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1950-04-28 第7回国会 衆議院 地方行政委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十八日(金曜日)     午前十一時十分開議  出席委員    委員長 中島 守利君    理事 生田 和平君 理事 大泉 寛三君    理事 川西  清君 理事 野村專太郎君    理事 藤田 義光君 理事 久保田鶴松君    理事 立花 敏男君 理事 大石ヨシエ君       越智  茂君    河原伊三郎君       菅家 喜六君    黒澤富次郎君       小玉 治行君    高塩 三郎君       高橋 英吉君    塚田十一郎君       中川 俊思君    床次 徳二君       門司  亮君    池田 峯雄君       内藤 友明君  出席政府委員         総理府事務官         (地方自治庁財         政部財政課長) 奥野 誠亮君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 四月二十八日  委員越智茂君、川本末治君、清水逸平君、永田  節君、吉田吉太郎君及び井出一太郎君辞任につ  き、その補欠として高塩三郎君、黒澤富次郎君、  中川俊思君菅家喜六君、船越弘君及び内藤友  明君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  地方財政平衡交付金法案内閣提出第一八四  号)  消防法の一部を改正する法律案起草に関する件     —————————————
  2. 中島守利

    中島委員長 これより会議を開きます。  地方財政平衡交付金法案を議題として、質疑を続行いたします。床次君。
  3. 床次徳二

    床次委員 今回の平衡交付金法案交付額は、総額千五十億円になつておりますが、この法律におきまして、将来単位基準というものがきまつて来るようになつております。しかしながら本年度交付額算出について、まだ単位基準というものが出ておらないと思うのです。むしろ実態から申しますると、千五十億という予算総額から、逆にいろいろな単位が逆算されるのではないかというふうに、この資料を通じて私たち考えるのでありますが、政府の方はどういうふうにお考えになつておりますか。基礎数字が出て総額交付金額が出ておるのかどうか。この点を明らかに伺いまして、それから次に御質問申し上げたいと思います。
  4. 奥野誠亮

    奥野政府委員 本年度におきましては、お話通り下から積上げられた結果、算出さるべき平衡交付金総額が、上からきまつて来たという結果になつております。しからば上からきまつて来た千五十億という総額が、でたらめなものかといいますと、必ずしもそうではないというふうに考えておるのでございます。といいますのは、従来の地方財政計画ないし実績から見て参りますと、今体としてこの程度平衡交付金交付されれば、     〔委員長退席生田委員長代理着席地方財政はある程度改善されるというふうに考えておるわけであります。その数字はお手元に差上げてあります財政計画によつて、御判断願えるだろうと考えております。
  5. 床次徳二

    床次委員 次にお尋ねいたしたと思いますが、しからば今度の平衡交付金の、本年度交付額によつて逆算ざれたところの単位費用と申しますか、基礎と、従来支出せられました実績との比較において、どの程度数字の差があるのが。昨日の御説明の中におきまして、教育費につきまして、若干基礎単位が変更されておるかのように伺つたのでありますが、ほかの費目に対しましても、従来の補助金支給単位が、今度の交付金算出におきましては、多少基礎が変更されたものもあるかと思います。一通り費目につきまして、その比較につきまして御説明を承りたい。特に重要な問題は、教育費の問題がこれは大きいのでありますが、ほかの費目につきましても、過年度支出状態と本年度支出におきまして、いかなる差があるか。あるいはさらにもう一歩重ねて伺いたいことは、今後の理想といたしまする基準と、本年の基準数字の間に、ある程度の差があるかどうか。あるいは本年度のものが、将来の基準額として一応最善として考えておられるかどうか。その点につきまして、数学的に同じであるか。あるいは差があればどの程度の差があつたかということについて御説明をいただいて、なお詳しいことに対しましては、その比較をお知らせいただきたいと思います。
  6. 奥野誠亮

    奥野政府委員 地方税法の改正の際に申し上げましたように、昭和二十四年度昭和二十五年度との財政計画比較しておりますと、約六百三十五億円だけ財源が増額されるということになるわけでございます。しかしながら国の公共事業費計画が相当拡大されましたり、あるいはまた義務教育教員定数増加される計画になつておりましたり、あるいは新税制の実施の結果、徴税費を相当要するようになつたりします関係で、当然に約二百億円くらいの歳出の増加を来すわけでございます。従いまして経常的な経費におきまして、地方財政改善されるというものは、その差額の四百億円くらいであろうと考えておるわけでございます。しかしながら強制的な割当寄付として徴収されておりましたものの中で三百億円くらいのものが、地方公共団体の正当な財政支出に振りかえられるだろうというような考え方もいたしておりますので、そういたしますと百数十億円くらいの実質的な改善になる、かような見方をしておるわけであります。教員の問題につきましては、定数が先ほど申し上げましたような関係で増化されます以外には、特に教育費についてどれだけ増額するというような計画は持つてないわけでありますけれども、今申し上げました財源増強の線から、できる限り教育改善経費を見て行かなければならないのじやないかというふうに考えておるわけでございます。理想的な姿はどうかというお尋ねになりますと、これはやはり今後さらに精密な地方財政内容の検討をいたして参りませんと、どのようなところに最も改善の主眼を注ぐべきであるかどうかということが、判明して来ないのではないかと思つておるわけでございます。もとよりいかなる方法で金を投ずるかということも、地方団体にまかされるべきであろうと思いますが、計画といたしましても、さらに今後の精微な研究の結果を得て発表して参りたい。また国の計画もかようにして参りたいと考えております。
  7. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御説明によりますと、平衡交付金については、まつた本法趣旨による運営によつて算出されがたいということになります。当局においても予算を編成されたところの方針が、そのまま逆に平衡交付金交付基準になつて来ます。そこで個々内容になつて来ますと、全然ここにありますごとき公正な立場から単位測定して、それから積み上げて行くという形が、無視されることになるのではないか。これは明らかにその通りだと思うのでありますが、自治庁の方面におきまして、具体的に申しますと、教育費については、特にこれは重要視いたしたいと思いますが、過去の支出額本法による支出額、ただいま定数のことについてお話になりましたが、一人当り費用というものがはたして今後、昨年の支給額より今年はどれくらい改善を見るかどうか。その他の費目につきましても、そういう変化があるかどうかということを、明らかにしていただく必要があると思います。今資料がなければ次会でもけつこうでありますが、それをなされないと、地方のいろいろの支出につきまして、はたしてこれが改善されるものか。あるいは若干改悪されるかどうかという疑いが、依然としてこれははつきり解けないのであります。総額において増しておるからいいじやないかというお話でありますが、はたしていろいろの町村事業の中に、あるいは県の事業等において、これが規律がとれて行われておるかどうかということにつきましては、はつきりとした目安が立ち得ないと思うのでありますが、当局はいかように考えておられるか承りたいと思います。
  8. 奥野誠亮

    奥野政府委員 先ほど申し上げましたように、昭和二十五年度平衡交付金配分にあたりましては、一応実績というものを見ながら、千五十億円の平衡交付金、あるいは改善ざれた地方財源、そういうものとにらみ合せまして、個々基準財政需要額を定めて行かなければならないだろうと考えております。しかしながらそれは一応平衡交付金配分にあたりまして、個々地方団体財政需要額がどれくらいあるだろうかということを測定する、一つ目安にすぎないわけでございます。どの行政をいかに改善するかということは、国がこれを計画指導するというよりは、むしろその団体に與えられました財源を、その地方団体が欲する方向に使いまして、その団体の欲する方向において改善さるべきであるというふうに、われわれは考えておるわけでございます。しかしながら先ほども申し上げたわけでございますが、教員につきましては定数増加する。その範囲において、財政需要測定におきましても増額しなければならないと考えておるわけでございます。さらに個個の費目につきましては、昨日御説明申し上げました従来補助金として支出されておりました金額で、補助金が廃止になりまして地方一般財源に振りかわつたものがございます。それの二十四年度支出額と二十五年度予定額との差額を示しておりますが、その差額のふえております部分が、それだけ国としてはそれらの行政について、財源増加したいと考えておる部分だとお考えただげばよいのじやないだろうかと思つております。財政需要測定にあたりまして、やはり大きな部分を占めますのは教育費でございましたり、あるいは警察消防費等でございますので、ある程度給與費等につきましては正確な調査もあるわけでございますが、改善方向が割合にはつきりして参るのじやなかろうかというふうな見方をしておるわけであります。
  9. 床次徳二

    床次委員 ただいまの問題を重ねてお聞きするわけでありますが、予算総額におきまして本年度交付額がふえましても、その質において改善を見たかどうかということは、数字の上だけではわからないのでありまして、基礎単位が高くなつたかどうかによつてきまるのだと思います。すなわち学校の教育の問題になりまするならば、生徒の増加あるいは教員数増加によつて費用はもちろん増しておるのでありますから、費用が増したというだけでは、決して教育が充実されたということにはならないのでありまして、その単価上つたということが必要なんです。あるいは五十人当りの児童に対して先生のパーセントがふえたということは、実質の向上になりますが、そういう単位改善がはたしてどの程度に行われておるかということが、今日この法案においては明らかにならない。来年以後におきましては単位費用はつきり出て参りますから、はたして従来と比べてよくなつたか悪くなつたかということは、一目瞭然だと思う。しかし今年のこの案につきましては、過去の実績と今年の交付額との間において、はたしてよくなつたか悪くなつたかということは、われわれとしては審議ができないのです。しかし一番予算において大事なことは、これを審議することが目的である。本年度経過期でありますからやむを得ないといたしましても、少くとも本年の千五十億という予算によつて地方がよくなるか悪くなるかということの目安だけは、はつきり持つべきであると私ども考えております。当局において少くとも教育費は非常に大きな問題になつておりますから、はつきりとして、過去の実績と今年の計画との間に改善があるのかどうか。その間にいかなる影響があるかということを、これはあとでよろしゆうございますからお示しをいただきたい、その他の費目につきましても、変化のありましたもの、あるいは特に当局において充実を要すると認めて、費用をよけい計上されたものに対しまして、過年度との比較ができるものがありましたならば、その比較を示していただきたいと思うのであります。もとより毎年心々人口増加があるのでありますから、総額においてふえておることはあたりまえでありますが、単価内容において向上を示しておるというところを私たちは承りたい。今後の平衡交付金審議の重点は、当然毎年この単価の問題に集中されるものと思うのであります。どうかその点は十分なる資料を準備されて、納得の行く御説明をいただきたいと思うのであります。  次に伺いたいことは、教育費に対しましては、今後この平衡交付金をむつてまかなうように、政府としても考えておられるようでありますが、厚生省所管生活保護費については、平衡交付金の方に入れておらないのであります。これに対しましては調査会議その他の結論を待つて処置したいというふうにお考えのようでありますが、今日教育費生活保護費支給方法との間に取扱いに差をつけられたということは、いかなる理由で差をつけられたのか。その理由を御説明いただきたいと思います。
  10. 奥野誠亮

    奥野政府委員 床次さんの最初のお話は、たいへん基本的な問題でございますので、重ねてわれわれの考えておりますことを申し上げさせていただきたいのでございます。改善されるか改善されないかは、やはり一応本年度においては、地方財政の線がどのように増額になつておるかということで、御判断願うよりほかに方法がないのじやないだろうかと考えるわけでございます。と申しますのは、平衡交付金配分にあたりましては、制限をつけたり条件を付したりしてはならないというふうな考え方をしておるのでありまして、教育費についてはどういう単価を用いる、警察費についてはどういう単価を用いるというようなことをきめてはありますけれども、この結果測定されました個々団体平衡交付金の額は、これはいかような方向に使おうとも自由である。こういう建前をとつておるわけなのでございまして、従つて個々経費測定する仕方において、これはいろいろ議論があるだろうと思います。しかしながらその結果、全体として改善されるかどうかという問題は、個々測定単価の差異ではなしに、やはり全体としてながめていただくよりしかたがないのじやないかという考え方をしておるわけでございます。教育費につきまして、どれだけ改善されておるかという問題になりますと、さしあたつて考えられますのは、義務教育費国庫負担金関係で、従来の予定額が相当増額するような形になつておりまして、国の部分だげで二十七億あまり、従つてこれは二分の一でありますから五十五億くらいのものが、この面で改善されて行く。しかしその他の面につきましても、教育費のみならず、他の一般財源につきましてもかなり充実されておるわけでございますので、やはり改善するような方向において、単価をきめるべきであると考えております。しかしながらそれは他の費目の問題ともにらみ合わせまして、調和のとれた形において検討いたしたいと現在考えておるわけでございます。なお厚生省関係の従来の補助金が、相当たくさん残つておるわけでございます。これと教育費との関係もあるわけでございますけれども厚生省関係の、ことに衛生関係仕事というものは終戦後特に計画され、指導されて来た部分が非常に多いのでありまして、教育関係でありますと、従来から地方団体仕事になり切つておると考えられるわけでございますが、衛生関係仕事になりますと、まだ奨励の段階を必ずしも出てないのじやないだろうかというふうにも見られるわけでございまして、そういう意味でさしあたりは補助金として残されたわけでございます。しかしながらこれも床次さんの御指摘になりましたように、行政調査委員会での結論の出方によつて、適当な処置を将来において考えるべきであると存じております。
  11. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御説明の最後の部分についてでありますが、生活保護費のごときは、町村ではもうすでに長らくこれは取扱つておるのでありまして、相当取扱いは固定した仕事であります。これは義務教育費なんかよりも、むしろはつきりとした施行方法にわくがあるのであります。従つてこれは平衡交付金の中に入れましても、必ずしも不可能ではないような見方もできるのでありますが、ああいう多額のものが入らなかつた理由を、御説明いただきたいと思います。
  12. 奥野誠亮

    奥野政府委員 生活保護費の問題につきましては、床次さんのような御意見もまことにごもつともな御意見だと思うわけでございます。政府部内におきましても、この問題につきましては再三考え方が実はかわつてつておるようなわけでございます。ただ生活保護費は、従来はむしろ地方負担額が相当大きかつたわけでございますけれども、近来八割までは国が負担する。言いかえれば国がむしろ全面的にこ仕事についても責任を負うような形において、運営されて参つたわけでございます。そのような形において運営され出しましてからは、まだ時日が浅い。それではたしてこれを地方団体責任に全面的にほうりつぱなしで、円滑に運営できるだろうかという危惧を持たれる面もあつたわけであります。そういう意味でさしあたり一応国の負担金の形において存置して、将来検討してみたいというふうに、一つ懸案事項になつておるわけでございます。
  13. 床次徳二

    床次委員 交付金の額の問題につきましては、残念ながら奥野君とは意見が違うと思うのでありますが、私どもはもう平衡交付金において算出基礎になりました単位費用その他の基準というものが、将来はやはり地方の各種の事業を運営する場合の一つ基準、むしろ標準的なモデルになる数字というふうに考えておるのであります。従つていかなる数字によつてこれが算出されたかということは、直接ではありませんが、間接には地方団体当局がいろいろの事業をなす場合に、大きな一つの直接の制限にはならぬとは存じますが、しかしある程度までの基準になることは明らかであると思うのであります。従つて今後その単位費用算出本法で申しまするならば、十一条、十二条、十二条のこの問題が、一番地方財政中心になるべきであるというふうに私ども考えておるのであります。従つてただいまのような質問をいたしたわけでありますが、過去の政府がいろいろ地方団体補助金交付いたします場合におきまして、往々その交付の仕方が、公平であるかのごとくして、しかも不公平な結果に陥つたという事実があるわけであります。たとえて申しますならば、従来農地関係委員会に対しまして、一箇町村幾らという定額をどの町村にもわけておつた。ところが町村によりましては非常な大きな村もあるし、小さな村もある。従つて実際の負担の状況は、かなり不公平になつたという実績もあるわけでありまするが、今後の交付金交付におきましては、かかる不合理は、これは当然是正すべきものであるというふうに考えておるのであります。十二条以下にここにいろいろ測定単位がありまするが、測定単位決定方法におきまして、かかる不公平を生じないような配慮が、今日において必要であるというふうに私ども考えるのでありまして、本法による交付金以外に、一般政府補助金として今日残されておるものにつきましても、当然本法趣旨によつて不公平を是正する必要があると思いまするが、これに対してどういうふうに考えておられるか、承りたいと思います。
  14. 奥野誠亮

    奥野政府委員 補助金配分方法につきまして、不均衡な面が多々あるという御意見には、私もまつたく実は同感でございます。しかしながら今回の措置によりまして、相当多くの部分地方一般財源に振りかえられまして、残された補助金は、先ほど御指摘になりました生活保護費を抜きますと、あまり大きなものではないのではないだろうかというふうな見方をいたしておるのでありまして、もとよりそれらにつきましても、将来一層均衡のとれた配分方法が行われるように考えて行かなければなりませんけれども、むしろ残されたところは奨励的な補助金でございますので、必ずしもその団体財政需要にマッチしたかつこうにおいて配分される必要はない。むしろ財政需要にマッチされたかつこうにおいて配分されなければならぬような経費でありますと、それはむしろ奨励的補助金ではないのであつて地方財政平衡交付金財政需要測定の中に入れられなければならぬのじやないかというふうな考え方をいたしておるのであります。もとよりいろいろ矛盾のあります点につきましては、将来各省等にも要請いたしまして、その改善に努力いたして参りたいと思つております。
  15. 床次徳二

    床次委員 次にこの十二条の測定単位に関しまして、質疑かたがたなおあわせて私の希望も申し上げておいた方が、今後便宜ではないかと思いますので申し上げたいと思います。土木費の中のたとえば橋梁費につきまして、面積測定単位になつておりまするが、面積だけでは必ずしも橋梁費内容を十分に現わし得ないのでありまして、でき得れば当然橋梁の数というものも、考慮に入れられなければならないというふうに考えております。それから河川の問題につきましても、昨日もお話がありましたが、河川によりまして河川種類準用河川あるいはその他の河川というふうな種類も、相当考慮しなければならぬ。なお河川の数も考えなければならぬのではないかというふうに考えますが、そういう意見を承りたいと思います。なお港湾につきましては、昨日もお話がありましたが、なお港湾の数というものに対しまして、十分考慮しなければならぬではないか。昨日も漁港の問題が取上げられましたが、漁港のごときは当然これは数を考慮することによつて、ある程度まで漁港の経営に対する経費というものも、しんしやくできるものと思うのでありまして、ただいまのような基準だけでありまするならば、設備のよい大きな施設だけが大きな交付金をもらつて、実際地方の要望に沿わないという結果になるのではないかと思うのであります。また行政費その他の関係におきましては、これに大体町村という問題が上つておりますが、場所によりましては島が少くないのでありまして、私ども直接知つておりまする鹿児島県のごときは、島嶼がなかなかある。この島嶼に関する行政費、あるいは島嶼に対るいろいろの産業上の問題におきましては、普通の場所以上に経費がかかるのでありまして、島嶼があるかないかということにつきましては、これは測定単位としては重要なものになると思うのであります。その点が欠けていると思います。  それから第十三条——ついでだから申し上げるのでありますが、この計数に対しまして、まだまだ考慮すべきものがたくさんあるのではないかと思います。私の方の気のつきましたものは、たとえばここに寒冷度積雪度というものがありまするが、南方の非常に降雨の多いところは、雨量が多いために、益にもなつておりまするが、同時に被害にも多いのでございまして、特に最近のごとく自然が荒廃しておりまするときは、雨量の多過ぎるということも大きな負担になつているわけであります。降雨量によりまして、しんしやくするということは、積雪度によつてしんしやくするということと同じだけの意義を持つというふうに私ども考えております。なおこれに関連しておりまするが、災害の問題であります。災害度数がどの程度に加わつているかということは、これは日本といたしましては、わが国の状態から言うと、当然考慮すべきものではないかと思うのであります。災害度数がまつたくたまに来る偶発的のものでありますならば、特別の処置だけでよいのでありまするが、ほとんど毎年必ず来るというような——特に台風のごときは毎年季節的に来ることが明らかであります。しかもその被害を受けまする場所が、太平洋に面したところが中心になつて、その台風の通るところは必ず被害を受けるということになつておるので、すでに統計的にも明らかにその被害率というものも出ておる。頻度というものも明らかになつておるのであります。そういうものは当然考慮すべきものではないかと思うのであります。また同時に旱魃という問題も、逆の現象でありまするが考えられるのであります。また土地の非常によいか悪いかというその地域差というものも、寒冷地と同じ程度考える余地があるのではないかというふうに見られるのであります。なお特殊の状態といたしましては、中央から距離が遠いということ、今までの日本の行政は非常な中央集権的な行政が行われているにかかわらず、中央との距離というものはまつたく無視されているのでありますが、中央と距離が遠いということに対しましては、あらゆる方面においてこれは負担が増大になつておりまして、経営上各団体は困難を来しておるのでありますから、中央との距離を測定単位に入れる、あるいは補正計数に入れるということは、当然必要になつて来るのではないかと思います。こういうことにつきまして、まだまだ私どもは十分当局にも研究してもらい、われわれ委員会といたしましても研究いたさなければならない。これはよほど問題が多いのでありまして、先ほども申し上げましたが、今後この十一条、十二条、十三条を十分審議することは、中央におきまする予算審議と同じだけの意味があるのであります。従つてこの単位を単に規則できめられて、実は国会におきましては、その単位をきめる機会がないということは、はなはだこれは十分な地方自治の発展のためにどうかというふうに、私ども疑念を持つているのであります。いろいろ関連したことを申し上げましたが、一応この際当局の御意見を伺いたいと思います。
  16. 奥野誠亮

    奥野政府委員 床次さんのただいまの御意見、われわれもまつたく同感でございます。同感でありながら、なおかつその通りにいたしておりません理由は、一つは何分この制度が初めて実施されるわけでございまして、おそくとも八月三十一日までには個々地方団体への交付金額を決定いたさなければなりません。従いましてあまり多くの測定数値を持ちますことは、算定に混乱を来しはしないかということを考えたのが一つでございます。もう一つは、こまかい点につきまして緻密であることはよろしいのでございますけれども、その面についての財政需要測定だけが十分に参りまして、他の面における測定というものが必ずしも均衡を得ていない。そういたしますと、あるいは他の面におきまして、大きな額が測定されておつて、さらにあとで緻密なところまで測定されるために、非常に多額の財政需要測定されるという場合や、また逆の場合も、あるわけでございまして、今回は一応この程度測定単位をもちまして、財政需要測定するにとどめたい。しかしそれでは御指摘になりましたようないろいろの欠陥もございますので、やはりさしあたり特別交付金の制度をもちまして、これだけでは不合理な結果を生じます点を、是正して行くよりしかたがないのじやなかろうかという考え方を持つた次第でございます。もとよりわれわれはこの平衡交付金の制度というものは、毎年度国会の審議を煩わしまして、測定単位としてどういうものを用いるかあるいは単位費用につきましてどのような金額を用いるかということは、御審議を願わなければならないのじやないだろうかと考えておりまして、政府として研究いたしました成果をお示と、御意見を伺いながら、順次この平衡交付金制度というものをりつぱな、適正なものに仕上げて行きたいというふうに考えておるわけでございます。
  17. 床次徳二

    床次委員 ただいま一応御答弁はありましたが、この測定単位、その他の研究ということは、確かに今後大きな問題でありまして、これはむしろ財政委員会その他専門にそういうことを研究して、結論を国会に報告するというようなことも、当然必要なのではないかと思いますが、何かそういう測定単位そのものに対して、今後どういう措置をとられるかということについてお考えがあれば承りたいと思います。  なお第十四条にありますところの第一項のお話でありますが、「この法律で定める。」というふうに書いてありますが、これは将来別表その他のような形において法律できめられるのでありますか、どういう形式をとられるか、承りたい。
  18. 奥野誠亮

    奥野政府委員 第一点の問題のこの法案の第七条の三号のところに「交付金総額の見込額及び左の各号に掲げるその内訳」というのがございます。その際「行政種類ごとの測定単位の数値の総額単位費用」というふうなものを国会に提出するということを特にうたつてあるわけでございまして、毎年慶国会に政府の研究の成果をお示ししながら、御審議を煩わしたいというふうに考えておるわけでございます。  それから第二点の問題は、大体単位費用はお考え通り、施行法か何か、そういうふうに一つのまとまつた法律にして行くことが、穏当であろうというふうに現在考えております。
  19. 床次徳二

    床次委員 ただいま御答弁になりました第七条のあとでありますると、すでにきまつておるものに対して結論を出すように思うのでありますが、新しい立場からこれを改善するという立場においても、やはり十分意見を述べるというふうに考えていいのではないでしようか。
  20. 奥野誠亮

    奥野政府委員 これは翌年度交付金総額を算定いたしますところの単位費用でございますので、この単位費用で翌年度交付金交付されるということになるわけでございます。従つて国会で特別な御意見がありまして、その単位費用は改むべきだということになりますれば、翌年度交付金総額が、その改められた意見に基いて配分されることになりますので、国会の意見というものは十分に平衡交付金配分に反映されるものだと考えております。
  21. 床次徳二

    床次委員 単位費用についてはもとよりでありますが、測定単位その他のわけ方等についても、技術的にもつと研究する必要があるのじやないか。そういうこともやはり当然この委員会において研究した結論によつて、これを出していただく。あまり形式的にこれに対して数字を出していただいて、国会で審議することになりますると、なかなか改善がめんどうになるのじやないかというふうなことを考えましたので、お尋ねしたわけであります。  次にお尋ねいたしたいことは、この附則の第二項でありまするが、本年度におきましては特別の交付金が十分の一になつておりまするが、はたして十分の一でもつて是正が確実に行い得るかどうか。この点につきまして多少疑いなきを得ないのでありまして、やはりこれは今年度に限つては、増額しておく必要があるのではないか。もう五割くらい増しておいた方が、目的を達し得るのじやないかというふうに考えるのであります。先ほども実は答弁があつたのでありまするが、政府の方におきましては、今年の交付額でもつて相当改善ができる。余裕があるような考えで御答弁になつておるようでありますが、実際地方団体におきますると、かなりまだ財政が逼迫しておるのでありまして、今年の交付金によつてはなかなか希望するところの財政需要に応じ得ないのではないかというおそれがありますので、できる限りそういう特別なものをよけい出すと申しますか、欠陥を生ずる地方団体に対しましては、今年は急激な変化を與えない、損害を與えない配慮が必要ではないか。この意味において十分の一というのは少な過ぎるのではないかと思いますが、政府はこの十分の一という数字を出されたのは、何か目安がありましたならば御説明をいただきたいと思います。
  22. 奥野誠亮

    奥野政府委員 平衡交付金配分の均衡化を徹底させて参るということを主眼に考えて参りますと、むしろ客観的な基準のみにおいて、必ずしも妥当な結果を得られませんので、特別交付金総額が多い方がよろしいだろうということになると思います。しかしながら他面、地方団体の自主性というものは、できる限り尊重して参りたいわけでございますし、いたずらに中央依存的な気持を持たせないというふうにして行きたいというふうにも考えますので、この特別交付金の額があまり多ぐなると、その弊害も生れて来るのではないかということを心配するわけでございます。特別交付金といえども、その配分方法地方財政委員会規則で、なるたけ客観的に具体的に定める方針をとつておりますけれども、やはりどうしても法律ではなしに、規則で内容がきめられるということになると、ある程度地方団体がいろいろ運動しても、その効果があるのじやなかろうかという誤解を持たれるのでありまして、そちらの方の弊害がございますので、やはり従来の地方配付税法におきまして、特別配付税が十分の一でありましたので、それに合せまして、この程度が妥当と考えたわけであります。
  23. 床次徳二

    床次委員 ただいまの特別交付金の問題は、私どもの希望としては、もう少し増額される方がいいのじやないかという気持を持つておることだけ、この際申し上げておきます。  次に附則の九項でありますが、厚生労働費に対しましては、測定単位は別に考慮されることになつております。先ほど例にあげました教育費のごときものも、やはりこれに次ぐような問題があるのではないかと思うのであります。だんだんにいろいろの行政が発展して参りますと、それぞれの立場からやはり測定単位に対しては、今までの考えを相当是正して行かなければならないような立場になると思うのでありますが、こういう一つの例外と申しまするか、この厚生労働費に類するような事業で、ほかにもこれに類するものを何か考えておられるのですか。今のところ大体これだけでもつて間に合うというお考えですか。相当まだ問題が残つておると思いますが、事務的な立場からお考えがありまするならば、伺いたいと思います。
  24. 奥野誠亮

    奥野政府委員 もし現在何か別な測定単位を用い方がよろしいというものがありましたら、われわれとしてはこの法律の中に書き込んでしまいたいというふうに考えております。なぜこういう九項を設けたかということを率直に申し上げますと、御承知のように、国の予算案をおきめいただきましたときに、その予算総則に掲げてあつたと思いますが、地方団体交付されます金につきましては、それを補助金として交付するか、あるいは地方財政平衡交付金として交付するか、地方財政平衡交付金補助金との問に彼此流用できるというような意味の規定が置いてあつたはずでございます。先ほど床次さんは、厚生関係補助金が多いということを御指摘なつたわけでございますけれども、やはり同じ問題が残されておるわけなのでありまして、補助金をむしろ平衡交付金に入れた方がいいのじやないか。また平衡交付金に統合されたものを、やはり補助金として残した方がいいのじやないかという問題があるわけであります。そこでそういう問題を解決いたします場合の一つ方法として、九項を設けておきまして、かりに補助金等が平衡交付金に統合される場合には、別な測定単位を設けまして、その基準従つて配分するようにしたいというふうに考えておる次第であります。またそれはもとより統合されぬ場合においても、同様の問題があるかもしれませんけれども、主としてそういう点に主眼を置いて、こういう規定を設けたわけであります。
  25. 生田和平

    生田委員長代理 立花敏男君。
  26. 立花敏男

    ○立花委員 従来の配付税の場合におきましても、配付税は平衡交付金と違いまして、総額の決定などにおきましても、法律で定められておりまして、中央でおやりになりますのは、非常に事務的な処理が大部分であつたように考えるのでありますが、この配付税の場合におきましても、実は地方からいたしますと、中央に対しまして非常に重圧を感ずる。また中央は地方に対して、配付税を通じて、やはり法律以外の相当の支配権をもつてつたように思うのでございます。たとえば行政整理などの場合におきましても、地方が管掌する行政整理をやらなければ、配付税の額に影響があるというふうな、法律以外の強圧が地方に対して加えられておつたように私ども考えております。しかもこれは私ども考えておるだけではなしに、行政整理の問題で、地方に私ども調査に参りました場合にも、自治団体責任者がそういうふうにはつきり申しておりますので、この問題はかなり重要だと思うのでございますが、そういうふうな配付税の、主として事務的な配分の場合においてすら、配付税の配分という仕事を通じて、中央が地方に支配的な影響を與えるということが、事実としてあつたのでございます。この平衡交付金になりますと、配付税の性格とは異なりまして、もつと配分が何と申しますか、中央の左右する余地が多分に残されて来ておる。しかもそれが今内閣委員会で審査しております地方財政委員会の権限にまつところが、非常に大きくなつて来ておるのだと思うのでございますが、こういう面から、地方の自治がつぶされて行くのではないか。たとい政府で言つておられますように、財源を與えて、地方の自治を財政の面かち強化するのだというお考えがおありになつたといたしましても、結果においては、逆に地方の自治をそこなつて行く面が出て来るのじやないか。配付税の場合ですらそういう面がありましたのに、配付税よりもつと地方の裁量の余地が多くなる平衡交付金におきましては、その形がはつきり出て来るのじやないかと思うのでありますが、その点についてどういうようなお見通しを持つておるか、承つておきたいと思います。
  27. 奥野誠亮

    奥野政府委員 従来の地方配付税の方式と、地方財政平衡交付金の今回の方式とは、相当大きな隔たりあるわけでございます。われわれは財政調整の問題につきましては、どうしても相矛盾する二つの観念があると思うのでございます。一つはやはりあくまでも地方団体の自主性を尊重すべきであるという観念でございます。一つは自主性もさることながら、やはり財政的には、地方団体間において均衡がとれていなければならないということでございます。この二つは私は常に相矛盾する観念だというふうに考えております。むしろ今回の方式ば、地方配付税方式というものが、地方団体の自主性の尊重に主眼を置きました点に対しまして、逆に、御指摘のように地方団体間の財政調整に主眼を置いておると思います。しかしながらその反面、この配分に当る機関といたしましては、従来は政府がその配分に当つてつたわけでありますけれども、今回そのために地方財政委員会というものを特に設けまして、これは形式の上ではもとより政府機関でございますけれども、その意思決定は、地方財政委員会委員において行われ、委員というものは過半数を地方団体側から選任するというふうな方式をとりまして、その間の矛盾を克服するようにされておりますので、ある程度御心配になりましたような点が、その点で調和されて行くのではなかろうかというふうに考えておるのでございます。しかしながら私は、行政整理を一例にしてお話になりました点で考えるのでありますけれども地方団体はその自主性が憲法その他の面において非常に尊重されるようになつたにもかかわらず、私はほんとうの自治という気持が、住民の間においても、また地方団体理事者の間においても、まだ十分には浸透していないのじやないかということを心配するわけでございます。住民がその方針をみずからきめるべき問題を、中央がこう言つているのだからしかたがないというふうに、中央の考え方によつてすぐにあきらめてしまう。あるいは地方団体理事者が、中央はこう言つておるのだからということで、それを材料に使いまして、その考え方を押し通すというふうな面も多いと思うのでございまして、これはやはり政治の民主化というものが、漸次徹底され、浸透されて行くに従いまして、改善されて行く問題だと思うのでございまして、必ずしもこの法律、制度の点に中心があるのではないのじやなかろうかというふうな考え方を根本に持つております。
  28. 立花敏男

    ○立花委員 地方自治あるいは地方財政の確立ということと、行政の均衡ということは、対立するというふうにおつしやられましたけれども、私はやはり行政の均衡ということも、地方自治の中から生まれて来なければ、ほんとうの行政の均衡ということはできないのじやないかと思う。今地方の住民あるいは地方団体の中にも、地方自治という観念がないとおつしやられましたが、それはやはり中央が養成するようにしなければできて行きませんので、こういう立法をおつくりになりますと、そういう傾向がますます助長されるのではないか。何ごとでも、実は中央の法律あるいは中央のお役所の考え方できめられてしまうということになるだろうと思います。たとえば地方財政委員会ができたということ、特にそれが地方の自治を保障するというふうにおつしやられましたが、実は地方財政委員会の性格といたしましても、せつかく地方税法ができようとしておりますのに、たとえば住民税の課税標準につきましても、あるいは地方債の発行の許可につきましても、あるいは農地に対する固定資産税の倍率の決定につきましても、全部地方財政委員会が決定できるというふうなきめ方になつておりまして、こういうものは地方の自治の建前から、やはり地方が自主的に課税権を行使いたしまして、こういうことは地方の自治の一つの具体的な規模としてやつて行くべきだと思いますのに、それはやはり地方財政委員会がやれるようにしてあるのでございますが、こういうことは、やはり地方の自治を確立すると言いながら、法律の上では地方の自治をかえつて縛りつける、あるいは地方にできます新しい官庁に、そういう権限を與えてしまうということになつているのではないかと思うのです。特に私はこの点を地方財政平衡交付金指摘してみたいと思うのでございます。たとえばきのうからもずつと問題になつております査定単位の決定の問題、あるいは単価の決定の問題、あるいはそれを乗じまして計算されて参ります交付金総額の見積りの問題、あるいは交付の額の決定の問題、こういうようにすべての重要な問題が、実は財政委員会の権限にまかされてしまつておる。あるいは財政委員会規則の決定によつてやられようとしておる。こういうことがほとんどすべての重要な問題で現われておりますので、これではこの法案が骨抜きになるのみならず、財政委員会というものが非常に大きな地方の自治に対する圧力になつて来るのじやないかと思うのであります。この点ひとつ今から詳しくお尋ねいたしたいと思いますが、そういう点でどういうふうなお考えか。まず御意見を承つておきたいと思います。
  29. 奥野誠亮

    奥野政府委員 この法律の上におきましても、たとえば第三条の第四項におきまして、「国は交付金交付に当つては、地方自治の本旨を尊重し、条件をつけ、又はその使途を制限してはならない。」という文言をうたいましたり、あるいはまた終りの方では、審査の請求権を認め、あるいは聴聞の義務を地方財政委員会に課する響いたしまして、地方団体の自主性をできる限り尊重するように、くふうしたつもりであります。しかし運営の点につきましても、考慮して行かなければならない点がたくさんございますので、立花さんの御意見を十分尊重しながら「これらの運営に当らなければならないというふうに考えます。またこの法案の中で特にお気づきいただいておるだろうと思うのでありますが、わざわざ政令事項をなくしておるのであります。政令事項は内閣できめるわけでございますので、どうしてもそこに政府の意向というものが反映する。中央統制的な運営が行われやすい。従いましてそういうことを排除いたしまして、特に規則で定めることにしておるわけであります。規則でありますと、先ほど申しますように、これは地方財政委員会が定めるわけでございます。地方財政委員会というのは、過半数を地方団体が選任しておるわけでございますので、もし不都合なきめ方をするものでございますれば、それは委員の構成を地方団体側から改正いたしましん、さらに地方団体の自主性に即応した規則をつくり直せばよろしいじやないかというふうに考えておるわけであります。
  30. 立花敏男

    ○立花委員 政令でやらずに、規則でやつておるとおつしやいましたが、これはきのうお尋ねいたしましたところ、規則と政令と同じような性格であるというお答えがありましたので、私そういうふうに考えておつたのですが、たとえば今おつしやられますように、政令と規則が違つておりましても、私ども従来の規則というものの運用から見まして、政令と規則と違つておるから、規則でやれば十分だということは必ずしも言えないと思います。たとえば私ども人事院規則で非常に人権を制限されたような例を経験しておりますし、規則でやるから必ずしも地方の意向に合致したものができると私ども考えておりません。しかもそういう地方の実情に反するような規則を定めた場合は、委員を差かえたらいいじやないかとおつしやいますが、地方財政委員会法案の中には、委員を自由に差かえられるような規定はちよつともございません。委員のリコール制も何も制定されておりませんので、これは非常に甘いお考えでございまして、地方財政委員会規則が必ずしも地方の意向を反映するとは私ども考えていない。だからこの法案におきましても、非常に重要な部分は、扇のかなめとなるようなところは、全部規則にお譲りになつておるのでございますが、これでは法案としても骨抜きになつておるし、そういう意味で非常に大きな権限を地方財政委員会に與えまして、非常に困つた結果になるのじやないかということを、私ども非常に心配しております。実例をあげますと、測定単位の決定でございますが、測定単位自体の決定につきましても、非常に大きな疑義がございます。きのうからも申しておりますように、道を面積で決定する、あるいは橋梁面積で決定する、あるいは港湾をトン数で決定する、こういうような問題でも、非常に大きな疑義があるのであります。さらにそういたしました測定単位そのものに対して、補正係数を乗ずることになつておりますが、その補正係数を乗じなければ、ほんとうの財政需要算出基礎にならないと思うでありますが、その補正係数の決定自体が、やはり規則に定められておる。そうしてその補正係数をかけまして、出て参ります実際の測定単位、これにかけます単価の決定につきましても、本案では法律で定めるようになつておりますが、二十五年度においてはやはりこれも規則で定めることになつております。従つて基礎的な測定単位並びにそれに乗じます単価、こういうもののすべてが、やはり最終的には規則で定められることになつておる。これでは交付額の最も基礎的な部分の、最も重要な部分が、両方とも規則にまかされておるということになつておりますので、これでは私どもどうも納得ができないと思うのですが、さらにその二つをかけまして、財政需要が出て参るのでございます。さらにそれから財政収入を減じまして、この差額というものが出て参ることになつておりますが、財政収入の場合におきましても、財政収入を算出いたします方法は、これも第十五条に書いてありますように、規則で定める方法によつてこれを算出されるのでございまして、ここにもやはり規則が持ち込まれておる。さらにそういう計算をいたしまして、財政需要から財政収入を引きまして出て来ます差額、これは全国的に集計いたしまして、結局総額が出て参るのでありますが、総額の場合も、これを見積りますのは、やはり地方財政委員会が見積る。しかもこの見積られたものを、それがそのまま承認されたといたしまして、さらにそれを地方団体交付いたします場合も、財政委員会が按分して配分するというふうになつておりまして、初めから終りまでまつた地方財政委員会の権限に、すべてがゆだねられておるということになつておりますので、私ども非常にこれば大き過ぎる権限を地方財政委員会に與えることになる。すでに地方財政委員会はこういう平衡交付金配分、あるいは決定の問題だけでなしに、さいぜん指摘いたしましたように、地方税制につきましても、大きな権限を持つておるわけです。こういうふうに地方財政委員会は、集中的に財政的な権限を握つてしまいまして、地方に対しましては、地方の手の届かない強力な機関になるおそれがあると思います。しかもその財政委員会の事務局の職員に対しまして、罰則を伴つた大きな調査質問権が與えられておる。しかも今度発表されました行政機構の改革案によりますと、財政委員会が所属するところの総理府が、予算権まで持つて来るということになつて参りますと、財政委員会と申しますものは、元の内務省に匹敵するような大きな権限を持つて来るだろうと思いますが、そういう点で、やはり私ども全体の機構をひつくるめまして、考慮しなければいけないじやないかと思います。その点ひとつお考えをお聞かせ願いたいと思う。
  31. 奥野誠亮

    奥野政府委員 地方財政委員会が、強大な権限を持ち過ぎるというふうな意味で、最初御意見があつたように思うのでありますが、私は民主政治の確立というものは、やはり根本には、国民が自分たちで政治をやつておるのだという気構えが、持たれて来るようにならなければならないということを感ずるのでございます。同様に地方財政委員会の性格というものが、真にそのねらいを達成いたしますためには、ほんとうに地方団体が、自分たち地方財政委員会を動かしておるのだという気持を持たれるようになつて参らなければならないと思います。組織的にはそうなつておるわけでありますけれども、なかなか観念がすぐには切りかえられない。そこで立花さんのような御心配も生じて参ると思うのでありますが、これは運営の面において、地方団体がそのような自覚を十分に持つように、今後努力して行く面が相当多いだろうと思つております。それから交付金総額は、毎年度国会の議決を経て定まつて来るわけでございます。しかもこの総額のきめ方は、各地方団体につきまして、基準財政需要額と、基準財政収入額との間において、どのような差額があるかということを見て、この差額を積み上げて総額を算定するわけであります。この差額測定いたしますためには、どうしても測定単位でありますとか、あるいは単位需要であるとか、あるいは補正係数であるとか、こういうものがきまつて参りませんと、総額が出て参らないわけであります。しかも毎年度交付金総額であるとか、あるいは算定の基準というものは、国会にその資料を提出することになつているわけであります。従いましてこういう面について、私は国会においての御意見も十分伺いたいと思つているのでございまして、ただ事務的に、手続的に法律で規定しがたいものについては、これを規則に譲つているだけであります。しかし将来できる限り法律で規定できるものは、法律で規定するように定めて行かなければならないと思います。しかしさしあたりやはり法律で規定し得る事項というものは、ただいま法律で規定すべきものと定めております程度のものではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
  32. 立花敏男

    ○立花委員 なるほど国会へ資料を提出するということはございますが、従来の国会の審議を見ましても、あるいは私どもの今やつております平衡交付金審議の問題につきましても、決して十分には審議されていないと思うのです。今年の予算におきましても、平衡交付金は何ら予算委員会審議されておりません。平衡交付金法案そのものも今ごろやつている状態でございまして、国会へ提出することになつているから審議されるだろうと思つていると、たいへんな間違いだろうと思います。これは国会みずからの問題ではございますが、私どもは従来の経験から見ましても、ただそれだけでよいのだとい方ふうには考えられないと思います。事実千五十億という平衡交付金予算では通しておきながら、実施ができない。しかもその法案を今審議していて、この国会で通るか通らないかわからないというような状態におきましては、やはり私ども政府の言われますことをそのまま信用いたしまして、出すことになつているから十分審議されるであろうということは保証できないと思います。そういう実際の問題から、もつと地方の自治体がほんとうにやつて行けるような立案にしていただければよいのではないかと考える次第でございますが、もう一度御意見を伺いたいと思います。
  33. 奥野誠亮

    奥野政府委員 従来の地方配付税でありますと、法律で所得税や法人税の何%ということがきまつてつたわけでございます。今回の平衡交付金法案におきましては、やはり個々団体について財政需要額測定して、その財政収入との差額を積み上げて行つて平衡交付金を増減するというふうになつているわけでございまして、この見方にはいろいろな見方があるだろうと思います。そういう面においては、地方団体としてはどの総額のきめられ方その他に非常な不安を持つているわけでございます。そこでできる限りいろいろな資料を国会へ提出いたしますとともに、単位需要等は法律できめていただくというような構想をとつているわけでありまして、むしろ地方団体といたしまして、もう少し積極的に国会でこれを審議していただきたいというふうな希望を、強く要請しているということをお考えいただきたいと思うのでございます。交付金総額については、こういう資料も提出されることでございますので、むしろこういう委員会等においても、将来に対して十分な関心を寄せられるように期待いたして参りたい。またそういうふうな総額の算定の仕方になる。そういう面において初めて地方の自治団体の権益というものが、保証されるという仕組みになつているということを御了承願いたいと思うのでございます。
  34. 立花敏男

    ○立花委員 単価の決定でございますが、単価の決定の場合に、標準的な地区、あるいは標準的な地方団体をとりまして、決定するということになつております。そうしてその行政費の中から補助金負担金あるいはその他の手数料、使用料を引きまして、そのあとの金額から単価算出するということになつておりますが、この場合に、手数料、使用料、あるいはその他地方で独自にまかなえまするものをふやせば、勢い単価が減ることになるのでございますが、そういう面から、この単価の決定にあたつて、やはり非常に大きな問題が生じて来るのではないか。地方の独自な収入をさらに増額するような意向が、中央から地方に、いわゆる法律外の圧力で加えられるのではないかと思うのでありますが、そういう点はどういうふうにお考えでございますか。お尋ねいたしたいと思います。
  35. 奥野誠亮

    奥野政府委員 十四条の二項は、むしろそういうことよりも、各地方団体の財政収入を測定いたします場合に、そこの地方団体ではもつと使用料をたくさんとれるはずじやないか、もつと手数料を増徴したらよいじやないか、こういうような恣意的な、委員会からの干渉を加えることは穏当ではございませんので、まつたく客観的に捕捉できますところの税収入、これさえ捕捉して行けば、交付金の額が算定できるような仕組みにいたしたいために、こういうふうなものは入れない。言いかえれば、税収入と平衡交付金とでまかなわるべき行政費用だけを測定する。こういう仕組みにいたしておるわけでございます。まつたく恣意的な捕捉の仕方をしてはならない。客観的に捕捉すべきであるという趣旨を貫きたいために、このような測定の仕方をしようとするわけであります。
  36. 立花敏男

    ○立花委員 私の言つているのは、そういう形で残されました平衡交付金と、税収入との額を決定する場合の——たとえば一つの例をとりますと、水道あるいは電車、こういうものの料金を上げろ、あるいはその他のそういうものの使用料を上げろ、そうすれば税あるいは平衡交付金でまかなう部分が総体的に減少するというわけでございます。そうすれば単価を減少することになります。その点はどうなりますか。
  37. 奥野誠亮

    奥野政府委員 水道や電車などは、われわれは公益事業考えおりまして、独立採算制の部類に属しますので、財政需要の中には加えない、従つてまたそのような使用料も財政収入の中に加えない、こういうような考え方をいたしております。むしろこのような単位需要のきめ方をいたしますの零、国庫の財政を中心考えて行きますと、いかにも単位当りの需要は少く見える。そのために、単位当りの需要をもつと上げるべきだという意見が出て来て、自然平衡交付金がふえて来て困るといろ意見が出ておりますので、地方団体の側から考えますと、使用料や手数料が入れられない。客観的に単位需要が定まつて来るので、あとは自由にできるというふうになつてつて、かえつて好都合であろうというような考え方をいたしておるわけでございます。
  38. 立花敏男

    ○立花委員 それから測定単位に対する補正係数の問題でございますが、これはやはり規則にゆだねられておるのでございますが、なぜこれを現在まで、法律の中にある程度まで織り込まなかつたのか。この補正係数という問題は、実際の最後の測定単位の数を出す基本的な計数になりますので、これもやはりできたら、法律できめておいていただきたいと思いますが、これを法律でおきめにならなかつた理由を伺いたいと思います。
  39. 奥野誠亮

    奥野政府委員 将来さらに検討が済みまして、大体固定した状態に達し得るようになりますれば、これはもとより法律にあげた方が望ましいと思つております。またあげるべきだと思つております。ただしかしながら現在の段階におきましては、たとえば一号の問題におきましても、測定単位数字の段階等は、どのような段階の刻み方をしたらよいかということは、これは相当長い間かかつて検討いたして参りませんと、自信のある数字は出て参らないだろうと思うのであります。従いまして、こういう数字法律でくぎつけにしてしまいませんで、できる限りいい、均衡のとれた数字が得られるように、交付金の決定の間ぎわまで研究を続けて行くべき問題であろう。そういう点でもつて、ある程度弾力性を残しておかなければならないであろうというふうに考えておるわけであります。
  40. 立花敏男

    ○立花委員 最初からあなたが言つておられますように、地方自治を実際の行政の面の中から確立さして行く意味において、法律できめておきまして、そのあとは地方の自治的な決定にまつというふうな方法をとつた方が、むしろほんとうは地方の自治を伸長するのではないか。本物の自治ができるのではないかと思うのでありますが、そういう方法をおとりになるお考えはないのでありまか。
  41. 奥野誠亮

    奥野政府委員 先ほど申しましたように、この研究が進みまして、ある程度固定し得る段階になりましたら、立花さんのおつしやいますように、法律できめた方がよろしいと思つております。そうあるべきだと思います。ただ現在の段階においては、測定単位の数値の多少による段階をどう設けるか、あるいは人口密度を使いますにしても、人口密度についてどの程度の段階に区分するか。こういうことはなお将来検討いたして参りませんと、固定した段階には達しないのではなかろうかというふうに考えておるわけであります。
  42. 立花敏男

    ○立花委員 これはやはりある程度地方にまかしまして、地方の実情に即した中から地方自体がきめて参りますいろいろな係数につきまして、それを中央でまとめるという方法をおとりになつた方がよいと思う。中央で机上の計算だけで係数をおきめになるということは、非常にあぶない。実情に沿わないものができるのではないかと思いますので、できたらそういう方法をおとりになつた方が、ほんとうに平衡交付金配分基礎ができて来るのではないかと思います。これは意見になりますのでお聞きおき願いたいと思います。  次に財政収入でございますが、財政収入は税法の標準税率の七〇%というふうに大体きめられておりますが、この七〇%という数字をおきめになつた根拠と、それから七〇%をとれなかつた場合には一体どうするのか。これは税法自体の問題でもございますが、大体一挙に莫大な増額でございまして、地方の税収入は未徴収の部分が多いと思うのでございます。現在でもすでに七〇%ぐらいしかとれてないものが相当あるのでございまして、そういう場合に一挙にふえましたものの七〇%といつてきめます場合も、これは大分問題があるのではないかと思うのでございますが、七〇%をおきめになつた根拠と、それからそれの未徴収の場合どうするのか。あるいはそういうことを予測いたしまして、これはやはり実際地方で捕捉した部分、とれた部分を財政収入として——実際の財政収入を財政収入として、財政需要からお引きになつた方がいいのではないかと思うのでありますが、その三点について承つておきたいと思います。
  43. 奥野誠亮

    奥野政府委員 基準財政収入額を標準収入の七割というふうに定めました根拠は、財政収入を全額捕捉して参るということになりますと、各地方団体は税収入を上げれば上げただけ、平衡交付金交付額が減少して来るという結果になるわけであります。これでは徴税意欲が減退するばかりでございますので、ある程度その団体が税をよけい徴収すれば、それを計算の外にする。言いかえれば自由に使える。さらに言いかえれば、交付金の額に影響を及ぼさない余地を残しておく必要があるだろうというふうに考えるわけでございます。さらにまた各地方団体財源というものを、まつたく均等化してしまうという考え方は、むしろおもしろくないのではないかというふうな考え方をいたしておるのでありまして、こういうふうに基準財政収入につきまして、七割という数字を使います結果は、財政需要といたしまして、どの程度のものを保証することになるかと申しますと、財政需要として測定いたして参りますものは、税収入でまかなわれるものと、それから地方財政平衡交付金でまかなわれるもの、この二つに限つておるわけであります。使用料とか手数料とか、あるいは地方債とか、あるいは寄付金というものを除いて計算するわけであります。そうすると地方税収入千九百八億の七割の額、それから特別交付金は一応除外されますから、千五十億の九割の額、この額を合計いたしますと、税収入と交付金総額の約八割に当るわけであります。従いまして全地方団体を通じまして、標準の八割までは確保されるということであれば、まずいいのではないかということとにらみ合せまして、この七割という額をきめたわけでございます。それから基準財政収入額を測定いたします場合には、現実に各地方団体が収入いたしました額を基礎とするのではございませんで、客観的に見まして収入し得べき額というものを計算いたしたいと考えておるわけでございます。さらに具体的に申しますと、町村民税でありますと、国の所得税額というものはきまつておると思いますので、国の所得税額に一八%を乗じまして、その七割の額というものを町村民税の所得割の額についての基準財政収入額というふうに考えて行きたい。かように考えておるわけであります。
  44. 立花敏男

    ○立花委員 この財政収入の方法を「規則で定める方法」というふうにお書きになつておるのでございますが、この方法はどういう方法でありますか。
  45. 奥野誠亮

    奥野政府委員 現実に地方団体が調定いたしましたも一のをとるのが主体でございます。たとえば入場税につきましては幾らを調定したかということ、これを基礎にいたしますのが主体でございます。しかしながら市町村民税のようなものでありますと、国で決定した所得税額があるわけでございますので、現実の市町村民税として認定したものをとりませんで、一つは納税義務者数、一つは所得税額、これを基礎にして、今申しましたような方法で算定して行きたいというふうに考えているわけであります。     〔生田委員長代理退席、委員長着席〕
  46. 立花敏男

    ○立花委員 この七〇%という数字は、実際は二十五年度地方税については、非常に実現困難な数字ではないかと思つております。しかし第三条によりますと、必要かつ十分な額を地方平衡交付金としてやるということが書いてあるのでありますが、この精神を生かしますと、やはり私は七〇%というような限界を置くのではなしに、実際良心的な行政をやりまして、その結果未徴収に終りました場合は、それが七〇%であろうと、六〇%であろうと、五〇%であろうと、当然これは地方団体にやらなければ、三条にうたつてありますところの必要かつ十分な額をやるということは、これを空文に終らせるのではないかと思うのでございますが、政府として七〇%が確保されるというお見通しをお持ちなのかどうか。この点をひとつ承つておきたいと思います。
  47. 奥野誠亮

    奥野政府委員 むしろ政府としては、地方団体においては、標準税率で課税されるのが普通であろうというふうに考えておるわけでございまして、この七〇%は、各地方団体別に交付金額を算定いたしますための、便宜の方法にすぎないというふうに考えております。
  48. 立花敏男

    ○立花委員 そうすると七〇%を割りました場合は、一体どうなるのですか。
  49. 奥野誠亮

    奥野政府委員 現実に地方団体が六〇%しかとれませんでも、交付金の額の計算にあたりましては、客観的に見た標準税収入の七割という額がとれておるはずだという仮定のもとに計算をいたして参ります。
  50. 立花敏男

    ○立花委員 計算の方法はわかるのですが、そういう場合に地方の財政収入が行政費をまかなわないという事態が起つた場合に、それはどういうふうな措置をおとりになるか。
  51. 奥野誠亮

    奥野政府委員 地方団体が税収入をたくさんあげまして、施設を充実しようと、あるいはまた税収入をできるだけ切下げて、半面ある程度施設が行えないでも、それはその住民の欲する方法だからやむを得ないというふうな考え方をいたしておるわけであります。
  52. 立花敏男

    ○立花委員 それではこの三条に書いてあります十分なる額という考え方が、やはり非常に機械的なものになつてしまいまして、実際の地方の自治を確立し、地方行政の何を平衡ならしめるという考え方が、実現できない結果になるのではないかと思うのでございますが、そういうことをひとつお含みおき願いたいと思います。  それからそういう計算の仕方で出て参ります差額、それの総計といたしましての総額の問題でございますが、この総額をやはり一応財政委員会で見積るということになつております。この実際に出て参ります総額と見積りとの関係でございますが、この総額をそのまま見積りの総額としてお出しになるのか。ここにどういうふうな関係があるのか。ひとつ聞かせておいていただきたいと思うのです。と申しますのは、配付税の問題にいたしましても、三三・二四ときまつておりましたのを、一挙に一六・二九ということに下げられた実例もございますし、見積りというのは非常に漠然といたしておりますので、実際計算して出て参りました総額と見積られた総額との関係はどうなのか。その幅がありますれば、それをひとつはつきりしておいてもらいたいと思います。
  53. 奥野誠亮

    奥野政府委員 第六条の第一項に書いてありますように、交付金総額は、要するに不足額の合算額を基礎として定めることになつております。要するに不足額の合算額が、原則として総領にならなければならぬわけでございます。たださきの年度におきまするところの所要額を算定するわけでございますので、そこでさきの年度においては施設の上にもいろいろと改善を加える場合があるわけでございます。たとえば義務教育を充実するために、義務教育関係についてもつと財源を増額するというふうな場合もあるわけでございますので、そういう計画があります場合には、当然総額の算定にその計画を織り込まなければならない、かような考え方をしておるわけでございます。
  54. 立花敏男

    ○立花委員 もちろんこの合算額を基礎としてとあるのですが、この基礎としてという言葉の内容なんですが、そのまま認めるというふうにはつきりした方がいいのじやないか。基礎として定めるというふうな非常にあいまいな表現になつておりますので、私どもはつきりしないわけなんです。ここにいわゆる財政委員会総額を決定する場合に、政治的な考慮が払われるのじやないか。あるいは中央の予算との関係で、総額の決定に非露な幅が出て来るのじやないかと思うのでございますが、それをひとつ承つておきたいと思います。
  55. 奥野誠亮

    奥野政府委員 基礎として定めるというふうに使いました場合には、単に合算額を参考にしてきめるというふうな、幅のある意味においては現に使われておりませんで、大体それがそのまま総額になるというふうに、現在使われておるわけでございます。
  56. 立花敏男

    ○立花委員 しかしさいぜん床次委員の質問で、千五十億という数字が、やはり国の予算との関係上、上からきめられたのだ。それから逆算してこの単価などの問題が出て来るような形になつておるのだというふうにおつしやられましたのですが、やはり普通の場合において、そういうふうになるのじやないか。やはり国の予算との関係で、これがこういう書き方にしておきますと、そういうふうになるのじやないかと思うのでございますが、その点を聞いておるわけです。
  57. 奥野誠亮

    奥野政府委員 念のために基本的な考え方を申し上げておいた方がいいと思うのでございますが、もとより私は常に地方団体として、標準的な財政需要がかくかくのもにであるをいうふうな数字というものは、その社会経済状態を外にしては、生れて来ないのじやないかというふうに考えておるのでございまして、たとえば人間として標準的な生活費用が幾らであるかということを考えます場合には、その地方におけるところの国民の所得というものは、どういう状態であるかということが、一つ基礎になるだろうと思うのでございます。従つて日本人としての標準的な生活費用と、アメリカ人の標準的な生活費用とは、私はおのずから違うだろうと思うのでございます。従いまして、いかに地方団体の標準的な財政需要とはいいましても、全体としての財政経済というものがある一つ目安にならざるを得ないのじやなかろうか。財政経済が非常に逼迫をいたしました場合には、やはり地方団体といたしましても、ある程度経費節減に努力を払つて参らなければならぬと思います。また余裕が出て参りますれば、おのずから施設を充実して行くべきだろうと思うのでございます。そういう意味におましては、必ずしも確固不動の数字が常に総額としてあがつて参るべきものではないというふうに考えるのでございまして、やはり全体を通じた計算の上に立つて考えて行かなければならない。ただもとより国の一方的な考え方のもとに、総額が恣意的に動かされてはならないと思うのでございますけれども、この基本的な問題はやはり残るのじやないだろうかというふうに存じております。
  58. 立花敏男

    ○立花委員 一般的にはそういうことが言えると思うのでございますけれども、現実の日本の段階から見ましては、それではあまり一般論過ぎるのじやないか。特に憲法の中に新しい条章が設けられまして、地方の自治を認めたということも、地方自治は民主政治の基礎であるということが根本になりまして、やはり全体を見ます場合にも、地方自治というものを強く押出して行かなければならない建前になつておると思うのです。その方法でこそ、今まであらゆる地方行政の問題、あるいは地方財政の問題が取上げられて、特に地方自治の裏づけとしてこういう問題が出て来ておると思うので、一般論としてはそういうことができると思うのでありますが、現在の段階においては、地方の立場を強く出して行く必要があるのじやないか。特にあらゆる問題が地方にしわ寄せせられまして、最近また特にその傾向が強められております場合に、たとえば去年の配付税の場合のように、特にそういう地方の財政に圧力が加わつております場合に、逆にそれをもつと強翻して、はつきり地方の立場を出して行くことが、完全な全体的なこの財政経済の確立して行く推進力になるのじやないかと思うので、私どもはどういたしましても、これはやはりそういう一般的な全体というものからおきめにならずに、もつと即時的に、ほんとうに日本の民主政治基礎としての地方自治あるいは地方財政考え方あるいは要求を、もつとはつきり出して行く必要があるのじやないか。それをやはり法文の上ではつきりしておく必要があるのじやないかと思うのでございますが、これは私ども今までの経験と今までのやり方から見まして、強調しておかなければならない点だと考えます。  しかしそれは意見でございますので、次に移りたいと思いますが、交付額の決定でございます。やはりこの問題の中にも、今と同じ考え方が出ておりまして、按分するという言葉があるのでございますが、ほんとうに基礎として出されたものなら、私は按分する必要はないのじやないかと思うのです。按分という字が出ておりますので、私ども今言いましたような疑問をなおさら深めるわけでございまして、それならばやはりこの場合にも、この差額基礎として交付するというふうにお書きになつた方がいいのでございまして、按分するというようなことをお書きになりますと、実際の必要額は一千億でありましても、それは八百億になるか、あるいは六百億になるかもしれないのです。それを実際の地方団体個々差額に応じて按分するというように受取れますので、そこに大きな問題が生ずる余地があると思いますので、この交付額の按分という言葉を、どういうふうな内容に解すればいいのか。お聞きいたしておきたいと思うのでございます。
  59. 奥野誠亮

    奥野政府委員 第十條第二項の「あん分して算定する」というところだけお読みいただきますと、そういう誤解も生ずるかと思うのでございますけれども、全体を通じてお考えいただけば、あるいはこの趣旨が理解してもらえるのではないだろうかということに考えるわけでございます。たとえば不足額の総額というものが、千五十億あつたといたします。しかしながら、前年度において総額を算定いたしましたときには、千四十億しか考えていなかつた。そういたしますと十億不足して来るわけでございます。基礎として定めるということにいたしておりますと、十億円をどこかで削らなければなりません。それをどの段階で削るかは、まつた委員会にまかしてしまうということになつてしまうわけでございますが、按分するということでありますと、各地方団体差額に対しまして、千孔十分の千四十をかけて行けばよろしいわけでございますので、客観的に数字が出て参る、かように考えるわけでございます。
  60. 立花敏男

    ○立花委員 しかしこの按分とい五百葉は、私はこの法案全体を通じて非常に矛盾する考え方ではないかと思う。第三條には、「当該超過額を補てんするために必要且つ十分な額を」地方に渡すということになつておりますので、按分して渡されますと、これは決して「必要且つ充分な」ということは言えないと思いますので、ここにはつきり矛盾があると私は思う。この言葉は非常に大きな誤解を招きますし、誤解かごまかしか知りませんが、この二つの言葉の矛盾をどういうふうに考えたらよいのか。政府としてどういうふうにお考えになつているか。「必要且つ充分」という言葉を私は「あん分」とは解せない。この問の事情をお聞きしたい。
  61. 奥野誠亮

    奥野政府委員 「必要且つ充分」な額でなければなりませんから、総額が千流十億円であつた。ところが交付金総額が七戸億円あるいは八百億円しかないというふうな場合には、もとより穏当ではないと思います。しかしながら千五十億円に対して、交付金総額が千四十億円であつた。十億円不足しておつたという程度のものでありますならば、やはり「必要且つ充分な額」から必ずしも離れていないというふうに考えているのでありまして、そういう程度における、單に計算の按分ということにおいて用いているのでありまして、これはおそらく今後運営の面において、その点は十分理解されて行くのではないかと思います。また全体として法案がそういう建前になつておりますので、私の申し上げるような意味に十分とれるのではないかというふうに考えております。
  62. 立花敏男

    ○立花委員 そういうお考えならば、なおさら「あん分」という言葉は直していただきたいと思います。そういう誤差的なものでありましたならば、私どはほ「あん分」という言葉は使わないと思う。「あん分」という言葉を使う以上は「必要且つ充分」という言葉と全然違つた観念身持ちます。しかもそういうふうに「必要且つ充分」ということを推進するというはつきりしたお考えがあるならば、その幅の問題もやはりはつきりおきめになつておく必要があるのではないか。実際の総額の百分の一なら百分の一、千分の一なら千分の一の誤差しか認めないというようにお書きになつた方がよいのではないか。それでないと法案にこの「あん分」とか、あるいは「基礎として定める」というようなあいまいな言葉がありましては、幾らに減らされても文句が言えないのでありまして、この点はやはりはつきりとしておく必要がおるのではないか。「必要、且つ充分」という言葉をお使いになつた以上は、しかもそれを確保しようというお気持である以上は、それを法案の上にはつきりしておく必要があるのではないか。これは配付税で煮え湯を飲まされている地方といたしましては、やはり重大な関心のある点ではないかと思いますので、もう一回はつきり伺いたいと思います。
  63. 奥野誠亮

    奥野政府委員 十條二項で「必要且つ充分な額を」交付しなければならないという規定を排除いたしておりませんので、これで十分だと考えておつたのでございますけれども、将来あるいは誤差があつた場合にはあん分するのだ。こういうふうに説明的な言葉をつけ加えて行つた方が、理解がやりやすいと思いますので、将来研究してみたいと思います。
  64. 中島守利

    中島委員長 立花君、質疑がもしたくさん残つておれば、明日の午前は大体において連合審査会で、午後に継承しますから、なるべくならばあなたの次の“田委員に、あなたの質疑の残りは継承してもらうようにお願いしたいと思います。     —————————————
  65. 中島守利

    中島委員長 この際お諮りいたします。大蔵委員会より地方財政平衛交付金法案について、当委員会と連合審査会を開会いたしたき旨申出ありましたが、大蔵委員会と連合審査会を開くことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 中島守利

    中島委員長 御異議なしと認めさよう決します。それでは昨日連合審査会を開くことにいたしました文部委員会と大蔵委員会と合せて、明二十九日午前十時より連合審査会を開会することにいたします     —————————————
  67. 中島守利

    中島委員長 御異議なしと認めさよう決します。それでは昨日連合審査会を開くことにいたしました文部委員会と大蔵委員会と合せて、明二十九日午前十時より連合審査会を開会することにいたします
  68. 中島守利

    中島委員長 次に消防法の一部を改正する法律案起草の件を議題といたします。過日の委員会において、消防法に関する小委員長より報告を聴取しました、小委員会において起草しました消防法の一部を改正する法律案について、各位の御意見を承りましたが、その後修正の必要を生じたのであります。この際委員長よりその修正についで簡單に御説明申し上げます。  一、消防法第四條の二の「消防長又は消防署長は」の次に「若しくは消防本部を置かない市町村においては市町村長は」と加える。  二、消防法の第七條中の改正事項及び消防法第七條の二、同第七條の三は、建築基準法の中で同様の事項が規定されているから、この改正案ではこれを削ること。この二項であります。第一点の説明を申し上げます。消防本部を置かない市町村では、市町村長が消防長であるから、この挿入字句はなくともよいのであるが、事消防団員の立入権に関するので愼重を期するため注意的に挿入することになつたのであります。こういうわけでありまして、この修正案は少しも消防法の根本の修正事項にはあまり関係がないのであります。  小委員会において起草した消防法の一部を改正する法律案に対して、この二点を修正し、これを本委員会の成案とし、委員会提出の法律案とすることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 中島守利

    中島委員長 御異議なしと認めます。よつて本案は本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案とするに決しました。  なお手続その他字句的なものについては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 中島守利

    中島委員長 それではさよう決しました。     —————————————
  71. 中島守利

    中島委員長 それでは本案に対する質疑は本日はこの程度にいたしまして、次会は明二十九日の午後一時、あるいは連合審査会の散会後でありますが、それより開会することにいたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時四十八分散会