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1950-04-30 第7回国会 衆議院 地方行政委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月三十日(日曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 中島 守利君    理事 生田 和平君 理事 大泉 寛三君    理事 川西  清君 理事 川本 末治君    理事 菅家 喜六君 理事 野村專太郎君    理事 藤田 義光君 理事 立花 敏男君    理事 大石ヨシエ君       片岡伊三郎君    河原伊三郎君       木村 公平君    小玉 治行君       清水 逸平君    高橋 英吉君       高間 松吉君    塚田十一郎君       井出一太郎君    床次 徳二君       大矢 省三君    門司  亮君       池田 峯雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣 本多 市郎君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小町  哲君         地方自治庁次長 荻田  保君         総理府事務官         (地方自治庁財         政部財政課長) 奥野 誠亮君  委員外出席者         衆議院法制局第         一部長     三浦 義男君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君 四月三十日  委員大西弘君、黒澤富次郎君、小西英雄君及び  船越弘辞任につき、その補欠として龍野喜一  郎君、清水逸平君、片岡伊三郎君及び高間松吉  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員龍野喜一郎辞任につき、その補欠として  木村公平君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本月の会議に付した事件  地方財政平衡交付金法案内閣提出第一八四  号)  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第三号)を再議に付する件     —————————————
  2. 中島守利

    中島委員長 会議を開きます。  地方財政平衡交付金法案を議題といたしまして、質疑を続行いたします。床次君。
  3. 床次徳二

    床次委員 この交付金算出その他の資料といたしまして、いろいろの統計資料を使われることと思うのでありますが、地方によりましては、最近数年間に非常に変化がありまして、でき得る限り新しい統計を使つていただきたいと思うのでありますが、今政府で予定いたしておられるものは、何年度統計を予定しておられるか伺いたいと思います。
  4. 本多市郎

    本多国務大臣 これは仰せの通り非常な変化がございますので、前年度数字原則といたしております。
  5. 床次徳二

    床次委員 次にお尋ねいたしたいのは、第五條の第五項でありますか、国の行政機関はやはり委員会の要求によりまして、資料を出すようになつておりますが、たとえば文部省その他義務教育に対していろいろ注文があるものは、積極的に意見を出す場合もむしろあるのではないかと思いますが、もちろんこれは認められると思うのでありますが、どういう扱いになつておりますか。
  6. 本多市郎

    本多国務大臣 これは関係行政機関が積極的に意見を出す場合には、まつたく自由でございまして、意見を徴した場合と同じように尊重せられることと存じます。
  7. 床次徳二

    床次委員 最後に承りたいことは、昨日も実は大臣に御質問したのでありますが、どうもこの規定によりますと、本年度の千五十億という交付金は、本法による交付金にならないような気がするのでありまして、これは経過規定が欠けておるゆえじやないかと思うのであります。すなわちいろいろの財政委員会その他の総額算出手続がありますが、本年度限つては、本法が四月一日から適用になりますから、そういう過去の準備は一切本法によることはできない。従つていきなり千五十億という数字が出て参りまして、その千五十億の分割の方法その他が、一見いたしますと、法律によりがたいところは、いずれ将来制定されるところの規則によつて運用されざるを得ぬように見えるのでありますが、今後の取扱い本法によつてつて行くことが、どうもこれだけでは不明瞭な気がするのであります。でき得れば、むしろ本年度限つて交付金本法規定にかかわらず、一応総額が千五十億になるという規定がある方が、適当ではないか考えられるのでありまして、これは昨日実は私のお尋ねしたところであり、なお塚田委員からも同じような疑義があつたことと思うのであります。依然として当局はこの規定でさしつかえないというようにお考えになつておりましようか。
  8. 本多市郎

    本多国務大臣 これは先にも御説明申しました通りに、財政計画上の不足額は、千五十億で満たされるという計画になつておりますので、この本法算定方法によつて算出した金額ではございませんけれども、ただいまのところではこれで符合するものと考えております。これを本法によつてあとで計算した平衡交付金の額と、本年度交付金は千五十億ときめてしまつて一致しないときは、その一致しない全額も考えまして、どう考慮するかということは、あとの問題にいたしたいと存じます。それが千五十億と一致しないけれども、きわめて少額の金高であるから、按分したので適当であろうと思われる場合には、そのままでございますが、もし平衡交付金法の法の精神通りに、單位費用を入れまして、算出いたしまして、はなはだ違うというような場合には、予算がこの法律に伴わないことでございますから、この違つた程度によつて、また政府としても考慮すべき問題ではないか考えております。
  9. 床次徳二

    床次委員 取扱いといたしましては、大臣お話なつた御趣旨はよくわかるのでありますが、法文の立て方から言つて大臣考えておられるように取扱えないのじやないかという気がいたすのであります。この点は事務当局においても御研究をいただきたいと思うのであります。なおただいまの大臣のようなお考えでありますならば、今後本法趣旨によりまして委員会でいろいろ研究いたしました場合に、いわゆる測定單位、あるいは單位費用等相当増額を要することがわかりました場合、これは当然規則できめられるのでありますが、規制をもつて相当増額せしめられるかどうかわかりませんが、もし相当増額しなければならぬというような結論になりましたならば、当然追加予算を組まれなければならない。なお大臣お話では、追加予算とすべき額がわずかなら大したことはない。相当多額になれば、これは当然考慮しなければならない、こういうふうに解釈していいものでございましようか。
  10. 本多市郎

    本多国務大臣 予算との相違が、そのままでは済まされないというようなことになりました場合には、当然お話通り政府として追加予算等について考慮しなければならない場合も生ずるということになります。
  11. 床次徳二

    床次委員 本年度は、いわゆる規則によつて今後処理されるわけでありまして、私どもの予想からいたしますれば、今後規則でお取扱いになれば、かなり單位費用がふえることを予想しておる。しかし政府は、実際面から見ますと、総額がきまつておりますので、実は総額から逆算して行くという取扱いに陥りやすいのではないか。むしろ普通の事務的に考えますれば、そういうふうにして数字が出て来るんじやないかあまり差は出ないということに落ちつくんだと思います。しかしそうなつたのでは、ほんとう地方財政需要には合わないという結論になるのではないか。これは予測の差でありますから、あるいは見解の差だということになるかとも思いますが、そういう疑問があるのでありまして、今月まだ規則内容が、私ども拜見しておりません関係上、われわれにもわかりませんし、また文部省その他の関係当局におきましても、その点はそれぞれの立場から非常に不安に思つておることと思うのであります。大臣のようなお考えでありますれば、今後の規則の制定におきまして、よほど愼重態度を必要とするのじやないかということを申し上げたいと思います。
  12. 本多市郎

    本多国務大臣 愼重を要するという点につきましては、まつたく同感に存じます。地方団体財政を擁護するという立場で、地方財政委員会にありましても、国全体の財政ということは十分認識の上に立つてやるべきものであると思いまするし、財政計画の面におきまして、大体千五十億あれば、不足額の補填ができるという計画にもなつておることでございますから、大なる違いは生じないと存ずるのでありますが、お話のように、地方財政委員会が、單位当費用等を相当高率に見積つた場合は、お話のように非常な相違を生ずる面も生ずるのでございます。しかし財政計画ともにらみ合せ、国家財政ともにらみ合せまして、大体これに落ちつくようなものになると考えておるのでございます。
  13. 床次徳二

    床次委員 大臣のようなお考え処理いたしますと、あるいは本法附則におきまして、本年度本法規定にかかわらず総額を千五十億にするというような規定をお置きになりましても、さしつかえないようにも思うのでありますが、そういう規定を置くことに対してはいかがお考えですか。
  14. 本多市郎

    本多国務大臣 これは実際の処理が、本法規定にかかわらず、本年度交付金は千五十億とするということになつてしまうじやないかというお気持からの御意見と存じますが、私どもといたしましては、予算予算として、本法精神を貫いて算定するという原則によつて本年もやつた方が適当であろう。しかし実際的には、床次君の言われるようなことになつてしまうじやないかということは、予算拘束を受ける関係から考えられるのでございますけれども、やはりこの法律原則によつて算定する、こういう方法で行きたいと考えております。
  15. 床次徳二

    床次委員 私どもも、大臣の御答弁のように、あくまで本法原則によりまして、最も適切なる單位費で計算し、また規則によつて毎年関係者あるいはそれぞれの立場において、安心して財政需要が満たし得るだけの金額を交付できるという建前を熱望しておるわけでありまして、大臣もそういう趣旨でもつてぜひ今後も努力されるようお願いしておく次第であります。
  16. 中島守利

    中島委員長 国務大臣に対する質疑が留保になつております。門司君。
  17. 門司亮

    門司委員 この機会にひとつ大臣に聞いておきたいと思いますことは、大臣説明の中に地方税制を改正するにあたつて、その試みという言葉をお使いになつておるようでございますが、地方税の改正と同時に平衡交付金は單に政府試みというような言葉でお出しになつておるのか、はつきり確信のある態度でお出しになつているのか、その点をもう一応伺つておきたい。
  18. 本多市郎

    本多国務大臣 これは恒久の制度として考えております。
  19. 門司亮

    門司委員 大体大臣の御答弁はそうだと思いますが、そういたしますと、先ほどから議論になつておる点は、実は皆同じような考え方を持つておるのでありまして、この法律の中には規則で定めるものが非常にたくさん出て来ておりますし、ことにきのうの塚田さんの御質問、さらに今床次君からいろいろ話をされておりました、例の附則の七項でありますが、「昭和二十五年度に限り、第十三條」とあるのは誤りで、「十四條第一項中「この法律」とあるのは「規則」と読み替えるものとする。」この規則でありますが、この規則が私どもに十分わからない限りにおいては、実際にこの法案をただちに審議していいか惡いかということが、非常に疑問になるのでございます。と申しますのは法律で当然あるべきものを規則で定めるということになつておりますので、規則概要だけくらいは当然われわれは知つていなければならない。そういうことを私が申し上げますのは、本年度平衡交付金でありますが、平衡交付金は昨年度とほとんど予算内容から見ますと同じであります。六百六十七億が計上してあるようでありまして、その他は千五十億の中のものは補助金が大体これに振当てられると私は考えております。そういたしますと、現在の地方配付税法に定められた所得税法人税の三三・一四ということになつて参りますと、当然八百億を越える配付税がなければならないはずであります。政府がもし配付税特例をお出しになりましたときのことをお考えになりますならば、あれは昨年二十四年度限つてあの特例が出ておるはずでありまして、当然本年度予算面においては三三・一四という配付税法に基く規格がこれに見積られなければならないはずと考えておりましたが、依然として特例による数字しかあげておらぬのであります。政府地方財政を多くしてこれを確立すると申されておりますが、実際の需要額に対しましては政府予算面から見ると、相当大きな食い違いが出て来るのではないかということが考えられるのであります。もしそういうことになつて参りますと、どうしても算定基準法律で示されまする場合のことを、われわれは強く考えなければならない。ところがその法律は出さないで、二十五年度規則によつてこれをきめる。法律ではこれを定めないということになつて参りますと、われわれは地方財政が将来どういう形で運営されて行くかということについて、財政的に非常に杞憂するものでありますが、その点に対しては大臣はこの規則というものを、一体いつお出しになるのか、あるいはどういう構想でお出しになるのか、私はこの法律が通過するにいたしましても、その規則はおそらくすぐこれを適用しなければならない事態に立ち至ると考えておるのであります。さきの本会議で一応臨時の処置はとられたのでありますが、すでに七月にも近いことでありますから、第二回目の配付が行われなければならない時期に相なると思いますので、当然この規則が急いでこしらえられなければならない。従つてもし政府にこの規則の草案がありますれば、この機会に一応お示しを願いたいと考えております。
  20. 本多市郎

    本多国務大臣 最も重要なる測定單位当りの單位費用規則で定められますということは、まことにごもつともな御疑念であると思うのでございます。しかしながら過渡的な措置として、これはやむを得ないところでございまして、その数字に精密なる関係機関との資料に基いた計算の結果出て来る数字でございまして、本年はかような過渡的な場合でございますので、独立性の比較的強い地方財政委員会に公正な態度をもつて、その資料により公正に決定させるという趣旨でございます。来年度からはもちろん單位費用につきましても法律をもつて制定する考えでございます。
  21. 門司亮

    門司委員 もちろんそうだと思いますが、ただ私がさつき申し上げておりますのは、非常に自重されておるようでありますが、法律の十六條によりますと、大体五月から七月が道府県であつて市町村が五月から八月までに大体四分の一を同じように交付しなければならないということになつておりますので、先ほど暫定措置として二百億ばかりの決定は見ておるようでありますが、すぐこれに追つかけてあと処置をしなければならないようなことに相なるとわれわれは考えておるのであります。従つてこの間の日数というものはきわめて少いのでありますので、ひとつこの機会アウトラインだけでもその規則内容を聞かしておいていただきませんと、これが規則になつて出て、市町村財政査定等について非常に蹉跌を来すようなことがあつてはならない。また私どもはそれでは済まないと考えておりますので、一応内容だけはひとつこの委員会に、この法律の上りますまでにぜひ構想だけでもお聞かせを願いたいと考えておるのであります。私がそれを非常に強く申し上げますのは、大臣説明の中に、予算説明の中にもありますが、この法律を見ましても、この財政委員会意見というものが單に内閣に勧告をする、内閣はこれを変更して国の予算に計上しようとするときは、あらかじめ委員会意見を求めなければならないというだけでありまして、この委員会がほかの委員会のように非常に強い権限を持つていないのでありまして、委員会総額決定してそれを内閣に勧告し、さらに内閣予算関係からこれに修正を加える場合には、一応委員会意見を聞くというだけでありまして、委員会意見というものは非常に弱いのであります。たとえば委員会意見を尊重しなければならないというような、ある程度の拘束を持つ強い意思表示が、この法律の中には何ら規定されていないのであります。従つて予算の面から申し上げましても、せつかく民主的にできた委員会の機能というものが十分に発揚のできないことになりはしないか、いわゆる政府の一方的な処理において、これが打切られる危險性は多分に持つておると私は思うのであります。先ほど申し上げておりますように、法律の中に、あるいは大臣説明の中にもその勧告された委員会意見というものは、政府は十分尊重しなければならないというような拘束するような形はちつともとられておらない。ただ意見を聞くだけである、勧告するだけのことであるというようなことでは、私は地方財政に対しては非常に心もとないのでありますので、その間に対する大臣のお考え、さらに先ほど申し上げております附則内容アウトラインだけでもこの場合お聞かせを願いたい。
  22. 本多市郎

    本多国務大臣 附則概要につきましては、相当前に資料を差上げておつたのでございますが、配付が遅れていたようでございまして、まことに恐縮に存じます。一番大事なことは、こうした附則手続規定でなく、門司さんの最初に言われました通り平衡交付金を算定する單位当りの費用だと存じます。この單位当りの費用は、どうしても本年は今ただちには出せない事情があるのでございます。これは床次さんからさいぜん御質問のありました通りに、でき得る限り最近の資料に基いて算出しなければなりません。原則として前年度の実績によつて算出をするということになつておりますが、市町村の出納の締切りが五月末ということになつておりますので、その締切つたあとの全体的な資料をとりまして操作いたしますので、やはり七月末にならなければ、正確な根拠が出て来ないという点もございます。その他手続規定概要につきましては、この資料によつて御了承願いたいと思います。さらにこの平衡交付金確保方法が、この規定では不十分ではないかというお話でございますが、この平衡交付金について、地方団体の利益を代表する立場にあります地方財政委員会が、これを算定し、内閣に勧告し、内閣がこれをいれない場合、その主張根拠を明らかにして、国会決定をお願いするのでありまして、政府といたしましてももちろんこの法の精神に基きまして、でき得る限りこの地方財政委員会意見を尊重するのでありますけれども国家財政上の見地、あるいは地方財政委員会主張根拠について意見が一致しません場合には、国会の裁定をまつ、これ以上の——私は国家最高機関決定にまつという、ここまで主張を明らかにして主張し得るという以上の、確保の道というものは、ほかに考えられないのではないかと存じます。もしこれを地方財政委員会法律平衡交付金査定権決定権を持たせるというところまで行きますと、まつたく独立して国家予算決定することになりますが、そこまで行くことはどうしても国家全体的な見地から行き過ぎでありまして、地方財政といえども国家財政の実情を無視して関係なしにはできないのでございますから、私はこの制度が適当なところであると考えております。
  23. 門司亮

    門司委員 せつかく大臣のお言葉でございますが、私どもが危惧いたしておりますのは、ときの内閣においていろいろ立案されまする際、あるいは国会にそれが提案されますることによりましても、必ずしも今大臣お話のように、最高機関である国会がこれを定めるというようなことが、私どもにはそう簡單に受取ることが、公式論だけではできないのであります。それは先ほども申し上げましたように、昨年度地方配付税のような、嚴然たる法律があつて、そうしてそれを当然地方配付しなければならない場合におきましても、やはり国家予算関係だというようなことだけによつて、ああいう特例が出されて、そうして当然地方配付すべきものがあつて法律できめられておつて国家予算を組みます場合には十分考慮のうちに入れる、またそれが当然そういうことにならなければならない状態に置かれておつたと私は考えておるのでありますが、しかし一方的にああいうものが削られておる。これが国会にかけられて参りまして、ほんとうに重要な議案でありますることのために、これが愼重審議されているなら、まだ私どもは一応現在の段階におきましても、承服してもさしつかえないか考えておりますが、先ほど地方税法審議のごとき状態国会においてはあるのでございます。まつたく一方的にしかも法案説明を聞かないでもそれを通してしまおうというような、私どもにはこの国会の権威というものに対して、大臣言葉通りには——私は国会審議権というものが、今日はなはだ申し上げにくい言葉であり、またわれわれもそういうことを言いがたいのでありますが、やむを得ずそういう事態がありましたので、私どもは申し上げるのでありますが、必ずしも最高機関である国会が、審議権を十分に発揚して、そうして地方財政委員会からもたらされましたものが正しいかどうか、まして国家予算に対する修正を加えることが、はたして可能であるかどうかということについては、きわめて私どもは現在の立場におきましては、危惧の念を持つておるのであります。従つてこの場合少くとも法律の中に、もう少しこの財政委員会意見というものが重要視せられる法律條文に、これを直して置く必要があるのではないか、私はこういうふうに考えておるのであります。  それは大体の私どもの一応の意見といたしまして、その次にもう一つお伺いいたしておきたいと思いますことは、例の標準税率測定でありますが、これは非常に困難な状態に直面するのではないか考えておりますが、大臣はこれについて一体どういうふうにお考えになつておるか、と申し上げますのは、この中の内容のこまかい点は、一々質問もありましたし、私どもも御意見を拜聽したのでありますが、総体的に申しまして、ここに書かれておりますこの測定基準、あるいは測定單位と書いてありますが、これによつて参りますと、実に千差万別であつて、私どもはこの標準をきめるということは困難である。小学校の教育費にいたしましても、大都市と中都市、あるいは僻村関係は非常に大きな隔たりを持つておりますし、それからそのほかの行政面で見て参りましても、おのおのの都市におきましては、かなり大きな開きを持つておると思うが、その処置はちつとも講じられておらない。一律一体にこれは大都市も中都市も、あるいは僻村におきましても、同じような基準單位測定されるようになつておるのでありますが、この点は私は非常に矛盾ができて、実際面と相反するような状態が、必ず測定單位の上には、あるいは測定單位をきめましても実施の面には、現われて来るということを非常に強く感じておりますが、この点に対する大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  24. 本多市郎

    本多国務大臣 測定單位は全部同じ基準でありましても、その人口密度等によつて、数値の補正をやるように、そのあと條文に、そういう準備がしてございます。
  25. 門司亮

    門司委員 今の大臣の御答弁でありますが、この人口密度というようなものにつきましても、私はこの前質問をいたしたのであります。人口密度測定というものは非常にむずかしいのでありましで、郊外を非常にたくさん持つております都市は、一部分には非常に密集地帶を持つている。しかし平均いたしますと、その場合は非常にまばらな統計が出て来る。しかも行政はどういう行政を行わなければならないかといいますと、必ずしも政府の算定した総面積と人口とをかけ合したものだけは、なかなか私は行政面ではうまく行かないと考えておる。同時に私がそういうことを申し上げますのは、地方税法住民税に、八百円、六百円、四百円というような区分をいたしておるのであります。この区分をいたされました原因は、大体地方の自治体の大きさによつて行政あるいは財政が必ず違つて来なければならないという原則のもとに立つて、私はあの地方税法住民税三つ段階が設けられたと考えておるのであります。従つてもしあの地方税法三つ段階が、そういう意味で行われておるといたしますならば、この法律の中のこの測定單位についても、やはりそういうものがここに認められることが当然だと私は考えておりますが、この点に対する大臣のお考えを承りたい。
  26. 本多市郎

    本多国務大臣 お話通りでございまして、税法上やはりその財政需要額が、人口の度合いによりまして相違する関係から、税もそういう区分をいたしておりますので、それとうらはらになるように、人口單位に個々に区分はいたしておりませんけれども、より以上実態に即するようにいたしたいと存じております。税法は御承知の通り基準法でありますので、税法にはそういうふうな区分をいたしておりますけれども、個々におきましては、さらに実情にこまかく適するように考慮いたしたいと考えております。
  27. 中島守利

    中島委員長 次は川西君。
  28. 川西清

    ○川西委員 一言だけちよつと申し上げておきたいのでありますが、これは本案の審議の最初に申し上げたかつたのでありますが、その機会がなかつたので、終りになりましたけれども、一言申しておきます。それはこの法案を運用いたしますところの地方財政委員会でありますが、この地方財政委員会の設置法の提案理由の説明その他におきまして、しばしば地方財政委員会地方団体の利益擁護機関であるということを申されておりますけれども、これはちよつとおかしいことではないかと思うのであります。そういうふうに申しますことによつて、かえつて地方財政委員会が、地方団体の利益を擁護することができないようになる結果が、しばしば出て来るように思うのであります。これはやはり地方財政委員会は、国全体の立場から地方財政の確立を分担する機関とかなんとかいうふうな説明でありませんと、非常に強烈な地方団体の利益擁護機関と銘を打つた機関になりますと、その主張するところはいつも割増し的に考えられまして、昨年におきまして地方配付税が削減いたされました際にも、大蔵大臣はしばしば地方財政委員会の言うておることは——前の地方財政委員会でありますが、地方団体の方の機関であるからというふうな意味のお言葉で、その財政委員会主張が非常に割引きして考えられるのであります。やはりこの体裁といたしまして、利益擁護機関というものはちよつと響きが惡うございます。これは條文関係ないことでございますから、こういう言い方は行き過ぎで、かえつてその結果おもしろくないと思いますので、その点だけ一言御注意申しておきます。
  29. 大泉寛三

    ○大泉委員 昨日の文部、大蔵との連合審査会において、文部次官からのお話によりますと、ふしぎにも義務教育標準費というか、定員定額法が立案されておるというようなことを聞きましたが、これはわれわれとして義務教育もあるいはその他の教育も地方行政と思うのであります。もちろん義務教育であるから国家の中央政府行政にも考えられますけれども、やはり地方自治の立場から言つたならば、どこまでも地方公共団体にこれはまかしておくべきものである。そこで定員定額法というような国家全体の一つの画一的な算定のもとに、教育の行政その他の教育の費用を定めようとすることは、将来真にまじめに自治財政を運営しようとする者に対してはきわめて憂慮すべきことである。どこまでも自治体はおのれの力によつて、おのれの持つているところの力を十分発揮さして、国家のやつておる中にまで進んで行かなければならぬと私は思います。そこでこの定員定額法というようなものが規定せられるとするならば、これは地方行政をあずかつておられる本多国務大臣は、大いにこの点に関して——今までのようなあらゆる統制時代は過ぎ去つてしまつて、物価も各地方において相当でこぼこがある。こうした点を勘案して、やはり地方自治に適合するようにこれを算定してもらいたい。画一的な標準を定められないように私は御注意を申し上げておきたい。これに対する本多国務大臣の自信のほどをお伺いしたいと思います。
  30. 本多市郎

    本多国務大臣 先ほど川西さんのお話でございますが、これは国家行政機関の中にありまして、地方自治を擁護する性格の官庁であるということの表現をいたしたのでございますが、これはちようど地方自治庁設置法に地方自治の発達を援助するための官庁であるということをうたつてあるのと同じような意味でありまして、やはり表現につきましては行き過ぎるようなことがありますといけませんから、御注意の点は今後十分注意いたしたいと思います。  さらにこの標準義務教育法案平衡交付金法案との関係でありますが、今回平衡交付金法の制定を見ましたならば、この精神と矛盾するようなことのないように、十分検討いたしたいと考えます。
  31. 中島守利

    中島委員長 この際お諮りいたしますが、ただいま自治庁の方から地方財政平衡交付金法の施行規則の要綱案がお手元へ配付になりましたので、簡單にこの説明を聽取しておきたいと思うのであります。そうして質疑はこの程度にいたしたいと思います。
  32. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 都道府県知事等の資料の提出義務がでございます。これは別に重要な意味を持つておりませんが、一定の時期までに委員会に提出または送付するというように、期日を規則でうたいたいと思つております。  二は廃置分合または境界変更の場合の交付金措置でありますけれども原則として算定期日すなわち四月一日現在におきまして廃置分合または境界変更のされました姿において、それぞれの市町村が存在いたしましたものとして計算の仕直しをいたしまして、平衡交付金交付金を配分し直したいというふうに考えておるわけでございまして、現行法とまつたく同じような方法考えております。
  33. 中島守利

    中島委員長 ちよつとお諮りいたします。参議院の方から大臣の出席を要求して参りました。この要綱の質疑政府委員でわかると思いますから、大臣はこれより退席していただくことにいたしますから、どうかさよう御承知を願います。
  34. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 三は測定單位の数値の算定方法の問題でございますが、別表の第一をごらんらいただきますと、たとえば警察吏員数でございますと、当該年度の四月一日現在における警察法施行令第二條の別表第二の基準によつて算定した市町村警察吏員の定員ということにいたしております。ここの測定單位の数値の算定方法は、それぞれ詳しく記載してありますので、説明は省略さしていただきます。  四は補正係数の算定方法でありますが、そのうちの一として人口、小学校の児童数その他測定單位の数値の多少による段階による補正係数、その行政に要する経費の額が測定單位の数値の増減に応じ逓減または逓増するものにつきまして、超過累退または超過累進の方法により、経費の種類ごとに、かつ測定單位ごとに、それぞれ逓増または逓減割合を定めまして、これにより減少または増加しました後の数値と、減少または増加前の数値の割合をもちまして補正係数としたいわけでございます。補正の要領につきましては、この前の資料配付の際に御説明申し上げましたので、省略させていただきます。あのような姿において最後の補正係数の係数が出るわけでございますけれども、その係数の出ます過程をこのように規則で記載しておきたいというふうに考えておるわけであります。(二)の人口密度による補正係数、あるいは(三)の測定單位の数値の帰属する市町村の規模による補正係数、(四)の寒冷度及び積雪度による補正係数、(五)の面積、河川の延長その他測定單位の基礎となるものの種別による補正係数も、この前御説明申し上げました要領で算定いたしまして、この係数を出したいと考えておるようなわけであります。  第五は、補正係数及び昭和二十五年度單位費用を定めるわけでありますが、これは別表第二のような形式で定めたいという考えであります。根本の單位費用は、この前主要行政項目の單位費用の実績に関する調で御説明申し上げたわけでありますが、今後さらにできる限り精密な検討を続けまして、正確な單位費用測定いたして参りたいと考えておるわけでございます。  第六は、市町村交付金の算定及び交付に関する都道府県知事の義務でありまして、資料の審査義務でありますとか、あるいはこれを集計いたします義務であるとか、あるいは何日までに委員会に送付しなければならないというような、ことに掲げてありますような事項を規則でうたいたいというふうに考えておるわけであります。大体規則にからみますものはこのような手続規定でございまして、根本の問題として單位費用がございますけれども、この前お示しいたしました資料程度に現在研究しておるわけであります。
  35. 門司亮

    門司委員 今別表の説明がなかつたのでありますが、別表は見てくれというお話でありましたから、こつちで別表を見て従つて質問申し上げたいと考えておるのであります。  別表の中の警察吏員数でございますが、警察吏員に対する警察の費用というようなものの大体の算定の基礎は幾らになつているのか、それなら家屋の床面積でありますが、家屋の床面積に対する消防の費用はこれから見積られると思いますが、それの数字はどのくらいになつておるかということ、さらにその次には人口でありますが、これには單に人口は官報で公示された最近の人口とある。これは当然であります。従つて人口その他に対しまする一応の費用の算定さるべき基礎となる額が、どのくらいこれに割当てられているか、その次には農業の従業者数と書いてありますが、これらのものに対して、これは單に産業別の就業者調のうち農業従業者ということになつておりますが、これはどういう査定の基準によつて査定されたのであるか、私はこういうふうに申し上げますと、ほとんど全部にわたつて詳細な説明を聞かなければならないのであります。ただ單に測定基準だけでは、私どもこの法案をそう簡單に審議するわけには参らぬのでありまして、測定基準がわかつて、さらに測定基準に即した大体の配付さるべき金高というものが、一応私どもにわからなければ、実際この法をそのままの姿で通していいかどうかわからない。私どもの聞いておるのはその点であります。法律に基いて定められます場合の規則というものを必ずお持ちになつていると思う。それがなければまた数字は出て参りません。たとえば警察官一人に対して国は幾ら費用を見ているか、児童一人に対して幾ら費用を見ておるかという数字が明らかになつて参らなければ、おそらく財政委員会としてもそれを測定するわけには参らないか考えておるのでありますので、この際この規則において警察官一人当りに交付される額について、御説明を願つておきたいと思うのであります。要約して申し上げますならば、この算定の基準となるべき数字を一応お示し願いたい。
  36. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 実は大体のことをこの前資料としてお配りいたしまして、御説明申し上げたつもりであつたのでありますが、お配りしました資料の中に、主要行政項目の單位費用の実績に関する調というのがございます。これは單にことしの一月三十一日現在の予算額を基礎として作成いたしたものでございまして、この通り單位費用を定めることを考えているわけではございません。さらに今後検討いたしまして、全体の調和のとれたところで検討いたしたいと考えているわけでございます。従いまして法律で書きたいものを、今年度に限りましてやむを得ず規則規定いたしたいと考えているわけでございます。お出しになりました警察費で言いますと、大都市都市と町村別にその金額を書いております。大都市でありますと十八万四百七十三円七十三銭になつております。町村の方へ行きますと十五万七千六百四十二円八十六銭ということになつております。消防費の家屋の床面積に当りますものも、坪当り大都市でありますと四十八円七十三銭になつております。これが町村に行きますと八円二十銭ということになつているわけでございます。それぞれ資料で差上げておるわけでありますが、これをさらに検討いたして参りまして、実際配分にあたりまして用いますところの單位費用決定して行きたいと考えておるわけであります。
  37. 門司亮

    門司委員 問題はこの前配られた資料の中にいろいろのことが書いてありますが、これについてお聞きしておきたいと思いますことは、今の御説明によりますと、かりに警察にいたしましてもあるいは消防の関係にいたしましても、單に床面積だけでこれがきめられて参りますと、今日の地方の自治体というものは、御存じだと思いますが、消防の施設等の場合におきましては、比較的大都市でありましても、実際の常設消防を持たない都市があるのであります。割合に小さな郡市におきましても、消防の施設等におきましては常設消防を置いておる場所があるのであります。これはいろいろな形であるとか、あるいは家屋の密集の程度であるとかいうようなものがおのおのの都市考えられて、そうして実際の都市防衛のための運営がはかられておるのでありますが、この基準によりますと、そういうものは先ほど大臣に御質問いたしましたが、これは大体官僚的の数字統計のみによつて、実際の問題が処理されはしないかというように考えておるのであります。従つてその点に対して、政府のもう少しはつきりした基準といいますか、そういうものをひとつお出しになつて、そうして実情に即した配付方法が考慮されなければならないと存じますが、それに対する考え方といいますか、選択をされるお考えが実際の問題としてはあるかどうかということであります。こうなつて参りますと、非常にむずかしい問題になつて参ります。おそらく地方の各公共団体はおのおの持つておりまする施設に対する費用を割出して参ります。そうすると政府がきめております、たとえば消防のごときは、家庭の床面積というようなことだけでは、割切れない実態が必ず私は現われて来ると思う。そういう場合に対するそれらの救済策はどういう形で講じられておるか。
  38. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 單にこのような算術的な数字だけでは、正確に財政需要測定できないではないかという御意見はまつたく同感であります。それがためにあるいは補正係数を用いましたり、さらにできる限り地方団体の自主性をそこないませんために、客観的な基礎を測定して行きたいのでありますが、やむを得ず百分の十程度の特別交付金制度を設けまして、できる限りいろいろな事情を参酌いたして行きたいと考えているわけであります。なお地方財政平衡交付金法国会の議決を経まして成立いたしましたならば、さらにこれに基きましてこまかい算定方法等を確定いたしました末、全地方団体意見を求めながら、できる限り全地方団体の実情に合致した個々の單位費用なり、あるいは補正係数なりをきめて行きたい、かように考えておるわけであります。
  39. 門司亮

    門司委員 私はこの前の委員会で一応聞いたのでありますが、この実施にあたりまして、この中で最もこの機会にはつきりしておいていただきたいと思いますことは、たとえば道路の面積、土地の面積というようなものにつきましても、非常に大きな問題になると思いますが、港湾に関する船舶の出入をトン数できめられたということについて、この前の委員会でも大分お聞きをしたのでありますが、私はまだはつきりのみ込めないのでありますが、これはトン数できめるということになりますと、非常にめんどうな問題を起すと考えております。港湾の関係は、漁港と貿易港、商港というようにわけて考えられることが、私は正しいのではないか考えておる。港湾というものが漁港を含んでおる場合においては、おそらく総トン数などというものはごく少数であつて地方の公共団体が施行いたします場合に、それらを対象とされて、港湾の問題が議論されることになつて参りますと、非常に大きな問題というよりも、間違いのできる危險性を持つておりますが、この場合に港湾ということでなくして、あるいは漁港であるとか、あるいは商港であるとか、ことに商港の中にいたしましても、大貿易港であるとかいうようなものが、やはりこの規則あるいは法律の中に十分織り込まれておらないで、單にこれが港湾における船舶の出入トン数というようなことになつて参りますと、非常に大きな問題を起すと思いますが、この点をもう少し明確にする何か資料をお持ちになつておりませんか。
  40. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 御意見のように、私も測定單位全体の中で一番乱暴な測定單位が、港湾における船舶の出入トン数によつて港湾の行政費を測定することだと考えております。しかしながら、これ以外に港湾に関する客観的な測定單位が発見されませんので、やむを得ずこれを使つたわけでございます。あるいは港湾の数であるとか面積とか、いろいろあるわけでございますけれども、たまたま港湾における船舶の出入トン数は港湾調査原簿というものがございまして、毎年政府の方でこれに出入トン数を記載して行くことになつておりますので、さしあたりこれを使いまして、これだけでは済まされない問題を、特別交付金で見て行くよりしかたがないのじやないか。またそうかと言いまして、港湾を抹殺してしまうということも、ひどいというふうに考えまして、こういうふうにいたしておりますので、運用の面におきまして十分御意見に即応したことを考えて行きたいというふうに存じております。
  41. 中島守利

    中島委員長 これをもつて質疑は終了いたしました。  これより討論に入ります。通告順によつてこれを許します。河原伊三郎君。
  42. 河原伊三郎

    ○河原委員 私は自由党を代表いたしまして、本法案に賛成の意を表するものでございます。  理想的に申しますれば、地方財政は完全な独立をいたしまして、中央が財源を十分に地方に委讓して、中央から一文もこの種の交付金を受けずして、完全に行くということが理想でありますけれども、現状といたしましては、地方公共団体は財源のゆたかなるものもあり、またきわめて弱小なるものもありまして、これが調整をはかることは避け得ないところであります。しかしながら、この種の交付金につきましては、従来の行き方におきますと、中央集権的な弊害を伴いまして、中央が地方自治に干渉する傾向を伴い、もしくは補助金の場合等におきましては、画一主義に流れる弊害がきわめて顕著であつたのでありますが、本法案におきましては、この種の弊害をまつたく一掃いたしまして、地方公共団体において自主的、独創的にそれぞれ適切な施策を行い得て、中央がこれに対して干渉の余地なからしめるようにできております点は、非常に進歩的な法案と思うのであります。すなわち一面において、地方財政の調整をはかり、一面において従来の中央集権的な残滓を完全に拂拭いたしましたこの二点において、本法案はこの際きわめて適切なるものと考え、強く賛成の意を表するものであります。
  43. 中島守利

    中島委員長 床次徳二君。
  44. 床次徳二

    床次委員 私は国民民主党を代表しまして、本案に賛成するものであります。しかしこれは趣旨において私どもは賛成いたすのでありまして、この内容を見て参りますと、相当未熟なものがあるのであります。しかしながら、ただいまにおきましては、事実問題におきまして、これは相当研究をまだ要しなければなりません関係上、今後の是正にまちたいという立場に立つておるのでありますが、この際二、三われわれといたしまして特に意見を申し上げておきたいと思います。  第一は、本年度交付金は、予算におきまして千五十億ときめられ、そうして実は逆算せられて交付金が交付されるような形になることをおそれておるのであります。先ほど大臣にいろいろお尋ねいたしたのでありますが、見方の差かもしれませんが、私は千五十億では足らない、もう二百億くらいは少くともなければ、地方といたしまして、本制度の円満なる実施の恩典を受けることは、困難ではないかということを予想いたしておるのであります。法規の手続から見ましても、実は本年度ほんとう本法による交付金ではないと簡單に申し上げることができるのではないかと思うのでありまして今後いろいろ調査の上、真に地方財政需要が必要であるということが判明いたしました節は、政府におきましては、すみやかに追加予算措置を講ぜられまして、本法趣旨の遺憾ない徹底を期せられたいということを第一に要望する次第であります。当然私はそういう事態に立ち至つて来ることを考えておるのであります。  第二の問題といたしまして、この法案の中におきまして、本年度交付金の額の算定その他に対しましては、規則による部分があるのであります。本来でありますならば、国会審議をまちまして、十分にその基礎は数字的にも検討せられまして、初めてこれを実施せられるわけでありますが、本年度は時間的にこれができない関係上、これが規則に讓られておりまして、しかもこの規則の大綱は、ただいま私たちが拝見した程度でありまして、その具体的の数字の裏づけというものは、今後なお相当の時日をまたなければ、数字が明らかにならないのであります。従いましてはたして本案によりまして、地方財政あるいは地方の必要の事業が、円満に運行し得るかどうかということにつきましては、一応総額においては見通しがつきますが、必ずしもこれはわれわれは楽観ができないというふうに考えておるのでありまして、今後この具体的の項目につきましては、十分な検討を要するものと思うのであります。なお單位費用におきまして、たとえばただいまの港湾の問題、これは当然漁港の数を入れなければならぬし、橋梁の問題におきましても、数等を加えてしんしやくすべきものと思うのであります。  なお私、この際希望として申し上げておきますが、補正係数におきましては、特に南方方面の雨量の多い所には、雨量による災害、また雨量による土木その他の損害、産業方面の影響というものが多いのでありまして、雨量度を当然補正係数に加えるということも必要なことと考えておるのでありまして、当委員会におきまして、この点さらに御研究をいただきまして、御賛成をいただきますればけつこう存ずる次第であります。なお本年におきましては、この規則によりまして取扱い処理されるということに対しましては、政府におきましても、非常な責任を持つておるのでありまして、今後規則を制定せられましたあかつきにおきましては、すみやかに次の国会に報告せられ、その内容の検討を受けて、不足を見ましたような場合はこれを是正し、追加予算の計上をはかるという措置をとられんことを要望するものであります。  次に意見として申し上げたいことは、本年度の税制並びに本法の創設により、地方団体財政状況が非常に大きな変革を受けておるのであります。これに対処するために、特別なる交付金を約一割考えておられるのでありますが、この一割の配分方法に対しましては、これは相当愼重な考慮をもつてやられなければならないということを考えておるのであります。額そのものにおきましても、私は不足だということをおそれておるのでありますが、この配分の方法に対しましては、真に地方の実情に応じまして、適切なる配分方法を講ぜられたいということを要望するものであります。  なお全般論といたしまして、今日はすでに総額決定しておるような状態であるのでありまして、なお地方におきましても、すみやかにこの法案が成立することを要望しております関係上、法案趣旨そのものに対しましては異存がないのでありまして、その意味において賛成を表するゆえんであります。なお測定準位並びに單位費用等に関しましては先ほども申しましたように、十分の検討を経ていない、しかも規則に讓る部分がたくさんあるのでありまして、この点政府は非常に大きな責任を持つておることをこの際明らかにいたしたいと思います。当然遺憾のない実施に当られるべきことは、明らかに政府の責任であるということをこの際申し上げて、私の討論を終る次第であります。
  45. 中島守利

    中島委員長 門司亮君。
  46. 門司亮

    門司委員 社会党といたしましてはこの法案には賛成の意を表するものであります。ただ先ほど床次委員からも申し上げられましたように本法案はその提出が非常に遅れておりますこと、同時に内容におきましては政府の責任に属する面が非常に多いのでありまして、これらの点に対しましては、当委員会における質疑の状況をよく政府は覚えておいていただきまして、本法の施行にあたりましては、特に政府の責任において万遺漏のないようにしていただきたいということをまず御注文申し上げるのであります。  それからその次には先ほど質問の際にも申し上げましたように、本年度平衡交付金総額というものが予算面におきましては、従来の配付税総額よりほるかに低い額が想定されておるのであります。従いましておそらく地方の自治体におきましては、これだけの定められた平衡交付金におきましては、実際の問題として法の精神にありますような、真の自主的な地方財政の運用は困難かと考えておるのであります。従つて財政委員会等において検討されました結果、もしというより、むしろ必然的に地方財政需要予算にきめられた額よりも、はるかにオーバーする要求があると考えておりますが、それらの点につきましても十分政府は考慮していただきまして、当然追加予算等が要求されると考えておりますが、その際にもやはり十分の意を用いていただきたいと考えておるのであります。  それからさらにもう一つの問題は、測定基準の問題でありますが、これは今までの審議の過程におきましてはきわめてあいまいでありますし、同時に先ほど冒頭に申し上げましたように本年度に限りましては規則でこれを定めるというようなことに相なつておりまして、政府の責任はその規則がどういうふうに定められるかということによつて、非常に増大すると考えておるのであります。従つてこれらの諸点に対して政府愼重態度によつて地方財政の破綻を来さないように、また地方行政の円満なる発達を欠かないように、ぜひしていただきたいということを御注文申し上げまして、きわめて簡單ではございましたが、本案に賛成の意見を申し述べる次第であります。
  47. 中島守利

    中島委員長 池田峯雄君。
  48. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 私は共産党を代表してこの本案に反対するものであります。  第一にこの法案地方財政をますます不安定にし、地方行政の一般的水準をますます引下げるような結果になるであろうということであります。なぜならば国会審議権をみずから放棄して、自由党の議員総会で決定したにひとしい地方税法は、財源を地方に與えると言つておりますけれども、実はとれない財源を地方に與え、それをとれるものとして平衡交付金額を決定するものだからであります。たとえば附加価値税というものは赤字の企業にも課税する。裸のものから税金をとれ、労働者の賃金とか家賃とか、地代とか、銀行の利息として支拂つたもの、そういうものに課税する。課税できないものに課税する。無を與えて、有を生ぜしめる、むりにとろうとすれば罰金とあるいは懲役、あるいは国税犯則取法というようなもので脅迫してとる以外はない、そういう税法であります。そういう税金をとれるものとしてこれだけとれ、こういうことで平衡交付金決定する。この平衡交付金総額というものも一千五十億ときまつておりますが、ここに麗々しくうたわれおる必要にして十分な額ということを証明するものは何もないのであります。この一千五十億という額から逆算いたしまして、地方基準財政需要額あるいは基準財政收入額というものをつくり上げるのであります。作文的につくり上げる、これはあたかも所得税額というものを初めに決定しておいて、国民所得をそれから逆算して決定するやり方とまつたく同じだ。また基準財政需要額というものも、かような関係から実際より少く計算されることは必然であります。警察費にいたしましても、あるいは消防費にいたしましても、あるいは土木費にしても、教育費にしても、あるいは生活保護費とか、失業対策費等とか、年々増加の一途をたどつておるのである。さらに地方団体の借金も莫大に上つておる。これは災害関係の復旧費として市町村が立てかえているものだけでも、すでに八十億に上つておると言われておる。あるいはまた災害復旧費で国庫補助が未拂いになつておる額が全国で一千百億円に上つておる。災害の総額としてまだ残つておるものが一千六百億に上つておる。本年度の公共事業費九百九十億の中からこういう穴埋めに四百七十億埋めて、だんだん帳消しするというようなことを政府は言つておりますけれども、大体日本ではこの公共事業費の額が少いために、一千億くらいの災害が毎年起つておるのであります。今年もまた一千億くらい出て来るであろう。こういうことになりますと、地方財政需要というものはますます増大せざるを得ない、これに対して政府は実際何一つやつていないのであります。一例をあげますと、栃木県の今市地方の震災のときなどに、政府は一体災害復旧として何をやつたか、何もやつていないでしよう。県当局は震災で被害をこうむつておる人たちにDDTをまいてやつた、こういうことしかやつていない。岩手とか群馬など年々災害の起る地方にも、政府の対策はあまりにもひどいものであるのであります。こういうふうに地方団体がその住民のために使わなければならない額というものは非常に多い。そのほかに今度は政府は政策の結果、警察費であるとか、あるいは徴税費であるとか、こういう住民を收奪し、彈圧する費用がますます莫大に計上せられざるを得ない。だから実際の需要額よりもむしろ基準需要額というものが少くなるということは明らかであります。それから基準財政收入額、これはどうなるかというと、先ほど附加価値税の例で申し上げました通り、とれない税金をとれるものとして見積るから、実際より多く見積られる、こういう実積より少く見積られたものから、実際より多く見積つたものを差引いたものが平衡交付金でありますから、平衡交付金というものは実際上とるものとは、はるかに隔つたものだということは言うまでもないことであります。だから平衡交付金の少いものをもらつてもなかなかやつて行けない、こういうことは地方の県知事などもつておりまして、事実青森県などにおいては、業者の猛烈な反対を押し切つて、りんご税を課税しようということを盛んに運動しておるのであります。そこで平衡交付金が少ければどういうことになるかというと、徴税の強行となり、住民を苦しめる。そして一方警察費であるとか、あるいは徴税費であるとか、それから地方ボスのふところを暖める仕事、競輪場をつくつたり、あるいは国際観光ホテルをつくつたり、観光道路をつくつたりする。こういう費用はまず必要にして十分なる額を先取りいたしますから、結局これだけは間違いない。あとは何も残らない。大事な教育費などはこれはまつたく顧みられないという結果になるであろうことは明らかであります。従つて全国の教育者たちがこの平衡交付金教育費を圧迫するという意味で、猛烈な反対をしていることは、私はその気持を察することができるのであります。大体教育の権利ということは憲法に保障されているのであります。すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。義務教育は無償とするというふうに、憲法によつて教育の権利を認められておるにかかわらず、平衡交付金によつてつたくこの権利は蹂躙され、教育はますます植民地的の奴隷教育となるであろうことは明らかであります。現在すでに日本の教育というものは、数学の教科書をちよつと見ればわかります通り、一年生の教科書は十から以下の足したり引いたりしか教えておらない。二年生の教科書は二十から以下を足したり引いたりしか教えておらないというような、ばかな教育をやつております。教育者の生活もまつたく蹂躙されておるのでありますが、さらにまたこういう結果によつて、教育は植民地的な状態に陷るであろうことは明らかであります。さらに特別交付金の使い方で、本多国務大臣は、私の質問に、国際観光都市であるとか、あるいは地方総合計画とか、そういうものに使用しない、こういうふうに言明しておりますけれども、この法案の中に、使わないということはどこにも書いてない、またこれが今後一割になるか二割になるか、そういうこともこの法案には書いておらない。特別の財政需要があれば、交付するということになつておるが、その認定の権限は遺憾ながら本多国務大臣にはないのでありまして、地方財政委員会がそういう決定をすることができる、そうして政府の政策というものは、国際観光都市建設とか、外国の人たちに気持よく遊んでもらつて、日本人はどこかへ立ちのかなければならないというような、そういう日本人のためでない国土計画、あるいは沈まざる航空母艦の建設ということを、最高政策としておるような状態でありますから、ここに特別交付金というものが使われないと、どうして言えるでありましようか。さらにこの交付金をめぐつて奪い合いが始まりまして、これはもうすでに自由党の諸君などが地方に行つて、共産党などとお前たちが一緒にやれば、平衡交付金の増減でもつてつてやる、制限してやるということを言つておることによつても明らかである通り交付金の交付をめぐつて奪い合いが始まつて、これから地方財政委員会の腐敗堕落を生ずるであろうということも明らかであります。さらにまた地方財政委員会は、その広汎な権力をもつて、完全に地方財政から行政一般まで掌握して、知事あるいは市町村長を、その膝下に威服せしめるような結果になる、これは地方自治の破壊であります。行政上はフアシヨ体制、戰時体制の再現である。その特徴的なことを申し上げますと、第一に農地に対する固定資産税の基準となる価格を、財政委員会決定する。これはもう農業政策というものに重大な影響を及ぼすようなことを、單なる地方財政委員会決定する。これはすでに農民軽視、日本の農業を破壊する政策の現われである。さらにまた地方債の許可を與える権限であるとか、大規模な附加価値税、固定資産税を直接財政委員会決定して、地方団体に対する指導権あるいは地方財政委員会の事務局の職員が、直接納税者に対して質問検査権を持つということ、地方団体が徴税に怠慢である場合に、直接地方財政委員会の事務職員が出かけて行つて質問検査する、これを拒否した場合には一年以下の懲役、二十万円以下の罰金に処する。こういう強力な権限を持つておる地方財政委員会平衡交付金を見積る。これを地方所体か実行しなかつたならば平衡交付金を取上げたり、減額したり、こういうことをやれる権限を持つておるのであります。これは地方財政委員会地方団体を完全にその膝下に威服せしめるというような結果になることは明らかであります。こういうふうに地方団体地方財政委員会の二重、三重の支配網の中で自主権を奪われ、恐るべき彈圧を受ける機関とならざるを得ないのであります。すなわちファシズムの地方集権の強化にならざるを得ない、これはどういうことであるか。この国の植民地化、軍事基地化をますます促進せしめ、戰争への道をまつすぐに進む、こういうような結果になるであろうことをわれわれはこの法案の中からはつきりと断言するのでありまして、かような意味合いにおいて、われわれはこの法案に反対するものであります。
  49. 中島守利

    中島委員長 これをもつて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。原案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  50. 中島守利

    中島委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決されました。  次におはかりいたします。衆議院規則第八十六條により報告書作成の件は、委員長に御一任くださることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 中島守利

    中島委員長 御異議なしと認め、さよう決します。     —————————————
  52. 中島守利

    中島委員長 昨日議了いたしました地方自治法の一部改正案でありますが、あれでは非常に法制上ぐあいが惡いというわけでありまして、委員会において御異議がなければ、これを再議いたしまして、適当に修正したいと思います。そこで一応議会の法制局の三浦君よりその点について御説明をいたしてもらいたいと思います。ちよつと速記をやめて……     〔速記中止〕
  53. 三浦義男

    ○三浦法制局第一部長 ただいま委員長からお話がありました市町村分離の点に関します修正案の問題でございますが、前に委員会でおきめになりました案でも、それ自体におきまして違法というようなことにつきまして、いろいろ疑問があるのもございますけれども、あれはあれで一応の案であろうかと考えておりますが、なおさらによく検討いたします場合におきまして、今私がこれから申し上げます要点に従いましてやつた方がよろしいのではないかという点を考えますので、皆様方の御了承を願いたいと考える次第でございます。  この前の市町村分離の点に関しまして、住民投票がありまして過半数の同意を得るということになつておりましたのを、三分の二以上に改めることになりましたが、その点については別に問題がございませんが、この住民投票かありました結果、都道府県の議会の議決を経る、こういうことになつておりましたのが、当該都道府県の議会において、出席議員の四分の一以上の同意を得るということになつておる点でございます。これは議会の議決でなくて、四分の一以上の議会の議員の同意を得る、こういうことでありますが、これを裏から申しますと、四分の三の反対があつた場合でも、四分の一の同意があれば、それが議会の意思になるということになりますと、議会の議決機関の本旨にかんがみましてどうかというような点が考えらますので、そういう線に沿いまして、そこらの矛盾を調和いたしまして、次のようにいたしたらばどうかと考える次第でございます。その案を申し上げますと、住民投票におきまして、有効投票の三分の二以上の同意があつたときは、委員会は、都道府県知事と、都道府県の議会にこれを報告いたしまして、そうして都道府県知事は、その当該報告に基いて、次に申し上げます第六項に定める期間の経過後に、市町村の廃置分合、または境界変更を定め、内閣総理大臣に届けなければならない、こういうことにいたしまして、その次に一項を加えまして、都道府県の議会に市町村の選挙管理委員会から報告があつた日から二十日以内に、当該都道府県の議会において、その議員の発議によりまして、出席議員の四分の三以上の多数で、これに同意すべきでないとの議決があつたときは、都道府県知事は、市町村の廃置分合または境界変更を定めることができない、こういうことにいたしたらばどうかということであります。これを要約いたしますと、結局原則といたしましては、三分の二以上の多数の住民投票によつて、その意思が確定いたしておりますので、都道府県の議会の議決は経ないでむいいという原則に立つのでありますが、しかしながら都道府県の議会の議員の方で異議がありました場合においては、その発議によりまして、議会の四分の三以上の多数がこれに同意しなかつた場合に限つて、境界変更を定めることができない、かようにいたすわけでございます。これが大体の要旨でございます。この点に関しまして、委員会ですでに御決定になつておりますので、委員会の御決定通りにして、さらにこれを直すということになりますと、本会議修正ということになり、本会議修正になりますと、いろいろ他の、すでにこれと関係のない部分につきましても、修正形式といたしましてここに取上げまして、議員提出の修正案をつくつて会議でやりまして、そうしてそれで議決された以外の事項だけを委員長の報告された委員長報告の中から、その議員提出の修正案を除いた部分だけについて決をとるいうようなことになるわけでございますので、それらの点を勘案いたしますときに、委員会において再議に付していただいて、一応前の案を取消して、それを差し込んだものを御決定つて進めていただくことが、いろんな点からよろしくはないか、かように考えまして申し上げるわけであります。
  54. 大矢省三

    ○大矢委員 ちよつとお尋ねいたしますが、この報告、それから届出ということについてでありますが、その報告、届出に対して、県会議員の何人がその同意に反対した場合ですか。
  55. 三浦義男

    ○三浦法制局第一部長 四分の三でございます。
  56. 大矢省三

    ○大矢委員 四分の三というのは異議を申し出るときにもこれだけなのですか。
  57. 三浦義男

    ○三浦法制局第一部長 異議を申し出る場合には一人でもいいのです。
  58. 大矢省三

    ○大矢委員 それはそれでいいのですが、この機会にこういうことをお聞きしたい。先日来から地方自治の單独法の幾つかが通過したのは御存じの通りです。大分、広島、長崎、東京、こういうようなものは、住民の投票によつて初めて効力を発する。国会最高の意思決定機関で、国が法律として定めたものでも、地方の投票によつて初めて効力を発する、これは憲法にもそうなつております。しかも分離の問題で、直接利害関係のあるものが地方団体で投票で、しかも従来の二分の一をさらに住民の三分の二という大多数のもので決定して、いるにかかわらず、それをその府県会がそういうことに対して異議を取消したり、効力を無効にするということが、憲法上許されるかどうか。今のようなことを逆に言うと、国会がきめたものすらもそういう地方の住民の投票によつて初めて確定する。もしこれを逆に見ますと、東京都なら東京都に、あるいはこの間大分の観光都市法案が住民投票によつてきまつた。それを国会ではまた地方と違つた決議をしたら、それは無効になる。そういうことは、私どもは常識から言つても許さぬと思う。そういう場合にはどうなるか。
  59. 三浦義男

    ○三浦法制局第一部長 ただいまのことにお答えいたします。地方公共団体のみに適用があります問題につきましては、憲法の九十五條に明文の規定がございまして、これにつきましては、住民投票に付して、その結果によつてその法律の成否をきめることになつておりますから、それについてさらに議会に付するというようなことは、憲法違反である、こういうことになつております。しかしながら自治法のただいま申し上げました問題につきましては、憲法上、別にその制限規定があるわけではございませんので、まつたく自治法の自治運用の規定趣旨から、それをどう考えるかということになるわけだと思つております。現在の自治法では、御承知の通り第七條におきまして、原則的に市町村分離につきましては、都道府県知事が都道府県会にかけまして、その議決を経てきめることが、明らかに規定してありますが、今度はそれによります例外を置くわけでございますが、その点は別に憲法上の問題は起こらないと思つております。ただお話のように、住民の三分の二の多数がすでにきめたのだから、これは議会の議決を経ないで、それだけできめていいんじやないかという御説は、一応ごもつともな御意見だと思つております。しかしながら、それをさらに都道府県の議会の議決にかけることが、妥当、不安当の問題は別問題といたしまして、違法、不法の問題は起り得ない、かように考えております。
  60. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 三浦さんにちよつとお尋ねするのですが、私、うつかりしていたのですが、今の御説明を聞くと、報告が委員会からあつて、二十日以内に府県会が議決をしなければならないということになつておるのですが、私が昨日聞いたところによると、十日になつてつたのです。十日では早過ぎるというので、二十日の希望を私からいたしたのですが、この二十日というのは、府県会に付議される期間であつて、議決はその後の経過によつて、一月かかるか、二月かかるか、あるいは即日できるかわからない。あるいは天変地異も起こるだろう、いろいろなことがあるから、二十日以内に議決しなければならないということは、これは昨日の話とちよつと違うのですが、そういうふうになつておるのですか。あなたのお述べになつているのはどういうわけですか。
  61. 三浦義男

    ○三浦法制局第一部長 私は詳しいことは存じ上げませんが、とにかく三分の二の多数の住民投票の結果が現われているのですから、これを知事が、臨時県会を開いて適当な期間内に処理するという権限は持つておりますけれども、すでに住民の三分の二以上の多数が同意したものであるならば、早くこれを処理してその結果をつけることが望ましいのではないか、それをいつまでもずるずるひつぱつておきますと、せつかくの住民の投票の意思というものがそのまますぐ効果が上らない、かように考えまして、二十日以内に議決を終えて、反対であるか賛成であるかの決をとる、こういうことにこの案はなつておるわけでございます。
  62. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 それは付議するのは二十日以内であつても、議決するのはその後の経過でどうなるかわからない。順当に行つたらそれはただちに決するのでしようけれども、どういうふうな事情が生ずるのであろかわからぬから、そこはちよつと考えてもらわなければならぬと思いますが、その点はどうですか。
  63. 三浦義男

    ○三浦法制局第一部長 なお申し上げておきますが、御承知の通り市町村の分離の問題につきましては、住民投票の請求が今年の七月二十日までということになつておるわけでございます。
  64. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 そんなことは関係ない。早く請求を打切つて結末をつけようという希望の住民がおるならば、請求はそのようにしたらよい。それから後はまた住民投票があり、また県会の付議があるが、それは一月かかつても、二月かかつても効力があるから、そのことと今の問題とは直接関係はないでしよう。
  65. 三浦義男

    ○三浦法制局第一部長 お説の通り私が申し上げようとする結論は、それとは直接関係はありませんが、それは一応ある期間で打切ろうというのですから、その線に沿つて考えれば、知事が議会を開かれない限りは、今おつしやるように二十日も三月も四月もそれが付議されないという状態は、はたしていいかどうかという問題であります。この点は実は私の意見を入れたのではございませんで、これは皆さん方の御同僚の御意見をそのまま入れたのですから……
  66. 大矢省三

    ○大矢委員 それはあなた方の独自の解釈でこつちへ申し入れたのではなくて、何か向うさんから注意があつたのですか。
  67. 三浦義男

    ○三浦法制局第一部長 先方の方の関係は全然ございません。これはここの委員の方からの申出によりまして——どもの方は申出があればつくらざるを得ない立場にありますので、そういうことで処理いたしただけであります。
  68. 大矢省三

    ○大矢委員 議決は多数決ということが定則ですが、四分の一の賛成で実際上議決となり得るかどうか、それがわれわれにはわからぬのですが、その点はどうですか。
  69. 三浦義男

    ○三浦法制局第一部長 その点は、四分の一で議決したと考えますときには、確かに大矢委員のおつしやいますように、議決機関の意思決定ということからいつておかしいと思います。しかしながら四分の一の同意というのを議決ということではなく、四分の一の議員の賛成の意思表示と見まして、少くとも四分の一くらいはそれに同意する者がなければ、議会としては進められないのだという最小限度の意思表示の制限をきめたものと考えますれば、そこに多少の問題はありますが、四分の一の同意ということでよいと思つております。
  70. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 分離問題については、個人的ないろいろな関係がありますから、皆さんに御相談願いまして、一度理事会で懇談するように諮つていただいて、おまかせ願うわけには行きませんか。
  71. 門司亮

    門司委員 先ほど大矢さんが聞かれましたが、これを実行される場合にいろいろな支障ができると思いますので、そういう仮定の上に立つて一応聞いておきたいと思いますが、今の三浦さんのようなお話でありますと、県会の中で異議の申立てがあつた場合に限り、県会議員のだれかの発議によつてそうなるのですか。
  72. 三浦義男

    ○三浦法制局第一部長 さようであります。
  73. 中島守利

    中島委員長 それでは昨日修正議決いたしました地方自治法の一部を改正する法律案を再議に付するかいなかをきめますが、再議に付することに賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  74. 中島守利

    中島委員長 起立多数であります。よつて再議に付することに決しました。  なお昨日議長に提出いたしました委員会報告書は、議長の許可を得て撤回いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 中島守利

    中島委員長 御異議なしと認めまして、さようにはからいます。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十八分散会