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宮幡政府委員 お答え申し上げます。今回の鉱工品貿易公団公金費消
事件につきましては、
政府といたしましてもかかる不祥
事件を惹起いたしましたことについてはまことに申訳なく、ここに遺憾の意を表する次第でございます。ただいま竹村
委員からの御指摘の中に、司直の手が伸びるまでそのままにいたしてお
つたか、かようなお言葉もあ
つたようでございますが、実は本件は、もちろん司法権がみずから発動することに対しましては、何ら容喙いたすわけに参らぬわけでありますから、その点は別といたしましても、通産省みずからが告発をいたしまして、しかして東京地検の手が動いたということが現実の状況でありますので、この点だけは御了解をいただきたいと思うのであります。
事件の概要を申し上げますと、現在までに判明いたしておりますところは大体次のようであります。
昭和二十五年一月中旬、鉱工品貿易公団鉱産部の十二月末の銀行預金残高の照合をいたしましたところ、銀行預金としては十二月中に入金にな
つております百七十万円が、鉱工品鉱産部の
帳簿には未收入とな
つてお
つたわけでございます。まだ收入しておらないということにな
つておりましたものが、銀行の勘定では收入にな
つてお
つた。こういうまことに正常でない状況を発見いたしましたので、これを押しまして
調査いたしましたところ、総額七千八百五十万円の公金費消
事件を発見したのである。このことにつきまして残念ながら当時の状況は、総裁、副総裁等におきましてそのてんまつの報告がありません。三月の二十九日に至りまして、公団総裁から口頭をも
つて通産省に報告があ
つたのであります。通産省の当局といたしましては右の報告の遷延したことにつきましては、十分その措置の不適当であ
つたことについて、総裁に対して適切なる指示、訓戒をいたしたのでありますが、そのときにいまだ検察庁に対する処置が未了でありましたので、さしあたり善後処置を講ずると同時に、四月の七日付をもちまして通産省から東京地方検察庁に告発をいたしたような次第であります。
被害の金額につきましては、総額は先ほど申し上げた
数字でありますが、まず第一の問題は、鉱産部経理課の出納係の早船惠吉、これが本年一月より行方不明でありまして、一昨十九日築地署に自首いたしまして逮捕されたものでありますが、横領容疑の金額は石油、コークス代金ほか三十品、六千百九十五万九百十九円七十九銭であります。
第二は元鉱産部経理課
商品係川村哲の自供にかかるものでありまして、この川村は昨年七月退職いたしまして現に新日本海事興業棟式会社の取締役、四月十五日に逮捕にな
つております。これが
昭和二十四年六月末、産業復興公団へ支拂うべきスクラツプの代金を約三箇月間流用し八月末早船と共謀して右金額補充のため、鉱産部の輸入物資拂下げ代金をさらに流用いたしまして、産業復興公団に支拂
つた金額三千七百九十一万四百十一円六十八銭を費消したことになります。
第三点といたしましては、この二つの金額の合計が現在わか
つておりまする被害の総額でありまして、九千九百八十六万一千三百三十一円四十七銭であります。
先刻申し上げました銀行預金の操作からこれを発見いたしました当時より総裁も非常に驚いて、これらの金額の回收、すなわち実害を最小限度にとどめる努力を拂
つた模様でありまして、その結果回收いたしましたものが二千百二十九万五百四十三円一銭、差引きいたしまして現在までの被害金額が七千八百五十七万七百八十八円四十六銭とな
つておるのであります。
事件の大体のやり方について申し上げますと、早船、佐竹、川村らは共謀の上、公団の物資拂下げ代金を巧みに流用いたしまして、相手方の商社に対しては領收書を偽造する等により、一時いわゆる浮貸しに利用して、鉱産部と経理部との間の未達勘定を
計画的に作成いたしまして、普通の検査等では発見のできないような巧妙な
方法でや
つてお
つたように認められます。これに対しまするとりあえずの処置として、通産省としてとりましたことは、三月下旬から各業務部におきまするところの代金の受領を廃止いたしまして、公団本部の経理部に統合いたしまして、各業務部門の職員の代金受領を禁止いたしました。次に公団本部経理部においても、原則として現金、小切手の受領を廃止しまして、公団の銀行口口座、入金通知をもちまして、相手方に代金受領書を発行することといたしまして、現金及び小切手の送付についても銀行員の派遣を求めまして、これを行わしむるような措置をいたしました。さらに代金領收書の
様式を改めまして、右以外による領收書は無効である旨を、
関係の商社に通告すると同時に、公団の公示
方針によりましてこれを公告いたしました。また
関係商社、銀行等に対しましての債権債務、特に代金領收済み金額をさらに綿密にただいま照合中であります。かような
方法にいたしまして、幸いにして今
国会において御審議を願いました通商産業省の設置法の一部
改正によりまして、
国会の御審議さえ相済みましたならば、公団の業務を通産省の内局で行おう、公団廃止の第一
段階へ入る
予定で、臨時通商業務局というものが事実上発足いたしております。本日ようやく設置法が参議院を
通りましたので、正式には二十四日の月曜日から出発ができることと思いますが、大体四月一日から臨時通商業務局の準備室を設けまして、一切の業務引継ぎを嚴重に行
つておるような現状でありますので、今後ますます公団は、か
つての整
理事務に專念せしめまして、今後の
政府輸入物資の取扱いはいたさないようなことを、巖然といたしておるようなわけであります。
以上が本件に関しまする今日まで判明しております概況でございますが、その他御疑問の点につきましては、お尋ねに従いましてお答え申し上げたいと存じます。