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1950-03-27 第7回国会 衆議院 大蔵委員会農林委員会運輸委員会電気通信委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十七日(月曜日)     午後二時十一分開議  出席委員  大蔵委員会    委員長 川野 芳滿君    理事 岡野 清豪君 理事 北澤 直吉君    理事 小峯 柳多君 理事 小山 長規君    理事 島村 一郎君 理事 前尾繁三郎君    理事 川島 金次君 理事 橋本 金一君    理事 河田 賢治君       奧村又十郎君    甲木  保君       鹿野 彦吉君    佐久間 徹君       田中 啓一君    苫米地英俊君       中野 武雄君    西村 直己君       三宅 則義君    松尾トシ子君       宮腰 喜助君    田島 ひで君       竹村奈良一君  農林委員会    理事 野原 正勝君 理事 八木 一郎君   理事 藥師神岩太郎君 理事 山村新治郎君    理事 小林 運美君 理事 吉川 久衛君       青木  正君    足立 篤郎君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君       寺本  齋君    平澤 長吉君       渕  通義君    村上 清治君       守島 伍郎君    足鹿  覺君  運輸委員会   理事 大西 禎夫君 理事 岡村利右衞門君    理事 關谷 勝利君 理事 前田  郁君    理事 米窪 滿亮君       岡田 五郎君    尾崎 末吉君       尾関 義一君    土倉 宗明君       坪内 八郎君    滿尾 君亮君       山崎 岩男君    渡邊 良夫君       上村  進君    林  百郎君  電気通信委員会    委員長 辻  寛一君    理事 飯塚 定輔君 理事 中村 純一君   理事 橋本登美三郎君 理事 松本 善壽君    理事 受田 新吉君 理事 福田 繁芳君    理事 今井  耕君       中馬 辰猪君    淺沼稻次郎君  出席国務大臣         電気通信大臣  小澤佐重喜君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 石原 周夫君         大蔵事務官         (理財局長)  伊原  隆君         運輸政務次官  原 健三郎君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  石井 昭正君         電気通信監   山下知二郎君         電気通信事務官         (経理局長)  肥爪 龜三君  委員外出席者         農 林 技 官         (林野庁業務部         長)      佐木 義夫君         大蔵委員会專門         員       椎木 文也君         大蔵委員会專門         員       黒田 久太君         農林委員会專門         員       岩隈  博君         農林委員会專門         員       藤井  信君         運輸委員会專門         員       岩村  勝君         運輸委員会專門         員       堤  正威君         電気通信委員会         專門員     吉田 弘苗君     ————————————— 本日の会議に付した事件  米国対日援助見返資金特別会計からする電気通  信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に対  する繰入金並びに日本国有鉄道に対する交付金  に関する法律案内閣提出第六五号)  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内  閣提出第六六号)     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより大蔵委員会農林委員会運輸委員会電気通信委員会連合審査会を開会いたします。私が各位の御了承を得て、委員長の職務を務めさせていただきたいと存じます。  それではこれより米国対日援助見返資金特別会計からする電気通信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に対する繰入金並びに日本国有鉄道に対する交付金に関する法律案、及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案の両案を一括議題といたしまして、まず政府当局より提案理由説明を聽取いたしたいと存じます。小澤電気通信大臣
  3. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 ただいま議題となりました米国対日援助見返資金特別会計からする電気通信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に対する繰入金並びに日本国有鉄道に対する交付金に関する法律案提出理由を御説明申し上げます。  別途御審議を願つております昭和二十五年度予算に掲げてありますように、今回政府米国対日援助見返資金を、電気通信事業における電信電話等建設改良費国有林野事業における事業施設費及び造林に要する経費並びに日本国有鉄道における建設改良費の財源に使用するために、それぞれ電気通信事業特別会計へ百二十億円、国有林野事業特別会計へ三十億円を繰入れ、日本国有鉄道へ四十億円を交付する予定でありますので、それに関する法的措置をいたしますとともに、その繰入れまたは交付を受けた金額については、おのおの各特別会計または日本国有鉄道において固有資本増加として経理せしめるため、必要な規定を設けようとするものであります。  以上の理由によりまして、この法律案提出いたしました次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを御願い申し上げます。
  4. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 ただいまから日本国有鉄道法の一部を改正する法律案提案理由説明を申し上げます。  現行日本国有鉄道法第五條は、日本国有鉄道設置の際における資本金について定め、これが増加に関する規定を設けておりませんので、資本金増加の場合を考え日本国有鉄道資本金政府出資により増加し得る道を開いた次第であります。この法律案昭和二十五年四月一日から施行いたしたいと存じますので、愼重御審議の上、すみやかに可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  5. 川野芳滿

    川野委員長 次に質疑に入ります。質疑は通告順によつてこれを許します。關谷勝利君。
  6. 關谷勝利

    關谷委員 ただいま提案なつております米国対日援助見返資金特別会計からする電気通信事業特別会計国有林野事業特別会計日本国有鉄道に対する繰入金あるいは交付金の件につきまして、二、三点質問をいたしたいと思います。  この法案につきましては、運輸委員会におきましてすでに繰返し巻き返し質問が行われたのでありますが、運輸当局並びに大蔵当局の答弁をもつていたしましては、運輸委員会におきましては、たれ一人として納得しておる者はないのであります。非常に疑義のある法案でありますので、この点を明確にいたしたいと存じまして、すでに日本国有鉄道法の一部を改正する法律案は、運輸委員会におきまして半月以上も経過いたしておるのに、今なお審議が済まざる状態であります。そこでお尋ねいたしたいのは、ただいま政務次官から日本国有鉄道資本増加のために、この法案を設けるのである。こういうふうなお話でありました。資本増加のでき得る道を開きますことは、まことにけつこうであります。私たち将来日本国有鉄道建設改良その他をいたしまする場合に、この資本増加法律だけはぜひほしいと思うのでありますけれども、しかしながらこれが現在の国有鉄道法の一部改正と、ただいまこの委員会に上程になつておりますこの法案と関連いたします際に、幾多の疑問が起つて来るのであります。  第一に、この法案の第二條は、政府援助資金を対日援助見返資金特別会計より国鉄に対し、予算に定める金額の範囲内において必要な額——具体的に申し上げますと、これは二十五年度だけの法律なつておりますので、四十億というものが交付せられる。こういうことになつております。しかもこの第二項においては、それは出資である。従来は借入金でありましたものが、出資であるということになつておるのであります。ごとにその上に最も大きく関連いたしますことは、国有鉄道資本金というものは、実際再評価をいたしますならば、私たちも想像がつかないのでありますが、一兆近いものがあると称せられておるのであります。しかるにこれを帳簿価格で圧縮いたされまして、現在では四十九億という価格なつて、これがすなわち国鉄資本金ということになつておるのであります。そういたしますとこの四十億が出資いたされました場合に、八十九億の資本金なつて来るのであります。そういたしますと、このたび増資いたされましたところの四十億というものが、その資本金において八十九分の四十を占めることになつて来るのであります。かりに将来これを再評価することにいたしまして、これが一兆になりました場合に、このたび出資をいたしました四十億というものが、実に厖大なものになつて来るのでありまして、四、五千億というふうなことに膨脹して来ることになるのであります。従来の資本と比較いたしまして、この出資いたされましたところの四十億というものが、これだけの資本の率を占めるということは、まことに不合理なことは、これはだれが聞いてもよくわかるのであります。なおさらこれを深く掘り下げて考えます場合に、先般来運輸委員会におきます大蔵当局並びに運輸当局説明では、この見返り資金性格はどのようなものであるか、こういうことを聞きただしますと、見返り資金は債務である。そうしたならばこの見返り資金が、いわゆるエイド・フアウンドのものが、貿易資金特別会計に入つて来る。それが対日援助見返資金特別会計へ入つておる。それから直接にここに出て来ておる。この対日援助見返り資金との関係が、どこで切れておるのか。もちろんこの法律によりますと、政府出資することはできる。なお政府出資ということが書いてあるのでありますけれども予算の中にも対日援助見返資金はつきりと書いてあるのであります。そうする場合に、これがどこで切れるのか。一般会計を通じてこれを持つて来ておりますのならば、その一般会計の際に、性格のかわつたものになつて来る。こういうことがはつきりするのでありますけれども、これも一向大蔵当局、あるいは運輸当局説明では判然としないのであります。そうなつて参ります場合に、今回出資いたしまする四十億というものが、将来返還をいたすというふうな事態が——もちろんこれは法律的には、あるいは切れておるかもわかりませんが、政治的に考えましたときには、これははつきりと対日援助見返り資金との縁は切れていないと解釈するのが常識であります。これを返還いたしまする場合に、国有鉄道の半分の資本金を提供しなければならぬ。こういうふうな結果も起きて来るのではないかというふうな、これはあまり行き過ぎたと申しまするか、杞憂であると申すかわかりませんけれども、そういうふうな事態が起きて来るのであります。そのために運輸委員会といたしましては、まず第一番に従来これは借入金つたのだから、借入金としてはどうか。このような意見も出ておりまするし、一般会計を通じて交付する方法を講じてはどうか。あるいは再評価後にこれを出資したらどうか。またもしこの金が急ぐ場合には、再評価の際に四十億は依然として四十億であつて、膨脹しない資本金であるという何らかの方法をせよ、こういう希望を出しましても、運輸当局としましてはこれに対して明快なる答えはないのであります。これが本日この連合審査会を開くようないきさつにまで参つた運輸委員会の経過でありまするが、これをなぜこの借入金とせずして、出資ということになつたのか。対日援助見返り資金との縁はどこで切れるのか。なお今回出資したところの四十億というものが、将来においても八十九分の四十を占めるのか。この点を明快に運輸当局並びに大蔵当局から承つて後、続いて質問をいたしたいと思います。
  7. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 運輸大臣からお答えするのが順序かもしれませんが、この関係におきましては、まつたく通信事業と同じような形になつておりますので、便宜私から御答弁申し上げます。お話のように二十四年度におきましては、いずれも公債の発行という形において、この資金を使用いたしまして、鉄道あるいは通信事業建設に使用して参りました。二十五年度におきまして今關谷君の御指摘のように、いわゆる自己資金の、一般会計から繰入れる資金増加という形で扱つておりましたが、これを法案として提出する前におきましても、いわゆる政府部内で同じような疑問が起きたのであります。従つてこの問題について検討いたしたのでありますが、結論においては、見返り資金勘定というものはどういうものか。すなわちその裏になつておる援助物資というものは、将来どうなるのかというところが議論の焦点であります。御承知のように昨年初めてできました見返り資金勘定でありまするが、二十四年度においては、大体これは返還すべきものというふうな構想のもとに、この資金を運用して参つたのであります。今年度に参りましては、大体これは返還しなくてもよいのじやないかというような見通しに基いて、この資金を使うようになつております。しかしながらこれはいずれにいたしましてもはつきりいたしておりません。そこで結論は、講和條約が締結しなければ、何人もこれに対してはつきりした答えができないであろう。こういう見解で一応このままで出すことになつたのでありますが、要はこの資金を入れました際に、今關谷君の御指摘のように、国鉄も私の方も資産評価をいたしておりません。従いまして帳簿価格が何百分の一になつております。たとえば私の方では現在再評価をいたしますと、一千六百億になるのでありますが、帳簿価格は二億であります。そういう二億のところへ百二十億というようなものが入りますれば、ただいまお話したような問題が起るのでありますが、しかし私の方の会計では、正式に再評価は決定いたしておりませんが、たとえば減価償却その他の場合におきましては、大蔵省と相談いたしまして、大体一千六百億に再評価したことを建前にして、あらゆる経理を行つております。従いましてたとえばせんだつて審議を願いました二十五年度の予算におきましても、七十三億の減価償却を行つておりまするが、この減価償却の七十三億というものはどこから出たかというと、ただいま申し上げました一千六百億の四分四厘に該当するものが、すなわち減価償却なつて出ておるのであります。この四分四厘がいいか惡いかは別でありますが、そのように再評価があることを前提にしてすべての経理を行つておりまするし、またこの繰入金を、いよいよ二十五年度の予算が通過いたしまして実施する場合におきましては、一応この自己資金の中に入れます。しかしながらこの自己資金の中にも、この会計より繰入金として、私の方でいえば百二十億、国鉄でいえば四十億というものはいつでも明瞭になるように、この経理を行つて行く考えでおります。従つてもし将来これは返還すべきものということがあつた場合でも、いつでもその金額だけを返還すればいいような操作を行うこと、ことに将来資産の再評価を正式に行う場合におきましては、少くともこの繰入当時において資産の再評価をしよう、こういう気持でこの経理をいたしておりまするから、現在の法案がかりにそのまま国会審議なつて成立いたした場合におきましても、われわれ管理者考えといたしましては、何時でもこれを返せと言われた場合には返すという心構え、また返し得る。また今のように、この百二十億と二億との比がどうだというような場合においても、現実に二十四年度においても二十五年度においても、資産の再評価というものは大蔵省と私の方でもきちつと金額がきまつておりますので、そういう事実に基いてやつておりまするから、現実の面においてはそう心配しませんが、しかしながら御心配になるお気持は十分わかりますので、それが心配ないような法案にしたいというので、国会の方で御修正になるというならば、私の方は毛頭異存はございません。
  8. 伊原隆

    伊原政府委員 私からはごく法律的な点からだけ申し上げたいと思います。御存じ通り見返り資金の使い方は、見返り資金特別会計法の第四條というのがございまして、これは「公私企業に対する資金に運用し、若しくは公企業に対する資金に使用することができる。」ただいままで御存じ通り見返り資金の運用につきましては、貸付をするかつこうが相当多いのでございますが、ここの第四條にもあります通り使い切りにしてしまうというものもあるわけでございます。たとえば来年度の予算におきます公企業に対しまして金を使うような場合には、使い切りにしてしまうというのであります。この鉄道電気通信事業に対しましては、見返り資金観点から申しますと、ただいま大臣がお述べになりましたように、二十四年度までは御存じ通り電気通信の方は公債を引受ける。それから国有鉄道の方は貸付をして参りまして、公債と同じように利子をもらつた貸付であつたわけであります。二十五年度からは、この見返り資金の第四條の規定にありまする貸付でない、やり切りという方法にいたすということ以外に、別に他意がないのでございまして、対日援助見返り資金から、鉄道につきましては交付をしてしまう。それから電気通信事業並びに国有林野に対しましては繰入れをする。これは電気通信国有林野は国の会計でございますので、繰入れという言葉を使つておりますが、これは使い切りにしてしまう。縁を切つてしまう、こういう意味であります。国有鉄道の方も交付をしてしまうということにいたしまして、見返り資金との縁はまつたく切れてしまう。貸出しならば貸付でございますから返つて参りますが、交付をしてしまう、繰入れてしまうということは、やつてしまう、こういうわけでございます。ただそれではもらつた方はどうか。もらつた方がいわゆる会計学的にいかなる経理をするかということにつきましては、これは損益計算を通してもらうこともありましようし、貸借対照表の方の資本勘定に入れるという整理の仕方もございますが、その整理の仕方といたしまして、資本金勘定整理をする。こういうことが国有鉄道につきましても、また電気通信の方についても、書いてあるわけでございます。これがたとえばもらつた金がぽかつと国有鉄道に出て参りまして、損益計算などを通じますと、その期の益金になりまして、国にみんなとられてしまうということもございまするので、もらつた国有鉄道経理方法は、資本金勘定で取扱う。こういう意味でございまして、見返り資金出資をいたしておるわけではないのでございます。たとえばもし見返り資金から出資をいたしますれば、このようなくどい書き方をいたしませんので、第一條でも対日援助見返り資金から出資をする、第二條でも国有鉄道に対して出資をする、見返資金特別会計自体出資をすると書きましたならば、法律的にも見返資金特別会計が、国有鉄道が株式会社であつたとするならば株を持ち、それから電気通信事業が会社であつたとするならば、株を持つというかつこうに相なるのでありますが、そういう意味では全然ございませんので、見返り資金公共事業等と同じように使い切りにしてしまう、出し切つてしまうということが第一項にうたつてございます。第二項でしからばもらつた方の経理の仕方がわからないじやないか。損益計算を通せばとられるのでありますから、資本金勘定において整理をする。こういう会計技術上の意味と私ども解釈をいたしておる次第でございます。従いまして国有鉄道の方の出資金になりますと、現在あります資本が四十九億、今度四十億を加えますれば結局八十九億に相なりまして、今後再評価等のありました場合にも、どつちからもらつた資本だということは、およそ関係がないと私ども考えております。  なお見返り資金の性質といたしまして、見返り資金はそのもらつた金でどういう仕事をするのか、仕事内容自体いかなる仕事をするかということが、始終問題になるのでございますが、四十億の現在の貨幣価値のものをもらえば、四十億の仕事しかできないのであります。四十億によつていかなる建設ができたかということにつきましては、見返り資金からもらつて建設ができたという、法律的ではない、事実的の関係はできると思いますけれども、それが出費の権利を主張するということは私はあり得ない、こう考えております。
  9. 關谷勝利

    關谷委員 それですべて疑点が解消したかと申しますと、さようではないのであります。交付をした金は使い切りの金なんだ。それだから見返り資金というものとは縁が切れておるのだ。こういうふうに出ておると思うのでありますが、国鉄予算を見ますると、四十億のところでははつきりと対日援助見返資金よりの受入金と書いてあつて、その項目にまで詳しくそれが書いてあるのであります。なおこれは出資なつ  ておるのは、受入れの態勢のかつこうと、そうしてこれを利益として使うか、あるいは出資とするのか、こういうふうなことで出資というのが便利になつておるのだ。そうしてしかもこの内容自体が、そういうふうなやつた具体的の仕事がわかつておるのたから、もしこれが切れてしまうのでありますれば、内容自体がどのようになろうと、これを考える必要はないのでありまするけれども大蔵当局といたしましても、そのような内容自体に立ち入つてまで考えますることは、これはやはり縁が切れていない。こういうふうに解釈をするために、私たちはそのようなことを考え、連想するのである。こういうふうに考えるのでありますが、どうしてもこの対日援助見返資金との縁がはつきりと切れるということは、われわれがここでこれだけ尋ねておつてさえわからぬのでありまするから、一般国民にわかろうはずがないのであります。これを納得できるように、ほんとうに対日援助見返資金から縁が切れるのだということを、もう少し平易に全国民にわかるような御説明を願いたいと思います。
  10. 伊原隆

    伊原政府委員 ただいま仕事内容に対する関心を持つというようなお示しがございましたが、実は御説明の仕方が惡かつたのでございまして、見返り資金を貸出しをいたしましたならば、見返り資金を使います場合にはいかなる仕事に使うか、設備資金にだけしか見返り資金を貸す場合には貸しません。交付いたします場合にも、どういう設備ができるかというような具体的の計画を知りました上で、貸付なりをいたす場合もあり、それを渡し切りにしてしまう場合もある。こういうわけでございます。交付をいたし、渡してしまつた以上は、それに対してあとで返せというようなことは私どもあり得ないと、こう考えております。法律の文句につきましても、ただいま運輸大臣からもお話のございましたように、私ども考えております趣旨が、あるいは非常にはつきり出ておらないというようなお示しがあるかとも思うのでありますが、趣旨はあくまでも法律的に書きますと、見返り資金からの出資である場合におきましては、第一條の場合でも一項、二項というようなものは立てないで、対日援助見返り資金から出資する。第二條でも国有鉄道出資をする。こう書いて、出資の株なり、出資の持分を見返り資金が保有をしておればよいのでありますが、見返り資金経理といたしましては交付をしただけで、切り落してしまいます。貸付ならバランスシートに出て来ますが、見返り資金バランスシートの方には打切つてしまう。ただ受ける国鉄、電通では、忽然としてその金がわいて来たわけではございません。何か書かなければなりませんので、どつからもらつた、こうお書きになつたのではないかと思います。資本勘定経理をするというだけの会計技術的の問題である。私どもはそう考えております。
  11. 關谷勝利

    關谷委員 いろいろ議論いたしましても納得いたしかねますので、これは他の委員がなお他の観点からお尋ねいたすと思いますので、この程度でやめたいと思いますが、この法律は何と申しますか、昭和二十五年度においてというので、ただ一回きりの法律なのであります。将来こういうことが毎年あるということでありますれば、この当初の交付金に対して多少このような、何というか、矛盾がある。それは交付の際に初年度であるからして、これを何とか便法によつて扱う、将来はそういうことがないようにする。こういうことも考えられるのでありますが、この法律を見ておりますと、鉄道にしても昭和二十四年五月三十一日現在で、資本金はくぎづけにしてある。ただ一回きりの四十億を出すために、わざわざこの法律を出しておる。こういうところに非常に疑点があるのであります。こういう点についてなぜそういうふうに、わざわざ一方の資本金というものを限定しておきながら、一年きりのものをこれだけのものにするのか。この資本評価をするとか何とかの但書を入れて、そうしてみなの疑惑を解いて、しかる後に交付するのが最も適当ではないか。これに対して何らかの方法考えておられるのか。これは私は運輸当局の御説明を伺いたいと思います。
  12. 石井昭正

    ○石井(昭)政府委員 ただいまの御質問でございますが、今回御審議つております国有鉄道法の改正は、これはただいま大蔵委員会の方で御審議なつておりまする見返り資金からの交付金あるいは繰入金法律とは別に、二十五年度限りではございませんので、将来これは見返資金特別会計からとばかりは限らない。政府から出資をするというようなことも予想して、恒久的な出資規定にいたしておるのであります。従いまして今後とも増資する、出資をいたしまして、それによつて資産の充実をはかつて行くということを予想いたしておる法律でございます。なおその際に何ゆえに再評価をしてやらないかという御質問のようでございますが、再評価につきましては、いろいろ研究をいたしておりまするが、何分にも厖大な資産でございまするので、なかなか一朝一夕に再評価いたすということも困難でございまするので、現在まだ再評価をするということにつきまして、相当の手数がかかるというように考えられますので、現在はさしあたり四十億の出資交付金がありました場合、これを出資の形で受入れるということにしておりまするが、なお将来再評価をいたしまして、資産の正確なる評価によつて経営の健全性をはかるということは、きわめて必要なことであろうということにつきましては、何ら異論なく、さような時機を待つておる次第でございます。
  13. 關谷勝利

    關谷委員 ほかの方も質問をしようとして待つておられるので、簡單にお尋ねをいたします。今の国有鉄道の方から見ますると、これは将来資本増加の道を開いた。こういうふうに言うのでありまするが、一方の大蔵委員会にかかつておりまする法律は、二十五年度だけなのであります。そしてそれをやるためにことさらこういうふうなことをせずして、時期をまた考えて、時期的にもう少し両方がかけ離れておるならともかくも、この二つをにらみ合せた場合に、そこに疑点が起つて来るのでありまするが、国有鉄道ではそういうことに何ら疑点を持つたことはないのかどうか、それが一点と、なお先ほど電通大臣が、電気通信関係は一千六百億に再評価を予期して、さようにしている。こういうわけでありまするが、鉄道ではいまなおそれができていない。電気通信の方では償却を四分四厘に見て、七十三億ずつしておる。国有鉄道の方にはいまだそういうふうなことができていないということは、まことに鉄道当局の怠慢であるというふうに考えられるのでありますが、大体国有鉄道としてはその資産を何ほどと評価しておるのであるか。それと償却はどういうふうな方法でやろうとしておるのであるか。そういうようなことをちよつと簡單に承りたいと思います。
  14. 石井昭正

    ○石井(昭)政府委員 国有鉄道として何ら疑点を持つたことはないかというお尋ねでございまするが、疑点というような意味合いではございませんが、四十九億の現在の資本に、ただちに四十億がプラスされますると、八十九億になるということは、一方において厖大なる資本に対しまするところの帳簿価格が四十九億程度に対しまして、今回の出資額が四十億になるという、これを合せて八十九億に膨脹するということにつきましては、これは一方におきまして貨幣価値の非常な変動がありましたために、かような結果になるので、まことに当然ではありまするが、そういう点から考えますると、必ずしも出資という形によらないで、何かほかの方法経理する方法はないかということを、一応研究したことはございまするが、しかしながらやはりこれはいろいろ研究いたしましても、出資という形で経理するほかに方法がないという結論なつておりまして、別に疑点というようなものを抱いたことはございません。それから減価償却の点でございまするが、本年度の予算におきましても一応減価償却は、たしか十数億の金額なつているかと思うのでありますが、特別補充取替費という名目におきまして減価償却費と合せて、総計二百億程度の自己資金による工事財源を用意いたしておりますが、大体国有鉄道資産を再評価した場合に、幾らくらいになるかという見当でございまするが、これは非常に困難な問題でもございまするし、計算方法によりましてはいろいろ相違も出て参るかと思うのでありますが、大体ただいまのところではわれわれの考えでは、要償却資産としてはまず六千億ないし七千億程度ではないかと思つております。それに対しまして約二百億の財源をもちまして、取替工事を施行するというようなことに相なりますならば、ほぼ実質的に減価償却の目的を逹しているということも言えるのではないかと思うのであります。これは昭和二十五年度から初めてそういう姿になり得るのでありますが、ただいままでのところは遺憾ながら財政上の收支の均衡を失しておりますために、そういう姿にはなりません。幸い来年度から実質的にはそういうぐあいになる、かように考えるのであります。
  15. 關谷勝利

    關谷委員 大体今質問いたしまして、まだ納得は行きませんけれども結論といたしましては、私たちこの第二條はこれを削除するのが適当じやないかというように考えておるのでありますが、なおそういうような点に関しましては、あとで機会がありましたならば意見を申し上げたいと思います。この法案国有鉄道といたしましてはきわめて重大でありまするので、愼重に審議せられんことを希望いたしまして、私の質問を打切ります。
  16. 川野芳滿

    川野委員長 岡田五郎君。
  17. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 先ほど關谷委員からの質問に対しまして、政府委員からの御答弁を拜聽いたしておりますと、上程されましたこの法案の第二條の第二項の「政府日本国有鉄道に対する出資があつたものとする。」この「政府の」というのは、政府一般会計より日本国有鉄道に対して出資があつたものとみなす、こういうように政府委員解釈され、答弁されたように考えるのであります。国有鉄道において見返資金特別会計より受入れ云々と、政府一般会計予算説明書に記入されたりしているのは、国有鉄道の受入れた模様をしるしただけのものである。かように説明されたようでありますが、はたしてこの「政府の」ということが、政府一般会計よりの出資、こういうふうに解釈していいのかどうか、御説明願いたい。
  18. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 お答え申し上げます。この第二項におきまして、「政府日本国有鉄道に対する出資があつたものとする。」という場合の「政府の」という言葉が、一般会計というように相なるかならぬかという点であります。その点につきましては私先般ちよつとお答え申し上げたかと思うのでありますが、第二條の第一項の方に、必要な金額見返り資金から交付するということが書いてありまして、従来の用語といたしましては、交付ということは渡し金のことであるという趣旨に使われている。政府という言葉は、抽象的に考えますれば、これはもちろん見返り資金を含むというか、一切の政府会計を合せるということでございますが、一言の断りもいたしません限りは、一般会計ということになります。すなわち国有財産の一般会計に所属するものということになりまして、会計区分をすれば一般会計という帰結になるというのが、「政府の」という言葉を一般会計というふうに解釈をいたす意味であります。
  19. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 それではお尋ねいたしますが、二十四年度におきましては国有鉄道特別会計は、百五十億の借入金見返り資金から借り入れたと思うのであります。これは国有鉄道法四十二條の二または三を受けまして、——むしろ四十二條の三だろうと思うのでありますが、「政府は、日本国有鉄道に対し長期若しくは短期の資金貸付をし、」ということで、国有鉄道見返り資金から長期資金を借り入れたと思うのであります。このときの「政府は」という言葉は、要するに見返資金特別会計をも含んだ政府であると私は思うのであります。かような意味からいたしまして、「政府の」あるいは「政府は」こういつた場合に、観念を飛躍いたしまして、一般会計からと、かように独断される理由がどこにあるのか。この辺を承りたいと思うのであります。
  20. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 きわめてごもつともな御発言であります。今御指摘になりました四十二條におきまする「政府」、それと先ほど問題になつております「政府」という言葉の間に、しかも非常に関連した言葉の間におきまして、使いわけをいたしていることは、はなはだおかしいじやないかというようなことは、どうもそういうような感じを免れませんが、ただ私が申し上げたのは、第一項の交付金との関連におきまして、あの場合におきましてはそういうふうに読まざるを得ないのでありまして、ただ立法技術上これはよくないのじやないかというようなお話でございますれば、あるいは不適当であるとい言うにわれわれも思います。
  21. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 私は政府の財政的支出または財政的收入というものは、入つて行つた項目といいますか、出て行つた項目というものを、はつきりしなければならないと思うのであります。ところが政府一般会計からの出資だと、こういうことをおつしやいますが、一般会計予算出資または投資の項目を見ましても、決してかような項目は一つも出ていないのであります。しかも政府予算説明書を見ますと、見返り資金から云々という言葉がひんぴんとして各所に現われているのであります。かような政府の各所における文字の使い方、一般会計における出資または投資において、全然かようなことを使わないにもかかわらず、ただこの項目をもつて一般会計からの出資だと独断されるのは、少し飛躍し過ぎているのではないかと思います。かようにいたしまして、私は疑念がどうしても解けないのであります。もし政府にして一般会計からの出資だ、かようにはつきりとした信念をお持ちになり、かような確信のもとにお進みになるならば、何がゆえに政府というところの下へ、一般会計より云々とうたわれないのか、かように思います。何がゆえに一般会計云々の文字を御使用にならなかつたか。その辺の事情もお知らせ願いたいと思います。
  22. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 お答えを申し上げます。先ほど申し上げましたように、ただいま重ねて御指摘でありますように、「政府」という言葉が非常に違つた意味に用いられるのではないかという点でございますが、いささか違いがあるということを申し上げますれば、こういう点があるわけであります。すなわち日本国有鉄道法弟四十二條の三におきましては、これは政府資金貸付または債券の引受をなすのでございまして、これは一体どの会計から出るのだということは、一般会計であるか、あるいはそれ以外の特別会計かということを、必ず明らかにいたさなければならぬのであります。ところが今ここで問題になつております見返り資金から交付をいたしまして、その交付に基きまして出されたものを、どういうふうに整理いたすかということになりますと、いわば財産の帰属の関係に相なるかと思います。財産の帰属の関係におきまして、これは一般会計所属のもの、あるいは特別会計所属のものということがあるわけでありますが、この所属云々の関係におきましては、これは歳出にどこから経費を出すかという問題と、いささか趣きを異にするのだというような点に、あるいは今御指摘の四十二條の三と、それから今疑問になつております交付との関係の差があると思います。しかしながらその議論は別といたしまして、ただいま御指摘のように、今問題になつております法律案の方を、一般会計のという言葉にかえたらというようなお話でございますならば、それば本来の立法の趣旨におきまして、一向さしつかえないことであると私どもは思いますが、なお詳しくは法務府の方と相談いたしまして、技術的な点はお答えいたします。
  23. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 この問題につきましての政府説明につきましては、私全然納得できませんが、この問題はこの程度に保留いたしまして、次に御質問申し上げたいことは、二十四年度におきましては、国有鉄道において百五十億の借入金によつて工事費に充てたのであります。しかもまた本年、二十五年度におきましては、四十億の資金をもつて、同じような工事目的にこの資金を使おうとしているわけであります。二十四年度における借入金制度によつたのが、何ゆえに同じ用途に使用いたしますのに、四十億を出資の形で行かなければならないか。この国有鉄道の財政上、経理上、いかなる理由に基いてかような方途をとられましたか。その理由をお聞かせ願いたいと思うのであります。
  24. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 昨年度借入金をもつてまかない、本年度交付をもつていたし、それが一体いかなる財政上の理由によるかというお尋ねであります。この点につきましては、先ほど全般的な点につきまして、理財局長からお答え申し上げたのでありますが、本年度におきましては、見返り資金のやり方といたしまして、政府関係の機関に対しましては、従来の貸付の形を廃しまして、これを交付という形にいたしまして、よりすみやかに見返り資金との間の関係を切ろうじやないか。こういうような一般の方針があるわけであります。その趣旨でございますので、従つて受けます方におきまして、それがどういうふうに財政の状況が違つて参つたかということにつきましては、これは必ずしもそのかえました根拠になつておりません。従いまして鉄道の收支の状況が、二十四年と二十五年と若干の違いはございまするが、その状況がかわつたから、今回は出資にいたしたのだというわけではありません。なおつけ加えて申し上げておきますが、それでは二十四年度は貸付であり、三十五年度は交付になり、その関係がおかしいじやないかというような議論もあろうと思います。その間の調整につきましては、引続き司令部との間に折衝をいたしているわけであります。
  25. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 国有鉄道は公共企業体といたしまして、一つの企業組織を持つて経営いたしておるのであります。国有鉄道はできるだけ早く完全なる独立採算制のもとに、合理的な経営をして行く態勢に進んでおるのであります。企業体におきましては、私は非常に知識は狭いのでありますが、大体増資をする場合には、あるいは借入金の返済、あるいは社債の返済、あるいは特別の資金の必要に基いて増資をするのだ、かように考えるのであります。国有鉄道におきまして百五十億借りたこの借入金の返済のために、この四十億の増資をするのであるか。あるいはまた鉄道債券はまだ発行いたしておりませんが、その他の財政的な理由から増資をしておられるのかどうか。何らかやはり財政的な理由がなくては、独立採算制をもつて進んでいる公共企業体には、財政上、経理上の理由なしに、いたずらに疑問を残すような形で増資を押しつける——と言つては言葉が惡いかも知れませんが、しいるがごときは、はなはだ当を得ないじやないか。かように私は経理的な見地から考えるのでありますが、今の政府委員説明でははなはだぼやつとして、私たち質問者には全然納得できないのであります。ことに国有鉄道関係につきまして、過般運輸省の政府委員に聞いたのでありますが、百五十億の借入金、五分五厘の利息で五箇年間の返還の借入金のやり方が、国有鉄道の財政上非常に負担に耐えないのかと質問いたしましたら、しからず、かように言つておるのであります。しかも百五十億の借入金、五分五厘で五箇年償還の借入金方法でさえも負担に耐えないというにかかわらず、なぜわずか四十億につきまして、出資の形をとられるか。これを質問いたしたいのである。しかもこの四十億の使途につきましては、運輸大臣と大蔵大臣が協議してきめる。こういうことで、ブランスのままで予算提出されたのでありますが、聞くところによりますと、この四十億の使途につきましても協議がまとまらず、いまだ決定に至つてない。かように承知いたしておるのであります。かようにはなはだ緊急性を欠いておるこの四十億について、かような形をとられる理由はどこにあるかということを、重ねて御質問いたしたいのであります。
  26. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 四十億という金が、借入金でまかなうべきか。あるいは増資、すなわち資本金でまかなうべきかという問題でありますが、現在のところ日本国有鉄道資本金は、自己資本として持つておりますものは四十九億でありまして、借入金が非常に大きいわけであります。しかしながらこれは先ほどお指摘のように再評価のあかつきにおきましては、相当バランスを改訂すべきでありますが、これをできるだけ自己資本をもつてまかないましても、公共企業体でありますところの日本国有鉄道の方から申しますれば、支障はないと申しますか、むしろ借入れの負債のついておりますものよりは、少くとも利拂いあるいは元金の償還という問題が生じませんだけに、より有利であるということは言えるかと思います。  次に申し上げておきますことは、この四十億という金が入つて参るならば、どういうようなものに使われるかということのお尋ねでありますが、これは私は仔細には承知をいたしておらないのでありましで、必要でありますれば運輸省の当局から申し上げたいと存じますが、いずれにいたしましてもその内容についてのお話は、よく聞いておりませんというようにお答えしておきます。
  27. 原健三郎

    ○原(健)政府委員 ただいま四十億の使途についてお尋ねがございましたが、そのうち現在もうほとんど確定しておるものが、二十三億が信濃川の山辺発電所に使うことに内定いたしております。あとの十七億につきましては、やるべきことがたくさんございまして、目下大蔵当局及び関係当局と折衝を鋭意続けておる段階でありまして、まだ発表の段階に至つていないのを残念に思つております。
  28. 渕通義

    ○渕委員 私は農林委員といたしまして、国有林野に対する見返り資金の使用についてお尋ねいたしたいのでございます。先ほど来各委員から見返り資金の性質の問題につきまして、いろいろと掘り下げた質問がございましたが、私はもう一歩つつ込んで見返り資金の性質の根源をきわめたいと思うのであります。何となれば昨年は借入れであつて、今年は資本の充当ということになつたという原因を聞いて見ますと、拂わなくてよいような状況になつたから、資本充当という形をとつたのであるということをば、小澤大臣が申されたのでございますが、私はこの見返り資金なるものが、はたしてそういうような簡單な方向で行くかどうかということを考えてみなければならないと存じます。何となれば、相手はオール・マイテイーのお方でございます。われわれは頭を下げなければならぬ立場にあるのでございます。従いまして国際的ないろいろな状況によつて、変化が来はしないか。これだけのものを使わしていただくならば、政府はもつとつつ込んで、アメリカの議会におけるこの費用の審議状況を、われわれに詳細に知らしてもらいたい。そうしなければ簡單に承服できないということは、日本国民として当然の考えでなければならぬと私信じますが、その点につきましての状況をお知らせ願いたいと存じます。まずその点からお伺いいたします。
  29. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 先ほども申し上げましたが、見返り資金がいわゆる援助物資か、最後まで日本へくれたものか、あるいは日本へ貸したものかという問題については、その時代、その時期によつていろいろ考え方を異にしております。これが最終的にはつきりするのは、講和條約が締結されたときだと考えております。従つて昨年におきましては、大体返還すべきものという考慮のもとに、借入金というような考えを強く入れまして処理をいたしておりますし、今年は大体これはもらえるものだというふうな印象を強くしてやつておるのでありまして、これがはつきりするのは講和條約締結後であると思つております。
  30. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 私関連でお伺いいたします。つい二、三日前に連合軍軍人等の住宅建設の問題につきまして、この見返り資金性格というものが議論されたのであります。このときに私が大蔵大臣にこれを伺つたところが、はつきり債務であると答えたのであります。この二、三日の間に、どうしてそういうふうにかわつたのか。いつかわつたのか。これを伺いたいと思います。
  31. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 大蔵大臣が苫米地君にどういうお答えをしたかしれませんが、私の知る範囲においては、総理大臣を初めもらえるものという感じを強くしてやつておるのであります。
  32. 渕通義

    ○渕委員 この問題について論議をすると、どうも騒々しくなるようでございますけれども、私は農林委員といたしまして初めて見返り資金に相接したのでございます。従いまして勉強はいたしておりますけれども、今苫米地さんがおつしやつたように、二日ぐらいでぐるぐるかわるような、政治を感でやられては困る。いかに講和会議ができなくても、その間に到逹するまでの何らかの資料がある。あるいは向う側からのサゼスチョンがあつたというようなことぐらいは、御発表になつてもいいじやないか。何となればあちらはオール・マイテイーですから、積極的に頭を下げます。文句は言えませんけれども、そういつたことを一応承らなければ、かような重大なものは——金を借りるのです。ことに国有林の場合をお考え願いたい。かつてドイツが第一次大戰直後にあの土地を提供いたしまして、レンテン・マルクを出しました。こういつたようなこともなきにしもあらず、われわれ日本の国土をば提供して金を借りて来る。もしこれが将来講和会議後におきまして、返さなければならぬということになつて来た場合には、現在の国有林野の経営状態で参りますと、簡單に参りません。山を持つておる人はみな困つております。ところが日本の土地をアメリカに提供しなければならないというような最惡の事態が到来いたしました場合は、政府の責任はどうなりますか。その点を承りたい。
  33. 伊原隆

    伊原政府委員 私からごく事務的に、法律的な見解を御説明いたします。見返り資金の性質についていろいろ御疑念がございましたが、この見返り資金は昨年の四月でございましたか、司令部から指令が参りまして、設置いたしましたものでございまして、これは簡單に申し上げますと、食糧であるとかその他の対日援助物資を国内で売つたものの、円の資金を積立てろということでございまして、大臣が仰せになりましたように、日本の債務であるかどうかというふうな問題につきましては、その元になります援助資金お話であると存ずるのであります。援助資金の援助によりまして、入つて参りました食糧であるとか、石油であるとか、そういうふうなものを日本の国内で売りましで、その売つた金は昭和二十四年度から、対日援助見返り資金という特別の日本の特別会計に積立てる会計をつくれ、こういうことでつくつた会計でございます。従いましてアメリカの援助の物資を日本の圏内で売つて政府に入りました円資金が、特別に経理をせられた会計が、対日援助見返り資金特別会計でございます。  それから御審議の御参考になると思いまするので申し上げておきますが、昭和二十四年度までは、鉄道に対しましても、電通に対しましても、公債並の貸付金でございました。これは公債を発行して援助資金特別会計が持つておりましたのですが、これが二十五年度から交付されることに相なりましたのは、私どもの折衝の経過におきましては、別に何ら他意はないのでございまして、今までは貸付であつたのが、他の公共事業その他と同じように使い切りにしてしまおう、交付してしまおうというだけの考え方でありまして、先ほど申し上げましたように、株式会社であつたならば、出資して、その株を持つてしまうというような考え方とは、全然違うのでございます。さつきも申しましたように、対日援助見返り資金の使い方には、貸付もありますし、使い切つてしまうのもありますが、使い切つてしまう方は非常に例外でありまするけれども日本の再建にごく必要な事業につきましては使い切つてしまう。使い切りました例としましては、復興金融金庫の復金債を返しますために、六百二十四億の金は使い切つてしまいました。これは貸出しでも何でもありませんで、縁が切れてしまつた。それから二十五年度におきましては、公共事業に使い切つてしまうわけです。それと同じように鉄道に対しましても、電気通信国有林野に対しましても、貸し付けるということではなくて、支出をしてしまおう、使い切つてしまおうという考え方であります。ただこの條文等のできぐあいから、いろいろと御疑念を生じました点につきましては、はなはだ申訳ないのでありますが、背後の関係は、見返り資金に関する限り、貸付であつたのが使い切つてしまうということであります。
  34. 川野芳滿

    川野委員長 ちよつと野原さんが関連質問があるそうですから……。
  35. 野原正勝

    ○野原委員 今の御説明でよくわかりましたが、私どもはこの際対日援助見返り資金性格と、これが農林省の予算として国有林の特別会計の一部に使われることに対しましては、まことにけつこうなことと考えております。これについて議論のための議論を繰返しておつて、せつかくの名案が腐つてしまうようなことがあつては、はなはだ遺憾に思います。従つてどもはこの際せつかくこういう国家予算だけでもつて、とうていうまくやつて行けないような特別会計に対して、この見返り資金によつて、非常に彈力性のある仕事ができるようになつて、この特別会計の効果が非常に発揮できるということであるならば、これはいろいろな御議論はさておいて、まずもつてこの予算を成立させてもらうということにお願いをいたしたいと思うのであります。     〔委員長退席、前尾委員長代理着席〕 私はこの見返り資金米国が日本に一応援助の形でよこしていただいていることに対しましては、これを大いに徳とし、これに対しましては、将来われわれはその恩義に報いるの機会があるならば、そのときにおいて別途に考慮すべきであつて、今日これをわれわれが援助資金として、この三つの特別会計で適当にこれを使つて、そうして苦しい特別会計の経営を充実するということは、まことにけつこうなことであると思う。私は農林委員の一人として、この予算の成立を心から喜んでいる次第であります。
  36. 渕通義

    ○渕委員 私も反対する意味ではございません。いやしくも国会議員として出ている以上は、少しくらいは予算の中に飛び込んで審議するのが当然であると思いましたので、やつたのであります。なるほどこれは見返り資金特別会計からは切離されております。しかしながら一般の国家基金以外のものに対しましての状態と、この問題につきましての状態と、おのずから差があるのはわかります。これ以上その問題につきましては触れたくございませんので、結論を申し上げますが、この見返り資金を利用いたしました林野庁側といたしまして、経理状況とか、経理方法というのは、どういつた勘定でもつてつて行かれるか、その具体的な案があるだろうと思いますが、それを一応御提示願いたいと思います。  それからもう一点でありますが、国有林野業というものは、非常に困難な事業であります。おそらくここにおいでの方は御存じないと思いますが、山の所有はなかなか困難であります。ところで今日国家の所有しておるところの山の経営状況におきまして、現在の農林省が管轄する国有林野に対しましては、まことにりつぱな施業案と申しますか、非常な鉄則がありまして、簡單に開放することがなかなかできません。ところが大蔵省の方々が管理いたしている山につきましては、今日どの地方に参りましても、一種の拂下げ競争というような事態が突発いたしております。けさのラジオ放送でも、拂下げ競争によつてあつちにひつばられ、こつちにひつばられして、一体どうなるでしようかというようなことを言つております。林野庁の所管しておる林野は切られてはげ山になつておつたり、また拂下げをしてもらいたい、開放してもらいたいと思つても、鉄則があつてなかなかやれない。大蔵省の所管しておるものは、拂下げ競争を現出している。こういうことをどういうふうにお考えになるか。国有林野という大きな特別会計の面から申し上げまして、どういうような考えでもつて大蔵省の場合と違うのであるか。その点を両方から承りたいと思います。
  37. 佐木義夫

    佐木説明員 林野庁の方から御説明いたします。繰入れていただきますところの三十億につきましては、ただいまのところお返しするつもりはないのであります。これは最初私の方では公債借入れとして組んだのでありますが、いろいろと折衝をやつておりました結果、これはくれてやろうということになつ関係上、ただいまのところではもらつたものと思いまして、返す案はつつておりません。  次に大蔵省所管の山が盛んに切られ、売り急がれているというようなことがいわれておるのでありまして、なかなかこれは私らも問題だと考えております。この点につきましては、いろいろと前に大蔵省との間に話をして、将来山林として経営すべきところは、林野庁に移管してもらいたいというようなことを申出てみたこともあるのであります。この点については、いろいろと大蔵省においても收入予算関係もありまして、なかなか話が進まないのでありますけれども、いずれこの問題は十分大蔵省と協議の上、皆様の納得の行くように解決をいたしたいと考えております。
  38. 伊原隆

    伊原政府委員 国有財産であります林野の拂下げ等の問題につきましては、ただいまお話がありましたように、大蔵省といたしましては歳入をあげるという見地で、なるべく早く売りたいという考えでございますが、それらの点については十分に林野庁とも今後打合せまして、遺憾のないようにいたしたいと思います。  それから見返り資金の方からも、返していただくつもりはないということをあわせて申し上げたいと思いますが、もし返してもらえるつもりでありますならば、法律の中に繰入れた場合においては、利益があつたら返せとか何とかいうのが通例でありまして、繰入れてしまつたのはやつてしまつたということでございます。
  39. 渕通義

    ○渕委員 大体そういうことではつきりいたしますと、まことに私も寢るに寢られるのでありますが、私の質問したことがこいねがわくば、将来問題にならないことを念じつつ、私は林野庁側の答弁に満足いたします。ただ問題は、今大蔵省は財算上の関係で、売り急いでおるということは肯定されましたが、私は一歩突き進んで、なぜ多くの人方が大蔵省の管轄の山へ殺倒して、拂下げ競争をするかということと同じように、国有林野の里山の地元の方に、相当たくさん荒れている山があるが、それに対しましてもやはり要求はいたしている。それを大蔵省は、山のことはわからぬから、そういうことをするのであるというように、一方的に考えられるということは、国民を基盤として国家が立つている以上、あまりにも即断ではないかと考えるのでございます。実は林業につきましては、私は專門家でございますからよくわかつております。しかし政府当局も足を一歩退いて、この山が国土保安上どうであるか。あるいはまた農家経済上、この山をば大蔵省がやるように拂下げてやつた方がよいのではないかというような見通しもあるはずだと思います。ただ古い皮にとじこもりまして、どこまでも一点張りで行かれたならばおもしろくない。その点つつ込んで、農家経済に助かるような場所があれば、喜んでそれを開放するというようなところに行くのが、国家当局としてのとるべき態度ではないかと思います。どうも国有林野のお方々が山に忠実なあまり、近視眼的になられていることを私は憂うるのでございます。その点ここらでどうか大蔵省と協議をして、拂下げを中止させるような処置に出られぬように、反対に大蔵省と同調いたしまして、農家経済に役立つような土地に対しては、農民の要求に応じて出すというようなことに相なることを希望いたしますが、それに対する御答弁を一応承りたいと思います。
  40. 佐木義夫

    佐木説明員 ただいま淵委員から、農家経営に必要な林野を開放したらどうであろうかというような御質問でございますが、ただいま林野庁においては、国土計画的見地から、林野の整備の案を練つております。もちろんこのねらいどころは、あくまで山村民の生活の安定維持ということを第一に置き、進んでその奥地にあるところの山が、現存以上にりつぱないわゆる蓄積の山、生産力の高い山になるようにいたしたいと存じている次第でございます。このようにただいま案を練つている次第でございまして、淵委員の申されました御意見は、私の日ごろ考えている意見と同じでありまして、十分その点は今度の政府案におきましても、実現いたしたいと考えておる次第であります。
  41. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 今伺うことは、先日運輸委員会においても伺つたのでありますが、幸い小澤電通大臣もおいででありますし一大蔵当局も農林当局もおいででありますから、違つた角度からごく短い時間で、二、三点御質問申し上げたいと思うのであります。但しこれば助太刀でもなければ、この法案を全面的にのもうというわけでもありません。結論はあとから申し上げますが、一応違つた角度から御質問申し上げます。  それは国有鉄道に対しまして、見返り資金の中から四十億を出資する。あるいはまた二億円の資本であるところの電気通信省に対しまして、百二十億の出資をする。あるいは農林関係も——数字は記憶ございませんが出資をする。そういうようなやり方をするのに対しまして、昨年までは借入金でやつたものを、なぜ出資の形をとつたか。ここに最も大きな疑問があるわけであります。現在四十九億の国有鉄道に四十億を出資した場合、八十九億の資本となり、電気通信の二億に百二十億を出資しますれば、百二十二億の資本金となる。この国鉄の八十九億の再評価をやつた場合に、かりに一兆億という再評価の結果が出たならば、四十億のものがただちに四千億ないし五千億というような大きなものに、ふくれて行く危險があるのであります。電気通信省に対しましても同様であります。そこで私はお伺いいたしますが、将来適当の機会に、資産の再評価をやつた場合であつても、今回の四十億の増資前の、四十億の時代に持つておつた資産の再評価と、出資をした四十億に対する資産の再評価の数字というものは、おのずから異なつて来る。たとえば先刻の運輸当局からの御説明によりまするならば、今回の出資の四十億は、信濃川発電所その他の設備資金に使うということでありますが、この四十億は、そういう新しく設備をいたした資産に対するだけの一つの権利と申しますか、そういうものであつて、四十九億の国有鉄道が持つておつた資産がかりに一兆億になりましても、それとこれとはおのずから違うのだ。こういうふうに増資前のものと増資後のものとは、はつきり区別をするのだと了承してよろしいのでありますか。まずこの点からお伺いしたい。
  42. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 大体私の方は尾崎さんのお考え通り進もうと思つておりますし、またそうであらねばならぬと考えております。
  43. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 そうしますと実際の再評価は、かりに電気通信省にいたしますと、一千六百億程度のものがあるというお心繕えでおられる。しかるに、資本そのものは現在二億だが、百二十億新しく出資をする。こうした場合といえども資産評価の場合には、今申し上げましたようなこんがらかつた状況は一切出て来ない。こういうふうに一応了承いたしておきます。  その次に伺いたいと思いますことは、見返り資金の性質についてですが、一体もらいつぱなしになるものか、返済しなければならないものか、講和会議になつてみなければわからない。大体こういうふうにいろいろ返さなければいかぬとか、あるいは返さぬでよかろうという空気は、ときどきによつて違うこともあるが、これは講和会議になつてみなければはつきりしないのでありますから、かりに見返り資金を使つた場合におきましても、これを国有鉄道出資とし、あるいは農林省に対する出資とし、あるいは電気通信省に対する出資として使つておきましても、かりに将来講和会議の結果、これを返さなければならないという場合が生じて参りましても、それは日本政府とアメリカ政府との関係において処理すべきものであつ、てアメリカ政府国有鉄道、もしくは電気通信省、もしくは農林省という、個々の関係には相ならぬのだ、こういうふうに了承してよろしゆうございますか。
  44. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 大体その通りでありますし、またかりにそういう返還すべき事態が生じたような場合において、一般会計の方から、実は百二十億二十五年度において出ているのだ、今向うへ返すことになつたから、どうしてもお前の方の会計で負担しなければならぬという場合においても、その負担をもなし得るような経理を私どもはやつております。
  45. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 それならば、これを政府の原案通りにかりに——私は結論はしませんが、かりにこれを私どもが了承する議決をするといたしましても、その法律のあとの方に附則としてこれをつけますか、もしくは附帯決議といたしますか、その附帯決議か附則の中に、今申しましたような資産評価をする場合には、こういうふうなことになるのだというような、適当な文句をもつて、附則とするか、あるいは附帯決議とするか、そういうものをつくつてもさしつかえない、こういうことになりましようか。その点をお伺いしたいと思います。
  46. 伊原隆

    伊原政府委員 御審議の御参考に、ちよつと今の点を申し上げたいと思います。私どもの先ほど来の御説明では、こう考えております。見返り資金から出資をいたしたものではございませんので、見返り資金は、はなはだくどいようでございますが、支出をして使い切つておりまして、見返り資金とは何ら関係がない、使い切つてしまつたという考え方でございます。従いまして再評価というような、お示しのような場合がございました場合には、四十九億の現在の資本と、あと四十億の資本、八十九億でございますが、片方の負債の部に八十九億という資本金が載り、資産の部に設備が載つております場合におきまして、資産の部の設備が一兆というふうになりました場合には、それは積立金として整理をしてもよし、再評価差益として整理をしてもいいのであります。いずれ出資に組入れられるということが起るとしても、それは後のことと思います。今回入れる四十億が、すでにある四十九億の資本とは別途に、見返り資金からの出資となり、実質的に見返り資金国鉄に対し持分を持つことになるような関係がもし起るとすれば、再評価ということが相当問題になると思うのでありますが、今申したように見返り資金の方は使い切つて、出してしまつた金でございますので、ごく極的に申しますと、資本として整理をしなくても、積立金の勘定でも、要するに資産勘定整理をしておけばいい。損益勘定とすれば、益金として国に返つてしまうというような関係にもなりますので、資産科目として整理するというだけのことであります。もともと国有鉄道について申し上げますれば、国有鉄道は四十九億の資本金でありますが、これは全額政府出資でございまして、全部国の持ち物でございます。従つて評価をされました場合には、それ自体が全部国のものであるということになるのでありまして、その国の中を区分いたしまして、一般会計である国と、見返資金である国というふうにわけて行きまして、しかも見返り資金が、八十九億のうち、四十億持分を持つたというふうな関係になりますれば、お示しのような関係が起る。もしそういう場合を想像すれば、古い設備の再評価益によつて浮んだ金であるから、新しく入つた四十億の見返り資金が持分を持つた場合にも、それには均霑させないというのが、当然であると思います。しかし話はそこまで入らないのでありまして、見返り資金から出資するのでなく、見返り貸金とは関係がなくなるのでございますので、再評価と、見返り資金から今回金を出したということとは、法律的の観点のみから申し上げますと、およそ関係がない。ただ御疑念のございますように、金を見返り資金からもらつたのでありますから、法律的には関係がないかもしれないが、あとから返せというふうなことを言われはしないかという御疑念が、万々一ございましたならば、これも現在の貨幣価値でもらつた四十億でできた設備は、どことどこだということは、わかつているのでありますから、それ相当のことをすればいいと思うのであります。しかしそういうことは、私ども事務家の考え方としては、法律的には起り得ない、こう考えているわけでございます。
  47. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 相当明瞭になつて参りました。そこでちよつと速記をとめていただきたいのですが……。
  48. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長代理 速記をとめて……。     〔速記中止〕
  49. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長代理 速記開始。
  50. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 以上私の質問に関しましては、大体わかりましたので、これで終ります。
  51. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長代理 橋本登美三郎君。
  52. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 本法律案大蔵委員会においても愼重審議をいたしまして、われわれ特に電気通信委員会といたしましては、金額の多い点から考えましても、非常に関心を持つておるのであります。先ほど来から各委員からいろいろ御質問があり、大分了解せられる点もあるのでありますが、なお今の御説明のうちにおいて、十二分に了承できない点が二、三点あります。特にこれは大蔵当局からお聞きしたいのであります。また見返り資金性格に入りますけれども見返り資金性格は、法的にはこの前の国会において総理大臣は、アメリカが一方的に減免し得る性格のものであると言つておる。こういうふうな法的なもの以外は、われわれは承知しておらないのであります。従つて一部の人が言うように、見返り資金というものは民法における債権債務とは考えない。——そういうものとは考えませんけれども、一応一種の債務関係にある。こういうふうに解釈することが妥当であると思うのでありますが、大蔵当局見返り資金考え方についての御意見を聞きたいと思います。
  53. 伊原隆

    伊原政府委員 見返り資金の性質につきましては、先ほど申し上げましたように米国の援助ということと、いわゆるここに申しております見返り資金というものとは、法律的には別個であります。何となれば米国の援助は、米国国会によつて議決せられた予算によりまして、ガリオア、イロア資金のようなものによりまして、食糧とか、その他のものをわが国に援助してくれておるわけでございまして、この援助に相当する額が、日本の債務であるかどうかというふうな問題は、これは総理大臣、各国務大臣の従来からたびたびお答え申し上げておるところであります。この見返り資金は、食糧なら食糧という援助が日本に入つて参りまして、これを国内で売り拂つた場合に、日本政府に円の資金が入りますので、従来昭和二十三年度までは、売り拂つた金が漠然と貿易資金特別会計に入つて、それが輸出の品物を買い取るために使われておつた。それが昨年ドツジ公使が見えて、昭和二十四年度から援助物資を売り拂つたものによつてできました円資金、これは日本の別の会計に積み立てて置くようにということで、対日援助見返資金特別会計というものができた次第であります。この特別会計自体は、日本の円の特別会計でございます。そうしてこの見返り資金からは先ほど申し上げましたように、いろいろ日本の再建に必要な事業に使うのでございますが、貸出しの場合もあり、使い切つてしまう場合もある。貸し出す場合は——たとえば電気事業でありますとか、石炭とか船などに金を貸しておりますが、この貸した金は返してもらう。返してもらうというのは、見返資金特別会計に期限が来たときに返してもらう。それから使い切つてしまいましたのは、国の歳出と同じようにそのまま使い切つてしまつたのでありますから、——道路をつくつたとか、国有林野で林野をつくつたとか、鉄道建設したというのは、見返り資金に返す必要はないのであります。見返り資金から貸出しを受けたものは、これは見返り資金に返してもらうのが当然でありまして、見返り資金から石炭だの、鉄鋼だの、日発などが金を借りておりますが、これは返さないでいいということはごうもないのでありまして、ぜひ返してもらう。返してもらつた円資金が、アメリカの援助がやんだときに、たくさんたまつたときに、この円をどうするかということにつきましては、私どもまだ承知をしないことでございます。
  54. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 今のお話は法理論的にはわかりますけれども、いわゆるアメリカの物質援助を受けまして、その援助を受けたそれ自体は、日本の一種の債務と考えてよろしいと思うのですが、それが債務であるという観点に立つならば、これは民法上の債務とは違いますが、一種の債務である。現在のところはアメリカ大統領書簡をもつて見ても、一種の債務の性格を持つておるわけでありますから、債務の性格のものである援助資金に対して、政府はその返還の方法なり、そういうことについてのお考えを持つておりませんか。
  55. 伊原隆

    伊原政府委員 ただいまお示しのことは、日本に対する援助そのもののお話と了解いたしますが、これは大臣から御答弁もございましたように、日本政府としては一応債務として考えておる。そしてこういうことは確定的には講和條約においてきまるものである。こういうふうに考えておるわけであります。
  56. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 目下のところは一種の債務であると考えておるけれども、講和会議までは、これに対する返還方法とか、そういう計画をする必要はないという観点に立つておるようにお聞きいたしましたが、それでよろしゆうございますか。  次に、こうなりますと、この援助資金——今特別会計によつて見返資金なつておりますが、見返り資金の使途方法について、関係当局との間に何らかの、いわゆる使用方法についての相談といいましようか、申合せといいましようか。そういう点は大蔵当局においてはないのでありますか。
  57. 伊原隆

    伊原政府委員 見返り資金の使用方法につきましては、先ほど申し上げましたように、昨二十四年四月一日付のガリオア及びイロア輸入による見返り円に関する件という司令部の覚書で、この見返資金特別会計が設置せられたものでありまして、その第三番目に、日本政府は総司令部によつて承認せられた額と目的においてのみ、資金から引出しをなすことができるというようにありまして、その他六項目にわたる覚書——これは公表いたされておりますが、その覚書に従つて運用されております。
  58. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 ただいまの覚書がありますことから見ましても、見返り資金というものが、法律上は日本政府特別会計ではあるけれども、その性格としてはなおかつ援助資金関係を持つということが明らかだとわれわれは考えるのであります。そういう点から考えて、その見返り資金の使途方法について、当局の指示を受けなければならないという性格がある関係上、この見返り資金の運用については愼重を期したい。こういう点からわれわれも非常に今回の法案については、関心を持つものであります。特に先ほど来各委員から御質問があるようでありますが、従来公共事業のごときものに対して、今回は使用という言葉を使つておる。ところが鉄道及び電気通信あるいは国有林の特別会計に対しては、出資もしくは繰入金という名前を使われておる。先ほどただ漫然として利子を拂うよりも、拂わぬ方がよいじやないかという考え方から、こういう法案が出たというお話でありますけれども、どうもわれわれはこれだけでは納得しにくい。ことに電気通信事業にいたしましても、二十四年度の会計において大体十億以上の黒字を出しておる。鉄道会計において一般繰入金がある場合に、必ずしも良好な成績でありませんが、電気通信事業については相当の黒字が出ておるのであつて、従来のごとき百二十億の公債あての借入金性格をとつても、あえてこれの償還には困難をきわめておらないのであります。のみならず公共事業のものについて使用の性格をとることは当然でありますが、電気通信事業とかあるいは国有鉄道事業は、名前はコーポレーシヨンでありますが、国有的性格を持つておりますが、一種の企業体であります。こういう企業体に対して、あえて重要な必要なくして、交付金性格をとる必要はなかつたのではないか。ましてやいろいろな事情から考えても、再評価ができておらない現状から見ても、こういう借入れ資本の形式で、やはり公債と同じような性格を與えておく方が、会計上も妥当ではないか。こういうふうに考えるのでありますが、その点について電通大臣の御説明をいただきたい。
  59. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 先ほどざつくばらんにお話申し上げました通り、私の方では当初から、二十四年度と同じ形式でやろうと考えておつたのでありますし、また将来いろいろ、見返資金勘定というものと援助物資そのものは、理論的にはかけ離れておりますが、また橋本君のように関連性を持たせれば関連性を持つものであります。でありますから私の方では経理の面から言えば、やはりどこまでもある時期にはこの分というものをはつきりし、また返すものは返すというような経理の仕方をして行きながら、操作をやつて行きたいと考えておりますが、この法案は私の方の主管ではありませんので、大蔵当局考えで、橋本君の意見のようにかえると言えば、私の方に異議はありません。しかし私の方としては大体において今の建設資金が必要だということが先決であつて、しかも資金が入りますれば、これはもらうのでなくても、返してもけつこうだということを言つておりますから、その点に対しては主管の政府委員あるいは大臣と御交渉願いたいと思います。
  60. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 大体当局の御説明は了承する点が多いのでありますが、なおやはりわれわれ委員会の大部分は、非常にこの問題については愼重を期しておりますので、特に大蔵委員会にお願いをしたいのでありますが、現在の電気通信事業経理状況から、われわれが見ておりましても、必ずしも交付金的な性格あるいは資本充当的な性格を持たなくても、経理上には何らのさしつかえがない。こういう現状でありますので、一部誤解を生むべきような性質があるといたしますれば、できるだけこの際においてはそういう誤解のないような法案に修正できれば、たいへんにけつこうであり、その主管が大蔵委員会にありますので、特にこの点をお願い、たしまして、一応質問は打切りたいと思います。
  61. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 ちよつと関連してお伺いいたしたいのでありますが、この見返り資金の性質が、今橋本委員が取上げられたようなぐあいに関連して考える向きと、また先ほど大蔵省からお話がありましたように理論的に二つにわけて考える向きと、二通りあるのであります。そこで後者をとつておる、つまり理論的にこれは別個のものであるという建前をとつておる人々の議論といたしましては、日本の国内で売つて、日本の国民から取立てた金であるがゆえに、これは日本の特別会計で日本の所有の資金である。だからして司令部のさしずを受けないで、自主的にこれを取扱うのが当然じやないかという主張があるのであります。この問題は現在出ておりますこの法案の中でも、司令部の命令による云々というようなことが今問題にされておるのであります。これは昨年の会計のできるときにも問題になつて、一條削除されたことは、御承知の通りだと思うのであります。そこで考えてみますのに、向うから援助物資をもらつて、それは向うの発意であり、こちらの要求でないとしても、向うから援助してやるが、この代金をすぐ拂えと言われたら、国民を餓死させることができないとすれば、国民に売つたものはどうしても拂わなければならない性質のものである。ところがすぐには取立てないから、この見返り資金特別会計をこしらえて、ここに積み立てておけというのであるからして、これは要求があつたら返さなければならないという意味も含まれておるのじやないか。また司令部の方で、先ほど御説明がありましたように、この特別会計ができるときの覚書にも、ああいうようなことが述べてあるのだ、そうするとこれは関連をつけて考えるのが、現実の動き方ではないか。理論的にこうであるからこつちのものだ。こういうようになつて、今度の問題につきましても、司令部の方の意向によつて、またその承認が得られて、こういうふうな動きができたのではないかと思うのであります。小澤電通大臣お話でも、初めは昨年のように借入金で行くつもりであつたというお話から伺いましても、向うの方の意向が大分入つてつたのであるということが考えられるのであります。そこで私はこの見返り資金性格はつきりさせて行くということが、混乱を防ぐゆえんだと思うのであります。日本のものだといえば、自主性を持てという議論が強くなつて来る。ところが先ほど、大蔵大臣はどう答えたか知らぬが、こうだという小澤大臣お話がありましたが、これは速記録をごらんくださればはつきりわかります。見返り資金質問をしたのであります。物資の質問をしたのではない。見返り資金質問をしたのに、債務だと答えられたのです。でありますからして私は、これはこの法案だけでなしに、ほかの法案にも同じことが出て来て、同じことを繰返し繰返しやる必要があると思うのでありますから、どうかこの際に政府部内においてはつきり性格を明らかにして、もし日本のもので独立だというならば、日本で自由になりますというならば、メモランダムの関係をどうするか。また日本政府が自主性を持つという一部の人々の主張を受入れるかどうかということについて、はつきり筋の通つた道筋をひとつ考えて、われわれに御答弁くださるようにお願いしたいと思うのであります。
  62. 伊原隆

    伊原政府委員 お答え申し上げます。見返り資金の性質につきましては、私は先ほど申し上げたように思うのであります。要するにアメリカからの援助が物で参つて、それを国内で売つて、その円を特別に積み立ておいて、二十三年度までのように貿易資金の中にうやむやに入つて使つてしまうということでなく、特別に積立てをして行く。それからこの見返り資金というのは、どういう使い方をするかといえば、日本経済の安定に使うのだ。従つてこの会計は日本の円の特別会計でありまして、その意味において日本政府のものであるということは、疑いがないと思います。但しそれがどこから出て来た金だと申しますと、アメリカの援助が日本に入つて来て、それを食糧なら食糧を売つて得た資金であるという意味におきまして、アメリカの援助と非常に密接な関係があるかという点についても、疑いがないところであると思います。そういうふうに日本のものならば、自分で自由に使つたらいいじやないかという話もあるというお示しでありましたが、この資金は先ほど申し上げました覚書によつて設置せられたものでありまして、アメリカからの援助になる食糧等を売り拂つてできた円資金、その円資金はどういうふうに使うかというと、日本の経済の安定のために使う。それを使うことは、総司令部の許可を得るようにという覚書でございますので、その覚書に従つて、総司令部の許可を受けて使つておる。こういうわけなのでございます。これを欧州の例にとつてみますと、欧州はみんな独立国でございますが、十何箇国がアメリカから一九四八年の対外援助法によつて、援助を受けております。この援助の中には贈與と貸付と二種類ありまして、贈與であります場合には、イギリスでも、フランスでも、イタリアでも、贈與せられたドル額に相当するその国の通貨——イギリスで言いますとポンド、フランスではフラン、イタリアならリラを、やはり日本の見返り資金と同じように積み立てております。そうしてその積み立てました資金は、アメリカの経済協力局の許可を受けまして、その国の経済の安定のために使つております。これは独立国——アメリカとイタリアならイタリア、アメリカとイギリス、アメリカとフランスの間の二国間の協定によりまして、アメリカから援助を受けて、ドル額に相当するその国の自国通貨を積み立てたものを、やはり見返り資金と呼びまして、それの使用はその国の経済の安定ということのために使います。その使い道は、アメリカの経済協力局の許可がいる。許可といいますか、承認だと思いますが、同意を得て使う。こういうことになつておりますので、実体におきましては、日本の見返り資金が司令部の、占領下でございますので、承認だと思いますが、承認を受けて、日本の経済の復興のために使われているということと、かわりはないものとわれわれは了承しておるわけであります。
  63. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 ただいまの御説明よくわかりましたけれども、結局見返り資金特別会計をこしらえるというのは、向うのさしずでこしらえたのである。それでその使い道についても、向うの許可を得なければならないということであれば、日本政府の完全の所有のものとは、私は考えないのであります。そこのところに向うの方でいろいろ言うて来る事柄を正当化するところもあり、いわゆる絶対自主性でやつて行くという主張の通らないところもあるのではないかと考えるのであります。もし完全に日本のものであるというならば、向うの方と協議をする必要もなければ、許可を受ける必要もない。許可を受ける必要があり、また協議をしなければならぬということ自体が、完全に日本のものではないのだ。これはひもつきのもので、條件付の日本のものだと、私はこう考えるのでありますが、この点はいかがでございましようか。完全に日本のものだというごあいさつでごさいましようか。
  64. 伊原隆

    伊原政府委員 これは私言葉の問題だと存じますが、この見返資金特別会計というものは、日本の特別会計でございますが、その特別会計は特殊の特別会計でございまして、その使用について総司令部の許可がいる。その許可がいるということは何ゆえかと申しますると、総司令部からの覚書によつて設置せられました特別会計でありまして、その覚書の中に、「日本政府は総司令部によつて承認せられた額と目的においてのみ資金から引出しをなすことが出来る。」こういう覚書に従いまして、日本政府は日本の特別会計である見返り資金の使用は、司令部の許可を受けて使つておる。そういう特殊の特別会計でありまして、別に右か左かというふうに割り切れたものではないような気がいたすのであります。  それからなおこれはくどいようでありますが、先ほど申し上げましたように、見返り資金は、アメリカから援助を受けております欧州の諸国と、性質的に申せば、経済協力局の同意を得て、欧州の諸国がアメリカの援助資金を使つておるのと同一である、こう考えております。
  65. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 まことにくどいようですが、その覚書によつて縛られておるということが、完全に日本のものではないのた、私はこう解釈するのであります。私はこれ以上申し上げませんが、とにかくこの点がもし完全に日本のものだというならば、共産党の諸君の言われるように、向うの干渉は一切ならぬ。今ここに出ておる法案でも司令部云々というのは削つてしまえ。こういう議論が通るのですが、私はそれは通らないと思うのであります。それは完全に日本のものでないから通らない。私はこう考えておる。この点をはつきりしていただきたい、こういう考え方だけであります。以上であります。
  66. 滿尾君亮

    滿尾委員 私は先ほど来の大臣並びに政府委員から、見返り資金について法律技術的な見地からいろいろ御説明がありまして、その点につきましては間然するところのない了解が大体できたのであります。しかしながらこの問題は、法律的の見地というものは楯の一面でありまして、総合して考えました場合には、政治的なフアクターを非常に多く考えなければならぬ問題であると私は思うのでありますので、二、三御質問申し上げたいのであります。私は主として政治的角度から御質問を申し上げるということを、最初に申し上げます。その次に見返り資金の将来の性格の問題、なるほど現行法上独立の人格を持つた日本の資金だというお話でありまするが、私はこの資金は一体米国單独でやつておるのであるか、連合国全体としての立場においてこれを設定したものであるか、その事情をまず教えていただきたいと思います。従つてこの見返り資金の将来の帰属、将来外国の債権に残るのかどうかということを、講和会議できめるのであるかどうか、その講和会議は全面講和会議できめるのであるか、あるいは部分的な講和会議でもきめられるものであるかどうか。あるいは米国だけの問題であつて、何も講和会議というような特別の機関を擁して、そのプロセスを経ないで、アメリカと日本だけの関係でその話合いを将来つけられる性格において、設定されておるものであるかどうか。そのことをまずお伺いしたいと思います。
  67. 伊原隆

    伊原政府委員 私は、政治的なお尋ねのようでございましたが、事務的なお答えになるかと思います。この見返資金特別会計は、先ほど来申し上げておりますように昨年、二十四年の四月一日の連合国総司令部から日本政府あての覚書によつて、設置せられたものでございます。その第一に書いてございますが、日本政府米国援助見返り資金という特別会計を設置して、「米国より日本に與えられた米国援助の米国政府にとつてのドル価格と等額をこの勘定に日本円をもつて預金するものとする。」とございまして、見返り資金がよつて生じます源泉は、米国から日本に與えられた援助、それを売つたものが見返り資金に入つて来るということが明らかでございますが、指令は連合国総司令部から日本政府あての指令でできておるのであります。
  68. 滿尾君亮

    滿尾委員 私は連合国総司令部としての指令であろうと考えるし、内容米国であろうと思うのでありますが、そこで疑念を持つてお尋ねするのであつて、これは実質的に見て米国と日本との関係として見るべきか。連合国司令官としての設定であるからやはりこれは全面的か。あるいは相当部分的な講和会議というか、そういう米国一国だけでなしに、連合国との関連性においてこれを解決しなければならぬ見通しのものであるかどうかということをお尋ねしておる。あなたのお答えは、私の尋ねたのと同じことを答えられたので、私は一向要領を得ないのでありますが、そこのところをお教えいただきたい。
  69. 伊原隆

    伊原政府委員 これは私どもから申し上げるのには、少し問題が大きいと思うのでありますが、私は、連合国総司令部からの覚書によつて設置せられたものであつて、それの処理は講和條約等において決定せらるべきではないか、こう考えております。
  70. 滿尾君亮

    滿尾委員 非常に重大な問題について、政府委員の御答弁があまり確信を欠いておるようでありまして、この点は残念に思うのでありますが、他日の機会に讓つて、もう一ぺんお尋ねいたします。  ついてはその見返り資金の運用の六項目云々という御説明があり、よくわかつたのでありますが、いずれアメリカの許可を得なければならない、そのこともよく了承しております。しかしながら日本の産業のどの面に、この資金を導入するかということにつきましての決定は、少くともイニシアチーブは日本政府にあると考えておりまするが、さように考えてよろしゆうございますか。
  71. 伊原隆

    伊原政府委員 その通りでございます。
  72. 滿尾君亮

    滿尾委員 そうすると、わが国の経済復興をいろいろいたします上につきまして、どうしても外資の力を借りねばならぬということは、今日もう私どもの常識であろうと思うのであります。私もそのことにつきまして、ちつとも反対する意見はない。ぜひどしどし外資を導入していただいて、わが国のさんたんたる光景から一刻も早く立ち直りたいと熱望しておるものであります。しかしながらわが国のいろいろな仕事につきましては、金さえ導入して仕事ができさえすればいいとのみは言い切れないものがあると思う。外資を導入して復興せしめてよろしい事業と、なるべく外資の導入を御遠慮申し上げたいという事業と、私はあるように思うのでありまするが、一体政府はかような差別的といいますか、事柄の内容によりまして、外資導入についてある程度の考慮を加えるということを考えておられるかどうか。そういう意見を持つておられるかどうか。あるいは現にやつておられるかどうか。そういうことを考える意思があるかどうかということを伺いたい。
  73. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 これは私の所管でございませんけれども、国務大臣としてごく常識的な点だけをお答えいたしますと、原則として、滿尾君の御指摘のように、日本は十年間の戰争によつて、あらゆる物資は消耗され、また建造物も破壞されたのでありますから、現状の姿において急速な日本の復旧、復興は困難だと思います。従いまして外資の導入ということは、政府は全般的に望んでおりまするし、外資が導入されるように、具体的な措置も適当に考慮いたしております。しかしながらいたずらに外資導入と言いましても、いわゆる惡質な外資が導入されまして、その外資を導入したために、日本経済の発展に惡影響するようなものは、嚴に注意しなければならぬというような制限を考慮しながら、全般的には外資の導入を考慮いたしております。
  74. 滿尾君亮

    滿尾委員 ただいま大臣から、惡質な外資の導入は考えなければならぬ、何でもかんでも飛びつくというわけではないというような御答弁を得まして、その限りにおきまして、私も満足したのでありまするが、私はただいまの政府のお考えの程度では、まだ不十分であると思う。たとい一点非難するところのないりつぱな性格の外資であろうと、わが国の事業の性格によりまして、あまり外資を歓迎したくない事業があるのであります。その点について政府は十分ひとつお考えをいただきたいと、実は考えておるのであります。  さてそこで具体的な本論に入りまして、今回の法律案のことでありまするが、私は国有鉄道に関する見返り資金の援助のことについて、お尋ねを申し上げます。先般運輸委員会におきまして、私が伺いましたところによりますと、この四十億の見返り資金から出資する金を、何に使うかということを聞きましたところ、驚いたことには、その四十億の使途が確定しておらぬ。運輸大臣と大蔵大臣とが協議して、これからきめるのだという話を聞いた。私はこの話を聞いたときに、非常にびつくりした。およそ国の予算というものは、何をするかという事業の方を先にきめる。そしてそれに必要な経費を計上するのが、予算の行き方なのです。ところが先に四十億のわくが設定せられて、しこうしてこの四十億を何に使おうというのを、これから考えるというのでありますから、これは非常に異例のお取扱いであろうと思う。かようなむりな方法をもつて、今回の仕事が進んでおりますことにつきましては、どうしても私どもふに落ちない感じがする。これをしもわれわれがうのみにいたしましたならば、何をもつて国民の負託にこたえるかという感じすらもいたすのであります。そこで私は使途のきまらぬ予算をつくつたという点におきまして、この案件は事実においてあまり賛成しにくいのでありますが、もし国鉄に二百四十億の建設改良仕事をさせなければならぬと、こう政府考えた。そして二百億を益金から出した。四十億はこういう方面から仰ぐとする。国有鉄道法の四十二條の二項には、国鉄の必要とする長期資金につきましては、鉄道債券を発行することができると明記してある。なぜ四十億について鉄道債券発行の方式をとられなかつたか。その点をお伺いしたい。
  75. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 お答えをいたします。鉄道債券発行の方法をとりませんで、交付金の形にいたしましたのは、先ほど電気通信の際に申し上げましたのと同じように、自己資本の充実という形式において行う方が、より有利であろう、こういう趣旨であります。
  76. 滿尾君亮

    滿尾委員 四十億のもらい切りみたような出資の形でやるということの方が、何がしか経済上得だというのは、私は目前の小さな利益だと思うのであります。私は国有鉄道のような仕事というものは、わが国の一切の政治活動、経済活動の前提をなしておるところの仕事でありまするから、これはぜひわが国民の額に汗して蓄積いたしましたところの資本によつて、百パーセントまかないたいと考えておるのであります。こういうものまで外国のおせわにならねばならぬほど、われわれは窮迫しているか。私はそうは思わない。われわれは三度の飯も二度に減しても、国鉄資本は全部わが日本国民の勤労の結果によつてこれをまかないたいと念願しておるものであります。従つてわずか四十億ばかりの、あえてはした金と申します。いわんやその金利のごときに至つては、はした金中のまたはした金になります。かようなものの差引計算において、今回のようなきわめて不自然な、何ら合理的な説明のつかないようなむりな手続によつてまで、こういう方式をとらねばならぬということは、私非常に残念に思うのであります。本日のいろいろの皆さんの御説明によりまして、法律技術的に縁は切れているのだ。見返り資金国鉄出資とは縁は切れているのだといろいろお話がありましたけれども、これは法律技術の話であつて、私ども国民の感情を納得せしめ得るものではない。私は古今東西の歴史を考えまして、この幹線の交通機関、あるいは通信機関というものの掌握というものが、いかなる政治的な大きな役割を演ずるか。ぜひ近世の歴史をもう一ぺん読んでいただきたい。そこまで考えますことは、あるいは思い過ぎだという説があるかもしれません。しかしながら後世の歴史家が、この当時の国会議員は何をしておつたかと言われるおそれがある。またその当時の政府の当局者は、何を考えてこういう基を開いたかと言われるおそれがある。これはわれわれとして絶対に愼重に考えなければならぬ問題であると考える。従いまして今回の法案につきましては、すでに予算の方では済んでいることでありまするから、どうしてもこれは最小限度のところで借入金に振りかえていただきたい。われわれは期限をきめて、そうして金利を拂つて、りつぱにこの借金を他日お返しすることにいたしまして、後顧の憂いという点から見ても、あるいは私の説は思い過しかもしれませんが、どの点から見ても心配のないような形態において、鉄道とかあるいは通信とかいうような国民の動脈に当る、また單なる経済現象以上のプラス・エツクスの仕事につきましての、国民的な感じというものを守つて参りたいと考えているのであります。これをもちまして私の質問を終ります。
  77. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 電通委員がおりませんので、電通委員にかわりまして、二、三電通関係につきまして御質問申し上げたいと思います。二十四年度の電通関係予算に百二十億の見返り資金が入つておりますが、日本の重要な神経系統をつかさどるこの事業に、ともかく外資の形で入つて来る。それに対するいろいろな條件について、私ども質問いたしました。そのときには大臣は、これは公債で入つて来た。利子をつけてちやんと五年還付で返すのだから、心配ないというお答えでありました。本二十五年度においても、やはり入つて参ります。これは先ほどからの御説明にもありましたように、使い切りで、ただでくれてやるということは、たいへんこのせち辛い世の中に、けつこうな資金が入つて参ると思いますけれども、私どもは先ほどからの御説明を聞いておりましただけでは、納得ができない。昨年二十四年度と二十五年度とのこの資金の繰入れについての違い、その間には必ず大きな條件がついておると見ております。この点について大臣が知つておられる点を、はつきり御説明をいただきたいと思います。
  78. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 田島君にお答えしますが、この問題についてはもうすでに論議された問題でありまして、別に條件の違いとか何とかいう私の発表しない問題はございません。今まで皆さんの御質問答え通りであります。
  79. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 もう少し具体的につつ込んでお伺いしたいと思います。最近CCSの覚書で、電通事業に関して相当のものが出ております。これは相当厖大なもので、なかなかつつ込んでおります。この覚書の中には、相当のことが指示されております。この指示に対して、どういう御見解を持つておられますか、伺いたいと思います。
  80. 山下知二郎

    ○山下(知)政府委員 お答えします。御指摘のように、CCSからいろいろな書類も参つております。しかしこれはすべてレコメンデーシヨン・オンリーで、ゴム印か、あるいはタイプライターでちやんと打つてありまして、事業を運営する上においてこうやつた方がいいぞ、こういうふうにやつた方が能率的である、あるいは経済的だということを教えてくれておるのであります。従いまして、われわれはその通りつておるわけでもなし、またやらなければならぬほどのものでもなし、いいことはわれわれの事業の運営の面において取上げるし、また日本の国情に合わないような、また今ただちに実行できないような部面につきましては、よく説明いたしまして、そういうことをやらないようにいたしたいと考えております。
  81. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 そうしますと、この覚書には必ずしも制約されないというお答えでございますか。
  82. 山下知二郎

    ○山下(知)政府委員 その通りであります。
  83. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 そのほか二、三のことをお伺いしたいと思いますが、先ほど大臣の御説明では、電通関係資産の再評価を、千六百億くらいの見積りでやらなければならぬと申されました。この覚書の中にはこれが非常に減つておりまして、五百八十億くらいに見積つております。その間に相違がありますが、やはり政府は千六百億の評価の見積りを堅持されますか。
  84. 山下知二郎

    ○山下(知)政府委員 その面は目下研究中でございます。
  85. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 今の山下君の答弁に大体相違ございませんが、大体今年度は一千六百数十億、昨年度は千五百数十億というものを基準にして、減価償却をいたしております。従つて日本政府としては、原則として従来の評価を基準にして行きたいと思いますが、どういう趣旨で五百何十億ということを言われるのであるか。その点については検討いたしたいという意味であることをつけ加えておきます。
  86. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 なお見返り資金建設資金の方に入つて参りますが、この援助資金が入るにつきましては、この覚書にはやはりある種のいろいろな條件が入れられた場合にというような前提があります。こういう前提に対して、政府は覚書の條件をいれられるつもりか。日本の実情に合わなければ、これをいれないで行くという立場を堅持して行きますか。
  87. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 お答えいたします。田島君の質問趣旨はつきりわかりませんが、要するに百二十億の建設資金を使うということと、ただいまの書簡の問題は別に牽連性がございません。片方の建設資金については、見返り資金勘定から百二十億ということになつておりますし、一方CCSといたしましては、どこまでも日本の電気通信事業を円滑に、また能率的に発展をさせたいということから、勧告あるいは注意をしておる程度でありまして、これはありがたく受けておるようなわけであります。
  88. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 重ねてお伺いいたしますが、私どもがこうしつこく聞きますのは、今度電通事業の二十五年度の自己資本に繰入れられますにつきましては、相当今後いろいろな形で制約されて参りますが、こういう條件についてやはり大臣は、覚書をただ忠告として受取つておるというようなお考えでございましようが、この大きな力に対して、はたして政府の方針通り押し切れるかどうか。それを質問したいと思います。この覚書の中には相当つつ込んだ面がございます。詳しいことはお伺いいたしませんが、やはり政府からの融資の問題につきましても、相当の條件を加味されなければ融資しない。たとえば覚書の内容の実行を條件にして融資するということを言つております。その條件の中に私どもが問題にいたしますのは、電通関係資本を今後形をかえて、たとえばただいまの覚書によりますと、資産総額を不換負債証書というように、大体一万円單位に書きかえして、これを政府の方へ預ける。これは将来讓り渡すことも、あるいは保存することも、あるいは売却することもできる。こういう詳しい條件がついております。こういうような條件に対しても、政府はこれは單なる覚書という点で、拒否して行くことができるかどうか。そういう点をはつきりお答え願います。
  89. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 お答えしますが、ただいまの覚書というのは、CCSのセクシヨンから事務当局に対する一つの勧告でありまして、あらためて政府に来たものではありません。従つて私自身はその問題については、実際上タツチしておらないのであります。なおこの百二十億の問題とただいまの覚書に牽連があるわけでは毛頭ございません。百二十億の方は主として、セクシヨンから言えば、ESSの方で扱つておりますし、ただいまの事業関係の監督指導は、CCSのセクシヨンでやつておりますから、おのずから関係当局も異なつておるような実情でございますから、そういう点は心配がないと思います。
  90. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 もう一つ最後に伺いたいと思いますが、この二十四年度に入りました公債の分、それら二十五年度の自己資本の繰入れの関係が、将来どういうような形になつて行きますか。このままでずつと、万一この公債が返還できないというような場合には、何らかの形でこの間に関連を持つて行くのかどうか。その点をお伺いいたします。
  91. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 二十四年度の百二十億は、御指摘通り五分で五年償還でございますから、漸次この方針に従つて返還をいたして参ります。それから二十五年度は、先ほど来答弁を申し上げた通り、一応繰入れということになつております。繰入れとはどういう繰入れかといえば、形においては自己資本ということになつておりますが、しかし経理の面におきましては、自己資本といたしましても、この百二十億というものは、特に二十五年度にこういう金額が入つたことを明確にして経理いたしておりますから、将来資産評価その他が起きました場合でも、明確にこの分に対する部分がはつきりするように、たとえば現在の帳簿価格が二億円でありまして、資本金の繰入れが百二十億であつて、百二十二億のあれが百二十億になるのだということは、全然生じないような見地で、今後経理面を処理して行きたいと考えております。
  92. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長代理 ちよつと林君。小澤大臣に対する質問でありますか。
  93. 林百郎

    ○林(百)委員 そうです。国務大臣としてお聞きしたいのです。アメリカからの援助資金は、ヨーロツパの各国を見ますと、これが贈與になつていたり、あるいは貸付としてされたり、また貸付と贈與と両方含んでいる場合もありますが、日本政府としては、このアメリカからの援助の物資は、一体贈與と考えているのか、あるいは貸付金と考えているのか。将来どう処置するつもりですか。
  94. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 この問題については、大体幾人の方にもお答えしましたが、特に林君からの質問でありますから、もう一回お答えいたします。今まで申し上げたのは、大体見返り資金勘定というものと、援助物資そのものというのを、同じような観念のもとに私は答弁しておりましたが、今非常に細論に入つて参りましたので、私の言うのは、援助物資そのものに対する考え方に対する林君の質問としてお答えしておくのでありますが、大体昨年予算編成当時においては、やはり適当な時期には返還すべきものであるというような印象のもとに、予算を編成しております。しかし二十五年度の予算編成に際しましては、大体これはいただけるものではないかというような印象のもとに、編成をいたしております。それではこの援助されたものに対して、はたして返還義務があるか、それとももらつたのであるかというような問題は、講和條約の締結までははつきりしないのではないか。あるいはその前にはつきりするかもしれませんが、少くとも現在ではこれは明瞭になつておりません。
  95. 林百郎

    ○林(百)委員 この問題をお聞きするのは、この援助資金の一つの変形として見返り資金ができておるので、それでもし将来日本の国の借入金だ、借金だということになるならば、われわれは借金なんだから、その借金をどう使うかということは自由で、返しさえすればよい。贈與を受けるということになれば、これはただでもらうのだから、いろいろの條件がついて来ることはやむを得ぬ。ところが吉田首相とシーボルド議長との間の、例の阿波丸請求権の放棄に関する覚書の付属條項では、これははつきり債務になつている。将来日本はこれを返すということを認めているわけで、あなたの内閣の総理大臣がシーボルドととりかわしたのだから、御存じだと思う。そうなると、われわれはこれは一応アメリカから貸付を受けたものだ。いわゆる援助基金は将来返さなければならないというように考えるのが至当だと思いますが、この点はどうかということが一つと、それからもし将来アメリカからの援助基金を返還するということになれば、これと見返り資金との関係は今度はどうなるか。この関係を二つお聞きしたい。
  96. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 林君にお答えいたしますが、阿波丸事件の條項を私は詳しく存じておりませんが、かりにそこに債務ということを承認する條項があるにいたしましても、将来また放棄することも自由なのでありますから、必ずしも債務であるとか、債務でないということは、将来の見通しの上に立つては、はつきり言うことができないと思うのであります。それから見返り資金からあるいは借入れた、あるいはもらつたという勘定と、それから返還する場合における関係はどうかといえば、これは嚴格に申すと、見返り資金勘定も日本のいわゆる特別会計であります。従つて見返り資金関係においては、もらつたものはたとえば電通で百二十億もらつたとすれば、もらつたことになりますが、もし日本政府米国に特定の債務があるのだということになりますれば、これはそのときの経済情勢によつて一般会計あるいはその他の方法によつて、返還する処置を講ずるものと考えるのであります。
  97. 林百郎

    ○林(百)委員 吉田首相とシーボルド議長との申合せを、将来もし情勢によつては放棄すると言いますが、その放棄がこちらでできるはずはありませんし、また吉田首相とシーボルドとの間の協約をあなたが知らないということも、いささかのんき過ぎる話だと思うわけなんです。そこで問題になるのは、援助資金、フアンドそのものは、かりに向うが日本の国へ援助してくれたものだとしても、これが変形になつておる。見返り資金に至つては、たとえば輸入食糧の代金だとか、あるいは輸入食糧の補給金だとか、こういうものは、日本の国民の側からいえば、一切自分のふところから金が出ておるわけです。国民自体は決して借金しているわけではない。政府は将来どうするかわからないけれども国民自体からいえば、見返り資金国民のふところから出た金が積まれておるのだというように解釈すべきだと思いますが、この点について国務大臣としての小澤電通大臣にお聞きしたいと思う。
  98. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 お答えしますが、先ほど申し上げましたのは、シーボルドと吉田総理との約款が解消されるであろうという意味ではありませんから、その点釈明申し上げておきます。つまりここで債権がこの條約によつて承認された場合にも、米国の方では、あの当時は債務であつたのだが、現在の状況では、これは請求しないということを米国はできることであるから、従つてそのとき債務を承認したのだからといつて、必ずしも永遠に返さなければならぬということはないということを申し上げたのであつて、阿波丸條約が取消されるであろうというふうに林君は考えたようでありますが、そういう意味でないことを御了承願いたいと思います。それからいわゆる見返り資金という勘定は、米国援助物資に対して、一旦配給をしまして、国民がその消費価格において買つて配給したのだから、国民の方からいえば、何らの債務がないということは、その通りであります。必ずしもその配給を受けた人が借金をしておるのではなくて、ただ国家としてそういうものを将来返さなければならぬというようなことを仮定的に考慮するならば、適当な財源をもつて、適当な時期に返すようなことになるのじやないかということでありまして、今政府がそういうことを計画しておるのでもなければ、また検討しておるわけでもなく、将来そういう場合が起きたらどうするかということを、しいてお答えすれば、そういうことになるであろうというだけのことであります。
  99. 林百郎

    ○林(百)委員 何だかややこしい答弁ですが、今言つた吉田、シーボルドの了解事項に基く、アメリカが日本へ投資した援助資金、あるいはいわゆるガリオア、イロア・フアンドそのほかの信用が、債務と認められておる。かりに将来返すということになると、一兆億を越えるわけですが、このガリオア、イロアそのほかの、アメリカから日本の国に貸興した信用を債務として返す場合には、今まで使つて来た見返り資金というものは、この返還の一部として考えられるのか。一兆何億という厖大なアメリカからの援助資金を返す場合には、この援助資金の一つの変形としてできておる見返資金特別会計の金というものは、将来アメリカヘフアンドを返還する場合の一つの要素となつて、これが動員されるのかどうか。その点をお聞きしておきたい。
  100. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 林君は非常に頭がよくて、先の方から聞かれるのでちよつとわからぬが、結論においては、返すか返さぬかという問題は今きまらぬのでありまして、返すという場合になつたらどうかという質問でありますが、それはもし見返り資金だけで足りなければ、先ほども申した通り適当な財源をもつて、またその財源が困難であれば、一定の年限の間に、たとえば年賦という形で返すということであつて、返すか返さぬかぬかも決定しない場合に、かりに返す場合というのでは、いかにくふうしても始まらぬし、解決がつきません。いずれその時期が来れば解決すると思います。
  101. 林百郎

    ○林(百)委員 これはすでに吉田、シーボルドの阿波丸協定で、債務だということにはつきりなつておる。だから返さなければならないと考えるのが現実であつて、将来もらえるかもしれないということの方が、むしろ仮定に立つた考えだと思う。そこで私の申し上げたいことは、かりに吉田、シーボルドの申合せによつて、これは将来返さなければならぬフアンドであり、それの一つの変形としての見返り資金は、これは日本人民からいえば自分のふところを切つた金である。一体日本政府は、この見返り資金を使う場合に自由に使えるのか。あなたの言われるように、将来返すかもらえるかわからないとすれば、かりに信じたとすれば、これは自由に使えるものである。われわれとしては、自分のふところを痛めた金であるから、これは日本政府が大体自由に使えなければならぬものでありますので、見返り資金の運用について、日本政府はどの程度の自主権を持つておるか、伺いたい。
  102. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 林君は、私の方が仮定であつて、自分は仮定ではないということを言いますが、要するにあなたの方は債務があるのだろうという仮定だし、私の方は債務があるかないかがわからない。従つてそういうことは両方とも仮定です。でありますから、それを返すものとはつきりきまつた場合、もらうものとはつきりきまつた場合に、これは論議すべき問題だというのが、私の考えであります。君の方では、要するに返す場合にはどう返すかということを盛んに議論されておるのであるが、われわれの方としては、返すということもいまだ決定されていないのだから、今返す場合のことを議論してもしようがないというのです。
  103. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは堂々めぐりですが、それはあなたにシーボルド、吉田の協定を見てもらえばわかると思う。そこで私は見返り資金の運用について、日本政府はどの程度の自主性を持つているかということをお聞きしたい。
  104. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 林君も知つておるように、見返り資金につきましては、特別に見返り資金運用に関する法律がありまして、その法律の精神によりまして運用しております。
  105. 林百郎

    ○林(百)委員 見返り資金の運用については、あなたも言われた通りに第五国会で、米国対日援助見返資金特別会計法が通過している。その際には、この見返り資金の運用については、連合国最高司令官の承認を必要とし、かつその後の使途については一切連合国最高司令官の監査を受けという事項があつたのですが、これはあなたも御存じ通り、第五国会で削除になつだ。但しこれは附帶事項で、そのように運用しようということで、一応自主性を確保した。ところが最近に至りまして、この修正案が衆議院を通過して、参議院に行つておりますが、さらに見返り資金の使途については、連合国最高司令官の承認ではなくて、指示に基いて使用すべきであるというふうに修正しろと、関係方面から政府にリコメンドか何かしらぬが来て、今この修正を政府考えておる。あるいは議員提出という形になるかしらないが、これを考えておるということをわれわれは聞いておるのでありますが、この辺はどうなつておるか、お聞きしたい。
  106. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 ただいまの問題は、政府には参つておりませんが、国会の方に来ておるということをうわさに聞いております。
  107. 林百郎

    ○林(百)委員 政府に来ないことを国会がやるというのは、どういうわけですか。そうすると連合国最高司令官の指示に基いて使えるということは、政府には全然関係なくて、直接関係方面から国会へそういう指示が来たというように解釈してよいでしようか。
  108. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 ただいま申し上げました通り、私の知つている範囲では、政府には参つておりません。国会に来ているということは風説でありまして、見たわけでもないのでわかりません。あなたの方がよくわかつていると思う。なおどうして国会に出したかということは、先方へ行つてお聞きになつたらよいでしよう。
  109. 林百郎

    ○林(百)委員 そういうしりをまくつたような御答弁をするのは、いつもの小澤国務大臣に似合わない答弁だと思う。よほど痛いところを突かれて困つたのだと思つて御同情申し上げます。先ほど田島議員からも御質問があつたのでありますが、このたびの法案では、見返り資金を、国有林野事業には繰入れ、日本国有鉄道には交付金として交付するわけですが、ここで非常に違うのは、実は電気通信事業にも、また国有林野事業にも、非常な條件がついているわけです。あなたは先ほどいろいろ言われましたけれども、従来電気通信省並びに郵政省の一切の業務の運営について、関係方面からこまかな指示があつたということは、お互いここで水くさいことは言いつこなしがよいと思うのですが、こういうリコメンドが来ておるわけです。本書は昭和二十五年度電気通信予算及び将来の電気通信事業の運営に関して、総司令部民間通信局から電気通信省に対してなされた広範な勧告で、これは約文であります。電気通信省へ来ているので、あなたは知らぬということは言えないはずです。しかもこの厖大な勧告は、どういうふうになされたかというと、この勧告は、電気通信事業資本拡大を援助するために、見返り資金を提供するための條件としてなされたものであると、はつきり言つている。この見返り資金を受けるために、電気通信省へかかる厖大な勧告書が来たということを、あなたは認められるかどうか、これをお聞きしたいと思う。これは昭和二十五年二月に来ておるのです。
  110. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 私はその書面は見たことはありませんけれども、今事務当局に聞きますと、来ているそうであります。しかしそれは林君が読んでいる通り、勧告でありまして、絶対に従えという命令ということにはなつておりません。日本の国情に従つて、将来の電気通信運営にふさわしい点は、喜んで勧告を受けますし、それが非常に困難である点は、再三折衝いたしまして、いわゆる日本の理想的な電信電話の運営に邁進したいと考えております。
  111. 林百郎

    ○林(百)委員 小澤電通大臣のおつしやることは、一応はわかるのでありますが、お互いに逓信省時代から苦労した人だつたら、向うの勧告というものがどの程度権威のあるものか。——電気通信工事局一つつくるか廃止するかすら、向うの発言があれば、こちらの希望することは通らないじやないか。これはあなたも苦労して知つているはずです。何も電気通信省と郵政省とわけたくもなかつたが、向うの勧告が来れば従わなければならない。ましてや見返り資金を入れるためには、どうしてもこういう條件を受けなければならぬ。そうして利潤を上げることを考えなければならないという、厖大な勧告が来ているのでありまして、この点見返り資金の運用については、現在の状態においては、日本政府として自主的にやるわけにはいかない。このたび参議院で修正案が出るように、連合国最高司令官の指示あるいは了解なくしては、これを使用することもできないし、またこれを投資するについては、向うから條件が来るということは認めるべきではないですか。
  112. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 お話のように、日本は完全な独立国ではありません。従つて、占領目的に反しない限りは、もちろん自由でございますが、占領目的に反する問題は、向うの指示に従うことが原則であります。しかし今の勧告の問題をうのみにするというような立場ではありませんので、先ほど申し上げました通り、日本の電信、電話の復興のために害があるという問題につきましては、極力先方と交渉して、われわれの主張を訴えて、そうして林君の期待に沿うような運営をしたいと考えております。
  113. 林百郎

    ○林(百)委員 一応期待に沿うように努力してもらいたいと思うのですが、その次に、これは民間でありますが、たとえば見返り資金の日発の借入特約條項といつたようなものがあります。これは非常に嚴重な條項がありまして、たとえば日発が借入金使途以外、または長期にわたつてこの資金を使用しないような場合には、大蔵大臣はただちに一部または全部の償還を請求することができるとか、あるいは日発が書面に記載した條項、またはこの條項に基く大蔵大臣の指示に違反した場合には、ただちに全資産見返り資金の投資の償還を要求することができるとか、いわゆる民間企業に対する見返り資金の投資についても嚴重な條件が、関係方面の意向をくんでなされておる。その点は認められますか。たとえば日発の借入金の特約條項を読んで見ますと、五つの條件があつて、一つは、日発が借入金の使途以外、または長期にわたつてこの資金を使用しないような場合には、全部または一部の資金をただちに償還しなければならない。二として、日発が書面に記載した條項、またはこの條項に基く大蔵大臣の指示に違反した場合には、これもただちに全部または一部を償還する。第三は、資産または事業の重大な変更の結果、第二條の條項履行が困難になつた場合も、すぐ取上げる。日発が大蔵大臣に対して虚偽の事実または必要な事項の報告を怠つただけでも、日発の債務の一部または全部を償還しなければならない。五として、資本増加または收益の増加、社債の発行によつて借入金の返済の余裕が生じた場合には、ただちに返済しなければならない。またその使途についても、やはり関係方面の指示を待たなければ使えない。非常な嚴重な條項のもとに、日発その他の民間企業へも貸付をなされるどいうことはお認めになるかどうか。
  114. 伊原隆

    伊原政府委員 こまかい点でありますから、私から御説明申し上げます。  これは対日援助見返り資金貸付でございまするので、貸付目的に違つた貸付をすれば、それは困るということで、貸付目的に最も有効に使われるようにという條件がついておることは、確かでございます。
  115. 林百郎

    ○林(百)委員 そこでこの貸付條件でありますが、これは日本政府がきめるのか、あるいは関係方面の指示に基いて日本政府が大蔵大臣の権限として、こういう権限を日本政府が行うのか。その点はどうですか。
  116. 伊原隆

    伊原政府委員 日本政府が、関係当局と密接に連絡をいたしてきめるのであります。
  117. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで私は今度は日本国有鉄道関係でお聞きしたいのですが、これは日本の見返り資金の運用につきましても、今申しました通りに、電気通信省の方には厖大な勧告が来ておる。見返り資金の運用については、また日発にも今申しましたような嚴重な條件が付せられており、またヨーロツパ諸国の見返り資金の運用につきましても、嚴重なやはり政治的な條件、あるいは経済的な担保の提供というような條件が付せられておるのでありますが、このたびの日本国有鉄道への投資については、少くとも運輸大臣説明するところによれば、国有鉄道への投資については、何らの條件もないということですが、これは事実かどうかお聞きしたい。
  118. 石井昭正

    ○石井(昭)政府委員 お答えいたします。ただいまのところ別に條件というものはついておりません。
  119. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると見返り資金の投資、これは資本として投資するので、当然資本に対する利潤の保障の責任はあるのでありますが、一方の電気通信省の方には、こんな厖大な勧告が来ておるにもかかわらず、日本国有鉄道の方には何の勧告も、何の條件もない。勧告一つすらないというように解釈していいのですか。
  120. 石井昭正

    ○石井(昭)政府委員 日本国有鉄道の工事の財源、工事費の施行につきましては、これは実施にあたりまして、関係方面と密接に連絡して協議をして、その意見を仰ぐことはございまするが、そういうむずかしいようなものは何も参つておりません。
  121. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると日本国有鉄道に対する資本の投資については、利潤の保障だとか、あるいは償還の問題だとか、あるいは将来の日本国有鉄道の運用の問題とかいうことについては、運輸省あるいは日本国有鉄道に対しても、何らの向うの指示がないということに解釈していいのですか。
  122. 石井昭正

    ○石井(昭)政府委員 国有鉄道の運営一般、あるいは鉄道の管理行政一般等につきまして、総司令部といたしまして、この問題と限定したことでなく、占領行政を実施される一般的な立場において、いろいろの勧告なり、あるいは指示なり、あるいはそういうときに相談というようなことはございますが、この四十億のことにつきまして、それを條件にどうのこうのということは、ただいまのところ何もございません。
  123. 林百郎

    ○林(百)委員 そうなると、何も見返り資金として日本国有鉄道などに入れなくて、政府からの借入金あるいは繰入金、こういう形で入れていいと思うのですが、なぜ対日援助見返り資金という形で、しかも出資という形でなされるのですか。そういうように少くとも関係方面の何の意向もなく、それから向うと縁がないという金だつたらば、これは自由に使えるように、政府からの借入金にしたらなおいいと思いますが、どうしてそうできないのですか。
  124. 石井昭正

    ○石井(昭)政府委員 お答えいたします。私どもはただいま林委員のおつしやつたような意味で、資金国有鉄道は受入れている、こういう考えでおります。
  125. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、対日援助見返り資金の投資ではなくして、日本政府一般会計から借入れたと同じものとして使うわけですか。
  126. 伊原隆

    伊原政府委員 見返資金特別会計の側として申し上げますが、見返資金特別会計は来年度千五百億ございますので、それの使い方の一部として、国有鉄道に対して交付をいたした、やつてしまつたということであります。
  127. 林百郎

    ○林(百)委員 だから交付したのでありますが、これは投資ですから、ただもらつたのじやない。資本として投資せられたのですから、利潤の保障とか、償還だとか、そういうものを全然考えない資本なんというものはないのです。今申しました通りに、電気通信省には嚴重な勧告が来ている。また日発にも嚴重な勧告が来ている。こういうことがなくて、何でもいいからただでやるのだということは、考えようによると、向うの御都合次第で、いつでもかつてに取上げられるかもしれない。むしろはつきり利潤は幾ら保障しろ、償還年限は幾らにしろ、この資本に対してはこうしろということがある方が安全で、何だかただでもらつたと同じだということになれば、場合によつてはいつ取上げられるかしれない。これは資産評価でもして、この資本の裏づけになる資産が七、八千億にもなるということになると、その八十九分の四十を向う様の考え次第でどうにもなるということになれば、かえつて危險だ。なぜ国鉄だけはそういう條件がついていないか。考えようによると、向うの都合によつてはいつでも償還を要求することができたり、あるいは資本の償却を要求することができるようなために、何らの條件もついていないように考えていいのですか。
  128. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長代理 ちよつと林君。小澤国務大臣は忙しいそうですから、もういいでしよう。
  129. 林百郎

    ○林(百)委員 この答弁だけでいいです。
  130. 伊原隆

    伊原政府委員 ごく簡單に御説明申し上げます。先ほどからるる御説明申し上げてございますように、これは見返り資金からの出資ではございません。見返り資金に関する限りは、使いきりでございます。ただ受けた方の国有鉄道が、いかなる会計法上の経理をするかというと、政府からもらつた出資であるとして経理をするということから、見返り資金で株を持つて、あとで配当をくれとか何とかいうような関係は何もございません。
  131. 林百郎

    ○林(百)委員 結論をつけますが、今言つたように、先ほどの小津電気通信大臣のお答えにもあるように、将来アメリカからの援助を返還する場合には、見返り資金に影響して来る。場合によつては、見返り資金をそのまま引上げなければならぬという場合もある。そういう場合、今ここで鉄道に入れた資本四十億円がどうなるか。何らの條件もなく、何らの将来の見通しもなくして入れるということは、返還する場合を考えると、全然無條件で返還されるという大きな危險があると思う。あなたは特別会計から入れたのだから、日本政府の金だと言いますが、アメリカからの援助を返還する場合には、アメリカからの援助の一変形である見返り資金に必ず影響しで来る。これが必ず一つの担保になるので、それが何の條件もなく安心して使えるはずはない。むしろこの点は国鉄当局としても、政府当局としても、條件がないだけに十分検討し、注意しなければならない。だからこそ運輸委員会でもこれを検討し、政府当局もでき得るならば借入金とした方がいいと言うくらいだから、この点は将来とも十分検討してもらいたい。條件がついていないだけに、十分な関心と注意を拂いたいと思います。私はこの意見を述べて質問を終ります。
  132. 小山長規

    ○小山委員 ただいまの林百郎君の質問と関逹して来るのでありますが、私が先ほど来お話いたしたいと思つていたことは、実はそれに関連するのであります。先ほど来電気通信大臣の答弁、あるいは政府委員の答弁を聞いていると、この点がはつきりしないのであります。それは将来アメリカからの援助資金を返さなければならぬときには、必ずその見返り資金を使つた先の資産なり、そういうものを処分して返さなければならぬ。こういうことが皆さんの前提になつておるように思う。小澤大臣も何かそのような前提のもとに言つておられるような気がする。つまり皆さんのおつしやつていることは、それが交付であろうが、使用であろうが、何か暗默のうちにそれに抵当権が設定されるであろう。暗默のうちに抵当権が設定されて、そしてアメリカの援助資金が日本政府の債務であつて、いよいよそれを返さなければならぬときには、たとえば鉄道見返り資金の金が行つているなら、それは鉄道から引上げる。電通省に行つているなら、電通省から引上げるであろう。あるいは日発に貸しているならば、日発から引上げて返さなければならぬ。日発は私企業でありますから、ちよつと違いますが、政府機関の場合には、そういうふうにして出した先々から、必ずそれを返すという前提のもとに、各委員質問されておるようであるし、大臣もそのような前提のもとで答弁されているような気がする。ところがまた一方から考えると、これは日本政府の債務なんだから、日本政府が税金でとろうが、何かの形でとろうが、いよいよ返さなければならぬときには、日本政府が税金でとるなり、あるいは品物を売るなりして返せばいいのである。つまりここに議論の焦点がわかれて来るので、ここのところをはつきりしていただきたいと思います。
  133. 小澤佐重喜

    小澤国務大臣 これは私が林君にお答えしたように、返すものであるか、もらうものであるかということは、今決定しておらぬけれども、かりに返すということになりましても、一応見返り資金勘定というものは、日本政府勘定でありますから、これは一般会計から来たときと何ら異なつたものではない。従つてこれを処理する場合には、小山君の御質問のように全般として考慮して、財政状態によつてとり得るか、あるいは税金からとるか、あるいはまたあらためて内地で公債を発行するか、あるいは一ぺんには返せぬから十年賦で返すというようなことがあろう。しかしそれは原則であろうけれども、使う方の電気通信関係からいえば、そういう場合においてかりにそれだけで財源に困つたような場合には、返し得るような措置を講ずるという意味であつて、私の方は林君の質問よりは用心のよいことを考えております。
  134. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私は小澤大臣がおられますから、一、二点だけ簡單に申し上げます。電気通信事業国有鉄道並びに林野事業でありますが、これを同じように繰入れというふうに字を直してしまつた方がよいと思いますが、何か政府の方で間違いがありますか。  次に資産評価ということがたびたび問題になつておりますが、政府は近いうちに資産評価をした方がよいと思います。この二点だけを伺いたい。
  135. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 私からお答え申し上げます。最初のお尋ねは、繰入れという言葉を鉄道の場合にも使つたらどうか。繰入れということは会計間の技術用語でありますので、国有鉄道は国の会計ではありません。これに対して繰入れという言葉を使いますことは、従来の用語から申しますれば、これはほんとうでないということであります。  それから第二点は、運輸省の方からお答え願つた方がよいかと思いますが、再評価については、私の知つておりますところでも、運輸省の方でも準備中であります。
  136. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 準備中と仰せになられますが、資産評価というものは、伊原政府委員もおいでですが、最近の法律で衆議院を通すことになつたのでありますが、政府もこれに適応するように、本年もしくは二十五年度内において資産評価した方が、林君の心配されるようなことはなくなりはしないかと思いますが、御用意あるかどうか。もう一ぺん石井政府委員の御答弁を願いたい。
  137. 石井昭正

    ○石井(昭)政府委員 国有鉄道資産を再評価いたしますことについては、事務的にいろいろ準備は進めておりますが、ただ民間企業と異なりまして、再評価をするということが、いかなる意味があるか。結局国鉄の場合においては、将来経営の基礎を健全ならしめて、たとえば減価償却などの計算をする上に適当な額を計上して参る。こういうような意味合いにおいてまことにけつこうであろうと思いますが、ただ現在の民間企業の再評価の必要性とは、いささかその必要性が違うのじやないか。かように考えておりますので、適当な時期にこういうことをいたせばいたしたい、こういうつもりで準備中であります。
  138. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私の想像いたしますところでは、民間企業と官庁会計とをマツチさせ、なるべく合理的にさせたいということを、国会議員の一人として要望いたすわけであります。今までの官庁会計はつきりしてなかつたという点が往々あるのでありまして、これをはつきりせしめるためには、公企業も私企業も同じような線に引き延ばすということが、将来は必要だろうと思います。幸いに資産評価法案も今度の国会で通るわけでありますから、ぜひそれと線を合せる意味において、近き将来において政府がそういう用意と努力をせられるならば必ずできる。かように私は考えるのであります。ことに特別会計でありますから、独立採算制ということも将来考えなければなりませんが、近い将来ぜひやつていただきたいということを強く要望いたします。
  139. 林百郎

    ○林(百)委員 鉄道関係でお聞きしたいのですが、先ほど小澤電通大臣に対して、将来見返り資金からの交付金を返済することを、電気通信省としては考えておるかということを言つたのです。国有鉄道としてはそういう事態考えて何らかの処置をしておるのですか。
  140. 石井昭正

    ○石井(昭)政府委員 お尋ねは今回の四十億についてだと思いますが、そのほかは借入金でございますから、当然返還をしなければならぬと考えております。今回の四十億は、先ほど大蔵省から御説明がありましたように、もらい切りでございますから、返すことは考えておりません。
  141. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると先ほど電通大臣も言つたように、もし日本の国がアメリカからの援助資金を全部返すということになると、一兆三千億くらいになる。これを返せといつた場合に、先ほど民自党の議員の質問があつたように、税金や国債ぐらいでは間に合わない。これは外国の例を見ても、みんな援助資金の投資先のものは、暗默に政治的に全部担保になつている。ただ四十億ものものを全部ただくれて全然何も考えませんというような、そんな甘いことはないと思う。それについて国鉄当局は全然考えていないということでは、将来大きな問題になると思う。ここで答弁をごまかすために、そういうのならば別ですが……。  もう一つ聞きたいのは、この四十億を国鉄の思う通り使えますか。これは完全に自主的に使えますか。これは私は大屋運輸大臣の答弁をとつておりますから、もしあなたがそういうつもりならば、大屋運輸大臣に私は言うつもりです。
  142. 石井昭正

    ○石井(昭)政府委員 その四十億の使途についてでありますが、四十億のみならず、国鉄の工事費全般の使途については、関係方面と十分協議して、その指示なり勧告なりを十分考慮いたしましてきめたいと思います。特にこの四十億については、イヤマークしてどこに使わなければならぬというようなことについて、一から十まで束縛されておるというような関係ではないと思つております。
  143. 林百郎

    ○林(百)委員 そのほかの工事資金の使い方ですら、向うがいろいろさしずをして来る。ましてや対日援助見返り資金の四十億は、向うからいろいろ言つて来るのは当然です。大屋運輸大臣は信濃川の電力開発に使うと言うが、これは関係方面からこれに使えと言われたから使うのです。あなたの言うように、四十億はまるまるもらつたもので、国鉄資産になるなら、関係方面のさしずは来ないわけです。要するにこの使い方についてまで向うの命令が来るということは、対日援助見返り資金に、正式にひもがついておるということです。これについて将来返還することも何もないということは、これは日本国有鉄道を預かる官僚としては、怠慢もはなはだしいと思う。この点についてはあらためて運輸委員会でお聞きいたしますから、十分勉強しておいてください。
  144. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後五時十四分散会