○
鈴木説明員 この
訂正の案の
内容でございまするが、これは大体これから申し上げます三点に限局をいたしておるのであります。その第一点は
地方税法案が
礎案の時期が遅れました
関係で、
賦課期日でありますとか、
納期につきまして
調整を加えるという点が第一の点であります。第二の点といたしましては
附加価値税の
実施を一年間
延期をいたしまして、そのかはりに従来からございました
事業税と
特別所得税をと
つて行く、これが第二点の
訂正であります。これに関連する
限度において多少
條文をいじる、こういうようなことであります。それから第三点といたしましては
固定資産税の
税率と、それから
償却資産の
評価の
方法につきまして若干の
調整を試みる、これが第三点であります。以上三つの点に限局いたしまして、この線の中に入
つて参りますものだけを今回は
訂正いたしまして、
国会の御
審議を願う、こういうふうにして段取りを進めておる次第であります。その
内容につきまして、後刻
要綱をお届けいたしますが、若干御
説明を申し上げます。
まず第一点の一番重大な問題と申しまするか、
附加価値税の一年
延期、これに伴う
事業税、
特別所得税の
暫定実施の問題であります。これは
附加価値税に関しましては、前
国会におきましてもたいへんいろいろ御議論があ
つたわけでございまするが、これにつきましては、かりにこれをただいまから
実施するといたしますると、六月一日にさかのぼりまして
附加価値額を測し、さらに御
承知のごとく
附加価値税は転
稼的性質を持
つておるわけでありますから、その転嫁も今日以後においてこれを
考えるということになりますると、これはやはり
実施上非常に困難でございまするので、この点どうしても時期を
延期いたさざるを得ないというようなことがございまするし、また前回の
国会等におきまする御
論議に鑑みまして、さらに今後も研究を続ける必要があると存じまして、一年
延期するということにいたした次第であります。この案におきましては、そのかわりに
事業税、
特別所得税をとるわけでございまするが、これは
附加価値税につきまして
財政計画上考慮いたしておりました四百十九億という今
年度要求をいたしておりまする
税額の
限度において
事業税特別所得税をとるというふうにいたしておるのであります。従いましてもしも現状のままで
事業税特別所得税を施行いたして参りますると、相当多額の
税収を得ることになるのであります。七百億近い
数字になるのでございまするが、それを大体
附加価値税の
税額の
限度にとどめますると、約三百億近い軽減という形になるわけであります。それを第一に
税率を二割軽減するということにいたしまして、その間の
調整をはかることにいたしておるのであります。
都市計画割というようなものを
考えますると、さらに三割三分くらいの
程度の
税率の
緩和になると思うのであります。それからなお
附加価値税の
課税の
対象といたしまして、
農業林業並びに主として
自家労力によ
つて行う
水産業、
畜産業等というような
原始産業を除いておるわけでありまするが、こういうようなものもやはり同様な
考え方から、
事業税の
課税対象としてこれを除外するというふうに
考えております。
それから第三点といたしましては、
免税点が、御
承知のごとく
現行事業税は四千八百円でございますが、これをさらに
改正所得税法の
基礎控除と同じような額のところを押えまして、二万五千円というふうに、約五倍
程度に引上げておるのであります。そういうふうにいたしまして、
事業税から期待いたしまする
税収を大体四百十九億
程度にいたすように
考えております。
それから
市町村民税につきましては、
提案の時期が遅れまして、
賦課期日は
納期等を
原案のままにいたしておく事が困難でありますので、六月一日の
賦課期日を八月一日に切りかえるように案を用意しております。それから
納期の
関係は、四回にわけてとりますことは、
税率が少いので困難でありますので、三回にいたしまして、なおその
納期につきましても、
固定資産税の
関係も考慮いたしまして、これを
変更いたしました。すなわち九月、十一月、一月、この三回にとるように
考えております。
それからなお二十六
年度につきましても、
固定資産税との
関係を
考えまして、
納期を四期にはいたしておりまするが、
原案の七月、九月、十二月及び二月という第三期目の十二月を十一月にいたしておるのであります。
市町村民税に関しましては、その点だけの
訂正を
考えております。
それから
固定資産税でございますが、
固定資産税につきましては、一番
論議のはげしか
つた点だと存じますが、まず
税率につきまして、
標準税率を一・七五から一・七に引下げておるのであります。
それからなお二十五
年度分の
固定資産税の
税率に関しましては、
原案は百分の一・七五の
固定税率であ
つたわけでありますが、これを百分の一・七の仮
税率というふうな
考え方でおるのであります。仮
税率と申しまするのは、一応百分の一七で
固定資産税を
計算をして納めてもらいますが、来年一月におきまして
固定資産税について
財政計画として要求いたしておりまする五百二十億というものが得られるか、得られないかということを目途にいたしまして、もしも五百二十億が一・七で得られますならば、一・七の
税率を維持いたしまするし、もしもそれ以上にとれるというような場合におきましては、その
程度だけ
税率を軽減する。またそれ以上であるという場合には、それを上げるというようなことで、要するに
財政計画上要求いたしておりまする五百二十億を上まわるか下まわるかということで、来年の一月に
税率を最終的に
決定をいたし、必要があれば、これを
変更するというふうに案を
考えておるのであります。しからば五百二十億という額をどういうふうにして算定するかということが、非常に重大な問題になるわけでありまするが、これに関しましては、旧税の地租、
家屋税の過
年度の
調定分並びに
滞納繰越分を見ますとともに、この
固定資産税の二十五
年度の収入につきまして、
土地、
家屋に関しましては、
調定見込額に対して九〇%見る。
償却資産に関しては
調定見込額の八〇%を見るということで、こういう算式によりまして五百二十億を得られるか得られないかという
計算をいたしておるのであります。そしてこの
計算は、
地方財政委員会が
地方税法の施行に当るわけでございますから、
地方財政委員会がこれを行う、
地方財政委員会の規則をも
つてその
税率の
変更をする、こういうふうにいたしておるのであります。これが仮
税率の問題であります。それからこのような
税率の
変更は非常に重要な問題でございまするので、これを
変更いたしました場合におきましては、その旨を
内閣と、
内閣を通じて
国会に報告するという点も加えておるのであります。なお五百二十億の
数字を
計算いたしますための
資料といたしましては、まず本年の十二月三十一日現在で
市町村長が
府県知事に
集計をいたしましたものを提出いたします。その期限は来年の一月十日ということにいたしております。それを
府県知事が集めまして、
集計をいたしまして、来年の一月二十日までに
地方財政委員会に報告をする。
地方財政委員会は一月三十一日までにその
資料によりまして五百二十億とれるかとれないかということを
計算するようにいたしておるのであります。
それから、その次は
固定資産の
評価と
納付方法の問題であります。これは二十五
年度分の
償却資産に対しまする
固定資産税は、なかなかこの短日月の間に、しかも第一回の
価額の
決定でありますから、相当
市町村にと
つてはむずかしいことでありまするので、なるべく機械的に簡便に
価額の
決定ができまするようにいたしたい、こういうふうな
考え方からいたしまして、一応簡単な
価額の仮
決定の
方法を
考えておるのであります。すなわちそれは
減価償却の
基礎になりますところの
帳簿価額、あるいは
資産再
評価を行いましたものにあ
つては、その再
評価額、また再
評価を行いませんものにつきましては
納税者の申告した
見積り価額、こういうようなものを一応押えまして、これらのものが
資産再
評価法の
規定によりまする再
評価の
限度額あるいはそれの
相当額の百分の七十を上まわるという場合におきましては、本人の
出しました
帳簿価額なり再
評価額なり
見積り価額というものを一応そのまま押えて、かりの
決定ができるようにいたそうというのであります。ことにこの再
評価の
限度額に関しましては、
陳腐化等の
事情も考慮して定められるわけでありますから、この点におきましてある
程度の
緩和がはかられると思うのであります。
百分の七十というところで押えますが、
遊休費産あるいは未
稼働資産等につきましてもし酷であるというような
事情があります場合には、この百分の七十という線をさらに百分の六十五なり、百分の六十なりにおろして、
償却資産の
価額をかりに
決定することができるような便法も認めておるのであります。御
承知のごとく現在におきましては
固定資産の
償却資産の
価額の
決定の
方法は、
地方財政委員会がやりますものと、
市町村長がやりますものと二
通りあるわけでございます。
地方財政委員会のやりますものは、二
市町村以上にわた
つて使われたり動かされたりいたします
移動性あるいは
可動性の
償却資産、鉄道、船舶、車両というような、あるいは
発電施設でありますとか、大規模の工場でありますとかいうような、その
価額を近隣の
市町村に
地方財政委員会が配分いたしまするようなもの、こういうようなものは
地方財政委員会が直接きめるわけでありますが、これらに関しましては
納税者の
申請ということを前提といたしまして、
納税者が百分の七十を押えられるのは非常に
実情に反するというような証拠をもちまして、
申請をいたしました場合には、
地方財政委員会が
事情もつともであると
考える場合には、これをおろすことができるということを第一に
考えております。それから一般の
償却資産に関しましては
市町村長がこれを
決定するわけでありますが、この中で
事態の非常に重いもの、大きなものと、
事態の軽いものの二つにわけまして、
事態の重いものにつきましては、
議会の
議決を経た上、さらに
地方財政委員会の許可を得て百分の七十の線をおろすことができる。事柄の比較的軽い
償却資産につきましては、これは
議会の
議決を経ただけで、
市町村長限り百分の七十の線をおろすことができるというふうにいたしまして、
償却資産の
価額の
決定につきましては、これを
実情に即するごとく
調整する道を開いている案を用意いたしておるのであります。
それから
固定資産税の
免税点の問題でございますが、この
免税点に関しましても、
原案におきましては、
土地、
家屋、
償却資産をひつくるめまして三万円ということに
考えてお
つたのでありますが、ただいま御
説明申し上げましたごとく、
償却資産に関しましては、一応これをかりに本
年度決定をいたしますが、来年の九月三十日までに
償却資産の
価格に対しましても、最終的に
決定をするようにいたしておるのであります。そこで本
年度仮
決定をいたしておきましたときには、全体合せて三万円に達しないということで、
免税にいたしておりましたものが、来
年度に
なつて
正式決定の際には、三万円をオーバーするというようなことがございまするし、また逆に
正式決定の際には、三万円であ
つたものが
免税点以下になるというようなことで、
土地、
家屋の税に関してもその動きが波及するということになりますと、非常に適当でございませんので、それぞれ今
年度、来
年度に限りましては、
土地、
家屋、
償却資産ごとに一万円という
免税点で計節するというふうにいたしたのであります。
それから
固定資産税の
納期でありまするが、これは今年は
原案におきましては四月、六月、八月、十一月の四期でありましたものを、八月、十二月及び二月の三期にいたします。八月は
土地、
家屋についての
納期であります。十二月と二月はそのほかの
償却資産につきましてもその期に納める、こういうふうな
考え方であります。それから今
年度分の
償却資産の
価格の
最終決定、これはさきに申しましたように来年の九月
末日までにこれを行う。また二十六
年度分の
固定資産税を課する
土地、
家屋の
償却資産の
価格は、同じく来
年度九月
末日までに
決定をする。そして十月一日から十日間縦覧に供して確定をし、
土地資産台帳に登録することになります。それから
昭和二十六
年度分の
固定資産税の
納期でありまするが、これは倍率は本
年度は
原案のごとく九百倍でございまするが、来
年度につきましては一応四月、六月、八月の三期には、
賃貸価格の九百倍ということでとります。
農地の方はこれは
公定価格がございまするから、それを押えるわけでありまするが、しかし
農地以外の
土地、
家屋は一応そういうふうにいたしまして、九月三十日までに最終的に
価格を
決定いたしまして、これを納付してもらう。その時期は
昭和二十六年の十二月三十一日までにいたしておるのであります。この際に
精算をして
不足税を納めるし、多ければ還付する、こういうわけであります。二十五
年度分の
固定資産税に関しましても同様に、来年の十二月にこれを
精算をするということにいたしておるのであります。以上が
地方税法案の
原案につきまして
訂正を用意いたしておりまする
内容の
概略でございます。
それからなおこれに関連いたしまして、
地方税法案の附則におきまして、若干
地方財政法につきまして
訂正を加えて御
審議をいただきたいと
考えておるのでございます。その一点は、
シヤウプ勧告にございました
強制的寄付の割当を禁止するという旨の
規定であります。御
承知のごとく、約四百億の
寄付金中、三百億は強制的な
寄付金、住民に割当てて税金的にとるところの
寄付金であるというふうに、
シヤウプ勧告に出ておりますが、その部分を
地方財政法案の中にうたい込みまして、これを禁止しようという一つの精神的な
規定を設けようというわけであります。
それから第二点は、
起債の
條件といたしまして、
現行法におきましては、
標準税率の二割
超過課税をいたしておらなければ
起債に訴えることができないというようにいたしておるのでありますが、これを
標準税率をとりますならば
起債するところの
條件が滿たされるというふうに、
起債についての
條件を
緩和しようというのが第二点であります。この二点をあわせて
地方財政法の
改正をお願いしたいというふうに
考えておるわけであります。
資料なしに申し上げまして非常に恐縮でございましたが、大体以上が今回考慮中の案の
内容の
概略でございます。