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1950-04-29 第7回国会 衆議院 地方行政委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十九日(土曜日)     午後二時四十分開議  出席委員    委員長 中島 守利君    理事 生田 和平君 理事 大泉 寛三君    理事 川西  清君 理事 川本 末治君    理事 菅家 喜六君 理事 野村專太郎君    理事 藤田 義光君 理事 立花 敏男君    理事 大石ヨシエ君       大西  弘君    河原伊三郎君       黒澤富次郎君    小玉 治行君       小西 英雄君    高橋 英吉君       塚田十一郎君    船越  弘君       井出一太郎君    床次 徳二君       大矢 省三君    門司  亮君       池田 峯雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣 本多 市郎君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 荻田  保君         総理府事務官         (地方自治庁連         絡行政部長)  高辻 正巳君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君 四月二十八日  委員大西弘君及び船越弘辞任につき、その補  欠として田中豊君及び吉田吉太郎君が議長の指  名で委員に選任された。 同月二十九日  委員黒澤富次郎君、田中豊君、中川俊思君、牧  野寛索君、吉田吉太郎君及び鈴木幹雄辞任に  つき、その補欠として川本末治君、小西英雄君、  清水逸平君、龍野喜一郎君、船越弘君及び橋本  金一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員清水逸平君、龍野喜一郎君及び内藤友明君  辞任につき、その補欠として黒澤富次郎君、大  西弘君及び井出一太郎君が議長指名委員に  撰任された。 同日  川本末治君及び菅家喜六君が理事補欠当選し  た。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員長及び小委員補欠選任に関する件  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第三号)  地方財政平衡交付金法案内閣提出第一八四  号)     —————————————
  2. 中島守利

    中島委員長 それでは会議を開きます。地方自治法の一部を改正する法律案議題といたします。  本法案に対しては質疑も盡きたようでありますから、質疑はこれで打切ります。御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中島守利

    中島委員長 本案に対する質疑は終局いたしました。これより討論に入ります。  討論に入る前に、中島委員長試案とでも申しますか、修正案に対して私が簡單に説明を申し上げます。皆様方のお手元に配付しております地方自治法の一部を改正する法律案に対する修正案要綱を申し上げます。  第一は、公安委員会を明示することであります。地方自治法規定中に「選挙管理委員会教育委員会その他法令又は條例に基く委員会」と例示してある場合に、公安委員会が明示してないから、公安委員重要性にかんがみ、「その他」の中に入れず、「選挙管理委員会」の下にこれを挿入明示すること。これは第七十五條第一項及び第三項、第百九十九條第五項に関連いたしております。  その二は、地方議会定例会回数であります。普通地方公共団体議会定例会は、毎年六回以上これを招集しなければならないことになつているのが、政府改正案都道府県議会についてのみ四回以上と改めようとしているのであります。現在の国情に照らしまして、国会においても補正予算その他の種々なる変革がありますので、当分の間地方議会重要性にかんがみまして、なお現行法通り六回以上とするということであります。これは第百二條第二項に関係しております。  第三は、地方議会事務局法制化であります。地方議会事務局法制上の根拠な與えるため、第六章第十一節の規定を改めること。すなわち都道府県議会事務局法律必置とし、市は任意條例によつて設置することを得るものとし、町村従前の通りろし、事務局長その他の職員は議長が選任するものとすること。第百三十八條関連であります。  地方公共団体の長の不信任決議をなす場合の議会定足数地方議会当該地方公共団体の長の不信任議決をする場合の議決定足数について。不信任議決をざれた長が議会解散を行い、その解散後初めて招集された議会において再び不信任議決をする場合には、現行法の四分の三以上というものを改めて過半数同意をもつて足りるとすること。第百七十八條第三項であります。  次に五項は、改正法施項期日であります。本改正法案施行期日昭和二十五年一月一日となつているのを、昭和二十五年五月一日とすること。附則第一項であります。  次は国の地方機関廃止に関する画項通商産業局出張所昭和二十五年三月三十一日限り廃止なつたのであるから、その所掌に属する事務都道府県知事権限に属するものを分掌させるために、当分の間知事條例事務所を置くものとするとの規定は不要となつたから、その部分規定を削ること。附則第三項であります。  次は第七、戰時中合併した市町村分離手続に関する事項附則第五項。地方自治法の一部を改正する法律昭和二十三年法律第百七十九号の改正規定に附加して、同法第二條すなわちいわゆる戰時中に合併した市町村分離に関する法律上の手続に、左の二点において変更を加えるよう改正すること。右市町村分離は、関係住民当該都道府県議会議決において、出席議員四分の一以上の同意を得ることによつてこれを決するということであります。なお右関係住民投票においては、有効投票過半数同意を得ることを要すというのを改めて、三分の以上の同意を得ることを要するものとする、こういう修正であります。右は同法第二條第五項前段であります。  市町村分離手続改正法経過規定附則第六項、第七項をそれぞれ第九項、第十項とし、第五項の改正規定の次に新たに六、七、八の三項を設け、その第六、七の二項をもつて前項の戰時中に合併した市町村分離に関する法規改正規定の適用についての経過規定とすること。すなわち改正される新法実施の際、すでに分離手続を開始したものについては次のようにする。新法実施の際すでに旧法によつて手続を開始した分離請求については、そのまま旧法によつてその手続を最後まで進めて行くこと。これは附則第六項であります。右一の場合においては、旧法規定により請求をなしたものが、議会議決において出席議員過半数同意を得られなかつたもの、または旧法規定によつて手続を開始している請求にかかるものは、そのいかなる段階にあるを問わず、新法によつて新たな請求をしてもさしつかえないものとすること。これが附則第七項であります。  公職選挙法施行に伴う事項公職選挙法の成立と施行とによつて地方自治法第四章の選挙に関する規定は削除されたので、従前この選挙に関する規定関連を持つてつたむのについて、これに応ずる法文上の整理を行うこと。第百二十八條改正規定に関するものを削ること。第百四十四條の改正規定に関するものを削ること。公職選挙法施行及びこれに伴う関係法令整理等に関する法律の一部を改正すること。附則第八項。  以上が修正案要綱であります。  この際社会党の諸君にお諮りしますが、社会党より提出されております修正案でありますが、そのうち公安委員の挿入であります。これはこの案と同じことであります。ですからこれはどうか御協調を願い、これを御撤回願いたいということであります。それから社会党修正案は、この際私から修正案の内容を申し上げますが、附則二條改正のうち、これは要綱を申し上げるのであります。社会党修正案は、有効投票当該選挙人総数過半数で、賛成投票過半数でなければならぬ。そうして府県会議決を削除するということであります。これは後に議題としてお諮りいたします。ただいま私の申し上げました要綱に対する質疑がありますので、これを許します。大矢君。
  4. 大矢省三

    大矢委員 中島委員長でなくても、政府の人でもけつこうですが、今度の修正された三分の二、さらに府県会においての四分の一の同意を要する。それによつて実際問題としても七月一日までの間にどれだけ独立し、あるいは分離するという、具体的な府県なり、あるいはその数をおわかりならば、この際お聞きしたいと思います。
  5. 高辻正巳

    高辻政府委員 ただいまの御質問に該当するようなものといたしましては、高岡、舞鶴、松山、呉、大分の竹田、その他若干のものがあるかと思います。
  6. 中島守利

    中島委員長 それでは討論に入ります。通告順によつて許します。大矢君。
  7. 大矢省三

    大矢委員 私ども、残念ながら、ただいまの委員長からの修正案に対しては、反対意思を表明したいと思います。新憲法なりあるいはあらゆる地方自治法、あるいは今議会において議決された多くの地方自治体に関する関係法規は、ことごとく地方住民意思を尊重して、文字通り自治の拡充をはかるというのが題目であるにかかわらず、今度の修正案住民意思を、しかも投票によつて決せられたその意思を、さらに府県会によつてこれが決せられるということは、これは二重監督と申しまするか、住民意思を無規した方法であると思うのであります。私どもはあくまでも住民投票をする限りには、つとめて住民の多数の意見をそこに反映すると同時に、それを尊重するという建前でなければならぬということは申すまでもないことでありまして、こういうふうな、しかも非常に不合理な、四分の一の同意というものは——同意ということは言葉はやわらかいのでありますけれども、それを表決するのはやはり議決であります。その議決した場合に、少数の者の意見が通るというこの府県会議決部分についても、きわめてあいまいで、われわれ納得の行かないものがふるのであります。それよりも私は三分の二以上というこの数をもつて決せられたものを、さらに県会同意たり議決を要する必要は毛頭ないと思う。でありますから、私は、この二重監督といいますか、そういう自治団体に対する干渉をなくするという意味からも、これは單なる一時的な処置である。七月以降には無効でありますから、大したことはないと言われますけれども、本質的なものとして私たちは反対せざるを得ないのであります。特にこの法案を必要とするゆえんは、戰時中住民意思を無視して、強制的に合併された問題がここに起きておるのでありますから、私は自由の意思によつて、特に新憲法下における地方自治発展であり、さらに民主化の基礎となるべき地方団体発展にも、その住民意思を十分に尊重するというこの建前を一貫して、私どもはこの修正案反対をするものであります。従つて社会党は、残念ながら修正案府県会議決を要するという点については、反対意思表示をするものであります。
  8. 中島守利

  9. 立花敏男

    立花委員 私ども地方自治法の一部改正全般に対しての討論をしたときにも申し上げましたが、この地方自治法の一部改正は、地方自治の伸張にむしろ反対の結果を生ずるという意味において、遺憾ながら反対せざるを得ない立場にあります。  まず第一に申し上げたいと思いますのは、第七十四條の二項の、條例制定または改廃に対する請求の問題で、その手続の上に非常に制約が加えられておりますが、たとえて申しますと、署名をいたしましてから署名簿を提出いたしまして、署名簿に対する証明を求める。それに二十日の期間が必要である。さらにできました署名簿縦覧に供する方に一週間の期間が必要である。こういうふうに期間の点から申しましても、従来にはない規定を置かれまして、條例改廃制定のみならず、他の一般リコールに対しても、これが当てはめられまして、リコールそのものが非常に煩瑣な手続を要し、しかも多数の議決を要するという規定になつておりますので、私ども潰憾ながらこれには賛成いたしかねます。しかも縦覧規定を置いたと申しますことは、私から言わせますと、たとえば自治団体の長に対するリコールの場合などは、長の罷免要求に対する署名簿署名いたしました者の姓名の署名が、一般縦覧に供されるというような場合には、署名をする者に対しまして、非常に大きな圧力になりまして、結局公正な署名が行われないじやないかと思われます。私どもはこういう点から、署名権者の権利の行使に重大な影響を與えると考えますので、この点も私ども反対でございます。その他いろいろ複雑な、あるいは煩瑣な手続が、リコール行使の上に加えられておるのでありますが、さらに申し上げたいと思いますのは、選挙管理委員会と申しますものは、いわば事務的な機関でおる。その選挙管理委員会に対しまして、非常に大きな権限が與えられている。しかもいわば裁判所がやるよな、純司法的な権限が與えられておりまして、署名が詐欺、脅迫によつて行われたかどうかということに対します調査権、あるいはその決定権、それによる署名の無効の宣言、こういう重要な、純司法的な処理が、選挙管理委員会でできるというにとがきめられておりますことは、私どもはある意味では司法権の侵害ではないかと考えますので、單なる事務機関である選挙管理委員会に、こういう重大な権限を與えますことは、私どもは断じて賛成できません。しかもこういう問題に関しまして、選挙法罰則を準用いたしまして、四年以下の懲役または禁錮、七万五千円以下の罰金というような規定が設けられておりますが、これもリコールの問題といたしましてはあまりに重きに失すると考えますので、以上のような選挙管理委員会決定にも反対でございますし、そういうふうな罰則を伴うことに対しましても、私どもは特に強く反対しておきたいと思います。  こういうことで請求権あるいはリコール権の制限をいたします前に、政府としては、あるいは議会としては、もつと改善しなければならない問題が、現行地方自治法請求の問題にあるということを私指摘しておきたいと思います。それは第七十四條でありますか、第七十四條では「條例制定及び監査の請求」になつておりますが、この場合條例に関する請求ができますのは、ここに規定してありますように、地方税その他に関する條例についてはこの改廃請求ができないことに規定されておるのでありますが、これには私ども大いに異議がございまして、地方自治法を改めるのであれば、これこそ改められなければならない條文ではないかと考えます。御承知のように地方税が新しく改められまして、しかもそれが数倍の地方税になつて来るというような状態のもとにおきまして、これから地方税その他の條例に関する地方民改廃請求は当然起つて来る問題だろうと思いますが、これをこういうふうに法律の中で禁止しておるということは、非常に非民主的なあり方でありまして、地方税法の円満なる施行あるいは摩擦のない施行に対する大きな障害になるだろうと考えます。しかもこのことは、初めにはなかつた規定なのでございますが、遺憾ながら一昨年の七月に社会党の方から提案されまして、この地方税に関する條例改廃請求ができないということになつておるのでありますが、これはどういたしましても、自治法改正の場合にはまつ先に改められなければいけない卑近な例ではないか、しかもこういう問題が看過されまして、かえつて逆にリコールのいろいろな煩瑣な手続を加えまして、リコールそのものを実質におきまして制限するという結果になりますことは、明らかに地方自治制約であり、あるいは民主化制約であろうと考えますので、遺憾ながらこの点は、共産党といたしましては賛成いたしかねます。  さらに原案におきましては、いわゆる地方自治体定例議会回数を減ずるという案がございますが、これも明らかに民主化の逆行でございまして、一方定例会回数を減じておきながら、しかも地方理事者側機関は非常に拡充いたしまして、知事権限を非常に強化する。また知事のプレーン・トラストと申しますか、いわゆる知事室というようなものを置きまして、地方官僚機構強化する、こういう形がはつきり現われております。青森あるいは東京などにおきましては、すでに実質的に知事室が置かれております。最初この法案ができなす過程におきまして、知事室をつくるという規定がございましたが、関係方面との折衝の結果置かれなくなりました。しかし実質的には、今言つたように数地方知事室が置かれまして、地方官僚機構強化ということがはつきり見られております。しかも最初に申し上げましたように、地方官僚機構強化と並行いたしまして、地方議会定例回数を減らして行くという形がはつきり見られますので、この傾向中央におきますところの、ただいま国会で審議しております地方財政委員会中央における地方自治に関する官庁の官僚化、すなわち地方財政委員会官僚化、あるいは地方財政委員会の強大なる権限を把握することによつて、かつて内閣官僚の復活という面とあわせまして、中央地方を通じまして、大きな官僚機構強化が企てられておる。しかも片方リコール制約され、あるいは府県会市町村会定例回数が減らされるというような考え方は、私どもといたしましては、現在の日本自治体の歩むべき道からいたしまして、その方向からしてまつたく逆行した立案であると考えますので、遺憾ながらこの点も反対せざるを得ないのでございます。  さらに部局改廃でございますが、最初やはり草案と申しますか、草案自治庁が御説明になりました場合に、農地部廃止する。農地部をたしか任意設置部門か何かにするとおつしやいました。これは農地改革が完了したからそうするのだという御説明がありましたが、そういう考え方が一貫してやはり政府地方行政に対する考え方の主流をなしておりまして、これは提出されました原案からは引込められておりますが、こういう考え方自体は、どういたしましても地方自治庁のお考えの中からきれいにぬぐい去つていただきたいと思います。  さらに公共事業部ども、どういうわけか、今度は任意設置になつておるのでありますが、私どもからいたしますと、これは公共事業民間に譲渡することの道が開かれておるのではないか。これを地方財政立場から申しますと、現在におきましても、すでに地方は短期の融資を銀行その他の金融機関に仰いでおりますが、この形が将来ますます強化されて行くであろう。そうなりますと、どういたしましても地方公共団体経営いたします公共事業というものは、ある程度そういう金融資本あるいは外資の脅威にさらされるであろう。その場合に任意設置にいたしまして、ある場合には、自由に公共事業民間に譲渡するという形が自由に行われるような結果になるのではないか。こういう意図は、あるいは自治庁の方ではお持ちになつてはいないかもしれませんが、結果においてそういうことになるおそれが多分にあると思います。外国におきまして——外国と言いましても主としてアメリカでございますが、アメリカにおきまして、市電とか、あるいはそういう日本で行つておりますような公共事業はほとんど民間でございまして、しかもそれが非常に有利な投資の対象であるということを考えますと、たとえば東京のバスあるいは大阪の市電というようなものが、必ずしもこういう民間経営あるいは外資経営に譲り渡されないとは、確言できないと思うのでありますが、こういう道が公共事業部任意設置にいたしたということの中に含まれるのではないかと考えます。私どもはこういう部門こそは必置部門にいたしまして、どういたしましても公共企業体で確保するという方法をとつてもらいたい。  さらに部局の問題でありますが、この規定の中に、東京都は特別の必要がある場合は、建築局を置くことができるというような規定がございますが、現在の住民住宅の拂底という問題から考えましても、あるいは地方公共団体がみずからの大きな努力を、住民住宅の建設という方向に向けなければいけないという問題から考えましても、この建築局設置を、必要のある場合はというふうに限られたのは大きい誤りではないか。必要がある場合はということではなしに、必要があることは明らかなのでありまして、東京都が建築局を持つて住民住宅確保に邁進しなければいけないということは、必要がある場合はというような考え方ではなしに、これが明らかに必要であることはわかつておりますので、建築局はどういたしましても必置部門にするようにしていただきたい。單に法文の上に必置部門にするだけではなしに、そういう考え方でやはりやつていただかないと、いつまでたつて住宅の復興はできないのではないか。従つて住民住宅の問題は解消されないのではないかと思いますので、こういう点に現われた自治庁あるいは政府考えを改めておいていただきたいと思います。  さらに道府県部局の問題でございますが、道府県部局設置につきましても、現在農業問題あるいは中小企業問題は重大な問題でございます。特に税法改正を受けまして、中小企業問題などは重大な問題でございますが、これがいずれも必置部門には置かれていない。しかも農林部を置ければ商工部を置いてはいけない、商工部を置けば農林部を置いてはいけないというような、まつたくわけのわからない規定がございまして、こういうことでは政府が農民あるいは中小工業者の生活に対して、ほんとうにまじめに考えておるとは考えられないのでございまして、こういう部門をただちに必置部門にすることが、前の建築局必置とあわせて、非常に重要な問題だろうと考えます。こういう考え方自体、私はこの際政府はつきりと改めていただくことをお願いしておきたいと思います。  さらに修正案の問題でございますが、もちろん私どもはこの問題になつております市町村の分合の問題に対しましては、住民投票者決定権を持つべきであるという考え方は、基本的に曲げることはできないのでございまして、これに府県会が干渉し、さらにその四分の一の賛成をもつて決定するというごとき規定は、明らかに民主的な原則に根本的に背馳しておると考えますので、遺憾ながらこの点には賛成いたしかねます。社会党がお出しになつております修正案住民投票の場合、総数過半数をもつて決定し、府県会議決を要せずという案には賛成でございます。さらに社会党がお出しになつております定例会回数の復元の提案にも、私ども賛成でございます。  以上述べました理由からいたしまして、共産党といたしましては、これら自治法の一連の改惡は、どういたしましても改正ではなくして、改惡でございまして、日本支配体制全体が、中央地方を通じて明らかに、何と申しますか、官僚支配強化されつつあるという傾向が見えますので、共産党といたしましては、自治法の一部改正反対意思を表明いたします。
  10. 中島守利

  11. 床次徳二

    床次委員 私は国民民主党を代表いたしまして、ただいまの委員長修正案を含めましたところの自治法改正案に対しまして、賛成の意を表するものであります。  この機会に数点、要望事項を申し述べたいと思うのでありまするが、第一は住民の直接請求権が拡充せられ、またその手続が明瞭になりましたことは、相当の進歩と思いますが、ただこの際特に要望いたしたいことは、その運営を上手にやつていただきたいということでありまして、かなり規定がこまかくなりました関係上、ある程度までその運営ののいかんによりましては、その請求権行例相当支障があるのではないかというおそれもあるのでありまして、その点は十分に関係当局の注意を喚起いたしたいと思います。  第二点は、都道府県事務局設置にならいまして、市におきましても市会の事務局設置せられましたことは、適当な処置であると思います。しかしながらこれによりまして費用が増大するということを、十分防止いたさなければならぬと同時に、町村におきましても、将来町村議会というものが、でき得る限り自主性を強くいたすことが必要なのでありまして、これは現在の運営状況から見ますと、もう少し助長してもいいのではないかというふうに考えられるのでありまして、今回の改正の趣旨に応じまして、やはり今後の取扱いを考慮すべきものと考えるのであります。  第三点といたしまして、府県の機構の農地部の問題であります。農地部は従来と同じように残されたのでありますが、現在の農村の状況から見ますると、農村の民主化並びに農村協同組合の、いわゆる共同事業の指導奨励という問題につきましては、なお多くの問題が残されておりまして、農地部が従来のままに、そのままに残つておりましたならば、これは期待に反することが大きいのでありまして、十分この農地部の活用ということを心がけていただきたいと思うのであります。  最後に、これは特に委員長にもお願いし、また各委員の方々にも御賛同を得たいのでありまするが、現在の地方自治の拡充並びに行政権の簡素化を目的といたしまして、現在の政府地方出先機関は、なお相当整理廃合を要するものがあると思うのでありまして、これは前から提案になつておりますが、なかなかこれが進行いたさないのであります。本法に関係いたして、一部それが実行せられたのでありますが、なお今後におきまして急速と申しますか、すみやかにその実現を要するものが少くないと思います。なお各都道府県において設置しておりますところの地方事務所におきましても、これは相当整理廃合をなし得るというふうに認められるのでありまして、今後政府並びに都道府県におきましては、その趣旨におきまして自治の拡充並びに行政の簡素化という趣旨におきまして、できる限りその整理等に努むべきものと考えるのであります。当委員会においてその趣旨を明らかにしていただき、その促進をはかつていただきたい。これは各委員の御賛同をぜひ得たいと思うのであります。以上私の要望を述べまして、本案に賛成するものであります。
  12. 中島守利

    中島委員長 討論はこれをもつて終局いたしました。  これより採決いたします。採決の順序については念のため申し上げます。  まず第一に委員長試案として提出しました修正案中、社会党の提案の修正案と共通の部分、いわゆるこれをわかりよく申せば、附則二條関連する戰時中に合併した町村分離問題を除きました部分であります。この部分に対して採決いたします。共通部分について賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  13. 中島守利

    中島委員長 起立多数。よつて共通部分は可決されました。  次にただいまの共通部分を除く社会党修正案、分村の手続は有権者総数有効投票過半数なければいけないという修正案であります。これに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  14. 中島守利

    中島委員長 起立少数。  もう一応念のために申し上げますが、中島試案の修正案全体に対してもう一ぺん念のために採決いたします。中島修正案賛成の講席の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  15. 中島守利

    中島委員長 起立多数であります。  次はお諮りいたします。ただいま可決されました修正部分を除く原案賛成の諸君の御起立を願います。原案全部に対して——
  16. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 ちよつと説明してください。
  17. 中島守利

    中島委員長 これは中島修正案を除いた政瞬提出の原案——修正は、これは可決になつてしまつたのですから、その以外の部分賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  18. 中島守利

    中島委員長 起立多数であります。よつて本案は修正案を加えて修正議決になりました。  次にお諮りいたしますが、ただいま床次委員より地方自治の拡充と行政簡素化の徹底を期するために、政府においては、その地方出先機関をなるべくすみやかに地方に委譲するようにという一点であります。その次は、都道府県において、その地方事務所をそれぞれ可及的すみやかに整理統合する必要がある、こういう要素があります。この要望もこれに付随したいと思います。これについて御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 中島守利

    中島委員長 御異議なければ、その通り決定いたします。  次にお諮りいたしますが、衆議院規則第八十六條による報告書作成の件等は、委員長に一任に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 中島守利

    中島委員長 御異議なしと認めましてさよう決します。  以上で地方自治法の一部を改正する法律案は終了いたしました。     —————————————
  21. 中島守利

    中島委員長 続いて地方財政平衡交付金法案質疑を続行したいと思います。地方財政平衡交付金法案議題とし、質疑を続行いたします。どうか御退席にならないようにお願いいたします。本多国務大臣が御出席になりましたから、昨日保留にいたしておきました床次君の質疑を先に許します。床次君。
  22. 床次徳二

    床次委員 平衡交付金に関しまして、大臣に二、三御質問申し上げたいと思いますが、本條文の御説明を伺つてみますと、本年度の平衡交付金の支給方法は、どうも本法そのものにのつとつておらないように思うのであります。簡單に申し上げますと、総額がすでに予算できまつておる。そうしてその内容を取扱いますのには、個々の條文の取扱いによらずに、本年だけはいわゆる規則によつて定められるように見えるのであります。しかもこの規則が——規則できまつても一向かまいませんが、法律建前から申しますと、今年規則で定められましたならば、来年度のことがきまつて来るようになるわけでありますが、二十五年度の取扱いを見ますと、條文上には同じ規則と書いてありますが、実はさかのぼりまして、これが決定されるようになつておるという取扱いに見えるのでありまして、附則等を読んで参りましても、どうもその点が明瞭でないのであります。どうも今年に限りまして、さかのほつて規則でもつて一切の、たとえば單位費用、あるいは基準決定が行われ、また財政委員会決定そのものも、本来でありますれば、総額について財政委員会意見を述べるわけでありますが、今年そういうことが附則にすでにきまつてしまつておるというような取扱いの関係上、克明に條文通り財政委員会が総額を決定することは、今年はできない形になつておるのであります。これは規定上から申しますならば、どうしてももう一條附則にそういうことをきめなければいけないと思うのでありますが、かかることは、本来の平衡交付金法の精神に反しておるものだと思う。従つてむしろこれは来年度以降適用するものにふさわしいのでありまして、今年はこのまま本法が通つたからといつて、これで交付金が交付できる。本法によるところの交付金の交付が行われたというふうに解するのは、少しおかしいと私どもは思うのでありますが、大臣の御見解を承りたい。
  23. 本多市郎

    ○本多国務大臣 御質問の御趣旨は、この平衡交付金の概算見積りと申しますか、そうしたことが地方財政委員会によつてなされ、その順序を経て検討してきまるべきものであるにかかわらず、本年は千五十億というも、のが、地方財政委員会法、さらに平衡交付金法等の規定によらずして、きまつておるという点につきましては、お話の通りでございますが、これは最初の年でありますために、やむを得ないことかと存じます。従つてこの交付方法につきましても、それぞれ概算交付をいたしますし、さらに測定單位当りの單位費用というようなものが、規則できまつて参りましたならば、正式に計算をいたしまして、それを概算佛いをしたものと相殺と申しますか、そういう計弊をすることにいたしておるわけでございます。
  24. 床次徳二

    床次委員 ただ、いま大臣から御答弁がありましたが、その点は私少し疑義があると思うのであります。たとえば附則の第七項にありましては、昭和二十五年度に限り、第十四條第一項中この法律とあるのは、規則と読みかえるという形で、規則によつて行えることになつておりますが、法律建前から申しますと、十四條に規定せられましたことは、国会の審議を経てきめるという趣旨において、法律という字が使つてあるのだと思うのであります。ところが、これを規則でもつてやりますと、その内容について国会で検討せずに済んでしまうということになつてしまうのでありまして、これを本法の建前から見ると、非常に精神を蹂躙しておるものではないかという疑念を私は持つておるのであります。  それから、次に第八項でありますが、第八項で「昭和二十五年度に限り、道府県に対し四月及び六月に交付すべき交付金の額並びに市町村に対し四月及び七月に交付すべき交付金の額は、第十六條第一項の規定にかかわらず、規則で定めるというようになつております。しかしこの八項に規定してありますことは、大体この條文にありますごとく、四月と六月、そういう季節の問題、それから分割方法のようなことを本来の十六條一項できめておるのでありまして、本法の根本でありますところの單位費用の金額を幾らにするかとか、基準をどういうふうにするかということは、当然この八項では読めないのだと思うのであります。従つて二十五年度の経過規定と申しますか、特別の取扱いとしてこういう附則がありますが、これだけでは本法のほんとうの精神からいうと、抜けてしまつておるのではないかと思うのであります。むしろ附則をお置きになるのでありますならば、昭和二十五年度は本法の適用を受けないというところまでたらなければ、おかしいのではないかという疑念を持つておる次第であります。なお財政委員会の、先ほど大臣から御答弁がありましたが、第四條の第一項のごときは、本来は財政委員でもつて、毎年度交付すべき交付金の総額を見積る。今年はきまつてつて、初年度であるから確かに不可能でありますが、初年度においては、この規定は当然動かないのだということは、やはり本法の中に附則経過規定としておる方がほんとうではないかという疑念を持つのであります。以上のように今年の取扱いは非常に変則でありまして、本法ができたから、ただちに平衡交付金の精神によつて、交付金が配分されるというようには受取れないのであります。その点根本的に少し疑義を持つておるのでありますが、これについてはいかがでありますか。重ねてお伺いしたい。
  25. 本多市郎

    ○本多国務大臣 本年度予算に計上されております千五十億という平衡交付金を、本法によつて交付するという趣旨でございます。すなわち本年度の配付には、平衡交付金の交付はこの平衡交付金法によつて配付をするというのでございまして、本年度の分に適用になるのでございます。ただただいまお話もありました通りに、測定單位の單位当り費用と申しますか、そういうものが本年は今ただちに法定できませんので、これは地方財政委員の規則に本年だけまかしていただくことをお認めただきたい。そうしで、来年はもちろん法律によらなければならぬことでございますから、それぞれ單位費用というものを法律で定めていただいて、来年からはそれによるということになります。本年は当初概算渡しをして行かなければならぬ関係で、最初からは適用できないのでございますけれども、これらの規則等がそろいました上で、正確なる本法による交付金の額を、定め、それとすでに前渡したものとを総合的に計算をするということにいたすほかはないと考えております。
  26. 床次徳二

    床次委員 ただいま大臣の答弁の通り、確かに政府のお考えとしては、本年度は本法によつて交付されるわけであります。その点は認めるのでございますが、本年度の交付の仕方は、本来の本法の建前から行きますと、非常に例外的であるということが考えられるのでありまして、この点は私どもことしの交付金をはたして本法の企図するような目的のもとに配分し得るかというところに、大きな疑念を特つておるのであります。すなわち額が足らないのじやないかということを懸念しておりますばかりに、実はそういうことを申し上げるのであります。先ほども文部委員会との連合のときに疑義がありましたが、当然地方自治体の自主性を害しない程度に、交付金は運用すべきである。その点は明らかでありますが、文部委員その他で疑義を持つておりますのは、金額が少いために、どうも教育なら教育が十分行えないのではないかという懸念を持つておりますので、特にああいう法律がほしいのだという意見が出て来るのであります。その点ことしの交付金の金額の基礎というものが明瞭でないために起る疑問であるというふうに考えます。昨日も私は本年度の交付金の金額の数字と、従来の交付いたしました数字と、はたして單位費用においてどのくらいの開きがあるか。従来と同じ基準でもつて受けられるか。あるいはことしはそれよりももつと増額して楽になつておる。あるいはことしは惡くなつておるということを、十分納得の行く程度に、これを検討いたしたいという気持において、それをお尋ねしたわけであります。総額がふえておるから、実質上において教育の経営が昨年よりも楽になつておる。そう簡單には結論が出ないと私ども思います。その疑義が十分晴れるように御説明をいただきますれば、けつこうだと思います。
  27. 荻田保

    ○荻田政府委員 確かにおつしやいますように、この千五十億の総額を見積りましたのは、この法律施行前でございますから、この法律にのつとつておりません。しかし大体これを予想いたしまして、千五十億という数字は見積られておるのでございまして、その千五十億の根拠については、たびたび申し上げましたように、昨年度四千億ばかりの歳出を、四千八百億に増加する。そういう前提のもとに、地方税の増税その他の歳入の見積り等をいたしまして、結局千五十億あればそれだけの仕事がやつて行けるという数字であります。ただその総額の見積りについては、この法律によつていないかもしれませんが、個々の団体に交付いたしますときには、これはこの法律によつて受けるのでありまして、ただ單位費用というものを現在的確に算定することができませんので、法律に今年度限り規定いたしません。今後研究いたしましてから、地方財政委員会できめるのでありますが、その数字も、千五十億を見積りましたときの根拠とこれとは、そう開きのないものがございますから、形式的にはいかにも規則があとになるようでございますが、実質的には大体当初予定しておりましたと同じような配分になるものだと考えております。
  28. 床次徳二

    床次委員 結局教育費を中心といたしまして、本年度の交付金によつて、内容が低下せずに済むのだという確信が得られる程度の具体的な材料を、重ねてこの機会にお願いいたしまして、一応私の質問はこれでもつて打切らせていただきたいと思います。
  29. 本多市郎

    ○本多国務大臣 これは四千八百億という地方財政計画の見通しに誤りがないといたしますと、大体財政需要額に対する収入不足は千五十億と一致する性格のものでございます。そういう性質のものでございますが、実際單位当りの單位費用を法律でもつて算定いたします場合には、その單位当りの決定の仕方によつてつて参りますから、従つて税法の税率等も変更になる場合には違つて参りますから、また違つて来る面も生じようと思いますけれども、本年度はそうした基準が法律としては間に合いませんので、財政計画の上から平衡交付金の総額を見積つてあるというので、これはやむを得ないことと存じます。さらにまたすべての行政費がどの租度に緩和されるか。教育費などもはたして緩和されるかというお話でありますが、この八百億程度総財政計画において拡充されておりますから、その範囲内においてどの方面にも緩和されることと考えております。
  30. 床次徳二

    床次委員 ただいまお言葉がありましたが、そういう趣旨で参りますと、結局財政委員会等でもつて、変則的でありますが、意見を述べて、大体これが町村の実情に合うように運ばれることと思うのであります。これは政府の予想の通りかもしれませんが、もしもその予想が違いましたときには、不足の金額が出て来る場合がある。結局追加予算も必要とするということになろうと思います。午前中文部委員会でも質問がありましたが、財政委員会がいよいよ單位費用あるいは測定單位等の計算によつて多少不当だ、少な過ぎる、もう少し増額を要するというような意見が出て参りますと、総額において増加を要するということになろうと思います。この点は政府においても当然追加予算ということが——額のいかんでありますが、相当額に上りました場合には、追加予算を必要とするのではないか。今日から当然これは予想するもやむを得ないことだと私ども考えておるのであります。この点すでに大臣が御答弁になりましたから、重ねて御答弁はなくてもけつこうでありますが、当然追加予算は私たちは必要だと考えておることを明らにいたしたいと思います。
  31. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 先ほど大臣が、平衡交付金というのは財源を地方に與えることによつてだんだん減らして行けるものだ。こういうふうに言われましたけれども、そういう考え方の中に、財源を地方に譲つて行けば行くほど、地方財政というものがゆたかになるという考え方があると思うのですが、現実にはそういうふうにはなかなか行かないと思うのです。なぜならば、富というものがだんだん中央に集中して来ておるのが現実でありまして、大資本は小資本をどんどん駆逐して行きまして、いわゆる独占資本というものがだんだん大きくなつて来る。あるいは国家がそういつた小企業を買い上げて、そうして国家資本というものをどんどん大きくして行くとか、こういうことになつて来るのが、現在の資本主義の原則なのでありまして、財源というものは、そう無制限にあるものではない。その財源がある一部の者に独占されるか、あるいは中央に集中されるということになりますと、大衆の生活はますます窮迫して来る。その上にかける財源、これが地方に委譲されて来るというようなことになるのじやないか。つまりない財源をむりにつくり上げて、そうしてこれを地方に與える。だからこれはとれない財源で、結局大衆課税になるということになるのではないか。こういうふうにわれわれは考えられるのでありますが、その点いかがでございましようか。
  32. 本多市郎

    ○本多国務大臣 財源を地方に委譲するといつても、現実は東京等にそうした財源が集中して来るのじやないかという意味に御質問になつたように思いますが、地方税の面におきましては、東京その他の大都市も、すべて地方税の財源でございまして、これはそういう御意味でございますと、もう一ぺん御考慮を願いたいと思います。
  33. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 そうじやない。富が現実に少数の者に集中して来ているのではないか。たとえば戰後農村の預貯金というものが、非常に激増いたしましたけれども、現実には最近急激に農村の窮乏というものがはげしくなつて来ておる。労働者の給料というようなものも、戰後にはストライキその他労働組合の自由などが與えられましたために、三倍、四倍というような賃金値上げがどんどん通つて行つた。中小商工業者も、戰後はインフレーシヨンによつて相当潤つた過去の経験を持つておる。ところが現実にはどうかというと、農民は窮乏しておる、労働者も窮乏しておる。中小商工業者も、今倒産の寸前にあるということは、これは何かというと、富が一部の者に、一箇所に集中しておるという事実じやないか。それはたとえば国家財政の面からいいましても、とにかく千二百億に上る厖大なものを、債務償還として金融機関に與えておる。こういう事実からいつても、富というものはとにかく一部の者に集中しておるということが言えるじやないか。一部の者に集中していないとしても、大衆の富というものが、現実に貧乏になつておる。富がどんどん縮小しつつあるという事実は、これははつきり認めなければならないじやないか。地方にこういう財源を與えるということは、これはこういつたこの貧乏な大衆から取上げる税金、こういうことになるのじやないか。たとえば固定資産税をかける。なるほど土地というものは、これはたとい百姓が貧乏になつても農村にございまして、東京に集中して来ちやおりません。しかしながらその土地に税金をかける場合、あるいは家屋に税金をかける湯谷でも、その農民がゆたかであるならば、それは家屋に住まつておる者、家屋を所有している者の所得が潤沢であるならば、何ら痛痒を感じないであろうけれども、貧乏であるということによつて、その土地に税金をかける、家屋に税金をかける、あるいは自転車に税金をかけるということが、これは非常に苦しい状態に立ち至つて来るのである。だから地方に財源を渡すと言うけれども、所得税というものをそうした地方の財源として、どんどん渡して行くというならば、これは考える点もありましようけれども、所得税は国庫が徴収しておいて、そうしてその他の財源、あるいは固定資産税とか、そういつたものを地方に委譲するということは、これは大衆課税になるのではなかろうか、こういうことを言つておるのです。
  34. 本多市郎

    ○本多国務大臣 御意見は、税金のとり方の問題ではないかと思います。つまり負担力に応じた税をとるべきであるという御趣旨ではないかと思います。これは私どもといたしまして、わが国の現段階においては、今回中央地方を通じて改革いたしました税制、この税制が最も妥当ではないかと考えておる次第でございます。所得税そのものを委譲しない限り、地方税において応能負担にならないではないかという御意見は、まことにごもつともであるとは存じますが、これを全面的に委譲するというようなことでは、各地方団体間の財政調整の平衡交付金等の支出にも支障を来す。また今日のわが国の行政規模におきましては、中央といたしまして、御承知の通りの予算を要するような事情でありますので、ここまでは今日行きかねると存じますけれども、しかし今回中央のとりまする所得税を軽減して、そうして所得割の市町村民税等がありますことは、これは結局一面において、地方の所得税の税源を地方に委議したというようなことも言えるわけであります。またその所得税は、所得割として昔からあつたものでありますが、その所得割であろうと、あるいは固定資産税であろうと、結局負担する者は、市町村民においてほかにはないのでありますから、その一部の人のふところから出る金で、国のとる分を少しでも減らして、地方の方によけいとる。つまり同じ人間か負担するわけでありますから、出せる限度内において、国のとるものが減つて地方のとるものがふえるということは、財源を委譲したというふうにも考えられると考えております。さらに将来の地方税の拡充というようなことは、国と府県、市町村との事務の再配分等、そうしたことを考慮して、さらに研究して行きたいと考えております。
  35. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 そういたしますと、今後たとえば平衡交付金を少くして、そうしてあなた方の言う、住民が、税金が何に使われるかを知るという必要を感ずることから、地方自治に対する関心を高め、地方自治を確立して行くという意味において、平衡交付金というものは、だんだんなくして行つた方がよいという考えだと思うのですが、先ほどの大臣のお話から行きましても、それでは財源を地方に與えて行くという場合には、一体どういう財源を地方に與えて行つたらいいか。その点どういう考えを持つておるのか。現在の地方住民から考えまして、税金としてとられるものは、もうほとんどとり盡されておるのではないか。税金は、電気にも、ガスにも、何にもかかつておりまして、もうかからないものといつたら、畳と障子と窓ぐらいで、それらがまだ税金がかかつておらないというようなところじやないか。ですから財源を與えると言いますけれども、実はこれは残つているものは、そういうもの、あるいは水と空気、こういうものしかないじやないか。こういう現実の事態をどういうふうにお考えになつておられましようか。これをどう展開する、つまり平衡交付金を減らすために、どう展開されますか。
  36. 本多市郎

    ○本多国務大臣 平衡交付金をなくするというふうに、全国の地方団体財政の均衡がとれるようなことは、なかなか期待できないことだろうと思いますので、むしろ私といたしましては、その平衡交付金によつて地方財政の調整は、できるだけのものを中央で確保しなければならない、かように考えております。さらにただいまのところでは、この税制で中央地方の配分が適当であると考えておりますが、それでは地方に財源を付與する場合に、どういう税目を考慮するかというお話につきましては、今ただちにお答えするだけの研究、結論に達しておらないのでございます。しかし一方法考えるといたしましたならば、まさに御期待の趣旨に沿うものでありまして、国においてさらに行政機構その他事務の簡素化等をやりまして、所得税を軽減する。そうして市町村民税の中の所得割というものを、市町村においてよけいとつても、納める人もつらくないというような方法によつて、財源委譲ができるということが考えられます。
  37. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 地方団体として最も痛切に要求し、現にそのために悩んでいる財政需要は、第一に災害復旧費、あるいはその他の土木費、それから教育費、警察費、大体こういうものじやなかろうかと思うのであります。地方団体として、こういつた費用を負担しなくても、災害復旧は国庫でやつてくれる、道路なども国庫で直してくれる、教育費も国庫で持つてくれるということならば、別に自転車税その他の財源を国庫の方から譲つてくれなくても、地方はきわめてのんきにやつて行けるのではないかと考えられるのでありますが、この点いかがでありましようか。
  38. 本多市郎

    ○本多国務大臣 従来そういうふ、うな思想が強かつたように思いますが、その結果は、何もかも国費でということで、中央財政に依存する。中央財政に依存する結果は、中央で多くの税をとらざるを得ないということになつて、これが地方財政自治の発達を阻害していたのではなかろうかと思われるのであります。今回不慮の災害等は全額国庫負担とし、さらにまた普通の状態において地方行政運営するための経費は、みずからとる税でまかなつて、さらに国庫の交付金等によつて満たされるわけでありますから、こういう方法によつて運営して行つたならば、従来のような弊害は是正されて行くものであると考えております。
  39. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 それで教育費の問題ですが、この原案によりますと、道府県の教育費の測定單位、それから市町村の教育費の測定單位というものは、大体同じような單位基準できめられるようでありますが、全体の教育費の中で、道府県がどれだけ負担し、市町村かどれだけ負担するということになるのでありますか。この点については、たとえば義務教育費国庫負担法があつて、それにのつとつてやられるとすれば、従来通りということになるのでありますが、義務教育費国庫負担法がなくなるとすると、県の負担と市町村の負担をどういう割振りにいたしますか。その点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  40. 荻田保

    ○荻田政府委員 先ほども御答弁いたしましたように、大体八百億の教育費がございまするが、うち六百億は道府県で、二百億が市町村でございます。
  41. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 そういたしますと、それは現在の義務教育費国庫負担法によつて、そういう配分をやられるわけですか。そうじやなく、道府県の六百億という費用は、先生たちのどういう部分をまかたうための六百億なんですか。これがはつきり報告されているととがございますか。ひとつその点をお聞かせ願いたいと思います。
  42. 本多市郎

    ○本多国務大臣 これは法文化されたものではございません。財政計画上大体八百億が教育費でありますが、その教育費の地方の総額は、道府県の分が六百億、市町村の分が二百億という割合になると考えております。これは財政計画であります。ただいま義務教育費の国庫負担ということについてお話がありましたが、本年度から義務教育費の国庫負担ということはやらない考えでございます。廃止する法律案は、標準義務教育費法案附則として提案する予定でございますが、これがもし遅れました場合には、この義務教育費国庫負担法は、その廃止国会できまりますまで、本年は適用しないでおくつもりでございます。
  43. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 その点は非常に重大な問題だと思うのです。たとえば県の教育費負担額が六百億、市町村が二百億というようにきまつておりますが、山県はこの六百億の中から、教員の給料を負担しなければならないというような規定が何にもないということになりますと、非常に困つた事態が生じて来るのではないかと思うが、その点いかがなのですか。
  44. 荻田保

    ○荻田政府委員 義務教育は市町村の負担において行うという法律がございます。そのうち教員の俸給等につきましては、道府県において負担するという法律がございますから、たとい国庫負担法が廃止になりましても、その注律には影響ありませんから、明瞭な根拠がございます。
  45. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 もう一つは、今度地方総合開発計画ということで、地方の計倒を方々で行う。たとえば都道府県などが一つのブロックで行うという計画があると思うのです。現に只見川がとか、いろいろ方々にそういう計画があるが、民間の資本、あるいは地方財政からも出し、一部国庫負担も加えて、そういつた計画を遂行して行くという場合に、平衡交付金もそういつたものに特に増額交付するという用意があるかどうか。それをお聞きしておきます。
  46. 荻田保

    ○荻田政府委員 総合開発計画と申しますのは、字のごとく総合の計画でありますから、中に含まれております河川改修、あるいは道路のそれぞれの行政が、この平衡交付金法の基準行政難中の中に入ります限り、平衡交付金の対象になるわけであります。
  47. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 そういたしますと、十二條による測定單位を補正する十三條の項目の中には、そういうようなことは書いてないようであります。一つのブロックで特にそういう地方計画をやる場合には、平衡交付金を増額するという補正の措置はないようですが、特に平衡交付金を増額交付する用意があるのかどうか。
  48. 荻田保

    ○荻田政府委員 その県が総合開発計画をやるとかやらないとかいうことによりまして、平衝交付金を多くしたり少くすることは適当ではないと思いますから、全然含んでおりません。ことに総合計画の中心であります発電計画のごときは、いわゆる公企業的なものでございまして、税負担になるべきものではなくて、独立採算のできるものでございますから、そういうものは全然計算の中に入りません。
  49. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 もう一つそれに関連して、たとえば別府国際観光温泉文化都市建設法、伊東国際観光温泉文化都市建設法というようなものができておりまするが、こういうものに持に平衡交付金を出すという用意がありますかどうか。
  50. 荻田保

    ○荻田政府委員 考えておりません。
  51. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 もう一つお聞きしたいのです。それははなはだ重大なことなんですが、この間地方へ参りましたところが、何でも自由党のある代議士さんが、お前は共産党などと同調してやつていると、平衡交付金を減してやるぞ、ある市町村や町会議員さんにそういう放言をされたわけなんです。たいへん驚きましてへそういうことがあるのですかと私に聞いた。この間青森県の方へ参りましたら、青森県の知事さんが自由党にお入りになつた。それは何でも平衡交付金の今度の暫定支拂いが、宮城県に四億幾ら来て、青森県は一億幾らしか来ておらぬ。青森県が民主党だから、そういうふうに少ししか行かないんじやないか。そのために自由党へ入つたのだ。あるいはまたそういうふうに平衡交付金が少ししか来ないから、そこで今度りんご税の復活をどうしてもやりたい。昨年いろいろむりしてりんご税をやつておつたのだけれども、今年もまたりんご税をとれるようにお願いしたい、こういう運動が起つておるようであります。そこで私はこの平衡交付金がそういう不公平に支給されるということのないように、政府に対して厳重に要求しておきたい。ところでやろうと思えばできるじやないか。特に基準財政収入額というようなものは、これはきわめて算定困難であつて漠然たるものであります。附加価値税にいたしましても、まつたく今まで世界中どこでもやつていない税金ですから、それが幾らとれるかということは、やつてみなければわからない問題であります。捕捉困難でありますし、固定資産税などというものも、陳腐化の度合いとか、あるいは数箇市町村に影響を及ばす固定資産に対しては、財政委員会がこれをきめて、また配分する。こういうようなことですから、いわんや今恐慌が押し寄せまして、中小企業や何かがぱたぱたと倒れているという、こういう状態で、税がどのくらい確保できるものかという見通しは、きわめて困難であります。こういう困難な條件下において、ある県に対しては財政収入額を多く見積り、ある県に対しては財政収入額を少く見積る。こういうことをやりますと、平衡交付金の多寡というものは、自由自在に机の上であやつることができるのではないか。こういう点を防止するための保障は、この法案には何にもないと思う。そういうことをわれわれが研究し、これならそういう不公平がないということを保障できる條文は何一つないと思うのですが、いかがでございましよう
  52. 荻田保

    ○荻田政府委員 平衡交付金の全体を通じまして、今おつしやいましたような心配を極力防止するためにできております。それからその地方団体の行政を何党がやつておりましようと、別に平衡交付金の額に対しまして、そのために差額が生ずるようなことはございません。しかし何党がやつておりましようと、健全なる財政の計画もなしに、でたらめな金の使い方をいたしましたり、取るべき税金を取りません場合は、平衡交付金を取上げるという地方財政法の規定がございます。それから青森県と宮城県でございますが、配付税の比較がございましたが、これは従来青森県におきましてりんご税をとつておりましたために、それだけ少かつたのでございまして、今後は平衡交付金法においては、かような法定外独立税のことは全然考慮に入れませんから、その点は改まることになると思います。
  53. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 今財政委員会のあれで、とるべき税金をとらない場合には、平衡交付金を取上げる。そういうふうにお聞きしたのですが、とるべき税金というのはどういうことですか。
  54. 荻田保

    ○荻田政府委員 地方税法において定まつておりまする法定税目でございます。
  55. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 私が不公平になるだろうと言いましたのは、付加価値税というようなものはどのくらいとれるかはつきりしない。とるべき税金であるか、とらざるべき税金であるか、どこへ行つたつてとてもこれを完全に掌握し得るような税金じやないのです。固定資産税もやはり私青森県へ行きましたけれども、あそこで昔戰争中に使つたドックを——函館船渠株式会社というのが、これはもと海軍の使つたものですが、それを使つて造船や船の修理をやつておりますが、ああいうふうなものは、昔でさえ何十億という金を出してつくつた固定資産です。ああいう固定資産を国から借りてやつておるのでありますから、おそらくこれは固定資産税がかかる。そういうことになるだろうと思う。そういつたものが遊休しているというような場合には、これはかからないということになると、固定資産税というようなものも、あれにはかけないで、これにはかけるというような措置が、財政委員会として幾らでもできるのでありまして、そういつた観点から言いますと、付加価値税にしても、固定資産税にしても、どこからどこまでがとるべき税金で、どこからどこまでがとらざるべき税金であるかということは、これははなはだ算定がむずかしいのではないか。その対象となるものも漠然としておりますし、それは見積り額というものも漠然としておりますし、どこからどこまで漠然としておるのでありますから、財政委員会が全国の市町村全体の固定資産にわたつて、これを一分一厘の間違いなく査定するというのはできつこはない。これをやや適性に近い程度に掌握し得るかというと、これはむずかしいのでないかというふうに考えるのであります。そういう場合に、一方においてはたんぼとか畑とか家屋とか、こういつたようなものは掌握が簡單でありますから、こういう点で算定されますと、ある市町村と他の市町村においては相当財政収入基準、財政收入額というものの差が出て来るのではないか、不公平が出て来るのではないか。さらに財政委員会がそれをやろうと思えば、ある一部の運動によつて、この不公平をさらに拡大してやろうと思えば、これもできるのではないか。それを防止する何らの保障もない。こういうふうに考えるのでありますが、いかがでしようか。
  56. 本多市郎

    ○本多国務大臣 いろいろな前提のもとに、不公平が生ずるような場合がありはせぬかというお話でございますが、その前提のもとならば、不公平の場合を生ずることがあるかもしれません。しかしただいまのところその不公平を防止し、適正に行わせるためのこの制度と、地方財政委員会の機構でございます。これをもつてでき得る限りこれを適正に行わせるという趣旨でございまして、いずれの行政事務にいたしましても、もしその裁断を下す立場にある者が、不公平なことをやろうという心を持つているものだということを前提にした場合、行政事務はまつたく保障されないことになるのでありますけれども、これはその人の問題にいたしましても、政府といたしましても、地方団体といたしましても、でき得る限り地方財政に識見を有する公正な人を選びまして、これを国会にも諮つて決定するわけでありまして、ただいまのお話の点はさらにこれをこうすれば、さらに不公平を防止することができるではないかという名案がもし現われましたならば、また他日の改正の資料にでもいたしたいと存じます。さらに研究いたして行きたいと存じます。ことに平衡交付金における基準、收入基準需要を捕捉するという問題のごとき、今後さらに研究して、よい標準が見当りましたならば、そうしたものをとらえるということに努めて行かなければならないものと存じます。
  57. 藤田義光

    ○藤田委員 要点だけをお尋ねしたいと思いますが、先ほど池田君の質問の中に、平衡交付金に関連した青森県知事の入党の問題がございましたが、これは自由党の政策に共鳴して入党したのであろうというふうにわれわれは考えております。かつての同志として、その人柄に敬意を表しておりましたので、おそらく主義、主張に共鳴しての入党であろうというふうに私は想像いたしております。  まず第一にお伺いしたいことは、六條の規定でございますが、毎年の交付金の総額を算定する基礎でございまするが、この点に関しましては、ここに一応四項目にわけてやや詳細に明示されております。     〔委員長退席、生田委員長代理着席〕 しかしながらこの規定で参りますと、政党政府である限りにおきましては、おそらく空文に帰するのではないかと思います。まず財政委員会で必要な資料を集めまして、翌年度の交付金の総額を決定いたしまして、内閣に勧告いたしまして、内閣がその総額を変更してしまつたような場合におきましては、おそらくその総額を復旧させる方法はないではないか。政府国会の多数党という議会政治の実情からいたしまして、これは單なる空文に終るのではないか。いま少し強く総額を保障する規定が必要ではないかと思うのでありますが、その点に関しましては、むしろ従来の配付税制度におきましては、一定の税收のわくを確保しておりましたので、私はこの交付金の総額に関しましても、国庫の歳入のある部分をわくとして確保するというような、法的措置をとる必要があるのではないか。しからざれば、年々この点に関しまして、政府財政委員会相当重大なる意見の食い違いを来すのではないかと思いますが、この法律運営上、いかにしてかかる弊害を除去されるお気持でありますか、お伺いしたいと思います。
  58. 本多市郎

    ○本多国務大臣 従来の地方配付税でありますと、国税の一定割合を配付するということになつております。そのために地方財政計画等が、一般社会の景況によつて、国税が幾らあがるかということに支配される結果、不安定なものになる。これらの事情については藤田さんがすでに御承知のことでありますので、詳しくは申し上げませんが、今回の六條の規定により、平衡交付金を地方財政委員会において算定をした場合、これを最後まで確保せしめるの道を他に考える余地はないかという御質問でございますが、これは政府といたしましても、でき得る限り地方財政委員会意見は尊重したい考えであり、さらにまた地方財政需要のうち、不足する部分は補填してやりたいという方針をもつて、全力を盡します。それでもなお全然意見の合わなかつた場合は、最後的に国会できめていただく。国会の判断が政党内閣である場合、政府意見国会の最後的決定とは常に符合するではないかということになりますと、政府によつて決定されてしまうようになりますけれども、それは国会政府とはやはり異なつ立場で、独自の判断をしていただくものという建前に立つている次第であります。
  59. 藤田義光

    ○藤田委員 次にお伺いしたいのは、交付金の総額を毎年国の予算で決定するということになりますと、国会で国の予算審議の途中において新年度が始まり、あるいは新年度直前に国会で交付金の総額がきまつたというような場合におきましては、地方自治体においては年間収入計画というものは立たないのではないか。骨格予算を毎年編成するという弊害を生じやしないか。大体少くとも毎年一月ないし二月までに交付金の総額が決定しないと、地方公共団体におきましては、年間の全收入計画というものが立たぬのではないか。この点はいかにして補正されるか、お伺いしたいと思います。
  60. 荻田保

    ○荻田政府委員 もちろん国会におきまして、予算額が最後的に決定いたしませんと、的確な個々の団体に対しまする配分額も算定できないわけであります。しかしながらこの法律全体をごらんになりましておわかりになります通りに、基準財政需要なり基準財政收入なりの算定方法は、今年はだめでございますけれども、二十六年度以降は、すでに出ておりまする法律なり規則によりまして、各団体みずから算定することができるようになつております。従いましてその差額だけは一応交付金をもらえるという計算が自分で立ちますから、この点におきましてはかえつて前の配付税より進歩したものと考えております。もちろん的確なことは、予算が通りまして、正式に財政委員会におきまして交付金額の算定をいたしませんとできませんが、今申しましたように、大体の見当はつくようになりますから、そう予算編成に困るようなことはないと思います。
  61. 藤田義光

    ○藤田委員 第五條の最後の項目に、基準財政需要の中に含まれる経費にかかる地方行政関係がある国の行政機関が、資料を提出することになつております。そうしますと提出された資料に関しまして、財政委員会は大蔵省と同様に資料の査定ができるかどうか。この点をお伺いしたいと思います。たとへば百億という資料が出た場合に、これを八十億に査定する、あるいは百二十億にする——ふやすことは大体予想されませんが、査定権ありやいなやということをお伺いしたいと思います。
  62. 荻田保

    ○荻田政府委員 交付金の総額を算定いたします最終の責任は、もちろん財政委員会にあるわけでありまして、この五條の五項の規定も、財政委員会が必要と認めた場合に資料の提出を求めることができるようになつているわけでありまして、積極的にほかの役所から財政委員会に対しまして資料を出しまして、これによれというようなことは言えないわけであります。従いまして、受取りました資料につきましても、財政委員会は十分に検討いたしまして、自分が適当と認める数を基礎といたしまして、交付金の総額の見積りを内閣に提出することになります。
  63. 藤田義光

    ○藤田委員 この法案の古い案によりますと、交付金を都道府県市町村に区別しておりましたが、むしろはつきりと区別して、地方税と軌を一にした一つのわくをつくる方が、すつきりするのではないかと思いますが、本法におきましてはその区別が除去されているが、何か特別な理由がありますかどうか、お伺いしたいと思います。
  64. 荻田保

    ○荻田政府委員 初めそのようなことも考えておりましたが、その場合も配付税のときのように、何分の一をもつて道府県に配分するというふうに頭からきめませんで、やはり個々の財政需要と財政收入との差額を計算して、その積んだものをもつて道府県分と市町村分にするというやり方でございまから、この最後案のようにかわりましても、そう大した遠いはないと考えております。
  65. 藤田義光

    ○藤田委員 お答えでございまするが、少くとも市町村のうち、自治法百五十五條による都市は、何か一般市町村とは別扱いにした方が、すつきりするのじやないかと思います。この点将来において、ぜひともお考え願いたいと思うのでありますが、お答え願いたいと思います。  それと十二條、十三條に関連しまして、先ほど池田君からも御質問がありましたが、たとえば国家の権威によりまして、昭和二十三年安本、二十四年建設省で、全国の十地区を総合開発特別地区に指定しておる。あるいは厚生省におきましては、国立公園地区を指定しておる。こういうところにおきまして、国家の権威に基く指定に即応する施設その他の計画を自治体がする場合におきまして、何かこの十二條、十三條の運用上、多少の考慮をしていただける方法はないかどうかということをお伺いしたいのであります。むしろ附則にあります十分の一の特別交付金は、捕捉しがたい財政需要でやつていただけますかどうか。この点お伺いしたいと思います。
  66. 荻田保

    ○荻田政府委員 御質問の前段の、大都市を特別に扱うということでございますが、この測定單位を計算する場合に、大都市と市、町村とを三つ別々に考えておつたのでございますが、やはりこれはあらかじめ市町村を三つにわけることは必ずしも適当でないと考えましたので、一本にしたのでありまするが、そのかわりに第十三條の第三号におきまして、「測定單位の数値の帰属する市町村の規模」これによりまして大都市、市、町村、あるいはもつと人口段階別にいたしましても、この数値に差等をつけたいと考えておりまするから、おつしやいましたような目的は達すると思います。  それから第二点でありまするが、やはり個々の団体がしもちろん、国家の認めた計画ではございまするが、特殊な考えによりまして、普通のところにありません潤沢な開発施設を施行するのでありまするが、それに対しまして平衡交付金をそういうところにたくさんやるのだということは、どうしても平衡交付金法の根本に反すると思います。しかし消極的な意味におきまして、どうしてもそれだけのことをしなければ、その団体が一般並になれないのだというような種類の施設がございますならば、それにつきましてこの十二條、十三條あたりの一般の算定でまかない切れないものは、御説のように附則の特別交付金をもちまして考慮するよりほかしかたがないと考えております。
  67. 藤田義光

    ○藤田委員 この点、実は国立公園法が施行されまして十数年になりますが、いろいろな義務が課せられております。たとえば新制中学をつくろうとする場合に、国立公園の地区の森林伐採に非常に強烈な制限がございます。この際ぜひとも平衡交付金におきまして、義務に即応した何か恩典を本多国務大臣時代にお考え願いたいというふうに考えております。おそらくこれは大きな政治になるのではないか。観光地帯と申しますか、何か特別なわくをお考え願いたいと思います。  次はこれも原案にありましたが、二十五年度、二十六年度は、税法改正あるいは平衡交付金法の創設等によりまして、相当地方財政の激変が予想され、従つて十分の一の特別平衡交付金のほかに、臨時調整交付金というものは本年度は五%、二十六年度は三%というふうに、一応原案に非常に妙味のある規定がございますが、この最後案におきましてはそれがとれております。何らか臨時国会その他におきまして、臨時に調整する財源がどうしても必要になつて来るのじやないか。平衡交付金の追加予算を組むことによつてやるよりも、むしろごの法律に臨時調整の用をなす交付金を予定された方がよかつたのじやないかと思いまするが、この点はどういう理由で削除されましたか、お伺いしたいと思います。
  68. 本多市郎

    ○本多国務大臣 平衡交付金のうち、その一部を予備費的に保留しておいて、その後の事情による調整にまつべきではないかという御趣旨でございますが、この点研究をいたしたのでございますけれども、一割程度の特別交付金に保留しておりまするそれをもちまして、でき得る限り御趣旨のような場合にも充てたいと考えております。従いまして今後の問題としてはさらに研究いたしたいと存じております。
  69. 藤田義光

    ○藤田委員 この際平衡交付金の大きなわくができてはおりまするが、それと関連しまして、地方債の問題を簡單にお伺いしておきたいと思います。大蔵省方面の構想によりますと、先般二厘ずつ下げました地方債の利子を、さらに八分に引下げ、年間八分の利子にしたい。償還年限についても考究中であるということを拝聽いたしましたが、自治庁はそういう御計画がありますかどうか、お伺いいたす次第であります。
  70. 本多市郎

    ○本多国務大臣 簡單にお答えいたしますと、そういう方向へ努力いたしたいとは考えておりますが、具体的にまだ進行しておらない状態でございます。さらにまた非常に御関心を持つておられまする地方起債のわくにつきましても、シャウプ勧告の線まで、さらに五十億ばかりぜひとも実現をしたい。さらにまた預金部からの融資は、この地方起債をどこまでも優先的に考えてもらうようにというような点につきまして、努力いたしておるのでございますが、これはぜひ実現するように最後まで努力いたします。
  71. 藤田義光

    ○藤田委員 本多国務大臣の非常に謙虚な御答弁がございましたが、実は本年度の地方債のわく三百七十五億を、さらに五百億にするというようなこと、それから利子の引下げが、相当進展しておるやに拝聽いたしましたが、大蔵省の預金部でも相当積極的のようでございますから、いずれこれは少ししさいにわたりまするが、渡米前に御調査願いまして、至急善処していただきますると、先ほど私がお願いいたしました臨時調整交付金のようなものは、それによつて十分まかなえるというふうに私は考えるのであります。  最後にこまかい点をお伺いしたいのでありまするが、この地方財政委員会事務局の機構でございます。規則できめる点も多々ございましようが、運用の責任に当る事務局の機構といいますか、われわれの非常に重大な関心の的になつております課名だけでもお伺いしたいと思います。
  72. 本多市郎

    ○本多国務大臣 地方財政委員会事務局の機構につきましては、ただいま財務部、税務部の両部を設け、局長を置くということだけが機構としてはきまつているのでございまして、課名につきましては、従来地方自治庁にありましたものが、大体そのまま移るのではないかと考えております。官房はあることになつております。まだ実はその課につきましても、多きに失しないように、また不便がないように考えまして、今検討中でございます。
  73. 生田和平

    ○生田委員長代理 通告順塚田十一郎君でありますが、立花君よりごく簡單であるからという発言を求めております。立花君は質問を打切つた次第もありますから、この際五分間の時間を付して発言を許します。
  74. 立花敏男

    立花委員 打切つておりません。譲つたので、あとでやるということになつております。しかしなるべく簡單にやります。それは午前中の本多さんの御答弁ですが、「必要且つ充分」という文句は形容詞だとおつしやつたのですが、その真意をはつきりしておいていただきたいと思うのです。この平衡交金法では一番重要な点でありまして、「必要且つ充分」ということが法案の中にうたわれておりますので、実は私どもも安心しておりますし、地方も安心しているだろうと思うのでありますが、その「必要且つ充分」という言葉が形容詞だということになりますと、これはとんでもない法案になつてしまいますので、その点をひとつ、御失言なら御失言としてはつきり取消していただくか、もつと納得の行く御説明をいただきませんと、とうてい納得することができないのですが、それをひとつ御説明願いたい。
  75. 本多市郎

    ○本多国務大臣 この「必要且つ充分」と申しますのは、客観的に見て「必要且つ充分」の意味でございます。午前中の質問に「必要且つ充分」という、かりに算出された金があつた場合、その金額と一銭一厘違わないのでなければ、「必要且つ充分」ということができないかということにつきまして、それはその合致しない差額の程度がどの程度であるかということによつて、判断しなければなりません。かように申し上げたのでございます。二銭一厘でも違えば、「必要且つ充分」という言葉そのものに合致しないかどうかということについては、これは疑問がありますから、そういう一銭一厘違えば「必要且つ充分」ということができないという前提ならば、そういう場合には「必要且つ充分」という言葉は形容詞になると思います。すなわち特にそれで支障を来さないという程度の「必要且つ充分」であるという意味でございます。
  76. 立花敏男

    立花委員 一銭一厘というような計算は、おそらく国家財政の計算にはないと思いますので、そういうことはもちろん常識外の御答弁だと思う。それよりも実質的に「必要且つ充分」という言葉が、どういう拘束力を持つているか。たとえば政府が、あるいは地方財政委員会が総額をお見積りになる場合、あるいは交付なさる場合、どういう実質的な拘束力を持つているのか。あるいは国会が政策委員会出しましたものに基いて審議いたします場合に、国会に対してどれだけの拘束力を持つているか。この点をはつきりしておいていただきたいと思います。單に形容詞であるか。実質的にどういう拘束力を持つているか。これをはつきりしていただきませんと、一銭一厘という問題ではありませんので、そういう実際の行政をおやりになる場合の、この言葉の持つている効果をお尋ねしておきたい。
  77. 本多市郎

    ○本多国務大臣 平衡交付金算定の方法は、「必要且つ充分」ということを目標に、各條文の條項によつて算定せられます。その算定せられた金額をもつて、「必要且つ充分」と言い表わしているわけでございます。
  78. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、それと異なつた金額が国の予算できめられます場合は、この法文は訂正されなければいけないのかどうか。その点をひとつ承つておきたいと思います。あるいは不足の部分は、追つて措置をしなければいけないのかどうか。その点をひとつ伺いたいと思います。
  79. 本多市郎

    ○本多国務大臣 国会政府原案の平衡交付金予算が増額される場合、あるいは減額される場合があるでありましよう。その場合国会におきましてその減額、増額された修正の金額が、「必要且つ充分」な額と認められたものと考えます。
  80. 立花敏男

    立花委員 それから特別平衡交付金の問題でございますが、特別平衡交付金につきましては、あまり今まで触れられておりません。と申しますのは、配分の基準もわかりませんし、それが足りなくなつた場合にはどうするかということもわかりませんし、どういうふうにして出すのかということもわかりませんので、こういう点をはつきりしておきませんと、百五十億という金の使途が、まつたくわからないということになるのでございますから、この点を具体的に御説明願いたいと思います。たとえば特別の需要と申しましても、これは一箇年を通じて見ませんと、国家全体で、一万の町村でどれだけの特別の需要が起るかということがわからないはずであり、これをどういう基準に従つて、どういう順序で渡して行くか、あるいはそれが足りなくなつた場合にはどうするかということを、はつきりしていただきたい。
  81. 本多市郎

    ○本多国務大臣 これはまことに困難なことでございまして、大体この一割秘度の特別交付金を保留しておきますことによつて、不慮の災害等によりました場合の財政調整に充てて行く、こういう次第でございまして、この平衡交付金を算定した後に生じた事情による、負担の増加の緩和に充てて行くのであります従つてあらかじめどこにどういうふうにやるかということはきめにくい問題でございます。
  82. 立花敏男

    立花委員 それでは困ると思うのです。そうすると先にとつたら得だということにたりまして、あとの方で災害が起りましても、なくなつた場合にはもらえないということになる。そういうでたらめなことでは困るので、はつきりしていただきたい。
  83. 本多市郎

    ○本多国務大臣 これはお話の通り、年間を通じて、総合的に計算しなければならぬと思います。従つて一月までに起きました事情について算定をいたしまして、二月に交付いたします。さらに二月、三月分については、次年度にまた持ち越すということになります。
  84. 立花敏男

    立花委員 その基準はどうなのでございますか。交付の基準は何もきまつていないのですか。
  85. 荻田保

    ○荻田政府委員 これは非常にいろいろな事情がございますから、法律でもちましてそれをきめてしまうことはできません。従つて法律では「測定單位によつては捕そくし難い特別の財政需要」これが一つ。もう一つは、その算定の期日後に生じた新たな財政需要、つまりたとえば災害など、こういう二つの大きな項目によりまして、交付することになります。
  86. 立花敏男

    立花委員 最後に一つ、これは暫定措置というふうに書いてありますが、二十六年度からはやらないのかどうか。それから提案理由の説明の中におきましては、特別交付金を設けるのは、初年度にあたつて十分な捕捉ができないから、暫定措置として特別交付金を置くということになつているのでありますが、今までの御説明によりますと、絶えずそういう突発事故がありますので、絶えず置かなければならない金になるのでありますから、ここに大きな矛盾があると思うのです。特別の問題はいつでも起りますし、それはいつの年も予測できないから、いつの年でも特別交付金を置かなければならないと思います。ここに政府の言つておられることと、御説明になつていることとに矛盾があると思いますので、はつきり御説明を願います。
  87. 本多市郎

    ○本多国務大臣 特別交付金の制度を、ただいま提案いたしておりますような形式で実行いたしますのは、二十五年、二十六年の暫定措置でございますが、そのような制度をその後もどういうふうに運営して行く方がいいかということにつきましては、その間に研究をいたしまして、恒久的な制度をさらに続けて立てたいという趣旨でございます。     〔生田委員長代理退席、委員長着席〕 おそらく二十六年度以降におきましても、平衡交付金を算定いたしました後における事情によりまして、そうした特別交付金のような制度による、やむを得ざる調整の必要があることと存じますので、その後の制度につきましては、その後に決定をいたしたい。とりあえず二十五年度、二十六年度は、そうした制度に対応する制度として、そのような方法で行きたいという趣旨でございます。
  88. 立花敏男

    立花委員 これは非常にあいまいでございまして、これは私どもに言わせますと、配付の基準もわからなければ、説明の趣旨も食い違つておりますし、政府並びに自由党の機密費のようにも考えられますが、そいつたことにお使いになるのではありませんか。その点をお伺いしたい。
  89. 本多市郎

    ○本多国務大臣 自由党の機密費ではございません。
  90. 大矢省三

    大矢委員 時間が迫つておりますから、ごく簡單に私から質問申し上げたいと思います。私はこの説明があつた直後に、この法文の中にしばしば表われておる「規則」という文字、大体草案でもけつこうだから出してもらいたい、こう申したのであります。最も重要文補正、あるいはまた市町村長が資料を提出するということを、規則で定める。こういう場合にいかなるりつぱな法律ができましても、その運営の基礎となるべき規則が、大体アウト・ラインだけでも出ていなければ、この法律はどういうように運営されるかわからぬから、非常に危険であります。それを私劈頭に資料としてお願いしたのですが、いまだに出てないようでありますが、しかし答弁を聞いておりますと、自主的な民主的に選ばれた委員会意思というものを尊重する。しかもそこがこしらえるのだから、信用してもらいたいということでありますが、今までに法文の中で、この委員会を時に尊重するという法律の字句まで入れてあるにかかわらず、その委員会意思がしばしば無視されておる。これの一番いい例は人事院の問題、人事院の意見は尊重すると書きながら、しばしば無視されておる。しばしば尊重されておらない。もちろん占領下にあつて、なかなか困難な事情もよくわかつておりますが、しかしもしそういう事情があるならば、法律の中にそういう字句を規定しておりながら尊重しないということは、法の権威にかかわる。法に対する遵法精神が人民になくなるということを非常に憂うるのであります。この法案のねらいとするところは、説明にもありますように、配付税にかわるべきものであると同時に、努めて地方自治団体の先ほど問題になつた「必要且つ充分」なるということでありますが、この大臣の説明によりますると、そういう抽象的な言葉じやなく「豊富潤沢なる」と第一に述べてある。「豊富潤沢なる」ということは、この「必要且つ充分」というような抽象的なことじやない。これをやろう。従つてこれはもらうことであるから、地方は喜ぶに違いない。できるだけ早く私たちも通したい。しかしその内容を見ますと、実にわれわれは安心できない。はたして大臣の説明の通りに実現をするかどうかということは、はなはだ疑わしいのであります。私はごく簡單に、法文に表われたその字句について、あるいはわれわれの解釈について申し上げたいのであります。第三條でありますが、第三項に「常に各地方団体財政状況の的確なは握に努め、」的確な把握に努めてこそ、初めて公平にやり得るのでありまして、これは最む重要なことである。ところが委員会の構成というものは、ごく少数の人員しかない。さらに加えてこの重要な五人の委員は、非常勤であります。自治庁が今日まで、従来内務省があれだけの手を打つてもなかなか手が届かないで、完全に把握することができないにかかわらず、この法案の三條には、自治の実情を完全に把握することに努めて公平にやるということでありますが、この委員会の構成、委員長の非常勤、こういうことでありますが、この委員会の構成、委員長の非常動、こういうことから考えて、それが完全に行われるかどうか。結局は空文に終つて、実質は先ほど来しばしば問題になりましたように、いわゆる官僚が支配して、結局は表面だけをそういう形式を整えるだけにすぎないじやないか、こう思いますが、構成並びに委員の非常勤、この数において、地方治体の財政をはたして完全把握することができる自信があるかどうかということを、まずお聞きしたい。
  91. 本多市郎

    ○本多国務大臣 前段の御質問でございますが、しばしば委員会等の意見が、政府意思によつて曲げられる場合があるというお話でございますが、これは平衡交付金の法律で定めてある場合の事項を政令等でやりますと、まさにその通りになるおそれがございますので、実は法律もしくは地方自治委員会の規則、かようにいたした次第でございまして、地方自治委員会法律の定める権限に基きまして、立法行為を自主的にできるという精神でございまして、そのできる範囲内においては、政府が尊重するもしないもないのでございます。勧告とかいうような場合に、政府がそれに反対の場合には、これは国会までかかるのでございますけれども、自主的に立法のできる範囲内におきましては、規則はまつたく私は、政府の圧迫とか、国の意思の圧迫により曲げられるということがないように、自主的に運営できるものだと考えております。  さらに委員構成の問題でございましたが、これはお話によりますと、非常勤というように解釈していられるようでありますが、実は常勤であります。ただ特別職である点において、一般公務員と違うだけでございまして、常勤の特別職であります。五名をもつて、全国の市町村財政状況をことごとく自分で把握できるか。これはどういう場合でも、責任者はそういう立場に立つのでございますが、スタップの問題でございまして、ただいまも御説明申し上げましたように、専門的な職員を相当数置くことによりまして、それを通じて十分調査はでき得ると考えております。
  92. 大矢省三

    大矢委員 相当数の専門者を置くということでありますが、私ども参考資料から見ると、二十五人くらいである。参考書類に明らかに非常勤と書いてある。今常勤であるということであるが、市町村代表でありますから、市町村の現職にある者が選ばれて来るものと見なければならない。その人が常勤をやつて、それで市町村の代表が務まるかどうか。どこからか修正意見が出ておつたようでありますが、はたしてそういう常勤ができるか。非常に人が少い。それからいわゆる勧告を無視しないということを申し上げましたが、第六條に「翌年度における交付金の総額を算定し、これを国の予算に計上するように内閣に勧告しなければならない。」内閣に勧告するところが内閣がこれに応じなかつた場合には、それと同時に同じものを国会に内閣を通じて出すというのであるから、出したからといつて、そういうことを聞かれるとは限らない。なぜ私がこういうことを言うかというと、今までの運営方法が、そうでないからである。従つてこれは勧告ということがあつても、結局は聞き及ぶ。それによつてかわつたことをなし得ないものという今日までの想像で、特に劈頭それを申し上げた。それではそうしますと言えばそれまでのことでありまして、今後の運営いかんによるのでありまして、これ以上言いません。  次に先ほども問題になつ地方自治権というものを非常に尊重するといつておきながら、ここには特に六大都市をのけた地方市町村に向つては、知事が審査権を持つておる。これは第五條でありまするが、「都道府県知事は、前項の規定により提出された資料を審査し、意見をつけて委員会に送付しなければならない。」こういうことである。そうすると市町村は直接委員会でなくて、都道府県知事に向つてこれを提出し、審査してもらつて、さらにその上に委員会で審査してもらう。これまた審査でありますから、更正することもできる。むしろそれに対しては更正する意見を加え、市町村に通知しなければならないと書いてありますが、事務的の権限は必要かもしれぬが、こういつた知事にどうして一体こんな権限を與え、複雑な審査までして、審査の変更の更正権まで與えるということは、それがはたして先ほど言つた地方自治体の尊重であるか。ほんとうの地方自治権を尊重しておるゆえんのものかどうか。こういうことを地方自治のためにはなはだ遺憾に思うのでありますが、どういう事情からそうしなければならぬのであるか。もちろん最近の府県知事は公選によるのでありますから、それは前とは違うというような考えを持つておられるかもしれませんが、しかしながら二重監督を受けるということには間違いありません。そういうことで私はぜひともこういうことは、今後においても廃すべきだと考えております。特に審査権、更正権、さらにこれに対してこういう市町村に向つて、二重監督の支配をやるということについての政府考え方、また実情を私はお聞きしたいと思います。
  93. 本多市郎

    ○本多国務大臣 地方財政委員会の職員数は、百名を越えます。それからどういうわけで指示をして、第一段階において資料の収集機関に用いるかという点でありますが、支配するというようなことでありますと、まことに弊害がございますけれども、全国の市町村の数は一万を越えますので、直接これの資料を集めますということも容易でありませんので、一旦知事のところでまとめてもらつて地方財政委員会に提出をする。その際知事があやまちであるというようなことを発見いたしましたときには、一応下見をして、意見を付してもらうというわけでございまして、決して知事が数字などを更正するとか、変更するとかいう権限を持つておるわけではないのです。
  94. 大矢省三

    大矢委員 それでは今の答弁のように、ただ單に事務的に扱う、それから事務的な間違いについて訂正するのであつて、決してそういう支配とか、あるいはまた監督とか、その委員会で更正するような意味ではないというように私ども了解し、解釈いたします。  その次に先ほど申しました内閣に対して勧告するということでありますが、これは勧告でありますから、もちろんそう強制力は持つておらないと考えます。あるいは特にそうした委員会の性質上、当然尊重すべきだというのでありますから、相当に重要に扱われると思いますが、先ほど申しましたように、今までの取扱いから行きますと、しばしば蹂躪されておるのでありまして、その点は特にこの法案の性質、しかも非常に利害関係の大きい財政の問題でありますから、特に私はこの法文の精神を、あるいは大臣の説明を生かすためにも、これを十分に運営の上において考慮されたいということを申し上げたいのであります。  それから次に第五條でありますが、先ほども申しました市町村長は規則で定めるところにより、これを都道府県知事に届けなければならぬ。あるいはまた、ただいま申しました都道府県知事、特別市の市長は、規則によつて資料を提出しなければならぬ。この提出の時期は、まだ規則がないからこれ以上申しませんが、これをいつごろまでに提出しろという規則をつくる場合、自治庁の方はその期間をどれくらいと見ておるか、御説明願いたい。というのは、算定を四月一日ということにしております。四月一日を算定の基礎とするということは、あとで法律に出ておりますが、その資料の出る期間をどのくらいと見ておられるか。これは規則がないのですが、その点を一応お伺いいたします。
  95. 荻田保

    ○荻田政府委員 これは一年に大体二回になると思います。と申しますのは、前年度におきまして、国の予算をつくります前の資料でありまして、こういうものはきわめて簡單なものになつておるのであります。それから第二は、実際の交付にあたりましての資料でありますが、これは大体四月一日で交付いたしますが、前年度の決算等が相当重要になりますので、やはり五月の出納閉鎖期を過ぎてからでなければできないと思います。それ以後におきまして、八月ごろに大体の決定をいたしたいと考えておりますので、大体その時期くらいまでに資料の提出を求めることに相なると思います。
  96. 大矢省三

    大矢委員 たいてい地方自治体では、年度がわりは四月でありますから、十二月から三月にかけて地方議会が開かれるのです。そこで予算を編成する。その予算の編成にあたつて、交付金をどの程度に算定するかということが重要であります。これは前年度に比べてやるのでありますが、最近のような変動の多いときには、これは非常に困難なことで、勢い向うとすればつとめて大きい数を希望し、あるいは予算もそういうようなことを考慮に入れて編成する。そのために実際問題として、確実な予算を把握するのに困難なのではないか。特に四月の一日を基礎として、来年八月三十一日以降にこれを支給することは、実際問題として地方議会なり、あるいは予算の上で非常に困るのではないか。今年は暫定措置としてどういうことを行うお考えであるか。特に前年度に残る配付税の三百億というようなものも、何らかの御考慮があるかということをどなたか御質問がありましたが、そういうことでこの期日というものは、地方議会運営にどういう影響があるかどいうことを考慮に入れられたかどうか。それをひとつお聞きしたいと思います。
  97. 荻田保

    ○荻田政府委員 この点も先ほどお答えしたのでありますが、正確に計算いたしますと、今申したような手続で、当該年度の七月以降になると思います。しかしながらその前に国の予算編成にあたりまして、総額を決定いたします場合は、この測定單位、これに対します補正係数、それから單位費用というものがきまるのでありますから、これがこの法律にもございますように、一般に公表されます。従つてその地方公共団体におきましては、それぞれそれによりまして自分のもらえる交付金の額というものは、大体十二月ごろまでにはきまるわけであります。従いまして地方団体が翌年度の予算を編成いたします場合には、その額を平衡交付金として計上することができますから、その数字もおそらく実際に決定いたしますのと、そう狂いのないものだと考えられます。予算の編成執行にさしさわりはないと考えております。
  98. 大矢省三

    大矢委員 時間がないからごく簡單にしておきますが、いろいろ交付金の基準を定めるにあたりまして、税収入を百分の七十と押えておる。これは大体の平均をとられてこういうことをしたと想像するのですが、もしこれが非常にまじめにこの税率だけをとろうとする町村があつて、これ以上率を多く徴収した場合には、すなわち交付金が少なくなる。結局そういう全体のバランスから、収入と支出とのその差額について出すということになりますから、そういうことになりますと、非常に困難な事情もございましようけれども、いわゆる税の七〇%までとらなかつたところにはよけい行くという、非常に矛盾した結果になることを危惧するのですが、その点はないか。そうしてどうしてこれを七〇%に押えたかという理由を伺いたいと思います。
  99. 本多市郎

    ○本多国務大臣 税率の七〇%で基準財政収入額を算定し、これをもつて平衡交付金算定の基礎にしております趣旨は、実はそこに三割というものの余裕を残しておきまして、これによつて地方の徴税意欲を考慮いたしたわけでございます。本来ならば徴税額の一〇〇%をもつてやることが、ちようど一致するわけでありますけれども、そこに自分のところでまじめに税金をとれば、平衡交付金以外にそれだけ財源がふえるという面で、三割の余裕を残してある。かように考えていただけば御了解願えると思います。
  100. 大矢省三

    大矢委員 それはよくわかります。それではもし百分の七十以上にとつて、そこに財政はよくなると言いますけれども、それだけに収入が多くなつてのでありまするから、交付金を算定する場合に収入がそれだけふえておる。勢い率としては少なくなる。それとは関係ないことなんです。これはいかによけいとつても七十と押えるのだ、その差額をわたすのだということならばわかりますが、しかし明らかに収入ということが算定の基礎に書いてあります。勢いそれが幾らとられたか、税収入が幾らあつたかということは、必ずそこに数字的に現われて参りますから、勢い七十以上とれまい。とれば結局それだけよけい平衡交付金を減らされる。結局住民が困るということになりますから、私はそういうことをせずして、それによらずに交付金を出すということならば、それはあえてさしつかえないが、そのことは間違いありませんかどうか。
  101. 荻田保

    ○荻田政府委員 そうです。
  102. 大矢省三

    大矢委員 それからもう最後ですが、この点は実に今度の法律の妙味のあるところで、もし不服があつた場合には、申し出たら聽聞をやる。ところがここでいつ聞いてもその通りなんですが、一体政府が認めておらなければ、さして聞きもしない。これは私はこのまま適用されるとは思いませんけれども、一体自分が判決したものが間違つたら取消しますという、こういう聽聞の制度というものはありません。これは特別の機関がそういう聽聞をして、公平な立場に立つて判断するならば、この制度というものは非常にいいのです。しかし聽聞の結果、申出に正当な理由があつたと認めるときは、この決定の処分を取消す。だれが悪かつたということを認めるか。自分のやつたことが悪かつたと認めるものはない。この規定をほんとうに有効に活用しようとするならば、特別な機関を設けて、ごく三者的な公平な意見、なるほど委員会決定にはむりがあつたということを、何らとらわれない立場に立つてこれを聞いて、正統なりと認めるとか認めないとかいうことを決定するならばいいが、委員会が自分で決定しておいて、また認めるということは、自分が間違つたことをやりますということを前提に、こういう規則ができたのではないかということまで考えられるので、これらの制度というものに対しては私は反対であります。もしこれを徹底してやるならば、委員会にあらざる他の部門でもつてこれを聽聞し、正当な理由があつたと認めた場合はこれをやる。自分でやつたことを正当でないと認めるということは、なかなか困難です。これはひとつそういうことは別な機関でやるか、あるいは委員会異議の申立てがあつたときにやる。それからこの制度で市町村長もみな異議があつたときは、聽聞をやります。これははたしてやれるのかどうか。やれぬから、先ほど申しましたように、地方都道府県知事に委任したんだと言いながら、これだけは大いに直接やると言う。やるのが今申しました間違つた本人がやつてそれを改める、こういう非常に、こつけいなことでありますが、これもはたしてどういうことになるのか、一応お聞きしておきたいと思います。私はこれをもつて終りますが、なおこのことは重要でありますから、この運営について特にお聞きしたい。
  103. 本多市郎

    ○本多国務大臣 まことにごもつともな御意見であると思いますが、多くは係数等の誤りを是正する場合が多かろうと存じます。事が判明いたしましたならば、しかもそれが公開の席上において判明いたしましたならば、必ず財政委員会において自分のやつたあやまちであつても是正されるであろうと期待している次第でございます。さらに特にこれに対しまして、別に機関を設けるというようなことも考えられるのでございまするけれども、問題がたいていの場合係数に属することでございますので、おのずから判明する場合が多いと存じますので、機構簡素化の趣旨からも、かような制度をもつてつてみたいと考えておる次第でございます。
  104. 大矢省三

    大矢委員 大体答弁を聞きまして、私が劈頭申し上げましたように、これは運営いかんにあるのでありますから、事経済上に関することは、神方自治財政に非常な影響もあり、神経もおのずから過敏になつて参りましようし、そのことの取扱いいかんによつては、地方発展の上に非常な大きな影響があることは申すまでもない。大臣の御説明の通りであります。これはぜひともひとつ運営にあたつて、あるいは規則をつくるにあたつては、長い間自治関係されている自治庁のごときは、従来の弊害を繰返さないように特に私はお願いして、規約の点は出ておらないということはやむを得ないが、そのことを強く申しまして、私の質問を打切ることにします。
  105. 塚田十一郎

    ○塚田委員 たいへん時間が過ぎておりまするのに、野党の皆さん方に御迷惑かと存じますが、若干時間をおかしいただきたいと思います。もう大体野党の各位から質疑が出まして、ほとんど重要な点は行われておりますので、重複点は全部避けまして、まず第一にお尋ねいたしたいのは、今度のこの地方財政干衡交付金というものと、昭和二十五年度のこの予算に載つておる千五十億というもの、この千五十億がこの法律によつてできたものだというように解されては、われわれは非常に困ると思うのでありまして、少くともこの千五十億の税率施行までの段階、つまりこの地方財政平衡交付金法の予算に計上にする額が出て来るまでの段階は、この法律によつておらないんだということを、私は明らかにしておいていただく必要があるのではないか。つまり附則におきまして、二十五年度の分についてはこれとこれとこれの分は適用を受けておらぬのだ、こういうようにわれわれは書いてもらわないと困るのでありますが、その点はどういうようにお考えでありますか。
  106. 本多市郎

    ○本多国務大臣 誤解があります点は、まことにその通りでありまして、この点は明らかにしておかなければならぬと存じます。これは財政計画の面から出た平衡交付金の額でございまして、その意味はもし千五十億というものが交付されなかつたならば、収入額と需要額の差、すなわち需要額の予算の不足は、千五十億になるという数字であります。でありますから平衡交付金の算定方法によつて出した場合、大体においてこれと一致しなければならぬという性質を持つておるわけであります。総額においてはそういう意味でございまして、この平衡交付金の制定前に、平衡交付金によつて算定もできるわけでもありませんので、お話の通りこれは平衡交付金法によつて出した金額ではございません。
  107. 塚田十一郎

    ○塚田委員 これは本来ならば、附則にそういうように書いていただきたいのでありますけれども、大臣の御釈明がありますから、これはそういうふうに了承いたしておきます。  次に千五十億という数字の出た根拠を、いろいろ他の委員からの質問で、当局が御説明になつておるのを承つて、どうもあれは国全体を見ておつて、ずつと去年よりこれくらい地方財政の予算がふえれば、大体必要が満たされるのだという頭から、あの数字が出ているように思う。ところが実際にこの法律の運用によりまして、七〇%を財政収入基準のところに押えておられるので、そういたしますと今度の地方税法のぐあいでもつて、おそらく七〇%までとれば十分な府県もしくは市町村が出て来るのじやないか。そうするとそういうところは結局標準税率までとらないだろう。またとらないようになることをわれわれは希望しておるのですが、そうすると国全体の平均の頭で考えられておつて、これくらい今度の税法でふえるのだから、これくらい平衡交付金をやれば、国全体の地方財政の向上が得られるというようにお考えなつたのか。実際徴税の上になりますと、これは大分狂いが出て来るのではないかという感じをするのであります。標準税率でもつて平均してこれくらいという概算を立てておられて、実際は今度七〇%ということになつて、現実の徴収が七〇%となつていつた場合に、結局とらない府県なり市町村で収入減をしました分が、やはりどこかにそれがかぶさつてつて、それだけどこかが少くなるのではないか、こういうふうに感じるのですが、これは現実に積み上げられて行つたものであると、私どもはそういう感じを持たないのであります。その辺はどういうぐあいにお考えになりますか。
  108. 本多市郎

    ○本多国務大臣 政府委員から補足さしたいと思いますが、その点は全国標準税率の七〇%で算定をいたします。そうして今度は財政需要額の点におきましても、やはり補助金、手数料等による部分を除いて、さらにあとの分の七〇%を財政需要額として算定いたします。七〇%を基準財政収入においても基準財政需要においても押えて、その差額を補填するというようなことでありますけれども、それはその差額を算定することによつて、この各地方団体に対する交付の基準が出るわけであります。その基準に基いて按分する次第でございます。でありますから、財政計画において、その規模の財政計画をやるとすれば、幾ら財政的欠陥があるという金額を按分することによつて、不足額が補填される、こういうふうに見て行くわけでありますが、なお政府委員からもう少し詳しく御説明申し上げます。
  109. 荻田保

    ○荻田政府委員 確かにおつしやいましたように、本年度に限りまして、先に総額がきまりまして、あとからその算定の方法を規則等で書くことになりますので、そういうことを御質問にたりますのも、ごもつともだと思います。従いまして率直に申し上げますれば、この千五十億をもちましてこの法案を運用——初めに千五十億がなかつたと仮定いたしまして、下から計算いたしまして、出した額が千五十億になるように、あとの規則等をつくるというふうな運用に実際問題としてはなると思います。第二に、七〇%でありまするが、しかしそれはあくまでもほんとうに最低の経費でございますから、七〇%ではなかなかやつて行けないと思いまして、やはり標準税率を持ちました額だけは大体とらなければ、やつて行けないものだと考えております。それからなおでこぼこがあつて、他のところでとり足らないところは、結局ほかに移つて、ほかの負担になるということも、ごもつともな御心配だと思いますが、それは結局各団体の財政需要にぴつたり合うように、今後の配分の規則等をつくらなければならないという問題になると思いますが、またそのようになるように規則等をつくつて運用したいと思います。
  110. 塚田十一郎

    ○塚田委員 まだ十分のみ込めないのでありますが、この程度にいたしておきまして、次に第三條四項に、使途の制限をしてはならないという規定があるのですが、そういたしますと、この財政需要を計算するときに、十二條で計算をして、たとえば土木費のいち道路費に幾ら、また教育費のうち小学校費に幾らというふうにして出て来て、その合計で出来たものを、実際に今度もらつた交付金その他の収入でもつて市町村がそれぞれの費目に計算したときに出たように支出しないでもいいのか。もつと極端に言いますれば、土木費のうちで、道路費にもらつた費用を、道路費に全然出さないでもさしつかえないのかどうか、その辺を……。
  111. 本多市郎

    ○本多国務大臣 道路費に全然出さないでもと言われますと、そうは行かぬと思いますけれども、この某準財政需要額の平衡交付金法による算定には、全然とらわれないでいい趣旨でございます。まつたく自由に、最も重点的にこの予算を使つてさしつかえないということであります。
  112. 塚田十一郎

    ○塚田委員 次に、しばしば同僚委員から問題になりました「必要且つ充分な額」という言葉でありますが、私はおそらくこの平衡交付金の問題をめぐつて、将来の国会において最も論争になるのは、この三條の表現をめぐつてだと考えるのであります。必ず與党と野党の間、もしくは地方財政と国家財政との間に、一方はこれで充分でない、一方は充分だといつて、必ず問題を起すと思うのであります。先般来政府当局の御説明を伺つておりますと、これはなるほど、私もよく考えてみたら、充分という字は、これは非常に微妙な字で、どつちにでも考えられる。今日本の経済状態もしくは国力がこれくらいしかないのだから、これでたくさんだ、お前これでしんぼうして、おけ、これで充分だという意味の充分ならば、政府のおつしやるように、まさにこれは「必要且つ充分」ということになるのですが、ほんとうに地方財政の苦しい状態というものを客観的に見て、この状態においてはこれくらいはやらなければならない、これくらいは必要だし、これだけあれば充分だという意味に行くと、おそらくそういうぐあいに出て来たものが勧告になつて、また政府がどうでも自由にできるという考え方からすると、ぶつかる。これはどんなに御説明になつても、必ずぶつかる。だから私は、こんなに「必要且つ充分な額」をやるのだなどとおつしやらずに、いつそのことはつきりと、必要であり、かつ適当であると思う額までならやるというようにお直しになつた方が、これは議論のできる余地を残して置かれて、非常にいいのだと、こういうように思うのですが、この点どういうお考えか……。
  113. 本多市郎

    ○本多国務大臣 これはただ表現の相違にすぎないと思います。充分な額ということと、適当な額ということは、全然内容は同じであり、ただ表現の仕方が違うだけで、充分でない額は不充分な額でありまして、不充分な額は適当な額でないと考えます。表現の相違であると考えます。
  114. 塚田十一郎

    ○塚田委員 まあこれはその辺にいたしておきまして、次に、補正係数の問題でありますが、実際私どもは、ただこれだけの法律案をいただいて、まだ資料ができないとおつしやられたのでは、この法律案を安心して通すわけには行かぬのであります。ただ時期が迫つておりますので、やむを得ずこれは通さざるを得ないと思つておるのでありますが、せめて第十三條の第四号にあります寒冷度及び積雪度——これは私は、寒冷地帯、積雲地帯の人間でありますので、この補正係数が、この前の費目、たとえば道府県の費目にどういうふうに——どの費目には、この積雪度もしくは寒冷度というものが影響するのだというようにお考えになつているのか。それともこれは全部の費目にやつぱり影響するのだというようにお考えになつておるのか。その点をひとつ……
  115. 荻田保

    ○荻田政府委員 建前といたしましては、全部に一律に適用するという考えでございます。それぞれの費目につきましての係数を出したと思います。しかし大体全般的に見まして、四号の補正方法によるこれは、おそらく大部分のものに適用しなければならないと思います。御承知のように使途に対しましては、必ず寒冷地手当でございますとか、石炭手当というようなものがついておるのでありますから、使途のある限りにおきましては、必ず差等がなければならないと思います。物件費等におきましても、必ず寒冷地方におきましては、それだけ経費がかさみますから、大部分のものにつきまして、率は違いますけれども、適用になるものだと考えております。
  116. 塚田十一郎

    ○塚田委員 それからまことにうかつな質問をいたしますが、その次の五号の「面積、河川の延長その他測定單位の基礎をなすものの種別」というものが、補正係数になると書いてあるのですが、よく意味がのみ込めないので、それをひとつ御説明願います。
  117. 荻田保

    ○荻田政府委員 非常にまずい表現でございまして、御迷惑をかけます。が、たとえば道路の面積なら面積で、それにつきまして、国道と府県道と市町村道との数値をかえるとか、それからたとえば一般の面積でございまするが、その中で山林と田畑と宅地をかえるとか、そういつた意味でございます。
  118. 塚田十一郎

    ○塚田委員 次にお尋ねしたいのは、第十五條二項の基準税率でありますが、ここには基準税率というのは、標準税率の七〇%だというふうに響いておられて、しかしその標準税率は、地方税法の第一條第一項第五号にいう標準税率だと書いておられる。ところが第一條第五号を読んでみると、あそこには、標準税率の定義は書いてあるけれども、別に標準税率幾らということが書いてない。幾らと書いてないものの百分の七十というものが、何か数字で出て来るとは私には思えない。ところがここは基準税率の定義を書いたものではなしに、おそらくわれわれはここで引用した数字がすぐにある税率の七〇%、従つてそれは幾らというように出て来なければならないのじやないかと思うのですが、その点どういうようにお考えになつておりますか。
  119. 荻田保

    ○荻田政府委員 地方税法によりまして、確かに第一條第一項第五号では、單に抽象的に標準税率の定義を出しておるだけでございます。個々の税につきましての標準税率は、それぞれの税の箇所に書いてございますから、それの百分の七十ということでございます。たとえば附加価値税でございましたら、百分の四の七〇%、それがここにいう基準税率に相なるわけでございます。
  120. 塚田十一郎

    ○塚田委員 それは常識的には、そうならなければならぬし、そうなるのですが、この表現でそういうように法律的にとつて行けるかどうかということを、私は非常に疑う。第一條第一項第五号は、定義を書いただけのものですから、何もそこに税率のないものの百分の七十というものは、一向に具体的に数字で出て来ない。むしろ個々の、附加価値税なら附加価値税の標準税率をきめたものをここで引用して来られないと、私は法律にならないのじやないかと思うのですが、その点はどうでございますか。
  121. 荻田保

    ○荻田政府委員 標準税率の百分の七十とただ言いますと、かえつてわかることになるのかと思いますが、それを念を入れまして、標準税率とは地方税法で言つておりますところの標準税率であるということを言つた場合でございまして、むしろこれによつて大体正確に表現できるのじやないかと考えております。
  122. 塚田十一郎

    ○塚田委員 次にお尋ねいたしたいのは、特別交付金でありますが、まあ一割——ただいま共産党の諸君から、自由党の機密費に頂戴した一割でありますが、この分配の仕方が、第十二條の測定單位によつて捕捉しがたい特別の財政需要があること、交付金の額の算定期日後に生じた災害等のため特別の需要があること、その他特別の事情があることによつて、交付金の額が財政需要に比して過少であると認められる地方団体に対して、これはやるんだ。そうすると、ここに書いてある事情がないと、一割は結局頂戴せずに済むということになるのかどうか。もしそういう事情がどこにもでなかつたら、これは当初わけたような比率で、またおわけくださるのかどうか。これはよほどしつかりおきめ願つておかないと、一割を抜いて十分だとお考えになつてつて、それはこの上にさらにプラスにやるのだ、ことに災害のために出て来るのだというようなことであれば、その災害ももちろん平均して毎年出て来るものを頭に置いてあるから、これで十分なんだとおつしやれば別だが、私はこの特別の交付金というものは、普通の、平衡交付金本来の性質のものの上に出ていないとならぬのだと思うのですが、そうすれば、そういう事情が生じなければ、翌年持ち越しで、これはやらないで済むのだというようなこともあり得ると思うのですが、その点をどうお考えになつておるのですか。
  123. 荻田保

    ○荻田政府委員 この考えでは、との百分の十は一応基準財政需要の中と考えております。ただそれを計算する場合に、一割だけは、何と申しますか、予備金として残しておくという考えでございますから、これがわけないでそのまま済むというようなことは、全然予想しておりません。この額だけは必ず当該年度において交付されるものと予想しております。
  124. 塚田十一郎

    ○塚田委員 そう予想しておられるのですが、それはどういうぐあいに——予想通り出て来なかつたときに、当初の比率でわけていただけるのだということなんですか。
  125. 荻田保

    ○荻田政府委員 今申しましたように、基準財政需要の中と考えておりますから、いわゆる特別の事情としてその中から出すものが、かりにこの百分の十に相当する額だけございませんでしたら、それは結局元の基準需要にもどして、かつこうは特別交付金でありますが、全体にわけることに相なると思います。
  126. 塚田十一郎

    ○塚田委員 これで終ります。     —————————————
  127. 中島守利

    中島委員長 この際お諮りいたします。理事補欠選任についてお諮りいたします。理事菅家喜六君及び川本末治君が、去る二十七日二十八日にそれぞれ委員辞任いたされ、欠員となつておりますので、これより理事補欠選任を行いたいと思いますが、これは投票手続を省略しまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 中島守利

    中島委員長 御異議なしと認め、指名いたします。   菅家 喜六君  川本 末治君  次にお諮りいたしまする小委員長選任についてであります。消防に関する小委員長及び競犬法案起草小委員長が、それぞれ委員辞任に伴い、欠員になつておりますので、これら小委員長の選任を行いたいと存じますが、これは委員長より指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 中島守利

    中島委員長 御異議なしと認めます。  消防に関する小委員長に           川本 末治君  競犬法案起草小委員長に           野村專太郎君を指名いたします。  次に請願小委員補欠選任についてお諮りいたします。すなわち川本末治君、菅家喜六君及び野村專太郎君の各委員辞任に伴い、欠員を生じておりますので、これよりその補欠選任を行いたいと思いますが、委員長より指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 中島守利

    中島委員長 御異議なしと認め   川本 末治君  菅家 喜六君   野村專太郎君以上指名いたします。  本日は質疑をこの程度にいたしておきまして、明日はなるべく簡單な質疑を許す程度にいたし、明日本案の終局まで行きたいと思います。明日は午前十時より委員会を開きます。  本日はこれで散会いたします。     午後五時二十八分散会