運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-03-31 第7回国会 衆議院 大蔵委員会地方行政委員会建設委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月三十一日(金曜日)     午後二時四十分開議  出席委員  大蔵委員会    委員長 川野 芳滿君    理事 岡野 清豪君 理事 北澤 直吉君    理事 小山 長規君 理事 島村 一郎君    理事 前尾繁三郎君 理事 河田 賢治君    理事 内藤 友明君       奧村又十郎君    甲木  保君       佐久間 徹君    田中 啓一君       苫米地英俊君    西村 直己君       三宅 則義君    前田榮之助君       宮腰 喜助君    竹村奈良一君       田島 ひで君  地方行政委員会    理事 大泉 寛三君 理事 川西  清君    理事 野村專太郎君 理事 久保田鶴松君    理事 藤田 義光君 理事 立花 敏男君       河原伊三郎君    清水 逸平君       龍野喜一郎君    門司  亮君       鈴木 幹雄君    床次 徳二君       谷口善太郎君  建設委員会    委員長 淺利 三朗君    理事 内海 安吉君 理事 江崎 真澄君    理事 田中 角榮君 理事 内藤  隆君    理事 砂間 一良君       井手 光治君    池見 茂隆君       越智  茂君    瀬戸山三男君       西村 英一君    宮原幸三郎君       八百板 正君    増田 連也君       深澤 義守君  出席国務大臣         国 務 大 臣 本多 市郎君  出席政府委員         地方自治庁次長 荻田  保君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         大蔵事務官         (管財局長)  吉田 晴二君  委員外出席者         大蔵委員会專門         員       椎木 文也君         大蔵委員会專門         員       黒田 久太君         地方行政委員会         專門員     有松  昇君         地方行政委員会         專門員     長橋 茂男君         建設委員会專門         員       西畑 正倫君     ————————————— 本日の会議に付した事件  旧軍港市転換法案佐々木鹿藏君外二十二名提  出、参法第二号)(予)  昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負  担の特例に関する法律案内閣提出第一二五  号)     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  質疑に入る前にちよつと御報告いたしておきます。午後は地方行政委員会よりの申込みにより、大蔵委員会建設委員会地方行政委員会の三委員会連合して審査を進めたいと存じます。この点御了承願つておきます。  それではまず昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担特例に関する法律案を議題として、質疑を続行いたします。八百板正君。
  3. 八百板正

    八百板委員 申すまでもなく、法律はこれを実際施行する上に、まぎらわしいものであつてはならないと思います。従いまして、この際この法律の性格を明瞭にしておくことが最も必要だろうと思うのであります。昨日来の質疑に現われました御答弁を見まするに、きわめて不明瞭な点が多いのでありますが、まず第一に、考え方として大きく明瞭にしていただきたいと考えますことは、この法律は端的に言つて災害をもう一度起るよう復旧するという意味法律案であるか、それとも災害を重ねて起さないよう復旧するという意味法律案であるか、この点をはつきりお答え願いたいと思います。
  4. 本多市郎

    本多国務大臣 これは災害箇所復旧するという意味法律でありまして、災害を再び招くための工事をさせるという意味法律でないことはもちろんでございます。しかし破壊ざれる前の状態が災害を誘致する程度施設であつたという場合、それを原形通り復旧するとすれば、さらにまた災害を招くようなものじやないかという御趣旨からの御質問であつたといたしますと、これは災害復旧国庫負担といたしましては、原形に復する程度負担をするのにとどめたい。但し従来もやつておりました通り復旧工事改良される部分国家的利益、あるいはその原形に復するということは不適当だというような、災害をさらに防止するという上から改良を加えて施行しなければならぬという面に対する考慮は、予算範囲内において従来通り行つて行きたいと考えておるのであります。ただ国庫全額負担範囲を、一応ただいま提案せられております程度にきめておきませんと、この災害復旧というものに便乗しての工事費が多くなりまして、国庫負担範囲が非常に重くなつて来はしないかという点を考慮いたしまして、ただいま申し上げたよう提案をいたしておるような次第でございます。
  5. 八百板正

    八百板委員 災害の起らないよう復旧する、こういう意味伺つたのでありますが、しかし国庫負担限度においては、復旧する部分についてのみこれを負担して、必要なる増加分についてはこれを負担しない、こういうふうなお話ように受取れたのでありますが、それは災害復旧に便乗して、国費を濫費するおそれがあるから、そういう限度にとどめたのであるというお答えでありますが、私の判断によりますと、むしろそういう言葉は、工事に便乗して災害復旧をいいかげんにするという結果になるのじやないかと心配するのでありますが、この点についてどういうお考えを持つておられるか、簡明直截にお答えを願いたいと思います。
  6. 本多市郎

    本多国務大臣 趣旨はさいぜん御答弁申し上げた通りでありますが、地方団体災害復旧工事をやります場合に、再び災害が起ることが明らかであるというよう欠陥のある工事を、経費だけの関係からやるというふうに考えますと、さようになるかしれませんが、しかし災害はその工事費自体だけの損害ではないのでありまして、自治体といたしましても、自治体内の生命、財産ということを考慮いたしました場合、再び災害が起らないようにという点につきまして、地方団体におかれましても、その財政等の許す限り、完全な工事施行されるものと考えております。そうした場合、さいぜん申し上げました通り予算範囲内においての考慮は、政府においてもいたして行きたいと考えるのでありますが、それを今度は原形復旧以上に改良工事をいかに大規模に行つても、これが全額国庫負担になるのだという建前になりますと、あまりに拡大されるおそれがあると考えておる次第であります。
  7. 八百板正

    八百板委員 結局において、全額国庫負担ではなくて、地方財政負担する面が結果において多くなるだろうと予想せられるのでありますが、地方行政との関連につきましては、本日は地方行政委員の方も見えておられますので、それらの人々から御質問があるだろうと存じますので、その点を省略いたします。  次にこの法律の第三條に定められましたところの、次の災害復旧事業について適用しないという、この適用除外項目につきましてお尋ねいたしたいと存じます。この項目の第四には、「明らかに設計不備又は事の施行の粗漏に基因して生じたるものと認められる災害に係るもの」はこの適用を除外する。第五の「甚しく維持管理義務を怠つたことに基因して生じたものと認められる災害に係るもの」もまた適用を除外するということが記載せられておるのであります。考えまするに、「明らかに設計不備又は工事施行の粗漏に基因して生じたもの」というのは、その責任は、この工事施行したところの、あるいは請負業者等担任者責任に帰すべきものではなかろうかと思うのであります。これらの責任を追究するということはもちろん必要でありますが、それはあくまでもその工事施行した者の責任を追究するという性質のものであつて、直接に関係のない国民にまで被害を及ぼすということは、まことに法律精神としては当を得ないものであると私は考えるのであります。さらに五の「甚しく維持管理義務を怠つたことに基因して生じたものと認められる災害に係るもの」をも除くということになるならば、この維持管理義務を怠つた責任追究は当然必要でありましようけれども、これはそれぞれの維持管理義務者責任に帰すべきものであつて、これをとらえて、災害そのもの復旧国庫責任においてやることを除外するということは、法の精神としてまことに当を得ないものであると私は考えるのでありますが、この点について立案者はいかなる見解のもとにこういう條項をつけ加えられたか、この際お尋ねいたしたいと思います。
  8. 本多市郎

    本多国務大臣 これは地方団体施設でありまして、地方団体施設地方団体責任において施行するものでございます。この場合において、さいぜんお話のありました通り維持管理を怠つたり、あるいは怠慢であつたり、工事欠陥のあるのをそのままにしておつたりして、せつかく公共団体施設が再び災害を引き起すことのないように、地方団体がそうした工事をやりあるいは維持管理する場合に、十分注意をしてもらうために、こうした制限が必要であると考えておるのでございます。工事は請負人の責任ではないかというお話でございますが、これはそれを施行せしめる公共団体責任であると考えております。
  9. 八百板正

    八百板委員 もちろん維持管理を怠つた過怠の責めは追究せらるべきであるのでありますけれども、そのことによつて復旧しなければならない大きな災害をそのままに放置してよろしいというりくつは出て来ないだろうと思うのであります。従つて維持管理過怠責任はあくまで追究せらるべきでありましようけれども、これを追究する手段と方法はおのずから別途に講ぜらるべきであつて災害復旧費をやらないぞということによつておどかし、これを牽制することは法律精神、立て方としては決して正しい立て方ではなかろうと思うのであります。法律国民のためのものであつて工事担当者や、直接の維持管理役場当局等に対するものであつてはならないだろうと思うのでありますが、こういう点について、それならば別にこれを救済する何らかの方法考えておられるか、こういうような点も重大だと思いますので、お答えいただきたいと思います。
  10. 本多市郎

    本多国務大臣 実施の面になりますと、ただいまお話のありました通り維持管理の怠慢がどの程度であつたか、あるいは工事監督がどの程度に不行届きであつたかというようなことも勘案されて実施されることになると存じております。建前といたしましては、そういうふうな制限を設けておきますことが、災害予防という見地から自治体が一層の注意をしてくれるという意味において、適当であると考えております。
  11. 八百板正

    八百板委員 自治体に対する注意を喚起するという意味合いにおいては、おのずから別の條例なり法規によつてこれを押えて行くべきものだろうと思うのでありまして、そういう意味合いにおいてこの第四号、五号は当然削除せらるべきだと私は考えるのであります。そういう点につきまして、なおお考えをいただきまして削除せられる意思があるかどうか、この際お尋ねいたしたいと思うのであります。
  12. 本多市郎

    本多国務大臣 ただいま御審議を願つておりますその規定による方が、最も適当な方法であると考えております。
  13. 川野芳滿

  14. 床次徳二

    床次委員 ただいま御提案になつておりますこの法律案提案理由を拜見しておりますると、地方財政健全化に非常に努められた趣旨によつてこの法案が書かれておるのでありまするが、この説明文を伺い、しかもその内容を見て参りますると、平素自治庁の長官が言われておる地方行政に対する御意見とこの法案内容とは非常に差があるということを私も考えるのであります。この法案自体を見ましても、羊頭を掲げて狗肉を売るものであるというよう考えるのであります。いわんや地方自治庁立場からいたしますると、さらにその矛盾がはなはだしいのではないかという感じがいたすのであります。きようは最初の連合審査会で、前からの説明を承つておりませんから、よけいそういう印象を受けるかもしれませんが、その点は御容赦願いたいと思います。私の伺つてみたいことは五点ばかりあるのであります。  第一に、この参考資料にも、わざわざシヤウプ勧告の一節を引用しております。地方負担を軽減するのを目的考えておられ、なお地方財政健全化を目標にしておられるのでありますが、今回のこの法案災害は一応全額負担よう印象を受けるのでありますが、二十三年度の二分の一、二十四年度の三分の一、本年度災害に対しましては百億円という程度の額にとどまつておる。はたしてこのわく程度全額負担地方公共団体に対して公正を期し得るか。なるほど適用を受けました地方公共団体は一応負担の軽減になると思いますが、負担を受けた町村とそうでない町村との間に非常に不公平ができると思います。私はこれをそのままやつておいてよいかどうかについてお伺いいたしたい。なお各年度におきまして、先ほど申し上げましたように、過年度の二分の一、あるいは前年度の三分の一と差がついておりますが、こういう差をつけたことについて合理的な理由があるかどうか。全額負担をやるならば公平に一律にやるべきではないかということを第一に考えるのであります。  次にお尋ねいたしたいのは、シヤウプ勧告をわざわざ引用してありますが、シヤウプ勧告におきましても、災害はそのときどきに不意にできることでありまして、人為的に何ともいたし方がないことでありますから、将来の災害補助につきましては、工事費制限を付するよりも、むしろ災害所要額とその地方団体歳出総額との割合を見合つて、わずかな災害費でありますればその地方負担する。しかしながら、災害費歳出が相当多くなる場合には国庫補助を求めたらどうかということを勧告しておられるのでありまして、それは私はもつともな考え方だと思うのであります。しかしこの法律案の中には、従来ありましたことく、工事一箇所十五万円というわくが依然としてあるのであります。この点はたして適当かどうか疑問を持つておりますので、御意見を伺いたいと思います。  なおただいまの問題と関連して伺いたい。この法律によつて一応災害補助を受けまするが、受けなかつた町村に対しましてははなはだ不公平な場合が出て参ります。その不公平な町村に対しまして、すなわち一般的な災害を受けたが金をもらえない、本法によつて均霑できないものに対しては何で補うかという点であります。平衡交付金法案はまだ出ておりませんが、平衡交付金を支出する場合に、災害に対して重点を置いて、足りない金額を補充するというような仕組みがありますならばこれまた一つ理由になろうと思いますが、今日まで拜見いたしましたものの中には、それほど強く災害考えていない。私は災害ということも交付金配分の大きな基準として当然考えるべきだと考えておりますが、この点御提案になつておりませんから明瞭でありません。あるいはそういう方面において御考慮になるお考えがあるかどうかお尋ねしたいと思います。  第三点としてお伺いいたしたい。本法の第二條では、先ほども御質問がありましたが、原形復旧の件につきまして補助をいたすことになつております。一応建前としてはごもつともでありまするが、実際地方においてやりまするのは、原形復旧も必要でありますが、しかしその場所その場所に適合した復旧工事をなします場合におきましては、原形復旧以上になお予防的な措置もとらざるを得ないというのが実情だと思うのであります。過般この委員会での御説明によりますると、かかる場合におきましては、これに対して補助ができない。しかも一方公共事業としての補助も出し得ないし、あるいは地方団体がそれに対して経費を要する場合に、それに起債権を與える、特別な援助をするという道も講ぜられておらないように、これは間接でありますが承つておりまして、この点ははなはだ実情に沿わないものと思うのであります。先ほど委員の御質問もありましたが、これに対して重ねて地方自治庁としての立場から、地方自治団体の実際の歳出立場から見まして、このままに放つておけないと思いますので、これに対する何らかのお手配があつてしかるべきものと思います。右に対して御答弁を願いたいと思います。  第四点としてお尋ねいたしたいのは、本法による特例金額補助というものは、各地方において非常にたくさんの希望の中から、予算範囲内において割当てられるという結果になるのでありますが、その工事選定方針いかようにされるかという点について伺つてみたいのであります。この参考案の中に、二十四年度査定方針というものがありますが、この中には地方自治庁立場からの査定方針が出ておらない。元来この全額負担地方財政健全化をはかるという立場から御考慮になつておられますので、こういうふうに少しずつ各地方団体災害を拾い上げて、特別に補助をして行くという場合には、やはり地方財政立場から見ても一つ選定方針というものがあつてしかるべきではないかと思うのであります。これはどういうことをお考えになつておられるか。地方財政立場から見て、貧弱町村に対してむしろ優先的に見るべきものではないかと思うのであります。先ほど御議論がありましたが、第二條原状回復以上の工事を、やはり全部本法によつて見たらどうかという意見も一部にあるようであります。もしもそういうふうにいたしますと、さらに工事個所数が少くなつて参るのであります。本法適用を受ける町村自治団体の数が少くなつて参りますが、その場合には各府県のいかなる町村に対して工事をするかということを考慮いたさなければならない。第一点に申し上げましたように、各地方団体の間に非常に不公平ができ上るということでありまして、これは平素自治庁の主張しておられる、財政合理化といろ点とはおよそ遠ざかつて行くものであるというふうに考えるのであります。  それから第五点としてお尋ねいたしたいのは、これが二十五年度特例になつております。しかしながら、この方針は二十五年度だけの特例で済むべきものではないのじやないか。元来御説明にもございますように、地方財政の強化を目的としておるのでありまして、本年度だけやれば、あとは大丈夫だというものではないのであります。必ずこれはむしろ一般的の原則としなければ、地方団体の間においてはなはだ不都合、不公平が生ずるということは申すまでもないと思うのでありますが、特に私指摘いたしたいのは、これはこの御説明の一番あとの方にあるように、昭和二十六年度以降については本制度実施状況地方財政状況等をにらみ合せて、合理的かつ恒久的な制度を実現したいという考えに基くものでありまして、こういうふうにして二十五年度だけは特例考えておられる。しかし地方財政実情から見ると、二十五年度だけの特例でもつて全額負担が済むものとは私は考えられない。本多国務相地方財政をよく御存じでありますが、この全額負担については地方財政負担にしたのではいけない、災害の分に対しては国家が当然負担すべきものだという思想から出て参つておるのであります。この思想から見て参りますならば、来年度以降において、たとい地方税制が確立され、相当財源を持ちましても、これに負担させることはよくないことだと私は思うのであります。しかしどうもこの政府案の御説明によりますと、来年度よりは財源が相当できるのだ、場合によつたら地方に持たせてもよいから、二十五年度だけの負担にしておいてもよいと言われるのであります。これは私は、自治庁が調和されたところの制度として成立いたしましたものならば、もう少し形がかわつてもよいのじやないか、これはむしろ私はでき得ればこの際一般的な原則としてはつきり方針をお立てになる。災害全額国庫負担という考え方を徹底させることが、ほんとうにこの目的に合致するのだと思う。元来この法案提案なさいましたところの御趣旨もそこにある。御趣旨を読みますればまさにそうあるべきです。ところが実際面においてこれがところどころ大きな穴ができておるということは、私は遺憾な感じを受けるのでありますが、この点に対しまして、特に国務大臣の御意見を承りたいと思うのであります。
  15. 本多市郎

    本多国務大臣 いろいろと御批評もございますけれども、四百七十億円の予算を計上いたしまして、この法案に示されておりまする程度全額負担をなすことによりまして、地方公共団体災害復旧費に対する負担は相当緩和されると信じております。また、その地方団体間において、全額負担にあずかるものとあずからないものとの間に非常な不公平が生ずるというお話でありますが、十五万円以上の災害が起きた所に対しては、その復旧費用限度として国家全額負担するのでありますから、別に災害がなかつた所とあつた所、この全額国家負担にあずかつた所、あずからない所の間に財政上の不均衡は生じないと考えております。但しその御趣旨が、十五万円以下の災害が非常に広汎にわたればどれもこの規定にはまらないので、総計では大きな災害であるけれども、この十五万円以下の個所が分散しておるために、そこに全額国庫負担のこの特典に浴することができないというような場合には、そこに不均衡が生じて来るということが考えられるのでございますが、そうした特別の場合には、特別交付金等によりましてそれを緩和して行きたいと考えております。さらに各自治体間における財政力の調整については、平衡交付金でこれは処理することになつておりますので、そうした点から考えまして、災害国庫負担全額負担方法によつてお話ような不公平は考えられないと思います。これを二十五年度特例といたしました理由提案説明にも申し上げておりまする通りに、ただいま床次さんのお話のさらにこの制度について研究を要する点がありはしないかという点も考慮しておるのであります。たとえばシヤウプ博士勧告のごとく、災害復旧費とその自治体の総予算との何パーセントまでは補助するとかせないとかいうふうに押えて行くことが、よいのであるかどうかということにつきましても、研究いたしたいと存じます。しかしただいまのところでは、この十五万円というものを押えて行く方が事柄が非常に明確でありますし、処理にも便でありますし、これでそう支障はないと考えて、一応二十五年度はこういうふうにいたしておりますけれども、これを実行いたしました結果によつて、さらに二十五年度以後の恒久的な制度を確立いたしたいと存じでおります。災害復旧全額国庫負担を一貫するといたしますと、かくのごとき制限を設ける必要はないようにも考えられますが、これはやはり国家財政実情を勘案いたしまして、本年はこの程度制限を設けることはやむを得ないものであると御了承願いたいと存じます。
  16. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御説明の中に、はつきり了解し得ない点があつたのであります。それは今までの当委員会の御審議間接に伺つたときにもはつきりしなかつたのでありまして、ぜひ明瞭にいたしたいと思つたことは、各地方団体の間が不公平になるのではないかという一つ理由は、先ほどの十五万円の工事金額をきめることによつても不公平はありますが、それよりも大きな問題は、今年は予算の額において制限を受けておると先ほど申し上げましたが、二十二、三年度において予定工事が二分の一、それから二十四年度において総額のうちの三分の一しかこの規定にあずからない。今年度は百億円しかこの全額負担の金がないという点なんです。災害工事そのものは各過年度においてすでに一千三百万から千二百万、本年度も普通の場合でありますれば、五百億に近いところの災害はあるのだろうというふうに予想されます。本年度の例をとつてみますれば、五百億の中の、工事は一部分しか実現できませんから、あるいは百億円で間に合うかもしれないというお考えがあるかもしれませんが、過去の災害あるいは今後起るべき災害の一部分だけが国家負担になる。選に漏れたものにほかの方法で見なければならないということになるのじやないか、その点に私は不合理があるのじやないかと思う。過去の過年度災害でも何でも、今日まだ工事が済んでいないものは全部この原則によつて見てやるのだということがはつきりすればよいのでありますが、まだはつきりしてないように思う。ただいまこの規定によりましても、たとえば第三條第二号にありますが、昭和二十六年度以後に着手してさしつかえないものは、本法適用を除外されておるのであるから、当然来年度以降には全額負担原則ができるのだから、来年度以降に着手してもこれは全額負担を受けられるということがはつきりいたしておりますればよいのであります。今年も延ばされて、来年度になつてしまつたら全額負担ができないかもしれぬという危険があるとすると、はなはだ不公平が生ずるのではないかと私心配しておるのであります。この点がはつきりいたしまするならば、私はこの全額負担原則については異論がないのであります。仰せの通りだと思うのであります。
  17. 本多市郎

    本多国務大臣 これは私の答弁に不行届の点があつたため、さような誤解を生じたものと思いますが、二十五年度はこれを実施いたしまして、二十六年度以後全額国庫負担をやらないとかいう趣旨ではないのでありまして、やはり全額国庫負担という制度は続ける考えでございます。ただ続けるにつきまして、全額国庫負担範囲等につきましては、十五万円というような基準を置くか、それとも他の基準によるかということについて研究をいたしたいと思いまして、一年制度にいたしておる次第でございます。これはそういう趣旨でございまして、続くものであると御了承願いたいと存じます。国家財政の今日のようなきゆうくつさが緩和されて参りますと、さらにこの方面の制度も強化されるものと考えております。
  18. 床次徳二

    床次委員 御趣旨はわかりました。重ねて恐縮なのでありますが、そうしますと結局過年度において漏れましたもの、今年実施するものが、二十三年度までのものは二分の一実施しますと、あと二分の一残ります。これはやはり来年度以後全額負担の均霑を受ける、また二十四年度分が三分の一だけ今年全額負担である、来年度以後にまわりましたものは、いずれも全額負担規定適用を受ける、今年のものも同様だと解釈してよろしゆうございますか。
  19. 本多市郎

    本多国務大臣 本年度の事業量を四百七十億程度にとどめておるのでありまして、これは国家財政関係から定まるのでありますが、二十六年度実施の場合、既往の分も実施のできまする事業量の範囲内において全額国庫負担制度を続けて行くのでございます。一度にできませんために少し遅れて行くというだけでありまして、この制度は続けて行く考えでございます。
  20. 川野芳滿

    川野委員長 門司亮君。
  21. 門司亮

    ○門司委員 八百板君、床次君から大体の方針は聞かれておりますので、重複して聞く必要もないかと思いますが、一応聞いておきたいと思います。  さつきの大臣の答弁によりますと、十五万円に大体限定したということでありまするが、これは現存の市町村財政というものをまつたく考慮に入れないものの考え方だと私は考えておるのであります。なぜであるかと申し上げますと、一個所工事が十五万円以上のものについてというので、それ以下の工事については補助しないということになつて参りますと、ことに貧弱な町村の多い日本の現状においては、たとえば五万円にいたしましても町村負担としてはきわめて過重な負担にならざるを得ないものがたくさんあると考えております。大きな都会、大きな都市でありまするならば、あるいは二十万円でも大した負担にはならないというようなことが考えられる。従つて十五万円というものを画一的にきめられたということは、まつたく現在の市町村財政というものを考慮に入れない官僚的なもののきめ方だとわれわれは考えるのでありますが、この点に対する大臣のお考えを一応承りたいと思います。  その次の問題といたしましては、先ほどから八百板君あるいは床次君から何度も繰返し聞いておりますが、依然としてはつきりしていないのであります。この点は答弁の余地はないと言われればそれまででありますが、われわれが承服できませんのは、原形に復するというひとつの考え方であります。もちろん災害に対しまして工事を行いまする場合に、一応の目安がなければならないということは、われわれにもわかるのであります。しかしながら復旧工事を要する災害を受けた場所というものは、おそらく科学的に考えて参りましても、やはり災害を受けやすい何らかの素地を持つている場所考えなければならない。従つてその場合にそこに前と同じよう工事をするということだけでは、次の災害には備え得ないのであります。従つて災害復旧工事というものは、災害復旧だけでなくして、やはりそれに伴う改良工事がぜひ必要である、この改良工事というものが行われないで、原形復旧するというだけでは、実際の問題といたしましては、災害復旧意味をなさないことになりはしないかと考えられるのであります。その場合の工事費負担関係、割合というものはどういうふうに考えられるか。実際問題として、どこの市町村に参りましても、原形に復するだけでなくして、次の災害に備えるために改良工事を加えるだらうということははつきり言えると思います。実例を申し上げまするならば、アイオン台風で非常に被害を受けました神奈川の酒匂川の工事ようなものは、原形に復しておつたのでは何回やつても同じことであります。従つて思い切つた改良工事がそこに行われなければ、災害復旧意味をなさない結果になると思います。この点について大臣から親切な具体的な御答弁を願いたいと考えております。  その次に伺つておきたいと思いますことは、第三條の規定に書いてあります除外の問題でありますが、これらの除外例に関して除外をいたしますものを認定する機関は一体だれであるかということであります。これにはそれが記載してありません。従つてこの認定は一体だれがするのか。もしこれが一方的に建設省なり、あるいは自治庁のお役人さんだけでやられるということになつて来ると、ここにまた弊害がないとは考えられない。従つて弊害のあるところに公正は期せられないという結果にならざるを得ないと思いますが、この点の認定は一体だれがするのか、それを明確にしておいてもらいたいと思います。  その次は、先ほどからしばしば問題になつておりますこの二十五年度に限つてということが、今の大臣の御答弁では承服できないのであります。この二十五年度だけに限つて地方財政とにらみ合せてこれを処理して行きたいというよう考え方でありますならば、シャゥプ勧告にある、あるいはこの理由の一番最初に書いてあります災害に対しては、国庫が全額補助するということが非常にぼかされて参りまして、一応これで限るというような行き方は、法律建前としてはいかがかとわれわれは考えておりますので、以上の点についての率直な御答弁をお願いしたいと思います。
  22. 本多市郎

    本多国務大臣 まず最初にお尋ねのございました十五万円以下の災害についての問題でございますが、十五万円以下の災害といえども、経済力の乏しい町村には非常な重い負担になると思うが、そうした場合その負担を何とか緩和すべきではないかという御趣旨でございましたが、実はそれぞれ調査をした資料があるのでございますけれども、十五万円以下の災害となりますと非常に少いのでございまして、金高におきましては全災害復旧費の二%に達しないのであります。その程度のものでございますので、ここに国家工事を指定して、全額国庫負担をする場合、特定の基準を設けることは、その範囲を定める上において必要かと存じます。でありますから、十五万円程度以下の小さな災害復旧については、貧弱町村といえどもそれぞれ財政的調整は平衡交付金によつて受けられますから、それによつて処理することを原則といたしたいと考えております。但しさいぜんも御答弁申し上げました通りに、その十五万円以下の災害個所が非常に分散していて、総計として非常な打撃を受けるというような特段の場合は、私どもは交付金等でこれは配慮しなければならぬと考えております。  その次のこの改良工事原形復旧をやる場合に、改良を加えた方が将来の災害予防のために考え国家的見地から適当であるというような問題につきましては、特定の工事、その設計改良程度というようなものをそれぞれ研究をいたしまして、その程度に応じ、さらにまた予算範囲内においてでき得る配慮を今日まで行つて来たのでありまして、今後においてもその方法によつてつて行きたいと考えております。  さらにこの国庫負担から除外する問題につきましては、さいぜんも申し上げた通りでございまして、将来の災害を予防するために工事を完全にし、維持管理を完全にしてもらうということは必要であります。その除外する場合、だれがこれを認定するかということでありましたが、これにつきましては、政府において十分研究をいたしまして、認定をいたします。しかし法律規定に基く行政でございますから、その法律に反していると各地方団体考える場合には、それぞれのこれによつて訴願、訴訟等の道はもちろんとり得るようになつております。
  23. 門司亮

    ○門司委員 第二点については、市町村財政の現状に対する問題について、平衡交付金においてこれをまかなつて行きたいという御答弁でございまするが、これに間違いがないということを、ひとつ十分この際われわれははつきりしておきたいと思うのであります。  それから、原形の問題につきましては、何度聞きましても、各委員からお聞きになりましても、はつきりいたしませんので、私どもこれ以上の質問を申し上げる必要もないかと思いますが、最後にお答えになりました適用除外の認定をだれがするかということにつきまして、政府の機関においてというようなあいまいな御答弁でございまするが、これは一番大きな問題でありまして、おそらくこの認定が遅れることのために、工事が遅れるという危険性を私は多分に持つておると思うのであります。政府の方におきましては、なるたけ支出を少くすることのために、相当やかましい制限が行われると思います。地元におきましては、できるだけ早く工事を行うということと同時に、負担の軽減ということで、相当あせらなければならないということに相なると、実は考えるわけであります。その場合に起りまする問題は、やはりこれを否定いたしまする官庁に地元民はお百度を踏んで、やはり何らかのごきげんとりをするということでなければ、実際問題として、この査定ができないという危険性を持つておるということであります。従つて、これを認定する者はだれであるということを、私ははつきりこの機会に教えておいていただきたい、こう考えます。
  24. 本多市郎

    本多国務大臣 財政力の乏しい市町村に対しまして、平衡交付金がその財政力の乏しさに比例して多く交付されるということは、平衡交付金法の根本精神でございますから、これは間違いないのでございます。但しその実施方法は、標準財政需要額と標準收入額とを、標準税率、標準経費率で算定をいたしまして、その差額を交付するということになつておるのでございまして、十五万円以下の軽微な災害は、その範囲内において自治体の力で処理してもらうという趣旨であります。  さらに、杏定につきましては、おのおのその公共施設に対する所管省がございます。そういう所管省におきまして査定をいたすのでございますが、昨年の災害に際しましても、この災害の直後に査定員を派遣いたしまして、急速にやつたような事情でございます。ただそれが予算的措置が遅れたために、実際の工事が遅れたものもございますけれども、そうしたことは一層急速に行いたいと考えております。但し、その査定を関係各省でやりました、その最後の決定は、もちろん政府がやるのでございます。
  25. 川野芳滿

    川野委員長 立花敏男君。
  26. 立花敏男

    ○立花委員 本多さんにまず根本的な立案の趣旨をお聞きしたいのでございますが、この法案は、地方財政負担を軽減するためにお出しになつたのか、あるいは災害復旧を完全におやりになるためにお出しになつたのか、お聞きしたい。
  27. 本多市郎

    本多国務大臣 地方財政負担を軽減するために、その災害復旧費の、法律の定むる範囲内における全額負担を定めたものであります。
  28. 立花敏男

    ○立花委員 そういたしますと、大体地方負担を軽減するということが目的でございまして、災害復旧を完全にやるということが目的でないというふうに了承いたしてよろしゆうございますか。
  29. 本多市郎

    本多国務大臣 これは同じことだろうと思います。その全額を国庫負担してやるということは、地方負担を軽減することになるのでありまして、これは、地方財政がこの頻発する災害費負担のために非常に苦しんでいる状況でありますから、その負担を緩和するために、全額負担制度を設ける趣旨でございます。
  30. 立花敏男

    ○立花委員 そういたしますと、今までにすでに災害の累積されたものがいかほどあり、あるいは二十四年度に幾らの災害が起り、あるいは二十五年度に起るべき災害を幾らとお見積りになつておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  31. 本多市郎

    本多国務大臣 これは資料を見れば明らかなことでございますが、手元に資料がございません。ただ二十五年度につきましては、予備費百億を計上いたしております。
  32. 立花敏男

    ○立花委員 予備費百億で幾ばくの災害復旧ができるとお考えになつておられるのか。そういうことを全然お考えにならずに、ただ百億だけを予備費としておとりになつたのかどうか。
  33. 本多市郎

    本多国務大臣 これは百億をもつて実施し得る程度の事業は行えると存じます。こういうお話を申し上げることは、まことに失礼でございますけれども、これもやはり昨年度災害状況から考えますと、百億程度では足らないかと考えますけれども、まず国家財政の事情からも考えまして、予備費として一応これだけを計上しておく。昨年までこうした予備費がなかつたことを考えますと、これがまた応急的なその方面にも非常に役立つことと考えております。
  34. 立花敏男

    ○立花委員 政府がお出しになりました資料によりましても、二十四年度に約九百億の災害があるのでございますが、それをわずか百億でまかなおうと言われるのは、災害復旧目的としたと言えないと思いますので、本多さんが正直に災害復旧目的でないと言われましたのは了承いたしますが、今後この問題に関しまして、どういうお考えを持つておるのか、念のために伺つておきたいと思います。
  35. 本多市郎

    本多国務大臣 これはやはり国家財政の各面とのつり合い、その状況に応じて事業を進めて行くほかはないのでございまして、昨年度は四百七十億程度でしたが、これが国家財政実情からいたしまして、適当であると考えているのでございまして、地方災害を一時に全額国庫負担で解決するということは、理想ではありますけれども、そこまでは一時にはできませんので、この程度に進めて行く。さらにこれが、国家財政の余力ということはありますまいけれども、事情が緩和されましたならば、漸次促進されて、遅れておる工事も繰上げてやることができるように改善されて行くものと考えております。
  36. 立花敏男

    ○立花委員 本多さんの主管なさる自治庁では十五万円を最初五万円というふう町お考えになつておつたようでございますが、どういう観点で十五万円におきめになつたのか、参考にお聞かせ願いたい。
  37. 本多市郎

    本多国務大臣 これは、立案の最後的決定に至りますまでには、いろいろそういう意見もあつたことと思います。また一個所ごとの十五万円というような基準にするか、あるいは、その市町村内の災害額の総額予算との比率にするか、いろいろ出たことと思いますが、やはり十五万円程度ということが、これが査定の基準といたしましても、適当なところであろうというので、最後に決定された次第でございます。
  38. 立花敏男

    ○立花委員 さいぜん本多さんは、地方負担を経減するのがこの法案目的であると言われたのでありますが、私どもは、地方費の負担はこの法案では増加すると考えております。なぜ増加するかと申しますと、十五万円以下と限定されましたために、十五万円以下は全然国家ではめんどうを見ないということだと思いますが、十五万円以下の災害費は、過去において幾ら累積されており、あるいは二十四年度で幾らになる、二十五年度では幾らになるかという御予定があつての上でのことだと思いますが、それをお聞かせ願いたいと思います。
  39. 本多市郎

    本多国務大臣 さいぜんも御答弁申し上げた通り、十五万円以下の災害復旧を集計いたしましても、総額の二%以下であります。そうした関係から十五万円以上の国庫負担ということによりまして、相当地方負担は軽減されるものと考えております。
  40. 立花敏男

    ○立花委員 二%と申しますのは、大分前の建設委員会でございますか、政府が御説明なつた数字とはなはだしく相違があると思います。政府が発表になつた数字で、大体今まで累積されております災害費は、二十三年度で七百億、二十四年度では九百億、合計千六百億となつておりまして、そのうち大体十五万円以上のものに該当するものが千百億ないし千二百億、十五万円以下がそれを差引いた四百億ないし五百億になつております。そうなりますと、二十四年度におきましても九百億の災害があり、この率で参りますと、二十四年度におきましても十五万円以下の災害が少くとも三百億ぐらいはあるはずなのでございます。御承知のように累年災害が増加の傾向をたどつておりますので、二十五年度におきましてはたとい二十四年度と同額といたしましても少くとも三百億近い十五万円以下の災害がある見込みでございます。従つて今までの現行法によりまして、この三百億円近いものに対する国家補助金をお出しになるといたしますと、地方に少くとも三分の二といたしまして、二百億円近い金を国家がお出しにならなければならぬのでありますが、十五万円という限界線を引くことによりまして、これが一文も地方に行かないという結果になるのでありますが、その間の説明を詳しくしていただきたいと思います。
  41. 本多市郎

    本多国務大臣 ただいま御質問の根拠になつておりますところは、災害総額についてでありますが、この災害国庫全額負担の対象になりますものは、公共団体そのものの施設でありまして、その範囲内において計算いたしますと、今のよう金額にはなつておらないのであります。
  42. 立花敏男

    ○立花委員 大体その数字は幾らとお見積りになつておられますか。
  43. 荻田保

    ○荻田政府委員 過去の災害におきまして、いまだ残つておりますものが大体千六百億くらいございますが、その中でこの法案の対象になるのは今おつしやいました千百億ないし千二百億、その差は別に十五万円以下のものではないのでありまして、それは農業関係災害とか、全然この法案の対象と違うものであります。従つて十五万円以下のものは、今のおそらく二、三%にすぎないものと思われます。
  44. 立花敏男

    ○立花委員 数字をはつきりおつかみにならずに、地方負担が減るということを言つておると思うのですが、やはり数字的な根拠をお出しにならなければはつきり言えないのではないかと思う。たとえばこれは自治庁でお調べになつた数字だと思いますが、最初自治庁が五万円を主張なさつたということの裏には、地方負担いたしました災害の平均額は、七万五千円という数字が出ておるわけです。従つて地方は大体七万五千円くらいの災害を年々こうむつておるということが言えるのでありまして、十五万円以下の被害が地方では多かつた。十五万円の半分の七万五千円が平均の数字であつたということを考えますと、地方の十五万円以下の負担は決して少い額ではないのであります。それを十五万円で切つて、それに対して二分の一なり三分の二なりの補助を全部打切つてしまう。そして十五万円以上の大口は、さいぜんから問題になつております、だれが管理するか、だれが認定するか、だれが査定するかわからない形で大口だけを国家で握つてつて行くという形は、どうも地方負担を転嫁いたしまして、大口のものだけは中央で握つて行くという形がはつきり現われておると思いますが、もう一度この点で納得の行くような御説明を承りたいと思います。
  45. 荻田保

    ○荻田政府委員 現在でも小さい工事につきましては三分の二の負担の対象から除外されておりますが、その額は工事の種類によつて違うのであります。今おつしやいました七万五千円という数字によつておるものもございます。しかし実際の扱いといたしましては非常に災害工事も多くて、一方予算も十分でございませんので、主として大きな工事から先に実行しております結果、実際問題とじましては、大体今度きめました十五万円程度くらいよりも大きな工事だけに二十四年度あたりは補助金が出ております。それからこの法律が通過いたしますと、こういうものにつきましては、全額負担になりますが、しかし先ほどからお話の十五万円以下のものとかその他除外例を設けたようなもの、それからなおそのほかに他の種類の災害というものも残りますので、これらが地方負担になります。その額は大体四、五十億と見ておりまして、昨年に比べますと大体八十億くらい負担が減少することに相なります。
  46. 立花敏男

    ○立花委員 先ほどから門司君その他の方から御質問がありまして問題になつておる査定あるいは施行責任者の問題でございますが、自治庁が最初おつぐりになりました負担法の試案によりますと、主管大臣がこの査定をやるということがはつきりうたわれてあるのでありますが、これを何ゆえに今度の法案では削除されてあいまいな形になされたのか、その間の事情を御説明願いたいと思います。
  47. 荻田保

    ○荻田政府委員 ちよつと御質問趣旨が受取れないのでありますが、大体初めから工事そのものの査定は従来通り各省において行うことにいたしまして、法の立案を進めた次第であります。
  48. 立花敏男

    ○立花委員 最後に御用意のあるかないかをたしかめておきたいと思うのですが、自治庁といたしまして一切の災害の全額を国庫負担するというふうな御用意があるかどうか。それからもう一つ災害復旧に関する査定あるいは施行責任地方自治体の自主的な運営にまかす御用意があるかどうか、この二点をお尋ねいたしたいと思います。
  49. 本多市郎

    本多国務大臣 公共団体施設に対する災害につきましては、これはこの法律で定めておりまするよう災害は、災害全体を国庫負担をするという趣旨を一貫いたしますると、大小を問わないことになつて参りますけれども、その次に御質問になりました査定等の関係もありまして、どんな軽微なものまでもこれを査定して国庫負担の対象として行くということは容易ならぬことでありまして、結局は国費の濫費を防ぐという見地から、一定の制限は将来といえどもやむを得ないことであると考えております。
  50. 立花敏男

    ○立花委員 最後の質問お答えがないのですが、これはまたあとお答え願いたいと思います。  今の大臣のお言葉の中で国費の濫費になるということをおつしやいましたが、私どもはこういう法案でやられますと、最初大臣がお認めになりましたように、この法案災害復旧目的ではない。二十四年度においても九百億の災害があつたのに、この法案では予備費として約百億しかとつていないということでございますが、そういうことでは災害が累積されまして、あるいは十五万円以下の災害国家が見ない、従つて地方は現在の苦しい財政状態からいたしまして、これはやらないということになりますと、災害がますます加速度的に大きくなるという結果を生じまして、本多さんが言われました国費の濫費という形は、本多さんの意図にかかわらず拡大されて出て来るものと考えております。従つてこういう観点から、もう一度この法案を御検討願いたいと思うのでございますが、最後にさいぜんも申しました災害の施工に対して地方自治体の自主的な査定なり、あるいは施工に対しての責任をお認めになる御用意があるかどうか、承りたいと思います。
  51. 本多市郎

    本多国務大臣 これは国費を支出することでございますから、どうしても国家においてその査定をいたさないわけには参らぬのでございます。しかし地方自治体においても、地元においで実情に沿つた査定が行われることでございますので、政府の査定決定はその地方団体の調査等も十分勘案いたしまして行わなければならないと考えております。  さらに十五万円以下の国庫負担をしないために、ますます災害を誘発する結果になりはしないかという御趣旨質問でありましたが、これは今後自治体がその自治体責任をどう考えて行くかという点にもかかつて来ると思うのでございますが、災害が起きますということは、その自治体内の住民の生命、財産に大きな脅威を與えることでございますから、自治体におきましても、でき得る限りのことは災害を予防するために努力して行かれるものであると考えております。また平衡交付金におきましても、そうした標準的な経営をやるための交付金は交付されるわけでありますから、これはその程度のことは自治体を信頼して進んでさしつかえないものであろうと考えております。
  52. 立花敏男

    ○立花委員 最後にはつきりしておきたいのでありますが、この査定は地方財政委員会でおやりになるのか、主管大臣がおやりになるのか、おきめになつておればお答え願いたい。
  53. 本多市郎

    本多国務大臣 これはその施設の主務省であります。たとえば河川道路というようなものになりますと、建設省所管でありますから、建設大臣の名において査定をいたします。港湾関係になりますと、運輸省ですから、運輸大臣が査定をする。その査定はもちろん政府責任において決定する。このよう考えております。
  54. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担特例に関する法律案、これにつきましては各方面からほとんど十分に近い質疑応答があつたのであります。これについては相当の異議もあるようでありますので、今後の取扱いについては何らかの方法をとつていただくということにして、質疑を終つていただきたい。このことを希望いたします。
  55. 川野芳滿

    川野委員長 瀬戸山君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようでありますから、これで建設委員会地方行政委員会大蔵委員会の三委員会連合審査会は休憩いたします。     午後三時四十五分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕