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1950-04-21 第7回国会 衆議院 大蔵委員会 第56号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十一日(金曜日)     午前十一時十五分開議  出席委員    委員長代理理事 北澤 直吉君    理事 岡野 清豪君 理事 小峯 柳多君    理事 小山 長規君 理事 島村 一郎君    理事 前尾繁三郎君 理事 橋本 金一君    理事 川島 金次君 理事 内藤 友明君       甲木  保君    佐久間 徹君       西村 直己君    三宅 則義君     早稻田柳右エ門君    田中織之進君       前田榮之助君    竹村奈良一君       田島 ひで君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一郎君         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君         大蔵事務官         (主税局調査課         長)      忠  佐市君         国税庁長官   高橋  衞君         通算産業財務次         官       宮幡  靖君  委員外出席者         大蔵事務官         (国税庁所得税         課長)     村山 達雄君         大蔵事務官   谷川 寛三君         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 四月二十日  陶磁器製品に対する物品税撤廃陳情書  (第八二二号)  旧軍港市転換法制定促進陳情書  (第八二四号)  積雪地帶住民に対する国税の適正化並びに平衡  交付金に関する陳情書  (第八二九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  米国対日援助見返資金特別会計からする電気通  信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に対  する繰入金並びに日本国有鉄道に対する交付金  に関する法律案内閣提出第六五号)  昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負  担の特例に関する法律案内閣提出第一二五  号)  租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第一七二号)  国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一七四号)  予算執行職員等の責任に関する法律案内閣提  出第一七五号)  昭和二十五年の所得税の六月予定申告書提出  及び第一期の納期特例に関する法律案内閣  提出第一七七号)  鉱工品貿易公団不正事件に関する件  清水市の反税デモ事件に関する件     ―――――――――――――
  2. 北澤直吉

    北澤委員長代理 これより会議を開きます。  租税特別措置法等の一部を改正する法律案、及び昭和二十五年の所得税の六月予定申告書提出及び第一期の納期特例に関する法律案の両案を一括議題として質疑を行います。三宅則義君。
  3. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいま議題となりました租税特別措置法等の一部を改正する法律案、並びに昭和二十五年の所得税の六月予定申告書提出及び第一期の納期特例に関する法律案の両案に対しまして、質疑を行いたいと存じます。  今年はことに税法改正せられましたが、まだ国民によく徹底していない、かように私は考えておりまするが、政府当局はいかなる手段方法等によつて国民に徹底を期しておられまするか。この辺をひとつ最初にお伺いいたしておきたいと思います。
  4. 村山達雄

    村山説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。今度税制全般にわたりまして改正があつたわけでありますが、この最終的な解釈の確定に相当時間を要する状況にあります。目下統一的の解釈をつけるべく研究中でございまして、大よそこの作業は四月一ぱいあまりかかるだろうと思つております。従いまして基本的なラインは、すでに法律並びに政令で明らかでありますので、ラジオ、新聞等を通じまして近く宣伝に乗り出すつもりであります。ただ細目解釈につきましては、御承知通り取扱いについては、昭和二十二年の通牒が出ておりまして、それ以来たくさん出ました通牒を今度全部統一いたしまして、大体五月の末くらいまでには公開いたしたいという心組みで進んでおります。それまでの、さしあたり今年の六月予定申告手続であるとか、あるいはその前の、前年よりも低い金額で予定申告をしようという人の、もしこの法律案通りますれば六月十五日までに出すべき承認申請等手続につきましては、大体五月の初めごろから宣伝をいたしまして、納税者方々に十分周知徹底いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  5. 三宅則義

    三宅(則)委員 今村山説明員は、細目解釈につきましては、本年の五月ごろにでき上るであろう、こういうことを仰せになつておりまするが、その細目がわかりましたならば、国会議員はもちろんのこと、皆様にわかるようにぜひひとつお配りを願いたい。ややもいたしますると、法律は難解であると言われまして、国民大衆諸君理解に苦しんでおるのであります。また国会議員でもなかなか難解と言われておりまするから、ぜひそれは国の上の方下の方と区別はありませんが、一般的にわかりやすく解説書等を書いて、大衆にわかるようにやつてもらいたいと思いますから、細目をぜひ本委員会にも提出してもらいたい。私はかつて経験から考えまして、君は大蔵委員だそうだが、一体本年はどういうような計画でもつて税金をかけておるであろうかということを、質問されたことがあるのであります。そういうようなことはもちろん行政官がやることでありまするが、しかし行政官といえども立法者に対してはそういうような事柄をときどき報告してもらいたい。またこういう観点に立ちまして細目をつくつたというような場合においては、ぜひこれは国民の代表である国会にも第一に提出してもらいたい。かように考えておりますが、政府のお心持を聞きたい。
  6. 村山達雄

    村山説明員 お答え申し上げます。まつたくただいま三宅委員のおつしやつたことは同感でありまして、従来ともすると税法あるいは政令が出ましても、それに対する納税者理解という点について、いささか欠けるところがあつたように思うわけでございます。今度この大改正がございまして、しかも簿記はますます複雑になつております。従いまして先ほど申し上げましたように、一般公開通牒を出す計画を持つておるほか、大体六月一ぱいまでには各所得ごとに、たとえば農業者ならば農業者ごとに、あるいは営業者であるならば営業者ごとに、あるいは漁業者であるならば漁業者ごとに、それぞれ所得の種類ことに分類いたしまして、さしあたり申告並びに納税に必要と思われる基本的な事項だけを、ごく簡單に書いたような解説書といいますか、それを一般に頒布する予定でおります。その際には当委員会もぜひとも一度ごらん願いたい、かように考えておるわけであります。
  7. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいままでの過去の税務官吏の方の実績方法を、ここに批判することは、私は好みません。けれども実際行われておりますと、注意書きがありますが、その注意書き全般の人にわたるように書いてあるのでありまして、もちろんそういうことも必要でありますが、どちらかと申しますと商業者にしろ、もしくは農業者にしろ、自分に直接関係のないようなこともたくさん書いてある。あれを全般に読みこなす人はきわめて少いであろう、こういうふうに言われておるのでありまして、私どもはもし解説を出し、あるいは納税者にその注意書きを配付になりますならば、先ほど村山課長の言われたように農業者農業者漁業者漁業者に向くような解説書商業者商業者工業者工業者、それぞれその向きに適合するような解説書もしくは解説文を印刷されて、配付されたらよかろうと思いますが、しかし今までの経験によりますと、農業者商業者工業者もすべて一律一体に書いてあるので、何が何だかわからぬ、こういうことをわれわれは直接聞いておるのであります。政府のような頭のよろしい方はけつこうでありましようが、一般の人はとても忙しくて見ておられない。こういう階級がありますから、三段階にわけられて、その道に適合するようなものをお出しになることによつて納税者理解が早いであろう、かように考えておりますが、政府はそういう親切な態度をもつて向われる用意がありましようか、承りたい。
  8. 村山達雄

    村山説明員 ただいまのお話でありますが、まつた同感でございまして、そのようにいたしたいと考えております。特にさしあたり出て参ります六月予定申告につきましても、営業者の方の申告書、あるいは農業者の方の申告の用紙、あるいは一般変動所得と称せられておるところの平均課税を出受ける方々申告書、それらを全部別にして行きたい。従つて同時に説明も別になります。そのほかに一般的の解説書を出しますけれども、その解説書も各所得者ごと解説書をつくりまして、自分が必要だと思われる解説書を読んでいただけば、事が足りるようにいたしたいと考えておりますので、まつたく今三宅委員の言われたと同じような考えをもつて進んでおります。
  9. 三宅則義

    三宅(則)委員 今村山課長お話によりまして私は了承いたしました。ぜひ今後の納税事務に対しましては、民主日本になりました対日、そういうような線に沿つて納税者が簡便に理解して、納税しやすいようにしていただきたいと思います。  次にお伺いしたいのは青色申告であります。これは法人もしくは個人等において行われておりますが、現在国税庁におきましては、全納税者に対するパーセンテージはどのくらいになつておりますか。資料なりあるいは参考文がありましたらお示し願いたい。
  10. 村山達雄

    村山説明員 今正確な資料はちよつと持ち合せておりませんので、大体の数字を申し上げます。三月末現在で、法人におきましては約四割五分の青色申告予定者提出がございます。個人につきましてはいまだ普及、宣伝が徹底しないためか、あるいは多少難解であるとお考えのせいか、比較的率が低いわけでございまして、全体で四分程度でございます。しかしながら今度の改正税法によりまして、五月三十日までに青色申告予定者が届け出て参りますれば、ことしの一月からそういう予定申告はあつたものと考えまして、全部有効にしたわけでございます。御了知のように青色申告につきましては、今年の所得税法当時に臨時措置に関する法律が出まして、一月末までに届け出てくれということになつておりましたのを、今度五月の末までの締切りでいいということになつておりまして、目下税務官庁その他関係団体を通しまして盛んに宣伝をして、できるならば青色申告にしていただきたいということを申し上げておりますので、最後の五月末で締切つた場合には、おそらくこの四分という数字は相当上るであろう。大体の見込みを申し上げますと、一割程度個人でも出るのではなかろうか。またぜひともそこまで出していただくようにわれわれとして宣伝して参りたい、かように考えております。
  11. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の政府説明員お話につきましては、大体私もその線を上げたい、こういう線でありますが、ただ個人におきましては相当青色申告ということは難解である。こういうことを今までの税務官吏が民衆に向つて宣伝しておつたせいがありますので、そのために躊躇をいたしておるということが往々あるのであります。しかし法律文といたしまして、あるいは規格といたしまして、あるいは内容といたしましてはむずかしいかもしれませんが、本年一ぱいくらいはなるべく簡易な帳簿によつて、たとえば現金出納帳あるいは銀行の出納帳、あるいは商品売上帳とか仕入帳とか、これくらいの三種の帳簿によつて大体認めてやるというような親心をもつて示されたならば、もう少しく上昇するのではないか、かように思うのでありますが、政府といたしましても穏便と言うては失礼でありますが、そういうような親切な態度をもつて臨まれる用意がありましようか、承りたい。
  12. 村山達雄

    村山説明員 お答え申し上げます。ただいま青色申告帳簿様式は非常にむずかし過ぎて、そのために出が悪くなる。政府はもう少し考えてはどうかというお話でありますが、原則的にはまつた同感でございます。ただこの前省令その他を出しました場合に、何しろ簿記法律化いたしましたので規定を見ると非常にむずかしいように感ずるのであります。ところが実際に八百屋さんとか、魚屋さんとかいつた具体的な商売をやつておる方に聞いてみますと、ほとんど書くことはないのであります。御承知のように一般当座預金もあるわけでもございませんし、また貸付金もあるわけでもございません。ですから業態によりましてはあの帳簿のいかんにかかわらず、実際問題として現金出納帳、仕入帳、売上帳くらいで足りる業態もあるわけであります。ただ大きな製造業になりますと、これはまたおのずから複雑にならざるを得ないし、また單に税の問題を越えてその製造工場なら製造工場が経理を正確にやるためには、複雑たらざるを得ないかとも思うのでございます。ただ一般的のわれわれの考えといたしまして、なるほど規定には相当詳細なことが書かれており、それの遵守が一応要求されておるわけでありますけれども、私どもはそういつたことがたまたま間違つておりましても、そのために取消すとか、そういつたことはできるだけ愼んで行きたい。先ほど三宅委員のおつしやつた通り、少くとも今年は最初のスタートであるから、納税者と協力しながら、この制度を育てて行きたいというふうに考えておるわけであります。
  13. 三宅則義

    三宅(則)委員 次にお尋ねいたしたいと思います事柄は、たなおろし商品ということでありまして、今度の国税庁特例によりまして、昭和二十四年の一月一日現在のたなおろし商品と、二十四年十二月末日のたなおろし商品とは、場合によりまして三分の一くらいに値下りしたものがあります。これに対しましては、法人の方では時価主義、いわゆる現在の値段の主義でありますが、個人の方ではそうでなかつた。いわゆる二十四年一月一日現在であつたのでありますが、今度国税庁では特例を設けまして、個人でも値が下つた場合には時価でもつてたなおろしを計算する。こういう線にせられたことは、まことによろしいことであると思つて賛意を表します。ただ私ども中小企業もしくは零細なる商人等につきましては、たなおろしというものは一月一日現在も、途中の現在も大して相違がない。でありますから青色申告に対しまして、最初期初のたなおろし商品というものにつきましては、現在ほとんどかわらないというふうな意味合いにおいて、政府はお考えになつておられるだろうと思いますが、その辺の真実を承りたい。
  14. 村山達雄

    村山説明員 大体たなおろし商品につきましては、経済界は当分そう動いておりませんので、一般的に言つたらそうかと思います。ただこれは御承知のように、御商売々々によりましてななおろしの時期が違います。それで大体最も商品の少いところで、たなおろしをする習慣があります。たとえば呉服物でありますれば、夏物から秋物に切りかわるときにたなおろしをする習慣になつておるわけであります。従つてそういうふうに季節的に本来かわる商売につきましては、若干かわつて行くだろう。しかしそのために全体を通じましては、たなおろし商品はそうはかわつて来ないだろうというように考えておるわけであります。
  15. 三宅則義

    三宅(則)委員 青色申告者に対して、参考までにこの際政府にお伺いしたいと思います。  五月末までに青色申告をするのでありますが、そのときに期初のたなおろしはないものがあるかもしれませんが、そういうような場合においては、五月末日のときの商品をたなおろし商品として認定せられる御用意でありましようか。それとも多少何か便法がありましようか。これをお伺いしたい。
  16. 村山達雄

    村山説明員 ちよつと法律の御説明を申し上げますが、今度の所得税法の附則によりまして、特例の認められますのは、一月一日からずつと例の青色申告様式従つて帳簿をつけて参つた人であつて、單に届出の遅れておつた人は、五月三十一日までに言つて来てもいいというわけでありまして、従つて法律の直接予定しておりますのは、一応たなおろし商品はわかるということを予定しての規定であります。実際問題といたしまして、もしわからないような場合がありましたら、五月三十一日のたなおろし商品から、逆に推定するという場合もないわけではないであろうということを、予想しているわけであります。
  17. 三宅則義

    三宅(則)委員 よくわかりました。私ども零細企業に対し、もしくは中小企業に対してはその案を採用いたします。ただ私の心配いたしております事柄は、今度の特例によりまして、農業所得と同じ申告時期に相なると思います。これは煩瑣になると思いますが、それは大丈夫でありましようか。政府といたしましてどういうお考えでございましようか。お伺いいたします。
  18. 村山達雄

    村山説明員 これは煩瑣といいますか。その数が全部七月末になりますので、一々検算して、誤算があつた場合に直していただくというような手数において若干ふえるという意味では、なるほど少し煩瑣でありますが、しかしながら考えてみますと、現在審査請求が大体百十八万ぐらい出ておるわけでありますけれども、これを今だんだん処理して参りまして、申告のときまでにできるだけよけい片づけるならば、その申告成績そのものがかなりよくなりますし、また明確なものが出て来ると思います。従つてそういう内容から申しますと、かえつてお互いの間に納得の行つた申告をちようだいできる勘定になるのでありまして、かえつて技術的には煩瑣を省くであろうというように予想しているわけであります。
  19. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はこの際政府に今の実情をお伺いいたしたい。というのは今度の新法によりまして、審査請求に類するものは再調査と相なつたのであります。再調査につきましての実際でありますが、現在も審査請求に属するものが、税務署内に相当残つておると解釈しておる。国税庁あるいは主税局になりますと、ずつと上の方でありますから、末端の方にはあるいは浸透しないかもしれませんが、要するに各税務署とも九〇%ないし九七%ぐらいは、税務署審査請求の書類を片づけていまして、わかずかに二%、三%というものが、地方の国税局にまわつて行く審査請求書であろうと思いますが、その結果といたしまして、全国を通じまして訴訟のごときは二百数件と聞いておる。何百万の納税者の中からわずかに二百数件と聞いております。これに対しまして、実情政府といたしましてお答え願いたい。
  20. 村山達雄

    村山説明員 お答え申し上げます。大体納税者の数が今年は全体で七百五十万程度になりまして、これに対しまして、遺憾ながら更正決定を見ましたものが約四割の二百万ございます。そのうち審査請求のありましたものが、約三分の一の百十八万というわけでありまして、これは大体各局の報告によりますと、五月一ぱいにはあらかた処理がつく見込みでございます。従つてこの中から訴訟に発展するもの、その前に局長の名前で正式に審査決定するといいましようか、あるいは訴訟というものがどれだけ出るか今のところ予想はつきませんが、比較的少いじやないか。この審査請求をやつている数並びに更正決定で片づけるものが、前年の約半分以下になつておりますので、訴訟の数も相当減るであろうというふうに考えております。現在の訴訟お話のように約二百件でございます。
  21. 北澤直吉

    北澤委員長代理 それでは租税特別措置法等の一部を改正する法律案、及び昭和二十五年の所得税の六月予定申告書提出及び第一期の納期特例に関する法律案の両案に関する質疑はあとまわしにします。     —————————————
  22. 北澤直吉

    北澤委員長代理 次に米国対日援助見返資金特別会計からする電気通信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に対する繰入金並びに日本国有鉄道に対する交付金に関する法律案、及び国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案の両案を一括議題といたしまして、質疑を行います。西村直己君。
  23. 西村直己

    西村(直)委員 国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案に関しまして、先日来主計局長さんに大体お尋ねしました。特に川島委員から大臣に対する御質疑があるはずでありましたが、川島委員がお休みでありますので、私から大臣簡單に御質問申し上げますから、ひとつ大臣の端的な御答弁をお願いしたいと思います。  御承知の拠り今日恩給のベース改正になりまして、三七ベースで支給されておつたものが、たいへん助かつたわけです。それに相順応しまして、国家公務員共経組合のいわゆる年金受給者も、さらに新しいベースにかえていただくというわけで、これは善政であると思うのでありますが、たまたま終戰時に、この国家公務員法を制定いたしましたとき、大臣すでに御存じの通り、そのときに存在しなかつた陸海軍共済組合、あるいはその他の外地組合年金受給者がきわめて少額な、精算段階における債権として年額わずかなものをとつてつた。しかもその状態は全然同じ状態から発生している。考えますればきわめて不合理である。また主計局長からも、この点については不合理をお認めいただいたわけであります。法律論といたしますと、現在の立法状態におきましては、これは救う方法はないのでありますが、しかし長い間国家に同じような状態で奉公されて、そして晩年になつて、しかも年間わずか三百円あるいは二百円、多くて六百円という状態であり、片方の今回の改正法によつて救われる人たちは、平均一万六千円くらいの年金をいただく。この間にきわめて不合理がある。しかもそれが海軍だけを大体調べましても、二万数千人の方がもらわれる。先般他の野党の方々からも御質問があり、また院内におきましては、厚生委員会におきましてもこの点が請願になつて採択になり、参議院におきましても同様に採択になつております。この点につきまして結論的に申し上げますと、主管大臣といたされました、速急にこの不合理是正措置をおとりいただけるかどうかということであります。先般主計局長その他のお話を承りますと、趣旨は大体もつともであるが、事務的にもかなりいろいろ難点がある。特に外地その他の全体の組合の構成を考える場合におきましては、なるべく不公平のないようにするためには、相当時間がかかるように私は受取れたのであります。その間におきまして、その人たち精算段階の金で寢かされているようなかつこうになりますので、私どもといたしましては、一日もすみやかにこれを立法措置予算措置の点から解決していただきたい。こういう意味大臣の政治としてこの問題をお考えになつて事務上の多少の問題はあつても、どう押し切つていただけるか。そういう意味大臣の率直な御方針をひとつお示しいただきたいと思うのであります。
  24. 池田勇人

    池田国務大臣 この問題は私もたびたび陳情を受けましたし、また最も切実な海軍関係方々は、知巳の人も多いので前から考えておつた問題であります。御承知通り陸海軍の分は法的根拠がなくなりまして、また外地の方も実際問題としてこれを行うのに非常な困難な問題があるのであります。しかし政治的には相当考慮すべき問題であると考えまして、先般来研究を続けておつたのでありまするが、二十五年度の予算的措置をとるまでには至つていなかつたことは遺憾であるのであります。けれどもお話通りな問題でありますので、今後十分検討を加えまして、お困りの皆様方にできるだけのことをいたしたいと考えておる次第であります。
  25. 西村直己

    西村(直)委員 大体の御趣旨はよくわかりました。ただ、できますればもちろん大臣としては、これは確約等はいろいろな関係でできないと思うのでありますが、なるべく近い機会においてやつていただける、こういうふうな方針をお示しいただけませんでしようか。
  26. 池田勇人

    池田国務大臣 なるべく近い機会に実現するように努力いたします。できるだけの努力を拂つて行きたいと考えております。
  27. 北澤直吉

  28. 内藤友明

    内藤(友)委員 池田さんがお見えになりましたので、一つ二つお尋ねしたいことがあります。いつでありましたか記憶ははつきりいたしませんが、私があなたに見返り資金のことについてお尋ねいたしたことがあります。それは見返り資金というものは、率直に申し上げましてこれはもらつた金か、借りておる金かということをお尋ね申したのでありますが、そのときあなたのお答えは、それはもらつたものじやない、それはまだ償還の義務はあるのだというお答えを得たのであります。ところが、その後何の法律でありましたか、私あまりよく調べて来なかつたので具体的に申し上げられませんが、小沢郵政大臣がこの席にお見えになられまして、そのことをお尋ねしたことが実はあつたのであります。ところが小沢郵政大臣は、これは速記録にはつきりと出ておるのでありますが、今までの分は借りておるのだ。二十五年度の分はもらつたのだ。まあこういうはつきりしたお答えがあつたのであります。これは速記録を見ればはつきり出ておりますからわかるのでありますが、もらつたというのと借りておるのだという二つの事柄が、この速記録に実は出ておるのであります。そこでこれははつきりしておかなければなりませんので、ことに昭和二十二年ごろからのこの金融の問題は、一にかかつて復興金融金庫が問題になつたのでありまして、これが今日までいろいろな批評の対象になつております。おそらく私はもう少し月日がたちますると、そのころのこの金融の問題は一にかかつて見返り資金の問題が、もういろいろな論議の対象になると思うのであります。そういうときにそういうあいまいなことを、この大蔵委員会の記録の上に載せておくというのはいけない。だから政府におかれては統一した解釈をしていただきたいということを、先般水田次官を通じてお願いを申し上げておつたのでありますが、これはいろいろ御相談があつたろうと思いますので、それをひとつお聞かせいただきたいと思うのであります。
  29. 池田勇人

    池田国務大臣 見返り資金の性質の問題につきましては、衆議院のみならず参議院でもたびたび問題になつたのであります。私はその際にも答えておきましたのをここで繰返しますが、見返り資金というのはアメリカの援助でございまして、私はただいまのところ債務と心得ております。しかしこれは第二次世界大戰後の状況を見ましても、講和條約によつてこれは免除はなつた。すなわち結果においてもらつたことになつた場合があるのであります。しかしただいまのところは講和條約がない場合でありますから、私は債務と心得ておる次第でございます。しこうしてただいま問題になつておりまする、この見返り資金から国鉄あるいは電気通信の方へ交付いたしますものは、これは見返り資金が国鉄とかあるいは電気通信の方に出資権を持つわけでも何でもないのでありまして、これは政府内部の機関へ繰入れただけであるのであります。これは小澤郵政大臣が前は借りておるのであるが、今度はもらつたのであると言うことは、言葉づかいはどうかと思いまするが、昨年度におきまして見返り資金から電気通信特別会計へ出しました分は貸付金になつておりますので、借りたと言われたと思うのであります。今回の分は貸付金じやなしに繰入れたということになつておるので、もらつたという表現をされたと思うのであります。しかしこれは見返り資金から電気通信特別会計へのことを言われておるのであつて、見返り資金自体の性質のことを言われたことではないと私は想像いたすのであります。
  30. 内藤友明

    内藤(友)委員 そうしますと、小澤さんのお話はそれはあなたの御想像でこうだというお話でありますが、しかしそれは私の聞いたところでは見返り資金の本質論にあつたのであります。でありますから今あなたのお答えの通り、これは借りておるのだ、まあこう統一した解釈がせられておるものと了承していいと思います。  そこで私は次はお尋ね申し上げたいのは、この見返り資金が方々へ出されておりまするものの利率の問題になるのでありますが、私どもの知つております農業関係で出されるのは七分五厘、先般住宅金融公庫の法律を出されまして、そこへお出しになるのは約百億円と聞いておりまするが、これは五分五厘ということになつておるのであります。こういう七分五厘であるとか五分五厘というものは、どういう基礎計算から出て参るのであるか。それをひとつお尋ねいたしたいのであります。
  31. 池田勇人

    池田国務大臣 見返り資金を初めて運用いたします場合におきまして、金利のことが問題になりました。昨年の七月、八月、この問題につきまして関係方面と折衝いたしたのでありまするが、当時は普通長期資金は一割二、三厘あるいは物によつては一割三分程度に相なつてつたのであります。しこうして普通金利よりもこのアメリカの援助資金による資金が、高く貸される国も外国におきましてはあるのであります。しかし私はこういう金だからなるべく低い方を要求いたしました。そして七分五厘ときまつたのであります。それで昨年国鉄あるいは電気通信に出します場合は、五分五厘のものもあつたのであります。公社あるいは特別会計の貸付金は利まわりは大体五分五厘というので行つております。これはきまつたものではないのでありまして、私は相手先を見まして金利は七分五厘あるいはそれ以下、こうきめたいと考えておる次第でございます。一般の私企業への投資はただいま七分五厘になつておるのでありまするが、今回住宅公団の方への貸付金につきましてい、昨年における国鉄と同様の五分五厘であつたかと記憶いたしております。
  32. 内藤友明

    内藤(友)委員 どうも今のお答えでは私はちよつと納得しかねるのであります。大臣のお心持や御気分で、五分五厘にしたり七分五厘にしたりせられるようなお答えでありますので、何だかどうもこれは私ども理解しかねるのであります。なるほど住宅の建設ということはこれは大事なことでありますのでなるべく安い利率が適当だと思うのであります。ところが農業方面の事柄も決してこれは大事なものではないとは考えられないのでありまして、この方も住宅建設以上にこれは安くしなければならぬじやないかと思うのでありますが、農業方面にお出しになるのが七分で、住宅建設の方にお出しなさるのが五分五厘というのは、どういう理由になつておるのでありましようか。それをはつきりお聞かせいただきたいと思うのであります。
  33. 池田勇人

    池田国務大臣 原則は七分五厘で行つております。しかし公社、公団につきましては—特に公団には出しておりませんが、住宅の方につきましては五分五厘が適当と考えておるのであります。その根拠はどうかと申されましても、これは市中金利とか、いろんな事業の採算の点から考えてきめるのでございまして、ただいまのところは、普通は原則は七分五厘、特別の場合は五分五厘といたしておるのであります。
  34. 内藤友明

    内藤(友)委員 まことにどうも明確でないお答えで、この問題についてはこれ以上は無益のことでありますから、お尋ねいたしません。  そこで私はもう一つお尋ね申し上げたいのは、先般この委員会で審議されました銀行等の債券発行等に関する法律案というのが出まして、従来の特殊銀行あるいは特殊企業機関に対して、優先下付あるいは優先出資をするということがきめられたのであります。これにつきまして、その後およそどういう方面にどれだけというお話がありましたが、あれはどういうことになつておりますか。それはもう全部出ましたか。いつごろ出るのでありますか。それをひとつこの際ついででありますが、お聞かせ願いたいと思います。
  35. 池田勇人

    池田国務大臣 この見返り資金から銀行に出資いたします場合におきましては、従来の特殊銀行に出すという建前で行つているのではないのであります。どの銀行にも出し得る態勢でやつておるのであります。ただ御承知通りに、従来普通銀行は資本金に対しまして四十倍とかあるいは五十倍、こうう預金を持つております。従いましてある額を出資いたしましても、出資金の二十倍ということになりますと、金融債の発行ができない。こういうところへは出資してやりましても、実際的には出資しないことになるのであります。たとえばある銀行は十億円の資本金で五百億の預金を持つている。ここへ十億出資いたしまして二十億円になりましても、二十倍というと四百億円になりますから、長期債券を発行することができない。従つてそういうところには結果において出資がないということになるのであります。従来の特殊銀行でありました勧業銀行であるとかあるいは日本興業銀行、農林あるいは商工中金というような特殊な金融機関におきましては、出資に対しまして預金が少うございますし、また日本興業銀行は一般の預金を受入れしておりませんので、従つて出資をいたしますとただちにそれがもとになつて、長期債券が発行し得るという状況でありますので、ただいまのところでは日本興業銀行あるいは勧業銀行、北海道拓殖銀行、農林中金または商工中金に出そうという計画を進めておるのであります。しからばどれだけの金がいつ出るかという問題でありますが、ただいまのところまだ出ておりません。一番先に出るのは日本興業銀行でありまして、これは十億円を計画いたしまして、今週中かあるいは来週の中ごろまでには十億円が出ることと期待いたしておるのであります。他の日本勧業銀行とかあるいは北拓、農林中金等につきましては適当の時期に出す考えでありますが、何分旨いろいろな手続がありますので急いでおりますが、早急というわけには行かないと思います。繰返して申しますが、興銀には今週中か来週早々には出ると考えております。
  36. 内藤友明

    内藤(友)委員 いつも私どもが不思議に思うのは、興銀とかそういう金融機関にいち早く出て参りますが、農業関係でおりますとかそういう方にはなかなか出がおそいのでありまして、残念に思つておるのであります。これは大蔵大臣のお心持から自然興業銀行あたりの方には御熱心になり、農村なんかどうでもよいという心から、その方が遅れるのではないかと邪推するのでありますが、そういうことでまことに残念であります。近ごろ農村におきましては営農資金が欠乏いたしますし、また風水害等の復旧資金もほとんどこのごろ欠乏いたしておりますので、農村の恐慌はまず資金の面から深刻に入つておる現状であります。私どもは先にこの債券発行等に関する法律案を審議いたしました際に、中金は相当額の優先出資をせられるというので、非常に早天の慈雨のようなつもりで待つてつたのでありますが、これがいつのことやらわからなくなつて心組い気持を持つたのであります。この際私はもう一つそれ以外にお尋ね申し上げたいのは、農林中金や商工中金が出資額の二十倍に相当する債券の発行をするというように、限度が拡張されておるのでありますが、これはもちろん私は国家資金があそこへ振り向けられなければならないものと考えるのでありまして、政府はその債券引受けに、政府資金を思い切つて法律の示されてある限度までお出しなさるおつもりがあるかどうか。それをひとつお尋ね申し上げて、あなたに対する質問を終りたいと思うのであります。
  37. 池田勇人

    池田国務大臣 私が勧業、商工方面を重視して、農林関係を軽視しておるというふうなお言葉でございまするが、決してそうではないのであります。農林中金にし対しましては、できるだけ早く出そうとして努力いたしておるのであります。しかし何分にも農林中金は、御承知通りに十分な検査をしたことがないのであります。従いましてもう二、三箇月前から巖密な農林中金の検査をいたしまして、その内容を洗つてからにしようというので、検査いたしておるのであります。結末が最近のうちにつきますから、これによつて見返り資金を出そう、こういうのであります。しこうして興業銀行には十億しか出しませんが、農林中金にはその倍額以上の二十二億円を出資しようという計画をいたしておるのであります。そういたしますと農林中金は、御承知通りに今四億の出資でございますが、これを倍額増資いたしますと八億円になります。そうして二十二億円を出資いたしますると、三十億の資本金になりまして六百億の預金あるいは長期債券を持つことになるのであります。ただいまのところ四百億円程度の預金を持つておりまするから、二十二億円出資して長期債券として、三百億円を確保しよう。こういう計画をいたしておるので、あつて決して農林中金や商工中金を軽視しておるというわけではございませんから、その点は御了承を得たいと思うのであります。しこうして農林中金にあてて政府資金を出すことについてのお尋ねでありますが、政府資金と申しますると、多分お話は預金部の金だと思うのでありますが、これはりくつから申しますと、まことにごもつともなお話で、われわれもそういうふうな考えのもとで進んでおるのであります。しかし他方預金部というものの性質から申しまして、できるだけ政府関係のものに優先的に出すべきだ、こういう議論が強いのであります。従いまして現在までにおきましては、原則として国債あるいは地方債の限度を越えます場合には、地方公共団体に対する短期資金の供給に充てる、こういうようになつておるのであります。ただ今後におきましては、預金部資金が相当にふえて参りまするので、そういう地方債とか特殊の方面にのみならず、全般的にいわゆる零細産業の方面に出すよう今検討を加えておりまするが、ただいま預金部の金をもつて農林中金の債券を引受けますということを、ここではつきり申し上げる段階に至つておりません。
  38. 北澤直吉

    北澤委員長代理 竹村奈良一君。
  39. 竹村奈良一

    ○竹村委員 この際内藤委員の御質問のあとで、大体はつきりいたしましたので、対日援助資金のことについて一点だけお伺いいたします。  まず大臣は、これは一応債務である、講和條約後においては、あるいは債務でなくなるかもわからないが、しかし現在においては債務であるということを、はつきり御答弁されたのでございます。そういたしますとこの見返り資金は結局現在の状態のもとにおいては、あるいはということは別問題といたしますれば、やはり返済しなくてはならぬ、こういうように考えておりますが、この援助資金の積み立てられましたものは、先般来いろいろ明細いただいたのでございますが、それによりますと、大体向うからの援助物資というものは、国民が金を拂つておるのでありまして、国民が金を拂つておるものを一応政府において積み立てられておる。そしてこれを電気とか国鉄その他に投資される。まあ貸し付けられる、あるいは繰入れられるということになるのであります。そうしておいて、今度は債務となつてこれを返還します場合に、これはやはり一応国家の債務になりますので、国民全体がまた再びその負担を税金その他の形で返さなければならぬのか。あるいは投資されました国鉄とかその他から上るところの收益をもつてお返しになるのか。その点の考えをはつきりお聞かせ願いたいと思います。
  40. 池田勇人

    池田国務大臣 私は債務であるとただいまのところは心得ておるのであります。しかして講和條約によつて債務でないことになれば、そのままであるのでありますが、これが講和條約において日本へのアメリカの債権ということになつた場合においての処置につきましては、これは別途考えなければならぬと思うのであります。御質問の点は、これが債務であるから、見返り資金から繰入れたり何かしたものは、その債務の担保になるという問題は別個の問題で、私はそうは考えておりません。
  41. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それでは、これが大臣のおつしやるように債務となつた場合におきましては、それの返済の方法は、一体どういうような構想を持つておられるのか、お伺いしたい。
  42. 池田勇人

    池田国務大臣 これはそのときに考うべき問題だと思つておるのであります。債務ときまつた場合には、どういうふうな返済方法をするかという問題につきましては、そのときの情勢によつて考えなければならぬと思います。ただここで申し上げることは、たとえば見返り資金から私企業に出して船をつくる場合、その船が向うの債権の担保になるということは、考えておりません。
  43. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そのとき考えるべき問題であるということは、もちろんいろいろな世界情勢のもとにおいては、そういうことも考えられるかもしれませんけれども、しかし一応債務となつた場合におけるところの見通しを立てるということは、これまた国家のために必要なことだと私たちは考えるのであります。たとえば巷間伝えられているいろいろな形において、再び国民の血税によつてこれを返済するということになるならば、援助物資で入りましたところの品物に対する代金は支拂つておいて、そしてまた再び債務として国民の肩にかかつて来るということは、国民として耐えられないことであります。またもう一つは、今これは担保になるのではないとおつしやいましたけれども、もしそれが返済する能力がなくて担保になるということになるならば、非常にたいへんなことになると私たちは考えるのであります。そのときに考えるというだけでは、この使い道に対しまして、私たちはそう簡單に賛同でき得ないのであります。これに対しまして、今大臣が答弁されたように、そのときに考えるというだけでありまして、現在では何らの構想もお持ちにならぬのでありますか。この点を再びお聞きしたいのであります。
  44. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほどお答えした通りでございまして、もし万が一債務ということが確定いたしましたならば、その際に適当な措置を講じたいと思つております。
  45. 北澤直吉

  46. 西村直己

    西村(直)委員 私は御質問ではありませんが、この際お願いいたしておきます。実は静岡県の清水で、納税に関しまして大きな問題が起つておることは、あるいは大臣のお耳にも入つておることと思いますが、新聞に出ておりますように、生活を守る会の会員が、名古屋の国税庁から更正決定が参りましたときに、八時間のつるし上げをやつた。そして街頭へ出た場合に大勢の群衆がついて歩いた。そのために百七十名動員されて、三十名の共産党の地区委員長そのほかが検挙された。こういう状況を私は新聞で見たのでありますが、国税庁の長官、あるいは代理の方でもけつこうでありますから、ひとつ大蔵委員会にその実情をお聞かせ願いたいと思います。
  47. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 先ほどの見返り資金の問題につきまして、ちよつと関連して大臣にお尋ねしたい。大体よくわかりましたが、援助物資そのものは日本の債務になる。しかし見返り資金は、援助物資が入りましてから、拂い下げられようと、在庫になつていようと、やはり四十五日の間に当然それだけのドル資金を積み立てることになつておりますが、税金が入つておりますから、やはり国民の積み立てたものだということは、これは一般に言われておる通りであります。この見返り資金の運用について、何度も今まで問題になりましたが、日本政府がはつきりした自主性を持つておるかいないか。その点をお答え願いたい。
  48. 池田勇人

    池田国務大臣 見返り資金の運用につきましては、われわれの方で運用計画を立てます。その順序を申しますと、各関係省の者が材料を持つて集まりまして、安本で計画を立てて、その計画によりましてそれを査定した上、大蔵大臣がそのきまつたものにつきまして向うに見返り資金の計画を申し出て、承認を得ることになつておるのであります。発案はこちらの方でいたすことになつておるのであります。
  49. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 発案はこちらでいたすというお答えでございますが、そういたしますと、これはこの前小澤大臣に聞いたのでありますが、見返り資金の運用につきまして、覚え書や何かの相当強固なものが来ておるところがありますが、こういうものに対しまして、日本政府のとられる処置はどうか。その点を一応はつきりお答えをいただきたいと思います。
  50. 池田勇人

    池田国務大臣 向うの承認を得ることに相なつておりますので、実際問題といたしましては、見返り資金を出しますときには、承認を受けることにいたしております。
  51. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 結局向うの承認がなければできない自主性のないものであるというお答えのように承りましたが、その点は別といたしまして、援助物資が入つて参りますに対しまして、日本政府の選択権といいますか、そういうものはもちろんないと思いますが、その点のはつきりしたお答えを伺いたい。いろいろ資料をいただいたのですが、資料の中で私どもまだはつきりしない点があります。輸入物資の滯貨を見ても、日本に必要のないものが相当入つて来ておると思いますので、そういうものと関連いたしまして、援助物資の中にも相当そういうものがあるのではないか。いつでしたか、「日刊東洋経済」の中には、薬品だつたと思いますが、使いものにならない、あるいは必要でないようなものが、相当入つて来ておるということを私は読みました。その点につきまして、援助物資が債務だといたしますと、そういう必要のないもの、あるいは滯貨となつて日本の産業を圧迫するようなものが、相当入つて来ておるのではないか。これは相当ゆゆしい問題であると思いますので、その点のお答えを承りたいと思います。
  52. 池田勇人

    池田国務大臣 ずつと前、見返資金特別会計ができない前におきましては、当時の日本の状況から申しまして、これがいるということを言つてつて来た場合に、それが不必要になつた場合もないことはないのであります。しかし本年度においては綿花と小麦が主でございます。中に石油がある程度ありますが、ただいまのところは今お話のような薬品などはなく、こちらと相談して輸入することにいたしております。     —————————————
  53. 北澤直吉

    北澤委員長代理 次に昭和二十五年の所得税の六月予定申告書提出及び第一期の納期特例に関する法律案議題といたします。本案に対しましてはほかに御質疑はございませんか。
  54. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 ただいま議題となりました昭和二十五年の所得税の六月予定申告書提出及び第一期の納期特例に関する法律案については質疑もありませんので、質疑を打切り、なおまた簡單でありますから、討論を省略いたしまして、ただちに採決に入られんことを望みます。
  55. 北澤直吉

    北澤委員長代理 ただいまの前尾君の動議のごとく決定するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 北澤直吉

    北澤委員長代理 御異議ないようですから、本案に対する質疑はこれをもつて打切り、討論を省略して、ただちに採決に入ります。本案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  57. 北澤直吉

    北澤委員長代理 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  58. 北澤直吉

    北澤委員長代理 次に昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担の特例に関する法律案議題といたします。本案に関しましては、ほかに御質疑は、ございませんか。
  59. 小山長規

    ○小山委員 ただいま議題となりました昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担の特例に関する法律案につきましては、質疑もないようでありますから、質疑を打切り、討論、採決に入られんことを望みます。
  60. 北澤直吉

    北澤委員長代理 ただいまの小山長規君の動議のごとく決定するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 北澤直吉

    北澤委員長代理 御異議ないようですから、本案に対する質疑は打切ることといたします。  本案に関しましては、三宅則義提出にかかる各派共同提案の修正案が、委員長のもとに提出せられておりますので、この際提出者より修正案の趣旨説明を求めます。
  62. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいま議題になりました昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担の特例に関する法律案に対する修正案を、各派共同提案といたしまして提案いたしましたから、ここに案文を朗読いたします。   昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担の特例に関する法律案に対する修正案   昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担の特例に関する法律の一部を次のように修正する。  第二條中「原形に復旧するものとした場合に要する金額に相当する金額」の下に「にその超える金額の三分の二に相当する金額を加えた金額」を加える。   附則を次のように改める。   この法律は、公布の日から施行し、昭和二十五年四月一日から適用する。以上の通りでありまして、本案に関しましてはたびたび政府当局とも意見を交換いたしましたが、この法案に盛られておりまするところは、いわゆる暴風、洪水、高潮、震災等の災害のあつた場合におきましては、これを審議いたしまするために、河川、海岸、堤防、砂防設備、道路、港湾等にこれを適用するものでありまして、ぜひ本案に対して皆さんの御賛成を得たいと思う次第で、提案をいたした次第であります。
  63. 北澤直吉

    北澤委員長代理 修正案の趣旨説明は終りました。  これより昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担の特例に関する法律案及び各派共同提案の両案を一括議題として討論に付します。討論は通告順によつてこれを許します。三宅則義君。
  64. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は自由党を代表いたしまして、ただいま議題となりましたる昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担の特例に関する法律案に対しまして、賛成の意を表したいと思う次第でございます。  この法律案趣旨は、災害に対しまするいわゆる暴風、洪水、高潮、地震その他異常な天然現象により生じた災害に対しましては、政府が一箇所の工事費用十五万円以上の災害に対しましては、これを負担することになつておるのでありまして、まことにわが国といたしましては、当然国庫負担でなければならぬということを感ずる次第であります。ことに先ほども申しましたが、河川、海岸、堤防、砂防設備、道路、港湾その他の橋、水利等に対しましては、相当の費用を国家が負担しなければならぬことは当然でありますので、私がここに喋々するまでもないのであります。本案の適用により、わが国の災害に対しまする国庫負担によりまして、地方の啓発に貢献いたしたい、かように考えまして、自由党を代表して賛意を表する次第であります。
  65. 北澤直吉

    北澤委員長代理 竹村奈良一君。
  66. 竹村奈良一

    ○竹村委員 私は日本共産党を代表いたしまして、本案のうち修正案の部分を除く原案、並びに修正案に対しまして、希望的條件を付しまして賛成の意見を申し述べる者であります。  まず私はこの希望的條件の第一といたしましては、本法律案が成立いたしましても、予算的措置におきましてはまだ不十分の点が相当部分あるのでありまして、この部分についてはこの法律案の完全なる実施を行うために、ぜひ臨時国会において補正予算の組まれることを第一條件といたすものであります。  その次には本法律案によつて災害復旧の名のもとに、いろいろ今日うわさされておりますところの、たとえば軍事的道路の復旧とかそういう点だけを重点に置かれるのではなしに、全国各地におけるところのいろいろな復旧事業、しかも農地等に関係するところの部分等を特に重点に置かれて、生産増強の面に重点を置かれたところの復旧事業の実施を要望するものであります。従つて本法案についてはこういうような三つの点を要望いたしまして、共産党はこれに賛成するものであります。
  67. 北澤直吉

    北澤委員長代理 討論は終局いたしました。  これより本案及び修正案を一括議題として採決に入ります。まず三宅則義提出にかかる各派共同提案の修正案の採決をいたします。本修正案に賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立〕
  68. 北澤直吉

    北澤委員長代理 起立総員。よつて本修正案は可決いたしました。  次に本修正案の修正部分を除いた原案について採決いたします。賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立〕
  69. 北澤直吉

    北澤委員長代理 起立総員。よつて本案は修正議決せられました。     —————————————
  70. 竹村奈良一

    ○竹村委員 私議事進行でお願いいたしたいのでございますが、午後本委員会が開かれますとしますならば、現在新聞紙上において非常に問題になつておりますところの鉱工品貿易公団の不正事実、あるいは各公団における不正が連日新聞紙上をにぎわしておるのでありまして、新聞によりますならば、またこれの不正によるところの赤字というものは、一般会計から繰入れなければならないということが流布されており事ので、われわれとしてもこれに重大関心を持たざるを得ないので、午後開かれます委員会において、これの責任官庁である通産省あるいは安本等の、もし大臣でなければ次官等をお呼び願つて、ぜひこの問題についての質疑をいたしたいと思いますので、お諮り願つて出席方をお願いいたしたいのであります。
  71. 北澤直吉

    北澤委員長代理 承知しました。  午前はこの程度で休憩いたしまして、午後二時より再開いたします。     午後零時二十一分休憩      ————◇—————     午後二時三十八分開議
  72. 北澤直吉

    北澤委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  午前中の会議におきまして竹村委員より、鉱工品貿易公団その他の公団にまつわる不正事件に関し、関係当局に緊急質疑を行いたい旨の要求があり、関係当局の出席要求がありましたが、宮幡通産政務次官が御出席になりましたので、この際竹村委員の発言を許します。竹村奈良一君。
  73. 竹村奈良一

    ○竹村委員 鉱工品公団の浮貸しあるいはその他の不正等が、今日大きな問題になつているのでございますが、私たちの考えるところにおきましては、こういう不正が司直の手によつてあばかれるまでに、いわゆる監督官庁であるところの通産省等におきましては全然お知りにならなかつたのか。あるいはまた少しは知つておられたのだけれども、いろいろな情勢でこれを遷延されるうちにこういう大きな問題になつたのか。あるいはこれに対するところの、大体現在までの判明している状態等を詳細にお伺いしたい。
  74. 宮幡靖

    宮幡政府委員 お答え申し上げます。今回の鉱工品貿易公団公金費消事件につきましては、政府といたしましてもかかる不祥事件を惹起いたしましたことについてはまことに申訳なく、ここに遺憾の意を表する次第でございます。ただいま竹村委員からの御指摘の中に、司直の手が伸びるまでそのままにいたしておつたか、かようなお言葉もあつたようでございますが、実は本件は、もちろん司法権がみずから発動することに対しましては、何ら容喙いたすわけに参らぬわけでありますから、その点は別といたしましても、通産省みずからが告発をいたしまして、しかして東京地検の手が動いたということが現実の状況でありますので、この点だけは御了解をいただきたいと思うのであります。  事件の概要を申し上げますと、現在までに判明いたしておりますところは大体次のようであります。昭和二十五年一月中旬、鉱工品貿易公団鉱産部の十二月末の銀行預金残高の照合をいたしましたところ、銀行預金としては十二月中に入金になつております百七十万円が、鉱工品鉱産部の帳簿には未收入となつてつたわけでございます。まだ收入しておらないということになつておりましたものが、銀行の勘定では收入になつてつた。こういうまことに正常でない状況を発見いたしましたので、これを押しまして調査いたしましたところ、総額七千八百五十万円の公金費消事件を発見したのである。このことにつきまして残念ながら当時の状況は、総裁、副総裁等におきましてそのてんまつの報告がありません。三月の二十九日に至りまして、公団総裁から口頭をもつて通産省に報告があつたのであります。通産省の当局といたしましては右の報告の遷延したことにつきましては、十分その措置の不適当であつたことについて、総裁に対して適切なる指示、訓戒をいたしたのでありますが、そのときにいまだ検察庁に対する処置が未了でありましたので、さしあたり善後処置を講ずると同時に、四月の七日付をもちまして通産省から東京地方検察庁に告発をいたしたような次第であります。  被害の金額につきましては、総額は先ほど申し上げた数字でありますが、まず第一の問題は、鉱産部経理課の出納係の早船惠吉、これが本年一月より行方不明でありまして、一昨十九日築地署に自首いたしまして逮捕されたものでありますが、横領容疑の金額は石油、コークス代金ほか三十品、六千百九十五万九百十九円七十九銭であります。  第二は元鉱産部経理課商品係川村哲の自供にかかるものでありまして、この川村は昨年七月退職いたしまして現に新日本海事興業棟式会社の取締役、四月十五日に逮捕になつております。これが昭和二十四年六月末、産業復興公団へ支拂うべきスクラツプの代金を約三箇月間流用し八月末早船と共謀して右金額補充のため、鉱産部の輸入物資拂下げ代金をさらに流用いたしまして、産業復興公団に支拂つた金額三千七百九十一万四百十一円六十八銭を費消したことになります。  第三点といたしましては、この二つの金額の合計が現在わかつておりまする被害の総額でありまして、九千九百八十六万一千三百三十一円四十七銭であります。  先刻申し上げました銀行預金の操作からこれを発見いたしました当時より総裁も非常に驚いて、これらの金額の回收、すなわち実害を最小限度にとどめる努力を拂つた模様でありまして、その結果回收いたしましたものが二千百二十九万五百四十三円一銭、差引きいたしまして現在までの被害金額が七千八百五十七万七百八十八円四十六銭となつておるのであります。  事件の大体のやり方について申し上げますと、早船、佐竹、川村らは共謀の上、公団の物資拂下げ代金を巧みに流用いたしまして、相手方の商社に対しては領收書を偽造する等により、一時いわゆる浮貸しに利用して、鉱産部と経理部との間の未達勘定を計画的に作成いたしまして、普通の検査等では発見のできないような巧妙な方法でやつてつたように認められます。これに対しまするとりあえずの処置として、通産省としてとりましたことは、三月下旬から各業務部におきまするところの代金の受領を廃止いたしまして、公団本部の経理部に統合いたしまして、各業務部門の職員の代金受領を禁止いたしました。次に公団本部経理部においても、原則として現金、小切手の受領を廃止しまして、公団の銀行口口座、入金通知をもちまして、相手方に代金受領書を発行することといたしまして、現金及び小切手の送付についても銀行員の派遣を求めまして、これを行わしむるような措置をいたしました。さらに代金領收書の様式を改めまして、右以外による領收書は無効である旨を、関係の商社に通告すると同時に、公団の公示方針によりましてこれを公告いたしました。また関係商社、銀行等に対しましての債権債務、特に代金領收済み金額をさらに綿密にただいま照合中であります。かような方法にいたしまして、幸いにして今国会において御審議を願いました通商産業省の設置法の一部改正によりまして、国会の御審議さえ相済みましたならば、公団の業務を通産省の内局で行おう、公団廃止の第一段階へ入る予定で、臨時通商業務局というものが事実上発足いたしております。本日ようやく設置法が参議院を通りましたので、正式には二十四日の月曜日から出発ができることと思いますが、大体四月一日から臨時通商業務局の準備室を設けまして、一切の業務引継ぎを嚴重に行つておるような現状でありますので、今後ますます公団は、かつての整理事務に專念せしめまして、今後の政府輸入物資の取扱いはいたさないようなことを、巖然といたしておるようなわけであります。  以上が本件に関しまする今日まで判明しております概況でございますが、その他御疑問の点につきましては、お尋ねに従いましてお答え申し上げたいと存じます。
  75. 竹村奈良一

    ○竹村委員 これで大体の御説明を願つたのでございますが、こういう公団を監督されるところの官庁、これはもちろん責任は通産省ではあるけれども、しかしその他の、たとえば会計検査院とかいろいろな形において三重、五重にこの検査をしておられるのでありますけれども、それがこういう若い一職員がやつておることを、今日まで発見せられなかつた原因については、どういうふうに考えておられますか、お伺いしたい。
  76. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ごもつともなお尋ねでございまして、かようなことが昨年の六月二十四日以降に起つておるようなことになつておるのでありますが、一月までわからなかつたということについては、何とも申訳ない次第であります。その原因といたしますところは、これはいわゆる專門的術語になるかもしれませんが、経理組織の上にありまする内部索制組織というものが欠けておつたこと、そして自治監督がはなはだ不行届であつたということを、私ははつきり認め得るものだと思います。もちろん公団の経理規定につきましては、去る片山内閣当時に相当綿密な規定が設けられておりますので、これを敢然と忠実に行つて参りますならば、ある程度さようなことはないことになるわけでありますが、新聞等に書いてありますいわゆる、盲点、プランクの生じたということは、その経理規定が忠実に履行されておらなかつた。たとえて申しますならば、現金を受領する者が領收書を発行したりするようなこと、しかも十一部門の複会計組織を持つております関係で、この間の各会計総勘定元帳とのつけかえは、一般單独会社におきまする振替行為とは違いまして、必ず相手方に二枚のつけかえ伝票を送付いたしまして、つけかえ済みでもどつて参らなければならぬ、かようなことによつて少くとも各部門の者が相当綿密に連絡をとらない以上、不正のできないように仕組まれておるのが内部牽制組織であります。現在公団の経理規定に完全に内部牽制組織が働いておるかどうかということは疑問でありますけれども、とにかくきめられておる限度においても責任者がこれをチェックしておらなかつた。あるいは当該監督者が検印を怠つてつたというような單純な事実におきましても明らかな事実であります。この点が今回の事件を起さしめた最大の原因であろうと存じておりまして、直接任免権を持つております総裁の監督不行届から、かような事態になりましたことについては、通産省といたしましてはまことに国民に対し、また国会に対しても申訳ない次第であると、かように考えておる次第でございます。
  77. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それでもう一つお聞きいたしたいのは、今報告を聞きましたところによりますと、たとえばいろいろな横領とか浮貸し等の点で、七千八百五十万円ばかりの被害だということになつておりますが、そこで一つお聞きしたいのは、これ以外に、たとえば保險等をかけておる仕組み等を調べたことがあるかどうか。われわれの聞いておるのは、これはもちろんはつきりした調査をいたしたわけではありませんけれども、大体年に六億円くらいの保險をかけておつた。大体六千万円くらいが別な形で公団に入るのでなしに、何と言いますか、それを課長級とかそういうような人に個人的な違う形において、公団の利益に入るのではなしに、そういう形でとられておる。たとえば配炭公団の問題にもそういう問題があつて、これは違反ではないかというような形で、手数料をとられておつた事実があるのであります。この公団がこれ以外に、大体一年に六億円くらいの保險があつて、六千万円くらいが別な形でとられておるというように伝えられておるのでございますが、この点について調査されたかどうか。されたのであつたならばひとつその辺を伺いたいと思います。
  78. 宮幡靖

    宮幡政府委員 公団の保險を自家保險例度になすべきだという御講論も、相当以前から伺つておることでございます。また先般の配炭公団の繰入金の問題に関するお尋ねの中にもそれがございました。しかしながら本来の保險の業務から申しますと、危險の分散という意味で自家保險は必ずしも適切でなかつたと私ども考えておる。しかしながら御指摘のような事実があるとして、その六千万円がもし不正とか、あるいは少くとも常識的に考えて正しくない方向へ進んでおるといたしましたならば、これは嚴に戒めまして、自家保險等の制度によりまして、十分これを取締つて参るべきだろうと考えております。さような意味におきまして、保險の問題についても時々刻々総裁に対しまして、私ども所管局であります振興局より注意を促しておつたわけでありますが、いまだの御指摘の六千万円がはたしてどんなふうに使われておるか、どんな用途に供されたかについては、もちろんただいま調べておりまするが、結論を得ておりませんので、この問題は後日適当な機会、判明いたしましたときに、またあらためて御報告さしていただきたいと存ずるのであります。現在臨時通商業務局へ持つて参りました政府輸入の事務に対しまする保險制度は、これは民間保險業者を使う方針はただいまのところかえたいとは思つておりません。しかし何といたしましても保險は保險料の安くなることをねらわなければなりません。そうして危險の発生に対しまする給付の完全を確保する、かようなねらいから申しまして、もし不当に高い保險であるならば、この際自家保險へ切りかえようという交渉をいたしまして、従来大体單位に対して一円三十五銭程度の保險を、今回交渉の結果八十五銭に切り下げまして、自家保險態勢をとる前に、一応民間業者を利用するような態勢をとつておりますが、御指摘の点につきましては調査の結果をまちまして、御報告さしていただくことにいたします。
  79. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そういたしますと、たとえばこの早船その他の犯人の手配が遅れて、あるいは三箇月になんなんとする逃走ができたというようなことは、巷間伝えられておるところによりますと、これは公団のいわゆる相当高級幹部とのなれ合いによつて手配が遅れ、いろいろ打合せが行われた後に初めて逮捕に至るような状態になつたというようなことか、もちろんこれは真偽のほどはわかりませんけれども、そういううわさが飛んであるのでありますが、この点に関して通産省は一応調査されたことがあるかどうか。調査されたことがあるならば、そのいきさつをお聞かせ願いたい。
  80. 宮幡靖

    宮幡政府委員 先刻も申し上げましたように、公団におきましてこの事件を発見いたしました端緒が一月の三十日のことでありまして、総裁から通産省へ報告がありましたのは三月二十九日というのでありますが、この期間に非常にゆるみがございます。この点は非常にとがめ立ていたしまして、嚴重にその理由を追究いたしたのでありますが、これと関連いたしまして、ただいま竹村委員のお尋ねの問題、公団の中堅幹部なりあるいは最高幹部なりが、むしろ早船一派をかばうためにとつた措置ではないかということは、これは因果関係的な議論から申しますと、あるいはさような関係になるかもしれませんが、現在のところさように特に彼らを逃避せしめ、証拠を隠滅せしめるというような行為はなかつたものと、ただいまの状況では見られます。しかしこれも事件の進展につれまして、必ず明らかになるだろうと思いますので、現在のところではいずれとも申し上げかねる状況にあります。
  81. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そこでもう一つお聞きしておきたいのは、たとえばこの公団の不正を問題にされる場合に、公団の職員全体がみな不正を行つておるがごとき印象を與えるのであります。しかしながらこれは公団の一部でありまして、まじめな職員はそういうようなうわさが流布されますならば、もし公団が廃止されたときに今度転職される場合におきましても、そういうまぎらわしいうわさのあつた公団に勤めておつたということだけで、その者の転職等が不可能になる場合があると思うのであります。従つてこの公団の不正というものがどういう人によつて行われ、これが全体であつたかなかつたか。もちろん全体でないことはわかりきつておるのでありますけれども、その点についてはおそらく今後適切な調査の上されることだと思いますが、特にそういうまじめな職員から、たとえば不正等があるということを前もつて摘発され、あるいはそういうことを関係方面に上申するとか、あるいはまた公団の幹部に対してそういうことを申達する者が、往々にして首を切られて失業のうき目にあつておるような事例があるのであります。たとえば近い例を申しますならば、肥料配給公団におきまして、いわゆる運賃の五億円の不正を働いたのを摘発した職員が、そのために首を切られて、これは人事院に提訴しておるという形になつて、六人か首を切られておるような状態でありますが、この公団におきましても、もしまじめな職員がいろいろな形において不正を探知し、それを摘発した場合におきましては、その身分を保障される用意があるかどうか。従つてそういう場合におきましては、それを端緒としてどんどん調査をされ、不正をどんどん究明される意思があるかどうかということをひとつお聞かせ願いたい。
  82. 宮幡靖

    宮幡政府委員 本件に関しまする被害の問題に対しましては、徹底的にこれを追究いたしまして、抜本的な解決をいたしたい。もちろん検察庁の手を煩わしておりますので、それらの解決ができましたならば、それぞれの責任者についても適当公正な方法をもちまして、処理をいたして参りたいと思うのであります。なおただいま御指摘の、仲間が悪かつたから巻添えを食つて汚名を着る。それが社会的なものでありまして就職等にも大いに迷う。その精神的と申しますか、その損害等につきまして何らか考えてないかというような意味だろうと存じますが、実は御承知のように鉱工品公団は、前の原材料貿易公団等を合せましたもので、当時二千三百人の定員を持つておりましたが、昨年以来これを順次縮小いたしまして千三百人、九百人、五百五十人という線に順次落ちるようになつております。その間転職につきましては十分なごあつせんを申し上げまして、それぞれ職場を求むることに全員協力をいたしておりますのみならず、本来の臨時通商業務局につきまして、公団の職員で御希望のある方は、その定員の許す範囲においてこれを吸收する策をとつております。大体吸收せられる方は、他のお仲間が悪かつたからと申しまして、これがいわゆる札つき仲間というような批評を受けない、まことに乱れた中におきましても毅然として職務を遂行しておつたというような標範的な人間が、優先的に希望さえあれば採用されておる、かような状況でありますので、この鉱工品公団に関する限ります御心配の点はなかろうかと存じますが、万一さような事態がありますれば、通産省の事務当局の者を特にこの問題の解決に当らしめまして、万一これがために御迷惑を及ぼし職場に迷うようなことがないように、善処して行きたいと考えております。
  83. 竹村奈良一

    ○竹村委員 最後に一点だけお伺いしておきたいのですが、大体こういうような不正がまあいろいろ各公団にあるわけでございますが、ともかく通産省関係の公団において、こういうような不正がまあ一応問題になり、しかもこれがはつきりとした監督上のいろいろな不備から、こういうようなことが起つたというような場合におきまして、通産省としての責任は一体どの辺までおとりになるのか。たとえば公団の総裁や通産省のいろいろな係官、課長くらいで問題をおとめになるのか。あるいはまた内閣の責任として政府みずからが問題の責任をおとりになるのか。その辺のお心構えを伺つておきたいと思います。
  84. 宮幡靖

    宮幡政府委員 お尋ねの点はきわめて重大な問題でありまして、しかも本件の最終解決においては十分考慮せられる問題であります。御承知のようにさしあたつては鉱工品公団の監督と申しますか、それに対します区分はもう十分御承知だろうと思いますが、大わくの計画というものは安本長官が立てるわけでありまして、安本長官がその最終の責任に任ずることに公団法の規定上なつております。通産省としての業務監督というもの、いわゆる輸出入の命令とか代金の回收とかを命令いたしまする業務上の監督というものは、この安本長官の立てられました計画の範囲内において行つておるのであります。そうして経理の面につきましては、これは会計検査院がその職務に当りまして、     〔北澤委員長代理退席、前尾委員長代理着席〕  昨年この政府機関の予算措置に対しまする特例ができない以前は、年二回決算をやりまして、財産円貨、貸借対照表、損益計算書を作成し、会計検査院がそれに十分な検査を加えかつこれに承認を與えます。安本長官は通産大臣及び大蔵大臣に協議しなければならないことになつておりますが、この協議を受けたときには、やはり通産大臣といたしましてこれに同意を與えておる。昨年からは予算上の措置になりましたから、これはまた別の考えであります。とにかく監査につきましては会計検査院がおやりになる。貿易特別会計に属します会計事務は大蔵省が御担当くださる。かような分野になつております。従いまして、通産省から見ましたこの責任問題はこの業務の監督、具体的に申しますならば安本の基本計画及び計画の指導監督、そのもとにおきます輸出入業務の監督及び監督命令、これだけの範囲であります。そのほかには公団の総裁以下の理事者、監事の任免権を持つております。また解任権を持つております。従つて任命いたしました者がもしこの不正事件に直接関與しておつたら、これはもちろんもう問題はありません。また間接に関係しておりましたことがどういう立場になりますか。少くとも理事者におきましてこの渦中の人があるとするならば、その責任は任命権を持つております通産省、直接監督の衝に当りまする振興局長、事務次官、大臣、かような形でもつて行くことであろうと思つておりますが、これはただいまのところ内容はわかつておりません。もしただいま申し上げましたような仮定以外の場合におきまする問題でありましたならば、これは当然総裁どまりの責任に属するものであろうと思つております。もし内閣全体の責任論というものがあるといたしますならば、その最終責任は安本長官にあるものと解釈して適当であろうと考えております。
  85. 川島金次

    川島委員 竹村委員質問に関連いたしまして、私からも二、三ふに落ちない点がありますのでお尋ねしたいのですが、大体問題は政務次官のお話によると、経理検査の怠慢、もう一つは公団の機構そのものに欠陷がある。ことに公団総裁の談話によりますと、それを特別に取立てて強調され、いかにも責任は公団肩身の組織の欠陷から起きたかのごとき口吻を、新聞紙上で述べておることを私どもは拝見しておる。しかしながら、われわれの国民的な常識から申し上げますと、実に八千万円という、いかに物価の高い時代とは申しながら、実にその額たるや驚くべき巨額に達しておる。しかも公団の中にはおそらく早船ら一味の者は大体経理課員であつて、その経理課の責任者たる経理課長もおることである。そういう形であり、しかも経理課のみならず、それに関連するたとえば業者に資材を拂い下げ、割当てるという方面の責任者が一つある。そういう責任者と常に関連を持つた経理課がそこにある。というのにかかわらず、しかも私はよく存じておりませんが、大体この業者への売渡し代金というものは原則としては現金だ。しかしながらいろいろの事情で、なかなか現金制度というものが実施されないことは、よくわかるのでありますけれども、それにいたしましても月に一回やそこらの検査、締めくくりというものは当然あるべき筋合いであろうというのが、われわれの常識であります。しかるに事件の発端は昨年の六月から始まつておる。そうして感づいたのが一月だ。すでにその間において半年の期間が経過しておる。こういう一連の事実を考えてみますと、今の次官の御説明だけでは、私ども国民といたしまして必ずしも納得が行きかねるものが十分あるわけであります。その点も具体的にお尋ねすると、経理課の内部の職員の三人や四人の若い人たちだけで、こういつた事柄が六箇月も続いてなし得るという機構の欠陷が一体具体的にどこにあるか。その間における経理課長というのはいかなる業務を執行しておつたのか。あるいはまた経理課と経理課以前の責任者というものは、名称を私は知りませんが必ずある。その責任者の事務執行というものはどういう形で行われて来たのかということについて、非常に私どもは疑問を深くいたすわけであります。しかも先ほど申し上げましたように、月に一ぺんくらいの少くとも経理の締めくくりというものはあるべき筋合いだ。それが半年もなかつたのかどうか。半年もなかつたとすればなお重大な問題でありますが、そういうことがなかつたとすれば、そういうことができるような具体的な機構になつておるのかどうか。そういう事柄についてできればもう少し詳しくお話を願いたいと、かように思うわけです。
  86. 宮幡靖

    宮幡政府委員 これは川島さん御承知通り私は事務当局者でなく、事務をこまかく担当しておりませんので、あるいは微に入り細に入つた点については御説明困難かと思いますが、せつかくのお尋ね、しかもごもつともなお尋ねでありますので、わかる範囲をお答え申し上げます。  先ほど申しましたように、公団には経理規定があるので、それを忠実にやりますれば、さようなことはないのであります。昨年六月発生して以来、ただいま捜査途上にありまする状況におきましても、毎月預金じりの調査はやつてつたのであります。預金じりは、昨年十一月までは合つている。これは向うから資料を持つて来まして、残高証明とつき合してみると合つている。途中は違つておりますけれども、残高を調査する時期には一ぱいはめておつたということは、その当時の状況は、その事実から推定いたしますと、ほんとうの浮貸しで、金を利用しまして他に貸して、利息の上前をはねておつたというような行為にしか出ていなかつたのですが、それが何らかの原因によりまして、順次高じまして、元金までも全部費消してしまつたという過程になつているのではないかと想像するのであります。十一月までは預金のしりが合つているのでありまして、途中で遅れ、その日数が、大体月をまたいで幾日かの操作をやつているというのがどうも実情のようであります。御承知通り、経理課長はこの規定によりましてその場処分を行うのに、一々伝票等の検印をなすべきでありますが、さような検印を怠つている事実も、ただいまのところはつきりわかつております。経理課長の上に経理部長もおります。経理部長は本部に属しております。先ほども申しましたように十一部にわけておりまして、この間においていわゆるつけかえ勘定の処理を怠りまして、こちらからは金をやつた、何々鉱産部より経理部へ金を振り込んだ、あるいは産業復興公団から買いとつたものであるから、産業復興公団へ買取りの代金を拂つた、そうしてこういう領收書もあるということにしておりますが、実は産業復興公団に到着しておりないというような事実があがつておるわけであります。先ほども申しましたこのつけかえ勘定の処理につきまして、行きがけに二枚の伝票が監督所の経理課長によつて検印せられ、帰つて来て検印されて帳面と照合することになれば、未達勘定の整理は完全に行くわけでありますが、これを怠つてつたのでありまして、この未達勘定を利用したということが、ただいままで判明しておることでは明らかな事実であります。これは担当者及び総裁等の責任はなはだ軽からざるものがある、かように考えておるわけであります。  なお各部門別の会計を統合して、なぜやらなかつたか。こういう問題につきましても事務所、職場等が点々としております関係上、便宜主義をやつてつた。これははなはだもつて便宜主義をやりながら、経理の状況がよくなかつたというところにも、総括的大きな原因があるわけであります。  それから自治監査の問題は、常任監事がおるのであります。これが毎月常時監査をする。しかもこれは引拔き検査でけつこうであります。しかしこの点につきまして、監事にも責任を追究いたしましたが、あまりはつきりやつておらなかつた。もしやつてつたならば、そのときの監査記録があるわけだ。なければやらないと認めるぞ、かような言葉をもつてつたが、この点についても自治監査を怠つてつた事実があります。また会計検査院に昨年検査をしていただきましたが、そのときも何ら異状がないということであります。不幸ができまするときは、はなはだ遺憾でありますが、さような状況が累積してかようなことになつております。なおこまそれの問題につきまして御指摘のように国民の疑惑の的になつている問題でありますので、その事実はあくまでも徹底的に究明いたしまして、真相を発表して国民の巖正なる御批判に備え、しこうして今後に対しまする方策を十分考慮いたし、責任のあるところは責任のあるように処理して参りたい、かように考えている次第であります。
  87. 川島金次

    川島委員 いずれにしましても、これらの若い、しかも今のところでは僅少の人員によつて、この驚くべき巨額に達する不正が行われ、しかも竹村委員のお尋ねに対する次官のお答え、今の私の質問に対するお答えをいろいろ総合して常識的に推定いたしますと、感じといたしましては、失礼ながらこれらの若い四、五名の者だけではなかつたという感じが非常に強いわけであります。事務当局からもう少し詳しく聞けばなおはつきりいたすのでありますが、われわれ国民の立場から今お尋ねした答えを総合すると、どうもただいま線に上つておる四、五の若い者だけでこの大きな仕事がはたしてできたのであろうか。またいかに公団の機構がずさんであり、経理検査がずさんなものであつたにいたしましても、よくまあこの大仕事ができたものだというふうに感じます。どうもこれだけの人員だけでは不可能ではなかつたか。そういうことを考えますと、なかなかこの問題は重大に取扱わねばならぬものになる可能性があるやに私どもは感じます。そこでさらにお尋ねしておきたいのです。この八千万円の巨額に対して、これを次官にお尋ねすることはあるいは筋違いかもしれませんが、御調査ができておりますればお答えを願いたい。昨年の六月に開始されてまだ一年もたたぬこの八、九箇月の間に、この巨額な金が費消されてしまつた。われわれ国民的な常識から考えまして、この巨額な金がわずか七、八箇月の間に全部使い果されたというようなことについては、これまたいささか疑問を深くするものであります。そういうことについてこの被疑者たちは僅かな人間で、しかもこれだけの金を使い果しておる。しかし使い果しておらなくて、まだ現金がいずこかに残つてつたのかどうか。そういうことについて、幸いにして次官がお聞き及びの点があれば、それをひとつ聞かしてもらいたい。
  88. 宮幡靖

    宮幡政府委員 川島委員のお尋ねの早船、佐竹、川村程度の三人ではなかなかうまく行かないだろうということはこれは常識的の御観察だと私は存じます。特に川村は退職してよその会社に行つておるわけでありまして、この事実だけでも外との連絡があつたということは明らかであります。特に産業復興公団へ支拂うべき小切手三十七百万円、これが最初のものでありますが、これを某銀行へ持つて行きました。この銀行は、信用にかかつてそれがためにいろいろな事件が起きるといけませんので、名前だけは差控えたいと思いますが、決して隠蔽して申し上げないわけではありません。これを三つにわけまして、当座口を設けてあります。大体日本銀行の小切手でありますから、現金と同じに取扱います。それが公団関係のものであるということが明らかな事実であるにもかかわらずこれを三つの当座口にやつておる。しかも名前をかえてやつておる。かような事実があがつております。この結果といたしまして、それらの関係者に責任があるものであるかないものであるか。こちらでとりました資料を東京地検の方へ提供いたしまして、今巖重に追究していただいているわけであります。これらと関連いたしまして、順次関係者も出て参りまして、全貌が明らかになることを期待しておるような次第でありまして、御質問の点は良心的には、ごもつともな御推察だと私は考えます。
  89. 川島金次

    川島委員 最後にお尋ねした現金はまだ他人の名義であるわけですが、その額はどうですか。
  90. 宮幡靖

    宮幡政府委員 預金として残つておりました証拠のありますのは、これは名前は一々申し上げませんが、約五百万円ばかりあつたと思います。しかしこれは他人名義であるから拂出しは受けられないものがあります。その他のものは隠匿しておりました預金等をまぜまして、二千百幾らという金が回收されたわけであります。あとはどこに行つたかわからない。しかし今言つたような関係でどこかに残つておる。これはぜいたくに使いましてもまだどこかにあるだろうという推理も、また適当だろうと思いますので、さような方向に進んで調査を進めております。
  91. 川島金次

    川島委員 まだお尋ねしたいことがありますが、お尋ねはその程度でとどめて、最後に一つだけお伺いしておきます。今度この委員会予算執行職員等の責任に関する法律案が出ております。これは出納官の故意または過失による責任を明らかにする、嚴重なきわめて妥当な法律案であります。しかもごの法案は成立いたしますと、公団における予算執行職員にも、これがこのまま適用されて来ることになる、こういつた法案が近くもう目の前において成立いたそうとしておるわけであります。そうすると、この公団の関係の今問題になつておりますことと、この法律が成立いたしました場合におけるところのこれらの責任出納官職員、これはどういう関係になるか。そうしてそれに対する追究はどういう形で今行われますか。その点をひとつ御所見かありましたならばお伺いしておきたい。
  92. 宮幡靖

    宮幡政府委員 お尋ねの出納職員に対しまする取締り及びその責任の追究に対します法律、この問題につきましては不日公布されることと考えます。もちろん公団の出納責任者はこの中に入つて参りますが、今回の事件とにらみ合せましてどういう措置をとつてよろしいか。この問題につきましては、ぜひとも公団の監督の最終責任者である安本と相談の上で善処いたしたいと思います。ただいまのところは、御承知通り兼任大臣もかわつたばかりでありまして、よく御方針もわかりかねるのであります。この点はこうするという具体的なことは、ただいまお答えできかねる状態であります。もちろんそのままほうつておくわけにも参りませんから、相談いたしました結果やつて参りますが、大体通産省の内局に関しまする出納責任というものは、ないものになるだろうと思います。その法律ではかような考えをもつて、あとは監督の不行届、それからその事件に参画しておれば格別、通産省が現金の出入れに関する直接責任はないものと考えます。
  93. 川島金次

    川島委員 この法律は予算の執行等に関する一つの監督者の責任が明らかになつておる。公団の予算執行というものは安本が責任者であるか、あるいは大蔵省が責任者であるか、あるいは通産省が責任者となるのか、あるいは公団自体だけの予算の執行というものが責任であるか、その点はどうなりますか。
  94. 宮幡靖

    宮幡政府委員 それは公団法の規定によつて大体明らかだと存じております。出納上の責任は通産省にはなくて、安本長官に属するものであります。従いましてその安本長官に属します責任の限度というものは、公団の直接責任者であります総裁において全責任を負うべきものにありましては、もちろん安本長官に及ばぬのでありますが、それ以外のことに関しては安本長官に属するものと考えております。
  95. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 予算執行職員等法律案が上程になつてつたのでありますが、これと関連して新聞紙上によると公団の不正問題に関しまして、その跡始末の問題についてはともかくとして、これだけの大きな責任を現わしたということは、これは監督官庁の責任も大きいことでありますが、並びに国民の血税によつて決済しなければならない、こういう意味合いからこれが国民環視の的になつておる以上、これを正確にどういうところからこういう事件が起きたか。これは新聞には書いてありますが、政府当局にもこの問題を正確に御答弁していただかないと、国民の納得が行かないのじやないかと思います。またこの責任の問題ですが、今お話になるところによりますと、責任を回避されるような感を受けるのであります。この問題については現総裁も前総裁もともそれ責任があると同時に、総裁を監督する人も相当道義上の責任を負わなければならぬと思います。また昨年度の内部牽制組織が悪い、こういう意味合いでありますが、これも監査する責任がある者は、こういうことは常に毎月々々監査して行かなければならない。その監査も怠つておるし、また会計検査院も昨年調べたときには不正がなかつた、こう言いますが、会計検査院にも粗漏があつたのじやないかと思います。こういう問題に関連しまして、政府では国民に対してどうしてこういう事実が発生したか、そうして発生した事実に対してどういう責任をとるかということを、政府みずからはつきりこの点にお答えを願いたいと思います。
  96. 宮幡靖

    宮幡政府委員 これは先刻も申し上げたのでありまして、責任を回避する等の言葉がそう受取れましたならば、それは言い方をかえねばならぬと思うのであります。公団の総裁の任命権を持つておりますのは通産大臣でありますので、総裁に直接さような不正行為に関連があることがわかりましたときは、通産大臣に及ぶであろうということを申し上げておきます。振興局長、事務次官等に順次及んで行くであろう、かようなことを申し上げまして、通産省としての責任は明らかにされておつたと思うのであります。なお世間の疑惑を解くためにもつとはつきり事実を言うべきである。これも御意見としては、ごもつともだと存じます。しかしこれは何分にも司直の手を煩わしまして、ただいま捜査中のことでありまして、しかもたびたび繰返して申し上げますように、この点については容赦なく最後の底をつくまで徹底的に究明いたしまして、その結論において適当なる処置をとつて参りたいと思います。ただいまその過程にあります。もちろん十日か十五日の間にその全貌がはつきりしてしまう、すぐ明らかになるというような單純なものでありましたならば、これはかような事態にはならないと思うのであります。かような事態になりまして繰り言を申し上げるのではありませんが、なかなか内容を突き詰めるということにはよほどの努力がいろうと思います。しかしこれもお説の通り国民の血税でやがては負担しなければならない段階になるであろうという考え方を持ちますと、なおざりにいたすわけには参りません。そこで最後の最後まで追究いたしまして、そのときには政府といたしましてもその内容を十分御批判に備え、これも先刻申し上げておきましたが、責任者は責任者といたしまして公正妥当にこれを処理して参りたい、かような考え方でありますので、何とぞ御了解をいただきたいと思います。
  97. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 大体のことは他の委員の方からも質問されて了解しておりますが、巷間伝えられるところによると、他の公団にもこれに類似の浮貸しみたいなことをやつておるというふうなことをたびたび耳にします。先ほど話されたように日本銀行の小切手によつて支拂われるのだ、こういうお話でありますが、事実そういう金が市中の銀行に預託されて、これを條件にして他に貸し與えるというようなやり方をやつておるところがあるということを聞いておりますが、他の公団の方の関係について、こういうことを調査したことがあるかどうか。もしないとするならば早急にこの公団の経理部面も検討する必要があると思いますが、これのお考えはいかがでありましようか。
  98. 宮幡靖

    宮幡政府委員 他の公団と申しますと、産業復興公団と繊維貿易公団でありますが、これに対しましてもお説の通り常時経理検査をやつてもらわなければならぬのでありまして、これは大体やつておることとただいままで信じておつたのであります。しかし意外にも鉱工品公団にかような不祥事実が発生いたしまして、非常なる対外的な刺激を與えたという意味で、表には発表いたしておりませんが、すでに本月上旬からそれぞれの方法によりまして、巖重に内容を精査いたしまして、皆様御心配のような点があるかどうか、ただいまこれを突き詰めるべく毎日のようにやつておる次第であります。御意見のほどを体しまして、さらにこの方面に心を注ぎたい、かように存じております。
  99. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 もう一点お伺いいたします。昨年度の六月から八千万円という厖大な金をめちやくちやに消費しておるのでありますが、われわれの生活としては、無軌道的な使い方をしても、これだけ使えないのじやないかと思います。新聞紙上には、バツクに何者かが存在するということが書いてあります。これは検察当局の調査によらなければわからないだろうと思うのでありますが、この点について政府がこれこれの事実はあるだろうくらいのお考えはないでしようか。
  100. 宮幡靖

    宮幡政府委員 ただいままでの御答弁でも申し上げました某銀行に、変名というか他人名義の預金もできておりました。それから川村というのはすでに新日本海事興業会社の取締役をしておつて、現在のところはすでに昨年からの退職でありますので、漸次浮貸しからその現金を消費する当時は公団の人間ではありません。外部から連絡があつたという事実はわかつておるのであります。これをずつと押して参りまして、その関係者を一応はつきりいたしたいという努力をただいま拂つておるわけであります。この点に対しては毎日資料を持ちまして、検察庁の方へ連絡してやつておるわけであります。ただ現在そのほかに何の何がしと新聞のように—大体新聞の行き方がどういつたものかわかりませんが、あるいは世評に流れますことを主観的に揚言されているようなことがあるようでありまするが、さような意味から、ここにも関係があるだろうという想像論では、この問題についてはちよつとこの席では申しにくいのであります。さように長くかかるまいと思いますので、また適当な機会に十分御報告申し上げ、御検討をいただくことになろうと存じております。     —————————————
  101. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長代理 それでは午前中西村委員より清水の反税運動の問題に関して、国税庁長官の報告を求められておりますので、ただいま国税庁長官がお見えになりましたから、一応報告を求めます。
  102. 西村直己

    西村(直)委員 けさ私大蔵大臣にお願いしましたが、靜岡県清水市の名古屋の国税局調査員が、更正決定の再調査に参りましたのに対して、一部の人がこれに対して公務執行妨害したというので、相当の群衆が集まりまして、納税関係に対する相当不安な状態が続いているように新聞に見えております。私の心配いたしましたのは正しい納税、正しい徴收、これがけつこうなのでありまして、それが穏やかな方法、稔やかな形ですべてが解決して行けばいいのでありますが、そこに多数の人が集まつて問題を起して、徒党的な要求をして、納税制度の運用がこわされて行く。しかもこれが全国的に一つの波になつて行くならば、たいへんなことである。従つておわかりになつている程度でけつこうでありますから、国税庁長官から実情を一つお話願いたいと思います。
  103. 高橋衞

    ○高橋(衞)政府委員 お答えをいたします。清水税務署においては本年度の審査請求の件数は約四千件に達しておりまして、靜岡県内におきましては、この税務署たけが権衡をはずれて審査件数が多くなつておるのであります。従つて名古屋の国税局といたしましては、何とかしてこの清水税務署における審査を早期に処理いたしたいと考えまして、実は十二月に国税局員を十名応援に清水税務署に派遣いたしまして、個々の納税者について再調査を開始したのであります。ところがその調査を開始するに先だちまして、清水市にありますところの生活を守る会が市民大会を開催いたしまして、国税局員によるところの調査は、零細な納税者に対するところの不当な彈圧であるというような決議をされまして、その本会に参加された約三百名ばかりの方々税務署に参りまして、ちようどその当時署長が不在でございましたので、直税課長に、国税局員によるところの再調査は中止をしろという要求をされたのであります。非常に長い間いろいろお話をしたのでありますが、また再調査によつて早急に審査の処理をするということが、租税負担の公平を期するゆえんであるということを申し上げたのでありますが、なかなか非常に熾烈な御要求でもありましたので、かつ署長も不在でありますので、署長が帰るまで一応職員によるところの調査は中止するということをお話したのであります。翌日の十四日に署長がこの報告を聞きまして、ただちに前日の直税課長の中止するというお話を取消しいたしまして、国税局員によるところの審査の処理を今後どんどん進行して行くということを、代表者にお話をいたしたのであります。しこうして十六日ころまでにさらに相当数の隣接署の署員もこちらの方に応援を求めまして、市内全般に対して十七日から出張いたしまして、それぞれ審査を出しておられます関係納税者個々について、調査を開始したのであります。ところがその調査をいたします際に、その調査をされるところの先の納税者の宅に、三十名ないし五十名程度の人が必ず集まりまして、悪罵をする、口々に怒号する、調査員をひつぱり出してつるし上げにあわせるというような方法によりまして、調査を妨害されました。この日は実際上の調査がほとんど不可能であつたのであります。この困難にも何とかして耐えてなお調査を続行いたしたいということで、十九日にもその調査を前日同様に始めたのでありますが、結局十九日においても前日同様種種な妨害にあいまして、完全に調査不能に陷つたのであります。しかも、大体五名を一組にして調査に当つてつたのでありますが、その班長はそれぞれ群衆によつて清水税務署に引きもどされました。そうして群衆が署の建物を完全に包囲し、ちようど税務署の職員は多く不在でございましたが、国税局から主任として出張して参つておりました杉田という事務官を署の前にひつぱり出しまして、これをつるし上げにいたしました。午後三時から約五時間署前に直立させましてつるし上げをいたしたのでありますが、この状態が夕刻ごろから漸次暴動化して参りまして、杉田事務官はなぐる、けるというふうな暴行を加えられまして、全治十日間の相当ひどい打撲傷をこうむるに至つたのであります。その際ちようど警察署が税務署の筋向いにあつたのでありますが、こういうふうな状況をよく知つておられまして、その暴行せられました方々を検挙せられたようであります。こういうふうに税務署の職務執行を妨害するところの行為が全国的に相当多数あります。かつ負傷をしました税務署員の数も三月中旬から始まつて、今日までにすでに四十名を数えるという状況であります。われわれといたしましては、何とかして審査の請求の処理を一日も早く決定いたしまして、納得の行くところの納税をしていただきたいということにつきまして、非常な努力をしているのでありますが、あるいはわざわざその日になると居留守を使う、あるいはおられる場合においては、必ずそういうところに相当数の入が集まつてつて、妨害するというような事態に遭遇いたしまして、しかも税務の調査は個々に行くものでありますから、そういうふうな妨害を受けます場合におきましても、適切な警衞を得るということが非常に困難な事態にございます。今日税務の仕事が地方によりましては非常な困難に遭遇いたしているのでありまして、その結果最近におきましては、税の收入状況が非常に困難であり、本年度の歳入予算の確保もほとんど見込み薄であり、相当に赤字が出るのではないかということを、ただいま憂えているような状況でございます。
  104. 西村直己

    西村(直)委員 外貌は大体わかりました。私も現実にその状況は情報としてはある程度存じておりますが、まことに私は遺憾な事態だと思うのでございます。ただなお私どもみずからもこれを調査いたしてみなければならぬと思うのでありますが、ひとつ国税庁長官にお伺いしたいのは、税務署側でおとりになりました手続等においては、すべて法規的にかなつているかどうか、それから第二は、これは常識的に見ても妥当な方法であつたかどうか、これをお伺いしておきたいのであります。
  105. 高橋衞

    ○高橋(衞)政府委員 私どもの方で調査いたしました結果によりますと、税務の事務執行の際における処置はすべて適法であり、何ら違法の措置はなかつた考えております。なお実際上妥当でないような所為がなかつたかというふうなお尋ねでありますが、実はそういうような情勢のもとにおいては、税務署員も相当愼重な態度をとらざるを得ない。また十分に警衞を得て、それらのことを行うというふうなことがなし得ない実情にもございますので、自然妥当にあらざる所為をしたということは、諸般の事情からとうてい考えられない状況にあつたのでございます。
  106. 西村直己

    西村(直)委員 もし国税庁長官の言葉が事実であるといたしますならば、ただ、これはもちろん税金が高い、苦しいという実情はあるにしましても、あまりにも一つの徒党的な動きであり、法を破壊して、そうして一部の人たちだけが納税を拒否した、あるいは少くともその間に暴行、脅迫が行われたというようなことが現在新聞に報ぜられている。はつきり申し上げますれば、県の共産党所属の地区委員長以下三十数名の者が検挙をされております。  私がいま一つ国税庁長官にお伺いしたいのは、こういう事態が全国的に波及する御心配がないかどうか。もし波及するおそれがある場合において、もちろん国税庁長官御一人の責任ではなく、政府全般の大きな問題になると思いますが、何かこれに対する御所見でもありますか。後段の点はあるいは国税庁長官として御答弁が適当でないとおつしやるならばけつこうでありますが、少くとも全国に波及するおそれがないかどうか。この点についてひとつお伺いしたいと思います。
  107. 高橋衞

    ○高橋(衞)政府委員 今年に入りましてから、各地においてこういうふうな運動が相当猛烈に行われて参つているのでありまして、全国の五百三の税務署のうち、大体二百程度税務署が、すでにこういうふうな事態に襲われているというのが実情でございます。実は大体波が收まつたのではないかという感じもしておつたのでありますが、最近十九日におきまして、清水においてそういうつるし上げにあい、杉田事務官が相当な負傷をするという事態を起しました。同じ十九日において、群馬県の中之條の税務署におきましては、税務署員九名の者が、いずれも一週間ないし十日以上の期間を要するところの負傷を受けている次第でございます。非常にこの点について私ども心配をし、懸念をしているのでありますが、何といたしましても、今月一ぱいか二十四年度分の收入を確保すべき唯一の残された期間でございますので、何とかしてこの歳入の確保をいたしたいと考えまして、そういうふうな非常な困難な事態があるにもかかわらず、税務署員を督励いたしまして、もつぱら税收入の確保に努力をいたさせている次第でございます。
  108. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 長官にちよつとお伺いしたいのですが、三月二十五日だかに、閣議において各税務署の協議会をつくるというようなことを決定したと聞いておりますが、その協議会というものは、そういう紛糾の生じたような場合に、調停をやるというような立場まで入り込むことは、不可能でしようか、どうでしようか。
  109. 高橋衞

    ○高橋(衞)政府委員 先月の二十二日に、政府といたしましては閣議決定をもつて、そういうふうな反税的な動きについては、断固たる態度をもつて臨むという政府の決意をきめたのであります。同時にその際に、税務に関しては、特に新しい年度においては、地方税が相当重要な地位を占めるという事情もございますし、それぞれ関係の官庁または地方公共団体等の関係者をもつて協議会をつくつて行く、そしてそれによつて相互協力して行くという態勢をつくりたいということで、ああいうふうな会をつくつたのであります。しかしながらこの協議会は、もつぱら連絡のための協議会でありまして、調停とか何とか、そういうふうな趣旨事柄を目的にする会ではないのでございます。
  110. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 私らは今月の初めごろ、神戸の事件と大阪の国税局の事件調査に行つて参りましたが、大体事件の起きている神戸の状態を見てみますと、四十七団体の代表者を商工会議所に集めて、意見を聞いてみたのでありますが、これは今まで団体交渉をやつてつた。結局団体をつくつているその首脳部は、業績もいい。そこで団体交渉をやつているような場合には、相当幹部連中は手加減をしてもらい、店が大きくても税が軽くて、かえつて末端の税の方が重かつた。ところが団体交渉を打切つたために、首脳部の税が非常に重くなつた。こういう不滿な点が大分現われまして、神戸の事件なんかもそれに関連して、民主商工会だとか生活擁護連盟が、これに同調してやつたようですが、今までの団体交渉の結果が、こういうような事件になつたというのも、一つの考え方じやないかと思います。こういうような団体交渉については今後やらぬということになつておりますが、ある部分はやつているところもあるので、なるべく今後そういうようなことのないような方法で行かなければ、ときどきこういう問題が起るのじやないかと思います。その点ちよつとお聞きしたいと思います。
  111. 高橋衞

    ○高橋(衞)政府委員 何度もお答え申し上げましたように、税は個々の人の所得を正確に把握する、そして税の公平を保つということが、本来の趣旨でございますので、団体交渉は今年は嚴重に禁止をいたしたのであります。しかしながら従来の惰性も幾分残つているでありましようし、私どもといたしましても、各個業者団体等の方からいろいろな御意見を承るということは、相当税の決定の上に参考にもなりますので、そういうふうな資料はできるだけ多数自発的にお出しを願うということは、今後続けて行きたいと思いますが、団体交渉というようなことは、今後絶対に禁止するということを考えておるのであります。
  112. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 それに関連しましてもう一点伺つておきたいと思います。家具の物品税の問題ですが、神戸の業者も大分これについて不平を申しておるようです。家具の税金は予算書にもある通り、全国で四億四千二百何十万かとればいいのにかかわらず、現在すでに十億をとつておるという事実を言つておるようですが、こういう事実はあるのでございましようか、どうですか。
  113. 高橋衞

    ○高橋(衞)政府委員 家具のみについての物品税の金額は統計をとつておりませんので、事実はよくわかりませんが、税法の建前といたしまして、どの程度に予算をつくりましても、税法上賦課すべきは当然賦課すべきであります。たとえば予算が四億であるものが、二十億になつても、税法上賦課さるべきものは当然賦課される、徴税せらるべきものであると考えております。
  114. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 私はそういう場合は、税率を引下げたり免除額を引上げるということが妥当だと思うのです。今後税改正の問題については、この間の小委員会でも下げるべきであるという意向でありますが、もしそういうふうに予定よりとれるということになつた場合は、これをもう少し引下げる必要があると思いますが、長官のお考えはどうですか。
  115. 高橋衞

    ○高橋(衞)政府委員 事税制に関しますので、私の主管外でありますが、今年のように税全体として赤字が出るおそれが濃厚にあるという状態におきましては、たとえばあるときの税において予算を経過いたしましても、税率の引下げというようなことは、とうてい不可能ではないかと考えます。
  116. 河田賢治

    ○河田委員 長官にお尋ねいたしますが、これまで税務署におきましては、よくいろいろ大衆的な運動がある場合、その代表者に会わぬとかいうようなことがあつたわけであります。特に昨年あたりも、国税局あたりから税務署に出しました指令の中には、できるだけ面会するな、万一面会したらすべて面会強要でひつぱられるような手続をしたらよかろうとか、あるいはまた家宅侵入で訴えたらよかろう、こういつたような最近における人民のいろいろな団体的な輿論、またこれに基く行動、こういうものは従来とも労働者は大体経験しておりますが、最近一般個人的な営業をやつております中小の商工業者、こういう人々が主として過重な税金、また一方的な更正決定、こういうものに対する不滿からやはり相当関心を持ちまして、いわばいろいろ政治的な活動の一つとして行われるわけでありますが、事態がこういうふうに変化した場合に、税務署の署員あるいは各責任者たちに、国税庁はこの事態に即応した方法でいろいろと指導をされておるか。以前のように、やはりできるだけ面会をするなとか、あるいはがんばつて面会強要罪で訴えろというような方法で、できるだけそういう立場をとつておられるか。それともできるだけ納税者の一応の代表的な意見を聞いて、—これは税金の個々の折衝ではないのでありますが、そういう大衆的な運動が起つた場合には、できるだけ折衝をする努力を持つような方法でおやりになつておるか。どういう指導をされておりますか。その辺ちよつとお伺いしたいと思います。
  117. 高橋衞

    ○高橋(衞)政府委員 先ほど宮腰委員の御質問にお答えいたしました通り、税は団体交渉によつて政治的に解決すべきではないと私ども考えておるものであります。従いまして、団体交渉には応じられないということを、この際はつきり申し上げたいと思います。なおしかしながら納税者としておいでになつた場合には喜んでお目にかかり、また十分にお話を申し上げて御納得の行くようにいたしたいと考えておりますが、最近税務署に押しかけますデモの実態を聞いてみますと、納税者はきわめてわずかであつて、ほとんど大部分が何らかの組合に属する労働組合員であるとか、または申告納税に全然関係のない方が、砥とんど大部分を占めておるというのが実態であります。従いましてそういうふうな団体の代表者にいくらお目にかかりましても、その代表者自体もまた納税者でないことが普通の状態であります。お目にかかりましても実益がない。税務署といたしましては何とか各納税者の納得を得て納得を推進するというのが、能率を上げまたほんとうに市民に信頼される税務署たるゆえんであると考えますので、そういうふうな措置を具体的な場合においてとることも、やむを得ないことではないかと考えておる次第でございます。
  118. 河田賢治

    ○河田委員 長官の言われるように、なるほど個々の納税の金額の高低、そういうものの問題についてはもちろん個人々々の折衝、これが基礎になるわけであります。しかし御承知のように今日税務署の職員が取扱つておる態度からしましても、納税者自体が税務署に行けば口もきけないというような者がたくさんあるわけです。自分資料を持つていない者もたくさんありますし、そういう場合には一応何らかの形で代表者を立ち合わすとか、あるいは他人に口をきいてもらう、こういうことはありがちなので、特に最近の騒擾問題なんかを西村さんは大分御心配になつておるのでありますが、たとえば私は国会調査で群馬県に参りましたとき、後に時間がなくて途中で聞いた話でありましたが、たとえば大衆的に集まつた場合に、あの人間をやつつけるとか、なぐるとかいうようなことを言う者は実は納税者でなくして警察官であつた。しかも私服であつた。つまり私服はそういう大衆行動をできるだけ擾乱に導くようなことをやつておる。こういうことがあつた。従いましてこういうことの起りも相当あるわけであります。私たちが行きました当時も、桐生税務署で三、四百人の方が押しかけられておりましたが、こういう人に一応国税局の局長が、いろいろ先日来からあの辺で活動しておられた様子など、税務署長みずから立つて納税者に納得の行くように話しかければ、私たちは別に問題ないと思うのでありますが、ちようど私の行きましたときも署長がどこかへ雲隠れしてしまつて会わない、こういう状態がありまして、労働者が今日組合をつくつて要求する。もちろん全部が全部要求をいれるということはないにしましても、一応会うべきものは会つて事態の解決をはかる誠意を示すべきものだと思うのであります。今日の税務署では従来そういう経験がないのでありまして、しかも一方的で今日では百人の納税者のうち、わずかに三人しか実額調査が行われていない。従つて残り九十七人はまつたく推測的なきわめてでたらめな税金をとられております。こういうことから納税者の不滿というものが非常に今日あるわけでありまして、こういう事態におきましては、税務署の署長自身が団体交渉をして—個人々々で問題を解決するのでないとしましても、いろいろな更正決定をまじめに審査するとか、あるいは再調査を急速にやるとか、いろいろ税務署長のやるべき方針などを納税者に納得させる、あるいは代表者に納得させるというふうに、胸襟を開いて誠意を盡すべきではないか。その方がむしろ有効に私たちは事件を円滿に進行させて行くことができるというふうに考えるわけであります。従つて先ほど個々の納税者について、これはもちろん団体交渉はよくないということになつておりまして明らかなのでありますが、しかしそれならそれで個人個人の十分な調査もし、個人々々に納得の行けるような税金をかけていればけつこうなのでありますが、たとえば農業所得は、農家は何ぼというような割当をやつておりますが、これは税務署自体のやり方が一種の職業、それは若干の差別をつけてやるという、やはり旧態依然たる課税の仕方が行われております。こういう場合にはやはりボスがどんどん出かけて行つて、そうして自分の税金は安くして、ほかの税金は高くかけるという事態はよくあることなのでありますが、場合によつて個人の付添いなどに同業者あたりが行つても、やはりこれに快く会つて、そうして個人々々が真にみんなが口がきけて、みんなが税務署とけんかのできるように、あるいは納得の行ける税金が抑えるまで品がきけるようになるまでは、とうてい個人々々の申告納税というものは、私は理想的に行かぬと思います。こういう立場から私たちは若干、いわば先行した税法というものが、非常に今の納税の事態を問題にしておると思いますが、これについて一応私たちの所見を述べて、長官の御意見ももう一度伺つておきたいと思います。
  119. 高橋衞

    ○高橋(衞)政府委員 税務官吏国民全般の奉仕者でございまして、国民に最も親まれるところの、またほんとうに信頼されるところの税務官吏に、理想的な形になつて行くように、私どもはあらゆる努力を傾倒しておるのでございますが、先ほどもちよつと申し上げましたように、最近におけるところのいわゆるデモというものの実体をなすものは、あまり納税者の方が多くないのが実情でございますし、またそういうふうな何らかの意図を持つて来られた場合において、その前に出ていかに手を盡して、いかに親切に説明申し上げましても、それを聞く耳を持たないというふうな状況にある場合が非常に多いのでございます。それらの状況を判断いたしまして、ある場合において、お話を申し上げない、お目にかからないということをいたすよりしかたがないというような状況がたびたびあるということは、私どもは認めざるを得ないと思うのであります。お話通り今日税務の調査が全部完全に行つているという状況でないということは、はなはだ私どもの遺憾とするところであります。従つてこの点の改善に関しましては、あらゆる努力を傾倒しておるのであります。たとえば営業所得に関しましても、二十三年度においては、全納税者に対して六%程度の実額調査しかできなかつたのでありますが、二十四年度におきましては非常な努力を傾倒いたしまして、大体今までの全国の統計をとつてみますと、地方によつてよくできたところとできないところがございますが、大体一割五、六分程度の実額調査をいたしております。また審査の請求等につきましても、何とかして急速に審査の再調査をして差上げて早く解決するということをいたしたいと考えまして、非常な努力をしておるのでありますが、この審査の請求をどんどんおやりになり、しかも審査の調査に来た場合においては、これを妨害して受付けないというふうな事態は続きますと、これは税務事務全体として崩壊に瀕するのでありまして、こういうふうな事態に対してはどこまでも強く、また徹底的に調査を進めて行くというよりほかに、方法がないかと思うのであります。
  120. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 今の問題に関連して……。実は私は昨日具体的な問題で国税庁長官に申し上げましたが、今河田さんの御質問で、たいへん御返答が一般的な御返答をいただきまして、納税者に対していろいろ政府の立場からの御意見でありましたけれども、実際昨日の例のように、更正決定が来まして、わずか三千何百円の税金が納めてなかつた。それの再審査中に税務署官吏が留守中にやつて来て、店の商品の九万何千円というものをみんな持つてつた。税金は納められない、売る物はない、食べることができない、明日からの生活をどうするかという問題がありましたが、署長に会いに行つても、署長はいないというので会わない。事実こういう例が方々にあります。こういう具体的な問題に対して、納税者は一人々々では非常に弱くて、何にすがつてこれを解決するか。そういう場合生活擁護同盟とか、いろんな団体がありまして、そこに泣きついて行つて、そういうお力を借りられるのでありましようが、そういう人々の行つたときに対する政府としての彈圧的な方針は、はつきりしていらつしやるのでございますが、個々の納税者が納得して納められるような、どういう具体的な親切な方針をお示しになつているか。たずねて行つたら、死んでもしようがないというようなことを言う。昨日も私が申し上げたように大蔵大臣の、中小企業者は多少死んでもしかたがないというような考えが、末端にまで及んでいると思うのです。こういうことは私の方の名古屋においても非常にたくさんあります。私ども帰りましても、こういう人々の相談を一々受けておりますが、私どもが一々税務署について行くわけには参りませんし、弱い納税者はどうしたらいいかわからない。こういう問題に対して、具体的にどういう処置をとつておられるのか。また末端の税務署官吏に対して、何か具体的な指令なり指導なりをなさつておられるかどうか。その辺をもつと具体的に、はつきり御返答を願いたいと思います。これは抽象的な御返事では解決できないのでありまして、これは事態を悪化させる根本的な原因ではないかと思いますから、その点の具体的な御返答をいただきたいのです。
  121. 高橋衞

    ○高橋(衞)政府委員 先ほど御質問になつた点につきましては、ただいま調査いたしておりますので、調査ができました上で、別の機会に御回答申し上げたいと思います。ただこの際に申し上げておきたいと思いますが、審査の請求中である、それに滯納処分をしたということでありますが、日本の現在の税法においては、審査の請求中といえども滯納処分をなし得るという建前になつております。しかし普通の場合においては、更正決定をいたしますのにつきまして、相当根拠があることでございますので、相当資力があり、また納め得るにかかわらず納めないという方に対しましては、法律上は督促状を差上げて、しかる後差押えをし、差押えをして後に物件の引揚げをするという段階があるのでございます。そのほかに、督促状を差上げる前に、私どもとしては必ず注意書を差上げております。滯納になつておりますから、何とか早くお納め願いたい、そうしなければ延滯金も高くなりますからという注意書を、必ず差上げるようにしております。しかしてまた物件の引揚げ等をいたします際においても、大体納税者実情というものは、その家に臨むのでありますから、わかるのであります。従つて苛酷な、いわゆる生活を奪うようなことはできるだけ避けるということを、常に指導しているのでございます。もちろん多数の税務官吏の中には、行き過ぎの場合もあり得るかと思いますが、しかし大体におきましてそういう方向に徹底するように私どもは常に指示をし、また訓示もいたしている次第でございます。
  122. 田島ひで

    ○田島(ひ)委員 もう一回その点で、法規上の問題はいろいろございましよう。また政府としての方針で、法律上いろいろ命令もなさつているかもしれませんが、たくさんの末端納税者に対して、なかなかそれが行き届いていないのが現状でございます。また再審査中にも差押えができるという法規があるということでございます。法規で行けばそうかもしれませんけれども、実際の上では差押えられて、明日から物を売れないという実情がございます。そういう者に対して、一般的な御返答でなく、国税庁といたしまして、もつと末端の税務官吏なり、あるいは署長なりが親切な態度をとつて、面会に来たときなど必ず会うという方針を、具体的に御指導なさる必要があるのじやないかと思います。それがなされておりませんから、やはり事態が悪化するような結果になるのではないかと思いますから、その点はつきり御指令なり何なり、何らかの形でお出しになることを希望いたすのでございますが、その点の御返答を願いたいと思います。
  123. 高橋衞

    ○高橋(衞)政府委員 繰返して申し上げておりますように、私ども納税者方々に対してできるだけ親切に、また十分信頼されるような税務官吏になるようにということを指示しているのでございます。そのことは、言いかえますれば、納税者方々にはできるだけよく接触して、よく御説明申し上げる、また必ずお会いしていろいろお話も伺うという意味なのであります。しかしながら税務署長はたつた一人でありますし、またそれぞれ非常に広汎な仕事を持つておりますので、全部の方々について税務署長自身がお会いするということも、非常に困難かと思うのであります。従つて当該の調査した官吏でありますとか、また税務署課長であるとか係長であるとか、それぞれの人において分担してお会いをし、お話も伺い、またこちらの税務署として調査した結果もお話をいたしまして、御納得の行くようにして何とか納税していただきたいと考えるのであります。     —————————————
  124. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長代理 次にお諮りいたします。  ただいま本委員会におきまして審査中の予算執行職員等の責任に関する法律案につきまして本日決算委員会より連合審査会を開いてはしいとの申出がありましたが、この連合審査会開会の申出に対し、本案に関し決算委員会と連合審査会を開くことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長代理 御異議ないようですから、さよう決定いたします。  なお連合審査会開会の日時等につきましては、委員長及び理事に御一任願いたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時十二分散会