○徳島
公述人 午前中から各
公述人の方よりいろいろな方面をつかまえてかわ
つた御
意見の開陳がありまして、私の用意しておりました
公述の
内容の中に、重複する点がたくさん出て参りましたので、一応そういう観点を離れて、全然別な観点から
公述を進めてみたいと思います。
今度の
税制改革案が
シャウプ勧告に基いてつくられたものであろということは、もう論ずるまでもないことであります。この
シャウプ勧告に基いてこういう税制ができたという問題を論ずるにあたつて、われわれの思い起すことは、
昭和二十二年にやはり当時の総司令部の方の御指導によりまして、初めて
所得税に
予算課税に基くところの申告
納税制度というものができました。この
制度ができましたときに、実際
税金問題について関心を持つておる人々の
意見はどうであ
つたかと申しますと、当時の
大蔵省の主税局の責任の地位にある
方々、そういう人たちは大体はこれに対して反対をしてお
つたのであります。この
委員会におられます前尾委員も、当時私が
意見を聞いたときには大体反対の
ようた意向でありました。にもかかわらず、この
予算課税に基くところの申告
納税制度というものが実施されて、その結果非常に大きな問題を起しておる。税務署員も困るし、
納税者もめちやくちやな更正決定で非常な迷惑をこうむつておる。この問題につきましては、今度の
シャウプ勧告においても指摘されておる
ように、これが現在の
日本の
所得税制度における最も大きな欠点となろうとしておることであります。
納税者は税務官吏を信用しないし、税務官吏は
納税者を信出しない。そしてどちらもお互いに責任のなすり合いをしておる。こういう現状を打開するために
シャウプ使節団は、
所得税に対して非常に綿密な
勧告をなされております。
しかしながらはたしてこの
勧告よつて、われわれが今日起つておるところの
所得税の問題を解決できるかといえば、私は遺憾ながらほとんどこれは解決できないと判断せざるを得ないのであります。と申しますのは、今日
所得税において最も問題に
なつております点は、中小商工業者に対する主として少額所得に対する
税金の問題であります。この点について一番根本的な問題は、
基礎控除が低過ぎるということであります。これはもの各委員の
方々にも御異見のないところではないかと思います。この点につきましても
シャウプ勧告では、一応はこの
基礎擦除の低過ぎるということを認めておる
ようであります。そうしてこれが今日の
日本における
所得税制度の根本的な悪い点、つまり税務官吏も
納税者もお互いに信用しないで、無責任なことをやつておる。これを打開する
一つのかぎは、
基礎控除を引上げることであるというふうに指摘しております。どころがまた他のページをくつて見ますと、この
基礎控除については商過ぎもしないし、低過ぎるということも言えない。
アメリカの労働者の賃金、
アメリカの現在の
所得税の
基礎控除と比較してみると、大体平均的な労働者の二箇月分に
相当するものが
基礎擦除に
なつておる。
日本の場合では一万五千円というのは、大体平均的な労働者の月給を一万円とみて一月半分に当るから、大した差がない。だから一万五千円はあまり低過ぎもしなければ高いこともない。こういう
意見が出ております。両方を並べてみますと、一応矛盾しておる
ようでありますが、そういうふうにシャウプ博士の診断はまことに適切なところを突いております。しかもそれに対する処方箋もうひ
とつわれわれとしては適切でない
ような感じがいたします。その最も具体的な現われとしては、
シャウプ勧告の中で特に力を入れておりますところの青色申告の問題が、現在
日本の
納税者にどういうふうに見られているか、その結果を
一つ見ただけでもはつきりするのではないかと思います。青色申告の申告の状況というのは、すでに新聞にも出ております
ように、平均すると大体五%か六%、成績のいい税務署で大体一割くらい出ておる。
法人の
ように必ず決算報告書を出さなければならない
ような
納税者でも成績のいいところで五割くらいしか申告していないというふうな状況であります。この点につきましても、私税務官吏の組合を退きまして、
税金新聞を始めていろいろ
納税者の方に接触をして参つておりますので、どういうわけで
納税者が青色申告をしないかという点についていろいろと聞いております。まず第一に指摘いたしますのは、現在でも
税金は高い。しかも現在の高い
税金でも理論的に税務官吏から説明されると、なるほどと思う。むしろ自分の正直な所得額よりも低い場合が多い。しかもそれでもやつて行けないのに、これを全部はき出したときにどうなるか心配でたまらない。これが一番多い答弁であります。それから次の問題は、やはり税務官吏は信用をしないのではないかというふうな心配もありますけれども、これは大体法律できめられることであり、こういう問題はあまり問題にならないのであつて結局は青色申告で
納税者が裸に
なつたときに、はたしてこれでやつて行けるという自信を與えられるかどうかということがこの問題のかぎであります。この点につきましては、
国税庁が監修をしております税のしるべという新聞にも、これと同じ
ような
意見がはつきり出ておりまして、なぜ青色申告をしないかということに対する
東京の新宿の洋服屋さんの
意見が出ております。これによりますと、税法
通り納税しては生活ができないことはあまりに明瞭である。私の店は三十万円以下の口であるから、青色申告をしないで従来
通り税務署に適当にきめてもらう方がいい。青色申告をすれば正しいことを
前提としなくてはならない。正しくすれば生活はできないし、正しくあるべきものを偽るのは自分の良心が許さない。だから生きるために青色申告などは出せないし、そんなことをして税務署へも迷惑をかけたくない。こういうふうにこの洋服店の主人は告白しておるわけであります。この悩みは良心的な税務官吏であれば、だれもが持つている問題であろうと思います。だから青色申告をしておる者でも、実はわれわれの新聞の方へもいろいろ相談に見えて、青色申告を出したいが、しかし全部出したら生活できないから、何割引ぐらいが適当かという相談がよくあります。
〔
委員長退席、小山
委員長代理着席〕
つまり七割にするとか八割にするとか、大体税務署の認める
ような標準で帳面をつけたいから、教えてもらいたいという
ような質問もよくあります。これを見てもはつきりわかる
ように、結局現在の生活というものと税法というものがうまく一致しなければ、決して理想的な税法というものも
実行されないわけであります。このシャゥプ
勧告に対して国民が期待しておるところの
減税というものも、ただいま
政府案として出ております程度では、あまりわれわれの生活の助けにはならない。
政府の
資料によりますと、非常に
減税になる
ような
計算も出ております。
しかしながら十万円の
営業者が、現行税法に比べて今度の
政府案ではどれくらい
減税になるかという比較は、現在の
政府のやり方ではほとんど
意味がないのであります。と申しますのは、現在
政府はそういうふうな観点から
税金をかけていない。大
部分の
納税者に対しましては、やはり一定の
予算に基いたところの各税務署ごとの徴收見積額というものを出さして、そうしてそれを適当に
予算に合う
ように作成し、それをもとにして税務行政というものをやらしておるのであります。これにつきましてはいろいろ
政府の方でも言い分はありまし
ようけれども、現実的にそういうやり方をやつている以上は、税法
通りに
課税すればこうなるということが理論的に出て参りましても、現実に
納税者の頭にかかつて来る
税金は、それでは説明できないわけであります。現在
政府はそういうふうに、一方では税法面ではこういうふうに
減税になる。農業所得の場合には、三分の一くらい
減税になるというふうに
言つておりますけれども、片一方では所得は増加する、税務署の見込む所得は増加するから、税收の面ではその
減税にならないということを
言つております。この点につきましていろいろ問題があると思います。
政府がどういうふうな見通しのもとに、現在のこの個人事業所得が増加するという見積りを立てているか。これについても問題があります。先ほどの
国会において平田主税局長は、農林水産業
関係においては一六%昨年度よりも所得増の見積りをしておる。
営業関係においては二〇%増の見積りをしておる。こういうふうに答弁しておる
ように新聞で拝見いたしました。ところが
政府が
発表しております
国民所得の面から見ますると、農林水産業
関係の
国民所得は〇八%の増に
なつております。それから
営業関係におきましては一二・二%の増しか計上されておりません。
従つて政府が農林水産業
関係において、一六%の所得増と見、
営業関係において二〇%の所得増と見た点について
政府の方に
資料はあります。物価の騰貴歩合、生産の増加歩合という
ようなものが出ておりますけれども、
しかしながらこの問題についても、
国民所得の
計算とどういうわけで違うかという点についても問題がありますし、またさらにこういうひ
とつの見積り、はたしてこれを基準にして今までの
ような税務行政をやることが正しいかどうかということも、非常に大きな問題に
なつて参ります。それから
政府は、こういうふうに一応
予算を組んで、これから新しい税制で税務行政をやるわけでありますけれども、そのときにも問題になりますのは、一体
政府はこの宵色申告
制度に対して、どの
ような熱意を持つておるか。これは先ほどから
公述人の方からも御
意見がありましたが、大体
政府は熱を持つていない
ようであります。これは
納税者の
方々がすぐにぴんと来ることでありまして、われわれはそういうふうな
納税者と接触する機会を非常にたくさん持つ
ようになりましたので、よくいろいろわかりますが、それによりますと、どうも税務署はあんまり青色申告をしてもらつては困るのではないかというふうな
納税者の声もあります。税務署へ行つて聞くと、あまり宵色申告をよけい出し過ぎると、税務署の手が足りなくて実際それは処理しきれないから困るのだ。こういうふうな感じを持つている税務官吏もあるがどうですかと
言つて、私どもの方に聞きに来る人もあります。こういうふうな感じを抱かせるほど現在の税務官庁は、この青色申告
納税制度については熱を持つておらないということは事実であります。
従つて現在非常に大きな変革を行いますこの
所得税におきましては、
シャウプ勧告では現在の税務行政が充実し徴税機構が拡充強化され、そして
納税者の協力を得られる見通しがなければ、こういうふうな
所得税制度も実施できないだろうということを報告書に
言つております。しかも今までの進行状況は、大体形だけの
勧告が今から実施され
ようとしておるわけであります。この点につきましても御
研究、御討議を願いたいと思うわけであります。
それからその次の問題は、今回の
シャウプ勧告による税制体系というものが、
国税におきましては大体
所得税を
中心とする
ようにできておる。と申しますのは
法人税におきましても、
法人税に対する考え方をころつとかえまして、これは所得の先取りである、こういうふうな考え方を取入れております。
従つて直接税全体が
所得税におぶさつているというふうな体系であります。この考え方がいいかどうかという点につきましては、
井藤先生からも御
意見がありましたけれども、私もこれについては反対であります。と申しますのは、
一つは理論的な問題と、もう
一つは税務行政上の問題から
言つてこれのしりがやはり力の弱いものにかぶさつて来るというおそれがあります。
まだ第一の理論的な問題からいたしますと、現在
法人に対する考え方は、現行では
一つの独立の企業体として
一つの独立の人格を認めてこれに
課税するという式であります。ところが
勧告ではそうではなくて、
法人というものは事業を遂行するために集ま
つた個人の集合体である。
従つてこれに対する
課税は、あくまでもその集合した個人に分解して
課税すべきであるという見解を
とつておる
ようであります。この点は、会社というものをいろいろ
研究してみると、いろいろ性質の会社があります。なるほどこのシャゥプ
勧告にもあります
ように、事業を遂行するために
資本を出し、いろいろな
意味で強力なほんとうの
意味の事業協同体もあります。この一番いい例は企業協同組合あるいは有限会社の中の企業合同によつてできたもの、こういうものはその
通りであります。それから次には、脱税を目的とした同族会社があります。これも御承知の
通りであります。それからその次には、そういう立場を全然離れて、
一つの巨大な勢力があつて、その周囲にただ軍にその配当を日当にして
資本を出して行くところの大きな独占
資本、こういう
ような三種類の会社があるのではないかと考えます。これに対して一律に同じ
ような観点からながめるということはどうであろうか。理論的にこういうふうに考えます。と申しますのは、このうちで特に問題になるのは、今後の税
負担の上で一番能力のあるこういう独占
資本に対する
課税が、これで抜けてしまうわけであります。なるほどこういう独占
資本においても、結局はその所得というものは理論的には、あるいは法律的には株主に分配されるわけであります。
しかしながら現在のその大きな会社の運覚をながめてみると、決して会社の利益はそのまま株主に返るものではありません。また株主もそういうことを目当にはしていない。ただ單に現在、ほかに貸家に投資するとか、あるいは金貸しをするとか、そういうものと比べて株に投資したらどうかというふうな
計算で投資しているにすぎない。あるいはこの株の
大衆化ということは、広く考えると
大衆の資金を集めて、こういう
一つの大きな企業体が別個の
一つの独立した立場で、巨大な利潤をあげて行というふうな性質を持つているわけであります。
従つてそういうこの大きな会社の支配権を握つておるものと、小さな
大衆の持つている株式というものの作用は全然性質が違いましてこれを一律に見
ようとするところに大きな矛盾があります。そうしてこの矛盾は、さらに税務行政上におきましてもいろいろ困難な問題を惹起いたします。こういう
一つの大きな企業になりますと、それだけで大きな信用があります。
従つてこの前も問題になりました三菱化成の九億円の脱税問題にいたしましても、あれが非常に早い期間に完納されたということが新聞にも報道されております
ように、こういう大きい会社になりますと、巨大な信用をもちまして
税金を容易に支拂うだけの能力を持つております。つまり税務行政上から
言つて、これらは非常に容易に
税金がとれるわけであります。ところがこれを株主に分解して、はたして九億円の
税金がとれるかと言うと決してとれない。だからこういうふうに会社を個人に分解するということは、
税金をとれなくすることであります。
従つてそういうふうなとれない
税金はどこへ来るかといえば、結局力の弱いものにかかつて来ると言わざるを得ないのであります。これが今度の
法人税に対する考え方の変化、これに対してわれわれの反対する
理由であります。
その次の問題といたしましては、
シャウプ勧告ではいろいろ網の目の
ように脱税の抜け道を防ぐ
ような
方法を講じております。たとえて申しますと
富裕税という考え方も、
税金をとるのが目的でなくして、むしろこれは脱税の穴を防ぐというのが目的でもある
ようであります。あるいはまたさらに考えると、これは
所得税の最高税率を五五%にした
一つの言訳として、こういうものをこしらえた
ようにも受取れます。この問題については、われわれは
富裕税があつても、しかもなお五五%で最高税率を打切
つたということについては反対であります。と申しますのは、現在の周額所得というものの性質と、
富裕税の対象になる
ような財産というものとの関連があまりない。つまり
富裕税でもつてこの最高税率を打切
つたということの補完にはならないという
ように、われわれは考えおるのであります。現在長者番付その他に現われております高額所得者――どういう性質のものが現在高額所得をあげておるかということを見た場合に、そういう人々に対して、はたして最高税率を打切つて、そのかわりに
富裕税でとれるかどうかということが判断つくだろうと思います。
従つてわれわれは、こういう最近ここ二、三年現われている
ような高額所得者に対しては、もつと税率を上げて
税金をとるべきが当然であるというふうに考えるのであります。
それからその次の問題は、さきに申しました
ように、脱税に対するいろいろな抜け穴を防ぐ方策が今
勧告されております。これに対して
政府はあまり熱を入れていない
ようであります。いわばいやいやながら熱を入れておる
ようなかつこうであります。まず第一には、無記名定期預金の廃止ということが
勧告されております。これについて
政府は大体みこしをあげまして、九月一ぱいでこれを打切る
ような対策を講ずる
ようであります。
しかしながらこれはそのほかの脱税の拔け道も同時にやらなければ効果のないことでありまして、これがなされないと、一方でふさいだ穴がそれで阻止できても、そのはけ品が他の口から逃げてしまう、こういう心配あるわけであります。その
一つの心配がもうすでに出ております。と申しますのは、有価証券の名義書きかえという問題であります。現在一番大きな脱税の道というのは、
一つには無記名定期預金その他の架室名義の預金へ逃げる道と、もう
一つは白紙委任状付で株券を持つことによつてうまく脱税してしまう道であります。この点につきましては、先ほど申しました大会社に対する
法人税の性格をかえたことの反対意免にも照応いたしますが、現在の株式というものが利潤証券ではなくして財産隠匿証券である、こういうふうな表現が先般産業経済新聞の証券欄にも出ておりました。つまり現在の株主というのは配当なんか目当にせずに、財産隠匿のために株を持つておるのだからこの穴をふさがれるとその株券はたちまち売り拂われて、たんすの中に入つてしまうだろうというふうな
意見が出ておりました。これは大体証券業者の立場からものを見ておるのではないかと思いますが、そういうふうに現在の株式というものが財産隠匿証券であるという性格を持つておる。そういう拔け道に対する
政府の措置はどうかというと、非常に緩慢でありまして大体今年中にはこれが実施できない
ような見通しであります。そういたしますと、せつかく片一方の方で無記名預金に対する措置を完了しても、その抜け道をふさがれた脱税の
資産が、今度はどこに行くかというと結局株式へ向うかもしれない。こういうおそれが多分にあるわけであります。
従つてわれわれとしてはこういうふうな脱税を懲激する
ような非常に手ぬかりのある措置に対しては、もつとわれわれとして注意を拂う必要がある、こういうふうに考えるわけであります。
そのほかもう
一つの問題は、外人に対する
課税の問題が、先ほど委員の方から御質問が出ましたが、この問題についても私が
一つ思い起すことは、
昭和二十三年の一月ころに外人記者クラブへ呼ばれまして、この申告
納税制度の点についていろいろ外人記者を相手に討論会がありまして、そのときに現在の池田大蔵大臣と私と、シャベルというGHQの方と三人で討論をいたしましたが、そのあとで、外人記者が
日本の税制についてどういう質問をしたかというと、現在
日本は独立国でありながら、第三国人その他に対する
課税が非常に手ぬるいではないか。町のいろいろな
意見を聞くと、同じ
ように商売をしておつても、片一方で
税金を拂い片一方で
税金を拂わなければ競争にならないという
意見があるが、それについて池田さんはどういう考えがあるかというふうな質問がありました。このときに池田さんは、いろいろな事情があつて十分な
課税ができないという苦しい答弁をしておりましたけれども、今後やはり外人に対する
課税としては、われわれ愼重に考えなければならない問題が出て来るのではないかと考えます。それは同じ
ように
営業をやつておりましても、現在脱税しておりますところは、その脱税による
一つの大きな力によつて非常に好成績をあげておる実例があります。これは現実に私どもも非常に痛感しておることでありますけれども、脱税によつて得た預金を担保にしてどんどん支拂いをよくすれば、幾らでも安い下請業者がある。そうやつて非常に大きな利潤をあげておる会社をながめましたがそれと同じ
ような問題がやはり税に対する差別問題について、起つて来るわけではないかというふうな気がいたします。現在のわが国におきましては、特に重要な産業については、重要物産製造事業に対する
免税という法律もありまして、特にわが国の産業の大きな事業につきましては、こういう面からの
免税手段も残されておるにもかかわらず、外資が半分以上入
つた会社については特別の恩典を與えるとか、いろいろな点がありますが、そうすればやはり同じ
ようにやつておれば、
税金の面からとうてい太刀打ちができない。正直な会社にハンディキャップを加えるというふうな問題が起つて参ります。現在外人の会社はどういうふうな申告をやつておるかという状態を二、三ながめてみますと、神戸のあるイギリス系の会社におきましては、これはもう合法的にあまり
税金のかからない
ような手段を使つておる
ような傾向があります。と申しますのは特許使用料とか、その他そういう
ような名義でどんどん利益金が出て行けば、それだけで
税金がかからなく
なつてしまう。こういう
ように今後いろいろわが国の産業全体に
とつて、非常に大弐な問題がこの外資導入についてまわると思います。そういう
意味からわれわれとしては、もつとわが国全体の将来ということをながめて、愼重にこの問題を討議していただきたいと思います。
それでこの税制全般についての
意見として、特にわれわれの気をつけなければならないのは、理論的にどうこうという問題は、この税制の問題についてあまり役に立たない問題であります。やはりこの税制というものは、
一つの大きな経済政策に浩つて出て来る問題です。この経済政策全体に対するところの考え方によつてよくもなり、悪くも批判されるわけであります。現在のシヤウプ
勧告というものが、一応ドツジ・ラインと呼ばれておるところの政策に沿つて立案されたものであるということは、われわれの想像するところでありますけれども、ドツジ
予算が実施されてからわれわれの
国民生活がどう
なつで来るかということを、われわれ止して検討する必要があると思います。昨年の暮れに関西経済連合会が実施いたしました輿論調査によりますと、これはそこの職員が一々面接して当
つたのでありますけれども、それによりますと、昨年の暮れは一昨年の暮れに比べて生活が苦しいと答弁した人々が、公務員の中では大体七七%、職工は八三・五%、これに対して会社の重役では大体一七%であつて、会社軍役の六六%は去年は一昨年よりも楽であ
つた、こういう答弁をしておる。ここに会社軍役などと公務員あるいは職工というものの生活に及ぼす影響か、はつきりと言われておる
ように思います。こういうふうに現在のこのドツジ
予算によつてわれわれの
国民生活というものは大きな変化を遂げつつあるわけであります。
従つてわれわれはとれに対する批判としては、どうしてもこういう行き方がよいのかという、もつと大きな観点からながめる必要がとざいます。いろいろ申し上げたいここもございますが、時間もございませんので、一応この辺で終りたいと思います。