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1950-02-04 第7回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月四日(土曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 中島 守利君    理事 大泉 寛三君 理事 川西  清君    理事 川本 末治君 理事 菅家 喜六君    理事 野村專太郎君 理事 藤田 義光君    理事 立花 敏男君       河原伊三郎君    清水 逸平君       淵上房太郎君    吉田吉太郎君       門司  亮君    床次 徳二君  出席国務大臣         国 務 大 臣 本多 市郎君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 荻田  保君         (地方自治庁連         絡行政部長)         総理府事務官  高辻 正巳君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君 一月二十八日  委員廣川弘禪君辞任につき、その補欠として菅  家喜六君が議長の指名で委員に選任された。 二月四日  菅家喜六君が理事補欠当選した     ————————————— 一月三十日  自治体警察制度改善に関する請願(塩田賀四郎  君紹介)(第四五一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第三号)  地方財政に関する件     —————————————
  2. 中島守利

    中島委員長 これより会議を開きます。まず理事補欠選挙の件を議題といたします。昨年の十二月二十日理事でありました菅家喜六君が委員を辞任されまして、爾来空席となつておりますので、その補欠選挙を行いたいと思いますが、これは投票の手続を省略して、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中島守利

    中島委員長 御異議なしと認めま      す。菅家喜六君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 中島守利

    中島委員長 次に地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出第三号を議題として、質疑を続行いたします。通告順で許可いたします。立花敏男
  5. 立花敏男

    立花委員 私どもこの間中地方をずつとまわつて参りましたし、その他従来から経験いたしましたところでも、地方行政の一番基礎になるべき点で、実際地方が何らの権限を持つていないということが痛感されることが、たびたびございます。シャウプ勧告によりましても、住民の根拠は市町村にあるのだ、従つて市町村における住民生活こそが、住民の最も日常的な生活基礎になるべきものだというふうに言われておりまして、そういう住民生活を発展向上さすためにこそ、今度は地方税の増徴が考えられていると思いますが、そういう問題から考えましても、もう少し地方自治体に、日常生活に対する権限を與えなければいけないと思います。たとえば四、五日前に東京都の各新聞紙に載つておりましたが、ニ月分主食配給が二十三百分しかない。五日分減らされておる。ところがこういう問題に関しましては、市町村では何ら権限がないわけなので、一方的に農林省あたりできめられましたことを見ておるしか、手がないというふうな状態なのであります。食糧配給の切符を発行いたしますだけで、実際の食糧配給については、市町村長は何ら権限がない。特に小さい市町村だけではなしに、大都市におきましても何ら権限を持つていない。こういうことは最も人民の生活に密着して行わるべき、地方行政の非常に大きな欠陷ではないかと思います。その他失業の問題にいたしましても、最近は地方産業崩壊、あるいは中小企業崩壊によりまして、失業者どんどん各地方に出て来ております。特に都会には多いのでありますが、この失業者に対する対策にいたしましても、市町村長は何らの権限を持つていない。この間私ども鳥取出張調査に参りましたが、鳥取などにおきましては、もう先月の半ごろにすでに失業対策費が全部使い果されまして、これから出て来る失業者には何らの対策もない、しかも失業者がどんどんふえて来ておる。これをひとつ何とかしてくれというような、知事の特別の懇願がございましたが、市町村のみならず府県におきましても、この失業の問題をもてあまして、特別の対策を立て得ない状態であります。その他住宅の問題にいたしましても、あるいは住民の衣料の問題にいたしましても、先ほど述べました食糧の問題、あるいは失業の問題、すべてこういうような直接住民日常生活関係のある部面に、自治体権限が與えられていないということは、非常に大きな問題だろうと思います。今後もう少し自治体の方に、こういう問題を自主的に解決する行政的な措置を、お考えになる御用意があるかどうか、承りたいと思います。
  6. 荻田保

    荻田政府委員 地方自治の充実のために、事務をなるべく地方団体をしてやらしめる。しかもその場合住民と最も密接な関係のあります市町村に、なるべく広い範囲の権限を與える。この方向政府といたしましても尊重して、今後の改正を行つて行きたいと考えおるのでありますが、たまたまシャウプ勧告が出まして、この中にもはつきりとそのことがうたつてございますので、先般地方行政調査委員会議を設置いたしまして、国政全般にわたりまして、そのような趣旨におきまして検討を加え、至急調査の結果、成案を得まするならばそれを実施して行きたい。こういう根本的な考えを持つております。ただ主要食糧配給の問題、あるいは失業救済の問題、こういう具体的な問題につきましては、私どもからお話しますより、農林省なり労働省なりから、お話した方がいいのかと思いますが、われわれの考えているところを参考に申し上げておきますならば、市町村主要食糧配給事務は移されておりますけれども何分にも市町村配給いたします主要食糧の額というものは、国の方から逐次割当てられて来なければならないのでありますから、なかなかその権限全部を市町村に委任するということには、参らないのじやないかと思います。  それから失業救済の問題につきましても、それぞれ地元市町村におきまして対策を立てるべきでありまするが、何分にも財政の問題と関係いたして来ますので、その場合労働省補助金、あるいはその他起債とか財源問題等、多々ありますので、なかなかこの点もいかに市町村権限を拡大いたしましても、市町村だけで簡單に解決までつくというふうには、参らないじやないかというように考えております。御参考のために申し上げておきます。
  7. 立花敏男

    立花委員 食糧配給などの問題を、全面的にすべての権限市町村に渡せとい全うなことは、いろいろな関係できないかとも思いまするが、たとえば私が例にあげました二月の主食配給のような問題の場合に、あれは明らかに私は不当だと思うのでありますが、ああいう問題の場合に、市町村長発言権なり、あるいは決定権なりを、もう少し強める必要があるじやないかと考えます。そういう問題で、やはり市町村長なり府県知事が、住民立場に立つて発言できるという、そういう行政のあり方を、もう少し考えていただきたいので、あります。  次にお尋ねいたしたいと思いますのは、地方住民生活困窮の大きなもとになつておりますこの中央政策によつて地方が非常に産業上あるいは経済上の影響を受けるという問題が起つて来ているのでございますが、ただいま申し上げました食糧の問題にいたしましても、失業の問題にいたしましても、そういう中央の大きな政策によつて地方影響を受けるという面が非常に強く出て来ております。地方に参りますと、もう主食配給もとれないという住民の数が、漸次増加しつつある憂うべき状態にあるのでありますが、これが非常に中央施策のいかんによるところが多いというような結果が現われております。たとえば漁業問題——瀬戸内海におりますが、瀬戸内海漁民漁業状態は、非常に逼迫の度を加えております。と申しますのは中央における漁業政策と申しますものが大体大漁業中心である。特に遠洋漁業中心資金資材を投じまして、沿岸零細漁民は、まつたく無視せられておるというところから、沿岸零細漁民中心である。瀬戸内海方面は、漁業が無視されましてその結果瀬戸内海沿岸漁民が非常に困窮しておる。漁獲高はおそらく三分の一ないしひどいところでは十分の一に減つておりまして、しかも漁獲が減ると同時に、普通であれば魚価が上るのが当然でありますが、魚価も上らないで下つておるというような状態で、実際の收入はかつての十分の一、二十分の一に減つて、ひどい漁村に参りますと一戸あたり平均一箇月二千円ないし三千円の收入しかないというようなところが、統計的に現われておるわけであります。ここらあたりでは漁民自体主食配給がとれなくて、組合主食代金を立てかえまして、月に何度か沖へ行つて魚をとりまして、それを組合共同販売をして、そのうちからようやく主食代金を差引いておるというような非常にせつぱ詰まつた状態に陷つているわけでありますが、こういう漁民を多数にかかえております府県、あるいは市町村にとりましては、これが非常に致命的な問題になつて来るわけであります。こういう問題が中央漁業政策によつて地方的に生み出され来ております。こういう問題に対して地方として地方産業を守る建前から、あるいは地方住民生活を守る建前から、何らかの行政的な措置なり、あるいは行政上の発言なりができるようにしなければいけないと思いますが、この問題に関しまして、次長はどういうふうにお考えでございましようか、承りたいと思います。
  8. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいま漁民の問題を御質問に相なつたのでありますが、お話のように各地において、漁民生活状態が不漁その他の関係から、困窮に陷つておるところがあるということは、承知いたしておるのであります。先ほど次長から答弁いたしましたように、今回のシャウプ勧告に基きまして、全面的な行政事務の再配分を行うということに相なりまして、御承知のように地方行政調査委員会議で、目下実態調査をいたしておるような次第でございます。この漁民の問題につきましても、あるいは融資の関係であるとか、あるいはまた生活自体の保護の問題であるとか、いろいろな社会政策的な基本的な問題があるのではなかろうか、かように考える次第でございます。従いまして、特に御指摘になりましたように、外洋漁業沿岸漁業との関連等から考えて、沿岸漁業者が目下非常に困つた状態にあるという点は、私どもまつたく同感でございます。これらの点について当該地方団体の長が、相当発言権を持ちまして、国の漁業政策に対して相当意見を述べ、かつこれに対する施策を講ずるということは、ごもつともの点と思うのでありますが、これらの点につきましては、何と申しましても地方自治庁として、ただいま申しましたような基本的な行政事務の問題から、解決することが必要であろうと存ずるのでありますが、国の漁業政策との関連において当面の問題をどう処理するかということに相なりますと、この点についてはむしろ水産庁等意見を一応お聞き取り願うことが妥当ではないか、かように思いますので、実態的な問題についてただいまはつきりとし先御答弁を申し上げかねる次第でございます。さような意味におきまして御了承願いたいと存じます。
  9. 立花敏男

    立花委員 具体的な結論をお願いすることは、本日の目的でもありませんし、またただいまではできないかとも思いますが、ただいま述べました水産の問題だけではなしに、実は電気事業の問題あるいは道路政策の問題、こういう問題で地方に大きな負担がのしかかつて来ておる。たとえば電気分断政策によりまして、この間私ども調査団が参りました岡山などにおきましては、もう電気税は與えられてもとれない、そういうことをはつきり申しております。あるいは鳥取などでは、もう農民は脱穀、灌漑に電気が使えなくなつて来たと申しておるのであります。岡山知事が申しておりましたが、岡山は特に電気料金が上りまして、これ以上電気税をとり得ることになりましてもとれない。もしとれば岡山から全部産業は他の地方へ逃げてしまう。あるいは岡山から他方へ逃げられないような小さい工業は全部つぶれてしまう。だから岡山では電気税を與えられても電気税はとれないのだ、こういう事情中央では知つておるかということを、知事自体が申しておりました。こういう問題が中央の一方的決定によつて地方に大きな打撃を與えておることが、私どもは明らかに看取できたのであります。道路の問題でも、今度の道路法改正によりまして指定されました指定県道などは、その負担の大きな部分が都道府県負担されるとか、あるいは道路網の完成によりまして、村道あるいは市町村道路改善が、非常に大きな負担地方財政に與えている。こういうことが当然考えられるのですが、現在でさえ困窮しております地方財政に、こういう中央の一方的な政策——地方が何ら参加しない政策決定によつて、大きな負担がこうむらされるということに対しましては、私ども地方自治団体立場考えましても、非常にむりじやないかと思います。こういう問題に対しましてやはり一定の権限地方自治団体に與えて、そういうものを拒否する。あるいはそういうものの決定に対する参画あるいは発言の機会を正当に認めてやるということが、必要じやないかと思いますが、何かこれに対する御構想はございませんでしようか。
  10. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいま重ねて御質問がございましたが、地方団体現状におきましては、お説の通りに必ずしも国の施策が十分にこなせるという状態に置かれていないということは、認め得るかと存ずるのでございます。この点につきましては、私から申し上げるまでもなく、地方自治制度の改革が急テンポに行われました結果、その運営の形式につきましては、やや整備されて参つておりますけれども、その実質の面におきまして、必ずしも十分でないところがあつたことを否定することはできないと存じます。この点について、これは常々申し上げておりますように、適当な財源地方に與えますと同時に、これと並行いたしまして、ただいま申しましたように国、都道府県及び市町村相互間の行政事務の再配分なり、またこれに伴う諸般の問題を解決することが必要であろう。かように考えているのであります。従いまして、ただいま具体的にいかなる施策地方自治庁として持つているかという御質問に対しましては、なお目下検討を加えているような次第で、この根本的な問題が解決され、また適当な財源が與えられるにあらざれば、ただいま立花委員の仰せになりましたような結果が現われるのではないか、かように考えているような次第で、地方自治庁といたしましては、地方行政調査委員会議と緊密な連絡をとりながら、この種の問題を取上げて参りたい、かように考えている次第であります。
  11. 立花敏男

    立花委員 ただいまの問題と関連いたしまして、適当な財源の問題になつて来るわけでございますが、この点に関しまして安本か何かで考えております総合開発の問題を、一応お聞きしておきたいと思います。  ただいま申しましたように、地方産業が非常に衰退しつつある、あるいは破壊されつつある、そういうかたわら、そういうものを補うという意味もあるのでございましようが、全国に十数箇所の総合開発地点をつくりまして、国家が積極的に総合開発に乗り出す。その一つ例といたしまして、本多さんが壱岐対馬に行かれまして、新聞の発表によりますと、壱岐対馬に対しまして十八億円の金を出して道路を修理上、漁港を改修するというようなことが発表されておりましたが、こういうものをもう少し地方現状に即して、地方の要望を入れておやりになるお考えはないのかどうか、私どもから見ますと、離れ小島の壱岐対馬に十八億という金を出しますことは、さいぜん申しました瀬戸内海沿岸漁民が、もう食えなくなつて来ているという実情を無視して——無視してと言うと語弊があるかもしれませんが、そういう状態を片方に置きながら、壱岐対馬だけ十八億の金を注いでおるというような総合開発のやり方は、地方にとりましては非常に遺憾だと考えざるを得ないと思うのですが、この問題につきまして自治庁意見を承りたいと思います。
  12. 小野哲

    小野(哲)政府委員 総合開発関係でございますが、わが国の現状から考えまして、資源の開発等につきまして、当該地方特殊性にかんがみた計画を樹立するということは適当であろう。かように考えております。ただいま具体的にお話になりました対馬総合開発計画につきましては、実は詳細を承知いたしておりませんので、これは関係当局からお話をお聞き取り願いたいと存じます。ただ地方自治庁といたしましては、当該地方電源開発等に関しましては、特にこの点にかんがみまして、地方起債の道を講ずるとか、その他の考慮をいたしておりますことを申し述べておきたいと存ずるのでございます。もつとも全体的な問題といたしましては、あるいは見返り資金の問題とも関連が起つて来るかと思いまするが、当面の問題といたしまして、早急に実現をいたさなければならないような点につきましては、ただいま申しましたようなあるいは地方起債等の方法によりまして、できるだけ地方開発に寄與いたすように進めて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  13. 立花敏男

    立花委員 壱岐対馬の問題を御存じないとおつしやいましたか、そういたしますと、総合開発の問題は自治庁には何の相談もなしに行われておるのかどうか、あるいは自治庁としては職制上の何の関係もないのかどうか承りたいと思います。
  14. 小野哲

    小野(哲)政府委員 私は対馬の問題をつまびらかにいたさないということを申し上げたのでございまして、この点について当該関係官庁相互間——もちろん地方自治庁をも含めまして、どのように進行いたしておりますかということは追つて調査の上、御答弁いたす方が適当かと考えましたので、お答えを申し上げたような次第でございます。
  15. 立花敏男

    立花委員 できましたら総合開発の問題は、先ほどからるる述べておりますように、破壊されつつある地方産業、あるいはそれを通じての地方住民生活困窮を救うという意味から、総合開発決定あたりましては、地方自治庁が大きな発言権を持つというふうにやつていただきたいと思います。  それからそういう問題と関連いたしまして、実は最近特に地方自治体官僚化というものが見られるのでありますが、この問題についてお聞きしたいと思います。この問題は前にも私この委員会でお聞きしたことがあるのでございますが、たとえば青森県、あるいは東京都の知事室の問題でございますが、今度の自治法改正案によりましても、地方議会開会の数を六回から四回に減しておる。ところが一方知事室などを設けまして、理事者側機関強化いたしまして、人事あるいは企画そういうものを一つにまとめましたり、非常に地方機関官僚化が見られます。このことは地方が持つております各委員会動き方の中にも、委員会自体官僚化が見られるわけであります。たとえば公安委員会にいたしましても、公安委員権限をそのままにしておいて、事務局長権限強化して行く、あるいは警察局長権限強化する、あるいは教育委員会におきましても、教育委員そのもの権限はそのままにしておきまして、教育長などの権限を非常に強化しておる。こういう形で知事自体権限強化、あるいは各委員会事務局長権限強化、こういうものが非常に強く行われて参りまして、一方議会権限——権限と申すところまでははつきり現われておりませんが、議会開会の回数を制限しておる。こういう形に特徴的に現われておりますように、地方官僚化ということがはつきり見られて参つております。しかもその官僚化中央官僚化をそのまま受け継いでおる。中央官僚化の出店になつておるという感じが非常にするのです。こういう点につきまして自治庁としてどういうふうにごらんになつておるか。どういう対策をお持ちになつておるか、承りたいと思います。
  16. 小野哲

    小野(哲)政府委員 先ほどまず立花委員から御希望がございました北海道、その他各地方における総合開発計画に関しましては、地方自治庁相当強い発言権を持つことが適当である、こういうお説でございますが、私もまつたく同感でございまして、さような方向に現在進んでおるような次第でございます。  なお次にお尋ねになりました地方行政運営に関する官僚化の問題でございますが、その中で具体的にお取上げになりましたあるいは地方議会開会度数を制限するとか、あるいはその他の機関に対して権限を付與するということが、地方官僚化中央と相まつて助長することになりはしないか、こういう御意見であつたように拜聴いたしたのであります。この点につきましては私ども地方自治庁といたしましては、極力地方自治の本旨に従いまして、適当な助言もいたし、また総合調整をはかつて行くという考え方をもつて、現在仕事に当つておるのでありまし、今日の状況から判断いたしまして、私ども立花委員が御指摘になりましたように、官僚化方向に強く進んでおるものとは考えられないのでありまして、これらの点については極力さよう方向に進まないで、地方団体の自主的な活動並びに運営を助長して参りたい。こういう考えのもとに目下諸般仕事を行つておるということを申し上げておきたいと存じます、
  17. 立花敏男

    立花委員 自治庁のお考えとしてはそうであると思いますが、実際地方に行われておる行政を見ますと、地方中央手先になつておる、しかも中央官僚化された惡い部面を持つて、その手先のようになつて地方が動いておるということがはつきり見られます。一例を申し上げますと、私どもこの間関西地方地方自治体の不当馘首問題で調査に参りましたが、そのときにこういう例が現われております。これは神戸でございますが、あの定員法による中央における首切り、それに従つて自治庁地方に干渉なさる、これは決して拘束力を持つものではないというふうに言つておられましたのですが、ところがこれが末端の地方に参りますと、大きな拘束力を持ち、中央の命令であるかのように扱われておる。しかもこれが人口八十万を擁しております大都市である神戸のようなところですら、こういう形がはつきり現われておるのです。具体的に例をとりますと、神戸地方議会にかけられました文書によりますと、この首切り中央指示によつて定数條例を出して、地方議会に対して首切りを実行したのだというふうに、はつきりと公文書によりまして、中央指示によつて定数條例を出して首を切つたのだというふうに書いてあるわけです。決して地方事情によつて地方行政事務を勘案いたしまして行政整理をやつたのではない。中央指示によつて定数條例決定して、首を切つたのだと、公文書はつきりと言つております。私、助役に今入つて話を聞きましたが、助役自体がそういう文書を出して来て、そういう説明をしておるのです。こうなつて参りますと、中央官僚化された形が、地方へ参りますと、一方的にうのみにされまして、さいぜん言いましたように地方中央出先のようになつてしまつておるということが、はつきり言えると思います。あるいは他の例でいたしますと、最近運輸関係、あるいは通産関係出先機関地方に吸收されましたが、この場合でもいらないような煩雑な事務だけは地方に與えまして、その費用地方負担させまして、しかも重要な、中枢であるべきような事務は、その中から引拔いてやはり中央が握つておる。従つて地方からすると、かえつて煩雑な結果になりまして、しかも費用だけは負担させられる。住民にいたしましても、今までは事務所に行つて来ればよかつたのを、今度は県庁と事務所と両方行かなければならぬというような実態が起つておりまして、これは明らかに中央の官僚的な支配が、そういう古い形で地方に残されておるというふうに見受けられると思うのですが、こういう問題はさいぜん次官が言われましたよい意図でやつておられるかは存じませんが、実際の形では地方にそういう形で現われておりますので、今後こういう問題の起らないように、ひとつやつていただきたいと思いますが、御意見を承りたいと思います。  それから財政の問題に移りたいと思いますが、行政の根本になりますのは財政だというふうに言われましたが、非常に私ども現在重大な問題だと思いますのは、ただいま予算委員会で平衡交付金の項でお述べになつておる言葉、あれは今年度は非常に地方財政に余裕が生じているというようなことが書かれてございますが、地方自治の基盤になります行政の問題につきまして、あの言葉は非常に重大な言葉だと思いますが、あれにつきまして自治庁の方ではどういうふうにお考えになつておられるのか、あの文書自治庁がお書きになつたのか、それとも自治庁が御承認なさつたのかどうか、承つておきたいと思います。
  18. 中島守利

    中島委員長 立花委員にちよつと申し上げますが、今日の日程には財政に関する件というのが、一番終いの日程にあります。委員の御質疑は地方財政に関する件の方で、私はお願いしたがつたのです。ただいまの御質問に対して政府委員が御答弁になるなら、それは異存ありませんが、財政に関する件はさように御了承を願います。
  19. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいま立花委員からいろいろと御質問がございまして、たとえば御指摘になりました行政整理の問題について、当該地方団体中央指示を受けてやつたということを申しておつたというようなお話もあつたと存ずるのでありますが、政府考え方といたしましてはたびたび御説明いたしましたように、これに対して強要をするというような態度に出ておつたわけではないのでありまして、勧奬するという域を脱していものるとは考えておりません。従つて、あるいはそれを勧奬を受けました地方団体が、指示を受けたがごとき印象をもつて、そういうことを書面の上に書き現わしたのではなかろうかと存ずるのでありまして、政府の真意のほどは何らかわりがない、また当時さような考え方でもつて協力方を勧奬したという考え方で、行われたものであるということを、重ねて申し上げておきたいと思うのであります。なおまた、出先機関の問題にいたしましても、能う限りこれを地方に委讓いたすように考えておりますことは、何ら変更がないのでありまして、さらにこれを進めて参りたいという意図をもつておりますことを申し上げておきたいと存じます。の次に御質問のありました地方財政の問題でございますが、どういうふうな書類が出でおりましたか、実は私今手もとに持つておりませんので、確たることを申し上げかねるのでありますが、御承知のように地方配付税にかわつて地方財政平衡交付金制度が実施されますために、その法制化を行う準備をいたしておりますので、いずれ地方財政平衡交付金法案が提案されましたあかつきにおいて、御審議を煩わしたい、かように存ずるのでございますが、シャウプ税制報告書にもございますように、少くとも昭和二十四年度の税收の推定から考えております千五百億に対しましては、四再億程度の増收を考えられている。こういうふうな点から考えまして、地方財政にゆとりが生ずるかどうかは、その地方財政の歳入歳出の両面から考えまして、勘案いたさなければならない問題とは存じますけれども、少くとも二十四年度に比較いたしまして、地方財政強化されるということは申し上げて差支えないのではなかろうか、かように考えている次第であります。
  20. 中島守利

    中島委員長 お諮りいたしますが、まだ地方自治法の一部を改正する法律案に対する質疑は池田君、龍野君、川西君、藤田君と残つているのであります。しかし本多国務大臣が出席せられましたから、日程を変更しまして、地方財政に関する件を議題にしてこれの考究に入りたいと思います。いかがでございましようか。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 中島守利

    中島委員長 それではそういうことにとりはからいます。L
  22. 中島守利

    中島委員長 地方財政に関する件を議題にいたします。  この際委員諸君の大体の御意思を尊重しまして委員長より便宜本多国務大臣の御所見を伺いたいのてございます。地方財政平衡交付金法案でありますが、この法案はただいま予算委員会に付議されておりまする予算中にある地方財政平衡交付金千五十七億円でありますが、これと並行してこの法案の審議を進めて行きたいのであります。何となれば前の配付税の法案と違いまして、金額を決定する法案ではありません。交付金の処理の法案でありますが、しかしこの法案の趣旨によりましては、増額を要求し、あるいは現額に止めるというようなことを、予算委員会に反映する必要が相当にあると思うのであります。しかるにこの平衡交付金法案がいまだに国会に御提出にならぬのであります。これに対しましては、政府の方で取急いで御提に出なるべき手段を十分とつておるのでございましようが、その理由を明らかにしておいていただきたいと思うのであります。いつごろ御提案になることができるか。それから今まで延び延びになつておるのは、どういう理由であるというようなことを、率直にわれわれ委員会に報告していただきたいと思うのであります。この点を第一としてお伺いいたします。
  23. 本多市郎

    本多国務大臣 平衡交付金法につきましては、まつたく委員長から質問の理由にお話のありましたように、予算とも不可分のものでもございまするし、この法律の内容によつては平衡交付金自体の実質的な相違にもなるのでございますので、ぜひともこれを一体として御調査願うつもりをもちまして、鋭意成案を得ることに努力して参つたのでありますが、いまだ提案に至つておらないことは、まことに申訳ないと存じております。これは新しい制度であり、たくさんの補助金等がこれに統合されます関係で、各省との折衝もまことに複雑であるのと、関係方面との折衝などに、非常な手数を要しておる次第でございまして、今所管の自治庁において努力をいたしておるのでありますが、その折衝連絡等の今日の状況については、次長から答弁申し上げたいと存ずるのであります。
  24. 荻田保

    荻田政府委員 ただいま大臣からお述べになりました通り、この法案は非常に画期的な法案でございますし、ことに従前ございました各省の負担金、補助金相当多数整理いたしまして、この制度に統合になつたというような関係もございまして、各省におきまして非常に多くの希望なり意見なりを持つておりますので、この調整に思わぬ日数を費したわけでございます。さらに関係方面との折衝におきましても、いろいろと注文がございますし、またやはり国内と同様、関係するセクシヨンも多いわけでございます。そういうことから非常に事務的に法案の流行が遅れております。できますならば来週中ぐらいには、結論を得たいと考えております。
  25. 中島守利

    中島委員長 次にもう一点本多国務大臣の御所見をお伺いいたしますが、この地方税法の改正案、これは非常に厖大なる法案でございます。ことにこの法案の内容に至りましては、驚くべ、き研究を要するような重要な問題が多い。しかるにこれが容易に提案の運びに行かないという事実を、私どもは了承しております。そういうことになりますと、来年度の地方公共団体の予算というものは、まつたくいかなる方法によつて、予算を作成したらよろしいかということは重大な問題になります。毎年の例でありますが、骨酪予算ではない、まつたく室想的な予算というものをつくらなければ実行できないのではないかと思う。そこでそういうためにその予算によつて歳入の一部を收得するということはできないのであります。二十五年度の初頭においては各地方公共団体というものは、非常な困難に陷るのではないか。ただ地方財政平衡交付金法案が通りまして、この法案によつて四月に平衡交付金の交付ができるような運びになりますれば、またこれでも一部の市町村は助かると申してよろしいのでありますが、これも非常にめんどうな法案でございまして、あるいは三月中かからないとも限らぬと思うのでありますが、なるべく何とかして来年度の初頭における市町村財政困窮を救済して、少くも行政の機能にさわりのないようにするということは、政府の重大な責任であろうと思うのであります。これに対してどういうふうにお考えになつておりますか、ただ漫然と無計画的来年度の四月一日を迎えるということは、われわれ地方行政委員会としましても、できないことであります。政府におかれましてはごく率直に、いかなる方法をおとりになるかということを、ひとつ御明答願いたいと思うのであります。
  26. 本多市郎

    本多国務大臣 御指摘の点につきましては、政府といたしましてもそこに間隙を生ずるようなことがあつてはならないと思いまして、まことに心配いたしておるのであります。原則としては少くも平衡交付金が年度初頭に決定できるようにということに努力をいたして行きまして、その間隙を少くしたいと思つておりますが、しかしそれでもお話の通り多少のずれは、やむを得ないこととも考えられますので、原則的に税法、平衡交付金の制度等を促進するとともに、それでもなおかつどうしても運営に支障を生ずるというような際には、平衡交付金の概算をいたしまして、その内拂いというようなことをまずやりまして、その自治体運営に支障のないように対処して行きたい、こういうふうなことを考えておる次第でございます。
  27. 中島守利

    中島委員長 この際お諮りいたしますが、平衡交付金に対するこの法案の大体のことに対して、政府に御説明をしていただきたいと思いますが、そういうことにとりはからいまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 中島守利

    中島委員長 それでは平衡交付金法案のいわゆる草案でありますが、これに対してさしつかえない程度まで御説明をわずらわはしたい。しかしながらその御説明のうちあるいは将来変更いたしましても、政府には責任ないということを私ども承知いたしまして、説明を求めるわけであります。どうぞ御遠慮なく説明していただきたい。
  29. 本多市郎

    本多国務大臣 内等につきまして詳しくは次長から御説明申し上げますが、この平衡交付金の制度は、まことに画期的な制度でありまして、この平衡交付金という一つの制度により、地方公共団体間の財政の調整を一本に行いまして、煩瑣な各種の個々の補助金というものを、これに統合してしまうということを目標に、これを設けようとしておるのであります。しかしながらいろいろの事情のために、幾分でも例外ができそうな情勢にありますことは、自治庁担当の私どもといたしましては、まことに遺憾に存じておる次第でありますが、でき得る限り統合をする。そうして地方財源を明確ならしめ、かつ中央に対する一つ一つ補助金に対する連絡陳情等が、今後これで必要がなくなるというところもねらつておるわけでございます。この財源は千五十億となつておりますが、これによつて調整する。その調整の基準といたしましては、標準財政需要額というものと標準收入額というものを算定いたしまして、これを基準に一千五十億をもつて財政調整を行おうというのでございます。これが理想的に行われるためには、この平衡交付金という制度も強行され、金額もさらに多くならなければならぬものだろうと考えられますが、本年度におきましては、以上のような範囲内におきまして、行うことを、目的とした制度を考えております。内容の詳細につきましては、次長から御説明を申し上げます。
  30. 荻田保

    荻田政府委員 ただいま委員長から御説明もございましたが、われわれの現在考えておりますことにつきまして、相当根本的に関係方面におきましても異論がありますようですが、ただいまから説明申しますところが、必ずしもその形になつて国会に提案になるということは保証できませんので、あらかじめ御了承願います。  一般平衡交付金のわけ方の問題でありますがもこれはシャウプ勧告にもございますように、各地方団体につきまして標準財政需要額というものを算定いたしまして、それからその団体で徴收し得ます標準の税額を算定します。その差額を一般平衡交付金として、当該の団体に交付することになるわけであります。しからば第一に標準財政需要額をどうして算定するかという問題でございますが、これは非常にむずかしい問題でありまして、大体このように考えております。各地方団体費用のうち特定の收入、たとえば起債であるとか、国庫補助金であるとか、そのほかの特定の收入でまかなわれる部分は、一般平衡交付金の関與するところではございませんから、これは除外いたしまして、結局一般平衡交付金と地方税とによつてまかなわれる程度のものを対象にいたしたいと考えております。それでその総額の範囲内におきまして、これを相当数の行政項目にわけまして、それぞれ各個に算定いたします。たとえば道府県でございますれば土木費、教育費、厚生労働費、産業経済費、戰災復興費、公債費、その他の行政費、この七つくらいにわけられると思います。そしてさらにその内訳をもう少し細別いたしたいと思います。たとえば教育費におきましては、その内訳を教育委員会費用、小学校の費用、中学校の費用、聾盲唖学校の費用、高等学校の費用その他の教育費用というようにわけることにいたしたいと思います。そうしてそのそれぞれにつきまして標準行政費を算定するわけでございますが、その方法は大体一つの測定標準というものを設けまして、その一つあたりの單位を乗じたものをもつて、その行政費の、標準と見るわけであります。たとえば小学校の経費につきましては、小学校の児童数、学級数、学校数、そういうものを測定標準にいたすわけであります。そうして児童数一人当り何円、学級数一つ当り何円、学校数一校当り何円、こういう三つの、方法をもちまして計算し、それを合せたものが小学校費になるわけであります。しからばその單価は一本にするかということでございますが、これは全国一律では適当でないと思いますので、これに差等をつけたいと思います。そこで多少技術的の問題になりますが、單価において差等をつけますことは、計算上めんどうでありますので、むしろその基準の方に差等をつけて参りたい。つまり児童数でも、全国一律に一人を一人として計算せずに、一人に対して割増しあるいは逓減をする、こうゆうような考えであります。しからばどういう根拠で、どういう事項でもつてその差等をつけるかという問題でありますが、これは四つのことを考えております。一つはその單位が多いか少いかということでございます。たとえば人口なら人口をもちまして、算定する経費につきまして、一万人を対象にする場合、二万人を対象にする場合とでは、簡單に二倍の経費がいるとは考えられません。大きくなればなるほど割安になります。従つて人口が大きくなればそれだけ逓減するというやり方にいたしたいと思います。第二に人口の密度ということを考えたいと思います。同じ一万人の人口のある町村でありましても、面積が五倍にもなれば、それだけ経費が割高につきますから、そういうところに対しましては割増しをするということでございます。それから第三に、町村の人口と市の人口との間の差等をつけたいと思います。これは大きく申しますれば文化度と申しますか、そういう考えでありますがこまかい問題を考えましても、現在俸給につきまして、都市には勤務地手当というようなものがついておりますから、やはり同じ経費でありましても、農村部門と都市部門とでは差等がつくわけであります。そのような割増しをいたしたい。  第四番百に寒冷地、積雪地、この方面におきましては、たとえば学校をつくるにいたしましても、経費が違うわけであります。あるいは道路の補修費がよけいいるというようなことかございます。あるいはまた俸給にいたしましても、寒冷地手当、石炭手当というようなものがついております。そういう趣旨でその割増しをいたします。この四つのフアクターをもちまして、それを割増しなり逓減なりいたしまして、それをもつて測定基準といたしたいと思います。それに合理的な單価を乗じましてその経費の標準行政費というものを算出するわけであります。  第二に標準課税額という問題であります。この計算は各種の税目につまきして、小さなものはあるいはやめたいと思いますが、大体法定科目の大部分につきまして、標準率をもつて、その団体がどれだけ税を徴收し得るかということを計算するわけであります。この場合二つの問題があるわけでありまするが、一つはこの税額を算定する場合に、現実にその地方団体が賦課徴收いたしました額そのものをもつて、ただちにこの標準課税額の基礎にするかどうかという点でありまするが、われわれはそのようなことはなるべく避けよう、客観的に見てその団体がどれだけ税をとり得るか、たとえば遊興飲食税をとるにいたしましても、その府県の手心によりまして、非常にきつくとつているところと、軽くとつているところとあります。これを府県でやつているのをそのままとりますると不公平が起りますから、ほかの客観的な基準によりまして、その団体がとり得る遊興飲食税の額を算定いたしたい、このような考えであります。  第ニの問題は、標準税率をもつて算定いたしました税額を全部課税力に持つて来るかどうかということでありまするが、これはわれわれは大体七割程度をもつて標準税額にしたい、三割は別にこの中に入れないという考えであります。こういうことを考えます理由は、全額をもつて標準財政需要の中に入れますると、とりました税はもう一般平衡交付金の配分の際差引かれてしまうということになりまするから、その団体は税をたくさんとつて仕事をしようという意識を沮喪するようなことになります。従つて七割程度を標準財政力の中に見ておきまして、あとの三割は自由に使える財源、このようにいたしたいと思います。従いまして初めに申し上げた一般平衡交付金の額と、地方税の額と、この両者を足したものをもつて対象にすると申したのでありまするが、正確に申しますれば、一般平衡交付金の総額と地方税の七割の額とをもつて、その範囲内において標準行政費というものをきめたい、こういう考えであります。そのような計算で各団体に当該年度の予算額を按分して交付するということになるわけであります。ただそのようにいたしますると、どうしてもいわゆるしやくし定規になつて、こまかいところに手が届かない、あるいは配分してしまつたあとで、臨時に起つた経費に対して、財源を付與することができないというふうになりまするので、一割程度のものは特別の交付金としてとつておきまして、そういう特殊な事情が起りました際に一交付いたしたいと考えております。そのようにいたしまして各団体に対しまする一般平衡交付金の交付額をきめまして、それを積み上げたものが当該年度におきまして国庫の予算にのるべき額であります。しかしながら予算の編成上どうしても年度が一年ずれまする関係上結局総額は見込みによつて計算する以外にありません。従いまして実際交付するときには、今申しましたようなものを基礎にいたしまして、予算にのつておる額を按分するという方法にしかならないわけであります。  なお総額の方も今までの配付税のように、頭から親金できまつて来るというようなことではなくて、あくまでも見込みではありまするけれども、個々の団体について計算したものを積み上げたものが総額になるというかつこうになつております。  それから現金の交付でありますが、年四回にわけて交付いたしたいと思います。その場合初めの二回はおそらくほんとうにその年度の一般平衡交付額が算定できるまでに間に合わないと思いまするから、そういう場合は前年度のものをもちましてかりに交付しておいて、あとのもので精算する、こういう方法をとりたいと考えております。以上が大体一般平衡交付金の骨子でございます。
  31. 門司亮

    ○門司委員 ただいまの説明で大体の趣旨はわかつたのでありますが、その際に非常にむずかしいと思いますことは、国政事務市町村の固有事務との限界をどこに線を引かれるかということであります。これが明確になつて参りませんと、先ほどの説明によりますると、いずれも町村の考えておりますることと、それから政府が総予算の中に考えておりますることと違いが出て来て、従来というよりも、本年度の配付税のような形が必ず示されて来るように、われわれにはえられます。従つて政府はこの国家事務地方事務との限界を定められる具体的の案があるかどうかということであります。これはおそらく平衡交付金の最も重要な基礎になると考えるのでありますが、その点の限界がおわかりでありましたら、この際ひとつ御発表願いたいと思います。
  32. 荻田保

    荻田政府委員 御質問関連いたしまして、もう少し一般平衡交付金の運用につきまして御説明申し上げたい、思います。先ほど申しました各費目にわけまして、標準行政費を計算する場合に、義務的ないわゆる国家事務的な経費につきましては、おそらくその標準となつておりまする全額をもつて計算の中に入れるようにいたします。先ほど申しましたように、総額は標準課税額の七割程度でございます。三割はこの中から外に出るのでありまするから義務的な経費につきましては全額をこれに入れる。従つて義務的でない経費について、相当標準額よりも落ちた額が計上されるということになりますが、しからばその義務的な経費はどういうものかと申しますと、これはほかの法律によりましてきまつております。たとえば義務教育費であるとか、衛生施設上の各法律によつて地方団体の義務として義務づけられたもの、こういうものを選ぶことになつております。  それからその額の確保の問題でありまするが、ただいま申しましたように、標準行政費を測定する場合の測定の基測、たとえば小学校費については兒童数と学級数と、学校数とを用いるというようなことは、法律にはつきり規定して御審議をいただいております。さらに欲を申せば、これに乗じます單価等もこの法律に規定いたしまして国会の御審議を受ける。單に政府が勝手にやるのじやない、こういう方向に持つて行きたいと思いまするが、何分にも本二十五年度は施行早々でありまして、そういうものにつきましてわれわれ確たる見通しを持つておりませんから、今後これを調査いたしまして、その上で政令をもつて定めることにいたしたいと思います。しかし二六六年度以降できまするならば、そういう單価もなるべくこの法律に織り込みまして、すべて国会の御承認を受けて、配分するというかつこうに持つて行きたいと考えております。それからつけ加えまして、この一般平衡交付金を地方団体か受けました場合、それをどう使つても一応自由でありますが、今申しましたように揚げました経費の各項目別の内訳は、單に配分するときの基準にしかすぎないのでありますが、ただ国家的に要請されておる事務、たとえば義務教育のごときは典型的であります。こういうものにつきましては、測定標準によりまして算定いたしました額そのものは必ず地方団体が支出しなければいけない、もしこれを支出しなければ、平衡交付金の返還を政府が命ずることができる、このようにいたしたいと思います。なおこのような測定規準をどうきめるかというような問題、それから各項品別の行政費の額が、どれだけいるかというようなこと、これはそれぞれ主管省の意見を十分に斟酌してきめるというようにいたしますし、それからその使途につきましても、各団体ではたして国家的の事務に充当しているかどうかというような調査も、それぞれ各省におきまして十分嚴格な監督ができるような建前にいたしたいと考えております。
  33. 門司亮

    ○門司委員 私にはまだはつきりのみ込めないのでありますが、問題は従来しばしば言われておりますように、今日の地方事務は、大体六割ないし七割ぐらいが、国政事務であるということがしばしば言われており、これが事実であると、われわれには一応考えられるのでありますが、もしそうなつて参りますると、この平衡交付金によつて地方財政が十分まかなえるだけの交付金をやることになると思いますが、その場合に單に七割程度をそのことのために見て、そうして全額の税の徴收を見ないというようなことが、私はその間の事情を斟酌されたと一応考えるのでありますが、もし国がほんとうに国政事務のすべてを国の費用で見て行く、そうして地方自治体がおのおのの財政事情に応じて、自律性を保つて行くというようなことに考えられまするならば、今の説明だけでは私は納得できないのであります。それは各省においてはいろいろ問題があるというようなことに、説明はされておるのでありますが、各省が今日持つておりまするいろいろな問題、たとえば保險の問題を一つ取上げて見ましても、保險に関係いたしておりまする多くの事務員と言いまするか、関係者というものは、大体国の官吏に所属をしている。そうしてそれは実際は地方自治法の附則によりまして、これが都道府県督事の指揮監督の中に、仕事ををしなければならないようなことになつておる。もし地方自治体がほんとうに完全に自己の自律性のもとに、そういう保險事業が行われるようなことになつて参りますと、当然これらの費用、これらの事業はすべて地方自治体に委讓されなければならない。ところが現状ではやはり厚生省がこれを握つてつて、そうして厚生省の役人の費用だけを厚生省が出しておる。実際の仕事は都道府県知事の指揮監督のもとに行われておる。そこで問題になりますのは、この保險事業というものは、はたして全額が国の仕事であるか、地方仕事であるかというとでありまして、地方都道府県におきましては、知事の監督のもとに仕事はやつておるが、派遣されたものは国の役人である、しかも事業自体をほんとうに地方住民の満足するようにやつて行こうとすれば、都道府県費あるいは市費を相当これに注ぎ込まなければほんとうの仕事ができない。この辺の線が明確に規定されない限りにおいては、この平衡交付金というものは、地方都道府県にとつては、はなはだ安心のできないような状態になつて来はしないか。この前の委員会でもちよつと私お話申し上げましたように、こういう形においてほんとうに地方か自律的に行い得る財政基礎をお與えになるとするならば、まずその前に今国か補助いたしておりまする、非常にたくさんの事業の内容というものを、明確化してもらいたい。そうしてこれだけの仕事は国が行うから、これだけの交付金がいるのだということを、はつきり算定の基礎の上に示しておいてもらいませんと、そのときどきの政府のものの考え方で、動かされるというようなことになつて参りますと、今政府かお考えになつているものと、まつたく逆な結果が将来生じて来るのじやないか。教育費の問題にいたしましても同じようなことでありまして、たとえば、教員の給料の問題等にいたしましても、給料につきましては全額、国庫が支拂うのだというようなことにいたしまするならば、これを明確に、何らかの法律できめて行くということがなされて、その基礎の上に立つて、平衡交付金が出されるというようなことが行われることが、正しいのではないかと私は考えておりまするが、この辺に対する御見解をもう一度お聞かせを願いたいと思います。
  34. 荻田保

    荻田政府委員 保險のうち政府が全国的な一つの保險事業として経営しておるというものにつきましては、これを地方費に移すことは適当でないのじやないかと思います。国民健康保險のように、市町村で主体になつて市町村だけの会計で、実行して行くというものにつきましては、もちろん一般平衡交付金法の対象になりますが、政府が一貫して全国的な一つの保險事業として行うようなものにつきましては、地方費の支出ということは、ちよつと考えられないのじやないかと思います。従いまして現在おります職員も官吏になつて国費で支弁されておりますが、こういう方向はやむを得ないのじやないかと考えております。  それから国家か要請するような、一般の義務的な経費につきましての補償でありまするが、これは先ほど申し上げましたように、今年出ます法律では單価等も書いてありませんけれども、将来は地方につきまして合理的な基礎を発見することができましたら、なるべく法律に書きまして、国家が要請するような義務的経費についての額が、幾らであるということを、国会の審議を経て法律をもつてはつきりときめまして、これが中央政府内部のやりとりによつて動いている、あるいは地方団体に参りましたときに、あやふやになるというようなことのないように、いたしたいと思います。
  35. 本多市郎

    本多国務大臣 ただいまお話のありました通りに、国の事務と、都道府県事務と、市町村事務の明確化が、自治確立の上においても、また行政権においても、財政権においても基盤にならなければならぬというお話は、まことにごもつともでありまして政府はただいまこの方向に努力中であります。地方行政調査委員会議において。この基盤を確立することができますように結論を得たいと存じております。本年度の平衡交付金の制度は、それぞれ自治体の固有事務、委任事務等が。法律で規定されておりますので、現状のままでこれを実行するのでありまして、ただ政府からの補助金を、平衡交付金に統合したものが、相当あるというだけでありますが、本来は政府の国家事務が、地方自治体自体の事務として扱わしてもいいものが。今日の段階でも相当あるように考えられますので、根本的には国の事務府県事務市町村事務ということが法律上個々に明確化せられまして、それ自体の事務ということになつて行くべきであると思うのでございます。そうした改革が行われましたならば、中央行政費が、それだけ節減されて参りますから、中央におきましては減税か、あるいは平衡交付金を増額するかということで、地方のふえて行く事務に対する財源というものも、均衡を得て行くものと存じます。ただいまお示しのような方向へ進んでおるのでありますが、これが確立するのは来年度ではないかと考えられますので、そうしたときになりますと、お話のように明確化して来るだろうと考えております。
  36. 淵上房太郎

    ○淵上委員 ただいまの問答を伺つておると、ちよつと私何だかわかりません。地方財政交付金制度の本旨は、私が今まで解釈しているところによると、地方財政の確立をはかることによつて地方自治の発達に資するというのが、本来の趣旨であると思つてつたのであります。しかるにただいまの質問応答を伺いますと、公共団体の委任事務と、固有事務という問題と混同されておるのではないかと思われますが、これは別個のものであると私は考えておりますので、自治庁当局のこの点に対する御見解を伺つておきたいと思います。
  37. 本多市郎

    本多国務大臣 現状においては、その委任事務、固有警務をどう調整するかということは、別個の問題でございます。
  38. 藤田義光

    ○藤田委員 簡單に要点だけをお伺いしたいと思います。まず第一点は、先般政府からいただきました二十五年度予算の説湖によりまして、シャゥプ勧告安には平衡交付金の総額は、少くとも千二百億というふうに勧告されておりますが、今回の予算によりますと、千五十億となつておりますが、この点についてお伺いしたいと思います。
  39. 荻田保

    荻田政府委員 確かにシャウプ勧告では千二百億になつておりますが、今度提案になりました予算におきましては、千五十億になつております。なぜ少くなつたかというお話でありますが、これは国庫補助金の整理と関連いたしまして、シャゥプ勧告で大体廃止して一般平衡交付金に統合した方がよいと思うと言われた項目のうち、特に大きいのは生活保護法に要する百五十億でありますが、そのほかにも数種の項目がございまして、これを一般平衡交付金に入れずに、特別に補助金として立てましたので、その額だけ千二百億から減つて来たのであります。ただ予算の付記の中におきましても、今後研究しまして、もし一般平衡交付金に統合してよいならば、それを移しかえることができるというような付記がついているはずであります。
  40. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいま荻田次長から答弁がありましたが、その付記は、内閣は地方財政平衡交付金と、各省に計上した地方公共団体に対する補助金との間に、移用できる旨予算総則に規定した点だろうと思いますが、従来の大蔵省の行き方からしまして、この点に関しましてほとんど期待できないのではないかと思います。しかも予算書を見まして、非常に奇異に感じます点は、たとえば厚生省関係におきまして、兒童保護費は十四億五千万円が、そのまま平衡交付金になつておりますが、これと同じ性質であり、むしろ一層地方団体に直接関係の深い生活保護費は、そのままになつておる。そのほか同胞引揚費が二億三千万、農業保險費がわ、ずか八千万円、それから中小学校の経費が二百五十億というふうに入つてつておりますが、シャウプ勧告にありました掛声が大きかつただけに、平衡交付金に入りました補助金の内容というものが、非常に貧弱である。これは私はあえて自治庁当局の政治力の不足というふうに、地方公共団体から誤解されはしないかと思います。その点やむを得ない事情もあつたと思いますが、自治庁当局ではどのくらいの補助金の編入を予定され、その結果かかる金額になつたというようなことを、ひとつ忌憚なく御説明をお願いしたいと思います。
  41. 荻田保

    荻田政府委員 当初生活保護法の補助金もこれを全部統合することといたしまして、二十五年度の一般平衡交付金の額を千二百五十億弱にいたしたのであります。その後御推察のような事情で二百億程度のものが、一般平衡交付金から外へ出た、従つて千五十億になつたというような経過でございます。
  42. 藤田義光

    ○藤田委員 先ほども立花君から指摘されましたが、大蔵省主計局とありますので、おそらく大蔵省当局が作文したと思いますが、このうちにあります二十五年度予算の説明の中には、地方財政平衡交付金の項目におきまして、はつきりと二十五年度の地方財政相当余裕を生ずるものと考えられるというふうな、非常に楽観的な説明をしてございます。われわれこの予算書を一見しまして、徴税をその他の方面において相当の困難と財政難を、さらに予想しておるのでありますが、この予算の説明は、自治庁の資料に基いて作文されたのか、あるいは大蔵省当局が書きましたのか、簡單にお答え願いたいと思います。
  43. 荻田保

    荻田政府委員 ちよつと私まだそのものを拜見しておりませんので、はつきりしたことを申し上げられませんが、シャウプ勧告によりまして、大体地方に対して一千億の余裕財源を與える。これは二十四年度の追加予算の成立しない前の話でございますが、それと比較いたしまして一千億プラスする。しかし三百億の寄付金を廃止するから、差引七百億円だけ地方財源にゆとりが出る、こういうことになつております。しかし今度出ました国の予算、あるいは大体地方債のわくを三百億ときめておりますことなどによりまして七百億の余裕はとても出ませんで、三百億程度はそれを下まわるようになると思います。しかしまだインフレにつきまして十分の結論を得ておらぬのでありますから、地方債の発行、あるいは予算の節減というようなことにつきまして、考慮しなければならないところもございますので、まずこの程度によりまして二十五年度は地方財政をやつて行くというような考えでございます。
  44. 藤田義光

    ○藤田委員 この平衡交付金法の制定とともに、非常に地方自治団体で注意いたしておりますのは、災害の国庫補助の問題でございます。今年度予算によりますと、二十五年度発生災害復旧事業費として、百億円を計上されておりますが、この配分に関しましては、大蔵省がもつぱら管轄するのか、あるいは自治庁において相当発言権があるものかどうか、お伺いいたしたいと思います。  それから先般の総務部長会議におきまして、この災害復旧費の全額国庫負担に関しまして、大蔵省並びに建設省方面におきましては、被害額が一件三十万円以上に対してのみ、全額国庫負担する。実際町村等におきまして最も該当件数の多い三十万円以下には国庫補助をしない。地元負担であるというふうな内規が折衝されておるというようなことを、拜聽いたしておりますが、この点も重ねてお伺いいたしたいと思います。
  45. 荻田保

    荻田政府委員 予算に出ております百億円の昭和二十五年発生災害に対します国庫補助金、これは公共事業費の中でございますので、安定本部におきまして割振りをきめまして、それぞれの各省の所管によりまして、各省より地方団体に対して割当額が決定することになります。それから災害の全額負担に対してでございますが、この点につきましては、二十五年度に関します限り災害費を全額国庫負担にするという法律、今期国会に提出して御審議を受けようと思つて、この分は相当進行いたしておりますので、数日中に提出に相なると思いますが、この場合今おつしやいました小さな災害については、補助の対象から除外いたしますが、こういう点は法律にはございませんで政令に讓ることとなると思いますが、大体現在政府部間におきまして打合せておりますのは、十五万円程度でございます。三十万円ということは考えておりません。
  46. 藤田義光

    ○藤田委員 一番平衡交付金で問題になります点は、毎年度のわくの問題だろうと思います。大蔵省当局と自治庁の間におきまして、相当闘争が展開されるだろうと思います。つきましては、私は新聞の報道だけを根拠に申し上げますが、ぜひともこの点に関しましては、法律によりまして、毎年度予算の分捕戰がないような、地方公共団体が安心して翌年度の平衡交付金の総額も、想定できるような方法をとられる御用意がありますかどうか。この点最も地方団体でも憂慮しておる点でございますが、先ほど平衡交付金法の概要の御説明に際しまして、これも省略されておつたようでございますから、お開きしたいと思います。
  47. 荻田保

    荻田政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、毎年度の総額は、各団体につきまして先ほど申しました各費目について、標準行政費を計算し、しかも片一方標準課税額を計算しまして、その差額は全部全額国庫予算に一般平衡交付金として計上する、こういう建前でございますので、今までのような配付税にありましたような総額についての保障はございません。従いまして御懸念のような問題が起るおそれかあると思いますが、そういうことも考えまして、なるべくその各費目の最小限度の單価等は、法律に規定いたしまして、この額だけは予算の査定に関係なく、必ず確保しなければならないのだという法律上の根拠を得たいと考えております。
  48. 藤田義光

    ○藤田委員 自治庁の方針はわれわれとまつたく同意見でございまして、さようにしていただきたいと思いますが、従来の体験及び将来の国家財政の見通しによりますと、どうしても大蔵省で平衡交付金の、総わくをきめまして、逆転して行くという可能性があるんじやないかと思います。それを打破できるだけのきちんとした法律を予定されておりますかどうか、その点をもう一度お伺いしたいと思います。
  49. 荻田保

    荻田政府委員 ただいま申し上げましたように、できるだけその標準財政費というものを法律で確保したいと考えておりますが、あとは政府部内の折衝に残ることと思います。しかし現行法で配付税につきまして法律の保障がありましても、やはり還元されたというような経験もあるのでございますから、要は政府全体としての地方自治に対する態度がはつきりさえしておれば、争ういうことは起らないのではないかと思います。
  50. 藤田義光

    ○藤田委員 清新強力なる本多国務大臣が登場されまして、その点に関しましてはわれわれも非常に期待いたしております。何れ法案が出ましてから、詳細な御質問をしたいと思います。  次に起債の問題を簡單にお伺いしたいと思います。地方公共団体としまして財源難の折柄、起債というものが非常に有力な財源になつております。この起債の償還年限の延長と利子の引下げということは、第六国会においても大蔵当局から再三お答えを願いました点でございます。新聞の報ずるところによりますと、見返り資金はもちろん、一般市中金融の利子も引下げるようでございますが、従来九分四厘ないし九分六厘という高率をとられておりました起債の利子の引下げに対する見、通しを、本多大臣からお伺いしたいと思います。  それから御存じと思いますが、大蔵省預金部資金の運用規定がありまして、これによりますとたしか十五年ないし三十年間の長期年賦償還に、従来の預金部資金の起債はなつておりましたが、その後運用審議会において短縮しております。大蔵大臣が申される通りにインフレも收束いたしております。通貨の価値というものも安定をとりもどしておりますので、この償還年限をうんと引延ばしまして、規定通りに引返して利子も引下げて、こういう面から強力に地方財政をカバーするということに、新国務大臣の御奮闘をわれわれは切望する次第であります。第六国会における水田大蔵政務次官その他の御答弁で、相当研究され折衝されていると思いますが、その後の経過と今後の見通しをお聞きしたいと思います。
  51. 本多市郎

    本多国務大臣 地方債のわくをさらに広げることも必要でありますが、これはインフレ阻止の関係から、困難な事情にありますが、すでに今日まで発行されておる地方債は、災害等の多かつた地方には非常に多額に上り、この元金の償還、さらに利息の支拂いが地方財政相当きゆくつに圧迫しているという事実でございます。二十四年度はこの地方債の利息の支拂いが五十億円に達しておるのでございますが、この地方債の中で今年度からは災害に関する公債の元金、利息等の支拂額は、これを財政需要額の中に入れて調整をして行きたいということが一点であります。さらに一般事業に対する起債については、十五年にその期間を延長するということと、一般銀行利息の引下げに伴いまして、利率においても二厘だけは引下げたいという方針を持つておる次第でございます。
  52. 藤田義光

    ○藤田委員 就任早々の本多さんから非常に具体的な、しかも地方団体現状を推察された御答弁を得まして満足に感じます。  最後に一点、これは地方財政に直接関係ない問題でございますが、先般の本委員会においても質問がございました道州制の問題と、中間機関たる地方事務所の問題でございます。仄聞するところによりますと、道州制に関しましては、関係方面はわれわれの想像に絶するような強い意見を持つておるようでございます。国務大臣の数も相当減しまして、道州知事というものに大物をすえた、いわゆる日本の中央地方行政の画期的な改革を行おうとする熱意が、関係方面にあるようでございますが、先に本多国務大臣は就任早々九州地方を旅行されまして、この問題に言及されまして相当熱意を示されております。この点に関しまして先般御答弁がございました以外に、何か大臣としてかくありたいという御希望なり、御構想かありましたならば拜聽いたしまして、われわれの研究材料にしたいと思います。実はこの問題に関しまして地方公共団体等におきましても、相当端摩臆測が行われておるようでございます。先ほど御答弁のありました出先機関の整理は、徹底的にやるという小野政務次官の御意見に、まつたくわれわれも同意見でございますが、これと並行いたしまして、地方事務所というものも、ひとつ本多さんが自治庁長官たる国務大臣御就任を機会に、本格的に検討して見られる用意はないかどうか伺いたいと思います。
  53. 本多市郎

    本多国務大臣 御質問でありますが、残念ながらただいまのところでは、具体的な研究について申し上げる段階に至つておらないのでございます。関係方面に道州制というような非常な強い希望と申しますか。考えがあるというお話でございますが、これも直接には私としてまだ聞いたこともないのでございまして、ただしかしこの地方行政の区域を、自治制の区域としてもう少し強化するためには、地理的経済的な條件、あるいはあまり区域の小なるものは、それだけ自治体としては弱体でございますから、これを統合したらどうかという抽象的ではありますけれども、その熱意は持つておるつもりでございます。私が先般旅行いたしましたときに、統合の問題等について新聞に出たのでございますが、そうした問題も今回の地方行政調査委員会議で、あわせて研究してもらうことになつておるから、そこの研究対象になるであろうということを言うたに過ぎないのでありまして、政府といたしましても十分の熱意は持つておりますけれども、まだ具体的に申し上げられる程度には研究が進んでおらないことを御了承願いたいと思います。
  54. 中島守利

    中島委員長 この際川西君は、財政に限つて質問ですか。
  55. 川西清

    ○川西委員 道州制のことについてひとつ……
  56. 中島守利

    中島委員長 もしあれだつたら、地方自治法の一部を改正する法律案もこの日程に加えまして、広い範囲でお尋ねするように願いたいと思います。あなたの質問は保留になつておりますので、あなたの番になつておりますから、それとあわせて質疑を許します。
  57. 川西清

    ○川西委員 ちようど今道州制の話が出ましたので、簡單にお尋ねいたしますが、本多国務大臣は御就任に際しましても、道州制の確立というようなことを、御就任の言葉に述べておられますけれども、道州制々々々と言葉では申しますが、大体道州制というのはどういうものなのでありますか。実体が全然わからないのにもかかわらず、言葉としてあちらこちらに非常に叫ばれておるので、地方においては非常に動揺しておるように見られるのでありますが、道州というのは、道州から直接町村に続くものでありますか、あるいは府県の上にまた道とか州というものがあるのでありますか。そういうことにいたしますれば、地方行政に段階をまた一つふやすというようなことにたつて、はなはだ経費の両からも、人員の面からも複雑なことになつて参りますが、正確なこと、明快な具体的なことは別といたしましても、大体道州制というものがどういうものであるか。昔、戰時中にありましたような連絡行政議会のようなものであるか、それとも完全な自治体であるか、その点まるきり言葉だけが流行いたしておりまして、実体がわからないのでありますが、その点について一つと、それからもう一つ府県の統廃合ということを先ほども申されましたが、府県は現在の法制上独立の自治体でありまして、府県会の独立の意思によつて行動する建前になつておるのであります。府県の統廃合というようなことをやろうと思いますれば、府県の意思に反して統廃合しなければできない。それを一々聞いておりましては、統廃合はなし得ないのでありますけれども府県の統廃合ということを考えます場合、その法的措置につきましては、どういうふうに考えておられるのであるか。その二点についてお伺いいたします。
  58. 本多市郎

    本多国務大臣 道州制ということを、私は言つた覚えはないのでございます。これも確かに、新聞で見ますと道州制を研究している人はあるようでございます。自由党の中の人からも一人道州制の話を聞いたことがありますけれども、私といたしましては、今の府県をそのままにしておいて、さらに一段階をつくるということについては、まだそういう方向考えてみたこともありません。ただ府県にも統合した方が適当であると思われるものがあるかもしれぬと思います。ことに市町村などの中には、現に三箇村、四箇村集まつて共同で学校を経営するというようなものさえありまして、これは府県ばかりでなく、特に市町村において自治的な基盤として小さいがために、弱体であるというものが多いのじやなかろうかと存じます。これらはすべてシャウプの勧告に基く地方行政調査委員会議で研究をしていただくということで、今日ではそれで盡きておるのでありましてその上で政府は方針を決定いたしたいと思つております。これを実行する法律的な手段はどうかという話でありますが、これは憲法にも関係のあることでございまして、地方行政調査委員会議のような権威ある機関が、これを決定し、勧告することによつて、おのずから生じて来る国民的な政治力というようなものが、この解決の大きな力になるものだろうと存じております。これをいかに法制化するかということにつきましては、今のところ具体的には進めておらないのであります。
  59. 川西清

    ○川西委員 それから市町村の統合がシャゥプ勧告によつて大体勧奬せられておるのでありますが、将来この市町村の統合につきまして、何か中央において強制的な措置をとられるようなお考えがあるのでありましようか。ただ勧めるというだけでありますか、その点についてお伺いしたいのであります。  それからもう一つシャウプ勧告の文面から見ますれば、市町村の統合と申しますか、町村の統合は、新制中学も一本立ちではつくれないというような、大体貧弱町村同士の統合ということを、勧めておるように読み取られるのでありますけれども、実際は市のそばの町村を併合するのに、市町村の統合を勧めているという言葉が用いられまして、市になるためには町村を併合する、そういうように用いられることが多いのでありますけれども、別に市になるためではなくして、村と村とが合併して財政力を強めるというような意味の町村の統合を勧める。これがシャウ勧告の趣旨であると思うのでありまするが、その点についてのお考えを承りたい。
  60. 本多市郎

    本多国務大臣 お話の通り特に支那事変以来大都市、市の周辺の町村の併合ということが非常に行われて来たのでありますが、そうしたものばかりでなく、村と村とのそれが地理的、経済的また行政地域として強化され、適当であると思われるようなものは、これが統合されるということを勧告されているものと存じます。いずれにいたしましてもこの問題は、一応の地方行政調査委員会議決定を得た上で、政府といたしましても勧奬の方法等も進めたいと思つておりますので、今のところでは、どういうものをどういうふうに統合したいという方針は、政府部内では決定されておらないわけであります。どうぞ御了承を願います。  それから最前の藤田さんの御質問に、地方事務所のことについて研究すべきではないかというお話がございましたが、これは今日まで地方事務所を法制化して制限するのはどうかと考えておつたのでございますけれども、さらに研究いたしてみたいと思います。
  61. 川西清

    ○川西委員 市町村の統合を強化するかしないかという点は……
  62. 本多市郎

    本多国務大臣 これはよほど研究を要する問題だろうと思います。市町村の統合の場合には、原則として一般投票によらなければならぬようにもなつておりますし、これは憲法にも関係のある條項と考えられますので、そのときになりまして、どういう方法でやるかということは、よほど研究を要するものと思いますが、政府としてただいま強制するなどという考えはないのであります。
  63. 川西清

    ○川西委員 次に地方平衡交付金のことにつきまして、簡單にお尋ねいたします。配付税では、府県に対する分と市町村に対する分と、大体五対五と、半分ずつわけるようになつてつたのでありますが、平衡交付金法によりまして、財政需要と幕準財政收入との差だけ、すべての地方団体おしなべて交付するように條文はなつておりますが、この配付の仕方によりますると、府県市町村との配分の割合は、大体どういうふうになるお見込みですか。大体の比率、割合を教えていただきたい。
  64. 荻田保

    荻田政府委員 ただいまおつしやいましたように、府県市町村との割合を頭からきめませんで、個々の団体の財政事情財政力とを計算いたしまして求めますので、頭からどうなるかということをきめておりませんのではつきりわかりませんですが、大体の推測といたしましては、二十五年度は別に事務の配分につきましてやりとりがございませんから、大体現在のような半半ぐらいになろうと思います。しかし税のふえ方が市町村の方が多いようでありますので、あるいは道府県の方が、一般平衡交付金が少し多くなるものと考えております。この点まつたく今のところは見当がつきません。
  65. 川西清

    ○川西委員 それからもう一つ、今ここに資料を持つて来ませんので、数字に即して申し上げることはできませんけれども、配付税の交付の金額につきまして、大体現在までの配付税の交付の方法によりますると、人口が三万ないし四万くらいの市と町村では、たいへんな差があつたのでありまするが、平衛交付金におきましては、どのくらいの差があるのでありましようか、その配付税のときより差がひどくなるのでありますか、ゆるくなるのでありますか、それについてお考えをお伺いしたいと思います。
  66. 荻田保

    荻田政府委員 現在の配付税におきましては、まず財政事情による配分をいたしますところの割増人口の関係上、町村と市とにおきまして一・五と五割の違いがありました。そういう関係で、町村と市と同じ人口でも、市の方が多かつたわけであります。もう一つは大都市と、市と、それから町村と三ブロックにわけて、それぞれ計算することになつておりますので、つまり町村でいいますと、そういう大きな所は、頭の方であるからいい方であります。その内部においては比較的配付税が少い。ところがそういう所が市になりますと、市のしりについて来ますから、そういう所には割合にたくさん配付税が行く、こういうふうなことで非常に段階があつたわけであります。実はわれわれも的確な資料をまだ持つておりません。今後は一応市と町村とをそのように三ブロックにわけないで、いきなり配分いたしますので、そういう意味の差はございませんが、先ほど申し上げましたように、配分基準に対しまして補正する場合の一つのファクターといたしまして、農村部分と都市部分とは、ある程度の段階はつけなければならぬと考えておりますので、そのつけ方いかんによりましては、相当程度の差が出て来るのではないかと考えております。
  67. 川西清

    ○川西委員 どちらについても差は出ますけれども、その差の開きがよけいにひどくなるのか、それとも緩和されるのか。
  68. 荻田保

    荻田政府委員 これは今後その差をつけた方がいいものか、つけない方がいいものかという観点で判断いたしまして、その補正計数をきめなければならぬ問題だと思いますが、しかしむしろ現在よりも差は少くなるのじやないかという、大体の見通しを持つております。
  69. 中島守利

    中島委員長 本日はこの程度にいたしておきまして散会いたしたいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 中島守利

    中島委員長 次会はこの次の土曜日の午前十時から閉会したいと思います。もし緊急の問題があれば、公報をもつて御通知いたします。  これにて散会いたします。     午後零時三十四分散会