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1950-04-18 第7回国会 衆議院 地方行政委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月十八日(火曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 中島 守利君    理事 生田 和平君 理事 大泉 寛三君    理事 川西  清君 理事 川本 末治君    理事 菅家 喜六君 理事 塚田十一郎君    理事 久保田鶴松君 理事 藤田 義光君    理事 立花 敏男君 理事 大石ヨシエ君       河原伊三郎君    小玉 治行君       清水 逸平君    田中  豊君       野村專太郎君    吉田吉太郎君       龍野喜一郎君    門司  亮君       床次 徳二君    池田 峯雄君  出席国務大臣         農 林 大 臣 森 幸太郎君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         総理府事務官         (地方自治庁財         政部財政課長) 奧野 誠亮君  委員外出席者         議     員 深澤 義守君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 四月十七日  理容業者に対する附加価値税税率引下げに関  する請願高間松吉紹介)(第二四七八号)  農業協同組合による地方公共団体の金庫事務取  扱に関する請願田中啓一君外三名紹介)(第  二五〇五号)  地方公務員給與改訂に関する請願高田富之  君外一名紹介)(第三五二二号)  同(田代文久君外一名紹介)(第二五二三号)  同(立花敏男君外一名紹介)(第二五三四号)  阿外一件(土橋一吉紹介)(第二五二五号)  同外三十件(土橋一吉君外一名紹介)(第二五  二六号)  同(河原伊三郎紹介)(第二五二七号)  自動車運送業者に対する地方税軽減に関する請  願(佐々木秀世紹介)(第二五七一号)  宮崎県の県債償還延期並びに同利率引下げに関  する請願川野芳滿君外五名紹介)(第二五七  五号)  地方財政平衡交付金法案の一部修正に関する請  願(中馬辰猪紹介)(第二五八四号)  民間科学技術研究所に対する地方税減免に関す  る請願久保田鶴松紹介)(第二六〇三号)  遊興飲食税撤廃請願柳澤義男君外二名紹  介)(第二六一〇号) の審査を本委員会に付託された。 本日の会議に付した事件  地方税法案内閣提出第一二三号)     —————————————
  2. 生田和平

    生田委員長代理 これより会議を開きます。  委員長の御指名により、私が委員長の職務を代行いたします。  地方税法を議題とし、質疑を続行いたします。前会において、市町村民税質疑が残つておりますので、発言を許可いたします。門司君。
  3. 門司亮

    門司委員 條文にとらわれないで、一応お聞きしておきたいと思いますことは、この税の徴收方法でありますが、これを前年度所得税に求められたということは、非常に税の徴收が困難であるということが一応言えるのであります。それは、前年度收入がありましても、翌年度には必ずしも收入がない人がたくさんあると考えられる。それから同時に、現在のように非常に移動の多いときでありますると、かなり多くの徴收不能になる居住変更者があるということを一応考えなければならない。こういう点で、前年度所得税標準とすることは、私は非常に徴税の面で困難が出て來ると考えておりまするが、この点に対しての当局のお考えと、同時に前年度にこれを求められたことについての説明を、もう少し詳しくお願いしたいと思います。
  4. 小野哲

    小野(哲)政府委員 お答えを申し上げます。ただいま門司さんの御意見にございましたのは、市町村民税徴税につきまして、前年の所得対象としないで当該年所得対象とする方が合理的でないかという御意見でありまして、ごもつともと存じます。徴税の円滑なる運営をはかりますために、真に経済情勢変化に即応し、かつまた個人所得実情にも適合するためには、常にその年の所得対象としまして、納税義務者の責任において申告させますと同時に、納税させるということがすぐれておりますことは、申すまでもないところでございます。この申告納税制度成績等につきましては、制度ができましてから、あまり日がたつておりませんような関係上、いろいろな問題があるということも承知いたしておるのでございます。で、こういう申告納税制度方法市町村に適用した場合には、住民生活に一層近づけた税制運営をはかつて行く、すなわち実情に明るい市町村でも、はたして国税以上の納税実績が上るかどうかというような点につきましては、いろいろと研究がされなければならない点もあろうかと思うのであります。こういうふうな点から、前年の所得額によらないで、現一年度所得実績に応じて徴收するというふうなことにつきましても、いろいろと検討を加えて参つたのでありますが、申告制度を採用するような点から考えまして、できるだけ国税との関係を調整する必要があるであろうというふうな点から考えまして、ここ当分の間は徴税令書による普通徴收行つて行くことといたしたような次第でありまして、ただ将來につきましては、なお一層の研究もいたし、また住民協力が得られ、また税收も確実に上ることが、将來におきましては期待できるものと考えておりますので、現下の段階におきましては、法律案考えておりますような徴收方法をとることにいたした次第でございます。
  5. 門司亮

    門司委員 一応説明を聞きますと、その説明内容にも、大体当局はこうした前年の所得によるということが、困難だというようなお考えがあるように、一応受けとれるのでありますが、税の徴收は、これは何度も繰返して申し上げますように、一応定めました税金が大体百パーセントに近い徴税ができる方法を講ずることが、私は本義でなければならないと考えております、しかるにこういうことになつて参りますと、大体市町村の様相を総合して、当事者にその徴收率を聞いてみますと、おそらく七〇%徴收できればいい方だというようなことが考えられておる。当初から、七〇%ないし六〇%程度しか徴收が困難だというようなことが考えられるような徴税方法は、きわめてまずい方法だと私は考えておるのであります。それから同時にこの場合に、もう一つ聞いておきたいと思いますことは、もしこういう状態で本年度所得でありませんために、先ほども申し上げましたように、居住かわり方が非常にはげしいときでありますので、他の市町村にこれらの諸君が転出するという場合には、その納税義務は一体のがれるものであるか。さらに転出いたしました先の市町村にそれを依頼して、これを徴税することができるとお考えであるかどうか。
  6. 奧野誠亮

    奧野政府委員 政務次官からお答えになりましたので十分でありますけれども、少しこまかい点にも触れまして、お答えさしていただきたいと思います。門司さんのおつしやましたように、当該年所得基礎にいたしますと、やはり申告納税制度を採用上ませんと、他から見まして、現にその人がどれくらいの所得が得られるであろうかということがわからぬわけであります。從いまして当然に申告納税制度をとることになりますし、また俸給生活者等につきましては、源泉徴收方法によるということになると思います。その場合における調書というものは、大体門司さんが御指摘になつた通りだろうと思います。にもかかわらず、なぜ前年の所得標準にするかということを申し上げますと、第一には、現在所得税申告納税成績を見ておりますと、課税団体納税者との間に、非常に摩擦が多いように見受けられるのであります。しかもその最終的な決定は非常に遅れているようであります。それくらい遅れているものなら、前年の所得標準にするけれども、なるたけ早く徴收するという方法をとれば、そう大きな違いはないのじやないかということが言えるわけでありますけれども、しかしながらこの申告納税の額をめぐりまして、市町村からはあなたの所得はこうあるべきである。税務署からはまた別途に、あなたの所得はこうあるべきであるというふうに、両方からつつかれてしまつたのでは、納税者としましては非常に迷惑をするだろうと思うのであります。現在申告納税制度が非常に円滑に行つている。納税者課税団体との間に摩擦がないというのなら、私は非常にそれはいい制度だろうと思いますけれども、現在遺憾ながら摩擦が非常に多いわけであります。しかもそれが税務署からもいろいろりくつが出て來るし、市町村からもいろいろりくつが出て來るということになりますと、納税者が非常な困難に陷れられ、非常な二重の苦痛を感ずるということになる。かような欠陥が第一であります。第二には、当該年所得をとりますと、源泉徴收制度により、知らぬうちに俸給から市町村民税が支拂われて行くわけでありますけれども、それよりはむしろ市町村税としては、令書を交付いたしまして、はつきり市町村税として納めたのだという認識を持つてもらう、その方がいわゆる自治の発展という見地から好ましいのではないだろうか。納めた人は、その税の行方を深い関心を持つて監視して行くことになりましようし、また自然市町村行政のあり方について、鋭い批判を加えて行くというようなことになるのではなかろうかということが、考えられるわけであります。  第三にはまた制度が切りかわつた当初といたしまして、あまり徴税団体といたしまして、納税軒との間で摩擦か多い制度を採用するよりは、もう少しずつきりしたかつこうの方法の方が、好ましいのじやなかろうか。それなら一たび決定した税額があるわけだから、それを基礎にして課税して行つた方がよろしい、こういうふう次結論か出て参るだろうと思うのであります。大体おもな点はそういうところから、前年の所得を採用することにいたしておるわけなんでありまして、その際に非常な所得変化がありまして、とうてい支拂いにたえられないというふうな場合には、もとより市町村税でありますから、実情によりまして減免の措置で救わなければならないという考え方をいたしております。  それから他の町村住所を移転いたしました場合には、市町村民税は六月一日現在において住所を持つておりました市町村において、年額全部を賦課して行くものでありますから、もつぱら六月一日現在において、どこに住所を持つてつたかということで決定されるわけであります。從つて七月になりましてから、他の市町村へ移つて行きました場合においても、六月一日現在において住所を持つておりました市町村年額徴收いたしまして、移転して行きました際においては、その年分の税は、少しも徴收できないということになるわけであります。そこで市町村移転先市町村まで出かけて行つて徴收しなければならぬわけでありますけれども、こういう場合には、徴收移転先市町村に嘱託することもできる制度があるわけでありますから、現在大体この嘱託制度を活用いたしまして、移転先市町村徴收を依頼しているというかつこうになつておるわけであります。
  7. 門司亮

    門司委員 移転して行きましたところの人の徴税については、依頼がでるということでありますが、法の内容としてはおそらくそうでなければならないと考えておりますか、そういう場合にほんとう徴收が一体できるというお考えであるかどうかということであります。先にも申し上げたことがあると思いますが、たとえば三箇月あるいは三箇月ごとくらいに、意識的にでも住居を移して行くということになると、ほとんど徴税のしようがないのだというようなことが実態だと思います。ことにそれは意識的でなくても、今日のように非常に移動のはげしいときにおきましては、大きな都市におきましては、同一の都市の中にお員ましても、区がかわつて來るというような場合が私は必ずあると思う。その場合の徴税令書というものがどういう形で行われておるか。それからさらに転出先が現在ならおよそわかりますので、どこそこに転出しておるということがわかると思いますが、これらの徴税事務の委任についても、権限といいますかも上それらの諸君の滞納あるいは全然徴收ができなかつた場合の処置は、一体どういうふうにおとりになるのか。この点も特に他の税金と違いまして、住民税はほとんど全部の諸君にかかつておりますので、この点は他の税金と比較するわけには行かぬと考えておるのであります。われわれも十分承知をしておりまして、聞いておるのでありますが、他の税目であれば、あるいは国民のすべてが納める税金ではありませんので、そうたくさん件数はふえないと思いますが、この位民税件数は非常に多く、そういう関係を引起して來ると考えております。ことに大都市におきましては、今非常にたくさんの人が入つて來ておりますので、税の調整の混乱というものが、おそらく免れることができないと思うほど、出て來る事態を私は必ずかもし出すと考えておる。從つてこの税金の目標を前年度にとられたということは、そういう面から見ても私は非常に困ると思いまするし、それから同時に今お話しになりましたような実際上の問題として、申告納税による制度というものが、まだ国民がなれておらないというような事態のときに、非常に徴收しにくいのではないかということも一応考えられます。同時に地方税国税との納期関係があります。先ほどの説明によりますと、いろいろな関係で、国税納期が遅れるから、從つて年度をとつても大して時間的にずれがないようなお話であつたと思いますが、私はそういうものの見方自身が、非常に大きな誤まりだと考えておる。徴税は非常に重要でありまして、私は非常にやかましく申し上げることは、もしこれがかりに町村側が育つておりますように、七〇%までの徴收は困難であろうということになつて参りますと、三〇%というものは脱税が行われるか、徴收困難だということになる。先ほど御説明になりましたように、徴收因雑なものに対しては、自治団体であるから、これを適宜伸縮することができるというお話でありますが、実際の問題は私はそうでないと思う。困難でない当然徴收し得る人の脱税が、非常に行われる危険性がある。これは單に市町村で、これは徴收困難として帳面を削るわけには私はなかなか行かないと考えておる。どこまでも残つて行くと考える。残つて行くと考えますと、それがさらに居住が二回、三回と変更されます場合においては、おそらく今のお話のようなことには、実際としてはなかなか行かない思うのであります。われわれはこれを源泉にしないで、そうして前年度に持ち越されたということ、それからもう一つ、お聞きしておきたいと思いますことは、本年度税額でありますが、本年度税額は御承知のように所得税が二十四年度は非常に高かつたのでありますので、勢いそれが高くとられるということに相なつて参るのであります。ところがこれが現在の社会情勢から行きますと、源泉徴收であります場合には、政府考えております生活の水準というようなものが、比較的勘案された徴收が行われるのでありますか、前年度ということになつて参りますと、今のようにデフレの傾向をもし将來もたどるといたしますと、比較的重い税金だということが一応言えるのであります。單に所得税の一割八分と申しましても、その税額というものは、必ずしも実態に即しない税金をとることになると考えられるのでありまして、所得税減額しておるが、実際は住民税ごときはその減額されない前の徴收率であつて、これは私は理論的に申し上げるならば、やはり国税としての所得税減額した趣旨に沿わない。もし国税地方税とを一貫した趣旨の上に行われるとするならば、当然国の所得税減額しただけ、やはり地方税のこうした住民税も、これは所得税対象といたしておりますので、それも減額さるべきが当然であつて中央において減額したが、地方においては決して減額にはならない、前の税額でこれを課税しておるというようなことは、私は税制を定める上においての大きな矛盾ではないかかと考えるのでありますが、この点についてのお考えを承りたい。
  8. 奧野誠亮

    奧野政府委員 住所をかえました場合の徴收の問題でありますが、政府といたしましては生所をかまえしても、やはり追つかけて徴收することになつております。郵便でその人に未納の額のあることを通知する、あるいは場合によつて市町村の吏員が出かけて行つて徴收する、現在鉱区税あたりについてはこういう手続が多く行われておるわけでありますが、しかし根本におきましてはやはり納税者地方税を納めなければならないのだというような観念を持つてもらわなければならぬわけでありまして、納税者協力ということかこういう問題につきましても、根本の問題になるだろうと思うのであります。しかしなおそういう方法によりがたい場介には、さらに移転先町村に対しまして、先ほど申しました徴收を嘱託するということになると思います。その場合にはもとより強制徴收権限も行使できるわけであります。制度としてはそのようにできておりますけれども、移動の多い場合には、現在の納税思想のもとにおきまして、徴税の困難を來す点も多々あることはお話通りだと思います。しかし漸次地方税につきまましても、納税意欲の向上をまつて、両面から成績を確保するようにしてもらうべきであろうと思うのであります。  第二の前年所得当該年所得の問題でありますが、これは率直に申し上げまして、二つの方法があると思うのであります。門司さんのおつしやつたように当該年所得をとる方がいいという意見も十分あります、また前年の所得をとつた方がいいという意見も、私は十分にあると思うのであります。実は政府におきましても当初両者の方法を比較検討いたしまして、ずいぶんいろいろ議論した結果、現在の案のような制度をとることにいたしたわけであります。そこで御指摘のように、所得税は今年から減額になるわけでありますから、本年の市町村民税限つては、前年度の高い所得税標準にしなければならない。これは減税ということが現在の重要な問題であります際に、非常におもしろくないことだというようなことが考えられるわけでありますけれども、やはり租税の負担というものは、国税地方税を合せて考えて行きたい。国税地方税を合せて考えて行きました場合には、われわれはやはり程度の差はございましようけれども、前年よりも若干軽減されるのだというような見方をいたしておるのであります。しかもまた地方税全体として考えました場合においては、來年から、減收になる。その反面今年においては、固定資産税收入が十分確保されなくて、來年以降になると相当の増收があるために、両者合せ考えまして、やはり今年におきましては、前年の所得税額の一八%を標準とする制度によらざるを得ないというような結論を得た次第であります。
  9. 門司亮

    門司委員 どうも私ははつきりしないのでありますが、今の答弁を聞いておりますと、まつたくめちやくちやであつて、今年度はなるほど税を高くとるが來年度減額される。これは当然所得税か減つて参りますので、來年度減額はあたりまえのことであります。しかしその場合は固定資産税の方がよけいとれるだろうというような、こういうばかなことはおそらくないと私は思います。固定資産税に対しまする課税額は本年度定めて、それに税率をかけなければならない。一体來年度固定資産税税額はふえる予定でございますか。そうすると本年度固定資産税にはうその税金をかける予定をお持ちになつておるのかどうか。おそらく現在の状態でありますと、來年度において百億近いものが所得税の方で減らされて行つて、そうして固定資産税の方がそれだけふえるとは考えられない。私はそういう税の見方であるとするならば、ここで大いに講論しなければならないと考えておる。そういう相対的のものの考え方をして、この税金はことしは商いか來年はこれの徴收減つて來る。ところがその反面に固定資産税かよけいとれるであろうからというようなものの見方は、私どもは避けたいと考えておるのであります。税はやはり税種目ごとに正しい税金であるかどうかということが考えられて、そうして税種目ごとに始末をつけて行かなければ、税の体系はなさないと思います。私が言つておりますのは、地方税国税との間において、政府考えておりますその考え方税金を減らす。減税するという趣旨のもとに立つておりまするならば、当然本年度は前年度所得税税額とすると高くなるということがわかりきつてつて、一体何を好んでこういうことをなさるかということであります。国税では減額することを趣旨にしておいて、地方税ではそれの減額ができないような状態が、ここに同じような所得税を中心として問題が起つておりまするので、この点の政府考え方を私は聞いておるのでありまして、そういう考え方がいいか悪いかということです。この点をもう少し根本の問題に触れて政府所信といいますか、これは事務当局に聞くのはあるいはむりかもしれません、大臣に聞いた方がいいかもしれませんが、政府所信を私はもう少しはつきりしておいてもらいたい。政府ほんとう減額するという意思があるのなら、こういう矛盾したことをしないで、やはり中央所得税を減らしたのだから、地方もその減らした所得税に応じた税額によつて税率をきめて行くのが、私は理論上正しいと考えておりますが、その点について政府所信をもう少しはつきりしてもらいたい。
  10. 小野哲

    小野(哲)政府委員 先ほど奥野君からも詳細御説明申し上げたのでありますが、市町村民税徴收につきまして、その徴税方法をいかにすべきやということについては、政府におきましても相当検討を加えて参つたのであります。お説のように当該年所得対象といたしまして、給與所得については源泉徴收方法により、また事業所得等につきましては申告納税方法によるというようなことも考え得るのでありますけれども、この際といたしましては当該地方団体におけるあるいは分割の問題であるとか、あるいは調節をいかにしてはかつて行くかというふうな点につきましては、なお相当検討の余地があるものと考えまして、今回は前年による徴收方法をとるということに相なつた次第でありまして、各税目に応じました予定税收額を確保したいということはもちろんでありますが、同時に国税地方税とを通じました税制全体の運営をも考えて行きたい、こういう意図を持つておりますので、ただいま御指摘になりましたようなこの間における不均衡な状態において、徴税の仕事を行つて行くというふうな意図は持つておらないのであります。なお市町村民税における徴收方法将來の問題といたしましては、さらに研究を続けて参りたい、かように考えております。
  11. 門司亮

    門司委員 それからもう一つこの課税方法でありますが、法律によりますと課税方法は、三つ書いてあるのであります。その中の一つといいますか、本年度限つて一つだけお選びになつたということでありますが、これは将來どういう形になるのでありますか。來年度からは各市町村が自由にこれを選択することができるようにお考えになつておるかどうか。
  12. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいまお話がございました方法につきましては、二十六年度以降におきましては、地方団体の自由にまかしたい、かように考えております。
  13. 門司亮

    門司委員 これと例の標準財政額との関連でありますか、この三つの方法によりますとおのおの市町村にはとりいい、自分のところに適応したものをこれによつて課税して行くという一つの特質は私はあると思いますが、その場合に政府財政事情から、平衡交付金との関係について、これかどういうふうに作用して行くかということも、一応私は考えられなければならない。從つて地方市町村は非常に選択に迷うのではないだろうかということが、一応考えられるのでありますか、平衡交付金に作用する度合というと、非常にむずかしいでしようが、多少の関係を必ず私は持つと思います。それについてもしこの税率を採用した場合にはどうなる、この條文を採用した場合にはどうなるというような点が御説明できますならば、この機会に承つておきたいと思います。
  14. 奧野誠亮

    奧野政府委員 地方財政平衡交付金を算定いたします場合の、各地方団体ごと課税額は、現実に課税した税額によりませんで、課税し得べき額を標準にすべきだと考えております。從いまして市町村民税の取得割の計算においてかりに三つの方法を区々にとるといたしましても、平衡交付金の算定にあたりましては、所得税額標準税率をかけましたものを基礎にして、考えて行くべきであるというふうに予定いたしております。
  15. 河原伊三郎

    ○河原委員 第三百十五條についてお尋ねいたしたいのでありますが、これによりますと市町村所得税額または総所得額を算定いたしまして国の税務署の算定と通つてつた場合に、過少であつた場合は税増收のためにこれを変更することかできる。しかし過大であつた場合にはこれを減らすことはできないような規定になつておるように伺うのであります。さようでありますかどうかということと、いま一つは間違つてつたものはプラスにしてもマイナスにしてもこれを直すことかでき得ることがあたりまえで、片一方しか直すことかできない。片一方は禁じておるという形は、どういう理由であるか承りたいと思います。
  16. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お話のような仕組みにいたしておるのでありまして、もし真実に過大であるというふうな場合には、特別の事情があるものとして、市町村かその内容をよく調べました上で、減免制度を適用すべきであるというふうに考えております。
  17. 藤田義光

    ○藤田委員 お伺いします。まず第一の点は市町村民税の本質の問題でございます。これは先般も簡單にお伺いしたのでありますが、国税所得税を軽減いたします一方におきまして、市町村民税によりまして一八%の所得割を予定するということは、結局所得税率を引上げたという結果になると思いますが、かくいたしますと、どうも税軽減の本旨に沿わないのではないか。国税で軽くして地方税で重くするという矛盾した行政をやることになると考えますが、この点政府はどういうような解釈をいたしておられますか。
  18. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいま御指摘のありました点でありますが、所得税を軽減するにかかわらず、その所得税の一定割合を市町村民税で調節するということは矛盾じやないか、こういうふうな御意見なのであろうと承つたのでありますか、町村自治に対しまして財政的な基盤を與えたい、こういうのがこの市町村民税の本旨であることは、私から申し上げるまでもないのでございます今回の税制改正の一つの大きなねらいといたしましては、国税との関連における地方税制度の確立でございますので、今仰せになりましたような所得税の軽減は、むしろ地方税たる市町村民税及び固定資産税の創設、強化等を、一応予期してなされたものである、こういうふうに考えてよかろうかと思うのでございます。
  19. 藤田義光

    ○藤田委員 次に市町村民税申告納税になつておりますが、大都会あるいは中都会等におきましては、ほとんど月給生活者が多い。たとえば山口県の下松市のごときは、ほとんど八割までが俸給生活者である。そういうところにおきましては源泉徴收によらないと、なかなか前年度所得によりまして申告納付をさせるということは、その市の財政に大きな穴が明きはしないかということをおそれております。これを将來におきまして、申告納付の制度を順次源泉徴收に切りかえて行かれる用意がありますかどうか、お伺いしたいのであります。
  20. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいまの御指摘になりました市町村民税徴收方法将來かえる意思があるかどうか、この点につきましては、この法律案を立案いたします途上におきましても、いかにすればよいかということにつきまして、いろいろと実は協議をいたしたのでございます。この経過につきましては、後刻奥野政府委員から詳細に説明をいたしたいと思いますが、先ほど門司さんの御質問に対してお答えいたしたように、今日の段階におきましては、源泉徴收による方法をとることによりまする事務上の種々なる煩雑等から考えまして、前年の所得税額によるということにいたしたい。なお今後の問題につきましては、申告納税制度をさらに円滑に実施する方法も、とるように考慮いたさなければなりませんし、地方団体におきましても、また地方住民各位におかれましても、税制の改正に対上、またその運用につきましての理解等が、さらに強くなつて來るのではないか、こういうふうな点をも考慮いたしまして、この法律案のようなやり方を採用した次第であります。
  21. 藤田義光

    ○藤田委員 均等割でございますが、これは一応先般來の政府委員説明によつて了承いたしておりますが、人口によりまして、画一的に四百円、六百円、八百円という区別がございますが、御存じの通り、これはその各市町村の性格の相違、財政状況、その他の特色によりまして、四百円ないし八百円以内におきまして、市町村の自主的な決定にまかせるという方式の方が、立法技術上味があるのではないか、人口によつて画一的な線を引くということは、まずいのじやないかと考えますがこの点に関しましてお答え願いたいと思います。
  22. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいま御指摘が、ございました均等割の問題でありますが、人口を基礎としておることについての御意見を拝聴いたしたのでございます。将來における地方財政平衡交付金法の運用との関係もございますので、これはやはりこの法律案考えておりますような基礎によることが、必要であろうと考えておる次第であります。それぞれの地方団体におきまして制定さるべき均等割額の問題でありますが、これに当該地方団体の財政力等を勘案いたしまして、弾力性のある制定の方法はとり得るものと考えておる次第であります。
  23. 藤田義光

    ○藤田委員 こまかくなりますが、二百九十四條の第一項の第三号の「法人でない社団若しくは財団で代表者若しくは管理人の定のあるものというものは、この條件にかなえば無制限に認められる趣旨でありますかどうか、お伺いしたいと存じます。たとえばどんなものを予定されておりますか。
  24. 奧野誠亮

    奧野政府委員 法人格のない社団または財団でありましても、法人格を持つておりますものと、まつたく同じような活動をいたしております場合には、形式的な人格があるかないかということだけで、課税の可否を決定して行くことは、穏当でないと考えるわけであります。現に民事訴訟法上におきましても、法人格のないものにつきましても、当事者の能力を認められておるものもあるわけであります。そういう関係からいたしましてもつぱら法人格を持つものとの均衡を失しないようにするという意味で、この規定を置いたわけなのでありまして、あらゆる法人、または法人でない社団もしくは財団を課税対象として、捕捉しようというふうな考え方は、持つておらぬわけであります。同じような事業を営んでおつても、一方は法人であり方單なる団体としての資格しか持つていないというふうな場合におきましては、こういうふうなものは課税すべきでないという考えを持つております。
  25. 藤田義光

    ○藤田委員 この第二号、第三号でございますが、從來その市町村内に事務所、事業所等を有しております会社等におきまして、現実に相当厖大な寄付金その他の求めに応じております。これがまたその地区内の自治財政の大きな財源になつているというような実情が各地に見られますが、御存じの通り、今回は寄付金も原則としてとれなくなりますし、それを救済するためにも、それから特に当該市町村と特別な相互関係にある事業所あるいは事務所に対しましては、所得割を考慮していいのじやないかというふうに考えておりますが、この点はもう全然考えられておらぬのかどうか。三百十五條の第三号の規定と関連してお伺いいたしたいのでありますが、先般荻田次長の御答弁によりまして、三百十五條の第三号によりまして、同族会社の場合に、必要以上に負担を免れるために、財産を留保しておるというような場合におきましては、特殊の考慮がなされるようでございますが、そのほかの一般株式会社等におきましても、こういう規定の必要があるんじやないかというふうに考えております。法人なるがゆえに絶対所得割の賦課対象としないというはつきりした線を引くことは、多少行き過ぎではないかというふうに考えておりますが、御答弁をお願いいたします。
  26. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいまお話になりましたような、法人に対しても所得割をかけてはどうか、こういう御意見のようでありますが、法人に対する課税につきましては、シヤウプの税制報告書の中にも、あるいは国税の面においても、いろいろ検討されておりますし、地方税関係につきましては、あるいは多少明確を欠くような点もあつたように思うのでありますが、法人に対しては、他の税の徴收をいたすような関係もありますので、たとえば附加価値税対象にもなるというふうな点もございますので、市町村民税につきましては、当該地方団体の種々なる恩恵をこうむつておるという意味合いにおいての、均等割程度を課することが妥当であろう、こういう考え方から所得割についての課税は避けることといたした次第であります。
  27. 藤田義光

    ○藤田委員 次は二百九十五條に非課税の場合を、不具者、未成年者、寡婦、同居の妻等を列挙されておりますが、もちろん表現から見まして、限定された規定であるように解釈いたしておりますが、敗戰国の現状におきまして、失業者あるいは引揚者等にして、これらの該当者以上に、深刻な状態にある者が、全国に多数散在いたしておるのであります。これに関しまして、何らか社会政策的な見地から、この二百九十五條の適用を拡張するような、市町村自治体の理事者の融通性を持つた解釈をしていいかどうか、御答弁願いたいと思います。これはあくまで限定された規定であるか、あるいは多少のゆとりを持たせることができるかどうかという点をお伺いしたい。
  28. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいまの御意見による失業者等の取扱い方でありますが、この二百九十五條は禁止しておるわけではないのでありまするが、しかし一面、失業者に対しまして、特別な処遇をいたすことにつきましては、他の面から考えて行けるのではないか。たとえて申しますると、公私の扶助を受けているとか、あるいは生活保護法の適用があるとかいう場合におきましては、減免の道も開かれております。ただ失業者であるという認定をいたすについては、むしろ今申しましたような観点からこれを眺めまして、適当な処分をいたして行く方がいいのではないか、公平な措置ではなかろうか、こういう見地から、この三百九十五條の中に特に書くことを避けているような次第でございます。
  29. 藤田義光

    ○藤田委員 大体了承いたしましたが、生活保護法の適用を受けまして、援護資金をいただき、失業対策費によるお金をいただいて、その仕事に参画しているというような悲惨な人々に対しまして、町村税金をかける。一方においては貴重な国費から補助を與えながら、一方においては税金をとるということが、どうしても税の本質からも非常に矛盾しているのではないかと思います。それで秋の考えといたしましては、ぜひともこの三百九十五條の運用において、多少幅を持たせるわけには行かないかどうか、実は関係方面の町村長あたりからも、相当熱烈な要望がございますが、運用の面で多少修正していけないかどうか、いま一度お伺いしたい。  ついでに、次の二百九十六條に、市町村民税の附加税の団体等が列挙されておりますが、これはこの名称を使い、しかもこの範囲内の団体のみが非課税であるか、あるいはこれに類似した名称を持ち、実質はこれらと同じような内容の団体である場合は、類推解釈上、当然二百九十六條を適用して非課税とされるのか、地方によつては名前が区々でありますので、一応お伺いしておきたいと思います。
  30. 奧野誠亮

    奧野政府委員 二百九十五條と二百九十六條は、市町村市町村民税課税しようと思つても、課税してはならないという規定でございます。これ以上、さらに市町村課税を免税しようと考えました場合には、減免制度を設けておりますので、そちらの方で市町村が適宜條例を制定して、減免の範囲を規定して、何らさしつかえないわけであります。先ほど失業者の問題が出たのでありますが、きのう立花さんからも、その点について御質問がありましたが、重ねて簡單に申し上げますと、失業者であるかどうかということを、やはりある時期において認定しなければならないと思います。市町村民税は六月一日が賦課期日でありますが、六月一日において職業を持つていなかつた、だから年額全部を課税してはならない、こういう結論がはたしていいのかどうかということが、一つの問題だろうと思います。それよりはやはりその人の生活実情を全体から考えまして、免除すべきがあるか、免除すべきでないかを決定すべきであります。それならば失業、有業の問題を尺度に使わないで、所得が前年においてあつたか、なかつたか、あるいは生活保護法の生活扶助を受けておるかどうか、こういうことによらざるを得ないのではないか、それ以上は個々の生活を具体的に把握して、その上で決定すべき問題だから、これは市町村自身の認定にまたざるを得ないのであります。だから減免の規定の活用にゆだねるよりしかたがない、こういう考え方を持つておるものであります。
  31. 藤田義光

    ○藤田委員 次は三百十六條でございますが、市町村国税とは別個の計算をいたしまして、みずからその所得を計算し、その計算したところに基いて、市町村民税課税標準としての所得税額を算定するというようなことをいたしますと、どうしてもシヤウプ博士が指摘いたしております通りに、二重行政の弊に陷る。特に市町村当局の独断によつて、種々の弊害を予想されるのでありますが、この点に関しまして、二重行政のおそれを阻止する方策を、何かお考えになつておるかどうか、お伺いしたい。
  32. 奧野誠亮

    奧野政府委員 從來ありました附加税の制度の一番の欠陷というものは、課税の適、不適というものは、附加税を課する段階にはなくて、自主的に本税を課する段階にあるということにたるだろうと思います。市町村民税所得税額課税標準にいたしまして、その所得税額は国の方で決定するわけでありますから、実質的には附加税ではないか、それならば市町村がその課税については、必ずしも責任を持たないのだ。だから住民市町村課税のやり方について、これを監視し、批判するということは、それはどうでもいいのであつてもつぱら税務署について、注意がとどいて行きさえすれはいいのだ、こういう考え方も出て來るわけであります。こういうことはやはり市町村自治の発展の上から考えますと、非常におもしろくないことであるのであります。それで実質的には非課税的なものであるかもしれないが、この課税標準の決定の仕方がいいか悪いかということは、市町村自身も責任を負わなければならないような制度なんだということを、明らかにしておきたいのであります。從つて納税義務者から考えまして、課税標準たるべき所得税額等が惡ければ、市町村自身においてこれを是正し得るのだということをここに明らかにしておきたい、こういうねらいを一つつているわけであります。  もう一つは、所得の決定というふうな問題につきましては、住民相互間に十分均衡のとれたものでなければなりませんので、そういうことけ單に税務署の責任だけにしておいていいものだ、ろうか。市町村もこれには当然大きな関心を拂うべき問題である。税務署市町村とがともに協力しながらできるだけ均衡のとれた所得の決定をして行くべきものだと思います。それならば市町村市町村所得の決定をして行くとしますと、納税者は非常な困惑を感ずるであろうと思うのであります。そこで決定は税務署でありますけれども、決定に至るまでは市町村もできる限りこれに力を貸して行くのだという態勢を明らかにしておきたいわけであります。從いまして税務署は、かりに市町村から注意がありまして、それを聞かないで勝手に、つまり市町村から言いますと、不均衡な所得の決定をいたしました場合には、市町村はそれではお前の決定によらないというのが、三百十五條であります。あるいはまた全体が不適正だから、自分でやり直そうという権限を、市町村は留保しているわけであります。おそらくそれでは税務署も面目がないだろうと思います。自然税務署市町村の言に耳を傾ける。そこに両者とも公平な態勢がつくられて行くであろうと考えるわけであります。
  33. 藤田義光

    ○藤田委員 三百二十一條の納期前の報奨金の問題でございますが、これは地方自治体の税法として、非常に異色のある規定であると私も思いますが、現金のみを規定されておりますが、地方実情によりまして相当その土地の特色その他による報奨というようなことも考えているようでございますが、報奨金というような拡張解釈はできないのであるかどうか。特にその第三号におきまして、報奨金額は納付した税額の何パーセントかに相当する金額以内にしろという制限規定を設けまして、拡張解釈の余地はほとんどないようでございますが、この点に関しまして、報奨金制度をつくられました獎旨、それからその運営に関する現金主義をとつた理由物には全然及ぼさぬお氣持であるかどうかをお伺いしたいのであります。
  34. 奧野誠亮

    奧野政府委員 市町村の会計の上には、報奨金として支出すべきものと考えてれりますけれども、その報奨金をもちまして、納税者の希望するようなものを納税者にかわつて市町村が購入して、これを與えるということも可能であるわけであります。報奨金といたしておりましても、運営の面においては、かなり弾力のあるやり方ができると考えております。
  35. 藤田義光

    ○藤田委員 次の三百二十二條に、特別の事情の者に対し、納期限の延長を認めておりますが、その次に三百二十三條には、天災その他特別の事情ということで、減免の規定を設けております。この両規定を比較しまして直感いたしますことは、三百二十二條の規定がその市町村内の勢力関係、あるいは利益関係その他によりまして、相当悪用される危險があるのではないか。特別の慕情というものをここで例示しておいたらどうかというふうに、私は実際の現状と、それからこの規定の精神から見まして考えるのでありますか、あまりに簡單にして、むしろこの規定があることによつて情実、利益、あるいは勢力関係によつて納期の延長が市町村長によつて、随時随所に行われるという危險がありはしないかと考えております。この規定があることによつて市町村長はむしろ非常な苦境に立つ場合が、往々にして生ずるのではないか。特に明年の再選挙を前に、この規定の悪相が頻発するおそれはないかということを感ずるのでありますが、この点に対するお考えを承りたい、
  36. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいまのお話のよう無念が、必ずしもないとは言えないと存じます。しかし問題は三百二十二條の精神から申しましても、当該市町村の條例によつてきめるということになつておりますので、この條例のきめ方、及びその範囲をどうするかということについても、地方議会等において相当検討をし得ることになるであろうと思うのであります。從いまして條例の内容のいかんによりまして、この適用の條文等もおのずからきまつて來る。條例の縛り方はどこを限度にするかということが、問題になつて來るのではないか。そういう点から適正な條例の定められることを期待いたしておるのでありまして、またそれによりまして運用される場合におきましては、ただいまのような御懸念が、最小限度に食い止め得るのではなかろうか。またそういう事態が起らないことを、政府の方といたしましては、期待をいたしておりますので、この條文の中に例示的な事柄を具体的に掲げることは避けた次第でございます。
  37. 藤田義光

    ○藤田委員 次は三百二十四條の規定でございますが、詐欺その他不正行為によつて市場町村民税の全部または一部を免れた場合の罰則でございますが、これが懲役の方は大体ほかの條文とバランスがとられておりますが、財産刑の方が非常に大きくなつております。体刑の方はほかの規定におきまして、たとえば三百三十二條その他の規定におきましても、三年以下の懲役であるが、財産刑の方は二十万円以下というような規定がございますが、この規定のみが、百万円以下とあつて、財産刑が非常に飛躍的に加重されておりますか、何か理由があつてこういうような規定ができたのか、伺いたいと思うのであります。
  38. 奧野誠亮

    奧野政府委員 税目によりまして、どのくらいの脱税というものがあり得るだろうかというような、限度の額を考えまして、それからこの罰金刑の最高限度の額を検討いたしたわけであります。從いまして附加価値税でありますとか、固定資産税でありますとか、あるいは鉱山税でありますとかいうようなものにつきましては、一件あたりの税額も、相当大きなものか予想されますので、こういうものにつきましては、五百万円というような高い限度額を定めまして、その次に位するものとして、市町村民税予定したわけなのでありまして、市町村民税におきましても、一千万円の所得税をかけるものもあるわけでありますので、そういう場合には一八%でありますと、百八十万円になるわけであります。そういうものもあるのでありまして、罰金刑も考えております。從いましてささいな税收につきましては、おのずからその税額もずつと下まわつたものになるわけであります。
  39. 藤田義光

    ○藤田委員 市町村民税その他今回の地方税に関しましては、国税とはすべて別個な観点から立案されておりますが、最後の第六款の犯則取締りにおきましては、しばしば国税犯則取締法の準用規定を置いております。罰則が非常に多いという先般の生田委員その他の質問に対しまして、政府当局からは、なるべく明瞭に地方民に罰則の所在を知らしめて遵法精神を鼓吹して行きたいという趣旨の御答弁があつたのでありますが、これほど罰則に関する規定が多いにもかかわらず、なおかつ国税犯則取締法が準用してあるということは非常に地方の実際の徴税職員その他取締りに関與する人々に、混乱を生ずるのではないかと思います。でき得れば三百二十六條以下三百四十條等は、この間にしばしば規定してあります罰則の中に挿入することが立法技術上もあるいはまた今回の地方税法国税と画然と責任の帰趨、財源その他を隔離した趣旨に沿うのではないかと思う。罰則だけを国税反則取締法を準用するということは多少変則ではないかというふうに考えるのでありますが、この点に対し小野政務次官の御答弁をお願いしたいと思います。
  40. 小野哲

    小野(哲)政府委員 先般來罰則の問題につきましては、各委員からも御質問がございましたし、またただいま藤岡さんからも重ねて御質疑かあつたのでございます。今回の税法案を立案するにあたりまして、できるだけ各税目ごとにこれを見る場合において、一日瞭然たるやり方をして行くことが必要であろうというので、やや冗漫というそしりは、ないことはないのでございまするけれども、一般住民の理解を深める意味におきまして、かような立法技術を採用したような次第でございます。その場合におきまして、国税に関する反則の取締り関係の規定を準用することか、はたしていいかどうかというふうな御意見でございますが、この点につきましてはまことにごもつともであると存じます。たた国税反則取締りに関する制度につきましては、なお将來研究をいたしたいという意図をも持つておりますので、この際におきましては、一応国税反則取締法を地方税法においても準用する、こういう措置に出ましたことを、御了承願いたいと存じます。
  41. 藤田義光

    ○藤田委員 次にお伺いしたいのでありますが、法人税の均等割に関しましては、たとえばバス、トラツクその他の運送会社等におきまして、各府県にまたがり、しかも多数の市町村にまたがつて営業所、事務所を置いておる場合におきまして、逐一均等割を負担するということは、非常に大きな負担になるだろうと思います。この点に関しましては何か特別の考慮をされるのか、事務所、営業所、集荷所は一応大きなわくで一個所というふうに実際上決定されるのか、あるいはトラツクの逓送場、バスの停留場等もすべて営業所的なものと認定して、住民税の均等割をとれるのかどうか、この点相当地方においては解釈の問題があるようでありますが、お答え願いたいと思います。
  42. 小野哲

    小野(哲)政府委員 お答え申し上げます。ただいまお話になりましたようなあるいは地方鉄道、軌道あるいはバストラツク事業等におきましては、その事業の性質から多数の事務所もしくは営業所を持つておるということが認められるのでございまして、その場合について均等割によつて市町村民税課税いたします場合におきましては、何らかの考慮を拂つて行かなければなるまい、かように考えて参つておるのであります。この点につきましては三百十二條に規定を設けまして、その第四号にございますように、当該市町村内に二以上の事務所、または事業所を有する場合におきましては、当該市町村の條例の定めるところによつて軽減することができる、こういう道を開きまして、できるだけ負担の軽減についても考慮いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  43. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいまの御答弁でございますが、私は市町村條例におきましてむしろ逆に、なるべく多数の事業所、営業所の認定をやりはしないか、財源確保のためにむしろ逆な結果が現われはしないかということをおそれるのであります。しかしこの点は一応小野さんの御答弁で了承いたします。  次は條文が前後いたしますが、三百十九條の規定でございます。市町村民税納期は年四回になつております。ところが今回この税法が通過いたすことになりますと、市町村の財政收入で最も大衆性のあり、しかも普遍的なものは市町村民税でございます。從いましてこれはぜひとも月割にいたしまして、毎月最小限、市町村民税收入だけに確保いたしまして役場の事務費等で最も必要な最低限だけは、この税收から確保させる市町村財政運用の妙味を発揮していただきたいというふうに考えておるのでありますが、納期を四回にわけられました理由と、それから月割に移行する場合の御用意がありますかどうか。お伺いしたいのであります。
  44. 小野哲

    小野(哲)政府委員 納期の問題でございますが、三百十九條にもございますように、特別の風情があるような場合においては、当該市町村がその條例において適当な納期を定めることができるという道も開かれておりますので、必要に応じては月割という場合も予想せられるのではないかと考えております。
  45. 藤田義光

    ○藤田委員 その前の三百十八條の規定でございますが、賦課期日は六月一日になつております。前年の所得を基準にいたします関係上、年度がわりの四月一日にされた方が適当ではなかつたかというふうに考えますが、六月一日という期日を決定された理由を、簡單にお伺いしたいと思います。
  46. 奧野誠亮

    奧野政府委員 藤田さんの今のような考え方から行きますと、早い方がよろしいわけであります。ところが市町村におきましては出納閉鎖の期限が五月末日でございます、從いまして前年度税金その他の收入の未納になつております部分につきましては、四月、五月で整理を完了しなければならぬわけであります。そちらの事務にも追われますために、市町村民税課税になかなか手がまわらぬわけであります。しかもまた市町村民税につきましては、先ほど門司さんからも御質問のありましたように都会等におきましては移動が非常に多いわけであります。從いまして賦課期日が來ますと、すぐにその人について課税をして行くということになりませんと、移動して行つた人は市町村民税のことを知らずに、結局なかなか納付されないでしまうというふうな場合が、多いわけでありますから、賦課期日の前から十分に調査をいたしまして、賦課期日が参りますと、ただちに課税の手続をとるというふうな姿にして行きたいという考えを持つておるわけであります。そこで從來は八月一日であつたのでありますけれども、さらに早めまして、四月と八月の中間の六月一日という期日に、定めた次第であります。
  47. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 私は法人に対する住民税のことについてお伺いいたしたいと思います。住民税は滑革的には戸数割から変形したことは御承知通りであります。このたびの改正案によれば、法人に対する住民税が特に均等割になつておるが、均等制にした理由をお伺いいたしたい。と申しますのは、小さい町村にありましては、そこにある一つの会社が今までは有力なる財源であつた從つてその会社に対して、いかなる形で負担を持つて行くかは別でありまするが、あるいは寄付金の形において、あるいは從來の市町村民税の形において持つて行くか、それはわかりませんか、いずれにしてもその会社に相当の村の財政の負担をかけておつた。そうすることによつてその村の財政が運営されておつたというような事例は、はなはだ多いのでありまするが、今回のこの改正案になりますれば、均等割でその標準課税が千二百円、これを最高限にとりましても、あるいは四千円、三千円、二千円というふうに相なりまして、從來の実際の課税、これが寄付とか住民税になつておるかもしれませんか、その問題から見ますと、非常に少額にすぎる。これでは急激にその村のあるいは町の予算の編成上に障害を與えはせぬか、ざつと考えましても相当な会社でありますればその村、その町に対しまして、会社はおそらく数万円、もしくは十数万円負担をしておる。これは先般の公聴会におきまして、韮山の村長がその事例を言つておりますが、この改正案におきまして、何ゆえに法人については均等割にしたか、また均等割した結果が町村財政にいかなる影響を及ぼすか、その辺のことについてお伺いいたしたいと思います。
  48. 小野哲

    小野(哲)政府委員 今回の市町村民税につきまして、法人に対して均等割のみで課税するということに相なりましたのは、あるいはすでに説明をいたしておるかと存じますが、個人の課税との均衡を維持するというふうな点を考えなければならないと思つたからでありまして、御承知ごとく法人が当該市町村内において、事業の経営をいたしております場合におきましては、法人自体としてその事業の施設なり、その他それぞれ当該地方団体に対して、他の税目品による課税対象に相なつて、おるものもあろうかと思うのであります。同時に今回の法人に対する課税の基本的な考え方は、応能の原則によらないで応益の原則に基いておる。言いかえれば地方団体との密接なる関連において、その法人が最小限度において負担すべき税を負担させるとが、妥当であろうという考え方から出ておるのでございます。なお先ほどの御質問がございましたように、法人が当該市町村内においてあるいは工場を持ち、または事務所を持つというふうな場合においては、それぞれの工場なり、事務所についてやはり均等割の課税対象にもなつておりますので、彼此勘案いたしますと、法人に対しましては均等割程度課税することか、個人に対する課税との均衡を保持する意味から申し上げましても、妥当ではなかろうか、こういう考え方から出ておるわけであります。
  49. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 ただいまの個人に対する均衡上から、かくのごとく均等割にすることが妥当じやないかという御説明があつたのでありますが、なるほどその会社は町村税といたしましては、固定資産税対象にはなるのでありますが、しかしながら個人に対する均衡の割合と申しますならば、むしろこういうような法人こそ相当の負担をしてもらつても、別に苦痛ではないというような場合が、はなはだ多かろうと思う。直接個人の方に負担をかけるということになりますれば、どうしても生活費に食い込んで行く、從つてあらゆる問題、社会上の問題も出ております大きな主体であるところの法人に相当の負担をしてもらいましても、その影響は全国的な経済の問題を考えれば別でありますが、その村としてははなはだ緩衝になる。税としてとりやすいというものをとるという意味から申しますならば、むしろ法人に均等割はある程度してけつこうかもしれませんが、最高限の問題について相当の弾力性を與える、そうしてその町村実情において課するというのが、從來の戸数割の精神と申しますか、あるいは從來の市町村民税の精神というか、そういうものをある程度取入れなければ、私は実際問題としてその町村が困りはしないかというような心配を持つております。これに対して改正案には何ら救済の方法がないとすれば、私はおそらく非常に困難な問題に逢着するのではないか、この結果は要するに個人個人の市町村住民がその満度まで負担しなければならないというような点を心配するのあまりお尋ねしたのでありますか、御説の通り予算編成がうまくできればけつこうでありますが、今後ともこの点において御研究を願いたいと思います。
  50. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 今の法人税のことに関連して、法人の均等割が大都市で二千四百円、個人の均等割が大都市で八百円、これは一体どういう基準から割出したものであるか、そこをひとつ……
  51. 奧野誠亮

    奧野政府委員 今の池田さんの御質問は、先ほどの龍野さんの御質問とも関連しておりますので、政務次官からお答えになりましたそれ以下のこまかい点に触れて、あわせて申し上げさしていただきたいと思います。  先ほど龍野さんから応益に対しても応能的な課税の仕方をすべきじやないか、こういう趣旨で御質問になつたのではないかと思うのであります。大きな法人も小さな法人も同じ額の均等割ではなしに、ある程度大きな額を考えたら、どうかというふうな意見があつたように思うのであります。しかし法人の性格というものをどう見るかということは、学説上もいろいろ意見がわかれておりますし、また近代の各国の政府におきましても、幾多の変遷を辿つておるわけであります。今回とりましたところの国の所得税でありますとか、あるいは地方市町村民税におきましては、法人というものは個人の活動の手段であつて、法人の所得というものはすべて個人に帰属するものである、從つて所得に対する課税というものは個人に総合して考えるべきだ、從つて法人の段階で課税した部分は、個人の段階においてはこれを控除するべきである、こういうふうな建前に立つておるわけであります。資本の蓄積ということが、現在の日本において大事な問題であるというふうな政策的な問題もあわせ考えなければならないと思うのでありますが、とにかくそういうふうな考え方のもとに立つております。從いまして市町村税におきましても応能的な課税の部分と、応益的な課税の部分等の二つがあるわけであります。応能的な課税の部分といたしましては、所得税額等を課税標準といたすわけでありますか、応益的な課税の部分といたしましては、均等割の制度をとつておるわけであります。要するに市町村住民たる限りにおいては、何がしか均等にある程度税額を負担するというとになつておるわけでありまして、そういう点から行きますと法人の施設が大きいから、あるいは法人の施設が小さいからといつて税額に区別を設けるということは適当ではない。こういうことになるだろうと思います。しかもまたなるほど大きな工場の存しております市町村民税というものは、きわめて微々たるものでありましようけれども、別途に固定資産税の収入が、ある市町村には相当大きなものが入つて來るということになりますので、そちらの方で十分相殺されるのではないだろうかというふうな考え方をいたしております。また法人でありましても幾多の種類があるわけでありまして、何十億というような資本を擁する法人もございますし、また名前ばかりの法人もあるわけであります。あたかも個人の中にも生活に非常に困窮しておる人と、何億の所得のある人とがあるだろうと思うのであります。しかしながらそういうものにつきましても、均等割はその性質上同一のものを課税しておりますので、法人においてもやはり同額のものを課税しておるのであります。それならばあまり高いところできめることは、あまりにも苛酷な負担を法人にしいるということになるわけであります。そういうことを総合的に勘案いたしまして、個人の三倍くらいのところで押えて行くのが、いいだろうというようなところから個人の標準の均等割額の三倍額をもちまして、法人の均等割額の標準といたしたわけであります。
  52. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 そうすると均等割というのは、どういう考え方から割出したものですか。その根本的なところからひとつ……
  53. 奧野誠亮

    奧野政府委員 たいへん卑近なことを申し上げるようでありますが、隣組で夜まわりでもやろうじやないか、あるいは隣組で月に一回ぐらいは懇談会を催そうではないか、こういうような話合いがしばしばあるだろう思うのであります。そういう場合にやはり負担の仕方といたしまして、ある程度のものはみんな一応経費を負担しよう、それ以上のものは応能的に負担しようじやないかというふうなことがあるだろうと思いますけれども、一応幾らかでもみんなが負担するというふうなことが好ましいだろうと思うのでありまして、またそれによつて利益しておりますものも、みんなが利益しているわけでありますから、ある程度のものは均等で負担をする。いろいろな団体の姿を考えてみますと、会員であるが、自分は能力がないから全然納めないというよりは、会員である以上ある程度の会費を納めた方が、その会の運営の上からも、会の負担の上からも好ましいのではないかという考え方を持つているわけでありまして、そういうことが均等割の根本の精神になつておるだろうと思うのであります。市町村の性格の問題になるわけでありますけれども、市町村というものは、やはり住民が相寄り相集まりまして、共同の地位の向上をはかつて行く趣旨の団体だ、それならやはり市町村住民たる限りは、幾らかでもその団体の経費を負担するというふうな姿が、みんなその団体の仕事のやり方を考え、それに協力して行く上からいつて、非常に適当なことだろうというふうな考え方を持つているわけであります。
  54. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 そういうふうにいたしますと、人口の少い町村と多い町村で均等割が差別があるのはどういうわけですか、小さな村では四百円、大都市では八百円というようになるのはどういうわけですか。
  55. 奧野誠亮

    奧野政府委員 大体人口密度の少いような町村におきましては、町村として施設すべきものが割合に少くて済むのではないか、人口密度が多くなつて参りますと、それだけ衛生上の施設もよけいやらなければならない、あるいは往來がはげしいだけに道路の施設も、より一層完備して行かなければならない、というふうなことになつて参るわけでありまして、言いかえれば、人口密度の多い市町村におきましては、それだけ市町村としての施設に金がよけいかかる。反面住民といたしましても、その市町村からの施設の恩恵によけい浴しているというふうなことが言えるだろうと思うのであります。金がよけいかかれば、それだけ住民といたしましても、均等に負担するものが多くなることは、やむを得ないのではなかろうかというふうな考え方をいたしております。
  56. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 そういう観点に立ちますと、法人が受ける恩恵と、個人が受ける恩恵が一対三というような程度であるかどうかということが、問題になるのではないかと思います。たとえば帝国銀行とか丸ビルとかいう、ああいう所に居を占めておる法人、こういう法人が受ける利益の度合いと、それから本所、深川あたりのハーモニカ長屋というような所に住んでいる個人の利益を受ける度合いというものが、はたして一対三であるかどうかということが、どうも私は納得が行かないのであります。
  57. 奧野誠亮

    奧野政府委員 それで先ほど御説明申し上げたつもりだつたのでありますけれども、均等割と所得割の中の所得割の方は、応能的な負担だと考えるのであります。片方の方は応益的な負担であります。応益的な負担といたしまして、全部均等にある程度のものを負担してもらうわけでありまして、その問題を個人について言いましたら、やはり大きな家を構えていると、それだけ家族の人数も多い、それだけ応益的な面も多いのではないかということも言えるだろうと思いますけれども、均等割の精神から考えて、一応納税義務者を中心に考え、同額だというふうな精神をとつておるのであります。先ほども申し上げましたように、大法人の市町村民税の負担が少な過ぎるということは、やはりだれもが考えることだろうと思いますけれども、制度の上からは、やはり市町村民税だけでは見ないで、あらゆる税種を通じまして、負担が適当であるかというふうな考え方をいたしたいのであります。
  58. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 法人と個人との場合を、個人の中の大きなものと小さなものとにたとえられて説明しておりますが、たとえば町村などで、大きな工場が立つというような場合に、その町村がどういう負担を特別に支出しなければならないかというようなことを考えますと、その工場が立つたがために、その町村財政が相当大きな負担を受けるというようなことがたくさんある。たとえば労働者がたくさん密集するというような場合には、衛生設備なんかも相当程度に支出しなければならない。あるいはその工場に引込線をつけるというような場合には、非常なたんぼをつぶさなければならぬ。こういうようなことがあるのでありまして、当然法人たとえば工場というようなものが、その町村に存在する場合には、村費なり町費なりの相当の額を、そういう工場のために支出しなければならぬというような例は幾多あると思う。だから法人税に対しては、個人が受ける利益の度合と、法人の受ける利益の度合というものは、おそらくものによつては一対三のものもあるかもしれないが、決しておしなべて一対三というようなものではない。均等割というものは個人法人が、その自治体から平均に受ける利益の上に立てるのであるならば、そういう観点に立つて均等割というものをつけるのであるならば、法人と個人との差を一対三というような、こういう低率に置くのは、はなはだ妥当ではない、こういうふうにわれわれは考えられる。それからもう一つは、法人というものは個人所得の総合であるから、法人には所得割はかけないのだ、こういうのでありますけれども、法人税所得税は現に法人にもかかつている。この所得税を基準として所得割というものをかける以上は、やはり法人にも所得割をかけるのが妥当ではないか。こういう理論も成立つわけであります。だからこの均等割並びに所得割について、個人の場合、法人の場合あなたたちがこういう比率をきめたその理由を、もつと詳しく聞かしてもらわないとわからない。單に町村から受ける利益の度合という観点だけでは、ちよつとわからない。
  59. 奧野誠亮

    奧野政府委員 私の申し上げる応益的な負担ということが、非常に強く響いておるのじやないかというふうに考えますので、重ねて申し上げたいのでありますが、仲間がお互いに負担する費用といたしまして、仲間一人割り、仲間割りで平等に負担するものと、もう一つ応能的に負担する——要するに所得の額において負押する、その二つの方法があるわけであります。從いまして仲間割といいますか、均等割の部分は、個人の場合で行きますと、貧乏人も金持もまつたく同額なんであります。同様に法人につきましても、小さい法人にも大きい法人にも同額であつてしかるべきだと思うのであります。もう一つの応能的な負担の方は、大法人と小法人とはおのずから金額も異にしなければならぬわけでありますが、応能的な負担の面は、これは先ほど申し上げましたように、全部個人において捕捉すべきであるという考え方に立つておるわけであります。そこで今また法人税をとり所得税をとつているじやないかというお話がありましたが、御承知のように、所得税の計算におきましては、配当所得につきましてはすでに法人の段階にかかつておるからということで、その人の所得税額から配当所得の百分の二五だけが控除される制度がつくられておるわけであります。便宜法人の段階で課税するわけでありますけれども、それは本來個人に帰属するものが便宜そこで課税されておるわけだから、個人の支拂うべき所得税額から、それだけの部分が控除されるという制度になつておるわけであります。こういう制度と、市町村民税の法人に対する所得制の非課税制度が、ともに関連をもつておるわけでありまして、こういう見地から均等割だけしか課さない。だから從つて均等割は大法人であろうと小法人であろうと、まつたく同額にしておる次第でございます。その際にまた、法人といいましても、非常に貧弱な法人もたくさんあるわけでありますので、個人とあまり懸隔のあり過ぎた標準税額を定めますことは、非常に苛酷な負担を法人にしいることになる部面も、相当たくさん出して参りますので、個人の三倍くらいが穏当だろうというような考え方で、自然町村におきましては千二百円、人口五十万以上の市におきましては二千四百円というふうなところに線を、引いたわけであります。
  60. 生田和平

    生田委員長代理 この際お諮りいたしますが、予算委員深澤義守君より委員外発言を求めております。これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 生田和平

    生田委員長代理 御異議なしと認めます。よつて深澤義守君の発言を許します。
  62. 深澤義守

    ○深澤義守君 ただいまのお許しによりまして、委員外発言を許していただきます。地方税制の改正に基きまして、詳細にわたつての御論議がおありになつたと思いますが、私は森農林大臣に対しまして、この地方税制の施行にあたつて、農民の問題として御質問申し上げたいと思うわけであります。御承知のように農地改革によりまして、非常に広汎なる小作地が自作農となつて現在農民に與えられたわけであります。ところが農民解放指令によりますれば、この自作農になりました農民を、再び小作農に転落するような状態に置くようなことをしてはならないということが、農民解放指令に明確に規定されておるわけであります。ところがこのたびの地方税法の改正によりまして、あの固定資産税が実施されますならば、大体田畑一反歩に対して三百円あるいは三百五十円程度固定資産税を拂わなければならないという結果になるわけであります。その結果は、自作農として買い受けました価格が、大体全国平均七百何十円になつておりますが、その半額に相当するものを、毎年々々負担しなければならないという結果になるわけであります。そういうような状態において、農民がせつかく自作農として土地は持ち得たが、その土地を持つたことによつて負担に耐えられないということで、この土地を手放さなければならないというような状況になるわけであります。從つて過去三年間全国の農民諸君や、その関係者の諸君が努力いたしました農地解放の成果は、この地方税制の改革によつて、完全に抹殺されるという結果になるわけであります。その結果は農民解放指令にあるところの自作農になつた者の立場を確保するということに対して、決定的な矛盾が出て來るわけであります。こういうような見地から、農林大臣はこの地方税制の改正、そしてこれが通過し、実施された場合において、農地改革と矛盾するこの状態に対して、いかなるお考えを持ち、どういう措置を講ぜられるのか、なおこの税制問題に対して、農林大臣は農民の立場に立つた場合において、どういうぐあいにお考えになつておるかその点をお伺いしたいと思います。
  63. 森幸太郎

    ○森国務大臣 地方税課税内容については、事務当局より詳細お聞きのことと存じます。ことに深澤委員は予算委員としてこの問題については相当御議論もあり、お答えもいたしておつたわけであります。今回の地方税制につきましては、いろいろ議論もありますが、政府が提案いたしました以上、政府といたしましては、この法案が通過した場合において、日本の税制の上において必要であり、妥当である、こういう考え方で提案いたしたわけであります。今御質問の地方税法の改正によりまして、せつかく自作農になつた者が、小作農に転落するというようなことになるではないかという御意見でありますが、これは一応あなたのお考えとして拜聴いたすわけでありますが、今後農産物の価格等の支持操作によりまして、そうして農業がこの税をかけられても経営し得られるように、農業政策を持つて行くという方針を進めるならば、決して御心配になるようなことはない、かように考えておるわけであります。
  64. 生田和平

    生田委員長代理 ちよつと深澤君に申し上げておきますが、森農林大臣は十二時四十五分までしか時間がないそうでありますから、なるべく簡潔にお願いいたします。
  65. 深澤義守

    ○深澤義守君 今森農林大臣は、今後において農産物価格の支持というような制度をつくり上げて、そして農民の立場を決して苦しくないようにするというやうたことでありますが、しかし最近における日本の農業の実情というものは、外国食糧の非常に厖大な輸入のために、その圧迫を受けて、すでに日本の農村は農業恐慌に入つております。そして今後おそらくその価格がこの外国農業の圧迫によつて、ますます下落するという傾向にあるわけであります。それだからこそ価格支持制度案というものが一応考えられているのであります。こういうような状況の中に、農民が今後この税の負担に耐えられるという状況は一つもないのであります。現在においてすら耕作放棄が行われ、そして土地を持つことに対して非常に耐えられないという姿が出て來ているのであります。こういうような状況の中に、この地方税制の負担には農民はもう耐えられないという見通しを、われわれは持つておるのであります。ところが森農林大臣は非常に楽観論を持つているわけでありますが、その楽観論の根拠というものが、われわれは了解に苦しむのです。農民がこの税に耐えられるというもつと具体的な根拠を明確にされたいと思うのであります。
  66. 森幸太郎

    ○森国務大臣 これはあなたと私の考え方が通うのでありますから、御満足の行くお答えはできないと思います。しかし今海外食糧のために日本の農村が圧迫を受けておるという話でありましたが、別にさようなことにはなつておりません。海外からどんどんと安い食糧が入つて來る、それのために日本において生産いたした食糧の価格が下つて來る、どうしても農業経営ができないということによつて、初めて輸入食糧によつて農業が圧迫を受けたと言い得るのであります。今日では輸入の面におきましては政府は操作いたしておるのでありまして、しかも海外の食糧は国内の食糧よりは高いのであります。それでありますので、まだまだ日本の農業の生産を増加し、また価格を維持することにおいても、外国の食糧に比較いたしまして安いのでありますから、農業経営の上におきまして、今まで食糧生産のために犠牲を拂わし過ぎておつたところの農業に対して、今後その農業の適正な経営を行わせて行くという方針をとつて行きたいと考えておるのであります。これは深澤君の立場といたしましてさような御批判があると思いますが、決して私は農業の今後におきましてさように悲観すべきすでに農村に恐慌が來たとまで考えておらないのでありまして、今後恐慌の来ないように政策を持つて進まなければならない、かように考えているわけであります。
  67. 深澤義守

    ○深澤義守君 森農林大臣の考え方は非常にいわゆるマル公的な公式論であります。今日本の中へ外国食糧が入つて來ることは、確かに内地の食糧よりも高い物が入つて來ることは間違いない。しかし現在まで日本の農民が、すべてマル公によつて生活をして來たかどうか、これは全国民がマル公では生活ができなかつた。特に政府に米を売り渡す場合、今までの価格では生産費を償い得ないような状態にあつた。その中に農民がわずかに日本の食糧問題を解決して來た努力は、やはり一応やみ売りということによつて償えない農業経済を償つて來たというような現実であります。ところが最近の輸入食糧の圧迫のために、このやみ価格が非常に下落した事実、つまり東北においてはすでに五十円、六十円という状態、配給価格よりも下まわつておるという状態の中に、農村の現今の枯渇というものは非常にひどいものであります。所得税を拂うために馬を売り牛を売るというような状態、さらに娘を売らなければならないというのが、今日の日本の農民の状態なのであります。森農林大臣は農業恐慌は來ないとか、あるいは來るかということは心配ないと言うが、現実に農村は深刻なる農業恐慌に入つているのです。この事実を全然無視せられて、農業政策をやつておられるところに、根本的な間違いがあるとわれわれは考える。そういうことはおそらく議論の相違だということで逃げましようが、一体森農林大臣はこの地方税制の改正にあたつて何らの摩擦なしに、何らの苦痛なしに農民がこの地方税の負担に耐えられるという確信を持つておられるかどうか、一体農民はこの地方税を文句なしに拂うことができるかできないか、この問題についてはどういうぐあいに考えておられるか、率直なお考えをお聞しきたいのであります。
  68. 森幸太郎

    ○森国務大臣 地方税法案を提出するまでにはいろいろの紆余曲折もありまして、また農林大臣といたしまして、農村の立場に立つて独自の見解も持つてつたわけであります。しかし政府は一応法案として出しました以上は、政府の責任において、地方税法は皆さんの御審議の結果はいずれにいたしましても、政府といたしましては、この地方税法が妥当なものと確信を持つておるわけであります。
  69. 深澤義守

    ○深澤義守君 政府は確信を持つてこの税制を出されたと言うが、政府は日本政府独自の立場において、これが今日の国民生活状態に適当であるという確信を持つて出されておるのかどうか、これは政府が独自の立場において出されておるのかどうか、その点をひとつお聞きしたい。
  70. 森幸太郎

    ○森国務大臣 政府は妥当と信じてこそ提案するのであります。
  71. 大泉寛三

    ○大泉委員 議事進行について——どうもこういう委員外の御質問は、本会議で当然これはやれるのだから、本会議でやつてもらいたい。われわれ地方行政委員会としてはきわめてどうも審議が遅々として進んでいないこの時期にあたつてたとい十五分でも、二十分でも、貴重なる時間でありますからしかもどうもやどがり的な質問者とあるいは応答者によつて、われわれははなはだ不愉快な立場に当面することは、われわれとしてまこと迷惑至極なことであります。委員長のとりはからいをひとつお願いいたします。
  72. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 議事進行について——われわれ地方行政委員会が、責任を持つて地方税法を審議するからには、これはあらゆる人の意見を聞かなければならないと思います。特に予算委員の人たち、あるいは農林委員の人たち、この人たちから率直な御意見を聞いて、その上でこの地方税法を十分審議しなければならないと思うのでありまして、特に農民の問題はこれは非常に重要な問題であります。固定資産税というようなものは、非常に重要な問題でありまして、農林大臣がせつかく來られておるときでありますから、農林大臣の許す限り上審議を継続されんことを切に要望いたします。
  73. 生田和平

    生田委員長代理 深澤君もう少しありますか。
  74. 深澤義守

    ○深澤義守君 もう一点だけ——それでは委員会に御迷惑をかけることも本意ではございません。それでも、一点だけ簡單にお聞きしたいのでありますが、農民解放指令に明確になつておりますところの自作農になつた農民が、負担に耐えられなくて、その土地を手放さなければならない実情に到達するということを、私は憂うるのであります。その結果として日本の民主的な再建の基礎である農村の自作農の立場が、漸次失われて行くということをわれわれは憂うるのであります。特にこの点について解放農地に対して、これを農民が確保して行けるように、こういう問題について森農林大臣は地方税制の施行にあたりましてどういう努力をされたか。またどういうお考えを持つておられるのか。また今後どういうような処置をとられるのか。その点だけもう一点お聞きしたいのであります。
  75. 森幸太郎

    ○森国務大臣 地方税に対する私の立場は、先ほど來繰返し申し上げた通りであります。今後農業経営が、せつかくできた自作農が小作農に転落し、あるいはまた耕作を廃止するということのないように、あらゆる政策をもつて行きたいかような考えを持つておるのでありまして、地方税に対する考え方は先ほど來申した通りであります。
  76. 深澤義守

    ○深澤義守君 われわれは日本の食糧問題は、全国民の大きな問題として、一日も早く外国の食糧輸入を待たずして、独自の立場において食糧問題を解決するということこそが、日本の将來の独立の基礎であると考えるわけであります。こういう意味においていろいろな電氣、ガス税等の問題におきましても、特殊の例外を設けまして相当の重要産業等の免税を規定しているわけなのおりますから、われわれはこの食糧問題の基礎である、この解決の根幹である農地に対して、固定資産税を免除するということか当然日本の重大問題であり、食糧問題解決の一つ方法ではないかと考えるのであります。森農林大臣はこの耕地に対して固定資産税の賦課を免除するということに努力せられる考えはないか。政府としてそういうお考えは持つておるようなことはないか。その点をひとつお伺いしたいのであります。
  77. 森幸太郎

    ○森国務大臣 地方税内容はすでに御承知通りであります。これは提案している以上、この提案の内容を農林大臣として変更するような意思は持つておりません。
  78. 河原伊三郎

    ○河原委員 今の問題に関連してお伺いいたします。今回の税制改正は中央地方を通じての税制改正でありまして、これは個人もしくはその業態について全体をなかめての批判でなければ、一つの税のみをもつて批判する場合には大きな間違いが起ると思います。つきましては今この税制改正と農業との問題が論ぜられておるのでありますが、質問者の基本的な考えとしましては、この税制改正によつて農業者は非常な不利益をこうむるのではないかという前提のもとに質疑をしておるようであります。なおさような場合におきまして、單に部分的な面より見た農業との関係の答弁のように思うのでありますが、この中央地方を通じての今回の税制改正によつて、はたして農業は不利益なる面に立つものであるかどうか。または不利益ならざる面に立つものであるか。その点について政府当局は、ことに農林大臣はいかなる見解を有しておられるか、承りたい。
  79. 森幸太郎

    ○森国務大臣 今回の税制改革はすでに数字もお示しいたしておる通りであります。農業者におきましてはいろいろな段階がありますが、普通の段階におきましては二・六%の減税になるはずであります。
  80. 生田和平

    生田委員長代理 これをもつて暫時休憩いたします。午後は一時半から再開し、質疑を継続いたします。     午後零時四十七分休憩     午後三時二十五分開議
  81. 中島守利

    ○中島委員長 休憩前に引続きまして、再会いたします。  質疑を続行いたします。二百九十二條より三百四十條まで、市町村民税
  82. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 午前中の続きを質問します。関連質問ですから簡單にやります。先ほどの均等割ですが、これは三百十二條で除外される者以外は、だれも納めなければならない。どんな最低生活をしておる者も、これだけは納めなければならぬ、こういうことになるわけですが、実例をあげて申しますと、相当高額なものでも、今までの市民税というものは、中流で年間千円とか千五百円とか、このくらいのものである。それが今度は相当貧乏な者でも四百円ないし千円の均等割をかけられるということになりますと、これは大衆にとつては相当過重な負担だと思うのです。一体こういうどん底の最低生活をしておる者でも、とにかく三百十二條で除外される者以外は、展低四百円から千円の均等割をとられる。こういう高額な均等割をかけるという根本的なもの、これをさつきから御尋ねしているわけなんですが、その点かどうも納得が行かないわけです。これをもつと下げても、たとえばこの均等割を百円にしてもいいのじやないか、こういうふうに私は考えるのですが、これを四百円ないし千円というようにした理由、それはどこから算出したものかお聞きしたいのです。
  83. 奧野誠亮

    奧野政府委員 均等割の四百円ないし八両円が高いか低いか、またどういう根拠から算差したかという問題ですが、現在の均等割は、大体住民税の総額の二割を目途に考えております。たいていの地方自治体においては、その程度を均等割に求めております。今回市町村民税の総額は相当大幅に増額されることになつたのでありますが、その中で占めます均等割の部分も、やはり二割程度ということになるわけであります。地方税が増額され、しかも市町村住民の直接負担によつて、それをまかなつて行くということになりますので、所得割の部分も、この均等割の部分もまた同様に大きくなつたわけであります。しかし比重から言うと大体同じことでありまして、そういう見地から四百円ないし八百円というものが、大体支障はないのではないかという結論を持つたわけであります。四百円ないし八百円といいますと、月額にしますと三十円ないし六、七十円ということになるわけでありまして、この程度のものならば、市町村民において負担してもらえる、また負担ていただくことによつて、積極的に自治内容に対して批判していただき、関與していただくということがいいのじやなかろうかというふうに考えております。
  84. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 住民税の総額がふえたから、その二割として、結局均等割もふえたというわけですが、そういうことじやなく、先ほどあなたが言つたように、隣組の懇談会の会費といつたような性質の均等割といたしますと、住民税の総額が改正の結果ふえようとふえまいと、とにかく国民生活というものは、去年と今年で大差ないし、場合により、人によつては、非常に減つておるものの方が多いという、つまり所得が全体として減少しておるものの方が多いという現状であるし、また町村の財政全体から見ても、補助金などが減つておる。こういう点から考えますと、やはり町村の事業の量の全体としては大差ないのじやないかと思うのです。そういう点から考えますと、住民がその地方公共団体から受ける利益というようなものが、去年と今年で四倍にも五倍にもふえたかというと、そうでもない。そういう観点に立ちますと、この均等割というものを、旧税法よりも、今度の税法で大幅に引上げたというようなことは、どうしても解しかねるわけですが、そういう点はいかがですか。
  85. 奧野誠亮

    奧野政府委員 市町村の必要な財源をふやしますために、市町村民税を相当増額したわけであります。從いまして、所得割の部分もある程度増額しますし、均等割の部分もある程度増額せざるを得なくなつたわけであります。そこで負担が苛酷であるか苛酷でないかということは、これはその額自身の問題でありますけれども、月額三、四十円から六、七十円というところならば、むしろなるべく広く納めていただいた方がいいのではなかろうか、たとえば、隣組の例が出たのでありますけれども、会費を納めないと、その人は言いたいこともなかなか言えないのではないかというようなことも考えられますが、むしろそれと反対に、進んである程度の負担をするのだというような氣持の人が、大部分であろうと思うのであります。市町村におきましても、そういう氣持というものは助長して行きたいわけであります。しかしながらそれが苛酷である場合は、当然市町村がその実態に応じまして減免すればよいという考え方をとつておるのであります。ある程度の負担をしていただきませんと、あまり名目的な少額ででありますと、せつかく必要な費用を分担いたしましても、その税の行方を通じて市町村自治行政に関心を深めて行く、活発な行政活動が行われて行くというねらいが、失われてしまうごとにもなるのでありまして、御心配になるような点は、実態に応じて減免規定を適用して行くということに、なるだろうと思うのであります。
  86. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 私はこういうことを言つておるのです。たとえば所得税などにいたしましても、ほんの少ししか納めていない、生活から言つても、最低とは行かないまでも、ようやく食つているというような人たち、この人たちにとつては、四百円ないし八百円、あるいは最高税率で千円——都市では最高千円というようなところまで、均等割をかけられるということは、これはやはり相当な負担です。旧税法と今度の税法とでは、この均等割が相当上つている。この上つている理由は、住民税の額というものが大幅にふくれ上つたから、また去年と今年は税率が違うのだからあたりまえだ、上るからその二割が均等割だというような観念のようですが、均等割ということは、そういう考え方からでは少しむりなのではあるまいか、少くとも均等割というものの額をきめる場合には、まず最低の納税者が負担し得る額が、目安にならなければならないのじやなかろうか、だから均等割だけを納めるというものが、その市町村住民税納税者の最低額ですから、町村行つては、四百円住民税を納めるというのが最低者だということになると思うのでありますが、今までの最低納税者というものはもつと低い、低いのが今度四百円になる。これはそういう納税者にとつて非常に大きな負担になるのだが、それではそのかわりにいわゆる公共団体のサービスというようなものは上がるのかというと、総体として上らないのじやないか、この点です。上らないのに、公共団体のサービスによつて納税者が利益を受けるという点、そういう点はちつとも改善されていない。それだのにこういう最低の均等割というもの、か上るということは、どうも不合理じやないだろうかという考えを持つているのです。
  87. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御承知のように、現在市町村はその負荷されましたところの仕事の分量が、非常に多くなつておるにもかかわりませず、必要な財源というものはあまり與えられておりません。たとえば義務教育の制度が六年から九年になり、三年間延長せられました結果、市町村の負担も非常に大きくなつているわけでありますが、その割合に市町村に財源が與えられていないために、いろいろと混乱が起きていることも御承知だろうと思うのであります。またむりな寄付金もずいぶん徴收されているわけでありまして、大体そういうものが四百円くらいというふうに見込まれておるわけであります。今回市町村税收入が四百億増額される結果、こうした強制的な寄付金が三百億円ぐらいは少くなつて來るだろうというふうに考えておるわけなのでありまして、必ずしも市町村の施設がよくならないというふうには考えないのであります。やらなければならないものも十分にやれなかつた反而に、もし財源がある程度余裕があるということになつて参りましたならば、市町村として残されたやるべき問題は、非常にたくさんあるのではないだろうかというふうに考えるわけであります。もとよりそれだから幾らでも租税負担をふやしてもよろしいということを、申し上げるわけではありませんが、そういう点もあわせ考えまして、均等割にこの程度の負担をしてもらうのはやむを得ぬだろう。また均等割の長所もあるわけでありまして、自治の発展ということにも重点を置いてあるわけなのであります。  そこで現在の負担との比較の問題でありますけれども、現在納税義務者一人当りの住民税は、一千四百五十円であります。これの二割ということになると二百九十円、約三百円であります。いろいろと地方税の負担も多くなるわけでありますが、均等割の部分にも若干増額してもらう。これが町村と違いまして大都市になりますと八百円になるので、その面から比べますと、非常な増額でありますが、寄付金の問題等も整理されることを考えまして、まずこの程度を負担していただきたい。しかしながらもとよりその負担が苛酷になる人たちがあるだろうと思います。そういう面から、一応生活保護法によりますところの生活扶助を受けておる者には、課してはならぬと書いてあるのでありますか、それに該当しない者でありましても、減免を必要とする人たちも相当多数あるということが、十分予想されると思います。そういう点はやはり個々の具体的の実情によりまして市町村で判断し、あまり苛酷にわたらぬような措置をとつていただくよりしかたがないのではないか、あくまでも市町村税でありますので、むりな非課税の範囲をきめましても困るわけでありまして、ある程度市町村自身の適正な判断というものを、信頼して行くよりしかたがないのではないかというふうな考え方を持つておるわけであります。
  88. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 市町村の財政の確立とか何とか、よくあなた方は言つておりますか、一体今度のこういう住民税や何かをきめて、それで市町村の財政がゆたかになるという観点で、話を進めておるようなのですが、私まだその点の納得が行かないのです。たとえば災害復旧などにいたしましても、これは村ではとうていできないので、今までは国とか県とかでやつてくれたものを、災害復旧の国庫負担というものが通りますと、小さな災害は当然村でやらなければならぬ。今までは国や県でやつてくれたものが、村で負担するということになれば、たとい寄付金という名目のものを税金の中に含ませてみたところで、また寄付金を課さなければそういう工事ができなくなるのはあたりまえです。教育費でもやはりそういうことが言えるのではないかと思う。村の財政がゆたかになるということは、その村の税源が幾らあるからということではない。たとい村の税源が少くても、村の人たちがゆたかでさえあれば、村で必要な事業を興すのに、寄付金でも何でもいくらでもやれる。問題は、どうしたら村の人たちの生活をゆたかにすることができるかということが、公共団体の財政を確立する大本でなければならぬと思うのであります。この点が私は本末転倒しておるのではないか、政府考え方というものは、これだけ税率を上げればこれだけ税金がとれる、そうすれば公共団体がこういう仕事もできる、ああいう仕事もやれる、だから税金を上げるのだという考え方で、そしてその公共団体の中に住んでおる人たちの生活という点は、全然考えておらない、これは本末較倒ではないか。生活が主体であつて生活がゆたかにさえなつているならば、税源というものはなくても、幾らでも公共団体の事業をやつて行く道は、開けて來るのではないかと思うのです。いわんや全額国庫負担というものを、どんどん拡充して行くという政策が実行されるならば、村の財源などというものはなくても、相当住民の利益になる事業を大幅にやつて行けるのではないかと思うのです。だから地方財政の確立ということは、税率を大幅に引上げることなんだという断定のもとに、こういう地方税が出ておるようでありますけれども、それではあまりにも本末転倒ではないかと考えられるのであります。最後にこの点たけあなたのお考えを聞いておきたいと思います。
  89. 奧野誠亮

    奧野政府委員 池田さんは十分御承知の上で、ことさらに聞いておられるのではないかと思うのであります、か市町村財政が確立すると申しておりますのは、国税ももとより住民からその税源を求めているわけであります。住民から国税もとり地方税徴收しているわけであります。かりに住民所得かかわらぬ場合に、地方税だけ増徴いたしました場合には、たいへん苛酷なことになりまして、税源を枯らしてしまろということにもなるだろうと思うのであります。しかしながら今回の税制改正は、国地方を通ずる税制改正でありまして、一面においては所得税を減税する、一面においては市町村民税を増徴する、こういう制度をとつておるのでありまして、国税地方税を合計して考えた場合には、むしろ若干の減税だ、こういう制度でありますので、自然地方財政を確立するのだということを申し上げておるのでありまして、もとより国民所得をふやすように考えて行かなければならぬことは、いうまでもないのでありますけれども、それは別の問題でありますので、税制の面だけから見ますれば、ただいま申し上げておりますように、国税の取り方を少くして地方税の取り分を多くする、そういう意味において地方財政は確立される。言いかえれば国税の税源を市町村へ移譲している、所得税税率を軽減するかわりに、所得税の附加税をつくるというようなかつこうに切りかえられつつあるの、たというふうに、御了解を願つておきたいと思います。
  90. 床次徳二

    ○床次委員 昨日來の御質問の中で、あるいは済んだかもしれませか、私中座しましたので、二、三質問さしていただきたいと思います。  第一は今度の税制の改正によりまして、從來多額の町村寄付なるものが、財源を得ましたために寄付をとらずに済むという御説明でありますが、過般公聴会等の際におきまして聞くところによりますと、実際今日寄付金をとつておりますのは、町村税としてとるべきものがとれないために、財源かないために、やむを得ず寄付金をもつてするという事業もあるのでありますが、どうしても町村税としてはとり得ないというようなものも少くないので、公述人の意見によりますれば、從來とりました寄付金は、依然として寄付金としてとらざるを得ないのだというような見解を述べておつたのでありますが、自治庁におきましては、今回の市町村民税でもつて、肩がわりし得るところの寄付金が、三百億円のうち、どれくらいになつておるとお考えになつておるか、別の言葉をもつて申しますならば、過去の三百億の寄付金の内容のうち、町村費をもつて支弁すべきものが、どのくらいを占めておるかということについて伺いたいと思います。
  91. 奧野誠亮

    奧野政府委員 寄付金の内容は、なかなか調査しにくいのでありまして、おもなもので申し上げますと、現に町村などで道路の修繕を要する、あるいは橋梁の修繕を要するというような場合には、土木費というようなものは、ほとんど計上していないのであります。ほとんど部落民に対しまして労役を押しつけたり、あるいはいろいろな資材の提供を求めたりしておるようなのが現状でございます。さらにまた消防の費用であつたり、あるいは警察の費用であつたりしたものでも、地方においてはもちろん、都会においても、われわれ現に相当の寄付金を求められて参つております。また教育につきましても、いろいろの事あるたびに寄付金を求めておるような状態であります。それでは税制を改正しても、この寄付金の問題は解消しないではないかという御疑問もありますが、私はこう考えておるのであります。標準税率による税收入をあげても、なおかつ財源が足りない。それをさらに税收入でまかないます場合には、増税をしなければならないわけであります。増税をするということは地方団体におきましては、理事者にとりましても耐えがたい苦痛の問題だろうと思うのであります。そういう場合には、勢い寄付金という便利な手段にたよつて行くという事例か、多くなつて参ると思うのであ方ます。しかしながら標準税率で大体まかなえるならば、標準税率を引下げまして、あと引下げた減收分だけを寄付金によつてまかなつて行くということは、原則としてないだろう、こう考えていただいていいだろうと思うのであります。この点が私は過去と今回の税制改正後の地方財政の推移において、非常な隔たりかあるだろうと予測いたしておるわけであります。
  92. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまの御意見は、標準税率の範囲内の財源であれば、町村民は重く感じないだろうという前提のもとに、お考えになつておるようでありますが、これは必ずしも標準税率の問題でなしに、現実の徴税が幾らであるかというところに、判断があるべきではないかということを考えまして、必ずしも当局考えられておるような、相当多額の寄付金が、町村税の方に移りかわつて行くということは、そう予想できないのではないか。これはかなり疑問の余地があるのではないかというふうに、私は考えるのであります。これはあるいは意見の差かもしれません。  次の問題について伺いたいと思いまするが、先ほど他の委員からも御質問があつたのでありますか、町村民税の所得割の査定につきまして、非常に過去において所得の算定が過大であつたという場合に対して、町村民税につきましては、これを是正する道が設けられておる。この場合に依然として残るのは、前年度所得税が高い査定のまま残つておるのではないかというふうに思われますが、同じ所得税の査定につきまして、町村とあるいは税務署と二つの見解が出て來ることは適当でないと思います。やはり町村でもつて後日になつて誤りを発見した場合には、その町村の査定の結果が税務署の方に参つて、前年度所得税の決定が苛酷として是正される道があるのかどうか、承りたい。
  93. 奧野誠亮

    奧野政府委員 所得税額を確定いたしますためには、ある一定の期間があるわけであります。異議を申し立てる期間というものは定められておるわけであります。從いましてこの期間を経過した後におきましては、今お話になりましたようなことは、穏当ではないと考えております。そういたしませんといつまでも問題が継続しているわけなのでありまして、納税義務者としてはもう期間が過ぎた、これから町村を動かしてまたその問題をむし返す、こういうことになりましては、非常に煩雑な手続を残すばかりでありまして、他の納税者が逆に迷惑をこうむるという場合が予想されますので、そういうことはこの法案の中では考えておりません。  それから先ほど私が寄付金の問題について申し上げましたのは、他の団体よりもより高い税率課税するというふうなことは、その市町村理事者にとりましても、議会にとりましても非常な苦痛でありますから、なかなかやりがたいことなんだ、こういう意味で申し上げたのであります。
  94. 床次徳二

    ○床次委員 町村民税の所得割は前年度所得が中心になつております関係上、事実上において所得税までは是正されないことになるのじやないかと思うのでありまするが、せつかく町村民税におきまして、特にこの税法全体を通じまして、町村町村の独立の立場においてそれぞれ課税標準を決定するという一つの新しい試みが採用せられました以上は、所得税というものに対しての正確を期する意味において、やはり町村で調査いたしました結果をもつて国税を是正するという考え方をお入れになつた方がいいのではないか。翌年になつてこういうむし返しをされたのでは、はなはだ事務上に迷惑だと思いまするが、国民の立場から申しますると、そういうふうな国及び町村と二重の建前によつて、だんだんと明確な税源をつかまえて行くということになると、政府は非常にはつきりとした正しい所得税課税が行われるのではないかというふうに予想されるのでありまして、せつかくこういう法律をつくられました以上は、やはり町村課税標準決定権というものを、十分に利用されたらどうかということを考えるのであります。せつかく町村と国との二本建にしなから、町村で苦心して調べました結果が、国税に反映しないということになりますると、ある意味においてやはり地方税国税に対する從属性というものか依然として残つておるような氣がするのでありまして、せつかく税務署できめたものを翌年の町村民税の所得割の異議を申し立て、そうしてそれをひつくり返して、これを邪魔するというような迷惑を、積極的にかけるものはそう多くないのではないか。これは何と申しましても正しい所得税をきめるということに対して、むしろ大いに役立つことであるというふうに考えます。でき得るならばやはり市町村民税の結果は、国税の方に反映するようなお考え方を持つていただきますと、非常に税法上よいと思いますが、今のところは国税国税として別個に規定を設け、町村民税は町村民税として別個の規定を持つておるところに、依然として地方税国税に対する從属性が残つておるのだと私は思うのであります。これを対等な形にまで持つて行くというお考えがないかどうかということを承りたい。
  95. 奧野誠亮

    奧野政府委員 これはいろいろな考え方があるだろうと思うのでありますけれども、個人の所得額税務署で決定する、市町村で決定する、まつたく独立して三本建で決定をするようなことは、個人に対しても迷惑でありますし、もつとよりよい方法があるのじやなかろうかということを考えておるわけであります。そこで市町村もまた税務署の決定がよくない場合には、独自の決定ができるということを規定いたしております。私はこれは決して税務署と独立して市町村が常に独立の評価をして行くのだ、二本建で進んで行くのだということを期待しておるわけではございませんで、税務署が、市町村から見たところの均衡のとれた意見というものに耳を傾けないで、まつたくかつてなやり方をする場合には、市町村は独自でやりますぞという制度を設けたのでありまして、税務署としては必然的に市町村意見に耳を傾ける。言いかえますれば市町村税務署協力いたしまして、均衡のとれたと考えられるような所得の決定をやつて行くようになるということを期待しておるわけであります。現在におきましても税務署は相当市町村意見を徴しております。しかしながらこういう制度にいたしますことによつて市町村考え方というものが、もつと力あるものになるのじやないか。それによつて市町村住民の負担の均衡について、責任のある決定がある程度とれて行くのじやないかということを考えておるわけであります。
  96. 床次徳二

    ○床次委員 御趣旨はよくわかるのでありますが、そこまでお考えになつておりますならば、やはり市町村で苦心して調べました結論を、税務署の方に反映せしむる必要があると思いますか、現在では積極的にこれを取上げる道がないじやないかと思うのであります。單に好意的に相互の官庁の結論を利用し合うという程度ではないかと思いますが、何かその点は積極的な規定でもあるのでしようか。
  97. 奧野誠亮

    奧野政府委員 われわれの考え方といたしまして、権限の問題よりも、やはり責任の主体というものは、あくまでも所得税の場合には国が負うのだという建前をはつきりしておいた方が、納税義務者との関係において、より適正が期せられるのじやないか。所得税税務署が決定したけれども、一半はやはり市町村で責任を負つておるのだという姿が穏当ではないか。しかしながらやはり市町村もその均衡ということには、十分努力しなければならない反面、少くとも市町村民税に関する限りは、税務署の決定が悪かつたのだという言いのがれができないのじやないか。やはり市町村市町村民税に関する限りは、市町村民の所得の決定についても、みずから責任を負う、こういう考え方を持つておるわけであります。
  98. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまの点は御意見は、応了とするのでありまするが、でき得るならば積極的にもつと協力せしむるようなことか、今の日本の徴税状態においては必要なのじやないか、かように私は考えるからあえて重ねて申し上げたわけなのでありまして、所得の決定ということは、なかなか公平にできにくいのでありまして、税務署が最善の注意をしておられますれば漏れが少いのでありますが、漏れを是正するのは、町村の方が是正しやすい立場にあるのであります。從いましてせつかく町村で苦心乏して是正したものは、でき得る限りこれは国税の方においても採用してもらうというような、積極的な協力の規定を設け、法律上の取扱いをあえて二本建に、二元的にするというのではなしに、是正されたならば、いい結果を取入れるというような法律上の建前にされたらどうか。この方が徴税の円滑を将來期せ得るのではないかという意味において、私は御質問申し上げたわけであります。  次にもう一つ伺いたいと思いまするのは、今度の市町村民税が大体從來の世帶本位から個人本位になつて参りましたので、徴税上にもずいぶん影響が多い思います。手續上もなかなか手数が多い。農村等におきましては、たいした差はないかもしれませんが、都市におきましては、個人本位になつたということは、よほど徴税上の困難を増すものではないかと思いまするが、当局といたしましては、この建前がかわりましたために、どの程度の利害関係があるということを予想しておられるか。またそれに対して対策をどういうふうに考えておられるか、承りたいと思います。
  99. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お話のように、納税義務者が四割程度ふえます関係上、地方団体徴税手数は多くなつて参るだろうと思つております。しかしながらこういう制度に切りかえますところの長所もあるわけなのでありまして、ある程度徴税手数が多くなりましても、やむを得ないのじやないか、こういう考えを持つておるわけであります。その把握の方法といたしましては、俸給生活者等については、税務署に提出すると同じ源泉徴收の書類を、町村役場にも提出してもらつて納税義務者の把握をなるたけ簡單にやれるようにしたい、こういう考えを持つております。
  100. 久保田鶴松

    ○久保田委員 大臣がお見えになつておりませんので、奥野政府委員ではどうかと思いますが、昨日他の委員から、この間の公聽会の折に、川崎の市長さんからいろいろ話されたことについて話があつたのであります。私はそのことにつきまして、依然として市長さんなんかの考え方は、税金をとる側の立場からいろいろ話をされたとういふうに考えております。ところが大阪、京都、あるいは横浜、名古屋、神戸各市の市会議長連盟、また尼ヶ崎、西宮、伊丹、葦屋各市の市会議員連盟、この人たちによりまして、今度の地方税の問題、特に市町村民税に対する均等割等に対するいろいろの賛が出されておるわけであります。私はこのことについて一応お伺いいたしたいのでありますが、この各市の議長あるいは市会議員各位の意見によりますと、市町村の財政が自主的に強化をされますことは、けつこうでありますけれども、最も大衆的に大きな課税となる。その意味において市町村民税が著しい高率となつておる。ですから納税者の負担が急激に増加するので、この税收の確保は非常に困難である。こう言われておるのであります。それと同時にその内容を調べてみますと、前年度所得標準とするこの課税の申告では、一般勤労大衆の人たちに対しての負担が大きくなつて來る。ですからこの税率が非常に激増するので、給與所得者の過半数がこれに入るというような話をされておるのであります。こういうことからいたしまして、今度の住民税の均等割について、私はお伺いするのでありますが、国税の方につきましては、ほんのわずかでありますが減税されております。ところが定額所得者に対する負担が非常に高額になつておる。これに対してこの徴税方法は困難だと思われないか。あるいは困難と思われるかということを、一応お伺いしたいのであります。
  101. 奧野誠亮

    奧野政府委員 均等割の額が重くなりますので、重くなつた限りにおいては、なかなか徴收につきましても、国民生活が困つておるときでありますだけに困難かと思います。困難だと思いますが、しかしながらだんだんといろいろな面から地方自治の確立をはかるような制度が講ぜられておりますので、地方税に関しますところの納税の観念といいますか、そういうものもだんだんと進展して行くのではないかと思いまして、当初においては困難でございましようけれども、将來におきましては、そういう点がよほど改善されて行くのじやなかろうかと、期待を持つておるわけであります。
  102. 久保田鶴松

    ○久保田委員 困難だと思うと言うことを行おうとされておるのでありますが、私はその点は納得が行かないのであります。たとえば小さい市町村におきましての税務行政の問題でございますが、この税務行政は市町村の吏員と、国の官吏と非常に異なつておるので、この税務行政の問題について特に考えなければならない点は、市町村徴税方法に対しての市町村の吏員の立場とことになつて参りますと、奥野さんが困難だと思いながらこれを進めようとされておるところに、困難だということだけではとどまらないような問題が起きて來はしないか、こう思うのです。その点についてどうお思いになりますか。
  103. 奧野誠亮

    奧野政府委員 私は困難だと申し上げましたが、困難だから徴收ができないということを申し上げたわけでは、ございません。困難でありますので、その困難を克服するような、いろいろな方法を講じて行かなければならないと思います。たとえて申し上げますれば、從來住民税の納付というものは、原則として二回であります。今回はその納期を四回にかえております。しかしながら市町村ではさらに徴收を確保いたしますために、あるいは嘱託員の制度等を活用いたしまして、月割で徴收して行くというような準備を整えておる団体もあるわけであります。さらにまた住民に対しましては、納得の行くような課税をしなければなりませんので、制度の上では、どういう根拠でその税を課し、またどういう基礎に基いてその税金が算定されて、あるいは不当である場合には、どういう措置をとればいいかということまで、徴税令書に書き込まなければならないということをいたしておりますので、税の局主化を達しながら反面課税の民主化、納税者協力をはかつて行きたいと思います。さらにまた重くなつた税についても、その税がどういう方面に使われているか、言いかえれば財政の現状というものを、十分に住民に納得していたたくような処置を講じて行かなければならないので、地方自治法の上においても、年三回はその財政状況を公表しなければならぬというふうに、義務づけておるわけでありますけれども、さらに進んで部落会等を行いながら、市町村市町村財政をどうやつて運営しておるか、どういうふうな仕事をやつておるかということを理解してもらう努力を、現に各方面で重ねておるような次第でございます。
  104. 久保田鶴松

    ○久保田委員 数回に割つてその困難な税のとり方をしようというような奥野さんのお答えでございます。また二十五年度は二十四年度所得に対して住民税をとろうという考えこれは私は非常に矛盾がある、かように考えます。三十四年度より二十五年度の方が中小企業におきましても非常な金融難であり、金まわりが悪い。勤労者にいたしましても、われわれはそういうおせわをいたしておりますが、二十四年度住民税というようなものは抑えないから、それを分割拂いにしてくれと言つている。その拂えない理由は、工場が閉鎖される、あるいは人員を整理される、あるいは賃金の遅配欠配が行われるというようなことで、食うて行くことすらできないほどの現状であります。だからそのきめられた拂わなければならない住民税すら拂えないということで、この問題につきましては、市長さんなり、あるいは町長さんなり、村長さんなりにいろいろお願いしまして、分割拂いの方法をおせわいたしておるような次第であります。ところが二十四年度より二十五年度の方がなお悪い。それを三十四年度の悪くてもまだましであつた所得の割合いによりまして、二十五年度をとられる徴税方法にむりがあるのではないか、私はこういうふうに考えておるわけであります。これを申しますと、奥野さんは繰返し繰返し同じことを申されるわけでございますが、私はこういう点から、もつとこうした問題を根本的に解決する方法考えなければならぬと思つておるのであります。これは今実現できないと申されるかもしれません。しかしこの問題の根本的解決は、今も私話しておつたのでございますが、中央におきまして、地方分権で、中央集権政治を打破しなければならないと叫んで來て、形の上においてはそうなつておりますけれども、実際はそうでなく、中央地方をいろいろ動かす権力を持つておる。これによつて今日の税法の問題等に対しましても、今いろいろ行われておるのでございますが、私はこれを根本的に解決するということについて、こう考えておる。平衡交付金法案はまだ出ておりませんが、この平衡交付金が問題になつて來る。地方において、平衡交付金をもらわなければならないたくさんな県あるいは市町村がございますけれども、これをなくさなければならない。またなくするのには、今の府県というものを州にかえなければならない。もつとこれを少く、今の府県を八つかせいぜい十ぐらいにいたしまして、それによつて国税の率をうんと下げる。そうして平衡交付金というようなものは、もう渡さなくても、地方地方権限において税をとらせるようにすればいい。今のような方法でございますなら 地方分権ということは言葉だけでありまして、やはり中央地方を操つておる。こういうことを奥野さんにお尋ねするのは間違つておるかもしれません。またこういうことに対してこうだという答弁もできないかとも思いますが、しかしこの無理な住民税をとることに対して、またその他の税金でもしかりでございますが、見ますると、どの税にいたしましても、罰則ばかりついている。この間殖田法務総裁にお尋ねいたしましたときに、これは法案の中に書いただけだという御答弁でありましたので、実行しないのかということも大臣が來られたときに、もう一度お尋ねしようと思つているのでございますが、今お尋ねしましたことに対しまして、奥野さんはどう考えておられるか伺つておきたいと思います。
  105. 奧野誠亮

    奧野政府委員 私からこういうことを申し上げるのは、あるいは筋が違つているかもしれません。しかし今お話になりましたように、現在の行政は、租税をとるというよりも、むしろ租税を軽減しなければならない、言いかえれば、経費を節減しなければならない。ここにできるだけ力を注いで行かなければならない。政府地方団体があれもするこれもすると、新しい仕事をふやすよりは、現在やつていることを整備して行かなければならないというふうに考えるのであります。また御指摘にもあつたようでありますけれども戰前と戰後の行政機構その他を比へますと、非常な矛盾を感ずるのでありまして、国力が細つてから機構の方が拡大して來たという面が、いたずらにたくさん見受けられるわけであります。そういう面で全国を十ぐらいに割つてつたらどうかというふうな御意見も、申されておるわけでおりますけれども、全国を十ぐらいに割りまして、そこで十ぐらいのブロツクの住民の代表で、その区域内において行う問題を議して行くなら、むしろ私は国会で十分やれるではないか。住民の意思を十分反映させるために十ぐらいのブロツクにわけるなら、もつと住民の身近な問題を身近に議論するために、やはり十よりも三十、四十にわかれたブロツクで議論した方がよかろう、こういうような考え方をいたしております。市町村民税の問題につきましては、これは全体といたしまして千九百億くらいの徴税收入をあげたい、そういうところで必要な地方財政をまかなつて行きたいというふうな考え方をしているために、前年の所得額をとりながら、なおかつ一八%の標準税率を採用しているわけでありまして、千九百億円を必要としたいなら、もとより所得税課税標準のとり方もかえてよいだろうと思うのであります。あるいはまた市町村民税の軽減をはかりまして、それだけのものを他の財源に求めるのも、一つ方法だろうと思うのであります。しかしながら、総体的に考えまして、市町村民税につきましては、前年の所得税額をとり一八%の標準税率を使うということにしているのでありまして、前年の所得をとりますか、当該年所得の方をとりますかということにつきましては、これはもとより両方の意見が立つと思うのであります。ただ税の切りかえの当初でありますので、前年の所得をとつてすつきりした形において徴税事務を遂行して行きたい。その反面、非常に困つている人たちの問題につきましては、これは当然市町村が適当にその事情をしんしやくいたしまして、あまり苛酷にわたらないような措置を講じて行かなけばならない、かように考えているわけであります。
  106. 久保田鶴松

    ○久保田委員 すつきりした形において二十四年度所得に対するきめ方をもつて市町村民税をとると言われるのでありますが、それについてなおお聞きしたいのであります。抑えないような場合でもよいわけですか。
  107. 奧野誠亮

    奧野政府委員 私は理想といたしましては、なるたけ税金を拂う時期と、所得の入つて來る時期が接近しているのが好ましいと思います。しかしながら、そういう制度に今すぐ切りかえようとするにつきましては、午前中門司さんの御質問に対しまして、お答えいたしきたようないろいろな欠陥もあるわけであります。手続上の困難さがあるわけでございます。そこで前年の所得課税標準にせざるを得ない、かように考えておるわけでありまして、從來も所得税はやはり前年の所得課税標準に使つておりましたし、また現在の事業税も前年の所得課税標準に使つておるわけでありまして、税制の方向といたしましては、だんだんこれが当該年度の所得ということになつております。しかも課税方法といたしましては、権力的な課税方法から自主的な納税方法にかわつてつておるわけであります。そこで前年の所得をとつた結果、むりの起きます面は、これは私は個々具体の実情に応じまして、市町村が適正な、むりにわたらないような減免制度を、考えて行かなければならない。またそういう措置をとらざるを得ないのじやないか。かようにお答え申し上げておるわけであります。
  108. 久保田鶴松

    ○久保田委員 私この地方税法案を審議いたすにあたりまして、いろいろ自治庁からいただいております資料を見まする場合において感ずるのでありますが、脱税するような法案を審議いたしておるような感じがするのです。と申しますのは、次に入られます固定資産の中におきましても、また後日お伺いしようと思つておりまする附加価値税の問題につきましても、ずいぶんそういうところがあるのでございますが、特に償却資産の面を見まする場合においても、国民所得の一兆三千億の中において九十億という数字が出ておりまするが、これらの点を考えて見まする場合は、これは一・七五にあらずして、〇・七〇の率で九十億くらいの税率は出て來るのじやないかというふうに私感じておるのです。こういうことをいろいろいただいた資料から見て参りますと、結局正直者がばかを見るようなことになつて参りますので、私は正直者がばかを見ない、まじめな人がやつぱりまじめでかけられるような法律にしたければならない。こういうことから私たちがこうして審議しております場合、あなた方がでたらめな資料を出されまして、それによつてこれをきめてしまいますことが、私は選挙区に帰つたときにはどういうことになるか。おれたちはお前たちらがきめたその法律によつて仕事をしている。また税金で困つておられる方々が税務署に参られました場合においても、これはお前たちが選挙した代議士がきめたんじやないか。文句を言うならその代議士に言つて來いといつて責任を転嫁される。こういう意味からあなた方がお出しになりましたその資料によつて、そうでございますかといつて、これを承諾するわけにはいかない。われわれは国民の代表である。国民の代表である以上、われわれが納得の行く法律にしなければならない。こういうような点から私いろいろ伺つておるわけであります。と同時に各位におかれてもそうだろうと私は思うのであります。こういう点でこの徴税の非常に困難なる市町村民税に対しましても、もつと私はこれを根本的にかえなければならない、かように思うのですが、以上いろいろ申上げましても、これ議論になりますから、大体一応私の尋ねる点は、この程度で終えておきたいと思います。それに対してお答えを願いたいと思います。
  109. 奧野誠亮

    奧野政府委員 地方税收入の見積りが過少だから、むしろ脱税法案を審議しておるような感じがするというような趣旨お話であつたように考えるわけであります。もとより地方税收入が現に政府予定しておりますよりも、もつとたくさん入つて來るというふうなことでありますれば、当然税率の軽減その他の制度の改正をやるべきだと思います。しかしながら現在はこの程度をもつて妥当だ、收入見込みは適正だというふうに考えておりますので、現在の税率その他をきめているわけでありますけれども、もとより将來において見込みが違つて來れば、改正しなければならないと思います。そこでその一例として償却費産に対する固定資産税の見込みなんかからすれば税率は半分でもいいじやないかというような御意見があつたようであります。從いまして私はその経緯をもう少し率直に申し上げておきたいと思うのであります。われわれは償却資産の課税の基本額を、一兆三千億と押えております。しかしながらこの一兆三千億というものは、実際の課税標準額じやないのであります。巻くその数字の出て來ました根拠は御説明申し上げておりますので、省略さしていただきますが、しかしながらわれわれが関係方面と地方税制全般にわたつて、あるいは固定資産税の倍率の問題、あるいは税率の問題、そういう場合に説明基礎といたしましたのは、償却資産の課税の基本額が一兆三千億だ。こういう数字をもつて説明して参つたのであります。そこでその一兆三千億の数字をそのままここに資料として提出いたしておるのであります。ところが二十五年度におきましても、これもたびたび申し上げておるような事情から、大体百億足らずの收入しか見込めない。しかしながら将來にわたつても、それでは百億足らずの收入しか得られなくても、この税制改正のねらいが達成されるのかといいますと、市町村民税で百億円くらい減收する関係上償却資産からは、どうしても税收入としては百七、八十億得なければ、千九百億の地方財源にはならないということを申し上げておるわけであります。そうしますと、大体償却資産に対する固定資産税課税標準といたしましては、一兆億円以上の評価ができなければならないということになるわけであります。大体この程度が、もし得られないということになりましたら、またその際に全体をにらみ合せまして、制度の改正を考えなければならぬ。こういう結論になつて参ります問題であるということを、御了解願つておきたいと思うのであります。
  110. 門司亮

    門司委員 先ほど言つておりますので、こまかい点を聞く必要は実はないかと思いますが、さつきの奥野君の答弁の中に、ちよつと私聞き違いかもわかりませんか、資産割を除いて、人頭割と所得割にしたということについて、先ほど池田君から質問のありました人頭割が、ことごとく平等であるということでは困るという意見に対する考え方が、納税をすることによつて地方の公共団体に対する関心を非常に深める。さらに納税をすることによつ地方公共団体に対する発言権が大きくなるというようなお話があつたように聞いておりますが、もしそういう考え方でこういう税金が、かけられておるということになつて参りますと、われわれは非常に迷惑をするのであります。もとより私どもは人頭割自身を否認しておるわけではないのでありまして、人頭割は一箇月に三万円の所得のある人も、五千円の所得のある人も同じように八百円だということについては、その所得の割合というものから換算いたしますと、非常に苛酷であるということ、いわゆる人間が生きて行きますには、どうしても所得がやはり標準にならなければならない。この生きて行く人間の所得標準を度外親して、これを平等にするということは、私は一つの悪平等だと考える。市町村の中で、同じように道路を使い、あるいは市の施設を使い、衛生施設その他に対しても恩典を受けることは同じであるから、同じでいいという講論は、私は現在の日本においては成立たない。そういう言葉を使つてもらつては、非常に迷惑をするということを考えるのであります。從つてわれわれは人頭割をどうしても均等にしなければならなかつた理由を、きのう私かなり聞きましたので、この点を繰返して聞く必要もないかと思いますが、この奥野君の意見が、そういうものの考え方において、こういう制度が設けられたとすると、これは本税を徴收いたしまする根本の精神に大きな誤りがあつた從つてもう一度この機会会に、人頭割にそういう差別をつけなかつた、一律一体にこれをしたということについての御説明を、もう一度お伺いしたい。
  111. 奧野誠亮

    奧野政府委員 均等制の制度を設けております根本の思想は、從來からしばしば言われておりますように、負担分任の精神を税制の上に顕現するというふうなことに重要なねらいがあると、われわれは考えておるわけであります。いろいろと共同の目的をもつて、ある団体をつくつておる。しかしなからその団体の必要な経費は、みんな補助金でまかなわれておるということでありますと、どうも団体員がその団体場の活動に対して真剣味を持たない。やはり団体員である以上は、幾らかでも負担を分任し合う。負担を分任し合うことによつて、その団体がみんなから会費をとりながら、一体これをどう使つておるのか、どんな活動をしておるのかもつとこういうふうにいろいろの施設をして行くべきではないか、こういう議論も沸き起つて來ると考えるのでありまして、やはり市町村のような団体であつても、住民が集まりまして、住民全体の福祉を向上するために、相互に協力関係に立つて行かなければならないと思います。やはり住民である以上は、幾らかでも負担してもらう。そこに自治の発展をねらつて行きたいという考え方を持つておるのであります。しかしなからあらゆる経費を、こういう方式で均等に負担してもらうということか、穏当でないことは言うまでもないことであります。そういう意味において、苛酷にわたらない限りにおいて、ある程度均等に負担してもらう。それが均等割の精神であると思います。さらにそれ以上のものは応能的に負担すべきであるから、市町村民税においては、所得割の課税方式を採用しておる、かように考えております。
  112. 中島守利

    ○中島委員長 ちよつと申し上げます。門司君のような理論的、二元的なことは、いずれ本多国務大臣に出席を願つて質疑を願つた方がよろしいと思います。奥野政府委員ではかえつて満足しないのじやないかと思われます。ですから市町村民税に対するそういう問題を留保しまして、次に移つた方かいいのじやないか。いくら質疑応答しても、なかなか要点が出ないのじやないかと思いますが……
  113. 門司亮

    門司委員 それでは大臣を出してもらいたい。こういう、委員会の形は委員会自身を侮辱しておる。大臣が來ないからと言つて一々質疑を留保しておつたら、いつまでたつて委員会は終らない。
  114. 中島守利

    ○中島委員長 今は事務的な問題にしまして、大臣の出席を求めて、そのときに市町村民税固定資産税もしくは附加価値税について、大臣に御質疑を願つた方が、私はよく理解かできるのではないかと思うのであります。     〔「大臣はどうした」と呼び、その他発言する者あり〕
  115. 中島守利

    ○中島委員長 大臣は本会議に出ておりまして、政務次官は参議院の方に出ておりますから、次に移りたいと思います。
  116. 立花敏男

    立花委員 それでは奥野さんに事務的な質問をやりますから……市町村民税課税標準の決定の問題でございますが、最近地方へ参りますと、地方税などで非常に不当な更正決定が参りまして弱つております。そうして地方自治体に交渉に参りますと、それは税務署がきめたのだから、税務署の決定の変更がない限りは、自治体ではどうにもならないという返事で、持つて行くところがなくて困るわけであります。この問題はやはり一元的に、はつきり統一しておかなければいかぬのではないか。課税標準の決定権がだれにあるのか、自治体にあるのか、あるいは税務署にあるのか、この問題はやはりはつきりしておかなければいけないと思うのでありますか、この法案によりますと、あまりはつきりしていないようですが、これはやはり課税標準は、地方自治体が責任をもつてきめるのだということを、法案に明確にする必要があるのではないか。あるいは私見落しまして、どこかにあるのかもしれませんが、あるならばそれを御指摘願いたい。なければそれをお入れになる御意見があるかどうか。入れた方がいいと思いますが、その点に対する御見解を伺いたい。
  117. 奧野誠亮

    奧野政府委員 市町村民税所得割の課税標準には、三つあるわけでございますけれども、その所得税額をとります場合には、あくまでも税務署の決定した所得税額であります。しかしながら税務署の決定がよくありません場合には、市町村が独自の評価をすることもできる。しかしながらその場合でももとより所得税法の規定に従つて、評価をしなければならない、かようになつております。
  118. 立花敏男

    立花委員 そうなつておるのです。だからそれが少しあいまいじやないか。あくまでも市町村民税課税標準の決定というものは、一応税務署所得税法によつてつておるのだが、それを市町村独自の課税標準とする場合は、市町村が責任を持つてそれを決定するのだという建前を、はつきりしておきませんと、一体課税標準はだれがきめるかという問題があるわけです。その点を伺いたいと思います。
  119. 奧野誠亮

    奧野政府委員 市町村が独自の責任を負うべきであるという意味で、間違つた場合にはそれをとる必要はなく、むしろみずから決定することができるという規定を置いておるわけであります。市町村に責任があるという意味で、そういう規定が特に置いてあるというふうに解釈さるべきだと思います。
  120. 立花敏男

    立花委員 それで大体わかつたのです。それならば、この点をはつきりしておきませんと——さいぜん事業税の例をとつて申し上げたのですが、現在でも地方自治体ではそういうふうに逃げておるのです。これはおれの方できめたのではない、税務署がきめたのだから、税務署がかえない限りはかえられないと、明らかに不当とわかつてつても、つつぱるわけです。ところが税務署に行くと、事業税は旧税でないから知らぬと言う。そういうふうになつて非常に困りますので、自治体の課税標準としての決定については、やはり自治体に麦作があるのだということを、明確にされる必要があるのではないか。あなたの言われました、そういうことを独自にできるという條項があるから、それはそういうことを含んでおるのだという御解釈でありましたら、やはり一応はつきりしておく必要があるのではないかと思います。
  121. 奧野誠亮

    奧野政府委員 立花さんのお考えを押し進めて行きますと、所得税額とかあるいは所得の決定というものを——先ほど床次さんからもお話があつたわけでありますが、税務署税務署として決定する、市町村市町村として決定する、これがいいのではないか、こういうことになつてしまうのではないかと思います。そうしますと同じ人の所得を二途に決定されるということは、納税者にとりましては非常に煩瑣なことではないかと思います。それよりもむしろ内面的に十分協力し合いながら、均衡のとれた所得をどちらか一つで決定しで行く、こういう姿が好ましいと思うのでありまして、所得税法によつて適正に評価するわけでありますから、だれが決定しても同じだということになるわけであります。実際にはいろいろな見方の相違によりまして、そう簡單にはいかぬと思います。しかしながら建前といたしましては、形式的にはだれか一人が決定する。しかもその決定についてはだれか一人が全責任を負う、こういう姿がいいと思うのであります。しかしながら内面的には深い協力関係に立つて行く、そういうふうな制度をとつてつても、なおかつよりがたい場合には、市町村独自の評価もできる。言いかえれば市町村みずからが責任を負わなければならない。それを、国が決定したのだから、それによらなければならないという考え方はいけないという立花さんのお話は、よくわかるのですが、私はそういうふうな規定にいたしますと、かえつて納税義務者が煩わしくなつて來るのではないかという心配をいたすわけであります。必ずしも市町村見方は少いばかりではありませんで、高い場合もあるだろうと思います。税務署からは高く言われたり低く言われたり、あるいは市町村からは高く言われたり低く言われたり、これがまちまちになつたのでは、非常な困難を感ずるだろうと思うのであります。
  122. 立花敏男

    立花委員 その問題はあなたが私の言つていることを敷衍されて、こうなるんじやないか、税務署所得税法によつて決定するし、市町村所得税法によつて決定するのじやないかと言われたのですが、私はそこまでは言つていないので、それは税務署が決定されるのを押えられるのもよろしいが、それけやはり自治体の責任においておやりになることが、はつきりしていなければいけないのではないか。税務署がきめたから自治体でもそれをとるのだ、自治体はそれに從うのだという現在形になつておる。それではいけない。税法によつて税務署できめたのたから、それを便宜上自治体の責任において深川するのである。それはあくまでも便宜的なものであつて、それを決定する権利と責任は自治体にあるということを、一応はつきりし、おかなければいかぬと思う。
  123. 奧野誠亮

    奧野政府委員 そういう方法一つ方法だと思います。しかしながらなおかつそういうことを規定しておりませんのは、われわれの考え方としては、所得税額決定そのものについても、市町村長は自主的な責任を感ずべきである。私は、そういう考え方を持つておるのでありまして、單に市町村民税課税標準としての決定についのみならず、むしろ根本住民所得税負担の均衡化について、責任が持たれなければならない、こういう考え方を持つておりますので、あえて單に市町村民税課税標準の決定だけ、市町村長が責任があるのだ、こういう書き方はしたくないという考え方に立つて立案いたしたのであります。
  124. 立花敏男

    立花委員 私は何も市町村民税課税標準の責任を、はつきりしろというのではありませんが、ほかのものは大分はつきりしておりますのに、市町村民税だけが市町以外の税務署のきめたものをすぐ課税標準にする。從つて課税標準の決定権は税務署にあるのだというような誤解を招きますから、やはり自分の村の課税標準は、自分の村で決定するのだという責任をはつきりしておく必要があるということである。これは決してそれだけを取上げてりくつを言つておるのではございませんので、その次に出て参ります異議の申請とか、そういう問題と非常に関連して來ると思う。異議の申請が出ました場合に役場はこれに対して理由を付して、申請人を保護しなければいけないことになつておるのですが、その点をはつきりしておりませんとその理由が税務署の決定がこうなつておからという理由だけで終るおそれがある。この問題を私おそれますから、そういう基本的な問題は明らかにしておく必要がある。
  125. 奧野誠亮

    奧野政府委員 立花さんのお話を誤解しておつたかもしれませんが、形式的な所得税額の決定の責任は、あくまでも税務署長にございます。しかし実質的には市町村長にも責任があるのだ。言いかえれば、間違つている所得税額をむりに用いないでも、独自に評価することができる、こういうことになつているわけです。しかし異議の申立ての問題になつて参りますと、所得税額をとつております以上、その所得税額が確定いたしておりますならば、所得割はそれは正当であるわけであります。もしその所得税額が違法だからということで争いを起すなら、所得税所得税として異議の申立てをすべきある、かように考えております。またそういうふうな区わけをする方がよろしいという考え方を持つわけでありまして、先ほど申し上げた通りであります。
  126. 立花敏男

    立花委員 どうもおかしいと思うのですが、市町村長も責任があるとおつしやる。市町村長だけが責任があるのじやないかと思う。税務署長には何もその村の課税標準についての責任はないわけで、税務署がきめておるのを、やはりその村の責任において、自分の村の課税標準にするのでありまして、村長さんも責任があるのじやなしに、村長さんだけが責任があるというふうにしておかないといけないのではないか。たとえば税務署の更正決定が出ておりましても、その市町村民にとり吏してはそれだけでは正しくないので、村長さんのおきめになつたのが正しければ、それを証拠立てる役に立ちますのは、税務署の決定になつたものかもしれませんが、しかしあくまでもその村の決定そのものが正しくなければいけないと思う。その点を明確にしておきませんと、せつかく異議申請をいたしましても、村では独品の事実調査もやらずに、ただ税務署の決定がこの通りであるからという單なる文書の上の調査で却下されるおそれがある。これでは納税者としては一体主体がどこにあるのか、何のための自治体か、自分たちの自主権を持つておる自治権がどこにあるのか、税務署にかつてにきめられてしまうというおそれがありますので、この点を言つておるわけであります。
  127. 奧野誠亮

    奧野政府委員 もうおわかりのことだと思うのでありますけれども、市町村民税所得割の課税標準につきましては、これは所得税額を採用します以上、市町村においては法律的には瑕疵はないわけであります。しかしながら道義的には、間違つた所得税額をそのまま採用していることは、これは不穏当だ、かように考えているわけです。從いまして異議の申立てを中心にお託になりますならば、法律的な決定の責任あるいは違法性というようなものは、これは所得税額をきめる場合の税務署における問題だというふうに考えております。しかしながらもとより道義的には責任があるわけでありまして、道義的の責任はこれは争いにはたらぬ問題だろうと思います。いろいろと議会において論議されなければならない、あるいは行政のあり方について議論されなければならない問題だと黒いますが、有効無効の問題にはならない、かように考えておるわけであります。それをさらに法律的な責任にまで高めることは穏当でないという考え方をいたしております。
  128. 立花敏男

    立花委員 この條文を見ますと、さいぜん言いましたように、異議申請に対して意見を付して返さなければいけないとあるたけで、事実の調査をしなければいけないという規定がないわけですが、これかどこにあるか。自治体の責任において事実調査をして、自己の責任においてはつきりするという規定かどこにあるか。なければお入れになる意思はないかどうか。
  129. 奧野誠亮

    奧野政府委員 どうもそういうことは置いた方がよいと思うのでありますけれども、非常にそういう問題はたくさんあるのではないかと思います。課税標準の決定につきましても、もとより事実を調査しなければなりませんし、あらゆる決定の問題について、みなそうだろうと思うのであります、当然のこととして考えられるのではないだろうかというふうに考えてしおります。あまり冗慢になりましても、かえつて見にくくなるのではないかと思います。
  130. 立花敏男

    立花委員 私は法文の体裁の上から言つておるのでは、ございませんので、事実としてさいぜんから申し上げておりますように、自治体がみずから課税権を放棄して、税務署に一方的に追随しておるという形が、はつきり現われておるのでありまして、それで納税者が非常に被害をこうむつておるという事実がありますので、せつかく新しくおつくりになるなら、やはりそういう責任の所在をはつきりしておく。これは地方自治あるいは自主権とも非常に密接な関係があろだろうと思います。大体地方自治というようなことをいつても、天くだり的な税を押しつけるというようなことをやつてつては、いつまでたつて自治はできない。税金というものは自分たちの自治体できめるのだどいう実際のことがはつきりしないと、自治というものは生れて來ないと思う。だから自分たちの村で、自分の税金はきめるのだという点をはつきりしておく。そのためには、もしそれに異議があつた場合には、自分たちの村が責任を持つて調査してくれるということを、はつきりしておく必要があると思う。
  131. 奧野誠亮

    奧野政府委員 どうも規定の書をが、これで十分であるか十分でないかという見解の相違みたいな押し問答になるかもしれませんが、その定め方が穏当でない場合には、独自に評価することができるのだ。これでわれわれは町村の実質的な道義的な責任というよのが、十分明瞭にされておるといういうに考えているわけであります。もとより現在の地方自治の現状におきましては、納税者側の理解といいますか、そういう点も、あるいはまた理事者側の理解を得るための努力というものも、十分ではないように思うのであります。課税の上においても適当でない面が相当多いと思います。しかしそういう問題は、市町村が責任をみずから負つて行くことによつて、だんだんと在民との間に論議がかわされながら、進歩して行くのではなかろうか。今までのように課税標準が、ほとんど附加税一本でやつてつた、あるいは形式的に独立税でありましても、実質的にほとんど附加税であつたという場合におきましては、あまり議論しても無意味であるかもしれませんが、自主的か税制に切りかえられて参りますので、それに伴いまして十分論議も巻き起るであろうと思うのであります。そういう論議あるいは争いを繰り返しながら、自治が発展して行くのではないかという期待を持つているわけであります。
  132. 中島守利

    ○中島委員長 政府委員に言申し上げておきますが、委員の質疑意見である場合には、その意見とあなたの方で争つてつたのでは、いつまでたつてもきりがありません。その意見意見として聞いておく程度にして、それを一々反駁したり、言いわけをしておつては、いつまでたつても問題は解決がつきませんから、その点御注意申し上げておきます。次に固定資産税に移ります。第三百四十一條より四百四十一條まで、以上を質疑対象といたします。それではまず政府説明を先にしてください。
  133. 奧野誠亮

    奧野政府委員 三百四十一條は固定資産税に関する用語の意義であります。ここで四号で償却資産の説明をいたしております。「土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産でその減償却額又は減価償却費が法人税法又は所得税法の規定による所得の計算上損金又は必要な経費に算入されるものをいう。」これがたいへん重要な規定になるわけでありますが、かりに所得税法や法人税法の対象になりません事業用の資産でありましても、括弧のうちで、(これに類する資産で法人税又は所得税を課されない者が所有するものを含む。)ということにいたしております。但し、「自動車税、自転車税及び荷車税の課税客体である自動車、自転車及び荷車はこの中に入らないということであります。また五号で、価格という言葉を使つているのは、適正な時価を言うのだという説明をいたしております。それから六号で、固定資産課税台帳と言いますのは、土地課税台帳、土地補充課税台帳、家屋課税台帳、家屋補充課税台帳及び償却資産課税台帳の五つを総称した名称でございます。  次の七号の土地課税台帳は、土地台帳法第三十七條の四の規定によつて市町村が備える土地台帳の副本を言うのでありまして、ただ土地台帳の副本と違つておりますのは、さらにこれに土地の価格を登録しておく、こういう点にあるわけでございまして、現在の帳として切りかえて行きたいという考え方でございます。  八号の土地補充課税台帳は、土地台帳に登録されていない。たとえば国有の土地でありますと、土地台帳には登録されていないわけであります。しかしながら固定資産税課税対象になる土地もあるわけでございますから、そういう部分につきましては、この台帳に登録するのでありまして、それを十地補充課税台帳というふうに呼びたいということであります。九号、十号の家屋課税台帳、家屋補充課税台帳の関係も、同じであります。十一号の償却資産課税台帳、これは大体償却資産の所有者が、市町村に申告をいたして参ります。その申告して参りましたものを、もとよりこれはあやまちを正すわけでありますけれども、それをそのまま課税台帳に使つて行きたい。從つて毎年々々その課税台帳はかはつて來るというふうなことになるだろうと思うのであります。それの方が市町村納税義務者両者に簡便であろうという考え方をいたしております。家屋課税台帳、土地課税台帳は一ぺんつくりますと、原則としてずつとそれかそのまま使つて行けるというふうに考えているのであります。  三百四十二條は、「固定資産税は、固定資産に対し、当該固定資産所在の市町村において課する。」二号は「固定資産税課税標準は、当該年度の初日の属する年の一月一日現在における固定資産の価格で固定資産課税台帳に登録されたものとする。」賦課期日は一月一日にしているのでありまして、一月一日に現に存しました固定資産に対して、しかもまた一月一日における物価ベースで評価をして行くという趣旨をうたつているわけであります。三号は、償却資産のうち船舶、車両その他これらに類する物件については、特定の場合を除いて、主たる定けい場または定置場所在の市町村をもつて納税義務がある市町村だというふうにみなして行きたいという意味の規定であります。  三百四十三條は、納税義務者がだれかということを規定しているわけでありますが、原則としては所有者であります。その所有者というのに、どういうものかということを二号、三号に規定しているわけでありますが、從來の地租や家屋税の場合と考え方は同じであります。四号は、新しく償却資産が課税対象になりましたが、その償却資産については、震災等の関係から所有者が不明である場合もあり得ますので、特に使用者をそのまま所有者とみなすというふうな規定を置いているわけであります。五号は、現に地租について設けられております制度と同じじことであります。  三百四十四條、これは使用者に課する固定資産税の規定でありますが、これも現在の地租や家屋税について行われておりますところの使用者課税方法と、原則として同じことを規定しているわけであります。  三百四十五條は、これら使用者課税に関する固定資産に関しまして、所有者から使用者等を届け出なければならないという義務を課した規定であります。  三百四十六條は、その期限の特例であります。三百四十七條は、義務違反の過料の規定であります。三百四十八條は、固定資産税の非課税の範囲であります。原則として、現在の地租や家屋税について設けられておりますところの非課税の範囲と合致しております。若干細かい点で違つておりますが原則として合致しております  三百四十九條へ行きまして、固定資産税税率は百分の一・七五であるわけでありますか、しかし二十六年、七年、八年の二箇年間だけは百分の二という制限税率を設けるわけであります。それ以後は制限税率の規定はなくなるわけでありますから、上なり下なり、どこまででも自由に市町村自身が決定できることになるのであります。しかし三百五十條で、昭和二十五年度だけは一定の税率を用いなければならない。言かえれば、同じ條件のもとに固定資産税を課することによつて、固定資産相互間の評価の不均衡を大写しにして、昭和二十六年度以降均衡のとれた価格の決定が可能になるようにして行事たいという考え方を示しているものでございます。  三百五十一條は、固定資産税の免税点であります。土地、家屋、償却資産全部合せて三万円以下であれば、固定資産税を課することができないということにしております。現在の地利や家屋税の免税点は賃貸価格の五円であります。価格を九百倍といたしますから、四十五百円というふうにお考えいただいてもいいわけであります。それを三つ合せて三万円と規定したわけであります。三百五十二條は、申告等の場合の免税点の特例であります。三百五十三條以下は、他の税目に関する規定とまつたく同じ関係の規定でありますので、省略さしていただきます。  三百三十ページの第二款、賦課及び徴收の方に移りたいと思います。三百五十九條は、固定資産税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の一月一日でありますから、昭和二十六年度分の固定資産税でありますと、昭和二十六年一月一日現在、昭和二十五年度の税でありますと、昭和二十五年一月一日現在ということになるわけであります。言いかえれば、前年度に属する年を用いているわけなのでありますけれども、その事由は、毎年固定資産について評価をしなければならぬわけでありますが、評価に相当の期間を要するわけでございます。しかも固定資産税收入は、年度当初から相当入るようにして行きませんと、町村の会計、現金の上で困りますから、四月からとれるようにしたい。当然評価手続というものは、四月一日までには、すべて完了しておるようにしておかなければなりませんので、あえて前年度に属しますところの一月一日を賦課期日に採用したわけでございます。  それから第三百六十一條は、固定資産税につきましては、原則として賦課期日の当日に存在いたしました固定資産に対しましては、その後において課税客体が消失いたしましたり、あるいは新しくできて参りましても、税額には変更を加えないわけであります。しかしながら使用者課税に属します部分につきましては、やはり使用の期間に課税いたしませんと、酷な負担をしいることになりますので、使用者課税に属します部分につきましては、もとより課税客体は一月一日に現存する課税客体でなければなりませんが、それぞれ使用者の使用期間に応じて年額を分担するという制度にするために、この規定を設けておるのであります。  第三百六十二條は、納期を四回にわけておりますが、市町村の準備によつて、この納期は変更してさしつかえないわけであります。從いまして商工業者の盛んな市町村と農業の中心であります市町村は、それぞれ状況に応じまして、これには差異をつけてさしつかえないものと考えておるわけであります。  固定資産税徴收方法を三百六十四條に規定しておるわけでありますが、これは從來と同じような方法を用いようとするものであります。第三百大十五條の固定資産税に係る納期前の納付、こういう人に対しましては報奨金を交付することかできるわけであります。これは市町村民税の際に申し上げたと同じ制度でございます。地方税全体を通じまして、この報奨金の制度固定資産税市町村民税と二つにたけ設けておるわけであります。五百三十四ページに行きまして、納期限の延長や減免制度その他、ずつと他の税目に関します規定とまつたく同一の規定でございます。  さらに三百三十九ページの第三款の督促及び滞納処分も、他の税目と同じ性質の規定でありますので、省略させていただきまして三百四十七ページ、第四款、固定資産課税台帳に移りたいと思います。第三百八十條「市町村は、固定資産の状況及び固定資産税課税標準である固定費産の価格を明らかにするため、固定資産課税台帳を備えなければならない。」「市町村は、前項の固定資産課税台帳の外、当該市町村の條例の定めるところによつて、地籍図、土地使用図、土壌分類図、家屋見取図、固定資産売買記録簿その他固定資産の評価に関して必要な資料を備えて逐次これを整えなければならない。」現在こういうものはほとんどありませんが、すぐにこれらを設けることは困難でありますけれども、漸次こういうものを整備いたして参りまして、固定資産の評価というものが、できる限り科学的に行われるように、準備を整えて行きたいという考えを持つておるわけであります。  第三百八十一條は固定資産課税台帳の登録事項でありますが、先ほど申し上げましたように、土地課税台帳は土地台帳の副本を用いるわけでございますから、これに価格を登録するだけのことでございます。以下も引継いてそれに準じて考えられるわけでございますが、土地補充課税台帳や、家屋補充課税台帳は、土地台帳の副本、家屋台帳の副本に準じて同じような種類のものを、登録すればよろしいという考え方を持つておるわけであります。第五項は償却資産課税台帳に登録すべき事項を記載しておるわけでございますが、「償却資産の所有者の住所及び氏名又は名称並びにその所在、種類、数量、取得年月日、耐用年数及び価格を登録しなければならない。」というふうにいたしておるわけでございます。また土地台帳や家屋台帳は、将來登記所が所管することになるわけでございます。從いまして登録事項に異動がありました場合は、登記所から市町村が通知を受けるわけでございます。また納税義務者あるいは固定資産の所有者が登記所に登録の異動の申告をいたします場合にも、登記所に直接いたしませんで、市町村を通じてなすこともできるわけであります。しかしなから登録事項が改まつておりませんと、市町村は黙つて見ておらなければならないということも困ることでありますので、その場合には登記所に対しまして登録事項の修正を求めることができる。その修正の事由が正当である場合には、登記所はその修正の措置をしなければならないということにいたしておるわけであります。登記所の所管いたしております土地台帳や家屋台帳、それを原則としてそのまま採用して参ります市町村におきまして、その間違いを修正することのできるようにしておかなければなりませんので、両者の協力関係を第六項でうたつておるわけであります。從いまして登記所から通知がありました場合には、土地課税台帳または家屋課税台帳に記載いたしまして、前の記載事項を訂正しなければならないというふうにいたしておるわけでございます。  第三百八十三條は固定資産の申告義務を課しておるわけでありますが、土地や家屋につきましては、土地台帳法、家屋台帳法によりまして異動がありました場合には、登記所へ申告しなければならないというようにしておりますが、納税義務者に対しまして、三種の申告を義務づけることは酷でありますので、原則といたしまして土地や家屋につきましては、異動がありましても、市町村への固定資産課税上の申告義務は課さないことにいたしておるわけであります。ただ償却資産につきましては、登記所にはそういうものに関する台帳はございませんので、こういうものは市町村固定資産税課税上必要な事項を申告してもらいたい。その規定がこの條文でございます。「固定資産税納税義務がある償却資産の所有者は、地方財政委員会規則の定めるところによつて、毎年一月一日現在における当該償却資産について、その所在、種類、数量、取得年月日、耐用年数、見積価格その他償却資産課税台帳の登録及び当該償却資産の価格の決定に必要な事項を一月十日までに当該償却資産の所在地の市町村長に申告しなければならない。」かようにいたしておるわけであります。一月一日が賦課期日でありますので、その時期を過ぎまして、なるたけ早く申告してもらうという意味でこの一月十日というものを期限に定めておるわけであります。その際に二項で所得税や法人税の計算におきまして、損金または必要な経費として認められますところの減価償却額または減価償却費の計算の基礎となりましたところの償却資産の価額を申告してもらう。それによりまして所得税法や法人税法で認定しております価額と固定資産税課税上採用いたしますところの価額との間に関連を持たせまして、できるだけ適正な評価の参考資料にして行きたい、こういう考えを持つておるわけであります。  次は三百八十四條の規定でありまして、資産再評価法の規定によりまして再評価を行いますものは、法人につきましては再評価を行いませんでも、申告の義務が課せられておるわけであります。從いまして税務署へこれらの申告をいたします場合には、二通提出しなければならない。資産再評価法の規定によりまして二通提出させまして、その一通は写しであることに間違いないということを確認いたしまして、その一通を市町村長の方に送るというふうなことにいたしております。言いかえれば、償却資産の課税客体あるいはまたその評価額というものを、税務署協力してもらいまして、市町村が全体を漏らすことなく的確に把握できるようにしたい、こういう考え方のもとにこの規定を設けておるわけでございます。資産再評価法にその関係の規定が入つておるわけでありまして、税務署長が特に確認の手続きをとりまして、市町村長の方へ一通を送つてくれるということにいたしておるわけであります。自然それを見ますと、償却資産の数量でありますとか、あるいは取得いたしましたときの価格でありますとか、あるいは資産再評価法の限度一ぱいの評価をした場合は幾らになるかということもみなわかることになりますので、固定資産の評価をいたします市町村にとりましては、非常に便利なことになるだろうと考えております。それから三百八十五條以下は罰則の規定でございます。ほかの関係と同じことでございます。三百五十六ページに行きまして、三百八十七條の上地名寄帳及び家庭名寄帳も昔の制度と同じでございます。  次に第五款の固定資産の評価及び価格の決定でございますが、三百八十八條は固定資産税に係る地方財政委員会の任務をうたつておるのでありまして、「地方財政委員会は、地籍図、土地使用図、土壌分類図、家屋見取図、固定資産売買記録簿その他固定資産の評価に関する資料及び固定資産税の統計を作成するための標準様式を定めて、これを市町村長に示さなければならない。」ということにいたしておるわけでございます。さしあたり本年度は土地や家屋は從來の賃貸価格を使いますので、今ただちにこれらを必要とするわけでございませんか、秋ごろまでにはこれらの準備を完了しなければならないというふうに考えておるわけであります。さらに二項で、地方財政委員会は評価に関しまして技術的な援助を與える具体的な問題を規定しておるわけであります。しかしながらこれらの権限というものは、市町村長の独自の評価の責任をさまたげておるものではありませんので、その趣旨の規定を別のところにうたつております。それから原則といたしまして固定資産の評価は、市町村長か行うわけでありますけれども、特定のものだけは地方財政委員会が、みずから評価するわけでございます。その特定のものと申しますのは、三百八十九條と三百九十一條の二つの條文に規定されたものでございます。三百八十九條の大部分は三百五十八ページに書いてあるわけでございますが、一は「地方財政委員会で定める船舶、車両その他の移動性償却資産又は可動性償却資産で二以上の市町村にわたつて使用されるもののうち地方財政委員会が指定するもの」でございます。こううものはどこに課税権があるか必ずしも明確でないわけでございますので適正な全体的な見地から、それぞれの関係市町村に価格を地方財政委員会から配分するというような制度にいたしておるわけでございます。三号は「鉄道若しくは軌道又は発電、送電若しくは配電用施設その他二以上の市町村にわたつて所在する固定資産で、その全体を一の固定資産として評価しなければ適正な評価ができないと認められるもののうち地方財政委員会が指定するもの」、これも地方財政委員会か評価をいたしまして、価格を関係市町村に配分するわけであります。発送電の施設なんかを考えました場合に、電柱と電柱との間にぶらさがつておる電線だけを切り離して評価することは困難だろうと考えられるのでありまして、やはり固定資産を全体として評価せざるを得ないだろうというふうに考えられますので、市町村々々々に個別に評価を委ねることは穏当でないというふうな考え方をいたしておるわけであります。  さらにまた三百九十一條の場合でありますが、第一項の「大規模の工場を有する事業が市町村の区域内にあるために近隣の他の市町村の公共費の支出に直接且つ重要な影響を與える場合又は大規模の発電施設その他の公共的事業施設がその所在する市町村を含む近隣の地域の経済と直接且つ重要な開通を有する場合においては、地方財政委員会は、地方財政委員会規則の定めるところによつて、これらの固定資産のうちその指定するものを評価してその価格を決定し、これを、当該固定資産の所在する市町村の如何にかかわらず、当該事業によつて影響を受け、又は当該施設と関連を有する市町村に配分することかできる。」という規定を設けておるわけでありますが、あまり財政需要のない小さい団体に非常に大きな工場がある。しかもその工場の從業員は近隣の市町村から通つておる、その從業員のいる限りにおいては、近隣の市町村もまた相当の財政需要があるという場合でありまして、その工場に対しますところの固定資産税收入をその所在の市町村に独占させますと、財政需要をオーバーするような收入があるというような場合も考えられますので、これらの財政需要をオーバーすると思われるような部分だけを、近隣の関係市町村に配分したいという趣旨でございます。あとの規定はそれらに関する手続規定でありますので、説明を遠慮させていただきます。こういうふうな形において決定いたした価格につきましては、三百九十三條で、それを「遅滞なく、その価格を当固該定資産の所有者に通知しなければならない。」いう義務地方財政委員会にかしておるわけであります。三百九十四條は「地方財政委員会によつて評価される固定資産及び資産再評価法によつた再評価を行い、又は行うことができる固定資産の申告に係る特例」でありますけれども、これは現在市町村に申告すべきものが、こういう部分については地方財政委員会に申告書を提出しなければならないという点が、かわつているだけでございまして、根本的なことについては市町村長に申告書を提出する場合と相違はございません。こういう義務違反に関する罰則等の規定でありまして、他の関係條文とあまりかわりございませんので、省略いたします。  また三百九十八條の規定は、地方財政委員会がする固定資産の価格の決定または配分に関する異議の申立ては、直接行うべきものでありますので、その意味で、その特例の規定を設けているわけでございます。それに伴う手続的な規定が三百九十九條、四百條の規定であります。三百六十九ページの第四百一條の規定は「固定資産の評価に係る都道府県知事の任務」を規定していまして、あるいは固定資産評価員の研修、あるいは地方財政委員会が作成ました資料の使用方法についての指導、その他の指導を行うわけでありまして、大体地方財政委員会が評価基準を示します。その基準に基きまして都道府県が市町村に対しまして直接指導の任務に当るわけでありますが、府県の指導を受けて市町村が固定資産評価員を使いまして、評価を行つて行くというふうな順序に考えておるわけでございます。四百二條は、先ほど申し上げたことでございます。  四百三條は、固定費産の評価の権限市町村長にあるということをうたつておるわけであります。なぜこのような規定を置いたかと申しますと地方財政委員会も都道府県も他の税目に関します課税標準の決定とは異なりまして、いろいろと基準を示しましたり、あるいは指導を行つたりいたしますので、はたして責任がどこにあるか、明確を欠くことも予想されますので、このような規定を設けたのであります。すなわち市町村長は「地方財政委員会か固定資産を評価する場合を除く外、独自の判断と責任をもつて、固定資産の価格を決定しなければならない。」というふうにいたしておるわけであります。価格決定の責任は、固定資産評価員にあるのではありませんので、あくまでも市町村長にあるわけであります。固定賃産評価員は市町村長か価格を決定するための補助機関でございまして、固定資産評価員を使つて市町村長が価格の決定をするのだ、こう考えていただけばよろしいと思います。四百四條は固定資産評価員の規定でございます。固定資産評価員は「市町村長の指揮を受けて、固定資産を適正に評価し、且つ、市町村長が行う価格の決定を補助する」ことを任務といたしておるわけでありますこういう人は、二項で、「固定資産の評価に関する知識及び経験を有する者のうちから、市町村長が、当該市町村の議会の同意を得て、選任する。」特別職にいたしておるわけでございます。こういうことによりまして広く有能の上を、固定資産評価員に選任して行きたい、また選任された人は市町村の議会の同意を得ている人であるから、住民としても十分信頼感がおける、こういうふうなことをねらいにいたしておるわけでございます。さらにまた一項に、この問題につきまして多少くふうを加えているのでございまして、「二以上の市町村の長は、当該市町村の議会の同意を得て、その協議によつて協同して同一の者を当該各市町村の固定資産価員に選任することができる。この場合の選任については、前項の規定による議会の同意を要しないものとする。」要するに町村が単独でなかなかりつぱな固定資産評価員が得られない場合があります。これはむしろ数市町村が協同して選んだ方が、有能の士を選任して行くことができる。あるいはまた市町村間において、周知資産の評価が区々である、それでいろいろと住民との間に摩擦が起きるわけなんでありますので、できるだけ均衡のとれた評価がなされなければならない、均衡のとれた評価をするならば、市町村会によつて選任された同一の人によつて評価されるということが穏当であろう。最終の決定権は市町村長にあるわけでありますが、一応の評価の下準備というものは、同一人の手によつて行わした方が穏当だというようなことが考えられるわけであり事。こういうようないろいろの理由から、固定資産評価員は、市町村に一人を置くことを原則とするのだが、関係市町村長が相寄りまして、協同して同一の固定資産評価員を、それぞれの固定資産価員に選任してもさしつかえない、こういうふうな規定を設けておるわけでございます。四項は「固定資産評価員は、当該市町村の他の財務に関する事務に從事する職員を兼ねることがで奉る。」といたしておきまして、場合によりましてはその市の税務課長を兼ねてもさしつかえないというような弾力のある制度にいたしたいと考えているわけであります。また責場な市町村におきましては五項で「固定資産税を課される固定資産が少いため固定資産評価員を選任する必要かないと認める場合においては、自ら固定資産評価場長を兼わることができる。」とまつたく自主的な判断にまちたいというような態度を、法律の上でとろうとしておるわけでございます。四百五條は「市町村長は、必要があると認める場合において、固定資産の評価に関する知識及び経験を有する者のうちから、固定資産評価補助員を選任して、これに固定資産評価員の職務を補助させることができる。」というふうにいたしておるわけでございまして、固定資産評価員は一人でありますか、これを補助するための補助員は何人あつてもよろしいというような考え方を持つておるわけでございます。四百六條は兼職禁止の規定、四百七條は欠格事項を書いた規定でございます。いずれも固定資産評価員の地位というものを高からしめたい、あるいはまた住民がこれに対して信頼感を寄せるような制度にしておきたいというねらいを持つて設けておる規定でございます。  三百七十七ページへ行きまして、四百八條は「市町村長は、固定資産評価員又は固定資産評価補助員に当該市町村所在の固定資産の状況を毎年少くとも一回実地に調査させなければならない。」第二項として「固定資産評価員は、前項の実地調査の結果に基いて、毎年一月一日現在における時価によつて、固定資産の評価をしなければならない。」第三項は「固定資産評価員は、前百項の規定による評価をした場合においては、地方財政委員会規則で定める様式によつて、遅滞なく、評価調書を作成し、これを市町村長に提出しなければならない。」こういうふうに市町村長の責任でありますところの固定資産評価の準備を、固定資産評価員をして行わせる手続を規定いたしておるわけでございます。  さらに四百十條で「市町村長は、第四百八條第三項に規定する評価調書を受理した場合においては、これに基いて毎年一月一日現在における固定資産の価格を二月五日までに決定しなければならない。」ということにいたしておるわけであります。二月五日までに決定しました価格を、二月六日から十五日まで住民の縦覧に供するわけであります。住民の縦覧に供しまして、それから異議のあります部分につきましては、納税義務者から異議の申立を認める。申立期間を経過いたしますと、そのままその価格が確定するという制度をとつておる。またその固定資産課税台帳の縦覧期間に関します規定は、四百十五條に置いておるわけであります。四百十五條で縦覧期間は二月六日から二月十五日までだとしておるのでございます。そしてさらに縦覧した台帳につきましての異議の申立期間というものを、四百三十二條のところで「固定資産税納税者は、その納付すべき固定資産税に係る固定資産について固定資産課税台帳に登録された事項について不服がある場合においては、第四百十五條第一項の縦覧期間の初日からその末日後十日までの間において、又は第四百十七條の通知を受けた日から三十日以内に、文書をもつて、固定資産評価審査委員会に審査の請求をすることができる。」ということにいたしております。從いまして二月十五日が縦覧期間の満了でありますから、二月二十五日で異議の申立期間も終るわけでいございます。二月二十五日で終りますと、今度は固定費産評価審査委員会が審査の請求を受けましてから、決定をする期限でございますが、それは四百三十三條のところで「その請求を受理した日から二十日以内に審査の決定を」なければならない。」ということにいたしております。從いまして二十五日に受けましたものは、もし二十日で完了いたしますと、三月の十五日に確定する、こういう順序になつて参るわけであります。そして四月一日になりますれば納税をしてもらうように令状を出すように準備をして行きたい、こういうようなところから評価期日を逆算いたしまして、一月一日ということをきめたわけであります。  それでもう一ぺん必要のところへ戻りまして御説明いたしたいと思いますが、三百七十五ページの第四百十一條でございます。「昭和二十五年度分の固定資産税を課する償却資産に限り、市町村長は、前條第一項の規定にかかわらず、昭和二十四年七月一日現在における価格を昭和二十五年十一月三十日までに決定しなければならない。」といたします。土地や家屋は賃貸価格を使うわけでありますが、償却資産現実の時価に評価しなければなりません。しかしながら資産再評価法によつて、再評価されます場合に使いますところの物価指数というものは、七月一日を押えておりますので、この資産再価評法による再評価と調子を合せますために、昭和二十四年七月一日、現在における価格というふうな規定を設けたわけでございます。  それから次の四百十三條でありますが、昭和三十五年度分の固定資産税を課する農地以外の土地及び家屋に限り、その価格は、賃貸価格の九百倍をとるというので、その趣旨をうたい、四百十三條で農地につきましては自作農創設特別措置法の法定対価に二十二・五を乗じて得た額とするという規定を置いたわけであります。御承知のように農地の法定対価は、原則として山は賃貸価格の四十倍に二十二・五をかけますと賃貸価格の九百倍ということになる。畑は原則として賃貸価格の四十八倍でありますから、四十八倍に二十二・五をかけますと賃貸価格の千八十倍ということになります。それから四百十四條へ行きまして、固定資産価格の最低限度を規定しているわけでありますが、「市町村長又は地方財政委員会が固定資産の価格を決定する場合においては、その価格は、左の各号に掲げる額を下ることができない。」一号は資産再評価法の規定によりまして、現実に再評価をした額を下ることができない。企業が自分の固定資産はこれだというように、現実に再評価をいたしました場合には、その再評価額を下ることのないように価格を決定するということになるわけであります。将來の問題といたしましては四百十四條二号に記載しておりますように「法人税法の規定による所得の計算上損益又は必要な経費として控除すべき減価償却額又は減価償却費の計算の基礎となる固定資産の価額」を下ることができないということにいたしまして、一つの目途をここに設けているわけでございます。  四百十五條の縦覧の問題は先ほど申し上げましたので省略いたします。あと若干手続的な規定でありますので省略いたしまして、三百八十ページの四百十九條の規定であります。固定資産の価格が市町村間に著しい不均衡かあることは、おもしろくないことでございますので、そういう場合にけ道府県に、勧告権をこのところにおいて與えているわけであります。その勧告がありました場合百には市町村長は、その価格を修正して登録しなければならない。しかしながらあくまでも修正の場合にも市町村長の責任において、その判断において行わなければならないという建前をとつているわけであります。市町村の自主性というものを尊重いたしているわけであります。それからあとは省略した方がよろしいと思いますので省略いたしまして、三百八十二ページの最後のところの四百三十三條固定資産評価審査委員会の問題でございます。固定資産の価格を評価いたしますのは、これは全面的に市町村長の責任でございます。その前町村長の決定した価格が適正であるか、適正でないかという問題の判断は、これは市町村がいたしませんで、別の審査機関を設けておるわけでございます。別の審査機関がすなわち固定資産評価審査委員会でございます。関係のところを朗読いたしますと、「固定資産課税台帳に登録された項に関する不服を審査決定するために、市町村に、固定資産評価審査委員会を設置する。」一項で「固定資産評価審査委員会は、市町村税納税義務者のうちから、当該市町村の議会の同意を得て、市町村長が選任する委員三人をもつて組織する。」ということにいたしておるわけでございます。この委員の任期は三年でありますが、設置の当初は一年、二年、三年と、三人それぞれに任期をつけるわけでございます。四百二十五條には兼職の禁止の規定を設け、四百二十六條では委員の欠格事項の規定を設けまして、固定資産評価審査委員会の委員の地位を保障しておるわけでございます。しかしながら四百二十七條で「市町村長は、固定資産評価審査委員会の委員が心身の故障のため職務の執行が」できないと認める場合又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合においては、当該市町村の議会の同意を得てその任期中にこれを罷免することができる。」罷免の必要のある場合もありましようから、こういうふうな限定を設けた上で、市町村長に罷免の権限を與えておるわけでございます。  四百二十八條は会議の開会の期間等の手続的な規定でございます。三百八十八ページに行きまして、四百三十三條の規定でございますが、「固定資産評価審査委員会は、前條の院審査の請求を受理した場合においては、直ちにその必要と認める調査、口頭審理その他事実審査を行い、その請求を受理した日から二十日以内に、審査決定をしなければならない。」しかもこれらの審査につきましては、第六項で「第一項の審査は、公開して行かなければならない。」と公開の趣旨を明確にいたしておるわけでございます。公正に決定が行われることをこういう点において期待をいたしておるわけでございます。四百三十四條以降は訴願または出訴に関する規定でございますので、省略いたします。三百九十二ページの四百三十六條の規定で「市町村長は、第四百條、第四百十條、第四百十七條、第四百十九條第二項又は前條第二、項の規定によつて、土地及び家屋の価格格決定し、又は修正した場合においては、その価格を、遅滞なく、当該決定又は修正に係る土地又は家屋の所在地を管轄する登記所に通知しなければならない。」義務を課しておるわけであります。登記所におきましては、不動産登記等の仕事も扱つておりますので、これら全体を通じまして、土地や家屋の価格が適正であるか、適正でないかという一つの判断も生れるわけでございます。從いまして登記所からも意見があれば当然協力的な意味において、市町村長に意見が出て來るだろうということを考えておるのでございまして、市町村と登記所が相互に協力関係に立つということを、この面においても期待しておるわけでございます。  第六款の「犯則取締」は他の国税犯則取締りに関する規定とまつたく同一でございます。
  134. 中島守利

    ○中島委員長 委員長から一、二お伺いいたしますが、この税法の中に、たいへん地方財政委員会関係が多いと思いますが、地方財政委員会設置法がまだ国会に提出しておらないように思われるのですが、この税法との関係はどうなるか、総括的にひとつお尋ね申し上げたいと思います。  もう一つはここの中に期日のきまつておるのがあります。三百四十五條、三百四十六條その他にもありますが、その他けよいと思いますが、三百四十六條は実際には該当者がないのかもしれませんが、三月三十一日までに届け出なければならないということは不可能であろうと思います。その点に対しては、どうせ委員講料からも質疑か出ると思いますが、委員長からちよつとお尋ねいたします。
  135. 小野哲

    小野(哲)政府委員 お答えいたします。まず御質問の第一は、政府考えております地方財政委員会設置法案の提案についてのお尋ねと存じますが、この法律案につきましては、相当前ごろに関係方面と折衝いたしておるのでありますが、近く政府におきましては、法律案内容を調整いたしまして、国会に提案をいたすべく、目下推敲いたしておるような次第でございます。なおこの地方税法との関係は、奥野君から逐條の御説明のありました通り、密接な関係があるということは、つけ加えるまでもないと存じますが、第一の御質問のたとえば三百四十六條に掲げております期日の問題でありますが、この点につきましては、先般地方税法案政府において修正をいたしたいというので、本院にお願いいたしまして御承認を得た中に、「昭和二十五年度分の地方税に限り、地方財政委員会は、この法律の規定に基いてすべき納付若しくは納入又は申告、届出若しくは書類の提出の期限が昭和二十五年四月一日から同年六月三十日までの間に係るものについては、地方財政委員会規則で特別の定をすることができる。」こういうことに相なつておりますので、これによりまして、将來設置されまする地方財政委員会規則で特別の定めをいたしたいかような心組みを持つております。
  136. 大泉寛三

    ○大泉委員 今回の税制改革のうちで、一番大きい変革を來しておるのは、市町村固定資産税であろうと私は思うのであります。国民の大多数が国税における所得税、あるいは府県税における附加価値税あるいは市町村民税における固定資産税も、みながおのおの国税から地方税に至るまで公平に負担しようとするならば、今度のこの税制というものは、きわめて私は合理的であつて、公平な一つの形態であるこう思うのであります。ただ一つ一つを拾い上げてみると、去年かからなかつたものが、今年新しくかかつて來るというような、あるいは今まで法人税、所得税も出していなかつたものか地方税として附加価値税固定資産税がかかるということになるのであるから、これはたいへんこれに対する反対運動もせざるを得ない。こういう結果になつて、おのおの国民がおのおの属するところ、おのれの観察するところによつて、これを判断するということは、まず当然だろうと思うのであります。そこでこの税制改革に対して地方税の根幹ともなるべき固定資産税は、物に対する税である。市町村民税は人に対する税であるから、これは均等割、公平でよろしい。しかし物に対する税としての固定資産税は、きわめて厳粛にやらなければならぬ。こう思うのであります。そこで第一番に私が聞きたいことは、国鉄が独立採算制として、ほんとう国民の期待する通りに経営してもらいたい。こういうふうに念願しているときに、ただ国鉄だけかこの地方税の負担を免れているような制度である。しかも普通法人組織の地方鉄道は、全面的に国税から地方税に至るまで一貫して、とにかく負担しなければならぬ。こういう場合に国鉄が、国民全体に利益を分配する制度とはなつておりましようとも、国鉄といえども一つの運賃收入である以上はやはり特定の一つの分野において、收入を持たなければならぬということになるのだから、これはやはり独立採算制の立場から、いわゆる独立企業からいつて、当然地方税を負担しなければならぬ。こう思うのでありますが、これを除外したということはどういうわけか。これをまずひとつ大きな問題として取上げてみたいと思うのであります。その他いろいろありますが、それだけちよつとお伺いいたします。
  137. 小野哲

    小野(哲)政府委員 お答えをいたします。ただいま大泉さんから、今回の地方税法を改正するにあたりまして、日本国有鉄道につきまして非課税の取扱いをする理由のお尋ねであつたと思います。この問題につきましてはこの法律案の立案研究の途上におきましても、種々意見があつたのであります。御承知のように、日本国有鉄道が從來の国有国営の形態から、公共企業体の運営に移行されまして以來、日なお浅く、かつその予算制度その他の点から申しましても、政府関係機関と同様な意味におきまして、相当制約を受けておりますような現状にかんがみまして、その会計制度が独立採算制を十分に実施して行きますためには、いまだ整備されておらないような点もございますので、この際は日本国有鉄道につきまして、固定資産税対象とすることを省いたのでございます。しかしながらお説のように、日本国有鉄道に将來地方税課税すべきかいなかということにつきましては、なお愼重に研究をいたす必要があろうかと考えておりますので、政府といたしましては地方財政委員会が設置されましたあかつきにおいて、昭和二十五年度の実績をも検討いたしました上で、日本国有鉄道に関する地方税制の問題につきまして研究をいたし、これが結論を出したいということを考え、また委員会に期待いたしているような次第でございます。
  138. 中島守利

    ○中島委員長 お諮りいたします。今日はこの程度で散会したいと思いますが、継続なさるならば生田理事もわざわざ待たれておりますけれども、これでやめることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 中島守利

    ○中島委員長 それでは明日は理事会を午前十時、本委員会を十時三十分から開会いたします。  これで散会いたします。     午後四時四十四分散会