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1950-04-01 第7回国会 衆議院 地方行政委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月一日(土曜日)     午前十一時五十二分開議  出席委員    委員長代理 理事 菅家 喜六君    理事 大泉 寛三君 理事 川西  清君    理事 野村專太郎君 理事 久保田鶴松君    理事 藤田 義光君 理事 立花 敏男君    理事 大石ヨシエ君       生田 和平君    河原伊三郎君       清水 逸平君    塚田十一郎君       龍野喜一郎君    大矢 省三君       門司  亮君    床次 徳二君  出席国務大臣         国 務 大 臣 本多 市郎君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 荻田  保君         総理府事務官         (地方自治庁財         政部財政課長) 奥野 誠亮君  委員外出席者         議     員 山崎 岩男君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君 三月三十一日  委員鍛冶良作君及び池田峯雄辞任につき、そ  の補欠として淵上房太郎君及び谷口善太郎君が  議長指名委員に選任された。 四月一日  委員谷口善太郎辞任につき、その補欠として  池田峯雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方税法案内閣提出第一二三号)     —————————————
  2. 菅家喜六

    菅家委員長代理 これより会議を開きます。  前会に引続き地方税法案を議題として質疑を続行いたします。質疑の通告がありますので、順を追うてこれを許すことにいたします。立花敏男君。
  3. 立花敏男

    立花委員 一般的な質問に入ります前に、少し税種別に聞いておきたいのです。私、この地方税法を調べましたところ、政府がうたつておられます負担均衡という問題が、まつたく空文に化しておるのじやないか、そういう疑いがありますので、その点を特にお聞きいたしたいのであります。第一番目に、附加価値税なのでございますが、附加価値税は、言葉をかえて言いますと、勤労課税になつているのじやないか、そういうふうに思われるのであります。と申しますのは、いただきましたこの資料附加価値税收入見込み額のところがあるのでありますが、これを見ますと、課税対象になつておりますものは、勤労所得がほとんど大部分言つてもいいのであります。御提出になりました表によりましても、一兆二百七十億が勤労所得であつて、それがこの附加価値税課税標準の約六割ないし、七割を示すのじやないか、そういうふうな表が政府の方から出されておるのでありますが、こうなりますと、これは附加価値税と申しますよりも、勤労所得に対する課税であるということが言えるのじやないかと思います。しかも事業所得になつております合計四千七百四十五億、この中からは固定資産の取得、あるいはその中に含まれております赤字附加価値としての継続を除きました——継続以外のものになつておりますが、これを除きますと、個人あるいは法人事業所得の分はほとんど少うございまして、今言いましたように、附加価値税課税標準のほとんど大部分勤労所得であるというようになつておりますので、この点ひとつ明確にしていただきたいと思います。これはもちろん税の建前からは、使用者負担にはなつておりますが、それが勤労者賃金、あるいはその他の労働條件転嫁されないという保障はどこにもございませんので、この法案によりまして、一兆三百七十億に達します賃金部分課税されます。これは四分といたしましても約五百億近くあるのでございますが、この年額五百億に達しますところの人件費部分に対する課税をどういうふうに労働者転嫁しないでお済ましになる見通しがあるか、これを承りたいと思います。さいぜん五百億と申します数字は標準税率でやつておりますので、もしこれを制限税率まで、すなわち百分の八までとりますと、一年に約一千億の賃金部分に対する負担がかかつて来るわけなのであります。これをどういろふうに労働者負担にならずに、他に吸收するお見込みがあるかこれを承らしていただきたいと思います。これがなければ、附加価値税は実は勤労課税であるということがはつきり言えると思います。大臣はこの勤労者の方に転嫁されようとする年額約一千億に達するかもしれない課税をどういうふうにさばこうとお考えになつておるのか、根本的な態度をお聞かせ願いたいと思います。
  4. 本多市郎

    本多国務大臣 附加価値分配所得の面から見ますと、地代家賃給與、さらに利潤というようなものになる。結局附加価値はそういうものから構成されることになるのでありまして、それは分配の面から見た場合、計算の便宜上そういう計算をいたして資料として提出いたしたのでございますが、附加価値の本質は、税法通り売上げ金額から総支出を引いた差額でありまして、その差額の中から、地代家賃給與——給與と申しますか、賃金です。賃金として支拂われ、さらに残りの利潤というようなものを合計したものになるというだけのことでありまして、これは賃金でありますけれども、その賃金を受取る勤労者から税をとるのではないのでありまして、課税対象として附加価値をとらえ、それを事業主に課するのでございます。それが賃金転嫁するおそれはないかというお話でございますが、直接転嫁することにはなりませんけれども、間接にその事業存立條件として附加価値税を拂わなければならぬという関係から、事業経営の経理上の理由からは賃金に響き、あるいはそこの製品価格に響き、利潤に響き、すべてに響くことはやむを得ないことと考えております。
  5. 立花敏男

    立花委員 地代家賃と申されましたけれども大臣はこの表によりまして、附加価値課税標準の約六〇%ないし七〇%が勤労所得である、という事実をお認めになるのでございますか、どうでございますか。
  6. 本多市郎

    本多国務大臣 その割合は、資料に載つておる通り考えております。ただしかし一千億もの附加価値税賃金のみによつて徴收できるかと申しますと、それは資料にも書いてあると思いますが、捕捉率徴收率等を考慮いたしますと、賃金部分のみについて、それほどの期待はできないと考えております。
  7. 立花敏男

    立花委員 しかしこの標準税率と申しますものは、この税法の第一條にも御説明になつておりますように、これによることを要しない税率標準税率である。そうしてこの税率地方財政委員会地方財政平衡交付金の額を定める場合に、基準財政收入額の算定の基礎として用いる税率であるということになつておりまして、これによらなければいけないということは一つもございませんし、制限税率までとつていけないということはないのでありますから、現在の苦しい地方財政状態かり見ますと、おそらく大部分制限税率まで行くのじやないか。これはおそらく地方財政委員会の許可を要しないだろうと思いますが、こういう形になつて参りますと、今勤労所得一兆二百七十億、これに制限税率までかけますと、一千億近い金が出て参ります。それが全体として勤労階級賃金の上に大きな圧力を受ける原動力となつて参りますことは争えない事実であろうと思います。なお大臣のおつしやいますように、單に労働者にも響くだろう、ほかにも響くだろうというような簡單なお考えでお考えくださいましては、現在すでに生活が破綻しつつある勤労者にとりましては重大なる問題だろうと考えます。だからこういう税をお考えになります場合には、これが勤労者転嫁されるものではなしに、ほかに吸收し得るあるいは吸收させ得る見通しをお持ちになつてお立て願わないと、非常に困ると思います。だからこの点について、單にいろいろな方面に響くだろうというような散漫なお考えではなしに、こういう見解でこの税はこういう方向へ吸收する見通しを持つているんだ、勤労者負担にはならないんだということを、はつきりお答え願いたいと思います。
  8. 本多市郎

    本多国務大臣 さつきの答弁は私は原則を申し上げただけでありまして、現実の今回の中央、地方を通じての税制改正の結果は、事業者賃金にその影響を及ぼさなければならないほどの増税はありませんので、事業者国税地方税を通じての総合的な計算で、負担はさほど増加しないのでありますから、事業者において吸收し、賃金を値下げしなければ、税金が納められないということにはならないと考えております。
  9. 立花敏男

    立花委員 事業者が吸收すると簡單におつしやいますが、じやどういう形でどこへ吸收するのか、具体的な見通しをどういうようにお持ちになつておるのか、お聞かせ願いたいと思います。  もう一つ申し上げますが、一般事業者と申されますが、附加価値税負担は非常に不均衡になつておりまして、たとえば主としてサービス事業でございますが、人件費の多いところは何十倍、何百倍になるというところがあるのでございまして、これが全部勤労者負担にならないで、單に事業者が吸收できるという簡單なお考えでは非常に困ると思います。これは当面の問題でございまして、どういたしましても、ほんとう名目賃金切下げ実費賃金切下げあるいは労働強化、首切りとなるのは当然でございまして、これはどういうふうにお考えになつておるのか。もつと具体的にお答え願いたいと思います。
  10. 本多市郎

    本多国務大臣 附加価値物価転嫁する性質を持つております。従つて交通事業でありますと、乗車賃、あるいは物の製造販売でありますと、その販売価格等に、やはり転嫁されて行く性質を持つておるのでございますが、改正税法による今日までの事業者の総納税額とを比較いたしまして、それが増税にならない限りは、その事業自体のこの税法から来る影響というものは、賃金影響を及ぼさなければならぬという理由にはならないものと思います。その資料にも出ております通り納税総額において増加しないものには、転嫁という問題は起きて来ないと考えております。それからただいま労銀にすぐ転嫁しやしないかという点でございますが、労銀には事業経営上の理由から、つまり收支税等のために成績が上らないというような理由からは、これは一般賃金にも影響して行くことと存じますけれども税法自体のために賃金にただちに影響を及ぼすというようには考えられないのでございます。
  11. 立花敏男

    立花委員 大臣総額ということを申されたのでありますが、これは四百数十億に達する附加価値総額のことを申されたのでありますか。それとも個々産業資本家納税額のことをおつしやつたのでありますか。全体の附加価値総額でありますと、それがふえないから賃金部分には影響しないということは言えないと思います。さいぜん申しましたように、附加価値税は非常に負担均衡が、でこぼこでございまして、ひどいところになりますと、何十倍になつておるところがございますので、こういうところは必然的に労働者賃金部分にかかつて来ると思います。それから大臣物価その他で吸收の道があると申されましたが、実はこの間この委員会で特に安本の方に来ていただきまして、物価の問題をお聞きいたしましたところ、自由価格は上らない、何となればこれは有効需要が減つておるので上らないのだろう。それから統制品マル公を上げないで、操業度の上昇によつて吸收するのだ。こういうふうにおつしやつたのですが、安本の方では物価は上らないと申しておりますので、勢いどういたしましても、事業主附加価値を吸收させますのは賃金部分にかかつて来ると私ども確信しております。これを大臣が他に吸收できて、賃金部分には転嫁させないというふうにお考えになれば、安本意見と大分違うと思うのですが、もう少し安本意見と違うところを詳細に御説明願いたいと思うのです。
  12. 本多市郎

    本多国務大臣 物価が上らないということについてのこれとの関係を申し上げますと、物価が上らなければその企業主体自体の諸経費も少額で済むということになつて行くのでありまして、物価が上らないという一つ理由で、税金勤労者給與にただちに影響するというふうには考えられないのであります。
  13. 塚田十一郎

    塚田委員 ただいま立花君から御指摘になつた点は、私どもも非常に重大な問題だと思うのです。こういう点があるから、ことに日本産業立場からすると、非常に悪い税だ、こういうように私ども考えておるのであります。要するに日本附加価値全体に勤労所得が非常に大きな要素を占めておることが、私は一番重大な点だと思うのでありまして、日本のように非常に資源のとぼしい国であり、しかも価値を造出する大部分が、人間の力だというような産業において、そういう国柄のところにおいて、人間の力に対して特にそれを外形基準にして税金をとるという事態は、どうも日本産業全体の立場から好ましくない。もし外形基準をとるならば、もう少し別な形の外形基準をとられたらよいのじやないか。附加価値税というものは平たく申し上げますと、大体人間一人雇つて一日三百円拂えば二百円の頭に四分、八円ずつ政府人夫賃の頭をはねておるというような形になる税金だと思います。この税は私ども当初附加価値という名前だけを考えたときに非常によい税じやないかと思つたのでありますが、その後だんだんとこの税の持つ実質的な内容、それからことに日本産業に対して及ぼす影響、さらにもう一歩つき進んで今日の附加価値税をこういうぐあいにかけられて、大臣がどういうように御答弁になつても、これは実際問題としては、消費者転嫁できないというのが、今日の経済状態だと思います。そういうようないろいろの事情を考えてみて、どうも二十五年度の最初から政府原案のように四%もしくは三%という基準でぶつかけられて来るということは、日本産業立場からも絶対に思わしくないというふうに考えますが、これらの点についてのお見通しをお聞かせ願いたいと思います。
  14. 本多市郎

    本多国務大臣 これはやはり総体的にこれがよい課税標準で、他のものをとる場合と比較して研究するよりないと思います。昔あつた営業税外形標準、あるいは売上高とか、あるいは国税ですと取引高税外形標準というようなものと比較し、さらに何らか地方財政基礎も強化し、しかも昔あつた営業税売上高とか、取引高税売上高のような外形標準——売上げ高について何回でも何回でも重複しても総基準額に基いて課税して行くという課税標準に比べて、その業者の手元において創造された附加価値だけをつかまえて、課税標準として行くという点において、まことに合理的な課税標準であると考えております。ただ税でありますから、できることならば税がないことに越したことはないのでありますが、そうした一定の税が必要であり、これを合理化して、改正して行こうということからは、この附加価値という方法は、他に比較してまことに合理的な課税標準であると考えられます。
  15. 立花敏男

    立花委員 この附加価値税本多さんの言うように非常によい税ではありません。まだほかにたくさん問題がございます。本多さんは附加価値税負担に非常な凸凹があるということをお考えになつていないようですが、しかし法案の中には負担激変があるから、ことに銀行とか運送業倉庫業というものは特に激変があるとして特例をお設けになつておる。この間の説明のときでもそういう負担激変があるから、これを特例で、附加価値の絶対額ではなしに、收入所得の何%かを附加価値と見なしてやるというふうに御説明になりましたが、そうしたならば、なぜこの金融業運送業倉庫業というものだけにお考えになつて——ほかにもこの附加価値によつて課税激変を受けるものがたくさんあるのでございますが、これをなぜほかにもお認めにならなかつたか、これをまずお聞きいたします。  それから免税点の問題でございますが、九万円となつておりますが、実はこの附加価値税課税標準になりますものは、公租公課の中でも所得税法人税富裕税市町村民税、その他政令に示すものを除くとありますが、これも條文で行くと課税標準になりますが、そうですか。
  16. 本多市郎

    本多国務大臣 税制根本的改革でありますので、業種間において、あるいは個々納税者間において、税負担に相当の増減があるのでありますが、これは従来の課税が不均衡、不適正でありたものを改正するための均衡化であると、かように私ども考えます。しかしその均衡化であるといたしましても、急激に変動すると思われるもの、さらにまた初年度でありますから、計算上の便宜等考えまして、附加価値計算特例を規定しておるのであります。その特例がありますから、はなはだしいと思われるものも急激な影響は受けないのでございます。
  17. 藤田義光

    藤田委員 先ほど塚田委員の御質問に御答弁になりました点で、ちよつとお伺いしておきたいと思います。  附加価値税は非常に合理的な課税であるということを大臣は強調されておりますが、この附加価値税シヤウプ勧告によつて考えられた税であるということを確認されるかどうか。たしか一九四三年と記憶しておりますが、アメリカの戰時財政が非常にきゆうくつなつたときの有名な論文で、シヤウプ博士附加価値税ということに論及しておりますが、その中で、この税はよくない、小売売上税が最もよいと言つております。シヤウプ勧告書の中にも、日本においては小売売上税がよいのではあるが、現存帳簿が不備であるから、帳簿が整理されるまでとりあえず附加価値税をやれというような勧告をいたしております。そういうれつきとした証拠から考えまして、シヤウプ勧告をした人自身が、この税は学理的には一応成立つが、合理的な課税ではない、帳簿が整理されれば当然小売売上税に転化して行けということを勧告していると思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  18. 本多市郎

    本多国務大臣 シヤウプ博士日本租税の実情について相当研究せられまして、最善を盡し、最善であると信じられるところを勧告せられたものと信じます。日本側においても、税制について研究者の間にはいろいろ意見もあつたことと存じますけれども、このシヤウプ博士勧告がこれを実施する動機となつたことは、客観情勢から見ましても間違いないところと存じます。このシャウプ博士勧告並びに日本政府において今日まで研究いたしましたところを総合して勘案いたしました結果、これが妥当であるという結論に達した次第でございまして、シャウプ博士が今日までどういう論文を出されておりますか、税制に関する勧告以外のことはあまり私は勉強していないので知りませんけれども、結局シャウプ博士最善努力をされた結晶が勧告されたものであつてシヤウプ博士の所論とも矛盾しないものであろうと信じております。
  19. 藤田義光

    藤田委員 他人の質問中でございますから、後日ゆつくりお伺いいたしますが、実は日本の徴税の最高権威を網羅いたしております日本租税研究会の席上におきまして、シヤウプさんの顧問をした有名な学者井藤彌さんがはつきりそういうことを言つておるはずでございます。ここに列席されている財政部長次長さんもその会合に出ておつたと思いますが、われわれも資料としていただいております。シヤウプさんは必ずしもこの案に賛成していない。将来は必ず修正しなければならぬ税であるということを、ひとつ御検討願いたいと思います。  いずれ来週一般質問でよく質問してみたいと思います。
  20. 塚田十一郎

    塚田委員 どうも私どもはこの税はあまり感心しないのであります。考え方によりましては、基準のとり方の一つとして、こういう考え方もあり得るということはわかるのです。大臣は今までの税が基準がうまくなかつたから、今度はいい基準考えたのだということでありますけれども転嫁を予定されている税が転嫁できないということがあるならば、それだけでもこの附加価値税の持つている特質というものはまつたく失われてしまつている。それだのに、これをこういうぐあいにする方が合理的で、よくなるのだということは受取れない。かりによくなるにしても、日本経済ほんとうに平常化し、安定化して、税が転嫁できるようになればほんとうにこれはいい税になることがあるのかもしれませんが、少くとも私は二十五年度の段階では、こういう税に対して新税が悪税なりという表現が一番よく当ると思う。実質はどんないい税でも、今年こういう税をこういう経済段階でかけて行くということ自体が、その税がどんなに悪税であるかということを表現していると思いますが、そういう点政府ははたしてこれでいろいろ経済界に対して起きて来る困難を乗り切つて行かれる見通しがあるのかどうか、これは重大な問題だと思いますが、その点をはつきりとお聞かせ願いたい。
  21. 本多市郎

    本多国務大臣 ただいまのお話ですと転嫁できる性質は持つているけれども転嫁されないということが明らかであると言われますが、その趣旨には生産原価よりむしろ製品販売価格が悪いような状態だから転嫁ができないという意味ではないかと思いますが、そういうことですと、それはつまり事業自体見通しを誤つて欠損をするという場合のことだと思います。しかしこれは今日の一般情勢としてはそういう面もあろうかと存じます。そういう面でもしこれか非常に普遍的であると考えましたならば、つまり事業所得がないという場合でありましたならば、今日までの事業税というものは收入皆無に終るかもしれません。今日まで地方税府県税として事業税をとつてつたのでありますが、その事業税地方自治体の中に大規模の施設工場を持ち、そこの工員、子弟あるいはその工場自体施設が、地方自治体に非常な恩惠を受けておりながらも、事業欠損であるからというので、税は納めないということがあり得るわけでありますが、そうした状況ではどうしても市町村の財源というものを確保することができない、そういう見地と、それから転嫁できないと言われましたけれども、これは営業費のような方法によつてやはり転嫁されて行くのであります。それは結局生産コストが高くつけば、販売品の値段は高くなることになる、そのりくつで行くのでありまして、他の税についても税がその製品価格影響し、税が高くなればやはり経営上の理由から、賃金等にも影響を及ぼすということは間違いないのであります。ただ転嫁方法通行税あるいは取引高税のように、その売上げ金高に正比例して全然別に計算されるような転嫁の仕方とは違いますけれども営業費的性質をもつて、総合的に生産原価などに影響して行くという方法によつて転嫁されて行くわけでありまして、製品価格そのものにただちに転嫁することが営業上不利であるという場合には、これは全然転嫁をさせませんで、事業主自体がこれを吸收して行くのは少しもさしつかえないのでありまして、ちようど営業費的性質を持つておると考えております。
  22. 塚田十一郎

    塚田委員 大臣の御答弁はそうなることを希望しているということであつて、どうもそうはなり得ない今日の経済段階にあるのだ。そういうときに、りくつは非常にいい税であるかもしれないが、こういう税を、むりして頭の中でつくつた理想だけで持つて行く。新しくおつくりになるということにむりがありはしないか。だからかりに将来こういう税をやるにしても、また今藤田委員から話があつたように、将来あるいはこれは修正するような税になるかもしれないのでありますが、それにしても少くとも二十五年度には特別の考慮を何かされてしかるべきだ、そういう考え方を私どもは持つのであります。今までの事業税があまり負担がなかつたのに、新しく附加価値税負担がうんと出て来て、これはもちろん各事業努力はいたしましようが、努力で消化できない部分が必ずある。そういうものが日本基幹産業の上に相当あるのでありますから、そういう産業立場をおそらく私は危殆に陥れると思うのであります。ですからただこうしてもらいたい、こうなるはずだというような希望的な観測で新しい税——税国民の大きな負担でありますから、そういうものを国家が国民に強いて行くということに非常なむりがある、こういうふうに私は思うのであります。その点についてお伺いいたします。
  23. 本多市郎

    本多国務大臣 どうも必ず転嫁させなければならぬということでもございませんし、それから必ず転嫁できないというその立論の理由がわからないのでございます。転嫁させることはできます。販売価格を上げるという方法はできないはずはない。しかしそれが生産原価で販売し得ないというように、不況であるというのならまた別であります。公定価格等のものはそういうものも勘案し、交通料金等も勘案して、公定価格できまる料金価格等は研究されてまた改訂が行われるのでございます。  さらにまたこれによつて従来の事業税に比較して負担が非常に急激に増加するようにお考えになつておるのではないかと存じますが、従来の事業税で昭和二十五年度を計算いたしますと、收入見込額は前年度の所得基準にいたしますから、すでに算定ができているのでございまして、六百五十億であります。これに対して附加価値税は四百十九億の見込みでございますので、この面からそれほど事業に大きな影響を及ぼすとは——むしろ金額においては下るのでございますから、吸收し切れない、あるいは賃金切下げまでしなければならないというふうには考えられないのでございます。
  24. 塚田十一郎

    塚田委員 大臣は国全体をごらんになつておる立場ですから、六百億が四百十九億になるから負担となつておらないと言われるのでありますが、われわれ税をとられる立場から行けば、全部のことは考えておらぬ、やはり自分の事業が去年は幾らとられて、今度は幾らということが問題になります。そうしてそういう事業日本産業のうち相当基幹的な産業の中にある、ことに附加価値基礎になる勤労が非常に大きいということになると、加工で附加価値を出しておつたような事業は、今までの事業税負担からすれば、うんとふえるはずでありますから、今までの負担よりは今度新しく大きな負担になるものに対して何らか特別の措置を、少くとも経過的にするのでなければならぬのではないかと考えておるのであります。
  25. 本多市郎

    本多国務大臣 御質問の要点を考えますと、大事業であつても、今日まで’所得がなければ事業税が非常に少額であつたそのものが、今度は附加価値を押えてとることになりますから、相当増額をする、そういうものは急激な変動で、打撃が大きくないかということでありますが、これもそこにはそういう負担の変更があることは、原則的には税制の根本改革で、これによつて地方財政基礎を確立し、今日まで不均衡であつた負担均衡化するということで、この原則のためにやむを得ざることと存じております。そのための税制改革でございます。しかし急激なものに対してどうするか、これは税法の中にも特例等も設けてありますし、またそれぞれこれは標準税率によつておりまするし、市町村ごとに自分の市町村内の重要な産業が倒れてしまうということも、いろいろ公益的な立場からも考慮されて、安当に調整されるものではなかろうかと思うのであります。
  26. 立花敏男

    立花委員 悪税である点を具体的な例をあげてやろうと思つたのですが、一般の問題に返りましてやりたいと思います。大臣がおつしやられますのは、物価に吸收さすか、賃金に吸收さすか、あるいはそういう形でなしに、事業自体がほかの形で吸收するか、三つの方法をお考えになつているようでございますが、この三つとも今まではできないのではないかと思います。物価にやろうと思えばできると大臣はおつしやいますが、これは大臣がいくらやろうと思つてもできないのだ、特に自由党の政策による自由経済によりますともう物価は下がる方の傾向があります。物価は上げようと思つてもこれは上らないと思います。これは先ほど安本自身が言つておられますので、物価は上らない。それからマル公につきましても、政府は上げないといつているのだから、おそらく上らないと思います。そうするとどうしても労働者負担になると思います。しかし労働者はこれ以上生活の切下げはできない。それから三番目に事業自体で何とかできるのではないかという話はございましたが、今までは吸收して行つた、今まで事業税を拂つてつたのだからできないはずはないじやないかというように、大臣は立論の根本の態度をきめておられるようでありますが、今までの事業税がはたして事業者から納得の行く税金として納められておつたかどうか。現在の中小工業者の破壊と申しますものは、主として税金だということは御存じだろうと思う。本多さん自身が店をお閉めになつておられるのです。だから、今までの税金が納まつてつたから、この税金も納められるというようにお考えになつては困ると思います。ことにシヤウプがこの案をつくつた場合とは、急角度で日本の中小工業者の困窮状態が招来されておりますので、前と同じ税金だから今度も納まるだろう、事業に吸收できるだろう、そうして労働者への転嫁にもならないだろうというようにお考えになつては、根本的に考えが違つて来るのではないかと思います。私はどういたしましてもこの税金はやめていただきたい。特に今言いました中小工業者の立場からだけではなしに、勤労者立場から申しますと、絶対額は事業税と同じでありましても、最初に申し上げましたように、この附加価値税課税対象となるものは、六割ないし七割が人件費であり、勤労所得であるということ自体から見まして、これは必然的に勤労者の肩に転嫁されるものであると考えますので、特に勤労者立場から、この税法はやめていただきたい。その点についてもう一度主務大臣としてのお考えをいただきたいと思います。  それから固定資産税に移りたいと思いますが、固定資産税も私ども立場から見ますと、附加価値税同様にまつたくこれが勤労者負担になる。固定資産税は完全に大衆課税なんです。これもお出しになりました数字の中から見ましてもはつきり現われております。たとえば土地が一兆三千億、家屋がやはり一兆三千億、それから償却資産が一兆三千億になつておるのでございますが、これに対する課税税率は同じく百分の一・七五でなければならないと思いますが、ふしぎなことにはこの收入見込額が非常に違つております。償却資産の場合はわずか九十三億しか見込んでない。土地、家屋の場合は、それぞれ二百十三億、合計して四百二十六億も見込んでおるのでございますが、償却資産の場合は同じ資産価格でありながら、わずか九十三億しか見込んでない。これは一体どうしたわけですか。固定資産税の大部分がやはり土地、家屋を課税対象とする税金でありまして、従つてこれは第一に小作料、地代家賃転嫁されます。あるいはこれに転嫁されない部分で、自分の家、自分の土地の上に家を建てて住まつておるものが負担することになりまして、結局は大衆の負担が大部分である。資本家が持つておりますところの償却資産の部分は、五百二十億のうちわずか九十三億にしかすぎない。パーセンテージにしますと約一八%でございます。こういうような数字になつて参りますので、固定資産税の大部分も、実際にそれを負担いたしますのは大衆である。従つて固定資産税は大衆課税であるということは、はつきりこの統計の上からも現われております。またそういうふうに故意におつくりになつていると思えるのです。何となれば、償却資産は土地あるいは家屋と同じように一兆三千億でありながら、その收入見込額がそれの三分の一に近い九十億しか見込んでない。同じ税率でありながら、なぜ九十三億しか見込まれないのか、これは故意におつくりになつておると言つてさしつかえないと思いますが、この点について御答弁願いたいと思うのです。
  27. 本多市郎

    本多国務大臣 先ほどからの御質問の要旨を勘案いたしますと、現在の中小企業を初め企業には、それ自体税を負担する力が今日はないのである、税を出す余地がないのであるから、税はとるのが適当でないということに盡きるのではないかと存じますが、国家公共団体を経営して行きまするその経費は、主たる財源を税に求めて行かなければならぬのでありまして、それがいかなる方法によるかということを比較検討して、この方法がよいと考えておるのでありまして、納める力がないからむりではないかというような全般的にこの企業に対する課税ができないような立論には賛成できないのでございます。政府といたしましては、この附加価値税はさいぜんよりお話申し上げております通り、従来の事業税等に比べて合理的である。しかも地方自治体の財源を確保することもできる。ただいまもこれは勤労者負担であるというふうに言われますけれども、これは附加価値でありまして、勤労所得というものとは直接の関係はございません。ただ附加価値の中から地代家賃あるいはその企業の支拂う賃金となり、利潤となる、これがその内容をなすものでありまして、どこまでも直接に勤労所得とかいうものではなくて、企業者の附加価値分配の面を考えますと、そういうふうになるというだけであります。  さらに固定資産税につきまして、故意に何か資料をつくつたというような意味がございましたが、故意にゆがめた資料は決してつくりません。客観的にも政府といたしましては最善を盡した資料でございまして、十分御研究を願いたいと存じます。ただいまのその資料についての説明は、政府委員より申し上げます。
  28. 荻田保

    ○荻田政府委員 償却資産に対します固定資産の見積りを出しました根拠について御説明申し上げます。なるほどここに一兆三千億という数字が一応基準価格として出してあります。これは安本等の調査によりますと、国富調査ですか、これを基礎にいたしまして、それに一定の機械的な物価指数の増加等を乗じまして、一応一兆三千億という数字を出したのでありまして、決してこれが実際の現実の評価とは考えません。何となれば、陳腐化したものや未稼働というものもございますので、そういうものを十分考慮しなければいけないわけでございます。現に国税の資産再評価におきましては、大体これを五千億と見ておる程度でございます。従いまして、この一兆三千億という数字を基礎にしまして、はたしてどれだけの課税標準になる償却資産の価格があるかということを推算いたしておるのでありますが、それを一応五二%としております。これは今申し上げましたようなことを考慮するとともに、もう一つは二十四年度に限りましては、何分にも初年度でありまして、資産再評価の方も、年度の後になりましてから、正式の決定が出るわけでありますから、そういう実際に遅れるということも考慮いたしまして、特に本年度は安くなつておる次第でございます。
  29. 立花敏男

    立花委員 しかしそれはちよつと一方的だと思う。私は何もこの資料自身の数字をゆがめたとか何とかいうのではなくして、全体の固定資産税の收入において、勤労者負担になる部分が多く出て来ておつて、大資本の負担になるものが少く出て来ておるということ言つておるので、数字を改竄したとか何とかいうことを言つておるのではありません。ただこの表をごらんになりましてもわかりますように、土地も、家屋も、償却資産も同じく一兆三千億の資産価格でありながら、同じ税率をかければ同じ税金が出て来なければならないのに、土地、家屋がそれぞれ二百十三億出ておりまして、償却資産が九十三億しか出ていないようになつておるのはおかしいじやないか。その理由といたしまして、政府は陳腐化があり、未稼働があると申されますが、それでは土地や家屋には陳腐化や未稼動がないのか、こういう問題が当然起ると思うのです。だから同じ資産価格でありながら、大資本の固定資産の償却資産をなぜ九十三億とお見積りになつたのか。これは十分納得の行くまで説明してもらわないと、故意に大資本家の税金を安くしておるというふうに考えざるを得ないと思います。この点をもう一度御説明願いたいと思います。
  30. 荻田保

    ○荻田政府委員 土地家屋も、すべて住家用ではないのでありまして、大体土地のうち宅地は半分、そのまた半分は住家用ぐらいに想像しております。家屋についても半分が住家用でありまして、あとの半分は事業用なのであります。そういう意味におきまして、事業用は軽くて、一般住家用が重い、こういうことはないわけであります。
  31. 立花敏男

    立花委員 私の尋ねましたことの御答弁がないのでありますが、それは答弁できないものと解釈しておきます。  今のお答えでございますが、土地も家屋も住居用であるということはもちろん承知いたしております。しかし住居用でないものにいたしましても、結局その大部分は大衆的な——いわゆる大資本家とは違つた中産階級の持つておるものが大部分だと思うのです。これはいなめない問題だろうと思うのです。そういう意味で土地、家屋、償却、この三つを大体消費者階級と非消費者階級にわけますと、土地家屋に関する納税は非消費者階級であり、償却に対する納税は消費者階級であるということが言えると思います。そういうわけで、大づかみにわけてお尋ねしておるのでありまして、土地家屋の中に住宅家屋と商業家屋があるということはわかつておりますので、そういう見地から言いまして、償却資産だけが不当に低く評価されておるという点が問題になろうと思います。そういう意味で、固定資産税は大衆の負担が大部分である。固定資産税五百二十億のうち四百二十六億が土地家屋に関する課税であり、その大部分はむろん小作料、地代家賃転嫁されるのでありますが、大資本家の納めます部分は九十三億、約一八%しかないという事実をお認め願いたいと思います。  それから今度の地方税の三つの大きな特徴的な税金である市町村民税をやりたいと思うのですが、前に言いました附加価値税あるいは固定資産税は、その本質からいいまして大衆の負担である。これは、附加価値税勤労所得に対する課税が六割ないし七割であり、固定費産税は、今申しましたように資本家の資産の負担が一八%しかないということを考えますと明らかだと思うのですが、市町村民税におきましても同じ傾向がはつきり現われておる。まず第一には、法人課税しないということ、それから資産割をなくすということ、まつたく人頭税的なものにしておるということ、これは驚くべきことなのでございます。市町村民税を納めます人口は約六割もふえておりまして、千二百万人でありましたのが千九百七十七万人、約二千万人になつておる。六割のものから新しく市町村民税をとるという形がはつきり現われておりまして、これは明らかに人頭税なんです。今申しましたように、法人にかけない、資産割をとらない、あるいは人頭割的な要素がふえておるということから大づかみに考えまして、市町村民税も明らかに大衆の負担であるということが言えると思うのですが、この点政府意見をお聞かせ願いたいと思います。
  32. 荻田保

    ○荻田政府委員 市町村民税につきまして、均等割の額は従来とかわりございません。大体総額の二割程度が均等割になつております。  それから、納税義務者がふえたとおつしやいますが、これは従来は合算されて課税していたわけでございまして、新得税の課率も高かつたわけでございます。それが別々になりますから、かえつて率が安くなるわけであります。そういうわけで、今度新しくふえる人の負担はかえつて減ることになります。  それから法人の問題でございますが、これは今度の税制改正を通じまして所得税法人税等を通じての根本的の考えでありまして、法人は單に事業をしておる一つの道具にすぎないのであつて、それ自体には負担能力はない。その事業から所得が個人に收入された場合に初めて税をかける、そういう思想であります。(「いいかげんな答弁はだめだよ」と呼ぶ者あり)
  33. 立花敏男

    立花委員 出まかせの答弁であるということは門司さんが言つてくれておりますから私は言いませんが、もう一り市町村民税についてお聞きいたしたいと思います。シヤウプ勧告においても累進の方法をお認めになつておるのでありますが、政府ではなぜ累進の方法を自由選択としてお認めにならなかつたのか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  34. 本多市郎

    本多国務大臣 市町村民税所得割について、地方税法自体にも累進税率を認むべきではないかという御趣意だと思いますが、所得割の課税標準は前年の所得税額をとる方法と、課税所得金額をとる方法と、課税所得金額から税額を引いた税引所得金額をとる方法と、三つを選択することになつておりますが、二十五年度に限りまして前年度の税額を標準にすることにいたしております。この税額はどういうふうにしてきまるかと申しますと、国の累進税率によつて算出された税額が出ておるわけでありますから、それに対する税率を適用することは、所得に累進した内容をなすものでありまして、その上にさらにもう一ぺん地方税おいても累進率を適用するということになりますと、累進率が二重になりまして、かえつて負担の不均衡になりはしないかと考えられます。
  35. 立花敏男

    立花委員 それは私は住民の自主的な意見にまかせばいいのではないかと思います。それを特に政府が、シヤウプ勧告認めておるような累進の方法を今年は認めないことにおきめになつたが、これは一方的ではないかと思います。この点でもう一つつけ加えておきたいと思いますのは、さいぜん言いました法人の問題であります。法人もやはり市町村民税所得割の対象にいたしませんと、今言いました累進がとられましても、やはり中小業者は救われないと思います。そういう点から、やはり市町村民税所得割をお認めになつて、それからも累進でおとりになる御意向はないか、これをお聞かせ願いたいと思います。  それから、本多さんは国税が累進になつているとおつしやられました。実は所得税でも私ども反対いたしましたが、五十万円で切られておりまして、大きい所得が非常に軽くなつておるわけであります。こういうものをやはり一律で行く、と申しますことは、ほんとうは人頭割の性格を帶びているということが言えると思います。だから市町村民に納税の自主的な決定権を與えるという建前から申しましても、あるいは政府自身が地方課税権を強化するということをお書きになつておりますが、こういうことを実質的におやりになる上から申しましても、政府が天くだり的に一八%を押しつけるのではなしに、地方住民に取捨の余地を十分残しておかれる必要があるではないかと思います。そういう点もう一度御意見を承りたいと思います。
  36. 本多市郎

    本多国務大臣 法人に対して所得割を課さないという点は、結局法人所得は個人に帰属しますので、その段階において課する方が合理的であるというさいぜんの次長説明通りでございます。さらにこの所得割について累進税率等を総合的に適用できる道を與えるべきではないかという御趣旨でございますが、これはこの法律において禁じている趣旨ではございません。その市町村の状況によりまして、制限税率の範囲内において、この所得割について累進税率等を設定する場合も、別に法律は禁じてはおらないのでございます。
  37. 立花敏男

    立花委員 それじや今の二十五年度には一定にされておるのですね。
  38. 本多市郎

    本多国務大臣 二十五年度につきましては、所得税額に対する一八%を標準税率とすることにいたしております。つまり課税所得額によるか、課税所得額から税引きによるかという二つについての選択権は、今年に限つてはないわけでありますが、その税額について、標準税率が定まつているだけでありまして、その税率の範囲内において、税額を課税標準とする方法によつて課税する場合、さらに累進税率を設けることができるかいなかという点につきましては、別に禁じてはおらないのでございます。
  39. 立花敏男

    立花委員 そうしたら、二十五年度でも累進の課税はやられるということなんですね。大体以上で地方税の重要な税種の御意見を聞いたのでありますが、私ども考えますと、この三つを通じてみまして、やはりこれは勤労負担になつておるということが明らかに言えると思うのです。この場合私どもが注意しなければいけませんのは、前の委員会でも問題になりました川口市の失業問題でございますが、あの問題につきましても樋貝国務大臣は、重要な原因が税金にあるということをはつきり申されております。私はこの地方税法を審議いたします場合にも、住民の担税力という問題、住民の生活という問題を十分に考えてやらなければいけないのじやないか。国務大臣の御意見によりますと、国あるいは地方というような公共団体の生活をしておる以上は税金をとらなければいけないのだ、税金を納められないからといつて、納めない考え方は困るというようにおつしやつておるのですが、それはまた住民の立場から申しますと困ると思うのです。そういう言葉で申されますと、池田さんの放言よりひどい放言になつて参りまして、店がつぶれても税金だけ納めろ、これは各地の地方の税務署が言つておる言葉でありますが、それを大臣がお言いになることはまことにどうかと思うのであります。そういう考え方ではなしに、やはり住民の生活を救い、地方産業を発展させて行く、そういう建前から、場合によつて税金も軽くし、あるいは免除するという広いお気持で、今度の地方税の改正にお臨み願いたいと思います。そういう建前から私としましては、これはもう一度考え直していただく必要があるのではないか。特にひどいところの附加価値税などにつきましては、日本の輿論といたしましても、あるいは東京の大学でこの税を特に研究なさつて結論が出ているように聞いておりますが、ほとんどすべての全国民が、これはやる必要がないのではないかと申しております。あるいは少くとも一年や二年の余裕期間を置いてはどうかというようなことを申しておりますので、こういう点もやはりお考え願いたいと思います。この税法が強行されました結果起ります責任につきましては、これを審議いたしました私ども全体として負わなければいけませんので、まことに重大な問題だと思いますので、今から私ども審議いたす過程におきまして、十分政府の方でもそういう点を御考慮願いまして、なるべく大衆の負担にならないように、あるいは地方産業の圧迫にならないようにお考え願いたいと思います。  大体以上で本日の質問を終りたいと思います。
  40. 塚田十一郎

    塚田委員 いろいろ問題が出ましたので、私も関連して本日少しお問いいたしておきたいと思うのですが、さつきの固定資産税の評価の問題、固定資産税の基礎になる資産価格の出し方、その資産価格から出て来る收入見込額の出し方には、私もやはり相当問題があると思うのです。まず一番問題になるのは、勧告は千倍であるが、政府のお骨折りによつて一応九百倍ということにされたのでありますが、私は一切の土地及び家屋の価格というものは、現在ある賃貸価格にある倍率をかけたものと実際のものとは相当大きく開いているという感じを持つております。そうしてまた私どもが小範囲のところを調べた調査の結果などを頂戴したものから見ましても、そういう結果がはつきりと出ている。私どもが頂戴した資料は、おそらく政府側もお持ちになつているだろうと思うのですが、たとえば土地にしても家屋にしても、その時価と賃貸価格の比率を見ると、あるものは二千倍にもなつているものがあるのに、あるものは百倍そこそこにしかなつていないような実情があるらしいのです。それをたとえば千とか九百とかいう一定の倍数できめて、かりに二十五年度だけの暫定の措置だといたしましても、そういう便宜的なやり方をすることは、これは政府の側には非常に都合のいいやり方でありましようが、税金を納める人の側からいえば、実に迷惑しごくな話だと思います。実際に賃貸価格の百倍くらいしかないものを九百倍にきめ、しかも固定資産税というものは資産価格にある税率をかけることになつているのですから、資産価格が実際の価格よりも非常に大幅に過大に見積りをされたということになれば、これは現実の価格を見れば税率がうんと高くなつているということと、実質的には同じことになると思う。たとえば百倍にしかなうておらないものを九百倍に認定されれば、同じ一・七五の税率が、一つは一・七五であり、他の方は一・七五の九倍という結果になつて来るということになれば、どうも私ども国民立場から見ると、政府の徴税の都合ばかりを考えた非常に不親切なやり方だと考えるのです。こういう点については何か特別な考慮を注がれてしかるべきではないかと思うのですが、そういう点について御意見を伺いたい。
  41. 本多市郎

    本多国務大臣 今お話通り、土地、家屋の賃貸価格の九百倍というのは、必ずしも個々の客観的な時価と符合しない面が生じて来るということは、政府としても予想できるのでございますが、それは大蔵省などによりまして、実際の売買価格等の資料を集め、その資料を見てみましても四、五百倍である。家屋について、たとえば賃貸価格の四、五百倍であつたり、あるいは二千倍以上にもなつていたり、そういう不同のあるものを一つの倍率でやることは、個々の場合には必ずしも妥当でない場合が生じて来るのではないかと思われる場合もあるのでございます。しかし二十五年度に限りましては、シヤウプ氏もその時価との開きの出て来る点は、売買のそのときの状況によつて時価というものは違うわけでありますが、賃貸価格そのものにも不均衡がある結果ではないかと見ているようでございます。政府も、この賃貸価格は戰前のものでございまして、まことに金額が小さいために目にはつきませんけれども、相当不均衡があるだろうと思います。この今回の税率、定倍率で一回実施して、その不均衡を是正し、さらにまた将来はどういう倍数によるか、どういう方法によつて時価をきめるかというようなことも、二十六年度以後にはこれを改正するようにして行きたいと考えておるのでございますが、その点をいろいろ勘案してみますと、一面そういう多少の弊害もございますけれども、また一面政府としても、收入の確保、算定の便宜、納税者にとりましても明白なる基準でありますので、弊害ばかりではなくて明瞭ならしめるという利益もございます。そういうことを勘案いたしまして、本年はやはりシヤウプ氏の勧告通り実行することが適当であろうと考えておる次第でございます。二十六年度以後のことにつきましては、お話のような点について、十分研究をいたしまして準備したいと考えております。
  42. 塚田十一郎

    塚田委員 償却資産について先ほど立花委員から御指摘になつた点なのでありますが、政府は償却資産が九十三億という数字をお出しになつたときに、把握率と徴收率をどのくらいに見ておられたか、それを伺います。
  43. 荻田保

    ○荻田政府委員 この表の備考にも書いておきましたように、一応基本額の五二%を課税標準にいたしております。それに対しまして税率をかけて徴收いたしますが、その際の徴收率は八〇%になつております。
  44. 塚田十一郎

    塚田委員 把握率五三%という数字は、私どもまことに解しかねるのであります。把握率一〇〇%とここに書いてあるが、つかまつたものが五二%ということになると、これは基礎になる数字自体がそんなに正確なものでないという前提を置きますれば、案外五二%くらいに見ているのが、現実の償却資産の価格になるのかもしれませんけれども、もしこの把握率と現実の価格との間にかなりの開きがあるといたしますると、これは他のものにも一〇〇%は把握できないという例はいくらでもあるのであります。五二%という把握率は、少し控え目過ぎるのではないかと思うのであります。これはあまり控え目になつておりますと、全部に平等に五二%なら五二%、大体半分くらいの把握で行くのならいいのでありますが、あるところはやはり一〇〇%把握される、他のところは半分しか把握されない、あるいは平均して五二%ということになれば、他のところはもつと低い把握率になるということも考えられますので、あまりに把握率を小さく見て予算を小さくして、従つて税率は過大に評価して行くということは、徴税の結果が公平に現われて来なくなるという危險が相当あるので、その点について少しお考え直しになつてみたらばどうかと考えるのであります。
  45. 本多市郎

    本多国務大臣 ただいま政府委員答弁が少し十分でなかつたと存じます。その把握率は、実は償却固定資産総額の算定は、政府において実施いたします資産再評価の進行を見込んでおるわけでありますが、資産再評価の関係もありますので、そうした関係から遅れて来る点も考慮に入れたものでありまして、明白に価格の評価のできるものに対する把握率が、半分というわけではないのでありまして、もう少しく詳細に御説明申し上げさせたいと存じます。
  46. 荻田保

    ○荻田政府委員 先ほど五二%というふうに申し上げましたが、これはいわゆる把握率だけではないのでございます。ここに一兆三千億という数字を出しましたが、これは機械的な数字でありまして現実の問題とは違う。たとえば工業用の機械器具、一番上の段をごらん願いましても、昭和二十二年九月現在の価格に対しまして物価倍数の四七・一倍という数字をかけてあるが、はたして全部がこんなに四七・一倍まで上つているかどうか。たとえば三段目の地方鉄道及び軌道の一キロ当りの建設費を千百七十九万円に見ております。それからその下の機関車でも一台を五百万円、貨車は三十万円と見ております。こういうこと自体が必ずしも正確ではないのでございまして、これらは資産再評価と関連いたしまして、十分適正な価格を評価しなければならぬわけであります。もら一つは、本年度は特に初年度でありますので、資産再評価の方も遅れますから、必ずしも全部をつかまえることはできないかもしれませんが、平年度はもう少し多額のものになるわけであります。
  47. 門司亮

    ○門司委員 税の総額に触れるわけではありませんが、私はこの資料についてもう少し正確な正直な——と申しますのは、この数字が違つているというわけではありませんが、まじめにお考え願いたいと思うのであります。たとえば附加価値税の問題にいたしましても、一応これを流通税と考えますれば、従来の取引高税とも関連があるように考えられるのでありますが、あの場合の取引高税というのは消費者負担であつて、今度の外形標準によつてきめた税とは根本的に建前が違つておるのであります。従いまして今度の税金の形は、流通税と收益税と合算されたような建方であるから、この二つをだだちに附加価値税の対象として比較対照してみるということは、根本的に大きな誤りがあると思う。こういう誤りの上に統計の表が出されて参りますと、われわれにははつきりわからない。同時にこの中に寄付金の三百億というものが、やはり負担関係から書かれているように見受けられますが、これは全部税とは別の問題であつて、私どもがここで議論したいと思いますことは、この税自体について率直に克明に深く掘り下げて議論すべきであつて、われわれは何もそういう概念的のもので考える必要はないと考えております。どうかこの表についても、税本来の性質について検討するような資料を出してもらいたいと思う。国民負担に関する増減その他はわれわれの方で十分考えますので、その点をひとつこの機会に注意を申し上げておきたいと思います。  それから今の地方軌道の車両の関係であります。これには客車などが大体三百五十万円くらいに見てありますが、今の軌道会社その他に聞いてみますと七百万円と言う。従つてこれはばかばかしいほど大きい開きであります。どこでお調べになつてこういう数字が出て来ているかということであります。業者は少しくらい山を言つているかもしれませんし、割引をいたしましても、業者が七百万円という数字を出しているのに、政府で三百五十万円という数字は出て来ないはずである。こういう点に非常に疑惑を持つ。こういうものをお出しになるならば、さらにわれわれの要求するはつきりした根拠を出してもらいたい、そういう議論にまで発展して来るのであつて、ここまで議論が発展して参りますと、おそらく審議は少しも進まないと思うので、もう少し常識で考えられるような資料をこの際そろえてもらいたいということを、特に注意しておきたいと思います。
  48. 大石ヨシエ

    ○大石(ヨ)委員 私は婦人の立場から政府当局にお尋ねをいたします。全国には数十万の哀れな戰災未亡人がありまして、多数の子供を持つて、中には親子心中をするというようなことが、新聞紙上に伝えられておりまして、実に私たち婦人代議士の立場として見るに忍びませんが、本多国務大臣は、この税制の中にそうした戰災未亡人に対して免税点認めるとかなんとかいうことを勘案していらつしやいますか。その点について、私は詳細なる御答弁をお願いする次第であります。
  49. 本多市郎

    本多国務大臣 ただいまの御質問に対しましては、私もまことに実情はよくわかるのでありますが、その具体的な規定について、政府委員から答弁いたさせます。
  50. 荻田保

    ○荻田政府委員 市町村民税において、寡婦につきましては特別の免税をしております。これは十八歳以上の子供を持つており、従つて子供に相当收入があり得るというような者、また前年において十万円を越えるような收入のある人、この者を除きました寡婦に対しましては、均等割の方は課税いたしません。それから所得割の方もやはり十八年以上の子女を有しまして、前年において十万円を越える所得を持つている以外の寡婦に対しましては免税にいたします。従つてそういう者に対しましては、市町村民税は全然かからぬわけでございます。
  51. 塚田十一郎

    塚田委員 ただいま門司委員から御指摘があつたように、私どもも今度の地方税の改正につきましては、まつたくこの委員会で審議をしておりまして、これだけの資料でもつてこの税法を通していいかどうかという見通しがつかないのであります。資料自体がどの程度に正確なのかどうか、私どもはこまかいことになりますと、それを確かめる方法を持つておらぬのであります。ただ私ども地方税全体について非常に案じておりますのは、政府のお出しくだすつておる資料、それからまた御答弁のときにお考えになつておる点を見ましても、国全体のことは一応それでも不完備ながらも資料をもつて考えになつておる。ところがその国全体のそういう数字が、個々の府県に行つてどういう結果になつて現われて行くか、さらに個々の市町村に行つてどういう結果になつて現われて来るかということは、まつた見通しがつかない。そういうものが、はたして今度の平衡交付金なんかで、災害の面で出て来るでこぼこが矯正される見通しがあるかどうかということも、平衡交付金法もまだ出ておりませんから、これもわからないということになると、まつたくこの程度の資料と御説明でもつて地方税法を通すということになると、これは国民に対してまことに申訳ない結果になる、こういうように私は痛感しておる。そういうことを考えますにつきましても、私どもは、この税法は二十五年からすぐに実際に適用するのにふさわしくないのではないか。やつぱり一年くらいはこの法律を出してそういう資料を集めるなり、いろいろな反響を聞いてみるというような方法一つあり得るのではないか、こう考えておるのですが、その点に対して政府側の御意見を伺いたいのであります。
  52. 本多市郎

    本多国務大臣 新税というものは、なかなか初めてのことでございますから、理解されにくく、常に評判が悪いと言われております。そういう税はでき得るならば十分に研究した上で実施するということは、まことにけつこうなことと存じますけれども、今回の税制改革は、国税地方税を通じての一貫する税制理念に基いておりますのと、またこの一貫した税制改正によつて、中央地方の財政計画というものが成り立つておりますので、ぜひとも今年度の国税の改正と並行して実施しなければ、かえつて国民の間に負担の不均衡を生ずるおそれがあるのでございます。さらにこの二十五年度を逸しがたいと私の考えておりまする点は、幸いに国税において、昨年の当初予算に比較いたしますと、九百億も減税ということになりますから、地方税改正のために、負担地方税としては相当増加するという人でも、その国税負担減少部分と総合的に考えますと、耐えられるという機会でございまして、なかなか一回下つたものが、新たに増税されるというのは一層の困難も考えられます。でありますから、国税地方税を総合的に考えて、総括的には国民負担が減ずるというときには、やはりこういう改正は同時にやることが、国民負担の上からもいいことであり、さらにまた一貫してやらなければならないというシヤウプ氏の言われる通り税制理念と、さらに中央地方の財政計画の一貫したものであるということから、ぜひ早急に成立させていただきますようにお願いしたいと思つております。
  53. 立花敏男

    立花委員 今の塚田さんの御質問に関連して資料を要求いたしたいのです。これはもう数回前の委員会においても、速記にも残していただいて資料を要求したのです。これは改正法案によりまして、各府県別の税收が幾らになつて、市町村別の税收が幾らになるかという資料と、それからそれに対して政府は平衡交付金をどういう程度に各府県別、各市町村別にお出しになる見通しがあるか。これは平衡交付金法がまだ出ておりませんから、ごむりかと思いますが、法案が出なくても、法案基礎資料はお持ちのはずだと思います。そういうものをお持ちになつておるのか、おらないのか、お持ちになつてお出しにならないのかどうか、これを御答弁願いたいと思います。約三週間前くらいから資料を要求しておりますので、その点をはつきりしていただきたいと思います。
  54. 本多市郎

    本多国務大臣 できますだけ御要求の資料はそろえて、なるべく早く提出いたしたいと存じますが、ただいまお話の全国市町村別の資料となりますと、御承知の通り一万以上の市町村でありまして、その市町村別の資料はなかなか困難だろうと思いますので、集計的なものと、その例として取上げて妥当であろうというところのものを拾い上げまして、その集計と個別的な例とを提出いたしたいと思いまして、準備中でございます。
  55. 立花敏男

    立花委員 実はこの間も、この委員会の席上に鹿児島県の知事がお見えになりまして、鹿児島県では七億ないし八億の減收になる。それと同じ形が熊本、宮崎にもあるということをおつしやられまして、種々陳情されたのでありますが、この各府県別地方別の見込みは非常に重要だと思います。今お聞きいたしますと、そういうものはないということなのでございますが、そういうものなしにこの税法をお出しになるということはどうかと思うのであります。その資料なしにこういうものをおつくりになつたということになりますと、ますます地方は混乱と動搖をいたす結果になると思います。こういうものなしにこの税法が通るという建前でお出しになつたのか、大臣はつきりした御答弁を承りたいと思います。
  56. 本多市郎

    本多国務大臣 それぞれ收入見込額を立てますにつきましては、基礎資料があるわけでございます。それらのものは、できるだけ整理をいたしまして提出いたしたいと存じます。今お話の府県によつて歳入減を生ずるようなところも、税法改正の結果生じて来ようかと思います。また増加するところもあろうと思います。そういうものは、やはり平衡交付金で調整をするという建前になつておりますので、今のお話の、全国一万以上に上る市町村別の資料は困難と存じますけれども、できる限りサンプルになるようなものを取上げ、あるいは集計でお示と、御趣旨に沿いたいと思います。
  57. 立花敏男

    立花委員 平衡交付金法は、出す出すと言つてまだお出しにならないのですが、いつお出しになるか、この税法は平衡交付金法と一緒にやらないと、結局審議できないんじやないかと思います。あらゆる点で、この税法の各條項を見ましても、平衡交付金法と一緒に審議しなければわからない、決定できない問題があるので、いつ平衡交付金法をお出しになるのか、はつきり御答弁願いたい。
  58. 本多市郎

    本多国務大臣 すべて法律は司令部の承認を得なければ提出ができないのでありまして、司令部の承認があり次第提出いたしたいと存じております。ただいまの段階では司令部の承認を待つておる状態であります。
  59. 立花敏男

    立花委員 平衡交付金法の司令部の承認は、大体了解は得ておるんだというふうに、数回前の委員会で国務大臣自身が言明されたと思います。一体了解を得ておるものがなぜ出せないのか、その後情勢の変化があつたのか、あるいはほかの問題にひつかかつておるのか、御説明願いたい。
  60. 本多市郎

    本多国務大臣 私は担当者といたしまして、向うとの折衝はもう終つておるのでございます。いつ承認されるとか、原案のままで、司令部からも承認されるというような了解は得ておらないのでございます。折衝すべきところは折衝を終つておるのでございますけれども、どういう理由で承認が遅れているかというようなことは、向うから何も示されません。今日のところでは、催促には行うておりますが、向うとしても最後的判断が済まないうちは承認できないのであるから、ただ待つておれという状態でございます。
  61. 立花敏男

    立花委員 もう一つお聞きしておきたいのは、地方財政法の問題でございますが、地方税法が公布になつたといたしましても、財政法がはつきりしないと、それは必ずしもうまく行かないと思うのです。その財政法について、やはり地方税法を審議中に改正案をお出しになるおつもりはないかどうか、ちよつと参考にお聞きしたいと思います。
  62. 荻田保

    ○荻田政府委員 地方財政法については、根本的な改正をする必要はないと考えますので、簡單なる改正も平衡交付金法の附則において行いたいと思います。
  63. 菅家喜六

    菅家委員長代理 大体午前中の会議は、この程度にいたしまして、午後二時半より会議を続行いたします。それまで暫時休憩いたします。     午後一時二十二分休憩      ————◇—————     午後二時五十二分開議
  64. 菅家喜六

    菅家委員長代理 これより会議を開きます。  午前に引続き、地方税法案を議題として質疑を続行いたします。  この際お諮りいたしますが、山崎岩男君より委員外の発言を求められておりますので、これを許すことにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 菅家喜六

    菅家委員長代理 御異議なければ、同君の委員外の発言を許すことにいたします。山崎岩男君。
  66. 山崎岩男

    ○山崎岩男君 委員外発言を委員長さんの特別なるおとりはからいによりまして許されましたので、この機会に二、三本多国務大臣並びに荻田次長さんに対してお尋ね申し上げたいと思います。法定外独立税、りんご引取税新設、もしくは継続設定につきまして、本年三月二十四日付、内閣総理大臣名をもつて、青森県に対しまして発せられました処分に関しまして、地方財政の危機と行政運営の難関に立つて、青森県の実情を述べまして、この機会に地方自治庁の長官であらせられます本多国務大臣、並びに事務の最高実権を握つておられますところの荻田次長さんに対しましてお尋ね申し上げたいと思います。  地方財政の確立ということ、まことに難問題でありますが、ぜひこれはやつて行かなければならない問題であると思います。そこで新税法の討議に関しましては、ただいま本委員会が熱心に御研究あそばされておりますので、私どもも全幅の信頼を置いて当委員会の御審議をながめておるような次第であります。しかるところ、今度のこのりんごの引取税というものができる、できないという関係は、青森県の行政運営に重大なる影響をもつておるのでありまして、これはシヤウプ勧告案の本旨である地方財政の確立とともに、地方財政一般的水準を高めて行こうとする、その本旨にももとるものでないかというふうに考えますので、私はこの機会に二、三の質疑を試みたいと思うのであります。そもそも財政の運営をやつて行きますためには、民意を尊重して行かなければならないわけで、民意を尊重する建前から、税制審議会を設けられまして、この税制審議会の答申に基き、あるいは決定に基きまして、政府が示されているものと私考えておるのであります。しかるにその税制審議会なるものは、青森県の実情に対しまして、少しく手落ちがありはしないか、研究が足らなかつたのではなかろうかと考えるのであります。と申しますのは、何であるかと申しますならば、青森県の財政にりんごの引取税というものが、いかなる役割を果しているかということは、税制審議会の諸公よりも、青森県の当面の理事者であるところの知事並びに県会議員の諸君が、切実に身をもつて感得しておる問題なのであります。知事は御承知のごとく民選の知事でありまして、これはその成果をどのように上げるか。官僚の知事と民選の知事とのやり方がどのように青森県の県政、あるいはまた地方自治体に対するところの影響をもつて来るかということは、ただいまの実績が物を言つて来るものと私考えておるのであります。そうして選ばれました民選知事が、民意を尊重せずしては、県政の運営ということはできません。また青森県の県会議員の諸君もやはり民選によつて選ばれた議員であるのであります。その人々が十分に研究を遂げて、二十七対十一という投票によつて確定いたしましたりんご引取税というものが、その審議会によつてもろくも敗れて、ついにこの独立税というものを徴收することが不可能になつたというこの事実は、何と申しましても、自治体を尊重し、自治運営の上にはつつたるところの清新の気を注入して行かなければならぬという民主主義的な政治のやり方をやつて行かなければならぬ現在といたしましては、私にこれはいささか不祥事ではなかろうかと考えておるのであります。それは先月の二十四日に行われました審議会でありましたが、その審議会が二十一日にすでに少数の人々の運動によつて、このりんご引取税は廃案になるということが明らかにされておる。運動員がこちらの方に参りまして、審議会に参つて、いろいろ陳情しました結果、これは廃案になるのだということがわかつて、電報が青森県の方にしきりに飛んでおるのであります。これは少くも最高機関としての審議会としましては、いささか手落ちではなかつたろうかと私は考えます。しかも総理大臣に対しましては、絶対の権限をもつて答申され、その権限に基いて総理大臣はどうしても処置を講じて行かなければならぬというような重大なる使命を持つておる審議会といたしましては、私は官紀紊乱の上から言いましても、許すことのできないような事態でなかろうかと考えておるのであります。しかるにその委員会が昨日をもつて任期満了といいますか、自然消滅を押してしまいましたので、私どもはこれに対して決して死馬に鞭うつというようなことはやりたくありませんけれども、青森県のりんごというものは、あの人々が考えておるように簡單なものではないのであります。この節税を取立てないということは、いかにも民心のおもむくところではありましようけれども、何としても税を取立てなければ、国家の運営も、地方の自治体の運営もつかない、そのためには理事者であるものはほんとうに勇気を振うて、渾身の勇猛心をもつてつて行かなければならぬ次第だと思う。あたかも本多国務大臣が行政整理にあたりまして、あれほどの大きな赤旗の乱立の中に立つて断固としてやられました、あの信念というものが、この審議会になかつたとするならば、また公選知事にその心持がなかつたとするならば、あるいはまた民選されました県会議員にこの気持がなかつたとするならば、この大きな問題をなし遂げることはできないと私は思う。しかるにこの審議会なるものが、その権限をどういうふうに考えたか知りませんが、事前に漏らすというがごときは、まことに残念この上もありません。そこで私はこの機会に、将来の自治体運営の根幹となつて行かなければならぬ、血液とも言わなければならぬ税制の問題につきまして、青森県のりんごをもつて、どのように取扱われるかという点について、お尋ね申し上げたいと思うのであります。三月二十四日付の青森県のりんご引取税に関する條例に対して、政府の行つた処分というものは、二十四年度のりんごに関するものであつて、二十五年度のりんご引取税については、地方税法改正後、新たに設置せられたる地方財政委員会において、さらにあらためて審議すべきが至当と認めるのであるますが、はたしてこの新しい委員会にこれを付議して定められるお考えが、大臣にあられるかどうか、その点についてまずお尋ね申し上げます。
  67. 本多市郎

    本多国務大臣 地方税審議会は、独立税の強力な機関でございまして、そこで決定せられましたことにつきましては、政府としても愼重審議の結果であろうと考えますので、批判は差控えたいと思います。  さらに二十四年度産のりんごと二十五年度産のりんごの取扱いの御質問のようでございますが、二十四年産のりんごも二十五年度において、実は課税する場合もあるのでございまして、これは地方税制審議会において、二十四年産のりんごに限つてある程度のりんご税を認めるという決定があつたようでございますが、今度の問題といたしましては、その青森県の財源の実情から、どうしても二十五年産のりんごにも税金を徴しなければならぬという新たな観点から、あらためて申請のありましたときには今回成立いたすことに信じております地方税改正法案によつて、それが審議せられるのでございます。その審議する機関は地方財政委員会の設立を見まして、その地方財政委員会で審議せられるのでありますが、その審議の基準になるものはこの地方税法の中の法定外の特別税を認め基準によるのでありまして、その法定外の特別税たるりんご税が收入が確保せられること、あるいは青森県の財政需要上必要欠くべからざるものであつて、財政需要が確実なること、さらに国の課税標準等と重複しないというような点、あるいはそのために物の流通を阻害するようなおそれがないというような点を考慮いたしまして、この法の精神によつてあらためて地方財政委員会というものが設立を見まして、そこで愼重審議されると思います。
  68. 山崎岩男

    ○山崎岩男君 ただいまの御意見で了承いたしましたが、地方税制審議会につきましては、大臣委員長さんでも議長さんでもなかつた、單に政府の当局者という立場でもつて参加される傾向であつた。今度設けられるところの地方財政委員会につきましては、大臣委員長になられるとか、あるいは議長になられるというようになるのであるかどうか。その点を伺いたいと思います。
  69. 本多市郎

    本多国務大臣 ただいま政府の予定しております方針では、国務大臣委員長になるということになつております。その委員長を含めまして五名の委員でありまして、政府推薦のものがもう一名と、さらに知事代表、市長代表、町村長代表の三名を加えて五名、これを政府が推薦いたしまして、国会の承認のもとに決定になるわけでございます。
  70. 山崎岩男

    ○山崎岩男君 青森県のりんご引取税というものは、地方税法改正後の見積りとしまして、いろいろ調査して見ますと、県税総收入の約三割に当るかと考えるのであります。これはまことに重要なるところの税源でございます。もしそれこれがこの間の審議会のように廃案にされるというようなことがあつたとすれば、青森県の県政運営に重大なる支障を来すのであります。その結果は国家に依存するといつたようなことになるのであります。地方の税源が確立されて、財源の運営というものが円滑に行く。こうなれば国家に依存するということがなくなる。そこにシヤウプ勧告案の要諦が含まれておるかと思うのであります。従いましてどうかその委員会の、ただいまの大臣の御説のように大臣委員長になられましたならば、ぜひ再び申達されますこの青森県のりんご引取税に関して、審議会におきましては十分に大臣が御指導くださいまして、ぜひとも青森県の県政の運営に重大影響を持つておるこのりんご引取税を、お認め願うようにお願い申し上げたいのであります。それに対する大臣の御意向を承りたいと存じます。
  71. 本多市郎

    本多国務大臣 地方税法は今審議中の段階でありますし、地方財政委員会法はまだ提案の運びにもなつておらないのでありまして、それがどういうふうに確定し、私がその場合どういう立場になるかということは、今では予測できないところでございます。いずれにいたしましても新らしく申請がありました場合、今回制定を見まする地方税法の精神に基きまして、青森県財政の実情並びにこの法の精神に勘案いたしまして、愼重に審議されることと考えております。
  72. 山崎岩男

    ○山崎岩男君 最後にもう一言お願い申し上げます。三月二十四日付の地方自治庁財政部長さんの通達によりますと、青森県林檎振興会社その他これに類する施設に対し、りんご引取税の收入を充当し得ずとしてあるのであります。これらのごときは特別会計を設け、そのりんご引取税をその特別会計の範囲内において流用して参りますならば、あるいはこういう制限を設けられることも妥当かと考えるのでありますが、一般收入でありまして、従いまして総括的に県の財政の中に繰込まれてしまいます。そのうちから出資いたしますところのりんご引取税なるものを、林檎振興会社その他の会社に流用してはならぬというような、ただいまの附則を設けられるというようなことは、自治体の自主的な運営を拘束するものと私は考える。税制審議会なるものがいかなる権限を持つておるかしれませんが、こういうような附則を設けるというようなことは、自治体の運営をけがすことであり、また自主性を失わしめる重大なる原因になるかと考えるのであります。従いましてこのような拘束を財政部長さんの名をもつて知事に與えられましたその処置は——今後ともこういう処置をせられるつもりであるか。それではいかなる税金を取立てましても、県政の運営は成立ちません。その点について荻田部長さんの御意向を承りたいと存じます。
  73. 本多市郎

    本多国務大臣 これはやはり地方税制審議会で処理されたことでございまして、私の答弁の範囲ではございませんが、しかしやむべからざる財政的需要のあること、これが地方税認めます場合の條件であり、そうした観点からりんご税というものがいかなる方面に充当されるかいうことが研究されるのは、きわめて当然なことでございまして、地方税制審議会として、林檎振興株式会社に出資するがごときは、法定外特別税まで設けてやる性質のものでないという観点でありましたならば、そういう制限をせられるということも、これは決して妥当を欠くものではないと考えております。
  74. 菅家喜六

    菅家委員長代理 ちよつと山崎君に申し上げますが、それはその程度で、大体政府当局からの御答弁がありましたので、それ以上あなたから質問を続行されることは、今地方税法の審議中ですから、その辺で一応打切つていただきたいと思います。
  75. 山崎岩男

    ○山崎岩男君 了承いたしました、ありがとうございました。
  76. 菅家喜六

    菅家委員長代理 それでは質問の順序に従いまして、床次君。
  77. 床次徳二

    ○床次委員 私は地方税制に関しまして、一般的に将来審議に必要になると思われます点で伺つておきたい点を、時間の都合上簡單にお尋ねしたいと思います。第一に今度の地方税制に関しまして、先ほど大臣からもお言葉がありましたが、地方税制の金額が非常に少いときに、一番負担が軽減されておるときに、新税法をやることが、こういう大改革にはいいんじやないかという御意見のようで、この点も私はけつこうだと思うのであります。しかしながら今後、この税制を論じて参ります場合、課税額が少いから云々という理由でもつて答弁になることも、過去の歴史において相当あつたと思います。私はそういう意味の御答弁によつて、新しい税制を審議することは適当でないのじやないか。やはり新税制税制としまして、額がたまたま少なかつたか、あるいは相当多額に予定されておるかということによつて問題になるものではない。やはり税制税制として、抽象的に論議をさるべきものだと私は考える。なお特に考えなければならぬことは、昭和二十五年度の地方負担がはたしてどの程度になるかということにつきまして、大臣は相当地方の支出が節約されて、負担が軽減されるという前提のもとにお話になつておられる。国税、並びに地方税を通じまして、国民負担は軽減になるという前提のもとに御答弁になつておるようでありますが、私は前にも申し上げたと思うのですが、この前提は実は相当誤りがあるのじやないか。むしろ増加する場合が予想されるという考え方をもつておる。これは意見の差だからやむを得ないといたしまして、少くなるからという前提のもとに論ずることは、私は適当ではないと思うのです。なおこういうふうに将来地方税負担が少いのだ、国民負担が少くなるのだという立場から見まするならば、現行の税制そのものにおきましても、相当負担を軽減して、これをよりよい税制に改める余地があるのじやないか、少くもそれは残されておると思う。現行の税制を根本的に改正して新しくいたしまするのには、なおその他のいろいろな理由がしんしやくされなければならないと思つておるのであります。この点につきまして私特にお伺いしたいことは、さきにも各委員から御意見があつたのでありますが、今度の新税法の目標、並びに方針というのがすでに明らかになつておりまするが、特に私が御説明を少しく詳しくしていただきたいのは、今度の新税法を実施いたしました結果、直接税金負担いたしまする人々の間に、いかなる変化があるか。この税法影響というもの、これについての御説明がないのであります。いやしくも新しい税法を実施いたします場合は、過去の税制と新しい税制においては、負担がこういうふうに違つて来ておるのだというところの御説明がほしいと思います。従来の負担者と同じ人が負担するのだ、しかも額が少くなつておるのだというなら一応通りますが、私は額が少くなつているということだけではなしに、その負担のあり方が非常にかわつて行くのじやないかと思います。少くもその負担がどういうふうに変化しているかということを、御当局自体がこれは当然御検討になつておることと思う。ここに私の私見を申し上げることは、かえつて長くなると思うのですが、御当局から地方税全般について、旧税法と新税法と比較すると、どういうふうに実際の負担がかわつておるかということについて承りたいのであります。この方針の中には、たとえば財産税の重課が行われたこと、あるいは流通税を廃した、消費税を減少したのだ、こういう抽象的なことが並んでおりますが、実際にこういうものが、どういうふうに当てはまつて行くかということになりますと、実はこう簡單なものじやないと思います。もう少しつつ込んで御当局の御説明を伺いたい。先ほど立花委員からも勤労所得を相当重課されるのじやないかという御意見も、これは確かに附加価値税については考えられるのでありますが、地方税全般を通じまして、そういう御説明を実はいただきたい。それから後にもう一度伺つてみたいと思います。まずこれから御説明願いたいのであります。
  78. 本多市郎

    本多国務大臣 個々納税者負担の変動が生ずるということは、先ほども申し上げました通り税制の根本的な改革上やむを得ないことであつて、それが従来よりも適正になり、均衡がとれるという見地に立つておるのでございまするが、これをもう少しどういうふうに変動があるかという内容をというお話でありますが、個々納税者ならば、個々納税者の実例について申し上げることが、一番よろしいと思うのでありますが、それについては大体そこに例示されておるのであります。  概括的に申し上げますと、たとえば附加価値税につきましては、従来大規模の事業家であつても、所得がないために税が非常に少なかつた。それは所得課税でありましたがために、所得の高が少なければ、どんな大きな事業でも税が非常に少かつた、あるいは全然欠損のために免税であつたという方がありますると、これは今度は附加価値税をとらえて課税いたしますから、それから来る変動はこれは御推察できようと思います。  住民税につきましては、従来資産割、所得割、均等割となつておるのでございまするが、それが今度資産割というものがなくなりまして、そして所得割ということになりますが、やはりこれは国の決定する所得税額を基準としておりますから、そう大なる変動にはならないと考えております。ただ今までは家族主義の総合課税になつておりましたものが、それが今度は個人主義のめいめいに所得があればめいめいに課税されることになりましたがための変動が少しあろうと思います。それは一人々々では少額なものであつても、総合課税であつたために、これが高率の税が取られておる。その世帶主がそれを代表して、所得割というものを出しておつたのが、今度はめいめいになりますから、それぞれ累進率がかからないという点もあり、また均等割がめいめいにかかる点から、幾ら高くなるという点も考慮されますが、それを総合しますと、やはり安くなるようでございます。  固定資産税につきましては、これは今までの土地、家屋税に比較しまして、今回の固定資産のうち、土地、家屋については、二倍半以上、三倍くらいのところになろうと思いますから、従つて土地、家屋所有者につきましては、その程度の負担の変動があることと考えられます。以上あまり詳細にお話できませんで済みませんが、一応お答え申し上げます。
  79. 床次徳二

    ○床次委員 ただいま大臣から御答弁がありましたが、これは確かに大臣のおつしやるような目的のためにやられたんだと思うのです。まあ御説明のような結果に相なると思いますが、しかしこれが現在の経済状態に、はたしてどういう影響を及ぼすかというところまで考えて参りますと、單に負担の合理化とか、あるいは均衡化が行われたということだけでは済まし得ないのではないか。ずいぶんこれから附帶して来るところのいろいろな問題が起つて来ると思います。たとえば例を申し上げますと、財産課税を重課したという結果が、ひとつ表われておりまするが、この財産課税を重課するということ、これは私は確かに持てるものがある程度負担することはけつこうだと思う。しかしながら現在のようにデフレの時代と申しますか、相当金融の逼迫しておりますときに、財産課税を重課されるということが、いかほど国民生活に圧迫があるかという点につきましては、これは従来に見られない影響、はげしい一つの重圧が加わるということを、認めざるを得ないのじやないかと思うのであります。あるいは附加価値税、あるいは従来の事業につきましては、小さな事業をするものに対して負担が重くて、大企業が逃げておる。大企業でありましても、欠損しておりましたときには、事業税がかからなかつた。確かにその点はありますが、今回のような附加価値税によつて課税されますると、利益がなくても負担がかかるという建前からいたしまして、やつと経営しておる会社、あるいは赤字を出しながら経営しておつた企業、会社というものは、これは全然動かなくなるということを予想いたされなければならぬのであります。これは非常に大きな変動なのではないか。これによりまして、健全な事業を起す、不健全な事業がつぶれるということは、これはやむを得ない現象だとおつしやるならば、そうかと思いますけれども、それは一概にはそう行かないのでありまして、現在の経済状態から見ますと、相当大きな変動がこれによつて現われて来るのではないかというふうに考えられるのであります。こういう点について、もう少し大臣が、その影響と申しますか、現在の事情において、こういう税制改革が行われるということが、いかような響きを持つて来るかということを、もう少し御検討になつて、あるいはその点につきましてお考えなつたことを御説明いただきたいのでありまして、最後に先ほど大臣が仰せになりました、結局全般的には負担が軽減される。私は最後にそういう締めくくりをされるということは、最初にも申し上げましたが、はなはだ遺憾な言葉だと思うのでありまして、全体が軽くなるというのは、今の政府計算上では確かに軽くなる計算ではありますが、私はそう簡單には言えないことだと思う、ということを最初にお断りいたしたのでありますが、負担のあり方というものが大分かわつて参りまして、同じわく内でありましても、かなり動いておる。その動いたということが一つ影響を及ぼしておる。その影響を御考察にならずに、新しい税制を採用されるということは疑問じやないか、私こういうふうに思うのであります。もう少し具体的にお話をいただきたい。
  80. 本多市郎

    本多国務大臣 この地方税法は、各自治体、各公共団体から、その企業がいろいろな便宜を受ける、その地方団体の犠牲においてその事業に貢献するという、その公益性ということも考慮されておるものと考えます。そういう立場から、やはり所得の大小にかかわらず、一定規模には一定程度の公益的課税というものも加味されておるようでございます。問題は今日の企業が、それだけの税を負担し得るかいなかということでございますが、特に業績の上らないというところには、常にどんな税法でもむりを生じて来るのでございますが、一般的にはそうした精神に基いて立案いたしました。この税法負担にたえられないというほどのことはないと考えております。さらにまた全面的に国税と総合的に計算して、負担の軽減になるのであるという政府の所信には疑いがあるというお話でありますが、これはやはり総括的な見方と、個々納税者について見る場合との違いがありますから、そういうお話が出るのではないかと存じますが、これは何分大改革のことでございまして、今日までの課税の仕方が不適正であり、不均衡であるという観点に立つて、改革しようという趣旨でございますので、個々納税者にとつては必ずしも負担減にならない。たとえばさいぜん申し上げましたように、事業税等につきましては、全然納めないで済んでいたというようなものにも、規模に応じ、附加価値に応じての相当の税がかかる。固定資産税もかかるという点が確かにあるのでございますけれども税法としては、国と総合いたしますと、国民負担も軽減されるときでありますから、この機会にこういう税法を改めるということが、まことに適当ではないかと思つております。全体としては標準を定めて見て行くわけでありますから、個々納税者についての変動は、それがどうしても急激な特例がありますれば、これはまたいろいろな規定で緩和しなければならぬとも思いますけれども政府でさような点を認めたものについては、多少の緩和規定を加えておる次第でございまして、なお十分ただいまの質問の御趣旨はさらに研究をいたしたいと思います。
  81. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまの点は、私どもも今後この委員会におきましても、もう少し研究いたしたいと思うのでありまするが、ただいま御答弁になりました事柄の中に、全体と部分とのお話がありましたが、税制を改革いたしまする場合は、全体を考慮すると同時に、改正の効果が個々にどの程度に影響があるかということも、あわせて十分研究してから、新しい税制を実施するというのが、税制改正の建前なのではないか。俗に申しまするが、新税は悪税だと一口に言われておりまするのも、そういうようなところをさしたのではないかと思う。どうも現在御提案になりましたのは、その個々のはね返りまで十分にお検討を盡されておるような感じがいたさない。そこが私たち納得がいかないので、今後の政府の御説明によりまして納得が行くかもしれませんが、その点多少疑問に思つておるのでありまして、どうか御当局の方も、今後の各論の場合におきまして、十分その点を御留意になりまして、特に詳しく御説明をいただきたいと、この機会にお願しておくわけであります。  それからなお、私ども今後この審議にあたりまして、疑問に思いますのは、やはり平衡交付金の問題が解決されておらないということが、非常に疑問になつておるのであります。すなわちこの点は地方の財政の自主化という点から見まして、今度の新税法を施行すると同時に、平衡交付金制度が行われまするが、はたしてこれが地方財政の自主化という目的に合うかどうか。どうも平衡交付金が足らないのではないかということを、前に申し上げたのでありますが、その懸念を持つておりまする関係上、やはりほんとうの財政の自主化も、その目的を達しないのではないかという感じを、私どもつておるのでありまして、これもいずれ政府の方から平衡交付金の問題について御説明があるかと思うのでありますが、ぜひその疑いを晴らしていただくように、お願いしておく次第であります。  次に多少具体的なことにわたりまして御説明を伺いたいと思うのでありまするが、過去において事業税というものがありました。その事業税につきましては、確かに欠陥も持つておるのでありまするが、今回のごとくある程度まで地方歳出を節約するということができると、仮定いたしましたならば、現在の事業税を、もつと合理的に改めることも可能なのではないかという意見がありまするが、これに対してどのようにお考えになつておりますか。たとえば小さい事業者に対しまして、従来免税が行われていない。控除が非常に足らなかつたのでありまするが、これに対して控除を行う。特に自家労力をもつて事業を営んでおりまするものに対しまして、控除を考慮いたすことになりますれば、ある程度まで事業所得というものに対しましては、改善を見ることができるのではないかというふうに思うのであります。なお赤字の事業に対してどうするかという問題が、一つ残されておりまするが、大事業に対する重課ということは、これまた現在の事業税を改正しながらも、多少その目的を達することはできると思いまするが、現在の事業税に対しまして、政府はどの程度の欠陥をお考えになつておられるか、少し現行法の御説明をいただきたいと思うのであります。本多国務大臣 現行の事業税を改正した方が、新たな附加価値税を設けるよりも、いいものになるのではなかろうかという御意見でございますが、この事業税というのは、もつぱら国の決定する所得税所得金額というものに依存するものでありまして、自主性のまつたくないものということができたのでございます。そういう点を自主的に所得を決定させるというふうに改正すれば、その面についての自主性は生じて来るわけでございますけれどこの地方財政の確保をはかりますためには、やはり地方団体としては、所得のあるなしによつて收入がどうなるかわからないというような税よりも、その事業としてたえ得られる範囲において、こうした附加価値というような課税標準をとらえて行く方が適当である、こういうふうに考えるのでございまして、旧来の地方税に多少の改正を加えるよりも、むしろ附加価値税という新税法による方が、妥当であると考えておるような次第でございます。
  82. 床次徳二

    ○床次委員 次に参りまするが、今度の税制に関しまして、地方におきまするところの負担均衡と申しまするか、分配の点をできるだけ考慮しておられるように見えまするが、しかし固定資産税等にありましては、なかなか関係地方団体にこれを配分するということに問題があるのではないかと思うのです。この中には関係という字が使つてある。あるいは隣接という字が使つてあるのでありまするが、どの程度のものが一つ大きな固定資産に対して、その配分を要求し得るかということについてお尋ねいたしたいのでありまして、現在でもなかなか事業税営業收益税その他の配分については問題がありまするが、今度の新税におきましては、よほどこの問題がやかましい問題になるのではないか。委員会の決定によりまして、これが第三者的な立場から公平に配分できるというふうに、法律の建前では予想しておられますが、委員会が配分するということも、相当困難があると思うのであります。この配分の方法について、大体公平に行い得るというお考え、またどういうふうな方針をもつてそれをおわけになりますか。いわゆる近隣の町村と申しますか、関係の市町村団体と申しますか。その範囲について具体的にもう少し詳しい御説明を承りたい。
  83. 本多市郎

    本多国務大臣 これは税源の偏在を是正する意味と、さらにまたその固定資産の所在する団体ばかりではないという場合が考えられるのでありまして、そうした場合に、これに関係のある団体に配分することになつております。その配分の方法については、お話通り最も愼重な方法によらなければ適正を失するおそれがあるのでありまして、その配分の比率等については、地方財政委員会において十分調査の上、適正を失しないようにやらなければならぬと思つております。それをどういうふうに規定するかという構想については、政府委員より答弁を申し上げます。
  84. 荻田保

    ○荻田政府委員 法案の第三百九十一條の規定するところでございまして、一つは大規模の工場がある場合でございます。それは近隣の市町村の公共事業費の支出に、直接かつ重要な影響を與える場合で、例をあげて申しますと、たとえば八幡市におきまして、日鉄という大きな工場がある。その工場が八幡市にあるために、その従業員たちは附近の市町村からも通つておる。従つて附近の市町村はその従業員のための学校等の施設をつくる。こういうような場合でございます。もう一つは、大規模な発電施設その他公共的事業施設があるというような場合でございまして、この場合には、近隣の経済と直接かつ重要な関係を有する、たとえばある川のある地点におきまして、ダムをつくつて発電施設を起す場合に、ダムから上の水はずつと市町村にまたがつてつて、そのために市町村に対する水利上いろいろの影響を及ぼすという場合でございます。そういう二つの場合におきまして、それぞれの固定資産收入を所在地の市町村だけに限りますと、その税額を誤つてしまう。普通標準行政費でまかなうのに足る以上の税收入が與えられる、こういうふうな場合に配分するのでございまして、もちろん仰せの通り個々の場合に、いろいろ問題があると存じますが、これは十分に愼重に行われるものだと思います。かりにそこに多少間違いがあるとしても、御承知のように平衡交付金法が並行して実施されております結果、かりに公平にわけたものよりある市町村の税額が、それだけ少かつたとしますれば、必ず少かつただけのものは平衡交付金の配分があるのでございまして、その額だけよけいに平衡交付金から行くことになりますから、財源的に見ればあまり支障はないのではないか。もちろんそうかと申しまして、公正にわけることを怠るというわけではありませんが、かりに不公正なことがあつても、財源的には問題がないものだと考えております。
  85. 床次徳二

    ○床次委員 将来地方自治の基盤をつくるために、できるだけ地方団体の構成分子と関係の深い税をとつて確立する。たとえば市町村民税については、市町村民税を通じまして、地方行政に関心を持たせるというお考えが現われておるのでありますが、都道府県に関しましては、今度の税制によりますと、市町村税ほど直接都道府県に関係のある税目がなくなつたように考えるのであります。まだ県は市町村に比べますと、次の階級のようではありますが、しかしながら今日においてまだ県といたしましても、相当強い地方自治団体としての自覚も必要だと思います。事業におきましてもかかる観念を養成することが必要だと思いますが、今度の税制は少しその点に欠けるところがあるのではないかと思いますが、この点御意見はいかがでしようか。
  86. 本多市郎

    本多国務大臣 これは国と、府県と、市町村の三段階について考えなければならぬと思います。ただいまお話のような住民と最も関係の深い、そうしてしかも有力な財源というものが市町村民税になつておりますが、この市町村の税と府県の税と分離いたしまする大体の方針は、偏在しておるものが府県で、普遍的なものを市町村税というような観点から、分離をいたしたのでございます。大体その方針は合致しているかと存じますが、その観点に立ちましても、どうしても例外的なものを生ずるのでありまして、それは一定のその税をおいてほかにはほとんど財源がないというような場合、それに該当しますのは、たとえば鉱山税、入湯税、木材引取税のごときはそれに該当するものではないかと存じております。変態的であるという点におきましては、鉱山税のごときも府県税的性格を持つておるのであります。炭鉱所在地のようなところは、それ以外にはほとんど課税対象がないというようなところでありまして、そういうところにわずかに市町村税としてこういう税目を残すことが適当であろう。入湯税などについても同じように考えられるのでございます。そういう観点から国税と市町村税の中間になるものが、府県税というように考えて参りますと、大体その性格が今の分類で妥当ではないかと考えております。
  87. 床次徳二

    ○床次委員 次に市町村民税についてお尋ねいたしたいのですが、先ほど大泉委員から御質問があつたのでありますが、未成年者に対する課税は十八歳に限つておりますが、今日まだ教育その他において十八歳になつたからといつて、必ずしも相当收入が上り得るとは考えられない。まだ在学中の者は消費者立場がむしろ大部分を占めております。すでに労務者として十分な所得を上げる者もありますが、そうでない者も相当存在することを考えますと、この程度の取扱いをもつてはたしていいかどうかということについて、多少私は疑問を持つのでありますが、政府はこれで十分だとお考えでございますか。
  88. 荻田保

    ○荻田政府委員 均等割、あるいは所得割におきまして免税をしておりますのは、いわゆる未成年者でございまして、やはりこれは普通の丁年の満二十歳であります。ただ寡婦に対しまする免税の場合に、十八年以上の子女を持つておる場合には、寡婦としての取扱いをしないということになつております。
  89. 菅家喜六

    菅家委員長代理 よろしゆうございますか。
  90. 床次徳二

    ○床次委員 それでは一応この程度にいたします。
  91. 菅家喜六

    菅家委員長代理 塚田君。
  92. 塚田十一郎

    塚田委員 附加価値税について少しお尋ねしておきたいと思いますが、どうもこの附加価値税という税を見ていると、非常に悪い税だという感じがするので、これは先ほど立花委員から御質問があつたように、非常に大きな附加価値部分所得に対してかかつております。人を使うと税金がかかる。機械を入れれば税金も免除してやるということになつておる。ところが日本では人間を使わなくては使うものがない国でありまして、機械を入れるといつたところで、なかなかそんなに今の日本の資本蓄積で、そう簡單にできないのですから、こういうどうもむりな税を何か別に目的があつておやりになつておるのではないかというような感じを持つのです。何かそういう租税政策に別個な、何と申しますが、社会政策的な見地よりお考えになつて、ことさらこういう税をお考えなつたかどうか、その点をひとつお伺いいたします。
  93. 本多市郎

    本多国務大臣 附加価値課税しますことは、まつたく利益に比例いたしませんから、その点において従来の観念に合わないのでございますけれども、しかし総体的には附加価値と純益とは正比例するものであると考えてよかろうと存じます。ただ純益ということにしてしまいますと、さいぜん申し上げましたように、公共団体に相当の恩惠を受けつつも、全然課税することができないという欠陥もあり、その純益を含む附加価値という外形をつかまえて行くことが、大体において妥当なところではないか。財源確保の見地からと、そうした担税力という点からの調和するところではなかろうかと考えております。
  94. 塚田十一郎

    塚田委員 私のお尋ねのしかたが悪かつたから、少し答弁がはずれたように思うのですが、もつと率直に申し上げるならば、日本産業が一体人間をよけい使いすぎる。こういう状態では結局世界産業と太刀打ちができないから、これをなるべく人間は整理をして、機械を使うようにしろ、こういう目的をこの租税の中にお考えになつておるのではないか、こういうことなんです。
  95. 本多市郎

    本多国務大臣 特にそういう目的をもつてつたわけではございませんが、ただそのほかの理由からいたしますと、一面そういうことも言えるかと存じます。固定資産購入の場合、附加価値から控除されるということは、そういう機械設備などを促進するということにはなると思います。しかし購入の際に控除いたしますのは、ただ一期一期間の純益を対象として課税しないという点から、そうなつて来るのでありまして、売り拂つた場合には附加価値として、その売上げ代金が計上されるのであります。
  96. 塚田十一郎

    塚田委員 これはそのくらいにしておきます。  次に附加価値税のいろいろな收入の算出の基礎なつた表についての話でありますが、ここに第一種、第二種、第三種と業種別に附加価値の算出基準をお出しいただいておるのでありますけれども、これが今の国民所得全体ともちろん大きな開きがあるのです。その開きのある原因は、附加価値税を課せられない事情があり、またそういう所得があるからなのです。そこでひとつお尋ねしたいのは、農業にもし附加価値税を課するとしたら、つまり農業の面にどれくらいの附加価値があるかというような数字を持つておるかどうか。それからその他の附加価値税を課せられない林業についての附加価値額をひとつお示し願いたい。
  97. 荻田保

    ○荻田政府委員 ただいまちよつと資料を持ち合せておりませんから、すぐ調べましてお答え申し上げます。
  98. 塚田十一郎

    塚田委員 それではそのお調べをいただくときに、ついでにお調べ願いたいのですが、要するにお尋ねいたしたい気持は、結局農業と、それから他の事業——他の事業と申しますのは、商工業その他の、要するに附加価値税を課せられる事業と、附加価値税の面においてどれくらい農業が保護されておるかということを承知したいということ。従つてそれと今度反対に、おそらく私どもの漠然たる感じでは、固定資産税の場合には、かなり商工業よりも農業が重課されておるのではないかという考えを持つておるのですが、従つて固定資産税の場合において、他の商業なり工業に比べて、よけい負担になるという面の数字がもし出ますならば、そういう面もひとつあわせてお聞かせ願いたいということをお願いしておきます。  それから次に私は附加価値税が中小商工業者に対して及ぼす影響というものをかなり実は重要視しておるわけなんです。と申しますのは、これはすでに世間の常識になつておるのでありますが、日本の中小商工業者というのは、実はもつとはつきり言いますならば、零細商工業者というのが正しいのでありまして、こういう連中は、勤労所得者と事業所得者の中間的存在だと思うのであります。ところが勤労者の場合には、もちろん附加価値税がかかつておらぬのでありまして、事業者はかかつておる。そうすると、その中間的存在になつておる人たちは、よく考えてみると、結局自分の労力が大体附加価値となつて出て来るのでありますから、勤労者附加価値税をかけないという考え方からすると、中小商工業が事業だという考え方から附加価値税をかけて行くことは、同じ勤労に対して、あるものは税をかけない、あるものはかけるという結果になつて、非常に不公平になると実は考えておるのであります。そういう面に対して、もちろん若干の御考慮は免税点なんかでなさつておるようでありますが、何か特にそういう点を十分御考慮になつておるかどうか、その点をお答え願いたい。
  99. 荻田保

    ○荻田政府委員 初めの固定資産税の方の、農業その他工業との比較でございますが、これは簡單なものでございますが、この中の八ページにございます。十万円、二十万円、三十万円について、それぞれ商、工、農と業態が出ておりまして、これに簡單固定資産税の増減の比較が出ております。  それから次の中小企業のことでございますが、これにつきましては十一ページの表におきまして、いろいろの業態についての附加価値税の比較を出しておりますが、この中で、ことに従来に比べまして税負担の安くなるものは、大体附加価値税額の少いもの、すなわち附加価値の少く小さなものの方が逓減率が多くなつております。なおこの問題につきまして、御参考までに免税点のことを申し上げますと、この免税点は今度九万円になつております。かりに附加価値を五〇%といたしますと、総收入十八万円というようなことになりますので、従来は事業税免税点は、これは利益でございますが、四千八百円だつたものが非常に上つておりますので、まだ確かめてはおりませんが、極端なことを言うところでは、ある地方の県では商工業者の半分が免税になつてしまう、こういうことを言いますが、これは少し大きいと思いますが、とにかく相当多くの免税者が出ると思つております。
  100. 塚田十一郎

    塚田委員 附加価値を五〇%と見て、一箇年間に十八万円で、商工業者の五十パーセント近くも税がかからなくなるということは、ちよつと考えられないと思います。大体国税の場合の統計にしましても、事業者所得の平均は大体二十万円以上になつておるのであります。平均で二十万以上になつておるのでありますから、所得が二十万以上になつておるのに、十八万の附加価値でもつて半分も激つてしまうということは考えられないと思いますが、何か統計の基礎に間違いがあるんじやないでしようか。
  101. 荻田保

    ○荻田政府委員 半分が免税になると思うと言つたのは、私ども計算しましてそうなると申したのではありません。そういうことを県の税務当局の方で言つておるものがありますから、これはうそだと思いますけれども、それくらい言い得るほど多くの免税者が出るだろうということを、御参考に申し上げたまででございます。
  102. 大泉寛三

    ○大泉委員 私の聞かんとするところは相当あるのですけれども、きようはなるたけ簡單質問だけを申し上げます。  今度の地方税法は、資本主義の確立のために、シヤウプ勧告の線に沿つて定められたと考えておるのです。今まで政府の、当委員会あるいは各委員会での話を聞いてみますと、どうも勧告の線に離れておるような点が多々ある。私はシヤウプ勧告がいいか悪いかを検討してみましたが、この勧告日本経済の再建のために、また国家復興のためにはどうしてもこの線で行かなければならぬ。かように深く信じておるのです。ことに二十数年来、営業收益税の実施以来、徐々に社会主義的な変化を今日までして来ておる。そこで今日までの税制ではとても国民は立ち上れないところまで来ておる。三、四年前からインフレであつたから、その跡始末で税金もみな始末がついたけれども、このインフレはとめなければならぬ。とめた後の税制が、深刻な徴税となつて今日現われておる。ほとんどにつちもさつちも行かない。働けば働くほどふんだくられるのだから、たまつたものではない。しかも高額所得者は八五%もとられる。その上に地方税をまたとられる。地方税は翌年度にそれを経費として補足すると言いながら、ともかく実質的にはそうなつておる。ですから働けば働いただけ蓄積された資産というものが税によつてとられる。こういう結果を来す。今度のシヤウプ勧告には最高が五五%、地方税を含めても六五%に、個人所得においてはとまるということですが、これでなければ資本の蓄積もできなければ、資本の投資も行われない。もし行われるとするならば、それはインチキをやつて脱税しておるか、あるいはやみでもうけておるという以外には方法がないはずである。ですからこのシヤウプ勧告によつて日本産業が再建されるものと思つて、非常に私は喜んでおる。政府はこのシヤウプ勧告の精神をよく把握して、大胆にこれを遂行しなければならぬと私は思うのです。二十数年いろいろな税を加えられて、あらゆる総合的な施策を税法の上に盛り込んだために、その本体がすでにわからなくなつてしまつた。こういうときに、その局に当られる人々が社会主義的な観念、あるいは慈善事業的な観念で、今日われわれが考えると名前のつけようのない税をくつつけて行こうという事態が往々にある。着物を着かえるときはあつさりとみんな、さるまたからふんどしまで着かえて着物を着るべきだ。それをシャツを着ちやつて、スボンもはいちやつて、どてらを着込んじやつたということでなく、どこまでも完全なきれいなものにして参りたいと私は念願しておる。これが私の希望であります。立ち行かないような事業に対しては、あくまでもその事業立場において解決できるようにしなければならない。あまり政府がよけいなせわをやかないように、ことに地方行政においては地方自治体みずからが成立つように、みずからの力で立ち上れるような施策をしなければならぬ。私はこれを強く強調する。個人のみならず、自治団体においても強くみずから立ち上る方向に持つてつてもらいたい。ある県知事の話を聞いておると、交付金をもろう一つの手段として、これだけの利益があるけれどもそれを見込まないで、これだけの予算を計上しておる。こういう話をしておつた。とんでもないことだと思つて私は聞いておつたが、とにかくずるい考えをみなが起し、人の力をあてにしておる。こういう気持を持たせないようにしてもらいたい。青森の陳情などはなかなか勇敢だと思う。とにかく税をとれというのだから、こんな逆な運動はおそらくないと思う。税金を免除してくれという運動はずいぶんあるけれども税金をとつてくれというのは今までなかつた税金をとれなくなるなら、平衡交付金をくれというなら、これは陳情屋さんみたいに聞えるけれども、そうではない。私はまじめな意見だと思つて聞いておつたが、そういう方向に地方団体はやはり育成すべきだと考えておる。ただ問題は二十数年来着込んだこの着物を着かえるに際しては、急激な変化のあまり、かぜを引いて倒れてしまつてはしようがないから、これに対する応急的手段として政府はどういう施策を持つておるか、その施策はあらゆる部面に大きな障害があるに違いない。とにかく弱く育て上げてしまつたのだから、今日大企業においてはほとんで大部分が赤字であるとか、もうからないとかいうことになつておる。資本を背景にしての重役がほとんどいなくなつた。大株主と言つても百分の一くらいの株を持つておれば、それで大株主として社長になつたり、重役になつたりしておる。資本に対してはきわめて不安定な重役が多い。今までの中小企業の資本と技術をもつてして、自分のあらん限りの努力を一かたまりとしてぶつかつておる事業家と雲泥の違いである。大企業が赤字であるとか、もうからないということで、今日の附加価値税はどうも苛酷だとか言うけれども、やはり負担すべきものは負担して、自分の従業員や土地その他の建物に対して、やはり負うべきものは負つて、そこに競争場裡に立つてこそ、初めてそれが努力であつて、今のように何らの負担もしない、赤字であつたらその赤字の裏づけとしての事業税を免除されるというに至つては言語道断だと思う。であるからこの改革にあたつては、どうかシヤウプ勧告の線を乱さないで、国家百年の計を立ててもらうように要望する。そこでこの急激な変化に対して政府はどういう対策を持つておられるかということを簡單に伺いたい。
  103. 本多市郎

    本多国務大臣 御説の通りシヤウプ勧告の趣旨はまことに日本税制改革に適合するものと考えておりますので、これは全面的に政府も受入れまして、この線を堅持して行きたいと考えております。従来地方自治体の財政的自主権がまことに乏しくて、中央に依存せざるを得ないような状態にあつたということは、お話通りでありまして、そうした中央集権でありました結果、ますます依存性が高まつて、非常な弊害さえ考えられるような事態に立ち至つておるのでございますが、今回の税制改革によりますと、この財政的な自主性は相当高められるのでございます。おおむね標準税率でありまして、制限税率の範囲内においては、安くとるも高くとるも自治体の自由でありまして、自治体の住民の意向によりまして、たとい税金を多く負担しても、いろいろの施設を高めて行きたいというような意見の場合には、標準税率を超過してとることもできます。またその自治体の事情から経費を節減して、あらゆるくふうを凝らして行こうというような場合には、標準税率よりも軽い負担でやつて行くこともできるのでございます。そうした線においてこの税法が制定を見ましたならば、従来より財政的自主権は相当拡大せられるものであると、期待いたしておる次第でございます。この税制自体に関連する一般産業に及ぼす影響について、いかなる対策ありやという点でございますが、この税制改革自体から来る大きな産業についての対策というものは、実は特別には考慮していないのでございます。それは中央、地方を通じての税制改革でございまして、一貫した国の今回の予算に盛られた施策が、すべてそれに対応することができようと存じます。ただ地方税の面のみから見まして、急激なる負担の変動に対しましては、緩和規定等が準備されておる次第でございますが、政府はさいぜんから申し上げております通り、全般的にはそれほどの増税という場合はあり得ないのである。最も増税になるであろうと言われております、たとえば交通運輸事業、電鉄のごときでも、国と地方を総合しますと、一%くらいの増にしかならない。私ども計算によりますと、そういう資料提出いたしておるような状態でございまして、この税そのものに伴う産業対策という特別なものは考慮いたしておりませんけれども、全般的施策によつてこの税制を存立の前提として、産業が勃興して行くことを期待しておる次第でございます。
  104. 大泉寛三

    ○大泉委員 政府にこれに対する対策がなく、ただ税金を切りかえるということだけではいけないのであつて、やはりこれに対応するだけの大きな施策を持たなければならぬと思うのであります。今日ともかくこの大変革の税制に対して、政府に何らの施策がないというに至つては、これははなはだ無責任な行為である。例をあげてみるならば、鉄道事業に対しても、鉄道運賃は押えておくわ、それで資産の再評価、あるいは固定資産税、附加価値税によつて急激な負担になる、ひいては事業が成立たなくなり、倒れてしまうというようなことでは、税のために事業を倒してしまう結果になる。これであつてはならぬ。そこで事業を生かす道としては、事業当事者の言を十分にしんしやくして、負担のできるものは大いにやらして、これに補いをつけるものは補いをつけてやらなければならぬ。たとえば運賃の値上げもしかり、あるいは現在の国鉄が何らの地方税負担をしていない。これに対して一つの競争もでき得る立場に置いてやるというように、事業個々にとつて比較対照してみれば、とられる道も相当あると思う。これはひとり鉄道ばかりじやない、倉庫業もあるいは一切の事業もみな再検討して、そうして一工場も一会社も税制のために倒さないように、施策を立てて行かなければならぬ。やはり大きな改革ですから、大きな一つの施策を持つてしかるべきだと思う。どうか政府においても、そうした個々事業に対して最も強い一つの指導力を持つて、この税制の改革に万全を期してもらいたいと思う。
  105. 本多市郎

    本多国務大臣 まことにごもつともなる御意見であると思います。公定価格あるいは公定運賃等になつておるものにつきましてはこの税法の結果、どう影響するかということを考慮いたしまして、その公定運賃なり公定価格を改訂するために、ただいま研究中でございます。そういう道を講じ、将来はこの税制を前提として、一般的な施策によつて事業が成立つて行くように、政府として努力すべきものであると考えております。
  106. 門司亮

    ○門司委員 私はこの機会にごく簡單に、今まで多くの諸君からきわめて熱心に御発言のありましたことの以外に、ちよつとお聞きしておきたいと思うのであります。その前に、午前中の委員会で統計のことについて私ちよつと御質疑を申し上げましたので、さらに申し上げておきたいと思いますことは、先ほどから問題になつております国の所得の表であります。それから事業所得の表であります。この表の中にも、私はつきり指摘いたしますならば、二十四年度の住民税の額であります。これは一体どこからこういう表をお出しになつたかということであります。二十四年度の住民税というものの中には、頭割と資産割とさらに所得割の三つの要素があつたわけであります。しかるにこの表を見ますと、独身者も四人家族を持つておる人も同じような税率が書いてある。これは一体どういうわけであるか。アパートにおります独身者の資産がどれだけあるか、四人家族のある者、五人家族のある者の住んでおる家に資産がどのくらいあるか、まるきりでたらめでしよう。こういうしろうとをだますような、でたらめの表を持つて来て、これが統計の表でございと言つて出してもらうと、迷惑する。お出しになるなら、もう少し明確なものを出していただきたい。一体どうしてこういう表が出て来たか。この点は私はもう少し親切な、わかりやすい、だれにも納得のできるものを出してもらいたい。はつきり申し上げてみましようか。一年に十二万円の收入のある人の二十四年度の住民税は、独身者でありましても九百三十円、四人の家族のある人でも九百三十円、一体こういう表はどこから出て来るか。住民税が今日までかけられて来る要素をあなた方は御存じにならぬ。四人家族のある者の資産と、独身者の資産というものは違うわけである。こういう妙な表をお出しになることだけは、これから避けてもらいたい。  私はこれは一応御注意だけにしておきまして、質問の要旨を申し上げたいと思いますが、今までの御質問は、すべて税を対象とした問題でありましたので、この問題につきましては、後刻また時間を頂戴いたしまして、御質問を申し上げるといたしまして、税の本質から申し上げまして、徴税の機構というものが、一つの要素にならなければならない。それからさらにもう一つは、この要素というものは、納税をいたします者がその納税について、いわゆる税種目について、真に理解と納得と、さらにこれに協力するという建前をとらなければ、税制のまつたき効果があげられないことは、御存じの通りだと私は思うのであります。従いまして本税は、非常にむずかしいのでありまして、ことに附加価値税のごときは、世界に類例のない、世界におけるほんとうに創設的な税種目である。この税種目というものが、徴税する方、また審議しているわれわれにも、十分理解できない、非常にむずかしいものでありますのに、ただちに本年度から、しかも年度半ばから納税者にその責任を持たせる。しかも案の内容によりますれば、あるいは過少に申告した者、虚偽の申告をした者等に対しましては、体刑、罰金というものが科せられるような、きわめて苛酷な取扱いを受けることになつている。こういうことになつて参りますと、われわれが審議しておつても十分納得ができないものが、まして日本の多くの今日までの納税観念から申し上げますれば、全然別な税のかけ方をされて、これがほんとうにはらから理解ができて、そうしてこの税金に対しては、こういうふうに申告して、こういうふうにせねばならぬということを徹底することは、非常に困難だと思う。この点について当局はどういうふうにお考えになつているか。こういう状態において、この徴税が完全に行われる御自信があるかどうかということであります。  まず最初にお聞きしておきたいと思うことは、徴税の機構が各地方公共団体において、十分整つているかいないかということと、さらにこの徴税にあたつては、單なる机の上の事務とは違いまして、今日の税の事務というものは、二年なり三年なり相当長い間の訓練と経験を経なければ、税の徴收の吏員としては十分な役目を果し得ないと思います。現在の施設においてはきわめて少い手であり、今の税務吏員の数倍を増さなければならないときに、そのしろうとの人が多く増されて、こういうむずかしい税を取扱うことが、はたして可能であるかどうかということであります。この点に対しての自信と、さらに地方公共団体の協力の状態がどうなつているかを、お教え願いたいと思います。  その次には、納税者側のことであります。納税者自身が真にこの税を理解して、納税に協力し得る態勢について、いかなる理想と、さらに今講じておられます手段がありますならば、それらをお聞かせ願います。
  107. 本多市郎

    本多国務大臣 新税のことでございますから、御心配のような点もあるのでございますけれども、しかし古い地方税法と今度の地方税法を比較いたしました場合、どちらが容易に運営し得る性質のものであるかという点になると、旧税法に比べまして、新税法は相当容易に運営し得るものに改まるものと考えております。たとえて申しますと、事業税附加価値税でございますが、従来事業税課税するにあたつては、その純益というものを調査しなければならぬのであります。その純益を捕捉するのに比較いたしまして、附加価値の捕捉は容易であるということができます。これが一般販売業でありましたならば、売上げ金高から仕入れを引きました残り、売上げと仕入れの差額でございますから、諸経費を引いた残りの所得が幾らになるかという純益の計算よりは、容易である。ただ附加価値という名前も初めてのことであつて、わからない状態でありますから、これはそとを十分認識してもらうということは必要でありますけれども、さように考えております。  それから住民税にいたしましても、これは従来の資産割がなくなつただけでありまして、これを切りかえるのに困難はないと考えております。課税標準は、均等割は頭割幾らというだけであり、所得税割は、これは税務署の決定した所得税割を算定するのでございますから、これは税率さえきまりますと、今からでもすぐに計算ができる性質のものであります。  固定資産税につきましては、土地家屋については、これは公簿価格の倍数をもつて算定し、一定税率をとる、こうなつておりますから、これまた年々あやまちがあるとすれば是正されて、固まる一方であろうと思います。そのほか償却資産につきましても、これは実は相当めんどうなように考えられますけれども、今日の実情からいたしまして、やはり会社等の資産再評価のその決定に従つて、再評価をやつて行く方針でございますので、資産再評価がありました場合には、税務署から法律しただちに関係市町村へ通報をいたすことになつておりますので、これによつて遅滞なく算定をして行くということになつております。一回その趣旨がのみ込まれましたならば税務行政というものは、今までの複雑さよりは、むしろ簡素化されて行くものではなかろうかと考えております。それにいたしましても、新税を施行することでございますから、これは相当の困難の伴うことは、お話通りでございます。  これに対しましては、シヤウプ勧告以来、地方団体におかれましても非常なる関心を持つて、これの講演会をやるとか、あるいはみずから講習をやるとか、普及研究にも努めているのでございます。またこれが実施せられる場合に備えてのいろいろな研究、これに伴う條例等の準備も進めている次第でございまして、まだ十分であるとは言うことができないかしれませんけれども、その非常なる熱意をもつて準備している点から見ましても、相当理解が行くものではないかと考えております。さらにこれが税法の成立を見ましたならば、府県においては養成機関と申しますか、そうした講習機関を設けて、税務職員の養成に努めることにいたしております。今日まで相当むずかしい税の経験を持つて来ている者がいることでございますから、ここに講習等によつて養成した職員を増加して行きましたならば、本年からこれを実施するのに、大なる支障は起らないものと考えております。  また一般住民に対しましても、この税法が成立いたしましたならば、この趣旨をそれぞれ徹底させるように各地方団体に努力するように、こちらからも指示する考えであります。私どもの方で指示しなくても、これはみずから相当の熱意をもつてつてくれるとは存じておりますが、そうした官民、公共団体の協力によりまして、ぜひ実施に遺憾なきを期したいと考えている次第でございます。  最後に税務機構の問題についてでありますが、どうしても新税法実施の年でありますので、短期間に徴税態勢を整備しなければならぬという関係から、本年は府県において二千各程度、市町村において一万七、八千名の税務職員の増が必要であろうと考えております。
  108. 門司亮

    ○門司委員 大体私ども考えておつた程度の御答弁でございますが、実際の問題といたしまして、今当局の御答弁といたしましては、それ以上できないことではないかと考えております。私どもから考えて参りますと、税の科目が非常にはつきりして来て、さらに課税対象が明確になつて、そしてわかりやすいから、国民ものみ込みいいであろうというお考えでありますが、国民ののみ込みの非常にいいということについては、大臣のお考えのようなことも一面あります。しかしながら実際問題といたしましては、担税能力がそれに伴うかどうかということが、きわめて大きな問題であります。必然的に人の考え方といたしまして、担税能力がない場合におきましては、課税対象となつて課税されて参りましても、それを納めることが困難になつて来る。従つてその困難さに対しましては、どうしてもこの税からのがれることのために、悪意でなくとも、やはり積極的に出ようとする人はそのことを考えて行く。消極的に出て来る人はおそらく首をくくつて死んでしまいましよう。こういう問題は取扱いがむずかしいのでありまして、そう簡單に行くものではないと私は考えている。同時に固定資産税の面であります。固定資産価格の評価というようなことが、今のお話によれば、資産の再評価によつて、これが決定せられるからというお話でございますが、資産の再評価というようなものが法律で定められて参りましても、なかなかその期間内に全部の固定資産が完全に把握できるものでは断じてないと思います。ことに個人の持つております所有、さらに多くの千差万別にわかれておりまする一般固定資産価格をつけるということは、きわめてむずかしい問題であります。たとえば一つのものにつきましても、陳腐化と言いますか、そういう古いものに対する程度の問題、それから耐用年数のこれに対する関係というようなものが、時価の中には非常に大きな影響を持つて来るのでありまして、これらの問題をすべて簡明率直にその価格が評価でき得る人は、私はきわめて少いと思います。ことに大都市におきましては、あるいはそれらを専門といたしておりまする商工会議所あるいは銀行関係の諸君がおいでになるかもしれませんが、普通一般の市町村に参りますならば、それらの経験を持つ人がきわめて少いと思います。少いということになつて参りますと、ここに課税基礎でありまする固定資産の見積りの上に、非常に大きな不公平が出て来ることは確実であります。そうなつて参りますると、税の不均衡から来まするところの税の混乱はのがれるわけには行かない。こういうことをわれわれは非常に憂慮するものでありまするが、これらに対しまして、固定資産の評価の内容について、何か当局は地方の公共団体に指示されるお考えをお持ちになつておるかどうかということであります。
  109. 本多市郎

    本多国務大臣 これは評価の基準地方財政委員会で決定いたしまして、地方に示すことになつております。その基準を示すことによつて、地域間の不均衡を調整するという趣旨でございますが、個々固定資産につきましてさいぜん申し上げました通りに会社、法人の償却固定資産が、全体の償却固定資産の八割以上と考えておりますけれども、その他のものにつきましては、帳簿上の価格というもの、あるいは再評価の価格というようなものがないのでありまして、そういうものについては、やはり練達なるその方面の人を、地方固定資産評価委員にいたしまして、その専門家の評価を参考として、元といたしまして、市町村長が決定するという方法で、誤りなきを期したいと考えておるのであります。
  110. 門司亮

    ○門司委員 その点が非常にまだ納得ができないのでありますが、地方財政委員会と言いますか、中央で大体の標準をきめるというお話でございますが、まだ委員会自体が発足をいたしておりませんし、これからそういうものをおきめになるというと、相当私は時間をかけなければならないと思う。そう急にそういうものができる筋合いではないと思う。もし政府が成案がありますならば、いつごろ委員会ができて、いつごろ大体そういうものが地方の公共団体に指示できるかということであります。これのおおよその見通しと、さらに今お話のありました法人等に対しまする資産再評価の問題でありまするが、これらはそれらの届出をそのままこの委員会がうのみにするわけであつて、かりに実際の調査というものをなさらないわけであるかどうか。この二つの点をお聞きしたいと思います。
  111. 本多市郎

    本多国務大臣 地方財政委員会設置法の成立は、この議会において期待いたしておるのでございますが、それがいまだ提案の運びになつておりませんので、これをいつということを今から想像で申し上げることは早計であろうと存じます。万一地方財政委員会が間に合わないというような場合には、今の地方自治庁において、自治委員会にかけて基準を示したい考えでございます。  さらにこの固定資産につきましては、市町村において市町村長が一応決定いたしましたものを、一定期間市町村民の縦覧に供しまして、その間不権衡あるいは脱漏、過剰というものがありはしないかということを、一定期間縦覧に供しました上で決定することにもなつておりますので、はなはだしい不権衡あるいは脱漏等は、そうした方面からも発見されて訂正される機会があるのではなかろうかと考えております。いずれにいたしましても、この地方税法は最も手近かな市町村でとる市町村民税が今回増税になるのでございますが、今までのように府県あるいは国で税をとつて、市町村民以外の意思によつて、それが使用されるというような面が少くなるのでありまして、市町村議会において幾らくらいとることが適当であろうという税をとつて、そうして使用する方面も、その議会住民の手元で消費するわけでございますから、そうした点のいろいろな不合理は、離れた国でやつていた場合、あるいは府県でやつていた場合に比較して、市町村の場合はその調整が容易に行われて行くのではなかろうかと考えております。
  112. 門司亮

    ○門司委員 私の質問の仕方が悪かつたのかもしれないと思いますが、私の聞きましたのは、今の大臣の御答弁一つ方法として具体的な御説明であつたと思いますが、その前にお聞きをしておきたいと思いますことは、そういう方法があるといたしましても、一応再評価の各法人から出て参りましたものをうのみにするかどうか、こういうことであります。そうしてそれがさらに大臣の御答弁のように、それに不公平があるならば、こういう機関があるじやないかという御答弁ならばわかると思うのであります。  それからもう一つお聞きしておきたいと思いますことは、市町村がなるほどおのおのの意思によつて決定することでありますし、それからあらかじめ中央から出るか出ないかしれませんが、とにかく一応の示唆をするということも事実だと思います。しかも考えられますのは、その市町村の財政のいかんによつては、法律の中には大きな工場、会社等があつて固定資産税その他の收入の多い場合には、それを隣接の町村にわけることができるというような法律にはなつていると思いますが、しかし人間の情というものはそこにも生れて参りまして、甲の町村では同じようなものをある程度に一応価格を算定する。同じものが乙の村に参りますと価格が低かつたり、安かつたりする危險性ができて来るのではないかと考えられるのでありますが、これも自治の本体からやむを得ぬと言えばそれまでかもしれませんが、こういうことはやはり国民全体の納税の観念の上からいうと、あまりいい結果にはならないと思う。その辺はどういうふうに調整なさるつもりであるか。
  113. 本多市郎

    本多国務大臣 法人所有の固定資産につきましては、これは資産再評価に基く決定額というものと、そういう資産再評価表に基いた資産再評価をやりました場合には、まずその資産再評価額を限度にして指導いたしたい考えであります。こういう評価では安すぎはしないかという点もあるのでございますが、一面今日の法人は何とかして資産再評価を高くして償却を多く出そうというような考えをいたしております。その資産再評価を償却の面からはなるべく高く評価することが、償却費が多く出ることでございますから、会社の利益かとも思われますが、それに対しまして今度は固定資産税は多く評価すればこの資産税が高くかかるというような、牽制するような関係にあるのでございまして、そう逸脱するようなことはないと考えられますので、資産再評価表に基いて再評価されたものについては、その限度をもつて指導したい、こう考えております。資産再評価法による資産再評価の行われないものにつきましては、帳簿上の価格というふうなものを見、さらにまた資産再評価法に基かない評価につきましては、現実にやつたその評価というようなものと評価の基準とを、町村長がにらみ合せてこれを決定する、決定したものを一定期間公開するということになつているのでございます。二つ以上の町村に関係のある固定資産、あるいは二つ以上の地域に移動する性質を持つている固定資産、この問題はやはり地方財政委員会ができましたならば、地方財政委員会でこれを指定いたしまして、そうしてその固定資産価格分配するということによりまして、町村間における部分的不均衡が起きないようにする方針にいたしております。
  114. 門司亮

    ○門司委員 はつきりしないのでありますが、そういうことは法律の内容に書いてありますので存じております。私の聞いておりますのは、たとえば大きな会社、工場を持つ一つの町村は、言いかえるならば、ただいま当局から八幡の例が出ましたので、八幡の例をあげますが、日本製鉄から出ました書類を見ますと、あそこの資産が大体二百七十億、これに一・七五をかけると四億以上の税が出る。八幡市の昨年の予算は七億である。ことに八幡は、八幡における日本製鉄以外の産業固定資産を合せると、大体八億以上の税金がとれるであろうと言われておる。そうすると、市の予算が七億であつて固定資産を標準のままかけるとすれば、八億になる。こういうものが出て来ることが一応考慮されますので、そういうものについては、他の町村にそういう税金をわけてやることができるということは、法律の内容にはなつておりますが、しかし実際問題としてそういう面が起りました場合には、そういう大きな固定資産あるいは附加価値税の財源を持つ町村におきましては、資産再評価その他について、私は必ず他町村との不公平な面ができはしないかと思うのであります。従つて甲の町村はそうとれなくてもいい、乙の町村はどうしてもそこからとらなければ住民に非常に迷惑をかけるので、できるだけ法人からとりたいという面が、人情として当然出て来ると思う。そこで資産再評価の面で不公平のできるようなことが必ずありはしないか。それの調整をどういうふうに行われるかということであります。
  115. 本多市郎

    本多国務大臣 今の八幡製鉄所のようなところは、地方財政委員会でこれを指定いたしまして、地方財政委員会で評価するということによつて、他との権衡を失しないようにできると考えております。
  116. 菅家喜六

  117. 川西清

    ○川西委員 この府県税と市町村税の税種のわけ方を見まするに、地域的に偏在しておるようなものを都道府県税にし、地域的に非常に関係が密接でありまして、直接税的なものを市町村税としておるようでありますが、これはシヤウプ勧告にも見えております通りに、市町村を第一次的の自治体、府県を中間自治体というような考え方から、こういうふうなわけ方になつたものと思われますけれども、この地方税というものは、応益的なものでなければならぬと考えるのであります、府県税におきましては、農業には附加価値税課税されませんし、入場税、遊興飲食税というようなものは、ほとんど都市に集中しておる傾向があるのであります。このままの府県税でありましては、純農村のようなところでは、まつた府県税を納めないというところが少くないと思うのであります。こういうふうになりますと、さようなことはないとは考えますが、府県の行政がややともすれば都市中心の行政になつて、農村とか郡部を二の次に考えるという懸念がなきにしもあらずと考えるのでありまして、この辺のところをいかが考えられておられますか。  さらにこの税のわけ方でありますと、自治体の財政は、市町村におきましては、農村と申しますか、いわゆるさびしいところほど充実して来るのであります。それと反対に府県におきましては、繁華といいますか、文明が発達しておるというか、とにかく繁昌しておるところほど充実して来るというような反対傾向を呈して来る。概論としてそういう傾向があると思いますが、これはもちろん平衡交付金によつて相当ならされるものとは思いますけれども、平衡交付金と独自の税金によつてまかなうということとは、ちよつと感じも違いますので、この辺のところをどう考えておられるか、まずこの点につきまして御答弁をお願いいたします。
  118. 本多市郎

    本多国務大臣 御指摘の遊與飲食税、入場税等は——附加価値税にいたしましてもそうでありますが、都市に偏在する性質を持つておるのでありまして、それを一市、一町の財源に充てますことは、財源が偏在するという見地からこれを県税といたしまして、県全体の経費に充てるというふうな考えで、分類はさようにいたしておるのでありますが、その結果税源のあるところに施設が偏するおそれはないか、税がとれるから、とれたところにやはりよけい施設をしなければならぬということになりはしないかというお話であると存ずるのでありますが、これはやはり税源培養のために、そうした配慮も必要ではあろうと思いますが、一旦県財政の中に編入いたしますれば、県会というものは各分野均等に構成いたしておりますので、その財源の分配施設の復旧につきましては、ただいま御指摘のように、県会において偏することのないように運営して行くことが必要でありまして、そういうふうに持つて行くべきものと考えております。
  119. 川西清

    ○川西委員 大体そういう御答弁であろうと思つてつたのでありますが、これでは一銭も税金を納めない村があると思うのであります。その辺はどうお考えになつておりますか。  それから間接的にはたびたび伺つておるのでありますけれども、自治庁の当局といたしまして、府県と市町村というものについて、自治行政の面で大体いかなるものを期待しておられるのでありますか。いわゆる評論等でも言われますように、市町村を第一次自治体、府県を中間自治体と考えておられるのでありますか、その点当局から明快な答弁をお伺いする次第であります。
  120. 本多市郎

    本多国務大臣 きわめてまれな例であると思いますけれども、市町村民だけしか納めない、県税納税者がいないという例も想像できないことはございません。そういう場合もできるかと存じますが、どの税にいたしましても、すべて国税と総合的に考える——これは国家構成のための税でありまして、ただ担当が区分されておるだけである。また平衡交付金等による調整によつて、一体化するものであると考えるほかはなかろうと存じております。  それから今回の地方税並びに地方財政の計画、行政事務の配分は、現状のままということを前提といたしております。でありますから、将来地方行政調査委員会議等の結論によつて国税地方税間における行政事務の再配分があります場合には、財政計画もそれに応じてかわつて来なければならぬと考えております。
  121. 川西清

    ○川西委員 府県税を納めない町村があるのは、まれな例とおつしやいましたけれども、相当広範囲にあると思うのです。これはお調べになつたらわかると思いますけれども、相当たくさんな村が府県税を納めないようなことになると思います。  この点はこれまでにいたしまして、次に寄付金の問題につきましてちよつとお尋ねいたします。この地方税は千五百億を千九百億に増税する、これはシヤウプ勧告にもありました通り増税するということは寄付金が四百億から百億に減ずるということと表裏をなしておる、こういうふうに勧告では言われたものであります。しかるに寄付金というものは四百億を百億にするということを保障する何ものもないのでありまして、先般の委員会大臣からも御答弁になりまして、地方財政が充実して来るから四百億もいらずに、百億くらいになろうというような御答弁でありましたけれども、それくらいの御答弁でありましてはどうも不安であります。四百億が百億になるならば、どうしても税制改革全般が体系的に不釣合いになつて参りますわけで、何らかの措置によつて四百億を百億にする、保障と申しましても何ですけれども、もう少し安心できる根拠をお示し願いたいのであります。その点につきましてお答え願いたい。
  122. 本多市郎

    本多国務大臣 まことにごもつともなこととは存じますけれども、今日までの寄付金の中で、税としてとることが制限税率のためにできないというようなところから、むりして寄付金というような形でとつていたものが、三百億程度あろうという一応の見積りによりまして、そうしたものは今回の税法のわくの拡大によりましてなくなるであろうというところから、百億くらいに減少すると見込んでおるのでございますが、それでは百億程度で必ずとどめるような法的な何らかの手段がないかどうかということについて考えてみまするに、やはりほんとうの自由な寄付金というものは、禁止するということまでは行き過ぎであると思うのでございます。成功者、資産家が郷土のためにするまつたくその自由な自発的な寄付金というものは、決して悪いことでもないと思いますので、そうしたものまでも禁ずることになつてはならないと思うのでございます。この寄付金も強制的にとるような場合の寄付金は、多くその地方団体の議会、住民等の協議によつてとられていることと存じますので、これは自治的に今回の拡大財源の額によりまして解決されるのではなかろうかと思つております。なおこの寄付金は、でき得る限りただいま申し上げましたような全く自発的な善意の寄付金以外のものは、何とかして抑制するということにつきましては、実際問題としてはこれから研究してみたいと思います。
  123. 川西清

    ○川西委員 この点につきましては午前中も門司君がちよつと申されましたが、そういうふうに寄付金が漠然としたものでありますなれば、この地方財源増強計画表というようなところから抜いて、これを考慮外にして全体の計画を立てられるのが話の筋道として当然で、これは自由措置ということになりまして初めて得心が行くのでありまして、これをやはりこの計画の中に入れておきますれば、どうしてもこうならなければ全体のつじつまが合つて来ないのでありますから、その点なお一度考慮していただきたい次第であります。  それからきよう朝からしばしば荻田次長その他から、二十五年度が現行法のままであつたなれば、事業税は何ぼであるとか、取引高税が何ぼであるとかいう数字をあげられますが、かようなグラフはあるのでありますか。
  124. 荻田保

    ○荻田政府委員 これについておりません。
  125. 川西清

    ○川西委員 それから寄付金のことにつきまして御答弁願います。
  126. 本多市郎

    本多国務大臣 この寄付金は実は財政計画としては、別に考えまして計画を立てているのでございます。従つて今回の地方税増税は、四百億と考えております。寄付金をこの計画の中に入れて算定いたしますならば、三百億減少するものと見て、今回地方税増税額は百億であると言うことはできますけれども、それは別額として財政計画は立てております。そこに出ておりますのは参考にあげているので、御了承願いたいと思います。
  127. 川西清

    ○川西委員 附加価値税につきまして簡單にお尋ねいたします。附加価値税課税標準におきまして銀行業、無盡業、信託その他八業種につきまして、は、附加価値計算方法が、特殊の例を用いまして百分比によつているのでありますが、これは現行事業税における課税標準との非常なる相違を緩和しようとせられる措置と存ずるのでありますが、かようなものをもう少し追加される考えはないのであるか、このほかにも相違のはなはだしいものは少くないのでありますが、こういうものを追加される考えはないのであるかどうかをお聞きします。  それから第一種事業、第三種事業のわけ方でありますが、このわけ方を大体見ておりますと、第一種事業は普通のものでありまして、第二種事業は原始産業に属するもの、第三種事業は医者とか、弁護士とかいうふうな技能的なものでありますが、最後に公衆浴場業、風呂屋と新聞業が追加されてあるのでありますが、これはわれわれが特に第三種事業になるように大いに働きかけたものではありますけれども、かつこうといたしましていかにも不均衡である、こういうものは第四種事業として、さらにもう一つ設けて、また第四種事業にはわれわれからもつとつけ加えたいものがいろいろありまするけれども、そういうものをこれからおいおい申し上げるつもりでおりますけれども、これだけではあまりにもかつこが不公平でありまするので、その点いかがか、それもお伺いいたします。  それからその附加価値計算、これは直接益金プラス労賃プラス地代とした方が、万事明確でありまするが、どうしてもこういうふうな間接的な計算方法によらなければならないのでありますか、司令部の関係でどうしてもかような計算方法によらなければならないのでありますか、大体同じものならば簡單な方がいいと思うのでありまするが、その点につきましての御答弁もあわせてお伺いいたします。
  128. 本多市郎

    本多国務大臣 附加価値計算上の特例を適用すべき業種を、さらに追加する考えはないかというお話でございますが、これを設けました趣旨は、計算上初年度でありますために、その方が簡便であるという点も考慮いたしまして、この程度で適当であろうと決定いたしまして、提案をいたしておる次第でございまして、この点十分御審議をお願いいたしたいと存じます。さらに一種、二種、三種の配分につきまして、業態から考えてみて、公衆浴場と新聞社というようなものは、大分下似合いなわくにはまつておるじやないかという点でございますが、そういう感はするのでございますけれども、結局は問題は幾ら税金をかけるかという税率の問題も考えまして、やはり同じ程度の税率を適用する場合、そう何種類にわけるよりも、そこに列挙していかがかと思つて提案しておるような次第でございます。そのほかのただいまの第三の問題については、政府委員からお答えいたします。
  129. 荻田保

    ○荻田政府委員 附加価値計算を、売上げ金額から、特定支出金額を控除するという方法をとるか、あるいは利子、地代利潤、労賃、この四つを足すかという問題は、非常に大きな問題でございまして、シヤウプ勧告が出まして以来、一般事業界におきましては、一致いたしまして後者の加算の方を主張されたのであります。しかしシヤウプ勧告も大体当初の報告の中にも、引き算の計算方法を推奨しておりますし、それから後にさらにシヤウプ博士から参りました書簡によりましても、この前者の引き算の方を強く主張されておりますので、この方法をとることにしたのであります。これにつきましての長所でありまするが、課税標準を決定いたします場合に、地方団体の側からやはり自分で調査してこれを決定をしなければならない。その場合に国税所得税なり、法人税なりの基礎をそのまま用いるということを前提にいたしますると、これは足し算計算でやつた方が適当なのでありますが、しかしあくまで課税標準の調査は道府県と国とは別々に行わなければならないという方針を堅持いたします限り、やはりこれはむしろ簡單な引き算計算の方が府県の徴税能力等から適当である。それからまたこれも一つの問題ではありまするが、減価償却費の計算あるいはたなおろし計算というようなことをしない方が、よいという前提に立ちますると、この場合もやはり引き算計算にした方がよい、こういう結論でのように総売上げ金額から特定支出金額を引くという方法とつたわけでございます。
  130. 塚田十一郎

    塚田委員 ただいまの特定の事業に対する附加価値の選択して行く方法というものをおきめになつておる根拠でありますが、これはどういう根拠からこういう数字をお出しになりましたか。おそらくそれぞれの事業について若干の調査をされて、大体平均に近い数字をお出しになつたのじやないかと思うのでありますが、もしそういう点についての資料がありまして、そうしてまたそういう平均の数字と実際にお出しになつておる比率というものが、こんなぐあいの関係になつておるか、それをひとつお聞かせを願いたいと思います。
  131. 荻田保

    ○荻田政府委員 いずれ計算の根拠は書面にしましてお出しいたしたいと思いますが、大体考え方といたしましては銀行業、無盡業、信託業、保險業、このような金融業に対しまする計算は、これは全銀行業をもつて一つの企業といたしまして、その附加価値計算を行いまして、総收入金額に対して何パーセントになるかという数字をとつております。このあとの運送業倉庫業は少し別の考えでございまして、この運送業につきましては、現存の事業税の規定によりましても、いわゆる利益に対して何パーセントという課税でなくて、これだけは特例を設けまして、総收入金額の二%をもつて事業税の額とするというような規定がございますので、これとの不均衡を緩和するために、百分の五十というような数字を出しておる次第であります。
  132. 塚田十一郎

    塚田委員 私は今度の税法を見ておりまして、この地方税税率のおきめになり方を国税の減税の仕方とにらみ合せて、この程度までは今日の日本経済段階、もしくは国民生活の段階ではやむを得ない、もしくは適当だと御認定になつて出されたのか、それとも地方財政のわくというものを頭に置いて、これだけ税金をとるのには、どうしてもこの程度の税率はやむを得ないのだと、予算に縛られて税率がきまつたのか、どつちなのか、これを伺いたい。
  133. 本多市郎

    本多国務大臣 これは両方であります。この程度ということはまつたく両方の事情から生じて来るのでありまして、いかに予算のわくの構想を大きくいたしましても、税率負担できないほどの高率でありましたならば、それをとるわけに行かぬのでありますが、予算の財政計画としてもこの程度の財源の拡大が必要であろう、それに対応する程度の税率ならば負担も可能である。こういう両方の見地から……。
  134. 塚田十一郎

    塚田委員 なかなか巧みな御答弁をいただいて恐縮しでおるのでありますが、しかしこの程度の負担が今日の段階においては適当であろうというお考えであるとすれば、私どもはまことに不満足であります。中央の減税の程度と地方の減税の程度とでは、このような負担では実際国民負担としてはたえられないというふうに考えておるのでありまして、どうも私は大臣の御答弁のいかんにかかわらず、やはり予算に非常に縛られておるのではないかというふうに察しておるのであります。というのは、政府も、たとえば附加価値税にいたしましても、できれば、三%半くらいにいたしたいというような御苦心をなさつたというふうに、ちらほら新聞で見ておるのでありますが、それがほんとうの気持であろう、またそうなければならぬと思うのでありますが、もしそうだとすれば、私ども今のこの予算に追いつくように、これだけの税率を出された計算基礎というものに、依然としてやはり大きな疑惑を持つわけであります。うまい数字が出て来ればこんな高い税率でなく、何とか行つたのではないかと、こういうふうに考える。そこで附加価値税についてまず考えてみますと、四百十九億——勧告では四百四十億ということであつたのでありますが、四百十九億で納まつたのは何よりもけつこうであります。この四百十九億の附加価値税をお出しになつ計算基礎というもの、特にここに頂戴いたしておりますが、国民所得の側からこれを出して来られた統計の基礎というものは、どうも私どもぼんやり考えておる感じと非常に違う。これだけの税率をもつておかけになつて、これだけの事業に対して課税されれば、もつととれるはずだと思われる節が、とてもあるわけであります。もちろんそこには徴收率の認定の仕方もあるでしようけれども、私どもはこの附加価値税税率で、大体の構想が出た時分に、いろいろ民間の方々から御陳情を受け、また御意見を伺つたときなんかの感じからしましても、相当大きな事業、相当主要な事業などについて、今までの事業税負担過重の面が相当ある。たとえば私が頂戴しました大阪経済団体連合会からの書類でも、大阪附近における主要二十二社の労務費と厚生費だけに、かりに四%税をかけても、年に十億もとれるというような計算も頂戴しておる。そういうようにいろいろ集まる資料から考えてみますと、四%で税をとつて四百十九億しかとれないということは絶対にない。ことに政府は、法文の上ではとり方は間接法でおやりになつておる。ところが計算基礎をお出しになつている数字は、これはやはり直接法の数字だと思うのであります。そういう計算のお出しになり方にも、かなり食い違いがあつて、実際にとつてみると相当とれたなんというばかなことが出て来るのではないかという感じがするのでありますが、そういう点ほんとう政府は、この数字でこれだけ、またこれだけの收入をぎりぎりに上げるには、これだけの税率でなければならないというかたい御信念と確信をお持ちになつておるのかどうか、その辺をひとつお願いいたします。
  135. 本多市郎

    本多国務大臣 徴收見込額につきましては、その見込みを立てることはまことにむずかしいのでありまして、これだけの見込み政府が立てるについては、最善を盡した結果でありますが、なおこれについていろいろな見方はできることと存じます。この見方につきましてやはり意見の相違する点があつて、司令部と最後まで折衝いたしたのでございますが、これは一%ぐらいの税率を緩和しても、なお予定收入額の四百二十億には達するのではないかという、われわれもそういう見方をとつ段階もあつたのでございます。しかし結局標準税率として政府が財政計画を立てる場合は、堅実な見方に賛意を表して行く方が、適当なことであろうと考えまして、政府も司令部の主張に賛成をして決定するごとになつた次第でございます。その附加価値税標準税率でありまして、お話通り個々の町村の附加価値計算を実際にやりましたならば、標準税率を適用したのではとり過ぎるという村が出て来ないとも限りません。そうした場合には手近かでありますから、課税標準額の調査が幾ら幾らになつた。そうしてその町村の財政計画上の附加価値に期待する金額は幾らである。これを幾らの税率とつたならば、その必要額を満たすことができるであろうという見地から、各市町村においては標準額より低く、あるいは高くなる場合もあるか知れませんが、それはそこで調節されることもできるのでありまして、そういう意味において標準税率として定めることには、実施に大なる無理はなかろうと考えております。
  136. 塚田十一郎

    塚田委員 これはよけいとり過ぎたら、標準税率だから下げるのはかつてだという御意見でありますが、しかしそれはまた標準税率の七割が平衡交付金の交付の基準になつておる点をあわせ考えますと、標準税率を下げて今度また平衡交付金も下げたからということで減らされるというようなことになると、これは同じようなもので実質は同じ結果にならない。私どもこういうぐあいに思うのですが、そういう点はどういうぐあいにお考えになつておりますか。
  137. 本多市郎

    本多国務大臣 その点は標準税率計算した額を基準といたしますから、平衡交付金は減税しただけ追いかけて行くというわけには行かないのであります。
  138. 塚田十一郎

    塚田委員 追いかけて来られないというので安心をしております。そこで同じような問題を固定資産税について実は考えるのでありますが、この方は幸いにここに少し数字がありますから、二十四年の実績と二十五年の推移とは、はつきり数字の上で出て来る。ここに私どもが頂戴しております改正前後の地方税收入の比較表で、固定資産税がこの前の地租及び家屋税では二十四年度は百六十六億とれるということになりますと、大体今度は九百倍、一・七五というと今までの三・一五倍くらいになると思うので、もつとも二十四年の税がはたしてこの標準税率の賃貸価格の百分の五百というところで、平均どこもとられておるかどうか、その辺の数字は私もはつきり存じませんが、かりにそんなぐあいになつておるとすると、大体地租、家屋税だけで三・一五倍くらいになる。そうすると百六十五億の三・一五倍とすれば、それだけでも五百二十二億くらいはとれるという一応の計算が出て来るのでありますが、政府は地租と家屋税を合せて約四百二十億くらいしか予算にお組みになつておらない。その他は償却資産から、合せて五百二十億という数字をお考えになつておるのですが、これらの点から考えても、どうもこの計算が少し大事をとり過ぎておるのではないか、こういうふうに考えるが、この点はどうですか。
  139. 本多市郎

    本多国務大臣 今附加価値あるいは固定資産の見積りの根拠については、資料に基いて次長から御説明申し上げたいと存じますが、お話通り財政計画の基礎でありますので、疑わしい場合にはかたい方をとるという見地で決定されたことは間違いないのであります。
  140. 荻田保

    ○荻田政府委員 ちよつと速記をとめていただいて……。
  141. 菅家喜六

    菅家委員長代理 速記をやめて……。     〔速記中止〕
  142. 塚田十一郎

    塚田委員 これだけの資料しかお出しにならないので、今御説明になればわかつたような顔をして一応引下らざるを得ないのであります。しかしどう考えても私どもがぼんやりと抱く感じに割切れないものが多々あるのでありますが、これは水かけ論になるからこれ以上は申し上げません。  次に別の問題に入ります。先ほどもいろいろと御質問があつたのでありますが、固定資産の評価の問題であります。これはおそらく地域的な均衡というものを、十分考慮していただけるものと思うのでありますが、この場合に私どもは土地及び家屋なんかについて、裏日本の積雪地帶と、表日本について十分御考慮願わなければならない。もちろん今賃貸価格によつてある程度の考慮をしてないとは申されません。これは後日詳しい数字をもつて申し上げたいと思うのでありますけれども、若干の考慮はしてあるのですが、今日の賃貸価格の上においての考慮は、十分今日の実情に合致しておらぬという幾つかの証拠があるわけであります。それを同じ税率でかけられるということは、非常に困るのでありまして、なるほど大きな家に住んでおるから家屋税が大きくなるということは、これはりくつには合うのであります。関東あたりの場合においては十坪か十五坪の家、しかも三寸五分角くらいの柱の家でいいが、私どもの郷里の新潟県のように、冬になつて雪が降つて参りますと、冬は家の中だけが世界なのでありまして、家の中でできない仕事は外でできるという関東なんかの事情と全然違う。ですからやむを得ず大きな家に住んでおる。そうして薄暗いところでやつておる。これは好んで、もしくは資力があるから大きな家に住んでおるという状態では、もちろんないわけであります。農家なんかの場合にしましても、人間がたくさんおりますから、実際はそれだけの收穫量がないけれども、やはりお互いに土地を持ちたいんだという気分があつて、土地の値段はかなりにつり上つておるのですから、過去の賃貸価格や地価をきめた時分の実情と違うわけであります。そういうような状態が現実にあるのですから、今度の税制改革の機会には、ぜひともそういう点を特に御考慮願わなければならない。その御考慮は実は私どもの気持としては、二十五年から御考慮願いたい。二十五年一年しんぼうしてもらいたいと言われては実はやりきれない。現在非常な窮迫に陥つておるのであります。そういう点について本多国務大臣は、どういうようなお考えでおられるか、この機会にお聞かせ願いたい。
  143. 本多市郎

    本多国務大臣 固定資産税につきましては、今年度限りさいぜんも申し上げましたような理由によつて税率、定倍数でありますために、この固定資産そのものの調節は、本年は困難かと考えます。来年以降は、お話のような事情は、それぞれ市町村において考えてやることができると存じます。ただ本年はそうした関係からこの税でできませんので、住民税率等でそうした事情を考慮して、調節することはできるのでございます。政府といたしましては、積雪寒冷地に対する国税の査定にあたりましても、必要経費等において、特段の考慮を拂つて計算することを考えております。また平衡交付金の基準になります財政需要額等においても、適当な調整を加えまして、積雪寒冷地にはよけいに経費がかかるという調整を加えまして、平衡交付金が多く交付されるように、方法を取るつもりであります。御指摘の固定資産のみにつきまして、本年度の調節ということは困難でございますけれども、評価の基準は定めましても、基準に基きまして、実情に即するように、市町村においても相当の考慮を拂われることだろうと考えております。
  144. 床次徳二

    ○床次委員 今塚田委員の御質問に対して、遊興飲食税のお話の御説明があつたのでありますが、業者の方の立場から申しますと、政府の予定しておられる税率は低率にしましても、予定通りの金額が入るということを言つております。これに対して御意見はいかがですか。そういうことを希望しておつて、しかもそれが実現すれば非常にけつこうだと思いますが、政府委員は七〇%ということを予定しておられるようでありますが、これに対する御意見はいかがですか。
  145. 本多市郎

    本多国務大臣 お話通りではないかと考えるのでございますけれども、やはり標準徴收額を算定するためには、今度三分の一減を維持しました程度で、政府としては定めて行く方が適当ではなかろうかと考えるのであります。こうした性質の税でありますから、他の税の軽減との均衡をとりつつ、税率の軽減をはかることが一般情勢から考えても適当ではなかろうかと考えられます。但しこれも標準税率でございますから、予定收入税率を安くしておつても得られるというような見通しでありました場合には、決して各府県におきまして、標準税率以下にすることを、法律は禁じてはおらないのでございます。
  146. 菅家喜六

    菅家委員長代理 本日はこの程度にして、次会は明後三日午前十時より質疑を続行することにいたします。  なお三日には、川口市市会議場事件について、参考人より実情を聽取することになつておりますので、時間を嚴守して御出席くださるよう、念のためにお願い申し上げておきます。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十四分散会