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1950-04-06 第7回国会 衆議院 大蔵委員会 第45号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月六日(木曜日)     午前十一時十四分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 岡野 清豪君 理事 北澤 直吉君    理事 小峯 柳多君 理事 島村 一郎君    理事 橋本 金一君 理事 河田 賢治君    理事 内藤 友明君       奧村又十郎君    甲木  保君       佐久間 徹君    高間 松吉君       田中 啓一君    三宅 則義君       田中織之進君    松尾トシ子君       宮腰 喜助君    田島 ひで君       中野 四郎君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一郎君         大蔵事務官         (理財局長)  伊原  隆君  委員外出席者         大蔵事務官   大濱 用正君         大蔵事務官   今泉 一郎君         厚生事務官         (薬務局薬務課         長)      中村 光三君         通商産業事務官         (鉱山局鉱業課         長)      手塚 保明君         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君 四月一日  委員竹奈良一君辞任につき、その補欠として  梨木作次郎君が議長指名委員に選任された。 同月三日  委員梨木作次郎辞任につき、その補欠として  竹村奈良一君が議長指名委員に選任された。 同月四日  委員西村直己辞任につき、その補欠として田  中豊君が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員田中豊辞任につき、その補欠として西村  直己君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月五日  貴金属管理法案内閣提出第一五五号) 同月一日  窓掛類及び敷物類に対する物品税軽減に関する  請願辻寛一君外二名紹介)(第二〇一七号)  同(岡野清豪君外二名紹介)(第二〇一八号)  農業協同組合に対する課税免除若しくは軽減に  関する請願中村清君外一名紹介)(第二〇二  五号)  養鶏業者に対する課税軽減請願千賀康治君  紹介)(第二〇二七号)  揮発油税軽減に関する請願岡田五郎紹介)  (第二〇三三号)  同(辻寛一紹介)(第二〇三四号)  同(首藤新八紹介)(第二〇三五号)  同(川西清紹介)(第二〇三六号)  同(木下榮紹介)(第二〇三七号)  同(押谷富三紹介)(第二〇三八号)  同(小淵光平紹介)(第二〇七五号)  同(吉田吉太郎紹介)(第二一二三号)  同(前尾繁三郎紹介)(第二一二四号)  同(堀川恭平紹介)(第二一二五号)  同(吉田省三紹介)(第二一二六号)  瓦斯器具に対する物品税軽減に関する請願(天  野公義紹介)(第二一二二号)  勤労学生の所得中一定額学資金として非課税  とする請願木村公平君外一名紹介)(第二一  三五号)  矢吹原国営開拓事業に見返資金割当請願(圓  谷光衞紹介)(第二一三六号) 同月六日  照明器具に対する物品税軽減に関する請願(天  野公義紹介)(第二一六三号)  人形類に対する物品税撤廃請願天野公義君  紹介)(第二一六四号)  養鶏業者に対する課税軽減請願武藤嘉一君  紹介)(第二一六五号)  写真機用ケース及び同三脚袋に対する物品税減  免の請願並木芳雄紹介)(第二一九七号)  輸入食糧関税永久無税反対に関する請願(玉  井祐吉紹介)(第二二一九号)  恩給等受給療養者に未復員者給與法適用等に関  する請願木村榮紹介)(第二二二三号)  国設宿舎料値上げ反対に関する請願岡田春夫  君外二名紹介)(第二二二七号)  十日町税務署における不当課税是正並びに同職  員の罷免に関する請願上村進君外一名紹介)  (第二二七七号)  港区内物納宅地借地人保護に関する請願(野  坂參三君外一名紹介)(第三三一一号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  配炭公団損失金補てんのための交付金等に関  する法律案内閣提出第七五号)  株式名義書換に関する法律案内閣提出第一  四七号)  貴金属管理法案内閣提出第一五五号)  地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、  税関監視署及び税関支署監視署設置に関し承  認を求めるの件(内閣提出承認第三号)     ―――――――――――――
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  配炭公団損失金補てんのための交付金等に関する法律案議題として質疑を続行いたします。三宅則義君。
  3. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいま議題となりました配炭公団損失金補てんのための交付金等に関する法律案につきまして二、三点質疑をいたしたいと思います。すでに同僚議員からたびたび質問もあつたことでありまして、御了承済みの点もあると思いますが、二、三点だけ追加的に質問いたしたいと思います。  この配炭公団に対しましては、御承知通り今日まで来ておるわけでありますが、この損失を補輝いたしまして、あとはこれきりでなくなるという意味合いのものと思いますが、政府といたしましては、どのくらいあとあるというお見込みでありましようか、承りたいと思います。
  4. 大濱用正

    大濱説明員 四十三億五千七百万円の損失補償金を出しますと、結局全部がこれで埋まるという想定のもとに今度の法律を出したのでございます。それ以外には絶対に出ないという予想を持つております。
  5. 三宅則義

    三宅(則)委員 食料品配給公団並びに飼料配給公団及び配炭公団となつておりますが、その他の公団につきましても、やはりそういうふうな想定のもとに、今後はないという見込みで、ございましようか、承りたいと思います。
  6. 大濱用正

    大濱説明員 飼料配給公団食料品配給公団は二十五年の三月三十一日をもつて一応清算に入りまして、二十四年の決算の剰余金を四月から九月以降にかけまして清算いたしますので、剰余金を繰越しまして、その繰越金で清算経費に充当する、こういうことでございます。  ほかに今後あと公団ございますが、この公団清算過程に入りました場合、清算経費を必要とする時代が参りましたならば、おそらく今後予想されるのではないか、こういうこと言えるだろうと思います。
  7. 三宅則義

    三宅(則)委員 かように損失金があるわけでございますが、私どもはなるべくそういうものを早く片づけてしまいたい、こういうわけでありますが、御承知通り損失金を補填いたしますには、国民の血税からなりますところの税金によつて一般会計から負担する、こういうことになるわけでありますから、これにつきまして、政府当局はよほど厳重に監督しておられると思いますが、監督状況を承われば仕合せだと思います。
  8. 大濱用正

    大濱説明員 公団は二十三年にできまして三十四年から初めて予算制度をとりまして、一応昨年の予算から直接国会承認を求めまして予算化したわけでございます。ところが二十四年度は早々のうちに予算化いたしましたものですから、相当不備の点もございまして経済面から見まして二十五年度の予算は十分に監督いたしまして、今後今の配炭公団を除きまして、ほとんど損失予想を見込まないという建前で、予算はとつておりますから、今後絶対にかようなことはないと存じます。
  9. 三宅則義

    三宅(則)委員 今政府の御答弁によりますと絶対にない、こういう想定のもとにやつておるという話でありますが、まことにけつこうなことであると思います。しかし今後もし――もしというと失礼でありますが、ある程度の人間の整理その他につきまして、相当補助金等がまたいるようになるのではないかと思いますが、それは絶対にないという御方針であるか、承りたいと思います。
  10. 大濱用正

    大濱説明員 残つております公団は、今三公団、四月以降清算に入つておりますあと公団につきましても、徐々に本年一ぱいをもつて終了するという想定のものに予算はつくつております。ただ配給統制品が一手買取り、一手販売というような状態でございますから、統制を解除するときにおきまして、一応公団が存続中に買い取つたものがたな上げになりましてなかなか売れない。処分困難になる。こういう事態は配炭でもすでに出ておりますように、食糧とかあるいはその他産業復興公団とかいうのも予想いたされますが、持つております滞貨は買い取つた値段よりは十分高く売れて損失を生ずるというようなことはないだろうと予想いたしております。
  11. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はこういうことを心配するのでありまして、かつ同僚議員からも質問があつたと確信いたしておるのでありますが、ひとつ注意までに政府当局に要望いたしたい点があります。御承知通り清算事務に入りますと、どういたしてもなるべく期間内にやるということからして、能率は減退し、職員もそのつもりでやつております関係上、ややもいたしますと剰余金があつた場合に、剰余金を食いつぶすおそれがあるのであります。そういうことはかつて民間会社でもあつたようでありますが政府といたしましては、そういうようなことのないように、なるべく期間内に早く片づける。こういう想定のもとにやることがかんじんであると思いますが、政府としてはどういう心構えを持つておられるか、承りたい。
  12. 大濱用正

    大濱説明員 まことにお説の通りでありまして、清算期間に入りまして、清算の対象になるいわゆる取扱い商品残高と申しますか、その残高相当多い場合は、これが処分につきまして、事業需給関係相当余つて参りまして、なかなか困難でありますから、大体廃止したと想定される公団につきましては、買取りを予算面から圧縮いたしまして、できるだけすぐ買い取らせる。そして清算段階に入つたら、ほとんど残品はないという状態に持つて行きたいと思いまして、四月以降は実行いたしております。
  13. 三宅則義

    三宅(則)委員 私が申し上げまして恐縮でございますが、政府といたしましても毎四半期と申しますか、三箇月ごとというわけでありますか、そういうことによりまして監督し、なおかつそれらに対しまする処分状況等を監視せられまして、全からしめんことを期したい。かように私は考えておるのでありますが、政府といたしましても、そういうふうに四半期ごと監督を厳重にするというお気持でございましようか。しからずんば私は、過去何年前にありましたようにずるずるべつたりになつて、また二十六年度にもそれがややもすると持越されるおそれなきにしもあらずと信ずるのであります。これについて一つ承りたい。
  14. 大濱用正

    大濱説明員 予算国会承認をいただきまして、今度支出負担行為と申しまして、各四半期ことに、各公団事業計画をつくりまして、その事業計画に基きまして資金計画をつくる。その資金計画のもとに各四半期ごと支出收入、こういう計画をつくりまして毎四半期ごと事業の始まる一箇月前に大蔵大臣承認を得て、今年度から実施しておりますから、今後はかかることはないだろうと予想しております。
  15. 三宅則義

    三宅(則)委員 そこでもう一つ参考かたがた注意申し上げておきたいと思うのであります。飼料にいたしましても、その他の公団にいたしましても、どうしても志気がゆるむ。こういうのが常識であると思います。その志気のゆるみましたことを活発にせしめるには、相当なたとえて申しますと、早く片づけたら奨励金を出すというようなことも考えられ得るのでありすが、ずるずるべつたりということは、はなはだそれおもしろくないと思いますから、政府も何とか論功行賞ではございませんが、ある程度までそのようなことを早く片づけた者には、相当な利便なり賞與なりその他の方法をもつて報ゆる。こういうような方法も考えられるのでありますが、政府としてはいかがでありましようか。
  16. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 ただいまお話がありましたように、実は最近配炭公団あるいは薪炭の会計等、従来の大きな組織を急激に解散するという経験ががございまして、いろいろと各方面か非難をこうむりつつも、政府としてもいろいろ経験をいたしましたわけでございます。今後また公団解散予想せられますので、ただいまの経験を十分生かしまして、できるだけ損失を少くしたい。こういうことをいろいろな方面から検討したい。こう思つております。ただ、ただいまおつしやいましたような点は、目下のところは具体的には考えておりませんが、いろいろな検討の際に、一応参考に十分ひとつ検討させていただきたいと思います。
  17. 三宅則義

    三宅(則)委員 もう一、二問お尋ねいたします。従来こういうような、国民が多少疑惑を持つておりました公団につきましては、政府といたしましても真剣にこれを片づけて、国民の信を回復する。こういう線に生かしていた上だきたいと思うのでありまして、それにつきしてはたびたび同じようなことを繰返しまして恐縮でございますが、公団等になりますとどうもお役所仕事になりまして、真に業者であるとかあるいはそういう方面専門家違つて、ややもすると志気がゆるみ、また職員業者と結託をいたしまして、場合によりますと、なわつきになつて変なことも起るということを聞いておるのであります。そういうことのないように厳重に監督いたすことにつきましては、この配炭公団あるいはその他の公団に対しまして、あるいはこれらの職員に対してどういうように考えておられますか。それもひとつあわせて承りたい。
  18. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 今の御趣旨がちよつと了解しにくいのですが……
  19. 三宅則義

    三宅(則)委員 しからば配炭公団初めその他の公団の者は、これから失業するというわけになるのでありますが、それらについて、政府はほかの部面にあつせんするというような気分を持つておられますか。それもある程度まで野放しで、退職賜金のようなものをやつて解職するか、その他適当な方面に転職せしめるという希望を持つておられますか。その辺を承つておきたい。
  20. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 お答えいたします。御承知のように公団職員は、従来の専門業務に携わつておりましたいわゆるそれ以前の専門家というものが、相当部分入つております。それから各方面から事務職員の一部に、役人その他の方から入つて来ておるという者もございます。しかしながらただいま申し上げました前の方々は、その公団解散になりましても、多くの場合に従来の業務に復活されることになると思います。それから一部事務職員につきましては、むろんこれは無責任に手放しにするというような気持はございません。現在配炭公団等においても、できるだけ同様のことを考えておるわけであります。できるだけ就職のせわをするように、非常に注意を拂つておるという状況でございます。
  21. 三宅則義

    三宅(則)委員 以上で終ります。
  22. 川野芳滿

    川野委員長 ほかに御質疑はございませんか。
  23. 内藤友明

    内藤(友)委員 先ほど大濱さんからのお話によりますと、配炭公団並びにその他の二公団につきましては、これ以上一般会計からの繰入れはしない、こういうお話であります。しかしなるほどそれはそうしなければならぬのでありますが、ここで私ども考えられますのは、飼料公団のことであります。この公団は三月の終りになくなるということがわかつておる。そこで飼料公団赤字を抱いておるというようなことは、あらかじめわかるものでありますから、昨年第三・四半期えさ配給のときですが、その配給は一月から値上げということになるので、それを考えながら十二月まで配給しないで、一月になつてから配給を新価格でやつた。私どもの計算によりますと、約一億円というものをこの値上げによつて飼料公団がもうけたという形になつております。こういうことがありますので、公団の結末をつけるのに、いろいろなしわ寄せを弱いもののところに持つて行くことが考えられるのであります。これは意識的であるか無意識的であるか存じませんけれども、私どもから申しますと、はなはだ良心的でないといわなければならぬと思うのであります。こういうことに対して政府は何とかお考えなさる義務があると思うのでありますが、それはどういうことでありますか。一応お伺いしたいと思うのであります。ここに飼料公団大澤理事もお見えになつておることと思うのでありますが、そういうことをひとつお聞かせ願いたい。  なおこれから公団廃止になるものもあるのでありまして、廃止になる公団がいろいろと良心的ならざることをやられるおそれがあると思うのでありまして、これは念のためにひとつお尋ねしておきたいと思うのであります。
  24. 大濱用正

    大濱説明員 ただいまのお話は、昨年の三・四半期におきまして、飼料クーポンに対しまして、公団か手持を持つていなかつた、それで持つていませんものですから、一月に価格改訂をいたしましたその後における買取りの飼料によつて配給いたした。結局価格改訂あとに買い入れました飼料でございますから、改訂後の価格配給いたした。お話によりますと、これは貯蔵しておつたのに――旧価格で買い取つたのを新価格配給したというお話でございますが、公団の話では価格改訂配給いたした場合は、改訂後の価格配給する、こういう措置統制開始以来とつてつて、従来一・四半期間中におきまして改訂がありましても、ずつと旧価格でやるということはとつていなかつたようでございますから、価格格改訂の日を中心といたしまして、その以後においては価格改訂後の価格でやつた、こういうふうに伺つております。
  25. 内藤友明

    内藤(友)委員 これは今濱さんがおつしやる通りなのでありますが、えさ公団が三月になくなる。今計算すればおよそ、どれだけの赤字が出るということは見当がついておる。そこで一月になれば、価格改訂があるということがおよそわかつておりまするから、十一月までクーポンが出ておりましても、それはもう現物はやらない、そういうふうなことを実はやつたのです。前後いたしまして一億万円というものをえさ公団がもうけてしまつた。それであなたがおつしやる通り、今度えさ公団廃止になれはこれは赤字はない、とんとんになというふうなお話になつて来るのであります。そうしますと、これは十二月三十一日に現物えさ公団の倉庫にあつたかどうかということは、これは調べればわかることでありますが、それは現実にあつた。けれどもこれをもう少し延ばしておくと高くなるということはわかり切つておるというので、出さなかつたというだけなんであります。そういうことになるとはなはだ困ると思うのであります。これから廃止になる公団はみなそういうことをおやりになつて、これはおもしろくないと思うのでありますが、何とかこの一億円という農民にしわ寄せせられたものを、政府が救済なさる必要と義務があると思うのでありますが、その義務はお感じにならないのでありますか。あくまでもそれは新価格になつたのだから、あれでいいのだということなのでありますか。それを一つほんとうにお聞きいたしておきたいと思うのであります。
  26. 大濱用正

    大濱説明員 飼料配給飼料配給調整規則によりまして、飼料配給公団主務大臣すなわち農林大臣指示によつて配給いたしております。価格改団の行われました今までの事例を見ますと、昭和二十三年の七月十七日かにも改訂いたしまして、そのときもやはり十六日以前の分については旧価格、十八日以降の分については新価格ということで、配給をやつたということを伺つておりますので、やはり価格改訂の結果、それは配給機関としましてやむを得ない。但しこれをどういうふうに、旧価格でやれとかあるいは新価格でやれという問題につきましては、これは飼料配給を直接担当しておる農林大臣指示によつて行う配給で、えさ公団の方でやるべき筋合でございますから、これをやつたことにつきまして、あと配給を受けました農民損失相当に大きい、あるいは飼料配給公団が得た差益というものが相当に大きいということになりますと、これは結局配給技術面の問題でございますので、一応飼料配給公団と、それから飼料配給指示をする飼料課の方から御返事するのが――これはあとでいたしたいと思います。
  27. 川野芳滿

    川野委員長 ほかに御質疑かなければ、本案に対する質疑は明日に譲りたいと存じます。     ―――――――――――――
  28. 川野芳滿

    川野委員長 それではこれより、去る三月二十九日本委員会に付託されました地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、税関監視署及び税関支署監視署設置に関し承認を求めるの件をまず議題といたしまして、政府当局より提案趣旨説明を求めます。伊原政府委員
  29. 伊原隆

    伊原政府委員 ただいま議題となりました地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、税関監視署及び税関支署監視署設置に関し、承認を求めるの件について提案理由を御説明いたします。  地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き税関監視署及び税関支署監視署設置に関し国会承認を求めるの件につきましては、最近における密貿易の趨勢に対処いたしまして、監視取締り行政の万全を期し、監視署配置転換を行うため、横浜税関平塚監視署外十四監視署廃止いたしまして、新たに横浜税関真鶴監視署外十四監視署設置する必要がありますので、その設置に関し、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基きまして、本件を提案いたしました次第であります。  何とぞ御審議の上すみやかに御賛成くださるよう希望いたします。     ―――――――――――――
  30. 川野芳滿

    川野委員長 次に去る三月三十一日本委員会に付任せられました、株式名義書換に関する法律案議題として、政府当局より提案理由の御説明を求めます。伊原政府委員
  31. 伊原隆

    伊原政府委員 ただいま議題となりました抹式の名義書換に関する法律案提案理由を御説明いたします。  株式名義書きかえにつきましては、現在、会社本店のみで行つております関係上、株式名義書きかえをいたしますためには、相当の日時と経費とを要し、株主において不便があるのみならず、これがため会社側においても相当経費を負担している状況であります。このような事情にかんがみ、今風株式名義書きかえに関しましては、従来行われておりました会社本店のほか、その支店または会社の委託を受けた名義書きかえ代理人においても行うことができるようにし、株式名義書きかえを簡易迅速にして、株主等の利便と株式取引の円滑とをはかり、あわせて名義書きかえ代理人登録等に関し必要な規定を設けることとし、この法律案提案した次第であります。  次にその概略について御説明申し上げますと、内容の要点は次の三点であります。第一に、株式名義書きかえは会社本店で行うほか、会社支店または名義書きかえ代理人においても行い得ることといたしました。すなわち現行商法では、株式名義帯きかえを行うためには、株主住所氏名を必ず株主名簿に記載しなければならないことになつておりますが、この法律案では、現行商法規定にかかわらず、会社支店または名義書きかえ代理人が、株主名簿またはその複本あるいはより簡単な株式移転簿のうち、いずれか一を備えておきまして、株主名簿複本または株式移転簿株主住所氏名を記載したときは、株主名簿にその記載をなしたときと同様に、名義書きかえの効力を生ずることといたしたのであります。これらの措置伴つて現行商法では必ず会社本店に備えておかなければならないことになつておりまする株主名簿を、会社支店または名義書きかえ代理人常業所に備えておくこともできることとしたのであります。第二に、名義書きかえ代理人は、株式名義書きかえを代行するほか、総会招集の手続、配当金支拂い通知等付随業務をも行い得ることになつております。従つてこの法律案施行の後は、会社は一切の株式事務名義書きかえ代理人に委任することもできることになるわけであります。第三に、名義書きかえ代理人は、有価証券移転に関する業務を営む者であり、その信用を保持することはぜひとも必要でありますので、その最小限度信用を保持し、これを監督するために、名義書きかえ代理人業務については、資本金百万円以上の会社で、証券取引委員会の登録を受けた者のみが行い得ることとしたのであります。  何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。     ―――――――――――――
  32. 川野芳滿

    川野委員長 次に去る四月五日、本委員会に付託せられました貴金属管理法案議題として、政府当局より提案理由説明を求めます。伊原政府委員
  33. 伊原隆

    伊原政府委員 ただいま議題となわました貴金属管理法案の提出の理由を御説明いたします。  金、銀等の貴金属の管理につきましては、現在、終戦直後の昭和二十年九月に、総司令部の覚書に基きまして公布施行せられました「金、銀又は白金等の取引等取締に関する勅令」及び「金、銀又は白金等の地金又は白金の輸入の制限又は禁止等に関する勅令」並びに「金、銀、有価証券等の輸出入等に関する金融取締に関する省令」によりまして、金、銀等の貴金属の国内取引及び輸出入の統制が行われ、また新産の貴金属は、すべて政府に集中することにいたしているのでありますが、一方終戦前から施行せられて参りました産金法もいまだ廃止せられず、なおその効力を有しているのであります。このように二本建の法令によつて貴金属の管理が実施せられておりますことは、複雑でありますのみならず、終戦後に公布せられましたこれらの勅令等も、また従前の産金法も今日の実情に照しますれば検討を要する部分が少くないのであります。  貴金属、特に金は戦後の今日におきましても、国際決済の最も重要な手段となつておりますことは御承知通りでありますが、わが国の経済が今後真に強固な安定の基盤を確立し、自立と復興の目標に到達し得るためには、国際貿易の回復拡大と国際收支の均衡を実現することが、最も緊要であることは申すまでもなく、また将来わが国が国際通貨基金に加入する場合のこと等を考えますれば、わが国の経済において貴金属の果すべき役割は、今後ますます重要性を加えて参るであろうということは明らかであります。従いまして、この際すみやかに適切な貴金属の管理方式を確立しておくことが必要であると考えられるのであります。  以上に申し述べましたような理由によりまして、ここにこの法律案を提出した次第でありますが、次にこの法律案の内容につきまして主要な点を二、三申し述べますと、まず新産の貴金属地金は、従来と同様にすべてこれを政府に集中することにいたしております。次に、政府に集中された貴金属地金のうち国内で売却する分につきましては、あらかじめ適切な配分計画を立て、これに基いて工業、工芸その他の用のために売却するようにいたしました。また従来は金、銀及び白金等の地金について、国内取引を統制して参つたのでありますが、現下の実情からいたしますれば、銀及び白金等につきましては、国内取引の統制を存続する必要も認められなくなつて参りましたので、この際これをとりやめ、軍に金地金についてのみ国内、取引を統制することといたしました。さらに従来は金鉱業、金製錬業、含金鉱産物買入業及び金回收業等の生産面について、種々取締りを行つてつたのでありますが、現在その必要も認められませんのでこれを廃止することとし、また従来は歯科用貴金属加工業及び販売業等に関する取締りの方法が煩雑であり、不備の点も少くありませんので、この際これを整理統一することとしました。最後に、金の重要性に基く産金復興助成の見地から、金鉱業者が機械、器具等を輸入する場合には、一定の條件のもとに輸入税を免除することといたした次第でございます。  以上が本法案を提出いたしました理由でございます。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを希望いたします。     ―――――――――――――
  34. 川野芳滿

    川野委員長 この際ちよつとお諮りいたしたいと思います。それは、本委員会に付託されております昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担の特例に関する法律案について、災害地対策特別委員会より連合審査会開会の申出がありましたので、本委員会といたしまして本案について災害地対策特別委員会と連合審査会を開会するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようでございますので、さよう決定いたします。  なお本連合審査会の開会日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。  それでは午前はこの程度にいたしまして、午後一時に再開することにいたします。     午前十一時四十五分休憩      ――――◇―――――     午後二時十一分開議
  36. 川野芳滿

    川野委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  株式名義書換に関する法律案及び貴金属管理法案の両案を一括議題として質疑に入ります。質疑は通告順によつてこれを許します。三宅則義君。
  37. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいま議題となりました株式名義書換に関する法律案に対しまして、質疑を行いたいと存じます。今回の改正によりまして名義書きかえ代理業というものを設けることになつたのでありまして、これは今まで株式移転につきまして相当顧慮せられておりました点が、この法案となつて便利になりました点については、政府の努力を多とするものであります。これにつきまして政府にお尋ねいたしたいと思いまするが、従来は相当株式移転がありましたにもかかわりませず、本店株式台帳を左右いたしまするには数箇月かかつておりまして、はなはだしきに至りましてはなかなか困難であるというわけでありまして、この実行方法が行われていないわけであります。ついては今度の名義書きかえに対しましてはこういうような便利な方法でありまするが、資本金額は百万円以上といたしまして、ことに株式会社もしくは合名、合資、あるいは有限会社でもよろしいかと考えるのでありまするが、政府はどういうふうにお考えになつていらつしやいますか、承りたいと考えるのであります。     〔委員長退席、北沢委員長代理着席〕
  38. 伊原隆

    伊原政府委員 この株式名義書換に関する法律は、今御指摘のようにできるだけ株式名義書きかえを円満にしたいということで、提案をいたしたわけでありますが、その第三條の資本金「百万円以上の会社でなければ営んではならない。」とございまするのは、株式というきわめて大切な助産を取扱うのでございまするから、ある程度の信用があるものでなければならないという意味で、百万円以上の会社といたしたわけでございます。ただ実際におきましては第四條にございますように、銀行とか信託会社が兼業でこういう仕事をするということが多いのではないか。アメリカ等の実例を見ますと、信託会社がこの株式名義書きかえだとか新株の発行とかということをやつておるようでございますので、日本でもあるいはそういうふうなことが多いのではないかと思いますけれども、ただいまお尋ねのように、この要件を満たしますれば、いかなる会社であつてもいたしてさしつかえない、こう考えております。
  39. 三宅則義

    三宅(則)委員 そういたしますと相当な手数料を取らなければならぬと思つておりまするが、これに対しまして、御説明によりますと、株主名簿というものに対する複本もしくは移転簿。こういうような両方の組織になつておりまするので、私どもから考えてみますと、本店もしくは支店にそういうような株式複本とか、あるいは株式移転簿というものを備えることになると思うのでありまするが、それはどういうものによつてお調べになつていらつしやいまするか。一旦登録された以上は、そういうように各会社から証券取引委員会を通じまして、いろいろな複本をおとりになつて、これを配付なさる御予定でありましようか、承りたいと思います。
  40. 伊原隆

    伊原政府委員 これはただいまお話のように、名義書きかえ代理業を営もうとするものは、第六條にございますような書類を、証券取引委員会に出しまして、名義書きかえ代理業を営むことの登録を得ましたならば、名義書きかえを営むことができるようになるわけでありますが、その場合手数料というふうな問題につきましては、たとえばある信託会社がこの仕事を営むということになりますと――まあまつたく仮の例でございますが、日発なら日発とか、味の素なら味の素というふうな会社と契約を結びまして、その会社の一切の名義書きかえはそこでやるというふうな、登録名義書きかえ代理業を営む会社と、その現在ありまする株式をいろいろ発行する会社との間の契約で、名義書きかえの事務をこの会社に頼むということになつております。
  41. 三宅則義

    三宅(則)委員 今伊原局長のお話によりますると、この頼む会社と代理会社とが契約する、こういうことでありまするが、それは任意でありますか。それとも政府といたしましては、ある一定の賃金とか料金というものを決定いたしまして、これにさしずをするようになつておりましようか。それはどんなふうでございましよう。
  42. 伊原隆

    伊原政府委員 これはまつたく任意でございます。ただいまでは御存じのように株式名義書きかえにつきまして、ある程度の調べをいたしたのでございますが、会社側経費というものは租税負担とか減価償却費その他の総がかり費を除きまして、直接の人件費とか物件費だけで、株券一枚当り四十円前後かかつておるのが普通だそうであります。ところが株主からは手数料として一円程度しかとつておらないので、会社は非常な負担がかかつており、株主といたしましてもこれは大事なものでありますので、手数料のほかに郵便でやるような場合には、書留を使つたり配達証明なんかを使いますと、百二十一円もかかるというようなわけで、両方とも経費相当かかるので、名義書きかえ代理業というふうな便利なものができまして、両方とも、なるべく経費がかからないで名義書きかえが簡単にできれば、だんだんにこれを利用する会社が多くなるのではないかというように考えておるわけで、決して強制ではございませんので、現在あります各地の会社が、自分のところの株式係でやるよりも、こういうふうなところですつかり株式名義書きかえとか、それから附帶業務も営むことができますので、ことに新設の会社などは初めから株式課を置かないで、名義書きかえ代理業者株式名義書きかえとか、新株の発行とか、それから配当の支拂いとか、そういうふうなことを一切委託してしまつたら、割合に経費も安くかつ便利に行くのじやないか、こう考えております。
  43. 三宅則義

    三宅(則)委員 今局長のお話を承りましたが、はなはだ恐縮でございますが、実際現在の各会社等におきまして、株式名義書きかえをやつておりまする数量、もしくは年月等が政府の方で御調査がございましたら、参考資料として承れれば仕合せであると存じます。
  44. 伊原隆

    伊原政府委員 これはいろいろな会社を調べたのでございますが、会社の名前、具体的な名前は伏せてよろしゆうございますか。
  45. 三宅則義

    三宅(則)委員 いりません。
  46. 伊原隆

    伊原政府委員 会社につきましては、これは資本金一億三千万円の会社でございますが、一箇月の平均書きかえ枚数四千三百枚、それから大きな会社では、十億のある会社でございますが、これが一箇月一万二千五百枚、それから二十三億の会社でございますが、一箇月五万枚というふうな書きかえをやつております。株式の書きかえに要する日数につきましては、いろいろな場合によりまして非常に違うのでありますが、平常時は大体三、四日、決算時とか増資のときは一箇月くらいかかるのが普通のようでございます。郵便で受付けます場合には、なお郵送の日がかかるというふうなことでございますが、これは私どもからいろいろ聞いた場合には、多少早めに言つておるのじやないかと思いますので、実際はもつとかかるのじやないかと思います。
  47. 三宅則義

    三宅(則)委員 今お話になりましたように、非常に簡便にやれるようでございますが、実際は、私の調査によりますると、一箇月くらいはかかるのが普通なんです。一箇月以内にできたという事柄はまれである、かように考える。また年末年始等になりますると、それにまた一箇月くらいふえるということで、二箇月以上もかかるということを聞いておるのでありまするが、本法案によりますると、そういう煩雑なことを省くことになるのであります。先ほど来ちよつと伺つたのですが、移転簿と複本との相違を簡単に御説明願えればけつこうであります。
  48. 伊原隆

    伊原政府委員 複本は御承知通り株主名簿と同じものでございますが、移転簿の方はごく簡単なものでございまして、ある株式移転する場合には、記載事項といたしましては、株主名簿でございますと、会社の全株主についての記載があるのが当然でございますが、株式移転簿の方は、名義書きかえに来た人と、来たときの移転状況だけを書くということになつております。ある百株なら百株の名義書きかえに来ましたら、そのことだけを書けばいいのでございます。株主名簿ないしその複本でございますと、その会社の全体の株主のことを書いてあるわけでございます。その都度のものをのつけるわけでございます。
  49. 三宅則義

    三宅(則)委員 その都度都度の移転をいたしますことの受付のようでありますが、しかし本簿に移転いたしますることをつけまするのには、ある意味におきまして半月なり、一月なりかかりまするが、それらに対しまする手数というか、順序と申しますか、一応事務当局でけつこうですが、承りたい。
  50. 伊原隆

    伊原政府委員 これは今の移転簿と本簿の関係の御指摘だと思いますが、第十一條の第五号にございますように、会社または名義書きかえ代理人株式移転簿株式の取得者の氏名及び住所を記載しますと、株主名簿を備えている会社または代理人株主名簿に記載をする。その間に通報をし合うというようなことを契約でやるということになると思います。つまり移転簿によつて株主名簿と同じ効力を生じますけれども株主名簿自体を常に新しい状態におきまするためには、第十一條の五号の規定によりまして、株主名簿そのものも移転簿の方から通知を受けて直して行く、こういうことになります。
  51. 三宅則義

    三宅(則)委員 そうしますると、それらに対しまして通報をし合うのでありまするが、私の心配いたしておりまするのは、偽造株あるいはその他の不純な株というものが、出先の方におきまして売買せられたり、移転せられたりすることかなきにしもあらずと考えまするが、政府はこれに対しまして、どういうような考えでもつてこれを防止し、または順調にしようと考えておられますか。
  52. 今泉一郎

    ○今泉説明員 かわつてお答え申し上げます。そういう場合には、株の見本をつくりまして、移転簿なり複本なりをもつて名義書きかえを代理するところに渡しておきます。それによりましてその事務に従事するものが、その株券に習熟いたしまして、それによつて真偽を判断する、かようにいたすつもりでおります。
  53. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の御答弁でありまするが、本店あるいは支店ということでありますと、大体は東京、大阪名古屋という株式取引所のありますところを中心に考えられておると思いまするが、さらに政府といたしましては、そのほかの申請があればどんな都市でも設けられるような様子でありまするか。その実情とにらみ合せて研究したいと思いまするが、いかがでありましようか
  54. 伊原隆

    伊原政府委員 これの登録は、実は認可主義では、ございませんので、登録主義でございますので、営業として成り立つという観点から申請がございますれば、全部登録を認めるということになつております。ただ実際問題としては、仰せの通り証券取引所のあるところでなければ商売になりませんから、証券取引所のあるところにこういうものができるようになる、こう考えております。
  55. 三宅則義

    三宅(則)委員 主として証券取引所のあるところの銀行、信託会社などの本支店が取扱うものと解釈いたしておりますが、それに対しまして政府はこれに対する監督方法というか、監査方法というか、それは銀行局もしくは理財局でやりますか。それとも野放しでありましようか。それについて承りたい。
  56. 伊原隆

    伊原政府委員 これの監督は十三條、十四條、十五條等にございますが、実はいろいろ認可主義でやるとか、相当監督をすることを考えたのでありますが、それは大切な株券を取扱うという意味におきまする監督というものは必要でありますが、むやみに役所でこれを統制するということはいかがかと思いまして、十三條、十四條、十五條等においてごく最小必要限度の監督をする。ことに十四條におきまして「利害関係人の利益を保護するため、必要があると認めるときは、名義書換代理人に対し、その業務若しくは財産に関し、報告を求め、」たりいたすということにいたしております。これは一つの商売でありますので、こういう商売が、つまり会社がみな便利であると思つて、これを利用するようになるという道を開くという意味でありますので、あまり役所か必要以上の統制を加えるというような考えは持つておりません。ただ株式という有価物を取扱う機関として、安心して取引ができるような程度の監督をいたす、こう考えております。
  57. 三宅則義

    三宅(則)委員 この株式の名義響きかえでありますが、それらに対しまする取得あるいは配当とかその他に対しまする移転と申しますか、その基準点を、いわゆるこの代理業に登録したときにおいて、債権債務というものが発生するということになりますか。それとも、死んだとか生きたとかいう場合におきましても、この株式名義書きかえ代理業によつたときに基準点を置くのか。それに対する政府気持を聞きたい。
  58. 伊原隆

    伊原政府委員 これらの株式代理業によりまして、株式移転をいたしますことは、株主名簿によつて移転をしたと同一の効力がございますので、株式代理業によつて移転簿等に登録をした時をもつて株式移転があつたものということになります。
  59. 三宅則義

    三宅(則)委員 その御説明ではつきりしたわけでありますが、かような法案によりますと、われわれといたしましては今後もこういうようなものの流通がはげしくなる、そういうことを感ずるのであります。ただ名古屋、東京、大阪というような大取引所にこれが発展するものと思うのでありますが、これらに対しまして、やはり郵便等でもつて送付を依頼するのがあるかとも考えるのでありますが、そういうことはどういうことになりますか、承りたい。
  60. 伊原隆

    伊原政府委員 仰せのようなことももちろんあり得ると存じますが、できるだけこういうものが、方々にできまして、手近で名義書きかえができるようにするのが趣旨でございます。もちろん仰せの通りのこともあると存じますが、これを提案いたしました理由は、これは株式名義書きかえをできるだけ早く円滑にしたいということでございますので知株式名義書きかえの強制の問題等とも、結局からんでおるのでありますが、できるだけ株式名義書きかえを円滑にいたしたい、こう考えております。
  61. 三宅則義

    三宅(則)委員 最後にもう一つだけ承りまして、質疑を打切りたいと考えておりますが、私はこの株式名義書換に関する法律は、まことに時宜に適した法律であると思つておりまして、この円滑なる発展を期したいのであります。これについて政府といたしましては、あまり監督はしない、こういう伊原局長の御答弁でございましたが、私はこういうような業態をなしますのは、先ほど政府の御答弁にもありました通り、銀行とか信証会社とかいうような、相当信用保持をいたしております会社もしくは業体のもののみが、取扱うべきものと考えておるのでございます。しからば自分自身の持つておりまする株式等につきましても、これが代理業の中に入るものと思いますが、これは多くの者か品ら、たくさんの業者から依頼を受けた方が便利であるということになりますが、お互いに競争し合うというようなことはありませんでしようか。それらについての政府のお気持はどうでしようか。承りたいと思います。
  62. 伊原隆

    伊原政府委員 これは仰せの通り多くの会社がこの業体を利用してくれることが望ましいのですが、競争になるほど利用し始めていただければ手数料の方も減つて参りましようし、アメリカあたりでは、聞くところによりますと、たとえばギャランティー・トラストなどが名義書きかえをやつており、新券の発行をいたしておるそうでありましても各会社株式係というものを持つて自分自身でみなやるというようなことはないようでございます。この制度が発達いたしまして非常に便利なものであるということになれば、利用者がふえると考えております。
  63. 三宅則義

    三宅(則)委員 ありがとうございました。
  64. 北澤直吉

    ○北澤委員長代理 田島ひで君。
  65. 田島ひで

    ○田島委員 この貴金属管理法案の御説明の終りの方に、「金鉱業者が機械、器具等を輸入する場合には、一定の條件のもとに、輸入税を免除する」ということが出ておりますが、この一定の條件というのはどういう條件ですか。
  66. 伊原隆

    伊原政府委員 これは法律の第二十條にございますように、この法律の施行の日から三年間に限り輸入税を免除する。こういうことを今の一定の條件のもとにという言葉で現わしておるわけであります。
  67. 田島ひで

    ○田島委員 これによりますと、産金保護政策ということが盛られておりますが、特に今こういうことが問題になりますのはどういう理由でございますか。この産金保護というのは戦争中に相当強力になされた問題だと思いますが、そういう点での特別の御所見がありましたらお伺いしたい。
  68. 伊原隆

    伊原政府委員 提案理由にもございますように、実はこの法律は、現在やつておりますこととほとんどかわりないのでございます。ある程度かわりましたのは、金の製品になる前、産金法で監督をいたしておりました点等をも自由にしたりいたした点がかわつておるのでございますが、産金政策を現存非常に大事にしなければならぬという点は、提案理由にもございますように、日本としては国際收支の改善をげひしなければならない。このときに最後の決済手段は、何と申しましても今でございますので、昭和十六年でありましたか、日本の内地だけでも二十六トンも金が出ておつたのでございますが、終戦後金の生産量は非常に減りまして、だんだん回数はいたして参りしたが、昭和二十四年度でも多分四・七トンでございましたか、その程度しか出ておりません。これを政府といたしましては少くとも十トン程度ぐらいまでに金の生産量を上げたいと思いまして、各般の政策をこの法律のほかにやらなければならぬと考えておるわけでございます。
  69. 田島ひで

    ○田島委員 それから私はしろうとでよくわかりませんけれども、この国際通貨基金に加入いたす点でございますが、これはドルヘの従属ということに結局なるのでございますか。そういたしますと今後の貿易関係で、ポンドとかそれから現在ルーブルなんかも問題になつておりますが、将来そういうものとの関係はどういうふうになるのでございましよう。
  70. 伊原隆

    伊原政府委員 国際通貨基金に加入いたしております国は四十七箇国がございまして、入つておらない国も相当ございます。ロシヤ初め入つておらない国もございますが、日本としてこの国際通貨基金に加入するかどうかという点につきましては、別にまだきまつておるわけではございません。ただ国際通貨基金に加入いたします場合には、御存じの通りその規定によりまして、出資額の四分の一、またはそのときの手持一のドル貨と金保有高の一〇%、いずれか少い方を金で拂い込むというような制度になつておるわけでございます。
  71. 田島ひで

    ○田島委員 もう一つ……。国際通貨基金の、ちよつとこれは御説明がめんどうかもしれませんけれども、活動状況といいますか、それをあらましでよろしゆうございますけれども、もしおわかりでしたらお教えいただきたい。
  72. 伊原隆

    伊原政府委員 本日ちよつと手元に持つて来ておらないのでありますが、国際通貨基金は御存じのようにこれに加入してお力ます国に対しまして、短期の為替黄金を供與ずる。長期の方は国際復興銀行の方から出しておるのでありますが、現在のところそう非常に多くの金額が、これによつて動いておるということはないように承知いたしております。なおお示しでありまするから資料をそろえてお答えいたしたいと思います。
  73. 北澤直吉

    ○北澤委員長代理 宮腰嘉助君。
  74. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 株式名義書きかえに関する一点の疑問になる点がありますが、この株式を原始取得した場合、たとえば民法の百九十二條の場合の動産収得の例ですが、改正法の規定の中にもこの原始取得に関する規定があるはずですが、その條文はちよつと忘れましたが、これがもし原始取得した場合は、これは本店でこれを処理するのですか。書きかえ代理店で自由に書きかえできるものでしようか。
  75. 伊原隆

    伊原政府委員 これは名義書きかえでございますが、原始取得でも名義書きかえ代理人が営んでさしつかえないと思つております。
  76. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 そうすると、この原始取得であるところの善意無過失の証明がある場合には、書きかえ代理店でも自由にできるわけですね。
  77. 伊原隆

    伊原政府委員 その通りであります。
  78. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 これに関連する問題で、これは税に関する問題ですが、そういうこともよろしゆうございましようか。
  79. 伊原隆

    伊原政府委員 わかる程度において……
  80. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 譲渡利得税と移転税の関連の問題ですが、移転税の問題はこの委員会廃止することになつたので、本会議も通過しておりますし、問題にはならぬと思うのですが、譲渡利得税については大分証券業者も困つておるようです。事実において最初の株券を譲渡する場合は、白紙委任状で売買されて行きますので、最後の株券を名義書きかえするまでの中間に白紙委任状で売買されておる人が、何人か何十人かおるはずです。この中間利得をとるために、税務署の方からその中間の利得者に税を抑え。お前のところはこれだけもうかつたから税を抑えと通知してやると、たいていその間には記名の人がおる。その記名の人がおるために、その利子はかえつて来る。従つて中間の利得した者は脱税ができて、最後の人は利益がないのにかかわらず、税の追求を受けるという場合が非常に多いようですが、こういうような税の問題について、これはある業者の団体から伺つたのですが、譲渡利得税は廃止してくれ、常に脱税のみ考えてどうもいけないから、移転税にかえてくれという意見が大分あるようですが、これについて政府当局はどういうお考えを持つておられましようか。
  81. 伊原隆

    伊原政府委員 株式の譲渡利得に関連しましては、先般この委員会で御審議願いました資産の再評価の法律の中に、要するに一つの問題といたしましては、インフレによりまして名目的に上りました利得を、今ではやはり譲渡所得の対象になるのでございますが、これを排除するような規定が入れてございます。非常に複雑でありますがその取得の年次に物価の倍数をかけましてできるだけ株式につきましても譲渡所得の中からインフレによる名目所得を排除するという方法を、講じておる点が一つでございます。もう一点は、実は名義書きかえに関する法律案というふうなものを提案されるようになつてつたのでございますが、これは政府としてとりやめをいたしたのであります。むしろ白紙委任状で転々といたしておりますのを、こういう今御審議を願つておりますような制度ができまして、株式名義書きかえが非常に簡單になれば、みんなが利用するようになるであろう。そうすれば真正の株主がわかるわけでございますから、途中の人が迷惑するということもだんだんなくなると考えておるわけであります。
  82. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 そうするとこの譲渡所得税の問題について、株式の名義変更の書きかえの問題が以前問題になつておつたようですが、これは本法案と関連があるようにも考えられますが、やはり株式は売買をいたした場合には、すみやかに名義を変更しなければならないですか、どうですか。
  83. 伊原隆

    伊原政府委員 株式の名義の書きかえをすることは非常に望ましいわけであり、またこういう法律で非常に株式名義変更が楽になれば、おのずから名義書きかえが盛んになると思われますけれども、いわゆる以前に伝えられておりましたように、名義書きかえを強制する。たとえば二箇月たつたら名義を書きかえなければならないというような名義書きかえの強制に関する問題は、政府としては本国会には提案いたさないことに決定いたしております。シヤゥプ博士も見えると巻間伝えられておりますし、そういう際にもう一度再検討をお願いするということで、名義書きかえの強制ということはいたさない。この国会には提案しないことに決定をいたしております。
  84. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 富裕税と株価の対策の問題ですが、この法律がいよいよ実行になりますと、富裕税の調査があると思います。富税税の調査をする場合にも土地なり建物あるいは株式こういうものを全部見るわけですが、その際現金を富裕税の中に入れないでしまうということになると、株を持つておる人は投げ出すのじやないかと思います。従つて株は暴落する。せつかくいろいろな考え方から長期資金をまかなうというので、銀行に債券を発行させたり、あるいは株価対策についていろいろな施策を政府で考え、また国会でもそれに努力して来ておるにもかかわらず、もしも富裕税の場合に、現金をこの中に計算しないということは、株をたたき売りしてただちに現金にかえてしまうという危險がある。業者の方はその点を非常に心配しておるようですが、その場合の株価対策と富裕税の関係をお伺いしたいと思います。
  85. 伊原隆

    伊原政府委員 私富裕税のことははつきり存じませんので、御趣旨の点はよく研究いたしまして御返事申し上げたいと思います。
  86. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 同じく株の問題ですが、これをここで申し上げるのは、長期資金の獲得で、日本の産業界の復興のためにぜひ必要な問題ですが、ごく最近に株式を買つたような場合、そういうような資金をどこから借りて来たのだという追究が非常に多くなりまして――これは国税同税務署の関係ですが、従つて株式を買つた人は、そういうふうに借入資金まで追究されてはやりきれないから株を投げ出すという問題です。これは先ほど局長から言われたように、株価対策と関連がある問題ですが、この点もぜひ御研究願いたいと思います。証券業者が、これを非常に心配して待つておるような状態です。
  87. 伊原隆

    伊原政府委員 研究いたしましてあわせて御返事いたします。
  88. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 これは貴金属の方の問題ですが、政府は今の金の問題について相かわらず統制をやつて行くようでありますが、もしこの統制をやつて行くということになると、いろんな弊害が起きて来るんじやないかと思います。民間側の意見を聞いてみますと、ぜひこの産金会社が合同して大きなプールみたいな会社をつくりたい。そうして金の総生産量のうち、政府の指定になつたものの生産量の部分は政府に納めてあとは自由に販売さしてほしいという意向があり、御承知のように産金奨励法もありませんし、産金のために政府業者の団体に奨励金を交付する場合も今後あり得ないと思うのですが、この問題について業者は大分心配しているようです。産金奨励でやるならこれは統制して政府に集中しない。ある民間団体いわゆる産金会社の合同会社みたいなものをつくつて、その合同会社に、政府の所要産金は年にこれだけ必要だ、これだけ納めたらあとはお前方の自由だというような奨励方法とつた方が、政府にも非常に利益であり、また産業界にも非常に役立つのじやないかと思いますが、その点はどうお考えになりますか。
  89. 伊原隆

    伊原政府委員 今回の貴金属管理法におきましては、金地金の取引だけは今お示しではありまするけれども、十分に政府に集中するという制度になつております。但し従来の産金法にございましたように、金鉱石の取引とか、精錬過程にある業者監督という点が今起きているのでございます。その産金法ではこまかい統制をいたしておるのでありますが、全部やめることにいたしました。なお現在は金のほかに銀とか白金の取引も、ポツダム勅令により取引は全部制限されておるのでございますが、この取引制限もやめにいたしました。但し金につきましては、これは結局為替資金と同じものでございするし、為替管理法でも規定がございまするが、全部政府に集中する。今貴金属特別会計が、ございまして、つくつたものは全部買い上げることに相なつております。これは外国の例を見ましても、米国でも金地金取引は金準備法に基いて制限をいたしておりまするし、イギリスでも一九四七年の外国為替管理法によりまして金の取引は制限いたしていることになつております。     〔北澤委員長代理退席、委員長着席〕
  90. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 おそらく政府で集中するような統制的なやり方をやればまた産金業者は金を生産しないような状態になるのではないか。これはもし社会党の主張するように国営ということになつた場合には別ですが、民間の自己責任において産金させるということになつたならば、どうしても利益を追求するという観念において産金させることが必要だと思いますが、この場合に政府が金を集中することは、業者がまじめに協力できない部面が非常にできて来るのではないか。そういう意味で私は金の集中を政府にまかせないで、民間の産金業者の団体をつくりまして一年に全国の生産量はこれこれだ、これはマル公で納める、あとはお前方の自由にまかせるという方がかえつて生産奨励になるんじやないか。私は大体全国の金の生産業者の意向を当つたのですが、そういう合同会社でもつくれば非常に生産が増強される、こういう意向ですが、政府はそこまでのお考えはありませんか。
  91. 伊原隆

    伊原政府委員 産金奨励の必要なことはお示しの通りでございますが、金はこの間値しげいたしまして、一匁約千五百円くらいになつているのです。金のやみはだんだん下りましたけれども、二千円前後になつております。金につきましては外国為替を集中しているのと同じでございまして、産金をいたしました場合には、奨励した金地金は政府で買い上げるということは、現品在の日本の為替資金の状況においてはどうしてもやむを得ない状態だと思います。ことに金はまだわずかに四トン七分程度しか出ておりません。それからなお国際通貨基金等の原則によりまして、金の値段は為替と非常に関係がございますので、非常に高く買い上げるとか、特別に為替をくずすような諸政策を講ずることはおもしろくないということにもなつておりますし、政府の現在の政策として、金を自由にするということは非常に困難であると考えております。ただ産金奨励については、これは金融の面、たとえば戰争中に金鉱業整備で設備をほとんどとりはずして、銅山の方に持つてつてしまつたので、山元の青化製錬設備とか浮遊製錬設備とかが、ございませんので、非常に含有量のいいものまで捨てなければならぬという点もございので、これらに対する金融の制度とか、あるいはできるだけ高い値段にするとか、それからただいま御審議を願つておりますように関税を免除するとか、探鉱奬励金を出すとか、あらゆる手段を講じまして産金の奨励をいたしたいと考えております。
  92. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 昔のような産金奨励の制度がないということになつて、今度銀白金が解除されるということになると、おそらくある程度力がそちらに集中されるのではないかと思います。それでこれは全体の業者として特に考えておることですが、政府で現在全金山から、どれくらいの金の産出があるのかという見込み計画を立てまして、その見込み計画の金は全部政府へ納める。  そしてあとの残りについては民間に自由に処理させるということにした方が、かえつて生産が奨励されて、金がたくさん出て来るというように考えられるのです。重ねて御質問するようですが、この点をもう一回お伺いいたしたい。
  93. 伊原隆

    伊原政府委員 産金奨励の一つの有力なる御意見であると存じますけれども、現在の段階におきましては、金は全部金地金ができました場合には政府で買い入れる。そうしてやみに流れることをむしろ嚴重に防止するという方角にせざるを得ないと考えております。
  94. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 これはぜひひとつ政府でいま一度御検討を願いたい。実は最近産金業者の団体のところに参りましたところが、極力これを主張しておられるのであります。おそらくこういうことで金を政府に集中するということになつたならば、金を生産するための妙味がなくなつて来る。結局マル公でみなとられてしまう。こういう意味でおそらく金の生産に飛び込む人は少くなるだろうという意見ですが、今後この点をもう一ぺん前進して御研究願いたいと思います。
  95. 伊原隆

    伊原政府委員 せつかくのお示しでありますから、研究を続けることにいたしますけれども、先ほど申し上げましたように、産金がわずか四トン七分しかございませんので、戦前の二十六トンまでには行かないと思いますけれどもも何とかして十トン程度まではやりたい。業者の方にも青化製錬設備の還元、青化製錬設備をつくる資金を出すとか、価格を国際通貨基金等の原則の許す範囲において上げるとか、探鉱奨励金を出すとか、そういうことで十トン程度の金は必ず出るようになるだろうという意気込みでやつていただいておりますので、それらの方面からぜひ産金の奨励をして行きたいと考えております。
  96. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 現在は中共貿易とか、東南アジア、近東方面の貿易は非常に悪いようでありますが、おそらくこれはごく最近に解決される問題だと思うので、もしもそうなると、とりあえずバーター制によつてこの取引が決済されますが、将来為替関係からいつて、金の移動が国際的に行われるというような場合には、おそらく十トン程度のものは外国から持つて来ることができるのではないかと考えられるのですが、この場合は日本で生産された十トンでしようか。国際決済においてプラスであつたものも含めての十トンでしようか。
  97. 伊原隆

    伊原政府委員 ただいま申しあげましたのは、日本の産金設備等についてできるだけの改善を加えまして、十トン程度の国内生産を上げたいと考えております。
  98. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は貴金属のことについて数点お伺いしたいと思います。宮腰委員からもすでに御質問がありまして、大体わかつたのですが、実際に現在日本にある貴金属の数量もしくは金額と申しますか、これがもし秘密でなければお知らせ願いたいと思います。それによつて伺いたいと思う点がございます。
  99. 伊原隆

    伊原政府委員 終戦後の新産金について申し上げますと、今年の二月末現在におきまして貴金属特別会計の保有しております金は三・六一六トン、銀が二百三十三トン、あとプラチナとかロジウムとかいうものをきわめて少し所有しております。
  100. 三宅則義

    三宅(則)委員 先ほど来の説明によりますと、御承知のように前に出ておりました産金法並びに産金決施行令、並びに金、銀又は白金等の取引等取締に関する件、金、銀又は白金等の取引等取締に関する件の施行に関する件、貴金属地命の取引等についての帳簿及び報告に関する政令、こういう五つの法律もしくは政令が廃止になつて、この貴金属管理法案ができることになつたのでありますが、これらについての引継ぎについての不便がありましようか。それともこの管理百法案によりまして、完全にぴたつとこの四月からなるというわけでありましようか。それを承りたいと思う。
  101. 伊原隆

    伊原政府委員 御心配の点でございますが、引継ぎの問題は附則に規定がございまして、たとえば附則の第五号等に、前に大蔵大臣に申請した者は、この法律で申請したものとみなすという規定を置いております。なお現行法とかわりました大きな点は、先ほどもちよつと申し上げましたように、統制をできるだけ少くした。つまり金の地金になる段階までのところは、今までは産金法で、金鉱石の取引とか製錬過程の業者とかいうものに対して、非常に監督があつたのでございますが、これを廃止いたしまして監督をやめてしまつた。第二の点は、銀、白金等の金以外のものについては、取引の制限を解除して自由にしてしまつたという点が大きな点でございます。あとは大体現行法の通りでございます。
  102. 三宅則義

    三宅(則)委員 貴金属は工業もしくは工芸あるいは歯科用金地金、こういうわけで業者といたしましては、いわゆる工芸品等には相当金を使うのではないかと思つておりますが、今政府のお考えでは、工芸用にどれくらい使つておるか、あるいは歯医者の方にどれくらい使つておるか、あるいは工業にどれくらい使つておるかということを、もし調査ができておりましたら、この際承れれば仕合わせであると思います。
  103. 伊原隆

    伊原政府委員 金につきましては終戦後の産金が少かつたものでありますから、十分な需要を満しておりませんけれども、たとえば二十四年度について申し上げますと、金は一・三六トンほど歯科用かいろいろなものに使つております。その内訳を申し上げますと、歯科医療用に一番多く一・二トンその他は通信機製流用に七十九キログラム、それから宗教用に二十一キログラムというふうにやつておりますが、歯科医療用が圧倒的に多くて一・二トンでありまして、九割以上は歯科医療用であります。新産金の半分以上を使つておりまして、あとは、だんだんたまつて参りまして、三・六トンたまつたというような状態であります。
  104. 三宅則義

    三宅(則)委員 工芸品でありますが、日本の金巻絵とかいうものは国宝的なものであろと聞いておるのでありまするが、こういうようなものに対しまして、工芸美術といいますか、将来そういうような方面にも使われるような公算があると思いまするが、政府はこれに対してどういうふうにお考えでありますか。答弁を承りたいと思います。
  105. 伊原隆

    伊原政府委員 工芸品にも使つておりまして、たとえば二十四年におきましては五百三十一グラム、二十三年は少し多かつたのでありますが、二・〇三五グラム使つております。
  106. 三宅則義

    三宅(則)委員 この法案によりまして大分整理されたわけでありまするが、歯医者あるいは歯科用貴金属販売業者等がごまかして申請して、これを他に流用するというようなことは、ございませんか。これははなはだ取越し苦労であるかもしれませんが、承りたいと思います。
  107. 伊原隆

    伊原政府委員 歯医者さん等につきましては、とにかく需要をほとんど満たない、需要の少部分しか満たさない程度しかまだ配給ができておりませんので、それを他に流用するほどの余地はほとんどございません。それからまた申請はわれわれ厳正にやつておるのでありますが、厚生省の方がお見えになつておりますから、その方からも御答弁いたします。
  108. 中村光三

    中村説明員 歯科用の金の使用量について御説明申し上げます。戦争前のこういう統制のなかつた時代には、三トンから五トン近くまで歯科用として使つておつたわけであります。それが最近、今御説明申し上げましたように、一トン二百程度に切り詰めまして、歯科医一人当たり大体月に五グラム程度しか使えない状況でございます。従いまして、これを歯科医療面から見ますと、実は理想的にはもつと使いたい、またそういう需要もあるわけでございますが、それをこの程度に切り詰めておりますので、ほかに流したりまた厖大な申請をするというようなことは、今まで全然ございませんし、また現実に行われているとは考えられない次第であります。
  109. 三宅則義

    三宅(則)委員 貴金属でございますから、どなたも大切にすることはもつともな話でありまするが、なお登録になつていない秘密金と申しますか、その保有量が相当あるかとも考えられますが、それはどんなふうに計算いたしておりますか、承れれば仕合せだと思います。
  110. 伊原隆

    伊原政府委員 金、銀につきましては、終戦後報告を求めておるのでございまするが、そういうようなものはないと考えております。今申し上げましたのは、みな政府の新産金でございまして、終戦当時連合軍に接收せられた金は、ちよつと数字は忘れましたが、百八十トン程度あると思いますが、これは全然別のものでございます。
  111. 三宅則義

    三宅(則)委員 大分よくわかりましたが、私は将来のことを考えましてこの貴金属に対しまする管理法案に対して、御注意を申し上げておきたいと思う点があるのであります。こういうふうに貴金属をたいへん尊重いたしまする点は、われわれも敬意するのでありまするが、これによりまして業者か非常に困るようなことはないか。たとえて言うと、歯医者とかそれらの地金を加工いたしまする者等が縛られるということになつて来て、めんどうくさくなるということはございませんか。それからこれは順調にやつて行けますか、これを承りたいと思います。
  112. 中村光三

    中村説明員 今の歯科医関係では、現在のところは一応歯科治療の方法等にあまり金冠を使わないと思います。そういう治療面が、アメリカ等の指導によつて、かなり減つている点もございますし、その手続等は法案の中にもございますように、かなり縛つてあるようでございますが、各地の歯科医師会、都道府県の薬務課等の現地の活動によりまして、かなりスムースに行つております。厚生省に対しまして今のところ不平等は参つておりません。
  113. 北澤直吉

    ○北澤委員 二、三点伺いたいと思います。この法案によりますと、貴金属というのは、金、銀、白金、リテニウム等でありますが、これにダイヤモンドが入つていないというのは、どういうわけでありますか。
  114. 伊原隆

    伊原政府委員 ダイヤモンドは非常にたつといものでありますが、わが国において生産もございませんし、貴金属という観念から言うと、貴石――石の方でもございます。統制といいますか、買い上げておりませんのは、日本で別に生産もございませんので、拔かしてある次第であります。
  115. 北澤直吉

    ○北澤委員 先ほど来いろいろお話はありましたが、結局日本の国際收支の改善という見地から申しましても、また将来ある場合には、日本の貨幣制度をこの金を中心として立てるという点から申しましても、日本における金の量というものを明らかにする必要があります。そこで伺いたいと思いますのは、局長のお話では、進駐軍に接收されている金が百八十トンあるというお話ですが、これが例の貿易回転資金の担保たなつているのがこのうちどれくらいあつて、担保になつていないのがどれくらいで跨るか。もしおわかりであれば御説明願いたいと思います。
  116. 伊原隆

    伊原政府委員 先ほど百八十トン程度と申し上げましたのは、実は仏印とタイのイヤ・マーク分七十二トンを含んでおりますが、これにつきましては、極東委員会の指令によつて、連合国総司令部から日本政府あての七十トンのイヤ・マーク分は返しましたので、残りは百十トン程度でございます。占領下輸出入回転資金の担保になつておりますのは、どれが担保になつているかはつきりわかりませんが、おそらく残りの百十トンの金並びに銀の一部も担保になつているというお話も聞いております。
  117. 北澤直吉

    ○北澤委員 そうしますと、残りの金は全部貿易回転資金の担保になつていると了解していいのですか。
  118. 伊原隆

    伊原政府委員 正直に申し上げましてはつきりわかりません。ただ向うの発表によりまして、一億三千万ドルでございましたか、数字はちよつと覚えておりませんが、そういう評価をしておりますので、それから逆算しまして、残りの金はほとんど担保になつているのだろうと想像しております。
  119. 北澤直吉

    ○北澤委員 金のほかに、銀、白金あるのでございますが、その銀、白金で占領軍に接收されているものはどのくらいですか。
  120. 伊原隆

    伊原政府委員 銀につきましては、大体千九百トン程度だろうと思います。白金は非常に少くて三キロ程度です。
  121. 北澤直吉

    ○北澤委員 白金もやはり貿易回転資金の担保になつておるわけですか。
  122. 伊原隆

    伊原政府委員 ちよつとこれはわかりかねます。
  123. 北澤直吉

    ○北澤委員 そうしますとここで伺いたいのでありますが、将来日本が先ほど話がありました国際通貨基金に参加するとか、あるいは日本が金を中心とした通貨制度をとる場合に、こういうものは非常に大切なのでありますが、そうしますと、あるいは進駐軍に接收され、あるいは貿易回転資金の担保になり、あるいはイヤ・マークされておる、こういうものを全部ひつくるめまして、とにかく日本政府の所有になつておる、日米政府が権利を持つておる金とか、銀、白金はどのくらいありますか。
  124. 伊原隆

    伊原政府委員 これは先ほど申し上げましたように、日本政府が今貴金属特別会計において持つております新産金は、二月末現在におきまして三・六一六トン、銀が二百三十三トンでございます。あと接收せられました金につきましては、その法律上の地位というものは、正直に申し上げましてわかりません。百十トンくらいの金につきまして、被接收の法律上の地位は明確になつておりません。従いましてこれは日本政府のものであると申すのか、接收されておる連合国のものであるのかという点については、法律上は明らかでないようであります。
  125. 田中織之進

    田中(織)委員 まず貴金属管理法案について、二、三点お伺いいたしたいのでありますが、今回銀と白金をはずしまして、金を政府に集中せられようとする措置につきましては、その提案趣旨にはわれわれも賛成でございますが、提案説明に申されておりまする。将来わが国が国際通貨基金に加入する場合に備えての貴金属の集中ということに相なると思うのであります。これは将来の問題でありますけれども、大体国際通貨基金に参加する時期等の見通し、あるいはこれはすでに他の委員諸君から質問されたかとも思うのでありますが、一応見通しについて大蔵当局として持つておられますならば、ひとつ説明願いたいと思います。
  126. 伊原隆

    伊原政府委員 お尋ねの国際通貨基金への加入の問題でございますが、これは政府として現在全然その見通しについてはきまつておりません。ただ平和條約前でも、たとえばオーストリア等は加入をいたしておりますので、平和條約前に加入ができないということはないと承知をいたしております。なお先般できました外国為替及び外国貿易管理法におきましても、国際通質基金の原則をできるだけ取入れまして、制定をいたしておりますので、これに加入することの態勢等につきましては着々整備をいたしおるのでありますが、何分にも現在の情勢において、いつ加入できるかということについては、全然見通しを持つておりません。
  127. 田中織之進

    田中(織)委員 次にただいま御答弁になつておりました現在国内に保留しておる金と、それから接收されておる分との関係でありますが、接收されておる関係のものは、これは接收はされておりますけれども、国内にあるものですか、どうですか。
  128. 伊原隆

    伊原政府委員 これは日本銀行の金庫とか造幣局等に、連合国の嚴重な管理のもとにございます。
  129. 田中織之進

    田中(織)委員 これはきわめて重大な問題でありまして、この点は国民のひとしく関心を持つておる問題でありますからお伺いしたいのでありますが、今後この管理法によつて国へ全部集中されるというのでありますが、現在の産金業、金鉱業は非常に苦しい状態にあると思うのであります。その意味で産金復興助成の見地から、たとえば機械器具等を輸入する場合の輸入税の免除というようなことも考えておられるようでありますが、産金の復興助成の問題について、さらに具体的にどういうようにお考えになつておられますか。同時にこれはむしろ通産省の関係になるかと思うのでありますが、産金の価格の問題、こういうことについては当然将来に備えて、産金量の増加をはからなければならないわけでありますが、出そういう見地から見て金価格の問題について、どういう対策を持つて臨まれようとするのであるか。この機会に承つておきたいと思います。
  130. 伊原隆

    伊原政府委員 通産省の方もおいでになつておりますから、私の方の部分についてのみお答え申し上げます。価格の問題でございますが、これは先ほど申し上げましたように、貴金属特別会計は一手買取りの会計でございますが、これを三月一日から一グラム三百八十五円でございましたのを、四百一円まで引上げました。銀につきましても一キロ七千三百八十八円のものを、七千八百三十四円に引上げました。金と銀は一緒に出て参りますので、一銭の値上げということも産金には非常に足しになるわけでございます。これはアメリカの金の価格一オンス三十五ドルということから、為替で算定いたしますと四百五円という数字が出るのでありますが、これから一%の現送費を差引きまして、四百一円という数字を出したわけでございます。産金の奨励のためにはできるだけ値を上げたいということは考えるのでありますが、先ほどもちよつと申し上げましたように、国際通貨基金等の原則その他為替管理の原則から申しまして、金のような国際的の商品につきましては、為替相場によつて算定することが当然でございますので、その許す範囲におきましてできるだけ引上げを行つた次第でございます。  なお金融の問題につきましては、通産省の方からいろいろお話があると思います。青化製練の設備等の拡充をいたしますことは、戦争中の金鉱業の整備で、山元の設備をみんなこわしてしまいましたので、相当含有量の多い金鉱でも製練することができないという状況にございますので、山元に製練設備をつくることがぜひ必要でございます。これには設備資金の金融ということが大切でございますが、先般の閣議決定におきまして、できるだけ融資のあつせんをする。万やむを得ない場合には見返り資金等も考えるということをいたしておりまして、日本銀行と打合せの上、金の方に金を貸す場合にはマーケツト・オペレーシヨンを続行する。融資のあつせんに相当努力をする。それから日本銀行の方とも相談いたしまして、金に対する貸出しにつきましては、できるだけ低い金利でやつて行きたいというので、特別金利をも現在考慮中でございます。名前は別でございますが、相当たくさんの山に日本銀行の方で融資あつせんをいたしておりますので、産金の増産上非常に役立つておると存じております。
  131. 手塚保明

    ○手塚説明員 ただいま伊原政府委員から御説明いたしましたその他の直接的な助成策に勢いて、二、三申し上げておきます。ただいま価格及び融資の面について御説明がございましたが、それ以外の点につきましては、たとえば探鉱奨励命の付與、これは二十五年度におきまして千四百万円を予定いたしております。それから租税等の免税につきまして、ただいま決定いたしておりますのは地方税といたしまして、電気ガス税の免税を決定いたしました。それから鉱石の輸送の運賃の低減もこれは特定の鉱山につきまして運賃の二割引ということに決定いたしました。なお労務者の優遇方法といたしまして、加配米を一日につきまして二合七勺、普通の鉱山は二合五勺でありますが、二合七勺を支給する、こういうことになつております。
  132. 田中織之進

    田中(織)委員 金属の問題について、もう一点お伺いしたいのでありますが、政府に集中いたしました地金のうちで国内に売却するものについての配分の基準等の問題でございますが、たとえばT芸その他の用のために売却することになつておるというのでありますが、このT芸その他の用のためにというのは大体どういうようなものが含まれておりますか。またこれをT業T芸等その他と配分する場合の基準をどこに置いておりますか。  それからこれはむしろ特別会計に関連した問題でございますが、買上げ方法の問題について、現にとられておる処置を御説明願いたいと思います。
  133. 伊原隆

    伊原政府委員 私から大綱を申し上げます。先ほども申し上げましたように、国内の新産金が非常に少くありますので、国内の需要を十分に満たしておりません。たとえば昭和二十四年について申し上げますと、一・三トンほど国内で使つておるわけであります。全体で二十四年に出ました金が四・〇二七トン出ております。そのうち一・三六トンを放出いたしております。その大部分、一・二トンというのが歯科用であります。歯科用等につきましては、厚生省を通じて申請かございます。それからその他通信機用とか、鉄道車両用等は、通産省の方からお話がありまして、配分をいたしておるわけであります。現在は名目上大蔵大臣が一々許可するようなかつこうになつておるのでありますが、この法律を通していただきましたあとはう大蔵省としましては、全体の金につきまして各省に配分をいたしまして、そうして厚生省なら厚生省の方でこれを歯科用その他の医療用におわけ願う、通産省の方で通信機用鉄道、車両用におわけ願うというふうにいたすつもりでございます。
  134. 田中織之進

    田中(織)委員 買上げの方法について、現在どういうふうな方法を――もちろん特別会計で全部買い上げることになつておるのでありますが、実際に産出せられておるものが、はたして二十四年に四・〇二七トンであるかどうか。この点は非常に嚴重なる監督が行われておりますが、私の仄聞するところによりますと、特に第三国人と申しますが、そういう関係におきまして、やはり日本経済の見通し等に関連いたしまして、相当こういう方面に対する買いあさりと申しますか、そういうものが現実には行われておるのではないかとわれわれは見込んおるのでありますが、そういう観点からいたしまして、現在の買上げ方法について、何らかの改善と申しますか、そういう必要がはたしてないものかどうか。その点についてのお考えを承りたいと思います。
  135. 伊原隆

    伊原政府委員 現在は精製いたしました場合、精製後三十日以内に産金法の施行令によつて買い上げることになつておりますが、この法令ができましたあとは、精製の完了した日に属する月の翌月の末日までに買い上げる。これは大きな業者でございますので、みな法令通りつております。ことに政府は金を持つて参ればすぐ支拂いをいたしますし、つくつてからこの法令の制限の規定の範囲内に、必ずみな売つておるというような状況でございます。ただお示しのようなことも想像されるのでございますが、金のやみの値段等についているく聞きますと、だんだん下つて参りまして、さつき申し上げましたように一グラムですと四百一円でありますが、一匁にして千五百円、それがこのころではやみが二千円程度、最も低い場合で千六百円というような話も聞き及んでおります。やみと公定が非常に近くなつておるのであります。従つて円の価値が非常に張くなつて来たという証拠にもなると思うのでありますが、経済が安定して参りまして、金のやみ等は非常に下つて来たというような状況であります。
  136. 田中織之進

    田中(織)委員 新産金についてはそういうことになるのでありますが、これも私偶然の機会でそういう事情に接したのでありますが、たとえば美術工芸品等に相当のやはり金を使つておるものがあるわけであります。私の聞いたところによると――これは相当古いものでありますけれども、まず全部それをとりますと一貫五百匁、従つて現在の金銀の価格、いわゆるやみ価格と申しますか、そういう関係から参りましてもうまず地金の相場といたしましても二百五、六十万円のものがある。これは非常に古い、ある意味において工芸品に属するので、そういう骨董的な価値から、まさかそれをガソリンで燃やして純金を残すというようなことまではやらないに違いないのでありますが、これを金の地金相場に直しまして、実は売買の話が持上つていることを偶然の機会に聞いたのであります。こういう場面に対します管理が今後どういうようにたるのでありますか。この機会に伺つておきたいと思います。
  137. 伊原隆

    伊原政府委員 これは現在、たとえば今のお話のように個人がそういうような金製品といいますか、金の何か骨董のようなものを持つております場合は、別にそれを強制的に買い上げるというふうなことはいたしておりません。ただ法令上取引の制限がございまして、それを取引するというふうな場合には許可がいるということになつております。  なおこの十二條の第三項にございますように、身辺装飾品だとか、什品だとかそういうふうなものにつきましては、今後といえどもこれを收拾するとかいうような考えは全然持つておらないのであります。
  138. 田中織之進

    田中(織)委員 次に株式名義書換に関する法律案について一、二点伺いたいのであります。  実は証券対策の問題につきましては、先般この委員会が主体になつてつくつております証券民主化議員連盟衆議院においても決議案が可決されておりますが、なおわれわれは証券対策の問題といたしましては、多くの問題を控えております。しかし証券取引委員会の方が見えておらないようでありますが、この法律と直接関連した点を一、二伺いたいと思うのであります。  今回のこの法律によりまして、ある意味から申しますならば、株式名義書きかえの手続の問題が簡素化されるというような方向にあると思うのであります。ことにこれは従来からも便宜的には行われておつたのではないかと、われわれは見ておるのでありますが、会社本店の方から支店、または会社支店の委託を受けた名義書きかえ代理人においても、名義書きかえを行うことができるということに、はつきりと明文上なつたということは適切なことだと思うのであります。これは一面いわゆる証券取引に、今度は移転税が廃止せられたのでございますけれども、その他証券取引に関連する徴税の面から見ますならば、これは非常にある意味から見れば合理的になつたともいえるのでありますが、大体名義書きかえの期間の問題は、これは証券取引の円滑化――あまり長い期間になりますと、その間における投機と申しますか、非常にある意味から見れば不正なことも行われる危險性があるのであります。そういう証券取引上の従来の商慣習との関係において今度のこの名義書きかえの法律との間の調整については、十分立案にあたつて考慮されたことと思うのでありますが、問題ははたじて起らないでしようか。
  139. 伊原隆

    伊原政府委員 今仰せの点等につきましては十分考慮をいたしたのであります。先ほど三宅委員からお話が、ございましたように、現在の状況では、われわれ調べたところでは、相当早いのもあるようでありますが、決算期とか増資の時期等については、名義書きかえに少くとも一箇月、もつとおそいのになると二箇月もかかるのが実情でざいます。その間に手数もかかるし費用もかかる。株主の方にも費用がかかるし、それから会社の方も費用がかかつたわけでございますが、今回この制度によりまして、株式移転簿というようなものを使えば、ごく簡単に行くようになりますので、名義書きかえが非常に円滑行く。ことにだんだん配当を復活して来て、株式が利潤証券になるということが株価対策等からいつても根本的な問題でございますので、そういう場合には従来の白紙委任状でなく、みな名義書きかえをするようになるのが当然でございますが、そういう際にも名義書きかえが非常に円滑にできるということになるものと考えております。
  140. 田中織之進

    田中(織)委員 私の質問は以上で打切ります。
  141. 川野芳滿

    川野委員長 両案に対する質疑は以上で打切りにしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 川野芳滿

    川野委員長 それではさよう決定いたします。     ―――――――――――――
  143. 川野芳滿

    川野委員長 それではまず貴金属管理法案議題といたします。
  144. 北澤直吉

    ○北澤委員 貴金属管理法案につきましては、討論を省略して採決せられんことを望みます。
  145. 川野芳滿

    川野委員長 北澤君の動議に御異議ありませんか。     〔「、異灘なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようですから、さよう決定いたします。  それでは貴金属管理法案につきまして、討論を省略して採決を行います。本案に賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立〕
  147. 川野芳滿

    川野委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り決定いたしました。     ―――――――――――――
  148. 川野芳滿

    川野委員長 次に株式名義書換に関する法律案議題として討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。田中織之進君。
  149. 田中織之進

    田中(織)委員 われわれは現在の証券取引の現状から見まして、証券対策について現に政府がとりつつある施策につきましては、きわめて不満の意を持つているのであります。しかし今回の株式名義書換に関する法律案につきましては、これは証券取引の円滑化を期する意味におきまして、適切な処置であるという観点に立ちまして、本案に賛成いたします。
  150. 川野芳滿

  151. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は、この株式名義書換に関する法律律案につきまして、自由党を代表いたしまして賛成の討論をいたしたいと思うのであります。  本日は政府委員よりも、きわめて明細なる御説明があつたのであります。従来の株式名義の書きかえに関しましては、一箇月も二箇月もかかりまして、はなはだ迷惑を感じておつたのでありますが、この法律案の施行によりまして、割合簡單に容易に各地の保持者ができることになつたのでありまして、これはまことによき法律案であると感ずるのであります。特に信用を保持するために、本法案によりますと、百万円以上の資産を有しますところの銀行もしくは信託業務を行つておりますものがこれを代行する、こういう点でございまして、ことに株式移転簿等を備えておりまして割合迅速にこれが執行できる、こういう点でありますから、現段階におきましても、この法案が施行せられたあかつきにおいては、約五割方の人件費の減少なり時間の減少ができることと確信するものであります。さらにこれらに対しましては、証券取引委員会といたしましてときどきこれを監査し、もしくは指導いたしまして名義書きかえに関し万遺憾なからしめたいというのが、本法案を提出せられたゆえんであると確信いたしまして、私は自由党を代表して迅速にこの法律が施行せられまして、一般取引業者並びに一般の国民が安心をいたして簡単に名義書きかえができて、証券対策上もしくは金融上の利便多からしめられんことを響いたしまして、本法案に賛成するものであります。
  152. 川野芳滿

    川野委員長 次は宮腰喜助君。
  153. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 私は民主党を代表しまして本案に希望條件を付しまして賛成するものであります。  本案は、この名義書きかえについて、この書きかえを受ける人の便宜のためにこの名義書きかえの代理業を許したり、あるいはいろいろな便宜を與える規定があるので、この点については敬服するものであります。しかし、この名義書きかえの問題に関しまして今後起る問題だと思いますが、また前、国会委員会でも問題になつたことでありますが、株式名義書きかえについて、あるいは三箇月以内に名義書きかえをさせよう、こういうお考えが政府にあるようですが、もし二箇月以内に名義書きかえを強制する場合には、おそらく株式譲渡に対して興味を持てなくなつて、それがために株価対策ができないという状態が起るのでありますから、今後こういうことの提案をなさらないようにお考え願いたい。  それから先ほど来再三質問でもお願いしてありますが、この譲渡利得税と移転税の関係についても特に御考慮を願いまて、譲渡利得税のようなものを廃止して移転税一本で行つていただきたい、こういう問題と、それから富裕税と株価の問題について、特にこの株価対策のために富裕税のうちの財産調査の場合、金銭の場合も特に考慮に入れて株価の下落に対する御考慮を願いたい。それから株式買入れの場合の資金の追究を、なるべくなさらないような方法を講じていただきたい。  こういう意味合いで二、三点の希望條項を付しまして本案に賛成するものであります。
  154. 川野芳滿

    川野委員長 田島ひで君。
  155. 田島ひで

    ○田島委員 私は本法案に反対いたします。  この法案だけを見ておりますると、名義書きかえの便宜等、それに反対する理由はございませんが、現在政府が証券対策に対して何ら根本的な施策を持つていない。この根本対策が出されない前に法律をもつてこのようなことを規定いたしますことは、現状ではますます矛盾混乱させて事態を上悪化させるものと思う。私どもはこの法案の前に、むしろ政府自身として証券対策に関する根本的なものをつくる必要がある、こう考えます。またこの法案が施行されます上におきましては、現在言われておりまするところの証券の民主化ということにつきましても、相当矛盾が起つて参るのではないかと考えます。この意味におきまして、大ざつぱでございますが、共産党は反対をいたします。
  156. 川野芳滿

    川野委員長 討論は終局いたしました。  これより採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  157. 川野芳滿

    川野委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  それでは本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十二分散会