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1950-04-10 第7回国会 衆議院 大蔵委員会災害地対策特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月十日(月曜日)     午後二時二十五分開議  出席委員  大蔵委員会    委員長 川野 芳滿君    理事 北澤 直吉君 理事 小山 長規君    理事 島村 一郎君 理事 前尾繁三郎君    理事 川島 金次君 理事 内藤 友明君       甲木  保君    鹿野 彦吉君       佐久間 徹君    西村 直己君       宮原幸三郎君    佐竹 新市君       松尾トシ子君    宮腰 喜助君       竹村奈良一君    田島 ひで君  災害地対策特別委員会    委員長 大内 一郎君    理事 青木  正君 理事 小金 義照君    理事 小平 久雄君 理事 前田榮之助君    理事 床次 徳二君       青柳 一郎君    江田斗米吉君       岡延右エ門君    奧村又十郎君       川端 佳夫君    菅家 喜六君       北川 定務君    黒澤富次郎君       小山 長規君    田中不破三君       永井 英修君    中村  清君       三浦寅之助君    青野 武一君       森山 欽司君    井之口政雄君       黒田 寿男君  出席政府委員         地方自治庁次長 荻田  保君  委員外出席者         大蔵委員会専門         員       椎木 文也君         大蔵委員会専門         員       黒田 久太君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負  担の特例に関する法律案内閣提出第一二五  号)     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより大蔵委員会災害地対策特別委員会連合審査会を開会いたします。  まず皆さんの御了解を得まして、本日の委員長主管委員会委員長であります私がその職務を勤めさせていただきます。  それではこれより昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担特例に関する法律案を議題といたしまして、まず政府説明を求めます。地方自治庁次長荻田保君。     —————————————
  3. 荻田保

    荻田政府委員 ただいま提案になりました昭和二十五年度における災害復旧費国庫負担特例に関する法律案につきまして、その提案理由及び主要なる事項について御説明申し上げます。  地方自治拡充強化は、新憲法の基本方針の一つでありますが、これが実現を期するためには、その裏づけとなるべき地方財政を充実安定させることがぜひとも必要であることは、申すまでもないところであります。しかるに近年頻繁に発生する台風、地震等は、戦時中の国土の荒廃と相まつて、甚大なる被害をもたらし、ために地方公共団体財政は深刻な危機に瀕しているのであります。すなわち予知せざる災害の発生によりまして、関係地方公共団体は、税收その他の歳入に激減を来す反面、住民の生命及び財産の保護のため必要な救助業等に要する経費の支出を余儀なくせられ、なかんずく公共施設復旧事業につきましては、累年巨額経費負担を課せられているのであります。従いまして罹災地方公共団体は、これらの経費捻出のため、高率課税起債あるいは経常費縮減等を余儀なくされ、ことに最近におきましては、地方公共団体負担する災害復旧費の大半が起債に求められる結果、その償還費が長年月にわたる過重な住民負担となり、地方財政健全化に暗い影を投げているのであります。  先般来朝したシヤウプ使節団も、この点を指摘し、災害復旧費は、軽微なものを除き、全額国庫において負担すべきことを勧告しているのであります。  政府におきましても、従来高率補助金交付または災害債利子補給事方法により、災害復旧費に関する地方財政負担軽減に、できるだけ努力をいたして参りましたが、逐年急激な増加を示しつつある災害復旧費の、地方財政に及ぼす深刻な影響にかんがみ、かつはシヤウプ勧告趣旨をも尊重いたしまして、従前の災害復旧事業費に対する一部国庫負担制度にかえ、新たに公共的土木施設災害復旧事業費については、全額国庫負担建前をとることにより、罹災地方公共団体財政負担軽減をはかるとともに、災害復旧事業の円滑な施行を期することとした次第であります。このために、政府昭和二十五年度予算編成に際し、公事業費中に四百七十億円に上る災害復旧費を計上するとともに、この制度実施するために必要な基準法律で定めることといたしたのであります。  以上が本法律案提案いたしました理由でありますが、次に法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  まず第一は、地方公共団体維持管理する河川、海岸、堤防、砂防設備道路及び海湾公共的土木施設に関する災害復旧事業であつて地方公共団体施行するものに要する災害復旧費は、昭和二十五年度においては、国庫全額これを負担することができるものといたしたのであります。従来土木施設災害復旧費につきましては、都道府県災害土木費国庫負担に関する法律規定により、三分の二の国庫負担が行われていたのでありますが、本法律案は、地方公共団体施設に関する限り、他の法令規定にかかわらず、これを国庫全額負担とすることができるものとしたわけであります。  第二は、従来、国がみずから災害復旧事業を行う場合には、受益者負担という意味で、地方公共団体から分担金を徴収していたのでありますが、これに関しましても、さきに申し述べました公共的土木施設につき、明年度において、その分担金の一部または、全部を免除することができることとしたのであります。  第三といたしましては、本法律案適用を受ける災害及び災害復旧事業の意義を明確に定めたのであります。すなわち、災害につきましては、これを暴風洪水高潮地震その他異常な天然現象によつて生ずるものに限定して、天然の不可抗力による災害としからざるものとを画然と区分することにより、本制度の的確な遺芳を期することとしたのであります。  次に災害復旧事業とは、災害によつて必要を生じた事業で、一箇所の工事費が十五万円以上のものであつて災害にかかつた施設原形復旧することを目的とするものと定めたのであります。しかしながら災害にかかつた施設原形復旧することが、きわめて困難であつたり、またその被害状況施設の効率上不適当である場合が考えられますので、このような場合には、旧施設にかわるべき必要な施設をすることを目的とする事業でも、その工事費が十五万円以上であれば、災害復旧事業とみなして、本法律案対象としたのであります。但し、この場合に無制限に全額国庫負担制度を認めますと、災害復旧に便乗いたしまして、不必要な拡張、改良事業が行われることも考えられますので、国庫でその全額負担する事業費は、当該施設原形復旧するものとした場合に要する金額にのみ限定した次第であります。なお、前に述べました一箇所の範囲につきまして、被害箇所が短距離で連続している場合及び被害施設の効用上復旧事業を分離して施行できない場合は、被害箇所が二箇所以上ありましても、一括してこれらを一箇所とみなして工事費を算定するということにいたしました。  次に、ひとしく災害復旧事業であつても、経済的効果のきわめて低いもの、施設管理者や、建設施行者の不注意怠慢により被害をこうむつたと認  められるもの、きわめて小規模な施設に関するもの等は、全額国車負担制度対象から除外いたしたのでありますが、これは、貴重な国費を有効かつ適切に使用するという意味からして当然の規定考える次第であります。  なお、本法律案昭和二十五年度限りの特例法といたしましたのは、地方財政の転換期ともいうべき昭和二十五年度において、とりあえずこの制度実施し、昭和二十六年度以降については、本制度実施状況と、地方財政の情勢とをにらみ合せまして合理的、かつ恒久的な制度を樹立したいという考え方に基くものであります。  さらに、本法律案実施細目は、政令にゆだねることとしてありますが、画期的な本制度実施に備え、着々その準備を整えている次第であります。  以上本法律案理由及びその内容につきまして、説明いたしましたが、何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに議決あらんことを切望いたします。
  4. 川野芳滿

    川野委員長 これより質疑に入ります。この際御了承を願つておきたいと存ずるのでありますが、安本大蔵両省政府委員は、まだお見えになりません。地方自治庁次長荻田保君がお見えでございますので、荻田君に対する質疑をまずお願いしたいと存じます。
  5. 小平久雄

    小平(久)委員 本法案につきましては、すでに大蔵委員会あるいは建設委員会地方行政委員会等におきまして、それぞれ質疑が行われておると思いますので、あるいは私から御質問申し上げることが、それらと多少重複をするかも存じませんが、災害地対策特別委員会といたしましては初めてでありますので、その点はお許しを願つて、若干お尋ねをしたいと思うのでございます。  まず第一にお伺いいたしたいことは、今回の金額国庫負担対象となります工事は、一箇所の工事費用が十五万円以上ということになつておりますが、十五万円未満の工事については、一体今後どうなるのかという点をまず承りたいのであります。  それと関連しまして、案の第二条にあります単なる原形復旧工事以上に及ぶ工事の場合の負担方法でありますが、これにつきましては、この案から申しますと、原形復旧に相当する費用だけを全額国庫負担という建前のようであります。それ以上の、いわば改良工事とも称すべき分についての負担、ないしは国の補助というものはどうも明らかでないようでありますが、その点はどうなるものか、まずその二点を承りたいと思います。
  6. 荻田保

    荻田政府委員 一箇所十五万円以下の工事でございますが、これは従来の三分の二の対象におきましても、やはり大体七万五千円程度をもちまして切つてつたのでありますが、今回やはりこの金額負担対象といたします災害にも十五万円をもちまして線を引き、それ以上のものだけを全額負担対象とした次第でございます。この法律は、他の法令にかかわらず、一応二十五年度だけ特例として施行いたしますので、この法律案以外の災害復旧工事につきましては、依然として従来の規定適用になつております。従つて法律案を立案いたしましたつもりといつたしましては、十五万円以下で、しかも従来の補助法適用のあります費用につきましては、その方が適用になるというつもりでございます。それから、原形復旧につきましても、やはり同様でございまして、原形復旧に相当する以上の事業費につきましては、従来の規定つまり三分の二補助対象になる金額負担は、原形復旧に要する金額だけに限る、こういう趣旨で立案しております。
  7. 小平久雄

    小平(久)委員 お話は大体わかりましたが、金額国庫負担をはつきりすることは、この条文の上におきましても、事業費金額負担すると、はつきりしたらいいと思います。この点が負担することができるというようになつておりまして、ややぼやけているようでございます。これはどういう関係でございましようか。
  8. 荻田保

    荻田政府委員 建前といたしましては、もちろん全額国庫負担をするということと同じでございます。ただ予算が、しからば過去の災害、あるいは本年度起りました災害につきまして、十分にあるかと出しますと、必ずしも十分ございません。一応予算の面から制約を受けますので「全額負担をすることができる」つまり予算範囲内においてできる、こういう趣言でこのような言葉を使つた次第でございます。
  9. 小平久雄

    小平(久)委員 次に伺いますが、本法案の題名からいたしますと、昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担特例に関する法律案、こういうことになつておりまして、実はわれわれが受ける印象からしますると、あらゆる災害復旧事業費につきまして、二十五年度限つて全額国庫負担とするのだというふうに、どうもとりやすいのであります。しかるところこの内容を見ますると、第二条の中にも、うたつてありますように、その対象公共的土木施設がその全部を占めているようであります。特に農地関係、あるいは用排水路及びこれに伴う施設関係におきまして、公共的色彩の強い施設につきましても、われわれといたしましては、ぜひ全額国庫負担対象に見てもらいたい、こういう気がするのでありますが、これらが抜けているのでありまして、この法律の題とは、どうも大分内容が違つているというふうに、われわれは考えるのであります。そこで今申しましたような用排水路とか、その他の公共的な施設、これらを除いたのは一体どういうわけであるか。またこれをどうしても除かなければならぬものとすると、大体この法律案名称自体ちよつとおかしいのではないか、内容とそぐわないのではないかという気がするのでありますが、この点に対する御意見を伺いたいと思います。
  10. 荻田保

    荻田政府委員 おつしやいますように、この法律名称が、多少そぐわないのでございますが、先ほども御説明申し上げましたように、この法律をつくりましたゆえんのものは、地方財政対策を立てるというところに重点がありまして、一般の、つまり公共団体維持管理しておりません一般の個人の農地とかそのほかのもの、あるいは水利組合等のもの、これは一応別に考えたのでございます。しかしこういうものにつきましても、災害復旧という観点から見ますれば、やはり重要でございますので、今農林省方面におきまして、このような農水産漁業関係施設に対しまする災害復旧事業費国庫負担という法律を立案中でありまして、いずれ本国会に提出いたしまして、御審議を受けることになるだろうと考えております。
  11. 小平久雄

    小平(久)委員 それを、今の問題になりました点を本法案と別箇にしなければならぬという点が、どうもわからぬのですが、重ねてお伺いいたします。
  12. 荻田保

    荻田政府委員 ただいまもお話申し上げましたように、大体地方財政をどうするか、つまり今、国会提案しております地方税法、あるいは不日提案いたしまする地方財政平衡交付金法と、この法律と、この三つをもちまして、今度のシヤウプ勧告に基きます地方財政に関する改革の要綱としたい、こう考えているわけでございます。そういう意味で、この災害復旧費全額国庫負担も、つまり地方財政関係のある部分だけに一応限つた次第でございます。と申しましても、ほかのものにつきましても、やはり災害復旧はなさなければなりません。またそれに対します制度も、確立しなければなりませんので、それは別の法律でもちまして基準をつくりたいという考えでございます。
  13. 小平久雄

    小平(久)委員 次にこの法案の第二条によりますると「地方公共団体又はその機関維持管理に属する」云々と、こう書いてございます。地方公共協団体はわかりますが、「又はその機関」というのには、どういうものを御想像になつておられますか。
  14. 荻田保

    荻田政府委員 これは今の法律建前が、たとえば道路とか河川というものは、公共団体が管理せずに、知事とか市町村団体事務じやなくて、機関委認事務という法律のかつこうになつておりますので、それを法律的にはつきりするために、そのような字が使つてあるだけであります。
  15. 小平久雄

    小平(久)委員 今後における全額国庫補助の取扱いをなさる行政機構の問題でありますが、従来の場合でありますと、災害が起きて、国から補助がおりるという場合に、一応公共団体に対しましては、あるいは建設省なり、あるいは農林省なり、それぞれの関係中央官署から、その補助が流れて行つた。こういうことになつてつたと思うのでありますが、この法案地方自治庁からの御提案のようでありますので、今後どういうふうになるのか、その辺のところを承つておきたいと思います。
  16. 荻田保

    荻田政府委員 この補助金流れ方につきましては、従来と同じように考えております。つまり安本所管公共事業費予算が計上されておりまして、これを各省予算に組みかえて流します。しかも各地方団体に対しまする補助額は、それぞれ各省工事を査定いたしまして決定いたします。従いましてこの法案は、われわれ大蔵省、安本建設省一体で相談いたして御提案した次第でございますが、先ほど申しますように、地方財政観点から立案しておりますので、地方自治庁におきまして、一応各省世話役というような意味で、この所管として提案した次第でございます。
  17. 小平久雄

    小平(久)委員 ただいまの御説明ですと、この国費地方に参るという点については、地方自治庁は直接の関係はないわけですか。そう了解してよろしゆうございますか。
  18. 荻田保

    荻田政府委員 補助金につきましては、直接関係はございません。
  19. 小金義照

    小金委員 ちよつと関連して今の次長説明で、大体法案趣旨はわかりましたが、これはもつぱら地方財政観点から、こういう法律案をお出しになつたということであります。しかしわれわれの方から見ますと、地方政政も大事であるが、災害復旧することが、また非常に大事であります。両方おそらくにらみ合せたものであろう。そこでこの法律案を見ますと、大体は御説明趣旨で、われわれの希望も相当程度盛り込まれておりますが、この法案の名前が「昭和二十五年度における災害復旧云々と書いてありまして、特に昭和二十五年度だけを考えておるのであります。これを実行して、来年度は実績を見て方針をきめたいという話であります。そうすると、法律案の今までの習慣で行きますれば、附則施行期日を、二十五年度に限るとしておいて、法律としては、災害復旧事業費国庫負担特例に関する法律案でいいじやいか、こういうふうに思うのです。技術的な問題に関しますが、何だかこれは二十五年度だけしかやらないぞということを、初めから宣言しているように思えるのです。場合によつたら来年も引続いて、こういうふうに災害を受けたところの復旧は、この方が早く行くし、また地方公共団体としてもこういう方針がいいということならば、そのまま処ばすなり、また内容を変更してやれるので、「二十五年度における」という法律のうたい方は、ちよつとおかしい。今あなたの御説明によれば、附則によつて施行期日を定めればいいように思えるのですが、どうですか。
  20. 荻田保

    荻田政府委員 この法律案を提出いたしました根拠は、もつぱら地方財政の見地というふうに御説明申し上げましたけれども、もちろん地方財政の問題が主になつておりますが、それが結局ひいては災害復旧を促進することになるであろうと思います。つまり今まで地方財政の基礎が弱かつたために災害復旧が進まなかつた、ということは、もつぱら地方財政、あるいは国がら補助金、このやり方でやつたからと言つても、過言ではないと思いますので、直接には地方財政でありますが、やはり全体的に災害復旧を促進させたいという考えであります。  それから二十五年度と特に限りましたのは、非常に早々の間につくつたうらみもありますので、一応よく結果を見てから、それからそのほか配分そのものにつきまして、御承知のように地方行政調査委員会というものができまして、ひとり災害復旧事務だけでなく一般地方行政事務、それから国庫補助金関係と全部総合的に調査をいたしておりますので、この結果から見まして、二十五年度以降恆久の対策を立てたいと考えております。従つてこの表題の立て方が二十五年度だけの特例になつておりまして、法律文面そのものでは二十五年度だけしかやらないのだととれますけれども、決してそうではなく、むしろ二十六年度もおそらくこのような形よりもう少し整備された形において恆久化するものだろうと考えております。従つておつしやいましたように、条文書き方等はかえましても、ちつともさしつかえないと思うのであります。
  21. 井之口政雄

    井之口委員 大蔵大臣でもおいでになると非常に都合がよいのでありますが、しかしわれわれ災害委員が初めてこの問題について審議に入るわけであります。それで今まで大蔵委員会やいろいろな所で討論されてたいがい御存じのことと思うので、それらに関係して知つておる部分だけでも、間接ながらも御返事を願いたいと思つております。  第一にこの法案が二十五年度に限定されておりますが、この二十五年度災害復旧のいろいろの予算の面を見てみますと、従来二十三年、二十四年分でなお残つておるのが一千六百億からある。そうしてそれに対して今度二十五年度において約三百七十億を予算として出しておるのは御承知の通りであります。三百七十億が、今年度分に割り当てられておるのは約九十億から百億、こういつた見当になるわけでありますが、そのほかに探せば予備費が百億くらいある。こういう財政状態の場合に、全額国庫負担として二十五年度のこうした法案が出て来ても、実際の場合に、はたしてこれを適用することができるであろうが、これをわれわれ非常に気づかうのであります。せつかくいいものができても、金がなければ何にもならない。この問栃木の方に調査に参りましたけれども、現に栃木はあの大きな災害を受けておるにかかわらず、地元でもつて食うや食わずで農民が御興に立つておるし、市町村それから協同組合等々が、借金だらけであの工事をやつておるというふうな状態である。これでは、こういうりつぱな法律が出たところで、趣旨はけつこうであるが、実際において何らの役に立たないものとなるのではなかろうか。先ほどの御返事でも、予算がなければしかたがないとか、この災害補助国庫負担することとなつておるのだからせぬでもいいのだというような御返事であつたが、そういうような欺瞞的な法律をこさえて、そうして国民にこういう法律があるからといつて大きな期待を持たせて、実際においては何らの役に立たぬということに立ち至つたならば、これはかえつてわれわれ国会において責任のある地位におる者が困るのではなかろうかと思うのです。そういう場合に、何か予算的な措置をこの法案の中に盛り込む意思はないのか、またそれを入れるとすればどういう形において入れるのが適当であろうか、それをお聞きしたい。
  22. 荻田保

    荻田政府委員 過去におきまする災害が、おつしやいましたように千六百億から残つておるわけであります。そのうちこの法律対象になる部分が千億ぐらいございます。本年度分四百七十億のうち三百七十億が過去の分に当るわけでありますが、おつしやいましたように確かにこの額は過去の災害の残つておる額に比較いたしまして、多いとは言えない、むしろ少な過ぎるのであります。もちろんこれを増額することが適当だと考えられますが、一方中央地方を通じます財政状態からいたしまして、一応この程度より予算を計上することができませんので、やむを得ず今申しましたように、この一項に予算範囲内において全額負担することができるという規定しか置くことができないのは非常に残念でありますが、これを直しますのは、法律をいたずらに直すということよりも、むしろ予算を増額しなければならぬわけであります。その点につきましては、財源等関係からいたしまして、本年度といたしましてはこの程度がぎりぎり一ぱいであるということで、遺憾ながらこれ以上のものは計上できなかつたような次第であります。
  23. 井之口政雄

    井之口委員 二十五年度に起らない、その前に起つておる災害にも、緊急必要なものに対しては、これを適用する場合があるのでありましようか、どうでありましようか。
  24. 荻田保

    荻田政府委員 この法律は二十五年度において施行いたします、実際に工事を行います災害復旧事業に対して適用になりますから、過去に起りました災害でも、いまだ復旧できていないで残つておるものにつきまして本年度行いますものに対しましては、この法律適用に相なります。
  25. 井之口政雄

    井之口委員 法案内容について、ちよつとお尋ねいたしますが、この災害とは暴風洪水高潮地震その他となつておりますが、この「その他」というものに入ると今日予想されておるものには、どういうものがありましようか。
  26. 荻田保

    荻田政府委員 積雪のためのなだれとか、地震のあとに起りました地盤の沈下、こういうものを予定してございます。
  27. 井之口政雄

    井之口委員 たとえば私たち海洋で見るのでありますが、淡路の東海岸方面から姫路方面にかけて、海岸の道路が、自然というか何か知らぬが、底が洗われて来て、ちよつとした大風が吹きますと、それがあちこちどうつと陥没して来るという現象が起つておる。こういうものはこれを適用になられるのかどうか。
  28. 荻田保

    荻田政府委員 多少実際問題としまして、区別がはつきりいたしませんが、天然の異常な現象に起因したものだけでありますから、徐々に道路が欠けて行くというようなものは、通常の維持管理事業考えまして、対象にしておりません。
  29. 井之口政雄

    井之口委員 地震では非常に大きな日地が陥没沈下する場合でも、たとえば尼ヶ崎方面は年々沈下して来ておるる。それにもじ地震が起つて、急速にそれがどんと沈下する場合には、こういうものは適用を受けるのでありますか。
  30. 荻田保

    荻田政府委員 今現実にやつておりますのは、南海地震のあとの四国方面の地盤沈下、これを対象にしております。ただ尼ヶ崎のように徐々に沈下して行くものについては、別に考んでおりません。しかしおつしやいますように、かりにそこに対しまして大きな地震があつて、一躍ぱつと落ちたというような場合には、これは適用に相なります
  31. 井之口政雄

    井之口委員 前に国政調査でで紀州方面を視察して参りましたが、漁港が、地盤が非常に上つておる、それから漁港の海底が陥没しているところがある、そうして、そのままやはり今日まで復旧されないで放任されておるようなものがあるのですが、そういうものにも、適用されるのでしようか。
  32. 荻田保

    荻田政府委員 具体的にどの工事がどうとは申せませんが、建前といたしましては、南海震災によりまする地盤の沈下、あるいは淡路島等の災害復旧は、対象にすることになつております。
  33. 井之口政雄

    井之口委員 ただいま申し上げましたように、これだけの規定では、負担対象になるものか、かなり得ないものかの判定が非常にむずかしい。これを判定する方法としては、いかなる手段をおとりになるでしようか。地方の一官吏がこれを認定して、そうしてこれを決定するものであるかどうであるか。その点は、何によつてこれを承認されますか。
  34. 荻田保

    荻田政府委員 主務省等におきまして、それぞれ箇所を十分調査いたしまして、その上で安定本部と打合せまして決定いたします。
  35. 井之口政雄

    井之口委員 そういう場合に、現地の人民をして査定に当らせるというふうな、民主的な方法をとろうとは考えられませんか、どうですか。
  36. 荻田保

    荻田政府委員 これは国費を使いますことですから、やはり国におきまして決定いたします。ただ地方の要望は、十分聴取いたしたいと考えます。
  37. 井之口政雄

    井之口委員 十五万円というやつはは、これから物価が低下して、十五万円の額が相当大きな額になつて来はしないかと思うのですが、これをもつと引下げる意思はないでしようか。それと二十メートル以内の間隔とか何とかいうような、こういうふうな非常に小さな規定があるようですが、こういうものを全然撤廃してしまつて、実際、ある同一の原因から起つたところの一切の災害は、その全部をひつくるめて、これが復旧に要する費用負担するというような規定にならないものでしようか。
  38. 荻田保

    荻田政府委員 これは、従来の補助の場合にも、やはり小さなものは対象にしないということになつております。これは一つには、小さいものは財政的にもあまり負担にならず、かつ事業そのものも、そう復旧に迫られるようなものではない。大体大ざつぱに申しまして、そうでございます。また先ほど申しましたように、国の方において査定しなければなりません責任を持ちまする以上、一働所、二箇所見なければならないわけでございますが、それにはそのように小さな箇所まで全部見てまわることができない、こういうようなことから、大体小さな工事はやめて、対象にしなかつたのであります。ずつと以前に、五百円くらいの線であつたのでございますが、それに対しまして、最近の物価の騰貴を考えまして、大体昨年度あたりは七万五千円くらい、ものによりますと二十万円、三十万円となつておりまして、今回この法律で、全部のものに一応の線を引く以上は、大体十五万円程度をもつて適当だと考えた次第でございます。
  39. 川端佳夫

    ○川端委員 関連いたしますので、ちよつと簡単にお伺いいたします。今一箇所の工事は十五万円以上というので、それ以下のものについては適用されないという基準が示されておるのでありますが、ここで私たちちよつとしろうと考えで思いついたところですが、大きな方の限界の問題であります。いろいろ予算の制約もございましようが、大きなものには一箇所当りの工費の量について制約はなくて、無制限に大きなものからとつて行くというような行き方になつておるのでありましようか。それから、もしそういう大きなもので予定されておる箇所等は、どういうところであるか、参考に聞かしていただきたいと思います。
  40. 荻田保

    荻田政府委員 金額の大きなものにつきましては、全然法律上の制限はありません。予算範囲内において、すべて復旧の需要度、つまり復旧をする緊急度によりまして、適当に行つております。なお実際に大きなものがどこにあるかということは、ちよつと私どもではわかりませんので、いずれ建設省なり運輸省で調査いたしまして、この次の機会にでもお話いたしたいと思います。
  41. 井之口政雄

    井之口委員 先ほど小平委員からもお話がありましたが、この法案に農業関係が入つていないというのは、根本的な欠陥だと思います。そういう点は、これからひとつもつと考慮していただきたいと思います。  なお私たちが災害の場合に一番感ずるのは、災害を受けた人たちの個人的な復旧であります。この個人的な復旧に対しては、今日はほとんど何らの規定がない。ただ直接震災その他いろいろな災害を受けた場合に、たき出しをやたり、一部の小屋がけをやつたり、それくらいのものであつて、それがもう済んでしまうと、この人たちは居所もなく、みな放置せられるという状態になつておる。この中に、救済の手を差伸ばす、負担金の交付を国家が約束するというような項目を差入れたならば、もつとこれは民主的に、全体のためになるのではなかろうかと思うのですが、そういうふうな、これに追加するような意思はありませんでしようか。なおこの法案は、聞くところによれば、厖大なものとして用意されていたそうですが、しかるにたつた三箇条ぐらいの小さいものになつてしまつた。その場限りのものになつてしまつて、シヤウプ博士の勧告に基いて何かこしらえたという、ただ申訳的なものになつてしまつているのですが、こうした個人的な救済に対しても、申告によつて自動的に発動して行くというふうな方法が、この中にもつと具体的に行わるべきではなかろうかと思います。その意思があるか。それと、この交付金を出す場合に、今までの交付金は、なかなか日にちがかかつて、実際に役に立たぬ、みんな借金をして事業をやつて、あとになつてからやつとその借金払いに使うというくらいのものにしかならないが、もつとこれを急速にやるいろいろな規定を設けられたらどうかと思うが、そういう意思はありませんか。
  42. 荻田保

    荻田政府委員 災害を受けました個人の損害を補償する問題でありますが、これは大体国庫全額補助というようなかつこうで取上げるようなことは、考えておりません。ただたとえば農業関係施設でございましても、先ほど申しましたように、広くわたるもので、単なる個人だけではないというようなものにつきましては、刑に負担慣行を考えましてこれは全額ではございませんが、ある割合の国庫補助を出すという考えでございます。そのほか農業その他のものにつきましては、これは保險というような施設によりまして、救済するよりしかたがないと考えております。法案についてでありますが、これは初めは一応恆久的な災害補助法をつくつたらどうだということを考えたこともございまするが、先ほど申し上げましたように、時間もありませんでしたので、一応二十五年度だけに限りまして、恆久のものは二十六年度以降に考えたいと思います。  それから国庫補助流れ方が遅い。まことにお説の通りだと思います。本年度におきましては、特にこの点を政府でも考えまて、公共事業費を、上半期におきまして災害関係は八割程度は出してしまおうというふうに、なるべく迅速に復旧工事施行することに努力しておるような次第でございます。
  43. 川野芳滿

    川野委員長 ほかに御質は疑ございませんか。  なければ、本案に対する大蔵委員会災害地対策特別委員会連合審査会をとずるに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようでありますから、本案に対する連合審査会は終了といたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時十一分散会