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1950-04-12 第7回国会 衆議院 地方行政委員会公聴会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月十二日(水曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 中島 守利君    理事 大泉 寛三君 理事 川西  清君    理事 菅家 喜六君 理事 野村專太郎君    理事 久保田鶴松君 理事 藤田 義光君    理事 立花 敏男君 理事 大石ヨシエ君       河原伊三郎君    清水 逸平君       塚田十一郎君    大矢 省三君       門司  亮君    床次 徳二君  出席公述人         私鉄経営協議会         長       村上 義一君         全国市長会長代         理      金刺不二太郎君         東京都水産物荷         受機関連合会長 寺田 省一君         日本協同組合同         盟常任中央委員 木下 保雄君        染  織  業 馬場崎徳二郎君         全国町村長会理         事       白鳥義三郎君         株式会社天正堂         專務取締役   三宅 源次君         新聞協会常任幹         事       福島 俊雄君         全国新聞販売組         合連合会長   江崎銀兵衞君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 本日の公聽会意見を聞いた事件  地方税制改革について     —————————————
  2. 中島守利

    中島委員長 これより地方行政委員会公聽会を開きます。  御承知のごとく今回の国及び地方を通じての税制改革は、わが国の税制の創始以来の画期的なものであります。従いまして一般国民諸君地方税法案に対する関心もまことに大なるものがあります。国民各層におきまして賛否の意見を活発に展開している現状にかんがみ、広く国民諸君の声を聞き、国民の輿論を反映せしめ、もつて本案の審査を一層権威あらしめるため、一昨日より三日間にわたり公聽会を開くに至つた次第であります。本委員会といたしましては本日公述人各位の熱心かつ豊富なる御意見を承ることができますことは、本委員会今後の法案審査の上に多大の参考となるものと深く期待する次第であります。私は本委員会を代表いたしまして、御多忙中にもかかわらず御出席くださいました各位に対し、厚く御礼を申し上げます。  本日御出席公述人の氏名を申し上げますと村上義一君、金刺不二太郎君、寺田省一君、白鳥義三郎君、福島俊雄君、江崎銀兵衛君、木下保雄君、馬場崎徳二郎君、三宅源次君の各位であります。  それでは村上義一君に御発言をお願いいたします。この際村上義一君の御発言に先だちまして一言申し上げておきます。衆議院委員会における公聽会公述人には、国会に議席を有する者をこれまで公述人として御出席を願つたことはないのであります。村上君は御承知通り参議院議員であります。しかし公聽会もきようで終りますので、私ども委員会の審議中にも重要な意味を含まれておりますところの、私鉄経営関係者代表者であります。これを急に公開することは困難でありますから、今回に限りまして参議院議員公述人としての御発言をお許し申し上げたいと思うのであります。どうか委員諸君におかれてもさよう御了承を願いたい。この際一言つけ加えて申し上げておきます。  なおこの際申し上げておきますが、時間が制限してございますが、委員会公述人各位の御発言を聽取することが目的でありまするから、あながち時間が参りましても発言を中止するようなことはございませんで、なるべく簡潔に願いますという希望だけでありますから、さよう御承知を願いたい。それから発言が済みましたならば、質疑があるかもしれませんから、どうぞしばらくそのいすにおかけくださいまして、質疑がないということで御退席を願うということにいたしたいと思います。それではどうぞ村上さん。
  3. 村上義一

    村上公述人 ただいま御紹介をこうむりました私鉄経営者協会村上義一でございます。昨年十月シヤープ・ミツシヨン勧告書が公表されました直後、その重大性に驚きまして、税制改革私鉄事業に及ぼす影響と題する要望書政府当局またGHQの当局、さらに衆参両院議員各位に提出いたしまして、私鉄窮状を訴えた次第であります。さらに本年二月、地方自治庁の第八次案を拜見いたしまして、実施の結果は致命的な脅威をこうむるということに驚きまして、衆参両院議員各位に対しまして、地方税制改革案に対する請願書を提出いたしまして、深甚なる御考慮をお願い申し上げた次第でありまするが、いよいよ先月二十三日に国会に提出せられました地方税法案内容を拜見しまして、従来と何ら緩和せられた点がないのに驚愕いたしまして、地方税制改革案に対する私鉄経営者の最後的な要望なる願書を、衆参両院議員各位に提出いたしまして、三たびその窮状を訴えた次第であります。本日は本法案のかぎを握つておられます地方行政委員会におきまして、直接私鉄窮状を陳情する機会を與えてくださいましたから、私は全国私鉄百七十三社を代表しまして、私鉄窮状、またその特異性を率直に申し述べまして、この際国鉄と同じく私鉄に対しましては、一切の地方税免除されることが当然であると信ずるゆえんを、お聞き願いたいと思うのであります。  私鉄は御承知通り社会政策上または物価政策上、その收入源である運賃が、輸送コストに比して非常に低廉であるというために、私鉄財政状態がすこぶる貧困でありまして、最近営業を継続することが困難な会社が続出いたしまして、全般に財政的に気息えんえんたる実情に置かれてあるのであります。二十三年度における全国私鉄地方税納付額は二億二百万円余りでありまするが——もちろん二十三年度の下期と二十四年度の上期と合して一年分としてみますると、四億近くの納税額に相なつておりますが、とにかく二十三年度に比較いたしますると、今回の税制改革によりまして一躍十三倍、二十六億三千万円という重税に相なりますことは、まつたく致命的な打撃でありまして、私鉄全体が壊滅に陥るおそれが多分にあるのであります。国鉄が一切の国税地方税免除されておりますことは御承知通りでありますが、私鉄に対しましても少くとも地方税だけは免除さるべきであると、私どもとしては主張をいたしたいのでありまして、なぜならば国が所有しているという一点を除けば、私鉄交通機関としての機能並びにその運営條件は、国鉄と全然同一であると思うのであります。国鉄とともに経済、産業、文化の動脈をなす典型的な公益事業であると思うのであります。すなわち強い公共性を持つているという点、また企業を休業したり廃業したりするにつきましてすら、政府認可を要するというようなふうに、きわめて峻嚴国家監督を受けているという点、また運営が常に世論の批判の的となつている点におきまして、両者はまつたく同一スタンドポイントに置かれていると思うのであります。でありますから私ども私鉄国鉄同一スタンドポイントに立つて企業運営に当らしてもらいたい。少くとも地方税だけは国鉄同様免除してもらいたいと、実は念願している次第であります。  国鉄国税地方税免除されております経済的の理由は何かと言えば、定期乗車券の異常な割引制度以外には、理由を求めることができないと思うのであります。定期乗車券は、その運賃割引率が御承知のごとく八割ないし九割というような高率でありまして、従いまして定期運賃輸送原価の半分以下、三分の一近いものであるのでありまして、まつたく日本定期券割引制度は世界に類例のない、とつぴな制度であるといわれているのであります。米国、英国またスイス、フランス等を初めとしまして、各国とも二割五分、三割という程度割引にとどまつておりますことは御承知通りであります。昭和二十三年の十月から二十四年の九月までの国鉄旅客收入は、四百七十五億円でありますが、そのうち四百二十億円が普通旅客收入であり、五十五億円だけが定期旅客收入であるのであります。すなわち国鉄は年間約三百億円の定期運賃割引をして、社会政策または物価政策に貢献している次第であります。この定期乗車券割引制度に基いた、ただいま申し上げました経済的の犠牲に対しまして、国家なり地方公共団体は一切の国税地方税免除しているのでありまして、国税免除につきましては、国有という理由によりまして免除理由を求めることができると思いまするが、しかし地方税につきましては、定期割引制度犠牲以外に、免除理由を発見することができないと思うのであります。なおついでながら申し述べますが、二十四年度は御承知のごとく予算において、三十億の補給ということになつておりまして、いまだ決算期に達しませんが、終戰後四箇年間に、一般会計から五百七十億円の補助金ないし貸付金を支給交付しておることは、この際御注意をお願いしたいと思うのであります。この定期乗車券割引制度につきましては、私鉄に対しましても、まつ’たく同様の犠牲を強要しているのであります。加うるに、定期旅客收入旅客收入に含まれておりまする比率は、ただいま申し述べました通り国鉄は四百七十億中の五十五億であります。つまり一二%ということに相なるのでありますが、私鉄は二二%になつておるのであります。従いまして私鉄は実質的に約二倍の経済的犠牲を強要されているわけであるのであります。私鉄旅客輸送を主として、貨物收入は約一割であります。総收入二百六十億中のわずかに三十億にすぎないのであります。最近の一箇年間において、私鉄は二百三十億の旅客收入を上げておりますが、そのうち百八十億円が普通旅客收入でありまして、これは延人キロで申しますと、全体の四五%に当るのであります。そうして定期旅客延人キロ五五%であつて、しかもその收入は五十億にしか達しないのであります。従いまして定期旅客運賃割引額は、約百七十億円と概算し得ると思うのであります。かりにその半分が実質的の犠牲であるとしても、約八十五億円の経済的犠牲を強要されておるのであります。三分の一としましても、五十五億ほどの犠牲に相なつておるのであります。こういう巨額の奉仕を強要しながら、国家なり地方公共団体は、私鉄に対してどういう補償を現にしているか。地方鉄道補助法は、御承知のごとく約十年前に廃止に相なりまして、終戰と同時にその尾つぽを引いておりました補助は、絶無と相なりました。地租の免除だけが、現在唯一特点であるのであります。新法案はこれを廃止して、ただいま申し上げましたごとく二十三年度に比較しますると、十三倍の地方税を賦課せんとしておるのであります。これは私鉄は何としても耐えがたいところであるのでありますから、補助金はしばらく別といたしまして、少くとも国鉄とセーム・スタンドポイントにあるという観点から、地方税免除さるべきであるとわれわれは主張いたしたいのであります。もじ私鉄担税力がありまするならば、われわれは決してこういうことを懇請いたさないのでありますが、その財政状態は、真に窮迫の極を彷徨いたしておるのであります。現在百七十三社中で、三十八社が若干の黒字決算をいたしておるのであります。十九社はほとんどとんとんの決算でありまして、残る百十六社が赤字決算をいたしておる次第であります。そうして全体としましては、五億五千万円の欠損に相なつておるのであります。従いまして、納税資金企業内部でつくり出すということは、まつたく不可能であるのであります。  まず人件費について申し上げますれば、企業原則に基く一昨年七月のわくと、労働攻勢とに挾撃されまして、労働管理につきましてはさんたんたる苦労をし続けて今日に至つておることは、皆様も御承知通りだと思うのであります。こういう現状にかんがみまして、税金を人件費中から捻出するということは、とうてい不可能であるのであります。  第二に、補修費とかその他の物件費中から捻出することができるかといえば、これまた全然余地がないのであります。御承知通り私鉄は厖大な施設を、創業当時に整備せなければならぬ事業であります。その施設は戰時中の酷使、または戰災によりまして、はなはだしい荒廃状態に陥つておるのであります。終戰以来その復興につきましては、経営者はあらゆる努力を続けて来たのでありますが、実際上終戰後年度補修費は平常年次の半分くらいしか支出しておらないのであります。一昨年CTSの特別指示によりまして、車両部門その他の監査がありまして、これに基いて指定補修を命ぜられたのでありますが、まだこれも完了しておらないのであります。さらに電気部門保線部門などの補修至つては、はなはだしく不足いたしておる現状であるのであります。現に輸送力そのものは、大体戰前の状態に復興いたしましたが、スピードは御承知のごとく遠く及んでおらないのであります。スピードを落して、設備の不完全から来る運転上の危險を防止しておるという今日の実情であるのであります。換言しますれば、保線電気車両その他の設備に対しまして、多額の補修費をかけなければならないのでありまするが、收入不足のために、実行不能の実情にあるのであります。要するに補修費その他の物件費を節約して、納税資金をつくり出すということは、思いも寄らぬことであるのであります。  第三に、しからばシヤウプ勧告にもありますごとく、消費者に転嫁することができるかといえば、これまたほとんど不可能と言うてもいいのであります。なぜならば低率運賃は、社会政策上、物価政策上の至上命令であるばかりでなく、私鉄運賃は、国鉄運賃というこの鉄壁によりまして、強く制約を受けておるからであります。私鉄運賃値上げにつきまして、最近新聞紙上でも二三報道されております。実は私どもとしましては窮状を訴えて、ただいま運賃値上げを懇請いたしておるのであります。私鉄運賃は、一昨年七月国鉄とともに、あの物価全面的改訂に際しまして、相当値上げがありました。それから今日まですえ置かれておるのであります。国鉄の方は昨年の五月、御承知通り約六割の値上げがあつたのであります。そういう次第で、大体の都市周辺郊外電車その他多くの鉄道は、国鉄運賃に比べまして現在一割あるいは三割安くなつておるのであります。これを国鉄まで値上げをしてもらいたいということが、現在懸案になつておる値上げ問題であるのであります。これはまつたく補修費不足や、電力料の大幅な値上げに対応する財政救済策にすぎないのでありまして、しかも大部分会社にとりましては、これらの補修費不足とか、あるいは電力料値上げなどの半額にも達しない程度値上げの問題であります。国鉄のアイアン・ウオールによつて制約を受けますから、この程度で真にやむを得ないと考えておるような次第であります。要するに私鉄財政現状が非常に困難をきわめておるということは、基準年次たる昭和十年、十一年ごろに比較しまして、二十三年度の私鉄全国の平均は百七十五倍であります。物件費は二百三倍に相なつておりますが、これに対しまして收入源の大宗である旅客運賃率は、わずかに六十五倍くらいにすぎないというこの事実が、最も雄弁に財政困窮の真相を物語つておると思うのであります。現に昨年は北海道最大北海道拓殖鉄道が、一部の路線を除き運輸業廃止することに相なりまして、続いて二、三の小鉄道営業廃止いたしまして、さらに草軽電気鉄道、これは草津、軽井澤間の鉄道でありますが、株主総会の決議を経て、営業廃止認可申請を提出しておるというような実情であるのであります。もちろんこの沿線経済的立地條件としましては、決していいとは言えないのでありますが、一九〇八年に創業しましてから以来、相当強い不景気にも見舞われておりますが、これにも耐え忍んで今日に及んだのでありますが、資本をほとんど摩損して、ついに廃業を決意するということに相なつた次第であります。ここにおいて沿線町村はもちろんのこと、また会社所属労働組合は、事態重大性にかんがみまして、衆議院参議院運輸大臣に対しまして、営業廃止の却下の請願をしておるということは、皆さんの御承知通りであります。  シヤウプミツシヨンの勧告に基く税制改革案は、まさに理想的の税制を確立して、税負担の公平を期すると同時に、企業の育成と資本の蓄積をはかることを目途としておるのでありまするが、不幸にして私鉄の特性や実情が把握されておらなかつたために、所期の目的は正反対の方向に私鉄を追い込むことに相なつた次第であります。もしシヤウプ・ミツシヨンが調査の当時、適正なるデーターを持ち、私鉄実情を理解しておられたならば、必ずや私鉄についても、国鉄と同じく免税の勧告をせられただろうと信じておるのであります。しかしシヤウプ・ミツシヨンは、すでに本国に引揚げられまして、改正法律案国会に提出せられる今日となりましては、一面ドツジ・ラインを侵さない。他面シヤウプ勧告趣旨を尊重しつつ、しかも私鉄をしてその交通機関公共的使命を遂行せしめ、継続せしめるという唯一の道は、昨年の国会におきまして法人事業税法改正にあたつて、特に措置せられましたように、地方税法附則に、地方税負担額運賃原価に織り込まれるものは、私鉄に対しては本法を適用しないという趣旨附則を加えていただいて、事態收拾余地を保つていただくほかにはないということを考えるのであります。特に財源関係につきましては、地方自治庁が査定せられた昭和二十五年度の改正地方税收入見込額調書によりますれば、固定資産税の総額は五百二十八億八千万円ということに承知いたしておりますが、このうちで土地の收入見込額は、百九十億八百万円ということに相なつております。この金額の中には、鉄道用地を含んでおらぬのでありまして、この用地価格を三百五十億ないし四百五十億としますれば、税額は六億円ないし八億円と相なると思うのであります。さらに償却資産の面におきまして、地方鉄道関係税收見込額、これは五億八千二百万円計上されております。わずかな金額でありますが、この金額の中には車輛が主たるものであります。線路とか隧道、橋梁その他軌道関係を含んでおらぬのでありまして、これらの価格をかりに四百五十億ないし六百五十億としまするならば、その税額は八億円ないし十一億円ということに相なります。すなわちこの二つの種類を合計いたしますと、十四億ないし十九億円は、税收見込額に計上されておらぬと言わんければならないのであります。ただいま懇願しまするごとく、附則を修正していただいても、税收予定額にほとんど影響がないのではないかと思うのであります。地方行政委員皆様におかれましては、どうぞ御明鑑を賜わりまして、ぜひ附則の修正を実現してくださるように、衷心からお願い申し上げる次第であります。御清聽をありがたく感謝いたします。
  4. 中島守利

    中島委員長 村上公述人に対して質疑がありますれば、この際お許しいたします。
  5. 塚田十一郎

    塚田委員 ちよつと村上公述人にお尋ねいたします。ただいまいろいろ御公述くだすつた数字の中で、軌道軌道用地だけを別に考えたら、どれくらいの資産価格になるか、おわかりでございましようか。
  6. 村上義一

    村上公述人 軌道道路上に敷設するのが原則であります。従つて專用路線の上に軌道という性質を持つております企業でありますと、專用用地を持つておる部分もありますが、これははつきりした数字は申し上げかねますけれども、大したものではありません。私が今申し上げましたのは、そういう專用用地を持つておる軌道地方鉄道も一括して申し上げた次第であります。
  7. 大矢省三

    大矢委員 今お聞きしますと、二十三年度二億二百万円が、一躍十三倍強の二十六億数百万円となる、こういうことです。この値上げが強行されますと、放客運賃に何パーセン十ぐらいの影響があるかということ、それが一つ。それからもしこれが運賃に転嫁できないとしますれば、どこでこれを償つて行くか。先ほどのように営業廃止するとか、さもなければ人件費その他の節約によつてこれを振り向けるという方針であるということになると、人員の整理なり賃金、労働條件その他にも影響がある。また公共性を持つておるだけに、事業廃止にでもなるということになると、大きな社会的影響がある。これをもしこのまま強行した場合に、どういう影響があるかということをちよつとお聞きしたいと思います。
  8. 村上義一

    村上公述人 先刻も申し上げました通り、百八十億が普通旅客運賃でございます。定期運賃の方は五十億でございます。これをもろに上げるとしますれば、二百三十億ということに相なりまして、大体一割余り上げれば償えることに相なります。しかし御推察の通り国鉄運賃の上に出ることはできない立場の鉄道があるのであります。しかも都市周辺にあります大部分鉄道は、国鉄運賃よりも上に出るということは、事実上できないのであります。そこに非常な悩みがあるのであります。従つてお話のように人件費とか物件費とかいう面に、捻出する余地があればよろしいのでありますが、これは物件費関係でもただいま申し述べましたことく、スピードを落して今日補修不足に対応しており、そうして危險を防止しておるという状態であります。人件費至つては、これはもう全然余地がないと思うのであります。私鉄は各会社ともずいぶん合理的の運営に努力しておりまして、戰後問もなく大陸鉄道従業員が帰還せられた時分には、相当取込んで参りましたけれども、その後ぴつたり新規採用をそれぞれとめまして、自然減を待つて合理化をして今日に至つております。もう余地はほとんどないと言つていいと思うのであります。
  9. 大矢省三

    大矢委員 今のお話を聞きますと、全然そういうふうなところの余地がない。しかも現在黒字をもつて経営しておるところは、百七十三社のうちわずかに三十八社しかない。そうすると勢い赤字で今経営しておる会社相当数が、そのために大きな打撃を受けて、いわゆる営業廃止の運命にある。これは想像になるので、はつきりした数字は出ないと思いますが、大体どのくらいの会社がいかなくて、一割以上の値上げをなさなければ立ち行かないのであるか、その点をお聞かせ願いたい。これは大問題ですから、あなたの方も卒直にお述べ願いたい。
  10. 村上義一

    村上公述人 この問題は御説のごとく非常に重大問題であります。それで実は私どもこれを苦慮しておるような次第であります。しかしどれだけが営業が継続できないことになるのかということをはつきり申し上げることは、今日いろいろの事実関係もありますし、控えたいと思います。
  11. 中島守利

    中島委員長 次は金刺さんにお願いいたします。
  12. 金刺不二太郎

    金刺公述人 全国市長会会長代理をしております川崎市長であります。  都市財政状態でありますが、御承知通り戰災を受けた都市は、大体二百余の都市のうち八十都市に及んでおります。それで戰争中は、とにかく戰争に勝つまではというので、道路橋梁にいたしましても、営造物にいたしましても、そのままに放置されておりました。その上に六・三制の学校の建築などが強要されまして、非常に財源難に陥つておりますところへ、二十四年度におきましては配付税は半額になり、やむを得ず地方都市におきましては、これを一般住民寄付金にたよる、あるいは一時借入れをしてその場を糊塗するというような状況によりまして、しのいでおつたのであります。都市財政が非常に窮乏に陥つておることの内容は、大体それで盡きておるのでありますが、大体税におきましては国都道府県というものが独占しておりまして、ほとんど市町村は附加税的のものであつた。それに補助金であるとかいうようなものによつて、辛うじて維持しておつたのであります。その具体的な現われといたしまして、二十四年度におきましても、財政行き詰まりのために、約一割の市町村長が辞職を余儀なくされております。  その後シヤープ・ミツシヨン勧告によりまして、地方自治の強化がここに盛られまして、今回御審議中の税法改正なつたことと存じますが、その結果といたしまして財源相当付與されました。これはわれわれが多年要望しておりました自治の確立の第一歩であり、非常に喜ばしいと思つておりますが、さてこの税のことを考えますと、非常にとりがたい税であるということが痛感されるのであります。たとえば住民税、固定資産税市町村の大部分の税でありますが、住民税におきましては、大体において三倍になります。固定資産税におきましても、二倍ないし六倍というような高額でありまして、しかも固定資産に対しましては、機械等町まで評価いたしますので、今日の大企業はもちろん、中小企業が非常な苦境の中にあるときに、これらの固定資産に対して課税しても、はたして徴收が可能であるかどうかということは、私がここに申し上げるまでもないと思います。ここにわれわれ市町村長に非常な苦しみがあることが予想されるのであります。財源は非常に多く與えられましたけれども、その反面におきまして、徴收に非常に困難をする。今まで住民は税務署へ押しかけて行つてその不当を鳴らしておつたのが、これからは市町村長のところへ参りまして、市民の生活の事務を掌握しておりまするわれわれは、非常に苦しまなければならぬということが痛感されるのであります。ここにおきまして、まず二十五年度に限りましては、固定資産税は賃貸価格の九百倍となつておりますが、これはある程度納得せしめ得るような税率にしませんと、なかなかむずかしいのではないかと思います。従つて賃貸価格の倍率の点につきましては、私どもの希望いたしまするのは、八百倍程度が最も適当ではなかろうかと考えております。  徴税の方法でありますが、現在勤労所得税につきましては、源泉課税で徴收しております。この結果は、国におきまして、源泉課税の場合は百パーセントの成績をあげております。ところが申告納税の点におきましては、大体においで七十パーセント以下であります。また一面におきまして、住民税を納税する場合におきまして、大体年四回の徴收ということになつておりますが、毎月納めるということであれば、非常に楽に納められると思います。しかも合理的になるということは、現在の法案を見ますると、前年度を標準にして課税するということになつておりますが、いろいろ経済状態の変動等もありまして、必ずしも前年度と本年度が同一でないということは、現にデフレ傾向をたどつておるところの経済情勢でも、はつきりすると思います。こういう点も考え、最も公正に課税をするという点、徴收が非常に簡易であるという点、納税者が毎月納めるということ、こういういろいろの観点から見まして、住民税に対しては源泉で徴收することが最も望ましい。また市長の側からこれを見ますると、大体において毎月入る税金というものはほとんどありません。入場税、遊興飲食税等は道府県側になつております。わずかに電気ガス税が市町村側に参りましたが、額において非常に少いのでありまして、毎月市町村に税が入るということは、市町村の経理の面の上におきまして、非常に潤うのでありまして、この点は特に御修正願えればわれわれは幸いだと考えております。  もう一点申し上げますが、今の源泉徴收によりますと、楽に税が納められるという点と、現在の收入におきましては、生計費が相当かかりますので、滞納をする憂いがあります。万一これが滞納をいたしますと、結局その人は滞納者として扱われますので、善良な市民をある面において精神的に苦しめるという結果が将来起るのではなかろうか。かように考えまして、私は強く源泉で課税することを強調するわけであります。  その次に、今一番困つていることは、二十五年度は四月一日から始まるわけでありまして、各市町村においては、すでに予算を組んで執行期に入つておるのでありますが、税の関係が決定しておりませんのと、いろいろの関係で、今ほとんど空白状態であります。現金というものは入つておりません。従つてこれが対策こそ非常に望ましいのであります。新聞紙等によりますると、二百億という平衡交付金の前渡しがあるということで喜んだのでありますが、よく聞いてみますると、これも停滞しているようでありまする。可能性がないかに聞いております。この点につきましては特に御配慮を願いまして、現在市の吏員の給料も拂えないという市が非常に多いので、一日も早くこの処置をしてもらいたいと思います。  もう一点は、起債の認可のわくを広げてもらいたいということであります。現在市町村の費用の大部分は学校の建築費であります。六・三制は強要されましたけれども、御承知通り国家支弁の金は一〇%であります。従つてあとの九〇%は財源がないのでありまして、市民に寄付を強制し、あるいは立てかえてもらつて学校を建てておりますが、これとてもなかなか容易でない状況におきまして、一体起債の認可はどういうふうになつているか。国では金を出す約束であつたが、出してくれない、市は借金をして建ててはいけない、こういうことであるならば、これは二部教授あるいは三部教授をするばかりでなく、六・三制の教育は完全に実施することができないと思いますので、現在起債がどれだけ認可を認められているかといいますと、これも要求額のわずかに一〇%程度であります。でありますので、この場合起債のわくを広げてもらつて、本年度は大体において、教育を含めた全部で三百七十億と聞いておりますが、これは少くとも百億くらい増加してもらいまして、そうして特に学校建築に対して起債のわくを広げてもらいたいというのが、われわれの要望であります。  なお最後に、ちよつとここで皆さん方に御共鳴願いたいことは、今戰災都市全国の二百余の都市のうち、八十あります。この戰災都市は特別都市計画法によりまして、着々その復興をしておつたのでありますが、昨年度におきまして、ドツジ・ラインによつてこれが変更を余儀なくされました。そうして五箇年計画によつて戰災の復興をすることになつたのでありますが、これらに対する費用は非常に少いのであります。そこで戰災復興などというものはほとんどできないで、草がはえているのが、戰災都市現状であります。ところが昨年は長崎と広島に、いわゆる国際平和都市、文化都市という名目のもとに、特別法が制定されました。今日両市の復興は、国費を相当にさいて復興しております。なお本国会におきましても、いろいろな法案が出まして、いわゆる特別都市法案、首都法案、いろいろ法案が出ているようでありますが、これは非常に大きな問題ではなかろうかと思います。しからば八十に及ぶ全国戰災都市が、一体原子爆弾でやられたから、これは国が特別の処置をする、焼夷彈や爆彈でやられた所はどうでもいいというような考え方、これは焼夷彈や爆彈で燒失しても、一部の都市は復興するが、一部の都市は復興しなくてもいいのか。これは政治的に非常に大問題であると私は思います。われわれも寄り寄り集まつておりますが、これこそは、いわゆる乏しきを憂えず、ひとしからざるを憂えるという言葉がありますが、こういうことをどんどん片手落ちにやりますと、これはまことに大きな問題でありまして、願わくば全戦災都市に特別法をつくつてもらいたい。この点を最後にお願いいたしまして、私の公述を終ります。
  13. 立花敏男

    ○立花委員 一、二点お聞きしたいと思います。現在予算の空白状態ができて、吏員の給料も拂えないというお言葉がございましたが、実例がございますか。
  14. 金刺不二太郎

    金刺公述人 それは結局一時借入れというようなむりなことをして支拂わなければ、とても一般勤労者は食べて行かれませんので、高い利息を拂つて銀行から借入れて、拂つているような状態であります。
  15. 立花敏男

    ○立花委員 借りる場合、幾らぐらいの利率で借りておりますか。
  16. 金刺不二太郎

    金刺公述人 大体銀行の利率は一割です。
  17. 立花敏男

    ○立花委員 それからこの間の地方行政委員会におきまして、本多国務大臣の答弁で、今度の勧告案によつても、住民税、市町村民税ですが、これが累進にできるという御返答があつたのでございますが、特に川崎のような低額所得者、勤労者の多い所では、累進という問題が切実な問題になつて来るだろうと思います。累進でいいということが許されました場合に、市長としてどういうふうなお考えでございましようか、伺いたいと思います。
  18. 金刺不二太郎

    金刺公述人 累進でいいということになりますと、非常に困難を生ずると思います。私申し落しましたが、現在におきまして、税法が通過して公布されましても、おそらく二十五年度においては、徴收が全額可能とは思いません。私の見込みにおきましては、大体において三分の一程度は徴收不可能であります。おそらくこれは翌年度へまわりますから、二十六年度になれば若干いいと思いますが、二十五年度は非常に苦しいということが予想されます。
  19. 立花敏男

    ○立花委員 それから固定資産税の場合も、非常にとりにくいという御意見でございますし、二倍ないし六倍になるということでございますが、これは特に川崎のような都市において、必然的に家賃等に転嫁されるものでございますが、これがはたして可能かどうか。地租、あるいは家屋税に関する部分を借家人に転嫁し得るかどうか。この見通しはどうでございましようか。
  20. 金刺不二太郎

    金刺公述人 この見通しは、大体において川崎のごとき都市は、戰災で借家はほとんど焼失しました。今復興しているのは、大体市が建てている、いわゆる庶民住宅でありますが、これは値は上げません。いずれにいたしましても残つている家屋につきましては、値上げは当然起ります。もう一つは、中小企業は非常に疲弊し、その勤労者の給料も拂えない状態でありますから、機械まで評価して課税しても、徴收はなかなか困難であろうと考えております。
  21. 立花敏男

    ○立花委員 市で建てたものだから、値上げはしないとおつしやいましたが、市で建てたものについて、賃貸料をとつた上に、地租、家屋税をとるということになつているのでございます。東京都ではそれに着手しておりますが、川崎ではおやりになつておりませんか。
  22. 金刺不二太郎

    金刺公述人 公営物に対しては、税は課かりません。従つて家賃を上げる必要はありません。
  23. 立花敏男

    ○立花委員 家賃だけでなく、現在家賃をとる上に、地租、家屋税をその借家人に拂わしているのでございますが、たとえば東京都では、東京都営の高輪アパートなどにおいては、家賃をとる上に、地租、家屋税をとつているのでございます。それを川崎においてはおやりになつておりませんか。
  24. 金刺不二太郎

    金刺公述人 やつておりません。
  25. 立花敏男

    ○立花委員 今後もおやりになりませんか。
  26. 金刺不二太郎

    金刺公述人 今後のことは、税が通つてから研究しなければなりませんが、ただいままではやつておりません。
  27. 床次徳二

    ○床次委員 ちよつとお伺いいたしたいのでありますが、二十五年度の地方団体の歳出というものが、はたしてどれくらいの額になるかどうか。昨年の実績から見ると、財源のないために、実際やりたいこともやれずにがまんして来られたと思う。今年はどの程度まで地方団体が歳出を押えることができるか。政府の予想で申しますれば、四千九百億という数字を、全体を通じて見ているのでありますが、しかしながら地方の歳出がそれで押え切れないという場合になりますと、大分一般民の負担もかわつて来るのですが、皆さん方理事者の立場においてどの程度まで予算を押えるかどうかということをお聞きしたいと思います。人によりますと、財源ができると、濫費をするのじやないかということを憂える人もありますが、私はこの点はないと思います。やりたいこともやらずに、皆さん方はがまんしておられるのだと思いますが、二十四年度と比べて、本年度の予算の歳出の総額の見込み額は、どのくらいの増加を見込んでおられるか。その点をひとつ伺いたいと思います。
  28. 金刺不二太郎

    金刺公述人 全国都市の総計はわかりませんが、自分の市のことを考えますと、二〇%くらいにふえております。どういうわけでふえるかと申しますと、これは大体学校の建築費です。学校の建築費は市民に立てかえてもらつて建てている。これは返さなければなりません。寄付ではありません。寄付のところもありましようが、大部分はいずれ国家から補助金という形か何か、名称はわかりませんか、国で支出することになつております。これは六・三制の教育による費用だからということが最初ありましたから、一般住民は寄付ということでは、現金を返すということを言わないと、なかなか出さない。そこで学校の後援会なり、PTAが市民に働きかけて、一年の後には市が返してくれるのだ、あるいはその市によつて違いましようが、大体において一年ないし二年で返すのだということで、借りております。この金を返さなければならぬ。しかしそれよりも、全部完備しておりませんから、しかも戰災を受けた都市は、兵舎を借入れまして、バラックの学校を建てて、満四年半たつた今日では、ほとんど使用に耐えない学校が非常に多いのでありまして、これが改築をしなければならぬ、手入れをしなければならぬ、建てかえしなければならない、こういうために非常にその費用が増加しておる。これはやむにやまれない費用でありまして、大体こういう状況で学校の建築費が特に多くなつておる。戰災都市の学校は焼かれておりますから、そのために費用が多くなつておる。これは毎年ふえております。これを全部解決しない限りは、バラック建てでありますから、だんだん破損しますので、修築費がかかるというのが現状であります。学校の建築費が多くなるので、そのために二〇%くらいは増加しておる、こういうふうに考えております。
  29. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまのお話によりまして、二〇%歳出がふえるということになりますと、大体政府が予定いたしました税金だけでは、なかなかまかなえなくなるのではないか。なぜまかなえなくなるかと申しますと、平衡交付金が一千五十億というわくがありまして、結局予想より支出が上まわることになりまして、その分だけ増徴しなければならない。幸いにして税制に彈力がありまして、予定の賦課率だけとつてよけい收入が入つたということになれば、つじつまが合うわけでありますが、それでなければ増徴をしなければやつて行けない。増税すれば負担軽減のつもりが案外負担軽減にならないと思いますが、理事者としてどうお考えですか。
  30. 金刺不二太郎

    金刺公述人 先ほど申し上げましたように、むりにむりを重ねて市町村もやつておりますので、一時借入れをしましても、返済ができない。配付税等を大体抵当に入れなければ、銀行は金を貸してくれません。そういうものも半額になつたために、借金の繰越しになつておりますので、非常に苦しんでおります。
  31. 大矢省三

    大矢委員 今歳出の方で二〇%ほど今年はふえたと言われましたが、戰時中から鶴見、川崎といえば大工場が集中しておつた。そして今度の市町村固定資産税は、相当額に上ると私は思う。そこでもし川崎市で今度の固定資産について、昨年度に比してどのくらいの増收があるか。それから先ほど来御説の通り町村税が特に捕捉のしにくい税金を課けておる。今度は評価委員なり、あるいは固定資産の審査委員会ができるが、そのわずかな委員によつてこういう厖大な固定資産、あるいは固定資産の中でも特に償却資産などは捕捉しにくいのですが、こういうものを短期日の間に確実に捕捉できるか。各事業を通じてそういう専門家が三人やそこらでできるかどうか、適材な人が得られるかどうか。しかも完全な捕捉ができるかどうかということは、一番市長さんが経験があられると思いますから、特にこの機会にお伺いいたしたいのであります。
  32. 金刺不二太郎

    金刺公述人 私の市で言いますと、大体において固定資産税、住民税におきまして、二億五千万の増税になります。いわゆる歳入増になるわけです。ところが今申しましたように、税をとるためには税務吏員を大増員しなければならぬ。これは予算に組んでおりませんから、国会を通過して公布されますと、税務吏員というものは都道府県市町村全部でしようが、これは独立税になりますから、税務関係の組織というものは根本的にかえなければならぬ。そして人員は非常にふやさなければならぬが、そのために要する費用はもちろんどこでも組んでおりません。前年度できめろという指示でありますが、法律の通つていない税法を予想しては組んでありませんので、これは組みかえなければならぬことになりますが、税務吏員の増員ということは不可避な問題であります。
  33. 大矢省三

    大矢委員 捕捉できますか。査定できますか。
  34. 金刺不二太郎

    金刺公述人 それは非常に至難だと思います。一年や二年で完全な査定ができるということは不可能でございます。どこの市でもそうだろうと思います。
  35. 大矢省三

    大矢委員 結論から申しますと、こういう捕捉するに困難な税制改革というものは、今即時断行することは困る。できれば延ばしてもらいたいということですか。
  36. 金刺不二太郎

    金刺公述人 そうではないのであります。私らの市町村財源に困つております。あとで修正してもたとえば今度賃貸価格の九百倍となるようでありますが、そういうことによつて課税いたしますし、方法はありますので、これを延ばすということになりますと、この法案政府の提出も遅れたのでしようが、市町村は非常に困つておる。前年度はほとんどお話にならぬほどであります。いたずらに都道府県が税を独占しておりますが、それが通れば自治の確立ができる。増收が予想されて喜んでおるのですが、もしこれが延びることになりますと、非常に財源難に陥りまして、なお困る。一日も早くこれを理想的な案に皆様方に仕上げてもらつて、ぜひこれを通してもらいたい。それをお願いしなければならぬと思います。
  37. 立花敏男

    ○立花委員 この際地方税と密接な関係のある財政平衡交付金の法案これはまだ出ておりませんが、大体うわさにお聞きだと思いますが、これに対するお考えなり、御意見がありましたら、承つておきたいと思います。
  38. 金刺不二太郎

    金刺公述人 平衡交付金の問題は、大体われわれが調べた範囲では、今度地方財政委員会ができて、これを公正にやるということを知つておりますので、早くこの機構をつくつてもらいたい。そして公正にやつてもらいたい。私が申し上げるまでもなく、大体政府が今まで配付税のことをやつてつたのだが、今度は地方自治委員会がありまして、平衡交付金については專門の委員が選出されて、その手によつて実態を調査して公正にやるということを聞いておりますので、一日も早く平衡交付金の制度が制定されると同時に、その委員会の制度も同時に一日も早く決定されまして、公正な配付をしてもらいたいというふうに考えております。
  39. 立花敏男

    ○立花委員 最後にちよつとお触れになりました点でお聞きしておきたいのは、全国戰災都市の五箇年計画の費用が少いとおつしやいましたが、現在どれほどありまして、お望みになつているのはどれほどでございますか。
  40. 金刺不二太郎

    金刺公述人 それは都市によつて違うので、具体的には申し上げられません。資料を持つておりませんが、大体において、たとえば長崎、広島が昨年特別市になりまして、起債の大部分——私の記憶では二割ぐらいの程度のものは持つてつてしまいます。ですから国会では地方行政委員会にも建設委員会にもかけないで、各派運営委員会に諮つて簡單に法案を通してしまう。参議院でも反対しておつたが、神戸の市長などと反対しておるうちに、それがぱつと通つてしまつた。そして法案が通れば、もう建設省に向つて要求します。法案が通つておりますから、費用は当然出さなければならぬ義務がある。その点、国会の諸君はよく考えて、法案を通してもらいたいと思うわけであります。
  41. 立花敏男

    ○立花委員 私もまつたく趣旨は御同感なのでございますが、そういうわけで全国戰災都市復興法案というものを全国の市長さんのお集りなどで、御提案になる用意があるのですか、どうですか。
  42. 金刺不二太郎

    金刺公述人 その点は先般われわれも会議を開いたのであります。現に戰災都市全部に特別都市計画法というのがあるのですが、その上に特別法でまたつくるわけであります。現在特別都市計画法というものは制定されておるのですが、ところがまた別にその上に法律をつくるから、その都市だけが財源をとる。こういうような制度に現在なつておりますが、私の考えは、少くとも現在のこの国家財政状態から、財源をたくさんくれということを望むのはむりだと思いますが、少くとも戰災都市復興のためにたとえば今度住宅金融公庫法案が今出されて審議中でありますが、これらの金が来ても、家を建てる土地が入手できない。そういうことを考えれば、戰災都市には国有財産を無償か、あるいは非常に安い値段で拂い下げる。こういうようなことをしてもらえば、非常に復興が早いと思います。全国戰災都市に国有財産はたくさんあると思います。大体今国会に要望しておる各都市の特別法の内容を見ると、やはり国有財産というところに重点を置いておるようです。たとえばこの間衆議院を通過した旧軍港都市法案では、呉、佐世保等の四市が通つておりますが、あれも結局国有財産を拂い下げることが重点のようでありますので、戰災都市に対しても十分なる方法をとつてもらいたい。くどいようですが、住宅金融公庫から金が放出されますと、住民は家を建てようとする。建てようとするけれども、家を建てる土地がないというのが現状でありますので、国有財産を戰災都市に拂い下げることができますれば、土地も保有できる。こういう点から国有財産を拂い下げてもらいたいという希望を持つております。
  43. 河原伊三郎

    ○河原委員 前税法においても、いろいろ欠陥があつたと思いますし、また新税法案につきましても心配とか、あるいは不平があると思いますが、総体的に見て前の税法、現行の税法と改正地方税法と、どちらを好まれますか。
  44. 金刺不二太郎

    金刺公述人 その点よ先ほど申し上げましたように、前の税法というものは、ほとんど国あるいは府県に重点を置きまして、市は附加税なのです。独立税ではないのです。ところが自治確立のために税が付與されたので喜んでおります。徴税は困難であつても、財源を付與されて完全に自治体になつた。政府に頭を下げなくても、県に頭を下げなくてもやつて行かれるという点からも、私は大賛成であります。
  45. 中島守利

    中島委員長 それではこの程度で——お忙しいところをどうもありがとうございました。  次は寺田さんにお願いいたします。
  46. 寺田省一

    寺田公述人 このたびの地方税制改正につきまして、水産業に関する意見を公述させていただきますことを、まことに光栄に存じます。  水産業、特にその生産の立場から申し上げますと、水産業は御承知通り天候その他自然力によつて左右されることの多い産業でございます。従つて漁、不漁が多いのでございます。御承知通りいわしは昨今とれておりません。しかしながら、いわしの漁業家は、毎年あるいは毎日のように、漁に出かけて行かなければならぬ。こういう実情にあるものでございます。ところがこの水産業の場合におきましては、この生産に要する、あるいは生産に投ぜられる労賃その他の経費が、少くないのございます。そういう経費が投ぜられましても、もし不漁だというようなことになりますと、何らの価値をつくり出さないと同じ結果になるのであります。こういう本質を持つております水産業でありますから、その点につきましては当委員会におかれましても、水産業の事項についてはいろいろと御検討願つておることを、新聞等で存知しておるのでございますが、特にその水産業の本質というものにつきましては、十分御審議にあたりましても御認識願いたいと思うのであります。  今回の地方税制改正案につきましては、第一に附加価値税の問題でございますが、附加価値税につきましては先ほども申し上げましたように、水産業の本質から見まして、非常にむりがあるのではないかというふうに考えられます。特に国税の場合におきましても、変動所得というような方法をおとりになつておられますが、この変動の多い水産業の経営につきまして、課税対象となる場合におきましても、その点十分に御考慮願いたい。特に勧告書等によりましても、漁業については十分な研究をしていないので、確たる意見は述べられないというような御趣旨のほどもあつたように存じております。そういう意味からいたしまして、この水産業については十分の御検討を願いたい。従つて附加価値税の問題については、水産業のような原始産業には非課税としていただきたいというのが骨子でございます。なおこの点に関連いたしましては、農業でありますとか、林業でありますとかいう同種の原始産業の例を見ますと、非課税として扱われておるのでございます。そういたしますと農業あるいは林業と水産業との比較という問題も起つて参ります。同時にまた林業と農業と水産業との権衡ということも、考えて行かなければならぬと考えます。その点からいたしますと、農業、林業が非課税になつておるのでございますから、水産業についてもその権衡から申しまして、当然非課税としていただいていいのではないかという考えを持つております。持に沿岸漁業についてこれを見ますと、労賃部分と申しますか、そういう附加価値税の対象となる分については、他の産業に比べてみまして比率が高いのでございます。私の計算によりますと二倍ないし三倍くらい、比率の上において倍率を持つのではないかと考えております。それから沿岸漁業以外の南氷洋捕鯨業とか、まぐろ漁業でありますとか、そういう漁業になりますと、これはいわば国際漁業と申すようなものでございまして、世界の自由競争の範囲から、現在のところ必ずしも直接の影響を受けてはおりませんけれども、今後その影響を受けることも深刻になろうと思うのであります。日本の水産業の確立のために、国際関係を考慮いたしますと、当然この点につきましても、水産業の本質からいたしまして考えなければならぬ点が多いと存ずるのであります。海運業の関係につきましてはその点十分な御考慮が拂われておるやに承つておりますけれども、海運業と比べてみましても、この種の水産業におきましては同じような国際的の関係に立つのでございますから、その点について十分な御検討を願いたいと存ずるのであります。  農業、あるいは林業と比較されました場合に、こういうことも伺つております。地租であるとか、農産物の低物価維持という見地から、農業あるいは林業は非課税であるというふうに扱われておる。しかしながら水産業の場合においては、船舶税でありますとか、漁業権税でありますとか、今後新たに創設されまする許可料、あるいは免許料というような点からいたしますと、水産業の負担も決して農業あるいは林業と比べまして、低いものではございません。のみならず、業者の負担という点から参りますと、戰後漁業の確立のために、漁船の新造をいたしますとか、あるいは漁業の運営に必要な油でありますとか、資材等、特に漁網、漁具等を手に入れます場合には、非常な困難をなめて来ておるのでございます。従いまして水産業の経営につきましては、戰後においては非常な苦労をしておる面が多いのでございます。そういう業者の負担というようなことから考えて参りますと、この農業、林業との比較ということから申しましても、当然これは水産業が農業、林業に比して劣るものではない、こう考えられるのでございます。  それから現行の事業税というものから比べてみますと、漁業によりまして、漁獲が全然ないような場合におきましては、これは問題にならないのでありますが、今後はそういう面につきましても問題が起つて来る。そういう点から見ましても、この附加価値税という点につきましては、水産業の取扱いについては、農業、林業と違いがないという点からも、非課税であるべきではないかと考えるのでございます。  さらにまた農業、林業だけの比較を申し上げましたけれども、同じような原始産業の立場から申し上げますと、鉱物の掘採でありますとか、砂鉱の採取でありますとかいうものも非課税になつておるのでございますが、それらと水産業と比べてみましても、水産業が原始産業であるという建前から見まして、当然であろうと思います。  要するに附加価値税の点につきましては、水産業のような原始産業は、農業、林業、あるいは農業と同時に行われる畜産業というようなものと比べまして、その経営の上から見ましても、諸般の点から見ましても、同じであるべきである。同時にまた鉱物の掘採とか、砂鉱の採取というものと比べてみましても、水産業はそれと性質から見ましても、あるいはその経営の内容等から見ましても、同じではないかというふうに考えるのでございます。その点水産業の附加価値税につきましては、十分な御検討の上、非課税というふうな扱いにされることが望ましいと考えるものでございます。  次に漁業権税の点でございますが、漁業権税につきましては、御承知通り最近漁業法の改正によりまして、昭和二十七年度から免許料、許可料の徴收が始まるのでございます。これは免許料、許可料ということになつておりますけれども、水産業者に対する負担という点から申しますと、税金と実質的にかわりはない。従いまして、一方漁業法の改正によりまして、免許料、許可料の徴收が始まるということになりますと、その関係におきましては水産業者に対しましては、二重の負担をさせるという結果になると存ずるのでございます。その点におきまして、漁業権税の御考慮を願う必要があるのではなかろうか。もちろん二十七年度から先は、漁業権税はやめていただかなければ、水産業として立つて参らない、こういうことになるのではないかと思います。  次に固定資産税の点でございますが、これは漁船等につきまして、課税率、それから評価基準というものにつきまして、十分な御検討を願いたい。少くも現在の情勢からいたしまして、半分以下にこの評価はしていただかなければ、水産業として立つて行けないという状態にあるものと考えます。御承知通り水産業は、危險負担につきましては、自然力の影響を受けることが多いのでありまして、いろいろと災害等に襲われることも多いのでありますから、危險負担もいたさなければなりません。同時にまたその損傷による修繕というような機会も、非常に多いのであります。同時にまた漁、不漁の影響、ここにも及んで参りまして、どうしてもそういう破損に対しまして、仕事をして行く上から、非常な困難をなめなければならぬという場合も多いのでございます。  そういうような危險にさらされるにかかわらず、漁船の保險というような見地からいたしますと、漁船の保險については、現在半分以下の保險しかつけてもらえない。全額の保險は、家屋その他の場合に違いまして、なかなか保險に入れないというような状態にあるのでございます。そういうような関係から見ましても、特にまた今後水産業は、国際関係が多くなつて来るというような点から見ましても、貿易その他の面から見ましても、国際関係から十分独立をして、今後の日本の産業としての確立をはかつて行くという上から見ましても、この点は検討されなければならないことだと存ずるのであります。  以上申し上げましたように、水産業の生産という立場から今度の地方税法を考えてみますと、附加価値税の関係、それから固定資産税関係、それから漁業権税の関係につきましては、以上申し上げましたように、あるいは非課税、あるいはその軽減を考えていただかなければ、水産業として立つて行けない実情に追い込まれているということを申し上げたいのであります。  次に、同じ水産業の関連といたしまして、漁獲物の処理の一面におきまして、御承知通り漁獲物は大消費市場に送ることが、その率としても非常に多いのでございます。従いまして大消費市場におきましては、東京とかその他いわゆる六大都市におきましては、中央卸売市場という制度が現在行われております。この中央卸売市場における漁獲物の処理につきましては、卸売人、従来は荷受業者と申しておりましたが、こういう業者によつて、委託あるいは買付の方法によつて販売されるのであります。ところがこの中央卸売市場という場所につきましては、御承知通り中央卸売市場法によつて規制されている。その市場内における卸売人、従来で申すならば荷受業者と申しますものは、その事業運営につきまして、手数料についてもその料率の制限を受ける。それからその市場内で運営する場合には、開設地における市場使用料の徴收を受ける。あるいは生産者に対する歩もどしとか、奨励金とか、あるいは仲買、小売業者に対する歩もどしとか、奨励金とかについても、開設者の規制を受けるという現状にまだ置かれているのでございます。おそらく仕事の公益性ということから見まして、そういう関係は今後も改められることはなかろうかとも思うのでございます。そういう公共的な仕事に当るものでございますから、この卸売人、従来で申すならば荷受業者というものに対しましては、第二種あるいは第三種というような業種と同一にお取扱いを願いたい。またそうなければ、この仕事の運営にも十分な期待はできない。特に他の業種との比較から申しますと、こういう中央卸売市場のようなところにおける卸売人、従来の荷受業者というものは、一種の物的な信用業務を行うものでございます。従いましてその運営につきましても、水産業者全体は申すに及ばず、消費者に及ぼす影響も非常に大きいものでございますから、これらの健全なる経営ができますような御考慮が必要であろうと存ずるのであります。少くもその事業につきましては、先ほども申し上げましたように第二種、あるいは第三種と同一の立場においてお考えを願うことが、適切ではなかろうかと私ども考えられるのでございますし、その点また特にこの委員会におかれまして、御検討が望ましいのでございます。  なおもしそういう点につきまして、その点ができない場合におきましても、少くも銀行に準じまして、二十五年度分の課税につきましては、特別の暫定処置を講じられることが望ましいのでございますし、それから政令の制定がいずれ行われるごとと存じますが、その場合におきましても、先ほど申し上げましたような諸経費につきましても、はつきりしたお取扱いを願いまして、この事業公共性に適応するようなおきめがお願い申し上げたい点でございます。  以上ごく要点だけを申し上げましたので、はなはだ不行き届きでありますが、地方税制に関する水産業の生産及び流通の面から見ました意見を申し上げまして、今後のことにつきましては、ぜひとも御配慮をお願いいたしたいと思うのでございます。
  47. 立花敏男

    ○立花委員 ちよつとお尋ねいたしたいのですが、シヤウプ勧告案によりますと、農民に附加価値税を免除いたしましたのは、農民の固定資産税の負担が他方にあるから、漁民は固定資産税をあまり負担しないからだという理由が主たるものになつておるのでございますが、沿岸漁民の持つております漁船の大きさ、それの評価の価格従つてそれに課かつて参ります固定資産税の平均の税額、こういうものを何か数字をお持ち合せでございましようか。私どもの考えによりますと、決して沿岸漁民の負担します固定資産税の負担は、一般の農民の負担します固定資産税の負担と、あまりかわらないように考えるのでございますが、その点数字がございましたら、御説明願いたい。
  48. 寺田省一

    寺田公述人 数字につきましては、詳しい数字を持つて参りませんでしたので、ごく大体の点から申しますと、お話通り漁業者の持つております固定資産につきましては、農業、林業より大体においてむしろ負担が重いくらいでありまして、かわりがないと存じております。
  49. 立花敏男

    ○立花委員 漁業協同組合に関する課税の件をお述べにならなかつたようでございますが、農業協同組合の方もそうでございますが、特に漁業協同組合などにおきましては、いろいろな施設、網ほし場とか、共同作業所とか、船揚げ場とか、その他にいろいろな共同施設がございまして、それに対して課かつて参ります固定資産税は、大分多額になるだろうと思うのでありますが、漁業協同組合に対する課税の点で御意見はございませんでしようか。
  50. 寺田省一

    寺田公述人 漁業協同組合につきましては、お話通り固定資産も非常に多いのでございます。それから現在の漁業者の経済的な生活と申しますか、行動と申しますか、そういう点から見まして、もちろん私申し落しましたが、漁業協同組合につきましても、できるだけの今度の改正法案につきましても、御措置が願いたいと存じます。ただ漁業協同組合につきましては、いろいろの点からなかなか経営も困難でございますし、できることなら各般の点におきまして、もう少し漁業協同組合全般について特別な御措置が願えまして、漁民生活の改善安定に資することができますれば、何より望ましいことと存じます。ただ今日までの情勢から、協同組合関係につきましても、なかなか特別な措置が願いにくいというような情勢も聞いておりますので、その点、もし特別な御措置が願えるようなことでございますれば、全国漁民のために非常にけつこうなことだと存じております。
  51. 立花敏男

    ○立花委員 政府の方では、この固定資産税の免税標準を、価格一万円で耐用年数三年というふうに言つておるのでありますが、漁具の場合などは損耗率が大きいと思つておるのです。たとえば漁網などで、大体どれくらいの耐用年数があるものでございましようか。三年も使えるものでございましようか。これを承りたいと思います。
  52. 寺田省一

    寺田公述人 漁網につきましては、大体一度海につけますと、三分の一くらいはとりかえなければ、次に使えるような状態にはらないというふうに、一般的な考え方としては考えております。従いまして大体三年もたちますれば、ほとんど全部とりかえと同じような結果になる。海の性質によりましては、三年目には新調しなければ、もう使えないというようなところもございます。
  53. 中島守利

    中島委員長 寺田さん、忙しいところをありがとうございました。  午前中はこの程度にして、午後一時三十分より再開することにいたします。  暫時休憩いたします。     午後零時二十八分休憩     —————————————     午後二時三分開議
  54. 中島守利

    中島委員長 再会いたします。  休憩前に引続き、公述人の御意見を承ることにいたします。まず木下保雄君よりお願いいたします。
  55. 木下保雄

    木下公述人 こういう機会に、生活協同組合を代表して意見を申し述べられますことを感謝いたします。  生活協同組合という特殊な団体でありますが、これが今回の新しい税法をしかれる場合、どのような重大な影響をこうむるかということについて、申し述べねばならないのでございますが、そういう点につきまして特に問題の多いのは、附加価値税に関する問題でございます。もともと生活協同組合につきましては、課税されることについても、いろいろ議論のあるところでございますし、今までの経過からいたしましても、戦前に非課税であつたというような関係上、いろいろ主張もあるところでございますが、ひとまずそういう問題をおきまして、経営上の立場からでも申し上げまするならば、次に申し上げます四点について、まず明白に申し述べられると思うのであります。  その第一点は、生活協同組合自体が、組織的に非常に弱小な機関であるということでございます。そのことは生活協同組合法がしかれまして、まだ日がないということもとよりでございますが、それ自体が組合員の共同による運動でございますから、まだわれわれの共同ということになれておりまするその行動半径と申しますか、そういう点から申しましても、はなはだ小さい形で、わずかに共同しておるというような状態でありまして、これを二十四年度の厚生省の調査によりましても、全国で二千四百四十組合あると申しまするものの、平均して見まするとわずかに一千戸弱くらいの組織なのでございます。そういうような小さい形体が事業を行つておりまする場合でも、これは大きい組合あるいは小さい組合、いろいろ差はございますけれども、概して非常に小さいものでありまして、特に東京などの数字を見ますると、それと同じ年の調査のごときは、一組合が一箇月に二十万円か三十万円しか扱つていないという数字が、現に出ておるのでございます。これは比較的小さい組合の集まつておるところの東京の実情でございます。こういうように小さい団体でございますから、もともと組織いたしました動機というのは、非常にりつぱなものでありましようとも、その担税能力というものにおきましては、まことに弱小であることをまぬがれません。こういうことが経過的に見ますれば、やはり一定の時を経て大きくなつて行くものでありまして、協同組合というものが一応形が整つたといわれました戰前当時ありました組合も、実に二十四、五年を経て、組合員二万ないし三万という形になつたものでございます。こういうようなことから考えますると、あながち日本の組合の例ばかりでなくとも、外国の協同組合の例をとりましても、また同じようなことがうかがえるのであります。  さらに第二点におきましては、このような組合が経営体として、比較的経営費を多く要する性質の事業体であるということでございます。そのことの一つには、事業の性質上、比較的人件費を多く使うということでございます。もとより組合員の共同によるものでございまするけれども、それがきちんとした形で運営されまするためには、ただ一人で商店を営んでおりまするよりは、人件費を要することはお察し願えると思うのであります。さらにもう一つここに考えられますのは、この事業が、教育に始まつて教育に終る運動であるといわれておりまするほどに、組合員に対しまする共同活動の教育ということに、非常に力を注ぎます。そのことはロツチデールの原則にもあることでございまして、私どもが、協同組合の事業を営みますときに、組合員に対するさような教育活動、認識を深める活動というものに、それが宣伝のポスターあるいはリーフレット、この種類の形であり、ないしは小さい集会を幾つか持たせて行くとい形であり、さらにいろいろな講演会、講習会などをいたすという形であり、これらの形において教育費というものを必ずかけておるものでございます。こういうものは場合によりますと、考え方を改めまするならば、かりに購買額に応ずる割もどしというようなことを一応いたしまして、そうしてあらためてそれを組合員が持ち寄つて事業をするとすれば、できないこともないかもしれませんけれども、実際上はさようにすることによつて、組合員の共同する活動というものはそがれまするので、一応経理の上では組合の損金という形で、こういう教育費を計上いたしておるのでございます。このことは生活協同組合法におきましても、明確に次年度に積み立てなければならないということをいわれているほどでございまして、こういうものがかりに税法の上で割もどし金、購買額に対する割もどし金と同じような措置を講ぜられるように取扱われるいずれかの條項がありますれば別でございますが、私どもの体験しておるところでは、これが單なる損金として、経費として出て行くように見えますので、こういうものを加えたところの協同組合の経費というものは、非常に大きいものである。従つて事業体といたしましては、かような経費をかなり食うところの形態であるということが申し上げられるのであります。  第三点といたしまして、こういうような経営形態であり、こういうような組織の実体であるといたしまするならば、今日の経済下にありまして、事業の上でどのような成績が出ておる。あるいは剰余金をどのように持つておるかということを検討いたしまするならば、おのずから困難であるということを御想像願えると思いますが、かつてお手元に差上げたと思いまするけれども、この二十四年度の調査を見ますと、一つの組合の利益を出しておりまする、いわば剰余でございますが、剰余を出しておりまする平均の金額と、それから今度は損失を出しておりまする組合の平均の金額と比べて見まするならば、明らかに損失を出しておる方が多いのでございまして、それで全国を平均いたしますと、また赤字数字になつて来るわけでございます。こういうような状況でありまするから、今の建前で附加価値税が課けられるといたしますと、それ自体さらに赤字を深めるばかりでなしに、わずかの黒字を出しておる組合が、また赤字に移るということが想像されるのでございます。こういうことを今までの税法に基いて課けられておりました金額と比べますると、一応成績はあげておつた、黒字になつておりました組合だけで計算をしてみまして、すでにお手元に差上げてある数字でございますが、約五十一倍くらいになるのでございます。このことは経営上非常に重大な影響であるということは申し上げられます。  第四点として、こういう組合が従来扱つておりました取扱い物資の性質から推してみまして、今度の新税法によるところの課税対象となる数字が、また非常に大きな部面であるということが申し上げられるのであります。たとえて申しますると、今までの取引高税でありますとか、その他の税によつて課せられておりましたものが、生活協同組合の取扱つておりました種類では、それが生活の必需物資を中心としておりまするから、非課税物資が多かつたのでございます。それは生鮮食料品であり、調味料であり、そういう意味において非課税物資が多かつたのでございますが、今回取引高税という形が改まつて、附加価値税という形で課税されるに至りますと、かようなものが全部対象になることになるのでありますから、これまた影響甚大である、こういうふうに考えられるのでございます。このことは総じて協同組合の内部の経営上の点から見ましてもかようでございまするが、これを一たび外に出しまして、生活協同組合と他の同種類の事業なり、あるいは他のこれに類する商業などと比べてみますると、さらにこの問題が重大であるということが、明確に御了解願えると思うのでございます。従来生活協同組合は、取扱い物資が非常に多かつた関係もございまして、先方の都合によつていろいろな立場で取扱われて参りました。たとえて申しますると、それが物品販売業であるという立場で取扱われましたり、あるいはまた消費者の集まりであるから、最終小売価格で扱えばいいじやないかというような取扱いを受けましたり、あるいはまた法の上にいたしましても、一般的なこの種の事業とフエアー・プレイで行くべきであるというふうに解されましたり、あるいはまた員外販売の禁止を受けるなどという意識ある組合員等であつてやることではないかというふうに取扱われましたり、かような点において統一されていないと思うのでございます。そういう意味におきまして、かりに税法の上で何か考えていただくか、さもなければかりにこちらの方でフエアー・プレイで行きなさいというふうに取扱われるといたしまするならば、他の條件におきましてもまたそういうような形に置かれねばならないと思うのでありますけれども、法の上におきまして、今申し上げましたような員外販売の禁止ということが明確に——そのことは農業協同組合法でありまするとか、漁業協同組合法にありまするよりはさらに明確に、まつたく禁止するという立場で書かれておりますものが、一般の営利法人と同じように課税されるということが非常に跛行的であるということは、最も顕著な実例として申し上げられるのでございます。このことは生活協同組合といたしましては、他の外国の例を見ましても、一応担税能力がたくわえられるに至りました後に始めて課税もされるし、また員外販売の禁止をなされるといつたような、英国にありまするような例を見るのでございます。それまで至りません間におきましては、ヨーロッパ諸国においてはやはり協同組合は、十年あるいは十数年かなり庇護を受けた形で育つて参つたものでございます。こういう点から推しまするならば、私どもが今生活協同組合という形で置かれておりまする立場は、まことに困難な立場であるということを御理解願えると思いまするし、またそういう団体がいろいろな事業をして伸びて行きまするには、かなりな何らかの形での育成とでもいいまするか、援助がないと、まだ日ならず動いておるところの団体は、その育成が困難であろうということも御想像していただけると思うのでございます。  例をひとつ他に求めまして、たとえば国家公務員共済組合法のごとき、国家の公務員がお互いに生活を守るために共済事案を営むという場合におきましては、これは非課税の取扱いを受けておるのであります。これを国家公務員ならざる一般の国民が自発的につくりまする場合には、課税をされるという形になりますると、こういう一例をもつてしても、やはりその目的といたしておりまするところはきわめてよく似ておるし、やや同一的とも言えるものが、その組織実体によつて別に取扱われるというようなことを意味するのでございますから、この点を他の場合に比べまして、明確に区別されておるということが言えると思うのでございます。このほか生活協同組合がただいま自己のよつておりまするところの消費生活協同組合法という上から見て、はなはだいろいろな複雑な、そして組合にとつては不便な規定を受けておるということが申し上げられるのであります。たとえて言いますると、全国の連合会が組織できませんとか、あるいは信用事業権がありませんとか、さらには員外販売の禁止もその一つでございますが、こういうようないろいろな條件が課せられておる中において、ただいまのような一般的な取扱いを受けるということは、生活協同組合にとつて非常に大きなハンデイキヤツプがついておるということが言えるのでございます。こういうことは、先ほど申し上げましたように、かりに一般とフエアー・プレイで行くようにとおつしやつていただきまする方々が、他の部面においては必ずしも責任を持つていただく方々でない。従つて信用事業なり、あるいは統一されたところの系統金融機関があるといつたような措置と並行して考えられていないのでございます。その意味におきまして、私どもが戰前に事業をいたしておりましたときに、たとえて言えば生活協同組合は調味食品をやつておるから、薬品はやめなさいという形で統制が進み、また生鮮食料品をやつておるから調味食品はやめなさい、衣料をやつておるから生鮮食料品はやめてもよいじやないかといつたような、他の責任において目前のことが処理されて行くといつた形で、取扱いを受けた苦々しい経験があるのでございますが、今回の協同組合という全体の取扱いの場合においても、信用事業権、あるいは中心になるところの金融機関といつた措置が考えられないで、税法のみのことが考えられておりますとか、あるいはそれ自体の包括されております法の上において、たとえば員外利用の規定が考えられないので、別のことが論ぜられておるといつた面にぶつかりまするので、この委員会におかれましても、ぜひかようないろいろな條件において、それが勤労者の生活に関係しておるとするならば、たとえば労働委員会などの考え方なり、金融機関において大蔵委員会の方々のお取扱いくださる問題、あるいは法そのものの立場において法務委員会の立場でお考えいただくというような問題がある。かような問題と関連して、この委員会で扱つていただきまする税の問題自体も御賢察を願いたい。そしてしかるべく全体的な判断の上に立つて御措置願いたいと考えるものであります。生活協同組合全体といたしましては、やはり戰前にありましたるごとく、今日の日本の段階といたしましては、地方税はもとよりのこと、国税においても非課税の措置をとつていただきたいということを要望しておるものであります。  以上をもつて公述とさせていただきます。
  56. 塚田十一郎

    塚田委員 ちよつとお尋ねいたしたいのでありますが、生活協同組合の数は二千四百四十ばかりあるというお話でありましたが、大きなのはどれくらいの組合員数を持ち、またどれくらいの出資金を持つてつて、一年にどれくらい取扱金額があるか、伺いたい。
  57. 木下保雄

    木下公述人 実は生活協同組合といたしましては、法そのものは戰後にできたものでございまするから、今大きいと申しまするのは、戰前の産業組合法に基く組合で、その後今年九月までに移行を終ることになつております。かつてつておりましたものが、そうして生き残つておりましたものがあるということが言えるのでございます。今一番大きいと目されまするものは、兵庫県にあります灘生活協同組合というのであります。ただいまここへその組合の出資総額を持つていないのでございますが、組合員数といたしましては三万弱のところまで来ております。但しこれは戰前の組合員の引継ぎというような形になつておりますから、そういう数字が出ております。事業分量は最近のところ一箇月に二千万円程度でございます。こういうのが職域に見ましてまた数えられるのでありまして、大きいので二千万円以下、一千万円ぐらいのところの動きがございますが、そういうようなものは全体においてきわめて少数でありまして、むしろ零細なものが多い。そういうふうに御了解願つてよいと思います。
  58. 塚田十一郎

    塚田委員 その最も小さなものは、どれくらいのものから組合として成立つておるものか、伺いたい。
  59. 木下保雄

    木下公述人 組合が法律を書きますときに、そのことがかなり問題になりました。そこで私どもとしては、経営体といたしますと、最低五十ないしは一千というものがないと、かりに生鮮食料品などを取扱います場合には、成立ちませんよということを申したのでありますが、当時の関係方面の御意見で、非常にわずか、たとえばこの部屋ぐらいの集まりでも、協同組合はできるじやないかという御意見かありまして、その意見はかなり強うございました。そこで法文では三百人という規定を書きまして、そうして特別の但書において、特殊な事情があるときには、場合によつては二十人でも三十人でもできるような、そのことはおもに利用事業などで、たとえば少数の御婦人などがミシンの利用事業をなさるとか、あるいは特殊の文化事業をなさるというようなときにできるようにというような含みでいたしたのであります。けれどもこれを経営という面から申しますと、やはり三百程度では経営が困難だと感ぜられます。そこでもう一つこれが出資金の関係にもよるのでありますが、出資金が、もとより一般的にいつて生活協同組合は自己資金が少きに失するということを多く批判されておりますけれども、法を書きましたときに、最低百円ぐらいというような模範定款の例が出たのでありますけれども、その後の貨幣価値の変動もありまするが、それを別といたしましても、なおさような数字では経営できないということがありまして、かなり大目の出資ができるといたしますならば、少数でも一応運営資金に困らないでできるかとは思いますが、運動の性質上もとよりそれらの大きな出資を個々にもらえる事情ではございませんから、零細な出資を持ち寄つて辛うじて事業ができるいう形でありますと、今少くとも五百以上千までというような目途で組織されている例が多うございます。
  60. 塚田十一郎

    塚田委員 次にお尋ねしたいのは、人件費が非常に大きな要素を占めるのだというお話でありましたが、人件費が大体取扱いの金額に対してどれくらいの比率になつておるか。また人件費や何かを含めた総原価に対して、どれくらいの手数料といいますか、利潤といいますか、そういうものを見て、最終の組合員に渡される価格をつくられますか。その点をお伺いしたいと思いまする
  61. 木下保雄

    木下公述人 第一点につきまして、御質問になりましたような数字は、そういうふうでは出せないのでございますけれどもちよつとここで数字が足らないのでございます。けれども、今般に取扱い分量が一人の職員について十万円ぐらいありませんと、一人の人件費が出て来ないということは、全体の統計で示されるところでございます。
  62. 塚田十一郎

    塚田委員 月額でございますか。
  63. 木下保雄

    木下公述人 そうでございます。月額でございます。統計が実はそこまで至らないで、十万円を下つておる組合が実は多いということが言えるのでございます。それからいま一つは、どれくらいのマージンがかけられるかという問題でございますが、この点につきましては、もとより組合々々によつて違うのでございます。そこで私どもといたしましては、過去の協同組合の運動からすると、ロツヂデールの原則でもありますように、市価主義をとつて、そうして剰余金に対する割もどしをして差し上げるということの方がよろしいという指導をいたしております。けれども、剰余金に対する割もどしということは、個人別の購買金額を明確に把握しておらないとできないことでございますから、今申し上げました人件費といいますか、人の配置が制限されておりますために、そういう十分なる事務組織が、ここしばらくの間は持ちにくいという苦心をみながいたしまして、そのためにやむを得ず明確な組合員の購買台帳をもつて、割もどしをして行くという段階にまで達した組合がまだ少いのでありまして、むしろ日々の取扱いにおいて安い数字を出して行く。このことは別の面から見ますると、ある意味では目前の安いことの方が組合員に喜ばれるということにつられた、一種のイージー・ゴーイングもないではありませんが、そういう場合には職域におきまして、会社などの援助がまだあるような組合におきましては、実に思い切つた少いマージンで出しておられる例がございます。これは六分とか七分とかいつたようなことを下らぬ場合がございます。ところがかりに一本立ちになつております地域の協同組合のごときは、どんなに少くとも一割ないし一割二、三分というものがその間に考えられております。そういうふうに大体扱われておるとお考え願つて間違いなかろうと思います。
  64. 塚田十一郎

    塚田委員 最後にいま一点、生活協同組合法なるものが、おつしやるように弱体なものであるとすれば、固定資産は、固定資産税で問題になるほどのものはほとんど持つていないのではないかと思われますが、その点を伺いたい。
  65. 木下保雄

    木下公述人 最初に御質問になりました、たとえば非常に大きい組合、きわめて特殊な協同組合、醸造事業をやつておりますとか、現在製氷事業までやつておりますとか、あるいはミシンなどの加工事業をやつておりますとか、あるいはミルクプラントを持つておりますとかいうような、きわめて特殊なものは別でありますが、一般に押しなべて、お言葉のごとく固定資産というものがないと言つてよいでありましよう。むしろそういう施設をする資金さえなかつたという事情でございます。
  66. 中島守利

    中島委員長 他に御質疑はありませんか。木下さんお忙しいところをありがとうございました。  次は馬場崎徳二郎さんにお願いいたします。     〔中島委員長退席、大泉委員長代理着席〕
  67. 馬場崎徳二郎

    ○馬場崎公述人 私は京都の一織物業者であります。馬場崎と申します。今年の地方税につきまして、附加価値税及び住民税、固定資産税、この中にわれわれの目に立ちます附加価値税について、少しお話し申し上げたいと思います。  われわれ友禅業者は、大体業者そのものがいろいろにわかれておりますので、附加価値税というものはよほど算定をしていただかぬと、徴税に不公平ができると思います。徴税の小公平のないようにお願いをしたいと思います。何とぞよろしくお願いいたします。
  68. 大泉寛三

    ○大泉委員長代理 何か御意見に対して御質問ありませんか。
  69. 立花敏男

    ○立花委員 友禅の最近の売れ行きでございますが、こういうものはどうなんでございますか。
  70. 馬場崎徳二郎

    ○馬場崎公述人 まことに売れ行きも悪いのでございます。この友禅も、いろいろ染賃なんかもございまして、それでその内容がいろいろになつて、同じものをやつておりますのでも、上等をやつている、また下等をやつている、いろいろになつて来る。それに対する査定がとてもむずかしいと思います。その方面でせいぜい課税を公平にやつていただくようにお願いしたいと思います。
  71. 立花敏男

    ○立花委員 友禅と申しますのは、大部分が京都なんでありましようが、ほかにもありますか。
  72. 馬場崎徳二郎

    ○馬場崎公述人 友禅はほとんどが京都でございます。
  73. 立花敏男

    ○立花委員 それで大体は、私もよく聞くのですが、加茂川でさらしているもの、あれはほとんど人件費じやないかと思いますが、それは委託になつているのですか。どういう形であれはやつているのでございますか。
  74. 馬場崎徳二郎

    ○馬場崎公述人 あれは請負でやつております。
  75. 立花敏男

    ○立花委員 そういたしますと、やはり附加価値税などは大部分人件費にとられてしまうようなことですね。
  76. 馬場崎徳二郎

    ○馬場崎公述人 そういうようなわけでございます。
  77. 清水逸平

    ○清水委員 今お話の友禅の一反なら一反に対する売上げと、それから布代とか、染料代とかいうものがありますが、それとそのほかの率とは、どのような比率になつておりますか。
  78. 馬場崎徳二郎

    ○馬場崎公述人 ただいまのところでは、一反受取つた品物を全部仕上げまして、ちやんとしまして一ぱい一ぱいくらいなものでございます。
  79. 清水逸平

    ○清水委員 一ぱい一ぱいとおつしやいますと、大体今の友禅お召というか、その売上価格と、それからその中に占める原料代が幾ら、それから工賃が幾ら、そういうような御計算があるのでございますか。
  80. 馬場崎徳二郎

    ○馬場崎公述人 私のところは染屋でございますので、問屋から一反受取りまして、きようびですと二百五十円くらいでございます。二百五十円くらいのうち、染賃が約百二、三十円はかかると思います。それから蒸し代とか、のり代とか、いろいろありまして、染料代から入れますと、そこそこ二百五十円程度のものにつきます。今のところでは仕事がないために、みんながあせつて、安くてもしようがない、職人を遊ばすかわりにやろうというぐあいにやつているのです。
  81. 清水逸平

    ○清水委員 今その友禅の業に携わつておられる全体の数といいますか、友禅業者は幾人くらいおりますか。
  82. 馬場崎徳二郎

    ○馬場崎公述人 広幅で二百四十軒、小幅で百五十軒ほどでございます。
  83. 大泉寛三

    ○大泉委員長代理 どうもありがとうございました。  それでは次に千葉県町村長会長の白鳥義三郎さんに御発言願います。
  84. 白鳥義三郎

    ○白鳥公述人 私はただいま御紹介にあずかりました白鳥でございます。連日の委員会でさぞかしお疲れのことと思いますが、しばらく私の公述をお聞き願いたいと思います。  今回の地方税制改革は、多年財政の窮乏にあえいでおりました地方自治体にとりましては、きわめて適切なものでありまして、民主政治の基盤たる地方自治は、これによつてようやくその財政的基礎を確立し得るのでございます。この点私たち地方行政の担当者といたしましては、最も望ましいものだと考えるのであります。これを町村財政の実際に照らしてみまするに、千葉県千葉郡の十三箇町村昭和二十四年度の予算現計と、二十五年度の新税法による歳入見積りとを比較検討いたしますと、最低のところで九%、最高のところで二〇二%の増となつたのでございます。そのうち人口の多寡によつてどうかわるかを調べてみましたところが、大体農村の方の増加率が多いようでございます。町村以上の市になつたら、あるいはまた違つた現象ができるかもしれませんが、町村で、最高二万三千くらいの町でございますと、最も増加率が少いようでございます。しかしこれを人口一人当りの割合にとつてみますと、ほぼ同額の結果になりまして、最高一人当り三千円程度、それから最低のところで千二百円程度、平均いたしまして千六百円程度の歳入と相なるように考えております。私の町は津田沼町でございますが、ここでは、昨年の末であつたのでありますが、ちようど九%増となつております。しかしこの歳入総額の増加はわずか九%でございますが、その内訳について検討いたしますと、今までとは全然違つた現象を呈しているのでございます。と申しますのは、今までの、たとえば二十三年度の決算を見ますと、総額二千万円ばかりの決算額に対しまして、その半分が町税及び手数料、使用料、そういつた町独自の財源によるものが約半分でございます。その他のあとの半分は、町債あるいは寄付金が四分の一、つまり半分の半分、それから国及び県の支出金が同じく四分の一、つまり今まで私たちは自治体という名を與えられておりましたが、財政的に見ますと、まつたく独立不能のものだつたのでございます。早い話が国というおとうさんから仕送りをもらわなければ、生活ができないような、そういつたようなものだつたのでございます。ところが今回の税制改革による歳入見積りによりますと、町税並びに使用料、手数料、私たちの独自の力で調達し得る金額が総予算の九割を占め、そうしてあと残りの一割強というのが地方債だとか地方債は今度はごくわずかでございますが、国及び県の補助金その他の收入でございます。こういうふうにして私たちは今までかすかす国のお情けで暮しを立てておりましたものが、今回ようやく一人前にふさわしい財源を與えられたということができると考えられます。先ほど私は比較的人口の小さい所の方が増加率が多いようだ、こう申しましたけれども、そうしてその額が私の調べたところによりますと、最高二〇二%の増になつた所がございましたけれども、こういつたような農村の今までの財政事情をお調べくださいますならば、いかにひどいものであつたか。そうしてまたそれだけの、三倍ばかりになることが当然であつたということかおわかりになると考えるのでございます。そこで私同時に調べたのでございますが、同じく千葉県千葉郡の十二箇町村の二十四年度の当初予算を調べてみますと、驚いたことには役場費が総予算額の五割以上を占めているような村や町が、総体の半分、六筒町村ございます。つまり千葉郡におきましては六箇町村が、総予算額の半分を役場の経費に使つているのでございます。しかもそのほかに農調委員会の費用だとか、農地委員会の費用だとかが相当いります。そしてこれを合計いたしますと、六十%以上そういつた事務費を使つている町や村が五箇町村、最前は七六%ばかりになるのでございます。つまり総歳入の四分の三以上を、そういう事務費に使つているという実情でございます。それならそこではべらぼうにたくさんの吏員を雇つているのだろう、ぜいたくをしているのだろうというようにお考えになるかもしれませんが、いずれにいたしましてもそういうところは、いずれも七名か八名のごくわずかの吏員をもつて、かすかすに業務を営んでいるにすぎないのでございます。そういうようにたくさんの比率を事務費に使わなければならないような状態でございますので、他の事業費におきましては実にさんたんたるものでございます。  これを土木費にとつてみますと、土木費が一万円以下の町村が五つでございます。はなはだしいところは、わずかに二千円というところが二箇所ございます。今の金の二千円でございます。以前の金の二千円ではないのでございます。今の金の二千円で雇えるものとしたら、おそらく給仕一人の月給にも足らないでございましよう。そういつたような金額で、二万里も三万里もあるような、そういう厖大な地域の道路や水利施設等、一切をまかなわなければならぬのでございます。これが現在の農村の財政実情でございます。教育費についてみますならば、六万円というところがある。六万円であつたら、おそらく先生の一箇年の俸給をさいたら、あとどれだけのものが残りましようか。そういたしますと、もちろん修繕費のようなものが少しも地方財政からまかなわれ得ない。あるいは教具もまかなわれ得ないという実情がここに起きて来るのであります。  こういうふうにいたしまして、農村では今までの財政事情でございますれば、どこまで行つて事業ができない。町村民から税金を取立てても、それをほとんど事務費に投入してしまつている。住民が最も望んでいるところの事業費が、まかない得ないということであります。今まで政府では、口を開けば自治の振興というようなことを御唱導くださいましたけれども、こういつたような実情に農村を長く放置しておいた。これはどう考えてみましても、ほんとうのあり方ではないように考えるのでございます。従つてそういつたような事情からいたしますと、今回の税制改革によりまして、先ほど私が申しました通り、よしんば三倍くらいに財政歳入が増して来るといたしましても、おそらくどれほどの事業ができるか、これはむしろ疑問であると考えるのでございます。世上往々にして今回の税制改革によつて地方自治体は放漫な財政計画を立てるのじやないか、濫費をするのじやないかというような御心配を持つている向きもあるようでございますけれども、今私が申し上げました実情からいたしますれば、おそらく今後やりたい仕事をまだなおできないのじやないか。もちろん国民負担に大きな影響を與えることでございますので、そうそう町村財政ばかり確立すればいいということは考えませんけれども、ぜひ今回の財源くらいは與えていただきたいと考えている次第でございます。  しかし今度の税制改革が、私から申し上げるまでもなく、きわめて広汎な、また根本的な改革でございますので、従つて私たちといたしましても、これが満足に徴收できるか、相当疑問の余地がございますし、できるならばこういつた点を改めていただきたいという点が二、三ございます。これからお聞き取りのほどをお願い申し上げたいのでございます。  今度の税制改革によりまして、なるほど町村民税と固定資産税の率がきわめて大幅に引上げられたのでございます。もちろん政府当局の話によりますと、所得税その他を全部通算すれば、幾らか減税になるのだというお話でございますけれども、とにかく重い税金にあえいでいる町村民にとりましては、減つた方のことはあまり身にしみませんで、ふえた方の町村民税が身にしみるだろうというように考えます。しかしただ單にこの率を下げるというようなことでは、さきに申しました通り、今非常に財政的に悩んでいう町村財政が破壊するのでございますから、できるならばこの適用範囲をもつと広げて、そうして全体の率をそれだけ下げていただきたい、こういうふうに考えるのでございます。適用範囲を広げると申しましたが、これを町村民税について申しますならば、今度の改正案によりますと、法人に対しては所得割は課けられないことになつておりますが、これに対して低い所得割を課けていただきたい、これをお願いするのでございます。これはなお全体の率を低めるためにというのでなしに、そうしていただきませんと、いろいろな不合理がかえつて生ずるのでございます。  その一、二の例を申しますと、今政府の方で原案が発表になりましてから、町村の方では、今まで個人企業だつた目ぼしい商店や何かが、続々と法人組織になつて行く。組織をかえてしまつている。名前をかえてしまつている。もちろん企業の性格から申しまして、個人経営のものから法人組織にかわるということは、決して悪いことじやない。いいことだと考えますけれども、今行われているような、ただ税金をのがれるために組織をかえるというようなことでは、経営の合理化にも何にも役に立たないと考えます。またもう一つ申し上げたいのは、今回の税法によりますと、均等割が、二、三十万円程度の小さな会社も、何千万、何億というふうな大会社も、同一に取扱われております。その点かえつて均衡を失しているのではないか。やはりそういつた点から考えましても、低率な所得割を法人に対しても課けていただきたい。そうして全体の利率を下げていただきたい、こういうのでございます。  あるいは固定資産税につきましても、先ほどもるる陳述がございました通りに、相当私鉄企業などに対しましては高率な税金が課かるように拜承しております。しかし私鉄に対して課けて、国鉄に対しては課けておりません。どうして同じような業務を営んでおりながら、一方においては課け、一方においては課けないのでございましようか。電気税では、私の記憶の間違いでなければ、同じように取扱つているように考えております。そうすれば電気税では同じように取扱い、固定資産税だけが別個の取扱いをするということが、どうも私にはふに落ちないのでございます。どうか国鉄に対しましても固定資産税を課けていただいて、全体の額を確保するに足るだけひとつ率を下げていただきたい。総額は限定しておいて、率を下げていただきたいと考えます。  第二にお願いいたしたいことは、免税点の引上げでございます。今回の税制によりますと、年收二万五千円が免税点になつておるように拜承いたしておりまするけれども、年收二万五千円と申しますと、これは戰前の物価に比較いたしますれば、戰前はたしか月收百円が免税点であつたように記憶しております。今回は上げられたとはいえ、なおかつ年收二万五千円が免税点なのであります。これではおそらく免税点を設けるという趣旨が、ちつとも盛られていないじやないかと心配するのでございます。今農村に参りましても、あるいは勤労者におきましても、中小工業者にいたしましても、相当税金が高いという声が多いようでございますが、どうも免税点がこういうふうに低過ぎる。そのために納税額が多くなつて来ていると考えるのでございます。ぜひこの点を御考慮いただきたい。これは地方税に直接関係のないことでございますので、私申し上げるのはいかがかと思つたのでございまするが、実はそれが地方税を課けますときに、免税点が低いために重大な支障があるのでございます。重い税金を課けます場合に、一番私たち心配しなければならないのは、負担の公平を期するということでございます。これは過去三年間、私ども供出のことにずいぶん悩んで参りましたが、供出についても、全体の額が相当重いようであつても、個人々々への割当が、妥当であれば、農民は納得していただけるのでございます。町村民税にいたしましても、その賦課額が、妥当であるならば、そのために学校の建てられるのだ、そのために道路がよくなるのだということであれば、おそらく町村民に納得していただけるのじやないかと思うのでありますけれども、もしかりにそこに賦課の不公平があつた場合には、問題になります。納税成績に一番大きな支陣を来しますものは、賦課の不均衡な点でございます。ところが今回の税制改革によりますと、一銭一厘のうそ隠しもない勤労所得者に対しても、あるいはまた反別をうそ隠しできない農民に対しても、その率で課けて行くのでございます。その税額によつて課けて行くのでございます。一方においては所得の捕捉のできにくい業種がありますから、自然そこに不均衡の出て来ることは理の当然でございましようが、一番私が心配いたしておりますのは、所得の捕捉のできない人が相当たくさんいるという事実でございます。これは私の方の税務署がはつきり言つておりますけれども、大体納税者の二割から三割くらいは税の捕捉ができない、こういうのでございます。私の方の津田沼町だけでも、八百人から千人くらいは、所得税の捕捉ができない人がいるのじやないかと心配いたしております。どういうところから私はその数を出したかと申しますと、今どき勤労所得税も納めないし、源泉課税も受けていないし、所得税も納めていない人が、このくらいいるのでございます。ところが生活費から申しますと、今おそらくは私どものような近郊の町では、月一万円程度の生活費は、最小限度いるのでございます。そうすると年收十二万円であります。年收十二万円あれば、相当たくさんの税金を納めなければならないのだけれども、納めていないという人が、今申しましたように八百人から千人くらいもいるのじやないかと考えます。もちろん今度の税法によると、そういつた税の脱漏者に対しては、地方財政委員会の許可を経て、町村長が独自に課税することができるというようになつていると承つております。しかし私の町だけでも、八百から千あるだろうという脱税者に対して、全国的にその申請が集まつて来たら、一体地方財政委員会はどういうように御処置をなさるのでございましようか。おそらくこの條文は空文に期するのではないかと心配いたします。そこで今まで申しました通りに、税の均衡を保ち得ないのじやないか。これが今まででございますれば、勤労所得者だとか、あるいは零細な農民だとか、そういつた方に対しましては、町村の議会の承認を経まして、適当に査定することができたのでございますが、今度の税法によりますと、所得税の額に一定の率を乗ずることになつておりますために、そういつたような勘案をすることができない。もちろん法の建前からすれば、今まで私たちのやつて参りました見込み査定よりは、あるいは一歩前進したものではないかとも考えられます。特に一定の基準のない、捕捉しにくい企業者に対しては、私たちしろうとが見立てるよりも、税務署のような専門家の調査したものの方が、正しい額が出るのかもしれない。しかしそうだからといつて、今の税務署の査定をそのまま、どこまでも正しいのだということはできないのでございます。まして先ほど私が申しました通りに、税の脱漏者がある。つまり所得税を免れている。それだけでもその人はずいぶんけつこうなことだし、そのおかげでまた町村民税の所得割も免れる。こういうような人がたくさんいるのだし、また先ほども申しました通りに、業種間によつても課税の不均衡が相当あるのじやないかと考えるのでございます。そういう懸念がありますから、ぜひこの際免税点を引上げていただくことが、税の公正をはかるよりも、一番必要じやないかと思います。先ほど申しました通りに、脱税者が確かにたくさんございますけれども、これらの人たちは、税法が現在こうなつているから、脱税者になつているのであります。しかしまたもちろんそういつたような零細な方々は、青色申告さえもできない人が大部分でございますが、これが最小限度の生活費まで免税点をお引上げくださいますならば、当然これは納税する義務のない人々が大部分でございます。そういたしまして税務署の査定をする階層を整理していただきたい。下の方を切つていただきたい。零細な者を税の対象から切り捨てていただきたい。そういたしますれば、勤労所得者等の三千円かそこらのかすかすの俸給をもらつておる者も、ともにこれは免税点以下になつてしまうのでございますから、そこに均衡を失するというようなことがなくなるのでございます。ぜひその点御勘考をいただきたいと思います。  なおここでもう一つお願い申し上げたいことは、法規の上ではそうならなくとも、おそらく漸次そういうふうに改善されて行くと考えまするが、税務署が所得を査定いたしまする場合に、今後は町村民税が所得税の附加税式のものになつてしまうのでございますから、その附加の額のいかんは、徴收成績に大きな影響があることでございますので、町村の税務係と十分連絡をしていただきたい。これは法規の上に出ませんでも、あるいは運用の妙をはかつていただけるのではないかと思いますけれども、もしできますならば、こういつたような機構をつくつていただきたい。何せたくさんの納税者の事情について、一番知つているのは町村の税務係でございます。町村の税務係だけは、比較的実情をよく知つておりますから、そういつたものと連絡をはかつていただきたい。こういうふうな機構をひとつお考え置き願いたいと考えるのでございます。  第三番目に、私お願いいたしたいことは、事務の簡捷をはかつていただきたいということでございます。というのは、今回の税法によりますと、町村役場では相当煩雑な業務を続けなければならなくなつて来ます。固定資産税にいたしましても、政府の原案によりますと、賃貸価格を九百倍いたしまして、それに〇・〇一七五をかけるのでございますが、しかし九百倍して〇・〇一七五をかけるのと、千倍して〇・〇一五をかけるのと、額においてはそう大して違いはないのでございます。ところが九百倍して〇・〇一七五をかけるということでは、非常に事務が煩雑になります。従つてまた間違いも多くなりはしないかということを心配するのであります。結局納税者にとりましては、時価の賃貸価格の七百倍が正しいのか、あるいは千倍であるのが正しいのか、それは私もよく存じませんけれども、いずれにいたしましても納税者にとりましては、時価は幾らであろうとも、問題は結局納税額でございます。従つてぜひこの際は、ことに二十六年度から固定資産に対する評価を、私どもの方で一々検討しなければならぬのでございますから、今年度はぜひ時価を一千倍して、それに〇・〇一五をかけるというような方法をとつていただきたいと思うのであります。理論上はいろいろ支障もございましようけれども、事務の簡捷という点から、そういうような処置をとつていただきたいと考えるのでございます。  それから第四に私お願いいたしたいことは、平衡交付金に関することでございます。平衡交付金につきましては、今までの配付税と多少異なつた点もあるように承つておりますが、実は配付税では、私たち町村長は実に苦い経験をなめております。御承知通りに、昨年のちようど今ごろでございましたか、やはりこちらの地方行政委員会におきまして、配付税の減額の問題に関する公聽会が開かれたのでございます。そうして委員各位の非常な御同情にもかかわりませず、そうしてまた公述人一同の品をそろえての血の叫びにもかかわりませず、配付税が当然一千二百億に上るものと予想されていたものが、突然として五百七十七億に切られてしまつたのでございます。もちろんこうなつた事情は、中央予算の均衡をはかる上において、やむを得なかつたのだと考えるのでございますけれども、中央予算の均衡を、地方予算の犠牲においてなしたということは、私たちにとりましては、実にきわまりない痛恨事でございます。先ほど申し上げましたような、町村の実にさんたんたる財政事情等も、やはりそういつた点から生じて来ておるのでございます。土木費がわずか二千円、教育費がわずか六万円であるとか、事務費が予算の四分の三を占めるといつたような実情は、結局昨年度におきまして、配付税が半減されてしまつたところから生じておるのでございまして、今後税法の改正によりまして、私たちに幸い財源を與えられたといたしましても、平衡交付金が、今後何らかの事情によりまして、半減されるというようなことになりましては、私たち行政の担当者として、実に心配なのでございます。その点何らかの法制上の保障を與えていただきたいと、切にお願い申し上げる次第でございます。  最後にお願い申し上げたいことは、国民健康保險税の創設に関してでございます。終戰以後国民の生活が非常にきゆうくつになつて参りました。そのために、一方社会保障制度として国民健康保險制度が設けられ、半ば強制的に私たちは政府の方から干渉を受けて設立して来ております。全国ですでに五千以上の組合ができているのでございまして、いずれも町村営でやつております。それが現在どういう状態にあるかと申しますと、せつかくつくりました組合が、一方におきましては公的医療機関がないということ、あるいは非常に少いということ、また一方におきましては、組合費の調達が非常に困難であるということから、いずれの組合においても赤字に次ぐに赤字をもつてしておりまして、せつかく開きましたものを中止しておるようなところが、相当数多く出て来ているのであります。その間の詳しい事情は、すべて申し上げることができませんが、私の知り得ている範囲におきましても、千葉県下におきましても、四つ五つの町村がすでに中止しているような実情でございます。これを全国的に見ましたならば、あるいは相当数字になるかもしれません。今日私その数字をはつきりと存じておりませんが、今後組合費の徴收がますます困難になり、従つてせつかく開いた国民健康保險組合を、中止しなければならぬという窮状に陥つて行くところが、相当あるのでございます。そこでもしもできますならば、目的税として国民健康保險税を創設していただきたい。水利税とか共同施設税とかいうような目的税が、今回の税法によつても残されているのでありますが、それと同じように、国民健康保險税も創設していただきたいと考えるのでございます。一体町村長は、うんと税金を取立てることを考えていて、今度またまた国民健康保險税なんという重い税金を課けるのはけしからんというおしかりをこうむるかもしれませんが、これは健康保險の実情を御案内の方は十分御承知通りに、健康保險組合ができているところでは、その加入は、これはもう強制的なのであります。ただ組合費として徴收することが非常に困難であるから、それを目的税に改めていただきたいという考えなのでございます。どうかこの点もひとつ御勘考を願いたいと存じます。  なお国民健康保險につきまして、これは比較的小さな問題でございますが、今回の税法によりますと、お医者さんの力も附加価値税が相当重く課かつて来ているようでございますが、国民健康保險で取扱つた医療費につきましては、どうか附加価値税の対象から除いていただきたいと考えるのでございます。と申しますのは、今の附加価値税が課けられますと、いずれ健康保險の方の單価が引上げられなければなりますまい。單価が上るということは、現在よたよたしている健康保險組合にとりましては、実に致命的な打撃でございますので、この点ぜひ御勘考をいただきたいと考えるのでございます。  私今までいろいろと申しましたが、その要は、今回の税制改革趣旨は、私たちにとつてはありがたいが、その細部につきましては、二、三の御考慮をいただきたい。第一の点は、課税の範囲を拡張して税率を引下げていただきたいということ。第二の点は、免税点を引上げて、課税の公平を期してもらいたいということ。第三に、計算をできるだけ簡便にしていただきたいということ。第四に、平衡交付金の増額につきまして法制上何らか保障を與えていただきたいということ。そして最後に国民健康保險税の創設を考えていただきたいということであります。以上をもつて私の公述を終りたいと考えます。何とぞよろしく皆様の御審議をお願いいたしたいと存じます。
  85. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいま全国町村長を代表されまして、非常に有益なる公述をされたのでありますが、これを要するに白鳥さんの公述は、大体原案に賛成されているというふうに私たちは解釈したのであります。地方自治にふさわしい財源を確保されたということを、大分強調されました。われわれが非常に貧弱な知識ではありますが、われわれの郷土等で聞知いたしました点と、多少相違した奇異の感を抱いた点もありますので、二、三簡單にお伺いしてみたいと思います。今度の税法によりますと、各税とも相当倍率が引上げになりまして、税收が飛躍的に増加するのでありますが、徴收の自信がないということを簡單に申されましたが、大体現在の全国これが不明ならば、千葉県の市町村関係税の未納額を、パーセンテージでお示し願いまして、今度の新税法では、はたして完全に徴收し得るかどうか。白鳥さんの想像でけつこうでございますが、お知らせ願いたいと思います。
  86. 白鳥義三郎

    ○白鳥公述人 ただいま私どもの心配しております点につきまして御質問いただきまして、実は私らも今回の税制によりますものが、あまりに大幅に引上げられましたために、そしてまた一般国民がすでに所得税その他で十分その重荷を背負つておりますために、これが全体としては引下るのだと言つても、町村税の引上げが身にこたえるのではないか。その点徴收に困難するのではないかということを申し上げたのであります。ただいま御質問にありましたように、今までの税がどのくらい滞納になつておるか、千葉県の実状でもいいから知らせろというお話でありますが、実は私その資料を持ち合せておりません。ただ私どもの町、これは比較的貧弱な町で、人口だけは多いのでございます。貧弱な町で、何せ今まで軍隊がおりましたが、軍隊がなくなつたそのあとに、戰災者や引揚者がわんさと入つて来た。戰戦後私が就任いたしましてから五千名ぐらい、そういう人のために人口が増加しておるような町でありますので、あるいは一般の町とは実情が違うかもしれませんが、御参考までに申し上げたいと存じます。三月末に町会の方に報告いたします資料として、税務係から私が取寄せましたところによりますと、町民税の方は大体九〇%徴收できておるのでございますが、事業税の方は、まだ地方事務所の方と折衝中であるから、減額が承認されたらすぐにでも拂うという人が相当多くて、まだ七〇%ぐらいしか集まつていないということでございました。また不動産取得税、これは今回なくなりましたけれども、不動産取得税が相当滞納が多かつたのであります。これは二月半ばに額を決定して通知したのでございますので、相当集まりがまだ悪い。そういうような実情で、私の方の町で総額にいたしまして三百万円ばかり滞納があつたのでございます。これはできるだけ五月までに徴收したいと思つて、特別に滞納整理係を設けまして努力しておりますが、おそらくは百万やそこらのものは残るのじやないかと考えます。今までの徴税の総額が、私の方の町で今私の方の町の資料も持つておりませんが、多分配付税をひつくるめまして、附加税と独立税を合せまして、税收入が全部で二千万円ばかりだと考えております。そういたしますと、滞納額はそれほど多いというわけではないが、しかし二十五年度からは相当ありはしないかというので、今すでに税務係を三名ばかり増員して、養成しております。また一番心配しておりますのは、先ほど川崎の市長さんも御公述になりましたように、償却資産に対する評価の問題でございます。これは今までは三人ばかりの評価人団をつけて決定するということであつたと記憶しております。最近聞くところによりますと、評価員は一人、補助員は二人ということに相なつたということでありますが、この評価員は一体どういう人を頼んだらいいか、実は頭痛はち巻であります。そこで千葉県の町村会といたしましては、県町村会で何人かの適当な方を、あるいは何十人かの適当な方を募集いたしまして、そういうふうな特殊な技能をお持ちの方を推薦申し上げて、その二十人なら二十人、三十人なら三十人を推薦したうちから各町村で、甲の町ではABCの三人を選任するとか、乙の町ではBCDの三人を選任するということにしたいということで、寄り寄りご相談申し上げておつたのでありますが、今度は一人になつたということで、いよいよもつてその措置に困つておるのであります。全国の会といたしましても、その点相当心配いたしておりまして、むしろこれは一つの事務組合をつくつたら一番いいのではないかというような方針で、寄り寄り事務組合の規約案等も研究中でございます。一つの町、一つの村だけでやりこなすことができないと困りますので、全部の一県、あるいは一郡單位の力で、何とかこの難問題を乗り切つて行きたいと考えておる次第であります。
  87. 藤田義光

    ○藤田委員 実は固定資産評価員の問題に関して、御高説を拜聽したいと思つておりましたが、ただいま非常におもしろい試案を発表されまして参考になりました。津田沼の町税成績を見ますと、全国的な町村平均より相当いいのではないかというふうに感じております。配付税を除きましても、おそらく二割以下の滞納で済んでいるというような実情のように解釈いたしております。御存じの通り来年、全国町村長の改選でございますが、二十四年度よりさらに飛躍した滞納額を予想されるような、相当重い課税をすることによりまして、町村自治の美点が破壊されはしないかということを、われわれは非常に心配いたしておるわけでございます。しかも御存じの通り今回の改正法によりますと、罰則が相当強化されておるというか、罰則の條章が多くなつております。この点に関しまして白鳥さんの御意見がありましたら、簡單に拝聴したい。
  88. 白鳥義三郎

    ○白鳥公述人 何回も繰返すようでございますが、私どもも非常に心配しておりますので、寄り寄りその対策は講じておるのでございます。相当多額な町民税なり、固定資産税になるのでございますから、ぜひとも納税組合を奨励いたしまして、納税組合でそれぞれの貯金をしていただきたいという考えで、私は進んでおります。と申しますのは、この一月から私たちの源泉課税が相当減額になりました。これは私個人のことを申し上げてはまことに恐縮でございますが、月に約一千円以上が減額になるのでございます。年にいたしますると一万二千円ばかりになる。これを町民税の方の今回の税率によりますと、今まで千円か千五百円ばかりであつた町民税、県民税の合算額が、約九千円以上に上るのではないかと考えておりますので、その月々減つております源泉徴收の分を積立てまして、そうしてこれを年四期の町民税の納付にあてる。そういうふうなことで役場なりを全部まとめる考えであります。これはただ役場だけでなしに、学校でもやつておりますし、なお各職場職場でもやつていただくというふうなことで、農業協同組合あるいは商工会等のお働きによりまして、それぞれ納税組合をつくつていただいて、月々相当額を積立ててもらいたいというふうな方針で進んで行きたいと考えております。これは何も私一人の草案ではございませんで、おそらくどこの町村長さん方も、そういつた方法をお考えになつておるのではないか。なお千葉県の町村会といたしましては、できるだけその線を助長して参りたい、こういうふうに考えるのでございます。
  89. 藤田義光

    ○藤田委員 時間が立ちますので、簡單に二点ばかり御質問したいと思います。今度シヤウプ勧告によりまして、税源が都道府県を市町村に截然と区別されまして、非常に有利な点もできました。特に責任の帰属が明確になりまして、自治の理事者としてのやりがいもあるというふうにわれわれも想像いたしておりますが、この財政の分離によつて、県と市町村の行政に澁滞を来すというような懸念はございませんかどうか。非常に抽象的な質問でございますが。それからもう一点は、白鳥さんが第三の要望として申されました事務の簡素化の中で、土地家屋税の倍率が九百倍で、税率は一・七五倍でございますが、簡素化のためにこれを千倍にして、税率は一・五倍にしてほしいというふうに申されましたが。これは千倍かける一・五の税率でよろしいという意味でございますか。あるいは事務を簡素化するための例として、かりそめに一・五、七倍という数字を言われたのであるか。町村長としてはこの倍率でよろしいというのであるかどうかを、ちよつとお伺いしたい。
  90. 白鳥義三郎

    ○白鳥公述人 第一の点につきましては、これは私もまつたく想像で申し上げるよりしかたがないのでございますが、税の方が附加税式でなくて、それぞれ單独の税源を持つようになつたとはいえ、県と市町村との間に行政上の懸隔を来すという心配は、まあないのではないかと考えております。これは私の考えでございます。  それから第二の点は、賃貸価格を九百倍して〇・〇一七五かけるのと、千倍して〇・〇一五をかけるのは、少し違うがというお話のように考えておりますが、この違いはきわめて少数でございますので、その点でおそらく千倍したものと仮定いたしますと、幾らになりましようか、〇・〇一五七五ぐらいではないかと思います。二桁目まで合つておるのでありまして、三桁目の狂いはそうそう町村の行政に対して重大な支障を来すというふうなものではない、そういうふうに考えて申し上げたのであります。
  91. 藤田義光

    ○藤田委員 ちよつと私の質問が徹底しなかつたのでありますが、実はこの政府原案ができましたいきさつは、御存じの通り米が約二百倍になつておる。それから地租、家屋に対する戰前の課税は、合計して約九%である。九%かける二百倍で千八百倍、それで千倍に一・七五をかけるという基準をつくりまして、それを事務当局が、GHQと折衝いたしまして、九百倍になつたわけでございますが、私がお聞きしたいのは、九百倍かける一・七五と大体同率の、千倍かける一・五という税率で御満足であるかどうか。高きに失しないかどうかということを、いま一度お聞きしたいのであります。
  92. 白鳥義三郎

    ○白鳥公述人 いろいろと計算の根拠がございましようけれども、総額においてはかわりはないのだから、私の方はぜひそういう点でとどめていただきたい、こういうふうに申し上げたのでございます。ほかに何らの意味はございません。あしからず御了承願いたいと思います。
  93. 床次徳二

    ○床次委員 先ほど市長の代表の方からお話があり、今また町村長代表の白鳥さんからお話があり、いずれも理事者側の立場にあられる方からのお話がありまして、今度地方財源が確立されることになると喜んでおります。私もこの点は同感に存ずるのでありますが、同時にお二人とも相当徴收難があるということを明らかに今日言つておられました。この点に対しまして、私はもう少しつつ込んだお答えをいただきたいと思うのでありますが、今度納税が困難になるということは、軍に率が高いというばかりでなしに、課税の対象そのものに相当移動がある。現在事業税は收益本位にとつておりますから、まあまあ納めやすいのであるが、今度の附加価値税になると、收益がなくても納めなければならぬということになります。また固定資産税につきましても、相当大きな負担になつているものが、今まで納めなかつたものに対しても納税をしなければならない。こういうところに難点があるのでありまして、單に税率が高いというばかりではないような感じを私どもは持つているのでありますが、理事者といたしまして、現実にそれぞれ納税者に接しておられる立場から見まして、やはり私どもと同じようなことをお感じになつたのではないかと考えます。ただいまとりあえず税率だけをお話になりまして、それから先のことを実は承つておらないのでありますが、その点をお伺いしたいのであります。
  94. 白鳥義三郎

    ○白鳥公述人 今度の税制改革は、非常に根本的に改革がありましたので、今までの税金と課け方が非常に違う。従つてある特定の業種の方が、相当重い負担をしなければならないというようになるのでありまして、その点で納得いただくまでが相当期間がかかるのであります。またそれまでが相当税の徴收が困難ではないかと心配しております。しかし長い目で見ますれば、今までの税の課け方が最も公平妥当なものだつたかということは、これまた疑問の余地があるのでございますが、たとえば、自動車などにいたしましても、自動車税などは相当高額なもののように考えております。自動車一台の税金が、地租に換算いたしますと、二十何町歩の畑に相当するというようなことも聞いております。そうしますと自動車一台の收益が、二十何町歩の畑に匹敵するかどうかということを考えますときに、今までの税の課け方がはたして妥当であるかどうかということは、これは十分検討の余地があるのではないか。ただ去年に比べれば、今年は非常に税の課け方がかわつて来ております。従つて特定の業種では、十分重い税金になるということは私にはわかりますが、しかし一体どうあるべきかということは、私などよりもむしろ委員各位のお考えにおまかせいたしたいと考えております。
  95. 立花敏男

    ○立花委員 津田沼は大体八百人ないし千人の所得税関係の脱漏者があるというお話でございますが、これは非常に特徴的な問題だと思うのですが、これはどういうところからこういう問題が発生しているのか、どういう生活状態なのか、承りたいと思います。
  96. 白鳥義三郎

    ○白鳥公述人 どうも自分の町の醜状を申し上げるということは、まことに恐縮なんでありますが、先ほど申し上げました通りどもの方の町は戰炎者、引揚者が相当たくさん入つております。従つて正業につけずに、ふろしき一つで生活を営まれておる方が相当たくさんございます。その点、それだけでひとつぜひ御賢察いただきたいと思います。
  97. 立花敏男

    ○立花委員 こういう人たちは、いわゆる潜在失業者というふうにみなしてもいいのだと考えるのですが、お述べになりましたように税金が三倍にもなる。しかもこれもお言葉の中にあつたのでございますが、三倍になつて事業はあまりできないだろうというお話であつたのですが、税金が三倍になつて、しかもあまり事業ができないとなりますと、とられる方から申しますと、とられた税金がちつとも返つて来ないということになるのでございます。たとえば今お尋ねいたしました八百人ないし千人の一これは津田沼にとりましては、パーセンテージといたしまして非常に大きなパーセンテージだと思うのでございますが、この人たちにせつかく三倍になつたこの税金で、何ら事業がなし得ないということになりますと、これは何のために税金をとるのかわからないのですが、その点どなんでございましようか。
  98. 白鳥義三郎

    ○白鳥公述人 私の説明であるいは不十分であつたかと存じまして、まことに恐縮に存じますが、私の申し上げましたのは人口五千程度の、さきほど申しました通り事務費だけで七〇何%も占めるような、そういつたところではどうにも業務もできやしないのじやないかと心配して申し上げたのであります。その点私の方の町は、そういつた農村から見ますと、相当惠まれておりまして、役場費が全国でも、あるいはそういつた低率なところは少いかもしれませんが、昨年度は全体の歳入総額の一〇%であります。それから今年度の当初予算は、九%で組むことになつております。そうしてこれと同じくらいの人口のある町の予算から見ると、半分ぐらいであり、それをできるだけ事業費の方に打込むつもりでせつかく努力しておりますので、今回それほど歳入額が上るとは思いませんけれども、できるだけ事業はやつて行きたいと考えているのでございます。今までの事業をやつたものは、四分の一は町債とか寄付金であつたのでございますが、町債もやりませんし、また寄付金も頂戴しないで、去年と同じぐらい、あるいはそれ以上の仕事はぜひやつて行きたいと考えておるのでございます。
  99. 立花敏男

    ○立花委員 この八百人ないし千人の潜在失業者、半失業者に対しまする施策を、この事業の税源が独立したからと申しまして、これでまかなえる見通しをお持ちになつておるかどうか。この問題に関しまして、やはり国家財政に対するいろいろな要望がおありだと思いますが、その点を少しお聞かせ願いたいと思います。
  100. 白鳥義三郎

    ○白鳥公述人 八百人ないし千人の脱漏者があるだろうと申し上げましたが、それらのあるものとして、実は歳入見積りを昨年の十一月末にしたのでございます。それらの人にあらためて所得税も課けてもらい。またそれにつれて所得割も課けるというような見積りでなしに、そういつたものはそういつたもので相当所得割は課けられないものとして計算いたしまして、集計したのが先ほど申し上げましたような事態でございます。
  101. 立花敏男

    ○立花委員 私のお尋ねしておりますのは、これは町としては町民でございましようし、どうせこの人たちのめんどうも町として見なければならないと思うのでございますが、このめんどうを見るのはたいへんでございまして、決して與えられた財源ではできないと思うのでございますが、その点でどういうふうな要望をお持ちでございましようか。それから町として與えられた財源の範囲内で、こういう人たちに対してどういう施策がとり得るお見通しかどうか、その点でございます。
  102. 白鳥義三郎

    ○白鳥公述人 そういつた点になりますと、まことにおはずかしいのでございますが、今私の方の町で生活扶助費を相当多額に出しておるのでございますが、その医療扶助でございます。厚生費の方の比率から申しましても、近隣の町村にないくらい実は多いのでございますが、それ以外に町独自で授産所のようなものを計画するとかいうふうな話が二、三度起つておりましたけれども、人を得ることが非常にむずかしく、経営が非常に困難であるというので、まだ実現の運びに至りませんけれども、今後ふろしき一つだけで生活を立てるというような時勢ではなくなるのでございますから、何らかの施策もしなければならぬと考えておるのでございますが、まだ具体的に私どもといたしましては計画が立つておりません。
  103. 立花敏男

    ○立花委員 この数字は、これは津田沼の方の数字でございますが、こういう形は一般的に全国町村にあるのではないかと思うのでございますが、これに関してお調べになつたものをお持ちでございましようか。
  104. 白鳥義三郎

    ○白鳥公述人 私の方の町が特に多いのかもしれませんが、税務署の方の係に聞きましても、大体納税者の二割ないし三割ぐらいの脱漏者があるだろうということは、税務署員にとつておそらく一般的な常識ではないかと考えております。
  105. 立花敏男

    ○立花委員 これはいわゆる悪質な脱税者ではなしに、そういうふろしき一つで生活しなければならないという境遇に追い込まれた者が、今おつしやいました二割ないし三割ですか。
  106. 白鳥義三郎

    ○白鳥公述人 いや、そういう生活は、最小限度以下の收入でございます。零細な所得者でございますが、そういつた者がなおかつ、免税点が非常に低いので、所得税を納めなければならない者になつておる。その分野に相当たくさんあるのではないか。しかし一部にはふろしき一つで生活をしておりながら、われわれ一般のまじめな生活をしておる者よりも、もつともつと豪奢な生活をしておる者も中にはあるのでございますし、ふろしき一つ持たなくても、口一つだけで豪奢な生活をしておる人もあるのでございます。あるいはときにより、こういつた実例がございます。事務所を二つぐらい転々として移動するのでございます。そうしますと所得税を課けようがない。そういうような実例もございます。従つて今申し上げました八百人ないし千人の脱漏者と申しましても、その大部分は先ほど申し上げました通り、潜在的な失業者であることは間違いありません。しかしその一部にはなおかつ相当悪質な者があるということだけは、はつきり言えると考えておるのございます。
  107. 立花敏男

    ○立花委員 結論的にお伺いしたいのですが、こういう者に対しましても、與えられたくらいの町村財源では、十分に救済する見通しはないということは言えるのでございましようか。
  108. 白鳥義三郎

    ○白鳥公述人 他の費目をよほど犠牲にしなければできないのではないか。今までのように学校費、建築費が相当厖大な、私の方から申しますと、町全体の三分の一を占めております。あるいは二十四年度では、教育費だけで町の総收収入の四割を昨年は投じました。そういうような一方において非常に多額な要求のある場合には、ほとんど困難ではないか。一応学校校舎も、政府の方の御援助を仰ぎながらやつとでき上るようなことにでもなれば、町行政の重点をまた別な面に持つて行かなければならぬと私は考えておるのでございますが、そういつた機会にあるいはなし得るかもしれません。しかし今ここではつきりどうということは、御返事しない方がいいのじやないかと私は考えるのでございます。
  109. 門司亮

    ○門司委員 私よくお話を承つておりませんので、あるいは違うかもしれませんが、町村長の会の会長さんであるという建前の上においてちよつとお聞きしたいのですが、今度の税法の改正の中には、シヤウプの勧告案にもありまする通りに、この税制施行によつて、約四百億といわれておる強制寄付の中で、三百億がこの税法の中に吸收されておるという一応の見方をわれわれはしておるわけでありますが、もしこれがこのままの姿で予定税額がとれるといたしますと、その寄付金がこれによつて政府の考えている通り、一体将来できるかどうかということは、われわれとしては非常に懸念されるのであります。これについての見通しがもしおわかりになりますれば……。
  110. 白鳥義三郎

    ○白鳥公述人 私の方の町で、私が知つております寄付金、あるいはそれに類似するものと申しますと、PTAの会費だとか、警察の後援会だとか、消防の後援会だとか、あるいは私の方で公安組合というものがございます。その方の会費とか、そういつたものを合せますと、私の方で直接頂戴した寄付金のほかに、約六百五十万ばかり昨年度はございました。税率が確定いたしますれば、来年度の予算におきましては、寄付金はごく特殊なものを除いて、ぜひ廃止したいと考えております。それからPTAの会費、あるいは警察後援会というようなもの、PTAの会費はぜひ半減したいと考えております。また警察後援会、消防後援会は、町の方でそれだけの経費を持つて、そうして廃止してもらいたいと実は私自身は考えております。おそらく他町村におきましても、今後寄付金によつて財政を営むというようなものは、まずあるまいと考えております。私の方で多少特殊なものがあると先ほど申しましたのは、こういつたものであります。他町村から私の方の中学校あるいは小学校に、子供を送り込んでいる方があるのであります。どうもそういつた方を断るわけに参りませんので、町村民税を納めていないのでありますから、そういつた方には幾らか寄付金を頂戴しております。そういう特殊のものを除いて、あと寄付金は全部廃止したいと考えております。
  111. 門司亮

    ○門司委員 もちろん私は別に強く数字的な根拠をお求めするわけではございませんが、今度の税法は、特に固定資産税においては、非常にむらのある税金がとれるような様相を持つておりますので、全体的に見た予算がこれだけふえておるからといつて、必ずしも全国市町村が全部それの恩惠に浴するわけには、もちろん参らぬと考えております。そこで非常に多額の税がとれて、寄付金の必要のない町村もあるでしようし、またそれとまつたく逆な町村も生れて来ると私は考えるのであります。その点の見通しはどうですか。
  112. 白鳥義三郎

    ○白鳥公述人 一般税率によつて徴收した額が、一般経費をまかない得ない場合は、その差額に対して、国の方から平衡交付金を頂戴するという建前になつておると考えております。今まで寄付金でまかなつていたようなところ、そうして税收入が不幸にしてそれほどないというようなところは、おそらく平衡交付金が相当多額に流れ込んで来るのではないか。結局寄付金を頂戴しなくてもやつて行けるのではないかというふうに、私は単純に考えております。
  113. 門司亮

    ○門司委員 これは非常にむりな注文かもしれませんが、もし町村長会の方に資料でもございまして、市町村が今日まで寄付金を一体どのくらいもらつておつたかというようなことが、もしおわかりになりますならば、後日でよろしゆうございますから、資料としてお届け願いたい。
  114. 白鳥義三郎

    ○白鳥公述人 なお私、最初にお断り申し上げなければならなかつたのでございますが、私、全国町村長会の方は、ただ單に理事でございまして、会長は伊藤幟氏でございます。私、千葉県の町村長会の会長をやつておるだけであります。なおしかし全国町村長会の方の事務局にお願いいたしまして、ぜひそういつたような必要な資料をまとめていただくようにお伝えしたいと考えております。
  115. 塚田十一郎

    塚田委員 相当数脱税があるというお話は、私どもも非常に重大な問題だと思つておりますので、もう少しこまかくこの点についてお伺いできれば、非常にけつこうだと思いますが、大体おあげになりました数の人たちは、相当程度の所得を持つておりながら、税金を納めないでいるという者の数をおあげになつたのか。それとも免税点すれすれのところくらいというような者もその中に相当つておるかどうか。それからまた、町村が税をおとりになる場合に、こういうものを対象とされて、簡單にうまく所得の捕捉ができるかどうかということ、従つて地方財政委員会の許可を得るというようなことをせずとも、大きな弊害を起すというようなことがないかどうか。それらの点についてお尋ねいたします。
  116. 白鳥義三郎

    ○白鳥公述人 私、繰返して申し上げるようでございますが、今の免税点が、生活の最小限度を切つておるというふうに考えるのでございます。供出で申しますれば、これは裸供出だというふうに考えております。今の免税点では、当然納めなければならない計算になる人たちが大部分でございますが、しかし適当に生活最小限度の線まででも戰前の物価に比較して、年收百円が免税点であるというようなことでなしに、相当程度までこれを上げていただきますならば、いずれも所得税を納めなくてもいい人が大部分でございます。それからそういつた者に対して、收益の所得の捕捉がはたしてできるかというと、これは実に困難でございまして、私たちにいたしましても、今まで町村民税をけ課けましたときにも、いずれも見立て割によるよりほかにないのでございます。その附近の生活状態と照し合せるとか、たくさんの税務調査員を設けて、その人たちの意見を聞くとか、そうして結局これは見立て割になつてしまいます。そういうような人にまさか青色申告をしろと言つても、できるものではない。おそらく税務署でこれをおやりになつても、結局は見立て割ではないかというふうに考えるのでございます。何かもう一つございましたが……。
  117. 塚田十一郎

    塚田委員 その中に、所得の形態が特殊であるために、相当の所得があると思えるのだが、つかまらないというようなのがございましようか。
  118. 白鳥義三郎

    ○白鳥公述人 先ほど一、二の例を申し上げましたけれども、ブローカーと申しますか、こういつた方はなかなかつかまらない。それから最も悪質なものは、事務所を転々と意識的に移動するのでございます。二箇月か三箇月ですぽつとかえて行きます。その間に相当の商いをしている。商いの仲買いをして、買つて来ては売つてしまう。そうしてまた移す。そうすると税務署の方でもどうにもならない。しかしそういつたようなことをやつておる御家庭の暮し向きを見ますと、なかなかどうして豪奢な暮しをしていらつしやるが、表面的には捕捉できないのでございます。
  119. 大泉寛三

    ○大泉委員長代理 たいへん長い時間ありがとうございました。  次に大阪の天正堂專務取締役三宅源次さんに御発言を願います。
  120. 三宅源次

    三宅公述人 ただいま御紹介にあずかりました大阪の天正堂の專務三宅源次でございます。  私は現在時計、楽器、めがね、そういつた種類の卸売業をやつておりまして、同時にそういう方面の団体を代表して、一言御意見を申し上げたいと思つております。この地方税改革につきまして、まず第一にシヤウプ勧告案に従いまして、地方税制が根本的に改革せられ、地方財政の自主性が強化されるという、ことは、たいへんけつこうなことだと思つております。従来はただ税金というものは国税を第一にして、地方税について非常に納税者の皆さんの関心が薄かつたのであります。それがためにこの地方税について、たいへん地方庁に弱いところがたくさんございました。そこで私が一番先に意見を申し上げたいのは、県の三大税といわれております遊興飲食税、入場税と、今回新しく規定いたされます附加価値税について申し上げたいと存じます。  私は現在時計、楽器等の商売をしておりまする納税者の立場から、附加価値税について申し上げたいと存じます。私の現在扱つております時計、めがね、楽器、これは非常に美しい商売である。そうして陳列を飾つて、店も非常に美しくしておりまする関係上、何だか資産があるようにも一応見られております。そうして扱う品物がたいへん高い物が多いものですから、税務署の方でもわれわれは非常に高税な納税者になつておるわけでございます。これをもつて税務署が附加価値税を賦課されるということは、私たちの方は非常に都合が悪いのでございます。それは地方税として各府県の独自の立場で、この方法をとつていただきたいと思います。かりに数字で申し上げますと、私たちの扱う商品は、卸売業者は一割ということにはつきり昔からきまつております。それは各業界の新聞とか、現在自分の扱つておる品物を証拠として各方面に配付しておりますから、その方面のことははつきりわかつておりますけれども、実際には一箇年三百万円の売上げに対して、三十万円の所得があるという計算でございますが、税務署の方では三百万円の売上げがあれば少くとも一割五分というので、五十万円と決定されているのが実情でございます。その五十万円を現在の税務署の国税の率から申しますと、六五%ですから、三十二万五千円という国税を拂つて、そのあとで事業税として、これまでは一九・五%を納めて来たのですが、その率で行きますと、とうてい営業を継続することができないほどの高額になつております。今回附加価値税として改正されます率が百分の四ということになつておりますので、この率から見ますと非常に安いように見えますが、その内容で差引するものが大分あつて計算が違つて参りますので、相当これは苦しいと私どもは考えております。  また私個人として別に飲食業をやつておりますので、遊興飲食税について一応申し上げたいと存じます。現在行われております賦課の方法、徴收の方法、それから税額の決定ということについて、地方庁に何らの資料もなく現在は賦課されております。たとえば地域的とか、業種組合を通じて、請負制度になつております。昭和二十四年の七月以降、十二月までの税額がいまだ決定しておりません。こういう実情でございまして、政府の方としてもとうていこれは税金をとることができないような現状になつております。遊興飲食税は、特別徴税者が扱つております税金でございますが、今回改正される率は少し低率になるように案ができておりますが、昭和二十四年五月にも大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、この四府県がシヤウプ使節団に引下げの案を提出しております。税率を引下げるということはけつこうですが、営業内容を官庁の方で握つていただいて、営業の実態を知つていただいたら、こういう税金は簡單に課けられると私は思つております。現在のように地域的に賦課方法も違つたりして、非常に大きな差があつて、納税者の方もこのままでは非常に困つております。これでは徴税者側の方としても満足に税金がとれないのじやないかと思つております。それでこの遊興飲食税ももう少し実態を握つてから改正案をつくつていただいて、同時に徴收の方法とか、そういう方面にはつきりしたものをつくつていただいたら、われわれも簡單に納得できる遊興飲食税が納められると考えております。  次に地方税全般にわたつて負担の合理化と均衡をはかるということになつておりますが、今申し上げたような実態を握らずして賦課しておられる関係上、こういうものを一、二法文にもう少しはつきりとこまかい点まで入れていただくと、たいへんけつこうだと思つております。市町村税のうちで住民税も、これまであつた家の大きさというものが廃されまして、均等割と所得割になつておりますけれども、これもひとつ申告制度によつて資料をつくつていただいて、そして対象になる資料を各町村にはつきりしたものをもつて課けていただきたいと思います。
  121. 大泉寛三

    ○大泉委員長代理 次に福島俊雄さんに御発言を願います。
  122. 福島俊雄

    福島公述人 私はただいま御紹介にあずかりました日本経済新聞の福島でございます。本日は日本経済新聞の福島としてではなく、日本新聞協会に加盟いたしております全国百五十の新聞社の代表としてお話申し上げます。この席において私は新聞事業と附加価値税について申し上げる役割になつておりますが、数日前に御発表になりました中島委員長地方税改正に関する修正試案を拜見いたしますと、この附加価値税に関する第三項に、新聞事業には課税せざるものとすることと明記されておりまして、私ども新聞関係者一同深く感銘しておる次第でございます。こればとりもなおさず、新聞事業に対して深い理解を持つていてくださるということを、簡明直截に表現されたものであると考えております。従いまして、今私ここであらためて新聞事業に附加価値税を課するようなこと、つまりニュース取材活動を阻害するようなことは、国際的にも外国に聞えてたいへんはずかしいことである。こんなことはニュース課税という非文化的、野蛮な事態を、いたずらに外国にさらけ出すにすぎないといつたようなことを力み返る必要がなくなつたわけであります。実はかねてこの公聽会においては、私大いに弁じ上げようと思つて準備おさおさ怠りなかつたのでありますが、まつたくこの修正試案によりまして虚を突かれた形でありまして、ちよつと気勢が上らなくなつたのであります。しかし意見だけは申し述べさせていただきたいと思います。  今回創設されました附加価値税の本質については、もはや学問的にも、また実際的にも、いろいろと論じ盡されておりまして、すでに一橋の井藤教授のごときは、この研究は日本が一等国であるとさえ申しておられますが、それほどよく十分に究明され盡しておりますので、いまさら私が附加価値税の本質論を申し上げるに及びませんが、新聞事業と附加価値税の本論に入ることといたします。かつて二月九日でありましたか、私参議院においても申し上げたのでございますが、新聞は何かを生産するものではありません。生産を目的とするものではありません。あるいは何らかの生産手段、そういつたような産業でもありません。同時に消費とか分配とか、そういつたものを目的とするいわゆる商業でもないのであります。いわんや利潤を追う企業では決してありません。新聞本来の使命とか何とか、ここで釈迦に説法するごとき考えは毛頭ございませんけれども、ただこれだけは申し上げておきたいのであります。新聞ではほかの産業で見られない生命があるということであります。すなわち單なる商業でもなければ、産業でもない。利潤を追う企業ではもちろんない。もう少し詳しく申し上げますと、われわれの日常生活における社会各層、各分野に起伏いたします政治的、経済的、社会的の諸現象を報道したり、あるいは批判したり、国民大衆に一つの判断の材料を與える報道、それによつて公正な輿論を起したり、これを支持し、支援するというふうな、生きた生命のある仕事をいたしております。電気やガス、私鉄、もちろんいずれも公益事業ではありますが、新聞の公益性はこの生命があるからこそ特殊だと私たち考えております。従つて普通の物品販売業とか製造工業とか、そういつたものと同一列において新聞に課税することは、文化国家としてたいへんはずかしいことである。私はこの問題が起りましてから衷心これを悲しんであつたのであります。  御承知のように最初の政府原案では、新聞事業は独立の世帯として認めておられませんでした。すなわち第一種事業の第二十三号パブリツシング、出版業に包含されております。つまりわれわれ新聞事業というものは、間借をさせられておつたのであります。御承知でもございましようが、今全国の新聞において、大部分の新聞社が出版部とか出版局とかを持ちまして、出版は独立しております。経理も截然と区別しております。しかるにわれわれ本来の新聞事業は、この出版業のひさしを借りて課税をされるという、まことに悲惨なかつこうだつたのであります。そこでわれわれは地方自治庁の方々にも七重のひざを八重に折つてるる陳情したのでありますが、地方自治庁では遺憾ながらさつぱりお聞き入れにならない。そこで私はやむを得ませんから、総司令部のESSの責任担当者ブロンヘン・ブレンナー博士のところにかけつけて、ひざ詰め談判をやつたわけであります。一体あなたはアメリカの方であるが、ニュースに課税する、こんな野蛮なことをあなたは許すのかというわけで談じ込んだのでありますが、ブロンヘン・ブレンナー博士は、日本で言いますと事務官僚であります。しかしながらなかなか日本の事務官僚とは違つて、政治的な面も多分にありまして、三十分くらい懇談いたしましたが、彼はよろしい、それでは私は新聞事業を独立させよう、そうして第三種の自由業の中に移そう、そうすれば税率も一%下つて三%になるじやないか、それに努力しよう、こういう話でありましたから、私なおるる陳情したのですが、そのときは彼と約束なしで私が飛び込んだものでありますから、一応三十分の会談で引き下つたわけであります。そういたしますと、十日ばかりたちますとブロンヘン・ブレンナー博士から書面が参りました。実は本多国務大臣がおれのところに来た、そこで自分は新聞というものを自由業に移して、一%下げてやつたらどうかと話をした、そのときアイ・ハヴ・スポークン・ツー・ミニスター・ホンダと書面にありますから、明らかにブロンヘン・ブレンナー博士から申したことは明瞭であります。そこで彼は続けて、お前と約束した通り三種に移すことにした、そうしたら本多国務大臣はこれを快諾したと手紙に書いてあります。それで二月二十日以後政府原案における新聞事業というものは、第一種から第三種にかわつたのであります。すなわちブロンヘン・ブレンナー博士の深い理解によるこの処置も、四%から三%にかわつても、物品販売業の列から離脱して自由業となりましても、まだニュースに課税する結果になることにはかわりはございません。その後私は同博士としばしば会談もいたしましたし、手紙のやりとりをやつて論戰しておつたわけであります。実は一昨日も会いました。しかし一昨日はもう新聞事業お話は大していたしません。税制一般の話をしたわけであります。このことは、私たち二人が税制一般の話ができる線に到達したというところに御注目願いたい。というのは、事は司令部に関することでありますから、こまかい内容はこれ以上申し上げませんが、実は他の税制全般の話ができるという域に達したということは、われわれそれだけ余裕ができたということは、つまり二人の間に目にかどを立てて新聞事業に課けるとか課けぬとかいう論戰の必要がなくなつたからでありますが、これでその辺の御推察を願いたいと存じます。  新聞事業も一つの企業形態をとつております以上、法人税だとかあるいは家屋税、あるいは地租、そういつたような一般的基本的な税金は甘んじて受けております。今後も受けるつもりでありますが、今回の固定資産税は、従来の地租家屋税、それに償却資産でありまして、新聞社としては生命である輪転機にも課税されるようであります。輪転機に課税されることにわれわれとしては多少の問題があります。つまり他のものを製造するような普通の機械と同様に扱うというところに、言い分があるのであります。しかしこの際は取上げずに、一般的、基本的な税金は、われわれ新聞社といえど甘んじて受けようと考えております。しかしわれわれはこれに文句をつけるわけではありませんが、固定資産税の場合、原案では明かに生み出すようにわれわれも推測しております。従つて固定資産税を甘んじてわれわれも課税されますが、全面的の税率引下げに御盡力を願えればけつこうだと思つております。これは單に新聞事業に対して軽減されたいという意味ではなく、全面的に軽減していただきたい。これは徴税の上から言つても妥当ではないかと考えております。要するに二ユースあるいは言論、報道というものに対して、課税される結果になるような種類の税金、つまり今回の附加価値税は、絶対に御免こうむりたいと考えております。  新聞におきましては、他の事業には見られない、まことに奇態に金を食う存在があります。それは申すまでもなしに編集であります。編集というまことに金を食う存在があります。御承知のようにこれがニユースを集めましたり、新聞をつくる中心になつております。中心であるだけに非常に金を食うと言えば言えるのであります。一つ大きな事件が起りますと、数百万円という金は一挙に吹つ飛ぶのであります。私は例としてよく三鷹事件を引合いに出すのでありますが、ああいうふうな事件が起りますと、小さな社でも五人や十人という人間を現地に派遣いたします。大きな新聞になりますと、四十名や五十名の人員を動員いたします。そうしてまず現地へ宿舎を設けます。宿舎を設営して、現地において自動車の手配の便なところだとか、必ず電話があるところだとかいう家をねらうのでありますが、相手が承知であろうが不承知であろうが、新聞社は押し込みます。家を借りる権利が、普通三万とか五万とか申しましても、そういう場合には十万、二十万の金を、いやがる相手のふところにむりやりにねじ込んで、その家を占領するのであります。こういうふうなむちやな編集には金がかかる。そればかりではなしに、人間も記者だけでは足りませんから、走り使いをする者をそこへつけなければならぬ。本社との連絡をする連絡員をつけなければならぬといつたようなぐあいで、その上にまた食事のせわもしなければならぬから、事務系統の人間もつけるというわけで、こういうふうなものの費用は実に莫大でありまして、これは税務署の役人が伝票をごらんになつても、いかにも新聞社はうそをついておるようにしかとれないようであります。従いましてこういつたような費用に税金が課かるということになると、われわれの取材活動というものは相当制限してかからなければならない。税金は幾ら拂つてもいいからやるというならば別でありますが、これはほんとうに力のある新聞社がやれることであつて、よたよたしておる私ども普通の新聞社においては、なかなかこれはできないことであります。従つてこの附加価値税が存在すると、結局新聞社は取材活動をだんだん鈍らして、紙面はきわめて低調になるということがいえると思います。新聞はきよう起つたことを夕刊に載せます。また夜起つたことは朝刊に載せなければなりません。のんびりと机の上の書類に判を押しておるような事務とは、大分趣が違います。三鷹事件のような大きな事件がしよつちゆうあるわけではありませんけれども、新聞というものは機動力を発揮しなければなりません。新聞というものは皆さんの御存ずのないほどの小さな事件についても、非常な費用を投じておる場合が多々あるのであります。新聞社の経理関係はどうもよくわからないという地方自治庁の役人がおいでになりますが、これはわからないはずであります。ニユースの收集のためには、常識では判断のできない費用を惜しみなく投じております。でありますから、もし外部からそれを見てわかつたならば、その人は常識のある人ではない。わかつたらかえつて常識がないのではないかと思わざるを得ないのであります。わからないからこそその役人は頭のいい証拠であり、もしこの人がわかつたとしましたならば、頭が悪い、あるいは気違いの部類に入るのではないかと思います。そういうふうにやつかいなものであります。先般ある人から、君たちはそういうけれども、天光光女史のしりを追つかけまわしたりして、紙面をにぎわせているようだが、ああいう素材に対して税金を一〇%ぐらい課けてもいいではないかというお話がありましたが、私どもまことに同感であります。私は社会部出身ではありません。経済部出身でございますから、非常にかたい方で、ああいうことには大賛成でありますが、そういうことは結局編集者の頭、編集関係首脳部の頭によることであります。この点から見ましてもなおさらに私は編集関係者には月給をうんとやつて、頭のいい人間を使つて行きたい。それがためには附加価値税は課けずに、新聞社を裕福にさせて、いい人間を使えるように持つてつてもらいたいということを、実は考えておるわけであります。  余談はさておきまして、普通の事業でございますと、まず職工、工員を事務系統の人間、そういう人たちが主であります。しかし新聞事業は中心が編集でありますから、他の事業においては見られない編集の人員が非常に多いのであります。二、三の例をあげますと、社名を申し上げてもさしつかえないと思いますから申し上げますが、東京の朝日新聞は従業員総数が二千百三十二人、そのうち編集関係者が七百五十九名、割合を見ますと三五・六%という人間でございます。これと同じような計算をしてとつて見て参りますと、毎日新聞が三八・九%、読売新聞が総人員の半分以上の五三・三%、ずつと西の方へ行きまして中部日本が四四%、もつと西へ参りまして神戸新聞が四六・五%などという数字になつております。こういう点からお考えくださいましても、編集というものが新聞社の中心であることはおわかりくださると思います。こうしたことを申し上げておりますると、時間をいくら頂戴してもお話できませんので、こういう問題はこの辺で切上げますが、附加価値税がニユースに課税する結果になるということは、この辺のところで御推察願いたいと思います。  私はここではもはや新聞事業の負担税額のことは申し上げるのをやめます。私の根本の信念は、税額が多いからいけないとか、少いからいいとかいうことは考えておりません。古今東西を通じてかわらない一つの理念である、ニユースに課税すべからずということの大原則を無視して、大げさに申せば、世界の侮りを受けたくないという一点が私の考え方でございます。先ほどから伺つておりますと、なるほど六・三制実施などの結果によりまして、地方財政は膨張しておるようであります。従つて地方財政の強化ということも必要には相違ございませんが、地方財政の負担増ということと新聞社の課税とは、全然別個の問題であると私は考えます。課税してならぬ業種には、軽減するなりあるいは全免するなりが至当であろうと思います。今回の附加価値税は、国鉄とか日本専売公社などにははつきりと最初から免税されております。その他たくさん免税されておるものがありまするが、もし地方財政膨張の結果、新聞事業には免税できないという理由であれば、かえつて私はこういつたものに全部一つ残らず課けて、税率を〇・一%くらいにすべきだと考えております。地方財政の負担が非常に重くなつたということを理由としての、新聞事業のような特殊なものに対する課税については、私絶対に反対したいと考えております。なお明治二十九年でございましたか、営業税が創設されまして以来、新聞事業というものは新聞紙法による出版として免税されておりました。それから一昨年これにかわりましてできました事業税は、新聞紙法が撤廃になつたというので課けられる空気になつておりましたが、実は新聞紙法の撤廃というものは、決して新聞に課税するために撤廃されたものではございません。マッカーサー元帥が日本を占領したときに、新聞紙法というものは言論の自由を束縛するものであるから、言論の自由を與えるために撤廃せよと申されたのでありまするが、国内手続がとれておりませんので、昭和二十四年五月にようやく撤廃されることになりました。そうして死文ではありましたが、昭和二十年以来昭和三十四年まで、新聞紙法というものは存在しておりました。その間は地方団体はわれわれに対して、事業税を課して来ていなかつたのであります。しかるに昨年の五月に新聞紙法が完全に命を絶たれた後、七月ごろになりまして、いきなり昭和二十三年に遡及して、新聞社にも事業税の徴税令書をまわして参りましたが、これはすつたもんだの末、ただいまのところとりあえず二十三年は引込めたようであります。そうして二十四年度の事業税について、新聞社と地方団体との間でもんでおりますが、そういうふうなことを申し上げると、いくら時間があつても足りませんから省略させていただきます。  なおわれわれの使います用紙に関しては、物品税を免除されておりますし、一昨年創設されました広告税も、新聞関係免除されております。これはほんの一例でございますが、米国ではほとんどすべての收入とトラック運転について厳重な規定を設けております。メイン州と申すと東海岸のニユーヨークのずつと北の方のはずれでありますが、メイン州ではトラック運転は免許税を納めるということになつております。ところが生鮮野菜と果物、それに新聞輸送に関しては、このトラックの免許税を課けておりません。そこで一九三六年にこれは問題となりまして、これらに対しても、ほかのトラックと平等に課税すべきであるという訴訟が起されましたのに対しまして、メイン州の裁判所は、ニユースの迅速な配布は、社会全般の福祉に密接な関係を有する。従つてこの免許税を免除することが不合理であるということは考えられないという判決を下しておるのであります。日本でも今回の地方税におきまして、都道府県の普通税として自動車税がありますが、新聞社はこれに対して目下のところ何ら異議を申し立てておりません。先進民主国家であるアメリカをお手本にしますならば、われわれも免除の意思表示をしてもさしつかえないように思うのでありますが、われわれは今のところまだそういうことの運動も起しておりませんし、考えてもおりません。日本の新聞社は、実はこの通りにおとなしいのでございまして、今回の附加価値税の全免をお願いするということは、よくよくよくのことだと御承知願いたいのであります。  なお新聞事業と同じ運命につながりますのに新聞販売店と、新聞広告代理業というものがございます。これはいずれも新聞事業の手となり足となつておるのであります。というよりも、新聞事業とは一体の機関であります。新聞販売店は新聞の配布に携わりまして、紙を配つておりますが、あれは紙を配つておるのではありません。ニユースを配つておるのであります。新聞紙を商品と見る方はあれを紙とごらんになるから、商品とごらんになるのだろうと思いますが、紙は便宜上のものであつて、もし紙にかわる何かニユースをプリントに写し出して人の目に見せるものがあれば、紙でなくてもさしつかえありませんが、いずれにしても新聞販売店はニユースを配つておるのであります。このことに関しては、後ほど新聞販売の方の全販連の江崎さんからお話があるそうですから割愛します。新聞広告代理業者というものは、新聞事業財政的独立を確保しますために新聞事業の内部に包含されてもよい重要な機関であります。しかもこれは全然仕入れの商品を持ちませんし、それを製造するような機械も持つておりません。ただ人件費と広告收集費というものが全部の支出となつておりますので、要するに頭と足との一本で活動しておる仕事でございます。このことは今回の附加価値税において收入の全部が課税対象となるということ、つまり控除されるものがないということでありまして、收入の百パーセントまで税金が課かるということを意味しております。これは明らかに重税でありまして、今日の社会はだんだんデフレ傾向を強くしまして、これに伴いまして広告界も非常に悪くなつております。それで広告代理業者というものは、ただでさえアップアップしておるのでありますが、広告代理業者をこの重税によりまして窮地に追い込むということは、ひいて新聞事業財政的独立にも重大な影響を及ぼすことは明白でございます。昨年五月、新聞協会で新聞講座を開きましたときに、総司令部の民間情報教育局長のニユージエント中佐は、自由社会における新聞は、財政的にも独立すべきである。さもなければ、その新聞は自由であり、独立しているということは言えない。新聞協会はその加盟各社に、自由かつ責任ある新聞は、経済的にも独立すべきものであるという認識を確立するような措置をとるべきである。こういうことを強調いたしまして、新聞社の財政的独立を主張されております。これはもちろんであります。われわれがある種の政治的圧力、あるいは経済的圧力によりまして、新聞社というものがへたへた、へなへなとやつておりましたら、そこには言論の自由などはございません。従いまして新聞社の收入源は販売と広告でございますが、この中の広告代理業者に対しても、販売と同様に、私どもはわれわれの機関の一部として、仕事を移して預けてある。そうして活動してもらつておる。すなわち新聞社の延長という機関であるということになりまするので、これについても新聞專業の一翼をになつておるということを十分お考えくださいまして、新聞事業同様な扱いをお願いしたい、かように考えます。  まことに粗雑なお話を申し上げましたが、どうぞ国会におかれましても、新聞の言論、報道の自由のため、また新聞の財政的基礎を確立しまして、自由な新聞として、われわれが世界の新聞業界から笑われないようにいたすことができますように、この税金の全面的免除について特にお考えくださいまして、御支援くださいますことを衷心からお願い申し上げます。
  123. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいま福島さんからいろいろ有益なる公述をいただきまして、非常に興味深く拜聽いたしましたが、ニユースが国民の文化財であり、絶対課税すべきでないという御高説に対して、われわれもまつたく同感でございます。ただここに、実は多少古くなりますが、UPの東京支局長のアーネスト・ホーブライト氏が、かつてこういうことを都下の有力新聞に報道いたしております。それによりますと、新聞に対する附加価値税は、新聞事業を弱めるものであり、自由な新聞の利益に反するものだというのが、新聞発行者の意見だ。新聞は一般の法人税をすでに納めておる。これ以上の税を課そうとするならば、新聞事業に対する現在の統制を解除して、商業会社としての自由な活動を許すべきだ。現在は新聞用紙も統制され、購読料は低く押えられて、新聞経営の安定は脅かされていると、新聞発行者は主張しておるというふうに結んでおりますが、このホーブライト氏の新聞界の意向を反映した論説みたようなニユースによりますと、統制を解除すれば、つまり商業新聞としての自由な活動を許せば、課税してもいいというようなことを新聞界の一部で報道しているやの誤解を招きやすいと思いますが、この有力なるホーブライト氏が、こういう論文を書いたいきさつを御存じでありましたら、御参考のためにお聞きしたいと思います。
  124. 福島俊雄

    福島公述人 ホーブライト氏には私会いまして話もしましたが、これはこういうことを言つていいかどうかと思いますが、彼はどうも少し早のみ込みの点がありまして、そういうふうなことを錯覚しているように考えました。多分三月の九日くらいの報道かと思いますが、どうも少し早合点をしたようでありました。私はそれは言葉の足りない点があるのじやないかと考えております。むしろこれが統制が解除されて、自由競争になりましたら、今の取材競争といいますか、この統制下にあつても、すでに夕刊発行、四ページ発行といつたような、統制を逸脱するような、上手に法規に触れないように脱け出て、そうして競争場裡にどんどんつつ込んで行くという状態でありまするから、これが統制が撤廃されましたら、なおさらひどくなります。これだけは申し上げられると思います。
  125. 藤田義光

    ○藤田委員 これは悪税を前提にいたしました御質問で、たいへん恐縮でございますが、今度の附加価値税は、全国を相手にいたしておりまする大新聞に対しまして、発行部数の少い、配給地域の狭い、地方の新聞には致命的な打撃があると思いますが、これに関しまして、何か新しい税法と、大新聞、中小新聞との打撃を統計的に調べられたことがありましたら、お伺いしたいと思います。
  126. 福島俊雄

    福島公述人 実は第九次案を基礎といたしまして、調べたものはございます。しかしその後地方自治庁におきましても、課税対象からはずすものを次次とおこしらえになりましたので、大分かわつております。最初に私どもで計算いたしましたのは、ちよつとここに持つて来ておりませんが、大体一部当り一円六十銭から二円はつくというふうな数字になつておりました。しかしその後だんだん軽減されまして、私がざつと考えますのでは、大体一円ないし一円三十銭くらいなものはかかると思つております。
  127. 藤田義光

    ○藤田委員 新聞事業界から再三熱烈なる御要望をわれわれも拜聽いたしまして、十分承知いたしておりますが、かつて全国新聞販売連合会から出されました陳情によりますと、少しお門違いかもしれませんが、新聞代金のうちの配達手数料が引上げになる。つまり新聞代価が物価庁で改訂されまして、附加価値税をマル公に織り込む。あなたが言われますように、このニユースに対する課税は、絶対大衆に転嫁すべきものではないという趣旨からしまして、そういうことはないとは思いますが、万一物価庁でマル公を改訂いたしまして、附加価値税相当分を引上げるような措置をとると仮定いたしました場合に、あなたの立場の御意見を伺いたいと思います。
  128. 福島俊雄

    福島公述人 速記をとめてください。
  129. 大泉寛三

    ○大泉委員長代理 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  130. 大泉寛三

    ○大泉委員長代理 速記を始めてください。
  131. 藤田義光

    ○藤田委員 今度の新しい地方税法案内容を見ますと、日本放送協会が非常に大きな特典と申しますか、当然の権利を獲得し、新聞業界が最悪の原案になつておる。これに対しまして何か楽屋裏がございましたら、公述者の方からお開かせ願いたい。
  132. 福島俊雄

    福島公述人 全然存じません。私先ほども、これは前に参議院で申し上げたものですから申し上げなかつたのですが、同じ公益事業でも私鉄、ガス、電気、そういつたものと新聞業というものは違うと申し上げました。しかしこの私鉄、ガス、電気には税金を課けてもよい、おれのところだけはやめてくれということは言わないと同様に、そういうほかの課からぬところを別段ねたみもそねみもいたしておりませんので、調べておりません。
  133. 川西清

    ○川西委員 ただいまの公述をちよつと聞き漏らしましたので、その間におつしやつたかどうかわかりませんですけれども、新聞に対しては営業收益税は免税になつてつたのでありますが、事業税が課かるようになつた場合に、今回のように大いに実情を述べて運動されなかつたのでありますか。その際はどういう事情であつたか伺いたい。
  134. 福島俊雄

    福島公述人 実はわれわれは事業税が入つておりますあの地方税法が成立しました当時、大体においてこれは單に新聞社ばかりではありません。日本国民全般の問題ですが、どうも国税というものには注意するが、地方税というものはついおろそかになるわけです。われわれは見のがしたというと変でございますけれども、あのときには新聞紙法はまだ存在しておりましたが、あれは新聞紙法による出版という文句を削つただけであります。われわれとしてはかつてな解釈かもしれませんけれども営業税を承継した事業税においては、新聞事業というものには課けられぬものだという解釈をしておつたわけです。それであの当時の所管大臣は野溝さんでございましたか、大臣の議会の演説を拜見しましても、新聞事業に課けるとも課けないともおつしやつておりません。それでまずこれは課けないものであろうと思つておりましたら、あれが昭和二十三年の五月でございましたか、七月でありましたか、成立以後、地方団体からはうんともすんとも徴税令書も来ないわけです。ですからわれわれはやはり、われわれの判断の通り、課からないものだと考えておりました。ところが二十四年五月に、先ほど申し上げました死文ではあつたけれども、新聞紙法が存在しておつたために来なかつたらしくて、あの新聞紙法が死にましたら、早速七月ごろから各社へ事業税を、しかも昭和二十三年の一月に遡及して課かつて来た。それでわれわれとしては抗議を申し込みまして、すつたもんだの末、ただいまのところでは昭和二十三年は課からないという話合いができたわけであります。しかし昭和二十四年分はまだごたごたしておるようであります。
  135. 立花敏男

    ○立花委員 新聞收入でございますが、広告料の收入と紙代の收入と、どういう関係になつておりますか。
  136. 福島俊雄

    福島公述人 これは各社によつて非常に違います。これは詳しく申し上げると、被害新聞社ができるのですが、今の新聞社は、大部分販売收入以下の広告料の方が多いということを御承知置き願います。ただ力のあるよい新聞はよい新聞といつてつまり財政的に余裕のあるよい新聞は、販売收入を広告收入がうんと上まわつております。大体アメリカあたりでも広告收入は販売收入の三倍くらい上まわつておりますが、日本で三倍は、おそらく一社か二社だと思います。
  137. 立花敏男

    ○立花委員 紙代の方に転嫁できなければ、広告の方に転嫁できるという手もあるわけだと思うのでございますが、それは大きい新聞はそういうこともできるが、小さい新聞はそういうことはおそらくできないと思いますが……。
  138. 福島俊雄

    福島公述人 これは今の広告料というものが、御承知でございましようが、死亡広告でもお出しになつた方は御存じだろうと思いますが、非常に広告料が高うございます。これ以上転嫁して、これを上げるわけには参りません。むしろ現状においては、割引をしなければならない。下げて行かなければならないというような状態になつております。
  139. 立花敏男

    ○立花委員 もう一つ、他の点からお聞きしたいと思います。御公述の中にも、文化財としての一点からのみ反対するのだ、多分そういうお言葉がございました。それは非常にけつこうだと思つておりますが、同時に輿論の代表としてのお立場から、御意見があまりなかつたようでありますけれども、最近の新聞の社説など読ませていただきましても、新聞に課かつて参ります附加価値税のことだけ問題にされる傾向が非常に見受けられるのでございますが、御承知のように現在まで三日間公聽会をやりまして、おそらくあなたが最後かと思うのでございますが、三十人近くやつたのでございますが、ほとんどが附加価値税に対する反対、あるいは修正の意見を述べております。そういう公聽会に現われた面から見ましても、附加価値税は国民全体の反対の的になつておるのでございますが、どろいう意味で、輿論の代表としての新聞の社説などに、そういう面が強く出て来ないのか。特に御公述の中でその点をなぜお触れにならなかつたのか。新聞社だけの附加価値税が問題にされておるようなきらいがございますが、そういう点は何かおありになつて御発表にならないのですか。
  140. 福島俊雄

    福島公述人 大いに意見を持つております。附加価値税に関する論評は、今年に入つてからでなしに、おそらく昨年のあの問題が起りました当時から、各紙盛んに書いております。そこでその論調に弱いところがあることは、これは新聞というものは御承知のように、いつの時代においてもにらまれまして、下手なことを書いては占領政策違反になります。そこで非常に用心して書いております。今年に入つて新聞事業に関する附加価値税というものを特に各紙が取上げました事情は、実はわれわれが、先ほど申しましたこの附加価値税專任担当官であるブロンヘン・ブレンナー氏に最初に会いましたときが二月の十日、今時分何しに来た、ほかの業者は去年秋からおれのところに来ておると、ブロンヘン・ブレンナー氏は言われますから、われわれは今まで営業税が課からなかつたし、事業税も課からなかつたので、そこでこれに続く附加価値税も課からないと思つたからこそ、来なかつたのだ。だけれど聞くところによれば、新聞事業は出版事業の中に入れて課けるということだが、これはけしからぬというので、ひざ詰め談判に参つたのでございますが、そういうようなわけで、新聞にいよいよ課かるぞということがわかつたのは、最近なのであります。一月の末ごろだものですから、そこで新聞社各社はああいうふうに、新聞のことを特に取立てて書いたというわけでございます。
  141. 大泉寛三

    ○大泉委員長代理 どうもありがとうございました。  それでは全国新聞販売組合連合会長江崎銀兵衛さんにお願いいたします。
  142. 江崎銀兵衞

    ○江崎公述人 私は新聞販売店連合会の会長をしております。全国六千八百の組合員を持つておりまして、それに従事しております従業員八万名を傘下に持つております。これらを代表いたしまして、皆様に事情をお訴えいたしたいと存ずるのであります。  ただいま新聞社を代表されました福島さんから、るる新聞の使命についてお話がございました。私はそれについては申し上げません。この新聞販売店は、新聞社の手足の役を持つておりまして、国内にあまねくニユースを配達しますメツセンジヤーであります。すなわち新聞事業は、国内のあらゆる部門の第一線における記者の活躍に始まつて、発行されました新聞を家庭に戸別に配達いたします、あるいは街頭に立売りする売手に至る末端まで、きわめて短時間のうちに使命を遂行しつつある、いわば一貫した新聞社の流れ作業の一つであります。しかるに今回地方税法改正によりまして、賦課されんとしつつあります附加価値税の原案を見ますと、政令の定めてある新聞事業も課税の対象となつておりますので、以上申しましたような重大なる使命に反する。すなわちニユースに課税される不当課税として、新聞の使命、流れ作業の一貫性を持つておりますわれわれ販売業者といたしましては、当然これは免除さるべきものではないかと信ずるのであります。ここに二つの理由を申し上げたいと存じます。  新聞販売業と一口に言つても、実はこれは発行本社の出先の配給機関でありまして、発行本社には、営業局内に販売部というものがございますが、新聞の配給に関する直接機関を持ちません。従つてわれわれ販売業者が、本社にかわつて読者に配達し、集金し、そうして配達手数料をいただいているのが実態であります。これは発行された新聞が読者の手に届くまで、発行本社は責任を持つべしという精神に基いているのであります。従つて新聞販売業に課税されることは、すなわちニユースに課税されると同様なことになるのであると存じます。  第二には、われわれの全国新聞販売業組合連合会が、同税の免除につきまして、昨年十二月十五日に、衆参両院地方行政委員会委員長あてに陳情いたしました当時、新聞の公器性に立脚することを認められ、営業税も免除せられております。従つて新聞販売業者も免除を得ましたところ、一昨年から事業税が賦課されました。もつともこれは地方によつては、まだ課かつていないところもあつたのであります。そういうようなわけで、営業税と同様な性質のものでありまして、それが今回廃止されても、元の姿に返るということになるのであります。しかるにこれにかわつて附加価値税の対象となるとの政府の原案は、われわれの重大なる関心事でありまして、その動向のいかんによつては、われわれの使命遂行上重大なる支障となるわけであります。そういつたことからしても、ひとつこれは御免除を願いたいと存ずるのであります。現在販売の手数料と申しますのは、十六円であります。これは物価庁できめられたものでありまして、この十六円というものは労務の賃金でありまして、さらに一昨年きめられました三千七百円ベースに基いて決定されたものでございます。それが現在でもすえ置きになつているのであります。御承知通り新聞販売業と申しますと、風雨寒暑の別なく一箇月間毎日配達いたしまして、十六円という料金を頂戴するのでありまして、いろいろな世間の物価に比較いたしましても、非常に惠まれない状態にあるのですが、この手数料にさらに附加価値税が課かりますと、まつたく新聞販売業は行き詰まりを来すのではないか。こういうふうに業者はたいへん心配しているのであります。なお現在全国的でありますけれども、世の中の不景気も加わりまして、全国的に集金が非常に悪くなつて、そうして新聞社の納金も澁滞しているような現況にあるのであります。それほどに全国の販売業者は苦しんでいるのでございます。この上にさらに附加価値税が課かるというようなことでありましたならば、どういうことになりましようか。おそらくはもうきめられたる料金ではとうていやつて行けない。従つてあるいは超過集金のようなことができたり、その他いろいろなことがある。あるいは引合わないところは持つて行かないというようなところもできたり、非常に業界に不詳事を引起すのではないかということを憂えるのでございます。  大体以上申し上げましたことで盡きるのでございますが、なお御参考に申し上げておきたいと思いますことは、現在組合員は、新聞店というものは全国に六千八百ございまして、その従業員がざつと八万ございます。取扱い部数は二千百万、一店当り平均いたしまして約三千部に該当しているのであります。そういたしますと、現在の十六円の配給費で、一店の受取る手数料というものは四万八千円、この四万八千円をもちまして店舗を構え、事務費を支拂い、従業員の給與を負担し、店主はもとより家族も労務に服し、その賃金と生活を支えねばならぬのであります。かように新聞販売業者は、筋肉労働同様の労務に対する零細な報酬に甘じながら、新聞を戸ごとに配達するという使命を遂行しているのであります。以上のような次第であります。どうかぜひこの附加価値税につきましては、御免除を願いたいと存じているのであります。はなはだ簡單でありますが、どうかよろしくお願いいたします。
  143. 門司亮

    ○門司委員 あなたの方はほとんど全部人件費だと思いますが、経費の中で人件費の割合は何パーセントくらいですか。
  144. 江崎銀兵衞

    ○江崎公述人 いろいろ土地によりまして違いますけれども、大体七五%から八〇%くらいまでを人件費と見ております。
  145. 大泉寛三

    ○大泉委員長代理 どうもありがとうございました。  これをもちまして公述人各位の御意見の陳述は全部終了いたしました。  この際委員長といたしまして、公述上人各位に簡單にごあいさつを申し上げます。御多忙中にもかかわらず御出席をくださいまして、あらゆる角度から貴重なる御意見をお述べくださいまして、本委員会地方税法案の今後の審査に多大の参考になりましたことを、深く感謝する次第であります。厚く御礼を申し上げます。  本日はこれをもつて散会いたします。明日は午前十時半から委員会を開会、十時から理事会を開会する予定になつております。     午後五時十四分散会