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1950-04-12 第7回国会 衆議院 大蔵委員会 第50号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月十二日(水曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 岡野 清豪君 理事 北澤 直吉君    理事 小山 長規君 理事 島村 一郎君    理事 前尾繁三郎君 理事 川島 金次君    理事 内藤 友明君       大内 一郎君    甲木  保君       佐久間 徹君    高間 松吉君       西村 直己君    三宅 則義君       勝間田清一君    宮腰 喜助君       竹村奈良一君    田島 ひで君       中野 四郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  水田三喜男君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一郎君         大蔵事務官         (理財局見返資         金課長)    大島 寛一君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税関部         業務課長)   木村 秀弘君         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君     ————————————— 四月十一日  委員佐竹新市辞任につき、その補欠として中  崎敏君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員中崎敏辞任につき、その補欠として勝間  田清一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  米国対日援助見返資金特別会計からする電気通  信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に対  する繰入金並びに日本国有鉄道に対する交付金  に関する法律案内閣提出第六五号)  関税法の一部を改正する法律案内閣提出第一  六三号)  国家公務員等の旅費に関する法律案内閣提出  第一六八号)  建設委員会地方行政委員会及び災害地対策特  別委員会よりの申入れ事項取扱いに関する件     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  ちよつとお諮りいたします。先般来本委員会において審査中の昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担の特例に関する法律案について、建設委員会地方行政委員会及び災害地対策特別委員会とそれぞれ連合審査会を開会いたしましたが、その結果それぞれの委員会より、お手元に配付いたしてありますような本委員会に対する申入れ事項が、委員長手元に参つております。この際これらの各委員会申入れ事項取扱いにつき協議いたしたいと存じます。これは委員長理事に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようですから、申入れ事項取扱いにつきましては委員長及び理事に御一任願うことといたします。     —————————————
  4. 川野芳滿

    川野委員長 それでは関税法の一部を改正する法律案議題として質疑に入ります。三宅則義君。
  5. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はただいま議題となりました関税法の一部を改正する法律案、につきまして、二、三点政府にお伺いいたしたいと思うのであります。過日これにちよつと関係したことを伺つたのでありますが、現在におきましては貿易が自主的に行われるわけでございませんから、政府といたしましても、これにつきましては相当の許可、もしくは政府自身貿易関係せられることと考えておりますが、それに対しまして多少資料がありましたら、この際いただければ幸いと思いますが、いかがでありましようか。
  6. 木村秀弘

    木村説明員 それは政府貿易に関する資料でありますか。
  7. 三宅則義

    三宅(則)委員 民間もしくは政府といろいろ貿易関係はありましようが、これに対してどういうような関税になつているか承りたいと思うのであります。
  8. 木村秀弘

    木村説明員 後刻とりそろえて参りますが、ただ現在数字がどうなつているかということを、口頭で御説明申し上げる程度なら……。
  9. 三宅則義

    三宅(則)委員 一応構想を承りまして、あと資料をいただきますれば、たいへん審議上都合がよいと思います。
  10. 木村秀弘

    木村説明員 昨年中、と申しますと一月から十二月までの貿易の実績でありますが、輸出が千六百九十三億一千万円、輸入が二千七百四十九億七千二百万円、合計が四千四百四十二億八千二百万円、差引輸入超過額一千五十六億六千二百万円という数字になつております。前年に比較いたしますと、輸出が三・二倍、輸入が四・五倍となつております。なおこのうちエロア、ガリオア資金輸入された額が一千九百三十六億九千七百万円、全体の七割一分になつております。輸出のおもなるものは繊維品でございまして、これが七百八十億三千七百万円、全体の四六・一%であります。次が機械類で百四億五千二百万円、これが六一%、それから陶磁器が六十四億九千六百万円、これが三・八%、玩具が三十六億一千三百万円、二・一%となつております。輸入におきましては、食糧品が主でありまして、三百二十七万トン、金額にいたしまして一千二億四百万円、全体の三六・五%を占めております。次が繊維の原料でありまして、五百六十一億六千七百万円、これが全体の二割五分、それから硬油でございますが、百九十八億八千七百万円で七分三厘、その他石淡及びコークス、金属鉱等となつております。
  11. 三宅則義

    三宅(則)委員 旅行者携帶品に関します件でございますが、今度この法律によつて六月三十日をもつて廃止せられるものを存続いたしたいという御意思であるようでございます。この前に北澤委員から質問があつたかと思いますが、密輸出もしくは密輸入が行われるということを聞いております。これに対して政府は相当取締つておることと思いますが、その状況をこの際承りたいと思います。
  12. 木村秀弘

    木村説明員 輸出入をされます携帶品につきましては、開港におきましては税関がいわゆる旅具検査と申しまして、携帶品を全部取調べております。羽田のような空港におきましても同様でありますが、その他不開港におきましては、たとえば朝鮮なり台湾からそつと持つて入るというような者があります。これは税関あるいは海上保安庁あるいは警察において共同で取締つております。大体大きな開港におきましては、携帶して密輸入をやる、あるいは携帶して密輸出をやるという事例ははなはだ少うございまして、おもなものはやはり不開港における第三国人密輸というものが圧倒的でございます。開港におきましては、ただ沖仲仕あたり外国貿易船あたりから買出しして輸入するというのが若干あるのと、外国貿易船の船員が携帶輸入するという例が若干あります。
  13. 三宅則義

    三宅(則)委員 密輸出密輸入につきましては、携帶品でなくて、不開港地で向うの船舶なり、こちらの船舶なりが密輸入密輸出しておると承つておりますが、これに対しては税関支署その他におきまして相当見張つておると思いますが、それを漏れて来るものが相当ありましようか。
  14. 木村秀弘

    木村説明員 かなりあると思います。もちろん漏れたものにつきましては、つかんでおりませんのでわかりませんが、大体予想といたしましては、密輸入あるいは密輸出される全体の件数の三割から五割程度が検挙されておるのではないか。これば漠然とした予想でありますが、こういう予想をいたしております。
  15. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の御説明によりますと、三割ないし五割といいますから、申分以上は密輸出をされておる、あるいは密輸入をされておる、こういうことになるわけであります。これもでき得べくんばなるべくそういうことの少いようにいたしたいと思いますが、何か特別の方法をもつてこれを取締ることができるのではないかと思います。政府といたしましてはどういうお考えでおられましようか、この際承りたいと思います。
  16. 木村秀弘

    木村説明員 これは海岸線の長いわが国におきまして、またことに台湾であるとか、あるいは中国、沖繩朝鮮、樺太というように近接地域が非常にたくさんございまして、特に旧外地等関係は戰前におきましては経済的に一体をなしておつた。それが終戰後不自然に離されました結果、どうしても貿易をやらなくてはならぬという事情が生じておるわけであります。従つてこれを税関なり海上保安庁なり、あるいは警察というような政府機関だけによつて防過するということは、とうてい不可能に近いと考えます。従いまして従来政府行つておる警備をあわせまして、大体二つのことが必要であろうかと思います。一つ近接地域との貿易に道をつけてやると申しますか、合法的な貿易方法考えてやることが、最も大きい密輸防止方法であろうかと思います。そのほかに政府機関だけでなくて、国民一般協力を得るということが必要であろうかと思います。そのためにはいろいろな機会をとらえまして、密輸に関する啓蒙宣伝をいたしますと同時に、第三者通報制と申しまして、いわゆる密輸事件に関する情報を提供した者に対しましては、一定の報酬を與える。そういうようないろいろな方法によりまして、一般啓蒙宣伝をすることが軸輸防止には必要であろうかと思います。
  17. 三宅則義

    三宅(則)委員 密輸出密輸入という事柄は、おそらく夜間に多くやられることであろうと思うのでありますが、本改正案によりまして、裁判所許可をかりに得ておりまして、随時随所にそういうものの臨検もしくは調査をなさるのでありましようか。何かはかに考え方がありましようか。
  18. 木村秀弘

    木村説明員 これはお説の通り密輸入密輸出一般夜間、ことに夜明けと日募れに非常に多いのでございます。それで今度の改正案夜間調査権を持つということは、最もその事例の多い夜間に対しまして、裁判所令状を得て調査をするということが、証拠隠滅を防ぐ上から見ましても、当然必要となつて来ておりますので、こういう改正案を提案したわけであります。
  19. 三宅則義

    三宅(則)委員 これは夜間にやるというけれども、広範囲にお考えになつておるのでありましようか。それとも随時随所裁判所許可を得てやるというのでありましようか。私どもはこれにある特権を與えまして、いつでも活動できるという線を生かしていただきたいと思いますが、政府としてどういうお考えを持つておられましようか。     〔委員長退席前尾委員長代理着席
  20. 木村秀弘

    木村説明員 一般的に夜間におきまして、臨検捜索あるいは差押えをするということは、現在の司法警察刑事訴訟法に規定されております権限との関係もございまして、これはなかなか問題であろうかと思われます。ただ特定の場合におきまして、密輸事件調査のために特に必要ある場合には、裁判所執行令状をもらいまして愼重な手続によ力まして臨検捜索あるいは差押えをするということができるようになれば、まず現在の法制のもとにおいては十分と申しますか、相当の進歩だろうというふうに考えております。
  21. 三宅則義

    三宅(則)委員 もう一、二点だけ、しつこいようでありますが、政府の信念をお伺いいたしたいと思うのであります。私どもは必ずしも犯罪を多くするということを奨励するものではございません。しかし法の建前といたしまして、また国家全体から考えましてあまり密輸入密輸出ということは歓迎すべきことではないと考えます。往往にいたしまして政府の方では漏らしが多いのではないか、こういうことを民間人に言われるのでありましてすでに相当もうけたかすをやられるという傾きがなきにしもあらずと考えますから、こういうような法律を改正される場合におきましては、進取的にむしろ積極的にこれを防止もしくは検挙いたしまして、そういう犯罪の少からんことを期待いたしたいというのが、国民を代表する者の意見であると私は信ずるのであります。かような意味合いにおきましてどうかあまり越権でも困りますけれども、大きな魚を逃がしてしまつてから、あとでこれを縛るということのないように、御注意賜わらんことを政府当局に要望いたしたいのでありますが、これに対するお答えを賜われれば仕合せと思います。
  22. 木村秀弘

    木村説明員 まつたくお説の通りでございまして、今後密輸の、ことに大きい事件につきましては事前に防止し、そしてその本拠を突く、できるだけ逃がさないようにするというような点は、十分税関等を督励いたしましてやつて行きたいと存じます。
  23. 三宅則義

    三宅(則)委員 以上でこれについての質問は一応終りますが、午後でもよろしゆうございますから、資料をお届け願いたいと思います。
  24. 竹村奈良一

    竹村委員 お尋ねいたしたいのでありますが、現在まで大体密輸件数等は前に伺つたのですが、大体大きなものでどのくらいあるかという点をお尋ねいたします。
  25. 木村秀弘

    木村説明員 数字を若干申し上げたいと思います。一九四九年度におきます密輸の総件数が千七百七十四件、そのうち密輸入が千四百大十七件で、密輸出が三百七件になつております。それから犯則者でございますが、一九四八年におきましては朝鮮人が千伍百七十三人、日本人が千三百八十五人、台湾人が百四十一人、沖繩人が八十八人、奄美大島の人が九十五人、中国人が十四人、その他十人、合計三千三百六人、一九四九年におきましては、朝鮮人が千三百二人、日本人が二千八百二十二人、以下大体の傾向は四十八年と同じでございます。それから密輸物件の価額を申し上げますと、一九四八年におきましては、密輸出が一億三百万円、密輸入が四千七百万円、四十九年におきましては、密輸出が一億四千四百万円、密輸入が三億四千六百万円で、いずれも驚異的にふえております。
  26. 竹村奈良一

    竹村委員 その点でもう一言お伺いしたいのですが、和歌山天徳密輸事件の詳細は、もう新聞にも出ておるので、大体内容をお調べになつたと思いますが、その点について、できるだけ詳細に御説明を願いたいと思います。
  27. 木村秀弘

    木村説明員 実は和歌山事件につきましては、まだ詳細な報告税関の方から届いておりません。現在八軍と税関協力をしてやつております。ただ口頭あるいは電話の報告で聞きましたところでは、何か地元有力者と結びついた事件でありまして、前々から問題になつてつた人だそうであります。現在事件はまだ調査中でありまして、残念ながら詳細な報告を受けておりません。
  28. 竹村奈良一

    竹村委員 これは大部前に起つておる事件であつて、詳細がわからぬと言われればそれまででございますけれども、その密輸事件和歌山県の水産課長が大体船の証明なんかを出しておる。われわれの知つた範囲ではそういうことになつておるが、そういう事実もそれではまだ調査されておりませんか。
  29. 木村秀弘

    木村説明員 残念ながらまだ報告が来ておりませんので、全然わかつておりません。
  30. 竹村奈良一

    竹村委員 そうすると、こういう密輸事件は大体何箇月ぐらいしなければ、ほんとうのことはわからぬのですか。あなたの方は大体本家本元だと思いますが、どのくらいかかるのですか。
  31. 木村秀弘

    木村説明員 われわれの方で報告を受けますのは、大体におきまして調査が終了いたしまして、これを告発する段階になりますと、告発書の写しがこちらへ参ります。それから通告処分に付します場合には、通告令状を出しましたときにこちらへ報告が参ります。調査中の事件につきましては報告を受けておりません。
  32. 竹村奈良一

    竹村委員 そうすると大体あなたの方は取締つておられるので、先ほど報告された全国的なこういう統計から考えましても、その点についてのいろいろな密輸に対する経路あるいはその他の点は、よく詳細に知つておられると思うので、これをお聞きするのでございますけれども、大体天徳事件の表面的に現われておるのは、二十四年度の初めからざらめ砂糖を入れた。それも一回や二回でなくして船を五そうも六そうも仕立てて琉球と取引していた。それがあがつた。しかも二十四年度の初めのときは、大体向うでは日本円が通用しておつた。それでざらめだと一斤日本円で三十円ないし四十円くらいで買えたので、それを持つて帰つてつた。ところが二十四年度の四月頃から琉球銀行が開設されて、そうして円の取引がだめになつたので、砂糖を持つて帰るために、たとえばふかのひれ、これは大体一回行くのにトラツクに三台ぐらい積む。それから丸のことか帶のことか、あるいは自転車、ミシン等を積んで行つて、そうして帰りには砂糖を入れて帰つてしかもその船の中には水産課長か何かに証明をもらつて航海するのに、これは虫下しの何とかいう草だ、こういうものを積むのだというので、証明をもらつて、その船を仕立てて行く。それが新聞の報ずるところを見れば何回となしにやつておる。こういうようなことが今までどうしてわからなかつたか。わからなかつたといえばそれまででありますけれども、先ほど三宅委員からも質問がありましたように、結局こういう大がかりな密輸が何回も——それが一回じやなしに、何回となく繰返して和歌山で行われておる。しかも天徳商会とか何とかというところによつて、それがやられておる。どういうわけでわからなかつたか。またそういうような密輸が公然——公然とは考えられないけれども、公然のような感じがする。何回もやつているのにどういうところに欠陥があつて、そういうことが早期に発見されなかつたか。その点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  33. 木村秀弘

    木村説明員 今の御質問は非常にお答えがむずかしいのですが、大体地方に参りますと、私だけの感じでありますが、地方自然取締り機関も手薄になつております。そういう関係一つにはあろうかと思うのです。それから今お話水産課長や何かの証明書を持つて行つたというお話でありますが、現在の外国との貿易につきましては、そういう水産課長なり県知事なり何か知りませんが、そういう人たち証明書があれば貿易をしていいという仕組みになつておりません。しかし地方ではどういうことによつて、正規の貿易が行われるかというような手続の詳細について、多くの人は知つておらないというような点も、一つの理由であろうかと思います。それからまた和歌山天徳事件につきましては、口頭説明を受けましたのによると、何か地元有力者関係をしておるというようなことも聞いておりまして、そういう関係も幾分はあるのじやないかと想像いたしております。そのほかに密輸のそういう船を何隻も持つて、常時計画的に密輸行つておるものが非常にわかりにくいというのは、一つは彼らの方法が非常に巧妙でありまして、そういう常習者になればなるほど、密輸方法は巧妙でありまして、たとえば一例を申し上げますと、最近よく行われております中継ぎ貿易というのがございます。これはたとえば瀬戸内海なら瀬戸内海の無人島に、一時本船から荷物を揚げまして、そうしてそこへ日本の漁船なり、あるいははしけというようなものを持つて行つて積みつて来る。そうしますといかにも国内相互間の輸送であるというようなごまかしがきくわけであります。それから先ほどお話が出ましたように、夜間において暗夜に乗じて行われるというような点もございます。そういうふうに非常に手段が巧妙になつておりまして、そのために発見がむずかしい。また一つには一般の人の密輸に対する認識と申しますか、そういうものを十分に持つていないというようないろいろな事情がありまして、発見が非常にむずかしい。従つて先ほど申し上げましたように、これはわれわれの想像でありますけれども密輸で検挙されておるものは、おそらくは実際に行われておるものの三分の一か、あるいは半分にはなつておらないのじやないかというように、想像いたしておるわけであります。
  34. 竹村奈良一

    竹村委員 実はこの問題について詳細にお知りにならぬというものを、重ねて聞くのはどうかと思いますが、私のふしぎとするところは、事実私は特別なものでお聞きするわけじやないわけです。これば朝日新聞に出ておるのです。     〔前尾委員長代理退席委員長着席〕 少くともこれは三月十九日の朝日新聞に出ておるのでお尋ねしておるのです。あなたの方ではまだ知らぬとおつしやいますけれども、むろん公式の立場で説明することはできないでしようけれども新聞なんか見ますと、大体先ほど申し上げましたような例、たとえば琉球へ十三往復しておるとか、そういうことが公然と書かれているときに、しかも四月の一箇月半もたつて、なお取締りのというよりは、むしろそういうものをお出しになるもとが、実はまだ報告を受けておりませんでした、知りませんというだけでは——私は今後法律をこしらえましても、いかにこれは死刑にするという法律をこしらえましても、こういう大がかりなものが一箇月半もたつて、まだあなたの方に詳細がわからないという機構では、これは実際法律を幾つこしらえましても、その実を上げることができない。こういう意味でお尋ねしておるわけであります。それだから実際はどういうふうにしたならば、早くこういう点をつかんで、情報をつかんで、それにどういうふうにして対処する方針を持つておるか。どういう改革をしたらそれに対処できるか。こういう点をひとつどういうふうに考えておられるかお聞かせ願いたい。
  35. 木村秀弘

    木村説明員 これは最初から密輸事件であるということがはつきりいたしております事件で、ことに規模の大きいものは、四十八時間以内にわれわれが速報を受取つておるわけであります。しかしながら今回の和歌山事件のように、たまたま新聞が大きく取上げておりますけれども、それが密輸事件としての、何と申しますか、密輸事件として、はつきり成立しておるというように、現在のところではそこまで固まつておらないのであります。たまたま新聞が大きく取上げましたものですから、従つてそういうような御議論もあるかもしれないと思いますけれども、しかし全国的に見まして、それ以上の事件は非常に多いのでありまして、ただわれわれ想像いたしておりますところでは、現在の関税法違反事件として成立することがまだ確実になつていない。従いまして、こちらの方へ報告がないのだろうと想像いたしております。
  36. 竹村奈良一

    竹村委員 むろん判決が確定するまでは、どんな事件でありましても、これは疑いを持つ事件でありまして、判決確定後じやないと、確定事件であると言えないことははつきりしておる。しかし少くも許可なしに、税金を拂わぬで十三往復も、十四往復も、船の四隻、五隻というようなものを連ねて往復しておつて、しかもそれがそのまま砂糖がやみに乗じて天徳の本宅、あるいは商会の倉庫にどんどんトラックで運ばれておる。それに税金がかけてない。問題は判決確定するまでは、今あなたのおつしやつたようなことでいいわけですけれども、しかし実際問題としてそういうような場合は、一応あなたの方で單に向うから報告を待つているのじやなしに、これに対処するには——もちろんあなたのおつしやつておられるように、地元有力者がかかわつてつたから、大体発見が遅れておるのだろうと言われておつたように、そういうものであればあればあるほど世間では疑惑を持つ。たとえば政界なんかにつながりがないかという疑惑世間ではあるわけです。そういう点についてはもちろん判決確定するまで、二年たつか三年たつかわからない。それを悠長に待つてつて処理するということは、私はどうかと思うのですが、そういう点についてはどうお考えになりますか、
  37. 木村秀弘

    木村説明員 ただいま私がわからないと申し上げたのは、その報告が参つておらないということでありまして、その事件について調査をし、調査を進めて、処分を進めて行くということは、現地の税関で極力やつておるはずであります。なおこの事件につきましては、後ほど特に報告を受けてみようかと思つております。
  38. 竹村奈良一

    竹村委員 それではこの天徳事件の問題につきましては、ひとつ詳細がわかりましたら、この法案の関係いかんにかかわらず、本委員会の方へ報告していただきたいと思うのですが、後日詳細がわかつた委員会の方へ報告していただくということに、委員長からおとりはからいを願いたいと思います。
  39. 川野芳滿

    川野委員長 承知いたしました。適当な機会報告をさせます。
  40. 竹村奈良一

    竹村委員 それからもう一つお伺いいたしたい。これは大阪税関内に起つた問題だと聞いておるのでございますが、詳細は省きますけれども大阪税関内においていろいろ少し問題があつたと思うのです。それはどういう問題であつて、それは事実無根であつたかどうか、お聞かせ願いたいと思うのです。これは大阪税関内における不正事件だということになつておるのですが、これは真相がわかりませんのでひとつ……。
  41. 木村秀弘

    木村説明員 これは相当デマが多いのでありまして、実際の問題といたしましては、警務の船用品積込みの許可というのを税関でやつております。これは普通の輸出手続によらないで、船の中で使う品物につきまましては特に簡單な手続をもちまして、税関許可をしておるわけであります。その許可の衝に当つておりますのが、監視部の警務課というところであります。日にちをちよつと失念いたしたが、その船用品の積込み許可の場合に、その数量が超過いたしておつたという事件がありまして、それを現場の乗船官吏が見て、そしてこれは多いじやないかということを詰問したわけであります。しかしながらすでに業者は船川品の横込み許可をもらつてつたというような事実でありまして、その間に一職員が介入いたしまして、それを通してくれるようにということを乗船官吏に依頼をしておるのであります。これが非常におかしいわけでありはすけれども許可をしたものはその後徹底的に調べましたけれども、別にお金をもらつて許可をしたとか、あるいはそのほか饗応にあずかつて許可をしたとかいう事実は出て参つておりません。ただその中間に入つてあつせんをしたという人間がおりまして、これがはたしてお金をもらつたかどうかということば別にいたしましても、穏当でありませんので処分しております。なおそのほか税関内におきまして、かなりわれわれの聞くところでは政治活動があるらしく、そのために両方の側からあげ足とりのようなことをやつた事例がありまして、かなりないことが一般に流布されておる。われわれの調査の結果はそういうふうになつております。
  42. 竹村奈良一

    竹村委員 そういたしますと、もちろんそれはいろいろどういう動きをされようと、問題は問題ができて、それを調査する。あるいはまたそういう不正がどの側からであろうと、不正があるとしてこれが問題になつた場合に、不正があるかないかということについてはいろいろ調査されると思うのでございますが、そういう形でおやりになるのですか。
  43. 木村秀弘

    木村説明員 これは現地の方から人を呼びまして、そうして一々の問題になつた点、ことに一般にパンフレットみたいなものを出されましたので、その点について一々釈明を求めております。なお苦干おかしいものにつきましてはそのおかしい点を十分に突つ込みまして、そうして一応の心証を得たつもりでおります。
  44. 竹村奈良一

    竹村委員 そういたしますと、そういうような従来の例で、そういういろいろなデマその他のものでお調べになつて、真実であつたとするような不正事件はございませんですか。
  45. 木村秀弘

    木村説明員 ただいま申し上げました旅具の船用品の積込みについて、あつせん依頼をしたというのが一件、これは確実に事件として出ております。そのほかにいろいろなことが言われておりますけれども、これは絶対にないとわれわれ確信いたしおります。
  46. 竹村奈良一

    竹村委員 その他この密輸事件についていろいろお聞きしおりますときりがないので、今までわかつておりました密輸事件のうちで一番大きなやつはどういう事件であつたか。ひとつ最近のやつでいいですから……。
  47. 木村秀弘

    木村説明員 私も記憶はあまりいい方ではありませんので、現在残つております最近の事件で最も大きかつた事件といたしましては、昨年名古屋で起きた事件でありますが、これはタクサン号というイギリスの船であります。これに乗つておる中国人の船員が、薬品、おもにストレプトマイシンとかペニシリン、それからサッカリンというようなものをカンに詰め込んで、それを海中に相当数量投棄いたしております。これをこちらから出て行つた者が拾い上げて密輸をやつたというのが、相当大きな事件であります。そのほかには、これは横浜で起りましたハイリユウ号という中国船がやはり薬品を持つてつております。そのほかは大体似たり寄つたりの規模でありまして、特に大きいというところでは今の二件ぐらいが記憶に残つております。
  48. 竹村奈良一

    竹村委員 こういう外国人の密輸が発覚した場合に、これはやはりあなたの方で單独に一切を処理されるということになつておりますか。その点ちよつと……
  49. 木村秀弘

    木村説明員 これは遺憾ながら御存じのように連合国人に対しましては裁判権もありませんし、調査権もありませんので、従いましてはつきり中国の国籍を持つております者は、軍事裁判所へかかるわけであります。それでわれわれの方は調査権も持つておりませんけれども、大体におきましては現地のCIDあるいはMPと共同調査をいたしまして、事件調査が終りますと、軍事裁判所へ引継いでおります。
  50. 川野芳滿

    川野委員長 ほかに御質疑はありませんか。——なければ本案に対する質疑を終了するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようですから、本案に対する質疑は打切ります。     —————————————
  52. 川野芳滿

    川野委員長 次に米国対日援助見返資金特別会計からする電気通信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に対する繰入金並びに日本国有鉄道に対する交付金に関する法律案議題として、質疑を続行いたします。竹村君。
  53. 竹村奈良一

    竹村委員 見返り資金のことにつきましては、対日援助費で従来まで送られました物資の明細書と、その物資による売上げ金の詳細の資料を私は前から要求しておいたのですが、それがまだ出て来てないので、それを至急出していただきたいと思います。
  54. 大島寛一

    大島政府委員 ただいまお話資料につきましては、通産省所管のものでありますので、私からなお所管の者に伝えておきます。
  55. 勝間田清一

    ○勝間田委員 やはり同様に資料の問題でお尋ねいたしたいのでああります。まだ政府は途中だというようなことも聞いておりますが、見返り勘定の今年の計画、特に民間を含めた計画をほしいと思います。それから現在折御中であれば、折衡中のものも一つほしいと思います。それからもう一つは、この法案にも直接関係のある問題でありますが、鉄道の方はいわゆる建設勘定の中で、損益勘定から金が入つて来ておる面が相当あるわけですから、損益勘定の方の資料もあわせて出していただきたいと思います。
  56. 大島寛一

    大島政府委員 昭和二十五年度におきます見返り資金の運用の計画につきましては、先般国会を通過成立いたしまして見返資金特別会計の予算にございますように、債務償還五百億、公企業に対する支出四百億、私企業に対する支出四百億、その他二百八十一億というものがあるわけであります。その具体的な内訳につきましては、公企業といたしましては、電気通信特別会計に対しまして百二十億、国有鉄道に対しまして四十億、国有林野事業特別会計に対しまして三十億を予定いたしております。ほかに住宅金融公庫に対しまして再億、その他公共事業といたしまして、百十億を予定いたしております。私企業の四百億の予算でございますが、その配分につきましては、目下安定本部を中心といたしまして、具体的な計画案を練つておる段階でございます。国有鉄道の損益勘定等に関する資料につきましては、国有鉄道の子等に種々の計数をもつて計上されておるわけでございます。なおその要旨をとりまとめまして、資料としてお配りするようにいたしたいと思います。
  57. 勝間田清一

    ○勝間田委員 その程度の問題ではなくて、アメリカの対日援助資金というものも相当の変更があるようでありますし、それからあなたも御案内の通りに、前年度の見返り勘定の繰越し勘定も若干違つて来ておる。それからこの前の予算案の出た当時の見返り勘定の資金計画は、私は若干変更になるような気がするのです。その点がどうなつておるかということと、それから今のお話の中で言われる民間産業に対する計画もかわつて来るじやないだろうか。これもはつきりさせていただきたいと思う。
  58. 大島寛一

    大島政府委員 二十五年度の日本における対日援助見返資金の予算といたしましては、ただいま御質問の中で御指摘になりましたような繰越しが、当初予定しましたものよりも数十億減つて来ておるという問題と、それから米国においてこの七月から始まります会計年度の対日援助予算が、まだあちらの議会において審議中であるというような事情はありますけれども、二十四年度から繰越しが減りました事情は、要するに援助物資の入り方が予定よりも少かつたというような点がおもなる理由でございまして、その分はまた二十五年度においてふえて入つて来る見込みもございますし、アメリカの国会において審議されております現在の対日援助予算の進行の段階においては、二十五年度の見返り資金の予算は変化ないものと考えております。
  59. 勝間田清一

    ○勝間田委員 もう一つお尋ねしておきますが、そのために補正予算をやる必要はないかどうか。
  60. 大島寛一

    大島政府委員 現状においては補正予算をやる必要はないと考えております。なお先ほどの御質問一つお答えを落しましたが、私企業投資四百億等においても、そのような意味において目下全然これをかえる必要はないと考えております。
  61. 川野芳滿

    川野委員長 ほかに御質疑ございませんか。——なければ午前はこの程度にいたしまして、午後一時から再開することにいたします。     午前十一時四十分休憩      ————◇—————     午後一時五十一分開議
  62. 川野芳滿

    川野委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  まず午前中質疑を打切りました関税法の一部を改正する法律案議題として討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。宮腰喜助君。
  63. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 私は民主党を代表しまして本案に賛成の意を表するものであります。  ごく最近海外に旅行する者、また第三国人の入国する者が多くなつて参りまして、携帶品に対する厳重な監査は当然であります。従つて日本の現在の経済状態から考える場合にも、その携帶品に対して嚴重なる監視をすることが当然でありまするので、この点を改正するものとして私は賛意を表するのであります。  また関税の担保として従来金銭のみ担保にしておつた。ずつと昔からこの問題についてはいろいろな異論がありまして、国債なんかの担保を受入れるということは当然であつたのでありますが、ようやくこの事項を改正しまして国債も担保になし得るということになつたことは、今日の金融難の折柄当然こう改正すべきものであると考えるので、現在のこの改正はおそきに失するような感がするのであります。従つてこの点に対しても賛成をするものであります。  また第三点について、犯則事件調査処分及び罰則上改正されんとすることも当然でありますが、この犯則は密職人、密輸出を罰するということになつておあのであります。これも通常刑法では密輸入密輸出を罰するということは、原則ではなく例外の場合に属するのでありますが、今日の国家経済状態を考える場合に、この密輸入密輸出を罰することは当然だと考えまして、私は本案に対してこの三点の意味より賛意を表するものであります。  以上をもつて私の討論を終ります。
  64. 川野芳滿

    川野委員長 竹村奈良一君。
  65. 竹村奈良一

    竹村委員 私はただいま議題になりました関税法の一部を改正する法律案に対しまして、日本共産党を代表いたしまして遺憾ながら反対するものであります。  本案の趣旨につきましては一々反対すべき点はないのであります。しかしこれが施行となりましたところで、実際上におきますところの点から考えまして、非常にわれわれは遺憾とするところが多々あるのであります。御承知の通り最近行われておりますところの密輸入事件の最も大きなる部分、そういう点におきますところの取締りあるいはその後におけるところの処置については、相当委員会においていろいろ質問いたしましたところが、十分なる方法をもつてこれに対処されておらない。しかも小さい密輸入あるいはそういうものに対しては、そういう取締りを加えられておりますけれども、大きなものに対してはほとんどそれが看過されているような現状であります。しかも今日こういうような法案を強行いたしたところで、われわれは遺憾ながら現在の状態におきましては、日本政府においてもどうすることもできない部分が、この密輸の面に大半包含されておる現状におきまして、いたずらに取締り法案だけを強行いたしましても、それは実効において何にもならない結果になるという観点から、本法案に対しましては反対するものであります。
  66. 川野芳滿

  67. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は自由党を代表しまして、ただいま議題となりました関税法の一部を改正する法律案に対しまして、賛成の討論をいたしたいと思うものでございます。  本案に対しましては今回の改正によりまして、輸出入に関するところの旅客の携帶品並びにそれらに対します検査を施行しようとするものでありまして、これは当然でありますが、なお今後につきましても貿易の活発なる発達を期待いたしますとともに、こういうような取締りは当然であることを感じまして、もちろん賛成をいたすものであります。  次に密輸入のことにつきましては、本日政府当局よりしばしばその内容を承つたのでありますが、現段階におきましては十分これを警戒いたし、またはこれに対しまして査察を行いまして、幾分でもそうしたような密輸出輸入の減少せんことを期待いたしたいと思うのでございまして、これに対しましては夜間でも往々これを査察いたしまして、検査することができるというように改正になるわけでございまして、こういうふうな大幅の改正をいたしまして、現今の貿易状態を幾分でも打開いたしまして、今後の発展を期したいという事柄は、まことに当然なる改正案であると思いまして、本法案に賛成の意を表する次第でございます。
  68. 川野芳滿

    川野委員長 討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。本案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  69. 川野芳滿

    川野委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  70. 川野芳滿

    川野委員長 次に昨十一日本委員会に付託されました国家公務員等の旅費に関する法律案議題として、政府説明を求めます。水田政務次官。
  71. 水田三喜男

    ○水田政府委員 ただいま議題となりました国家公務員等の旅費に関する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  まず本法律案を立案いたしました実体的な理由を申し上げますと、第一に、国家公務員等の旅費定額の改訂を行う必要があることであります。すなわち内国旅行の旅費につきましては、昭和二十三年七月にその全面的改訂を行つた後は、本年一月に鉄道貨物運賃の値上げに伴う移転料定額の改訂を行つただけで、その他の旅費は当時の定額のままですえ置かれているのでありますが、最近の猛泊料金等の実情から見ますると、宿泊料、日当及び食卓料についてば、ある程度の定額引上げを必要とする状況に立ち至つているのであります。また外国旅行の旅費につきましても、昭和十八年八月に定額改訂が行われたままで今日に及んでいるのでありますが、最近国庫の負担による海外旅行者が漸増して参りましたので、現状に即するよう、全面的に定額を改訂する緊急の必要が生じて参つたのであります。  理由の第二は、現行の国家公務員等の旅行に関する手続に所要の改正を加えようとすることであります。すなわち現行の旅費制度の基礎法規である内国旅費規則及び外国旅費規則におきましては、旅費支給の原因となる旅行命令や、旅費の請求手続等に関する事項についての規定が、不明確であるうらみがあるのであります。従いましてこの際、旅費支給をより適正にするため、辰行命令等に関する規定を設けるとともに、その他の点につきましても必要な改正を加えることといたしたいのであります。  以上の理由に基き旅費定額の改訂及び旅費に関する規則の改正を行う必要があるのであります。しかして従来これらの事項に関しましては、内国旅費規則及び外国旅費規則に基いて、適法な処置がとられて来たのでありますが、これは新憲法に基く新たな旅費法律が制定されるまでの過渡的な措置でありまして、本来は法律に規定するを適当とする事項でありますので、今回の改正を機としまして、国家公務員等の旅費に関して、全般的な規定を定めた本法律案を提出いたしました次第であります。  次に本法律案の要旨の大要を御説明申し上げます。  第一に、従来の内国旅費規則及び外国旅費規則には重複規定が多く、特に別建とする理由もありませんので、本法律案では両者を統合いたしまして、内国旅行の旅費と外国旅行の旅費とをあわせ規定することといたしました。  第二に、旅費を支給すべき場合、旅費の支給條件及び計算方法等に関する事項につきましては、おおむね従来の規則のやり方を踏襲することといたしましたが、新たに旅費の請求手続に関する根拠規定のほか、旅行命令に関する規定を設け、旅行は電信電話等の連絡手段では公務の円滑な途行をはかることができない場合に限り、かつ予算の範囲内でのみ発令できることを、さらに明らかにいたしました。  第三に、旅費の額につきましては、前に申し述べました理由により定額の改訂を行つているのでありますが、まず内国族行の旅費については、従来における日当百二十円を百六十円に、宿泊料用地六百円を八百円に、乙地四百八十円を六百四十円に、食卓料百二十円を百六十円にとそれぞれ三割程度の引上げを行うことといたしました。また外国旅行につきましては、海外の実情がいまだ的確に把握できない現状にありますので、連合国軍最高司令部職員の旅費定額、及びガリオア資金による海外旅行者の旅費支給基準等を参考といたしまして、全面的に定額の改正を行うこととしました。なおこの定額改訂に伴う所要経費の増加は、これがため特に予算措置を講ずることなく、既定予算の範囲内でまかなうことといたしたいのであります。  第四に、旅費定額が旅行実費を越える場合における所要の調整、労働基準法の規定による帰郷旅費との関係等につきまして、所要の規定を設けることといたしました。  以上本法律案の提案の理由並びに要旨の大要を御説明申し上げました。何とぞすみやかに御審議の上御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  72. 川野芳滿

    川野委員長 それでは本案に対する質疑は明日に譲ることといたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後二時二分散会