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1950-07-11 第7回国会 衆議院 地方行政委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月十一日(火曜日)     午後一時三十八分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 生田 和平君 理事 大泉 寛三君    理事 川本 末治君 理事 野村專太郎君    理事 立花 敏男君       河原伊三郎君    清水 逸平君       塚田十一郎君    龍野喜一郎君       床次 徳二君    門司  亮君       米原  昶君  出席国務大臣         法 務 総 裁 大橋 武夫君  委員外出席者         国家地方警察本         部長官     斎藤  昇君         地方自治政務次         官       小野  哲君         海上保安庁長官 大久保武雄君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  警察に関する件     ―――――――――――――
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議を開きます。  日程の順序を変更いたしまして、まず警察に関する件を議題といたします。実は最近の警察問題に関しまして、大橋法務総裁などの総括的な御説明を聽取いたしたいと思つておりましたが、多少順序を変更いたしまして、質疑の通告がありますから、川本末治君からただちに質疑をしていただきたいと思います。
  3. 川本末治

    川本委員 海上保安庁長官がおいでになつておりますので、海上保安庁職員増強につきまして、四、五お尋ね申し上げたいと思います。  御承知のように、昨今の日本安全保障日本人にとつて最大関心事でありまするが、少くとも国内の治安だけは、われわれ日本人自身の手によつて保たれることが刻下の急務だと思います。この意味におきまして、今回のマッカーサー元帥書簡によりまして、海上保安庁職員の八千人増員を示唆されましたことは、まことに時宜に適した措置といたしまして、私どもは満幅の賛意を表するものでありますが、しかしこれは実行にあたつては容易ならぬ点があると思いますので、その点につきましてお尋ねいたしたいと思います。  第一にこの増員に伴います予算はどれだけを考えておられるか。  二番目には増員方法でありますが、これは八千人を一時に増員されますか、逐次これを行うようにして行かれるかということであります。  第三点としましては、かような増員実行の面においてずいぶんむりがあると思います。そのごたごたにまぎれて、あるいはいかがわしきものもその中に混入する危険もないとは言えないのでありますが、それに対しましてはどういう対策を講ぜられるかということであります。  さらに四点として、新規採用をしてもこれはある程度の教養をしなければ使いものにならないと思いますが、その方法はどうしてやられるかという点であります。  第五点として教養施設概要でありますが、建物設備等はどういうふうになつておるか、その点も承りたいと思います。  さらに六点として、八千名をどういうふうな組織で振り向けられるかということであります。  なおそのうちの幹部は、これをいかにして人選し、任命をせられるかということと、続いて幹部教養の点でありますが、これはいかように取扱つて行かれるかということであります。  最後装備はいかにするかという点でありますが、海上保安庁法の第四條第二項の規定によりますと、保存船舶は現在百二十五隻であり、総トソ数五万トン越えることはならぬと規定してありますが、これでは八千人を増員いたしましても、まことに不十分な点でありますが、これに対しまする拡張計画などはどういうふうにしておられるか、この八点をお尋ねいたします。
  4. 大久保武雄

    大久保説明員 お答えいたします。海上保安庁は過去二箇年にわたりまして、日本沿岸水域の警備に当つて参つたのでございますけれども海上保安庁船艇並びに人員ともにはなはだしく不備でありまして、これはしばしば国会におかれましても御指摘をいただいたところでございます。かような点からいたしまして、最近の諸般客観情勢に即応いたしますために、持つておるあらゆる船艇、あらゆる人員を集中いたしまして、私ども任務達成最大限の努力をいたしてはおりますけれども、おのずからその限度がございまして、現状をもつていたしますならば、私ども法律上負託いたされておりますところの職責につきましても、はなはだ不安心の点なきにしもあらず、と考えておつたのでございます。しかるに今回この欠点を補うべく八千人の増員が示唆されましたことは、ただいまお言葉の通りまことに私どもとしましては幸いであつた考えておる次第でございます。つきましてはただいま御質問がありましたような諸点に関しまして、日夜首脳部寄りまして検討を進めている途中にございます。いまだ的確に結論としてお答え申すまでには参つておりませんけれども、現在私ども研究過程においてある程度考えておりまするところを、その概要としてお聞き取りくださいますれば幸いであると考える次第であります。  第一の予算はどうであるかというお尋ねでございますが、予算の点は、諸般計画が一応具体化いたしませんと、全体の金額もつかみがたいのでありますけれども、大数的に考えまして約年度内額といたしまして、これを半年と見積りまして約七、八十億はいるのではなかろうかと考えているのであります。  次に第二点といたしまして、増員はいかなる方法でやるか、一時に八千人を増員するのかというお尋ねでございますが、この点につきましては今後私ども考えておりまするところの船舶拡充計画がいかなる方法で強化されるかということと、おのずから関連がある次第でありますけれども、ある一定の時期までにはできるだけ所要人員充実いたしたいと考えている次第でございます。  次にこの増一員は非常にむりがあつて、そのむりに対する対策いかんという御質問でございますが、この点に関しましては海上保安庁はその量だけではなく、その質と訓練ということはきわめて重視いたしておりまするし、これは船舶乗組員の性質から見まして、当然であると考える次第でございます。さような次第でございますから人員の募集にあたりましては選考に留意をいたしますとともに、試験その他適正なる方法によつてこれが万全の対策を講じたいと考える次第であります。  次は新規採用に対する教養訓練施設をどうするかというお尋ねでございますが、現在におきましても海上保安庁はその職員を再訓練をいたしている次第でございます。今後新規採用をいたす職員に対しましては、適当なる短期訓練を中央及び地方にわたつていたしたいと考えている次第でございます。  第五にその教養施設概要建物設備等についての御質問でございましたが、現在東京の越中島にあります高等商船学校の寄宿舎を使いまして、海上保安学校を開設いたしております。この海上保安学校は来年度から海上保安大学にこれを強化する方針でございましたが、これらの施設を急速に拡張整備いたしますとともに、適当なる地方訓練施設を備えたいと考えている次第でございます。  第六に八千人をどういうふうな組織で振り向けるかというお尋ねでございましたが、私どもはこの八千人は海上保安官並びに船舶乗組員であつて、常時巡視警戒に任じているものであるというふうに解釈いたしております。さような関係からいたしまして、この八千八は大部分船舶乗組員海上保安官その他の乗組員になると存じますが、そのほか海上保安官といたしましてあるいは通信に従事し、あるいは補給、訓練その他の業務に従事する職員も含まれて来るものと考えておる次第でございます。  次に幹部はいかにして人選するかというお尋ねでございますが、従来海上保安庁はその中堅幹部を養成いたしますために、先ほど申し上げましたように越中島訓練学校におきまして、平素から訓練をいたしておつた次第であります。これらの基幹人員がすでに相当数訓練済みでありますから、これらの幹部を適当な地位に配置いたしまして、それぞれ新しき職員訓練をしつつ業務に従事させたい、かように考えておる次第でございます。将来にわたりましても、幹部充実訓練は依然としてこれを継続する予定でございます。  最後装備はいかにするか。海上保安庁法保有制限を改廃する計画ありやというお尋ねでありますが、目下のところ、海上保安庁法制限を明確に撤廃しなければならないと考えておりますのは、人員制限であります。人員は現在、海上保安庁によりまして一万人を越えることはできないという規定でございますが、この点は今回の書簡によつて当然変更せられたものである、かように解釈し、その方面に適当なる措置を講ずる方針でございます。そのほか船舶その他の海上保安庁装備に関する諸制限に関しましては、今後研究過程にまたなければここで明確にお答えはできない次第であります。この点は今後の研究の結果並びに関係方面どの折衝をまつてお答えいたしたいと考える次第であります。
  5. 川本末治

    川本委員 お答えによりまして概要承知することができましたが、今お答えのうちにありましたように、まだすべてがはつきりしていないようでありますので、重ねて申し上げるまでもなく、昨今の内外のこの微妙な情勢に即応して、後日悔いを残さないように、十分ひとつ迅速なる、適正なる措置を講じていただけるように、この際お願いいたします。
  6. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ほかに御質問ありませんか。
  7. 米原昶

    米原委員 大橋総裁がお見えになつてから聞こうと思つておるのですが、ただいまの説明の点で、ちよつと伺います。増員拡充方法、この問題で、新聞を見ますと長官は大体経験者を採用するとか、商船学校卒業者とかいうことをおつしやつておりますが、大体そういうような方針なのでありましようか。
  8. 大久保武雄

    大久保説明員 大部分船舶乗組員増強であると考えておりますために、相当の技術を持つた適当なる職員が得られますならば、短期に効果を発揮いたしますためには適当である、かように考えますがゆえに、できるだけ商船学校卒業者その他船舶乗組経験者を募集いたしたいと考えております。
  9. 米原昶

    米原委員 そうしますと、今までも同じように行われておりますが、旧海軍の軍人を大体採用するというようなことなると思いますが、そういう意味でありましようか。
  10. 大久保武雄

    大久保説明員 軍人に関しましては、一般的に連合軍方針が決定いたしております。それに従つて処理いたす方針でございます。
  11. 米原昶

    米原委員 今おつしやいましたその連合軍方針の決定というのはどういう点でありましようか、ちよつと御説明願いたい。
  12. 大久保武雄

    大久保説明員 私の承知いたしておりますところでは、下士官以下は機会均等であつた考えております。
  13. 門司亮

    門司委員 ちよつと先にお断りしておきたいと思いますが、法務総裁が参りましてから一括してというような委員長お話でございましたが、海上保安庁所管御存じのように運輸大臣になつておりまして、従つて海上保安庁の問題については――大橋さんは、全体の日本治安関係のことについては一応お考えをお持ちになつていると思いますが、海上保安庁所管は当然運輸大臣に属しておりますので、そういう立場から一応お聞きしたいと思います。  今大体事務的の処置に対する説明が主でありまして、実際八千名の増員をしなければならないという具体的の説明はなかつたようであります。ただごく簡単に諸般情勢がというようなお話でございましたが、少くとも約倍に近い増員をしようという現在の状態におきましては、もう少し私どもは突き進んだ、はつきりした資料を出していただきたいと考えておるのであります。従つて今までの人員と今までの装備で、どういうふうに欠点があつたかということであります。  それからさらに将来これをふやさなければならない問題として、どういうことが大体主として考えられておるかということ、これは海上水域における日本の権益を擁護することのために、きわめて重要な問題でありまするとともに、一面非常に大きな予算を伴いまするので、これらの関係をわれわれが考えてみまするときに、海上保安庁長官の言われるようにそう簡軍に八千名のものがふやし得るかどうかということについても、私ども資料といたしたいので、現在の人員と現在の装備では、どういう不都合が現実の問題として起つておるかということ、それからもう一つ繰返して申し上げておきますが、さらに将来の見通しについて、これだけのものが必要だという根拠をはつきり示しておいてもらいたい。  それからもう一つは、先ほど現在の一万名が八千名越えるということは、これを一万八千人とするということに解釈をするというようなお話でございましたが、法律に示されておりまする定員、法律に示されておりまする装備を越えるということになりますと、予算的措置はもとより法律的改正を必要とするのではないかと思いますが、それの提出されまする時期は一体いつごろであるか。大体この三つについて、お話をお伺いしておきたいと思います。
  14. 大久保武雄

    大久保説明員 門司委員海上保安庁最初国会で討論されるときからの関係のお方でございまして、いろいろ発生的なことも御承知のところでございますが、私から最近の状況をお説明いたしたいと思うのであります。海上保安庁門司委員御存じのように、二十八隻の木造船出発をいたしました。百トン足らずの、わずか八十トンの船でございました。しかも非常に老朽いたしておりまして、膏薬をはりはりただいままで使つて参つたものであります。現在海上保安庁では巡視船を六十二隻、所有しております。このうちでただいま申し上げました木船の八十トン、速力はわずかに八ノットといつたような、まことに貧弱なる船舶が三十五隻も占めておるのでありまして、まつたく足弱のよぼよぼのかつこうで日本近海の最も波荒い海を航海いたしておりまする次第でございます。しかるに日本沿岸線は約一万海里でございます。そこでこれらの船舶が非常に老朽いたしておりますために、船の約半分は常に故障修繕その他の関係で休んでおるような状態でありますから動いておりますのは大体その半分と考えなければなりません。かりに四十隻動いておるといたしましても、日本の一万海里の沿岸を警備いたしますためには二百五十海里を一隻で哨戒しなければならない、かようなことに相なる次第でございます。この数は、普通巡視船哨戒負担距離から申しますと、非常に極端に過労でございます。私ども考えでは、少くとも六倍以上の過労をいたしておると考えております。かような関係からいたしまして、乘務いたしております乘組員も、まつたく涙の出るような不眠不休状態で、あるいは密航船警戒あるいは難破船の救助といつたように、出動出動を重ねておるのが今日の状態でございまして、乗組員の中からも非常に数多い病人を出しておりますことは、いかに現在人員が不足であるかということを物語つておるものと考える次第でございます。かような次第から申しまして、私は今回の増員は、海上保安庁出発当初において当然装備されなければならなかつた大きな穴が埋められ始めたのである、かように解釈をいたしておりまする次第でございまして、この点は門司委員にも十分御了承いただけるものと存ずる次第でございます。  次に、今度八千名の増員考えておる点は主として何であるかというお尋ねであつたと存じます。この点につきましては、私は一言にして申しますれば、海上保安庁法によつて国民から負託されておるところの任務をより十分に完遂することである、かように解釈をいたしておる次第でございます。海上保安庁任務は大きな二つの目的がございまして、その一つ海上における治安を維持することであります。その一つ海上における航海の安全を保持することであります。海上における人命を救助し、難破船を救助し、海上における事故を未然に防遏することであります。これを完遂いたしますためには、先ほど申し上げましたようにはなはだ勢力微弱でありますので、この点を私は補われたものである、かように考えておる次第でございます。  次に、今回の八千人増員に伴う措置として、法律改正する意思ありやいなやという点でございますが、いずれにいたしましても、私は海上保安庁法の適当なる改正をいたさなければならぬことは確かであると考えております。立法方法形式等につきましては、政府の方針に沿つて措置いたしたいと考えておる次第であります。
  15. 門司亮

    門司委員 私は、当初立法をいたしまするときに関係をしたものといたしまして、長官答弁に対して非常に失望を感じておるのであります。長官答弁立法をいたしまする当時における法の精神並びにその後における行政措置を怠つてつたものではないかと考えざるを得ないのであります。法律には明かに百二十五隻まで持つてもよい、一隻の大きさは千五百排水トンと限定され、総トン数五万トン、人員は一万名まで許されている。しかもこの間二年を経過いたしておるのであります。それにもかかわらずいまだ六十二隻の総艇隻であつて、しかも木造船が三十五隻も含まれている。速力はわずかに八ノット程度であるとすれば、一体海上保安庁はこの法律ができてから今日まで、何をしておつたかというのであります。もし海上保安庁が、法律を制定いたしました当時の精神と同時に、予算的措置、あるいはこの法律を忠実に履行されておりましたならば、今の長官のようなお答えはまつたくなされないであろうと考えるのであります。ここに私が質問をしなければならない最大の原因が含まれておるのであります。われわれは法で許された範囲において、法で許された装備がまつた整つてなおかつ不十分であるとするならば、当然人員増加も認めなければならないでございましよう。あるいは艦艇の増加も必要になるかもしれない。しかし実際問題として、法に許されておりまする範囲からはるかに遠い、それに達しない装備状況下において、足りないからこれをふやすのだということは、一体どこを基準にそういうことが言われるかというのであります。私の聞いておりまするその点を、どうして一体実行できなかつたか、私どもは今日、長官が言われておりますように、八千名ふやすことは非常に時宜に適したことであるというお考えがあるといたしますならば、それはまつたくみずからの仕事を顧みておられないものと思う。たとい今八千人をふやしまして一万八千人にいたしましても――法律をこしらえてから二年たつても、ちようど半分にしか達しておらない。船の数にいたしましても百二十五隻許されておりますのに、わずかに六十二隻しかない。おそらく総トン数においては五万トンの半分の二万五千トンにも達しておらないと思います。こういうような状態でありますから、今急に増員するよりも、むしろ過去において法律で許された範囲における装備充実こそほんとうに必要ではないか、まずそれを先に解決すべきではないかと考えておりまするが、この点に対する長官のお考えをもう一度ただしたいと思います。
  16. 大久保武雄

    大久保説明員 門司委員のお言葉はひしひしと身にこたえるのであります。最初海上保安庁法審議の際から、海上保安庁船艇は不十分であるというお激励を受けておつたのでございまして、海上保安庁はその後におきましてもできるだけの努力をいたしまして、船艇強化方策を講じて参つたのでございます。二十八隻で出発いたしました船艇が六十二隻となり、十億円の予算出発いたしましたものが総額四十五億円になつておりますので、いくらか倍数は増加いたしておりましても、法律で許されておる限度に達しないこと実に遠いのでございます。しかも六十二隻と申しましても、その内容の質たるやまことに貧弱きわまりなきものでございます。性能から申しますればはるかに下まわつておる次第であります。私どもは少くとも百二十五隻、トン数その他の諸制限限度まで、一日も早く達するということに最大努力を払わなければなりませんし、今回の事態は私どもの当初から予想しておりました念願を、この機会においてぜひ実現をいたしたい、かような確信を固めておる次第であります。今後におキましてもひとつ御支援を願いたいと存じます。
  17. 門司亮

    門司委員 答弁がはなはだどうも的をはずれたと申し上げますか、長官人間だけをふやすことによつて一体この装備が十分にできると思うかどうかということなのであります。私の心配いたしておりますのは陸上警察官でありますならば、あるいは人員をふやすことによつて何ら整備していない、あるいは比較的、不十分な訓練を受けたものでありましても、まあかかしぐらいの難度にはおそらく使えると考えておりますが、いやしくも海上保安庁であります以上は、足を持たないで、陸上にどんなにたくさんの要員をお置きになりましても、おそらく使いものにならないと思います。従つて今の海上保安庁のなすべき仕事というものは現在許されております人員の、一万名のものが、許された範囲におけるほんとうに全体のカを発揮し得るだけの装備を整えることが、今の事態に即応した最も重大な要素でなければならない。單に人員だけをふやして、そうして事が足りるというような物の考え方につきましては、私どもは一向その趣旨を、十分解することはできないのであります。これ以上長官と押問答いたしましても、おそらくいい結論が出ることはないと考えておりますが、ただ一点だけ聞いておきたいと思いますることは、現在許されております範囲における装備の完成する時期の見通しが、大体長官はいつごろとお考えになつておるか、これだけはひとつこの機会にお聞かせ願つておきたいと思うのであります。
  18. 大久保武雄

    大久保説明員 ただいま門司委員からの御説のように、海上保安庁装備は人でなく船でございます。この船をいかに整備するかということが根本の方針でなくてはならないのであります。そこで八千人という一つ人間のわくをいかに舶に換算するかという点で、いろいろな案が出て参ります。この船の型、大きさその他のきめ方によつて、その時期はまたいろいろにかわつて参るのでございます。そこで現在までの研究過程におきましては、書簡趣旨に従いましてできるだけすみやかに所要の型、所要性能の船を整えたい。そこでその時期が何月何日であるかということは、今日までの研究ではまだ結論に達しておりませんので、この点は後日また御説明をいたすとき、お答えをいたしたいと考える次第でございます。
  19. 門司亮

    門司委員 どうもはつきりいたしませんが、私の聞いておりますのは、この八千人を長官はもうふやすものとしての前提の上でお考えのようでありますが、私どもは八千人の人間をふやすかふやさぬかということについての基本的なものといたしまして、これだけの者がどろしても必要かということについての話でありまして、御存じのよううに百二十五隻許されておるのに、ちようど半分の六十に隻しか持つておらない。しかもその中で木造船が三十五隻もあつて、これはもう八ノットぐらいでは気のきいた漁船ぐらいにしか走らないと思いますが、そういうことで一体海上保安が保てるかどうかということを、非常に私ども心配いたしますと同時に、人員をふやす前にまず許された総トン数五万トン、排水量の千五百トン以下のもので、大体百二十五隻という許された範囲ほんとう装備は、いつできるかということであります。その襲備をなさらないで人間だけをふやしてもどうにもならぬと思うのであります。さつき申し上げましたように船を持たない海の兵隊というものは、これはかつぱを岡へ上げて置くようなもので、やはりかつぱは海に置かなくてはほんとう仕事はできません。従つて現在まで許されております装備が一体いつごろでき上るかということであります。これができ上らない限りにおいては、八千人をふやしても同じことだと思います。この八千人をふやしますことを審議いたしました過程においては、大体一万人の人員ではこれだけの装備は必要だ。言いかえますならば一万人の人員は必要だということで、実際は一万人の要員規定され、さらに装備におきましても、何度も申しましたように長官御存じのような装備が許されております。従つてこれらの装備が半分にも達しないでおつて、なおかつこれを増強しなければならないという理由が、私どもにはわからないのであります。従つてこれはわからないならわからないにいたしましても、この許された範囲装備はいつごろ完成するかということが、これが完成してもなおかつ現在の社会情勢からいたしますと不安だというので、これだけ必要だということは、私は長官のお立場に立てば、こう話す以外にないと思いますが、そうなつて参りますとこの許された範囲装備は、いつごろできるかということであります。新しくこれに増強するということでなく、許された範囲装備は、大体いつごろあなたの方では完成できるかということの見通しを、お伺いしておきたいと思うのであります。
  20. 大久保武雄

    大久保説明員 現在の海上保安法で許されておりまするところの保有制限をいつまでに完成いたすかという問題は、結局いかなる船をどうして持つて来るかということに歸着をするわけであります。そこで船はトラックのようにすぐそこらにあるわけでもございませんので、たとえば適当な船を探し、そうしてこれを所要の手続をもつて手に入れることができますれば、それによつて急速に船の整備もできるわけであります。そこでまたどうしても性能が適当でないと考えます場合におきましては、船の新造も考えなければならないのであります。船を新造いたします場合におきましては、少くとも半年や九箇月はかかる次第であります。これらの全体を見合いまして、どういうようなバランスでそれをつくり整備したらいいかということは、目下研究過程にございます。ただいまいつということをここで時期的に明確にお答えするまでに至つていないことは、まことに残念に思う次第でございます。
  21. 門司亮

    門司委員 もう一応聞いておきたいと思います。どうもこの法律をつくりましてから二年もたちますのに、一体まだこの予定の計画がいつできるかわからぬということでは非常に心細いのであります。こういう心細いところに増して見たところで、なお心細い。船が少いのに先ほど申しましたようにいくら人員だけふやしても、どうにもならないと思います。そこでこれ以上質問してもどうにもなりませんので、お聞きいたしますと同時にお願いをしておきたいと思いますことは、海上保安庁におきましてはこの現在の法律で許されておる範囲装備に対する予定があるはずだと思います。従つてその予定の計画表がございますならば、ひとつ御提示が願いたい。そうしてこの法に定めております百二十五隻に至るまでの予定計画表と言いますか、そういうものを一応ここに出してもらいたいと思うのであります。長官の御答弁のようにトラックとは違うから、そこらから拾つて来るわけにはいかないとおつしやるが、その通りでございます。足りなければ建造しなければなりません。しかしながらほんとう長官日本沿岸水域というものを法律に定められた範囲において、これを十分守つて行こうとされるには、当初もくろまれておりましたこの数字というものは、必要な数字であつた考えております。しかるに二年たつても今日までその数字が実現しておりません。実現しないことは今いくら論議をいたしましてもどうにもなりませんので、せめてこれに対する計画がなければならないと私は思うのであります。従つてその計画書がありますならばひとつぜひ明日でもお示しを願いたい。そういう計画書を一応拝見いたしませんと、長官の先ほどから言われておりますような説明には、私どもは納得しがたいのであります。これ以上私はもう論議はいたしませんが、ひとつ繰返して申し上げておきますが、今海上保安庁で予定されております現在許された範囲における装備拡充計画といいますか、これの計画書をひとつ至急に私どもにお示しを願いたいと思います。
  22. 米原昶

    米原委員 ただいまの門司委員の御質問に対する長官の御答弁、どうも私もさつぱり何のことかわけがわからない御答弁だと思うのであります。実は前国会で私予算委員をしておりまして、この海上保安庁予算にも関係したわけでありますが、ここにあります二十五年度の予算説明を見ますと、ただいまのお話と違いまして、こういうことが書いてあります。「海上保安庁の現有船舶は、わずか百数十隻に過ぎず」という言葉が第一に出ております。六十二隻とおつしやいましたが、わずか百数十隻に過ぎないと書いてある。そこで使命達成上非常に支障があるので、巡視船を九隻と港務用船を二十七隻建造するに必要な経費として約十億円近いものを要求されておる、こういうことがここに書いてある。そうすると今おつしやいましたのが正しいとすれば、この大蔵省の主計局で出しましたこの予算書に書いてあるものが同違いであるのか、非常に不可解である。また今門司委員に対する御答弁も聞いておりますと、非常に不可解な感じがいたします。一体、どちらがほんとうであるか聞きたいと思います。
  23. 大久保武雄

    大久保説明員 海上保宏庁の巡視船は六十二隻が絶対正確であります。  米原委員 巡視船だけでありますか。
  24. 大久保武雄

    大久保説明員 巡視船だけであります。もし百数十隻と書いてあるとすれば港内艇、小さなモーターボート、これが約百隻ばかりございますので、あるいはそれを入れて言われたのかとも思いますが、私ちよつとその数字がはつきりいたしません。
  25. 米原昶

    米原委員 それからもう少し予算についてお聞きしますが、先ほどのお話では半年間に大体七十億ないし八十億ぐらいが考えられるとおつしやつたわけです。これは確定しておるわけでも何でもありません。ところが現在の予算が一年度で四十五億円、そういう状態で半年度で七十八億ということになりますと、三倍以上の予算である。ところが先ほどのお話では、そういう船舶の方の計画は全然で歸ていないような話で、人員だけをさしあたつて八千人増加されるということをおつしやる。それで予算が三倍以上になるというのは、ますます不可解になる。実際は船舶計画も入れての金額なんですね。そういう意味でおつしやつておるのだと思いますが、してみると、むしろそこに今度の計画の重点が置かれているのではないかと思わざるを得ない。そうでなければそんな予算がいるはずがない。そういう点をひとつ御説明願いたい。
  26. 大久保武雄

    大久保説明員 ただいまの点は米原委員の御指摘の通りであります。先ほど予算の概算で大ざつぱな目途で申し上げましたのは、人員のみならず船の新造の概算あるいは通信設備の概算、あるいは基地設備の概算あるいは傭船をした場合の概算、そういうものを全部、運航費等を一応見積りましたものであります。まだ不正確でございますがお尋ねがございましたので、概算として申し上げる次第であります。
  27. 立花敏男

    ○立花委員 最初委員長お尋ねしたいのですが、委員長は開会にあたりまして、議題を変更して警察の問題を先に取上げるということをお述べになつて、そうして海上保安庁の問題をお取上げになつたのですが、委員長警察の問題の中に海上保安庁が入るとお考えなのか、どうか、はつきりしておいてもらいたいと思います。
  28. 前尾繁三郎

    前尾委員長 一応警察の問題に含めて言つたつもりだつたのです。
  29. 立花敏男

    ○立花委員 海上保安庁は決して警察の――私ども地方行政委員会として扱います警察の中に入るものでございませんので、その点ひとつ明確にしておいただきたい。  それから長官お尋ねしたいのですが、長官が前の臨時国会で、やはりこの委員会におきまして、今あなたがおすわりになつているところで、海上保安庁の現状について御説明なつたその書類が、私今ここに持つてつております、それによりますと、今と同様な御説明がありまして、しかもその結論といたしまして、私が、では海上保安庁増員あるいは装備の拡充を要求されるのかということをお尋ねいたしました場合に、それは海上保安庁としては現在は、そういう要求は持つていない、ただちに今現在の人員あるいは装備の拡充を要求するものではないということを言われたのでありますが、そのときのお言葉と今の海上保安庁の八千人の増員の要求の問題とは非常に隔たりがあるのでありまして、この点についてその間いかなる事情によつて海上保安庁としての意見の変更があつたのか、單にマッカーサー書翰によるものであるか、あるいは海上保安庁自体として客観的な情勢の変化をお認めになつているのか、はつきりしておいてもらいたい。
  30. 大久保武雄

    大久保説明員 ただいま私が前国会海上保安庁人員装備について、ただいまのところ拡充意見を持つていないというような御説明を申し上げたように御質問でございましたが、もしさような御答弁をいたしましたといたしましたならば、それは私の誤りでございまして、海上保安庁は年々拡充計画予算にも提出いたし、国会にも御協議を申し上げておりますので、各年度々々に拡充方針を持つておる次第でございます。ただ海上保安庁法制限されておる法律制限を越えるか越えぬかという点についての私の見解を、もしお尋ねなつたものだとしますならば、あるいはその当時は法律制限を越えるというところまでは考えていなかつたのかもしれないと、かように存ずる次第でございます。
  31. 立花敏男

    ○立花委員 それでは現在としては、やはり法律制限を越える必要があるというふうに保安庁としての客観的な情勢の変化によつて考えなつたと断定してよろしゆうございますか。
  32. 大久保武雄

    大久保説明員 当時の船舶拡充上、予算で許されました諸措置その他からいたしますと、大体人員船舶とも法律制限範囲内で処理できると考えておつた次第でありますけれども、今回のマ書簡によりまして、八千人の増員が許されるということに相なりますると、現在すでに海上保安庁は八千五百名の定員を持つております。またその中で海上保安官は概算といたしまして、約三千人くらいであると記憶いたしております。かような次第で、いずれにいたしましても、今回は人員の面におきましては、少くとも法律制限を越えると、かように考えておる次第であります。
  33. 立花敏男

    ○立花委員 その説明のありましたときに、犯罪件数、検挙件数、人員等の詳細な資料をもらつておるのでありますが、それがどの程度出ておるのか、御計画の八千名増員ということになりますと、これは総人員にいたしまして倍になる。それから新聞紙などで見ますと、八千名が全部船舶乗組員になる、海上保安官が大部分であるということになりますと、今長官が申されましたように、現在海上保安官はわずか三千名、それが八千名ふえるわけでありまして、一挙に一万一千名、現在の三千名に対して約四倍の海上保安官、あるいは船舶乗組員ができるわけであります。まだ一年もたちません前に御発表になりました海上のいろいろなトラブル、こういうものが一挙に四倍も人員をふやさなければならないような急激た増加を来しているのか、この点を詳細に資料に基いて御説明願いたいと思います。
  34. 大久保武雄

    大久保説明員 海上人員と申しますのは、これは立花委員ももちろん御承知のように隻数と必ずしも正比例はいたさないのであります。
  35. 立花敏男

    ○立花委員 隻数の問題には触れておりません。
  36. 大久保武雄

    大久保説明員 船舶が大型になつて参りますれば、必然的に乗組員も多くなつて参ります。現在海上保安庁が持つておりますのは、先ほど申しましたように八十トンの小さな木船でございますが、かような船がとうてい日本近海の荒波に十分な任務を達成しがたいものである。どうしても私どもはもつと大型の船を必要とするかように考えておる次第であります。かような点からいたしまして、今後の人員増加割合は、隻数よりもはるかに大きな率で増加する、かように考えておる次第であります。
  37. 立花敏男

    ○立花委員 海上保安庁仕事の分野を見ましても、陸上の方がはるかに海上仕事よりも多い。たとえば長官官房系統が八百八十八人、あるいは保安部がほとんど全部陸上でございまして五百四十六名、あるいは燈台部九百五十六名、こういうふうに人員の六割以上が従来の海上保安庁の什事からいたしまして陸上勤務であります。ところが今度一挙に八千名ふやされまして、八千名全部が海上勤務であるということは私ども一向ふに落ちない、この点をもつと納得の行くように御説明願いたいと思います。
  38. 大久保武雄

    大久保説明員 立花委員も御存じと思いますが、船舶が少い間は、船舶乘組員と陸上職員との比例をとりますと、どうしても陸上職員の割合というものが総体的に多いのでございます。たとえば船一隻を持つておりましても、その一隻に対する基地員というものが当然必要になつて参ります。ところがその隻数がふえましても、比較的某地員というものはそうふやさんでも済むわけでございます。そこで今後の海上保安庁の発展というものは、基地員の割合に対して船舶要員をたくさんふやしましても大体まかなつて行ける。かように考えておる次第でございます。ただし今回の増員の場合に、船舶乘組員だけとして、そのほかの基地員たとえば無線、補給その他の諸人員をふやさないでもよいということにはならないと申し上げる次第でありまして、できるだけ完全に運行し得るバランスのとれた職員増加いたしたいと考えておる次第であります。
  39. 立花敏男

    ○立花委員 今の御答弁では私がいただきました海上保安庁人員の配置の問題からいたしまして、納得いたしかねるのでありますが、これ以上の質問は他日に譲りたいと思います。  それから八千人おふやしになりました海上保安官は、重点的に日本の要点に配置されると聞いておりますが、予定の重点的な地点をお示し願いたいと思います。
  40. 大久保武雄

    大久保説明員 海上保安庁は先ほど申しましたような二つの目的がございまして、海上治安関係のほかに航海の安全を守るという重要な任務がございます。かようなわけでありまして、海上保安庁の犯罪統計あるいは海難統計というものからいたしまして、どの附近において最も犯罪が起るか、どの附近において最も海難事故が起るかということは、おのずから明らかになつて参るわけであります。それらの点に重点的に配置いたしたいと考えております。
  41. 立花敏男

    ○立花委員 その点を実は聞きたい。おそらく従来の統計上現われている犯罪の多いところあるいは遭難件数の多いところには、私どもの聞くところによれば配属される予定になつておりませんで、たとえば今までの統計上によりますと、広島の附近は非常にトラブルの件数が多くなつております。ところが小樽の附近などはほとんどトラブルの件数がございません。しかもありましても全部が解決されております。たとえば密漁の件数などは、昨年五月の統計によりますと、たつた一件です。しかも一件が検挙されております。あるいは経済統制違反も小樽の附近では五件ございまして、五件とも検挙されております。しかもこれが、人員が一件につき一人ずつ、こういう小さい件数でしかないわけであります。これに対しまして、海上保安庁の方では、広島の方面ではなくて、北海道方面、特に小樽方面に重点を置いて配置されるということを承つておるのでありますが、これは單なるうわさなのでございましようか。それともそういう実際の御計画なのでございましようか。そういう計画をお持ちだといたしますと、従来までありました瀬戸内海方面の密漁あるいは経済統制違反、ころいうような件数の実績とは反して、それとはかかわりなく重点が選ばれておるということになるのでございますが、この見解を明らかにしておいていただきたいと思います。
  42. 大久保武雄

    大久保説明員 ただいま立花委員の御指摘がありました瀬戸内海は、非常に海難並びに犯罪事件が多いこともこれまた事実でございます。ところが北海道方面も海難等は相当ひんぱんに起ります。その他の海上のたとえば室蘭方面、噴火湾方面におきましては、いろいろな漁区争い等が起つておるのであります。この広大なる北海道と瀬戸内海と比較をいたして見まして、瀬戸内海には現在まで約十隻の船舶を配置いたしておりますのに対しまして、北海道はわずかに五隻を配置いたしておるのにすぎないのであります。さような次第でございまして、決し小樽の方が従来十分であつたとは申されないのであります。今後におきましても、北海道は非常な荒天が多いのでありまして、その荒天における海難の救助に対しましては、相当大きな船を持つて行かなければならない、かように考えておる次第であります。
  43. 立花敏男

    ○立花委員 はつきりした御答弁がないのですが、小樽、北海道を重点として配置なさるおつもりかどうか、はつきりしていただきたい。
  44. 大久保武雄

    大久保説明員 特に北海道が重点ということではございませんが、現在の犯罪あるいは海難の状況並びに諸般情勢を勘案いたしまして、配備をいたしたいと考えるのであります。
  45. 立花敏男

    ○立花委員 あと一つだけ装備の問題ですが、船舶に火器類をお積みになる御計画があるのかどうか、お聞きしたい。
  46. 大久保武雄

    大久保説明員 その点は私ども以外のところで、きまる問題だと考えております。
  47. 立花敏男

    ○立花委員 私ども以外のところとはどういうところですか。
  48. 大久保武雄

    大久保説明員 その点は今後諸般情勢によつて考えられる問題でありまして、各方面と協議しなければきまらない問題でありまして、私どもお答ええする範囲ではないと思います。
  49. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは大橋法務総裁がお見えになりましたから、先般のマッカーサー元帥より吉田首相あての書簡によりまして、政府直属の警察予備隊の創設というような問題が起りました。それらの事情について一応説明を聽取した上で委員各位の質疑を続行していただきたいと思います。大橋法務総裁
  50. 大橋武夫

    大橋国務大臣 去る八日の土曜日にマッカーサー元帥から吉田総理に対しまして、七万五千名の新しい警察隊を創設するという内容を含めました警察力強化に関する書簡が参つたのであります。政府といたしましてはかねてから今日のわが国の警察制度の実情並びに警察力の実情は、いろいろな点において考えるべき点が多々ある、こういうことを考えておつたのでございますが、ちようどこの書面を受取りましたので、その後ただちにこの書面の内容に従いまして急速にこれを実行に移すべく、ただいま調査研究をいたしておる次第であります。特にこれを実行いたしますにあたりましては、現在の警察制度であります三万の国家地方警察並びに九万五千の自治体警察、こういうものと新しい七万五千の警察力をどういうふうに持つて行くべきものであるか、またこの警察力の運営につきましては、従来の国家地方警察のごとく、国家公安委員会の管理のもとに運営すべきものなりや、あるいはまた別個の運営方法を立てるべきものであるかというような点をも含めまして、ただいま研究をいたしておる次第でございまして、なるべくすみやかにこれを実現いたしたい、こういう過程にあることを御報告申し上げるのであります。
  51. 立花敏男

    ○立花委員 最初お尋ねしておきたいと思いますのは、大橋大臣のお言葉にもあつたのですが、政府もかねてから警察力の問題で多々考えるところがあつたというふうにおつしやつておられますが、実は昨年の一月にも、吉田総理大臣が外人記者に対しまして警察カの増強の問題を言つておられます。あるいは近くは樋貝国務大臣がやはりその問題でああいろふうに言われております。こういうふうに政府として警察増強の問題を関係方面に要請されたというふうに、私ども並びに国民一般は受け取れるのでございますが、その点はどういう具体的な事情にございましようか、御説明願いたいと思います。
  52. 大橋武夫

    大橋国務大臣 政府としては警察力を増強する必要があるのではないかということについて、調査いたしておつた事実はあります。しかしながらこの問題につきまして、政府の公式の要請が関係筋になされたということは私聞いておりません。
  53. 立花敏男

    ○立花委員 しかし書簡の内容は正式に許可とございまして、決して命令でもあるいはオーダーでもないように、私どもは拝見しているのでございますが、許可たる以上はこちらから申請があつて初めて許可が下りるのでございまして、そういうところから見ますと、明らかに政府が警察増強の問題を、こちらから申請されたというふうにとれるのでございますが、この許可ということについて御説明を願いたい。
  54. 大橋武夫

    大橋国務大臣 立花君にお答えいたします。この許可というのはかりの翻訳でございまして、原文におきましてはオーソライズ、すなわち日本政府に対してそれだけの権能を与える、こういう意味のオーソイラズという英語が使つてあります。
  55. 立花敏男

    ○立花委員 それでは政府としては申請はしていない、これは許可ではなくて権能を与えられたのだというふうに理解していいのでございますか。
  56. 大橋武夫

    大橋国務大臣 今までなかつたところのそういう権能を与える、こういう意味がオーソライズという言葉意味だと思つております。
  57. 立花敏男

    ○立花委員 続いてお聞きしたいと思いますが、さいぜんの大橋さんのお言葉によりますと、書簡の内容に従つて事を進行したい、こういうようにおつしやいましたが、この内容に従つてということはどういう意味を持つておりますか、また内容に従つてこれを実施する場合に、私ども考えているところによりますと、あくまでも憲法あるいは日本法律に従わなければいけないと思いますが、この点はどういうふうに政府としてお考えになつておられますか。
  58. 大橋武夫

    大橋国務大臣 政府の行動は憲法に従わなければならないということは、当然だと思つております。
  59. 立花敏男

    ○立花委員 法律の問題はどうでございましようか。聞くところによりますと、これを政令によつておやりになると聞いております。現在御承知のようにただいまでも地方行政委員会はやつております。あるいは明日から国会が召集されます。その場合に政令でやることは、私どもは憲法の精神からいたしましても、たとい進駐軍の要請といたしましても、法律従つてやるべきだというふうに理解しております。さらに開会中にかかわらず政令でお出しになるようなことが巷間伝えられるのは、国会の権威に対しても重大な問題でありますので、その点をはつきりしておいていただきたい。
  60. 大橋武夫

    大橋国務大臣 政令によるかどうかということは、ただいまのところ決定いたしておりません。研究中に属しております。
  61. 門司亮

    門司委員 私はごく簡單にお聞きしたいと思うのであります。ただいまの法務総裁お話によりますると、かねてそういうことを考えておつた、同時にかたがた関係方面からの先ほどの御説明のような指示もあつたので、この際これをふやしたいというようなお考えでございまするが、少くとも日本法律で定められておりまする警察官の数は、国家警察地方警察を会せまして大体十二万五千であります。これが七万五千というような画期的な増員をしなければならないという事態については、やはり政府におきましても何らかの相当確固とした確信がなければならない、現実の要求に基いた処置でなければならないと私は思います。政府が今まで人員増加しなければならないということをお考えになつてつたといたしまするならば、それの具体的根拠をもう少し詳しくお話願いたいと思うのであります。  それからさらにこの機会に申し上げておきたいと思いますることは、もとより法律改正は行われるのが私は当然だと思います。少くともこういう治安に関する問題であり、ことに国会の開会中におきまして、政令でこれがなされるということにつきましては、私どもとしては考えられないのでございます。同時に予算を伴うことでございまするので、当然法律改正が行われるというふうに解釈することが正しく、また常識的だと考えます。この点に対して、改正するとすれば、いつごろ法案をお出しになる予定であり、またそれに要する予算はどのくらいを今お考えになつておりまするか。この点も御答弁を願いたいと思います。
  62. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいまの門司君の第一の御質問は、七万五千人増加する必要がありとすれば、それはどういう具体的な事情であるか、もう少し詳細に述べろ、こういう御質問でございました。従来政府といたしましては、七万五千人ふやすことが絶対に必要であるというような程度まで、研究ができておつたわけでもございませんので、現在の警察法において今日の治安から考えまして、いろいろな点において欠陷があると思われるそれらの事項の各般につきまして、調査をいたしておつたわけでございます。別に七万五千について特に具体的な事情を御説明することは困難と存じます。  次にこの警察隊を実施いたすに際しましての法律が出るとすれば、その時期並びに予算は何ほどであるかという点でございまするが、私どもはただいまのところでは、これを法律によるべきものであるか、あるいはまた政令をもつてつてもさしつかえないものであるかどうかということ、またその予算が何ほどなるかということをも含めまして、研究をさせていただいておるような次第でございます。
  63. 門司亮

    門司委員 先ほどの御答弁でありまするが、七万五千の人間がどうしても必要だというようなことだけを政府が考えておられたとは、実は私も考えていないのであります。警察の制度の改廃ということは、治安状況とにらみ合して、警察人員の問題でなくして、実際の問題として私は運用の問題がかなり大きな問題ではなかつたかと思うのであります。御承知のように、従来の日本警察官というものは九万三千でありまして、終戰後の警察官の数は戰前よりもはるかにふえておるのであります。従つて国内の治安をつかさどつておる警察官の数といたしましては、戦前の九万三千の警察官は十二万五千になつておりますので、この増加いたしました人員で、私どもは大体人員としては十分ではないか。ただその間における法の運用の間に多少欠陷があつたり、あるいは装備の点等について多少の欠陷があるというようなことは、従来しばしばわれわれも論じ、研究もしておつたことだと考えておるのであります。しかるにこのたびの警察改正は、それらの点を政府はお考えになつておるということでありまするが、私どもの今日まで拝聽いたしておりまする現在の段階におきましては、ほとんど考えられておらない。ただ人員をふやして機構の上で、これを国家警察に所属せしめるか、あるいは政府直属のものにするかという機構の面だけがかえられるということで、警察自体の運用の面、たとえば国家地方警察と自治警察との関連の問題というような具体的の運用の面には、ほとんど触れられていないように、私どもは実は拝承しておるのであります。この点がどうも私にはふに落ちないのであります。單に今度の改正人員だけをふやすというのか、装備あるいは運用の面等で、なお警察法の改正を行われる御意思があるのか。それからそれを行わなりればならない理由があるのか。私は何も議論するのではございませんで、ざつくばらんにどういう事態で、どういう理由で、こういろふうにしたいのだというふうな答弁をお聞きいたしませんと、いたずらに質問が何かかみしもを着て、長くなるような形で困ると思うのですが、もう少し具体的に碎けてお話を願いたいと思います。
  64. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま私のお答えできまする程度といたしましては、先ほど来のお答えを繰返すようでございますが、政府としては單に機構を改正するとか人員をふやすという以外に、でき得る限り、現在の国家地方警察並げに自治警察を含めますところの現行の警察法、これを運用の面においても調査研究をいたしまして、できるだけ改善して、今日の事態に即応させるように努力は続けておつたわけでありまして、この努力は今後といえども続けなければならないと考えております。と同時に、現在の人員並びに現在の警察法では、まかない得ないところの事態に対応する措置といたしまして、この新しい七万五千の国家警察隊というものを考えて参りたい、こういう趣旨でございます。
  65. 立花敏男

    ○立花委員 そういたしますと、大橋さんの御答弁の中に少し食い違いがあると思います。警察法の改善は考うべきだ、そうして若干はふやさなければいけない、こういうふうに考えておる。しかし七万五千とい数字については確定的な根拠はない、七万五千の数子は説明ができないというふうにおつしやつておられますし、今度は警察法の改善だけではまかない得ない事情があるというふうにおつしやつておられるのでありますが、これはおそらくこのマッカーサーの書簡が出るまでは、警察法の改善ということを考えておられまして、決して警察法ではまかない得ない問題はお考えになつていなかつたのじやないかと思いますが、この点疑問がありますので、御説明を願いたい。
  66. 大橋武夫

    大橋国務大臣 七万五千について確定的な根拠はないとは思つておりません。これは現状といたしまして、その程度の増員は必要であると考えております。ただ従来それではそういうことを考えておつたかと申しますと、これは書簡を受取ります前においては、それほど的確な数字までの研究ができていなかつたということを申し上げたわけであります。なお警察法でまかない得ない問題があるとは、今まで思つていなかつたのではないか、警察法の改正だけでできると思つてつたのではないかということでございますが、私ども警察制度の問題につきましては、警察法の運用によつて、ある程度までまかなうことのできる、救済することのできる点と、現状から見まして、警察法を改正しなければ、従来のままの警察法ではむずかしいのではないか、こう思つた点とあるわけでありまして、その後の部分は大体において新しい七万五千の警察力によつて補填されるのではないか、こう考えておるのでございますが、ただいまの段階といたしましては、その点をも含めまして、政府として調査研究をいたしておる、こう申し上げるのであります。
  67. 立花敏男

    ○立花委員 はつきりするために、もう一度伺つておきたいと思いますが、政府の方で、今までの研究、あるいはその他の関係によりまして、七万五千は必ずしも適当ではないというふうにお考えになりました場合に、この数字はそのまま守られなくてもいいものかどうか。そこに幅があるのかどうか。オーソライズというお言葉をお使いになつたのでございますが、オーソライズという言葉の中には、そういう幅のある、含みがあるのかどうか。これは今後重大な問題であると思いますので、お聞きしておきたいと思います。
  68. 大橋武夫

    大橋国務大臣 七万五千というのは、これは警察官の数が七万五千という意味でありまして、その限りにおいては幅はないと思つております。ただこれを実施いたしまする場合におきまして、警察官以外の職員相当附属せしめる必要があるのではないかと思つております。
  69. 立花敏男

    ○立花委員 それからもう一つつておきたいと思ひますことは、実はこの警察をふやすという問題は、今に始まつたことではございませんので、もう吉田さんが内閣をおつくりになつてから、ずつと引続いている問題であります。しかもこの問題に関しまして、去年の九月――まだ十箇月ばかりしか経つておりませんが、去年の九月二日にマッカーサー元帥が降伏四周年の日本に対するメッセージをお出しになりまして、その中で、警察制度は現在で十分である、改善する必要はないということをはつきりうたつておられます。しかもその中には日本が再びかつての軍国主義的な形を警察国家として再現することは望ましくないというような意味のことも述べておられます。この問題を内閣はどういうふうにお考えになつておるか。この問題は現在の内閣のやろうとしておられる問題と、はたして矛盾しないかどうか。しかもこのマッカーサーの声明の線は極東委員会でも確認されておられますし、あるいはソビエト代表部なども日本にこれ以上の警察力の増強は必要がないということをはつきり言つておられます。これに対してどういうふうなお考えを持つておられるか。さらにそのときに、アメリカの陸軍次官のヴオルヒーズ氏が来られまして、この方も新聞記者団との会見において、はつきり日本には現在警察力を増強する必要はないということを、九月十一日の新聞紙上で正式に発表されております。これらの問題を見ますと、こういうマッカーサー元帥自身の意見、あるいは極東委員会の意見、あるいはアメリカのヴオルヒーズ陸軍次官の意見、こういうものと現在政府がおとりになる措置とは矛盾する点があると思うのでございますが、この点をはつきりと御説明願いたい。もし政府がこのわずか一箇年足らずの間に、こういう措置をとらなければならなくなつたというのであれば、その間におけるところの具体的な根拠、客観的な実例でお示し願いたい。
  70. 大橋武夫

    大橋国務大臣 まず最初に立花君にお断りしておきたいのでありまするが、政府は従来七万五千の警察増員することは、必ずしも適当でないとか、あるいはその必要がないとかということを考えておつたわけでは決してございません。政府は警察力の問題につきまして、現状では不備ではないかという意味合いにおいて、いろいろと研究をいたしておつたのでございますが、このたびたまたまマッカーサー元帥から書簡をいただいた次第でございまして、かたがた七万五千の警察力の増加ということが、この際絶体に必要であるということを考えるようになつておる。こういうふうに御了承願いたいのであります。  次に昨年九月二日の総司令官のメツセージと、今回の措置との関係いかんという御質問でございますが、私どもは今回の新警察隊の創設ということは、決していわゆる警察国家をつくるというようなことではないと考えております。
  71. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 このたび七万五千名の警察官を増員するという権能を日本政府に与えられたということは、いろいろ議論もありましようけれども、今日の警察の実情をよく知つておる民衆にとつて一つの安心感を与えることだろうと考えるのであります。これをいかに運営して行くかという問題につきましては、先ほど法務総裁お話では、よく研究調査してやるというようなお言葉があつたのでありますが、この際私は自分の私見を少しばかり申し述べたいと存じます。  今日の警察法が警察を民主化しているという功績は、われわれといえどもこれを認めるにやぶさかではない。前に日本警察国家と言われた時代に、警察官というと子供までが逃げてしまつたような状態が、今日はやや払拭されまして、民衆に愛される警察官ができつつあるということは、まことに喜びにたえないところであります。しかしながらその反面われわれはまだいかにも今日の警察力が低下しておるという、この事実を認識せざるを得ない。ことに治安の責任というものは、政府の最も大きな責任でなければならぬ。しかるに東京における問題、あるいは大阪における問題は、單にその地方の自治体警察の責任であるというゆえんをもちまして、地方行政委員会においても、結局政府に対しての責任をどうこうできないというようなことが、しばしばあつたのであります。こういうことではわれわれ国会議員といたしまして、いかに政府の責任をただそうといたしましても、責任を負うべき政府はその責任を果すだけの権能を持つておらぬという矛盾をわれわれは感じて、非常に歯がゆく思つてつたのであります。このたびの新警察隊のあり方につきましては、いろいろな問題がありましようけれども、すべからくこの警察隊は私の見解を持つてするならば、治安の責任を持つておる政府が直接これを指揮するごときあり方でなければならぬ。国警にいたしましても、国家公安委員のもとに指揮を受けておる。従つて先年のごときは実にくだらぬ問題も起つておる。樋貝国務大臣がこのためいかに苦境に立つたかということは、世間周知の事実であります。かくのごとくして、治安の責任を負うところの政府が、警察官に対して何らの指揮命令権がないということは、今後多事多難を予想されるわが国におきましては、まことに憂うべきことではないかということを、平素心配しておつたのでありますが、今後この警察隊と申しますか、そういうもののあり方につきまして、いろいろな問題はありましようけれども、少くとも治安の責任を持つておる国家が、この指揮権について何らかの発言権を持つがごとき方法考えてもらいたい。これが私の希望であり、考えでありますが、ひとつ御参考までに申し上げるわけであります。  それで今日法務総裁にお願いしておきたいことは、まだきまつておらぬことでありますから、この席上申し述ぶることは、はなはだ困難でありますけれども、一部国民の中には、この警察稼は、あるいは往年の軍隊組織が再現するのじやないかというような心配さえ持つておる向きがあります。これはただ笑うべき考えかもしれませんけれども、中にはそういう考えを持つておる者もあるという事実から考えまして、本日さしつかえなければ、速記を停止しても、大橋総裁の個人的な私見でもけつこうでありまするから、警察隊のあり方について、ひとつ懇談的にでもお話を承れば、はなはだけつこうであると存ずる次第であります。
  72. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいまの龍野君の前段にお申出でになりました御意見につきましては、その御意見をも含めまして、将来十分に研究をいたしたいと思います。  最後に御質問になりましたこの警察隊が、将来あるいは軍隊のようなものになるおそれはないかという点でございまするが、私ども書簡において指示せられましたる国家警察隊は、あくまでも警察力であつて、これは決して軍事力ではないということを確信いたしておりまするし、また将来においても、これはあくまで民主国家における治安の確保に必要な警察としてのみ、活動すべきものであろうと考えておるような次第であります。なお速記を停止して、あるいは懇談的にでも、もう少し詳しく述べてほしいというお尋ねでございましたが、ただいまのところ政府として調査いたした結果は、その程度でございまするから、どうぞさよう御了承を願いたいと存じます。
  73. 前尾繁三郎

  74. 川本末治

    川本委員 私がこの際大橋法務総裁お尋ねいたしたいと思いまするのは、警察官の七万五千の増員が云々されておりますやさき、長い間、これは毎国会に陳情、請願の形をもつて地方から出されていることであり、常に吉田内閣の方にもわれわれから要望しておりました自治体警察の定員の再配分という問題であります。もちろん今回の七万五千の警察予備隊の問題とは直接関係はないまでも、前樋貝国務大臣にも再三お尋ねをしておつたことでありまするが、具体的の何ものをも聞くことができなたつたのでありまして、各自治体警察の定員の再配分は、大都市に隣接しておりまする中小都市におきましては、この問題は非常に困つておる問題です。これらの点につきまして、この際政府としては、あわせて何らかの措置を急速に講ぜられる御意思がありやいなやという点を、まず承りたいと思います。
  75. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいまの川本君の御質問趣旨をも含めて研究いたしたいと存じます。
  76. 立花敏男

    ○立花委員 さいぜんの質問の続きをやらしていただきたいと思いますが、これはさいぜんマッカーサー元帥のメッセージの中にも、警察力は現行で十分である、治安の維持は現在の程度で可能であるということを言つておるのでありますが、これと現在の措置がとられるに至りました間の客観情勢の変化というものを、十分納得の行くまで御説明を願いたいと思うのであります。私どもは、この七万五千の増強の必要であるという客観情勢はないと断定しておりました。つきましては、なおさら政府といたしましてのこの点の詳細な御説明がない限りは、私ども納得できませんので、詳細に御説明願いたい。
  77. 大橋武夫

    大橋国務大臣 マッカーサー元帥の前回の書簡以後において、新しく警察制度の改正が必要となるに至つた具体的な事情を詳細述べろ、こういう御質問でございますので、これはその後におきまする国内のいろいろな治安上の問題並びに国際的な事情から、影響いたしますところの種々な国内の治安上の問題、これを申し上げることになるわけでありますが、これは立花君におかれましても、すでに御理解の得られる点ではなかろうかと存じます。
  78. 立花敏男

    ○立花委員 その点は納得いたしかねると断つて質問申し上げたわけであります。その点を明確にしていただきませんと、どうも私ども納得いたしかねます。しかもさいぜん自由党の各委員の御質問を承つておりますと、自由党は初めから自治体警察などの定員の再配分を考えておつた、自治体警察増強考えておつた、あるいは警察力の増強考えておつたというふうに言われております。あるいは国民は今度の警察隊の新設によつて、安心感を持つたというふうに理解されております。しかし私どもは逆の理解を持つておるわけです。国民は今度の警察隊の創設によりまして、おそらく大きな不安心感を感ずるのではないか。と申しますのは従来におきましても警察は非常に人民に対してふとどきなことをやつております。これは今龍野君からの御意見がありましたように、大阪におきましては警察官が労働者のデモに対しましてホースをもつて水をかけておる、あるいは最近では全国至るところで強行差押えがやられておりますが、これがやはり警察官の武力をもつてむりやりに執行されておる。あるいは私自身経験したことでございますが、国会議員の国会演説すら武装警官の力によつて開催を禁止されている、こういう状態があるわけです。こういう状態の中でさらに数萬の警察隊が増強されますことは、決して国民には安心感を与えるものではないというふうに確信しておりますが、こういう点で政府の方でこれこそ国民の要望に沿い、あるいは客観情勢に合致したものであるというふうにお考えになれば、そういう点を詳細に御説明願いたいと思う。  それから大橋さんのお言葉の中に、国際関係の問題をお出しになりましたが、今吉田内閣は国連に精神的な協力をするということを言つておられます。また国連といたしましては朝鮮に対する現在の軍事行動は、警察行為であるというふうに言つております。ところが今大橋さんは今度のこの警察隊の創設が、国際関係に微妙な関係があるのだとおつしやられましたが、そういたしますと、国連を支持される政府は現在の国連の行動が警察行為であるということによりまして、この七万五千の警察隊が、政府の支持される国連の警察行為に協力されることもあり得るのか、これが実質的な国連の協力態勢であるのか、これはまた政府の見解としてはポツダム政令あるいは憲法に違反しないとお考えかどうか、その点を明確にお答弁願いたいと思います。
  79. 大橋武夫

    大橋国務大臣 最近に至りまして、特に治安上注意しなければならぬいろいろな犯罪が増加いたしております。これらの点から考えまして私ども警察増強が必要である、こう考えている次第であります。  なおこの警察力の増強ということは、国際関係から直接来たというわけではありません。さような国内におきまする各種の犯罪の増加には国際関係の影響を受けたものもあろう。これらのいろいろな事情からいたしまして、最近におきまするわが国の国内の治安情勢は、従来とは大分趣を異にいたしておるということを申し上げるのであります。もとよりこの新しい警察力というものが、国際関係と直接どうこうというものではないのでございまするから、国連に協力をするというようなことに、この警察力が用いられるということはわれわれは考えておりません。ただ吉田内閣が国連に協力するための国内の態勢をつくつて行く、その上には国内の治安を確保するということが、重要な問題でございまするので、その国内の治安を確保するという面にのみ、この新しい警察隊は用いらるべきものである、こういうふうに考えております。
  80. 立花敏男

    ○立花委員 国内の治安に対するために用いられると申しますのは、労働者のストライキを禁止するために用いるのかどうか、言葉は端的でございますが、それをお聞きしておきたいと思う。と申しますのは、すでにアメリカにおきましてはストライキが禁止されたという報道が新聞紙上に出ております。あるいは最近関係方面から日本の有力な労働組合に対して、国連を援助する、あるいはストライキを中止する、あるいは北鮮の南鮮侵入に反対するというふうな問題を指示されておるようでございますが、こういう問題と関連いたしまして、最近まで日本の政府のとりました態度、あるいは日本警察が用いられた方法を見ますと、やはり労働者のストライキあるいは示威運動あるいは言論、集会などに対する圧迫が日に日に強まつてつております。最近特徴的に現われておりますのは、日立の争議でございますが、こういうふうな形で今度の警察隊の創設が国内治安維持という名目によりまして、実は労働者の民主的な運動、生きんがための運動、端的に申しますと、労働者のストライキを抑圧するという方向に使われるのではないかというふうに、私ども考えておるわけなのでございますが、政府としてそういうものには使う意思がないということをはつきり明言できるかどうか、聞いておきたいと思います。
  81. 大橋武夫

    大橋国務大臣 すべて警察の目的は社会の治安を守りますために、現行の法規によりまして犯罪行為とされておりまする各種の行為を取締るという面に使われるのでございまして、犯罪にあらざるところの自由なる行動をこれによつて制限するものであつてはならないことは申すまでもないと存じます。従いましてストライキを禁止するためというような方面、あるいは適法なる言論、集会を抑圧するというような血にこの警察力が用いられることはあり得ないことである、こうお答えをいたします。
  82. 米原昶

    米原委員 ただいまの大橋総裁の御説明では、実際の点で納得できない問題が非常に多いわけであります。私が先月の十八日でありましたが、岡山県の片上とというところに行つたところが、小さな町ですが、そこには品川白煉瓦という工場があります。あれが争議をやつてつたわけです。それは団員わずか四百名くらいの小規模な争議でありますが、そこに県下の警察から抜擢して来て、警備課の人たちだという話を聞きましたが、争議団四百人に対して大体五巨人の警察隊を動員しておる、こういうことを聞いたわけであります。しかも全部が写真機を持つていて、一々写真をとつている、こういうやり方をやつているわけなのです。そうして十六ミリの映写機も実は持つておりまして、争議団の本部や、そこに共産党の支部がありますが、その入口に来ている。私もそこに行きましたが、私もおそらく十六ミリの写真機でとられていると思うのでありますが、そういうような非常に大げさなやり方でやつております。ただどういう目的でやつておるのか、その実情でありますが、たとえば争議団が争議をやつています。ほんの一部会社が臨時工を雇つて罷業破りと俗に言いますが、そういうことをやつている。ところがそれを会社に入れるのに、警察のトラックないしはジープに乘せて運んでいるわけである。明らかに争議に干渉する行為である。それだけの争議団員に五百人という多い警官の圧力を川もつて争議破りを実際やつている。事実私は見ている。また、工場内に争議中に特別に派出所を設けている。私は実はその問題ですぐその日に警察署に抗議を申し込んだわけであります。それは明らかに労働法の原則を破つている。こういうことをやつていいのか、やつておるという事実を認められるかというと認めておるのであります。こういうことが行われている。何のために四百人のところへ県下からそういう大げさなものを連れて来ているか。しかも問題になりますのは、この品川白煉瓦という工場の社長であります青木さんは、国家公安委員であります。こういう関係があるということが町では非常にうわさになつている。会社の社宅には十三人の警察官が平生から泊つている。警察関係が密接であるということが同時に言われている。こういうようなところに少くとも警察力が使われている事実を見ると、国民は今後の警察力の増強ということが、そういう労働争議に対する弾圧という面を明らかに含んでおるということを、本能的に感じておるのであります。そうでないと、ただ抽象的におつしやつても事実はそういうところに現われているのじやないかということなのであります。そういう点についていかなる見解を持つておられるか、もう一度はつきり言明してもらいたい。
  83. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま米原君は、この警察力の増強は労働争議あるいは労働組合の適法なる行為に対して、あるいはまた労働者の言論、集会の自由に対し、弾圧を意図しているものであるということを、国民は本能的に考えているということを言われましたが、政府といたしましてはその見解に同意することはできません。
  84. 立花敏男

    ○立花委員 事実私どもの場合の問題を申し上げますと、これは斎藤さんもいらつしやいますのでお聞きしたいと思いますが、この国会議員の国会報告を禁止しろという警察関係の指示を、各地方の国家警察あるいは自治体警察にお出しになつておるとすればやむを得ませんが、もしお出しになつていないとすれば、事実私は兵庫県下におきまして、数回にわたつて武装警官の手によつて国会報告を弾圧されたという経験を持つております。この問題について具体的に現在の警察官の言論に対する弾圧が行われておりますので、この点を事実をもつて明確にしていただきたいと思う。
  85. 斎藤昇

    ○斎藤説明員 国会議員の国会報告演説を禁止させろという指令を出した覚えはありません。
  86. 立花敏男

    ○立花委員 そういたしますと、兵庫県下におきまして武装警官の力で国会報告をやらせなかつたということは、明らかに違法であつた考えてよろしいかどうか。
  87. 斎藤昇

    ○斎藤説明員 李穏なる演説会を理由なくして弾圧したということであれば、警察が行き過ぎであろろと考えます。しかしながら行き過ぎをやつたとは考えておりません。
  88. 立花敏男

    ○立花委員 そういうような演説をやつたかどうかではなしに、演説を初めからやらせない。会場を武装警官で包囲して、中に入ればすぐ検束するということを放言し、またそういう態勢をとつている。東條さんのときにも演説会をやらせまして、注意、中止それを聞かなければ検束ということをやつた。しかし今度は全然最初から、武装警官で会場を包囲し、一歩も入れない。それではあなたの言われる治安上の害がある演説をやつたかやらないかは問題じやない。最初から国会議員の国会報告を武装警官をもつて禁止しておる、強圧しておる、こういう事実があるわけです。その事実について聞いておるわけです。
  89. 斎藤昇

    ○斎藤説明員 私はそういう事実につきましては、まだ何の報告も受けておりません。しかしながら占領目的に反するような演説会、あるいは公共の安寧秩序を乱るおそれのあることの明らかな演説会は禁止せよという指令は与えております。
  90. 立花敏男

    ○立花委員 その場合に私が具体的に言つておりますように、国会議員の国会報告演説会が、あなたの言われる占領目的に反するかどうか。あるいは国内治安を乱すかどうか、その点をお聞きしておるわけです。
  91. 斎藤昇

    ○斎藤説明員 普通に言われておりまする一般の議会報告演説は、占領目的違反になるとは考えないのであります。しかしながら国会報告であるというだけでは、占領目的違反にならないということを、はつきり証明するわけにはいかないことを御了承願いたいと思います。
  92. 立花敏男

    ○立花委員 それならば、逆に国会報告演説会が禁止の対象になるとも言えないわけだと思う。その点はどうなのです。
  93. 斎藤昇

    ○斎藤説明員 国会報告演説会であると銘を打ちましても、内容のいかんによりましては禁止の対象になる場合があり得ると考えます。
  94. 立花敏男

    ○立花委員 そうしたら、国会報告演説会であろうと何であろうと、推測によりまして、一警察署長が判定すれば、あらゆる演演説会が事前に禁止されるというのが、現在の警察の態度でありましようか。
  95. 斎藤昇

    ○斎藤説明員 客観的に見まして、そういう妥当牲がなければいけないと考えます。
  96. 米原昶

    米原委員 先ほどの国際連合への協力の問題で、今度できる警察隊が、直接国際連合の警察行為に参加するというようなことはあり得ないが、精神的に協力するというのでございますが、そういう意味において、国内の治安では協力という意味でされるということを考えるとおつしやるが、政府がそういう意見であるということは新聞で拝見しましたが、ただいま初めてはつきりここで申されたわけであります。そういう国際連合への協力ということは、政府の自発的意思であろうと思う。おそらくこれはポツダム宣言の趣旨から見ましても、占領政策内の問題じやない、明らかに占領政策以外の問題である、こう考えるのでありますが、そういう立場から国際連合への協力ということを、政府は考えておられるわけであるか。そしてその立場から今度できる警察隊を、そういう意味の国内の治宏維持にも充てる、こう考えておられるのであるかどうか、お聞きしたい。
  97. 大橋武夫

    大橋国務大臣 警察隊の目的は国内の治安維持そのものあります。政府が国際連合へ協力するしないにかかわらず、国内の治安維持は必要であると思いますから、そういう意味におきまして、国際連合への協力とこの警察隊というものが関係ありというふうには私は考えておりません。ただ将来政府が国際連合へ協力する場合におきまして、いろいろ起り得べき治安上の困難があるかもしれません。その場合においても、もちろんこれは国内の治安維持そのもののために、この警察隊が役立ち得るという場合もあろう、こういうことを申し上げた次第でございます。
  98. 米原昶

    米原委員 国民として、今の情勢から考えて、常識的に今感じておりますのは、もちろん朝鮮事件の勃発の直後に、この問題が起つて来たことを直覚的に感じておるわけなのです。そういう意味で、国際連合の協力の関係で、この警察力が使われることがあるということをおつしやいますが、その点が相当大きな意義を持つているのじやないか、先ほども国際的影響という意味をおつしやいましたが、そういう意味を含んでおるとわれわれは考える。ところがその国際連合への協力ということでありますが、これは相当重大な問題だと思う。これは占領政策以外の問題であると思う。たとえばスイスのような国は、いわゆる永世中立を今まで維持して来た国でありますが、そういう国であるがために、国際的な紛争に巻き込まれないために、国際連合へも今まで参加していない、こういうふうな次第だと思うのであります。ところが日本の立場は現在占領下にありまして、非常に自主性が制限されておるわけですが、そういうところで占領政策以外のところまで走つて、事実上は国際紛争に介入するような結果になる。この協力ということがそういう意味を持つて来る。しかもそういう意味の協力に伴つて発生するところの国内治安維持のために、警察力を使うということになりますと、これは非常な重大な意義を持つて来ると思う。しかもそういう意味を明らかに現在の情勢から判断して持つているのではないか、このことをお聞きしたいのであります。
  99. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私ども治安の維持ということは、わが国としていかなる場合においても必要であると考えております。従いましてこれは国際連合への協力があろうとなかろうと、治安維持は常にいかなる場合においても確保されなければならぬ。そういう意味においてこの新しい国家警察隊を理解いたしておるのであります。なお念のため申し上げておきたい点は、この国家警察隊を指示されましたマッカーサー元帥書簡のうちには、国際関係における新しい事態というものと、この国家警察察とが関連があるというような字句は、たしかなかつたように記憶いたしております。
  100. 前尾繁三郎

    前尾委員長 床次徳二君。
  101. 床次徳二

    ○床次委員 この機会に政府にひとつ要望しておきますが、先ほど来政府当局とわれわれ委員との質疑応答がありましたが、私どもまことに不明朗のものがあると思うのであります。元来国内警備力の拡充につきましては、当委員会におきましても、たびたび議論になつておりまして、われわれといたしましても、もつとすみやかに警察力を充実すべきだと要望しておるのであります。海上保安隊につきましても同様でありますが、今回のマツカーサー元帥の書簡に伴うところの政府のお考え、本日それぞれ関係当局より承る次第でありまするが、政府の弁明されますところは、まことに態度がはつきりしておらない。書簡が来ましてから数日しかないということも、一つの理由かもしれませんが、国内の警備力の拡充、治安の維持の万全を期する立場において、もう少し政府がはつきりとした目標を持つておるべきである。少くともそういう態度でもつてこの問題処理に当られなければいけないと思うのであります。私どもはあまりに今日まで政府の処理が遅れておるということと同時に、これに対する態度がいずれも研究調査という立場に隠れておられまして、非常に空白がある気がするのでありまして、こういう空白状態が長ければ長いほど、国民に対しましてせつかく必要であると感じさせられておりまするところの警備力の拡充に対しましても、一抹の、何となしに悪い影響を与えることをおそれるのであります。政府はすみやかに民主的な方法をもち、あくまで民主国家の警察として最もふさわしい成案を得て、これを提案されるように要望する次第でありまして、どうも本日の御答弁はこの点まことに逡巡かつ不明朗なものがあるように考えるのであります。どうかひとつかかる疑念を一掃する照度をもちまして、今後に臨んでいただきたいと要望する次第であります。
  102. 立花敏男

    ○立花委員 きのうの毎日新聞の夕刊ですが、これはワシントンのジャン・タヴィツドソン特派員の報道が、毎日新聞に発表されておりますが、こういうことが書いてあります。「マッカーサー元帥日本警察力並びに沿岸警警力の増強の権限を与えたが、ワシントンではマッカーサー元帥の右措置が北鮮側の先頭力に対して効果をもたらし、日本に共産主義を拡げないことの保証となることを望んでいる」同時に「情勢緊迫の見地からワシントンでは日本警察隊――それは速かにほんものの軍隊に切換えられ得る――増強が避けることの出来ぬ措置であつた考えている」ということが書かれておりますが、しかもこの計画がアメリカの対外政策としまして、全世界的にやられるような傾向があるということを、このワシントンの新聞の特配員が報道しておるのでありますが、この記事と、現在政府のお考えになつている問題とを、政府としてはどういうふうにお考えでございましようか。
  103. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私どもといたしましてはただいま立花君の御指摘になりましたような意味は、マッカーサー元帥書簡の中からと読取つてはおりません。
  104. 立花敏男

    ○立花委員 最初お尋ねいたしました点がまだはつきりしていないのであります。政府としては未確定だと思いますが、これを政令でおやりになるのか、国会に諮つて法律でおやりになるのか、その点を明確にしておいていただきたい。
  105. 大橋武夫

    大橋国務大臣 その点はただいま調査中でございます。
  106. 前尾繁三郎

    前尾委員長 大橋法務総裁以外の方に御質問がありましたらどうぞ。
  107. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 ちよつと狂言の出し遅れみたいで恐縮ですが、このたびのこの朝鮮事件にも関連する次第でありますが、九州西海岸における海上警備についてお伺いいたしたいと思います。それは九州――中国もそうかとも思いますが、従来から非常に朝鮮方面からの密航が多くて、それに悩まされておつた。それで今度朝鮮事件が起りまして、非常な密航者の激増を予想されておつたのでありますが、幸いにして、今日まではあまりそういう傾向も見受けないのであります。しかしながらこれは海上保安庁としては当然予想しなければならぬ問題であろうと思うのであります。従いまして特に壱岐、對馬というような朝鮮に接近している方面におきましては、どういうふうな態勢を整えておるか。住民が非常な不安を感じておる問題でありますから、おさしつかえない限りにおいて、この問題について詳細に御説明願いたいと思うのであります。  それからもう一つはやはりこれも九州に非常に多い問題でありますが、例の密輸入船の横行であります。琉球方面からの密輸入貿易船が相当横行しておるということも、これもほとんど周知の事実でありますが、これに対する取締り対策はどうなつておるか。また検挙成績はどういうふうになつておるか。もしもこれの成績があまり思わしくないということになりますれば、おそらく善良なる人民までが、密貿易をしなければならないというような気持になるのではないかと思うのでありますが、これに対してどういうふうな取締りをやつておられるか、この点を御説明願いたいと思います。  それからもう一つは出漁者に対するところの保護であります。先ほどの海上保安隊の責任は、海上における保護ということも、その目的の一つにあるというお話でありますが、新聞等伝うるところによりますれば、わが国の善良なる漁民が相当追いまくられておる。どこの船か知りませんが、追いまくられて、中には発砲を受けて、命からがら帰つて来ておる。また許されたる範囲内における漁撈に対して、拿捕されるというような事実があるということを承つておりますが、これに対して的確なる保護の策を講ぜられる必要があるのではないかというふうに存ぜられます。このことは漁民に対して相当の不安を与えておる次第でありますが、海上保安庁としては、どういう対策をとつておられるか。  それからもう一つ陸上警察との関連であります。実は博多湾におけるところの密航船の取締りは、海上保安庁の先ほどの御説明にもありましたように、その所有している船舶はあまりに能率がよくない。そのためにやすやすと上陸する。そして陸上警察のごやつかいになつておるというふうに承知いたしておりますが、先ほどいろいろ御質問があつたように、八千人増員されることははなはだけつこうでありますが、海上のことは、これは人聞の数ばかりふやしてもどうにもならないことは、先ほど各委員から指摘された通りであります。人間増員も必要かもしれませんが、むしろ装備の改善ということが必要ではなかろうか。海上におけるいろんなことは、海上において防止するというのが海上保安庁の本来の任務ではなかろうか。それでなくても人員制限されているところの地方自治体警察に、御迷惑をかけているということは、海上保安庁としてははなはだ面目ない次第ではなかろうかと存ずる次第でありますが、陸上警察との関連がうまくいつているかどうか、具体的にどういうふうに陸上警察との結びつきを持つておられるか、それらについて御説明願いたいと思います。
  108. 大久保武雄

    大久保説明員 龍野委員にお答えいたします。九州の對馬方面その他に対する対策でありますが、海上保安庁はかねて對馬方面はいろいろな犯罪――密航、密漁等の頻繁に起るところでございますために、平素から相当船艇を同方面に集結をいたしておりますが、最近の諸情勢にかんがみまして、若干のさき得る船艇は九州北岸並びに西部方面に配属をいたしまして、できるだけ事前に持ち得る艦艇を有効に活用する対策をとつておりまする次第でございます。  次に九州などの琉球方面からの密輸船についての御質問がございましたが、これまた現在鹿児島方面並びに油津方面あるいは有明湾方面に対しましても、海上保安庁の現有船艇の割合から申しますと、比較的多数の船艇を配備しておる次第であります。しかし何分にも先ほど申しましたように、全沿岸に対しまして船艇の数があまりに微弱でありますために、海上の哨戒、警備がいまだはなはだしく十分でないということは、まことに遺憾に存ずる次第でございます。  次に海上保安庁はただいま御質問の通り、治安の維持のほかに海上における保護ということも、いたさなければならない次第でございまして、海難の救助等は極力努力をいたしておりまする次第でございます。そこで漁民の保護に関しましては、零細な漁民がいろいろな漁区破りその他の方法によりまして、その生業を脅かされるというような漁業犯罪も相当あるわけであります。こういう点につきましては努めて法規の命ずるところによつて、私どもは違反者の取締りに対して、努力をいたしておりまする次第でございます。なお拿捕船の問題につきましては、前国会におきましても問題になつたところでございまして、海上保安庁といたしましては、現在岸を離れること五十海里の航行区域に制限されておりますので、その範囲内におきましては、海上保安庁といたしましては、あらゆる限りの努力を払つておりますような次第でございます。次に海上保安庁陸上警察との協力関係でございますが、これは海上保安庁法にもあります通り、常時緊密なる連絡をとつております。中央、地方とも諸般の打合ぜ協議をいたしておりますような次第であります。
  109. 立花敏男

    ○立花委員 斎藤長官お尋ねいたしたいと思いますが、現在日本警察はどういう装備を持つておるのか、これを資料にしてお出し願えるかどうかお聞きしたいと思います。さいぜん私が申し上げました今度警察隊の増設によつて、国民が非常に不安を感ずるという一つの理由は、えたいの知れない装備警察が持つておるということ、たとえば毒ガス――具体的に言えば催涙ガスを持つております。長官お笑いでございますが、この予算は警視庁の予産に百三十五万円でございますが載つておるはずでございます。それから東京都の公安委員会でも、これをどういうふうに使用するかということも、公開の委員会の席上で問題になつたということを私ども聞いておりますが、お笑いになる以上は事実がないというふうにお考えになつているのか、その点をひとつ聞かしていただきたい。そういう問題につきまして、あるいは装甲甲――私どもが目の前に見ましたああいう装甲車、あるいは今申しましたよフな毒ガスの一種である催涙ガスあるは自動小流、こういうものをどの程度現在警察として装備されておるか。しかも今度の増設につきまして、こういうものをどの程度新しく装備される用意があるのか。これをひとつ明細な資料にしてお出し願いたいと思います。お出しできないのかどうかちよつと聞きたい。
  110. 斎藤昇

    ○斎藤説明員 催涙ガスは持つております。これは毒ガスではありません。
  111. 立花敏男

    ○立花委員 催涙ガスは明らかに毒ガスの一種です。
  112. 斎藤昇

    ○斎藤説明員 毒ガスではございません。それから自動小銃とか、あるいはタンクであるとかそういうものは一切持つておりません。
  113. 前尾繁三郎

    前尾委員長 この際お諮りいたしますが、明十二日より第八臨時国会が召集されますが、本委員会におきましては、本日まで閉会中審査事件たる地方財政に関する件外五件について審査をいたして参りましたが、各件とも審査を終了するに至りませんでしたので、これに関する報臨書作成の件については、委員長に御一任を願いたいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議ないと認めさよう決定いたします。  なお明日は午後一時から委員会を再開いたしまして、もし地方税法案が提案になりましたら、提案理由の説明を聽取いたしたいと思つております。なおまたこれに先だちまして、理事会を開催いたしますから、さよう御承知を願いたいと思います。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後三時五十四分散会