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1950-04-17 第7回国会 衆議院 地方行政委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月十七日(月曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 中島 守利君    理事 生田 和平君 理事 大泉 寛三君    理事 川西  清君 理事 川本 末治君    理事 菅家 喜六君 理事 塚田十一郎君    理事 久保田鶴松君 理事 藤田 義光君    理事 立花 敏男君 理事 大石ヨシエ君       河原伊三郎君    清水 逸平君       野村專太郎君    吉田吉太郎君       龍野喜一郎君    門司  亮君       鈴木 幹雄君    床次 徳二君       池田 峯雄君    井出一太郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 本多 市郎君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 荻田  保君         総理府事務官         (地方自治庁財         政部財政課長) 奧野 誠亮君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君 四月十七日  委員淵上房太郎君辞任につき、その補欠として  小玉治行君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方税法案内閣提出第一二三号)     —————————————
  2. 中島守利

    中島委員長 これより会議を開きます。  地方税法案議題として質疑を続行いたします。前会において第一條より七十四條までを議題として質疑をいたして参りましたが、なお附加価値税に対しては、質疑通告者相当あるのであります。これは便宜あとまわしにいたしまして、七十五條より今日は質疑を開始いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中島守利

    中島委員長 第二節の入場税、第七十五條より百十二條までを議題といたします。政府より簡単な説明を願います。
  4. 奧野誠亮

    奧野政府委員 第七十五條は従来の入場税対象施設を第一種から第三種までに区分しただけでありまして、別段それ以外変更はございません。それから第七十六條の第二項は新しい規定でありまして、入場料金あるいは利用料金徴収しないで入場させ、また利用させた場合には主催者等入場者とみなしまして、入場税を課することができる規定を設けたわけであります。もとよりこれは無料興業に対しまして全面的に課税しようという趣旨ではございませんので、ただ脱税的な行為が若干行われておりまして、それを中心に興業者と、地方団体との間で、非常な争いがあるものでありますから、その争いをなくしまして、なるたけ公明に問題の解決をはかれるようにしたいという考え方のもとに、このような規定を置いたわけであります。地方団体がその良識無料入場行為を脱税的な行為と見て課税するか、あるいは真実に無料興業であつて課税除外の方針をとるか、これを判断することが可能であるというふうに考えております。第七十七條税率を三分の一だけ軽減いたしましたのと、先の臨時国会国会修正になりました純音楽等に関します入場税につきましても、税率を低いものによることにいたしたわけであります。第七十八條も新しい規定でありまして、入場税課税免除の範囲を新しく定めたわけでありますが、一つには児童生徒等のしろうとの行う興業であります。さらにまたそれらの収入学校等の公益的な面に使用するものでありまして、さらにそれに参加する者が無報酬で行うというふうな場合に、その課税除外規定を適用することにしたいという考えでおるわけであります。七十九條、八十條、八十一條、八十二條、八十三條は別段他の税目とかわつた規定ではございません。百六ページの八十四條でありますが、従来からも入場税につきましては証紙をもつて徴収しなければならないという規定をおいておつたわけであります。証紙そのもの入場券に代用されるという考えを持つてつたわけでありますが、その考え方をはつきり証紙とはいいませんで、入場券道府県が作成する用紙をもつてしなければならないというふうに、明確にいたしたわけであります。同時に二項に、その用紙には一連の番号をつけなればならない、さらに三項では、その入場券については入場の際に一半を切取らなければならないというふうな規定を置いたのでありまして、入場税税率を引下げますと同時に、反面徴収を的確にやつてもらうような制度に切りかえたわけであります。八十五條はこれに関する罰則規定であります。百八ページへ行きまして、八十六條、八十七條徴収手続を書いてありますが、他の特別徴収にかかります税目と同じように、すべて特別徴収義務者が従来とは異りまして、国へ納入するという制度にいたしております。八十八條は臨時催しものにかかる入場券納入金に関する特令でありますが、八十八條は主催者等臨時場所を設けて催しものを行います場合には道府県條例にゆだねておるわけでありますけれども、條例規定を定めれば主催者等徴収すべき入場税を、予納させることができることにいたしておるわけであります。臨時催しもの等につきましては、催しものをして翌日はもうどこへ行つたかわからないというようなことで、道府県が非常に困るということから、このような規定を強く要望されましたので、その要望にこたえてこういう規定を設けたわけであります。もつぱら道府県條例に置くか置かないか、あるいはどのような方法を定めるかということもゆだねることにしておるわけであります。二項の方は特別徴収義務者納入金納入しなかつた場合には、所有者に対しまして納入金相当する金額の支拂いを請求することができることにいたしておるわけであります。やはりこれも臨時催しものに限つているわけであります。あえてこのような規定を置きませんで、総則の方にあります共同事業共同経営にかかりますところの納入金と見ますれば、当然連帶納付責任を負うことになるわけでありますけれども、必ずしも共同事業共同経営と見られない場合もありますし、しかもまた連帶納付責任所有者に負わして行きますと、求償金関係が必ずしも明確になりませんので、あえてこのような規定を置きました半面、催し場所所有者特別徴収義務者に対しまして、求償権を有することを四項の規定で、明確にいたしたわけであります。八十九條は入場税特別徴収義務者道府県登録をいたしまして、入場税徴収するものであるということを明らかにさせる。それによつて一面には国民に対しまして入場料のほかに、入場税を合せて拂うものであるということの正しい認識を持たせる。さらにまた道府県はそれぞれの特別徴収義務者の実態を適確に把握いたしまして、徴収された税金が、確実に道府県納入されるように、組織立てて行きたいというふうな考え方を持つておるわけであります。九十條から九十三條までは別段御説明する必要もないと思います。百十五ページの九十四條は入場税にかかる更正及び決定であります。これは申告納入制度をとりました関係上、こういう制度に切りかえたわけであります。以下延滞金加算金制度は、すべての税目に共通した点であります。百二十三ページの更正決定等に関する救済、それから百二十四ページの第四款の督促及び滞納処分、それから百三十一ページの犯則取締、いずれもすべての税目に共通する制度でありますので、説明を省略させていただきます。
  5. 中島守利

    中島委員長 入場税に対して御質疑は、ございませんか。
  6. 大泉寛三

    大泉委員 一定場所を定められたように思いますが、この場所の定まらない、たとえば臨時に特定の場所でする催しもの——入場税をとらずにこうした演芸その他の映画等をやる場合には、これはどういうふうになりますか。たとえば工場の従業員に対する慰安催し、たとえば常に用途は全然違つている大きな建物の中で、臨時的に別に料金をとらずにやる場合には、これは一向さしつかかえないと思いますが、政府の確言を得たいと思いすので、御質問いたします。
  7. 奧野誠亮

    奧野政府委員 全員無料入場させる場合には、原則として入場税を課すべきでないと考えております。ただ、たまたま脱税的な行為がありますので、そういう場合でも課すことができるという規定を置きまして、道府県良識判断にまつというようなかつこうをとつているわけでありますので、お考えの通りであります。
  8. 大泉寛三

    大泉委員 入場者から入場料をとらなくとも、いわゆる芸人その他に対して、催しを主催する者が支拂つた場合には、これは一向さしつかえないのでありますか。こういう場合は何も適用しないのですか。
  9. 奧野誠亮

    奧野政府委員 その興行が、今お話のありましたように、労務者の慰安をやるとかいうふうな意味で行われております場合に、興行に出演いたしました者に対して、謝礼を拂いましようとも、全員無料であります以上は、入場税は課すべきでないと考えております。ただ最近起きております事例は、ある種の品物を若干高く売りまして、それを買つた者無料入場させるというような事例もあるのでありまして、こういう場合は全員無料とはいいながら、別な代価をとつているわけであります。形式は無料でありましても、やはり入場税徴収すべきものであるというふうな考え方を持つているわけであります。それがこの規定を置きました動機であります。
  10. 床次徳二

    床次委員 昨日の懇談会等においても議論が出ましたが、遊興飲食税がある程度まで課率を減らしました場合に、均衡入場税もこれは当然減らすべきではないかというふうに考えられるのであります。また均衡論をいたさなくても、元来入場税そのものが文化的に相当影響のあるものでありますから、これを軽減するということは、財減が許せばできるだけ軽減すべきものでありまして、過般三分の一の軽減をいたしましたが、しかしこれといえども決して安い税率ではないのでありましても、でき得るならばもう少し下げたいということは、国民ひとしく希望するところと思うのであります。これに対しまして課率をもう少し下げたい希望を、私たちは持つておるのでありますが、少くとも第一種につきまして、これを五〇あるいは六〇、第二種を一割という程度まで下ぐべきではないかと私ども考えておりますが、これに対しまして、どのくらいの減収があるかどうか、あとでお知らせをいただきたいと思うのであります。  なお入場税に対しまして、今まで課率が高いために小脱税があつたということも一つ理由でありましようが、なおこれを課率を下げることによりまして、利用者をもう少しふやし得る、このための増収も考えられるのでありまして、はたして収支の関係課率を下げることによつて、どの程度になるかということに対して、お尋ねいたしたいのであります。  次の点につきましては、現在博物館等におきましては、はたしてどういう取扱いをしているか、当然ああいうものは無税でよいと思いますが、実はどういうふうにしているか、ちよつと今記憶がありませんので、お尋ねするわけであります。
  11. 奧野誠亮

    奧野政府委員 入場税税率が非常に高いものでありますから、税制に關與している者といたしましても、非常に苦痛に感じております。ただ遺憾ながら現在の財政事情が許しませんので、ようやく三分の一を軽減できた程度にとどまつているわけでありますが、その際に見込みました減収程度は、前に申し上げたのでありますが、税率としては三分の一引下げましたので、税収入も三分の一だけ減収になるというふうに、見る見方もあるわけでありますけれども、今回提出しております収入見込みの点では、減収率は六分の一しか見ていないわけであります。これはもとよりある程度入場人員もふえるだろうというような見方、あるいは徴収制度というものを、かなり嚴格にいたすようなことにいたしておりますので、あわせましてそういうふうな見込みを立てたわけでありますけれども、さらにこの率を今ただちに引下げるというふうなことになりましたら、大体引下げる程度に近い減収を見込まなければならないじやないか、前は三分の一の減税でありましても、減収は六分の一に見込めたわけでありますけれども、今さらに減税いたしました場合には、大体減収率に近い減税を見込まなければならないじやないか。もとより今後の経済界の推移によつて、その点は違つて来るだろうと思いますが、ただいまはそういうふうな予測をいたしております。  次に博物館の問題でありますが、現在博物館を経営しておりますのは、大体は公共団体であろうと思つております。そういうところへの入場につきましては、原則として現在入場税をとつておらぬようであります。博物館性質によりまして、多少興行的なものであつて、名前をそういうふうなものにかえているところについて、争いの起きている事例は承知しておりますが、純然たる博物館に対しましては、入場税は課しておらぬのではないかというふうに考えております。
  12. 清水逸平

    清水委員 ただいまの御質問に関連いたしまして、先般入場税を下げましたが、その後の徴税成績等資料がありましたら、お示しを願いたいと思います。新聞によりますと、何億という入場税の未収があり、その処置に困るというふうな地方があつたようでありますが、先般三分の一下げました後における入場税徴税成績がおわかりでしたら、お知らせ願いたいと思います。
  13. 奧野誠亮

    奧野政府委員 入場税は御承知のように、先月分を翌月の二十日前後に地方団体納入をするという仕組みになつておりますので、全国的な結果というものはとりまとめることは困難だろうと思います。しかし東京都あるいは近県の事例は、ある程度わかるかもしれませんので、調べまして、別の機会にお答えさせていただきたいと思います。
  14. 生田和平

    生田委員 ごく小さい問題ですが、非常に感じが悪い。七十七條に、「入場税税率は、百分の百としなければならない。」とあつて、そのほかは百分の百あるいは百分の四十と書いてありますが、「としなければならない。」というのは、これはいかなる理由ですか。ほかにもこういうことがあれば、こういう字句は載せなくてもいいと思うので、御注意申し上げておきます。
  15. 奧野誠亮

    奧野政府委員 税率一定率にいたしましておりますのは、入場税のほかに権利税がございます、こういうふうな権利税になりますと、やはり同じような負担をすべきであろうというふうな考え方に立つておるわけでございます。入場税権利税ではございませんけれども、この税率地方団体にゆだねるといたしますと、現に百分の百という税率が非常にむりな税率だと考えておるのであります。むりな税率ならば下げればよろしいのでありますけれども、遺憾ながらわが国の現在の財政その他の状況から言いますと、この税に相当の多くの収入を求めざるを得ませんので、どうしても百分の百程度にしなければならぬ。もしこれを自由にいたしましたならば、ある余裕のある団体は引下げましよう。その場合に、おそらくその県だけの税率にとどまりませんで、他の団体にもおのずから減税が波及せざるを得ない。他の団体減税はしたいけれども。財政上はその余裕は全然ない。こういうことは現在の地方財政全体を通じまして、明瞭なことなのであります。従いましてやはり地方団体といたしましても、むしろ勝手に率を下げたりしないで、まつたく同一歩調で行きたいというふうな考え方もありますし、地方財政全体の点から考えましても、また現在のところそれもやむを得ない問題でありますので、特にこの税につきましては、百分の百としなければならぬというふうな制度にいたしておるわけであります。将来財政状況が改善されました場合には、もとより率も下げなければなりませんし、またこの率のきめ方も地方団体にゆだねるべきであるというふうに考えております。ただ今日の状況からいたしまして、やむをえない制度であるというふうに考えております。
  16. 生田和平

    生田委員 そういうことを言つているのではないのですが、「百分の百しなければならない。」その「しなけばならない。」というのをとらなけれならぬ。非常に感じが悪いので、そういう点をお聞きいたしているのであります。
  17. 奧野誠亮

    奧野政府委員 字句の問題はなおよく研究いたしまして、考えて行きたいと思います。
  18. 吉田吉太郎

    吉田(吉)委員 ちよつと法文の解釈についてお尋ねしたいのですが、七十六條の法文でありますが、入場料金または利用料金の全部、あるいは一部を支拂わないで入場した者に対して、入場税を課することができるという七十六條の場合、これはどういう具体的な場合がありましようか、一応お聞かせ願いたいと思います。
  19. 中島守利

    中島委員長 そのことは今吉田委員が御出席になる前に質問されたことであります。
  20. 吉田吉太郎

    吉田(吉)委員 それはどうも失礼いたしました。この前どういうような御答弁があつたか准じませんが、大体入場料金支拂わないような場合、すなわち納税義務者特別徴収義務者とおのずから立場が違うわけであります。納税義務者が拂わないものを徴収義務者がこれを支拂う。こういう建前になるわけですか。
  21. 奧野誠亮

    奧野政府委員 現在入場税特別徴収にあたりまして、相当部分はこれは招待券を出して入場さしたのであるから、入場税はとつていないのだということで、しばらく争いが繰返されるわけであります。招待券を出して入場さしたものなら、入場料興行者が負担しているわけであります。それなら同じように入場税興行者が負担すべきである。こういう考え方に立つているわけであります。しかしもとより全面的に課税するという考え方を持つているわけではございませんで、そういう話がありました場合に、非道な主張をしてもらいたくない。そういう意味で七十六條の一項では「入場税を課することができる。」こういう彈力性のあることにいたしまして、実情によつて適当な判断地方団体にしてもらいたい。こういう考え方を持つておるわけであります。
  22. 床次徳二

    床次委員 先ほどお尋ねいたしましたが、入場税の普通の課率の場合と、特別の課率の場合、これを軽減いたしました場合、手元に資料がありませんので、ちよつとあとで御計算おきを願いたいと思います。普通の場合を百分の五十、あるいは百分の六十とし、特別の場合を百分の十とした場合、どのくらいの減収になるか、御当局の方の御考えでもつて、数字を出していただきたいと思います。
  23. 中島守利

    中島委員長 次に第三節遊興飲食税、百十三條より百四十四條。
  24. 奧野誠亮

    奧野政府委員 百十三條は別にかわりはございません。百十四條は従来からあります制度でございます。百十五條税率を従来よりも若干軽減いたしておるわけであります。百十六條、百十七條等は、他の税目と同じ罰則規定であります。百三十七ページの第二款の徴收申告納入制度をとることにいたした点、これは他の特別徴収にかかる税目と同じでありまして、中の仕組み入場税の場合とかわつておりません。さらに百二十條でありますが、遊興飲食税特別徴収義務者としての登録義務を課しておりますが、これも新しい制度ではありますけれども、入場税の場合と同じことであります。それからずつとあとへ行きまして、百五十ページに遊興飲食税証紙徴収手続等についての規定がございます。百二十九條の規定であります。これは従来も証紙遊興飲食税徴収することができるという規定を置いてあつたわけでありますけれども、今回さらに必要によつて領収書を発行する義務を課することができるというふうな規定を加えたわけであります。これも税率軽減と並行いたしまして、徴収を確保する制度としてこのような規定を置いたわけであります。入場税の場合と考え方は並行いたしておるわけであります。あとは他の税目の場合とまつたく同一でありまして特に御説明する必要もないと思います。百六十二ページまで大体同じことであります。
  25. 床次徳二

    床次委員 ただいまの飲食税並びに先ほどの入場税の、この特別徴収取扱いにかかわる税金に対して、滞納の現状がすでに義務者から徴収したものを拂込みを怠つておる滞納と、あるいは納めておらない税を徴収しておらないために拂込みができないという滞納と、現在の滞納状況がどんなふうになつておるか、実情を御説明いただきたいと思います。
  26. 奧野誠亮

    奧野政府委員 特別徴収にかかわりまず税目でありましても、たとえば入場税遊興飲食税と非常に開きがあると思います。率直に申し上げまして、現在の遊興飲食税徴収成績というものは、非常に悪いと思います。しばしば御質問が出ておりますように、むしろやみ料理店的なところにおいては税金徴収しない。従つて料金が安い。正しくやつているところは税金徴収しているかわりに料金も高い。そういう問題が特に横浜等におきましては顕著な事例となりまして、非常な紛議をかもしておつたわけであります。しかしこういう点もだんだんと是正されては参つておるわけでありますけれども、なお一段の努力をして行かなければならぬだろうというふうに考えております。従来の制度でありますと、特別徴収いたしますと、まず自分のところでどれだけ特別徴収したということを、地方団体に報告をするわけであります。そうしますと地方団体では、納額告知書特別徴収義務者に出しましてそれで納める。納めなければ滞納処分ということになるわけであります。さらにまた申告をいたしておりませんと、そのこと自体が税金徴収しなかつた、不徴収の罪になつて参るわけであります。けれども、幾ら税金徴収したということを、地方団体としては決定できないわけであります。必ずこれだけのものは徴収しておるはずだから、納めるべきである。納めないからすぐに滞納処分をする。こういうことはできるわけでありますけれども、事前に決定通知を出しておきましても、それが法律制度上の決定通知ではないわけであります。こういうところに、従来の特別徴収にかかわります税金納入成績の悪かつた一因もあるだろうと思いまして、今回の制度におきましては、特別徴収したものは、徴収したものをそのまま申告納入して行かなければならない。税金地方団体にそのまま納入して行き、もし申告納入をいたしませんと、地方団体特別徴収にかかわる税金というものを決定することができない。さらにまた申告納入しました税額につきまして、更正をすることはできない。こういう権限を明確にしたわけでありまして、そのときどきに特別徴収義務者と、地方団体間におきますところの税額争いを確定して行くというふうな制度にいたしたわけでありまして、今後は今御質問になりましたような、徴収しなかつた税金、あるいは徴収した税金で納めていない税金というものが、相互の間に一層明確に取扱われて行くことになるだろうというふうに、考えておるわけであります。
  27. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 本多国務大臣ちよつとお尋ねいたしますが、この百十五條一の「芸者その他これに類する者の花代」「その他」とは、これは何を指していらつしやるのですか、ちよつと教えていただきたい。
  28. 本多市郎

    本多国務大臣 これはサービスによつて収入を得るというような性質のものでございまして、「その他」の中に酌婦とかいうようなものも、含まれることと存じます。詳しいことは、政府委員から御説明申し上げます。
  29. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 それでは芸者に類する者とありますが、今日本の国には公娼制度はなくなりまして、これにかわつて酌婦というものがありますが、その酌婦というものに対して、九州の方では、遊興飲食税をとつておりません。青森でもとつておりません。その他のところは、全部遊興飲食税をとつております。そうすると国家は、公娼制度というものをなくしておいて、酌婦からこうした花代の税をとるということは、暗に公娼制度を認めておることと同じことでございますが、政府の見解はいかがでしようか。
  30. 本多市郎

    本多国務大臣 これはやはり客に対してサービスの提供ということでありまして、売春行為等を許すという趣旨では、もちろんないのであります。たとえば宿屋の女中さんが、その宿屋におきまして、客にいろいろサービスをする。そのために収入があるという性質のものを言うのでございまして、酌婦はやはり酌婦というふうに御解釈願いたいと思います。
  31. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 そうすると、今まで芸者と同じような花代をとつてつたとして——その業者の人、が言うておりますが、青森県の方ではとつておらない。九州でもとつておらぬ。ほかの県はみなそうした遊興税をとつておるのですが、それば條例で今まできまつてつたでしようかもどうなんでしようか。
  32. 奧野誠亮

    奧野政府委員 「芸者その他これに類する者の花代」に当るか当らないかという判断の問題になると思うのでありまして、売春行為をやつておるから課税するということでは、ございませんで、現実に女と遊んだ、そのためにある程度花代を拂つたということであれば、その花代を課税標準として遊興飲食税を課することになると思うのであります。その認定の問題といたしまして、いわゆるお話のような、娼妓的な行為だから課税するという意味では、課税しておらぬだろうと思います。またそうしたことは、一応はない建前になつておるだろうと思うのであります。ただ女と遊んで、そこで幾ばくかの花代を出さした、だからそれを課税の標準にして課して行くということになるのでありまして、あるいは県によりましては、課税を洩らしておるところがあるかもしれませんけれども、建前上は当然課税の対象になるはずのものであるというふうに考えております。ただそれが娼妓行為をやつたから課税するというふうなことは原則としてないはずだと思います。そういう意味ではございませんで、ただ遊興したという点において、課税の対象になつて来るものだというふうに考えております。
  33. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 それでは遊興とはどうなんですか。ただいま本多国務大臣が、宿屋の女中にサービスさしたら宿屋の女中にもかける——その遊興そのものをはつきりここで御返答を願いたいと思います。
  34. 本多市郎

    本多国務大臣 宿屋の女中さんの場合には、これは接客人税でありまして、ただいまお話の花代というふうに間違うような答弁を私がしておるといたしましたら、間違つております。この花代というのは、芸者花代というのが最も代表的によくわかるのでございますが、これに類するような、時間等でサービス料をとるというような性質のものを指すものだと存じます。
  35. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 それではこれをはつきりしておきませんと、日本の国は公娼制度がなくなつたのですから、この辺を私はもう一度政府当局に聞きたいと思いますが、それでは現に吉原で、いわゆる女が自分たちかつてにお客を引いて商売をしております。ところがやはり吉原には、そうした遊興税をとられておる。そうすると国家が公娼を認めておると同じことになりますが、その辺の区別をはつきり聞汚せていただきたい。
  36. 本多市郎

    本多国務大臣 サービスの内容がどうであるかということは、まことに判断にむずかしいところでありますけれども、建前といたしましては、時間等で花代をとるというような性質のものを、遊興と考えております。
  37. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 吉原で私調べましたら、時間幾らでは遊んでおりませんが、それでもやはりそこからその女の人その他は、お客から遊興税をとつておりますが、この見解を私ははつきりしていただきたいということを、今ここでお聞きしておるのです。
  38. 奧野誠亮

    奧野政府委員 大臣がお話になりましたように、花代という言葉に当てはまるような料金性質のものでありましたら、一号に該当するというふうに考えております。そうではございませんで、ただ客をとりまして、そこで飲食をした。その際に、單に飲食の料金だけではございませんで、部屋代とかいろいろなものが入るだろうと思いますが、そういうものが入つて来ました場合には、二号の遊興という中に入るだろうと思います。どちらの範疇に属するかということで、料率は違うと思いますけれども、やはり料金をとつております以上は、遊興飲食上税の課税の範囲に入るというふうに考えております。
  39. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 それではそういう方面で、公然と政府が遊興秘としてとられたならば、やはり日本の国は、昔と同じように、公娼制度があるということを、政府では御確認されるのですね。確認されることですね。そうした女性から遊興飲食税をとられるということは、公娼制度というものは敗戦以来日本の国にはなくなつたのです。彼女からそうした遊興飲食税をとられるならば、政府はやはり公娼制度というものを認めておられるのですね。その見解を私ははつきり聞くのです。
  40. 奧野誠亮

    奧野政府委員 娼妓行為があつたから、それに課税するというわけではございません。特に娼妓行為遊興飲食税の課税対象に考えているわけではありません。ただ私は抽象的に申し上げているわけでありますけれども、二号の、いわゆる一般的に考えまして遊興に考えられるような料金を拂つております場合には、遊興飲食税の課税の標準になつて参る。かように申し上げるわけなんでありまして、娼妓行為の禁止されております関係上、そのような行為は一応ないという建前であります。それが別に営業としてではございませんで、合意の上でいろいろな行為が行われている。それを一々取上げまして、それが遊興飲食税の課税対象になるかといいますと、それはならない。かように答えなければならないと思います。しかしながら單に客を呼んで飲食をしたその際に、それでは飲み食いをしたものの料金だけが、課税対象になるかというと、やはり部屋代とか、その他のものが若干大きくなるだろうと思います。大きくなりましても、それはやはり全部遊興飲食税の課税標準になるのだ。かようなことを申し上げているわけであります。
  41. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 私の聞くのはそういうことを聞くのではないのです。一時間何ぼで呼ばれて行く人に対して、花代徴収するのか——九州全体はそうしたものは一つもとつておらない。青森もとつておらない。ほかの県は全部とつているということになると、九州と青森県だけは公娼制度を否認しておつて、ほかの県は全部公娼制度を認めているということになるのですが、この見解をはつきりしてくださいと、私は聞いているのです。
  42. 奧野誠亮

    奧野政府委員 遊興飲食税が府県税でありますために、あるいはある程度認定の差が出て来るのもやむを得ないのではないかというふうに、考えるわけでありますけれども、とにかくその対価が非常に大きなものであります場合には、いわゆる花代に類するようなもの以上のものをとつている場合には、それは遊興飲食税の課税標準にならないだろうと思います。しかしいわゆる花代程度ものでありましたら、それが何という名目で呼ばれておりましよとも、やはり遊興飲食税の課税標準になるのではないか。その内部においてどういう行為が行われているかということはわからないと思います。
  43. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 私が尋ねているのは、先ほど本多国務大臣は時間でもつて呼ぶ女性に対して花代をかけている。その花代に対して百分の百五十の税率がかかつていると言われた。しかちばそれを日本の一般のそうした女性に対して課しているならばよろしいが、九州、青森県にはそうしたものがない。ほかの県はそれをそうした標準で課税している。そうするといわゆる公娼制度を認めていることになる。その見解を私ははつきり聞きたい。奥野さんのおつしやることは、私の言うことと答弁が違いますよ。ごまかしてもだめですよ、はつきり答弁しなさい。
  44. 奧野誠亮

    奧野政府委員 大石さんのおつしやることもわからぬわけではありませんが、公娼制度というものは一応制度上ないわけであります。娼妓行為としての課税はありませんということを申し上げているわけです。しかしながらその内部においてどういう行為が行われておつたかということは、外部から見てわからぬわけでありますが、その女が花代と思われるようなものを客からもらつている以上は、この百十五條の一号に該当します。かように申し上げるわけであります。しかしながらその間にそれをどのように判断するかということは、府県税でありますので、多少食い違いがあつてもやむを得ないのではなかろうか。大体の方向としては今申し上げたような方針で取扱い方がやつて行けるのではないかと考えております。
  45. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 これは幾ら言つてつても何にもなりませんけれども、吉原その他そうした方面におります女性は、客に一時間何ぼで呼ばれているではありませんか。そうして彼女らから百分の百五十という税金をとつている。今後それはおとりにならないのですね。その点をはつきりしていただきたい。
  46. 本多市郎

    本多国務大臣 私も最前時間等ということを申し上げたのですが、やはり時間等で芸者花代と同じような、その女のサービスによつて遊興的な行為があつて、そうして花代と同じような性質のものが拂われるというようなことであれば、これはそれに該当するものであろうと申し上げたのでありまして、酌婦花代をとる、その花代が遊興税の課税対象になるから売春行為を国家が認めているというわけでは決してないのであります。
  47. 中島守利

    中島委員長 委員長からお尋ねしたいのですが、遊興飲食税という名前が、今の国情でははなはだ不適当ではないかと思う。遊興に課する税金というものは、この税のうち十分の一に達しておらないと思う。各府県の実情から申しますと、主として遊興以外の飲食税であります。従つて遊興飲食税という名称では、はなはだ世間の誤解を受けることになる一つの原因になるだろうと思います。また芸者花代というものをこれに入れると——花代なんかということになると、誤解されやすいのではないか。一体花代というものは、東京あたりにはないのであります。花代とは言つてない。そういうわけで花代というものはへんなことに聞えましよう。そういうことについてこれは相当に修正することが適当ではないかと思うのです。そういうことについて今お考えがありましたら御答弁願いたい。
  48. 本多市郎

    本多国務大臣 これは先日も御質問がありまして、一応の考えを申し上げたことがあるのでございますが、この遊興の段階からほとんど生活的に、実質的に必要のある飲食というものの、その限界でございますが、これはずつと段階がつながつているように考えられます。芸者を呼ぶ飲食、宴会、それから芸者を呼ばない場合の宴会、その宴会でありましても遊興的に考えられる高級の宴会から、ほとんど食堂の実質的な飲食、それからあるいは質素な族館の宿泊というようなものに至るまでそれぞれ段階があります。しかしそれはつながつているように思いますので、これを遊興飲食税といたしまして、観念といたしましては芸者が入つたような宴会、こういうものは遊興的であろう。さらに芸者が入らなくてもそれに匹敵するような相当場所での高い宴会ならば、やはりこれも遊興に属するであろうということで、これは遊興飲食税というふうに一本にしておきまして、その段階に応じて税率で調節して行くということが、実施上適当ではないだろうか。こういうふうに考えているわけでありまして、愼重に御調査をお願いいたします。
  49. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 ちよつとお伺いいたしますが、百十三條の「喫茶店、旅館その他これらに類する場所」の「その他これらに類する場所」という認定は、これは府県知事がするのであるか、どうかということを聞きたい。その理由はいつかも問題になつたようでありますが、堂々と営業免許の許可を得て看板を掲げているものに対しては、相当な重税——これは遊興飲食する人間にかかるわけでありますけれども、その他営業税もとられますけれども、いろいろな罰則も負担させられる。しかるに今日たとえば寮といつたような名前、これはなるほど会社の専属のものではありますけれども、しかしながら大会社の寮のごときは連日連夜、そこで飲食している。これは事実であります。その事実はだれも知らない事実じやなくて、ほとんど半公然の事実である。これを「その他これらに類する場所」として、知事は認定し得るやいなや。先ほど事実上の行為としてのいろいろな、これに類するような諸問題が、大石さんから問題になつたのでありますが、そういうようなものに対するところの取扱いが、入場料の場合にはただで入場させた場合でも、場合によつてはとつてもいいというような規定がありますが、遊興飲食税の場合では、私は探しましたけれども、どこにもそういうような規定はないのでありますが、これはどういうふうにお考えになつてこれを抜いておられるのか。これは百十三條の解釈で、当然できるのだというようにお考えになつて抜いておられるのか、その辺のところを承りたい。
  50. 奧野誠亮

    奧野政府委員 百十三條で、「その他これらに類する場所」というふうに規定いたしておりますのは、料理店とか貸席とかいうような名前を使いませんで、寮その他の名目を使いました場合でありましても、課税の対象にするという意味で、このような規定を置いているわけであります。もとより認定は道府県が行うわけでありますけれども、客観的にその認定が正しくなければならないことは言うまでもないことだと思うのであります。今お話しになりました大会社の寮というような名目で、大きなお客の行為をやつているものも、課税の対象にすべきだというお説でありますが、先般まで料飲食営業が停止になつておりました関係上、そういう行為が至るところに見られたわけであります。そのために百十四條の規定を設けまして、料理屋でありませんでも、そういう寮等でありましても、その食物が料理店とか仕出し屋等から持ち込まれて参ります場合には、それをやはり料理店等における飲食とみなして課税をして行く、こういう制度を設けたわけであります。しかしながら、その寮におきまして、よそから料理を運んで来るわけではない、しかもまたそこで飲食する人たちは料金は少しも拂わないのだ、まつたく完全なお客となつてそこに行くんだというものでありましたら、これはどうも課税の対象にならないのじやないか。お説のような場合もあり得るわけでありますけれども、個人が家で大きなお客をする場合もございますし、その間のけじめが非常にむずかしいだろうと思うのであります。従つてお話のような点が非常に多い所におきましては、たとえば福岡県におきましては寮等にも課税をするような法定外独立税を設けております。そういう地域におきましては特別な課税の方法を別個に考えていただくよりしかたがないのじないか。ただ個人がお客をする場合と、会社がお客をする場合と、その間にいろいろな段階があるわけでありますけれども、一率に課税するというような態度もいかがかというような考え方から、百十四條の規定をもつて、他から料理を運んで来る場合にだけ課税をするというような方針にいたしているわけであります。
  51. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 どうもそれはしかし実際問題としてかえつて逆じやないかと思うのです。小さい会社なんかであれば、自分らの寮を持たぬ。従つていろいろなお客をする場合に料理屋からでも料理を運ばなければならないというような事情がありましようが、大きな会社の寮に行きますと、料理人は専属がいる。そして専属の料理人、専属の給仕人がおつて毎日サービスしている。しかも普通一般の者は宿屋にとまつて税金をとられる。ところが、その寮にとまれば、税金もかからぬということは、民法上の制限といつたようなことを言うならば、かけるような必要はないかもしれませんが、税金というものは事実を把握してとるのではないか。たとえば税務署が税金をとる場合でも、やみという事実を認めて課する。法制上は国家の建前から言えばやみというものは認めてならないことになつている。にもかかわらず、やみという事実を認めてとつているのが税金の建前。ですから、この場合でも事実上の行為をやつている、しかもそれがこつそりやつているのでなくて第三者でもはつきりわかつているというような場合であつても、しいて他から飲食物を持つて来なければ税金をかけないというような形式上の理論では、真の税法ではないというような気がする。むしろ百十三條の解釈は知事なら知事にまかせられるというようにするのが、実際問題として適当じやないかと存ずるが、その点はどうであるか。
  52. 小野哲

    ○小野政府委員 ただいま龍野さんからお話がございましたが、百十三條の「その他これらに類する場所に於ける遊興」云々につきましての認定の問題でありますが、これはその行為地所在の道府県の知事が認定いたしまして処理する、こういうことに御了解願つていいだろうと思います。
  53. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 できるんですね、認定は……
  54. 小野哲

    ○小野政府委員 できるのです。
  55. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 本多国務大臣質問いたしますが、婦人が参政権を與えられてここに五年になります。敗戦の結果かくのごとく日本の婦人は解放されました。それと同時に日本の国においては、公娼制度というものは全廃になつております。私はこの問題は国際的な問題であると思いますから、愼重に大臣に考えていただきたいと思うのですが、私が調べました吉原でもやはり遊興飲食税をとつております。そうするとその吉原の女子というものはあれはやはり公娼として鑑札を納めたからして、政府遊興飲食税をおとりになつておるのでございますね。そうすると日本の政府というものは公娼制度を認めるということになるのでありますね。この見解を私はお聞きしたいと思うのですけれども、奥野さんなんかがややなさつておられますが、この見解をはつきり私は聞かせていただきたいと思います。
  56. 本多市郎

    本多国務大臣 酌婦というものを認めるということが、公娼制度を認めるということになるかどうかということの御議論じやないかと思いますが、従来娼妓という名称は、売春行為を含むもののように解せられておりましたのでございますが、今回この税法にあげておりまする酌婦と申しますのは、やはり芸者と同じように、客にサービスを提供するという趣旨のものと解しております。従つてこのサービスの代償として花代と同じ性質のものが支拂われる。これはやはり遊興税の対象としてよかろうと考えておるのでございまして、その娼妓というものが実質的には売春的な行為をやつておる、そのために收入があるのであつて、それを対象として税金をとることは、売春行為を認め、それに課税をしておることになりはしないかという御議論でありますけれども、これはどこまでも政府といたしましては、そのサービスの内容として売春の行為が行われることを前提にしたものではないのでありまして、こうしたことはもちろん国の制度としても廃止されておることでございますが、婦人自体においても十分自覚せられまして、そうしたサービスによつてかせぐということがないようにいたしたいと考えております。
  57. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 本多国務大臣にお尋ねしますが、それでは婦人が無自覚なるがゆえに酌婦に陥る、こうおつしやるのですか。そうすると酌婦芸者とどう違いますか。芸者というのは三味線をひく者を芸者というのですか。しからばそれには花代がついておる。ところが吉原のああした女性にもいわゆる花代がついておりますが、すると芸者酌婦とその見解を聞かせてください。
  58. 本多市郎

    本多国務大臣 今私が申し上げましたのは、酌婦サービスも、芸者サービスも同じような性質サービスであると申し上げたのでありまして、従来ありました娼妓という売春的なサービスをもつぱらやるようなものとは、全然違うと考え酌婦ということを申しておるのでございます。
  59. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 そうするとなぜ九州一円は税金をとつておらないのですか。本多さん、私の言うことを聞いてください。九州と青森は税金をとつておらぬ。ほかは税金をみなとつておる。そうしたら日本をみな平等にしたらいいじやないですか。ある一方では税金をとり、ある一方では税金をとらぬ、その見解をはつきりしてください。
  60. 本多市郎

    本多国務大臣 酌婦と認むべきであるか、単なる飲食店の女中さんとしてのサービスであるかというようなことにつきまして、それぞれ地方実情に応じて、地方の自治体の認定が相違する結果、そういうふうになつているのではないかと存じます。これは飲食店の普通の女中さんでありますと、花代ということでなく、接客人税の対象となるだけでございまして、そうした営業状態と申しましようか、そういうもの実情に応じて、各地方で認定が異なつているものだろうと考えられます。
  61. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 本多国務大臣、しからば何ゆえに週に二回の検黴をするのですか。これは国家が認めておる証拠じやありませんか。はつきりおつしやつてくださいその点を……
  62. 本多市郎

    本多国務大臣 これはまあ国民保健衛生の見地から……(笑声)(大石ヨ)委員本多さん、うまいことをぐによぐによとごまかすな」と呼ぶお客に接する、多く公衆に接するような人であるがゆえに、行われているのだろうと存じます。
  63. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 これは何ぼやつてつても同じことです。
  64. 中島守利

    中島委員長 第四節から第八節までを議題といたします。第百四十五條より二百九十一條
  65. 奧野誠亮

    奧野政府委員 百四十五條の自動車税の納税義務者等の問題は、かわりはございません。百四十七條で新しく標準税率規定を設けたわけでございます。この税額を定めました根拠は、現在の自動車税、自動車税附加税、都市計画税の自動車割、そういうものの全体の收入額と大体同じようなところに、自動車の種類別に税額を定めたわけでございます。百四十八條で自動車税の賦課期日、百四十九條の自動車税の納期を新しく定めましたが、さらに百五十條で、自動車税の税額が割合大さいものでありますから、賦課期日後に納税義務が発生消滅いたしました場合には、月割で追徴いたしましたり、あるいは月割で還付いたしましたりするような措置を講ずることにいたしております。以下は同じ規定を置いたのでありますが、従来の規定と、あるいは税に関します制度と、別段かわつたところはございません。ただ一箇所、百七十二條でありまして、百八十三ページにあります。「道府県は、当該道府県條例の定めるところによつて、納税者が自動車税に係る地方団体徴収金を完納した場合においては、これを完納した場合にその旨を証する証票を当該納税者に交付しなければならない。2 前項の証票の交付を受けた者は、これを自動車の前部の窓ガラスにはらなければならない。3 道府県は、第一項の証票に一連の番号を附けなければならない。」こういうふな規定をつけまして、納税済みであるかどうかということを明確にわかるようにしておきたいという制度にいたしております。  次に百八十六ページの第五節の鉱区税であります。これも特別かわつたところはございませんで、百八十條の税率も、従来の税率と同じであります。その他賦課徴收に関します制度も他の税目と同じでありますので、説明を遠慮させていただきます。  二百五ページの第六節漁業権税であります。第二百九條で、漁業権税は漁業権に対して賃貸料を課税標準として課することにいたしておるわけでありますが、その漁業権の中から共同漁業権及び入漁権を除くことにいたしております。入漁権を除くことにいたしましたのは、従来も同じことでありますが、新しく共同漁業権を除外いたました点がかわつておるわけであります。二年以後新しい漁業法に基きまして共同漁業権と呼ばれることになるわけでありますが、大部分は従来の専用漁業権のことでありますが、この共同漁業権を新しい漁業法が施行されるまでは専用漁業権と読みかえるのだという規定を最後のところに置いております。たとえば貝類の採取でありますとか、藻類の採取でありますとか、そういうようなものの漁業権につきましては、住民が共同してこの業に従事いたしておりますので、そういう種類の漁業権に課しますことは、あまり零細な漁民に対しまして、負担を転嫁させることになりまして好ましくありませんので、こういうような漁業権に対します課税は除外するという方針をとつたわけであります。さらに課税標準は賃貸料をとるのだということをここに規定したわけでありまして、新しい漁業法では、漁業権は貸付の目的となることはできないことになつておりますので、新しい漁業法が施行されます場合には、漁業権につきまして、さらに検討を加えたいというふうな考え方を持つておるわけであります。  それから二百十一條で、「漁業権税の標準税率は、百分の十とする。」という規定を新しく設けております。これも現在の漁業権税の総收入額と、新しい漁業権税の総牧収入額が大体同じようなところに目標を置きまして、この税率を定めておるのであります。そのほか漁業権税につきましては、別段にかわつたところはございませんので、説明を遠慮させていただきます。  二百二十四ページの第七節、狩猟者税に移りたいと思いますが、狩猟者税の二百二十七條税率も、従来と同額であります。さらにまた徴收の方法等も従来の狩猟者税の場合と、別段かわつたところはございません。同じような規定を重複して書いておりますので、これも説明を省略させていただきます。  二百四十ページの第八節道府県法定外普通税のところに移りたいと思います。二百五十九條によりますと、「道府県は、第四條第三項の規定による普通税を新設し、又は変更しようとする場合においては、あらかじめ、地方財政委員会の許可を受けなければならない。」ことにしております。現行制度は、道府県が法定外独税税をつくりました場合には、これを地方財政委員会に報告をいたして参るわけであります。しかし報告を受けまして、八十日間これをほうつておきますと、そのまま法定外独立税として効力を発生するのでありまして、もしこれを取消したり、変更したりしなければなりません場合には、別につくつております地方税審議会の審査の請求をいたしまして、その地方税審議会で、あるいは取消し、あるいは変更の処置を適当だというふうに決定いたしました場合には、その決定に基きまして、地方自治庁で処分をするというような仕組みになつてつたわけでありますが、これは地方財政委員会の性格というものが、地方団体の代表者が、五人のうち三人まで占めるというふうな考え方のもとに、許可の制度に切りかえてもさしつかえないというふうな考え方に立つておるわけであります。  二百六十一條では、許可の制度にはかえましたけれども、やはり地方団体の自主的な措置というものを尊重するのだという趣旨を、ここに強くうたつてあるわけであります。すなわち「地方財政委員会は、第二百五十九條の規定による申請を受理した場合において、当該申請に係る道府県法定外普通税について当該道府県にその税收入を確保できる税源があること及びその税收入を必要とする当該道府県財政需要があることが明らかであるときは、これを許可しなければならない。」としているわけであります。「但し、左に掲げる事由があると認める場合においては、その許可をすることができない。」というふうに、許可をしない場合を限定いたしておるわけであります。  二百六十二條は道府県法定外普通税の非課税の範囲でありまして、現行と特別な変更はございません。そのほか徴收の方法等は二百六十三條で道府県が適宜にきめるというような制度をとつておるわけであります。その他の手続あるいは罰則につきましては、他の道府県税とまつたく同じでありますので、説明を省略させていただきます。
  66. 大泉寛三

    大泉委員 これはあまり小さい問題ですが、自動車に対する乗用車の自家用と営業用とはどういうふうな区別をされておるのでありますか。大体常業用というのはタクシーのことであると言われておると思いますが、しかし会社、銀行等で常業用に供しておる乗用車もあります。これは自家用と見るのですか。営業用と見るのですか。
  67. 奧野誠亮

    奧野政府委員 運送業を営んでおりません会社等が持つております自動車は、これは自家用と見ております。大会社が乗用車等を持つております場合には、これは全部自家用に取扱われております。
  68. 大泉寛三

    大泉委員 どうして自家用と営業用の課税の差等があるのでしようか、その根拠をお伺いします。
  69. 奧野誠亮

    奧野政府委員 自家用の方は割合に担税力のある人たちが持つておるというふうに、一般的には言えるだろう。ことに個人用のものなどにおきましては、多少奢侈的な面もあるだろうと思います。そういうふうなところを総合的に考えまして、税率を区分するという従来からの制度を、踏襲しておるわけであります。
  70. 大泉寛三

    大泉委員 考え方がどうも私はあまり好ましくないと思うのであります。しかしやはり従来からそうした社会主義的な考え方は、いつもあるから問題になるのでありまして、あまり論議しませんが、そこで罰則の点についてであります。これがそうした間違いからあるいは滞納に至るまでの脱税等によつて三年以下の懲役、もしくは五十万円というようなことが結果において罰則になる。一台について年額わずか五千円ばかりの問題ですが、考えようによつてはそれがごまかしたとか、あるいは脱税だとかいうような解釈にもなる。そうしたことがわずか五千円ばかりのことであるから、どちらにしても同じようにした方がいいのではないか。どこまでも五十万円の罰金をまかり間違えばとられる。そればかりでなく懲役が三年になつたりでもするような非常に途方もない罰則考えられ、常識はずれの罰則である。どうも法文になりますと、私どもは非常にこうしたことが納得できない。ことに二、三日前もこれは余談でありますけれども、人口八十万以上の市町村、そんな村も町もないわけでありますが、やはり文章としてはそういう言葉を使つておる。あまりに現実に適合しない非常識な考え方で、いつも何でもかんでも救えるというようなことで、法文を法制化するということは、はなはだ国民に対して不親切なやり方であると思います。
  71. 奧野誠亮

    奧野政府委員 罰則は今回の改正で各税目に照しました結果、非常にどぎつく目につくのであります。しかもまたその結果非常に御注意を受けまして、いろいろ御意見かせていただきましたことはわれわれといたしましても、非常にありがたく考えております。ただ五十万円といたしましたのは、現状よりもやはり下げておる考え方をとつておるのであります。またこれを五十万円にいたしましたのは、タクシー会社などにおきまして、五十台くらいの自動車を持つておるところは相当あるだろう。そうすると一年間一回で行つた方がいいかもしれませんか、晩税をやつてしまいますと、すぐ五十万円になりますので、従来でありますと五十万円の五倍でありますから、二百五十万円の罰金を納めなければなりませんので、大体五十万円をとつた方がいいだろう。そこで五十万円にいたしたわけであります。  それから税率の問題でありまするが、自家用車を重くしておりますのは乗用車だけでありまして、貨物車は自家用と営業用と区別していない点は、御了解を願つておきたいと思います。
  72. 藤田義光

    ○藤田委員 自動車税に関連して簡單にお伺いしたいのです。最近外国人、すなわち第三国人の自動車が非常にふえておる。所有者が外国人であつて、実際に営業用に日本の会社で運営しておるというふうな場合の税金は、どうなりますか。
  73. 奧野誠亮

    奧野政府委員 外国人が自動車を持つておりましても、当然その外国人が自動車税を拂うべきでございます。現在外国人所有の自動車が非常にふえて参つておりまして、この面の自動車税の收入額というものが、相当大きくなつて参るわけであります。
  74. 藤田義光

    ○藤田委員 それからただいま御説明のありました各種税目のうちで漁業権税と自動車税が月割になつておりますが何か根拠があるのでございますか。四半期ごとに納めるとか年二回ということでなく、漁業権税と自動車税だけが月割になつておりますが、その理由がありましたならば述べてください。
  75. 奧野誠亮

    奧野政府委員 ちよつと月割と言いますと誤解を招くのではないかと思うのです。自動車税は年二回にわたつて納付するわけであります。漁業権税はあるいは一回でありましたり、二回でありましたり、道府県が適宜にきめるだろうと思います。そしてたとえば自転車税とか荷車税あるいは固定資産税も同じでありまするが、かりに賦課期日を四月一日といたします。五月になつて自動車を取得した、あるいは荷車を取得したという場合には、荷車や自転車や固定資産税の場合は、その期間分の税金は一切いらないわけであります。反面に五月になつて火事で焼いてしまいましても、税金は全額納めなければならないのであります。ところが自動車につきましてはその場合でありましても五月以降を月割で徴收する、あるいは五月によそへ売つてしまうあるいは火事で燒いてしまいますと、その人は四月、五月分だけでよろしい。あとは返してくれる。こういう制度になつておるわけであります。これは自転車税や荷車税は小さいのですが、自動車税はかなり大きいのですから、賦課期日の発生の事実に伴いまして税額も、古い所有者と新しい所有者に所有の期間において負担してもらうというような制度にしておるのであります。
  76. 藤田義光

    ○藤田委員 次は鉱区税の点でありますが、百八十一條に賦課期日は十一月一日となつております。その次の百八十二條の「鉱区税の納期は十二月中において当該道府県條例で定める。」というふうになつております。実際上の納期がはつきりしないのでございますが、これは條例で納期をきめさせる趣旨でございますか、お伺いいたします。
  77. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お話の通り條例で納期をきめてもらうわけであります。これは賦課処分をするわけでありますから、鉱業権者は令書をもらつて納めるわけであります。多少納期が違つておりましても、鉱業権者にそう迷惑を與えることはないと思つております。
  78. 藤田義光

    ○藤田委員 次に道府県決定外の普通税でありますが、御存じのように、シャウプ勧告におきましても、なるべく法定外の税目を整理して、税源を整備しようという趣旨でありますが、二百六十一條の制限の範囲内ならば、どしどし法定外の普通税がつくられるという印象を與えます。この二箇條件を満たせば、どんどん道府県税がつくられるのではないか。たとえば国立公園の阿蘇山上で写真一枚ばちりととれば四百円とられる。これは四月一日から実施せられておりますが、これもやはり一種の税金じやないかと思います。これはおそらくこれにはめ込んで、地方財政委員会の御許可を求めに来るだろうと思います。そうすると制限はある、しかも財政需要上必要であるというこの法文の要求を満たすわけでありますが、立法の趣旨と申しますか、そういう場合の法文の救済策を簡單にお伺いいたしたいと思います。
  79. 奧野誠亮

    奧野政府委員 仰せのように、現在法定外の独立税は濫設されております。しかしその濫設されております根本の原因を尋ねますと、地方財源というものが全体として不足であり、しかも地方団体間におけるところの財源の調整というものがアンバランスになつておるという点にあると思うのであります。今回の制度改正によりまして、そういうふうな点が除かれますので、あえて好んで地方団体が法定外の独立税を起すことはないだろうと思つております。地方団体、が法定外の独立税を起します場合にも、もとより住民の新しい負机になるわけでありますから、非常な勇気がいると思います。蛮勇を振つて、あえて法定外の独立税を起さなければならなかつたというのが、過去の実情であります。今回の地方税法の改正にあたりましては、それほどむずかしい事由がなくてもよいということになりますれば、おのずから法定外の独立税が許可の申請をいたしますのも、むしろ例外になるというふうに考えております。ただいまお話になりました特殊の法定外の独立税の内容を、私はよく存じませんのでわかりませんが、たとえば国が観光という点に重要な意味を持たせております場合には、国の経済政策に照らして適当ではないというふうなことにもなりまして、あるいは地方財政委員会で許可ができないというようなことも予想されると思います。
  80. 藤田義光

    ○藤田委員 私は都道府県税の逐條審議が終りましたので、一貫してながめまして心配いたしますのは、御存じの通り、鹿児島、熊本のごとき農業県におきましては、附加価値税による県税の減收というものは莫大なものであります。大体概算してみますとも熊本県が六億、鹿兒島県のごときは七億くらいの減收が予想されます。それを救済するのには、平衡交付金その他の方法をとられるだろうと思いますが、おそらくこれもまかない切れないというのは、既定の事実じやなかろうかと思います。その際におきまして、相当有力な法定外の普通税が出て来はしないかと思います。そういう附加価値税にかわるような大きな法定外の普通税が出て来ました際におきまして、本多さんとしてはどういう態度をとられるであろうかという一応の将来の予想に基く御答弁をお願いしたいと思います。
  81. 本多市郎

    本多国務大臣 お話のような場合でありますと、やはり法定外の独立税を、その條件に抵触しない限りは認めなければならないことになるだろうと思います。しかし今回予定いたしておりまするものは、主として地方団体の意見を代表する、地方財政委員会の権限事項に属するのでありまして、私といたしましては、実情がよくそこに反映するように、さらにまた国家財政、経済の立場からも、均衡を失せぬように考慮されることを推進したいと考えております。
  82. 藤田義光

    ○藤田委員 これは地方制度のエキスパートである本多さんよくおわかりと思いますが、実はこの税法の総則の中で、別に税目を起して普通税を課することができるということをうたいましたことが、ややもすれば地方公共団体に法定外の普通税を、一般原則として認めたような印象を與えます。せつかく税目を整理してりつぱな法律をつくろうという事務当局の苦心が、この一箇條によつて相当弱まるような気がいたします。従つて第八節で、原則としては法定外の普通税はつくつてはいけいというような條文を計画されたことはいかどうかお聞きしたいのであります。もしそれがいとすれば、将来においてぜひとも考慮していただきたい重大点ではいかと思います。御答弁をお願いいたします。
  83. 本多市郎

    本多国務大臣 その條文の表現のしかたが、積極的に許す方針のように解せられますことは、私どもの考えと、ちよつと反しておるように見えるかとも存じます。われわれといたしましても、今回の税制改革によりまして、できる限りそういうものをくしたいという方針でございますので、そういう表現につておりましても、必要やむを得ざる場合、許可されることがある、そういう方針で進みたいと考えております。従来の通達等によりまして法定外の普通税の設立を、できるだけ濫設に陷らいようにということで、やつて来ておるのでありますが、今回の改正によりまして、一層そうした方針で指導はできるだけいたしたいと考えております。
  84. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 私は本多国務大臣にお尋ねしたいと思います。これは日本国民全体が非常に聞きたいことであろうと思つておりますが、敗戰後日本の天皇は人間にられたのです。それでここにあります事業税、固定資産税、附加価値税を、天皇御一家、高松宮、三笠宮にも課税せられるのですか。詳細に承りたいと思います。
  85. 本多市郎

    本多国務大臣 課税について差別はございません。全部かかるのでございます。
  86. 床次徳二

    床次委員 小さことですが、狩猟者税のことについてでありますが、最近地方によりましては狩猟者税が高いために、野獸等の駆除が十分にできいということを訴えておるところもあるよう気がするのであります。今までの状況においてかかる状況があつたかどうか、農山村の被害がそのためにふえつつあるかどうかということについて、簡單に御説明願いたいと思います。
  87. 奧野誠亮

    奧野政府委員 狩猟者税は昨年の改正におきまして、三段階にわかれておりました税率を、大体まん中辺の一本の税率にしたわけであります。その結果所得の少い人たちにとりましては、若干負担が重くつたことは事実だろうと思います。しかしがら御説のように、この狩猟者税のために特に獸害がははだしくつたというふうには、考えられいと思うのでありまして、そういう場合には、部落が協同して駆除対策を講じて行くのが一般の例であります。またそういう場合には、狩猟期間以外でありましても、特に許可を受けて狩猟を行うことができるわけでありますので、必ずしも御説がそのまま、これにのみ罪をかぶせるわけには行かいのじやいかというふうに考えております。
  88. 門司亮

    ○門司委員 あとで詳細ことは聞くといたしまして、大体のことをお聞きしておきたいと思いますことは、遊興飲食税の、百十五條にあります「芸者その他これに類する者の花代」と書いてありますが、この「類する者」というのは、おわかりらば一応御説明願いたい。そういうことを聞きますのは、この遊興飲食税というものの取扱いが非常にむずかしいのでありますけれども、遊興をどこまで遊興とみすか、あるいは飲食をどの範囲まで飲食と見るかということであります。飲食に附随して酒の酌をするよう女の子がはべるというようのを遊興飲食とみすという定義だと思いますが、もしこの場合の限界が御説明できますればお伺いいたしたい。同時に遊興飲食の問題で、税率は一応引下げておりますが、現状を見ますと、大体徴收されていいというのが事実であります。おそらく調定額の半分も徴税することは困難である。そうして他の税金に対しましては、非常に大き罰則をもつて臨んでおりますが、遊興飲食税だけは、課税率が非常に苛酷であるということのために、事実上の問題として実行されていことは、天下周知の事実だと思います。同じ税金でありがら、一方においては、税金を納めければ非常に重い罰則を科せられる。一方においては、税一華が非常に高いことのためにとることが不可能である。従つてこれはいいかげんに話合いの上で納めるという税金が、日本の中にあるということは私はすべての徴税の上に大き問題を引起すと考える。この点についての解釈はどうか。はたしてこれだけ完全に收納し得るかどうか。もしこれができかつたら、その責任は一体だれが負うべきかということであります。
  89. 奧野誠亮

    奧野政府委員 芸者その他これに類するものの範囲いかんということは、先ほど大臣からお答えにつたわけでありますが、従来はこれに類するものの範囲を、総理大臣の告示で定めておつたわけであります。そのときには酌婦だけを指定しておりました。しかしがら芸者といい、あるいは酌婦といい、地方によりましては、名前の呼び方はまちまちであります。それよりもむしろ花代をとつておりますものを、これに類するものと考えるらばよろしいわけでありますので、むしろ地方の認定にまつた方が、かえつて穏当ではかろうかという考え方をいたしまして今度はこれに類するものというよう言葉に改めたわけであります。  第二の遊興飲食税徴收成績についての御意見でありますが、私も御意見の通りだと思います。まことに遺憾ことでありまして、それがために今回の改正にあたりましては、第一には税率を適正にしよう、こういうふう考え方のもとに若干引下げを行つておるわけであります。言いかえれば、この税率により、徴收を強行しても、一般に見て不穏当ではい、そういうようところに税率一定め、反面徴收を強行すべきである。こういうふう考え方をとつております。   第二には、必要によりましては、言いかえれば特別徴收義務者の協力の程度に応じまして、あるいは領收証を発行しければらぬ義務を課すとか、あるいは証紙を渡さければらぬ義務を課すとか、こういうよう点を明確にしたわけであります。  第三には、それは必ずしも大き意義を持たいかもしれませんが、登録を必要とする、あるいはさらにその場合には、登録をした一定のしるしを店頭に掲げ、そうして国民の協力を得がら、料金税金とがはつきり区別されて徴收されるように、持つて行きたいというよう考え方を表わしております。   第四には、特別徴收義務者が従来は、單に申告する。申告をいたしましても、それにつきまして、地方団体があるいは更正をする、あるいは申告がい場合に税額決定する、こういう措置をとりませんでしたのを、申告納入制度に改めまして、申告して参りません場合には税額決定する、あるいは申告をした額が不当に少額であります場合には、これを更正をしてその問題を毎月々々解決して行く。そうして税金がたまらいうちに必要額を納入させ、反面さらに将来において確実に徴收して行かければらいという気構えを持たして行く、こういうふう仕組みに則りかえて行くわけであります。遊興飲食税の現在の状況は、根本には料理飲食営業というものが停止された。従つて遊興飲食をした場合には、そのこと自体が罰則にふれるというようことから、今日遊興飲食税徴收状況というものが、混乱に陷つたのだと思つておるのであります。幸いにして地方団体も非常に努力しておりますし、また料理飲食業者の人も非常る協力態勢を示して行つておりますので、今後は漸次成績も上つて行くだろうと期待しておるわけであります。
  90. 門司亮

    ○門司委員 多少議論にると思いますが、私がさつき聞きましたことはもし徴税できかつたときの責任の所在であります。私は遊興飲食税はもちろん遊興飲食をした者が支拂うべき義務があると考えております。同時にそれを徴收する義務のある徴收義務者が、まとめて納めるべきものであると考えております。その場合に、実際上の問題にりますと、業者の申告によると千六百億くらいの売上げがあると言われておる。そうすると一割としても百六十億を納めなければならない。それが去年は九十八億の税金すら完全に納められていないのでありますが、その脱税の処罰はどういうふうになつておるか。それは徴税義務者責任であるのか、だれがその責任を負うのか、御見解を承りたい。
  91. 本多市郎

    本多国務大臣 遊興飲食税の課税標準になる遊興飲食額が、一千五も六百億にもなるということを前提として考えますと、まことに今日までの税の捕捉というものが、不徹底だつたということに考えられます。またそういう多額な捕捉ができるといたしますならば、一割にしても百五十億はとれるのでございますから、税率を引下げても予定收入は得られるわけでありますけれども、これはなかなかそこまで現実には課税標準を捕捉することは、困難であろうと思います。さらに税率といたしまして、その負担力の均衡、奢侈の程度等を勘案いたしまして、提案いたしております程度税率が、負担力、奢侈的という方面からも均衡のとれておるところではないかと考えられます。しかしこれも標準税率で、ございまして、ほんとうにその遊興飲食額の捕捉が相当充実して、それより以下でとつても財源がまかなえるというような場合には、税率を低くしてとるというようなことも、地方団体に認められておるわけでございますので、そこの捕捉は困難と存じますけれども、その捕捉によつては、税率を下げて適用することもできる。政府のただいまの見込みといたしましては、今日まで捕捉が非常に困難であつた点、その他、他の税率との均衡上、標準としてはこの程度決定することが適当であると考えた次第であります。
  92. 門司亮

    ○門司委員 そういうことになつて参りますと、私の聞いておりますのは、税率が適当であるかどうかということは、まだ実はお聞きしていないわけであります。ただそうした場合に、罰則をどれに適用するかということであります。一体業者が納めなかつたということに罰則の重点を置くのか、飲食をした当然納入すべき者が納税しなかつたということに、罰則の重点を置くのか、どちらにこの罰則の重点を置くのですか。
  93. 本多市郎

    本多国務大臣 徴税成績の上らなかつた責任というものは、やはり府県知事ということになりましようが、納めなかつたということの責任は、とらなかつた徴收義務者責任者でありましてこの罰則徴收義務者にかかることと考えております。
  94. 門司亮

    ○門司委員 やや明瞭になつて参りましたが、そういたしますと、それの認定でありますが、更正決定を受けることになつておりますが、更正決定を受けます場合においては、徴税義務者は虚偽の申告をしたものとみなしてさしつかえがあるか、ないかということであります。この法律によりますると、徴税申告が非常に少かつた場合は更正決定をする、こういう結論でありまするが、そういたしますると、税徴の申告が非常に少かつた場合には、その業者は当然徴税義務を怠つたものとして処分されるかどうか。
  95. 本多市郎

    本多国務大臣 これは申告が少かつた場合というお話でありますが、事実と相違して少かつた場合は罰せられるだろうと思います。
  96. 門司亮

    ○門司委員 そうなつて参りますると、これは非常に多くの罪人をこしらえる法律になりはしないかと私は考えておる。こういう法律ができて、今のお話のように、徴税義務者がそれの罰則の適用を受くべきだということになつて参りますると、この税率ではとうてい業者は納めることは困難である。お客からこれを徴收することは、きわめて困難だということになりますると、その困難な事実に基いて罰則を適用しなければならないということになつて参りますると、非常に業者は迷惑すると考えております。従つて十分飲食税を納め得る、または徴收し得る範囲までこの税率を下げて行くということが、私は法の建前としては、ぜひなければならぬと考えております。しかもさつき申し上げておりますように、これが標準税率であるといたしますならば、私は標準税率をこういう高いところに置くということは、非常に不合理だと思います。もし地方の町村において税率を下げた方がよけいとれるという見込みがついて、かりにこれを現在業者その他が申し上げておりまするように、一割程度に引下げた地方長官があつたといたしまするときに、平衡交付金との関係が一体どうなるかということであります。これは一割にしますると、ちようど最低の百分の二十の額の半分になるのでありまして、さらに百分の四十ということになりますると、四分の一の課税率をかけたということになる。そこでそういう安い課税率をかけまして、実際にそれによつて徴税が初めて満足に円満に行われている。ところが事実に基いて円満に行つた徴税が、平衡交付金の場合に、著しく課税標準より低い税率をかけているということが、その地方における徴税の上に不成績であるというようなこと、あるいはそれだけ府県に余裕があるとみなされることが、必ず私は次の平衡交付金には出て参ると考えております。そういうことは当局は絶対になさらないかどうか。
  97. 本多市郎

    本多国務大臣 標準税率によらないことのできる場合は、財政的な特別の理由がある場合でありまして、この認定は自主的に自治体がきめるのでございますから、その理由によりまして標準税率よりも安い税率を用いるということは、法律は禁じておらないのでございますから、これはできることではございますけれども、私どもといたしましては、ただいま提案いたしておりまする十割から二割にわたる税率は、それぞれ他の税率との均衡のとれているものである。またこれはこの通りにとつて決して過重にはならない。とることは相応である。かように考えている次第でございます。
  98. 門司亮

    ○門司委員 あまり議論にわたりますが、これが適当であるというお考えについて、私はもう少し明瞭な根拠を示してもらいたいと考えております。それは先ほども申し上げましたように、業者の陳情その他を聞いてみますると、どうしてもこの大きな課税率では徴收が困難である。従つて困難でありますることのためにとれない。とれないのだから納められないのだということになりますれば、この税率が他の税金との振合いとなつておりますが、とれない税金を他の税金との振合いがあるからといつてきめるということは、非常に不見識だと思います。私どもここれを審議いたします場合に、他の税目についてはまたいろいろ意見がございますが、特に料理飲食店の現状を見まするときに、法律はまつたく無視されております。先ほど申しますように、一割とつても百六十億の税金が集まるということを業者みずからが言つておりますときに、わずかに九十八億の去年の額さえ納まつておりません。その点約半分ぐらいが地方でとれるかとれぬかで、大騒ぎをやつておる。こういう不見識なものを法律によつてきめるということは、十分考え方を汚していただかなければならない。税金はもちろん担税能力との比較が非常に大きいのでございますから、どうしても納められるところまで税率を下げて行きませんと、私は法律自体の権威に非常に大きな疑いを持つておる。私が先ほど来聞いておりまするのは、そこにあるのでありまして、権威のない法律をきめてそうしてその法律が実行されないで、万やむを得ないとして、適当な処置をとつて行く。片方においては法律を適用されて、非常に苛酷な税金を納めなければならない実態ができ上つている。この納税の不合理、納める人は一本であります。税目はかえておるのでありまするが、この税金を納める人は住民税も納めなければならぬ。附加価値税も納めるでございましようし、いろいろな税金を納めておる。一方の税金は法律で定められた範囲において、きちつととられておる。この税金だけは話合いのしで、いい加減というと悪いかもしれませんが、適当な額において調定されておるというような、不見識なことを、この税法の中にきめて行くということは、はなはだ不本意だと思つておりまするが、そういうことになつても、当局はさしつかえないというようなお考え方ですか。
  99. 本多市郎

    本多国務大臣 これはさしつかえがないとかあるとか言われますけれども、前提としての考え方によることでございます。今日の情勢のもと、芸者を呼ぶことのできる人は、その花代に対するこの税率程度の負担は、他の税の納税負担と均衡のとれたものである。それだけは負担してもらつて決してさしつかえない。かように考えておるのでございまして、それが励行ができないという点につきましては、今回いろいろ徴收制度等にも改善を加えたのでございますが、ぜひこれは励行を期したいと考えております。さらにこの税率を、千五百億も遊興飲食の額があるのでありますから、一割に下げてもいいではないかということを言われまするが、これはなかなかそこまで捕捉の困難である点。さらにまた税としては、やはりこの標準税率程度のものはぜひとるべきではないか。それでなければ、税負担の均衡が得られない。われわれはかように考えておるのでございまして、この税率を極端に変更して実行することは、負担の均衡上からも、さらにまた予定收入額を上げなければならぬという点からも、不適当であると考えるのでございます。但し標準税率でございますから、財政的な特別の事情によつて、その自治体が自主的な判断で、これより低い税率を適用することもできるのでございますけれども、おそらくそうした方法では、予定收入、あるいは他の納税との均衡というものは、極端に違つた税率でありますともかけ離れてしまつて、ぐあいが悪くなるものではなかろうかと考えられます。さらにさいぜんの質問でありまするが、かりに税率を下げて、遊興飲食額を非常に多く、捕捉して実施した場合、来年度それを地方財政委員会としてどう見るか。おそらく来年度はその実績の課税標準をやはり基礎にいたしまして、標準税率で算定して平衡交付金の基礎をつくるということになるものと考えられます。しかしこれも極端に捕捉が行き過ぎているということであれば、調整を加えることがあろうと存じますけれども、その実績はやはり認定の基礎になるだろうと考えております。
  100. 門司亮

    ○門司委員 先ほどの委員長の発案にもありましたように、修正の中に百円未満のものについては、これを免税することになつておりまするが、その遊興飲食の中には非常に幅がありまして、先ほど大臣が言われたこういう時代に芸者をあげで遊興する者に対しては、これは一つの社会通念の常識から申しましても、單に遊興飲食というよりもむしろ国民的、道徳的にも罰金を負わせるというような考え方のもとに、重税を課すことも必要だと考えております。またそうだと考えておりまするが、実際の問題といたしましては、今日の遊興飲食の中に含まれておりまするものは、外食券食堂でありましても、あるいは居酒屋でありましても、ごく小さなカフエー、バー等で、ほんとうに働いております労働者が、一日の労働に対して最小の短い時間に、最も大きな慰安を與えることのために、わずかばかりの酒を飲んでおりまするそれにも税金がかかつて来ておる。たまたまそれが実際の状態から見ますると、家庭において飲食する場合においては、かかつておらないのでありまするが、これらの業者のところに参つておりますると、一応酒税をとられて、さらにその上に遊興飲食税がかけられておるという形になつておるのであります。きわめて零細な、しかもあすの労働力を養成するためにやつておる飲食にすら、こういう苛酷なものがかけられておるのでありまするが、これでも大臣は、芸者その他をあげて騒ぐ遊興飲食と同じような見解で、これをごらんになつているかどうかということであります。そういうことを私が聞きまするのは、そういう区分がちつとも設けられておりません。いずこの場所におきましても、飲食をする者に対しては、大体百分の二十をかけるということになつております。ことに外食者の場合でありまするが、外食者が食事をする場合には、当然食事に対する副食物その他、かついでなければ食事はできません。家庭で食事をいたしまする場合には、これに税金はつかないのでありまするが、同じように生活をしていてたまたまそれ独身であつたことのために、外食の食堂で食べたということによつて、同じような税率がかけられて行くということは、家庭生活を営む者と、家庭生活を営めない諸君との間に、税の負担において非常に均衡を欠いた形になると私は考えております。この点原案においては何らしんしやくされていないのでありますが、その点についてのお考えをひとつつておきたいと思います。
  101. 本多市郎

    本多国務大臣 外食券による食事は、これを遊興飲食税の対象にしないようにということは、従来も指導しておるのでありますが、これはやはり遊興飲食税はかけないように指導いたしたいと考えております。それから一定場所で飲食した場合、その場所に入つた人の生活事情がどうであるかという点を考慮して課税するということは、これはなかなか判別が困難であろうと存じます。従つて、たとえば大衆的な映画館でも十割を課しておりますが、これはお話の通り、生活救助を受けている人が入場しているかもしれませんが、そういう人をそうしたところで区別することはやはり困難であるから、同じように税がかかるのでございます。それと同様に、遊興飲食をやる場所に入る人の一々の事情によつて、区別をするということにいたしますと、これは捕捉が困難になつて行くと考えられますから、ただいまの段階を設けた程度のところで、実施することが適当であろうと思つております。
  102. 門司亮

    ○門司委員 それだけの答弁では満足できないのです。先ほど映画館の例をお引きになりましたが、映画館とは全然別な考え方でありまして、必ずしも映画というものは、特に安い映画、特にこれが少額所得者だけに限られた映画ということはないはずでありまして、映画館というものは大体きまつております。ところが料理飲食の場合におきましては、そうではなくて、先ほどから何度も申し上げておりますように、働く者がわずかの給料の中から、一日の労働で疲れておるからだを休めるために、同時にまた、あすの労働力を養う必要のために、飲食している者が必ずあると思う。これは何もぜいたくでもなければ、こういう時代に料理飲食をするということはけしからぬというりくつにも当てはまらないのでありまして、実際上の問題としてそういう者がありますが、これに対して一律の税率をかけるということはどうかと考える。それでこれを区分いたしまするならば、あるいはもし書類の上で私どもが明細にこれを書くといたしまするならば、業種別にわけても、大体そのくらいの見当はつくはずだと私は考えております。ほんとうのいわゆる肉体労働者の出入りする店——あるいはたまには、それらの諸君も高術なところに入るかもしれませんが、大体の区分は今日ついているはずだと考えております。ところがそれが一律に最低二〇%に置かれたというところに、私は非常に大きなむりがあるのじやないかと考えている。業者の考えていること、またわれわれの考えおりますことも、それらの諸君から百分の二十の税金はどう考えてもとれない。一日わずか二、三百円程度の收入しかない。しかもそれは雨の降らない日だけであるという零細な收入の諸君が、のれんをくぐつてわずか一ぱいかそこらの焼酎を飲むのに対して、二割の税金をよこせということは、言えないのが実情だろうと考えている。それらの面に対して、一律に百分の二十にきめられたという心理を、私は十分了解することができないのであります。しかしこれは、これ以上申し上げますると、議論になりまするので、一応その程度でとどめておきたいと思います。  その次に聞いておきたいことは、ごく簡單でありまするが、自動車の税金を納めた者については、自動車の一定場所にマークを張れということが書かれておりますが、これの取締りは一体だれにおまかせになるかということであります。
  103. 奧野誠亮

    奧野政府委員 その点は徴税吏がやりますが、一般国民の協力を求めなければならぬと思います。
  104. 門司亮

    ○門司委員 私が心配いたしておりまするのは、一般徴税吏と申しておられますが、自動車は始終走つております、車庫に一日入つていれば、あるいはわかるかもしれませんが、おそらく車庫に休んでいるのは、朝早くか、夕方でなければならないと考える。それで一般徴税吏にやらせるということは、あなたの御答弁としては、それでいいのでありますが、実際上はそれでは行えない。そこでどうしてもこれは警察権を利用する以外に手はないと私は考えます。おそらくそういうことは考えていられると思うのですが、一般の協力とは警察の協力だと私は解釈するのだが、そう解釈してよろしゆうございますか。
  105. 奧野誠亮

    奧野政府委員 こういう制度にいたしますと、税金を納めていない人間と、納めている人間とが、非常に明瞭になるわけであります。ある自動車は税金を納めたというしるしをガラスに張つてつている、ある自動車は張つてつていない。おそらく税金を納める時期が過ぎてしまつているのに、それを張らないで走るような傲慢な人は国民の中にはあまりないのじやなかろうか、おのずから自粛した空気が生れて来るのじやないかということを期待しております。
  106. 門司亮

    ○門司委員 こうなると、少し議論が飛躍して参りますが、私はむしろ率直に、他の協力というのは、警察なら警察に依頼してでも、そういう者がなくなるようにしたいという御答弁をいただくことの方がよかつたと思いますが、今のような御答弁をいただいて参りますと、これからすべての納税しなかつた者の窓口に札を張るお考えですか。
  107. 奧野誠亮

    奧野政府委員 自動車は、自動車そのものに対して税金がかかるわけでありますから、自動車を持ちます以上、当然税金を納めなければならぬわけであります。従つて、御質問になつた点等は、ちよつと食い違いがあるのじやないだろうかと思つております。しかしまた自動車につきましては嚴重な登録制が行われておりまして、番号も明瞭になつているわけでありますから、あえて警察の力をかりませんでも、走つている車で、納税番号を張つていない車がありましたら、納税をすれば番号が張つであるわけでありますから、利用者にも簡單にわかるわけであります。従つて御心配になるような警察権の濫用といいますか、そういうことにわたらないでも、こういう制度において円滑な徴税が確実に励行されて行くということになるのではないかという期待を持つております。
  108. 門司亮

    ○門司委員 もう少し素直にお考え願いたいと思います。私は何も警察権を濫用して、これを取締れと言つたわけじやありません。その協力を求めることが非常に困難だと思いますが、正直に証票を張るとは考えておりますが、しかし取締りをするにあたりまして、これに過料がくつついておりますので、過料をおとりになるということになれば、何らかの発見の方法が講じられなければならない。発見の方法を講ずるには、どうしても一般の協力を求めると言いますが、自動車の速度は相当早い、街路に立つて見ておつて、この自動車が税金を納めているか、納めていないいかということに、一般の者が協力するとは私は考えられないので、これを嚴重に行おうとすれば、ある程度これをとろうとすれば、やはり交通取締りの任に当つております警察官か、これに協力して行くというのが、大体常識上考えられる建前だと思う。それをさきのお話のように、警察権を濫用して、これを弾圧するというような考え方は、私は毛頭とらないが、これの対象をどこに置かれるかということだけを聞いておるのでありまして、あなたの方で議論が飛躍して、納税すべきものであるから、納税した者には証票を張らせる、上なかつた者はけしからぬから、張らせぬということになりますと、私の方の議論も少し飛躍して、それなら、国税、地方税といわず、もし納税しなかつた人の門の前に、この人はまだ税金未納であるという札を張るというところまで言わなければ、理論が合わないと考えている。自動車だけに特にそういうことをする必要はないと考えている。だからもう少し率直に、一般の協力ということは、そういう意味だというお考えがもしおありなら、そのように御答弁願えれば、私はそれだけでけつこうです。
  109. 奧野誠亮

    奧野政府委員 率直に申しまして決して警察官の協力を期待してこの制度を設けてはおりません。ほんとうに自粛的なかつこうで、納税が励行されて行くということを期待しておるわけであります。
  110. 吉田吉太郎

    吉田(吉)委員 第百七十三條の今門司委員質問の点でありますが、証票を張らないものに対して三万円以下の過料を科すというふうになつておりますが、証票は税金を納めたときに初めていただくわけです。それでその税金を完納したものが自動車に張らなかつた場合に過料に処する。ところがもし滞納をしておる自動車が走つておるような場合に、これはもちろん滞納処分の方法がありますけれども、そうした点においてどうも納得しにくいのであります、この点を伺いたい。私どもの考えを率直に申し上げますならば、完納して証票をもらつたら必ず張ります。いたずらに過料なんかの制度を設けられることは、かえてどうかと思いますが、この点をちよつとお聞きしたい。
  111. 奧野誠亮

    奧野政府委員 納税済票をもらいますれば、ぜひ張つていただきたいのであります。なぜならば走つております自動車の中で、税金を納めた自動車であるか納めない自動車であるかということが、それだけで明確にわかるようにしたいのであります。といいますのは、走つておる自道車をその場所でとめるようなわけには行かないので、番号くらいを見ておきまして、あとでそこへ追徴に行くというようなことも起るわけであります。従いまして納税済票をもらいましたら必ず張つてもらう。そういう意味で過料を科す。その秩序を維持するためにそういう規定を設けたのであります。お説のような場合もありましようけれども、税金を納めたけれども張らないというようなことで、いざこざを起してはおもろしくないので、必ず張らなければならぬというふうな制度にしておいた方がいいだろうと考えておるわけであります。
  112. 吉田吉太郎

    吉田(吉)委員 それはわかつておるのであります。過料々々という罰則制度を設けられておりますが、これは常識的に考えてもらつたら張るのが当然だと思います。もし張らなければポリスなり徴税吏員なりから注意されることは非常にめんどうであるから、自発的に当然張ります。張らないことは事実ないと思います。そういうものをあらかじめ罰則を設けて、張らなかつた場合には過料に処するというような行き方は、少しどうかと思うのであります。これは私の意見であります。
  113. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 木多国務大臣にお尋ねしますが、今映画に映しております島原のおいらん道中、それから吉原のおいらん道中というのがありますが、おいらんは一体何ですか、ちよつとお伺いします。
  114. 本多市郎

    本多国務大臣 それは仮装行列のことだと思いますが、仮装行列の本人に聞いてみませんと、どういう人がやつておられたからよつとわかりかねます。
  115. 大石ヨシエ

    大石(ヨ)委員 ああいうものがイギリス、アメリカ、その他のニユース映画に出ておる。しかも私娼に対して遊興税をとつておるところは、世界広しといえども日本しかないと私は思う。ゆえにこの私娼に対して遊興飲食税を今後とも課せられるお考えでございますか、これをはつきりさせていただきたい。それからもう一つ條例というものを定めて、府県会でこれを自由に認めさしておるのが現在の姿ですが、九州、青森ではそれをとつておらぬ。ほかはとつておる。これもひとつはつきり聞かしてください、
  116. 本多市郎

    本多国務大臣 私娼というのが売春行為をやるということでありますと、法律上禁止しておることでございますから、そういうものを対象として課税などを考えられるわけがございません。従つてそういうものは今後制度といたしましても、絶対に課税の対象になるようなことはいたさないつもりでございます。ただ地方によつて課税の対象になるならないの認定は、やはり実質的な営業状態、サービス状態によりまして各地方長官が、これは普通の接客人として認める方が適当であろう、あるいは芸者に類するものとして、これは花代として課税する方がいいだろうという認定は、その状況によつてすることでございます。しかしはつきり何県には一つもない例があるが、他にあるということは、お話の通りそういうはずはないことでございますので、でき得る限りこれが同じような方針になりますように、調整いたしたいと考えます。
  117. 中島守利

    中島委員長 午前の会議はこの程度にして、午後は二時より再開することにいたします。  暫時休憩いたします。     午後零時六分休憩      ————◇—————     午後二時四十九分開議
  118. 生田和平

    生田委員長代理 これより再開いたします。  地方税法を議題として質疑を続行いたします。午前も質疑がありましたが、なお残りの分は、他の機会に御質疑を願うことにいたします。  これより第三章市町村の普通税、第一節市町村民税、第一款通則、市町村民税に関する質疑を行いたいと思います。まず奥野政府委員より説明を求めます。
  119. 奧野誠亮

    奧野政府委員 二百七十二ページの市町村民税、二百九十三條は用語の定義を掲げたわけであります。大体所得税法の用語と同じように、市町村民税においても言葉を使つているわけであります。二百九十三條もやはり用語の定義でありますが、所得税法が昭和二十五年から改正されておりますので、市町村民税の昭和二十五年度分は、昭和二十四年分の所得税を基礎とします以上、用語におきましても二十五年度分だけの特例を必要といたします関係上、こういう規定を置いているわけであります。二百七十七ページの市町村民税の納税義務者等を規定した二百九十四條を読ましていただきますと、「市町村民税は、第一号の者に対しては均等割による額及び所得税額、課税総所得金額又は課税総所得金額から所得税額を控除した金額を課税標準とした額の合計額によつて」この後者の所得割の部分は、昭和三十五年度だけは所得税額をとるのだということを、別のところに特例を規定しているわけであります。さらに「第二号又は第三号の者上に対しては均等割額によつて課する。」一号は「市町村内に住所を有する個人」従来は一戸を構える者というふうな規定をしておつたものが家族主義的な構成から、こういうふうな個人主義的な構成にかわつたわけであります。括弧の中は非課税の者を拔き出しているわけであります。「前年はおいて所得を有しなかつた者及び生活保護法の規定による生活扶助を受ける者」は除かれるわけであります。「所得を有しなかつた者」でありますから、かりに收入がありましても、それに見合う必要経費を控除した結果赤字になるというふうな場合には、もとより所得がなかつたということになるわけでありますから、課税の対象になりません。二号は「市町村内に事務所も事業所又は家屋敷を有する個人で当該市町村内に住所を有していない者」「家屋敷を有する」というのは、自己の居住の供する家を家屋敷と呼んでおるのでありまして、單なる家屋を持つているという意味ではございません。三号は「市町村内に事務所又は事業所を有する法人又は法人でない社団若しくは財団で代表者若しくは管理人の定のあるもの」従来と同じことでありますが、法人格を形式的に持つておりませんでも、実質が同じようなものは、納税義務を認めたいという考え方であります。二項は「市町村民税は、前項第三号の者に対しては、その事務所又は事業所ごとに課する。」従いまして、一市町村内に事務所がたくさんある場合には、幾つもの納税義務を負うわけでありますが、別のところに、こういう場合には均等割額を軽減するという規定を置いているわけでありましてもそれで負担の過重になる分は救つて行けると思います。  第二百九十五條は個人の市町村民税の非課税の範囲でありますが、その一つは「不具者及び未成年者」であります。第二には「寡婦」第三には「同居の妻」このうち、不具者や未成年者でありましても、個人の有しますところの土地や家屋でありますとか、あるいは事業を、不具者あるいは未成者の名義にすることによつて、市町村民税を免れるということがあつては穏当でありませんので、資産所得あるいは事業所得を有しました場合には、この部分につきましては所得割はやはり課して行くというようなかつこうに、第二号のところでいたしております。また寡婦でありましても「十八年以上の子女を有する場合又は前年において十万円をこえる総所得金額を有した場合」は、やはり一項、三項とも課税の対象にするというふうにいたしているわけであります。同居の妻につきましては均等割は課さない。しかしながら所得判の方は課するというような建前をとつているのでありまして、夫婦が所得税をわけて納めるというような場合も、財産の分配の仕方であり得ると思うのであります。所得割については非課税の規定は置く必要はない。そういう点から考えまして、このような制度にいたしているわけであります。第二百九十六條は、個人以外の者の市町村民税の非課税の範囲であります。大体従来の非課税の範囲と同じでありますけれども、労働組合でありますとか、国家公務員法第九十八條の規定に基く一般公務員の組合、その他の団体、こういうふうなものを新しく非課税の範囲に加えたわけであります。第二百九十七條は市町村民税の課税標準である所得税額等は前年の実績に基くものであるということを、ここに明確に書いであるわけであります。二百九十八條以下の規定は、他の税目に関します規定とまつたく同一でありますので省略いたしまして、三百八十四ページの申告義務のところに移りたいと思います。  第三百二條は、市町村民税の納税義務者は、六月十日までに当該市町村の條例の定めるところによりまして、課税上必要なる事項を市町村長に申告してもらう。賦課期日が六月一日でありますので、六月一日に現実に住所を有した市町村に、納税義務を持つているわけであります。なるたけ早く課税いたしませんと、住居の移動等に伴いまして、課税客体の把握に困難を来します関係上、期限を六月十日というふうに切つているわけであります。それから三百四條の方は、市町村民税の所得割は、所得税額を課税標準にいたします関係上、所得税額が国の税務署の更正決定等によつてかわつて参りますと、さらに市町村民税の所得判の課税標準も、かわつて来るわけでありますので、そういう場合には、ただちに町村長の方にも申告してもらうというふうな規正をいたしているわけであります。二百八十六ページからの罰則規定は他の関係と同じであります。  二百八十八ページの三百七條は、源泉徴收票等の写の提出義務でありますが、俸給生活者につきましては、確定申告を出さない人たちが相当たくさんあるわけであります。そういう人たちの所得を正確に把握いたしますためには、單に税務署について調査しただけでは困難でありますので、俸給生活者につきましては、俸給を支拂う者がその者につきまして所得税を徴放する義務を負つておりますから、この所得税を徴收する義務を負つている者が、一月になりますと前年中に支拂つた給與額と、それから給與について徴收いたしました所得税額とを、各人別に記載いたしまして——これを源泉徴收票と呼んでいるわけでありますが、これを本人と税務署とに一通ずつ交付、または提出する義務を持つているのであります。この源泉徴收票を市町村にももらいたい。そうして市町村がそれによつて俸給生活者につきましての正確な所得額なり、あるいは所得税額なりを把握したいという考えに立つているわけであります。この源泉徴收票は会社等の給與支拂い地に属する市町村に提出することになつておりますので、よその市町村からその市町村に通つて来て勤務している者、そこで給與を得ているというようなものについての源泉徴收票は、源泉徴收票を受取つた市町村から住所地の市町村の方へ送らなければならないというような規定を三百十條のところに置いているわけであります。この源泉徴收票等の写しの提出期限は、税務署に提出する期限と同じように考えているわけでありますけれども、三百八條で昭和二十五年度だけの特例を規定しているわけであります。もとよりこの法律案の提出が遅れました関定上、この四月三十日という期限も延長しなければならないというように考えております。  次に第三款の課税標準及び税率でありますが三百十一條の均等割額によつて課する市町村民税の税率であります。二項の方で法人に対します税額規定しているわけでありますが、法人に対しましては、標準税率は個人の二倍、制限税率は個人の四倍という額を採用しているわけであります。三百十二條は、先ほどちよつと申し上げたわけでありますが、納税義務者というものが、家族主義的な構成から個人主義的な構成にかわつて行く、その結果一世帶内にたくさん納税義務者ができまして均等制額だけでもたくさん納付しなければならない。その負担が苛酷になるというような場合も予想されるわけでありますので、一号ないし四号をもちまして、こういう場合には軽減することができるという規定を置いたわけなのでありましてその軽減の仕方は條例にゆだねておるわけでありますけれども、この規定趣旨から見まして、軽減の処置を市町村が積極的に請じなければならないというように考えております。  二百九十二ページ、三百十三條は、所得税額等を課税標準とする市町村民税の税率規定しているわけであります。所得税額を課税標準といたしますものは、第一項のところで標準税率と制限税率の二つを規定しているわけであります。ところが、課税総所得金額を課税標準といたしますものと、課税総所得金額から所得税額を控除した金額を課税標準といたしますものとは、二項と三項にそれぞれ制限税率規定しただけでありまして、標準税率規定していないわけであります。従いまして、これらにつきましては、累進税率あるいは比例税率を適宜その判断によつて採用すべきものと考えておるわけであります。  三百十四條は、先ほどちよつと申し上げましたように、昭和二十五年度から所得税法が改正されまして、いろいろと規定の上にも変更があるわけであります。そこで二十五年度分の市町村民税は、二十四年の所得税額を基礎といたします以上、いろいろと読みかえの規定を必要とするのでありまして、その趣旨で設けました規定でございます。二百九十四ページへ行きまして、三百十五條は市町村による所得の計算でございます。市町村民税の所得割は、所得税額等を課税標準に用いるわけでありますけれども、これらの所得税額等の決定が税務署において必ずしも適正に行われていないというように市町村が考えます場合に、適正ではないと思うものを除いて、そのまま課税標準に市町村が使用しなければならないということは穏当でないわけであります。そこでそのような場合には、市町村がみずから所得税法に規定する計算の方法によりまして、所得額とか、あるいは所得税額とかいうものをみずから算定いたしまして、これを標準として市町村民税を考えて行くことができる、すなわち、市町村が市町村民税の課税にあたりましては、均衡が確保せられるようにみずから全責任を負わなければならないというような建前に、こういうところにおいてもいたしておるわけであります。さらに二百九十六ページの三百十六條は、そういうふうな所得税ないしは所得税額の計算が、單にある特定の納税義務者について穏当ではない、それだけではございませんで、税務署の管轄区域を通じて、非常に不適正であるというふうな場合には、全部について、市町村が計算のし直しをやれるという規定をいたしているわけであります。言いかえれば、ある意味においては税務署の否認であります。従いまして、こういう場合にはさきの場合と違いまして、地方財政委員会の許可を條件にいたしているわけなのでありまして、また各市町村協力して、こういう関係からも所得額を国民相互間に十分の均衡のとれたような形において、把握するというような努力が行われるものというふうに、期待しているわけであります。こういう場合には三百十七條で、市町村が計算いたしました所得を関係の税務署長に通知してやらなければならないというふうな規定をいたしているわけであります。  第四款の賦課及び徴收でありますが、三百十八條で賦課期日を六月一日にしております。これを早くすれば市町村の收入の上から好ましいのでありますけれども、四月、五月は出納閉鎖期であります関係上、課税に手がまわらないわけであります。そこで出納閉鎖期を過ぎます一番早い時期である六月一日をとつているわけであります。市町村民税の納期は、三百十九條は定めであるわけでありますが、農業所得等それぞれ市町村の実情に応じまして、この納期は変更することができるわけであります。三百二十條は、市町村民税につきましては源泉徴收の方法を採用いたさないのでありまして、普通徴收の方法によるということを明記いたしているわけであります。さらに三百二十一條の市町村民税の納期前の納付は、市町村はその條例の定めるところによりましである程度の報奨金を出す、そういうことによつて納税義務者状況によつて少、額のものを何回にもわけて足を運ばなければならないようなことを避けたい人たちに対しては、進んでそういうことをしていただいて相互の事務をできるだけ簡素にして行きたいというふうな気持を持つているわけであります。三百二十二條以下の規定で納期限の延長嘆ほかの税目に対します場合と同じであります。ずつと三百十二ページの三百四十條まで、督促及滞納処分犯則取締りもまつたく同一であります。
  120. 立花敏男

    ○立花委員 市町村民税に対する一般的なお尋ねを最初いたしたいと思います。市町村民税は今度全然人頭税になつているわけでありますが、人頭税的な要素が非常に強くなつているということを、自治庁の方でもお認めになつているのかどうか、承りたい。
  121. 奧野誠亮

    奧野政府委員 従来住民税の総額の中で二割程度のものが、人頭割によつて課されておりました。今回均等割の額が、かなり大幅に増額になつております。そういう面ではある程度人頭割的なものが多くなつているということが言われると思います。しかしながら、市町村民税全体の上で、均等割の部分がどのくらい占めるかということになりますと、やはり二割くらいでございます。従つて市町村の仕事を大体住民の直接負担によつてまかなつて行くのだ。こういうふうに税制が切りかえられて参つて行くわけでありますけれども、その結果起きましたところの、あぐべき税收入の割合から行きますと、特に人頭割的なものを多くしたということにはならないと思います。でありますから、人頭割を特に多くするようになつたとか、ならないとかいうことは、今申し上げましたように見方の点によつて、食い違いが起きて来るだろうと思います。
  122. 立花敏男

    ○立花委員 均等割が従来も二割であり、今度も三割だというような見方からだけ、市町村民税が人頭割的な性格の色を濃くしていないというような見方は、非常に近視眼的な見方ではないかと思います。たとえば納税人員の数にいたしましても、六割ないし七割も一挙にふえております。これはお認めだろうと思います。そのほかに、まず第一に法人に対する所得割が免除されている。あるいは個人に対する資産割が免除されている。そういう点から考えまして、全体として市町村民税が人頭税的な色彩を濃くしているということは、お認めになければいけないと思うのでありますが、ただ單に均等割が従来も三割であつたから、そういう色彩を濃くしていないという見方は、非常に物の本質を誤るのではないかと思いますが、その点でもう一度お答え願いたいと思います。
  123. 奧野誠亮

    奧野政府委員 立花さんのおつしやることはわからぬわけではございませんが、市町村の税收入が従来八百億円ぐらいであつたものが、四百億円ふやしまして、千二百億円くらいになるわけであります。こういう制度の切りかえによりまして、市町村の仕事というものは、大体市町村の住民税からまかなつて行きたい。そこに市町村の住民が自治行政に十分な批判と監視を怠らないようにし、そこからまた自治の発達を期して行きたいというふうなねらいがあるわけであります。そこで自然市町村民税がある程度、大幅に増額になつたわけでありますが、それをまた市町村住民たる限りにおいて、ある程度の負担をして行くという意味において負担いたしますところの均等割が、全体としては二割のんだから、従来の負担と比べてその点においてはかわつていない。また今度の制度改正においてはそういう一つのねらいを持つていると言えると思うのでありまして、あとの課税の仕方も合せて論じなければならないわけでありますけれども、それだけでもつて人頭割に主眼を置いたと言われることは、どうも誤解を招くのではないかと思うのでありまして、むしろ住民の直接負担になる税收入を、相当大幅に増額したのではないか。これはまさにその通りであります。その際に均等割の面におきましては、全体としての割合は従来とあまりかわりはないのだ、そこからむしろ自治の発展というものも、ある程度期待しているのだということは言えるのではないかと思います。
  124. 立花敏男

    ○立花委員 自治の発展とかいう問題は別問題でございまして、市町村民税としてやはりこれだけを抽象して性格を見た場合に、従来の法人にもやはりこの所得割を課税し、あるいは個人に対しても資産割をとつておる。あるいは個人單位でなしに、世帶單位であつたというような重大な変化があるのでございますが、こういうものをやはりお認めにならなければいけないと思います。そういうものを抹消される必要はないと思うのでございますが、そういう点でやはり率直に御意見をお出しになつてその上でお話いたしませんと、白を黒と言いくるめるような形でお話したのでは、いつまでたつても水掛論で、一致点は出て来ない問題でありますから、この点はお認めになつてよいのじやないかと思うのでありますが、どうでしよう。
  125. 奧野誠亮

    奧野政府委員 先ほども申し上げように、均等割の額は同じように増額になつております。ただしばしば申し上げるのでありますが、それでは均等割だけが大きくなつたのかといいますと、所得割の額も同じような割合で大きくなつている。かように私は申し上げているわけです。
  126. 立花敏男

    ○立花委員 私は所得割と均等割を比較しておるのではありませんで、所得割も含めて、所得割自体が人頭税的な形になつておるということ、この問題なんです。と申しますのは、所得割というのは今まで法人に課せられておつたのが、法人には課せられないで、生きておる人間に課せられておる。その意味でまつたく人頭割的な性格を濃くしておる。今までは所得割につきましても、生きておる人間と、いわゆる法人とが負担しておつた。その法人の方はなくなつたのだからもこれは全面的に人頭税的な負担になつておる。こういうことは言えると思う。同時にこの所得割の部分も、今まではそれと並行いたしまして資産割がありましたのが、資産割がなくなつておりますので、やはりそれが全面的に所得割の方に転嫁されて参りまして結局法人をのけた個人が所得割を全部ひつかぶるということになつておる。そういう全体的な、総合的な見方をした場合において市町村民税は人頭税的な性格を持つておるということは、何人も否定できない事実だろう、と思うのであります。自治庁はこの事実をも否定されようとするのかどうか。
  127. 奧野誠亮

    奧野政府委員 市町村民税は均等割を相当重要な要素にしておりますので、その部分につきましては、人頭税的な性格を持つておるものであります。ただ私が先ほど申し上げましたのは、人頭税的な性格を濃くするものかどうかという御質問のように伺いましたので、事実をあからさまに申し上げたわけでありまして、これをどういうふうに併用するかということは、いろいろの併用のしかたがあるだろうと思う。それで先ほどたびたび申し上げるような御説明を申し上げておるようなわけであります。
  128. 立花敏男

    ○立花委員 人頭割の色彩を濃くしたかどうか、どうしてもお認めにならないようでありますから、これはこれ以上は議論になりますので、次に移りたいと思いますが、なぜこういうふうな納税義務者を六割ないし七割もふやして、数学的に申しますと、一千二百万人を二千万人以上の納税者の数に一挙にふやして、しかもさいぜんから言つておりますような人頭的な色彩を濃くした税金にした理由でございます。なぜそういうような措置をとらなければならなかつたか。従来の税との比較において、どこに根拠があつてこういう新しい税法にしなければいけなかつたか、その理由を承りたい。
  129. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御承知のように、所得税におきましても、従来は同居親族の分は全部合算して累進課税を行つてつておりましたのをも今回の制度におきましては、個人々々にばらしまして税額を算定する制度にかわつてつております。市町村民税におきましても、所得割というものを採用いたしますと、従来は世帶主だけが納税義務者でなかつたわけでありますけれども、世帶員が個々に所得税を納めるようになつて参りますと、所得割は当然個々の人たちに納めてもらわなければならぬ、こういうことになつて参るであろうと思うのであります。ことに成年者でありますと、それぞれやはり政治、行政の面におきましても、一つの独立した有権者していろいろ活動しているわけであります。また有権者として活動してもらわなければ、真の自治の発達は期待できないと思うのでありまして、やはり市町村に要します必要な経費を住民が相互に分担し合つて、その分担を通じて自治活動の行方に深い関心をもつて批判しながら、その発展をはかつて行くというふうなことを考えておりますだけにもやはり成年者は原則として、みな納税義務の主体になることが好ましいものだというふうな考え方をいたしておるわけであります。
  130. 立花敏男

    ○立花委員 非常にりつばなりくつだと思いますが、しかしそのりくつは、ただいまもお聞きいたしましたように、決して人民の生活ということを考えていない。担税力というものを考えてない。そういう欠陥が今のお言葉の中に、はつきり現われておると思うのです。そういう問題にはちつともお触れにならなかつた。そこがやはり問題だろうと思います。現在の人民の生活と申しますものは、これは説明するまでもないと思いますが、非常に窮迫しておる。主食の配給すらとれないという状態が起つておりますし、新聞紙上でも、税金のための自殺行為が、ひんぴんとして報ぜられておるのでありますが、こういう際に今あなたが申されましたようなただ純理論的と申しますか、單に地方自治体における権利義務の問題からのみ、この税法をおきめになつたというところに、非常に大きな欠陥があるのではないかと思うのでありますが、人民の生活について、ちつともお考えにならなかつた理由をひとつ承りたいと思うのであります。
  131. 奧野誠亮

    奧野政府委員 今お話のように生活に困つている人たちの多いことは、われわれとしましてもまことに同情にたえないのでありまして、そういう面につきましては、私はなかなか一律の線を引きにくいのじやないかと思うのであります。一応一律の線としましては、生活保護法によりますところの生活保護を受けておる。こういう者に課してはならぬということを置いておるわけでございます。それ以上はどうも私も市町村の認定に待つよりしかたがないのじやないか。そこで三百二十三條によつて、「貧困に因り生活のため公私の扶助を受ける者その他特別の事情がある者」につきましては、減免することができるという規定を置いておるわけでありまして、市町村の個々の納税義務者の生酒の実態に即して、私は必ずや適当な措置がとられ得るものだというふうに考えておるのであります。
  132. 立花敏男

    ○立花委員 私ども共産党の立場といたしましては、従来ここで審議されました修正案に賛成できなかつたのも、実は修正案に考えられております負担の軽減と申しますものが、大企業の收支の問題であるとか、あるいは大産業の経営の問題であるとか、そういう問題ばかりが考えられまして、実は最も根本である人民の生活の問題が考えられていなかつたからであります。そういうものを取入れまして、修正案が幾つか出されておりますが、こういう問題だけをお考えになつて、なぜ人民の生活がそれによつて破壊されるということをお考えにならないのか。現在におきますと、政府の方針は一昨年の七月にきまりました六千三百円ベースを、そのまま来年の三月まで一箇年延長いたしまして、現在でも食えないこの赤字の賃金を、もう一箇年も延ばして行こう。そういう状態です。あるいは農民におきましては生産価格を割ります供供で取上げられまして、しかも最近の押しつけ輸入によりまして、やみ価格が低落いたしまして、農民にとりましては去年の一万円の税金よりも、ことしの千円の税金の方が苦しいというような人民の生活が、そういう形でどんどん破壊されております。そういう場合に改正なさる税法が、人民の負担になつて参ります最も直接的な市町村民税と申しますものが、従来の税法よりも一層人頭割的な、あるいは個人單位の課税がひどくなつている。こういう形をなぜおとりになつたのか。これはまつたく時代に逆行するものである。人民の生活というものを、全然考えていないのじやないかということが当然言えると思うのです。しかもこの人民の生活の破壊と申しますのは、その人たちがなまけたりあるいは仕事をサボつたりいたしまして、そういう状態になつたのではないわけでありまして、まつたくこれは社会的な原因でそういう状態が起つておる。これに対しまして国家が新しい市町村民税をきめます場合に、そういう住民の生活とはまつたく逆行した、さらに一千二百万人のものを二千万人の頭割りにして、それをさらに数倍にして取上げようというような税法を、なぜおきめになつたか。この根本的な問題が私どもは今までの御答弁では解決できない。なぜこういう苛酷な税金をおとりになるのですか。しかもその結果といたしまして、これは公廳会でも市町村会議長の代表がとれない税金であるということを、はつきり言つておる。こういう税法をなぜおきめになつたのかということを、もつと根本的に御説明願いたいと思うのです。これは大臣がいらつしやれば大臣から承わればいいかと思うのでありますが、次官が来ておられますので、次官から承われれば仕合せだと思います。
  133. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 ちよつと私用務のために遅れておりまして、たいへん失礼いたしましたが、立花さんの御質問に対して奥野政府委員からも、すでに答弁があつたことと思いますが、ただいま御指摘になりました基本的な問題でございますが、今回の市町村民税の建前が、御承知のように均等割と所得割ということになつておりまして、この点について立花さんはいかにも人民から收奪することになりはしないか、これが経済的な諾情勢から判断して時代逆行である、こういうふうに断ぜられておるように拜聽いたすのでありますが、しかしこの市町村民税の今回の改正の趣旨が従来の建前とは異なりまして、いわゆる人頭割的な、均等割額によつて課する部面と、それから所得を基本として課する部面と、両方から成立つておることは申すまでもないのであります。しかしこれらの税率につきましては、この法律案にございますように標準税率になつておりますし、また諸般の情勢からその団体において減免をなし得る道も開かれておりますので、運用の上におきましては、ただいま立花さんが仰せになりましたように、しかく深刻な状態は起らないと、私どもは考えておるのでありまして、この点につきましては地方団体財政能力と、またその地方住民の負担の能力との均衡の問題になつて来る、かように考えておるような次第で、御意見はまことにごもつともな点もあると思いますが、この税を実施する場合において、非常に御心配、御懸念になつておるような事態が起つて来るであろうとは、私どもとしては想像いたしておらない次第であります。
  134. 立花敏男

    ○立花委員 政府は貴重な時間を費して、莫大な費用を使つて、なぜ公聽会をお開きになつたのか私はわからぬと思います。そのために全国の市町村会議長の代表をお呼びになつて御意見をお聞きになつた。その人たちは異口同意にこれはとれない税金だということを言つておる。しかもこれは私ども兵庫県下でも、たとえば尼ヶ崎、芦屋、西宮、伊丹というような四つの市の市会の決議として、書類が提出されているはずなんです。これはやはりとれないということをはつきり言つている。あるいは東京都下の町村からも、こういう同種類の請願書が参つております。これはやはり村会、町会の決議によつてつてつている。こういう事実を何とお考えになつているのか。公聽会はただ形の上だけお開きになつたのか。こういう代表たちの言葉をほんとうに馬耳東風に聞き流しになされるおつもりかどうか。決してこのことは私どもそう簡單に聞き逃すことはできないと思う。とれないということは、もう担税力がないということなんです。だからこの制度そのものがむりだということを、はつきり表わしていると思う。りくつではさいぜんから私くどくど申し上げましたが、結局こういうものをおきめになつてもとれない。小野さんはそういう事態にならないとおつしやいますが、もうすでに政府で予算をおきめになつている市町村民税の徴收額におきまして、去年度より莫大な、数倍に達する税額をおきめになつているではありませんか。だから、こういうものはもう市町村長の意見によりまして、とれないということは明らかなんです。こういうものをなぜおきめになつたか、このこと自体がいかに時代に逆行しているかということを、如実に物語つていると思うのでございますが、この点で重ねて御答弁を承りたいと思います。
  135. 河原伊三郎

    ○河原委員 議事進行について……。ただいま、一回ぐらいは聞きのがしておりましたけれども、再三繰返して、全国の市町村代表らが、市町村民税をもつてとれない税金だということを、公聽会で強調したように申されましたけれども、私は公聽会にずつと行つておりましたが、さよよな言葉は聞かなかつたのであります。ただ早くこれをきめてもらわなければ困るという点と、この税の改正について、前の税、すなわち現行の税についても長短はあろうし、また改正税法についても長所、短所、あるいは難所等もあろうが、総合的にどちらをよいと見られるか、こういうふうに申しましたら、少しの逡巡もなく、即座に、改正税法がよいと思いますというふうに、代表は言つてつたのであります。それにもかかわらず、こうした場所におきまして、とれない税金だ、またもしそういうことを言つてつた代表があるとしますならば、この税法がきまつた場合その人はどうするか。こういうふうな重大な発言については、相当責任が持たされることが必要だと思います。
  136. 大泉寛三

    大泉委員 議事進行について……。私どもはこの議会の権威において公聽会を開いたのであります。その結果において中島試案なる委員長の名においてああした試案ができて、われわれもそれによつて審議しているものと思いますが、これは政府が公聽会を開催したのではなくて、われわれ議会人が審議の必要上、公述人を多数求めて審議したのであります。この点ひとつ別に立花委員に対して議論するわけではありませんけれども、私どもは議会の権威上どうしてもこれを黙殺できないので、一言発言した次第であります。
  137. 生田和平

    生田委員長代理 立花君に申し上げますが、意見の違う点は、意見が違うという程度でやめていただきませんと、意見の違うのをいつまで論じてみても、それは時間を費すだけでありますから、別にあなたの発言をセーブする意味ではありませんが、なるべく時間をつづめるというようなお気持でお願いいたします。
  138. 立花敏男

    ○立花委員 この点は根本的に重要な問題だと思いますので、少し詳しくお尋ねしたのでありますが、公聽会はそういう意味で、委員の方から政府に出頭要求をいたしまして、政府にも聞いていただきたいということで、本多国務大臣に出ていただいて、わざわざ聞いてもらつておりますので、そういう意味で私は自治庁にお尋ねしております。この問題で時間をとりますのはどうかと思いますから、詳しく中へ入つて行きたいと思いますが、こういう形が、実は市町村民税の各條項に現われておりますから、私は聞いているのです。たとえば二十五年度の課税対象でございますが、これはやはり二十四年度の税金でおやりになる。そういたしますと、住民税と申しますのは、やはりその年の所得が、ほんとうは課税の対象になるということを、これは政府がかつて御答弁になつておるのでありますが、それを前年度の所得税でやられますと、それだけやはり二十五年度の所得税とは、税法の改正によりまして開きがあるのでございますが、こういうものをそのまま二十四年度の、改正前のやつでとるという規定になさつておるのでありますが、この差異についてはどうなさるおつもりなのか、承りたいと思います。
  139. 奧野誠亮

    奧野政府委員 市町村民税の所得割の課税標準である所得につきましては、当該年度所得をとるか、前年の所得をとるかということにつきましては、議論のあるところであります。政府におきましても、両論をいろいろ検討いたしました結果、この際所得税の申告納税の制度もまだ十分確立したわけでもないし、しかもまた市町村民税が、今ただちに申告納税あるいは当該年度の所得をとるということにいたしましても、国税の徴收と並行して、評しろ混乱するのじなかろうか。それよりはむしろ納税義務者としても、前年の所得額というものはすでに確定しているのだから、それを基本にして課税して行つた方が、その間に争いもなく、円滑に新税制への切りかえができるのじやないだろうか、こういうふうな考え方のもとに、前年の所得額をもつて徴收して行くというふうなことになつたわけであります。
  140. 立花敏男

    ○立花委員 実は、それと同じような問題であると思いますが、納税者の数がふえるという問題で、典型的にあげられますのは、同居の妻の場合でございますが、同居の妻に対する定義は、二百九十三條の第九項によつて、同居の妻は「夫と生計を一にする妻をいう。」ということになつておりますが、同居の妻という言葉の中に、夫と生計を一にするという規定がさらに入つておるのでありますが、たとい同居の妻でありましても、夫と生計を一にしていなければ、これは免税にならない、そういうことでありますか。
  141. 奧野誠亮

    奧野政府委員 同居の妻を、あえて法律上の妻ではなくして、いわゆる内縁関係にある妻であつても、さしつかえないようにしたいという考え方のもとに、こういう規定を置いているわけであります。
  142. 立花敏男

    ○立花委員 私の尋ねたことの答弁にはならないと思うのでございますが、同居しておつても、生計が別であれば課税するのかどうかということをお尋ねしているのです。
  143. 奧野誠亮

    奧野政府委員 形式的には妻でありましても、事実離婚同様になつている。従つて別居しているというふうな者は、非課税の対象に入りません。
  144. 立花敏男

    ○立花委員 それも私のお尋ねと違うのですが、同居しておつても生計を一にしていなければ、課税するのかどうかというのです。
  145. 奧野誠亮

    奧野政府委員 たびたび御質問趣旨をはき違えて恐縮でございます。大体同居していれば、客観的には生計を一にしている、こう認められるものだと思います。一緒に生活をして、しかも世間的に妻であるなら、御質問のような場合は、まずないのじやないだろうかというふうに考えておるのであります。しかしながら、單にりくつとして御質問になるのでありましたら、ここに書いてありますように生計を一にする妻でありますから、生計を別にしておれば、該当しないということになると思います。ただ実際問題として、そういうものは課税の取扱い上あり得ないのじやないだろうか、こういうふうに考えて申し上げたわけであります。
  146. 立花敏男

    ○立花委員 これはアメリカさんの場合では、同居しておりましても、生計を別にしております場合がたくさんありますので、あるいはこういう問題が必ず起ると思います。その際に、やはり同居の妻に対しましても、課税されるということになつて参りますと、さいぜんから申しておりますように、人頭的の課税というものが、こにに典型的に現われて参りまして、これは非常におかしなことになるだろうと思います。これは典型的に取上げただけでありますが、こういう形が至るところに現われておりますので、私さいぜんから人頭課税の問題を問題にしていたのでありますが、これはやはり同居の妻でいいのでありまして、夫と生計を一にするというような條件は、お抜きになつた方かいいのじやないかと思いますが、どうでございましようか。
  147. 奧野誠亮

    奧野政府委員 現在の社会生活の実態から言いますと、やはり同居している以上は生計を一にしている、こう見られるのであります。もしお説のような状態になつて参りましたら、おのずから定義の書き方も改めなければならないと思いますが、現在の社会化活の実態から見ますと、こういう式の定義が、一番当てはまつておるのじやないかというふうな考え方をしているわけであります。
  148. 立花敏男

    ○立花委員 しかし逆に考えますと、現在そうだのに、なぜこういういらない規定をお置きになるかということが問題だと思います。だからこういう規定をお置きになる以上は、生計を別にしておるならとるということを建前にしておつくりになつておるのだというふうに考えざるを得ないのであります。
  149. 奧野誠亮

    奧野政府委員 あるいは人によりましては、同じ戸籍の中にあるから同居の妻だ、こういうふうな言い方もできるかもしれません。そこで同房というものを、あえて牛計を單位に見るというふうな書き方をいたしたわけであります。
  150. 立花敏男

    ○立花委員 それからこれは同じ問題であります、寡婦の場合には免税にする、しかし十八歳以上の子弟があれば税金をとるということになつているのでございますが、それもただ十八歳にたつた者がいるからとるのだというような簡單なお考えだと困ると思うのでございます。やはりその際にも、担税力あるいは生活の問題が問題になると思うのでありますが、これは何もお考えになつていないのでありますか。寡婦であつて十八歳以上の子弟があれば、ただちにとるというお考えでありますか。
  151. 奧野誠亮

    奧野政府委員 ここに非課税にいたしておりますのは、市町村が課税しようと思いましても、課税できないという意味規定いたしておるわけであります。寡婦に対しましては、こういう場合には、市町村は課税しようと思つても課税できないだけであります。しかしながら十八歳以上の子女を有している場合には、それにはまらないから、課税しようと思えば課税できる、半面その人が気の毒な事情にあれば、当然減免しようと思えばできるということになるのでありまして、困る状態にある人たちは、それ以外にもたくさんあると思いますけれども、同じような扱いをして行くべきであろうと思つております。
  152. 立花敏男

    ○立花委員 これは失業者に対する免税の問題と関連して来るのでありますが、現在十八歳くらいでありますと、学校など出たてでございまして、おそらく就職は困雑であろうと思うのであります。あるいは全部とは言いませんでも、大体そういうものが多い。就職いたしたにしましても、自分の母親あるいは自分の生活を維持し得る者は、おそらくないだろう。こういう場合に、具体的問題になりますのでお聞きしたのでございますが、この非課税の範囲の中に、失業者をお入れになつていないのはどういう意味か。この間の公聽会におきましても、津田沼の町長さんが申されましたように、津田沼だけにおきましても、八百人ないし千人の潜在失業者がいる。こういう人は税金の捕捉の仕方がないというふうに言つてつたのでありますが、現在の市町村におきましては、牛失業状態にある、いわゆる農村の潜在失業者が多いと思うのでありますが、これを非課税の対象としてお考えになつたことがないのかどうか御説明願いたいと思います。
  153. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お話のような点は、実は政府案として掲げます前に、ずいぶん議論した問題であり、また研究もいたしたのでありますけれども、失業者の範囲をどこに置くかということが、今非常な困難な問題なのであります。しかも六月一日現在において、かりに失業状態にあつたといたしました場合、そのときだけ失業しておつたからといつて、年間を通じての税金を全部とつちやいかぬという規定を置くべきかどうかということも、また一つの問題になる点だろうと思うのであります。そこで法律上は、生活保護法による生活扶助を受けておりました場合には、失業者でありましようと、有業者でありましようと、税金はとれないということにしておるわけなのでありまして、それ以上の問題は、やはり個々の具体的実情に即しまして市町村が適宜減免の判断を加えて行かなければならぬのじやないか、こういう考え方に立つたわけでありまして、そういう意味で特に非課税にするという規定は置かなくて市町村に決定させるようにしたわけであります。
  154. 立花敏男

    ○立花委員 やはり寡婦等を入れますのと同様に、原則の中に失業者ということを入れておく必要があるだろうと思います。これは意見になりますから、そういう意見があるということを見ておいていただきたいと思います。それから市町村民税の減免の問題でありますが、二百九十九ページの第三百二十三條でございますが、ここに「貧困に因り生活のため公私の扶助を受ける」とあるのでございますが、その「公私の扶助」というのはどういう内容か、これをひとつ承りたいと思います。
  155. 奧野誠亮

    奧野政府委員 各種の社会事業団体がありまして、社会事業団体にいたしましても、それ自体の活動といたしまして、生活困難者に対しまして、いろいろと扶助の手をさしのべておる事例がたくさんあるわけございます。そういう場合をさしておるわけであります。
  156. 立花敏男

    ○立花委員 それは「公」だと思いますが、「私」というのはどういう意味か、これをひとつ……
  157. 奧野誠亮

    奧野政府委員 私今申し上げましたのは、「私」の場合のことを言うたのであります。「私」の社会事業団体が、それ自体の活動といたしまして、いろいろと貧困者に生活扶助の手をさしのべておる例がたくさんあるわけであります。
  158. 立花敏男

    ○立花委員 そういたしますと、非常にあいまいな規定でありまして「私」という「公私」の「私」が、單にあなたの言われる社会事業だけというふうには、これだけではとれないと思うのでございます。もつと広いものをさすように私ども考えるのでございます。この点私どもそういう広い方に解釈したいと思つておるのでございますが、政府の方でそういう意向なれば、やはりこの文字を適当に改める必要があるのではないかと思うのですが、どうでございましようか。
  159. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 ただいま奥野政府委員から答弁いたしましたのは、例をあげてみれば、こういうふうになるというので、「私」の場合においても、経済事業団体等もあるわけでありますので、従つて御意見のように、これをさらに広げて解釈してさしつかえない、かように考えております。
  160. 立花敏男

    ○立花委員 どの程度まで広げていいのか、少し具体的に、たとえば個人的な借金の問題がありますし、信用組合とかいろいろ問題がある思うのでありますが、どの程度まで広げればいいのか具体的にひとつ…、
  161. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 これはただいま問題になつております第三百二十三條の條文をごらん願つても、けつこうだと思うのでありますが、当該具体的の事案につきましては、その地方の議会において詮議することになるであろう。従つてここで政府として、抽象的に、あるいはさらに進んで具体的に申し上げかねる問題であろうと思います。
  162. 立花敏男

    ○立花委員 それから御承知のように、今度の住民税は非常に納税者の数がふえ、一挙に数倍になつておるのでございますが、これは政府の方で、所得税におきまして基礎控除をお引上げになり、あるいは扶養控除をお引上げになつた、この効果を減殺する部分が多いと思うのであります。従つて生活費自体に多額に上る市町村民税が食い込むということは、当然考えられるのでございますが、これに対して基礎控除あるいは免税点を置く必要は絶対にあると思うのでございますが、この問題に関して政府でお考えになつたのかどうか、あるいはどういう御意見か、聞かしていただきたいと思います。
  163. 奧野誠亮

    奧野政府委員 免税点の制度ということになりますと、非課税の範囲という意味でお話になつておるというふうに解釈したいのであります。そうなりますと、前年において所得がなかつた者とか、生活保護法による生活扶助を受けておる者とかいうふうなものは、御説の免税点の範囲だと見られるだろうと思います。しかしわれわれは——これは根本的な考え方の違いかもしれませんけれども、市町村のような団体におきましては、市町村住民たる限りは、全部ある程度応分の負担はすべきである、ある程度協調して住民全体の福祉の向上をはかつて行くべきであるという考え方を持つておるのであります。その半面、生活に困つている人は、生活保護法その他の制度を運用いたしまして十分に救済の手をさしのべる、あるいは失業者に対しましては、いろいろ事業を起して、そこ吸収して行く、こういうような姿をわれわれとしては期待しておるのでありまして、住民のうちで市町村税を納めない人がたくさん出て来るいうところは、むしろ好ましくないというふうな考え方を持つておるのでありまして、これはやはり国税と地方税との根本的な相違であろうと考えておるのであります。国税の所得税の面におきましては、十分お説のような御意見に基きまして、基礎控除の制度あるいは扶養控除の制度というふうなものが、将来において一層私は拡大されて行かなければならぬのじやないかというふうに考えておるのでありますけれども、市町村税につきましては、これは市町村住民共同の生活体でありますので、原則としてある程度の負担はして行く。その半面困つておる人たちに対しては、別にでき得る限り手厚い保護の制度考えて行くという姿が、理想の姿であるというふうな考え方をいたしておるわけであります。
  164. 立花敏男

    ○立花委員 言葉じりをつかまえるわけではございませんが、住民が応分の負担をする必要があると今言われましたが、もちろん応分の負担ならしてもいいのでありますが、応分でない、分に合わない負担になつておる、だから免税点をつくる必要があるのではないか。免税点と非課税の問題とは全然、本質的に問題が違うと思うのであります。たとえて言いますと、固定資産税でも附加価値税でも免税点をおつくりになり、非課税をつくつておられる。だから免税点と非課税とは違うのでありまして、住民税にも免税点を置く必要がある、あるいは基礎控除を置く必要があると思います。免税点と非課税を混合されてお考えになると、やはり困ると思います。免税点と申しますのは最低生活を保障する、そういうような意味合いからつくり上げるものでありまして、非課税は特殊な事情を考慮してつくる。これは根本的に概念が違うのでありまして、免税点と非課税を混同なさつてのお考えは、非常に困ると思いますので、もう一度これをお伺いしたいと思います。
  165. 奧野誠亮

    奧野政府委員 所得割の免税点は、所得税を納めませんと所得割もかかりませんから、所得税とまつたく同一だというふうなことが言えると思います。均等割の免税点は、これは所得を標準にすることは、一方に所得がありすので、当然しなければならないことだと思います。おのずからその人の生活の実相を判断して決定するということになると思います。その生活の実相を見て判断する一つの標準として、生活保護法により生活費を受けている者であるとか、あるいは前年において所得がなかつたという認定を受けた者であるとか、こういうものをきめておるわけでありまして、この二つのきめ方が、まず市町村民税についての考え方としては、穏当なところではなかろうかというふうな判断をいたしておるわけであります。
  166. 立花敏男

    ○立花委員 現在におきましても、生活ができなくても日本人の従来の面子からいたしまして公費の扶助をあまり受けないものである。これはいろいろ、親戚のやり繰りとかあるいはその他の形で、おそらくその実態は受けるべき状態でありながら、いわゆる公表の扶助を受けております者は、その何分の一あるいは何十分の一でしかないと思います。こういうふうなものだけを対象において、それで住民の生活が保障されている。だから税金をとつてもいいのだということは、やはり言えないのではないかと思います。しかも扶助を受けておりますそういうもの以外に、やはり一定の生計をし、あるいは経営を保つて行く、しかもそれをさらに継続して行くために必要なものは残さなければ住民がだんだんとひぼしになるばかりで、遂には地方の協同体の破滅になると思うのでありますが、そういうところから事やはり住民税に対しても免税点あるいは基礎控除をお考えになる必要があると思います。そういう点あまりお考えになつていないようでありますが、これはひとつぜひやらなければならぬ、そういうふうに考えていただきたい。住民税が従来のような金額でありますと、それをお考えになる必要はなかつたかと思いますが、家族の多いところでは均等割だけにいたしましても、四千円も五十円も納めなければならぬ。東京都でありますと、五人おるといたしまして四千円ないし五千円とられます。このように均等割だけでも決して今までのような少い住民税ではございませんでもそれが非常に大きい額に一挙にはね上つておる。最初に申し上げましたように、これが時代と逆行して、生活が苦しくなつているのに税金だけは均等割でかかつて来る。税金だけは高くなつておるということを考えましても、ぜひこれは、私は住民税に免税点あるいは基礎控除をおつくりになる必要があると思います。所得税の方で基礎控除を引上げたのも、私はそういう意味があつてのことだろうと思います。そういう気持をやはり住民税、市町民村税の上にお生かしになる必要がある。そうでないとせつかく所得税の方で基礎控除を引上げても、それが住民税の重課によりまして、まつたく消えてなくなつてしまうという結果になるわけであります。その点ぜひ心配していただく必要があると思います。これは議論になりますので、聞いておいていただくだけでよいのであります。  その次に、実はシヤウプ勧告によりますと、これは本多国務大臣が住民税の累進をお認めになりましたので、問題は解決しておるのでありますが、シヤウプ税制は御承知のように三つの案があるわけであります。二と三では累進をはつきりシヤウプ税制もお認めになつておるのでありますが、政府はなぜこれをお取上げにならないで、一だけをお取上げになつたのか、その理由をまずお聞きしたいと思います。
  167. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 ただいま立花さんから三つの方法によつて市町村民税をとり得るようなことになつておるのに、政府は二十五年度に限つてなぜ所得税額によつたかというお尋ねだつたかと思いますが、御承知のように二十五年度分につきましては、改正税法の移りかわり等の関係もあり、できるだけこの税率については円滑にかつ簡易化をいたして行きたい、こういう心組みがございましたので、二十五年度にく限つて特例によりということにいたした次第でございます。
  168. 立花敏男

    ○立花委員 それから実は税金の行方でございますが、政府の御答弁にありましたように、地方自治体の必要な経費であるから応分に負担する。しかし必要な経費という問題が問題だと思うのでありますが、この問題につきまして一旦とられました住民税あるいはその他の住民の負担します地方税が、地方財政のわくを通しまして再び地方住民の生活を守つてくれるということの保障が、実はいかんながら従来の地方の自治体の行政を見ても、必ずしもそうとは言えない場合が多いのでありますが、この点につきまして政府は特に考慮をお拂いになつておるのかどうか承りたいと思います。
  169. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 ただいま立花さんが言われましたように、今回の税制の改革、ことに市町村関係税の基本的な考え方といたしましては、シヤウプの税制報告書にもありますように、最も身近に市町村の住民が、自分たちの納めた税によつて地方自治体の行政上のサービスが返つて来る。こういうふうな考え方が基礎になつておるようでありまして、従つてこれらの点につきましては、もちろんこの改正税法を実施いたしましたあかつきにおきましては、地方住民自体もさような心構えを持つていただくことが必要でありましようし、また市町村自体におきましても、この税の運用にあたりましてはさような考え方をもつてつてくれるものと期待しておるような次第であります。要はただいま仰せになりましたような基本的な考え方から出発しておるということについて、私どもまつた同感でございます。
  170. 立花敏男

    ○立花委員 自治庁のそういうお気持だけを聞いておるわけではございませんで、住民の自覚とか——あるいは地方自治体の運営に期待するというお答えでございますか、そういう問題だけではなしに、自治庁として具体的にどういうようにお考えになつておられるかもそれをひとつ承りたいのであります。
  171. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 少し抽象的に過ぎたかと思いますが、もう少し具体的に申し上げますれば。地方自治体、特にただいま問題になつておるような場合においてその趣旨を達成いたしますために、地方自治法においても、その財政状況を報告するということにも相なつておりますし、また市町村住民とその団体の運営の緊密を一層濃くして行くという点から申しまして、その担当しておる行政事務の内容等につきましても、検討を加えて行く必要があるであろう。かような趣旨から目下即効行政調査委員会議で、国及び地方団体相互の間の行政事務の再配分につきましても、検討を加えておるような状態でありまして、これらと相まつて御指摘になりましたような目的が、達成し得るものと考えておる次第でございます。
  172. 生田和平

    生田委員長代理 ちよつと立花さんに申し上げますが、もうあなたの御質問は一時間を過ぎておるのでです。他にも御質疑があると思いますから、なるべく簡單にお願いします。
  173. 立花敏男

    ○立花委員 実は私そういう質問をいたしましたのは、シヤウプ勧告の中に非常に、心配な点があるから、お聞きしておるのでありまして、さいぜんから申されるようにも地方の住民の生活費の中に入り込んでまでも税金をとるというようなことが、シヤウプ勧告にあるので、個人で消費するのではなく社会的に消費するのだ。個人の消費を税金として取上げて、それを地方の自治体という社会の財政を通じて社会的に消費するのだ。そういうことがはつきりシヤウプ勧告の中にあるのであります。そういう意味で、これは明らかに住民税の中に最も典型的に現われておりますように、個人の残されましたかすかすの生活費から税金を取上げまして、それを市町村の財政を通じて社会的に消費するという形、その社会的消費と申しますものが、はたして住民生活にもどつて来る見通しがあるかどうか。この問題はやはり一番大きな問題であろうと思う。自分の手にもどつて来るのであれば、出しておいてまたもどつて来るのでありますから、多少穴埋めがされるわけでございますが、生活費までもとつて行かれたらもどつて来ないわけでありますから、これはやはり住民にとりましては死活問題になると思いますので、この点で自治庁の具体的な措置をお聞きしたわけであります。そういうふうに地方財政が住民の生活を重点として運営される見通しがあるかどうかにつきまして、私ども現在地方財政を見ますと、決して住民の生活を市点として運営されておらない。大部分のものが住民の生活とは縁の遠いところに置かれておる傾向がございます。これを政府としてはどういう見通しを持つておられるかどうか。たとえば地方の厚生費等にいたしましても、非常にわずかなものしか使われていないわけでございます。一番多いのは、やはり六・三制の教育とか警察とか土木、こういうものでございまして、住民の生活費まで食い込んでとつてつたものを、住民の生活にもどつて来る形になし得るかどうか。そういう見通しを持つておるかどうか。これを最後にお聞かせ願いたいと思います。
  174. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 ただいま立花さんからこの法律案を実施したあかつきにおける御懸念の点についての御質問でございますが、なるほどただいま言われましたような心配も起る場合が、必ずしもないとは限らぬと存じます。しかしながらこれは要は地方団体の自主的な運営ができるかどうかという基本的な問題につながつておると思うのでありまして、今ここで抽象的に論議をいたしましても、はたしてどういう結論が出るか、私自身きわめて疑わしい次第であります。それと同時に根本の問題といたしましては、地方自治体の運営が軌道に乗り、またその適正な財源が確保されることによりましておそらく地方団体、特に地方議会におきましてはもこの趣旨を最も端的に実際の行政面に生かして行けるように努力するであろうということを、政府といたしましては多大の期待を持つておるような次第であります。ただ問題は、今後の問題にもかかつておるような点がございますので、政府はもちろん、地方住民の理解と協力にまつごときわめて切なるものかありますと同時に、地方団体がその自主性を高度に発揮してくれるように望んでやまないのであります。それには地方行政調査委員会議等におきまして、基本的な問題をこの際取上げて、これを解明して行くという努力が必要であろう、かように考えておる次第でございます。従いまして根本的な解決を要する問題につきましては、政府地方行政調査委員会議の調査立案の結果に基きまして、善処をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  175. 門司亮

    ○門司委員 ちよつと関連してお聞きしたい。この税法の件についてはあとで聞くとして、一応定められた機関の性質を聞きたいのです。従来の住民税は非常に各自治体に弾力性を持たしておる。自治体のそれぞれ実情に沿うた課税の方法で課税しておつたと思います。従つてこの住民税にも非常に多くの段階か設けられておつて、割合にむりがなかつたと思いますが、今度はこういうように法律できめて、この範囲を出られないということになりますと、この法律自体、市町村民税自体が、地方の自治権の大きな侵害になると考えておるか、この点をどういうふうにお考えになりますか。
  176. 奧野誠亮

    奧野政府委員 ただいま門司さんから今回のつくり方については、逆に地方自治体の自主性を阻害しやしないかという御懸念のようでありますが、私どもといたしましては、この税率が標準税率になつておりますので、ある程度この辺における弾力性があるであろうということと、それから制限税率制度を設けまして、幅がある内容のもとに、この運営ができるということを期待しておりますので、これがために特に地方団体の自主性を阻害するというような考えは持つておらないのであります。
  177. 門司亮

    ○門司委員 私にはそう受取れないのです。従来の行き方とかわつております点は、先ほどから申しておりますように、幅があると言われておりますが、自治体の幅は八百円から千円だけの幅でありまして、実際の自主性はなかろうと思います。そして個人々々に対してそれがどういうふうに課税されるか。今までの税額からいつて地方のかけ方というものは、たとえば人頭割にいたしまして、おのおのの地方実情に沿うてかけられておつたはずであります。いわゆる独身者あるいは少額所得者とみなすような人たちに対しましては、人頭割自身も必ずしも八百円であるとか千円であるとか画一的なものはかけられておらなかつた。ことに資産割あるいは所得割の面におきましては、非常に段階を定めまして、市町村につきましては二十階級くらいにわけて、その間にむりのないように、ほんとうの地方実情に即した徴税の方法があつた考えておる。ところが今度の方法はまつたく逆に行つておりまして、国がこういう大幅なものをきめて、所得税の九割八分にきめられてしまつた。これを動かすわけには行かない。こうなつて来ると、ほんとうに地方自治行政の妙味はなくなつてしまう。比較的民主的に多くの人の利益を見て、大体この家の資産内容あるいは所得内容というものが勘案されてきめられておりました。税のかけ方といたしましては、きわめて非民主的なかけ方であつたが、内容においては割合に妙味のある運営がされておつた考えておる。ところがこうなつて参りますと、地方の自治の妙味はほとんどなくなつてしまつて、これは地方自治体の運営を阻害する一つの大きな問題になつておると思うが、この問題については一体今の時間の御答弁だけでは納得しがたいのであります。もう少しこういう税率できめられたという根本をお聞かせ願いたい。
  178. 奧野誠亮

    奧野政府委員 門司さんの御意見はもつともな御意見だと思うのであります。政府がこういう案をとりました点は、また別な角度から考えておるのでありまして、現在の市町村民税、道府県民税はお話のように、ほとんど全面的にと言つていいくらい地方団体に課税の方法をゆだねておるわけであります。その結果現在十四百五十円の住民税というものは、一万円を越えるような団体も出ておるのでありまして、こういうふうな課税の仕方というものが、はたして適当であろうかどうかというようなことになりますと、かなり疑わしいと思うのであります。ある程度応能的に負担すべき住民税の性格が、逆に負担能力のないところに、非常に重い税金が課せられておるのでありまして、やはりある程度こういう欠陥は防止した方がよろしいという結論も出るだろうと思います。また現在の住民税の課税の方法といたしましては、均等割、資産割、所得割等を用いておるわけでありますけれども、従来は大きな家を構えて生活していれば、それだけ地方団体からの税金も大きいわけだから、あるいはまた大きな家を構えておれば、それだけ消費生活も楽なんだから、反面相当な所得もあるはずだ、こういう認定もできたわけなのでありまして、ある程度そういう意味で負担を多く持つてもらうのも、意味かあつたわけでありますけれども、今回の税制改正で固定資産税の負担が、急激に増加いたしました関係上、その部分を併存いたしておきますことは、あまりに負担が過重になり過ぎるという考え方も持つわけなんであります。従いましていわゆる資産割というような面は、課税の方法としては採用しないということにいたしたわけであります。そこでおそらく門司さんの御心配されておりますのは、それじや応能的に負担させるといつても、單に所得税をそのまま標準にして行くというようなことが、はたして市町村が見た場合の応能的な課税になつているかどうか疑問じやないか。そこに市町村として十分な判断のできるようにしなければならぬじやないかという御意見だろうと思いますが、個人のそれぞれの所得をどう見るかということは、国も一つ見方をいたします。市町村もまた別な一つ見方をいたします。ばらばらにそれぞれがかつてに見ていいじやないかというよりは、やはり国と市町村がともに協力関係に立ちまして、できるだけ均衡のとれた所得の把握の仕方をする方がよろしいのじやないかと思うのであります。従いましてそれが均衡がとれておりませんと、市町村間における不公平な計算ができるわけであります。まだ税務署の管内を通じてよくありません場合は、市町村が全部を通じまして自分で計算を仕直すというようなことにもいたしておるわけでありまして根本の精神といたしましては、市町村と国とが協力関係に立つてできる限り均衡のとれた所得の決定をして行きたい。こういう考え方に立つておるわけであります。
  179. 門司亮

    ○門司委員 ますますけしからぬ答弁と思います。今度の税法は全部を通じまして、再び官僚の独裁のもとに地方の自治体を置こうとする一つの現われでありまして、先ほどの御答弁の中にも現われておるのであります。国と地方といいますが、地方の自治体を強化することは、ことに財政面からこういう押しつけ的なものを持つてつて地方の自治体の運用の妙味を発揮できないようにするならば、明らかに地方自治権の大きな侵害であります。地方自治体をどんなに民主化しようとしても、この国の法律で定められているわくから出ることができないことになります。ならば、地方自治権の侵害である。この地方税法全体を通じて、そういう気分が多いのでありますが、特に日本の地方行政を官僚の手元に取返そうとする一つの大きな現われであると考えると、まつたく時代の逆行であります。それから同時にさつき十倍もとつておるところもあるというお話でありますが、私も存じております。それといえども、かつてにとつておるわけじやない。地方に許可なり申請があるはずであります。これを野放しにして幾らでもとつていいという規定は設けてなかつたと思います。なぜそれらに対してはそういう理論があるなら、調整をしなかつたか。これは国の地方に対するそういうこと自体が、地方の従来の配付税法の方法あるいは配付税の一つの実行のしかたというようなものについて、いろいろな問題が起つて来ておる。そういうものが全部勘案されて、ほんとうに地方の自治体が自主性を発揮することを尊重するならば、法律のわくはきわめて大きなわくであつていいはずであります。こういうように八百円から千円までときめる。所得税率におきましても一割八分を必ずとらなければならないというような法律のわくにきめられてしまうことになれば、地方はどうにもならなくなつて参ります。ことに住民税は先ほども申し上げておりますような、従来の戸数割の一つの変形といつてもいいような形をしておる。もつとも地方住民に対して地方の自治体に関係の深い税金であるだけに、やはり私は実情に沿う税金の取方をすることが正しいと同時に、そうすべきであると考えておりますが、当局は依然として官僚的のものの考え方であつて地方の自治権を財政の面から、悪い言葉を使うならば、剥奪して行こうというような意図が、ことに住民税に関して大きく現われて来ておるということだけを、私は一応申し上げておきたいと思います。これ以上議論は私は困難だと思いますが、そのほかの問題については、きようは遅くなつておりますので、次の機会に讓つて質問したいと考えております。
  180. 生田和平

    生田委員長代理 本日はこの程度で散会いたします。明日は午前十時から開会いたします。     午後四時十六分散会