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荻田政府委員 ただいま
委員長から御説明もございましたが、われわれの現在
考えておりますことにつきまして、
相当根本的に
関係方面におきましても異論がありますようですが、ただいまから説明申しますところが、必ずしもその形にな
つて国会に提案になるということは保証できませんので、あらかじめ御了承願います。
一般平衡交付金のわけ方の問題でありますがもこれは
シャウプ勧告にもございますように、各
地方団体につきまして標準
財政需要額というものを算定いたしまして、それからその団体で徴收し得ます標準の税額を算定します。その差額を一般平衡交付金として、当該の団体に交付することになるわけであります。しからば第一に標準
財政需要額をどうして算定するかという問題でございますが、これは非常にむずかしい問題でありまして、大体このように
考えております。各
地方団体の
費用のうち特定の
收入、たとえば
起債であるとか、国庫
補助金であるとか、そのほかの特定の
收入でまかなわれる部分は、一般平衡交付金の関與するところではございませんから、これは除外いたしまして、結局一般平衡交付金と
地方税とによ
つてまかなわれる程度のものを対象にいたしたいと
考えております。それでその総額の範囲内におきまして、これを
相当数の
行政項目にわけまして、それぞれ各個に算定いたします。たとえば道
府県でございますれば土木費、教育費、厚生労働費、
産業経済費、戰災復興費、公債費、その他の
行政費、この七つくらいにわけられると思います。そしてさらにその内訳をもう少し細別いたしたいと思います。たとえば教育費におきましては、その内訳を
教育委員会の
費用、小学校の
費用、中学校の
費用、聾盲唖学校の
費用、高等学校の
費用その他の教育
費用というようにわけることにいたしたいと思います。そうしてそのそれぞれにつきまして標準
行政費を算定するわけでございますが、その方法は大体
一つの測定標準というものを設けまして、その
一つあたりの單位を乗じたものをも
つて、その
行政費の、標準と見るわけであります。たとえば小学校の経費につきましては、小学校の児童数、学級数、学校数、そういうものを測定標準にいたすわけであります。そうして児童数一人当り何円、学級数
一つ当り何円、学校数一校当り何円、こういう三つの、方法をもちまして計算し、それを合せたものが小学校費になるわけであります。しからばその單価は一本にするかということでございますが、これは全国一律では適当でないと思いますので、これに差等をつけたいと思います。そこで多少技術的の問題になりますが、單価において差等をつけますことは、計算上めんどうでありますので、むしろその基準の方に差等をつけて参りたい。つまり児童数でも、全国一律に一人を一人として計算せずに、一人に対して割増しあるいは逓減をする、こうゆうような
考えであります。しからばどういう根拠で、どういう事項でも
つてその差等をつけるかという問題でありますが、これは四つのことを
考えております。
一つはその單位が多いか少いかということでございます。たとえば人口なら人口をもちまして、算定する経費につきまして、一万人を対象にする場合、二万人を対象にする場合とでは、簡單に二倍の経費がいるとは
考えられません。大きくなればなるほど割安になります。従
つて人口が大きくなればそれだけ逓減するというやり方にいたしたいと思います。第二に人口の密度ということを
考えたいと思います。同じ一万人の人口のある町村でありましても、面積が五倍にもなれば、それだけ経費が割高につきますから、そういうところに対しましては割増しをするということでございます。それから第三に、町村の人口と市の人口との間の差等をつけたいと思います。これは大きく申しますれば文化度と申しますか、そういう
考えでありますがこまかい問題を
考えましても、現在俸給につきまして、都市には勤務地手当というようなものがついておりますから、やはり同じ経費でありましても、農村部門と都市部門とでは差等がつくわけであります。そのような割増しをいたしたい。
第四番百に寒冷地、積雪地、この方面におきましては、たとえば学校をつくるにいたしましても、経費が違うわけであります。あるいは
道路の補修費がよけいいるというようなことかございます。あるいはまた俸給にいたしましても、寒冷地手当、石炭手当というようなものがついております。そういう趣旨でその割増しをいたします。この四つのフアクターをもちまして、それを割増しなり逓減なりいたしまして、それをも
つて測定基準といたしたいと思います。それに合理的な單価を乗じましてその経費の標準
行政費というものを算出するわけであります。
第二に標準課税額という問題であります。この計算は各種の税目につまきして、小さなものはあるいはやめたいと思いますが、大体法定科目の大部分につきまして、標準率をも
つて、その団体がどれだけ税を徴收し得るかということを計算するわけであります。この場合二つの問題があるわけでありまするが、
一つはこの税額を算定する場合に、現実にその
地方団体が賦課徴收いたしました額そのものをも
つて、ただちにこの標準課税額の
基礎にするかどうかという点でありまするが、われわれはそのようなことはなるべく避けよう、客観的に見てその団体がどれだけ税をとり得るか、たとえば遊興飲食税をとるにいたしましても、その
府県の手心によりまして、非常にきつくと
つているところと、軽くと
つているところとあります。これを
府県でや
つているのをそのままとりますると不公平が起りますから、ほかの客観的な基準によりまして、その団体がとり得る遊興飲食税の額を算定いたしたい、このような
考えであります。
第ニの問題は、標準税率をも
つて算定いたしました税額を全部課税力に持
つて来るかどうかということでありまするが、これはわれわれは大体七割程度をも
つて標準税額にしたい、三割は別にこの中に入れないという
考えであります。こういうことを
考えます理由は、全額をも
つて標準
財政需要の中に入れますると、とりました税はもう一般平衡交付金の配分の際差引かれてしまうということになりまするから、その団体は税をたくさんと
つて仕事をしようという意識を沮喪するようなことになります。従
つて七割程度を標準
財政力の中に見ておきまして、あとの三割は自由に使える
財源、このようにいたしたいと思います。従いまして初めに申し上げた一般平衡交付金の額と、
地方税の額と、この両者を足したものをも
つて対象にすると申したのでありまするが、正確に申しますれば、一般平衡交付金の総額と
地方税の七割の額とをも
つて、その範囲内において標準
行政費というものをきめたい、こういう
考えであります。そのような計算で各団体に当該年度の予算額を按分して交付するということになるわけであります。ただそのようにいたしますると、どうしてもいわゆるしやくし定規にな
つて、こまかいところに手が届かない、あるいは配分してしまつたあとで、臨時に起つた経費に対して、
財源を付與することができないというふうになりまするので、一割程度のものは特別の交付金としてと
つておきまして、そういう特殊な
事情が起りました際に一交付いたしたいと
考えております。そのようにいたしまして各団体に対しまする一般平衡交付金の交付額をきめまして、それを積み上げたものが当該年度におきまして国庫の予算にのるべき額であります。しかしながら予算の編成上どうしても年度が一年ずれまする
関係上結局総額は見込みによ
つて計算する以外にありません。従いまして実際交付するときには、今申しましたようなものを
基礎にいたしまして、予算にの
つておる額を按分するという方法にしかならないわけであります。
なお総額の方も今までの配付税のように、頭から親金できま
つて来るというようなことではなくて、あくまでも見込みではありまするけれ
ども、個々の団体について計算したものを積み上げたものが総額になるというかつこうにな
つております。
それから現金の交付でありますが、年四回にわけて交付いたしたいと思います。その場合初めの二回はおそらくほんとうにその年度の一般平衡交付額が算定できるまでに間に合わないと思いまするから、そういう場合は前年度のものをもちましてかりに交付しておいて、あとのもので精算する、こういう方法をとりたいと
考えております。以上が大体一般平衡交付金の骨子でございます。