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1950-03-30 第7回国会 衆議院 地方行政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月三十日(木曜日)     午前十一時二十一分開議  出席委員    委員長代理 理事 菅家 喜六君    理事 大泉 寛三君 理事 川西  清君    理事 野村專太郎君 理事 久保田鶴松君    理事 藤田 義光君 理事 立花 敏男君       河原伊三郎君    清水 逸平君       塚田十一郎君    龍野喜一郎君       大矢 省三君    門司  亮君       鈴木 幹雄君    床次 徳二君       井出一太郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 青木 孝義君         国 務 大 臣 樋貝 詮三君  出席政府委員         国家地方警察本         部部長         (刑事部長)  武藤 文雄君         国家地方警察本         部部長         (警備部長)  樺山 俊夫君         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 荻田  保君         物価政務次官  坂田 英一君  委員外出席者         国家地方警察本         部警視         (刑事部防犯課         長)      間狩 信義君         経済安定事務官         (物価庁企画課         長)      狩谷 享一君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 三月二十九日  害鳥獣狩獵者に対する免税並びに狩獵者税引  下げの陳情書(第  六四二号)  地方行政調査委員会議行政制度改正に関する  陳情書  (第六四六号)  附加価値税実施延期に関する陳情書  (第六五四号)  附加価値税及び固定資産税シヤウプ原案修正  に関する陳情書  (第六五五号)  のり、貝類業者附加価値税の対象より除外の  陳情書  (第六六〇号)  地方税制に関する陳情書  (第六六四号)  附加価値税実施延期に関する陳情書  (第六六八号)  電気ガス税市町村税として存置の陳情書  (第六七三号)  旋網漁業に対する附加価値税免除陳情書  (第六七八号)  生活協同組合に対する附加価値税免除陳情書  (  第六八六号)  市町村行政事務合理的限界決定等に関する  陳情書  (第六九七号)  地方財政委員会委員全国町村議会議長会の代  表者参加に関する陳情書  (第六九八号)  電気税鉱産税木材引取税及び入湯税に関す  る陳情書  (第六九九  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  地方税法案内閣提出第一二三号)  質屋営業法案内閣提出第一三二号)  警察に関する件  公聴会開会に関する件  連合審査会開会に関する件  参考人選定に関する件     ―――――――――――――
  2. 菅谷喜六

    菅谷委員長代理 これより会議を開きます。  一昨二十八日委員会に付託されました質屋営業法案内閣提出議題といたします。まず政府より提案理由説明を聽取することにいたします。
  3. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 質屋営業法案提出理由を御説明申し上げます。  ちようど現行法質屋取締法がありますが、これは明治二十八年に制定せられたものでありまして、すでに五十年以上を経過しておりまして、また憲法とか、警察法とか、それらを初めといたしまして、各種の法令が改正せられました現在として、その形式と内容とは、非常に現在には沿わないようなものが多いのであります。こういう点は改正いたさねばならないとともに、さきに風俗営業取締法、これが昭和二十三年の七月法律第百二十二号で出ており、また古物営業法が昨二十四年の五月二十八日に法律第百八号で出ておりますが、これらが制定せられ、及び改正せられた今日におきましては、残された質屋営業に対しましても法的整備が当然行われねばならないと考えられる上に、なお戰後各種犯罪が激増いたしまして、なかんずく盗犯による国民財産損害は、まことに著しいものがあるのであります。そうしてその贓品が古物商及び質屋営業者、特にもぐり業者の手によつてさばかれることが多い実情にかんがみまして、現行質屋取締法不備を是正いたしまして、盗犯防止とか、捜査検挙の迅速その他の実をあげまして、国民財産損害最小限度にとどめますことは、まことに必要なことと存ずるのであります。ゆえに改正法案におきましては、質屋営業は、公安委員会における許可を受けさせることにいたしました。また監督の嚴正と統一をはかることにいたしました、反面、新憲法の精神にのつとりまして、質屋許可には一定の基準を定めまして、また行政処分の場合などを具体的に限定し、さらにあらかじめ公開の聽問を行うべきことを定めるなど、その営業についての権利の尊重に意を用いますとともに、利用者方面の保護につきましても、十分配意いたしたような次第であります。  また盗犯防止対策として質物の取扱いを公正明朗にいたしまして、営業者の協力を得て、贓品の発見を容易にするために、相手方の確認の方法を定め、また帳簿の記載を的確にいたしまして、特に犯罪温床となるもぐり業者取締りの徹底を期した次第であります。また各違反行為に対する刑罰と他の法令との均衡を得せしめるようにいたしたのであります。  以上の趣旨によりまして、現行質屋営業法取締法を廃止して、新たに質屋営業法を制定いたしたいと思うのであります。どうか慎重御審議あらんことをお願い申し上げる次第であります。なおこまかいことにつきましては、当局より申し上げることにいたします。
  4. 菅谷喜六

    菅谷委員長代理 本案に対する質疑は次会より行うことにいたしたいと思います。     —————————————
  5. 菅谷喜六

    菅谷委員長代理 次に警察に関する件を議題にいたします。昨日の委員会において龍野委員より発言がありました川口市会における自由労働者議場占拠事件について、国警本部当局よりその説明を聽取いたすことにいたします。
  6. 樺山俊夫

    樺山政府委員 本月の二十七日に起りました川口市におきまする不法事件概要を御報告申し上げます。  二十七日の午前十時から川口市の自由労働者組合結成大会が開催されまして、約二百五十名が参加いたしまして、その大会が終了いたしましたあと、午後一時ごろから参加者の中の百五十名ほどが市役所に向いましてデモをいたしました。市の当局者に対しまして、現在の失業対策費の増額の要求をいたしますために、面会を求めたのであります。初め市の土木課長あるいは助役等が出まして、面会をいたしたようでありますが、市長に対しましてどうしても面会して話をしたいということでありまして、市長はたまたま当日市会開会中でございまして、市会の方に出席をいたしておりまして、その要求に応じられないために、市役所に参りました労働者組合の人がどうしても会いたいということでありまして、再三折衝いたしておつたようでございます。そういたしまするうちに午後四時ごろになりまして、庁舎の中に入りました者がすわり込みまして、そのまま退去いたしませんので、市長から退去命合を二回にわたりまして出しておるようであります。と同時に川口市の警察に対しまして、警察官出動を要請いたしました。これに基きまして川口市警並びに川口市警要求に基きまして、国家警察の方より応援に参りました者を加えまして、午後の六時過ぎに市役所は到着をいたしました。ちようどその当時市役所の中に入つておりました労働者の人が、一番最初は下の玄関のところにおつたようでありますが、その後だんだん上に上りまして、川口市役所市会議場は二階の一番はじつこにありまして、警察出動して参りましたころは、その市会議場の入口に通じまする通路のところにすわり込みしておつたようであります。警察官出動いたしまして、市長退去命令の執行を実力をもつていたそうということで、二階に上つて参りましたときに、この市の議場構造の上から申しまして、廊下をずつと入つて、その廊下の一番はじつこに議場があるという関係で、逃げ場に困りまして、一部分の者が市会議場の中にドアを明けて入りまして、それに続きましてそこにおりました者がみんな議場の中に入つたということになつておるようであります。議場の中に入り、従つて市会を開いておりましたものが、約十五分間ぐらい議事が進行いたしません。その間に市当局といろいろ折衝いたしまして、代表者を出しまして市長面会をいたしまして、その要求の交渉をするということで話がつきました。約十五分ほどいたしまして、中に入りました者は全部市庁舎前の広場におりて参りまして、残りの代表者市長と折衝いたしまして、午後の七時二十分ごろ全部が退場したということになつて上ります。二十七日ありました市役所の問題につきましての概要は、大体以上でございます。
  7. 龍野喜一郎

    龍野委員 ただいまの御説明によりますれば、市会議場内に自由労働者が入つたのは、建築物構造上やむを得ずそこに入つたというふうに受取られたのでありますが、その理由のいかんにかかわらず、結果として開会中の議場内に入るということは、議会神聖を害し、また議会の絶対自由性を阻害するものであろうと存ずるのであります。これらの事件につきまして、警察当局として適用すべき法令、準拠すべき法令はどういうものであるか、ひとつ承りたいと思います。
  8. 樺山俊夫

    樺山政府委員 先ほどちよつと申し落しましたが、二十七日の事件につきまして、翌朝早く二人ほど首謀者といたしまして検挙いたしております。その検挙理由は、二十七日にいたしました無届デモ首謀者といたしまして検挙いたしております。なおただいまの御質問にございました適用法規の問題につきましては、又退去罪をもつてこれを取締つて行くということになると思います。
  9. 大泉寛三

    大泉委員 私は選挙区の立場でよく聞いてはおりますが、しかし権威ある一つの調査された御報告を聞きたいと思つてつたのですが、私の聞いた範囲内とたいへんどうも相違しております。デモの進行が市役所になだれ込んで、そして議場にみずから入り込んで、議場の演壇に土足をもつて立ち上つて赤旗を振つたということを聞いております。今の御報告の点とはたいへん相違しておりますが、こうしたことをもう少し明確に調査をしていただきたいと私は思うのであります。私はちようど土地におるものですから、どうも神聖なる議場を蹂躙されて、こんなことで取締りもどうすることもできないというようなことに対しては、いわゆる取締り法令不備であるというようなことを再々訴えて来ます。その点はどうも実態を自分でまだ把握しておりませんのでよくわからぬか、しかし新聞で報じられるようなことが、実際あつたとしたならば、ゆゆしき問題であるということで、実は発言したいと思つてつたのですけれども自分土地立場からあまり大げさにするということも、どうかと思つて控えておつたのですが、ただいまの御報告とはたいへん違う点がありますので、もう一ぺん真相を確めていただきたいと私は思うのです。
  10. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 私の存じている限りにおいてお答えいたしますが、実は川口に起つたのは相次いだ事件の一環でありまして、同じような事件はほかのところにも起りましたのであります。東京に近いためにことに川口が有名になつたような次第であります。高崎においても前橋においても、ちよつと違つておりましたが、大体において同じような事件が起りました。数は川口よりももつと多かつたかもしれません。またほかの地域におきましても——ことに関東が多いのですが、こういうような事件がありましたために、これに対してはなるべく注意をさしておりますけれども、御承知のように、今の警察法によりますと、二つにわけて自治体警察と、それから国家警察とありますために、自治体警察に対しては非常事態になれば、私どもで一ぺんに集められますけれども非常事態になるまでは自治体にまかしてやるというような形になつておりますので、ちようど川口も二十七日と二十八日と二日にわたつてつたのです。二十八日の事件というのは今問題になりましたような市会占拠という事柄になりましよう。それからその日のうちに二人だけ検挙した。一人は共産党に属する朝鮮人の金という者であり、一人は元労働組合長をやつておりました吉田という人でありましたが、その二人を検挙したのであります。検挙したときには無届デモをやつたという理由検挙しておりますが、その検挙の前に、強制的な面会を求めて、市長とそれから土木課長等面会を強要したというようなことでありまして、そこで川口市の方においては、後には退去を命じてもなかなか聞きませんから、そこで川口市の警察に連絡して、不法のこういうような面会強要をするということで退去を命じたということでありますが、国警の方に要請があつたのはそれからよほど遅れておりましたが、国警の方でただちに人を出した。そうして夜になりまして、六時二十分ごろ退去を始めたというようなことになつております。こまかいことは今申し上げた通り、多少議会を占拠したということは、意識的に占拠したか、あるいは中に入つているうちに、そういうふうになつたか、そのことは今のところははつきりいたしませんけれども、しかし入つたことも事実であるし、占拠したことも事実であるし、それに対して退去を命じたことも事実であります。私ども議会は、国会であろうと地方議会であろうと、神聖を保たなければならぬと思います。ほかの者、許可されない者は入つてはならぬと思いますので、その中の自由を束縛するような行動もとるべきではないと考えておりますために、それに対しては十分な必要があるならば、ある程度の力をもつてもこれを退去せしめることにやぶさかではないのであります。そういうような考えでありますが、次々に起るところの事案に対しましては、事前に十分な考慮のできる限りは、考慮をめぐらして、その防止策を講じておるようなわけであります。
  11. 龍野喜一郎

    龍野委員 私はただいまの御説明によりまして、川口会議場占拠云々の問題よりも、最近ひんぴんとしてこれに類似したような事件が、あちらこちらに起つておることに対して、非常な憂慮をいたすのであります。今日の世相がややともすれば暴力もしくは多数の威力によつて、われわれの自由な行動が制限されておるということは、民主主義日本建設の上において、非常に憂うべき事態ではないかと存ずるのであります。しかも伝えられるところによれば、あるいは想像せられるところによれば、これが一定の連絡のもとに、あるいは極端な言葉をもつてすれば、ある方面の人の指図のもとに動いておるのではないかというふうにさえ想像せられるのでありまして、かくのごとき事態を放任しておくことは、ひいては全国的に非常な不安の元になるのではないかと存ずるのであります。警察の任務は、起つた事態をすみやかに收拾して、これに対して適切なる措置を講ずることもむろん大事でありますが、事前にかかる事態防止することにより、一層その力をいたさなければならない点があると思うのであります。しかるに今日の警察制度は、昨日藤山委員も指摘されたことく、かゆいところに手が届かないような状態にある。むしろ未然に防ぐという力はほとんどなくて、起つた事件あとから恐る恐る追つかけて行くというような状態が非常に多いのであります。かくのごときことは警察本来の使命を忘れておる結果ではなかろうかと存ずるのであります。国警自治体警察との関係につきましては、いろいろ困難な問題があるのでございまして、ここで簡単にその結論を申し上げ、また所管大臣の御所信を伺うことも困難ではなかろうかと存ずるのであります。しかしながらいずれにいたしましても、かくのごとき民主主義日本建設に全然相反するような事態が蔓延して行くことは放置すべきものではない、もしここに必要ならば法制的な処置までも講じて防がなければならぬと存じますが、この点に対する所管大臣の所見を、警察制度改善は、別個にお伺いいたしたいと存ずるのであります。
  12. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 ごもつともなお尋ねと私ども考えております。現在の警察制度では、少くとも経済的には非常に不利益で、また能力の点についても同様ですが、もつとこの点について改善する余地があろうと考えておるわけであります。それにはいろいろ手続がいります。ために昨年以来その点について非常に私ども苦心を払つておるようなわけであります。その内容については申し上げることをはばかりますが、少くとも与えられた條件において最善を尽そうということで、去年以来着々と改善いたしておることは申し上げるまでもなくお気づきのことと存じております。その努力については、今日においても、また今後においても決してゆるがせにしないということを申し上げることをはばかりません。また近い将来において改善の実が上げられるのじやないかということは考えておるようなわけであります。現在の制度警察を明るくした点もあるし、また非常に親しみやすく民主的にした点もありましよう。それと同時に考えなければならない点が多々あると考えますから、その点については、十分の考慮を払いたいと考えております。
  13. 立花敏男

    立花委員 この問題とは別の方面からお聞きしたいと思いますが、さいぜんも言われましたように、失業者の問題が全国各地で、こういう形体に至らないまでも、いろいろな問題が起つておるわけであります。それの社会的な原因と申しますか、根本的な原因についてどういうふうな御認識をお持ちか、お答え願いたいと思います。
  14. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 私ども今お話の通りに、主食の問題とか、税の問題とか、あるいは金融の問題とかで、国民が今日非常に苦しんでいることもよく存じております。また税務当局におきましても、国民收入はまさに二百億くらい少いというような点で悩んでおりましようし、各方面ともに苦しんでいることをよく存じております。それからまた政策警察要求する点もあり、また警察の方がどの辺まで政策を実行するかということにも非常に関係あることも存じております。従つて機会あるごとに、政策方面で、なるたけ警察の方へ影響を及ぼさないように、政策の面で片づけることを考えているような次第であります。この点でいろいろの意見を申し述べている次第であります。しかし現在各地に行われます職よこせ運動にいたしましても、人為的のものが多分にあるように考えておりますが、はなはだ遺憾に考えております。ことに実情を訴えるならば別として、実情から離れたような煽動的な行動が、ある場合には行われているのではなかろうかと私ども考えているので、そのことは折あるごとに、そういうことがあるために、かえつてなるべきとともならなくて終るようでは困るから、それはやめてくれということを申している次第であります。率直にそのことは私ども申しております。しかし今後においてもなおそういう事件があるならば、そういうことは反省してもらいたいと思います。
  15. 立花敏男

    立花委員 そういう警察出動をまつような事件は、現在起つております失業者の問題では割合に数が少いのではないかと思います。そういう形で目につかないのがたくさん起つております、私どもこの間鳥取県へ調査団として参りました場合も、鳥取県の知事自体から、もう失業対策費がなくなつたから、国家の方で何とかしてくれ、請願書を書くから何とかしてくれというようなことを申されて、非常に驚いたのでございますが、こういう形が所々方方に現われております。これは自治庁にお尋ねいたしたいと思いますが、こういう形の失業対策費をふやせ、あるいはその他の社会不安の温床となるような事態を芟除するための費用をよこせというような要求が、どれだけ来ているかお尋ねいたしたいと思います。
  16. 菅谷喜六

    菅谷委員長代理 今自治庁本多国務大臣は参議院の方に行つておられますし、政務次官内閣委員会に行つておられる、すべての関係官が都合が悪いので、いずれ後刻出席を得た上、申し上げます。
  17. 立花敏男

    立花委員 政策の面で片づけるとおつしやられたのでありますが、それは決して警察行政だけで片づけるという御意味ではないかと思います。われわれが国会といたしまして対策を立てなければならぬ場合も、龍野さんが非常に憂慮すると言われましたが、憂慮されるという点は、警察力不足だという点だけに限定すべきではないと思うのです。そういう観点ではなしに、龍野さんは元知事さんでございましたから、取締りの面だけが非常にお気づきになるのかもしれませんが、私どもとしては、好んでそういう騒擾を起し、好んで警察のごやつかいになるという連中はいないと思います。私どもとしては、そういう事態に立ち至らなければならない人民の代表として、この問題を考えなければいけない。そういう点から行きますと、この委員会といたしましては、この事態が起りますことについては、大きな責任があると思います。特に現在この委員会で審議中の地方税法などにつきましても、私どもこの問題と関連するものとして、非常に大きく評価しなければいけないと思います。大臣のお言葉の中にも、こういう問題が起るのは、失業の問題、あるいは税金の問題、あるいは借金の問題等が大きな原因になつておるということを言われましたが、その現金の問題をとりましても、これからわれわれが審議いたします地方税がさらにこの傾向を強める役割を果す場合があると思うのです。そういう問題を私どもは憂慮しなければいけないのでありまして、事態が起つてからの警察力不足という問題は、いわば事態が起つてからの対症的な措置でありまして、そういう事態が起こらないように、われわれはそういう人たちをも含めた国民代表として、注意しなければいけないと思うのでありますが、樋貝さんの言われました政策という面にも、そういうお考えが入つておるのかどうか。もう一度お尋ねいたします。
  18. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 お説の通りに、なるべくこういう事故を起さないように、警察力で応援するような事故を起さないことを、私は望んでおるのでありまして、そしてまた国民要求するような方向に向けて行きたい。従つてすべての政策について、私は警察を担当しておりますけれども、しかも国務大臣として発言いたしますのは、そういう方面から警察のやつかいになるようなことにならぬようにということを注意いたしておるわけであります。しかし今の情勢を見ると、むりに平地に波乱を起しておるような状態があります。それは非常に遺憾だと思つておるのであります。たとえば職よこせ運動というようなものがありますが、日本の現在の状態失業するのは当然だというような顔をして、職をよこせと言えば、相手方はその一言を聞いても十分熱心になれません。同じことであるけれども、職をよこせと言えば、だめになるのはあたりまえです。そういうことを言わず、実情を訴えて、苦しければ、ほんとうのことを言つてもらいたいというのが、私どもの念願です。まるい卵をむりに四角に切らんでもいい。まるいものはまるいと言つてつて行く方がいいんですから、そういうふうに私どもは一方に政策等注意するとともに、その事柄に関しても十分な注意をするわけであります。
  19. 立花敏男

    立花委員 最後に警察関係ではなしに、国務大臣としての樋貝さんに、ちよつとお願いしておきたいのですが、現在の政府の予算によりますと、二十五年度では、一日に大体十万人の失業者を救済する費用を組んでおります。ところが御承知のように、東京だけでも紹介所に登録しておりますのは五十二万人あります。しかも十万人の失業者救済費が一日にいるけれども、一日約八十円ないし百円というような低いところがございますし、平均にいたしまして、大体百六十円ぐらいにしかならないわけであります。こういう状態におきましては、失業者の問題がどんどん各地で起るということは、必然的な状態だろうと思います。従つて国務大臣として政府の要路におられる方は、この問題をもつと根本的に解決する方策を立てていただきたいと思います。その上でなお問題が起りますれば、警察力の発動もけつこうでございましようが、東京だけでも五十万人以上の登録者があるのに、全国で十万人の費用しか組んでない。しかも平均手取り一日百五十円ないし百六十一円の者がある。しかも地方へ参りますと、八十円、百円で使用されているという状態がありますので、こういう状態を放置することは、現在問題になつているような事件を引き起す温床であるということをお考えの上、この対策を立てていただきますようにお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  20. 野村專太郎

    ○野村委員 最近失業問題を対象にして関東周辺にもこの種の問題と類似のものが起つておるのですが、これは今の立花君の質問に対する樋貝国務大臣の答弁によつても、その一端を現わしておりますが、今日は完全就労という面に対しましては、われわれは深き理解と同情を持つことにやぶさかでない。根本において整備によつて解決することが一番望ましいわけですが、しかし他の面においては、これ以上の人たちが歯を食いしばつて日本再建のために協力しておる事実を、われわれは看過することができないのであります。そういう点から、今回問題になつた川口事件、これは非常に遺憾なことですが、ここまで至らなくても、もつと穏健な合法的な手段によつて十分意思が達せられたのではないか。こういう点から、特に本委員会はこの問題を軽視するわけに行かぬと思うので、本委員会において調査団を派遣して、その真相を究明して根本をつきたいと考えておるのですが、本委員会は、今地方税法を中心にする重要法案の審議の席に御同様ついているので、そのいとまもない。さればといつて、この川口市会の占拠という事実に対しては、これを等閑に付することができないと思う。そこで委員長から委員各位におはかりをいただきまして、その状況は今政府委員から一端を伺いましたが、川口市長並びに市会議長を委員会に喚問し、法案の審議と並行してその真相を承り、その内容によつて調査団を派遣しなければならぬかもしれぬと考えております。今大切な審議の過程にあります。しからばといつて、この問題を等閑に付するわけに行かぬので、とりあえず市長並びに市会議長々喚問して実情を聽取いたしたい、かような動議を提出する次第であります。
  21. 久保田鶴松

    ○久保田委員 川口事件と同様本委員会に関連性のある問題について、樋貝国務大臣にお伺いしたいと思うのですが、宴会行政による大阪府の土木の不正事件、これを国警調査しておられるということでございますが、この問題についての調査は、国警としてどの程度までされましたかということを、お伺いしたいと思います。
  22. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 そういう事件は、実は私は内容を存じませんので、政府委員から御答弁申し上げます。
  23. 武藤文雄

    ○武藤政府委員 大阪の方からそういうことはちよつと聞いたことはございますが、詳細は存じておりません。御指摘の事柄は、現地から状況を聞きまして、御報告申し上げてもよろしゆうございます。
  24. 久保田鶴松

    ○久保田委員 ただいま伺いますれば、あまり多く知らないということでございますが、これは私けしからんと思う。新聞にも大きく取上げて出ておりますように、大体この宴会行政によつて、建設、厚生、運輸各省の役人との間において、宴会後におけるみやげもの等の供与もされている。またそういつたことによりまして、幽霊人夫等を使い、それに対する三百七十万円以上の費用を使つている。そのみやげものと宴会行政によつて、たとえば百万円使う場合、千万円以上の補助を国から受けるというようなことになつているように、われわれは伺つているのであります。そうしたことは何も御存じはないのですか。
  25. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 ただいまけしからぬとおつしやいますが、私の方から言うと、そういうわけではない。大阪の方だとすれば、大阪市の今警視庁になりますか、あれでやりますので、国警の方で報告をとるためには、また地方の国警を通じまして、御報告をもらうようなわけで、現在の警察法では、自治体の方へは非常事態にならなければ政府は入るな、ふだんはなるべく入らぬようにということを申しているようなわけであります。従つてそういう事件に対しては大要は見ておりますけれども、事こまかには存じないような状態になつておりますから、御注文があれば、今の点等も詳細に調べたいと思います。
  26. 久保田鶴松

    ○久保田委員 私はこの問題については、衆議院の考査委員会の方でも、いろいろ問題を取り上げられているように伺つているのでありますが、それと同時に、大阪市の関係でございますと、大臣のお説のように、これは自治体警察で行われますが、大阪市に限つていない。大阪府の土木の方の関係でありまして、大阪市内だけじやない。これがまた大阪に限つたことでない。それ以外の府県にも、こうした問題が起きているというような状況でございます。小さい大阪市だけの問題であれば、御説のように大阪市の自治体警察で取扱われる問題である。そうでないがために、国警の方でこれを調査しておられるというふうに私は伺つているのですが、これはいかがでございますか。
  27. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 国警の方もただいまの事件には関係しているそうです。私は国警関係はないと思いましたけれども、自治警察国警と両方関係しているそうでありまして、国警方面へ入りました。ちようど急なお尋ねだつたので、調査はしていないと申し上げましたが、こまかい事情は存じないでありましようが、しかし全貌は存じているわけであります。それだけなら今すぐ御答えができます。武藤君からお話申し上げます。
  28. 久保田鶴松

    ○久保田委員 それでは野村さんから動議もありまして、一応この問題は川口の問題と同じように、現地の方で調査するか、あるいはこうした問題についてこちらの方へ呼ぶか、どちらか委員会で一応とりきめてもらつて、その後においてこれを結末をつけたい、こういうふうに御願いしたい。
  29. 菅谷喜六

    菅谷委員長代理 まず最初に川口市会議場占拠問題に関する質問のうちに、野村委員より御発言がございまして、ただいま関係当局より説明を聴取いたしたのでありますが、本委員会といたしましても、これはすこぶる重要視する必要があると存じますので、その実際の状況をはつきりいたさせておく必要があると思います。さりながらただいま重大な地方税法の連続審議をいたしているときでありますから、委員派遣等は差控えまして、野村委員のお説のごとく、関係者を参考人として本委員会に招致して、実情調査することにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 菅谷喜六

    菅谷委員長代理 御異議ないものと認めまして、川口市の市長市会議長、まずこの両名を参考人として本委員会に招致して、事情を調査いたし、その結果必要がありましたならば、他の参考人を招致いたしたいと思う次第であります。久保田君よりの御発言の問題は、これを理事会において今一応調査いたしまして、その理事会の御意見を聴取した後に、本委員会としてこれをいかに取扱うかということを決定いたしたいと思いますが、いかがでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 菅谷喜六

    菅谷委員長代理 御異議ないものと認めまして、さようとりはからいます。
  32. 大矢省三

    ○大矢委員 川口事件とほぼ見合つた事件が各所に起つていることは、御承知通りであります。これは結果から見て、その取締りの面のみを対象として、樋貝さんに来てもらつたのですが、それでなくして、私はもつとこういうふうな事件が起きる原因が重大な問題でありまして、幾ら警察が取締つたところで、この原因を解消しなければ、次々に問題が起きると思います。そこでこういう事件の起きた原因である失業の問題、それをもつと具体的に申し上げますならば、失業者の就職度合い、率と申しますか、そういうものについての調査とか、あるいは何らかの形において閣議なり、所管大臣なりにおいて、そういう原因について問題になつたことがあるか、ただ起きた問題を取締るだけ、あるいは遭憾であつたというだけでは——まるいものを四角にするというようなお話がありましたが、四角になるような実情になつている。食えなければ、勢い多少行過ぎたことも、私どもも遺憾なことでありますが、その原因を解消しない限り、この種の問題はしばしば深刻になつて来ると思う。そこで次のときに、これは自治庁かどの係かよくわかりませんが、就職登録と就職率、それからこの種の問題の件数並びに要求書の内容、こういうものについて資料を出してもらいたい。今私が申しましたそういう原因について、閣議なり何なりで、何か問題になつたことがあるかどうかをお尋ねしたい。
  33. 川西清

    ○川西委員 川口事件に関するただいままでの立花君らのお話を聞いておりますれば、大体音通の不法占拠事件と、川口事会の占拠事件と同じように考えておられるようでありますが、私どもの申しておりますのは、この乱暴を働いた場所である市会議場を、会社の社長室や工場や学校と同様に考えておられるという、そのものの考え方が、最も好ましくないのでありまして、取締られた方におきましても、特に憲法政治制度の根本を破壊するような考え方、そういう考え方から生じた動き方、そういうことにつきましては、ほかの工場会社等における取締り方法よりまた違つた、独特の、特に嚴重な方法をもつて、自治制の運営を阻害することなきように考慮していただきたいと思うのであります。その点今までのお話をちよつと聞いておりますと、この川口市会の占拠事件はただいわゆる工場とか会社の不法占拠事件と同じように考えられておる向きがありますので、この点委員長と大臣に特にお願いしておきます。
  34. 菅谷喜六

    菅谷委員長代理 了承いたしました。
  35. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 閣議でどういうような話があつたかは、ほかへはちよつと申し上げかねるのですが、今申した通りそれらの点も考慮に入れまして、いろいろ発言しておることは事実であります。殊に当該大臣におきましてはそれらの点も十分に考えておることは事実でありまして、日本のままになる限りはそういうような方向に行きたいと考えております。
  36. 藤田義光

    ○藤田委員 私は先ほど来問答を聞いておりまして、どうもぴんと来ない。かゆいところに手の届かないような問答で、重ねて簡単にお伺いいたします。川口紛擾事件を一例とします。最近の紛擾に関しまして、原因に関しましてはわれわれ一応想像いたしております。樋貝国務大臣は国務多端のために、なかなか本委員会に顔を見せませんから、こういう機会にぜひともこれは自然発生的なものか、あるいは何か一つの計画に基いた一連の事件であるかということを、ひとつ大胆に率直にお答え願いたいと思います。お答えによりましてはさらに再質問いたしたいつもりであります。
  37. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 実は先ほど申し上げたまるい板をむりに四点に切つておるというのはそれでありまして、現在の様子を見ますと自然発生もありましようけれども、しかしむりに四角になつて、通るものもじやまする、やぶにまぐわをひくような考え方をする人がたくさんあります。たとえげ職よこせと言わないでも、失職すれば職につきたいことはあたりまえでありますから、職よこせと言わないでもわかるものを、むりにそう言いたがるということは、非常に私は気分を荒立たせるゆえんだと思います。そういうことのないようにということを私どもは願つておるわけです。人為的にそういうことをやるならば、これに対しては、どうもわれわれはあまり欲しませんけれども、力をもつて応対するよりしかたがない、こういうことになると思います。
  38. 藤田義光

    ○藤田委員 人為的にかかることをやるならという、その人為的でございますが、それは個人の創意でございますか、あるいは一つの計画なり、一つの団体なりの創意に基く一つの流れであるか。これは非常にはつきりさせておく必要があると思いますから、具体的にお答え願いたいと思います。
  39. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 どうも警察の方ははつきりというわけに参りませんので、私の主管しておる限り、御満足の行くようにはつきりとは申し上げられませんけれども警察の方の行動は相当はつきりしておると思います。申し上げることははつきりいたさないかもわかりませんが、どうか御了承願います。
  40. 藤田義光

    ○藤田委員 頭の悪い私も大体想像はしておりますが、実際の行動ではつきりさせるということで、一応今後の行動を勉強させていただくということにしまして、この質問を終りますが、ついでに一言お伺いしたいのは昨年秋国警を中心とする警察官の装備が非常に強化されております。これは一長一短ありまして、にわかにその結果をわれわれ判断するわけに行きませんが、それによりましてこれは非常に具体的な例でありますが、たとえば私の郷里の阿蘇山のふもとの一国警署長が拳銃を盗まれた、謀略によつて拳銃を盗まれた。それによつてただちに首になつております。これは非常にゆゆしい問題であろうと思いますが、こういう拳銃一つによつてその人の生涯の人生行路を誤るというような、なげかわしい事件がおそらく全国各地に続出しておるのではないかと思いますが、こういう場合の事犯に対する国警の処置、態度、それから従来どのくらいこういうなげかわしい例があるかという問題に関しまして、御答弁願いたいと思います。
  41. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 今のような事件がありましたことは事実であります。たくさんはございませんけれども少々ありました。拳銃に安全装置は、ただいま借りたものにはありません。しかし実際発射しようというならば相当な力がいるのでありますが、それらの方面で、所持の方面、使用の方面には非常に注意を深くしております。それからこれを盗まれる方面も、たとえば東京方面におきましては、盗まれないように箱をつくりまして、たとえばふろに入るという場合にはそれに納めて行くようなことを考えております。むりに発射するというような過失がたまたまあり得るわけですが、それに対しては過失であつても十分責任を問うということにしておりますので、今おあげになりました例は過失から来たのでありましようが、ほかを警戒する意味においても、それに対して一つの制裁を課す。そうでないと拳銃をみだりに取扱う習慣ができますのでそうしたかもしれませんが、そういうようなわけでありまして、なるべく盗まれないように、それから発射しないように、今の発射は非常に困難がありますけれども、その上にも注意をいたしておるような次第であります。
  42. 藤田義光

    ○藤田委員 そうしますと、警備部長に御答弁願いたいのですが、拳銃をなくすればただちに免官にするというような措置が、もう全国的にとられているわけでございますか。
  43. 樺山俊夫

    樺山政府委員 私にお名ざしでございますが、実は私の所管ではないのでありまして、責任のある答弁ができませんので、はなはだ残念であります。
  44. 藤田義光

    ○藤田委員 国警政府委員も大方見えておりますが、どなたかただいまの質問に対する御答弁をお願いしたいと思います。
  45. 樋貝詮三

    樋貝国務大臣 どうも国警長官は今天皇陛下の四国への行幸のお伴をしておりますので、ただいま見えております政府委員たちは、みな管轄外でありまして、御答弁申し上げることはできないのであります。
  46. 藤田義光

    ○藤田委員 それでは後刻責任者の出頭を求めまして、お答え願うことにいたします。どうも人権の擁護ということが強く叫ばれている際におきまして、拳銃一挺によりまして、れつきとした男一匹首になるということは、どうしても腑に落ちない。この点に関しましては、内規か何かありましたならば資料として提出願いまして、われわれも検討してみたいと感じております。この点ひとつ委員長からも資料として御請求願えばけつこうであります。
  47. 菅谷喜六

    菅谷委員長代理 よろしゆうございます。先ほど大矢委員からも資料の要求がありましたので、委員長において適当に政府当局に交渉して提出してもらうようにいたします。  大体警察のただいまの問題はこれで打切りまして、地方税法議題として質疑を続行いたしたいと思います。先般の委員会において久保田委員より要求がありましたので、安本長官が見えております。この際門司君の質問を許すことにいたします。門司君。
  48. 門司亮

    ○門司委員 私はきわめて簡単率直にこの法案の審議の参考資料と言いまするか、そういう意味から、一応経済閣僚の意見をお聞きしておきたいと思うのであります。私が聞かんといたしまするものは、今度の税法が従来の税法と非常にかわつております。ことに大きくかわつておりまする面は、地方税法の中の附加価値税の問題、あるいは固定資産税というようなすべてこうした新しい角度のもとにとられます税金が、従来の方針とまつたくかわつて参りまして、外形標準によつてこれがきめられるということに相なつてつておるのでありまして、今回の税制改革は、単なる税率の改革あるいは税種目の改革ではないのであります。根本から税の問題に対する考え方をかえなければならない実情になつておるのであります。従つて従来の国民感情と、この点が非常に大きく違つておりまして、この税を施行するにあたりましては、いろいろな不便あるいは研究をすべき題目があるかと思いまするが、とりあえずこの機会にごく簡単にお聞きしておきたいと思いますることは、徴税の方法を外形標準にかえられた、いわゆる課税態様がかわつて来たということについて、これがただちに現在の物価に影響を持つ面が、非常に多くなつてつておるのであります。従いまして税がただちに物価に影響して来るということになつて参りますと、それらの処置をまずいかにして講ずるかということが、先に考えられなければならない。ことに政府は賃金の面においては、ベースを上げるわけには行かない、実質賃金の面において、あるいはこれがカバーをできるような方法をとりたいというような御趣旨であるように承つておるのでありまするが、この税法がこのままの姿でもし実施されて参りまするならば、物価は必然的に上らなければならない。この前の委員会におきまして、物価庁の次長にこの趣旨を一応お話を申し上げましたときに、次長といたしましても理論的には当然物価の上弁を来すというような答弁を得ておるのでありまするが、安本の責任者でありまする大臣は、これについてどういうお考えをお持ちになつておるかということであります。具体的にわかりやすく申し上げて参りまするならば、この附加価値税あるいは固定資産税が外形標準になつたということで、ごく精密な資料によつてども今日まで調査いたしておりまする範囲におきましては、わが国における基幹産業と申すべき製鉄産業において大体標準税率を標準として、これにかけて参りまするならば約七%くらいの値上りをするということを数字がこれを明らかに示して参つておるのであります。さらに電気税その他を加えて、今度の税制改革について申し上げまするならば、わが国における唯一の国内生産品であり、しかもこれが外国向けになつておりまするセメント業のごときは、一割四分の値上りを来すであろうということが言われておる。また貿易に最も大きな関係を持つておる倉庫業のごときは、一坪当りの経費というものは、従来の四・二倍になるというような数字が明らかに出て参つておるのであります。さらに考えなければならないのは、すでに御承知のように、私鉄等におきましても、必ずしもこれだけではございませんが、この問題が関連を持ちまして、そうして私鉄の値上げを当然しなければならない。そこに非常に私は大きな問題を持つておると思う。国鉄は税金がかかつておりませんので、値上げの必要はないかもしれませんが、こういう外形標準によつて税金をかけられて参りますと、国の事業と相競争をしなければならない立場に置かれております私鉄においては、それだけ大きな苦痛を感じなければならない。従つてこれらのものの値上げをしなければならない。こういう事態は各業種にことごとく当てはまるものでありまして、わずか三つか四つの例しか申し上げませんでしたが、わが国における全体の産業に影響を及ぼす大きな問題でありまするので、これについて安本といたしましては、どういうお考えをお持ちになつておるか、これについて率直に申し上げますならば、公定価格のあるもの、あるいは価格の統制を受けておるそれらのものについては、この値上りをお認めになるかどうかということであります。それから固定資産税の中に考えられておりまする地租家屋税が大幅に上つて参りますならば、必然的に家賃、地代というものが上つて参りますが、これらのものについてもこれを引上げることを考えておるかどうか。もしそのお考えであるとするならば、どの程度までそれらの価格変動を現在お認めになるお考えであるか、これを一応お聞きしておきたいと思うのであります。
  49. 青木孝義

    ○青木国務大臣 門司さんにお答え申し上げます。御承知通り、それらの作業は大体物価庁がやつておりますが、大体のわれわれの作業の方向といたしまして考えて実行に移しつつありますのは、最近統制が大幅に撤廃されて参りました。従つて自由価格品については、地方税の改正によつて、企業の負担が過重になつても、最近の有効需要減退の趨勢から見ますれば、必ずしも物価は上るとは思われないというように考えております。もう一つは、統制が存続しておりまするマル公価格品についてでありますが、この物資については地方税の改正をマル公に織り込むことが必要であると、一応考えるのでありますが、自由価格品との権衡がございまして、その権衡上地方税の負担が増加した分だけマル公の引上げを行うのではなくて、企業体における操業度の上昇であるとか、あるいは原単位の適正化によりまして、適正なマル公を定めることにいたしたい。こういうわけでございます。従いまして物価の水準といたしましては、地方税の改正によりまして影響はあります。しかしながら大した影響はないという考え方であります。なお具体的な計数につきましては、事務当局から御説明申し上げたいと存じます。
  50. 門司亮

    ○門司委員 非常に要領のよい答弁でありますが、私どもはそういう答弁には承服しかねるのであります。先ほどから申し上げておりますように、当然物価が上らなければならない状態におかれておりますときに、それは自由価格と公定価格というものをにらみ合せて、しかも自由価格においては有効需要が非常にふえたというお話でありますが、現在の社会の、このきわめて生活費に多くの費用をとられなければならない日本の現状におきましては、必ずしも有効需要が著しくふえたとは考えられない。もし今日当局がほんとうに実情をごらんになりますれば、どういう状態になつておるか、ほとんどマル公を割つた投げ売り、はなはだしいのは、一昨日の新聞を通じて見ますと、横浜における運賃のごときは公定価格の七割三分を引いて、そうして運輸業を行わなければならないような状態になつておる。こうなつて参りますと、一体どこにはたして正しい意味の有効需要が生れて来るかということであります。業態のまつたく破壊であります。この際になおこれに拍車をかけて参りまして、税金が生産原価の中に必然的に加えられるような形を示して参りますと、どんなに政府が御答弁なさりましても、今のような御答弁では承服しかねる。もう少し私は親切な御答弁を願いたいと思うのであります。操業度の上昇の問題でありますが、一体操業度の上昇とは何を言うのであるかということであります。もしそれがわれわれが考えておりますように、企業内部において合理化をするということである、あるいはそれによつて企業内部における一つの生産の上昇というようなものが、もし中に加味されておるといたしますれば、     〔菅家委員長代理退席、大泉委員長代理着席〕  これは大きな間違いだと私は考える。今日購買力が非常に減退いたしておりまするときに、いずれの産業におきましても、この上生産を上昇させて、一体それが正しい引合う値段で売れるかどうかということであります。もしそういうことができないとするならば、そのしわ寄せば必然的に、賃金の値下げと首切り以外に、私どもは持つて行く場所がなくなつて来ると思う。従つて操業度の上昇については、一体どういうことを具体的にお考えになつておるか、この点の御説明を願いたいと思う、それからさらに先ほどの私の質問で、お答えなかつた点は、地代、家賃、小作料の点であります。もし数字的に言えというなら、私は明らかに申し上げてさしつかえありません。名前を言えと言えば私は名前まで申し上げます。三十坪の土地に十坪五合の家を建てておりますものの地租、家屋税は従来よりも千五百円も大幅に上るということは、数字が明らかに示しております。地代、家賃、小作料に関係がないとは断じて言えない。これらの面についての現在制限されておりまするものを、引上げるについて、どういうお考えをお持ちになつておるか、もう一つ特に御答弁を願いたいのであります。
  51. 青木孝義

    ○青木国務大臣 おつしやる通りに、私も決して引上げを否定してはおりません。これは認めておるのであります。ただ問題はどの程度のものであるかということについて、ただいま作業をいたしておりますが、その数字の詳細については事務当局からお答えを申し上げる、こういうことであります。但し御質問の全体から見て、たとえば家賃、地代というものは、最高二倍半くらいに相なります。しかし今申し上げることは、一部分のことに属しまするので、まずそれならば今回の地方税の改正によりまして、国民の生計費にどんな影響があるかということを一応申し上げてみたいと思います。その影響を計算して見ますると、御説のように、国税あるいは物価の面を含めました全般的な視野から考えてお答えをいたしますれば、これを結論的に申し上げまして標準世帯について申し上げますと、まず生計費に対して負担を加重する要素といたしましては、市町村民税及び固定資産税の増徴によりまして三分四厘、三・四〇%それから価格調整費の削減によりまして、価格の引上げにより二・二〇%すなわち二分二厘の生計費の膨脹が考えられますが、価格面では一方におきまして被服であるとか、あるいは油脂等の増配によつてやみ買いの分が幾分縮小が予想されますので、この関係の分は減ぜられます。これが大体一分であります。それを差引きますと、合計四分六厘、四・六〇%という数字が出て参ります。それから次に生計費に対して負担を軽減する要素といたしましては、勤労所得税の税率引下げであるとか、あるいは基礎控除それから扶養控除の引上げによりまして、六分五厘四毛、すなわち六・五四%の間接税の改廃、それからタバコの値下げ等によりまして二分九厘二毛二・九二%、これを合計いたしますと、九分四厘六毛九・四六%の軽減ということに相なります。しかしこの関係を総合いたしますと、今回の現制改正の標準世帯の生計費に及ぼす影響は、差引き四・八六%すなわち四分八厘六毛の負担軽減ということに相なる次第でありまして、これは主として国税関係と合せた生計費への影響を考えたものであります。  そこで今私がお答えいたしました自由物価等についての値上り、そういうものについての関係、あるいはマル公価格についての関係、その関係で合理化、すなわち操業度を上げる、あるいは原単位を切り下げる。そういう問題をお答えいたしましたけれども、これはわれわれが今度の日本の経済の復興再建というものを目指しますならば、一応インフレを收束せしめて経済を正常の状態に持つて行くという関係におきましても、できるだけこの企業の合理化をやつて行く。こういうことでありまして、なかんづくここで問題になつているところの地方税の実施ということにあたりまして、当然物価に影響して来る。ことに企業の再評価であるとか、あるいはまたこの附加価値税固定資産税の問題、こういうことに関連しまして地方税の負担が増徴する。それに伴つて物価はどんなふうに影響するかということから総合的に考えて参りますると、どうしてもそこで一応吸收し得る部分がある。たとえば悪い面は悪い面として存在いたしますけれども、他面におきまして操業度の上昇ということは、たとえば輸出産業の特別の部面におきましては、必ずしもそれがおつしやるような決定的のものとは考えられません。やはりそういう問題も総合的に考えまして申し上げるのであつて、われわれが言う操業度の上昇ということは、過剰物資に対しては操業度の上昇ということは直接には当りますまい。しかしながら全般的の物資を総合して考えまするときには、それは一部分のフアクターになつていることはお認めになるだろうと思います。その意味で申し上げたのであつて、決してそれが合理化を実行するということはただちに首切りである、そういうふうにお考えを願わない方が適当であろうかと存じます。
  52. 門司亮

    ○門司委員 先ほどの大臣の御説明でありますが、私は非常に間違つた考えだと考えておりますが、これ以上私はそれらについての議論は避けたいと存じます。先ほどから申し上げておりまするように、なるほど国税の下つたということ、あるいはこの油脂製品、繊維製品の値下り等でございますが、これは現在の日本国民生活の問題と、非常に密接な関係を持つていることは先ほどお話の通りであります。私は今の大臣説明の数字は単なる机上の空論でありまして、何らこれが実質的には効果のないものだということが、われわれには考えられるのであります。たとえば税金の面で、所得税の面だけを見て参りましても、なるほど所得税は下つております。ことに標準家庭というお言葉がありましたが、数字を言えというならば私ははつきり申し上げますが、独身者の場合においては、住民税と従来の所得税の軽減された面とを比較をいたしてみますると、明らかに一年に約三千円程度の税金がふえるということを数字がはつきり示しております。それから標準家庭におきましては、なるほどある意味における所得税の減額において、これが住民税との比例の上には、たとえば扶養家族の問題その他について、なるほど税金は安くなるような形を示しております。先ほどから申し上げておりますように、最低の家に住んでいる者すら、自分の家であり、自分の屋敷である者ですら大体千五百円くらいの地租家屋税が上つて参ります。これが借地借家でありますと、かりにその倍を負担するとすれば約三千円の負担をしなければならない。この関係はどうなるかということであります。この関係政府は御考慮に入れておいでになりますか、単に地租が二倍半になつたから最低の家屋に住んでいる者がわずか千五百円だとお考えになるのは間違いであります。日本国民の多数は借地であり、借家に多く住んでおります。地主、家主は税金が上つただけにしてくれればいいが、これでは営業は成り立たないのであります。必然的にこれの二倍をかけて行く。こうなつて参りますれば、非常に大きな負担をしなければならない。従つて先ほど長官の言われるように決して国民生活というものが楽にならないということは、われわれははつきり言えるのであります。  それからさらにこの機会に、もう一つお聞きをしておきたいと思いますことは、先ほどからいろいろ申し上げておりますが、答弁を避けられておる面であります。いわゆる小作料であるとか、家賃であるとか、地代であるとかいうものについて、この際非常に物価以上の影響を持つておりますので、これについての値上げを支持される御意思があるかどうかということと、それから先ほどから御答弁の中には、いろいろな問題がしきりに出されてお話を願つておりますが、外形標準にかけて参りますと、事業の実態というものとかけ離れた税金を納めなければならないような形になつて来ることは必然的であります。従つてこれが中小企業に及ぼす影響をどういうふうにお考えになつておるかということであります。さらに私はお聞きしておきたいと思いますことは、この税制改革について自治庁大臣の方とのお話合いが、どの程度にできておるかということ、税金が上つて、それから物価その他の問題を考えるというお考えであるのか、あるいはこういう税制を施行することのために、一体どの程度お話合いの上で、こういう問題が提示されたかということについて、あるいはお答えにくいかもしれませんが、率直にひとつお話を願いたいと思います。     〔大泉委員長代理退席、菅家委員長代理着席〕
  53. 青木孝義

    ○青木国務大臣 ただいまの御質問の御要旨は、私どもがお答えしておることについて、何かこれは机上の空論であつて、問題にならぬというようなお話もございますが、われわれの方としましては、よく自治庁と話合いをいたしまして、そうして物価への影響がどういうことになるだろうかということは検討しておるのであります。従つて私の方が単独で、独自の見解というような意味で、机上の空論というような数字を出しておるということではないのでありまして、やはりよく話合いをいたしまして、こういう計算を出して——私のあとで事務当局説明をしていただきますが、一応全体としてこういうものは、こういう程度の最高限なり最小限をきめて計算をしておる、こういうような数字が一応出ておりますから、一応お聞きの上でなお御批判を願えればけつこうでありますが、ともかくも今おつしやいますような、これが影響は決して私ども軽いとは思つておりませんが、しかしながら計数を出して、ここに一応の御説明を申し上げると、要約すれば最初に申し上げたような形になるということでありまして、個々の詳細の問題について、この企業が最高限この程度の評価を行うとか、あるいはそれによつてどういう結果が出るか、こういう問題になりますと、これはそれぞれの個々の企業の問題にもなつて参りましよう。ことに日本の重要産業、基幹産業、そういうものからのお話でありますれば、一体どの標準で行くのかということもございましよう。ともかくもわれわれとしては最高限を基準として、一応出してあります。それからまたただいまの問題は中小企業に対してはどうかということでありますが、これは御承知通り日本の戦後の産業というものは、中小企業が約九八%を占めておると言われているくらいですから、ほとんど中小企業に属すると言つていい。大企業というものは非常に少いものになつております。でありますから、それらの区わけも十分できると思いますが、中小企業にも非常に幅がありますので、おつしやるように非常に影響の多いものも、また比較的少いものもそれはあると思います。それはなお事務当局から一応われわれの作業をいたした結果を御説明申し上げまして、なおそれについて御検討を願えればけつこうだと存じます。  それから決して中小企業の今日の状況というものを無視してわれわれが考えておるわけではない。御承知通り、現に予算委員会において、いろいろ問題となつておりますように、われわれは中小企業についての政府としての処置、そういうことについてはあらゆる努力をいたし、できるだけ合理的な措置をとつて参りたいという努力を続けておる次第でありますが、問題は結局先ほどの御質問の家賃、地代の問題は、家賃を二倍半に引上げるというものについては、地代はその中に含まれておるというふうに御了承を願いたいと存じます。なおわれわれの作業の御質問の点に対して、やつております内容を一応事務当局から説明をさせます。
  54. 狩谷享一

    ○狩谷説明員 ただいま大臣からお答えいたしましたことを敷衍いたしまして私から簡単に申し上げます。先ほど御指摘にもありましたが鉄鋼業につきましては、私どもの調べによりますと、三会社ありまして、その三会社のうちのA会社につきまして申し上げますと、地方固定資産税附加価値税の合計額を、現在の生産者価格に比較いたしますと、地方税の額は、生産者価格に対しまして、銑鉄につきましては二・三%、鋼材につきましては三・六%になつております。ところでこの会社の現在の固定資産の賦課は約七億八千万円ございましたが、その計算の基礎に使いました再評価額は、七十三倍、五七五という数字を使つております。従いましてこれは最高限の数字であると、私ども考えておるのでございますが、この結果といたしまして、この値上り率は二・三%ないし三・六%という数字になつて来るわけであります。ここで現在のマル公について、はたして吸收要素があるかないかということになりますが、これにつきましては、先ほど操業度の上昇ということを申し上げましたが、鋼材につきましても、二十四年度の生産計画は百九十万トンと記憶いたしておるのであります。これに対しまして二十五年度の生産計画は、二百五十万トンと予定いたしておるのであります。さようなわけでもつて、生産量自体が非常に下つておりましたのが、その生産量が上ることによりまして、原価の中の固定に当る部分が節減されることになります。それを考慮いたしますと、鋼材の段階におきまして、〇六%ほど固定費が節減される。また銑鉄につきましては、年産の使用割合に関する制限が、先般ゆるめられました関係上、原単位の上昇という例に当るわけでありますが、原料炭からコークスをつくります歩どまりが上昇いたします。さような関係によりまして、かなり現行の価格よりも、その要素から低減できる見通しがあるわけでございます。そのようなわけで、現在のところ私どもの一応の計算といたしましては、ただいま申しましたような固定資産税附加価値税の相当部分が、原単位の切下げとか、あるいは操業度の上昇によりまして、現行価格でも一応吸收できるのではないかというような見通しを持つておるのであります。ただいまA会社について申しましたことは、B会社につきましても同様であります。その会社につきましては、固定資産の現在の賦課が六億ございます。これの再評価の倍率を二十二倍といたしまして、百三十九億円の再評価額になります。これに対しまして固定資産税附加価値税の価額を標準税率で計算いたしますと、固定資産税は二億円、附加価値税では一億四千万円、これを平均単位あたりの価格に直して計算いたしますと、現在の銑鉄の生産者価格に対しまして、固定資産税は〇・七%、附加価値税は〇・六%、合計一・三%になります。  次に鋼材につきましては、パーセンテージは同じでありまして一・三%、かような数字が出て参ります。そうして鉄鋼業について申しますと、大体私どもの弾き出しました限りにおきましては、固定資産税及び附加価値税の絶対金額の生産者価格に対する割合といたしましては、二・三%程度が最高限ではないかと思つております。  さらに第三の例を申し上げますと、これはやはり鉄鋼業でありまして、現在の固定資産の歩からすると二億八千万円でございます。これに対して四十二倍の比率をかけますと、再評価額は百十億円になります。この場合にパイプをつくつておる会社でございますが、これの地方税の負担割合が四%というような数字が出て参ります。  以上鉄鋼について申し上げましたが、その他電気、ガス、硫安、ソーダ等現在マル公の統制価格をつけております物資について、私どもの方で調べてみましたが、ただいま申し上げました鉄鋼などが大体の標準の例でございます。硫安、ソーダにつきましては、地方税の占める割合は、生産者価格に対しまして大体一・五%程度が平常のようでございます。従いまして企業に対する影響としては、もちろんこれによつてある程度上昇価格の引上げを要するものもあると思いますが、吸收し得るものもかなりあるということで、御承知いただきたいと思います。
  55. 門司亮

    ○門司委員 ただいま御発表になりました資料を一応私どもに御提示が願いたいと思うのであります。私どもの方におきましても、大体そういう角度で、実は調査を進めておりますので、一応参考にしたいのでお願いしたいと思います。  さらにこれは、意見になりますので、これ以上御答弁を要求するというわけにも行かないかと思いますが、今当面の問題としてお考えになつておりますことは、今の数字の問題も、今現われております通り当然そういう数字はそれが七%になるか五%になるか、三%になるかという計算の仕方の違いによりまして、また私はかわつて来ると思います。ただ問題になりますのは、将来鉄産業におきましても石炭の問題、あるいは補給金の問題等によりまして、この混乱だけでも鉄産業は相当の大きな値上りをすべきであろうということは言い得るのであります。従つてそれに加えてさらにこういうことが加えられるということも、一応私どもとしては考慮に入れなければならないというように実は考えるのであります。  さらにこの機会に、最後にお聞きをしたいと思いますことは、この税制改革によつて、どうしても物価が上つて来て、そうしてこれが国民生活に及ぼす影響というものがどういう程度であるかということと、同時にあなたの方のお考えになつておりますことについては、議論になりますから申し上げませんけれども、もう少し明確に、ただ単に操業度の上昇というような言葉によりましては、われわれは承服はしかねるのであります。それはこういう重たい税金をかけて行くならば、おそらく値段を上げて行くわけに行かない、値段を上げてもなかなか購買力その他の関係で売れない。そこで必然的に先ほどのお話のようにあるいはコスト、値段が下がるとか何とかいうようなことも織込まれるでございましようが、各業態々々がおのおのそれを考慮してやるであろうというようなことでは漠然たるお考えであるとしか解釈ができないのであります。もしそういうことを現在の企業においてなし得る余裕があるということならば、おのおの生きておる企業というものは現在の状態においてすら、ほとんど精一ぱいにこういうことをやつておる。それにもかかわらず外形標準によつて税金がこういうふうにかけられて参りますと、どういうことをお考えになりましても、必然的に物価は上らざるを得ないという結論が出ると思います。この税制改革が物価に及ぼす影響は、必然的に物価の値上りを来たすものであるということに解釈をしていいかどうかということだけの答弁を伺つておきたいと思います。
  56. 青木孝義

    ○青木国務大臣 この税制改革の物価への影響という問題については、一応値上りということは認めます。しかしながらわれわれが物価を扱つておる立場からいたしまして、先ほど来申し上げましたように、ともかくも生産とか貿易とか金融とか財政とか、その他いろいろなフアクターを上げまして、その一応の結果を出して行く。こういう場合におきまして物価の問題というものは、きわめて重要でありまして、物価の体系をくずす、くずさなければならぬというようなことには、きわめて緻密な配慮をいたしておる次第でありまして、現在のところ物価体系をくずすということなしに、吸收できる部面は吸收して、できるだけ低度な上昇にとどめるというような配慮は持つておるのでありまして、もちろんこれは一般経済施策と関連を持つものでありますけれども、当面の問題としては、この地方税の賦課という問題、税制改革という問題にからみまして、今申し上げたような結果が大体出ておるということでありまして、全然上げるということを認めないわけではない。認めるからこそ一応の試算をいたしまして、その結果がどうなるであろうかということを結論づけておる次第でありますが、その場合におきます門司さんからのお言葉のような非常に極端に上つてその企業が困難を生ずる。あるいは一般的にこれを見て、一般中小企業等における影響が非常に大きいというような問題は、日本経済の現状から見まして、確かにこれが影響があるかないかということで計算をし、配慮もいたすのでありますが、ともかくも一応こういうことに計算づけられておりますから、なお検討すベきものは検討を続けまして、正確に近いところの結論を得る、そうして大体においてこれならばやつて行けるであろうかどうかという問題は、国民経済全体の観点からも考えなければならぬ問題でありますが、ともかくも御質問の御要旨については、以上のような点で一応お答え申し上げたと思いますので、なお今後とも御疑問等の点がございますれば、御質問をいただきたいと思いますが、一応今日のところわれわれの作業の結果としてお答えを申し上げた次第であります。
  57. 門司亮

    ○門司委員 最後に簡単でありますが、主として私は中小企業、あるいはその他の企業に対する問題を申し上げたのでありますが、もう一つ御承知を願つておきたいと思いますことは、サービス業であります。ことに今度の問題で一番大きな影響を受けるのはサービス業であります。これらに対する手数料、料金の値上りも必然的に起つて来ると思いますが、これは私鉄を初めあるいは倉庫業であるとか、あるいは新聞業であるとか、あるいは運送業であるとかいうようなサービス業に対しては、ことさら影響が大きいと思いますが、これらの料金、手数料の値上り等のために、今長官のお話のように物価が上るということを認めるというようなお話でありましたが、同様に考えていいかどうかということであります。
  58. 青木孝義

    ○青木国務大臣 今おつしやるようなサービス業につきましては、なお私の方におきましても検討の不十分な点もございますから、なおよく検討いたしまして、最近におきまして機会を見て、お答え申し上げたいと存じます。
  59. 大矢省三

    ○大矢委員 ちよつとこの機会に安本にお尋ねをしたいのですが、七月をもつていわゆる鋳鉄、鉄鋼、金属の補助金が打切られることになつております。従来は金属全体について補助金が出ておつたのを、最近に至つて品種別に補助金を出すことになつた。これを具体的にいいますと、各地方団体で計画しておるところの上水道の建設に大きな支障を来しておる。それは全体に対して補助金が出ておつたから、その地方の割当要求に応じて生産しておつたものが、品種別に来たからしてそこで非常に制限されて、各自治体の水路工事が中止せざるを得なくなつた。ことに七月以降から値上りになりまして、業者に聞きますと、トン当り一万二、三千円の値上りです。これは地方自治体の起債の上にも、計画の上にも大きな問題になつておる。先ほど来問題になつておる失業者の応急事業、公共団体のそういう公共事業に対する影響もきわめて大きい。それで必要のない、要求のないものを品種別に割当てたから、全体的に見ると二十五年度の計画の予算でとつた補助金が余つて来る場合、今までのように必要に応じて出せば、鉄管が必要なら鉄管に、あるいは機械のための原料が必要ならば、それに出すということになりますが、品種別になつたために、計画が非常に齟齬を来したということであります。どうしてこれを品種別にこの際わけたか。またそれが余れば計画した通り鉄鋼、金属には全体を出すのか。ことに従来マル炭と申しますか、炭鉱方面の割当というものが、ほとんどその通りに来ない。そうして必要な公共団体がいつも圧迫を受けておるというような実情でありますから、この際必要なものは、それだけ計画通り渡すのか。あるいはまた全体を割当てて、余つた場合の補助金を七月以降打切らずに、継続して全額を使うのかということをこの際お聞きしたい。
  60. 青木孝義

    ○青木国務大臣 ただいま鋼材その他鉄の問題で、補助金と補給金を削減したその影響についての問題と思いますが、これは御承知通り昨年の七月以降削減をいたしました。それはやはり予算面においては削られますので、その後余つたものをどうするということにはならぬように承知いたしております。
  61. 大矢省三

    ○大矢委員 私の質問の言葉が足りないかどうかしらないが、つまり今までは全体の鋳鉄鋼に向つての補助金が出ておつた。それを機械に幾ら、パイプに幾ら、鉄管に幾らというように品種別にわけたために、必要なものが押えられて来た。そのために地方自治体の上水道の建設に大きく影響して来た。建設省に聞きますと、安本が今度そういうふうなことをやつて来たからこういう結果になつた。何とも申訳ない。こう言つている。これは各自治体が非常に困つている問題である。なぜ一体そんなことをきめたのか。全体に出すことはなぜいけないのかということなんです。
  62. 青木孝義

    ○青木国務大臣 今御質問の建設省が、安本できまつたからこうなつたというふうに簡単に言つておられるということでありますが、それはよく話合いをいたしまして、われわれのところは決定をいたしておりますので、各省との関連いたします事項、ことに安本が計画を立てて実際面へ移して参りますものについては、決して私どもの方で単独でこれをやつて来ているのではないのであります。一切のことが話合いをして、それではこういうことできめようということになつているのであります。その点の誤解は一つお解きを願いたいが、しかしその後の問題については、事務当局からお答えを申し上げます。
  63. 狩谷享一

    ○狩谷説明員 鉄鋼につきましては、現在価格調整費で補給金を出しておりますが、昨年以来この補給金の額を圧縮する方針のもとに、去年は二千二十余億の補給金を二百三十億補正予算で削減いたしました。本年度におきましては去年の約半分になります。補給金全体としては九百億ということで予算に組んでいるわけであります。そのうち鉄鋼の補給金がございまして、その鉄鋼補給金につきましては、昨年も二回にわたりまして削減をいたしましたが、本年度も第一回としまして七月一日から鋼材の補給金をはずすことと、銑鉄の補給金を削減するという計画を組んでおります。この予定のもとに現在の予算での価格調整費ができているわけであります。このことと、ただいまお話がありました一括して計上してあつたものが、個々のものにわけたというような話を承りましたが、そういうことにつきましては価格調整費に関する限りにおきましては思い当る節はないと思います。
  64. 菅谷喜六

    菅谷委員長代理 ちよつと速記をやめてください。     〔速記中止〕
  65. 菅谷喜六

    菅谷委員長代理 速記を願います。それでは昨日委員長より提出いたしました本案に対する公聴会開会承認要求書に対して、議長の承認がございましたので、これより公聴会開会について議決して、議長に報告することになりますので、地方税法に関して四月十日、十一日、十二日それぞれ午前十時より地方税法の改革について公聴会を開くこととして、議長に報告いたしたいと思いまするが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 菅谷喜六

    菅谷委員長代理 異議ないものと認めまして、さよう決します。     —————————————
  67. 菅谷喜六

    菅谷委員長代理 次にお諮りいたしますが、本案に対して、水産委員会及び運営委員会より、それぞれ連合審査を開会したき旨申入れがありましたので、本委員会はこれらの委員会と連合審査会を開くことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 菅谷喜六

    菅谷委員長代理 御異議なしと認めまして、さよう決します。  それでは本日はこの程度にして、次会は明三十一日午前十時より開会して、本案の質疑を続行いたしたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時十三分散会