○
奥野政府委員 第
一條は、
地方財政平衡交付金法の
目的を記載しておるのであります。「この
法律は、
地方団体が自主的にその財産を管理し、
事務を処理し、及び
行政を執行する権能をそこなわずに、その
財源の
均衡化を図り、及び
地法財政平衡交付金の
交付の
基準の設定を通じて
地方行政の計画的な
運営を保障することによ
つて、
地方自治の
本旨の実現に資するために、
地方団体に対し適当な
財源を供與し、も
つてその
独立性を強化することを
目的とする。」ということにいたしておるわけでございます。
地方団体の
独立性の強化がその最終の
目的にな
つておるわけでございますけれども、そのために
財源の
均衡化をはかるということ、さらにそれによりまして、各
地方団体がそれぞれ必要な
行政運営が保障されるようにしなければならないというふうなことを、その
手段として考えておるわけでございます。
第
二條は、用語の意義を書いておるわけでございます。このうちで特に申し上げます点は、四号の「
基準財政需要額」、これは「各
地方団体の
財政需要を合理的に
測定するために、
当該地方団体について第十
一條の
規定により
算定した額をいう。」第十
一條を参照していただきたいと思いますが、「
基準財政需要額は、
測定單位の
数値を第十三條の
規定により補正し、これを
当該測定單位ごとの
單位費用に乗じて得た額を
当該地方団体について合算した額とする。」
測定單位は第十
二條に書いてあるわけでございますが、「
地方行政に要する
経費の
測定單位は、
地方団体の
種類ごとに左の表の中欄に掲げる
経費について、それぞれその下欄に定めるものとする。」従いまして
都道府県のたとえば
土木費でありますと、
道路費は
道路の
面積で
測定するということにいたしております。従いまして
道路の
面積が何平方キロメートルある、その一平方キロメートル当りの
費用を何円とみる、そういたしますと、その何円という
單位費用を
道路の総
面積に乗じまして、
道路に要しますところの
基準財政需要額を
測定するわけでございます。こういうもの全部合算いたしました結果が、その
地方団体の
基準財政需要額の
総額になるということになるわけでございます。
元へもどりまして、第
二條の第五号であります。「
基準財政收入額」は、「各
地方団体の
財政力を合理的に
測定するために、
当該地方団体について第十
五條の
規定により
算定した額をいう。」十
五條を参照していただきたいのでございますが、「
基準財政收入額は、規則で定める
方法により、
基準税率をも
つて算定した
当該地方団体の
普通税の
收入見込額とする。」「前項の
基準税率は、
地方税法第
一條第一項第五号にいう
標準税率(
標準税率の定のない
地方税においては、
地方税法に定める税率とする。)の百分の七十に相当する率とする。」わけでありまして、いろいろと
法定外の
普通税をかけておりましても、こういうものは
当該団体の
課税力算定の
基礎には用いないわけであります。また
目的税も除外いたします。ただ
普通税につきまして、
標準税率で
算定いたしましたものの七割をとるわけであります。
基準財政需要額から
基準財政收入額を引きました、要するに
財源不足額であります、この
財源不足額に
平衡交付金の
総額を按分いたしまして、各
地方団体別の
平衡交付金の
交付額を
決定するわけでございます。
第
二條にもどりまして、六号の
測定單位でございます。「
地方行政の
種類ごとに設けられ、且つ、この
種類ごとにその量を
測定する
單位で、毎
年度の
交付金の
総額を
算定し、及び配分するために用いるものをいう。」今申しました
土木費のうちの
道路費でありますと、
道路の
面積を使う、その
面積が
測定單位にな
つて来るわけであります。
第七号「
單位費用交付金の
算定に用いる
地方行政の
種類ごとの
経費の
総額を
決定するために、
測定單位の
数値に乗ずべき
地方行政の
單位当りの
費用をいう。」従いまして
土木費の
道路費を
算定いたします場合には、
道路の
面積、この
測定單位の
数値にこの
單位費用一平方キロメートル当り何円という金額を乗じまして、
道路費を
測定するわけでございます。
第三條「
運営の基本」、「国は、毎
年度各
地方団体が
提出げる
資料に基づき、すべての
地方団体について、この
法律に定めるところにより、
財政需要額、と
財政收入額とを
測定し、
財政需要額が
財政收入纈をこえる場合における
当該超過額を補てんするために必要且つ充分な額を、
地方財政平衡交付金として、国の
予算に計上しなければならない。」たとえば
財政需要額が一千万円あり、
財政收入額が八百万円しかないという場合には、二百万円を補填するために必要かつ十分な額を、
地方財政平衡交付金として国の
予算に計上しなければならないわけであります。
第二項は「国は、その
予算が成立した後は、
当該年度の中途において、
地方団体の
負担となるような
測定單位の
数値の増加を直接生じさせる
措置は、とらないようにするものとする。」新
年度に入りますと、もう
財源措置はでき上
つてしま
つているわけでございますから、その上に
地方団体に対しまして
負担を強制するような
措置をとりますと、
財源がこれに伴
つて参りませんために、
地方団体は
財政運営に混乱を来すわけであります。従いまして、そういうしふうな
措置はとらないようにするものとするということをうた
つているわけでございます。
三項は「
地方財政委員会は、常に各
地方団体の
財政状況の的確なは握に努め、国の
予算に計上された
交付金の
総額を、この
法律の定めるところにより、
財政需要額が
財政收入額をこえる
地方団体に対し、衡平にその
超過額を補てんすることができるように配分しなければならない。」「国は、
交付金の
交付に当
つては、
地方自治の
本旨を尊重し、
條件をつけ、又はその
使途を制限してはならない。」あくまでも
地方財政平衡交付金というものは、国によ
つて調整的に配分されるけれども、
地方団体の
財源そのものであるという考え方に立
つておるわけでございます。従いまして国が
交付の手続はとるのでありますけれども、
地方団体の
財源そのものでありますので、これに
條件をつけたり、また
使途を制限したりしてはならないということであります。
第四條は「
委員会の権限と責任」をうた
つておるわけでございますけれども、ここに掲げてありますような事柄は、それぞれ條項の中にうた
つているとでありますので、重複を避けるために、これらの点について読上げることは御遠慮申し上げます。
第
五條、「
交付金の策定に関する
資料」「
都道府県知事及び特別市の
市長は、規則で定めるところにより、
当該都道府県又は特別市の
基準財政需要額及び
基準財政收入額に関する
資料その他必要な
資料を
委員会に提出しなければならない。」「
市町村長は、規則で定めるところにより、当該市町村の
基準財政需要額及び
基準財政收入額に関する
資料その他必要な
資料を
都道府県知事に提出しなければならない。」とされておるのでございます。「
都道府県知事は、前項の
規定により提出された
資料を
審査し、
意見をつけて
委員会に送付しなければならない。」市町村の数は一万を越えておりますので、それを
委員会ですぐに
審査することは困難でありますので、
都道府県知事に、市町村から提出されました
資料につきまして、これを
審査し、
意見をつける責仕を持たせておるわけでございます。しかしながら四項で、「
都道府県知事は、前項の場合において
市町村長が提出した
資料に修正を加えるべき旨の
意見をつけたときは、その旨を関係
市町村長に通知しなければならない。この場合においては、不服がある
市町村長は、その
意見を
委員会に申し出ることかできる。」
都道府県知事に
審査あるいは
意見をつける責任を持たせておるわけでございますから、
市町村長にはこれらの
意見につきましては、十分に熟知させまして、反対的な
意見がある場合には、
委員会に申し出る権能を與えておる。そういうことによりまして、市町村の
自主性というものを十分に全うして行くように考えているわけでございます。第五項は、「
基準財政需要額の中に含まれる
経費に係る
地方行政に関係がある国の
行政機関は、
委員会が要求した場合においては、その所管に係る
行政に関し、
委員会の要求に係る
交付金の
総額の
算定又は配分に関し必要な
資料を
委員会に提出しなければならない。」たとえば義務教育費につきまして必要な場合には、
委員会から文部大臣に
資料の提出を要求することができるわけでございます。
第六條「
交付金の
総額の
算定」「毎
年度分として
交付すべき
交付金の
総額は、
当該年度において
基準財政需要額が
基準財政收入額をこえると認められる
地方団体の
当該超過額の
合算額を
基礎として、定める。單に
地方財政の需要額の
総額から、
地方団体の
財政收入の
総額を差引きましたものが、
平衡交付金の
総額になるのではございませんで、各団体につきまして、
財源の不足額が幾らあるか、その不足額の合計額をもちまして、
交付金の
総額にいたすわけでございます。ある団体におきましては、
財政收入額が、必要な
財政需要よりもより多くあるという場合もあだろうと思うのでございます。言いかえれば、余分の
財源がある団体もあるかもしれませんけれども、こういうものには触れないで、足りない団体の足りない所要
財源だけを合算いたしまして、
平衡交付金の
総額を
算定するわけでございます。第二項「
委員会は、第
五條の
規定により提出され、又は送付された
資料を参考として、翌
年度における
交付金の
総額を
算定し、これを国の
予算に計上するように
内閣に勧告をしなければならない。この場合において、
委員会は、第七條に掲げる事項を記載した書類その他必要な書類を
内閣に送付しなければならない。」普通の
予算でありますと、各省大臣からその見積り書を大蔵大臣の手元に提出するわけでございます。大蔵大臣が
予算の調整につきましての
事務局になるわけでございますが、
平衡交付金につきましては、
委員会にその
算定について独した権限をここで與えておるわけでがざいます。従いまして通常の
予算要求の手続に従いませんで、
平衡交付金の
総額を国の
予算に計上するように、
内閣に勧告しなければならないというふうに、その
独立性を非常に強化した表現をいたしておるわけでございます。三項「
内閣は、
委員会が勧告した
交付金の
総額を変更して国の
予算に計上しようとするときは、あらかじめ、
委員会の
意見を求めなければならない。」四項「
内閣は、
委員会が勧告した
交付金の
総額又はその
算定の
基礎を変更した場合においては、
委員会が勧告した
交付金の
総額の
算定の
基礎、
内閣が
決定した
交付金の
総額に係る歳出
予算の
基礎及びこれらの
基礎の比較について、その詳細を歳入歳出
予算に附記しなければならない。この場合において、
委員会が
地方行政委員会設置法第十三條の
規定により申し出る
意見の中には、
委員会が勧告した
交付金の
総額と
内閣が
決定した
交付金の
総額との差額を調整するための国の
予算について加えるべき必要な修正についての
意見を含まなければならない。」といいますことは、
委員会が勧告しました
交付金の
総額等につきまして、
内閣が変更を加えようといたします場合には、
内閣が
算定いたしましたいろいろな
基礎と、
委員会が
算定いたしましたそれぞれの
基礎と、この両者の比較を詳細に
予算に付記しなければならない義務を
内閣自身が負いますとともに、その反面
委員会もまた、それでは
委員会の主張を通すために、どのような変更を国の
予算に加えるべきであるかという
意見も出すわけでございます。いいかえれば価格調整費を削るべきである、あるいは国債の償還額を減額して、
平衡交付金の
総額を増額すべきである、こういうような
意見を、
内閣ではございふせんで、
委員会側から国の
予算を検討いたして出さなければならない、こういうふうな仕組みを考えているわけございます。
第七條「
委員会は、毎
年度左に掲げる事項を記載した翌
年度の
地方団体の歳入歳出
総額の
見込額に関する書類を作成し、これを
内閣及び
内閣を通じて国会に提出するとともに、一般に公表しなければならない。」これらは要するに
地方財政の全体計画というべきものでございます。こういうものが
基礎となりまして、
平衡交付金の
総額が穏当であるかどうかということは、ある程判定できるわけでございまする。またこれらを
基礎にいたしまして、
個々の
地方団体がそれぞれの
財政計画の
基礎資料を得ることになるわけでございますので、このような
資料の提出義務を
委員会に課しているわけでございます。
次に第八條「
交付金の額の
算定期日」「各
地方団体に対する
交付金の額は、毎
年度四月一日現在により、
算定する。」要するに四月一日に現存いたしました
地方団体について
算定するわけでございます。五月になりまして
廃置分合等がありました場合には、四月一日現在で
決定いたしました
交付金の
総額をその後の状況において、その団体についてだけ変更することになるわけでございます。
その変更の手続を第九條でうた
つておるわけでございまして、「前條の期日後において、
地方団体の
廃置分合又は
境界変更があつた場合における
当該地方団体に対する
交付金の
措置については、左の各号の定めるところによる。」これは従来
地方配付税法においてと
つておりました手続とまつたく同じでありますので、またあまりにも
事務的な問題でありますので、省略させていただきます。
第十條「
交付金の額の
算定」「
交付金は、毎
年度、
基準財政需要額が
基準財政收入額をこえる
地方団体に対して
交付する。」「前項の
地方団体に対して
交付すべき
交付金の額は、
交付金の
総額を、
当該地方団体の
基準財政需要額が
基準財政收入額をこえる額にあん分して
算定する。」しかしながら、
基準財政需要額が
基準財政收入額を越える額、そのものを各
地方団体に
交付すればよろしいわけでありますけれども、当初に見積ります
交付金の
総額は、これを
基礎として
算定はいたしますものの、どうしてもそこに若干の食い違いが生ずるわけであります。そのような食い違いがあります場合を予想いたしまして、按分の
方式をと
つているわけでございますけれども原則はたとえば差額が一千万円でありますと、一千万円がそのまま
交付金として
交付されるように、
総額がまず
算定されなければならないと考えているのでございます。しかし現実の場合には一千万円の差額がありましても、九百九十九万円しか行かない場合もあり得る。しかしそれを数学的に正確な
配分方法が講ぜられなければなりませんので、按分の
方法によることにいたしているわけでございます。三項「
委員会は、前二項の
規定により
交付すべき
交付金の額を、遅くとも毎年八月三十一日までに
決定しなければならない。但し、
交付金の
総額の増加その他特別の事由がある場合においては、八月三十一日以後において、
交付金の額を
決定し、又は既に
決定した
交付金の額を変更することができる。」なるだけ早く
決定いたしますことが、
地方団体の
財政運営を円滑ならしむるものでございますけれども、各団体の
財政收入額を
測定いたします場合には、どうしても前
年度の課税実績を
基礎に用いなければならないわけでございます。そういたしますと、三月三十一日で
年度は終るのでありますけれども、
地方団体の出納計算期限が五月三十一日にな
つております。言いかえると四月一日から五月三十一日の間において、出納を整理し得る期間を置いているわけであります。結局実績をとろうといたしますと、この出納閉鎖の期限が過ぎてからでないと、正確なものがつかまれないわけであります。そうするとどうしても六月以後でないと
資料を集める段階には達しないわけでございます。
地方団体といたしましては六月になりましてから、同じ府県内でありましても各市町村にいろいろな会等があるわけでございまして、こういうところから
資料をまとめるわけでありますから、非常に大急ぎでやりましても、どうしても六月一ぱいは
地方団体として計数整理をするのにはかかるだろうと思います。そうしますと
資料を求めるのは、七月以後にならなければならない。七月以後において
資料を求めまして計算をいたしまして、各
地方団体別の
交付金額を
決定するといたしますと、どんなに早くや
つても八月一ばいかかるということになりますので、ここで八月三十一日を
決定の期限と定めたわけでございます。但書の問題は、これは
年度の中途におきまして特別な国の計画等がかわりまして、
地方団体が必要な
財源の
負担を負うということになりました場合には、
平衡交付金の
総額も改訂されましようし、また
財政支出も生じて参るわけでございますので、そういう場合のことをおもんばかつただけのことであります。
四項は、「
委員会は、前項の
規定により
交付金の額を
決定し、又は変更したときは、これを
当該地方団体に通知しなければならない。」
第十
一條は、先ほど申し上げた通りでございます。
第十
二條の
測定單位は、これらの
経費の
種類につきましては、下欄に掲げておりますような
測定單位によ
つて測定するわけでございます。これらが精緻であればあるほど、
財政需要の
測定に正確に合致するということになるわけでございます。しかしながらはたしてこういう
測定單位が妥当であるかどうかということは、なお相当研究を要する問題がたくさんあるだろうと思うのでございます。従いまして、今回はこの程度の
測定單位をもちまして、
個々の
地方団体の
財政需要を
測定することが、まず穏当であろうということを考えているわけでございます。将来これらの
測定單位につきましては、毎年その状況を見ながら、さらに検討を重ねなければならない問題が、相当あるだろうというように考えております。
第十三條「前條の
測定單位の
数値は、道府県又は
市町村ごとに、左の各号に掲げる事項を
基礎として当該
測定單位につき、規則で定める補正係数を、これに乗じて補正するものとする。」たとえば
行政の
事務費を考えて行きます場合には、一応人口が
基準になるであろうと思うのでございますが、人口の非常に多い団体と人口の少い団体とをと
つて考えてみました場合に、やはり一つの団体をなしています以上は、あらゆる
行政をや
つておるわけでありますから、
行政の
事務費は人口が少い割には金がかかるものでございます。さらに言いかえれば、人口が多くなりましても、多く
なつた割には
行政事務費はそうふえないわけであります。従いまして、かりに
行政事務費を人口をも
つて測定するといたしましても、單に人口に比例して考えてはならないわけでございます。そこでどうしてもこの人口を補正いたしまして、人口がふえても、ふえた割には
財政需要を
測定するための
数値はふやさないということにしなければならないわけでございます。そういう補正を必要とするようなものを、この五つについて考えているわけでございます。
一号は「人口、小学校の児童数その他
測定單位の
数値の多少による段階」でございます。たとえば衛生費でありますと、人口をも
つて測定するわけでございますけれども、
事務的な
経費でありますと、人口がふえたからとい
つて、必ずしも衛生費をふやす必要はないであろう。だから、たとえば人口が二万の町村につきましては、一万の町村の二倍である必要はない。一万はそれでよろしいが、一万を越えた二万については五割しか見ない。従
つて二万の人口の
財政需要測定については、一万五千として計算をする。こういうような
方法を用いなければならないわけでございます。そういうことが一号であります。
二号が「
人口密度」であります。かりに衛生費につきまして、人口で
経費を
測定するといたしましても、人口の密集しているような団体におきましては、むしろ衛生費がかさむという問題になるわけでございます。従いまして、
人口密度というものも考えて行かなければならない。
さらに第三では「
測定單位の
数値の帰属する市町村の規模」であります。同じ衛生費でありましても、人口十五万を越えているような都市でありますと、保健所を市が設置しなければならないのであります。ところが人口十五万未満の市町村でありますと、保健所は県が設置しておりまして、県の設置する保健所がこれらの市町村の地域を管轄しているわけであります。従いまして、人口十五万以上の市町村につきましては、この衛生費につきまして、人口を
基準にしました場合には、これを補正しなければならないという問題が起きるわけでございます。
四号は「寒冷度及び積雪度」であります。寒冷地帯、積雪地帯でありますと、同じ
道路費でありましても、冬季間において凍結する。春になりますと、せつかく
道路が締
つておつたものがまたふくれ上
つてしまい、新しく
道路をつくるに近い
費用を投じなければ、修繕が完成しないというような問題がありますので、そういうものにつきましては、寒冷地帶、積雪地帶において、同じ
道路の
面積でありましても、若干これをふやすように補正をしなければならないわけでございます。
五号は「
面積、河川の延長その他
測定単位の
基礎をなすものの種別」、たとえば
面積と申しましても、山林もありますし畑地もございますし、あるいは宅地もございますし、田畑もあるわけでございます。従いまして、たとえば
土木費については
面積を使うことにいたしておりますが、山の中に
道路をつけることもございませんので、同じ
面積でありましても、宅地の
面積は多く見、田畑であるとか山林の
面積は少く見るというふうなことにしなければなりませんので、
面積等の
測定單位の
基礎をなします種別によ
つて、若干の差をつける必要があると考えているのであります。河川でも、大きな河川と小さい河川とは違うわけでありますので、両岸の延長をとりまして、河川の
費用を
測定するわけでありますけれども、やはり適用河川であるか、準用河川であるか、河川の種別によりまして、補正をする必要があるというふうに考えているわけであります。
第十四條「第十
一條の
單位費用は、道府県又は
市町村ごとに、
標準的條件を備えた
地方団体が合理的、且つ、妥当な水準において
地方行政を行う場合における各
測定單位当りの
費用を
基礎として、この
法律を定める。」これはたとえば市町村について、標準的な市町村は一万ぐらいの市町村であるとしますと、その一万ぐらいの人口の市町村において、衛生費が幾らいるだろうというふうな
数値を
算定いたしますと、それを越える市町村につきましては、人口なら人口について若干補正を必要として参るわけであります。そういうふうな標準的な
條件を備えた
地方団体におきまして、合理的かつ妥当な水準において、
地方行政を行う場合におきますところの
單位費用を
基準といたしまして定めるというふうな、一つの標準を書いているわけであります。
第二項は「前項の一
單位当りの
費用は、
補助金、
負担金、手数料、使用料、分担金、
地方債その他これらに類する
收入及び
地方税の
収入のうち
基準財政收入額に相当するもの以外のものを
財源とすべき部分を除いて
算定するものとする。」たいへんわかりにくいことでありますが、これを表から言いますと、
地方財政平衡交付金とそれから
基準財政收入額、要するに
標準税率で
算定いたしました税
収入の七割に相当する額でございます。これらを使
つて行う
行政費について
測定をするのだということを書いているわけであります。この二項の書き方は、同じことを裏から書いたのでありまして、少しわかりにくい書き方だと思いますが、表から書きますと、
基準財政收入額を使
つて行う
行政費、それから
地方財政平衡交付金を使
つて行う
行政費、この二つのものを
財源として行います
行政に要します
費用を
基礎として、
算定するのだということをうた
つているわけであります。
地方債であるとか、
補助金であるとか、あるいは手数料であるとか、使用料であるとかいうようなものは、これを
財源とする
行政費に含めないということであります。といいますのは、たとえば各団体の
財政需要から
財政收入額を見ます場合に、使用料や手数料までを含めて計算するといたしますと、その
地方団体の、たとえば
道路専用料はもつととるべきであるとか、あるいは河川敷の專用料はもつととらなければならない、こういうような非常に恣意的な見方がたくさん入
つて参りますので、穏当ではないと考えるのであります。なるたけ客観的にその団体の税
收入額を捕捉すべきであり、あまりその
收入の面について立ち入り過ぎた
測定の仕方をしてはならないという考え方を持
つておりますので、原則として税
收入としてしか見ない、従
つて財政需要についても、それらについてしか
測定して行かないという方針をとろうとしているわけであります。
第十
五條「
基準財政收入額は、規則で定める
方法により……」、これは先ほど申し上げましたので、御遠慮いたします。
第十六條「
交付時期」「
交付金は、毎
年度、
地方団体の
種類ごとに、左の表の中欄に掲げる時期に、それぞれの下欄に定める額を
交付する。」先ほど申し上げましたように、
交付金の額は八月三十一日までに
決定しなければならぬことにいたしております。従
つて五月、七月、あるいは市町村でありますと、五月、八月はまだ
決定しておりませんから、自然概算で
交付しなければならないということになります。従いまして十一月、一月、市町村といたしますと、十二月、二月において概算で
交付したものを除きまして精算をして、二回にわけて
交付するということになるわけでございます。
第二項以下は、非常に手続的な点でありますので、遠慮いたします。
第十七條「
都道府県知事は、規則で定めるところにより、
当該都道府県の区域内における市町村に対し、
交付すべき
交付金の額の
算定及び
交付に関する
事務を取り扱わなければならない。」「
都道府県知事は、前項の
事務を取り扱うため当該市町村の
財政状況を的確に知
つているように努めなければならない。」
都道府県知事に対する市町村
交付金算定に関します義務であるわけであります。
第十八條は「
交付金の額に関する
審査の請求」「
地方団体は、第十條第四項の
規定により
交付金の額の
決定又は変更の通知を受けた場合において、
当該地方団体に対する
交付金の額の
算定の
基礎について不服があるときは、通知を受けた日から三十日以内に、
委員会に対し
審査の請求をすることができる。」「
委員会は、前項の
審査の請求を受けた場合においては、その請求を受けた日から三十日以内にこれを
審査して、その結果を
当該地方団体に通知しなければならない。」各
地方団体の
交付金の
決定額につきましては、
地方団体に対しまして
異議の申立ての権限を、ここに明確にいたしたわけでございます。
第十九條「
委員会は、第十條第四項の
規定により
交付金の額を通知した後において、又は前條第二項の
規定による
審査の請求を受けた際に、
交付金の額の
算定の
基礎に用いた数について錯誤があつたことを発見した場合においては、
当該地方団体が受けるべきであつた
交付金の額に不足があるときはこれを
交付し、
超過額があるときはこれを減額し、又は返還させることができる。但し、返還させる場合においては、その
方法について、あらかじめ、
当該地方団体の
意見をきかなければならない。」
交付金の額の
算定の
基礎について、錯誤のある場合があり得るわけでございますが、そういう場合においては、
交付金の額を
算定し直しまして、あるいは減額いたしましたり、あるいは不足額を
交付したりするわけでございます。こういう場合には、
当該地方団体に罪はないわけでございますので、その返させる
方法については、あらかじめ
当該地方団体の
意見を聞きまして、翌
年度に返させるとか、あるいはいつ返させるとかいうようなことは、相談ずくでやるようにしたいという考え方でございます。
第二項は「
地方団体がその提出に係る
交付金の
算定に用いる
資料につき作為を加え、または虚偽の記載をすることによ
つて、不当に
交付金の
交付を受けた場合においては、
委員会は、
当該地方団体が受けるべきであつた額を超過する部分についてはこれを減額し、又は返還させなければならない。」要するに
交付金の額をたくさん受けようとして、そこに虚偽の報告書を提出する、あるいは
資料に作為を加える、こういう場合にはもとより、やり過ぎておりました
交付金は返させなければならないわけであります。その場合に、従前の
地方配付税法の
規定でありますと、罰則的な意味を含めまして、
交付いたしました額の全部または一部を返還させることができるというふうにいたしてお
つたのでありますけれども、
地方財政平衡交付金法におきましては、
地方団体の
交付金を受け得る権限を十分に尊重いたしますために、そういうふうに虚偽の報告書を提出した場合でありましても、罰則的な額の返還は命じない。ただ本来受けるべきであつた額と、虚偽の報告書を提出することによ
つて受け過ぎた額との差額だけ、要するに受け過ぎた額だけを返還させるという建前にしておるわけでございまして、何ら罰則的な、制裁的な返還の
措置は講じないわけでございます。
しかしながら三項で「
委員会は、前二項の
措置をする場合においては、その
理由、金額その他必要な事項を
当該地方団体に対し文書をも
つて示さなければならない。」のでありますが、この場合において、前項の
規定に該当する
地方団体、すなわち虚偽の記載をしたり、あるいは作為を加えて報告書を出すことによ
つて、多額の
交付金を受けた、それがために受け過ぎたものを返還させられる
地方団体は、
委員会が示した文書の記載事項をその住民に周知させなければならないということにしておるわけであります。言いかえれば、どういう
方法によ
つて、
当該地方団体がうそをついた、それがために返還させられたということを、住民に周知させる。道義的な罰則をを加えるという程度にとどめておるわけでございます。
第四項は「
地方団体は、第一項及び第二項の場合においては、前項の文書を受け取つた日から三十日以内に、
委員会に対し
異議の申立をすることができる。」五項「
委員会は、前項の
異議の申立を受けた場合においては、その申立を受けた日から三十日以内に
決定をして、
当該団体にこれを通知しなければならない。」この場合にも、やはり
異議の申立て権限を明確に
規定いたしておるわけでございます。
第二十條「
委員会は、第十條第三項及び第四項並びに前
二條に
規定する
措置をとる場合において必要があると認めるときは、
関係地方団体について聽聞をすることができる。」
地方団体の側から出頭していただきまして、必要な申立て等を
委員会が聞くわけでございます。十分に申立てをする、あるいは
意見を発表する機会を與えようとする
趣旨であります。
第二項で「
委員会は、第十條第三項、第十八條第二項並びに前條第一項及び第四項の
決定又は
処分について
関係地方団体が充分な証拠を添えて衡平又は公正を欠くものがある旨を申し出たときは、公開による聽聞を行わなければならない。」このような場合におきましては、單に
委員会が聽聞をすることができるではございませんで、公開による聽聞を行わなければならないというふうに、義務を課しておるわけでございます。
第三項「
委員会は、前項の聽聞の結果、同項の申出に正当な
理由があると認めるときは、当該
決定又は
処分を取消し、又は変更しなければならない。」第二十
一條は「都等の特例」であります。「都は、道府県に対する
交付金の
交付に関しては、その全区域を道府県とみなし、市町村に対する
交付金の
交付に関しては、その特別区の存する区域を市町村とみなす。」ということにいたしておるのでありまして、特別区の存する区域におきましては、道府県の行う
行政も行
つておりますけれども、市町村が行うべき
行政も担当しておるわけでございますので、市町村に
交付されるべき
交付金と、道府県に
交付されるべき
交付金と両方
算定されて、不足額がありました場合には、その両者の
交付を受けることができるわけでございます。
地方配付税法の場合とまつたく同じ
制度にいたしております。
附則の第二項であります。「
昭和二十五年及び
昭和二十六
年度に限り、
交付金の
総額のうちその十分の一に相当する額は、
特別交付金とする。」二十五
年度及び二十六
年度におきましては、必ずしも
財政需要の
測定が的確であることが十分ではない場合もありますし、また将来におきましても、同じ問題があるわけでございますけれども、
年度の中途におきまして、災害その他の事件の発生も考えられますので、
特別交付金の
制度を設けておきたいというふうに考えておるわけでございます。
特別交付金は四項で「第十
二條の
測定單位によ
つては捕そくし難い特別の
財政需要があること、
交付金の額の
算定期日後に生じた
災害等のため特別の
財政需要があることその他特別の事情があることに因り、
交付金の額が
財政需要に比して過少であると認められる
地方団体に対して、当該事情を考慮して
交付する。」
第六項で「
委員会は、
特別交付金の額を
決定したときほ、これを
当該地方団体に通知するとともに、二月中に
交付しなければならない。」といたしておるわけでございます。従いまして
交付の時期が二月に一つ入つたわけでございます。従いまして、平
年度におきますところの
交付時期を、多少変更しなければなりませんので、その変更を三項で記載いたしておるわけでございます。
第七項は「
昭和二十五
年度に限り、第十四條第二項中「この
法律」とあるのは「規則」と読み替えるものとする。」先ほど申し上げましたたとえば
道路費を
測定いたしますには、
道路の
面積に
單位費を乗ずるわけでございます。この
單位費用を
法律をも
つて定めるのを原則としておるのでありますけれども、本
年度におきましては、ただちにこれらの
單位費用を
法律で
規定することは困難でありますので、規則で定め得るということにしておきたいわけでございます。
それから八項は、まだ
交付金の各団体別の額が
決定しておりませんときは、前
年度の
平衡交付金の額を
基礎といたしまして、概算で
交付するわけでありますけれども、本
年度は前
年度の
平衡交付金の額というものがないわけでございますので、そういうものを
基礎にはできないわけでございます。自然
地方配付税法の
規定によ
つて配付されました配付額等を、
基礎としなければならないわけでございますので、そういう変更を規則で定め得るようにいたしたいという考えであるわけでございます。
九項は、厚生労働費にかかる
測定單位は、厚生省その他からの特別な
意見がありまして、なおこの
平衡交付金に掲げたもの以外の
測定單位を使いたいというような申入れもありますので、さらにそういうふうな
意見が固まりました場合に若干変更できるように、特にこれらの
測定單位のほか、規則で定める
測定軍位をもあわせ用いることができるように、例外
規定を設げておきたいということであります。
十項は、
地方配付税法及び
地方配付税配付金特別会計法は、廃止いたします。しかしながら十一項で、「
昭和二十二
年度分以前の
地方分與税及び
昭和二十三
年度分の
地方配付税については、なお、従前の例による。」ということにいたしておきたいわけでございます。なお受けるべき額等につきまして、
地方団体側について権利を主張したい点もあるかもしれません。いろいろな問題がございますので、過去の分につきましては、なお従前の例によるという
規定をここに置きたいわけでごがございます。
十二項、十三項は、
地方配付税法の廃止に伴いますところの、手続的な
規定でございますので、省略いたします。
十四項、「
地方財政法の一部を次のように改正する。」これは
地方配付税を
地方財政平衡交付金に読みかえるだけの
規定でございます。
十五項は「
地方配付税法第九條から第十
一條まで、第十四條、第十
五條、第三十四條及び第三十
五條の
規定は、
昭和二十五
年度に限り、適用しない。」これらの
規定は、国費と
地方費の
負担区分に関する
規定でございます。今回
負担区分に関する
制度が根本的に改まりまして、百数十
種類に上る国庫
補助金が廃止されまして、
地方の
一般財源に振りかえられたわけでございます。こういう
種類のものにつきましては、それには二分の一を国費が持ち、二分の一を
地方費が持つという
経費の
種類に応じまして、
負担区分をきめておつたわけでございますけれども、
行政の執行の責任と
経費の
負担の責任とを合致させるという必要があるというふうな考え方のもとに、従前の
負担区分の
制度にかかわらず、今回の
予算措置においては、すでに大幅の改正を見ておるわけでありますので、
昭和二十五
年度に限りこれらの
負担区分の
規定は適用しないというようにいたしておるわけであります。将来
地方行政調査
委員会の調査の結論を持ちまして、国費
負担の区分について所要の改正を加えたいという考えを持
つておるわけであります。