡をとりまして、その強化につきましていろいろと措置を講じておるのでございます。たとえば講習会の開催とか、あるいは印刷物によります訓練、あるいは増加いたしまする徴税吏員につきまして、特にその採用につきまして、厳密な試験を行うとか、あるいは機構につきましても、ことに都道府県のごときは出張所をつくるとか、あるいは地方事務所の職員を増加するとか、そういう処置を講じておりますので、新しい地方税法が施行されまするならば、必ずむりなことは起らない、一応法律に対する程度のことはやつて行けるものだと考えております。
  26. 三宅則義

    三宅(則)委員 今までの実績によりますると、各税務署ことに算定しておつたわけでありまするが、ややもすると不行届きの点がありまして、行き過ぎな点が相当あつたわけであります。私どもはぜひ各町村に対しましては、まんべんなくまわつて見ていただいて、その内容に適合するようにしなければならぬ。今までのように官吏が一方的に決定するような不都合のないように、各町村ごとに穏健にして妥当なる委員会制度とか、あるいは諮問機関を置いてやる方がよいと思いますが、これに対する御意見を承りたい。  同時に関連いたしまして、地方警察に対しては、どうもおもしろくないと言つておる。これは国家でやつてもらつた方がよろしいということをよく言つておるわけでありまして、地方警察費がかさまつて困るということでありますから、これについての政府の今のお心持を承りたいと思います。
  27. 小野哲

    小野(哲)政府委員 お答え申し上げます。今回のこの地方財政交付金制度運用して行きますことは、ただいまお話のように、十分愼重にかつ的確にやつて行かなければならぬと考えております。それにつきましては、地方に何らか、具体的な委員会等の機構をつくつてはどうか、こういうお話でございますが、この法律内容をごらんくださいました場合に、御了解が行きますかと存じますが、政府考えといたしましては、非常に民主的な考え方をとつておりまして、地方団体中央政府との間におきましては、言いかえれば地方財政委員会との関係におきましても、あるいは審査の要求であるとか、異議申立てであるとか、あるいはまた聽問の方法をとるとか、新しい構想のもとにでき上つておるような次第でありまして、ただいまのところは法制上関係地方町村において特別な機関を設けるという考えは持つておらないのであります。なお今後この運用の過程におきまして、御趣旨のあるところは十分に体しまして、齟齬を来さないように進めて参りたい、かように考えております。  なお警察の関係でございますが、御承知のように警察制度改正がございまして以来、自治体警察の運営につきましては、財政的にいろいろの意見があり、要望等が出ておりますことは、御指摘の通りでございます。この点に関しましても、政府といたしましては、自治体警察の運営に齟齬を来さないようにという趣旨のもとに、それぞれの関係地方団体等の意見をも十分に取入れながら、やつて参りたいという心組を持つております。警察全般についての政府としての考え方といたしましては、私から御答弁をいたすのもいかがかと存ずるのでありますが、地方財政に関する限りにおきましては、この平衡交付金制度運用の適正にまつて、その警察の運営につきまして、できるだけ支障のないようにいたしたい、かように考えている次第でございます。
  28. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいま政務次官から丁寧な御答弁があつたわけでありまするが、私はもう一つ、念のため政府に申し上げておきたいと思うのであります。今までの算定によりますと、国税に付加しておつたというのが、地方税の根本の趣旨であつたと私は思うのです。そのために多少国税にむりがありますと、地方税も上つておつたというのがありますが、今回は国税とは離れまして、地方税地方で單独でやるという制度が生れたわけでありますから、今までのように国税におぶさる、あるいは国税できまつたことに基準を置いて決定をすることのないように、税務官吏にかかわらず、各市町村ごとに別の構想でやつてもらいたい。そういたしますことの方が、かえつて明確になる、かように思いますから、この点を政府に御参考までに申し上げておきたいと思うのでございます。  次に申し述べたい事柄は、戸籍の事務でありますとか、あるいは公債に関します——今までの公債も相当あつたかと思いますが、これらに関する事務費用基準財政需要の中に入れておりますが、それらの利子等についても、政府といたしましてはよほど監督しなければならぬと思います。これらについての今までの現状を少しお知らせ願いたいと思います。
  29. 中島守利

    中島委員長 三宅君にお願いいたしますが、たくさん質疑の通告があります。なるべく平衡交付金法案の重点に触れるような御質疑を願いたいのであります。あなたの御質疑は、まるきり関係がないとは申しませんが、側面の方の質問はなるべく御遠慮を願いたいということをお願い申し上げます。
  30. 荻田保

    荻田政府委員 市町村分につきましては、戸籍に要します人員を基準財政需要の中に入れます。公債費につきましては、道府県、市町村とも過去の災害及び戦争中の防空関係事業、こういうような消極的な事業に充てました公債費の元利償還費は、これも基準財政需要の中に入ることになつております。
  31. 三宅則義

    三宅(則)委員 それでは第十條の「交付金は、毎年度、基準財政需要額基準財政收入額をこえる地方団体に対して交付する。」この第十條につきまして、毎年この基準決定するにあたりましては、政府といたしましては、相当注意を促さなければならぬと思いますが、地方のそうしたものに対しては、委員会に全部御一任なさるおつもりでありますか。
  32. 荻田保

    荻田政府委員 この基準財政需要額及び基準財政收入額の計算方法は、ここに書いてございますように、すべて客観的な資料を用いまして、法律、または規則において定めます計算方法によりまして、機械的に算定いたしまして、地方団体の特別の考えが加わる余地はないようにしております。この算定方法につきまして、いまだ地方財政委員会の規則が出ておりませんので、ただいま申し上げかねるのでありますが、いずれそれが出ました上は、地方団体におきまして、それぞれ自分の受けるところの交付金の額が、みずからも算定できるということになつております。
  33. 三宅則義

    三宅(則)委員 第十三條にありますが、道府県または市町村ごとに補正係数というものでやつておりますが、補正係数をやるということにつきましては、政府といたしましては、何か命令を出してやるつもりでありますか、自主的にやらせるつもりでありますか、その辺を承りたい。
  34. 荻田保

    荻田政府委員 これにつきましては、第十三條に書いてございますように、規則でもつて補正係数を定めます。
  35. 三宅則義

    三宅(則)委員 規則でやると仰せになつていますが、人口、小学校の兒童数とあります。これは何か機械的に捕捉できるように委員会でお定めになるつもりか、それとも今原案にありますか、ちよつと参考に承りたい。
  36. 荻田保

    荻田政府委員 ただいま多少考えているところもございますが、この点につきましては、なお十分実態を研究しなければなりませんので、この法案成立後至急定めまして、七月あるいは八月ぐらいに算定ができますように規則を定めたいと考えます。
  37. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の政府のお考えによりますと、大体こういう構想である。しかしこまかいことは委員会ができてからでなければわからないというようなことでございます。私は繰返して申し上げておきますが、なるべく大体の構想を練つて、この線に沿うように方針をおきめになつた方が便利でもあるし、また国民も納得しやすいと考えておりますから、はなはだおこがましい次第でありますが、なるべくこういうことも一応の案をお示しなさつていただきたいことをお願いいたします。  次にお尋ねいたしますが、第十四條にあります手数料あるいは使用料、分担金等、その他を除いたもの以外からとる、こういうように基準いたしておるように考えておりますが、これらについての算定も、やはり何か機械的になさる御予定がございましようか、それとも何か方法がありましようか、承りたい。
  38. 荻田保

    荻田政府委員 この点はここにも書いてございまするように、二十五年度は規則でございますが、これによりまして單位費用をきめまする場合に、このような計算のもとにきめるということを示したのでありまして、個々の団体につきましてこのような計算をする必要はないのでございます。つまりわかりやすく申しますと、基準財政需要額と申しますのは、地方税收入総額の千九百億の七割の額と一般平衡資金一千五十億、合計二千三百億足らず、これだけをもちまして基準財政需要総額になりますように、それぞれの單位をきめるのでございます。
  39. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はさらにもう数点を質問させていただきたいと思います。今度の改正によりますと、十七條を中心に考えておりまするが、「都道府県知事は、規則で定めるとこにより、当該都道府県の区域内における町村に対し、交付すべき交付金の額の算定及び交付に関する事務を取り扱わなければならない。」とありますが、これは各町村の方は都道府県知事が命令してやらせるのでありますか、それとも都道府県知事に関係なく、町村長はかつてにある程度自主的にこれをやるのでありますか、その辺を承りたい。
  40. 荻田保

    荻田政府委員 市町村交付金を受けます各資料につきましては、第五條の規定によりまして市町村長から資料を提出いたしますが、それを都道府県知事が整理することになつております。その場合都道府県知事が地方財政委員会の補佐をする意味においてその資料に検討を加え、もし間違いがあればここが間違つておるという意見をつけて、地方財政委員会出します。なお意見をつけました場合には、市町村長にもそのことを申し送りまして、もしそれに市町村長が不服がある場合には、直接地方財政委員会に申し出ることができるようにしてありまして、市町村長の自由権はあくまで尊重するようにしております。
  41. 三宅則義

    三宅(則)委員 はなはだ事務的のことになりますが、第十八條の点をちよつとお伺いいたします。審査の請求ができるということの点でありますが、これはまことにけつこうな案であると思います。しかしややもすれば、一定の期間を過ぎてもうつちやつて置くということが過去にあつたのですが、この法律によりまして、必ず三十日以内に裁定をしなければならないということになると考えるわけですが、多少延期される場合がありましようか、それとも規定通りにできるのでありましようか、その辺について承りたいと思います。
  42. 荻田保

    荻田政府委員 一応権利として提出し得る期間は、法律通り三十日以内であります。しかし誤りがありましたことにつきまして、いろいろな事情があると思いますので、そのような事情を参酌いたしまして、第十九條によりまして、地方財政委員会がみずから進んでこれを延長することは、いつでも可能であります。
  43. 中島守利

    中島委員長 まだ長いのですか。
  44. 三宅則義

    三宅(則)委員 もう一つばかりで終ります。
  45. 中島守利

    中島委員長 大蔵委員は大蔵委員の立場からなるべく質疑を願いたい。あなたのような質疑は、地方行政委員会では始終やつたことでありまして、そうしてやつておりますと議事が進行いたしませんから、どうぞ簡潔にお願いしたいと思います。
  46. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はこれに対しましてもう少しお伺いいたしたいと思います。災害復旧は、今度は国家が弁償するということになつておりますが、地方の小さい災害については、ある程度地方負担しなければならないと思います。そういうときの金は、やはり平衡交付金によつて出されますか、承いたい。
  47. 荻田保

    荻田政府委員 災害復旧に関しましては、全額国庫負担を建前にいたしておりますが、一応地方負担になるものがございます。そういうものにつきましては、一般的に一応測定單価の中に入れております。しかしおそらく災害のときは、一つの団体に特殊な事情である場合が多いわけでありますが、またそういう場合には大体地方債によりましてまかなわれると思います。従いましてその災害に要しまする地方債の償還費をこの測定單位の中に入れることによりまして、将来におきまして、平衡交付金をもちまして緩和して行くという考えであります。なお起債にもならないようた経費につきましては、附則にありますような特別交付金をもちまして処置いたしたいと考えております。
  48. 三宅則義

    三宅(則)委員 大体において私の質問いたしたいと思つた点は終つたのでありますが、最後に一、二点だけ追加させていただきます。私はこの地方財政平衡交付金につきましては、国家も相当の責任があつて出すわけでありますが、一般論といたしまして、なるべく地方財政平衡交付金を受けないようになるようにいたしたいというのがわれわれの気持であります。これに対しまして、算定ができておりませんからわからぬ、こう先ほどおつしやつたわけでありますが、さらに研究を続けられまして、なるべく財政のゆたかなる地方におきましては平衡交付金を受けないようにということを基準に進められる用意があるかどうか、これを承りたい。
  49. 小野哲

    小野(哲)政府委員 お答えいたします。先ほどこの法律案内容について御説明申し上げました際にも触れておいたのでございますが、この平衡交付金制度運用地方自治確立と申しますか、との間につきましては、十分に考えて行かなければならぬと存じます。従いまして、あまりにこの制度が強く働きますために、中央集権的な方向に進むということは、極力排除する必要があろうかと存じます。従いまして具体的には、この法律の定めるところによりまして、各地方団体課税力であるとか、あるいは財政の状況等とにらみ合せまして、この法律によつて定められました測定單位等を基礎として、もちろんさんしやくして参らなければならぬのでありまして、この運用につきましては、今後新たに設置いたされます地方財政委員会におきましても、十分に愼重を期して行えるものと、私ども期待をいたしておるような次第でございます。
  50. 三宅則義

    三宅(則)委員 本多国務大臣に一言つけ加えて質問させていただきます。ただいま政務次官から御答弁を承つたのでありますが、私大蔵委員の一人として観察いたすところによりますと、大体日本のうちにおいて、農山村とかあるいは島であるとか、貧弱な町村におきましては、平衡交付金を受けなければならぬと思いますが、余裕のある町村におきましては、ある程度までこういうものはなくてもやれるのではないかという構想を実は持つておるわけであります。大臣といたされましては、全国の町村と比例いたしまして、どのくらい出したら適当だろうと考えておられますか、それとも近き将来において大部分は出さないように済ませたい、こういうお気持であるか、これについてひとつ承われれば幸いであります。
  51. 本多市郎

    ○本多国務大臣 御承知の通り平衡交付金算定方法は、今回提案いたしておりまする税法に基きまして、標準税率算定することになつております。まだその財政力を勘案いたします税目にも、普遍的なものに限られておるのでございます。今の程度の税法をもつていたしますと、やはり大部分の地方団体平衡交付金を受ける立場になるように考えられます。これはさらに税を地方に委譲して行きますと、平衡交付金の額が少くて済むということになり、相当の地方団体平衡交付金を受けないでやれるようになろうと考えられます。今後の自治制の方向といたしましては、やはりそういう方向で進むように推進すべきであると考えております。
  52. 三宅則義

    三宅(則)委員 今大臣のお話を承つたのでありますが、私もう少し大蔵委員としての希望を申し上げたいと思います。お説の通り各町村においては、今度税法が改正になりまして、この新しい税法の施行に相当動揺いたしておると考えております。これの徹底を期しますには、まだ一年ぐらい先でなければ、地方税徹底は期せられないと考えますから、二十五年度もしくは二十六年度におきましては、なお基礎調査をなすつた上において、この平衡交付金の安定を期したい、かように考えております。政府といたされましても、この法律によりまして、相当の準備をもつて他の法との勘案をいたした上で、さらにこれの調査の上で改正するような気持でおられますか、最後にひとつ承りたいと思います。
  53. 本多市郎

    ○本多国務大臣 地方団体財政調整の今回の方向につきましては、どこまでも基準收入額、基準需要額を正確に捕捉することが前提でありまして、これが正確に捕捉されさえいたしますれば、この制度によつて地方財政調整はほとんど完璧に近いといつてよかろうかと存じます。これがなかなか正確なものを確実に捕捉するということはむずかしいことと思うのでございますけれども、でき縛る限りただいま提案いたしておりまする基準について、それの調査をし、さらに今後引続きまして、いかなる項目をとらえて計算基礎にするかというようなことにつきまして、研究を続けて完璧をはかつて行くべきものであると考えております。
  54. 松本七郎

    ○松本(七)委員 私は文部委員の立場から、義務教育費関係する点を二、三伺つておきたいと思います。  最初に本多国務大臣に、御意見を承つておきたいと思います。この推察理由説明にもありますように、この法律によつて地方自治確立しようという趣旨はよくわかるのであります。ただ御承知のように、わが国教育制度というものと、それからわが国財政状態というものの間に、現在では相当矛盾がある。憲法でも義務教育は無償とすると保障されておる。しかしこの憲法の保障は、何もそれを国費で保障しなければならぬというわけではないのでありまして、地方費用でこれが保障できれば、その形式はいかようであろうとも、保障できればいいわけであります、それはかまわないのであります。ただ現在のわが国の実情からすれば、地方費でもつてこれを保障することは、とうてい不可能であります。これまでのように半額国庫負担でやつておる場合でも、非常に強制的な寄付を受けなければできないという実情であつたのであります。どうしてもこれは全額国庫負担でやらなければ、この憲法の精神を生かすことはできないだろうと思います。しかしこれも急にそこまで行くということは、国の財政そのものが困窮をいたしておりますから、なかなかむずかしい。ただどのようにこれを調整して行くかということが、現在の問題だろうと思うのであります。そこで先般も問題になりましたように、義務教育費については、別の法律でやろうというような考えが出て来たのだろうと思いますが、この点については、自治庁の方でも非常に御協力を願つて、大分こぎつけて来たが、今国会には提出できそうもないというような情勢に立ち至つておるのであります。しかしこの地方平衡交付金法というものは、当然この義務教育費確保法律案と並行して考えられて、立案されておると思うのであります。もちろん自治庁としても、現在のような占領下の複雑な政情のもとにあつては、ただ地方の自治というような面、自治庁の管轄のことだけを考えていればいいというわけには行かない、やはり国全体の憲法の観点、あるいは極東委員会の指令その他の広い観点から考えて行かなければならぬと思うのでありますが、そういう点から言いますと、私はむしろこれと関連する重要な法律案が今国会提出できなくなつたという以上は、やはりそれと密接不可分の関係にあるこの平衡交付金法案も、もう一度根本的に考え直すくらいの態度で私はあつてもらいたいと思う。しかし現在すでに出て来ているのですから、今後はたして地方自治確立ということと、憲法の精神を生かして義務教育を保障するということと調和をとつて行く上について、本多国務大臣がどのような見解を持つておられるか、この点を伺つておきたいと思います。
  55. 本多市郎

    ○本多国務大臣 ただいまお話のありました御意見に対しましては、大体同様の考えを持つておるのでございます。但しこの平衡交付金法律案の中にも示してあります通りに、地方財政は自主的に運営させるということを原則としておりますので、たとい義務教育費にいたしましても、これが政府によつて一方的に決定されるような、いわば地方団体予算に対する審議権が拘束されてしまうというような決定的なものであつてはならないと存じます。しかし義務教育費のごとき、まことに重要なる費用でございますので、これに政府として一定の標準を示し、そうしてそれとはなはだしく相違することをやりました場合、ちようど今回設置されまする地方財政委員会等が、文部大臣等の意見も聞きまして、調整を加えるというような方法によつて地方財政の自主権も失わず、かつまた義務教育費使途に対する国家の要請も達せられるというような方法で行きたいと考えておるのでございます。これにつきましては、法案を準備いたしまして提案いたすつもりで、ただいま司令部にその承認を申し出ているのでございますが、まだ承認が得られない事情にあるのでございます。またこの平衡交付金法は、そうした法律が伴わなければ実施のできないことになりはしないかというお話でありますが、この点につきましては、この平衡交付金法にも、それぞれ基準を示されておることでありまするし、さらに所管大臣として自治法上の権限、あるいは地方財政法上の権限もございますので、それらによつて支障なく運営はできるものと考えておるのでございます。政府といたしましては、ただいま申し上げました通り義務教育費等については、地方財政運営を拘束するものではないけれども地方財政委員会において調整される程度の権限のもとに標準を示すという程度のことは、妥当であると考えておるような次第でございます。
  56. 松本七郎

    ○松本(七)委員 この標準義務教育費確保法律案が出せれば、最初政府考えておられたような方向に行くと思うのですが、かりにこれがどうしてもだめな場合には、この一般平衡交付金法でもつて、ほかの費目と同じような扱いをされる場合には、先ほど岡委員も指摘されましたように、地方教育費というものがなかなか確保できない、今までの経験からその点が一番憂えられるわけです。そこでできるだけ確保には努力をするが、今後義務教育費確保法律案提出努力するのみで、当分の間それができるまでは、一般の費目と同一に扱う以外に道はない、こういうお考えか。それとも何らか標準義務教育費確保法律案とは別個に処置をとられる意図があるか、その点を伺いたいと思います。
  57. 本多市郎

    ○本多国務大臣 標準義務教育費法案として準備いたしておりますものにつきましても、この標準教育費を正確に確保するとかいうような性質のものではないのでございまして、大体財政事情の許す限りは、この程度のことはやるべきであるという標準を示す趣旨でございます。従つてそうした重要なる義務教育費算定にあたりましては、この精神を失わないように指導をしたいと考えております。
  58. 松本七郎

    ○松本(七)委員 先ほど本多国務大臣の御説明の中に、教育委員会を大いに活用してやるというお言葉があつたのですが、それに関係して教育委員会というものができた当時から問題になつてつたのは、教育委員会財政的な裏づけがなければこの委員会は有名無実になるということが、一番心配されておつたのです。しかし今日まで教育委員会というものに財政的裏づけがない。ところで今日シヤウプ勧告に基いて、地方財政の大改革が行われる。またこの法律案も出て来るというような事態になつて参りましたが、この機会に何らか委員会地方自治体との関係について、改革をされる御意向があるか。ことに財政的裏づけという面からこれを改革される御意図があるかということと、この法律が通つてこれを運営するにあたつて委員会との関係を、文部省あるいは地方自治庁、どちらでもけつこうですから御説明願いたいと思います。
  59. 荻田保

    荻田政府委員 教育委員会財政関係の権限の問題でございまするが、現在簡單に申し上げますれば、予算を特に要求する権利がある、しかもそれが知事市町村長の査定で通りませんときは、同じく議会に対しまして原案を出しまして歳出を求めるという関係になつておりますが、歳入についての責任を負つていない教育委員会に対しまして、これ以上の財政に関します権限を與えることは、適当でないと考えております。現在でも、すでに單なる歳出についての権限だけのために、非常に財政とマツチしないような御要求がありまして、地方財政運営上おもしろくない結果も出ておるのであります。しかしこれは教育独立性というようなことから、今のところはこの程度でやむを得ないと思いますが、これ以上強い歳出だけについての権限を與えることは適当でないと考えております。
  60. 松本七郎

    ○松本(七)委員 この問題はまた別の機会に譲ります。最後に一点お答え願いたいのは、私が最初指摘しましたように、これは標準義務教育費法と両方あわせて立案されて来たものであつたはずだと思うのですが、それを片方が提出見込みがなくなつて来たために、何か今まであつた義務教育費国庫負担法というものと矛盾が起きて乗るように思うのです。先ほどのお話ですと、教育費についても、他の費目と同じようなふうにこの一般平衡交付金でもつて足りないところを補うという結果になるのですが、義務教育国庫負担法というものは、一体今後どうなるのか、何らこれに対する規定が入つていないと思うのでありますが、いかがですか。
  61. 荻田保

    荻田政府委員 義務教育費国庫負担法は、別途の標準義務教育費法によりまして廃止する予定にしておりますが、それができませんでしたら、別途の立法の措置を要すると考えておりま付す。
  62. 長野長廣

    ○長野文部委員長 われわれ教育問題について意を拂つておる者にとりましては、教員の俸給支拂いに関する事務が気持よく行われておるかということを、まず第一に問題としなければならないと思うのであります。しかるに、従来の実績から見ますと、教員俸給の不拂い、あるいは遅拂いとか、またこれに伴う教員の質の低下ということが、相当著しく現われまして、教育界を騒がせたのであります。その根本の原因は多々ありましようが、まず官業土木、衛生、警察というように、その経費によりまして効果がはつきりわかるものについては、いわば優先的に経費が振り当てられますが、比較的員に見えにくい教育については、どうしても薄く意が拂われ、自然ただいま申し上げたような欠陥を生じて来たと思うのであります。そこでただいままで政府当局のおつしやられるところでは、できる限りこの点に留意して、かかる欠陥のできないようにするということであつたのでございます。私どもは、ただいままでのさような欠陥について、政府が十分なる数的御調査をなされて、そうしてその数的調査の上において、確信あつて申されておることと存じますから、ただいままでにおける、さような弊害によつて生じた教育費の欠陥及びPTA等から、それらの経費不足に対する寄付金というものが、一体どのくらいになつておるか、これが全教育費の幾ばくに当るのであるかということをここに御説明願いまして、それに対する御所信を伺いたいと存じます。
  63. 本多市郎

    ○本多国務大臣 今日までの地方教育行政につきまして、いろいろ行き違いを生じましたことは、事実でございまして、その点の御心配はごもつともと思うのでございますけれども、しかし地方行政の中で、それぞれ地方団体といたしましても、教育の尊重すべきことは十分に認識されておることと存ずるのでございます。それのもかかわらず、大切なる教職員の給料の不拂い等が生じましたことは、おそらくその財源の極端にきゆうくつであつた点から生じておるものではないかと思うのでございますが、今回この税法によりまして、約四百億の財源は、もつぱら市町村に増強される次第でございまして、これによりまして、その財源が強化されることと、さらに政府から交付いたします平衡交付金によりまして、通常の状態の標準の程度の行政施設ならば、必ずできるという財源確保されておるのでございますので、この改革によりまして、そうしたことも絶滅されるのであると考えておるのでございます。  寄付金のお話がございましたが、この寄付金等も結局は税として徴收するわくの制限を受けておりました関係上、やむを得ずそうした手段までとつていたものと思うのでございますが、今回の四百億は、そういうものも勘案いたしまして、大体これだけ税金をとり、標準財政需要額に足らない面は、平衡交付金で補填する。そうしたならば、理事者が不当な運営をしない限り、標準の規模の運営はできるという財政計画が保障されておるのでございます。シヤウプ博士の勧告によりますと、四百億くらい二十四年度も寄付金があるであろうということを言つておられるのでございますが、これが今回の税制改革で三百億ぐらいは減少して、ほんとうの自由な意味の自発的な寄付金が百億ぐらい残るのではないか、かように考えております。なお寄付金は政府が見積つたのではなく、シヤウプ博士が見積られたものでございますけれども政府のこれに対応する見積りにつきましては、政府委員から御説明申し上げたいと思います。
  64. 荻田保

    荻田政府委員 ただいま二十三年度の実績を調査いたしておりますが、そのうち地方財政に計上されております寄付金は、六十億ぐらいでございまして、そのうち四十億ぐらいが教育に当つておると思います。なおその経費も経営費ではございませんで、大体が六・三制の建築のため寄付金が大部分だと考えております。そのほかに予算を通さないPTA等の経費でございますが、これも大体同額くらいあるのではないか。この点につきましては、非常に調査がむずかしいものですから、的確な数字はございませんが、大体これと同額ぐらいあるものと考えております。
  65. 長野長廣

    ○長野文部委員長 文部当局にお伺いしたいと思いますが、現在のPTAその他の外郭団体が、教育費に対しまして寄付するということは、一面から見ると、まことに美風のようでありますが、教育者が嚴然たるその地位を自覚して、そうして外部の勢力に何らの抑圧を受けず、制限も受けず、その所信に邁進するにつきましては、各種団体あるいは民間よりの寄付、その他の好意を受けるということは、好ましからざる結果になりはしないか。いかにこれは注意をしましても、勢い人情のいたすところ、また物質的勢力の圧迫を受げまして、どうしてもここに一つの弊害を生じて来はしないか、教育者の毅然たる態度を失することになりはしないか、万一その事実ありとしますならば、これは私、日本教育ために、ゆゆしい問題であると思う。單なる一片の文部大臣の指令、あるいは監督者の注意等によつてこれを防ぎ得るものでありましようか。この外部よりの寄付とそうして教育運営の本質の問題との関係について、簡單に率直なる御答弁をいただきたいと思います。
  66. 平島良一

    平島政府委員 学校に寄付を受けるために、そのことで教職員の人たちが束縛を受けるようなことがありましては、重大なことであると存じます。しかしながら、今ここにその具体的な、どういうふうにあつたということは存じてはおりませんが、あるいはたくさん寄付してくれる人の子弟をある教員がひいきをするというようなことは、たくさんの中でありますから、あるいはあつたかもしれませんが、今具体的にそのことを存じてはおりません。しかしながらそういうことが万一にもありといたしますならば、教育上重大なことであると思います。しかしながら従来はどうしても国家財政の窮乏のため寄付を受けなければならなかつたことは、事実どうしてもそうしなければならなかつたのであります。しかしながらそれに伴う弊害は、どうしても矯正しなければならない、絶無にしなければならぬと存じますので、そのことにつきましては、十分注意をいたすつもりであります。
  67. 本多市郎

    ○本多国務大臣 ただいまの御見解はまことにごもつともと存ずるのでありまして、地方自治庁といたしましても、今回そうした弊害も考慮されて税制改革され、その財源が拡大されるわけでありますから、この税法が成立いたしましたならば、真に自由な意味の寄付以外は、ことに割りつけて半強制的になるような寄付は、絶対になすべきものでないということを、各地方団体にも、さらに地方住民にも徹底するように通牒をし、その処置を講じたいと考えております。
  68. 長野長廣

    ○長野文部委員長 これは実際問題でありますが、わが国の国土の位置の関係からいたしまして、年々暴風雨あるいは洪水等の災害があります。これはわれわれの予測し得ざる財政負担地方に與えておるのでありますが、最近におけるこれら災害復旧の問題が、地方財政負担から大部分免れたといたしましても、あるいは産業上の減收となり、また各般の教育施設の破壊損失となりまして、はかり知れざる、また予測し得ざるところの教育費がかさんで来るわけであります。これらのことは自然に地方財政に影響を及ぼします。すでにほとんど致命的な影響を受けておるところさえあるのでありますが、今後さようなことが起りますと、勢い地方教育費の上に、場合によつては致命的な故障を受けることになりはしないか、またやや軽しとしても、教員の俸給その他に欠陥を生ずるような財政的——横流しではありませんが、一種のそういつた脱線した運営が行われるおそれがありはしないかということを心配するものであります。これらについては、どういう御用意がありましようか。
  69. 本多市郎

    ○本多国務大臣 たび重なる災害等を受けました地方団体におきましては、災害復旧のため財政的な圧迫を受けることは、まつたくその通りでございまして、そのために、ぜひとも必要な方面の経費まで縮減せざるを得ない、そうしたところから行政欠陥を生ずるというのは、まつたく今までの実情であつたろうと存ずるのであります。しかし今回平衡交付金のほかに、災害復旧について国庫全額負担方法確立ぜられましたし、さらにまた今までの災害復旧のため地方債の元金及び利息の支拂いにつきましては、これを平衡交付金算定基礎でありまする財政需要額の中に算入いたしまして、收入とそれとを比較して、足らない面は平衡交付金で補填することになつて参りますので、この点は従来に比較いたしまして、相当改善されるものと考えております。
  70. 長野長廣

    ○長野文部委員長 他の委員諸君からも、それぞれ御質疑があることでありますから、私はこの辺でとどめたいと思いますが、申すまでもなく標準教育費の確保ということにつきましては、憲法の條章にも明らかにいたしておるところであるのみならず、極東委員会指令第七十四号にいうところの、全国教育の妥当な水準を維持するという責任も伴うておる次第でありますから、本問題につきましては、政府当局としては過去の実績を基礎とせられまして、遺漏なき御処置を願いまするとともに、こいねがわくはさらに一層徹底的な制度によりまして、この問題が真にわが日本の教育を、中央、地方を問わず運営されて行くようにせられたいという希望を申し述べまして、私の質問を打切ることにいたします。
  71. 中島守利

  72. 水谷昇

    ○水谷(昇)委員 平衡交付金教育費との関係につきましては、同僚諸君からいろいろ質問がありまして、政府当局のだんだんの御説明によつて、ほぼ了解したのでありますが、結論といたしまして、ただいま本多国務大臣から、標準義務教育費に関する法案は、地方の自治権を拘束せずに、教育に関する費用の標準を示して、憲法の精神を失わないようにこれを生かすものである、この精神によつて平衡交付金を拘束する、あるいは制限するというようなことをせずに、調整をはかるという御趣旨を御答弁になつたのでありますが、文部当局におきましては、標準義務教育費提案することができない今日の状態でありますから、近い将来においてぜひともこれを提案したい、そうしてこれを確保したいという御精神でありますが、そういう場合には本多国務大臣におかせられましても、相かわらずその御精神で御賛成になりまするか、この点を確認いたしたいと思いまするから、ここに御意見を拝聽する次第であります。
  73. 本多市郎

    ○本多国務大臣 すでに閣議で決定いたしまして、関係方面に提案いたしておりまするのは、政府の方針でございますので、その趣旨に沿う限り、私も協力いたしたいと存じます。しかしこの平衡交付金法また地方財政委員会の設置法等につきまして、関係方面から指令と申しましようが、そういうものも出ておるのでございまして、それとの解釈につきましては、研究しなければならないと考えております。いずれにいたしましても、私は地方財政自主性を失わせないで、大切な義務教育費が適当に支出されるようにという範囲内でありましたならば、関係方面からの、地方財政を自主的に運営せしめよと言われる御趣旨にも反しない範囲において考えることができるものと解釈いたしておる次第であります。
  74. 中島守利

    中島委員長 内藤大蔵委員
  75. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 私はただ一点だけ本多さんにお尋ねいたしたいと思います。それは結論から申し上げますと、すでに本国会におきまして決議せられ、実施いたしておりまする予算の中に、この平衡交付金というものが千五十億と心得ておるのでありますが、その千五十億というものとこの第三條に示しておるものとの関係であります。第三條の第一項には、不足する額を補填するために必要かつ十分な額をこの平衡交付金で出す、こう書いてあります。そこで千五十億というものは、必要かつ十分な額であるかどうかということをお尋ねいたしたい。
  76. 本多市郎

    ○本多国務大臣 必要かつ十分な不足額補填というのは、平衡交付金法の根本精神でございまして、これを目標といたしておりますけれども、最後的に平衡交付金の額を決定せられますのは国会であります。でありますから、国家財政等の事情から、必ずしも十分な額と言えない場合があるかもしれないのでございます。しかしそれはやはり国家の財政全般の見地から、やむを得ないことと存ずるのでありまして、そうした場合には、その不足額に比例して、決定された予算を按分するということになつておるのでございます。一にその不足額を十分補填するだけ決定していただけるか、いただけないかは、そのときの財政状態から見られた国会の御意見によつて決することになつておるのでございます。
  77. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 そういたしますと、第三條に書いてありまする「必要且つ充分な額」という言葉は、單なる形容詞なのであるか、それを伺いたいと思います。
  78. 本多市郎

    ○本多国務大臣 形容詞と言えば、確かに形容詞でありますが、「必要且つ充分な」というこれは地方財政委員会法とあわせごらんいただきますと、平衡交付金法案が地方財政委員会におきまして、必要かつ十分な額を算定いたしまして、それを予算に計上するように政府に要求するのでございます。もし政府がその要求に応じられない、減額した額を予算に計上いたしました場合は、その額を国会に勧告するのでありますから、国会でそれを必要かつ十分な額という判定があつた場合には、地方財政委員会意見通り計上されるでありましよう。また政府が減額しているものをもつて、必要かつ十分な額とお考えになりました場合は、政府の原案を御決定になるでありましよう。これはどちらも、どこまでも平衡交付金の精神は必要かつ十分な願を補填をするところにあるのでございます。
  79. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 それでは私水かけ論はやめたいと思うのでありますが、今実施されております一千五十億というものが、必要かつ十分な額でない場合には、政府はさらに——いつかは臨時国会が開かれると思うのでありますが、そのときにそれをお出しなさるのであるか、それを伺いたい。
  80. 本多市郎

    ○本多国務大臣 これは平衡交付金がただいま申し上げました收入額と支出額の不足を補う。それを本年の中央地方財政計画を立てましたときに、まず大体千五十億ならばその補填に見合うものであろうということで、財政計画を立てておるのでございまして、これを国会で御承認願つたのでありますが、ただいまのところでは、大体これで間に合うのではないかと考えております。しかし何らか急激な事情の変化等がそこにありました場合には、お話のようなこともないとは言えないと存じます。
  81. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 それではひとつ資料をお出し願いたいのでありますが、千五十億というものをおきめになつたときの、地方財政が必要かつ十分な額であるということを裏づけるような資料を出していただきたい。そうしませんと、どうしても私どもは承知できません。もしこれが足らない場合は、政府は遠慮なく予算をまた要求するのだとおつしやるならば、一向さしつかえございませんが、しかしそれをしないのだということになりますと、千五十億というものが必要かつ十分な額であるかどうかということは、何かお持ちの資料を調べなければ納得が行かないと思うのでございます。
  82. 本多市郎

    ○本多国務大臣 これは予算審議の際にも、地方財政の資料は提出して御審議をお願いいたしたのでございますが、千五十億ならば地方財政計画が立つように歳入歳出の財政計画というものをお示ししておるのでございますから、それを実施してみて、特に不足がはなはだしい、そのはなはだしい不足をもつてしては、運営が困難であると思われるような事情はつきりいたしました場合には、これはもちろん他の追加予算等の方法をとらなければなりませんけれども、ただいまのところでは当初の財政計画通り人なる違いはなかろうと考えております。それは一銭一厘不足する場合も満たすのかということを言われますと、その場合にはやはり形容詞と考えていただくほかはないのでありまして、社会通念で、これほどの違いがあつたのでは十分とは言えないではないかということになりますと、これは社会通念で判断していただくほかはないのであります。
  83. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 私はそういう非常識なことを申し上げるのではございません。とにかく、もし法律語として十分な額というのがある場合に、この十分な額というのを私は社会通念で考えたいので、実はこれが形容詞であるかどうかということをお尋ねしたのでございますが、政府が、非常に不足した場合、追加を出すというお話のように私は了承いたしましたから、私の質問はこれで終ります。
  84. 渡部義通

    ○渡部委員 日本の教育、科学、文化というものが、非常に破壊されておるということは、だれも知つておる通りでありますが、教育の画では、施設においても、教員の給料においても、また兒童の生酒面や教育水準の面においても、こういう破壊の面が非常に強く現われて来ておる。従つて、これに対して社会的な関心と社会的な構想というものは、非常に強くなつて来ておるわけであります。こういうときに、教育費に関連して非常に重大な問題が今起きておるわけでありますが、このような状態のもとで、教育費というものをほんとうに確保されるためには、教育費が他のものによつて犠牲にされないような、確かな基準が定められなければなりません。つまりいわば総予算額のうちの教育費という部分が、どれだけのパーセントを與えられなければならぬか。そういうふうなことを見なかつたならば、教育、科学、文化というような費用はだんだん削られて行く傾向が、現実の姿になつていると思うのであります。今度の法案内容を見ますと、第一に基準財政收入額と基準財政需要額との間の差額が問題になるわけであります。本年はこの法案に示されているような形で平衡交付金計算されておるのではなしに、千五十億という金額で出されておるわけですが、この千五十億という金額は、従来の地方に対する負担とどういうような関係になつておるのか、たとえば二十四年度よりどういうふうに増額されておるのかということをまずお聞きいたします。
  85. 荻田保

    荻田政府委員 昨年度の地方予算総額が、大体四千億少し越えるくらいと考えておりますが、これは一般的に財源の不定がありますので、四千八百億、そうして国庫の支出金、使用料、手数料等をも考慮いたしまして、地方税において千九百億、平衡交付金におきまして千五十億、これだけをもちまして四千八百億の財政がやつて行けるという計算のもとにいたしております。
  86. 渡部義通

    ○渡部委員 こういうような平衡交付金によつて計算されないで、金額によつて計算されているということの中から、地方財政運用が千五十億というものの中から逆算されることに当然なるわけだと思うのであります。従つて実際上の地方財政の需要額と收入額との差額千五十億円との間に矛盾が出て来る。この矛盾というのは、ことに現在税金が抑えないように高額に上つておる、従つて税收というものが予定通りに入つて来ないことである。現在非常に強引な方法で、しかも乱暴な法律までつくつてこれを取り立てておるわけでありますが、しかし実際上それだけの予定税收がない。そういうことになりますと、ここにあたかも課税と同じような形での強制寄付が行われざるを得ない。このことは先ほどから各委員によつても問題になりましたが、この強制寄付地方当局あるいは文部当局の方では、従来どういうふうに処理して来られたか、この点をひとつ伺います。
  87. 荻田保

    荻田政府委員 寄付につきましては、たびたび申上げました通り、元来好ましくないものでございますから、真に自発的なものならともかくといたしまして、一般的に割付的な寄付金をしてはいけないということを、地方に対しましてもたびたび申しておつたのでありまするが、遺憾ながら、地方財政基礎が固まりませんので、そのような例が多かつたのであります。しかし今回の地方税制改正によりまして、相当の増收が見込まれますし、またこの平衡交付金運用によりまして、完全なる財政調整ができますれば、寄付金の額は当然少くなるものと考えますし、またそうしなければなりませんので、それにつきましては、地方団体に対しまして、強く注意を喚起いたしたいと考えております。
  88. 平島良一

    平島政府委員 元来寄付の性質上、これは強制すべきものではないのでありますが、従来は、強制すべきでないものを、しいて頼んで寄付をしてもらつているような状態にあつたことは、事実であろうと思いまするので、平衡交付金法なり、その他政府の提出しようとした標準義務教育費法案等によりまして、これを絶無にいたしたいと考えておつた次第であります。寄付をとることによつて、先ほどから長野委員長かちも御質問があつたような弊害のあることも憂えられるのでありますから、そういうことのないようにいたしたいと考えます。
  89. 渡部義通

    ○渡部委員 ところが地方によりましては、條例をしいて、税金と同じ形で強制執行までして、六・三制の建設費のようなものをとつている事実が報告されているのであるが、その報告されたことに対して、当局としてはどんな処置を具体的にとられたのか。今後もそういうことのあり得るという見通しは、われわれとしても持たなければならぬので、その点を明確に御答弁願います。
  90. 荻田保

    荻田政府委員 條例をもちまして寄付金を強制するということは、法律上不可能でございます。従いまして、そういうことはないと思います。ただ現在の市町村民税につきまして、標準率の超過課税を、そのような学校の建築等のために、相当高額にとつているところがございますが、これにつきましては、こちらで審査いたしまして、その適、不適によつて許可をいたします。
  91. 渡部義通

    ○渡部委員 法令上不可能だからないという考え方は、單純な三段論法であつて、現実にそういうことが行われておる。これは埼玉県だけでも、三、四の町村ではこれを行つておるのであつて、そのために農村の人たちは非常な困難を来しておる。だからそのようなお座なりの論法ではなしに、行われていることに対して、どうい、処置をとるかということを聞いているわけです。
  92. 荻田保

    荻田政府委員 寄付金につきまして、條例をもつていかなることを規定いたしましても、これに強制力を持たすことは、現在の法律上不可能でございます。従いまして、われわれはないと考えておりまするが、現実にありといたしますれば、おそらくこれは條例というようなもの、あるいは強制的な手段を伴うものではなくて、ただ町村会等におきまして、寄付金を集める目標等を何か箇條書に書いたようなものがあるのじやないかと考えております。
  93. 渡部義通

    ○渡部委員 次に文部当局にお尋ねしたいのですが、今言うたように、地方財政における実際上の需要額と收入額との矛盾の結果、地方財政において最も大きな比重を持ちます教育費の上に、この矛盾が集中されて来るわけです。しかも教育費の中で、大きな比重を占めている教員給料というものが、さらに問題になつて来るわけです。かつて文部当局は、全国の教員たちのあらゆる反対運動を押えながら、定員定額制というものを強引に実現しました。私たち当時文部委員として、この定員定額制というものが、日本の教育の現実のあり方に沿わないばかりでなく、教員の首切りを行うものであるという事実の上に立つて、極力反対をいたしましたが、これは遂に不幸にして国会を通過したのであります。ところが最近になつて文部当局では、どういう理由かはわかりませんが、定員定額制を廃止してもいいという意向を持つておられると聞いておりますが、その点はどうなんですか。
  94. 平島良一

    平島政府委員 お答えいたします。この平衡交付金法ができまするので、従つて定員定額制を廃止しなければならぬことになつたのであります。
  95. 渡部義通

    ○渡部委員 ところで、今も申し上げましたように、実際上の收入額と需要額との間に差額が起きて、教育費が低減される可能性のできて来るという場合、あるいは平衡交付金の中に教育費が包括されることになりますと、先ほども他の委員から話がありましたように、災害その他のことによつて、いつ教育費が流用されてしまうかわからぬような状態が起きないとも限らぬ。定員定額制を文部省が廃止するということは、非常にいいことだと思うのだが、そういうことさえも事実上不可能になつて来る。実際上の問題として、定員定額制以上の困難な事態が実現するのではないかと思うが、こういう点についての見通しはどうか。
  96. 平島良一

    平島政府委員 そのことにつきましては、ほかの委員の方からも御質問がありましたが、教員の給料不拂いというようなことになると、教育上重大なことになりまするので、政府といたしましても、この平衡交付金と並行いたしまして、標準義務教育費に関する法律案提出する考えになりまして、すでに閣議まで決定いたしたのでありまするが、いろいろな事情によりまして、今日までこれを提出できないような状態になつておりますことは、先刻申し上げましたように、まことに遺憾であると存じております。それでもしこれが提出できないような場合におきましても、そういうことのないようにこの平衡交付金法運用によつて万全を期したいと考えております。
  97. 渡部義通

    ○渡部委員 その運用によつて万全の方法を講ぜられることは、はなはだけつこうでありますが、実際上の問題として、講じ得られない場合がしばしば起きて来る。たとえば文部当局も、また本国会も、教育費を増額することをあくまで要求したにかかわらず、現に要求の少しの部分しか実現できないというようなことがあるわけでありまして、今後においても、そのようなことがないとは保証されないので、これに対しては何らか具体的に法制的な手が打たれなければならないのじやないか。具体的に打つ手を現に考えておられるのかどうか、この点をお聞きしたい。
  98. 平島良一

    平島政府委員 それを具体的な手を打つべく標準義務教育費法案というものを考えたのでありますが、それが先ほど申し上げましたような事情によつて、今日まで提出ができ御ないことは、まことに遺憾であると存じておるのであります。
  99. 渡部義通

    ○渡部委員 できない場合にどうするのですか、そこが問題です。
  100. 平島良一

    平島政府委員 できない場合には、この平衡交付金法によつてやる以外に方法がないのであります。
  101. 渡部義通

    ○渡部委員 そこでこの平衡交付金法案の第十二條でありますが、この第十二條の経費種類のうち、教育費の総額はどうなつておりますか。
  102. 荻田保

    荻田政府委員 この総額出しますのは、第十四條の單位あたり費用というものをきめなければなりませんが、いまだこの点につきましては、十分な検討をいたしておりませんので、はつきりした数字を申し上げることは、遺憾ながらできない状態にございます。
  103. 渡部義通

    ○渡部委員 法案出し、これを実施しようとしておりながら、この教育費の総額さえも決定しないというような状態は、実に不当なる怠慢であるとさえ私たちは考え番わけでありますが、それは一応できてないというのであるならお聞きする方法はありませんが、たとえば小学校とか、中学校とか、高等学校とかにおける單価のことは大体検討いたしておるわけですか。
  104. 荻田保

    荻田政府委員 大体の見当につきましては、すでに資料でお配りしてございますように、教育費の基準財政需要額は八百億少し越えるものだと考えております。その中に義務教育費も含まつております。
  105. 渡部義通

    ○渡部委員 この教育費や、その他の費目について見ましても、たとえば市町村におきましては、警察費教育費以上になつておるという事柄は、教育に対する侮蔑であると思う。そういうことがあるから、私たちは教育費の基準というものを比率的に明白に出しておく必要があるのではないか。これだけは日本の教育ため確保されなければならぬというパーセンテージをはつきり出されて、これが実践されるという方法でなくては、実際上ますます困難になつて来る日本の経済状態のもとで、教育費の正しい形での確保ということは不可能だと思うのです。しかしその点はしようがありません、はつきり計算さえもできていないというような状態であらますから、一応別としますが、こういう單価決定の場合に、これをなぜ規則できめるというような簡單な方法をとられるのか。われわれとしましては、さつきから強調しましたように比率さえもはつきり総額の中できめられて教育が守られなければならぬというような場合に、規則できめるというような軽々しい取扱いをされることになりますと、この規則のきめ方いかんによつて、また規則を取扱う場合のやり方によつて、実際上これは政府のかつてなやり方ができることになり、ことに官僚のかりてなやり方ができることになるのではないか。そういうことは文部官僚だけならば教育のことに真劍になるかもしれませんが、しかし地方自治庁その他においてそれがなされるようなことができて来ると、これはやはり、教育に対する非常に破壊的な結果を招来するようなものがひそんでおるのではないか。この点をおそれるわけですが、その点はどうなんですか。
  106. 荻田保

    荻田政府委員 その点はおつしやいます通りでございまして、この單位当費用は、法律を用いましてきめたいと思います。しかしながら、本年度におきましては、施行早々でございまして、細目的な検討が済んでおりませんので、本年度限り規則に譲ることになつたのであります。この点は法律に明記してございますが、その規則も今おつしやいましたように、單に官僚がつくるのではなくて、地方財政委員会という、最も地方自治に直結いたします委員がこれを最終的に決定するのでございます。
  107. 本多市郎

    ○本多国務大臣 地方財政委員会が最終的に決定することになつておりますが、教育関係のその單位單価につきましては、文部省の意見を徴しましてやることになつております。
  108. 渡部義通

    ○渡部委員 文部当局の方としては、こういうようなやり方に賛成であるのか、あるいはやはりきちんとパーセンテージを設けて、それについては文部省が責任を負つて、日本の教育発展ため経費確立するという腹を持つておられるのか、どういうようにお考えですか。
  109. 平島良一

    平島政府委員 文部省といたしましては、特別法をしきたかつたのであります。それは文部省としてばかりではありません、政府としてもその方針であつたのでありますが、先ほど申し上げましたような事情で、まだ出て来ませんので、この法律に従うよりほかに方法はないのであります。
  110. 渡部義通

    ○渡部委員 この規則できめるということですか。
  111. 平島良一

    平島政府委員 それでよろしいと考えます。
  112. 渡部義通

    ○渡部委員 一応質問としてはここで打ち切つておきます。
  113. 田中織之進

    ○田中(織)委員 地の委員諸君から質問が出たかと思うのでありますが、少しお伺いをしたいと思います。総額千五十億ということにきめられておる関係から、千五十億という数字をはじき出す意味から見て、すでに相当細密な配分計画もできておることと考えるのでありますが、まず順序といたしまして、この千五十億が都道府県と市町村とにわけて交付されることになると思うのですが、その都道府県と市町村配分についてはどういうことになつておりますか。
  114. 本多市郎

    ○本多国務大臣 都道府県、市町村配分されるわけでございますが、それを都道府県の分と市町村の分と二つにわけて考えることができるかという御質問でありますと、それぞれいずれも独立の団体として都道府県、市町村ということで財政需要額財政基準收入額を出しまして、一律にやるのでございます。すなわち府県も一つ地方団体として市町村と同一計算をいたします。
  115. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私のお伺いしておるのは、それは都道府県も市町村も、それぞれ独立の自治体として配分を受けるのでありますが、大体千五十億の内訳が都道府県の方へ参るのが幾らで、市町村の方へ行くのが幾らになつておるか、千五十億円という数字をはじき出した以上、その部分が最終的には地方財政委員会基準財政需要額その他の関係から割り出されて来る一応の目安はあると思うのであります。それはいかになつておりますか。
  116. 本多市郎

    ○本多国務大臣 具体的な各市町村ごと交付金の額については、まだこれはできておりませんが、財政計画上から見た場合の区別は大体立つております。六割ぐらいが県、四割ぐらいが市町村、かように考えております。
  117. 田中織之進

    ○田中(織)委員 まだきわめて漠然としているのでありますが、都道府県は大体千五十億円のうちで六割が交付される。そういたしますと、たとえば都道府県は土木費教育費、厚生労働費、産業経済費、戦災復興費、その他の行政費、公債費というように七つにわかれて交付されることになるのでありますが、大体土木費の部分には、どのくらい予定されておるのですか。各費目別に、六割のうち、さらに土木費教育費そういうような費目別にどういうように配分される予定ですか。
  118. 荻田保

    荻田政府委員 地方行政委員会には資料としてお配りしてあるはずでありますが、あるいは大蔵委員会には出ていなかつたかと思います。この千五十億の平衡交付金がどう配分されるかということは、関連しておるのでございまして、あく玄で基準財政需要額で、それぞれの費目にどれだけを見るかという問題になつております。その場合土木費には大体府県市町村を通じまして二百五十億ぐらいを予定しております。
  119. 田中織之進

    ○田中(織)委員 教育費はどういうことになつておりますか。先ほど八百億というのは都道府県市町村を合せたもの、たとえば都道府県の教育費の関係市町村教育費の関係はどういうようになつておりますか。
  120. 荻田保

    荻田政府委員 八百億のうち六百億足らずが府県、二百億余りが市町村でございます。
  121. 田中織之進

    ○田中(織)委員 どうも漠然たる数字でわれわれ大蔵委員の方にはまだ地方自治庁の方からの資料が出ておらないのでありまして、これは本日で連合審査が終るようでありますけれども、われわれの手元へ届けていただきたいと実は要望しておきたいと思うのであります。ことに市町村関係で見て参りますと、この測定單位の問題でございます。たとえば土木費の中で、港湾費というようなものが出ております。これは港湾における船舶の出入トン数、こういうことに相なつておるのでありますが、この点は測定單位として適当かどうかということは非常に問題があろうかと思うのであります。その点については、現在のような外国貿易その他の関係から見ましても、りつぱな港湾設備がありまして、また将来の産業の発展の見地から見まして一相当港湾費をかけなければならぬという場合に、その測定の單位が出入の船舶の総トン数どいうことになつて参りますと、これは港湾に対する港湾費を含めたところの財政需要に対して、收入をオーバーする部分を交付するという場合に、現実に港湾の方にはたして有効に向けられるだけの額が交付されるかどうかということ、われわれ多大の疑問を持つのであります。測定單位を船舶の出入トン数というものに押えられた根拠は、どういうところにあるのですか。
  122. 荻田保

    荻田政府委員 この測定單位につきましては、なるべく経費の実情を捕捉し得るものを伺いた下ということが一つ考え。もう一つは、簡明なものを使いたい。あまり複雑なものではかえつて計算の途中におきまして作為が加わるというようなことがございますから、客観的に見まして最も簡明なものを使いたい、こういう考えであります。従いまして、その両者から考えまして、港湾につきましては、出入トン数が最も妥当だろうと考えたのでございます。おつしやいます通り、非常に港湾費の標準財政費というものを測定いたします基準はむずかしいのでございまして、これが絶対に適当だとも考えておりませんが、さしあたりこれにつきまして、将来なお研究を続けたいと考えております。
  123. 中島守利

    中島委員長 田中君ただいままでの質疑はあなたの同志の門司君がずいぶんこまかく質疑をしております。ですから、なるべく要点を願いたいのです。門司君は大分こまかく今の通りの御質疑になつております。
  124. 田中織之進

    ○田中(織)委員 できるだけ重複を避けたいと思いますけれども、実は私らの方にはまだ十分資料も参つておりませんので、重複する点は、場合によれば委員長から御注意くださつてもけつこうだと思いますが、あと二、三点ですから……。  次に、これは多くの委員から質問が出ていることと思いますが、私もやはりこの法律の実施に必要な部分を、地方財政委員会規則にゆだねたという点については、どうしても理解できない点があるのであります。暫定措置法案も出て、衆議院はすでに通過しておることでございますが、大体地方財政委員会は、これはまだ委員会法が別途審議中でありますから出ませんけれども、規則として予定されておるものがあるだろうと思うのですが、これは大体どういうような構想になつているのでありますか。本来ならば、私は相当詳細な点を平衡交付金法案の中に盛るべきではないかと思うのであります。大体重要な部分はほとんど規則によることに相なつておるのでありますが、その規則の大体の構想というものをお聞かせ願いたい。もしこれが一応の素案でありまするならば、むしろわれわれ本案審議関係から見て、当然われわれ資料としていただくべきが本筋ではないかと思うのですが、その点はこの規則に盛ろうとしておる大体の構想でも、あらすじでもお聞かせ願えれば幸いだと思います。
  125. 荻田保

    荻田政府委員 先ほども申しましたように、規則に残つております最も重要な点は、第十四條の單位費用でございますが、これにつきましてはなおこの測定單位数値が全部幾らになるかというようなことも、相当これから研究しなければなりませんので、單位そのものはいまだ出ておらぬのでございます。しかしながら先ほども申しましたように、財政額、経費ごとの基準財政需要額は見当をつけておりますので、今資料をとり寄せておりますから、お配りいたしたいと思います。そのほかの規則は、大体この法律に書いてありますところの計算方法程度でございまして、そう本質的なものはないと考えております。
  126. 田中織之進

    ○田中(織)委員 その点はひとつ規則の大体の原案もできておるでしよう。われわれに資料としてお配りを願いたいと思います。  次にお伺いをいたしたい点は、これは標準義務教育費に関する部分でありますが、先般も運営委員会において、本多国務大臣から大体の見通しを承つたのでありますが、しかしわれわれ本法案と並行いたしまして、国会提出されることを期待いたしておつたのでありますが、先ほど来の各委員政府側との質疑応答を承つておりますと、この国会には間に合わないということが決定的のようでございます。どの点が一番ペンデイングになつて、この会期に間に合わなかつたのか。それからこれは本国会に間に合わない関係から、平衡交付金法の通用によつてその面を確保して行きたいということでありますが、大体どういうような運用で、標準義務教育費に盛るべきものをやつて行こうとされているのか、その辺の御構想のあらすじだけでも承りたいと思います。
  127. 本多市郎

    ○本多国務大臣 これは標準義務教育費法を、政府といたしましては案を決定いたして、承認を求めておるのでありますが、承認が得られないために、今日まで提案できないでおります。その折衝の内容につきまして、詳細なことを申し上げることは、かえつてあやまちを犯したり、誤解を起すおそれがあるとは存じますけれども、私が感じております程度で申し上げますれば、政府はこの地方財政に対する地方団体の自主的な運営を拘束するようなことは、一切なすべきものではない、制度をそういうような精神で改正すべきでないという指示を受けております。その精神と、標準義務教育費の案として出しておりますものは、大体の標準を示すもので、最後的に地方団体を拘束するものではないとわれわれは考えておりますけれども、そうした点についての司令部方面の研究が結論に達しないのではないかと思つております。さらにもう一つは、聞くところによりますと、兒童一人当りの教育費の單価についての研究が、やはり結論に達しないもののように聞いておるのでございます。それからそういうものが成立しない場合に、この教育費等の支出について、地方をいかにして指導するか、または財政需要額のその測定單位当りの單価等の計算について、どういうふうに地方教育費を尊重して行くかということにつきましては、これは文部当局から意見を徴して、なおこれらの測定單位單価をきめるときにも関係機関の意見を求めることができるようになつておりますので、十分連絡をとつて善処して行くように指導いたしたいと思います。
  128. 田中織之進

    ○田中(織)委員 その標準義務教育費に関する法案のペンデイングになつておる点の事情は、ただいまの本多さんの御答弁で大体推察はできるのでありますが、その第一の理由になつておる地方団体の自主的運営を拘束するようなことをやつてはならぬ、こういう点がもし問題点だといたしますならば、私は大体地方財政平衡交付金というような、この制度そのものが、これはやはり地方財政地方自治団体の自主的な運営の上に拘束にならないかどうかということが、根本的な問題だと思う。しかし現実の地方財政の現状から申しますならば、やはり平衡交付金というような制度によつて、これはその意味において私は中央集権的な傾向を持つて来ると思う。しかしそれでも今の地方財政の現状においてはやむを得ない思います。従つてわれわれはむしろ現在の地方財政というものを確立する財政的な需要の面から申しますならば、千五十億ではいかぬ、もつとこれは、たとえば現在問題になつておる地方税関係から見ましても、この面において、もつと補いをつけるべきであるというわれわれは意見を持つておる。同時にそれをカバーする面から申しますれば、地方団体に対する集権的な中央官庁の強力な力が及ぶことをいかに調整するかという点から見て、やはり地方財政委員会の民主化という條件を、われわれはその関係からつけなければならぬ、かように考えておるのでありますが、どうもその点が標準義務教育費に関する法案取扱い一つの問題になつておるとすれば、これは実は矛盾した話だと思うのであります。たしか標準義務教育費の面におきましては、教育委員会とか、あるいは教員組合等の意向と、都道府県並びに市町村行政に当つておる理事者との間に、意見の対立があることも、われわれ理解しておるわけでございますけれども、その点は最近における予算の面全体における教育費のウエートというものが、平和国家になつてから——戦争中のような、ああいう不生産的な需要が非常に多い時期ならやむを得ないとしても、今日の段階において、教育費のウエートがきわめて低いという点から見ましても、特に地方財政の見地において、この点についての——これはもちろん標準を示されるにすぎないという本多国務大臣の答弁は、きわめて政治的なものと了解するのでありますけれども、私この法律が同時に出て来ないということは、きわめて遺憾に存ずるのであります。ことにいろいろ誤解もあつていけないということでございますけれども、たとえば地方税法案の審議にあたりましても、われわれが、これは国会の例として、與党野党を問わず申し上げたいことは、関係方面からいろいろのサゼスチョンなり、あるいは指示なりによつて政府は相当GHQとの間においては、的確な文書その他によるところの資料等も手に入れられておると思うのであけます。従つて私らは、できるならば標準義務教育費に関する法案の問題につきましても、現在向うから政府側に指示されておる案、また政府側から向うに今検討してもらつておる案、これを資料として国会に提出してもらつた方がむしろいいのではないか。その過程において、やはり政府国会とは、それぞれ独自の立場にあるわけですから国会国会として、そういう生の資料に基いて、国会意見をもつて国会審議権の自主性というものを認めてもらつておる段階から申しますれば、こういうふうに会期が切迫して来ておる段階においては、非常にその点においても制約を受けることは事実でございますがわれわれは国会として、関係方面との折衝に当るということによつて、そうした必要な法案の成立を促進することもできると思うのであります。現在ペンディングになつておる義務教育費等に関する法案につきましても、政府は従来のいわゆる秘密主義の点から、国会に出すと、はちの巣をつつついたようになりはしないかという心配から、出さないのではないかと思うのですが、むしろ今日の段階においては、私はそれはあべこべだと思う、出していただきたいと思います。この法律案連合審査会は、今日で終るわけでありますがそういうものを国会の方へ提出される御意思はありませんか伺つておきたい。
  129. 本多市郎

    ○本多国務大臣 標準義務教育費法案に関しましては、私の申し上げましたような点にあると思つております。もちろん文部当局からの意見も聞いておりますが、それ以外特別な、こういう点が了解が得られないということは聞いておりません。大体とれは文部省が折衝いたしておりますので、その内容の詳細はわかりませんが、そういう程度に承つております。それでは今後この司令部との折衝の各段階における事情等を資料等で、秘密を要することは別として、お知らせして、審議促進の便に供したらどうかという意見につきましては、これは今後研究をいたしたいと存じます。さしつかえない範囲内においてお知らせすることはいいことと存じておりますので、十分研究いたしたいと思います。
  130. 田中織之進

    ○田中(織)委員 これはこの法案とも直接関連を持つて来るのでありますが、伺いますと二十四年度の配付税が三十数億残つておるやに聞いておるのでありますが、これはこの平衡交付金との関係においてどう処置せられるか。われわれは昨年度において、配付税の問題につきましては、政府は他の予算的な需要の関係から見て、実は法律を守つておらぬ、しかもそれで三十数億というものを残しておいて、それぞれ地方団体に還元しないということはけしからぬことだと思う。これはどういうように処置されるつもりでありますか、伺つておきたい。
  131. 荻田保

    荻田政府委員 まことにごもつともなお尋ねでございまして、二十三年度におきまして相当の配付税の決算上の額が残るわけでございます。この額は前の配付税法によりますと、翌々年度つまり二十三年度でございましたら二十五年度において処置しなければならないのでございまするが、配付税法もなくなりましたし、平衡交付金に切りかえにもなりましたので、この残りました金につきましては、ほかの財政需要等も十分考えまして後に処置いたしたいと考えております。
  132. 田中織之進

    ○田中(織)委員 その点はこれまた司令部との折衝の問題も残つて来るだろうと思いますが、話がつきますれば千五十億にプラスして出していただける、こういうふうに了解していいわけですか。
  133. 荻田保

    荻田政府委員 ただいまの予算ではできませんが、将来そのような結論が出ましたら、追加予算なり何なりいたしまして処置を講ずれば、平衡交付金の中に入れることができると考えております。
  134. 田中織之進

    ○田中(織)委員 これで私の質問は一応打切りますが、なお最後にお答え願つておきたいのであります。この法案が通過したといたしましても、なかなか配分に対する準備に相当の時日を要するので、大体千五十億のうち二百億程度のものを概算仰いで支拂われる法案がすでに本院を通過しておるのでありますが、大体基本法によりまして実際に交付金が出て参りますのはいつごろになるか。それから暫定法の措置による第一回の支拂いはいつに予定をされておるか、その点を最後にお聞かせ願いたいと思います。  それからついでに申し上げておきますが、地方行政委員会へ出されましたところの自治庁関係の資料、それから先ほど私が要求いたしました地方財政委員会の規則、これはもちろん委員会ができてから正式に出るものだと思いますが、原案ができて募ることと承りましたので、それをわれわれに配付を願いたいということを希望申し上げて事きたいのであります。
  135. 荻田保

    荻田政府委員 資料の点でございますが、地方行政委員会にお配りいたしたいと思います。規則はまだ推敲したものはできておりませんので、この際はさし上げるとができないかと思います。それから平衡交付金の方のこの間成立いたしました暫定措置に基きます二百億の交付は、すでにわれわれの方といたしましては、手続を全部終りました、早いところはもう到達していると思います。それからこの平衡交付金法に基きまして正式に本年度の総額決定いたしますのは七月、おそくとも八月と考えております。従いまして六月に道府県、七月に市町村、この一部交付をさらにいたすことになつております。
  136. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は最後に一つだけ伺つておきます。先ほど荻田政府委員からお答えがありましたが、委員会では聽聞ということが重大問題だと思いますが、交付金額の減額に関する聽問でありますから、これをひとつ早く措置を講ぜられることが必要だろうと思います。こういうことにつきましては、たとえて申しますと、これはある一定委員を選定いたしてある財政委員会でございましようが、それらのものが公開の席上においてやるということになつておりますから、何か町会の議事堂でも借りてやるのですか、何かありませんか、あつたら最後に聞かせてください。
  137. 荻田保

    荻田政府委員 おつしやいます通り聽聞は重要なことだと存じます。その手続等は委員会ができましてから規則で定まるわけでございまするが、ちよらど人事院でやつておりますように、公開いたしまして傍聽者の前で適当な施設のもとに行うことになるだろうと考えております。
  138. 中島守利

    中島委員長 質疑は終了いたしまた。これでもつて連合審査会は散会いたします。  この際地方行政委員の諸君に申し上げますが、公報では午後一時より第三委員室となつておりますが、都合によりましてこの第十三委員室で午後二時二十分より開会することにいたします。     午後一時十七分散会