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1950-04-19 第7回国会 衆議院 地方行政委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月十九日(水曜日)     午後一時五十六分開議  出席委員   委員長 中島 守利君   理事 生田 和平君  理事 大泉 寛三君   理事 川西  清君  理事 川本 末治君   理事 菅家 喜六君  理事 塚田十一郎君   理事 久保田鶴松君  理事 藤田 義光君   理事 立花 敏男君  理事 大石ヨシエ君      河原伊三郎君     小玉 治行君      清水 逸平君     野村專太郎君      吉田吉太郎君     龍野喜一郎君      門司  亮君     床次 徳二君      池田 峯雄君     竹山祐太郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 本多 市郎君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 荻田  保君         総理府事務官         (地方自治庁財         政部財政課長) 奧野 誠亮君  委員外出席者         参  考  人         (地方税反対全         国大会実行委         員)      松澤 隼人君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君 四月十九日  委員井出一太郎君辞任につき、その補欠として  竹山祐太郎君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 四月十八日  かつお及びまぐろ漁業に対する附加価値税免除  等に関する陳情書  (第七六四号)  新聞を附加価値税対象より除外の陳情書  (第七七三号)  自治体警察の摘発した事件の罰金、科料遺失物  等を市町村收入とする陳情書  (第七七七号)  自治体警察吏員に対し恩給受給権付與陳情書  (  第七八五号)  犯罪捜査及び装備費国庫負担に関する陳情書  (  第七八六号)  土地家屋に対する固定資産税軽減陳情書  (第七八八号)  日本国有鉄道職員地方議会議員被選挙権復活  に関する陳情書  (第七九〇号)  長期入院患者の投票に関する陳情書  (第七九七号)  自動車税改正反対に関する陳情書  (第七九九号)  漁業に対する附加価値税免除陳情書  (第八〇〇号)  洗たく業附加価値税第三種事業に変更の陳情  書  (第八  〇三号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  地方税法案内閣提出第一二三号)     ―――――――――――――
  2. 中島守利

    中島委員長 これより会議を開きます。  地方税法案議題といたしまして、質疑を続行いたします。まず本日は、固定資産税第三百四十一條より、四百四十一條に至る間を議題といたしまして、質疑をお願いいたします。  本多国務大臣は公務の都合で、少し遅れまして出席せられるそうでありますから、本多国務大臣に対する質疑は、どうぞ出席されてからお願いいたします。質疑はございませんか——大泉君。
  3. 大泉寛三

    大泉委員 質問しても張合いがないようですが、きのう国鉄になにゆえに固定資産税をかけないかという質問に対して、政府部内においてもいろいろ議論があつた、また現在の情勢ではかけない方がよいという御意見の結果、こういう案になつておるという御説明でありましたけれども、これでは地方鉄道経営が成立たない。今日自由競争立場に追い込まれておるときに、運賃は統制せられておつて、しかも地方鉄道固定費魔税ばかりでなく、附加価値税においても、あるいはその他の地方税においても、みんな普通の法人と同じようにかけられておるのに、国鉄のみがこの負担を免れておるというのでは、運賃自由競争においても、経営競争においても、とうてい成立たぬ。そこで私がお尋ねしたいのは、あらゆる法人の、また地方鉄道においても、附加価値税あるいは固定資産税等は、法人税または所得税の損金となつて、また経費の中に計算されると思いますが、どうでしようか。これを明確に——大体わかつておりますが、まずお伺いしたいと思います。
  4. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいま大泉さんから、昨日に引続いて国有鉄道の非課税の問題のお話があつたのでありますが、もちろん政府としても地方鉄道取扱いについては、非常に愼重を期しておるわけであります。従いましてたとえば附加価値税を課する場合における課税標準についても、他の事業違つて、その率をある程度手かげんをするというふうな考え方を持つておるわけであります。従いまして国有鉄道課税について、将来どうするかということは、地方鉄道軌道事業経営との関係をも考慮に入れまして、これをどういうふうに扱い、またどの程度にすべきかということは、地方財政委員会において、二十四年度の実績に徴して十分に研究を加えた上で、解決をはかるという考え方を持つておるようなわけであります。ただいまお話になりました附加価値税等について、これを会社の会計と申しますか、経理の面から、どういうふうな勘定科目にこれを立てるか。こういう御質問であつたように思うのでありますが……。
  5. 大泉寛三

    大泉委員 固定資産税経費に見るかどうか。
  6. 小野哲

    小野(哲)政府委員 大体御説の通りかと私は考えていうこと。
  7. 大泉寛三

    大泉委員 固定資産税も、附加価値税業務上これを経費と見るとするからば、やはり国鉄においても経費としてこれを計上しなければならぬので熱ります。こうした地方税経費である以上は、国鉄負担すべきではなかろうかというような議論が出て来るのであります。これは国鉄のみがのがれられない一つ経費といたしますと、地方鉄道においてもやはり国鉄と並行して、もし国鉄地方税負担しないとするならば、私鉄も国鉄の線に浩つて取扱うのが至当ではなかろうかと思います。そうすると経費は支出しないということはありえないと思います。その点をどうするか。それから固定費産税と、附加価値税も同じですが、特に固定資産税業務用とするものはもちろん経費と見る、またいわゆる消費用としての固定資産もあるわけでありますから、これは当然区分されるものではないかと思います。たとえて申し上げますと、やはり業務用固定資産あるいは消費用資産、いわゆる家屋における住宅のようなもの、これは業務用ではないから、当然区分されると思いますが、どうであろうか。
  8. 小野哲

    小野(哲)政府委員 御説の通り考えます。
  9. 大泉寛三

    大泉委員 それではもちろん事業用と見るとするならば、これは農業用においてもそういうふうに当然見られると思います。たとえば、農家におけるところの住宅内、あるいは同じ一つの屋根の下でも、農業用業務用に使われる部面があります。馬小屋とかあるいはその他の天候の関係で、どうしても屋内でやらなければならない作業は、みな業務用とみなされると思います。一つの棟の中でも半分は住宅用、半分は業務用ということになりまして、こうした一つ立場から当然経費として所得税の中から控除されると思いますが、いかがですか。
  10. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいまの御質問は、固定資産税関係ではないかと思います。特にその場合における農業関係の例をお取りになつたものと思いますが、固定資産については、御承知のように土地及び家屋並びに償却可能な資産、しかも償却可能な資産事業用に供すということになつておるのでありますが、固定資産税対象になる固定資産については、一般的に申しまして、ただいま申し上げましたような区分はあるのであります。けれどもその他の関係においては大体一律に取扱つていると解してよいかと思います。
  11. 大泉寛三

    大泉委員 そうすると、それだけ農家所得の中から控除されるわけですか。明確にその点をお聞きしておきたいと思います。
  12. 小野哲

    小野(哲)政府委員 その点は、ただいまの御説の通り考えております。
  13. 大泉寛三

    大泉委員 それからまた別な問題に移ります。大規模なる固定資産に対する税額は、高額に上ることは当然でありますが、この町村において町村経費より上まわるような固定資産税があつた場合は、これはどういうふうな取扱いをしますか。
  14. 小野哲

    小野(哲)政府委員 当該町村におきまして、たとえば固定資産税による收入があつた場合、財政需要額以上に上まわるという場合も想像にかたくないのであります。特にこの法律案の予想しておりますように、大きな工場があるとかあるいは発電施設等がある場合においては、先ほど逐條において御説明申し上げましたような措置を、地方財政委員会においてとるという考えを持つております。ただいまお話になりましたような場合において、税の收入の上において、各税目の間に非常に均衡を失するという場合もあるいは起り得るかと思うのでありますが、このような場合においては、当該地方団体がその財政の運営に当りまして、自主的にこれに対して手かげんを加えることになるであろう。言いかえれば、財政計画を円滑に運営して行く場合に、他の税目においても、ある程度の減免措置を講じてもさしつかえない。この減免措置と講じてもいいというような場合がありましたときは、これは地方議会において検討を加える、こういう措置を講ずるであろうと考える次第でございます。
  15. 大泉寛三

    大泉委員 そうすると地方公共団体経費を上まわるような税額の場合においては、経費だけにとどめておくだろうという見方のようでありますが、そうなつた場合当然町村民税、あるいはその他の税において、これは賦課しなくともよいということにもなりますが、賦課しなくてもよいという場合には、これは地方平衡交付金というようなものとも相当関係があることであります。そうなると地方自治体自主性利益計算建前から自然没却されるような結果に陥るのではなかろうか、われわれは地方自治体が健全なる自治性を発揮する、また財政面においても基礎が強固になるという建前においては非常に歓迎しておるのだが、今申し上げたような結果が生ずると逆の作用を生じて来るのであります。これに対して政府は何らかの施策をお考えになつておられるかどうか。
  16. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいまの御質問の場合において、例としておあげになりました主として山村等固定資産が非常に多くある場合において、影響を及ぼす第一の問題になるだろうかと思うのであります。さような場合はもちろん地方財政委員会においてその固定資産価格の評価を直接やることになりまして、これを適当に配分することに相なるわけであります。従つてその村に所在する施設から生ずる固定資産税を全部その村が使うということは、ほとんど想像できないことであろうかと思うのでありまして、その場合に他の税目等との関係から、この点についての調整をはかつて行かなければならない問題が、もちろん起つて来るのでありますが、この点につきましては、今御指摘になりましたような地方財政平衡交付金の運用との関連において、中央におきましてはこれを取扱つて行くようにいたしたい、かように考えておる次第であります。
  17. 大泉寛三

    大泉委員 それはそれ以上お聞きしませんが、固定資産税目は、災害等が生じた場合、当然地方議会においてそれを減免するということになつておりますけれども、こういう場合にこの物件が消滅しておつても、物件価値に相当する保険金がとれておつて保険金によつてその財物の代償ができるという場合には、課税対象になるかならないか。
  18. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいまのような場合に、天災その他特別の事情があつて当該地方議会において減免する措置を講ずることになつておりますが、この場合において、たとえば今お話になりましたように保険金が入つて来るという場合においては、これをどう処置するかということは、結局具体的な問題として扱かうことになるであろう。従つてここで画一的に、この場合はその分だけ減免から除くとかなんとか申し上げることは、少し困難ではないかと思いますが、天災その他特別の事情の中の一つの例として、考え得るのではないか、かように考えております。
  19. 門司亮

    門司委員 きようはごく簡単に概論だけお聞きしておきたいと思います。まず最初にお聞きしておきたいと思いますことは、この税法の三百四十二條固定費産の定義についての問題であります。その第三項に「家屋」と書いてありまするが、その家屋範囲を一応御説明願いたいと思います。
  20. 奧野誠亮

    奧野政府委員 家屋説明は三百四十二條ではなしに、三百十四ページの三百四十一條の三号に書いておるわけであります。
  21. 門司亮

    門司委員 定義が書いてあるといつておりますが、これでわからぬから私は聞いておるのです。あなたは一体その家屋はわかりますか。その下に「住家」と書いてある。「住家」と「家屋」とどこが違うか。
  22. 奧野誠亮

    奧野政府委員 私は三百四十三條と伺つたものですから、御注意申し上げて、かえつて誤解を招いたようで恐縮でございますが、これは家屋台帳法家屋と入れておりますのと、まつたく同じ扱いをいたしておるのでありまして、要するに家屋台帳法に登載されるものは、この中に入れておる家屋なのでありまして、定義といたしましては「住家店舗工場倉庫その他の建物をいう。」ということになつておるのでありますが、具体的にやはり単なる構築物家屋に入るか入らないかということは、そのものによりまして認定の問題が起きて来るだろうと思つていうこと。
  23. 門司亮

    門司委員 もちろん家屋台帳でありますが、家屋台帳の中には御存じのように住家は当然入つていうこと。店舗りつぱな家屋でありますし、ただ構造がその使用の目的によつて住家店舗がわけられておる、あるいは倉庫がわけられておるというだけであります。家屋定義の方にすべてが入つておらなければならないと考えておる。ことさらにここに「家屋」と書いてありますので、特にこれについての何らかの区別をしなければならないので、家屋台帳に載つておるものだけだというのか、あるいはそのほかのいろいろなこういう疑義をはつきりしておかぬと困ると思いますので聞いておるのでありますが、そのほか家屋台帳に載つておらないで、家屋とみなされるものが、私は相当あると思う。たとえば牛馬の入つておりますような小屋家屋台帳に脱漏しておるかもしれぬ。あるいは豚小屋というようなものについても、一定の家屋と見る面もあるでしようし、あるいは単なる畜舎だという解釈のつく場合も私はあり得ると思う。それらの定義というものを、もう少し明確にしておく必要があるのではないか、こういうように考えておりますが、大体どの範囲家屋解釈されておるかということであります。
  24. 奧野誠亮

    奧野政府委員 家屋定義の中に建物という言葉を使つておりまして、わざと構築物というふうな言葉を使つておらないわけであります。従いまして今おつしやつた豚小屋というようなものは家屋に入らない、いわんや建物という言葉の中には入らないだろうと考えておるわけであります。ただ構築物でいいことになつて参りますと、事業用資産といたしまして家屋の中には入らないけれども、償却資産の方に入るという問題が起きて来るだろうと思います。具体的にはやはりその構築物が單なる構築物から建物といわれるところまで行くものかどうかということは、常識的な判断がそこにある程度加わらなければならないのではないかと考えておるわけであります。
  25. 門司亮

    門司委員 私は農村で特にこういう問題が、往々に問題になりがちだと考えておるのでありまして、建てる方はこれは單に豚を入れる小屋であるとか、あるいは肥料小屋であるとかいうようなことで、建てる。建てる範囲がごく小さなものであれば、だれが見てもこれを課税対象にしない。あるいは償却資産対象にすることもないのではないかということが常識的に考えられる。しかしその範囲を越えた場合は、單にそれが肥料小屋であつても、あるいは鶏小屋であつても、当然一つ建物として見るべきものが、必ず出て来ると思う。この辺の疑義については何らか明確な指示をするか、あるいはもう少しこまかい規定でも設けておかないと、ただ單にこの法律だけでは地方においては非常に大きな疑義が出て来るということを考えておりますが、これについての何らかの処置をとられるお考えがあるか。
  26. 奧野誠亮

    奧野政府委員 家屋台帳法でいいますところの家屋と、これはまつたく同一に考えておるわけでありまして、家屋台帳法家屋とすべきものを漏らしておる場合に、これを家屋といたしまして固定資産税対象にすることは、さしつかえないわけでありますけれども、漏らしておるわけでなしに、家屋台帳法家屋と見ないものまでも、固定資産税の面において家屋と見て行くことは、もとより法文の上からも穏当ではないということになるのであります。家屋台帳法家屋ということになりますと、従前の府県税家屋税から、あるいは国税に移りましてからの家屋税府県税にもどりましてからの家屋税、すべて同じように家屋として扱つて参つておりますので、おのずから慣習法的なものが生じて来ておりまして、別段そこに問題が起きたようなこともないようでありますので、今特にこれを明確にする必要は起きないのではないか、しかし将来において門司さんの御心配になるようなことが起きました場合には、もとより政令あるいは規則によつて具体的な範囲をきめるべきであろうと考えております。
  27. 門司亮

    門司委員 この点については、家屋台帳という言葉が使われておりますが、現在の問題はそれでよい。これは單に家屋というものに対する一つの物の見方でありますが、この場合の固定資産では、償却資産ということが書いてあるので、償却資産家屋との間の問題が起つて来はしないか、家屋台帳に載せた家屋という解釈もつきますが、それでは全然家屋台帳に登録されておらない厩舎であるとか、あるいは鶏小屋であるとかいうものが償却資産でないかというと、必ずしもそうではないと私は思う。これもやはり一つ償却資産だと見ることができると思う。従つてそれらの範囲というものは、何らかの形でもう少し明確にしておいていただきたいと私は考えておるのであります。  その次にお聞きしておきたいと思いますことは、固定資産範囲であります。償却資産と言つておりまするが、これにはいろいろな問題が出て来ると思うのであります。そこでこの問題については、これは法文の中にあると思いますが、たとえば工具などについての物の見方従つて品目別にするということは、非常に問題が起ると思いますが、大体一つの品物の価格は、どのくらいの価格から償却資産とみなしてよいかということ、それから耐用年数はどのくらいのものを償却資産とみなしてよいかということ、この二つの点をお聞きしたい。
  28. 奧野誠亮

    奧野政府委員 その所有者所得計算において減価償却主張するその範囲におきましては、どのような償却資産でありましても課税対象になります。しかしながらそういう主張をしないものについては、一個または一組の価格が一万円以上のもの、耐用年数がさらに三年以上のものというふうなところで、線を引くべきであると考えております。
  29. 門司亮

    門司委員 そこで大体一万円ないし三年という御意見が出ておりますが、それらを何らかはつきりした形で法文の上に表わすか、あるいはそういうことを内示されるかということであります。この点はきわめて重要でありますので聞いておきたいと思いますが、先ほど本人主張というお話でありましたが、本人主張によりますといろいろな見方が出て来て、ここにまた一つの紛争の種をまくことになろうかと思うのであります。そこでこの耐用年数三年、あるいは一つまたは一組のものの価格が一万円ということにいたしましても、物の見方によりましては、実際上の取扱いとして、特に機械類には多いのでありますが、工具に属する分にしても、あるいは価格が非常に高いものがあります。また工具ではなく固定された一つ機械と見るべきものについても、価格の点においては非常に安いものがある。これらの点が、いろいろ問題が起つて来る一つの焦点だと思つております。耐用年数にいたしましても、同じようなもので、中には比較的耐用年数が短くて非常に高価なものがないわけではありません。従つてこの点の明確な線というものを一つ出しておいていただきませんと、実際の取扱いに当る市町村では、これの決定に非常に困るのではないか、單に価格が一万円で、耐用年数が三年だと言われましても、工具機械類というものの限界点が非常に複雑して、むずかしいのであります。この点をもう少し詳しく御説明願いたいと思います。
  30. 奧野誠亮

    奧野政府委員 今申し上げましたのは、工具器具だからそういう扱いをする、機械であればそういう扱いをしないという考え方をしておるのではないのでありまして、償却資産全体についてそういう考え方を持つべきであろうという考え方をいたしておるわけであります。大工場におきまして工具器具が非常にたくさんある、一つ一つはあるいは数千円にとどまるものであるかもしれませんけれども、総合いたしますと相当大きな金額になるだろうと思います。そういう意味で減価償却主張する限りにおいては、全面的に課税対象にすべきである、かような考え方を持つておるわけであります。しかしながら先ほどお話になりましたあるいは畜産業をやつておる人たち、あるいは農業を営んでおる人たち、こういう人たちはおそらく事業用の設備についても、必ずしも一々減価償却主張しないと思うのであります。また申告におきましても、そういう申告も出さないのが普通だろうと思うのであります。しかしながら全然課税範囲から除くということも、他のものとの間の均衡を欠く場合もありますので、そういう場合の一応の取扱い基準といたしまして、先ほど申し上げましたようなところで基準を設けて、課税対象を捕捉するというようなことが、一番適当であろうと考えておるわけであります。
  31. 門司亮

    門司委員 さらにその次の五号の問題でありますが、五号に価格は「適正な時価をいう。」と書いておりますが、その適正な時価というのは、言葉としてはおそらくこう書く以外に方法はないかと考えておりますが、実際の問題としては非常にむずかしい問題が出て来ると、私は考えておるのであります。従つてこの適正価格についての大体のものの考えでありますが、あなた方の方でお考えになつております適正価格というものは、時価見積つた価格であるか、あるいは機械を購入したときの価格から、すでに使用いたしております耐用年数の償却される分を、一応差引いた残りの価格にされるのか、その点は会社工場価格決定の場合に、非常に困る問題がいろいろ出て来ると思いますが、この点はどういうふうに考えておられますか。
  32. 奧野誠亮

    奧野政府委員 原則的に抽象的な言葉で申しますと、正常な市場価格ということになるだろうと思うのであります。しかしながら、大きな施設などでありまして、簡単に持ち運びもできない、しかもそれを売るといつたところで、簡単に売れるものではないというようなものも、たくさんあるだろうと思うのであります。そういう場合にはやはり収益から還元いたしまして、価格というものを想定しなければならないというふうに考えておるのでありまして、やはりそういう具体的な例によつて判断しなければならないだろうと思われる点が出て来ると思います。
  33. 門司亮

    門司委員 事業を営む者には、これは非常に重要に作用をいたして来るのでありますが、実際は価格というものとそれの使用関係であります。非常に高い機械であると一応考えられるものにいたしましても、使用の度というものは機械が非常に古くなつておる、あるいはこの会社においては非常に使いにくい機械であるというような場合には、本人申告というか、考えておりますそのものに対する価値と、実際上のそとから見たものの価値というものが、相当大きな開きを持つて来ると思います。ここにやはりものの値段をきめます場合に、非常に問題を起しやすいことが必ず生じて来る。この点の調整は一体どちらをおとりになるかということを伺いたい。それからついででありますので、もう一つ聞いておきますが、物の価格を定めます場合に、必ず価格の最後に残りますものは、廃棄価格が残つて来るはずであります。どんな機械にいたしましても、耐用年数がまつたくなくなつて使用されなくなつたというものでも、やはり機械の形をして残つております。これは今までのわれわれの通念からいたしますと、一種の廃棄価格として、たとえば機械類にいたしますならば、全然使用ができなくなるまで使いましても、やはり廃棄価格というものは多少残つて来なければならない。その場合に、やはり使用に耐えなくても、一つ時価というものが見積られるかどうか。
  34. 奧野誠亮

    奧野政府委員 あとの問題から先に申し上げますと、たとえば耐用年数が十年である。十年を経過いたしまして償却は済んでしまつた、その場合に十分の一だけは、残存価格として所得税法や、法人税法では認められておるわけであります。しかしながら固定資産税課税対象になりますのは、事業の用に供することができる資産でございまして、まつたくの残骸でありますと、いわゆる廃物として売れるかもしれません。価値はあるかもしれませんけれども、それはもうすでに事業の用に供することができない資産でございます。従いまして固定資産税対象にはなりません。しかしながら償却期間が過ぎたからといいましても、事業の用に供することができる資産である限りにおいては、その時価を見積りまして、固定資産税課税対象にすべきである、かように考えておるわけであります。  それから最初の御質問でございますが、機械が古くなつて価値を失つていたというふうな事例、もとよりそれの正常な市場価格によらなければならぬわけでありますけれども、工場の財産などというものは、全体が組み合わさつて一つの生産力を持つようになり、また一つ価値を持つようになつておると思うのでありまして、單に一件々々をこまかに評価をして行きまして、時価をむりにつけて行くというよりも、やはりその工場の持ちますところの生産性といいますか、そのときの置かれておる収益性といいますか、そういうものも当然全体の評価の際に考慮に置きまして、そうしてむりな評価にならないようなくふうをして行かなければならない。かように考えておるわけでございます。
  35. 門司亮

    門司委員 これは非常に重要な問題でありまして、あるいはそういうお考えは一応なされるかもしれませんが、この機械の面につきましては、なかなかそういうことが考えられないのではないか。実際に使用いたしておりまするものの面から見ますると、事業の用に供せられるものといたしましても、そのものの利用価値というものがきわめて少い場合がある。あるいは先ほどから申し上げておりまするように、その工場ではほとんど使用価値はないか、しかしこれは工場の実態でありますので、工場の生産の規模をかえるとか、あるいは生産の工程をかえるとかいうふうな場合には、従来使つてつた機械、また他の工場に持つて行けば、十分使用に耐え得る機械器具でありましても、その工場ではほとんど用をなさない場合が私はあると思う。これを一つの遊休施設と言えばあるいは遊休施設と言えるかもしれませんが、しかしそれは単に工場が縮少したための遊休施設ではなくて、生産工程の変更その他で、必ずそういうものができて来る。それに対するものの見方というものは、工場にとつては非常に重要な問題でありますから、この遊休施設その他に対しても、これは先ほど申し上げましたので、ついででありまするが、どういうお考えであるか、承りたい。
  36. 奧野誠亮

    奧野政府委員 事業の用に供することかできる資産でありますので、物品販売業を営んでおる人たちが、機械類を幾らたくさん持つておりましても、これは課税対象にならないわけであります。同様な意味におきまして、生産工場においてかりにたくさんの機械を持つておりましても、それはもうすでに減価償却の記帳もしていない、まつたくの廃物として持つておる、あるいはまた陳腐化してしまつたので、その工場では使う意思もない、使つてもいない、また減価償却もしていない。そういう場合はもとより課税対象とすべきではない。物品販売業を営んでおる場合の固定資産と同じように考えるべきである、というふうに、解釈をいたしておるわけでございます。遊休施設の場合には、單に遊休施設だからどうというわけには参りませかけれども、やはりたまたま事業の都合によつて工場はその機械使用を休止しておる。しかし需要がふえて来れば、すぐに動かすのだというふうな場合は、おそらく減価償却対象にもなつておりましようし、その資産は財産目録にも上つておると思うのであります。そういう場合には、課税対象になります。もとよりその事情は、ある程度評価の際に考慮しなければならない場合も、たくさんあるだろうと思いますけれども、課税対象にはすべきである。こういうふうに考えております。
  37. 門司亮

    門司委員 これは非常に重要な問題でありますので、はつきり確かめておかぬと、問題を起すことがあると思いますが、遊休施設に対しましても、一応課税されるということは、法文の上から言えばそう言えるのでありますが、ただ業を営んでおりまする者は、遊休施設。ありまする場合と、先ほど申し上げましたように、事業の内容の変更いたしましたことのために、遊休施設というよりも、むしろ工場としてはほとんど使えない機械であるということがある。他の方面に持つて行けばまだ使える。従つて法文の上から参りますると、事業の用に供するということが書いてありますので、この事業の用に供するというのは、その工場事業の用に供するのか、あるいは他の事業の用に供することもでき得るのか。この辺の見解をもう一度お聞かせ願いたい。
  38. 奧野誠亮

    奧野政府委員 その所有者の行つておりまする事業の用に供することができる資産でございます。それ以外のものを幾ら持つておりましても、固定資産として減価償却の記帳をするわけにも参らないだろうと思います。所得の計意におきましても、自分の事業資産でないものにつきまして、減価償却額の紀帳ということは、あり得ないというふうに考えておるわけでございます。
  39. 門司亮

    門司委員 その辺は経理の面になつて来ますので、あるいは会社工場等におきましてはそういう資産を持つておりましても事業の用に供しないから、これを償却資産対象にしないということが、言い得るかもしれませんが、実際の問題といたしましては、やはり工場一つ資産でありまするし、一つの財産でありまするので、従つて財産目録にも当然登載してあるでしようから、あるいはそれらを全部くるめた償却をしなければならないことは、これは会社の経理上私は当然だと考える。しかるに今のお話のように、実際使わないものであるならば、それを除くということになつて参りますと、遊休施設使用しない機械というものとの限界は、私は非常に問題になつて来ると思う。どこまでが一体遊休施設で、どこまでが使わない機械であるか、従つて私の聞いておりますることは、遊休施設にかけるということになつて参りますと、一応遊休施設というものは、依然それが使い得る施設であるということの仮定のもとに、遊休施設という言葉が出て来ると思う。ところが生産の工程がまつたくかわつて参りましたので、今まで持つておる固定資産ではあるが、それがその工場ではほとんど使用しない。その工場だけから言いますれば、これはほとんど廃棄価格にひとしいようなものではあるが、しかし他の工場に持つて行けば、十分使い得る。価格がないわけではない。十分価格は持つておる。しかしその工場に限つては、もうほとんどこれを使わない。遊休施設といえば、これは遊休施設の中に入るのでありますが、遊休施設でもないというような形のものが、現在も、非常に工程のかわつておりまする工業界においては、私は多いと思うのであります。それらに対してのものの見方であります。もう少し具体的に言いますと、一つ工場で従来電気を使つて加熱をしておりましたものが、あるいはガスに切りかえられる、あるいは石炭に切りかえられまする場合に、電気炉は一応使えば使えるが、しかしそれをガスに切りかえた、あるいは石炭に切りかえたために電気炉はそのまま置いておく。そうしてほかに作業の工程を進めて行くという場合に、その電気炉は大体遊休施設といえば遊休施設といえるかもしれない。しかしその工場ではほとんど使わなくてもいい施設であつて、遊休施設でもないというものが、私は必ず起ると思うが、そういう場合にはやはりそれを遊休施設とお考えになりますか。事業の用に供しないのであるから、その固定資産に対しては、税金をかけないというふうにお考えになつておるか。
  40. 奧野誠亮

    奧野政府委員 今お話の例について考えてみますと、事業者がどういう意思でやつておるかということと、それを客観的に見た場合、食い違いがあるのじやないかと思うのであります。従いまして軽卒な一方的なお答えもできかねるわけでありますけれども、あくまでもそれが事業の用に供することができる資産であるかないかということは、客観的に見なければならないのじやないかというように考えるわけでありまして、その客観的な判断の資料といたしましては、その事業はやはりそれを自分の事業固定資産として考えておるかどうか、言いかえれば、事業固定資産として貸借対照表にも載つておりまするし、あるいは減価償却を記帳しておりましたら、やはりこれは一応課税対象になる、こう申し上げたいのであります。そこで認定の問題になるわけでありますから、現にいろいろな経済界の状況から言いまして、休止せざるを得ない、またいろいろ機械の進歩によつて、要するにその機械がもうすでに陳腐化しておるというふうな問題になつて来ましたならば、もとより評価において十分それらの点は考慮しなければならない、かような考え方をいたしておるわけであります。
  41. 門司亮

    門司委員 ちよつと私まだのみ込みにくいのでございますが、私はもうしごく簡単に御説明願えればいいと思うのだが、遊休施設と見るか見ないかということでありまして、今のお話のようでありますると、財産目録あるいは貸借対照表といつておりまするが、会社の経理の面におきましては、おそらく会社資産内容というものは非常に重要でありまするので、持つておりまする資産を現在使つてつても使つていなくても、全部会社の貸借対照表に載つておりましようし、あるいは財産目録の中に必ず入つていると思う。しかし実際の問題として、それを使わないで、その工場においては事業の用にも供しないし、その工場においてはほとんど使用する必要もないというようなものであつて、それが他に持つて行けば十分使えるという場合に、遊休施設と異なつた形のものが、私はあると考えておりますし、また現にあるはずでありますが、そういうものに対する定義をはつきりしておいてもらいませんと、單にそれも全部、財産目録にあるものは、使つても使わなくても、一応遊休施設と見て課税するのだという定義ならば、私はそれでいいと思う。そこのけじめがはつきりすると思うのですが、そうでなくて、単に資産目録の中に載つておるとか、あるいは陳腐化とか言つておりますが、陳腐化しようとしまいと、資産目録の中にあるものはあるし、償却するものはする。しかしその工場に限つては、その機械器具は使用しないというようなもの、ただそういう機械器具を持つておるというだけであつて、実際の事業の用には供しておらない、しからばこれは遊休施設かというと、遊休施設という言葉にも当てはまらない、買手があればいつ売つてもいいというふうなものが私は必ずあると思う。それらのものに対する見方であります。
  42. 奧野誠亮

    奧野政府委員 私の申し上げておりますのは、貸借対照表に記載いたしまして、そして減価償却をその資産について主張いたします限りは、それは課税対象になります。かように申し上げておるわけであります。
  43. 門司亮

    門司委員 その議論はそのくらいにしておきましよう。あまり長くなると、わからなくなりますから……。
  44. 中島守利

    中島委員長 この際委員諸君に申し上げたいのですが、本多国務大臣は三時からやむを得ない公用がありまして、退席せられますから、本多国務大臣に対する質疑がございますれば、これは通告順にかかわらず、この際お許し申し上げたいと思います。門司君の質疑を適当のところで打切つていただいて、本多国務大臣質疑を許してあげたいと思うのですが……。
  45. 門司亮

    門司委員 どうぞ……。
  46. 藤田義光

    ○藤田委員 この際大臣の御明答をお願いしたい数点に関してお伺いしたいと思います。第一号は、固定資産税課税標準と税率の問題でございますが、これを出された根拠としまして、戰争前の米の値段と、戦争前の公課、各種税金の合算、それをかけ合せまして、一応最初の原案をつくられたやに拝聴いたしておりますが、それに間違いございませんでしようか。
  47. 本多市郎

    本多国務大臣 私は、ただいまのお話の段階を経て政府の結論がここに行つたのかどうかということにつきまして、その前のことを承知いたしておりませんが、私がこれを責任をもつて適当であると決定いたしました根拠は、シヤウプ勧告では土地家屋について千倍ということになつておりましたが、やはりこの土地家屋の評価については、そうした賃貸価格をとることが適当であるということ、さらにその倍数については、九百倍くらいにすることが適当であろうということ、それを前提として予定収入を得るためには、一・七五の税率も、また固定資産税率として妥当であろうということで、結論を得た次第でございまして、その前のいろいろな研究の過程において、さようなことがあつたか、どうでありますか、これは政府委員から答えさせるのが適当だと存じます。
  48. 藤田義光

    ○藤田委員 御存じの通り、従来の地租、家屋税は年間百四十億でございまして、今回固定資産税という形によりまして、一躍五百二十億円ということになつております。政府からいただきました資料によりますと、そのうちで大部分の四百三十六億は、大体土地家屋から徴収するという結果になつております。残る九十三億を償却資産から徴収するという形式になつておりますが、有力な学界その他専門家筋の調査によりますと、償却資産の徴収見込額が非常に少いということは、いまや定説になつておることではないかと思います。従いまして家屋土地に対する課税が飛躍的に増強される結果、御存じの通り、交通、運輸、船舶、倉庫、鉱山、電気、機械、化学工業等の基礎産業は重大な影響を受けるわけでございます。この税法の運営におきまして、わざわざ償却資産の徴収見込額を低くされまして、九十二億と予定されたのは、この基礎産業に及ぼす影響を考慮されまして、せめて償却資産で、運用の面で相当幅を持たせようという含みがあるのじやないかと思いますが、大臣のお気持をお伺いしたいと思います。
  49. 本多市郎

    本多国務大臣 これは運用の面において調整をするということよりも、現実に捕捉し得るものはこの程度が確実なところであろうというところから決定したのでございまして、お話のような運用の画等による調整等も考慮いたしました結果、捕捉はこの程度に見ることが確実であろう、こういうわけであります。
  50. 藤田義光

    ○藤田委員 これは私の仮定でございまして、間違つてつたら取消しをしたいと思いますが、急激な負担増加によりまして、この税金に耐え得ないものが出て来ることは、ほとんど確定的でございます。その際におきまして、これらの税金に耐えられない、固定資産税に耐えられない者の土地家屋償却資産は、経済的に最もよく利用し得る人手に渡すというような考えが、根底に横たわつていないか。つまり税金によつて個人所有権を移動させようという、考え方によつてはやや危険な思想が介在してはいないか。富の分布を是正するというところまでつつ込んだ税法ではないかという見方がございますが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  51. 本多市郎

    本多国務大臣 この固定資産税の根底には、お話のような思想も加味されておると存じます、たとえば身分不相応の大邸宅に住つておる人、そういう人は今日住宅難の際でもあるから、でき得るかぎりその遊休住宅は開放する。開放しないのでなければ、非常に大きな税金を負担しなければならないということになつて、開放が促進されるとか、あるいは広い土地をいつまでも利用しないで、ただ土地の値上りということだけをあてにして、うつちやらかしておくというようなところは、遊ばしておいても税金がかかるのだから、少しも早くこれを効率的に利用する方の人手に渡るようになるであろうというようなことは、まつたくその底にはその趣旨が加味されているものと考えております。
  52. 藤田義光

    ○藤田委員 非常に大臣として進歩的なお気持を拜聽いたしまして、まつたく同感でございます。  次に、この法案通り課税を実行する場合におきましては、地方税の増額分は当然利用者に転嫁すべきであるということが、一応の理論として考えられます。これがためには、運賃や倉敷料あるいは電気料金等の改訂を断行しなくちやならぬ。地代、家賃の統制令も大幅にかえなければならぬということが、必然的に出て参るのではないかというふうに想像されます。これをはたして利用者に転嫁して、物価体系に変更を加えらるる御用意がありますかどうか、お伺いしたいのであります。
  53. 本多市郎

    本多国務大臣 これはお話通りでございまして、やむを得ざる限度においては、運賃、料金等の変更、あるいは物価等にも変更を及ぼすことになると存じます。しかし今回の国税、地方税を総合的に計算をいたしますと、そう急激な影響が今回の改正で及ぶようには考えられません。しかしただいま申し上げました通りに、その事業自体で吸収すること困難なもの、あるいは公定家賃等のために、どうしても家主に吸収させるということが困難なその限度においては、改訂が必要になつて来ると考えております。
  54. 藤田義光

    ○藤田委員 三百九十一條で少し小さい質問になりますが、今回の固定資産税によりまして、課税客体が偏在するということは確実でございます。その際における救済規定をここにきめておりますが、この規定があまりに漠然といたしておりまして、はたして地方自治体らしい平和裡に、この偏在せる税収を隣接町村に配分できるかどうか。これはおそらく全国的な大きな政治問題になる危険をはらんでおる規定ではないかと思います。運用のよろしきを得るということは、おそらく困難ではないかと思います。先般八幡市の例を引きまして、次長の御答弁を得ておりますが、この機会にどういう方式によりまして、かかる規定の弱味をカバーするか、大臣のお気持を拜聽いたしたいと思います。
  55. 本多市郎

    本多国務大臣 この問題はお話通りに非常に複雑な作業を要するむずかしい問題であると存じまするその固定資産に対する関係の程度を勘案して分配するというのでございますから、非常にむずかしい問題ではあると存じますけれども、これをどうしてもやらなければ偏在を是正することもできないのでありまして、あらゆる資料を牧集いたしまして、地方財政委員会において処理して行きたいと考えております。この処理の方法についてでございますが、平均税率をもつて徴收して財政需要をオーバーするようなもの、そういう固定資産等がありました場合、それを指定して、ただいま申し上げましたような調整を行うのでございますが、他の税につきましても、標準税率をもつて算定し、そうして全体的に見まして固定資産の大きなものがあるために、財政需要をオーバーするという場合、その標準税率をもつて算定いたしまして、それ以上の金額を——財政需要をオーバーする金額を、その固定資産のある団体をも含めて関係町村に分配する、こういうふうなことになろう考えております。
  56. 藤田義光

    ○藤田委員 大臣に申しげるまでもなく、地方自治の運営の妙味というものは、機構にあらず、財源にあらず、もつばら人に重点が置かれるということは既定の事実でございますが、その人に関しまして固定資産税は重大なことを決定しております。第一が固定資産評価員でございます。第二が固定資産評価審査委員でございます。自治体に参與いたしますこの二つの新しい職員に関しまして規定の均衡がとれていない。固定資産評価審査委員は人数をはつきり法律でうたい、任期をきめ、しかもやめさせる場合を明示いたしておりますが、重大な固定資産評価員に関しましては、これらの規定を置いておりません。その理由をお伺いしたいと思います。ついでに固定資産評価員の権限の問題でございますが、固定資産評価員は、村長にかわつて固定資産の評価に関して全権を握つておるのか。あるいは四百三條のなかほどに書いてあります町村長が独自の判断と責任を持つてやるのであるから、評価員はアドバイサーにすぎないのかどうか。アドバイサーにすぎないとしては、あまりにも固定資産評価員に関する規定が冗漫にすぎまして、むしろ簡単に規定した方が、法律体裁上も適当ではなかつたかと思います。新しい職員の規定でございますので、特に大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  57. 本多市郎

    本多国務大臣 固定資産評価員の評価に基きまして市町村長が、その市町村長の責任において決定するものと考えておりますが、その前段の御質問等につきましては、政府委員から御答弁申し上げます。
  58. 奧野誠亮

    奧野政府委員 市町村決定するといたしましても、市町村内の非常にたくさんな固定資産を一々自分で評価できるものではないわけでございます。従いまして新たに設置します固定資産評価員というものは、市町村長の補助機関ではございますけれども、実質的には固定資産評価員の評価いたしました価格というものが、大体基礎になると考えなければならないと思います。それならその固定資産評価員の評価しました価格というものが、市町村全住民の信頼を十分にかち得るようなものでなければならない。それがためにはやはりその人そのものについて住民が全幅の信頼をしておるというような人が、固定賞産評価の事務に当るというような仕組みにする必要があると考えるのであります。そういう意味におきまして、待に市町村長の事務で、市町村長が全責任を負うべきものではございますけれども、固定資産の評価につきましては、特に重要な職員として固定資産評価員を置く。しかもその固定資産価評員というものは、特に議会の議決を求めなければならないというふうなかつこうにいたしまして、もつぱら評価の均衡化に対する住民の信頼感を得ようというような考えを持つておるわけでございます。
  59. 藤田義光

    ○藤田委員 固定資産税と称するのは、シヤウプの勧告では不動産税というふうになつておりましたが、これを固定資産税とかえられました理由でもありましたら、お伺いしたいと思います。この新しい税法が通過いたしまして課税されました場合の悲惨なる影響は、賢明なる本多大臣御存じの通りでありまするが、先ほども申しました通り価格の問題で真剣に何かこの税法の欠陥を補正する用意がございますかどうか。価格政策におきまして、利用者に転嫁することによつて、この税法の深刻さを補正するというような方式か何か、名案をお考えになつておるんじやないかと思いますが、このままの法案を実施しまして、それに対する救済方策がないとすれば、非常に影響するところが重大でございますので、重ねてお伺いしたいと思います。
  60. 本多市郎

    本多国務大臣 御承知のように今回の固定資産税におきましては、減価償却の可能な有形の資産というものを包含いたしました財産でございますので、固定資産税という表現の方が、会社等におきましても、有形の動産であつて資産表に上るものは、固定資産というふうにすべて通称されておるのでございますので、土地家屋を含めて考えました場合に、この名称の方が妥当であろう。かように考えた次第でございます。  さらにこの固定資産負担する人の立場を考慮して、何か転嫁する物価政策等を考えておるかという御質問でございますが、これは公定価格等で縛られている産業で、まつたくこの税の負担のためにやむを得ざる限度においては、そういう価格の改訂もある場合があり得るとは存じます。しかし概してそうしたことなしに治まるのではないかと思つております。しかし根本観念といたしましては、今回の税制改革は、従来の負担が不均衡であつたというので、是正したいというのが根本精神でありますので、そこに個々の納税者についての負担の変動が、相当あることはやむを得ざるものとして、断行するほかはないものと考えております。
  61. 藤田義光

    ○藤田委員 これは少しこまかくなり過ぎまして恐縮ですが、固定資産税に関する最初の條文に、土地家屋償却資産とございますが、この償却資産の中に、無形の償却資産を包含されなかつたのでありますが、国家的に見ても非常に重大な点でございます。課税客体の決定に当りましては、大臣の御意向も最初から無形資産は入れられぬという御予定でございましたかどうか。
  62. 本多市郎

    本多国務大臣 これは最初からシヤウプ氏の勧告にもございました通りに、債権債務の関係、その他工業権等の無形資産は入れないという建前でございますが、やはり純然たる財産税ということになると、無形資産も財産でございますから、財産税ならばそうでなければならないと思いますけれども、これは地方市町村課税対象としては、有形資産という程度が最も妥当ではあるまいか。そうしてでき得る限り今後税率を低くして行くということで、漏れなく課税して行くという趣旨に結論が達した次第でございまして、この純然たる財産課税と異なるという点は、ちよつと附加価値税が純然たる利益と異なるということとよく似た課税であると考えまするが、こうしたものをとらえることが地方税としては、適切であると思つております。
  63. 生田和平

    ○生田委員 藤田委員質問に関連して、評価員は一名、評価審査委員は三名となつておりますが、この関係についてちよつと御説明を願いたいと思います。
  64. 荻田保

    ○荻田政府委員 評価員を一名にしたのは、はつきりとその全市町村における評価についての責任を負う。これはもちろん先にお答えいたしました通り市町村長が最後の責任を持ちますけれども、その補助の責任はあくまでも、いわゆる局長といいますか、そういうかつこうでございますからどうしても一人。その下に使います補助員は何人も使います。審査委員というのは出て来た異議の申立ての審査をするのでありますから、普通の会議制の委員であります。これの方が適当であろうと考えております。
  65. 生田和平

    ○生田委員 たしかあれは府県知事が指名をするようになつておるのですね。そこで一人の評価員が責任を持つて市町村長の補助機関となつてうまく行きますか。
  66. 荻田保

    ○荻田政府委員 つまり一つ市町村の中の全区域の評価は、均衡を保たなければならない。それには数人おりましては、その間に不均衡が生じますから、むしろ最高の責任者は一人として、手足は何人でも使います。これの方が評価の適正を期する上によいであろうと思います。
  67. 生田和平

    ○生田委員 それは府県は府県内でどこかでまとめるようなことをやるのですか。たとえば村々でその評価が違つておるとたいへんなことになると思いますが……。
  68. 荻田保

    ○荻田政府委員 評価の基準については、地方財政委員会が全国的に基準をきめて、それに基きまして府県が管内市町村基準等をきめるわけであります。従いましてその意味で市町村間の均衡は全国的にとれるわけであります。なお非常に小さな町村で、評価員を一人独立に置く必要がないところは、数町村が連合いたしまして、一人の評価員を置いてもさしつかえないと思います。
  69. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 関連しますからちよつとお伺いいたしますが評価員がその職務を執行する場合に、何ら権限が付與してないような気がしますが、三百九十六條によりまして、地方財政委員会の事務員が職務を執行する場合には、たとえば検査権があつた質問権があつたりするのでありますが、評価員については何らその規定がないのでございますが、これはどういうわけでございましようか。
  70. 荻田保

    ○荻田政府委員 これは三百五十三條によつて、徴税吏員と同等の権限が與えられるわけであります。
  71. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 ところが、これははなはだ三百代言式で恐れ入りますが、四百二條に「地方財政委員会又は都道府県知事に、市町村の徴税吏員又は固定資産評価員を指揮する権限を與えるものと解釈してはならない。」とあつて、明らかに法律市町村の徴税吏員と固定資産評価員とは別のように書いてありまして、市町村の徴税吏員とは解釈てきないように思いますが、結局市町村の徴税吏員と解釈してもいいのでありますか。
  72. 荻田保

    ○荻田政府委員 固定資産評価負で、徴税吏員を同じ権限、つまり今の質問権、検査権を持つております場合は、徴税吏員としての指定をいたすわけであります。
  73. 門司亮

    門司委員 あとで質問いたしたいと思つてつたのですが、せつかく大臣もお見えになつておりますのでお伺いしておきます。それはこの法案を審議するにあたりまして、御存じのように私ども公聽会を三日にわたつて開いていただいて、二十七人の公述人の意見を聞いたのであります。大体公述人の意見を聞いた範囲においては、全部この法案に対しては反対の意見であるようであります。それから陳情の参つておるのは非常におびただしい数字でございまして、事業家と言わずあるいは働いておる者と言わず、農民と言わず、ほとんど全国の国民がこの法案に賛成をしておる者はないと私は考える。この点は大臣も十分御承知だと思いますが、そういう事態にありますときに、大臣としては、この法案をやはりいい法案として十分確信があるかどうかということ、また現在の状態では国民の大多数は絶対に反対だと思いますが、もしお聞かせ願えるならば、大臣の心境を伺いたい。
  74. 本多市郎

    本多国務大臣 私も新聞の論調、それから公聴会の模様等を聞きまして、まことに反対の意見が多いのには意外に感じておる次第でございます。これは今回の税法の改正の趣旨が十分理解されていない結果ではないかと思うのでございまして、負担の変動のために確かにほかの人と比較して、減税の程度が少なかつたり、あるいは幾分の負担増になる方もございますけれども、この税法の一貫した制度は、将来の地方自治制発達のため、またあらゆる企業の存立の前提條件として、まことに均衡のとれた適切なる制度であると私は考えております。現に市長会、町村長会等におきましては、この税法の改正案を支持して、いろいろな決議、陳情等もあるわけでありまして、少し国民の理解を得ましたならば、この税法の適切であることが理解されて行くであろうと考えております。
  75. 門司亮

    門司委員 今、大臣は非常にいい税金だどいうお話でございましたが、国民の全体が反対しておることも事実であります。町村長会あるいは市長会が賛成をいたしておりますというのは、税法が定まりませんごとのために、予算のやりくりにおいて非常支障を来しておりますので、きまるものならば早く税法をきめてもらいたいというのが、町村長会あるいは市長会の意思で、決してこの税法がいいから早く通してくれという意思ではなかつた解釈しておるのであります。これは市町村長会の代表であります金刺君の意見の中にも、後段においては早くきめてもらいたいという話でありましたが、前段においてはこの税はあまりよくないということを十分述べております点から見ましても、そうだと考えております。  もう一つお伺いしておきたいと考えておりますことは、先ほど大臣からお話がありましたように、自分は確信を持つておるが、しかしこれが周知徹底をしていないで、非常に納得が行かないことのために、おそらくそういういろいろな非難あるいは問題があるであろうというような御趣旨の御答弁のように、私は拜聽いたしたのでありますが、そうだといたしますならば、税金はしばしば私が申し上げますように、国民の絶対な理解と納得があつて、そうして納税の義務を果さすという協力が政府においてなされない限りにおいては、納税の全きを期することは、とうてい困難だと思います。どんなにいい税金でありましても、国民が理解と納得をしない場合におきましては、やはり悪税と見えたりあるいは税に対する観念が薄かつたりいたしまして、納税の成績は必ずしも上らぬと思う。これだけ全国の国民があげて反対をいたしておりますときに、理解と納得をせしむるだけの、何らの時間と措置を與えないで、ただちにこれを強行されるということは、税の混乱を招くおそれが多分にあるというように考えておりますので、その点について大臣はどういうふうにお考えになつておるか。端的に申し上げますれば、これが理解と納得をすることのために、ここでは相当な啓蒙運動あるいは時日をかすることが、私はこの税法を定める上において一つのいい手段と考えておりますが、この点に対する大臣のお考えはどうであります。
  76. 本多市郎

    本多国務大臣 これは国会で御決定を見ますことが、最も国民の理解を早め、国民に確信を與えることになろうと存じております。今の段階におきましては未定のものでございますので、具体的にこの制度の趣旨の普及ということもできないわけでありますが、国会で決定を見ましたならば、かねて地方人たちも十分関心を持つておることでございますので、その理解に努めまして、完全実施を期して行きたいと考えております。
  77. 門司亮

    門司委員 大臣を足どめして悪いのでありますが、実際の問題といたしまして、国会がきめればそれで国民が承知するというお考えは、実はどうかと思うのでありまして、国会は法案の審議はいたしておりますが、これの周知徹底については、もしそうだといたしますれば、この法案は国会の当初に出されて、これが十分審議の期間が與えられなければ、われわれは責任を持つて国民にほんとうに周知徹底さすわけには行かぬと思うのであります。われわれの責任の範囲において、国会でこれを周知徹底せしめるというお話でありますならば、この法案ははなはだ遺憾ではございますが、われわれの限界におきましては、国民に周知徹底せしむることのできない段階だと言わざるを得ないのであります。従つて大臣におきましてはそういうことでなくして、真に具体的にこれが国民の半ばまで浸透することは、時間的に申しましてもすでにそういう時間を持ち合せておらないと考えておる。單に形式的に国会は国民の代表であるから、国民の代表が周知徹底をすれば、それで大体決定したものだというものの考え方は、非常に大きな誤りだと考えております。なるほどわれわれは一応審議はいたしておりますが、しかし納税は個人個人が納得しなければできないことであります。單に文章だけで画一的にきめられるものではないのでございますので、その点は大臣と私との意見の相違かもしれませんが、私は今の大臣の御答弁には断じて承服しがたい。従つてもう一応お聞き申し上げたいことは、この税かもし施行されました場合において混乱が起る、あるいは徴税が非常に困難であつたり、あるいは徴税が過重であつたり、国民が非常に迷惑するようなことが必ずあると思うのでありまするこういうことに対してどういう方法で周知をせしめるか、あるいはどういう方法で間違いのないようにして行くかというようなことについて、十分確信のある御答弁を願いたいと思います。今の御答弁は單に形式たけの答弁だつた考えております。
  78. 本多市郎

    本多国務大臣 提案が遅れましたことは、まことに申訳なく存じておるのでありますが、今回の国税、地方税を通じての税制の改革は、この時期に日本が断行すべき国家のために非常にいいことであると信じております。従つてお話のように、この税法が改まつたために大混乱が起きるというようなことは、予想しておらないのでございまして、すべてこの税法に関することは、政府の責任であることは当然でございます。
  79. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 今大臣はこの法律を国民に周知徹底させれば、国民はさぞかしいい法律だということをさとるだろう、こういうことを申しましたが、これははなはだけしからぬ言葉たと思う。なぜならば、国民の代表の国会議員が、水産委員会においても、あるいは農林委員会においても、運輸委員会においても、この法律を改正してもらいたいという意見を本委員会にもたらしている。また本委員会委員長も、個人的ながら修正意見を持つて関係方面と折衝しておるということも聞いておる。なぜこういうことをやらなければならぬか。本委員会委員長がばかだから、この法案を徹底的に研究する頭脳を持ち合せてないから、だからいい法律なんだけれども悪い法律だと思つて、修正法案を提出しているのだ、こういうことになるじやないか。これは本多国務大臣としてははなはだ重大なる失言だと思う。水産委員会は何でこの修正意見を出しておる。運輸委員会は何で修正意見を出しておる。これはこういう法律を出されると、国民生活が完全に破壊されるから、だからまあとにかくこの程度の修正をしてもらいたい。こういうわけで意見を出しておるのだと私は考える。われわれはそういう姑息的な修正案でなく、こういつた地方税は全国的に撤回すべきだと主張しますけれども、しかしともかくも修正意見が出ておることは、この法案が絶対的にいいものであつて、悪いと言つておるやつはこの法案を一から十まで、すみからすみまで知らないから、理解徹底していないから悪い法案だと言つておるのだという大臣の答弁は、私としてははなはだ納得できないと思います。取消してもらいたい。
  80. 本多市郎

    本多国務大臣 この法案が国家のためにまことにいい法案であり、国会においても国家のためこれは承認せられることであると信じておるのでございます。
  81. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 まことにいい法案たと大臣がそうぬけぬけと言われては、われわれは引込みがつかない。大臣が何時に帰る予定か知りませんが、いつまでもいてもらいまして、この法案がいいか悪いか、徹底的にここで討論してもらいたいと思いますが、どうですか。
  82. 本多市郎

    本多国務大臣 国家のため悪い法案であるといたしましたならば、政府がさように信じておるといたしましたならば、提案はいたさないのであります。
  83. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 やむを得ず提案したのじやないか。なぜ大臣はこの法案を国会に提出するのをあんなに遅らせたのですか。関係当局と何日間折衝したのですか。どういう関係で折衝したのですか。その点についてもつと詳しく説明してもらいたい。
  84. 中島守利

    中島委員長 ただいまの御質疑のようなことは、議論にわたるようになりますから、どうかさような議論はなるたけお控えを願います。
  85. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 それではいいか悪いかは、十分討議の機会を與えてもらいたい。大臣はりつぱな法案だと言つておる。全国民は悪い法案だと言つておる。われわれは国民の代表として、そういう大臣のとんでもない言葉を聞いて、そうですかと言つて、すごすごと引下るような、そういうばかなことはしたくないから、国会議員として、そういうばかなことを聞いておられない。(「討論のときにやれ」と呼ぶ者あり)討論というて、国会の討論なんかは義理一通りのものだ、絶対多数だということによつて、自由党が通そうということになれば、いつでも通つてしまう。やはり質問とかいろいろな間に討論というものはやらなければならぬ。現実に討論というものは、各党が代表討論をやつて、その討論に対する討論というものは、全然やつていないじやないですか、われわれが討論をまつても、それが理の当然の討論であつても、あなた方それを聞いたことがありますか。聞いたことがないじやないか。     〔発言する者あり〕
  86. 中島守利

    中島委員長 私語を禁じます。
  87. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 ですから審議を徹底的にやつてもらいたい。大臣は日本一りつぱだ、世界一りつぱだ——どこの法律か知りませんが、何かとにかくりつぱな法律だと言つている。全国民はそうじやないと言つて、公述人の大多数も改正してもらいたい、反対だと言つている、全部がそう言つている。それなのに本多大臣は、これはりつぱな法律だと言つている、だからこれは私と本多国務大臣との討論ではなくて、全国民と本多国務大臣との討論なんだ。それをわれわれが代表して討論しようということを何で妨げる理由があるか。(「見解の相違だ」と呼ぶ者あり)見解の相違と言われるなら、国会は何のために必要があるか。国会というものは意見の相違がある者が、たくさん集まつて討論するために国会というものがあるのだ、意見の相違、見解の相違でございますといつて、つつぱねておつたら、どこに国民の利益を守る国会の存在意義があるか。だから意見の相違があつても、その意見の相違をとことんまで、最大多数の最大利益という観点に立つて、討論を進むべきであると思う。
  88. 中島守利

    中島委員長 大体において質疑中に御意見を述べられても、委員長はあまりとめないのであります。しかし本多国務大臣は三時の約束の時間がありまして、ただいまも迎えに来ておるのであります。公用に妨げあつても悪いと思つたものですから、池田さんの議論はなかなか徹底するまでには行かない議論であります。
  89. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 そこで委員長にお願いしたいのでありますが、本多大臣がそのような御用で帰られるとするならば、私どもは根本的な問題で討論したいのでありますから、本日の会議はこれでおしまいにしてもらいたいと思います。
  90. 中島守利

    中島委員長 それはまた別であります。
  91. 久保田鶴松

    ○久保田委員 大分お聞きしたいことがあるのですが、一つだけ大臣にお聞きしておきたいと思います。固定資産税の問題でございますが、この固定資産税は、土地家屋及び償却資産の三点が課税対象となつておると思うのであります。そうしてその税収の予定額は五百二十億になつておる。ところが従来の地租、家屋税は年額百四十億であつた。それが今回この地方税の総額の中で、四百億、そうして今度出されておるこの固定資産税の中からとられまするものが三百八十億、これはこの四百億の中の九五%を占めている、こういうようなことでございますと、この税金は非常にとり過ぎの税金になると同時に、本多国務大臣は非常に男ぶりのいい人でありまして、私たちはあまり憎まれ口は言いたくないのでありますが、この法律通りますと、本多国務大臣法律の上において国民を殺されることになる、殺人法律なんだ。だから本多国務大臣はこれをどう考えておられるか、私は国民を殺さないような法律にしてもらいたいということを、本多国務大臣にお伺いいたしまして、お答えを願いたいと思うのであります。いろいろお伺いしたいこともありますが、他はまた次にお伺いすることにいたします。
  92. 本多市郎

    本多国務大臣 今日の国民の税負担の苦しさは、まことにわれわれといたしましても想像できるのでありまして、あらゆる面において努力して、さらに減税の方向へ行きたいと考えております。ただいまお話固定資産税の中で、土地家屋の税が三倍程度に上るということを御指摘でございましたが、これはまことに従来の地租、家屋税に比較いたしまして三倍近くまで上るのでございます。しかし今回のこの税制改革は、国税、地方税を通じての変動でありまして、これを総合的に計算いたしますと、ことに土地を生産の基礎とする農業等におきまして、決して負担は増加にならない、相当大幅の軽減になる次第でありまして、今日までのこの不動産の課税が他の課税に比べまして不均衡に安かつということを是正して、この税制に改めることによりまして、この税によつて均衡が合理化されただけは、それたけ税を負担する人の立場も緩和されて行く、よくなつて行くものであると考えております。
  93. 中島守利

    中島委員長 それでは前に引続きまして門司君に質問を許します。
  94. 門司亮

    門司委員 私は質問いたします前に、まだ大臣に対する質問がたくさんあります。さらに質問の内容の中に、やはり大臣でなければぐあいが悪いことが出て来ると思います。單なる條文の解釈だけでなく、基本的な問題が必ず出て来ると思いますので、明日会議が開かれます場合は、ぜひひとつ大臣の御出席をお願いしたいと考えております。  その次にお聞きしておきたいと考えますことは、三百四十一條の第六号の問題でありますが、この問題は三百八十八條と非常に大きな関連を実は持つておるのでありまして、三百八十八條に地籍図、土地使用図、土壌分類図、あるいは家屋見収図というようなものが書かれておるのであります、この問題は、一体いつこれが実施されるかという見通しであります。私ども地方の自治体へ参りますると、第三百八十八條に規定されておりますこれができて、そうして三百四十一條の第六号というものが初めて満足なものになるというように考えるのでありますが、歩の通りでありますか。
  95. 荻田保

    ○荻田政府委員 土地家屋につきましては、さつきからおつしやいますうに、三百八十八條の地籍図以下が整備いたしますことが、課税を適正に行う上におきまして必要でございます。しかし三十五年度は御承知のように現在の賃貸価格を標準に用いますので、さしあたり本年度は従来の台帳で用が足りるわけでございます。この一年間に整理いたしまして、できるだけ二十六年度からこういうものを整備して行きたいと考えております。
  96. 門司亮

    門司委員 私の聞いておりますのは、本年度はおそらくそういうことでさしつかえないと考えますが、その問題にも問題がありますが、それは後ほど議論するといたしまして、この地籍図あるいは見取図というようなものが、非常に軽易にお考えになつているようでありますが、日本の市町村におきましては、大体地籍図というものは、従来われわれが通常使つておりましたほんとうに明細な図面というのは、大体六百分の一ぐらいをどこでも使つておるのでありまするが、この六百分の一の明細図というのは、大体今の市町村にはないと言つてもいいくらいじやないかと、実は考えておるのであります。従つてこの地籍図をこしらえようということになつて参りますると、実際の問題といたしましては、非常に多くの労力と、非常に大きな時間を要すると考えておる。たとえば地籍だけを明確にするにいたしましても、農林省に一応私は聞き合せたことがあるのでございますが、現在の田畑の地籍を完全に調査するには、一体どのくらいの人員が必要かということを聞き合しましたときに、農林省では四、五万人の人間を使わなければ、なかなか短時間のうちには簡單には行かないのじやないかというようなことを申されておりましたが、実際に私はそうだと考えております。従つてこの地籍図がいつでき上つて、この第六項に定められておりまするところの、ほんとうの帳簿がいつ作成されるか、その見通しをいただいま一年というお話でありますが、私は一年ではとうてい困難たと思いまするが、確信があるかどうか。
  97. 荻田保

    ○荻田政府委員 ただいまおつしやられました地籍図は、その内容いかんによるわけでございますが、さしあたりは現在の土地台帳等からの地籍図を考えております。仰せになりましたように、根本的に現在の日本の土地全体をはかり直すということは、確かに必要な点でございまして、政府でもこの問題につきましては土地調査法というようなものをつくりまして、ひとり課税だけではなく、ほかの一切の資料に大大的な調査を行つたらいいじやないかというので、目下安定本部を中心にいたしまして、審議を進めております。しかし一応この固定資産税課税につきましては、現在程度の資料に基きまして地籍図をつくる。それを二十六年度あたりに整備すれば、大体やつて行けるものだと考えております。
  98. 門司亮

    門司委員 そうすると、この條文は大体こういうふうに解釈すればいいのでございますか。現在の土地台帳を基礎とするものであつて、決して実質に沿うたものではないということ、おそらくそれ以外にあなた方の方では答弁は困難だとは思いますが、実際の問題としては、先ほど家屋の問題で議論をいたしましたが、この法律の中にもやはり家屋定義を先の方に書いてあります。そのほかに、家屋台帳に登録されていないもので、この法律の規定によつて定められたものということが、先にちやんと書いてある。そういうものが私は必ずたくさん出て来ると思う。その場合に、單にこれが土地台帳あるいは家屋台帳だけで、税の万全を期することは、私は非常に困難ではないかというように考えておりますので、従つて三百八十八條と関連して実は質問をいたしたわけでありますが、当局はこの六項の規定で、大体の帳簿といいまするか、それからさらに固定資産課税台帳でありまするか、これらの台帳、あるいは補充の台帳というものがただちにできるかということと、この台帳は、こう書いてあるが、これは現在の家屋台帳、あるいは土地台帳であるか。これをこれに転用するというお考えであるのですか。
  99. 荻田保

    ○荻田政府委員 ただいまの土地台帳、家屋台帳は現存のものを転用いたします。それで現在大体地租あるいは家屋税対象になつていないものは、台帳にも載つておりませんから、そういうものにつきまして補充台帳をつくるわけであります。そこでそれは今申し上げましたように、大体現在のものを基礎にしてつくりますから、将来ほんとうに完璧なものは、先ほど申しましたように、相当大規模な調査等を行いまして、逐次これを整備して行史たい。法律でもそれを予定いたしまして、たしか逐次これを整えるというようにしるしてあります。
  100. 門司亮

    門司委員 土地台帳と家屋台帳はそれでわかりますが、固定資産の台帳は何によつておきめになるか。
  101. 荻田保

    ○荻田政府委員 固定資産の台帳でございますか。
  102. 門司亮

    門司委員 固定資産税の台帳……。
  103. 荻田保

    ○荻田政府委員 償却資産でございますね。
  104. 門司亮

    門司委員 第三百四十一條の第六項の一番上に、固定資産課税台帳と書いてあります。
  105. 荻田保

    ○荻田政府委員 固定資産課税台帳は、土地課税台帳、土地補充課税台帳、家屋課税台帳、家屋補充課税台帳、償却資産課税台帳、これを総称して言う言葉でありまして、特別に固定資産課税台帳はないわけであります。
  106. 門司亮

    門司委員 私の言いますのは、そういう土地と何だけはわかりますが、あとの方に償却資産台帳と書いてある、償却資産台帳がそろわなければ、固定資産課税台帳ということにはならぬと思いますが、実際の問題として、この償却資産の台帳というものは今市町村にはないわけであります。これは一体何の基準によられるのですか。
  107. 荻田保

    ○荻田政府委員 これにつきましては、法案の中にも條文を置いておりますように、各所有者から届出をとりまして、それに基きまして市町村長がこの台帳を整備することになつております。
  108. 門司亮

    門司委員 これは非常な問題だと思います。一体届出をするといいますが、その届出の期日並びに届出をしなかつた場合には、どういう処置をとられるか。これで各持つておりまする者に——先ほどの委員会で大蔵大臣に聞さましたら、大蔵大臣は資産再評価法によつて八月の末に再評価が行われるから、そのときに全部の資産が大体申告されるであろうから、それによつてというような御答弁がありましたが、その通り解釈してよろしゆうございますか。
  109. 荻田保

    ○荻田政府委員 この再評価の額等が、税務署から市町村に通知がありまして、それに基きまして、本年一ぱいにおきまして整備することになります。
  110. 門司亮

    門司委員 そうすると、現在の段階においては、あなたの方にはこの償却資産の台帳がありませんので、償却資産に対するよりどころがないということに解釈してさしつかえありませんか。
  111. 荻田保

    ○荻田政府委員 現在、償却資産台帳はございませんから、その台帳としてはより、どころはないわけでございます。
  112. 中島守利

    中島委員長 立花君は議事進行ですか。
  113. 立花敏男

    ○立花委員 議事進行で……。ごらんのように自由党の連中はいないのですが、定足数も足りませんし、野党だけでこれをやつてつても仕方がありません。定員がそろうまででもいい、ら、休憩願いたい。     〔「散会々々」と呼ぶ者あり〕
  114. 中島守利

    中島委員長 立花君の動議は休憩所でありますので、それではこの動議は先決問題でありますから、休憩するということに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  115. 中島守利

    中島委員長 起立多数。  それでは一時間休憩いたします。四時半より再開いたします。     午後三時三十八分休憩      ————◇—————     午後四時四十二分開議
  116. 中島守利

    中島委員長 再開いたします。  休憩前に引続き、固定資産税に対する質疑を続行いたします。通告順によりまして質疑を許します。門司委員
  117. 門司亮

    門司委員 質問者も非常に多いことでありますので、できるだけ簡單に申し上げたいと思います。一応次官かおいでになつておりますから、次官にお聞きしておきたいと思います。ただいまの答弁を伺いますと、固定資産課税台帳、償却資産課税台帳は、現在としては各市町村に持つておりませんので、これの課税台帳にかわるものがなければならないと思いますが、当局の御答弁では、資産再評価その他の手続をまつて、大体これが明瞭になるだろうというような御答弁のように拜承したのであります。そうなりますと、実は先へ行つてお聞きしようと考えておりましたが、この際もののきまりをつけるために、ずつと條文を飛ばして参りまして、三百四十九條の税率の問題についてあわせてお聞きしたいと思いますが、課税すべき課税額の見積りがはつきりできない現状において、課税率を定められた理由を一応聞いておきたいと思います。
  118. 小野哲

    小野(哲)政府委員 この課税率を定めました理由につきましては、後刻担当課長が参りまして御説明いたしたいと思いますので、しばらく御猶予願いたいと思います。
  119. 門司亮

    門司委員 それではその点については一応留保いたしておきまして、三百四十三條に移りたいと思うのであります。三百四十二條の三項に書いてあります船の問題でありますが、この條文によりますと非常にあいまいになつておりますので、これでは課税対象をつかみますのに、非常に困難ではないかというように考えられるのであります。それは「償却資産のうち船舶、車輌その他これらに類する物件については、第三百八十九條第一項第一号の規定の適用がある場合を除き、その主たる定けい場又は定置場所在の市町村を第一項の市町村とし、船舶についてその主たる定けい場が不明である場合においては、定けい場所在の市町村で船籍港があるものを主たる定けい場所在の市町村とみなす。」こういうふうに書いてありますが、もとより船は移動いたしておりますので、その「主たる」という文字は、非常に大きな問題を起すことがありますのと、同時に資産の内容を登録いたしておりますものは、やはり船籍のある地域だとしか考えられないのであります。従つて船舶に対する固定資産税は、その繋留場所というよりも、むしろ船籍のある所在地とすることの方が、この條文は明瞭になつてよいというふうに解釈するのでありますが、その点はどうお考えになりますか。
  120. 荻田保

    ○荻田政府委員 従来から船舶とか車輌等につきましては、いわゆる定置場、定繋場という観念で所在地をきめておつたのでありますが、やはりこれは応益的というような観点から見まして、実際問題できめる方が適当であつて、單に船籍がどこにあるかということできめない方がよいのじやないか、たとえば市町村民税をとる場合でも、例は少し違いますが、住所地ということできめまして、本籍地できめないのと同じように、やはり主たる定繋場というのが、実際に即すると思います。おつしやいましたように、その定盤場をどこに見るかということで、実際問題として争いが起るかもしれないが、やはりそういう場合は市町村といたしまして、実情に即した方が地方税の性質として適当だと思つたからでございます。
  121. 門司亮

    門司委員 これは非常に脱税の対象になると思います。御存じのように、住民税の場合においても、六月一日を大体基準にしておるようでありますが、これについても主たる繋留の場所ということになつて参りますと、移動いたしておる船舶は港を転々として——ある一定の期間はそこで動いておるかもしれませんが、また仕事の都合によつては、港を転々として動くのが船の仕事でありますために、主たる繋留場ということには必ずしも当らないものと思います。これは非常に脱税を起すもとであり、同時に税の捕捉の困難な事態を必ずかもし出すと考えております。従つてただいまのような趣旨の御答弁で、この條文をそのまま使用いたしますことは、非常に不便であります。たとえば、主たると言つておりますが、その船自体かそこに一年のうち一体何箇月ぐらい仕事をすればいいのか。あるいは船の繋留場所といつておりますけれども、繋留場所というのは、たとえば定期航路のようなものは船籍港に入らないかもしれません。あるいは三つの港を往復しておる場合に、一体どつちの港を主たる繋留場所というのか。この点の御見解がもしおわかりになつておりまするならば、一応定義を聞かしていただきたいと思います。
  122. 荻田保

    ○荻田政府委員 今おつしやいましたように、主たる定繋場が不明の場合においては船籍港をもつて主たる港とみなしますから、漏れることはないと思います。なお脱税の問題でございますが、これはほかの條文にもございますように、船舶で非常に遠く広く動いておる、つまり相当大きな船舶については、地方財政委員会において評価して、それをどこそこの分であるといつて、こちらから配付するのでありますから、全国的な船舶はこちらの名簿等によつてわかることになつておりますから、それによつてかげんすれば、漏れないと思います。
  123. 門司亮

    門司委員 ますますおかしくなると思うのです。私は船籍港が一番妥当であり、同時にこの法の全文を見ましても、税金が一方に片寄りました場合には、これは財政委員会の査定に基いて、他の町村に分付するようにこの法律自体ができ上つております。なおほかの場合でも、船だけが特別の扱いを受ける必要は、私はないと考えております。同時にわからなかつた場合というお話でありますが、わからなかつた場合というのは、いずれを指すかということであります。税金は、御承知のように、その年度内に納めなければなりませんので、おそらくその年度内でその始末をつけなければならない。その場合に主たる繋留場ということをだれが査定するのか。甲の町村がこれを査定し、乙の町村も査定するという場合に、その仲裁の裁判というものは中央に持つて来られるのかどうか。そういうことになつて参りますと、いたずらに地方の自治体間に紛争を起させる條文のように、われわれには受取れるのでありますが、この点どういうふうにお考えになつておりますか。
  124. 荻田保

    ○荻田政府委員 紛争のありますときは、第八條によりまして、関係市町村分についてはまず府県知事、府県税においては地方財政委員会に査定を求めるごとになつておりますが、これによつてやりたいと思います。それから先ほど申しました地方財政委員会できめますのは、固定資産価格が非常に多くて、それを附近の市町村にわけてやるために、こちらでやるのではなくて、移動性のあるものは、ちようどあなたがおつしやいましたように、どこできめるかという心配がございまするから、地方財政委員会によつて直接決定することになるわけでございます。
  125. 門司亮

    門司委員 その点は移動性があるといつておりますが、それは別に移動性があるわけではありません。船籍ははつきりしている。いわゆる固定財産の登録された場合があるわけであります。わからぬわけではないのであります。従つてその登録された場所で徴収するのが一番正しいし、そういう給与を巻き起す必要もないのであります。県知事の査定を受けたり、中央の査定を受けたりしなければならないというような煩雑な手数を設けて、お互い市町村の間に争いをかもし出すようなことは、私は法律の條文としては避けたいと考えております。どうしてもその点は私の意見だと言えばそれまででありますが、この点についてはもう少し争いのないような具体的な問題を出してもらいたい。たとえば主たる繋留場というものが一体何によつてはかられるかということであります。時間によつてはかられるのか、あるいは仕事の量によつてはかられるのか、繋留所におる日数を考えてやるのか。おそらく小さい船というものは二箇所あるいは三箇所、四箇所もあるかもしれません。日本の内地航路は、自分の港を出てから相当方々に寄港いたしておることは事実であります。その場合に船舶の繋留いたしておりまする時間を指しているのか、あるいは仕事を指しているのか。この点、どう解釈になつておりますか。
  126. 荻田保

    ○荻田政府委員 主たる定繋場は今おつしやいました時間、あるいは仕事の量、陸上との関係等総合的に判断してきめたいと思います。おつしやいました通り課税の便宜だけから申しますれば、船籍港でつかまえることが確かにいいのでありますが、軍に便宜で船籍港をもちまして、その課税源の主体と見るときには、單に船籍の問題でありますから、適当なところにどこにでも移せる。かりに東京なら東京に全部集めるということもできるわけでありまして、それでは税の実態に即しませんから、やはり主たる定繋場——多少課税の上においてはめんどうではありまするけれども、あえてそのめんどうはいとわずに、実態に即してかけないというのが、われわれの考えであります。
  127. 門司亮

    門司委員 非常に非常識的な御答弁を聞くのでありますが、日本に船舶は幾らあるかしれませんが、東京に全部移すということはおよそ考えられません。船主といえども自分の船籍を持つ者は大体本店のある場所であります。大きな汽船が横浜に船籍を置かないということは、横浜に本店がないからであります。大体本店のある場所に船籍を登録するのが常識だと考えております。職場は転々として歩いておりますが、営業の場所というものは、やはり一定した場所に置かなければならぬように考えております。営業の場所と船籍地というものが相一致することが、私はこの税を徴收する上においては、非常に便宜だと思います。同時に争いを起さないことになる原因だと考えております。さらに私は聞いておきたいと思いますることは、それなら一体その主たる繋留の場所ということは、だれが査定するのでありますか。その点を明確に御答弁を願つておきたいと思いまする。
  128. 荻田保

    ○荻田政府委員 主たる定繋場をきめますのは、相当大きな船については、地方財政委員会に直接やらせる、市町村できめるものについては、それぞれの市町村がきめて、その間争いがありますれば、先ほど申しましたような條文によつて裁定するわけであります。おつしやいましたように、実際船籍と主たる定難場という観念が一致するものでありましたら、それでけつこうでありますが、必ずしも一致しない。その点を私は極端の例を申し上げたのでありますが、これは單に架空の例でなくして、現にそういう例があつたのであります。船舶について船籍港でとるという場合には、税金の安い方に船籍を移してしまう。そういう経験がありまするから、最近は主たる定繋場という実際問題をつかまえて課税しておるのであります。
  129. 門司亮

    門司委員 以前の税法によれば別でありますが、今度の税法では大体確立されております。従つて安いところ、高いところということはないと思います。高いとか安いとかいうことは、資産再評価の場合は出て来ると思いますが、もしそういう場合になつて参りますと、そういう問題が必ずこれについて来るということ、それからもう一つは、もしそういう場合になつて参りますと、時間できめるというお話もありましたが、甲の町村、乙の町村、一体どの町村が、どれだけの時間をどこに繋留しておるか、これは観念的あるいは通念的にこの船は大体ここにいるんじやないかということを一応言えると思います。その点私はわかるのでありますが、争いになる場合にはきわめてこまかいところが争いの原因をつくる。この点についてこれ以上御答弁は要しないと思いますが、その前に政務次官にお聞きしておきたいのであります。事務当局が来てからと思いましたが、もう一度繰返して申し上げておきます。これは先ほど三百四十一條の六項についても質問をいたしました場合に、償却資産課税台帳というものは現実においてない。ないから従つてそれは、資産再評価その他において出て来たものによつて、これを定めて行きたいというようなお話のように、刷答弁を聞いたのでありますが、もしそうだといたしますと、三百四十九條において課税率がきめられておるのでありますが、実態はわからない。いわゆる課税額というものがわからないで、課税率をきめるということは、非常に私は危険だと考えておるが、この点はどういうお考えを持つておりますか。
  130. 荻田保

    ○荻田政府委員 これは初めからたびたび御説明申し上げておりまするように、大体固定資産価格と申しますものは、お配りいたしました資料に出ております程度を考えておりますが、実際にわからないと申しましたのは、市町村が、はたしてどこの店にどれだけの資産があるか、こういう台帳がないというだけでございまして、総体的には、お配りいたしましたような資料によるたけの額があると考えております。そういう額に対しまして、どれだけの税額が上るか、あるいは固定資産税自体の負担が、どの程度でいいかというようなことをにらみ合せまして、百分の一・七五というものを標準にきめたわけであります。
  131. 門司亮

    門司委員 非常におかしいのでありまして、総体的の議論として、一応こういうことがあなた方の方では成立つというお話でございますが、実際税を徴収するのは市町村であります。その市町村に台帳がない限りにおいては、どんな課税をされても——総体的にこれだけとれるはずだというお考えでありますが、市町村課税対象がわかつていないのに、何に課税するかということであります。実際にお出しになりました資料は、まつた違つておる資料が出て来ておる。私は必ずしも業者の言うことだけが正しいとは思いませんが、たとえば公聽会における大阪商船の社長の公述に見ましても、船舶税を全部とれば——大体船舶の固定資産というものは隠せない、これを全部見積れば、船主側が計算いたしましても十一億ないし十三億ある。しかるに政府の方では、それの税額を大体六億にお定めになつておる。これは半分しか見積られておらないのですが、一体これはどういうことかというようなお話もあつたことは事実であります。また自治庁自体が、戦後におけるいろいろな倍数をかけて、ここに一兆三千億なんということをお認めになつておる。しかるに今度の税の総額を見てみますると、それを一応六千億と課税額を定めて、そうして課税率が定められているようにわれわれは考えておる。もしそんなことになつて参りますると、あなたの方の、中央における一応の査定はそれでいいかもしれません。あるいは五〇%しかとれないのであるから、大体はそう過大に見積るということは、いろいろな弊害があるから、過少に見積つたというようなお話になるかもしれませんが、地方の公共団体におきましては、どうしても與えられた固定資産に対しましては、定められた税率をかけないわけには行かない。そうすると、もし一兆三千億という数字がかりに正しいといたしますならば、その税額どいうものは倍の税額がとれる、こういうことになるようにわれわれは考えておる。しかもその算定の基礎となるべき固定資産に対するよりどころがないので、ただ大ざつぱに固定資産というものを、全国の標準を見積つて、これだけになつておるから、これでいいはずたと言われましても、地方自治体で個々に課税をする場合に、その課税をいたしますものが、はつきりつかめたい状態にあつてきめられたということは、非常に地方が迷惑をするので、今年これを施行するにあたりまして、地方の自治体は、完全に自治体が持つております固定資産を算定して、それを評価して、そうして課税し得る自信を一体地方自治体が持つておるかどうか。この点に対する自治庁の見通しをもう一応お伺いしておきたい。
  132. 荻田保

    ○荻田政府委員 この点は、先ほど申し上げましたように、ちようど国税におきましても、全部のいわゆる事業用資産の再評価をするときでありますから、これと並行いたしまして、本年一ぱいに市町村の台帳を整えるのでありまして、それによつて来年徴税いたしますれば、必ずできるものと考えております。ただその評価の総額がいくらになるかということは、これはもうたびたび申し上げましたように、大きく見積りますればいろいろ数字も出ますけれども、一応われわれは、お出ししました資料による程度の評価、徴税を行うことが、本年度は妥当だと考えた次第であります。
  133. 門司亮

    門司委員 これは税の問題で、非常に問題になるのでありますが、架室のものに税率をきめるくらい危険なものはないと私は思う。本年度一ぱいに資産再評価とかその他の問題できめると仰せられます。なるほどきまるかもしれません。そのときに税率をきめることが私は正しいと思う。物が一体どれだけあるかわからぬのに、これだけの税率をきめて、これが施行されて参りますると、納める方では非常に迷惑をいたします。次に、先ほどから申しておりますように、一兆三千億あると仮定いたしまして、かりにその通り資産再評価の面で出て来たとしますれば、この税額は倍以上の税金がとれるということになつて来る。そうすると、ここで私どもが審議いたしました倍以上の税金を、国民からとることが一体正しいかどうか。今おそらく業者の諸君が非常に恐れておりますことはそれであります。あなた方の方では、これだけしか税金をとらない。一兆三千億に一・七五をかければ一体いくらになるか。見積られておるものは九十三億しかない。今業者の諸君が、というよりもむしろ国民全体が非常に恐れているものは、それであります。もし税率がこういうふうに定められて、あなた方の方でも、今年一ばいたたなければわからぬというようなものに対して、税率だけをここできめるということになると、この税率で徴収されたら、より以上のものが徴収される。考えておるより以上に徴収されるということは、あなた方が税率をきめるときはそれでいいかもしれませんが、これを議決し、これを決定するわれわれの立場というものは、こういうものについてこれを決定するわけには参りません。それは国民に非常に大きな迷惑をかける。事は他の法律と違いまして、この税金のことに関しましては、きわめて愼重でなければならない。税金はもとより地方の自治体の運営を阻害するような、ごく少い額を見積るということは、一応地方の運営に支障があるかもしれませんが、しかしそれはそれとして国家の、あるいは配付税なり、あるいは預金部資金なりで一応まかなうことができる。しかしとり過ぎるということは、政治上のきわめて大きな罪悪であります。ことに今日のように、ほんとうに金詰まりで行き詰まつておりまして、五人もあるいは十人も、毎日のように税金のために命をなくするような人がありますときに、必要以上の税金をとるというようなことを定めること自体が、私どもは良心的にできない。それで私はむりにこういうことを聞いておるのでありますが、一体それで当局はいいとお考えになつておるかどうか。もしこの課税額というものが、非常に巨額に上つて、そうして税金が九十三億以上、あるいは百二十億あるいは二百億もとれた場合に——おそらく私はとれることになると思いますが、そうした場合に、一体当局はどういうお考えと、どういう処置を、これになさるおつもりであるか。
  134. 荻田保

    ○荻田政府委員 先ほどからおつしやつております台帳をつくりますのは、今年一ばいかかりますが、大体資産の額というものはわかつておりますから、それによつて税率をきめておるのであります。架室のことと言われますが、およそ税はすべてそうなのでありまして、たとえば所得税でも、二十五年度の所得というものは、二十五年が全部済んでみなければ実際にわからないのであります。しかしその年度の初めに税率をきめなければならないから、所得税法によつてちやんと税率がきまつておるのであります。われわれの見積りの根拠が間違つておると言われるなら、これはまた御意見でありますから、十分御批判を願いたいと思いますが、現在のところでは、大体この程度の基礎をもつて、予定の額だけは上げることができると考えております。
  135. 門司亮

    門司委員 所得税の問題が出て参りましたが、課税をいたします場合の所得税の算定の基礎というものは——およそ国民所得というものは、物価とさらに日本銀行の帳づらその他を勘案して参りますと、大体の数字は出て来るのであります。ところがこの固定資産税の場合におきましては、それは各市町村が別々にこれをかけて行かなければならない。それから各市町村の徴税機構というものはきわめて微弱であつて、今ここに定められてありますような固定資産の見積りをすることは、非常に困難だと私は考えておる。しかもこの内容によりますと、もし当局がどうしてもそういうことができないというようなお話でありますならば、さらに私は聞いておかなければならないが、一体この固定資産を定めまする一番本家本元ともいうべき、財政委員会というものが、まだその法律案すらここに出ておりません。財政委員会の機構ができ上つておらない。法律によりますると、大体の固定資産基準というものは、財政委員会の定める規則によるというようなことになつておりますが、一体地方財政委員会がここにありますか。もし地方財政委員会があるならば、御答弁を願いたい。
  136. 小野哲

    小野政府委員 門司さんからの御意見ごもつともと思いますが、地方財政委員会の設置につきましては、きわめて最近の機会に法律案を提案する運びと相なつておりますので、現在におきましては財政委員会は設置せられておらない。それは御意見通りであります。
  137. 門司亮

    門司委員 意見なら聞いておくという話でありますが、それならば私はもう少し答弁を要求いたします。一兆三千億ということはしばしば言われておりますが、それを大体六千億くらいに見積つて、そうして税額を九十三億とみたということは、五〇%くらいしか徴收できないというような見通しのもとだということも、しばしば承つておるのでありますが、そういうことで私どもは承知していいか悪いかであります。
  138. 荻田保

    ○荻田政府委員 一兆三千億という数字につきましては、たびたび申し上げましたように、今おつしやいましたことは全然違うのでありまして、一兆三千億が客観的に見て現在妥当な数字である、それの五〇%しかとらないということは、一度も申したことはないのであります。見積りを出す根拠としていろいろその表の中に書いてありますような計算をしますと、一応一兆三千億という数字が出る、しかし何もこれが現実の評価でないのであります、から、それに対しまして收入見込みを九十三億という数字を出したのでありまして、一兆三千億が客観的な数字で、それを半分しかとらないのだということは一度も申し上げたことはございません。
  139. 門司亮

    門司委員 一兆三千億が客観的の状態でありますれば、政府考えておりまする課税額は幾らでありますか。
  140. 荻田保

    ○荻田政府委員 評価の実際のやり方あるいはその手続の進行状況というものを見まして、お手元に配りましたようなのが、二十五年度の収入見込み額だと考えております。
  141. 門司亮

    門司委員 私はそういうことを聞いておるのではありません。九十三億の数字を出された根拠を聞いておるのであります。
  142. 荻田保

    ○荻田政府委員 もう一度御説明してもよろしゆうございますが、表に書いてあります通りの根拠でやつております。
  143. 門司亮

    門司委員 表に書いてある根拠というのではありません。それの総額は幾らになるのか、それをはつきり示してもらいたい。九十三億をお出しになつた数字の根拠であります。これは一七五になつておるのでありますから逆算すればすぐわかるのであります。
  144. 奧野誠亮

    奧野政府委員 たびたび御説明申し上げましたので、門司さんもすでにお聞きのことと思うのでありますけれども、たいへん強い御質問のようでありますので、重ねて最初から簡単にお答えをさしていただきます。  一兆三千億と見ました基礎は、終戦直後行われました経済安定本部を中心といたしました国富調査の数字でございます。その数字の中には軍需工場のあとの工場施設も、そのまま全部一応評価いたしまして、その後の物価の騰貴率をそれにそのまま乗じて計算いたしました。さらにその後の生産額も通産省その他から数字を得まして、これについても物価倍数を乗じまして、一兆三千億という数字を一応出したわけであります。しかしながらさらに考えなければなりませんのは、いろいろと陳腐化の問題がございます、また終戰前は稼働いたしておりましたけれども、わが国の今日置かれます状態から未稼働の施設も、非常にふえて参つているわけであります。従いましてこの評価はある程度現実に従わざるを得ないだろうというような考え方をいたしておる次第であります。また本年度は初めてこの償却資産に対して課税するのでありまして、その申告は正確を期し、さらに全国的な均衡を得ますために、国で行いますところの資産再評価法による再評価をあわせてやつて行きたいというふうな考え方をいたしております。そのために償却資産に関する申告の期限は、十月三十一日までということにいたしておるわけであります。十月三十一日に申告が出そろうわけでありますから、それからさらに評価して行く、従いまして評価の決定ということは、非常に遅れて行くわけであります。  さらにまた陳腐化、未稼働というような問題がありますし、地方立場も十分しんしやくして行かなければなりませんので、最終的な決定になるのは、相当多くのものがどうしても翌年度に出て来るのではなかろうかということも考えられるわけであります。そういうところから、一応本年度において固定資産税の中で、償却資産に対する課税の基本額となりますものは、まず六、七千億ではなかろうかというような見方をしておるのでありまして、この数字は資産再評価法によりまして、現実に企業が償却資産について評価する額というものを、大蔵省の方で五千億くらいの数字と見込んでおるのであります。しかしながら償却資産に対する課税につきましては、企業は低く見積るかもしれませんが、必ずしもその見積り額そのままをとるわけではございませんので、五千億にする必要はない。しかし評価の決定が相当ずれますので、本年度収入済みになる額は、やはり六、七千億程度を予定せざるを得ないのではないかというような見方をしております。しかしながら将来においては、もつととらなければならない。というのは地方税收入総額一千九百億円が、どうしても必要であるということになるならば、地方の市町村民税において、昭和二十六年度以降は、明らかに百億円程度減収になるわけであります。その百億円程度の減収をどこでカバーするかというと、他に別に税率の引上げを予定しておるわけではございませんので、やはりこの償却資産において相当の増収が得られるだろうから、これによつてカバーできるというような考え方をいたしておりまして、昭和二十六年度以降は百七十億内外とらなければならない。そうなりますと、どうしてもこの一兆三千億という数字が一兆億円余りというような評価ができなければ、地方財政全体の上で歳入欠陥ができるというような計算になつておるわけであります。
  145. 門司亮

    門司委員 非常にこまかい説明のように聞えますが、私の質問とはまつたくかけ離れた問題であります。私の今聞いておるのは、九十三億の算定の基礎を伺つておるのでありまして、今のような長い答弁をされましたけれども、それなら大蔵省あるいは安本、あるいは通産省の統計がみなうそだと解釈してよいか。  それからその次に聞いておきますのは、戦争直後におけるいろいろな施設を入れたと言われておりますが、戦争後施設が一体どれだけ破壊されておるかということであります。この法律によりますと、先ほど未稼働、あるいは陳腐化等のお話がありましたが、未稼働に対しましても遊休施設に対しましても、先ほどの答弁によりますと、税金がかかることになつておりますが、一体未稼働と遊休とは、どれだけ違うかということであります。  それから当時私が聞いておりますのは、そういうふうな課税の額のはつきりした資産台帳が、地方市町村にない場合に、市町村にこれをかけるといたしましても、市町村は非常に困る。一応のあなた方の統計はそれで出るかもしれませんが、それを実施いたします市町村に対し、この固定資産台帳というものが、はつきり備えつけてない限りにおいて、課税することは、実際上の問題としては、非常に困る問題だと思う。それに対しては、本年度内にとればよいのだから、その実行については来年の三月までにできるのではないかという議論は、一応成立つと思いますが、それらのものが明確にならざるうちに、税率をきめるということについては、われわれは非常に冒険だと考えております。しかもその税率をきめる根拠は、先ほどのお話では一兆三千億、あるいは一兆なければ明年度困るというようなことであつて、そういうあいまいな話の上に立つて、これをきめられることは、非常に迷惑だと考えております。その点もう少し明確に九十三億と出したのは、たとえば現在は一兆三千億あるかもしれないが、それを六千億に見積るとか、一応七千億と仮定して、これをきめたというならば、それで答はよいと考えておりますが、そのように解釈してよいのですか。
  146. 奧野誠亮

    奧野政府委員 先ほど遊休施設の問題についてお答えいたしましたが、遊休施設等につきましては、評価に関し、全体の事情とにらみ合せて考えて行かなければならぬ点があつたということを申し上げたのであります。今御説明申し上げましたのも陳腐化や遊休施設に対しては、課税しないと申し上げておるのではないのでありまして、終戦直後の価格に物価倍数をかけて算定した数字を、そのまま用いられないというような意味で申し上げているわけでございます。そうしてまた償却資産に対する固定資産税の収入といたしましては、一兆三千億のうち半分に近いものを対象とするのでありますけれども、大体その程度は本年度にとれる。将来におきましては百七、八十億なければならない。かような計算を一応やつておるわけであります。ところが今の企業の状態から行きますと、現に資産再評価をめぐりまして、どこどこの企業を再評価をするということが、あらゆる企業について、実に区々にわたつておるということは、十分御承知だろうと思うのであります。この区々にわたつております企業の再評価というものは、これもわれわれはやはり一応のりくつはあると思つておるのであります。この企業が区々にわたつて再評価をしようとしているのは、企業のまつたくかつてなやり方だというほどには、われわれはよう考えないのでありまして、いろいろりくつはありましようが、それにもやはり相当の理由もあることだと思つておるのでありまして、そういう点はやはり資産につきまして固定資産税の額をきめます場合にも相対的に考えて行かなければならないのではないか、かような考え方をしておるのでありまして、一応ここにわかりやすい例で申し上げますと、電気関係施設を四千七百億と見積つております。しかし四千七百億と見積つた場合には、電気料金も相当償却費として計上しなければならぬので引上げにならざるを得ない。言いかえれば、統制料金も上げなければならないという問題もあるだろうと思うのでありまして、そういうことを相対的に考えて行かなければならないので、はつきり数字を申し上げるだけでありますけれども、先ほど申し上げたような計算をすれば、一応一兆三千億になる。これをさらに資産再評価に応じてどういうふうな資産再評価を企業としてやるだろうか、また物価の改訂をどの程度まで認めることができるだろうか、そういうことを相対的に考えながら、なお研究すべき余地が、やはり資産再評価法の規定によりまして、企業が現実に再評価を完了するまでは、繰返される問題だろうというとに、われわれは考えておるわけであります。  それから償却資産に対する課税台帳は、現在ございません。しかしながら十月三十一日までに企業が申告をしなければならないわけでありまして、これはもとより地方財政委員会規則によつて、一定の様式をきめますので、この規定によつて申告されたものを、課税台帳に切りかえて行きたいという考え方をしておるのであります。
  147. 門司亮

    門司委員 あとで委員外の発言もありますので、私の質問は、條文から見ますと、わずか一ページ、一條二條だけしか済んでおりませんで、あと百條あまりをこれから聞こうと考えております。今の問題も非常に重要な問題でありまして、実際の問題として事務的にこういうことで片づけられて参りますと、地方の公共団体では困ると考えます。また実際上政府が六千億と見ますが、しかしながら固定資産の場合は七千億、あるいは一兆あつた場合におきましては、納税いたしますものの方から考えますと、不必要という言葉を使うと非常に言いすぎかもしれませんが、調定額以上の税金をとられることになる。これではまつた地方の産業を破壊する原因がここにあると考える。こういう苛斂誅求な税率を、課税額のきまらないうちにきめるということは、不見識だと考えておる。この点は意見の相違になりますが、私としてははつきりそう言い得る。以下の質問に対しましては、明日にこれを譲りまして、委員長におきましては、委員外発言のとりはからいをしていただきたいと考えます。
  148. 中島守利

    中島委員長 この際お諮りいたします。本日開かれました地方税反対国民大会の代表者より、当委員会陳情いたしたいという申出があります。これを参考人として意見を承ることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 中島守利

    中島委員長 御異議なければ、さようとりはからいます。それではここで御陳情願います。
  150. 松澤隼人

    ○松澤参考人 重要なる委員会の審議の際に、時間をおさきくださいまして、私どもの本日の大会の決議をお聞きいただくことは、そのお取扱いに対して厚く御礼を申し上げます。  本日日比谷の公会堂におきまして、中小企業の団体、労働団体、農民団体、消費者団体、婦人団体、自治団体等が共催いたしまして、地方税反対国民本会が開かれました。その大会の決議に基きまして実行委員が十名あげられまして、本国会に陳情に参つた次第でございます。特に衆議院の地方行政委員長あてに決議文を持つて陳情に参りましたので、一応お聞きとりを願いたと思います。時間を省くために、民決議文を朗読させていただきまして、お聞きとりを願いたいと思います。    決議文   我等は地方税政府案に反対し国民大会の名をもつて左記事項の貫徹を期する。  一、附加価値税創設絶対反対。  1 事業税を改善存続すること。但し現行事業税を左の如く修正すること。  A 課税率を一二%以下とし、免税点を引上げること。  B 特例を設け左のものは非課税とする。  イ、農林業、水産業、畜産業  口、従業員五名以下の中小企業  ハ、協同組合  二、公益事業  ホ、新聞事業  二、固定資産税の倍率引下、非課税範囲の拡大。  1 課税標準を左の如くする。  イ、土地家屋賃貸価格の六〇〇倍  口、田畑時価の一二倍  ハ、有形固定資産税率一・五%  2 課税客体  土地家屋償却資産但し政府案のうち左のものは非課税もしくは減税の措置を講ずる。  イ、寒冷単作地帯の農地の倍率を八とし、土地家屋の倍率を四〇〇とする  口、遊休未稼働資産及び工具機具備品等を非課税とする  ハ、農業用償却資産は非課税とする  ニ、学校及び純粋の学術研究用施設固定資産は非課税とする  ホ、海運、鉄道、専売公社、発電、ガス等各事業は特例により減税する  へ、協同組合の資産は非課税とする  3 課税率  イ、償却資産の税率を一%とする  口、土地家屋及び田畑の税率を一・五%とする  三、市町村民税所得割税率の軽減、均等割の是正  1 所得割税率を一二%とする  2 法人のうち、協同組合は非課税とする  3 悪平等の均等割を是正する  四、遊興飲食税の大衆的なもの大幅減税  1 料理屋、待合、特殊喫茶店などの遊興飲食税を一〇〇%とする  2 大衆的な飲食店の税率は一〇%以下にする  3 百円以下の飲食は免税とする  五、入場税の税率引下、非課税範囲の拡大   1 政府案七〇%四〇%をそれぞれ六〇%、一〇%とする   2 アマチユアースポーツの免税を始め非課税範囲を拡大する  六、自転車及び荷車税の撤廃  七、電気ガス税の非課税範囲の拡大  地方税反対国民大会の名において、以上の決議がなされました。この地方税の改正法案に対しては、国民の一人、一人は、今あげて大きな関心を持つておるのであります。特にわれわれ働く階級、中小企業団体、農林団体、消費者団体、地方自治団体、婦人団体においては、おのおの異常な関心を拂つておるのでおります。これは最小限度の決議でございますので、国民の最低生活を守るという意味において、今回の地方税の改正法案に対するわれわれの意のあるところを、十分おくみとり、ださつて、ぜひとも本委員会においてお取上げいただきたいのであります。特に現今税金が非常に大きな負担となつて、国民生活が破綻に瀕している際でもございますので、特段の御高配を特に委員会にお願いいたしまして、陳情のごあいさつといたします。よろしくお願いいたします。
  151. 中島守利

    中島委員長 明日は午前十時より理事会を開き、十時三十分より委員会を開きます。  本日はこれで散会いたします。     午後五時三十二分散会