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1950-04-25 第7回国会 衆議院 大蔵委員会決算委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十五日(火曜日)     午後一時三十七分開議  出席委員   大蔵委員会    委員長 川野 芳滿君    理事 岡野 清豪君 理事 大上  司君    理事 小山 長規君 理事 島村 一郎君    理事 内藤 友明君       大内 一郎君    甲木  保君       苫米地英俊君    河田 賢治君   決算委員会    理事 大上  司君 理事 川端 佳夫君    理事 高塩 三郎君 理事 田中 角榮君    理事 藤枝 泉介君 理事 井之口政雄君       瀬戸山三男君    前田榮之助君  出席国務大臣         農 林 大 臣 森 幸太郎君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一郎君  委員外出席者         会計検査院事務         総長      東谷傳次郎君         大蔵委員会專門         員       椎木 文也君         大蔵委員会專門         員       黒田 久太君         決算委員会專門         員       大久保忠文君         決算委員会專門         員       岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した事件  予算執行職員等責任に関する法律案内閣提  出第一七五号)     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより大蔵委員会決算委員会連合審査会を開会いたします。議案の審査に入る前にちよつと御了解を求めておきまするが、本日の委員長の職務は主管委員会委員長たる私が勤めさせていただきます。  それではこれから予算執行職員等責任に関する法律案を議題として審査に入ります。質疑に入ります。田中角榮君。
  3. 田中角榮

    田中(角)委員 予算執行職員等責任に関する法律案に対して当局意見をただしたいと思います。  決算委員会におきましては本法律案に対してまだ十分審査行つておりませんが、過日決算に関連する重要なる法律案であるというようなゆえをもちまして、大蔵当局出席を求め、提案理由説明を聽取いたしたのでありまするが、私は逐條の御質問を申し上げる前に本法律案に対する総括的なる御意見をまず承りたいと思うのであります。国費支出に当つておりまする出納官弁償法ともいうべき本法律案が会期末になつて提案されたのでありまするが、この法律案を見まするときに非常に新しい性格を持つた、新しい感覚の上に立つた法律案であるということが感じられるのであります。もちろん国費支出の面に対していろいろな事件が惹起せられておりまする現在、出納官弁償法ともいうがごときこの種法律案が提案せられなければならない必要性は十分考えておるのであります。しかしでき得るならば、このような法律案を出さなくても、支出適正が期し得るような方途が別に講ぜられないかどうかということを私は考えておるのであります。この法律案目的とするところは十分了解せられるのでありまするが、非常にむずかしい法律案であるということを感じております。法律案目的とするところは十分わかりながら、これを実際に行つた場合、この法律案條文から看取できないところの、いろいろな現実的なる隘路が生れて、この法律案目的達成がはたして真にできるであろうかということをまず第一に感ずるのであります。その意味で、この法律案審議することは非常に重要であるというふうに考えております。ちようど政府支出適正をはかろうとするために、法律百七十一号が前の財政金融委員会審議を経て生れたのでありまするが、あの法律案もちようどこの法律案と同じように、法律案目的とするところは非常にはつきりしておるのでありましていい法律であつたのでありますが、あの法律施行後において、あの法律案ではほとんど看取できなかつたところのいろいろの現実的隘路にぶつかつて、あの法律案目的を達成することができなかつたというような現実に徴しましても、それと同じような感覚のもとにつくられるこの法律案に対しては、公布された後の状態に対しても、あらかじめ十分考えておき、かつ調査を進めておく必要がある。そうしてこれが実際の法律として公布せられた場合、本法律案の持つところの諸目的が十分に達せられるように考えなければなりません。こういうふうに考えるのであります。  まず第一番目にこの法律案法律として公布する場合、直感的に考えられることは、間違つて支出をした場合罰則がある。しかも罰則だけではなく、弁償義務があるということでありますので、出納官が非常に恐怖するのではないか。支出というものに対して、いわゆるでたらめという面をとり除くためには、この法律案は非常にいい法律案ではありますが、正常に支出しなければならない部面の支出に対してさえも、この法律があるためにもう一応再検討する、これはいいことではありますが、慎重に慎重を重ねる結果、予算執行支出ということが非常に緩慢になるのではないかということを考えられるのであります。法律百七十一号が公布せられてから、じきに政府支払い促進法律案を出さなければならなかつたというようなことであるのでありまして、さなきだに支出というものが非常に遅れておる現在、なおこの法律案によりまして、現在の二倍、三倍、というふうに遅れるのではないかということを考えておるのでありますが、まず端的にこの問題に対して、会計検査院並び提案者はどう考えておるかということが一つであります。  もう一つ疑義の生ずるようなものに対しては、全部会計検査院事前審査を得ることになつておるのでありますが、これは非常に厖大なものになると思います。当然疑義のあるものというのは、会計検査院決算会計監査を行うときに、必要な事項として記載せられるような部類のものでありますので、事前会計検査院指示を仰ぐということは、適宜の処置ではあると思うのでありますが、今までの予算執行状況を見ておりますときに、一時違法であつても、決算の確定する時期までには、それが全部整理をせられて、また法律的な裏づけも、時間的には遅れますが、大体ついて適正化せ心められて決算が確定をするということもあわ得るのであります。     〔委員長退席大上委員長代理着席〕  こういうものも全部今度事前審査になるという場合、はたして現在の会計検査院機能で、これを行うことができるかできないかという現実面の問題に対しての会計検査院意見、これが第二点であります。  第三は、これも本法案に対してただ逐條に入らずして、端的に申し上げまするが、会計検査院に対してこういうふうな事前審査を求めて来た場合、会計検査院は、事務渋滞を来さないように、ある限られた事実、すなわち各省支出官から事前審査を要求せられた場合、そのイエスノーに対しては、一週間、ないし十日間、二週間等の日を限らなければならないという問題が当然起きて来るだろうと思います。その場合会計検査院はそれを行い、特にイエスノーに対しては、会計検査院が今度は責任を負うのでありますから、現在の機能で、はたして渋滞を来さないという原則守つて指示を的確に行い得るかどうかということに対して、まず意見を徴したいと思います。
  4. 東谷傳次郎

    東谷説明員 ただいまの御質問でありまするが、その前に本法律案に対する私ども考えを一応申し上げておきたいと存じます。  ただいまもお話がございましたように、会計検査院検査を年々歳々いたしておるのでありまするが、不当事項が非常にたくさんに上つておるのであります。しかもそれが年々ふえて来る傾向にあるのは非常に遺憾に思つておるのであります。会計検査院検査をいたしまして、不当事項であるとして決算検査報告に掲げましたものが、二十三年度で六百余件ありますし、その前の年の二十二年度で申し上げますと、二百余件あるのであります。その前の年の二十一年度は百余件というふうになつておるのでありまするが、そのほかに検査報告に掲げないで、会計検査院で不当としておるものも相当たくさんあるのであります。  一応検査報告のことを申し上げておきまするが、検査報告に掲げますものは、歳入関係で申し上げますると、十万円以上ぐらいの不当なものを扱つており、歳出で申しますと、あるものは五十万円で切り、あるものは十万円くらいで切りましてそれ以下のものが一掲げてないという実情であるのであります。でありますから、相当件数に上るということは御了承おきを願いたいと思うのであります。さようなわけでございまするので、決算委員会などにおきましても、よく意見を拝聴いたしておるのでありまするが、こういう不当事項が多く、国に損害を与えたものが多いのでは困る、何とか弁償責任の確立は考えられないかというような御意見を前々拝聴いたしておつたのでありますが、今回それが実を結んだという形になつておるのでありまして、理論としてはたいへんけつこうな法律であると思うのであります。従来金の出し入れをする面におきましては出納官吏でありますが、それに対しては弁償責任というものが課せられておりまして、それの検定会計検査院がいたしておつたのであります。ここに掲げてありまするものは、御承知のように支出官その他でございます。それでなぜ不当事項が年々歳々多いかということでありまするが、これは御承知でもありましようが、会計法規財政法規というものがあるにもかかわらず、これを守らない面が非常にたくさんある。むしろ会計法規とか、財政法規を軽視する傾きすらあるように思われるのであります。他面、国会で慎重審議されましたあげくできました予算執行でありますが、予算執行についても批議すべき点が相当たくさんあるのであります。予算が通れば、これは使わなければ腕がないのだというようなことで、予算で定められた以外の目的にも使うようなことがあるのでありまして、不当事項は非常にたくさんに上るのであります。  もう一つは、私としてはどうも、会計官吏血税行方、血のかたまわの行方を見定めるといいますか、血のかたまりを自分たちが使うのだという観念が薄いような感じがいたすのであります。また私ども検査いたしてみますと、責任者が何人であるかということがわかつておらぬようでありまして事実これが非常にあいまい模糊としておるのであります。  そこで、今度の法律を見ますと、第一に目的が掲げてあるのでありますが、予算執行職員責任を明確にするということが掲げてあるのでありまして、まことにけつこうなことだと存ずるのであります。なお会計検査院が今まで検査をいたしておると同じ目的が、やはり第一條に掲げてあるのでありまして、国の予算執行適正化をはかるというのは、ただいまの会計検査院法にも揚げてあるところでありまして、適正を期し、是正をはかるということに、会計検査院の目標は定められておるのであります。かようなわけでありまして全体的にはこの法案に、会計検査院はこれを立案したのではありませんけれども、賛意を表しておるのであります。そういたしまして、見方によりますと、あるいはこのものずばりが、予算執行職員責任に関する法律案とありますけれども内容会計検査院権限法そのものであると私は考えておるようなわけであります。  ただいまの御質問でありましたが、会計検査院がこういつた予算執行職員弁償責任検定するというふうになると、その弁償責任検定が非常にたくさんあるので、おそくならぬかということでございます。これは事前審査の場合と一緒にしてお答えしたいと思うのでありますが、この法律條文を見ますと、事前審査規定がございまして、支出行為をし、契約をする場合において、事前会計検査院意見を聞きまして、会計検査院意見従つてこれを実行する。その意見従つて実行した場合は、会計検査院からあとからその文句は受けないという法文に相なつておるのでありますが、これは私どもが予想するところでは、この法律が出るということを聞かれまして、各省各庁の会計職員は、実は言葉が少し行き過ぎるかもわかりませんが、ふるえ上つておるようなわけでございますので、おそらくは、この事前審査規定によりまして、会計検査院意見を求めて来られる案件は相当件数に上ると思うのであります。それでありまして、しかも支出の前、契約の前でありますから、会計検査院審査意見の表示どいうものは、ただいまやつておりますような、検査事後にやるといつたようなこととは違いまして、急速を要することだと存ぜらるるのでありますので、この法律が通りましたあかつきにおきまして、相当に来まする意見表示照会に対しましては、極力会計検査院といたしましては早い期間に、十日も二十日もかかるということなしに、即日、あるいは二、三日、長くも一週間の範囲において回答をしなければならないという心組みでおりますが、ただいまの会計検査院機構職員をもつてしては、現状検査範囲のものをやつて行くのにも手が足らないような状態でありますので、この法律執行して行きます上において、特に事前審査などのことを早急にさばいて行くという場合におきましては、人手を新たにお認め願わなければならぬのじやないか、こういうふうに考えているような次第であります。  それから、先ほどの期日を切られて回答しろというような事前照会事前審査があつた場合、それに応じ切れるかというようなお話もあつたのでありますが、ただいまの態勢そのものでは、危惧の念は抱いているのでありますが、この法案の実行につきましては、いずれ政府とよく協議をいたしまして、人員を相当に増加して行かなければならない、こういうように考えている次第であります。
  5. 田中角榮

    田中(角)委員 逐條に対してのいろいろな質問がたくさんありますが、私が先ほど申し上げましたように、この法律案に対して、まず原則論からお聞きしたいということを申し上げたのでありますから、もう少し原則的なことを承りたいと思います。  決算委員会といたしましては、決算報告を受けて審議をいたしているのでありますが、申し上げるまでもなく、一年前、二年前というものが出て参りますので、熱も入らず、現状のままになつているのでありますが、とにかく現在国の予算執行という面に対しては、いろいろな物議かもされていることは御承知の通りであります。現在公法人であるところの各種公団のいわゆる不正な経理内容というものに対しましても、これが予算執行適正化に対しては、あらゆる努力を払つておられるのでありましようが、現実に、まことに憂慮すべき事態を惹起しているのであります。大体こういう問題が起るからこそ予算執行職員等責任に関する法律案というものを出されているのでありますし、かつまたその必要が十分あるのでありますが、現在までに国の支出に不当があつたということは、常に事後においてこれが発見せられるのでありまして、これが事前に防止されたということはほとんどないようでありますが、憲法規定するところ、会計検査院が当然国会に対して決算に対する責任を負うと同時に、この種の不当支出に対する予防的な監査を行わなければならないというふうに考えているのでありますが、現在の会計検査院機能、組織その他においては、それを阻止するにはあまりにも貧弱であるというような感も、われわれ自身持つているのであります。これは当然会計検査院機構を拡大充実し、その目的を達成せしめなければならないと考えております。ところが政府は現在経済調査庁法の一部を改正して、各種公団の業務の監査及び経理監査行つてつた上に、さらに加えて特別調達庁その旭の官庁の経理監査をも行おうとさえしているのでありますが、私はこういう問題より、憲法規定せられているところの重要なる責任を持つ会計検査院がこれを行うことを規定せられているのでありますから、できるならば私は現在の経済調査庁というがごときものの機構も全部会計検査院に合併せられて、万全を期する方がよいのではないかということを考えております。その意味で、経済調査庁各種公法人等に対しては当然その保有物資等調査行つており、経理検査まで毎つてつたのでありますが、その実績を上げることができなくして今日の段階に至つております。その意味で、あのような国費不当支出行つた原因は、会計検査院機能が弱小であつたからか、それともこれを予防するような目途をもつて設置せられた経済調査庁ないしこの種機関の力がなかつたりか。なおかつ第三には、執行職員が根本的に腐敗堕落しておつたがゆえであるか。私はこの問題に対する責任というものを明らかにしておかなければ、こういう法律案を出すだけによつて解決し得るものではない、こう考えておるのですが、現在起つておりますこの種の問題の責任は一体どこにあるのか。このようにならなければならない隘路は一体どこにあるのかということを、会計検査院並び大蔵省局長さん、がお見えになつておりますから、伺いたいと思います。
  6. 河野一之

    河野(一)政府委員 田中さんにお答え申し上げます。会計責任行政責任というものが縦横の関係で組み合さつた関係になつておりまして、会計責任あるいは人事の責任のみ坂上げてこの方面から見るのも一つ考え方でありますし、また行政責任の方から会計執行という面を見て行くというのも一つの行き方であろうかと思うのであります。これはどつちがどつぢということでなしに、相関連した問題でありまして、会計検査院の方におかれましては、会計の面からいろいろな点を見て行かれる。行政調査庁方面におきましては、その行政執行がどうであるか、そして行政のやり方がいいか悪いか、それがひいて会計の面にも及んで行くというような関係に相なつておるわけであります。そういつた意味で、ただ今までのところ会計責任というものについてとかく軽んぜられるといつた傾きがありましたので、今回のような法律案を御審議願うわけでありますが、今回のごとき公団の不正というような問題につきましては、この会計責任がどういうふうになるのかという問題であります。公団は御承知のように、各公団法によりまして設立せられておりまして、これは行政機関ということになつておるのでありますが、この公団につきましては、一応全般的には経済安定本部行政の面において監督をせられておるわけであります。それから個々の行政実体につきましては、各省大臣がやられております。会計の面におきましては、これはいろいろ公団法にも規定がございますが、定款に会計に関する規定を定め、あるいは行政部内において定められました行政上の部署と、合計に関するものは大蔵大臣協議によつて認可をいたすようなかつこうになつておるわけであります。従いまして、大蔵大臣といたしましては、会計の全般的な総括責任者という意味におきましては監督しているということになつておりますが、実体はその合計規定その他にあるのでありまして、一般に言われるような会計法適用を受けているわけではありません。これは公団特殊事情でありまして、ことに身分的な監督権を持つているわけではないのであります。これはその他の各省行政会計に関することはおのおのの省において監督し、また会計全体の総括的な監督大蔵省がやつておる、こういうような関係になつておるわけであります。
  7. 田中角榮

    田中(角)委員 ただいまの御説明を承つておりますと、その責任の分限は明らかにならないようでありますが、私はこういう法律案を出した場合、この法律案を出すことは現在よりもより国支出というものが適正に行えるということだけは認めるのでありますが、これをもつてあらゆる支出適正ということがはかり得るか得ないかということはむずかしいと考えておるのであります。先ほども申し上げましたように、法律百七十一号と同じことで、目的は非常にいいのですが、現実的になかなかうまく行かないだろう。それでも現在の場合ではこういうものを出さなければどうにもならない。ただこれが、この法律案を出すことによつて全部解決できるというような国民感情に対して一枚かぶせるというごとき法律であるならば出す必要はない。現存非常に論議をせられるところのこの公法人等に対する適正を欠いた支出は、私が申し上げるまでもなく、とにかく血税行方であるということから考えて、なおかつ現在すでに公団というものは廃止になるのだから、もう使いほうだいであるというがごときことが言われているならば、この原因はどこまでも糾明せられなければならぬものであり、そしてこの諸法案審議する以上、今までいかにしてこの不正が排除防遇できなかつたかという根本的なものを糾明して、そのあらゆる隘路を取除けるような法律案をわれわれは審議いたしたい、こういうふうに考えているわけであります。これは私の意見でありますので、いろいろな立場で、責任の所在ということになるとなかなか御確答を得られないのかもわかりませんが、この諸法案審議する委員会である大蔵委員会並び決算委員会等においては、当然こういう隘路は十分糾明せられ、そして本法案法律になる場合は、十分その険路を取入れて法律として公務をせしめるだけの熱意を持たなければならないことを総括的に考えているわけであります。  逐條的だ少し伺いたいのでありますが、この法律案は大ざつばに見まして、不正の支出行つてから三箇年以上過ぎたものは時効ということがあるのですが、現在この法律案執行する以上、現在から十年たつたら十年前の公法人に対するものなどに対しては当然この法律適用することが必要だと思うのですが、いかがでありましようか。今国会に対して通らずして来国会に通るということであつたならば、昭和二十二年度、二十一年度等の公法人責任は全部わからなくなつてしまうということが一つあります。しかも私たちもいろいろ御説明を聴取したのでありますが、木炭特別会計等においては二十一年度のものを二十二年度に繰越し、二十二年度のものを二十三年度に繰越し、かつ二十二年度の決算がすでに確定した場合は、二十四年度に繰越すというような問題が起きて来るのですが、こういう問題は同執行年度においてその責任が当然明らかにせられなければならない。もつともこの法律案によつて責任を負う、いわゆる弁償義務を負うという点からこの法律案を提案せられているものと思いますが、そこまでお考えになるかどうかを承りたいと思います。
  8. 河野一之

    河野(一)政府委員 この予算執行職員責任に関する法律が過表のものに適用あるかどうかということでありますが、こういう法律の性質といたしまして遡及するのはいかがかと思います。ただし今まで問題になりました、公団あるいは薪炭会計にはあるかも存じませんが、そういつた問題について、これを行政責任としてどういうふうに追究して行くかという問題は、これはまた別個の問題でありまして、これはあくまでやらねばならないものであります。この法律にあるものにつきましては、予算執行によつて国損害を与えたような場合に、会計検査院が乗り出して行つて弁償をする義務があるという判定をやるということで、この法律執行をやりたいという  ことが主眼でありまして、過去のものにつきまして、あるいは犯罪でありますならば、当然各刑罰法適用があるのであります。また現金の亡失その他については現行の会計規定があるのでありまして、そういう方面適用がこの法律適用と同時にあることは当然だと考えております。
  9. 田中角榮

    田中(角)委員 この法律案によりますと、国の支出責任者、すなわち出納官に対してはこの法律適用せられるのでありますが、歳入徴收官に対しても当然適用さるべきだし思うのでありますが、これに対しての大蔵省意見はどうでありましようか。もちろん申し上げるまでもなく、現金支払つて国に損失を与えた者は、補填の責めに任じなければならぬと規定しておりながら、国の物件を売り渡す、すなわち現金を支払つたと同じものでありながら、この責めをまぬがれるということは不当である、かように考えるのですが、いかがでありましようか。
  10. 河野一之

    河野(一)政府委員 非常にごもつともな御質問なのであります。予算執行範囲をどの程度のところに限定するかという問題にもなつて来るわけでありまして、歳入の徴收も予算執行でありますので、歳入徴收官を入れるというのも一つのお考えであろうと思います。ただ現在の段階におきまして、この責任をどの程度のところにとどめるのが適当であろうかどうかという考慮になるのでありまして、ことに弊害の多かつたものからやるというような考慮も考えられます予算執行と申しましても、これも一種の行政執行でありまして、たとえば許可、認可というようなものが適正でなかつたという場合に、その関係職員責任を問うというようなことも、一つ考え方であるわけであります。それに先立つて予算執行面だけをまず考えて行こうという意味で、こういう法律案をつくつた次第であります。歳入徴收官ということになりますと、歳入徴收官範囲をどう考えるかということもございます。ことに租税の賦課が適当であつたか適当でなかつたかというような点になりますと、税法というものが、法規裁量であるか、自由裁量であるか、そういうような点にも関連して参りますし、どの程度のところまでが責任を負うべきものであるか、そういう点をいま少し研究いたしまして次の機会において考えてみたい、こう考えておる次第であります。
  11. 田中角榮

    田中(角)委員 ただいまの御答弁で大体納得はするのでありますが、出納官に対する弁償法をつくつた以上、出納官というものの解釈、すなわち定義には、歳入徴收官を入れることが至当であると私の意見を申し述べておきます。ただいまの御説明の中で、租税歳入徴收官云々とありましたが、これはもちろん法規裁量官でありまして、これは当然除く。私の言つておりますところは、国有物件を払い下げる、すなわち国有財産を払い下げながら、その徴收が遅れておる。特に私が深く感じておらますのは、各種公団、それから私が前に廃止法案を取扱つたものの中で住宅営団があるのでありますが、この払下げというものは、今にして言うのはもうすでに時期を失しておりますので、あえてこの問題にあまり触れたくはないのでありますが、現在この法律案法律になり、これがいわゆる歳入徴收官、物件払下げの担当者に適用されたならば、あのような赤字は絶対出なかつたということを一言申し上げれば、当然おわかりになるだろうと思います。しかも国有財産を払い下げながら、最後の決算において赤字を出しておるがごとき状態であるならば、本法律案は当然適用すべきである、こういうふうに私は考えております。  第二点といたしまして、閣議決定またほ各省大臣の決定によつて国損害を及ぼしたということも当然あるのでありますが、その場合予算執行職員が、本法の第九條によつて大臣に責任を転嫁したときは、各省大臣会計検査院の、いわゆる弁償という判決と申しますか、その意見に従わなければならないかどうかという問題を承りたいと思います。もちろんこれは会計検査院検査が適当であると認定せられた場合でありますが、この会計検査院の認定というものを、現在の状態では、いわゆる適当であると認定する以外にないのでありますが、その認定があつた場合どうかという問題であります。
  12. 河野一之

    河野(一)政府委員 会計法規の解釈は、これは会計検査院が全部おきめになるというわけでなしに、行政部内としてもおのおのの解釈を持つているわけであります。従いまして各省大臣におきまして、こういう解釈が正当であろうということでやりました場合に、会計検査院からそれに対して御意見があるということもあろうかと思いますが、実際問題といたしましては、これは会計検査院政府部内と十分連絡をとつてやるという考え方を持つておりますので、その責任について両方の解釈が違つて、非常に困つた事態を生ずるというようなことは、まずなかろう、またそういうふうに運営すべきものであろう、こういうふうに考えております。
  13. 田中角榮

    田中(角)委員 政治的な御答弁のようでありますが、こういう問題はあります。第九條において、予算執行職員が自分に責任がない、いわゆる上司の責任においてこの職務を行わなければならない、しかも事前に承認を得ているという場合には、当然閣議決定によつて支出しましたものは、その省の大臣もしくは閣議に通なつたたちが、その弁償責任を負うわけでありますが、これはどうですか。本法によると当然そういうふうになると思うのです。
  14. 河野一之

    河野(一)政府委員 法律上は負うことに相なると思います。
  15. 田中角榮

    田中(角)委員 法律上当然負うことであるならば、これは負わなくらやならぬということに断定できるわけであります。その意味でこの法律案は非常におもしろいというのであります。法律案がねらつているところはいいのですが、実際の面に立つと、こういう大きな問題にどんどんぶつかつて来る。  もう一つは、会計検査院各省大臣との意見が対立することは万あるまいと思うという御答弁でありましたが、これはどうも閣議で決定したら、閣僚が全部弁償責任に任ずる、各省大臣が省議にかけて決定したものは、それはみな負うということであれば、全参計検査院の認定に対して相当各省大臣との意見が食い違うであろうと思います。これは現実的にも拒否することのできない事態であろうと思いますが、  これに対する場合免責の議決権が国会にあるのでありまして、こういう場合も国会が介入してやるというようなことをお考えになられるかどうか。特に現在の法律の立場において、会計検査院と内閣は、これは独立した権能を持つておるのでありまして、また実際上はいろいろな談合、会議も行つてすむースに事を解決するであろうと思いますが、法律的に全然意見対立のままという場合、これを解決するの機関を設けなければならぬ、この場合はどういうふうになるでありましようか。
  16. 河野一之

    河野(一)政府委員 法の最後のとことんまで突き詰めますと、そういうような御議論もあろうかと思いますが、会計検査院行政部内の法規の解釈が違うときは、結局最高裁判所がきめるわけでありまして、そこまで行かなければきまらぬ問題だ、こういうことになろうと思います。最後的にはそうだと思いますが、これは行政部内も会計検査院も、現在いろいろな法規の解釈で、互いが対立して困つておるというような問題はないわけであります。ことに予算執行の問題におきましては、会計法規もございますが、「予算で定めるところ」ということがこの法規にもございまして、予算執行というものは、この予算国会審議を受けたその目的従つてやるという考え方でありまして、その点は、結局は予算を提出した政府側としてはこの予算の趣旨に合する、これがその通りであるという解釈をいたすわけでありますから、そういつた点は、おそらく会計検査院において、これはいかぬと言われるようなこともあるまいと思います。ただ法規の問題でありますが、今までのところ、現実に法規の面で両方が対立したというようなことは実際ないので、田中さんのおつしやる点は、あまり御心配いただかなくてもいいのではないかと思つております。
  17. 田中角榮

    田中(角)委員 法規課長と立案者でありますので、お聞きしたいのでありますが、弁償責任ありと認定せられたものでも、特段の場合、国会が免責の議決をすることができるということになつておるのでありますが、会計検査院責任があるものと認められるものに対して、いわゆる看過をしたために、責任を免れておるという問題が起きた場合、これに対して弁償を命ずるような道を、当然相対的な道として開くべきだと思うのですが、これに対して立案者はどう考えておられるか。これは私がただいまお聞きしましたように、閣議決定もしくは各省大臣責任においても、九條によつて責任を転嫁せられた場合、大臣もしくは閣議決定署名者がこの弁償の責めを負わなければならぬという法律案でありますので、そういう場合免責の議決をやろうということも考えられるのでありますが、現在の各種公法人に対する大きな過失等に対しては、国会がこれを取上げて当然追究するというものも対蹠的には考えられ、規定せられなければ片手落ちのものであつて、この法律案は使いようによつては小さなものはどんどん弁償責任を負わされる。政治力の大きなものは国会に持つて来て、免責の議決をしてもらうということになりますが、これは当然国会において免責の議決権を有せられると同時に、会計検査院が看過した事件に対して責任を糾明する権限も、この中に規定しなければならぬと思うのですが、いかがでしようか。
  18. 河野一之

    河野(一)政府委員 これはそういう御議論も一応あるわけでございますが、会計検査院行政府でありますけれども、一種の独立しだ機関であります。従つて公正な立場においてやられるわけでありまして、これについて見のがしたというような場合におきましては、会計検査院内部において帰一してやられるというのが正当で一他の機関においてこの非違を糾弾するというのは、これは少し行き過ぎではないかというふうに考えまして、特にその規定を入れなかつたわけであります。会計検査院の自律的な秩序によつて、これをやつていただくというふうに考えておるわけであります。
  19. 大上司

    大上委員長代理 田中君にちよつとお尋ねいたしますが、森農林大臣がお見えになつておりますが、すぐ参議院の方におまわりになるので、質問の通告があるのですが、これを先にやらしていただくわけに行きませんか。
  20. 田中角榮

    田中(角)委員 けつこうです。
  21. 大上司

    大上委員長代理 それでは内藤友明君。
  22. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 森さんがお見えになりましたので、ちよつとお尋ねしたいと思います。今大蔵委員会におきまして、予算執行職員等責任に関する法律案審議いたしておるのでありますが、まず私どもは事実から確かめまして、この法案審議に具体的に当りたいと思うのであります。最近森さんの所管しておられます食糧庁におきまして全国的にいろいろ検察庁がお取調べになつておられる。府県の食糧事務所が今日まで調べられておるのは三十二府県まで及んでおるということを聞いておるのでありますが、ことに本省の食糧庁の主計課長までお調べてなつておられる。この問題について大臣がお知りになつておられるところをお聞かせいただきたいと思います。これは実はこの法律審議するのに具体的な事実でありますので、私どもはこういう事実が出て来たことは、法案審議のためによいとかいうことを申し上げるのではありませんが、本省と地方出先の事務所との間の関係、こういうことなどが半常に問題になつて来るのであります。この事実をまずお伺いしたいと思います。
  23. 森幸太郎

    ○森国務大臣 お答えいたします。いつごろであつたか、日ははつきり記憶しておりませんが、徳島県の食糧事務所におきまして、経理の上において疑わしいところがあるというので、地方の検察庁が調査をいたしたのであります。そうしてその内容について全国にそういうふうなことがないか、一応各府県の食糧事務所を調査したらよかろうというような検察庁の方針によりまして、調査が進められまして、当初は十四か十五と聞いておりましたが、現在二十三府県の食糧事務所について、内容調査いたしておるようであります。調査の進行中でありますから、私はこれに対して意見をさしはさむことを差控えたいと存じますが、内容は府景内における食糧の輸送関係を、地方の府県の食糧事務所長の権限にまかしてあるのでありますが、その間においていわゆるから輸送が徳島県で発見せられたという関係で、責任を負わされておるところの通運会社等も、その内容について調査が進められておるようであります。そういうふうなことが全国的にあるかどうかということを、目下各府県の事務所において、調査いたしておると承知いたしておるのであります。本省の主計課長が調べられたということは、まだ聞いておらないのであります。それは私まだ承知いたしておりません。
  24. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 あまり森さん御存じないようでありまして、あるのだけれども、その程度でのお答えなのかも存じませんが、実はこれは昨年の暮におきまして食糧庁本庁の方から各府県の食糧事務所に向いまして、何のために支出される経費であるか知りませんが、吸い上げの通牒を出された。それを受取つた府県の食糧事務所は、やはり本省の命令であるものでありますから、何とかそれを心配しなければならぬ。こういうことで、その吸い上げに応ずべく、今お話のから輸送であるとか、から出張であるとかいうふうなことを、いろいろ帳簿上、遺憾のないようにしてやられて、その吸い上げに応じた。吸い上げというのは、本庁に要する経費を各地方の食糧事務所から吸い上げてとられるのが吸い上げ通牒というのであります。そこでその吸い上げをいたされまして、それになおかつ各地方の食糧事務所では、おのれのところに必要なものをそれにプラスしてとられたということが、これは今計上間違いだということで、現に私は何県の食糧事務所の所長か存じませんが、それは少い数ではございません。相当の方々がもうすでに收容されておるということを承つております。それから現にあなたのところの主計課長も、もう何だか收容されておるかに聞いております。それから前の食糧庁の職員組合の委員長でございますが、増田さんという方でございますが、この方も調べられ、また副委員長も調べられておる。こういう事実があるのであります。これは地方の事務所長から申しますと、まことに迷惑しごくなことでありまして、本庁から吸い上げ通牒が来ましたために、多少でも本庁の点数をよくするためにそれをやつたところがいよいよそれがいけないということになつて、本庁の方はおそらくその責任は私は森さんにあると思いますが、森さんが口をぬぐつて涼しい顔をしておられる。こういうことになりますと、地方の事務所長あたりは非常に困るのじやないか。これはだんだんと事件がはつきりして来ると、いろいろなことがわかると思うのですが、こういう問題が実はあるのであります。その程度しか御存じないのならば、これはお調べいただきたいと思います。私どももいらいら手を尽してこの事件は取調べます。私ども委員会にかけております予算執行職員等責任の問題、この問題は非常に重要なことなのでありまして、もう少し知つていらつしやるのか思つてわざわざお出ましをいただいてお尋ねしたのでありますが、その程度の御答弁ならいたし方ないのであります。いずれ事情をよく知つておりまする食糧庁長官に伺つて、もつとはつきりさしてこの法案審議の参考資料にいたしたいと思うのであります。
  25. 森幸太郎

    ○森国務大臣 詳細のことは食糧庁長官がまたお答えすると思いますが、今お話の吸い上げの問題につきましては、私何のことかわからなかつたのでありまするが、それについては一応食糧庁長官から報告がありました。それは末端に活動しておる者の日額旅費と申しますか、出張手当が十円であつたそうであります。それではいかにもかわいそうだというので、六十円でしたか、そういうことに増額をいたして、その出張の日に応じてこれを支払いをする、こういうことになつたのであります。ところがそういう問題を解決するについては、中央における職員組合が非常な努力をしたので、地方だけにそういうことをやるのはあまりよすぎる。それであるからその一部分をこの食糧庁におります労組といいますか、そういう組合の指揮によつてこれを本庁の方へ、どれだけ送つたか私は知りませんが、送らすということを、今の吸い上げとおつしやつたと思うのでありまするが、そういうような経理をしておつた事実がある。それがはたして正直に出張しておつた、出動薄と日額旅費の支払いとが合致するかしないかということについては、実際調査しなければわからぬのでありますが、そういう点についての問題が起つておるということは、食糧庁長官からも報告があつたことをお答えしておきます。
  26. 田中角榮

    田中(角)委員 提案者にひとつ伺いますが、出納職員弁償金額と予算執行職員弁償金額を比べますときに、いわゆる予算執行職員の額というものはこれは非常に大きなものになる、こう思うのです。これはほとんど実際には弁償できないことになると思うのですが、どういうふうにお考えになつておりますか。これは現に私はこの前にもちよつと伺いましたように、いわゆる九條によつて責任の転嫁をし、閣議の決定並びに所管大臣に責任を問われると、所管大臣が弁償しなければならぬ額というものはこれは非常に大きい額だと思うのです。こういう額というものは、何十億、何百億というものを一体お払いできるのかできないのか、こういうことを十分に考えておかれないと、これはできない。まして予算執行職員が数十億も数百億もの金を、そうも大きくはないのでしようが、これはどういうふうにお考えになつておるか、これはお考えを聞かなくても答弁ははつきりしておるだろうと思います。私はその意味で、こういう場合はいわゆる懲戒要求、こういうふうな大きな線を一本通しておいて、今まで会計検査院の批難事項として何百件かに達しております批難事項に対する答弁書を見ると、各省会計課長が来て、十分懲戒をいたしましたというが、十分懲戒をやつておらないから二百件、三百件にもだんだんふえておる。これは一挙に懲戒免職という原則的なものを入れてその上なお追徴できるものは追徴する。こういうのが法律の案文としてもりつばだと思うのですが、そういう意味ではどうでしよう。ましてこの法文には明確になつておりませんが、現在まで非常に消極的な態度であつた会計検査院が、不当であると認めた場合、告発の責めを負うというところまで持つて行かなければならぬと思います。国会において証人、証言等に関する法律ができましたが、いわゆる証人が証言を拒否し、かつ虚偽の証言をした場合、国会は告発め責めを有する、告発をしなければならないということを国会において規定して現在それを施行しておるのでありまするが、もちろん当然違法であるというような場合に対しては、会計検査院は告発しなければならないということにならなければいかぬと思うのであります。それは今までもそうだと思いますが、この法律案ができましても、いわゆる追徴する、それから懲戒をするということになつても、結論的には会計検査院の命令に従わない。私が先ほど申し上げましたように、国会でも会計検査院が過去においてやつたものに対しては、もう一応審議をするという場合でも、この議決に対して従わない。その場合は当然これは裁判所に新して、その判決を求めるということになつて器るのですが、こういう法律案を出す以上、会計検査院は告発の責任を有する、告発をしなければならぬ。そうして一切のものは裁判所にこれをまかす。そうするとこの費消した金額というものは、今まで御承知の通り当然そういうものは追徴されるのです。そういうことになるとこの法律案の性格も非常にはつきりすると思うのですが、これはどういうふうに考えておられるか。なお追徴する、すなわち弁償義務を負わせると言つても、実際弁償はできないのですから、この弁償というものに対して何か不正を行りた出納官吏に対しては懲戒をする、免職をする、懲役に処するということであり、かついわゆる不正に費消したと言いながら銀行預金等にしておつたものは、これは当然弁償せしむることはできるのですが、費消してしまつた者に対してはできないという場合は、刑法上の責任を負わしただけでは大きな穴を明けられて、公団が百億も穴を明けられて、補填することができないという場合、何らかの補填すべき処置がとり得るかどうか、普通でしたら保険ということもあり得るが、私は国庫の支出であるだけに、国民の総体的な後援がなければ、その種保険というものはとてもつくられないのと思うのです。それは国民が全部そういうものは保険によつて、補填するということになれば別ですが、そうでなければ補填できないということになる。以上の諸問題に対しての見解を伺いたいと思います。
  27. 河野一之

    河野(一)政府委員 現金出納官吏の場合は、亡失したというときに金額がはつきりしております。これは今までの経験によりますと、大きなものもございます。この法律の場合におきましては、国に損害を与えたということの損害意味がいろいろな場合があろうと思います。おつしやるような何十億というような場合がありますかどうですか、その具体的な場合に当つてみないとわからぬと思つております。それから告発の問題でありまするが、これは犯罪であればもちろんだれでも告発ができるわけでありますから、この場合犯罪とは別に、犯罪にならないが、損害を与えたというような場合、たとえばいろいろな場合があろうかと思いますが、自動車を買う経費がなかつたのに自動車を買つた。その財産は残つているじやないか。これは損害かどうか、いろいろな法律の解釈の問題があるわけであります。そういう面においての判定をいたしますのに、これをただ一人の判断で、これは国に損害を与えたというような主観的な判断でこれをやられては困る。この面におきまして非常な知識を持ち、経験を持つておられる会計検査院の判定にゆだねることが、一応損害の解釈としては適当であろう、こういうふうに考えております。それから懲戒をいたします場合におきましては、これは公務員法にもございますように、訓戒の場合もございますし、減俸の場合もございまするし、それから免官という場合もございまして、その種類を会計検査院の方で言つて来られまして、それに応じてやる。こういう仕組みになろうと思います。しかしこれに対して行政部内としては、それは法規の解釈上これは重いとか、あるいはやらなくてもいいというようなことがありますれば、その旨を人事院にも通告いたしますし、そうして最終的には国会の判断で決定していただいてそれに基いて任命権者が処置をとる、こういうことに相なるわけであります。それから前後いたしますが、現在出納官吏その他もそうでありますが、損害弁償する場合に、弁償できなかつた場合はどうなるかというのは、これは一般の金銭債務と同じでありますが、古い法律ですえ置き貸しとか、定期貸しというような法律がありまして、資力ができるまではこれを一応貸し付けて、年賦で納めさせるというような法律もあるわけです。こういうふうな点もございますし、それからこの弁償——損害の填補を確保する意味合で身元保証というような制度も考えられます。これは外国では例があるようでございます。それから信用保険というもの——その執行官吏が保険を払つて加入しておるというような制度も外国にあるようでございます。そういうふうな制度も考えてはどうかということもあるのでありますが、身元保証金としてもどれだけの金額を積んだらよいのか、それが現在の公務員の生活の実情に適するものであろうかどうであろうか甘いうような判断もございます。また信用保険も、この種の信用保険はわが国には発達しておりません。全然ないことはないのでありますが、非常に高い保険料率でありまして、これも身元保証金を納めるのとあまり大差はないといつたようなことで、公務員の経済事情もあわせて考えなければいかぬ。外国では信用保険が非常に発達しておりまして、アメリカあたりでは非常に安い率になつておるようであります。そういう点も考えまして、今後この面についての損害の填補確保についてはいろいろなおつしやるような問題が考えられますので、研究して参りたいと思います。
  28. 田中角榮

    田中(角)委員 質問を続行します。ただいま主計局長からお話がありまして、それはもう十分私もわかつております。しかし実際については補助を違法にやつたけれども、実際は実績を上げておるとか、いろいろな問題が起きます。中にはとにかく三月三十一日だから小切手でみな切つてしまうとか、いらないものを買つて現在経済調査庁がやつておるところの解除物件なども三月三十一日で買つて、四月一日に払い下げておるというような問題があるのです。しかもこういう問題を、いわゆる出納官の職分に応じて損害額をきめるなどということは非常にむずかしい、むずかしいが、だからといつてこの法律を出す以上、相当はつきりしておかないと隘路になつてひとつも目的を達成せしめられないということを考えますので、こういうことをいろいろ承つたのですが、結論として承りたいのは、会計検査院でもつて弁償責任検定する場合でも、それに不服があつた場合は裁判所の判決を得るということになるだろうと思います。国会が免責の議決をしても結局最終的には何の場合においても司法裁判所の判決によらなければならないというのであつたならば、国会に対して免責の規定があると同時に、過去のものに対しても、本法案に沿つたところの趣旨で追徴額を決定するというような道を闘いた方がよいと思うのです。それで結論的に、ずつとこの法律案を見るときに、法律案を出さなければならない、またこの種の法律案ができたということに対して、二、三まとめて申し上げますと、第二條において租税に関する歳入官を除き、歳入に関する徴收官も支出官と同等に入れてもらうこと、それから二つ目には国会に対して免責の議決の道を開いただけでなく、会計検査院が看過したような事件であつても適当でないという場合はこれもあわせて国会でもつて審議するような道を本法に規定することが非常によいと思う。特に国会が議決をしてさえも司法裁判所の決定によらなければならないものである以上、会計検査院が違法であると認定した場合、告発の責めを負うべしという一條に改められる方がよい。しかも違法という中には犯罪を構成しない違法があります。犯罪を構成する違法に対しては告発を行わなければならないということにすること、犯罪を構成するかしないかは裁判所の決定にゆだぬべきものではあるけれども会計法規上から見て違法であるという場合には、現在の公務員法を改正し、少くとも懲戒免官の処分をとるようにしなければいかぬということだけを申し上げておきたいと思います。それは現在の予算執行状況においては、日本の現状ではいろいろな考え方から生きた予算執行ということも当然考えられるのです。生きた予算執行ということは、時間的に多少のずれがあつても、その結果において業績を上げ、かつりつぱな法的根拠が後からでも裏づけられるものであるならば、あえてその適法性を指摘しないというところに生きた政治があるのじやないかと思います。とにかく現在の日本においては国費適正支出という問題は、もうそういう理論的な立場より研究する段階をすでに過ぎております。とにかく根本的に現在の制度を改めなければいかぬ、適正支出を行うためには、多少のマイナスがあつてもある程度強靱にこれを引締めなければ、現在の国費支出適正は期せられないという現段階にある以上、まして本法案相当な支障を考えられながら法律として必要性を認められる以上、その程度の改正は十分行うようにひとつ立案者にお考えを願いたいと思います。最後に会計検査院に対して一言承りたいのでありますが、会計検査院が今まで——これは会計検査院でも消極的な態度であつたと思うのでありますが、違法を指摘したものに対して各省会計検査院考えたよりも重くこれを罰したか、より軽くこれを罰したかということを、感覚的でもけつこうですからお答えを願いたいと思います。
  29. 東谷傳次郎

    東谷説明員 お答えいたします。会計検査院で批難いたしました事項、注意をいたしました事項につきまして、各省庁では進んで懲戒なりあるいは注意をしておられるのであります。進んでと申しますのは、会計検査院法で懲戒を要求するという面はごく限られた面でありまして、それ以外の面においても各省庁では注意をし、場合によれば懲戒をしておられるという現状であります。昨年でありましたか、会計検査院で懲戒を要求した案件があつたのでありますが、それについて、ある省でありましたが、当初は会計検査院の線に沿つていなかつたのでありますが、これもいろいろ話しておるうちに会計検査院が思つておるほどの懲戒を実行されたのもあるような状況であります。総じて申しますと、大体会計検査院の思つておる程度に懲戒もしくは注意をしておられる、しかし軽いものもなきにしもあらずというふうにお答えいたしたいと思います。
  30. 田中角榮

    田中(角)委員 もう一問だけひとつ法規課長さんにお伺いしたいのですが、法規課長さんは決算委員会にお見えになつて、この法律案はどうも強硬案である、もうこれが出ないうらから各省出納官吏はふるえ上つておると言うのですが、私がこの前に会計検査院の方々に申し上げたのは、会計検査院が今の機構でかつての旧憲法時代から引続いておる。各省の官房会計課長が扱つておる金というものは、案外マイナスが小さい、赤字になつても大したものじやない。とにかく大体違法であつても、時期的に少しずれがあつても、適法にすぐ改められる。いわゆる費目を変更して金を使つたとか、修繕費をもつて自動車を買つたとか、そういうものは大体各省官房会計課長の責任において支出せられるような部面にあるのですが、私たち考えておるのは、かつての日本では行政官庁の局であつたものが今公法人としてまつたく大きい赤字を続々として出しておる、この問題なんです。この問題は、確実に私は糾明せられなければならぬと思う。これは過渡的な日本の現状において、好むと好まざるとにかかわらず、あの種の統制を行わなければならないほどの事実はあるのです。その動かすことのできない事実のもとに隠れていわゆる違法をやつておる。しかも血税というものが濫費されておるということは、断じて許すことは相ならぬ。そういう意味で、現在の会計検査院がお考えになつておることを現実的にするには、私は会計検査院機能をもつともつと大きくしなければならぬということを考えると同時に、法規課長さんがこういうものをおつくりになるときに、こうではなく、この法案の立案には関係しないで、第三者的な、しろうと考えを申し上げるのですが、現在の日本の国の支出適正にするために、もつと簡単な処置がこの法律以外にできないかということを伺いたいのです。私はこの法律案を直感的に見たときに、これは法律百七十一号と同じことだ、これを適用したらえらいことになる。それは当然こういうものがなくても、支出は早くしなければならぬと言つてつても、いつ首になわがつくかわからないものは、判を押して九條の責任を転嫁することができない限りは、維持支出しないと思う。それ以外に簡易裁判所のような簡単なもので、会計検査院が批難したものはそこでばりぼりと裁判を行う。ちようど交通違反に対して即刻罰金を科して行くというようなことをやらなければ、一箇年間にとにかく何十億の赤字を出しておるこの種公法人検査などは、現在の会計検査院などではできない。経済調査庁がいくらやつても、経済調査庁は各行政機関内の自粛自戒の機関であつて、注意を行うだけの機関である。こういう機構をいくら拡大しても、これを取除くことはできません。そうであつたならば、私はこういうような隘路のある法律案を勇敢にお出しになるというよりも、歩を一歩進めて、もう少し簡単な法律をつくる。現在公務員法があるのでありますから、公務員法を改正して、国の支出というもの——いわゆる公務員法によつて支出担当官にはこういう責めを負わせる。そうして現在の会計検査院法の一部を改正して、全部告発しなければならぬ。とにかくそれには段階を付して、いわゆる犯罪事実を構成すると認めるものに対しては、第一の裁判所で裁判を行う、あるいは第二の裁判所でもつて行うというのは、裁判所でなくとも、人事院でもつて現在の裁判のようなものをつくつて、簡潔にぱつぱつとやつてしまう、そうしてそれに対しては、会計検査院が適法性か違法性かを十分検討した結果であるだけに、二審、三審というようなものを認めない。しかも今まで早くこれをやらないで、三年も四年もひつかかつてつた。なおこの法律案によると、三年かかつたものは時効になるというのですから、何だかんだと言つて責任の転嫁をやる、第九條を広義に解釈したら、みな三箇年にひつかかつてしまうというふうに考える。私はそういう点は厳格に簡単にこれを行うような法律案を別途に考え得るのではないかと思つたのですが、この法律をおつくりになる過程において、そういうことをお考えにならなかつたかどうか。
  31. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 簡単にお答えいたしたいですが、非常にむずかしい御質問でありますから、私の見解を申し上げます。この法律一片をもつて予算執行職員責任の問題というか。経理上の問題を防ぎ得るという考えは、実は最初から持つておりません。ほかの相当の各方面のことも考えた上で、これを執行することが必要だと思つております。それでただいまたとえば簡易裁判というようなお話もございましたが、これは実は先ほど告発の御質問もございましたので、それとあわせて御答弁申し上げたいと思います。  私どもがこの第六條で懲戒処分を会計検査院が要求し得るといたしましたのと、それからまたそれにこたえて、しかしながら各省の大臣はその要求を尊重しなければならぬが、しかし必ずしもそれに服しなくてもいいという体制をとつた理由は、実は会計検査院法律的な性質ついてもいろいと議論がございまして、御承知のように、会計検査院政府から独立をしておる。しかしながら会計検査院もまた政府を拘束することはできないという建前をきびしく考えておるのであります。それで御承知のように、政府の仕事も多方面でありますし、ますます専門化しますので、これにつきましてあまりこまかい拘束を加えるということも、実際内閣の立場からすると、因つた事態になると思うのであります。従いましてやはり従来の理論通り、すなわち懲戒の権能を持つものは任命をしたもののみであるという従来の倫理上のりくつをそのまま取入れたのであります。それで現在は実は公務員法ができたのでありますが、新しい制度のもとにおけるところの懲戒制度は、まだ人事院が確立しておりません。そういう意味で過渡的になつておりますが、しかしその点についてははつきり、ておると思います。懲戒をし得るものは任命権者のみである。あえて他の機関の容喙を許さぬという立場に立つておりましたために、こういう従来からあまり進まない微温的な立法になつたわけであります。  それで今度は簡易裁判所の問題でございます。先ほどあまりこれをやりますと事務渋滞になるのではないかという御質問が、ございましたが、この会計検査院事前審査のこの規定一本でさえ、そういうおそれがあるわけであります。会計事務と申しましても、先ほど私ども局長からもらよつと申し上げました通りに、実際はいわゆる業務的な部面というか、マネージメントと、それから純粋の会計の仕事というものとは、純粋に区別できない段階があります。たとえば食糧庁長官がその仕事をするときに、同時にただいまのような会計法上の問題を起すということがどうしても考えられるのであります。その場合に、食糧庁長官は会計法に従うべきか、それとも供出事務を円滑にやることを先に考えるべきかという非常にむずかしい問題になりますので、一概に立法の面からのみこれを途行できないというふうに考えておるのであります。もしそういうような考え方に立ちますると、凡百のものをすべて簡単にするという趣旨のもとに簡易裁判をやつた場合には、おそらくなお渋滞を来すのではないか、非常に政府として、動かないような事態になるのではないかというふうに実は考えております。これはもちろん蛇足でありますが、現在の憲法の建前からいたしまして、いやしくも最終裁判は結局司法権にゆだねてございますし、裁判をやる以上はこれをいやしくもすることができないという意味で、これまた相当法律の手続を要求するということになると、結局はさばけない。この検定の制度、つまり会計検査院並びにそれによる会計等に対する検定の制度自体というものは、これは簡単に言いますと一つの裁判の準備段階というか、予備的段階における簡易な一種の裁判機能を、ある程度持つておるものと思います。そういう意味で、これをさらにおつしやるような意味で裁判というようなことにすることは、少し行き過ぎではないか。私どもはそう考えて、この程度にとどめた次第であります。
  32. 田中角榮

    田中(角)委員 それは先ほど私も申しましたように、よくそのお気持はわかるのでありますが、そうすると実情をあまり直視せられておるために、この法律案を出しても、実際においてこの法律目的を達成できるかできないかという問題にもぶつかるのであります。実際において、この法律案が出るということだけでもつて事務渋滞は必ず来るのであります。もうすでに各省出納官吏は恐慌を来しておると言つておるのですから、これが出れば確実にそれだけそういうマイナスがあるのですが、そのマイナスを押し切つても、現在の国費支出適正というものははからなければならぬ段階にあるということは、私が先ほど申し上げました通りであります。しかも時間的に非常に早くこれを適用しなければならぬというのであります。会計検査院は独立の権限を持つておるのでありますが、内閣もまた会計検査院に侵されることがなく、しかも最終の決定は地方裁判所において行う、これは憲法規定でその通りであります。その通りであるということだけをもつて考えておつたのでは遅々として進まない。私はこの間経済調査庁に、あなた方が今一條の二を変更して、官庁機構の重大なる紛淆を来すおそれのある、違法ではなくともおそれのある一條を加えても、各官庁の一部である特別調達庁経理検査を行うということを言つておるのですが、あなた方の任務はもつとほかにある、今各種公団が火をふいておるのだから、それをやる義務があるのではないかということをここで申し上げたのであります。しかもあなた方はすでに二箇月、三箇月前に各種公団に対する違法性を指摘しておりながら、なぜこれを公表し、猛省を促さなかつたのかと言つたときに、経済調査庁はいわゆる自粛自戒の機関であつて、注意を喚起し、勧告を行うだけであります、こういうことを言つておられました。もちろんそうでありましよう。そうであるならば、厖大なる費用と人間をかけてこれをやる必要はない。それは多少はよくなるでありましようが、なかなかよくならないうちに、もう爆発をしてしまつたという現状でありまして、そういう意味をずつと考えますときには、いわゆるこういう法律案目的を十分達成できるように、会計検査院でも新しい感覚に立つて、内閣とは独立である、しかし憲法規定する会計検査院の任務は、国会に対して決算の最終の責任を負うものだけではない、国費適正支出というものに対して責任があるのだ。違法性を指摘しなければならない人をたくさん出すというのは、一面において会計検査院責任でもある。これは当然そこまで論及せられなければならぬと思つております。私たち決算委員でありますので、決算委員会においても、会計検査院の方々にも十分御注意もし、また奮起を促すつもりでありますが、この法律案はタイトルは予算執行職員等責任に関する法律案と言われておるが、まつたくの会計検査院の委任の権限法であるということならば、会計検査院自体もこの法律案と並行して、いかにして実績をあげるかということを真剣にお考え願いたいということを希望申し上げまして、私の質問を終ります。     〔大上委員長代理退席、委員長着席〕
  33. 川野芳滿

    川野委員長 それでは本案に対しましては、連合審査会においてまだ発言者もございますが、これは大蔵委員会  において委員外発言を許すことにして、当連合審査会をこれにて閉じたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようですから、連合審査会をこれにて閉じます。なお決算委員会におきましては、本案に対しまして要望する点がございますならば、御要望の点を当方に申し込んでいただきたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時十三分散会