運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-04-15 第7回国会 衆議院 地方行政委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月十五日(土曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長 中島 守利君    理事 生田 和平君 理事 大泉 寛三君    理事 川西  清君 理事 川本 末治君    理事 菅家 喜六君 理事 塚田十一郎君    理事 久保田鶴松君 理事 藤田 義光君    理事 立花 敏男君 理事 大石ヨシエ君       河原伊三郎君    清水 逸平君       田中  豊君    野村專太郎君       古田吉太郎君    龍野喜一郎君       門司  亮君    床次 徳二君       池田 峯雄君    井出一太郎君  出席国務大臣         法 務 総 裁 殖田 俊吉君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         総理府事務官         (地方自治庁財         政部財政課長) 奥野 誠亮君  委員外出席者         議     員 林  百郎君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 四月十五日  理事田中豊君及び野村專太郎君の補欠として塚  田十一郎君及び生田和平君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  地方税法案内閣提出第一二三号)  行政書士法案の起草に関する件     —————————————
  2. 中島守利

    中島委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたしたいことがあります。すなわち、理事であります野村專太郎君と田中豊君が、都合により理事を辞任したき旨申出がありますが、これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中島守利

    中島委員長 御異議なしと認め、これを許すことにいたします。  これより理事補欠選挙を行いたいと思いますが、これは投票の手続を省略して、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中島守利

    中島委員長 御異議なしと認め、委員長より指名いたします。野村君の補欠生田和平君、田中豊君の補欠塚田十一郎君、以上を理事に指名いたします。  本日の理事会におきまして行政書士法案を起草することになつたのでありますが、本委員会においては理事会決定通り行政書士法案を起草することにいたしたいと考えますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中島守利

    中島委員長 御異議なしと認めます。行政書士法案を起草することにいたしますが、委員長の手元において一応案を作成いたしまして、後日各位にお諮りいたしたいと存じます。  これより昨日に引続きまして懇談会に入ります。      ————◇—————     〔午前十一時十一分懇談会に入る〕     〔午前十一時十一分懇談会に終る〕      ————◇—————
  6. 中島守利

    中島委員長 懇談会はこれをもつて終了いたします。  明日は日曜日でありまするが、午前十時より本委員会を開きたいと思います。  それでは午前の会議はこの程度にして、午後一時三十分より再開することにいたします。暫時休憩いたします。     午後零時三十五分休憩      ————◇—————     午後二時十分開議
  7. 中島守利

    中島委員長 これより会議を開きます。  地方税法を議題にいたします。地方税法中第一條ないし第七十四條、この質疑を許します。  この際お諮りいたしますが、殖出法務総裁が出席しておりますから、罰則方面に関する質疑を、便宜許したいと考えます。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 中島守利

    中島委員長 御異議なしと認めまして、さようにとりはからいます。生田君。
  9. 生田和平

    生田委員 私のお尋ねしたいことは、地方税法中の処罰規定について、殖田法務総裁にお伺いいたしたいと思います。まず第一に順序としてお尋ねいたしたいのは、この法律提案の前に、むろん自治庁から法務府へは御連絡があつたものと思うのでございます。そこを確めたいと思います。いかがでありましよう
  10. 殖田俊吉

    殖田国務大臣 むろん法律が出ますときには、すべて法律案につきましては、私の方の関係の局を通ることになる次第でございます。
  11. 生田和平

    生田委員 この法律は今法務総裁の御答弁のあつたように、法務府においてもよくお調べになつておることと思うのでありますが、私の直感いたしたのでは、非常に重いよう感じがいたすのでございます。従来この税法罰則規定は、必ずしも重かつたとは思わぬのでありますが、昭和二十二年の法律第百四十一号の追加の場合、並びに昭和二十三年の法律百七号の改正のときから所得税法人税等罰則規定が非常に重加せられたように思うのであります。そのうち所得税法の第六十九條の罰則規定には、脱税犯といたしましては、「三年以下の懲役又はその免れた税金の五倍以下に相当する罰金若しくは科料に処する」となつております。つまり所得税法罰則規定は、三年以下の懲役であつて罰金刑脱税の五倍ということになつております。今回提案せられましたる地方税法では脱税規定では三年以下の懲役、もしくは五百万円以下の罰金に処す、しかもこれは併科することができる、情状によつては、どちらも処罰することができる、つまり体刑に処した上に、さらに罰金を科する、こういうことになつております。従来の五倍の罰金をとるということと、一方では五百万円とかわつたのでありますが、かりにこの脱税した者が、あるいは大会社であるとか、あるいは大資本家であるという場合は、あるいは適当かもしれません。しかしかりに脱税が十万円であつても、五百万円の処罰を受ける場合がなしとしないと思うのであります。  第二には秩序犯といたしまして、旧所得税法の第七十條の罰則規定では、秩序を乱した者は一年以下の懲役、または二十万円以下の罰金に処するとあります。今回の地方税法では、至るところに一年以下の懲役、二十万円以下の罰金というのがありまして、おそらくこれは二十二年と二十三年の法律改正の基準をたよつて、今度の処罰規定をこしらえたものではないかと思います。また地方税法処罰規定の中の二、三のものを参考までに申し上げてみますと、四十二條では附加価値税脱税に関する罪、すなわち詐欺または不正の行為は三年以下の懲役、五百万円以下の罰金、四十一條法人代表者等自署及び押印義務違反に関する罪は一年以下の懲役、または二十万円以下の罰金、つまりそれぞれ自署をしなかつた者とか、あるいは押印義務を怠つた者とかいう犯罪が一年以下の懲役、または二十万円以下の罰金であります。百三十條の規定では、これは「領収証証紙をはらなかつた者」等の罪、つまり旅館または料理店領収証を発行する場合に、納税のかわりに証紙を張ります。この証紙に割印を忘れたとき、あるいは署名の下に判を押さなかつたとき、かくのごとき軽微な犯罪でも、なおかつ一年以下の懲役、または二十万円以下の罰金に処するとございます。四百五十二條規定では、年額新たに二百円の税金を納める自転車税で、その脱税の罪は一年以下の懲役、もしくは一万円以下の罰金荷車税におきましても、検査を拒否したというだけの罪は六箇月以下の懲役、または五千円以下の罰金であります。荷車税に関する脱税の罪が一万円以下の罰金、または科料であります。一年以下の体刑もついております。かくのごとく重い刑をきめられているのであります。しかもこの法律を見ますと、全章が七百三十何條かにつて成立いたしておりまして、そのうち処罰規定、つまり延滞利子をとるとか、あるいは加算金をとるとか、あるいは罰金刑を科するとか、体刑を科するとかいう條文が、ちよつと拾つてみましても、二百五十余條の多きに上つております。つまり全條文の三分の一強が国民に対する罰則規定であります。まるで刑法でも読んでおるよう感じがするのであります。かくのごとき重刑税法に科せられるということになつておるのでありますが、従来の日本刑法処罰規定と均衡がとれておらぬのではないか、こういうふうに感ずるのであります。刑法規定を見ますと、刑法第百五十七條の公正証書に不実の記載をした者の罪は、一年以下の懲役、一万五千円以下の罰金、あるいは第百五十九條の私文書偽造行為の罪、これは一年以下の懲役または五千円以下の罰金に処す。また国税犯則取締法ではその第二十二條におきまして、「国税納税義務者ノ為スヘキ国税課税標準申告」等を怠つたものは、前のと反対に三年以下の懲役または二十万円以下の罰金ということになつております。かくのごとく法令が一方は非常に軽くて、一方は非常に重い感じがいたすのでありますが、法務総裁はこれらの点に関してどういう御意見を持つておられるか、一応これを承りたいと思います。
  12. 殖田俊吉

    殖田国務大臣 地方税法罰金のことでございますが、ただいま順序は、あるいは生田さんのお話順序と違うかもしれませんが、私の伺いましたところを考えつき次第申し上げてみますと、今度の法律の中で罰則規定がはなはだ多いということがまず第一、その罰則規定の多いのは、罰が多いのではありませんで、従来の法律の書き方では罰則を一まとめにまとめまして、わずかの條文で、これを処置しておつたのでありますが、それでは国民の側において、どこに罰則があるかわかりませんから、そこで一つ一つの問題について一々罰則を明らかにいたしたのであります。従つて罰則の種類が多くなつたわけではないのでありまして、その方が国民が便利であろう。こういうことをすれば、すぐ罰はここにある。ああいうことをすれば、すぐに罰がそこに出て来る、こういうようにした方がわかりいいであろうということで、罰則規定をたくさんに挿入したのであります。みな同じものであります。  それから大体刑法罰則に比べて罰金等が非常に多いではないか、高いではないかというお話でありますが、これは財政に関する犯罪特殊性でありまして、財政法犯罪は常に一般の犯罪よりも罰金が著しく高い。そういう一つの特徴を持つておるのでございます。  それから最初にお話つたと思いますが、五百万円の罰金というのは高いではないか。五百万円とかあるいは百万円とか、あるいは二十万円とか、あるいは三年とか一年とかいうよう限度がみな設けてありますが、これは先般法律になりました所得税改正法と大体同じでございまして、新しい法律標準と今度のこの地方税法標準どは、肩を並べて参つておるのであります。五百万円と申しますのは、非常に高いようでありますけれども、これは実は従来のごとき脱税額の五倍とすることよりも、はるかに安くなつておるつもりなのであります。なるほど十万円の脱税で五百万円もかけますれば、それは非常に不当に高いことになりますけれども、さようなことは実際問題としては起りません。必ず適切なる量定をするものと考えておるのであります。それよりも最高限度五百万円ときめた方が実際に適する、こういう考え方であります。五百万円まではいくらかけてもいいのだということで、随意に罰金を量定するのでは決してないつもりなのであります。この最高額の五百万円は、御承知のよう附加価値税についてでありまして、その他の市町村民税であるとか、あるいは固定資産税というものは百万円に定めておるのであります。  大体今お尋ねの問題は、そういうことであつたかと思いますが、税を適脱するという以外に、たとえばいろいろなこまかい手続について誤つたとき、手続をごまかしたというときについての罰則お話がありまして、これは大抵は一年以下の懲役または二十万以下の罰金、こういうことになつておるのでありますが、これもただいまお話いたしましたように、新しい所得税法と同様の規定に照合をしておるのでありまして、ことさらに地方税法に重くしておるというわけではないのであります。つまり全体といたしまして、所得税法によらず、何によらず、新しい財政法罰則が重いではないか、こういうお感じであろうと思うのであります。それは皆さんのお考えによりまして、さようにお考えになるのもごもつともと思うのであります。とにかく模範になります所得税法においてはさようにすでにきまつております。地方税法もまたこれに追随して行くほかはない形になつているのであります。
  13. 生田和平

    生田委員 今法務総裁から御懇篤な御答弁があつたのでありますが、私が冒頭に申し上げましたように、二十二、二十三年の法律改正のときに同じく法人税等に一年以下の懲役、二十万円以下の罰金ということが改正せられていることも申し上げている、これはよくわかつたのでありますが、その後ずつとこの刑罰規定でやつて来られて、本年における他の税法を、いつもやはりそういうふうな規定になつているわけであります。私のお尋ねしたいのは、かよう重刑を科しました結果、あるいは徴税上におきまして国民の怨府になつておりはせぬか。あるいはまた徴税当局がこれを悪用いたしまして、お前はこういう重い罪になるぞ、それでこういうようなことをしてはけしからぬじやないかというような、ささいな失策まで取上げましてこれを脅喝するという例が非常に多く、昨年来頻々として、われわれの耳に入るのであります。この点を法務総裁お尋ねするのでありまして、かくのごときことは元来が金に対する、税に対する犯罪なんです。それに持つて行つて重い体刑を付し、かつまた重い金刑を科することが刑事政策上はたしていいだろうか、必要だろうかということをお聞きしたい。
  14. 殖田俊吉

    殖田国務大臣 ごもつともなお尋ねでありますが、地方税にたいしましても、地方自治体における徴税機構も今度はうんと整備されるわけであります。その自治体徴税技術が進歩いたしましようし、機構も整います関係つまり徴税が合理化されるということになりますれば、そこへ検察が入つて参ります余地は、だんだん減ると思うのであります。また法律がかわりましたからと申しまして、すぐにこの新しい法律によりまして、きびしい刑罰をもつて臨むということは、決してとるべきことではないのであります。こういうきびしい罰則がありますが、なるべくなら徴税機関の正常な徴税の仕方によりまして徴税機関みずからでまかなつて行き、検察を煩わすことのないようにいたして行きたいと思うのであります。また検察へ参りましても、私は最も妥当適切なる方法によりまして、検察を運営いたしまして、決して不合理のないように、またこれが過当になることのないように努めて参りたいと思つておるのでございます。
  15. 生田和平

    生田委員 検察当局のお気持はよくわかるのでありますが、前にも申し上げましたように、国民の側から申しますと、最近特に重税の重圧下にありまして、現在では租税を納付することが、国民の一番大きな悩みなのであります。私個人の考えといたしましては、刑事政策は、嚴罰主義よりはむしろ温情をもつて指導誘掖する方が、結果におきましては、いいのじやないかと常常考えておるのでありますが、特に敗戦後における日本国民の経済が非常に窮迫しておる時代におきましては、なおさらその感を深くするものであります。どうも今度の税法によるすべての懲罰規定が、法を重くしてその力によつて租税を徴収しようという方針が、至るところに実は現われておると思うのであります。これはあるいは自治庁の長官にお聞きするのがいいのかもしれませんが、参考として申し上げてみたいと思うのでありますが、第五十八條規定に「(違法又は錯誤に係る附加価値税に関する更正、決定又は過少申告加算金額、不申告加算金額若しくは重加算金額決定等救済)」という條項があります。つまりこれは徴税当局が誤つて、しかも違法または錯誤によつて決定をしたという、そういう場合の救済方法だと実はここに書いてあります。これは救済じやないのです。徴税当局が誤つておるのでありますから、国民に対しては陳謝して、これを是正すべきものだと思うのです。しかるに五十八條におきましては救済規定だ、こういうのです。しかもこれに対して異議のある場合には、府県知事に三十日以内に訴願する、府県知事はさらに地方財政委員会の許可を得る。なおかつそれでいけない場合には裁判所へ持つて行く。こういう複雑な規定で、これだけでも九十日間を要する。しかもそれについては徴収は猶予しない、こういう規定になつておる。徴税当局がしかも違法または錯誤によつて行われた徴税でも、なおかつこれは救済方法だと言つて訴願規定をこしらえておる。これらの精神が官僚立法の現われだと私は思うのです。非常に遺憾に思うのです。それらがやはり処罰規定の中に含まれておるのです。これはむしろ本多国務大臣お尋ねすべき事項かと思うのでありますけれども、ついでに法務総裁の御意見を承ることができれば、幸いだと思います。
  16. 殖田俊吉

    殖田国務大臣 法律罰則を嚴重にいたしまして、法をもつて国民を威嚇してそうして徴税を便利にするという考え方は、私も生田さんと同様に、適当ではないと考えております。従つていかに罰則を多くいたしましても、国民を威嚇する具に用いてはならない。これは例外の場合に適用する一つの伝家の宝刀であるというふうに持つて行きたいものと、実は考えております。それにつきましては、徴税機構なり、徴税行政のあり方をもつと民主化しまして、これを国民納得の行くような適切なる方法でやつて行かなければならぬと、実は考えておるのであります。また、ただいま救済についてのお話でありますが、これは違法であるとか、あるいは錯誤であるということが明瞭であれば、むろん、ただちにそれは取消されまして、即座に救済ができるものと思います。しかしながら、この條文にありますのは、それが明瞭でない場合、明瞭でないが手続によつて精査した結果、さよう結論になるものに対する救済であります。従つて手続としては、かよう手続を踏む以外に方法がないのでありまして、これは従来より各種の税法その他に規定されておるところと同様でありまして、今日の所得税法等においても、同様な規定が設けられておるのであります。これもやはり行政心がけいかんによつて運用のよろしきを得る、得ないがきまることと考えますので、十分にその辺を注意いたしまして、適当な運用をいたしたいと考えております。
  17. 生田和平

    生田委員 だんだん御意見を承りましたが、私は結論だけ申し上げますと、今回のこの税法罰則規定は、国民を威喝するものだという感じが拔けないのであります。もとより、これを適用いたします場合には、いろいろな方法もありましよう。しかし全章を通じましての感じがどうも非常に重刑だ。先刻申し上げました通りに、証紙に判を落しただけでなおかつ一年以下、十万円の罰金とかいうようなことは、いかにも重過ぎるよう感じがいたします。それのみならず、全章を通じての感じが非常に重い。これは二十三年の法律改正がここに及ぼして来たのだと思いますけれども、今日またさらにこの気持を修正いたしまして、もう少しゆとりのある、やわらかみのあるものに改正するのが、適当でないかという意見を申し上げまして、私の質問を終ることにいたします。
  18. 門司亮

    門司委員 ちようど総裁がおいでになつておりますので、一応御意見だけ承つておきたいと思いますが、この法案は新しい、ことに附加価値税のごときは新しい法案でありまして手続その他が非常にめんどうでございますので、おそらくこれの周知徹底には相当な時間を必要とすると、私は考えております。しかるに、この法案がただちに二十五年度から施行されるということになつて参りますと、そこへ納めます者のほんとうの理解と納得と、この法案すべてに精通した上でなければ、なかなかそういう事態が困難だと考えております。従つて法に定められておりまする通りの、先ほど生田委員も申し上げられました通り、非常に苛酷な罰則が設けられておるのでありまするが、これが周知されていないことのために、往々にして私はそういうものが必ず出て来る。ことに本年度におきましては、それがことさらに多いのじやないか、こう考えられるのであります。その場合徴税吏にいたしましても、御存じのように都道府県の徴税の今日の機構というものは、非常に小さいのでありまして、これを拡充いたしますれば、ふなれの者を多く使わなければならない。そこでふなれの人がこれを督促し、あるいは徴収いたしまする場合には、ややともいたしますならば、人間の一つの弱点といいまするか、情といいまするか、そういう意味においてやはり法をたてにきて、そうしてどうしてもこれをおどかすという言葉を使いますか、そういうことによつて徴税の実績をあげようという気分が、私はたくさんできると思うのであります。こうなつて参りますと、そこに大きなハンデキャップがついて参りまして、犯罪を構成する者が多いようなことに相なつて来て、非常に大きなトラブルを起すのじやないか。ことに市町村の税というものは——大都市におきましては格別でありますが、小さな市町村に参りますと、この罰則を適用することは困難だと私は考えておる。これは小さな村になりますと、百五十戸や二百戸の村もありますし、さらにほとんど家族的のよう地方公共団体でありますることのために、この罰則をただちに適用するというようなことは非常に困難だと考える。この点についての法務総裁の御意見を、もしこの機会に承ることができますならば、非常に幸いと考えております。そういう処置に対して、どういうお考えを持つておられますか。
  19. 殖田俊吉

    殖田国務大臣 ごもつともなお尋ねであると思います。でありますから、新しい税法が施行されますと、あらゆる方面にそれに応じまして、適当な処置考えて行かなければならぬと思うのであります。まず各自治体におきまして、機構を整備することがたいへんであろうと思うのであります。ただいまお話のごとく、このむずかしい税法国民に周知せしめる。これまた非常に困難だと思うのであります。これらについて政府といたしましては、十分に徹底をするよう措置を講じ、また自治体等にこれを勧告しなければならぬと思うのであります。私の所管いたしまする問題、すなわち罰則の適用であります。これも法律にあるからと申して、ただちに字句通り罰則を適用したのでは、かえつてはなはだ不公平であり、国民にとつて迷惑であります。その点につきましては、その事情を察しまして、いわゆる情状によりましてこれを適当に運営して行きたいと考えておるのであります。具体的の問題になりますれば、いろいろな問題が起つて来るであろうと思います。ただいまのところ、まだこれにつきましていかなる措置を講ずるかということを、はつきり考えておるわけではございません。国税につきましていろいろな問題がありますので、それらを考えまして、それに準じまして、地方税についても適当な措置をいたしたいと思つております
  20. 門司亮

    門司委員 経過の処置は、そういうお考えで一応われわれも考えられることでありますが、根本の趣旨についての御意見を一応伺つておきたいと思いますが、それは地方税と、それから国税との間には、おのおの国民観念が多少違う観念を持つておるかと思います。国税にいたしまするならば、当然国の運営のことのために、いろいろな考え方もありまするが、地方税の場合はいわゆる地方公共団体自治体の中で行われまする仕事でありますので、できるだけこれには犯罪人を出さないように、できるだけ国民納得の上、話合いの上で税金が取れるように、トラブルを起こさぬように、税金の問題にいたしましても、これを処理することが、法の根本に織り込まれなければならないと考えておるのであります。しかるに本法案によりますると、そういうほんとう地方公共団体の特質というものが、現われていないかのよう感じがするのでありますが、この点に対して地方税国税に対する罰則規定の何といいまするか、定義といいまするか、そういうものについての法務総裁にお考えがございますれば、お伺いいたしたいと思います。
  21. 殖田俊吉

    殖田国務大臣 ごもつともなお尋ねでありますが、大体法律的に申しますれば、地方税国税もそんなにかわりはないわけであります。しかし国税におきましても、徴税のことはなるべくならば徴税機関そのものに、始末をさせるという建前でありまして、検察等が出て参りますことは、よくよくの場合でなければならぬという建前を持つているのであります。従つて今のお話のごとく、地方税はことに地方公共団体の問題でありますから、地方公共団体徴税機関に、最も実際的な適当な措置をとつてもらいますれば、それがただらに検察の手によつて措置されなければならぬというようなことは、これをずつと少くすることもできるのではないかと思うのであります。これは実際にやつて見まして、ひとつ適当に運用して行きたいと思うのであります。もし公共団体徴税機関が上手に運用をし、公共団体が適切なる行政をいたして参りますならば、国税以上に検察を煩わすことはもちろんございませんし、国税よりもはるかにその点は適切な措置ができるのではないか。こう考えております。
  22. 門司亮

    門司委員 私の聞きたいと思いますことは、先ほど総裁の御答弁にありましたように、税の観念においては国税地方税の区別はないということも、一応議論として承ることができるのであります。しかし実際の実情といたしましては、先ほど申し上げておりますように、国税に対する観念、いわゆる国家が一つの仕事を行いまする場合におきましての税の観念と——国家形態のものの考え方と、地方公共団体というものは、おのずからその性格を異にするものがあると考えているのであります。ことに自治体という字句を冠しておりますゆえんは、私はそこにあると考えているのであります。従つてこの自治体の中で起ります問題は、税金の性質といいますか、本質が同じであるから、国税における罰則と同様のものであつていいか悪いかということ、もしこれがいいといたしますならば、それはあまりにも税というものの観念にとらわれたしやくし定規的の観念であつて、私は国税地方税の間におきましては、おのずから罰則その他等につきましても、多少地方自治的の罰則が行われなけばれならない。一口に申し上げますと、多少のゆとりのある罰則がここに設けられる。そうして地方の狭い範囲の自治体であります関係から、ここにトラブルを起さないように、なるだけ自治体が自治の本領に即した行き方で行きたいという観念を、実は持つているのでありますが、この点についてのお考えをもう一応お伺いしたいと思います。
  23. 殖田俊吉

    殖田国務大臣 なかなかむずかしい問題でありまして、お説のような点も十分あるのであります。私はそう思いまするが、自治体に自治を十分行わせるという上から申せば、どうしても財政的にほんとうに独立させるということが必要でありますから、地方税と申しますのは各地方自治体財政の根幹であります。相当やはり厳重な罰則等を設けまして、本気にこれをやらせるという必要もあろうかと思うのであります。さればと申して今のお話よう自治体内部の問題をあまりに刑罰等をもつて市民に臨むということは、これまた実際の運用上おもしろくないと思います。そごが非常にむずかしいところであります。しかしまた地方税法の中に盛つておりますいろいろな税は必ずしも税率が固定しておるわけじやありません。その自治体の経済状況、その他によりまして、自治体自身でもつて相当に幅のあるきめ方ができると思います。その点においては、私は実際においては、案外案ずるより生むがやすいような結果を見られるのごはないかと、実は期待をしておるのであります。しかしながらこれらはいずれも新しい試みでありますので、今ここで簡単に私がはつきりどうであるということを断定して申し上げるわけには参りませんので、今後の運用によりまして、そごは十分に研究して参りたいと思うのであります。
  24. 中島守利

    中島委員長 この際お諮りいたします。私御承知のように、病後で体力が伴わないのでありますから、自然代理を願うことが多いのでありますが、この際生田理事委員長代理を当分お願いしたいと考えます。さようとりはからいますから、御承知を願いたいと思います。     〔委員長退席、生田委員長代理着席〕
  25. 立花敏男

    ○立花委員 小野さんにちよつとお尋ねいたしたいのでありますが、この間私どもの要求で出していただきました二十五年度の道府県税収入見込み額調でありますが、これはまだ要求いたしましたものの半分しか出ておりませんが、とりあえずこれで御質問したいと思います。やはり出していただいて問題のある場所がはつきりいたしたのであります。と申しますのは、この表は、府県だけで市町村は出て来ておりませんので、府県だけの分しかわかりませんが、府県を見ましても、実は今度の税制で府県に非常なでこぼごが出て来たということが、この表を見ただけではつきりいたします。たとえばこの表によつて、二十四年度よりふえましたのが十一、減りましたのが三十五、しかもふえましたところは五割もふえております。減つたところはかえつて逆に五割も減つておるわけです。金額にいたしますと、その開きが二十七億ございます。こういうふうに四十六の府県のうちで、十一がふえ、三十五が減り、そのパーセンテージも五割減つたものから、五割ふえたものに開いておる。金額にしてこれは莫大な額だと思いますが二十七億の開きが出ておる。こういう結果が、お出しになりましたこの二十五年度の道府県の税収入見込み額で現われておるのでございますが、これは政府が言われております今度の地方税制によつて地方の自治権を確立するのだということとは、およそ縁の遠い結果が数字の上で、はつきり現われておると思うのでございますが、この点を御説明願いたいと思うのです。
  26. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 ただいま立花さんから御質問がございました私どもから出しましたこの表の中で、非常にででこぼこがある、こういうようお話であるのでありますが、その点につきましては、現行税法によつてとりました場合において、それを基礎として考えました場合におましては、もちろん全部が画一的に均衡を保つということにはなり得ないのではなかろうか、かように思うのであります。現状そのものは、すでに相当のでこぼこがあるというふうな考え方から考えまして、できるだけ新税法によつて均衡を保持するようには努めなければならぬと思うのでありますが、やむを得ず数字の上におきましては、ある程度のでこぼこができて来る。しかしながら、これらの点につきましては、御承知のごとく平衡交付金制度も行われるごとに相なりましたので、この制度の運用によりまして、ある程度の調整がはかられるのではなかろうかというふうに考える次第でございます。なおこの資料につきましては、奥野政府委員から御説明をお聞きとり願いたいと思います。
  27. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 この資料は前年度の収入の見込み額と比較しておりますが、かわつております点は、たとえば青森などはかなり減つておりますけれども、前年度には一億数千万円に上る法定外の独立税を徴収しておつたわけであります。新しい税制はそういうものはないものと予定して、比較いたしております。その結果減収額がかなり多いようであります。反面増額になります東京都でありますとか、大阪府でありますとか、そういうところの増額の程度が、その地方団体の財政需要をオーバーするようでありますと、将来の地方税制として考えて行かなければならぬわけでありますけれども、今回の財政制度の改革におきましては、非常にたくさんありました補助金を大幅にやめてしまつたわけであります。従いまして大きなものとしましては、義務教育費の国庫負担金もなくなるわけであります。従つて新税制によりますと税収入が多くなりますれば、それだけそういうふうな国庫補助金等をやめればよろしいわけなのでありまして、さらにやめてもなおかつ財源が余り過ぎるというようなことは、われわれその数字を吟味しておりまして、ないというふうに考えておるわけであります。現在は四十六都道府県全部、地方配付税の交付を受けておるわけであります。こういうふうな状態はおもしろくないという考え方根本に持つておるのでありまして、将来地方財政平衡交付金を受けるような団体は、なるたけ限られた団体であつてほしい、こういう考え方をしておるわけであります。おそらくこういう制度になりました結果、すぐとは参りませんけれども、経済回復に伴いまして、若干のものは交付をしなくても済む団体ができて来るんじやないだろうかと思つております。むしろそういう点においては、こういう税制も一つの長所を持つておるんじやないかというふうな考え方をしておるのでありまして、必ずしも増減があることが悪いとは考えていない。その増減があつた結果救いがたい欠陥をもたらすものでありましたら、これはよくないことでありますけれども、決して救いがたい欠陥をもたらすものではないという見方をいたしております。
  28. 立花敏男

    ○立花委員 でこぼこを認めておられますが、このでこぼこが適正な税制の改正から生じたものであれば、けつこうだと思うのでありますが、このでこぼこの実態を調べますと、たとえばふえておりますのは、東京、神奈川、愛知、大阪、山口、福岡、こういうふうな固定資産、あるいは近代的な産業が集中しておるところだけがふえておるのでございまして、そういう結果からのでこぼこでございまして、決してこれは健全なでこぼこじやないということが、当然言えると思います。だから私は決してふえた、減つたを現象的につかまえて言つておりませんので、そういう税制の結果として、今あげましたような近代的な産業の集中しておるところだけが、ふえておる結果になつておりますので、こういうでこぼこは適当ではない、不健全である。従つてこの結果を御説のように平衡交付金で救うということになりますと、結局平衡交付金によつて、そういう不適正な減収の府県だけが平衡交付金の支配を受けるという形になつて参りまして、これはどうしても府県としては健全な形でぼないと考えるわけです。そろばんの土では平衡交付金の埋合せでまかなえるかもしれませんが、平衡交付金というものの持つ政治的な性格から考えまして、そういうものを当てにして、そういうものによつて地方財政の大部分が埋められるということは、決してこれは恒常的なものではないし、もとよわ健全な形ではないと思う。そういう建前から、私はこの税制の結果として現われておりますでこぼこを問題にしておりますので、もう一度そういう観点から、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  29. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 道府県の税収入は、二十五年度予算では大体七百億円程度を予定しておるわけであります。市町村の方はこれに反しまして、四百億円程度増額になるというような制度の改革になつております。税収入額が同じでありまして、そこで税制の改正をするわけでありますから、当然税収入額に増減のあることが予想されるわけであります。しかも税制改正をやりますのは、税負担が現に不均衡である、これは容認しがたい状態になつておる。だからここで税制改正をしようとするのでありまして、個人間においての税負担の今のありさまを相当大幅にかえたいというねらいを持つておるわけでありますが、その結果府県間にも自然こういうような増減を生じて参つておるわけであります。その一つの理由はしばしば附加価値税の点について申し上げておりますように、現在の事業税におきましては、そのうちで法人の負担いたしております部分というものが、十%内外であります。それが附加価値税におきましては、法人の負担する分が六〇%内外になるわけであります。さらに具体的に申し上げますと、原始産業は現在もう相当多額の百億円内外の税負担をしておるわけでありますけれども、こういうものは農業が非課税になりますし、水産業その他のもので自家労力によるものを課税しないという方針をとりますので、自然原始産業の多い地域においては、附加価値税の収入は極度に少くなつて来るわけであります。半面大工場のあるようなところにおきましては、現在は事業税におきまして、事業税の負担を負わせていないのであります。これは赤字とかいろいろな理由がありましようが、事業の分量に応じて負担すべき地方税の性格から考えましても、おもしろくないという考え方を持つておるのでありまして、そういう点から、大体原始産業が中心をなしておる府県は、相当減収いたしますし、立花委員がしばしばおつしやる、近代的な企業のあるところは、税収入がふえるという結果をもたらしているのであります。われわれはこういうような税負担のやり方を好ましいと考えておるのでありまして、決してこの税収入の増減が悪い結果を示しておるとは認めていないのであります。
  30. 立花敏男

    ○立花委員 このでこぼこを埋める結果といたしまして、平衡交付金でおやりになると仰せられるのでありますが、私どもはまだ平衡交付金法案を見せていただいておりませんので、もちろん内容は詳しくわからないのでございますが、とにかくそういうことであれば、この税法はぜひ一つ平衡交付金法と合せてやる必要があるということが確認されるのでございますが、とにかくこういうような大きなでこぼこが出て来る。金額にいたしまして、従来とは二十九億も開きが出て来る。五割ふえるものと五割減るものが出て来るこういうことは先ほど申し上げましたように、税制そのものの本質からいたしましても不適当でございますし、数字の上から見ましても、こういう急激な変化をただちに自治体に与えるということは大きな混乱を来すのではないかと思うわけです。たとえそれを平衡交付金でまかなうといたしましても、今度は平衡交付金そのものの性格が非常に問題になつて来る。これは無條件に地方にくれてやるものではございませんので、それにはいろいろな條件がついておる。標準税率による税額の七割の徴収とか、あるいは標準行政費とか、こういうひもがついておりまして、これをもらうことが地方にとりましては、私は必ずしも地方の自治を侵害しないとは言えないと思います。そういうものが五割減りましたところで、それだけたくさん入つて来ますとやはり地方にとりましては大きな中央のひもがついて来るわけでございまして、そういう点から考えて、私はこういう結果をただちに巻き起すような税制は、政府が言つておられるように、地方自治の確立には必ずしもならないということを考えておりますので、そういう点からの御答弁を承りたいと思います。
  31. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 立花さんからいろいろ御質問がございましたが、これを総括してお答えいたしますと、ただいま奥野君からも説明いたしましたように、二十五年度の予定税収の調べによりまして、ただいま御指摘になりましたような、でこぼこが現われて来るということは否定できないと思うのでありますが、しかしこれは今回御審議を願つております地方税法案の基本的な考え方から申しまして、地方に独立財源を付与いたしまして、その財政上の自主性を確保して行くという線から現われて来た一つの結果であると考えることもできるのではないかと思うのであります。と同時に平衡交付金によりまして、あらゆる歳入欠陥その他の問題をカバーできるか、またカバーすることが政治的な問題として相当考うべき必要があるではないか、こういう意見もあるように思われるのでございますが、特にそのお言葉の中で、今回の平衡交付金がいわゆる標準経費等の算定等から考え合せて、いわば中央からのひもつきの運営をするのではないかというふうな御意見があつたように、拝聴したのでありますけれども、われわれの考えております地方財政平衡交付金制度は、さようなものではなくして、これはシヤウプ税制報告書にもございますように、現行の国庫補助なり、あるいは地方配付税制度を再検討いたしまして、渾然融和のとれました、いわば交付金の運用につきましては、当該地方団体の自由にして、かつ自主的な運用にまかせるという建前をとるのが、地方財政平衡交付金の本質であろうと私は考えるのであります。むしろ現行の国庫補助制度をこのまま続けて行きました場合においてこそ、ひもつきの中央集権的な統制力に服しなければならぬような事態の起ることが、予想されるのでありますが、これらの事態をできるだけ断ち切つて、名実ともに地方自治団体の自主的な運営にまかせることを目的とした、いわゆる総合的な財源調整の使命をもつた地方財政平衡交付金制度であると、私どもは理解しておりますので、この点につきましては、立花さんの御意見とは多少見解を異にするのではないかと存じますけれども、御質問に対しまして、総括的にお答えしておきたいと思います。
  32. 立花敏男

    ○立花委員 地方財政平衡交付金が、まつた地方の自主的なものになるとは私ども考えられないのです。これはもちろん出て来てからでないと、審議できないのでございますが、草案によりましても、先ほど申し上げましたように、標準税率の七割もとらなければいけないというようなことがきめてございますし、標準行政費をやらない場合の規定もございますし、これは私ども今までの配付税より、さらに中央のひもつきが強化されたというふうに考えております。特に平衡交付金を握るところのお役所である地方財政委員会でございますか、これにつきましても、私は重大な問題があるだろうと思う。四、五日前の新聞で見ますと、国務大臣が地方財政委員会に入れないというようなこと、これは今まで関係方面政府との交渉の中で、一番問題であつたように聞いておりますが、こういうふうなお役所が、そのひもつきの平衡交付金を握つて、しかもこれがでこぼこのできましたいわゆる弱い部分へ多量に流れて行つて、それが地方の自主権を侵害して行くというおそれは、必ずしも私ないとは言えないと思うのであります。そういうことをお含みの上で、税制の改正考えていただきたいと思うのであります。そういうおそれがありましたからこそ、私この資料の御提出を願つたのでありますが、お出しになりました資料によりましても、今言いましたような大きなでこぼこができておりますので、この結果といたしまして、弱いところへ流れて行きます。地方財政平衡交付金は必ずしも地方の自主権を完全に育成するという、希望的な役割を果すものではないと考えておりますが、この点をもう一度お考え願いたいと思います。  それからもう一つついでに言つておきますが、こういうでこぼこを見ますと、近代的な産業のある附近の府県を一つのブロックにしないではやつていけない、平衡交付金というような形は、健全なあるいは向上的なものでないと思うのであります。やはり地方の自治権を認めて行きます建前上は、このふえた周囲へ減つたものを集めなければやつていけないという結果が、当然起つて来るだろうと思います。だからさいぜん申し上げました五、六箇所の特別にふえたところの周囲へ、附近の特に減りました部分を集めまして、いわゆるここにブロック制あるいは道州制の問題が、この税制の改革から必然的に生れて来るのではないかと思うのでありますが、こういう点で私どもは政府が従来道州制はやらないというふうに言つておられますが、こういう税制の結果現われて参りました数字的なものを見ましても、どうしても必然的にそこへ行かざるを得ないのではないかというふうに考えるのでございますが、この点もどういうふうにお考えか少し御説明願いたいと思います。
  33. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 ただいま立花さんから平衡交付金の制度につきまして、いろいろ御意見を承つたのでございますが、地方財政平衡交付金法案は、所要の手続を経まして、近く国会に提案をいたす運びに相なると思つておりますので、その際なお具体的に御検討を願うことといたしまして、さらに議論にわたることは御答弁の中から避けたいと思つておるのでございます。ただ後段の御質問の中で、地方税法の改革を行うことによつて政府はやはり道州制等の問題について考えを及ぼすべきでなかろうか、こういう御質問であつたと思うのでありまするが、この点につきましては、たびたびこの委員会においても御答弁申し上げましたように、政府は何ら具体的な考え方を持つておらないことを繰返したいと思います。ただお言葉の中で道州制ということをお使いになつておられるのでございますが、その御意見の中で、経済的あるいは地理的な條件に伴う道府県等の区域を、いかに調整すべきであるかという問題と、それから新しく道州制という制度を設けるべきであるかどうかという問題と、この二つの問題がまじつておるのではなかろうかと、推察いたすのでございます。  道府県その他地方団体の区域の統合等の問題につきましては、現在の地方団体の区域が、経済的にもあるいはまた地理的にも必ずしも符合しておらないという点がないことはなかろうと存ずるのでございます。しかしながらこれらの地方公共団体の区域の変更なり、あるいは統合の問題は、地方住民との間において、最も密接にしてかつ不可分な問題でございますので、政府として一方的に方針を打立てましてこれを実行するということは、きわめて慎重な考慮を要するものと思つておるのであります。いわんや新たに道州制を設けるというよう考え方におきましては、なおさらであろうと存じます。従いまして政府はたびたび繰返ておりますように、地方行政調査委員会議において、行政事務の再配分の問題を取上げることに相なつておりますし、これに伴う国の補助制度自体につきましても、再検討を行うことに相なつておりますので、この地方行政調査委員会議の研究の途上において、これらの問題が取上げられるのではなかろうか、もし調査研究されました結果、何らかの意思表示がございました場合におきまして、政府はこれに対して適当な判断処理をいたして行くことが適当であろう、かよう考えを持つておるような次第でございます。
  34. 生田和平

    生田委員長代理 立花さんちよつと御相談しますが、先刻中島委員長より御質問中といえども法務総裁の出席せられた場合には、先だつてその質問を許すということに御了解がなつておると思います。清水君御質問があればこの際御発言を願います。
  35. 清水逸平

    ○清水委員 この税法罰則について一言伺いたいのでございますが、過日私が自治庁の方々に質問したことを繰返すようでございますが、お答えに納得の行かないものがございまして、今日法務総裁の御意見を承りたいと思います。この税法の二十六條の罰則の三項の中に「徴税吏員の質問に対し答弁をしない者又は虚偽の答弁をした者」これが「一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金」こういう規定がございますが、これは憲法の三十八條に「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」の憲法の條項と本法の二十六條の罰則と抵触しない、私は抵触するのではないかという疑いを持つておるのでございます。これについて総裁の御意見を承りたい。
  36. 殖田俊吉

    殖田国務大臣 その御質問はごもつともの御質問でございまして、さような議論をされる方もあるのであります。しかしながら政府といたしましては、かような質問をいたし、あるいは報告を求めるというようなことは、行政執行上当然の必要な事柄である、これをも憲法が除外するという意味ではない、こう考えております。御承知のごとく各種の法律みな同様の規定があるのであります。ただいまのところ従来の解釈といたしまして、憲法のその條草には違反をしないという建前をとつておるのであります。但しこれは議論があることは私も承知しております。さらに将来この議論は一層の研究を要するのではないかと私は考えておりますが、ただいままでのところ、政府の見解はこれに反しない、そうしてそれは事実においてたくさんの同様の法規を持つておるということを、御了承願いたいと思うのであります。
  37. 清水逸平

    ○清水委員 憲法には抵触しないという御意見ようでございますけれども、刑事訴訟法においても犯罪の審理におきましても、黙秘縦というものは認められておるのであります。判事、検事が犯罪を調べるにおいても、これを認めないような権利を一徹税吏に与えることにおいて、非常に人権の蹂躪が起つて来やしないかと憂うるのであります。この條項一つあるために、徴税吏がいわゆるつるし上げを納税者にする。徴税吏が五人も十人もやつて来て、一人の納税者に向つて質問する場合、答えなければならないという一條があるために、これによつてつるし上げをされる。それにおびやかされるという傾向が往々にして起きておる。私の考えとしてはこれは当然改めらるべきものではないか、こういうふうに考えます。また時勢も二十二年、二十三年ごろの法律制定当時の状況とはかわつておりますから、おのずからそれに従つた改正所得税法にも、この條項がございますが、これらの点もともに考えるべきではないかと、私は存ずる次第でありますが、総裁の御意見を伺いたい。
  38. 殖田俊吉

    殖田国務大臣 つまり刑事訴訟法とその他の法律との違いがそこにあるのであります。刑事訴訟法の場合には、刑罰を科せられるわけでありますから、さような場合には黙否権を行使する。これはいわゆる憲法の黙否権である。その他の場合は犯罪ではないのであつて行政執行上必要な質問をするのであるから、それはあえて黙否権を与えるには当らない。そうでなければ行政の執行はできない。行政というものは行われない、こういう建前なのでありまして、決して質問に答えたからと申してその答えによりただちに犯罪になるわけではない。だから犯罪の場合のことぐ黙否権を認める必要がないという建前であります。しかしお話ような疑問を私もいささか持つ場合もあるのであります。しかしながら従来の法律解釈、それから法律の慣行は私のお答えした通りになつております。
  39. 立花敏男

    ○立花委員 それはちよつと違うと思うのです。今質屋営業法が本会議に上程になつておりますが、あれの中には質問の問題は刑罰をやらないということを、この間国警長官がここに来られて答弁されておりますので、あれだけはお除きになつて、こつちの方はおかけになるというのは、首尾一貫しないと思います。その点はどうですか。
  40. 殖田俊吉

    殖田国務大臣 質屋の場合は特に質屋営業を保護すると言つては何でありますが、質屋営業のために特にその点を、寛大に扱つてもらいたいというので、そういうような扱いをすることになつたのであろう——私はその審議にあずかりましたけれども、今はつきりは覚えませんが、そういうふうに覚えております。
  41. 立花敏男

    ○立花委員 あの法案は決して質屋を保護する法案ではありません。質屋を警察の手先にする法案でありまして、あの法案答弁の場合を除いておいて、この税法の場合に加えるというのは、これはどうも一貫していない。しかも法務総裁自身がおつしやいましたように、行政上の一つの手段でありまして、それに対して国民が拒否するというのは、おそらく憲法で与えられた自由だと思う。それをもなお一層苛酷な法律で、刑罰でおどかすということは、非常に異議がございますし、先ほど申し上げましたよう政府のやり方としても、たとえば今の質屋営業法と大きな食い違いがありますから、これはぜひ一度お考え直しを願いたいと思います。
  42. 殖田俊吉

    殖田国務大臣 質屋の方が実は食い違つたのでありまして、原則に対して質屋がいくらか例外になつておるのが建前であります。しかし私だけの個人の意見でありますが、お話の点に多少の疑問を持つておるのでありまして、十分研究をいたしたいと実は考えておるのであります。しかし政府のとつております態度は今申し上げた通りであります。
  43. 藤田義光

    ○藤田委員 簡単にお伺いします。非常に愚問に類しますが、最初に法務総裁のお品から、刑罰の目的を法務総裁はどういうふうにお考えになつておりますか、質問の本論に入る前にまずお聞きしたいと思います。刑罰は犯人を懲らしめるためであるか、あるいは改過遷善のためであるか、この辺をひとつはつきりさせていただきたいと思います。
  44. 殖田俊吉

    殖田国務大臣 なかなかむずかしい御質問であります。これは刑罰の目的が何であるか、刑法の総則で論ずるところでありまして、私も刑法学者でありませんので、明確なお答えができかねるのでありますが、昔は刑罰というものは因果応報であつて、懲罰つまり悪いことをした者にはまた悪いことをもつて報ゆるということであつたのでありましようが、だんだん近代になりまして、刑罰というものは一つの社会的な考え方で、刑罰は法益——法の保護せんとする社会の利益、これを保護するために刑罰を科するのである。でありますから犯罪者に刑をかけまして、社会からその犯罪の再び起ることを防止あるいは他の国民に向つて警戒を与えるということによつて、社会の尊しとする法益を保護する、こういう建前と、犯罪というものは個人に全部責任を課するわけに行かないと見る、社会の環境が犯罪を生ぜしめるものであるから、従つてこれは社会的に見なければならぬ。個人だけを犯罪の全部の責任者と見るわけに行かないという建前から、刑罰の量定あるいは刑罰の種類等もいろいろ変遷があつたように聞いておるのであります。しかしいまだに刑罰をその個人に対する一つの懲罰であるという考え方は、嚴として今日の犯罪の中にも存しておるのであります。その両方面の目的をいかに調和するかということが、これが大きな問題であろうと思うのであります。税法の犯則というようなものは、どつちかと申しますれば罰金をかけまして脱税額の何倍——こういうようなことはやはり因果応報でありまして、ただちに懲罰をその犯罪者に加えるということでありましようが、しかしながら財政法のいろいろな犯則におきまして、これを重く課することは、社会的の警戒ということが非常に大事な考えになつておると思うのであります。しかしながらいずれにいたしましても、それらの考えがいろいろと混合されて、実は実際の刑罰となつておるのでありまして、この罰則はどうであるか、あの罰則はこういうわけであるということに明確にはなかなかきまらぬと思います。いずれにいたしましても刑罰を適用します場合に、刑罰の本質が何であるかということをよく考えまして、具体的の場合に臨んであやまちなきを期せなければならぬと考えております。
  45. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいま総裁の御答弁の中に、私の質問せんとする税法刑罰関係もお申し述べになりましたので省略いたしますが、先ほど来の、特に生田委員の御質問に封ずる御答弁の中で所得税等に関して順次罰則が整備されたから、それに右へならえして、地方税法においても罰則を整備したというような御答弁がございましたが、総裁も認められます通り、この地方税法違反による刑罰というものは、自治の裏づけであります財源の確保、これは異論のない点でありまするが、財源を確保することによりまして、友愛と協同の精神で成立つております地方自治体というものが平和を乱されはしないか、特に公選されておる現在の地方自治体理事者というものは、非常な苦境に立ちはしないか。そういう意味からしまして、国税地方税刑罰というものはおのずから截然と区別されてその区別された認識のもとに、罰則をきめるべきであつたと思いますが、この点に関する総裁の御意見をいま一度お伺いしたい。
  46. 殖田俊吉

    殖田国務大臣 ごもつともな御意見でありまするが、罰則を区分するということは、なかなか困難であります。罰則を区分するのでなくして、罰則を実際に適応されるにあたりまして、その主体が国でありまする場合、自治体でありまする場合、おのずから異なつた結果を生じて来るのではないかと私は考えております。ただいまでも税法の犯則は、ただちに検察庁が独自の見解をもつてこれを処置はしておりません。法律上できるのでありますが、もつぱら国税庁の処置を待ちまして、しかる後これに協力する、こういう建前をとつております。従つて自治体の場合におきましても、自治体徴税機関がみずから処置をいたしまして、処置できなくなつて初めて検察の手に渡るのでありまして、そこは実際の運用においてはよろしきを得るではないかと今は考えております。私が心配しますのは、かえつてそこであまりによろしきを得過ぎて、公正を欠くようなことがあつてはならぬ、こう考えておるのであります。
  47. 藤田義光

    ○藤田委員 総裁のごとき良識あり、人格のある方が判検事をやつておれば間違いないと思います。特に運用の面に行き過ぎがあるということは絶対ないと思いますが、往々にして、特に戦後の関係者には相当その方面の良識に欠けた人もあるやに拝聴いたしております。総裁のお気持運用の面で是正するということは一応の論でございまして、なるべくならば悪用の危険のある法律は初めからつくらぬ方がいいというように、われわれは思つております。特にこの罰則條文が非常にふえておる。これは大衆に周知徹底せしむるために、法文を明確化したと言われましたが、大衆に刑罰を科するよう法律を、冗漫にしかもほとんど各税ごとに詳細をきわめて明記しておるということは、これは立法の精神からしましても適当じやないのではないかというふうに考えております。私は地方税法罰則を一新いたしまして、ぜひとも自治体の本領を遺憾なく発揮するために体刑は除きたい、財産刑だけでやつたらどうか。法務総裁の心配されるよう運用の面における特別の考慮も必要でなくなり、法治国らしいきれいな運用をするために、財産刑だけをもつて臨んだらどうかというふうに感じておりますが、この点に関しての御見解を伺いたい。
  48. 殖田俊吉

    殖田国務大臣 ごもつともな御意見であります。私もことに財政法上の犯罪体刑をもつて臨むことについては、相当な議論の余地があると思うのであります。でありまするが、いろいろ研究をいたしました結果、ここまでの体刑は、なければ法律運用ができないだろうということで、かよう体刑を存置したのであります。それからまた国税地方税に対する刑罰の定め方についての御議論でありますが、私も多少それは考えていいことと思います。しかしながら何分にも両方の、ことに地方税制は新しい税制であります。大体改正所得税法にのつとるという建前で来ておりますので、議論はいろいろあるのでございますけれども、とにかく一応これでやつてみたらどうか、そうして運用によりまして明らかに差別を必要とするということであれば、また改正をしてもよろしい、こういうような意向で実はできてあるのであります。しばらくかすに時をもつてしていただきたいと考えております。
  49. 藤田義光

    ○藤田委員 実は御存じの通り、この法律案は七符三十九條という厖大なるものでありまして、先般私の質問に対しまして、本多国務大臣も将来整備したいということを言明されたのであります。罰則に関しましてもこの機会に法務総裁に、運用の結果を見て整備するのじやなくして、運用のいかんを問わず、結果は必ずよくないというふうにわれわれは想像いたしております。将来罰則に関しては積極的に自治庁当局と御連絡の上、法文を整備したいというお気持がありますかどうか、この際いま一度お伺いしたいと思います。
  50. 殖田俊吉

    殖田国務大臣 いろいろ議論もありますので、なるべくすみやかにさような方向に向つて、ひとつ研究をしてみたいと考えております。
  51. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 簡単に二、三点お伺いしたいのですが、この地方税法法律の中で、たとえば入場税の中で、入場料をとらないから入場税もとらぬわけなのに、入場料をとつたものとみなして、入場税をかけることができるという條文があるのですが、これは一体法務総裁としてどういうふうにお考えになつておりますか。入場料をとつてないのに入場料をとつたものとして課税の対象とする、こういうことがある。こういうことをだんだん広げて行きますと、たとえば料理屋でただでごちそうになる。そうすればこれは遊興飲食税は払つておりませんけれども、料理屋で飯を食べ金は払わないけれども、そうすると遊興飲食税の課税の対象になる、こういうことも成立ちます。これをずつと広げて行きますと、今までの税の法理論からいつては、とうてい収拾のつかないところまで広がつて行くのではないか、こういうふうに考えられる。この点について法務総裁のお考えをお聞きしたい。  もう一つは、今度は入場税を払わない場合に、その建物を貸じたその建物の所有者に税金を納めさせるという條文がある。施設を提供した者が税金を納めなければならない。こういう條文があるのです。これを、また広げて行きますと家主が税金が納められなければたな子が払うとか、たな子が税金を納められなければ家主が払うとか、労働者が勤労所得税を払わなければ資本家が払うとか、資本家税金を納められなければそこに働いておる労働者が払う義務があるということにまで、広がつて行く理論になるのです。ですからこの二つの理論は、今までの所得税法の理論の中では全然考えられていない、別個な建前から、立てられているものなのであります。これは一体どういう基礎からこういうものが生れて来るのか、法務総裁の方から聞きたいのです。日本の憲法でも個人の尊厳ということを建前にしておる。ところが全然関係のない第三者の納税義務を忘れる。こういうことがこの法律の中にあるが、ひとつ明確な御見解を述べていただきたいと思います。
  52. 生田和平

    生田委員長代理 ちよつと池田さんに伺いますが、あなたの御質問は法務総裁にということですけれども、むしろ自治庁の当局に……
  53. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 本多国務大臣はわからぬでしよう。明確な答弁をしておらないのです。これは法理論一般ですから、法務総裁の方が適切であろうと思つて御質問するわけです。
  54. 殖田俊吉

    殖田国務大臣 私の答弁でお気に召すかどうかわかりませんが……今の御議論はいろいろな問題にデイべロプして参るでありましようが、そういたしますといろいろな不合理も出て参りましよう。今の具体的の問題は入場税であります。入場税の脱税を防ぐ——入場税を脱税せんがためにわざわざ無料入場するというような実例があるために、これを防禦するためにできた規定でありまして、その目的を逸脱してまでそれを濫用と申しますか、不都合な適用をすることはないと考えております。
  55. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 脱税を防ぐという観点から、全然納税義務を負うべきでない第三者が納税義務を負うということを法律で明文化するということは、どうしても理解できないのです。そういう考えをまた押し広げて行きますと、先ほど私が言いましたように、資本家脱税するおそれがあるから、そこで働いておる労働者に全部納税義務を負わしておくと、脱税しないのでその方がいいだろう、そういう法律をつくることもできる。たな子が脱税するおそれがあれば家主にまでかけて行く。家主も納税義務があるようにしておけばたな子は脱税しない。こうい再ことになる。まつたくめちやくちやになつて個人の尊厳というものはどこへ行つたのだかわからない。何と言いますか、一つ税法をつくるについて、その基礎となる法理論があるのですが、そういう法理論をぜひともこの際詳しく教えていただきたいと思います。
  56. 殖田俊吉

    殖田国務大臣 さようにいろいろ広げて参りますれば、混雑いたすでありましようし、いろいろな問題起こります。ただいまのところ入場税の脱税が一番出て参つておるのでありまして、これに対する防禦の規定を置いたものと考えます。それから一つの社会とでも申しましようか、大きく言えば社会連帯、従つて関係のごとく見える個人でありましても、それは連帯せしめても必ず不当ではないと思います。従つて、それは大きな問題を含んでおりますけれども、今のところは具体的問題としてお考えを願つた方がいいのではないかと思います。それ以上のことは、私も実はあまりりつぱな御答弁は申しかねるのであります。
  57. 池田峯雄

    ○池田(峯)委員 具体的に入場税だけの問題で、これは別に広げるというのではないのだから、こういうお話でございますけれども、先ほどから法務総裁の御答弁を聞いておりますと、たとえば今度のこの税法罰則、これは実は所得税法の方でもこういう罰則があるのだからと、こういうふうに言われております。ですから、これからこういう法律がどんどん出て参ります場合に、入場税と同じようにこれが適用されるかもしれぬ。これが有力な一つの根拠になります。私どももこれを拡大した場合を考えて、明確な法理論を打立てて、その土に税法をつくるべきである、こういうふうに考えておるのであります。さらにまた社会連帯制と申しますけれども、その社会連帯制というのを繰広げて参りますと、これはとんでもないことになるのでありまして、場合によつては、社会連帯制で行けば、私どもが税金が納められなければ、吉田総理大臣が立てかえてくれるということもでき得ましようし、そういう場合も起るでありましよう。徳川時代の五人組と同じ思想になるのではないか。そういう社会連帯制というものを今ごろ法務総裁が持出して来られるのは、ちよつと何といいますか、歴史の歯車がまわり過ぎておると思う。もう一ぺんそういう点について、もつと根本的な見解をお伺いしたい。
  58. 殖田俊吉

    殖田国務大臣 さような制度を立てましたときの社会の受ける利益、それに従つてこうむるところの社会の損失というものを比較考量いたしましてこれを考え、また個人の尊嚴ということを考えればその通りでありますが、個人の尊嚴と申しますか、自由というものをこの法律では不当に制限をされるというのでありますが、不当であるか、不当でないかということは、その社会全体の公共の福祉ということと照し合せまして決定すべきことであろうと思うのであります。非常にむずかしい問題でありますが、私は抽象的にはなかなか困難な問題であると思います。今のような、入場税があるから、どの税にもこの税にも、あるいはこういう制度にも及ぼすというわけには参りません。そのときになりまして、国会等でひとつよく御審議を願いまして、御決定を願うほかないと思うのであります。
  59. 久保田鶴松

    ○久保田委員 法務総裁ちよつとお尋ねしておきたいのですが、附加価値税脱税に関する罪について、下の方には非常にきつくて、上の方には非常に都合のいい軽い罰則が設けてあると思うのであります。これで参りますと、五百万円を越える額で、それをのがれた税額に相当する額以下の額とすることができるというようなことで、これから見て来ますと、この五百万円以上とこまかい脱税者との罰金額が非常にかわつて来るわけであります。こういう点はこまかい業者の今日の経済状態等から考えてもらつても、法務総裁にはおわかりだと思いますが、こまかい業者か脱税しました場合においては非常にきついが、大きい資本家と申しましようか、そういう大企業家が脱税をいたしました場合においては、ほとんど罪にならないというよう罰則ように、私は解釈するのであります。その点、どういうお考えでこういう罰則をおつくりになつたのか、ひとつ法務総裁からお伺いしたい。
  60. 殖田俊吉

    殖田国務大臣 五百万円と申しますと、最高限を定めましたために、極端な場合には最高限をはるかに上まわる脱税であつても、五百万円でとどまるのではないか。低い方の場合には五百万円に達するその途中で定められたのではたいへんである。従来と違つて脱税額の十倍にも二十倍にもなるようなことがありはしないか、こういうお考えだろうと思います。それは法文の上から見ますと、裁判官側でそうきめますれば、そうなるかもしれませんが、実際においてはまずさようなことはないと思うのであります。刑の量定をいたします場合に、その実態に照応しまして、低いものは低くいたすわけであります。決して大きいものの場合に、五百万円で打切るから税が非常に軽くなるが、低い場合には、たとえば一万円の場合、五万円でも十万円でもきめられる。だから何ぼでもとれるじやないか、そうは行きません。やはり五百万円で打切られる程度に低くきめるだろうと思います。しかし絶対的に申しますと、お話のごとき相違があり得るのであります。しかし実際上においては、さようなことはほとんどあるまいと思います。そこで絶対額を従来のように何倍とすることも一案でありますけれども、それではあまりに不当に高くなり過ぎる場合がある。そこで日本の経済状態等にかんがみて、この程度でよくはないか、こう考えられておるのであります。なるほどお話通りの御議論を進めて参りますと、そこに多少行き違いを生ずることがなきにしもあらずであります。実際問題としては適当に考慮いたしまして、まずさような御心配はなかろうと考えます。
  61. 久保田鶴松

    ○久保田委員 今の点、これは大資本家を擁護すると申しましようか、大金持に対してはあたたかい法律であつて、中小企業の人たちに対してはきつい罰則であるという解釈に私達しておりますが、法務総裁にこれ以上お伺いしますことは、これは議論になりますからやめますが、もう一つお尋ねしたいのです。今度のこの地方税法の内容を見て行きますと、どれもこれもが罰則だらけであります。罰則々々で、これで行きますと、刑務所は満員になつてしまつてたいへんなことになると思いますが、これも先ほど申しましたように、今日の経済状態から見て、納税の立場からこの罰則をたくさんに設けられましたことに対する法務総裁のお考えはどうかということを、一応伺つておきたいのであります。
  62. 殖田俊吉

    殖田国務大臣 ただいま私のお答えしました中に、五百万円を最高である、こう申し上げました。これはその通りでありますが、今事務当局に聞いたのでありますが、一万円以下の罰則は五百万円を越えてもあり得るのだそうであります。でありますから、もし非常に大きな脱税でありますれば、五百万円でも六百万円でもあり得る場合があるそうであります。でありますから、さような御懸念はよほどなくなると思います。それから罰則の多いことはもうお話通りであります。非常にたくさん罰則がありますが、あれは罰が多いのではなくて、罰を一々條文に書いたから多くなつたのであります。それを従来のようにまとめて書きますと、案外わかりにくい。であるから、知らないうちに罰則をかけられたりしていけないというので、ああいうふうに書きわけたのだということであります。しかし罰が実質的に多いということでありますならば、これはまたさらに考究をしなければならぬと思います。
  63. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 私、小野政務次官にお聞きしたいのです。今ちよと気がついたのですが、第七十七條に「交響楽、器楽、声楽等の純苦楽を」とありますが、純管楽と音楽とは、どう違うのでしようか。
  64. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 お答えをいたします。この純音楽については先般の地方税法の一部改正法律案によつて改正をされましたので、それを基本として今回の地方税法案の中にも取入れられておるわけであります。純音楽と申しますと、踊りであるとか、そういうふうなものをまじえない純粋の音楽、こういう意味であります。従つてオーケストラならオーケストラ一本で行つた場合、あるいは長うたなら長うただけでやる場合、こういうふうな場合であると御了承願いたいと思います。
  65. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 私はこの純音楽というのを見まして、こういう法案をわれわれ代議士がきめたとすると、インテリは笑うであろうと思います。音楽に純音楽と音楽、そんなものはありません。オーケストラ、声楽、器楽、こういうものは音楽であつて、踊りとかそういうものは私は音楽とは思わない。こうしたものがあるということは、われわれ衆議院議員の頭を人に疑われると思うのですが、これを何とか訂正願うことはできないのでしようか、踊りがなぜ音楽なんですか。
  66. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 私は音楽の方についてはあまり研究いたしておりませんので、詳しくは御答弁ができかねるかと思いますが、音楽と申しましても、いろいろあるようでござい書て、たとえば能狂言のように、一面ああいうふうな所作はありますが、同時にそれが音楽のリズムに乗つて動いて行くというふうなものがありますので、そういうふうなものが総合された一つの芸術として、音楽としての範疇の中に入るというものがあると思います。そこで私は音楽家ではございませんので、その点はあるいは大石さんの方が御研究になつておられるかと思いますが、純という字がつけられましたのは、いろいろの音楽があるけれども、少くとも純粋に器楽であるとか、声楽であるとか、そういうふうなものについては純音楽として取扱いたい。こういうことで十分に御審議に相なつたものと考えます。
  67. 生田和平

    生田委員長代理 ただいま立花君の御発言中でありますが、緊急な事項がありますから、この際お諮りいたしたいと思います。目下本委員会において審査いたしております地方税法案に対し、政府において成案を修正するため国会法第五十九條により本院の承諾を求めておりましたが、先刻その承諾がありましたので、政府よりその修正部分について説明を求めることにいたしたいと考えております。御異議がなければさよういたしたいと思います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 生田和平

    生田委員長代理 御異議なければ政府の説明を求めることにいたします。     —————————————
  69. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 御存じのように、地方税法案は幾多の紆余曲折を経まして、去る三月二十三日に国会に提案の運びと相なつたのでございますが、目下御審議を願つておる次第でございまして、何分にもこの法律案はきわめて画期的な内容を含み、現下のわが国の国民生活ないし国民経済に与える影響もまたはなはだしいものがあることが予想いたされますので、法律案作成にあたりましては、できるだけ慎重な態度をもつて臨みましたために、かように国会提案が遅延するのやむなきに至つたのでございます。しかしてこの法律案は、これを四月一日から施行ずることを建前として、納税手続や書類提出の手続等を規定しております関係上、改正地方税法の施行期日の混延に伴い、必然的にこれらの諸点について修正を加え、もつて所要の行政措置を講ずることが必要となるわけでございます。これがこの地方税法案政府において修正いたそうとする理由でございます。  次に修正の内容について御説明いたします。修正の第一点は、電気供給業等に対する事業税と附加価値税との振りかえ時期を、原案では、昭和二十五年四月一日にいたしておりましたのを六月一日に改めたことであります。  修正の第二点は、前にも申しましたように、原案では四月一日施行を前提として納税手続等を規定しておるのでありますが、これらの中で、地方税の納付、納入申告、その他関係書類の提出期限が、四月一日から六月三十日までの間にあるものにありましては、地方財政委員会規則で、これらの期限について特例を設けることができるものといたした次第でございます。  以上、はなはだ簡単でございますが、修正の理由及びその内容について御説明をいたした次第でございます。何とぞ御了承を願います。
  70. 門司亮

    門司委員 ただいまの説明は、現在の審議の状態から見まするならば、やむを得ざるものだと一応考えるのでありますが、これを六月一日に直してそうしてなお政府は万全を期すことができるという御確信があるかどうか、伺いたいと思います。
  71. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 ただいま御審議を願つておりまする地方税法案が、政府といたしましては成立いたしますことを期待いたしておるのでございますが、何分にも施行期日が、最初の予定よりも遅れて参ります関係上、六月一日といたしておるような次第でございまして、この点につきましては、かねてからこの委員会においても御説明申し上げましたように、すでにシヤウプ税制報告書が発表されまして以來、政府はもちろん、関係地方団体におきましても、地方税法改正を予定いたしまして、種々準備も進めて参つておるような次第であります、従いましてこの成立を得ましたあかつきにおきましては、六月一日からこれを実施いたします場合においても、支障はないであろうということを考えておるような次第でございます。
  72. 中島守利

    中島委員長 なおこの際お諮りいたしますが、林百郎君より委員外発言を求められております。これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 中島守利

    中島委員長 御異議なければ、許可いたします。林百郎君。
  74. 林百郎

    ○林百郎君 貴重な時間ですから、簡単にいたしたいと思います。私の方は運輸関係に関する部分だけをお聞きしたいと思いますが、この前、私の方の運輸委員会と、この地方行政委員会と連合審査をやりました際に、本多国務大臣から、固定資産税が私鉄関係に影響するところは割合に少いのだというような、非常に楽観的な御報告を受けたのであります。ところがわれわれの方の調査によりますと私鉄関係は、固定資産税を課せられることによつて、業体に大きな影響を及ぼすのでありまして、ひいては私鉄の料金にまで関係して来るというような資料がありますので、本多国務大臣答弁とわれわれの調査するところとは大分食い違つておると思つておるのでありますが、その点についてもう一度固定資産税が私鉄事業にどういう影響を及ぼすかということの御調査を、お聞きしたいと思います。
  75. 小野哲

    ○小野(哲)委員 ただいま林さんから御質問でございますが、資料によりまして奥野財政課長から御答弁をいたしたいと存じます。
  76. 奥野誠亮

    ○奧野政府委員 先般、地方鉄道、軌道全体に関する計数を資料としてお配りいたしておいたのでございますが、固定資産税の負担が相当重くなることは事実であるます。われわれが、税負担がそれほど重くはならないというふうに申し上げておりますのは、租税制度全体の改正から起るところの負担全体としての増減を見て、申し上げておるのでありまして、特に鉄、軌道の関係におきましては、従来負担しておりました通行税が大幅に軽減され、売上げ金額の五%という大きなものを負担しておつたのが、大部分なくなるわけでありますので、その面から固定資産税の負担増はカバーできる、こういう考え方をしておるわけです。
  77. 林百郎

    ○林百郎君 通行悦が廃止になりましても、このたびの政府原案による固定資産税をかけますと、大体われわれの調査によりますと、地方税が七、八倍になるという計算になつておるのでありますが、通行税を廃止しても、政府原案の地方税をかけますと、現在の負担はどのくらいになるか。大体の倍率を示していただきたいと思います。
  78. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 この間配付した貸料をごらんいただきたいと思いますが、秋の覚えておるところでは、大体負担には全体としては増減ない。——その基礎資料は、運輸省の民営鉄道部の財務課から出た全会社にわたる計数を基礎としてわれわれが見直したわけであります。それによりますと、個々の会社につきましては多少違うでありましようが、全体としては大体負担増減がない、こういうふうになつておるわけであります。資料として配付しておりますので、その資料も、もし意見の食い違いがございまして、お教えいただきましたら、さらに検討いたしたいと思います。
  79. 林百郎

    ○林百郎君 われわれの調査によりますと、軌道については、従来の地方税が三億七万円程度。それがこのたびの政府原案によりますと、二十三億六八百万円、大体七、八倍という数字が出おります。これは従来の通行税も人れての計算であります。そこで、これにさらに附加価値税が加わつて来ますと、大体十倍くらいの負担が加重になるという計算になつて、あなた方の答弁と、われわれの運輸委員会での答弁と大分食い違つておる。重要な点でありますから、もう少し正確な資料を説明していただきたいと思います。
  80. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 現行制度でなくなります税負担として、住民税、家屋税、電柱税、軌道税と事業税がございます。そのほかに通行税がなくなりました。資産再評価の結果、法人税が大幅に軽減されます。こういう面で負担が軽くなりまして、重くなります点は、新しく設けられます固定資産税であります。そこで他の資料を拝見しまして、非常に重くなるという計算をしておられた中で、誤つておる点の気づいておる点を申し上げますと、たとえば電気ガス税が一億何千万円ふえるというような計算をしておられます、しかしこれは税制の問題ではありませんで、電気料金が引上げになる結果、地方鉄、軌道の負担が重くなるということは事実であります。しかし税制改正による負担の増を見ます場合には、それをやはり計算に入れるべきではない、こういう考え方をしております。  それから事業税につきましては、過去の現実に納付した実績をそれに記載してあつたように、記憶しております。しかしながら、現行税制におきましては、売上げ金額の二・四パーセントくらいのものを事業税として負担するような外形標準を運送業については採用いたしておるわけであります。従いましてある一定の売上げ金額を予定いたしますならば、現行の事業税の負担といたしましては、それの二・四パーセントを考えなければならない。それと附加価値税との比較を見て行くべきだと思つておるのでありまして、こういう点から行きますと、現行の事業税と新しい附加価値税との間には、あまり負担の増減はないというふうな計算が出るはずであります。そういう点に大きな食い違いがあつたように、今私は記憶しておるのでありますが、委員会には配付しておつたのでございますが、手元に持つておりませんから、具体的な数字を申し上げられませんが、後刻林さんのお手元にもお届けするようにいたしたいと思います。
  81. 林百郎

    ○林百郎君 数字の争いをいつまでしていても切りがありません。そこで、運輸委員会の方で問題になりました点は、全国百八十社の私鉄の各会社から、大体料金を一割七分四厘値上げしてもらいたい。これは私鉄から出た料金値上げのもつと大きな数字でありますが、国鉄との関係がありますし、それから物価に及ぼす影響もありましたので、運輸当局としては、各私鉄の料金値上げを、大体一割七分四厘にとどめしかも大衆が利用いたしておる近距離関係には、あまり影響を及ぼさないような形にするといつて、結局地方税の負担を私鉄の料金に転嫁して、それを現行の私鉄料金の一割七分四厘値上げするということで、閣議に申請をしてある。これは運輸省から閣議に申請をしたということまで、運輸当局では説明しておるのでありますが、この点について本多国務大臣がおいでならば一番いいのでありますが、おいでにならなければ、次官からでもけつこうですから、こういう閣議申請があつたかなかつたかということを確めたいのです。
  82. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 今回の地方税法改正に伴いまして、運賃その他の料金につきましては、所管の物価庁において検討を加えられておるのでございます。ただいま林さんからお話になりました地方鉄道、軌道の運賃の改正につきまして、閣議において種々協議して参つておるということは、私も聞いております。
  83. 林百郎

    ○林百郎君 閣議で協議しておる内容ですが、大体これは一割五分から一割七分くらいは、私鉄料金を値上げしなければ、この地方税の負担に各私鉄ともたえられないだろうということで、閣議申請をしておるというのでありますが、その内容は次官はおわかりになりませんか。
  84. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 私から詳細に申し上げるだけの実は今資料なり、記憶を持つておりませんので、はなはだ遺憾でございますが、大体ただいま御指摘になりましたような方向で、審議いたされておるように聞いておる次第でございます。
  85. 林百郎

    ○林百郎君 あまり詳しいことはわからなければやむを得ません。また運輸委員会の方で確めたいと思います。  その次に船舶に対する固定資産税の問題ですが、これはやはり自由党の委員の方々からもお聞きしますと、何とか修正案まで出さなければならないという話だそうでありますが、実は船舶については、現在大体船舶税が八千万円ほどでありますが、固定資産税政府原案の通りにいたしますと、大体十一億になりまして、十三倍の負担になる。御存じの通りに船舶運営会が解体になりまして、船舶が民営に移管されて来た。そのために海運業界としては非常に大きな危機に瀕しておるのでありますが、業界が危機に瀕しておるこういう際に、さらに船舶の固定資産税として、従来の十三倍にも当る固定資産税を納めなければならぬことになりますと、これが海運界に及ぼす影響は、非常に重大だと思いますが、これは委員からの修正をまつまでもなく、政府みずからこの問題については、何らかの考慮をされておるのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  86. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 ただいま林さんからお話のございました船舶に関する課税の問題でございますが、これらの点につきましても種々検討は加えて参つたのであります。しかし固定資産税として、各事業に対する課税の均衡を保つという点から申しまして、ただいま政府から提案いたしておりますような結果に相なつような次第で、政府といたしましてこれを修正する考えは現在のところ持つておりません。
  87. 林百郎

    ○林百郎君 そうすると政府としては、こうした大体十三倍にも当るような厖大な税負担が、現在の海運界へ重圧としてかけられても、海運界ではこれを十分負担し得る能力がある、海運界には何ら杞憂に値いするようなことはないというようにお考えになつておるわけですか。
  88. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 ただいま仰せになりましたように、わが国の海運事業の発展のために、もちろんこれに対して種々考慮いたさなければならぬことはまつたく御同感でございます。ただいまお述べになりました数字等につきましては、資料に基いて財政課長から一応御説明をお聞きとり願いたいと思います。
  89. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 その前に、先ほどの鉄、軌道料金値上げの問題でありますが、あるいは私の説明で食い違いがあつてはいけませんから補足させていただきたいのでありますが、資産再評価が行われます結果、減価償却の額が非常に大きくなるわけであります。資本の食いつぶしという点から、資産再評価が認められるわけでありますから大きくなる減価償却は、やはり料金でカバーされなければならない、こういう考え方があるだろうと思います。この面から起る料金の値上げの問題が、相当大きく響いて参るだろうと思います。先ほど私は税負担の新旧税制による比較を申し上げましたが、その際に資産再評価に伴いまして負担すべき資産再評価税、これは臨時の税負担でありますし、資本の食いつぶしを防止するという見地から出発しておりますがこれは比較に加えておりません。でありますから、減価償却の増大、資産評価税の負担、こういうものから来る影響があることは、お説の通りであります。それから海連業の税負担の増の問題でありますが、これも私が先ほど軌道について申し上げましたように、過去に現実に負担した船舶税を基礎にして、それと比較すると十何倍だというふうな数字を、経済界からは出しておられるようでありますが、しかしこれはわれわれといたしましては適当な比較じやないと思うのでありまして、現行制度に基けば、どれだけの負担であるということと、新制度に基く負担を比較していただかなければならぬと思うのでありまして、船舶税の負担は他のものに比べまして軽過ぎる点もありますし、あるいはまた地方団体間の負担関係が非常にでこぼこがありまして、そういうことから、昨年運輸省と相談いたしまして、船舶税の負担は、この程度にしようという方針をきめたわけでございます。その方針は、船舶のトン数によつて差をつけておつたわけでありますけれども、新船を建造する場合に要する、トン当りの費用に対しまして、その船のトン数の多い少いで、千分の一ないし千分の五という税負担をしてもらうという計算をしておつたのであります。さらにまた船舶の取得税もあつたわけでありますけれども、この船舶取得税がなくなるごとになつております。でこういう計算をしながらすべての税負担について比較いたして参りますと、これも先般資料として御配付申し上げたのでありますが、ある船会社におきまして、税負担は二・一五四倍になる、要するに一・一五四倍だけ増加する、こういう結果が出るのであります。われわれとして船会社の負担が非常に重くなりますことは、まことに心苦しいのでありますけれども、今お話になりますような十何倍という計算は、当らないというふうに考えております。
  90. 林百郎

    ○林百郎君 十何倍になるか二・一五四倍になるかということは、お互いの議論のわかれるところだと思いますが、特に船舶に対する固定資産税の問題になりますのは、御承知の通り船舶運営会が解散になりまして、ほとんど民営に移された。民間に移された船舶がほとんど外国航路に就航できない、もう繋船しているわけである。船舶の乗組員はみんな船乗りでありながら、いなかへ帰つて畑を耕している。船にはただ四、五人の人が乗つていて四、五千トンの船がほんの実費程度の繋船料をもらつて港に置かれておるという状態であります。就航していてノーマルに海運が動いておつて、何らかの収益がある場合は別として、全然就航できない、繋船してある船まで許価して、固定資産税をかけるということになりますれば、海運界はほとんど全滅の状態になるわけです。ですからそういう場合を考えまして、たとえば二・一五四倍と言われるあなたの数字をとれば、明らかに他の固定資産の課税のものに比べれば低いかもしれませんが、海運界が現在置かれている地位からいいますと、これは容易ならぬことになるので、この点については特に何らかの考慮をする必要があるのではないかと思いますが、その点の見解をお聞きいたしたいと思います。
  91. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 ただいま林さんから御質疑のありましたような、わが国の現下置かれておる海運の事情から申しまして、御指摘になるような事実は、私どもも認めておるのでございます。もちろん固定資産税を賦課いたします場合におきましても、評価の問題が起つて参りまするし、また船舶自体が現に就航しておるかどうか、すなわち稼働の状態に置かれておるかどうかということも、考慮の中に入れなければならぬ問題であろうと存じます。従つて未稼動の状態に置かれておるような場合におきましては、適当に考慮を払う必要があろう、かよう考えております。
  92. 林百郎

    ○林百郎君 たいへん政治的な御答弁があつたのですが、適当な考慮をしなければならないというその適当な考慮というのは、具体的に本法案を修正するという形で出すのか、あるいは行政的な命令で具体的な運用の際にやるのか、また稼働しておる船舶と、稼働しておらない繋船との間には、どういう処置をするのか、もう少し具体的な施策をお聞きしたいと思います。
  93. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 ただいまお話になりました中で、たとえば未稼動の問題であるとか、あるいは陳腐化の問題であるとか、いろいろ問題があると思うのであります。しかしこれらにつきましてはこの法律案自体を修正するという手段ではなくして、運用の面においてはかり得る、かよう考えております。
  94. 林百郎

    ○林百郎君 運用の面で具体的にどういうよう運用して行くのですか、お聞きしたいと思います。
  95. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 今繋船の問題がお話に出ましたが、数千トンあるいは一万数千トンに上るような船を、内海航路に使うことは少いだろうと思います。また使えない場合が多いだろうと思います。そういうものを一体普通に使えないからといつて、簡単に取引できるかといいますと、取引できないと思います。同じような問題がたとえば大きな製鉄工場をつくつた、製鉄工場をつくるのにどれくらいの建設費を要するということがわかるわけでありますけれども、わが国の今日の国力あるいは国情から考えますと、かつてつくつた大規模な生産設備というものを、フルに動すことは、不可能だろうと思います。そうかといつてこれを簡単に売つてしまうというわけにも行かないだろうと思います。そういう性質の資産の評価にあたりましては、普通の場合にはいわゆる市場価格でありますけれども、やはり収益から還元して考えられるところの価格というものを用いなければならぬのではないか、そういうふうに考えておるのでありまして、もし海運界における大きな船舶の評価につきましてお説のような事例が起きて参りました場合には、その船舶の持ちますところの収益力を当然に考えて行かなければならぬのでにはないかと考えておるのであります。さらにまた私は先ほど海運業の税負担の比較を申し上げ、あるいは軌道業の税負担の比較を申し上げたわけでなりますが、いずれも、固定資産の税額を算定するにあたつては、資産再評価法による限度一ぱいの評価をした場合に、どれだけの評価額になるか、それに伴つてどれだけの固定資産税をとるか、こういう数字を基礎にいたしておりますので、これも御了承願つておきたいと思います。船舶の問題につきましては、さらに陳腐化の問題などが、戦標船なんかについてあるのではないかというふうに予想いたしております。
  96. 林百郎

    ○林百郎君 私の質問の中に資産の再評価の問題がないようでありますが、資産再評価は相当稼動しておる企業で利益が上つている場合には、プラスになりますが、繋船しておる船だとか、あるいは今とんとんの私鉄事業というような場合には、資産再評価した資産再評価税が、かえつて固定資産税をかける場合、あるいは地方税を負担する場合にプラスにならない。要するに稼働して非常に利益の上つている場合は資産再評価をして、再評価を相当よくすることによつて貸産再評価税を少くしてもらうとか、いろいろ問題が出て来ますが、稼働しておらない問題でありますから、私は資産再評価は一応取除きまして、固定資産税の問題だけ聞いているわけなのですが、そこでそうした稼働しておらない企業、たとえば製鉄事業なんかで、今固定した大きな資産だけはあるけれども稼働しておらないという場合、あるいは繋船という問題があるという場合は、具体的に固定資産税をかける場合の評価、あるいは陳腐化の問題等で、具体的に考慮して行くというお話でありますが、そうすると大体固定資産税のわくである九十三億というわくは、そういう場合を考慮しての場合か、あるいはそういうものをいろいろ考慮し、陳腐化問題あるいは未稼働の問題を考慮して行けば、固定資産税の九十三億というわくは動くのか動かないのか、その点をお聞きしたい。
  97. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 固定資産税の見込みの九十数倍の説明は、たびたび申し上げておるのでありますが、われわれは償却資産の課税の基本価額として一兆三千億という数字を用いております。これは関係方面に対して説明に用いた資料であります。その数字をそのままここでも一兆三千億というものを基礎にしておるのでありまして、一兆三千億に一・七五%をかけますと莫大な収入になると思います。ところがこの一兆三千億という基本価額は、終戦直後に安本を中心として行われましたところの国富調査の結果得られた数字であります。その数字にその後の物価倍数をそのまま乗じまして算定いたしております。従いまして軍需工場でありましても、一応そのケースの中に入つて来ておるわけであります。従いまして具体的に固定資産税を課税して行くということになりますと、未稼働遊休の設備が相当多く出て来るだろうと思います。さらにまた陳腐化の問題もたくさん出て来るだろうと思います。それからさらに本年度におきましては何分償却資産の課税が相当遅くなつてからでないとできないわけでありますので、その評価をめぐりまして問題の片づくというのは、どうしても二十七年度に持ち越されるものが相当多いだろうと考えておるわけであります。その結果九十数億円も本年度に収入されるというふうに見込んでおるのでありまして、償却資産として将来においてどれだけの収入が見込めるだろうかということは、この九十数億の数字とは別の問題であります。その数字につきましては、これもたびたび申し上げおりますように、地方税総額としては千九百億円を将来においても要すると考えられる場合には、市町村民税におきまして二十七年度以降百億円くらいの減収になるわけであります。と申しますのは、今年は二十四年度の所得税を基本にいたしますけれども、今年減税になります前年の所得税課税標準に使いますところの市町村民税において、二十六年度以降は百億円内外減収になります。そういう関係もありますので、固定資産税の面におきまして償却資産からは百七十億内外の収入がありませんと、千九百億の地方税収入は確保できないという結果になるわけでありまして、百七、八十億の償却資産からの収入を見込みますためには、どうしても一兆億円以上の収入評価ができませんと、得られないということになるわけであります。従いましてわれわれはただ終戦直後の、先ほど申し上げました計算から得られましたところの基本額というものを、一兆三千億と押えております。この数字を用いて司令部関係とも話合いをして来た。そうして収入としては、本年度に限つては九十億円しかなかつた。将来においては百九十億円なければ、徴税収入としての千九百億円が確保できないという説明を申し上げたのです。
  98. 林百郎

    ○林百郎君 この問題にばかり時間をかけていると御迷惑でしようから、もう一つの問題に入りたいと思いますが、陳腐化の問題あるいは未稼働の問題、その他いろいろな具体的な運用の面で、しんしやくするような御答弁ですが、今一兆三千億というわくがはまつているとすると、ここで言う具体的な運用の面で妙味を発揮するということは言いわけであつて、実際には響いて来ないのじやないかというように思われるわけです。そういう具体的な面で何か非常に妙味を発揮するようなことを言つておりますが、実際にはもうわくがはまつているということになると、法案そのものを修正するとか、評価の仕方を是正するとか、税率を修正するという方向に行かなければ、政府の意のあるところを責任を持つて実現することにはならないのじやないかと思います。この程度でこの問題はやめておきます。  もう一つ、実は予算委員会で問題になつて、平田主税局長がはつきり答えたことでありますが、これが地方庁ではどうお考えになつているのかお聞きしたいと思います。やはり固定資産の問題で、土地、家屋、ことに家屋に対して固定資産税がかかることによつてそれが家賃にどう響いて来るかという問題でありますが、平田主税局長の予算委員会における答弁ですと、今の家賃は安過ぎるから、当然家賃は二倍、三倍になつてもよいのだということを答えているわけです。平田主税局長は、地方税が上るから家賃を二倍、三倍に引上げてもよいと言われますが、この家賃というものは、マル公の統制令遡り忠実に家主がやつているということを前提として上げてよいと言われても、実際今たな子と家主の関係は、やみ家賃で、四畳半が千円というような実情です。政府があらかじめこういうことを前提として、今の家賃は安いから二倍、三倍に上げてもよいということになると、四畳半を千五百円も二千円も払わなければ借りられないということになると思います。この固定資産税と家賃、あるいは地代の問題も起きて来ると思いますが、ことに家賃の問題をどう考えているか。平田主税局長の答弁に対して、地方庁の方では何かお考えになつておりますか、それをお聞きしたいと思います。
  99. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 現在やみ家賃が横行しておりますことは、まことに遺憾な現象であります。また固定資産税の増徴の結果、そういう方面にも大きな影響を与えるといたしますと、これもまた何か措置考えなければならぬ問題であると思うのでありますが、現在家賃の中に占めている要素を分解して行きますと、坪当りで十四円あまりになるわけでありますが、その中に家屋税の負担が六円四十八銭、地代の負担が三円五十七銭五厘になつております。この部分だけが固定資産税の増徴の結果増額する、その他のものはかわらない。こういうふうに限定いたしますと、坪当り二十八円四十八銭九厘になります。従いまして坪当りで十三円余り増額になつているわけであります。従いまして十年の家屋でありますと月、に百三、四十円というような数字になるわけでありますから、今お話になかました四畳半で一千円というようなことは、数字から行きますと、この固定資産税がただちにやみ家賃に大きな影響を与えるとは考えられないのでありまして、率といたしましては現行の統制家賃額に対しまして九割程度、割合大きいのでありますけれども、今お話になりましたように、やみ家賃の点から考えて行きますと、問題にならないのではないかというふうに考えられております。もとよりこの基礎にしました家賃統制額の、家屋の坪当りの賃貸価格の問題でありますけれども、これは十二円九十六銭というような、かなり高い家屋のものを標準にいたしているのでありまして、全国平均の家屋の賃貸価格は二円四、五十銭であります。でありますから決してむりな——低い統制家賃を標準に申し上げているのではないということを、御了解願えると思います。なおまたこれは昭和十三年以前に建築された家屋の問題でありまして、新しい家屋につきましては、そんな大きな影響はないと考えております。
  100. 林百郎

    ○林百郎君 どうも数字をべらべらと言われてわからなくなつてしまうのですが、政府考えているところは、新しい固定資産税で坪当りの家屋税は大体倍くらいになると考えていいのですか、その点をまずお聞きしておきたいと思います。坪当りの負担ですね。
  101. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 統制家賃に及ぼします影響は、現行の坪当り家賃統制額の九割くらいふえると思います。
  102. 林百郎

    ○林百郎君 そこで大体統制家賃を標準にして、坪当りの税負担が倍になるということになりますと、やはり将来家賃をかえなければならないという問題が起きて来ると思いますが、この点はどうですか。
  103. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 お話ように、そういう場合が起ると考えております。
  104. 林百郎

    ○林百郎君 どのくらい家賃を上げてもいいと考えておられますか。
  105. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 この点につきましては、私どもとしては直接その衝に当つておりませんが、おそらく当該官庁である物価庁で、検討を加えているものと考えております。
  106. 林百郎

    ○林百郎君 物価庁で今どういう案を立てているか、これは知らないはずはないと思います。ひとつ説明を願いたいと思います。
  107. 小野哲

    ○小野(哲)政府委員 ただいま重ねての御質問でございますが、まだ実は私存じ上げておらぬわけでございます。
  108. 林百郎

    ○林百郎君 物価庁では坪当り百二十五円から二百円くらいに、家賃を上げなければならないだろうと、今考えているということを聞いておりますが、それはどうですか。
  109. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 先ほど申し上げたように、現行の坪当り家賃の統制額が百四、五十円であります。固定資産税の結果、増額を要する部分がこれの九割弱程度であります。従いまして今お話のありましたような数倍、数十倍というような数字は、これは常識的には予想されないのではないかというふうに考えております。
  110. 林百郎

    ○林百郎君 そうすると平田主税局長の答弁の限りでは、家賃を現在の二倍あるいは二倍半にするのはやむを得ない、これはおそらく公定価格だと思いますが、しかしやはり公定価格を上げて行くということになれば、今ほとんどすべての家賃が、公定で行われていないということなので、家賃を倍にしていいということになれば——結局今、とつている家賃を少くとも倍にするかあるいは五割増しということになりますと、そうすると税金の面だけ見ればわれわれの生活に及ぼす影響はそう大したことはないようであつても、事業に対する影響まで考えますと、非常に大きな影響をわれわれの生活に及ぼすことになると思うのであります。当局としても地方でとることばかりを考えなくて、それが及ぼすそういういろいろな影響までに、万全の考慮を払つて物価庁ならば物価庁と綿密な連絡をとつて検討されるのが、至当だと思いますが、その点の努力をされるようにしてもらいたいということが一つと、もう一つはこやつてわれわれ検討してみますと、たとえば私鉄の料金が上る、電気料金が上る、家賃が少しでも上つて行くということになりますと、地方民から言いますと、今度の地方税によつて、相当の負担が増すこと、これはやむを得ないと思うのですが、そのほかに企業なりいろいろ負担すべきものから転嫁されて来るのが、自分のところへまたはね返つて来て、結局地方税の負担が二重にかかつて来るというように、末端の庶民階級には倍の負担となつてはね返つて来るというよう考えられるわけなんで、その点を十分考慮して、万全の策を講せられているかどうか。この点を最後にお聞きしておきたいと思います。
  111. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 ただいま林さんからお話がございましたが、今回の地方税法案を立案するに際しましては、もちろん政府部内、各関係省庁の間で、十分な連絡をとりながら参つておるような次第でございまして、なお今後とも御注意によりまして、一層緊密な連絡を続けて参りたいと存じております。
  112. 生田和平

    生田委員長代理 立花委員の質疑継続中でありますけれども、本日はこの程度をもつて散会し、次会は明十六日午前十時より開会することにいたします。本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十一分散会