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床次委員 私もこの
機会に一般的な問題につきまして、今後の審議にあたりまして必要と存じますことについて御注文申し上げ、あわせて私の感じておりますことを御参考に申し上げまして、今後御
当局にしかるべく
考えていただきたいと思うことを四点ばかり申し上げます。
第一の問題は歳出の問題でございます。これはかねがね私もここで議論いたしたのでありますが、ことしの予算全体を通じまして、国民負担を軽減するということを目標に編成せられておるのでありますが、国民負担を軽減するにあたりましては、これは国の歳出と
地方の歳出と両方あるのであります。国の歳出につきましては相当予算審議が愼重に行われておる。しかしながら
地方の歳出は、個々の問題につきましては、まつたく自治の範囲にゆだねられておるというような形もありましようが、今日一応予算上の基礎にな
つておりますのは、
地方自治庁が推定をされた数事が基礎にな
つて、これが国民負担の
対象とな
つておるわけであります。この
標準とされたところの
地方の歳出なるものが、はたして当を得ているかどうかということについては、かねがね私は疑問を持
つておるのでありまして、今日の
地方の
標準歳出というものは、少し
標準が低きに失するのではないかという点も、いまだに私は割切れないのです。なおそれと同時に個々の点について申し上げますと、たとえば教育費のごときは、ある
程度まで
標準というものははつきりしておかないと、将来の教育費の運営ができない、特別のわくをつけ、ひもをつけるという意味におきまして、特別の
法案が出されるような話も伺
つておるのでありますが、教育費にしてしかり、その他の
地方歳出を見て参りましたときに、今日自治庁が推定しておられるところの四千九百億何がしというような数字が低過ぎるのではないかという懸念が、私はなくならないのであります。この点については平衡交付金の制度もあるのでありますが、しかも平衡交付金には千五十億という一定の額がありますので、どうもこれは低過ぎる。この
地方標準歳出というものが、将来大きながんを国民に残すのではないかという気がするのであります。これはまあ
意見の相違かもしれませんが、私はそういう感じを持
つている。従
つて地方並びに中央を通じて
考えますときに、国民負担がはたして軽減されるかどうか疑いなきを得ない。私はそういう気持でも
つて次の問題も扱
つているわけで、これは
意見の相違になるかもしれませんが、あらかじめお含み置き願いたいと思うのであります。
次に私の
質問したい問題は、今回の
地方税制は非常に画期的な変化でありますが、同時に国税の万におきましても相当の変化が行われ、これが総合的に
一つの建物を構成しておる。その柱の一本をはずすということは、税制のバランスを失するものであるということを、シヤウプ博士も指摘しておられるのであります。この総合された
一つの税制が完全に動くように、今日
政府は努力しておられるわけであります。今日門司
委員が御
質問になりましたように、これがはたして今度の審議において適当に審議しおおせるかどうかという点については、私も門司
委員と同じように疑問を持
つておるのでありますが、特にこの
機会にお願いしておきたいのは、全体として各税間の総合性と申しますか均衡性、これはよくお
考えにな
つているように見えるのでありますが、これを実際に実施されました場合に、相当
地方によ
つては妙な現象があるのではないかということが予想されるのであります。たとえば
固定資産税だけあれば歳出は間に合うというような、あり余る方の例につきましては、しばしば承
つておるのでありますが、どうしても足らないというようなものも出て来るのではないか、また必ずしも足らぬわけではないが負担の関係が非常に不公平にな
つて来るというような、具体的な
市町村も相当あるのではないかと思うのであります。これはどうも私どものところではわからないのでありまして、自治庁の皆さんから、今度の税制を実際にや
つてみたところが、こんなふうなおそれがあるということが、もしありますれば、それを率直に指摘していただきまして、どうしてそれをカバーするかということをお互いが一緒にここで
研究する必要があるのではないかと思うのです。今日まで税制の改革をなさる場合には、大概その先の先までは一応推定して数字を出しておられる。新しい税制を適用いたしましても、具体的な末端の
市町村においては、それほどの影響はないというそこまで見きわめをつけられる。すなわち実施機関が相当長く
研究をされて、それから実施に移
つているのが、今までの税制
改正の順序のような気がするのでありますが、今度はどうもそこ主での計算が十分なされていない。どうも私ども割切れないものを持
つておるような気がするのです。先ほど申し上げました点は国民負担が
地方財政にしわ寄せされているのではないかということを申したのでありますが、同時に、税制につきましてもやはり
地方税制、おもに
固定資産税、
附加価値税、この
一つのものにいろいろの問題がしわ寄せされている。その裏を掘
つてみると、いろいろな問題がまだ残
つているのではないかという気持が抜けないのであります。どうもこの点は短期間にいろいろの資料をお願いすることは恐縮でありますが、かかる手落ちのないように私ども審議をいたしたい。この点に関しましては、御
当局も徹底的にやる時間がないかと思いますが、その点お気づきに
なつたならば、ひとつお示しをいただきたい。かなり妙な例が、具体的に出て来るのではないかと思います。これをお願いいたしたいと
思つております。
次に今回の
税法は国税並びに
地方税を通じまして、大きな改革でありますが、その根本になりますのは
所得を中心にして徴收しているという
考え方であります。しかもこれは申告によるのが将来の建前になるわけでありますが、これは私、国税についても十分お願いしたいと
思つておりますが、わが国の今日までの納税思想の実情と、今後の新しい税制に対する理想という二つのものになると思います。私たちは理想を持
つて進みたいと思いますが、理想に向
つて進み得るような具体的の施策が十分とれておるかどうかということに対して、疑いなきを得ないのであります。
手続と税務事務においても相当煩雑だと思いますが、これに協力する立場においてまだまだ国民自身も足りないし、
政府の方におかれましても協力させる態勢にな
つていないということを、私たち指摘したいのであります。自治庁の方々は
所得の問題は国税関係で扱うのだ、国が扱うのだというお
考えをお持ちだとすれば、これはたいへんな間違いでありまして、
所得税の問題は、ただちに
地方税の賦課徴收の問題に関係して参るのであります。従
つて国をあげてこの際正しい
課税標準を捕捉して、完全に徴收する。適正な
課税によ
つて適正な徴收をするということをよほど徹底させなければいけないのではないかと
考えるのであります。たとえば今日、
所得におきまして青色申告なるものが採用されておりますが、青色申告の制度たるや、制度としてはまことに望ましい制度であるにかかわらず、国の方がこの青色申告に対してどの
程度まで信頼をし、またその申告者に対して便宜をはか
つておられ、これが積極的に広がるように努力しておられるかという点を
考えますと、私ははなはだ疑いなきを得ない。今日まで青色申告が出された数字は、きわめて僅少である。二分、三分というような少い
程度の人しか青色申告を利用していないということは、今後の徴税にあた
つて非常に大きな不安を投げかけておるものであります。青色申告を採用するならば、できる限り国民全体に向
つて青色申告が便利なものである、また信頼し得るものである、これによ
つて申告するならば適正な
課税がされるのだということを、徹底せしむる必要があるのでありますが、今日のところはそれほどの価値が青色申告においてない、制度としてもおいてないし、実際の取扱いにおいても非常に煩雑なものがある。せつかく青色申告制度がありながら、実は見送らざるを得ないという欠点を持
つておると思うのであります。こういうことに対しまして、もつともつと国家全体からお
考えいただく必要があるのではないか。かかる
一つの納税運動と申しますか、同時に徴税の緩和を期するという裏づけがあ
つてこそ、初めて今度の税制
改正がよく行い得るのではないかと
考えておるのでありまして、この点に対していかようにお
考えにな
つておるかということを承りたいのであります。
最後にお尋ねいたしたいことは、ただいまの税制改革であります。門司さんからこれを一時に実施する意気込みであるかどうかというお尋ねがありましたが、理想として一時にやることについては必要だと思いますが、実際においてこれを一時に実施するごとにおいていろいろ欠陷があるならば、むしろ一部ずつなしくずしでや
つて行く。ただいま
政府委員から御答弁がありましたように、初年度は
課率を低くして進めて行くということも
一つの
方法かとも思いますが、あるいはその税の
一つ、二つを翌年度にまわしまして、漸次その完璧を期して行くということも
考えられるのであります。国民負担の公正という立場から見て、
課率を減らして比較的過ちを大きくしないというやり方がよいか、あるいは税をもう少し徹底するまで
研究して、来年度からこれを実施するという行き方もあるのでありますが、この点に関していかように
考えておられるか。
課率を減らして実施いたしますならば、それだけ税
收入も減
つて参ることになるのであります。その欠陥はどこかで埋めざるを得ない必要に迫られるのだと思いますが、この点に関して
政府はあくまで全部予想した
方法によ
つて、一癖にやろうというお
考えであるか。場合によ
つてはこれは延ばすのもやむを得ない、そういうことが国民負担均衡の見地からい
つて、適切ね
方法でもあり得るのじやないかという感じがするのであります。総論としてお尋ねする次第であります。