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1950-03-06 第7回国会 衆議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月六日(月曜日)     午後一時五十八分開議  出席委員    委員長 中島 守利君    理事 大泉 寛三君 理事 菅家 喜六君    理事 野村專太郎君 理事 立花 敏男君    理事 大石ヨシエ君       生田 和平君    清水 逸平君       淵上房太郎君    龍野喜一郎君       門司  亮君    床次 徳二君       池田 峯雄君    井出一太郎君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 荻田  保君         総理府事務官         (連絡行政部         長)      高辻 正巳君  委員外出席者         議     員 中川 俊思君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君 二月二十八日  委員大内一郎君及び森下孝辞任につき、その  補欠として大西弘君及び永田節君が議長指名  で委員に選任された。 三月二日  委員菅家喜六君及び床次徳二辞任につき、そ  の補欠として高橋英吉君及び大西正男君が議長  の指名委員に選任された。 同月三日  委員高橋英吉君及び大西正男辞任につき、そ  の補欠として菅家喜六君及び床次徳二君が議長  の指名委員に選任された。 同月四日  委員立花敏男辞任につき、その補欠として林  百郎君が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員大西弘君及び林百郎君辞任につき、その補  欠として大内一郎君及び立花敏男君が議長の指  名で委員に選任された。 同日  菅家喜六君が理事補欠当選した。 同日  立花敏男君が理事補欠当選した。     ――――――――――――― 三月一日  宇部及び光両警察署員不法彈圧に関する請願  (田中堯平君紹介)(第一一〇一号)  住民税所得割徴收制度改善に関する請願(松  永佛骨君外一名紹介)(第一一一三号)  地方公務員給與改訂に関する請願春日正一  君外一名紹介)(第一一二九号)  同(橘直治紹介)(第一一三〇号)  漁業に対する地方税制改正に関する請願(鈴木  善幸君紹介)(第一一三九号)  電気ガス税市町村移讓請願白井佐吉君  外一名紹介)(第一一九一号)  公衆浴場営業者に対する事業税を第三種に変更  の請願降旗徳弥君外二名紹介)(第一一九二  号)  市制施行に伴い豊岡町警察吏員定員増加に関  する請願佐々木盛雄紹介)(第一二二二号) の審査を本委員会に付託された。 二月二十七日  衆議院議員選挙法一部改正陳情書  (第四六八号)  電気税市町村税として存置陳情書  (第四七〇号)  鉱産税都道府県税として存置陳情書  (第四七三号)  地方税制改革に関する陳情書  (第四八〇号)  附加価値税に関する陳情書  (第四八二号)  地方議会事務局法制化に関する陳情書  (第四九三号)  電気ガス税全額府県税に編入の陳情書外一件  (第四九九号)  附加価値税に関する陳情書  (第五〇四号)  自治体警察制度改善に関する陳情書  (第五一二号)  地方自治法普及徹底のため政府関係官地方派  遣の陳情書  (第五一五  号)  地方財政委員会委員全国町村議会議長会の代  表者参加に関する陳情書  (第五一六号)  地方自治庁並びに自治委員会存置陳情書  (第五一七号)  地方自治体の特殊事業に対する特別融資に関す  る陳情書  (第五一八号)  地方税法改正に関する陳情書  (第五二〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第三号)  地方財政に関する件     ―――――――――――――
  2. 中島守利

    中島委員長 これより会議を開きます。  本日の日程は、地方財政に関する件でありますが、都合によりこの際、理事補欠選任の件を日程に追加いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中島守利

    中島委員長 御異議なしと認め、日程は追加せられました。    理事補欠選任の件を議題といたします。理事でありました菅家喜六君及       び立花敏男君が、去る二日及び四日にそれぞれ委員辞任され、再び当委員指名されましたので、この際理事補欠選任を行いたいと思いますが、これは投票の手続を省略いたしまして、    委員長において指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中島守利

    中島委員長 御異議なしと認めまして、委員長より指名することにいたし       ます。菅家喜六君の補欠には菅家喜六       君、立花敏男君の補欠には立花敏男君を理事指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 中島守利

    中島委員長 次に地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出第三号を日程に追加いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 中島守利

    中島委員長 それでは地方自治法の一部を改正する法律案議題として質疑を許します。  この際、中川俊思君より委員外の発言を求めておりますので、これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 中島守利

    中島委員長 御異議なしと認め、これを許します。中川君。
  8. 中川俊思

    中川俊思君 ただいま御質問を申し上げたいことは、これは広島県に起つた問題でありますが、地方自治法第七十六條一項の規定によりまして、去る昭和二十三年の十二月二十日に地方議会解散請求をなしたのであります。ところがその後解散請求は不当であるというので、地方議会におきましては、二十四年の二月十一日に同じく地方自治法第六十六條に基きまして異議申立てをいたしたのであります。ところがこの異議申立てに対しまして、同じく二十四年二月十五日選挙管理委員長から地方議会議長あてに、異議申立てを却下するという決定文が送られて来たのであります。そこで地方議会におきましては、ただちに反訴の手続をとりまして、ただいま地方におきましては、広島県の小さな忠海という町でありますが、非常に大きな問題になりまして、忠海の町に裁判所も何もないのでありますけれども、裁判所がわざわざここに出張をしまして、千人からの証人の調査を進めておる最中であります。この問題についてはもし裁判の結果、町会側が負けたとした場合、あるいは町民側、いわゆるリコールをいたしまして、解散請求をいたしました側が負けたといたしました場合、いずれにいたしましても、その訴訟費用はどちらが負担すべき問題か、もちろん敗訴になつたものが負担すべき問題ではありますが、ただいま私のお尋ねをせんとするところは、もし町議会側が負けました場合に、その費用役場が持つべきであるか、あるいは町会議員個人が分担すべきものであるかという問題であります。この点につきまして、この町の町会議長から法務府の法制意見第一局長の岡咲あて紹介を発しましたところ、本年一月十七日付をもつて現に訴訟継続中なるにつき、当職としては意見発表を差控えるという返事が参つておるのであります。ところがこれは概算でありまするけれども、大体五十万円くらいの費用を要するということを先般伺つたのでありますが、小さな人口一万か二万の町でありまして、町会議員も十五、六人か二十人足らずの者が出ております。その者が五十万円負担することになると、大きな問題でありますし、また同時にそういう小さな町でかりに役場がこれを負担するにいたしましても、大きな問題になるのでありまして、この地方におきましては、一体どうなるかというので、それぞれ研究を進めておるのであります。先般私はこの問題について法制局意見を聽取すべく、法制局に参りましたところが、法制局の中でもこの岡咲さんの御意見通りで、これは裁判所において決定すべき問題であるから、法制局としてはただいま意見を差控える、こういうことであつたのであります。しかしながら事務官個人的の意見を聽取いたしましたところが、この問題は非常に重要な問題であるから、公的に意見を吐くことはできないけれども、役場が持つても、さしつかえないというふうにも考えられるし、また個人が負担しなければならぬというふうにも考えられる。選挙管理委員会の方とも打合せたけれども、どうもこの訴訟費用の点については、はつきりしたことが言えない。これをかりに役場に負担さすというようなことになると、地方議会としては今後しばしばこういう問題が繰返される場合に、自分らのふところがいたむわけではないからという見地から、こういう問題が頻発するということも考えられるし、議員個人が負担するというふうにした方が、いいんじやないかというような、きわめて漠たる返事でございまして、この問題については確固たるところの確答は、いずれからも得ていないのであります。そこで結局法務府といたしましては、この問題は地方自治法において明文規定がないのだから、その明文規定をつくることは立法政策であるから、議会において適当におはからいを願う以外にない。こういうことで、各方面の意向を聽取いたしましても、結局結論が得られなかつたのであります。しかしこういうことは今後しばしば繰返される問題であると思いますので、議会といたしましても、はつきりした明文をつくつて置くことが必要ではないか、かように私も考えまして、この問題についていろいろ皆さんの御意見を拜聽をし、ただいま申し上げている点について、これ以上の御意見関係当局におありであるかどうか、あるいはこういう問題に対してはどういうふうに従来お考えになつておつたかどうか、前例があるかどうか、判例があるかどうか、こういうような点につきましてもお伺いをいたしたいと思つて、御質問を申し上げた次第であります。この点につきまして一つ御腹蔵のない意見を拜聽いたしたいと思うのであります。
  9. 荻田保

    荻田政府委員 ただいま御質問の点は非常に重要な事柄でありまして、波及するところも大きいと思われますので、もう少しこちらで詳細に取調べまして、いろいろの例等研究いたしまして、他日の機会にわれわれの考えを申し上げたいと存じます。
  10. 中川俊思

    中川俊思君 この問題は実は最初選挙管理委員会から寄せられました文書によりますと、忠海町の議長あてに当然役場が負担すべきものだという返答があつたのであります。ところがその後前言をくつがえされまして、さきにそういうことを通知しておいたが、これはやはり議員個人の負担すべきものであつて町村費に計上して支出することは許されない。従前の当委員会見解はこれによつて変更するというようなことが重ねて来たのであります。従つて選挙管理委員会といたしましても、はつきりここに御通知になつておりますように、町村費に計上していけないのかどうか、あるいは最初の御意見通りに、町村費に計上してもいいのか。こういう点についてこれらの文書から察しまするのに、はつきりした御見解が示されていないのではないかというふうに考えておるのであります。どうぞこの点は一つ單広島県の一寒村に起つた問題ではありますけれども、全国に波及するところが非常に大きいと存じますから、愼重に御研究の上、御見解の御披瀝を願つて地方自治法明文規定をしていただきたい、かように考えているのであります。
  11. 中島守利

    中島委員長 中川君、当局の方でも十分研究して御返答をいただくこととし、われわれ委員会でもできるだけ研究いたしまして、次の機会にでも意見を申し上げるようにいたしたいと思つております。
  12. 中川俊思

    中川俊思君 どうぞよろしくお願いします。     ―――――――――――――
  13. 中島守利

    中島委員長 次に地方財政に関する件を議題といたします。目下政府においては地方税法改正法律案提案すべく準備いたしておりますが、これはすでに御承知でありましようが、七百三十九條にわたる浩瀚な法案でありまして、この際提出時期及びその内容について、政府委員から一応お話を聽取いたしたいと思うのであります。概要でよろしゆうございますから、どうか政府の方で、これの説明をいたしていただきたいと考えております。
  14. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいま委員長から地方税法案提出につきまして、どういう経過をたどつておるか、またその内容についての説明を御要求になつたのでありますが、御承知のごとく、委員長お話の中にもありましたように、今回政府で準備しております地方税法改正法律案は、内容におきましても相当多くの條項を包含しておりますので、政府としてはできるだけ所要の手続きを絡まして、なるべくすみやかに国会提出をいたしたいという所存で、準備を進めて参つておるのでありますが、御案内のごとくこの税法改正にあたりましては、新たに設けられる税目もあり、その他各般の事項にわたりまして、あとう限り関係方面との折衝をも盡しました上で国会提案をいたし、御審議をわずらわしたいという心組みを持つておりますがために、今日まで延引いたしておるような次第でございます。今なお多少折衝を要する点もあり、また内容につきましても、さらに関係方面に対して政府の意図を申入れをいたさなければならないような点もございますので、いましばらく御猶予を願いたいと思いますが、政府といたしましてはせつかくこれに対しまして努力をいたしておりますことを、申し上げておきたいと存ずるのでございます。なお地方税法案改正内容につきましても、いまだ確定的なものに相なつておりませんことを御了承の上で、当局からの御説明をお聞き取り願いたいと存ずる次第でございます。
  15. 中島守利

    中島委員長 小野政府委員に伺いますが、おおよそいつごろ提出なさるおつもりでありましようか。
  16. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいま御質問がございましたが、私どもといたしましては、来週に入りまして提案の運びに相なるであろう、かように考えておる次第でございます。
  17. 中島守利

    中島委員長 委員長からもう一つお伺いしたいのですが、平衡交付金法案、及び地方財政委員会設置法案、これはきようあたりの新聞を見ますると、最近に提出できるように記載してありましだが、この二法案に対してはどういうふうになつておりますか。
  18. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいま御質問になりました地方財政平衡交付金法案と、地方財政委員会設置法案につきましては、成案を得まして関係方面目下折衝をいたしております。この両法案に関しましては、関係方面において種々意見があるようにも聞いておりますので、いまだ了解を得るに至つておらないのでございますが、ただいまお話がございましたように、一両日のうちに提案をいたし得るような段取りにまではいまだ相なつておりませんで、いましばらく時日を要するのではないか、かように考えておる次第でございます。
  19. 中島守利

    中島委員長 先ほど申しました地方税法改正法律案概要でよろしゆうございますから、お話を願いまして、そうして委員各位からそれについて御質疑を申し上げたいと存じます。
  20. 荻田保

    荻田政府委員 地方税法改正につきましては、昨年発表になりましたシヤウプ勧告趣旨に大体のつとつて、これを具体化するという方向で考えておりますので、すでにたびたびシヤウプ勧告自体の御説明あるいはその途中の政府考えというようなことを、折に触れまして申し上げておきました。大体その方針でございますが、特にかわりましたような点に重点を置きまして、御説明申し上げたいと存じます。  まず廃止いたします税目でございますが、それをさきに申し上げます。これは地方税法におきまして、今までございました酒の消費税、それから電話税不動産取得税軌道税電柱税船舶税舟税金庫税、と畜税、使用人税都市計画税余裕住宅税漁業権税自動車自転車荷車取得に対する税、こういうものは廃止になります。そのほかのものが残りまして新しい税目に名前のかわつたりするものが出て来るわけでございます。その残ります税につきましては、すべてこれを道府県市町村とのいずれかの独立税にいたします。それで道府県税として残りますのは、附加価値税入場税遊興飲食税、この三つが大きな税でございます。これはシヤウプ勧告でも道府県税とするということになつております。市町村税におきましては市町村民税固定資産税、この二つがやはり大きな税でありまして、これもシヤウプ勧告市町村税にするということがきまつております。そのほかの税につきましては、これを適当に道府県市町村とでわけるわけでございますが、現在政府として考えておりますのは、自動車税鉱区税漁業権税狩猟者税、この四つを府県税とし、他の自転車税荷車税電気ガス税鉱産税木材引取税広告税入湯税接客人税、この八つを市町村の税にいたしたいと考えております。  次にこの税目の中で大きなものについて申し上げますが、まず府県税におきまして附加価値税であります。これは新しくできる税でございますが、従来ございました事業税特別所得税が廃止されまして、この税にかわるというかつこうになります。従来の両税とかわります点は、まず課税対象におきまして、大体従来は事業自体に対する課税という考えを持つておりました。ところが今度の税は、その事業から生じますところの附加価値に対する税という考えでございます。つまり学者の使います言葉では、いわゆる直接税、收益税であつたものが、流通税の形にかわつたというふうに考えております。以下そのような趣旨で立案ができております。  それから課税対象になります事業は、従来と大体かわりございませんが、ただ農業と林業だけは全部これを除くということになつております。  それから、その次に大きくかわりましたのは課税標準でありまして、従来の所得、つまり純益をとりませんで、附加価値というものをとります。附加価値はどういうものかと申しますと、その事業の総売上げ金額から特定の経費を引いたものであります。総売上げ金額は、大体その事業に伴いますところの物品売上げ金額とか、サービス業におきましては、その役務の対価として收入する金額、なお付随的に事業に関係して生ずるような金額、これの合計額でございますが、ただ利子とか株式配当金、地代、家賃、こういうようなものは收入の中に入れません。それから、ただいま控除する特定支出金額と申しましたのは、事業に直接必要なものであつて、他の事業に、つまり他の附加価値税を負担しておる事業に対して支出する金額、その中で物品購入代金はもちろん、そのほか手数料であるとか、保険料であるとか、修繕料であるとか、その他大体他の附加価値を支拂つておる事業におきまして、附加価値対象になるというようなものは差引くというような考えでございます。これに対しまして、税率は百分の四、あるいは三・五、この点がまだきまつておらぬのでございますが、大体その程度のものを課税することにいたします。なおこの事業のうち、いわゆる原始産業、それから自由業に対するものは、これの一%だけ安くとりたいと思います。もちろん今申しましたのは標準税率でございまして、地方団体の実情によりまして、上をとつても下をとつてもよいわけであります。一応の標準税率は、かようにいたしたいと考えております。免税点は大体十二箇月で九万円ということになつております。大体附加価値税はそのようになります。  次に、市町村民税でありますが、市町村民税納税義務者は、個人所得のある、しかもその市町村内に住所を持つておる者、これが原則としまして市町村民税のほんとうの納税義務者でありますが、そのほかに市町村内に住所は有しないけれども、事務所とか、事業所とか、家、屋敷を持つておる個人、あるいはそのような事務所とか、事業所を持つております法人、これも納税義務者の中に入れたいと思います。ただ後のものは、均等割だけをとりたいと思います。課税方法は、均等割所得割と両方とりますが、均等割は、御承知のように納税義務者一人当り幾らということで、平均同じ額をとるわけでございます。その額の標準は、人口五十万以上の都市で八百円、五万以上五十万未満の都市で六百円、それ以外の市町村におきまして四百円であります。なお制限税率は一千円、七百五十円、五百円となつております。これは個人でありまして、法人につきましては、標準税率は大体それの三倍、制限税率は四倍というふうに考えております。それから次に、所得割でございますが、所得割の大きくかわりました点は、従来のように所得割ではありますけれども、市町村自分でもつて課税標準をきめて、そうして税額をきめるというような方法ではなくして、課税標準は、原則としまして国税できめました所得あるいは所得税というものを標準にするわけであります。なおそれは前年の分を用いることにしております。その課税標準に三通りございまして、一つ所得税額そのもの標準にするもの、もう一つは、所得税の基礎になりました課税所得金額というものを標準にする、なお第三に、この課税所得金額から所得税額を差引いたもの、こう三つを選択してとることができるようになつておりますが、昭和二十五年度に限つて第一の方法、すなわち所得税課税標準にする方法だけに限定いたしたいと思います。標準税率は、所得税標準とするものにおきまして、大体一八%といたしたいと思いまするが、なお昭和二十五年度におきましては、特例的に一五%といたしたらどうかという考えも持つて目下検討中でございます。それから制限税率は、今の所得税課税標準とするものにおきましては百分の二十、総所得金額課税標準とするものは百分の十、総所得金額から所得税額を控除したものを、課税標準とするものにつきましては百分の二十、こういたしたいと思つております。  第三に、固定資産税でありまするが、これは従来の地租、家屋税をやめまして、土地家屋以外に、そのほかの事業用資産であつて、いわゆる減価償却対象になるような資産、これをひつくるめたものを固定資産と称しまして、これに対する課税になります。課税標準は、従来のような賃貸価格ではなくて、そのときの時価ということにいたしたいと思います。時価の算定は、毎年度市町村におきまして、課税評価委員というものを置きまして、その調査によりまして、市町村長がきめるというのを原則といたします。しかし昭和二十五年度は、農地以外の土地につきましては、土地家屋につきましては、現在の賃貸価格を基準にいたしまして、それに対して一定の倍率をかけたものをもつて時価とみなす。こういうやり方をいたしまするが、その倍率は、シヤウプ勧告では一千倍でございましたのを、大体九百倍にいたしたい、なおできれば八百倍程度にいたしたいと考えております。それから農地につきましては、現在公定価格がついておりますので、これの二十五倍以下において地方財政委員会が定めるもの、こうシヤウプ勧告ではなつておりまするが、大体先ほど申しましたように、一千倍を九百倍にいたしますと、大体この倍率が二二・五倍となります。もし八百倍となりますれば、二十倍ということになるわけであります。課率市町村の自由でありまするが、標準税率は一・七五にいたしたい。ただ昭和二十五年度に限つて全国一律に二・七五にするというのが、シヤウプ勧告にうたつてあるところでありまするが、ただそれに対しましては、やはり二十五年度でも、地方財政状況によつて、それほど税をとらなくても済むようなところがあれば、むりに一・七五を強制する必要もないと思われまするので、これは一・七五を標準率にしたらどうかという点で折衝しております。免税点は、九百倍のときは二万七千円、もし八百倍になりますれば二万四千円くらいにいたしたいと思います。  これが大体大きな税目についてでありまするが、他の税目につきましては、小さな改正しか行われておりませんが、そのうち入場税につきましては、この税率では大体三分の一下げるという点であります。この点はすでに国会の方におかれまして、法案を成立されておりますので、三月一日より実施になつております。遊興飲食税につきましては、税率を相当程度軽減いたしたいと思います。入湯税漁業権税自動車税自転車税荷車税広告税接客人税は、大体従来と同じでありまするが、やはりこういうものにつきましても標準税率を定めて行きたいと考えております。  最後に、目的税が残りまするが、これは水利地益税と、市町村におきましては、そのほかに共同施設税でありますが、これもいずれも前と同じでありますが、水利地益税の中におきましては、都市計画事業のために充てる経費も、水利地益税としてとるということによりまして、従来の都市計画税がなくなりました欠陥を補いたいと考えております。それからなお不動産取得税その他の取得税の廃止につきましては、これも国会提出法律によりまして、三月一日より実行に移されております。ごく大ざつぱでありますが、大体の荒筋を申し上げます。
  21. 門司亮

    ○門司委員 私の当初にお聞きしておきたいと思いますことは、お聞きするというよりも当局に強く要望しておきたいと思いますことは、この法律案が非常に遅れておりますので、私ども直接審議をしなければならない委員にとりましては、この問題に対する政府当局との交渉の過程、並びに実際の問題についてしばしばお伺いしたかつたのでありますが、それらの機会がきわめて少うございまして、本日やつと正式に法案提出を見ない前に、一応の意見を承りまして、われわれのこれに対する心構えだけでも進めて行きたいというような考え方のもとに、ここに委員会は開かれておるのでありますが、この問題について、私は先日――詳しく申しますならば今月の三日でありまするが、全国の協同組合――いわゆる農業協同組合、あるいは漁業協同組合、さらに生活協同組合、これらの協同組合の主催によります懇談会に臨んだのでありますが、その際組合側の意見といたしまして、いろいろな陳情があり、いろいろな研究題目課せられたのであります。中で私どもが聞きのがすことのできなかつた一つの問題は、きわめて感情的であるとお考えになればそれまでだと思いますが、一人の生活協同組合の責任者が、この問題について自治庁を訪問しました場合に、当局としてはすでに関係方面にいろいろ陳情をし、さらにいろいろな交渉を続けておる。しかし諸君の言うような生活協同組合に対する、あるいは附加価値税をかけるというような問題等については、当局折衝はしておるが、諸君はこれを国会に陳情するよりも、むしろ関係方面に頼んだ方がよいのであつて国会はほとんど無力であるという言辞を弄されたというようなことを聞いておるのであります。そうしてその席上で――これは私一人おつたわけではありません、共産党の神山君もおりましたし、わが党の上林君、参議院議員の諸君も二、三人おられたと思いますが、国会は無力だ、従つて諸君が業者として陳情するならば、国会よりも関係方面に陳情した方が有効であろうという話を聞いたのであるが、ここにあなた方を呼んで、こういうことを聞くことは効果があるのかないのか。こういう話が出ておるが、一体自治庁はそういうことをお考えになつておるかどうか。もし自治庁がそうお考えになつておるとするならば、何もここにこんなものを持つて来るよりも、われわれが審議する必要は毛頭ないが、これはごく下僚の諸君の言い過ぎた言葉であると考えておりますので、その本人を追究し、さらにこれを責任をとつてどうしてもらいたいということは申し上げません。こういう空気がもし自治庁の中にあるとしますならば、これほど国会を軽視したものの考え方はないし、実に困つたものだと考えておる。こういう現われは、結局今日までわれわれに対して何らの法案の進行状態が示されなかつた一つの原因ではないかと考えるのであります。しかも関係をしておりまする幾多の諸君が心配をして――直接自分に関係することでありますので、心配して参るのでありますが、それらの諸君はわれわれの持つている資料よりも、はるかに進んだ資料を持つておるのであります。国会議員が審議をする前にそれらのものが関係業者の方に先に提示されておつて、それをわれわれが知らなかつたというような状態が、今日まで続けられておるということは事実であります。一体その点に対して自治庁はどうお考えになるか。私は必ずしも多くの人の知恵を借り、多くの人の輿論を集めることのために、いろいろお考えになつておる資料が外に流れることを悪いとは申し上げません。いろいろな知恵をお借りになつて、なるたけいい法案をおつくりになることはけつこうだと思いまするが、しかし一方においては国会はほとんど無力だというようなことを放言し、さらに国会に対しては何ら今日までまとまつた資料をよこさないということ自体が、私はけしからぬと思う。この点に対してどういうふうにお考えになつておりまするか、一応そのお考えを拜聽しておきたいと思います。
  22. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいま門司さんから御注意を承りまして、まことに恐縮に存ずるものであります。この地方税の改正法律案の成案を担当しております地方自治庁におきましては、今回の改正内容が広汎な各事業にわたつておりますし、また新しい税制にも相なりますので、できるだけ広く御意見を拜聽いたしまして、また実情をも考慮しつつ、立案をして参りたいという心組みをもつてつたのであります。ただいまお話になりましたような言辞が、もし弄されておるとするならば、これは何らかの、あるいは言い過ぎるというふうなことであろうかとも存じまするが、私どもといたしましては、毛頭国会を軽視するような気持は持つておらないのでありまして、この点は何とぞ御了承を賜わりたいと思うのであります。また資料その他の問題につきましても、できるだけ国会の御審議に支障を生じないようにということを念願いたして参つたのでありますが、何分大部にわたります内容でありますし、必要の都度、断片的なお話は申し上げて来たかと思うのでありますが、案の内容がなかなか決定いたしかねるような段階にありまして、ただいま次長から説明がありましたように、あるいは附加価値税税率の問題であるとか、あるいは固定資産税倍率の関係等につきましても、なお折衝を続けまして、できるだけ国民各位の各方面の御要望に沿い得るものなれば、そういうふうな方向に進んで成案を得て参りたいという気持でありますので、政府といたしましても、関係方面となお折衝を継続しておる。こういつたような事情があることを、この際御了承を願つておきたいと思うものであります。
  23. 門司亮

    ○門司委員 一応私のただいままで申し上げましたことについての了承はしておきたいと思いまするが、重ねて申し上げておきたいと思いますことは、少くとも自治庁の中で、先ほどから申し上げておりますような国会軽視に類するような言辞が弄されておることに対しましては、ひとつ嚴重に御注意を願つておきたいと考えております。  それからさらに私はこの機会にお聞きしておきたいと思いますことは、政府自体の問題でありますが、所得税法の改正が今提案されておりまして、これによりますと、相当所得税の軽減が行われるということに相なるのでありますが、この際政府考えておるほど、所得税の軽減によつて国民の負担が軽くなるかどうかということであります。これは地方税と国税との関係において、何かわかりやすい資料が、もし政府当局におありとするならば、これを次の機会でもよろしゆうございますから、われわれにお示し願いたい。これを申し上げますのは、なるほど所得税のある程度の減額は見まするが、地方税の今回の大巾の引上げによつて、国民の税負担がはたしてどの程度軽くなるものであるかということについて、これは自治庁だけに限つた問題ではないのでありますが、政府自体として、国民にこれを明確にしていただく必要がありますし、この際われわれの審議の過程の上にも必要がありますので、その数字がおわかりになるならば、お示し願いたいと思うのであります。  それからその次に、税全体の問題でありますが、税全体を見まして、なるほど廃止されるもの、それから新たに設けられるもの、さらに残されたものとがあり、さらに県あるいは市が、おのおの独自の立場において、いわゆる徴税をいたしましたその責任が明らかになる形で、税制改革が行われることは、一面われわれはけつこうだと思いますが、この中で大衆課税として従来国民がひとしく困つておりました税金が、一体どの程度安くなつているのかということであります。私がこういう疑いを持ちまするのは、税の改正の中で一方においては使用人税が削除されている。そうして接客人税が設定されているのであります。この接客人税というようなものは、営業を営みますものでありますために、これが営業税のような形で、あるいはとられるかもしれないと思いますが、いずれもこれらの税金を納めまする者は、きわめて小さな女の子でありまして、そうしてほとんど担税能力その他についても私はむりがあると思う。また一方使用人税のごときものは、従来の女中あるいはその他の家事のお手伝いを受くる、有産階級とまでは行かなくても、担税能力を持つ諸君であつたと考えているのでありますが、この税金がなくされておつて、そうして担税能力のきわめて少いと思われる者の税金が依然としてここに残されているということが一つの例であります。こういう例が見られますときに、当局の今度の税制改革の目的が、はたして奈辺にあるのか。いわゆる大衆課税を軽減するという目的であつたのか、單に税目を整理するという目的であつたのか、この辺を一応お伺いをしておきたいと思います。
  24. 荻田保

    荻田政府委員 使用人税を廃止いたしましたことは、税目もきわめて小さいのでございますし、また、もちろんおつしやいましたように、有産階級で使用人を使つているという者もありますが、中にはむしろ病人がいるとかなんとかで手不足で、生活のためにやむを得ず雇つているという者もありますので、法定税目として残しておく価値がないだろうというので、廃止したのであります。次に接客人税の点でございますが、これはやはりおつしやいましたように、このような業態が大体遊興的な業態でございますので、もちろん、その働いている本人は生活上やむを得ず、そのような仕事をしていると思われますけれども、やはりそこに転嫁が考えられますし、またそこに遊興飲食税との関係上、接客人税として、はつきりつかまえておく方が、大きな税であります遊興飲食税の徴收にも便利だというようなことから、この税は存置したような次第であります。
  25. 門司亮

    ○門司委員 單なる税目の整理であるのか、大衆課税を少くするという考えであつたのか、伺いたい。
  26. 荻田保

    荻田政府委員 両方考えております。いかなる税でありましても、小さな税は法定税目存置する必要はない。また国民負担の均衡上おもしろくない税は廃止する。この両方の観点から、税目の整理はできております。
  27. 門司亮

    ○門司委員 私はこれから先、進められる審議の過程において、次長からお話のありましたようなことについて、はたしてそうであるかどうかということの検討を一応進めて行きたいと思うのであります。それともう一つここでお伺いをいたしておきたいと思いますことは、今度の税制改革は非常に大巾なものでありまして、税の種目とそれから徴税の上にかなりの複雑な問題が起つて来ると考える。そこで当局はこういうものを全部、完全に徴收し得る確信のもとに、大体今お定めになつておるかどうかということであります。これも單に私は一例がけを申し上げるのでございますが、たとえば附加価値税の問題にいたしましても、現在おとりになつております附加価値税の方式は、言葉の上で申し上げますならば、控除式とでも申しますか、実際は一般の総收入額から資本とか設備、土地、建物、それから購入した機械について、あるいは企業に必要なものとして購入されました原料、あるいは副資材、あるいは燃料、動力というようなものが大体控除されるような形になつておる。こういうふうな形になつて参りますと、十分採算のとれております会社、工場等におきましては、おそらく資本的の設備の購入費というようなものを差引くようになつておりますので、将来事業計画として新しい事業計画が必ず持たれて来る。その場合に土地を買い、あるいは施設を求めます場合には、それが税金の対象からのがれて行く。一方赤字を出しております会社、工場等はまつたくそういう資力がない。しかし従来の設備、あるいは資産というようなものが持たれておると一応考えられる。そういうふうになつて参りますと、それに対しては固定資産税というものがとられて来る。これは別の問題といたしまして、従つてこの税二つを見れば、附加価値税をかけるといたしましても、そういう赤字の会社その他につきましては、非常に税がとりにくい形になつて来る。一方非常に採算のとれておりまする会社は、やはりそういう設備等がだんだんに増強せられて参ります。そうして課税対象からのがれるという手段が講ぜられる。こうなつて参りますと、税金の上においては担税力のあるとりいい方は、割合にのがれる道があつて、担税力の乏しいとりにくい方は、のがれる道がなくなつて来るということで、実際の問題から見て参りますと、徴税がしにくいのではないかと考えられる。これはこの問題だけではありません。さらに住民税の問題等にいたしましても、やはり同じようなことでありまして、たとえば住民税は前年度所得税をもとにして課するといたしましても、今日のような非常に移動のはげしい時代、またいろいろな変化の多い時代におきましては、おそらくこれが従来徴税しておりますものの八〇%、九〇%というような徴税ができないのではないかという心配を非常に持つのでありますが、その点は大体徴税し得るものとしてお考えになつておるかどうか。言葉をかえて申し上げますならば、この税金がむりであるかないかということであります。もちろん当局はむりでないと答弁なさると思いますが、その辺がわれわれの審議いたします上に、ぜひ必要だと考えておりますので、單に自分たちがきめた税法であるから、これは絶対にむりでないというような通り一ぺんの答弁ではなく、ほんとうにこういう税金がすべての角度から見て、とり得るものであるかどうかこの点は非常にわれわれとしては重要でありますので、特に忌憚のない御意見を私は拜聽いたしたいと考えておるのであります。こういうことを申し上げますゆえんのものは、あなた方の今まで関係方面との折衝の中に、非常に苦しかつた点もあるかとも考えますので、そういう点を腹蔵なくお話を願いたいと考えておるのであります。
  28. 荻田保

    荻田政府委員 ただいまお尋ねになりました点、まことにごもつともな点でございまして、われわれも非常にその点を心配しておるのであります。まずそのうち附加価値税につきまして、固定資産取得をしたときに引いてしまうというやり方についての批判でございますが、これについてはいろいろ見方もございましよう。今おつしやいましたと同じようなことを、たびたびわれわれも各方面から聞いておりますので、いろいろ研究したのでございますが、結局固定資産税なり、あるいは附加価値税なりはいわゆる応益的な原則からとる、こういう税が地方税として必要であるというので入つておりますが、利益のあるなしにかかわらずとるという税も入つておるわけであります。もちろんこれだけではありませんので、法人税なり所得税なりは、その総額においてむしろ大きな部分を占める方は、利益に応じてとるのでございますが、一部そのような応益的な税を残すことは、確かにこれは必要なことだと思つております。  それからまた、固定資産取得をそのときに差引くということも、やはりわが国におきまする現状から見まして、設備の更新ということが産業にとりまして必要な限り、やはりこれも一つ方法だと存じております。ただそのために、利益がないのにかかわらず、それが徴税できるかどうかという点になりますると、相当いろいろな問題があると思いますが、現在でも取引高税は利益のあるなしにかかわらず、とつているというような趣旨におきまして、先ほども御説明いたしましたように、この附加価値税は、事業自体に対する税でなくして、事業で生み出した附加価値に対して、流通税的に課税するという見地から、これはさしつかえないのではないかというふうに考えております。  次に、徴税が実際にできるかどうかという問題でございます。ことに市町村民税につきまして、前年度の実績による附加価値税にしたということからの御懸念であります。この点もわれわれ相当心配しておるのでありますが、そのために徴税の見積り額を出しますときに、ある程度そういうむずかしい、税につきましては、徴收率を下げて見積つております。もちろんそういう徴收率が下るような税金では、創設する価値がないのでございますが、ある程度はやむを得ない。ことにシヤウプ勧告も言つておりますように、新規税制は、施行したらただちによい税金ができるのではなくて、数年を経て改善して行かなければならぬということも言われておりまして、まことにもつともだと思います。従いまして初年度、二十五年度におきましては、ある程度税率を低く見まして、だんだん徴税吏員、それから納税者の側も、この新しい制度になれることを期待いたしまして、その後の成績にまちたいと考えております。
  29. 門司亮

    ○門司委員 もう一点お伺いしておきたいと思いますことは、徴税が非常に困難であろうということは、私もその通りだと思います。徴税の困難ということは非常にめんどうな問題を起して参りまして、税金を納める者だけが納めて、納税からのがれ得る者が多少できるということになつて参りますと、ここに大きな税の不公平ができて参るのであります。一応かけられた税金は、公平であるという形を示しておりましても、納税の面において、徴税できる分と、徴税できない分とできて参りますと、そこに納税に非常に大きな不公平ができて来るということ、従つてそれらの問題を多分に残しておりますのと、それからさらに審議の期間が非常に短かいので当局の御意見を、もう一応お伺いしておきたいと思いますことは、この国会でこの法案を、どうしても通過させなければならないものであるかどうかということであります。これは私として聞くことは少し聞き過ぎでありますが、私どもには現在のような進行状態で、これだけ大きな法案と、こういう非常に画期的な税制改革を持つて来られましても、これを一箇月や一箇月半で審議することは、非常に困難だと考えておるのであります。従つて国会においても、これの審議が非常に短かい時間で行われ、十分盡し得なかつたというようなずさんな税法、しかも国民負担に非常に関係いたしますものを国民に押しつけるということは、われわれは非常に心苦しいのでありますが、当局はこれに対してどういうお考えをお持ちになつているか。これは私は国会の責任もむろんありまするが、今日までこの法案がでて来なかつたということについては、当局に相当責任があると考えております。ずさんな、あるいは審議の十分盡せない法案をもつて、国民にきわめて多くの負担を要求することになるということは、私どもとして審議の過程において非常に心苦しいのでありますが、その点は当局においてどういうふうにお考えになつておりますか。
  30. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいま門司委員から御質問がございましたように、この地方税法改正法律案提案が延引いたしておりますことは、まことに遺憾に存じております。これにつきましては、私この委員会の冒頭において申し上げましたように、できるだけ政府といたしましては、関係方面との折衝等において、盡せる手を盡したいという考えのもとに、今日まで延引いたしておるような次第でありまして、国会の御審議に支障を生じないように心がけて参つたことを申し上げておきたいと思うのであります。ただ遺憾ながら提案の時期が遅れておりますために、ただいま門司委員からの御注意のような懸念を持たざるを得ないかと存ずるのでございますが、政府といたしましては、シヤウプ税制報告書の趣旨にのつとりまして、昭和三十五年度より実施をいたしたいという心組みを持つておりますので、この国会において御審議をいただきますように切望いたしておる次第であります。
  31. 中島守利

  32. 床次徳二

    床次委員 私もこの機会に一般的な問題につきまして、今後の審議にあたりまして必要と存じますことについて御注文申し上げ、あわせて私の感じておりますことを御参考に申し上げまして、今後御当局にしかるべく考えていただきたいと思うことを四点ばかり申し上げます。  第一の問題は歳出の問題でございます。これはかねがね私もここで議論いたしたのでありますが、ことしの予算全体を通じまして、国民負担を軽減するということを目標に編成せられておるのでありますが、国民負担を軽減するにあたりましては、これは国の歳出と地方の歳出と両方あるのであります。国の歳出につきましては相当予算審議が愼重に行われておる。しかしながら地方の歳出は、個々の問題につきましては、まつたく自治の範囲にゆだねられておるというような形もありましようが、今日一応予算上の基礎になつておりますのは、地方自治庁が推定をされた数事が基礎になつて、これが国民負担の対象となつておるわけであります。この標準とされたところの地方の歳出なるものが、はたして当を得ているかどうかということについては、かねがね私は疑問を持つておるのでありまして、今日の地方標準歳出というものは、少し標準が低きに失するのではないかという点も、いまだに私は割切れないのです。なおそれと同時に個々の点について申し上げますと、たとえば教育費のごときは、ある程度まで標準というものははつきりしておかないと、将来の教育費の運営ができない、特別のわくをつけ、ひもをつけるという意味におきまして、特別の法案が出されるような話も伺つておるのでありますが、教育費にしてしかり、その他の地方歳出を見て参りましたときに、今日自治庁が推定しておられるところの四千九百億何がしというような数字が低過ぎるのではないかという懸念が、私はなくならないのであります。この点については平衡交付金の制度もあるのでありますが、しかも平衡交付金には千五十億という一定の額がありますので、どうもこれは低過ぎる。この地方標準歳出というものが、将来大きながんを国民に残すのではないかという気がするのであります。これはまあ意見の相違かもしれませんが、私はそういう感じを持つている。従つて地方並びに中央を通じて考えますときに、国民負担がはたして軽減されるかどうか疑いなきを得ない。私はそういう気持でもつて次の問題も扱つているわけで、これは意見の相違になるかもしれませんが、あらかじめお含み置き願いたいと思うのであります。  次に私の質問したい問題は、今回の地方税制は非常に画期的な変化でありますが、同時に国税の万におきましても相当の変化が行われ、これが総合的に一つの建物を構成しておる。その柱の一本をはずすということは、税制のバランスを失するものであるということを、シヤウプ博士も指摘しておられるのであります。この総合された一つの税制が完全に動くように、今日政府は努力しておられるわけであります。今日門司委員が御質問になりましたように、これがはたして今度の審議において適当に審議しおおせるかどうかという点については、私も門司委員と同じように疑問を持つておるのでありますが、特にこの機会にお願いしておきたいのは、全体として各税間の総合性と申しますか均衡性、これはよくお考えになつているように見えるのでありますが、これを実際に実施されました場合に、相当地方によつては妙な現象があるのではないかということが予想されるのであります。たとえば固定資産税だけあれば歳出は間に合うというような、あり余る方の例につきましては、しばしば承つておるのでありますが、どうしても足らないというようなものも出て来るのではないか、また必ずしも足らぬわけではないが負担の関係が非常に不公平になつて来るというような、具体的な市町村も相当あるのではないかと思うのであります。これはどうも私どものところではわからないのでありまして、自治庁の皆さんから、今度の税制を実際にやつてみたところが、こんなふうなおそれがあるということが、もしありますれば、それを率直に指摘していただきまして、どうしてそれをカバーするかということをお互いが一緒にここで研究する必要があるのではないかと思うのです。今日まで税制の改革をなさる場合には、大概その先の先までは一応推定して数字を出しておられる。新しい税制を適用いたしましても、具体的な末端の市町村においては、それほどの影響はないというそこまで見きわめをつけられる。すなわち実施機関が相当長く研究をされて、それから実施に移つているのが、今までの税制改正の順序のような気がするのでありますが、今度はどうもそこ主での計算が十分なされていない。どうも私ども割切れないものを持つておるような気がするのです。先ほど申し上げました点は国民負担が地方財政にしわ寄せされているのではないかということを申したのでありますが、同時に、税制につきましてもやはり地方税制、おもに固定資産税附加価値税、この一つのものにいろいろの問題がしわ寄せされている。その裏を掘つてみると、いろいろな問題がまだ残つているのではないかという気持が抜けないのであります。どうもこの点は短期間にいろいろの資料をお願いすることは恐縮でありますが、かかる手落ちのないように私ども審議をいたしたい。この点に関しましては、御当局も徹底的にやる時間がないかと思いますが、その点お気づきになつたならば、ひとつお示しをいただきたい。かなり妙な例が、具体的に出て来るのではないかと思います。これをお願いいたしたいと思つております。  次に今回の税法は国税並びに地方税を通じまして、大きな改革でありますが、その根本になりますのは所得を中心にして徴收しているという考え方であります。しかもこれは申告によるのが将来の建前になるわけでありますが、これは私、国税についても十分お願いしたいと思つておりますが、わが国の今日までの納税思想の実情と、今後の新しい税制に対する理想という二つのものになると思います。私たちは理想を持つて進みたいと思いますが、理想に向つて進み得るような具体的の施策が十分とれておるかどうかということに対して、疑いなきを得ないのであります。手続と税務事務においても相当煩雑だと思いますが、これに協力する立場においてまだまだ国民自身も足りないし、政府の方におかれましても協力させる態勢になつていないということを、私たち指摘したいのであります。自治庁の方々は所得の問題は国税関係で扱うのだ、国が扱うのだというお考えをお持ちだとすれば、これはたいへんな間違いでありまして、所得税の問題は、ただちに地方税の賦課徴收の問題に関係して参るのであります。従つて国をあげてこの際正しい課税標準を捕捉して、完全に徴收する。適正な課税によつて適正な徴收をするということをよほど徹底させなければいけないのではないかと考えるのであります。たとえば今日、所得におきまして青色申告なるものが採用されておりますが、青色申告の制度たるや、制度としてはまことに望ましい制度であるにかかわらず、国の方がこの青色申告に対してどの程度まで信頼をし、またその申告者に対して便宜をはかつておられ、これが積極的に広がるように努力しておられるかという点を考えますと、私ははなはだ疑いなきを得ない。今日まで青色申告が出された数字は、きわめて僅少である。二分、三分というような少い程度の人しか青色申告を利用していないということは、今後の徴税にあたつて非常に大きな不安を投げかけておるものであります。青色申告を採用するならば、できる限り国民全体に向つて青色申告が便利なものである、また信頼し得るものである、これによつて申告するならば適正な課税がされるのだということを、徹底せしむる必要があるのでありますが、今日のところはそれほどの価値が青色申告においてない、制度としてもおいてないし、実際の取扱いにおいても非常に煩雑なものがある。せつかく青色申告制度がありながら、実は見送らざるを得ないという欠点を持つておると思うのであります。こういうことに対しまして、もつともつと国家全体からお考えいただく必要があるのではないか。かかる一つの納税運動と申しますか、同時に徴税の緩和を期するという裏づけがあつてこそ、初めて今度の税制改正がよく行い得るのではないかと考えておるのでありまして、この点に対していかようにお考えになつておるかということを承りたいのであります。  最後にお尋ねいたしたいことは、ただいまの税制改革であります。門司さんからこれを一時に実施する意気込みであるかどうかというお尋ねがありましたが、理想として一時にやることについては必要だと思いますが、実際においてこれを一時に実施するごとにおいていろいろ欠陷があるならば、むしろ一部ずつなしくずしでやつて行く。ただいま政府委員から御答弁がありましたように、初年度は課率を低くして進めて行くということも一つ方法かとも思いますが、あるいはその税の一つ、二つを翌年度にまわしまして、漸次その完璧を期して行くということも考えられるのであります。国民負担の公正という立場から見て、課率を減らして比較的過ちを大きくしないというやり方がよいか、あるいは税をもう少し徹底するまで研究して、来年度からこれを実施するという行き方もあるのでありますが、この点に関していかように考えておられるか。課率を減らして実施いたしますならば、それだけ税收入も減つて参ることになるのであります。その欠陥はどこかで埋めざるを得ない必要に迫られるのだと思いますが、この点に関して政府はあくまで全部予想した方法によつて、一癖にやろうというお考えであるか。場合によつてはこれは延ばすのもやむを得ない、そういうことが国民負担均衡の見地からいつて、適切ね方法でもあり得るのじやないかという感じがするのであります。総論としてお尋ねする次第であります。
  33. 荻田保

    荻田政府委員 第一点のお尋ねは、われわれの考えております地方の歳出の見積り額が寡小に過ぎないかというお尋ねでありますが、これは先般この委員会において床次委員のおつしやいました点でありまして、確かにそういう見方もあると思われますが、とにかく一方において国全体を通じます歳出全体のわく、従つて国民負担というような点に限度がございますので、地方の歳出だけについて十分なわくをとるということもできかねるような次第でございます。そうかと申しまして、これを現実以上に故意に圧縮いたしましても、結局おつしやいましたようなしわが地方財政に寄つて来て、破綻を来すということになりますので、非常にむつかしい点だと思いますが、まず来年度において大体四千九百億の地方のわくを見ますれば、少くとも二十四年度よりは相当程度改善になるのじやないかと考えておる次第でございます。  それから次に地方団体ごとの財政上の変動が、今度の税制においてどう映るかという点でございますが、これはおつしやいましたように、地方税については全体をいかにりつぱにいたしましても、個々の団体に当てはめてみまして、これが適当でなければ実効はあがらないのでございまして、われわれもこの点を非常に心配しておりまして、個々の団体について標準的なものの調査を進めておるのでございますが、できましたらお目にかけたいと存じております。ただ大ざつぱに申しまして今までの改正でございますと、地方財政調整の作用が十分でなかつた。配付税という制度が昭和十五年以来とられておりますが、これではなかなか百パーセント地方財政の調整はできなかつた。しかし今度できます地方財政平衡交付金制度は完全に地方財政の調整をするという使命を持つておりますので、いかに地方税においてその財政上の不均衡が起りましても、これによつて十分に財政調整ができる、従つて困る団体は起らないという考えを持つておるのであります。はたしてわれわれの立案いたします地方財政平衡交付金法のやり方によつて、それが確保できるかどうかは、これは疑問であるといたしましても、少くとも考えといたしましては、この平衡交付金法によりまして、完全なる財政調整ができますので、その税がいかに不均衡であるかというような点には、実際問題としてそう重点がかからないのじやないか、むしろ平衡交付金法の運用なり、立案なりを完全にやらなければいかぬのじやないかという感じを持つておるわけであります。  次に国税と地方税との間の均衡の問題、特に所得税市町村民税の問題を御指摘になりましたが、これはまさにその通りでございまして、市町村民税だけでよく均衡をとれたものにして行こうといたしましても、そのもとになりまする国税が均衡がとれていませんと、やはり国民負担の均衡ということが行われないのであります。国税の問題は大蔵省と申しますか、われわれの権限外でございます。所得税は大蔵省、市町村民税市町村で、おのおの独自に賦課徴收して行くのでありまするけれども、その間に非常に関連性がございまして、所得税における不均衡は市町村民税においてはつきりわかる。ことに私興味を持つて期待しておりまするのは、源泉徴收などにつきまして、現在の制度ではちよつと不均衡ということはわからないのでありますが、これがはつきりと市町村民税課税標準になつて来ますと、市町村民税におきましてこの点がはつきりわかる。従つて旧税と地方税と相まつて、両掌それぞれ切磋研麿して負担の均衡をはかるようなよい税の運営ができるというのが、シヤウプ勧告一つのねらいでありますから、初めはともかくといたしまして、実施中には必ずその成果があがるものと期待いたしておるのであります。  それから青色申告のことなども、理想的にはいい制度でありまして、国税はすでに本年度より実行されておりまするが、地方税におきましてもこの制度を実施いたしたいと考えておりますが、やはり一年国税の成果等を見まして二十六年より実施いたしまして、国税のものと十分関連性をつけていい結果を得るように努めたいと考えております。  最後に、この改正税制を一時に全部実施するかどうかという問題でございます。これは確かに非常に大きな改正でございますから、逐次なしくずし的に実行するというのも一つ考えでございますが、シヤウプ勧告書の冒頭にもございますように、勧告案によつて示された改正税制というものは、全部相互関連したものであつて一つを抜けば全体の運営がうまく行かないということを強調しておるのであります。われわれも立案するにあたりまして、その精神で行きませんと、一部ずつ実施するのでは結局シヤウプ勧告のねらう効果が上らないということになると思われまするので、これは原則的に全部一時に実施するようにいたしたいと思います。もちろん実施に当りまして非常な混乱も起るかと思いますが、この点につきましては、われわれも大いに留意するとともに地方団体制にも協力を求めまして、よい成果の上るようにいたしたいと考えております。
  34. 床次徳二

    床次委員 大体了解いたしました。ただこの総合的な立て方について、これが具体的の現われがどうなるかということについて、ただいま平衡交付金のお話がありましたが、これはもちろんそうあるべきではありますが、現在の状態におきましては、町村の具体的な課税、並びに平衡交付金からもらう金全体が総合されて、どうなるかという見通しを今日持つだけの材料をわれわれは持つていない。自治庁の方々は、大体それをお持ちになつて議論しておると思いますが、私たちは言葉の上からそうあるべきだ、法案趣旨から見れば、それに違いないと思うが、実際はたして数字をあげてみて、そうなるかどうかということについての確信を持つていないということを、最知に申し上げたのでありまして、できるだけ早い機会にそのはつきりした見通しを持ち、安心して審議ができるとなりますれば、比較的具体的な議論がな得るのではないかという意味において、御注文申し上げた次第であります。  それからもう一つは国税との問題であります。これはさらに他の機会に動しく伺つた方がよいと思いますが、さしあたりの疑問といたしまして、たとえば所得税がきまりました場合に、会度市町村民税におきましては、所得割というものが出てくる。この場合に、所得税の決定額に対して異議があつた場合、国税は国税としてきまつて参りますが、市町村民税として異議があるという場合があるのではないか。この場合に所得税によつて確定しておるから、所得割については異議を認めないというものかどうかという点がある。所得税の決定後におきまして、市町村民税所得割に対して、高過ぎた、所得税としては決定してしまつたけれども、市町村民税が重いというときには、そう高い所得割では困るというようなことが、言えるかどうかという点を、ちよつとこの機会に少し早過ぎるかもしれませんが、伺いたいと思います。
  35. 荻田保

    荻田政府委員 原則として、町村民税は国税の決定いたしました所得税というものを基礎にいたしますので、その国税で決定した所得税ということの算定を市町村が誤つておらない限り、これに対しまして独自の異議申立てはできません。もとになりまする国税の所得税を直しませんと、市町村民税は直らないわけであります。ただ実際問題といたしまして、非常にそのために不合理な点が起りますれば、それは市町村独自の立場におきまして、減免の規定もございますから、その運用によりまして、適当な措置がつくものと考えております。
  36. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御答弁の通りだと私も思います。実はそういう取扱いになるかもしれませんが、実際所得税の取扱いが、はたして当を得ておるがどうかという現実の問題でありますから、はつきりしなければならないと思いますが、過去の所得税の査定というものについては、非常に多くの問題があると思う。この疑問をそのまま市町村民税に持込んでしまうということになると、従来は所得税だけで済んでおつたけれども、同じ欠点をそのまま市町村民税に持込んで来て、これが翻整の方法がないとなりますと、将来の日本の財政については、非常に大きな混乱が起きるのではなかろうかという疑問を持つておるのであります。うのみにしてそのまま市町村民税を計算し得るかどうかというところまで参りますればよいのでありますが、どうも今の所得税の取扱いについては、問題が多過ぎることは皆さんも御承知のことと思います。あまり所得税中心の体系を一方にとると、今までの弊害を一層はなはだしくさせるのではないかという懸念を持つておりますが、この点についての御所見を伺います。
  37. 荻田保

    荻田政府委員 詳しいことはいずれそのときになつて申し上げたらよいかと思いますが、大体国税について税務署の決定いたしました所得税額をそのままとるということが原則であります。ただ明瞭に税務署が漏らしておつたというようなものに対しましては、独自に市町村が査定をいたしまして、標準になる税額をきめることはできます。さらに先ほど申し上げましたように、もしも国税の方が高過ぎたというような場合には、独自の標準をとることはできませんので、減免の規定等を働かしたいと思つております。なおその市町村内における所得税の決定が、非常にでたらめだつたという場合がふるといたしますれば、その場合は市町村地方財政委員会の許可を受けまして、全部の納税者に対しまして、根本的に所得調査をやり直して実行するということもできるわけであります。それはそれといたしまして、先ほど申し上げましたように、今まででしたら国税として所得税がきまりますと、それきりのものでありましたが、今度は市町村民税という形において、その賦課が均衡を得ておるかどうかということを、もう一度見直す機会ができたわけでありますから、具体的に申しますと、この運用によりましては、不均衡というような場合には、市町村から税務署の方に申込み、しかるべく調整するというような方途も出て来ると思いますから、今後の運用がその理想に向つて行く限り、よい結果を得て行くようになると思います。もちろん実施したらただちによくなるということは申せませんが、よい方に向う方法は講ぜられたのだということは、少くとも言えると思います。
  38. 床次徳二

    床次委員 たいへん恐縮ですが、今の市町村におきまして、国税の決定がはなはだ不都合だというようなことを発見した場合に、法規上は今のところ何ともしかたがないかもしれませんが、今度の税法において、その点を市町村当局から国税の方に意見を申しまして、これを是正するというような道を、今度の法律案においてはおつけになる余地がありますか。
  39. 荻田保

    荻田政府委員 法律上の措置といた参しましては、市町村から税務署に申し出て直すというようなことは考えておりませんが、お互いに官庁同士のことでありますから、話合いによりましてしかるべく運用ができると考えております。
  40. 大泉寛三

    ○大泉委員 私は大体今の床次さんの御質問に答えられた中で了得したのでありますが、地方平衡交付金の基準の内容について承りたい。それは先ほどの地方平衡交付金において、できるだけ町村に対しては財政上の保障をつけられておるようなお話でありましたが、深く聞きませんけれども、大体附加価値税と、また固定資産税の概算的な比率において、財政的に非常に裕福な町村ができたり、あるいはきわめて貧弱な町村ができたりする。けれどもやはり必要な人員はそこに包容しておかなければならぬ。人間を半分に切るわけにもいかないから、どうしても人員は三分の一でも抱えておかなければならぬというような状態、これはきわめて不経済きわまることであるから、この際税制改革と同時に、やはり市町村の事務の分担、あるいは簡易な事務はこれを省略するとか、あるいはこれはきわめて小さな村であるから、こういうものは不必要だというような一つの事務系統の整理が、必要ではないかと思うのであります。そこでともかく地方平衡交付金によつて自活し得るというような、初めから安心感を與えるために、自治の精神をむしろ阻害するようなことがあつてはならぬと思うのでありまして、ある程度まで嚴重なる一つのわくのもとに、いわゆる交付金というものが自治制を阻害しないように、これは国としてこう行かなければならぬという、その極度の線まで進める必要があると思う。先ほどはたいへん自信のあるお言葉でございましたから、安心しておりますけれども、その基準の内容について私は聞きたいと思います。  それから先ほど門司委員お話の出で、地方自治守としては、この地方税法案内容関係方面に打合せておると思いますけれども、大体了解を得らことが、われわれの委員会はもちろんのこと、議会においても動きのとれるいようなことであつてはならないと思うのであります。そういうことは一定の中を持つてもらわなければ、私どもはまつたく審議の力がない。先ほどの門司さんの言われる通りに、まつたく議会は力がないことになつて関係方面に行つた方がいいだろうというような不安も生れて来る。門司さんの場合は社会党だから、議会の方に陳情してもむろん通るまいし、自由党にも顔を出せないと思うから、これは関係方面に行つた方がいいだろうという親切な言葉で言つたのだろうと思いますけれども、言葉通じ聞いたならば、どうも議会というものをばかにしている、不都合なやつだと思うのでありますけれども、しかしどちらにしてもそうした誤解や臆測を生まないように、やはり議会議会として、とにかくいつまでも占領されているのではないんだから、われわれはやはり議会を中心とした政治を行わなければならぬという、とを、まず念頭に置かれて、関係方面の了解事項は、いわゆる私どもの議会の意思を反映せしめて、交渉していられると思いますけれども、私ども内容を知らなくては、善意にばかり解釈もできませんので、その都度々々折衝了解の報告なり、あるいは内容を聞かしてもらいたいと思うのでありますが、動きのとれないような了解のことであつては、私どもはまことに心外にたえない。この点どうか了解の上に、折衝に努力していただきたいと思うのであります。
  41. 荻田保

    荻田政府委員 第一に地方団体の事務整理の問題につきましてお話がございましたが、さしあたりわれわれの案しております地方税法、そのほか今回提出しております地方財政に関する件は、すべて事務は現状のままといたしまして考えております。従いましてこの事務をどう整理するかということは、先般できました地方行政調査委員会において十分検討中でございますので、その結論が出ましてから、また適当な措置を講ずる必要があると考えております。ただ一般的に申しまして、あくまでも冗費あるいはむだな行政はやめるに越したことはないのでございますから、その点は機会あるごとに地方団体にもお話をいたしまたこれは御答弁までもないことかと思いますが、せつかくお話が出たので、先ほどの門司委員の点について申し上げますが、われわれいろいろ法案を立案するにつきまして各方面の御意見を十分聞きまして、われわれといたしましても納得のできますことはそれを盛りまして、そうしてやはりこういう情勢でございますから、関係方面に打合せをしておるのでありますが、なかなか了解を得ないものもありまして、一般の御期待に沿うことができないのでありますが、そういう場合でありますので、いろいろお話に来られた方に、だれがどう言つたということは今わかりませんが、あるいはわれわれ折衝しても非常にむずかしい、関係方面の了承を得ることはできないというようなことを申し上げたのが、そのように響いたのではないかと考えておりますが、これはきわめて率直に申しまして、われわれ自身で自治庁として関係方面の了解を得ることができないものは、これは国会ででも、やつていただきたいということを逆に申し上げているような次第で、反面におきまして非常にわれわれの無責任になるかもしれませんが、われわれの力の足りませんところは、国会方面においてやつていただきたいというふうに、むしろ積極的に国会方面の御活躍に期待しているような心情にございますので、多分そういうようなことを考えて申したものではないか。用語にあるいは不穏当なものがあつて、間違いが起つたのじやないかと思いますが、その心情はまつたくそのような点でございまして、むしろ国会方面に今後の折衝を、われわれとしては期待しているような状況でございますので、成案ができましても十分御審議を願い、適当でないところは検討されました上、関係方面にも強く折衝していただきたい。むしろ積極的にわれわれの方から期待しておるような次第でございます。
  42. 大泉寛三

    ○大泉委員 それから地方税の徴收についてでありますが、固定資産税その他附加価値税においては、相当訓練されたものでないと、往々にして間違いを生ずる。また相当人員を各地方団体ではふやさなければならぬというようなことを聞いております。またシヤウプ勧告においても、相当徴税の強化をはかれというようなことも聞いておるのでありますが、こうしたことはやはり相当普及徹底させて、納税の能率的な手段方法を考究しなければならないと思うのでありますが、次長としては徴税に対する納税者の便宜のため、あるいは地方自治体の運営の能率化のために、何かお考えになつておられますか、お伺いいたしたいと思います。
  43. 荻田保

    荻田政府委員 多少御質問に対してのお答えにならないかと思いますが、この新しい税制を施行して行くにつきましては、関係地方団体の御努力をわれわれといたしましては、非常に期待しておるのでありまして、そのためには何と申しましても徴税機構の整備、質並びに量の方面におきまする改善を考えております。まず徴税吏員の量、つまり人員の問題等につきましては、何分にもこの税が四百億円も出ておるのでありますから、これに対しまする徴税吏員の数をふやすということを、シヤウプ勧告発表になりまして以来、関係地方団体にも勧奨いたしましたので、おそらく大部分の地方団体では、もうすでにその準備はできておると思います。それから次に質の問題でございますが、いくら人を集めましても、有能な人を集めませんと、この税制の円満な施行はできないと思いますので、この教養訓練につきましては、われわれとしましてもできるだけの協力をしております。また地方団体自体におきましても、いろいろの企てがあるようであります。講習会というようなことには特に主力を置いておりまして、たとえば府県のブロックごとに税務講習所をつくるという企ても進んでおります。府県内におきましても、市町村関係の職員の講習所をつくるというようなことも相当進んでおりますので、何とかやつて行けるのではないかと考えております。
  44. 立花敏男

    立花委員 荻田君の発言で非常に私たち啓蒙された部分があるのですが、それをひとつぜひ委員会で取上げていただきたいと思うのです。と申しますのは、国会方面で、やはり関係方面へ働きかけてくださることを切望しておられると言つておられますのですが、これをやはり私たち取上げる必要があるのではないかと思います。私たちの手元には地方自治団体からも、あるいは地方のいろいろな業者の方からも、あるいは資本家団体の方からも陳情が参つております。のみならずさいぜんから門司さんあるいは大泉さん、そういう方々の発言の中にも、関係方面との交渉はどうなるか、それを非常に問題にされておる点があると思いますので、この際私たち自身が交渉をする必要があるのではないかと考えます。特に自治庁自身といたされましても、今度の税制の改革に対しましては自信がないような態度が明らかに見えております。今の荻田さんの発言の中にも、徴収が非常に悪いということをはつきり言つておられます。この問題は単に徴税機構の問題だけではございませんので、担税力の問題あるいは税率の問題が、より根本的な問題だろうと思います。そういう問題に関しまして、土曜日の予算委員会では本多国務大臣が、住民税はとらないということをはつきり言つておられるのです。また地方税法ができても、税法通りにはやらないのだということもはつきり言つておられる。こういうところから見まして、今度の地か税法に関しましては、全国民的な重大な問題であるだろうと思うのです。それを私ども自治庁だけの交渉にゆだねておつて、それにこちらから巾を持たすとか、何とか注文をつけるだけでなしに、やはり私どもは自治庁もやつていただくが、私どもとしても何らかの意思表示をする必要があるのではないかと思いますが、委員長はどういうふうにお考えでしようか。また皆様方委員考えも承つて、できれば一致した形で個々の問題はともかくとしまして、一般的な形で意思表示をする必要があると思います。
  45. 中島守利

    中島委員長 ただいまの立花委員の御質問に対してお答えいたします。政府関係方面と交渉しておるものは、相当大きな問題だけ二、三点であります。その他の問題は、政府は触れておらないと、私は仄聞いたしております。私ども国民代表の立場からいいますれば、各方面から陳情もしくは請願せられておる問題に対しては、すベて十分な研究審査をしたいのであります。そういう方面に対しては、私は給府も反対の意思がないものと考えております。むろん十分協力してくださるものと考えております。そういう意味合におきまして、当委員会はできるだけお互いの責任を果したいと考えるのであります。はなはだ簡單でありますがお答えいたします。
  46. 立花敏男

    立花委員 それと根本的には地方仕民の生活状態、税金の言葉で言えば担税力の問題になつて来るだろうと思いますが、担税力と申しますものは、やはり現実の姿においてとらえなければいかぬという問題と、それからやはり現実の生活がどう変化するかということをとらえたものでなければ、担税力は具体的につかめないと思うのですが、現実の状態におきましても、もうすでに担税力は明らかに底をついておる。この間参議院の税金の公聽会でございましたが、その席上で現在申告しておりますものの九四%は、二十万円以下の所得であるということを、はつきり一橋商大教授が申しております。二十万円の中から所得税をとられ、さらに地方税を今度はこの改正税法によりまして、とられるということになつて参りますと、二十万円の所得全部をいただきましても、現在の状態では生活はかすかすだと思います。そこへ莫大な所得税をとられる。その上にこの地方税法改正法によりまして、地方税がとられるということになると、これはもう住民にとりましては死活の問題になつて来ると思います。こういう根本的な問題を取上げて、こういう状態の基礎の上に立つて、一般的な陳情と申しますか、請願と申しますか、こういうものを司令部に、国会として、あるいは地方委員会として意思表示をする必要があるのではないかと思います。これは私どもとしては、当然にやらなければいかぬ仕事ではないかと思います。個々の陳情あるいは個々の税金に関する交渉の問題、こういうものに触れませんでも、こういう一般的な動きはやる必要があるのではないかと思います。もう一度委員長の御意見を承りたいと思います。
  47. 中島守利

    中島委員長 御説の通りであります。ただこの機会に私から政府にちよつと伺つておきたいのは、住民税であります。これはその年の所得を基準にして住民税をかけるものだと考えております。ただ手続上その年の所得税を基準にすることは、徴税技術上困難だから前年度の税額をもつて標準にするということに、規定しておるのだと思うのであります。ところが本年のように本年度から所得税が幾らか軽減されるというような場合に、去年の所得税を基準にしてやるのでは、あるものによつては非常に生活上困難を来すような現象を見るのではないか、こういう点について政府はお考えなつたことがあるかいなやということを伺つておきたいと思います。
  48. 荻田保

    荻田政府委員 委員長のおつしやいましたように、この二十五年度の市町村民税については、二十四年度国税所得で、つまり減税以前の所得課税標準になりますために、少し平年度よりも高いものになるのであります。従いまして先ほど申し上げましたように、所得割標準税率を少し下げたらどうだという交渉をしておる次第であります。それはそれといたしまして、いずれにいたしましても、前年度の所得をとります結果、当該年度においては、すでに所得が全然なくなつている、こういうような問題も将来ずつと起るわけであります。そういうものにつきましては、それぞれ市町村におきまして、いわゆる減免の規定を適用いたしまして、適当に措置できる余地を残したのでございます。
  49. 中島守利

    中島委員長 なお政府に要求いたしたいのでありますが、地方税法の審査にあたりまして、国税の関係が相当重要性があるのであります。そういう関係上、国税ことに所得税のようなものに対する参考資料を、大蔵省からお取寄せを願つて、本委員会に御提出願いたいと思います。  それからもう一つ、これまで地方税法に対して、長い間十分御経験になりましたのですから、地方自治庁には相当な資料があると思いますので、さしつかえのない程度において、一日も早くその資料を御提出くださるようお願いいたします。  本日はこの程度において散会いたします。     午後三時四十二分散会