○小田原
公述人 私は大阪における
近畿機械工業懇談会の代表で出た小田原と申す者でありますが、これは大阪府内において株式を取引所に上場しております会社が十社あります。まあ一口に言えば、代表的な
機械業者の集まりでございます。その方の代表者でまかり出ましたわけであります。時間の
関係が非常にきゆうくつなように伺いますので、聞いていただきたいことをなかなかみな言えそうにありません。それでお手元にお配りいたしましたこの書類に詳しいことを述べておりますので、これをごらん願いまして、今日は要点だけつまんで話をさせていただきたいと思います。
それでまず一口に申し上げますと、今回の
税制改革というものは、われわれ
機械業者にとりましては大
増税であります。詳しい
数字はそこに載
つておりまして、あとで申し上げますが、
附加価値税、これが従来の
事業税と取引高税の二つを合せまして、今度の
附加価値税に比較してみますと、ただいまの
政府案によ
つて三割増しということになるのでありますが、こういう解釈は違います。ということは、これまでの取引高税の分は、従来の取扱い方では、買うものの方も、売り上げる方も。請求書に取引高税一%ということをちやんと別に書きまして、製品の原価の中には入
つておらぬのであります。そういうような取扱い方ならば、別に
増税というものがたちまちこたえて来ることにはならないのでありますが、今度の
附加価値税によりますと、全然取引高税だけは値を下げなければならないことになる。請求書に書けませんので、これは原価の中にみんな入るのでございます。従
つて取引高税は
関係なく考えませんと、今後の業者のふところに非常な間違いを生ずる。従
つて附加価値税が従来の
事業税に対して、どういう
関係になるかというと、ただいまの案によりましては、二倍半にわれわれの
事業の方では
当ります。それから従来の不動産税が今回の
固定資産税になりますと、ただいまの案で
ちようど九倍余りに上ります。そしてこれが従来のように、利潤があればとられる、なかつたらとられないという制度と違いますので、これが盛んな会社も、衰えている会社も、一律に行くということは、前からたびたび申されているようでございますが、われわれ業者の方からこれを実際に
計算してみますと、
資本金
総額が、十社で集まつたもので十一億八千六百万円でありますが、これに対して四億二千何ぼ、三割六分とられるという勘定になります。一年の徴收傘が、
資本金の三割六分をとるのだということになるので、これがいかにむちやくちやなものであるかということかわかるのであります。
これをまず第一にお耳に達しておきまして、そもそもわれわれが今日まで伺
つているところによりますと、吉田総理大臣は名古屋における演説において、一切の政治は
税金から始まる、こういうようなお話がありましたし、大蔵政務次官の水田氏は、これを引用せられて、昨年十一月における
日本租税研究協会の大会の席上におきまして、総理がこういうふうに言
つているのもあながち過言ではながろう、これほどに
税制というものは政治に大切なものである、と発表せられているという事実を、われわれの方でも実は雑誌によ
つて拜見したのであります。私がここにこれを持ち出しましたゆえんは、これほどまでに
税制というものに
関心を持
つている総理大臣の、今日までや
つておられる
状態を、実際に当てはめて考えてみまして、税務行政に対して、今日
国民のあらゆる層の者が、いかなる感じを持
つているかということを、一言にして申し上げますと、怨嗟の声野に満ちているということを、申し上げなければなりません。そして昨年秋に
地方税制改革案が発表いたされまして、あらゆる産業、数多くの
企業者から、それぞれ
意見並びに希望を活発に申し出ました。この声は過去六箇月間にわたりまして、ますます盛んに
なつておりまして、われわれ
国民が、これまで国会に提出せられました法律案に対して、これほどまでに熱烈なる
国民の修正案か出たというのは、ほかにはなかろうと思います。事はそれほどに深刻なものであり、これほど
わが国の産業の復興に対して、興廃にかかるという問題は、ほかにめつたにない。こういうふうに考えておりますから、よろしくこの点について御盡力願いたいと思うのであります。以下深刻なる問題について、約七項目にわけてお耳に達したいと思います。
まず
一般論として申し上げます。終戰後四年半たちました今日、
経済界の混乱から完全に脱却し切れません今日の
状態は、
ちようど人体にたとえてみますと、今大患後の予後の静養中というような感じのするときであります。まだこの病状は高度の衰弱
状態にありまして、しかも今春来のデフレに突入いたしました現状、これがまさに致命的になるのではなかろうかということを、実は非常な心配をしているときであります。このときにあたりまして、
わが国の開闢以来実に画期的といわれまする、この乱暴な
税制が出ることにな
つたのでありますが、はたしてこれが産業界に何らの支障なしに済むのかどうか。また理想とされるところの
改正案と、現実の
状態に対して、大きな隔たりがあるかないか。こういう問題について
政府御当局としては、よろしくこれは愼重に愼重を承ねて、事前の御
調査があ
つてしかるべきものと考えるのでございますが、念のためにこれはしかと皆さんのお耳に達しておきたいと思うのであります。
いま一つ申し上げたいことは、現在
わが国民の各層を通じて、過大な税
負担に対してはずいぶん悩まされております。この根本は、貧乏な国において不つり合いな大きな行政機構を維持しなければならぬというふうなことに
なつている。アメリカの一州、すなわちカリフォルニアに匹敵するくらいの大きさの
わが国において、四十数箇の都道府県、さらにまた市区町村というようなものが重
なつておりまして、この行政事務の複雑承複というものは、確かにここに大きな手術をしなければならぬごとに
なつていると思うのであります。これらの点についてまた
政府御当局として、もう一ぺん考えてみなければならぬのではなかろうかということを、われわれも苦しみのあまり、こういうふうにまで実は考えられるわけであります。事実
地方税においてお困りに
なつていることは、学校の寄附の強要、あるいは競馬、競輪をやるというような方法によ
つて、財政をまか
なつているというこの現状は、これは
負担能力において困
つている大衆に対する、仕方のない処置だというふうに考えられますが、いま一つこの案についても御考慮を願いたいと考えるのであります。
三番目に、ただいまの
わが国の現状はどうでありますか。これについて申し上げます。今やデフレの進行のまつ最中であります。このデフレによ
つて、簡單にこのごろ、不景気である、
事業はだんだんにつぶれて行きおるというようなことを、よく新聞に報道しておりますが、一体これはどういう
状態に
なつているかということを、われわれは日々深刻な現状の中におります立場から、一言申し上げます。要するに最近の
状態は、
一般の
購買力低下から、需要減退ということに
なつております。これはもとより
生産過剰に
なつているものではありません。まだまだそこまで行
つているわけはないのでございますが、いわゆるドツジ・ラインに基く
経済安定の
政策が、そういうふうにせしめた人工的なデフレであろうというふうに考えますが、そういうことによ
つて非常に業者の方では、つくつた品物が売れないという現状に来ているのであります。内地におきまして第一、
一般の
有効需要と称するものが減
つて参りますから、どんどんつくつたものはたま
つて参ります。ストックを持
つて悩んでいるものを、お互いに自分の
事業だけは生きて行こうと思うものだから、業者の不自然なる競争が激烈に起きて来る。これがためにダンピングというものが行われまするし、非常な出血をしつつ自分の命脈の続く限りを続いて生かそうというふうに、今苦しんでおるまつ最中であります。従
つてこういう場合でありますから、とうていその
事業の利潤などを見ることはできない。いよいよ倒れた者はにつちもさつちも行かないように
なつて倒れたのでありますが、そこまで行かないにしても、途中にある多くの業者というものは、今は気息えんえんたる
状態なのであります。一方海外に品を向けますと、ポンド切下げ以来の国際
情勢というものは、どうもわれわれの取引の上においては非常な障害に
なつております。のみならず最近の輸出というものは、どうも全般的にうまく行きません。のみならずわれわれの
機械工業の方面でも、非常にこれが悩みのもとに
なつております。この国際
情勢というものについて、一言ここに御参考までにつけ加えたいと思いますが、七月一日から先、われわれ鉄鋼に関する
事業に対しまして、鋼材並びに鋳鉄管、あるいは一番元になります銑鉄の補給金撤廃という問題が、ほとんど確定的なものと報道されておるのであります。七月一日よりこれを下げられた場合には、どうなるかという問題なのであります。
政府の御方針はまずズクが三十三ドル平均で、大体の値を維持して行くように補給金を撤廃をする。鋼材の
標準ものが七十五ドルという
標準をと
つているのでありますが、これは考えてみますると、まことにどうもふかしぎ千万の話なんでありまして、われわれ業者の方でいろいろ御当局に対して話しておりますけれども、
ちようどこの問題に関連いたしまするために、皆さんのお耳に達したいのでありますが、英国や西ドイツ、ベルギーあたりの銑鉄の平均相場というものは、大体において二十五ドルから七ドルです。鋼材ベースものの値段七十五ドルというものに対して、向うは五十五ドルぐらいなのであります。由来われわれの製品が東洋方面において輸出市場を争うということは、アメリカを相手に争つたためしはほとんどないのでありまして、みんな西欧州の方面と実は競争するようなことに、戰前から
なつておるにもかかわらず、今の
政府の案というものは、アメリカの大体FOB相場をと
つて、一応
標準にしようというような案ができておる。これはとんでもないことでありまして、ここでそういう方法を今とられますと、たちまち輸出の方は完全に命をとめてしまいます。鉄鋼製品というものがほとんど出なくなることは、確定的な見込みなのであります。これを最後にどうせられるかわかりませんけれども、
ちようどこういうような事情で、輸出の方につきましてはわれわれの方ではお先まつくらなんであります。そうして内地の方の市場につきましては、そういうふうなぐあいにだんだん減
つて参りますし、
農村相手の商売をしておつたところの農機具のごときものは、今の
農村の
状態ですから、ほとんど買う余力がなく
なつて行
つておりますから、従
つてわれわれ業者の蓬というものは、今まことに時世たる形がしておるのでありますが、かようなときにありまして、中小
企業というものはほとんど存廃の岐路に立
つて、いよいよ困窮のどん底にあります。それから大
企業におきましても、いずれも今日まで五年間というものは、
資本を食いつぶしつつようやくや
つて来たのでありますが、その上に補給金撤廃という問題を加えまして、今言
つておるような
状態でございますから、まつたく先については時世たる気持がしておるのであります。
のみならずここにもう一つ御参考になるように申し上げますが、われわれのところの工作
機械というものは、戰前全国で十二万台ぐらいあつたものが、戰時中七十五万台で、六倍に
なつた。それが戰後の今日におきまして三分の一、約二十五万台ぐらいが動いておるというのが現状であります。これでわれわれ業者の生きて来ておる戰後の
状態が、ほとんどおわかりくださることと思うのでございますが、かような
状態でございまして、ここに持
つて来て取引高税というものは、一応これを
拂いますけれども、需要者の方に別に請求書に書き入れて、当然拂うべきものとして扱われたので、これは大した
負担というほどのものではなかつた。ところが今度のいわゆる
附加価値税におきましても
固定資産税におきましても、利潤には何ら
関係のないものである。もういかなる場合において拂わなければならぬということがきまつたものであるとするのでありまして、これを是が非でも拂えよということに
なつて来ます。ると、今申しましたようなぐあいに、売価にこれを
転嫁して行くということは不可能な今日の
状態でありまするために、
事業崩壊の時期を早める。
事業の死期を早めるということにしかなりません。それで私考えまするのに、もしこういうような税法をやられるということでありましたならば、今日の
日本の
状態では、最悪の時期だと私は思うのであります。どうしても今やらなければならぬのであつたらば、これは二度か三度にわけて、もう一つこの
事業の安定する時期まで、半分くらいを讓られるというふうな方法をとられたらどうであろうか。今こういうことをやるということは、一番時期が悪いと思う。やるのだつたらおととしぐらいにや
つておれば、これほど苦しまないで事が済んでおつたろうと、こういうふうに思うのであります。
それからまことに恐れ入りますが、その次に今度われわれの
機械事業の專門のことに関して、
ちよつと申し上げようと思いますので、二つありまするプリントの中の一号という方をお開き願いたいのであります。詳しいことを申し上げると時間はかかりますから、一番最後に長い表が載
つておりますので、
ちよつとお開き願いたい。これは今言
つておる懇談会に加入しておる十社の財政
状態を、最近の決算面の生きた
数字に、今度の新しくつくられる
税制を当てはめてみました場合の、予算決箕とでも言いまするか、そういう
数字でございまするが、アイウエオというような
数字に
なつておりますから、おわかりにくうございますけれども、これはそこに名前を連ねておりまする順序に
なつておりますから、それに
ちようどはまるのでございます。まず会社名、拂込
資本金、売上げの年額、それから
事業用の償却
資産、株式の配当、それから帳簿
価格、再評価の
価格、こういうようなことでずつとみな生きた
数字を載せてございます。それから決算面におきまして
減価償却費、
事業費、
事業税、取引高税、不動産税、
法人税、法定積立金、株式配当金、後期繰越金と、こういうふうに
なつております。これは今すぐにこれを御説明申し上げると時間をとり過ぎますから、大体これについて要点をつまんで申し上げておきたいと思いますが、どうかひとつ詳しくごらんくださいますようにお願い申し上げます。それで一番最後の右の端の方に、合計欄が載
つておりまするが、これが十社の総合計した
数字になりまするので、平均がわかるようなことでございますので、
ちよつとその点をごらんを願いたい。全体が十一億八千六百万円の
資本金でありまして、この決算面の
数字が、この一番上の
減価償却は、今度の再評価によりまして各社とも特別に考えましたものが、表示されておる倍数でずつと出て来ております。これによ
つて規則通りに償却した場合にはこうなる。それから従来の
事業税、それから取引高税、今度の
附加価値税というものがその次に並べられております。それから次に不動産税の比較、こういうふうに見て行きますると、
事業税というものが六千七百七十五万円であつたものが、一億四千六百十五万円になる。これが
ちようど二・一五倍に
なつておりまするが、この数差は
政府案の今の四%でなしに、三・五%をと
つておりまするためにこう
なつておる。四%になりますると、これが
ちようど二倍半になります。それから不動産税が千七百五十七万円拂
つておつたものが、一億六千三百五十四万円、これが九倍になる、こういうことに
なつております。それで全体の十社を総合いたしまして、一番下に合計欄がありまするが、これまでの、つまり配当をいたしまして、あるいは配当のない会社もあるのでありますけれども、そして
税金を納めて償却をいたしましたときの
数字が、まず
現行が四億九千五百七十三万円の利益をも
つてこれまで処分しておつた。それが今度の税法
改革と償却の方法によりまして、前の通りにや
つて行こうと、考えたときには、八億三千八百八十三万円の金がなければ、前の通りにやれません。これが
改正案Aという方でございます。
改正案Aというのは、これまでと同じ配当をしてまかなおうとしたときにはこうなるというのが、
改正案Aであります。
改正案Bと書いてあるのは、現在の利益以上にはどうしても出ない。この金をも
つて今度の
新税法を当てはめてやつた場合にはどうなるかということが、
改正案Bに
なつております。それで
改正案Bによりますると、十社がこれまで配当をしておつたものが、みな配当ができなくなりますとともに、逆に大きな損失がここに上るように
なつて参ります。合計欄の右側にイ、ロ、ハ、ニ、ホ、へ、ト、チとありますが、チが後期繰越金と書いてありますが、
改正案Bの中の繰越金が六千二百三十四万円の赤ということに書いてありますのは、これまで通りの利益をも
つて新税法をまか
なつた場合には、六千二百三十四万円の赤が繰越される、こういう結論が出ます。これはただいま申し上げましたようなぐあいに、最近の決算における生きた
数字を今後の
税制に当てはめて、このA案、B案というものをつく
つておるのでありますから、これはなまなましい現実そのままでありますから、この点十分にひとつ詳しくごらん願いたいと考えます。
かようなわけでございまして、われわれの
機械事業界から考えてみますると、理合化ということも、もうはや長い間言い古しましたように、気息えんえんとか、生きるか死ぬかというせとぎわにありまするために、もはや
合理化する限度が近いということを考えております。それにも
つて行
つて軍需補償の打切りというような、実に大きな痛手を過去において背負わされまして、今日までようやくこのインフレに基く貨幣
価値の下落によ
つて、帳簿の面をつじつまを合わすことができたというのにとどまる
状態であります。それで今日まで配当しておつたものが、一律にずつと配当ができなくなるというふうになる結果は、どうなるかと申しますと、十分御存じのことでございますけれども、配当なしにこれから経営するということは、銀行
関係の金融というものにたちまち首を締められまして、とうてい
事業の経営は、そういうようなことをしてお
つてやれるものではありません。ことに今日の金融というものにわれわれが苦しんでおる反面には、この配当ということが大きな問題に
なつておるのでございます。それでこういう
状態、われわれのこの
機械業というものがばたばたつぶれてしまうというふうなことに
なつた場合には、どうなるかということ、これはもう十分おわかりのことでございますけれども、そういう方面の
事業から、第一
税金をとろうにもとれぬようになることは、結局
徴税の精神から言
つても逆行いたしましようが、それよりも問題は、今後対外的に
発展しなければならぬ。しかも
日本においては
工業立国の見地におきましてわれわれの
機械工業というものを衰微させてしまうということは、どうあ
つてもこれは国策じやなかろうというふうに考えるし、今後大いにこれを育成しなければならぬことに対しまして、もう一つここに御考慮を願いたいと考える次第であります。
そのほかここに書いてあります再評価の税につきましては、議会も通過したことでありますし、きようはこれに言及いたしません。それから
附加価値税の問題でございますが、これに対しましてもここに書いてありますので、詳しいことを一々申し上げることも煩雑でございますから、ひとつこの表をあとでお読み願うことにいたしまして、省きます。それから
固定資産税の件についても、大体においてはこれをごらん願うことにいたしまして、あとで少しつけ加えたいと思うのでございます。
さようなわけでございますので、ただいまの表でごらん願いまするようなぐあいに、十社の
資本金合計十一億八千六百万円に対しまして、
税金年額が四億三千万円、これは
資本金の三割六分ずつ毎年とられることになります。これは利益がうんとあれば何でもないかもしれませんけれども、今日の事情から行きますと、これは不可能な問題なんでありまして、利益があればとるというのならば合理的でございますけれども、利益があ
つてもなくてもこれをとられるという現状は、どうあ
つてもわれわれ業者というのが、生きて行かれないという悩みをここに訴える次第であります。
その次に六番目に、そこに書いてありますが、この
改正案が
物価に及ぼす影響はどうかという問題であります。これは二号表の一番しまいに、長い紙の表が載つおりますが、われわれ十社がつく
つております製品、それの一トン
当りの値段、それから数量というものをずつとあげまして、これが
つまり附加価値税が幾ら響くか、それから
固定資産税がどう響くか、償却がどう響くかということを、詳しくここに
調査して載せております。合計の欄においてまちまちでありますけれども、大体のところが、最低二・九%から三%こたえます。最高一三・八%響きます。平均が六・六%響くという勘定に
なつておりますから、これだけがつまり値を上げなければならぬことになるのでありますけれども、ただいま申し上げましたようなぐあいに、値は上げられないということにもうきまつた今日の
状態でありますから、今までの出血をこれだけ多くするという結論が来るのでありまして、これだけつまり死期を早めると申しますか、今の
事業にと
つての、これは非常に悲惨た問題になるのであります。
その次に、
ちよつと触れておりますことは、これはこの七月から後に、今言う鉄鋼補給金の撤廃がわれわれに響くことについての点でありますが、これは銑鉄をたくさん使
つてすぐ製品になるような、鋼材鋳鉄管のようなものは、ここに五割と上げておりますが、直接これを使いますものが、
ちようど値段が五割一時に飛び上ることになるのであります。それから綱材あるいは鋳物のようなものを
機械の製品の材料として、大部分それを使うというような
機械製品になりますと、最低が一割ぐらいで済むというような勘定になるのであります。この額の急騰が内地の需要に対していかに響くか。おそらく七月から先は、しばらく注文がブランクになるだろうという心配を、私どもは今持
つているのであります。従
つて内地の需要に対して、これ以上まだ固
つて来るということを考えるとともに、一方は輸出面におきまして、先刻申し上げましたようなぐあいに、ほとんどこれは出ようにも出られないような、ことに障壁を設けられるということを心配いたしておるようなわけであります。このときにあたりまして、かような
税制をおしきになるということは、どう考えてみてもこれはよろしくない。何とかこの点はひとつお考えくださらないと、われわれ業者の前途というものは、どう考えても生きるものは立たないようになりはしないかという心配を訴える次第であります。
そこで結論的にここに申し上げますが、今般の
政府案をそのまま、修正されることなく適用せられるにあいては、いずれの
企業においても満足に経営できるものとは思われません。そこで私は最後にお願い申し上げたいことをここに要約いたしますると、
附加価値税は三%を越えないようにぜひともお願いしたい。こういうのでございます。従来の
事業税と取引高税との合計を見ても、九百億余り、これにかわるところの
附加価値税は、四百十九億ということに
なつておりますが、それにもかかわらずわれわれ十社の
計算によりますと、
附加価値税が四%のときには、今申しましたようなぐあいに三割増になる。但しこれは取引高税を加えた場合であります。加えなかつたならば、三倍半になる。三%半の場合に一割五分増しになりますが、これも取引高税を加えておりますので、これを加えるということは不合理であります。これは二・一五倍になります。大体従来の通りに取引高税を加えたものとの比較をと
つてみましても、三%まで行かぬでも、二・九%でいいことになるのでありますが、これはどうかこの
意味におきまして、三%以上に出ないようにぜのともひとつお願いしたい。これが今日のお願いであります。
それから固定
資産の新規に取得した分に対しまして、税の対象となるということに
なつておるにもかかわらず、既存の固定設備
資産の償却費が
課税の対象と
なつておるということは、どうもうなずけぬ。この点もひとつ御考慮を願いたいと思います。
それからその次に、
固定資産税の
賃貸価格が九百倍ということに
なつておりまするが、これもどうもいかにも承服ができない。高過ぎるように思います。大阪市内において、全域にわたりまして表通りの
土地、裏通りの
土地を、平均をいたしまして算出いたしております。これは関西
経済連合会の
調査によるものですがも平均毒百倍前後というように発表に
なつております。勧業銀行の
調査によりましても、四百五十倍ということが発表に
なつておりまするが、この家屋と
土地の状況というものを勘案いたしまして、いかにこれを大口に見ましても、五百倍以下にきめるということにならないといけないのじやなかろうかとわれわれは考えております。その他の賠償施設、すなわちわれわれの
事業では
機械装置でありまするが、おもに工作
機械でありまするが、これらの
機械業の特別の事情を考慮せられまして、特例を設けなければならないのではなかろうかと思います。一体
機械工業は戰前、二作
機械が十二万台くらいしかなかつたものが、戰時中に七十五万台といというものに
なつた。現在この七十五万台でほんとうに使
つておるものは、三分の一の二十五万台前後であります。この点を御考慮願いますと、博評価税につきましては、遊休設備についての特別項目が設けてありますが、今度の
固定資産税に対しては、それが設けてないようでありますので、これをぜひひとつ遊休設備についての特別取扱いの一項目を加えていただかないと、このままではとうてい適用のできないようなものに
なつております。
あまり時間をとり過ぎましたが、ここで私の
公述を終らさせていただきます。