○龍野委員 このたび七万五千名の
警察官を
増員するという権能を
日本政府に与えられたということは、いろいろ議論もありましようけれ
ども、今日の
警察の実情をよく知
つておる民衆にと
つて、
一つの安心感を与えることだろうと
考えるのであります。これをいかに運営して行くかという問題につきましては、先ほど
法務総裁の
お話では、よく
研究調査してやるというようなお
言葉があ
つたのでありますが、この際私は自分の私見を少しばかり申し述べたいと存じます。
今日の
警察法が
警察を民主化しているという功績は、われわれといえ
どもこれを認めるにやぶさかではない。前に
日本が
警察国家と言われた時代に、
警察官というと子供までが逃げてしま
つたような
状態が、今日はやや払拭されまして、民衆に愛される
警察官ができつつあるということは、まことに喜びにたえないところであります。しかしながらその反面われわれはまだいかにも今日の
警察力が低下しておるという、この事実を認識せざるを得ない。ことに
治安の責任というものは、政府の最も大きな責任でなければならぬ。しかるに東京における問題、あるいは大阪における問題は、單にその
地方の自治体
警察の責任であるというゆえんをもちまして、
地方行政委員会においても、結局政府に対しての責任をどうこうできないというようなことが、しばしばあ
つたのであります。こういうことではわれわれ国
会議員といたしまして、いかに政府の責任をただそうといたしましても、責任を負うべき政府はその責任を果すだけの権能を持
つておらぬという矛盾をわれわれは感じて、非常に歯がゆく思
つてお
つたのであります。このたびの新
警察隊のあり方につきましては、いろいろな問題がありましようけれ
ども、すべからくこの
警察隊は私の見解を持
つてするならば、
治安の責任を持
つておる政府が直接これを指揮するごときあり方でなければならぬ。国警にいたしましても、国家公安委員のもとに指揮を受けておる。
従つて先年のごときは実にくだらぬ問題も起
つておる。樋貝国務大臣がこのためいかに苦境に立
つたかということは、世間周知の事実であります。かくのごとくして、
治安の責任を負うところの政府が、
警察官に対して何らの指揮命令権がないということは、今後多事多難を予想されるわが国におきましては、まことに憂うべきことではないかということを、平素心配してお
つたのでありますが、今後この
警察隊と申しますか、そういうもののあり方につきまして、いろいろな問題はありましようけれ
ども、少くとも
治安の責任を持
つておる国家が、この指揮権について何らかの発言権を持つがごとき
方法も
考えてもらいたい。これが私の希望であり、
考えでありますが、ひとつ御参考までに申し上げるわけであります。
それで今日
法務総裁にお願いしておきたいことは、まだきま
つておらぬことでありますから、この席上申し述ぶることは、はなはだ困難でありますけれ
ども、一部国民の中には、この
警察稼は、あるいは往年の軍隊
組織が再現するのじやないかというような心配さえ持
つておる向きがあります。これはただ笑うべき
考えかもしれませんけれ
ども、中にはそういう
考えを持
つておる者もあるという事実から
考えまして、本日さしつかえなければ、速記を停止しても、
大橋総裁の個人的な私見でもけつこうでありまするから、
警察隊のあり方について、ひとつ懇談的にでも
お話を承れば、はなはだけつこうであると存ずる次第であります。