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川島委員 そこで続いてお尋ねをいたしたいのでありますが、ただいま
前尾委員から、まことに具体的に、しかも整然たる理論を持たれまして、八幡製鉄の
共済組合に対しての
質問がありました。その答えといたしまして、
政務次官からとの八幡製鉄の
共済組合の問題は、
政府機関の
関係から会社としての企業体に引移
つた。
従つて一般的に申せば、
共済組合等に対する
政府の
責任はないのだ。こういうふうになるが、しかしながら日鉄時代の歴史的な経過、
共済組合、ことに日鉄の多くの従業者の現実の今日の
実情等に照しまして、
政府としては何らかの処置を講じなければならぬとお答えにな
つておる。しかも
政務次官の今のお答えの中に、ことに歴史的な経過の
関係について、非常に重視されておるかのごとき口吻がありましたので、私どももその点は意を強うしておるわけであります。この日鉄の歴史的な
関係を
一言申し上げますが、これは
政府もすでに万万御
承知のことと思うのでありまして、まことに古いことを申し上げて恐縮でありますが、すでにこの日鉄の引継ぎの場合に、去る昭和八年三月当時の帝国議会における速記録の一條を引出してみますると、当時の中島商工大臣が議会において
国民に明らかにいたしました。ことに日鉄の当時における不安をきわめた
従業員の人
たちにも、間接的に議会を通して確約された事項が重大事項として残
つております。この
事柄は簡単に申し上げますれば、
一般の日鉄の
従業員に対する待遇問題は従来と何らかわりはない。ことに
共済組合のごときについては、
政府か今日まで取扱
つて来たこの態度を一貫して今後もと
つて行く、こういう当時の
政府のきおめて
責任ある地位の国務大臣か、議会の中で明白にこれを言明いたしており、さらにまた当時の
政府委員が、先ほど
前尾委員から申し上げました十六條の制定の趣旨等に関する
質問に対しましても、十六條には御
承知のその他につき必要なる事項、こうい
つた文章が一項加わ
つておる。このその他につき必要なる事項というのは、たとえば
共済組合のごときものの引継ぎに、必要があれば命令もできるという仕組みにしておきたいという趣旨から書いたのである。こういうふうに当時の国務大臣も、また
政府委員である有力な
責任者が議会において言明し、そうして
国民の前にそれを明らかにし、のみならず当時における非常な不安と動揺のうずの中にたたき込まれようとしておりました何千の
従業員に対して、これを確約しておる。こういう
事柄をと
つてみましても、いかに
政府が日鉄自体に官業を引継ぐにあたりまして、いろいろの経済的、政治的な諸情勢を
考え、しかも日鉄自身の当時においての十年、二十年の先を見通しての確固とした諸般の情勢の五に立
つての言明公約をされておる。こういう事実を
一つ取上げましても、今日日鉄の
共済組合に属する多くの同情にたえない人
たちから、奮然として
政府に一種の期待と要望とを持
つておる。こういう
事柄は、この歴史的な経過にかんがみますれば、
前尾委員と同様に一半のと言うより、むしろ全般の
責任を
政府が持つべき
筋合いのものでなかろうとか、私どもも深く
考えておるのであります。そこで
政務次官は、この問題についても
一般論とは切り離した観点に立
つて、
政府も新たなる視角からこの問題を真剣に取上げて善処するというお言葉がありましたが、私どももこの問題についてこういう歴史的経過の事実にかんがみましても、
政府には当然これを履行する
責任が負荷されておるという見解でおりますので、その件について
政府はどのような
考え方で、この問題を処理されようとするのでありますか。その点について最も誠実な御見解を率直にわれわれに聞かしてほしい、かように思うわけであります。