○水田
政府委員 ただいま
議題となりました
国家公務員等の旅費に関する
法律案につきまして、その提案の理由を御
説明申し上げます。
まず本
法律案を立案いたしました実体的な理由を申し上げますと、第一に、
国家公務員等の旅費定額の改訂を行う必要があることであります。すなわち内国旅行の旅費につきましては、
昭和二十三年七月にその全面的改訂を
行つた後は、本年一月に鉄道貨物運賃の値上げに伴う移転料定額の改訂を
行つただけで、その他の旅費は当時の定額のままですえ置かれているのでありますが、最近の猛泊料金等の実情から見ますると、宿泊料、日当及び食卓料についてば、ある
程度の定額引上げを必要とする状況に立ち至
つているのであります。また
外国旅行の旅費につきましても、
昭和十八年八月に定額改訂が行われたままで今日に及んでいるのでありますが、最近国庫の負担による海外
旅行者が漸増して参りましたので、現状に即するよう、全面的に定額を改訂する緊急の必要が生じて参
つたのであります。
理由の第二は、現行の
国家公務員等の旅行に関する
手続に所要の改正を加えようとすることであります。すなわち現行の旅費制度の基礎法規である内国旅費規則及び
外国旅費規則におきましては、旅費支給の原因となる旅行命令や、旅費の請求
手続等に関する事項についての規定が、不明確であるうらみがあるのであります。従いましてこの際、旅費支給をより適正にするため、辰行命令等に関する規定を設けるとともに、その他の点につきましても必要な改正を加えることといたしたいのであります。
以上の理由に基き旅費定額の改訂及び旅費に関する規則の改正を行う必要があるのであります。しかして従来これらの事項に関しましては、内国旅費規則及び
外国旅費規則に基いて、適法な処置がとられて来たのでありますが、これは新憲法に基く新たな旅費
法律が制定されるまでの過渡的な措置でありまして、本来は
法律に規定するを適当とする事項でありますので、今回の改正を機としまして、
国家公務員等の旅費に関して、全般的な規定を定めた本
法律案を提出いたしました次第であります。
次に本
法律案の要旨の大要を御
説明申し上げます。
第一に、従来の内国旅費規則及び
外国旅費規則には重複規定が多く、特に別建とする理由もありませんので、本
法律案では両者を統合いたしまして、内国旅行の旅費と
外国旅行の旅費とをあわせ規定することといたしました。
第二に、旅費を支給すべき場合、旅費の支給條件及び計算
方法等に関する事項につきましては、おおむね従来の規則のやり方を踏襲することといたしましたが、新たに旅費の請求
手続に関する根拠規定のほか、旅行命令に関する規定を設け、旅行は電信電話等の連絡手段では公務の円滑な途行をはかることができない場合に限り、かつ予算の範囲内でのみ発令できることを、さらに明らかにいたしました。
第三に、旅費の額につきましては、前に申し述べました理由により定額の改訂を
行つているのでありますが、まず内国族行の旅費については、従来における日当百二十円を百六十円に、宿泊料用地六百円を八百円に、乙地四百八十円を六百四十円に、食卓料百二十円を百六十円にとそれぞれ三割
程度の引上げを行うことといたしました。また
外国旅行につきましては、海外の実情がいまだ的確に把握できない現状にありますので、連合国軍最高司令部職員の旅費定額、及び
ガリオア資金による海外
旅行者の旅費支給基準等を参考といたしまして、全面的に定額の改正を行うこととしました。なおこの定額改訂に伴う所要経費の増加は、これがため特に予算措置を講ずることなく、既定予算の範囲内でまかなうことといたしたいのであります。
第四に、旅費定額が旅行実費を越える場合における所要の調整、労働基準法の規定による帰郷旅費との
関係等につきまして、所要の規定を設けることといたしました。
以上本
法律案の提案の理由並びに要旨の大要を御
説明申し上げました。何とぞすみやかに御審議の上御賛成あらんことをお願い申し上げます。