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1950-04-26 第7回国会 衆議院 大蔵委員会 第59号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十六日(水曜日)     午後三時四十一分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 岡野 清豪君 理事 小峯 柳多君    理事 小山 長規君 理事 前尾繁三郎君    理事 川島 金次君       甲木  保君    佐久間 徹君       島村 一郎君    高間 松吉君       苫米地英俊君    三宅 則義君       宮腰 喜助君    田中織之進君       松尾トシ子君    河田 賢治君       竹村奈良一君    田島 ひで君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  舟山 正吉君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局保険課         長)      長崎 正造君         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君     ————————————— 四月二十四日  委員中崎敏辞任につき、その補欠として山口  シヅエ君が議長指名委員に選任された。 同月二十五日  委員北澤直吉辞任につき、その補欠として福  田篤泰君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員福田篤泰辞任につき、その補欠として北  澤直吉君が議長指名委員に選任された。 同日  理事島村一郎君の補欠として西村直己君が理事  に当選した。     ————————————— 四月二十五日  船主相互保険組合法案内閣提出第一八三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  予算執行職員等責任に関する法律案内閣提  出第一七五号)  船主相互保険組合法案内閣提出第一八三号)     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  議案審査に入ります前に、ちよつとお諮りいたします。それは理事補欠選任の件でありますが、昨二十五日島村委員理事辞任せられましたので、この際理事補欠選任を行いたいと存じます。これは先例により委員長において指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 川野芳滿

    川野委員長 御異議ないようですから、委員長において指名するごとといたします。西村直己君を理事指名いたします。
  4. 川野芳滿

    川野委員長 これより議案審査に入ります。昨二十五日本委員会に付託されました船主相互保険組合法案議題として、まず政府説明を求めます、舟山政府委員
  5. 舟山正吉

    舟山政府委員 ただいま議題となりました船主相互保険組合法案につきましてその提案理由並びに要旨を御説明いたします。  現行の保険業法によりますと、保険事業を営むことのできるものは、株式会社または相互会社に限られておりますが、船舶海上保険におきましては、損害保険会社の引受けない分野があり、船舶所有者の間において、相互保険を行うための相互保険組合設立要望は、大なるものがあるのであります。その理由は、まず第三に昭和二十三年七月、木船保険法による木船保険組合解散しました後は、危険率の高い木船保険は、保険会社が引受けることを好まず、現在では、木船のほとんどすべてが無保険状態にありますことと、第二には大型鋼船船主が、船舶運航に伴つて負担する費用及び責任につきましては、現在の損害保険会社船舶海上保険約款では、担保されない範囲が少からずあるので、昭和二十四年四月一日から、船舶運航方式船舶運営会裸傭船から定期傭船に変更されて、船主の負担する費用及び責任範囲が拡大されるに伴い、保険会社の担保しない危険を相互保険する必要が痛感されておりました。今回さらに、来る四月一日から、船舶運航はすべて船主自身の手で行われることとなりましたので、その必要が倍加されて来たのであります。従いまして、これらの船主相互扶助の精神で、船主相互保険組合設立することは必要であると考えられますので、ここに本法案を提出して、組合組織による船主相互保険事業を認め、右の要望にこたえようとするものであります。  次にこの法案要旨は、大体次の通りであります。第一にこの法案は、船主相互保険組合の行う相互保険たる損害保険事業の健全な経営を確保し、その組合員及び組合一般債権者利益を保護しようとするものであります。  第二にこの法案に基いて設立される船主相互保険組合は、主として木船の船体に関して相互保険を行う木船相互保険組合と、大型鋼船船主費用及び責任に関して相互保険を行う船主責任相互保険組合との二つに限られております。  第三に船主相互保険組合設立するには、出資の総額が二百万以上、組合員の数が十五人以上、及びその組合員所有または賃借する保険目的たる船舶の数が百隻以上で、かつ主務大臣認可を受けなければならないことといたしております。  第四に組合員たる資格を有するものは、木船相互保険組合にありましては、木船所有または賃借するもの、船主責任相互保険組合にありましては、鋼船所有または賃借するもので、それぞれ定款で定めるものに限り、組合への加入については、一口以上の出資及び保険料の払込みを條件としております。  第五に船主相互保険組合は、主務大臣認可を受けて組合員に対し保険料追徴または保険金削減をすることができる規定を置きます一方、剰余金につきましては、組合員出資額または事業利用分量に応じて、分配することができる規定を設けております。  第六に船主相互保険組合機関、計算、清算及び解散につきましては、保険業法及び商法の所要規定を準用しております。  第七に監督は、木船相互保険組合につきましては、木船に対する海運行政と密接な関係がありますので、保険料率または責任準備金積立て等に対する監督のごとく、純粋に保険行政上の監督を除いたほかは、大蔵大臣運輸大臣との共管とし、船主責任相互保険組合につきましては、大蔵大臣の専管といたしております。  第八に右に述べました諸規定の違反に対しまして、所要の罰則を規定しております。  最後に附則におきまして、船主相互保険組合に対する事業者団体法の適用を排除し、また法人税を軽減いたしますため、事業者団体法及び法人税法に対する所要の改正をいたしております。  以上がこの法案提出理由並びにその内容の要旨でありますが、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  6. 川野芳滿

    川野委員長 それではこれより本案に対する質疑に入ります。佐久間徹君。
  7. 佐久間徹

    佐久間委員 ただいま提案になりました法案につきましては、相当広範囲にわたつておりますので、これを簡明にするため相当の時間を要すると思うのでありますけれども、その要点について、きわめて重点的に質問して行きたいと思うのであります。  まず第一に伺いたいことは、木船並び船主費用及び責任について組合保険を必要とする理由はどこにあるか、これを承りたい。また欧米において船主相互保険組合のごときものが今日存秘しておるかどうか。この点もあわせて伺いたいと思います。
  8. 舟山正吉

    舟山政府委員 お尋ねの木船保険につきましては、昭和十八年法律第三十八号に木船保険法というものがございまして、これに基いて木船保険組合が存在しておりまして、普通損害保険会社保険しない危険率の多い木船に対して、保険を実施しておつたのでございますが、終戦後これが政府財政負担の軽減というようなことから、解散に決定いたしました。その結果といたしまして木船民間相互会社保険に付せられることになつておるのであります。しかし損害保険会社といたしましては、この危険率の高い木船保険を好まない。従つてその料率も高くなるといつたような傾向がございまして、木船船主は非常に困つておるのでございます。またこういうような事情木船保険につけることができませんために、金融の担保とすることもできないというような不便もあることがあるのでございます。そこでこういう木船所有者あるいは賃借者相互が、相互組織組合保険というものを営む必要があるということになつておるのでございます。  それから次に大型鋼船運航に伴つて生ずる船主費用及び責任というものは何かと申しますると、法案二條の四項に例示がございますように、たとえば船舶海上において衝突いたしましたような場合には、海上保険目的になるのでございますが、その他たとえば船舶運航伴つて桟橋であるとか、浮標であるとか、海底電線であるとか、漁具その他のものに損害を与えた場合の賠償責任、その他この法律に列挙してありますような事項、さらにそのほかにもたとえば船員が航海中病気になりまして、緊急治療のため予定航路から離れて帰航するというよううな場合の費用、こういつたような船主責任に対しまする保険というものが必要であるのでございます。こういう種類保険英米においては俗称PIクラブ言つておりますが、これに類似した制度がすでに長年の経験を経ておるものでございます。
  9. 佐久間徹

    佐久間委員 ただいまの説明によりまして、営利保険事業において填補されない費用と、船主責任というものについての説明も加えられておりましたので、さらに私は、本法木船保険及び鉄製の船舶PI目的とする、相互保険組合設立する目的であると解釈するのであります。すなわち現在民間保険会社が担保していない費用及び責任でありましてたとえて言うならば、岸壁衝突してその岸壁に与えた損害賠償金とか、乗客に与えた損傷等に対して支払う費用等であるということは、ただいまの説明によりまして了承いたしました。しからば現在民間会社が填補しておる救助費及び衝突損害賠償金、すなわち他の船舶衝突した場合、その船舶及び積荷に与えた損害に対する賠償金等は除く趣旨であるかどうか。その点を承りたいと思います。
  10. 舟山正吉

    舟山政府委員 ただいま御指摘になりましたような事項は、普通の損害保険会社海上保険でカバーされるという趣旨におきまして、この相互保険組合仕事から除外されるのであります。
  11. 佐久間徹

    佐久間委員 本法の第二條第三項は、船舶運航に伴つて生ずる船主費用及び責任に、救助費用及び衝突損害賠償金をも含むものと解釈されるが、その点はいかがでしようか。
  12. 舟山正吉

    舟山政府委員 特にこの際相互保険組合を認めまして、特殊の損害について保険をいたしますのは、先ほども申し上げましたように、普通の損保会社ではカバーし切れない危険に対するものでごいます。従いましてここに二條の第三項に、船主費用及び責任という言葉がございますが、なお具体的の保険事項につきましては、組合定款にこれを明らかにいたしましてその業務の範囲を明確にするものであります。
  13. 佐久間徹

    佐久間委員 定款によつてこの責任を明確にするというわけでありますが、この定款は今のところわれわれにはわからぬのでありまして、この機会にはつきり申された方がよろしいと思うのであります。すなわら救助費は、民間保険会社が営んでおる船舶保険から切離すことのできないものであります。特に船舶修繕費及び救助費の合計が保険価額を超過するがごとき、いわゆる推定全損の決定については、これを切離すことが困難というよりもまつたく不可能であると存じます。また救助費そのものについても、船舶保険で担保する損害のうら相当大きい部分を占める。一事故による救助費でも非常に大きいものがあります。これのみを対象とするには危険の測定が困難でありまして相当経験を積んだ業者でも容易でないのにかかわりませず、ほとんど無経験にひとしい相互保険組合のごときが、あえて保険対象として選んだことは無謀にひとしいものではないか、こういうぐあいに考てられるのでありますが、その点いかなる御所存でありますか、荷いたいと思います。
  14. 舟山正吉

    舟山政府委員 損害額の大きいものにつきましては、できれば普通の損害保険会社がこれを保険対象とすることが望ましいのでございます。しかしな損害保険会社に対して、特殊の危険の多い保険種類を特に強制して認めさすことはできないので、従つてそういう組合、つまり普通の損害会社の扱わない保険については、船主利益を保全いたしますために、特にこういう相互保険組合組織を認める趣旨でございます。できれば普通の損害保険会社が、なるべく広汎の仕事を営むことが望ましいのでありますが、それはいろいろの採算から申しまして、できない場合が相当あろうかと思うので、そういう場合に対する例外的な救済方式として、こういうものを考えておるのでございます。
  15. 佐久間徹

    佐久間委員 質問が前後いたしましてまことに恐縮でございますが、他の船舶との衝突による損害賠償金も、岸壁等衝突による損害賠償金と異なり事故の数も非常に多く、金額も非常に大きいと思います。従つて保険組合保険対象とするには、不適当ではないかと思うのでありますが、この点はいかがでありましようか。
  16. 舟山正吉

    舟山政府委員 この岸壁に対する衝突のごとき場合におきましては、損害が比較的大きい。それなるがゆえにまた普通の損害保険対象にならぬのでございまして、これを相互保険によりまして何らか損害填補の道を講じようとするのでございます。その際もしかかる損害が起りまするならば、この案の規定にありまするように、特殊に生じました損害というものは、普通の保険料以外に組合員にこれを賦課する二とによつて救済するよりしかたがない。またこれによつて船主は相当の安心が得られると思うのでございます。
  17. 佐久間徹

    佐久間委員 重ねてお尋ねいたすわけでありますが、第二條の第三項の船舶の運行に伴つて生ずる船主費用及び責任の下に但書をして、保険会社が填補し得るものを除くというごとき文言を挿入するか、または船主費用及び責任に関して行う相互保険であつて命令で定めるものというようなぐあいに訂正して、その保険範囲を明確にすることが必要ではないかと思うがいかがですか。先般定款例と申されておりましたが、むしろ法律の中にはつきりその範囲をきめたらどうか、こういうぐあいに私は考えるのであります。
  18. 舟山正吉

    舟山政府委員 御指摘のごとき点は、これを法文上に表わすことが非常に困難であります。またこれを命令等に譲ることにつきましても、命令等規定字句等について相当問題があると思います。そこで先ほど申し上げましたように、大体定款に譲ればいいのではないか。またそのいかなる保険種類を普通の損害保険会社に取扱わしむるか、またこの相互保険組合に取扱わしむるかということは、客観情勢の変化によりまして、弾力的に考えなければならない問題でもありますので、一番簡易な方法でこの区分を明確にする。すなわら定款によつて規定することが適当ではないかと考えた次第であります。
  19. 佐久間徹

    佐久間委員 定款によつてというお言葉でありますが、ぜひひとつ、いずれの方法におきましてもこの点をはつきり記載されて、将来紛糾の起らないように御配慮願いたいと思います。  次に船主責任相互保険組合予想設立立数及びその規模はどうであるか。同時にまた木船相互保険組合予想杖立数、及びその規模を伺いたい。
  20. 舟山正吉

    舟山政府委員 まず船主責任相互保険組合の方におきましては、現在日本船主相互保証組合通称PIクラブというのがございます。これは本法施行後には、本法に基く船主責任相互保険組合に切りかえられる予定でございまして、これはわが国における大型鋼船所有会社の大部分を網羅しておりますので、この船主責任相互保険組合については、一個の組合設立せられる見込みでございます。次に木船相互保険組合の方につきましては、これは地域別につくる考え方と、職域別につくる考え方とが、成り立ち得るのでございますが、まず地域別には東北、関東、東京、愛知、兵庫、九州、大体六組合を予想しております。また職域別につきましては、中央機帆船中心とするものと、沿岸輸送船中心とするものと、いずれもその区域は全国でありますが、この二つが予想せられるのでございます。
  21. 佐久間徹

    佐久間委員 ただいまのお答えに対しては、多少意見がございますので、後段に申し上げたいと思います。保険料率について伺いたいと思います。保険組合のごときその取扱う保険料率はでき得る限り簡単なものが望ましい。しかるに料率を単純化すれば、危険に適用されなくなる。船舶種類トン数、構造、航路等で危険が異なるからであります力木船においてはトン数及び航路によつて危険が違つて来る。従つて料率を単一化いたしますならば、危険の大ぎい北海道方面とか危険の比較的少い九洲方面とかいう場合に、非常にここに不公平が生じはしないか。そこで組合九州北海道、瀬戸内海というように地区別にできるものと考えます。ただいま御説明のあつた通りであります。そうすれば量がきわめて少くなる。量が少くなれば危険も平均化ができなくなる。それは要するに保険趣旨に反する結果を招来することになりはしないか、こういうことを心配するものであります。その点に関して御所見を承りたい。
  22. 舟山正吉

    舟山政府委員 損害保険によつてカバーいたしますためには、御指摘通りあまり保険対象物が少くなりますと、危険率が多くなるのでございます。そこでこの法案に器きましては、大体営場業の保険事業の場合におきますよりは、この保険加入の人員、あるいは保険に付する物件の数を少くいたしたのでございますが、大体組合員十五人、それからその所有または賃借する船舶百隻というところに単位を置きまして、これを一つ単位とする。これによつて危険が相当平均化せられるであろうと考えておるのでございます。
  23. 佐久間徹

    佐久間委員 木船はおおむね一隻または二隻の船主であります。しかも船長を兼ねる者が本来の姿であろうと思います。最近海運界積荷が非常に減少いたしまして、競争が激甚で、従来の機帆船活動面小型鋼鉄船に侵害されて、ますます船主経済が困難の状態になりつつあるのであります。木船保険船主船長であるような小型船主組合員としなければ意味がないと思います。百隻程度の危険の平均化のとれない少数を一単位とし、組合を認める場合、その経済は想像にかたくなく、多分非常な苦境に陥るであろうことが考えられるのであります。従つて保険金削減とか、あるいは保険料追徴というような不祥事が起る可能性が強いと、私は思うのであります。これでは一船主を助けんとして、木船海運界をかえつて窮地に追い込む結果になりはしないかと考えられるのであります。この意味から言つて、第十二條第二項のように百隻程度では少な過ぎはしないかと思うのでありますが、この点に関してはどういうお考えでおられますか、お伺いいたします。
  24. 舟山正吉

    舟山政府委員 この百隻という基準が適当であるかどうかということについては、いろいろ意見のわかれるところかと思いますが、しかし同じ利害関係のある者が相集まりまして比較的簡単に相互保険組合を組成し得ることも考えなければなりません。従つてここにおきましては、百隻以上ということにいたしまして、この危険分散のためには、できるだけ船の数も多い方がよかろうと考えますが、一応の基準といたしましては、百隻というところに目安を置いた次第でございます。
  25. 佐久間徹

    佐久間委員 船主相互保険組合設立要件について、御説明をいただきたいと思います。
  26. 舟山正吉

    舟山政府委員 この相互保険組合におきましては、特定少数の者が相互組織にまりまして保険を営むことを前提といたしておりまして、不特定人を相手にするものではないのであります。この組合設立要件を普通の保険業法による場合と比較いたしてみますると、出資の制限につきましては、保険業法によります相互会社は三千万円以上ということに相なつております。それを本法におきましては二百万円以上ということに低下してございます。発起人はいずれの場合においても七人以上ということでございますが、組合員保険業法による場合は百人以上ということになつておりますのを、本法による場合は十五人以上というふうに程度を下げておるのでございます。
  27. 佐久間徹

    佐久間委員 船主相互保険組合はしからば有限責任組合であるか、無限責任組合であるか、この点を承りたい。
  28. 舟山正吉

    舟山政府委員 船主相互保険組合責任につきましては、ちようど有限無限との間の補償責任とも申すべきものであろうと考えるのでございます。すなわち一応受ました保険料が、災害の発生によりまして足らなくなるということでありますれば、これを追徴し得る仕組みになつておるのであります。
  29. 佐久間徹

    佐久間委員 先ほど木船保険法廃止のことをちよつと承つたのでありますが、過去において木船保険法に基いて仕事が行われてお力ましたが、その木船保険法に基く木船保険組合の過去の実績、及び同組合解散した理由並びに清算が今日どうなつておるか。これを伺いたいと思います。私の知つておる範囲内におきましては、直接の理由としては、昭和二十二年の四月国家の再保険廃止された後、資金が非常に少くなる。その、上に同年の十月と十一月、北海道方面に非常なクレームが頻発いたしましたために損害補填支障を来した。こういう一つ理由、もう一つ国家の再保険があり、強制保険制度が確立しておりました当時は、五千隻くらいのものがその対象になつておりましたが、その後次第にこれが減少いたしまして、戦争直前におきましては一千隻ぐらいに減少してしまつたということ、もう一点は、能率の単純化のために逆選択の傾向をとつて、危険なもののみが残つてまつたというわけで、およそ保険に反する結果か現われたために、これは廃止なつた、こういうぐあいに承知しておるのでありまするが、はたしてそうであるかどうか。その点詳細にお聞かせいただければけつこうであります。同時に解散後の措置について重ねてお尋ねしたいと思います。
  30. 舟山正吉

    舟山政府委員 木船保険組合木船保険法に基いて、全国単位機関として設立されたのであります。これは国家財政的援助のもとに再保険を行つておるのでございますが、昭和十八年七月に設立せられ、昭和二十二年三月までの事業成績と申しますものは、約七千数百万円の赤字を出したのでございます。このうちに再保険で負担いたしたものが九割でございます。こういうふうにどうして損害が非常に多かつたかと申しますると、戦時中船舶の質が非常に悪くなつた。それから運行いたします港内の事情が非常に悪くなつた。その他戦争に伴う原因のためであつたでございす。戦争後はいろいろ、ほかの問題とも一緒に、国家補償というものを大幅に制限することになりましたので、昭和二十三年の法律をもつてその解散をすることとなつたのでございます。ただ木船保険法というものは、ただいま清算中の保険組合のために法律は残つておりますが、組合清算状態に入つておるのでございます。従つてこの組合は今清算を急いでおる次第でございまして近くその事務を結了する見込みでございます。
  31. 佐久間徹

    佐久間委員 ただいまの御説明によりまして、戦争ためにいろいろの支障があつたように承りましたが、そうであろうと存じます。またかねて私が申し上げましたような理由にもよるわけであります。国家が強力な支持を与えた、そういつた種類のものが解散の悲境に陥る、こういう理由戦争という事実によるものであることも了承できるわけでありますが、戦後現在の情勢におきましては、戦争中と大してかわりない。かえつて悪化しておるのではないか。いろいろの航路にいたしましても荒れておりますし、船舶にいたしましても非常に悪いものがたくさんあるように考えられます。こういつた場合に、国家がよほどこれに対して監督支持を与えない限りにおきましては、こういう組合制度というものは、なかなか完璧を期しがたいものであると私は考えますがゆえに、あえてこの一点をお尋ねした次第であります。  さらに二、三御質問申し上げたいと思います。木船保険法本法の成立によりまして、廃止する必要がないかどうか、この点を承りたい。
  32. 舟山正吉

    舟山政府委員 ただま申し上げましたように、木船保険組合清算過程にございまして若干木船保険法規定の適用を必要といたしますので、現在のところこれをまだ生かして存置しておるわけでございますが、清算が済みまれば、木船保険法も不要に帰するというわけでございます。
  33. 佐久間徹

    佐久間委員 船主相互保険組合において、漁船を対象外にした理由はどういうわけでございますか。
  34. 舟山正吉

    舟山政府委員 船場漁につきましては別途漁船保険法というものがございまして、政府が再保険しておるのでございます。そのために本法案よりはこれを除いたのでございます。
  35. 佐久間徹

    佐久間委員 第四條の兼業禁止の趣旨及び第五條の募集制限の趣旨をあわせて承りたい。
  36. 舟山正吉

    舟山政府委員 保険事業につきましては、営業保険につきましてもその公益性がきわめて濃厚であることにかんがみまして、保険收支の計算等をはつきりさす意味もございまして、地業の兼営を許さないことになつておるのでございます。この組合組織による保険につきましても、同様の趣旨をもちまして兼業を許さないことにいたしておるのでございます。それから第五條の、組合は、役員、組合員及び使用人以外の者に保険の募集を委託してはいけないということになつておりますが、これも組合組織保険でありますことから導き出されて来るのでございまして、営業のために広範囲保険を募集するのではございません。組合員が自己の便宜のためにこれに加入するのでございますので、こういう制限を設けたわけでございます。
  37. 佐久間徹

    佐久間委員 さらに船主相互保険組合保険契約の移転及び事業の譲渡を禁止するに至つた立法の趣旨を伺いたいと思います。
  38. 舟山正吉

    舟山政府委員 この相互保険組合によります保険は、組合員のために保険をするのでございます。大体保険契約を移転するという前提には、その移転を受ける相手方において保険契約を継続して維持して行くという能力がなければならないのでありますが、この相互組織のもとにおきましては、組合員のみに限つて組合保険を許すのでございます。従つて保険契約を移転するということは考えられないのであります。もし実際上ある組合からある組合保険契約を移す必要を考えてみますれば、組合員一つ組合から他の組合に移動する、そうして保険をつけ直すということが考えられるのでございます。
  39. 佐久間徹

    佐久間委員 先ほど保険約款ということを言われたが、本組合保険約款を使用するのかどうか、この点を伺いたい。
  40. 舟山正吉

    舟山政府委員 営業保険会社については普通保険約款を使用いたしますが、この組合におきましては、定款中に必要事項を記載することをもつて足りるということにいたしまして、保険約款を特に設けるということはいたしません。
  41. 佐久間徹

    佐久間委員 第二十二條の第八項の趣旨を御説明願いたい。
  42. 舟山正吉

    舟山政府委員 相互保険組合の資産につきましてはできるだけこれを充実して、対外債務の担保に供しなければならないわけです。従つて組合員出資及び保険料の払込みについては、他に組合に対して債権がありましても、必ず出資及び保険料を別送払い込ます。すなわち言いかえれば相殺を認めないということによつて組合資力の充実を期したのでございます。
  43. 佐久間徹

    佐久間委員 現下の経済情勢下において、しかも組合の面に相当困難を予想せられるこの種組合に対しては、その認可は慎重の上にも慎重を期さなければならないと思うのであります。しかるに第十六條のごとく、創立総会後一定の書式のもとに認可申請を提出するように定められておりまするが、その以前に予備審査とでも称すべき書類の提出をなさしめて、十分調査の期間を求むるような意図はないかどうか。この点をお伺いいたします。
  44. 舟山正吉

    舟山政府委員 法文の規定上におきましては、設立認可申請書を提出し、これに対して主務大臣認可するという形になつておりますが、実際上の取扱いにつきましては、設立希望者から当局に対して希望の申出があり、これに対して実際上予備審査をするのでございまして、この扱いはほかの場合と同じでございます。従いまして認可について十分慎重を期し得ることと考えております。
  45. 佐久間徹

    佐久間委員 認可條件も非常に簡単になつておりますが、前に述べました通り慎重を期すべきでありますから、運用の上におきましても相当注意をして行かなければなるまいと思いますが、政府はどういう運用方法をして行く決意でございますか。その点を承  つておきたいと思います。
  46. 舟山正吉

    舟山政府委員 組合設立につきましては、業者の面からいたしまする希望を相当に尊重することはもちろんでございますが、先ほどもこの組合設立見込み数ということで申し上げましたように、若干の意見の相違はあるかもしれませんが、大体どの程度の数の組合をこしらえましたならば、この業者が満足を得るかという目安はつくわけでございます。これらにつきましては、なおそれらの行政に直接当つております運輸省とも十分協議いたしまして、きめで参るのでございまして、さういうふうに最小限度のものを設立を認めるということにいたしますれば、その結果といたしまして、それらの組合の運営は、健全を期し得られるのではないかというふうに考えておるのでございます。
  47. 佐久間徹

    佐久間委員 組合員出資の総額は、第三條にある通り二百万円以上となつておりますが、これはあまりにも少な過ぎはしないかと思うのであります。現在の船価は、百トンくらいで六、七十万円から百万円程度で、新造船でございますれば、百五十万円程度以上と思います。これを担保する資金が二百万円では、あまりにも少くはないかと考えられますが、この点はいかにお考えでありますか。
  48. 舟山正吉

    舟山政府委員 組合出資はできるだけ多い方が担保力は増すわけでございます。また組合を組成いたします業者は、必ずしも大規模の海運業者に限らないので、出資の面について相当苦痛を感ずる向きもあるのではないかと存じまして、この組合設立を比較的容易ならしめますために、二百万円以上ということにいたしたわけであります。二百万円と金額を押えますと、現在の船価その他に比べまして非常に低いということは感ぜられるのでありますが、この二百万円以上という範囲内において、できるだけ充実さすということは望ましいことと考えておるのであります。なお保険事故が起りましてこの損失を補填する場合におきましては、保険料に対してこれを追徴するというような仕組みで、損害をカバーして行くのでございます。従いまして出資は第二次的の保証にはなりますけれども、ただいま申しましたように設立を比較的容易ならしめるというような趣旨もございまして、二百万円というところに一応線を引いたわけでございます。
  49. 佐久間徹

    佐久間委員 大分長くなりましたし、大体私の承りたいこと、疑問とするところ、考えているところは申し述べ、御返答も得たのでありますから、この問題はこの程度でとどめたいと思います。  この機会に公団の保険についてちよつと伺つておきたいと思うのであります。先般来公団の不正行為がひんぴんとして現われまして、世の非難を受けつつあることは御承知の通りであります。この間に損害保険のことに関して、何か同様の不正が行われているように言われておるのでありますが、これは損害保険の実情を解しない人々の誤解であろうと思います。  その第一点は、多額の保険をかけておいたが、その結果は支払つた保険料に対して損害が少なかつたことをもつて、その間に何か不法行為があつたように言われておるのでありますが、保険は御承知の通り相互扶助であります。従つてそのものについて損害が辛いにもなかつた場合、必ず他の損害を補填しておりまして、万一に備えて保険するわけでありますから、これをもつて不法であるとか、あるいは不正であるというように考えることは、保険の本質をわきまえない要論であると思うのであります。  第二点は、割りもどしが不正に行われたということが新聞に出ておるようであります。世にいう割りもどしというものは、すなわち保険におきましては、代理店に支払う手数料のことを言うのであると私は思うのであります。代理店は扱い保険料に対しまして、普通物件では一割五分、工場物件では一割、当然とり得る規定になつておるのであります。保険会社がこの契約を再保険いたすものであります。自分の会社に全部納付というようなことはいたさないのであります。必ずこれを幾つかに分割いたしまして再保険をなすのであります。従いまして一保険会社が何十万円の損もあえてこれを受入れることができるのでありまして、かような組織になつておる。それで、その保険料というものは、これは動かすことのできない料率でありまして、再保険の授受は必ずその保険料に見合つて出すことになつております。お互いに出し合う、こういうことになつております。従いまして代理店に払つた手数料を差引いた保険料が、すなわらその比率となつて保険の授受が行われるのであります。言もしかりに手数料以外の費用を支出いたしますれば、当然そこには損が出るのであります。その損を見越して、しかもうしろへ何百万という大きな責任を持つた商売、ばかな商売をする者は絶対にあり得ないのでありまするけれども、そういう誤解を一般にされておる。こういうことはまことに遺憾にたえない次第であります。ただ公団の保険料は非常に大きかつた。その扱い手数料も相当額に上つておるのであります。この手数料がいかに使われたかは、保険会社の関知するところではありません。政府もこの点はお認めくださると思いますが、国際的にまさに雄飛しようとする場合、ことに損害保険は国際性を多分に持つておることは御承知の通りであります。各外国保険会社も、もうすでに再保険の交換をなそうとする場合におきまして、こういうような誤解が国内に起つておるということは、この業務の進展の上に、あるいは国家経済の進展の上におきまして、まことに残念に存じますので、この点をはつきり申し上げ、しかも政府の御理解をひとつお聞かせ願いたいと存じまして、申し上げる次第であります。
  50. 舟山正吉

    舟山政府委員 最近公団の保険につきまして、損害保険会社損害保険につけることをやめまして、公団の経理上自己積立てをするということに方針が改まつたのでございますが、こういうことにいたしました動機が、いろいろ保険をつけることについて不正行為があつたためであるというようなうわさも、私としては聞いていませんし、またそれは事実でないのでございます。その理由はただいまも御指摘がございましたように、公団の既往において払い込んだ保険料が比較的多額であつたのに、損害の発生、従つて保険金の受取額が比較的少額であつた。このくらいならば自家保険でも事足りるのではないかという考えに基くものであつたのであります。これらに対しまして関係部局はいろいろあるのであります。すなわち公団においてどう考えるか。あるいは実施しております財政当局においてどう考えるか。いろいろ意見はあるかと思いますが、私ども保険というものこ比較的理解が深いと考えます者にとりましては、ただいま申しましたような考え方はいささか軽率ではないかと考えている次第であります。すなわちここ比較的短期間の間に損害の発生が少くても、損害というものは地域的に広汎に考えるべきであるのみならず、また年数的にも何年かの経験を基礎として考えなければならないと思うのでございまして、去年災害がなかつたから、今年も災害がないときめてかかることはいかにも危険である。でありますからできるだけ保険につけまして、危険の分散をはかることが賢明なことではないかと考えるようなわけでございますが、ただいまのところは公団当事者あるいは財政当局の御意見によりまして扱いが改められた次第でございます。なお公団の財産を損害保険会社保険につけるというような場合につきまして、ただいまもお話がございましたように、手数料をいかに軽減するか、あるいは保険料率というものを、特殊の高利をもつて扱うかどうかというような問題につきましては、またいろいろな考え方もあろうかと考えるのであります。公団の保険問題につきまして、最近の経緯あるいは監督官庁としての私どもの意見というものを申し上げた次第であります。
  51. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 私はこの審議に関連する問題でちよつとお伺いをしたいと思うのですが、実は熱海の大火で今回相当損害を受けたのでありますが、保険金額が大体三億と聞いております。ところがその保険金を今もつて支払わないために、市の罹災者は非常に困つているようですが、この金はおそらく銀行の担保に入つてつた家屋の抵当関係上、この金を抑えられていると思うのでありますが、何とか至急にこの支払い方を政府に促進していただきたい、こういう陳情があつたのでありますが、政府でもこの問題について至急に御便宜を与えていただきたいと思います。
  52. 舟山正吉

    舟山政府委員 熱海の大火に基きます支払い保険金の金額は、大体四億円弱と調査しております。これに対しましては、各保険会社は十分の支払い資金を持つておりまして、急速に支払いできる態勢にあるのであります。ただ申すまでもなく重複保険すなわち一つの物件を各社に加入しております問題とか、あるいは超過保険、不当に多額の保険金をつけた事例というような問題の調査のために、若干の日数を要しておるのでございますが、その調査も大体終りましてごく近く保険金の支払いを円滑になし得る態勢になつておるのでございます。御了承を願います。
  53. 川島金次

    ○川島委員 私も熱海の問題でちよつとお尋ねいたしたいのですが、現地からの報告によりますと、各保険会社が熱海市に調査団を派遣している。これは当然あるべきでありましようから別に異議はございません。しかるにその調査団の個々折衝の過程において、非常に被保険者にとつては納得のできな  い個別的な折衝が行われているらしい。その結果その調査団の個別折衝の現地における要求に対して、これで納得するならばすぐ保険金は払つてやろう。しかしこれがでなければ手数もかかり、日数もかかつてなかなか保険金は払えない。こういつた一種の威渇的な言辞をもつて熱海の被保険者市民諸君を狼狽させておる。こういうような事柄が個々には起つておるというような事柄でありますが、一体そういう問題に新しましては政府としても機敏な、監督上の責任からして善処をすべき性質のものであろうと思うのでありますが、はたしてそういう事実が現地にあるのですかどうですか。そういうことについて当局に入つておりまする資料がありましたならば御説明を願いたいし、それに対する政府考え方をもあわせてこの際重要なことでありますので、お尋ねしておきたいと思うのであります。
  54. 舟山正吉

    舟山政府委員 ちようど御質問のような趣旨のことが、けさの新聞紙にも報道せられましたので、当局といたしましてはさつそく実情を調査し、その不当な取扱いがもしありとすれば、これが是里方を命令しておいたような次第であります。すなわち先ほど申し上げましたようなことについては、一応の調査がありますが、保険金は罹災当時の当該物件の時価ということで押えて行くのでありまして、これをもし何らか基準でもこしらえまして、不当に保険金の支払いを押えるというようなことがありますれば、これは明らかに不当なことであります。従つてそういうようなことは当局といたしまして保険会社にこれを是正さすという措置をとるのでございます。これを要しまするに新聞紙上でも問題を知りましたので、さつそく手落ちのないように命令を下しておる次第でございます。
  55. 川野芳滿

    川野委員長 それでは本案に対する質疑はまだ相当あるかと存じまするが、明日に譲ります。     —————————————
  56. 川野芳滿

    川野委員長 次に予算執行職員等責任に関する法律案議題して質疑を続行いたします。川島金次君。
  57. 川島金次

    ○川島委員 本案について二、三お尋ねをいたしたいと思います。  第一点は現金または物品の出納保管をつかさどる出納官吏の責任であります。従来その責任の問題につきましても明らかにされておつたところでありまするが、最近の資料でけつこうでありますけれども、もし手元に資料があればお示しを願いたいと思うのです。その一つは、こういう責任上の問題について、弁償の要求をしなければならぬような事態がどのくらいあつたか。そうしてその額はどのくらいであつたか。さらに弁償をいたしまする側に立ちましての弁償の方法はどういうふうに扱つて来たかというような事柄について、資料がありますればお示し置きを願いたい。こういうことをまず求める次第であります。
  58. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 ただいまの川島委員の御要求につきましては、この検定の実務というものをすべて会計検査院が現行法でやつておりますので、その正確な資料は今検査院が持つております。それで会計検査院に要求いたしまして、できるだけすみやかに出すようにしたい、こう思つております。
  59. 川島金次

    ○川島委員 そのこまかい事柄はいずれ検査院の方に御連絡を願いまして、すみやかに明日でも本委員会に御提示を願いたいと思うのであります。そこでこれは会計検査院に聞かなくともおわかりのことと思うのでお尋ねするのですが、弁償をしなければならぬような責任者が生じた場合に、その責任者というものは言うまでもなくこれは一般公吏、公務員でございますので、さだめしベースも低いことである。従つてその金額によりましては、容易にその弁償の責めを果すことができないことがさだめし多かろうと思うのです。そういう場合においては、従来政府としてはどのような形において、その弁償の責任を果さしめて来たかということについて、大ざつぱでもよろしいのですが御説明を願いたい。
  60. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 これにつきましてはいろいろな場合が予想せられるのでございますが、でき得る限りもちろん本人をして弁償せしむるという建前をとつております。なお多くの場合におきましては、その保証人であります。とか、また実際上その保証人と同様な後見的な立場に立つている者が、相当かわつて負担をしているというのが多くの場合ございます。またこれが犯罪等を伴つて参ります場合には、もちろんできる限りその資産を追究いたしましてとつております。それで実際問題といたしまして非常に巨額の場合におきましては、結局どうしても事実上とれないという場合が多く出て参ります。これにつきましては国の一般の債権の処理に関、する法律がございまして、定期貸し、すえ置き貸しという制度に基きまして、どうしても本人が無資力であるという判断を国がいたしました場合には、二十年間の定期貸しに編入をするまたその場合に相当のすえ置きを認めるということにいたします。そうしてそれでもなおとれないという場合には、債務を免除するということになつております。ただこれは明らかに無資力であるということがわかつた場合に限つております。そのほかの場合においては、でき得るだけ少しでも資力があるという場合には、追究をしてとるという建前であります。
  61. 川島金次

    ○川島委員 私はこういう責任の所在を明確にして、出納の確立をはかるということは最も必要だと、ことに現下の必要性を認めるのでありますが、ただこういうものが法律として出て参りましても、今の政府損害を与えました金銭あるいは物品上の問題というものは、なかなか巨額に達している。そういう巨額に達することが、往々にして今日遺憾ながら多い事態に対しまして、この法律をつくつても、この法律の実効力というものが、私どもにはまことに疑問に考えられるのであります。従つて、この法律がかりに実施をせられましても、ほんとうに法律をつくりました目的が果せるかどうか。予防的には一つの役に立つと思いますけれども、実際の事態が発生し、しかもその事態が巨額に達した場合、これは保証人や本人の問題ではとうてい片づかぬということになる場合が通常の場合に多いような実際問題でありますので、そういう事柄について政府としては、この立案に対しましてどういう確固とした見通しをもつてこういう法案をつくることになつたかということについて、若干私は疑念がありますので、その事柄について、たいへん抽象的な質問で恐縮ですが、その問題についての所見がありましたならばこの機会に承りたい、かように思うわけです。
  62. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 私たちもただいまお話のございましたような点につきましては、まつたく感じを同じくしているのでございます。実は予算執行職員等責任に関する法律というものの眼目が、どこにあるかということを考えますと、一つはやはりこれによつて会計官吏の気持を厳粛にさせて、そうして場合によつては一種の、威嚇と言うと語弊がございますが、やはり戒めにするという、多少刑罰的な、予防的なかつまた戒告的な要素が一面にございます。それからもう一面は、国が原因のいかんを問わずこうむつた損失というものを、できるだけ補填したいという気持と、この二つがございます。それでただいま川島さんのお話がございましたように、しからばわが国の会計官吏の実情というものに照して、実効があるかどうかということを考えてみますと、一面においてこういう法律を少しでもすみやかに確立して、会計官吏の自粛を待つという必要と認めながらも、他面においてはその実効性ということを考えまして、実はこの第三條において「故意又は重大な過失」ということに主観的な要件を限定したのであります。これにつきましても相当の議論がありまして、いかに過失が軽い場合においても、損害の責めに任ぜしめるかどうかという議論があつたのでありますが、それは今後他の要素、すなわら各般の会計制度が改善せられ、また現在の会計官吏の能力というものがもつと向上する。そのほかいろいろな点で、必ずしも会計官吏のみに帰すべからざる原因によつて生ずることのあるような損害を、予防し得るような方法を改善して、それと相まつて、だんだんにその責任も加重して行くということの方が穏当ではなかろうかということで、故意または重大な通矢に損害の賠償の責任を限つたのであります。実はそういうようないきさつがございました。それからしかもなお、あくまで損失の補填ということは、一面この法律目的でございます。それでその場合には一体どうしたらいいかということで、この法律案を出します際に、アメリカで行われておりますような、現在よりもつと厳重な意味の保証人の制度というようなものを考えるか、あるいはまた信用保険というようなものを考えるかということで、大分考えあぐんだのであります。ただ御承知のような会計官吏の待遇その他でございますので、保証人を厳重に立てるということは、言うべくして行われがたい点が相当にあるということも考えまして、そういたしたのであります。  保険制度につきましては、これはしばらく事情を見た後におきましては、採用して、もいいのじやないかと思つておるのでありますが、これは一種の信用保険であります。しかしながら日本におきましては、信用保険はまだ十分に発達しておりません。最近民間におきまして、この種の保険がやはり少しずつ行われるという機運があるということを私ども聞いておりますが、しかしながら当分の聞、特にこういうようにまだいろいろな事情でもつて、会計的な事故というようなものが起りやすい場合におきましては、どうしても保険料率というものが、異常に高くなるということを考えさるを得ません。そういたしますと、その保険料をだれが払うかという問題が第一に問題になります。この場合にもちろん本人をして払わせなければ、戒告的な意味がないわけであります。それにしても結局においては、最後的にはそういうよけいな保険料を払うような合計官吏に対して、相当の待遇改善をしてやらなければならぬ。そうすると結局それは国の負担に帰する、こういうことになるわけであります。そこでしからば国が目家保険をしたらどうかということも考えてみたのであります。私ども今漠然と考えておりますところでは、将来はこの自家保険というようなことを考えて行く、そうして国がその保険料のめんどうをみてやるというようなことを考えてやつたら、どうかと思つておりますが、何分にもこれは相当な準備がいるのでありまして、この法律と同時にすぐにこれを採用するという段階に立至つておりません。それでまあ今後ひとつ研究してみようというふうに考えております。従いましてただいまおつしやいましたように、非常に車の両輪の片方の方が欠けたような感じがされると思うのでありますが、それにいたしましても執行職員の責任といいますと、最近のように、新聞紙面をにぎわしておるような問題が、非情に巨額なものが多いものですから、すぐに頭が巨額な問題に走りやすいのでありますが、実際問題といたしましては、個々の軽微なものも相当にある。それらがやはり集積して、目に見えぬ損害を国に与えておるということも事実なのであります。それで私どもといたしましては、そういうものもできるだけ防ぎたいという気持を持つております。巨額なものにつきましては、多くの場合にそれが犯罪を伴つて参りまして、結局そういう犯罪人の処置をどうするかという問題に帰することになるわけであります。今後研究をいたしまして、そういう面もできるだけ早く確立して行きたい、こう思つております。
  63. 川島金次

    ○川島委員 最近公団等の問題を頂点として、いろいろなスキヤンダルが起つておるわけであります。しかも最近の傾向としてはややもすると出納官吏、経理関係責任者がその中心をなすというような志まわしい、まことに残念な事件がひんぴんとして起つております。これは単に国の関係でなくして、地方においても地方の自治体の中に、県あたりにおきましてもこういう事態がひんぴんとして起つておる。これはいわば戦後における国民全般の道義の頽廃ということであろうかと思うのでありますが、一つにはやはり公務員の全面的な国の待遇に関する問題が十分でない。こういうことにも非常な責任があるのではないかと思うわけであります。そういう意味合いにおきまして、一方公務員の処遇に対してはきわめて冷淡な政府が、一方においてはその公務員の故意はもちろんでありますが、過失において生じましたところの国家に対する損害に対して、きわめて厳重なる責任を明確に追究するという心持はわかるのでありますけれども、一面においては公務員に対する待遇が万全でないにかかわらず、そのような責任の追究だけを厳重にするという形は必ずしもとるべき態度ではないと考えるものでありますので、その点をお尋ねいたすのであります。この点についてあなたにお尋ねすることはいささかむりだと思いますが、そういうことも十分に考え、苦心もされたことと思うのでありますが、一方的な責任追究、これであつてはならない。これをやるからには、一方においては公務員に対するところの、どうやら最低の生計費が維持できるというこの線に向つて政府が努力するのでなくては、私は真の生きた政治ではないと考えるわけであります。内容は知りませんが、最近の貿易公団の問題等につきましての関連者、前経理課長のごときは、三疊か四疊の中で親子四、五人間借りをしておる。しかもその細君たるやいまもつてタイピストをもつて生計を助けておる。こういうような新聞をわれわれが見たときに、その罪悪に対しては、犯罪それ自体に対しては、国民としてまことに潜むべきものであると痛感いたすのでありますが、一方において、その本人は今のようなまことに窮迫した生活の中に追い込まれて、辛うじて数人の子供たちが養われておる。こういう事態をわれわれ見たときに、まことにこの法案と照し合せまして、片手落ちな感がしみじみいたすのであります。その点につきまして、立案者はどのような考え方を持たれておつたかということにつきまして、もう一ぺんさらにお尋ねしておきたいと思うのであります。
  64. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 この法律案に特に関連いたしまして考えますと、公務員全体の待遇改善という問題につきましては、また適当な人と適当な機会に論ぜられる方がよいと思うのでありますが、私どもこの法律を出します際には、やはりこの法律事項によりまして一番影響をこうむる会計官吏、会計職員の待遇改善ということにつきましては、やはり非常に考えたのであります。会計官吏は現在におきましては、各省の仕事のうちでいわば機械的であわ、かつ無味乾燥な仕事をしているということであまりみなから喜ばれておりません。それからまた最近のように予算額、従つてその支払い金額というのが非常に厖大になり、かつ支払い手続が複雑になつて来ておりますので、事務の負担過重というようなことも争われない事実なのであります。たとえば給料の支払いの前日、前々日というようなときには毎月徹夜をしなければならないという事実もあるのであります。私どもといたしましては、一方にそういう事実もわかつておりますので、こういう責任を課する以上は、その待遇についても何とか考えてやらなければならないと考えております。ただ現在の公務員の給与のような職階制度のもとにおきましては、一面におきまして結局その責任と技能というか資格というか、そういうものに伴つて、たとえば会計官吏なら会計官吏の特殊の給与が考えられておりますので、私どもはこの法律とあわせてそういうことも考えたいと思つてお呈すが、なかなか各方面の意向等もございまして、ただちに実行することが困難であります。しかしながらこういうふうに責任が一面に重くなる以上は、やはり資格を与えなければならない。結局その資格というものは、十分に教育することによつて生れる。いろいろな会計の技術とか、そういう専門的の教育を政府が会計職員に施しまして、それによつて一種の免状というか資格を与え、そうしてできるだけ待遇改善の機会をつかますという気持でおります。各省の合計官吏は、実は会計官吏を通じての代弁者というものがございませんので、私たちは主計局の立場から、国家の会計事務に携わつておる人たちのために、できるだけ機会あるごとにそういう点も考えて行きたいと思つております。
  65. 川島金次

    ○川島委員 もう一つお伺いいたしますが、この法律の第四條でしたか、その末尾に三年を経過した者云々というのがありますが、この三年というのはこの法律に書いておる限りにおいては、一つの免責事項というふうに理解されるのですか、どういうのですか、その点を御説明願いたい。
  66. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 この問題につきましては、一面その事務ということの見地も考えておりますのですが、あまりだらだらとして、たとえば極端に申しますと、十年たつても十五年たつてもそれをむし返すということでも私の方で困りますので、一応三年という除責期間を置きました。つまり会計検査院の検定に基くところの損害暗償の責任というものは三年で限られております。しかしながら従来からの一般の解釈といたしまして、やはり国の職員がその職務執行の範囲を逸説いたしまして国に損失を与えました場合には、もちろん一般の手続によりまして、損害責任を追究することはできるわけであります。そういう点はもちろん私の方としては、これを特にやめさせるという考えはございません。
  67. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 ただいま川島委員から、私の聞きたいことをまず第一にお聞きになりましたので、あるいは繰返すことになるかもしれませんが、この法律は少し薬がきき過ぎて——最近の公団のふしだらなやり方を見ますと、何らかの措置はとらなくちやならぬというふうに考えるのでありますが、しかしここまでやられたのでは、今後の行政の運営がはたしてうまく行くかどうかという懸念がありますので、一応御質問申し上げたいと思うわけであります。  まず予算執行職員は、もちろん十分その職責に任じなくちやならぬことは当然のことでありますが、しかし予算執行職員だけがこういうふうな非常に重い責任を負わされるということになりますと、そうでなくともあまり会計の仕事はやりたがらない。従来の実情に徴してもそういうような関係があるのでありますが、いわんやこういうように責任がはつきり負わされるということになりますと、なおさらやりたがらなくなる。なお有能な人がこういうような執行職員になりますと、一ぺん傷がつきますと相当重い。あるいは先ほどお話が出ましたように、役所の仕事の金額というものは、個人の俸給なんかではとてもまかないきれるものじやないので、なおまたこういうような職員の待遇については、十分今後においてお考え願うわけではありましようが、それにしましても多少優遇されたからといつて、これが補いきれるというものではないのであります。もちろんほかの職員でありましても、故意または重大なる過失ということの場合には、その責任は免れないわけでありまするが、金銭的な責任ということになりますと、そう簡単には負いきれない。はつきり言えば、ここに掲げられている弁済責任という、その責任に任ずるだけの支払い能力が全然ないということにもなるので、ただ威嚇的だとおつしやればそれまででありまするが、しかし一旦そういう責任を負うということになりますと、一生その債務を負わなければならない、ひいてはやめなくてはならないというようにも考えられるのですが、その辺についてどういうようにお考えになつているか。一応お聞き申し上げたいと思います。
  68. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 今の御質問でございますが、私どももこの法律によりまして、会計職員の犯罪をよけいつくるという気持は毛頭持つておりません。国の会計を粛正させることをむつてもちろん足りているわけであります。ただ現状におきましては、ただいま話がございましたように会計職員だけを責める。つまりこの法律だけをもつて事故を防止することができない。従つて会計官吏だけが非常に責任が重くなるというふうなおそれがございます。それで一面にこういう法律提案いたしますると同時に、他の面においてできるだけ改善も考えて行きたい。その一つはただいまお話がございました、会計職員は特に役人の中でも不遇である。業務関係仕事と違つて非常におもしろみのない会計職員の待遇改善は、他の公務員全体の問題と切離しても、できるだけ考えなければならぬじやないかと考えております。それから合計職員の負担過重ということを私たちはよく知つておりまするので、できるだけ陣容を充実させたいと考えております。行政整理等も、行われている現状でございますので、これもなかなかはかそれしくは参つておりませんが、最近会計事故が非常に多い一つの原因は、その負担過重、体をすり減らして仕事をやつて行く結果として起る場合もございますし、一面におきましては十分な勉強もできない、審査もできない、こういうようなことも明らかにございます。それに関連してらよつと先ほど申し上げましたように会計法規その他の教育もいたしたいと思います。これは知識と人格と両方の教育であろうと思いますが、会計法規の原則的なことでも、戦後の新しい若い人が多い合計職員では、わかつておらないことが相当あるのでございます。従いまして結局それは個々の会計官吏の能力ということに帰するわけでございますが、能力をできるだけ高めて——現在の会計職員の全体の能率を、数字的に比較することはもちろん困難でございますが、やはり他の面におけると同様に能率の低下が見られる。それはやはり質の低下ということが大きな原因だろうと思います。それでこれをできるだけ高めるようにしたい。そういたしますると、小人数でもつて、しかも負担が軽減されて行く。またその結果として、事故も少くなるというようなことも一面において考えております。それから何といいましても、会計職員の地位の保障ということが、やはり一つ問題になるのであります。これはもちろん、上司がそう乱暴な命令を出すということは考えられないのでございますが、しかしながら会計職員が業務的な要求とは全然違うところの、会計法の精神に基くところの毅然たる態度によつて、自分の事務を処理して行くという、その気持の柱を与える意味においても、できるだけ会計職員の地位の保障ということを考えたい。これは御承知の通りわが国の予算制度のもとにおきましては、予算の編成は大蔵大臣責任でございますが、執行は各省大臣にまかされておるというのが、わが国の制度の根本の精神でございます。ところが、たとえばこれは他国の例でありますが、アメリカのごとく、支出すなわち小切手を切る仕事は、すべて大蔵大臣の統轄になつておる。各省の大臣は、契約を結んで仕事をすることはできる。しかしその支払いの小切手を切るという仕事は、全部大蔵大臣のところにあるということになりますると、その支出、小切手を切る役人というのは、各省の仕事に対してある程度独立な立場を持ちまして、審査も十分にすることができる、こういうような組織になつておりますが、将来におきましては、そういう組織的な問題を取上げてみたい、会計職員がその義務を遂行するのに十分必要な何かレールを与えてやりたい、こういうふうに考えております。いずれもなかなかむずかしい問題が多いのでございまして、すぐきよう、あすというわけには参らないことがありますが、しかしながら私たちはそういう点もできるだけ直して行きたい。それからもう一つ、新憲法が施行になりましてから、新しい制度をつくりまして、いろいろな法令をどんどん出しておるのであります。これが、会計職員がやはり消化不良に陥つている一つの原因であります。こういう点も、会計検査院等とも十分打合せましてできるだけ必要なものに限つて、不必要な仕事は除いて行きたい。最近におきましても、会計法のめんどうな手続につきまして、必要のない限りは少しずつそういう点を省いて行くようにと考えております。そのほかいろいろございますが、そういつた面をできるだけやる。簡単な話が、たとえば日本の会計課には銀行のような窓口がございません。請負人あるいは民間の人たらが、小切手を目の前に置いておる机の前にやつて来る。それでありますから、どうしても忘失するようなチャンスも多くなる。これらも結局設備というものに関係して参るかと思うのであります。あるいはまたできるだけ専門家を養成しまして、そういうものを会計課長にしなければならぬといつた、いろいろな要素がたまつております。こういう点をもう少し研究いたしまして、そうしてそういう面の改善をして参りますと、今度は、必ずしも会計職員の悪意によるものでない会計事故は、他の原因が相当伏在していたといことが、だんだん明らかになつて参ると思うのであります。これらの問題につきましては、国会におかれましても一ぺんぜひ御検討を願いまして、われわれに力を添えていただきたいと、実は内心希望しておるのでありますが、そういうようなこととあわせてやりますときには、会計職員の負担というものも、心配されるものから見ますとよほど軽くなつて来るのではないか、こういうふうに考えております。支払いの能力の問題等につきましては、先ほど申し上げた通りでございます。
  69. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 第三條を見ますと、先ほどお話のありましたように、「故意又は重大な通矢に因り」——故意は別でありますが、重大なる過失によるという、そういうような限界は非常にはつきりしないのであります。また先ほどちよつと触れましたように、支出に関係ある面だけがここに取上げられておる。たとえば歳入徴收官というものに対しては、責任がないのであります。私はもちろん歳入徴收官に責任を持たせる考えはありませんか、ただ重大なる過失という限界を考えますと、なるべく狭い範囲で考えなくちやならぬと思うのでありますが、それにしても非常に不明確である。また第三項を見ますと、二人以上の予算執行職員が責任があります場合、その職分に応じ、また当該行為が損害の発生に寄与した程度に応じ、補助員もまた本官もいずれも責任に任じなくちやならぬ。その場合に重複して責任があるので、その損害額をどういうふうに按分するかというようなことについて、非常に疑義が多いのでありますが、そういうような問題については、どういう考えを持つておられますか、お聞き申し上げたい。
  70. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 ただいま前尾さんがおつしやいました通りなのでありまして、これはあらゆる場合が考えられるものでございますから、この法律を書くときにも非常に困つたのであります。まあできるだけ具体的に書きたいと思うのでありますが、法律の書き方としてもきわめて困難であります。これは政府と会計検査院とが、相当責任を持つて運営に当つて行くという以外には方法がない。そこで政府といたしましては、会計検査院に悪意的な判断をしてもらつては昨常に困りますので、常に十分な連絡を保ちまして、あらかじめ会計検査院と連絡をとりまして、そうしてできるだけわかり得る範囲基準を明確にして、その運用の確実を期して行きたい、こういうふうに考えております。
  71. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 そこで今お話がありましたように、この法案については、会計検査院の見解というものが、非常に重大なる力を持つようになります。第七條を見ましても、事前審査で一々会計検査院の見解に拘束される。御承知のように会計検査院は独立の官庁で、もちろん政府の行政を監督するものではありますが、しかし事前審査ということになりますと、非常に行政に介入するというような結果になるように考えられるので、私ははなはだ好ましくないように思うのであります。また第三項を見ますと、会計検査院と意見が違うときには、大蔵大臣もその意見を表示することができるということにはなつておりますが、その結果がどういうふうになるかというようなことも、明確でないのであります。第三項その他第七條の運用についての御見解を承りたいと思います。
  72. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 第七條、これは非常にむずかしい條文でございますが、ただいまちよつとお話がありましたように、わが憲法の建前からいたしまして、会計検査院と政府というものは互いに独立し合つて他を侵すことができないということが、一応の原則になりております。それでいながら、またお互いにこういうふうな関係に立つということでありますので、勢いこの表現の仕方がむずかしくならざるを得なかつた次第でございます。第七條の一項でございますが、この事前審査規定は、実は私たちがこれを立案いたしまして、各省の会計課長会議に諮りましたときにも、ただいまお話のあつたような問題が非常に起つたのであります。つまり法令の解釈というようなものについて、結局会計検査院が決定権を持つてしまつて政府の各省というものは会計検査院の見解を伺うに汲々としてしまう。その結果何でもかんでも一面に相談を持つてつて政府はもう動けなくなつてしまうのではないかという心配でございます。しかしこれは第七條一項の立法の趣旨ではございませんで、結果としてそういうふうになろのではないかという、いわば疑義を持たれるような傾向もございますが、この第七條の一項は、條文をよく読んでいただきますとわかりますように、むしろ私たちがこの規定を置きましたのは、会計検査院がしよつちゆう考えがぐらぐらとかわつて——現在でもそうでありますが、各省は会計検査院にしかられることをおそれて実際上相談に参ります。ところがその場合に係等が巨頭でもつて返答を受けて安心しておると、実際は検査報告でもつて批難を受けておるというようなことが、必ずしもないことはないのであります。これは手続きの行き違い等もあるのではないかというふうに考えておるのでありますが、できるだけそういう行き違いというものは、こういうふうに責任が加重される以上、防いで行かなければなるまい、こういう気持でございます。会計検査院は一ぺん自分が相談を受けて、そうしてその意見を表示しましたら、それを黙つて今度はひつくり返して、それによつて決定するということは困るということを、ここで率直にその気持を表わしておるだけであります。もちろん誤りだということであれば、ただちにその誤りであることを表明して通達してもらえば済むことでありげます、が、そういうような気持をここに出しておるのであります。ただその結果といたしまして、ここにございますように支出等の行為に関し、疑義のある事項について結局意見を求める。そうすると各省は事なかれ主義ということになつて、検査院の言う通りになる。結果といたしまして法令の解釈は、検査院が握るのではないかということでありますが、これはあくまで建前といたしまして、会計検査院はいわゆる事実の検査をするところである。もちろんそれに伴うところの最小限の解釈というものは、当然出て来るわけであります。しかしこの法令を立案するのは常に政府であり、そうしてそれを決定するのは国会でございます。第一次的にはやはり直接事務を執行しておる政府が、自分の可なりと信ずるところの解釈のもとに行動せざるを得ない。最後に争いがありましたときには、決算委員会その他の機会におきまして、国会にその見解を明らかにしていただく。もちろん法的にはそれをはつきり定めてもらう場合には、裁判所まで行くということになろうかと思うのであります。私どもそういう意味で、ただすなおにできるだけ、会計検査院が意見をぐらぐされて、各省が迷惑をごうむらないようにという気持で立法をやつたのであります。ただただいま申し上げましたような疑義が、ある程度どうしてもやむを得ず起つて来るのであります。そこで一種の老婆心から二項と三項を置いたのであります。すなわち会計法規の立案に当つており、また政府といたしましては、その解釈について最後的な責任を持つておるところの大蔵大臣が、これに関与する機会を与えてもらいたい。すなわちここにございますように、事実の認定については、これは会計検査院に文句を言う必要はないのでございますが、法令の解釈ということにつきましては、もしも大蔵大臣が、いや検査院の見解はそうだが、政府としてはそうじやないという見解を持ちました場合には、これを表示する機会を持ちたい。そのために二項でもつて一応通知を受けまして、そうして三項でこういう條文を置いたわけであります。従いまして七條の第一項にある「支出等の行為に関し疑義のある事項」と、一項は非常に広く書いてあるのでございますが、三項におきましては、「法令又は予算に定める事項の解釈について会計検査院の意見と異なる意見があるとき」というふうに、主として予算の編成の趣旨とは法令の解釈について大蔵大臣がやはり見解を持ち、結局各省大臣は大蔵大臣に聞いて参りますので、政府の各省を代表する意味で、こういうようなチャンスを与えてもらいたい。こういうことを老婆心として入れたわけであります。もちろんそれであるから、今度は会計検査院を政府が拘策するということもできませんので、一応表示することができるという機会を与えてもらいたい。こういう気持で、あります。條文としてこういう機会を与えていただいて、正式に大蔵大臣として意見を表示しましたときには、会計検査院としても敬意を払つて尊重していただけるものと、私の方では考えておるようなわけであります。しかしながら多くの場合におきましては、事実上十分連絡をいたしまして、こういうような互いに見解が齟齬するというような事態の起らないように、運営を十分に連絡をよくしてやつていただきたいと考えております。
  73. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 ただいま御答弁にありましたし、またわれわれの実際の今までの経験から考えましても、自分の責任にただちにかかることでありますから、何でもかんでも会計検査院に持ち込む。ところが会計検査院は最終の責任を負うようなかつこうになりますから、容易に判断を下さずに長くほつておく。従来でもそういう弊害があるのでありますが、そうなつて来ますと、非常に事務の渋滞を起すのではないかということを心配するものであります。それらに対してどういうようなお考えを持つておられるか、お伺いいたしたい。
  74. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 これは会計検査院が申し上げることかもしれませんが、検査院と私の方でも実はこの問題は相談しておるのでありますが、検査院としまして、できるだけすみやかに事務を処理して行くような方法を考えると言つております。どういう方法になりますか、具体的になるとなかなかむずかしいのでありますが、一定の期間を限つて必ず返答をしてもらいたいとか、あるいは各省としては、もつとできるだけ簡単な手続でやつてもらいたいとか、いろいろな希案出おります。また一面におきまして、会計検査院としては陣容を充実してほしいというような希望も出ております。私の考えでは、そういうようなこともできるだけやる必要があろうかと思いますが、法令の解釈その他につきましての疑義は、そう多くは起らない。むしろだんだん減つて行く。最初は相当の件数が予想されるにつきましても、結局この法令の解釈というような問題になりますと、ある程度おのずからそこに明らかなものが出て来るんじやないか。そうしてそれがだんそれと積み重なつて行き、そうして一面において十分に法令の解釈などについての教育を徹底して参りますれば、予想せられるほどのこともなくて済むんじやないかというふうに考えております。しかしいずれにしましても、これは重要なことでありますので、政府と合計検登院で十分打合せをいたしまして、いやしくも事務が渋滞を来さないように、ひとつ運営でうまくやつて行きたい、こういうふうに考えております。
  75. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 それから会計検査院の弁償責任の検定、並びに懲戒処分の要求ができるようになつておりますが、あとでその検定なり懲戒処分が誤りであつた場合には、会計検査院の責任、あるいはどういうふうな措置をとるかということについての御見解を承りたいと思います。
  76. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 これは非常に法律上むずかしい問題だと思うのであります。会計検査院の職員が誤つて検定をしてれその責任がどうなるかという関頭につきましては、政府自体が会計検査院に対して逆にそれを追究する、あるいは要求するという道はもちろん開けてございません。ただその場合に、これは会計検査院はこういうふうに考えておるが、政府はこういう見解であるということで。国会においてその見解を披瀝して争うということは、もちろん可能でございます。その結果といたしまして会計検査院の方のとつた手段が明らかに間違いであるといたしましても、いわゆる法律上の責任といたしましてはいかんともしがたい、こういうように考えております。ただ会計検査院は、いわば国会の指導のもとに国の会計検査をやつておるのでありますし、その検査報告というものは国会の審議を受けなければならぬということになつておりますから、その国会におきまして十分の陳弁の機会を与えられ、かつまたそれに対して国会が判断をする。そしてその結果として政治的に責任を背負うという問題は考えられると思います。しかし法律上の責任ということは、さしあたつて考えられないと思つております。もちろん会計検査院の職員が、いわゆる一公務員の立場から、特別に怠慢その他のことによつて事の処置を誤り、それが第三者に対して不当な損害を与えたというときにおきましては、損害賠償の責任は別といたしましても、公務員の懲戒の対象には十分なり得るものと思つております。具体的にそういうような場合には、懲戒の責任を背負うということになろうかと思つております。
  77. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 最後にこの法案については、これは初めてとられた措置でありますから、いろいろ問題が多いことは当然ではありますが、先ほどお話のあつた、どういうように運営して行くかについてよほどお考えにならぬと、今までの御答弁の様子では非常な事務上の問題も起るし、また金銭の責任に対する問題も起る。この法律の施行になりましたあとの姿について十分なお考えを持たれ、また会計検査院についても、十分な責任のとり得るような体制につくり上げるということをよほどお考え願わぬと、心配が多い法案だと私は考えるのであります。最初に申し上げましたように、もちろん従来の公団の現状等から考えまして、何らかの措置は考えなくちやなりませんが、こういうような責任を負わして、またそれがうまく運営できるようにできておるかどうかについて、よほどお考え願いたいということが一点と、それから何と申しましても、最初に申し上げましたように、こういうような経理の仕事はみないやがつておる。そこへ持つて来てこういうような責任がくつつくのでありますから、だれもなり手がない。聞くところによりますと、みなは非常な恐慌を来して、動揺しておるというような様子も見えておるのであります。従いまして、たれかこういうような仕事はやつてもらわなくちやならぬのでありますから、その待遇の問題、それから地位の確保といいますか、十分地位を確立し安定さしてやることが必要なわけで、あります。従いまして、その点十分御注意になるとともに、御配慮を願うことにいたしまして、私の質問を終ることにします。
  78. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 現在の世相を見ますと、予算執行職員等責任に関して、何らかの処置をとらなければならないということは、何人も異議がないところであろうと思うのであります。しかし内容を見ますと、債務の弁済とか、とにかくこの当事者を相当強く追究しておる点に重点があるように見えます。これについて私が感じますのは、アメリカの法律は処罰が非常に重い。その結果として見のがされるものが非常に多くなります。一例をあげますと、公園の木の小枝を折つた者は五十ドルの罰金に処すとちやんと立札が出ている。ところが小枝を子供が折つても、巡査は見ておつて知らぬ顔をしている。子供が小枝を一本折つて五十ドルの罰金をとられたのではかなわないから、見ても見ないふりをしている道でつばを場吐いた者は五十ドルの罰金をとるというように規定されておりますが、巡査は見ても見ないふりをしております。これが実情であります。ところが英国へ行きますと、小枝を折つた者は三ペニーの罰金をとる。大きいやつを折つた者は一シリングの罰金をとる。だから許さない。わずかな罰金であるから、警察や公園の守衛が見つけると必ず追究する。ですから英国においてはそういうつまらない犯罪は行われない。米国においては見のがされてしまう。こういうことがあるのであります。この法案を見ると、予算を執行する公務員等が何かあやまちを犯した場合に、先ほども前尾委員から質問がありましたが、重大な過失ということが非常に私どもは不安であり疑問を持つのであります。過失そのものはそう重大でなかつたけれども、その後の事情が結果から見ると非常に重大な過失になる。このときに初めの過失というものに重きを置いて見るか、結果から振り返つてその過大を評価するか、これによつて非常に違つて来るのであります。それからまた私が考えますのは、先ほども問題になりました分に応じたというのがどうもはつきりしないので、これも不安が非常に多いと思います。そこでこういうところを何とかひとつ考えていただけないか。私は大体において、この法案ができる今日までの予算の執行において、いろいろの取締りもあり監督もあつたはずだと思います。ところがこれが効果をあげないで、こういう法律を出さなければならなくなつたというその根本にもどつて、どういうところにどういう欠陥があつたからこういう法律をつくらなければならぬか、その点はいろいろありましようが、最もおもなところを伺いたいと思います。そしてその最も重大なる原因について、それを修正する何か法がこの中に織り込まれておるかどうか。この点をお伺いしたいのであります。
  79. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 ただいまお話がございましたような、つまり幅の広い内容をこの法律は持つておりません。結局この法律自体といたしましては、予算執行職員の損害賠償の責任と、懲戒責任というものを規定しておるだけでございます。従いましてただいま苫米地さんのお話のございましたような問題は、他の面からこれを考えなければならぬと思つております。正直に申し上げまして、戦争以前には実は事故というものが、今から見まして非常に少かつたのでございます。これは当然のことかもしれませんが、いわゆる会計職員も長年やつて相当訓練のあつた人が多かつた。それから事務も比較的むりがありませんでした。それからやは力何といつても道義も相当にしつかりとしておつた。私たちも実はこの法律をつくつた際ばかりではございませんが、財政法、会計法その他の法律を立案いたしますときにいつも考えるのでございますが、結局実際の運営をやつて行く人たらの気持がまじめで、この法律を守つて行かなければならぬという気持がないときには、いかにごまかい規定を置いても結局だめになる。私どもの局長から昨日も大蔵委員会で答弁がありましたが、つまり戸締りをどんなに厳重にしても、それをむりに破ろうとする連中がおるわけでありまして、こういう連中を防ぐことは、この法律だけではいかんともしがたい。最近の事故の多いのを見ますと、実にそういう感じがいたすのであります。最近もできるだけそういうことの起らぬような予防的な措置を講ずるために、支出負担行為制度等の会計法の改正を前々国会で御審議願いましたし、その他目に見えぬいろいろな改正はいたしておりますが、それらをいたしましても、事故そのものは必ずしも減らない。結局根本はやはり道義の問題であろうかと思います。これはもちろん全部のこれに関係ある職員が、上から下までそういう気持にならなければいけないのでありまして、こういう点も十分考える必要がありますが、これはどちらかといえば法律の問題以外の、もつと大きな問題だろうと思つております。われわれもこれについて議心を持つておるのでありまして、会計検査院の検査報告等が出ましたときには、閣議で大蔵大徳からやはり相当の警告を発してもらうというようなことをやつております、しかしながら一面におきましては、この会計法規には手続的な要素が非常に多いのであります。一般の犯罪等と違いまして、手続を十分心得ておりますれば、必ずしも起さなかつた罪というのもございます。こういうものにつきましては、結局十分に教育をして趣旨を徹底させたい。これは会計の専門技術の教育ということになるわけであります。前の一般的な教育と、あとの専門的な教育と、いずれにしてもそういうようなものをもつと十分にして行きたい。それから何といつてもやかましくやるか、ほつておくかで非常にこれは違うと思います。現在まで非常に事故が多かつたのでありますが、やはり会計官吏の責任というものは、確立しておるようでしていないのであります。現在の法律のもとでは、わずかに現金を直接に取扱つているところの、いわゆるごく末端の出納官吏のみ賠償責任がある。懲戒責任は全役員を通じてあるわけでありますが、損害賠償の責任はそれに限られているというようなわけであります。それらの行為を命令するところの今度の法律対象なつた執行職員については、そういう特別の規定がなかつた。やはり私どもはやかましいことをいやでも言えば、それだけの効果があるという気持で、この法律を出したわけでります。そのほかいろいろな原因があると私は考えておりまして、先ほどちよつと他の質問にもお答えいたしましたいろいろな事実、物質的な條件を改善しなければならないとか、そのほかいろいろあるのでありまして、それらをやはり総合して行きたい。しかし比較的うまく行つてつた会計事務戦争中にくずれました事実、これは事務も膨脹いたしましたし、そうしてなれないものが多くなり、それからまたどちらかといいますと、質の悪い者が合計職員になつたというような状況もあつて、わが国の合計事務は戦時中に相当ル—ズになつたのであります。一面軍事費その他の関係でもつて、どんどんルーズにするような制度にしまして、終戦後になつてこれを一挙に引締めようとしたのでありますが、何分にも会計職員の気分、あるいは会計職員に限らず、政府の職員全体の気分がルーズになれておりますから、これを引締めるには相当の年数を要する。これを一挙に引締めることは不可能だと考えております。それでも私たちの目から見ますと、終戦後の昭和二十一年から見ますとだんだんよくなつて来ている。これは目立たないようでありますが、明らかに言えることであります。会計検査院の検査報告の件数が多くなつているというのは、ちよつとこれと矛盾したように思われますが、実は検査が行き届いて来たのであります。結局会計検査院の陣容が充実して検査が行き届いて来た。あるいはまた従来なれば、特に検査報告にあげないでおいたようなものも取上げて来たというようなことで、形式的に検査件数はふえております。しかしながら公団のような問題は別といたしまして、政府の合計事務は終戦直後の昭和二十一年から、年を追うて改善されているということを私は確信しております。ただ公団等の問題は、御承知のように制度も目が浅いのと、それから実際にやつておりまする人は多く民間の人でございます。それに国の会計的な要求をいきなり突きつけるということからして、ある程度問題が起つて来る要素があつたと思います。これにつきましても今後対策を講じて行けば、できるだけ改善できろと考えております。
  80. 川野芳滿

    川野委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。     午後五時四十七分散会