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1950-03-08 第7回国会 衆議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月八日(水曜日)     午後二時七分開議  出席委員    委員長 中島 守利君    理事 大泉 寛三君 理事 川西  清君    理事 川本 末治君 理事 菅家 喜六君    理事 野村專太郎君 理事 久保田鶴松君    理事 藤田 義光君 理事 立花 敏男君    理事 大石ヨシエ君       大内 一郎君    河原伊三郎君       清水 逸平君    吉田吉太郎君       門司  亮君    床次 徳二君       池田 峯雄君    井出一太郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 本多 市郎君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 荻田  保君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君      ――――◇――――― 三月六日  警察制度改革に関する陳情書  (第五二六号)  地方税制改正に関する陳情書  (第五二八号)  都市消防財政措置に関する陳情書  (第五三五号)  消防法徹底実施に関する陳情書  (第五三六号)  鉱産税木材引取税及び電気税市町村税とし  て存置陳情書  (第五四六号)  鉱産税市町村税として存置陳情書  (第五四九号)  自動働車税改正反対に関する陳情書  (第五五一号)  附加価値税に関する陳情書  (第五五五号)  遊興飲食税引下げ陳情書  (第五  五六号)  鉱産税木材引取税及び電気税市町村税とし  て存置陳情書  (第五五七号)  附加価値税に関する陳情書  (第五  六一号)  電気ガス税市町村税として存置陳情書  (第五六四号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任  地方財政に関する件     ―――――――――――――
  2. 中島守利

    中島委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたしますが、日程を追加して小委員補欠選任の件を議題といたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中島守利

    中島委員長 御異議なしと認め、さよう決します。すなわち消防に関する小委員及び特別市制に関する小委員に、委員の異動に伴いまして、それぞれ二名の欠員を生じておりますので、その補欠選任を行いたいと思いますが、これは投票の手続を省略いたしまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中島守利

    中島委員長 御異議なしと認め、さよう決します。消防に関する小委員には床次徳二君、池田峯雄君を、特別市制に関する小委員には床次徳二君、立花敏男君、以上を指名いたします。
  5. 中島守利

    中島委員長 地方財政に関する件を議題といたします。前会に引続き、目下政府において提案準備中の地方税法改正法律案の草案について、御質疑が場あればこれを許します。
  6. 清水逸平

    清水委員 大臣の御出席を得て伺いたかつたのでございますけれども、この税法改正案の要綱のうちの方針について一、二お伺いいたしたいと思います。  方針のまず第一に財産課税重課というのがございます。またもう一つ所得課税増加という條項がございますが、現在の情勢におきまして、どの秘も少しでも減らさなければならない、国民負担極限に達しているのではないかと思われるときにおいて、財産課税重課、この上財産粉をなしくずし的に課税するような税が、もしかけられたといたしたならば、シャゥプ勧告にありまする税制の確立を通じて、資本の蓄積とか、または産業の復興とかいう目的がありますのに、これらの目的が達せられないのじやないか。また所得課税にいたしましても、国民は現在の所得税法人税において非常に苦難を来しておる。こういうときにこれらの税の重課は、国民担税力に沿うものであるか。私は国民担税力は、もう極限に来ておると思いますけれども、これらの重課国民が耐えられるやいなや。これをまず一つお伺いいたします。  次には課税行政責任帰属を明確にする、こういうことがございますけれども、今の税徴収堪能者とされておる税務署をもつていたしましても、現在の徴税には非常に摩擦混乱を起しておる。それに地方自治庁でこれらの税が完全にとり得るか、またそれに対する当局指導方針等がございましたならば、それらの点について伺いたいと存じます。またこの地方税法によつて税種の整理が非常にされております。市町村税並びに府県税において、約三分の一ないし三分の一に税種が減つておりますけれども、こういう徴税方法をもつてしたならば、今までは非常に種類の多かつた税種によつて、広い範囲からとられておつたものが、今度は税種が少くなつたために、非常に狭い範囲課税される。従つて特定のものについてのみ、重税が課せられるような傾向が起きはいたしませんか。まずこの三点について伺いたいと思います。
  7. 荻田保

    荻田政府委員 第一の点でございますが、今回の地方税制改正は、国税改正と相まちまして、国民負担を合理化する、しかも相当程度軽減するという方向になつておりまするので、決して国民担税力が十分にあるから、さらに増税しようというような意図ではないのでございます。ただ減税いたしました場合に、その内部の税の振合いにおきまして、ここに書いてありまするような方針をとつたのでございまして、これだけをごらんくださいまして、そのために全体的に増税をはかるものであるというようなことを考えたものではございません。つまり国税において減税し、地方税においてある程度増税をする。しかし差引において国民負担は軽減するという方針をとつております。  それから財産課税重課という点でございまするが、この点は非常な問題ではあると思われますが、大体世界各国の例を見ましても、財産に対する課税というのは相当高いのでございます。ことに地方団体におきましては、たとえば英米系のごときはほとんど七、八割も財産税に頼つておるというような情勢にございますので、やはり日本の税制を安定したものにするためには、そのような方針をとろうと考えまして、この財産に対する課税重課を行つておるのであります。  それから所得課税増加でありまするが、これも何も所得課税国税地方税を総合いたしまして、決してこれ以上の負担をさせようというのではないのでありまして、国税において相当程度所得税減税、ことに御承知のように、ほとんど国税減税の重点は所得税に置いてあるのでありまして、この減税されたものの一部分を地方市町村民税という形において増加するという方針をとつております。やはり市町村のような協同体意識の強いところにおきましては、能力に応じて税を納めるというような種類税金があることは必要でございますので、やはりここに市町村民税という所得に対する課税増加行つたのであります。くれぐれも申しますが、決してこのように重課とか、増加とか書いてございますけれども、全体的には減税をはかり、しかもその内部においてある難度税種間の調整をはかりまして、合理化された負担のもとにおいて、新しい税制を組み立てようという趣旨であります。  第二の税務行政に対る責任帰属をはつきりする、つまり単方団体が自分でとりまする税について、百パーセントの権限を持ち、ほかに頼らないということは、地方自治を強化するという観点からも必要でございますし、シヤウプ勧告の言つておりますように、国税都道府県税市町村税、この三者にそれぞれ独立した権限を与える。しかもその間にかみ合せがあつて、ひとりだけかつてなことはできない。必ずどこか不合理なところが起れば、ほかの関連した税と比較して、これが目立つて来るから、この三つの税の間でお互いにかみ合つていることによつて、税全体の公平を期する。この三つのねらいが達せられるという趣旨におきまして、地方税につきまして附加税を止めるとか、あるいは課税標準税率決定等を、すべて地方団体権限にまかすというような改正行つたのでありまして、その結果御心配になりまするように、さしあたりこれを徴税する能力ありやいなやということは、まことに、われわれも縣念しておるのでありますが、すでにシヤウプ勧告が出まして、半年以上経過しておりますので各地方団体におきましては、それぞれこれを目標に準備しておりますし、さらに法案が成立いたしまして、これが施行になりますれば、いろいろの計画を持つておりますので、——またいつかの機会に申し上げてもよいと思いますが、いろいろ徴税機構その他について計画を持つておりますから、さしあたりやつて行ける。ことにこの数年を期して完全なものができるというような確信のもとに、改革をしておるわけであります。  第三の、税種を減らしたために、一方に税が片寄らないかという御質問でございますが、整理いたしました税は、すべて大体特殊な税でございまして、むしろこのような税がありますことが片方に片寄つて、残りました大きな税であります附加価値税市町村民税固定費産税、これは非常に広く網羅的にとる税でありまして、むしろこまかい特殊な税を残して置くよりも、広く一般の人にかかるような税を多くした方が、総体的に負担の公平を期するゆえんだと考えまして、こまかい税は整理するという方針をとつておる次第でございます。
  8. 清水逸平

    清水委員 ただいまの御説明によると、国民負担増税にはならぬという御答弁でございましたが、私どもの聞き及ぶところによりますると、地方税において国税減税以上に相当増税となるのではないか、こういうふうに考えられまするけれども、それらの資料については先般門司委員からも御要求があつたようですけれども、こういうふうに減税になるという資料がございましたならば、御提出を願いたいと思います。  次にもう一つ伺いたいことは、課税標準を少く見ておられはしないか、こういうことでございます。元来わが国の税法課税標準を低く見て税率を高くしておつた。そうすることにおいて徴税がしやすかつたというような歴史を持つてつた租税でございます。地方税においてもかかることがありはしないか、課税標準を低く見て、そうして税率が高過ぎやしないか、こういうことを私は憂えるものであります。一例を申し上げますれば、遊興飲食税のごときは現在禁止的の、罰金的の税金でございますけれども、それらの高いのは課税標準を非常に低く見ておられる。そのためにああいう高率の税金をかけなければならぬのではないか。そうして事実において徴収されているところを見ますると、多くは各府県において業者に、どの町村では幾らというような割当式徴税を行つておりますが、実際の遊興飲食の額による課税とは相当つたものが徴税されておるというように私は聞き及んでおります。これらの点について御当局の御意見を伺いたいと思います。
  9. 荻田保

    荻田政府委員 初めの資料の点でございまするが、われわれといたましても十分の御審議をいただく上におきまして、一日も早くいろいろの資料をとりそろえてお目にかけたいと思つておりますが、何分にもまだ根本につきまして折衝中の事項でございまするので、延び延びになつておりまするが、数日中にはでき次第何かお目にかけたいと思います。  それから第二の課税標準見積りが寡少に過ぎないかというお尋ねでございまするが、合理的に普通程度徴収し得るという限度におきまして、課税標準見積つております。ただいまお述べになりました遊興飲食税ちよつと別にいたしまして、ほかの税につきましては大体その税について徴収可能のパーセンテージを出しまして、それによりまして見積つて千九百億という数字を出しております。中には七、八、十パーセント程度にしか見積れないというふうに考えておるものもございまするが、これなどは施行の当初から——先ほどおつしやいましたように税務機構のまだ十分完備しない時期におきましては、全部これを理想的に百パーセント捕捉することは、むりではないかと考えられる点がありますので、ある程度のゆとりは置いておりますが、まずこの程度でしたらそう漏れることもなし、またそうかといつて、強きに過ぎる、つまりそれだけ徴税をむりしなければならなくなるというようなことなしに、やつて行ける程度の見込みになつております。ただお述べになりました遊興飲食税につきましては、これは率直に申しまして、今おつしやいました点があるのでございまして、そのために今後この改正によりまして、今までの税率相当低下いたしたいと考えております。しかしそう申しましても、なかなか課税標準を完全に捕捉するということはできないのではないかという懸念を持つておるのであります。また逆に申しますれば、課税標準を完全につかまえて、それに対して税率をかけますれば、相当高いむりな税金になつて来るという心配があるのでございます。この遊興飲食税につきましては、今までのやり方にいろいろ非難もございますが、これを一躍切りかえるということもできませんので、今回の改正ではこの程度減税を一応政府としては考えておる次第でございます。
  10. 清水逸平

    清水委員 この税制改革は非常に広範囲にわたつており、そのために根本的に改められて、聞き及ぶところによりますると、地方税を今までの二十倍も三十倍も納めなければならないような産業が出て来るように思います。こういう急激な税制改革は短時目にしないで、これを漸進的に改革されて行くという御意思有無を伺いたい。急な改革のためには相当摩擦も起るだろう、混乱も起るだろうと思いますが、そういう御意思有無をひとつお伺いいたしたい。
  11. 本多市郎

    本多国務大臣 税制根本的改革でありますために、個々の納税者負担の増減が相当あることはやむを得ないと存じます。根本的な考え方といたしまして、こういうふうに是正することが負担の均衡を得せしむるゆえんである、さらに地方自治体の財源を確保せしむるゆえんであるという観点から振用せられ、シヤウプ勧告となり、政府もこれを採用いたしたいと思つておるのでありまするが、お話通り何十倍というような極端な税負担変動ということは考慮しなければならぬと思います。しかしこの際は御承知通り国税地方税を通じての改正でありまして、これを総合的に減税増税計算をいたしますると、お話のような極端な増税になる場合はないと考えております。
  12. 清水逸平

    清水委員 もう一つお伺いいたします。昨年シャウプ博士の御調査された状況と現在の状況とでは非常に相違がある。これらのことも考慮の上に、この税法を立案されたかどうか。おそらく本年度においては昨年の基準をもつて課税されたならば、非常に国民的に混乱を起すのではないか。こういうことを私は衰えるのであります。それらのことのないような十分な御注意のもとに徴税をされることを望んでおる次第であります。
  13. 本多市郎

    本多国務大臣 お話の点は、国民所得あるいは附加価値等変動があつた場合、この税制が常にその変動に適応しつつやつて行けるものかどうかという御趣旨であろうと思いますが、住民税の中の所得税割は、前年度の税額標準としてとることになつておりますから、前年度に比較いたしまして、今年度が所得減つたという場合に前年度の税額標準にとられることは、現実の收入に比較して負担が重くなるという点があるのでございます。しかしこれは税率そのもの標準税率でありまして、適当に市町村において勘案されて、低い税率でとることもできるのでございますから、そこの地方財政のまかないさえできますならば、自治的に解決することができると考えております。この税制根本的な原則につきましては、これは状況変動によつて原則はかえなくても、その他のことで調節して行くことができますから多少前年度と本年度の経済状況に違いがありましても、この税制でさしつかえないものだらうと考えております。
  14. 大泉寛三

    大泉委員 この附加価値税分類のことについてお伺いしたいのですが、分類基準はどういう点から、また根拠から分類をされておるか。大体は内容を見るとわかりますけれども、その基末方針はどういうようなものであるかお伺いいたします。
  15. 荻田保

    荻田政府委員 第一種事業といたしましては、普通の商工業一般をあげたわけでございます。第二種といたしまして畜産業、と水産業、いわゆる原始産業と申しますか、これをあげました。第三種といたしましていわゆる自由職業医師弁護士、なおそのほかに多少例外になりますが、理容業公衆浴場新聞業というような公衆日常生活に最も緊密な利害関係のあるようなものを、第三和に掲げた次第でございます。
  16. 大泉寛三

    大泉委員 公衆日常生活に最も必要なもの、あるいは緊密なものと言われていますけれども、それは一種でも二種でも関係の原簿はあると思うのですが、こういう営業の種類、あるいはこういう業種に属するものということは、わけられたものについてはわかりますけれども、しかしそのわける根拠なり、基本の方針はどこにあるかというのです。
  17. 本多市郎

    本多国務大臣 それはその業態の公益性程度ということも観念の中に入つておりますし、負担力程度ということも入つております。さらに社会政策的な意味も入つておるのでございます。
  18. 大泉寛三

    大泉委員 どうもまだはつきりわからないのですが、私どもこう見ると特に技術、技能をもつて、あるいは能力をもつて業に携わるような人は、みんな第三種になつておるようですけれども、また業を淡水的にあるいは企業的に手広くやられるというようなものは第一極の中に入つておるようですが、今の大臣の言われるようなお話になりますと、よほど一種の中から三種に移り得るようなものもあると思うのです。あるいはまた三種の中から一種の方に振り向けなければならないようなものもあると思います。そのはつきりした基本的な区分というものが必要ではないかと思います。  それからもう一つ、これはさつきの本多大臣清水さんに対する答弁でわかつていますが、この固定資産税にしても、附加価値税にしても、これを比率一ぱいにかけると、地方ではとり過ぎるようなところがある。それは地方団体において適当にあんばいをされるということでありますけれども、やはりそれの比率一ぱいに多分かけるものと前提しての計算でありますが、相当とり過議はしないか。こういうことはその自治団体内において、他の税の緩和によつてこれを平均化するか、あるいはまたとり過ぎた分は、交付金の多少によつてこれを訂正するかというようなこともあるのでありますが、平衡交付金によつて是正されるということになれば、また別であります。けれども、一方においてとり過ぎ、一方において限度一ぱいにかけてなお足りないというようなところがあつた場合には、地方々々において非常に不公平な基準になりはせぬかと思うのであります。いわゆる固定資産の非常に厖大な団体、あるいわきわめて貧弱な団体もあるが、こうした調整はどんなふうに考えておられますか。ただ単に平衡交付金によつて、これを割引くということでありましようか。
  19. 本多市郎

    本多国務大臣 平衡交付金標準財政需要額と、それから標準税收入計算いたしまして交付するのでございますが、これを元といたしまして、国家が考えております標準規模の施説以上のことをやるとすれば、標準税率以上をとつてやるほかはなかろうと思います。こういう場合には制限税率までは、その自主性が認められると御了承願いたいと存じます。さらにまた標準税率をとつても、なお足りないところがありはしないかというお話でありますが、ちようどお話申し上げたことにあてはまるのでございますけれども、この平衡交付金は実際の自治体の運営規模のいかんということとは離れたものでございまして、標準需要額を算定いたしますときに、国家が考えました規模程度のことを施設するのには、標準税率で大体まかなえる。それ以下をやる場合には、これは秘を軽減してさしつかえないということになります。そのかわり施設について住民の不満を買うでありましようし、それ以上にやろうとすれば税をよけいにとるほかはない。こういうふうにして行きますから、この税については十分地方住民各位の理解の上に、運営されて行かなければならぬと思いますけれども、その点さえ徹底いたしましたならば、自治的にまかして支障ないものであろうと考えております。
  20. 川西清

    川西委員 今回の原案シャウプ勧告より建つておるところもあるが、大体シャウプ勧告趣旨に沿われて原案を作成せられたものであると思うのでありますが、ちよちよい違つておるところもあるのであります。何もその通りにする必要はないと思うのでありますけれども、特にかえられました趣旨がわからない点もありますので、その点につきまして、簡単にお尋ねしたいと存じます。  最初シヤウプ勧告では帯付金が大体四百億というのを百億に抑えるように勧告しておるのでありますけれども、この寄付金を四億から百億に押える。こういうことはどういう方法で百億に押えられる方針でありまするか、まず最初にこの点をお伺いしたいと思います。
  21. 本多市郎

    本多国務大臣 実はシャウプ博士の調査による寄付金四億というのも、何分にも寄付金、のことでありますので、正確な数字をつかむことは困難でありますが、しかし大体においてシヤウプ博士の言はれました程度寄付金はあつたろうと考えるのでございます。これを今回百億程度にこの寄付金が減少するであろう申しまする根拠は、今回この寄付金そのものが、なぜそんなに莫大に上つたかと申しますと、合法的に税として財源をまかないたいと思つても、秘法わくに縛られてやむを得ず寄付金というような方法によつてつたのでありまして、これをわくを今回のごとく拡げましたならば、今までのようなわくのもとにやむを得ず便法としてやつておりました寄付金というような方法は、少くともある意味においての強制的な寄付金なんというものはなくなる、しかし寄付金そのうのは禁止する必要もないと思いますので、きわめて任意的な寄付金ということになれば、百億程度にとどまるであろうというシヤウプ博士の見通しを、われわれも大体そうであろうと考えておる次第でございます。
  22. 川西清

    川西委員 これはほうつておけば、やはり相当な額の寄付金市町村住民に強制して参りまするから、何らかそこに通牒なり、何でもよろしいと思いまするか、寄付金を抑制するような方向に、自治庁難局といたされまして意向を正示していただきたい。  それから市町村府県におきまして、法定外普通税を設けることができるようになつておりまするけれども、今回廃止せられました税種を、再び法定外普通税において徴収するというようなことがありますると、今回の税制改革趣旨とはなはだ背馳するような結果を来たすわけでありまするが、この法案において地方財政委員会におきまして、法定外普通税の許可をいたします場合に、国の経済施策に照して適当でないものは、許可しないということになつておりまするけれども、今回整理されました税種は、この條項によつて許可しないという方針でありますか、その点をお伺いしたい。
  23. 本多市郎

    本多国務大臣 今回の地方財源わくの拡大によりまして、相当自主的にこの法定秘法の中でできるようになつて参りますので、でき得る限り法定外の不統一な税は減少する方向に向つて、推進して行きたいと考えております。しかし特別の財政的な必要があり、国の税方針等にも反しないという場合には、これを公然認めないというわけにも行きませんが、この判定は地方財政委員会ですることになつて参りますが、その場合には法定外の税でありますので、廃止せられた税、あるいはその他の税種というような区別は考えないで、取捨されることと考えます。
  24. 川西清

    川西委員 それから少し小さな問題になりますけれども、シャウプ勧告におきましては、畜産業につきましても、大体附加価値税課税しないように勧告されておるのでありますけれども、この原案を見ますと、第二種事業といたしまして、帝産業に対して課税いたすことになつております。もちろんそこに、農業に付随して行うもの及び主として土地を利用して行うものを除くという括弧が入つてはおりますけれども、こういうことでは課税するかしないかが非常にあいまいだと思いますが、これは全然畜産業を第二種事業からとつてしまうというお考えはないのでありますか。
  25. 荻田保

    荻田政府委員 シヤウプ勧告にもございますように、畜産業につきましては、農民と同様に取扱うのが妥当であるというようなことが書いてあります。結局地租は、新しい固定資産税を多額に負担しているか、どうかということが、とるかとらないかの基準になると思いますが、その場合にここに書いてありますような農業と付随して行つておるもの、いわゆる有畜農業的なもの、それから大きな土地を使いまして、放牧しているようなもの、こういうやうなものは土地を主体にいたしまするから、もちろん課税いたしませんが、そうではなくてほとんど土地は使わないでやつて行けるというような牧畜業に対しましては、やはり附加価値税とつた方が、水産業などとの振合い上適当であると考えますので、残した次第であります。
  26. 川西清

    川西委員 実際は今荻田君から言われたようなことも、理論的には言えるかもわかりませんけれども、実際上非常にこういうふうなあいまいな基準でありましては、実施いたします末端の方におきまして、非常まちまちになつて問題があると思いますので、この点につきましては、なほ御考慮していただきたいと思います。  それから市町村民税は、大体私は法人に対しては課税しないことになるであろうと思つてつたのでありますが、法人に対しても課税するようになつておりますけれども、これに対するお考えをお聞きしたいのであります。大体法人につきましては、固定資産税で、従来課税されませんでしたところの償却資産に対して、うんとたくさんかかつて参りますので、その点において市町村の財政に寄与することができるわけでありまして、市町村民税におきまして、ことさら少額の法人課税をいたす必要はないと思いますけれども、その点に関しまして、御答弁をお願いいたします。
  27. 本多市郎

    本多国務大臣 これは市町村財源を確保するためには、やはり法人につきましても事務所がその出町村内にあります場合、その事務所について均等割だけを負担していただくということは、その市町村にそれだけ関係があるわけでありまして、応益負担とでも申しましようか、それくらいのことは質担をせしめる方が財源確保のためであり、また住民としての負担の均衡を得るという見地から、さようにいたした次第でございます。
  28. 川西清

    川西委員 これは直接地方財政関係ございませんけれども、ちようど本多国務大臣荻田次長二人そろつて出席でありますので、お伺いいたす次第でありますけれども、最近市町村、都道府果におきましては、地方行政区画の根本的改革が行われるというわけで、非常に動描いたしておるところが少くないのであります。特に関西の方面におきましては、いわゆる関西方面の気分は先物買いというような精神が多いせいもありますが、大体来年の知事選挙にいたしましても、たといこういうような知事になりましても、途中で四年続かないうちに道になるので、消えてしまう、あるいは府県におきましても、退職関係のことに熱中するというありさまでありまして、ことさらに端座臆測いたしまして、行政運営を阻害いたしておるというような点が少くないのであります。現在地方自治法は、あくまでも地方公共団体自主性を尊重する建前でつくられてあるわけであります。かようなわけでありますから、府県につきましても、市町村につきましても、その意に反して統合を強制するというようなことが絶対にない、そういうふうに市町村自主性を最も阻害するような統合を強制するというような考え方では絶対にないのであるというようなことを、この席上大臣から明確にお述べくださいまして、揚魔臆測による動揺を防止いたしたいと考える次第でございますが、この点に関します大臣の御所見を付いたいと思います。
  29. 本多市郎

    本多国務大臣 ただいまお話のようなことを私どもも伝え聞きまして、どうしてさようなうわさが大きくなつたものであるか、またそうした、ことのために地方行政にいささかでも惡い影響があるようなことがあつてはならないと、非常に心配いたしておるのであります。お話通りに、地方行政区画の変更につきましては、地方住民の意向が最も基本的なものでありまして、そうした点から考えましても、今日の政府地方の行政区画、ことに道州制の問題などを強制する考えもありませんし、できるわけもないのでございます。ただシャウプ勧告によりますと、この地方行政区画問題も、地方行政調査委員会議において、あわせて研究をして結論を出していただくということになつておりますので、そこで研究され、あるいは結論が出ましたあかつきには、政府としても方針を決定し、その方針はもちろん地元の了解も、この地方行政調査委員会議のその理由、結論について納得も得られて、実施されるものであると考えております。かくすることが、自治制発達のためにいいことであるという理論が、政治力となつて解決されて行くものであると思うのでありまして、今日のところ、政府として道州制の問題を実施するなどという方針は、全然ないのでありまして、どうかそうした風説につきましては、機会がありましたならば、このことを明確にお話しくださいますようにお願いいたしたいと存じます。
  30. 川西清

    川西委員 ただいま本多国務大臣から明確なる御答弁を伺いまして、はなはだけつこうでございました。このことに関連する次第でございますが、われわれといたしましても、地方行政全般ないしは地方自治制度の根本的改革につきまして、十分研究調査いたす必要が一段と深くなつて来たことを痛感いたす次第でありますけれども、最近地方行政調査会の一行が渡米いたしまして、地方自治制度全般について研究いたす山であります。また都道府県議会の代表も、実現いたすか、いたさないか存じませんか、渡米実現促進、の決議をいたしておるというようなことを聞いております。かような意味におきまして、衆議院ないしは本委員会からも、本委員会地方行政調査会とは性格も違いますけれども、地方自治制此の根本的研究をいたしますために、アメリカの地方自治制度を研究いたす機会を持ちたいと、われわれといたしましては考える次第でございますが、かような希望を委員長に申し上げまして、私の質問を終りたいと存じます。
  31. 中島守利

    中島委員長 ただいまの川西君の御希望に対してお答えいたします。私も地方自治法は、大体連合国の司令部とは申しましても、アメリカの示唆を受けたのが多いのでありまして、わが国には急激な変化であります。そういう関係上、当委員会からアメリカの自治制度を視察するということは、まことに必要だと私は考えておるのであります。しかしこれは品下司令部の方の悪向によらなければ全然できないことなのでありまして、川西君の御趣旨は私賛成でありますから、機会がありましたら、これを要請したいと思つております。立花君。
  32. 立花敏男

    立花委員 この間の委員会大臣出席がございませんので、引続きまして、今日のようずるずるべつたりの審議になつているのですが、この際国務大臣本多さんの御意見を承つておかなければならない問題が二つございます。  一つは、前金も問題になりました国家予算との関係、それから国税との関係の問題、これは明日審議が終る予定になつておる国家予算に組まれておりますが、実は法案が非常に遅れてまだ出ておりません。また国税の方も今週中に終る予定になつておりますが、遺憾ながら地方税法改正案が出ておりません。こうなつて参りますると、関係大臣といたされまして、政治的な大きな責任をお感じになると思うのでありますが、今まで機会がなくて承れなかつたので、この際はつきりしておいていただきたいと思います。
  33. 本多市郎

    本多国務大臣 地方税法改正案の遅れていることにつきましては、その担当の私といたしまして非常に責任を感じておる次第でございます。この責任を果すためには、極力この地方税法案の成案を急ぎ、一日も早く司令部の承認を得ることが必要でありまして、その点につきまして、今田まで連日折衝を続けておるのでございます。何分にも根本的な改正でございますので、応の案は司令部と折衝をいたしましてできておりますけれども、その間日本の実情と比較いたしまして、でき得る限り円滑に運営のできる税法に面した上で出したいという考えで、今日まで努力を続けている次第でありますが、ただいまの見通しといたしましては、骨子はすべて脈が一致しておるのでありまして、わずかに税率倍数等の点につきまして、折衝が残つておる次第でございます。しかしこの点につきましても、結局折衝の妥結を見ません場合、との税法全体の国家的利益と、折衝の妥結を見なかつたわれわれの不満であると考えている点とを勘案いたしまして、決心をいたしたいと存じておりますが、今週くらいのうちに結論に到達し、司令部に送り込んで、七百條に上る案文でありますけれども、その要点さえきまれば、司令部の方にただちにも承認してもらえるように事務的、技術的な面の仕事は進捗いたしておりますので、そこに一日も早く持つて行きたい。今週一ぱいくらいのうちには、その結論に必ず到達し得るものと信じて、努力いたしておる次第でございます。  さらにもう一つ平衡交付金の方につきましては、平衡交付金法そのものにつきまして、司令部との間に意見の相違する点は、ただいまのところ取上げて言うようなものはないのでありますが、地方財政委員会設置先との関係において、すべて事務的な手続きを経た上のものを政治的な見地から、司令部の民政局においていま二、三日、二、三日ということで保留されておる次第でございまして、その点につきましても、一日も早く了解を得まして、提案できますように努力しておるところでございまして、この法案自体としては、事務的には大体変化がないものと思いますから、今日にも明日にも承認が得られるものであるという期待をもつて、努力をしている次第でございます。
  34. 立花敏男

    立花委員 次に、お伺いしようと思つておりました関係方面との交渉の経過を、般的にお話しくださいましたが、この問題は非常に住要だと考えますので、交渉経過につきまして、もう少し具体的に承りたいと存じます。形式をかえなければいけないということでございますならば、形式をかえてもけつこうでありますから、もう少し具体的に承りたい。特に地方財政委員会は、今後の地方行政組織を根本的につかさどるところでありまして、これの性格いかんは、今後の地方自治に重大な影響を及すと思います。そういう点からして、今のような一般的な御答弁では十分州得が参りませんので、もう少し詳細に承る機会をつくつていただきたいと思います。それから地方税法につきましても、税率の倍数の点だけが問題であるというふうなお答えでございましたが、はたしてそれだけの問題であるか。またそれだけの問題、であるといたしましても、どのような倍数でこのように難航をされているのか、この点も詳しく承らしていただきたいと存じます。経過を一応詳細に承りたいと思うのでありますが、その前に、こういうふうに審議が遅れ法案の決定が遅れました結果として、地方に及ぼします影響につきまして、たとえば予算は四月一日から実施されるのでありますが、平衡交付金法が決定になりませんと、予算の執行ができないわけであります。過日本多国務大臣は、年度の初めにあたつて平衡交付金地方に交付する用意があるということをおつしやいましたが、それをどういうふうにして実現なさるおつもりであるか、承らしていただきたいと思います。  それから地方税法が決定いたされますのは、おそらく五月近くになるだろうと思うのでありますが、その際に、地方の税割あるいは税の徴収その他に関しまして、非常な混乱が起ると思うのであります。それに対して政府としてはどういう手をお考えになつているか、承らしていただきたいと思いま
  35. 本多市郎

    本多国務大臣 平衡交付金法にのつとつての支払いは、相当遅れることと存じます。従つて今日までの各市町村の配付金等の実績を勘案いたしまして、渡しすぎるというようなことのない範囲内において、概算渡しをいたしたいと考えております。
  36. 立花敏男

    立花委員 いつごろでございますか。
  37. 本多市郎

    本多国務大臣 これはやはり平衡交付金法が通り、予算が確定しなければできないことでございます。
  38. 立花敏男

    立花委員 予算は通つてしまうではありませんか。
  39. 本多市郎

    本多国務大臣 参議院も通りました上で、今までの配付金の実績から見て、渡しすぎにならない範囲内において、補給するように実行いたしたいと思つております。  それからこの地方税法は、お話通り四月一日から実施することになつておりますが、四月一日に実行できないということになりますと、相当の支障を生じて参ります。まず第一に、四月からそその日その日新しい税法によつて、とつて行かなければならぬ税には相当支障を生じて来るわけでありまして、これにつきましては、地方税場法全体の通過が、あまり遅れるごとになりますと、さらに暫定的な法的措置も講じなければならないのではないか、ただいま研究中でございます。
  40. 立花敏男

    立花委員 それからこの税法一般的な内容になるわけですが、この間予算委員会本多国務大臣が、税法通りはとらないというような御答弁をなさつたようでございますが、事実でございますか。
  41. 本多市郎

    本多国務大臣 地方税に関しまする限り、大体標準税率が根幹でありますから、弾力性のあるものでありまして、課税標準を算定いたしました上でその徴收見込額に十分達し得る、あるいは超過するというような場合にはそこにその徴收見込額と申しますか、予算というものと勘案して税率調整のできる国税のように、税法が固定的なものであつて、そのために自然増收が過重負担となるというようなことは、国税に比較して村方税法というものは、地方自治体が適切、に運営すれば、そうした弊害は少ないものであるというふうに考えておるのであります。
  42. 立花敏男

    立花委員 今のお言葉は税法通りは必ずしもやらない、予算とにらみ合わして適正にやるというふうに解釈してよろしゆうございますか。
  43. 本多市郎

    本多国務大臣 地方税税率標準税率になつております。ただ二十五年度分の固定資産に限つて、一定税率ということになつておりますが、ほかの附加価値税にいたしましても、住民税にいたしましても、これは標準税率でありまして、間に合うならば、下をとるのはさしつかえないという税法になつておりますので、各市町村において適当に調節ができるのでございます。
  44. 立花敏男

    立花委員 それならばいただいております二十五年度の地方税の予算額は大体標準税率によつておるのですか。
  45. 本多市郎

    本多国務大臣 そうであります。
  46. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、余裕があるかないかということは、とつてみてからでなければわからないと思うのですが、前もつて税率を決定せずして、とつてみてから調整なさるというおつもりですか。その調整をいつ、どういう形で行いますか。
  47. 本多市郎

    本多国務大臣 これは私がそうしたところまで説明したのが、少しく先走つた説明であつたかとも思いますけれども、各市町村というものは、国全体と違いまして、きわめて手近かなものでありまして、それぞれ自分の町村内における課税対象をつかむことも、そう困難ではなかろうかと思います。それをつかみました上で、これにどの税率をかければ予定の収入が得られるかということは、私は勘案できるのではないかという意味から申し上げておるのでございます。
  48. 立花敏男

    立花委員 そういたしますと、やはり市町村税率を、幅をもつて決定することですか。
  49. 本多市郎

    本多国務大臣 そうです。
  50. 立花敏男

    立花委員 しかしその問題は、非常に言うはやすくして行うはかたいと申しますか、りくつの上ではそうなりますが、実際市町村にとりますと、やはり税法通り最高の制限税率までとるという形が、当初としては出て来るのは当然だと思うのです。特に住民税などの問題にいたしましても、すでに各市町村から反対の陳情が来ておりますように、たとい予算上はとれる形になつておりましても、とれないというのがおそらく事情だろうと思います。この問題は、先ほど清水さんから担税力の問題が出ておりましたが、とれないのが当然だろうと思います。その際にとれるだろうというような見込みで、この標準税率よりも低い税率をかけるような事町村は、おそらくないと思います。こうなつて参りますと、最高の税率をかけまして、そうして納めた方が損をして、納めなかつた方が得をするというような形が出て来ると思います。この問題はどういうふうにお考えですか。
  51. 本多市郎

    本多国務大臣 これは各市町村の心持ちを察しての見通しでありまして、その点は何とも言えないと思います。これはその市町村の意見といたしまして、制限税率まで何でもとろうという意見になりますが、今日の税負担の重さを考えますと、標準需要費をまかなえれば、その程度でとどめておこうというようなことになるところも多いでありましよう。しかしさらにいろいろの施設の前後も考えまして、標準税率以下でとどめておくところもあろうかと思います。これは自治体が自主的に決定することでありまして、標準税率以下をとるか、制限税率まで一ぱいにとるかということは、一がいには申し上げられないと思われます。
  52. 立花敏男

    立花委員 そういう税法でございますと、私ども非常に困ると思うのです。そういう税法で参りますと、結局制限税率まではかけてもいい、何らそれをチェックするものはないということになりますと、課税される方から申しますと、制限税率をとられるという建前から、やはり問題を考えなければいけないと思うのです。そうなりますと、地方税はわずか四百億ばかりの増徴ではなしに、おそらく一千数百億の増徴になるのではないかとも考えます。たとえば附加価値税など、どういうふうに御計算なさつたか知りませんが、国民所得によりますと、賃金部分だけで約一兆三十億はかりあるのでございますが、これに制限税率までかけますと、附加価値税は賃金部分たけで約一千億あるのでございます。こういうふうに、これは付加価値税の問題だけを申しましたが、固定資産税にいたしましても、おそらく土地、家屋だけで四百八、九十億とりまして、あとなお償却用の固定資産税だけで、百五十億ないし二百億とれるということになつて参りますと、とられる側から申しますと、莫大な負担を予想して、自分の経営なり、あるいは家計の目途にしなければいけなくなるのでありますが、ここから地方税法改正に対する非常に大きな疑惑なり、動揺なりか起つて来ると思いますが、この問題はもう少しはつきりさしていただきたと思います。本多さんが税法通りとらないとおつしやられたことは非常に重要でありまして、これは地方民に対しましては、決定的な悪影響を与てるのではないか。また私どもといたしましても、税法通りとらない税法を審議する必要はないと思います。     〔委員長退席、大泉委員長代理着席〕  その点をもう少し根本的にはつきりしていただきたいと思います。
  53. 本多市郎

    本多国務大臣 私は税法通りとらないと言つたのではなくて、標準税率通りにはとらないで、必ずしもその通りとらないであろうという意味でありまして、その標準税率の下をとるのも、標準税率から制限税率までの間をとるのも、この税法根拠としてとるのでございますから、これは税法通りであろうと思います。しかし必ずしも標準税率通りに、一万以上の市町村が全部これでとるということは、それを動かせないものとするならば、地方の財政的自治をかえつて阻害するものでありまして、今回の税法は財政的自治を強化するという意味から、財源に弾力性を持たせる趣旨でございますので、この税法範囲内における調節は、自主的にやらせるということが適当であろうと考えるのであります。私の個人的な考え方で申し上げますと、将来は法律の地方税法というものはなくても、各自治体がそれぞれ適当な課税財源をまかなうところまで、将来は発達すべきものではなかろうかというふうに考えているくらいでありまして、これは標準を示すのであります。この課税標準税率と申しますのは、結局平衡交付金算定の基礎になる。同一税率をもつて算定いたしませんと、各自治体の間における財政力の比較ができませんから、これを土台にして平衡交付金算定の一つ基準をつくる。さらにまたこれを目標として勘案いたしますと、各自治体が、他の自治体に比較して、自分のところの課税は重いか軽いかということの参考と申しましようか、一つ標準になるわけであります。この標準税率の上を行くか、下を行くかにつきましては、これは負担力の十分ある都市で、そうして議会の決議によつて、さらに制限税率範囲内において多く負担しても、施設に力を入れたいということが、議会の承認のもとに行われる場合には、それはけつこうなことであると考えております。
  54. 立花敏男

    立花委員 そうなりますと、大問題でございまして、地方の議会の決議によつて制限税率までとつてもいいということになりますと、もしそういうところが大部分になりますと、全国的に制限税率で行くようになると思いますが、その場合に一体地方税は幾らになる予定でございますか。
  55. 本多市郎

    本多国務大臣 その御議論は、全然想像もできないことでございまして、今日税負担ということは、決してその住民の喜ばれることではありません。標準税率以上の税をとるためには、そこに格段の理由があり、住民の納得を得なければならぬのでありまして、そういうことにはどうしても考え得られません。
  56. 立花敏男

    立花委員 しかしそれは制限税率が仮定のことであるとお言いになるならば、標準税率も仮定のことであります。これは同様だと思います。制限税率通り行くか、標準税率通り行くかと、実情に即して実際にやつて行かなければわからぬという議論になりまして、あなたのお出しになつている地方税標準税率による予算も、これはやはり仮空のものだと言われてもしかたがないと思う。その上、あなたの御言葉によりますと、お出しになつている標準税率による税の予算は、これは平衡交付金に関連しての一応の参考的なものでありまして、決して地方税法による実際の予算ではないというふうに私どもは考えるのですが、しかも税法によつて予算をお出しになるならば、標準税率によつた場合は幾ら、制限税率によつた場合は幾らというふうに、はつきりお出しになる方がいい。制限税率全部行われるかどうかは別といたしまして、標準税率によれば幾ら、制限税率によれげ幾らというふうにお出しになる必要がありまして、これは決して仮空のことではないと思います。仮空とおつしやるならば、標準税率も仮空だと思います。それで今お出しになつている資料によれば、四百億増徴と言いますのは、今の平衡交付金に対する参考数字としての標準税率による四百億の増徴でありまして、これを制限税率によりました場合は、おそらく一千億以上の増徴になるのではないかと思いますが、この数字をはつきりお示しを願いたいと思います。
  57. 本多市郎

    本多国務大臣 上をとるか、下をとるか、そのために標準税率というものを設けて、見通しをつけているのでございまして、かりに一万二千からの市町村が全部制限税率までとるとすると、幾らになるかということは、今計算はいたしておりませんが、簡単に出ることでございますから、お示しをしてもけつこうでございます。ただしかしそういう場合は私どもとしては想像もできないのでございまして、どこまでもこの税法によつて大体見込まれる収入としては、標準税率見積つた金額が、中庸を得たその実際に近いものであろうという考えを持つております。もつともこの標準税率によつて算定いたしました収入見込額は、全国市町村が実施いたしました場合の実際の収入額とは符合しないのでございます。それはただいま申し上げました、自治的に制限税率範囲内において、自由にとれるのでございますから、標準税率はただ標準をもつて見たというだけでありまして、実際とは符合しないことは、あらかじめ私どももよく承知いたしております。
  58. 立花敏男

    立花委員 それではそれと関連いたしまして、資料をお願いしておきたいと思います。今制限税率の材料を出してもいいというお返事でございましたが、このお出しになつている税収入の予算に関する分類と、その計算根拠、これを固定資産税附加価値税、あるいは住民税について、詳しい資料をお出し願いたいと思います。  それからそれと関連して、都道府県の、できましたら市町村別の平衡交付金の配付金額の予定表、これもお出し願いたいと思います。  次に税金の、こまかいと申しますか、税金の中で典型的な問題をひとつ取上げて、お聞きしておきたいと思います。たとえば農地に関する固定資産税でございますが、農地解放によりまして解放されました土地の価格、これの四割四分が二十五年度において税金としてとられます。来年度からはおそらく買上げ価格とほとんど同じ額か税金としてとられます。これは農地解放の建前から申しましても、あるいは解放された土地の性質の建前から申しましても、根本的に逆行する地方税ではないかと考えるのでございますが、これが最も典型的に今度の地方税の悪い部面を代表している税だと考えますので、この点どういうふうにお考えか、御説明願いたいと思います。
  59. 本多市郎

    本多国務大臣 今回の税制改正は、国税地方税を通じての改正でありまして、これを総合的に計算いたしますと、農家の負担は軽減されることになると存じます。ただいまお話の、農地から税をとることがいいか悪いかという問題につきましては、これはやはり地方自治体の財源を確保する上においては、そうした固定資産をとらえて適当な税率でとつて行くことが、必要であると考えております。
  60. 立花敏男

    立花委員 それでは最後にひとつ税金の行方なのでございますが、本多さんは関係が深いので、特にお尋ねしておきたいと思います。総合開発地区の問題ですが、総合開発の費用は平衡交付金からお出しになるのか、地方税の中からお出しになるのか、あるいはその他からお出しになるのか、あるいはこれらを合算したものからお出しになるのか、お聞きしておきたいと思います。
  61. 本多市郎

    本多国務大臣 ただいまのお話は国の施行する総合開発でございますか、それでありましたならば、国の負担になります。もし国が特定の地域を指定して、それを代行せしめるというような場合には、これは平衡交付金外の特別な補給金、交付金というような制度が生まれるべきものだと考えております。
  62. 立花敏男

    立花委員 これで大体終りたいと思いますが、最初に申しました関係方面との交渉の経過の詳細な御説明は、どういうふうにして伺わしていただけますでしようか。
  63. 本多市郎

    本多国務大臣 まず地方税についての交渉でございますが、附加価値税については、付加価値税の税率を、附加価値の百分の四が第一種、百分の三が第二種、第三種、こうなつているのでございますが、附加価値の総額を見積もりまして、計算いたしてみましたところ、これはいま少しく低率にしても、収入の予定額に達するのではなかろうか、これは政府部内においても、いろいろな角度から研究いたしておりますので、これが絶対であるという数字はなかなか出て来ないのでありますけれども、大体総合いたしまして、もう少し税率を下げても、見積り額は得られるのではなかろうかという観点から研究いたし、司令部方面ともこの研究をつき合せておるのでありますが、司令部方面におかれましては、地方財政を確保するという点から、非常に堅実な態度をとつておられるのでありまして、この一点が今まで結論に至つておらない点でございます。  さらに市町村民税につきましては、御承知通り市町村民税が、従来は資産制、所得割、均等割でありましたものが、今度は所得割、均等割になるのでありますが、その所得割の税率が前年度の税額の一八%となつておるのとあります。これもいま少しく軽減したならば、予定の収入にどう影響するかというような点について、折衝しておるのでありますが、この点につきましても、同じように予定収入額に達しないであろうという見方もあり、まだ結論に到達いたしておりません。さらに固定資産税につきましては、土地、家屋の倍率の問題について、いろいろな意見が出て参つたのでございます。この土地の中で宅地と家屋につきまして、これはシャゥプ勧告によりますと、公簿上の賃貸価格の千倍をもつて課税標準の価格とするということが、指示されておるのであります。これも今日の客観情勢からいたしまして、千倍というのでは、社会通念による時価よりも高くなりはしないか。従つてこれをいま少しく倍数を引下げて時価とのつり合いのとれるような課税標準に直すべきではなかろうか。そうした場合、予定の税収入はどうなつて来るかという点について、研究が続けられております。さらに田畑の問題でございますが、田畑につきましては、田は賃貸価格の四十倍。畑は賃貸価格の四十八倍ということで、公定価格が定つております。これを三十五倍することによつて、千倍になるのであるということで、田畑以外の土地、炭屋と均衡をとるように、シャウプ勧告においては、勧告せられておるのでありますが、この点につきましても、ただいま申し上げました宅地と家屋と同じように倍率の点をいま少しく下に下げても、予定収入は得られるのではないかというような点で、折衝を続けておるのでありますが、だんだん司令部の説明もありまして、政府といたしましても、確実なところをつかんできめなければならぬという考えを今日持つておる次第であります。さらにもう一つ軍要な点は、固定資産税というものが本年に限りまして、標準税率ではなく、定率税率をもつて課税されることになつておりますが、これらについても、地方においてそれぞれくふうと努力でたとえば行政整理、事務の合理化等をやつて経費の節減ができお場合には、必ずしも定率で税をとる必要もないと考えられますので、他の税法通り標準松率にすべきではないかという意見も持つておるのでございます。こうした点について折衝を試みておりますが、シャウプ勧告根本精神と収入見積もりに及ぼす影響等の点から、まだ政府と司令部との間に完全な意見の一致を見ておらない状態でございます。しかしこれも遅くとも今週中には結論に到達することができようと存じております。以上が率直なる交渉の実情であります。  平衡交付金につきましては、平衡交付金自体については、ただいま申し上げました通り、司令部との間にも意気の相違する点はないのでありますが、この平衡交付金の決定をいたします地方財政委員会の設置法につきまして、平衡交付金地方財政委員会権限に属することであるからという密接な関連にありますので、この地方財政委員会の設置法について、さらに研究を要するということで、その内容についしてはどこがどうであるということは、向うから示されず、今日まで承認が遅れておるような状況であります。この地方財政委員会設置法につきましては、政府といたしましては、地方財政委員会委員長は国務大臣を充てるということにいたして提案いたしておるのであります。はたしてこの国務大臣をもつて充てるということに関連したものであるかどうかということは、向うから何ら示されないでおるのでありまして、この設置法との関係においていま少しく研究する必要があるからということで、私もきようかあすかと待つておるのでありますけれども、今日まで遅れておるのでございますが、こういう事情でありますので、これもさらに早く承認がいただけますように促進したいと思つております。いずれにいたしましても、二、三日のところではないかと思つております。
  64. 池田峯雄

    池田(峯)委員 今度の地方税法改正案については、国民の各階層から相当の反対が出ておる。農家の人も小作料が上るということに賛成するものはないだろう。それに家賃が上つて来る。これも反対だろうと思う。またお金持ちの人も固定資産税をたくさんとられるということに大賛成という人はないだろうと思う。私ども聞いている範囲においては、国民各層のほとんど全部がこの地方税法法案に反対、または修正の意見を持つておるようであります。それなのに、なぜ政府はそういう法案をつくらなければならないのか。私はこの根本的な問題をお聞きしたい。つまり政府の現在提出しようとしておる地方税改正法案これをぜひ通してくれ、この通り改正してくれという賛成の声が国民のどこにあるかということを私はお聞きしたい。なぜそういうものを出さなけれげならないのか。これをまずお聞きしたいと思う。
  65. 本多市郎

    本多国務大臣 今日まで地方財政がはなはだきゆうくつであつたということ、さらに税源というものが中央集権的でありまして、そうした点から地方の税源というものが、さらに圧迫を受けておりましたということは認めざるを得ないところであると存じます。今回のシャウプ勧告によりますと、地方財源を確保する。一面国税の方は、減税をいたしまして、地方税のために税源を強化して行くという方向に向つておるのでありまして、この原則についてまず政府ほ賛成でありますことさらにシャウプ氏の勧告せられました、今回の税制はこれを実施して行きましたならば、今日までの弊害を是正し、さらに国民負担の均御化、合理化というものを実現するものであるという、政府の考えておりましたことと、この原則がまつたく一致いたしておりますので、この法案を提案いたしたいと思うのであります。これは国民一般にもこの税法の精神が理解せられましたならば、必ず喜んでいただき、将来もさらに喜んでいただけるものであると考えております。どうか国会において、慎重御判断を願いたいと存じます。
  66. 池田峯雄

    池田(峯)委員 その論議は、あとで正式の法案が出ましてから、いろいろ論議したいと思いますが、今予算が審議されておる。その予算もこれはシャウプさんも言われておりますように、国家の中央の財政というものと、地方の財政というものと、これは綱の目のように相関連しているものだ。平衡交付金の額をきめる場合にも、側宜的に中央財政の御都合で平衡交付金の額をきめるのではなくて、地方の財政というものをよく検討した上で、平衡交付金がこれこれ必要であるといつて組まなければならぬと、こういうふうにシャウプさんも言われております。それなのに地方税法平衡交付金制度も、まだ草案しかできていないという状態において予算を通してしまう。平衡交付金の額もきめてしまう。これでは少し政府のやり方がおかしいのじやないか、こういうふうに考えられるのであります。当然私ども考えられることは、今度の附加価値税あるいは固定資産税、これが草案の通りにきまるとすると、それがいろいろな国民生活の上にはね返りが来る。固定資産税にいたしましても、これは当然労働者の賃金とか、その他に相当はね返りが来る。附加価値税なんというものも、今までの事業税とまつたく性質を異にしておりますから、労働賃金に税金がかかることになる。企業が損をしようが、赤字であろうが黒字であろうが、労働者を雇つて労働賃金を支払つておる。これか課税対象になつて来る。こういうことで当然これが労働者鎚金の引下げ、あるいは企業の合理化、首切りというようなことにはね返つて来る、こういうことが当然予想される。そういう点を一体どういうふうに考えているのか。従つて六千三百七円ベースというようなことも、これは当然修正しなければならぬことになつて来る。そうすると中央の財政というものは、初めからきめ直さなければならないことになるのではないか。官庁の経費そのものか御破算にならざるを得ない。こういう点をどういうふうにお考えになつておられるか。それから今総司令部と折衝中だといいますが、現在の予算の基礎は総司令部と折衝しているどの線できまるものと見越して、今の予算を組んでおられるか、この点をお伺いいたします。
  67. 本多市郎

    本多国務大臣 税は、ことに地方税法の中の附加価値税のごときは、転嫁する性質を持つております。これはやむを得ないことでございまして、どの税から転嫁させるかという違いでありまして、総合的に計算いたしまして、中央の所得税が軽減さしれ、あるいは事業者につきましては中央の取引高税が軽減され、さらに地方におきましては事業税等が軽減でなく、なくなるのでございます。そうした面から来るのでありまして、総合的に負担増加するかしないかということが問題であると思うのでございますが、これを国税地方税を通じて転嫁されたその結果を考えてみましても、負担の増になる面は、きわめてまれであると考えております。     〔大泉委員長代理退席、委員長着席〕  そういう点から考えまして、これはどの税を通じて転嫁されるかの問題であつて附加価値税のごとき税が生産原価の中に、営業費のような性質を持つて製品に転嫁されて行くということはやむを得ないことであると考えております。さらに今回の予算と地方税との関係のあるものと申しますとまず平衡交付でありましようが、平衡交付金も実はこの地方税法そのものと、直接の関係はないのでございます。ただ所得税等の税源と地方税等町の税源が同じ市町村民であります関係から、この負担関係がどうなるかということを考えれば、もちろん関係はおるのでございます。この点はただいま転嫁の問題について申し上げました踊りに、極端なる負担の増などということは考えられないのみでなく、総合的には相当負担の軽減が実現される、かように考えておる次第でございまして平衡交付金の金額につきましては、税制等のいかんにかかわらず千五十億ということに決定いたしておるのでありまして、これは地方財政の実情、さらに国家財政の実情を勘案いたしまして、制定いたしたものでございます。
  68. 池田峯雄

    池田(峯)委員 そういうふうに中央と国家の財政を勘案して、千五十億という平衡交付金をきめたといいますが、それはシャウプさんもちやんと地方の財政がどういう動きをするか、どういう内容を持つに至るかということを勘案して、そうして中央の便宜じやなく、あくまでもそういつた地方の実情に沿つて地方財政の今後の状態に即応して、平衡交付金をきめるべきである、こういうふうに言つておるのですが、それでは地方の財政は今後どうあるであろうかということを、決定するのが地方税法なのだ、地方税法がきまらないで、平衡交付金の総額をきめるというのは、私どうしても納得行かないのです。それでは千五十億という基準は、どういう基準できめたか、これをひとつお伺いいたしたい。
  69. 本多市郎

    本多国務大臣 シャウプ勧告によりますと、地方財政につきましては千九百億程度の税を確保するということが目標であります。この千九百億の税を確保した場合、平衡交付金は幾ばくであるということについて、シャウプ博士も千二百億を勧告しておられるのでありますが、その数字と今回の千五十億とは実質的に差異のないものでございます。
  70. 池田峯雄

    池田(峯)委員 ほかにいろいろ質問者もあると思いますから、あとでまた具体的な問題で質問したいと思うますが、最後に一点、これは地方配付税の配付の問題と関連して、三月三日のタ刊読売に出ていた問題なのでありますが、熱海でもつて都市研究会という名前で、地方自治庁のお役人さんも参加いたしまして、そのまわりの二十の市町村と飲めや歌えやの大騒ぎをやつて、その翌日はまた各市長自慢の持寄りのみやげものを山と積んで、マージャンだとか、やれ囲碁だとか、将棋大会、こういうものを開いた。その経費の足らたい分が熱海市の負担なつた、こういうことが新聞に出ておりますけれども、これに対する真偽のほどをお伺いしたいと思うのであります。それでこれについてはお役人さんがこういう会合に出て、飲めや歌えやというようなことをやつてやるからには、当然そこに出席した中央部のお役人さんが、接待してくれた市長さんあるいは市会に対して、何らかの利益を提供するという交換條件がなければ、こんなばかなことがあるはずはない。大体お役人さんとしてもそういつた宴会費を自分で負担するほどのお金持ではないはずである。こういう点についていかなる御見解を持つておられるかお伺いしたいと思う。
  71. 本多市郎

    本多国務大臣 ただいまのお話は初めて聞きますので、その具体的なことは存じませんが、お話通り常軌を失したようなことでありましたならば、綱紀粛正上十分戒飭いたすべきものであると考えております。
  72. 中島守利

  73. 床次徳二

    床次委員 私は本委員会が今後この税法の審議を進めるにあたりまして、あらかじめ御注文を申し上げておきたいと思います。それは元来今年の予算につきまして、国民負担がはたして軽減になるかどうかというような重要な問題であつたのでありますが、地方自治団体の財政の問題につきまして、私ども十分納得の行かないままに、予算が決定されそうになりつつあるのをはなはだ遺憾に思つておるのであります。税制の問題につきましては、やはり国民負担の均衡を得るということが、主眼目になると思うの、であります。その点につきましては、今後当委員会としてやはり遺憾のない審査をなすことが、必要であると思います。この立場からいたしまして、特に貸料をお願いいたしたいのであります。先ほど、立花委員からもお話がありまして、私の申し上げたいのもそれと関連しておりますが、今後提出せられます各地方税標準課税対象を、幾らに見積つておられるかという問題であります。先ほど立花委員と国務相との御議論は、いかなる税率を適用するかというようなことでありましたが、問題は今日政府の予定しておられる標準税率の対象となる課税源、これが幾らになつているかということであります。これを各税別にお示しを願いたい。目下折衝中であつても、見積り予定のものがおありだと思います。幾らを目標としてそれに標準課税をかけるというお見積りがあると思いますので、これを御提出願いたいと思います。それを見まして、私たちははたして国民全体が均衡のとれた税金を納めることになるかどうかということを審議しなければならないので、この材料が必要だと思うのであります。なおこの場合特にお願いいたしたいのは、先ほど委員長からもお話がありましたが、合理的な徴収可能パーセンテージを目標として見なければならぬので、この徴収可能と認めた課税の対象なるものが、種類によつてたくさんとれるものもありますし、あるいはとれないものもあるので、この差がいろいろ出て参ります。しかしこのかげんは、実際当つて見なければなかなかわからないのであります。その手かげんいかんによりましては、やはり負担の均衡が失われて来るおそれがあるのでありまして、これも大体御当局見積つておられるパーセンテージがあるはずでありますから、これを見て行きますれば大づかみの見当は立ち得るのではないかと思いますので、この機会に特にこれをお願いいたしたい。すなわち国民負担の平衡という立場から見まして、論じ得るだけの材料を出していただかないと、ほんとうの審査ができないのではないかと思います。もう少し具体的に申し上げますと、なしくずしにぽつぽつ材料が出て来たのでは、総合的な意見は立てられない。国民負担の問題につきましても、先ほど池田さんからも指摘せられたように、すでに歳出かきまり、さらに、平衡交付金がきまつて来るというようなことになつて地方ではそれに基いた歳出をつくらなければならぬような全部ごてごてとした形になつて地方負担を論じなければならぬ立場に地方行政委員会が入るということは、私ども国民に対してはなはだ相済まぬような気がするのでありまして、今後の税法におきましては、負担平衡ということに対しまして、十分審議し得るだけの心構えを持つてこれに当つて行きたい。特にこの点提案者におかれましては、かかる材料を準備していただきたいと思うのであります。なお先ほど幹部の方にもお願いしておいたのでありますが、各税の新税と旧税との対照、どういう変化があつたか、簡単に税額なり課率等につきまして、一覧表を御提示いただきますれば、審議上非常に便利だと思つております。  それから、ついででありますので関連して御質問いたしたいと無います。先ほど川西委員から、将来道州制が行われるかもしれぬ、そういう予測のもとに、地方の知事その他が職をやめて参議院に出るといううわさがあり、これが地方自治に及ぼす影響について相当お話があつたのでありますが、先ほどお手元に、全国地方自治協議会の名前におきまして「知事及び市長等の立候補制限に関する反対要望」が出ておりまして、「知事及び市長等の立候補に制限を設けんとしているが、右は憲法に保障せられている基本的人権を束縛し、自由公正なる選挙を妨げる」云云ということが書いてあるのであります。ある程度そういう考え方もできるのでありまするが、しかし逆に、今日地方自治団体関係者におきまして、参議院に積極的に出ようという考えを持つている人なきにしもあらず。しかもある程度現職を選挙に有利に使おうという者もなきにしもあらずと思います。すでに国の官吏につきましては、なるべくすみやかにその態度がはつきりした者は、やめろというようなお達しを見ており、これは適当な御措置であつたと思うのでありますが、地方自治団体に関しましては、依然としてそれがないのであります。従つて参議院の一部におきましても、かかる問題が論ぜられたのでありまするが、私たちは、今日非常に重大な危機にあります地方自治団体を、健全に発展せしめたいという立場は、あくまで固守しなければならぬ。地方自治団体が、いろいろ改正が行われ、新しく生れようとする際に、その事務が等閑に付せられるようなことがありましては、地方民としては非常に影響が多いので、かかる支障を地方自治団体に及ぼさないような措置を、ぜひ講ずることが大切であろうと思うのであります。これに関しまして、国務相に御意見がありますれば承りたいと存じます。
  74. 本多市郎

    本多国務大臣 選挙の立候補のために、地方自治団体の職員が事前運動等に忙殺されて事務に支障を来し、あるいは行政事務に適正を欠くというようなことがありますことは、まことに遺憾なことでありますから、そうしたことも考えまして、地方自治団体におきましても、政府国家公務員に出しましたと同じ通牒を発して、深く戒めてあるとかいうことであります。なお今後選挙も切迫して参りますので、そうした弊害の傾向が見られます場合には、さらに強い方法によつて、それを防ぐことができるように推進いたしたいと存じております。根本的にはやはり選挙法によらなければ解決はできないのではないかと存じますが、これにつきましては、まだ政府としても結論に到達いたしておらないのでありまして、十分研究いたしたいと思います。
  75. 中島守利

    中島委員長 委員長より政府の方へお願いいたしておきますが、この法案は予定より非常に遅れております。しかし、私どもはできるだけ審議を急速に運びたいと思つております。それには政府において、地方税法改正法律案に関する百般の資料をとりまとめて、少くも法案と同時に出していただきたい。それと、過日申し上げました大蔵省国税局において、予算委員会に提出のありましたる国税に関する資料、これも大蔵省と御交渉の上、この委員会に御提出を願いたい、本日は井出君の通告がありますが、おいでになりませんから、質問はこの次に保留しておきます。  次会は公報をもつて御通知申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十九分散会