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宮原委員 私は自由党の
立場から、
本案に
賛成の
意見を申し述べたいのであります。簡單に要旨だけを申し述べます。
第一に申し述べたいことは、本
法案の第
一條に規定されております
趣旨が、旧
軍港市が
軍事色を拂拭して一種の
平和宣言をして、新
憲法の
精神に即応したる
平和的精神を
具現しようという点に、主要なる
目的が置かれておるようでありますが、この意義はまことに重要なものがあると確信いたしまして、この
法案に双手を上げて
賛成する次第であります。もとよりすでに
憲法に規定があり、また
平和宣言はわが
国民の
日常生活の実践において
具現いたしております。またさきに
広島平和記念都市というような、特別的な
地方立法も行われたのでありますが、機会あるごとく
平和思想の
具現ということは、わが
国民の常に完璧を期しつつ
具現をしなければならぬ点であると思うのであります。しかるに旧
軍港市が
太平洋戰争中に、
一大海軍基地として
相当の貢献をしておる。なお
終戰後に何らこれに対する特別の
平和宣言的措置がとられていないで放置せられておるということは、むしろ何らかの
措置を必要とすることのおそきに失しておるということを痛感させるものがあるのであります。旧
軍港市の
実情は、詳しく申し述べませんけれ
ども、われわれの調査したところによりますれば、したことに対して、一種の
賠罪——自責の念まことに痛切なものがあるようであります。また
戰争の
犠牲度が、他の
都市に比較して最も高いようであります。すなわち
普通戰災都市との間に差等がありまして、
海軍及びそれに伴う
軍需産業を敗戰によつで失いましたので、旧
軍港市民にとりましては、その
牛業でありましたところの
根本を
失つたのでありますから、
終戰後における旧
軍港市の
経済状態、
市民の
生活の
状態を見て行きますと、一言にしてこれを申せば総
失業と申しますか、総破算と申しますか、まことに悲惨な
状況にあるのであります。この
戰争犠牲度が特に高いために、
平和希求の念最も熾烈なものがあるのであります。この旧
軍港市を対象としてこの
立法がなされるということは、ある意味において全
国民の了解と賛同とを得るであろうというだけにとどまらず、世界的にも、この
立法についての認識を深めることができましたならば、必ず世界各国から絶大なる賛辞を受けるものであると思うのであります。この意味におきまして、この
立法は地方に対する
立法であるがごとくに見えますけれ
ども、他面においては世界的国際的の好影響をもたらすものであるということを
考えるのであります。こういう意味合いから、この
法案に対して最も
賛成の意を表するものであります。
次に、この
法案のねら
つておりまするところの
転換事業というものがありますが、この効果によりまして、敗戰後旧
軍港の
市民が微力ながらも自力更生で過去五箇外間努力をしたにもかかわらず、すでに自滅両前にあるがごとく見えるこの悲惨なる
状態から、ある
程度平和産業、港湾
都市として
転換して、旧
軍港市民の再出発をせしめ得るという、社会的また経済的の効果をねら
つたという点が、私は最もこの
法案に賛意を表せざるを得ない点であります。こういう
方面については、詳細のことはすでに
提案者の
説明のうちにも盡きておることでありますから詳しく申し述べる必要はないと思います。その趣意において
賛成をする次第であります。
第三の点は、厖大なる旧軍用
財産、
国有財産施設が、旧
軍港市に現に遊休
施設として雨ざらしのままに放擲せられておる
状況であります。今日の現行法上の
措置だけでは、この厖大なる遊休
施設をとうてい
施設することができないのであります。この
国有財産施設を転用して、有益に
使用するということを期することは困難でありますが、これをこのまま放置しておくことは、いたずらに
財産の腐朽を招くだけであ
つて、非常な国家の損失であります。この意味において、これを転用して平和的に利用するということがこの
立法によ
つてできますならば、これはある意味において国益の擁護であります。それによ
つてあるいは
平和産業が興り、国の税源にもなし得るのであります。また一面同時に旧
軍港市民の再出発も期し得るのでありまするから、この点からも、この
国有財産施設の転用、平和的活用というような意味におきまして、最も時宜を得たる
立法であるということを信ずるものであります。かかる点から本
法案にわが自由党の前場から賛意を表せざるを得ないのであります。なお軍事基地等の問題も、この
法案とは何ら
関係がありません。
ただ軍事色を拂拭するということが本
法案の
目的でありまして、本
法案を悪用して云々というようなことを想像せられる向きがありましたならば、一応御心配になるのはその
立場上からやむを得ないかもしれませんが、われわれは一点の心配もいたしていないのであります。かかる意味合合いにおいて、本
法案に賛意を表する次第であります。